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1974-03-08 第72回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 渡部 恒三君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       田中  覚君    戸井田三郎君       八田 貞義君    岩垂寿喜男君       小林 信一君    佐野 憲治君       馬場  昇君    吉田 法晴君       米原  昶君    岡本 富夫君       坂口  力君    折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君  委員外出席者         衆議院法制局第         四部第二課長  斎藤 一郎君         経済企画庁長官         官房参事官   仲田 嘉夫君         環境庁企画調整         局損害賠償保障         制度準備室長  杉田 昌久君         環境庁大気保全         局企画課長   山崎  圭君         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         国税庁直税部所         得税課長    水口  昭君         文部省体育局学         校保健課長   波多江 明君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         日本国有鉄道環         境推進本部事務         局長      坂  芳雄君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     吉田 法晴君   佐野 憲治君     馬場  昇君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     佐野 憲治君   吉田 法晴君     岩垂寿喜男君     ————————————— 三月六日  公害紛争処理法の一部を改正する法律案内閣  提出第七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三五号)  公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染  及び水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 角屋堅次郎

    角屋委員長 これより会議を開きます。  委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に新幹線騒音問題の実情調査のため、議長に対し、委員派遣承認を申請したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、委員派遣の人選、日時、派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員長 内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑申し出がありますので順次これを許します。岡本富夫君。
  6. 岡本富夫

    岡本委員 公害健康被害補償法、この質疑にあたりまして、この補償法公害健康被害補償をするところの指定地域、これをきめるわけでありますけれども、第二種地域について、これは水のほうの健康被害、現在水俣湾沿岸地域、それから阿賀野川流域地域、それから神通川流域地域、宮崎県の土呂久地域、こういうようになっておりますが、ここで一つ抜けておる。それはけさの新聞にも報道されておりますけれども長崎県の対馬厳原、ここの東邦亜鉛会社のこの川の流域ですね。  これは実は昭和三十九年に岡山大学小林教授が参りまして、そしていろいろ調査をして、そういった問題を分析をしてきた。あと萩野博士、これはイタイイタイ病の有名な富山県の開業医でありますけれども、この方も参りました。  そこで、わが党でも実は四十三年から当地に参りまして、何べんか政府にも要求をいたしたことがあります。政府のほうでも、御承知のように当時は厚生省でありましたけれども日本公衆衛生協会への委託によってイタイイタイ病研究班重松班長が行っておる。そうして悲しいことには、イタイイタイ病はないんだというような結果に終わって、指定地域になってない。したがって、あの地域の方々は、病気になった方、中にはそのレントゲンを持って帰って、きちっと萩野博士のところでは、これはイタイイタイ病だという症状も出ておるわけですが、ところが、そういうのを無視してイタイイタイ病研究班重松班長調査も不十分であったのか、指定地域にできないような報告になっておる。これについて元幹部からこういった内部告発が出ておるわけでありますが、これについて、長官は現在の御心境としてどういうふうに考えていらっしゃるか、ひとつお聞きしたいと思います。
  7. 三木武夫

    三木国務大臣 私どもも、きょう朝日新聞ですか報道された東邦亜鉛対馬事件は言語道断な事件だと思います、あれが事実ならば。よごれてない上流の土砂を下流へ持ってきて、そうしてごまかしたというようなことは、これは許されない行為でありますから、環境庁としても、さっそく事態究明して 必要があれば再調査もいたす考えでございます。あそこの健康調査はすでにやったわけでありますが、イタイイタイ病患者はなかったというような報告でありましたけれども、いま言ったようなあそこの事態というものが、会社ぐるみ事態を隠蔽するような作業が行なわれたという、どうもそういう点で不安がありますから、真相を究明し、さらにきょう報道されたようなことが事実でありますならば、近く再調査もいたしたいと考えております。
  8. 岡本富夫

    岡本委員 再調査すると言うてしまえばふそれまでなんですけれども、当時の研究班あるいはまたこれは環境庁ができる前で厚生省でありますけれども政府姿勢として非常に企業寄りであったのではないか。たとえば調査にしましても、いつ幾日参りますから、そういうようなことだから、前の日に、あるいはこれを見ますと相当前から川さらえをしたり、あるいは土をかえたり、いろいろやっているわけですね。ですから、抜き打ち調査でなければならない。  そこで、そういった徹夜で川底を洗ったり、これはここだけじゃないのです。実は私ども富山あるいはまたあれは群馬県でしたか安中、あそこへ参りましても、行くといえば前の日に全部掃除しているのですね。掃除する前のやつをとらないと、掃除してからのやつはもう何にもならない、こういうことをつくづくいままで何べんか調査の間で感じたことがありました。したがって、抜き打ち調査をしていかなければならない。カドミのこうした汚染というものはここだけでありません。全国相当カドミ汚染米が出ておるわけですが、これを一つの機会として全国のそういった地域全部のもう一ぺん再調査を必要とするのではないかというふうに考えられるのですが、長官の御意見をお伺いしたい。
  9. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、きょうの記事を見まして、公害問題に対してああいうごまかしをほかの鉱業所においてもやっておるということは信じられないのです。ああいう例というものは、まことにめずらしい例であって、企業家社会的責任というものに対する自覚というのは、あのことが事実なら何もないわけです。ごまかして通ればよい。これは許されない行為で、これが全企業の態度だとは私は考えないわけでございます。したがって、いままでのいろいろな調査対馬東邦亜鉛のようなものだとは私は考えていないわけでございます。
  10. 岡本富夫

    岡本委員 長官は少し考え方が甘いのじゃないかと思います。なぜかならば、現在ですと相当物価の問題から——物価の問題でもああして予算委員会参考人に呼んでも、年がいったから思い出さぬとか、ああいった逃げ方をするのです。この四十二年、三年、四年、五年、あるいは環境庁ができる前というのは、企業はなるべく隠そうという姿勢が濃厚だったのです。たとえばそこにおる橋本審議官なんかも、安中東邦亜鉛に行ったって、初め入れてくれなかったんです。厚生省の役人ですよ。こういうことです。  ですから昔を思い出しますと、非常にやかましくいって今日まできたわけですから、ましてこの補償法ができまして、現在第二種地域は四カ所ですが、被害を受けておる人たちがだいぶいると思います。まだ指の曲がったのやいろいろあるのですから、これは全国をもう一ぺん点検をして、補償法ができたのですから、これに含めて救済をしていくというふうにすべきだと私は思うのですが、これは大気汚染、一種のほうも同じですけれども、その点についてもう一度……。
  11. 三木武夫

    三木国務大臣 この法律公害病患者補償をしようというわけですから、そういう必要な場所があれば四カ所に限ることはないわけですから、できるだけ救済の対象として地域を拡大していくということが立法の精神である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  12. 岡本富夫

    岡本委員 広く救済をしていくというのですから、それには調査が必要だし、指定地域にしなければいけない。ということですから、全国のいままでの被害地域に対しては再調査が必要だ。これは論を待たないところでございます。  そこで委員長、実はこの問題の究明を明らかにしなければならぬと思いますので、当委員会東邦亜鉛社長、できれば当時の所長ですか、まあ最高責任者社長。それから長崎県が調査をしておるのですが、長崎県もこれはだまされておるわけですから、長崎県の衛生部長さん、それから、この当時調査をいたしました岡山大学小林教授、それから公衆衛生協会委託イタイイタイ病研究班班長である重松班長、それから当時の患者を見つけました萩野博士、これだけを当委員会に、最初参考人でけっこうですから呼んでいただいて、皆さんからもっと質疑をしていただいて、そして究明をしていただく、私はこういうふうにお取り計らいをお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員長 ただいま岡本委員からのお申し出の点については、後刻理事会で協議をいたすことにいたしたいと存じます。
  14. 岡本富夫

    岡本委員 次に、補償法案の改正にあたりまして、汚染負荷量賦課金、この徴収方法でありますけれども環境庁から御説明を聞きますと、賦課金算定方法全国一律の場合、SO2の全国の総排出量、こういうものに、いろいろと計算をして重油の中の含有量とか、こういうものをかけるという非常に簡単なあれになっていますけれども、この算定方法について、ひとつ簡単に御説明を願いたい。
  15. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 汚染負荷量賦課金算定方法についての御質問でございますが、法律にございますように、政令で特定いたします健康被害に影響のある汚染物質放出総量に応じて賦課金をかけるという形になっております。この点につきましては、四十八年度調査で現在調査をいたしておるところでございますが、どれだけの硫黄酸化物を毎年放出をするか、あるいはどれだけの窒素酸化物を毎年放出するかということにつきましては、これは排出係数を用いまして全国的なマクロのベースとしては両方計算ができます。そういうことになりますので、硫黄酸化物総量窒素酸化物総量と、その中におきましての汚染源別の配分というものは、マクロにおいては算出することができるわけでございます。  ただ、その全体の総量中心といたしまして、この汚染負荷量賦課金をかける——所要額の総額に対して割り振るわけでございますが、これを個別の企業に割り振るという場合になりますと、現在排出源におきまして、どれだけ放出をしておるかという実際の実測体制ということになりますと、SO2のほうは、これは相当な高度のものがそろっておりますので、これは可能でございますが、発生源におきます窒素酸化物につきましての実測体制というのは、これはまだ現在不完全でございます。そういうことで、マクロ計算としては窒素酸化物SO2、両方の総排出量を出しますが、ミクロとして、一つずつの企業に割り当てるという場合に、まず当初の年度は、出発のときにはSO2の排出量に応じて負荷量計算していく、そのような形をとることにいたしております。
  16. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、賦課金の各企業に対してのかけ方について、書籍を見ますと、重油平均含有S分、これを一・五%とかいう説明を聞いたわけです。それから賦課料率、これは十円、パー立方メートルですか、いろいろ計算を、大体のことを聞いたわけですが、すでに東京都あるいはまた大阪府ではSO2の含有量、これについて一七・六%、それからNOx、これが三・五五、それからばいじん、〇・一三から〇・五六、こういうようなこまかい分析が出ておるわけですね。石炭の場合とか、あるいはまた灯油の場合、軽油の場合、それぞれみんな違うわけですよ。そうでなければ、ただ一律にぱっとやるということでは非常に不公平になるのではないか。同時にまた、それならばC重油といいますか、要するにA重油より安いほうを使ったほうが得だ、同じパーセントで分けられますからね。  これは計算については非常にむずかしかろうと思いますが、やはり公平を期する意味におきまして、こういったこまかい計算をその企業その企業によってしなければならない、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  17. 杉田昌久

    杉田説明員 御説明申し上げます。  ただいまの御指摘の点につきましては、理論的には先生のおっしゃるような各種のこまかい施設ごとのそれぞれに応じたデータでやるのが理想的でございますけれども、現在やられております段階では、たとえば御指摘東京都の排出計数につきましても、これはあくまで平均的な数値として用いられておりますので、各個別の施設につきましては、またそれぞれ違っているということで、そういったマクロ的な計数を使うというのは必ずしも適当ではないという事情がございます。したがいまして、現在のところではある程度割り切った簡単な方法でやらざるを得ないというふうなことで考えております。
  18. 岡本富夫

    岡本委員 簡単な方法と言いますけれども、この賦課金については通産省令によると——ほんとう環境庁、要するに総理府令だけでいいのですけれども通産省まで入っているわけですが、そのためにいろいろと中で使っている原料についての調査が必要だというわけで、こういうふうにしているんじゃないかというふうに私は考えたわけですけれども、あまり簡単にやるということは、まあ事務の繁雑もありますけれども徴収の不公平ということを来たすんではないか、こういうふうに考えます。その点についてもう一度。
  19. 杉田昌久

    杉田説明員 現段階で可能な限り得られるデータ、たとえば重油について硫黄分含有量が違えば、それに応じたような硫黄酸化物がそれぞれ違う排出量になりますので、そういったところをできるだけ現実的に可能な範囲内で公平を期するように計算方式を検討してまいりたい、かように考えております。
  20. 岡本富夫

    岡本委員 全部政令委任になっておるのですね。この前のこの補償法案でも五十ぐらい政令委任。今度も大事なところはほとんど政令委任。ですから、法案をこうしていろいろと検討し、あるいはまた審議するにあたりましても、政令委任というのがあんまり多過ぎる。少し前は、法律政令にゆだねる場合はほとんど、どういうことがこうなって、こうなるんだという確たる答弁ができるような政令の立て方だったですね。このごろのは、もう法案ができてから、あと政令委任ですから、どうなるかわからないというのが非常に多い。これは公害国会からこういうふうに政令委任が非常に多くなった。そういうふうに政府法律の立て方が変わってきたわけですね。  これは今後長官、副総理として全体の法律について、もっと明らかに審議できるような法律の立て方にしていただきたい、これを私は要求するのですが、ついでですから、いかがでしょうか。
  21. 三木武夫

    三木国務大臣 お説のとおりだと思います。あまり政令にゆだねる事項が多いということは、法律ていさいとして好ましいことではないと思いますが、この健康被害補償法もできるだけ早くこれを実施したいということで、各省間で未調整の問題もあったわけです。そういうことで多少の時間が要ったということで、こういう方法をとったのですけれども、これはいい例だとは思っておらないわけであります。今後できる限り政令にゆだねる事項を少なくするように努力をすべきであると考えております。
  22. 岡本富夫

    岡本委員 次に移動発生源、すなわち自動車重量税、ことしは相当上がって千九百九十億ですか、約二千億近い。だのに、この公害補償に回すところの金額は約八億円と聞いているのです。あと自動車重量税道路の整備だとかそういうものに使うのだそうですが、そこでこの自動車が社会的にいろいろ損失を与える、道路なんかを整備しなければならぬ、それと公害に寄与した、これの率というのは、どういうように計算したのか。これをちょっとお聞かせ願いたい。
  23. 城戸謙次

    城戸政府委員 私どもいま自動車重量税引き当てで八億円を一般会計からの予算として、この健康被害補償に充てるということは、これはあくまでこの法律によります健康被害者補償に要する経費でございます。  先生いま御指摘の、自動車がどういうぐあいに社会的費用をもたらしているか、これは環境汚染もありましょうし、あるいは交通事故等もあるわけでございまして、この問題につきましては、いまの健康被害補償の問題と別個に、今後具体的にどういう社会的費用がかかっているかということを詰めてまいらなければならぬ、こう思っているわけでございます。  私ども、こういう環境汚染に伴う社会的費用試算としましては、四十七年度公害白書で一応全体の環境汚染に関する社会的費用を、四十五年度でございますが、国民一人当たり約一万五千円と推算しております。しかしこれはごく一つ試算でございまして、そのほかにも現在いろいろ経済企画庁その他で検討されている数字があるわけでございまして、ただ、いま先生指摘のような自動車ということになりますと、今後もう少し詰めていかなければならぬ、こう思っております。もちろんこの社会的費用いかんということが、今後交通を総合的にどういうぐあいに体系化するのが一番合理的かということを考えてまいります上での一つの大きなファクターになろうと私ども考えております。
  24. 岡本富夫

    岡本委員 この中公審の答申が出たといいますか、その当時は環境庁のほうでは大体百億以上自動車重量税から取るというような考えだったと思うのです。それが八億に減ってしまった。これでは非常に後退をしてしまったのではないか。そこらの根拠について、どうなったのか。百億から八億になってしまったというのは、あまりにも考え方がおかしいと私は思うのですが、それについてひとつ……。
  25. 城戸謙次

    城戸政府委員 私どもの百億という数字は公式に言ってまいったわけではございませんで、ただいろいろな段階でいろいろな人の試算としてそういう数字があるいは上がってきたんじゃないかと思っております。私どもとしましては、来年度具体的に地域指定等をどの程度行なっていくか、そういうような具体的な問題と関連しまして、現在持っていますいろいろな資料から全体の費用をはじきまして、大体その二割が移動発生源にかかる負担分だということで計算しているわけでございます。
  26. 岡本富夫

    岡本委員 企業が八割、固定発生源が八割、それから移動発生源が二割、この根拠もずいぶん私は薄弱ではないかと思うのですけれども、一応の目安としてそうだろうと思うのですけれども、私のいま言っているのは、大体最初目安は百億というか、百五億円というんですか、それが八億に減ってしまった。どうなったかといいますと、それが結局は福祉事業といいますか、公害保健福祉事業事業費が縮小されてしまったことになるんです。したがって、環境庁長官水俣へ行きまして、水俣患者皆さんリハビリテーションセンターをつくるとかお約束をされたのに、いまだにできてない。なぜできないかと申しますと、地方財政にあまりにも負担をかけ過ぎる。  私はこういったところから予算を取って、そして、せっかく長官が向こうへ行って約束をされたんですから、国費でほとんどやってあげる、あと経費については地方自治体に事務費なんかもまかせなければしかたがないと思いますけれども、百億という当初の呼び声が八億に減ってしまった、そのためにこうしてできないのではないか。大蔵当局最初百億ぐらいの予算は大体覚悟しておったわけですから、その点について、こういうところにしわ寄せがきてしまっている。それが政治不信に大きくつながる。長官は、私はうそを言いませんと、この前も言っておられたように思うのですけれども、この点について、私はそこにしわ寄せがきたと思うのすが、その点、答弁をお願いします。
  27. 三木武夫

    三木国務大臣 水俣のことを御指摘になりましたけれども研究治療センターは金がなくてできなかったのではないんですよ。それは、それをつくるについて専門家意見を徴さなければなりませんから、むしろ金よりも人間なんですね。ああいう研究所というのは、建物だけができてもだめですからね。だから、熊本大学などの協力も得なければならぬし、研究者中心とした人間の問題が金よりも大きな問題で、その人間がそこの研究所に集まってくるためには、どういう性格でどういう研究所をつくるかということが大問題であるわけです。だから今日までも、できればこの会計年度に話をまとめたい、そして四十九年度予算に計上して実現したいと思ったのが延びたのは、そういうところにあるのです。金よりも人間の問題である。それでいまも検討委員会を続けて結論をできるだけ早く出して実現をさしたいということで、金がなくておくれておるのではないということは、ひとつ御了解を願いたいのでございます。  自動車のほうは、私は百億円というのは聞いていないのですがね。どこでそういう数字が出たかわからないのですが、今後ああいう基金というものは充実していく必要がありましょうから、徴収のいろいろな問題というものは今後検討すべき問題があると思いますが、百億百億という話ですけれども、私はどういうところから出てきたのか知らぬけれども、その百億を予定しておったのに、いろいろな政府部内の折衝によって八億円に削減された、そういうのは私は事実と違うと思っております。
  28. 岡本富夫

    岡本委員 自動車重量税がことしは大体一千億ぐらいだった。来年は上げまして一千九百九十億、約二倍になるわけですよ。しかもそういったたくさんな重量税一般会計政府が召し上げて、しかも自動車が、要するに移動発生源がどれだけ人の健康に被害を与えているかということの計算根拠というものがまだはっきりしない、こう思うのです。だから、たとえばちょっと聞いただけでも千九百九十億に対して八億だけが健康被害のほうに回るのだといえば、これは道路優先であって、人命優先ではないじゃないか。これは根拠はないとしましても、こういうことの国民感情というものがやはりあると思うのですね。  同時にもう一つは、水俣のあの問題は、健康センターですか、これはいまここにいる委員長も御存じのように、この間当委員会にわざわざ向こうの市議会の皆さん方が見えまして、長官にもこうして約束していただいたけれども、どうにもならぬのだ、早くひとつ国でやっていただきたいというような——委員長も御存じだと思うのですね。それには、重量税から出るのが全国で八億ですからね。それから、企業はこれから割り当てるわけですね。これは計算がたいへんなんですよ。そんなことをしているとずいぶんおくれてしまうと思うのです。ですから、重量税から、一般会計からもっと出して、千九百九十億円もあるのですから、それで環境庁に潤沢な予算をつくって、ぱっとやってあげる。そうするとあと、向こうの県知事さんや市長さんあたりが一生懸命に、いろいろな学者あるいはまたそういった治療関係の皆さん方を向こうで何とかめんどうを見て、早く手をつけるということが大事じゃないか。  そこで、これは意見ですが、一体いつごろ水俣のこの健康センターといいますか、あの明水園みたいなものをもっと充実してやるという、せっかく長官約束してこられたのですから、大体いつごろだということを当委員会としても向こうに報告をしてあげなければならぬだろうと私は思うのです。その点についてちょっと……。
  29. 城戸謙次

    城戸政府委員 ただいま先生御質問の点、若干誤解をいただいている点があるのではないかと思いますので、申し上げたいと思いますが、第一点は、水俣のいまのセンターに関連しまして、かりにこれを公害保健福祉事業でやりますにしましても、これは第二種地域にかかる疾病に相応するものでございますから、当然特定賦課金でまかなわれるものでございます。いま議論になっております法律の一部改正はもっぱら第一種地域にかかる疾病に関連した別法でございまして、別法にかわる二年間の措置でございます。したがいまして、これは水俣の問題とは全く関係がないということが第一点でございます。  それから先ほど百億というお話がございましたが、百億の話が話題になっていたとしましても、これはもっぱらピーク時においてどうであるかという議論との関係で出たものだと思うわけでございまして、そういう意味で現在の初年度の問題でない。また初年度は、特に九月からということでございますから、期間も非常に短いわけでございまして、ダイレクトにそれを比較していただくということは意味がないのじゃないか。また特にピーク時ということは数年あとでございますから、その間の賃金のアップ等もございますし、この数字をすぐ八億と比べていただくということは、いろいろな点で無理があろうか、こう思うわけでございます。
  30. 岡本富夫

    岡本委員 どうも私納得できないのですが、この個条を見ますと、福祉事業ができる、これはしなければならない、こう直さなければいかぬのですけれども、これは都道府県知事と書いていますけれども水俣の健康センターの場合はこの財源を使わないんだという話ですけれども、いずれにしましても、わざわざ長官が行って向こうでああしてお約束されたのは、いつだったですか、二年前だったと思うのですね。おととしだったと思うのですよ。それをそのままいまだにできずにほうっておくということは、これは政治不信をますます起こす。同時に気の毒だと私は思うのです。まだ潜在患者が相当おる。この人たちを早く認定のできるようにしてくれとも、また言っておりました。ヘドロの状況も、まだそのままになっているというようなこともありました。ですから、私はその点の配慮をまず長官からひとつお聞きしておきたいと思うのですが、答えていただきたいと思います。
  31. 三木武夫

    三木国務大臣 私が考え研究治療センターというのはもう少し、水銀の被害というものに対して学問的にも究明できてないものがあるのですね。だから相当アカデミックな意味も持たした研究所考えたわけなんです。ただ、明水園のような施設を拡充するというような研究所最初考えたのではないのです。そういうことも、治療のやはり便宜にも供せるような、研究と治療を兼ねたセンターであったほうが地元の人たちに対しての希望にも沿うわけですけれども、そういう意味も持たしたので、非常に何回も専門家を呼んでやったのです。ところが、その研究所というものが魅力のある研究所でないと、研究者というのが集まってこないわけです。研究者が集まってこないセンターというのは意味はないわけです。  そこで、やはり拙速といっても、研究者意見も一致しないで、進んで協力しようという意欲を研究者に起こさせないような研究所では意味がないために、もう少し専門家意見というものをいろいろ各方面から検討して、そしてせっかくつくるならば相当りっぱなセンターにしたいということで、時期的に来年度予算には間に合わなかったわけで、引き続いてやはり検討委員会は継続して、結論をできるだけ早く出したいと考えておるわけです。明水園のようなものを拡張したいというような、そういう目的から出たものではなかったわけでございます。
  32. 岡本富夫

    岡本委員 どうも私どもが当委員会として視察をいたしましたときも、向こうの市長さんや、あるいはまた明水園ですか、あそこの所長さんや、また県会の方、市会の方、住民の皆さん、要するに病気だったら、しかたがないんだから、これを一日も早く社会復帰できるようなそういった施設、これはできておるものはありますけれども、あれではちゃちなんだ、まだまだ自宅療法をしているのだ、まだどうしようもない人がたくさんいるのですというようなお話で、そういうものを国で何とかひとつつくっていただきたい、こういう要求でありました。  いま長官のお話の、要するに治療研究をするところ、そのセンターをつくるのだ、またそのメカニズムを調べるものをつくるのだというのと、私たちが聞いてきたのとは、ちょっと違うわけなんですね。ですから、どうも私たちが勘違いしておったのか、長官の発表されたのが、現地の方の受け取り方が違うのか。しかし私はなるほど治療研究、これも必要であろうと思うのです。これは根本的に必要であろうと思いますが、同時に社会復帰できるような、これは企業から金をとって、そうしてそれを国ででもやっていく、こういった態度も私はどうしても必要じゃないか。向こうで、市でやっておるのでは、とても全部がまかないきれない。そういったものを含めてではなかったのか、私はこう考えるのですが、もう一度これは長官から……。
  33. 三木武夫

    三木国務大臣 水銀の中毒については、いま究明されていないものがたくさんあるわけです。この治療でも、やはりそれを完全に治療する方法がなかなか医学上発見されていないというところに、患者人たちの根本的不安があるわけです。そしてまた、それが魚に行き、また人体に来るという、この蓄積の状態などもなかなか解明されていないものもありますから、やはり学問的な研究というものもおろそかにできないものと私は思うのです。  したがって、いま御指摘のようなリハビリテーションなんかの施設は、調査もしておりますから、これは必要に応じて拡大していくことは、現実の措置としてはきわめて必要であろうと思いますから、そういうのは今後の調査を待って、必要に応じてやっていく必要があると思いますが、最初つくろうとした研究センターは、学問的な意味も持ったような研究、またそのことが治療に資するというような、もう少し専門的な研究所をつくりたいと考えた次第でございます。そのことは最初から変わっていないわけであります。
  34. 岡本富夫

    岡本委員 どうも向こうの住民の皆さん考えていらっしゃるのと少しズレがあるように思います。確かに根本的なものも必要でありますけれども、やはりいまああしてたくさんの人たちが苦しんでおる。それをやはりああして社会復帰できるように福祉事業をやっていくということも私は大事ではないかと思う。  こればかり言っておっても、しかたがないので、この福祉事業につきまして、これは城戸さん、この補償協会がとった金からはやらない、要するに協会が集めた補償金と申しますか、この財源からではなくして、認定患者の健康の診断とかあるいは空気清浄機を民間の住宅につけるとか家庭訪問の指導、こういうような説明を私は聞いたのですけれども、これはどこから財源が出るのですか。
  35. 城戸謙次

    城戸政府委員 公害保健福祉事業でございますが、これは第一種にかかるものと第二種地域にかかるものとがあるわけでございます。  それで第一種地域にかかるものにつきましては、国が四分の一、県または市が四分の一、ほかが原因者負担でございまして、この分が一つ汚染負荷量賦課金一つが別法の関係、今回で申し上げますと重量税引き当てに相応します一般会計からの協会に対する交付金、これが公害保健福祉事業の財源になるわけでございます。第二種地域にかかるものにつきましては、やはり国が四分の一、県または市が四分の一でございますが、残りは特定賦課金から持ってくる、こういう仕組みになるわけでございまして、二つはそういう意味におきまして、国あるいは県、市がそれぞれ四分の一である点は共通でございますが、そのほかの原因者負担分につきましては、出どころが違うということになるわけでございます。
  36. 岡本富夫

    岡本委員 どうもややこしいですね。しかし結論としては、この第一種地域、第二種地域にも——第一種地域については重量税からですか。そういったたてわけができるのかどうか。どうもこれは納得できないように私は思うのですね。これは要するに大気汚染のほうですから自動車から取ってきたもの、それから二種地域のああいった水俣の病気なんというのはそういった企業にぶっかけたもの、こういうふうにたてわけするわけですか、これは。そしてその中から今度は福祉事業に対して金を出す場合に、第二種の場合は県や市、つまり地方自治体が負担をしないわけですね。それともやはり負担をするのですか。その点がどうも納得いかないのです。それではこれは補償法と違うように思うのですよ。  要するに健康被害補償というのは原状復帰であると私は思うのです。この法の精神からいって原状復帰でなきゃならない。それをできないものに対しては金銭であがなう、ここの根本的な考え方が、この福祉事業のような考え方では補償法とはいえないと私は思うのです。国が出すといっても、自動車重量税を取ったんだ、これはPPPの原則ですね。また固定発生源から取った金を回す、それでやるというのなら話はわかりますけれども、地方自治体はそこから金はもらわないのです。協会から補助金はあるのですか。協会から補助金ないのでしょう。地方自治体の金は住民税でしょう。福祉事業といっても補償法の中の福祉事業ですから、原状復帰、原状回復、それが一番の根本でなければならないと私は思うのですが、この点について、ひとついかがですか。
  37. 城戸謙次

    城戸政府委員 この事業の性格でございますが、公害保健福祉事業につきましては、一方で健康被害者の健康を回復するという原因者の義務を果たす事業としての性格を持っております。他方、このような事業は福祉を増進し、さらに被害を予防するという本来国なり地方公共団体の福祉行政の一環としてもやらなければいかぬ、こういう事業の性格をあわせ持っている、こういうことを考えまして、前に法律ができました段階におきまして、私どもとしましてはただいま申し上げましたように、二分の一が原因者負担で残りを国と自治体とで折半する、こういう制度として提案申し上げて、法律として成立しているわけでございまして、私どもとしてはそういう考え方にのっとりまして今後やってまいりたい。もちろんそのときでも原因者負担だけにすべきではないかという御意見があったことは記憶いたしておりますが、私ども考え方としましては、一つの事業で両方の性格を持っているということを考えて、そういうような制度としていまやっていこうとしておるわけでございます。
  38. 岡本富夫

    岡本委員 だからこの法案に私たちは反対したのです。これは次にこの法案の改正をしなければならぬようになると思うのです。なぜかならば、公害というのは、原因者というのははっきりしておるわけですから、いま予防の意味と申しますけれども、病気になった人を予防の意味といったって、これは原状回復であって、決して予防じゃないわけです。根本の法律がそうなっているんだったら、その改正をやっていかなければならぬ。この間、反対したからだなんて言っておりましたけれども、だから私たちは反対したわけです。  次の問題にいたします。  そこで、もうちょっともとへ戻るのですが、この賦課方式につきまして、ただ単純にSO2あるいは——NOxはまた別ですが、それに重油から何%出るから何%ぱっぱっとかければ、それで出させて、その単位当たりが十円としたらこうだという、こういう簡単なものではなくて、もしも企業に事故があったとき、それは相当あっちこっちで汚染物質を出していますね。事故があったときは特にものすごい大気汚染があるわけです。そういった場合に、加重する累進税式な、累進課税方式を採用するということの一項目がここに必要じゃないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  39. 城戸謙次

    城戸政府委員 ただいまおっしゃいましたような事故の場合、これは大体におきまして特異的疾患にかかるものと私ども考えておるわけでございまして、その場合は当然、もしその疾病が公害によって生じたということであれば地域を指定して、疾病も指定しました上で特定賦課金徴収するという形でやっていきたい、こういう考え方を持っております。
  40. 岡本富夫

    岡本委員 これは特定賦課金を賦課するという項目はありますか。——あればよろしい。  そこで次は、まず現在の大気汚染指定地域、これはこの前の委員会でももっとふやすのだ、先ほど長官からも話がありましたが、現在の指定地域内で学校の児童たちが絶えず汚染にさらされながら授業しているわけですね。あるいはまた、たまには避難をしたり、いろいろなことをやっておりますけれども、そこで病気になって発作を起こしたり、そういった児童の治療行為ですよ。いまのところは校医が見て近所の医者に連れていくというようなこと、あるいはまた医者へ行かない。子供というのは案外敏感ですから、少しぐらいだったら、ぴんぴんはねて医者に行かないというような場合が非常に多い。これは文部省にお聞きしたいのですが、校医の強化がこういった汚染地域においては必要ではないか。これについてどういうようにいま考えておるのかお答えいただきたい。
  41. 波多江明

    ○波多江説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のような状況等がございますが、一般に児童生徒の健康状態が最近のいろいろな社会情勢の変化によりまして変化いたしております。したがいまして、文部省におきましては、四十三年以来、保健体育審議会に諮問をいたしまして、四十七年十二月二十日に保健体育審議会から「児童生徒等の健康の保持増進に関する施策」をいただきまして、昨年六月に学校保健法の施行規則で学校の健康診断の方法を改正いたしまして、最近の医療技術その他を導入いたしました方法で定期の健康診断を実施する方法を改善いたしまして、四十九年度の四月からの定期健康診断を新しい方法で実施することといたしておりますが、大気汚染地域につきましては、そのほかに特別健康診断を四十六年度から実施いたしております。大気汚染地域に所在いたします学校の子供に対しましては、定期健康診断のほかに特別健康診断としまして、これは第一次から第三次までの健診をやりまして、ここで児童、生徒をスクリーニングをいたしまして家庭へ連絡をする。この経費につきましては、国のほうから三分の一の補助金を出しております。特別健康診断に当たりますのは校医、それから地域の医療機関と協力いたしまして実施をし、特に健康上問題のある子供の発見につとめております。
  42. 岡本富夫

    岡本委員 それは健康診断だけでしょう。それで家庭へ言う。これだけでは、なかなか児童の病気はなおらないわけですね。どうすればよいか。いろいろわれわれも検討しまして、また学校の校長さんあたりともいろいろ話をしてみますと、やはり校医がいて、そして治療もする。たいした治療じゃありませんけれども、それで初めてこの児童たちが早くよくなっていくのだ。いまの状態ではただ見つけるだけですからね。それではなかなか即応しないのだというような現状なんです、汚染地域だけですから。これについては特別な配慮が必要なんじゃないかと私は思うのです。  それでなければ、金があるわけですから、今度どんどんとっていくわけですから、特にそういった費用はこっちから出してもらってやっていくというような——長官、これは文部省だけでは無理だと思うのですが、特別な配慮をして、そして早く健康にしてあげる。そうしないとへあまりに重度になりまして死んでしまう。あるいはまた重度になればなるほど長引く。それには幾らでも金が要るというような悪循環を起こしているのじゃないかと私は思うのです。特に大事な次代を背負う児童たちでありますから、そういった面について特別の配慮を長官のほうで検討してもらいたいと思うのですが、いかがでしょう、その点について。
  43. 三木武夫

    三木国務大臣 公害の発生地域の児童の健康ということは、御指摘のように特段の注意を払わなければならないわけでありますから、学校には校医もおるわけですが、そういう公害が非常に発生して児童の健康が懸念されるような地域の医療機能というものは、普通の学校と違って特段の注意を払うように文部省とも連絡をとることにいたします。
  44. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ、これはひとつ特別にある程度の医療行為まで実施できるように配慮を願いたいと思います。  それから次に、指定地域の問題ですが、私どもは、指定地域みたいなものはなくしてしまったほうがいいのじゃないか。大気汚染防止法も、指定地域というのはなくなったわけです。前は特別指定地域があったわけですけれども、今度は全国的になくなった。これは特に外国からの圧力もあったわけですね。日本は特別にそういった指定地域をつくって、そこだけしかやらないというような非常な非難があってなくしたと思うのです。したがって、われわれはそういった指定地域もなくしてしまったほうがいいんじゃないかという考え方を持っておったわけです。  しかし、もしも指定地域をつくるならば、これはいま国で調査をやっておるのですね。国も環境庁でやるということで、環境庁には手足がありませんから、地方自治体にお願いしているわけですね。ですから、この地域指定をする権限を地方自治体に委譲すべきときがきたのではないか。また、そうするのがほんとうに住民のためになるのではないか、私はこういうふうに考えるのですが、そうやりますか、どうですか。
  45. 城戸謙次

    城戸政府委員 指定地域をなくしたらどうかという御意見もありますけれども、第一種地域につきましては、少なくとも非特異的疾患であります以上、そういうことはできないわけでございまして、やはり因果関係をそこで推定していって制度化していくというためには、制度の約束としまして、疾病をきめ、それからその地域をきめ、居住要件等の暴露要件をきめる、こういうことになるわけでございまして、私ども地域指定は絶対に必要だ、こう考えております。この場合、やはり全国をながめまして公平に指定されるということが第一でございますので、私どもとしましては、この権限を自治体に委譲するということは考えておりません。  ただ、その地域調査につきましては、いま御指摘のように、環境庁自身が行なうということはできませんから、私どもとしまして調査の方針をはっきりきめた上で、それにのっとった調査をしていただいて、相互に十分比較をした上で地域を指定していく、こういう考え方で今後対処してまいりたいと思っております。
  46. 岡本富夫

    岡本委員 なぜ地方自治体で調査をし、そしてこれは悪いとかいいとか——いま地方自治体でほとんどやっているわけですね。それはあとで国がまたもう一度検査をする。私は、ある程度の、これとこれとこれというようなはっきりした項目を立てて、これに該当するところは指定地域にするんだという規則が必要だと思いますけれども、そういうものを明示をして、そして指定地域にする権限をやはりもう委譲しなければ——なぜ私こんなことを言うかといいますと、たとえば尼崎でも私やかましゅう言うて、この前南部だけやっていただいたけれども、これもそこにおれなくて、病気になった人が北部のほうにみんなどんどん移転しているわけですね。その人たち地域から離れたからどうしようもない、認定できないというような問題もありますし、そういうことはそこの地方自治体が一番よく知っているわけです。これが環境庁の示されたこれに該当するんだ、それで指定地域にする。ただ単にかってにやりますということはあれとしましても、まあ連絡ぐらいはして、しかしその権限は地方自治体に渡す、こういうことが長官、政治的配慮で将来必要になってくると私は思うのですね。  もういますでに必要なんです。なぜそれにしがみついているかというところに問題があると私は思うのです。一つ持った権限というのは、なかなか離さぬというのが中央集権の悪いくせでありますけれども、しかし大体公害国会におきましても、いろんな権限を地方自治体におろしていったわけですね。取り締まるほうの権限をおろしたのに、救済するほう、補償するほうのはおろさないなんて、どうも逆だと私は思うのです。人間優先でないと私は思うのです。特にこの点について御見解を大臣から承りたいと思うのです。
  47. 三木武夫

    三木国務大臣 お説もわかりますけれども、これはやはり全国的な規模で健康の補償制度を施行しようというわけですから、地方自治体がばらばらの基準になりましても——補償法全体の基準も全国的につくり、これを運用しようという目的からしますと、やはり私も公害関係の権限はできるだけ自治体に委譲したらいいと思いますが、この制度のもとにおいて、各地方自治体に認定を一任する考え方は持っておりません。
  48. 岡本富夫

    岡本委員 いま持っていないから、これを変えなければならぬと私は言っているのです。考え方を持っておるのであれば、もうそのままやってもらったらいいわけです。理屈を言うたら、そうです。第一ばらばらになっちゃいかぬということであれば、これとこれとこれとに該当すればいいんだ。それでやはり野放しもいけませんから、それは検査というか検討する。それでないと、また地方自治体もこれはたいへんな仕事なんです、長官。一人一人認定するのでも相当の手間がかかる。だからそういうことを考えますと、そうむやみやたらに、どうでもかまわぬ、認定するというようなことは地方自治体としてもしないと私は思うのです。同時にまた、これはそんなごまかしはできないはずです。基準をやはりきちっときめて、そして地方自治体に権限を委譲してそこを補償していく、これが大切な健康を守っていくほんとうの人間優先の姿であると私は思うのです。これはひとつ考えておいていただきたいと思います。  いま押し合いしても、あなたがいまおっしゃったのだから、じゃ、これでいま変えましょうとはなかなか言わぬだろうから、あとでまた次の機会に……。  時間があれですが、委員長法案でありますので質問を保留させていただきまして、あと五分でまとめたいと思うのです、せっかく国鉄を呼んでおりますので……。  あした新幹線の調査に行くわけですが、新幹線の騒音、振動によって健康被害を受けているのが相当出ておると思うのです。私はこの公害健康被害認定患者の認定にあたって暴露条件、これまた当然でありますけれども、そういった影響を受けて健康水準が低下して、そこから病気になっていくわけですから、その点についての調査を国鉄はしておるか。  それからもう一つはスピードダウンですが、この間訴訟団が名古屋で新幹線の訴訟をやったときに、動労ですか、労組がそこだけ百キロに落としましたね。それで非常に騒音、振動がなくなった。そして結局そう時間はおくれてないのですから、市街地だけでもそういった配慮が必要である。この二点についてひとつ国鉄からお聞きしておきたい。
  49. 坂芳雄

    ○坂説明員 お答え申し上げます。  第一点は健康の調査をやっているか、こういう御質問と伺ったわけでございますが、全般的な調査はなかなか私ども把握が困難でございまして、関係の向きにお願いをいたしたいと存じておる次第でございます。個々の御病気になられた地元の皆さま方は、実はお申し出をいただきまして、現在十二名のお申し出をいただいております。これにつきましては公正な第三者と申しますか、医学関係の専門の方をお願いいたしまして、その影響する程度その他を御判定いただきまして、それによって対処をいたしたい、かように存じておる次第でございます。  それから第二点のスピードダウンの件でございますが、先生指摘のように市街地だけやったらどうなるかということで、名古屋の付近と同様な市街地をある標準をもちまして対象といたしますと、全線の延長の四分の一弱という延長になりまして、その影響が時間にいたしまして約一時間半程度おくれるというふうに考えております。  それはそれといたしまして、私ども一番問題と思っておりますのは、そのために輸送力が約三分の二に減ってしまうということで、この辺と、それからいま私どもがやろうといたしております音源対策及び沿線の障害防止対策によって、それにかわるべき手段としてやらせていただきたい、かように思っておる次第でございます。
  50. 岡本富夫

    岡本委員 時間がなくなりましたので、あなたの分は今度やります。  それで長官、最後に、一番最初私がやりました指定地域の問題で東邦亜鉛対馬の問題ですが、直ちに環境庁は事実究明のために調査していただきたい。その調査団を派遣するかどうか。それからカドミ汚染に関する見解と今後の対策というのを厚生省自体から出しております。これの見直し、再検討が必要である。もう一つは、これが事実であれば——これはもう事実であると思うのですが、事実とすれば、それに対する責任はどうするか。この三点だけお答えいただいて、きょうは終わりたいと思います。  残余の法案の質問は、次に保留させていただきたいと思います。
  51. 三木武夫

    三木国務大臣 この問題は通産省でも重視して——通産省とも連絡をとったようでありますが、直ちに調査に入っているということでございます。通産省の鉱山保安監督局が調査に入っておるという連絡がいまあったわけですが、環境庁としても、カドミ汚染の問題も含んでおりますから、これは何ぶんにも六年前のまだ環境庁ができていないときの事件でありますので、真相を究明しまして、そしてあの新聞紙上に掲載されたような事実が真相であるとするならば、われわれもカドミ汚染という健康被害の見地から再調査をいたす考えでございます。
  52. 岡本富夫

    岡本委員 それからもう一つカドミの件に関する見解と今後の対策というのを厚生省から出しております。それについて……。
  53. 三木武夫

    三木国務大臣 カドミに対しては、これは問題の水域に対しては健康調査もいたしますし、あるいは土壌の除去などもいたしておるし、カドミ汚染というものは、問題の水域についてはいろいろ対策は講じておりますが「今後そういう汚染地区があったならば、積極的にカドミ汚染対策には取り組んでいく所存でございます。
  54. 岡本富夫

    岡本委員 きょうは終わります。私が言っているのは、厚生省からカドミ汚染に関する見解と今後の対策というのをぴしっと出しているのですよ。これは長官、一ぺんに聞かれてもおわかりにならぬと思いますから、これは再検討してください。これだけ約束していただいて終わります。  委員長、御配慮どうもありがとうございました。
  55. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生が最終におっしゃいました、厚生省が出したカドミウムの汚染に対する見解と対策という点につきましては、調査の結果に基づいて、それに対して改めるべきものがあれば改めるという方向で進めたいと思います。
  56. 角屋堅次郎

  57. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣の御都合もございますようですから、簡単に御質問申し上げます。  きょうのニュースの中で公害に関する問題、ただいま問題になりました東邦亜鉛カドミの問題、それから新幹線の公害に対する運輸省あるいは国鉄の対策、この二つの問題を私たち非常に関心をもって見たわけであります。  東邦亜鉛の問題につきましては、ただいま御質問がございましたが、十分御調査、御検討いただくことが必要でございますけれども公害対策の基本という問題からいたしますと、結局そういうような事態をできるだけ早く察知して、これに対する対策を講じていく、いわゆる公害被害を起こさないような施策をやっていくということが一番大切なことだと思います。そういう点につきましては、これはカドミに限らないわけでございますし、あらゆる公害についてその徴候を早く察知をして、これに対する対策というものをやっていく、これがやはり環境庁として、あるいは政府としてとらるべき最も基本的な態度じゃなかろうかと考えますが、これに対する長官の御意見を伺いたいと思います。  それからもう一つは、いまの新幹線の騒音公害に対しまして、特定のひどいところの騒音あるいは振動、そういう面については買収をする、こういう基本的な線が出たように伺うわけでございますが、これに対する環境庁長官としての評価並びに御意見、こういう面をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 三木武夫

    三木国務大臣 きょうの記事を見まして私の感じましたことは、物価問題から、いま企業の買い占め、売り惜しみが問題になっておるのだけれども、もっと基本的な問題は、企業活動によって人間の健康をそこなわないということ、企業者のモラルとしては、これが第一番の問題だと思うのですが、ああいう東邦亜鉛の例のように、現実においても 企業者としてその程度の社会的責任というものの自覚もないとは私は考えないのです。六年前ですからね。その後公害問題というものに対して企業側が責任を追及されて、いろいろな実物教育を受けておるはずですし、また最近のように企業社会的責任というものが、これほど強く要請されておる時代はないわけですから、やはり目をごまかしたらいいんだ、ごまかして通ればいいんだという根性は近代的な経営者の態度ではない。ごまかすというのでなくて、守るべきは健康ですから、夜陰に乗じて汚染度の高い土砂を入れかえるということは言語道断のことであります。  ああいう例がそんなにあるとは私は思いませんが、しかし第一番は、企業自体がそういう公害問題なんか引き起こさないという企業家の社会的モラルというものが第一番だと思いますね。これに対して、その間企業自体としても、その自覚というものが当然に要求されますけれども、また企業企業の立場もありますから、われわれとしても、できる限り環境の汚染というものに対しては監視体制というものを厳重にする必要があると私は思う。  そういうことで、調査機能あるいは環境庁の機構の上においても、そういう監視体制の強化という面に配慮いたしてやっておる次第でございます。御注意の点は、今後われわれとしても環境行政の上に特に力を入れていかなければならぬ点だと考えます。  それから新幹線の騒音問題は、大阪空港の問題も、騒音問題がこれだけの社会的な関心を呼んでおるわけでありますが、次第に騒音問題というものは大きな社会問題になってくる。したがって、これからの新幹線にしても、高速道路にしても、あるいは空港にしても、そういう騒音というものを頭に入れた立地の条件というものを考える必要がある。国鉄からの連絡があったわけですが、いま新幹線が通っておるわけですから、したがって、その一つの次善の策としては、非常に騒音の被害の多いところは移転するということが抜本的な対策だと思います。それも、この移転というものは役所仕事でなしに、実際効果のあがるような、いろいろな点で移転をするということは、たいへんなことですから、一つはそういう効果のあがるような移転を促進する。一つは高速道路でも、新幹線の場合でも、両側にやはり相当緩衝地帯を持つということが必要だと思います。  きょう国鉄が考えておる——きょうということでもないのですが、国鉄の考えておるのは、十五メートルか二十メートル両側に緩衝地帯をつくろう、そのために土地を買収しようというわけですから、われわれとすれば、根本的にはそういう建設の当初から、そういう計画を立てることが好ましいけれども、現在の段階では、それは一つの応急対策としては好ましい方法だと考えておる次第でございます。
  59. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいま長官の御意見、お伺いをいたしましたが、もっともだと考えます。しかし、企業のモラルあるいは社会的責任要求をするということになりましても、ただ、そういう批判だけでは現実によくならないわけでございますので、したがって監視体制を強化するという具体的な施策も必要だろうかと思います。企業がいろいろな形で公害を発生をしてきておった。そして今日これはたぶん意識もだいぶ変わってきておると思いますが、これはやはりマスコミが公害問題を非常に大きく取り上げてきた、この効果が非常に大きかったと思います。  しかし、基本的にはやはり企業社会的責任というものをほんとうに痛感してもらうような、いわば教育的な効果といいますか、こういう面を考慮した政府の施策というものも必要ではなかろうか。いろいろな機会に財界と政府との間の懇談会とかいろいろあるわけでございますが、そういうような機会をつかまえてでも、長官がみずからそういう面は先頭に立ってひとつ努力をお願いをいたしたいと考えております。  それから新幹線公害の問題につきましては、新幹線は政府の計画でいきましても、今後ももっともっと延びるということでございますので、一時的な対策としてということでなしに、この際ひとつ環境庁が十分これにタッチしていただきまして、ただいま長官がおっしゃったような基本的な対策が今後建設の当時からとられていくように、これはお互い政府部内のことでございますので、十分ひとつ成果をあげていただくようにお願いをいたしたいと考えております。  ところで、本日のこの公害健康被害補償法の一部を改正する法律案についてでございますが、この法律によりまして公害健康被害補償協会に補償のための金をつくる。固定発生源につきましては、これは賦課金でやるし、移動発生源については、今回の案では自動車重量税から八億円持ってきて、それに充てようということでございます。移動発生源に対する対策といいますか、これからの原因者負担、こういう立場から考えますと、考えられますのは石油なんですが、その石油を輸入段階で把握して何とか賦課金を取るとか、あるいは精製段階で取るとか、あるいは自動車の製造の過程で取るとか、あるいは自動車運行の段階で取るとか、いろいろな案があろうかと考えられます。  諮問された結果も、一つの結果にはまとまっていなかったように聞いておりますが、そういうようなものの中で自動車重量税から取るのだというふうに政府のほうで決定をされましたその判断の根拠というのはどこにあったか、お伺いをしたいと思います。
  60. 城戸謙次

    城戸政府委員 私どもは昨年中央公害対策審議会で答申をいただきました段階では、燃料から取る案と、それから自動車重量税の引き当て方式とこの二つがあったわけでございます。そのほかに議論の段階では自動車一台ごとに取る、たとえばステッカー方式というようなことも議論されたわけでございますが、これは所要額に比べまして徴収コストが非常に高いということで否定されまして、いま申し上げました二つにしぼられたわけでございます。  その後いろいろ検討いたしたわけでございますが、結局燃料方式ということになりますと、固定発生源にかかる汚染負荷量賦課金と関連しまして、その転嫁いかんによりましては二重負担となる。これを技術的に調整するというのは非常に困難な問題も出てくるということでございまして、むしろ自動車重量税の引き当て方式のほうがよかろうということになったわけでございます。特に自動車重量税につきましては、その創設の段階でも社会的費用に充てるということが国会等の答弁でも明らかにされていることでもございますので、こういう経費に充てるのが適当でなかろうか、こういうふうに判断したわけでございます。
  61. 折小野良一

    ○折小野委員 結局自動車重量税ということになったわけでございますが、今度自動車関係諸税がいろいろな税目にわたって引き上げをされております。ところが政府全体の立場からいきますと、自動車諸税の引き上げというのは、いわば道路財源を確保するという趣旨でございまして、公害対策考えてという考え方はあまり出ていないように考えられます。そしてまた、この自動車関係諸税の引き上げの中におきまして、最近の実情といたしまして物価の騰貴というのが非常に問題ではあるわけなんですが、その点については考慮をされている。たとえば自動車重量税につきましては、物価にはね返るような営業車両については税の引き上げをやらない、こういうような配慮がなされておるのでございますが、それはそれでいいといたしまして、その陰に公害に対する対策とか関心というものが、ほとんどないのじゃないかということを私ども考えるわけでございます。  これはたいへん残念なことでございまして、資料によって拝見いたしましても、少なくも大気汚染関係においては、自動車が二割の寄与率は持っておるのだということでございますので、自動車関係諸税の制度をつくるにあたりましては、もっともっとこういう面の公害対策というものを十分考えらるべきじゃなかろうか、またそれを環境庁としては大いに主張さるべきではなかろうか、ただ単にその中から八億円持ってきたというようなことだけでなしに。私、そういう点において政府の対策が、環境庁は一生懸命やっておられるようですが、全体的にはあまり関心がないのではないかというふうに感ずるのですが、いかがでございますか。
  62. 三木武夫

    三木国務大臣 どうも重量税というものの考え方が、当初御指摘のように道路財源ということの比重が多かったわけです。しかし重量税をつくるときには、社会的費用に充てるということが法律の提案の趣旨の中にも入っているわけですが、そういうことが入りながら、実際御指摘のように、社会的費用というものの中に公害問額というものが大きく入らなければならぬのですが、いままではそれが軽視されていたことは事実です。今後こういう道を開いたことは、こういう重量税などにおける公害とか社会的な費用というものに、この財源は相当充てていかなければならぬと考えますので、そういう点では社会費用の面、立法の精神であるその点を今後活用していきたいと考えておる次第でございます。  われわれとしても財源があるほうが、こういう制度の運用が効果的に行なわれることは明らかでございますから、そういうふうに考えております。
  63. 折小野良一

    ○折小野委員 自動車関係諸税がいろいろな面で有効に使われなければならないということは当然でございますけれども、中でもこの公害対策というのは、先ほども申し上げましたが、自動車そのものが公害に悪い意味において相当量寄与している、こういう点からいたしますと、道路財源としても必要なんですけれども、しかし公害というものをもっと表面に打ち出した自動車関係諸税の考え方というものが、私ども特に必要じゃなかろうかと思っております。  特に今回のこの自動車関係諸税の対策というのは暫定措置になっておるわけであります。公害対策というのは暫定措置で済むわけのものじゃ決してございません。自動車がどうなろうと、あるいは石油危機がどうなろうと、公害対策というのは、やはりその石油をたいて走る車がある以上は当然対策を続けていかなければならないわけでございます。そういう面からいたしまして、ただいま大臣の御意見ございましたが、ひとつ十分今後の御配慮をお願いをいたしたいと思います。  それにつきましては、道路あたりにおきましては、一部は目的税にもなっております。それから一部はちゃんと特定財源ということで、今後の道路整備計画の中ではっきりその財源をとってきております。公害に対する財源という面からいたしましても、ある面におきましては目的税でもいいと考えますし、ある面におきましては、やはり特定財源ということをはっきり政府の内部において明らかにする、こういうことが必要じゃないかと思います。もちろん今回はとりあえずこの協会の経費をということでございますが、そういう趣旨から申しますならば、ただ単にこの協会の経費自動車関係財源から持ってくるというだけでなしに、やはり一般的に大気汚染対策、あるいは自動車公害発生源だということでございますので、技術開発その他を進めまして、いわゆる無公害車の開発、こういうような面にも直接自動車に関連をして公害対策としてなすべきものはたくさんあるわけでございますので、こういう一般的な経費をはっきりとって、そして公害対策を現実に進めていくということが必要であろうというふうに考えるわけでございます。  こういう点につきましては、ただいま大臣から一般的なお話がございましたが、ひとつ具体的に局長のほうからお考えがございましたら、お伺いをしたいと思います。
  64. 城戸謙次

    城戸政府委員 私ども、この今回の措置を暫定措置にしましたのは、一つにはいま先生指摘のように、自動車重量税そのものが二年間の暫定措置で引き上げになっているということもあるわけでございますが、基本的には、私どもとしまして今後こういうような費用負担のあり方につきまして、もう少し検討していきたい、こう思っておるわけでございます。  それで、実は私どもの中央公害対策審議会の中にあります費用負担専門委員会での答申では、その焦点を今後いわば公害対策として経済的なインセンティブを与えるための課徴金と申しますか、チャージを課す、こういう制度を創設すべきである、その際、その財源の一部をこういうような金にも充てればいいじゃないか、こういう提案をしているわけでございまして、その問題との関連におきまして、いま先生御提案になりましたようなことも、あるいは解決の方向を見出し得るのじゃないか、こう思うわけでございます。ただ、国の制度としまして、税の中では目的税というものは完全に国のレベルでないわけでございますので、そういう目的税をつくっていくという方向でなしに、むしろ別個の制度として検討していくべきではなかろうかと思っておるわけでございます。  なお、このチャージの制度につきましては現在 OECDで検討されておりまして、近く委員会段階を終わりまして理事会にもかかるというようなことになっておりますので、その辺の審議の状況等もにらみ合わせまして今後私ども勉強してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  65. 折小野良一

    ○折小野委員 それに際しまして一つお願いをしたいのでありますが、車といいましても、公害を出す程度は車によって違います。この間の質問のときに、電気自動車重量税をかけるのかという質問がございました。私どもはやはり無公害車、そういうものをできるだけ多くしていかなければならない。したがって、公害の程度によって税金なり賦課金なりを変えていく。ほんとうに公害の立場からのそういう財源を考えていく。これはやはり公害対策というものを十分考慮した賦課の方法、こういうものが必要じゃなかろうかというふうに考えます。いろいろ御検討中だろうと思いますが、そういう面を考慮することについての御意見を伺いたいと思います。
  66. 城戸謙次

    城戸政府委員 私、ただいま申し上げましたOECDで検討されていますチャージの制度というのは、あくまでそういう排出を押えていくということのインセンティブを経済的手段で与えていこう、こういうことでございますから、当然いまおっしゃいましたようないろいろなファクターを入れなければでき上がらぬわけでございます。今回そうでなしに、むしろ移動発生源負担分をどういうぐあいに捻出するか、できるだけ原因者に近いところからそれを入れていこう、こういう考え方だけで整理しましたし、また金額もわずかでございますから、そういうことはできませんが、今後の基本的な制度を組み立てる場合は、当然もしチャージの制度を採用するとすれば、そういうところが一つの大きなポイントになろうと、こう思っています。
  67. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、昨年来いわゆる石油危機ということでございまして、三木長官たいへんいろいろと御配慮をいただきました。いまから振り返ってみまして、あの石油危機の時期に車の運行が少なくなった。そしてまたちょうど正月の前後という時期でもございました。あの際に私どもが素朴に感じましたことは、あれによって交通難が非常に緩和をされた、あるいは東京の空がきれいになった、あるいは東京の町がたいへん静かになった、こういうことを私どもは率直に感じたわけであります。あの際、現実に使われた石油がどの程度少なくなっておったのか、あるいは運行した車がどの度程減っておったのか、これははっきりした資料としては承知をいたしておりませんが、少なくも普段の状態から二、三割程度減るならば、ああいう状態が出てくるんじゃないか、生まれるんじゃないか、そういうふうに私どもは率直に感じたわけでございます。  ところが最近は、石油危機というのはもうどこかよそに飛んでいってしまったような一般の受け取り方がございます。私どもは基本的な石油危機というのは今後なお続くというふうに考えておるわけでございます。そういうことで、またまたもとに返ってしまう、こういうふうに考えられるわけでございますが、もちろん石油危機のいろいろな問題というのがございますので一がいには言えませんが、少なくも公害という立場からいたしますと、あの程度の状態が保持されたらということを私ども考えるわけでございます。  そうしますと、今後いわゆる石油危機は解消する方向へ向かうといたしましても、やはり前のようにやたらに石油をたき、やたらに車を走らせる、こういう社会がはたしていいのかどうか、こういう点については十分考えていかなければなりませんし、そしてまた今後それに対するいろいろな対策というものもあっていいんじゃなかろうかというふうに考えます。私どもがいろいろな人の意見を聞く場合に、素朴な意見として、車がもう少し少なくなったらいいんじゃないか、こういうことを聞きます。確かにそれも一つの手だと思います。しかし、現実に車を少なくすることは、なかなか困難なことでございますし、それをやるにつきましては、よほどの政策というものがなければならないと思います。  いずれにいたしましても、先般の石油危機の反省から、私ども公害対策というものをそういう面からも考えていいんじゃないか、そのように思うわけでございますが、長官としての御意見がございましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  68. 三木武夫

    三木国務大臣 御指摘のような環境保全の点からも、できる限り石油の消費を節約するということが好ましいわけであります。だから環境上の要請と、もう一つはやはり資源政策というものが、みな資源の保有国が資源を大事にしようという、ただ需要に応じて幾らでも資源を掘り出せばいいという時期は過ぎつつある。細く長く資源を使っていこうという感じが一般に資源の保有国の間に起こりつつある。もう一つは高資源価格の時代である、資源に対して価格が非常に高くなっております。石油にしましても、いまの値段で安定するとも思えませんけれども、石油の価格がそう低い水準になるとは私は思ってないわけであります。  そうなってくれば、国際収支の面においても問題が出てくるわけであります。それに見合うだけの輸出ドライブをかければ、また欧米の市場において日本が反発を受けますし、環境上の要請からしても、あるいは資源保全上の要請からしても、日本の石油の消費はどうしても減らさなければいけない、これはもういやでもおうでもそこまで来ざるを得ないわけでありますから、いままでのように、毎年二〇%も石油の消費をふやしていけば、世界の石油の大半を日本へ輸入してこなければならぬ、そういうことが可能性がある時代でもないわけでありますから、私は石油というものをいままでのように必要なだけ輸入を伸ばしていくという時代じゃなしに、大体石油の輸入はこれくらいでいこうということを押える、国際収支の面からもそういう必要があるわけでございますから、産業の構造においても、国民生活の様式の中にも、できるだけ石油というものを節約するような構造や生活様式というものに、せっかくああいう石油ショックで節約しようという気分が起こっておるのですから、これをもとのような状態に返すことは、政治として非常によい機会をのがすことになりますから、私はいまのように国民の間に実感をもって起こってきた石油を節約しようという風潮を、産業や生活の七において助長していくことが政府の責任だと考えております。
  69. 折小野良一

    ○折小野委員 どうぞひとつただいまのような御見解に基づきまして今後具体的な政策を立案をしていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  70. 角屋堅次郎

    角屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  71. 角屋堅次郎

    角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。吉田法晴君。
  72. 吉田法晴

    吉田委員 お許しをいただいて豊前火力のことについてお尋ねをいたしたいと思います。  状況、経過等は説明を省略いたします。  先般、手元に官報を持っておりませんが、官報で告示をされました場所の名前が間違っておりました。それは私が申し上げるまでもございませんが、いまあります豊前火力発電所の地先ですけれども、「明神地先」というのを、「妙見地先」と書かれておりました。その効力について経済企画庁にお尋ねをしたいところでありますが、吉田法晴と書くべきところを、その吉田法晴の同一性が確認される程度ならばかまいませんけれども、妙見地先というのは、豊前市内で四カ所もございまして、ちょうど吉田法晴と書くべきところを、経済企画庁ですから、経済企画庁長官の小坂善太郎と書いたようなものだと私は思うのですが、どういうぐあいに考えておられますのか、まず承りたいと思います。
  73. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 お答え申し上げます。  昨年の十二月二十日に開かれました六十三回の電源開発調整審議会におきまして、豊前火力をかけたわけでございますが、その際に、先生ただいま御指摘のように、正しくは豊前市大字八屋地先とあるべきところを、豊前市妙見地先という形でかけまして、そのまま公示されてしまったということにつきましては。まことに遺憾なことであると思いまして、おわびを申し上げたいと思います。  ただ電源開発調整審議会におきまして審議された段階におきましては、この地点につきましては、既設の築上火力発電所に隣接する埋め立て予定地に建設されるという位置関係の認識につきましては、はっきりと御審議をいただいておりまして、それから、その前の事前の幹事会その他連絡会等におきましても、その位置の認識につきましては、誤りはなかったわけございます。私どもとしては、実態的な可否の判断については誤りはなかったものと思っております。したがいまして、いわば表示の間違いという形式的なミスでございまして、その決定の効力につきましては、影響を及ぼさなかったものというふうに考えております。  ただ、ただいまおっしゃいましたように、位置の表示を誤ったのでございますし、これを直さねばなりませんので、先般二月の二十七日に開かれました六十四回の電源開発調整審議会におきまして、この豊前火力の位置の表示につきまして訂正をいたしました。そういうことでございます。
  74. 吉田法晴

    吉田委員 表示の間違いだと思う、その効力については影響されるところはないと思うけれども、念のため、電調審にもう一ぺん資料を添えて再確認を願った、こういうお話のようですね。前段の表示だけの間違いか。吉田法晴というべきところを、これは私は小さいときに「吉田法晴」と読まないで、「吉田みちはる」と言ったのですが、それは吉田みちはると言うたのと同一の認識が得られるはずだと、こう言われますけれども、争おうとは思いませんけれども、妙見地先というのがなければこれは別問題でありますが、妙見地先というのは、場所が多少違うのではなくて山の中、四カ所に小字があるようですが、その小字四つとも山の中、そうすると、地図には書いてあったということですけれども、官報告示だけが間違ったのではなくて、電調審の審議の際にも、十二月の二十日ですか、やはり妙見地先となっておったとするならば、それは法的な効力に影響し、法的効果を発するには公示を要し——公示もこれは法律的な効果を生む条件ですから、法律効果を争い得ると思いましたけれどもあとで補完をされたということで、法律的な論議だけをする必要はなくなりましたが、あくまでもこの法律的な効果を争えば争い得ると法制局に来てもらいました。  もう一度尋ねますが、審議会での資料、それから公示、これはやはり妙見地先ということで終始しておったわけですね。  それでは、衆議院法制局の斎藤課長ですか、おいでをいただいておるそうですからせっかく来ていただきましたので、念のために承りたいと思います。電誤審のときにも、矢じるしをして、場所は図面についておる。しかし件名として議案に書かれたところには、「妙見地先」という名前、それから公示も「妙見地先」残念なことに妙見地先というのは、妙見という小字は別にあった。もし補完がなされないとするならば、それは表示の間違いだけではなくて、やはり電調審にかかったその本案の効力に影響すると考えられると思うのですが、せっかく来ていただきましたので、念のために承りたいと思います。
  75. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 ただいまの御説明にちょっと舌足らずの点がございましたが、今回の電調審におきまして、前回におかけした位置の表示が間違っておったという点につきまして御了解を得て、正しい位置につきまして審議会の御了解を得ましたので、近くこの誤りを正して、あらためて公表添付事項を公表する予定にいたしておりますので、ちょっとつけ加えさせていただきます。
  76. 斎藤一郎

    ○斎藤法制局参事 事案の内容につきまして、ただいま初めて聞くものですから、先生の言われておることを検討して御返事申し上げたいと思います。
  77. 吉田法晴

    吉田委員 せっかく来てもらって、十分のみ込めておらなかったのかもしれませんけれども、ここで説明を願い、お答えを願わないで、帰りまして検討いたしまして後刻御返事をいたしますというのでは、出てきてもらった意味がない。  申し上げておるのは、昨年の十二月二十日、電調審にかけられたときに、福岡県豊前市妙見地先に五十万キロ二基、百万キロの発電所をつくるということを電調審にかけて、そこで承認を得て、そして一月二十二日の官報には「妙見地先」という間違った地名をそのままに告示がしてある。法律には、電調審にかけ、告示をし、そしてその告示の後三十日以内に、もし異議があるならば申し述べることができる、こう書いてありますから、告示も一つ法律要件になっておると私は思うのです。電調審にかけた地図には、この妙見地先と別な、いまある豊前火力発電所の地先、沖のほうが地図に示してあった。しかし地図の表示はどうであれ、議案に示された場所の表示、議案につけられた土地の位置は、「妙見地先」と書いてある。地図が矢じるしで指し示したそこは「明神地先」と言うのですけれども、俗称ですが、ところが「明神地先」と書かないで「妙見地先」と書いてあった。  そうすると、告示も法律要件である。そしてしかも、その告示の後、三十日以内に異議のある人は申し出なさい、告示も一つの要件。それから発電所を建設するについては、地元の異議がないことが法律的な要件というなら、あとでお尋ねいたしますけれども、地元の市町村や地元民の承諾を得て、いわば利害関係者の承諾を得て初めて進めることになっておりますが、利害関係者で三十日以内に異議を申し立てることができると書いてあるだけに、その三十日の間に、妙見地先というのは山の中ではないか、その告示なり、あるいは電誤審でのその審議の効果さえ争うという意見が出ておりますだけに、法律的な解釈としてはどうですかということをお尋ねしておる。  それで経済企画庁のほうは、担当者は、間違いはないと思う、地図にはその場所が矢じるしで示してあった、こう言うのです。ところが議案に書いてあるのは「妙見地先」、その妙見地先というのは場所が違うのです、山の中。三カ所か四カ所ありますが、いずれも山の中。それならば、やはり電調審にかかって豊前火力の発電所の認可がされた、あるいは告示がされた、その法律効果は、これは発したと言うことができないのではないか。同一性の認識が「妙見地先」ということでは得られないのではないか、こういうお尋ねをしておるわけであります。わかりましたか。
  78. 斎藤一郎

    ○斎藤法制局参事 先ほど申し上げたことと、まことに同じになるわけですけれども、正式には検討させてもらうということしか言いようがないわけです。ただ、ちょっと触れますには、錯誤の問題じゃないかという気もいたします。それで衆議院法制局は、場所はそこですから、すぐ検討して御返事したいと思うのですが、いかがでしょうか。
  79. 吉田法晴

    吉田委員 そんな法制局じゃ、行く時間的余裕もありませんし、ここで決着をつけるべき問題ですから、それ以上お尋ねはいたしません。  経済企画庁の電調審事務局では、法律的効果には異状ないと思うと言われるけれども、しかし効果を争われるということになると、これは地元から文書も参っておると思います。公示さえやはり法律的な要件、そして公示があって三十日でしたか、異議を申し立てることができると書いてありますから、その期間を過ぎて申し立てた異議が妥当であるかどうかということも判断されなければならぬ。電調審といいますか、経済企画庁の中には、慎重を期すべきだという意見もあったということですから、出願者、九電やあるいはその指導行政に当たっておられる通産省意見だけを考慮に入れておられるわけでもないでしょう。争われておるのだから議案についても訂正をすべき欠陥があったと思います。  そうしますと、この電請審の審議のしかた、あるいはその資料、それから公示については瑕疵があったという点はお認めになったようですね。それではあらためて、いつの日なおされましたか。
  80. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 二月の二十七日でございます。
  81. 吉田法晴

    吉田委員 二月の二十七日にかけたというのですか。——わかりました。補完をした、こういうことですね。それは間違いありませんか。
  82. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 ただいま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、二月の二十七日の第六十四回電源開発調整審議会におきまして、位置につきまして、正しい位置に訂正をいたしまして、審議会の御了解を得た次第でございます。
  83. 吉田法晴

    吉田委員 経済企画庁にお尋ねをいたしますが、その電調審の審議にかけられたときに、あとからの説明ですけれども環境庁としては条件つきの賛成であった、こういう説明がございます。これは経済企画庁でなくて環境庁です。環境庁としては、瀬戸内海環境保全審議会で決定をされるCODの割り当ても目前にし、それから同法によります基本的な方針も、二月の末に、おそくとも三月中には結論が得られるという段階で押し切られたという批評もございますが、どうしてこの審議会にかけることに、条件づきではあるけれども、賛成をされたのでしょうか。いまお話がございましたが、これは瑕疵があったから、二十七日に再開付議したということです。そのときにも三月の末には、もう一ぺん電調審が開かれるという見通しがあった。その前にCODの割り当てが決定される、あるいは基本的な方針についても、二月の末か、あるいはおそくとも三月中には結論が得られるというのに、なぜ十二月の末に、条件つきではあるけれども賛成をされたのか、納得いかないところがございます。どう考えられますか、承わりたい。
  84. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 お尋ねの点は、瀬戸内海環境保全臨時措置法とのからみの問題であると思うわけでございまして、その点につきましては、御承知のように豊前の火力発電所の設置に伴いまして、埋め立てをするわけでございますが、その埋め立てにつきましては、公有水面埋立法に基づきまして、県知事が免許するかどうかをきめるわけでございます。ところが、昨年施行されました瀬戸内海環境保全臨時措置法によりまして、瀬戸内海の埋め立てにつきましては、その特殊性を十分配慮しなければならないということがきめられたわけでございまして、その特殊性につきましては、現在瀬戸内海環境保全審議会で、埋め立てに関する基本方針をいま御審議いただいておるわけでございまして、その埋め立てに関する基本方針ができますと、その方針にのっとりまして、知事がこの埋め立てについての免許をするかどうかをきめる、こういうことになるわけでございまして、そういうことについて、環境庁といたしましては留保をしたということでございます。
  85. 吉田法晴

    吉田委員 この瀬戸内海環境保全臨時措置法は、衆議院における各党のなみなみならぬ御努力の結果だと、私どもも瀬戸内海に面しておる地域に住んでおる者として、あるいは選挙区をそこに持っておりますだけに、たいへん関心を持ち、また感謝もしてきたところでございます。環境庁長官が瀬戸内海を見に行かれ、予想外の汚染と汚濁にびっくりして、もうこれより以上の瀬戸内海の汚濁は許されぬと、こういうことを言われたのを、いまもまざまざと覚えております。それだけに、せっかく瀬戸内海環境保全臨時措置法ができたのなら、そしていま言われる瀬戸内海の特殊性にかんがみて、埋め立て基本方針を早急につくりたい。しかもそれが二月の末か、おそくとも三月中にはできる。それに埋め立ての免許は県知事がするということになっておりますが、この公有水面埋立法の改正についても、公害防止という点から、環境保全という点から、県知事に要請をしよう、こういう点は念を押そう。そしていわばかってに都道府県知事が認可をしないように、こういう改正が行なわれた。住民の意向を十分聞いて……。  この発電所問題について、あるいは発電所を建てるに必要な埋め立てについて、十二月二十日、年末の電調審のその前の電調審のときには、一つの漁業協同組合の賛成が得られないで保留された経緯も御存じのはずです。それからこの瀬戸内海の西の端のところは、だれが見ても、まだきれいに残っておる。そこにいわば埋め立てを進め、それからその上に上物として発電所をつくる。これは周防灘総合開発計画というものがありまして、地域開発計画の一角としてすでに大分・鶴崎の新産都市ができ、公害が出始めておる。また北九州の門司の裏側で開発が始められ、あるいは苅田には発電所もある。これからの豊前火力発電所の百万キロがどういう位置にあるかということは、私は言わなくても、環境庁としては御存じのはずです。  そうすると、留保はしたけれども、いわば豊前火力発電所が電請審を通過するということは、留保をした、条件つきと、こう言われるけれども、電調審を通ったことは事実です。しかし実際問題としては、その発電所ができるためには埋め立てをしなければならぬ、発電所をつくるための埋め立ての条件ですが、場所にも現われておりますように、これは少しあわてておる。あわてておりますが、目前にCODの割り当てが行なわれ、それから基本方針も早急につくらなければならぬ、こういう段階で、なぜ環境庁が電誤審についてがんばってくれて、基本方針ができてからにしてくれなかったか、こういうやっぱり感情は地元には現にございます。  それについていま留保をしたから、こういうことですけれども、いわば何か口をぬぐっているという感じがいたします。私の尋ねるところについて、まともにはお答えをいただけなかったが、環境庁長官の言明と、それからあそこの埋め立てという問題の位置を考えますと、環境庁は押し切られたと思われます。もし実際にこれが進んだとするならば、おそらく取り返しのつかぬ、瀬戸内海の環境保全については、大きなマイナスが出現すると思われますが、いかがでしょうか。
  86. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 留保したということの内容につきまして、御説明が不十分であったと思うわけでございますが、この豊前火力発電所の計画中の埋め立てに関する部分につきましては、瀬戸内海環境保全臨時措置法によりまして、定められる基本方針に従いまして処理されなければならない。その結果によっては、この計画も変更することもあり得るという条件で了承したわけでございます。
  87. 吉田法晴

    吉田委員 基本方針がきまって、計画変更もあり得る、あり得るけれども、あり得ぬかもしれません。それから実際にどんどん進んでいけば、あり得るといっても、現実の進行に押し切られるという心配なしとしません。それだけに環境庁は押し切られたという批評をする者もいる。留保をつけた、あるいは再検討するということがいわれておりますけれども。地元の感情からいい、あるいはわれわれからいっても、目前にCODの割り当てが行なわれる、それから基本方針も二月末か、おそくとも三月中には結論を得られるというならば、それをそれまで待つように、なぜ環境庁としてはがんばらなかったか。これはやはり疑問が残ります。  それからもう一つ、時間がございませんから、前に進みますが、それもお答えをいただきたいと思うのですが、福岡県が実施をした豊前火力の事前調査の結果を了承したといわれるが、その内容は、これは瀬戸内海環境保全臨時措置法の関係からいっても問題になるところだと思いますが、その内容を明らかにし、そしてなぜそれについて了承を与えたかという点を御説明を願いたいと思う。
  88. 山崎圭

    ○山崎説明員 後段の御質問にお答えを申し上げますが、大気汚染に関しましては、豊前火力の今回の設置に伴います対策といたしまして、二百メートルの高煙突を設置するとか、あるいは硫黄酸化物につきましては、排煙脱硫装置を設置するとか、窒素酸化物につきましては、低酸素運転等を行なう。またばいじんにつきましては、電気集じん機を設置する、このような対策が講ぜられる、こういうことになっておりまして、これによりまして地域環境の現状濃度といいますか、これに今回のただいま申し上げました発電所の対策を含めました寄与濃度を重合いたしまして、将来の環境濃度を予測するといたしますと、環境基準を維持することが十分可能であると考えましたのが理由でございます。  以上お答え申し上げます。
  89. 吉田法晴

    吉田委員 前半の問題についてはお答えがございませんでしたが、なるほど大気汚染については九電と県あるいは市との契約等もございますが、一番心配されるのは、火力発電所をつくるためには、そこを埋め立てなければならぬ。埋め立てて、その上に火力発電所をつくるが、その火力発電所はいまの説明でいいますと、最近増大する北九州への送電に大部分を充てるということですが、しかし告示をされましたその内容によってみても、豊前で百万、それから相ノ浦で百万でした。将来の需要を考えますと、不足が出るかもしれませんけれども、現状においては一応手当ては済んでいるわけですね。  そうすると百万キロの発電所をあそこで建てるというのは、やっぱり周防灘総合開発と関係があると考えるのは、これは地元の杞憂にすぎないでしょうか。そして直接関係する各漁協との協議がととのいましたけれども、これは法案審議の際に、林議員からも発言をされておりますように、響灘の埋め立てを進めてまいりますと、潮流が変わり、山口県の日本海側で赤潮が発生したり、相当大きな変化が現われておる。そして考えられるような、もし周防灘の総合開発、あるいは大きな埋め立てが行なわれてまいりますならば、西の残されたきれいな瀬戸内海のあの周辺、西瀬戸内海がほとんど様相を一変するということは、これはお考えになるところだと思います。  去年でしたか、環境庁長官調査に行って、あの瀬戸内海の汚濁と、それからひどい公害に驚いて、これ以上の公害は許さないと言われました。この大臣の発言の趣旨から考えますと、あまりに環境庁のこの問題に対する態度は、いわばしてやられ過ぎている。弱いと考えられます。そういう立場からして、二月末か三月末かにCODの割り当てもきまる、あるいは埋め立てに対する基本方針もきまるのに、なぜ条件づきとはいいながら、あるいは保留をしたとはいいながら、実際に発電所計画が進められるように、着工ができるように押し切られたのか、私のほうからいえば押し切られた——その真意をひとつ承りたいと思う。なぜ年度末まで待てなかったか。先ほどの説明では何としても納得がいきません。
  90. 太田耕二

    ○太田説明員 お答えいたします。  ただいまの先生のお話でございますが、環境保全の審査につきましては、私と直接関係がございません大気のほうと、それから水のほうと二つございます。大気のアセスメントにつきましては、ただいま担当課長のほうから御説明いたしました。で、水の関係につきましては、私どもは主として温排水の関係になります。温排水につきましては、実はその拡散の予測等につきましても評価いたしまして、それから地元漁協の方々、その範囲内で温排水の拡散並びにその排水を一応御納得いただいておるというような事情もぶざいまして、その温排水の関係の環境アセスメントにつきましては解決済みということでございます。CODの負荷量と発電所とは直接には関係ございません。したがいまして、埋め立てにかかわりますその環境に対する影響ということが実は問題として残ったわけでございます。  したがって、この件につきましては政務次官のほうからお答えいたしましたように、その瀬戸内海環境保全審議会での調査審議の結果出されます基本方針が出ましてから、それに基づいてその検討をして結論を出したい、こういうことになってくるわけです。しかし実際直接には、その基本方針に合致するかどうか、知事さんがそれに照らし合わせて免許していくということになってくるわけでございます。
  91. 吉田法晴

    吉田委員 それでは基本方針は二月の末までか、おそくとも三月中には結論が得られるはずだといわれておりましたが、これは法案審議の際の最後の段階で言われたようでありますが、どういうことになっておりますか、あるいはどういう見込みでありますか、次官に承りたい。
  92. 太田耕二

    ○太田説明員 お答えいたします。  すでに瀬戸内海環境保全審議会は過去三回開きまして——企画部会は三回でございますが、企画部会の場でその基本方針を審議していただいておるわけでございます。それで大筋の考え方を実はまとめまして、それを具体的に基本方針の案を作成していただく専門委員会のほうへこれから渡そうとしている段階でございます。法案審議のときには、できるだけ早くその基本方針をきめなければいけないというふうなことで、実は私どももおそくとも三月一ぱいというふうに期待しておったのでございますが、     〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕 企画部会での検討内容並びにいろいろ審議会の先生方の御都合等もございまして、三月一ぱいにぜひお願いをしたいというふうに申し上げているのでございますが、現在の審議状況から見ますと、残念ながら若干おくれるような気がいたしております。
  93. 吉田法晴

    吉田委員 法案審議の際には、五項目の確認と、基本方針もすみやかに立てられ、そして瀬戸内海がこれ以上汚染をされないように、環境が悪化しないように、この法律をつくるということであった。ところが、審議会のいわば活動といいますか、審議会できまるはずだったが、その中で専門委員を設けて基本方針の策定を願う。その専門委員会の活動の結果が、三月末に出ると考えたけれども、実際には、委員さんの都合その他で少しおくれておると言われた。  そうしますと、いま、この豊前火力の問題で現実に進んでおるのは、留保はつけておるけれども、基本方針がきまったら、基本方針に基づいて再検討される、あるいは変更されるかもしれぬと、こう言われるけれども、実際には、電請審は進み、基本方針は予定よりもおくれる。そうして県知事は、その基本方針がきまったり——埋め立て免許についてのいろいろな条件がございますが、現実には、直接の漁業関係者のうち、残っておった二つの漁業組合の賛成を得たということで埋め立て免許をする方針と思います。  法の精神から言うならば、基本方針ができて、その基本方針に従って都道府県知事がその基本方針に抵触しないように、利害関係者の意見を十分聞いて、それを反映させるような措置を、この公有水面埋立法の改正の精神に従ってやってくれるだろう、こう言われますけれども、実際には、そういう善意ばかりが働くとは限りません。実際に行なわれておるのは、この出願者、それに協力しようとする都道府県知事が、基本方針が出ないものですから、どんどん認可もされ、免許もされ、作業も進むということになったらどうなるか。口では基本方針ができたら再検討しますと言う、あるいは基本方針に従って県知事が善処してくれるだろう、こう言われますけれども、それは、そういう環境庁の意向に関係なしに、審議会の動きに関係なしに、どんどん進もうとしておりますが、どうされますか。
  94. 太田耕二

    ○太田説明員 公有水面埋立法に基づきます知事が出す免許は、まだまだというふうに了解いたしております。
  95. 吉田法晴

    吉田委員 そうです。私の思い違いでした。確かに、埋め立てについての知事の県議会での答弁は、地元の反対がある限り、進めることはない、開発計画についても再検討したい云々ということでございました。  さらに、それと関連したものだと思いますが、この瀬戸内海環境保全臨時措置法と、それから同じ精神に基づいて公有水面埋立法の一部改正が行なわれました。     〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕 そして法のたてまえは、これ以上の瀬戸内海の環境汚染を進めないように、これ以上の環境悪化を防ぐためにこの法律をつくるということですし、そのために幾つかの歯どめが行なわれた。制度としては確立したが、実際の動きには基本方針、それから法の精神からいえば、利害関係者の意見を十分反映し得るような措置を講ずるということであります。けれども、電調審、それから公示につきましては異議が出されました。これをどういうぐあいに取り扱うつもりなのか。これは承りませんでしたが、経済企画庁は、公示をされて異議が出た、瑕疵は手続的に補完をされたと言われる。しかし、異議が出ておることについては依然として残っておるわけでありますが、それを今後どういうぐあいに対処されようとするのか、それをひとつ承りたい。  それからもう一つ、瀬戸内海の環境保全臨時措置法と、それから公有水面埋立法の一部を改正する法律によります利害関係者の意見を十分に反映させる措置を拡充したとありますが、実際の進行を見ますと、法のたてまえと実際とは現に食い違いつつありますが、これについては、瀬戸内海との環境保全のために立法を進められました環境庁として、どういうぐあいに考えられますか、承りたい。
  96. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 ただいま先生の御質問にございました意見の申し立ては、確かに地元のほうから出てまいっております。ただ、これは一つは手続上、都道府県知事を経由して、所管の大臣のほうに提出するというふうに法律上なっておりますが、知事を経由してきておりません。したがいまして、私のほうでは一応それを保留しております。  なお、電源開発促進法の第三条によりますと、意見申し出がありましたときには、「国の行政機関の長は、これをしんしゃくして必要な措置を講じなければならない。」という規定になっておりますが、私どもは、先ほども説明申し上げましたように、電調審に御了解を得まして、位置の表示を訂正して公表するというふうにいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  97. 太田耕二

    ○太田説明員 公有水面埋立法と瀬戸内海環境保全臨時措置法との関係になるかと思いますが、公有水面埋立法は、日本全国全般に適用される法律でございまして、その中でもちろんいろいろな許可条件があるわけでございます。これは直接にはよその省庁の管轄になりますが、瀬戸内海環境保全臨時措置法は、さらに瀬戸内海の特殊性にかんがみまして、もう一つの加重要件としてこの法律が生きてくるこういうことになってくるわけでございます。  先ほど申し上げましたとおり、当豊前火力にかかわります埋め立てにつきましては、まだ免許いたしておりません。瀬戸内海審議会のメンバーといたしまして、実は関係府県の知事さんがメンバーになっておるわけでございますから、その辺のいきさつ、その辺の感じは十分おつかみの上、基本方針が出ました暁には、それを踏まえまして対処される、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  98. 吉田法晴

    吉田委員 瀬戸内海環境保全臨時措置法は、瀬戸内海のことだから、加重要件として幾つかの公有水面埋立法以上の条件を付すのだ、こういうお話です。公有水面埋立法を見ましても「特に大規模な埋め立て等政令で定めるものについて、環境保全上の観点からの調整をはかるため、主務大臣がこれを認可しようとするときには、環境庁長官意見を求めなければならないこととしております。」と、これは法律の提案理由の中に書いてあります。「特に大規模な埋め立て等政令で定めるものについて、」云々という話になると、このくらい大きい埋め立てはなかろうと思う。いまのお話で言うと、知事が審議会の中にメンバーとして加わっておるから、その辺は十分考慮するだろうと、こういう話ですけれども、見ておりますと、この環境アセスメントというのですか、いわば最後の許可ですか認可ですか、政令で定める図書等の中に、環境関係が実際にどうなるのか、条件等を整備をして認可をするかどうかをおきめになるようでございますが、この法の精神、公有水面埋立法の提案理由の説明の中にもありますような特に大きな埋め立ての場合には、主務大臣がこれを認可しようとするときは、環境庁長官意見を求めなければならぬと、環境庁長官が賛成をしなければ大規模な埋め立てができないようにされたという点が、特に説明をされております。  そういう点から言うと、法律をつくるときには、たてまえはりっぱなことを言われるけれども、実際には法の精神をくぐりながら埋め立てが進められるような、あるいは発電所が建設される。法のたてまえからいえば、特殊施設に入らぬかもしれませんけれども、実際には公害を発生する施設等が法の精神をくぐりながら進められておるような感じがしてならぬのです。  一般に法ができたときに、民間はこれをくぐることをすぐに研究をいたします。しかし私は、法をつくって間もなく、まだ基本方針もきまらぬのに、法が全面的に運用しないのに、お役所が——これは環境庁が自分でやっておられるとは思いませんけれども、しかし通産省やあるいは経済企画庁やあるいは環境庁協議の中で進められておる中では、環境庁といえどもそれを防止することができないでおるというような印象を受けるのですが、この法の精神が生かされるためには、もっとき然たる態度が環境庁には必要だという気がいたしますが、環境庁の政務次官に出ていただいておりますから、どういうぐあいに考えられますか。あるいは法を守るためにどういう方法を講じたらよかろうか、ひとつ具体的に承りたい。
  99. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 先生指摘の、豊前火力の発電所設置に伴う埋め立ての問題につきましては、先ほど来から申し上げておりますように、瀬戸内海環境保全臨時措置法という法律ができまして、その瀬戸内海の中の埋め立てにつきましては、従来は知事権限でできておったものに対しても、審議会というものをつくりまして、その審議会で埋め立てに関する基本方針というものをつくってもらって、その基本方針に沿って埋め立ての免許については十分考えていただくというふうにいたしておるわけでございまして、先生指摘環境庁環境保全について姿勢が弱いとか、また後退しておるというようなことはないと思いますし、またそういうことがないように、環境庁という役所は環境を保全して、人間の健康と生命を維持していくために最も必要な環境をつくるということを任務としておるわけでございまして、その点につきましては、厳正な態度で今後も進めていきたい、かように考えておりますので、御了承をお願いいたしたいと思います。
  100. 吉田法晴

    吉田委員 少し最後の詰めをいたしたいところでありますが、時間が参りましたから、またの機会にやることにいたします。たいへんありがとうございました。
  101. 角屋堅次郎

    角屋委員長 馬場昇君。
  102. 馬場昇

    馬場委員 私は、今日の水俣病に取り組む政府の基本姿勢についてお尋ねしたいと思います。  水俣病の患者は、いまなお生き地獄の苦しみを続けております。すでに御承知のとおり、目が見えない、口がきけない、耳が聞こえない、からだが動かない、こういう胎児性水俣患者をはじめ、その家族、さらには塗炭の苦しみを受けられました漁民、その苦しみが現在まだ続いておるわけでございますが、私はこういう人たちにかわって、水俣病は終わっていないと、政治なり行政に携わっておられます者のまず責任について質問をしたいと思います。長官がおられませんけれども、政務次官が政府を代表してひとつよろしく答弁をお願いしたいと思います。  三木長官は、昨年の五月の九日と十日、現地水俣を視察されました。そのときに長官は、次のようなことばを言われました。私はいまでも忘れておりません。三木長官は、私が水俣に来たのは、実情を見て、良心と責任感にむちうって力の限り尽くしたいためだ、私のやることは、行政、政治に携わる者の深刻な反省であり、この上に立って二度と悲惨な人災を起こさないという決意と、それを裏づけるきびしい環境管理である、こういうことを語られました。政務次官も、このことは御存じであるだろうと思います。  さらに第三水俣病発生以来、患者さんを含めましてその家族、さらには漁業関係者、地域住民は塗炭の苦しみを受け、あの混乱が起きたのは御承知のとおりでございます。あのときの悲痛な叫び声というのが、私にはまだ耳にはっきり残っておるわけです。そういうものをぜひ思い出していただきたい。  そこで、質問ですけれども、今日私が感じておりますことは、狂乱の物価、つくられた物不足、悪性インフレ、これに対する対策も必ずしなければならないし、重要なことですが、その裏に隠れて、公害行政というものがあと戻りをしつつあるような気がしてなりません。そしてまた、水俣病についていうならば、水俣病問題はもう終わったのだ、こういうような感じを、政府は口にはもちろん言いませんけれども、その行政の中で私は感じます。こういう点について、まず政府の所信を伺っておきたいと思います。
  103. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 三木大臣の政治姿勢といたしましては、馬場先生御承知のように、約束したことは必ず守る、できないことは言わない、これが三木大臣の政治姿勢でございまして、先生も御承知のとおりだと思います。  この水俣病問題につきましても、再々そのような考えのもとに現地も訪れましたし、その後のいろいろの対策につきましては、懸命な努力をしておるところでございます。先般私、同席いたしましたが、地元の漁業関係者の皆さまが東京まで出てこられまして、長官にいろいろな陳情をされました。私も同席いたしておりましたので、よく承知をいたしておりますが、その漁業関係者の方々に対しまして、この問題の早期解決をはかるために、自分としては懸命な努力をすることは、これはもう約束したことでもあり、それは必ずやる、こういうことで、熊本にも行って、そうして自分が中へ入って解決のために努力をするというようなお話もございました。  先般、御承知と思いますが、工事の実施主体について、また工法について、漁業補償について、それから事業の施行に要する費用について、この四点につきまして政府と県の基本的な合意を、去る三月四日にいろいろ話し合った結果見たわけでございまして、三木長官の申されております、この対策に懸命な努力を払うということは、私は現在その線に沿って行なわれておるように思っておるわけでございます。
  104. 馬場昇

    馬場委員 政務次官が、公害行政が物価等の陰に隠れてあと戻りしておる、置き忘れられておるというようなことは答弁できないと思うのですけれども、そういう印象をやはり現地の私たちは受けております。だから、そういう印象を受けないように、いま言われましたように、さらにいまからまた水俣病対策も始まるのだというような積極的な姿勢で、ぜひ努力をしていただきたいということを最初にお願いしておきまして、いまちょっと出ましたけれども政府が、また三木さんが公約しました幾つかの事業について、具体的にお尋ねしたいと思います。  その前に、三木さんは現地で——患者の人、家族の人、あるいは漁民の人、住民、そしてまた三木さんの水俣視察というのは全国民が注目しておりましたし、あそこで言われたことは、私は地元の人たちだけでなしに国民に公約されたことだ、こういうぐあいに思います。その中で具体的に、水俣病の総合センターを設立をいたします、こういうことをはっきり約束されました。さらに、水俣患者の認定が非常におくれておりまして、この認定促進については、これまた促進をはかります。そして水俣湾のヘドロ処理の問題、これはまた具体的に申し上げますけれども、これも約束をされました。さらに水産業被害救済なり漁業の振興、こういう点についても約束をされました。  地元の人が私に、そのときこういうことを言いました。せっかく副総理である長官水俣入りをされる、たくさんおみやげを持ってこられるだろうと思っておった、ところが三木さんの水俣入りのみやげは少なかった、しかし、いままで何人かの大臣が、あるいは政府関係者や政治家が水俣に来た、そしてたいていの人が大ぶろしきを広げていった、期待したけれども何もしなかった、ところが三木さんは、見るところ非常に誠実な人のようだ、だから、いま次官言われましたように、できることしかやはり約束されなかったのだろう、だからみやげが少なかったのだろう、期待します、こういうふうなことを実は私に地元の人が言いました。  また、もう一人の、胎児性の患者の坂本しのぶさんというのがおりますけれども、そのおかあさんの坂本フジエさんが、私にこういうことを言いました。水俣病の総合センターをつくると三木さんが言われたわけですけれども、坂本さんが私に言われたのは、まだ夢のような話ですね、構想で終わりはしないだろうか、はたして実現するのだろうか、水俣を訪れた政治家はいつもそうだったのだから、こういうことを実は言われたわけでございます。  私は、直接的には悲惨な水俣患者、家族、地域住民の生活を守る、環境を守るとともに、やはり政府公害行政の責任を果たすために、とともに、政治家はうそを言わないのだ、こういうようなことを実現するためにも、この約束をされた事項というのは必ず実行すべきであると思います。具体的にはあと一つ一つ聞きますけれども、その基本的な考え方について、さらにもう一度次官の御答弁をお願いしておきます。
  105. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 三木大臣のそばで私も御一緒にする機会が多いわけでございまして、三木大臣の好きなことばに「人、信なくば立たず」ということばがございますが、まさに政治家である前に人間であるわけでございまして、信用がなければならないということを常々言われておるわけでございます。政治家といたしましては、先ほど申し上げましたように、約束したことは必ず守る、できないことは約束をしない、政治に信頼が大事である、これが基本であるということを常々申されておるわけでございまして、三木大臣が約束されたことにつきましては、三木大臣がその約束を必ず守ってくださる、またそのために懸命な努力を払っていただけるということについての確信は、私自身は十分持っておるわけでございます。  また、先ほどの、環境問題につきましての最近の行政が幾分後退しておるのではないかという御懸念につきましては、私どもはそういうことのないように全力をあげてやっておるつもりでございまして、今後の環境行政が前進をしていくためにも、ぜひとも御鞭撻をお願い申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
  106. 馬場昇

    馬場委員 以下、具体的に質問をいたしますので、局長からでも、よく御存じの方から答弁を願いたいと思うのですが、具体的に水俣湾のヘドロの処理の問題についてお尋ねいたしますが、これは年度内着工——年度内というのは、私は三月三十一日までだろうと思います。これも言わぬでもわかっていることですけれども年度内着工というのは政府の公約でございました。  五月九日に水俣三木さんが来られたときに、三木さんはこう言われました。水俣湾のヘドロ処理は、政府と県が協力して年度内に着工する、はっきりこう言われました。そしてまた帰られてから、政府の水銀等汚染対策推進会議、これは三木さんが議長ですが、この会議でも年度内に着工するということが決定をいたしております。そしてまた、わが日本社会党が政府に申し入れをいたしました。これに対しましても、具体的に要求書、回答書がここにあるわけですけれども、異例の文書による回答書を社会党が政府からもらいました。これにもきちんと、年度内に着工するという回答が出ております。さらに一国の総理大臣が、衆議院の本会議場で、水俣湾の堆積汚泥は、年度内にしゅんせつに着工するということを答弁されております。  このことで、年度内着工というのは政府の公約であると私は思いますが、あと具体的に言いますので、公約であるのかないのかということについて、お答え願いたいと思います。
  107. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 年度内着工につきましては、政府としては全力をあげていままで努力してきたつもりでございますけれども、実はいままでの過程の段階におきまして非常にむずかしい問題がさまざまございまして、年度内において、しゅんせつそのものにかかるということは断言できない状態が現在の状態でございます。
  108. 馬場昇

    馬場委員 私は、いま質問しておりますのは、年度内着工は公約であった、どうですかということをまず聞いておるのです。現状のことについてはあとで聞きます。
  109. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 私どもこのことに関しましては、全力をあげた努力目標であるというように解しまして、全力をあげております。
  110. 馬場昇

    馬場委員 具体的には工事を担当するのは港湾局だと思いますが、これは次官、総理大臣が本会議場で、しゅんせつに着工すると答弁し、さっき言った幾つかの例があります。これを港湾局が努力目標だととったとなれば、たいへんな問題だと思うのです。現在の状況を私は知っておるのですよ。しかし私は、これは公約であった、できたかできないかについては、どう努力したなどということはあとで聞きますけれども、これを年度内に着工するというのは努力目標であって、そうならなくてもいいのだ、こういうぐあいに直接担当の局が考えているということは重大な問題だと思うのですが、それについては次官、どうですか。
  111. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 水銀等汚染対策推進会議の内容を見ますと、ヘドロ対策といたしましては、「水俣湾の汚泥処理については、県の事業であるが、国においても今年度中に着工する方針で全面的に応援するものとし、運輸省を中心として検討を進める。」このように書いてございます。いろいろ内容につきましては、先生御承知のとおり、工事主体をどうするか、その他の問題につきましては、結論を出すことに非常に困難な問題がございまして、いままで延びてまいっておることについては、私どもとしましては、まことに申しわけなく存ずるわけでございますが、そのような事情もこれあることでございまして、私どもといたしましては、早期にその対策の実施ができるように今後とも努力をしてまいりたいと思います。
  112. 馬場昇

    馬場委員 当初私が質問したことに対して、次官のほんとうにりっぱな答弁を伺いまして、私も意を強くしたのですが、いまの答弁はだいぶあと戻りしておりますね。そして途中経過はたくさんあったのですよ。六回ぐらいこのことについては言明が行なわれております。最初はやはり努力するとかいうところから始まっていきましたね。しかし最後は本会議で田中総理大臣が、水俣湾の堆積汚泥は年度内にしゅんせつに着工する、これが最終決定だと思うのです。このことは間違いないのです。議事録を見て下さい。だから、私はここで言いのがれをしてもらいたくはないのです。  私はできなかったものを、いまどうということではないのですけれども、ここでやはり反省をしてもらいたいと思うのです。だから、それは公約であった、しかしできなかった、努力したけれども、できなかったことを十分反省しておる、それで今後一生懸命やりますという姿勢を、私はぜひ要望したいのですよ。反省のないところには今後またこういうことが起こるかもしれませんし、ほんとうに年度内に着工する公約であった、努力したけれどもできなかったことを現在反省しておる、そういう気持ちはございませんか。
  113. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 三木大臣からお約束をされました内容につきましては、私正確に存じませんけれども馬場先生の御指摘のとおりでございますれば、まことに申しわけないと思うわけでございます。
  114. 馬場昇

    馬場委員 これはまだちょっと歯切れが悪かったのですけれども三木さんもなんですけれども、総理大臣がこう言っているのですから、私はここに総理大臣に来てもらって——もうあまり逃げられると、総理大臣とやりたいのです。しかしこれだけで議論したってしようがありませんから、このことはまた留保しながら、ぜひ反省をしてやってもらいたいと思います。  そこで具体的に聞きますけれども、事業主体の問題です。これについてはやはり公害の原点ですよね。この公害の原点のところにおける事業なんです、これは。そしてまた、これは前例のない大事業だろう、こういうぐあいに私は思います。そしてまた、公害をなくする、海を生き返らせる、このことは、ここだけじゃなしに、私は全国の漁民もまた注目しておると思うし、世界が注目しておるというような、言うならば世紀の大事業だろう、こういうぐあいに思います。そうして、たびたび三木さんも言われました。この事業というのは、いま私が言ったような大事業だから県の能力の範囲を越えておる、当然国の直轄事業としてやらなければならないというような話も出ました。  こういうことで、いまの法律で港湾法で云々ということもありますけれども、私の気持ちあるいは現地の人々の気持ちは、世紀の大事業、公害の原点のところの事業だから、ここだけは特別立法でもして国の直轄でやるべきだ、こういうぐあいに私は思っております。  そこでまず第一は、この事業の重要性というものについてどう考えておられるか、こういうことについて端的にお答え願いたいと思います。
  115. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 重要性につきましては、さまざまな点がございますが、このヘドロを除去するというのは非常にむずかしい工事でございまして、高度の技術的な要素を必要とする工事であると思っております。
  116. 馬場昇

    馬場委員 私がいま尋ねておるのは、技術の問題もさることながら、その事業の精神について聞いたわけです。これは次官、私がさっき言ったように、もう繰り返しませんが、世紀の大事業、非常に重要だと思います。それについて見解もお伺いしますが、それは時間があまりありませんので先に進めたいと思うのですけれども、三月四日に運輸大臣と環境庁長官と熊本県知事の合意事項があっております。その合意事項の中に、直轄事業にはなっておりませんけれども、これは県が国に委託する、まあ簡単に委託事業、こういうぐあいになっておるようでございます。この委託事業というのは責任の主体がどこにあるのか。さらに言いますと、工事途中でいろいろ責任問題というのが起こった場合に、責任はどこにあるのか。国にあるのか県にあるのか、その委託事業というものの責任の問題。  それからさらに、資金の問題はあとで詳しく言いますけれども、ここでちょっと触れておきますが、資金はたとえば熊本県が資金をそろえて、そして国に持ってきて委託します、こういうような形になるのですか、どうですか。そしてまたさらに進めていきますと、県が金をつくって国に委託する。ところが、ある工期にそれがつくり切らずに国に金を持ってくることができない、金をそろえて委託できない、そういうときには国はその委託というのを引き受けられるのかどうか、こういう点についてお尋ねします。最初に次官のほうからさっきの答えてください、大事業であるかどうかという精神的な問題です。
  117. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 大事業であると思っております。
  118. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 この仕事は非常に大事業である。しかし、この考え方でございますが、水俣のような港湾に対する仕事をだれがやるかということにつきまして、私どもはそこの地方の責任者である県——港湾管理者は県でございますが、県が責任者となって仕事をしていくということが最適であると信じているものでございます。  このような仕事は、いろいろ漁民の皆さま方とお話ししたり、あるいは地元の住民の方々の意向を確実に把握しながら、公害の問題、環境の問題、水産等をすべて総合的な行政の中で仕事をしていかなくてはいけない。概して港湾の管理の考え方はそうでございますが、特にこのような工事については、その点を十分実施し得る県が主体となるべきであるという気持ちでございます。で、このきまったやり方といたしましては、県がそのような責任において事業主体になる、こういうことがきまったわけでございます。ただその中で、工事そのものが非常にむずかしゅうございます。これに対しては、やはり国といたしましては全力をあげて応援をしていきたい。たとえばヘドロの上に構造物をつくったり、あるいは非常にむずかしい、水銀を含んだどろを処理しなくてはいけない、このようなことに対して、たいへんむずかしゅうございますし、その点について県から国が受託をする、このようなきめ方をしたわけでございます。  責任の所在はということになりますと、やはり全体のものに対しては、県が責任をとるべきであると私は思っております。そしてこの工事の実施に関しては、その部分について国がやはり責任をとるべきである。このような感じでこれに対していきたいと考えております。  それから第二点に、資金を県がそろえて出さなければ受託できないのか、こういう御質問であったと思いますが、そのとおりだと思います。したがいまして、県がその資金をそろえるまでについての国としての、これは国といいましても運輸省だけでなく、政府全体としての援助あるいは配慮というものは必要ではないかと思います。  三番目は、金が少ししかない場合にはどうするか。こまかく研究してみないと、実はすぐにお答えできないかと思いますが、私はいまの感じでは、やはりできたところの金しか工事を受託できないと思います。
  119. 馬場昇

    馬場委員 端的に質問しますから、イエス、ノーだけでは答えにならぬかもしれませんけれども、簡単に答えていただきたいと思うのです。  そうしますと、結局資金は県がそろえるべきだ、責任は県にある。工事をしたところのその辺の小さいミスなんかの責任は工事をした者にあるだろうけれども、工事全体の責任は県にある。そして金を県がそろえきらぬ場合には、そろえた分だけしか仕事を受託しない。こうなってきますと——先ほど私は三木長官に会ってまいりました。三木さんはこう言いました。形式は県ですよ、しかし実質は国の直轄ですよ、こういうことを言われました。その発言と、いまの答弁は少し食い違っておるように思うのです。こういうことについては三木さんじゃありませんからちょっとなにですが、熊本県も、私が聞きましたら、形だけが県ですよ、実際は国の直轄ですよ、こう言っているんですよ。これは間違いですか。
  120. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 お答えいたします。  形式は県、実際は国という考え方、私は、一方の見方、説明はそういうふうにできると思います。と申しますのは、国は、非常にむずかしゅうございますから、運輸省の出先機関の第四港湾建設局をあげまして、これの仕事に全力を投入したい、このように思っております。しかしながら県が全体の——形式は県と、こうおっしゃいましたけれども、そのこと自体はやはり知事がこの水俣の仕事に対して責任を持つということでございます。
  121. 馬場昇

    馬場委員 これはまた三木さんと議論しなければいけないと思うのですが、三木さんは、形は県になっていますけれども実質は国の直轄事業ですよ、こう言って説明されているのです。ところが、いま厳密に聞きますとだいぶ違うようですが、これについては、さらに三木さんにいずれかの機会にまた質問したいと思います。  次に、工法についてお尋ねしたいと思うのですが、これは端的に答えてください。もちろん二次汚染というのは絶対にないということを工法の主体として考えておられると思います。これについてと、それからもう一つは、水俣は重要港湾ですが、港湾機能——それから、やはりこれを機会に環境の整備というのをはかるべきだと思います。港湾機能を強化しながら環境も整備をする、充実強化をはかる、こういうことも考えて工法を決定していただきたいと思うのですが、それについての考え方。  それからやはり漁業補償とか、さらに関連の仕事がございますね、その補償の問題、そういうものについては、ぜひ万全を期して工法を考えていただきたい。こういうことを言いながら、結論は、工法を正式にいつまでにきめられますかということです。工法はいつ決定するかという日時です。何月ごろと答えてもらいたい。  それから技術検討委員会というのをつくって、それをきめられるわけですけれども、技術検討委員会というのに漁民の代表というものを入れられますか、どうですか。時間がございませんから、簡単に説明してください。
  122. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 第一点は、工法の二次汚染のことが当然心配されますので、絶対に——絶対ということは非常にむずかしいのですが、とにかく二次汚染については極力注意を払うような考え方で進めたいと思います。たとえば全部締め切ってしまいまして、その中で作業をするというようなことを、県を中心にして現在第四港湾建設局とも検討中でございます。港湾機能の問題を同時にプラスするという点については先生のおっしゃるとおりでございまして、現在県が考えております工法といいますか、計画の中にその点が入っております。それから環境の整備の拡充、これも当然であると思います。私たちこれから港湾を建設するに際しましては、あるいは計画をするに際しましては、このことをまず第一に考えていかなくてはいけない。総合的に考えていくというのが第一点に対するお答えであると思います。  それから第二点につきましては、漁業補償あるいは港湾が閉鎖されますので、その間における陸側のいろいろな方々に対する補償の問題が出ておりますが、これは先生のおっしゃるとおり、全体の事業費の中に含めまして、第一番にやるべき仕事であると思います。三木副総理は、この補償問題につきまして、もういまからでもお話し合いをしていただきたい、実質的な事業の着工という意味も含めまして、いまからでも、すなわち今年度の中から、この補償問題等については話し合っていただきたいということで、知事と先日意見が一致したわけでございます。  第三番目の工法の決定はいつまでか、こういう点でございますが、これは何月何日ということは私は何とも言えません。(馬場委員「何日までは要らぬ」と呼ぶ)いつごろかということは言えません。ただ、すでに昨年の四、五月ごろから、先ほど言いましたように、運輸省の第四港湾建設局等におきましてはこれを考慮しております。現在でも、県とこれらのところが一緒になって大まかな方向については研究中でございますので、一日も早くきまってほしい。今月中、来月の初めというふうに考えておりますが、実は、この工法をきめても、机上できめたのでは何にもならないのでございます。たとえばそのやり方が、やはりまわりの人に納得されなければいけない、あるいは土木屋だけが考えている問題でなく、いろいろな環境問題あるいは魚類に対する影響等、いろいろなことから検討しなくてはいけませんので、できるだけ早くこれをきめていきたいと思いますけれども、何月ということになりますと、とにかく今月、来月というふうなところをめどにして私はやってもらいたいというように考えている次第でございますが、何ともお約束できない次第でございます。  四番目の技術検討委員会の中に漁民の関係の方がはいれるかどうかということになりますと、これもやはり、先ほどから申し上げましたように、県が中心になりまして専門の技術者の方とか、県、環境庁、運輸省あるいは出先の第四港湾建設局の技術職員というもののグループになるわけでございますが、その他学識経験者の中には当然魚類といいますか、環境とか生物に対する学者、そういう方が入るものと私は思っております。
  123. 馬場昇

    馬場委員 今月、来月というところできめるということですが、年度内着工という原則があるわけですから、ぜひなるべく早くやってください。早くやれといっても、ずさんにやれという意味じゃ絶対にないのです。  それから次に、費用の問題についてお聞きしたいと思いますが、チッソ株式会社姿勢というのが非常におかしいと、現在現地で見たり聞いたりしております。私はこういうものについては、加害者である企業が責任を感ずるならば、たとえば二百億なら二百億の事業と想定がつくならば、その七五%というような金を自分でそろえて、私たちはこういうぐあいに金をそろえました、なるべく早くやってくださいというようなことをみずから申し出姿勢がぜひ企業にあってしかるべきだと思うのに、チッソは金がない、ないといって逃げている。このことにある程度引きずり回されながら事業がおくれておるという感じがしてなりませんが、この三月四日きめました合意事項に、本事業の施行に要する費用については、熊本県の過重な負担にならないよう配慮する、こういうぐあいに合意事項が出ております。これはどういう意味ですか。個々について聞きますが、まず、合意事項というのは、これは法律的に根拠があるのですかないのですか。それが一つ。  それから、過重な負担にならないように配慮するというのは、これは具体的にどういうようにして県に迷惑がかからないようにするのですか。さらに加害企業が金を払いきらぬというようになったときに、この事業はとまるのか、あるいはその金を国が見るのかということについてお尋ねしたいと思います。
  124. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のあった点でございますが、まず費用負担という問題につきましては、先ほどの港湾局長からの説明にございましたように、県の事業ということが基本になっておりますので、この件につきましては、熊本県の公害対策審議会にはかりまして、費用負担の計画につきましての審議会の議決を得ることになるわけでございます。そのためには、全体の総事業がいくらかかるかということが、まず固まる必要がございますので、総事業が固まり次第、熊本県の審議会におきまして公害防止事業の費用負担法に基づきまして、費用負担がきまるということになります。  それから、もう一点の合意事項ということでございますが、いま先生の御指摘のように、本事業の施行に要する費用については、熊本県の過重な負担にならないように考慮するということでございます。この点につきまして、これは法的な価値はいかんという御質問でございますが、あくまでも環境庁長官と運輸大臣と熊本県知事の三人の方が寄られて合意をされたという事項でございまして、これは政策的な、政治的な責任のある問題であるということでございますが、法律上の根拠ということを、この合意のみできめるというものでは、その根拠はこれにあるというものではないとわれわれは解釈しております。  その費用が一体チッソが払わなくなったらどうするかという御質問でございますが、これは当初から、そのような想定のもとにやるわけにはいかないということでございまして、そのような事態になったときに、いかにこれに対処するかということでございます。  どのように配慮をするかという問題につきましては、具体的な費用負担計画の固まり次第、大蔵省、自治省等の関係もございますので、従来両省にも折衝もいたしておりますが、その点において最終的な方式がきまってくるというぐあいに考えております。
  125. 馬場昇

    馬場委員 これは三木さんと運輸大臣と熊本県の知事の政治的な責任了解事項法律的にはこれは全然意味を持たない、こういうことですが、これについてさらに聞いておきますが、これはきちんと三者で判を押した協定書があるのですか、これについてまず聞いておきたいと思います。  時間が何か少し短いようでございますが、それでは質問を少し多くして答弁も簡単にしていただきたいと思います。  次に、あの約束の中に、やはり漁民の方がたいへんな御苦労をなさったわけですから、漁業を振興するという約束があるのです。これについて一点だけお尋ねしたいと思いますが、第二次構造改善事業、これは水産庁と思います。これが計画によりますと、不知火海は五十三年に指定、こういうことになっております。これについて、あの大混乱、大騒動のときにも陳情にも参りまして、前の荒勝長官はなるべくそれを早めるように努力すると言っておりました。これを四十九年度にやってもらいたい、早めてもらいたいという希望があるのですが、これについての考え方。ランクがEランクになっているわけです。  これについては、いろいろなランクをつける行政的な手順があると思いますけれども、その中に公害というのが入っていないと私は思います。そしてまた、あそこはヘドロが多くあるだろう、そういうところに事業をしたってということで、ヘドロゆえに、公害ゆえに着工もおくれてきたと私は思います。だから着工を早めるというのは、公害ゆえにおくれたということもありますから、早めていただきたいということ。それからEランクというのには、やはりたいへんな苦労があったのですから、これを公害という一つの要素も入れてランクを上げてもらう、こういうような、やはりあそこをやるという、公害の原点ですから、そういう点についての水産庁の考え方を聞いておきたいと思います。  次に、これは国税庁のほうにお尋ねしたいと思うのですけれども、まずこれは補償の問題です。患者家族の問題については、私はここで申し上げませんが、まず漁民の方々の補償の問題です。これは百四十八億円被害があった。一人一人の漁民の方のトータルでそうなります。これは実は会社も認めておるのです。そして交渉されましたところが、いろいろな事情もございまして二十二億八千万円という、まさに被害額の何分の一にもならなぬようなことで妥結をしております。こういうものを個人に配分をされる。これは税金がかかるのですか、どうですかということです。  それからもう一つは、漁民の方々は何としても、あそこの不知火海の魚はまだ信頼度が低いのです、信頼度を回復するということもあって、海をきれいにしたり、そこで栽培漁業をしたり、何かを国や県がしてもらいたいという気持ちがありますけれども、自分たちの補償金の中の金を出し合ってでも、自分たちもやりたいと思っておられるのです。だから、そういう自分たちの補償金の中の一部をそれに使うというような場合に、税金がそれにつくのかどうか、こういう問題です。     〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕  それからもう一つは、鮮魚商、魚屋さんでございます。これは大体チッソとか、あるいは合成とか東圧とかに三億円くらいの被害補償要求をやっておられますけれども、全然話がついておらずに、たとえば見舞い金だとかなんとかで、多い人が、水俣の人が全体から大体三十五万くらい、あるいはその他の不知火海沿岸の人たちは大体十一万くらい、合わせてもらっております。これは見舞い金です。こういうのには税金はつくのか。それから個人にはつかないということのようですが、たとえば魚屋さんで法人になっておる。これは小さいところですね。この人たちには税金はつくのかどうか。そういうことについて、まずお尋ねしておきます。
  126. 増満二郎

    増満説明員 第二次構造改善事業のお尋ねの件につきましてお答え申し上げます。  第一点は、早期指定の問題でございます。お話のございましたように、構造改善事業は調査計画を二年間やって、それから事業を四年間やる、こういう仕組みになっておりまして、不知火海の海域につきましては、五十二年に指定、五十四年から事業を実施する、こういうふうになっておりますが、先生お話のように、これをできるだけ繰り上げと申しますか、早期に指定を行なう必要があると私ども考えております。そういうことで四十九年度にできないかということでございますが、四十九年度予算要求につきまして私ども努力いたしましたけれども、全体の抑制方針がございまして、従来の指定順位を変更する余地がございませんので、四十九年は無理でございますけれども、私どもとしましては事柄の緊急性にかんがみまして、五十年度には指定できるように今後努力してまいりたいと思います。  それから第二点の事業費の額の問題でございますが、不知火海の第二次構造改善事業につきましては大型漁礁の設置、漁場の改良、近代化施設の整備等の事業を総額一億三千万円ということで実施することにしております。それで大型漁礁につきましては、当初の計画では当地域で実施しないことになっていましたが、漁場整備の重要性にかんがみまして四十八年度に基本方針を変更いたしました際に実施できるように措置したわけでございます。それから漁場改良事業と近代化施設整備事業につきましては、国庫補助金九千万円ということで実施することにしておりますが、共同利用施設の整備の立ちおくれ等の問題も考えられますので、毎年度予算の運用の中でできるだけめんどうを見れるように検討してまいりたいと思います。
  127. 水口昭

    ○水口説明員 税金の関係についてお答え申し上げます。  公害が起こった場合に、企業が漁民に対して補償金を払った、その場合に一体税金がかかるのかどうか、こういうことでございますが、まず税法のたてまえを申しますと、こういう場合の補償金が全部非課税であるというふうにはなっていないわけでございます。実は簡単に申しますと、税法では収益の補償とみなされる部分は税金がかかる。それから精神的なショックと申しますか、そういった心身に加えられた損害に対する補償金あるいは資産に対する損害に対する補償金、その部分は税金がかからないわけです。そこで今度の水俣の場合でも、その税金がかかる部分とかからない部分に分けまして処理をする必要があるわけでございます。  これが税法のたてまえですが、それでは実際にどういうふうに課税するんだということでございますが、われわれといたしましては、水俣皆さんが長年にわたって非常に精神的な苦痛を受けられた、また、経済的な損失も非常に多いのではないか、そういうことをよく考えまして、地元の国税局あるいは税務署ともよく相談をいたしまして、実際にそういうふうな計算をするにあたりまして、漁民の立場に立ってできるだけ弾力的な扱いをしたい、こういうことでございます。したがって結論から申しますと、何万という方が補償金を受けられたわけでございますけれども、実際にその補償金に関連して税金がかかるという方はきわめて少なくなる見込みで、大部分の方が税金がかからない、こういうことになる見込みであるというふうに地元の国税局から報告を受けております。  それから第二に、これを漁民の皆さまに配分しないで一部を漁業協同組合に残しまして、それでもって何か有益な事業をやろう、こういう場合にどうなるかということでございますが、この漁業協同組合の場合は、個人ではなくて、いわば法人でございまして、法人税法が適用になるわけでございます。実は、法人税法には非課税の規定というのがございません。したがって、この場合には、どうしても税金がかかるということになるわけでございます。ただ、たとえばもらった金を一たん個人に配分いたしまして、それで個人から出資をするというふうな形をとりますと、税金のかかる部分が少なくなるかというふうに思います。  それから最後に、魚屋さんの関係でございますが、魚屋さんも、いま申しました漁業を営んでおられる方に準じまして、精神的なショックの部分があるだろうということで処理をいたしたいと思っております。ただ、法人の魚屋さんは、やはり法人税法が適用になりますので、法人には精神的なショックといったものがございませんので、これは遺憾ながらどうしても税金がかかるのではないか、こういうふうに思っております。
  128. 馬場昇

    馬場委員 時間が来たようで——私の計算ではまだ来ていないのですが、通告によると来たようですが、さっきの、県に迷惑をかけないというように文書協定になっているのかどうかということは答弁がありませんから、答弁を——あるかないかだけでけっこうです。  それからいまの漁民の補償金の問題につきましては、これは何十年という苦労の中で、しかも百四十八億もあったのが二十二億ですから、ほとんどその被害の何分の一しか——精神的なあれもあるわけですから、そこにも追いつかないくらいです。ですから、全然かからないと私は思いますけれども、ぜひそういうぐあいに指導をしていただきたい。  それから法人の魚屋さんの問題ですね。これももらったのは、大体十一万円ぐらいですよ。法人といいましても、御主人がおって、そしてそこに従業員がちょっとおるという、普通の魚屋さんと変わらないわけですよ。そういうところは法人だから、十一万にかけるとか、そういうことのないように、そこの主が個人経営みたいにして、そして精神的ショックも受けているわけですから、そういう十一万くらいもらった法人だからといってかける、その下の個人にはかけないことのないように、ぜひ十分ひとつ考慮していただきたいと思います。  最後に、端的に答えてもらいたいのを二つ申し上げます。  一つは、水俣病の総合センターの問題、これはいろいろ言いたいのですけれども、設立準備懇談会なんかをつくって、何か研究者の獲得が困難だから、国立研究機関の中に有機的に包含するとかなんとかということをきめておられるようでございますが、問題は、やはり国立の治療研究センターというのを水俣につくるという約束ですから、これはいま市民病院を充実強化するとかなんとか言っておられますが、その辺の資金配分もまだやっていないようでございますけれども、これは水俣研究治療センターを国立でつくるという計画を約束どおりやっていただけるのかどうかということです。  いま一つは、水俣病の認定の促進の問題です。これについて二月を例にとりますと、二月八日に四十四人認定されました。二カ月にそのくらいですからね。現在、申請しております者は二千三十六人おって、毎月大体二、三十人ずつまた申請がふえているわけです。そうしますと、二千三十六人を、二カ月に四十人ぐらいの認定では、何年かかるかわからない。こういうことについて、環境庁内に認定促進のための検討委員会をつくるというようなことを言っておられるようでございますが、これはやはり熊本県の力だけではどうにもならぬということで、認定促進についてぜひひとつはかっていただきたい。そうして環境庁は、どういうぐあいに現在やっておられるかということについてお尋ね申し上げたいと思うのです。     〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕  それからまた、五年も六年も認定がかかりますと、補償金というのも物価が、こう上がった時代にはたいへんな問題だろうと思います。これは大きな問題ですけれども、そういうこともありますので、認定促進について、どうしておられるかということについて御答弁を願います。
  129. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまの先生の御質問に簡潔にお答え申し上げたいと思います。  まず第一の、合意の文書について判をついて割り印をやったものがあるかということでございますが、私の承知いたします範囲内においては、そのようなものがあるとは聞いておりませんが、もし誤りがございましたら、あとで訂正をいたしたいと思います。  第二点は、国立の治療研究センターをという点でございますが、これをつくるという考えで、現在、計画を進めておるというところでございまして、ことしは医療需要調査ということをいたしておりまして、来年は、それをどのような体系で進めていくか。特に在宅の患者さんの一生のお世話というのは、非常に大きな問題だと思っております。そのような考え方に立っておりまして、国のメディカルセンター、医療センターと国の研究所の出先というような形のものをとりながらやりたいということが大臣の御趣旨でございまして、私どもそのほうに全力をあげて努力をいたしております。  病院の件でございますが、これはそのようなセンターをやるというまでの間の一つの問題として、できるだけの援助をしなければならないということで、現在私ども再度厚生省のほうに参りまして、厚生省のほうも好意的にこの問題を扱っていただきまして、来年度予算でできるだけ病院のお助けをいたしたい、そのように考えております。  認定促進につきましては、三月一日に、初めて九州の各大学、国立病院関係者の方々の会合を熊本県でいたしました。これは従来、第三次検診に非常に先生方がお忙しくて、とうていそのほかに力をさいていただくことが不可能であるということで、現在までなったわけでございますが、大体来月、しばらくたちますと、第三次検診も一応終わるのではないかというようなことでございますので、終わり次第、今度は具体的に認定促進のことをはかるということで、今年度予算におきましても、特に認定促進のための検査の予算等を確保いたしておるところでございます。
  130. 馬場昇

    馬場委員 時間が来ましたので、まだまだ不十分な点もあると思いますが、最後に、特に約束されました総合センターの問題、認定促進の問題、ヘドロの処理の問題水産業救済、またその振興、こういう問題については、ぜひ万全の努力をして、約束を守るようにやっていただきたいということを申し上げまして、また大臣が来たときにもう一回やりますので、以上で質問を終わります。
  131. 角屋堅次郎

    角屋委員長 米原昶君。
  132. 米原昶

    ○米原委員 次官だけですか。
  133. 角屋堅次郎

    角屋委員長 ちょっと速記をやめて。     〔速記中止〕
  134. 角屋堅次郎

    角屋委員長 速記を始めて。
  135. 米原昶

    ○米原委員 私は、まず最初公害健康被害補償法のいわゆる指定地域の問題について聞きたいと思います。  昨年、本院でこの法案が通過した場合の附帯決議の中に地域指定について、こういうふうに書いてあります。附帯決議の二番目のところに、「指定地域の指定にあたっては、すべての公害病患者が本制度の対象から除外されることのないよう合理的な指定基準を定め、これに基づいて適正な指定を行なうこと。」、こういう附帯決議がついておりますが、この決議に基づいてどのような指定基準を定められるつもりか、これをまず第一に聞きたいのであります。
  136. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生から指定地域の基準をどのように定めるお考えであるかという御質問でございますが、昨年の、本院で公害健康被害補償法をお認め願いましたときの附帯決議に示されましたように、従来の地域指定では非常に範囲が狭過ぎるという御指摘が強くあったわけでございます。そういうことで、四十八年度調査におきましては、現在の時点では、汚染はあまりひどいとはいえないが過去において非常にひどい汚染の時期があったというところをも、その調査対象の中に入れようという問題が一つと、もう一つは、そのような状況もございまして、国の救済法ではなしに、地方自治体自身で救済措置をとっていたところで、従来の特別措置法の、救済法の指定地域と比べてみて、過去の実績等を見れば、これはほぼひとしいようなところではないかと思われるところまで広げまして、現在指定地域調査をいたしておる最中でございます。  そういう意味で指定地域の基準につきましては、四十八年度調査が全部取りまとめられました暁に、中央公害対策審議会におきまして、四十八年の調査の結果と、従来の救済法の指定地域の際に用いました基礎的な資料すべてを合わせまして、新たに地域指定をいたします場合の条件というものを定めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  137. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、この補償法はことしの九月に施行となるわけでありますから、少なくとも施行時には基準というものが明確に示される、そう理解していいわけですね。
  138. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 この補償法は九月に実施をいたしますので、施行いたすときにはどのような条件のもとに地域指定をするかということについてお示しできることになろうというように私どもは思っております。
  139. 米原昶

    ○米原委員 そういうふうに、施行するときにはもちろんこの調査に基づいて指定されるわけですが、どういうふうにしてこれを選んだかという基準ですね、そういうものが同時に発表されると見ていいのですか。つまり指定基準そのものを出されるかどうかということなんです、附帯決議に書いてあるから。
  140. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 指定地域の基準について公表するかということでございますが、中央公害対策審議会におきまして答申を得ました場合には、従来必ず審議会の答申というものは公表をいたすことをいたしておりますので、答申に関する限りにおきましては、私どもは公表いたすということでございます。
  141. 米原昶

    ○米原委員 いまも話がありましたが、九月の施行に向けてもうすでに幾つかの地域調査中と聞いておりますが、それはどことどこかということを知らせていただきたいと思います。
  142. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 四十八年度予算で現在調査をいたしておりますのは、大阪市と尼崎市と吹田市と三重県の楠町、それから川崎市と千葉市の臨海地域東京都の九区でございます。
  143. 米原昶

    ○米原委員 東京都の九区というのは、私が承っておるところでは、千代田区、中央区、港区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、大田区の九区だと聞いておりますが、それで間違いありませんかということと、もう一つ千葉市の場合ですね、いまおっしゃった……。千葉市の場合は臨海地域というふうに聞いておりますが、それで間違いありませんか。
  144. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 東京都の調査対象の九区につきましては、先生指摘の九区に間違いございません。  それから千葉市でございますが、臨海地域と一般的に申しましたが、これは千葉市の全体の臨海地域をやっておるわけではございませんで、千葉市の中の川崎町と蘇我町と今井町等の一部の地域に限られております。
  145. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、東京の、特にその中の品川区、大田区あるいは江東区のあたりですね。実をいうと、これはずいぶん前から問題になっているところなんです。もう四年前になりますか、大石環境庁長官が初めて環境庁長官に就任された当時ですが、そのときにも地域の住民から非常な要望があって、長官と話し合ったことがあります。このいきさつは環境庁も御存じでしょうが、その当時調査して指定に持っていくような努力をしよう、こういう話がありまして、地域の住民は非常に期待していたのです。新聞の報道では、ことしは指定されるのじゃないかというようなことが何回も出たことがある。それには東京の城南地域と江東区というようなことが何回か出ました。それがどうしたことか立ち消えになってしまっているわけですね。  何か複雑ないきさつがあったようでありますが、実は非常に誤解も生じているし、地域でもはっきりしないというので問題になっておりますので、環境庁のほうでつかまれている経過、どういうわけで一度調査するときまってやりかけたものが、しかも長官自身が地域の住民に約束されたようなものが、いつの間にか立ち消えるようなことになったのか、いままでの経過を簡単でいいですが、話しておいていただきたい。
  146. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 従来の経緯を簡単に申し上げますと、環境庁のほうとしては汚染の著しい地域ということで、非常に限って一部の調査をしようという考え東京都と相談いたしておりましたが、東京都自身としては、もっと広く対象にすべきであるというような意見で、なかなか折り合わなかったということが一点と、一部の地域だけ調査をしようということで具体的に乗り出しましたところ、今度はそこの区から、自分の区だけ調査されては困るという話もまた一方にあらわれたというような経緯が要約したところでございます。
  147. 米原昶

    ○米原委員 その点は、初めのほうの部分は当時新聞にも報道されて、そして美濃部都政のやるやり方と政府がここでも意見が違ったというように大々的に報道されたので、ある程度そういうこともあったのかなと思いました。できるだけ広範な地域に適用していきたいということばそれ自体としては環境庁だって理解されると思うのですが、いろいろ問題があったと思う。  もう一つあとのほうで言われた、当時大田区自身があまり積極的でなかった、この点は、当時はまだ非公選の——いまは準公選という形を区長はとっておりますが、その当時は準公選もまだ実施されなくて、いわば自民党系の区長さんが、おれのところだけ公害病の地域だと指定されることはあまりありがたくないといって積極的でなかったという話を聞いておりますが、ただ、その点はそうであったかもしれないと思うのですが、同時にもう一つ、ちょっと確かめておきたい点があるのです。  というのは、指定地域にしようとされた地域というのが、いま羽田空港に行く高速道路が走っていますね、あの線よりも海岸寄りの地域を大体指定するというような話があったということを聞いておりますが、そういうことは、ほんとうなんでしょうか。
  148. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生のおっしゃったような話があるということを私は省外で聞きましたが、私どもの中の議論で高速の内側のみに限るというような議論があったようには記憶をいたしておりません。正式に、その線内に縛るべきであるということで、この折衝をしたというようには私どもは引き継ぎを受けておりません。
  149. 米原昶

    ○米原委員 もちろんお通りになったらわかるけれども、あの海岸寄りの地域だけなんということになると、これはちょっとほとんど人は住んでないところですし、あんまり意味がないというふうにとられたのは当然だと思うのですが、それは正式にきまったことじゃないと思います。ただ、東京調査対象を、今回いまお話があった九区だけに限られているという点ですが、これは前々からの東京都と環境庁との意見の相違の点にも関連しますが、九区だけに限られるというのは、あまりにも狭過ぎるのじゃないか。伊豆七島、東部はもちろん別にしましても、私は二十三区はもちろん、三多摩も含め、少なくとも調査すべきじゃないか、非常に初めから狭く限っておられるのではないか、そういうふうに思うわけです。  それで、東京では、伊豆七島を除いて十八歳未満については医療費の自己負担分を都が負担してきておるわけであります。これは島を除いて全域に適用しているわけです。これの実績から見ますと、いま調査されようとする調査の結果によっては、そこが指定されるわけでしょう。その地域が大体指定されるめどがあるから調査されるのでしょうが、その九区内に対しても、二十三区全体、三多摩を含めて都のほうとして独自に医療費の負担を都がいまやっているわけですから、そこの統計が出ているわけです。  それを見ますと、この九区というのは、必ずしも医療負担をしなくちゃならぬものが多くないということです。全体のわずか四分の一になっております。認定患者を十八歳未満の人口と比べてみると、人口割りの比率でいくと、逆に三多摩地区でも、問題の大田、品川あたりよりも、あるいは江東地帯あたりよりも、むしろ認定患者が多いと  そういう意味で指定地域の基準につきましては、四十八年度調査が全部取りまとめられました暁に、中央公害対策審議会におきまして、四十八年の調査の結果と、従来の救済法の指定地域の際に用いました基礎的な資料すべてを合わせまして、新たに地域指定をいたします場合の条件というものを定めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  150. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、この補償法はことしの九月に施行となるわけでありますから、少なくとも施行時には基準というものが明確に示される、そう理解していいわけですね。
  151. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 この補償法は九月に実施をいたしますので、施行いたすときにはどのような条件のもとに地域指定をするかということについてお示しできることになろうというように私どもは思っております。
  152. 米原昶

    ○米原委員 そういうふうに、施行するときにはもちろんこの調査に基づいて指定されるわけですが、どういうふうにしてこれを選んだかという基準ですね、そういうものが同時に発表されると見ていいのですか。つまり指定基準そのものを出されるかどうかということなんです、附帯決議に書いてあるから。
  153. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 指定地域の基準について公表するかということでございますが、中央公害対策審議会におきまして答申を得ました場合には、従来必ず審議会の答申というものは公表をいたすことをいたしておりますので、答申に関する限りにおきましては、私どもは公表いたすということでございます。
  154. 米原昶

    ○米原委員 いまも話がありましたが、九月の施行に向けてもうすでに幾つかの地域調査中と聞いておりますが、それはどことどこかということを知らせていただきたいと思います。
  155. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 四十八年度予算で現在調査をいたしておりますのは、大阪市と尼崎市と吹田市と三重県の楠町、それから川崎市と千葉市の臨海地域東京都の九区でございます。
  156. 米原昶

    ○米原委員 東京都の九区というのは、私が承っておるところでは、千代田区、中央区、港区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、大田区の九区だと聞いておりますが、それで間違いありませんかということと、もう一つ千葉市の場合ですね、いまおっしゃった……。千葉市の場合は臨海地域というふうに聞いておりますが、それで間違いありませんか。
  157. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 東京都の調査対象の九区につきましては、先生指摘の九区に間違いございません。  それから千葉市でございますが、臨海地域と一般的に申しましたが、これは千葉市の全体の臨海地域をやっておるわけではございませんで、千葉市の中の川崎町と蘇我町と今井町等の一部の地域に限られております。
  158. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、東京の、特にその中の品川区、大田区あるいは江東区のあたりですね。実をいうと、これはずいぶん前から問題になっているところなんです。もう四年前になりますか、大石環境庁長官が初めて環境庁長官に就任された当時ですが、そのときにも地域の住民から非常な要望があって、長官と話し合ったことがあります。このいきさつは環境庁も御存じでしょうが、その当時調査して指定に持っていくような努力をしよう、こういう話がありまして、地域の住民は非常に期待していたのです。新聞の報道では、ことしは指定されるのじゃないかというようなことが何回も出たことがある。それには東京の城南地域と江東区というようなことが何回か出ました。それがどうしたことか立ち消えになってしまっているわけですね。  何か複雑ないきさつがあったようでありますが、実は非常に誤解も生じているし、地域でもはっきりしないというので問題になっておりますので、環境庁のほうでつかまれている経過、どういうわけで一度調査するときまってやりかけたものが、しかも長官自身が地域の住民に約束されたようなものが、いつの間にか立ち消えるようなことになったのか、いままでの経過を簡単でいいですが、話しておいていただきたい。
  159. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 従来の経緯を簡単に申し上げますと、環境庁のほうとしては汚染の著しい地域ということで、非常に限って一部の調査をしようという考え東京都と相談いたしておりましたが、東京都自身としては、もっと広く対象にすべきであるというような意見で、なかなか折り合わなかったということが一点と、一部の地域だけ調査をしようということで具体的に乗り出しましたところ、今度はそこの区から、自分の区だけ調査されては困るという話もまた一方にあらわれたというような経緯が要約したところでございます。
  160. 米原昶

    ○米原委員 その点は、初めのほうの部分は当時新聞にも報道されて、そして美濃部都政のやるやり方と政府がここでも意見が違ったというように大々的に報道されたので、ある程度そういうこともあったのかなと思いました。できるだけ広範な地域に適用していきたいということばそれ自体としては環境庁だって理解されると思うのですが、いろいろ問題があったと思う。  もう一つあとのほうで言われた、当時大田区自身があまり積極的でなかった、この点は、当時はまだ非公選の——いまは準公選という形を区長はとっておりますが、その当時は準公選もまだ実施されなくて、いわば自民党系の区長さんが、おれのところだけ公害病の地域だと指定されることはあまりありがたくないといって積極的でなかったという話を聞いておりますが、ただ、その点はそうであったかもしれないと思うのですが、同時にもう一つ、ちょっと確かめておきたい点があるのです。  というのは、指定地域にしようとされた地域というのが、いま羽田空港に行く高速道路が走っていますね、あの線よりも海岸寄りの地域を大体指定するというような話があったということを聞いておりますが、そういうことは、ほんとうなんでしょうか。
  161. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生のおっしゃったような話があるということを私は省外で聞きましたが、私どもの中の議論で高速の内側のみに限るというような議論があったようには記憶をいたしておりません。正式に、その線内に縛るべきであるということで、この折衝をしたというようには私どもは引き継ぎを受けておりません。
  162. 米原昶

    ○米原委員 もちろんお通りになったらわかるけれども、あの海岸寄りの地域だけなんということになると、これはちょっとほとんど人は住んでないところですし、あんまり意味がないというふうにとられたのは当然だと思うのですが、それは正式にきまったことじゃないと思います。ただ、東京調査対象を、今回いまお話があった九区だけに限られているという点ですが、これは前々からの東京都と環境庁との意見の相違の点にも関連しますが、九区だけに限られるというのは、あまりにも狭過ぎるのじゃないか。伊豆七島、東部はもちろん別にしましても、私は二十三区はもちろん、三多摩も含め、少なくとも調査すべきじゃないか、非常に初めから狭く限っておられるのではないか、そういうふうに思うわけです。  それで、東京では、伊豆七島を除いて十八歳未満については医療費の自己負担分を都が負担してきておるわけであります。これは島を除いて全域に適用しているわけです。これの実績から見ますと、いま調査されようとする調査の結果によっては、そこが指定されるわけでしょう。その地域が大体指定されるめどがあるから調査されるのでしょうが、その九区内に対しても、二十三区全体、三多摩を含めて都のほうとして独自に医療費の負担を都がいまやっているわけですから、そこの統計が出ているわけです。  それを見ますと、この九区というのは、必ずしも医療負担をしなくちゃならぬものが多くないということです。全体のわずか四分の一になっております。認定患者を十八歳未満の人口と比べてみると、人口割りの比率でいくと、逆に三多摩地区でも、問題の大田、品川あたりよりも、あるいは江東地帯あたりよりも、むしろ認定患者が多いところがあるということが数字的に出ているわけなんです。ここに数字を持っていますが、たとえば都の条例による認定患者の人口比率で見ますと、問題の大田区、これは認定患者が千四百四十一人いますが、人口比率で見ると〇・七九六%です。ところが三多摩の五日市のあたりですね、ここには非常に認定患者が多いです。四十七人ですが、人口比率で見ると、大田区よりも高い〇・九三九%が認定患者になっておるわけです。  かえって都内の一番よごれているといわれているところよりも、三多摩のむしろ山奥に近いほうが認定患者が多い。五日市だけでありません。八王子でもそれがいえるのです。八王子はもっと高いです。八王子の場合は八百人の認定患者がいますが、比率で見ますと一・〇五四%ですね。たいへん多いです。それから大田や品川、江東地帯よりももっと多いところは、やはり田無が〇・八七〇%、こんなふうに東京都内の一番空気がよごれているのじゃないかというふうに見られている地帯よりも、公害病認定患者が逆に三多摩の奥のほうにかなり多い。おそらく、これはあのあたり非常に自動車が走っておりますから、自動車による大気汚染は相当ひどいのじゃないかと思うのです。     〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕  こういう点からしましても、調査の対象は少なくても三多摩全体に広げるべきではないかというふうに私は思うのです。これどうしてやられないか説明していただきたい。わけがわからないのです。
  163. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 四十八年度予算東京都で調査をいたしました九区につきましては、環境庁東京都の意見が合致をいたしました地区でございまして、この九区につきましては、従来すでに地域指定をされたところの状態と比べて、現在もしくは以前において同様な汚染の状態があったというぐあいに考えられるところでございます。そういう点で、この九区に着手をいたしたということでございます。  この場合に一つの問題は、従来の地域指定につきましては硫黄酸化物中心となっておりまして、それと浮遊粉じん、降下ばいじん等が参考として加わっておったということでございますが、また従来の指定地域の場所では確かに窒素酸化物等も、非常に都市工業地帯の中心でございましたから、それもあとではかってみると高いというような状況でございます。そういうことでございますが、具体的にはほとんど硫黄酸化物の濃度を中心として判断をされてきたところでございます。そういう意味で、今回の九区というのも、もとのままの汚染の条件ということを尺度として選ばれたものであるということを、まず御了解をお願いいたしたいと思います。  もう一点は、地域指定をいたしますために環境調査をいたしますが、これは環境調査とその測定分析といいますものは相当能力の限りがございます。そういうことから見ましても、東京都とお話をいたしますときも、特別区全体をやるにしても、東京都といえどもやはり二年の年数はどうしてもかかるということが、環境調査面の能力からくる一つの制約でございます。     〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕  そういうことで一年に全部はできないということは、能力上もこれは不可能でございますし、また従来の尺度から見て両方が合意したのが九区ということでございますので、この九区が選ばれたということでございます。  もう一点は、先生の御指摘で、このひどいところだけではなしに、ほかにたくさん患者がいるではないかということでございますが、東京都はこの公害の医療ということで、特定の年齢層の方の特定の疾病を抜いてやっておられるということでございまして、公害という観点から見ますと、なかなかいろいろな議論のあるような尺度であろうかと思われます。すべての人がそれに合意をするかというと、なかなかそこにはむずかしい問題もいろいろあるように思いますが、今度は、あれはこの補償法ということになってまいりますので、できるだけ広きをとるということは、これは確かに附帯決議でへ私どもができるだけ尊重してやらなければならない要件として対処していかなければならないことでございますが、三多摩の奥のほうまで取り入れるということは現在の段階ではなかなか無理な問題があると思っております。  ただ、新しい問題としては、いま先生の割合が高いという御指摘でございますが、これは確かに私どもも検討してみたいと思いますが、ある面におきましては、三多摩地域の年齢構成と、汚染のはなはだしいところの年齢構成が違うということでありまして、むしろ東京都の救済の制度の対象となる年齢層の人口の多いところになりますと、全体の人口に対しての比率は高くなるということが統計の上ではあらわれるのではないかということも考えられますので、これは統計的に、やはりどのような補正をして判断をしてみるかということにもなろうかと思います。  しかし、この制度の本質的な立場といたしまして、前回の特別委員会でもいろいろ御指摘のありましたように、浮遊粉じんもあまりたいしたよごれではない、硫黄酸化物もたいしたよごれではない、しかしながら窒素酸化物の濃度がわりあいに高く出る、あるいは光化学スモッグが季節的によく出るというような問題をどう扱うかという条件につきましては、前回の委員会のときにも御説明いたしましたように、そのようなものだけについての影響につきましては、現在非常に私どもその判断の材料が乏しゅうございます。  環境基準としましては、いつまでも待っておられないのできめたいということもございますが、救済補償法根拠とするほど汚染の有症率の関係を明らかにする資料は、いまだ私ども持ち合わせておりませんし、また世界のほかの国々におきましても、そのような資料はないということは事実でございますので、この点につきましては、私どもできるだけ早く詰めて、窒素酸化物やオキシダントの問題のあるところをどうするかということにつきましての成績を得たいと思います。やはりこれは早くと申しましても、二年やそこらの年限は最短かかるというものでございますので、今後の問題として検討いたしたいと思っておる次第でございます。
  164. 米原昶

    ○米原委員 調査にどうしても一定の時間がかかるということはよくわかるのです。そうだとしても、たとえば今回の調査では、東京都自身は国から委託されて行なう九区のほかに渋谷、目黒、世田谷、新宿については独自の調査をやっておりますね。私たちが常識的に考えましても、もちろんいまお話のあった窒素酸化物による汚染のほうに関連がむしろ強いのではないかと思いますが、大原交差点のところですね、ああいうようなところが、これでは調査からはずされておるので、たとえば東京都のほうは渋谷、目黒、世田谷、新宿などについても国の委託調査とは別にやっておるわけですね。  調査というのは一年間でどのくらいやるというのは限度があると思うのです。ただこの点でも、前にはこの委員会で聞いた場合に、予算が少ないというようなことが理由にされたことがあります。しかし今度の場合、前と違って法律ができた結果、調査費は要るけれども補償する金のほうは御存じのように、公害健康被害補償協会が負うから、結局企業自動車負担で出るわけでありますから、金のかかる面は、国の金としてはかからなくなってくるのですよ。そうだとすると、調査予算をもっと組んで、もっと広い範囲でやっていただきたいということ、それから、いまおっしゃった窒素酸化物がどういう被害を与えるかという問題の検討ですが、これはむしろその面では、まだわれわれは直感的にしかわかりませんけれども、確かに自動車が多いところにどうも病人が多い感じがするのです。そういう点でも、もっと検討を進めてもらいたいと思います。  千葉市の場合、さっき聞きましたけれども、市自身が独自に地域指定をやっていままでやってきておるわけですが、その範囲にむしろ今度の場合限られておるような印象なんです。結局、いままで千葉市では市の中心部が指定地域になっておりますが、その地域を今度は国があらためて指定するというようなことなのか、まるで自治体のあとを国が追って調査をやっておるようなスタイルは、あまり感心できないのではないか、環境庁自身がむしろ全体をリードしてやっていただきたいのです。  公害行政では、自治体のほうが、国がやってくれないからといってどんどんいままでやってきて、あとからあとから追われてやるというような形は変えるべきではないか、国のほうが率先して少なくとも調査をやる、予算の面でも今度は調査費用をとっていけば、あと費用のほうはPPPの原則で企業とあるいは自動車なんかが出すことになるわけですから、調査のほうにもつと力を入れて広範な地域調査していくべきではないか、この点について答弁をいただきたいと思います。
  165. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 まず第一の、予算がないからそれだけに限ったのではないかという御質問でございますが、四十八年度予算の制約という観点から限ったものではございません。また私どもが、予算がないから地域指定ができないということも、今後は私どもは言えないことであるというぐあいに考えて、現在取り組んでおります。  この場合に、先生、地方がやったものをあとから取り上げていくということばかりしておってはいけないという御指摘でございますが、この点につきましては、従来の経緯を申し上げて非常に恐縮でございますが、一部の地方自治体では、自分のところでこの救済をやりまして、国がタッチしてくれるなという事情も数年前にあったわけでございます。  そういう問題も実はございまして、あまり国が深く関与しないという事情も——そのころはそういう状態でございましたが、本補償法案がこの委員会で御審議をされましたときに、地方自治体が非常に苦しんで救済をやっているものに対して、国はやはりこの補償法で対処すべきであるというような強い御指摘があり、また先ほど冒頭においてお述べになりました本委員会の附帯決議というのもありまして、現在まで地方自治体がやっているものを拾い上げて調査の対象としてきているというような事態にあるわけでございます。  今後の問題といたしまして、先ほど申し上げましたNO2の問題はまだ少し二年ほどの時間がかかるかと思いますが、四十八年度調査が全部完了いたしますと、それによりまして一体どのような地域調査対象とすべきであるかということにつきましての、まず調査の対象とする地域の条件というものを私どもは整理をしなければならない、こういうぐあいに考えております。  そういうことで、四十八年度調査成績がまとまりましたならば、四十八年度のものと、従来の調査のものをすべて総合いたしまして、先ほど御指摘のように地域指定の条件ということは当然でございますが、調査の対象とすべき地域の条件というのも整理をいたしまして、このような地域指定すべきところは一定の三年くらいの間に全部終えてしまうというぐらいな覚悟でこれは対処したい。  また申すまでもございませんが、このような地域指定制度といいますのは、これから対策が伸びましたならば、三年以降になって地域がふえること自体がそもそもおかしいということでございますので、従来の汚染のつめあとに対してやるということが基本の考え方でございますので、そのような積極的な対処をいたしたいという考えてございます。
  166. 米原昶

    ○米原委員 次に、この法律政令ですね。特に補償給付にかかわる政令の検討はどのように進んでいるのでしょうか。
  167. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 この法律の施行に際しまして、補償給付についての政令はいかに進んでいるかという御指摘でございますが、まず補償給付の中で最も大きな問題は、障害補償費につきまして三ないし四の区分に分けて、補償費の給付をするという事項につきまして、症状並びに日常生活や労働能力の喪失度をどう評価するか、いかに区分をするかということが最もたいへんな問題でございます。  この点につきましては、現在四つの地域におきまして、医師会の方また患者会の方々の非常な協力を得まして、鋭意調査を進めている最中でございます。この調査におきまして、二十五条の障害補償の障害の程度につきましての問題またそれにつきましての介護加算ということについての問題及び三十九条の児童補償手当の障害の程度及びそれに伴う介護加算ということにつきましての政令の問題が整理をされるということでございます。  もう一つの状態といたしまして、補償給付をいたす上におきまして、どのようなぐあい、状態の患者さんがおられるかという統計的な大数観察の問題につきましては、これは公害被害者生活動向基本調査というものをいたしておりまして、それによりまして患者さん方の実態をいろいろ調べるとともに、どの程度実際、医療や介護やそういうものに金を出しておられるかというような実態におきましての調査をいたしております。  また医療につきましては、公害病の特殊医療ということで、この制度によります特別の診療方針及び診療報酬が出されることになりますので、日本医師会と共同で作業をしながら現在この準備を進めておるというところでございます。
  168. 米原昶

    ○米原委員 もちろん医師会の意見も、ことに公害関係の病気に携わっている医師の意見というのは非常に重要ですが、いま方々で聞きますところでは、もちろん患者にも若干という話がありましたけれども公害患者の中に相当不満があるのです。公害患者意見を十分反映するような措置をとってもらいたいということです。医師のほうだけでなくて、公害患者がどういうような補償をしてもらいたいか、いろいろ意見があると思うのです。これが十分反映されて政令をきめてもらう。そうしないで患者の意向が反映されぬままに、これがきまって政令が出てしまいますと、あとでいざこざが起こってくると思うので、政令を出される前に審議会のほうにかけられるとすれば、そこに十分患者の意向が反映されるような措置を厳重にひとつとっていただきたい、このことを……。
  169. 三木武夫

    三木国務大臣 お医者さんも大事である。それはなぜかといったら、健康について専門的な知識を持っておるわけですから、そういうことで、そういう医学的な立場から審議会等で意見を徴することは当然でありますが、患者さんも必要があったら来てもらうことにしておるわけです。それからまた、こちらが出向いていって調べることもあって、患者の意向もできるだけくみ取れるような努力はいたしたいと思います。
  170. 米原昶

    ○米原委員 それでは、大臣が見えましたから、大臣に質問しようと思っておったことをひとつ申し上げます。  去る二月二十七日に大阪空港の裁判の判決が出され、そうして今月の十三日に控訴の期限が切れる、こういうことになっているわけでありますが、三月六日の謹賀新聞によりますと、政府も控訴の方向だという大きな記事が出ているのです。一体政府は控訴されるつもりかどうか、これを一点聞きたい。
  171. 三木武夫

    三木国務大臣 あの判決が下りまして、判決の問題と切り離して騒音対策の関係閣僚会議を直ちに開きまして、今後の騒音対策をどう進めていくかという基本的な考え方の意思統一をはかったわけですが、判決の問題については各省いろいろな立場があるわけですから、いま各省間で検討をいたしておるわけです。その各省間の検討を持ち寄って、十三日が期限ぎりぎりのところでありますから、それまでに当然にきめなければならぬわけでありますが、現在のところは、こういたしますということをここで申し上げる段階にまだ達していないわけでございます。検討中である、こうお答えするよりほかにないと思います。
  172. 米原昶

    ○米原委員 あの裁判については、原告の立場のほうからすれば、最も強い要求であった夜の九時から十時までの差しとめ、これが却下されてしまったんです。この点が一番強い要求であった。ですから原告のほうからすれば、むしろ原告のほうが控訴するというなら、その気持ちは私どもはざらい作業に加わった元従業員も事実を認めているわけであります。  こうなりますと、せんだっての日本分析化学研究所の放射能データの摸造事件に劣らぬ大問題、公害行政に関係してくること実に深刻な問題であります。厚生省昭和四十四年に発表されたカドミウム汚染に関する見解と対策、あの文書は少なくとも対馬に関する部分は科学的根拠を全く失ったということになります。この問題に対して長官はどういう措置をとられるつもりか、見解を聞いておきます。
  173. 三木武夫

    三木国務大臣 私も、新聞の報道を見まして自分の目を疑うぐらいの驚きであったわけです。今日、これだけ環境問題のやかましいときに、そんなによごれていない上流の土砂を下流に持ってきて、そうして何か一時をごまかそうというような経営者が今日の時代においても、まだ存在するということについては、新聞記事を読んで自分の目を疑うようなできごとでございました。しかし、新聞の記事は相当いろいろな人の談話等もございます。したがって、この記事は重視しなければいけない。これは昭和四十三年ですからね、厚生省の時代のことでありますが、直ちに真相を究明する、そうしてそういうことが事実でありますならば、これはやはりもう一ぺん再調査をする。ことにカドミウムの被害というものは、健康に対してもいろいろな前例もあることですから、そういうことで地元の人たちの不安をなからしめるような措置をとりたいと考えております。
  174. 米原昶

    ○米原委員 この問題は非常に重要なので、この委員会でもひとつ特別の措置を考えていただきたいと思います。  私の質問は終わります。
  175. 角屋堅次郎

    角屋委員長 島本虎三君。
  176. 島本虎三

    ○島本委員 私もいまの問題に若干触れながら、三木長官委員長一つの要請と質問を申し上げたいと思います。  今度の場合は、長崎対馬、厳原町の東邦亜鉛対州鉱業所のいわば対馬カドミウム汚染問題、こういうようなことのようです。その内容はつまびらかではございませんが、新聞によりますと、企業が所長命令で公害のたれ流しを隠匿しておった事実、またそれを命令によって行なわしていた、まさにこれは、つくられた物不足だとか操作された物価高と同じようなもので、今度の場合は、企業によって振り回された環境行政、こういうようなことさえ感じられるのであります。ことに休廃止鉱山法がもうすでに実効あるものとして出ているわけであります。それがこういうような状態に放てきされているということは、法律を出しても、政府自身の態度、姿勢が十分その方面にまで向いておらない、こういうようなことじゃないかと思うのであります。やはり公害行政は企業に振り回されるようなことがあってはならない。したがって今度の場合には、法によってはっきりこういうようなことをしてはならないし、もうすでに休廃止鉱山に対しての法律さえ出ているのであります。そういうような中にこのような事件があったということは、まことに残念であります。したがいまして、長官に、今後閣議の中ででも——もう何回言っても姿勢が直らないのが通産省であります。この点は副総理としてがっしりとものを申してもらいたい。それの決意を伺いたいのです。  それから、私の尊敬する角屋委員長には、今後参考人を呼んでいろいろと意見を徴するということは、まことにけっこうでありますから、私はぜひやってもらいたい。また、こういう人里離れた鉱業所では、こういうような実態なんだということの現地調査も、参考人によって必要な場合は当然するようにしてもらいたい。われわれは重大なショックを受けた。それで、この点を委員長に要請する次第であります。  それぞれに決意とお答えを願いたいと思います。
  177. 三木武夫

    三木国務大臣 この事件は六年ほど前の事件でありますが、いま考えてみても、その調査の結果をどうして不審に思わなかったのであろうか。上流地のほうが汚染されていて、下流のほうがあまり汚染されていないというような事態は、常識で考えても非常にふしぎなことでありますから、まあ振り回されておったともいえないかもしれませんけれども、しかし、環境保全に対して自分のものとして不審に思ったら、これは究明するだけの積極的な態度というものが要ると思います。今後とも環境保全ということについては関係各省が戒心をいたすことにいたします。
  178. 角屋堅次郎

    角屋委員長 ただいまの島本委員から委員長に対する御要請の件につきましては、同僚岡本委員からの今朝来の御質問の中でも、東邦亜鉛対馬カドミウム汚染についての元幹部告発問題について参考人招致の要請がございました。これは本委員会理事相互間で寄り寄り協議しておりまして、適切な措置をとりたいというふうに考えておりますが、現地調査の点については、また後ほど理事会でも御相談をいたしたい、こう考えておるところでございます。
  179. 島本虎三

    ○島本委員 そこで私は、このようなことを二度と起こしてはならないし、そのためには環境行政そのものにもやはり今後十分メスを入れなければならない、このようなことが起こりかねないような事態がもし北海道にあるとするならば、それはいまのうちに十分究明しておかなければならない、こう思いまして、苫小牧のいわば巨大開発、この問題について、環境庁がどのような立場で環境アセスメントに対してオーケーしたのか、この点についても若干聞いてみたいことがございます。  そこで、苫小牧の東部大規模工業開発計画について、私は若干の質問を展開いたします。  いわゆる苫小牧東部開発、これは田中内閣の日本列島改造計画の最大の目玉であり、大規模工業基地計画の第一号でありまして、北海道開発審議会が昭和四十六年六月にまとめた国のマスタープランそのものであります。この基本計画案によりますと、昭和六十年代の完成時の工業出荷額は三兆三千億円、世界でも前例のない大臨海工業地帯をつくる巨大開発計画なんであります。  それで、運輸省が昨年の十二月十九日と本年の一月十二日の港湾審議会へ、総事業費として千五百六億円の苫小牧東港開発計画を諮問したのであります。そして本年の一月十八日付で運輸大臣が通達で適当であるというように認めたわけであります。総需要抑制、公共投資抑制の政府の方針が出た一方に、過大投資、過剰投資の疑いが濃い、こういうような例もあるわけでございまして、この苫小牧東港計画を強引にきめてしまったということに対しては、私どもは若干疑義があるところなのであります。  苫小牧の東港というと、文句なしの世界最大の巨大掘り込み港の計画であるわけであります。既存の鹿島や水島とは比較にならないほどのけた違いにでかい計画なんであります。前例のない重化学コンビナートなんであります。それをつくるために、四十八年七月の国会で成立した港湾法の一部改正法案、これが施行される前に大きい港をつくっちまえということで、これが出発したわけです。大きいことはいいことだという発想かもしれぬのでありますけれども、しかし港湾計画を決定してしまったあと、いろいろな問題が出てまいります。関係住民の同意、コンセンサスも得ないままに大急ぎで環境影響評価報告書をつくり上げて、公害は出しませんといって港湾審議会へ持ち込んだ、このことであります。環境庁もこの点では十分考えなければならない問題点があるわけであります。  したがって、港湾法による港湾計画の決定は、大規模工業開発の第一の引きがねでありますから、ほんとうに公害を発生させないと言い切れるほど環境評価報告書を厳密につくったのかどうか。これはやはり環境庁としても、この点では十分に責任を持たなければなりません。主としてこの公害の防止の立場から、私は苫小牧東部の環境保全計画について若干質問していきたい、こう思うわけであります。  これは、長官も御存じのように、北海道の生活環境部が、環境影響の事前評価報告書の案を環境庁へ持ち込んできたのは、昨年の十一月三十日なんです。そして環境庁では、行政指導で一部を手直しさせて、十二月十日に関係十一省庁会議報告書を認めて港湾計画の決定に同意した、こういうような経過になっているのです。この報告書が十二月十九日の港湾審議会の際の資料としてついているわけであります。環境保全計画書、これなんです。もうちゃんとついているのです。これが重要な一つの柱であり、指導方針であったわけです。  したがいまして、長官にはっきり聞いてみたいことは、三木長官の諮問機関である中央公害対策審議会の防止計画部会が昭和四十七年十二月にまとめたところの公害未然防止の中間報告があります。この中間報告には、こういうふうに書いてあるのです。「今後の地域開発においては、環境保全優先へと立場を転換し、環境保全と両立しうるときのみ地域開発が認められるべきである。」「今後の地域開発にあたっては、環境保全水準の確保を絶対的な条件とし、」「場合によっては開発そのものをも中止すべきである。」こういうようになっておりますが、私は全くこのとおりだと思っているのです。長官からもこれに類する発言を聞いておるのでありますが、現在の環境行政はこの中間報告の趣旨に沿っているものである、私はそういうように理解しているのですが、長官いかがでございましょうか。     〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕
  180. 三木武夫

    三木国務大臣 私もそのように考えております。
  181. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、今日の大規模工業開発の港湾計画などをきめる場合の公害の発生を押え込むこと、つまり環境の事前評価報告書で公害未然防止の見通しを確立することが計画決定前の絶対の必要条件である。もうすでに出発してから環境基準があとを追っかけてはどうにもならないのです。したがって、中央公害対策審議会の中間報告から考えても、ごくあたりまえのことだと思うのですが、この点についても長官の御意見を伺っておきたいと思うのです。
  182. 三木武夫

    三木国務大臣 こういう場合もあり得ると思うのです。将来立地すべき企業というものは、必ずしもその時点について明白でない場合も実際問題としてあり得る。だから、そういう場合には、その企業の具体的な立地が行なわれるつどに環境に対する影響というものを考えて、そしてその影響のいかんによっては、そのような企業の立地に同意しないという場合も起こってくる、こういうことであります。
  183. 島本虎三

    ○島本委員 長官、それはやはり事実を見定めて、公害がないというアセスメントの前提で出発しなければならないのです。先に出しておいて、あとから環境アセスメントが追っかけていく、これがいままでの鹿島と水島の実態であったのです。したがって、そういうようなことが再々行なわれることは環境行政のあと戻りです。環境庁が一たん認めた環境保全計画にもし重大なミスがあった場合、たとえば当然出すべき重要なデータなどを地方が意識的に隠しておったことが判明した場合にはどうなりますか。また環境保全計画がどうしようもないほどずさんである、こういうような場合には、公害未然防止の根拠がないということになりますから、これさえわかった場合には一体どうなりますか。  やはり苫小牧の東部の場合には、そういう事実があれば環境保全計画の練り直しを、いま言ったように命じなければならないはずじゃございませんか。当然そうだと思います。したがって、港湾計画決定の同意を、そのような場合には、同意は同意として生きるということじゃなしに、もう一回振り出しに戻って、同意を取り消した上で考え直す、これが環境行政を指導する者の立場ではないか、こういうように思うのです。長官はどのようにお思いですか。
  184. 三木武夫

    三木国務大臣 港湾計画ができた場合に、一応の計画があると思いますが、実際問題として、誘致すべき工業の予定の変更の場合もありますし、だから環境保全というものを完全に押えていくためには、そういう立地が具体的にいよいよ行なわれるという場合に、事前にその立地によって引き起こす環境への影響というものを考えて、そして立地に対しての制限を加え、ある場合においては立地を取りやめさすというほうが、環境保全という点からいったら実際的な場合があり得ると思いますから、そういう場合もあり得るということを申したのでございます。
  185. 島本虎三

    ○島本委員 運輸省も来ておられましょうか。——同じようなことを尋ねたいと思うのですけれども環境保全計画は全くでたらめだとわかって、そして環境庁が港湾計画決定の同意をもし撤回した場合には、やはり港湾審議会は、公害の防止に関して環境庁の同意を前提として、いわば苫小牧東港の港湾計画に対する答申を出したわけですから、したがって、当然答申も無効になり、一月十八日付の運輸大臣の港湾計画を適当と認めるという通達も当然無効になり、撤回をされるのが当然だと思うのでありますが、この点、運輸省はどのようにお考えですか。
  186. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 私どもこの審査に当たりまして、また審議会に諮問をいたした段階におきまして、先ほど先生おっしゃいましたように、昭和五十三年までのある想定に対しての環境に対する指針は、地元の道あるいは環境庁の御指導を得て、できているものということで審議をしております。ただ、やはりその過程においてはいろいろな問題があると思いますので、審議会の議論の結果、答申にも十分その環境のことを考えながらやりなさいということの条件がついているわけでございます。  もし撤回されたら云々という先生のおことばにつきましては、まだそこまで私ども考えておりません。
  187. 島本虎三

    ○島本委員 長官、環境事前評価は、もうすでに環境庁が当然持っている、大臣のいわば重要なる勧告権の有効な権限行使にも当たるわけです。したがいまして、環境事前評価は、報告書案の段階で、地元の議会あるいは公害対策特別委員会、あるいはまた知事や市長の諮問機関として学識経験者などによる公害対策審議会というのが設置されているときには、それぞれの場で審議してから環境庁のチェックを受けることが成規の手続である、こういうふうに思っているのですが、この点長官、どのようにお考えでしょう。
  188. 城戸謙次

    城戸政府委員 一応私の考えを申し上げますと、先生いま御指摘になりましたように、いろいろな手続で、審議会とか、あるいは公聴会とか、あるいは議会だとか、いろいろな意見を反映していくことは、私はけっこうなことだと思うわけでございます。ただ現実には、審議会の構成等におきましても、いろいろな場合があるわけでございまして、前の機会に先生が御指摘になったこともございますが、逆にそれが隠れみのに使われるということもあるわけでございまして、現在の段階では、どういうものならば絶対要件とすべきか、一つの共通のルールというものはまだきまっておりません。したがって、私どもとしましては、それを絶対のものという指導はいたしていないというのが現状でございます。
  189. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、環境保全計画は絶対なものではないのだ、あいまいなものでもいいのだ、こういうような重大な意味にとれますが……。
  190. 城戸謙次

    城戸政府委員 私が申し上げましたのは、中身につきましては先生指摘のように、絶対のものとしてアセスメントを考えていきたい。ただ手順としましてはいろいろな場合がありまして、逆にそれが隠れみのに使われているという指摘をいただいているところもあるわけでございますから、一応私ども審査はいたしますが、それだけにとらわれるような立場はとっていないということでございます。しかし、今後手続としてのそういうものを確立していく方向でやりたいという考えでおります。
  191. 島本虎三

    ○島本委員 前には予算委員会、また予算委員会の一般質問あるいは分科会等で、この問題として手続がほとんど省略されたままで、これが承認されたという事実がわかりました。しかし、私は三木長官を長にしている環境庁が主宰しておりますところの、いわば環境評価報告書、これだけは手続を省略して一方的な押しつけであっては、今後はやはりコンビナートをはじめとして、いま指摘されましたように東邦亜鉛対馬カドミウム汚染問題のようなものも起こる可能性さえあとを断たないことになります。  したがいまして、私はこの際はっきり聞いておきたいのでありますが、苫小牧東部の環境事前評価報告書の場合に、昨年の十二月十日の関係十一省庁会議で、環境保全計画をきめる前の段階で、道議会または道議会公害対策委員会の審議を経てきましたかどうか、この点いかがですか。     〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕
  192. 城戸謙次

    城戸政府委員 アセスメントの関係だけ申し上げますと、六月時点のものは別といたしまして、今回のアセスメントに関しましては、大体十月の十日ごろ内々の基本的な骨組みにつきましての相談を道庁から受けております。その後ちょうど先生指摘のように、十二月の十日に関係省庁会議がございましたので、それに間に合うように、道庁からアセスメントが提出されております。それから、道のアセスメント、新聞発表をしましたのが十二月十八日、十九日に道議会の公害特別委員会報告している、こういうぐあいに聞いております。
  193. 島本虎三

    ○島本委員 せっかく今後公害を発生させないための公害保全計画、これが地域段階で、十一省庁会議にかかる前に、環境保全計画をきめる前の段階で、北海道の道議会や道議会の公害対策委員会の審議を経てきたかと聞いているのです。経てないでしょう、経ましたか。
  194. 城戸謙次

    城戸政府委員 審議を経ているという事実はございません。
  195. 島本虎三

    ○島本委員 では同じ報告書案の段階で、苫小牧の市議会または市の公害対策特別委員会の審議を経てきましたか。
  196. 城戸謙次

    城戸政府委員 市の公害対策審議会へは、この市の基本方針を十一月三十日に説明をいたしております。それから、いまの港湾審議会の前には、特にアセスメントについて市の審議会に報告している事実は聞いておりません。
  197. 島本虎三

    ○島本委員 私は、環境報告書案について聞いているのです。市の基本方針、全然似て非なものを聞いているのじゃありません。市議会で議決したものは全然別なものなんです。報告書は審議されていませんよ。なぜそうはっきり言わないのですか。  そして北海道と苫小牧市には、それぞれ知事と市長の諮問機関としての公害対策審議会があるのです。そして環境事前評価報告書案は、この二つの審議会の審議を経て国へ上がってきたのですか。突然、こつ然上がってきてやったのですか。経ていますか、経ていませんか。
  198. 城戸謙次

    城戸政府委員 先ほど来アセスメントにつきましては、審議会の審議を経ていないということを申し上げたわけでございます。
  199. 島本虎三

    ○島本委員 道のほうはわかったのです。そうすると、同時に地元である苫小牧東港計画をきめた十一月二十一日の地方港湾審議会、そして十二月三日の苫小牧港管理組合議会、ここで環境事前評価報告書案が説明され、審議されましたか。これは直接の機関ですよ、どうですか。
  200. 城戸謙次

    城戸政府委員 アセスメントにつきましては説明されてないと思いますが、そこらの運用につきまして、私どもさっきから申し上げておりますように、それぞれ地元における判断としてやっていただいておる、こういうことでございます。
  201. 島本虎三

    ○島本委員 地元の判断としてといって、地元の関係機関を全部素通りしていられるじゃありませんか。地元の判断はだれがするのですか。関係機関でしょう。それらを全部省略して上がってきている、それを聞いているのです。報告書をきめる十二月の十日前の段階で、報告書案を地元関係住民に公開し、説明しましたか。地元の住民にとっては公害の防止が最大の問題なんです。そして環境アセスメントにとっては公開の原則が生命線じゃありませんか。したがって、これを聞いているのです。これはやはり地元住民に公開して十分説明していますか。
  202. 城戸謙次

    城戸政府委員 先ほどもお答え申しましたように、道から私どものほうに内々の相談を受けましたのは十月十日ごろでございまして、その後市が独自の構想を発表しましたのが十月十六日でございます。その際、市としましては、チラシの六万六千部の配布その他を通じまして広報活動をやっているわけでございますが、その中にはアセスメントの中の一部でございますSOxとかNOxの許容総排出量、こういうものが入っております。ただ、それができました過程といいますか裏づけといいますか、そういう点について、どの程度住民との懇談会等で話したかということは、私、実際そこにおりませんからわかりませんが、そういう骨組み的なものは、その段階で入ってきたということは申し上げられると思います。
  203. 島本虎三

    ○島本委員 地元の手続と審議、こういうようなものは最も重要な地元段階では何もしないで、環境保全計画をきめてしまった、こういうようなことになってしまったのです。そして環境庁は北海道の生活環境部に対して手続の点でどのような指導をしたのですか。極秘のうちでもいいから報告書案をつくって、地元で一切審議しないで、まっすぐ環境庁へ持ってこい、そうすれば関係十一省庁会議できめてやるから、こう指導したのですか、しないのですか。
  204. 城戸謙次

    城戸政府委員 さような指導はいたしておりません。
  205. 島本虎三

    ○島本委員 この大事な環境保全計画、これに基づいてコンビナートが今度つくられる。これが何にも知らないうちに、環境庁がもうすでにこれを承認してしまっている。住民は何にも知らない、これで手続上いいのですか。全くむちゃくちゃです。それだけじゃないですよ。手続上の問題だけならば、それでいいと私は思うのですが、これは重要な問題で、今後日本でこのようなことがあっては困るから、二葉のうちに、もしよろしくなかったら、それはつまなければならないのです。  環境保全計画、つまり環境事前評価報告書の内容についてですが、まず自然保護です。苫小牧東部の開発予定地は勇払原野約一万ヘクタールを予定しているでしょう、これは御存じのとおり。この開発予定地として、その周辺には現在湿地帯と丘陵地帯を中心として木々や草花の豊かな緑があるわけです。自然保護のアセスメントは、まず植生図をつくり、残すべき植物を選ぶことが出発点のはずじゃございませんか。この植生図、これをつくってありますか。
  206. 江間時彦

    ○江間政府委員 植生図はつくってございます。
  207. 島本虎三

    ○島本委員 いますですか、いませんですか。
  208. 江間時彦

    ○江間政府委員 ございます。
  209. 島本虎三

    ○島本委員 では、それをすぐ資料として出してもらいたい。すぐ見たいのです、それは大事ですから。植生図ですよ。残すべき植物を選ぶこと、この植生図があるのですか。植生図が重要だということは載っているんですよ。けれども植生図というのはないのですよ。江間局長、ほんとうにあるのですか。あったらすぐ出してもらいたい。
  210. 江間時彦

    ○江間政府委員 図面というふうに言えるかどうかは別でございますが、植生に関するかなり詳細な調査はございます。
  211. 島本虎三

    ○島本委員 その詳細な調査がある——まず植生図があるかどうか聞いているんですが、これはないですよ。ないならないと、はっきり言ったらいいんです。ここに書いてあるとおりなんです。環境保全をするとか、そればかり書いていて、具体的なものはないじゃありませんか。
  212. 江間時彦

    ○江間政府委員 植生報告書はございますが、いわゆる図面になった植生図というものはございません。
  213. 島本虎三

    ○島本委員 この報告書です、あなたの言っているのは。その報告書はここにちゃんとあります。これはひんぱんにただ保全をはかる、保全をはかる、そればかり。一ページの中に十カ所あるのです、保全をはかるというのが。これは三一ページですが、保全をはかるということばだけあるのです。その植生図がないのです。そこを聞いているんです。苫東のこの計画を実行した場合、現在の貴重な植生がそれほど簡単に残るというふうに考えておりますか。私は、保全できるどころか、全滅の可能性が強いと思うのです。したがいまして、保全をはかると言いながらも、具体的な対策のほかにその根拠と保障、ありますか。植生を保全する見通しがあるんですか。いま言ったように、この三一ページに保全をはかるということばが十カ所ありますが、その内容はなく、ことばだけあるじゃありませんか。
  214. 江間時彦

    ○江間政府委員 われわれのほうといたしましては北海道知事から公文書をもちまして一応の約束はいただいております。ただ、それが十分な保障であるかということにつきましては、先生のおっしゃるような意味も若干はあるかと思います。
  215. 島本虎三

    ○島本委員 数々の問題は繰り返しません。緑と太陽のコンビーナート、公害のないコンビナートが水島です。農工両全、公害のないコンビナート、緑のコンビナート、これが鹿島じゃありませんか。それもみんな知事が、それ言っているんです。言った結果が公害の源泉になっているんです。反省願います。自然保護の対策、これは昨年の六月の港湾審議会当時の報告書には全然入っていなかったのですね。環境庁がその点を指摘すると、北海道の生活環境部がたった一日のうちにつくり上げて持ってきた。いや、でっち上げてきたこともあったわけですね、昨年の六月。  率直に聞きますけれども、自然保護のアセスメントは自信を持って十分なものである、こう言えますか。それとも不十分なものである、こういうように思いますか。
  216. 江間時彦

    ○江間政府委員 いままでわれわれが手元に受け取っております調査報告書は、必ずしも一〇〇%十分なものだというふうには考えておりませんで、今後われわれが宿題として出しております報告書もかなりございます。
  217. 島本虎三

    ○島本委員 水質の問題でもそうじゃありませんか。報告書、この中にははっきりそれが載っていますよ。この報告書は、化学的酸素要求量、CODこれ自体非常に不備なものだ。これ、ごらんになったでしょう。苫小牧の非常に不備なもので、C ○Dにもずいぶん問題がある。このことですが、その点を一つ言うと、苫小牧の沿岸部の海流、これは通常東のほうから西のほうへ、つまり釧路のほうから襟裳岬を通って、日高のほうを通って室蘭のほうへ流れていく、こういうような一つの海流があります。ところが苫小牧東港の長大な東防波堤、沖合い四キロまで、約一里ほどまで突き出るのですから、沿岸流は西から東へ逆流することになります。当然現在の苫小牧臨海工業地帯、それに山陽国策パルプ勇払工場の排水が東港の港内に流れ込む。この重合汚濁を考慮しなければならないことは当然なんであります。  報告書には、「現苫小牧地区からの排水の影響を考慮してCOD一PPMとした。」こういうふうにこの中にいっています。これの二七ページに載っていますよ。しかし同じ報告書の四十七年、四十八年の実測値を見ると、東港の西の部分で最高七・三PPM、これは一五ページにはっきり載っているんです。見てください。二十二回の測定値のうち一PPM以下はたった三回です。すでにそれだけよごれているわけですけれども、この東港からわずか一キロちょっとの位置になると、CODが二八・四PPM、こういうような測定値が出ているのです。これは一四ページに載っていますよ。これは山陽国策パルプがあるからなんです。  そうすると、現状ですら、これほどの汚濁実態であるのに、なぜ現苫からの影響が一PPMだ、こう言えるのですか。この中に一PPMと書いているのですよ。それを皆さん承認しているのです。そういうわけないじゃありませんか。苫小牧の現苫がよごれて、今度世界一の巨大開発コンビナートをつくるのに一PPM——現在よごれているところ、それを架空的な一PPMにする。これが計画書の内容、一四ページに書いてあるでしょう。なぜ現苫からの影響が一PPMだと、こう言えるのですか。これを承認したのですか。この見解をちょっと承ります。
  218. 森整治

    ○森(整)政府委員 アセスメントの結果では、現在千七百メートルにわたって二PPM、それを今後薬注凝集沈でん施設を、従来の黒液燃焼処理なりクラリファイアー沈でんなりに加えてそういう施設を設けるということによりまして千五百メートル、一PPMは二千メートルの範囲内になるだろう、こういう予測をした結果と思います。
  219. 島本虎三

    ○島本委員 予測した結果だと思うという、あなたの考えを聞いているのじゃないのです。いまでもよごれてどうにもならない二八・四、これを測定されたところは二十三という区域ですよ。それだけあるのです。そして現在東港ができ、その個所ではもうほとんど〇・八とかいうところは三カ所しかない。あとは全部もう三、四、五PPMと、現在できるところ、これだけ上がっているのです。古いところはそれだけよごれておるのに、新しいところをつくると、こつ然として一PPMになるというようなこれは資料ですよ。だから、どうしてなるのだか、それを知らせろと言うのです。技術者がそういうことじゃ困るじゃありませんか。これはうそだということです。それを環境庁承認したということですよ。長官、大事なんだ、これは。  通産省通産省が四十七年に行なったコンビナート総点検、この調査結果を見ますと、現在の苫小牧工業地帯のCODの総排出量、これは四十五年が一日二百五十五トンでしたね。それから四十六年が二百七十二トンの四十七年が二百二十二トンです。この総量調査した八コンビナートの中で文句なしのトップなんですね。千葉、四日市、大分、水島、鹿島、いずれも一日三十六トン以下なんです。王子製紙や山陽国策パルプがあるから、ひどくよごれているわけなんです。報告書は「現苫小牧地区の紙パルプのCOD負荷量は、現状以下にするものとする。」こう書いてあるだけでしょう、ことばは。  もうすでに二百五十五トンも二百七十二トンも二百二十二トンも、こういうふうにして歴年こうなっているのに、こつ然として「現状以下にするものとする。」それも大コンビナートができた以後そうするというのです。現在それほどになっているのを、世界一の大コンビナートができて、それ以下にどうしてこれはできるのですか。これはただ書いてあるだけでしょう。現在の汚濁の実態を改善する計画については何一つ触れていませんけれども、これで水質汚濁のアセスメントをしたと通産省、こう言えるのですか。
  220. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  現在の苫小牧地区の事前調査の水質関係の状況でございますが、四十四年に実施いたしております。調査方法等は省略いたしますが、指導内容といたしまして、活性汚泥法の採用、凝集沈でん法の採用、液中酸化法をとることあるいはイオン交換樹脂法等の高度の処理法を設置するというふうな形の指導をやっております。特にただいま御指摘のパルプ工場につきましては、負荷量が非常に大きいわけでございますが、強力な指導を行ないまして、負荷量を半減させるよう指導したわけでございます。  また御指摘の苫小牧港内の汚染の進行を防止するために、港と海岸との間の細い地帯に立地しております工場につきましては、排水を港内に出すことを避けまして、直接海のほうに排出するというふうな指導をいたしまして、共同発電あるいは北電等がそういう方式を採用する、こういった状況でございます。
  221. 島本虎三

    ○島本委員 それでは再三聞きますが、北海道、苫小牧市との共同調査ですね。そうですね。そうしたら、四十五年の七月に大気汚染、四十七年七月に大気汚染の第二回調査、同じ四十七年に海域の水質汚濁の調査、この三回したということは私どもも知っているのです。この調査結果を発表しましたか。
  222. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  大気につきましては四十五年から……。
  223. 島本虎三

    ○島本委員 いや、発表したかどうか、それをぱきぱき言ってください。しないんでしょう。しないならしないでいいんです。
  224. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 まだシミュレーションを継続中でございます。したがいまして、発表いたしておりません。
  225. 島本虎三

    ○島本委員 これはなぜ発表しないのですか。それは地区の調査報告だけ発表して、苫小牧東部の結果だけをやはり隠す、これがおかしいというのです。大気汚染の第一回調査は四十五年七月だから四年近くも前の調査でしょうが。いま四十九年。しかも、国と道と市の金を使って公害の事前調査で、その報告書を発表しないでいる、この間に苫小牧東部の環境事前評価報告書がきまってしまったでしょう、あなたが発表しないうちに。そうして港湾計画が決定してしまったでしょう。  こんなばかなことがありますか。工業開発の規模が変わった、このような弁解は許されませんよ。変わったって、やるべきところをちょっと一つあとにやる程度のものでしょう。公害を防止できる見通しが出てこないから、調査結果を四年間も隠し続けた、こういうようなことしか、われわれは考えられないじゃありませんか。これはほんとうに私として遺憾なんですが、これはどういうことですか。
  226. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  途中で当初の計画が大幅に変更されましたために、再度シミュレーション調査あるいは実験予測をやったためにおくれておる状況でございます。
  227. 島本虎三

    ○島本委員 規模が変わったからということは、それは弁解になりませんよ。  では環境庁にちょっと聞きますが、環境事前評価の報告書、これを見ても大気の将来の汚染を予測する際に必要な、いま大分ではそのために悩んでおる高層気象のデータが何一つ入っていないですね。地上の気象データだけでなくて、逆転層の発生状況、大気の安定度、上空の気温、風向、風速などのデータが去年の十二月段階でこれはございましたか、なかったですか、環境庁
  228. 春日斉

    ○春日政府委員 なかったと思います。
  229. 島本虎三

    ○島本委員 まことに不完全だ。それで、これは北海道では四十八年度から高層気象の調査を始めたわけです。大気汚染の心配がないという報告書をきめてから、ぼろのつぎ当てみたいにこれをやったわけであります。どろぼうが逃げてしまってから、なわをなうとは、このことだと思うのですけれども大気汚染の予測には一番必要なのは、第一に理論拡散計算式、第二には風洞実験、第三には環境庁が去年水島臨海工業地帯でやったようなシミュレーションによる静穏汚染を含めた予測、この三つの方法があるわけでしょう。苫小牧東部の場合には風洞実験による汚染予測、これをやりましたか。
  230. 春日斉

    ○春日政府委員 理論計算式、ボサンケ、サットン方式によって環境濃度を予測し、最大着地濃度を推定いたしておりまして、風洞実験はやっているかやっていないか、この点は、いまつまびらかにいたしておりません。
  231. 島本虎三

    ○島本委員 やっていない。風のない静穏の場合の大気汚染はこれは予測しましたか。三つの条件のうちの最後です。
  232. 春日斉

    ○春日政府委員 静穏時におきます、あるいは異常気象象時におきます予測につきましては、当時行なわれていなかったので、それを指摘し、ただいま行なっているところでございます。
  233. 島本虎三

    ○島本委員 世界に前例のないような巨大臨海工業地帯をつくる計画の大気汚染予測がこんな片手落ちなやり方なんです。これじゃ公害が発生するようなことを事前に環境庁が認めることになると同じじゃありませんか。  別なことをちょっと伺いますけれども、開発予定地にかかっている周辺の市や町の厚真町、早来町、鵡川町、これには環境アセスメントをきめる前にSO2、NO2、浮遊粒子状物質の自動測定データ、これがあったかどうか。そして二酸化鉛法の制定、これを聞いているのじゃないのですけれども大気汚染のアセスメントをするときには、環境濃度の測定データを積み重ね積み重ねて現在のよごれぐあいをつかむ、このことが第一歩である、こう思うから、これを聞くわけなんですが、これは厚真、早来、鵡川それぞれ環境アセスメントをきめる前に、SO2やNO2や浮遊粒子状の物質の自動測定データがございましたか。——これはないのです。やってないのです。調べてきてわかっているのです。こういう不完全なものなんです。  では、この苫小牧東部の後背地に当たる千歳市には、これももう届く範囲なんですが、大気汚染の自動測定データがありましたか。私はあえて言いますが、ないでしょう。これもやってないはずです。あったら手をあげてください。これはないのです。こういうような状態でいいのか悪いのかです。まことに不可解だ。  現在の苫小牧臨海工業地帯と苫小牧東部の間にある人口五千四百人の勇払という町があるでしょう。これは御存じのとおりなんです。公害の孤島になる可能性が強いために、四十七年秋ごろから環境庁——いまの次官をしております船後事務次官、この当時でありますけれども、北海道開発庁、それから道が、住民の集団移転を検討していたほど問題のある地域なんです。ところが、今度の環境保全計画は、勇払地区のSO2、NO2、浮遊粒子状物質の自動測定データも一切出していないわけです。この勇払地区の測定データ、これはありますか。あえてまた私言いますか。——これもないんですよ。あったら出してください。
  234. 春日斉

    ○春日政府委員 勇払につきましては、四十九年度から測定記録をつけることになっております。
  235. 島本虎三

    ○島本委員 そのデータがございますか。
  236. 春日斉

    ○春日政府委員 ございません。
  237. 島本虎三

    ○島本委員 それもまだないわけです。勇払地区や周辺地区への大気汚染影響を考えるなら、今度の環境評価報告書は、測定データの点では非常に不満足な、そして不備な、貧弱なものだ、こういうようなことになりますが、長官、これは認めざるを得ないですね。不満足だと認めますか。十分だと認めますか、これは長官
  238. 三木武夫

    三木国務大臣 いろいろな御批評はあるかと思いますけれども環境庁として精一ぱいやったわけでございます。
  239. 島本虎三

    ○島本委員 委員長はじめいま聞いているとおりなんですよ。こういうような抜けたことをやって、それが環境庁として精一ぱいだ。おそらく大臣の考えじゃないでしょう。うしろからの入れ知恵でしょう。そんなことで環境庁一体どうするのですか。  まあ、いろいろとこれから測定を始めるのだと、こういうようなことも言っているようです。本来、環境影響評価というものは、港湾計画など決定する前の段階公害を押え込むという見通しのもとに、これは確立するものなんです。でなければ、いままでの工業開発と同じだ、開発計画を先行させて、あと追いの公害行政になってしまうわけなんです。そうなるのですよ。ですから、これをくどくど言っているのです。それとも環境庁は今後の工業開発に対しても、まず計画を決定して、着工してから環境濃度の測定を始めなさい、こういうふうに行政指導をするのですか。いまの場合はそれと同じことになってしまうじゃないですか。こんなことをしてはいけません。そうじゃないでしょう、長官
  240. 三木武夫

    三木国務大臣 やはりアセスメントというのは事前にやらなければいかぬ。事前というのは、港湾計画の場合には産業立地などを具体的にいろいろきめられない場合がありますから、いよいよきめるという場合に対しては事前に環境への影響を考えて、場合によれば、そういう工場の立地を認めない場合もあり得るということでございます。
  241. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、ちょうど勇払というところは、二つの臨海工業地帯から大気汚染の往復びんたを食らう、こういうような場所にあるわけですね。公害の影響が憂慮されて、苫小牧の東部計画のアキレス腱だとさえいわれている場所ですね。であるからこそ、環境庁が四十八年の四月に、このために粗鋼年産二千万トンの鉄鋼計画を留保させた場所なんです。工業開発規模の縮小を求めたりした場所なんです。それは城戸局長も知っているのです。ところが、道が苫小牧開発の基本構想を発表して用地買収を開始したのが四十四年九月、いまから四年半も前ですから、大気汚染の未然防止を評価するためには、せめて二、三年の測定データ、これを用意して、事前に経年変化や季節変化をつかむ、これが常識なんです。そうでなければ、大気汚染を防止することができるなんていうことは言えないはずです。一体勇払地区の長期自動測定データはあるのですか。
  242. 春日斉

    ○春日政府委員 御指摘のとおり、勇払、沼の端地区におきます環境アセスメントの問題でございますが、北海道が昭和四十八年度から昭和五十年までの三カ年計画で気象調査、拡散調査の詳しいものを実施することとなっておりまして、この調査から、いろいろなアセスメントを今後さらにつけ加えていくつもりでございます。
  243. 島本虎三

    ○島本委員 それでは苫小牧東部の環境事前評価報告書、これには一切勇払地区の測定データを出していない。環境庁も測定データがない。  それでは、ここにある、いま配った測定データ長官見てください。これは何ですか。委員長も見て参考にしてもらいたいのであります。ちゃんとできているのです。  苫小牧市の勇払出張所の亜硫酸ガス、つまり二酸化硫黄の四十八年一月から七月までの七カ月の測定データなんですよ。このSO2自動測定器、これは昨年の一月になって苫小牧市がやっと設置したものなんです。これはどういうわけなんですか。この測定データをなぜ報告書からはずしたのですか。なぜこれを隠したのですか。隠したままで、きれいですよというのが今回の環境保全計画になって出てきているのですよ。それを入れたら、きれいにならないのですよ。これは捏造ではありませんか。なぜ隠したのですか、城戸局長。——なぜ答弁をしてくれないのですか。こういういいかげんなことをやっちゃだめなんです。権威の誉れ高い環境庁じゃありませんか。こういうようにはっきり出ているのに、これをなぜ隠したかというのです。なぜ載せないのを認めたかというのです。
  244. 春日斉

    ○春日政府委員 ただいま勇払のデータ先生からお示しいただきましたが、いま初めて見ますので、その理由につきましては、つまびらかにいたしておりません。
  245. 島本虎三

    ○島本委員 こういうふうにして隠したままのデータ、これを載せなければ、きれいだということになりますから、それによって今度の港湾計画審議会は、これを通しているのです。勇払の二酸化硫黄の測定データ、一月から十月までほぼ一年近いものがあったのです。人家の集団移動まで検討した肝心な勇払地区のこの測定データをなぜ報告書へ入れなかったのか。これは大事じゃありませんか。すぐ電話ででも測定器があるかないか、これくらい確認して入れられなかったかどうか、これくらいはっきりさしておかないとだめな問題です。  それで勇払地区の測定データ、隠した証拠、もうわかったでしょう。いま委員長をはじめ長官皆さんの手に配ったそのデータを見てもらえばわかるのです。一、二枚目は港湾審議会の環境保全計画の写しなんです。この表は二酸化硫黄の環境基準の一時間値〇・一PPM以下、一日平均値〇・〇四PPM以下、苫小牧市内六測定点の測定データを比較して、国の環境基準との適合状態を見たものなんです。  二枚目を見てください。表2−2、この正式な環境保全計画では六ページにあるやつですけれども、四十八年四月から十月までの環境基準適合状況ですけれども、六測定点のうち、沼の端を除いて全部一〇〇%適合しているわけです。表2—3、同じ測定データからわざわざ四十八年の、今度は四月じゃなく六月から十月まで五カ月分の適合状態を抜き出しているわけです。あるでしょう。六測定点が全部環境基準に一〇〇%適合しているというのです。苫小牧地区は亜硫酸ガスでよごれていませんよ、苫小牧東部計画を入れてもだいじょうぶですよ、これを強調するためにつくった表じゃありませんか、それは。  三枚目を見てください。勇払地区の四十八年一月から七月の測定データから環境基準の適合率を算出してみると、一時間値〇・一PPMをこえる時間数が四時間ですから、適合率九九・九%、一日平均値〇・〇四PPMをこえる日数が二日で九八・九%になる。いずれも一〇〇%じゃないのです。この資料に付記したとおりなんです。短期評価で見ると、測定ははっきりと現状ですら環境基準を越える亜硫酸ガスの汚染がある、これを示しているわけでしょう。この勇払の測定データを隠したこと、これは明らかによごれていないんだと見せかける作為なんです。住民の目を欺くトリックなんです。この点をどう思いますか。このトリックのある環境評価報告書、これを見のがしてオーケーを出してしまったということになれば、環境庁もこれは責任があるわけなんです。
  246. 春日斉

    ○春日政府委員 ただいま勇払のデータを拝見いたしましたところ、一時間値は九九・九%、一日平均値は九八・九%で、私ども長期評価いたしますときは九八%値を用いておりまして、九八%以上適合しておりますと合格ということになります。したがいまして、このデータで見まする限り、一日平均値は百八十二日のデータでございますから、長期評価するにつきましてはやや短いわけでございますが、しかし、九八%値には合格いたしております。
  247. 島本虎三

    ○島本委員 昨年の十二月十八日に発表された日本弁護士連合会の意見書、これはもう環境庁でも見たと思うのです。勇払と沼の端に対する対策が不十分であり、両地区の住民はモルモットにされるおそれがある。開発実行の段階で環境アセスメントをやり直すのでは、これはだめなんだ、こういうふうに指摘しているのです。勇払地区への大気汚染影響は慎重に、そして厳密にしなければならない。なぜならば、道知事と苫小牧市長が勇払市街地の移転はしないという約束をし、これを言明しておるのです。したがって、人口五千四百人の町を残すということになったから、一そうこういうようなことを徹底させなければならないわけです。  三木長官、やはり今度の環境アセスメントは、勇払地区の測定データを隠したという、ただこの一点を見ただけでも、もう致命的なあやまちをおかしていると私は思うのです。環境影響の事前評価報告書に重大な手抜きがあった。環境庁のチェックにもやはり手落ちがあった、こう思わざるを得ないわけでしょう。その点、大臣はどう思いますか。
  248. 三木武夫

    三木国務大臣 いま私も聞いておりまして、特にこれを隠して出したというようには考えてないわけでございます。
  249. 島本虎三

    ○島本委員 それは考えたくないの間違いじゃありませんか。考えていないのも自由ですけれども、もうすでにそういうデータになって、はっきり除外されて出ておるのです。同じ市の中です。悪いところを載せないで、そしてデータがないのかと思ったらある。これでは困るじゃありませんか。そういうようなことで、私は希望的願望はわかるけれども長官、それはもっともっと厳密にやっていかないとだめなんです。  長官、だいぶ長官の時間も迫ってきて私申しわけないと思うのですが、これ大事ですから、あと一、二分しんぼうしてもらいたい。いままでの答弁でおわかりのとおりなんです。今度の環境評価報告書、これはほんとうにないないづくしの典型的な結果が報告書になってしまっておるのです。  第一に、報告書が地元議会など全部素通りしてきまってしまったということ。第二には、自然保護、水質保全、水質汚濁、それから大気汚染のいずれも重大な問題を残しておるということ。とても公害防止できるような内容ではないということ。第三に、勇払地区のSO2測定データを道と市が意識的に隠した、このことであります。公害は人命にかかわる問題なんです。したがって、考えようによっては、日本分析化学研究所並みかそれ以上、あるいはまた、けさほど行なわれましたところの東邦亜鉛対馬カドミウム問題、こういう問題と匹敵する、あるいは劣らないほどこの問題には重要性がある、このことを私は訴えたいのであります。  勇払地区の五千四百人の住民はまだ何も知らされてないのです。移転させないというのです。そのまま置くというのです。もろに両方からかぶるのです。そのデータを入れてない。苫小牧東部に着工する前に、すでに環境基準を越えるSO2の汚染がある。この事実をまだ知らないのです。NO2も測定器を置けば、おそらく環境基準を越えると思います。測定データを隠していた北海道と苫小牧市の責任、これは私は重大だと思うのです。もちろん、報告書を認めて港湾計画の決定に同意してしまった環境庁の責任も重大です。  このような事実が明らかになった以上、三木環境庁長官に、この点をはっきり私は要請しておきたいと思います。  第一、北海道と苫小牧市に対して即座に環境事前評価報告書の全面的な再検討を指示してください。第二、運輸省へ出した港湾計画を決定してもよいという同意を、環境庁長官としては、与えられておる勧告権の有効なる権限行便の一端として撤回してください。この二つを長官に心から要請したいのでありますけれども長官の良心的な御答弁を私は拝聴したいと思うのです。
  250. 三木武夫

    三木国務大臣 これを認めます場合においても、北海道庁に対して環境の調査というものは、さらに一そう補完せよという条件をつけてあるわけであります。二つの条件をつけた。一つは、具体的に工場立地の場合には、さらに環境への影響を考えて、その許される範囲内でしか認められないということと、もう一つは、環境調査が十分だとはいえない、もっと補完すべきである、この二つの条件をつけたわけでございますから、この点は、さらに北海道庁にこの環境調査を徹底するように伝えることにいたします。
  251. 島本虎三

    ○島本委員 長官に、私は何らもの申す必要はないと思っていました。水島と鹿島なんです。いま行ってみても、鹿島のそばには日本の国定公園があって、そして第一種の特別地帯もあるのですが、あの松を見てください。枯れている。それも潮風だと言っている現状でしょう。そういうような状態になっておるのです。水島でも、環境事前評価は、やはりあと追いしていったのです。企業の立地が先だったのです。いまここで世界的なコンビナートをつくる際にも同じことを繰り返すおそれがあるし、長官環境庁として全然知らなかったというならまだしも、ここに「苫小牧港東港地区港湾計画資料」として「(環境保全計画)新規、昭和四十八年十二月」ちゃんと出され、これを皆さん承認して、その上に立って港湾の立地を許可してしまっておるのです。それは巨大なものです。  そういうような点からして、長官、環境事前評価報告書の全面的再検討が必要です。するというからいいです。同時に、運輸省が出した港湾計画を決定してもよいという同意書、これは当然撤回すべきです。しないというなら、なおおかしいですよ。長官、これも十分に検討するように指示してやっていただけますか。
  252. 三木武夫

    三木国務大臣 島本委員と同じように、これはやはりいろいろな工場の立地が進行して、あとから環境を改善するということは容易なことではありませんから、これが具体的に工場の立地はこれから進んでいくわけですから、厳重な環境への影響というものを考えて、再び環境の汚染のために問題を起こすようなコンビナートにせないように、われわれは努力をいたすことは、お約束をいたします。  しかし、いままでのいろいろな北海道庁から出されたものを撤回をして、もう一ぺん出し直せという指示はいたしません。しかし、これに対して、なお一そう環境の調査というものを徹底して、これを補完せよという指示は、条件にもついておりますから、これはいたします。
  253. 島本虎三

    ○島本委員 環境事前評価報告書の再検討くらいは、当然良心としてこれはやるのが、長官でなくても私はもう当然だと思うのです。それに準拠して、今度運輸省が出した港湾計画の決定をしてもよいというのも、準拠しなければいいのですが、準拠している以上、やはりこれはもう一回同意を撤回して、そして環境アセスメントをきちっとした上でこれをやる、これがやはり環境庁一つの良心じゃないですか。それをやらせること、これこそが環境庁長官に与えられている勧告権の有効な権限行使、そして公害防止の実をあげる、このことにつながるのじゃないか。まして、これは衆参両院からの附帯決議として、この趣旨に沿うということを前の国会で大臣が答弁されて、決意を表明している問題なのです。  したがって、具体的にこの問題が出てきたら、これはもう第二の問題に対しては撤回しなくてもいいと、どうもこの点は私は長官らしくない、こう思っているのであります。  まことに残念でありますけれども長官もう少しどうですか、もう五分ぐらい聞いてもらえますか。六時までですけれども、もうちょっと待ってください。(三木国務大臣「二分」と呼ぶ)二分ですか。三分にしてください。  じゃ、長官、もう少し私は長官にお伺いしておきたいのですが、ちょっと運輸省、運輸省のほうでは、公害を防止するといっていた環境保全計画、全くずさんであり、重要なデータを隠した報告書をつくったという事実、これわかったわけですから、この報告書に対する環境庁の同意がなければ港湾審議会へ苫小牧東港の計画をかけることができなかったわけです。しかしながら、いまこの不備なことがわかったわけです。したがって、わかった時点で審議会の再答申が必要になるということになるわけです。したがって、審議会の答申に基づいて出した一月十八日付の運輸大臣通達は当然撤回しなければならないということになるわけです。  それとも、公害報告書などどうでもいい、港湾を着工して、大きい船をでんと入れて、鉄鋼を、原料を積んでくればいい、こういうふうに考えているわけですか。運輸省、この問題、一番局長知っているでしょう。あなたの答弁三木長官に聞かせてやってほしいのです。
  254. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 環境アセスメントは、ずいぶん全力を尽くしたと思います。ただ、先生のおっしゃるように、いろいろの点におきまして必ずしも十分でない、完全そのものでないということは、当初から私はわかっていた——わかっていたというよりも、そのようなものであったのではないかと思います。ですから、十一省庁会議におきまして、これは北海道開発庁が中心になりまして、いろいろ十一省庁が議論する席上におきましても、環境庁側からのお話では、この仕事を、今後引き続き公害未然防止に関する検討を加えなければいけない、これを補完するのだ、それで、企業立地の具体的な決定は、これに基づく環境上の条件を満たす範囲で行なうようにしていただきたいというようなお話でございます。私どももそれを踏まえながら、この計画をつくっているわけでございます。
  255. 島本虎三

    ○島本委員 では、そうじゃないということを私はここで議論してもいいのであります。しかしながら、もう少しいってから、これをやらせてもらいますが、大蔵省、せっかく来てもらってありがとうございます。苫小牧の東港の関係の四十九年度予算は約十七億にきまりました。四十九年度予算約十七億円と思いましたが、このケーソンの基地分だけで、東防波堤の本工事分はこれには入っていないと思うのです。ところが、地元では四十八年度予算の使い残し分五億円を四十九年度へ繰り延べて、東防波堤の着工用に使おうとしているわけです。二月の二十三日の予算委員会で、福田大蔵大臣は過大投資の疑いの点について二度にわたり十分精査します。こう答弁しているのです。この五億円の繰り延べに対する大蔵省の態度はどうなんですか。東防波堤の着工を予算面からきびしくチェックする、こういうように言っておりましたが、チェックいたしましたか。
  256. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  四十八年度予算におきまして苫小牧東港地区に関して予定しました事業費は十九億一千万でございまして、そのうちの一部が公共事業等の繰り延べの対象となっておることは御指摘のとおりでございます。この繰り延べ相当額につきましては、実施計画上未計画になっておりまして、これをいかようにするかということは、現在全く未定の状況でございます。
  257. 島本虎三

    ○島本委員 未定の状態はわかるのですが、福田大蔵大臣は過大投資の疑いの点について一回じゃない、二度——あなたも聞いていたでしょう。十分に精査しますと言っているのですから、精査した結果、やはり五億円繰り延べに対する大蔵省の態度はきまったはずですから、したがって、どうなんですかということなんです。東防波堤の着工を予算面からきびしくチェックすべきじゃないのですかというのです。
  258. 藤仲貞一

    藤仲説明員 先生指摘の点は、去る二月二十三日の衆議院予算委員会におきまする岡田委員の御質問に対する大蔵大臣の答弁をさしておられることと思いますが、この点につきましては、私どもは港湾審議会で苫小牧の東港地区の計画が一応決定されたわけでございますが、御案内のとおり、これを港湾整備事業として実施していきますためには、港湾整備緊急措置法第三条の規定に基づきます港湾整備五カ年計画、これに組み入れまして「実施してまいる必要があるわけでございます。おそらくそういう点に関しましては、今後各省庁と詳細な検討を重ねてまいりまして、次期港湾整備五カ年計画を決定する場合にその内容の問題として検討してまいる、こういう過程に相なるのではなかろうかと思っております。  おそらく大蔵大臣の御答弁も、今後の計画につきましては精査いたします、かようなことでございますので、こういう点を含めまして、その中の一環として今後の計画を精査していく、こういうことを答弁されたものと私どもは了解しております。  とりあえず、繰り延べ分をどうするかということでございますが、これもそういうものとの関連におきまして十分検討する必要があるわけでございますが、五カ年計画の改定ということは、四十九年度予算におきましては見送られておりますので、この問題はまたこの問題といたしまして、関係省庁との間で十分協議してまいりたい、かように思っております。
  259. 島本虎三

    ○島本委員 与えられた時間になってしまいましたが、最後に、これは時間もきておりますが、苫小牧の大規模開発の一環として港湾の決定を急いだ。なぜ急いだのか。もっと慎重にこれは環境保全計画、こういうものも調べてよかったのじゃないか。ずさんなままで、これをなぜ急いだか。私は解明に苦労いたしました。しかし、港湾法の一部を改正する法律案、先議会にこれがかかった。これがかかってしまったあとでは、なかなか——この自然環境の保全そのものを義務づけられておりまして、やはり大規模の港湾の造成に対しては、これはもう相当の規制がかかるわけです。これの出る前に急いでやった、こうとしか思われない。まさに日本でかってないような、世界にも有数な大規模なコンビナートになるわけであります。重化学工業のコンビナートになるわけであります。  しかし、かってわれわれは、この公害環境特別委員会で、健康と生命を破壊された住民の声を十分聞いてまいりました。全部企業中心で、犠牲になっているのは国民だったのです。今度またこの巨大なる開発、その環境アセスメントも不十分である、こういうような状態でやること、この裏は何でも大きければ、いい、これだけはもうすでに日本の過去のシンボルになってしまったわけですから、今後十分これを考えなければなりません。この港湾法の一部改正法案、これをやる前に強行したというのは、まことに遺憾だったわけであります。  なお、城戸局長以下、また藤本次官もおりまするけれども、この環境保全計画を十分練り直して、そして再びこういうようなコンビナートにあの公害被害者が続発するようなことのないように、これを十分指導しなければなりません。最後に、次官の決意を伺って私の質問を終わるわけでありますが、これはとんちんかんな答弁をしてはいけません。
  260. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 大臣からも詳しく御答弁がございまして、私から特に申し上げるまでもないと思いますが、先生御承知のように、開発につきましては、その開発が、その地域に対してどのような環境上影響を与えるか、その内容、範囲、程度につきましては十分に事前に評価をいたすわけでございまして、環境が保全されるというワクの中での開発が認められるわけでございまして、先生指摘のように、環境が破壊される開発というものは、環境庁といたしましては認めるべきではないという考え方でございますので、御理解の上、御了承いただきたいと思います。
  261. 島本虎三

    ○島本委員 いろいろと便宜を与えてくださいましたことを感謝いたします。あわせて、一そう検討されまして、いまのようなことを再びこの場所で質問されないように、十分今後ひとつがんばってもらいたい、このことを心からお願いいたします。無礼なことばのあったこともあわせておわびしながら、私の質問を終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  262. 角屋堅次郎

    角屋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件、特にカドミウム汚染環境保全の問題について、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次回は、来たる十二日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会況でございます。
  265. 島本虎三

    ○島本委員 未定の状態はわかるのですが、福田大蔵大臣は過大投資の疑いの点について一回じゃない、二度——あなたも聞いていたでしょう。十分に精査しますと言っているのですから、精査した結果、やはり五億円繰り延べに対する大蔵省の態度はきまったはずですから、したがって、どうなんですかということなんです。東防波堤の着工を予算面からきびしくチェックすべきじゃないのですかというのです。
  266. 藤仲貞一

    藤仲説明員 先生指摘の点は、去る二月二十三日の衆議院予算委員会におきまする岡田委員の御質問に対する大蔵大臣の答弁をさしておられることと思いますが、この点につきましては、私どもは港湾審議会で苫小牧の東港地区の計画が一応決定されたわけでございますが、御案内のとおり、これを港湾整備事業として実施していきますためには、港湾整備緊急措置法第三条の規定に基づきます港湾整備五カ年計画、これに組み入れまして「実施してまいる必要があるわけでございます。おそらくそういう点に関しましては、今後各省庁と詳細な検討を重ねてまいりまして、次期港湾整備五カ年計画を決定する場合にその内容の問題として検討してまいる、こういう過程に相なるのではなかろうかと思っております。  おそらく大蔵大臣の御答弁も、今後の計画につきましては精査いたします、かようなことでございますので、こういう点を含めまして、その中の一環として今後の計画を精査していく、こういうことを答弁されたものと私どもは了解しております。  とりあえず、繰り延べ分をどうするかということでございますが、これもそういうものとの関連におきまして十分検討する必要があるわけでございますが、五カ年計画の改定ということは、四十九年度予算におきましては見送られておりますので、この問題はまたこの問題といたしまして、関係省庁との間で十分協議してまいりたい、かように思っております。
  267. 島本虎三

    ○島本委員 与えられた時間になってしまいましたが、最後に、これは時間もきておりますが、苫小牧の大規模開発の一環として港湾の決定を急いだ。なぜ急いだのか。もっと慎重にこれは環境保全計画、こういうものも調べてよかったのじゃないか。ずさんなままで、これをなぜ急いだか。私は解明に苦労いたしました。しかし、港湾法の一部を改正する法律案、先議会にこれがかかった。これがかかってしまったあとでは、なかなか——この自然環境の保全そのものを義務づけられておりまして、やはり大規模の港湾の造成に対しては、これはもう相当の規制がかかるわけです。これの出る前に急いでやった、こうとしか思われない。まさに日本でかってないような、世界にも有数な大規模なコンビナートになるわけであります。重化学工業のコンビナートになるわけであります。  しかし、かってわれわれは、この公害環境特別委員会で、健康と生命を破壊された住民の声を十分聞いてまいりました。全部企業中心で、犠牲になっているのは国民だったのです。今度またこの巨大なる開発、その環境アセスメントも不十分である、こういうような状態でやること、この裏は何でも大きければ、いい、これだけはもうすでに日本の過去のシンボルになってしまったわけですから、今後十分これを考えなければなりません。この港湾法の一部改正法案、これをやる前に強行したというのは、まことに遺憾だったわけであります。  なお、城戸局長以下、また藤本次官もおりまするけれども、この環境保全計画を十分練り直して、そして再びこういうようなコンビナートにあの公害被害者が続発するようなことのないように、これを十分指導しなければなりません。最後に、次官の決意を伺って私の質問を終わるわけでありますが、これはとんちんかんな答弁をしてはいけません。
  268. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 大臣からも詳しく御答弁がございまして、私から特に申し上げるまでもないと思いますが、先生御承知のように、開発につきましては、その開発が、その地域に対してどのような環境上影響を与えるか、その内容、範囲、程度につきましては十分に事前に評価をいたすわけでございまして、環境が保全されるというワクの中での開発が認められるわけでございまして、先生指摘のように、環境が破壊される開発というものは、環境庁といたしましては認めるべきではないという考え方でございますので、御理解の上、御了承いただきたいと思います。
  269. 島本虎三

    ○島本委員 いろいろと便宜を与えてくださいましたことを感謝いたします。あわせて、一そう検討されまして、いまのようなことを再びこの場所で質問されないように、十分今後ひとつがんばってもらいたい、このことを心からお願いいたします。無礼なことばのあったこともあわせておわびしながら、私の質問を終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  270. 角屋堅次郎

    角屋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件、特にカドミウム汚染環境保全の問題について、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次回は、来たる十二日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会