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1974-04-11 第72回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月十一日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 勝澤 芳雄君   理事 小此木彦三郎君 理事 斉藤滋与史君    理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君    理事 井上  泉君 理事 平田 藤吉君       阿部 喜元君    奥田 敬和君       加藤 六月君    片岡 清一君       唐沢俊二郎君    佐藤 守良君       野田  毅君    羽田  孜君       板川 正吾君    太田 一夫君       久保 三郎君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君    松本 忠助君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         法務省刑事局長 安原 美穂君         外務省条約局外         務参事官    伊達 宗起君         運輸省航空局次         長       後藤 茂也君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君  委員外出席者         運輸省航空局首         席安全監察官  浜田 幸晴君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         運輸省航空局管         制保安部長   松本  操君         労働省労政局労         働法規課長   寺園 成章君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     野原 石松君     ————————————— 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   左藤  恵君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   羽田  孜君     左藤  恵君     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する  法律案内閣提出第八二号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案を議題といたします。  まず、本案審査のため、去る八日、福岡県に委員を派遣いたしましたが、この際、派遣委員から報告を聴取することといたします。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 御報告申し上げます。  航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案審査のため、議長の承認を得まして、去る八日福岡県に派遣されました委員を代表いたしまして、その調査の結果を御報告申し上げます。  派遣委員は、勝澤委員長、小此本彦三郎君、中村弘海君、平田藤吉君、太田一夫君、沖本泰幸君、渡辺武三君、それに私、井上泉であります。また東京国際空港紺野与次郎君、福岡空港坂本恭一君のそれぞれ現地参加を得ました。  今回は本案審査に資する目的をもって、航空会社及び空港管理者保安体制整備状況航空機運航安全対策等重点を置いて調査いたしてまいりました。  まず、東京国際空港内日本航空オペレーションセンターにおいて、野尻日本航空運航訓練部長から救難訓練、特に、基礎並びに定期救難訓練、非常用機材取り扱い法及び緊急脱出訓練の概要について説明を聴取した後、ボーイング社が行なった、ボーイング747型機模擬脱出状況を撮影したフィルムを見、次いでボーイング747SR型機機内に入り非常脱出口を視察し、引き続き、一階及び二階脱出口からの脱出訓練状況をつぶさに視察いたしました。  次に、東京国際空港国内線ハイジャック防止施設作動状況、ガードマンのチェック態度等を視察した後、日航ボーイング747SR型機に搭乗し福岡に向かいました。機内においては、所要の手続をとって、特に操縦室に立ち入り、運航の実際について乗員より説明を受けるとともに、操縦室立ち入りに関する規制状況を視察いたしました。  次いで福岡空港におりて、空港長より福岡空港の現況、空港保安体制について説明を聴取した後、監視用テレビによる国内旅客チェック状況等を視察いたしました。  次いで大阪国際空港において、空港長より同空港保安体制について説明を聴取した後、特に同空港における国際線ハイジャック防止体制現場視察重点を置き、全員手荷物の点検、ボデーチェックを体験し、マニラ発東京行きの国際線に塔乗し機内状況を視察いたしました。  以上でありますが、今回の調査にあたりまして、関係者の御協力に対し心から感謝いたすものであります。
  4. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。     —————————————
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、本案について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  6. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、航空局次長にお尋ねするわけですけれども、あの脱出訓練を見てから私ども直観的に感じたことは、若いスチュワーデスとかあるいは若い職員なんかではああいう動作が行なわれるわけですが、老人子供はどういうふうな脱出をさすような配慮をなされておるのかどうか、その点について航空次長の御見解を承りたいと思います。
  7. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘にございました航空機緊急脱出装置でございますが、ごらんになりましたように、現在大型機に使用されております装置は、ドアを開いて自動的にスライドが展開してガスが入ってすべり台のようになりまして、そこから人が脱出するようになっております。老人子供というような比較的動作の敏捷でない方々を特別にどのように配慮しているかということでございまするけれども、ただいまのところ、ごらんになりましたようなあの脱出装置をもつて、若い人も老人も同じくそこから出てもらうという方法しか考えられておりません。これらの装置につきましては、ただいま日本を含めましてどの国でもいろいろと開発、改善、そのようなことについて努力していると存じまするけれども、若干技術的な点にわたりますので、技術部長からさらに詳細に御説明させていただきたいと思います。
  8. 中曽敬

    中曽政府委員 ただいま次長のほうから申し上げましたごとく、子供ないしは女の人、そういった人に対しまして、特に現在の脱出装置につきましては特別な配慮はしていないわけでございます。要するに脱出につきましては、そのほかの一般のおとなの男、そういった人たちと同様に脱出をするということになっておるわけでございますが、御指摘のような点は確かにわれわれとしましても常に念頭に置いて、こういった問題に対しては対処しておる次第でございますけれども、昔の脱出装置に比べますと現在の脱出装置はかなり進歩していることも事実でございます。昔でございますと、まずドアをあけまして、そうしてああいった脱出装置を外に投げ出しまして、そしてバルブを抜きましてガスを詰め込むという操作を、別途手でやらなければならなかったのですけれども、現在の、この間ごらんいただきました脱出装置は、ドアを開くと同時に自動的にガスが充満いたしましてふくれるというふうになっておるわけでございまして、そういった点では昔の脱出装置に比べれば進歩しておる。しかしながら、なおかつさらに安全には安全を重ねて、安全には安全を確保していきたいというふうなわれわれの考え方がございますので、御趣旨の点はよくわかります。  そこで、われわれといたしましても、今後とも御指摘のような点につきましてより安全な装置開発ができるように努力していきたい、かように思っている次第でございます。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 その気持はわかりますけれども現実にああいうふうな脱出をせねばならないような事態が生じた場合には、もう老人子供なんかかまっちゃおられぬ、元気な者だけ飛びおりよというようなことがあの装置に裏づけされておるような感じがするわけですが、私どもあれを見て、これはたいへんなことだなあと、非常の場合に下にマットを敷くわけですけれども、とてもマットを敷くような余裕もない。そういう状況の中での脱出であるし、たとえばつりかごのようなものであれを老人子体はすべらすとかいうようなことも考えられるのじゃないかというようなことも思ったわけですが、やはりああいう脱出装置をつくるにしても何をするにしても、一番弱者、つまり弱い者というものの立場に立ってそういうものをつくっていくようにせぬと、元気な者が助かって元気でないものはもうかまっちゃおられぬというようなことになっては、これは私はたいへんなことだと思うわけで、そういう点についても一段のくふうをこらしていただきたいと思うし、ことに、あれによって安全だ、ああいう脱出装置があるから安全だという確認は、これは私もすることができなかったわけですが、技術部長は、ああいう脱出装置があるからまず非常の場合にも安全だろう、こういうふうに思うのですか。それとも、まだあれでは不十分で、たいへんなことだ、こうお考えになっておるのか。そのお気持ちだけ……。
  10. 中曽敬

    中曽政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、安全の確保ということには限りがないと思います。われわれといたしましては、そのより安全な状態に絶えず努力していくということがわれわれ行政当局のつとめであろうとも思いますし、同時にまた、航空会社のつとめでもあろうかと思うわけでございます。したがいまして、これでもってすべていいんだということでなくて、常に安全の向上ということにつきまして、われわれとしては今後とも努力していかなければなりませんし、いままでも努力してきたつもりでございますけれども、さらにより安全なステップを踏んでいくということであろうかと思います。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 それから以上はなかなかお答えは出ないと思うわけです。現実にああいうふうな脱出装置脱出が安全に、しかも迅速に行なわれるとは私ども信頼することはできないわけですから、そこでこの法律ですけれども、私は、航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案と同様に、航空が生じさせる、いわゆる航空によって生まれるところの公害、こういう行為に対する処罰ということは、これは法律がないわけですが、こういう航空によって生ずる公害に対する処罰方法というものは、やはり大臣、これは考えなければいかぬ問題じゃないかと思うのですが、どうですか。
  12. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま実は、私は処罰を受けているわけでございますが、不法行為であるということで判決をちょうだいいたしまして、厳粛に受けとめてはおりますが、これは控訴したわけでございますけれども、非常にむずかしい問題ではあろうと思います。あろうと思いますが、これはやはり法律で縛ってしまうかどうかというのも、また一ついろいろ議論のあるところだろうと思います。それにしましても、これから先の運輸行政というのは、やはり公害環境保全の問題を抜いて私は新しい航空行政はないのじゃないか。これは十分配慮の上に組み立てられなければならぬ。今度の空港整備五カ年計画におきましても、そういうようなものを中心に考え、その上で需要の問題を裏づけていくというようなことにしなければならない。新幹線でもそういうことでございますが、そういうふうに思いまして、いま直ちに法律をもって処罰規定をつくるのがいいかどうかという点については、なお検討させていただきたいと思います。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 それは航空という行為によって公害行為がなされることに対して、住民はやはり訴訟というような形で争わないと、現在それを規制する法律というものがないからそういうことになっておるわけですが、やはり公害を行なうことについては法律規制をするということが私は必要だと思うわけです。そうしないと、これは住民がいつも裁判をして、長期にわたって経費もかけて苦労しなければならないわけです。  そこで、騒音関係については一定の基準がなされておるわけですけれども、そいう基準の中で伊丹空港における判決というものは、伊丹空港のもたらす騒音に対するこれは一つの罰であると思います。大臣はそれに対して控訴をしておる、こういうことですが、騒音測定のしかたというものについても非常にでたらめだ、こういうふうなことがよく言われるわけですが、これは環境庁大気保全局長にお尋ねするわけですけれども、この間の国会の開会中、日にちは三月の二十二日であったと思うわけですけれども、そのときに高知空港騒音測定の場合に、共産党の山原代議士が追及した中で、この騒音測定が非常にでたらめであって、そして実際とは違う、こういうことが指摘をされ、それに対して三木環境庁長官が、騒音公害がやかましく言われているのだから、作為的なデータで押し通せるものではない、協会運輸省癒着してデータをごまかしたとは思えない、しかし住民疑惑を招かないような配慮は必要である、今後運輸省測定に対して十分な監督を行なうよう私から運輸省に言っておく、こういうことを言われておるわけですが、これはあなたもこの委員会に列席をされておったと思うわけですが、三木環境庁長官はこういうふうに言われたのですか。
  14. 春日斉

    春日政府委員 ただいま先生の御指摘のような要旨を三木長官が答えたことは事実でございます。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことに対して、そういう十分な監督を行なうよう私から運輸省に言っておく、こういうことでありますが、運輸省のほうに、航空局のほうにそういう意思が伝えられてきたかどうか。
  16. 隅健三

    隅説明員 当日、山原先生の御質問に対しまして、運輸省から私が出てまいりまして御答弁を申し上げました。先生指摘のとうり三木環境庁長官が、今後の騒音測定について十分注意をするようにというお話もございまして、この点につきまして、これを大臣のほうに報告をするようにということを、委員会の終了後三木環境庁長官から私は申し伝えられました。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことは、協会運輸省癒着をしてデータをごまかしたとは思えぬけれども住民疑惑を招くような騒音測定のしかたであったということは、これは間違のない事実で、そういうことでないと三木長官もそういうことを言われる必要もないし、またあなたもそういう答弁をなされるわけはないのですが、そういう住民疑惑を招くような測定のしかたではなしに住民疑惑を招かないような形で、この日章空港における騒音測定をやり直してはどうですか。
  18. 隅健三

    隅説明員 航空機騒音測定につきましては、比較的基礎的な技術を踏んまえますと、それほどむずかしい測定技術ではございません。それがために、最近では地方公共団体公害担当方々航空機騒音測定について十分熟練をされております。また、われわれがいたします騒音測定につきましても、地方公共団体のほうに申し入れを行ないまして、協同して航空機騒音測定をしようという話もございますし、現在問題になっております大阪国際空港コンターの作成につきましても、運輸省測定コンターと、大阪空港騒音対策協議会、いわゆる十一市協といっておりますところの騒音測定コンターとの食い違いについても十分お話し合いをするということでございますので、高知県の高知空港につきまして非常に分厚い資料が出ております。また、高知県の地方公共団体皆さま方も御一緒に測定をいたしておりますので、この記録を公表いたしまして、十分調査検討をいたしておったわけでございます。さらに問題がございますならば、そのデータ解析をさらに引き続き行なってもけっこうかと存じます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 そのデータ解析じゃなしに、そのやったことが住民疑惑を与えておる。与えておるということは、やはりやったことが、そういう測定をした側と運輸省との間が癒着をした、そういうふうな癒着をしてやっておるという疑惑を結果として招いておるからその疑惑を解くためには、やはり騒音調査というものを最初からやり直さなければいかぬじゃないか。これはやり直す必要がないと考えておるとするならば、それじゃその疑惑を招かぬようにするとかいうように三木長官の言ったこともでたらめなことになるわけですが、どうですか。
  20. 隅健三

    隅説明員 測定の機械の取扱いについて、スローのところに置くとか、ファーストであるとか、あるいは封印をしたとかいう点において、若干お考え方と申しますか測定方法についての問題があったやに聞いておりますけれども、国際的な規模航空機騒音調査というのは行なっておりますもので、国際的基準に従って正確を期すというのが航空機騒音調査でございます。  高知空港について現在YSが飛んでおりますけれども、この調査について、このような騒音調査をするならば音はこのようにあらわれるということならば、われわれといたしましても、あるいは場所を変えまして、ジェットが飛んでおります737のところでの騒音調査技術について、高知市、県あるいは南国市等関係皆さまとで疑問のないようにすることは、十分これは考えられるところだと存じます。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 疑問のないようにするということですが、この測定方法に対して疑惑を与えておるということについては、これはあなたも認めたし、環境庁長官も認めておるわけだから、与えておるのを解くためにはどうするのか、こうなってくると、やはり騒音調査というものをこれら関係者と十分話し合った上で、こういう方法でやる、こういう方法でやるということが理解をされた中で測定をせねばならないと思うわけなのでいまあなたの言われるように、住民、いわゆる関係の市町村、県あるいは南国市、そういうようなものを含めて、測定の現在やったことを解明をするのではなしに、やり直しをするということにならないと、私はこれは理屈が通らぬじゃないかと思うのですが、やり直すという意図はないですか。
  22. 隅健三

    隅説明員 この高知空港騒音調査につきましては、高知県がこの実施主体でございまして、高知県からお話がございまして、技術的な指導その他については、われわれといたしましていろいろ御協力申し上げたわけでございます。あくまでも高知県がこの高知空港騒音調査実施主体でございます。今後高知県の関係皆さま方と、この点につきましては、先生お話もございましたので、早速協議をいたしたいと思います。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、そういうことで高知県と協議をして、騒音測定等についてのこういう疑惑を解消するような手だてというものを講じていただきたいと思います。  そこで騒音調査をするということは、現在の高知空港運用状況では、別に騒音調査をするようなことにまで、住民はやかましいとは言っておりながらも至っていないわけですが、この騒音調査をするということは、飛行場拡張ジェットを飛ばす、こういうことを前提において、ジェットを飛ばしてもこうこうだからということで調査をなされたものだ、こう私は理解をするが、間違いないですか。
  24. 隅健三

    隅説明員 高知空港につきましては、先生御存じのように、昭和三十五年の四月に供用を開始いたしまして、滑走路千五百メートル、幅四十五メートルでございます。これは二種の、運輸大臣管理空港でございますけれども、この高知空港の成績と申しますか実績は、着陸回数において全国で第七番目、それから乗客におきましても四十七年度で六十四万人という乗客がございまして、これが全国で九番目でございます。それで一日東京から四便、宮崎から一便、大阪から十三便という飛行機が飛んでおりますけれども、常に満席状態でございまして、大阪国際空港あるいは東京国際空港が現在これ以上の増便ができません状態におきまして、第二次空港整備五カ年計画に基づきまして、高知空港の千五百メートルの滑走路を二千メートルに延ばしまして、町あるいは727の百型の飛行機を入れまして、航空需要輸送量をふやしたいという計画を立てたことは事実でございます。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで空港拡張について、そういう住民から騒音公害も出るからこれは拡張には反対であるということが言われておることは御承知だと思うわけですが、いまあなたの言われたような高知空港利用状況であるのに、逆にその高知空港の便をどんどん減らしておるのはどういうことですか。——それなら私から説明するが、東京から高知直通が二回あった、それも一回にした。それから朝の便も夕方の東亜国内航空の便も減らした。それから全日空直通便も減らしてそれから全日空大阪高知も一便減らして、いわば一番飛ばしておったときから見れば四便か五便は減らしておるのですよ。それだけ利用状況があるのに、なぜ減らすのか、こういうことですよ。
  26. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 御承知のように、ただいま東京羽田国際空港と伊丹にあります大阪国際空港は、安全上の問題及び騒音の非常に激しい状態ということから発着回数を極端に制限せざるを得ない事情にございます。具体的には大阪はまた最近非常に減らすような措置をとっておりますけれども、従前は一日に四百三十八着、羽田国際線も含めまして一日に四百六十八着という制限のワクを設けまして、その中で各社が各路線の運営をするということを私どもは指導いたしております。  先生が御指摘になりました高知路線につきます減便の詳細について、私ただいま申しわけございませんがここに資料を持ち合わせておりませんので、具体的にトレースして御説明することができないのはまことに遺憾でございますけれども、それぞれの会社が全体としての東京並び大阪に持っておりますいわば慣習上できております発着ワクの中で、東京から各地に飛ばす路線あるいは大阪から各地を結ぶ路線便数を、総ワクの中で調整しながら路線のそれぞれの規模をきめておるのが実情でございます。  御指摘になりました過去における便数よりも高知便数がそのように減っているといたしますれば、それはやむを得ざる、ほかの路線増便に回すと申しますか、そのような結果からそのようになったものかと存じます。航空局といたしましては、それらの路線の増加の場合は、音の問題は別といたしまして地元利用者お方におそらく歓迎されることでございますけれども減便の場合には、おそらく利用者方々にとっては非常に不利な事態でございますし、そのような減便計画いたしますときには、その前に地元お方とその航空会社との間でできるだけ事前のお話し合いをよく進めるように指導しておりますのが、ただいまの私ども方針でございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたの方針のとおりだったら満点です。これはかりに減便になっても理解をせざるを得ぬわけですけれどもジェットを飛ばすということが持ち上がって、飛行場拡張するということに対する反対運動が盛り上がる中で、だんだん減らしていくということは、逆に真綿で首を締めるということわざがあるように扱っておる、こういう印象が地元にはあるわけで、あたりまえだったら、足らないから何も高知県の地元減便を承諾する道理がない、それに対して賛成するということは、やはり不便を与えておいて、どうもジェットを飛ばさぬと乗客がさばけぬからジェット飛行場にしなければいかぬにいう、非常に巧みな、陰険な世論操作にこれを御用しておる、こういうふうに理解をされ、言われておるわけです。かりにジェットを飛ばすということになったら、ジェットというものは大阪空港では現在乗り入れを非常に制限されておるでしょう。そういう中で、プロペラ機騒音については私寡聞にして知らないわけですけれども、現在飛んでいるプロペラ機騒音というものはあまりやかましく言われておらないわけで、言われておらないのをどんどん減らして利用者に不便をかけて、日章空港はどうなるのだ、これはひとつ拡張しなければいかぬな、ジェットを飛ばさなければいかぬのだ、そういう陰険な世論操作に利用しておる、こう理解をするのは私一人じゃないです。  そこで、これはいまの運用時間等を考えて、少なくとも飛行場を整備してやらないと利用者の便にこたえられないというなら、現在可能な限りは空港を利用するということをまず考え、現在の空港を最大限に活用する中で次の手だてを考えていくのが当然な行為じゃないかと私は思うのですが大臣どうですか。
  28. 徳永正利

    徳永国務大臣 いまお説を聞いておりまして、もしそういうことで、真綿で首を締めるために、世論操作のために減便するということならまことにけしからぬ話でございまして、これは取り調べまして御納得のいくようなお話を申し上げたいと思っております。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 取り調べてきつくなにするということも、検察庁が取り調べるようなわけにはいかぬと思うわけですから、ひとつ運用時間というものを考えて、現在以上——それはいろいろ理屈はつけられると思うわけですけれども、現在まで飛んでおったものを減便さすという理屈はどうしても成り立たぬ。だからそういう点で、運用時間を考えるとかあるいはまた減便したものをもとへ戻すとか、そういうふうなローカル線を重視をしてやる中で、なおかつ航空に対する需要が増大をして、どうしてもこれは飛行場を整備せねばならぬ、こういう逆な世論の形成というものが考えられてこそ初めて空港拡張問題も円満にいくと思うわけですけれども、いまのような情勢ではなかなか円満にいきそうな見込みもないので、そこら辺はひとつ運輸省のほうでも十分考えておいていただきたいと思うのです。  私どももそこの地域に住む住民としてこれ以上日章空港拡張されて、ジェットが飛んで、大事な農地がつぶされてやられるということについては反対で、阻止運動をしておるわけですから、阻止運動の前にそういう行為をするということはよけいに運輸省のやり方あるいは航空会社のやり万、そういうようなものに不信感を抱くわけなので、いま大臣の言われるようにひとつ十分配慮をしていただきたいと思います。  そこでもう一つお伺いするわけですけれども、この行為に対する処罰法律については、これは外国との関係があるわけで、モントリオール条約の中に批准国数とかおもな批准国、そういうようなものがあるわけですが、この法律ができた場合における中国との関係はどうなるのですか。
  30. 安原美穂

    ○安原政府委員 中国はこのモントリオール条約に入っておりませんが、わが国の立場から考えました場合の法律の適用につきましては、中国で中国人がこの法律に規定するような犯罪を犯しました場合におきましては、その中国人が日本に参りました場合には、この種の犯罪につきましては裁判権が行使できるということが少なくともこの法律の効用でございます。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、中国との関係につきまして、これはもう時間がないからまた別な機会に……。  この航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律の中で、これは適当かどうか。この法律の、航行中の航空機を墜落させた罪は「無期又は三年以上の懲役に処する」第三項では「死刑又は無期若しくは七年以上の懲役」こういうことになっているのですけれども、航豊中の航空機を墜落、転覆または覆没をし、破壊したという場合に、これは生存者があるという想定のもとにこの第二条の第一項というものが考えられた法律なのか。  それからさらに「業務中の航空機の破壊等の罪」。これは業務中の航空機の航行の機能を失わせ、破壊した者は「一年以上十年以下の懲役に処する」それから前項の罪を犯し、人を死亡させた者は「無期又は三年以上の懲役に処する」こういうことになっているわけですけれども、それからその次の第五条の「過失犯」の場合には「航空機を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、若しくは破壊した者は十万円以下の罰金に処する。」この過失犯に対する罰則というものは、どういう関係でこれだけのことになっておるのか。過失であるから罪を罰するということは、これは気の毒なことであるわけですけれども、しかし航空機の場合、こういうふうな場合における過失ということのないようにするのがまず第一番に考えられなくてはならない問題ですけれども、まずこの罰則関係で法務省の御見解を承っておきたいと思います。
  32. 安原美穂

    ○安原政府委員 第二条の第一項は、井上先生指摘のとおり人が死なない、人の死という結果を来たさない場合における罰則でございまして、御指摘のとおり非常に死の危険の多い行為ではございますが、死の結果が出ました場合におきましては、御指摘のとおり第二条の第三項におきまして、人を死なせた者は「死刑又は無期若しくは七年以上の懲役」ということで、重く処罰するということに相なっておるわけでございます。  また第三条のいわゆる業務中の場合におきましても、この第一項は人の生存しておる場合、生き残った場合のことでございまして、その結果人の死亡ということになりましたら「無期又は三年以上の懲役に処する」ということでございます。  それから第五条におきまして、過失によりまして航空機が墜落したりして人の死という結果を生じました場合には、第五条の規定の過失犯に当たりますと同時に、刑法の業務上過失致死傷罪ということで五年以下の懲役または禁錮という重き罰則が、刑法の規定の適用によって重い処罰ができるという関係にあるわけでございます。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 過失ということは、これは人間ですからどういう過失、あやまちをおかすかもわからないわけですが、やはり十分な手だてがなされるためにも、整備要員とかあるいは搭乗要員とか、そういうふうなものが十分確保されていなければならないと思うわけですが、現在の航空会社におけるそういう整備員とかあるいは搭乗要員とかいうようなものが十分な安全運航に支障のないような労働条件の中に置かれておる、こういうふうに運輸省のほうは把握をしておるのかどうか、そしてまた、運輸省のこういう業務に対する体制というもの、これが十分であのかどうか、その点についての説明を承りたいと思います。
  34. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  過失によって航空機が破壊される。それが業務中のたとえば航空機の整備員の人だとかパイロットだとか、そういう人の過失によってそのような結果を招来する。まことにその当事者の方にとってはお気の毒なことでございますけれども、御指摘のように、これは現在の航空法の規定を写したものではございますけれども、この新しい法律案の中に一条それを設けております。それは条約の内容をそのまま引き写したことにもまたなっております。  御質問の、現在日本におきますそのような業務によって飛行機をいじる人たちの労働環境あるいはそのやり方、システムというものがはたして十分な状態であるかどうかということでございますけれども、これはいわば労使関係という微妙な問題もからみますし、その当事者、いろいろな人によっていろいろな意見があり得ることかと思いますし、それから、私がいまここでどのように御説明申し上げましょうとも、当然のことながら適時適切に、現在の時点よりはあすはより改善し、あさってはさらに改善する努力を政府としては怠ってはならないものと考えております。  ただ、現在の状態及び現状についての運輸省の認識というものを御説明申し上げますならば、航空機をいじりますたとえば操縦員あるいは航空機の地上における整備業務を行ないます整備要員という人たちについては、一人一人について、全部ではございませんが、法律上の資格要件を備えた人を充てることといたしております。また、定期航空運送事業がその業務を営むにあたりましては、必要な人員が適当に配置されるようにわれわれがそれをチェックいたしております。さらに飛行機が具体的な時間表にのっとって業務を遂行するわけでございますけれども、その時間表の合い間、合い間、と申しますか、時間表の上に当然にその飛行機が中間的に地上にステイして、そこでさらに一時的な点検を行なう時間というものは出てくるわけでございますが、そのような時刻につきましても運輸省は一々認可の対象にいたしておりまして、それで私どもは、正直申しまして完全にその業務に従事する人たちの満足な労働環境であるかどうかについては、私ははっきりしたことを申し上げることを控えますけれども運輸省としてそれらの案件をすべてチェックをして、航空の安全に十分であるという認識でもってすべてのそのような認可を行なっている次第でございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 これは、航空の従事者の養成という点から考えても、航空局運輸省自体の中における要員というものは非常に少ないということも言われておるわけですが、そういう点についての論議はまた後日に譲ることといたしまして、まずこの航空に従事している者の養成の中で、この前にも問題として指摘したことがあるわけですが、航空大学校の教育内容です。私は、航空大学校が学校教育法に基づく大学にまだ移行されてないということは非常にふしぎに思うわけで、これは特殊なものだからそういう扱いをしているのかもしれぬけれども、少なくとも航空大学校の充実ということは、今日大切なことではないか。これは搭乗員あるいは整備員を含めてそういう点について大臣の御見解を承っておきたいと思います。航空大学を充実させる、あるいは修業年限を現在の三年を四年にするとか、あるいはまたその内容をもっと充実させるとかいうようなことがいま必要を迫られておる時期ではないかと思うわけですが、少なくとも来年度あたりからはもっと航空大学というものに権威を持たすようなそういう大学の位置づけというものをやられてはどうかと思うので、大臣の見解を承って私の質問を終わります。
  36. 徳永正利

    徳永国務大臣 航空大学の設置された目的は、操縦士とかそういう者に技術的な面を修得させるということでございますけれども、お説のように、これは大学設置法における大学ではないわけでございまして、そういう面からも、今後そういう一般大学と比例するような教育内応を持たせるというようなことも確かに必要なことと存じます。なお、この問題につきましては、将来まじめに十分検討してまいりたいと思います。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 それではそのまじめさに期待して質問を終わります。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に久保三郎君。
  39. 久保三郎

    ○久保(三)委員 提案されている法案に関連して二、三点お伺いするわけでありますが、その前に、きょうは航空局長お見えになっておりませんが、聞けば中国に航空協定の交渉においでのようでありますが、現在航空局長がおいでになって最後の詰めというか、そういう階段になっておるのかどうか、いま外交交渉中でありますから、しさいにわたってお答えをいただくわけにはいかないかもしれません。もっとも、最近は内部からいろいろ詳細な発表もあるようでありますので、われわれはそういう別なルートからは聞いておりますが、正式な場所で聞きするのはどうかと思うのですが、ただし関心が深いし、また重大なことでありますので、運輸大臣から当初の御方針どおりいま順調に進められておるのかどうか伺いたい。  それからもう一つは、けさの新聞を見ますると、たいへんいろいろにぎやかな——にぎやかなといったら語弊がありますが、情報が伝わっておりますが、そういう事態は今後の交渉に支障はないのかどうか。何といっても一番近い国でありますし、国交回復は田中内閣が成立して間もなくやったわけでありますが、その一番入り口である実務協定の第一歩としては、航空協定を早急に締結して、両国の往来をもっと緊密にさせようというのが国民的願望であるわけでありますから、協約が円満に早急に締結されることを国民とともに望んでいるわけでありますから、交渉途中で多少の雑音があってもこれは影響がないのかどうか、多少心配の点もあるわけでありますが、政府としてはそういう心配があっても今国会に批准の手続をするような当初の御方針どおり進めていく御決心であるのかどうか。そういう点について御所見を承りたい、こういうように思います。
  40. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま非常に微妙な段階にあることも事実でございます。またいろいろと議論のあることも先刻御指摘のとおりでございます。当初のこの国会に批准をお願いしたいというつもりは変わっておりません。そのようなつもりでいま交渉を進めつつございます。  それから、いろいろなことがあるが、それにわずらわされるといってはおかしいけれども、障害はないかというお話でございますが、私は障害はないというふうに考えております。  それから、航空協定の本文関係につきましては、外務省の問題でございますから、私も多少聞きかじってはおりますけれども、正確なことを承知いたしておりません。したがいまして、それは一応割愛さしていただきたいと思います。  航空局長をやりましたのは、運輸省プローパの問題で、これを一体どういうふうに最後的に処理するかということで急速派遣したわけでございます。運輸省プロパーの問題はどういうところに乗り入れるか、あるいはこちらからどういうふうに飛んでいくか、それから以遠権はどういうふうになるのか、交換するのかということだけでございまして、これは詳細まだいま交渉中でございますから、御専門の先生ですので大体御見当がつくだろうと思いますけれども、そういうことで、航空局長まだ着いておらないようでございますが、あるいは明日ごろから、あるいは今晩からでも正式な交渉に入っていくのではないか。本文の交渉は航空局長は関与をしないというたてまえで派遣いたした次第でございます。
  41. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大体お話わかりましたが、また詳しく聞く機会もあるし、またこの際詳しくお聞きして交渉に支障を与えるようでも国益に反することでありますから差し控えますが、ただ大事な点は、東京あるいは大阪、むしろ東京といったほうがいいと思うのですが、東京の国際航空上におけるところの価値、値打ちというか位置、そういうものをやはり相当評価した立場で中国との交渉を堅持すべきだと一つは思っているわけであります。  それからもう一つ。日本の航空協定全体を見まして、互恵平等というが必ずしもそういうふうには言われない面も多少まだ、特にアメリカとの間には残っているようにわれわれは考えております。これはこれとして是正の方向を今後努力することは当然でありますが、いずれにしても原則的にはやはり互恵平等というか平等の立場でやっていくということ。  それからもう一つは、わが国が中国との間にあるいは特に以遠権について、東京あるいは北京のそれぞれの以遠権について評価しあるいは交渉する場合には、やはり東京以遠、ビヨンド東京、あるいはビヨンド北京について等価値としてやはり確定というか、協定ができるようなコースをわれわれは考えていかなければならぬと思うのです。そうでないと、後々までやはり禍根を残して、お互いの国の間にまごまごすると不信感も出てくるような事態もありますので、交渉は慎重に、しかもスピードを上げて、もたもたしないでやっていただきたいと思うのです。  特に繰り返し申し上げますが、北京以遠権についてわれわれは北京の地理的、いわゆる国際的な環境というか、そういう値打ちも十分入れながらも、日本の国益というか、そういうものを勘案していくべきだと思うのです。北京を経由していくこと自体に意味があるわけではありませんで、それから先にやはり意味がある場合もありますから、そういう点で御努力をいただきたい、こういうふうに思っております。これは要望でありますし、また具体的にいろいろ申し上げにくい点もありますので、どうかと思うのですが、おわかりいただけるかと思うのです。いずれにしても、いま申し上げたように、北京なり東京の位置づけというものをきちっとして、お互いに平等の立場で取引というか、協定を締結されるようにお願いしたいと思います。  それから、多少の雑音があるが、それはあまり影響がないというふうにおっしゃっておりますが、ことさらに雑音を立てて影響を与えるような策動が今後続くかもわからぬという心配が国民の間にはあるわけであります。これは評価のしかたでいろいろありますから何とも言えませんけれども、そういう事態にならぬように、やはり万全の策を講ずべきだとわれわれは思うのであります。  ついては最後に、運輸、外務両者でこれに臨む態度として六項目をおあげになっておるようでありますが、現在でも六項目をワンパッケージで事を処理しよう——ワンパッケージというのは、時間的ではなくて事柄をワンパッケージとして処理されるお考えであるのか、それともこの前も聞いたと思うのでありますが、時間的にワンパッケージとして考えておられるのかどうか、その辺はどうでしょうか。
  42. 徳永正利

    徳永国務大臣 まず第一の問題は、私どもも全く御指摘のとおりに考えておりまして、互恵平等と申しますか、日本は一対一の立場で国益を十分踏まえた上で交渉をなるべく早い時期に締結したい、こういうつもりで、かたい決意で臨んでおります。  それから運輸、外務両者でつくった六項目をワンパッケージで事を処理するのかということでございますが、これにはいろいろと内容もございますし、また了解を得なければならない問題等も内蔵しておるわけでございまして、この点、一つ一つその交渉等があるようでございますけれども、ここでワンパッケージということばが適当であるかどうか、ちょっと判断に苦しむわけでございますが、一応そういう原案というものを踏まえて、いろいろと個々の問題もあわせて調整しつつ話を進めておる、こういうことでございます。
  43. 久保三郎

    ○久保(三)委員 なかなか微妙な段階でございますから、これ以上お話を聞いてもいかがかと思うのです。いずれにしましても、国民の期待に反しないように最大の努力を払うことがまず当面の課題だろうと私は思うのであります。ただ、田中内閣は早のみ込みが得意のようでありますが、あまり早のみ込みだけでも、あとで困ったなあということがございますので、その辺のことは重々御配慮をいただきたい、こういうふうに思います。  そこで法案に入りますが、法案の前にもう一つ、この法案に直接ではありませんが関連する、いわゆるハイジャックの場合に、ついこの間もシンガポールでしたかハイジャックがありまして、これは特異なケースでありまして、飛行機をよこせ、アラブまで飛んでいきたいというような要求でございましたが、その際に、日本航空から機材も乗員もそれぞれ選定して手配を遂げられ、結果として人的な損害というか、そういうものがなくて一応解決したのでありますが、その際にも乗員であるパイロットあるいはその他の方々から、要求というか、身分の保障についていかように考えているのかというような要求と申し入れが、政府というか、関係方面にあったのでありますが、その後のこれに対する措置はどういうふうになっておるか。  もちろん、たとえばこの間のシンガポールに日航機を派遣したケースといりのは特異なケースでありますが、今後こういうケースが起きないとも限らない。そういう場合に、日本航空はなるほどナショナルキャリアとして特殊な会社でありますから、考え方によっては、当然そういう場合には機材も乗員も提供するのだという考えがあるかもしれません。しかし厳密にいえば、これは特殊会社であろうが何であろうが株式会社でありましてしかもその乗員は政府との間には何の——何のと言っては語弊がありますが、航空法で関係があるだけであって、あとは身分関係その他は一切ございません。だから、政府がもちろん直接日本航空に、機材を出せ、乗員を乗せて飛べという命令は、この場合は私はできないのだろうと思うのです。そういうことは、もちろん乗っておるその者の身分の保障についても何ら対策がない、こういうことなのです。これはやはり確立しておいて、ルールもきちんとしておかないと、混乱を来たすのではないかというふうにわれわれは考えているわけです。この点はどういうふうに措置されようとしているのか、お考えをいただきたい。   〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕
  44. 徳永正利

    徳永国務大臣 先般の事件につきましては、御説のように、国がこれに命令する権利はございません。あのときも、日本航空の朝田社長を呼びまして、こういう事情をよく説明しまして、協力を要請したわけでございます。日本航空側では、これは要請ではなくて命令というふうに受け取って、そうして全社をあげて協力いたしたいという悲壮なお話があったわけです。早々の間でございますから、これの保障問題とか、どういうふうになったというようなことは話すいとまもなく出発していただいたわけでございます。その後一番私が苦悩いたしましたのは、間違いがなければよいがという一つの祈りと、もしもあった場合に、どういうふうに措置するかということでございました。いろいろなことを考えたわけでございますが、それにしましても、万々一事故がないとは限りませんから、予期せざる問題が出てきた場合に、これを一体どういうふうにすべきか。私自身の問題は別といたしまして、国としてあらゆる法律的なものを駆使してこれに報いなければならぬということでいろいろ検討いたしましたけれども、これという名案が実はないわけでございます。したがいまして、いま御指摘の点につきましては、将来あってはいけないことでございますし、三度と再びそういうことがないことを祈りつつも、これに対処することを考えていかなければならぬ。したがいまして、いまそういう問題に国としてどういうふうに——会社会社としてのあれはございましょうけれども、遠距離に飛ぶ飛行機というのは日本航空よりほかないわけでございます。そういう場合に国として、国策会社だからといって命令を出して、死地におもむかすわけにはまいりませんから、そういう場合のあらゆる裏づけというものをいま検討中でございます。いま明確にお答えする材料を持っておらないのは申しわけございませんけれども、その点については国として十分なことをしなければならぬということで、いろいろいま検討している最中でございます。
  45. 久保三郎

    ○久保(三)委員 まだお考えがないというお話でありますが、たいへん残念だと思うし、またたいへんむずかしい問題であることは事実でありますが、しかしこのルールなり何なり、措置なりをきちっとしておかないと、問題が出たときに措置のしようもないというふうにわれわれは考えておるわけであります。もちろん日航のパイロット諸君は、そういう場合に同胞なり世界の人類を助けるためにという人道主義に立って行動してくれるであろうことは十分了解できるわけでありますが、だからといって何にも裏づけというか保障もない、あるいはルールもない、行き当たりばったりというのでは、国家として申しわけない気持ちがするわけでありますから、そういう問題についてひとつ早急に考えてもらいたい。これは航空当局、運輸大臣がお考えになることも当然かもしれませんが、具体的には航空局自体が考えるとか、あるいはもっと内閣全体として考えるような問題のようにも私は思うのです。飛行機をたまたま日航は持っているから、パイロットがいるから飛んでいったようなものの、全然ありませんといったらどうするんだろうかという話もできるわけなんで、その辺のところ、もう少し考えたらどうだろうか。これは航空局当局にお伺いしましょう。当時申し入れというか、そういう要請があったということを新聞で聞いているのですが、この問題についてはどういうふうに当時扱っていたのか、いかがでしょう。
  46. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の申し入れとおっしゃいますのは、シンガポール、クウェート事件の直後に、日本航空の機長会が声明書という名前でたしか文書を出された、そのことをさしておられるかと思いますが、そのことに関連いたしましては、当航空局としましては、大臣のご指示を受けまして、そのような声明書を出された機長会の方々と接触をいたし、またさらに、その機長会の方々を雇っておられる日本航空の方とも同じ問題についてお話し合いを行ない、そして今回のシンガポール、クウェート事件において、いかなるように事態が発展して刻々に変化していき、その事態において、私どもまず航空機に限って申し上げましても、どのような判断と措置がとれたか、そのような措置は乗員の方々の心配、保障といったようなことから再検討すべき点がなかったかどうか、といったようなことを、われわれ自身が考えますと同時に、機長会の方々と、これは実はまだ完全に終わっておりませんが、今後ともお話し合いをし、そして再びかようなことが起こることは全く私どもは望みませんけれども、機長会の方々がその当時あのような声明書をお出しになった気持は私どもとしては痛いほどわかりますが、かといって、現状がどのようであったかということについての理解を機長会の方々にしていただき、さらに将来の問題についてともどもに考えるというのが、私どものこの問題について持っております態度でございます。
  47. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いずれにしても、本件は早急に措置を講じていくべきであるというふうに考えますので、善処方を要望しておきます。   〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕  次にもう一つ、この法案に直接ではございませんけれども、最近数多く虚偽の情報を関係当局というかそういうところに通報して、実はそれは全くの虚偽でありまして、爆弾をしかけてあるとかあるいは危険物が搭載してあるとかいうような、いたずらというかそういうものが最近かなり多くなってきたわけです。これに対して刑法二百三十三条でありますか、その辺の刑法によって処罰をするということになろうかと思うのでありますが、この虚偽の通報によって惑わす行為というものについても、もっと取り締まりというか刑罰をもう少し考えて、そういう悪質の犯罪というものを根絶するようなくふうも必要ではないのかというふうに思うのです。これは法務省に聞いたほうがよろしいかもしれません。法務省としてはいかがに考えておりますか。
  48. 安原美穂

    ○安原政府委員 飛行機に爆弾をしかけたというような、全く虚偽の情報を流して業務を妨害する、正常な航空機運航を阻害するということは、一面刑法の、威力あるいは偽計を用いての業務妨害という罪に当たるわけでございますが、それの特別罪といたしまして、先般成立をいたしましたいわゆるハイジャック法の第四条に「偽計又は威力を用いて、航行中の航空機の針路を変更させ、その他その正常な運航を阻害した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。」ということで、このいわゆるハイジャック法の中に、特別の業務妨害的行為処罰する規定がございますので、正常な運航が阻害されたという結果が、たとえば緊急着陸とかあるいは航空機の高度や速度を変更するとか進路を変更するというようなことが生じました場合には、この航空機の強取等の処罰に関する法律の第四条の違反ということで処罰が可能であると思いますし、なお、今回御審議を願っております法案の第一条の、その他の方法をもって航空の危険を生じたというような場合、つまりそういう虚偽の情報によって航空機が墜落したり衝突したりするというような具体的な危険を生じた場合におきましては、いま御審議を願っておる法案の第一条の違反ということで処罰も可能であるというふうに考えております。
  49. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまのハイジャック防止法の偽計を用いて航空機運航に支障を与えたという事実が出れば、この特別法で処罰するということですね。そうしますと、それにも限界があるだろうと思うのですね。たとえば点検に時間を要したとか、そういうことくらいはあまり運航に支障がない。そういう場合には一般刑法によるのですか。
  50. 安原美穂

    ○安原政府委員 発着の離陸時間が延びたというようなことも、やはり正常な運航を阻害したということで、このハイジャック法の四条の違反になると思います。
  51. 久保三郎

    ○久保(三)委員 わかりました。  次にこの法案に入りますが、今度新しい法律を提案されているわけですね。この中身を見ますと、たとえば「業務中の航空機」という新しい解釈というか概念が導入されただけであって、あとは現行航空法の中にそれぞれ規定されている条文だと思うのですね。それを全部抜き出してきて、どうしてこの特別の法律にせねばならなかったのか。その辺のことはどうなんでしょう。わざわざ新しい法律をつくらぬでも、航空法の一部改正で「業務中の航空機」というか、そういうものの解釈はできるだろうし、あるいは国外犯についても、刑法の中の改正というか、多少手直しをすればできたものを、どうして新しい法律をわざわざつくったんだろう、航空法から何で抜き出したんだろう、こういうふうに思うのですが、何かメリットがあるのかどうか、前進があるのかどうか、その辺のところですね。この条約の批准に伴う国内法の整備といえば、「業務中の」という概念導入、それから「国外犯」こういう二つぐらいのように見ますけれども、二つぐらいだったらそれぞれのところでやったらよさそうなものを、威力を発揮するために別な法律をおつくりになったのか、その辺はどうなんでしょう。
  52. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  このような、現行の航空法の一部を抜いて移植し、かつ新しい条文を入れて新しい単独の法律案を作成するにつきまして、そのメリットを考えます要素は、すでにただいま先生がすべての問題点を御指摘になったように思います。  御指摘のように、新しく日本の国内法として整備しなければならない問題は、一つは、条約に申しますところの「業務中の航空機」という概念をつくり上げて、そのような航空機を損壊する行為というものを取り締まる規定を設けること、二つは、一連の条約に掲げられている犯罪行為につきまして、「国外犯」の規定をつくること、この二点でございます。  そのような二点を立法化いたします一つの手段といたしまして、かりにこれを現行航空法の一部改正という形でいたしました場合には、現在の航空法は、この法律で申します「航行中の飛行機」という観念がいわば一貫確立しておりまして、そこにもう一つ「業務中の航空機」という観念を入れますことは、一つ航空法という法体系の中で必ずしも適切な立法ではないのではないかということが一つでございます。  さらに、現在航空法に含まれておりまして今回新しい法律案に移してまいりました規定は、その規定の性格上、現行の航空法のすべての条文と対比いたしますと、いわば刑法にございます艦船覆没罪でございましたか、刑法で交通の法益を保護するために設けられております若干の規定のいわば特別規定的な色彩を持った規定でございまして、現在の航空法の中でもやや特殊な規定でございます。それで、これらすべての行為を、いま御提案申し上げておりますような一本の法律にまとめますことが、第二の問題点の「国外犯」の規定を全部にかぶせるにつきましては便宜である、メリットがある、このように判断をいたしまして、御提案申し上げましたような単独の法律の形をとったものでございます。
  53. 久保三郎

    ○久保(三)委員 形式的な話でありますから、そんなに議論してもどうかと思うのでありますが、法律はあまりたくさんないほうがいいし、もし航空法を整理するというならば、これはあとからも申し上げますが、どういう体系で航空法を整理するのがいいのか。運輸省には数多くこういう現在の航空法みたいな法律があるのです。刑罰が入っていたり、それから運送行為というか、そういうものも入っているのですね。それから船長とか機長とかいうものの権限なども入れておく。いうなら、たくさんいろいろなものが入っておるかやくめしみたいなかっこうの法律がある。そのためにいろいろな混乱が起きていることも御承知のとおりでありますから、せっかく整理されるならば、やはりそういうことまで整理されるのが体系上きちっとするのではなかろうかというふうに思うのであります。御検討いただければ幸いだと思います。  そこで第一条の「又はその他の方法」ということで、さっき法務省のほうから御説明があったのは、条約の、「虚偽と知っている情報を通報し、それにより飛行中の航空機の安全を損なう行為」というのはこの「その他の方法」というところに入っているというお話でありましたが、なぜここで「その他の方法」ということで簡略にしたのか。私は法律をつくることについてはしろうとでありまして、よく知りませんけれども、少なくともこういう場合は、重要なものは列挙することがたてまえだと思うのですね。だから、ここでもし書くのならば、虚偽と知っている情報を通報し、それにより飛行の安全をそこなう行為というか、「又はその他の方法」のところを、虚偽と知っている情報を通報しなどその他の方法によってと、こういうふうにするほうが明確ではないのかというふうに私は思うのであります。これも理屈でありますから、なぜ落としたのか。それでは「その他の方法」というのはどういうものが現在考えられているか、いま条約でいうところの虚偽と知っての通報以外に何があるかということをお伺いしたいと思うのです。  時間もありませんから続いて、話は違うのでありますが、東海道新幹線の運行の安全を妨げる行為処罰の特例法というのがあります。この第二条とこの新しくいま提案している第一条との関係ですね。新幹線のほうは、運行保安設備の損壊等の罪ということになっている。これは大体同じような中身だろうと思うのです。同じというか、飛行機と汽車との関係は違いますが、同じような種類ではないのか。ところが、刑罰については、提案の飛行機のほうは「二年以上の有期懲役」、新幹線第二条は「五年以下の懲役又は五万円以下の罰金」と、こうなっている。この辺のつり合いというか、これはどういうふうに解釈したらよろしいのか。  第一条については以上であります。
  54. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 御質問のうち「その他の方法」云々の問題についてお答え申し上げます。  特別に例としてここに掲げることの適否ということにつきましては、先ほど刑事局長が御説明申し上げました航空機の強取云々に関する法律第四条でございましたか、それらの方法によりまして、この法律に特別に掲げることがそれほどの意味があるというふうに考えずに、「その他」と書けばここに観念上は含まれるといった考えか冬のように規定したものでございますが、「その他の方法」と申しますのは、先ほども刑事局長から御説明申し上げました虚偽と知って情報を流して、その結果として航空機が墜落、転覆、その他の結果になった場合のほか、たとえば、例の爆弾を航空機にしかける行為といったようなものが、この「その他の行為」に含まれますでしょうし、あるいは滑走中、パイロットにうしろから抱きついて押えてしまうというような行為も、考えれば一つ行為として考えられるかと存じます。
  55. 安原美穂

    ○安原政府委員 お尋ねは、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為処罰に関する特例法の第二条の規定に比べると、本法の第一条の規定の行為に対する刑罰は非常に重いではないかという御指摘一つございますが、法文を見ていただきますと、いま御審議を願っております法案の第一条は、いわゆる「その他の方法航空の危険を生じさせた者」ということでございまして、この「航空の危険」とは、先ほどちょっと申し上げましたように、飛行機が墜落したり、衝突したり、火災を起こしたりという具体的な危険を発生せしめたということが要件になっておりますが、いわゆる新幹線法においては、単に損壊し、機能をそこなうというだけでございますので、そういう重大な結果の発生の可能性のない場合でも処罰できるという意味において刑が軽いともいえるかと思うのでございますし、同時に、航空法の第百五十条の第三号に、「滑走路、誘導路その他同項の運輸省令で定める飛行場の設備又は航空保安施設を損傷し、その他これらの機能をそこなうおそれのある行為をした者」ということが五万円以下の罰金ということになっておりますので、むしろこの点は、この航空法の百五十条の三号と新幹線法の第二条を比較すれば、新幹線法のほうが重いということにも相なるわけで、それはそれといたしまして、先ほど冒頭申し上げましたように、この法案の第一条の刑が重いというのは、具体的に航空の危険を生ぜしめたということが要件であるところに刑の違いの理由がある、かように御理解願いたいと思います。
  56. 久保三郎

    ○久保(三)委員 航空局次長からの御答弁の中では、爆弾をしかけただけで、これは犯罪になるのですか。しかけただけでも、しめっている爆弾では爆発しませんから。いかがですか。航空の危険を生じさせたという、そのさせたという認定はどうするのか。これは刑事局長からもお聞きするのがいいですが、これは理屈でありますが、問題が出ると思うのですよ。だから、危険を生じさせたというのは、どの程度にだれが判定するのか、もっとも最後には裁判でありましょうが。それからもう一つ、新幹線のほうの法律ですね、刑事局長。これはあなたのおっしゃるとおり、危険を生じさせなくてもということなんだ。危険を生じさせた場合は往来妨害罪ですか、そういうことで処理するということですね。それではわかりました。  ただ、いまのはハイジャックには関係ないでしょう。「その他の方法」の中にハイジャックも入るのですか。あなたちょっとそういう話をされたようだが、ハイジャックも入るのですか。「その他の方法」というのはハイジャックによって危険を生じさせたというふうに相なりますかどうですか。爆弾のほうはまあいいでしょう。
  57. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 私がパイロットに抱きつく例を申し上げました。その抱きつく行為が、航空機運航を支配する程度にまでいけば、それはハイジャック防止法の罪でございまして、それがそこまでいかなければ、観念上の議論でまことに申しわけございませんが、航空に危険を及ぼすようなことになれば、この一条の「その他の方法」というふうに考えております。
  58. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは次に行きましょう。  ハイジャックに関係して、ハイジャック予防のために各飛行場で搭乗前の検査を三段階に分けていろいろやるわけでありますが、この検査をしてから搭乗するまでの時間、搭乗締め切りの時間、そういうのはどういうふうになっているのか。たとえば十分前までに検査を終了して出発する、あるいは十五分前までに搭乗口というか入り口に出てきてもらう、それで飛行機には十五分前に乗ってもらうというような取りきめがあるのだろうと思うのでありますが、それはどんな飛行機でも同じなのか。最近問題になります大型の場合、四百人から乗るわけです。YSのごときは非常に少ない。出発と検査の時間がそれと同じような時間で処理されていくとしたならば、これは非常に形式的だと思うのですよ。こういうきめのこまかい指導というか、あれをやっていらっしゃるかどうか。どういうふうになっているか、これをお聞きしたい。
  59. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 飛行前の検査と申しますか、点検と申しますか、そのこまかいやり方、それに要する時間、あるいは実際につくります時間表、それからお客さんを飛行機に乗せますその時期と、点検の時間表との関係、これは飛行機の型、それからその飛行機が始発であるとか、いわば途中駅と申しますか、あるいはすぐに折り返すような状態であるとか、あるいはその飛行場規模であるとか、すべてによって相当に異なっておりますけれども、その一つ一つのケースにつきまして、どの機種のどの飛行機について、どの飛行場ではどういう順序でどのような点検、整備の作業をやる、それからその点検、整備の作業の一番終わりの段階でお客さんを乗せ始める、これについては個々に詳細に航空局でそれをチェックしておりますが、具体的な数字でもってそれをただいま私の口から申し上げるほどの知識は持っておりません。
  60. 久保三郎

    ○久保(三)委員 具体的にはおわかりにならないそうでありますが、一応そういうものに合わせて時間はつくっている、こういうことでありますね。それが十分であるかどうかの問題もあわせて、最近のような情勢下でありますから、考えていく必要があろう、こういうふうに思います。  時間もありませんので次に行きましょう。  次には、この条約批准国というのは、いまのところ限られた国々でありますが、これは、国外犯については世界主義というか、どこの国でもよろしいということで、日本人だから日本の国にということではないようであります。そうだとするなら、たいへんしろうとの質問で、これは刑事局長にお伺いしたほうがいいかな。この法律ができて、この法律ができてというか、航空法でもすでにできているのでありますが、条約批准国というのは、大体国内法整備で刑罰その他の扱いは同じような量刑になるのですか。たとえば五年以下の懲役といえば五年以下の懲役。第一条の者はどこの国も大体その辺のところ合わせてやるわけですか、どうですか。もしもその国々によって刑罰が違うとすれば、これはなかなか効果についてもめんどうなことができるんではなかろうかと思うのですが、いかがでしょう。
  61. 安原美穂

    ○安原政府委員 久保先生御案内のとおり、条約の第三条に「各締約国は、第一条に定める犯罪行為について重い刑罰を科することができるようにすることを約束する。」という条約がございますが、重い刑罰とは何であるかということは条約には規定しておりませんので、そういう意味におきましてそれぞれの締約国の判断にまかせておるということに相なりますので、極端に申しますれば、それぞれの国によってどの程度の刑罰を重しとするかということは異なるから、その意味におきましては一律の刑ということには相ならぬということは条約が当然予想しておるところだろうと思います。しかしながら、世界の法律文化は徐々に交流が盛んでございますので、おのずから重さというものには、若干の差異はありましても、落ちつくところには落ちついていくだろうとは思いますが、何ぶんにも各国がそれぞれ歴史的、経済的、文化的な背景のもとに刑罰体系というものは持っておるわけでありますから、若干異なるのはやむを得ない、かように考えます。ただ、御承知かと思いますが、わが国の刑法の第五条に、「外国ニ於テ確定裁判ヲ受ケタル者ト錐モ同一行為ニ付キ更ニ処罰スルコトヲ妨ケス」という規定がございまして、外国でこの種の行為につきまして処罰を受けた者が日本に来た場合、それがあまりにも軽かったという場合にはわが国の裁判権の行使を妨げないという規定が刑法の第五条にございますので、場合によりましてはこの発動によりまして、犯人が日本に来た場合におきましてあらためて刑罰を科するということが、不均衡是正の一つ方法としてはあり得ると思います。
  62. 久保三郎

    ○久保(三)委員 この法律ができるとというか、条約が批准されますれば、大体この種の条約が三つですね。しかし、現況ICAO加盟国は大体百二十八くらいあるのでありますが、三つの条約に完全に加盟というかしている国というのはそうたくさんないですね。これは東京条約でも六十六カ国、少ないほうではいま審議中のモントリオール条約が今日まででは三十くらいのようであります。そうなると犯罪、しかも国外犯が世界主義というか、そういうことになりますと、犯人は雲かかすみのごとくどこかよその未加盟国へ逃げていくというそういう問題があると思うし、ハイジャックについても同様の問題があるのでなかなか根絶ができない、終局的には世界的な外交の問題、いわゆる平和の問題として処理しなければならぬと思うのでありますが、これはなかなかそう簡単にいかないだろうと思うのです。しかし、努力はしなければいけません。これらの国々に対して、未加盟の国々に対して日本政府はどんな手段をこれから講じようとするのか、講じているのか。  それともう一つは、条約というか、いままでも二つありますが、そういうものに違反していわゆる犯罪を犯した犯人に対して、日本人であれば犯人の引き渡しを要求する権利はどこの国に対してもあるのだろうと思うのです。こういうものを外交交渉によっていままでもやったためしがあるのかないのか、あるいはこれからこの条約あるいはこれまである二つを含めて三つの条約の実効をあげるため、いわゆる担保するためには何かもう少し努力をしなければならぬと思うのですね。わが国で法律をつくりました、条約を批准しましただけでは、世界全体の空のことでありますから、これはむずかしいと思うのですね。ついてはそういうものに対する手配というか考え方は外務省なりあるいは運輸省はどういうふうに思っていらっしゃるのか、これをひとつお聞きしたいと思います。  それからもう一つ、これは運輸省にお尋ねするのでありますが、飛行機の事故によって一番問題になるのは、それによって死亡したとかけがした、そういう乗客の補償の問題が問題なんですね。これは御案内のとおり、それぞれワルソー条約とかグアテマラ議定書というか、そういうものでいろいろあるわけなんです。しかもその中でわが国で批准しているものもあるのですね。そういうものを批准していれば、国内法の整備ということで、本来ならば航空法の中でこれは規定していくことなんでありますが、特にいま一つ取り上げて申し上げた賠償の問題ですね。これなどは運送約款の中できっと処理しているのですね、そうですね。条約の批准を、国内法整備というか知りませんが、そういうことでやること自体はいかがかと私は思うのですね、一つは。だからさっき申し上げたように、航空法の改正をして、言うならば、航空運送法というのを別につくって、これはきちっとすべき時期ではないのか。問題はあるようであります。いろいろありますが、こういう考えは持っていないのか。航空運送法をつくって、運送のルールを、約款でなくて、法律の中で体系づけて考える必要がありはしないかということが一つ。  それからもう一つは、いまでもそうなんでありますが、日本人なるがゆえにあるいは日本から飛び立ったために、場合によっては損害賠償に甲、乙、丙、丁がつくとかいうような不合理な面もあるわけでありますから、こういう問題を含めて、やはり、検討すべきものじゃないのかというふうに思うわけでありまして、特に国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約というものもこれは批准しておりますね。だからそういうものも含めて、約款でやること自体私はちょっとおかしいのではないかと思うのですが、約款で間に合っているようでありますけれども、間に合っているというか——もっとももう出てきているのではないですか。これは航空問題ではなくて、最近では通し運送というか一貫輸送というか、そういうものが国際法にもできてきましたから、航空だけの問題ではおさまらないかもしれませんけれども、少なくとも航空運送法というものを早急にこれはつくってきちっとすべき時期ではないのか、こういうふうに思うので、御見解を伺いたい。  以上であります。
  63. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一の問題、ただいま御提案申し上げております法律案のもとのモントリオール協定あるいはハイジャックに関するハーグ協定、あるいは東京条約、そのような条約はすべて世界のあらゆる国がそれを批准して、世界的にそれを実施に移すということを最終的な目標として掲げてつくられたものだと存じます。できるだけ多くの国がこの条約が批准することによって、初めてこのような条約を結んだ実効があがるのではないかというふうに考えております。できるだけ多くの国がこの関係条約を批准すべきであるという考え方、これは日本もそういうことを熱望いたしております。昨年の九月にローマで開かれましたICAO臨時総会、この終末の時期におきまして、そのような内容の決議案を日本国及び他の二国とともに提案して決議をしてもらっている例がございますが、このハイジャックあるいはただいまの爆破等を問題にいたします国際条約の批准につきましては、国際関係といたしましてはいろいろ微妙な要素がからまるようでございまして、ただ単に努力して呼びかければ批准国がふえていくというものではなく、これらの批准国が全世界に及ぶということを期待するのはなかなかむずかしいことではないかという印象を持っております。  第二に、御質問のハイジャックその他の場合の損害の賠償責任につきまして、現在日本では、国際条約あるいはそういったようなものと、それから航空会社とお客さんとの間の契約である運送約款という形と、二つの形式ですべてが律せられておりまして、いわばその中間的な段階にございます商法の特別法のような国際航空運送法といったようなものが現在制定されないかっこうをとったまま今日に至っておりますことは、先生指摘のとおりでございまして、これらは考え方といたしましては、ちゃんとした国内法というものが整備されることが望ましいのであるかも存じません。ただ、この問題につきましては、現在わが国の航空会社がお客さんとの間に結んでおります運送契約の損害補償額の金額は、いわゆるモントリオール協定、アメリカに着発する航空会社間の協定でございますけれども、その協定の適用を受けるお客、つまりその切符が米国発、あるいは米国着、あるいは米国通過というお客の場合には、円に換算いたしまして一千六百万円、そうでないお客の場合にはワルソー条約あるいはその改正議定書に規定しております円に換算して六百万円、こういう二つに分かれた、お客さんを二種類に区別した損害賠償額というものが約款に規定されておるのが実情でございます。ただいまの日本の社会的な趨勢から見まして、この六百万円という数字がはたして妥当であるかどうか。ここいらはわれわれとしては、さきに御指摘になりました約款と条約があって国内法のない形の不便、不自然というものよりも、その六百万円という金額の現在の時勢に相応していない点というものがより喫緊な研究課題ではなかろうかと思っております。いま触れましたモントリオール協定の一千六百万円という金額は、国際的に見ますとアメリカの航空会社が大体この金額でもってお客と運送契約を結んでおり、また一部ヨーロッパ、たとえば英国のような国ではやはりこの一千六百万円相当の、ポンドでいっておりますから正確にそうであるかどうかよく存じませんが、そういう金額で運送契約を結んでおるという実情にあるようでございますし、むしろ六百万円で現在事があった場合の損害補償額の上限がきめられて航空運送が行なわれているという実情を改善することのほうに、さらに私どもとしては急いで事の改善のための方策を検討すべきではないかというふうに存じております。
  64. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答えいたします。  自国民、日本人が外国でこのような犯罪を犯した場合に犯罪人引き渡しの問題が起こるわけでございますが、まず第一に従来このような要求をした例があるかという御質問につきましては、いまだ航空機犯罪に関連いたしまして外交的に日本人の犯罪人を引き渡せという交渉をいたした例はございません。  条約的に申しますと、ハイジャックのことをきめましたヘーグ条約あるいは今回のモントリオール条約では、ともに第八条で犯罪人引き渡しということをきめているわけでございますが、これは遺憾ながらやはり締約国間の取りきめでございますので、もしかりに犯罪が行なわれた、現に犯人がいるところが未加盟国、未締約国であるような場合には、先生も御指摘になりましたように、この条約上の権利として犯罪人の引き渡しを要求することはできません。しかしながら、条約上の権利としてではなく、外交交渉によって犯罪人引き渡しの請求をすることはもちろん一向に差しつかえないわけでございまして、その場合には当該国は自国の国内法に照らし、かつ、もし自国で処罰をしないということであるならば、日本に引き渡しをしてくれることもあるいはまた可能でないか、そのように心得ます。
  65. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間でありますが、いまの外務省のお話一つ聞いても、条約はできた、法律はできた、しかしどうも網が全体にかからぬというようなことでありまして、実効を担保するのにはなかなかたいへんだという気持ちを持つわけであります。やりとりをする事項でありませんけれども、少なくとも国内法は整備できました、条約は批准しましたというだけでなくて、やはりかかる犯罪を取り締まるというか防止する立場からも、世界の国々に対してもう少し積極的に何らかの提案があってしかるべきではないのかというふうに思うのでありまして、ぜひ御検討をいただきたい、こういうように思います。  それから、航空局次長、私が言うのも六百万円のことがさしあたりの問題なんですよ。ただし、全体として航空運送について規定をすべきではないか。六百万というのは実情に合う合わないでなくて、もう合わないということです。この席でも議論しましたように、すでに自動車損害賠償、自賠責は一千万なんですね。飛行機は六百万で、片方は、アメリカに関係すれば千六百万だ、こういうものでは、条約とか取りきめはそうですからということで専門家はそれで納得するかもしらないが、一般の人間はそう簡単には理解できないと思うのです。そういう意味からいってもこれはやるべきだ。六百万を具体的にどういうふうにするのですか。いまあなたは一番喫緊の問題だと言う。そのとおりなんです。約款でありますから、それじゃ約款の改定について取り組みますか。さしあたり方法はどういうふうにしますか、それだけお答えいただきたい。
  66. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、六百万円というのはいかにも安い、低い金額であるというのがもう今日の日本の社会の常識ではなかろうかと思います。先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、世界の主要の航空国の、あるいは航空会社の間の一つ考え方として、この次の目標としてはモントリオール協定のきめておる金額千六百万、ただいまはアメリカ関係の旅客、アメリカの会社、それから一部の他の会社がそれを使っておるようでございますが、ここいらを広げて、いわば多数国の航空企業が同じような金額を採用するというふうな動きを国際的に盛り上げるのがさしあたっての、第一段階の方向ではなかろうかというのが私の感じでございます。先ほども申し上げましたように、私どもはそれをただいま研究中でございます。
  67. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間がたいへん過ぎましたが、まあ研究中はけっこうだし、世界の世論を盛り上げるのもけっこうだが、まず隗より君始めよということばがあるのだから、これくらいはやはり隗より始めて世界を説き伏すべきというのが手順のように考えますので、再考を求めます。  以上です。ありがとうございました。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次は、平田藤吉君。
  69. 平田藤吉

    平田委員 この法案の審議にあたってまず確認したいことは、過失犯の規定の条項の解釈の問題であります。  この規定は、従来航空法で規定していた犯罪構成要件やその業務に従事する者の範囲において、より拡大されているということはないのかどうか。この点が一点です。たとえば整備中に誤って航空機を破壊した場合や、あるいは管制官のミスで発生したニアミスなどでは、関係の労働者の処分が行なわれるようなことがあるのかどうなのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  70. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  過失犯の規定は、現在の航空法にございます規定がそのまま移されたものでございますが、実質的にもたとえば航行中の航空機の定義が若干変わっております。そのようなきわめて微細な点を除きましては、法律の適用におきまして現行の航空法の規定と変化はないものでございます。
  71. 平田藤吉

    平田委員 変化はないものなんで再確認しておきたい。つまり単独法にまとめ上げられているので、それだけにそこのところはやはり再確認しておきたいと思うからお伺いしているのですよ。その解釈をしないで、いままでの法律から抜き出してきたものでございます、いままでどおりでございますという返事では困るわけですよ。そのところをもう一度答えてください。
  72. 安原美穂

    ○安原政府委員 いま運輸省航空局次長がお答えになりましたように、従来の航空法に規定しておりました過失犯と、実質においては、今回の法案の過失犯とは内容に相違はございません。  ただ先ほど申されましたように、航行中という概念が、今回は、航空機の「すべての乗降口が乗機の後に閉ざされた時からこれらの乗降口のうちいずれかが降機のため開かれる時までの間」というのがこの法案の航行中の考え方でございますが、現行の航空法におきましては、航行中というのは「離陸のため航空機が地上走行を開始した時から着陸後地上走行を終了するまでの間」ということにおきまして、航行中の観念がやや広がっておるという点が違うというだけでございます。  それからもう一つ違うのは、業務上あるいは過失犯につきましての罰金の刑が、刑法の規定にならいまして、その後の貨幣価値の変動に伴いまして重くなったという点が違う。  それだけでございまして、実質的には従来の航空法と変わりはないというふうに御理解願いたいと思います。
  73. 平田藤吉

    平田委員 どうも問題点がはっきりしてない。以下幾つかの点をあげながら質問していきたいと思うのです。  私がこの問題についてあらためてお聞きしたのは、航空機の事故の原因の圧倒的な部分が過失とされているわけなんですが、その過失とされている事故についてよく調べてみると、航空機の構造、飛行場の安全施設、あるいは労働者の労働条件や労働の環境などの改善によって未然に防止できたのではないかと思われるものが多いわけなんですね。それだけに、安全環境を整備するための航空関係会社並びに当局の誠意と努力が非常に大事になっているのだと思うのです。  さて、去年の四月十八日のこの委員会で、各航空会社の社長や労働組合の皆さんに来ていただいて、安全問題について参考人質疑が行なわれたわけです。その際に、日本航空では労使の間で安全問題を論じ合う場が保障されていない、会社が団交に応じないなどの問題が指摘されたわけです。その後このような問題は解決されているものと思いますけれども、どうなっているかお聞かせいただきたい。
  74. 野原石松

    ○野原説明員 私ども、日本航空を含めまして運送業を労働災害防止上の重点業種として、従来から強力な監督指導を行なってきております。いま先生指摘の安全衛生委員会につきましては、日本航空の場合、本社それから各事業場ごとに労使協議会というものを設置いたしまして、これに安全衛生委員会としての機能を持たしております。この労使協議会は原則として毎月一回開催されておりまして、従業員の方々の安全あるいは健康障害の防止の問題につきまして、その基本となるべき対策を中心に調査、審議をしております。その結果は職制を通じ、あるいは安全衛生のスタッフ部門を通じましておおむね実施に移されている、このように私ども調査の結果、了承をいたしております。
  75. 平田藤吉

    平田委員 私は一般的にどうなっているかということを聞いているんじゃないのです。昨年の委員会で参考人に来ていただいていろいろ質問をした際にこのことが問題になった。その後解決されているのかどうなのかということを聞いているのです。前々からずっとあるのですよということで、昨年そういう指摘があったんだが、その後改善されたのかどうかということを聞いているのです。どうなんです。
  76. 野原石松

    ○野原説明員 実は日本航空につきましては、昨年昭和四十八年春と秋の二回に、私ども本社を含めまして数カ所の事業所、羽田関係ももちろん入っておりますが、を監督指導をいたしました。これは労働災害防止の見地から主としてやったわけでございますが、その結果労働安全衛生法に照らして若干の違反、改善すべき点は認められましたが、これらにつきましては直ちに是正措置を講じさせまして、現在のところ特に問題になるような案件は残っていないように考えております。なお、今後ともこの災害の発生状況等を見ながらさらに強力な監督指導を続けていきたい、こういうふうに考えております。
  77. 平田藤吉

    平田委員 私がわざわざ聞いているのは、日本航空では労使の間で安全問題を論じ合う場が保障されていない、会社が団交に応じていないなどの問題が出されたのです。これらの問題が出されたのです。これらの問題は解決しているのですかということを聞いているのです。ですから、聞いたことにやはりちゃんと答えていただきたいと思うのですね。  次へ進みます、時間も制約されておりますから。  航空機の安全は、常に労働者の労働条件をめぐる問題と不可分の関係にあることは明らかだと思うのです。会社が、安全第一の立場に立つとすれば、当然直接仕事に携わっている技術者や操縦士など組合員の意見を積極的に聞き、取り上げる必要があると思うのです。  そこで運輸省にお聞きしたいのですけれども、日本航空における、いまあなたがおっしゃった労働安全委員会の構成とその選出方法並びに運営、その実態がどうなっているのか、このことをひとつお聞かせいただきたい。さっきあなたは、うまくやっておりますという話をしておりましたけれども、一体どういう人たちがどこで選ばれて構成されているのか。
  78. 野原石松

    ○野原説明員 この安全衛生委員会につきましては、労働安全衛生法で、規模が従業員の数で百人以上の事業場につきまして必ず設けなければならないということが事業者に義務づけられておるわけであります。そこで、日本航空の場合、名前は労使協議会という名目になっておりますが、これが安全衛生委員会の機能を兼ね備えているということでございますので、当然この労働安全衛生法でいっておる安全衛生委員会の要件を満足しなければならないということになるわけでございます。そこで、その労働安全衛生法の中で、安全衛生委員会についての構成、組織について条件がありますが、それは、全委員の過半数は労働組合の推薦を受けた者でなければいけないということが一つと、それからその事業場の安全衛生を統括管理する者、この方が入っていなくちゃいかぬ、それから安全管理者、衛生管理者、こういう人たち並びにその労働者の中で安全衛生について深い経験を有する者、こういう人によって構成しなさい、こういうことになっております。  そこで、いま羽田地区の場合を例にとって申し上げますと、総括安全衛生管理者である担当重役がまず入っております。この方が議長になっておられる。それから安全管理者である羽田管理部長、それから整備安全推進室長等の方が入っておる。全部で合計三十二名によって構成されておりますが、そのうちの十六名は、労働者の過半数をもって組織されておる労働組合の推薦に基づいて事業者が指名しておりますので、労働安全衛生法上この構成について問題はないというふうに考えております。
  79. 平田藤吉

    平田委員 あなたはそうおっしゃるんだけれども、よく話を聞きますと、乗員組合のほうはどなたが入っているかわからぬというのですね。あるいは乗員組合から出してないんじゃないか。だから、労働者の多数を占めている組合からというふうに言われますけれども、地上と機上との違いがあるんですね。そういうものを総合してやはり安全委員会というものに相応する体制になっているのかどうか、このところはたいへん問題だと思うのですよ。  そこで労働省にお聞きしたいんですけれども、いま言ったような点がやはり欠けているという状況にあるわけですけれども、労働安全衛生法に照らしてみて問題はないのかどうか、また、航空労働者の労働条件と安全問題は不可分の関係ですけれども、このような安全問題について、労使が団体交渉の場で問題を提起して話し合う、そして解決の道を見出すということは当然だと思うけれども、どうなのか、この二点について、ひとつ労働省のほうからお聞きしたいわけです。
  80. 野原石松

    ○野原説明員 航空事業の性質からいいまして、たとえば地上の整備関係の仕事、それから搭乗員の方々、搭乗員でもパイロットの方々とパーサーとかあるいはスチュワーデスの方々、それぞれ業務の内容が違うわけでございますが、したがって、労働組合のほうから委員の候補として推薦がある場合にも、それらの業種を勘案されて、なるべく全部の分野から推薦がされるということが非常に望ましいことでございまして、そのように私どもも常々行政指導をしておるわけでございます。  なお、羽田を例にとって申し上げますと、いまのように少なくとも三つの大きな違った作業分野がございますので、その大きな委員会の下に、整備の関係の仕事、それから乗務員の関係、さらにこれは二つに分かれますが、パイロットの方々とそれから主として乗務室関係、それぞれまた別にその下部機構としてサブの委員会を設けておりまして、これもやはり労使半々のメンバーによって構成されておりますので、ほとんどこの問題は、労働者の方々のそれぞれ作業態様は違いましても、この二つの機構を通じまして十分に反映できるのではなかろうかというふうに考えております。
  81. 寺園成章

    ○寺園説明員 御質問の、労働条件を団体交渉できめるのは筋ではないかという点についての御質問にお答えを申し上げたいと思います。  会社に組合がございますときに、その組合の組合員の労働条件というものを、会社と組合との間で十分に団体交渉を行なって、労働協約できめていくというのが最も好ましい姿であろうと思います。航空安全の問題につきましても、そのうち、いわゆる労働に関する安全問題といいますのは労働条件に当たるものと思われますので、それらの事項につきましては組合と十分に話し合いをされて、その結果によってそれらの労働条件がきまっていくということが好ましい姿であろうというふうに思っております。
  82. 平田藤吉

    平田委員 いまのお話で、航空機の場合、安全といった場合に、乗員は、これは航空機が墜落すれば直ちに生命に関係があるわけですから、相当やはり乗員の意見というものは反映されるべきだと思うのですね。だからそこのところは私はとりわけ重視しておかなければならないと思うのです。さっきのあなたのお話ですと、その下にサブで何とかがあって、そのサブで意見がくみ上げられる。そんなのになっていないですよ。意見なんかくみ上げちゃいないですよ。だから、繰り返し繰り返し乗員組合のほうからも危険な問題について何とかしてくれないかという話が出てくるのですよ。あなたが言ったような観点からすれば、乗員組合のほうからやはり安全委員会のほうへ、構成にちゃんと入っでもらっでなければならない。ここのところが抜けていたのではほんとうの安全は守ることができないと思うのですね。そういう意味で、サブになっているからいいのでございますというようなものの言い方を労働省のほうでやっていたのじゃ、これはしょうがないじゃないですか。もう一ぺん答えてください。
  83. 野原石松

    ○野原説明員 サブでやっているからいいということではございませんで、もちろんその一番もとになります労使協議会、これが安全衛生委員会の肩がわりをしておるわけでありますが、こちらのほうにもそれぞれの乗務員の関係の代表あるいは整備関係の代表の方々、それぞれの分野から選出していただく、指名していただくということが大原則であります。それに加えてさらにその下に、各事業本部ごとにまた別個の形の委員会を設けられておりますので、両々相まって十分な意見の反映が期待できるんではなかろうか、こういう意味で申し上げたのでございます。
  84. 平田藤吉

    平田委員 だから、そうなっていないのですと言うのですよ。職員の側に言わせれば、だれがいつ選ばれて、だれが一体安全委員になっているのかわからぬと言うのです。したがって、労働安全衛生法に照らしてみてやはり欠けるところがあるのではないかということが言われているわけですよ。もう一度あらためてあなた方のほうで点検して、やはり行政指導があってしかるべきだというふうに思いますが、どうですか。
  85. 野原石松

    ○野原説明員 組合のほうから御推薦になった方がはたして全部の職域代表と見られるかどうか、私どもも現在の段階では詳細に把握しておりませんので、先生指摘の趣旨に従いましてその構成をつぶさに調査をいたしまして、御趣旨のようにそれぞれの分野から十分な意見反映ができるようなそういう委員会の場として持っていきたい、指導してまいりたい、このように考える次第でございます。
  86. 平田藤吉

    平田委員 私の手元に日本航空の安全に対する考え方を述べた資料があるわけです。昭和四十八年十一月十二日付で会社文書ILCIO三四というのがあるのです。そこでは次のように述べているのですね。「安全運航に関する問題について安全運航は労使に課せられた共通の課題であり、要求をめぐって対立しあるいは妥協すべき性格の問題でなく自由な意見交換を促進するためにも団体交渉によることは適切でありません。」こういっております。それから「安全運航に関する最終的責任は会社が負うものであり、このための施策決定の権限は会社にありますが、安全に関する労組の意見を尊重し良いものは会社の安全対策に採り入れていきたいと考えます。」こういうふうにいっております。ここには会社の安全に対する考え方が端的に言いあらわされていると思うのです。安全運航会社の責任で行なうし、施策決定の権限は会社にある。したがって、安全に対する労働者側の意見は会社が気に入ったものについてだけ取り上げる、こういうことなんですね。きわめて自分かってな見解だと思うのです。憲法や労働基準法のたてまえからいっても問題があると思うのです。このような会社側の安全に対する考え方で十分な安全対策がなされると思うのかどうか、これをひとつ労働省並びに大臣のほうから見解を聞かせていただきたいと思うのです。  私が操り返し申し上げておりますように、航空機の場合はとりわけ乗員の安全という問題、乗客の安全という問題——乗客の安全を守るも乗員の安全を守るも同じことだと思うのですけれども、乗員の安全を守るということ、それ自身乗員の生命にかかわり合いを持っている問題ですからね、ですから労働者のやはり基本的な権利に属するものだと思うのです、この安全を確保するということは。このことを団交上で提起して、そうして詰め合うというのはしごく当然のことだというように私は考えている。会社はそう言っていないんですね。会社側の気に入ったようにするのだと言っているんです。この点についてひとつ見解をお聞かせいただきたいと思います。
  87. 徳永正利

    徳永国務大臣 安全の問題は、ひとり航空機ばかりじゃなくて、お客さんを運ばせていただくすべての輸送機関と申しますか、そういうものに絶対必要不可欠なものであると思います。したがいまして、私は労使ということばはあまり好きじゃございません。どうも労使ということばが私自身は気にかかって気にかかって、気に食わぬことばでございますが、何かいいことばはないかと思っておりますけれども、これは十八世紀的な何か発想みたいな気がしまして、いまでもまだのどにつかえるわけでございます。これはもうそういう立場を超越した、一線で働いていらっしゃる方々あるいは管理者の方々、こういう者が一体になってこれは解決つけなければいかぬ問題だと思います。それが団交という方法がいいのか——団交というのも私はどうかと思いますけれども、みんながとにかくそういうものを超越した、特に一線の方々、そういう者でいろいろな経験もお持ちですし、遭遇もしておられるんですから、そういう皆さん方の意見を吸い上げられるような適当な場所、適当な方法というものはおのずからいろいろな形態であろうと思います。そういうことを通じて、いわゆる一体になった——お客さんのほうが大切なんでございますから、もちろん乗っている人も大切でございますけれども、人命を預かる輸送機関については、そういうような形でその安全というものを組み立てて万全の対策をとっていかなければならない、かように考えております。
  88. 野原石松

    ○野原説明員 安全衛生の問題は究極的には確かに事業者の責任であるわけでありますが、事業者がこの責任を遺憾なく果たすためには、やはり従業員の方々の意見を広く求め、そうしてその協力を得ることが何よりも大事ではなかろうかと考えております。そうしてこの安全衛生委員会はまさにそういう場である。その場で事業者の方並びに従業員の代表の方々がそれぞれの立場で当面の安全衛生問題を討議されて、その結果を確実に実行に移すということが望まれるのではなかろうか、そういうふうな運営こそ望ましいというふうに考えております。安全衛生の問題は、本来は、お互いの立場上多少意見が分かれても、究極的には一致した結論を見出すべきものではなかろうか、その過程においてまだ意見が十分詰まらないという場合には、とことんまでお互いに話し合って納得のいく一致点を見出されて、一致協力した姿で実行に移すということが望まれる姿ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  89. 平田藤吉

    平田委員 大事なポイントを逃げちゃっちゃだめだと思うのですよ。大臣も、聞いている大事なことをあいまいにしておられるし……。私が言っているのは、つまり乗客の安全を守る、当然のことでしょう。それは安全協議会でやっていけると思うんですね。労使の間の問題でいえば、航空機の安全に関するものは労働者の生命にかかわる問題だ、したがって、団体交渉の場で持ち出して決して悪いものじゃないんだ。ここでやはり論議して煮詰めていったらよろしいと思うのですよ。そういうことについてどうなのか、労働省のほうでもう一度答えてください。
  90. 寺園成章

    ○寺園説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、安全運航の問題のうち労働者の労働条件にかかわるような事項については、組合があります場合には組合との話し合いによって、究極的には労働協約によってそのことが処理されていくということが好ましい姿であろうというふうに思っております。
  91. 平田藤吉

    平田委員 時間も来ているようですから、午後の時間の質問に回させていただきたいと思います。
  92. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ————◇—————    午後三時六分開議
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平田藤吉君。
  94. 平田藤吉

    平田委員 労働省の事務次官通達が出されているわけですけれども、事務次官通達の趣旨では、先ほども話に出ました安全委員会とは、労使が協力し合って納得のいくまで話し合い、一致した行動をとるための調査、審議のための場であるというふうにいっております。こういう見地からしますと、日航のやり方は重大な問題を含んでいるといわなければならないと思うのです。たとえば一例をあげますと、現在労使の間で安全上の問題をめぐって具体的な点で幾つかの違いがあらわれているわけです。それもかなり重大な違いといわざるを得ないわけです。その一つは、海外駐在地及び駐在員を増加させてもらいたいという組合側の要求に対して、会社側は、海外駐在員を置くのは路線固定強化による完熟度の向上をはかる上で有効な手段である、この経費の点については、会社は安全上ぜひ必要であると判断されるものについては出費を惜しまない、こう言っているのです。なかなかいいことを言っているのですよ。こういうふうに言っているけれども、実際はどうなんだろうかということですね。こういうふうに言っていますけれども、実際に見ますと全くこれに反しているわけなんです。  昭和四十四年、四十五年当時は、DC8の北極便のためにアンカレッジの駐在地には全便をまかなうだけの乗員が置かれていたわけです。しかし、現在は機長四人、副操縦士十四人、機関士一名しか置かれておりません。ボーイング747はすべて東京の乗員が運航している。この東京の乗員が運航しているというのは、東京から一緒に飛行機に乗っていっているわけです。この北極便は、御承知のように、時差の影響が非常に大きいので、乗員はきついというふうに言っているわけです。非常に容易じゃないというふうに言っているわけです。また滑走路がすべりやすい。霧などの天候上にも問題があるというふうに言っているわけです。ところが会社側は、この問題に対しては乗員の納得のいく態度をとっていないというふうにいわれております。  もう一つ例をあげますと、ニューデリーの事故について、日航はインドの地上の航法援助施設に問題があったということを主張しております。いろいろな状況を調べてみますと、この主張はそれなりの理由があるように思うのです。ところが、私はここで言いたいのは、日航の主義がどうかという問題ではなくて、航法の援助施設に問題があるんだと言っている日航が、乗員の願いに対しては一体どういう態度をとっているかということなんですね。労働組合の要求に対しては、実は自分たちが言っていることとは全く逆の態度をとっているのです。たとえばこの南回りのコースは、御承知のように積乱雲などが発生しやすくて、パイロットがたいへん苦労するところです。そこで、組合側はDC8機の天候用レーダーを性能のよいものに取りかえてもらいたいというふうに要求しているわけです。会社側はこう言っているのです。現行のRCA社製のレーダーに安全上問題があるとは考えていない、一般論として古い型式の装備より新しい型式のそれのほうが性能面ですぐれているものがあるのが実情であるというふうに答えているわけですね。労働者側は具体的にレーダーの性能のよいものにかえてもらいたいということを言っているわけですから、これに答えればいいのですよ。ところが、いま言ったように、わかったようなわからないような返事をして逃げているというのが実情です。  二つの例をあげましたけれども、このいずれも事故が起こりやすい問題で、当然会社が受け入れてしかるべきものだと思うのです。こうした構造上の問題や労働条件等、労働環境が主たる要因となって事故が起った場合、だれが過失の罪に問われるのか、この点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  95. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  先生がただいま例をあげていろいろと御指摘になりました日本航空の乗務員の人たち会社の管理者の人たちとのいろいろなやりとり、ただいまわれわれあらかじめよく承知しておる問題もあり、またそうでない問題もあり、いま伺わせていただきました。基本的にはここで問題にされておりますのは、乗務員の労働条件の改善という観点からの労働組合と日本航空との話のようでございますが、当然にそのことは、日本航空という日本の定期航空運送事業の業務の安全確保という問題につながることであろうと存じます。  私どもといたしまして、一昨年日本航空におきまして、当時もたびたび事故を続発いたしました後に、このような事故が偶然であるかどうかは別として、事故が多発するところには何か会社としての根本的な何がしかの体制に改善すべき点があるのではないかという観点から、当時総点検と申しますか、行ないまして、その結果、日本航空のいわば労使関係にも一つのポイントを置きまして、それで管理者と労働者、従業員との関係が常に円満にお互いにものが言えるような零囲気というものをつくり上げることが、これがひいては、もちろん他のいろいろな要素もございまするけれども航空業務の安全に大きく寄与するのではないかという点を私どもとして痛感をいたしまして、そのような趣旨を日本航空指摘したという事実がございます。  ただ、ただいまいろいろと御指摘になりました二つの例として、乗務員を東京に駐在させないで、相当の人数を、たとえばアンカレッジとか、ローマとか、そういうところに常駐をさせまして、そこを中心に往来する日本航空飛行機に常務をさせる制度と、それから東京に乗務員を常駐させまして、そうしてそれがたとえばアンカレッジに行くフライトの乗務を行ない、アンカレッジで労働協約あるいは規定に定めた休息時間というものを二日なり何日なりをとりまして、その次のフライトに乗務して、次々と、自分の家は東京に置いておいて移動していくような乗務のやり方、そのいずれにつきましても、私どもは乗務員の休憩時間、乗務時間を含めまして、その時間表を航空局といたしましてチェックをいたしまして、そうして安全上支障がないと認めて認可しておるものでございます。  その駐在員の数をかつて多くしておってただいま少なくしておるとお読み上げになりましたように、一つ考え方一つの観点からいたしまして、あるいはその駐在員をアンカレッジに置くというやり方については、それはそれなりのメリットがあると存じます。で、御指摘になりましたような変更がどのような理由で行なわれたかにつきましては、私ただいまはっきり明確に理解をして御説明する知恵がございませんけれども、いずれにいたしましても、一つの想像に、DC8機が就航しておった時代と、ただいまのほとんど大部分の日航機がそのルートでボーイング747型が就航しておるという事態と何らかの関係があるかもしれませんけれども、いずれにせよその点について私は明確な御説明を申し上げる知識を持っておりませんが、ただいま行なわれております乗務員の乗務体制というものは、航空局法律に基づいてチェックをいたしまして、そうして安全上支障がないと認めて認可したものであることは申すまでもございません。  また、飛行機に装備するレーダーの性能の向上ということにつきまして、労働組合と会社の間でいろいろと話が行なわれているというお話もただいま承りました。で、いまもお読み上げになりましたように、一般論として新しいものがよりいいということが言えるのかもしれません。ただ、ここいらが、はたしてある一つの事例を取り上げまして、このほうがより安全だからこれはこうすべきだというふうに、行政官庁の私どもがほかのいろいろな事情というものに検討を行なわずに、いま直ちにいいとか面心いとかいうことを申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。  最後の過失云々の問題につきましてはまた別の御説明があると存じます。
  96. 安原美穂

    ○安原政府委員 私が答えられますことは、この法案の第五条の過失の刑事責任あるいはこれに通常随伴するであろう業務上過失致死傷の責任の問題としてお答えを申し上げるわけでありまするが、この過失責任の対象になる者といたしましては、直接に航空機を操縦するパイロットのみならず、直接間接に航空機の交通に関係する業務に従事する者についてこの過失責任ということは考えられると思うのでありまして、その場合におきまして、いま御指摘のように労働条件が過酷であった、そういう労働条件でなければこういう事故は起こらなかったのであろうというような因果関係のある場合でありまして、そういう労働条件を設定する者に、注意すればそういう結果が予見できたというような困果関係、あるいは航空機の整備をはかる者につきまして、十分な整備をすればこういう事件が起こらなかったであろうという因果関係が立証できます場合において、その整備の責任に当たる者というものにつきまして、やはりそういう結果の予見ができる状態であったとすればそこに過失責任が生ずるということは理論的には考えられるわけでありますが、過失問題というのは非常にむずかしい問題で、実際に具体的に当てはめる場合には、因果関係の立証自体が非常にむずかしゅうございますので、法律で抽象論としては申し上げますけれども、なかなか立証のむずかしい問題であることも御理解いただきたい、かように思います。
  97. 平田藤吉

    平田委員 いまのお話を承っていまして、やっぱり構造上の欠陥というやつは十分考えられるのですね。あのモスクワ事故にしたって、事故が起こる前に問題がカナダで指摘されているにかかわらず、スポイラーがロックされるようにできていない。事故が起こって見解が出されてからあわててスポイラーがロックされるように手だてをする。もともとロンクされてさえいれば——スポイラーのせいだということ自体問題があるわけですよ。私はそう思っている。いずれこれは裁判でも立証されていくだろうと思うのです。しかし、スポイラーに問題があった、それを引いたからだという結論によしんば立ったにしたって、それがロックされるようになっていればああいう事故は起こらないのですよ。ですから事前に改善できるものはどんどん改善しておくべきだというふうに私は考えるわけです。  時間の関係で次の質問へ移りたいと思います。  四十八年十月三十日に新潟上空で起きた全日空東亜国内航空の旅客機同士のニアミスが発生しているわけですが、このニアミスは原因が何だったかをお聞かせいただきたいと思います。   〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕
  98. 浜田幸晴

    ○浜田説明員 四十八年の十月三十日新潟のNDBの上空付近で起こりましたこの異常接近につきましては、富山空港を離陸いたしまして新潟、大子を経由して東京に参ります全日空のYS11が、新潟の上空で右旋回中に、たまたま新潟を離陸してやはり同じく東京に向かいますところの東亜国内航空ボーイング727型機を近くに発見して、衝突の危険を感じて回避操作を行なったという件でございます。ただ、この件につきましては、調査の結果、東亜国内航空ボーイング727型機は新潟上空をほぼ一万四千フィートで通過したということが推定されまして、したがいまして、一万二千フィートで巡航中のYS11との間に約二千フィートの上下間隔がございましたので、本件は異常接近ではないと判断いたしました。  ただ、この調査の過程におきまして、管制上のふぐあいが発見されたわけでございますが、これは富山空港を離陸いたしました全日空のYS機は有視界上昇、気象状態が当時よろしゅうございましたので、離陸後直ちに航空路に入るというような上昇方法をとったわけでございます。したがいまして、気象条件が悪いときの、通常富山リバーサルと申しております上昇経路をとる場合に比べて十分間新潟上空に到達する時間が短くなったわけでございます。この点に関する内部の連絡が不十分であったために、高度差が二千フィートございましたので異常接近にはなりませんでしたが、新潟ビーコン上空付近においてほぼ同時刻に同地点を通過するというふぐあいが生じたわけでございます。
  99. 平田藤吉

    平田委員 当時の新聞報道によりますと、ニアミス発生直前に東京管制部の中部北陸セクターの受け持ち範囲内に一度に二十二機もの航空機が飛び交っていて、この管制官が多忙なため、隣の新潟上空を受け持つ東北担当部の管制官に連絡できずにいたことがニアミスの原因だというようにいわれているわけです。この原因の解釈は、管制官の能力をはるかに越えた忙しさをつくり出している空の交通ラッシュに問題があると思うのですけれどもどうなのか。また、こうしたことにどのような対策を運輸省はとっているか、お聞かせいただきたい。
  100. 松本操

    松本説明員 お答えいたします。  十島二十日の十一時十一分にただいま安全監察官から申し上げましたようないきさつで事件があったわけでございますが、その三十分前の時間に中部北陸セクターの管内に存在しておりました航空機が二十一機あったわけでございます。それからちょうどその問題が起こりました前後の航空機の数は十八機でございました。したがって十八機または二十一機という数を扱っておったのが中部北陸セクターでございますが、それを受けたほうは東北セクター、新潟は東北セクターの管轄でございますので東北セクターがこれを受けたわけでございます。中部北陸セクターの担当管制官は東北セクターの担当管制官に対してこれをインターホンでまず通知をしようとしたわけでございますが、たまたま今度逆に、東北セクターの、こちらのほうは別にトラフィックがそう多かったわけではないのでございますが、たまたまそのインターホンをかけましたときに、東北セクターの担当管制官が別の電話に出ておった。そのためにリングは鳴ったのでございますけれども受話器をとることができなかったので、もう一度かけようということで一たん切った。再びかけようと思っていたのだけれどもついそれを失念した、こういうことが直接的な原因でございます。   〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕  したがいまして、中部北陸のほうで二十一ないし十八という航空機が存在したということが担当管制官を非常に強く支配をいたしました。そのためにあとでかけようと思ったのを忘れたのではないか、こういう議論が一応成り立つかと思います。  その点につきまして私どもも非常に重大な問題だと考えましたので、実はそのしばらく前から、特に中部北陸セクターでどのくらいの飛行機までなら扱えるのかということをいろいろと実験をいたしておりました。その結論をもとにいたしまして、十八ないし十九機というのがどうも限度のようであるということから、ややこれを低目に押えようということで、一時間に発着する機数が十八機をこえるおそれがある場合にはフローコントロールをかけて何がしかの手段をとる、こういうことをさっそく実施をいたしました。現在すでに実施に入っております。昨年の十二月から、このフローコントロールのルールを実施に移しておりますけれども、現在までのところは、フローコントロールを実際に発動しなければならないような事態は起こっておりません。  それからもう一つの問題といたしまして、あとでかけようと思ったというふうなことはよくありがちでございますけれども、やはりそれは管制官の反射動作と申しますか、一つの訓練によってそういうことを失念しないようにする必要があろうかということで、これについては十分な訓練をその後継続をいたしますとともに、通信のふぐあいという点、つまりパイロットと管制官との間に直接通信がとれておればもう少しやりやすかったのではないか、こういうふうなことも考えられますので、四十九年度の予算で、新潟に東京管制部のほうから直接パイロットと交信のできるような遠隔対空通信装置をつけるということで、予算をお願いしているような状態でございます。
  101. 平田藤吉

    平田委員 いろいろ対策をとられているようですけれども東京航空交通管制部の月間一日平均の交通量、どの程度になっているのか。民間機と軍用機の区別で見るとどの程度か。四十四年から四十八年までの間の、一月の平均量でいいと思います。ちょっとあげてみてくれますか。
  102. 松本操

    松本説明員 お答えいたしますが、手持ちしております資料が一日平均というふうにこまかく出してございませんので、ちょっと暗算で申し上げて恐縮でございますが、昭和四十四年、これは暦年でございます。約三十九万七千機のトラフィックが東京管制部内にございました。この三十九万七千機のうち三十一万七千機が民間機でございます。それから七万九千機がその他、これは自衛隊、米軍というふうに御理解いただいてよろしいかと思います。でございますから、三百六十で割りまして、大体一日千何百機という程度のことであろうかと思います。  四十八年につきましては、最終的なデータの整理がまだ終わっておりませんので、概数でございますが、トータルの数が四十二万五千機でございます。四十四年に比べまして、大体二万七千機程度ふえておりますので、三十九万七千に対する二万七千でございますから、七%か八%程度であろうかと思います。これを民間とその他に分けますと、民間機が三十八万機、その他が四万四千機でございます。年間四十二万五千でございますから、三百六十でかりに割りまして、一日千四百機程度であろうかと思います。四十四年に対する増加率は七、八%、こういうふうになっております。
  103. 平田藤吉

    平田委員 いまの概略の数字でも、交通量が減るどころか増加の傾向にあるというのがはっきりすると思うのです。ニアミスの発生した中部北陸地区は自衛隊の航空基地が幾つもあるわけなんですね。そして全国の管制担当区の中でも、最も自衛隊機の発着が多いところなわけです。しかも裏日本は、直接航空機と交信できないで、レーダーも届かないというふうに言われております。航空機の位置の計算を出すだけでも大仕事だというふうに言われているわけで、こういう状況の中でニアミスが起こっているのですね。ですから、交通量の増加や基地の多くあるところでの管制区では、十分な安全体制が設けられなきゃならないのだけれども、その点一体どうなんだろうかということと、それから先ほども四十九年度予算でというふうに言われましたが、四十八年度予算で定員増が行なわれて、レーダーのほうにも何とかしなきゃならぬということが早くから言われていて、おくれているわけですね。ここら辺にも、何かやはり安全対策上に欠けるところがあっておくれているんじゃないかというふうに思うんだがどうだろう。この二点について……。
  104. 松本操

    松本説明員 まず第一点で御指摘のございました、トラフィックの伸びに対してたとえて申すならば管制官の数、そういったような点でどのようになっておるのか、こういうことでございますが、先ほどトラフィックのほう概数で申し上げましたと同じような形で管制官の数を申し上げますと、管制官は四十四年に百八十一名の定員でございましたが、四十八年に二百五十五名になっておりますので、約五〇%の増加ということになっております。ただしかし、管制の仕事というのは、数だけそろえればよろしいということではございませんので、当然管制官の能力の増加と、それから最新式の施設を使わせてやるということが必要になってまいります。そのために、現在東京管制部におきましては、関東の北及び南、これにつきましてレーダー管制を実施しておりますが、さらに中部北陸セクターの中で先ほど軍用飛行場が多いというお話もございましたけれども、実は緑の四号、グリーン4と呼んでおります航空路のトラフィックが一番多うございます。現在の箱根にございますレーダーは、このグリーン4を大体名古屋の手前辺までカバーをしておりますので、このグリーン4についてレーダーの管制が部分的にできるように処置をしようということで、定員的には四十八年に措置を終わりました。しかしこのためには、管制のマニュアルをはっきりつくりまして、要員の訓練をし、慣熟をした後に実行に移す必要がございますので、そういう点で実施は四十九年度になってからではなかろうかというふうに考えておりますが、構想といたしましては、いま御指摘のございました中部北陸のセクターについて部分的レーダー管制ができるような措置をした、こういうふうな次第でございます。
  105. 平田藤吉

    平田委員 航空管制の安全を考える上で必要なことは、何といってもいま言われておりますように、レーダーや通信などの施設の整備が非常に大事だと思うんです。第二次航空整備五カ年計画では、長距離の航空路監視レーダーの増設、それからレーダー情報自動処理システムの採用、また幹線航空路の複線化のための航空保安無線施設の設置計画、そして管制遠隔対空通信施設の整備などが計画されているわけですけれども、この計画は、いままであまりにも不十分だったレーダーや通信などの施設を、ようやく整備することができるという性格のものだろうというふうに思うんです。なぜなら、航空機は、御承知のようにますます大型化してきているわけです。そしてジェット化してきておりますし、スピードや高度においても、従来のペロペラ機の管制の範囲ではとても間に合わない事情にあるんだというふうに思うんです。したがって、これらの施設の整備だけで航空管制が安全だとは考えられないわけです。当然交通量の適正な基準が設けられて、この範囲に交通量を制限することが必要だというふうに思うわけです。この点について、一つはお答えいただきたい。それから一定の交通量をこえた場合、離陸予定機を地上で待機させる。先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、こういう交通規制、これは先ほどのお話ですと、フローコントロールというふうに言われておりますけれども、これは現在東京管制部ではどの管制地区でも行なわれていないというふうに私聞いているんですよ。このフローコントロールをするためには、まず第一に管制官が安全かつ適正な業務量で仕事ができるような基準が必要だと思いますね。この基準を設けるのが第一のことだと思うのだけれども、適正な業務量という、この適正な業務量の基準を全体でどのように設けられているのか。また、検討されたことはあるのかどうか。それから、その科学的な基準を設けているのかどうか。まあ管制方式基準では、ここでは業務量を定めなければならないというふうに規定しているわけですけれども、アメリカなどでは設けられているようなんですね。この点について、基準がどのように設けられているかをお聞かせいただきたいのが一点。それから、問題の、業務量の集中する中部北陸セクターは、ニアミス事故以降フローコントロールを設けられて、その基準は三十分間に十八機までの交通量しか認めないというように言われているわけですけれども、これは現在実施されていないようですな。先ほど、こういうふうにやっておりますというふうに言われましたけれども実施されていないようですね。フローコントロールをする管制官の増員が認められていないからそういう結果になるんだというふうに言われております。この問題は、航空安全に対する航空行政の立ちおくれ、手抜きの実態を示しているんじゃないかというふうに思うわけです。空の過密によって生じた航空の危険を、管制官への業務量の増大というしわ寄せでみずからの行政の責任をのがれることはできないだろうというふうに思います。まず、管制官が安全かつ適正な業務を行なえるような具体的な基準を設けることが必要だと思います。そして、この基準をこえる交通量は規制するのが当然だと思います。そのための基準を設けることを検討すべきじゃないかと思うのです。  その科学的な基準というのは、管制官の疲労度、管制区の空域の広さ、管制官と航空機との通信回数と時間、そして航空機のスピードなどのおのおのの要因を十分に検討したものでなければならないと思うのです。また、管制業務の改善の手段として、管制区の分割、それからレーダー管制などを行なうというふうに言っておりますけれども、管制区の分割を行なう上でもこれらの基準を設けることが必要であるというふうに考えます。そして、この交通規制を実現するための各セクターごとの定員の増加をはかるべきだと思うのです。これらの点について、お答えいただきたい。
  106. 松本操

    松本説明員 非常にたくさん先生おっしゃいましたので、あるいは私あわせてお答えするようなことになるかとも思いますが、現在、管制の取り扱い機数に対してどのような基準を設けて、それによって行なっていくかという点につきましては、非常に混雑度が高いと一般にいわれております東京国際空港大阪国際空港につきまして、一時間当たりの取り扱い機数、三時間連続の取り扱い機数、一日の取り扱い機数、こういう三段階に分けて実は規制をしております。  なぜこのような三段階にしたかと申しますと、一時間の発着回数というものはほぼ理論的に出てまいりますが、それを連続してやっておりますと、管制官の疲労度が蓄積をいたします。当然そこに山と谷がないと、管制官がかなりくたびれるということがございますので、三時間連続の機数をやや低目に押えるというふうな措置をとりました。さらに、一日の総数というものは、全体的に見まして待ち時間の、つまりコールドをかけられる時間の平均が十分をこえないということをめどにいたしまして、一日の取り扱い機数を、たとえていえば東京国際空港は四百六十機、こういうふうに定めてあるわけでございます。  ただいま申し上げました管制官の疲労度というものを、しからばどのように客観的に判断するかという点につきましては、四十二年から三年にかけまして、東京管制部において労働科学研究所が一つの実験をいたしております。その実験は、管制官が対空通信をいたしますときに、その管制官の脈搏の数と、それから扱っております飛行機の数、それが一定時間に何機扱ったか、それから一定の時間の間に何分間パイロットと話しておったか、こういうふうな数字の相関関係を求めました。その結果、六五%の通信負荷率、つまり、かりに一分といたしますと一分間のうち約四十秒、この間をパイロットと話しておるという状態になった場合には、管制官の脈搏数の増加が通常の作業をするのには支障があるのではないかと判断される程度までふえる、こういう結論が得られたわけでございます。  私どもはこれを一つのめどといたしまして、先ほど申し上げました中部北陸セクターの三十分十八機というような数字も、これを六〇%に押えました。六〇%になった場合に評価五ということで相当回数にわたって実験を繰り返した結果、先生おっしゃったように三十分十八機、三カ所のフィックスに対して積み上げられましたストリップの数が十六、こういうことでめどをつけたわけでございます。現在東京管制部におきましては、関東セクター、中部北陸セクター及び近畿セクター、この三カ所に、多少数字は違っておりますが、ほぼ似たり寄ったりのフローコントロール基準というものものができております。それを実施いたしておりませんのは、これはあえてしていないわけではございませんで、現実のトラッフィックの数が、そろそろかけようかな、十八になってきたな、こういうときにちょっと模様を見ているとまたすうっと下がるというふうなことのために、現実のトラフィックの数が十八、十九というふうに単調にのぼっていくという傾向を示さないというふうなこともあって実施をしていない。この数字は実は御承知のように、東富管制部はコンピューターですべての飛行計画を処理しておりますので、コンピューターのほうも自動的にはじき出してまいります。向こう三十分に何機出てくるという予想数字を出してまいります。したがいまして、主管と呼ばれておりますスーパーバイザーでございますが、この管制官がその数字と現実に前に置いてありますストリップの数を見ながら、これならあぶないぞというときには直ちにフローコントロールがかけられるように、その場合、どういう手続でするかというふうな点については、すべて詰めを終わっておりますので、先生指摘ではございましたけれども、あえてしていないということではございませんので、御了解をいただきたいと思います。  それから最後に、こういったような管制の近代化というものを進めていきます場合に、官制官の数をただふやしたのでは実はうまくいかない面がございます。私どもはまずレーダー化するということに最大の眼目を置きました。次に、一つのセクターに何人を配置するかというのは、たとえばマニュアルセクターは三人、レーダーセクターは四人というのが互いに協調動作する場合には大体よろしい数字かと思いますので、その三人なり四人なりで扱える数字というものを出して、それ以上にふえた場合にはセクターのほうを分けてしまう、こういう考えでございます。ただ、セクターをあまりに細分化いたしますと、今度はセクター同士のコーディネーションが要りますので、管制官はよけいな労働がかかります。そこで、いま私どもが考えておりますのは、この近代化計画に従いまして管制部を移転し、全国をおおいます八つの長距離監視レーダーができましてレーダー管制ができる時点をおおむねのめどといたしまして、レーダーセクターというものをつくる。そのレーダーセクターをつくります場合に、先生指摘のございました空域のありよう、それからトラフィックの実態、こういうものを勘案して、現在の九セクターがおそらく十とか十一とかそういうふうな数にふえていくのではないか。その実態はもう少しトラフィックのありさまをよく調べた上で具体的な数字は出していただきたいというふうには考えておりますけれども、セクターの分割という点についてそういうやり方で対処していきたい、こういうふうに考えております。
  107. 平田藤吉

    平田委員 いまお話を聞きまして、やはり十分検討される必要があるだろうというふうに思います。管制官の労働の量、密度を十八機か九機ぎりぎりまでのところに限界を置いて、これまでいっていないから、この以内ならばというような形でやられていますけれども、やはりゆとりを持って見ていかれる必要があるだろう。今後こういう事態の起こらないように、最善を尽くされることを要求して私の質問を終わります。
  108. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、沖本泰幸君。
  109. 沖本泰幸

    沖本委員 できるだけ簡潔に御質問したいと思いますが、要は法律に関する問題でございますので、質問が考え違いした質問を起こすかもわかりません。御担当のほうで適当に内容をしんしゃくしていただいて御答弁願いたいと思います。  航空法第百三十八条の罪の成立要件、こういうことで愛知外務大臣の訪ソ訪米阻止羽田空港事件一審の判決があったわけですけれども、この中に「本判決は、本件の特異性を示す航空法の解釈問題について裁判所の見解を示した最初のものといえよう。」という点から、「本件における航空法の解釈問題というのは、羽田空港滑走路上に火炎ビンを投げつけて燃えあがらせ、ビンのガラス破片を滑走路上に散乱させたことが、航空法一三八条の「飛行場の設備若しくは航空保安施設を損壊し、又はその他の方法航空の危険を生じさせた」場合に該当するかどうかである。」こういうことになって、「本判決は、右航空法一三八条の罪の構成要件中「その他の方式」というのは行為の形態において「損壊」に準ずるものばかりでなく、行為の危険性において「損壊」に準ずるものを含み、被告人らの右に掲げたような行為はその危険性において「損壊」に準ずるものであるから右にいう「その他の方法」にあたるとし、また、「航空の危険を生じさせた」の「航空の危険」とは「事故発生の可能性ある状態」をいい、同条の罪が成立するためには「事故発生の可能性ある状態」を作り出すことをもって足り、現実に事故が発生することを要しないのはもとより、事故発生の必然性ないし蓋然性も要しないとし、その「事故発生の可能性」の存否は、それが規範的な概念であることにかんがみ、自然科学的な検討にとどまらず、健全な通常人や航空関係の業務に従事する職業人の認識・経験に基づく検討の結果をも綜合して決すべきであるところ、本件の場合は健全な通常人の認識・経験によると、専門家の鑑定的意見をまたず、事故発生の可能性ある状態が作り出されたと見るべきことが明らかであるとした後、専門家の鑑定的意見に検討を加え、一名を除く他の三名の意見を採用しているのである。そして、弁護人が本件は航空法一三八条ではなく同法五三条違反の罪に該当するに過ぎないと主張したのに対し、同法五三条違反の罪は抽象的危険犯、同一三八条は具体的危険犯で、本件は右のような規定の解釈上後者に該当するとして弁護人の主張を排斥したのである。」こういうふうに出ておるわけでありますが、この法案第一条の「その他の方法航空の危険を生じさせた」ということは、これと関連しましてどういうふうな解釈を生じてくるのか、御説明願いたいと思います。
  110. 安原美穂

    ○安原政府委員 いま沖本先生お読み上げの東京地裁の四十八年十二月二十六日の判決は、まさにこの法案を提出する政府当局の見解と全く同じでございまして、「その他の方法」ということは、きわめて抽象的でございますが、ここにこの判決指摘しておりますように、行為の態様のみならず、その危険性において「損壊」に準ずるもの、というのが抽象的な「その他の方法」のワクであるというふうに考えておりまして、具体的には、けさほども説明を申し上げたのでございますが、「その他の方法」といたしましては、航空保安施設への送電を停止するとか、航空保安無線の施設の効用を阻害するような電波の発射をするとか、あるいはけさほど御質問のありましたような虚偽の情報、時限爆弾を航空機にセットしているなどという、虚偽の情報を通報するなどいろいろなことがございますが、要は「その他の方法」は「損壊」に準ずるような事故発生の可能性のあるような危険のある方法ということになると思います。
  111. 沖本泰幸

    沖本委員 「航空の危険を生じさせた」というのは、航空機の衝突、墜落、転覆あるいは覆没、破壊等の実害を発生すべきおそれのある状態を発生させることをいう、というふうに考えていいのか、その実害が現実に発生したことが必要なのか。一般的な可能性について、どう考えればよろしいのですか。
  112. 安原美穂

    ○安原政府委員 いま御指摘のように具体的に事故が発生する必要はないわけでありまして、そういう事故の発生の具体的な危険ということでよいわけであります。抽象的危険ではなくて具体的な危険というのはそういう意味でございます。
  113. 沖本泰幸

    沖本委員 「その他の方法」の中に虚偽の情報の通報が入っているということになりますけれども、ハイジャック法第四条の、偽計を用いて「航行中の航空機の針路を変更させ、その他その正常な運航を阻害した」行為と、本法律の第一条とは、どういうふうな関係性にあるわけでしょう。
  114. 安原美穂

    ○安原政府委員 お答えいたします。  いわゆるハイジャック法第四条の運航を阻害するという規定は、この阻害の直接の対象はいわゆる航空機の機長の運航支配権、管理権に対する侵害であるというふうに考えておりますが、いま御審議を願っております法案の第一条の「航空の危険」というのは、いわば飛行機の交通の安全に対する阻害という意味におきまして、法益の侵害の対象が違うという意味におきまして、いわゆるその他の方法をもって航空の危険を生じさせるという犯罪の成立と同時に、場合によりまして、先ほどの虚偽の通報をするというようなことで、機長のいわゆる運航支配権を侵害するというようなことで進路を変更させるということになれば、同時にまたこのハイジャック法の第四条の違反にもなる。そういう意味において、一個の行為にして数個の罪名に触れることとなるという解釈をとっております。
  115. 沖本泰幸

    沖本委員 この法案の第二条の「航行中の航空機」は、「すべての乗降口が乗機の後に閉ざれた時からこれらの乗降口のうちいずれかが降機のため開かれる時までの間の航空機をいう」と定義が置かれておりますけれども、一方ハイジャック法の第一条の「航行中の航空機」については定義が置かれていないことになっておりますけれども、これは両方とも同じと考えていいんでしょうか。その点いかがですか。
  116. 安原美穂

    ○安原政府委員 結論から申しますと、本法案の第二条の「航行中の航空機」は、先ほど沖本先生指摘のように、「すべての乗降口が乗機の後に閉ざされた時からこれらの乗降口のうちいずれかが降機のため開かれる時までの間の航空機をいう。」ということで、原則として、航行中ということはハイジャック法におきましても同じでございますが、ハイジャック法の場合におきましては、さらに不時着の場合の規定の解釈が——本法案におきましては、不時着の場合であろうと何であろうと、先ほど申し上げましたように、航空機の乗降口のドアが閉ざされたときから、乗降口のうちのいずれかが降機のため開かれるときまで、つまり不時着の場合におきましても、乗降口のいずれかのドアが開かれましたら航行中ではなくなるという解釈でございますが、ハイジャック法につきましては、その点不時着の場合におきましては、モントリオール条約の第二条のa項に規定されておりますように、「不時着の場合には、権限のある当局が当該航空機並びにその機内の人及び財産に関する責任を引き継ぐ時まで、飛行中のものとみなす。」というモントリオール条約第二条a項の規定の解釈をとりまして、いわゆるハイジャック法におきましては、不時着の場合には、いわゆる権限ある当局、具体的にいえば警察当局が、その機内の人及び財産に関する責任を機長から引き継ぐまでの間は、航行中であるという解釈をとるという点が、不時着の規定の解釈の場合におきまして違うわけであります。と申しますのは、先ばしるようでございますが、本法案の第二条の場合におきましてハイジャック法より狭く解釈するというのは、ハイジャック法の場合におきましては、いわば機長の運航管理権を排除するというところに問題があるわけであります。つまり、密室のような、警察力の庇護から離れた段階においてその航空機を支配するというところに、ハイジャック法の防がなければならない事態があるわけでございますので、そういう場合は、不時着の場合におきましても、権限ある警察当局が人及び財産に関する責任を引き継ぐまでは、やはりこれを守る必要があるという意味におきまして、本法案のように単なる人命の死傷あるいは航空の危険という法益とは違う意味合いがございますので、ハイジャック法ではやや広いという違いがあるということでございます。
  117. 沖本泰幸

    沖本委員 ハイジャック法を審議しましたときには、「離陸のためのエンジンの作動開始のときから、着陸のための滑走が終了する時点まで」、当時はそういう解釈をしておられたわけですけれども、その後、この法律に出てくるような解釈に変わったような感じがするのです。これは結局ヘーグ条約の中身が入ってきたというふうな御説明を聞いたんですけれども、これはただ、いままでハイジャック法のときに審議した解釈を、ヘーグ条約で定義が出てきたので、それをそのまま入れるという方向に変えたのか。それを入れる根拠は、どういう解釈から入れる根拠に変わったかという点をお伺いしたいと思います。
  118. 安原美穂

    ○安原政府委員 これはいま御指摘のとおり、ハイジャック防止法、つまり飛行機の強取に関する法律ができましたときには、まだヘーグ条約ができておらない段階でございまして、いわば東京条約の段階で、わが国にすでにハイジャックが起こったというような事態をにらみまして、あの法律をつくったのでございますが、国際的にヘーグ条約というのでハイジャックを防止するという条約ができましたときに、この「飛行中」の定義が、最初にわが国の国内法としてのハイジャック法をつくったときよりも広い解釈を条約がとったということにならいまして、その批准国であるわが国としても、その解釈を変えるべきであるということに相なったわけでございます。そのことは、第六十五回国会の衆議院の外務委員会でヘーグ条約審議のときに、政府当局としての見解を修正しておるわけでございます。
  119. 沖本泰幸

    沖本委員 第一条の中の「損壊」あるいは第二条第一項、第三条第一項の「破壊」及び第三条第一項で「航行の機能を失わせる」というものの関係性はどういう関係になっているか、御説明願いたいと思います。
  120. 安原美穂

    ○安原政府委員 第一条、第二条、第三条に、「損壊」とか「破壊」とかあるいは「航行の機能を失わせる」というような文言が使われておるわけでありますが、立案当局といたしましては、「損壊」というのは、航空機自体を物理的、有形的に変更することによりまして、航空機の機能の全部または一部を失わせることだというふうに理解しております。  それから「破壊」というのは、同じようなことばでございますが、その損壊のうちで特に有形的な変更の大きいものをいう。相当大きい損壊を破壊ということばで理解するということでございます。  それから「航行の機能を失わせる」というのは、損壊その他の方法によりまして航行の機能の全部を失わせることをいうという解釈をしておりまして、これは必ずしも物理的、有形的な変更以外の、たとえば妨害電波を発するというようなことによって航行の機能を失わせるというようなことも入るのだという理解をしておるわけであります。
  121. 沖本泰幸

    沖本委員 さっきに戻りますけれども、ハイジャック法の各処罰規定は、間接的に犯罪の発生を防止するという目的があるわけですけれども、そのためには直接な効果がない場合もあるわけです。航空機における犯罪は国内だけの問題じゃなく国際的であるという考え方に立てば、発生後の処置だけでなく、事前の防止策も考えなければならないことが国際的に考える考え方ではないかと考えるわけでありますけれども、そういうことにつきまして、情報の交換については、それぞれの国の間でどのように取りかわしていらっしゃるか。  乗客、荷物の検査、設備の統一化、これはこの間現実に行って、見て、いろいろ現場でお話を伺ってきたわけですけれども、特別の公安官を乗せるというのはかえって害があるといっておやめになったという点もあるわけですけれども、飛行中の機内でのこういうような問題に対して措置を講ずるには、限界が出てくるわけですね。旅客の安全を害する危険があるので、アメリカでもこういう問題はやめたという話も伺ったわけですけれども、条約締結国でない国家とか外交関係のない国家では、刑事制裁の履行を確保することは困難であるというようないろいろな条件が出てきます。これはすでに日本のハイジャックとかいろいろな問題で、個々の例はいろいろと出てきているわけですけれども、そういう関係について、いままでどういう方法がとられてきたか。あるいはまた、これからどういう方法をとってそういう問題の解決に当たっていくか。あるいは現在のこの法律と合わせながら、そういう問題は並行されていかなければならないと考えられるわけですけれども、その関係性というものはどうなっていくわけでしょうか。
  122. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  御質問のポイントは、わが国がただいまモントリオール条約の批准、それに伴う国内法の制定ということに努力しているわけでございますが、ハイジャック関係三条約の全部について批准国の数はまちまちでございまして、国によっていろいろと態様が違うわけでございます。それらの国も含めた国際的な今後の協力なり情報の交換ということについてかと存じます。御説明をいたします。  先ほども説明申し上げましたように、一つは、はなはだむずかしい問題かと存じまするけれども、ただいま国際社会に提示されております東京条約、ハーグ条約、そしてこのモントリオール条約の加盟国をできるだけ多くするための努力が一つあると存じます。先ほど御説明申し上げましたけれども、日本は昨年九月のローマのICAO総会におきましてそのような趣旨の決議案を他の二国と提案をいたしまして、全会一致で決議をしてもらっているというようなこともございます。事実上の問題としてドバイ、ベンガジで起こりましたハイジャックのケースのごとく、これはそのようなケースが起こりました場合に、あらかじめでき上がっている協定というものをいわば利用して問題を解決するということは不可能でございまして、これはその国とわが国とあるいは関係国との間の条約に基づかざる交渉ということでしか問題を処理する手段はないと存じます。  また、別の面でございますが、このようなハイジャック防止の考え方から申しますと、ここに御提案申し上げておりますような処罰の規定の整備のほかに、機内あるいは飛行機外における予防措置あるいは防渇措置といったようなことが問題になろうかと思います。特にこのハイジャックの予防措置につきましては、国際間の協力といたしましては、シカゴ条約に基づきます国際民間航空機構、俗にICAOと申します、このICAOにおきまして、関係国の専門家を集めて、このハイジャック防止のための飛行場における事前の予防措置についての俗にいうマニュアルというものを作成する努力をずっと重ねてきておりまして、その一応のものができ上がっております。ただし、これはあくまでもマニュアルでございまして、各関係国のそのような予防措置についてのいわば共通の努力目標というものを定めたものにすぎません。
  123. 沖本泰幸

    沖本委員 そうすると、いまの御説明の中で、大体めどというものがあると思うのですがね。成案を見ていく、結論をいつごろ出すかという、それなどはいつごろを目標に置いていらっしゃるかわかりませんですか。
  124. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  ハイジャックの関係についての国際間の協力ということにつきましては、常にこのハイジャック、現実にただいま起こっておりますハイジャックというものにまつわる国際間の政治的な考え方の相違というものがまつわってくるということはやむを得ない事情かと存じます。  そこで、先ほどはこの三条約の批准国をできるだけ多くするための努力ということを申し上げましたけれども、それが漸次加盟国が多くなってほぼ世界全域にまたがるということを軽々しく楽観的に予想することは、現在の事態でははなはだむずかしいように存じます。  また、先ほど申し上げました飛行場におけるハイジャックの予防措置のマニュアルの検討にいたしてましても、そのようないわば比較的小さなことの検討にいたしましても、やはりそこには現在の国際政治をおおっておりますいろんな政治上のものの考え方というものが入ってまいりまして、通常の国際間の討議のように円滑に進捗していないというのが残念ながら現状でございまして、いつごろになったらどのようになるのだろうといったようなめどを立てることははなはだむずかしいのが現状だと存じます。
  125. 沖本泰幸

    沖本委員 また法案の解釈についてお伺いいたしますが、第三条の、破壊行為について航行中を除き、航行の機能を失わせる行為について航行中ということを除いていない理由はどういう理由になるのか、御説明いただきたいと思います。
  126. 安原美穂

    ○安原政府委員 機能を失わせる場合におきまして、第三条の場合は「業務中」ということで広く、この破壊の場合と違いまして航行中の航空機を除いていない理由ということでございますが、「業務中の航空機の航行の機能を失わせる」先ほど申しましたように、機能を全般的に喪失させるというようなことが行なわれます場合には、通常の場合は第二条の墜落あるいは転覆というようなことになる場合が原則であろうと思われるわけでございまして、そうでないにいたしましても、第一条の航空の危険を生じさせるということになるわけでございますので、第二条あるいは第一条に当たらないで第三条に当たる場合ということになりますと、業務中の中で、しかも現実に航行、いわゆる空中に航空しておらなくて地上に静止しておって、しかもドアが開かれておらないという状態ということになるわけであります。そうなりますと、その航空機の航行の機能を失わせるということは必ずしも人命の損傷ということにはならないという意味におきまして、地上におりまして業務中の航空機の破壊ということと同様に、必ずしも人の死傷を来たすことにならないという意味におきまして同列に評価してもいいだろうということで、特に業務中の航空機で航行の機能を失わせる場合で第二条等に当たらない場合の規定としては、地上の業務中の航空機を破壊したというのと同様に刑を評価してもいいということで、この場合におきましては航行中の航空機を除かなかったというのが理由でございます。
  127. 沖本泰幸

    沖本委員 この法案の第六条に「刑法第二条の例に従う」こういうふうに出ておりますけれども、その「刑法第二条の例に従う」という意味はどういう意味合いで考えたらよろしいでしょうか。
  128. 安原美穂

    ○安原政府委員 刑法の第二条は、いろいろ罰則を列記いたしまして、このような罰則に当たる行為をした者は、日本国外において何人が行なっても処罰するという規定でございますが、この「第二条の例に従う」というのは、本法案にきめているような犯罪行為が国外で行なわれても、国籍のいかんを問わず処罰することにするというのが、この「例に従う」という意味でございます。
  129. 沖本泰幸

    沖本委員 外国人が外国において外国航空機を墜落させる等、直接わが国に全く関係のない場合まで罰則を規定されているという点についての解釈をお願いいたします。
  130. 安原美穂

    ○安原政府委員 御指摘のように外国人が——これは一面におきましては、モントリオール条約が、何人がどこで行なおうとこういう犯罪行為については、その者が締約国に来た場合においては、またはおる場合においては処罰しろという条約上の義務の履行ということもございますが、それ以上に、日本人が外国の航空機に対してやったというような場合には処罰する意味もございます。何よりも条約上の義務ということのほかに、この種の犯罪はやはり世界人類の敵とすべき行為であるということで、それを社会正義に基づいて処罰することにも意味がある。かように考えております。
  131. 沖本泰幸

    沖本委員 法案の中の点について、こまかいところは大体伺ったわけでございますけれども、ハイジャック法に規定する犯罪については、法制審議会で審議しておるわけですけれども、改正刑法草案に取り入れられてもおるわけですが、この法案に規定する犯罪についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  132. 安原美穂

    ○安原政府委員 いま沖本先生指摘のように、いま法制審議会で検討中の改正刑法草案の中にも、本法案に規定するような行為を交通妨害の罪ということで、現在の刑法自体は汽車と船舶、電車というようなものであるのを、航空機も含めまして交通危険罪あるいは破壊罪というようなものを規定しておるわけでございまして、そういう意味におきまして、将来法制審議会の答申のとおり改正をするということはいまだ政府としてはきめてはおりませんけれども、将来かりに刑法を改正するということがあるといたしますれば、一つの方向といたしましては、現行法のような規定を含めて刑法の中に航空機も含めて規定するという方向になっていくのではないかというふうに考えております。
  133. 沖本泰幸

    沖本委員 大体において質問を終わったわけでございますが——刑事局長もうけっこうでございます。この間いろいろ見学さしていただいたので、具体的なことについても少し触れておきたいと思います。  日航からきました訓練状況説明書によりますと、緊急脱出訓練は訓練台及び実機を使用して実施する。実機でモックアップにおける乗客誘導、脱出救助訓練、これはDC8あるいはボーイング747によって訓練をやっておるということが書かれておりますけれども、この間の、ジャンボの上から実際に脱出訓練をしておられた女子の職員の方に伺ってみると、初めてやったという説明がありました。ですから、乗務員でない職員の方であろうと思われるわけですけれども、そういう方々が周囲におる方で何人かいらっしゃったわけです。そういう点について、たとえば乗務員が乗客脱出させるための訓練をする場合には、当然その職員の方々なんかが乗客のかわりの役目を果たしたりということで実際は訓練が行なわれるんじゃないか、こう考えられるわけですけれども、そういう点から見ますと、もらった資料と実際訓練との関連性というものにちょっと疑いが出てくるわけなので、各社の脱出訓練状況というものがどうかという点と、また映画によっていろいろ見せていただきましたけれども、スチュワーデスはお客さんをぽんぽん肩をたたいて押すだけという点も見られたわけで、そういう説明もありましたけれども、そういう点について各社の状況がどうなのか、あるいはこの間御一緒にごらんになってお気づきの点についてどういうように改善していこうとお考えになっているか、その点お伺いしたいと思います。
  134. 中曽敬

    中曽政府委員 お答えいたします。  ああいう脱出訓練はすべての客室乗務員を含みますいわゆる乗務員、パイロットも乗務員でございますが、そういった飛行機に乗ります乗員についてすべて訓練をやるということになっておるわけであります。これは各社とも、日本航空に限らず全日空それから東亜国内航空についても同様でございますが、そういった一定の訓練を経なければ乗務できない、そういうふうなことでやっておるわけでございます。この間たまたまやりました訓練も、一応乗務員を対象にいたしましてやっておりまして、もちろん初めての人もあったわけでございます。初めての人が大半だったと思いますけれども、そういうことで乗員の実態を見ていただこう、こういうことでごらんいただいたわけでございます。
  135. 沖本泰幸

    沖本委員 運輸省のほうも実際にごらんになったのは初めてじゃないかと思うのですね。私たちと同じような考えにお立ちになったり、お気づきになった面も多々あるんじゃないかという点があるわけです。ですから、おそらく私が持ったような疑問と同じような疑問をお持ちだと思います。ただ今後、それは形式的に行なわれているということではなくて、おそらくハイジャック等いろいろな場面に遭遇したということを仮定したいろいろな訓練を行なっていらしゃると思われるわけですけれども、やはりドアがあいてシュートが出て八十秒ないし九十秒以内にドアから出る人たちをほとんど外へ脱出させてしまうという、制限された時間の中でやっていらっしゃるわけですから、やはり短い時間で端的にそれを行なうには、常時訓練してお客の扱いなり何なりに手なれていなければならないわけですし、一回やってみてそれだけで身につけて、あとは一切やらないで乗務員になっているという事柄ではないと思います、内容から考えますと。ですから、その辺は非常に重要な問題ではないかとわれわれは考えておるわけですけれども、その点について、十分内容を具体的に検討していただいてぐっと向上させていただきき、なにしていただかなければならないと思います。あの場所には実際の訓練台とかいうものはなくて、ほかのところにあるのだと思いますけれども、そういうものは十分チェックしていただいて、いつでも公表できて十分検討できるような状況に置いていただきたいと思うわけです。  それから、これは大阪でのお話があったわけですけれども、エックス線のレントゲン照射で凶器を持っているかどうかとチェックするあれなんですけれども、これは大臣にお伺いしておきたいわけですけれども説明によりますと、設備費というのは国と民間とが半々に出しているということですね。行った委員の中からも、わずかの金だからというお話もあったわけなんです。そういうふうな内容のものであり、非常に危険性を生ずるためにチェックをやっていくわけですから、そういう点についてはむしろ国のほうがはっきりした設備を国の費用でやっていただく、そのかわりそれを運営し管理していくのは民間と警察とでやっていってもいい、こういうふうに私は考えるわけですけれども、折半にしなければならないという、こだわる理由は全然私はないと思うのです。むしろそれは国のほうで十分研究していただき、より改善していただいたものでチェックにたえ得るだけの設備を整えていただくということにしていただきたいと思います。各国の状況を見てアメリカと日本が一番すぐれているというような御説明もあったわけですけれども、これは世界で一番すぐれてもけっこういいわけなんで、劣っていることがいい条件ではないと思います。大臣にその点をお答えいただきたいのと、それから国際線のほうでガードマンがボデーチェックをやって、私たちも実際にボデーチェックをやってもらったわけですけれども、とにかく自衛隊が制服を着てチェックしているように見えるわけです。一言もものを言わないし、無表情で突っぱっていて、そしてぱんぱんぱんとやっていくんですね。その辺は私はどうかと思います。まして国内線あたりのチェックに当たっているガードマンの方も、制服を着ますとどうしてもいわゆる警察権を持っておるような感覚にとらわれやすいのです。私自身も実際に見て知っておりますけれども、威嚇をしているような姿勢なり、無言のうちに威嚇的な動作になってみたりというものが見受けられるわけです。ですから、それは制服できちっと、うしろにちゃんと警察官がついてるわけですけれども、むしろチェックをさしていただきますというようにお客さんに協力を求めていく、お客さんもハイジャック防止のためにそのボデーチェックに応じましょう、こういうふうな相対したものが生まれてこなければいけない、私はこう考えるわけです。それがまるで警察の代役——警察といっても最近民主化されているわけですけれども、警察の代役みたいに威嚇をしていくというのは絶対いかぬ。そういうことのないためにうしろに警察官がついて前にガードマンがいるというシステムをとっていると私は考えるわけです。そういう点についてはもっと言語動作を丁寧にして、お客さんに協力を求めるということを認識されるようなチェックのしかたをやってもらわなければならないと私は考えるわけです。ですからハンドバッグでも、恐縮ですがあけて見せていただけますか、こうでなければならないのですけれども、ただぱっと指さしてあけろというふうな態度をとってみたりというのがよく見受けられます。そういう点は運輸省のほうで十分、ただ航空会社のほうにそういう連絡をするとか単純に指導をするという意味合いでなくて、具体的に現場へ行って、民主的に行なわれてお客さまから十分納得して協力を得られていくというものをはかっていただくようにしていただきたいのですが、以上の点について大臣からお答えいただきたいと思います。
  136. 徳永正利

    徳永国務大臣 訓練の問題は、これは飛行機と汽車、列車とを問わず十分指導して、乗務員の誘導が間違いのないようにできるように努力を積み重ねてまいりたいと思います。  それから飛行機の検査の設備費を国と折半でなく国で全部持てということでございますが、この点につきましても、いままでこれをやるまでにはいろいろな歴史があるようでございます。しかし、たいした金でもないようでございますし、許されることならば、できることならば国でひとつやってみたいと思いますが、これは予算編成の問題でございますから、一ぺん検討さしてもらいたいと思います。  それからボデーチェックがあまり威圧的ではないかということでございますが、協力いただく人は持っていないだろうと思いますし、持っている者をつかまえるんでございますから、いろいろやり方もあるだろうと思いますが、これまた専門家の意見等も十分聞きまして、どういう形がいいのか、制服着たのがいいのかあるいは普通の洋服を着たのがいいのか等につきましてもひとつ検討させていただきたいと思います。
  137. 沖本泰幸

    沖本委員 やはり容疑者をとらえたときは、犯罪事実があるかないかということでボデーチェックをやるのは、それは威圧的にやってもいいわけですけれども、そうではなくて一般の善良な国民なんですから、だからどうしても協力を求めていく、協力していただくという姿勢が——そのためにガードマンを置いているはずなんです。そうでなかったら警察官でやっていけばいいわけなんですから。ですからその辺のところがどうも私、考え違いをしていらっしゃるのじゃないか、こう考えられるわけです。その点をお考えになっていただきたいし、それと費用の点についてお答えがありましたけれども、やはりハイジャックについては危険防止のために国のほうがほんとうに力を入れているのだという姿勢を示すためにも、そういうものは国のほうで設備していくということが当然の理屈じゃないか、こう考えます。  それから先ほど平田さんの御質問にもありましたけれども、昨年ここへ各社の社長なり関係者を呼んで参考人の意見聴取と質問をしましたけれども、そのときに指摘をされたことあるいは約束したこと、あるいは改善しなければならない点について、当委員会でその後の状況なりまだ改善されてない何なりという状況報告していただくか、そうでない場合には報告書を出していただく、この点について委員長のほうでお取り計らいいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  138. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 ただいまの沖本君の提案に対しましては、後刻理事会で御相談をいたしたいと存じます。  次に、渡辺武三君。
  139. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 本法案はモントリオール条約の批准のための国内法整備ということでございまして、法案自身にはたいした問題はなかろうかと私は思います。したがって、関連する問題についてはいろいろありますが、また次の一般質問の機会に譲りたいと思いますので、法文中の若干の疑問点についてのみ御質問をしておきたいと思います。  この法案の第一条に書いてあるきわめて抽象的なことばで「飛行場の設備若しくは航空保安施設設」こういうことばがあるわけですけれども、これは具体的には一体何をさしておるのだろうか。「飛行場の設備」といってしまえば、飛行場周辺にあるさくも設備は設備ですから、具体的には一体どこまでをその範囲というものはさしておるのであろうかということでございます。
  140. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 第一条の「飛行場の設備」と申しますのは、これは特別の定義規定はもちろんここに出ておりません。飛行場の機能を果たすために必要な一切の施設、設備はここで申します「飛行場の設備」ということばに当てはまると思いますが、その損壊が航空の危険を生じさせるような蓋然性のあるものについて、特にたとえて申し上げますならば滑走路とかあるいは着陸帯だとかタクシーウエー、誘導路であるとかエプロンであるとか無線施設あるいは給油施設、そのようなものであろうかと思います。
  141. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いまのお答えによりますと、いわばすべての施設を含むのだ、しかし、それによって航空の危険を生じさせるようなものはいけないのだ、こういうふうにおっしゃっておるわけですが、ところが第三条にいきますと、これは「業務中の航空機」——「業務中の航空機」というと、先ほど来論議されておりますように、着陸してとびらがあいてから二十四時間、さらには出発前は準備行為に入ったとき、この間を「業務中の航空機」というようですけれども、つまり航空機自身の問題ですね。航空機自身の問題について機能を失わせたりいろいろな悪いことをして航行に支障を来たすような行為があった、そういう場合にはこの量刑を見ますと「一年以上十年」ということになっておりますが、先ほど御説明がありましたそういう飛行場の設備すべてを含むという解釈の中で行なわれようとしておる量刑は「二年以上の有期懲役」ということになっておるわけです。航空機自体に被害を与えようとする行為そのもののほうがむしろ私は航空そのものに対する危険を生じさせるということが大きいのではないかというふうに考えられるのですが、その辺に矛盾はございませんか。
  142. 安原美穂

    ○安原政府委員 先ほども説明申し上げたと思いますが、航空の危険を生じさせるということは、飛行機が衝突したり墜落したりあるいは火災が発するという意味において、人の生命、身体の死傷ということを生ずる具体的な危険のあることを意味するわけでありまして、そういう危険を生じさせるという場合が「二年以上の有期懲役」ということでございます。それに比べまして第三条の場合は、いわばこういう航行の機能を失わせる、あるいは業務中の航空機を破壊するといたしましても、それが人の死傷を来たす場合は、たとえば機能を失わせる場合におきましては、先ほど申しましたように、それが墜落とか転覆にわたるわけでありますから、第二条になるか、あるいは航空の危険を生じさせれば、この第一条に当たるわけでありまして、そういうことに当たらない場合という、つまり人の生命、身体に死傷を生ずるというような危険の具体的に生じない場合の機能失わせであり、破壊であるというふうに理解いたしますと、この「一年以上十年以下」と、かえって刑が軽いというのは理解できるというふうに私どもは思っておる次第でございます。
  143. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうすると、いまの御説明は、第一条は人の死傷までを含むという意味ですか。
  144. 安原美穂

    ○安原政府委員 先ほど申し上げましたように、航空の危険というのは航空機の衝突とか墜落とか火災の発生の危険性ということで、そういう場合には通常の場合において航行中であれば、人の生命、身体に対しての死傷というような結果の生ずるおそれが具体的にあるということでありまして、現実に死傷が生ずるということは必要でないというのが航空の危険ということの解釈でございます。
  145. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 追及すると、だんだんと答弁が変わってきてしまうのですがね。一条はそういうことで死傷の、直接及ばなくても、おそれがある。三条のほうだって当然おそれがあるわけでしょう。航空機そのものの直接の機能をいわば麻痺させるといいますか、失墜をさせるといいますか、直接航行にはあまり大きな障害を及ぼさないでも航空機のちょっとどこかをナットを、ボルトをゆるめておくとかいろいろなことがあると思う。そういうような航空機そのものに対してそういう手を加えた場合のほうがむしろ若干軽いのではないかというような感じがするのです、これを見ると。だから私は、一条には特別な何かあれがあるのかと思ったら、たいした問題はなくて、これは一条は航空機直接ではなくて飛行場の設備全部を含んでおる。にもかかわらず、そういうたとえば滑走路にちょっと石ころを投げ入れておいた、これも一つ行為ですね、そういう行為のほうが実は非常にきつい量刑が定められている、こういうふうに考えられるのですが、矛盾はございませんかね。
  146. 安原美穂

    ○安原政府委員 先ほども少し申し上げましたのですが、第三条に当たるような機能を失わせるという行為が第一条の航空の危険を生じさせるということになりました場合は第一条の適用があるわけでありまして、第三条の適用はない、あるいは第三条の航行の機能を失わせることが第二条の墜落させということになりますならば、第二条の適用があって第三条の適用がないという意味におきまして、ここに段階的に刑の重いものから軽いものがあっても別に論理的には矛盾ではないというふうに考えておるわけであります。
  147. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 言ってることが全然違うのですよ。第三条は航空機そのものなんでしょう。第一条は飛行場の設備なんですよ。だから私が一番冒頭に、設備とはどこまで含みますかということを質問しているのです。
  148. 安原美穂

    ○安原政府委員 誤解をいたしまして申しわけございません。第一条の読み方でございますが、飛行場の設備もしくは航空保安施設を損壊し、航空の危険を生じさせた場合、あるいはそういう損壊をしないでその他の方法航空の危険を生じさせた場合、これも入るわけであります。その他の方法航空の危険を生じさせた場合の一つの例として、飛行機を損壊して機能を失わせる第三条のような場合もあるということを申し上げたのです。
  149. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その他はいいです。その前の問題です。その他だけが二年以上の有期懲役に処せられるわけじゃないのでしょう。片方は「飛行場の設備若しくは航空保安施設を損壊し」とこうある。片方は航空機そのものをなぶった場合の量刑が書いてある。それには矛盾はないかということを聞いておるのです。
  150. 安原美穂

    ○安原政府委員 矛盾はないということを申し上げておるわけであります。第一条の設備を損壊しても、航空の危険を生じさせなければ、この重い刑罰に当たらない。第三条の場合、飛行機の機能を失わせるが航空の危険を生じさせない場合だということで、要は航空の危険を生じさせることのほうが重く処罰されるべきだという考え方でございます。
  151. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 航行の機能を失わせることが航空に支障がないかどうか、これは論議の余地があると思いますが、解釈では、航行の機能を失わしても飛行には差しつかえないのだ、こうおっしゃっておるのですが、私はその論理自身にも確かに矛盾はあると思います。しかし、こんな論議をしておってもしようがありませんから進めます。  それから第五条は、実は航空法の百四十二条の改正であって、移行された法律の中でこのところだけ実は罰金刑が倍額に増額をされております。航空法では十万円であった罰金刑が二十万円ということに改正をされておるわけですが、その理由は何でございましょうか。
  152. 安原美穂

    ○安原政府委員 御案内のとおり、刑罰法規をつくります場合には刑法という基本法との比較において、それに類似するものについては特別法でも同じような刑を盛るというのが原則でございます。そういう立法の態度からいたしますと、刑法の百二十九条に「過失往来危険」という規定がございまして、過失により汽車、電車、艦船の往来の危険を生ぜしめ、または転覆、破壊という場合には、その業務に従事する者の場合には三年以下の禁錮または千円以下の罰金ということになっております。この千円以下の罰金が罰金等臨時措置法による読みかえ規定によりまして、これが二十万円というふうに読みかえることになっております。それと同じように、今回の改正に当たりましては、これに合わせまして、三年以下の禁錮または二十万円以下の罰金にしたということでございまして、刑法のこの同種規定に準じて改正をしたということでございます。
  153. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 口は何とでも言えるわけですが、ほかのほうのいろいろ金額は、実際はきまっておるのです。いろいろきまっておる中でこれだけ変わったのはなぜかと、こういう質問をしたわけですから、従来変えるべきものが忘れられてあったのじゃないかというふうに私は理解するわけです。ほんとうはそういうあなたのおっしゃるような読みかえによってこうなったのだとおっしゃれば、ほかの罰金刑も、すべてのものがそうなってくればわかるのですよ。これだけが一カ所だけふえておるから、倍額されておるから、おかしいではないかという感じを抱いておる。それがたまたま読みかえでこうなったのですという答えだけでは、それではほかのやつはどうなんですかというふうな質問に変わらざるを得ない。
  154. 安原美穂

    ○安原政府委員 先ほどの刑法の規定の千円を二十万円と読みかえるのは、罰金等臨時措置法によりまして、貨幣価値の変動に伴いまして、最初は五十倍であったのが最近の改正でさらに二百倍にしたということでございます。
  155. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それはわかっておる。
  156. 安原美穂

    ○安原政府委員 そういうことで罰金等臨時措置法におきましてはそういう規定の改正をいたしましたが、それで二十万円と読む。その規定と同じような罪質の犯罪について、改正等で新たにこれを立法するということになりますればそれに準じた刑を盛るべきだということでございまして、その他の法律も機会があれば同じように直していく心がまえで政府はおるわけでございます。
  157. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間がありませんから、関連事項たくさん質問したいと思いますが、残余の問題は一般質問の時間に譲りまして、私は質問を終わります。
  158. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  159. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  160. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手)  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  162. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 この際、徳永運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。徳永運輸大臣
  163. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまは、航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決いただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)
  164. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十二分散会