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1974-03-06 第72回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月六日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 天野 光晴君 理事 服部 安司君    理事 松野 幸泰君 理事 渡部 恒三君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       金丸  信君    國場 幸昌君       田村 良平君    中尾  宏君       野中 英二君    林  義郎君       大柴 滋夫君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       渡辺 惣蔵君    柴田 睦夫君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官         沖繩開発庁長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   伊藤 廣一君         首都圏整備委員         会事務局長   小林 忠雄君         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    大橋 文雄君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     前田 正男君     ————————————— 二月二十七日  日本道路公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第六五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、水資源開発公団理事大橋文雄君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、よう御了承願います。      ————◇—————
  4. 木村武雄

    木村委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。渡辺武三君。
  5. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣所信表明の第一に取り上げられております住宅宅地対策の問題、さらには道路問題等について、若干の御質問を申し上げたいと存じます。  御承知のように、住宅不足をしておる現状というものは一向に改善をされていないわけですが、特に公営住宅、この不足がもう相当前から問題になっておるわけでございます。しかしながら、今回は、この公営住宅建設戸数というのが、実は予算上から見ましても減少をしておる、こういうふうに見られるわけでございますが、この公営住宅建設戸数相当数減少をしなければならなかった理由、これをまずお聞かせをいただきたい。
  6. 沢田光英

    沢田政府委員 公営住宅の四十八年度の計画戸数は十二万四千戸でございました。これの進みぐあいというものが四十九年度の予算に関係するわけでございますが、十二万四千戸のものが結果においてはおそらく十万八千戸ぐらいに戸数が減ずる、こういう見込みでございます。これは、前からございますいわゆる土地の問題、あるいは地方公共団体の同意とか、そういうふうな問題でだいぶ行き詰まってきておりましたが、さらに昨年度におきます物価問題、特に石油ショック以来の問題がございまして、単価が非常に上がりました。そのために、地方公共団体でそれを建設をする入札不調等能力がだいぶ低下をしてきた。そういう結果、単価も上げなければならない一方、要するに消化能力も衰えてきた。こういうことで十二万四千戸が十万八千戸程度に減らざるを得ないというふうな非常な危機に立ち至ったわけでございます。  そこで、四十九年度の予算要求でございますが、四十九年度には、全国消化能力あるいは希望戸数、こういうものを十分ヒアリングをいたしまして、その結果、おそらく四十九年度を通しまして消化できる能力というのは、いまの物価がかなり安定してくるという前提に立ちました上で十一万戸強というふうに見たわけでございます。すなわち四十八年度の十二万四千戸を下回ります十一万戸強というふうに考えたわけでございます。そこで、四十八年度の十二万四千戸が十万八千戸になりましたものが、さらに年度内にできずに四十九年度に繰り込んでいくものが十万八千戸のうち一万八千程度ございます。そういうことで、予算に組みました九万五千戸というものに、繰り込んでいきます一万数千戸というものを足しまして、十一万と見ましたわけでございます。結果におきましては、そういう消化能力のほうから考えまして、九万五千戸というのが消化能力最大である、ぎりぎりである。相当上目に見ておりますが、そういう中でやむを得ず九万五千戸に減ったということでございます。  ただし、この減りましたものは確実に実施しなければいけないということでございますので、単価は四十八年度の四六%弱上げてございます。さらには、地方公共団体の希望いたします面積も、三室のものを半分程度にできる。いままではほとんど三室のものはございませんが、そういう問題とか、将来戸数が消化できるようになったときの基盤上げという施策は十分考えて、その予算に盛り込んだ次第でございます。したがいまして、戸数は減りましたが、金額におきましては二〇%強増というふうな結果になってございます。
  7. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 せっかくの御答弁でございますが、全然理解ができないわけでございます。なぜかというと、公営住宅必要性という問題については局長も十分御承知かと存じます。それをただ単に消化能力の点だけに戸数を減ぜなければならない理由を求めていらっしゃる。そういうことでほんとうにいいだろうか。むしろ、国民が必要としておる、需要の高い公営住宅消化能力を高めるための別の方策というものは考えられなかったのかどうか。従来どおり方向でいけば、きわめて地方自治団体消化能力というものが低くなってきてしまった、せっかく計画を立ててもとても消化できないからやむを得ず削ったんだと、まあ簡単に言ってしまえばこういうふうに聞き取れるわけでございますが、そういう答弁では私は全然理解できない。つまり国民が必要としておる需要度合いというものは非常に高い。高ければ、何が消化能力障害になっておるんであろうか、それにはそういう障害があったので、今回は消化能力を高めるために障害を除去するどのような手当てをしたとか、こういうことになってくればまだまだ理解ができるわけですけれども、実は工事単価引き上げをしたんだ、こういうふうにおっしゃっておりますが、その程度引き上げをしてもさらに消化能力がないというお見通しの上に立ってこういう計画ができておると思うのですよ。したがって、それは何も消化能力を増すための施策とは言い得ない、むしろ非常に低下をするのを若干防ぐ、こういう程度であって従来の消化能力不足をしておるそのもの能力を高めるための努力、これは一体どうなっているのでございましょうか。
  8. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もう御指摘のとおりでございます。住宅難という、住宅を求める国民要請というものは、まことに大きいものがあるわけでございます。そういう中で、予算の上で戸数を減らさざるを得ないというような事態に当面しているということにつきましては、私たいへん責任を感ずるわけでございます。  ところが、御承知のように公営住宅は、三大都市圏と申しますか、東京大阪、名古屋を除くほかの地域においては、予算戸数どおり消化をしていただいておるわけでありますが、この大都市圏において、建設省が希望したと申しますか、むしろ東京都、大阪府のほうから要請のありました戸数等によって予算を計上いたしましても、それが全部消化できないという四十七年、四十八年の事態であるわけでございますので、そういう事態を基礎として四十九年度の予算を組んだわけでございます。工事単価アップ等もございますけれども、しかし、やはりその理由、なぜ消化してもらえないかということを実は私なりにいろいろな角度から検討いたしました結果、結局、土地取得難という問題をどうして解決するかということが一つ。それから地方自治体超過負担という問題をどうしていくか、こういう問題を解決してまいらなければ公営住宅の伸びはむずかしい。こういう一応の理由を見出しましたので、この理由、原因を解消する方策をとりまして、たとえば住宅公団等公共施設の立てかえ条件地方自治体にとって非常に有利になるようにするというようなことも具体的に考えて進めることにいたしたのも、その一つであるわけでございます。
  9. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうもよくわからぬのです。関連公共施設超過負担分、それらが地方自治団体負担がかかっていくであろうから、負担肩がわり、あるいは金利の補給その他もろもろの政策をとっていくんだ、こうおっしゃっているわけですが、私が一番疑問に思うのは、従来の公営住宅建設戸数よりもことしの建設戸数相当大幅にダウンをしておる、それは一体何であろうかというお尋ねをしたら、非常に消化能力が落ちてきておるのでやむを得ずそうしたんだ、こうおっしゃった。したがって、それならば消化能力を増すための努力をすればいいではないか、実はこういう御質問をしたわけでございまして、それならばそのように、こういう状態消化能力を増す努力をしたんだから、ことしはさらに消化能力はあがるので建設戸数はもっとふやしてもいいのです、こうなればいいのですが、そうではなくて、おやりになっておるのは、極端に消化能力低下をしていくのをささえるための手当てだけしかしていないんじゃないか、こういう疑問が依然として残らざるを得ないのです。どうなんでしょうか。
  10. 沢田光英

    沢田政府委員 公営住宅大都市で非常に建たなくなっておるということでございますが、ただいま大臣から申し上げましたような大筋でございますけれども、先ほど私が申し上げました九万五千戸、実施にいたしまして十一万戸強、こういうのは、いろいろな緊急策考えた上でそこまでが限度だというふうに私ども考えた次第でございます。  しかし、この落ち込みをどうやって解決しなければいかぬか。私どもは、五カ年計画公営住宅全国で六十万戸弱になっておりますが、これはことに大都市地域では十分努力をして達成をしたい。これはまだ捨てておりません。これは私ども努力最大目標でございますが、それではどうやって考えたかと申しますと、おそらく基本的な問題と緊急の手当て、この二つになろうかと思います。基本的な問題は、先ほど大臣が申し上げましたように、一口に言えば下ものの問題でございます。たとえば宅地値段が上がったから買えない。あるいは、買って現在は公団でも都でも相当土地を持っておるが使えない。使えないと申しますのは、これはいろいろないわゆる団地拒否の話。東京都の都営住宅を建てるときに、区でもそういう問題が起こっております。そういうような問題に基本的に対処をするために、宅地のいわゆる上ものが建つような状態での供給というものを考えなければいけない。このために、国総法等ももちろんございますけれども、さらには、わが省としては、そのほかの大規模な開発に関しまして、一定期間後に民間がやらなければ公共が乗り出して宅造をする。あるいは住宅、市街地をつくるための同様なものとか、あるいは再開発とか、そういうふうな新しい制度を次々と検討して世の中に生もうとしております。あるいは宅地開発公団というふうなものができました暁には、宅地公共住宅への卸売りというものもあるわけでございます。そういうふうに基本問題を、これは数年かかるわけでございますが、始めたわけでございます。  しかし、それまでの間に、さらに公営住宅公団住宅が落ち込んでいくということでは困りますので、緊急策も講じております。緊急策の中には、一番の問題はもちろん単価でございますから、先ほど申し上げましたように、実施できる単価を組んだというのが一つでございます。これは先生の御主張では、ささいにしかすぎないではないかということがございますが、そのほかにもいろいろの施策を今度の予算で生んでおります。たとえば、東京都で建ちません公営住宅を建つようにするためには、東京都の中のあき地に公共住宅を建てなければいけない。現在ではあき地がありますと、国公有地であろうと、工場あと地でありましょうと、すぐ公園ということにつながります。もちろん公園も必要でございますが、これを直ちに公園には使わずに、そこの中に適当な公共住宅を建てて、その周囲一定のところの木賃住宅、そのほか老朽住宅、悪い住宅の人を優先的に入れて、そのあとを都が買い上げて公園なり何かにするいわゆるころがし方式、こういうふうなものも新たに予算的にも措置をされました。これによりまして東京都はすでに計画を始めております。大阪でも計画を始めております。さらにAB農地の活用をはかるためのいろいろな施策も講じております。そういうふうな新たな施策を生みまして、それを考えに入れる。あるいは木造公営住宅の建てかえをさらに進める、こういうふうな施策を総合いたしまして九万五千戸というキャパシティーを生んだわけで、緊急対策ももちろんこれから先に、四十九年度以後にも効果を発揮してきますが、四十九年度にも間に合うような施策も組み入れた上でさような施策をしておる次第でございまして、緊急策恒久策が相まって一日も早く大量の公共住宅が建つような状態にしたいというふうに努力をしている次第でございます。
  11. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 確認をしておきたいと思うのですが、私どもは、第二期住宅建設五カ年計画そのものを実は改定をしてもらわなければいかぬと思っているくらいなんですが、その第二期住宅建設五カ年計画は、局長のいまの言によれば、必ずその五カ年間のうちには完成をする方向努力をしていくのだ、こういうことでございます。そういたしますと、四十八年度末の住宅建設五カ年計画進捗率というのは、一体どの程度になっているのでしょうか。
  12. 沢田光英

    沢田政府委員 四十八年度末の全体の進捗率は五七・八%でございます。その内訳といたしまして、公的資金によります住宅進捗率が四九・三%でございます。民間住宅建設が六三・四%でございます。これを第一期の場合に比べてみますと、合計では、第一期のこの時期におきましては五四%でございますから、第二期のほうが三・八%程度上回っております。ただし、その内訳といたしまして、公的資金による住宅は、第一期の場合には五〇・九%でございますから、一%弱落ち込んでおります。民間住宅におきましては、五六・一%でございますから、これが七%程度上回っております。すなわち、公的資金によるものが落ちて民間資金相当伸びて、したがって合計では前の計画のいまの時点進捗率を上回っておるというのがいまの数字でございます。
  13. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いまの経済情勢考えてみるときに、いわば民間資金自力資金というものが今後相当な勢いで低下をしていくであろうということが考えられるわけでございます。したがいまして公的資金のおくれというものが非常に問題になってまいるわけでございます。こまかいことは言いませんが、少なくともこの住宅建設五カ年計画が必ず達成できるような格段の御努力を特に要請をしておきたいと思います。  そこで公庫住宅のほうに入ってまいりたいと思うのですが、公庫住宅、いわば住宅金融公庫貸し付け金が本年度の予算では、百万円アップの三百五十万円、このように改定をされたと思いますが、この額そのものは実は建設委員会でも毎年毎年問題になっておることでございまして、委員長席におすわりになっている木村委員長大臣であられた時分に公約された金額にすら、ことしの予算でまだ及んでいないということは御承知のとおりだと思いますが、一体どうしてこう遅々として進まないだろうか。一方、建築資材高騰あるいは地価高騰考えたときに、この住宅金融公庫融資額アップ率よりもはるかに高い率で地価高騰なり建築資材高騰がなされておる。こう考えていきますと、この住宅金融公庫融資を受けて建設をする国民は、年々住宅を建てるためにその困窮度が増しておるということが言えるのではないだろうか、こう考えるわけですが、その辺についてはどのようなお考えでございましょう。
  14. 沢田光英

    沢田政府委員 四十九年度の公庫個人貸し付け単価というものは、先生おっしゃいましたように、建物につきましては二百五十万円から三百五十万円に上がったわけでございます。ただし、去年と違いますのは、いままではほとんど土地に対する貸し付けというものが行なわれておりません。これは要するに、区画整理なりそのほかの優良宅地の場合は貸すということになっておりましたけれども、ほとんど建物のほうに追われて貸していないというのが実情でございますが、四十九年度におきましては、確実に全数の一五%程度のものにはさらに百五十万お貸しをする。もちろんこれは優良宅地でございますが、合計で五百万というところに姿を変えてきておるわけでございます。しかし私どもも、この三百五十万あるいは五百万ということでは、現在の状態では十分だというふうには思っておりません。もちろん私ども努力がまだまだ必要だというふうには感じます。  と申しますのは、いま土地つきの一戸建てというふうなものを購入あるいは建設いたしますのに、千二百万からおそらく千五百万程度かかるところもございましょう。したがいまして五百万程度のものでは、三分の一あるいはそれ強ということでございます。大体、総建設費の半分程度は確保すれば何とか償還ができて金の調達ができるという資料を私ども持っておりますが、そういうところを目標にしております。今後ともそういうことにしたいと思いますが、何よりもまず土地建築費、こういうものがどんどん上がっていくということでは、これは幾ら追いかけましても今度は負担能力のほうに関係してまいります。そこで私どもは、もちろん額を上げるというふうなことに関しましては、今後とも十分な努力をしなければいかぬと思いますけれども地価の安定、あるいは大量供給、あるいは建築費の安定、こういうことに全力を注がなければならないと思っております。
  15. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 来る年も来る年も、住宅金融公庫融資というものは建築費の四分の一ないし三分の一だ、これを何とか半分に上げたいというのはもう毎年の要求であって、また毎年のごとく建設省住宅局長は、ごもっともでございまして、そのように努力をいたしていきます、ということのみで推移をしてきております。それが全然改善がされてこない、こういう結果であろうかと思うのです。したがって、おっしゃるように、地価高騰あるいは建築資材高騰そのものをやはり規制をしなければならぬ、抑制をしなければいかぬ、こういう問題があるわけですが、こう問題も、やはりいまいろいろ問題になっておりますように、遅々として進まない、こういう問題がありまして、実は住宅金融公庫融資建築のみならず、公営分譲住宅等を見ておりましても、たとえば早い時期に入居が決定をして仮契約が結ばれた、いよいよ入居ができる状態になりましたときに、契約金よりも上積みをしなければ入居ができない、こういう事例が各地方で発生をいたしておると思います。いわば契約をした時点と実際に入居する時点では、百万以上の上積みをしなければ入居すらできないという状態が実は生まれてきておると思います。こういう状態についてどういうお考えなのでございましょうか。
  16. 沢田光英

    沢田政府委員 先生のおっしゃいます例は、おそらく公社積み立て分譲の話だろうと思います。建て売りはでき上ったときに価格がきまって売りますから、契約中に上がるということはまずないと思いますので。積み立て分譲というのは、最初に契約をして一年なりそれ以上積み立てまして、大体の値段をきめておく、そしてでき上がったときに精算をする、それの差が通常あまりないわけでございますが、今回は異常物価高騰によりまして相当ございます。そこで、これは需要者にとっては降ってわいたようなことでございまして、非常に困る。おそらく資金調達能力を計算して申し込んでおるわけでございますから、そういうものに欠けるような状態になってくる。そこで私どもは、緊急に公庫に命じまして、そういう契約中に上がって分譲価格がどうしても上がってくるという積み立て分譲全国にあるわけでございますが、このときには公庫資金をさらに追い貸しをする、そういうふうなことの処置をとりなさいということで、契約中のものだけに限りまして追い貸しをするということの指令を発しております。したがいまして、こういう措置が今後緊急の事態として行なわれるということになります。
  17. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いずれにしても住宅という問題は、国民にとって非常に重要な問題でございまして、長い一生の中で、自分が計画を立てて契約をし、それに基づいて貯蓄をしてきた、いざ入居しようと思ったら百万以上も上積みをしなければ入れないということで、その資金繰りにぼう然としてしまったということを耳にするわけであります。私はこれはたいへん重要な問題だと思うわけです。少なくとも一たん契約をされた問題しかも従来の実績は、いざ入居のときには、ほとんど若干のものが返ってくるくらいの仕組みで仮契約がされてきた。ところが、今回この異常な物不足あるいは異常なインフレ下において、そういう現象が出てしまった。これについて何か特別な措置を講じなければいけないのではないか、こう考えておるわけでございますが、何かお考えになっておるでしょうか。
  18. 沢田光英

    沢田政府委員 公社の場合だと思いますが、先ほどお答えいたしましたように、それぞれのものによりまして、場所によりまして値段が違いますが、それに対しまして、従来、公社分譲を建てるために公庫資金を大部分使っておりますが、それが足りなくなるわけでございますから、それに公庫からさらに百万なり何なり追い貸しをいたしまして、そしてそれを割賦できるというふうなかっこうにして、需要者には、実際には値段は上がりますが、支払いの上では不都合のないというところを緊急措置としてただいまこれをやります。
  19. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは次の問題に移ります。  最近、建設省が大手のデベロッパーに対して、土地放出要請というものをおやりになったと思います。そこで、不動産協会がこの建設省要請に応じて、ある条件のもとに放出をしてもよい、こういう申し出をしたということを新聞で拝見をいたしておるわけです。その条件は、申し上げるまでもなく、土地の税制における適正利潤引き上げだとか、あるいは民間デベロッパーへの金融を緩和してもらいたいとか、さらには地方開発許可を促進してもらいたい、こういう三つの条件をあげて、これらの条件をいれられるならば土地放出に協力してもよい、こういう方向不動産協会建設省に提示をいたしておると思います。建設省としては、このような不動産協会の提示をした条件というものを一体受諾されるのかどうか、まずこの辺からお聞かせ願いたい。
  20. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 土地放出に関連しまして不動産業界から、金融の配慮とか開発許可の促進についてそういう要望を受けたことはかねてからございますけれども放出に対する条件として、それを要望、あるいはその条件として申し出があったということは、事実ではございません。金融につきましては、総需要抑制の一環として、建設省の立場としましては、しばらくの間この情勢の推移を見守っていきたいというふうに考えておりますし、市街化区域の中に現に法人が持っておる土地は、なるべく早くこれを開発いたしまして放出してもらいたいということを考えております。優良な宅地造成につきましては、優先的なワクの中で考慮がされるように大蔵省と協議中ではありますけれども、反対給付的な要望としてそういうことを考えているわけではございません。  それからまた開発許可の促進ということにつきまして、かねてから要望はございますけれども、これにつきましても、建設省としましては、開発許可をできるだけ促進する方向につきましては努力いたしたいと考えております。しかし、いま先生のおっしゃいました、放出条件として向こうが持ち出したものではございません。
  21. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いずれにしても、いま建設省考えております宅地開発公団、これによって大規模な宅地開発をしていこう、こういう御計画のようでございますが、私は、案の段階ではございますが、あれを見るときに、一体土地の取得をどうなさろうとしていらっしゃるのか、これが一番問題であろうかと思います。従来のような方向で行けば、いまも途中で例示をいたしましたように、仮契約をしてから入居するまでに非常な勢いで上がってしまう、こういう状況でございまして、そのような土地を時価で買い入れていく場合、とうてい勤労者として入手が困難な状況になりつつある。しかも、土地の基本政策が確立できないままにそのような仕事が始められてまいりますと、高騰を続けておる地価をさらにあおり立てるという役目を果たさないかどうか、この辺非常に重要な問題だと実は思うわけでございます。したがって私どもは、少なくとも土地に対する基本政策、地価の抑制なりあるいは利用区分なりというものが明確に確立をされて、しかる後にそれらのことが行なわれていくならばまだしも、それらが漫然としたままで、現状のままで、そうして住宅不足という点から大規模な開発が行なわれようといたしていきますと、これは当然地価高騰を促す促進剤になりかねない、こういう心配がたいへんにあるわけでございますが、その辺はどのようにお考えでございましょうか。
  22. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのとおりでございます。特に地価の異常なる高騰物価の元凶とさえいわれておるわけでございまして、この土地に関する規制というものはもう一日も早く実現をしなければならないということで、当委員会で御審議をちょうだいいたしております国総法の中にその基本政策を盛り込んで提案を申し上げておるという、私どもの政府としての気持ちであったわけでございます。したがいまして、宅地開発公団を設置をいたしまして、従来、政府の力と申しますか、政策の力によって安定した価格宅地を大量に供給するという政策を強力に推進してまいる考え方をまとめまして、提案を申し上げておるわけでございます。  したがいまして、これを進めてまいりますためにも、私、たいへん不自由を感じておりますことは、具体的に計画を地図の上にいたしましてもできないということでございます。たとえば将来この辺に五万戸なり十万戸なりのニュータウンと申しますか、それこそいままでのニュータウン方式でいろいろな指摘をされておりますような点を解決しながら、ほんとうにそこで住んで子供を育てて、そしてある程度高校教育までそこで不自由なく教育をしていけるといったようなニュータウンをつくっていくような構想で宅地開発公団を提案しておるわけでございますけれども土地をどうして入手するか、その価格はどうなるのかということになりますと、これがもうちょっとでもこの辺に公団は予定地をきめるのじゃないかというようなことになりますと、現状のままでは、もう不動産の業界の諸君がわっと集まってそこの地価が上がるというようなことであっては目的が達成できません。どうしても宅地公団の成果をあげていくためには、土地規制という基本的な問題を解決してまいらなければならないというふうに考えるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、政府といたしましては、土地規制ができまして、そしてそれが地価安定に結びついていけるように御審議を促進していただきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  23. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設行政を推進するための一番のネックは地価高騰だ、こういう御認識であろうかと思います。私もそう思います。したがってその中で心配されるのは、いまのような法案が用意をされてまいりますと、そういうことだけでも地価を刺激しないかどうかということが実はあるわけです。ですから、いまは私は若干は留保しても、最大の問題である地価の規制のために全精力を注ぐべきときではないだろうか。いま建設省がもろもろの計画を発表するならば、むしろ生活の基盤を整備するといいますか、確立をするための最低諸条件を発表する。  どういうことかと言いますと、たとえば十万のニューシティーをつくるとすれば、その中には生活の基礎条件として何々をつくるのですよということ。これはいま、工事ベース段階ではそれらの基準が設けられておるようでございますが、一般にはなかなかそれはPRはされておりませんし、よくわからない。だから、そういう生活の基礎条件を整備をする、完備をするということをやはりはっきりとしていく、こういうことが必要ではないであろうか。また、従来の工業地帯というのは、一応その用途区分はされましても、開発そのものはすべてもうまかせっぱなしであって、金網一個の隣は普通の民家がある、こういう状態ですから、少なくとも工場地帯を国が指定をする、あるいは地方自治団体が指定をする場合には、その工業地帯というものは、外周はたとえば百メートルのグリーンベルトでおおわなければいけませんよとか、いわば生活の最適の条件を守るための基準といいますか、そういうものをいろいろ御検討になって、これからの工業地帯はこういうことにするのですよ、工業地帯を設ければ外周は百メートルのグリーンベルトでおおうのです、こういうような発表をなさっていくということは、やはり国民に対してある程度の安心感を与えていくことができるだろう。その一方、そういうことを整備しながら緊急度の非常に高い地価の抑制のために建設省が全精力を注ぐ、こういうことではなかろうか。  いま大臣は、国総法の成立が一番望まれるというようなお話でございますが、私どもは、国総法の中に盛られたいわばつけたり的な地価の規制ではとてもだめだ、だからむしろもっと確実な土地規制立法というものが必要ではないであろうか、こういう立場でございますから、私はそのような方向をほんとうに真剣になって考えてみるときではないであろうか。いま宅地開発公団なるものの法案を提出されても、地価の抑制という基本的な政策がはっきりしないと、大臣も心配していらっしゃるように、青写真の上で、地図の上で候補地を求めることすらできない、現実はこういう状況でございますから、せっかくつくってみても無意味になってしまう。組織法だからということで公団だけつくった、職員を配置すれば仕事をやらないわけにいかないから必ず仕事が始まってくる。仕事が始まってくれば、これはウの目タカの目でながめておる利潤追求のグループにまたえじきにされてしまうという状態、これは目に見えておるわけでございます。したがって私は、いまの段階では非常にタイミング的にまずいのではないだろうか。むしろ基本となる地価の抑制政策を根本的に早く確立するためにあらゆる努力建設省としてなさるときではないであろうか。たまたま総需要の抑制という非常にむずかしい時代にございますから、地価も若干鎮静をしておりますけれども、この時期にこそ、私は、最も早い時期にその土地規制の立法化、確立ということが必要ではないか、こう考えるのでございますが、いかがでございましょう。
  24. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 全く私の気持ちも渡辺先生と同様でございます。できるだけ早くこの土地規制と申しますか、地価抑制の立法措置というものがつくられなければならないという感じがいたしまするし、政府といたしましても、総理も申し上げておりますとおり、まあ国総法ということは、私、先ほど申し上げたわけでございますけれども、あれにこだわるということを——一応もうどのように修正いただいてもよろしいと総理が申し上げておるところでもございます。建設省といたしましても、できる限り地価抑制、土地規制という問題とまっ正面から取り組んでその実現を期してまいらなければならない、こう決意をいたしておる次第でございます。
  25. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設大臣が閣議でお嘆きになったそうでございますが、地価対策閣僚協議会というものが全然開かれていない、こういうことを建設大臣が閣議でお嘆きになった、こういう新聞記事を拝見をいたしております。せっかくその組織はございましても、数年前にできたその組織が、閣僚会議そのものが数えるほどしか開かれていない。一方では地価高騰を一日も早く何とかしなければいかぬという必要性を認めながらも、現実のその組織は休眠をしておる、こういう状態でございまして、実際に地価対策閣僚協議会なるものが組織としてあっても何ら動いていないというこの現実を見るときに、ほんとうにそう思っていらっしゃるんだろうかという疑問すら実はわかざるを得ないわけでございまして、地価対策閣僚協議会なるものは、いろいろな地価に対する抑制政策ができて、それらを事務的に承認をするだけだ、こうおっしゃるかもしれませんが、むしろより前進的な意味で、事務ベースからそういうものが上がってこなければもっとそれを叱咤激励をするとか、いろいろな方途はあろうかと私は思います。ところが、全然それが開かれないんじゃこれは問題にならないわけでございまして、地価対策閣僚協議会なるものはどういう目的でつくられたか知りませんが、開かれないような協議会ならば早くつぶしてしまったほうがいいわけで、もっと有効な地価を抑制するための組織、これをやはりおつくりになるべきではないか、こう思うわけでございます。  そこで、時間がございませんから、最後に道路問題についてお尋ねをしておきたいと思いますが、御承知のように、第六次道路五カ年計画というものができておりまして、それ以後第七次に移っておりますが、この第六次道路五カ年計画ができたあたりに、実はいろいろ問題になりました総合交通体系の問題がございます。そしてこれは特に予算関係等がありまして、大蔵省あたりでも、第六次道路整備五カ年計画以降については総合交通体系の樹立を待って考えていくんだ、こういうことが当時いわれておったわけです。ところが、それらが明確を欠いたまま、実は第七次道路整備五カ年計画に移行をいたしております。そして当時いわれておったその財源の補足という問題も、なしくずし的にその考え方というものが変わってきてしまっておるんではないか。一体、道路整備五カ年計画を立案するにあたって総合交通体系というものをどういうふうにお考えになったのか、これすら非常に実は疑問でございます。  御承知のように、四十六年十二月に臨時総合交通問題閣僚協議会で決定をされております総合交通体系、こういうものがあるわけでございますが、その閣僚協議会の決定と実際にやられてきております状態とは、非常に食い違いを生じてきております。これも御承知のとおりだと思います。たとえば鉄道でいえば、赤字路線を廃止するとかいろんなことがきまっておりました。ところがいつの間にか、日本列島改造論が台頭してくるに従って、赤字路線の廃止が取りやめになってしまったし、新幹線はどんどん延長していくんだ、こういうようなことになってしまいまして、本来、その総合交通体系の中でどのように位置づけられてどうなってきたんだろうか、そのために道路というものはどういうふうの考え方になっておるんであろうか、これが非常に混乱をしてきておるんですよ、実際は。途中ではそういう約束がされながらも、時がたつと全然知らぬ顔をしてどんどんと別の方向に変わっていってしまう、こういうことではないかと思いますが、一体第七次道路整備五カ年計画そのものと総合交通体系との関係は、一体どのようになっているんでございましょうか。
  26. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまお話しのように、四十六年の十二月に臨時総合交通問題閣僚協議会というものができまして、そこで総合交通として見た鉄道のあり方、船舶のあり方、道路交通のあり方そういうものの基本が示されております。それによりますと、道路は百キロ以内の地域内の交通が圧倒的に占めるであろう。それからもう一つは、鉄道との、あるいは船舶との末端輸送という位置づけによる端末輸送が道路の使命であろうということで、今後ますますそういうものがふえるであろうというふうになっております。そして中距離、長距離というようなものにつきましては、フレートライナーとか新幹線、そういうような位置づけがされております。それによりまして、私どものいまの道路整備五カ年計画考え方としてきめられておるわけでございます。
  27. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それによりましてと、こうおっしゃるけれども、その計画はたいへんにもうくずれてしまっておる。たとえば在来線の赤字線を廃止をしてというようなことがございましたが、それらも全部残すということになっておりますね。当時、基本的にきめられていった総合交通体系そのものがやはり大きく変わらなければいけないような施策が現実に行なわれてしまっておるのではないか。そういう現状の中で道路というものを一体どうするんだ、こういう私は質問をしたわけでございまして、局長は、その総合交通体系、四十六年十二月にきまったそれに基づいてやっておるんだと、こうおっしゃるけれども、道路だけそれに基づいてやっておりましても、鉄道その他がそれに基づかなければ、総合交通体系というものはそれのみでも完全にくずれてしまうわけですよ。だから、それはおかしいではないか、こういう疑問が当然出てくるわけでございまして、それをどのようにお考えになっておるでしょうか。鉄道なんかとは全然関係なく道路は道路だけで交通総合体系に従って整備をしておるんだ、鉄道と関係なし、こういうことでございましょうか。
  28. 菊池三男

    ○菊池政府委員 当然鉄道との関連がございます。ただ、道路は戸口から戸口へという、そういう一つの利点がございまして、それが道路交通の主体ではございますけれども、先ほど申し上げましたように、鉄道の端末、これは当然道路が受け持つべきものでございますので、そういうものとの関連で鉄道との調整をとっておるわけでございます。  それから、鉄道の赤字路線の問題、あるいは総合交通の問題として、たまたま鉄道のほうが計画が変わったのに道路だけで単独に云々というお話ございましたけれども、道路のほうは、国道も、あるいは県道にいたしましても、市町村道にいたしましても、先生承知のように整備が非常におくれております。したがいまして、ナショナルミニマムという意味では当然鉄道の関連もございますけれども、鉄道との関連ということを離れてもまだやはり最小の整備が必要であるというふうに考えておりますので、私どものほうは、いまの道路整備計画というものはやはりこのままプッシュして推進していかなければならないと考えております。
  29. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 鉄道と自動車、道路との関係につきましていろいろ御指摘をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、策定されましたそれぞれの計画の中で弾力的にこれを実施してまいっておることは御承知のとおりでございます。一例を申し上げますと、赤字路線の廃止ということも、国鉄整備の計画に基づいて一応実施をされておる面もございます。そういう際には、緊密に国鉄当局並びに地方自治体等と協力をいたしまして、その間の県道なりあるいは国道でありました際には、未改修の部分は速急に改修をするとかということで、実は実行の面においてそういう点はカバーしておる次第でございます。  一例を申し上げますと、これは私の選挙区でございますが、川俣線という国鉄線がございました。これがもう休業いたして廃止になったわけでございますが、その際やはり道路関係の整備ということが喫緊の問題でございましたので、これは、建設省から非常に積極的な協力を得まして、そうして道路の整備によって地元住民の利益をそこなわずに合理化ができたというようなこともございまして、道路は道路、鉄道は鉄道ということで、関係なく仕事を進めておるんじゃないかという御指摘に対しましては、私どもも十分そういう点を考慮しながら行政を進めておるということを申し上げたい次第でございます。
  30. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道路行政そのものを推進をしていただくことについては、決して私どもとやかく言っておるわけではありませんし、確かに日本の道路そのものは、諸外国に比較をいたしまして、進んではおるというもののまだまだおくれている部門が非常に多い。そういう現実は当然われわれも認識をいたしておるわけでございます。ところが、やはり総合交通体系という問題が片一方にございまして、それらとの基本的な問題を十分に加味しながら関連づけて考えていかないと、少ない予算の中で、さらに必要性のある道路、そういうものの整備の促進が要請をされておるときに、せっかく投資をした道路が無意味になってしまったのでは、これは税金のむだ使いになってしまいますから、より必要性があるところ、それらはやはり総合的な交通体系の中ではっきりと確立されていかなければいけないのではないか、こういう観点から申し上げておるわけでございまして、そう見てまいりますと、いろいろ総合交通体系というものが変形をしてきているんだから、これは相当気をつけなければいけませんよということを実は申し上げたわけでございます。十分おわかりかと思いますので、そういうことに御留意の上、積極的な道路行政の推進を要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  31. 木村武雄

    木村委員長 大柴滋夫君。
  32. 大柴滋夫

    ○大柴委員 私の質問したいことは、都市の過密をどうするかという問題であります。しかしその前に、皆さんよく御存じのとおり、私どもの住んでいる東京は千百五十万ぐらいの人口を持っているのではないか。それで非常な影響が出てきているのであります。たとえば公害、それから自然の喪失であります。  そこで、私が大臣に聞きたいことは、いま東京に住んでいるわれわれはほとんど自然というものに関係がないのであります。たとえばきれいな川を見ることはできない。あるいは緑の山を見ることはできない。鳥だとか花とかとは全然関係のない生活を実際しいられているわけであります。こういうように、人口の一割を占めている東京の人が自然と関係のない生活になって、これはわれわれおとなはいいのでありますけれども、小さな子供たちにどういう影響を与えるか。肥満児が出てくるとか、あるいは植物人間が出てくるとか、いろいろな影響が出てくるのだろうと思うのでありますが、自然を喪失した東京の子供たちに対してどういう影響が出てくるか、こういうことについて、建設省なりあるいは大臣はどういうような考えを持っておられるか、このことをまず聞きたいと思います。
  33. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘の問題につきましては、実は私どもも心から憂えている次第でございます。過密というものは、コンクリート文明と申しますか、コンクリート文化と申しますか、その中からもたらされた現象であり、このコンクリート文化の中から育ってきた子供たちが成長をして、そういう方々が社会で活躍する場合に、一体日本の将来はどうなるんであろうかというふうなことを考えますと、ほんとうの自然の姿から遠ざけられた子供たちに、自然の恵みという感じを都会生活の中においても与え得る都市づくりということに懸命に取りかかっておるわけではございますけれども、なかなか思うような成果をあげることができないという感じがいたすわけでございますが、建設省といたしましても、公園整備五カ年計画を立てまして、いま申し上げたような、都会の子供たちのために緑地の保全、公園の増設というようなことを積極的に進めておる次第でございます。  御承知のように、筑波学園が建設されておりまして、政府のいろいろな機関が向こうに移転するわけでございます。そういう移転のあと地でありますとか、あるいは工場の移転したあと等につきましては、できるだけ緑を多くするというような立場から、政府としても寄り寄り専門家の方々に集まっていただいて検討をしていただいておることも、そのわれわれの気持ちの一つのあらわれであるということを御理解いただきたいと思うわけであります。
  34. 大柴滋夫

    ○大柴委員 重大な影響があるだろう、それで緑とか公園とかをつくる、それはよくわかるんでありますが、どのような重大な影響があるかということを私は聞きたいんです。それで、御返事がないようですからいろいろ言ってもしようがないので、ひとつあなたのほうでも関係官庁とともに、ヨーロッパとかいろいろ進んだ国がありますからお調べになって、もしこのままで推移したら東京の子供たちは将来こうなってしまうであろうという確答を将来私は賜わりたいのです。公園をふやすとか緑をふやすとかということでなくて、このままではこうなるぞということの確答を将来賜わりたいのです。よろしゅうございますか。
  35. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 民族としてのきわめて大事な問題でもございます。どういう影響があるかということは、これはもう政府としては把握してまいらなければならない当然の問題でございますので、関係各省とよく協力し合いまして対策を講じたい、こう思う次第でございます。
  36. 大柴滋夫

    ○大柴委員 対策でなくて、どういう結論が出るかということをお願いをしておきます。  それからもう一つは公害の問題でありますが、まだ厚生省の方はお見えになっておりませんね。じゃ後ほどにいたします。  先ほど申しましたように、いま東京の人口は大体千百五十万、県外あるいは外国から来る人を含めて昼間人口は大体千二百五十万ぐらいになるのではないか。一番大きな問題は、私はいまの東京にとっては水であろうと思います。昨年あたり東京の水は、ここにおられる代議士さんの消耗する分まで含めて十七億トンぐらいだと、こういうんであります。それで昭和五十五年には二十五億トンが必要だろう。この対策として、草木ダムの開発、霞ケ浦の開発、野田導水路の施設というようなことをわれわれは東京都の水関係の役人から聞くのでありますけれども、それよりも前に、一体ことしあたりの水は、給水制限がなくても東京都はやっていけるのかどうか、どういうようになっておるのか。だれか水の関係の人がおりましたらぜひお答え願いたい。
  37. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ことしの水の状況はどうかというお話でございます。これに対してお答え申し上げますと、実は昨年の秋の末からことしの一月ぐらいにかけまして非常に渇水が続いたわけでございます。これで東京圏、南関東の水源であります多摩川の小河内ダムとかその他の関係、あるいは利根川の上流のダム、こういうものが貯水量が相当減ってきておりました。おそらくひどいところでは四〇%くらいに減っているところがあったと思います。こういう状況で、非常に来年の水の需要というものを憂えていたわけでございますが、幸いなことにその後降雪、降雨等がございまして、現在貯水池の水位はだいぶ回復しておりますし、また降雪等の状況から見ますと、矢木沢ダムはじめ利根川上流の奥のダムの春の雪解けによる回復というものが十分見込まれるわけでございます。  こういう点から考えますと、ことしだけを考えますと、水の需要というものに対して供給が、一時の非常に心配されたものに対しましては、現在はだいぶ緩和されております。しかし、やはり南のほう、たとえば下久保ダム、こういうようなところは降雪等がございませんので、この回復が一部心配される向きもあります。したがいまして、ことしの東京関係の水の需要につきましては、当初考えられたほどの心配はございませんが、しかしまだ安心というわけではございません。したがいまして、われわれといたしましても、これのダムの今後の操作その他に十分考慮いたしましてことしの水の問題は切り抜けていきたいと考えております。
  38. 大柴滋夫

    ○大柴委員 大体心配ないけれども今後のダムの操作その他について何とかするというのでありますが、具体的にはどういうことなんですか。
  39. 松村賢吉

    ○松村政府委員 御承知のように、ダムの目的といたしましては、単に水道だけの目的でないものも相当あるわけです。発電の目的もございますし、あるいは農業用水、工業用水、こういうものを加味したもの、あるいは洪水調節を加味したものもある。こういうものの総合的な運転でございますが、これに対して、ダムの貯水池からの放流の計画において、先を見越しまして的確な放流をするということによってむだな水をなくすということに重点を置きまして操作をやっていく、こういうことによって切り抜けたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 大柴滋夫

    ○大柴委員 電気とか農業用水もたいへん重要なものでありますけれども、きわめて注意をされて、給水制限というようなことがないようにひとつお願いをしておきます。  それから、先ほど申し上げました、いまから五年先に具体的に間に合う水資源の開発としては、先ほど言った草木ダム、霞ケ浦の開発、野田導水路、この三つしかないというのでありますが、一体この草木ダムなり霞ケ浦開発なり野田導水路というものによって、一年に何億トンくらいの水を水資源公団なり河川局長なりは東京都へ支給してくれる予定でありますか。
  41. 松村賢吉

    ○松村政府委員 私どものほうの計画といたしましては、南関東、まあ東京が主体でございますけれども、これを一本にしたいわゆる水の需給計画というものを実は考えております。これにつきまして、野田の導水路、これでは全体で年間三・一五億トン、約三・一億トンの水が供給できます。ただしこれは東京の水道だけではありませんで、この配分につきましては、いま関係各方面でもっていろいろ折衝している段階であります。それから草木ダム、これにつきましては、年間全体で二・二七億トンの水が供給されます。それから霞ケ浦の関係につきましては年間で一・一七億トンでございます。これは都市用水関係全体の話でございます。
  42. 大柴滋夫

    ○大柴委員 それでは、その水を全部東京都へもらっても、昭和五十五年には足らぬのではないですか。二億トン、一・一七億トン、三・一億トン、合計六億トンぐらいじゃないですか。
  43. 松村賢吉

    ○松村政府委員 実はここに東京都に限定した数字を持ってきておりませんけれども、南関東全体を通して考えますと、五十五年というお話でございますが、いまここに実は五十三年の数字が出ておるのでございます。全体で四十五年以降でもって約三十三億トンの水が必要であるというふうになっておりますが、これに対して現在供給可能であろうと思われるのが約二十四億トン。ここでいまの普通の需要の想定に対しては約九億トンほどの足が実は出るわけでございます。御承知のように、昭和六十年を目途といたしまして「広域利水調査第二次報告書」というのを報告しておりますが、この内容によりますと、六十年で約二十億トン、水資源の開発を可能なものをやっても不足が出るのじゃないか、こういうことで、他流域からの導水、あるいは水の合理化、こういうことによって不足を補っていきたいということで考えておるわけでありますが、五十三年に対しましても約十億トンくらいのどうも不足が出る。もちろん現在におきましても、これは数字ははっきりはいたしませんが、自然の状況のものに対しまして、実は数億トンの不足考えられておるわけでございます。  これに対しましての措置は一体どういうふうに考えているかということでございますが、われわれのほうといたしましては、特にこれは上水道、こういう緊急やむを得ざるものについてでございますが、暫定取水的な考え方をとりまして、現在でも相当量の実は暫定取水というのをやっております。これによりまして水の供給をはかっておるわけでございますが、こういうことになりますと、実は水の供給の安定度、これが低下するということの状況が生ずるわけでございます。もちろん水のある年においては十分供給できますが、水の不足の年につきましては、やはり水の節約というようなことを考えませんと供給不足を来たすおそれがある状態でございますので、これに対する対策としては、やはり水資源の開発を積極的にやりましてこれの進捗を早めるということ、それから水の合理化をはかるということで対処する必要があろうと考えております。
  44. 大柴滋夫

    ○大柴委員 その基準年度が違うので、きわめて明白に不足だと私のほうは思うわけでありますが、河川局長のほうは、何やら不足だけれどもだいじょうぶだというような発言をして、実際は具体的なあれがさっぱりわからぬのですが、だれか水資源の方、おりますか。  昭和五十五年まで具体的に水資源として使える方針は、先ほど私が聞いたように、草木ダムと霞ヶ浦開発と野田導水路だけであって、あとのダムはまだ海のものとも山のものともわからない、これがほんとうだろうと思いますけれども、どうであるか。それからもう一つは、草木ダムなり霞ケ浦開発の水というものは、全部東京都へ持ってこられるものであるかどうか。あるいはそれはとてもだめで、ほかのところへも相当やらなければいけないというものであるか。水資源公団としてはどういうように考えておるか。
  45. 大橋文雄

    大橋参考人 お答え申し上げます。  水資源公団が現在実施しております事業の中で、今後五年間に効果を発揮すると見られる事業といたしましては、草木ダム建設事業と霞ケ浦開発事業、この二つの事業でございます。先生が御指摘になっているこの二つでございます。  この二つの事業の実施方針によりますと、草木ダム建設事業では、東京都その他の上水道用水及び工業用水といたしまして、この単位は、水の量にいたしまして毎秒七・二トン……(大柴委員「一年で言ってください」と呼ぶ)と申しますのは、これは年間量に直しますと非常にでこぼこがございまして、ちょっと精度を欠きますので、一応毎秒トンで表現させていただきます。毎秒トンで七・二立方メートルでございます。それから霞ケ浦開発事業につきましては、東京、千葉、埼玉の各都市用水といたしまして毎秒二十三・三六立方メートル、したがいまして、以上二つの事業を合わせまして、東京、千葉、埼玉、茨城の各都県に対しまして、合計いたしますと毎秒三十・五六立方メートルが開発されるということになっております。
  46. 大柴滋夫

    ○大柴委員 いずれにしても、毎年毎年、年を重ねるごとに東京は水でまいってくるのではないか。河川局長や水資源の方がおっしゃるように、いろいろ反対運動その他があってうまくいかないんではないか。そこで大臣に、東京の本論である過密のことについてお尋ねをしたいと思います。  昭和六十年に向かって、大体東京を含む南関東というか、東京圏はいま二千五百六十万くらいの人口が三千八百十万人くらいになるのではないか。たいへんな過密であります。これに対して田中内閣というか、建設大臣は、一体どういうようなお考えを持っておるのか、具体的にまたどうするおつもりなのか、そのことをお尋ねします。
  47. 小林忠雄

    ○小林政府委員 数字の問題がございますので、私からお答えいたします。  現在、東京と神奈川、千葉、埼玉のいわゆる南関東一都三県の昭和六十年における人口がどうなるかということでございます。これにつきましては、現在きまっております首都圏の整備計画の基礎数字といたしましては、大体三千万人という見通しで計画も立てているわけでございます。しかしながら、最近の人口の動向がそのまま続くといたしますと、とても三千万人ではおさまらないであろう。先般、経済企画庁で新全国総合開発計画の総点検をいたしました際に、三種類の前提のもとに試算をいたしたところによりますと、最低二千八百万人余から、先ほど先生がおっしゃいましたように、最大三千数百万人という幅になるわけでございます。しかし、われわれといたしましては、いまの趨勢では少なくとも三千百万ないし三千二百万くらいにはなるのではないかというように考えております。そこで、この南関東の人口増加に対してどういう対策を持っているかということでございますが、しからばその人口がふえる原因は何であるかということの分析が必要であろうかと思うわけでございます。  昭和三十年以来の南関東における人口増加の趨勢を見てみますと、大体五カ年間に三百万人程度それぞれ国勢調査ごとにふえているわけでございますが、昭和三十年の国勢調査から三十五年までの国勢調査の数字によりますと、ふえております原因の六四%ですから半分以上は社会増でふえているわけでございます。すなわち、南関東へ流入してくる人口のほうが南関東から流出する人口を大きくオーバーしているということが原因であったわけでございます。  ところが、最近こういう趨勢が非常に変わってまいりまして、前回の国勢調査によりますと、昭和四十年から四十五年までの人口増加のうち過半数を占めますものが自然増になったわけでございます。すなわち、南関東で子供がふえることによって人口がふえる、こういう趨勢になっております。この趨勢がどうなるかということは非常に問題でございますが、おそらくこのままの勢いでまいりますと、今後十年くらいたちますと、南関東全体としましては、出ていく者のほうが入ってくる者よりも多くなりまして、全体としては社会増はプラスマイナス・ゼロ、あるいは場合によれば出ていくほうが多い。すでに東京都につきましては、昭和四十年代の初頭から、御承知のように、出ていく者のほうが入ってくる者よりも多くなっているわけでございます。それにもかかわらず人口がふえるというのは、南関東で子供がふえる、子供が生まれるからでございます。  すなわち、先ほど申しましたように、昭和三十年代に非常に社会増が多かったということは、東京以外のところからみんな若い青年が就職する、あるいは大学に入るために南関東へ参りましてそこで結婚をした、その結果南関東で子供が生まれる、いなかのほうでは子供が生まれない、こういうことになったわけでございます。  したがって、人口を抑制するという話に対しましてはどういうことが必要かということでございますが、第一には、やはり社会増をできるだけ減らすということと、そのほかに、東京生まれの人間をさらに外に出していくという政策が必要であろうと思います。従来行なわれておりました政策は、第一は、昭和三十年代の当初におきましては、先ほど申しましたように社会増が原因であって、その社会増の原因は、工場と大学へ若い人が集まってくるということであったわけでございますので……
  48. 木村武雄

    木村委員長 小林君、簡単に。
  49. 小林忠雄

    ○小林政府委員 従来、工場及び大学の制限を既成市街地についてやってきたわけでございますが、これをさらに強化することを検討する必要がある。それから第二番目には、事務所の増設によって人口がふえるということでございますので、この事務所人口の増加を何とか押えることを考えなければいけない。さらにもう一歩進めまして、工場なり事務所なりを外へ積極的に移転をするということを考えなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
  50. 大柴滋夫

    ○大柴委員 工場なり大学なりを南関東から追い出す、それはそれなりにやっているだろうと思いますが、事務所をふやさないというようなことを首都圏整備委員会の方はおっしゃったが、何か具体的にやっているのですか。幾らでもビルが林立して、具体的にやらないんではないですか。どうなんですか。それは何をやっているのですか。
  51. 小林忠雄

    ○小林政府委員 首都圏整備委員会におきましては、四十七年に、首都圏の人口の集中抑制のために、事務所規制について何らかの措置をすべきだという委員会の答申があったわけでございます。この段階におきましては、いわゆる東京都区部を中心とします既成市街地の人口増を抑制するために何らかの方策をすべきだ。その手段といたしましては、都心三区における事務所の新増設を許可制にすべきである。それから第二は、東京都区部一般につきまして、事務所について課徴金なり何なりの経済的な負担を与えることによって事務所の増加を押えるべきだ、こういう答申でございます。  で、それについて検討いたしておりますが、まず第一の事務所の許可制の問題でございますが、この点については、東京の中枢管理機能というものは集まるべくして集まっておりますので、事務所規制をやることが一体東京の機能をそこなわないでできるかどうかという基本的な問題がございます。それから、かりに東京の事務所の中心部につきましてこれを制限したといたしましても、しょせんはやはり千葉とか埼玉とか神奈川とかいうような南関東一円に散らばることになるわけでございまして、いまや問題が南関東全体の人口抑制の問題になっている限りにおきましては、その点については役に立たないということでございます。  そこで、当面可能な手段といたしましては、事務所の新増設につきまして何らかの課徴金なり特別の課税をするということが現実的な方法ではないか。これははたして事務所の抑制なり分散にどれだけ効果があるかということについては議論があるわけでございますが、少なくとも各種の社会的な負担を持たせるという意味においては有効であろうというので、四十九年度の税制の改正の際に関係各省からそれぞれ提案があったわけでございますが、これはいずれにいたしましても法人に対する課税の強化につながるわけでございまして、法人税の税率の大幅引き上げということが行なわれる際でもございますので、一応四十九年度においては見送ったわけでございますが、五十年度以降の問題といたしましては、この課徴金なり特別の税負担をかけるということを検討してまいらなければならないと思っております。
  52. 大柴滋夫

    ○大柴委員 いろいろ案のあることはわかりましたが、要するにそれは、来年やろう、再来年やろう、将来やろうということであって、具体的にあなたが言った一番眼目である事務所を制限するということは、今日ただいま一つも実効的には行なわれておらない、こういうことだろうと思いますが、そう思ってよろしいのですか。
  53. 小林忠雄

    ○小林政府委員 少なくとも政府ベースにおいてはやっておらないわけでございます。
  54. 大柴滋夫

    ○大柴委員 亀岡さん、いま首都圏整備委員会の方が答えたように、具体的にはこの東京の過密、南関東の過密に対して実効的な方策を田中内閣が何一つやっておらない、こういうことだろうと思うのです。法人税を上げるとかどうとかということは全部一般のことであって、つまり過密に対する対策はないということなのですよ。それで演説をすれば、これがある、あれがあるというのでありますが、一体こういう問題をどうするのか、大臣にお聞きしたいのです。
  55. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 何もしてないという御指摘でありますけれども、政府としては、工場分散をはかるというために立法もいたしておるわけでございます。しかし実効が人口減というところまでにはなかなかいかない。やはり過密対策といたしましては、積極的に工場の分散をはかるという問題、それから、やはり地方にそれぞれ、新産業都市の指定でありますとか、あるいは工業都市の整備の法律でありますとか、何といっても受け皿を整備しなければならないということで、そういう問題も積極的に今日まで進めておるわけでありますが、さらにその上に、国土総合開発公団というようなものができました暁には、そういう受け皿の造成にさらに馬力をかけまして、とにかく三大都市圏の人口増を抑制していかなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  56. 大柴滋夫

    ○大柴委員 野党の演説でなくて建設大臣答弁ですからね。もう少ししっかりしてもらわなければ困るのですよ。事務所なら事務所へ、今年度はこうであったけれども来年度からは必ず東京都の事務所へは税金をこれだけかけるようにしますとか……。これじゃ政治にならないですよ、野党の演説会みたいなもので。  もう一つ、私は、「日本列島改造論」を田中さんがお書きになった際に、過密を過疎へ持っていくと書いた。一面では非常にいい案だろうと思うのですよ。ただ残念ながら、東京の過密というのは日本の政治の中央集権制、何でも東京へ来なければ解決しない。あるいは経済の寡占化。とにかく九州の会社でも、東京なら東京へ本社よりりっぱな支社をつくれというような、日本の経済と政治の根本的なところにあるだろうと思うのですよ。その重要な問題を忘れて何か田中さんがさわやかに書いたところに、「日本列島改造論」というものがちっとも受けなかった根本的原因があるのではないか。だからひとつその根本的原因と田中内閣が取り組むことができないとしたならば、せめて過程的な過密については、これだけ何とかしますという方針を大臣は勇敢に持っていただきたいと思います。  時間の関係上次に進めますが、田中さんが先ほど言った「日本列島改造論」なるものを書いたとき、ちょうど私の住んでいる品川、大田区は一坪四十万円ぐらいの土地がありました。田中さんがあの「改造論」を書いたために、とたんに六十万円ぐらいに上がってしまったわけであります。したがって、この土地の値上がりというのは、多少オーバーなことばを使えば「日本列島改造論」にあるのではないか。先般、予算委員会か何かで大会社の社長などを呼んで盛んにお責めになっているようでありますけれども、外様大名というものを盛んに責めていて、本家本元の徳川幕府の徳川家康を責めていないような感じがして、私は非常にふしぎなのであります。  そこでひとつ具体的にお尋ねいたしますけれども、現在われわれの住む東京においては、大体七割ぐらいの人が借地で家を建て工場を建てているのではないか。それでこの借地というのは、御存じのとおり二十年ごとに更新をするのであります。大体、借地なり借家なりについてこれが公正に行なわれているかどうか、都民にしあわせを与えているかどうかということを取り調べている、吟味しているという所轄官庁は、法務省でありますか、建設省でありますか。
  57. 沢田光英

    沢田政府委員 私のほうは、住宅政策という立場から、借家あるいはその底地であります借地に関して所管をいたしております。
  58. 大柴滋夫

    ○大柴委員 それでは、その住宅政策という意味でお聞きしたいのであります。いま東京の場合、たとえば二十年たつと地主のほうは、一〇%か五%の借地更新料を出せ、こう言うのであります。たくさんの人々が、世間の通例上、五%か一〇%を出さざるを得ないような立場に追い込まれているわけであります。ところが、先ほど申しましたように、昭和二十八年ごろ、坪千円か二千円の価格であったものが六十万円ぐらいに上がっているわけであります。そうすると、一〇%にしても六万円、五%にしても三万円ぐらいの借地更新料というものを出さなければいけないわけであります。土地を安くする、宅地開発公団をつくって安い土地を住民のために与えよう、あるいはまた都営住宅をつくって家賃の安い都営住宅を与えよう、それもけっこうでありますけれども、現実にいま借地に住んで一〇%なり五%なりを出さなければならない人々に対して、あなたのほうの住宅対策の立場上、どういうお考えを持っておりますか。
  59. 沢田光英

    沢田政府委員 切りかえときに更新料を取るということでございますが、これは習慣的に借地あるいは借家の場合に行なわれております。これは一応賃料の先取りと申しますか、かような性格でございまして、先取りのそういう更新料なりあるいは権利金なり、こういうものを取った分は地代なり家賃なりが安くなる。その地代なり家賃なりはいろいろ需給の関係で場所によってきまっておりますけれども、さような性格のものかと思います。私どものほうといたしますと、こういうものを取るということの是非に関しましては、現在のところでは違法ではない。妥当かどうかと申しますと、いわゆる一時金と地代、家賃とを含めました総額のものが住宅政策上どうだ、こういうふうな問題として私ども扱っておりまして、そういうものができるだけ住居費負担として適正なものの中に入るように、こういうような方針で地代なり家賃なりというものを扱っていく、こういうのが方針でございます。
  60. 大柴滋夫

    ○大柴委員 その方針、あなたの言う演説はわかりましたけれども、具体的に田中内閣の手によってとにかく土地がうんと上がっておる。片っぽうにおいては、土地を安くしましょう、土地の規制をつくろうといいながら、更新料が高くなっていることについては、建設省のほうとしては、あなたのいま言うようなことで、何にもしないのでありますか。
  61. 沢田光英

    沢田政府委員 家賃、いわゆる地代まで含めました住居費負担を適正なものにするというのが住宅政策の根本でございます。そこで、たとえば土地につきましては、先ほど言いましたような一時金と賃料とを合わせたものが賃貸料になるわけでございますが、こういうものをやはりできるだけいまの時期では押える、あるいはできれば下げていくということが必要だろう。それだけ住居費負担がだいぶつらくなってきております。そのために、土地でございますれば、まず基本的には、先ほど来議論になっておりますような国総法をはじめといたします、規制あるいは大量の宅地造出、こういうことでいろいろな施策をこれから展開をする。いままでももちろんやってきておりますが、さらに一そう展開する。あるいは住宅に関しましては、低利資金を地主さんに融資いたしまして、それによります家賃が適正なものにおさまるように、利子補給をしたり低利融資をしたり、こういうふうな各種の政策がとられております。こういうものを通じまして、いわゆる地代なり家賃なりが上がることを防ぎ、あるいはいま高過ぎるものは下がってくる、かようなところに基本的な政策をやっておるわけでございます。
  62. 大柴滋夫

    ○大柴委員 どうもこれからのことが多過ぎて、いままで何をやったか、いま何をやるかということがさっぱりわからぬのですよ。この五%なり一〇%なりの地代更新料を取られている都民並びに住民、いろいろの人に対して、とにかく土地は上がっているのですから、何かやっているかどうかということを私は聞きたいのですよ。これはこれでよろしいとして、ただ国総法ができるのを待っているのだ——まあ国総法ができることはいいですから、できない前のいま何をやっていらっしゃるのか、これを聞きたいのです。
  63. 沢田光英

    沢田政府委員 具体的に申しますと、現在、家賃、そういうものに関しましては、まず公共住宅をできるだけ大量に供給をいたしまして、これによって入居者の住居費負担の軽減をはかる、こういうことがございます。さらに民間の賃貸住宅というものが、木賃住宅を含めましていろいろあるわけでございますけれども木賃住宅のような質の悪いものではなしに、いい賃貸住宅が適正な家賃で供給されるような方策を先年から始めております。それは、土地持ちの方がその上に、適正な規模の、あるいは適正な家賃の賃貸住宅を経営する場合には公庫の金利並みまで利子補給をするという制度を具体的にやっております。そのほか、税制におきましては固定資産税の問題がございますので、これの課税の標準額というものを、現在評価額の二分の一というふうに押えておりますが、さらにこれからは四分の一にするというふうな制度がいまつくられております、
  64. 大柴滋夫

    ○大柴委員 もう一つ聞いておきますが、いま、いなかの高等学校なら高等学校を卒業してくる、あるいは親のもとを離れてアパートへ入るというと、大体敷金が二つ、礼金が二つ、前家賃並びに不動産業者に一つくらいの御礼、つまり二万円のアパートへ入るためには十二万円ぐらいの金が現実に要るわけです。そしてそれは先ほど言ったように、たいへんアパート代というものが上がっている。現在建設省なり法務省なりというものは、こういうような習慣がつくられたことはわかっておりますけれども、こういう習慣を認めて許しておくことが一番住宅対策によろしいのか、こういうようにお思いか。あるいはこれはちょっと行き過ぎであると思っているのか。その辺の見解を聞いておきたいと思います。
  65. 沢田光英

    沢田政府委員 住宅政策上から申しますと、先ほど来申し上げておりますように、一時金と賃料とを合わせたものが賃貸料になる、実質的な負担になる、かようなかっこうでございまして、これが、そういう一時金の問題が行なわれるということにつきましては、現在これは違法ではございません。しかし私どもは、そういうものを合わせた額が負担としてどうかというふうに考えておりまして、こういうものを極力避けていくというふうなことにいろいろの措置を講じておる次第でございます。
  66. 大柴滋夫

    ○大柴委員 どうもあなたの答弁がおかしいのか、私の質問がおかしいのか、質問がさっぱりかみ合わないのですね。つまり都会において、木賃住宅、そういうところにたくさん人が入っているわけですよ。そういうものについて、あなたは建設省の最高の責任者として、これはどうもおかしいといったように、見学に行ったなり、あるいはそういうものを見ている立場なんですか。実際そういうことを何か調べたことおありなんですか。何かりっぱな住宅公営でつくるとかなんとか、私はりっぱな住宅公営でつくることを聞いているんじゃないですよ。現在入っている人のああいう習慣は、借地なりアパートなりについてあなた自身がよろしいと考えているのか。あるいはこれはどうも高過ぎてたいへん迷惑をかけていると考えているのか。どっちかということを聞いているのですよ。はっきりしなさい。
  67. 沢田光英

    沢田政府委員 民間賃貸住宅につきましての実態調査は行なっております。その結果、大体平均値で申し上げますと、先生おっしゃいますように、東京におきましては、平均で敷金が一・五、それから礼金、権利金のようなものを二、そういうことで合計三・五かその辺のところのものを一時金として取っております。そのほかに、木賃住宅でございますれば、月々の家賃というものが一万円から二万円。いろいろのバリエーションがありますが、そういうことになってございます。大阪のほうにおきましては習慣が違いまして、敷金といたしましては五・二という平均になっております。そのかわりに礼金、権利金は取らずに保証金というものをまた取っております。これが七カ月というのが平均になっております。合計で十一・七というものを取っております。その反面、いわゆる家賃は関東のほうの半分ぐらいの程度になっております。これはそれぞれの地域の習慣で、先生おっしゃいましたように、できてきておるわけでございますが、先に多く払って家賃を安くしたほうがいいのか、あるいは先に払うのを安くして家賃が高いほうがいいのか、かような選択になるわけでございますが、地域でさような傾向になっております。  いずれにいたしましても、もし大阪方面でやっておりますような一時金十一カ月というふうなものが、一時の支払いとしてなかなかむずかしいということであれば、もし東京のほうでやったといたしまして、それが地域になじまないということであれば、私はそれは妥当でないと思います。そこで私の申し上げますのは、そういうものがございますけれども、これを一時金といわゆる借地料、借家料を合わせました負担合計でその世帯の人々に適当かどうか、こういうことで、現在では私は、この木賃の家賃は、質に比べて全体総合いたしまして高いと思っております。したがいまして、これに対して、先ほど来言っております施策を講じまして、こういう木賃住宅は適正なものに置きかえなければいけない、かように考えておる次第でございます。
  68. 大柴滋夫

    ○大柴委員 だんだん質問していくと、高い、木賃住宅は適正なものに切りかえる。何をやっているんですか、それじゃ。公営住宅はわかりました。
  69. 沢田光英

    沢田政府委員 まず公営住宅その他の公共住宅をつくります。そのほかに、民間の地主さんが新たに賃貸住宅をやられたときには、また木賃が出てくるということを防ぐために、先ほど申し上げましたような金利補給、こういうことをやっております。それからさらに、木賃住宅の現在あるものをどういうふうにいいものに変えていくか、これは建てかえなければ質が変わりません。そこで、先ほど来申し上げておりますような、あいた土地公共住宅をつくり、そこに木賃から人を優先的に入れ、その前の木賃を都なら都が買い取って公園にする、こういうふうなかっこうでの施策を四十九年度から始める予算を組んでおります。
  70. 大柴滋夫

    ○大柴委員 これからの施策に対してはたいへんありがたいことでありますけれども、いま木賃住宅に入っている人、いま借地によって高い更新料を払わなければならない人に対して、建設省としてはどう考えて何をやっているのか、これが聞きたいところなんです。結局何にもないということですか、いまの人は。なければないと言ってくれればそれでいいんですよ。別に演説を聞きに来たわけではないですから。
  71. 沢田光英

    沢田政府委員 固定資産税の評価額を下げる等の一般的施策のほかは特段のものばございません。
  72. 大柴滋夫

    ○大柴委員 亀岡さん、実際はこれから何をやるということも必要でしょうが、都会地においては借地の更新料、アパートが高い、そのことに一番みんな悩んでいるわけなんですよ。何か大臣として、当面、この人たちが実際は田中内閣のインフレの影響を一番受けているのですから、何かありませんか、あなたがなさろうとすることは。
  73. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この権利金でありますとか、敷金でありますとか、これはもう長い間の慣習の中から生まれてきた制度でありまして、これが一応民間住宅建設の一役を買っておるというふうにも見ることができるわけであります。それによって土地を持っておる方がさらに住宅を建てていくということで、その面におけるこの長年の習慣が続いてきておりますことは、そういう立場から評価できる面もないわけではないと思うわけであります。しかし、ただいま御指摘のとおりたいへん高くなってきておるということは、これはもう事実でございます。何らかの処置を講じなければならない。しからばどういう施策を講じたらいいかということになりますと、私もいまここで、どうしたいと、こういう具体的に申し上げるほどの固まったものを持っておりません。幸い建設省としては、住宅、家賃制度等に対する問題について関係審議会に諮問をいたしておりますので、こういう問題もあわせて、ことしの夏ころまでに大体結論を出していただくようにお願いしているわけでございますので、そこで検討を目下行なっておる次第でございます。
  74. 大柴滋夫

    ○大柴委員 ひとつ精力的に、宅地開発公団とかなんとか、そればかりに力を入れなくて、現実に困っている人を政府が指導をしてほしいと思います。  それから私は、今般何か建築基準法が改正されるそうでありますが、二つのことを聞いておきます。  一つは、われわれ都会に住む者にとって、特にわれわれ政治に携わる者にとっては、日照権の問題がたいへんな問題になっているわけであります。いまの日照権の争いを見ていると、結局、区なり東京都なりが許可をおろす、それに対してまわり近辺の人がいろいろと文句を言う。そうすると、いつか知らぬ間に、その当事者、マンションならマンションを建てる人は、金を出してまわりの人と話し合いをつけるわけですね。だから解決の一つには金があるわけです。これは建てるほうの人からいった場合です。それからもう一つは、不満の人は幾人かの反対者を動員して、工事やなんかで来る人に対して、工事に入ってくれるな、これは建物業者とわれわれとまだ話し合いがつかぬのだという、こういう具体的な動員力ですね。この動員力か金の力が東京都の日照権の問題を解決しているといっても過言でないでしょう。そうすると、今度建築基準法が改正をせられて、日照権の問題を何かしているそうでありますけれども建築基準法が改正されたならばそういう問題はなくなるような意味をもって改正されるだろうと思いますが、現実に政治的な見通しとして、そういうものになるような改正であるかどうか、これが一つの問題点であります。  それから二つ目の問題点は、先般いろいろ買い占め、売り惜しみ物資というもので、日本の倉庫が大いに摘発の対象になったというか、捜査の対象になったわけであります。今度建築基準法を改正されるそうでありますけれども、埼玉県、千葉県、神奈川県、この東京近辺にはたいへん私の倉庫が多いんではないか。現に、何か国鉄のコンテナも使えないほど、買い占め物資がコンテナまでも利用しているといううわさを聞くのでありますが、こういう私的な倉庫に対して、それを捜査の対象にするとか、あるいはそういうものを建てるときにはあらかじめ許可を必要とするとか、何か建築基準法の関係でそれを縛ると言ってはおかしいのでありますが、チェックする方法があるかどうか、その二つの問題を聞きたいと思います。
  75. 沢田光英

    沢田政府委員 まず日照問題からお答え申し上げます。日照問題はだいぶ前から非常に大きな社会問題として浮かび上がってきております。私どもはこれに関しまして、この二年間、審議会に諮問をいたしまして、非常な勉強をしていただいて、先日答申をいただいたわけでございます。その中間にも答申がございまして、その中間の答申では、日照問題はいままでは私法の相隣関係の問題として、結局は裁判、こういうふうな問題でやるべき問題だというふうにいわれておりましたが、しかし社会の問題として非常に大きな問題でございますし、具体的には建物の問題でございますから、公法上、すなわち建築基準法の範囲内でもそれに対する措置をやったほうがよろしいという中間報告をいただきました。  さらに、そういうふうな公法上の規制を入れるについて、それではいかなる基準がいいかということをお願いをいたしまして、先日答申をいただいたわけでございます。これは、ある建物から敷地の外に一定の濃い影を落とさぬようにするというふうなかっこうの基準になってございまして、これは日照問題の解決にももちろん役立ちます。それと同時に、将来の都市のあるべき姿、すなわち影の排出基準のようなものをきめまして、お互いがそれを守れば、立体化されたもの、二種住居専用地域あたりでもりっぱな環境のいい町ができてくる、かようなことで基準法の改正を準備をしておる次第でございます。  それから第二の点でございますが、倉庫の問題は、先生おっしゃいますのは、私的な倉庫を建ててそれを貸すということだと思います。現在、建築基準法は、建物の安全性、衛生上の問題、あるいはその地域の環境の問題、こういう問題をとらえまして、これを一定水準以下にはしないというために構造的な問題あるいは隣棟間隔その他の問題をきめておるわけでございまして、そういう私的な貸すという行為を取り締まっておる法域ではございません。それと関係いたしますものは、宅建業法のような取引業法がございますが、これも倉庫を売るときの問題でございます。さらには運輸省所管の営業用の倉庫の問題がございますが、先生が御提案のような問題はいずれも法域に入っておりません。  そこで、基準法ではどうだということでございますが、現在の基準法では、ある住居専用地域、平家で閑静なようなところ、あるいは立体化されて閑静なようなところ、そういうところではいずれも、一定規模以上の倉庫、こういうものは建ててはいけない、特に二種住専では営業倉庫もいけない、こういうふうな地域に応じて、地域を乱す範囲内で、これは建ててはいけない、こういう基準になっております。片や構造的には、倉庫はこういう構造にしなければいけないという安全確保をやっております。そういうことで、地域の環境を阻害するということで、倉庫のような建物は私的なものであろうと建ててはいけないというふうなことでございますが、それを貸す貸さないということが社会的に問題になっている、それを防ぐために基準法が全般的に倉庫をチェックしていくということには、基準法の改正でも入れられない、基準法の範疇ではそういうことはできないというふうに考えております。
  76. 大柴滋夫

    ○大柴委員 その倉庫の問題は、また別の委員会か何かで倉庫法というようなものを提案をして、とにかくそういうところに買い占めとか売り惜しみの物資が行かないようにしたいと思いますが、その日照権の問題は、建築基準法を改正することによって、現在起きているような、要するにまわりの人と建て主との騒動というものは全部法律が解決してくれる、あるいは警察が解決してくれるという方向になるのでございますね。これはどうなんですか。
  77. 沢田光英

    沢田政府委員 現在、日照問題は非常に広範に起きております。私どもが今回手当てをいたします問題は、その中のまず住居関係の地域におきましてこれを行なうというのが一点でございます。それからもう一つは、二階建て以下のような低層の住宅相互の問題、これは従来からも社会習慣ができておりますし、したがいまして、そういうものはいままでどおり私法の問題として残す。私どもがやりますのは、住宅地域の中に中高層住宅が建つ、こういうときに中高層住宅は一定の影を出してはいけないということで、いわゆる配置設計なり建物設計なりを押えるということでございますので、その範囲内で解決策に十分なるというふうに考えております。
  78. 大柴滋夫

    ○大柴委員 時間の関係上、あと一つだけ御質問をして交代をいたしますが、先ほど公害の問題でちょっとお聞きしたいと思ったんですが、実は私は二年ぐらい前に東京大学医学部教授の白木さんという人の話を聞いたことがあります。厚生省の方おられましたらお答え願いたいのでありますが、いま日本では、農薬に無機の水銀を含んでおって、この農薬を使った農産物を食べると、必ず人間のからだで有機になる。しかも、われわれおとなは差しつかえないのであるけれども、有機の水銀というものはおとなから子供に遺伝をするというか、伝わっていって、いまから十年、十五年後の日本の子供が大きくなったときには、たいへんな奇形児になるか精神薄弱児になる、日本はたいへんこのことが心配だ、物価が高くなっても人は死ぬことはないだろう、こういうような話を聞いたことがあるのでありますが、厚生省の担当官として、こういう話をどういうように受けとめており、あるいは農薬その他に厚生省としては何らかの規制措置を行なっているかどうか、この問題の御返答をお伺いしたいと思います。
  79. 宮沢香

    ○宮沢説明員 ただいまの問題にお答え申し上げます。  実はそういった動物等に有機水銀が入っておるということについては、以前スウェーデンで野鳥が倒れた、これについてスウェーデンの学者が研究していったわけでございますが、その場合に、野鳥は淡水魚、川に住んでいる魚を食べる、その川の水銀の中にメチル水銀が検出されまして、そのメチル水銀がどこから来たかということを追ってまいりますと、工場から無機水銀が排せつされて、その排せつされた無機水銀を、ヘドロの中にあるメタンガスを発生するバクテリアがその代謝の過程でメチル化する、それが水中に来て、魚の中に濃縮されていって、それを野鳥が食べて倒れたのではないか、こういう推定を下したわけでございます。  そこで、こういったものに関連いたしまして、日本におきまして、特に以前からマグロの中に非常に水銀が多いということで、東京大学の薬学部の浮田教授が、無機水銀というものと、それからメタンガスを発生するバクテリアの中のメチルコバラミンと申しますビタミンB12、こういう酵素あるわけですが、それと一緒にまぜまして、体内の条件三十七度、PH七・〇、暗室、こういう条件で放置してみたわけですが、そうしましたら、三十分くらいたつと一割くらいが有機水銀に変わっていく、そして二十四時間くらいするとほとんど全部がメチル水銀に変わってしまう、こういう事実を見出しまして、これを今度マグロの肝臓でもってやってみましたらやはり検出されまして、同様のことが推定できたわけです。ほかの魚についてやってみましたら、ほかの魚では、多少はできるがほとんどできなくて、マグロが圧倒的に多い、こういうような事実を見出したわけでございます。  それで、こういったような無機水銀が天然下にあって、人体に入った場合に魚と同様のことが推定できるかどうかという実験を計画しておったようでございますが、浮田先生は数年前におなくなりになりまして、一応現在その時点で終わっておる。ただ白木先生は、そういった研究を同じ職場におられますからおそらく見ておられて、肝臓というものが人体でも同じような作用をあるいはするんではないか、こういうような御想像でこのような発言をされたと思います。  また農産物については、農林省のほうで、水銀の害が非常に問題になったときに、その生産を中止して現在では全く製造しておりませんし、使用もしておりません。したがって、厚生省のほうとしても、水銀についての基準は特に設けておりません。
  80. 大柴滋夫

    ○大柴委員 そうすると、白木さんが言うような、農薬に無機水銀が含まれているということは、厚生省としては、そういうことはない、こういう見解なんですか。
  81. 宮沢香

    ○宮沢説明員 以前から水銀農薬が相当使われておりまして、土壌が汚染されております。したがって、白木先生が提案されましたような危険な状態が当然想像はされるということで、水銀農薬の使用をやめましたし、それからまた、天然下にもそういったものがあるわけでございますが、こういうメカニズム等については非常にむずかしい問題もある。ただし私どもといたしましては、水銀というものが非常に強い殺菌力を持っておりますし、あるいは先ほど先生が御質問されましたように、細胞の中に入って染色体に対するダメージを与えるようなおそれも当然考えられる、こういうことで、私どもとしましては、水銀というものが極力低い線にということで、WHOでもって、自然界の食品を通して私どもが摂取する水銀の摂取許容量というものがございますが、たとえば総水銀……
  82. 大柴滋夫

    ○大柴委員 よけいなことをいろいろ言わないでもいい。水銀は使っておらない、白木さんの言うのはうそだというなら、そうおっしゃいよ。
  83. 宮沢香

    ○宮沢説明員 白木先生の言うことは当然考えられます。したがって、水銀の、たとえば魚については……
  84. 大柴滋夫

    ○大柴委員 魚じゃない、農薬だ。
  85. 宮沢香

    ○宮沢説明員 農薬は現在使っておりません。
  86. 大柴滋夫

    ○大柴委員 終わります。
  87. 木村武雄

  88. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 いま建設大臣の御意見を承っておると、同僚議員の渡辺君や大柴君の質問に対してさっぱり答えになっていない。頭の悪いせいか、聞いていてもさっぱり抽象的で、具体性に乏しくて、方針にならない、こう思うのです。私は時間もございませんし、小坂大臣もわざわざお見えくださっていますので、はしょって質問をいたしたいと思うのですが、話に入る前に横道に入るようですが、一つ例を申し上げたいと思うのです。  実は昨年の五月ころでしたが、ソ連邦から建設大臣住宅局長、技師等が三人見えまして、それで実は対外文化協会から連絡がございまして、ぜひ日本の住宅政策を見たい、代表的な個所を見学したいので連絡してもらえないかという連絡が私にあったわけです。私は沢田住宅局長に電話いたしましてお願いをしましたところが、沢田さんは快く住宅公団につないでくれました。そこまではたいへんけっこうなんですが、さて日本の代表的な住宅建設の見本をぜひ見たいという要望できまったのが多摩ニュータウンでございました。私もぜひ一度多摩ニュータウンを見学しておきたいと思っておりましたので、住宅公団理事の案内を受けまして、ソ連邦の建設大臣住宅局長、技師、三人の一行とともに、その機会に便乗いたしまして、多摩ニュータウンを一日見学させてもらったのであります。私はそのときから実は一ぺんあなたに聞いてみたいと思った。もっともあなたはそのとき大臣でなかったからしようがないのですが、大臣になられたのを機会に一ぺん大臣の責任ある答弁を求めたいと思って機会を待っておったわけです。  そこで、いま、渡辺武三君の質問に対しましても、大柴君の質問に対しましても、いかにも住宅政策は万全の措置を講じているような計画をふろしきだけ広げて盛んに話をしていらっしゃる。ごまかしもはなはだしいと思っているのです。私は実は国際的な視察団を案内していわば恥をかいたわけです。それは多摩ニュータウンは動いていないのです。三年も前から工事が中止になっているのです。昭和四十六年に多摩四関係市から意見書が出されて、不調に終わって、自来一戸の家も建っていないのですよ。あなたから言わせると、どんどん建っているはずなのだがね。おかしい話だと思うのです。これは新住宅市街地開発法に基づく開発計画として、この法律は昭和三十八年七月に立法されて、この新住法に基づいて多摩ニュータウンの建設計画が進められたはずだ。まさに計画が進められてから十年を経過しているんですよ。  しかも多摩ニュータウンの計画は実に膨大な計画に基づいてやっておられる。多摩ニュータウンだけじゃないのです。いま日本の住宅政策として、政府関係機関がそれぞれの地方自治体も含めてやっていますニュータウン等の代表的なものは、何といっても多摩ニュータウンが第一位であります。三千ヘクタール、四十一万の人口を収容しようという膨大な計画、十一万戸を造成しようという計画でスタートしたはずです。引き続いて大阪北摂の六百三ヘクタール、あるいは北神戸の五百二ヘクタール、奈良と京都にまたがる平城ニュータウンは六百九ヘクタール、高蔵寺ニュータウンは七百二ヘクタール、千葉の東南部ニュータウンは六百七ヘクタール、横浜の港北地区のニュータウンは千三百十六ヘクタール。そのほかに、若干質が違いますが筑波学園都市計画を含めると、これは三千ヘクタール以上になっているのです。三千から四千ヘクタールふえてきます。だから約一万ヘクタールのニュータウンが現に計画されているのです。しかし、その代表的な多摩ニュータウンは、四十一万人を収容し十一万戸をつくる、こういう計画が現実に昭和四十六年以来ストップして一軒の家も建ってないのですよ。これはどういう理由であるか、大臣はそのことについて御存じだろうと思うのです。私だって知っているんだから、大臣知らぬわけがない。大臣の責任において、なぜ多摩ニュータウンがストップしているのかという原因について、事情について明らかにしてもらいたいと思います。
  89. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 多摩ニュータウンは昭和四十一年度から事業に着手をいたしまして、渡辺先生いま仰せのとおりの計画で、十一万戸、約四十一万人のニュータウンをつくろうということでスタートいたしておるわけであります。今日まで一万一千戸のうち約八千戸の住宅建設が行なわれておるわけでありますが、住宅公団東京都及び東京都の住宅公社、この施行主体と地元地方公共団体との間の調整が必ずしも十分でなかったというようなことで、もうほんとうに御指摘のとおり昭和四十六年度から住宅建設がストップいたしておることは、私も承知をいたしておるわけでございまして、まことに残念であり、担当責任者として非常に申しわけないという感じも持つわけであります。  しかしながら、施行主体、すなわち住宅公団東京都、東京都の住宅供給公社と地元の地方公共団体との間の懸案事項が四つほどあったと聞いておるわけでありますが、それも逐次話し合いが進んでおりまして、これからだんだん円滑に残りの三千戸も建設に取りかかれるのではないかというふうに期待しておるわけでございます。私といたしましても、関係各省並びに関係機関と協力をいたしまして隘路打開につとめてまいりたいと考えているわけでございます。具体的な四つの懸案事項がどのように解決されつつあるかということにつきましては、担当の局長から説明を申し上げます。
  90. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 大体地元との間の四つの問題と申しますのは、多摩市と町田市との行政区画に関する問題が一つございました。これは昨年十二月に調整がなされております。それから鉄道につきまして問題がございましたが、本年中に京王線、小田急線ともに多摩ニュータウンに乗り入れる予定になっております。それから医療施設の問題がございまして、総合病院をここへつくるという問題につきまして、これも見通しが立っております。最後に残る問題は、地元の市町村の財政負担の問題でございまして、一番大きな問題が残っております。これは主として義務教育施設を中心とします地元の財政負担の問題でございます。そのほかにも各種の問題がございますが、いずれにしても、人口がそこに定着することによって生ずるいろいろな諸施設が一時に地元の市町村の負担となるということが原因の財政負担の問題でございます。  これにつきまして、地元側といま申しました施行者との間で話し合いを進めてまいったのでございますけれども、非常に基本に触れる問題でもあり、長く時間が経過した次第でございます。これにつきましては、われわれもこういう地元との調整問題につきまして、特に地元の負担問題につきまして、これを解決することが宅地開発の推進の要素でございますので、今年度の予算措置等を通じまして、一つの目安を持ってこれの交渉を促進さしたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 このいまの四項目というのは多摩市の市長から提出された要求であって、それは四十六年十一月三十日付で関係機関に提出されておるはずです。ところが、それから正味三年間にわたってストップしているという事実は、いま問題になっているのは、マスタープランの再検討をしなければいかぬはめに陥ったために時間が延びているのじゃないですか。関係自治体の四項目の要求、それ以外のいろいろな住民要求やその他も含めて、その結果、当初の計画、マスタープラン自身を変更せざるを得ないはめに陥ったために、時間が非常に長期にわたって混乱しているのじゃないですか。そのことを明らかにしてもらいたいと思います。
  92. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 いま御指摘のとおり、いま申し上げました四つの問題特に最後の負担問題に関連してその後も関連した問題が幾つか出てきておりまして、空地をたくさんとるというような問題とか、あるいは学校の敷地のほかに公団住宅の建て方の問題等を含む問題も出てきております。したがいまして、これらの問題を総合的に考えますときには、現在持っておりますプラン、これはマスタープランというか、実施プランと申しますか、その実施の計画に多少の変更を必要とする、そういう基本に触れる問題でありますので、地元との間で種々調整に手間どってきたというような状況にあると考えております。
  93. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 マスタープランの策定の過程において、当然そういういろいろな障害が起こることを予想して、それが組み入れられなければならない。ことに、たとえば一ヘクタール当たり人口百五十人と想定してスタートした、それがいま百十八人に減少するように要求が起こってきている。いろいろそこでもネックになって、既存の住宅地と、新しく造成した住宅地に着手するにあたって、その基本問題が片づかなければ家を建てることもできないという現状がありませんか。  それからもう一つ、一番大きな問題になっているのは、教育あるいは医療の問題、特に教育上の例を言えば、本来計画からいけば小中学校四十三校つくる計画だった。高等学校十五校つくる計画だった。幼稚園は一住区に三カ所つくる、こういう計画を発表していましょう。現実に小学校は二つか三つ、中学校は一つくらいしかできていないでしょう。高等学校は一つ。苦しまぎれにいま私立の商業高校の誘致運動を起こそうなんという話になってきている。そうすると、この計画でいくと、そのままスムーズに学校計画が進行したとしても、そういう公共施設に投資する金だけでも関係四町村は百四億円の赤字をしょわなければいかぬ。  そこで、財政計画について、これは建設省住宅公団も加わっているはずですがね。別個に開発会議のほかに、日本都市センターを中心にして「住宅団地と財政 大規模住宅団地関連公共施設整備研究報告書」というのが出ておりますが、これはおたくも加わっているのでしょう。建設省の幹部も住宅公団の幹部も重要な役割りをして、三年間にわたってこういう膨大な資料をつくって、なぜ結論がつかないのです。もう少し具体的に述べてもらいたいと思います。
  94. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 先ほど申しましたように、基本的には地元の財政負担解決の問題、それからいま御指摘のような密度の問題に関連いたしますプランの変更にからむ問題を含んでおります。でございますので、この問題は、どのようにこういう急増市町村地区の財政問題にてこ入れするかという基本の問題に触れる問題でありますので、その話し合いというものが、個々具体のものを詰めるのに相当時間を要するわけであります。話し合いを現在続けておりますけれども、先ほど申しましたように、この地方財政の問題につきましては、どうしてもこれを突破しなければ地元の負担が急増することは明らかでございますので、何らかの方式、ルールをつくってこれの救済をしなければいけないという視点に立っていま促進をはかっているところでございますので、この問題は急いで解決をつけなければならない問題であると思っております。  もう一つの問題は、そういうマスタープランの変更の問題、あるいは実施計画の変更の問題につきまして、いま鋭意地元と相談を詰めながらその具体策を練っている最中でございます。  こういう状況を申し上げたのでございまして、じんぜん日を送ったわけではないのでございまして、そういう地元との調整がなかなか手間取った。その間のいきさつは先生御指摘のように、いろいろの問題が次から次へと出てまいります。当初予期しなかったような問題も追加されて出てまいったような事情にありましたので、それを一挙に解決することができなかった。ただ、先ほど申しました幾つかの問題は解決しましたので、残りは少なくなってまいりましたので、その問題に鋭意焦点を当てて、これから急いで解決していきたいと考えておる次第でございます。
  95. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 関連。  ただいまの局長答弁を聞きながら私は非常に遺憾に思いますことは、少なくとも多摩ニュータウンの問題、新住法開発事業に対する根本的な問題を検討しなければならない。本建設委員会においても、重大な課題として、特に委員会の決議をもって小委員会を設置いたしまして、この小委員会が一カ月半にわたりまして、多摩ニュータウンの東京都の事務所の現場並びに関係市長さん、並びにいま渡辺さんが提示されました公団の財政部、都市センターの関係資料、これを中心といたしまして、自治、建設、大蔵、厚生、文部、各省の担当官に出席していただきまして、慎重審議、あるいはいろいろな問題点をえぐり出しまして、それに基づきまして委員会としての報告書を提出しているはずであります。委員会はその報告書を決議として採択しておるわけであります。そうしたいきさつ、昭和四十七年の七月十幾日だったですか、委員会を開きまして、いま田村さんいますけれども、田村小委員長を中心としてでき上がっているわけです。これに対する具体策を進める、こういうわれわれの要求に対しまして、決議に対しまして、報告内容に対しまして真剣に取り組んだのですかどうですか。いまのお話を聞いておりますと、渡辺議員から指摘がありました点に対しまして、あまりにも怠慢だという感じを受けますので、大臣、ひとつお願いしますけれども大臣も報告を受けておりますか。建設省所管を担当されまして、委員会として重大な決議をもって、しかも審議いたしましたこの報告書を、大臣としては報告を受けておりますかどうか。
  96. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 報告は受けております。私も報告を受けまして、ほんとうに事務当局と申しますか、もっともっと早くなぜ解決できぬのかという感じを実は持ったわけであります。そこで私も就任早々この問題を頭に置きながら、何としてでも、当時、おととしですかの委員会でも御指摘のありました公共負担の軽減の問題、こういう問題をもうほんとうに具体的に実行していかなければ、先ほど渡辺先生が恥をかいたといみじくもおっしゃいましたが、全くそんな実情で、日本住宅公団が不始末、結果としてそういう形に現実になっておるわけであります。  したがいまして、そういう不始末といいますか、計画をつくった当初は考えがそこまでいかなかった、そういう点もなるほどやってみてわかったというような点は、これはもう言いわけにはならぬと思うわけであります。現に一万一千戸の計画でスタートしながら八千戸でストップしておるということは、これは何と言っても弁明の余地がない。しかもその原因は、教育施設等について、地方自治体並びに文部当局等ともっともっと積極的に折衝を重ねて、そして立てかえ制度をもっともっと充実するという方法も講じなければならぬということで、私も予算編成にあたりましては、そういう点には十分意を用いたつもりでございまするし、また事務当局としても何もしてなかったわけでもないようでございます。  たとえば交通施設の問題等につきましては、これは京王線、小田急線両線を今年中に開通させるというところまでも進んでおるわけでありますし、また多摩市と町田市との行政区画等の問題についても昨年の十二月に話し合いがついたということで、まあ速度はおそうございましたが、逐次解決の方向へ近づいておるわけでございまして、この義務教育施設等、ほんとうに渡辺先生の御指摘をお聞きして、なおかつ私、これは容易なことじゃないという感じも持ったわけであります。相当数の小学校、中学校をつくらなければならぬはずなのに、そういう問題がどうなっているかということは、私、詳しくまだ報告を受けてなかったわけでありますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、私、責任をもって速急なる解決がはかられるように努力をしてまいります。
  97. 佐野憲治

    ○佐野委員 関連でありますので、後日また委員会におきましてこの問題に対して質疑を深めたいと思いますが、ただ私は一つ、四十七年七月、解散を前にいたしまして、あの炎暑の中を国会の委員会は真剣に討議したということをやはり建設省としても銘記さるべきだし、国会軽視だという感じさえ受けるわけです。  と同時に、もう一つ、いろいろ問題点を指摘いたしまして、一、二は解決している。四十七年の予算、四十八年度の予算、四十九年度分におきまして、一部の解決は見られております。しかしながら、建設省自体としても真剣に取り組んでいるかどうか。たとえば都市公園にいたしましても、都市公園等整備緊急措置法が出ましたあの内容を見てまいりましても、四割しか国の補助対象事業となっていない。六割は単独事業である。しかも補助事業の裏二分の一、これを含めますと、要するに八〇%を地方財政の中においてやっていかなければならぬ。緑地空間、公園施設というものを、ニュータウンの中において、住宅市街地の中において確保する、このことが八割も地方経費の負担の中でやらねばならない。こういうことは、現実に考えましても直ちに改善さるべき性格のものではありませんか。河川の場合にいたしましても私は法令違反だと思います。法令で定められている一級河川、これのいわゆる住宅地帯の場合を見てまいりましても、法令でそれぞれ三分の一や四分の一と指定をしていながら、現実におきましては、法令違反だと見られる暫定措置がとられておるではありませんか。ここにも地方負担がいかに大きな問題としてのしかかってきておるか。建設省自体の事業の中におきましても、新しい住宅市街地を開発する、このために地元住民の納得と快適な生活条件をつくり出すために地方が持っておるこういう大きな深刻な悩みを、建設省がみずからの施策の中において解決すべき点を幾つか指摘しておるはずです。何ら改善されておらぬではありませんか。  こういう点に対しましても、後日また討議を深めていきたいと思いますが、きょうは関連質問でありますので、この点を指摘いたしまして、建設省が、大きな構想、あるいはまたイメージアップなり、いろいろな努力はしておられますけれども、そういう幻想的なものを与えるのではなくて、現実事態の中において解決すべき幾多の困難な問題に取り組んでいただきたい、この姿勢がいま大事ではなかろうか、かようにも私は考えますので、一言指摘いたしまして終わります。
  98. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 佐野委員の発言によれば、四十七年のときに田村さんを中心として小委員会まで持たれて詰めたということが、さらに二年間投げられておったということです。私は不幸にして当時議席を持っていませんでしたから、その会議には参加しておりませんが、まことに遺憾にたえないことだと思います。  時間がありませんからはしょりますが、特に医療機関の問題に対しては、そういう隔絶した陸の孤島ですから、それは住区別に診療所程度の施設がありますが、子供がかぜを引いたからといってその診療所に行けば半日近く行列をしなければならぬという状態で、かぜをなおしに行ってかぜを引いて帰ってくるという状況に置かれている。土曜は半日休みだ、日曜日は休みだ、そういうときの緊急の措置をする医療機関が隔絶している。そこで、総合病院の要求が非常に熾烈なものがありますことを特にこの際強調しておきたいと思います。  もう一つ。マスタープランがあったのかどうか、私は前の、当時の審議に参加しておらないからわからないのですが、もう一つ問題になってきていますのは、あの多摩の奥地の尾根伝いに尾根幹線自動車道というものを設定しようとしている。現に工事に着手しようとしている。純然たる住宅地帯として開発された地帯に、どこからどこへ通ずるのかという点も明らかでない。どうも神奈川県の津久井湖を開発する問題が裏に隠されておるのじゃないか、それを府中に通じて環状何号線かにつなごうとしているのではないかという憶測が伝わっておりますが、そういう住宅地域の中で、風光明媚な自然の公園を破壊して、山を削り取って、しかも八車線という東京のどまん中にもないような大きな道路が、汽車もなければ電車もない、バスもろくすっぽない、通勤にも不便だという状況にさらされておる反面、そういうような尾根を削って自然破壊をしながらこの尾根幹線自動車道を設定しようというのは、どこの計画で、どういう意図で、何を目的として、どこまで進行しておるのか。そういうような住民無視の自然破壊、環境破壊の最たるものを打ち切る意思がないかどうか、明らかにしてもらいたいと思います。
  99. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 いま先生御指摘の尾根幹線道路と申しますのは、多摩ニュータウンの計画におきましては、幹線街路として都市計画決定がされておりまして、そしてこの多摩ニュータウンが一つのニュータウンとして機能いたしますために、都市計画上必要な幹線街路として、いま仰せのような幅員でもってその用地をあけていま用意しておるのでございますが、これの施行者はまだ都市計画決定の段階でございますのできまっていない、こういう状況でございます。
  100. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 そうしますと、それはまだ再検討の余地があるわけですね。再検討の余地がないのか。どうしてもそういう八車線の大自動車道を、状況必要としない住宅地域をわざわざ通過させることを強行しようとしておるのですか。それとも、計画検討中だから、場合によったら再検討を加えるということも意味している答弁ですか、明らかにしてもらいたいと思います。同時に大臣の所信も伺いたいと思います。
  101. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 現在のところ、ただいま申し上げましたような計画で、四十万都市というものを他の地域につなぐ、あるいは四十万都市の中の幹線として計画された道路でございますので、現在その変更の要請あるいは変更の必要ということについては、いま私どもは聞いておりませんし、この幹線の必要性ということは、当初から都市計画審議会におきましてもこれを認めて決定した次第であります。ただ、これがその後の情勢の変化によって変更を必要とするということであれば、もう一度都市計画審議会にかけ直して変更する余地はもちろんあるわけでございます。実態についてはよくこれから検討をしてみたいと思います。
  102. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私も詳しく現地を承知はいたしておりませんけれども、ただいま局長から答弁申し上げましたとおり、都市計画の中の幹線街路、こういうふうに理解いたしますと、いろいろ法律的な機関を通って決定された計画ということになりますので、私は計画どおり遂行せられてしかるべきものという気がいたすわけであります。
  103. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 工事が三年間もストップして、当初の住宅計画が住区の計画も進まない、何の施設もできていない、学校もできていない、病院もできていない。にもかかわらずそういう開発行為だけに力を入れていく、それは本末転倒じゃないですか。力点の置きどころが違うのじゃないですか。もっとまじめに住宅の環境を整備することに重点を置いて、計画計画としても、住宅計画、都市開発計画、ニュータウンの計画を誠実に、まず人間の住める社会をつくることに力点をしぼるべきじゃないですか。重点の置きどころが違うんじゃないですか。あっちもこっちも手をつけて八方破れで何もやってない。やってない最中にそういう計画だけはやる。だれが見てもおかしいですよ。大臣、もう一ぺん所信を伺います。
  104. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 渡辺先生のお気持ち、十分わかるわけでございます。私どもといたしましても、当初の計画に十分でなかった点、配慮の足りなかった点等がございましたために、中途で八千戸つくってあとの三千戸が着工できないでいるという事態になっておるわけでございます。しかし、やがては諸問題が解決せられましたならば、多摩ニュータウンとして四十万をこす大都市としてここに機能を発揮するわけでございます。そういうことを考慮いたしました際には、やはり街路、これを速急に整備をするという問題は、これは再検討せにゃならぬかとも思いますけれども、私は、その街路の必要性というものは四十万都市の中においては否定はできないのではないかと、先ほどお答えしたとおりでございます。
  105. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 時間の関係上、同僚議員にも御迷惑をかけますので、一応この問題はこれで打ち切らしてもらいます。  小坂総務長官、わざわざお見えになっているので、長官に対して質問をいたします。  実は私が質問申し上げるのは、去る二日に発生いたしました那覇市における災害問題があります。きのう沖繩対策特別委員会で同僚の上原康助君が質問をして、それに対して大村官房副長官と小渕総務副長官が答弁をしていることがちらっと新聞に出ております。大臣出席されておらないようでありますが。  特に、北海道出身の私が、東京にかみついたり沖繩開発に発言をするというのは、一つ理由があるからです。それは実は昨年の十一月にも災害が起こっております。琉球海運ビル、これは地下四階、地上二十階のビルで、竹中工務店が施工担当をいたしておる大ビルであります。この大ビルが、不幸にいたしましてその地下四階が崩壊いたしまして、地下四階とへりにありました五十八号線、一級国道の六車線のうち四車線までビルの地下二十メートルの底に陥没したために、一級国道も崩壊いたしました。このとき私は、社会党の調査団長という命令を受けまして、那覇の現地に行って直接この十一月二十六日の災害を見聞し、検討し、その機会に海洋博計画を視察をしてまいったのであります。  一度あることは二度あるといいますが、この事件の前に、同じ昨年の四月二十一日には、浦添市の市民会館の工事中に、地上九・五メートルのビルが建設の途中で崩壊いたしました。大ワクのささえが崩壊したために、ビルが工事中崩壊して十二名の重傷者を出している事件があるわけです。そうすると、去る二日の那覇市の住宅街、聖マタイ幼稚園わきの工事現場で起こった爆雷の破裂というのは、現象は違いますけれども、土木工事の中途であったという意味において、今度のを加えますと、まさに一年間に三つの大きな土木公害が起こっておる。あえて建設公害、土木公害と言うゆえんであります。  こういう状態の中で、沖繩開発庁長官も兼ねられます大臣といたしまして、どうお考えになっておりますか。海洋博をめぐる突貫工事の影響が、次々とこういう膨大な建設公害、土木公害を発生させておると考えられますか、所見をお伺いしたいと思います。
  106. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま渡辺委員の御指摘のとおり、私は最近は少し事故が多過ぎるように考えております。これが直接に沖繩の海洋博関係の工事の影響とにわかに私は即断できかねると思いますけれども、やはりこれは、あの狭い地域にいろいろな工事が錯綜している、そうしたようなことから十分な事前の措置がとられなかった点もあるのではないかと考えておりまして、たいへん残念なことだと考えております。
  107. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ほんとうに引き続く沖繩の災害、まことに遺憾でございます。建設省といたしましては、海洋博等に対する請負者の入札の際の選定でありますとか、そういう際に力のある者を指名をいたしまして、能力以上の負担がかかってこれが事故に通ずるというようなことのないような配慮はいたしておるわけでございます。ああいうビル工事中に、しかも相当有名な会社による工事がああいう災害を起こすということは、いろいろな面において研究の不足というような点があったのではないかということで、実は事務当局を通じてその原因等を十分に調査するように命じておる次第でございます。
  108. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 これは海洋博をめぐる突貫工事のせいであることは明らかなんですが、特に復帰後の現象として、四十七年度においては、建築災害、労働災害が起こって死亡した人が二十四名。それから四十八年度、昨年度は三十二名に上がってきております。ですから、三十二名ということになりますと、十日に一人ずつ死んでいるという理屈ですね。非常に高い災害率です。それが全部土木に関連した事業場における災害です。しかもその違反件数を事業所別に言うと、調査事業所三百三十カ所のうち、こういう建設公害を起こしているものは二百六十七カ所の事業所が起こしているのです。死亡したものもありますし、重傷、軽傷もありますが、実に全工事の事業所別に調べると、八〇・九%という工事現場、事業所が災害を起こしている、労働災害を起こしている、こういう状況にあります。しかもいま海洋博を中心としてビルラッシュが、至るところ公共投資以外の民間投資にも起こっている。復帰後もアパートとか共同住宅、マンション等が二百六カ所であったものが、いまは七百九十九にふくれ上がっている。ホテルは復帰当時二十七カ所だったものが九十二にふくれ上がっている。いわゆる海洋博景気があおり立てられて、膨大なその先行投資が全部土木事業であり建設事業であるという点が注目さるべきだと思うのです。しかもそういう中で、本州の土建業者が大量に沖繩に進出して、沖繩のは共同発注という形式をとっているところがたくさんありますが、実際は下請で人夫集め同様にして、全部本州から一級の土建が進出をしてやっておるという状況であります。  こういう状況の中で、労働災害については労働基準局の直接の監督下に属しますが、建設省としては、業界の指導、育成、そして賃金の不払いや労働災害を起こした者に対しては、入札ストップの強硬措置のようなことを講じなければ目がさめないんじゃないかと思うのです。あと追い政策ではだめだと思う。この際、大がかりな労働災害を起こした、あるいは違反を起こした事業所については、入札をストップさせるというような強硬措置を講ずる以外に業者の反省を求める道はないと思うのです。いかがですか。
  109. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういういまお話のありましたような線で、災害後も事務当局を通じまして、現地に建設省からも派遣いたしまして、各業界にもその点きびしく申し渡しをいたしておる次第でございます。
  110. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 小坂長官にお伺いいたしますが、きのう沖繩開発特別委員会において小渕総務副長官は、上原君の質問に対して次のように答えていると新聞は伝えています。これは朝日新聞の記事であります。それは罹災者の補償問題でありますね。罹災者の補償問題について、「法的に国に賠償責任があるかどうかについては、検討を要するが、沖繩が戦場だったという特殊事情などを考慮して補償問題は政府内部で考慮する」と答弁したと伝えられています。その点について、沖繩の今度の災害は戦争当時の残骸の爆発でありますから、当然自衛隊にも関連してまいりますし、国自身の賠償問題が問題になると思いますが、その点についてあらためて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  111. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  月曜日に、これは内閣の審議室中心でございますが、われわれから発議をいたしまして、各省の担当官に全員集まってもらって、この事件が非常に人身にも大きな影響を与えておることであるので、この善後策その他について政府ベースとしての対策を協議してもらったわけでございますが、その結果、昨日、建設省から二名、沖繩開発庁から一名の技官が現地に飛びまして、現在調査をいたしておるわけでございます。私らはこの調査で、どうした原因、あるいは工事の施行上のいろいろな問題等々の具体的な現場の把握がまず第一だと考えておりますが、同時に、この調査の結果を早急に持ち返ってもらいませんと一この発生した事故が下水道工事の現場であるというわけでありまして、その下水道工事は自治体がこれを行なうということにもなっております。小渕副長官が申し上げました点は、国の直接の賠償責任があるかどうかということは、なおこの事態を内部的にもよく検討しなければならぬわけでございますが、やはり死者も出られたことであるし、何かこの点についてお見舞いをしなければならぬだろうというのは、私も小渕副長官と全く同じ意見でございまして、そうした発言をしたわけだと存じますが、現在なお内閣におきまして、この問題の善後措置、賠償等を含めまして十分研究をいたしておる最中でございます。
  112. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 長官についでと申したら恐縮ですが、あなたの就任後のことだと思いますが、沖繩海洋博が半年間延長になりました。沖繩海洋博の展望についてこの機会にお伺いしたいと思います。
  113. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  半年の延長でございましたが、われわれといたしましては、その当時の石油事情等から、さらに長期にわたってこれを延期すべきではないかという議論も一部にあったように聞いております。しかし、特に屋良知事並びに地元の方々といろいろお話し合いをした結果、やはり開催は一たんきまったことではあるし、しかも工事は一応計画の線に沿って進んでおる事態でもあるから、いまこれを県民の期待する線よりはるかに先に延ばしてしまうということは、むしろ海洋博を開催するその意義自体にも非常に問題が生ずるんではないかとというような判断に立ちまして、特に地元の皆さん方の意見を中心に伺って、延ばすとしても、海洋博に一番ふさわしい時期、七月を選んで開催をするということに決定をいたしたわけでございます。  私も先般、非常に短時間でございますが、沖繩に参りまして、海洋博工事全般の動向等も視察してまいりましたが、いろいろな批判は一部にあることは存じておりますけれども、しかし、海洋博そのものによって、本島及びその周辺の地区が、いままで日の当たらなかった沖繩に初めて大きな道がつき、また港湾も建設されているというような点については、県民の各位は非常に好意をもってこれを見てくれるということも私ははだで感じたわけでございまして、そうした意味合いがございますが、ただいまのような事故がそのために起こったということでは、まことに残念なことだと考えますけれども、海洋博そのものの持つ意義は、単にお祭りをするんではなしに、あの海洋博という一つのプロジェクトを通じまして、県民のいままで忘れられたいろいろな面について、日本の一部としてのさらに経済的な発展の足がかりにしてまいりたいという気持ちでこの事業の推進をはかっていきたいと考えているものであります。
  114. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 実はこのあと北海道東部苫小牧港開発問題をめぐる諸問題につきまして質疑をしたいと思いまして、開発庁の総務監理官もおいでを願っておりますが、日程の私の受け持ちの時間が過ぎてしまいましたし、これ以上同僚諸君に御迷惑をかけるのも申しわけないとは存じますので、後日に譲りまして、これで終わらせていただきます。
  115. 木村武雄

    木村委員長 次回は、来たる十三日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。   午後一時三十九分散会