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1974-04-26 第72回国会 衆議院 外務委員会農林水産委員会商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十六日(金曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員   外務委員会    委員長 木村 俊夫君    理事 石井  一君 理事 石原慎太郎君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 福永 一臣君    理事 水野  清君 理事 河上 民雄君    理事 堂森 芳夫君 理事 松本 善明君       足立 篤郎君    大久保武雄君       小坂善太郎君    坂本三十次君       深谷 隆司君    福田 篤泰君       石野 久男君    勝間田清一君       三宅 正一君    渡部 一郎君   農林水産委員会    委員長 仮谷 忠男君    理事 坂村 吉正君 理事 湊  徹郎君       小沢 一郎君    吉川 久衛君       中尾 栄一君    竹内  猛君       諫山  博君    瀬野栄次郎君       稲富 稜人君   商工委員会    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 塩川正十郎君    理事 板川 正吾君 理事 神崎 敏雄君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    佐野  進君       野間 友一君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         外務政務次官  山田 久就君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         大蔵省国際金融         局次長     藤岡眞佐夫君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省農林経済         局長      岡安  誠君         農林省畜産局長 澤邊  守君         食糧庁長官   三善 信二君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   内村 良英君         通商産業省通商         政策局長    和田 敏信君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   穂崎  巧君         外務省経済局外         務参事官    川出  亮君         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      森山 信吾君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際協力事業団法案内閣提出第五七号)      ――――◇―――――   〔木村外務委員長委員長席に着く〕
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより外務委員会農林水産委員会商工委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  国際協力事業団法案を議題といたします。     ―――――――――――――  国際協力事業団法案   〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 木村俊夫

    木村委員長 本案についての提案理由の説明は、お手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑される各委員に申し上げます。質疑は申し合わせの時間内で御協力をお願いいたします。  なお、政府当局におきましては、その答弁を簡潔にお願いいたしたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  4. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、国際協力事業団法案の問題に関して幾つかの質問をいたします。  まず最初に、時間になっても約束の答弁者がそろわない。そこでまず何時になったら大臣がそろうかということを、あらかじめメモで出してもらいたいということを先に要望をしておいて、そしてこれは質問の順序が狂ってまいりますから、重要な点についてはどうしても大臣答弁を求めなければならない問題がありますから、その点だけを残しながら、事務的な部分から質問してまいります。  まず最初に、この事業団において対象になる国々は、どういうところが対象になるか、その点について外務省から……。
  5. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 お答え申し上げます。  本法案の第一条の中に書いてございますように、この事業団対象といたします地域は、まず第一番目に開発途上にある諸国でございます。それから業務の範囲というところ、第二十一条の中に「開発途上地域等」と書いてありますので、その場合には開発途上地域以外の若干の国にも及び得る。それから特にいまの二十一条の第四号業務の場合におきまして、すなわち、従来移住事業団がやっておりましたような事業でございますが、こういう場合には、第一条の中に中南米等と書いてございますので、その地域が主たる対象になるということが明らかにされております。
  6. 竹内猛

    竹内(猛)委員 共産圏対象になるかならないか、その点について。
  7. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 共産圏開発途上地域と申せるかどうかは、これはDACの定義等で若干の問題がございますが、私どもといたしましては特にこれをはずすというようなつもりではございません。
  8. 竹内猛

    竹内(猛)委員 韓国はどういうふうに扱われるか。
  9. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 韓国はもちろん開発途上地域という中に入っておると思います。
  10. 竹内猛

    竹内(猛)委員 従来の海外活動に関していろいろと経過を見ると、農林漁業というものが非常に軽視をされてきている。これは経済企画庁が担当する協力基金の扱いにしても、その他のいろいろな面から見てもそういう傾向があります。この点について率直に、従来の海外活動におけるところの農林水産業軽視という点について認めるかどうか、この点を関係者から答弁を求めます。
  11. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 従来のと仰せられますのは、たとえば海外技術協力事業団仕事であるとか、それからまた資金協力の場合であるとかを主としてさしておられると思いますが、農林業分野につきましての協力を特に私ども軽視してきたということではございませんで、比較の数字とり方にもよりますけれども、たとえば農林水産業に対する援助実績という数字をとりますと、ODAの場合で、全体のわが国ODAの四・四%で、工業等に対しましては劣っておりますが、これは相手国要請とか数字とり方とかそういうことでございまして、意識的に軽視したわけではございませんで、外務大臣の各機会におきます演説等にもあらわれておりますように、今後もできるだけ農業を重視してやってまいりたいというふうに存じております。
  12. 岡安誠

    岡安政府委員 いま外務省からお答えがございましたとおり、政府としまして農林水産業等につきましての援助軽視したわけではございません。ただ、確かにいまお話しのとおり、技術援助等につきましては相当従来からも実績があるわけでございます。ただ、大型のプロジェクト等につきましては農業につきましてはいろいろ問題がございます。相手方のほうの要請水産業、林業に比べれば少ないようでございますし、また、対応する技術的な問題におきましてもなお熟していないということもありまして、従来は比較的取り上げる件数が少なかったというふうに考えておりますが、今回国際協力事業団法案というようなものを御提案いたしておりますのも、そういう点をカバーをいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、この経済企画庁が担当しているところの経済協力基金を見ても、決して農林漁業が優遇されているとは思わない。四千四百億近いものの中で農林水産に対しては百九十一億、四・三%というようなそういう状況を見てもそれは明確です。だから、そういう意味において、農業というものが海外活動の中でも軽視をされ、国内においてはまさに軽視をされている。結局重化学工業重点、安い原料を輸入して加工してまた出していくという日本経済のこの仕組み、こういうものが明確にそこにあらわれていると思うのです。  そういうような状態であるから、当然東南アジア方面で過般田中総理が訪問された際にあのようないろいろな問題が起きることになる。そういうことを考えると、今後の海外活動のあり方というものについて根本的に考える必要がある、こういうふうに考える。特に発展途上国というのは農業中心の国でありますから、そういう国々に対する経済活動考え方、こういうものについての反省はないかどうか、その点をただしたいと思います。
  14. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 竹内先生指摘のとおり、開発途上国におきましては農業がきわめて基本的に重要であるという認識に立ちまして、過般の東南アジア開発閣僚会議におきます、あるいはまたエカフェ総会におきます外務大臣演説等におきましてこれから農業を重要視してやっていくのだということを申されておりますように、私どもといたしましては今後ますます農業重点を置いてまいりたいというふうに過去の行為を反省して考えておる次第でございます。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 反省をするというけれども、それならば具体的にこの海外活動におけるところの援助基準というかパーセント、要するにGNPの何%くらいのものを出すかということについてのその考え方はどうですか。
  16. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 GNPに対します比率といたしまして農業がどのくらいになるかという御指摘の点につきまして、ただいま的確なお答えを申し上げることははなはだ困難でございますが、従来のような低い比率ではなくしたいというふうに考えております。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いままでの海外活動というものを考えてみると、金さえ出せば何でも買える、そしてあとは商社にまかせる、こういうように、技術者を動員し、政府の金を使って、そして利益中心にこれが考えられてきた。したがって、それは民間企業というものの商社主導型の海外活動であったと思います。そういうようなところからは農業発展するはずがない。農業というものは一定の時間がかかり、そして自然的条件気象条件、こういうようないろいろと困難な問題が農業の中にあります。したがって、利益中心にこの問題が取り上げられ考えられている限りにおいては決していい成果は生まれない。  そういう意味において、今後の海外活動の中で、特に技術の問題あるいはまた農林省がいろいろ立案をしておった経過もありますけれども、そういう技術資本とこれが一体になって出ていくというようなそういうあるべき方向に進んでいくのか、それとも従来のようにやはり政府は金を出して大商社がその中に自分の持っている技術を出して利益中心にしていくのか、この点はきわめて重要な点であるから明確にひとつ答弁をもらいたいと思うし、場合によったらこれは大臣答弁を求めなければならない点になるかもしれません。
  18. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 まさに御指摘のような点、すなわち、民間企業のやってまいりましたお仕事政府仕事をよくつなぎ合わせてやっていこう、それから技術協力資金協力とをよくつなぎ合わせてやっていこうという点に着目してこの事業団をこしらえるわけでございますので、この事業団ができまして活動をいたし始めました暁には、御指摘のような点についての改良を志して事業を進めていきたいというふうに存じております。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農林省はこれに対してどういう答えですか。
  20. 岡安誠

    岡安政府委員 最近の開発途上国の様子を見ますと、何といいましても食糧問題、人口問題等が問題の最大のものになっておるようでございます。したがって、途上国協力要請におきましても、従来のように単発的な技術協力ということよりも大型なプロジェクトを用意いたしまして、それに対して技術並びに資本を一体的に援助をしてもらいたいというふうな要請が強くなっております。したがって、私どももそういう要請にこたえまして、従来とはやり方を大幅に転換をいたしまして、総合的な援助をいたしたいというふうに考えております。  ただ、先生指摘のとおり農業天候等にも左右されますし、また成果をあげるまでに非常に長い期間を要する、さらに周辺の多数の住民に影響のある事柄でございます。そこで私どもは、政府間におきましても十分な相談をいたしまして、調査をし、計画を練り、そういうような計画のもとに政府間同士で話し合いをして援助をする場合と、民間企業にお願いをする場合と、いろいろ分けて考えていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても調査計画事業実施、これを総合的に計画的に実施をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 外務大臣が見えたから外務大臣質問します。  まず、国際協力基本的な政治姿勢、その基本的な理念あるいは思想、いわば哲学的なこの問題について聞きたい。そしてそれは同時に、いままでの国際協力あるいは国際活動というものに対する反省も含めて、基本的な政治姿勢について尋ねたい。   〔木村外務委員長退席仮谷農林水産委員長着席
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 世界一つの大きな社会といたしまいて、その中の一員として国際的責任わが国の力量に応じて果たしてまいることは当然のことと考えておるわけでございます。いま経済協力についての日本政府基本考え方についてお尋ねがございました。わが国世界各国から先進国一つに数えられておるわけでございます。したがいまして、その場合におきまして、もろもろの先進諸国と比肩いたしまして、これに劣らないだけの経済協力発展途上国あるいは特に後発発展途上国国づくりに御協力申し上げるということは当然の任務と考えておるわけでございます。  しかしながら、今日までの結果を考えてみますと、分量におきましては、他の先進国と比肩いたし得るだけの経済協力ができておるわけでございますけれども、その質的な面、すなわち条件につきましては、他の先進諸国に比べましてまだ相当の見劣りがある状況でございますことと、政府からの援助というものが著しく少ないということでございます。したがいまして、われわれといたしましては、政府援助をふやしていくということ、それから援助条件を改善してまいるということに今後の主眼を置いて、経済協力を進めなければならぬと考えております。それが第一でございます。  それから第二点といたしまして、経済協力ということは、ひとりその国の工業化に役立つというようなことだけではいけないと考えます。工業化ほんとう工業化をやるにつきましても、その基盤になる農業の問題あるいは医療の問題、教育の問題、そういった問題につきまして、根底からその国の自助努力を基礎といたしまして、わが国が持てる技術力資金力、そういうものを提供いたしまして、その基盤をつくり上げていくということが大切であると思います。  したがいまして、去年もエカフェ総会が東京で持たれた際におきましても、わが政府といたしましては、アジア諸国に対しましてわが国援助方針はそういうところに力点を置いてやるのであるということを宣明いたしたばかりでなく、そのラインに沿いまして実行をいたしておりますことは御案内のとおりでございまして、これからそういう点に力点を置き、特に配慮を加えてまいる考えでございます。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ただいまの外務大臣答弁を聞いていると、金、物、こういうものが中心になっている、私はそういうものだけが中心になっているところに、日本のいままでの国際活動における批判があり、反省がなければならぬと思う。問題は、人間の問題が抜けているじゃないですか。発展途上国なり、あるいはこれからなお発展しようという国々におけるところの人間の問題をどう考えるか、その問題が解決しない限りいけないと思うのです。それば、金をやって、そうして今度はこちらから技術を入れて、それからできたものを持ってくるということではなくて、そこの教育文化あるいは生活、こういうものがやはり一定基盤に到達をする、そういうような努力の中でやはり次のものを考えなければならない、こういうふうに私は考えるけれども、これは間違いかどうか。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 まさに仰せのとおりに私も考えておりますし、全く同感でございます。経済開発と申しましても、また均衝ある国づくりと申しましても、根底人間の問題があることは仰せのとおりでございまして、その国がまず自助努力をやるにいたしましても、それだけの努力を組み立ててまいるモラルの問題、それを計画してまいる計画能力の問題、行政能力の問題、そういった問題がやはり根底に確立しないと、ほんとう国づくりは困難だと思うのであります。  御案内のように、わが国国際協力事業団等を通じまして、また民間各層におかれましても、多くの留学生をお迎えするばかりでなく、わが国のほうからそういう各部門の専門家各国に派遣をいたしまして、相ともに学び、相とも協力いたしまして、そういう面の確立に御協力を申し上げておるわけでございますが、しかし仰せのように、これまでの努力が私はこれで満足すべきものとは決して考えていないのでありまして、そういう点に特に力点を置かなければならぬ、そういうことを先ほども申し上げましたように、今後の経済協力政策一つの大きな力点として取り上げて、特に配慮を加えてまいりたいと考えております。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、ぜひそういうふうに人間の問題を中心に据えて、そうしてそれと物との関係を考えていかなければ、日本のような資源、エネルギーもない、食糧もない、そういう国はどうしても海外との連携をとっていかなければならないわけでありますから、それを忘れた活動というものについては私は賛成ができないわけでありますから、その点を強く要望しておきます。  次の問題は、事業団各省間の任務の分担の問題、第四十三条にはそのことはやや明らかになっておりますけれども、まだ具体的ではありません。したがって、たとえば一例をあげると、パルプチップのように、その最終目標が紙の原料であったとしても、これはその過程において森林開発植林伐木等々、農林省が担当する分野がその過程にあります。そういうような場合に、私はこれはこのようにやってほしいと思います。  要するに植林とかその育成、伐木等々は農林省の担当であり、その後これが加工段階になった場合においては通産省がこれを担当していく、こういうふうな一つの総合的なプロジェクトというものができていくべきではないか、事業団ができたというのはそういうようなことになるのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、この点について関係当局答弁を求めます。
  26. 岡安誠

    岡安政府委員 国際協力事業団法案には、やるべき事業内容並びにそれにつきましての関係各省権限といいますか、責任等が明らかになっているわけでございます。いま御指摘パルプチップ等原料生産のための森林開発、造成に関する権限についての御質問がございましたけれども、問題は、農林業開発事業というものにつきましては、これは法律の中でも外務大臣及び農林大臣主務大臣ということになっております。問題は、農林業開発事業内容は何かということであろうと思っております。いま先生の御意見、私どもそこで拝聴いたしました。先生の御趣旨等を体しまして、なお私ども関係各省で詰め残しの点もございますので、十分協議をいたしたいというふうに考えております。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題についても、従来の経過もあることと思いますけれども、むだなことのないように、ひとつきちんと整理をしてやってほしいというように要望して、次のほうに移ります。  先ほどもちょっと質問いたしましたが、この事業団対象国とその選択の基準について、その国の今日までの関係経過がありますが、それは日本経済発展にとって好ましいからそれを選ぶというのか、あるいはそれとも相手国の実情をさらに高めていくということと相まって、その国の社会的、経済的、文化的基盤というものを高めなから、調製しながら、その上に産業発展させ、そしてその国の理解と納得のもとに友好を深めていく、こういう関係を持つかどうか。  先ほど外務大臣からの答弁もありましたが、今日までの日本海外活動を見ると、海外からは日本はエコノミックアニマルであるとか、あるいは日本株式会社であるとか、経済的侵略者であるとか、新植民地主義であるとか、ありとあらゆることばで呼ばれております。なお、経済成長が優先であるとか、GNP至上主義であるとか、あらゆることばが使われておる。こういうような状況の中で、国内においては公害がたれ流されて低賃金で不十分な労働条件があり、そして不完全な社会保障のもとに、もうかりさえすればやっていくのだ。  要するに資源目当て海外活動であり、それの生まれ変わりが事業団であるとするならば、やはりこの事業団は問題だ、こういうふうに思うのです。その点について外務大臣の責任ある回答を求めたい。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御指摘がございましたように、これまでのわが国対外経済活動あるいは対外経済進出につきましていろいろの批判が寄せられておりますることを私どもよく承知いたしておるわけでございます。すなわち、それはわが国利益のために、その手段としてあるいはその道具として経済協力を考える、そういうにおいがする、そういう傾向がありはしないかという批判でございます。あるいはそれがさらに高じて経済支配に及ぶのではないかという懸念がその批判に込められておるわけでございます。それは御指摘のように間違いでございまして、そういうことをやっておって日本国際社会に長く信用をつなぎ、祝福されるはずはないわけでございます。  したがいまして、わが国経済協力政策基本は、相手国の主体性というものを十分踏まえて、それにわが国の持てる技術なり資本なり、そういった力をもってお手伝いをするということがあくまでも基本でなければならぬと思うのでございます。したがって、この法律案の第一条に「これらの地域経済及び社会発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする。」と明定いたしておるゆえんのものもそこにあるわけでございます。  しかしながら経済は同時にお互いが互恵であるべきはずのものでございまして、わが国といたしましても、その結果としてわが国経済的利益がもたらされるということをこばむ必要はないと私は思うのでありまして、あくまでもいま御指摘のように相手国理解のもとで相手国経済及び社会発展に寄与するという基本の筋を踏みはずすことなく、わが国として秩序ある協力をやってまいる、そのためにこの事業団はその道を踏みはずさないようにつとめてまいらなければならぬことは仰せのとおりと私は心得ております。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 従来の海外活動というものは、必ずしもいまの答弁にあったような形ではなかったと思います。これは十分に反省をしてもらいたいということを要望します。  そこで、農林大臣に伺いますが、日本食糧は米、野菜、卵を除いては、麦類、大豆、砂糖、油脂原料、牛肉をはじめ特に飼料などは著しく不足をしています。農林省の公表しているところの四十七年を出発点とし五十七年を目標とした需給目標において、五十七年、二千六百四十カロリーを供給するためには二〇%以上の輸入をしなければならないといっている。しかし、現在のオリジナルカロリーで計算した場合には三七%から四〇%くらいのものである。  日本社会党は先般の大会において、国内の土地を高度に利用し、大企業、大資本中心農政を転換して農業と農民を守る立場から、国内農業生産力を高め、その自給度を高めることに最善の努力をすると同時に、なお不足する食糧飼料その他海外に依拠しなければならない点もあることを指摘しておりますが、この立場から現在の政府農政を見ると、口先や文字、文章の上では危機であるとか自給度を高めるということは言っているけれども、実際政治の一面にあらわれている面においては依然として大企業、大資本中心であります。麦、大豆、えさに若干の手心は加えられました。しかしそれは予算の面からいえば百十五億というものであり、国の予算の中に占める農林予算の比率を見ても去年とあまり変わりがない。  そういう点からいってみて、決して農業自給度を高めるということにそれほど思い切った努力をしているとは思えない。本気に国内生産力計画的に総合的に伸ばすという点についてはまだまだ不足している。そういう段階のときに、田中総理は農地を三十万ヘクタール転用するということをいまだに取りやめをしない。重要農畜産物の価格も、米を除いては生産費と所得を補償するような価格の決定の方式ではない。したがって農地の拡大はもちろんのこと、農業後継者も残らず、農民の心がほんとうに政治につながっていないというのが現状だと思います。  農林大臣はこの際、海外協力を求めるならば、一体自分の国内の足元の農業が、農政がこれでいいということをはっきり言えるかどうか、反省はないか。この反省がない限りにおいてわれわれは海外にものを求めるということについては協力できません。
  30. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私ども農政についていろいろ御意見がございました。先般御発表になりました日本社会党農業政策に関する基本方針もいろいろ拝見をいたしました。私ども大いに参考になる点もございますが、いまお話しのございましたように、全体のわが国の必要量を国内で自給するとすれば、現在の耕地面積だけではなかなか間に合わないことは御存じのとおりであります。  そこで、私どもといたしましてはできるだけ農地の効率化をはかるという意味で、たとえば麦等はいままで稲と錯綜しておりましたので割りのいい稲のほうに重点が置かれる傾向で麦が少なくなった。そこでやはりこれは裏作が十分にできるような品種の改良が必要であるということでいま鋭意それにつとめておりますし、また四十九年度予算では飼料作物、穀物等についての助成金を出すなどして、その作付反別もふえつつあることは御存じのとおりであります。  いまも竹内さんおっしゃいましたように、国内でまかない得るものはできるだけまかなう計画でありますけれども、なおかつ海外に仰がざるを得ないものばやはり安定的量で安定した価格でこれを計画的に入れるということが必要である。もちろん海外経済協力というふうなことは、ほかの意味でも重要な点もありますけれども農業関係におきましても、いま申し上げましたように海外に仰がざるを得ないものでありますので、これはやはり多角的にそういう方向をとる必要がある、こういう考え方から今回の事業団のような構想が出てまいった。  ことに竹内さんもすでに御承知のように、政府間でも、たとえばフィリピン、マダガスカル、ブラジル、これらは農業についてわが国協力を求めて、いろいろなことの御相談をいたしております。それから林業についても、これもフィリピンとの間にいろいろの話がありますが、先ほど外務大臣が御説明になりましたような考え方のもとに、海外におけるそういう事業をこちらで協力してやることによって、私どもが期待いたしておる安定した量を計画的に入れるということが、わが国食糧政策上絶対に必要である。こういうことを考えておるわけであります。国内における自給度の維持、向上につきましては、海外経済協力の方向は、当然とるべきでありますけれども国内自給度を維持、拡大することについては、さらに一そうの精進、努力をいたすことは当然なことでございます。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま答弁がありましたけれども、まだまだ私は、これは納得をしない。どうしても納得ができない。まず、五十七年目標食糧需給計画というものの審議会における経過というものもまだあまり進んでおらないし、この事業団法を出すからには、ぜひこれは通してほしいということであろうと思うから、通ったならば、一体どの程度のものを海外に求めるのか、こういうようなことも明らかにしなければならぬはずであります。  そこで、国内においては、いまだに休耕田や不耕作の畑や雑草のはえたあき地がたくさん残っている。その上に、大企業が投資のために土地を買った面積もかなりあります。そしてそれは値上がりを待っている。牧草地にふさわしいようなたいへんりっぱな土地が、現在、面積として、すでに麦の作付面積に匹敵するぐらいの十五万から二十万ヘクタールのゴルフ場ができている。私は、ゴルフを何も反対するものじゃありませんが、あまりにも多過ぎはしないか。そうして山林にもまだ木が植えられるのに、山林には雑木がはえておる。そして台風が来れば、それがくずれて被害をもたらしておる。そういうようなところでは、えさの作物を植えればもっとできるはずです。  そのような状況国内にあって、そうして海外に、足りないからそのものを求めるということは、やはりこれは道理に反すると思います。中国では、国のすみずみまでが実によく活用されております。そういうように、日本のすべてのところが活用をされて、なお足りない、だからひとつ海外協力援助、あるいはまた輸入を求める、こういうような方向でない限りにおいては、やはり私は問題があると思う。こういう点について、外務大臣農林大臣答弁を求めたい。
  32. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お説の気持ちは、私どもも非常に御同感であります。いま林野のお話もございましたが、先般通過さしていただきました保安林の整備臨時措置法であるとか森林法の改正案、これを審議願っておる途中でも、政府考え方を御説明申し上げましたように、農地はもちろんのこと、林野につきましても、乱開発を防止することを、今度は法律で規制することにいたしておりますし、狭い領土でございますので、これを効率的に活用する、しかも優良農地を保護していくという立場は絶対に変えておりませんことは、御承知のとおりでございます。  一部商社等がかりに農地を買っておるといたしましても、最終的には、これは農地法の許可を得なければなりません。私どものほうでは、農地法の規制は厳重に確保してまいります。その他、土地利用につきましては、全力をあげていま申し上げました目的の趣旨に沿うような政策をとっておることは、御存じのとおりでございます。
  33. 大平正芳

    大平国務大臣 国内農業政策を世界食糧事情、世界農業環境のもとでどのように調整してまいるかは、農林大臣の御責任でございまして、私からとやかく言うべき問題ではないと思うのでありまして、私ども外務省といたしましては、農林省の御政策を踏まえて、その円滑なる遂行に御協力を申し上げるということでございます。  ただ、私ども経済協力を通じて、先ほどお答え申し上げましたように、海外発展途上国農業基盤が充実し、食糧増産が活発になってまいりまして、世界食糧需給の緩和がもたらされるような状況をつくるために、日本経済協力もそういうお役に立つような方向に経済協力を進めてまいるということは、私ども任務といたしまして、そこに力点一つを置いて施策をしてまいりたいと考えております。   〔仮谷農林水産委員長退席、木村外務委員長着   席〕
  34. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、何も海外における食糧や木材の開発輸入を否定をしておるわけじゃない。国内において、できるだけの土地利用あるいは農民の気持ちをとらえて一生懸命に生産をしたがまだ足りない、そういう努力をして、なお足りないからということが明らかにならない限り、やはり日本がいままで海外から受けてきたそしりを免れない。だからそういうことを早急に、農林省としても計画を進めてほしい。私は、去年以来そのことを農林省に要求しておるけれども、どうもあまり進んでおらない。自信がない。一体これはどういうことなのか。だからその問題が明確にならない限り、われわれはこの問題に、にわかに協力するわけにはいかない。そのことを明確にしておきます。  その次は、これと関連しまして、日本農業開発し、発展させるために使っておるところの金融、お金です。これの資金条件というものと、海外に、開発し、輸入をしようとする援助協力、これの資金関係というものは、主として輸出入銀行であるとか、あるいは経済協力基金とかいうものを使われるわけでありますけれども、これらのほうがはるかに条件がよろしい、国内におけるところの農業生産においてたいへん農民に苦痛をかけておきながら、海外においては条件のいいというようなことをやるのは、これはやはり私は、日本の農民の気持ちが許さないと思う。だから、そういうようなことは、これは改めてもらわなければいけない。その点はどうですか。
  35. 岡安誠

    岡安政府委員 先生十分御承知だと思いますけれども国内におきます農林業関係の金融と申しますのは、対象農林業の特質、いわゆる資本の収益性が低いとか、投資の回収に長期を要するとかというようなことがございますので、一般的に他産業への金融の場合の条件よりもきわめて有利になっております。このことは、海外農林業開発の場合におきましても、当然検討されなければならないと思っております。  ただ、問題は、海外農林業の場合におきましては、相手国におきます当該農林業の状態、これによりまして、やはり私どもから融資申し上げます資金の条件も変わらざるを得ないと思っておりますので、今後やはり実態等を把握いたしまして、検討いたしたいと思っておりますけれども先生おっしゃるとおり、国内におきますそういう金融の体系、条件等と十分バランス等も考えまして、対処いたしたいというふうに考えております。
  36. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま答弁がありましたけれども、やはり国内におけるところの生産を第一に考えなければならない。そして国内の農家の皆さんがなるほどという納得がない限り、海外にいろいろな有利のような条件でそれをやるということについては、これは問題があるので、この点は早急に調製してもらいたいということを要望します。  次いで木材の問題に入りますが、四十八年二月の十六日閣議決定の「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」によると、輸入量は昭和四十四年度から四十六年度三カ年間の平均五千三百六十万立方メートルから、昭和五十六年には需要総量の一億三千四百八十万立方メートルのうち六〇%を占める八千五百十万立方メートル、昭和六十六年度には総需要量の一億四千七百三十万立方メートル中の六割、八千八百六十万立方メートルに増大する。  この大量の木材を海外に求めるとしたら、どこでどういうような形でどのような方法でこれを求めようとしておるのか、この点について農林省答弁を求めます。
  37. 福田省一

    福田政府委員 ただいま御質問ございました木材の自給率が現在のところ約四割、逆に外材六割でございますけれども、この長期見通しでは五十年後にはこれを逆転させる、つまり国内資源をもっと拡充していくという考え方に立っております。いま御指摘こざいましたように、五十六年には一億三千四百八十万立方メートルになるわけでございますが、国産材につきましては、資源内容がまだ非常に若い状態でございますので、増加が急には期待できません。外材の必要量は八千五百十万立方メートルと非常に膨大なものになるわけでございます。  しかしながら、最近産地国におきましては、木材の需給の逼迫は同じような状態でございますし、また森林資源の保護、自国産業の育成、こういった見地から丸太の輸出、これを規制強化しようという動きがございます。外材の安定的な確保につきましては、長期的には必ずしも楽観できないというふうに考えております。  このため、今後丸太の輸入の増加が期待できますのは、針葉樹につきましてはソ連邦、広葉樹につきましてはインドネシア、それからパプアニューギニア、こういった諸国と考えております。これらの国を重点としまして輸入先の多角化、開発輸入及び長期契約の促進をはかる必要があると考えております。  さらに製品の輸入でございますが、従来のわが国の木材の輸入形態が丸太中心であったことが産地国間で非難を受ける原因となっていることを考えまして、わが国の木材工業の近代化を進めながらも、漸次製品の輸入を増大させる必要があるというふうに考えております。昭和五十六年には、必要な輸入量の八千五百十万立方メートルのうち三八%に当たります三千二百六十万立方メートルを製材、合板、チップ、パルプ、こういった製品で輸入することを考えております。参考までに申し上げますが、いまの三八%でございますけれども、昭和四十五年には二四%、四十八年には約三〇%、こういう状態でございます。次第に製品を増加するという考え方でございます。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)委員 たいへん重要な問題でありますから、その場合においても、国内森林開発というものを十分にやりながらそれをしないと、これは当然反発がくると思うので、この点も注意をしていかなければいけないと思います。  そこで、先ほど来私は政府海外活動というものが非常に重化学工業の原料、そういうところに重点があって、農林水産部門については立ちおくれをしているというか、軽視をしてきたということを指摘をしてまいりました。この証拠には、七三年三月末の海外経済協力基金にしても、四千四百二十九億中農林水産関係は百九十一億円であり、それはわずかに四・三%になっている。こういう状態の中で、農業が重視されたとはいえない。  だからこの問題は、いままでは農林省がその中に参画をしていなかった。今度は協力体制ができるわけでありますから、今後はこれは一体どのような方法でこの一体性について努力をされ、そうしてこの農林業についてももっとウエートの高い形でやろうとしておるのか、この点について答弁を求めます。
  39. 青木慎三

    ○青木政府委員 経済協力基金におきまして農林業のウエートが少ないというのは、御指摘のとおりであります。若干新しい数字で申し上げますと、昭和四十八年十二月末現在の基金の貸し付け承諾累計は、先生の御指摘数字よりやや多くなりまして五千七百億円でございます。このうち商品援助を除きましたプロジェクト援助は約四千億円でございまして、さらにそのうち農林水産業関係は三百億ということで、プロジェクトの中におきます農林水産業のウエートは七・五%というのが現状でございます。  いままで基金の運営にあたりましては、経済企画庁主務大臣になりまして、それに対しまして外務、通産、大蔵各省が、それぞれの所管事務に対して密接な関係がございますので、協議大臣になっております。農林大臣は協議大臣ではございませんけれども、基金の運営協議会というものをつくりまして、実際の事務では上記の四省庁の事務次官のほかに農林、運輸、郵政、建設の各事務次官が入りました運営協議会をつくりまして、緊密な連絡をしているわけでございます。  いままでの援助の中で、基金の貸し出しの中で農林のウエートは少なかったわけでございますが、最近各国の政策も農林水産業を非常に重視するように変化してまいりましたので、今後農林関係の案件が漸次ふえていくというふうに私どもは予想しておりますが、実際の事務にあたりましては農林省と十分よく連絡をとって、円滑な事務の処理につとめてまいりたいというふうに考えております。
  40. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ぜひそれはそのようにやってほしいと思います。  そこで、発展途上国等においての活動に関する問題として、先ほど外務大臣からは経済基盤の整備、教育あるいは技術等々の話が出ましたけれども、これをやる場合においては人材が必要であります。いままでは大商社技術者、商売人がそこに出入りをしていた、あるいは各省の役人がそこに出入りをしていた。そういうことでは、これは何と批判をされてもしかたがない。海外活動をするためにどのようにして人材を養成するのか、これが一つ。  それからもう一つは、相手国農業の個人ではなしに農業団体、たとえば農業協同組合のようなものをどのように活用をされるか。個人の意思であればとかく個人の思惑が働きがちでありますが、集団になりますといろいろ相談しますから、そうかってにそれはきまらない。そういうわけで、いわゆる農協のような組織はどのように関連をさせて使われるのか、こういう点はどうでしょう。
  41. 岡安誠

    岡安政府委員 経済協力の中の農林業開発関係協力を見ますと、特に先生おっしゃるとおり、資本の面のみならず技術の問題がございますし、その技術を担当する人の問題は最も重要なことでございます。従来必ずしも十分でありたというふうに私どもは考えておりませんので、今後は国内協力関係に携わる人間の研修養成はもとより、海外関係者につきまして積極的にこれを受け入れまして研修をするというようなことを、この協力事業団でも考えております。  第二点の農業協同組合同士の関係を今後どういうふうに活用するかということでございますが、私どもやはり経済協力というものはお互いの国の人間の自主的努力によりまして、それが結集されて成果があがるということが最も望ましい形でございます。そういう形の一つとしまして、わが国農業協同組合と発展途上国農業協同組合が従来から相提携いたしまして人の交流、それは研修その他を含めました人の交流もやっておりますし、また経済協力といいますか開発協力の面におきましても、日本の協同組合と相手国の協同組合が提携をして事業実施しておる例もございます。私どもはやはりこのような形を今後大いに発展をさせたいというふうに考えております。  したがって人材の養成等の面におきましては、従来からも助成をいたしておりますが、今後必要に応じてその点の充実を考えたいと思いますし、また協同組合が海外農林業開発に携わる場合におきましても、積極的に援助をしてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  42. 竹内猛

    竹内(猛)委員 あと五分ですから、残った問題を三つ一緒に質問しますので、これをまとめて答えていただきたい。  アジア農協振興機関というものがあります。これは東南アジアの農業協同組合のオルグの養成をする、研修をするものであります。ところが、実際やるところは農協になっておるけれども、資金も少ないし、国からの援助も足りない。OTCAからの受け入れ技術の研修員なり、外務省もいろいろやっておりますが、実際は農協の代表でやる。そして農協のオルグを養成するといいながら、実態は必ずしもそういう形になっておらないようであります。この点について、もっと基本の問題に立ち返るためには、もう少しこの人選の過程なりで農協の機関や農林省などと相談をされていく必要があると思うけれども、この点が第一の問題。  それから人事の関係でありますが、この事業団の人事の問題についてどういうような機構で構成されるかということは、たいへん問題なんです。どういうような人事の組み立てをするかということによってこの事業団の性格がきまってくる。先般の本会議外務大臣は、これは外務省が主管であるけれども、そのほかに経済協力大臣というものをつくると言った。私たちはこれには反対です。そして事業団には総裁がある。しかも各省がこれに協力しなければならない。こんな複雑なことで相手国は一体だれと基本的に相談したらいいか、わけがわからない。こういうようなことでなくて、もっと簡単明瞭に、やはり相手国にわかりやすい状態をつくらなければならない。  こういう点が一つの大きな希望としてあると同時に、役員の構成においても、企業や役所の中心人物ばかりでなしに、農業関係を代表する者も中へ加えていく、そして文字どおり今度はほんとう発展途上国と心を合わせていろいろな問題について相通じていくんだというような形があらわれない限り、この事業団の成功はないと思う。  私は、まだいろいろ申し上げたいことはありますけれども、そういう点について尋ねると同時に、もう一つは大蔵省に、いままで海外に対する開発なり援助なり、そういう資金や窓口があったと思うけれども、この際そういうものも一応整理をされて、できるだけ一本化していくような方向がとれないかどうか、こういう点についてもお伺いをしたいと思います。  まとめてお答えをいただいて、私の質問を終わります。この点についての回答を求めます。
  43. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 第一点につきましては、農林省からもお答えがあると思いますが、アジア農業協同組合振興機関というものにつきまして、これを積極的に利用するということは従来からもやってきておるところでございます。  それから第二点の、いわゆる内閣法の改正によって国務大臣が一人おふえになる、その大臣経済協力問題等を担当されるということになる点との関連でございますが、この担当大臣は、この国際協力事業団法案からはっきりいたしておりますように、この事業団の監督を担当されるものではございません。その国務大臣はいわゆる無任所国務大臣でございまして、大型のプロジェクト等の推進に当たられる。その際にいろいろな道具を入り用とされると思いますが、事業団もそういうときには御協力申し上げるという形になるかと存じております。  それから、事業団の内部の人事につきましては、まだはっきりしたことは何もきまっておりませんが、適材を選んで、十分に有効な事業団の運営ができるように、それぞれの専門的な知識を有するということだけではなくて、また人格とか識見とかにおきましてもすぐれた方をこの事業団にはめていきたいというふうに存じております。  三番目については大蔵省のほうから御答弁があるかと思います。
  44. 岡安誠

    岡安政府委員 昭和三十八年に設立されましたアジア農業協同組合振興機関、これは先生指摘のとおり、主としてアジア地域の農協関係者に対しまして農協に関する研修及び調査事業を行なうということを目的にしておるわけであります。したがって従来、三十八年から四十八年度までにおきましては、自主研修といたしまして約五百六十名余りの人を研修しておりますし、政府委託研修、OTCAから委託をして研修をお願いしておりますのが約二百七十人ばかりおります。  問題は、この委託研修につきまして、この機関の目的と若干そぐわないようなことが行なわれていたのではないかという御指摘でありますが、今後よく外務省等と相談いたしまして、目的に沿った事業が行なわれるように努力をいたしたい、かように考えております。
  45. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 経済協力実施各省にまたがっていて、ばらばらになっておるから大蔵省で資金をまとめてはどうかという御指摘の点でございますが、確かに経済協力はその性質から各省の所管事項にまたがっておりますので、ばらばらになっておるという批判は私どもよく伺っております。ただ日本の場合、経済協力の歴史が浅いという点もございまして、今後改善の余地もあろうかと思いますが、資金を策定いたしますときにおいては、予算あるいは財政投融資という面で大蔵省が各省と御相談してまとめておりますけれども、その実施の段階につきましては、外交とか財政金融とか通商とか、いろいろな事項にまたがっておりますので、やはり所管の各省と相談してやっていかなければならないというふうな現状でございまして、要するに大事なことは、各省の連絡が非常にうまくとれて、ばらばらにならないで統一的に対外的にも実施されていくということであろうかと思いますので、その辺のところにつきましては今後とも努力していきたいと思っております。
  46. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これで終わります。
  47. 木村俊夫

    木村委員長 諫山博君。
  48. 諫山博

    ○諫山委員 いま日本農業政策で一番大切なことは、日本人の食べる食糧はできる限り国内で生産するということ、つまり食糧の自給率を高めるということです。食糧の自給率が低いことがどのくらい深刻な事態を引き起こすかということが昨年からの飼料価格の暴騰に象徴的にあらわれています。そこでこの法案は、開発輸入が金融面から援助されて、促進されるという結果になると思うのですが、農林大臣はどう判断をしておられましょうか。
  49. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 国内で生産し得るものは全力をあげて自給度を高めるということばしばしば申し上げておるところでありますが、いまあなたのお話の中にもございましたように、今年畜産の問題についてみんなたいへん心配しました。これは突き詰めてまいりますと、やはり輸入飼料穀物の高騰ということであった。そこでそういうものを加味いたしました価格決定をして安定したわけでありますが、わが国自給度は、国内で生産し得るものは全力をあげて生産に邁進しなければいけませんけれども、全部国内でまかない得るということはなかなか困難であることば御存じのとおりであります。  そこで、いままではアメリカ合衆国が一番大手でありました。次がカナダ、オーストラリア。けれども、昨年起こりましたような現象で、ソビエトロシアとか中華人民共和国のような大手が急にあらわれて買い付けをいたしたということが、世界の穀物市場に大きな変動を与えたことも御存じのとおり。かたがたそういうことを考えてみますというと、私どもはいわゆる選択的拡大といわれておる品目の中で、乳製品や豚、牛肉等を生産いたします場合に、これに供給すべき飼料穀物を全部国内でまかなうことは御存じのように非常に不可能だ。そこでこれを外国に仰ぐことは、できるだけ安定した価格で安定した量を欲するということ、最近はまたアメリカのバッツ農務長官、また近くはカナダの方も見えますが、やはり彼らの産出物を日本でできるだけよけい買うようにというお話、安定してくるとそういうことでありますが、われわれといたしましては、やはりこの法律でも御説明申し上げておりますように、第一は国際協力ということが日本のような国の立場としては絶対に必要である。  したがって、そういうことを念頭に置いて、相手国わが国農業的に協力を求めておる国がありますので、そういうものに協力をいたしまして、先方にやはり農作物の生産がふえていかなければ供給国に殺到して品物をほしがるということになれば、わが国が当然必要である物資についても不足を生ずることもあり、価格の高騰もあるという結果になるのでありますから、これはやはり多角的に輸入先を安定させるということは、海外経済協力を念頭に置きながらもそういうことができることは非常にありがたいことだ、そういうことでありますので、国内における自給度を高めることには全力をあげますが、外国から買わなければならないものにつきましては、安定的な量を安定した価格でお互いに供給し合うというふうにすることがよりベターではないか、こういうことの考えであります。
  50. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、いままで行なわれてきた開発輸入というのは、これでもっと盛んになると聞いていいですか。
  51. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 開発輸入ということばについて、お受けになります方によっていろいろな印象を与えられることがあるようであります。したがって私は、事実は、開発されてそれの向こうの相手国で必要とするものは相手国にできるだけ供給をし、余力があればわが国に安定して供給できるようにというやり方をいたしたいというのでありますから、いわゆる開発輸入ということばよりもむしろやはり海外に対する経済協力というような考え方に立って、しかもほかもいろいろあるでありましょうけれども、私どもは御存じのようにもうすでに数カ国から政府間ベースでも民間でも農業開発について協力をしてくれということの要望があるのでありますから、これにやはり要望にこたえながら国際間の協力ということの精神を踏まえてやはり農産物の生産をやって、相手国経済もよくなるようにしてあげるということは、世界平和のためにも必要なことではないだろうか。私はそういう意味で、今回の考え方としてはぜひ御賛同を願いたいよい考え方ではないかと思っているわけであります。
  52. 諫山博

    ○諫山委員 私は、農林大臣開発輸入ということばを使っていないことを知っています。いまもいわゆるというまくらことばをつけましたが、ただ、開発輸入というのは一般的に使われている用語ですから、これに従って論を進めます。  現在まで農産物の開発輸入が中心的に行なわれていたのは東南アジア、とりわけインドネシアだと聞いています。たとえば三井物産とインドネシアのコスゴロが資本金五一%対四九%でつくったミツゴロ、ここはすでに第一、第二、第三の農場を完成して生産が始まっています。さらに、第四の農場が開墾中だ。これが全部完成すれば四千五百ヘクタールの農地ができ上がって、ここでトウモロコシを生産していく。あるいは伊藤忠とインドネシアのダヤ・カルヤとの合弁でつくられたダヤイトー、ここは一万ヘクタールを目標にいま開墾が進んでいる。  こういう状況のようですが、開発輸入の典型的なものとしてこのミツゴロとダヤイトーについて、一昨年と昨年のトウモロコシの生産はどれだけだったのか、また、それはどのくらい日本に送られ、どのくらい日本以外の国に送られ、さらにどれだけ現地で消費されたか、農林省御説明ください。
  53. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、ミツゴロでございます。これはいま先生お話しのとおり、まだ事業継続中といいますか農場建設中でございまして、十分な生産量その他集荷量を実現をしていないようでございますが、四十七年十月から四十八年九月までの実績を申し上げますと、メーズの生産でございますけれども、生産量約四千四百トン、それから集荷量が三千トン、輸出量が四千九百トンでございまして、そのうち日本に輸出されたものは約四千五百トンというふうに聞いております。  それからダヤイトーでございますが、四十七年十月から四十八年九月までのメーズの生産量は約一千トンで、うち五百トンをシンガポールにこれは輸出したというふうに私どもは聞いております。
  54. 諫山博

    ○諫山委員 外務省にお聞きします。  インドネシアではいま食糧不足のために、トウモロコシなどの国外輸出を規制しているというふうに聞いていますが、実情はどうでしょうか。
  55. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 インドネシアにおきましては、御指摘のように食糧の不足という事実がございますことは存じておりますが、輸出規制という手段が完全にとられておるかどうか、私どもよくまだ承知しておりません。
  56. 諫山博

    ○諫山委員 農林省ではこの点、把握しておられますか。
  57. 岡安誠

    岡安政府委員 いま外務省からお答えいたしましたとおり、はっきり承知いたしておりません。
  58. 諫山博

    ○諫山委員 私はさっきのミツゴロとダヤイトーの質問について、インドネシアで消費された量はどのくらいかということも聞いたのですが、わかりますか。
  59. 岡安誠

    岡安政府委員 ミツゴロにつきましては先ほど申し上げましたとおり、輸出量約四千九百トンのうち日本に約四千五百トン輸出がされまして、残りはシンガポールに輸出されたというふうに聞いております。  それからダヤイトーにつきましては、残りの分につきましてはちょっと資料が手元にございません。
  60. 諫山博

    ○諫山委員 外務省にもう一ぺんお聞きします。  東南アジアでは自分の国の食糧を守るために、食糧品の輸出をいろいろな方法で制限するということが行なわれ、インドネシアもその一つだと私は調査してきたのですが、そこのところは全くわかりませんか。
  61. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先般、たとえばタイにおきましてお米の輸出を規制したというような事実はつかんでおりますが、インドネシアにつきましては、現在までのところ食糧の輸出を法律上規制したというような事実はつかんでおりません。
  62. 諫山博

    ○諫山委員 法律上規制した事実はつかんでいないと言われますが、それ以外の何か別な規制があるのですか。
  63. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 法律上と申し上げましたのは、要するにたとえば大統領の命令が出たとかそれから担当大臣の命令が出たとかそういうようなところまで含めて、そういう事実を把握しておらないという意味でございます。
  64. 諫山博

    ○諫山委員 私は午後外務大臣質問する機会を与えられていますから、インドネシアのトウモロコシについて、事実上そういう規制が行なわれているかいないか、ぜひ午後の質問までに調査していただきたいと思います。  農林大臣にお聞きします。  いま新しい制度がつくられようとして、農業海外経済協力にいろいろ資金の援助が与えられるというような問題も出てくるわけですが、いま私が言いましたミツゴロとかダヤイトーというようなところが、いろいろ新しい事業開発する場合には、この法律の適用を受けるのかどうかお聞きします。
  65. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 新しい事業団でやります目的は、先ほど来御説明申し上げておりますように、相手国とまず政府間ベースで、向こうさんの要望がありますから、相談をいたす。これは農業ベースの話でありますが、どのような形式でどうやるかということは、それからきまっていくことであります。  民間で従来やっております事柄につきましても、これはもし資金の要望があれば、それぞれの機関を通じて十分に調査をいたした上で妥当であると考えられる場合には、行なって差しつかえないようになると思います。
  66. 諫山博

    ○諫山委員 農林省で事前の討議をしたときに、ミツゴロなどは融資対象の典型的なものではなかろうかという意見が出ていたそうですが、どうですか。
  67. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これはそういう具体的な話し合いはやっておりません。
  68. 諫山博

    ○諫山委員 オーストラリアではいま日本商社が現地の会社と提携して、広大な牧場を開いている。資料によれば、たとえば一つの牧場の広さが東京都と埼玉県の面積に匹敵する、牛の見はりをセスナ機でやっている、こういう大規模な畜産が、いわゆる開発輸入ということで進められていると聞いていますが、いかがでしょう。
  69. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 オーストラリアにおきましては、牛肉の開発輸入について現在商社等が行なっておりますのは十一件ございます。大体ジョィントベンチャー方式によりまして日本向けのフイードロット方式によります肉牛生産をやっておりますが、手がけてからまだ日が浅いので、現在わが国の輸入量の中でのシェアはそれほどに達しておりません。
  70. 諫山博

    ○諫山委員 畜産局長にさらに質問します。  こういう外国における肉牛の生産なども、この制度でいろいろ援助を受けることになりましょうか。
  71. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 オーストラリアの場合は、肉牛生産の先進地でもございますし、すでに商社等が自力でかなりやっておりますので、他の発展途上国等の場合におけるような援助は、必ずしも必要ではないのではないかというふうに考えておりますが、ただ今後の調査によりまして、流通関係の施設等に必要があれば援助するということも考えられると思いますが、現在まだ具体的にどのような援助をするかはさまっておりません。
  72. 諫山博

    ○諫山委員 農林大臣の説明で、これは外国から飼料作物などを安定的に輸入するとともに、価格も安定させるという説明がありました。しかしインドネシアから輸入されてきたミツゴロあるいはダヤイトーでの飼料は、結局シカゴ相場の価格で輸入されていますから、あそこから輸入したから安いというふうにはなっていないと聞いているのですが、いかがでしょう。
  73. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私どもこの計画を考え出したころでも、開発途上国というのは労働賃金はアメリカなどに比べて安いし、労働力は多いし、こちらが協力をするのであるからコストが安くいくはずだと思っていろいろ調べてみますと、なかなかそういうわけにはまいらないようであります。したがって、私どもがこういうふうなことをやってまいりますためにも、生産性を上げるようによほど指導いたしてまいりませんと、価格の点においては、そうやったからすぐに安いものが来るということを期待することば無理だと思いますし、御存じのように世界的に、たとえば砂糖はロンドン相場、穀物はシカゴ相場というものをにらんでやっておりますから、やはりそういう点においてはなかなかむずかしい問題もあるかと思っております。
  74. 諫山博

    ○諫山委員 最後に意見を申し上げます。  いま日本農業で一番大事なことは、初めにも申し上げましたように、もっと自給に力を入れるというこです。しかし、これは社会党の委員からも指摘されましたように、それに逆行するものだ。もっと日本農業自体を大事にするということが必要であって、たとえば飼料なんかについても、日本自体の自給をどうするかということを考えることこそが中心的な課題だということを申し上げて、終わります。
  75. 木村俊夫

  76. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国際協力事業団法案について関係閣僚に質問いたします。  外務大臣が午後おいでになるということで、外務大臣に対する質問は午後に留保しまして、農林大臣に対する質問を先にいたしたいと思います。  まず最初に、昨年は世界的に最高の豊作が伝えられたにもかかわらず、不作の影響がいまなお尾を引いておりまして、異常気象に見舞われた西アフリカ諸国は、干ばつによる飢餓状態から離脱し得ないまま停滞しておるのでございます。凶作や飢饉から脱出しようという欲求は人間の生存権の問題でありまして、生活水準向上への意欲は単なる物欲の追求とは異なりまして、人権確立への悲願でもあるとするならば、先進国としては開発途上国のこのような希望を無視することが許されないことばもう当然といえるわけでございまして、農林大臣は本法の提案にあたりまして、これらのことを踏まえて農業開発についていかなる考えを持って提案をされたのか、その点まず最初に伺いたいのであります。
  77. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農林省立場は、国内における自給度は維持拡大することに全力をあげる。しかし、海外に供給を待たなければならないものは、なるべく多角的に安定した量を獲得し得るようなことを考えることが第一に必要である。それにはやはりいままでの相手でありますアメリカ合衆国、カナダもさることながら、昨年のようによそから急に大手が入ってまいりまして、わが国の需給に混乱を生ずるようなこともございますので、やはり多角的に輸入先を考える必要があると同時に、いまお話しのございましたように、開発途上国では食糧の問題でたいへん悩んでおる国もたくさんございます。それらの国々わが国に対して協力を求めておることを考えますと、世界平和のためにわが日本が貢献するという海外経済協力考え方に立ちましても、それから必要量をできるだけ多方面から入れるという面から考えましても、やはり開発途上国に御協力をいたしましてわが国の必要なものをそこからも安定的に入れるということは、両方の利益になるのではないか、このような考え方を持っておるわけであります。
  78. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 双方の利益になるということでございますが、当然そういったことはわれわれも理解できるわけでありますけれども、農産品の国際価格の安定という問題は、当面なかなか望みが持てないという状況であります。特に小麦の価格の暴騰は、ソ連の大量買い付けが直接の原因であったともいえるわけでありますが、それにしても豊作のあとで国際価格は高値に張りついたままになっております。アメリカの在庫も、昨年の増産にもかかわらず五百万トンを割っているということもいわれております。今回バッツ米農務長官等が去る四月十三日から十八日まで六日間来日され、食糧問題、国際貿易問題等、いろいろ会談をなさっておられますけれども、その点は農林大臣はどういうふうに実情を把握しておられるか、その点御答弁をいただきたいと思います。
  79. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 飼料穀物等の国際相場につきましては、たとえば大豆は、高値のときは一万三千八百円もいたしまして、去年は七千二百円、ただいまは五千五百五十円。それから中国産大豆は、高値は一万五千円から、下がっても六千円をずっと歩いておりましたが、今日では四千八百円。これはバッツ農務長官の話などを聞いておりましても、御承知のようにソビエトが非常にたくさん買い付けをいたしましたけれども、あの国は今度はたいへん天候にめぐまれまして大きな収穫を予想しておるようであります。アメリカは、新聞にもありますように史上最高の豊作であるといっている。カナダもたいへんいいようであります。そういうことを見ますと、ただいまは急に下がるということはいまの状況でむずかしいかもしれませんが、安定的にやや弱含みで推移いたしておる、こういうふうに考えておる次第であります。
  80. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昨日も農林水産委員会でこの点についていろいろ質疑をしたわけでありますが、農林大臣が出席できなかったのであらためてお伺いしますけれども、バッツ米農務長官のことばによりますと、アメリカは民間には備蓄をさせるが、実際には政府責任の備蓄はしない、日本は長期的に備蓄するように契約をしていただきたいというふうな意味要請があったやに聞いておりまして、わが国のアメリカに対する備蓄の要請と食い違いがある、かように私は思っているのですけれども、その点は農林大臣は今回の日米会議においてどういうふうに認識されておるか、この点、明らかにしていただきたいと思います。
  81. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 アメリカは徹底した自由経済主義のお考えのようでありまして、政府が財政援助までいたして、政府の責任において備蓄することは考えておらない。生産者あるいは団体等において備蓄をすることは御自由であるが、それはこちらで、政府で強要するわけにはいかない。しかし、各国において必要であると考えられる場合には、それぞれの国の責任において備蓄をおやりになるがいいでありましょうが、アメリカではそういうことは考えておらぬということが一つ。  もう一つは、アメリカは日本に対する供給力は十分であるから、ほかの国のことをお考えにならないで、アメリカから全部お買いになることが利益ではないかというようなお話がありました。
  82. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、今後日本側としては、アメリカに対してあくまでも政府責任の備蓄を強く要求していくというふうにお考えなんですか、その点さらに明らかにしてください。
  83. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 こちらがアメリカに強要するわけにはいきませんので、先方の考え方を聞きながら、私どものほうとしてはそういうことに対してどのように対処すべきであるかということを考えておるわけでありますが、四十九年度予算でも若干の備蓄政策を考えておることは御存じのとおりであります。
  84. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、本法提案にあたって、開発途上国の問題でありますけれども、生活水準が向上していけば、日本の現状と同じように開発途上国においてもやがては動物性たん白質を要求していくことになるということは当然考えられます。したがって消費も増加していくわけであります。その場合、穀物飼料の不足は必至となってくることも考えられる。そうしますと、いまからその対策というものを準備しておかなければ、わが国が考えている国際協力事業団農業開発事業を見ましてもいろいろと将来に不安があるわけでございます。  そういったことから、この事業団農業開発事業に対していかなる役割りを果たそうとするのか、その辺の長期の展望に立った御見解、本案提出にあたってどう検討されてこられたか、大臣から御見解を承りたいのであります。
  85. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 瀬野さんのおっしゃるとおりでありまして、傾向を見ておりますと、人口増加もあるでありましょうけれども、やはりだんだんと生活が安定してまいりますと、多角的にいろいろと食糧に対する嗜好が変わってまいります。日本も同様でございました。そこで、そういうことを考えて、私ども農林サイドでものを判断してみますと、いまおっしゃいましたように、飼料穀物等の需要がだんだんふえてくる。そういうことを考えておりますので、先ほど申し上げましたように、わが国で外国から輸入いたさなければならないような飼料穀物等については、これはアメリカ、カナダが大手でありましたけれども経済協力意味もあって、開発途上国のお手伝いをいたしてあげることによって、両方とも需要に対して若干ずつでもそれを満たすことができるではないか。  したがって、国際的に考えまして、全体から見て私どもは――いま、御承知のように肉類は世界的に不足であります。これにはいろいろな理由がありますけれども、やはりそういうものがだんだんふえてくるに従って飼料穀物の必要性というのはふえてくるわけでありますから、そういう長期の展望をいたしましても、この事業団においては、農業ベースにおけるいま申し上げました計画というものは、現にすでに数カ国からいろいろな話もあるわけでありますが、こういうことを増進してまいるということは双方のために非常にいいことではないか、このように考えているわけであります。
  86. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、資金の不足を援助してまいりますと、開発途上国発展というものは可能であると考えたのが先進国の当初の開発戦略であったわけでありますが、開発途上国においてはその開発のにない手が少なく、近代的技術を吸収し、消化して適用する基盤が貧弱であったために、その成果が得られなかったという反省がいままで強くなされておるわけであります。そこで、開発を実行し、技術理解し、自助努力に目ざめた人材、すなわち人的資源なくしては開発途上国開発協力は無意味なものとなるわけでございます。これらの人材育成がなされなくては開発途上国の成長発展が永続的なものとなり得ないことも当然であります。  そこで、特に農業開発事業においてこのことがきわめて必要なことだと思うのですが、事業団農業開発業務を展開する上でどのような方針でこれに取り組もうとしておられるか、農林大臣、特に農業は重大な問題でありますので、その点お答えをいただきたいと思う。
  87. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり農業開発につきましては資金の面のみならず技術が必要でございますし、その技術を駆使する人材がぜひとも必要でございます。従来から開発途上国農業に対します援助の一環としまして、政府間の技術協力事業についてはOTCAを通じまして毎年相当数の技術者わが国にも受け入れ、また民間企業協力事業につきましては海外農業開発財団を通じまして技術者を受け入れ、研修を行なってきております。  今後この国際協力事業団が設立されました暁におきましては、従来からの政府間の技術者受け入れ研修事業を拡充強化する二とはもちろん、民間企業等の開発事業に従事します相手国技術者等の受け入れ研修等の事業につきましても、この事業団業務といたしまして重点的に拡充強化し、実施する予定でございます。
  88. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、本法において一つ重大な問題があるわけですけれども、漁業については国際協力事業団業務から除外されておるわけです。まことに私はけしからぬと思う。経済協力体制をやるならば窓口は一本でいいのじゃないか。なぜこれをはずしたか、この問題についてひとつ御見解を承りたいのであります。
  89. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私、三年か四年前に農林省におりますとき、農業の面につきましては沖繩の一番南の先島に熱帯農業研究所をつくりました。私は沖繩における農業開発ばかりじゃなくて、こういうものを基礎として熱帯地における農業の研究を一生懸命でやらせておるというのが現状であります。したがって、農業につきましてはあらゆる角度から東南アジアにおけるそういう研究をいたしておる次第であります。  漁業につきましては、この開発途上国中心といたします領海あるいは漁業水域の拡大等の動きに対処いたしまして、わが国海外漁場の確保をはかりますためには、関係沿岸国と漁業交渉を積極的に推進いたすと同時に、これと一体的に漁業協力を行なう必要が高まってきておるわけであります。  そういうことを考えまして、昨年財団法人海外漁業協力財団を設立いたしまして、そのための漁業協力の推進をはかっておる次第であります。これは漁業交渉の一環として行なわれまして、わが国漁業の入域操業との関連におきまして実施されるという特殊な性格を持って、またその性格上交渉の推移に応じました迅速かつ弾力的な対処が要請されるものであります。  したがって、このような海外漁業協力につきましては、その特殊性を考慮をしながら海外漁業協力財団におきまして引き続き実施いたすことにいたしまして、今回の国際協力事業団対象としなかったのでありますが、今後の海外漁業協力につきましては、同財団の育成強化につとめまして海外漁業協力の円滑な実施に万全を期していきたい。これは御存じのように特殊なものでございますので、やはり同じ目的を持って発足いたしております財団が、全世界にわたっていろいろな関連を持っておりますので、これを推進していくことがいいではないか、こういう考え方でございます。
  90. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は財団法人海外漁業協力財団に対しては特殊なものであるとおっしゃるけれども、おっしゃることは私もわからぬわけではないけれども、このような国際協力事業団法ができて、しかも新しく大臣も一名新設するというようなことから考えましたときに、私はこれはちょっと納得できない問題だと思うのです。  国際協力によるこの海外漁場の確保のため農林予算に二十六億二千六百四十五万円、ざらに外務省経済開発援助費として十億円が計上されておる。農林予算に計上されておる国際協力による海外漁場の確保の内容というものは、いま大臣もいろいろ申されましたが、われわれが承知しているところでは、発展途上国中心に領海及び漁業水域を拡大する動きが大勢を占めつつある情勢に対処して、わが国海外漁場の確保と海外漁業協力を一体的に推進するため、海外漁業協力事業に必要な資金の融資、海外派遣専門家の確保、養成及び海外研修生の受け入れの業務を行なう、こういったことが財団法人海外漁業協力財団の事業であります。その業務に必要な経費その他の援助をしているわけですけれども、こういったことから見ましたときに、資源はこれはもう世界どこでも共通であります。  私は、今回の本法提案にあたって、この海外漁業協力財団が一年前にできて、ようやく最近荒勝君が理事長に就任ということでこれが軌道にやっと乗りかけたということから、これをつぶすということは問題だ。また逆な意味で言えば、こういった事業団法ができるというのに前もってこういった財団をつくってしまったということもいえるわけで、この件は少し納得いかない。  なぜ農林漁業について漁業だけを除外したか、これは重大な問題である、こういうふうに思うわけです。そういったことで、さらにこういったことに対する大臣の見解をお聞きしたい、かように思います。
  91. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 この財団をつくりましたときに、いまおっしゃいましたようにやがて今回のような事業団ができるだろうということを想定してつくったわけではありませんで、海外経済協力という立場に立って、ことに将来の日本の漁業というものを見ますときにいろいろな難関がたくさんございますので、そういうことに対処いたしましてこの財団を設立いたした次第でありますが、これがいまかなりの成果をあげておりますが、なおこの一般的な国際協力の一環としての今度の事業団でございますので、従来海外技術協力事業団によって実施されてまいりました漁業の技術協力につきましては、国際協力事業団を通じて行なわせるようにいたしたい、このように思っておるわけであります。
  92. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この件等については午後、外務大臣にさらに質問することとして、以上で終わります。
  93. 木村俊夫

  94. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の質問は至って時間が短時間でございますので、かいつまんでお尋ね申し上げます。しかも私、農林大臣にお尋ねすることにつきましては、実は外務省にも関係があって、外務省の意見も聞きたいと思うのでございますが、外務省の意見を答弁いただいておりますと農林省に対する問題が時間が短縮されますので、これはひとつ外務省局長も十分聞いておいて後かたひとつ外務大臣から御答弁願いたい、こう考えますこともありますので、その点をひとつ外務省局長も含んでおいていただきたいと思うのであります。  それで、至ってわずかな時間でございますので、かいつまんでまず農林大臣にお尋ねいたしたいと思いますことは、今回のこの事業団業務の遂行にあたりまして、相手国農林業開発と農山村の振興に寄与する立場からあくまでこれを進めるということに対しては私は異議はございません。相手国農林漁業生産力をだんだん増大を促してまいりまして現地の需要を満たすということは非常にけっこうでありますが、この結果生産されました輸出余力というものが、わが国への安定供給という名においてわが国農業を圧迫するようなことが将来起こりはしないかという一つの不安もありますので、この点に対する基本的な考え方をまず承りたいと思うのであります。  なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、これは大臣も十分御承知のとおり、今日わが国農業が非常に後退したということは、やはり農業の国際分業論からこういう状態になったということも私たちは承知をしなければいけないのでございます。そうなりますと、今回の事業団が、やり方によっては国際分業的な一つの形の変わったものになりますということは、これは非常に困る問題でございますので、どこまでも、今回の事業団の伸展と同時に、わが国に対する安定的供給というものは、日本に不足をする飼料であるとかあるいは木材であるとか、こういうものに限定してやっていくのだ。  これは先刻も大臣から御答弁になっておりますように、日本の自給力を増す農業に対しては専念していくのだとおっしゃるので、その点は十分政府としても考えてあると思いますけれども、私たち、この基本的な考え方というものは、日本農業を圧迫しない、日本に不足を生ずるえさであるとかあるいは木材であるとか、こういうものにまず基本的な考え方を持っていくということが必要ではないかと思いますので、この点に対する政府としての心がまえ、この点をまず承りたいと思うのでございます。
  95. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 食糧政策に対するわが国政府考え方は、もうしばしばあらゆる機会に政府が述べておるとおりであります。まず、国内で生産し得るものについては全力をあげて自給度の向上をはかる。しかし、どうしても国外に仰がなければならないものにつきましては――これは国内で生産をできるものだけはどんどんやるけれども、それはどうしても全部というのは不可能であることは御存じのとおり。そういうようなものについて、今回の経済協力という立場を踏まえて、海外から安定した量を安定した価格で入れるようにということでありますので、私どもといたしましては、国内生産に可能なものまでも外国から入れるという考えは毛頭ございませんことをはっきり申し上げておきます。
  96. 稲富稜人

    ○稲富委員 まずこの点を基本的な前提として私いろいろお尋ね申し上げたい、こう思うのでございます。  次に、この事業団業務といたしまして、「開発途上地域政府等からの委託を受けて事業団みずからがこれらの地域開発に資する施設等の整備事業を行なうこと」としてありますが、その「政府等」ということは、政府のほかにいかなる団体、いかなるものを対象として考えておられるか、この点ひとつ承りたいと思うのでございます。
  97. 岡安誠

    岡安政府委員 「等」と申しましたのは、準政府機関という考え方でございまして、たとえば州政府というものもございましょうし、また日本にたとえれば、事業団その他のものもございましょうし、そういうものを予想いたしておるわけでございます。
  98. 稲富稜人

    ○稲富委員 このことについてもいろいろ詳しく聞きたいと思いますけれども、時間がありませんので、またいつかの機会に聞くことにいたしまして、要点だけを承りたいと思います。  さらに、この事業団業務として、二十一条の三号のイの項に、こういうこういうことに「必要な資金を貸し付け、又は当該資金の借入れに係る債務を保証する」、こういうことが明記してあります。この場合の相手方はだれであるか、貸し付け資金の金利、担保、返済期間、こういうものに対してはどういうような具体的な計画を立てておられるか、この点承りたいと思います。
  99. 岡安誠

    岡安政府委員 法律上は特段の制約がないように書いてございますが、とりあえずの運用といたしまして考えておりますのは、本邦人または本邦法人というものをこれらの相手方にいたしたいと思っております。  それから、金利その他の条件につきましては、国内におきます同種の金利、または現在行なわれております海外経済協力基金、輸銀等からの融資の条件その他の条件等を総合的に勘案いたしまして、また相手国の実情等も考えまして、事業成果が十分あがるような条件をこれから関係機関と相談をして決定をいたしたい、かように考えております。
  100. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、この貸し付けの対象というものが本邦人に限るわけなんでございますか。そうなりますと、先刻諫山君も質問しておったのでございますが、あるいは現在行なわれている商社等のいわゆるミツゴロ、こういうようなものの事業に対してが主体であるということになってくるわけでございますか、この点を承りたい。
  101. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いろいろなケースが国によってあると思います。したがって、私ども政府といたしましては、安心して一定量が一定価格で来るというためには、政府間ベースである程度の合意が得られるということが一番好ましいことだと思います。そういう場合の資金の援助等につきましてはこれは外務省関係がおやりになることでありますが、相手方のやり方によっていろんなケースを想定いたさなければならないのじゃないか、こんなふうに思っております。
  102. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、こういうことも起こってきますよ。ただ本邦人に限るとなりますと、たとえば未開発地帯においていろいろな農業団体が存在する、農業団体がいろいろな事業をやる、こういうものに対するあるいは事業援助をする、いろいろな場合を考えるということになると、そういうケースも考えられないこともないと思うのですが、本邦というものに限るのだということになりますと、そういうことに手を出せない。そうすると、いかにも、こういうような経済行為ということがいわゆる日本資本の進出であるとか、こういうようなことにおいて、かえって国際的な感情というものがよくないような結果になるということも考えられるので、こういう点もわれわれは十分考えなくちゃいけないと思うのでございますが、この点はどうでございますか。
  103. 岡安誠

    岡安政府委員 いろいろなケースがあり得ると思いますので、先生お話しの、たとえば現地の協同組合が資金、技術その他も不足いたしまして要請がある場合に、この事業団からの援助は、本邦法人または本邦人に資金その他を貸し付けまして、それを通じまして相手方にこれが渡る。たとえば、日本農業協同組合と現地の農業協同組合がいろいろな約束をいたしまして事業援助する場合には、日本農業協同組合に対しまして事業団から資金等の融通をし、それを受けた日本農業協同組合が現地の農業協同組合に援助をするというようなかっこうになるかというふうに考えております。
  104. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうもその辺が非常にはっきりしていないようでございますので、これは何かの機会にまたお尋ねすることができるかと思います。  時間が切れましたので、もう一点だけお尋ねしたいと思いますが、林業の造成に対する出資の返済あるいは具体的考え方、あるいは林業の向こうの造成に対しましては、かつて日本がやりましたような分収造林とかそういうような形をもってやっていこうとするのか、どういう形で林業の発展等に資しようとする具体的な案があるのであるか、こういう点を承りたいと思います。
  105. 岡安誠

    岡安政府委員 林業の場合にはいろいろのケースがあると思いますが、一つのケースといたしましては、相手国森林資源がある、それを伐採をしまして輸出をしたい、それからさらにそのあと地に造林をしたいというような一連のプロジェクトがある場合におきましては、そういう一連のプロジェクトにつきまして、私ども技術並びに資金の援助をする。またそのプロジェクトを実行するにあたりまして、伐採または造林の事業が現地ではできないという場合には、この事業団が受託事業として事業を請け負いまして事業実施するということを考えているわけでございます。  いまお話しの、たとえば造林のような場合に、日本で行なわれておりますような分収造林の方法を考えているかというお話でございますが、分収造林というものにつきましては、地上権の設定その他の問題等もございますし、その成果を得るためには相当長期間の問題もございます。そこで現在はそういう方法によることは考えておらないというのが現状でございます。
  106. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう時間が参りまして私の質問時間がなくなりました。まだいろいろ聞きたいこともありますし、ただいまの御答弁を聞きましても、まだ私は釈然としないものがあります。ことに資金の貸し付けとかいうことに対しましては、私どうもまだ十分納得のいかない点がありますけれども、最後に希望といたしまして、開発途上国農業開発その他に対しては十分なる指導、こういうことはわれわれは当然やってもいいと思いますが、ただ、どこまでも日本農業というものを踏まえた上に立ってのやるべき問題であるし、この点だけは基本的な考え方として、ひとつ農林省考え方によってこれを運営していくのだ、こういうことは外務省に対しましても私は特にお願い申し上げたいと思う。  ただ主たる所管が外務省なるがゆえにということではいかないので、外務省が主管であるならば、農林省のそういうような農業開発だということを主体として、しかもこれが日本農業に悪影響を及ぼさないというような上に立っての未開発地帯の農業発展に寄与するのだ、この点だけは誤らないようなことを考えることが最も必要である、このように考えますので、時間がありませんのでこの点だけを、私、特に農林大臣に決意のほどを承りたい、かように考えております。
  107. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お説のとおりでありまして、わが国農業中心にものを考えていくことは当然なことでございます。
  108. 木村俊夫

    木村委員長 岡田哲児君。
  109. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 この法律案に入る前提として、海外協力のあり方という点についてお伺いを先にしておきたいと思うわけであります。  昨日、大蔵省のほうから海外直接投資許可の実績、これは地域別と業種別の資料を出していただいたわけでありますが、これを見ますと、非常に特徴的なことは、特に韓国あるいは香港、インドネシアというような国々状況を見てみますと、四十一年度対四十八年度の比較などを見ますと、三百万ドルが四十八年になりますと一億七千九百万ドル、約六十倍もふえているというふうに思います。また香港でも四十一年で二百万ドルが四十八年で一億六百万ドル、インドネシアでも四十一年で六百万ドルが四十八年で二億九千八百万ドル、五十倍、五十三倍というように非常にふえております。特に四十六年度と四十七、八、この四十七年、八年が急速に伸びてきているということが見られるわけであります。  このようなことは私も非常に歓迎するわけでありますが、どういうところにこれほど急速に伸びてきているか。この原因といいますか、こういうふうになってきた経緯をどういうふうにながめておられるのかという点についてまず大蔵省にお伺いしたいわけであります。
  110. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 いまの御指摘のように、韓国、香港等はここ数年間日本からの直接投資が非常にふえておるわけでございます。ただ、韓国、香港等だけではなくて、アメリカその他の地域につきましても同様な傾向がいえるのではないかと思います。したがいまして、一般的に直接投資がふえました背景といたしましては、最近のわが国の国際収支の好調を背景に、二、三年前から海外投融資を自由化いたしまして、企業の判断によって出られる。他方相手国のほうも、いろいろ国によって違いますけれども経済開発が進んでくるに従いまして、日本のほうからの民間の投資を受け入れる体制ができてきたというふうな背景はあると思います。
  111. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 まあ全般的にながめてみまして、国内に非常に過剰流動性といいますか資金のだぶつきもできた、そういう条件はあると思いますが、私が特にこの韓国、香港あるいはインドネシアという東南アジアの発展途上国中心に取り上げたものは、どうも企業が安い土地と水と労働力、こういうものを非常にメリットと考えた、特に最近公害の問題が騒がしくなってきた、そういうようなものから判断をして海外にどんどん伸びている。言うならば、安くてあまり公害がうるさくない、こういうようなところにメリットを求めて出たのではないか、こういうふうに実は思うわけであります。その結果として、御存じのエコノミックアニマルというような世界的にひんしゅくを買うような声も強く出てきている原因もまたこれと無関係ではないというように実は考えておるわけであります。  これは質問の順序が逆になるので非常にやりにくいのでありますが、問題は、海外投資の急速な伸びというような点から見まして、出ていく場合のメリットというものが十分なければ、こういうふうに急速にいかないと思うのですが、その辺をどのように考えられておるのか、お伺いをしておきたいと思うのです。
  112. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 日本企業海外に出ていくメリットにつきましては、先生指摘の点もございますし、それから相手国日本企業資本を受け入れる側におきましても、経済開発の進展の度合いによりましてそういった日本からの企業協力をほしいという事情はあるのではないかと思います。
  113. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 当然相手方からも歓迎をされているわけでありますから、私は全然無理にメリットを求めていくという形だと言っているのではないのです。問題は、急速に伸びてきているという大きな進出企業側のメリットというものはそこにあるのではないかということについて申し上げているのであって、いま言われたので、付言をしておきますと、十年ほど前ですか、ずいぶん各地方自治体で金やたいこで企業誘致というようなことが行なわれたのです。それがもうほんとうにわずかの間にやめになりまして、最近では全国の自治体でこんなものをやっているところはないのです。  結局企業側はメリットを求めて進出をする、各自治体は来ていただくことにおいて発展をさせるというようないろいろな双方の関連があったと思うのですが、どうも最近の発展途上国からの招聘あるいはこちらからの進出というものはこれとよく似ているというようなことを実は頭の中に考えながらいま申し上げているのでありまして、問題は、私は相手方からということを言っているのでなしに、日本企業がこれほど急速に進出する原因はそこにあるのではないか。大臣ではないのでありますが、大蔵で考えられておる点がこれとえらく違うかどうかという点だけ聞いておきたいわけであります。
  114. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 確かに企業が外国に出ていきますについては、それだけのメリットがあるから出ていくわけでございまして、海外投資のみならず、一般的に経済交流は、双方の利益がうまくマッチしてお互いに互恵の原則でやっていくというところにあるのではなかろうかと思います。具体的に企業が出ていきますときには、いま為替面では自由化しておりますので、企業の自主的な判断で、その企業によりましてあるいはマーケットの開拓、維持ということもございましょうし、あるいは労働条件を求めてというのもございましょうし、その他いろいろ理由があろうかと思いますが、そこはいまの自由化のもとにおきましては、企業の判断によって出ていっている次第でございます。
  115. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次に、これは本年の二月十三日の新聞に載っていることなんでありますが、昨年の十月に、言うならばOECDでひもなしの提案がされてそれに合意をしたということなんですが、本年に入りまして石油危機等から見て大蔵省はひもつきということで決定をした、こういうふうに報道されておるわけであります。「対外援助方針逆もどり ひも付きやむなし」こういうふうに新聞で発表されているわけであります。  問題は、私が申し上げたいのは、いまの海外協力わが国の方針というものは長期にわたって相手方から歓迎されるものだ、こういうふうに言いながら、昨年の十二月にそれに合意をしてそれに進もうとしながら、ちょっと石油危機で国際収支のバランスがくずれた、こういうようなことが起こると直ちにまたもとへ戻ってしまう。こういうような場当たり式といいますか、方針から逆戻りをするというようなことが常に行なわれるということは長期的に見てたいへん問題があるというふうに思うわけであります。この内容について大蔵の見解を聞いておきたいと思うのです。
  116. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 わが国経済協力を進めるにあたりましてアンタイイングの原則で進んでいきたいという従来の方針には変更はございません。すでに国際機関に対します資金の供与につきましてはアンタイイングでやっておりますし、二国間におきましてもアジア地域についてアンタイイングでやるとか、相当進んでおるわけでございます。  御指摘の二月に新聞に出た件はおそらく産油国への経済協力に関連して出た記事じゃないかと思いますが、産油国に経済協力を最近行ないますときには、相手方が日本のお金をほしいというのではなくて日本の工業力あるいはその技術力をほしいという要望が強いわけでございまして、そういう意味で、日本から物とか技術とかそういうものが出ていくという形でアンタイイングではないという面はございますけれども、初めに申し上げましたように、一般的に経済協力についてアンタイイングの原則を進めていくという従来の方針には変更はございません。
  117. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 方針に変わりはないと言われましても、いま申し上げたひもつき、ひもなしという点については相当大きな意味を持っている。そういう方針に変わりないと言いながらも、いまのところひもつきで方向が進められていることは事実でしょう。
  118. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 いままでとってまいりました原則をあと戻りするというふうなことはございません。ただ、御案内のように、いわゆる石油危機が起きましてから、国際収支その他の面でいろいろ日本だけではなくてほかの先進国にも問題が起きておるわけでございます。たとえばことしの二月に、これは外務省のほうから御答弁いただければなおいいのかと思いますが、DACの作業部会でアンタイイングの問題を議論いたしましたときも、先進国のアンタイイングを今後さらに進めることについてはこういう状況ですからしばらく見合わせようということになっておるわけでございます。したがいまして、私どもこれから先にどの程度進めるかということについてはいま直ちにどうするということは申し上げられませんけれども、従来進めてまいりました原則をあと戻りするということばないということでございます。
  119. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 確かに、ずっと続けてきたいままでの方針ということがここで変わったわけではないのですが、私の先ほどから言っているように十二月に一応ひもなしにいこうという合意をしている。そういう前向きの姿勢でいこうとしたのが結局いけなくなって現状維持になったというふうにお答えをしていると思うのでありますが、問題はやはり前向きにいこうと腹の中ではきめたものがいかなかったということだけは事実でしょう。
  120. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先生指摘の昨年の合意と申しますのは、昨年十月にOECDの開発援助委員会の上級会議というものがございまして、その席上におきまして行なわれました討議のことをさしておられるのだろうと思うのですが、私、自分で代表として参りましたのでお答え申し上げたいと思うのですが、要するにそのときの討議には、アンタイイングの援助の中にもいろいろのものがある、それでまず世界銀行その他のいわゆる多数国機関を通ずる援助については完全にアンタイでいこうということにつきましては各国とも全部賛成をいたしました。  それから開発途上国の間で調達を認めるといういわゆるLDCアンタイというものにつきましては、この開発援助委員会の大多数のものが大体賛成に近い態度を示しました。若干の例外はございますが、そういう状態でございましたので、今後この点についてはもう少し法文化といいますか何か約束みたいなものをつくる作業を続けよう。  それからさらにまた、相互主義に基づくアンタイ、つまり日本の借款でドイツの品物を買うことを認めればドイツは日本にも同じことを認める、そういう部分、これにつきましてはあまり賛成がございませんで結論を得なかった。  それからもう一つは、いわゆるひもつきの廃止と申しますか、全部アンタイイングにしてしまう。これにつきましては各国ともなかなか踏み切れずに結論を得なかった。  大体こういう四点にしほられると思うのですが、そのうちの第二番目に申し上げましたいわゆる開発途上国におきます調達を認めることについての作業の途中で、先ほど指摘のような、本年の二月だったと思いますが、その時点でこういうような石油の問題や何かいろいろむずかしい問題が出ておるおりであるから、これ以上あんまり先まで走らないでちょっと様子を見ようというようなことがこの開発援助委員会の中でも討議されまして、現在開発援助委員会の中では、それではいわゆるLDCアンタイについての条文化といいますか、そういうものの作業を徐々には進めてはおりますが、それ以上のことはしないというようなことになっておるというわけでございます。
  121. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私の言おうとしておりますのは、田中総理、また大平外務大臣のことしの初頭における方針の中に、従来の方向から反省の上に政策転換をするということで、非常に前向きに対外援助について取り組むということを言われておるわけです。それに対して、いま私が申し上げたのは、政府として前向きでない、逆戻りまではいかないにしても、現状維持というふうになっているのではないか、こういうことを実は言おうとしておるわけであります。ですから、いろいろなことはありましょうとも、その当時、いわゆる石油危機以前に考えておった方向が、ちょっとそういうようなことが起こるとすぐ変わってしまうということを、まずここでは指摘をしたいと思って申し上げたわけです。  それから第二番目は、国際収支が非常に悪化した、だから金融引き締めをしなければならぬ、こういうような観点から、資源開発を含めた海外投資の抑制方針というものが実は打ち出されている。外貨貸し出し制度の廃止などが検討されて、輸銀資金の融資に伴う市中銀行の協調融資が金融引き締めによって実は制限をされる。そのために、海外資源開発に支障が起こってくるのではないか、こういう実は心配をしているわけであります。これもいま申し上げたように、せっかく前向きで進もうとしているのだが、少し国際収支の均衡の問題が起こった、あるいは総需要抑制から金融引き締めを行なう、こういうような必要性が起こると、問題は長期にわたって海外協力投資をしていこう、援助をしていこうというものが、国内のそういうお家の事情で変わってしまう。そういたしますと、長い将来の間で考えてみますと、たいへん問題が起こるのではないか、こういう心配をするわけであります。  ただ、私の思うのは、この海外一般投資の中でもレジャー的といいますか、ホテルだとかあるいはゴルフ場だとかいうような点については判断をして、制限あるいはストップさせるという点もいいのではないかと思いますが、いままで本来的に、長い協調の中から提携をしていこうという、そういう立場からいいますと、この引き締めで市中銀行からの協調融資が制限されるというような事態はたいへんな問題ではないか、こういう気がするわけであります。一体、どういうふうにこれが対処をされるか、言うならば、そういう方針に沿ってどういうような対処がされているのか、この点についてお伺いをしたいわけであります。
  122. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 海外開発協力は、長期的な視野からなされなければならないということは仰せのとおりだと思います。  そこで最近、日本の国際収支はたいへん悪くなりまして、昨年だけで長期資本収支は九十七億ドルの赤字になったわけでございます。いわゆる石油危機が起きまして、経常収支のほうの黒字もそう望めませんので、そういうときに、これだけの大きな資本収支の面の赤字を放置することはできませんので、私どもは、昨年の暮れから為替面の措置を逐次とってきたわけでございます。ただ、その場合にも、ただいま先生指摘のように、海外投資をすぐに押えるということでなくて、まず、いままで日本に外貨が入ってくるのを押えておりましたのを緩和していくという面から、政策の手直しをしてまいったわけでございます。  最近確かに四月になりましてから、御指摘のように、市中金融機関に対して海外投資の融資については抑制的にやってくれ、それから輸出入銀行に対しましても同様な要請をしたわけでございます。これは為替面の措置じゃなくて、むしろ金融面の措置ではございますけれども、輸銀当局といたしましても十分相談した結果、資源開発とかそれから融資承諾がすでにできておりまして、資金をすぐにストップすることができないというものについては優先的にやっていくということで、全般的には国内の金融も引き締めているときでございますので、海外投資であれば国内で認められない不動産やレジャー関係も何でもいいのだというのは行き過ぎでございますので、国内でやると同じような基準で抑制的に運用していただくとともに、輸銀の場合にも全体を抑制いたしますけれども、その中で優先度を考えて運用してもらいたいということで話をしておるわけでございます。
  123. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いま私のここで要望したい点も、そういうような立場でないと、長期にわたる協力という点にひびを入らせない、こういう点だけの深い配慮をぜひしておいていただきたいということでございます。  それから次は、冒頭にも申し上げたように、相当な勢いで海外投資がされるわけでありますが、とかくエコノミックアニマル、あるいはこの間東南アジアを首相が訪問されたときにも、相当反日的な運動が行なわれている、こういうような事態を考えまして、無差別にどんどん何でも出ていくという形は、非常に問題が今後に残されるのではないかということを私は考えるわけであります。  そこで、確かにOECDの自由化コードというようなものがありまして、自由に海外進出というものがあるわけでありますが、やはり日本のような、しかも最近激しいこういうことから見ますと、現在行なわれている一部の個別審査、日銀の自動認可、こういうことだけで実はいいのだろうかという点を心配するわけであります。  自由化コードに、私は違反してよろしいと言っているのではないわけでありますが、この自由化コードの中で、わが国国際協力上または外交上問題があると認められる海外投資、それからわが国経済に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められる海外投資、こういうものがあるわけでありますが、当然出ていく企業に対して、いま申し上げた非常に進出していって、逆に向こうとの友好関係がこわされる心配や何やらを考えますと、事前にそういうものが、その企業自体の事業計画内容あるいはどんなような性格のものかということを把握して、しかもそれがチェックできて、事前に行政上こういうことはいけないというような行政指導ができる、それを通して出ていくということでないと、やはり一つ企業でありましても、日本という立場で見られるわけでありますから、たいへん問題が起こると思うのであります。  先ほどからも言いましたように、自由化コードに違反してもよろしい、こういうことを言っているのではなしに、あくまでこれに従いながら、そういうようなものができる措置というものをとらないと、特に世界的に非難を浴びておる、しかも相当大きくこれから出ていこうとする現状の中で、一体どういうふうにそれを措置するかという点が重大だと思いますので、考え方あるいは具体的な方法などありましたらお伺いをしたいわけであります。
  124. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 海外へ進出した日本企業が現地で摩擦を起こすということは、極力避けなければいけないわけでございますが、御指摘のように、日本がOECDの自由化コードに参加しておりますので、これを為替許可で事前にチェックすることはむずかしいわけでございます。そこで先ほどもおっしゃいましたように、わが国経済に重大な影響を及ぼすおそれのある場合あるいは国際協力上、外交上の問題があるような場合におきましては、これは方法といたしましては日銀に対する通達がございまして、そこで事実上事前に見ることができるという体制になっておるわけでございます。正式に事前審査をしているということは、OECDとの関係ではちょっと申し上げにくいわけでございますけれども、こういうふうな常識的に認められるような場合につきましては、内々いま申し上げました日銀への通達によって見ておるわけでございます。
  125. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いまの点はあまり明確ではありませんが、私の申し上げようとしている意味は十分わかっていただけると実は思うわけであります。そういうようなことが必要だという上に立って、十分な防止策を立てていくのだ、そういうことは考えておるのだ、こういうふうに受けてよろしゅうございますか。
  126. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 仰せのとおりでございます。
  127. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次に、これは大蔵でなしに、外務省かもわかりませんが、田中総理が東南アジアに、中曽根大臣と三木副総理が中東を訪問されて、実はたくさんの経済協力の約束をしたことが報道されているのであります。この約束の大体の総額といいますか、そういうものは当然掌握されていると思うのでありますが、発表していただきたいということと、それからあとからも問題になることと思うのでありますが、当然その総額の中に、民間企業政府機関との分担の問題やら民間企業間の中での分担やら政府機関の中での分担やら、非常に複雑多岐に分かれるというふうに思うわけであります。あまり答弁が長くなるようでしたら、できましたらこれは資料として提出を願いたいわけでありますが、どうも考えてみますと、非常に巨額な額が出されながら、しかも非常にわかりにくいわけでありまして、しかもそれだけのものが報告もされずに終わってしまうということでは重大だと思いますので、その点をお伺いしたいわけであります。
  128. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 総ワクの点につきましては、いろいろ正式のお約束になっていないものがございますし、またドルの単位であらわされているものもあり、それから正式のお約束になった結果円の単位になっておるものもございますので、その換算率をどう見るかということで、必ずしも正確にお答えすることは困難でございますが、田中総理が東南アジアに御旅行になりましたときのお約束は円の部分が九百二十億円、それにドルでお約束になったのは二億ドル、ですから、換算率にもよりますが、大体千五百億円ぐらい。それから中東に対しまして三人の特使がおいでになりました場合の分につきましては、円の部分が五百九十億円、それに中曽根大臣のおいでになりましたイラクにつきましての十億ドルというのがございますので、換算率にもよりますけれども、それを円に直しますと大体三千六百億円ぐらい。そこで両方合わせますと、約五千百億円ということが申し上げられるかと思います。  もう少し正確に申し上げますと、マレーシアに対しまして総理三百六十億円の円借款、追加の第三次円借款というのを約束されました。それからインドネシアに対しましては、いわゆる天然ガスの液化装置についての援助について五百六十億円の約束をなさいました。それからそのほかに、毎年やっておりますいわゆる対インドネシア援助のワク内におきまして二億ドルということを言われましたので、いま申し上げたような数字になるわけでございます。  それからエジプトに対しまして、三木副総理がスエズ運河の拡張計画ということにつきまして三百八十億円という約束をなさいました。それから後にまた三木副総理がお戻りになりましてからの分をついでに申し上げますと、これはハテムさんというエジプトの副総理が見えましたときにお約束になったのがプロジェクト援助と商品援助で三百億円でございますから、先ほど数字にそれだけまたふえておるわけでございます。  中曽根大臣につきましては、先ほど申し上げましたイラクにつきましての十億ドルの供与というふうなのがございます。これは民間の信用供与と政府借款とが一対三の割合で混合されるということになっておりますので、政府の分につきましては二億五千万ドルという予定になっております。  それから小坂特使については、アルジェリアに百二十億円、モロッコ、ジョルダン、スーダンの三カ国に三十億円ずつ、それぞれお約束になっておる。  以上のような数字を合計いたしますと、先ほど申し上げたようになる、こういうことでございます。
  129. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いま言ったような総額の集計といいますか、全体の集約はあなたのところでやられるということがはっきりしておるわけですね。それではそういう方々が派遣をされ、あるいは来られたときの大体の事前の打ち合わせといいますか、総ワクはこの程度でこういうふうなことということで先に相談される、そういうことになるのですか。
  130. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 ほぼ仰せのごとくでございまして、事前に各閣僚の間で御相談になりまして、それからお出かけになってお約束になっておるわけでございますが、例外が一つ、二つございまして、たとえば田中総理がマレーシアにお約束になりました分につきましては、事前には金額がはっきりいたしておりませんでしたが、結局先方の総理大臣と長い時間かけての御討議の結果三百六十億円ということがきまりました。それから中曽根大臣のイラクに対しましてお約束になりました分につきましても、事前にはこういう金額になるということでは了解されておらなかったということがございますが、それ以外につきましては全部大体事前の御相談の結果でございます。
  131. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次に、この事業団とそれから石油開発公団それから金属鉱業事業団、この関係についてお伺いをしたいわけでありますが、御存じのように、石油については探鉱資金は石油開発公団、開発資金は輸銀、金属鉱物では、探鉱については発展途上国とそれから先進地域、こう二つに分かれて、発展途上国については経済協力基金、先進地域については金属鉱業事業団、こういうふうに資金的にいろいろ分かれておるのですね。  それで、その周辺を今度の事業団が担当する、そういうふうになっているわけでございますが、まことに複雑で、われわれから見ますと、実際不合理で屋上屋を重ねておるというふうに強く考えるわけであります。また輸銀、経済協力基金、石油開発公団、金属鉱業事業団、これに加えて国際協力事業団、この相互間の業務あるいはそういうものを合理的に処置していくためには一体どういうふうにされるのか。私は調整もなかなかむずかしいというふうに思うわけでありますが、この具体的なやり方について、実は例をあげて御説明をしていただきたいと思うのです。  今度発表されておりますプロジェクトの中で、インドネシアのアサハンのアルミ開発というのが出ております。このアルミ開発は年産二十二万五千トンの精錬所をまず建設をする。それに伴って発電所、港湾、道路それから用水施設、学校、病院、市場、簡易飛行場など、この整備として千五百億が予定をされている。この内容を見てみますと、通産、運輸、文部、厚生、こういうふうに各省にも分かれるわけでありまして、しかもその資金が先ほど申し上げたようないろいろな形で出される、こういう調整を一体どういうふうにやられるのか。これを一つ例にとって、具体的に説明をしていただきたいと思うのです。
  132. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 先生のお尋ね、二点に分かれていると了承さしていただきます。  一つは、石油公団及び金属鉱業事業団と、今度できようとする本事業団との関係はどうかというお尋ねかと存じますが、今回成立をお願いいたしておりますところの本事業団に関しましては、御指摘のごとく石油開発公団及び金属鉱業事業団法律上はずれております。石油探鉱事業と金属鉱物探鉱事業はその持っております特殊性にかんがみまして、この事業団とは別の関係でこれを行ない、かつ石油及び金属鉱物に関してはこれらの事業団あるいは公団が専門的知識と責任においてこれを実施してまいったほうが望ましいという判断をいたしておるものでございます。  第二点に関しまして、アサハン計画各省の分かればどうなっているかというお尋ねでございますが、それに先立ちまして、本事業団の運営に関しまして、若干御説明申し上げさせていただきます。  御承知のように二十一条、業務というのがございます。それで趣旨といたしますところは、現在までのところ、いろいろな日本企業がそれぞれの企業の責任と計算とによりまして、各地域経済協力実施しております。それぞれのプロジェクトといたしましては、それぞれ成功を見ておるケースが多いわけでございますが、いかんせんそのプロジェクトの成功に伴いまして、そのプロジェクトの周辺にあります地域全体の開発という点に関しまして、従来必ずしも十分でなかったといううらみがございます。したがいまして、今回この事業団の設立によりまして、当該プロジェクトの成功のみではなく、当該プロジェクトの成功とあわせて、当該地域の人々全体の経済的な安定あるいは福祉の充実につながるということが、この事業団設立の大きなねらいの一つではなかろうかと思います。  このような考えに立ちまして御指摘のアサハンの例に関しまして申し上げますと、現在アサハン計画に関しましては、御指摘のような事業に関しまして、今後それをいかに実現に持っていくかというその実現ぶりに関しましては、現在検討中でございます。しかしながら、われわれがいま検討しております内容を、検討素材として簡単に御説明いたしますと、かりにアルミ精錬事業が行なわれるということになりますと、関係機関間での資金協力の分担は、大体次のようになるのではなかろうかと考えております。  すなわち、精錬施設及び電力施設の一部、それから港湾、道路、電力施設の一部、学校、病院等の周辺関連施設、大きくいってこの二つに分けられるのじゃなかろうかと思っております。  申し上げました第一のカテゴリー、精錬施設及び電力施設の一部、これはいわゆるアサハン事業の本体部分でございまして、これは輸銀または基金からの融資の対象となり得るものではなかろうかと思っております。また後者でございますが、これは本事業団対象となる部分でございます。  また、この事業団の融資対象として検討をされます施設に、港湾、道路、学校、病院等が含まれることに相なりますが、これらの施設と関連した各省関係については、これら施設が民間企業等の事業主体によりまして、アルミ精錬事業の関連施設として、一体的に整備されるものでございますので、申し上げましたような形でプロジェクトが進みます場合には、通商産業大臣外務大臣主務大臣として、これの実施に当たりまして、なお、道路、港湾等の関係もございますので、必要がある場合には関係各省とも十分連絡をとりまして、道路、学校、港湾等の建設に関しまして、業務が円滑に遂行せられるよう努力してまいりたい、かように考えております。
  133. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いま聞いておりましても、円滑にとことばでは言いましてもなかなかたいへんだというふうに私は思います。しかし時間もありませんので次に移りたいと思いますが、現代総合研究集団がことしの初めに「日本企業海外進出に関する提言」ということで五項目発表されております。これはごらんになったと思うわけでありますが、その中で、日本企業が進出する際、現地側に原則として五一%以上の資本シェアを与え、最高二十年以内に資本経営を現地側にすべて譲り渡す段階的移譲方式をとるという点。それから民間投資憲章を制定し、これに違反する企業に対しては、政府が金融税制措置で規制し、さらに海外投資の認可取り消しなどの罰則を設ける。次に、進出する日本企業の実態や膨大な海外協力資金の流れについては、満足な報告や調査研究がされていないので、政府機関が詳細や報告を定期的に国会に提出すべきである。  こういうような提言がされているわけでありますが、問題は、先ほどもちょっと触れましたように、進出企業の実態というものを国民的制御のもとに置く、明らかにさせておくことが非常に重要だ、こういう立場でいまこの三項目の点についてどのように政府が考えられておるのか、お伺いをしたいと思うわけです。
  134. 和田敏信

    ○和田(敏)政府委員 現代総研の提言に関しまして、通産省といたしまして考えておりますことは、御指摘のように、わが国海外経済の相手方との関係が深まりますにつれましてフリクションが多くなるということは、これは疑いを入れないところだと思います。また基本的には相手国政府の主権の尊重が第一になろうかと思います。すなわち、受け入れ国政府の規制指導に従うということでございます。もとより、ただ相手国政府法律規制に従うというだけでは必ずしも十分でないということは明らかでございまして、受け入れ国投資家の参加機会の増大あるいは受け入れ国従業員の雇用、登用、教育、訓練等につきましては十分な努力をいたしまして、受け入れ国の各種の要請に積極的にこたえていくことが、わが国といたしましては、きわめて肝要ではなかろうかと思います。  この点に関連いたしましては、昨年六月、経済五団体が発表いたしました「発展途上国に対する投資行動の指針」に基づきまして、その実践が現在進められておるところでございます。通産省といたしましても、この方向で民間企業に対する指導を行なってまいっております。  また、海外事業活動につきましては、受け入れ国の政策、及び受け入れ国におけるパートナーの関係もございますので、わが国サイドで一律の規制を行なうことにはやや慎重を要するべき点があろうかと思いますが、問題がある場合には、受け入れ国政府との話し合いあるいは当該企業を出しておりますところの親企業に対する指導等、多面的な対策が必要ではなかろうかと思っております。また、具体的に御指摘のございましたフェードアウト原則の採用あるいは実態報告等の調査あるいは海外投資を国民的な制御のもとにおいて望ましい形でこれが出ていくという諸点に関しましては、OECDコード等の複雑な問題もございますが、それらとの整合性を保ちつつ、わが国経済協力が真に相手国国民の生活の向上あるいは産業発展に寄与するような形でこれを実施してまいりたい、かように考えております。
  135. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 何か私の聞いているのとあれですが、大臣が見えたので、一言だけお伺いしたいと思いますが、いま申し上げたように、これは非常に示唆に富んだ提言だというふうに考えるわけですが、いまのお答えに、さらに大臣のお考え方を聞いておきたいと思います。
  136. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 現代総研の御意見は、われわれとしても非常に傾聴に値するところが多いように思います。私も海外へ参りまして、商社活動日本企業のあり方について深く考えさせられるところもあり、そういう考えに立って、昨年来財界、商社とも接触を保って、できるだけ企業の自主活動において、そういう内外の非難を受けないような行動をとるように要請してきまして、ただいまも御報告いたしました六月の投資活動の指針という行動に出てきたわけでございますけれども、問題は、あそこに盛られておることが実行されるかどうかということがポイントで、この点については大使館あるいはジェトロ、親会社、これら一丸となって実行するように励行し、かつ監視しておるところでございます。  われわれ政府としては、大使館やジェトロを通じて側面から、そういう事態が起こらないかどうか、また、内面的に現地人の採用、現地人の昇進あるいは現地生産物の輸出転化、要するに現地経済や民生、福祉に貢献する度合いいかん、そういうような点を常に監視しながら御期待に沿うようにやっていかせたいと思っております。
  137. 木村俊夫

    木村委員長 野間友一君。
  138. 野間友一

    ○野間委員 時間が限られておりますので、簡潔にお聞きをしたいと思います。  本法案の特徴は、新たに事業団業務として開発事業、これに必要な関連施設、これに対する資金の貸し付けあるいは債務の保証というのだと思うわけです。結論から申しますと、民間企業が利潤追求のために海外に進出していく。なぜ、貴重な国家資金を投入してこれらの企業を保護する必要があるのか、そういう非常に疑問に思う立場から質問を続けたいと思います。  たとえば、東洋経済の「海外進出企業総覧」というのが出ておるわけでありますが、これを見ますと、たとえばインドネシア、この投資目的、それからメリット別、この内訳を見ますと、企業の進出した中で三八%が現地市場の確保、それから販路の拡大、三二%が資源獲得、それから原材料確保、一四%が労働力の利用と確保、こういうふうになっておるわけです。さらにこれが韓国になりますと五七%、つまり半分以上の企業が労働力の利用と確保、五%が販路拡大、資源確保はほとんどない。  ここから私たちは、特徴として見られますのは、その販路の拡大、市場の確保、それから低賃金労働者労働力の利用と確保、こういうものがこの企業の進出した状況で明らかにうかがえるわけです。しかも政府経済援助ということの中には、民間資本進出も当然にこれを入れておるわけであります。  このように、民間企業の進出がほんとうに何を目的としておるのか、平等、互恵の立場ほんとう開発途上国に対する経済協力、そういうものをやる姿勢で出ておるのかどうかということについて、いま申し上げた指摘から私は明らかに出てくると思うのです。特に韓国の場合、これは日本への逆輸出、それから欧米への輸出、これを目的とするものが三〇%以上、まさに安い労働力をフルに利用して販路の拡大を行なう露骨な姿勢を私は示しておるというふうに思うわけであります。いかに韓国の労働者の賃金が安いか、チープレーバーとしていろいろと問題にされておりますけれども、いまで約月一万二千円程度が平均賃金であるというのが統計上出ておるわけです。  こういうふうな進出をするからこそ、特に開発途上国、これらがいわゆるエコノミックアニマルであるとかあるいは自分のナショナリズムあるいは利益のためには何ものも省みない、こういう激しい批判を浴びせかけられるのはむしろ当然のことではなかろうかというふうに私は考えるわけでありますが、これらの点についてどのように認識をされておるのか、外務省の山田次官が見えておりますけれども答弁を願いたいと思います。
  139. 山田久就

    ○山田(久)政府委員 ただいま経済協力、それが即民間のものは経済侵略じゃないかというような角度でのお話がございました。むろん民間経済協力のあり方ということにつきましては、なおいろいろな角度で改善していかなければならない点がある、またその基本的な、これについてのいわば政治原理といいますか、原則というか、そういうものでいろいろ考えていかなければならぬ点はあるとしても、やはりそれは基本的にはお互いの利害関係利益の合致と申しますか、そういうものをいわばお互いに補完するという形でできていくというものでございまして、それがやはり現地においていろいろ企業を育て、技術を育成するあるいは現地における雇用というものを増大していく、それがまたその国の輸出の促進ということにも裨益してくる、またわがほうの企業進出については、企業としてもそれなりのメリットがあるというところで、先ほども申し上げましたように改善の余地はあるとしても、その全部について先生の御指摘のような角度からこれをごらんになるというのは、やはりいまの実際の経済協力から、つまり相手方がこのメリットを感じておるという実情と必ずしもそぐわないのではないか、こういうふうに感じます。  重ねて申しますけれども、むろんそれはいろいろ改善すべき余地があることは先ほど申し上げたとおりでありまするけれども、ちょっと見方が、そう言っては失礼かもしれませんけれども、少し片寄ったような角度で見られるというのは必ずしも適当じゃない、私はそう考えております。
  140. 野間友一

    ○野間委員 そういう認識でおられて、これからさらに国家資金を投入して貸し付けあるいは保証をするということになったら私はとんでもない話だと思うのです。  具体的に一、二例をあげますと、予算委員会で私はG・S・スティール、あの社内報をもとにして三菱商事の問題について追及をしたわけであります。あれについてはすでに外務省あるいは通産省も御承知のとおりなんですけれども、「豚は太らせてから」こういうような表現を使ってみたり、あるいは具体的なG・S・スティールの建設の過程から、そうしてネット百万ドルに至るその経過が詳細に書かれておる。それによりますと、「ピストル腰にスクラップ買つけ」こういうようなことまでやっておる。それから建設途上についてのいろいろな表現の中でタイ人はぐずであるとかなんとかいろいろなべつ視を投げかけておる。  確かにこの点について、あとでマスコミの取材に対しては筆が走ったとか誇張したとかいろいろ言いわけをしておるようです。おもしろおかしく書いた、こういうような言いわけもしておるようにマスコミは報道しております。タイ人をべつ視し、これがおもしろおかしいというふうになるのか。私はとんでもない話だと思うのです。外国人をべつ視し、開発途上国人間をべつ視して、これがおもしろおかしいか。何たることだと私は言いたいのです。しかも、世界の三菱といわれる三菱商事がタイの資本と合弁でやった会社なんですね。ですから、このようないわゆる一流の会社といわれておる企業がそういう態度でやっておる。これではタイ国内において激しい対日批判の抗議が出るのはもう当然だと私は思うのです。これらがもうかるためには何をほっといてでもという姿勢がここに出てきていると思うのです。これは一例です。  さらにこれは協和銀行の社内報ですけれども、この中に私は非常におもしろい記事があると思うのです。色部という頭取がこういうことを書いておる。「シンガポールは東南アジアのマネーセンターである。二年前にはやっと八億米ドルだった所謂アジア・ダラーは、今日では四〇乃至五〇億米ドルに迫ろうとしているという。私達はそこに目をつけ、香港をさしおいて、ここに事務所をもってこようとした一つの理由がそこにあった。」こういうような記事があるわけですね。つまり、ダラーがいまシンガポールに集中している。二年前には八億ドルだったのがいまでは四十から五十億ドルになっておる。そこに目をつけて、そしてここに事務所を持ったのだ、そういうことが書かれているわけです。  これは銀行資本でございますけれども、いまのG・S・スティール、これと同じようにこういう着眼というか目で海外へ出かけていく、こういうところに私は非常に大きな問題がある。それに目をふさぎまして、いま次官は私の見解が片寄っておるのではないか、こういう答弁がありましたけれども、そのような認識でおられる限り、私は逆にあなたは現状の認識を正しくしていない、こう答えざるを得ないと思うのです。  さらにそれに関連してでありますけれども、これは内閣調査室が出しておられる資料ですが、ネーション紙にカンチト・クミラグセという新聞記者が三月七日から十一日付で日本企業に対する、対日関係に対する批評、評論を書いておるわけです。これは次官、御承知のとおりだと思うのです。しかもこの人は決していわゆる左翼の方ではない。左翼の人々についてというようなことでもかなり批判をされた方です。しかもタイ国のこの英字紙に堂々とこのような論文というかあるいは記者の目で書かれておるということに、私はむしろショッキングな衝動に打たれたわけです。  こういうことまで書いておるわけです。「タイが日本に対してとるべき当面の政策は鎖国体制であることを私は確信している。われわれが日本の進出にとびらを閉じるというこの抜本的な措置をとらないかぎり、タイは、日本のいわゆる経済帝国主義と、それに密接に関連を有する公害企業の輸入国あるいは不必要な製品の購入国となり、日本の攻撃的進出の犠牲となるだろう。」つまり鎖国体制を日本に対してはとれということまで書いておるわけですね。  さらに、先ほど聞いておりますと、五団体の行動基準の問題がありました。これにもひっかけまして、「ネオンサインを消せとか、もっと多くのタイ人を雇用せよとか、現地人とさらに交際せよということが語られている。しかし、公害産業の輸出中止、不必要な物資の売却中止あるいはタイ人、タイ政府との取引でつけ込むことを中止する、といったことは語られていない。」こういう記事が書かれておるわけです。  これはタイ国の新聞記者で、日本新聞協会の招きに応じて二週間ばかり日本に滞在して帰られた方のようでありますけれどもほんとう政府国際協力事業団がこのような批判に耐えられるというふうな認識に立っておられるのかどうか、この点について明確な答弁を求めたいと思います。
  141. 山田久就

    ○山田(久)政府委員 個々の企業海外進出のあり方というようなものでいろいろ反省しなければならぬ点、あるいは改めさせなければならない点、そういうようなことについては政府としても十分考え、またそういう角度からいろいろ適切な指導ということも試みておることは御承知のとおりでございます。ただ、われわれの国の一つ経済協力のあり方としては、これは何といっても政府直接という面よりも経済体制のたてまえから民間主導型ということにならざるを得ないことは御承知のとおりでありまして、しかもこの経済協力というものをどのような基本方針でやっていかなければならないか。  いろいろその国の経済基盤をつくっていくのに協力をする、国民福祉の向上に協力する、それも極力自主性を尊重し、そして自助努力をやるように一生懸命にやるという哲学、われわれの方針、これは不動であって、個々の問題についてのいろいろなあり方、つまり民間主導型そのものが即経済侵略じゃないかというおしかりは、これはいささかちょっと問題じゃないかということを私は申し上げたわけでございます。
  142. 野間友一

    ○野間委員 さらに、この同じ方の書いた中に「タイ人留学生の八〇%は日本人をきらっていると思うと語った。」これはあるタイ人の留学生がこの記者に語ったことばです。その理由は、「日本人は利己的で、外国人を軽べつするきらいがあるからだ」これはまさに三菱商事のあれと同じなんですね。  しかし、これは単にタイ人の記者がいっておるだけじゃない。ジェトロの「世界貿易の現状」の七三年板ですけれども、これを見ましても、一五三ページに、ジェトロが「七二年、バンコックで学生運動が激化する以前に行なった調査でも、被調査者の五七%が日本企業のタイ進出に反対であると答え、五九%が日本はタイの経済体制を破壊していると回答している。」と書いてあるわけですね。日本ほんとうに正しい意味での互恵平等の経済協力をやっておるとすれば、こんなにタイ人の半分以上にきらわれるということはないと思うのですよ。調査というものがはっきり出ておるわけですね。こういうものに目をふさいではならない。過去の実態をほんとうに――これにもありますけれども海外侵略といわれておるそういうものにやはりこたえていく、ほんとう日本企業ありがとう、経済協力ありがとうと、これだけやはりほんとう理解してもらえるようなそういうことにしなければだめだと思うのです。  ですから、先ほど次官、いろんな形式的なことを申されて、私の考えが片寄っておる、こう言われたけれども、しかし何よりもこういう事実、資料がこれを物語っておると思うのです。いかがですか、このようにきらわれる企業があることに対して……。
  143. 山田久就

    ○山田(久)政府委員 わがほうの経済協力そのものが実際先方から感謝されるようなそういうようなものになるように、つまりいろいろな経済協力の具体的な姿勢、態度、手段、方法というものを考えていかなければいけないのだ、また事実これについて起こっているいろんな批判、このことについてはやはり謙虚にそれを考えてやって、つまり相手にほんとうに敬愛されるようなものにしていかなければならぬ、これは私も全く同感でございます。これは一つの三菱あるいはどこの会社とかいう問題じゃなくて、やはり日本人自身の一つ基本的な社会生活あるいは経済生活というもののやり方あるいはやっかいになっているあるいは連帯の関係にある外国に出て、そこの人との人間関係というもののやり方等に根本問題としてわれわれが反省しなければならない点があるのじゃないか、私はその点は同感で、ますますそういう点では考えなければいかぬ、そういうことは同感でございます。
  144. 野間友一

    ○野間委員 根本的に考え直さねばならないというふうに私は答弁が変わってきたと思うのです。  時間がありませんので、もう一つの例。これは日経新聞の報道なんですが、インドネシアの例。ここではもぐり営業が非常に多いということが指摘されております。この記事によりますと、インドネシアの場合には、日本が連絡事務所等を企業が置いた場合には、これは商務省に届け出をしなければならぬ、登録しなければならぬ、こういうことになっておるようですね。ところが登録をせずにやっておる企業か――私も若干計算したのですけれども、いま大体登録しておる企業は約五十だといわれておりますね。ところが登録せずに野放しにやっておる企業がそれと同程度あるいはそれ以上ある、こういうようにいわれておるわけです。  これは私、新聞記事の内容についてインドネシアに参って調べることができなかったわけで、それがほんとうかどうか調べてみたわけです。これも簡単な表でありますけれども企業調査株式会社のアンケート調査、これがあるわけです。これによりますと、インドネシアに対する日本企業の進出、この数、これは連絡事務所あるいは営業所が百二十一あるわけです。一体インドネシアで登録してやっておる企業は幾つあるのか、外務省が把握しておるかどうか、ひとつお答え願いたいと思う。  これは登録をしなければ、法人税も所得税も払わなくて済む。脱税なんですよ。インドネシアがいま調査をやっておるという記事もあるわけです。いま申し上げたように百二十一ある。ところがインドネシアでは五十しか把握してない。登録してない。これはどうなんですか。外務省、どのように実態把握しておるのか。
  145. 川出亮

    ○川出説明員 ただいま先生から御指摘になりました百二十幾つも企業があるということでございますが、現在のところ実態は必ずしも把握いたしておりませんが、調査いたしましてなるべく早い時期に先生のほうに御報告したいと思います。
  146. 野間友一

    ○野間委員 この新聞記事は四月十日付ですよ。われわれみたいなものでもこれについてほんとうかどうかということを、対日感情が非常に激しいわけですから、調べてくるわけです。調べた資料がちゃんとあるのですよ。外務省はそれすら把握してないとはどういうことなんですか。そういうような態度でおったら、対日感情ますます悪くなるのはあたりまえじゃありませんか。そういう外交姿勢、私はこれは外務省、怠慢だと思います。  次官、いかがですか。このことすらまだ調査されておらない。四月十日の新聞記事にあるわけですよ。これは照会もせず実態調査もできていない。このような民間企業の進出に対するいまの外務省の姿勢でおれば、国家の資本を投入すること、これは民間企業のいわゆる経済侵略、エコノミックアニマル、これに対してお墨つきを政府は与えるというような意味しかないというように私は考えるわけです。  時間が参りましたので、あとまた機会がありましたらこの点についてさらにフォローしたいと思いますけれども、最後に次官の答弁を求めます。
  147. 山田久就

    ○山田(久)政府委員 そういうような点はいろいろ注意しなければならぬ点で、ひとつさっそく調査するようにさしたいと思います。
  148. 野間友一

    ○野間委員 では最後に、それを調査して、外務委員会にぜひ報告書を提出していただきたい。これを確認を願います。
  149. 山田久就

    ○山田(久)政府委員 承知いたしました。
  150. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  151. 木村俊夫

    木村委員長 松尾信人君。
  152. 松尾信人

    ○松尾委員 私が明らかにしていかなくてはいけない第一点の問題は、わが国政府経済援助、これにつきまして、基本方針、基本原則というものを明確にしておいて、それを内外にはっきりと打ち出すべきである、こういう点であります。  いままでのわが国政府経済援助、これもどっちかというとケース・バイ・ケースだ、また無原則であるような感じも強いし、また場当り的であるような感じもいたします。いろいろ石油危機以来、総理、また通産大臣、三木長官等も海外に出られた。御苦労でありますけれども、また石油をどうとかしたい、そういうことで、どうも場当り的な感じもいたします。どうとかしなければいけないことはわかっておりますけれども、やはり明確にわが国海外援助経済協力基本原則、そういうものを打ち立てるべきであるということでありますけれども、これは外務大臣にもあとでお尋ねしたいわけでありますが、まず通産大臣の所見を明らかにしていきたいと思うのであります。
  153. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は、歴代内閣総理大臣が施政方針演説あるいはそのほか国会における答弁等におきましてかなり明瞭に言っていると思うのであります。すなわち共存共栄をはかっていこう、一言でいえばそういう考え方に立脚しているように思います。しかし、いま先生から御指摘になりましたようなところを反省しますと、たとえば中国が互恵平等という一言で大体そういうポジションを鮮明にあらわしておる、その程度に日本立場が鮮明になっているかというと、そうでないように思います。だからそういう意味において、やはり何らかの形において日本の真意をさらに徹底的に理解してもらう一つの手段、行動を研究する必要があるように私も思います。  私自体は、通産大臣になりましたときに、われわれの東南アジアやアフリカや発展途上国に対する協力関係というものは利潤のみを目的にすべきではない、それはわが国もそれによって恩恵を受けるし、その国民も恩恵を受けて祝福する。そういう意味においては、いわば共同経済である。自由経済とか資本主義経済という概念よりもさらに進んだ共同経済ともいうべき考えに立って、諸般の行動を律しなければならぬ、そういうことを私は言い、そういう考えに立脚してやろうと思っているわけであります。
  154. 松尾信人

    ○松尾委員 平等互恵、こういうことを言われましたが、何といってもやはり相手国主権の尊重ですね。それから借款につきましても、他の諸国より条件をよくしましょう、こういうことでありまして、結局国益の追求というのが中心でなくて、相手国の民生安定、生活水準の向上というものを期するとか、こういう大義名分といいますか、基本というものを明らかにして、これを内外に宣明する、このような方向でひとつはっきりさしてもらいたい、これは強く私は要請をしておくものであります。  時間がありませんので、通産大臣に対してお尋ねする重点に移りますけれども、これは外務省関係がありますので、一言お答えを願う中で、通産大臣の所見を聞くわけであります。  第二点は、発展途上国の累積債務の問題であります。それと関連いたしますけれども、特に東南アジア諸国との貿易収支、これは日本が大幅な受け取り超過でございます。この調整の問題。ですから、結局債務の累積が相当ある。もう取りにくいものもある。猶予したものもある。他方貿易関係ではどうかというと、東南アジアを限りますと、日本は多額の受け取り超過である。先方は赤字だ。この貿易収支の問題で、日本の受け取り超過、それが経済協力による累積の債務と関連するわけでありますが、まず外務省のほうは、累積債務の増加というものをどのように処理していくかという点について簡単にお答えを願いたい。  通産大臣からは、このような東南アジアに限りましての日本の大きな出超、こういうものをどのようにして是正していくか、関連してお答え願いたいと思うのです。
  155. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 累積債務の問題は、確かに大きな問題でございますし、従来いろいろ努力を続けてきておりますが、なかなか解決が困難な点でございます。  基本的に申し上げますと、やはり開発途上国におきまして健全な債務の管理、それから受け入れた外貨を有効に利用すること、それからまた輸出を拡大するための努力を続けることというようなことについて、わが国から、ないしその他の先進国からも援助をしてあげなければいけないであろうということでございます。そういうような方策を今後とも拡大してとってまいりたいと存じております。
  156. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 東南アジアに対する出超の問題は、これは時間をかけて解決しなければできないと思います。特にそういう声はタイにおいて激しかったのでありますが、タイにおいても逐次改善を見つつあります。やはり発展途上国発展をしていこうという過程においては、相当の資本財を入れなければ将来の拡大発展ができないわけでありますから、その期間においてはどうしても輸入超過になりやすいのです。輸入超過になり、あるいは相当外資を入れるというくらいの行為をしないと発展できない、GNPを上げることができない、古い停滞の中にあるというのが現在の宿命ではないかと思います。日本も、そういう意味で明治以来外資を入れ、そうしてこれだけ発展してきたわけであり、戦後においてもゼロの中からスタートしたのは、やはり外資を入れ、あるいは入超であったのを逆転さしてきたという歴史があるわけです。  ですから、その辺はわれわれも時間をかけて、そうして順次国内経済力が強化されて輸出が伸びていくように、そういう面に協力して、経済構造自体にわれわれは協力をする、目先のバランスシートばかり考えていると道を誤る、そういうように私は思います。そういうようなことはタイにおいて次第に成果が出てきまして、いろいろ開発輸入等が進んでまいりますと、そういう問題は次第に解決していくと思います。繊維の輸入なんかがふえてきたのも、そういう要素があると思います。一面において、国内業者において非難がございますけれども、大きな長い目で見て、そういう政策は少しずつ前進していると私は思います。
  157. 松尾信人

    ○松尾委員 なかなか基本的に、これは長年の累積ですよ。貿易の問題もこの債務の累積の問題も、長年の問題でありまして、そして私がこの点を指摘いたしましてからすでに三年になります。どうとかしてこの赤字をだんだん減らしていこう、いま通産大臣お答えのようなことが、たびたび繰り返されるわけでありますけれども、現実はなかなか――これは長期を要することはよくわかります。わかりますが、そういう中で、ひとつ具体的にこのようにしていくのだ。  たとえばこの海外経済協力という点にしぼりましても、東南アジアにこのような累積債務と貿易の赤字というものが累年加算されていっている、この現状を打開するためには、まず日本海外経済協力というものの一つの軸をそういうところへ向けていったらどうか。これは日本に一番近い国であります。そういうとごろから、非常に累積の債務と貿易の赤字、これを大臣のように長期に――実は長い問題でありますけれども、これをやはり早目に何か手を打ってあげませんと、向こうもそのような体制は成りがたい。  くどいようでありますけれども、もう一回、考え方として、外務省並びに通産大臣お答えを聞いておきたいと思うのです。
  158. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 先ほど申し上げたとおりでございますが、追加して申し上げますと、わが国からそういった方面へ出します援助海外経済協力につきまして、その条件の緩和をはかっていくということが将来に向かっての債務累積を減らす一つのよすがになるかとも存じております。そういう点で今後も努力を続けてまいりたい。  そのほかは、先方の輸出の拡大につながるような海外経済協力をやるということによって、開発途上国が外貨の蓄積をなるべく早く拡大して、いわゆるデッド・サービス・レーショと申しますか、これをだんだん低くするというほうに努力を向けてまいりたいと思っております。
  159. 松尾信人

    ○松尾委員 海外経済協力の力を東南アジアのほうへうんと入れていくという方向は……。
  160. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 いま申し上げましたような開発途上国の輸出の拡大、それとも一つは、わが国援助条件の緩和という点に力を入れてまいりたいと思っております。
  161. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり当面考えられることは、開発輸入を思い切って各方面に伸ばしていくということ、それからもう一つは、第三国を含めた輸出振興の方向に日本資本技術が大いに活用されるという方向に経済協力を進めていく、そういうことが大事だと思います。
  162. 松尾信人

    ○松尾委員 いよいよ時間が非常に切迫しましたので、大急ぎで次に参りますが、いまの私が申し上げました第二点の問題は、真剣にひとつ外務省並びに通産省において御検討をいただきまして、しっかり推進していただきたい。  最後になりますが、わが国技術協力の問題であります。これは先進諸国に比べて非常におくれておる。その原因は一体どこにあるのかということをはっきりしてもらいたい。  それから、技術協力について事業団の実力はどうか、海外の要望に対応できるのか。  それから、この技術協力の規模というものを政策目標として掲げていく必要があるのではないか。その政策目標の実現ということができるようなことをがんばっていくべきであろう。  それから、民間投資の分につきましても、この国際協力事業団というものの技術の結び方というものをしっかり考えたらどうか。現状はどうかということと今後の結び合わせをどのように考えるかということであります。経済的な侵略といわれる点も民間にまかせ切りだからぐあいが悪い。政府機関というものがそこに介在して民生安定、そしてまた向こうの生活の向上ということにつながるようなことをしっかりがんばっていけば、いまの民間の単なる企業的な努力で、経済侵略といわれている部分が非常に変わっていく方向にいくのではないか、こう思うわけでありますが、いかがですか。
  163. 御巫清尚

    ○御巫政府委員 技術協力の点については、わが国技術協力が確かに立ちおくれておりますことは御指摘のとおりでございます。  その原因といたしましては、まずわが国専門家を派遣いたしますような場合に、語学の問題が大きなハンディキャップになっておる。それからまた、わが国社会におきますいわば終身雇用というような形の雇用制度が専門家として勇んで外へ出ていくことを非常にはばんでおる。それからまた、研修生の受け入れをやりますための宿泊の設備であるとか訓練の設備であるとかそういうものがまだ不十分であるというようなことであろうかと存じます。  政府といたしましては、こういった点の隘路を解決をして、わが国技術協力の拡大を十分にはかってまいりたいというふうにして逐次改善を加えてまいっておるところでございますが、まだ各国の水準から見ますと非常に低いということでございます。少なくとも今後の目標といたしましては、先ほど申し上げましたOECDの開発援助委員会に加盟しております国の平均値に近いところまでぐらいはなるべく早く持っていくようにしたいというふうに存じております。
  164. 木村俊夫

    木村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十三分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕