○土井委員 さらにタイを含めて海外における
日本人学校の問題は、これは海外協力事業団等々についての問題を別の機会に取り上げるということもございますから、その席でさらに私はこの問題を提起したいと思います。
さて、
外国との国際交流、国際相互理解というのは、
日本が海外における子女をどのように教育をしていくかという、
日本から外に出る子女教育という問題も片やございますが、また一方
外国から
日本にやってくる留学生に対する受け入れという問題もございます。
外国人が
日本でいかような取り扱いを受けて、教育を受けるかという問題もございます。これはやはり一環の問題でありまして、
日本が
外国においての
日本人学校に対する取り扱いで、
日本における
外国人の取り扱いを無視して要求するということは、これは不可能だと思うのですね。そういう点からいましばらくお聞きしたい問題があるわけです。
日本について留学生の交流というのは、まず数を見てまいりますと、受け入れ数は派遣数の四分の一弱にしか現状はすぎません。
アメリカは逆に五・九倍、受け入れ数のほうが多いわけであります。フランスは四・一倍、西ドイツは二・六倍、イギリスは一・五倍、いずれも
日本が先進国と考えている国々は受け入れ数は派遣数を大きく上回っているわけであります。そういうことから考えていきますと、
日本はこの先進国と比べまして著しい出国超過であるという点がまず
一つの特徴として考えられてよいと思うのですね。
次に、この出国超過現象を示しているのは、派遣の行き先なんでありますが、圧倒的に多いのは欧米であります。全体の八四%を占めている。
アジア、東南
アジア地方へはわずかに一一%しか出向いていないのです。ところが受け入れのほうは
アジア地域から六〇%も来る、欧米からは三六%を受け入れているにすぎない。つまり
日本は留学生の出入国数において大きなアンバランスに加えまして、さらに派遣先の地域と受け入れ先の地域がちぐはぐとなっておるという現状があるわけです。
こういうことをひとつまず念頭に置いておいて、さらにユネスコの統計を見てまいりますと、これは一九六八年調べということになっているわけでありますが、
日本にいる留学生の数は一万三十一名ということになっている。数の上では世界第十一位にランキングされているわけなんです。ところがこの中身を見ていくと問題がにわかに出てくるわけです。この中身のうちで六千五十二名、すなわち半数以上は
日本で生まれて育ったところの朝鮮人と
中国人の子弟が占めているわけなんです。統計数字をここで私はいろいろ取ひ上げてあげ足とりみたいなことを言うつもりでは決してないわけですけれ
ども、しかしこのことを持ち出した経過を考えてみますと、少ない
日本の留学生数を国際社会に報告するときには倍以上に拡大するために大いに貢献してくれているのが実はこの朝鮮人、
中国人学生だということになるわけなんですね。在日朝鮮人や
中国人の子弟を除いた四千名弱の渡日留学生の中の五百八十余名に
日本政府は奨学金をいま支給しているわけなんです。しかしその他には支給をしていないという実情が現にございます。
そこでまず、そういう問題も含みながらお
伺いしたいことがここにあるわけですが、一九六五年、つまり
昭和四十年の十二月二十八日に文部事務次官通達がございます。実はこの文部事務次官通達というのはあくる年の一月に日韓
条約が
締結されているわけでありますから、それに先立っての次官通達なのでありますが、ここに掲げられているのは「朝鮮人のみを収容する教育施設の取扱いについて」ということでありまして、その中には学校教育法第一条の学校として認可すべきではないということと同時に、各種学校として認可すべきではないということをはっきり言明しているわけなんですね。
ところでお
伺いしたいのですが、ソウルにあるところの
日本人学校の地位というのはいまどういうふうに取り扱われておりますか。これは
外務省、文部省、さらに先ほどの海外子女教育振興財団等々が出していらっしゃる文書によって確かめましたところ、私立各種学校としての取り扱いがあるわけでございます。かの地における
日本人学校の地位については各種学校としての取り扱いがなされていながら、
日本にある
韓国人、朝鮮人に対しての学校については各種学校としても認可すべきではないということがこの次官通達で定められている。こういうことについては
外務大臣どういうふうにお考えになりますか。
私はもはや、そういうことからすると、相互理解、平等に立脚しての相互尊敬という念でやはりこういう問題に対しては対処していかなければいけないということから考えますと、この次官通達というのはあってなきが
ごとしの状況である、むしろこの次官通達というのは撤回すべきである、この部分というのは廃棄すべきであると考えるわけでありますが、どういうふうにお考えになりますか。