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1974-03-08 第72回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)     午前九時五十二分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 石井  一君 理事 石原慎太郎君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 福永 一臣君    理事 水野  清君 理事 河上 民雄君    理事 堂森 芳夫君 理事 松本 善明君       足立 篤郎君    大久保武雄君       加藤 紘一君    小坂善太郎君       小林 正巳君    坂本三十次君       深谷 隆司君    福田 篤泰君       宮澤 喜一君    石野 久男君       土井たか子君    三宅 正一君       渡部 一郎君    永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         外務政務次官  山田 久就君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省条約局外         務参事官    伊達 宗起君  委員外出席者         環境庁自然保護         局鳥獣保護課長 仁賀 定三君         法務省入国管理         局次長     竹村 照雄君         外務大臣官房審         議官      杉原 真一君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         水産庁海洋漁業         部沖合漁業課長 金田 禎之君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       豊島  格君         運輸省航空局審         議官      間   孝君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ————————————— 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     加藤 紘一君   土井たか子君     八木 一男君   大久保直彦君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     原 健三郎君   八木 一男君     土井たか子君   岡本 富夫君     大久保直彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその  生息環境保護に関する日本国政府とソヴィエ  ト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結  について承認を求めるの件(条約第三号)  渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその  環境保護に関する日本国政府とオーストラリ  ア政府との間の協定締結について承認を求め  るの件(条約第四号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税の防止のための日本国とアイルランドとの  間の条約締結について承認を求めるの件(条  約第六号)  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国スペイン国との間の条約締結に  ついて承認を求めるの件(条約第七号)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境保護に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件、及び渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永末英一君。
  3. 永末英一

    永末委員 渡り鳥条約日本オーストラリアとの間の条約がいまかかっておるのでございますが、この条約パプア・ニューギニア地域にも施行せられる旨の交換公文が取りかわされているようでございまして、この機会パプア・ニューギニアについて政府はどういう姿勢で対処しておるかということをお伺いしておきたいと思います。  パプア・ニューギニアは第二次世界大戦後その四分の三が国連信託統治地域としてオーストラリア政府に委託されてまいりました。それがことし独立すると聞いておりますが、いかがですか。
  4. 大和田渉

    大和田政府委員 いま先生指摘のように、パプア・ニューギニア——パプアはもともとの豪州の属領でございますし、ニューギニアは国連信託統治地域豪州受託国とする信託統治地域でございますが、これを一体として統治するということにつきまして豪州政府国連承認を得まして、したがって、一体として、パプア・ニューギニアとして統治しております。昨年の十二月一日に自治を達成しまして、したがってパプア・ニューギニアという一つ自治国ができたわけでございます。  これがいつ独立するかという点につきましてはまだ未確定の要素もございますが、ソマレ首席大臣、これはパプア・ニューギニア大臣でございますが、彼が昨年十二月一日に自治達成のときに述べましたことばから察しますと、その時点以降十八カ月以内、具体的には来年の半ば以前に独立するのではなかろうかというふうに考えております。
  5. 永末英一

    永末委員 現地の議会では憲法起草委員会設置をされて、そうして大体この春先にその憲法の草案をまとめようと努力しているようでございますが、いまの御説明でございますと、来年独立だということでございますが、現地では早ければことしじゅうにも独立に進みたいという意向が濃厚であると聞いております。これに対してわが国政府は、この地域にはまだ在外公館もございませんが、どういう計画をお持ちか伺いたい。
  6. 大和田渉

    大和田政府委員 パプア・ニューギニア内部になるべく早く独立を達成したいという声があるのは事実でありますし、豪州政府自身も早くてけっこうという意向を示しております。ただ実際に担当しておりますソマレ大臣自身は、実は人口は二百五十万弱であるけれども、部族が非常に多いし、その間のコミュニケーション、また独立の意義というものを国民諸君に徹底するのにかなり時間がかかる、それより先に国づくりとして着々と整備のほうを急ぐほうが重要ではなかろうかというむしろ慎重論を述べております。  しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、来年の前半にはというめどはついております。日本政府としましては、パプア・ニューギニアという国がいずれ近いうちにできるという前提に立ちまして、具体的にはすでに日本企業進出もございますし、また法人も行っております。したがいまして、わがほうとしては、独立前にでもやはりそこに在外公館をつくる必要があるという考えでございまして、今国会で御審議願っております在外公館の名称、位置法に、ポートモレスビー総領事館設置するということをお願いしているわけでございます。
  7. 永末英一

    永末委員 予算が通過をいたしますと、いつごろ設置せられる御計画ですか。
  8. 大和田渉

    大和田政府委員 予算は約二千九百万円計上しておりまして、この額はいわゆる四分の一予算、三カ月分の予算でございます。したがいまして、実際の実館総領事館として名乗りをあげますのは来年の一月一日以降ということになります。
  9. 永末英一

    永末委員 現地では独立を前にしていろいろな動きがあるわけでございますが、たとえばブーゲンビルにおきます銅山にしましても、オーストラリア政府のときに取りきめられた外国会社との関係をもっと現地側に有利なように改定をすべし、もしそれがかなわなければナショナライズすべし、こういう意見も濃厚でございまして、結局、独立をしていきますと、いままでオーストラリア経済圏の中に含まれていた国が開かれて、その意味合いでは日本経済との関係がより濃厚になると思います。  さて政府は、この間、これらの地域に対する経済協力についてどういう計画をお持ちか、伺いたい。
  10. 大和田渉

    大和田政府委員 御承知のように、いままで豪州施政下にあった。それが昨年の十二月一日から自治を達成したという段階でございまして、経済的にも豪州側にいわば圧倒的に依存していたというのが事実でございます。ただパプア・ニューギニア政府といたしましては、そのことは過去の実績として評価するけれども、今後は豪州だけではなくほかの国にも経済的に援助を仰ぐ、あるいは協力関係を進めるという姿勢でございます。特にほかの国と申しましても、パプア・ニューギニアとしては日本に対して大いに期待している面があるという実情でございます。日本政府といたしましても、現在までに政府レベル経済援助、具体的には技術協力というものを実施しておりますし、またそれ以外にも民間レベルで農業、水産業あるいは銅鉱山開発という面でかなり進出しておりますが、一方、パプア・ニューギニア側としましても、いま御指摘のように、あまり急激な進出を見る場合には自分の国の資源が、まあ略奪ということばは悪いのですけれども、つまりパプア・ニューギニア住民の存在が無視されて企業進出するという事態になるのをおそれている面がないとはいえないと思います。  政府としましては、民間が非常に善意に基づいて、ほんとう国づくりをやっているパプア・ニューギニアの気持、それを大いに助けるあるいは援助するということが第一にくるべき問題だと思いますが、政府としましても、その間民間側相互の競争ではなく、むしろ秩序のある、先方理解を十分得た上での企業進出というものは大いに期待すべきだ、またそれが双方の理解増進に役立つ、あるいは親善の増進に役立つというような基本的な考えております。
  11. 永末英一

    永末委員 パプア・ニューギニア地域は、三十年前の戦争中にわれわれ日本軍も数多くいたところである。そして約二十万人の青年がこの土地に埋もれておるわけでございます。自来三十年間わが国はこの地域と公的には全く接触のない状態できておる。いまようやく公的に接触が始まろうとしておりまして、現地人々意見を聞きますと、三十年前の戦争日本軍連合軍とここで戦った、そのための被害を受けて傷ついたり、また両方に所属をして、言うならば両方の軍隊がいなければやらなかったであろう闘争をお互いに繰り返して、傷つき合い殺し合ったという記憶はいまなおなまなましくこれらの人々の頭に刻み込まれているのであります。  それだけにわが国がこれらの地域にこれから接触をしようとする場合に、東南アジアで田中総理が受けたようなああいうような雰囲気で受けられるというような結果をもたらすような原因をつくっては全く相ならぬ問題だと私は思います。私自身欧亜局長大和田さんと同様、この地域戦闘に従事をいたしておった一員でございますから、やはり日本外交はその歴史の上に立ってちゃんとやっていくべきでありまして、何もうしろ向きになる必要はございませんが、あちらのほうは歴史の上に立って日本を見ておるのでございますから、その意味で、いま政府経済協力計画を聞いたのでございますが、はなはだぼんやりした計画でございまして、たとえば具体的に御質問申し上げますが、海外青年協力隊というのがあります。いまはまだオーストラリア統治下ではございますけれども、独立するまでに、もし先ほど申し上げたような観点からこの地域人々日本人とがほんとうに親しみ合うというためには、経済的な接触の前に、海外青年協力隊、こういう人々を送られて、そうして日本人ほんとうにこの地域人々理解をされるということが必要だと思いますが、政府オーストラリア政府との間にこういう話をされたことはございますか。またこの件について現地側動きオーストラリア政府等動きを察知しておられることはございますか、伺いたい。
  12. 大和田渉

    大和田政府委員 青年協力隊派遣につきまして、パプア・ニューギニア側にその意向があり、また日本政府としてもその意向はございます。具体的にどういう範囲にどういう分野の人をどのくらい送るかということを目下検討中でございます。  それから、先ほどの私の答弁、ちょっと具体性を欠いているという御指摘がございましたが、調査団の問題につきましては、現在派遣中あるいは派遣が予定されているというものといたしまして、漁業関係専門家派遣、これはすでに派遣中でございます。それから総合開発関係調査団、これは先方開発計画調査目的としているものでございますが、これは目下派遣準備中でございます。この五月ごろにも派遣できるのではないかというふうに考えております。それから具体的なプロジェクトに関連がございますが、プラリ川の開発計画というものがございますが、これについても専門家派遣することを検討中でございます。それからさらに開発促進調査団、これはきわめて一般的な調査の部類に属すると思いますが、これは明日出発する予定になっております。  以上でございます。
  13. 永末英一

    永末委員 現地は約三百万以内の人口を有しておりますが、ことばの数は七百以上あると伝えられておる。国会は百名で構成されておりますが、その国会で九種類の同時通訳が行なわれているというのが現地の状況でございまして、したがって、もしこういう状態の国に個々ばらばらないろいろなコミットがわが国から行なわれるとしますと、分解の方向にこそゆけ、統一、統合の方向には向かわない。したがって、いま調査団がようやく動き出し、パプア・ニューギニアの記事もまたわが国新聞等で伝えられるようになり、テレビにも映るようになりましたけれども、それは普通の世界状態とは異っているという姿でしか紹介されていないのである。それではきわめて不十分でございますから、政府としては各種調査団が行っておるそのもとに、一体わが国としてはこの地域に対してどういうような基本的な態度で進むのか。  たとえば現地で、各種企業進出をしようとしておりますけれども、これらも目の前の山ほどある木を切ればよろしい。しかし、木を切ったあとのアフターケアというものがなければ、木を切ったあと現地人々一体われわれ日本人のなした所業に対してどう判断するか。魚はたくさんおりますけれども、現地人々は魚をとる船もなければ技術もない。そこへ持っていって、もし漁業権を手に入れたといたしましても、どんどんとたくさんの魚を日本漁業がとっていくということになりますと、現地人々日本人に対する感覚はきわめて悪化することは火を見るよりも明らかでございまして、したがって個々調査団の上にもっと総合的にこの地域三百万の人々がわれわれ日本人と仲良くしていけるような、そういうコントロールされたそういう一つ計画政府自体として持つべきだと思いますが、あなたのほうはそういう準備がございますか。
  14. 大和田渉

    大和田政府委員 確かに御指摘のように個々調査団がかりに何らの調整なしに出かけて、しかも結果として相手の国の人心を刺激する、あるいは思いがけないトラブルを起こすということはぜひ避けなければならないことであろうかと思います。われわれとしましては、政府レベル調査団派遣するに際しまして、もちろんその間の総合考えております。  ただ、個々企業進出につきましては、結局われわれとしては行政指導をもって現地実情あるいは感情というものを踏まえた上で、あくまで相互利益自分だけが利益を得る、企業利益を追求するのではなくて、かりに企業進出があった場合に相手国にもやはりよかった、あるいはたくさんの雇用機会を与えたというような結果をもたらすように、今後とも指導していきたいという考えております。
  15. 永末英一

    永末委員 私の申し上げたいのは、いま相互利益といわれたのでありますが、相互利益以前の考え方をせざるを得ない。なぜならば、現地はああいう熱帯の地域でございますから、平均年齢がそう長くはございません。したがって、現地政治的指導者はみな若いのでございます。若うはございますが、子供のときに戦争があったという記憶、その中での経験は持っておるようでございます。われわれが相互利益ということだけで考えますと、一体われわれがこの地域に対する戦争責任というものをどう果たしたかということが計算の中に入ってこない。したがって、単なる相互利益ではなくて、われわれとしては、この地域で、われわれが押しかけたからあそこで戦争が始まったのでありますから、その意味合いでの償いをしていくのだ、日本人は御迷惑をかけた地域にはちゃんと償いをする民族なんだ、こういう姿勢が出ていかなければならぬ。したがって、企業進出をしていく、うしろからこれを少し調整するというのではなくて、むしろ政府が積極的に立って、この地域開発発展がわれわれ日本人が三十年前にやった所業に対する一つの償いなんだという姿勢を示すことが必要じゃないかと思いますが、御見解を伺いたい。
  16. 大和田渉

    大和田政府委員 当初も御答弁申し上げましたように、目下あの国は国づくりに最大の努力を注いでいるわけでございます。その国づくりにわれわれが十分の寄与をしたいという気持ちは、いま先生が御指摘になりました過去における日本軍がそこで行なったこと、そのためにあの土地住民がいろいろな被害有形無形被害をこうむったということを踏まえての国づくりでございますので、われわれの気持ちとしてはいま先生がおっしゃったのと同じであるというふうに御了解になってけっこうだと思います。
  17. 永末英一

    永末委員 現状において企業進出はどのように行なわれておりますか。
  18. 大和田渉

    大和田政府委員 現在、日本合弁企業の参加あるいは支店設置というような形における進出は約三十件ございまして、投資額輸出信用を含めまして約八千八百万米ドルになると思います。これを産業別に見ますと、森林資源開発ウッドチップあるいは木材等開発でございますが、これが七件、それから水産資源開発、カツオあるいはエビ等に関する開発でございますが、これが五件、それから銅などの鉱業関係が八件及びその他という実情でございます。
  19. 永末英一

    永末委員 現地はまだ所有権観念がはっきりしていないところでございまして、したがってここへ近代的な契約観念を持ち込んで、そうして相手方がそれになじんでいないにもかかわらず、そういう契約はあり得たとして事をやりますと、いろいろなトラブルが起こることにもなると思います。これらの私企業進出現地側トラブルを起こし、裁判ざたになっているものはございませんか。
  20. 大和田渉

    大和田政府委員 現在裁判ざたになっているのがあるかないかという点につきましては、まことに申しわけございませんですが、私はまだ聞いておりません。
  21. 永末英一

    永末委員 十分お調べを願って、事が明るみに出てから——まだ処女地でございますから、そのときにもうすでに日本企業はこういう悪らつなことをするというようなことを現地人々に与えたのでは、せっかくこれから在外公館をつくってという政府善意も踏みにじられるわけですから、日本自由経済ですから何をしてもいいということになっているのかもしれませんが、少なくとも処女地に対する姿勢について、もし日本企業裁判ざたになるような——裁判というのは決着を見なければわかりませんが、やはり十分な行政指導を行なわれてしかるべきだと思います。十分調査をしていただいて、もしそういうことがあればいまのような角度から規制をせられる、あるいは行政指導をせられるという御方針でございますか。
  22. 大和田渉

    大和田政府委員 実は現在ポートモレスビー総領事館設置について御審議を願っております理由も、まさにそのような問題があり得るかと考えまして、現地における調整ということが目的一つになっております。おっしゃるように、まだあの国はいま国づくりの最中でございまして、その意味では処女地でございます。そこで当初から悪い印象を住民諸君に与えるということはわれわれとしてはぜひ避けなければならない問題である、こう考えております。
  23. 永末英一

    永末委員 そういう姿勢を堅持していっていただきたいと思いますが、貿易の現況はいかがになっておりますか。
  24. 大和田渉

    大和田政府委員 昨年の実績で見ますると、合計で約五千万米ドルでございまして、日本輸出は約三千万ドル、日本輸入が約二千万ドルという数字になっております。
  25. 永末英一

    永末委員 その内容はわかりますか。
  26. 大和田渉

    大和田政府委員 日本輸出しておりますのは、電気機器類機械類雑貨類食料品その他となっております。それから日本輸入品は、木材、銅、コプラそれから水産資源であるエビその他になっております。
  27. 永末英一

    永末委員 日本企業がこの地域接触をいたします場合に、現地側として一番期待をいたしておるのは、現在まだ貨幣経済になじんでいない地域漁業が四五%にのぼる地域でございますから、何よりもまず収入源を求めておるのが現状であります。したがって、ただ単にここからもうけるというのではなくて、現地人々所得の量においてだんだんとふところに入るような、そういう企業進出を望んでいるのであり、ここから貿易にしましても単なる売ったり買ったりではないのだ、こういうことをこれからあなたのほうも、ことに通産当局とも連絡し農林当局とも連絡をしてやっていただかなくちゃならぬ。もしいままでのオーストラリア、いわば白人豪州といわれたあの人々のやってきたような、ある意味での植民地的統治政策というにおいに似たような略奪経済をやったのでは、これは元も子もなくなるわけでございます。したがって企業進出と申しましても、ほかのところとは違う非常に原始的な経済段階地域でございますから、そういう御用意があるかどうか伺いたい。
  28. 大和田渉

    大和田政府委員 ソマレ首席大臣がいわばパプア・ニューギニアに対する統治のガイドラインということを言っておりますが、その一つの大きな項目の中に雇用機会の増大ということを彼は言っておりますし、同時に進出企業責任一つとしてインフラストラクチュアの面における整備ということも要請しております。その考え方自身はわれわれとしては十分納得できる内容でございまして、おっしゃるようにただ単に企業進出して金をもうけるということではなしに、やはり彼らにも大いに機会を与え、またかりに企業利益があった場合に、その利益現地に還元するというのが基本的な考えであろうか、こう考えております。
  29. 永末英一

    永末委員 大平外務大臣出席でございますので、後半の質問はいま聞いていただいたと思います。過般この委員会で、日豪閣僚会議がございましたあとで、あの共同声明の中にパプア・ニューギニア地域との接触、また早期独立要請等を盛られた件についての御答弁はいただきました。さて、この渡り鳥条約審議が大体これで終わるようでございますが、あなたが来られましたので一言所感を伺っておきたいと思います。  この地域独立をいたしてまいりますと、いままではオーストラリア側に向いておった地域太平洋側に向かざるを得ない、経済の構造からしてそうならざるを得ないと思います。そうなりますと、太平洋の国の一方国であるわが国とこの国との関係は、必然的に濃密にならざるを得ないと思います。しかしこの国は、先ほどから申し上げておりますとおり、経済発展段階においてはきわめてまだ処女的な状態でもございますし、また国内の民族統一、言語の統一から始めるような状態でもございます。非常に慎重に、そして相互利益以前の問題として取り上げざるを得ない、そういう問題だと思います。さらにわれわれ日本人としましては、この地域でわれわれが戦闘をやったということに対する償いは一つ現地人々にはなされていない。そういう歴史的背景を踏まえいよいよ独立をしていくこの地域に対して、特に慎重な、そして太平洋民族としての同胞愛に満ちた施策というものを日本政府としてとっていくべきだと私は考えておりますが、この際まとめて大平外務大臣の御所見を伺っておきたい。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 いま永末委員が言われたことに対しまして、私も同感でございまして、そういう反省と理解の上に立ちまして独立パプア・ニューギニアわが国との関係を取り結んでまいらなければならぬと思っております。日豪閣僚会議におきましても、豪州閣僚と席を並べてパプア・ニューギニアの指導者も参加いたしておったわけでございますが、わが国との関係を取り結ぶにあたりまして、われわれといたしましては、独立したからといってすぐ——豪州がいままでわが国といろんな深い関係を持ってまいりました経緯もございますので、豪州との関係も十分考えながら、摩擦を起こさないように考えなければなりませんし、あなたの言われる太平洋圏という領域にはもう豪州自体も入ってくるわけでございますので、豪州も含めまして円滑な関係をいま申されたような精神に沿って着実に積み上げてまいるようにつとめたいと思います。
  31. 永末英一

    永末委員 質問を終わります。
  32. 木村俊夫

    木村委員長 松本善明君。
  33. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣渡り鳥条約についてお聞きする前に、一言環境庁に聞いておきたいのですが、それは鳥獣保護に必要なことは干がたの保護だということについてはもう言うまでもないわけですが、前回も少しお聞きしましたけれども、その保護について具体的にやっておることがあるのかどうか。地域を指定したりして保護している点があるかどうか、それを聞きたいと思います。
  34. 仁賀定三

    ○仁賀説明員 御答弁いたします。  昨年度全国干がたのうち十カ所を調査いたしました。本年また十カ所追加して調査しております。で、合計二十カ所のうち、鳥獣保護区として設定いたしましたのは四カ所でございます。目下昨年度の調査結果を踏まえまして鳥獣保護区等の設定をいたすべく関係機関あるいは地元の了解をいただくよう鋭意努力中でございます。
  35. 松本善明

    ○松本(善)委員 その四カ所というのはどことどこであるかということ。  それからもう一つは、それは開発区域などが近くにないかどうか、それもついでに。
  36. 仁賀定三

    ○仁賀説明員 四カ所は北海道の濤沸湖、それから鳥の海、木曾川河口、もう一カ所はちょっと失念いたしましたが、すぐ調べまして御返答申し上げます。
  37. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣に伺いますが、いま聞きましたが、干がたの保護についてなされている地域もごく限られておりますし、前回来この委員会で討議をされましたことは、やはり鳥獣の保護について十分でないじゃないか。環境庁でさえも必ずしも十分でないということを答えております。その大きな原因は、開発やコンビナートと、鳥のえさを食べる干がたとがぶつかる、開発地域にあたるためにほとんどその干がたがつぶされるというのが実情である。  私は大臣にまず伺いたいのは、四十七年にアメリカと渡り鳥条約を結びましたけれども、これでも保護についてのいろいろのことをしなければならないということが条約に書かれてありますね。それに基づいて十分なことがなされたというふうに大臣考えられているのかどうか、どういうことがやられたというふうに考えているのか、この点を伺いたいと思います。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 一昨年の日米渡り鳥条約締結の際、関係国内法が整備されておりますので、今回の御審議をお願いしておる日ソ、日豪協定の実施のためには特に新しい国内立法の必要はないと承知いたしておりますが、適実に運用されているかどうかという具体的な問題につきましては、外務省といたしまして所管いたしかねておりますので、これは環境庁のほうからひとつ御答弁さしていただきます。
  39. 仁賀定三

    ○仁賀説明員 先ほど一カ所落としまして申しわけございませんでした。河北潟、もう一カ所設定が済んでおります。  それから、日米条約を調印いたしましてから、私ども鋭意各方面の努力をしている次第でございますが、従来鳥獣保護区等の設定につきましては、森林地帯に設けられてきた例が過去ほとんどであったわけでございます。渡り鳥条約を契機にいたしまして、私ども各県にも水鳥の生息する地帯に対して鳥獣保護区等生息環境の保全につとめるよう、いろいろ指導してまいったわけでございます。  なお、渡り鳥条約を契機にいたしまして、渡り鳥の生態を調べますために全国に三十カ所の観測ステーション網を設置すべく、三年計画でスタートいたしまして明年度で完成する予定になっております。また先ほど申し上げましたが、干がたの調査等に目下全力をあげておるという次第でございます。
  40. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣に伺いますが、前回も問題にしたのですけれども、特に大臣に伺いたいと思いますのは、こういう条約を結びましてもこの実効の保障が国内にできるかどうかということが大事なことで、前回の審議の中では環境庁でさえも十分でないということが言われていたわけであります。この条約では五条、六条、あるいは七条あたり、渡り鳥生息環境の保全をするための措置をしなければならぬということになっておるわけですけれども、この条約を結ぶ以上は、内閣としてやはりその条約の効果があがるように、日本渡り鳥絶滅のおそれのある鳥類保護が十分できるようにしなければならない。それの一番の障害はやはり開発である。コンビナートだ。これは方々で指摘をされている点であります。  そういう点を含めまして、政府としてはこの条約の実行について国内体制をどういうふうにしていくというつもりであるか、その具体的な方策ですね、これをやはりお聞きしませんと、たいへん無責任条約審議ということになるのではないかというふうに思いますので、大臣が今後この条約の実行についてどういうような具体的な措置をなされるかということについての政府考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 大平正芳

    大平国務大臣 松本さんも御承知のように、わが国条約を結ぶ場合におきまして、まず関係国内法体制が整備されておるかどうかということを確かめた上でやることにいたしておるわけでございまして、条約の順守義務ということについては真剣に考えてまいったつもりでございます。しかし、関係国内法並びにそれに基づく諸法令の整備とそれの適正な運用という問題になりますと、御指摘のとおり問題がなくはないわけでございます。したがいまして、われわれとしては国内法と条約との間に深い乖離が生じないよう十分配慮していくということを基本の方針として努力したいと思います。政府といたしまして、自然環境保護の見地から条約の趣旨が国内的に十分達成されるためにどういう国内措置をやってまいることが望ましいかを引き続き検討をし、実施をしてまいらなければならぬと存じますが、これは条約の義務履行そのものであるとともに、国内の環境政策の面もごいますので、関係各省庁の間で密接な連絡を取りつけまして、国内関係諸法令の整備、そのきめこまかな運用をはかって御期待にこたえなければならぬと考えております。
  42. 松本善明

    ○松本(善)委員 国内の問題については外務省の直接の所管ではありませんけれども、私は閣僚としての外務大臣にやはり考えを伺っておきたいと思いますのは、国内法はできても実際にそれがうまく運用されてないといういまの大臣答弁でもありましたけれども、それの一番の原因は、コンビナートができるとか開発政策とぶつかるというところなんですね。これは先ほど環境庁が調査をしていると言いましたけれども、その大部分が開発地域とぶつかっている。開発地域のすぐ近くでありますと、かりに指定をしても海洋汚染ということになりましてはせっかく指定しても意味がないということになって、その法の指定がごく限られたことになってくる。だから、ここは国民の啓蒙とかあるいはいろいろ技術的な努力とか、そういうものでは済まない。やはり国の開発政策との関係考えなければならないという問題点があるわけですね。そのこところを大臣として一体どう考えるかという点を私はお聞かせいただきたいと思うのです。いまの高度成長政策、いままでやってきました成長政策のもとでやはりこういう点まで被害が出てきているということについて、大臣としてどうお考えになるかということを伺いたいのであります。
  43. 大平正芳

    大平国務大臣 戦争が終わりまして、極度の困窮の中から再建をはかってまいらなければならぬ立場にありました日本といたしまして、当面国民生活の需要の充足ということ、さらに進んで国際的な環境の中でわが国の生存を確保し、さらにわが国の競争力を高めてまいらなければならぬというような趣旨で、ある意味においてなりふりかまわずに成長政策を官民とも追求してまいりましたこと、それ全体が私は悪いとは思いませんけれども、そのことが御指摘のように痛ましい環境の破壊を結果しておるということは、私どもも十分反省しなければならぬと思うのであります。  いまの御質問に対しまして、まず根本的にわが国経済政策の基本をどう方向づけるかという問題でございますが、すでに政府も申し上げておりますとおり、われわれといたしましては成長政策から福祉重点に持っていかなければならないのではないか、生産から生活に方向を志向していかなければならないという問題意識をもちまして各種の施策を考えておるわけでございまして、そのことがいま十分の成果をあげるにまだ至っておりませんけれども、まず第一に経済政策の基本をそういう方向に鋭意持ってまいることが第一だと思うのでございます。  しかしそれにいたしましても、すでに相当荒廃した環境でございまするし、アフターケアがなされないままに放置されておる地域も相当ありまするし、またこれから御指摘のように新しいコンビナートをつくるというような問題もないとはいえないわけでございまして、そういった今後の経済開発を進めるにあたりまして、従来のラインで、ただ生産第一主義に走ることなく、環境への配慮というものを十二分に考慮しながら、きめこまかい配慮を加えながらやってまいるべきものと思うのでございまして、この点は先ほども御答弁申し上げましたように、国内関係各省庁と連絡をとりながら、この条約の趣旨が生きるように十分配慮しなければならぬことと思います。
  44. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはたいへん大事な問題で、しかし実行するには相当たいへんなことだと思います。この点につきましては、そういうことがやられませんと、単に国内の福祉が充実しないというだけではなくて、国際信用にも、あるいは日本の文化程度ということも疑われるということにもなるわけでありますので、この点は、条約を結んだ以上はこの経済政策についての根本的な反省というものは非常に重要なことだということを申し上げて、私は質問を終わります。
  45. 木村俊夫

    木村委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時三十九分休憩      ————◇—————     午前十時五十六分開議
  46. 木村俊夫

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税の防止のための日本国とアイルランドとの間の条約締結について承認を求めるの件、及び所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国スペイン国との間の条約締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、順次政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣大平正芳君。     —————————————  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税の防止のための日本国とアイルランドとの  間の条約締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国スペイン国との間の条約締結に  ついて承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  47. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税の防止のための日本国とアイルランドとの間の条約締結について承認を求めるの件につきまして提案の理由を御説明いたします。  政府は、アイルランドとの問の所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税の防止のための条約締結するため、昭和四十七年以来、東京及びダブリンにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十九年一月十八日に東京において、本大臣先方フォガーティ駐日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。  この条約は、本文三十一カ条からなり、そのおもなる内容は、次のとおりであります。事業利得につきましては、一方の国の企業相手国において支店等の恒久的施設を通じて事業を営む場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国課税できるものとし、船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税率につきましては、配当に関しては、日本国においては、親子会社間の配当については一〇%、その他の場合は一五%をこえないものとし、アイルランドにおきましては、付加税を免除することとしており、利子及び使用料に関しましては、一〇%をこえないものとしております。  この条約締結によりまして、二重課税回避の制度を通じ、両国間の経済技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国スペイン国との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして提案の理由を御説明いたします。  政府は、スペインとの間に所得に対する租税に関する二重課税回避のための条約締結するため、昭和四十六年以来マドリッド及び東京において交渉を行ないました結果、昭和四十九年二月十三日にマドリッドにおいて、わが方佐藤駐スペイン大使と先方コルティーナ外務大臣との間でこの条約に署名を行なった次第であります。  この条約は、本文二十九カ条及び附属議定書からなり、そのおもなる内容は、次のとおりであります。事業所得につきましては、一方の国の企業相手国において支店等の恒久的施設を通じて事業を営む場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国課税できるものとし、船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税率につきましては、配当に関しては、親子会社間の配当については一〇%、その他の場合は一五%、利子及び使用料に関しては一〇%をこえないものとしております。  この条約締結によりまして、二重課税回避の制度を通じ、両国間の経済技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  48. 木村俊夫

    木村委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両件に対する質疑は後日行なうことといたします。      ————◇—————
  49. 木村俊夫

    木村委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
  50. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣その他に、日ソ関係について、与えられました時間若干の質疑を行なってみたいと思います。  先般ジミヤーニン訪日団長一行が訪日しております。それから昨年十月、大平大臣も一緒に田中総理のモスクワ訪問が行なわれました。この田中総理一行の訪ソ後、日ソ間の関係一体どのような方向に進んできておるのか、概括的に、日ソ親善関係の推進のためにどのような具体的な進展があったと大平外務大臣考えておられるか、まずこの点を最初に伺っておきたい、こう思います。
  51. 大平正芳

    大平国務大臣 一九五六年の鳩山総理訪ソ以来十七年間、日ソ両国の最高首脳の接触が持たれなかったことはたいへん残念でございまして、今回そのことが実現いたしましたことは、日ソ関係にとりまして画期的に重要なことであったと思います。外交の基本は相互の信頼と理解を深めてまいることが第一でございまして、その意味におきまして、最高首脳間の直接の接触ということはまず第一の大きな前進であったと評価いたしております。  それから第二に、最高首脳の接触におきましては、当然のことといたしまして両国の国民がその会談に寄せる期待は大きいわけでございますので、日ソ間に横たわる全懸案につきましてレビューをいたしたわけでございまして、その一々につきまして前進と打開をはかりながら、日ソ友好関係を深めてまいるということに合意を見たことは、当然のこととはいえ、これまた大きな前進であったと私は評価いたしております。  この会談が行なわれました以後、経済協力関係漁業交渉等におきまして、それぞれの担当大臣あるいは関係者間におきまして接触と交渉が続けられ、相当の前進を見ておりますことは、堂森さん御案内のとおりでございます。  領土問題につきましては首脳会談の際合意いたしましたように、今年中に継続交渉するという約束を見ておるわけでございまして、いずれ遠からず日ソ間の外交ルートを通じまして、その時期、場所、レベルをきめて実行に移したいと考えております。
  52. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま外務大臣答弁がいろいろございましたが、鳩山内閣の当時国交の回復という交渉は一応できたわけでありますが、いまだに平和条約がないということは、やはり正常な外交関係というわけにはいかぬと私は思うのです。そこで、日ソ平和条約の大前提というものは、いかに文化的、経済的、あるいは科学技術とかいろいろそういう密な交流関係が前進していったとしても、しかし領土問題が解決しない限り平和条約は結ばれないのだ、そういうことには至らないのだという態度で政府は進んでおられるのかどうかということを承っておきたい、こう思います。
  53. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり心得ております。
  54. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますると、講和条約を結ぶためには領土問題が大前提であるとすると、従来から、この講和条約には国後、択捉、歯舞、色丹の四つの島をわが国の領土として画定されるということがもう絶対の条件であって、もしソ連邦側においてこれは絶対に譲らぬという主張をこれからも続けていくとすると、日ソの平和条約というものはもう締結は不可能であるというふうに考えて間違いない、私はこう思うのでありますが、そうしますると、何かよほど大きな国際情勢の変転でもこない限り、もう平和条約が結ばれる機会が当分の間はないのではないか。政府は何年間でもそういう態度で臨んでいくんだ、四つの島の解決がない限り日ソ平和条約はできないんだ、こういうかたい態度でこれからも進んでいくのでありますか、この点を承っておきたい、こう思います。
  55. 大平正芳

    大平国務大臣 首脳会談後の日ソ共同声明にもうたわれてありますとおり、「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約締結すること」に合意したとございますが、これは日ソ双方が合意したわけでございまして、ソ連側もまた平和条約締結したいという願望を持ち続けていることは事実でございます。その場合、わがほうといたしましては、堂森さんが御指摘のように、わが国の固有の領土でございまする四つの島の返還ということは譲れない線でございまして、わが国はこの返還を主張し続けてまいることは当然のわが国の態度であると考えております。これに対しましてどのように先方が反応されるか、これはこれからの交渉の成り行きにかかってくると思います。
  56. 堂森芳夫

    堂森委員 昨年の秋の田中首相一行の訪ソの際、ブレジネフ書記長が発言をした。今後日ソ間の平和条約の交渉の際に、領土問題が議題となり得るという態度を表明しました。そして先般ジミヤーニン氏を団長とする訪日議員団が来たときにも、ジミヤーニン氏はそういう意味の発言をしておるのであります。これは従来、ソ連側が領土問題はすでに解決済みという態度で何年かずっと一貫してきておるということに非常に大きな変化が来たことは、これは事実でありますが、しかしこのことは、領土問題で今後ソ連側が従来とは違った態度で何らかの大きな譲歩をしてくるというふうな認識を外務大臣は、政府は持っておられるのかどうか。つまり議題となり得るということは、すなわち向うが譲歩するという認識でおられるのか、その点重要な点でありますので、伺っておきたいと思います。
  57. 大平正芳

    大平国務大臣 領土問題はすでに昨年十月の首脳会談で議題となりましたし、今後も議題になることと思うのでございます。その場合、ソ連側の態度に何らかの変化が予想されるかどうかという御質問でございますが、私の立場でソ連側の態度について言及いたしますことは差し控えたいと思います。ただわれわれといたしましては、この問題につきまして忍耐強く交渉を続けて、国民の期待にこたえなければならぬと考えておることだけを付言させていただきます。
  58. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣のおっしゃることはわからぬでもないですが、相手もあることでもありますし、外交交渉でありますから、非常に微妙な、いろいろと問題をはらんでおることは私もよく承知をいたしますけれども、従来は領土問題は解決済みであるという態度で一貫してきたソ連側が、昨年の首脳会談で領土問題も平和条約においてはその議題となり得るということを言ったということは、向こうにも譲歩があり得るという認識がない限り、講和条約の今後の交渉はやっぱりできないと思うのでありますが、どういう認識をしておるのか、もう一ぺんしつこいようでありますが、承っておきたいと思います。
  59. 大平正芳

    大平国務大臣 私が受けた印象を率直に申しますならば、ソ連側の態度はきわめてきびしいものがあるということが一つでございます。と同時に、日ソ関係の友好親善の度合いが、こういう重要な問題を解決するに十分なものにまだ達していないのではないかというような認識を先方が持たれておるのではないかという印象を受けたこともまた事実でございます。
  60. 堂森芳夫

    堂森委員 それじゃ言葉をかえて大平外務大臣考え方を承っておきたいと思います。  外交交渉ですから、重要な議題がまとまるためには、双方の譲歩ということ、これは当然あり得ることでなければならぬ、こう思うのであります。これは一般論としてですね。  そこで、たとえば国後、択捉等がわが国に返って来た、そういう場合には、これを中立化するとか、非武装化するとか、あるいは具体的に言うならば、日米安保条約の適用地域にはしないのだというような考え方というもの、これはいろいろ議論はあるでしょう。しかしかつてそういう議論が国会内でなされたのを私も速記録等で見ておるのでありますが、元外務大臣の愛知氏はそういう日米安保条約の適用外の地域にそうした島をしていくということも、これはたいへん検討に値する考え方であると外務大臣としては考えると、こういう答弁を、その通りではありませんが、そういう意味答弁をしておる。またこれは当時の福田赳夫外務大臣でありますが、これは沖繩及び北方領土の委員会であったと思いますが、議員の質問に対して、北方領土が返った場合、講和条約でそういう妥結ができた場合、日米安保条約を適用させないような地域、まあはっきり言うならば、米軍の基地は作らぬというようなふうにするようにしたい、こういうことを福田外務大臣が当時答弁をしておるのであります。  そういう場合に、大平外務大臣は、そうした二人の元外務大臣がそういう意見答弁をしておるのでありますが、そうした相互に譲歩することによって条約ができ得る基盤ができていくという場合に、どういうような態度で臨もうとしておられるのか、その点を、これはまあ仮定の問題でもありますけれども、承っておきたい、こう思います。
  61. 大平正芳

    大平国務大臣 御質問の問題にお答えすることは、つまり四島の返還を議題にいたしまして、これから交渉を続けてまいろうという立場であるわけでございまして、まだその先のことまで行っていないわけなのでございますので、返還を受ける場合にどうするかというようなことを考えるのはいかがかと思うのでございます。論理上の問題として、こういう場合にはこうあるべきであるとかなんとかいう議論はできないことはありませんけれども、まず交渉自体がその途中なんでございまするので、そういう問題についてとやかくいま申し上げることは、あまり賢明なことではないと考えまするので、せっかくの御質問でございますが、まず差し控えさせていただくのが無難であると私は思います。
  62. 堂森芳夫

    堂森委員 どうも大平外務大臣は慎重過ぎて、私は残念に思うのですが、しかし、領土問題が大きな問題となって平和条約ができないのでしょう。領土がこちらの主張どおり戻ってくるならばこちらはこうしたいというようなことは、私はそういう意思表示をするほうがやっぱり領土問題の解決に近づく当然の道だと思うのですが、それでも慎重なあなたですから、これは答弁できぬというものを押えつけてせいというわけにもいかぬですから、私はそれ以上言いませんけれども、それは非常に残念だと思うのです。  そこで私は、シベリア開発等についていろいろお尋ねしたい、こう思って、この二、三日いろいろ考えておったのであります。きのうも参議院の外務委員会で、委員の質問に対してあなたがいろいろ答えられているのを新聞でも見たのでありますが、ますこれは私の印象ですが、シベリア開発についてのソ連側の態度を私が見ておって、何かこのごろ後退のような、冷却化のような方向に行っておるのではないだろうか、こういうふうな、これは間違っておるかもしれませんが、そういう印象をどうも受けるのであります。政府の見解はどうでございますか。そうでないという見解ですか。
  63. 大和田渉

    大和田政府委員 シベリア開発の問題につきましては、まず第一に総理が訪ソされました際に、先方との間で出しました共同声明におきましても、両国間の経済協力というものは、可能な限りで広い分野で行うということが望ましいという約束をまずいたしております。  その後の動きでございますが、具体的にいま五つの案件がございますが、おのおのにつきまして進んでおります。特に先般、二月の半ばにトロヤノフスキー大使が総理に面会を求めまして、ブレジネフ書記長、コスイギン首相のメッセージをお伝えしたいということを言ってまいりまして、総理に口頭でそのメッセージを伝えましたが、その内容も首脳会談の際の発言を確認しておりまして、シベリアの開発については大いに積極的にやりたいという意向に何ら変化はないということを言ってきております。  したがいまして、私どもの考えといたしましては、ソ連側は決して消極的ということではなく、むしろ具体的な案件の進み方を見ておりますと、かなり積極性があるというふうにわれわれは考えております。
  64. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは局長、もう少し具体的に答弁を願いたいのですが、サハリンの大陸だな、それからヤクートの天然ガスと原料炭、それからチュメニ油田の開発プロジェクト、これらのものについて、現在どのような具体的な交渉がなされておるのか、少し詳しく答弁してくれませんか。
  65. 大和田渉

    大和田政府委員 まず、チュメニの石油プロジェクトでございますが、昨年十二月に日本側から交渉を再開したいという提案をいたしまして、本年一月末に非公式に近く交渉団を送るということを申してきております。なお先ほど申し上げましたトロヤノフスキー大使が総理に面会した際にも、近く正式の返事をよこすということを言ってきております。したがいまして、その返事によって交渉が再開されるという段取りであろうかと思います。  それからヤクートの天然ガスプロジェクトでございますが、昨年の十二月に専門家調査団現地を視察しておりますし、また本年一月には日ソの当事者がモスクワで会合いたしまして、当面探鉱、つまり埋蔵量の確認のプロジェクトでございますが、これを具体的には本年の十一月から開始する。また日米双方が原則として均等にこのプロジェクトをソ連とともに協力して行なうということで意見の一致を見ております。交渉は近く再開する予定になっております。  それから北サハリンの沖の大陸だなの探鉱でございます。これは天然ガス及び石油でございますが、本年の一月の末に専門家の代表団が話し合いを行なっております。さらに三月中にでも具体的な交渉を再開しようということを予定しておりまして、現在ソ連側の交渉団がいつ日本に来るかという日程についての回答待ちの状況でございます。  それから第二次KS、森林資源開発プロジェクトでございますが、これは昨年十二月に交渉が行われましたが、木材の価格の問題、クレジットの内容というような問題につきまして合意に至らないで、継続して交渉しようということになっておりまして、いつそれじゃ交渉を再開するかという点につきまして、ソ連側の回答を今待っている状況でございます。  それから南ヤクートの原料炭の問題でございますが、日本側の代表団が基本契約締結交渉という目的のために現在訪ソ中でございまして、先方と話を詰めている段階でございます。  それからこのシベリア開発全般といたしまして、先方からの呼びかけがございまして、三月の下旬、おそらく二十日前後になるのではないかと思いますが、日ソ経済合同委員会日本側の代表委員である植村さん、永野さんが訪ソする予定になっております。  以上でございます。
  66. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣にお尋ねしたいのでありますが、当初アメリカがチュメニ油田の開発には参加をする、日本もこれに参加をする、今まで私の受けた印象では、政府はそれが最も望ましい、こういう態度で来たのではないかと思うのであります。時間の関係がありますので、続けてやりますが、ところが、アメリカの議会で、通商法案の審議の過程において、輸銀のチュメニへの融資というものを禁止するような修正案が議会では議決されるのではないか、こういう事態に変わってきて、アメリカはおそらくチュメニ油田の開発には参加できないのではないか、こういうふうにも伝えられておるのであります。  ところがきのうの参議院の外務委員会で、外務大臣としては、日本単独では無理である、やりたくないんだというような、まあこれは新聞記事でありますけれども、そういうような答弁もしておられる、こういうことであります。ところがすでに田中総理大臣は、単独でもやるんだ、こういう意思表示をはっきりとソ連側に伝えておるのだということもわれわれは聞いておるのでありますが、しかしこの点のいきさつがどうであるかということ。  それから、時間がありませんから全部をまとめてお尋ねしますが、最近、輸銀の総裁の澄田氏が、従来はこのチュメニ油田について、十億ドルのバンクローンがソ連側から要求があったが、最近になって倍の二十億ドルのバンクローンの要請が来ておる、こういうようなことも漏らしたということがある。これは新聞に報道されておったのでありますが、一体こういう事情がほんとうなのかどうか。そして田中総理は単独ででも日本がやりたい、日ソでやりたい、こういうことを意思表示を向こうの政府にやっておるのかどうか。この点、御答弁を伺いたいと思います。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 問題をちょっと整理するとこういうことなんです。日ソ間の首脳間の了解といたしまして、シベリア開発につきましては、日本とソ連の両当事者の間できめようじゃないか、その場合第三国の参加は拒まない、その第三国との話し合いは日本がすべきである、そういう話し合いになっておるわけでございます。  その際の話し合いで、日本単独でもやりますという意味の話し合いはまだ行なわれておりません。第三国が日ソ間の経済協力プロジェクトに参加するかしないか、これは第三国の立場でございまして、私が参議院の外務委員会で御答弁申し上げたのは、外務大臣としてどう考えるかということでございますので、たいへん信用量も大きいわけでございますので、第三国の参加が望ましいということを申し上げたので、その希望を申し上げたにすぎないわけでございます。参加するかしないかは、これは第三国の判断の問題でございます。  それから、総理大臣が第三国の参加がなくてもやるとおっしゃったかどうか、それは私存じませんが、まだ私には連絡がございません。  それから、しかし問題は、日ソ両当事者の間でいろいろデータを整えて交渉が進んでおるわけでございまして、十分の念査が行なわれて、そして基本契約が満足すべきものになるかどうか、それはいまの問題なんでございまして、私どもといたしましては、まずそういうものが満足すべきものになるように期待をいたしておるわけでございまして、政府並びに輸銀当局がそういうものができないさきから幾ら幾ら融資いたしますとかなんとかいうようなことを言うはずもないし、そういうことを言うてはならないわけでございます。私はそう心得ております。
  68. 堂森芳夫

    堂森委員 時間がありませんので、もっとお聞きしたいのですが残念です。  最後に、チュメニ油田、それからヤクートの開発、サハリンの大陸だな、あるいは森林の造植、緑地帯の開発等の計画を全部まぜると五十億ドルにも達するような資金が必要である、こういうふうに言われているのであります。こういうような膨大な資金を必要とするシベリア開発に、はたしてわが国が財政上たえ得るのかどうかという、そういう大きな問題があるのではないか、こう思うのです。  それから対中国の関係において、単独でわが国がやるという場合と、アメリカその他の第三国と一緒にやるという場合とは、対中国の関係からいってもかなり違うような印象を与えるのではないだろうか、私はこういうふうに思うのでありますが、このチュメニ開発等について、日韓の大陸だなの条約について中国がいろいろ意見をこちらに表明をしてきたというふうな関係等から見ましても、対中国のいろいろなそういう国際関係等についてはどのような判断を外務大臣はしておられるのでしょうか。  それから、この膨大な資金関係というものは一体たえ得るというふうに考えているのか、この点を承っておきたいと思います。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 バンクローンについてソ連側の要請があると聞いておりますけれども、総額が五十億ドルであるというような要請は私は承知いたしておりません。ヤクートの原料炭、天然ガス、それから第二次の木材森林資源開発プロジェクト、サハリンの探鉱等合わせて見ましても十億ドル内外ぐらいな規模でございまして、チュメニの石油プロジェクトにつきましては、私どもまだどのくらいの金額なのか見当はついておりません。  それから第二に、対中国関係をどう考えるかということでございますが、シベリアの資源開発に対する日本の協力というのは、日ソ間の問題でございまして、私ども日ソ間であろうとどういう国との関係であろうと、わが国といたしまして慎重に事を運んでまいるわけでございまして、その場合第三国の利害というようなものにつきましては十分考慮を払うことは当然のことなんでございますけれども、あくまでもこれは日ソ間の経済協力案件であるという立場からわが国といたしまして検討をいたしておるところでございます。
  70. 堂森芳夫

    堂森委員 終わります。
  71. 木村俊夫

    木村委員長 石野久男君。
  72. 石野久男

    ○石野委員 私はきょうは三件ほどお聞きしたいのです。  一つは、先般内閣委員会答弁のありました中江アジア局参事官の件について、いま一つ大臣の本委員会における発言について、いま一つは大陸だな問題について、この三つの件についてお聞きしたいのですが、まず最初に、去る三月五日に内閣委員会で、中江アジア局参事官が台湾帰属の問題に触れて、「台湾がどこに帰属するか、その表示方法をどうすべきかを意思表示するのは、日本政府として国際的合意ができるまでは慎まなければならない」という発言がありましたが、この発言は、私はまだ議事録をしっかり見ていませんが、新聞に報ぜられるような発言をしておりますか。
  73. 松永信雄

    ○松永政府委員 中江参事官はいま来ておりませんが、私からお答え申し上げてよろしゅうございますでしょうか。
  74. 石野久男

    ○石野委員 実はその議事録を見ようとしたが、まだ議事録が見つからないものですから、それを確かめるのですが、参事官があとで来るのでしたら、大臣に先に質問いたします。  大臣は、去る二月二十七日の本委員会で日中航空協定締結に伴う台湾機の扱いについての質問に答えて、青天白日旗は国旗ではないなどと潜越なことは言わない、こういう答えをしておりますが、この答えの意味はいろいろと誤解を招くように思われます。というのは、私はこの質問はすべて日中共同声明に関連して聞いておるわけでありますが、二十七日の本委員会における大臣答弁の真意をいま一度聞かしていただきたい。
  75. 大平正芳

    大平国務大臣 それは永末英一君からの御質問だったと思いますが、青天白日旗は国旗かという、何らの留保のない御質問であったと記憶をいたします。青天白日旗が国旗であるかどうかという問題でございますが、国旗の問題を論ずる場合には、当然のことといたしまして、その国の承認ということが前提になるわけでございまして、中華民国という存在を国として認めておる国が三十数カ国ございまして、そういう国から見れば中国を代表する国旗と見るということも考えられます。しかし、わが国の立場といたしましては、台湾を国として承認いたしていないわけでございまして、中国を代表する国旗は五星紅旗しかないわけなんでございます。したがって、御質問がわが国の立場から見てどうかという御質問でございますならば、わが国の立場を表明申し上げたわけでございますけれども、端的な御質問でございましたので、私には中華民国政府承認しておる国の立場まで私が否定するということは僭越だ、そういうことを言うたまででございます。
  76. 石野久男

    ○石野委員 大臣が、共同声明の第二項で中華人民共和国は中国の唯一の合法政府であるということをいい、第三項では台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であるということを声明しておるわけですから、台湾の問題に関連して青天白日旗が国旗でないなどと潜越なことは言わないというお答えをしますると、これは国旗だというふうになるわけで、非常に誤解を招きます。新聞などでは、台湾を刺激しないためにわざわざこういう何をとったのではないかということもいろいろと解説されております。もしそうだとするならば、共同声明考え方に対して非常に国際的な信義にもとることになると思いますので、その点についてはっきりとわが国の態度というものはこうであるということを、いまの御答弁でも大体わかりましたけれども、もう一度永末君に対する答弁の真意というものを共同声明との関連においてお聞かせいただきたいと思います。
  77. 松永信雄

    ○松永政府委員 ただいまの問題、実は法律的な認識が前提になっていると思いますので、私から御説明申し上げたいと存じます。御承知のごとく、わが国は過去においては中国を国際法上の国として承認し、その国を代表する収府といたしまして中華民国政府、これが中国をへ表する正統政府であるという立場をとっておりましたけれども、一昨年の日中共同声明第二項によりまして、わが国としましては中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であるということを承認したわけでございます。これは、中国という国を代表する政府として、それまでの中華民国政府にかわって、中華人民共和国政府承認するという趣旨でございますが、国際法上の問題といたしましては、すなわち中華人民共和国政府に対して政府承認を行なったということかと存じます。  その結果、わが国が中華人民共和国政府承認いたしました時点、すなわち日中共同声明が発出されました時点以降、わが国は台湾にあります政権を中国を代表する政府として認めるものではなく、またわが国から見る限り、台湾地域においては国際法上の主体としての国家あるいはそれを代表する政府の存在というものを法的には認めるものではないということになった、こういうふうに私は理解しているわけでございます。現在、御質問のございました青天白日旗が国旗であるかどうかという問題は、まさしくこのいま申し上げました法律的な認識を前提として解釈されなければならないというふうに考えております。
  78. 石野久男

    ○石野委員 そういうことを前提として解釈すれば、青天白日旗は、わが国の立場からして、台湾のいわゆる国旗でないなどという、というこのことばがひっかかってきますが、大臣はその点についてはどういうふうに解しますか。
  79. 松永信雄

    ○松永政府委員 他方、先ほど大臣がお答えになられましたごとく、事実問題といたしまして、台湾にあります中華民国のあるいは中華民国政府承認しております国が世界に三十数カ国あるわけでございまして、それらの国が青天白日旗を中華民国の国旗であると認めて承認している事実はあるわけでございます。それに対してわが国として、たとえば例をアメリカと申し上げてはいいかどうか存じませんけれども、アメリカは青天白日旗を中華民国の国旗として承認していると思います。それに対して日本が異議を申し立てるということはすべき問題ではないだろうと思います。と申しますのは、それは事実関係でございまして、日本の法律的な関係あるいは法律的な認識の中には、青天白日旗が中国という国を代表する国旗というものではないということであろうと存じます。
  80. 石野久男

    ○石野委員 大臣、そのように解釈してよろしゅうございますか。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおりでございます。
  82. 石野久男

    ○石野委員 この種の問題は非常に疑義を生じ、しかも国際的な信義の問題にかかわるものですから、やはり誤解を受けないように発言を慎むべきだと私は思います。  同じようなことが——いま中江参事官がおいでになっていませんけれども、この発言がさだかでありませんので、どうも進めることにちょっと問題がありますが、時間の関係と、それから質問の関係があるので、もし中江参事官の発言がそうでないとすれば、これは論議はちょっと空転することになりますけれども、おそらく新聞社がそういうふうにノートしておりますことに間違いはないと私は思うのです。参事官は、とにかくこの帰属の問題について、台湾がどこに帰属するかについては、その表示方法は、日本政府としては国際的合意のできるまで慎まなければならないということばを使っている。慎まなければならないということは、いま大臣からも答弁があり、あるいはまた条約局長からも答弁のあった共同声明においては、法律的にもすでに台湾というものは国として認めていないわけです。そういうことを国際的にちゃんと取りきめておるのに、参事官が国際的合意ができるまでは慎まなければならないというような発言があるということになると、政府考え方はいずれにあるかを非常に苦しみます。しかもこれは外で言ったことでない、国会での答弁ですから、この問題についてはわれわれやはりいずれをとるべきかということについて迷うのです。政府考え方をはっきり聞かせてもらいたい。
  83. 松永信雄

    ○松永政府委員 中江参事官の答弁内容あるいはその字句につきましては、議事録を見ませんと、私も何とも申し上げられないわけでございますが、私の推測でございますけれども、関係国間の合意を待たなければ云々ということを申したのではなく、これも純法律論的な立場から、わが国は御承知のごとくサンフランシスコ条約に基づいて、台湾に対する一切の権利を放棄したわけでございます。そういう状況がございますので、台湾の法的地位につきまして日本政府が認定を行なう立場にはないということを御説明申し上げたのだろうと存じます。
  84. 石野久男

    ○石野委員 認定をする資格はないということと、この台湾がどこに帰属するかという問題については、すでにもうこの共同声明の中に、ポツダム宣言第八項に基づく立場をわが国は堅持するわけです。ポツダム宣言の規定を守るということになれば、われわれはやはりポツダム宣言第八項がはっきり言っていますように、カイロ宣言条項に触れてくるわけですね。カイロ宣言ははっきりと、台湾の問題について明確な、日本のしなければならない問題を規定しているわけでしょう。参事官はそういうことぐらいわかっているはずですよ。だからいまの条約局長答弁ではちょっと私は納得しませんよ。
  85. 松永信雄

    ○松永政府委員 御指摘のとおり、共同声明第三項では、ポツダム宣言の立場を堅持するということが書いてございます。そこでそのポツダム宣言第八項を見ますると、「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」と書いてあるわけでございます。いま御指摘がございましたように、このポツダム宣言第八項を通じて、さらにカイロ宣言にさかのぼるわけでございます。日本の立場といたしましては、このカイロ宣言の当事者ではございませんから、直接的な形でこれに拘束を受けるということはないわけでございますが、ポツダム宣言を受諾いたしましたときに、そのポツダム宣言、さらにそれを通じてカイロ宣言が発せられた主連合国の意図ないし意向日本政府としては承知しているということだろうと思います。
  86. 石野久男

    ○石野委員 日本としてはカイロ宣言についてはあれこれ言えないがと言う。しかし降伏文書の中に、「下名ハ茲ニ「ポツダム」宣言ノ条項ヲ誠実ニ履行スル」ということを書いてあるわけですね。だからわが国としては、このカイロ宣言の問題は、自分たちがカイロ宣言をきめたものじゃないけれども、降伏文書の条項によってちゃんとそれを履行しなければならないわけです。履行するということになればここできめられたことを守らなければならないわけです。そのことをやはりちゃんと共同声明の中には書かれているわけですね。そのことをいまの政府の総理と外務大臣とがちゃんとこうきめてきているわけですよ。  その外務省の一員が、日本政府としては、国際的合意がなければ帰属のことについて表示方法をどうするかは意思表示ができないということになると、政府考え方というものは全然外務省の中には徹底していないということになるのじゃないですか。それともこの中江参事官の発言がそうだとするならば、田中総理やあるいは外務大臣の、中国との約束をしたこの共同声明というのは、何の意味もなくなってくるのです。これはどうするのですか、こういうことは。
  87. 松永信雄

    ○松永政府委員 中江参事官の御説明でございますから、あるいは中江参事官から申し上げた方がいいかと思いますけれども、中江参事官が御説明いたしましたときにも、ポツダム宣言の立場を堅持するということは申し上げているわけでございます。この共同声明第三項に明記されております日本政府の立場と、私どもは寸毫も動かすつもりはないわけでございます。
  88. 石野久男

    ○石野委員 だったら「国際的合意ができるまでは」という、この国際的合意ができるまではというのはどういう意味なんですか、これは。
  89. 中江要介

    ○中江説明員 御質問の個所は、おそらくある新聞紙上にかぎカッコで私の発言の内容として報道されたものを根拠にしておられると思うのですが、私は国際的合意によって云々ということは言ったつもりはありません。言ってないと思うのです。私はこれは速記録であれしなければいけない問題、より正確には検討しなければいけないのかもしれませんけれども、私は国際的合意がない限りということは言った覚えは全くないので、ただいま条約局長が申しましたように、ポツダム宣言第八項の立場を堅持するというところを締めくくりにはっきり申しておりまして、その部分が実は新聞報道では落ちている、言わなかったことが入っておって、言った大事な点が落ちているということが、あるいはいろいろの間違ったとらえ方をされている原因ではないかと、私はそう思っております。
  90. 石野久男

    ○石野委員 議事録を見ておりませんので、やはり議事録を見てからやりませんと、御本人がそうでないと言うものをこれは論議できませんが、ただやはりこういう誤解を生むようなことを軽率に発言することはよくないと思います。ただ私はやはり、特に日中の問題については先ほどの大臣の発言にしましても、中江発言にしましても、新聞があれだけ大きく書いているということになりますと、国民は迷います。それからわれわれはやはり信頼をなくすることになります。相手国の中国は非常に大きなこれに対して疑義を持つと思うのです。この点議事録をはっきり見てからしなければいけませんが中江参事官が自分で発言していないということですから、そしてまた条約局長がポツダム宣言を履行するということについて、第八項に基づく立場を堅持するということを確認しているということで、私は議事録を見るまでは一応保留はしますが、大臣ひとつ、こういう少くとも誤解を与えるような発言はさせないように、厳にひとつ政府部内、特に外務省の中では趣旨を徹底するようにしてもらいたいと思います。大臣からひとつそのことについての所見だけを聞いておきます。
  91. 大平正芳

    大平国務大臣 日中関係を律するのは日中共同声明でございまして、これ以上であってもいかぬし、以下であってもいけないわけでございまして、中江君であろうとだれであろうと、これからの離脱は許されないわけでございます。ただ、いろいろなやりとりの中で、ことばが不正確なために往々にして誤解を生むおそれがあることにつきましての御指摘でございまして、重々戒めまして、そういうことのないように、私自身も注意しなければなりませんし、私のスタッフに対しましても注意させるつもりであります。
  92. 石野久男

    ○石野委員 中国政府とそれから朝鮮民主主義人民共和国政府が、日韓大陸棚条約との関連で協議を要求してきたという報道がございますが、それは事実ですか。
  93. 高島益郎

    ○高島政府委員 けさのある新聞に、いま先生のおっしゃったようなことが出ておりますが、これは全く根拠がございません。私ども自身もこの報道を見て非常にびっくりした次第でございます。
  94. 石野久男

    ○石野委員 事実がないといたしましても、かねてから、特に中国の側ではこれについてやはり抗議の声明がなされておりますし、それから朝鮮民主主義人民共和国のほうでもこの問題についての発言があります。こういう事情があるということを政府としてはよく御存じでしょうね。
  95. 高島益郎

    ○高島政府委員 日韓大陸棚共同開発に関する協定につきまして、北朝鮮及び中華人民共和国政府のほうから異議が出されておるということについては十分承知しております。
  96. 石野久男

    ○石野委員 大陸だな問題は、かねてから私たちはこれは非常に大きな国際問題になるということを言っておりましたが、案の定そうなってきております。大臣はこの条約の問題についてなるべく提案したいということを言い、そして中国とかあるいは——中国についてはいろいろ問題があったら話し合いをしたい、こういうことを先般の委員会でも答弁なさっております。  私はやはり、中国にしてもあるいは朝鮮民主主義人民共和国のほうにしましても、この問題について声明を出し、あるいは抗議をするというような事実がある段階で、日韓大陸だな問題をそういう国々との話し合いをしないままで、締結したからそれを批准のほうに持っていくというような早まった行為を政府はしてはいけないと私は思うのです。  この際、この日韓の間における調印が行われている事実は私たちもよく知っておりますが、その調印されたものについてのなお関係諸国間における問題が提起されてきていることを頭に置いて、やはりそれらの国々との話し合いをもう少し詰めた上で、この日韓大陸棚条約というものについての処置をなさるべきでないだろうか、こういうように私は思いますが、政府にはそういうお気持ちはありませんか。これは大臣にひとつ聞きます。
  97. 高島益郎

    ○高島政府委員 僭越ですけれども、大臣の前にちょっと一言。  私どもいずれ中国との間には、この大きな大陸だなの境界の画定につきまして協定締結しなければならないというふうに考えております。したがいまして、今回の日韓間だけでの大陸棚共同開発に関する取りきめにつきましては、中国に対しましても今まで十分説明の努力をいたしましたし、今後も必要に応じて十分説明をして、納得まではいかないかもしれませんけれども、いろいろなそういう努力を重ねることによって、中国側の理解を得たいというふうに考えております。  先生御承知のとおり、大陸だなにつきましては各国とも非常な意見の相違がございまして、なかなかむずかしい問題でございますので、完全な合意を得るということはむずかしい問題だと思います。しかし、私どもは誠意を尽くして、中国に対しましては、わがほうの立場を十分説明し、理解をいただくように努力したいというふうに考えております。
  98. 石野久男

    ○石野委員 私はこの問題は非常に重大な国際間の問題になってくると思います。それでありまするだけに、すでに日韓の間では条約に対する調印が行われておりまするけれども、批准を強行するというような処置をとることをしないで、むしろ関係各国の間における話し合いを詰めるべきだ。先般大臣は、本委員会だと思いましたが、もしほうっておくと韓国のほうで仕事が始まってしまうだろう、そういうことではまずいから、やっぱりこれはやらなければいかぬということを、これは大臣でしたか、局長でしたか、答弁がありました。  私は、この問題については、もしそういうふうに条約の批准が行われない前に、韓国側が大陸だな開発という問題に着工するような事態がもし起きるような心配があるのならば、それを国際間でやはり解決するような方法を、あるいは国連に訴えるとか、あるいは調停裁判のようなものを、いわゆる国際司法裁判所への提訴によってそれを処理するか、平和的に解決する方法が国連憲章の中にもちゃんとあるわけですね。やはりそういう方法で処理しなくちゃならないだろうと思うのです。手をつけるかもしれないから批准を急ぐのだというようなそういう考え方はまずいと思うのです。  だから私は、この問題の持つ意味というものは、アジアには、特にこの東アジアにおけるところの日中、そして北朝鮮のほう、南の朝鮮のほう、いずれにも関連する問題ですから、それを十分煮詰めた上で、やはり批准行為に入るべきだ、こういうふうに思います。それだけの心がまえがなくちゃいけないと思うのですが、それについてのひとつ所見だけを聞かしてもらいたい。これは大臣
  99. 高島益郎

    ○高島政府委員 いま先生の御引用になった表現は、私は記憶ございませんけれども、もしそういうことであるとすれば、これは少しことばの表現が誤っておると思います。私どもは韓国との間に三年間にわたりまして、長い交渉を続けて今回やっとああいう合意に達したわけでございまして、こういう合意に達した以上、一方的に韓国が批准の状況いかんによって何かするということは、私どもは絶対あり得ないことだと思っております。これは十分に慎重に御審議をいただいた上で批准をいたすということになろうかと思います。  もともとこの大陸だなに関する主張が日本と韓国との間に非常に食い違いまして、その結果、もし日本もあるいは韓国も天然資源の、特に石油、ガスの開発を行なおうとすれば、どうしても必然的に紛争が生ずる。したがって、この紛争をなくすためにどうしたらいいかということで、いろいろ日韓両国間で交渉いたしました結果、過去の経過におきましては、国際司法裁判所に訴える問題、あるいは国際調停を頼む問題、いろいろわがほうも提案をいたしまして努力いたしましたけれども、先方の合意が得られず、結局共同開発ということで最終的に合意に至りました。その結果が今回の協定でございまして、そういうわけでございますので、これは紛争を未然に防止するための協定であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  100. 石野久男

    ○石野委員 時間がありませんからあれですが、紛争を防止するための協定だという理解は非常にわれわれとしてはとれないのです。それは日本の主体的な立場ではそういう考え方があるかもしれませんが、現に日韓だけではなくて、中国の側からの抗議声明が出ておる。それから同じ朝鮮においては、三十八度線の北である朝鮮民主主義人民共和国のほうからもやはり声明が出ておる。この領域は単に日韓の関連する問題だけでなく、中国も関連する、あるいは統一されるべき内容を持っておる朝鮮半島の中においても、問題があるということを無視するわけにはいかないと思うのです。これは善良な配慮をしなければ、国際紛争を押えるための協定が逆に国際紛争を激化させる結果になるだろうと思いますので、これは大臣のきわめて高い政治的な判断を必要とする課題だと思います。大臣、もう時間がないから、一言それについての所見だけを聞いておきたい。
  101. 大平正芳

    大平国務大臣 たびたびこの委員会でも申し上げておりますとおり、大陸だなの境界をどうするかという問題は、いろいろな意見がありまして、国際的に定着するに至っていないことは石野さんも御案内のとおりでございまして、それがいつごろきまるかということもさだかでないわけでございます。私どもそういうことがきまりましてちゃんとした国際秩序のもとで開発が行なわれることが望ましいと考えておるわけでございますけれども、そういう状態がいつ招来するかということについてさだかな目算を立て得ないということでございます。しかし、現実に開発問題というのが出てきていることも事実でございまして、そういう現実の問題をそういう不安定な秩序の状態においてどう処理するかという場合に、可及的に紛争が起こらないように、そして関係国との間にいろいろもんちゃくが起こらないように配慮してまいることが政府の任務であると考えまして、この条約を交渉するにあたりまして、御指摘のような点も常に十分頭に置きながらやってまいったつもりでございまして、いま私といたしましては、国会の御審議を求めたいということで準備を急いでおるわけでございますが、十分御検討をいただいて、そしてもし国会に御審議願うことになりますならば、国会の御判断をいただきたいものと思っておりまして、その際われわれといたしましては十分御説明申し上げて御理解を賜わるように努力をいたしたいと考えております。
  102. 石野久男

    ○石野委員 もう時間がありませんが、大臣はあくまでも出すかまえのようですけれども、私は、この問題は、もう少し中国とかあるいは朝鮮民主主義人民共和国なども含めて合意に達するように努力すべきであって、本国会にそういうものを出さないことが紛争をとめるためにもいいことだと思っておりますので、その私の考えだけを申し述べておきます。
  103. 木村俊夫

    木村委員長 松本善明君。
  104. 松本善明

    ○松本(善)委員 最初に、アジア卓球選手権大会への入国問題で若干伺いたいと思うのですが、大臣にお伺いする前に、法務省に伺っておきたいのです。  この南ベトナムの臨時革命政府でありますとか、カンボジア王国民族連合政府からの入国がその国の承認になるかどうか。その承認につながるような場合には入国について否定的な考え方をするけれども、そうでない限りは積極的にするということを、この委員会では外務大臣から私も青年代表の問題についてお聞きしましたし、そのほかの委員会でも外務大臣から外務省の見解として述べられたというふうに思っております。  そこで、法務省に聞きたいのは、こういう問題の判断といいますのは、その入国を認めるかどうか、あるいはそういうことがその国の政府承認につながるかどうかというようなことの判断は、外務省の判断を尊重するということで法務省は事を処理するのが普通当然ではないかというふうに思いますが、その点は法務省は外務省の判断をどういうふうに考えているか、その点を法務省として伺いたいのです。
  105. 竹村照雄

    ○竹村説明員 入国の拒否を決する場合に、私どもといたしましては、入管令上も明らかでございますけれども、外交関係を結んでおる国の人々との交流につきましては、これは原則としてこれを認めるという方向でやる、そういうワクがわれわれに与えられております。しかしながら、外交関係を結んでいない国あるいはそういう地域からの入国につきましては、原則として入国を認めない、これもわれわれに与えられたワクでございます。  ただ、そうとばかりはいっておれない、そういった意味でわれわれが入国の判断をする場合には、どうしても国益との関連が問題になります。その国益の判断をする場合に大きな比重を占める外交上の利益をどのように判断するかという点につきましては、所管である外務省のお考えを十分に尊重して考えるということになろうかと思います。  したがって、先生がお尋ねのような問題につきましては、われわれといたしましても外務省のお考えを十分尊重して考えるということでございます。
  106. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣にお伺いしたいのでありますが——外務大臣にお伺いする前に外務省の事務当局に伺いたいのですが、わが国承認をしてないという朝鮮民主主義人民共和国、それから台湾もそうですが、そういうところからの入国の旅券はどういう名義で入国を認めていますか。
  107. 高島益郎

    ○高島政府委員 わが国と外交関係のない国ないし地域からの人の入国につきましては、旅券は使えませんで、渡航証明書という文書を携行せしめて入国さしております。
  108. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうしますと、外務大臣に伺いたいのでありますが、南ベトナム臨時革命政府やカンボジア王国民族連合政府地域からの入国につきましては、いまアジア局長答弁したようなやり方で入国を認めるということは十分可能なことだと思いますが、その点についての外務大臣としての御見解を伺いたいと思います。
  109. 高島益郎

    ○高島政府委員 これは仮定の問題でございますけれども、手続上は、もしそういう地域から人が来る場合には、当然渡航証明書によって日本に入るということになると思います。
  110. 松本善明

    ○松本(善)委員 この点につきましては、私どもはむしろ南ベトナム臨時革命政府などとの外交関係を樹立すべきであるという考えでありますが、入国問題については、いままで答弁されておるように積極的に入国をはかるようにされたいということを申し上げて、一言これについての、法務大臣がやや消極的な意見を述べたかのごとく伝えられておりますが、外務大臣の御意見を伺いたいのであります。
  111. 大平正芳

    大平国務大臣 これは法務省の所管でございまして、法務省に御申請があり、法務省から御協議を受けて、その場合に外務省としてお返事をいたさなければならぬと考えておるわけでございまして、われわれといたしましては原則として人と人との交流ということに政治的に非常に支障がないというような場合は、できるだけこれを認めていくということが国際的に理解を深める上におきまして適当ではないかと私は考えております。
  112. 松本善明

    ○松本(善)委員 日韓大陸棚条約の問題についてお伺いいたしたいと思います。この問題につきましては、事実上開発をする共同開発地域の問題について伺いたいのです。  これは前にこの委員会で、韓国の開発権者になっておる会社がガルフォイルとかテキサコとかあるいはシェルだとか、そういうメジャーであるということが政府委員から答えられましたけれども、日本でもしこれをいま政府が予定をしております開発権者、これはどういうものになっているか、これを説明していただきたいと思います。資源エネルギー庁でも外務省でも、どちらからでもけっこうです。
  113. 豊島格

    ○豊島説明員 お答えいたします。  鉱業法に基づきまして先願いたしておりますのは、御承知のように日本石油開発という会社、それから帝国石油、西日本石油、この三社が一応先願をしております。出願に瑕疵がなければそれが先願主義に基づいて紛争解決後は許可されるということになると思います。
  114. 松本善明

    ○松本(善)委員 西日本石油は三菱グループとシェルの合弁だし、日本石油はテキサコ、カリフォルニアスタンダードとの提携、帝国石油はガルフとの提携、こういうことで、実際上はメジャーが開発をするということになると思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  115. 豊島格

    ○豊島説明員 先生のいまのお考えというか御指摘のような点も、事実上ガルフその他と提携しておるということも事実でございます。ただいずれも日本法人でございまして、鉱業権は日本法人が持つということであります。それから、そういう提携そのものは、米系企業の持つ技術力を活用するという点から考えておるわけでございます。そこで取れる油その他は、優先的に日本へ供給されるということをわれわれは期待しておるわけであります。
  116. 松本善明

    ○松本(善)委員 しかし、事実上はメジャーが大部分その生産量を握るということになると思いますが、どうですか、現状では。
  117. 豊島格

    ○豊島説明員 従来のいろいろな話し合いの経緯から見まして、日本に優先的に供給されることはまず間違いないと私どもは思っております。
  118. 松本善明

    ○松本(善)委員 私の言いますのは、そういうことではなくて、生産量の大部分はやはり開発をしていくメジャーが握って、それはどこへ供給するかということは別問題ですけれども、まずメジャーがその間握るということになるのではありませんか。
  119. 豊島格

    ○豊島説明員 いろいろ端的にお答えするのはむずかしいかと思いますが、日本が大陸だなでいろいろ開発しております石油等につきまして、国としても場合によっては石油公団の金を出すとか、いろいろやるわけでございまして、石油自身がメジャーのかってな——おっしゃる意味は販売ルートということを含めておっしゃっておられると思いますが、国策に沿った線で使われることをわれわれは期待しておりますし、できるだけそういうふうにしたい、行政指導その他でしたいということももちろん考えております。この点についてはいまお答えできることはこういうことでございます。
  120. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは開発技術のことから考えても、メジャーが握ることは明白だと思うのですね。  そして私はもう一つ、この問題についてあとで外務大臣に伺いますが、重要なのは開発の中で事故が起こった場合に、これは特にあの共同開発地域ば産卵場もありますし、それから油が流れ出すと太平洋岸一帯にたいへんな被害日本漁業に及ぼすのではないかと思います。この点について水産庁の見解を伺いたいと思います。
  121. 金田禎之

    ○金田説明員 共同開発事業の対象になっております海域は、いま先生のお話のように古くからわが国漁業者が開発をいたしまして、着実な漁業実績をあげている漁場でございます。日韓大陸棚協定に基づく事業の実施につきましては、探査その他の作業の実施の時期、地点及び方法の選択にあたりましては、関係業者と事前に十分な調整を行なうことはもちろんでございますけれども、海洋汚染の未然の防止をはかることが、不慮の事態に対応するために適切な救済措置を講ずることが必要であるというように考えておるわけでございます。  こうした観点から、本協定におきましては、漁業との調整に関する点、海洋汚染の防止に関すること、及びいまお話のございましたように事故が起きました場合の事後の救済措置に関することが勘案されておりますけれども、さらに国内の法的措置を講ずるにあたりましても、関係の各省と十分協議いたしまして、漁場の環境の保全その他漁業との調整につきましては、万全を期すようにしてまいりたいと存じております。
  122. 松本善明

    ○松本(善)委員 私の言うのは、補償措置を考えなければならぬような状態なんだから、これは事故が起こった場合はたいへんな被害わが国漁業に与えるのじゃないかということの事実認識を聞いているのです。黒潮に乗って油が流れ出してきたら、太平洋岸全体に影響するということになるのじゃないですか。
  123. 金田禎之

    ○金田説明員 お話のございましたように、事故が起こらないように万全を尽くすことは必要でございますけれども、万が一そういうような事故が起きた場合には、黒潮のちょうど分岐点にあたっておるところでございますので、そういうことが起きました際には、日本近海におけるところの事故も、漁業に対する被害もあろうかと思います。
  124. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはカスピ海でのソ連の事故だとか、カリフォルニアのサンタバーバラの大事故とか、そういうことが実際に起こっておりますので、これは日本漁業についてはたいへんな重大な問題だと思うのです。そういう点については漁業関係者に、この条約締結した場合にどうなるかということは十分に知らされておりますか。
  125. 金田禎之

    ○金田説明員 この件につきましては、すでに新聞等でも報道されておりますし、意見漁業関係から求められた際は当然これに対する説明をいたしたいと思っておりますし、現に一部の関係業者に対しては説明いたしております。
  126. 松本善明

    ○松本(善)委員 実際は決してそういう状態に、漁民がこの問題について知っておるというような状態にはなっていないと思います。またあらためてそれらの点については詳細にやります。  外務省に条約上のことでお聞きしたいのですが、わが国が海底資源について主権を主張する範囲というのは、一般的に言ってどういう考え方でありますか。
  127. 杉原真一

    ○杉原説明員 御質問の御趣旨は、沿岸の沖合いの海底資源、石油天然ガスに対する主権的な権利の及ぶ範囲はどこまであるかという御質問かと存ずるのでございますが、現在国際法といたしまして、一九五八年の大陸棚条約があるわけでございます。わが国はこれは批准いたしておりません。ただし、ヘーグの北海大陸だな事件における判決からもうかがえますように、大陸だなに対して沿岸国が主権的な権利を持つということは、すでに一般国際慣習法として定着しているという解釈が国際的に成立いたしておりますわけでございまして、わが国といたしましてもそのような立場に立って、わが国の周辺の大陸だなに対してはわが国が主権的な権利を行使できるというふうな考え方に立っております。
  128. 松本善明

    ○松本(善)委員 もうちょっと要領よくやってもらわぬと困りますが、日韓大陸棚協定についての共同開発地域ですね、これとの関係でいま聞いているわけです。これは中国との関係ではわが国はどの範囲まで主張できるのだというふうに考えてこの条約締結したのかということを聞いているわけです。あるいはもっと端的に言うならば、中国の沿岸との間のまん中まで行けるのだ、こういう考えでやっているのかどうかということです。
  129. 杉原真一

    ○杉原説明員 先ほど私がお答えいたしましたのは、大陸だなに対して沿岸国が主権的な権利を持つというのは、国際慣習法として確立しておると申し上げたのでございますが、その主権的権利が及ぶ範囲につきましては、実は国際的なはっきりした原則あるいは慣習法ができ上がっておらないわけなのでございます。そこに一九五八年の大陸棚条約の基本的な問題点があり、現在国連海洋法会議でその問題点をはっきりさせるということが非常に大きな基本的な争点になっておるということを申し上げて、わが国としては、その幅の問題については国際的にもきまっていないし、どこまでがわが国の範囲であるということを国際的に一方的に定めるという立場にはないということをお答えいたしたいと思います。
  130. 松本善明

    ○松本(善)委員 中国や韓国は自然延長説をとっておると思いますが、どうでしょうか。簡単でいいです。
  131. 杉原真一

    ○杉原説明員 自然延長説と申しますのは、実はまた繰り返しになるのでございますが、一九五八年の大陸棚条約に入っておりますことが、大陸だなの幅をきめる、あるいは相対する国あるいは隣接する国の間の大陸だなの境界をきめる基本的な基準にはなっておらないわけなのでございます。  したがって、自然延長説というのは国際法上定められた大陸だなの幅あるいは境界をきめる原則ではないわけでございまして、韓国やあるいは中国が自然延長説というものをとっておりますのは、大陸だなというものはどこまでの幅のものであろうかということをそれぞれの国が現在いろいろの考えを持ってきめておるわけなのでございますが、その中の一つに、大陸が深海海底に向かって伸びていく先の先まで、結局、大陸が自然に伸びている先までは自分の国の大陸だなであるという考え方があるということだけございまして、それが国際法上の定まった原則になっているということはないわけでございます。
  132. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣に伺いますが、いまお聞きのように、外務省も、この大陸だな問題とか海底資源の問題についてはわが国の主張も明確ではない。まだきまってない。国際法的にきまってない。私はこの地図を見てみますと、この共同開発地域というのは、韓国がもし延長説をとるということで韓国と協議をするということが必要ならば、これはもう当然朝鮮民主主義人民共和国や中国とも協議をしなければならないような関係の位置にあります。なぜ韓国とだけ協議をしてここに共同開発地域を設けることができるのか。いままで何回か議論されましたけれども、私は外務省の説明ではとうてい理解ができません。とても国民にも——内外に納得できるようなものにはなっておりません。  わが国の主権の及ぶ範囲についてすらここでは答えないということになりますと、これは、国際法上まだまだ不分明の問題で、先走ってやるべき性質のものではないのではないか。あまつさえ、先ほど来私が申しましたように、実際上はメジャーの利益がはかられる。そして漁民の被害も大きくなるかもしれない。これは相当慎重に内外の問題を考えてやらなければならぬ。むしろこれは提案を差し控えるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけです。  私が申しました問題点についての大臣の御見解を、つまり、国際法上まだ不分明な問題については急ぐべきではないということ、それから事実上メジャーの利益がはかられるという点、それからもう一つ日本の漁民に対する被害の問題を考えますと、相当もっと慎重にしなければならない、この三つの点についての大臣の御見解を伺いたいと思います。
  133. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生の第一点の、国際法上不分明だという点につきましては、ただいま杉原審議官からいろいろ説明がありましたけれども、この相対する国と国との間の大陸だなの境界線をどこに引くべきかという点につきましては、私ども中間線がその境界線であるべきだ、特にいろいろ特別な合意があるという場合は別でございますけれども、原則としては中間線がその境界線になるべきであるということが、現在いろいろな条約、先例等にございまして、各国が締結いたしました大陸だな境界の画定の協定等にあらわれております。そういうことを踏まえまして、私どもそういう立場を堅持いたしておりますし、また今回これから行なわれます海洋法会議におきましてもそういう立場を堅持していきたいというふうに考えております。  それから第三点の漁業の問題につきましては、先ほど水産庁のほうから御答弁ございましたけれども、私ども外務省といたしましては、本件協定締結にあたりまして、水産庁と十分協議の上、条約の面で詳細な規定を設けていろいろな災害が起こらないように、漁業利益調整を十分にはかるように、また、もしも万一事故があった場合には十分な補償を開発権者が行なうというように手当てをいたしております。
  134. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣に御答弁願う前に、いまの点でちょっと申し上げておきますが、いまアジア局長は中間線ということを言われた。韓国との点でいうならば、中間線ではないのですね。ですから、これは当然に韓国にここの権利を認めるということであるならば、あるいはそれについて協議をするということなら、当然に朝鮮民主主義人民共和国や、論理上は中国とも協議をしなければならぬということになるのです。  ですから私は、この問題については国際法上まだまだ明確になっていないのだということから、先ほど言った点ですが、先ほどの三つの点について大臣の御見解を伺いたいと思います。これは政治的な問題なんで、大臣から直接お答えいただきたいと思います。
  135. 大平正芳

    大平国務大臣 大陸だなの境界線をどこに引くかという問題は、先ほども御説明がありましたように、まだ定着したものになっていないということでございまして、それがいつ定着するようになるかというめども立っていないというように私は理解いたしておるわけでございます。しかし、これはそれぞれの国にそれぞれの主張があるわけでございまして、その主張があることが別に悪いことではないので、そういう主張があることは十分理解してかからなければならぬし、わが国の主張はまた関係国の理解を求めなければならぬ性質のものだと思うのでございます。したがってこの条約には大陸だな境界線、大陸だなに対する権利というようなものは留保いたしてあるわけでございまして、とりあえず共同開発水域というようなものを設定することによって探査あるいは採掘の秩序を守っていこうという趣旨のものでございます。  それから関係国との間の協議でございますが、これは大陸棚条約にも手続の問題として関係国の間で協議を進めるということに相なっておるわけでございますが、中国と韓国との間には国交がございませんし、北鮮と日本との間には国交がございませんし、したがいまして、われわれといたしましてやり得る道は、日韓間だけでやり得る範囲におきまして共同開発水域というものを考えたわけでございます。北鮮と——朝鮮半島が将来統一されることが望ましいことでございますし、それが統一された暁におきましては、大陸だなは朝鮮半島が延びてきておるわけでございますので、統一政府がこの条約で定められたことを継承していただければよろしいのではないかと考えておるわけでございます。  しかし、あなたが言われるように、いろいろ問題があることはわれわれもよく承知しておるわけでございまして、その中で現実的に問題を、最小限度問題がないような姿において現実の必要をどのように充足していくかということ、それも秩序を持たせながら充足してまいるかということをいろいろ苦心して考えたつもりでございます。そういう点につきましては十分御審議をいただかなければならぬと考えておりますが、政府考えたこともメジャーの利益に奉仕するとかいうことのために考えたわけではないのでありまして、そういう政府の苦心の存するところも御理解をいただきたいと思います。
  136. 松本善明

    ○松本(善)委員 私はこれで質問を終わりますが、外務大臣の御説明では、とてもいま私が申しました三つの問題点について国民に対する説得力はないと思います。国際法上の問題についての説明もきわめてかみ合ったものでない、あるいは問題を理解をされたのかどうかということも心配です。事実上メジャーに利益を与えることはこれは明白なんで、そして漁民の被害の問題もありますし、これは私は石油の開発、取得については、やはり別個のもっと穏当なほかの方法が考えられるわけです。そういうことをもう一回考え直す、この問題についてはやはり再検討をして、国会への提出を再検討すべきだというふうに思うのですけれども、その点についての御答弁を伺って、私はこれで質問を終わります。
  137. 大平正芳

    大平国務大臣 国会の御意思は国会の御審議を通じて固めていただかなければならぬ性質のものであると思うのでございまして、政府が精一ぱい考えましたことは、いろいろ理由を整理し、資料を整えまして十分の御審議を願いたいと思うのでございまして、ただいまわれわれとして国会に提案を断念するというつもりはございません。
  138. 松本善明

    ○松本(善)委員 遺憾ですが、終わります。
  139. 木村俊夫

    木村委員長 渡部一郎君。
  140. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は、きょうこまかい問題を数点と、それから文化、広報予算の問題についてと両方お伺いしたいと存じます。  まずは、ECがことしの秋にも東京に代表部を置きたいというお話があるそうであり、かつ政府としては、これに関して今国会に対してその協定文を提出されるという旨、私は当委員会理事会でなく、新聞紙上からその報道を得たわけでありますが、これについて御説明を仰ぎたい。  まず御説明を仰ぐ前に、こういうような問題については、陰でこそこそやらないで早く当委員会に報告されることが至当ではないか、こう思うわけであります。まず、内容についてお伺いしたいと存じます。
  141. 松永信雄

    ○松永政府委員 お答え申し上げます。  EC代表部を日本設置することにつきましては、かねてからEC委員会との間で話し合いを行なってきておりまして、最近合意に達しましたので、近く、近日中に協定を署名いたしまして、EC委員会の代表部を日本設置いたしますこと及びその代表部の職員として派遣されます者に対しまして特権免除を許与するということを内容とする協定を調印、署名いたすようにしております。この協定は、署名いたしましてから発効いたします前に国会に提出して、御承認を仰ぎたいと思っております。
  142. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 国会開会中なんですから、大臣はなぜこういうことについて私が質問するまで、知らぬ顔をしながらこっそりやっておられたのですか。何かまたうしろ暗いことがここにあるのですか。それとも私がなぜ——はなはだ遺憾に存じておるわけですね。代表部設置なんという問題は明らかに大きな問題です。ところが今国会において私たちがこの委員会において審議する案件としていただいているものは九項目ありますが、それは政府は何にも提出してないじゃないですか。私のほうはいただいてませんよ、何もそういうニュアンスの話は。突然何か持ち出す。この調子では、突然ECと宣戦布告したって驚かないですよ、ぼくは、ほんとうに大げさなことを言うようだが。
  143. 松永信雄

    ○松永政府委員 条約の交渉は、御承知のごとく、署名いたしますまで実は行なわれるわけでございます。したがいまして、署名に至ります前の段階においてはまだ未確定要素がいろいろございますので、確定的なことを御説明申し上げる状況にないわけでございます。したがいまして、国会に提出いたします予定の条約として資料その他によりまして御説明いたすのは、その署名が確定いたします段階においてでないとできないわけでございますので、御了承をお願いしたいと思います。
  144. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、全然話がわけがわかりませんが、いつごろ協定についての仮調印を行なうのか、本調印はいつごろ行なう予定なのか。オルトリさんと大平さんは何を話されたのか、またこのECの東京代表部に見合うEC側に対する日本の代表はどこに置くのか、その辺を御説明いただきたい。
  145. 松永信雄

    ○松永政府委員 先般、EC委員会のオルトリ委員長が来日されましたときに、実質的な交渉が妥結いたしまして、協定の仮調印をたしか二月の十八日だったと記憶しております、間違っておりましたら後ほど訂正さしていただきますが、仮調印をいたしたわけでございます。その後、協定文の確定、これは日本語及びフランス語でございますけれども、作業をいたしまして、来たる十一日にベルギーのブラッセルにおいて署名をいたす予定でございます。
  146. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、本調印という形になるのはいつですか。
  147. 松永信雄

    ○松永政府委員 いま申し上げましたごとく十一日を予定いたしております。
  148. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 こちらの、東京代表はわかりますが、日本側のECに対する窓口はどうするのですか。
  149. 松永信雄

    ○松永政府委員 現在、ECに対しますわがほうの政府代表は、ベルギーに駐在しております大使、安倍大使でございますが、これが任命されております。
  150. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 こういうことを一々質問しなければ答えないなんというようなことのないように、大平さん、お願いしたいのですが、どうでしょうか。あなたはまるであらゆる資料をふところに握り締めて、われわれが質問しなければ絶対答えないという態度で一貫されているようなニュアンスを、私は感じてしょうがないのです。なぜもう少しすなおにすらすらと、ふだんから理解を求めて外交をやっていく、オープンにやっていく。こんなのは隠すべき内容でもないのではないでしょうか。その点はどうでしょうか。
  151. 大平正芳

    大平国務大臣 かねがね申し上げておりますように、政府として、国会の御審議に対しましては最大限努力いたしまして、御審議に支障のないようにいたすつもりでございまするし、重要な案件につきまして、理事会等で求めに応じて御説明申し上げ、あるいは進んで御説明申し上げることは、決してやぶさかにいたしておるつもりはないのであります。  ただ、外国との交渉でございまして、相手との間で確定しない前はいずれのところにもこれを開示しないという慣行に相なっておりますので、それを尊重しなければなりませんので、それは決して外務省がこれを秘匿しておるというような性質のものでないことだけは御理解をいただきたいと思います。
  152. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 委員長、お願いがあるのですが、これは、仮調印は二月十一日に行なわれているそうであります。少なくとも外務委員長に対して、あるいは当理事会に対して、それぐらいの話は報告されるように、今後外務省をよくおたしなめをいただきたいということをお願いするわけであります。  それでは次の問題。製油所の建設の経済協力に対し、イラン政府が断わってきたというのが報じられております。というのは、日本がイラクに接近をいたし、そして十億ドルというようなばかでかい援助を中曽根さんがやったことに対し、非常な強い反発をしておる。その反発の応酬として、イラン政府は、自分といま国境紛争まで行なっているイラク政府にそれほど接近するということはけしからぬではないかというニュアンスであるようであります。中曽根外交がどんなものであったかは、ここで明らかでありますが、こういういいかげんなお金ばらまき外交というものの結末というのがここでついたように私は思うわけであります。こういうことについてどうお考えでありますか。
  153. 大平正芳

    大平国務大臣 中曽根通産大臣がイラクを訪問された際、製油所の復興、建設等につきましてお話し合いがありまして、わが国からの協力の用意がある旨、コミットされたということは伺っておりますけれども、それを先方が拒否してこられたという事実は、いま私、初耳でございまして、まだ伺っておりませんが、よく取り調べてみたいと思います。
  154. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 外務大臣が御存じないなんという状況では、これはまた私は心配なんですが、早急な御調査の上、実情に対する対策を含めて当委員会に御報告をいただきたいと思っております。  それではまた別な話をします。  田中さんと大平さんが中国においでになりました際、中国政府に対して迎賓館の一番目のお客にしたいというお申し出をなすったそうでありますね。それは確かに私は伺いましたが、このところ、航空協定問題その他がもめているわけでありますね。そうしますと、周恩来中国首相に対して招聘をしたということが非常な大きなマイナスになってくるのではないかと私は思います。しかも、この間ポンピドーさんとお会いになった際、田中さんは、迎賓館の一番初めのお客さんとしてまた招待した、こういうふうに人の顔を見れば招待する。メンツの国がちゃんと横にいるのをほっておいて、そこらじゅうに一番目においでくださいと言って歩く。この無神経さというか、計算のなさというか、センスのなさというか、もう外交官というより人間としての初歩的なエラーが続いているように思うのですね。これは何とかなすったらどうだろうと私は思うのです。少なくともそこらじゃうに言ったのは、ある部分は取り消す、ある部分は残す、まことに申しわけないが、あの部分はうそでしたなら、うそでしたと言うというふうにちゃんとなすったらどうかと思う。いささか出ほうだいなやり方というものに、私は乱調ぎみな日本外交を感じておるわけです。外務大臣、どうお考えですか、これは。
  155. 大平正芳

    大平国務大臣 田中総理が訪中された際、周総理に対して訪日を招請されたことは事実でございます。その招請はスタンディングのまままだ生きておるわけでございまして、具体的な期日は未定でございます。  迎賓館の第一の賓客ということでございますが、これはたまたま迎賓館を改装中でございまして、できれば第一の賓客になっていただければしあわせだということを申されたことでございまして、そのこと自体は田中総理の人間性の発露としておくみ取りをいただきたいと思います。
  156. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 またすごいことを——田中総理の人間性の発露というのは、田中総理はそういうふうに、人をごらんになると次から次へと、あまり計算なくおっしゃる方だというふうな意味でおっしゃったのかなというふうに私は受け取れます。少なくとももう少し計算のある方ではなかろうか、少なくとも大平さんという大ものが補佐しておられるのですから、もう少しその辺を整理なすって、もう迎賓館のお客についてはこの間、先がきまっておりますよとうしろからつつくぐらいのことがあってしかるべきだと思うんですね。こういうことでは私は非常にまずい。したがって、周恩来氏との関係を、中国との関係でありますが、中国との関係をもう少し緊密にするためにも、姫鵬飛外相であるとか、郭沫若中日友好協会名誉会長であるとか、そうした方々を、航空協定締結以前ではありますけれども、この際、中国展覧会にお迎えするとか、あるいはそうした形で何らかの会合に招待をする、そうした意思表示をなさってもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  157. 大平正芳

    大平国務大臣 周総理ばかりでなく、姫外務大臣に対しましても総理訪中の際、その後小川大使赴任の際、私が訪中の際、再三にわたって招待を申し上げてございまして、それを快諾されまして、できるだけ早い機会に訪日したいという先方の意思表明がございます。
  158. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それはそういうお話があった旨は私も伺っておるわけです。ですけれども、ここのところで私が心配しておるのは、迎賓館の一番目のお客と言ったのですから、少なくともその一番目のお客になっていただくような配慮ある態度を日本政府は持ち続けているのだというのか、そういう態度が要るのじゃないかと思うのですね。そうでなくて、ただずっと交渉ができないからというのでそのままになっていて、迎賓館の何番目かのお客になったとしたらまずいのじゃないか、私はそういう意味なんです。  だから、周総理並びに姫鵬飛外相並びに郭沫若名誉会長というふうにお人は多少かわるかもしれない、またその航空協定やら国内事情やらいろいろな問題があって、周恩来氏は来れないかもしれない、それは向こうの都合だと思うのです。こちらのほうとしては、一ぺん言ったことについてはあくまでも誠実に守っていくという態度が中国側に浸透することが、今後の安定した日中関係をつくる上では大事ではないかと私は申し上げておるわけです。
  159. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、日本政府として御招待申し上げて、できるだけ早い機会に御来日を歓迎したいという意向は依然として強く持ち続けておるわけでございますが、あなたが御案内のように、先方の御都合でなかなかその機会が得られていないというのが実情でございます。
  160. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 今度東京の中国展の協力会の永野さんが八日訪中なさる際、周恩来氏の来日を要請されるというようなお話が報道されております。また大阪のほうの中国展においては、地元においてやはりそういう意思表示をしようという動きがあるようであります。私は大事なのは地元でそういう意思が起こる、それはもちろん大事なことでありますが、日本政府としてじいっとしているのではなくて、周恩来氏を迎える意思表示をこの際再確認されておく、そしてそれを訴えられるということが私は必要なんじゃないか、そういう民間人の手を通してでも私はいいと思うのです。そういうようにしておけば、少なくとも私は第一回のお客としてというあのことばが生きてくるだろうと思うのです。そういうところも今後配慮してやっていただきたいと思っておるわけです。
  161. 大平正芳

    大平国務大臣 永野氏の訪中にあたりまして、お打ち合わせがございまして、いままでの訪日御招待の従来の経緯、それがスタンディングになっておる事情、それは全部詳しく説明をいたしてあるわけでございまして、政府の御招待は御招待として強く熱望いたしておりますが、民間主催者側として中国首脳の訪日招請をされるというお立場は民間の判断で進められてけっこうであるということで打ち合わせをしておきました。
  162. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 政府としてもそういう問題に対しては積極的に援護をし、また後援をし、推進をする、こういう意味でございますか。
  163. 大平正芳

    大平国務大臣 当然のことと考えております。
  164. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、私は持ち時間がなくなりましたから、次回に海外広報活動予算並びに文化外交予算につきお話を申し上げたいと存じまして、きょうはこの辺で終わります。
  165. 木村俊夫

  166. 永末英一

    永末委員 この前の委員会で、大平外務大臣に日中航空協定、また日台路線のことを伺ったのでございますが、この前出されました外務、運輸両省案の第二項、「日本企業については日本航空が日台路線に就航しないようにする。」これは外交関係の問題なんですか、それとも国内航空政策の問題なんでしょうか。
  167. 大平正芳

    大平国務大臣 両方の問題です。
  168. 永末英一

    永末委員 両方の問題だ、こうおっしゃいますので、外務大臣側からいたしますと、半口乗っておられるわけでございますから、中国側が日本航空が日台路線に就航することは望まない、こういうことが含まれているわけですね。
  169. 大平正芳

    大平国務大臣 中国側との交渉はこれから始めるわけでございますが、これまで私どもが得た感触を基礎にいたしまして、日本外務省並びに運輸省といたしましてはそういう方針で臨みたいということで提示いたしました案があなたがいま問題にいたしておる条項と心得ます。
  170. 永末英一

    永末委員 日本政府側としましては、日台路線にどういう企業が就航するのかということは、私は、どうも完全な国内の問題であり、言うならば、航空の問題でございますから、航空政策の問題だと思いますが、どういう点が一体、いま大平さんの御説明聞いてもわからないのでございますが、外交に関する問題なのか。いまお話を伺いますと、これから日中航空協定の正式の交渉に入る。いままであなたが一月に行かれましたときにも、中国側の考えとして、日本航空がもし日中航空協定が成立して日本から中国へ行くということになると、その同じ会社のものが台北へ飛んでおっては困るというような意向が示されたのかどうか、この辺明らかにしていただきたい。
  171. 大平正芳

    大平国務大臣 航空協定の交渉はこれから始めるわけでございまして、その内容につきましてここで申し上げる自由はまだ持っていないわけでございまして、先ほど申しましたように、いままで得られた感触を基礎にいたしまして、日本政府としてはそういう考え方で臨むべきであるということで一案を考えて、党その他で御審議を願ったわけでございます。
  172. 永末英一

    永末委員 ちょっと方面を変えまして、運輸省の方来ておられると思いますが、運輸省はこの件について、航空政策の問題として一体どう考えておられるか伺いたい。
  173. 間孝

    ○間説明員 日台路線に就航する企業をどういうふうにいたすかという点でございますが、御承知のように、現在国際線につきましては日本航空一社が就航しておるわけでございまして、これは四十五年の閣議決定の線に従いましてこのような体制がとられておるわけでございます。今回日中の交渉が始まるにあたりまして、先般、外務、運輸両省の案といたしまして、台湾の路線には日本航空が就航しないというようにするというふうな方針を打ち出したわけでございますが、これはやはり先ほど外務大臣からのお話もございましたように、日中間の航空路線は一方においてぜひとも開設をしなければならない、そういう事情がございました。またそのためには、中国側の主張しております、日中の路線に就航するものは他の台湾のほうに就航してもらっては困るというふうな意向につきましても、やはり考慮を払わなければならない面が非常に強いわけでございますので、そういう点から、一方では日中路線を開設する、一方におきましては日台路線を維持する、こういう両方の問題を解決するために、先般の運輸、外務両省案にございますような日本航空を日台路線に就航させないようにするというふうな方針をとったわけでございます。
  174. 永末英一

    永末委員 いま運輸省の御答弁を聞いておりますと、中国側は、中国に日本の航空機が行く、その同じ企業が台湾との間に飛んでもらっては困るという意向がある、こういうことを言っている。国内政策なのか外交案件なのかどうもわからぬのであります。大平大臣は慎重にそういうことを言われなかったのですが、同じ政府の運輸省は、中国側の意向をくんでと言っている。そうですが、大平さん。
  175. 大平正芳

    大平国務大臣 事柄を整理いたします場合に、相手側の意向というものは感触として十分承知しておかなければいかぬわけでございますので、私は、そういう感触を基礎といたしまして、そういうことを念頭に置いて外務、運輸両省の間で一案を考えたと申し上げているので、別にそごはないと考えます。
  176. 永末英一

    永末委員 運輸省に伺いますが、日本航空が日台路線に就航しないと、どういう企業が就航する計画なんですか。
  177. 間孝

    ○間説明員 日台路線に今後就航すべき企業につきましては、現在運輸省におきましても実はいろいろな角度から検討いたしておる段階でございまして、この時点におきましてどの企業がという具体的な名前をあげて申し上げる状態にないわけでございます。  その考え方といたしましては、一つには安全上の配慮ということが何と申しましても一番大きな問題でございますし、また日台問には現在でも週三十七便という非常に大きな回数の運航がなされておるわけでございますので、それだけの需要に見合った供給力を確保できるようなものであるということがまた必要でございます。それからこの路線の運営を的確に遂行できる能力というふうな問題も当然考えなければならぬ問題でございますので、これらの点を含めまして、現在ある航空企業の中から選ぶか、あるいは新しい一つ企業考えるかというふうな点につきまして、慎重に検討をいたしておる段階でございます。
  178. 永末英一

    永末委員 現在日台路線に就航しておるのは日本航空である。日本航空は、この前の委員会でも大平さん御自身がお認めになったように、政府は大株主でございまして、四五%政府出資である。いまのお話を聞いておりますと、全然新しい企業にするかどうかを運輸省で検討しておるというのですが、国民の目から見ますと、ともかく年間百三十億円も売り上げがある路線、それはある意味においては国民に利益還元がされておると見てもいい、国民が出資しておるわけですから。やはり全然新しい企業考えるのですか。その場合に、全然新しい企業考えるとしますと、いままで日航に出資しておる国民の利益というものは一体どうされるつもりなのか、お答え願いたい。
  179. 間孝

    ○間説明員 この日航にかわるべき企業につきましては、ただいま申し上げましたように具体的にきまってはおらないわけでございますけれども、既存の現在ございます日航以外の企業のうちから考えるという方法も一つございますし、それから日本航空が実質的に支配するような企業にこれを行なわせるというふうな考え方もあるわけでございます。その辺につきましては、私どものほうでどれにするかという点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな要素を考えなければならぬ点がございますので、それらの点を考えながら就航すべき企業をきめてまいりたいというのが現在の考え方でございます。
  180. 永末英一

    永末委員 何だかちっともわかりませんがね。要するに、これは日本航空という名称が悪いのか、日本航空が実体的にやっているのが悪いのか、その辺どっちなんでしょうね、大平さん、あなたの御感触は。日本航空という名前がついたのがわが国から中国にも行き、台湾にも行っている状態が悪いのか、それとも日本航空の実体を持っているものが飛ばしている飛行機が悪いのか、どっちの御感触でしょう、大平さん。
  181. 大平正芳

    大平国務大臣 日中国交正常化後の情勢の中で、日中航空協定と日台間の民間協定が両立するような状態に持ってまいるということは、われわれに与えられた課題でございまして、それが両立するような条件をどのようにつくってまいるかということが、外交政策の課題であると同時に、航空政策上の問題にもなってまいるわけでございまして、そういった問題を政府といたしまして総合的に判断して処理していくべきものと心得ております。
  182. 永末英一

    永末委員 この名前かどうかという問題には直接お答えがなかったのでありますが、問題は名前だけだというのなら、日本航空がすでに十数年にわたって開発、維持、運航してきた路線でございますから、日本航空が一〇〇%出資の子会社か何か知りませんがつくって、それにやらせるということであるならば、国民の側からすると同じことになりますね。しかしもしそれが、日本航空の半額出資であるとか、あるいは日本航空は全然タッチしないということになりますと、その部分だけ国民側からは結果的に損失をこうむったことになる。運輸省はどういう考えですか。
  183. 間孝

    ○間説明員 ただいまの点につきましては、日本航空が全額を出資するような、いわゆる完全な形での子会社、そういう考え方も現在もちろんあるわけでございます。そういった問題も含めて現在私どもは検討しているわけでございます。
  184. 永末英一

    永末委員 日中航空協定が成立すれば、それからある期間でこれができましょうが、大平さん、いま台湾で交渉が行なわれたのか行なわれておるのか、やっておると思いますが、台湾側との交渉の結果がはっきりするまでにも正式の日中航空交渉は始められますか。
  185. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、日中航空協定と日台間の民間協定を両立させるために、私ども両面の交渉を並行してやっていかなければいかぬと考えております。
  186. 永末英一

    永末委員 両面の交渉を平行してということは、日台問の交渉がきまらなくても日中航空協定の本格的な交渉を始める、このように理解してよろしいか。
  187. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございまして、すでにその準備をいたしております。
  188. 永末英一

    永末委員 本会期中に提案の御予定でございますか。
  189. 大平正芳

    大平国務大臣 ぜひともそうしたいと考えております。      ————◇—————
  190. 木村俊夫

    木村委員長 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境保護に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件及び渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、以上両件を議題といたします。  両件に対する質疑は先ほど終了いたしております。  これより両件について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、順次採決いたします。  まず、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境保護に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  191. 木村俊夫

    木村委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  192. 木村俊夫

    木村委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  193. 木村俊夫

    木村委員長 この際、水野清君、堂森芳夫君、松本善明君、渡部一郎君及び永未英一君から、両件に要望決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。水野清君。
  194. 水野清

    ○水野委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案にかかる要望決議を付するの動議について、御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境保護に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件及び渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件に対する要望決議(案)   政府は、本条約締結に当たり、特に次の諸点につき、適切な措置を講ずることを強く要望する。  一 鳥類の国際的保護の重要性にかんがみ、政府としては今後とも積極的にこの分野における国際的協力を推進すべきである。  二 我が国の鳥類保護実情は、これまでのところ必ずしも十分でない面もあつたので、今後条約の趣旨にのつとり、過度の開発政策を改めて、鳥獣保護区の設定、特別保護地区の指定を進め、干潟及び林野等鳥類の重要な生息地の保全に努めるとともに、鳥類の違法捕獲の取締りの徹底を期する等現行法令の積極的かつ適切な運用をはかり、鳥類保護の実効を期するべきである。    なお、現行法令について今後十分所要の検討を加え、必要に応じこれを改正する等により、一層充実した保護がはかられるよう適切に対処すべきである。  この渡り鳥保護条約締結することは、わが国とソ連並びに豪州における鳥類保護に対する関心を深め、さらにその環境の保全に関する国際的協力の機運を高めるものと期待されます。  しかし、質疑を通じても明かなように、わが国鳥類保護に関しては、干がた及び林野等の鳥類の生息地の保全が十分でないので、国内関係法令等の積極的活用及び整備をはかるよう要望する次第であります。  何とぞ委員各位の御賛同をいただきたいと存じます。
  195. 木村俊夫

    木村委員長 本動議について別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  水野清君外四名の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 木村俊夫

    木村委員長 起立総員。よって、両件に要望決議を付することに決しました。  この際、ただいまの要望決議について政府の所信を求めます。大平外務大臣
  197. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま御決議をいただきました御要望の趣旨を体し、今後とも関係各省と緊密な連絡を保ちつつ、政府として最善の努力をする所存であります。     —————————————
  198. 木村俊夫

    木村委員長 ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  200. 木村俊夫

    木村委員長 次回は、来たる十三日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十五分散会      ————◇—————