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1974-03-28 第72回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 安井 吉典君   理事 伊藤宗一郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 田川 誠一君 理事 石野 久男君    理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君       稲村 利幸君    加藤 陽三君       梶山 静六君    羽田  孜君       河上 民雄君    近江巳記夫君       北側 義一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   松田豊三郎君         文部省大学学術         局学術課長   七田 基弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力開発に関  する問題等)      ————◇—————
  2. 安井吉典

    安井委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  3. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは環境庁からおいでいただいていると思いますが、来ていますね。  先に環境庁に簡単な問い合わせをしたいのですが、従来、農薬PCBというものに関する分析依頼を、分析研に対してずっとやってきたと思いますが、それの概要をちょっと説明していただき、あと、過去二年ぐらいの委託をしたものの資料をいただきたいと思います。概要説明を聞いた上で、それは要求しますから、先に……。
  4. 松田豊三郎

    松田説明員 お答えいたします。  環境庁関係調査に関します分析委託につきましては、御指摘のとおり、分析化学研究所に従来から委託をいたしておりまして、まず分析委託といたしましては、本庁から分析化学研究所委託したものもございますし、環境庁から予算を流しまして、各都道府県調査を通じまして、都道府県から分析化学研究所委託した、こういうものもございます。  そういうふうに分けて申し上げますと、まず本庁から委託したものにつきましては、御指摘のとおり、農薬につきましては、四十六年度に、これは延べ分析点数でございますが、約千四百点数でございます。四十七年度、同じく農薬につきまして約千分析点数委託をいたしております。それから四十八年度におきましては約五百点数、これは農薬ではございませんが、一般の、たとえば土壌汚染対策調査のための土壌分析でありますとか、その他水質等分析でございますが、約五百点数委託をいたしております。  本庁からの分は以上のとおりでございますが、このほかに、各都道府県を通じまして、都道府県から委託をしておるものがございます。それは四十七年度、四十八年度でございますが、四十七年度につきましては、たとえばPCB環境調査でありますとか、あるいは瀬戸内海の汚染総合調査関係で、若干、ほんの一部でございますが、そういうものの委託がなされておりまして、これは数府県にまたがるわけでございますが、四十七年度におきまして約六百点数ほどでございます。それから四十八年度におきましては、水銀PCB等環境汚染全国調査、こういうものに関連いたしまして、各都府県から委託しておるものがございますが、その他水質監視関係等もございまして——監視関係補助でございますが、未規制の水質汚濁項目のための調査、これに関連いたします分析といたしまして、合計いたしますと、四十八年度は約七千分析点数ほどになりますが、委託いたしております。  なおこのほかに、県が国の補助金によりまして調査をいたしますものにつきます分析を、分析化学研究所委託したものもございます。それから、県の単独事業で、環境関係分析分析化学研究所委託しているものもございます。これらにつきましては、それぞれいま調査整理中でございますが、概数は大体把握しておりますけれども環境庁といたしまして、本庁あるいは都道府県を通じまして委託をしたというものは、以ヒ申し上げたとおりでございます。
  5. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの膨大な件数を委託したわけですが、これは、この間分析研の問題が起きましたね。そのあと正誤といいますか、正しいかどうかというようなことの調査をやったのでしょうか。
  6. 松田豊三郎

    松田説明員 例の分析研の問題が出まして、公害関係調査分析委託いたしておりますので、いろいろ、この分析委託したものの結果につきまして、それが環境行政の根拠になっているというものももちろんあるわけでございます。  そういう意味で、問題を非常に重視いたしまして、直ちに環境庁の中に、専門家先生方依頼いたしまして、分析結果の検討委員会というものを設けました。それで、その先生方の御指示、御指導によりまして、環境庁の庁内に調査班をつくりまして、先ほど申し上げましたとおり、各都道府県から委託してございますので、それぞれの都道府県調査班を編成させました。先ほどの環境庁直轄の分あるいは都道府県から委託した分につきまして、それぞれ委託先責任者中心にいたしまして調査班を編成しまして、それで立ち入りいたしまして、チャートその他具体的な調査点検をいたしまして、妥当性あるいは作為性があるかないかというふうなことにつきまして、慎重に調査をいたしておる段階でございます。その中におきましても一番、特に緊急を要すると考えましたのは、例の水銀等環境汚染調査でございまして、これの委託もかなりいたしておりますので、これをまず、いわゆる問題の九水城、去年実施いたしました問題水域水銀調査というものを最優先でとにかく洗い直そうということで、これにつきましては、第一次的に調査報告をまとめまして、先般一応公表したわけでございます。  なお、この範囲におきましては、現在のところ、いろいろ諸先生指導のもとに調査をいたしましたけれども調査をした限りにおいては、作為性は見当たらなかった、こういう状況でございますが、まあしかしPCB等調査もございます、その他の調査もございますので、引き続きPCBにつきましていま調査中でございます。  また、全体の能力といいますか、作為性のあるなしに関連いたします処理能力の問題もございますので、そういうものも、現在のところ、PCBとともに点検調査中でございます。
  7. 原茂

    ○原(茂)委員 各地にそういう不安が起き、現実にまた方々で問題が起きていることは、御存じのとおりですね。この種の再調査を、先生方調査班をつくっておやりになる、その調査のしかたがどういう調査のしかたをしているのかが、たいへん疑問なんですがね。古いもの、四十六年、四十七年、四十八年の当時の水質なりその他の汚濁調査をやるのに、どういう調査をやるんでしょうね、実際に。
  8. 松田豊三郎

    松田説明員 確かに先生指摘のとおり、かなり古いものにつきましては、必ずしも資料の保存が十分でないものもございます。そういう点では、むずかしい問題もございますが、私どもとしましては、まず全体的に考えますと、四十八年度それから四十七年度、特に四十八年度は処理検体数も非常に多くなっておりますので、それと、先ほど申し上げましたとおり、水銀等調査、これが含まれているというふうな点もございまして、まず四十八年度のピーク時において、どのように一体処理できたかという問題があるわけでございます。幸い、四十八年度につきましては、まだ年度中である関係もございまして、資料整理はほとんど十分なされておるわけでございますので、四十八年度のいろいろな分析関係資料、この中にはもちろんチャートとか計算用紙でありますとか、あるいはいろいろ検体の受理から処理、採取の報告に至るまで、いろいろな帳簿書類その他ございますが、そういうものにつきまして、それぞれの分析項目に従いまして、特にたとえば前処理が非常に重要である、あるいは機械にかける時間が非常に問題であるというふうに、項目によっていろいろ特徴があるようでございますが、そういうものにつきまして、それぞれの着眼点から、いろいろ縦横点検をいたしまして、できる限りそれが正しく分析されているかどうかという点を、まず四十八年度を中心に検証してみよう、検討しよう、こういうことで調査をいたしておるわけでございます。それに従いまして、特に古くて資料整理も十分できない年次につきましては、ある程度推定というものが入ってくるのもやむを得なかろうというふうな状況でございます。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、非常に国民の食べものにまで影響しているわけですから、ある程度やむを得ないというわけにいかないので、私の出ている長野県にも件、いま問題になっているのがあります。  時間がありませんから、これ以上ここでお聞きするのはやめまして、資料として、次のものを出せるかどうか、お答え願いたいのです。一つは、四十八年がピークで、これを対象にプロジェクト組んでいまやっているというんですが、四十七年−四十六年はけっこうですから、四十七年、四十八年、この二カ年における現在問題がありそうなもの、現在再調査をしていて、あるいはこれは調査をしてみなければいけないなと思うものですね。大体、手のつかないものはいいのですが、これはどうも問題がありそうだ、あるいは問題があるかもしれないというので、ある程度目標をきめて再調査をやっていると思うんですが、それをやらないで、四十八年度ピーク時のやつを、全部この件数やっているのではないと思うので、そのおもなもの。対象としてはこういうものをいま再調査しつつある、あるいは四十七年度のものに関してはこういうものを再調査しょうと思うというのが一つ。それから、調査方法に関して、具体的にどういう方法でやるのか、それを二つ目に。それから三つ目に、いまお話のありましたように、現在とりあえず調査結果のわかったものに関して、数字をあげた、調査結果を知ることができるようなもの。それと、いまこの分はどうも推定でたぶんいいだろうと思うのだという、推定でもし判定を下したものがあるとするなら、現在調査を終わったという中の推定したものがあるなら、推定判定を下したもの、こういう四つに分けたものを、あまり膨大な、具体的なものは要りませんから……。ねらいはおわかりだろうと思うのですが、特に私の関係している二、三の問題点をもう少し突っ込んで聞くための資料としてほしいということですから、そのつもりで資料をお出しいただけるかどうかをお答えいただきたい。
  10. 松田豊三郎

    松田説明員 ただいまお話のありました、まず四十八年度及び四十七年度に重点として調査をしなければならないもの、そういうふうな観点で御判断をいただきまして、取り組みつつあるわけでございますが、そういう点から申し上げますと、先ほど申し上げました水銀等調査、これは何よりもまず重要であろうというふうなことで、中間的な報告をここに取りまとめたものがございますので、これは資料を提出したいと思います。それから四十七年度につきましては、四十八年度及び四十七年度についてPCB。これはPCB調査をいたしております。PCBがやはり重点事項であろう、こういうふうに指摘されておりますので……。PCBは、ただ、先ほど申しましたように、いま調査を継続中でございますので、時期はちょっとお時間をいただきたいと思いますが、まとまり次第お出ししたいと思います。  それから、第二番目の調査のしかた、これは点検指針点検要領というのがございますので、これはお出しいたしたいと思います。  それから調査結果のわかったもの、これは先ほどの水銀につきまして中間的に取りまとめたものがございますので、それをお出しいたしたいと思います。  それから最後の、推定判定したもの、実はこれは先ほど申し上げたとおり、能力全体につきまして、縦横いろんな角度から点検しようということで、能力的に、あるピーク時はある項目について、理論的にあるいは実際的に処理できたであろうかというふうなことを、必ずしもすべての資料がそろっているわけではございませんので、そういうふうな判断をする作業をいまいたしておりますので、これはいわば総合判定みたいな形になりますので、これもいま鋭意やっておりますけれども、若干時間をいただいて、その取りまとめ段階で適当な取りまとめができましたら、お出しいたしたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 どうもありがとうございました。順序が多少おくれたり早くなったりするのはかまいませんから、しろうとにわかりやすく見えるように、あまり専門用語でざっと書かないように、ひとつやっていただきたい。  では、環境庁にはそれをお願いして、終わります。  時間の都合で、順序が逆になりましたが、大臣に先にちょっとお伺いしたいのですが、きのう稲葉私案なるものが出ました。第一次私案です。この第一次私案というのは、やがて第二次私案が出るという前提だろうと思うのですが、大臣もおっしゃったように、いきなり記者会見等で発表する前に、本来あるべき国会審議の場であの案を発表されたということは、たいへんいいことだと思うのですが、そのことの隠れた意味は、やはり審議の場である国会の十分に審議をされたわれわれの意向というものも、取り入れ得るものは取り入れていく。いいことは、やはり国会審議の場を通じて事前に、私案というものが完全な案になる前に、補足的にもどんどん、補強する意味でわれわれの意見というものが入っていくのだ、こういう前提考えて、きのうのようなことをおやりになったのじゃないかと思うのですが、この二つについて。
  12. 森山欽司

    森山国務大臣 昨日、私から発言いたしましたことは、今後はこの私案一つのたたき台として、より現実的な案を作成していく方向にやっていきたい。それは稲葉先生のお考えでもあり、私もそうあってしかるべきであるということでございます。  第一次私案という形で、いろいろお考えのようでございましたから、私は第二次私案ぐらいになっているのかと思いましたが、第一次私案という形でございました。いずれにしましても、単なる評論ではございませんで、昭和五十年度予算あるいは将来の原子力開発方向づけの基礎となるべきものとして、あの案を私どもは尊重していかなければならないというふうに考えております。羅針盤も何もなくて船が走るのは好ましくございませんから、現在の段階において、長年こういう方面を御研究になられた知識の上に立って、当面の方策をお考えいただいた。それについてはいろいろな御意見があるわけでございますから、できれば国会の諸先生のお考えも承って、そしてさらに成案を固めてまいりたい。あれは最終案ではないことは御案内のとおりでございます。来年度予算の基礎ともしたいということを考えますと、次の段階として、六月、七月の時期までには、ある程度のさらに具体的な案を固めていくことができるならば、そういうことになるのではなかろうか。これは稲葉先生のお考えもございますし、昨日も申し上げましたように、私どもから稲葉先生にお願いはいたしましたが、一々稲葉先生に対して、これをこう、あれをこうという注文はつけておりませんでしたから、やはり稲葉先生国会でいろいろ諸先生からのお話を承り、また、これからも国会でこのことについて問題になりましたことは、御連絡を申し上げる予定でございますから、そういうものを参酌して、ただいま原委員からお話しのとおり、とるべき点はこれをとった次の案ができるものだと、私は期待をいたしておる次第でございます。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 これは大臣が、原子力委員会、あるいは特に今回の場合には稲葉先生に対して、私案なるものをつくってもらいたい、こういう依頼をしたのじゃないでしょうか。
  14. 森山欽司

    森山国務大臣 私のほうからお願いいたしました。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 であれば、やはりものを頼むのですから、ある程度の目標的な期限はお切りになっても、別に相手が学者だからといって、失礼じゃないと思いますので、あまり遠慮しないで、いま大臣が六月ないし七月に第二次、こういうお考えがあるなら、単刀直入に、いつまでには第二次私案というものをまとめたいと思う、その間に委員会等でわれわれの意見が出されたものを逐一報告するから、われわれがいいと考えたものは入れてもらいたいというようなことを、注文をつけてもいいのじゃないですか。
  16. 森山欽司

    森山国務大臣 稲葉原子力委員と相談いたしまして、先ほど私が原委員に申し上げたような線で、一回相談してみたいと思います。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 どうぞひとつ、森山大臣といえば、大臣の中ではきってのばりっとした、一番期待できる感じを持っているわけですから、あまりそこらは紳士的に必要以上に遠慮をしないように、期限を切り、いまお約束になったような、委員会における意向を十分に入れてもらうということをはっきり言ってもらった上で、いずれにしても早期に第二次私案が出るようにしていただかないと、第一次私案と書いてありますと、きのうも委員の皆さん一生懸命に質問なさっていましたけれども、私はあまり質問の対象にする気が起きないのですね。何だか二次、三次、四次とずっと延びて、大臣の在任中にとうとう四次でもって切れちゃって、終わっちゃったなんということも、ないとはいえない。したがって、最終目標だけは大臣がきちっと設定をされて、やはり少なくとも年内には完全なものをつくってやろうという意気込みで、ひとつ取り組んでいただく必要があると思うんですね。従来ややもすると、一次というと、私は、二次、三次、四次とずっとしり切れトンボに長くいくような気がしてしようがないものですから、時間がありませんからこれ以上言いませんが、お願いしておきます。  それから、きのうの稲葉先生の御発言の中に、やはりエネルギー総合政策というものを考えるためには、ある種のシンクタンクのようなものをつくって別途に検討する必要がある、というような発言がありましたね。大臣もお聞きになっていましたが、私も確かに必要だろうというように思うのですが、大臣にそういう構想なり、よし、そういうものが必要だからやろうというようなお気持ちはありますか。
  18. 森山欽司

    森山国務大臣 稲葉先生シンクタンクお話をなさったことは、私も記憶しておりますが、どういう構想を先生自身がお持ちであるかについては、突っ込んだ話はいたしておりません。しかし、私自身も、原子力の問題を考えるためには、やはり総合的なエネルギー考え方を持って、その中に位置づけて、原子力平和利用ということで、原子力発電——原子力発電だけではございません、平和利用というと、もっと範囲が広いわけでございますが、そういうものを考えていかなければならないのではないかと思っています。それで、そういうための研究機関というものも真剣に考えていかなければならない問題の一つであろうと思いますし、昨日も申し上げたわけでございますが、その案を実現するためのタイミング、機構など、その方法問題点として考えてまいりたい。現在、たとえば電力一つとりましても、電源開発法でございましたか、あそこに電調審というのがある。電調審委員には内閣総理大臣以下、こう並んでいるのかな。しかし、科学技術庁長官は入っていないんですな。大体あの法律ができるころは、原子力発電などというのは頭の中になかった、そういう時代法律ではないかと思うのです。これは経済企画庁でやっておる。それから、通産省のほうは、近来若干着物を近代的に塗りかえて、資源エネルギー庁というものをつくっておる。しかし原子力発電関係につきましては、この発電所の建設を総理大臣が認可するまでの段階科学技術庁原子力局、それから以後の段階に入ってくると、保安関係を除いては通産省だ。そして、実際やっている人は大体同じような人がやっているというようなことが、また議論の上で問題になっていますね。ですから、きのうの稲葉私案にも出てまいっておりますように、これからの経済成長、いままではこれこれの経済成長をやるためには、エネルギー問題はこうなるべきだという考えでありますが、もうエネルギー問題については、むかしのように、たとえば非常に安い値段で石油が幾らでも入ったという時代ではなくなってまいりましたから、経済成長自身エネルギーの制約を受けるという点、これは今後のエネルギー問題の大きな特色であるということを、稲葉私案指摘されておりました。そういう点から考えますと、経済企画庁の一部、それから通産省の一部、科学技術庁の一部で、それらを打って一丸としたような、エネルギー省ともいうべきものをもって当たっていかなければならないほどの大きな問題である。これは機構改革に属することでありますから、なかなか理屈どおりにはいきませんけれども、少なくとも将来の方向として、そういうことを真剣に考えていかなければならないのじゃないか。現にアメリカなどでも、エネルギー庁の設置というものが今日現実の議題として取り上げられていますからね。だから、私は、今日の段階からいきまするならば、そういう政府機構問題にも、真剣に、将来の問題として——それが近い将来か遠い将来かは別にいたしまして、将来真剣に考えるべき問題を含んでおると思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、昨日の稲葉私案はその第一次案で、これから出発して議論を進める。さしあたり、先ほど申し上げましたように、来年度予算は八月末までに役所の一つの案をまとめたければなりませんし、その現実的なものの考え方の基本に稲葉私案がなることはもう間違いない。さらに、それ以上に、エネルギー政策全般に対して、今後総合エネルギー調査会その他でいろいろな議論が出るわけでございましょうし、そういう際における、これが貴重な踏み台になるというふうに、私は確信をいたしております。真面目に取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いします。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 その決意けっこうですし、当面、いまの稲葉先生の案を聞いて、必要だと思いましたのは、やはり日本の縦割り行政の欠陥、これをとりあえず補うという意味でも、やはりああいうシンクタンクみたいな考え方はいいんじゃないかという気がしていますが、もっと進んで、予算と取り組むときに、もうちょっと突っ込んだものをお考えいただくと非常にありがたい。ぜひお願いしたい。  それから、これはひとつ要求をしておきたいのですが、民間企業に対して、科学技術庁から、原子力に関する試作研究委託をしているものがあるわけですね。これは時間がありませんから、内容をいまお伺いしません。で、それもお伺いしたあとで、実は資科がほしいのです。これは予算がきまったものを一つの例にするために、四十八年度一つと、それから四十九年度のこれからの計画、またこれは予算の中に入っています、ちょっとふえていますが。これは一体どんなものを、どこへ、どういう内容試作研究依頼するのか、ということを資料として出していただけるかどうか。
  20. 森山欽司

    森山国務大臣 きわめて重要な問題でございます。原子力につきまして、世の中の方々が非常に注目しているときでもございますので、私は四十八年度実績について、実際どういうような仕事をしただろうかということを再検討を命じました。そして四十九年度については、その再検討の上に立って、新たなる観点からこの問題に取り組むように指示をいたしました。通常でございますと、四十九年度はこういうような主題でひとつお願いしますと出すわけでございますが、まあそういう案が流れ作業で出てきたことは事実でございますが、ちょっと待て、いままでのをもう一回見直せ、ひとつことしは特に重要なときであるから、こういう問題に慎重に取り組まなければいかぬということで、まだ四十九年度については決定いたしておりません。そういうことでございますので、資料等につきましては、できる限り、また経過等につきましては、できるだけ詳細に、御説明をするようにいたしたいと思いますが、別の機会にさしていただきたいと思います。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、四十八年度の資料は出してもらえるが、四十九年度に関しては別の機会に、こういう理解でよろしゅうございますか。
  22. 森山欽司

    森山国務大臣 よろしゅうございます。
  23. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 先生御承知のように、原子力関係委託費と申しますのは、一つ原子力平和利用研究委託費、それから一つは放射能測定調査委託費でございます。いま大臣の御説明になりましたのは、前のほうの原子力平和利用研究委託費だと思います。四十八年度については終わっておりますし、その実績に関しましては、資料をそろえて報告いたしますが、四十九年度は、いま大臣が御説明したような状態になっております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 それを見た上で、ここか決算かで、そのことは特にお伺いをしたいと思っております。  それから、きょう通産省からお見えになっておると思うのですが、資源エネルギー庁ですか、長官かだれか来ていますか。——実はきょう一時間二十分程度時間をかけていろいろお伺いしたいと思いまして、日本における原子力、特に大臣も言われたように、確かに化石燃料としての、あるいは一次産業の現状を考えたときに、原子力というものは必要になるのだけれども、では現在の日本で一体原子力というものを、現在ほどに第一に取り上げてやっていかなければいけないものだろうかどうかということを勉強する意味で、石炭なりあるいは天然ガスなりその他を通じた日本における現状、世界のそういう資源のあり方というようなものを詳細に実はきょうお伺いして、その上で、稲葉私案というものに関しても少しく私の見解を申し述べたりお聞きしたい、こう考えていたのですが、実は時間が非常にきょうは制約されまして、通産省にお伺いするのを次回に譲りますので、まことにわざわざおいでいただいてたいへん恐縮ですが、きょうはお許しをいただいてお引き取りをいただきたい、こう思うわけです。申しわけありませんでした。  そこで、これは大臣にお伺いするわけですが、きょうかあるいは近日中に、海上保安庁から原潜寄港地のサンプルを放医研に持ち込むというようなことがニュースとして入ってきたのですが、そういう事実はございますか。
  25. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 保安庁ではなくて、東海水研というのがございますが、そこにいままで構いておきましたものを、放医研に移すということになっております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 いまこの委員会に入ってから聞いたことなんで、私もよく知らなかったので、保安庁じゃないかもしれません。ただ、前からいわれているのですが、放医研には人員的にもあるいは施設的にも、ちょっとこういうことをやる能力がないということを、専門家たちが指摘してきたわけですが、この点はどうなんでしょう。十分お調べになって、能力ありというふうにお考えになったのでしょうか。
  27. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 放医研につきましては、むしろ潜在的能力というのは十分ある。ただ本件自体を、いままで経験ないということで、放医研といたしましては、科学者、技術者として、引き受ける以上は前のようなことは繰り返したくないということで、所内でも十分慎重に検討いたしまして、体制を整えることに十分期間をかけたいと考えておりますので、その準備は着々進んでおりまして、いま申し上げたような段階にございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 放医研に対して、何か大坂審議官が特にこれを担当して、あちらに出向いてこの指揮をとっている、あるいは体制を整えているというような状態になっておりますか。
  29. 森山欽司

    森山国務大臣 なかなかむずかしい問題をかかえましたから、恒久策と同時に応急策を考えてみなくちゃならない。応急策といたしましては、理化学研究所、これは前々から、お願いしようじゃないかという相談の対象にはなっておったわけでございます。それから放医研、いま原子力局長が申し上げたとおりであります。それから原子力研究所、これにつきまして、どうしても急場のことでございますからお助けを願いたいということで、理研は別個の法人でございますから、お願いもし契約も結びましたし、それから放医研のほうは付置研究所でございますから、傘下の研究所でございますが、ただ大臣の命令ということではなくて、ぜひやってもらいたいというふうに話を進めてまいっておるわけでございます。それにつきまして、私自身は、大臣の責任をもって何とか処置しなければならない重大問題である、こう考えておるわけでございまして、私が日ごろ最も気にしておることでございます。  つきましては、もちろん仕事は原子力局の仕事でございますが、科学技術庁には審議官というポストがございまして、次官と局長の間ぐらいの格でございますが、私にかわって、この問題の促進のために、科学技術庁考え方がお願いする相手方によく伝わっていなければいけませんし、また現地においてもいろいろな問題があるわけでございますから、やはり金もかかり、手間もかかるわけでございますし、いろいろまた気苦労も多いわけでございますから、そういうことをまた科学技術庁のほうに十分伝達して、潤滑剤として事態の促進に当たってもらいたいということで、私から特に大坂審議官にお願いをいたしておるわけでございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 前から懸案になっている分析研あとをどうするのか、一体新たに何をつくるのかというようなことも、大臣、前々回ですか、考えている、至急にやるというお話があったわけですが、これはやはり世間に対しても、分析研というものを、あるいはそれにかわるもの、あるいはそれを再建するのかどうか、その基本方針をやがて近将来に発表される必要がありますね。分析研がああいう状態である限り、いきなりあそこに全部持っていくわけにいかないから、放医研なり理研へ持っていくということはやむを得ないかもしれません。しかし、そこの持っていったところにただ押しつけてしまったというだけで、実際には十全の能力がないことからする、また違った悪い結果が出ることをおそれますから、そういう点は十全に配慮してやっていただかないと、ただおっつけてやらした、やらせるようにしたのだというつもりに上のほうはなっていても、下部が十分にそれにこたえる能力、体制があるかどうかということの検討というものが同時になされないといけないと思いますし、基本的にはやはり分析研あとをどうするのか、この基本問題はやはり早期に構想をまとめていただいて、具体的な発表をしていただかないと、この種の問題は始終これから起きるだろうと思うのですね。  残念ながら時間がありませんから、それだけお願いをして、きょうは終わります。
  31. 森山欽司

    森山国務大臣 応急処置につきましては、こういうたとえは適当かどうかわかりませんが、親類、身内のこれはお家の大事になっているわけでございますから、ひとつ助けてもらいたいということでお願いをして、ようやく軌道に乗りつつあるという段階でございます。恒久措置につきましては、ただいま先生がおっしゃったとおりでございまして、目下鋭意努力中でございますので、近い時期に、全体の問題としてどうなっているかという御報告をいたすようにいたしたいと思います。
  32. 石野久男

    ○石野委員 ちょっと関連で、大臣、ぜひひとつこの点は押しつけはしないようにだけ、大臣からはっきりしておいてもらいたい。というのは、体制がないのに押しつけると、また事故が必ず起きますから、問題がすでにあることですから、その点に対する所見だけ、はっきりしておいてもらいたい。
  33. 森山欽司

    森山国務大臣 たとえ話で恐縮でございますが、理化学研究所それから放射線医学総合研究所、片や特殊法人であり、片や傘下の付置研でございますが、科学技術庁の本家のほうが大事でございますから、ひとつ本家のほうで助けてもらいたいというふうにお願いをしてあるわけでございます。ただひたすらにお願いをするということでございます。御了解を願いたいと思います。
  34. 安井吉典

  35. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 大臣にお伺いしたいことは、昨日稲葉秀三先生の「エネルギー需給とその政策のあり方」というようなことで、政府の発表した計画とは相当食い違っている。まず当面われわれが考えている電力の不足というものはいつごろ出るとお考えですか。
  36. 森山欽司

    森山国務大臣 稲葉私案の表によりますと、三九ページでございますが、これは電調審目標に比べて、ケース皿の一番現実的な案でございますが、電調審目標によりますれば、八月最大の電力需要期における供給予備率は昭和四十八年六・四、四十九年六・八、五十年四・八、五十一年七・一、五十二年八・一、五十三年九・一、五十四年九・八、五十五年九・〇、こういうことでございますが、現在かりに努力目標として立てられておる線が実現いたしましても、すなわちケース皿の場合につきましては、昭和四十八年六・七、昭和四十九年七・六、昭和五十年四・一、昭和五十一年二・八、昭和五十二年三・一、五十三年からマイナス〇・六、五十四年がマイナス一・八、五十五年がマイナス三・三ということに相なっておるわけでございます。これらはケースIの場合でも、ケースIIの場合でも、あまり差がない線でございますから、電力が最も要る八月の時期における電力供給のゆとりは、きのうの稲葉委員お話ですと、八ないし一〇%である。しかし実際には、昭和四十九年七・六で、これはぎりぎりというところでございますが、五十年以降四・一、二・八、三・一、マイナス〇・六、マイナス一・八、マイナス三・三でございますから、私は、昭和五十一年以降におきますところのわが国の電力事情というのは重大な段階になるのではないか。ゆとりが八ないし一〇というのに対して、昭和五十年は四・一でございますから、非常に供給余力が減る。そして昭和五十三年からはむしろ供給のほうが下回るということになってまいりますから、出てくる現象は、節電だけでおさまらない。停電、はからざる停電というような形が、ちょうど終戦直後に電力設備が足りなかったと同じような事態が、この第三案努力目標が実現しても、出てくるのではないかという点がはなはだ心配であります。それがどういう形になって出てくるのか。とにかく局地的にそういう問題が出てくる、あるいは全国的にそういう傾向が出てくる。そのことがわが国における国民生活に対し、またわが国産業に対し、終戦直後のようなああいう時期だったら、まだ一般国民は、やむを得ないという気持ちも持てるかもしれませんが、五十一年といえば、もう再来年でございますから、こういう事態が出てきたときに、はたしていかなることに相なるかということを、私は憂慮いたしておるわけでございまして、その意味で、原子力発電等できる限りの手を尽くさなければいかぬということで、まことに僭越でございますが、警鐘を乱打しておるというような気持ちで取り組んでおる次第でございます。
  37. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 稲葉私案の数字だというと、供給予備率が五十二年に三・一、この「日本のエネルギー問題点」という通産省で出しました本によりますと、五十二年の八月には供給率がマイナス三・二で、五十一年には供給予備率がゼロという状況になるはずでございます。これは電源開発調整審議会において決定を見たものからの推定で、現在私たちが持っている数字の中では的確な数字であろう。どんな電源を設置するにしても、少なくとも三年ないし五年かかる。そうすると、原子力発電を含めて、電力はどうも五十一年、五十二年から供給が不足してきて、工場がとまるきらいがある。また稲葉私案を見ますと、五十三年からはほとんどマイナスでございます。これが一つの大きな産業構造の変化、あるいはもう一つ価格形成の上昇というような問題から、大きな産業変化を及ぼすのでございますけれども、ひとつ原子力発電のこの二、三年の着工度の数字を言っていただきたいのでございます。
  38. 森山欽司

    森山国務大臣 昭和四十六年度までは比較的順調でございましたが、四十七年度に一カ所、四十八年度はゼロでございます。したがって、原子力発電の足がとまったというのが、昭和四十八年度の実績ではなかろうかと思っております。
  39. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 四十七年度に一カ所、四十八年度に一カ所もない原因というのは何でございますか。
  40. 森山欽司

    森山国務大臣 いろいろ理由があろうかと思いますが、やはり大きい問題の一つは、安全性に対して地元が疑念を持つといいますか、それが一つの原因。それからまた、できた電力は、地元の利益というよりは、むしろ町場のほうに送られていく、地元には何の利益もないというようなことが大きな理由であろうかと思いますが、地元の理解が得られないということの背景には、やはり全国的な組織的な根強い反対運動が功を奏したということも、私は否定できないというふうに思っておるわけでございます。いずれにしましても、そういう意味で、安全性の問題の確保、それからまた地元対策の確立、さらにまた、そういうことについての啓蒙宣伝というものについて、決意を新たにして当たらなければならない、そういうふうに考えておる次第であります。
  41. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 昨日の稲葉先生お話でも、これから二、三十年は原子力発電の推進をしていかなければならない、またそれにたよらざるを得ない。ただ安全性が云々ということだけでは、この数字が示すように、四十七年に一カ所、四十八年に一カ所もないということだろうと思う。ただ決意だけ述べてもだめであります。これをどういうふうに打開していくのか。たとえば政府は、この安全性に対して全責任を負うのはもちろんでございますけれども、地元で反対運動が起こる、あるいは全国的な反対運動が起こるという根源は何でございますか。
  42. 森山欽司

    森山国務大臣 これははなはだむずかしい問題でございますが、一つ原子力というものが、やはり念には念を入れていかなければならないというたてまえで、原子力平和利用というのが発足しているわけであります。軍事利用から発足して平和利用に入って、そう長い歴史を持たない技術であり、産業でありますし、またそういう新しい産業といたしまして、技術的にアセスメントを行なっていく、安全性の問題には念には念を入れてやっていくというたてまえでございますが、それが逆手にとられて、だからあぶないんだという議論にも使われている場合が往々にしてある。また政府の施策の面につきましても、そういう面で足らざる面もあった。両々相まって、安全性の問題についてはさらに充実をしなければならない情勢にあったのではないかと考えております。  そこで、その問題につきましては、小宮山委員御案内のとおり、昭和四十九年度の予算案におきましては、安全性の予算について、追加要求を予算編成直前に行ないました。異例のことでございました。おかげをもって、四十八年度債務負担行為、合わせて七十億円程度のものを百五十億円、総需要抑制でむずかしい中で、これを実現することができたわけでありますが、これはことしだけではございません。およそ三カ年間ぐらいこういう計画で進めていかなければならないと考えておるわけでございますし、稲葉私案が出たのを機会に、あらためてまたこの安全性の問題を検討いたしまして、安全性の充足のために、必要があればさらにそれ以上の力こぶを入れる体制でやっていきたいと、いま考えておる次第でございます。  それから、それについての反対運動、地元対策の問題につきましては、御案内のとおり、電源開発税の法案が提出され、特別会計の法案も現在審議中でございますし、また電源地帯の周辺整備の問題についても、昨年来継続審議になっているものに対して政府が新たなる修正を行なって、目下国会審議中というようなことで、体制を整備しております。またそういうことについて、原子力発電の重要性ばかりではなくて、安全性の問題については決して心配ないんだということについて、地元によくわかっていただくような努力をいろいろいままでも尽くしてまいりましたが、今後ともそう尽くしてまいりたいと思っております。  そうしたいろいろなできごとがございまして、国会等におきましては特にいろいろ議論がございます。これはやはりそういう方向に出直すためには、通らなければならない一つの試練の場だというふうに私は思っておりますが、国会における御批判はありがたく受けて、これに対して今後遺憾なきを期したい、そういう思いで当面対処しておる次第でございます。
  43. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 ただ単に安全だというだけでは、住民は納得しない。また大臣が御努力されて、四十九年度予算にたいへんな予算を持ってこられたが、これだけでも私は住民は納得しないだろうと思う。依然として、原子力発電という問題は、四十七年、四十八年と同じような低迷を続けていくであろう。私はそういう点をたいへん憂えるのであります。いままでと同じような発想方法原子力発電行政をやっていけば、これはいままでと同じであろう。原子力発電所をつくれつくれといっても、安全性に対しての政府の確固たる決意が国民一般に知られ、あるいは廃棄物をどうする、いろいろな問題を解決しなければ、この設置は推進できないであろうと思っております。  そこでまず大臣にお聞きいたしたいのは、いままでと同じような安全対策、あるいは科学技術庁が国民に対して納得できる案を計画されているのかされていないのか。何かそういう御計画があればお聞かせいただきたい。
  44. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 いまの小宮山先生の御質問でございますが、確かに御指摘のとおり、非常に長期的かつ基本的な安全問題の再検討というものがなければ、原子力発電の推進はなかなか容易でない。おことばのとおりでございます。したがいまして、そういう基本的な問題長期的な問題になりますと、御承知のように、原子力委員会におきましても、非常にこれは重要な問題であるということで、検討をいただいておるわけでございます。  まず、昨年度におきましては、環境安全専門部会というものを設けまして、環境問題、安全問題についてのいろいろな検討をお進めいただきまして、中間報告もいただいたわけでございます。さらにことしになりまして、安全問題の基本について、原子力委員会としてもさらに十分検討すべきである、こういう御結論になりまして、これは原子力委員会自体が責任を持って検討すべきであるけれども、少数の学識経験者にも御参加をいただくということで、安全会議というものが設立されることになりまして、原子力委員のほかに七名の御専門の方々に御参加いただきまして、従来よりもさらに幅広いあるいは基本的な安全問題についての御検討をいただく、こういうことになっております。さらに安全研究をいかに推進すべきかということにつきましても、これはまだ成案は得ておりませんけれども、いろいろ原子力委員会の場で御検討いただく。先ほど大臣から御答弁ございました予算の飛躍的増加、あるいはいま別途設置法改正でお願いいたしております体制の整備等の問題もございますが、基本的な問題として、原子力委員会で十分御検討いただくということで進めさせていただいております。
  45. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 そのようなことは知っているんですよ。そういうのを長々やらなくてもけっこうです。私の聞きたいことは、公害十四法ができたときに、たいへん産業界はショックを受けました。しかし公害十四法をつくって、その後も産業界は公害防止にたいへん努力したが、まだそれでも不十分です。私は科学技術庁自身が、原子力発電を推進するならば、もっと大きな決意を持ってもらいたい。安全に対しては全部政府が責任を負いますと、大臣みずから立地予定地に行って、そのくらいの発言をしていただきたい。私が先ほど一番最初にお聞きしたのは、五十一年、五十二年に電力不足ができる。原子力発電はその場になって間に合わないのでございます。電力はすべてそうでございます。いまから手を打ってもおそいのでございます。そういうことを踏まえて、五十一年、五十二年に国民に迷惑をかけるようなことであってはいけない。いま分析研だけうまくのがれればいいという考え方は絶対いけません。そういう場当たりな行政をするから、いろいろな問題ができるのでございます。もう一度、大臣に安全問題についての御決意をお聞きいたしたいと思います。
  46. 森山欽司

    森山国務大臣 たいへん御激励をいただいておりがたく存じております。いままでの施策の中で、いろいろ問題になっております再処理問題とか、ウラン濃縮問題、廃棄物処理など、そういう問題も今後一そう力こぶを入れてやっていくことももちろん必要でございますが、安全問題について、それぞれの当該地区に政府の確固たる決意を訴えるということについては、全く異存ございません。私も時間の許す限りそういう努力をいたすつもりでございます。これはなかなかむずかしいのでございますが、今日、全国各地で地元の御了解を得られないという形で、いろいろ問題が起きている事項、これは単なる地元の反対運動だけではございません。それらの事態については、現在いろいろよく調べを始めておりまして、これらの事柄を一つ一つ取り上げて、その取り上げました事柄について、一つ一つ対策を講じてまいりたいと思っております。そういうことの一環といたしまして、閣僚として現地におもむいて、政府の音のあるところ、決意を訴えるということは、努力をいたす所存でございます。
  47. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 通産省じゃないので、なんですが、先ほどの「エネルギー問題点」の中の「結語」の中で、「全国民的かつ高度な立場からエネルギー問題について討議し政策の実効を期すための会議体の設立についても検討する必要がある。」と書いてあります。エネルギー問題全体についての会議体をつくりたい、それについて何かお話を聞いておりますか。
  48. 森山欽司

    森山国務大臣 具体的には、私も聞いておりませんし、事務局のほうも聞いておらないようでございます。
  49. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 この「エネルギー問題点」というのは、問題だけ出して、疑問を投げかけただけで、ほとんど何も答えておらないのでございます。「原子力」のところでも、「大量の放射性廃棄物が発生するようになるので、政府としても、従来から、この安全な処理、処分を行うための調査研究に取り組んできている。」とかいうだけで、何ら結論が出ておりません。産業廃棄物なども、従来と同じような考え方でやっていかれるのですか。
  50. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 放射性廃棄物の処理の問題につきましては、御承知のように、本年度の予算要求のときに、放射性廃棄物処理処分センターというものでもつくって本格的に取り組むべき案を出したわけでございますけれども予算折衝の段階におきまして、諸般の事情から、これは一応まず調査を十分するのでどうであろうかということで、調査費というかっこうでついておりますが、当方はこれを十分活用し、先生指摘のように、本件は非常に重要な問題でございますから、今後真剣に取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
  51. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 この本の中にも、燃料サイクルの問題について書いてありますけれども、これも結論は何も書いていません。これについてはどうお考えですか。
  52. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 燃料サイクルというのは、原子力発電その他を進めていく場合に最も大切なことではないかと思います。御承知のように、現在の計画によりますれば、たとえば六千万キロワットの……(小宮山委員「そういうものはわかっておるから、新しいものがあれば出してください」と呼ぶ)はい。したがいまして、濃縮ウラン、天然ウラン、それに再処理問題等につきましては、今後はばらばらでなく、体系的に考えていきたいということが、たまたま昨日御説明の稲葉私案の契機と相なることと存じますので、その辺は体系的に総合的に考えていきたいということでございます。
  53. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 時間がないので、質問もたいへんばらばらになりますのであれですけれども、きのうもまた新聞では電力体系が五、六割上がるというような記事が載っております。上がることは間違いないであろうと思いますので、原子力発電基地周辺に対しては、電力料金を据え置くような努力をされますか。科学技術庁長官、どうですか。
  54. 森山欽司

    森山国務大臣 当面の問題で、なかなかむずかしい問題でして、総理は、そういうようなお考えまで踏み切っておられるような趣もときどきございますが、通産省のほうでは、まだそこまで踏み切っておらぬということでございまして、できる限り、電源周辺地区について何らかの方法がないかという意味で、私も検討してみたいと思っておりますが、いま科学技術庁といたしまして、電力料金の問題について、考えをまとめてこれに対処しているという段階にはございません。
  55. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 どうも森山長官らしくない発言で、たいへんがっかりしておりますが、もっと蛮勇をふるってもらいたい。そういう努力をする、ぐらいの発言があってしかるべきだろうと思うのです。もう一度発言をお願いいたします。
  56. 森山欽司

    森山国務大臣 小宮山先生、かねてからの御持論、いろいろ当面の問題があるが、そういう問題に眩惑されないで、科学技術庁長官としての大筋を踏み違えるな、こういうお考えでいろいろ御質疑があるものだと拝察をいたしております。昨日この委員会で発表いたしました稲葉私案なるものも、そういう基本線に沿ってのことでございますし、それから稲葉委員ともお話をいたしておりますことは、これだけの線でやるという以上は、たとえば安全性の問題なんかについても、四十九年度は確かに画期的な前進をしたが、はたしてそれだけでいいのかどうかということも再検討して、ひとつやろうではないかというふうなお話し合いをしながら、私はこの説明を承っておるわけでございますし、そういうことの一環といたしまして、電気料金改定のおりからでございますから、直ちにもってそういうような形にできるかどうかの問題はございますけれども先生から強い発言がございますから、念頭に置きまして、この問題に対処してまいりたい。ここで、やると言いますと、必ず私はやってしまうものですから、そこまで詰めないでいただいて、そういうこともつの方向であるということを念頭に置いて、この問題に対処してまいりたい、そういうふうにお願いいたしたいと思います。
  57. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 幾ぶん満たしたような御答弁でございますけれども、最初の話に戻りますが、五十一年予備率ゼロ、五十二年八月には予備率マイナス三・二、昨年の関電の予備率がたぶん三だと思いました。それでさえも工場をとめております。いわんやマイナス三・二ということになれば、一般のビルとかあるいは家庭の電力もとめざるを得ない状況にくるのであろうと考えますし、そういうようなことを踏まえまして、ぜひ科学技術行政がもう一歩前進するためには、安全問題あるいは燃料サイクルあるいは廃棄物等々の問題について一段の努力をしていただく。ただ、きょうそのまま過ぎればいいということではなくて、やはり大きな日本経済あるいは国民生活をになっている科学技術庁でございます。その点を考えて、ぜひやっていただきたい。これは要望だけでございますけれども、まだ質問したいことがございましたけれども、持ち時間が終わりましたので、この辺で終わります。
  58. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいま御激励をいただいたわけでございますが、分析研以来いろいろ問題がございます。それらの問題につきましては、私どもも誠心誠意これが打開に努力をいたしてまいりたいと思っております。しかし、だからといって、われわれが現在国民的課題として課せられておるエネルギー問題の解決への大きな使命感を、そのために決して忘れるものではございません。そのことは夢寐にも忘れることなくこれらの問題に取り組み、しかしながら、それを実現するためには、今日起きておるいろいろな問題というものは、越えねばならない一つの関門であるというふうに私どもは理解いたしております。したがって、科学技術特別委員会ばかりでなく、衆参両院の予算委員会でいろいろ問題が指摘されておるわけでございますが、それは与野党あるいはいろいろな立場で、私どもと立場が違う場合がございまするけれども、頂門の一針として、ありがたく承って、次の新しい分野を切り開くための一つのきっかけといたしたい、そういう気持ちで対処してまいるつもりでございます。決して本筋は忘れておりませんから、どうかひとつ、その点を御了解願いたいと思います。
  59. 安井吉典

    安井委員長 瀬崎博義君。
  60. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 わが党の不破議員が、日本分析研と、それの指導、監督をやっております科学技術庁のでたらめぶりを明らかにして、新しい分析機関設置の必要性を提起して以来二カ月を経過いたしました。大臣をはじめ政府でも、新しい分析機関設置の必要性を認められまして、この間、科学者にも意見を聞かれただろうし、また構想なども検討してこられただろうし、一定の準備も進めていらっしゃると思うのです。そこで、日本分析化研にかわる新しい分析機関について、当面の肩がわり機関の問題ではなしに、新しい分析機関について、大臣から、その進展状況あるいは検討されております構想等について御説明をいただきたいと思います。
  61. 森山欽司

    森山国務大臣 応急措置につきましては、先ほど来いろいろ論議されましたから、省略をさせていただきます。  本筋の問題といたしまして、新しい分析センターを設立せねばならないわけでございます。それをやりますには、何と申しましても、一つは人が必要でございます。一つは場所が必要でございます。また、その場所をやってまいりますためのいろいろ、資金その他の準備が必要でございます。そういうことを考えながら、鋭意当面の応急措置と並行して、恒久措置について目下検討中でございます。
  62. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応、政府として、新しい分析機関設立の基本方向は、二月二十六日に不破議員の四項目提案に対する回答書の形で出しておられるわけなんです。あらためてこれはお尋ねするまでもないことなんですが、あとあとのため、いま一度、この政府回答の内容及び基本方向とされておった点について、確認をさせていただきたいと思うのです。
  63. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 回答の四番目に、「科学技術行政の刷新と国立の総合的分析機関の設置」という……(瀬崎委員「そんなものは当然頭に入っていなければいかぬはずですよ、短い文章なんだから。」と呼ぶ)この一番しまいに、「とくに、公害問題や原子力発電所問題でも、科学的な調査分析がますます重要になっている今日、日本の科学技術者の英知を結集し、十分なチェック体制の保証された国立の総合的な分析機関を設置し、分析諸結果について良心的な科学技術者による検討を可能にするような体制をとる必要がある。」という御質問に対しまして、こちらは、四番目に、「日本分析化学研究所問題は、まことに遺憾なことであり、この際放射能監視体制については、一に述べたとおり、新たな分析測定の専門機関の新設をはじめとする刷新強化策を早急に講ずるとともに、他の科学技術行政の分野についても、今回のような問題が万が一にも発生することのないよう、従来にも増して、一層真剣に行政の適正な遂行を期して参りたい。なお、新たな分析測定の専門機関については、国立の総合的機関設立の問題をも含めて、権威ある機関をつくることを検討いたしたい。」以上です。
  64. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういたしますと、先ほど鋭意御検討中とおっしゃいました大臣の基本方向は、国立の総合的機関設立の問題をも含めて権威ある機関をつくるという、この基本方向にのっとっていらっしゃる、そういうふうに私ども理解をしておいてよろしゅうございますね。
  65. 森山欽司

    森山国務大臣 そのとおりであります。
  66. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そのときに、日本分析化研の一体どこが悪かったのか、一体どういう点を正すべきであるとお考えになっていらっしゃるのですか、基本的な問題だけ、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  67. 森山欽司

    森山国務大臣 あのような不祥事態が二度と起きないようなりっぱな分析機関をつくるという考え方であります。
  68. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そのためには、一体あの分析化研のどこに欠陥があったのか、だから、どこを改める必要があるとお考えになっているのか、これを具体的に聞かしていただきたい、こういうことなんです。
  69. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 分析研は、御承知のように、財団法人として分析業務をいたしておりましたのに対しまして、国が委託をいたしておったわけでございます。したがって、財団の性格が公共性を持っているものでなければならないわけでございますが、それがまず公共性を持つ財団にふさわしくないような形になってまいりましたのが一つと、それから、やはり今後は、分析に携わる者の社会的地位と申しますか、待遇の問題等も十分考えていかなくてはならないだろうと思いますし、それから、仕事の上で固定的あるいは弾力性のないような関係者の地位並びに仕事が、そういうことにならないようなふうにということで、それらのことが、こまかいことは別としまして、基本的には問題点であったのではなかろうかと考えます。
  70. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、新しい構想というのは、いま三点ほどあげられましたものを克服していくという方向検討されているものだと理解して、質問を進めたいと思うのです。  そういうことですから、報道によると、三月二十五日の第十回日米安保運用協議会で、米側より、原潜が早く入港できるように対策を急いでほしいと申し入れがあったとのことなんですが、アメリカからせき立てられたので、権威ある分析機関設立の基本路線から少々ばずれても、あるいはいまおっしゃったようなことが十分満足されなくても、かっこうだけつけよう、こういう不見識なことはよもやないと、私は信ずるわけなんですが、いままでがいままでなものですから、念のために、こういうアメリカの申し入れに対する大臣の所信を最初に伺っておきたいのです。
  71. 森山欽司

    森山国務大臣 新聞に、たしかそういう種類の記事が出ましたので、外務省に、そういうことがあったのかと聞きましたら、そういう事実はなかったということでございます。よもや、そういうことはございません。
  72. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、あくまで日本の国民に責任の持てる、信頼の置かれるような権威ある分析機関をつくるのだ、これが大臣の決意ですね。
  73. 森山欽司

    森山国務大臣 政府の責任をもって実現いたします。
  74. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、まず第一に、日本分析センター準備室なるものについてお伺いをしたいのであります。  港区芝琴平町の新虎ノ門ビルの三階に、日本分析センター準備室というものが発足いたしましたね。ここは一体どういう仕事をしているところですか。
  75. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 新しい分析センターをつくるということで、今後どういう準備を進めたらよろしいかということにつきまして、新センターにつきまして、学識経験を有する者及び深い関係を有する者、機関の関係者等が集まりまして、設立準備をいたしておるわけでございますが、それの設立準備の事務をいたすところとして、その事務室を使っております。
  76. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この準備室の職員は何人おって、それぞれはどういう資格あるいは身分で、この準備室で仕事をしていらっしゃるのですか。
  77. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 準備室の責任者は、設立準備の委員の一人である和田久という人——これは現在、海洋科学技術センターの嘱託でもございますが、この人と、それから女子の事務員一人がおります。そのほか、必要に応じまして、原研等から応援の職員が、不定期的に事務に協力いたしておると聞いております。
  78. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その原研から不定期にとおっしゃった方は、お名前は……。
  79. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 松井隆でございます。
  80. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 聞くところによりますと、この準備室が対外的に折衝される場合には、発起人会会長浜口博という名前を使っていらっしゃるようですが、はたしてこの発起人会なるものはできているのですか。できたとすれば、いつ、どこで、どのような発起人会が開かれたのか、お話しをいただきたいのであります。
  81. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 正確には、発起人会というようなものではないと解釈いたします。設立準備委員というものの集まりが、合議的に行なわれているものと解釈しております。
  82. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あとでまた、具体的に、この発起人会の会長名で申し入れのあった事実は申し上げますが、しかし、いまのお話ですと、現在浜口さんを発起人会の会長というのは、これは妥当ではないわけですか。
  83. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 設立準備委員の中の代表というような形で、そういう名前を使われたものと思います。
  84. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 設立準備委員というメンバーは、大体何人いらっしゃって、その会合は、いつ、どこで、どのように持たれたのですか。いまは人数、会合を開いた日時、場所をおっしゃってください。
  85. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 人数は八人でございます。
  86. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 持たれた会合は……。
  87. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 二月二十七日が最初の会合でございます。
  88. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 場所は……。
  89. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 科学技術庁会議室でございます。
  90. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科技庁ですね。それでは、あとでその名簿は提出してください。  この準備室には、先ほどもおっしゃいましたように、海洋科学技術センターからの出向のような方が一人と、日本原子力研究所から応援の方が一人といらっしゃるわけなんですが、ほかに準備室専門の事務員が一人いるというお話でしたね。この方々の給料とかあるいは事務所の賃借料等、あるいは光熱費等事務諸費などは、どこからのお金で支出していらっしゃるのですか。
  91. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 準備室の費用から出しております。
  92. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その準備室の費用は、一体どこから財源を持ってきたのか、こうお尋ねしておるのです。
  93. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 和田氏個人の名義で、銀行より借用したものでございます。
  94. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 和田氏ですか。
  95. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 はい。
  96. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 和田さん個人で、たとえばこれといった裏づけもなしに、銀行からそんなに簡単に借金ができるものですか。
  97. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 法人のようなもの、あるいは会社のようなものを設立する場合には、そういう事例があると解しております。
  98. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、最初の森山長官の話と非常に狂ってまいりまして、初めから会社のようなもの、法人のようなもの、そういうものでの準備ということなんですか、これは。
  99. 森山欽司

    森山国務大臣 何か、瀬崎さんは、はしの上げおろしまで一々お気づかいになって御論議をされますが、御案内のような経過でございますから、政府としては、新しい分析体制の確立のために産婆役をしなければならない立場にあることは当然であります。  そして、その産婆役の立場で、つくる形態はいかなる形態がいいかということはございますが、いろいろな形態が考えられます。たとえば国立の分析試験所というものも考えられます。しかしこれをやるためには、法律も改正しなければなりませんし、収入があれば全部国庫に入ってしまう。特別会計までつくるまでではないということになってまいりますと、はたしてそれがいいかどうか。特に近来の国立の機関のいろいろな動き等から見て、はたして適当かどうかという問題も、これは判断としてあるわけでございます。それから、さもなければ、近来認可法人といわれます、法律に基づいて特殊法人をつくるというやり方もございます。それからまた、財団法人であるがいわゆる認可法人という形のつくり方も、これはやはり法律が必要でございますが、あるわけでございます。それからまた、財団法人ないし社団法人というやり方で、公益法人として発足をするというやり方もございます。しかし、いずれにいたしましても、できるだけ早い時期に発足をしなければならないことは当然でございます。これは何もあなたがおっしゃるように、何か外務省で会議があって、それで米軍が早くやってくれとかなんか言ったという新聞記事を当初引用されました。そして、米軍に言われたからやるのだろうというような御趣旨の御発言がございましたが、そういうことでなくても、やはり当面の体制というものは急がなければならないことは当然でございますから、いま一々法律的措置を要するようなことはなかなかできないわけでございますから、政府が産婆役の立場に立って、これに準ずるような公益法人を設立するということは十分考え得るわけでございます。そして将来対策といたしましては、いわゆる認可法人ないし特殊法人、何らかの法的措置も次の段階において考える、というふうにすべきではないかと思います。その意味で、当初の発足は公益法人でいきたいというふうな考え方でございまして、私自身が、東大の浜口教授に中心になってやっていただけるように要請をいたしました。やはりコンペイトウの粒がなければコンペイトウは固まりませんから、だから私は浜口さんに要請をし、またこの種問題についていろいろな御関係のある方々の御意見を聞いて、この問題についていま相談をしている最中であります。しかし、いわゆる法律上の発起人総会とか、そういうところまでまだ至っておらない。目下その前の段階における準備段階で、いろいろ御相談をしておるということであるわけでございまして、いま事務所は、いまのお話のように二、三人で具体的な事務を進めるような段階に、ようやく入っていったというところであるわけであります。発足の当初でございますから、そう簡単に、何でもかんでもきちんとそろっていっているというわけではございません。やはりまだ始まりでございますから、したがって、必ずしも万事行き届いた体制にはまだ至っておりません。もう少しの時期がたちますれば、それについてはっきりした輪郭ができてくるのではないかと思います。まあ、その新しい組織の準備段階というところにあるというふうにお考え願いたいと思います。先ほど原委員から、まとまったところで報告せいというお話がございました。私どもも、できるだけ早い時期に報告をさせていただくというふうにお返事をいたしました。いまその前の段階で、あそこへ事務所も持ったな、あそこにだれとだれがつとめているな、あいつの月給はどうなんだなと、まるではしの上げおろしみたいな御質疑をいただくことはまことに心外でございまして、こういうものについてりっぱな団体ができるように、ぜひ共産党といえども御支援を願いたい。ぜひお願いをいたしたいと思います。
  100. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、共産党ははっきりと、先ほど読まれたような提案を行なっている。しかも、それに対して、政府は一応基本方針を示している。その基本方針がきちっと守られて、かつ、あなたは、政府が責任をもってとおっしゃった。政府が責任をもつような形になっているかどうか、こういうことを、私はいま政府側にただしているわけなのですよ。では申し上げますが、もう私の質問にだけ答えていただければそれでいいのです。一応科技庁として、この準備室に対して、行政の組織上責任をもっている部署はどこですか。事務的に答えてください。
  101. 森山欽司

    森山国務大臣 政府が責任をもってやっておるかというお話でありますが、私が先ほど申し上げましたような意味で、責任をもってやっているのです。その基本的姿勢だけは、ひとつ御理解を願いたいと思います。
  102. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、その裏づけとして、いま聞いていることに答えてください。科技庁の責任部署はどこですか。
  103. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 原子力局でございます。
  104. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原子力局で担当課長はだれですか。——早くしてください、時間がないのです。どうなのですか。科学技術庁の責任部署もきまっていないで、どこが一体政府が責任をもっておるのですか。
  105. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 最近の原子力局の問題につきましては、いろいろ問題が多く、また多岐にわたる点も考えまして、最近は一つの課で特定に固定してやらずに、チームを組んでやるというようなことがございまして、それが錯綜しているところもございますけれども、しいて一応まとめる最終的なところはといえば、放射能課であるとか……。
  106. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 放射能課長さんは、たしか吉村さんでしたね。その吉村さんにお聞きすると、どのようなことが行なわれているのかは私にはわからない、こういうお答えが返ってくるのです。そして、逆に、いまおっしゃいました原研から応援に行っていらっしゃる松井さんにお聞きしますと、官房秘書課長補佐に平野さんという方がいらっしゃるのですか、この方がちょいちょい指導にお見えになります、こういうことなのですね。どうも政府の責任体制そのものがまずすっきりしていないのです。準備室の問題について、こういう点をやはりはっきりしなければ、さっきの大臣の答弁の裏づけにならないと、私は思います。  続いて第二番目に、新しい分析センターの場所として、先ほど、人、場所、資金が要るとおっしゃいました。その場所として、一体どこを予定していらっしゃるのですか。
  107. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 その前に、先ほどお尋ねの担当課長がよくわからないというお話、ちょっと補足させていただきますと、先ほど申し上げましたように、いろいろ問題が錯綜して、大きな問題が起こるものですから、臨時放射能対策本部というのを科学技術庁の中につくりまして、原子力局だけでなくて、あるいは本来ならばこの課だろうというところだけではなくて、チームを組んで、広く原子力局以外からも応援を得ているものでございますから、したがって、そういうような、ふだんであれば本来の課長以外がタッチするというようなかっこうを、いま本部というようなかっこうでとっております。  次に、お尋ねの場所でございまするが、いま場所を求めておるところでございまして、特定の場所に最終的な決定をいたしているわけではございません。
  108. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私ども調査によりますと、この準備室の発足の三日前の十二日に、松井隆氏が、発起人代表浜口博氏名をもって、野口研究所へ協力要請に行かれているわけなのです。これは、その場所の提供等も含めての協力要請を行なわれたということであります。これに対して、野口研究所の石原芳男事務長は、十五日の段階で、まだ理事会や評議会で検討したわけでもないし、いけるともいけないとも聞いていない、こういうふうに語っていらっしゃるわけであります。特に野口研としては、その所轄の官庁である文部省と相談し、やはり文部省の了解を得ないと、この準備室の協力要請に応ずるわけにいかない、こういうお話なのですね。  そこで、野口研究所の所轄官庁である文部省、お見えになっていますね。お尋ねしたいわけであります。いま申し上げております事実関係について、大体文部省は承知していらっしゃるようではあるのですが、何か正式に報告は聞いていらっしゃるのですか。また、お知りになっている範囲内のことをお答えいただきたいと思うのです。
  109. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のございました件につきましては、三月十八日に科学技術庁のほうから正式にお話がございまして、私どもも野口研究所と相談をしておるといいますか、そういう段階でございます。
  110. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 文部省としては、その相談の結果において、大体この準備室から要請されている協力事項について、応ずる方向ですか、応じられないような方向なんですか。
  111. 七田基弘

    ○七田説明員 私ども文部省といたしましては、野口研究所の研究業務に支障のない限り、この財団の自主性を尊重いたしたいというように考えておるわけでございます。ただ、この分析センター問題につきましては、これはやはり非常に重要なことでございますし、私どもといたしましては、そういうような問題も含めまして、検討をいたしておるということでございます。
  112. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この野口研究所の土地は、もとは何に使われておった土地であり、現在の土地の所有者は一体どこになっておるのか、お答えいただきたい。
  113. 七田基弘

    ○七田説明員 この土地は大体四千坪ほどございまして、そのうち八百六坪ほどが国有財産になっておるというふうに承知いたしております。そのうち、この分析センター関係といたしましてお話がございまするのは、そのうちの一部というように承っております。
  114. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その土地はもとは何に使ったのですか。その国有財産、もとは何に使われたのですか。
  115. 七田基弘

    ○七田説明員 もとは、国有財産の部分につきましては、板橋の兵器廠になっておったと思います。
  116. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 野口研究所の創立者はどなたであり、現在の野口研の理事長及び役員は、おもにどういう会社の御出身の方か、明らかにしてください。
  117. 七田基弘

    ○七田説明員 その前に、一つ訂正させていただきます。先ほど八百六坪と申し上げましたが、土地は四千坪でございます。ちょっと思い違いでございまして、訂正いたします。  それから、現在理事長をつとめておられますのは、旭化成の副社長でございます刈谷亨氏でございます。
  118. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 創立者は……。
  119. 七田基弘

    ○七田説明員 創立者は、当時、昭和十六年に朝鮮にございました興南殖産合資会社の代表者でございました野口遵さんでございます。
  120. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その野口遵さんは、後に日本窒素肥料の社長をしておられますね。
  121. 七田基弘

    ○七田説明員 その当時、たしか社長をやっておられたのではないかと思います。
  122. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの野口研の役員は、どういう会社の御出身ですか。これはお答えがなかったと思うのですが、おもにでけっこうです。
  123. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  現在この理事としておられます方は、積水化学の社長、日窒工業の会長、日本化学繊維協会の会長、旭化成の副社長、旭ダウ専務取締役、それからあとは野口研究所の中から出ておられる方がおられるわけでございます。
  124. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 つまり、外部から入っていらっしゃる野口研の役員さんは、大体チッソ系がほとんどなんですね。現在日本原子力研究所の理事長で、この新しい分析研センターづくりにあたって、野口研への橋渡しをしたともいわれている宗像英二さんも、たしか旭化成の役員もしていらっしゃったし、野口研の理事長をやっていらっしゃったこともあるのじゃないですか。
  125. 七田基弘

    ○七田説明員 理事長をやっておられました。
  126. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さて、広く良識ある学者の見解を求めていただきたいと、私たちは希望しているわけであります。そういう見地で、われわれ決して科学者の純学問的な業績に触れようという意味ではありませんが、一応いま政府がいろいろと御相談なさっている学者についても、若干お尋ねをしたいのであります。  この野口研究所の地続きには、東京教育大学の板橋分校があったはずでありますが、この板橋分校にはどういう研究施設がありましたか。——わかりませんか。
  127. 七田基弘

    ○七田説明員 私いま存じておりません。
  128. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは現在、極地研究所があり、前には浜口博教授の研究室があったわけであります。この浜口研究室には、今度問題になった日本分析化研で、まず最初に汚職で摘発を受けた浅利民弥元専務理事も、この浜口教授の指導を受けておられたのですね。この浜口教授はまた、当時の日本窒素肥料が必死になって水俣病の原因について有機水銀説を否定いたしておりました当時、つまり昭和三十六年の六月に、新日窒の水俣工場技術部の上妻、鶴田両氏それから新日窒中央研究所の川崎氏らとともに、「海水中の全水銀量」という論文を日本化学雑誌に発表されたわけであります。もちろんこの論文は有機水銀説を否定する立場のものでありました。この論文の最後を見ますと、「本研究にあたり終始御懇篤な御指導と御鞭撻をいただいた東京教育大学浜口博教授に心から感謝する。」としるされているわけであります。なお、この論文によりますと、「研究費の一部は文部省科学研究費によったもので、ここに感謝の意を表する。」とも書いてあるわけであります。ですから、当然そういう研究費を出している文部省は報告も受けていると思うのですが、どういう経過で、浜口教授がこの水俣病の原因究明のチッソ側の研究指導に当たるようになったのか、これをお尋ねしたいのです。
  129. 七田基弘

    ○七田説明員 その具体的なケースにつきまして、私も現在存じておりませんが、この科学研究費につきましては、御承知のとおり、文部省にございます学術審議会の科学研究費分科会というのがございまして、そこの審査によりまして、配合を決定しておるということでございます。
  130. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、この論文がそういう研究費によって行なわれ、かつその中に浜口教授に対する謝意が表明されていることをここに明らかにしておきたいと思います。これは資料があるのですから。  ここで申し上げたいのは、今日ではすでに水俣病の原因については、科学的には解決を見た問題であります。しかも明らかにその科学者の誤った立場が、今日から見れば反社会的影響を与えたということも事実です。こういう重大な経歴の持ち主に、事もあろうに、新しい分析センターの設立をいわばまかせているようなことで、一体権威ある分析機関が生まれるとお考えになっているのかどうか、これをお尋ねしたいのであります。
  131. 森山欽司

    森山国務大臣 いまいろいろお話がございますが、浅利民弥氏が浜口先生研究所か何かにいたというようなことは、私は全く存じません。それが事実かどうかも知りません。ただ木村さんという非常に分析の偉い大家がおられて、その方がああいう分析研の会長か何かをやられて、そしてこの木村さんをかついで、浅利さんという方が専務理事をやられて、今回のような不祥事態を起こしたというふうに私は聞いておるわけでございます。分析関係する化学方面では、木村先生というのはもうこの方面の大家のようでございまして、いろいろな弟子があります。その中に、浜口先生もお弟子さんなのでございましょうし、浅利さんもやはり木村さんの傘下におられたのであろうかと思います。しかし、そういうふうなことで申しますと、分析関係で、もし木村先生傘下の者が一切だめだということになりますと、当面そういうことをやれる人が大体いなくなってしまう。これはよくあなたも私どもと笑い話する、ごじっこんな方々がみな弟子ですからね。だからやはりそういうことについては、私は知りません、実際そういうことがあったかどうか。ただいずれにしても、木村先生という偉いそのほうの大家のお弟子さんの方々が各方面に散らばっておいでになるというふうに私は聞いておる。浜口先生もその中のお一人である、それから浅利さんも木村先生の教室におられた方だ、というふうに聞いておるわけでございますが、それ以上のことは、私は知りません。  それから、水俣病云々ということをおっしゃいますが、私は全く関係ないと思っておりまして、現在東大の化学の先生で、大いに仕事をやっておられる方でございますから、何でもかんでも、はしの上げおろしについて一々いろいろなことをおっしゃるので、それは御見解は御自由でございますが、そんなことは、私は一切気にしていません。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まことに奇怪なといいますか、これはほんとうにけしからぬ話を大臣はされたと思うのですね。第一、私はいま木村先生の話をしているのじゃなくて、事実上準備室の発起人会長扱いになっている浜口さんと、それにかかわり合いのある話を申し上げているわけなんです。しかも、浜口さんを除けば専門家がないようなお話をされますけれども、現に不破さんのじっこんの学者だといわれたような方々、これもそれぞれ権威者であります。現にまた、原子力研究所とか放射線医学研究所とか理化学研究所には、この道に携わっているりっぱな方はたくさんいらっしゃいます。だからほんとうに間口を広げて、良識ある学者の意見を聞くという気持ちがおありならば、何もいまのようにきわめて視野の狭い、それこそ森山長官とごじっこんな方ばかりに相談されなくてもいいし、そうあってこそ初めて、ほんとうに科学的行政、こういえるのじゃないかと思うのです。  なお、時間がありませんので、もう一つ。放射能分析評価委員会、これを十二人で構成し、三月二十九日にはその委員会が開かれるやに聞いているわけであります。この委員会では、一体どういうことの評価を行なおうとされているのか、また人選はどういう基準で行なわれたのか、これは要約して簡単にお答え願います。
  133. 牟田口道夫

    ○牟田口政府委員 評価委員会がやろうといたしておりますことは、分析方法などの評価、したがいまして、試料のサンプリング方法、試料の分析方法等を評価しようということでございます。  それから先生方は、これはいずれも、こういう問題につきまして学識経験の豊かな方をお願いいたしたわけでございます。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 人選が終わっているようなので、私もそれに対して意見はありますけれども、時間がありませんから、それは後日に譲るとして、結局、以上をまとめてみますと、政府の新しい分析センターづくりは、本来ならば所轄責任官庁である科学技術庁の担当の責任者が明らかになっていなければならないのですが、さっきのように、一応課長はいるけれども、知らない状態で、何ですか、臨時の放射能対策本部のようなものがある。これはいいでしょう。しかし、じゃ、それの行政上の責任はだれかという問題が、結局はっきりしていない。  また、政府の新しい分析センター構想の推進役となっている学者あるいは専門家は、よりによって、先ほどから申し上げておりますように、もし私に反論があるならお調べになったらいいのでありますが、その経歴において、公害企業の重要メンバーであるとか、公害企業の肩入れをしてきた方々であるとか、あるいは現在問題になっている日本分析研をつくってきたメンバー、こういう方々ばかりなんです。  さらに、場所の提供について協力要請を受けている研究所が、これまた名だたる公害企業の、言えば親類筋に当たる研究機関。加えて、政府の進めようとする新しい分析センターの予算措置が、さっき言いましたように、政府の責任において行なわれているならいざ知らず、私個人の借り入れだ、こういうふうにおっしゃる。  というわけで、これでは、国立とは全く縁もゆかりもない、国立などは全く見当外の、全く権威なき民間機関、第二分析化研そのものをでっち上げようとしているのではないか、こういうことになると思うのです。  ですから、私は、あらためて、「国立の総合的機関設立の問題をも含めて、権威ある機関をつくることを検討いたしたい。」と、政府自身国会を通じて国民に行なった約束は一体どうなっているのか、お尋ねしたいわけであります。よもや、国会を通じて主権者である国民になされた約束をほごにされる気はないと思うのでありますが、結局、現在のやり方は、民間ペースで出発する。特殊法人に切りかえるとか、認可法人に切りかえるとか、いろいろおっしゃっているけれども、結局そのやり方は、前の分析研ができたときと全く同じことであります。こういうものが許されて、はたしてほんとうに国民の信頼を得られるような化学分析業務が行なわれるでしょうか、最後に大臣の所信を伺って、質問を終わります。
  135. 森山欽司

    森山国務大臣 政府考え方は、「新たな分析測定の専門機関については、国立の総合的機関設立の問題をも含めて、権威ある機関をつくることを検討いたしたい。」と言っておりますし、その回答の線に沿って、今日まで鋭意努力をいたしておるところであります。  すなわち、中心にお世話役をお願いしております浜口教授は、東京大学理学部化学科教授として、日本の化学界における権威者でありまして、特に一般化学分析及び放射能分析については第一人者であると、私は承知いたしております。その方について、いろいろな御意見があるようでございますが、それはそれとして承っておきます。それからまた、やはり人が中心であり、したがって、その中心になる浜口先生について、私どもはそういう評価をしておるのであります。  それから、場所につきましても、これは将来はもっと大きな敷地を持って、それからりっぱな施設を持ったものをつくらなければなりませんが、きょうあすの間には間に合いませんから、したがって、とりあえず、縁故があって、野口研究所の一部をお借りするように目下話を進めておるというわけでございまして、その野口研究所を目して公害云々というようなことを言われることは、私の全く関知しないところであります。  とにかく、あれだけの事件が起きてのあと始末でございますから、そうおたくの不破書記局長の言われたように、急に右から左に片づくものではありません。応急措置も必要であり、それから、とりあえず中心になってやるところも、広い敷地を持ち、りっぱな建物を持って、組織もりっぱなもので初めから発足するわけにいきません。やはり少しずつ現実的な処理をして、最初は公益法人として発足する。必要があれば、その次に認可法人なり特殊法人なりとして進む。私は率直に言うと、国立機関というのは適当ではないと思うのであります。たとえばいろいろ検査料や何かあった収入は全部国庫に入ってしまうというような形ではあまり適当でございませんし、役人になりますと、給与その他で非常にやかましい制約がございまして、できるならば民間ベース的な給与等が実現できるような、しかも公正を維持できるような仕組みを考えていくのが、私は適当ではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で、かなり長期間にわたって国が責任をもってやれるための現実的な体制を確立している、そのいま初期の段階です。ですから、その一つ一つについてはいろいろ御意見がございましょうが、中心になる浜口先生が云々とか、とりあえず場所を借りる野口研は云々とか、そういう形で、たいへん失礼なことばを使うようでございますが、何かけちをつけるような印象を私は受けまして、伺っておって愉快じゃありませんね。こっちは真剣にやっているのですから、これは政治生命をかけて一生懸命やっているのですから、それはいろいろ御意見もございましょう、そうしたら、もしお気づきの点があれば、それは私どもは聞くか聞かないかは別にして、話していただけば、その中でとるべき点はできるだけとってやっていきたいという気がまえで、私は仕事をしているんです。いまのように、かみしもをつけて、まだ固まらない段階でいろいろのことをおっしゃられるということは、私はまことに残念。私はこのむずかしい時期、微力ではございますが、一生懸命やっておるわけでございますから、どうかひとつ力をかしていただきたい、悪い悪いと言わないで、力をかしていただきたい、そのことを私はお願いいたしたいと思います。
  136. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、時間をかすには別にやぶさかではありません。また、いろいろ意見を申し述べるのにも、共産党はやぶさかではありません。しかし、それを公明正大に聞き入れる度量というものを大臣に持ってほしい。いまの大臣の進もうとしている方向は、ある意味では、現在の分析研以上に悪い分析研をつくろうとしている道だ、再検討を願いたい、こういうことをはっきり申し上げて、質問を終わります。
  137. 安井吉典

  138. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは本会議もありますし、きわめて限られた時間でありますので、数点お伺いしたいと思っております。  きのう稲葉先生が提案されましたこの第一次案、これにつきましては、「四月初めに開かれる通産省総合エネルギー調査会の総合部会、原子力部会にも提出され、わが国の今後のエネルギー政策を形づくる上での基本的な素材となる。」こういう意味におきまして、非常に大きな意義があるんじゃないか、このように思うわけであります。  そこで、今後のこの私案の取り扱いの問題でありまして、今後第二次案、第三次案というような形等にもなるのじゃないかと思うわけでございますが、そういうようなプロセスを踏みまして、最終的にはいつごろまとめようとなさっておられるのか、この辺の見当につきまして、大臣にお伺いしたいと思っております。
  139. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、たたき台といたしまして御検討を願って、いろいろな御意見を、とるべきものは取り上げて、次の案をつくりたい、さしあたり昭和五十年度予算の編成のためのまた基礎にもいたしたいというふうに、科学技術庁としては考えておる次第でございます。
  140. 近江巳記夫

    ○近江委員 もちろん、これはあくまで私案であるわけでありますけれども、この私案の中でも、原発についての国民的なコンセンサスを形成する必要がある、このようになっております。ところが、コンセンサスが得られない最大のポイントというものは、これは安全性の問題であるとか、あるいは環境問題等に争点があるわけであります。ところが、こういう私案の中におきましても、確かに、安全性の問題とか環境問題等の扱い方というものはほとんどされていないわけですね。そういう点におきまして、この私案の中身を見ますと、原発は安全であるとか、あるいは三十年の歴史を持ち、世界的にも安全が証明されておるというような前提に立っておる。したがって、従来の発想とあまり変わりがないように私は思うわけであります。  そこで、この安全性確保のため、あるいは環境問題等におきまして、しかるべき体制づくりを一つの計画として、長期計画といいますか、そういうものをはっきりこの際策定する必要があると私は思うのです。ただエネルギーの事情からこうなるのだということじゃなくして、もう一つ、いま申し上げた安全性の問題、環境汚染の問題等一つのそういう長期計画の策定というものがぜひとも私は大事だと思うのです。これについてはどのようにお考えでございますか。
  141. 森山欽司

    森山国務大臣 今度の稲葉私案、本格的に取り組んでいくということになりますれば、安全問題について、御案内のとおり、昨年の暮れの緊急予算追加要求もございまするけれども、そして、それはおよそ三年間ぐらいの計画で、安全確保のための施策を講じていくということでございまするけれども、この際、この稲葉私案が出ましたのを契機にいたしまして、さらに安全確保の対策を一つの構想としてまとめ上げたいということは、まさに必要であろうというふうに考えておりますので、この稲葉私案の再検討と並行いたしまして、新しい構想の輪郭づくりに努力をいたしたいと思っております。
  142. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは代議士会が十二時半からありまして、私、どうしても出なければならぬ問題がありますので、非常に残念でありますが、きょうはこれで終わりたいと思います。
  143. 安井吉典

    安井委員長 次回は、来たる四月三日、午後一時理事会、午後一時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十三分散会