○千葉
政府委員 海洋問題につきましては、小宮山
先生はかねてからたいへん深い御造詣と、それから御熱心な御指導によりまして、私
どもいろいろとその賜わりました御鞭撻、そういった線に沿いまして、鋭意わが国の海洋開発を進めておるわけでございまして、深甚なる敬意を表しておるわけでございます。
この海洋開発審議会の答申は、昨年の十月に第一号の答申を受けたわけでございまして、わが国の海洋開発推進の基本的な構想及び基本的な方策について、ということでございまして、これは御案内のとおり、わが国におきまして、この海洋開発について初めてのこういったまとまった
考え方が、しかも各界の方が集まりまして、二年間にわたっての審議でこの答申が出たというところに大きな意義があるわけでございます。
それで、いま
先生が御
質問の、国際的な諸問題につきどのような答申を行なったかと、こういうことでございますが、これはわが国の海洋開発を進めるその基本的な構想をまず御案内いたしまして、それから、そのいわゆる国際的諸問題が、一体そういったものにどういうふうに関連しているかということを申し上げたいと思うわけでございますが、その推進の構想は四点ございまして、いわゆる日本の海洋開発を進めるのには、環境の保全と一体化した開発をまず進めるべきである、これがまず第一点でございます。
第二点が、開発は総合的、計画的に推進すべきである。つまり、いわゆる海洋開発が無秩序に行なわれては、これはもう、第一点の環境の保全との間にも、
あとで申し上げます国際的な問題も、きわめて密接な
関係がありますので、たいへんいろいろ問題が出てくる。そこで、計画的にこれを推進すべきである。いわゆる国土のほうから見た開発だけで、いろいろ埋め立てたりあるいはスペースの利用をしたり、あるいは漁業、あるいは鉱物資源の開発などを無計画に行なってはならぬ、こう
指摘しております。
第三には、海洋科学技術の開発を先行的に推進すべきである。つまり、海洋開発を行なうにあたりまして、まず海洋の科学技術の開発、これを先行的に推進すべきである、こういうように第三点は述べております。
第四点といたしまして、いま
先生御
指摘の、この開発は国際環境に調和して推進すべきである。つまり海洋開発は、国際的な広がりを海洋
自身が持っているがゆえに、海洋の探求あるいは海洋の開発の推進にあたりましては、国際環境との調和に十分配慮しなければいかぬ、このように
指摘いたしまして、日本の海洋開発を推進するにあたっては、三つの海域に分けまして
——三つの海域とは、沿岸海域の総合的な開発の推進、これは湾とか瀬戸内海とかというようなものです。二番目が、日本の周辺海域の資源開発の推進、これは主として大陸だなの地域でございます。三番目が、いわゆる大洋域の
調査研究の推進をせよ、こういうことでございます。こういったことを、先ほど申し上げました四点の線に沿って進めるべきであるというように
指摘をいたしておるわけでございます。
その国際的な観点から見て、海洋開発の
問題点でございますが、これは調和して行なえ、こう
指摘しておりますが、さらにその内容につきまして、こういうようにこの答申では書いてございます。
要するに、沿岸開発にしろ、大陸だなにしろ、大洋域にしろ、そういった点を開発するにあたりまして、いま、いろいろその国際的な、いわゆる法秩序の確立についてのいろいろな国際的な動きがある。それで、その動きとどういうふうに調和させていくか、その点についていろいろ答申されております。
これは、二年間にわたりまして、審議会の中にも国際分科会を設けて、
関係者が集まりまして
議論した結果が載っておるわけでございますが、その内容を見ますと、
先生御
指摘のとおり、いわゆる海洋の自由というものを基本にしての海洋開発、これは従来行なってきたわけでございますが、いわゆる無限性がもうなくなってきて有限なのであるという最近の
考え方をベースにしての国際秩序、こういった秩序について、いま国連を中心にいろいろ
議論されておりまして、この
会議において、いま
一つの節にこようとしておるわけでございます。
それは、御承知のとおり、第三次の海洋法
会議、これがもう近々開催されるわけでございますが、これを見ますと、その内容は、まず領海の幅員の問題、これはもう御案内のとおりでございます。第二がいわゆる大陸だなの問題、第三が海洋汚染防止の動き、四番目が海洋の科学
調査の自由制限の問題こういったような動きがございまして、どれ
一つといえ
ども、これはたいへんな、海洋開発について重要な
影響を与えるような状況にあるわけでございます。
それでは、そういった問題についてどういう
指摘をしているかということを、海洋開発の面からいろいろ
指摘しておるわけでございますが、まず第一に、このような海洋の国際的な法秩序確立に対して、わが国として海洋開発の面から見た場合の、いわゆる基本的な
態度をどうとるべきかという点につきましては、こういうように書いておるわけでございます。問題の所在は、これはたとえば
会議を失敗して海洋の国際的な無秩序
状態ができたといたしますと、そういった場合には、御案内のとおり、一例が発展途上国が経済水域というものを、これはもう管轄権を主張しておりますので、そういった点をおのおの主張し出すということになりますと、漁業の問題あるいは鉱物資源の開発の問題にすぐこれ問題となってくる、こういったようなことでございまして、したがいまして、答申では、国際的な合意確立のために積極的にこれが
努力をしなければならぬ、こういう
指摘をしておるわけでございます。
それから、先ほど申し上げました領海の幅員問題、これはもう
新聞等でいろいろと
議論をされておりまして、いわゆる三海里から二百海里までいろいろな説が出ておりまして、こういった傾向として
——全体の傾向としては、非常に拡大していく傾向にあるわけでございます。そういったものにつきましては、まあ十二海里で合意される
可能性が強いので、この線に沿って、領海接続水域の漁業管轄権問題、それから国際海峡の自由通航問題などの領海幅員関連問題について……(小宮山委員「その問題は
あとで
質問しますから」と呼ぶ)そういったことも慎重に対処すべきだ、こういうふうに
指摘しております。
それから、そのほか海洋開発に特に関連のございます問題といたしましては、領海の接続水域の海洋資源開発権の問題、こういった問題について、合理的な国際基準を確立するよう
努力する必要があるのだ、こういったような
指摘もいたしておるわけでございます。
それから、大陸だなの範囲の問題、これにつきましては、距岸距離基準を重視する傾向にあることを考慮いたしまして、わが国の
立場を早急に明確化する必要がある、このように
指摘しておるわけでございます。
それから、深海底の開発方式の問題、この問題につきましては、国連での決議などございまして、人類の共通の財産として、国際的な制度と機構をつくって開発する、それまでは開発
行為を行なってはいけないという決議がございます。こういった問題につきましては、妥当な国際海底の制度と機構を早急に確立するよう積極的に
努力をすべきであるというようにも
指摘いたしております。
そのほか、海洋汚染の防止に関連いたしましては、発展途上国の主張いたしますこれの汚染防止ゾーンの設定をすべきであるというような主張、こういったものに対しましては、これはまた海洋環境の保全に
努力をすべきだけれ
ども、こういったゾーンをつくることについては非常に問題がある、これは管轄権の強化になって、非常に問題であるというような
指摘もいたしております。
そのほか、最後に、科学
調査の自由の問題、これにつきましても、いろいろと科学
調査を行なう必要がございます。海洋開発にとっては最も重要な問題でございますので、いわゆる公正な科学
調査ができ、その成果がすべての国に活用できるようにするための合理的な基準を確立いたしまして、その基準に従って行なわれる科学
調査については、自由にやれるという、その自由を確保する必要がある、このように述べているわけでございます。
今後のこの海洋法
会議、非常に注目すべき点だと
考えておるわけでございます。
以上でございます。