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森山国務大臣 この
委員会のご
あいさつの冒頭に、
科学技術の
振興をはかるにあたって、基本となるものは何といっても
人間だということを申し上げました。これ、事業だって人でございますし、特に研究のように創意くふうを生かしていかなければならない、これまさに一〇〇%人に依存するということが言えるのであろうと思うわけであります。
したがって、研究の
環境の改善とかあるいは研究費の増額など、そういうことも必要でございましょうが、
研究者、
技術者の待遇改善というものを積極的に行なっていく必要がある。従来から
研究者、
技術者が根強く持っている待遇上の不満を払拭して、これらの人たちに高い知識と意欲を持って、それぞれの
分野で力強く取り組んでもらうようにすることが、何よりも大事であるというふうに
考えておるわけであります。そのために、広く
研究者と、こうおっしゃいましても、私どもでできることは、研究、特に役所関係の研究員、そういう点が問題になろうと思います。
それで、これは人事院その他のところで基本的な原則をつくり、各省でそれを運用していくということになるわけでございますが、私の
考えといたしましては、官公庁にあって、従来
研究者、
技術者の待遇、特に昇進とか昇格のテンポが法科、経済出身の行政職よりもおくれがちである、役所によってはかなりそろってきたところもありますけれども、場所によっては、そういう点がまだまだおくれがちのところがございます。これを是正し、少なくともこれが大きくおくれることがないようにする必要があるというふうに、私は
考えております。
そのために、具体策として、各省庁における
技術者の昇進できる最高のポストの格付をもっと高くして、その増加をはかる。たとえば
技術者、
研究者の指定職のポストをふやすというようなことも
一つの方法でございますし、また、
研究者の中堅である部長と研究員の管理職手当を行政職並みの二五%とする。また、室長と研究員の相当部分の手当を二〇%とする。これが管理職、普通本省の
局長さん、二五%になっておりますが、そういうように一律にいっていないものですから、そういうふうにやっていったらどうだろうか。これはいまメモを書いて
お話しておりますが、決してこれは
科学技術庁の事務局からあがってきたメモではないのであって、私がかねがね
考えておることをメモしたものを、私の所見としていま申し上げておるわけであります。
また、行政職に飛び昇格というものがあるわけでございますが、研究職の昇給間差の改善もはかっていかなければならない。また研究職といいましても、たとえばオペレーターのような研究
技術員と申しますか、将来、昇進できる最高のポストを、研究員の場合に見合うような、将来の望みがあるようにしていかなければならない。まだこれは現実には必ずしも必要ではありませんが、将来やはりそういうことが起きてまいりますから、そういう希望を持たせる必要があるんじゃないか。
それからまた、各省庁の次官、課長、課長補佐クラスのポストについての等級評価あるいは管理職手当の改善、そういうものも
考えてまいりたい。さしあたり来年度の人事院勧告の際には、こういう項目を強力に押してまいりたい。ある
程度改善することが可能であると私は確信をいたしております。
また、筑波研究学園都市の
建設推進のために、生活
環境の未整備な
状態の中に早くから移転して、苦労を余儀なくされている職員がおられます。そういうような人たちに、生活
環境が整備されるまでの間一時的に御苦労手当
——そういう手当はありませんが、気持ちとしては御苦労手当にあたるような、そういうようなものを支給する。これも本年の人事院勧告の中にぜひとも入れてもらうように努力をいたすつもりでございます。これは私ども
科学技術庁がきめるというよりは、
科学技術庁が全国の
技術系の職員のためにやらなければならない仕事として、いま申し上げたようなことを
考えておるわけでございます。
そのほか、
時代の要求する最先端の
科学技術、公害防止、
福祉のための
技術等に従事する者、従来から部内の均衡とか年功序列というのがものをいうわけでありますが、そういうものにとらわれないで、積極的に十分な
処遇が与えられるようにその改善をはかって、必要な人材の
確保をはかる必要がある。あるいは高い研究業績をあげた職員に対して、従来あまり報いていない。今後十分な報償と顕彰等が行なわれるように、制度、経費などの充実をはかっていく、こういうようなことにつきましても、何とか
——研究者はやはり特別でございますし、研究業績というのは若いうちにあげる。先ほど江崎さんの話等もございましたから、ああいう面をやはりとくと
考えて、あまり一般公務員の一律的なことだけでやっていては、いい人をそろえるのはなかなかむずかしゅうございますから、そういう点について、何か打破していくような方法を講じてもらいたいというようなことを
考えておる次第でございます。
御
案内のとおり、私はかねがね労働関係なんかいろいろやってまいりましたし、やかましいことも人一倍言いますけれども、いいこともやらなければいけませんから、この部面についてはこういうようなことも
考えておるわけでございまして、これから機会あるごとにこういう方面に積極的に対応してまいりたい、そういうつもりできょうのご
あいさつの冒頭にこのことを申し上げたわけであります。どなたか
質問していただけないかと思っておったのですが、あなたに
質問していただいて、ほんとうにありがとうございます。