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1974-03-07 第72回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月七日(木曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員   委員長 小濱 新次君    理事 國場 幸昌君 理事 佐藤 孝行君    理事 床次 徳二君 理事 中村 拓道君    理事 加藤 清政君 理事 美濃 政市君    理事 正森 成二君       竹中 修一君    上原 康助君       島田 琢郎君    瀬長亀次郎君       渡部 一郎君    安里積千代君  出席政府委員         総理府総務副長         官       小渕 恵三君         内閣総理大臣官         房管理室長   伊藤 廣一君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         沖繩開発政務次         官       西銘 順治君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         自治省財政局長 松浦  功君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  相川  孝君         警察庁交通局参         事官      寺尾  繁君         防衛庁防衛局運         用課長     伊藤 参午君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       奈良 義説君         法務省民事局参         事官      浦野 雄幸君         農林大臣官房地         方課長     結城 庄吉君         農林省構造改善         局農政部農政課         長       関谷 俊作君         農林省農蚕園芸         局果樹花き課長 北野 茂夫君         通商産業省立地         公害局保安課長 鎌田 吉郎君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       豊島  格君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)      ————◇—————
  2. 小濱新次

    ○小濱委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部一郎君。
  3. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ただいま沖繩県よりの代表から那覇小禄における爆発事故につき説明並びに当委員会に対する請願のお話がございました。それを伺うにつきましても、沖繩県における不発弾あるいはこうした爆発物処理状況については、当委員会として一段の関心を持ちたいと思うところであります。現在までこの沖繩における不発弾事故発生状況あるいは不発弾の現在推定確認されるその総量、またこれに対する処置状況につき、先日の当委員会理事会において資料要求をいたしましたところ、本日当委員会あて提出されておりますが、この文書内容につき、まず関係省庁の御説明を承りたいと存じます。よろしくお願いいたします。沖繩開発庁、それから警察庁、それから自治省、それから建設省、それから防衛庁です。防衛庁処理ですから最後に……。
  4. 伊藤廣一

    伊藤政府委員 委員会のほうの御要求によりまして、私どものほうから差し上げております資料一つは「陸上において発見された不発弾等処理について」昭和三十三年七月四日付で防衛庁警察庁自治省からの共同通達という点を差し上げております。それと「不発弾等処理交付金交付要綱」というものでございます。それと「沖繩県に対する不発弾等処理交付金交付規則」この三点を提出をいたしておるわけでございます。それの説明をいたすわけでございます。  最初の「陸上において発見された不発弾等処理について」といいます文書は、昭和三十三年に、従来通商産業省におきまして不発弾等処理をやっておった、これが自衛隊法の改正によりまして、自衛隊法附則第十四項におきまして、「自衛隊は、当分の間、長官の命を受け、陸上において発見された不発弾その他の火薬類除去及び処理を行うことができる。」こういう条項が入りましたので、今後は陸上における不発弾処理については防衛庁でまず処理をするということが可能になったということで、各省間の協力に対する取りきめというふうなものをこの文書においてやったわけでございまして、各都道府県警察不発弾等の発見があった通報をいただきますと、それを自衛隊のほうに連絡をいたす、そしてその処理をするために警察自衛隊相協力いたしまして安全な処理をはかろう、大ざっぱに申し上げますとそういうことについての各省間の取りきめ、こういうことでございます。  そういうことでずっと不発弾処理をやってまいったわけでございますが、最近になりまして、いわゆる畑、人家のないところにおきます爆弾処理というふうなものはわりあい、比較的経費の面でも簡単に済むわけでございますが、そういうものの処理がだんだん進みまして、やはり人家の近くあるいはこれから都市の開発が進んでいくような地域における爆弾不発弾の存在というものが問題になり、またそういう爆弾処理を進めていきます上におきまして、市町村等地方公共団体経費負担というものが非常に多くなってきた。こういうふうな事態が発生いたしまして、一昨年来特にその問題についていろいろ議論されまして、本年度、四十八年度の予算におきまして、そういうふうな非常に市町村に過大な負担を与える、不発弾処理のために非常に財政的に大きな負担になってきた、こういうふうな事実に基づきまして、やはりそれは国でも何らかの措置をすべきではないか、こういうことで一億円の経費をもって不発弾処理をやります地方公共団体に対しまして補助金を出す、こういうことになったわけでございます。  私ども総理府におきましては、その不発弾処理経費負担の問題をめぐりまして、これも各省の間でいろいろ議論がございましたが、いずれにせよやはりそういう不発弾処理の問題は緊急な問題、人命の安全というふうな問題にからむわけでございますので、どこの省がどうと、こういうふうな議論をいたずらに繰り返しておっては相ならぬということで、ともかく総理府においてその支給事務をやれ、こういうことで私どもがやっておるわけでございます。  そのことにつきましてどのような手続、内容について交付をいたすかということを定めましたものが、お配りしてございます「不発弾等処理交付金交付要綱」というものでございまして、「昭和四十八年十月二十三日内閣総理大臣決定」ということできめられたわけでございます。  非常に簡単にこの考え方を申し上げますと、基本的に分けまして、一般的な、原則的なことをこの交付要綱で定めておりまして、沖繩につきましては別途沖繩事情にかんがみて別の定め方をしておる。特則沖繩県については別の考え方、こういうふうになっておりますが、一般的な考え方のほうで申しますと、これはやはり不発弾等処理交付金交付については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、まあ適化法とか適正化法といっておりますが、それに基づいて交付するのであって、適化法並びにその施行令によるほか、こまかいことはこの要綱で定めるということになっております。  目的は、やはり今回の大戦によって生じました不発弾及びその他の爆発物で陸地にあるものの処理を促進することによって、不発弾等による災害を防止するんだということが目的になってございます。  では、そういう事業はどういうものに対して交付をいたすかということでございますが、その第三条におきまして、「内閣総理大臣は、不発弾等処理に関する事業を行う地方公共団体に対し、所要経費の一部をこの要綱の定めるところにより、国の予算の範囲内で交付金として交付する。」これが交付対象でございます。  それで、具体的に交付対象になる事業につきましては、「不発弾等処理するための発掘」に要する経費を見る。その中には、その発掘をするために直接必要な探査の経費、これは見るということになってございます。それからそういうふうな発掘をいたしまして処理が終わった、そして土を埋め戻すというふうな経費も見る。それからそれ以外に、そういうふうな発掘作業をやるためにいろいろ必要な、特に直接的に必要な付帯工事のようなもの、家屋であるとか樹木、その他の工作物などの移転とか復旧、掘るために一時的にうちを動かす、あるいは取り払って新しくあとで建て直すとか、そういうふうな補償についても見ようということが内容でございます。  それともう一つ特に指摘をしておかなければいけないのは、ただ交付金につきましてはどういう割合で交付金を出すかということでございますが、第六条におきまして、先ほど申し上げたような事業地方公共団体が行なう、その場合にかかる経費について交付金を出すわけでございますが、その交付金の額といいますのは「一件の工事に要する交付対象経費から五百万円を控除した額の二分の一の金額とする。」ということでございまして、五百万円以上かかった経費については、これは幾らかかりましてもその二分の一は国で見るということになっておりまして、残りの二分の一につきましては特別交付税で見るということでございます。したがいまして、五百万円以上の経費について交付金及び特別交付税で見るというふうなたてまえになっております。  これに対しまして沖繩県の問題でございますが、この交付要綱の第二十条でございますが、「沖繩県に対する交付金交付については、この要綱の規定にかかわらず、当分の間、沖繩実情を参酌して内閣総理大臣が別に定めるものとする。」ということになっておりまして、この「内閣総理大臣が別に定める」というのが、こちらの「沖繩県に対する不発弾等処理交付金交付規則」というものでございます。これは昭和四十八年十二月三日、内閣総理大臣決定ということできめてございます。こちらのほうはどういうふうなことであるかといいますと、沖繩特殊事情といいますか、現在の不発弾状況につきましては、はっきりとどのくらいあるかということはなかなか推定もつかないほどであるというふうにいわれておりまして、現在、いろいろ開発工事が進められておる段階におきまして、所々方々から不発弾等が発見される。それをどういうふうに処理するか、その処理に追われておるという実情でございまして、従来はそういう不発弾処理をする場所もないというふうな実情にかんがみまして、四十八年につきましては、ともかくそういうふうにごろごろ発見された砲弾がその辺に放置されているというふうな危険な状態では困るということで、まずそういうふうな不発弾処理を第一義的にすべきではないかというふうなことで、沖繩につきましては、この交付規則第二条第二項にございますが、沖繩の場合の交付金対象として考えておりますのは、そういう不発弾等の発見されたものをまず置く場所がないという、いわゆる国有地のようなものが非常に少なくてそういうふうなものを置く場所がないということがございます。そういう場所をまず確保しなければいかぬということでございます。そういうことで、そういう発見された爆弾処理するまでの間保管する場所、これが必要だ。そういうふうな費用を見ようということで「不発弾等保安管理に要する施設確保」そのための経費。それから実際の作業自衛隊がその処理を行なうわけですが、その「自衛隊が行う不発弾等処理のうち、信管除去及び海中投棄準備作業に要する用地の確保」とございますが、そういうふうな作業をやる場合に民家のあるところでやるわけにいきませんので、そういう安全な場所作業をやっても危険のない場所確保しようということで、そのための経費ということでございまして、まあ具体的には糸満の先にある伊保島という島を借りる、それを処理のために必要な場所として確保いたすということでございまして、そのための経費につきましては、これは本土の先ほど申し上げた五百万以上、二分の一ということでなくて、これの経費につきましてはかかった経費の三分の二を国で見る。それから残りの三分の一につきましては特別交付税で見るということになっておりまして、そういう意味では沖繩県なり市なり地方公共団体の実質的な負担分はないというふうなことで、四十八年度におきましてそういうことが決定されておる、そういうことでございます。その辺のことについてこの資料で御説明を申し上げたわけであります。
  5. 相川孝

    相川説明員 警察庁のほうからは、お手元に「那覇小禄排水工事現場における爆発事故概要」というプリントと、それから「沖繩における不発弾事故発生状況」この二つの資料提出いたしております。  まず、那覇小禄爆発事故概要でございますけれども、この点につきましては、先ほど沖繩県の方から詳細御説明もございましたし、警察庁といたしましては、爆発時の状況被害状況、それからその後の措置等について簡単に申し上げてみたいと思います。  爆発時の状況でございますが、これは作業員の方がクレーン操作によりましてシートパイルの打ち込み作業をしておったわけです。突然一大音響が起こりまして事故発生したという経緯でございますが、当日は聖マタイ幼稚園におきましては授業の参観というのがありまして、父兄に伴われてきました幼児の一部の者が運動場で遊んでおりましたし、それから現場付近の県道七号線というのがございます。ここでは信号待ち車両等が多数のろのろ運転をしていた状況です。そういうような状況下発生した事故でございました。  被害関係ですが、人的被害について申し上げますと、総計で三十八名が死んだりあるいは負傷を受けております。その内訳を申し上げますと、死亡は四人でございまして、おとなが三名、子供が一人。それから負傷は三十四名です。この負傷内訳について申し上げますと、入院加療を要する者が七名、これはおとなが四名、それから子供が三名。当日治療をいたしました者は二十七名。おとなが十名、子供が十七名というような状況でございます。  なお物的な被害について申し上げますと、家屋損害が八十六戸に及びました。これは住家と非住家がございますけれども、この中にはお手元に差し上げてございますように、全壊したものあるいは半壊したもの、窓ガラス等が損壊したもの、いろいろな被害態様が出ております。いずれにしましても八十六戸の家屋被害。それから通行中の自動車等損害は五十一台に及びました。この中には使用が不能になりましたものが六台も含まれております。  原因でございますけれども、これは旧日本軍の使用しておりました爆雷ではないか、その不発弾工事によりまして衝撃を受けて爆発したものではないかと推定されておりますけれども、詳細については目下調査中でございます。  このような事故発生に際しまして警察がとった措置は、一一〇番通報によりましてまず事故を認知いたしますと、市内を警らいたしておりましたパトカー全車現場に急行するように命じました。そうして十一時四十分には県警本部災害警備本部を設けました。そして、那覇警察署所管警察署ですけれども、ここに署の警備本部、これは現地警備本部でございます、これも設置しましたし、神川本部長以下二百四十五名の警察官が現場に出動いたしまして、交通規制とかあるいは被害者の救出、爆発原因調査被害状況調査あるいは群衆の整理等に従事いたしました。  その後、この爆発事故特別捜査本部というものを設置いたしまして、現在、県警刑事部長以下二百六名の体制で、いろいろ鑑定とかあるいは関係者事情聴取被害状況の徹底した調査あるいは事故原因等について調査を進めている段階でございます。  それから「沖繩における不発弾事故発生状況」でございますが、これは四十七年から四十九年、今日に至るまでの件数死者負傷者一覧表にいたしてみました。件数が六件、死者が五名、負傷者が四十五名に達しております。  なお、地下埋没されております不発弾等はどのような確認が行なわれているかという点でございますけれども、これは実は確認までには至ってないわけでございますが、いろいろ警察にもたらされた情報というものがございます。これによりますと、旧軍の使用しておりました地下壕あるいは特定の地主さんの所有地等にかなりの埋没弾がある模様でございます。  なお、資料としましては四十七年から四十九年の件数を示したわけでございますが、終戦後今日に至るまでどのくらいの不発弾による死者負傷者が出ているのかということについて県警報告を求めてみましたところ、死者総計二百四十二名に及ぶということです。負傷者は二百二十九名。それから事故爆発件数でございますが、これは戦後の統計がちょっとございませんでして、三十六年から今日に至るまでの間で四十件の爆発事故があったということであります。  以上です。
  6. 伊藤廣一

    伊藤説明員 防衛庁から御提出申し上げた資料について御説明したいと思います。  「沖繩復帰後の自衛隊による不発弾処理状況」ということでお手元に差し上げてございますが、自衛隊は現在不発弾処理班沖繩に派遣しておりまして、警察等から御連絡を受けるたび、そのつど出まして処理をやっております。不発弾の種類でございますが、そこに爆弾各種火砲弾ロケット弾、手りゅう弾、小火器弾地雷等と書きましたが、すべての弾種にわたっております。処理量でございますが、四十七年度は復帰後から四十八年三月三十一日までの間に約十六トン、四十八年度は昨年の十二月三十一日までに二十七トン、合計四十三トンになっております。なお地域名につきましては、そこに那覇糸満、与那原、宜野湾等書いてございますが、沖繩各地警察署の管轄から出ておりますので、処理した数量の多いものを代表的に表示してございます。  以上でございます。
  7. 小濱新次

    ○小濱委員長 建設省来ておられますか。——渡部一郎君に申し上げますが、先ほど建設省自治省にも説明を求められたように承知しておりますが、この点いかがでしょうか。
  8. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私はあと質問で申し上げます。
  9. 小濱新次

    ○小濱委員長 では、以上で資料説明を終わりました。渡部君。
  10. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ただいま御説明をしていただきましてありがとうございました。  四十九年三月二日午前十一時二十五分に那覇小禄五百四十七番地で発生いたしましたこの爆発事故に関し、ただいまの御説明を聴取しておりましても、まだ判然としない点がたいへんたくさんあるわけであります。まず資料を確かめる段階で申し上げるわけでありますが、現在届け出されているところの不発弾総量、そして届けられている、いないは別として、推定されるその総量はおよそどのぐらいあるのか、それを御返答いただきたいと思います。先日の理事会においては、終戦直前に発射された米軍の総弾薬量はわかっているし、またそのうちの約三割が不発弾になったものと推定されるというような話も出ておりましたけれども、今後の見通しをつけるためにも何らかの形で、ぼんやりした形でも、大体の推定が行なわれませんと話にならぬと思うわけでありまして、自治省でも建設省でも警察庁でも防衛庁でもけっこうでありますが、お答えをいただきたいと存じます。
  11. 小渕恵三

    小渕政府委員 私がお答えするのはどうかとも思いますが、先生のただいまの御質問の趣旨にお答えいたしまする資料といたしましては、不発弾埋没実態を把握することは実はきわめてむずかしいことであります。都道府県知事に依頼をいたしまして、文書による報告を求めた結果が私の手元にはあるのでございますが、先生のところに届いていないといたしましたら、これを読み上げることといたしましょうか。
  12. 渡部一郎

    渡部(一)委員 沖繩県の分について。
  13. 小渕恵三

    小渕政府委員 沖繩県資料はいま私の手元にございませんので、ちょっとお待ちください。沖繩につきましては、現在の段階におきましては詳細な調査の結果がございません。
  14. 渡部一郎

    渡部(一)委員 現在不発弾に対して地元から届け出が行なわれていると存じます。それは自治省に到着していると私は思っております。現在どれくらいが届けられておりますか。
  15. 松浦功

    松浦政府委員 自治省のほうにそういう届け出は参っておりません。
  16. 渡部一郎

    渡部(一)委員 警察にはありませんか。
  17. 相川孝

    相川説明員 先ほど資料の御説明の際に申し上げましたように、警察のほうにいわゆる情報の形で連絡されているものはございます。しかしこれは不発弾等埋没されていると思われるということでございまして、まだ確認いたしたというものではございません。
  18. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは私は、これだけの資料をいただきました段階で御質問をいたしたいと存じます。  言うまでもなく、先ほどの御説明をそのまま伺ったといたしましても、終戦以来死者二百四十二名、負傷者二百二十九名にのぼる、一つ戦闘行為にも当たるような戦いとも言うべきものがこの事件で続いているわけであります。したがいまして、こういう問題については、生命の尊重というような観点以前に、原始的な立場で、もう重大事項として処理を進めることが大切であると存じます。そんなことはおわかりだと思うのでありますが、この処理状況対策の立て方その他を拝見しますと、きわめて遺憾であるといわざるを得ないと存じます。まずは不発弾がどこにあるか、地元ではいろいろと心配をして警察にかけ込んだり、あるいは所属の市町村に持ち込んだりいたしているわけであります。その総量すらつかまえていないということは、はなはだ不手ぎわではなかろうかと私は存じます。しかもその総量すらわからないというのは、現地担当局が不明であるという点にまず一つはしぼられるだろうと思います。総量くらいは計算しなければ対策立てようがない。沖繩の方がこうしたことをわかったとしたら、一体われわれが心配しているのを本土ではどう受け取っているのだ、どこへ資料が行ってしまったのだと嘆かれることだと存じます。このくらいはまず直ちに——先ほど総理府がこの問題を扱う旨係官の方から御発言がございましたが、総理府としてはこれに対する対策本部をつくり、直ちに何件の届け出があったかを確認の上、その処理に対する基本的対策を立てるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  19. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生がただいま言及されました点は、現在の沖繩における不発弾実態調査について総理府として直ちに取り組め、こういう御指摘のようでございます。役所の権限のことを申し上げるつもりはございませんが、現在総理府におきまして管理官が担当いたしておりますのは、発見されました不発弾処理をする場合に交付金交付事務の取り扱いと、こういうことでございまして、この調査全般にわたって総理府としてこれを担当すべきかどうかという問題につきましては、他の省庁とも十分相談をいたしませんと、私どもだけでそれをいたしますという答弁は申しかねるのでございます。
  20. 渡部一郎

    渡部(一)委員 担当局をきめるために御相談をしなければならないなどということは、私はわかっております。そんなことを一々伺おうと思っておりません。しかしこれはどこかが担当しなければならぬことは明らかです。爆発が起こってもう何日たったとお思いでしょうか。その間担当局を、これだけの省庁が集まってなおかつまだきまらないのでしょうか。小渕さん、私もう率直に言わしていただくけれども、あなたのいまの答弁は、お役人がいままでやってきた上では、うちはお金出すだけだというのは、答弁としてそれはけっこうです。しかしこれからどうするかという姿勢は欠いておりますよ。行政というのはいままでこういうしきたりできたということを説明することではなくて、異常事態が起こったらその異常事態に対してどうするかということを、積極的に前向きにつくり出していくというところに行政の適応力があると思うのです。行政の伸長性というものがあると私は思っておる。その意味ではいまの御答弁は失格ですね。きょうは手がたくお答えになりたくなるのはわかる、大臣もいないことだから。だけれども、あなたは少なくとも政務次官として、しかも本委員会に政府側を代表して、きょうは大臣がいないにもかかわらず本委員会を開いたということは、大臣がいなくても責任ある答弁を政府側から求められると思うから、私は伺っておるのであって、そういう御答弁の趣旨がずっと続くのだったら、私は委員会を停止して、そして大臣の再出席を求めてやり直すしかない、そうでございましょう。だからあなたの御答弁は、いまのは半分です。いままではこうだった、それはもういいでしょう。しかしこれからです。うちはお金を出す局です、それはけっこうです。あなたは政務次官として、少なくとも政府委員として、この問題についてはどこかの局が担当して状況を全部把握して処理をつけますとあなたは言わなければいけない。それをあなたは総理にかわってここで言う必要があるのだ。それをひとつ答弁していただきたい。
  21. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げましたのは、沖繩県における不発弾処理の問題全般にわたりまして、今後どこの省庁が責任持って取り組むべきかと、こういう御質問でございましたので、総理府として責任を持ちます、こういう答弁ができないということを申し上げたのでありまして、今回のこの悲しむべき事件につきましてどう取り組むべきかということにつきましては、内閣といたしましてはさっそくに関係省庁の係官を現地に派遣をいたしまして、現地状況をつぶさに調査をいたしますとともに、政府部内におきましても関係省庁の担当者が集まりまして、国家賠償法の法律問題を含めまして、現在鋭意、本問題についての処理につきましては全力で取り組んでおることは、御理解いただきたいと思います。
  22. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それはあなただめですよ。総理府としてはこの問題について責任が持てないなんて、あなた途中で言うたけれども、そんなことを言ったらしようがないじゃないですか。総理府というのは、総理のいろいろな仕事について残るところなく、各省庁が持っていない分全部持つのが総理府ですよ。いいですか。仕事はみんな持つのが総理府なんです、ごたごたした変な問題が起こったら。いま沖繩問題というのは行政の谷間にあった問題だ。だから総理府が所管しているのです。あなた、総理府が責任持てない、いま調べてはいるが、責任持てないなんて言わないで、あなたは責任持たなければいけないのだ。あなたが持たなかったらだれが持つのですか。どこが持つのですか。警察が持つのですか、建設が持つのですか、自治省が持つのですか、外務省が持つのですか、どこが持つのですか、それをきめなければいけないじゃないですか。  しかも不発爆弾による事故は、ここで申しわけないけれども、この出していただいたデータには、昭和四十七年から事故が起こっているのじゃないですか。四十七年から事故が起こって、もういま四十九年じゃないですか。二年間あるじゃないですか。しかも現在爆弾が破裂してから——爆弾が破裂したのはここにちゃんと書いてあるように三月の二日じゃないですか。きょうは何日だと思います、七日ですよ。五日たっているじゃないですか。五日の間何していたのですか。私だって委員会質問資料をそろえようと思って数日前から調べた。資料要求もした、いろいろやった、そんなのは当然のことだ。あなたが知らないわけじゃないじゃないですか。それなのに、あなたは、まだ——担当局をどこにするか明確にするとか、あるいはこの問題については連絡会議等を招集してその問題を扱う特別の連絡会議をつくるとか、何かの方針について明確にいたしますと言わなければいけないじゃないですか。なぜ言えないのですか、そんなことぐらい。そんなことも言えないのだったら、あなた、言いのがれもはなはだしいじゃないですか。議論が進みやしない。ぼくは、いろんな問題点があるから指摘しようと思うのに、あなたがやる気がないのじゃしようがないよ。  西銘さん、あなたに聞きましょう。もうこっちはだめだ、こんな調子じゃ。どうかしているのだ、ほんとうに。  あなたは、責任持ってこの問題についての担当局をつくるように努力しますか、それを聞かしてもらいましょう。
  23. 小渕恵三

    小渕政府委員 渡部先生、私の答弁が不十分でありましたらお許しいただきたいと思いますが、当問題につきましては、総理府が何も責任を回避するということでないのです。これは内閣全体の問題として取り組んでおることでございまして、この問題については、内閣におきまする審議室が中心になりまして、各省庁間の問題点を洗いまして、現在そこを中心にして懸命の作業を進めておるという段階でございますので、総理府の総務副長官としては、内閣全体の問題についての責任を持った御答弁ができない、こう申し上げておるのでございます。
  24. 渡部一郎

    渡部(一)委員 あなた内閣法を知らないのですか。大臣というのは、日本国憲法にも書いてあるのですよ。大臣というのは、内閣総理大臣に任命されますけれども、閣議を招集された場合は、その閣議において国政全般に対して責任を持つというのが閣議に参加する人の責任であり、そしてまた、それを補佐するところの政務次官の責任ですよ。責任持てないとは何ですか、ことばじりをつかむようですが。審議室がやっているから、内閣全体の責任持てないとは何ですか。責任持つのはあたりまえじゃないですか。ここは内閣を代表してあなた出てきているのですよ。この問題については、国民の不安を解消するように——あなたの答弁はこうでなければいけない。国民の不安を解消するように、担当責任を明確にするよう努力いたします、というのがあなたの答弁でなければならないのです、ここでは。そうでしょう。何ごたごた言っておられるのですか。そうでしょう。もう一回答弁してください。
  25. 小渕恵三

    小渕政府委員 私が内閣全体の立場に立って御答弁を申し上げるということは、そうしたい気持ちはありますけれども、現在の私の立場といたしましては、総理府の所管しております不発弾処理交付の問題について責任を持つ立場での御答弁以上の問題については、率直に申し上げて御答弁できないということなんです。ただ、政府全体としてこの問題について取り組まなければならないということは、先生指摘のとおりでありますし、それから、本問題については、関係省庁、現在通達によれば四省庁がそれぞれ責任を持つということに相なっておりますけれども、そういう各省庁間の連絡を十二分に密にしながら、当問題について取りまとめをしていかなければならない総理府としての任務を遂行しろ、こうおっしゃれば、まことにそのとおりでございますので、御指摘のとおりに全力をあげて努力をしていきます、こう申し上げておるのでございます。
  26. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この問題に関して内閣全体を代表して答弁のできる、責任ある人の出席を求めます。そうでなければ審議は進みません、こんなのじゃ。内閣全体に責任を負えない人を相手にして委員会で審議できますか。私はこんな委員会はナンセンスだと思う。私はこんなのじゃ質問できない。個々の責任を問うているのではない、内閣全体がこれに対してどうやるかを聞いているのじゃないですか。あなたの論法をもってすれば、衆議院の全委員会は全部総理大臣が出てこなければ何にも答弁できないことになりますよ。そうじゃないですか。総理大臣が出てきて初めて全部答弁できることになるのじゃないか。あなたがそういう論法でいくなら私はしようがない、ここで総理の出席を要求します。総理が出てくるまでこの委員会をやめようじゃないですか、こんなばかな話。委員長、この件に関して理事間の御協議をお願いしたい。
  27. 小渕恵三

    小渕政府委員 私の説明不行き届きであれば御容赦いただきたいと思いますが、不発弾処理の問題につきましては、総理府としてはそれだけの権限しか現在ありませんとこう申し上げているのです。しかしながら、かりにも私が総理大臣を補佐するところの、総理大臣を長とする総理府の副長官としてさらに幅広い発言をお許し願えるとすれば、当問題についても先生の御指摘を十二分に承りまして、政府部内全体の問題として当問題について積極的に取り組みたいと申し上げておるのでございます。御理解をいただきたいと存じます。
  28. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは、私は事を荒立てたくないからあなたのその答弁でがまんしますよ。ここで委員会を停止して総理を招集したって一向に差しつかえない問題だ、さっきみたいな変な言い方をするならば。ほんとうにもってのほかだ。血だらけになって倒れている三十四人の人の姿を目の前に浮かべてごらん。そんな木で鼻をくくったような答弁ができるかどうか考えてもらいたいと私は思う。だけれども、あなたもお若いことでもあるし、私ももうそれ以上言いません。ただ、あなたは努力してもらいたい。政府部内で努力しなければいけない。西銘さんも同じだ、努力しなければいけない。五日間もほうっておいて担当部局がきまらないなんて、こんなばかな話があるか。どうかしているんだ。どうかしているという感じを持ってもらいたいから私はやかましく言っているんです。  それでは私、次にもう一つ、今度は内容に入って申し上げたいと思う。  先ほどから交付金の額が問題になっております。今回この爆発物処理に関する沖繩県に対する不発弾等処理交付金交付規則というのに基づいてこうしたものが行なわれている旨御説明がありました。これによって今期予算の中で一体幾らが日本国全体の不発弾に対して用意されたか。そして沖繩県不発弾処理に対しては一体幾ら幾らが予定されておるか伺います。
  29. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  昭和四十八年度一般会計予算におきましては、不発弾処理処理交付金といたしまして一億円が計上されておりまして、沖繩県におきましては六百七十七万九千円の計上に相なっております。
  30. 渡部一郎

    渡部(一)委員 現在五百万円の足切り、つまり費用がかかると、五百万円かかった分については足切りにして、それ以上の費用の二分の一を支給されるものだと先ほど御説明がございましたが、大体現在かかるところの不発弾処理、値段はいろいろ上下がありますでしょうが、一体一発を処理するのにどれぐらいかかっておるのか、そしてこの六百七十七万円では一体何発ぐらいを処理する見通しであるのか、伺います。
  31. 小渕恵三

    小渕政府委員 一発の処理費の単価につきましては、専門の方から御答弁いただきたいと思いますが、処理いたしまする費用につきましては、従前申し上げておりますように、各省庁、特に実際の処理においては自衛隊でございますが、そういう各省庁間が使用いたします費用につきましては、その省庁におきまする支出と相なっておるわけでございまして、その費用以外の費用についての交付について総理府としては支出をする、こういう仕組みになっておるものと思っております。
  32. 伊藤廣一

    伊藤政府委員 お答え申し上げます。  一発にどのぐらいかかっているかというのは、先ほど申し上げましたように、それぞれ自治体と防衛庁自衛隊と協力して従来ずっと掘ってまいっておるわけでございます。ですから、一発当たり幾らかというのは、場所により条件によって非常に違うわけで、ほとんどお金もかからないで掘れるものもございますし、それから家屋を移転させるとかいうことになると非常に多額な金がかかるということでございまして、過去三年の平均、実際に各地方公共団体処理した、こういう御報告に基づいて平均をいたしますと、一発当たり四百四十万円程度になるというのが最近の処理の平均の価格、こういうふうな……(渡部(一)委員「それは交付した費用ですか」と呼ぶ)交付は四十八年度から始まるわけで、交付としてはまだ実際に交付をしたということはございません。いま計画を進めて、最終的に詰めてやるということになっております。  それからもう一つ先生のおっしゃられました六百七十七万というものですが、沖繩県につきましては先ほども申し上げましたように、まだ掘る費用の点についての交付金ではございませんで、もうすでに掘り出されたり発見されたり、住民からの届け出に基づきまして自衛隊が集めてきたその爆弾等を置く場所確保料、そういうふうなものでございます。
  33. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そういたしますと、これはまたこの費用ははなはだ不適当だというふうに議論ができるのではないかというふうに私は考えるわけであります。つまり、なぜ不適当かと申しますと、第一に爆弾のいま処理されている総量その他については明確な統計がございませんが、先ほど本席で陳情をなさいました沖繩県の方の表現によれば、終戦以来百十三万九千個を処理した旨御発言がありました。荒っぽく申しますが、この百十三万九千個処理したということが正しいかどうかは別といたしますが、そうすると一年当たり、約三十年でありますから三十年で割ったといたしますと、年間当たり約三万個ないし四万個を処理した勘定になるわけであります。そうすると、三万個ないし四万個を処理するということは、一発処理するのに三年平均で四百四十万という先ほどのお話でありますから、四百四十万でございますと、千三百二十億から千七百六十億という費用がかかる。四百四十万円ということになると、これがほとんど五百万円の足切りという制限にかかってしまいますから、これは地元負担がどっとかかってしまう金額になるわけであります。そうすると、年間三万個とか四万個というのは、沖繩県財政としては全く処理できない数字になってしまいます。したがって、逆に言いますならば、今度はそれだけの費用を自治省あるいは防衛庁その他のいろいろな費用の中で分担、受け持ったといたしましても、この爆発物処理する用地の確保料としてこの六百七十七万というのは非常に少ないのではないかと思います。その理由は先ほど御説明をいただきましたが、糸満の伊保島というところを借りておるという御発言がございましたが、私が先日御説明を政府委員から聴取したところによりますと、そこに琉球鉄工という会社があるんだそうであります。その琉球鉄工の裏にある倉庫のあき地を利用しているのだそうであります。この琉球鉄工というのは爆発物の解体を業としているものだそうでありまして、古い鉄などの回収を業とされているようでありますが、その裏を使っておる。ところがこのような数万発という量になりましたら、そのあき地に置くにはあまりにも巨額な、巨大なものになるわけでありますからとうていできない。また爆発物の常といたしまして、長距離を運搬して妥当なものというのは少数であって、爆発物は現実としてあまり距離を移動しないで爆発処理というものを行なわなければならないことは当然であります。そうすると、沖繩県でこの問題を片づけようとすれば、おそらく那覇本島の中南部においては爆発物処理場というのは数十カ所が必要であろうと思いますし、またそれは現に用意しなければならない段階ではないか、こう考えるわけですね。そうすると、それに対する用地確保のための予算が今期予算の中に組まれてないということは、これはいままでこの問題を大きく扱ってなかったのかもしれないが、非常に不穏当ではないか、私はそう思うのですが、どうでしょうか。この六百七十七万じゃあまりにも少ないのではないか。今後予備費その他の形でも何とか増額するなり、もうちょっと処理場を多数設置するなり、そういう形というものが必要ではないかと思いますが、どうでしょう。
  34. 小渕恵三

    小渕政府委員 まず議論を進めていく上に、先ほど私ども管理官が御説明した数字について誤解があるようですから改めさせていただきたいと思いますが、一個当たりの処理費用、こういうことでございませんで、一件当たりということになっておりますので、この点御了解いただきたいと思います。  それからただいまの御質問の点につきましては、御指摘のように現在沖繩におきましては琉球鉄工株式会社におきましてその処理を行なっておるようでございますが、現在までに自衛隊が当所を利用して処理をいたしまして先ほど御報告のように約四十三トン無事故処理できておるわけでございます。したがいまして、現在におきましては当地をなお利用いたしまして現在発見分についての爆弾処理をしていきたいと思いますが、御指摘にありましたように場所を移動して、その際運搬等の過程において事故が起こるというようなことになりますと、これまたたいへんな問題を惹起するわけでございます。でき得れば現地並びに現地に近い地域において処理することが一番望ましいとは思いますが、この点につきましてはさらに現状をよく把握をいたしまして検討してみたいと思っております。
  35. 渡部一郎

    渡部(一)委員 事務当局、お答えください。
  36. 伊藤廣一

    伊藤政府委員 先ほどのお話で百三十数万発、こういうことでございまして、年間にいたしまして三万幾らということがございましたが、それがいわゆる不発弾という爆弾であるのか、そのほかの砲弾あるいは小さな銃弾というものも入っているのか私つまびらかにいたしませんけれども、いずれにせよそういうふうなものが発掘をされまして、かなりある時点まで野積み状態というふうな危険な状態にあったことは事実のようでございます。そういうふうな状態にあったということを踏まえて、本年度からその処理を先ほどの伊保島というようなものを借りてやっておるというようなことで、その処理につきましては自衛隊が直接やっておりますので、現在私どもといたしましては非常に場所的に不十分である、足りないというふうな話は聞いておりませんが、その辺の現地状況については自衛隊のほうがある程度わかると思います。
  37. 伊藤廣一

    伊藤説明員 沖繩における自衛隊処理要領でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、警察のほうから御連絡を受けました場合、陸上自衛隊処理班が参って不発弾状況、それから処理の手順、それから安全性等を検討いたします。現在処理のやり方といたしましては、原則としては現地において一番危険な信管等の除去作業ができればこの信管等の除去をいたします。そして沖繩県で用意しました伊保島の処理場では、海中投棄のためのコンクリート詰めというのをやっております。  なお、米軍の読谷の不発弾処理場、これは日米共同使用で自衛隊も使用できることになっておりますが、ここにおきましては五十ポンド以下のものにつきましては爆破処理をやるという手続きをとっております。  なお、自衛隊自身が処理に要します費用につきましては、自衛隊独自の予算でやっておりますので、この点につきましては、先ほどの総理府の御説明とは別個の経費でございます。  以上でございます。
  38. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そうするとこれで問題は、費用については、現在何発あるとかいうのがわからないし、どのくらいのトン数あるかもわからない。ですから推定の論拠を欠いているわけです。私が申し上げているのは単なる推定にすぎない。しかし相当多数あることはわかっていますね。また先ほど象徴的に言われたけれども沖繩爆弾の上にあるという地元からの発言、これは無視できないわけでありますが、こうした象徴的な数字からぼんやりしか推測できないが、まあ数万発とか数十万発とか、そういう巨大なランクの爆弾あるいはその他の爆発物があることは想像にかたくない。そうしますと、それを処理する費用というのは数百万円のランクではなくて数億、数百億あるいは私が述べたような数千億というランクにまで到達することは想像できるわけですね。そうすると私は取り組みの姿勢、予算のつけ方についていま問題にしなければならない。予算のつけ方は過少に過ぎる、少な過ぎるし、その少な過ぎるものを算定した算定の根拠自体が薄弱であったということがいえると私は思うわけなんです。したがってこの予算について、いま申し上げたことはもうちょっと何とかしなければいけない。だから急速にまず担当部局を明確にする。推定埋蔵量ということばを使うと変ですけれども推定埋蔵量にひとしい推定爆発物量を集計する。そうしたらこれに対する処理対策をきめると同時に予算の増額をはかる、これは当然出てくることだと思うのです。ですからまだいまは数字がわからないのですから何ともいえませんが、爆発物が出てきたら、ある程度見通しがついたら予算については組みかえられるなり補正されるなり、そういった点を考慮される余地があるかどうかお伺いしておきたいと思うのです。
  39. 小渕恵三

    小渕政府委員 今回のような事件の発生を考えるまでもなく、不発弾処理につきましては、政府としても本格的な取り組みをなすべきであるということについては、お説のとおりだと思っております。しかしながら、はなはだ残念ながら、現状におきましてはようやく四十八年度におきまして地方自治団体が処理をいたしまする費用の二分の一交付というような予算的処置が初めて講じられたような段階でございまして、これに加えてさらに不発弾が地中に埋没しておるものの調査全体を明確に把握をした上で、なおその処理をいたしていくためのこれからの処置というものはなかなか困難が多いものだろうと考えております。しかしながら、御指摘の点はよく理解できますので、今後政府としても懸命に取り組んでいきたいと思っております。
  40. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでもう、押し問答はかなり続いておりますから、私率直に申し上げるのですが、おそらくこの弾薬を処理しようと思ったら、一億円の補助金という、補助金の金額が少な過ぎますよね。全く少ない。そうして、その一億円の中で、沖繩県の分がたかだか七百万ぐらいのことだというのは、もう話にならぬわけですね。だから、本土側の不発弾処理の問題に一億出すのはそれはけっこうでしょう。けれども本土側で不発弾処理した経験を伺いますと、私は東久留米における爆弾処理に一発で一千万以上かかった、そうして非常にぐあいの悪いところでは一億かかりそうなのがあるという報告まで伺いましたところを見ると、この爆発処理は地方自治体にだいぶ費用をおんぶするとしても、かなり少ないものですね。しかし沖繩の場合は、本土爆弾量のランクが違うわけですから、この総額固めての一億円という考え方はもう初めから御破算にする必要があるわけですね。ですから、少なくとも沖繩県爆弾処理については費用を全然別個に計上する必要がある。その費用の第一は、届けられたのを待って処理するのではなくて、調査するための費用をつけなければいけない。その調査する費用をつけるというあれがないと、これはとんでもないことになると私は思うのです。だから、いまの地雷探知器であるとかあるいは地磁気の変動に基づく大型爆弾の発見のいろいろな電気機器類の発達というものは非常なものだと伺っておる。そして地下を走る細いパイプの水道管のきれ端まで見方かると聞いておるのですから、これほどの爆弾量を、そう深くない深度で一応総ざらいすることは不可能ではないと私は思っておるわけですね。したがって、まず調査する。調査機器類を整備する。調査機器類の整備がなければ調べられないのですから。徹底的にそういう機器類でも用意して、そうして特別に調べ上げる。そうして、その調べ上げたものについて今度は掘り出す予算をつける。掘り出す予算をつけなければ、これは掘り出す予算沖繩県当局側にはない。こんな何十億もかかる予算、たださえ超過負担が大きい時期、そうして物価が狂騰時期を迎えた沖繩県側がこれを負担できないのだから、掘り出す費用を沖繩県側にちゃんと上げる。それは終戦時の混乱を一手に引き受けた沖繩県民に対する本土国民の義務であると私は思うのですね、それくらいの掘り出す費用を出すのは。また当然そういうことは認められるべき問題だと思う。そうしたら、掘り出したら、今度は爆発処理をするために処理方法とその処理場をもっと広げなければならない。そうして処理方法を明確にする必要がある。ここまでの一貫作業をやっていただきたい。そうしてそれを予算化して大蔵省と折衝していただかなければならない。これをひとつきちんとやっていただきたいと思うのです。そうして、このような膨大な数量の爆弾があることがわかったら、五百万円の足切りというのは、沖繩県財政に明らかにその五百万円の足切り分がかぶってきている。それ自体が沖繩県側をして爆弾処理を、今年は十個ぐらいにとどめようとか三十個にとどめようとかというブレーキになる予算措置になってしまう。早く掘り出すほうが得なんではなくて、ゆっくり掘り出すしか県財政を維持する方法がなければ、沖繩県の当局側としては、自分の良心はあったとしたって、処理スピードというのはダウンしていくのは当然なんです。早く掘るほうが得する方向に向けなければいけない、それがお金を生かして使う道であると私は思うのですね。そうすると、今後この爆発物処理に関する予算のつけ方に関しては、これはもう全く——六百七十七万という予算がついているということでは、もう話のほかだと私は思うのです。私は本予算案には反対党の立場ですから、これで少な過ぎるということで全部、反対する理由の一つでもあります。  しかし、私がいまここで取り上げているのはその問題ではなくて、ともかく、こういう欠陥がわかってきた以上は、勇敢に、これに対して特別の措置をとることをどうしてもきめなければならないのじゃないか。そうでなかったら、これだけのものすごい爆弾の巣の上に住んでいる沖繩県民に対する責任はとれないのじゃないか、こう思うのですね。ですから、本委員会におけるこの質疑を通して、ひとつぜひともこれはわかっていただきたい、何とかやっていただきたい。政府を担当なさっている皆さん方に、急速な、画期的な、また徹底的な討論と対策を樹立していただきたい、当委員会に対して、その対策の樹立について御報告を求めたいと私は思うのです。これはあまり不安だし、私、幾ら議論しても答えが出てこないのじゃ、本日は、これは討論にならない。私が一方的に言うばかりで皆さん方が聞くばかりでは、これはしようがないのだから。対策がないのはわかったのだし、そして関係部局がうまくきまっていないのもわかりましたから、私はそれをこれ以上責めようとは思わないが、せめて、すみやかにこれに対する対策を立てて、本委員会に御報告を願い、かつは沖繩県民に報告ができるようにひとつ御努力をいただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  41. 小渕恵三

    小渕政府委員 沖繩県が日本の唯一の戦場として特別な地域であることの認識に立って、御指摘のような点につきまして全力を尽くして努力していきたいと思っております。  そこで、ただいま御指摘にありました調査発掘処理場の問題等、御言及がございましたが、この調査の問題につきましては、不発弾処理交付要綱、これによりますと、その第三条の二項の中に「発掘に直接必要な探査を含む。」という規定があるのです。そこで、私もこれを読みまして、これで調査することができないか、こういうことを事務当局にお話ししたのでありますが、しかしながら、この文章だけですと、発見されたものについて直接な探査をする、こういうことの調査はできるけれども、全くどこにあるかわからないというものを調査することはできかねるというような見解をとっておるようなんです。しかしながら、御指摘にありましたように、問題はどこにあるか、そしてそれがもし爆発したらどのような被害を起こすかというようなことについても、やはり取り組んでいく必要があるのじゃないかという気がいたしております。しかし、これは予算的な処置を講じなければなりませんので、その処置ができることと相まって考えなければなりませんが、基本的には、この調査ということにつきましても積極的に取り組むべきだ、こう考えております。  それから発掘についての費用の問題、これは沖繩県につきましては実は特別な規則をつくりましていたしておるのでございますが、沖繩県におきまする地方自治団体の財政能力の問題等がございます。しかしながら、当問題につきましては、ただ国だけで全部の責任を負うべきかどうかという問題については、まだ法律的な疑義もいろいろありまして、やはり地方自治団体と協力してやろう、こういう姿勢になっておりますので、この点、沖繩の特殊な状況もかんがみながら、考慮はいたしますが、地方自治団体の応分の負担もいただかなければできないのではないか。しかし、国としては、前向きで国自身が責任を負うという積極的姿勢を保ちながら協力をいたしていくことだろうと思います。  それから処理場の問題につきましては、先ほど防衛庁から、現在発見されたものの処理については御説明がございました。しかし、やはりこの危険はいずれのところにも発生するということは、どこでも保証できないわけでございますので、できる限り危険のない場所を今後考慮できるなれば、そうした場所を積極的に確保しながら、かりにも運搬あるいは遠くに運んでいくところで事故がまた発生することのないような考慮は払っていくべきものだと考えております。  以上、御答弁申し上げました。
  42. 渡部一郎

    渡部(一)委員 いままでの本土における総理府の所管された不発弾処理に対する交付金でありますが、東京の東久留米市の例でいきますと、九千三百二十二万一千円が支給されております。これは人口密集地に関しまして補償費を主体とするものだそうであります。ところが、こちらの沖繩県のやつは、不発弾処理作業確保する金ともいうべきものであって、借地料に似たような形のものであります。しかしながら、東久留米のほうが九千二百万円などという費用で、沖繩のほうが六百七十七万と、金額的にもはなはだ違っておる。そしてさらに東久留米において、費用についてのいろいろな処理に関してこの間からもめごとがあり、総理府の補助だけではできない旨東久留米市側が主張し、総理府で出せなければ、足切り分五百万円を含めて自治省残り全部を肩がわりして特別交付金を出せというふうにさんざん要求したなどといういきさつがあり、今回の予算措置となったと承っておるわけでありますが、おそらくそうしたことであろうと思うのですが、全額国庫負担という実質的な形というものができ上がったわけだと思っております。ところが、五百万円の足切りでございますが、それはもう沖繩県では無理なんですね。これもひとつよくお考えいただきたい。いまおっしゃいましたように、見つかってないものをさがす費用がないとか、既存の法律で仕事をしろと私は言っているわけではない。これは明らかに新しい運用要項をつくらなければならない段階です。しかもこれは単なる法律ではない。内閣総理大臣が決定された要項ですから、総理の決定でどうにでもなる。五百万円の足切りなんという部分を飛ばすことだって可能なんですね。ですから、これは当院が立法するのではなく、政府側としてこれに対する対策を立てていただかなければならぬ、私はこう申し上げておるわけであります。したがって、副長官が先ほどから申されておりますように、いままではちょっとまずかったのかもしれませんけれども、これからはこの問題を積極的に解決をしていただいて何とかしていただかなければならぬと思っておるわけです。  それから、私はあともう一つ申し上げたいのは、このけがをした人、そしてなくなられた人、あるいは家屋自動車等損害を受けた方、こうした方々に対する損害の賠償の問題であります。これについて先ほど国家賠償法の適用を含む調査を行なっておる旨副長官は発言をされましたが、これはどういう方針で臨まれますか。今回の事故の補償について沖繩県側としては、これは国家賠償法に基づいて処理をされることを期待しているようではありますが、本省としてはどういう態度をもって臨まれるか、それを承っておきたいと存じます。
  43. 小渕恵三

    小渕政府委員 今回のこの事故につきましては、私といたしましては、悲しむべきこの事件に対して国としても積極的に取り組むべきだ、こういう気持ちをいたしておりますが、しかし先ほど申し上げましたのは、その法律の適用を考えておると申し上げたのではありませんで、その法律も含めまして今回の事件が対象になり得るものかどうか、現在その事件の詳細な報告を待ちつつ、今日におきましてもけさほどから、事務当局で鋭意検討中である、こういうことでございます。
  44. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そうしましたら、それに対する早急な御結論を出していただきまして、少なくともこうした痛ましい被害者に対する最後の手当てもまた万全であっていただきたいとお願いする次第であります。特に早急な御決断をお願いしたいと存じます。
  45. 小渕恵三

    小渕政府委員 いやしくも事務的な検討で時を過ごすということは、これは全くいけないことでございますので、早急に結論を得るべく努力をいたしてまいりたいと存じます。しかし、私が知り得ている範囲におきましてはこの爆発物の財産問題から始まりまして法律的な問題がいろいろとからみ合っておるということでございますので、早い処理をして早く何らかの処置が講ぜられないかという気持ちはまことに大きいのですが、かといって、一方法律とのからみも十二分に検討しなければならないと思いますので、繰り返して恐縮ですが、冒頭申し上げましたように、早急に結論を得べく努力をいたしてまいりたいと思います。
  46. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私は、これは単なる災害でなくて、戦災に準ずるものであると思うわけですね。したがって、戦時災害と同じ形で、物が残存しておる、そしてその残存した物が今日これほどの被害を招いたということを考えるならば、私は現在価格に直した戦時補償があってしかるべきだと思います。したがって、新聞紙上には報道されておるのでありますが、危険地域を特別に指定する。特定危険地域というのを沖繩県で早急に指定しなければならぬとかあるいはこれに対して、数ある災害、特殊災害、風水害と同じようなやり方ですが、そうした形で費用を出すとかこうした問題については早いほうがいいわけだと思います。というのは、災害のときの火事見舞いでもそうでありますが、早くお見舞いを持っていくことが傷ついた人たちを立ち上がらせるには非常に効果的でありますが、二年も三年も、へたをして裁判ざたにまでなって、それからゆっくりお金が出ることでは、これはせっかくのあれがだめになってしまう、そういう意味では、私はこれに対しては早急な態度が必要であると存じます。  それから私は、これと関連しますが、不発弾処理についての交付金でありますが、これはこれとしまして、今度は沖繩県の水域における機雷の処理状況についてお伺いしたいと存じます。  これは海上自衛隊が担当されておるそうでありまして、自衛隊法にその規定があるわけでありますが、今日までどれくらいをどういう形で処理したか、また水域としては危険性はどうであるか、私は資料提出をお願いいたしましたが、海上保安庁側から御返事がいただけませんでしたが、その辺御回答をいただきたいと存じます。  それでは、海上保安庁が来られてないそうでありますから、後ほど呼んでいただいて御質問することにして、ただいまの質問は撤回をしたいと存じます。  それでは、不発弾処理に関しては、先ほど何点かを申し上げましたように、たくさんの問題点がございますが、西銘政務次官にひとつ御見解を最後に承っておきたいと思います。
  47. 西銘順治

    ○西銘政府委員 お答えいたします。  不発弾処理の問題については二つございまして、発見されました不発弾処理につきましては、関係省庁と緊密に連絡をとりましてりっぱに処理したいと考えております。  問題は、地下に埋蔵されました不発弾等処理の問題でございますが、現在の探知能力をもっていたしましては限界はありまするけれども、この限界の範囲内でフルに探査能力を活用いたしまして、埋蔵された不発弾処理に当たっていきたい、かように考えておるわけであります。ただ沖繩全島を掘り起こすわけにもいきませんので、国、県、市町村が協力いたしまして、中南部にかけて危険地域を行政指導によって設定いたしまして、その地域における公共事業、民間事業等の場合に、工法の点で危険がないように十分な行政指導をしなければならないと考えておりますし、それに伴う費用がかさむのであれば必要な予算、財政上の措置をしていかなければならない、かように考えております。  ただいま御指摘になりました賠償責任の問題でございますが、これは法律関係、事実関係ともにまだ固まっておりません。しかし、だからといって国の責任をのがれるというわけではなくして、関係省庁とこの件につきましては現在協議を持っておるところでございまして、責任があろうがなかろうが、いずれにいたしましても国が中心となって被災者の見舞い、また求償等に当たりたい、こういうような考え方に立っております。
  48. 渡部一郎

    渡部(一)委員 いまの御発言中、危険地域を中南部に設定する旨の御発言がありました。それは大事な御発言だと思いますが、いつごろまでにその危険地域というものは特定されるのか。またその危険地域というのはどういうことを想像しておっしゃっておられるのか、その辺ちょっと伺っておきたいと思います。
  49. 西銘順治

    ○西銘政府委員 お答えいたします。  これは法律あるいはその他の行政基準によって危険地域を設定するということでなくして、大体沖繩戦の激戦地としては、中部から南部にかけて予想されておるわけであります。そういうことで、地域を指定するにつきましては非常に問題もあろうかと思いますが、ただ工事を施工する際、あるいは下水道工事とかその他の公共工事等について、この地域は危険な地域だと考えられた場合、行政指導によって工法上の指導をして、危険のないような措置をとりたいということでございまして、いま詰まっておるところではございません。これは県、市町村とも協議してきめなければならぬことでございまして、ここで政府の方針としてこういうふうにきめたいと固まったものではございません。一つの方法としてそういうことも検討して対処したいということであります。
  50. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは爆発物の問題については、私の質問はその辺にしたいと存じます。  次に、米軍基地の返還の問題につきまして、さっそくお伺いをしたいと存じます。  先日の当委員会において資料の請求をいたしましたところ、外務省、防衛施設庁等よりこのたびの米軍基地の返還内容につき資料の御提出をちょうだいいたしました。この米軍基地の返還問題についてでありますが、アメリカの国防長官であるシュレジンジャーさんがこの三日議会に出した国防年次報告によりますと、アジア情勢の不安定さ、阻止力の必要性から沖繩を含む日本に海兵隊部隊、それから韓国に陸軍一個師団、太平洋各地に戦術戦闘機三個大隊、グアム、タイにB52戦略爆撃機を維持していく旨を明らかにし、また海上路線の確保の重要性を指摘し、三つの空母機動部隊を西太平洋またはときどきはインド洋に展開する方針である旨述べているそうであります。外務省といたしましては、あるいは防衛庁、防衛施設庁等においては、これらアジアの米軍維持の基本的立場についてどういう情報をあるいは御説明を得ておられるか、まず承りたいと存じます。
  51. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 この四日に一九七五会計年度国防報告というものがシュレジンジャー国防長官の名前で発表されてございますが、その中にただいま御指摘でございましたアジアにおける情勢判断と、それに対応する米軍の戦力配備ということについての記載があるわけでございます。この国防報告を読んでみますと、アメリカといたしましては、米国の軍事体制の決定に際しては、主としてソ連の軍事力を念頭に置くべきであるということから書き始めまして、現在の世界情勢の中におきまして、アメリカとしては軍事力の均衡ということを前提としての米軍の体制を固めていくという考え方をきわめて明確にしているわけでございます。その中におきまして戦略核兵器の配備の問題についてもかなり詳細に書いてございますけれども、シュレジンジャー国防長官が強調しておりますことは、米軍の現在の体制としましては一般目的部隊に対する重視でございまして、全体の約七〇%程度のウエートを一般目的部隊に置いているということを書いてございます。NATO正面に関する記述につきまして、ソ連を念頭に置きながらNATO体制の整備ということをいいつつ、他方アジアにおきましては、ただいま御指摘がございましたように、緊張緩和ということは進みながらも、情勢は依然として不安定である。こういう情勢に対処するための米国としての措置が必要であるということとの関連におきまして、いま御指摘ございましたように、アジア地域の安定を阻害しないようにこれ以上の大幅な、または急速な米軍の削減は行なわないということをいっております。そのあとに、これもいま御指摘ございましたような韓国に対する陸軍の配備、それから沖繩を含む日本に対する海兵両用作戦部隊の配備云々ということをいっているわけでございます。  なお、この年が明けまして以来、国防長官の議会に対する証言あるいはムーラー統幕議長の議会に対する証言、そこらを通じまして、米国防省が米国軍の配備あるいは体制の整備ということについてどういう考え方を持っているかということが基本的な形で表明されているわけでありますけれども、それらを通じて言えますことは、米国は現在ソ連との間に緊張緩和、平和共存という形での政策を一方で進めると同時に、やはりこのデタントを進めるためにも米国として十分な軍事力の整備を必要としている、こういう考え方をきわめて明白にしているように見受けられるわけであります。
  52. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ただいまの国防報告に対する御説明はありがとうございましたが、私が伺おうとするのは、この国防報告、そしてこの間から行なわれております安保協議委員会における協議の際に、今後における沖繩米軍基地の維持に関して米軍からの感触はどうであったかと伺いたいと思っておるわけであります。つまり私は、先日申し上げましたとおり、米軍基地の縮小に関してはたいへん裏切られた感じをした一人であります。というのは、こちらのかってな予想ではありますが、おそらく米軍基地は大幅に返還され、縮小されるのではないかと思っていたのに対し、非常に少ない面積が返還になりまして、こうした形での返還というものは、われわれが当初予想していたような五割とか七割とかの予想とは全く違った、一〇%前後というようなものにとどまりました。その後大河原局長は、当委員会における御説明の中で、今後においても米軍基地の縮小、返還に関して交渉をするようなニュアンスの御発言が行なわれましたけれども、私はそれはもう当然そうしていただきたいと思っているわけでありますが、その辺が明瞭でありませんので、国防報告あるいはたび重なる安保協議委員会における米側との接触を通して、今後も沖繩米軍基地の縮小に関して要求でき得るものかどうかの感触と、そして御決意のほどを承りたいと存じます。
  53. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 国防報告の中でシュレジンジャー長官は、一九六九年以来アジアにおいてアメリカはかなり大幅な兵力の削減、撤退というものを実施してきた。しかしこれはアメリカと中国との関係の進展並びにベトナム戦争の終息、こういう事態を反映するものであるけれども、基本的にはアジアにおいては引き続いて不安定な要因が残っておる。したがって、アメリカとしては急激に大幅な兵力の変更を行なうことは望ましくないということを言っております。私どもが従来米側といろいろな形での接触を通じまして、米側が一貫して申しておりますことは、アメリカとしてはこの地域の事態に対処するために、基本的には必要にして十分な抑止力というものを依然として確保していきたい。その一環として、アジアにおける兵力量について基本的に大幅なまた急激な変更を行なうことは全く考えないということを、いろいろな場で言ってきているわけでございまして、従来私どもが接触しまして得ております状況と、今回国防長官が国防報告で発表しました考え方とは、基本的に同じ方向のものにあるというふうに考えております。  一方、日本における米軍施設、区域の整理統合の問題につきまして、これは基本的に前々から米側との間には、その方向での努力が望ましいということについての意見の一致は見ておるわけでございますが、その過程において出てまいります問題は、米側としては軍機能の維持、すなわち軍の機能に重大な支障を来たさないということを前提として、施設、区域の整理統合に日本側と協力して取り組んでいくということであるわけでございまして、米側の強い要請は、軍機能の維持ということにあるわけでございます。  一方、日本側といたしましては、米側のその要請を承知しつつも、現実の国内における米軍施設、区域の状況を見た場合に、なおかつ施設、区域の整理統合を可能の分が十分あるはずである。こういう前提に立ちまして話し合いをやってきております。したがいまして、昨年一月の第十四回の協議委員会、ことし一月の第十五回協議委員会におきまして、米側との間にある程度の話し合いがまとまったものをそのつど発表してございますけれども、特に沖繩の場合におきましては、今回の発表で終わったというふうには私ども考えておりません。したがいまして、米側の要請、また日本側の国内的な事情を反映しての要請、こういうものの調和をはかりつつ、今後とも施設、区域の整理統合の問題に取り組んでまいりたいというのが、私どもの考えでございます。
  54. 渡部一郎

    渡部(一)委員 アメリカ局長にもう一つ伺いますが、そうしますと、今回第十五回の安保協議委員会が行なわれたわけでありますが、次回の第十六回の安保協議委員会あるいはさまざまな形でアメリカ側と接触があると思われますが、そういうなるべく早い機会に、さらに次の段階米軍基地縮小に関し要請をする用意がございますか。
  55. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 第十六回の安保協議委員会の日取りについては、現在全く白紙の状態でございまして、いつということをまだ日程にのぼせるような状況に至っておりません。ただ、今後のこの問題に対する取り組み方といたしましては、私どもとしまして、十四回の協議委員会、十五回の協議委員会で話し合いがまとまりましたものの実施に全力をあげていく。特に十五回の協議委員会でまとまりましたものの中には、移設並びにその実施に関する合意を前提として返還というものがございますし、また将来返還を前提として引き続いて話し合いを行なっていくという施設、区域もございます。これらを確定することによって、今回話し合いがまとまりましたものの具体的な返還なり移設を前提としての返還というものに、全力をあげて取り組んでまいりたいと思いますので、それを実施することなしに次のことを考えましても、なかなか現実的の問題になりがたいという実際上の問題があるわけでございます。したがいまして、方向としてまた目標として、今後とも引き続きこの問題に取り組んでいく覚悟ではございますけれども、まず何はさておいても、すでに原則的な合意を見ましたものの具体的な実施の促進、これをはかっていきたいというふうに考えているわけでございます。
  56. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私は、この問題に関しては、さらに早く早急な返還を求めるように要望しておきたいと思うのでありますが、次に、移転先の施設をつくることを条件として返還を合意したものがあるわけでありますが、その移設措置に関してでありますが、その移設措置は一体米側の要求に、もちろん基づいてつくるのでありましょうが、その移設措置が適切であるかどうかについての合意は、どこで、どういう形で、双方のどういう機関が接触してきめられるのかお伺いしたいと思うわけであります。  たとえば一つの飛行場を移すあるいは一つのキャンプを移す、その際にどういう規模のをどの辺につくるということに関して、どことどこが接触して合意してやるのか、お伺いしたいわけであります。
  57. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 一月の協議委員会で合意を見ましたのは、移設措置とその実施にかかる合意が成立後これこれの施設区域の全部なり一部の返還を実施するということでございまして、具体的な施設、たとえばキャンプならキャンプというものを、どこへ、どういう規模で、どういう手だてで移設していくかという具体的な作業につきましては、直接には施設庁が窓口となられて米側と接触の上で具体案をかためていく、こういうことになるわけでございます。その上で、事務的な手続が終わりました上で、合同委員会の場に上がってまいりまして、合同委員会を通じて日米間の合意というものがかためられるということになるわけであります。
  58. 渡部一郎

    渡部(一)委員 では施設庁に伺いますが、施設庁としては、その移設措置に関する合意はどういう形で、どういう接触の窓口でおやりになるのか、それをお伺いしたい。
  59. 奈良義説

    ○奈良説明員 御説明します。  施設庁は、合同委員会のもとに施設特別委員会というのがございます。そこの日本側の主管的な業務は担当しているわけでございますが、これの仕事の全部が施設関係するわけでございまして、いま大河原局長が申されましたように、この施設委員会を中心といたしまして、日本側は大体施設庁、米側は在日米軍施設を担当しております第四部というのが窓口で折衝することになると思います。しかしながら、さらにたとえば具体的な問題に入ってまいりますと、技術担当の人等特殊な人たちが必要となってまいりますので、四部以外の方たち、あるいは私どものほうでもいろいろな方たちと相談をいたしまして、施設委員会そのものというレベルじゃなくて、そのもとに、たとえば特別作業班というようなものを設けまして、そこで具体的な内容について検討するということになると思います。
  60. 渡部一郎

    渡部(一)委員 新しい施設をつくる場合に、米側と話し合う場合には、向こうはどういう場所にどういうものがほしいということに関しては、設計図なり何なりを持ち出してきて、かなり向こうの要求に基づいてつくるということになるわけですね。
  61. 奈良義説

    ○奈良説明員 そのでき上がりましたものを使いますのが向こうの軍でございますので、もちろん向こうの希望を無視したものをつくるわけにはまいりません。しかしながら、日本側にも予算その他の事情がございますので、これは交渉する過程におきまして十分検討して、ただ米側の要望をそのままうのみにするというような形で行なってはいないわけでございます。
  62. 渡部一郎

    渡部(一)委員 お伺いするわけでありますが、そうすると、今回その移設措置を必要とするものに関して、今期予算の中でそれは十分その予算案に見込んでおられると思うのですけれども、どういう款項目で、そしてどういう費用をこれら基地群について計上されているか、それをお伺いしたいと思うのです。できましたら、当委員会にもその資料提出していただきたいと存じます。
  63. 奈良義説

    ○奈良説明員 御承知のように、この合意が成立しましたのは一月の三十日でございます。すでに四十九年度の予算要求額がきまったあとでございます。公式的にはと言いますか、四十九年度には移設の経費は入っていないという御説明を申し上げるべきところでございますが、ただ、たまたま交渉している案件の中で、たいへん地元が急いでおられるものあるいはわれわれの目から見てこれは何とか来年度でも処置しなければならないというふうに考えているものが二、三ございまして、直接の移設の工事費といたしましては、キャンプ瑞慶覧で八千二百十八万六千円、それから嘉手納弾薬庫地区で二千三百十九万円、これは要求いたしました。移設工事費として要求いたしておりますのはそれだけでございます。ただ、これは十五回の安保協議委員会で行なわれます合意に基づいて行なわれます移設工事費の中に一括して組み入れられるというような考え方になるものだと思います。たまたま私ども作業の過程の中で四十九年に想定をして二つの案件を要求した、こういうものでございます。
  64. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それではこれらの施設に関して大体どのくらいの費用を要すると現在見込んでおられるか、これら全部の基地の移設に対して、移設措置を合意しているものに関して、大まかな予算なり見通しなりはもうすでにできておられると思いますが、それはどうでしょうか。
  65. 奈良義説

    ○奈良説明員 これはたいへん基本的な詰めをずっとやってまいりまして、したがいまして、金目を個々にこまかく積み上げて計算をしていくというような余裕がいままで全然ございませんでした。したがいまして、幾らかかるかなかなかむずかしいわけでございますが、たいへん大ざっぱにながめてみて五、六百億はいまの計算でかかるのではないか。ただしこれには那覇の軍港のリロケーションについての経費は一切考えないで、それ以外のものについて五、六百億円はかかるのではないか、このように考えております。
  66. 渡部一郎

    渡部(一)委員 その五、六百億ないしそうした巨額な費用に関しては、来年度予算あるいは本年の予備費の項目の中から支出されるおつもりなのであるか、それの予算的な扱いはどうされるおつもりですか。
  67. 奈良義説

    ○奈良説明員 リロケーションにつきましては、今後、先ほど申しましたように施設委員会、合同委員会を通じてこまかい詰めをやってまいらないとなかなか動けません。そういうようなことで、手をつけるまでにはかなり時間がかかろうかと思います。たまたま先ほど説明しましたような二件につきましては、四十九年度に一応計上いたしておりますけれども、それ以外のものにつきましては、早くて五十年度以降になるのではないかと思っております。  それから先ほど私ちょっと移設についての四十九年度予算の御説明をしたときに、移設の工事費として二件御説明申し上げましたが、そのほかにリロケーションのための調査をする経費として約四千万円ほど要求をいたしております。
  68. 渡部一郎

    渡部(一)委員 これは財政法のたてまえからいって合意せざる前にこれらの費用を見込むことは多少問題があるだろうと私は思います。しかしこの問題はいまここで取り上げないこととして、今後このリロケーションの費用というものについては、確定次第当委員会に対して御報告をいただきたいと存じます。なぜかといいますと、この費用については、私たちは新たなる米軍に対する財政義務を背負うわけであります。そしてそれは年度の末に伺えばいいものではなく、日米間の基本になる問題を含みますので、当委員会に対して資料提出をお願いしたいと思っているわけであります。よろしくお願いします。委員長、よろしくお願いします。
  69. 小濱新次

    ○小濱委員長 よろしいですか。
  70. 奈良義説

    ○奈良説明員 確定次第御説明できるようにいたしたいと思います。
  71. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは米軍基地の縮小に関する問題については、それで私の質問を終わりたいと存じます。  次に私は、CTSの問題についてお伺いしたいと存じます。  まずCTS問題の今日までの経緯につき、簡略でけっこうでありますが、沖繩開発庁にお伺いをしたいと存じます。今日までのCTS設置の経緯等につき、簡略に御説明をいただきたいと存じます。
  72. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 CTSの経緯につきましては、昭和四十五年当初にさかのぼりますが、昭和四十五年九月二十一日に沖繩県の与那城村の村長から三菱グループ、三菱開発及び三菱商事等でございますが、に対し地域開発のために進出をしてもらいたいという一般的な要請があったのが嚆矢でございまして、その後おもな経緯を申し上げますというと、四十六年の十月の二日に当与那城村議会が両者の間、会社との間の関係がございますが、覚書につきまして全会一致で承認をしておるということがございます。  それから下りまして四十七年の三月四日、琉球政府が三菱開発と三菱商事に対し外資導入を認可するという行為を行ないました。さらに四十七年五月九日、沖繩三菱開発は琉球政府から宮城島と平安座島との間の約六十四万坪の埋め立て免許を取得しておるということがございます。それから昨年に入りまして四十八年の五月十九日、県当局は沖繩石油基地のシーバース、すなわち海上停泊施設の建設申請を港湾法、港則法に基づいて許可をいたしております。そのようにしてずっとまいったわけでございます。なお四十八年の八月二十日には沖繩石油基地、これは三菱開発の造成後の新会社でございますが、県に対し消防法に基づき危険物の貯蔵庫、すなわちCTSでございますが、それの建設許可を申請いたしてきておるということがございます。  そのようにしてまいりましたが、現地におけるところの公害問題についての批判がいろいろ起こってまいりました。最終的にことし、四十九年一月十六日、屋良沖繩県知事は沖繩三菱開発に対しましてCTSあるいは石油関連企業以外の企業を立地してもらいたいということの要請をいたしておる。しかし同時に同日、同三菱開発のほうとしてはそれ以外の企業の立地は考えておらないということを知事あてに回答しておる、こういう状況でございます。
  73. 渡部一郎

    渡部(一)委員 沖繩のCTS、セントラル・ターミナル・ステーション、原油受け入れ基地についてでありますが、これは、沖繩県開発の計画として当初沖繩県側が考えた中では最大の規模のものであります。しかもそれが、私たちが予測をし、警告をしておりましたように、公害問題、その他の問題点から地元との協議が得られなくなり、暗礁に乗り上げてきた、こういうふうに言えると思うのです。私はこれに対して、今後どういうふうに行政指導を行ない、あるいは今後どういう方向になさっていくおつもりがあるのか、沖繩開発庁及び通産省に対してお伺いをしたいわけであります。要するに、当初予定されておりましたところでは、先ほどお話がありました沖繩石油基地では二百二十五万キロリットル、沖繩石油ターミナル株式会社関係では百二十万キロリットル、これはもうすでに既設しております。それからアラビア石油の六百万キロリットル、これは断念をしたそうでありますが、こういう大きなものがここにつくられようとしております。さらに私が現地で伺ったお話では、現地の通産省の出先の職員たちの希望では、すでに三千万キロリットルあるいは五千万キロリットルというようなものになれば非常に採算がよくなるというような考え方のもとにさまざまな数値の計算も行なっているのを私は見てまいりました。したがって、沖繩における通産省の行政のあり方というものはどういう方向に行こうとしておられるのか、これはまさに問題であろうかと思うわけであります。また沖繩開発庁としても、これだけの大きなプロジェクトが暗礁に乗り上げ始めてそして地元の県当局との衝突が起こる、そういう事態に対して本省側の意向が明確でないわけでありまして、その点が地元に紛糾の種をさらに大きくまいていると思うわけであります。私はまず自分の意見を言うのを差し控えて、どういうふうになさるか、お伺いしたいわけであります。
  74. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 CTSにつきましては、振興開発計画上の受けとめ方といたしましては、公害等が起こらないように十分な手当てを講じた企業の立地ということを推奨と申しますか、すすめたいというふうに考えております。CTSにつきましては公害性がないというふうに聞いておりますし、それの波及効果、これは地元財政上からも波及効果がございますし、また沖繩の振興開発計画を進める上におきましても関連企業の立地等波及効果は非常に大きいというふうに考えてきております。振興開発金融公庫におきましても、いつ何どきでも必要な融資ができますように地元の知事さんからの要請等も受けまして用意いたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、現地事情としましては、公害性という見地から非常に危惧の感じを持って県当局も方針を変えられたというふうにこれは伝え聞いております。したがいまして、私どもといたしましては当初の期待というものは持ちながらも、あくまでも県の振興開発を進めていく上にあたっての自主性というものを尊重し、地元の意向というものをそんたくしなければならないということから、期待を持ちつつも静観しておるということでございます。
  75. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  いま先生の御指摘で、通産省のCTS政策というようなものが明瞭であるかどうかという御質問かと思いますが、今度の石油危機におきましても非常に明らかでございますように、石油あるいは燃料油の供給が若干でも不足いたしますと、相当な社会的な混乱が起こる、それほどの基礎物資であるわけでございます。今回の石油危機は中東の原油供給の削減という形で出たわけでございますが、もしこれが中東の政策ということだけでなくて、あるいは何らかの局地的な問題といったようなことからも今後ともそういったことがおそれられるわけでございます。その場合にどういった対策があるかといいますと、やはり国内の備蓄をふやすということが一つの大きな対策になろうかと思います。たとえば中東で原油の供給量が一割削減になったといたしますと、備蓄を十日分持っていますと、百日これがもつということになるわけでございます。ちょっとおわかりにくいかもしれませんが、一〇〇%切られた場合に十日分の備蓄は十日もつ。一割切られた場合には百日もつと、こういうことでございます。したがいまして、備蓄というものの意義は非常に大きいと思うわけでございますが、日本は先生御承知のとおり大体今度の石油危機を迎えましたときに、原油から製品を含めまして約六十日分の備蓄を持っていたわけでございます。しかしヨーロッパ等では大体九十日程度持っているのが普通である、一つの政策目標であるというふうに伺っております。そういたしますと、たとえばあと三十日分日本では備蓄をふやすという、これは私だけの考えでございますが、一つ考え方としてあと三十日ぐらいはやはりふやす必要があるのじゃないかというような考え方があるわけでございます。三十日ふやすといいますと、現在の日本で、現状で申しますと、ラウンドで申しまして約二千五百万キロリットル。そういたしますと、タンク能力としますと、その倍、大体稼働率といいますか貯油率が五割ということで考えますと、その倍必要になります。二千五百万キロリットルの倍といいますと五千万キロリットル、この程度のものが、あと三十日の原油の貯油の積み増しをするといたしますと、それだけの施設が必要になるわけでございます。もちろんこれがすべてCTSということではございませんで、製油所その他の中のタンクの能力の増強ということもあるわけでございますが、やはり相当部分がCTSということになろうかと思うわけでございます。そういった観点から考えますと、特に沖繩ということではございませんが、日本全体といたしますと、そういった能力をふやすことがきわめて望ましいというのが私ども考え方でございます。  さて、それで沖繩の問題でございますけれども、これはいま御説明もございましたように、CTSそのものの地元における地域振興の考え方と同時に、やはりある程度以上の規模のCTSができますと、そこにたとえば造船業でございますとかそれに付随したような工業の誘致も考えられるというようなことから、沖繩県当局におかれましても——もともとこのCTS構想は沖繩地元のほうからの誘致の御計画があったというふうに伺っているわけでございますけれども、そういったことで計画が進められてきたわけでございますが、やはりCTS計画そのものがいかにも非常に急にといいますか、沖繩というところに、最初からあまり実績のないところにそういった問題が、非常に大きな計画が幾つも出たというようなことから公害問題についての不安というものが地元の住民の方に考えられたのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  CTSそのものがどれだけの公害があるかという点については、私どもはCTSによる公害というものは避けられる、対処する技術もございますし、またそれだけの設備を当然するべきであるというふうに考えるわけでございますが、やはり地元の方がそれらについて御納得されるということが非常に重要なことでございますので、現在のところでは、通産省といたしましては進出を希望しておる企業に対しては十分それらの住民の方の御納得が得られるような努力をさらに続けるということを指導いたしているのが現状でございます。
  76. 渡部一郎

    渡部(一)委員 このCTSの現地にある問題に関しまして、沖繩開発庁及び通産省の御意見はいまわかったわけでありますが、そうするともう一回伺うわけでありますが、あくまでもこの地点にCTSをつくる、この方針については変わらないというふうに開発庁はおきめでございますか。
  77. 西銘順治

    ○西銘政府委員 先ほど総務局長からお答えしたのでありますが、現在の時点におきましては、地元並びに関係業者、県が話し合いによって円満に解決されるということをわれわれは期待しているわけでございまして、問題の性質上、現時点においてこの問題に介入しようとは思っておりません。ただ沖繩の産業振興開発の点から申し上げますと、一次、二次、三次産業の所得構成からいたしまして、どうしても工業立地をいたしまして工業産品の生産高を上げて県民所得を向上していかなければならない。そういう意味において、県も本島の東部海岸に工業立地を計画として考えておりますので、その誘導する一つの要因になるだろうということで期待をいたしておったのでございますが、経緯については御説明のあったとおりでございまして、現時点で介入する意思は毛頭ございません。
  78. 渡部一郎

    渡部(一)委員 これについては、沖繩に限らず大規模な石油基地が必要である点については私も意見は同じであります。しかしこの場所がいいかどうかについては、私はまだ疑問があるどころではなくて、風向きからいきましても、従来のCTS程度でありますならば周辺沿岸地帯が原油汚染に見舞われることは私は明らかだろうと思いますし、しばしばそうした約束については裏切られてきたのが実情であります。そうすると沖繩県沖繩本島という一番きれいなところで、そして東風の吹く、貿易風の吹くこの海岸一帯が工業排水とCTS廃棄物によって埋められるということは好ましいことではないと考える地元の人々の意見について私は共感を禁じ得ないのであります。したがって私は、ここの地域を埋め立てたことは、まだ他にも幾らも転用の余地もありますから、もう一回白紙に戻されて、そうして沖繩県にはこれ以外の石油基地の適当なところはないのかどうか、お考えいただいたらどうか。たとえていえば、沖繩県にはたくさんの使われてない島もあるわけでありますし、また沖繩県に限らず小諸島で、また公害その他の不安に関しても、防護施設を完ぺきにするにぐあいのいいところもかなりありますし、既存の生活環境を破壊しないで住むに妥当な場所もあるのではないかと私は個人的に考えております。こうした考え方はまるきり考慮の余地もないような考え方であるのかどうか、通産省の方でも開発庁の方でもどちらでもけっこうでございますが、ひとつお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  79. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  沖繩県の中のどこにCTSをつくった場合に沖繩の産業振興にどういう影響を持つか、たとえば沖繩本島にCTSをつくった場合と先生の御示唆されましたような離島につくった場合と、沖繩の産業振興上どういったメリットの違いがあるのかという点についてはどうも私つまびらかにいたしませんので、石油として、CTSそのものとしてのファンクションから申しますと、現在CTSは、先ほど先生お話がありましたように、沖繩のガルフ共同石油の百二十万キロリットル、それから鹿児島県の喜入に一つございます。その二つだけでございますが、そうした立地条件からいたしましてCTSというものがどの程度の立地条件が必要かといいますと、これはよくおわかりいただけると思いますが、相当大きなタンカーでございますから、航路等が十分な水深を持っていること、それからバースをそこに設置でき、それからタンクは相当な面積を必要といたしますので、それなりの用地があること、あと若干の水とそれから電力が必要になりますが、電力等は自家発もできるわけでございます。したがって、主たる立地的な制約は、水深あるいは用地、背後地といったようなこと、それからいまお話がございましたように、台風とかそういったものに対する避難港的なもの、それからあとは経済的な問題といたしまして、中東を考えました場合に、中東から持って来て日本本土までの航路の途中にあるということのほうが、有利なわけでございます。あといろいろこまかい点がございますが、大体そういったことでございますので、先生からお話のありましたような沖繩の本島でなくて、ほかにもあるのじゃないかというお話でございますが、そういったものがあれば、それはCTSとしては当然考えられるわけでございますが、ただ、CTSといいますのは、用地面積としては相当大きなものでございますから、それだけの用地があって、それであまり人が住んでいないと申しますか、そういったところがあるのかどうか、ちょっと私は、なかなかむずかしい面もあるのじゃないかという感じがいたしますが、一応そういうことでございます。
  80. 渡部一郎

    渡部(一)委員 率直な提案も申し上げましたし、意見も聞かしていただきました。このCTSの問題は、やはり沖繩県側にまかせておけばいいというにはちょっといかないのじゃないかと私は思います。私は、ただいま精製流通課長が率直に述べられたような要件を満たす地域について、国家的な見地から用地をさがすべきではなかろうかという感じがしております。この暗礁に乗り上げた問題そのものでわっさもっさ押し合いしながら議論をするのも一つの手ですが、日本全体からもう一回見直してみて、ほんとうに日本じゅうでCTSはどこに置かなければならないか、確かに油をもう少し、何とかどこかへ置いておかなければあぶないことは、もうわかったことですし、その点については、異存はなかろうと思うのです。ただどこに置かなければならぬかについて恣意的な株式会社の操作にまかせるのじゃなくて、用地問題を考慮しないと、この問題のように、暗礁に乗り上げるだけで、そして政治的な課題になるだけで、結局はつまらぬことになってくる。たかだか参議院選挙の話題の中に織り込まれて、左右激突の材料にされるだけで、結果としては、あまりおもしろい結果にならない。その点は、西銘政務次官は、地元でいらっしゃるから、特によくおわかりいただけると私は思うのですね。したがって、私はこのCTSの問題は、きょうはこれ以上議論するのはむだと思うのです。というのは、問題点として材料かないからです。そこでその次——次回の委員会と申しませんが、しばらく後の委員会でけっこうでありますが、このCTSの要件を満たすに足る候補地について御研究をいただいて、それで御報告ができるようにしていただきたいと私は思うのですが、いかがなものですか。そしてその御返答を伺ってから、もう一回これを討論してみませんか。そしてCTS問題については、少なくともわれわれも県民がいま非常に苦しんで、悩んでいると同じような次元で、一緒にここの委員会の主題テーマの一つにしたいと私は思うのですが、どうでしょうか。
  81. 西銘順治

    ○西銘政府委員 CTSの立地の問題につきましては、これは国の大きな課題でございまして、渡部先生の御指摘になったとおりだと思います。ただ現在の地域以外に沖繩の島嶼の中で立地するところがあるかどうか、この問題については、御要求があったとおり、いろいろ検討して、御要望にこたえたいと思いますが、次の委員会までに資料が間に合うかどうかわかりませんけれども、(渡部(一)委員「次でなくても……」と呼ぶ)一応検討することにいたします。
  82. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは、非常に前進的なお答えがありましたから——私はもう一つ申し上げておきますが、私の申し上げたのは、沖繩県の中でと申し上げたのじゃない、沖繩県の中でなくてもけっこうですから、ひとつ十分検討をいただいて、そして次の委員会とは申しません、そんな短兵急にはできないと思いますから。少なくとも長所もあれば欠陥もある、いろいろな条件もあるでしょうから、そういうものをリストにしていただいて、そして検討の資料にさしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それじゃ私の質問は終わります。
  83. 小濱新次

    ○小濱委員長 午後二時に再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  84. 小濱新次

    ○小濱委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安里積千代君。
  85. 安里積千代

    ○安里委員 先日来問題になっております那覇小禄におきます爆発事故関係する問題で、これまで御当局からいろいろと御答弁もございました。  私もまず最初にその問題についていろいろとお伺いしたいと思っておりますが、この事件は不幸なできごと、悲しむべきできごとというだけでは済まされない政治的な重要な問題を含んでおると思うのであります。それは、沖繩が戦場になったということ、そして今日なお戦争の落とし子が地に埋まっておる。これが開発その他いろいろな問題に関連をいたしまして戦争と同じような被害を及ぼす。爆弾というものは上から飛んでくるものでありますけれども、戦争が済んだ今日は下から飛んでくるというような、現実において戦争の延長であるというような感じを持たせられます。したがいまして、戦争のあと始末というものは政府の責任においてなさなければならない。そういう大きな立場からいたしまして、この問題の処理は、単にだれに過失があったとかなんとかいったような問題を越えまして、政府として取り組まなければならぬ問題だ、私はこう思っております。そういう立場からいろいろお聞きしたいと思うのでございますが、政府とされましても、事故後数日過ぎておりますけれども、決して無為に過ごされたものじゃないと思います。ですから、起こりましてから今日まで当局としてとられました処置、またいまとっておる処置、どういうことをしておられますか。またどういうことをやられましたか。概括お聞きしたいと思います。
  86. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  過般来御質疑を通じまして、当事件発生直後以降の政府のとってまいりました行動につきましては御報告もいたしておりますが、まず開発庁から一名、建設省から二名の技術者が五日に現場に急行いたしておりまして、そのうち報告可能なものにつきましては今朝来報告をいただいております。そして一番新しく当問題について検討いたしておりますのは、早朝より総理府長官命によりまして、関係省庁建設省、大蔵省、法務省、沖繩開発庁防衛庁自治省並びに総理府各担当官によりまして、当事件の報告をいただいた分についての詳細な分析と今後の措置につきまして、先ほどまで検討いたしてまいっておる次第でございます。そして検討の中身につきましては、まだ事故の中におきまして十二分に報告を得られておらない点はやむを得ないことでございますが、当事件についての補償の問題、あるいは今後二度とこうした事件の発生をしないように調査をしていかなければならない等の問題につきまして検討いたしております。補償の問題につきましては、これは現行法との法律問題のかかわる点が多分にございますので、結論を得られておらない状況でございます。それから今事件の調査につきましては、開発庁が関係省庁と打ち合わせをいたしまして、その調査の体制の責任者になって推進していくことが望ましいという事務的な結論を得ております。  なお今般の事件は、公共事業に伴って発生しました事件でございますので、工事関係、工法の問題等につきましても、開発庁を中心にいたしまして検討を進めていくということが、ただいままでの検討の結果きまった事項でございます。
  87. 安里積千代

    ○安里委員 午前中から、一体主管省はどこであるかということで、だいぶ長官もいろいろと追い詰められておった点があったのでありますが、確かにこの問題は、いろいろな面で各省関係があると思います。沖繩開発の責任でありまする開発庁、当然沖繩開発問題に関係ありましょうし、あるいはまた工事、工法などに関しまする建設省関係がございましょう。あるいはまた、そういったものを処理するための防衛庁の問題がございましょう。あるいは当然その処理に関しまする費用の問題、あるいは地域住民の問題で、自治省関係があるということになるかと思いまするし、また当然法的な問題が出てきますので、法務省の関係も出てくるだろうと思っております。したがいまして、各省のいろいろな部面でありますけれども、これは部分的にみんな関係があるわけで、それを総合的に、中心になって対策を進めていくということが、役所の中においてとらなければならぬ問題だ、こう思っております。総理府自体というものが、どの省にも属しない事項だとかあるいは総体的な事務につきまして責任があられると思いまするし、その中において、現地において一番関係の深い開発庁が中心になるということでございますので、その趣旨において承りまして、今後関係各省が一体となって、ひとつ十分な対策をとっていただきたい、こう思うわけでございますが、いまのお話からしますと窓口と申しますか、中心になるのは開発庁が中心になって、各関係官庁との連絡といいますか連携をとって進める、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  88. 小渕恵三

    小渕政府委員 今日の事務的な打ち合わせに私も出席しておりませんでしたので、報告をいただいた範囲において御答弁申し上げておるのですが、今回の事件の調査の体制をつくり上げていかなければならない。そのためには、出先機関として開発庁の機関があるわけですから、そうした機関が中心になって、現地のいろいろな問題を調査し吸い上げていくことをしようということでの開発庁の責任について、開発庁も了解したようでございます。しかしながら、この不発弾処理の全体的な問題、また今回の事件にもかかわり合いあることですが、総理府といたしましても、こうした取りまとめをする仕事がその役割りの中にあるわけでございますので、総理府としての責任もまたあろうかと考えております。
  89. 安里積千代

    ○安里委員 開発庁と技術庁から派遣したということでございますが、技術庁関係はどういう点での用務でしょうか。そしてまた、その結果の報告か何かありますか。——建設省ですか、若干の中間的な報告でもあったでしょうか。
  90. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 まだ現在、調査に行った者たちが戻ってきておりませんで、電話連絡報告を受けておる段階でございますが、今回が下水道工事で生じた事故でございます。いろいろな観点からの問題の検討というものがされるわけでございますけれども、さしあたりどういうことをやっていて、どういう状態でこの事故が起こったかということを技術的に把握する必要があるというところから、建設省の下水道部から専門家が二名、それから私どものほうからもそういう専門家が一名、とりあえず現地に参って、工法その他の技術的な観点についての調査をしてくる、こういうことをやっているわけでございます。
  91. 安里積千代

    ○安里委員 民社党としても、あした書記長以下調査に行くつもりでおりまするけれども、私、相当、日にちがたって、いまその程度のことしかわからぬという点がなかなか理解できないので、役所の仕事が非常にスローモーであるという感じを抱かされるわけでございます。まあしかし、やっていることでございますから、かれこれ文句は言いたくございませんけれども、しろうと考えで見まして、この問題の原因あるいは起こった経過というものは、何だかはっきりしそうな気持ちがするわけであります。  じゃ、お伺いするのですが、伝えられるところによりますと、不発弾といいましても、これは旧日本軍が埋めた地雷であるというような報道もなされておりまするが、その点はいかがでしょう。
  92. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 その調査に参りました者は火曜日の朝立ちまして、さっそく現地に行ったようでございまして、その結果を踏まえまして、昨日午後いろいろ関係者が集まって協議会を開いておりますが、その席上で警察本部長から現在調査中であるということで、はっきりしたものはまだつかんでいないようでございますが、ただそのいろいろ会議の過程におきまして、かなりそういう性質のものである可能性が強いというようなことがいわれていると聞いております。
  93. 安里積千代

    ○安里委員 新聞でも写真なんか見たんです。それから、これが旧日本軍が使っておった地雷であるかどうかというような点は、そんなに時間を要せずともはっきりわかる問題だと思うのですが、不発弾といいましてもアメリカが打ち込んだところのたまであるのか、それとも友軍が敷設したものであるかどうか、そういったような点もこれはわからなかったという、まだ確定的なものでないということは、私はふに落ちないんです。そんな調査が、ほんとうにそんなに手間どるのかという感じを抱かされるわけです。  なぜ、そのことをお聞きするかといいますと、アメリカ軍の打ち込んだたま、これは沖繩の場合におきましては、砲弾で耕されたといわれておりますので、その数というものは無数にあると思いまするが、その中の不発弾、これはそれといたしましても、日本軍自体が装置したところのものが事故原因だったという点と、戦争によってアメリカが打ち込んで不発になったたまの爆発、これとは同じ爆発事故でございましても、だいぶん考え方と申しますか、違ってくる面が私はあろうかと思います。ですから、それが旧日本軍の埋めた地雷によるものだという確証もまだ得ていないわけでございますね。
  94. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 実は、いま御指摘のような点につきましては、警察が中心になって、いろいろ事故原因調査というようなものに当たっているわけでございます。今般参りました三人の調査官は、たとえばそこのいま排水工事をやっているわけでございますが、それが道路敷であるのか河川敷であるのかあるいはどういう地点で起こっているのかというような点でありますとか、どういうふうな工法でどういうことをやっていてそういう状態になったかといったような、もっぱら土木技術的な観点からの調査に参っているわけでございます。
  95. 安里積千代

    ○安里委員 私はそういうお話を聞きますと、非常に不満に思うのです。爆弾そのものに対する調査警察がやっているということでございますが、当然現地警察地域のあるいは自衛隊関係もそれぞれ専門的なところから調べられておるはずです。中心になるそのことというものがまだ握られずに、工法がどうだったとか何だということはまだまだ枝葉の問題であると思うのですが、たとえ警察が実施しておる問題といたしましても、そういうことはやはり中央において連絡されて把握されておらないのですか。別にきょうは警察を呼んではおりませんけれども……。これは中心になる官庁がないものですから、ばらばらの調査をされて、少しもまとまったところがない。結論が見出せないということになるような感じを抱くのですが、警察調査されたなら、警察調査の結果というものは何の報告も受けていませんか。総理府としては、全体的な中心になるものは何も握っておりませんか。もう五日も過ぎておるんですよ。
  96. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生指摘の点、またお気持ちのほどよく理解できますが、今回爆発した爆発物がいかなるものであるかということについての最終的な判断、あるいは最終的でなくても途中過程の判定につきましても、はなはだ残念ながらまだ報告を得ておらない状況でございます。
  97. 安里積千代

    ○安里委員 私、ここで当局をおこったり、しかったりしたところで始まらぬ問題だと思いますから、がまんをしておりまするけれども、ほんとうに国民の生命、財産を保護しなければならぬ政府の責任、そしてそればかりでなくて、今後に対する対策もあわせて考えなければならない。人命というものが非常にとうといものである、人間尊重ということをいわれておる。そういう中におきましてこれだけの事態が起こって、まだほんとうにその原因の一歩も、あるいは第一線の警察あるいは当局は握っておるかもしらぬけれども、政府自体として把握していらっしゃらないということは、どうも熱意のほどが感じられないのです。今後が思いやられるのですよ。私は注意を促しておきたいと思います。真剣に取り組んでおるとは思われません。  そこで、起こりました事故に対して私は二つの面が考えられなければならぬ、あるいは三つの面かもしれません、と思っております。一つは、被害を受けられた方々への補償、これは人身、物件ともどもであります。その補償がどうなるかという問題が一つの問題であります。これは当面して処置しなければならぬ問題であります。二番目には、今後どうするか。同じような事件が起こらぬとも限りません。これに対して、起こったから補償するのじゃなくして、こういう事故が再び起こらないようにするためにはどうしたらいいかというような二つの問題があると私は思うのです。  そこで、第一の問題でありまする補償の問題についてお伺いしたいと思っております。  先ほどの御答弁で、国家賠償法の問題を含めて検討をしておるという御趣旨がございました。そのように承ったのでございますが、この問題に対して、補償する何ものもないかというと、たとえばはたして工事した人に過失がなかったか、あるいはまた施設の瑕疵に基づくものであるかどうかという、そういった問題をいろいろ探求するということになりますと、なかなかいろいろな問題が出ると思うのでございます。そこで副長官にお伺いしたいのですが、この補償の問題について、国の賠償の責任というようなものを含めて検討中だというふうに承ったのでありますが、もう少し具体的に、賠償法を適用するのには疑問があるのだとか疑義があるのだ、あるいはこの法に該当するのだといったような問題が出てくると思うのでございますが、法律の疑義というものはそんなに二日も三日もかかる問題じゃないと思うのです。ほんとうに検討されておりますならば、それに対する解釈というものは、日にちを要せず結論が出ると思うのでございますが、現在の段階においてそれを適用する上において支障があるのかどうか。こういうことについてお伺いしたいと思います。
  98. 小渕恵三

    小渕政府委員 今回の問題につきまして国家賠償法適用可能かどうかという問題につきましては、先ほど来法務省からも担当の方に来ていただきまして、いろいろ今回の事件につきまして説明を申し上げたわけでございますが、先ほど来まででありますと、法務省といたしましてもまだ今回の事件についてのすべてのデータが整っておらないので、その判断ができかねるということでありまして、先ほど来申し上げておりますように、沖繩現地で現在調査中のものも含めまして、そうした資料が手に入り次第、いま一度法務省と当問題につきまして検討願う、こういうことに現段階では相なっております。
  99. 安里積千代

    ○安里委員 法務省関係の方がお見えのはずでございますが、法務省の御見解を承っておきたいと思います。前提としますることは、戦争中の不発弾あるいは友軍の埋めた地雷だということを前提にいたしまして、あるいは敵の撃ち込んだたまの不発弾でもよろしゅうございますが、あるいは友軍の埋めたところの砲弾であってもよろしゅうございますが、それが今日の段階において爆発事故を起こしたという場合に、国家賠償法というものが適用になる余地があるのかないのか。全然考えられないのか。これはいろいろなデータを集めなければということは話にならぬと思うのです。前提といたしまして、戦時中のこういうことに対して、結果としていま起こった。しかもそれは戦争というものは個人がやったことじゃなくして、まさに国の公権力の行使として生まれたものである、それが今日こうして起こった。それに対するところの補償というものがなされるのであるかどうか。この法を適用する上においては非常にぐあいが悪いという点があるのか、法的見解を承りたいと思います。
  100. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 ただいま御質問がございました点についてお答えいたしますが、先ほど副長官からお話がございましたように、この事件につきましては、私ども事故発生原因、事実関係などについては、実は詳しく存じておりません。また、ただいまその調査をいたしておると聞いておりますし、その結果を待って具体的事案に即した解釈、解決をすべきものと考えております。ただ、御質問ございましたように、一般論としてどうなのかということは考えられなければならないと思うのであります。その場合に二つの問題が法律論としては考えられるかと存じます。  一つは国家賠償法適用の有無の問題についてでございます。  国家賠償法を適用いたします場合におきましては、公権力の行使に当たる場合、それによって地域住民に被害を与える場合には、国または地方公共団体損害の賠償をする責めに任ずるわけでございますが、はたして本件の場合にいかような義務が課されていたのかということは、具体的事案の調査の結果を待たないとはっきり申し上げることができないのでございます。と申しますのは、もし旧軍が埋めました地雷だといたしますと、旧軍が埋めた地雷をどのような形で除去処理する義務を国または地方公共団体が負っているかということにかかってくるかと思います。  申すまでもなく国家賠償法を適用する場合の国または地方公共団体の義務として出てまいります場合は、むしろ具体的特定第三者に対する義務というように考えなければならないと思うのであります。本件の場合に、一体当該地雷を除去する義務というのがいつどの時点でどの所管官庁に発生したのかということがよくわからないわけであります。もちろん国もしくは地方公共団体は、地域住民の安全のために一般的な行政責務といたしましてそういうものを除去するということは、これは行政責任として考えられますけれども、しからば法律上そういう根拠があるかと申しますと、自衛隊法などに一種の警察作用権としての除去の権限は書いてございますけれども、それが一般的に義務として規定されているものかどうかということも疑義があるわけでございます。つまり当該地雷なら地雷がどの場所にどういう特定物として埋まっているかということが明らかで、しかもそれによって事故発生が予見できるというようなことになりますと、除去する義務も発生するという解釈も出てまいろうかと思いますけれども、はたして本件の場合にどういう状況下にあったということがわかっていたのか、そういう問題が調査されないと、国家賠償法の適用の有無という問題も結論が出しにくいというように考えているわけでございます。先ほど副長官からお話がございましたような法務省を含めての協議、私直接出ておりませんけれども、そういう協議の結果も、おそらくもう少し具体的事実を確認した上でその義務があったのかなかったのかということを判断すべきだということだろうと思います。  もう一つの問題をつけ加えて申し上げておきますと、国が賠償責任を負うべき場合につきましては、必ずしも国家賠償法だけではございませんで、民法七百九条の不法行為責任を負う場合も考えられるわけでございます。申すまでもなく不法行為責任と申しますのは、地雷なら地雷、不発弾なら不発弾、そういう危険物の保管者の責任ということになるわけでございます。  本件の場合、それを考えてみますと、はたして危険物を置いておくことが違法行為となるといえるかどうか。これは申すまでもなく、もし旧軍が埋めたものであれば、埋めた当時におきましてはおそらく戦闘行為としての適法性があったというぐあいに思われますけれども、それがいついかなる時点で違法行為として転換されたことになるのか。その間にはアメリカの占領下の時代もありますし、琉球政府の統治時代もありますし、沖繩の復帰という問題もございます。かりに弾薬の所有権が日本政府にあるといたしましても、そういうものが一体どういう違法行為を承継したことになるのかということは、とりもなおさずそのものの管理ができたかどうかということにかかってくるかと思うわけであります。民法七百九条の不法行為責任は、ものの管理者の責任としてとらえるわけでございますから、地下に埋まっている弾薬、しかもそこに埋まっているということがはっきりしないような爆弾につきまして一体どういう管理責任が、しかもどこの所管庁としてあったのかということも、もう少し事件の具体的内容調査しないと何とも申し上げられないという感じでおるわけでございます。したがいまして、いま副長官から御説明がございましたように、早急に事実関係を詰めて、その事実関係の上に立って具体的事案の処理としてどのような責任を国が負うべきかということは、検討すべき問題ではないかというように考えております。
  101. 安里積千代

    ○安里委員 ここで法律論争をするつもりはございませんが、法的に非常にむずかしい問題があるということは私もわかります。民法の不法行為の原理がここに当てはまらないこともわかりますし、国家賠償法の二条の管理責任、管理に対する瑕疵というものがどこに存在するかという問題も確かに出てまいると思います。そして故意、過失という問題が第一条の場合においてどこから出てくるかというようなことも考えられるわけであります。しかし、少なくとも戦争行為というものが公権の発動としてなされたことは事実であり、軍隊がこれを埋めたということも、公務員の行為であるということも事実でありますし、これが故意、過失というようなことも、当時の状況においては考えられない問題だと思います。しかし、問題はその時点にあったのでなくして、その後、戦争が終了したら、当然政府にはそういったものを処理すべきところの責任があるんじゃないか。このように拡大して政府の責任というものを解すべきかどうかということにも問題がありますが、少なくとも、戦争が済んだら、戦争中設置したところの危険物は取り除かなければならぬ、そういう義務が当然あるものだと私は考えます。そうすると、取り除かないという不作意の責任というものがそこに生まれてくる。ここに、当然なすべきことをいろいろな点においてやらなかったという点についての責任というものが出てくるんじゃないかと私は思います。しかし、このまま適用するのにいろいろ疑義が出てくるんだということもまた法律家として無理もない解釈だ、こう思っております。  そこで、法的には疑義があるから、その他の措置によって——国家賠償法の対象にならないということがかりに法律的に確立されたといたしまするならば、それでは、被害者の身になった場合においては、この方々にはどういう具体的な措置があるのかという問題があるのです。工事施行者が工事施行中の過失によって与えれば、またそれなりの責任もあるかもしれません。しかし、この場合においても、はたしてそれが地下に埋まっておったかどうかということがわかりながら、意識しながらやったとも考えられませんし、はたして行為者に過失があったかどうかというような問題も、理屈を言ってまいりますと、なくなった方々、負傷した方々、傷つけられた物件というものに対しまする補償の道が法的に全然ないということになりますと、これはたいへんなことだと思うのです。それをただ政治的に配慮して見舞い金をやるというだけでは済まされない問題だと私は思うのです。もし、法的な責任において国家が補償できない、だから政治的に、ただ見舞い金なら見舞い金の形で補償するんだということになりますと、私は問題の本質というものに対する処理にはならないと思うのです。国家に補償の責任があるのかないのか、この基本問題に対して、それに応ずるほうがどうであるかどうかは別といたしまして、このような事故に対しまして、生命を失った方々に対する政府として何らかの形で補償してやる道というものが現在の制度の中においてどういうことが考えられますか。
  102. 小渕恵三

    小渕政府委員 おっしゃるように、いずれにしても事件は発生したことでありますし、御指摘のように死者を含む死傷者あるいは物件の損傷という大きな被害が出ておるわけでございまして、それに対して国として何らかの形でこれにお報いをする道がないかということを考えることは当然のことだろうと思います。しかしながら、さりとて現行法、現在あります法律に違反してこれを行なうということも、これは許されないことでありまして、現在政府としては、冒頭申し上げました趣旨を生かしていくために、いかなる方途が講ぜられるものかということにつきまして、先ほどの国家賠償法も含めまして、現在真剣にこれを検討しておるということでございます。
  103. 安里積千代

    ○安里委員 現行法についていろいろ検討をされることもまたなさなければならぬことでございます。問題は、これらの者をほんとうに犬死にさせない。道を歩きながら自動車事故にあった不幸に生命を失った者にさえも何とかいろんな補償の道というのが講ぜられてきておる。ましてや本人たちが何の落ち度もなく、しかも原因を尋ねれば戦争の結果から生まれて生命を失う。これに対して何の補償も法的にできないというようなことは私はこれは非常な大きな問題だと思うのです。もし現行法においてこれに該当するようなことがないとするならば、こういったことに対して対応するところの立法措置も考えなければならないところまで私は発展しなければならぬ問題だと思うのです。気の毒だから見舞い金をやる、こういう政治的解決だけではおさまらない問題でありますし、あわせて今後こういう事故の起こらないようにするためにも考えなければならぬ問題だと思っております。当局とされて、ほってはおけないのだ、何らかの措置を講ずる、この立場において現在ある法制もあわせて検討中であるというふうに承ってよろしゅうございますか。
  104. 小渕恵三

    小渕政府委員 今回の事件についての政府の考え方は、基本的にはそうした事件を、現在承知しておる範囲におきましても、工事関係者あるいは被害を受けた方々に故意があるわけでありませんし、不作為であることははっきりしておるわけでございまして、そうした事柄にかんがみまして、何らかの処置を講じなければならないと基本的に考えております。したがいまして、お説のように今後法的な問題も含めまして、前向きで真剣に考慮していきたいと考えております。
  105. 安里積千代

    ○安里委員 それとあわせまして、当面の補償でございますが、より重要なことは、今後同じようなことが——あるいはまたずいぶんと埋没されておるところの地雷やあるいは爆弾不発弾があるかもしれません。これは将来の建設にもかかわりますし、町づくりにも関係してくるわけでございまして、二度とこういう事故を起こしてもなりませんし、そのためには可能なあらゆる処置がとられなければならぬと思っております。先ほど西銘次官のお話でも禁止区域、行政指導によってというようなお話もあったのでございますけれども、端的に申し上げますれば、沖繩全体が危険地域だということも言えると思うのです。  問題は一体どういう方法でもってこれらの埋没物の存在というものを調査し、そしてこれを取り除くことができるか、実際むずかしい問題だと思うのです。現在考えられるところではどういうことがございましょうか。別に技術関係の方がおいでになっているわけじゃございませんでしょうけれども、常識的にいえば探知器というようなことがあると思いますけれども開発庁としてどうですか、考えられることがございますか。これは沖繩開発にも関係ある重要な問題だと思いますが、こういうものの埋没されたものを発見し、これを発見してから後でなければ取り除くことができないわけですから、その取り除くまでの発見の処置、これは現在どのようなことが考えられますか。
  106. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 それらの点は今後いろいろな工事をやってまいります際に非常に重要な事項でございますので、昨日現地におきましてそういう公共事業関係者あるいは爆薬処理の担当である防衛庁警察、そういう関係者が集まりまして、公共事業不発弾対策協議会というものを設けまして、具体的にどうやっていくかということを検討を開始したわけでございますが、まず大体考えられますことは、現在までの工事につきましても極力行なっておりますのですが、なるべく情報を前広に集める。現地にお住まいの方はあの辺にどういうものがあったらしいというような情報をお持ちでございますので、それをしっかり把握する体制を整える。それから第二には、これが技術的にどの程度可能であるか詳しく専門家の意見も聞かなければいけないのですけれども、重機械あるいはパイルの打ち込み、そういうふうなことをやります場合に、あらかじめ磁気探査等によりましてできるだけそういうものの存在というものを確認してやってまいる。もちろんその際に、いろいろ工事費という形でそれがふえてまいります。そういったような予算、財政上の措置というのをあわせて裏づけとして措置してまいる、こういうようなことが、非常にざっぱくでございますけれども、常識的に必要であろうというふうに考えております。
  107. 安里積千代

    ○安里委員 いま公共事業と言われましたけれども、これは民間事業も同様の問題だと思います。しろうとでわかりませんけれども、一体地上からの探知、どのくらいの地下までが探査できるものなのでしょうか、現在のあれにおいて。
  108. 小渕恵三

    小渕政府委員 私、専門的知識を持つわけでありませんが、ここで資料として書いてございますのによりますれば、専門の探知技術をもってしてもなかなか確認することは困難でありまして、探知深度は水平探査で一メートルないし一メートル半程度であると記されております。
  109. 安里積千代

    ○安里委員 具体的な本件の場合はどのくらいの地下だったかということはわかっておりますか。まだ調査、わからぬでしょうな、報告は。
  110. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 まだはっきりしたことはわかりません。
  111. 安里積千代

    ○安里委員 地上からの探査が一メートルか一メートル半、せいぜい二メートルということになりますと、パイル打ちなどの工事では地上からの探査だけでは絶対といっていいほど工事前においてはわからないというような問題も起こってくると思います。口で言いやすくして、じゃ現実にどうするかという問題はたいへん答えにくい、いまどうということがなかなか言えないと思います。私は、それだけにこの二つの問題、補償に対する政府としての戦争責任、戦争のあと始末をするという、戦争そのものの責任じゃなくして戦争が済んでそのあとを国民の安全のために処置しなければならないという立場からの政府の責任、その上からしまして補償の問題、今後、いままで怠っているこういったことに対する事故の起こらないための、いろいろな調査開発等も伴いまして、これを基本的に私は考えなければならぬ二つのしかも現実にはむずかしい問題があると思っております。私は、政府の英知をしぼって、むずかしい問題であるかもしれませんけれども、これに対しまして一つの道を開くということが、今度の不幸な事故を不幸に終わらせないところの大きなもとだと思いますので、新たな立法措置が必要ならばあるいはそのことも考えるというような点で、当局がひとつ真剣に二つの問題について取っ組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、この問題に対しまする質問を一応終わっておきたいと思っております。  そこであと二つの問題についてちょっとお聞きしたいと思うのでございますが、前の質問の方からあったかもしれませんけれども沖繩でCTSの問題で沖繩自体を非常に騒がせておった問題がございます。開発庁にお伺いしたいのでございますが、沖繩開発に関する当局とされまして、沖繩開発に石油基地としての沖繩開発ということが今後どのように考えられておるか。いままでのところはとにかくといたしまして、今後石油基地としての沖繩の利用ということについて振興開発の上において考えられておる点があるのかどうか。
  112. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 石油基地の問題につきましては、CTSの御質問という前提でお答え申し上げますならば、振興開発計画上、CTSのもたらすところの経済効果、波及効果、こういうものは大きい。これは雇用効果もございますし、また財政的あるいは関連企業の進出といったようなことの効果もあるというふうに考えております。ただし、振興開発計画を策定いたします場合の積算等の試算におきましては、これは製造業ではございませんので算入いたしておりません。しかし、ある意味で振興開発上の牽引力は持っておるというふうに考えてきておるわけでございます。ただ、しかし、最近の状況を聞きますと、CTSにつきましては、それ以外の企業の進出を要望するという県当局の方向転換がなされたかのようにいま聞いておりますので、したがいまして、私どもとしては、地元におきましてそこら辺の問題がいわゆる円満に解決をされまして、振興開発が当初の考えどおり進んでいくように期待いたしておりまして、行政的にいまここでもって開発庁なり何なりが直ちに介入いたすことは考えておらないという状況でございます。
  113. 安里積千代

    ○安里委員 長い時間とりませんので……。私がなぜこういうことをいま持ち出しておるかといいますと、石油問題というものが日本の産業経済に非常に大きい影響を及ぼしておる。ことに今度の石油ショックからきまするいろいろな問題が派生をいたしました。  そこで、通産省関係おいでですか、お聞きしたいんですが、通産省とされまして、今度の石油危機の経験あるいはこれまでの事情に照らしまして、将来に対して、石油輸入問題もありまするけれども、さらに備蓄を大きくするとかいったような問題も石油対策として考えられておることだと思います。そこで日本の中におきまする石油資源の開発ということについて、通産当局といたしましては政策的に考えられておられるかどうか。
  114. 豊島格

    ○豊島説明員 お答えいたします。  日本の国内の石油開発につきましては、石油資源開発がかつて国際会社ができまして、その後も国としては基礎調査をみずから行なうとともに、国内においては探鉱について補助金を出すということでこの開発の促進をはかってきたわけでございますが、昭和四十五年度から第四次五カ年計画を策定いたしまして、特に大陸だなにつきまして国の試掘調査を始めたわけでございます。その結果、日本周辺の大陸だなにつきましては非常にりっぱな構造があるということで、今後この大陸だな開発については大いに促進したいという感じでおります。  実際の試さくといたしましては、いま申し上げました国における直接の基礎調査のほかに、探鉱投融資につきましては石油開発公団から最高七割の投融資というものを行なっております。  それから開発段階に入りますと、御承知のように新潟沖で本年からすでに油田の開発が始まっておりますが、これに対しましては開発銀行から特別の安い金利で開発資金を貸し付けるという措置も講じております。
  115. 安里積千代

    ○安里委員 私がいまこの問題を持ち出したのは、報道されるところによりますと、いまの御答弁の中からも大陸だなの問題が出ましたが、これは非常に大きな問題でございまして、いま問題にされておりまする日韓の大陸だな共同開発のための協定という問題もありますが、報じられておるところによりますと、沖繩近海を含む大陸だなの問題というものが将来の問題として私は大きな問題になってくると思っております。尖閣列島だとかあるいは大陸だなの問題は別にいたしましても、日本の領海に近い宮古、八重山の近海においても石油が埋蔵されておるというようなことも報じられ、すでに鉱区権の申請も出ておるというようなこともいわれます。そうなってきますと、これは沖繩を中心にして石油基地というのがさらに活発化されるところの可能性というのが出てくるのじゃないか。宮古、八重山の離れ島あたりで、やはりそれを見越してかどうかは知りませんけれども、島をあげて買収の手が伸びておるというようなこともいわれております。私は、沖繩振興開発ということを考える場合にいろいろな問題がありましょうけれども、五年先になるか十年先になるか知りませんけれども、そういった場合も頭に置いてこれに対処する道を考えませんと、これは公害問題ともあわせまするけれども、将来に対して非常に重要性がある、こう考えております。政府の石油資源開発とも関連をいたしまして、開発庁がその点について特に何らかの認識を持っておられるのであるかどうか。こういったことも、この席でお伺いすべきものであるかどうかは知りませんけれども、振興開発の法案に関連いたしますので、開発庁のお考えをお聞きしたいと思います。
  116. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 将来にかけての開発考え方との関連性についての御質問でございますが、沖繩振興開発計画におきましてもおっしゃいますような大陸だなと申しますか、尖閣列島を含めまして大規模な油田の埋蔵の可能性が報告されてもおりますので、近隣諸国との国際協調ということが前提にはなりますけれども調査開発を強力に進めるべきであるという認識に立ちまして対処してまいりたいというふうに考えております。
  117. 安里積千代

    ○安里委員 海洋博が行なわれるに望ましき将来、未来、そういう問題があって、沖繩のよさ、海洋のよさもいわれておる。そこへ海洋の中におけるところの資源がまた石油資源として開発される。いろいろな問題が錯雑しておる中であります。沖繩の資源というものが、開発ではなくして、今度は破壊されるということも非常に心配をされるのであります。ぜひ、目前のことはもちろんでございまするけれども、将来に対する一つの見通しを厳に握って、破壊に通ずるところの開発でないように十分御留意願いたい、こういうふうにも思っております。  もう一つだけ最後に、時間がございませんので私お聞きしておきたいと思いますが、振興開発ということの一番大きな欠点は、物に対する開発ばかりで人間開発という問題が開発の面から非常におくれているのではないか、ないがしろにされているのではないか。それはずいぶん気を使ってはおられるようでございますし、また特別な扱いをしておるようでございまするけれども、これは教育の問題と関係あるわけでございます。人間をつくるとなれば教育でございます。教育の場となれば学校であります。これはもちろん地方自治体の責任であるかもしれませんけれども沖繩の現実というものは、戦争後設けられた校舎、あるいはまた基地に取られた中において、校地の取得がなかなか十分でない。そこへ規模の大きなマンモス学校が幾つもあるといったようなことで、教育の効果をあげる上において施設、設備、負担、いろんな問題において隘路があるとも私は考えております。  そこで開発庁といたしまして、もちろん積極的な地域開発でございまするけれども、直接の手を下す問題でないかもしれません。これは文部当局、地方自治体が十分配慮しなければなりませんけれども、目の前に起こっている問題として、たとえば上山中学の校舎なんというものが危険性がある。専門の学者の方々が、こんな危険なところでもって子供の教育をしておるかと指摘をされております。これは戦前建てられた建物であって、戦争でたまを受けながら、まあ形だけは残ってきた。それを戦後補修して、いろいろな施設にした、学校にした。非常な危険を伴っておる。万一こういう校舎で事が起こって、何らかの事故でまた児童たちを傷つけるということになりますと、たいへんなことだと思います。私は開発庁といたしましても地方自治体と手を握り、文部当局とも手を握って、こういった人間をつくる教育の場における、何と申しますか、開発とは言えぬでしょうけれども、学校の建築、復旧、こういったものに対しては開発庁といたしましても強くひとつ働きかけて、地方自治体の負担には限度がございまするから、政府の責任において、沖繩開発するという高い立場からいたしまして、こういった面にも意を使っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。地元からのいろいろな要請もあろうと思いますが、これに対して何か認識を持っておられますかどうか、そのことだけをお聞きいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  118. 渥美謙二

    ○渥美政府委員 沖繩県におきます老朽校舎の改築の問題につきましては、沖繩開発庁に一括計上されます公立学校施設整備費補助金、これを文部省に移しかえて実施する、こういう形になっておりますが、四十九年度の予算案におきましては、小中学校の危険建物改築相当分といたしまして、昨年度の約三倍に当たります二億四千七百万円を積算しております。最近特に老朽校舎の問題がいろいろ問題になっておるわけでございますけれども、四十九年度におきましてはさしあたりいま御指摘の上山中学、これを設置者の申請をまちまして改築に取りかかることを予定しております。その次に問題になっておりますのが本部中学校でございますが、これにつきましては五十年度において措置いたしたい。そのほかの問題校につきましては、現在文部省で県の教育委員会報告を求めて検討中でございますが、所要のものにつきましては引き続き措置を講じてまいりたい、かように存じております。
  119. 安里積千代

    ○安里委員 特にあらためてこれの注意を促しましたゆえんのものは、確かに今度配慮されてはおりまするけれども、物価高やいろいろな問題から、この問題は非常に支障を来たしております。文部省となりますとやはり全国的な問題になりまして、なかなか特別な配慮の及ばない点があるのです。しかし沖繩の場合は、戦争中から引き続いたいろいろな是正しなければならぬ問題がたくさんある。そういう点において開発庁とされましては、その立場からひとつ文部当局をプッシュしてもらいたい。こういうことを今後ともあわせましてお願いをして、私はこの質問をしたわけでございます。  以上でもって終わります。
  120. 小濱新次

    ○小濱委員長 美濃政市君。
  121. 美濃政市

    ○美濃委員 私も若干爆発事故についてお尋ねをしたいと思います。  この経過を見て、私は損害賠償もあるけれども、刑事責任が生じると思うわけですね。たとえば、いかなる理由があろうと、私が爆弾をしかけて人命を損傷したということになると、刑罰が私に加わるでしょう。損害だけじゃないと思うのです。その責任の所在はどういうふうに考えるか。刑事責任か発生すると思うんてすね。——いないのですか。爆発関係はもう引き揚げたのですか。だれもいないのですか。この爆発関係は私は問題があると思いますから、以上の点だけ、答弁は要りませんから、あなた方から当局者にそれぞれ——あらためて十二日なり私の質問時間がありますから、あとでまた爆発問題の関係者を呼んでやります。  まず第一番に刑事責任。それからどうも答弁を聞いておって、何らかの措置とかそういうものでは私はないと思います。国家賠償責任は明らかである。しかけたものは、いかなる理由があろうと政府です、政府機関です。しかし、刑事責任となると人になりますから、人になると、これを指揮した人が死んでしまっていれば、いまの人に刑事責任は及ばぬですね。やっていないのですから。しかし、まず第一に刑事責任がある。刑事責任はどう考えるか。  第二の点は、これは何らかの形などというものじゃなくて、日本政府としてはすみやかにこれの賠償責任を果たすべきであると思います。  以上二点だけ申し上げておきますから、次の日程で質問いたします。  それでは一番先に、地籍調査の進行状態をお尋ねいたしたいと思いますが、あの調査は完全に行なわれておるのかどうか。どうも行ってみても、公簿、公図が焼却してしまって、あいまいなところがあるわけですね。現在完了しましたというところはりっぱな公図ができて、もう完了とみなして、境界紛争は将来とも起きないという体制になっておるのかどうか、この状況をお聞きしたいと思います。
  122. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 地籍調査につきましては、昭和四十七年以来、毎年、現地実態の把握、それから資料の収集、この資料の収集には、航空写真でございますとか戦前の図面その他を収集いたしておりまして、昭和四十七年度は一千万円、それから四十八年度は二千三百万円ばかり、それから来年度は四千万円近くの金を計上いたしまして、来年度で実態の把握は完了することを目標にしながら進めております。  そこで、その間にわかってまいりましたことは、要するに基地内と基地外との状況でございまして、昭和四十七年度現在で基地内にございましたものが、これを特殊地域と申しておりますけれども、その八割が基地内にございまして、二割が基地外。そこで、昭和四十九年度からは、防衛施設庁と沖繩開発庁とがそれぞれ手分けと申しますか、分けまして、防衛施設庁のほうは復帰時点以後返還された部分を含めまして、現在基地内にあるものを含めて調査をしてもらう。沖繩開発庁といたしましては、県のほうに連絡をとりまして、県に助成するかっこうで進めておるわけでございますけれども、それ以外の地域について進めるということで、基地外の部分については来年度実態というものを把握し終わることを目標にしながら、かたがた具体的な解決の方途を——これが地域地域でそれぞれその持っていき方と申しますか、解決のあれが違うと思います。と申しますのは、何と申しましても私有権の問題でございますし、戦時中前後からのいきさつがいろいろ違っておりますので、現地での地元の地主の方々、権利者の方々との話が極力円満につくという前提に立って解決しなければならないということがございます。そこで、そういう実態把握なり解決の処方せんはそれぞれ区域ごとに実情に即しながら詰めますとともに、その処理体制というものを早急にきめたいということで、これは現在県を通じて話し合い中でございますが、中央におきましては、沖繩開発庁、防衛施設庁のほか、法務省それから経済企画庁、この四者で連絡会議を持っておりまして、このほうはすでに何べんか会合を持っております。それと、現地が大事でございますので、現地にぜひ対策協議会というものを設けたい。そこで、総合事務局、それから防衛施設局、それに地元沖繩県市町村、それからしかるべき時期に法務局も入ってまいります。それぞれの地元の意向というものを、事実をくみ上げながら解決の方途を具体的に進めてまいりたい、こういうふうな体制を現に進めておるということでございます。
  123. 美濃政市

    ○美濃委員 そういう方法で公図をつくり上げるということですか。何か土地台帳は、公簿、公図が焼けてしまったから、土地委員会をつくって、部落の故老や何かの立ち合いで、ここはおれの土地で何ぼだというようなことをやって、いまの公簿ができておるわけですね。公図がないわけですね。だから土地紛争は絶えない。その公図はこれからそういう方法で完全にできる、こう解釈していいのですか。
  124. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、第一に地形が変わってしまっております。ならして滑走路にしたり集積場にしたりというような結果になっておるものでございますから、高さがなくなっているような場合もございます。それは例でございますが、まず地形が変わっておる。したがって総体の面積も変わってきておる場合がございます。それから権利者もまた、引き揚げられた方、また、その当時かりに一応の占有権を認めた時点において、おられなかったというようなところもございますし、いろいろな問題がございます。また、いろいろな地籍を確定する場合に、そのよりどころとなるような井戸でございますとか石垣でございますとかいうものが、あるところもあれば、全くないところもある。千差万別でございます。したがいまして、その特殊地域ごとに区分けのしかたというものは違ってまいるわけでございます。どういうふうにしていったら現実に即し、しかも私有財産権の問題との調整を十分とりながら解決することができるかという、まず考え方というもの、方法論というものをこれから詰めてまいろうということでございます。
  125. 美濃政市

    ○美濃委員 ちょっと林野庁にお尋ねしますが、そういう中で、過般調査に行きましたら、国有林で三百ヘクタール所在不明なわけですね。それでも、林野庁は御丁寧に固定資産税に該当するものを払っておるが、受け取らぬ町村がある。そんなややこしいものを受け取るとあとから問題になる、そういう所在の土地はわが町にはありませんという町も出てきておるという話を聞いたのです。それはどういうことですか。
  126. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま先生指摘のとおり、沖繩県には国有林で所在が不明というものが三百四十ヘクタールあるということは、事実でございます。これは、いま沖繩開発庁のほうからも御説明がございましたように、戦争で公簿その他が焼けておる、地形が変わっておるというようなことから、どこであると特定ができないというようなことになっておるわけでございますが、私どものほうといたしましては、営林局のほうにその関係の公図がございますので、それによりますとそういうような土地が所在するということがわかっておりますので、そういう土地に対しては通例の取り扱いに従いまして交付金交付しておるということにいたしておるわけでございますが、先生指摘のように三町村からそういう土地は自分の町村に存在しないからということで、交付金の返還があっておるということも事実でございます。
  127. 美濃政市

    ○美濃委員 いまここで即答はけっこうですけれども、そういうのは将来どうする計画ですか。おそらく所在はわからぬですね。土地の所在でもあれは——所在がなくて、ここはおれの土地だという、全部土地委員会によって所有権主張者がずっとおる中で、国有林がたとえば糸満町で二十五ヘクタールありますといっても、その二十五ヘクタールはここだという地点もなければ、そこに二十五ヘクタールの国有林が存在することを認める住民はだれもいないというのだな。そういうのは将来どうしますか。
  128. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 すでにほかの役所から御説明があったかもしれませんが、現に経済企画庁なり沖繩開発庁で地籍の調査をやっておられるということでございますから、おそらくは旧公簿の存在するものについては、そういう地点について旧公簿も参照をしながら地籍の確定が行なわれるのではないかというふうに考えられますので、先生おっしゃるようにその土地の特定ができないのではないかということでなしに、私どもはやはり土地の特定ができるのだという前提でいま対処しておるところでございます。
  129. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、地籍をずっと聞きたいと思いますが西表島へ行きますと、島の面積が二万五千ヘクタールという表現があるし、二万七千ヘクタールだ、いや西表島は何か二万九千ヘクタール、三様になるわけですね。聞くところによると何か明治二十何年かに地籍調査をして、その後地籍調査が行なわれていないというのだが、あそこの島は国有林が大半なんですか、どうですか。林野庁はあの島を何ぼというふうに確認しておりますか。
  130. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 私どもは西表島における国有林野の面積だけしかわからないわけでございますが、西表島における国有林野といたしましては要存置林野が二万三千五百十八ヘクタール、不要存置が千二百六十九ヘクタール、合わせて二万四千七百八十七ヘクタールあるというふうに理解しております。
  131. 美濃政市

    ○美濃委員 その同じく西表島で戦時中開拓者を入れて、土地払い下げを約束して入れたその土地が林野庁からの貸し付け地になって、そのままになっておる、これを処理してもらいたいという要請があったわけですが、この関係はどういうふうに進めておりますか。
  132. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま先生指摘のように、西表島におきましては農耕地のために貸し付け中の国有林野がございます。これは五十年度末完了を目途に現在実施中の境界整備が完了するのを待ちまして、かつ今後どういうような形で土地が利用されていくか、だいぶいろいろな島外資本等が他用途転用のために購入の手を伸べておるとか、あるいはそういうような開発が進みそうだとかいうようなこともございますので、そういうふうな土地利用の趨勢なり権利移動の実態等を十分考慮した上で、農耕地として利用されることがはっきりしておるものについては自作農創設特別会計への所属がえによる売り渡しをしていきたいというふうに考えております。
  133. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、島の農業振興について一、二お尋ねしたいと思います。  第一番にサトウキビの問題ですけれども、八重垣群島とかああいうところを歩いてみてびっくりしたわけですね。復帰時点の調査に行ったときは八重垣群島全部で二十万トンぐらいのサトウキビが生産された。今回行ってみたら半分くらいになっている。その大半が買い占められているということですね。そして荒廃しておる。復帰時点前には行って見たときにはサトウキビがつくられておったのが、今回一年半かそこらたって行って見たら、サトウキビの畑が半分くらい荒廃している。それは宅地業者の買い占めにあっておるものが全部かどうかはわかりませんけれども、かなり、大体買い占められておるんだという話なんです。島民の農家へ寄って聞きましたら、その農家の主婦や年とった母親あたりは戸惑いしておるわけです。復帰前には大体あの辺の専業農家はやはり二ヘクタールから二ヘクタール五十ぐらいで専業でやっておりました。この所得は大体千五百ドルないし千七百ドルくらいだったわけですね。ところが、世帯主はみんな出かせぎに出ていっちゃう。出かせぎに出ていい金を家へ送ってくるかというと、やはり千五百ドルくらいしか送ってこないのですね。かなり賃金をもらうにしても単身出ておるものだからいろいろ経費もかかるだろう。そうすると、こんなことなら何のために本土へ復帰したんだ、ただ年寄りと子供と、こんな留守番ばかりで、経済も何もよくならぬし、島は荒れ果ててしまうし、何のための復帰であったのだろうといって、年寄りの人は嘆いておるわけですね。なぜそういう現象が起きるか。あのままにはしておけぬと思うのですね。  今日、砂糖についても、いま国際糖価はものすごい暴騰ですね。そういう中で、去年沖繩のサトウキビは高く買ったというけれども、流通局長は来ていないようですが、あの値段で買ってもいまの国際糖価より安いでしょう。いま百九十八円だ、流通局長はそういっておりますね。輸入した砂糖に消費税をかける前の製造原価が一キロ百九十八円。去年要求した一万三千円を払ってもそのぐらいの糖価ではないですか。ですから糖業振興あたりもやはりもっと力を入れなければ、ああいう状態になっていくのでは島自体も荒廃してしまう。私はゆゆしき問題だと思うのです。  それについてお尋ねしますが、沖繩は農地法は適用されておりますね。一体農林省は農地管理はどうしておるのか。あれだけの土地がいわゆる農地法三条の許可手続もなしに買い占められて荒廃してしまうというものを腕をこまねいて見ておるのか。もうそんなものは日本列島改造で売り手と買い人の責任でどうなろうと、農林省は農地法の三条の監督管理はもうあきらめました、成り行きまかせです。そういうのはどうなのか、それをひとつ聞いておきたい。
  134. 関谷俊作

    ○関谷説明員 沖繩県につきましては復帰とともに農地法が適用になりまして、いま御質問のございました三条も含めまして転用統制、小作地所有制限、全体として適用になったわけでございますが、復帰前には御承知のように農地法の適用がありませんで農地の売買が自由でありましたことから、島内での取引が行なわれて復帰までに売買が行なわれたものについては、法人の土地買い占めが成規のものとして登記まで含めまして行なわれておるわけです。その後そういうものが、利用状態としては、いま御質問にございましたように耕作放棄されておりまして、法人有あるいは農外者の所有のまま耕作放棄されている状態では、実は現在の農地法ではこれを買収するとかその他の手段がございませんので、そういう意味で農地法違反という状態としてつかまえるわけにまいりませんので、いま御指摘のような状態になっているわけでございます。ただ小作地という状態と認められますものについては、復帰後買収を始めておりまして、四十七年、四十八年を含めまして、現在買収を進めておるような次第でございます。
  135. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、法律の適用外ですということで、あの状態はどうにもならぬということですか。何か適確な手段を農林省としては講じようというのですか。
  136. 関谷俊作

    ○関谷説明員 農地法の適用関係から申し上げますと、法人その他農外者が所有して、所有権を持っておりまして、耕作放棄されているままの状態では、強制的な手段でこれをほかに使わせるということはないわけでございますけれども、それが具体的に、たとえば転用という行為で宅地造成をするなり建築物を建てる、こういうことになる場合には、農地法の第四条の規定が働きまして、それは都道府県知事あるいは農林大臣の許可を必要とする、こういうことになるわけでございます。ただ、放棄されたままの状態では、確かに強制的な手段もないわけでございますけれども、現在沖繩県においては、昨年農業開発公社と申しまして、いわゆる農地保有合理化法人を設立しまして、そういうところで農業的にどうしても必要なもの、そういうものは——これは任意買収でございますけれども、合理化法人の活動を通じて、農業上どうしても必要だ、そういうものについては有効な活用をはかっていくような努力をしたい、こういう趣旨で開発公社を発足させておるようなわけでございます。
  137. 美濃政市

    ○美濃委員 八重山群島あるいは宮古島というのは本島とかなり条件が違っておるわけです。本島にはいろいろ仕事がありますから、たとえばサトウキビの耕作状態を見てもそう反別が減らなくて、たとえば十アールでも二十アールでも結局二種兼業ですね、主人はどこかで働く。しかしあの離島には働く条件がないわけです。主人が島から出てしまう。あとは荒廃する。あの島を荒らさぬようにするためには、やはり専業体系の構造を持っていかなければ合わないと私は思いますね。たとえば八重山群島あたりは気象条件がいいのです。収穫機械を共同で入れて、サトウキビ三ヘクタール、それから牧草二ヘクタール、それに多少草地開発でもして、草地部分を広げてやれば、標準面積は五ヘクタールあれば、出かせぎしなくてもいい所得が得られる。しかも外部へ出て行くのでないから経費がかからぬのですから、実質所得はよくなるという体系がつくれると思うのです。その条件以外にないと思うのですね。あの島を昔の千五百ドルという基準の所得で、一・五ヘクタールの経営構造で全員が島にとどまってやれということは、もう成り立たぬだろう。そういう宮古とか八重山という島は、専業体系を構造の上で育成して、そして農業でやれる生産構造に位置づけしてやる。これはもう半分も荒れてしまっておるのですから、直ちにやらなければならぬことだと思うのです。それらに対して、農林省当局はどのように考えておるか。
  138. 結城庄吉

    ○結城説明員 沖繩の産業振興の上におきます農業の役割りというのは非常に重要だということは、私どもも常に存じておるわけでございまして、いろいろ意を尽くしておるわけでございますけれども、何と申しましても、先生も御承知のように、基本的な問題がいろいろあるわけでございます。一つには基盤整備がおくれている、それから二つには地力が非常に低い、三番目には本土にはないような病害虫が発生しているとか、あるいは農業技術がおくれているとか、いろいろな基本的な問題があるわけでございますが、振興開発計画の一環といたしまして、いろいろそういう施策をいたしておるわけでございます。仰せのように、本島は、平均規模が六十アールでございますが、宮古へ参りますと百四十アール、それから石垣のほうへ参りますと二百四十アールというような規模もあるわけでございますので、それらの規模も踏まえまして、先ほど申し上げました、いろいろな基本的な問題の解決の施策に並行いたしまして、沖繩という亜熱帯の特性を生かしまして、それぞれの作目を選定いたし、省力機械化営農体系ということを仕組んでまいる以外にはないと思うわけでございますが、離島につきましては、先生も仰せのとおり、それぞれその離島、離島の特殊事情に合うような経営形態を考えながら、たとえばキビと畜産との複合経営とか、あるいはできますところにつきましては、養蚕を振興していくとか、そういう形態を考えていく必要があるのではないか。沖繩全体から言いますと、やはりサトウキビ、パインというのが亜熱帯作物の特性を持っておる関係で中心になろうかと思いますが、それらに畜産とか野菜とかサトウキビとかたばことか、いろいろその地その地に合います作目を選定して、いわゆる作目の多様化というものを進めながら経営を安定さしていくということが必要ではないかというふうに思うわけでございます。
  139. 美濃政市

    ○美濃委員 まあいろいろ病害虫あるいはダニなんかも多いわけですが、これらの対策はどのように手を打っておりますか。こちらの技術で、すみやかにダニなんかなくするようにしてしまわなければならない。ダニがいる。いろいろな悪条件があります。今後これをなくする対策はどういうふうにやっていきますか。
  140. 結城庄吉

    ○結城説明員 具体的な詳しいあれは、畜産局が参っておりませんので、具体的には申し上げられませんが、昨年石垣島におきまして、畜産のダニの退治をいたしまして、これが非常に効果をあげたということでございますので、ことしはこれを広い範囲で継続実施をするということで、四九予算では計上し、お願いをいたしておるところでございます。
  141. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、先ほども話がありましたように、沖繩農業は、当面サトウキビとパインと肉牛だろうと思うのです。そこでそのパインが輸入に押されたり何かして、パインというものの耕作体系が非常に不安定なんですが、これを安定する政策をとる用意があるかどうか。それは検討しておるだろうと思うのです。どこまで検討して、どういう政策をとろうとしておるのか。
  142. 北野茂夫

    ○北野説明員 お答えいたします。  パイナップルにつきましては、先生も申されましたように、沖繩における主要農作物の一つでございますが、沖繩本土復帰に伴いまして、パイナップルを果樹農業振興特別措置法の対象品目に加えまして、なお昨年の三月、それに基づきまして振興基本方針を定めまして将来の需要等を勘案いたしまして面積あるいは栽培条件その他につきましてきめまして、それに基づいて振興方策をとっているわけでございますけれども、具体的には栽培の省力化のための大型機械等の助成事業あるいは土壌改良等の事業あるいは優良系統種苗の増殖配付等の事業を四十七年から継続してやっておりまして、今後もこの事業を積極的に継続する考えでございます。  なお、そのほかパイナップルの植栽育成資金の融通等生産の振興及び生産性の向上をはかるためにいろいろの事業をやっておりますが、加工の問題につきましても企業の合併、合理化を強力に推進するために、近代化に必要な資金を低利で融資する等の措置を講じておりまして、今後とも沖繩のパイナップル産業の発展をはかるため、生産と加工の両面にわたる施策を実施してまいりたいと思っておりますが、ただいまの、先生も申されました輸入の問題等につきましても、現在ではなまのパイナップルにつきましては自由化されておりますけれども沖繩のパイナップルにつきましては九八%がいわゆるパイかんといわれますかん詰めになるわけでございまして、そのためにパイナップルのかん詰めにつきましては現在非自由化としておりまして、その上に五五%の関税をかけまして沖繩のパイナップル産業を保護している次第でございます。
  143. 美濃政市

    ○美濃委員 パイナップルというのは多年性の植物なのか、果樹ですか、果樹振興法にいう。あれは木と解釈すべきですか、ちょっと判断に迷うのです。パイナップルというのは多年性の植物か、それとも果樹なのか。
  144. 北野茂夫

    ○北野説明員 お答え申し上げます。  通常果樹と申しますのは、字のとおり樹木になるくだものを利用するための木につきましていろいろのことを研究し、行政的に措置を講じているわけでございますけれども、パイナップルにつきましては植物的には草本と木本といいますか、いわゆる木との中間的な性質がございまして、灌木的な性状を示すものでありますが、単年性ではございませんので、通常栽培されるものにつきましては苗を植えてから五年間利用する、そういうことでございまして、多分に木本に近い形質を備えておりますので、植物学的分類はともかくといたしまして、行政的には果樹として取り扱うようにいたしまして、果振法の対象作物に入れていろいろの施策を講じているわけでございます。
  145. 美濃政市

    ○美濃委員 沖繩地域の農業振興の問題はいろいろここで想像するよりも、なかなかめんどうな問題が多いわけですが、しかし最後に申し上げておきますが、離島があのように荒廃した。あの荒廃を直ちにとめる、これは農林省の責任だと思うのです。全力をあげて離島の荒廃をやめさせて、そしていわゆる大切な砂糖の生産、まあパインよりも砂糖だと思うのですね。あるいはパインの生産が順調にできるように大いにひとつ計画を立てて実施の段階を迎えてもらいたいと思います。  国有林問題につきましても全然沖繩営林署というのは管理だけで施業がないんですね、三十人かそこらで土地だけ管理しておる。これはどうですか。気候はいいんですが、施業はだめなんですか。あんなふうにして何かあまりあたたか過ぎて条件が悪いのか、もっと国有林を有効な樹種なり樹木の生産を高めるという方法はないのですか。
  146. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 沖繩の国有林につきましては、先生御承知だと思いますけれども、国有林については地域施業計画というのがございまして、全国森林計画に基づく国有林の経営基本計画に基づきまして営林局長地域施業計画を立てるということになっておりまして、復帰と同時に南西諸島地域施業計画というものを変更いたしまして、現在四十七年にその編成を終わったということでございますが、該当する地域の森林につきましては、現在ちょうど植栽と植栽後の手入れが終わったというような段階でございまして、部分的に下刈り、間伐を必要とするようなものがあるということでございまして、伐採なり、あるいは植林を必要とする段階ではない、木の状況がそういうような状況である、かようなことでございますから、目下そういう下刈りであるとか、間伐であるとかの所要な施業と申しますか、そういうものはやっておりますが、今後その施業計画に基づいていろいろ伐採であるとか、あるいは造林を必要とするという段階になりました場合は、先生おっしゃるような形の施業をやっていくということになろうと思います。
  147. 美濃政市

    ○美濃委員 当面アメリカ軍が演習に使っておる部分ですね、八千五百ヘクタールといっておるが、あれは幾らの日数も演習をやっていないようですがね、あれは返してもらえないのですか。
  148. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 米軍の演習地に提供いたしております国有地が本島で約七千九百ヘクタールばかりあろうと思います。その中で約三千ヘク強が特別演習地になっておりまして、四千六百ヘクぐらいがたしか普通演習地であったと思います。特別演習地のほうは非常に濃密に演習が行なわれておるというような状況でございますが、普通演習地につきましてもちょうど昭和四十七年に安保条約に基づく貸し付けというものをやったばかりでございますから、大体その貸し付け契約をやります際に必要なものというものが認定されて貸し付けを行なっておるというふうなことだろうと思います。私どもといたしましては、演習に使われていない土地というものについては地元の方々が農耕その他の土地がほしいという御希望が非常に強うございますから、できるだけ早く返していただくという、このような形で臨んでまいりたい。現にこの一月でございますか、三百ヘクばかりの演習地が返されるというような情報が入っておりますけれども、まだ具体的にはっきりいたしておりませんが、そのようなこともございますし、私どもといたしましては米軍が使用しないというような演習地についてはできるだけ早く返していただくというふうな形の努力をしたいというふうに考えております。
  149. 美濃政市

    ○美濃委員 参考のためにちょっと聞いておきますが、米軍からどのくらいの土地使用料が入っておるのです、国有林として……。
  150. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 四十八年度で約千五百万でございます。
  151. 美濃政市

    ○美濃委員 あと爆弾爆発の問題その他は次回にやることにして、本日は以上で終わります。
  152. 小濱新次

    ○小濱委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  153. 小濱新次

    ○小濱委員長 速記を始めてください。  正森成二君。
  154. 正森成二

    ○正森委員 午前中にも同僚議員から、昭和四十九年三月二日午前十一時二十五分ごろ、那覇小禄五百四十七番地聖マタイ幼稚園南側の排水溝工事現場における爆発事故について種々質問が行なわれたところでございます。私は、他の議員との重複を避けまして、もっぱらこの事件の被害弁償あるいは今後の不発弾等の取りのけについての法律論について、関係省庁質問をいたしたいと思っております。  まず最初に、沖繩県におけるこの問題を考えますときに、こういうような爆雷あるいは不発弾が多数埋まっておる、それを今後発掘する場合に、それの探査、発掘に要する費用をどこが負担するかという問題と、不幸にして被害発生した場合に、その被害をどこが弁償するのかという問題及びその法的根拠は何であるかという、この二つに大きくいえば分けられると思います。  そこで、そのおのおのについて、私は、今後こういうようにいたしたいという技術的なことを伺うのじゃなしに、法律的にどうなのかということにしぼって関係省庁から答弁を伺いたいと思います。
  155. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  ただいまの二点についての法律的な根拠をあげよと、こういうことでございますが、私ども、二点の問題についての法的な背景は現在残念ながらございません。
  156. 正森成二

    ○正森委員 いま副長官からそういうようなお答えがございましたが、事務当局も全く検討していないということですか。その法律的な背景といいますか、法律的な考え方ですね。それがなければ、政治的に幾ら沖繩県被害を全部まかせられない、国が前向きにやるのだといいましても、結局は、政治論の一つの基礎になるのは法律論ですから、法律的にどういうように考えるのか、該当条文はどこであるかというようなことが明らかにならなければ、これはなかなか、前向きの姿勢をとるといってもとれないと思うのです。いままでだってその点が必ずしもはっきりしないようだからいろいろ問題があったのでしょう。そこでこれだけの事故が起こったわけですから、その問題について何らかの政府としての考えがあるべきはずだというように思うのですね。もし沖繩開発庁やあるいは総理府にしかるべきお考えがないのなら、こういう問題を国としてつかさどるのは法務省ですね。そこで法務省の関係の人に来てもらいましたが、どういうようにお考えになるのか。できれば大臣か民事局長から伺いたいと思いますが、きょうは参事官がお見えになっているそうですから、参事官の立場でお答えください。
  157. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 本件の事故につきましては、先ほども議論ございましたように、事故内容原因等については目下調査団を派遣いたしまして調査をしているやに聞いております。したがいまして、私ども特に法律の解釈をつかさどる民事局といたしましては、その事実関係がわかりませんと、具体的な事案の処置としての法律の適用の有無については断定的なことは申し上げかねるわけでございます。ただ、いま御質問ございましたように、一般論としてどのような賠償責任を国が負うべきかということの御質問のように伺いますが、これから申し上げますことは若干の前提がございますけれども、新聞報道などによりますと、今回の爆発事故原因は、旧軍隊が敷設した地雷であるような報道もなされております。もちろん、地雷であるのかどうか、それがどういう状況爆発したのかということについては目下調査中でございますので、その点は伏せまして、一体そういう旧軍が敷設したような爆弾について、それが何らかの原因爆発し、地域住民が被害を受けた場合に、どのような根拠規定で国が賠償責任を負うことができるか、この点について一般論的なお話を申し上げることで御了解いただきたいと存じます。  この点につきましては、申し上げるまでもなく、国家賠償法の適用の問題と、それから民法の一般の不法行為責任の問題と、二通り考えられると存じます。  第一番目の国家賠償法の適用でございますが、これは申し上げるまでもなく、一条の公権力の行使による損害といえるかどうかという問題になろうかと存じます。国家賠償法一条に規定してございます公権力の行使、本件の場合それがどのように適用になるのかということがまず問題でございまして、それは、国もしくは地方公共団体が、一体かような埋設され、しかもそれが埋設されているということが予知できないような爆弾について、どのような公権力の行使があったといえるかという問題になろうかと思います。この点は、いわばそういう危険物を除去しなかった不作為が即公権力の行使に当たるかという問題が出てくるだろうと思われます。その場合に、さような不作為義務があるとするならば、その義務というのはいかなる根拠規定に基づく義務なのかというのが当然法律論としては出てくるかと思われます。その場合考えられますことは、自衛隊法附則十四項によって、通報などにより自衛隊爆発物などを除去することができるという権限規定が置いてございます。これは、必ずしも私自衛隊法を通読したわけではございませんから、確定的なことは申し上げかねますけれども、一般的な規定として解釈いたしますと、これは自衛隊警察作用上の一権限を規定したにとどまるというように解釈されるのではないだろうかというぐあいに思われるわけであります。つまり、そういう危険物があった場合に、自衛隊の任務として、当分の間は、一定の手続により除去できるということを書いているにすぎないわけでございまして、何ら通報もないような状態の場合に、当然に公法上の義務としてそれがあり、しかもそれを除去しなかったことが不作為の公権力の行使に当たるというようにはたしていえるかどうか、ここが一つ大きな問題だろうと思われます。その点は、先ほど一番先に申し上げましたように、現在調査を進めておりますから、はたしてどういう状況で埋設され、それがどういう状況爆発したのかということがわかりますと、もう少し問題を掘り下げたお答えができるのではないかと存じますけれども、いまの段階では、自衛隊法を使ってくるだけではどうも明確な義務規定にはならないだろうというぐあいに思うわけであります。  問題は、義務というのは何かということになるわけでございますが、国もしくは地方公共団体がさような危険物を除去する公法上の義務があるとするならば、これは一般論でございますけれども、義務を特定する内容のものでなければならないのではないかというぐあいに、まあ法律家としては思うわけでございます。それは、一般論として申し上げますと、具体的な特定第三者に対する義務というように特定されることが必要であろうと思われます。ということは、換言いたしますと、その弾丸がある一定の場所にあって、しかもそれによって事故発生が予見できるというような状況になりますと、公法上の義務だという解釈もあるいは可能かというように、まあ、これは私の個人的な見解でございますけれども、考えられるのではないかと思うのでございます。本件の場合はたしてそういう状況にあったのかどうかということがまずわかりませんものですから、まさに抽象的なお答えにならざるを得ないわけでございます。  いずれにいたしましても、いま申しますように、国家賠償法を適用いたそうといたしますと、結局公権力の行使とは何か、しかも、その行使する義務があるとしても、だれがその公権力の行使を怠ったことになるのかという所管の問題もふまえて、事実調査の結果に基づいて判断していくべきではないかというように思うわけでございます。  第二点の民法の不法行為の問題がございます。この点は、申し上げるまでもなく物の管理者の責任ということになるだろうと思われます。あたかも冷蔵庫を放置しておいて、その冷蔵庫の中に子供が入って、締まってしまって、その子供が窒息してしまったという場合と同じように、その物の所有権がだれに属するかは別問題といたしまして、その物をそういう危険な状態に置いておいたという物の管理者の責任が、不法行為の要件を満たすことになるかどうかということに帰着すると思われるわけであります。  本件の場合を考えますと、これは明らかに弾丸であったと思われますので、そういう危険物をそこのところに置いておくことがすなわち管理者の瑕疵であるというようにいえるかどうかがまず問題になる。そのためには、そこに置いておくことが不法行為であるというように、民法の七百九条を使えば、構成せざるを得ないわけでございます。はたして、その不法行為というのは、いつ不法行為が発生したのかということが法律論としては問題になるだろうと思われます。旧軍が敷設したといたしますと、敷設行為自体は戦闘行為で一応適法行為だと思われますが、それが一体いかなる時点で不法行為になり、つまり掘り出して除去することをしないでおくことが不法行為だというのは、いっそういう法律関係が成立するのかということが、これも具体的事案をつぶさに検討しないと、ならないだろうと思われるわけでございます。  さらに、一体もしそういうものを管理する義務があるということになりますと、一体だれがさようなものをどういう形で管理するのかということも、現行法上よくわかりません。地中深く埋まっていたように新聞などでは報道されておりますけれども、探知できないような状況下にあるそういう旧軍隊の爆発物をだれがどういう方法で管理可能であったのか、それが出てまいりませんと、民法七百九条の不法行為のいわゆる危険物の保管管理者責任という問題もむずかしいだろうというぐあいに思われるわけでございます。したがいまして、いま調査中でございますので、この調査の結果を待った上で、さらに国家賠償法なり民法の不法行為の適用があるかどうかについては検討すべき問題だと考えております。
  158. 正森成二

    ○正森委員 いまの法務省の説明を聞きますと、法律専門家の御説明かもわかりませんが、すこぶる木で鼻をくくったような説明です。  もう一度聞きたいと思いますが、あなたは専門家としてお答えになったようですが、一体本件の法律的な賠償責任その他の責任帰属を考える場合に、民法七百九条と国賠法の一条しか一体該当条文がないと思っておられるのかどうか、それを伺いたい。
  159. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 お答えいたします。  私ども民事局の関係でございますので、主として、私は民事の関係できょう御答弁申し上げたわけでございますので、そのほかの公法上の関係についてはお答えいたしかねます。
  160. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、その答弁を裏返せば、公法上の関係を除く民事上の関係については民法七百九条と国賠法の一条しかない、こういうぐあいに理解するよりしかたがないと思うのですね。  そこで私は、その考え方が現在の国賠法についての学説、判例の考え方にも合致しないし、きわめて国の立場からした狭い解釈にしかすぎないということをこれから申し上げていきたいと思います。  少し判例等を引用いたしますので、お聞き苦しいかもしれませんが、お許し願いたいと思います。  まず第一に、法務省に伺いますけれども、あなたは先ほど、かりに国賠法の第一条の規定によるとすれば、それが公権力の行使といえるかどうかということが問題だ、そして、公権力の行使といえるかどうかについて該当条文を考えれば、自衛隊法の附則の十四項以外にはないと思われるという意味のことを言われました。しかしこれはきわめて重大な発言でありまして、ここに手元に、昭和三十三年七月四日に、防衛事務次官、警察庁次長、自治事務次官、通商産業事務次官の「陸上において発見された不発弾等処理について」、こういう通達があります。これは午前中にも再三引用されたところであろうと思いますが、これを見ますと「標記については、従来通商産業省がこれを実施してきたのであるが、今般自衛隊法の一部を改正する法律昭和三十三年法律第二八四号一の施行により、自衛隊陸上において発見された不発弾その他の火薬類一以下「不発弾等」という。)の除去及び処理(以下「処理」という。)を行う権限が与えられたことに伴い、本件についての従来の経緯等を考慮の結果、次により実施することとなったから了承されたい。」、こうなっている。そうすると、あなたの言われる自衛隊法の附則十四項というのは昭和三十三年に初めてつくり上げられた。あなたの議論をそのまま突き進めていくと、昭和三十三年以前には一体いかなる意味でも公法上の義務というようなものはなかったのですか。公権力の行使をしなければならないという義務はなかったのですか。恩恵としてやっておったのですか。あなたの議論を進めるとそういうことにならざるを得ない。それならばそれまで通商産業省が行なっておったのはいかなる義務に基づいて行なったのですか。その点をまず答えていただきたい。
  161. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 私が自衛隊法の附則十四項を持ち出しましたのは、現在爆発物処理をしておりますのは警察とかあるいは自衛隊だと私は想像いたしておりまして、先ほど申し上げましたように、自衛隊法に全部精通しているわけではございませんので、ことばが足りなかったかもしれませんけれども、明らかな明文の規定として条文が載っかっておるのは、自衛隊法九十九条にも海上の浮遊物がございますけれども、そういう規定しか見当たらないと申し上げたわけでございます。したがいまして、それ以外に一体行政庁、国もしくは地方公共団体がどういう権限で爆発物処理をしているのかということは私は存じておりません。もちろんそれができないということを申し上げているわけではございませんで、少なくとも明文の規定では自衛隊法九十九条ないしは附則十四項の規定しか私は見当たらなかったわけでございまして、それ以外にも通報があれば行政責任、あるいは行政責務といったほうがいいのかもしれませんけれども地方公共団体などで処理するということは考えられるわけでございまして、私が申し上げましたのは、条文の根拠規定としてはそれが私は承知しておるということでございます。
  162. 正森成二

    ○正森委員 いま法務省からそういう説明がありましたけれども、しかしすこぶる不親切な答弁で、そういう言い方をすれば、あたかも昭和三十三年以前にはいかなる意味でも国には公権力上の義務がない、したがって、国賠法の一条などは発動する余地はないかのようにあなたの答弁では聞こえる。しかし、私はそういうものではなしに、国は、およそ不発弾とか爆弾等があれば、そしてそれを適切に除去しないことによって爆発事故が起こり日本国民に被害を加えた場合には、やはり賠償責任を負う場合があるということは当然であろうと思います。それを法律的に申し上げたいわけですが、そこへ突き進んでいく前に、西銘次官もおられますから私は一つ申し上げておきたいと思いますが、昭和三十三年の私がいま言いました通達あるいは通牒を見ますと、これは陸上自衛隊に一定の義務を課し、そしてそこでの関係資料を見ますと、これは「不発弾等処理交付金交付要綱」ということで昭和四十八年十月二十三日、それから「沖繩県に対する不発弾等処理交付金交付規則」四十八年十二月三日、というようにそれぞれこれは出ておりますが、これを見ますと、国内では、他の議員が言われたと思いますが、足切りが五百万円である。五百万円以上をこえた爆発物処理費用については二分の一を国が負担するということになっておりまして、ただし沖繩の場合は別だ、沖繩の場合は総額の三分の二を国がめんどうを見ましょうということになっていることは御承知のとおりであります。ところが、これがすこぶるつきの不評判でありまして、一億円国が予算を計上しておりましたが、五百万円の足切りですから、普通一発処理するのにたいてい四百万くらいで出てしまう。そうすると全部地方自治体の負担になる。だから届け出てもしかたがないということでほとんど何人もこれを利用しなかったのは御承知のとおりであります。これが利用されましたのは、沖繩ではともかく全額の三分の二のめんどうを見ましょうということでございますから、沖繩についてだけ約七百万円くらい消費されまして、それ以外はどこからもこれで援助をしてほしいということを言うてきたものがおらない。そこで困り果てて、東久留米市の場合には国のほうから何とか申請をしてくれないかということで、東久留米市だったと思いますが、そんなことをしたってこれは五百万円以下なら全部自分で持たなければならないということで、いやそれじゃまとめてめんどうを見ましょうということで、結局全部自治省が肩がわりして特別交付金で全額やった。こういうことになって、続いて立川、小平両市なども発掘費を全額国が補助するということになったのですね。これは経過としては私の説明がおそらく正しいと思いますが、そういう経過になっておるわけです。しかし、私がここで申し上げたいのは、私の理解が間違っているかもしれませんが、少なくとも昭和二十七年五月十九日に同じく通商産業事務次官、地方自治庁次長、国家地方警察本部次長、調達庁長官が出しておる通牒によりますとこう書いてある。「陸上における爆発物件の処理に関しては、従来調達庁が所管官庁となっていたが、今般通商産業省への移管に伴い、現在通商産業省が施行している火薬類取締法との関係も深く、」というようなことで、そして次の「陸上における爆発物件の処理要領」でやる、こういうようになっておりまして、「通商産業省は、都道府県と協議し爆発物件の発掘、廃棄及び払下げに伴う国庫納金の取扱等の事務都道府県知事に委託して行うものとする。」「爆発物件の処理のため必要な経費は、爆薬処理費(通商産業省所管)により措置するものとする。」こういうように昭和二十七年にはなっているのですね。つまり明確に国の委任事務として都道府県知事にやってもらい、費用は全額国が出すということに昭和二十七年にはなっておる。経過からすれば、私の理解が正しければ、昭和三十三年にはこれが大幅に改悪されているとしか言いようがないものになっておるというように解釈できると思うのですね。昭和二十七年にはそういうように通商産業省が必要な経費は全部爆薬処理費により措置するものとするということに一応なっておる。こういう時点というのは一体あったのかなかったのか、明確に答えていただきたい。こういうようにやっておったのでしょう。
  163. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘の点につきましては、総理府としてはその経緯がさだかでございませんので、通産省にお聞き取りいただきたいと存じます。
  164. 正森成二

    ○正森委員 それじゃ、通産省のいまおられる方は所管じゃないようですから、できれば電話でもかけてもらって、あとまだ瀬長議員の時間を含めれば四十分ぐらいありますから、この関係のことを知っているだれか課長なり局長なり来てもらったらいいと思うのです。しかし、私が理解しているところでは、昭和二十七年から三十三年まではこの通達ないしは規則によって全額通産省が爆薬処理費ということで出していたというようにこれはなっているはずですね。現物のリコピーなんですから。そうだとすれば、いま法務省がおっしゃいましたけれども、三十三年の自衛隊法の附則十四項などのできる前にすでに国が少なくとも処理費については全額見ていた時期があるというように考えていいのじゃないか、こう思うのですね。なぜ国がそういうようにしたのかといえば、それは第二次世界大戦において旧軍が所有しておった爆弾、これは明白に国有財産であります。これを否定する人は何人もいないと思うのです。それが、戦争が終わってから危険な状態で埋没されておる、あるいは放置されておるというような場合に、その管理の不適当あるいは不十分な点から爆発した場合には、国にとっても責任がある、したがって不測の事故を起こさないように、それを処理する公法上あるいは公権力上の義務が国にある、こういうように思ったからこそ昭和二十七年にはこういう通牒を出したに違いない、私はこう思うのですね。そういうような考え方は、今度は爆発物処理だけではなしに、不幸にして処理が十分になされないで爆発が起こって被害発生した場合に、やはり同じように解釈されなければならない、私はこういうように思うのです。  そこで、どなたがお答えになるのか知りませんが、お見受けしたところ法律専門家はどうやら法務省らしいですけれども、次官、副長官のお許しを得て法務省に伺うとすれば、まず第一に今度の事故について、ここにきょうお配りいただいた警察庁保安部の原因についての記載があります。それはもちろんまだ確定したものではありませんが、「現場に臨場した自衛隊爆発物処理隊の見解によれば、旧日本軍が使用していた爆雷(直径七〇センチ×高さ一〇〇センチの円筒型のもの一と推定されるが、詳細調査中である。」こういうことになっておりますね。あの辺は海軍の司令部のあったところで、爆雷やあるいは急造地雷などを埋めて死守するといっておったから、おそらくそのうちの一部であろうという推定現地でもなされておるわけです。  そこで伺いますが、これがもし何でもない、いま予測したのとは全く別の原因だったというようなことになりますれば、これは議論が根底から違ってくるわけですが、かりにこの警察庁推定の爆雷だとして、爆雷というのは日本国に所有権があった、現在もあるというように考えていいのじゃないですか。それともそういうものを持っておるというだれか奇特な人がありましたか。
  165. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 お答えいたします。  ただいまのメモを私は持っておりませんので、正確なことはわかりませんけれども、旧軍隊が敷設した地雷、爆雷であろうというぐあいに新聞報道でもございますが、その爆雷の所有権が現在何人に帰属するかというのは、これはおそらく国に帰属しているというのが一般的な解釈だろうといいぐあいに私も考えております。
  166. 正森成二

    ○正森委員 そうだとすると、これは国の所有物であるという場合に、私は被害を与えた賠償関係に触れたいと思いますが、いま法務省は国賠法の一条だけをあげられた。しかし国賠法は一条だけではなしに、第二条というものがあります。第二条には「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」これは御承知のように無過失責任といいますか、結果責任であります。故意とか過失とかいうものは入らない。そこで、こういう地雷あるいは爆雷というようなものは国に所有権があるということは法務省がお認めになりましたが、これは法律上の「公の営造物」に当たるものではないかというふうに私は思いますけれども、その御見解はいかがですか。
  167. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 本件の地雷、爆発物が国の所有権であると申し上げたのは、認めたと先生おっしゃいますけれども、私はそうならざるを得ぬだろうというぐあいに申し上げたわけでございまして、ほかに公権的な解釈を申し上げるわけにもまいりませんので……。ただ、いま先生がおっしゃいますように、第二条の「公の営造物」というのにそういうものが入るのか入らないのかということになるのだろうと思われます。二条の解釈の問題になりますけれども、あそこに掲げられておりますものは施設、まあ道路もそうでございますけれども、そういう営造物をいっていると思われますので、爆弾自体が二条に当たるというぐあいには私は解釈いたしておりません。
  168. 正森成二

    ○正森委員 そういうことをおっしゃるだろうと思って、私はここに文献を持ってまいりました。「注釈民法」の19というのを見ますと、国賠法についての解釈が書かれております。それの四一七ページを見ますと、「すなわち、民法は」というのは民法の七百十七条のことですね。「民法は「土地ノ工作物」に限定されているが、本条の「公の営造物」はそれより広い概念である。また、民法は所有者には絶対的な責任を課しているが、占有者には免責事由を認めるのに対し、本条はまったく免責を認めない。」こういうぐあいに書いてありまして、そして公の営造物にはどういうようなものがいわれるかということを書いた四一九ページにこう書いてある。「通説は動産もふくまれると解している。」いいですか、通説は、こういう道路だとかあるいは建物だけでなしに、動産も含まれると解釈されている。地雷だとか爆弾というのは明らかに動産であります。そして「判例も自動車・自動二輪車について認めた例がある。」札幌高裁函館支部判決昭和二十九年九月六日、鹿児島地裁判決昭和三十一年一月二十四日あるいは旭川地裁判決昭和三十五年一月二十二日。「航空機や船舶も入るし、ピストル等もふくまれる。」いいですか、ピストルなども含まれる。ピストルが含まれるのになぜそれよりでっかい爆雷や地雷が含まれないか。これが「注釈民法」の解釈であります。しかもこれについては、あなたのほうの御親戚筋に当たる訟務局がはっきりそういっておるのですね。訟務局がいっておるというと言い過ぎかもしれませんけれども、ここに大坪憲三氏、検察官ですね、この人のお書きになった「警察事務中心 国家賠償法詳解」という本があります。これを見ますと、序のところに「事実私が最近までの二年有余、同法の所轄課ともいうべき法務省訟務局第二課にあって訴訟実務にたずさわった間に於ても、国家賠償請求事件の約半数はこれらの事件で占められていた実情にあった。」云々、こう書いてあって、いわば法務省の訟務局第二課に携わった人の経験をまとめた本であります。それの二〇七ページを見ると、こういうように書いてある。「右のような解釈の結果、公用のため備えつけられた官公庁の自動車は、本条の公の営造物に該ることになる。そして、この点については既に下級裁判所の判例も見るに至って、殆んど今日の通説となっている。同様に自衛隊等で使用する航空機、船舶等も公の営造物に該るだろう。また、これは右のように必ずしも形態の大きいものばかりに限られるべき理由もないから、警察職員の携帯するピストル等も公の営造物といわざるを得ないだろう。警察犬は民法第七一八条との均衡からも当然これに該るものと解する。」こう書いてある。いいですか、ひとつぽんとかみつくぐらいの警察犬やどおんと一発ぶっぱなしてもたいしてけがのしないようなピストルまで公の営造物だというようにあなた方の訟務局の検事が認め、そして「注釈民法」が大体において認めておる。そうだとすれば、それよりももっとでっかい地雷だとか爆雷だとか、あなたは国の所有権というようよりほかにしかたがないと言われた。それが国家賠償法第二条でいう「公の営造物」に当たるだろうということはほとんど確実ではありませんか。そうだとすれば、国家賠償法の一条についてもそれの適用の可能性もあるということをこれから申し上げますが、かりにその点を除外しても、国家賠償法二条の「公の営造物」に当たり、しかも国がこういう危険なものをいつ爆発するかもしれないような状況で幼稚園のすぐそばに放置していた。よしんばそこにあるかないかわからない、しかも危険なままでそれを放置していたということで、それの「設置又は管理に瑕疵があった」ということになるのは理の当然であるというように私は考えます。それについてあなたはあたかも動産が入らないかのような、学校だとかあるいは道路だとかそういうもの以外には「公営造物」は当たらないみたいに言われましたが、その見解を訂正されますか。
  169. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 お答えいたします。  国家賠償法二条の「公の営造物」の中に、おっしゃるように自動車、船舶、航空機等、これは不動産に準ずべきものだと考えますが、そういうものが含まれることは、これは解釈上も当然であろうと思います。また判例の中で、あるいは先生指摘のように注釈民法の中で動産も含まれるという解釈があることも承知いたしております。しかし問題は、本件の爆薬がはたして国家賠償法二条の「公の営造物」に当たるかどうかについては、私は私の公権的な解釈をここで申し上げるわけにはまいらないというぐあいに申し上げているわけでございます。  なお、二条を適用する場合には、「公の営造物」の設置、管理に瑕疵がある場合でございますが、かりに弾薬が「公の営造物」であったといたしましても、その管理に瑕疵があったということがいえるかどうか、そこが先ほど私が申し上げました点でございまして、少なくとも管理できる状態にあったにもかかわらずそれを放置していたならば、管理の瑕疵があるということもいえましょうけれども、はたして本件の弾薬が地下に埋まっているということも知っていたのかどうか、あるいはそれを掘り出すことができたにもかかわらず掘り出さないで放置していたのかどうか、そういう管理が可能だったかという点が、私はまだ実態調査の結果を見ないとわからないのではないか。つまり、だれが管理していたことになるのかということを先ほど申し上げたわけでございます。
  170. 正森成二

    ○正森委員 法務省の役人だから少しは専門家らしいことを言うかと思ったけれども、それでは、あなた、国賠法の二条を全く理解していないじゃないですか。あなたのような観念を持ち出せば、結局国賠法二条の「公の営造物」の設置、管理について瑕疵がある場合には、これは損害について責任を負わなければならない、これは無過失責任だといわれておりますが、それについてはたして管理する、そういう義務があったのかどうかとか、あるいはそういうことが、爆弾があるかどうかということを察知できたかどうかとか、いろいろな意味で、ある意味では過失責任というようなものをひそかに忍び込ませるというような考え方である、こういうようにいわなければならぬと思うのですね。しかし、通説はそういうようにいうていないですよ。「右の安全性を欠くに至った原因は問題とはならない。設置、管理の瑕疵に、人の故意、過失ある行為が介在しようがしまいが、瑕疵があるという結果には影響がない。この意味では本条はいわゆる無過失責任であるといえる。」と、こういうように書いてあるのですね。あなたは、こう言っても、なおかつそんなところにあるかどうかわからなかったとかいうようなことを言われるかもしれないけれども、本来爆弾だとか爆雷というようなものがどこにあるかわからないような状態で現存しているということが、所有権を持っている国の設置、管理に瑕疵があったということじゃないですか。そんなものがどこにあるということがわかっておって、そんなものも出さないでパイルを打ち込ませるなんでいうことになったら、故意による殺人じゃないですか。そんなことを言うているのじゃない。爆雷が火薬を抜き取られないような状況でごろごろあるということが、まさに日本国民に対して「公の営造物」の設置、管理について瑕疵があったということではありませんか。そういうように解釈しなければ、国賠法二条の解釈なんか意味がないことになります。いいですか。そうでなければ、あなたの説によれば、爆雷が「公の営造物」だったとして、どこにあるか、工事がいつあるかというようなことがわかっていなければあたかも責任がないかのように聞こえる。だから、工事をする者はどこに爆弾があるのやら、そんなことはわからないのです。わからないような状況のまま、そういうぶっそうなものを放置しておったということが、まさに「公の営造物」の所有権を持っておる国の設置または管理に瑕疵があったということになるのでしょう。だからそんなものがぽかんときた場合には、まさに瑕疵があったということで、それ以上のことは聞かなくても無過失責任を負う、こういうことになっているのです。日本国民の立場に立って考えてごらんなさい。いつぽかんとくるやらわからぬものがそこら辺にうろうろあって、そうしてたまたまパイルがぶち当たって爆発した。それについて国が国賠法二条によって責任を負うことは私は当然である、こういうように思うのです。どうです。
  171. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 ただいまの点につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、営造物の設置、管理の瑕疵という場合の瑕疵というのは何かということが、本件具体的事案の場合にまだ調査結果がわかりませんのでお答えできないということを申し上げたわけでございます。ただ、そこに放置しておくこと自体が瑕疵に当たるのかどうかということもよく検討してみないとわかりません。
  172. 正森成二

    ○正森委員 私は、昭和二十年の四月から、本土のつい立てになってアメリカ軍と死闘を行ない、それからさらに二十七年間、アメリカ軍の占領支配下にあり、そしてやっと本土に復帰して、日本国政府が、憲法二十五条にいう、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある沖繩県民の権利を守ってくれると思っているのに、はたしてそんなものを放置していたことが設置、管理の瑕疵になるのかどうかというようなことを法務省の役人が言うとは何ごとか。これは野球のグローブをそこら辺に置いていたという問題じゃないのです。いいですか。もし爆雷だとすれば、敵軍がその上へやってくれば、踏めば爆発することを目的にして埋めておるのです。それが戦争が終われば、その場所を明示して、近寄らさないようにするかあるいはそれを発掘する、それが当然国の責務であり、それがあまりにも数が多いからというのでできなかったら、国民に損害を与えた、人命は何ものにもかえがたいくらいとうといから、おわびはできないけれども、起こったことについて国が当然損害賠償責任を負って、せめてお金なりとも、人命にはかえられないけれども、差し出すのが当然じゃないですか。それが何です。そんなぶっそうなものを放置しておったことが管理責任の瑕疵になるかどうか、設置の瑕疵になるかどうかそこが問題でございます、そんな冷たいことを言って、沖繩県民が納得すると思いますか。しかもあなたは、私が順次ここに、ほかにまだ二冊、三冊本を持っておるけれども、本をあげていけば、国賠法一条だけでなしに、二条が該当するとかあるいは最初は、二条の場合にはあたかも動産は全く入らないようなことを言うておったのが、私が判例を突きつけ、あなた方と同じ検事の著書を引用すると、やっとそれは「公の営造物」になり得る可能性があるというようなことを次々に認める。一体沖繩県民のために、法律の解釈さえ許すならば弁償してやろうという気があるのですか。法律の解釈は許す余地があるということを、私どもはこうして調べているじゃないですか。あなた方にもし人間としての一掬の涙があるなら、法律をさがし回ってでもそんなことを見つけ出すのがあたりまえじゃないか。それを野党のわれわれが苦労して国会図書館へ行って調べてきて言うておるのに、言われた最小限度は認めるけれども、それをまたつべこべ言う。そんなことで陳情に来た午前中の沖繩県議会の代表にも合わせる顔がありますか。私は、法律上全くできないことをやれと言うているのではない。しかし「公の営造物」ということについて、動産も入り得る、警察のピストルも入る、警察犬も入るという見解を、あなた方と同じ官庁におった人が言うておるのでしょう。それならば爆雷や地雷だって入っていいじゃないか、解釈上。現にそういうことも考え得るから、昭和二十七年には通産省が、その処理について全部国の費用でやっていたのでしょう。それならそれが漏れたことについて、爆発が起これば、国賠法の二条を適用して弁償するということを当然やってもいいじゃないですか。一体幾らかかるのですか。自衛隊の一兆円もかかるのですか。そんなにかからないでしょう。国がやるのはあたりまえじゃないですか。それの法律論をさがしてやるのがあたりまえじゃないですか。私はあなた方にそういうことを申し上げたいと思う。  さらに、時間が参りましたから、瀬長議員に引き継がなければなりませんから多くは申しませんが、国賠法の一条で言うならば、公権力の行使について瑕疵があったために損害を与えたという公権力については、これは作為の場合もあり得るし不作為の場合もあり得るということは判例によって御承知のとおりであります。これはたとえば農地などについて買収を登記しなかったというようなことで損害発生した場合とか——私はここに判例集を持ってまいりましたけれども、三つも四つも不作為についても国賠法の一条が成立するということが記載されております。そうだとすれば、国賠法の二条によっても、あるいは国賠法の一条によっても、政府がいろいろ考えてあげれば損害賠償ができ得るというように私は信じます。時間がありませんからこれでやめますけれども法律論については私が申し上げたとおりです。どうか西銘次官、あなたは沖繩出身でございます。沖繩県民の心は何よりも御存じのはずです。また総理府長官、きょうは大臣がおられませんけれども、これは党派を越えた問題です。私は自分の政党の立場から言っているのじゃない。これは自由民主党であってもやはり考えなければならぬ問題です。きょうは大臣がおられませんし、法律の、あなた方の代弁をすべき人も法務省の参事官で完全ではないと思いますけれども、私が申し上げたことをできれば御理解願って、もし法律上可能なものであれば、これから爆発物処理についても国が全額出す、それが出せないで事故が起こった場合に、特に本件のようなものの場合に、あの原因が爆雷であり地雷であるということがわかれば、これは国が被害者に対してあるいは被害を受けた家屋に対して損害賠償を全額負担すべきものであるというように思いますが、それについて前向きに善処していただけるかどうか伺って、私の質問は終わりたいと思います。
  173. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生の御質問の冒頭に私御答弁申し上げましたが、そのときに本件に関してその補償のための法律ありやなしや、こういうことでございました。私が御答弁申し上げたことは、本件にそのままぴったりと適用する法律があるかどうかについての私の認識を申し上げたわけでございます。しかし、その後の質疑応答の過程におきまして、現行法においても考えられるものがあるのではないかという御指摘もございました。それに対して法務当局からの見解も述べられました。この質疑応答を十二分に理解しながら、できるものなれば、当問題について現行法で考えていくべきものか、あるいは本日午後の質問にお答えいたしましたが、他に立法措置を講ずるべきではないかという御質問さえいただいておりまして、そういう御質問に対しましても、含めて検討していきたいという御答弁を申し上げておるわけでございます。ただ私自身法律専門家でございませんので、先ほど来の質疑を十二分に承りまして、政府としての考え方を取りまとめていきたいと考えております。
  174. 西銘順治

    ○西銘政府委員 国家賠償法を適用できるかどうかにつきましては議論の分かれるところでありますが、まあできるということでありますならば、前向きで検討したいと思っております。
  175. 小濱新次

    ○小濱委員長 関連して。瀬長亀次郎君。
  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 質問に入る前に、ここに来られる政府委員、たとえば総理府であれば小渕長官あるいは伊藤管理室長あるいは西銘政務次官、こう来ておられる。その場合、委員会質問になった事項について自分の見解はこうだと述べられるにしても、こういったような委員会質問があり、これについては早急に対処しなければならないと思うとかということを、お帰りになって大臣に話されるとか、そして相談をまとめられるだろうというふうに私思っておるのですが、そのとおり理解していいのですか。ただ委員会で聞きっぱなしで帰る、長官あるいは大臣にも報告もしない、また意見も聞かない、意思を統一しようというふうな努力もされないとは考えていないのですが、報告をし、御相談になり、十分事件の本質をつかんで、こういうふうにしたらどうかというふうにおきめになる、その姿勢で御出席されておると思いますが、そういうふうに理解していいかどうか。
  177. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘のとおりでございます。
  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうでなければここに出席される資格はないと思いまして、当然のことを話すのですが……。  それで、これと関連しまして、私も法的に、特に県議会で決議した第一項、意見書の中の第一項は、再びこのようなことが起こらないように追跡調査をして——まあ文句は組織的に科学的にこれを調査するような措置を政府に要求している。私、五日の委員会でこの交付金要綱の第三条、交付対象、この中の二項の一に「不発弾等処理するための発掘発掘に直接必要な探査を含む。)」というものを取り上げて、もし前向きにこれを検討するのであれば、さらにこの十六条とも関連して、いまそういった法律がないとなれば、使えるのはこれだけだと思うのであれば、これを使ってでも早急に爆弾がどこにあるか探査する、この仕事をやれば——またやらなければ再びこのような事件を起こさない保証はないという意味で申し上げたのですが、この点は、五日ですから——きょうは七日ですが、だから大臣ともたぶん報告をしお話しになって、その結論は得ておると私思うのですが、いかがでしょうか。
  179. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  先般来御質疑いただきました調査の問題でございますが、当問題につきましては私も総理府を代表して答弁いたしまして、その答弁に基づきまして検討いたしておりますが、調査全般にわたりまして、当事項が全国一律にすべての調査を行なうだけの権限——この条項によって調査することが可能であるという結論は残念ながらまだ得ておりません。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それではお聞きしますが、これは内閣総理大臣決定として出されておる要綱で、これによって交付金交付しておる。なれば、政府は、いまの正森委員との質疑応答の中でもありましたように、ほんとうにこれを再び起こしてはいかぬ、あの残酷きわまる、園児を含む四人が吹っ飛ばされるということはもう再びあってはいかぬということはお考えになっておると思うのです。私もこの前、所有権がどこにあるかということを内閣で討議になったが、意見が統一しなかったという経緯も話したのですが、これはとにかく法案をつくって国会に出すというふうなこともやらなくてはいかぬでしょう。ところがほんとうにその腹になれば、こういった総理大臣の決定に基づいて、いまの不発弾はどこにあるのか、埋没しているのかということを調査し、さらに発見し発掘するという姿勢がなければならぬと思うのですが、そういうお考えが浮かんで、大臣にでも話されて、大臣も、そうだな、そんなことでもやらぬといけないだろうなあといったぐらいは言ったんではないかということを県民は考えると思うのです。これは国民の常識なんですよ。再び起こしてはいかぬ、だれでもそう思います。いや、まあ少々の、軽い命の損傷であれば、一人ぐらいであればいいんではないかなんと考える人はおらぬでしょう。だからその意味では、正式に法律をつくる前に内閣総理大臣決定として、法的な、いわゆる依拠すべき法の根拠を少なくとも考えたいということはお考えに浮かびませんか。いかがですか。
  181. 西銘順治

    ○西銘政府委員 沖繩に関する限り、別に法律をつくらなくても現在の要綱で事後の安全対策が十分とれると私は考えております。したがって、沖繩に関する限りは、県市町村とも協力体制をとりまして不安のないような体制を樹立したい、こういう方向でこの問題に対処していきたいと考えております。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうしますと、いまの副長官との意見は非常に食い違っておりますね。副長官は、現在のところこの要綱では、これは沖繩にも関係しております、いわゆる追跡調査をして発見し発掘をして処理するということは、ちょっと法的にむずかしいんじゃないかと言われたので、私は、このような法律を正式に国会に出してつくる前に、総理大臣決定として出す。これは可能なんです、これが出ているんだから。そういうことを緊急にやらなければ——ほんとうの緊急な事態なんです。緊急な事態についてあなた方はまだ頭に入っていないようですが、これは総理府であるから沖繩現地の新聞はお読みだと思うのですよ。実にたいへんなことなんですよ。この調査の結果は、四メートルにパイルが入ったときに爆発をやっています。ところが、どんどん掘っていったら、六メートルのところ、さらに十一メートルのところから爆発をした砲弾の、これは地雷かもしらぬということで、破片を集めまして、いま現にやっておるのですよ。そこまでいっていますよ。まだある。さらにその後続々として不発弾があるということが、すでに三十五件、県に報告されておる。こうなりますと、さらにいま遺骨の収集を南部戦跡のほうでやっております。この事件以後、遺骨のあるところはたいてい激戦地なんですから、さあ、その遺骨を収集するところで爆発するかもしれない。それすら困難になっている。私この前工事の問題を申し上げましたが、こういったような実情の中で、県議会が党派を越えて全会一致で決議して、第一項目に、再びこのようなことを起こしてはいかぬから、国の責任でこれを組織的に科学的に処理できるようにしろということは、法律ですね、それに基づいて行動ができるよりどころとしての法をつくれ。そしていま私が要求しているのは、正式に法制局あたりにはかって、さらに案として国会に出して、さらに決議してやるというふうなことも必要です。だが、いま一番必要なのは、あなた方がすでにやった、またやろうと思えばできる、内閣総理大臣決定に基づきまして、国が責任をもって全沖繩だけじゃなしに全国の怪しいところは一々シラミつぶしに調べて、そして発見、発掘処理、これは当然考えられるじゃないですか。このぐらいの考えもなければ、一体、どうして百万県民の代表として県議会が超党派的にこの決議をしたか、意見書としてちゃんと要求の中の、まっ先にある。これは副長官、もう少し真剣に考えてもらわなくちゃいかぬし、私は答弁を求めますが、この点につきましては、長官にもお話しなさって、一日も早く国民の命を大事にするための措置を講じてもらいたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  183. 小渕恵三

    小渕政府委員 意のあるところは十二分にお伝えをいたしまして、検討さしていただきたいと存じます。ただ、条項にあるなしにかかわらず、不発弾爆発によってかかる事故が生じることのないように、現在におきましては、行政機構の、関係する省庁あげて、いま真剣に取り組んでおることも御理解願いたいと存じます。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それは理解できないですよ。いかに御理解を願うと言ってみたところで——あなた自身が窓口になって関係省庁を集めてやるということを言っておりますが、それではお聞きしますが、あれは、この入手した情報では、十一メートル、同じ場所で四メートルのところで爆発した、だんだん穴を掘っていって十一メートルでまた爆発した、しかもその破片は砲弾である。ひょっとすると同じ型の、あるいは改造地雷であるかもしらぬということまでいわれているのですね。だから、そうなりますと、たとえば探知器、大体いま一メートルから二メートルぐらいであれば約百六十万円ぐらいかかる、あるいは五メートルぐらいの深度であれば五百万円かかるとかいう場合に、この沖繩の現状では、これは十メートル以上の深度のある探知器でなければ、徹底して調べることができないという結論も出てくるでしょう。そうなると、この探知器、たとえば金属製探知器を十個ぐらいあれば——特に激戦地であった中部さらに那覇から南部にかけてどのぐらい個数があればいいか。十個あれば、五百万円として、五千万円かかるでしょう。さらに技術員、五名ずつ班を組んでやるとして、五十名かかる。その費用を加えれば大体一億になる。そういうことが現実に示されないと、関係省庁は努力しております、あるいは検討、連絡をやりますと言ってみたところで、機械器具がないでしょう。近代的な探査方法でなければできないことは、それは副長官、常識でしょう。だから、そういった点についてもお考えがはっきりしてもらわないといけないと思うのです。ただ、法律は、そう言ったら、つくりましょう。ところが全部自治体に負担させるような行き方ではなくて、国の責任で捜査し、探査し、さらに追求して発見、発掘処理というこの過程では、全部国の責任でやるという法の内容を盛った——これはいま申し上げました総理大臣の決定の大綱でもいいのですよ。一日も早くそれをつくるということが国民の願いだ。私、そういうことが具体的に多くなれば、いま副長官の、御理解願いますということは理解できるわけなんです。どうなんです。探知器の問題とかいろいろ出てくるでしょう。そういった具体的な問題まで含めて何かお考えですか。
  185. 小渕恵三

    小渕政府委員 当交付金要綱に基づいて交付金処理をしておる総理府といたしましては、他の関係省庁とも十二分に連絡をいたしませんと、ただいま御指摘のことを全うする処置ができかねるだろうと思うのです。そういう意味で私ども他の関係省庁とも十二分に連絡をとり、そして調査に十二分な処置を講ずることのできるような予算措置をはじめとして、諸問題の解決ができますように、総理府といたしましても関係省庁と御相談していきたいと思っております。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さらに問題をひとつ提起しますが、五日の委員会で私が最初に申し上げました不発弾爆発による人身の障害、被害については大きく分けて二つある。見えるようなところで信管をいじって、爆発して死んだり、さらに傷ついたりする、こういった人々、さらに地下爆発して、それによって死んだ同胞、この問題について、アメリカ占領軍は占領中、アメリカの爆弾あるいは砲弾によってけがした、死んだという場合には、布令第六十号によって一応処理した。講和発効後はアメリカの外国人賠償法に基づいてやった。そこで、復帰したその時点からは、これはもう皆さん御承知のとおり、発効前にアメリカの補償漏れ、これは日本がやるということになって、直接の担当局はいま那覇防衛施設局で一応処理するといったような経過になっておるわけです。ところが、日本の軍隊の使った砲弾によって死傷した場合には盲点になってこの補償をする方法はないのですね。小禄の南に豊見城村というのがある。そこで四十六年に砲弾が破裂して十名の学童が死亡しました。そのときに五人が重傷を負って、十人が死亡した。被害者の遺族から補償請求が出されていたが、これはアメリカのものかもしらぬといって出したら、米軍の責任行為ではないので支払い要件に合わないと、つっ返されてしまった。こういったものは自損行為として泣き寝入りするのか、これは日本軍の砲弾であります。アメリカのものではないという理由で、要件に達しないからアメリカは払わぬという。こういったものは一体どうなるのか。これは法務省の方が言っておりましたが、これは調査しなければわからぬというものではなくて、現実にアメリカにちゃんと出されて、それで日本軍のものであるとして却下されている。こういった場合には現在の国賠法あたりで補償できるのか、ここら辺の見解を承りたいと思うのです。
  187. 浦野雄幸

    ○浦野説明員 ただいま御質問にございました国家賠償法の適用で処理できるかどうかという問題は、先ほど正森先生がおっしゃった問題とも関連いたしますが、事実の調査結果を待った上でなお慎重に検討いたしたいというふうに考えます。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、この爆発事故に関する質問はこれで終わりますが、これまで二回にわたる委員会の中で非常に感じられることは、政府自体が積極的に国民の生存権、これをどうしても守らなくちゃいかぬ。日本の国の責任で不発弾などはないようにするというのがこの要綱目的にも書かれている。たとえばこれに書いてあるのは、二条「この交付金は、今次の戦争に際して生じた不発弾及びその他の爆発物で陸地にあるものの処理を促進することにより、不発弾等による災害を防止することを目的とする。」ということまで書かれておる。ところで政府は前向きにどういう法律があるかということをまず検討し、あるいはなければ、こういった要綱でも大綱でもつくって、いまの県民の要望、国民の要望にこたえなければいかぬという姿勢は、非常にないとは言いませんが、非常に弱い。ふらふらしているという感じを受けます。したがって、いま申し上げましたように、賠償の問題、再び起こしてはいけないという追跡調査、発見、発掘処理、こういった問題を含めて、しかもそれが、自治体は応分の負担をしなくちゃいけないという考え方ではなくて、全部国の責任で行なっていくという姿勢を堅持してこの問題処理に当たってほしいことを私重ねて要望して、いまの不発弾の問題については質問を終わりますが、この要望について何かお考えがあれば、副長官、御意見を承りたいと思います。
  189. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘のように、政府といたしましてもこうした不発弾等処理交付金交付要綱を定め、鋭意この問題に取り組んできたところではございましたが、過般のような不幸な事件の発生を見たわけでございます。政府としては今後そうしたことの二度と繰り返しのないように万全の処置を講じていきたいと思っております。ただ、御指摘にありましたように、国だけでと、こういうことでございますが、当問題につきましては、国はもとよりでございますが、地方自治団体の協力も得なければできないわけでございますので、両々相まって当問題については結論的にこうした問題が二度と発生しないように、全力をあげて努力をいたしていきたいと思っております。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 残っている問題を少し詰めたいと思います。  この前の県道一〇四号の封鎖について、特にお聞きしたいのは施設庁、警察庁関係、外務省関係であります。二月二十六日の委員会で、いまの県道を封鎖する場合に、道交法に基づいてやった、道交法四条一項と五条のことをさしておる。この場合、警察官が生命財産を守る、交通の安全を守るために通行の禁止、制限をやると言いましたが、特にその場合に前提となることがある。危険がある。これを除くということが前提でなければならない。しかし、この場合に、寺尾警察庁交通局参事官だったと思いますが、「演習をやるという行為が違法であれば別でございますけれども、合法的に演習が行なわれるという前提のもとにおきまして、私どもとしては、演習が行なわれれば、実弾射撃というようなものが行なわれましたならば、危険がございますので、道路交通法によって通行の禁止、制限をしているわけでございます。」というふうなことを御答弁なさっております。  ところで、この前の五日の委員会で、アメリカとの合同委員会の合意議事録、施設及び区域内の出入路及びルート一〇四号線の地元民の使用を認める、ただし、その使用は合衆国軍隊の活動を妨げないものとするという部分は告示されているかということについて、奈良首席連絡調整官から、告示では特に触れていませんという答弁がありました。そうなりますと、演習自体がこれは合法ではない。合意議事録、取りきめである。法律として拘束力は持たない、告示されておらない。それは常識でございますが、いわゆる公示、告示、国民としては、主権者でありますから知る権利がある。さらに、政府は国民に知らす義務がある。実に明快、端的なものから出ておりますが、国民の権利、義務に関するものは当然国民に知らされなければならないというこの原則。さらに、合同委員会の合意事項は日米両政府の約束であるわけなんです。ところが、これはいわゆる公示、告示によって初めて法的な拘束力を持ってくる。ところが告示されておらない。告示されておるので法的拘束力があると言った。ところが、されていないことを認められたわけです。だから、今後この道交法に基づく通行の禁止、制限はできないという結論に当然のことながら達すると思うのです。これについてどうお考えになるか、一応御意見を承りたいと思います。
  191. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 お答え申し上げます。  せんだって前提が違法でないと申し上げましたのは、米軍と日本政府との間でかわされました合意事項が有効に成立しているという前提を申し上げたのでございまして、その告示とかそういうものは、六回も重ねてやっておりますので、県民の間に当然十分わかっておるという前提で申し上げたわけでございます。なお、警察といたしましては、たとえいろいろな事情がございましても、危険があればそれを防止するための措置をするということも当然実施するわけでございます。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはむちゃくちゃな答弁ですよ。この前は、いまの道交法を使う場合には、こういうような条件のもとで道交法を使うのだ、さらに警察法律を施行するところなんでしょう。生命、財産を保護する。たとえ演習が合法的であろうがなかろうが、道交法に基づいて道路の通行を禁止したり制限したりするということになりますと、一体法律はどういうふうになっておるのか。これは具体的に言いますと、アメリカ占領軍の布令、布告があった時代と、復帰後日本の法律が入り込んでいって、その矛盾衡突がまだ解けていないのです。私が告示の問題を出したのは合意議事録、これは公表されない。公表されないような合意議事録は法の拘束力は持たぬ、この解釈に立っておるわけなんです。これは当然なんです。知らされない。法律はつくっただけではどうにもならぬのです。公示をする、告示する。ところが、告示していると最初は答えた。で、私指摘した。告示されていないのです。だから、告示していなければ法的な拘束力はないからあれは合法ではない。だから、道路の通行を禁止したり制限したりすることはできないという解釈なんです。ここら辺ははっきりしますか。
  193. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 ちょっとことばが足りなかったかもしれませんけれども、たとえば強盗が猟銃を持ってぶっぱなしておるというような状況がございましたような場合は、そのこと自体は違法でございますけれども、周囲の住民の方に危険が及ぶということであれば、道交法によって危険を防止することもございますし、あるいはまた警察官職務執行法によります避難の措置をすることもあるという意味で申し上げたのでございまして、ことばの足りなかったことはおわびしたいと思います。
  194. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間が来ましたので締めますが、いまのような答弁警察庁ともあろうものがやられたのでは、沖繩は戦場となったほうがいいとまでは思っていないかもしらないが、たいへんなことなんです。よう演習がある。あればあぶないから道交法でやるのだというような姿勢、実際法があって初めて成り立つんでしょう、すべて。法治国家において、そういった何だかわからぬが、どこかで演習がばかばかやられたらどうするかといったようなことで、少なくとも政府答弁としては無責任だと思いますが、その追及はあとで合意議事録の問題も含めてすることにして、私きょうはこれで終わりたいと思います。
  195. 小濱新次

    ○小濱委員長 先ほどの正森委員の質疑で、昭和二十七年の通産省の通達の件で通産省より鎌田保安課長が出席されましたので、正森君の質疑を許します。正森君。
  196. 正森成二

    ○正森委員 私は一問だけでございます。  昭和二十七年五月十九日に通商産業事務次官等が出されました「陸上における爆発物件の処理について」という通達の三項と五項を見ますと、これは「都道府県知事に委託して行うものとする。」こうなっており、「爆発物件の処理のため必要な経費は、爆薬処理費(通商産業省所管)により措置するものとする。」こうなっております。そうしますと、これは委任事務でありますから、その所要経費は当然、たてまえとしては国が全額負担するということに昭和二十七年より三十三年まではなっていたと思いますが、いかがですか。
  197. 鎌田吉郎

    ○鎌田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘予算は、昭和二十七年度から三十二年度にかけまして計上された予算でございまして、旧日本軍不発弾処理のため関係都道府県に配分されたものでございます。その性格は委託費ということでございまして、予算上のワクがございますので、事実上どの程度カバーしたかということはちょっとわかりませんけれども、委託費というたてまえからいたしますと、たてまえ上は委託費によってまかなう、こういうたてまえであったと思います。
  198. 正森成二

    ○正森委員 重ねて伺いますが、たてまえとしては全額負担するたてまえであった、こういうことですね。もう一ぺんそこだけ……。
  199. 鎌田吉郎

    ○鎌田説明員 委託費の性格からいいまして予算上の制約がございましたので、事実上の負担は別といたしまして、たてまえとしては全額負担する、こういうたてまえであったと思います。
  200. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  201. 小濱新次

    ○小濱委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会