運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-02-26 第72回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十六日(火曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員   委員長 小濱 新次君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 國場 幸昌君    理事 佐藤 孝行君 理事 床次 徳二君    理事 中村 拓道君 理事 加藤 清政君    理事 正森 成二君   小宮山重四郎君       田中 龍夫君    本名  武君       上原 康助君    瀬長亀次郎君       安里積千代君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         沖繩開発政務次         官       西銘 順治君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省条約局長 松永 信雄君  委員外出席者         警察庁交通局参         事官      寺尾  繁君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       奈良 義説君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         厚生省医務局指         導助成課長   木戸  脩君         通商産業省産業         政策局沖繩国際         海洋博覧会管理         官       増山 孝明君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     諫山  博君 同日  辞任         補欠選任   諫山  博君     瀬長亀次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 小濱新次

    ○小濱委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 私は、沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案及びその他に関連する諸問題に対して質問をいたしたいと思います。  まず最初に、下水道国民生活環境改善をはかる基本的な施設であり、いまやミニマムスタンダードであるとの認識が確立されておるのも御承知のとおりでございます。この整備は、緊急かつ計画的な執行がますます要請されているのであります。しかしながら二十七年間の長期にわたり本土から分離された沖繩は、産業、教育、文化等各面にわたって他府県との大きな格差が生じているが、その中にあって、下水道事業は、復帰前はアメリカ民政府補助が九一%であったにもかかわらず、復帰後は国庫補助四〇%であるため、事業量が増加したのにもかかわらず、起債元利償還金の累積、物価上昇により、建築費維持管理等高騰下水道財政の悪化にますます拍車をかけて、関係市町村はその財源の確保に苦慮しておるのが現状の姿であります。復帰前の米民政府による補助九一%に比べ、現行財源比率である国庫補助金四〇%、起債四〇%、一般財源二〇%では、下水道の能率的な建設、運営に支障を来たしているので、国庫補助率引き上げてもらいたいとの強い要望が関係市町村からありますのは、御案内のとおりでございます。幸い、政府はこのたび本委員会沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を提出し、国庫補助率引き上げをはかっているのは、まことに当を得たことだと思うわけでございます。  そこで、これに関連してお伺いしたいのでありますが、昭和四十六年度を初年度とする第三次下水道整備計画の中で、沖繩予算はどれくらいに見積もられておるかということをお伺いしたいのであります。
  4. 渥美謙二

    渥美政府委員 百三十四億ということになっております。
  5. 國場幸昌

    國場委員 沖繩振興開発特別措置法によりますと、第一条の目的「この法律は、沖繩復帰に伴い、沖繩特殊事情にかんがみ、総合的な沖繩振興開発計画を策定し、及びこれに基づく事業を推進する等特別の措置を講ずることにより、その基礎条件改善並びに地理的及び自然的特性に即した沖繩振興開発を図り、もって住民の生活及び職業の安定並びに福祉の向上に資することを目的とする。」こういうことでありますが、今度この法律案改正するにあたり、本土のほうの法律改正されたから、これにちなむところの特別措置法も一改正するのだ。そのときに一番問題になるのがこの補助率でございます。この補助率に対して本土法律案改正すると、それにちなむところの現在までの三分の二が今度四分の三になるわけなんですが、本土法律改正は今度幾らに改正されるわけでございますか、アップですね。現在まで二分の一であったらこれを四分の三にするとか、そうしますと、沖繩の四分の三と本土アップする分の四分の三と同一になる。特別措置目的は達せない、こういうことになるわけですが、いかがでございますか。いわゆる格差是正のためのこの法律案に対して沖繩との格差をどれだけつけておるものであるか、それをお伺いしたいわけであります。
  6. 西銘順治

    西銘政府委員 お答えいたします。  國場先生が御指摘になりましたとおり、復帰特別措置によりまして本土との格差を早急に是正したいということで、行財政各面において特別な措置がとられ、補助率等についても本土以上の補助率が適用されておるのは、御案内のとおりであります。  下水道事業の件につきましても、四十九年度予算政府原案におきましては、補助率引き上げをはかるということで現在御審議をいただいているところであります。そういたしますと、この補助率引き上げに伴いまして、全般的に申し上げまして前年度と比較いたしまして負担軽減が、約三分の一程度軽減がなされることにも相なるわけであります。  さらに、この事業につきましては、当然市町村起債等も考えられますので、問題は起債充当率でございますが、これにつきましても、これを二つに分けまして公共下水道につきましては従前の三分の二を四分の三に引き上げております。また流域下水道につきましては六〇%を四分の三の充当率引き上げまして、起債の面でも相当な考慮が払われておるのであります。  なお沖繩につきましては、補助対象率でございますが、本土におきましては公共下水道が五七%、流域下水道が九〇%になっておるのに対しまして、一〇〇%と相なっておりまして、実質的には負担軽減をはかりたいという趣旨でございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 一般下水道に対しては、それじゃ本土との格差は、いわゆる補助率に対しての格差特別措置を講じていないというようなわけでございますか。いかがですか。
  8. 渥美謙二

    渥美政府委員 御承知のように、沖繩に対します補助率特例、これは全国で最高のもの、現時点におきまして横並びで最高であり、かつ歴史的に旧奄美とか小笠原とかあるいは北海道とか、そういうすべての補助制度の中で最高のものを拾っている、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、この下水につきましても、最高補助率を適用するように措置いたすという考え方をとっているわけでございます。  なお、その場合におきまして、先ほど政務次官からも御答弁ございましたように、実質的には補助対象率、これは本土はあるいは五七%とか九〇%とかということでカットされているわけでございますが、沖繩につきましては、そのすべてを見る。こういう仕組みになってやっておりまして、沖繩は依然として本土よりも高い補助実態がある、かように私ども考えております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 いま私が聞いておるのは、予算範囲内ということかもしれませんが、いずれにしましても、本土一般下水道に対しての物価高騰によるコストアップという点から見ましても、市町村負担が大きいので、今度は四分の三までは予算範囲内において本土一般のほうも引き上げる。こういうように、本土一般下水道工事が四分の三になるので、よって沖繩もいままでの三分の二を四分の三に引き上げるのだ。こういうような、この法案の改正目的に大体なっておりますね、提案理由というのが。私が言いますのは、本土沖繩とは格差があるので、特別措置法振興開発計画に対して特別なる格差是正のために措置を講ずるという目的からしますると、本土が四分の三になって、それに対して沖繩も四分の三といえば、何ら格差是正のための配慮がなされていない、こういうようなことになるわけなんですね。だから、この法律改正によって、いままでの、本土は二分の一で沖繩は三分の二であった、そうしますと、それにスライドしまして、一つのまくらにすることなくして、やはりそれだけの、本土が四分の三であったとした場合には、九一%をせめてまた全額なり九一%ぐらいに——復帰前の、米軍施政下にあったときの、同率くらいに持っていったらどうかというようなことは配慮されていないのであるかどうか、これをお聞きしているわけなんです。
  10. 岡田純夫

    岡田政府委員 お答え申し上げますが、ただいま振興局長から話がありましたように、復帰の時点で沖繩のために特別な法律助成をするということをきめました考え方のもとには、およそ地域開発のいろいろの立法がございますが、その中の最高のものを沖繩のために適用したわけであります。  それはなるほど先生のおっしゃいますように、現地には琉球政府なりの高いものもございましたけれども、逆に市町村都市下水路等につきましては一割というふうなことでもございましたし、それによるというよりも全国的な地域開発立法最高のものを適用する、しかし同時に日本政府が当時援助をいたしておりました当時の琉球政府に対する援助率のほうがもし高かったならばその高いものをとる、こういう考え方に立ったわけでございまして、その場合に流域下水道につきましては、日本政府は、本土は二分の一でございましたけれども琉球政府に対して三分の二の助成をしておりました。それをとりまして、本土最高、さらに援助率のあるものが高まっておればそれをとるというのが現行の率になっております。  なお、先生の御質問のことに関連してでございますが、振興法におきましては、他の法令の規定にかかわらずその法律助成をするということで、いろいろな法律に率がございましても、それを遮断して沖繩を高くした。逆に申しますと、ときにいろいろな事情から本土のほうが高くなってしまう可能性がある。そこで、今回下水道につきまして放置しておきますというと、国のほうが三分の二ないし四分の三、流域下水道だけとりますとそういうふうに高くなってしまいます。したがいまして、遮断しておっては沖繩のためにならないというふうに考えまして、この際その部分についてだけは削除することにより、本土法律を適用される。  なお、いま一つ同じようなことが、沖繩振興法ができました後に成田空港、いわゆる新空港に対する助成率、それから琵琶湖助成といったようなことが出まして、沖繩のいわばまねをしたといえばことばが悪いかもしれませんが、同じような措置をしておったのでございますが、今回琵琶湖、新空港沖繩と同じような措置をとるということになったのでありまして、あくまでも公平にいたしておりますし、これによってやっていくという考え方をとったわけでございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 これはいつまでも沖繩が他の県に立ちおくれておるからというようなことで、県自身そのもの努力するというようなことで、できないことに対しては政府のお力によって特別措置法趣旨を生かし、活用しましてというようなことでございますが、政府の見方がいまおっしゃる琵琶湖開発というようなこともあるということでございますから、それはまずさておきまして、たとえばいまここに資料が出てきておりますが、那覇市とか名護市とか本部とか、ことに名護とか本部とかそういうようなところは、那覇市も一緒でございますが、海洋博を控えてこの下水道整備というのはタイムリミットがあるわけでございます。これから見ますと、たとえば名護市なら、事業が四十八年から五十三年までの五カ年間十六億というような今度の計画になっております。そうすると、これによって地元負担というのが約四分の一でございますので、四億円というのを負担せなければいかないわけなんですね。だから地元負担で四億円というのは、名護市にしましてもあるいは本部にしましても、こういうような比率負担ではとてもとても実現は不可能だと思うわけなんです。公共下水道事業現況一覧表というのが出されてきておりますが、それがいまの補助率をこの法律改正しましてやっても、十六億の事業に対して約四億を負担しなければいけないというわけなんですよ。復帰前においては、こういうような大きな事業というのはほとんどが八〇%もしくは一〇〇%、ことに下水道に対しては九一%というような高率なる補助をやっておったわけなんです。それに対して、はたして町村財政はこの一、二年、ことしに至ってもあまりの物価高騰によっての地元負担の累積された赤字というのが、それをいかに支払うかというのでもきゅうきゅうしておるような現状なんです。そうしますと、補助率はさておいて、これだけの事業を今度振興開発に従ってやった場合に、この四億という地元負担自己財源、これをどういうぐあいに捻出するかということに対して、やはり地元市町村においてはいま心配されておるわけなんです。それに対して、開発庁としましてこういうような手当てに対してはどうするのだ。これは下水道のみならず、公共事業に対してすべてが、こういうようなあまりにも異常なる物価高騰によるところの負担率が、政府補助率からしましてもほとんど五分五分ですね。フィフティー・フィフティーぐらいの負担をなしておるというのが現状の姿なんです。  この補助率を上げると地元負担もそれだけ重なるわけですよ。というのは、物価高騰現時点においての、いわゆる物価スライドによっての政府単価アップですから、そうするとこの単価アップする分に対しては、やはり地元もそれだけの、四分の一なら負担が二〇%ですか、その分に対してもそれだけの負担がかかってくるわけなんです。問題になるのは、地元市町村財政の乏しいところ、それをどういうぐあいにして、これは自治省関係でもありますが、しかし振興開発計画実現させるためには、やはり開発庁のほうでもその点に対しては十分に配慮をしなければいけない、こういうことを考えるわけですが、その点に対してはいかがなような計画をお持ちですか。
  12. 渥美謙二

    渥美政府委員 まず、いろいろ工事費関係あるいは建設費関係高騰いたしまして、これに対しまして予算建築標準費と申しますか、いわゆる予算単価と称するものでございますが、これを従来のままにほっておきますと、どうしても地方超過負担が出てきてしまう。したがいまして、そういう予算単価につきまして、四十九年度におきましては極力その引き上げをはかったところでございまして、住宅、学校あるいは医療関係施設、それぞれ五〇%あるいはそれを上回るような予算単価改正をいたしました。  また、いわゆる土木関係工事につきましては、そういったような実勢をよく見て、そして適正な発注単価にする、こういうことでまず地方超過負担が起こらないように、そういう努力をしたわけでございます。  それから第二に、そういう適正単価によりまして予算を積算し、あるいは執行してまいります。その場合になるべく地方負担がかからないように、特に沖繩県の場合に、復帰に伴いまして急激にその格差解消をはかるというところから、どうしても多額の事業をやらなければいけない。そのために、先ほど来御議論のございましたように、国庫補助率というものを他に類例のないように引き上げました。ざっと申し上げますと、公共事業関係一般の例でまいりますと、大体事業費の半分ぐらいが地方負担になるわけでございますが、沖繩県の場合はその特例補助率によりまして、地方負担は一〇%程度というふうに私ども考えております。  なおかつ、いろいろその地元財政力というような点からこれが十分消化し切れるか、こういうことでございますが、その第一点といたしましては、特にいま御指摘のございました下水道、これにつきましては地方債で今度は引き上げまして四分の三が充当率になる。先ほどの例でかりに四億円地元負担が必要であるとすれば、その三億は地方債でさしあたりカバーできるわけでございます。残りの一億につきましては、これは地方交付税というものがございます。自己財源、税収の少ないところにつきましては、地方交付税がたくさん行きまして、その財源の不足をカバーしていく、こういうふうなたてまえになっております。  さらにその交付税の中に特例交付税というものもございまして、これは特殊な事案につきまして特に配慮するという制度でございますが、その地方債充当あるいはそういったような交付税交付というのにあたりまして、沖繩県実情というものを十分配慮して措置していってもらいたいということを自治省に申し上げておりますし、また現実にそういう操作がされていると思います。  なお、特に本部下水道の場合ですが、海洋博関連ということもございまして、何ぶん脆弱な地方財政で相当大きな仕事をしなければならないというようなところから、いろいろ通産省方面等のお肝いりもございまして、例の競輪とか競艇とかいうものを臨時に開催しまして、その財源の補てんに充てるというような配慮もしているところでございます。
  13. 國場幸昌

    國場委員 よくわかりました。それじゃこういうことに理解してよろしゅうございますか。地元負担の四分の三は開発金融公庫をして融資する、それからその負担分に対しての四分の一は市町村そのものがやはり負担というのですか、自分で工面していく、こういうようなことに解してよろしゅうございますね。
  14. 渥美謙二

    渥美政府委員 地方債でございますので、公庫ではございませんで、いわゆるその起債ということで、運用部とかあるいはその他の民間銀行からの借金、こういうことなるわけでございます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 それは地方債でございますのでというようなおことばですが、しかし銀行には金が枯渇してそういうような金がない。沖繩市中銀行は、いまでも公共融資に対してはいま開発金融公庫肩がわりをしようというというようなさなかにおいて、そんな簡単な、それじゃとても実現には結びつきませんよ。
  16. 渥美謙二

    渥美政府委員 一般地方債の場合そういう財源があるということを申し上げましたので、沖繩の場合は運用部あるいは簡保資金ですか、そういったいわゆる政府資金で引き受けているのが実態だそうでございます。
  17. 國場幸昌

    國場委員 そうでなくてはいけないと思うのですよ。これはあなた、沖繩市中銀行にそれをいったら、いま市中銀行中小企業回転資金でも枯渇して、倒産倒産でたいへんなことになっておりますよ。そこはぜひひとつ、いま一番沖繩で悩んでいるのが資金の枯渇、本土におきましては隠し財源もたくさんあるかしれませんが、いまおっしゃったような脆弱なる、銀行にしてもしかりなんです。預貸率が八九%も九〇%もいっているようなことで、だから何とか市中銀行に対してのてこ入れとして、やはり中小企業を生かすためにおいてでも、五〇%以上にまたがる長期設備投資に対しては、ひとつ開発金融公庫全額でなくてもいいですから、その半分でもいいし四〇%でもいいですから、堅実なる、いわゆる還元に対して心配のないようようなこういうものに対しては肩がわりしていただきたい、こういうことをお願いしておるわけですが、その実現はほど遠いものがある。これは問題がある、いつでもそのような返事で、前後二、三回にわたって交渉したにもかかわらず実現には至っておらないということに対しては遺憾でございますが、振興局長沖繩実情を一番よく御存じでありますので、何とかその線に対して政府のお考えを再考するというようなことは、この場において返事はいただけませんでしょうか。これはやはり大蔵省との関係もあるでしょうが、振興局長としての御所見を賜わりたいと思います。
  18. 渥美謙二

    渥美政府委員 実は公庫関係総務局長のほうの所管でございまして……。
  19. 國場幸昌

    國場委員 では総務局長ひとつ。
  20. 岡田純夫

    岡田政府委員 私ども沖繩のために全力を尽くしていることは人後に落ちないつもりでございますが、ただできることとどうしてもできないこととございます。しかしながら企業なり何なりに対する融資、これは開発金融公庫がいたしております。したがいまして大蔵省との折衝におきましても、できるだけ低利なものをできるだけ豊富に融資するというところに最大の努力をいたしております。いまおっしゃいますことにつきましては、そういう低利長期の豊富な融資ということによってこたえてまいりたい、こういうふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  21. 國場幸昌

    國場委員 自信のある確答を得られないということはまことに残念ではありますが、この問題はやはり大蔵省の管轄だというようなこともございます。しかし担当局長としましては、沖繩振興を促進させる意味においてでも御協力をお願いいたしたいと思います。  次に那覇市のやはり沖繩の表玄関であります県庁に通ずるところに御成橋という橋がございまして、そこには久茂地川がございます。その久茂地川はどろでくさい、鼻をつまむというようなことで、海洋博を迎えるということで、あれはふたをするとかあるいはモノレールを走らすとかいろいろ言うておりますが、あのまま放置するというわけにもいかないでしょうが、開発庁としまして、あの久茂地川の整備はいかような考え方をお持ちでありますか。また那覇市あるいは県のほうからこれに対しての具体的な計画はないのでありましょうか。
  22. 渥美謙二

    渥美政府委員 現在那覇市のああいったような状況がよろしくないという事情は私どもも十分承知いたしております。それで曼湖につきまして現在改修をやっているわけでございます。久茂地川につきましても若干のしゅんせつ等現在着手はいたしておるわけでございます。海洋博関連事業といたしましても、いわゆる環境整備というものの一環としてそういったような事業を取り進めるということになっております。
  23. 國場幸昌

    國場委員 何とかその点も、あのふくそうする交通渋滞の中で、または環境整備から見ましても、あれをそのまま放置するというわけにはいかないじゃないか。非衛生的で、夏にもなるとくさみぷんぷんで、これはもうたまったものではないのです。市としましても、毎年クレーンを持ってきてどろをくみ出しておるのですよね。だから、ああいうようなことではいけないと思いますので、今後の計画の中で、もちろん那覇市のほうが、モノレールあるいはパーキグン場とか、あるいは道路の渋滞するのをどう解消するかというようなことであれば、市のほうあるいは県のほうが積極的にやらなければいけないということは重々知っております。ところが、いまのような状態でございますので、御指導、御協力、その意味においてでもその面に対しての整備ができますよう、ひとつ御協力をお願いしたいのであります。  それから、次に移ります。住宅問題でございますが、物価医療と並んで、沖繩住宅事情本土に比べて極端に悪く、憲法第二十五条に定める、健康で文化的な最低限度生活を営むにはほど遠い実情にあります。  昭和四十五年の国勢調査によれば、本土におけるところの住宅難世帯率が一四・六%、住宅難のひどい東京でも二六%であるのが現状であるにもかかわらず、沖繩は三六・九%の高率であります。政府は、第二期住宅建設五カ年計画で、沖繩県昭和四十七年度から、最終年次昭和五十年までには七万六千戸の住宅建設するというような計画を立案されておるということでございますが、現段階において、昨年からことしにかけて大体幾らくらいの計画実現したのであるか。今度、これだけの物価高騰になりますと、繰り越しもあるでございましょう。その実現方に対してはいかなるような計画をお持ちでありますか、これをひとつお尋ねしたいのであります。
  24. 渥美謙二

    渥美政府委員 第二次五カ年計画におきまして沖繩では八千戸の計画を持っております。予算面から申しますと、四十七年度、四十八年度それぞれ九百戸あるいは千六百五十戸というものが当初予定されたわけでございますが、いま御指摘のように非常に建設関係の騰貴というものがございました。また資材、労務の不足というような現象がございました。また、土地がなかなか手に入りにくくなってしまったというようないろいろな事情がございまして、率直に申しまして、住宅につきましての予算執行率というものはよろしくございません。四十八年度の予算現額に対しまして、現在のところ大体三五%程度の執行である。しかし、これに対しまして、いろいろ単価引き上げ等の努力をいたしまして、四十七年度からの繰り越し分につきましてはほとんど片づきました。四十八年度分につきまして、もうすでに若干実績が出てきている、こういう状況でございます。特に問題になります、いわゆる公営住宅の標準工事費でございますが、これは全国的な現象でもございますが、昨年来の建設資材の高騰等というものに対処いたしますために、いままで二回ほど単価の改定を行ないました。その結果、四十七年度事業につきましては、当初のものに比べまして二四%、それから四十八年度の事業につきましては三〇%といった引き上げがすでに行なわれております。これの結果によるかと思うのですが、最近ぼつぼつその契約が進んできた、こういうことでございますが、なお、現在この引き上げました単価をさらに一〇%程度引き上げるということにつきまして、準備中でございます。
  25. 國場幸昌

    國場委員 御案内のとおり、沖繩復帰しまして今日になって、住宅建設費というのが約三倍弱に上がっております。そこで住宅設備というのが、もうほとんど全部ストップしております。政府助成する住宅事業にしましても今後どういうぐあいにこれが実現に結んでいくかというようなことも考えられますが、一般住宅工事というのが、もうほとんど一〇〇%と言ってもいいです、ストップしておるのです。大体、復帰前に四百五十ドルから五百ドルぐらい。五百ドルにしましても、十八万円であったのですね、三・三スクエアメーターですか、要するに一坪ですね。それが、いまではもう四十万円以下ではできない、こういうようなことになっております関係上、民間で住宅建築をする人はもう一軒もなくなってしまったのです。おかげで、海洋博に対しては、やあバラスが足りない、砂が足りない、セメントが足りない、どうだ、ああだ、こういうようなことでやっておりまして、沖繩の脆弱なるそういう企業者が、ものすごい借金をして、バラスの生産、砂の生産、船舶を設備しまして、それから生コンの設備あるいはアスファルトの設備、こういうようなことでやったが、しかし最近に至っては、それがほとんどストックが多くして——これは海洋博だけではなくしていままでの民間設備に対してでも、並行して、海洋博のために一般の設備がストップしないように、一日も早く本土との格差是正のためにはというようなことで計画を立てまして、それで建設資材の生産、設備にかかったわけなんです。設備が完了しましてまだ半年もたたないうちに、その設備というのがほとんど遊休設備になっておるというような現状、これはもうゆゆしい問題なんですよね。借金を持って、しかも最近におけるところの公定歩合の引き上げ、こういうものからしまして銀行資金が枯渇するというような段階に至って、こういうことの事態にあるということを、開発庁としましてこういう問題に対してはいかようなお考えをお持ちであるか。それは死活の問題にからんできておるわけです。土建業者にしましても、本土にたがわず、沖繩はなおひどい、行き先不安というのでしょうか、こういうようなことにあるということはまことに残念ではありますが、といって、手をこまねいてそれを黙っておるわけにはいかない。何とかこれは打開していかなければいけないと思いますが、いま申し上げましたとおり、こういうような難問題にぶつかっておる、これをどういうぐあいに打開し、そして振興開発計画に従うところの実現を見るためには、何とか抜本的な対策を講じないといかないと思うのですが、その点の御見解を賜わりたいと思います。
  26. 渥美謙二

    渥美政府委員 いろいろな資材高騰によりまして、住宅あるいは学校あるいは病院、そういったような民生に深く関係します施設建設が進まないというようなことになりませんように努力しなければいけないというところで、四十九年度予算におきましては、それぞれ五〇%を上回るような補助単価引き上げというような措置も講じたわけでございます。  一方、しばらく前までは非常に資材が足りない、手に入らないということから、そういったような、物資の価格の高騰状況もあらわれたわけでございますし、また金はあっても現実にセメントがないので住宅が建たない、こういうふうな問題もあったわけでございまして、その点率直に申しますならば、昨年の秋ぐらいまでの状況というのはやや過熱状態にあったのじゃないか、こういったような状態のまま推移してよろしいかどうかということには、やはりそれはそれなりに一応の問題はあったと思います。しかし本土との格差を早急に是正する必要がある。どうしても沖繩の経済のてこ入れをするためには相当の投資というものは続けていく必要がある。そのためにあるいは本土から建設業者の応援も得なければいけないし、資材関係も、地場のものだけでなくて他府県、あるいはものによりましては外国からも輸入してその需給のバランスをとる必要がある、こういうふうな考え方で私ども仕事を進めてきたつもりでございます。もちろんその需給バランスが、供給が多過ぎてもぐあいが悪うございますし、足りなくてもぐあいが悪いわけでございまして、そこで関連施設部会というものをつくりまして、公共事業だけでなくて、民間事業もあわせまして、その資材の需要の見通し、こういうものをまず立て、それからそれに対する供給見通しというものを立てて、関係者それぞれ協力して仕事を進めてきたわけでございますが、御指摘のように最近ちょっと様相が変わってまいったようでございます。  そこで、それの大きな原因は、一つはやはり民間工事がここのところちょっと傾向が変わってきた、それから先ほど住宅で申しましたように、公共工事につきましても執行の予定した以上のおくれというものが出てまいりました。それからあの計画を立てます際に、その需給見通しのもとになります過去のデータというものが必ずしもはっきりしたものがございませんで、非常に数字が出しにくかったわけでございますが、そういったような点から若干の見込み違いもあったかというようなことで、現在四十九年度予算がきまりますので、それともあわせまして四十九年度の需給見通しをつくる。同時に現在の、この前立てました需給計画の見直しというものを鋭意勉強しているところでございます。
  27. 國場幸昌

    國場委員 いま沖繩に行きますと、ビルだけはいま工事中のものが建っておるわけなんです、鉄骨が建ちましてね。それ以外には住宅難であるという、この公営住宅以外の各民間の住宅、自分で、自己資金でやろうというような方々ですね、これがあまりにも単価が、コストがアップしたために、金融公庫としましては、現在まで二〇%しかコストアップに対しては認めてない融資額に限定してしまっておるわけですね。そうしますと、自己資金がいままでこれでというような計画が全部狂ってしまった。コストというのがこれだけアップしたものですから、このコストアップに対しての融資率で融資してもらえば、やはり高くなってでもいまつくってというようなことに考えられるわけですが、やはり財源の乏しいようないまの住宅難の中でつくらんとする人たちは、やはりコストアップに対してそれだけの増額をして融資してもらわねばいかないわけなんですよ。それが限定された二〇%。それではお聞きしたいのですが、たとえば今度五〇%アップだといえば、融資面においても五〇%のアップ分、それからなお、さらに申し上げたいのは、民間の手持ち資金というのに対しても、コストのアップしただけの手持ち資金が必要になってくるわけなんです。だからそういう方面の実現に対して、総合的な資金計画というのが——市中銀行はそういうものに対しては、回収はしようとしよっても、設備投資に対しては一切貸せない、こういうようなことになっておりますが、その点はどういうようなお考えですか。
  28. 岡田純夫

    岡田政府委員 確かに金融公庫単価と申しますか、限度というものを引き上げないと、せっかくワクを確保いたしましてもこたえられない、これは私も、たいへんそれを痛感いたしております。四十八年度の措置といたしましては、本土金融公庫のほうは年度途中では個人住宅等につきまして単価と申しますか、融資限度額の是正というのをいたしておりませんけれども、この点銀行局と強く相談いたしまして、沖繩の場合には、御承知かと思いますけれども単価の是正をいたしました。しかし、それで十分であるというふうに申し上げているのではなくて、そういう努力というものを限度額について最重点的に考えております。  なお来年度に向けましては、御承知のようにたとえば個人住宅でありますと、本土五・五%の金利に対して五%でお貸ししている。その金利につきましても、本土住宅については低利でございますが、なお一そう沖繩についてはそういう努力を今後とも続けてまいりたい。  それからワクにつきましては、ただいま御指摘のように約五割増しまして、本年度百六十億の用意を二百四十億にいたします。しかし単価の問題につきましては、戸数の確保ということも重要でございますので、多くの人になるべくこたえていきたいということで、建設戸数の増も見ておりますが、御指摘のように融資限度額につきまして、来年度にかけて、これはこれからきめてまいりますけれども、本年度の努力というものを同様に延長すると申しますか、さらに一そう努力してまいりたいというふうに考えております。
  29. 國場幸昌

    國場委員 特別措置法振興開発計画に従いますことは、基本的には格差是正のためだ、こういうことでございますが、復帰しまして二カ年になんなんとしております。そうすると、一年間に一〇%ずつ、十カ年計画本土並みに持っていくということになると、格差は二〇%縮まっておらねばいかないというのが数学の計算になるわけなんですね。いまのような状況にありては、格差はますます開くばかりであって、この二カ年の経過のあとを見ました場合に、はたして本土にどれだけ接近したかということを疑うわけでございます。そこで私、年次計画をしたらどうだこういうようなことを申し上げますと、年次計画というのは奄美の二の舞いをするのだ、それは沖繩のためにもならないからというようなことでございますが、しかし私は物価に対してのスライド、もちろん年次計画に対しての工程表をつくりますと、いま半分、約五〇%、六〇%、あと四〇%縮めていくには、十カ年においてはやはり四%ずつアップせなければいけない。こういうようなことからしますと、やはりグラフをつくりまして、すべてにおいて、各分野にわたってこの十カ年計画の目標達成のためには一年間に一〇%上げていくんだというようなことの計算のもとで、そのグラフを基本にしまして、振興開発予算というのは、物価高騰あるいは移動はどうあろうともこのグラフに対しての数字をもってこれに予算はかみ合わしていくというような方法であれば別なんですが、しかし予算範囲内において、あるいはまたこの一地方におけるところの沖繩に対しての特別措置法、これをまともにいまのような物価変動のときには設備に対してのいわゆる抑制、こういうようなことからして一般に扱われるというようなことになると、一般に扱ってはおりませんよというようなことをいえば、それでは細部にわたってこういうことはどうだというようなことにしますと、そこには十分な手入れがなされてないということを私は残念に思うわけであります。  そこで、いま申し上げますとおり、もう二カ年を経過したといえども本土との接近が二〇%、はたして格差が是正されてきたかどうか、この点に対しては振興局長、まあどういうような感じ方をお持ちですか。
  30. 渥美謙二

    渥美政府委員 私どもとしても、ぜひそういうふうに持っていかなければならないというふうに考えております。したがいまして、四十九年度予算におきましても、総需要抑制というようなことで非常にきびしい環境にあったわけでございますけれども先生承知のように、沖繩だけは特別であるということで若干——若干と申しますか、二〇%近くの予算の伸びというものも確保されました。一、二例を申し上げますと、たとえば公立文教施設でありますが、これにつきましては沖繩県につきまして前年比で一四四・三%、これは全国の同種の経費のシェアが三・八%でございます。ただ人口とそのまま比べるのが適当かどうかは存じませんけれども、一%足らずの人口比でございますから、やはり沖繩にウエートのかかった予算配分にしてもらっている、また公的医療機関、病院等の整備でございますが、これにつきましては四十九年度で全国の二三・一%、公共事業につきましては二・四%というように、その予算面におきましてそういうような格差是正につとめているという点は御了承いただきたいわけでございます。  ただ、現実の問題といたしまして、なかなか執行が思うようにいかない、予算はついたけれども、おととしの予算のついた病院がまだ建っていないというような現状もあるわけでございまして、その辺はそれなりのいろいろな事情があるわけでございますけれども、半年、一年でにわかにすべてのものが順調に動き出すということはなかなかむずかしいことであろうか。執行率等一徐々に上がってきているわけでございますし、また道路とか港湾とかそういう基幹的なものが整備されますれば、諸条件もぐっと改善してくることになるであろうということで、今後ともそういう方向に向かって努力を続けてまいりたい、かように存じております。
  31. 國場幸昌

    國場委員 いま申し上げますとおり、これは私もここで立っておっていろいろ政府の見解をお伺いしておるわけですが、なかなかむずかしい問題であるということ、困難であるということもよく理解しております。ところが、といって法律もできておるし、やはり名実ともに豊かなる県づくりというような、復帰のあの沖繩県民の期待、これはまことにわれわれも代表としましてその責任を痛感するわけでありますので、ひとつあらゆる英知を結集し、協力を得まして、ぜひ段階的に沖繩だけは特別にという特別措置法趣旨にのっとって、今後実現に結ぶべく努力していただきたいことを希望するわけでございます。  それから、次は離島苦の解消に対してお伺いいたしたいと思います。  御案内のとおり、いわゆる宮古群島、八重山群島、沖繩本島と、こう三つの群れをなしておるというのが沖繩の琉球列島の配置図でございます。そこで、沖繩本島には復帰前においては離島振興法というのがございましたので、これはよく御案内のとおりでございますが、離島の離島苦というような——こういう四十五の有人島がございまして、毎年毎年過疎化し、それによって島が無人島になるというようなことのおそれもあるわけなんですが、あらゆる公共設備に対しましても、本土から沖繩本島までの輸送費と宮古、八重山の輸送費、それからまた、宮古、八重山へ行きましても宮古本島、八重山本島、また積みかえの各離島へのやはり航路がございます。そうしますと、予算から見ました場合には、沖繩全琉をワンパッケージ、これはアメリカの制度のときには、たとえば必需品でありますいまの石油とかこういう問題は、プール制になっておったわけなんですよ。それにその離島航路補助、ないような予算の中からでもそのようなことに航路改善、離島苦の解消に対しましては一島一港、漁港もしかり、それから一周船は、復帰計画としましても各島とも一周船は島の主幹道路としましてやってやろうというようなことでありましたが、しかしいま、さきのいろいろな論争の中でも申し上げますとおり、遅々としてそれは進まない。だから、これは沖繩本島、宮古、八重山それからまつわるところの各離島、こういうようなことに、大体予算のコストの立て方において、何かこれをいま言うような三本立てでできることではないかということを思うわけですが、やはり振興開発法に従うところの沖繩本島であろうが宮古、八重山であろうがみんな一緒だというような予算の立て方はちょっとどうかと思うのですがね。たとえば学校工事でありますと、いま大体八万円ぐらいから七万円ぐらいかかる、離島においては八万五千円から九万円もかかるというようなことでありますが、そういうほうに対しての色分けといいましょうか、この輸送とかあるいはコストアップになるような事実に対して、この色分けをするというような方法はできないものであるかどうであるか。離島になるとますます市町村財政というのはものすごい脆弱で、せっかく割り当てられても物価が昨年から上がりまして精一ぱいで、いままでたとえ未消化があるといえども幾らかの仕事は、やってきておるわけです、その離島が、幾ら市町村事業であろうが、もうこれ以上の負担はとうてい、融資先もないし地元の還元するような財源もないし、これじゃとてもやっていけない、こういうようなことを言っておりますが、その点に対しましてはやはり沖繩全琉にまたがって一括したところの考え方を持っておられるかどうか、その点お伺いしたいわけです。
  32. 西銘順治

    西銘政府委員 ただいまの御質問沖繩における離島振興策の一環に触れての質問でございます。御案内のとおり、沖繩県は県全体として日本の離島であると申し上げても言い過ぎではないと思いますが、沖繩全体を離島として取り扱うということは、現在の法制上非常にむずかしいことでございます。また沖繩県が四十余りの離島をかかえておりまして、沖繩県の経済開発振興計画の中におきましても離島振興は重点的に配慮していかなければならない問題でございます。離島振興の基本は何と申し上げましても道路、港湾、空港、その他の産業基盤を整備することが目下の急務でございまして、年次計画でもってこれらの計画がいま推し進められている段階でございます。先ほどからの御説明にもありましたとおり、沖繩の離島性、また海洋博を控えての賃金、物価等の高騰等を考慮いたしまして、予算単価本土より以上に引き上げられておるわけでございます。ただ御指摘になりました宮古、八重山の両先島からいたしますならば、本土との格差を是正する前に、本土と本島との格差を是正してくれというのがたっての要望でございます。ただ予算の面におきまして、さらに本島と両先島間あるいはその他の離島間の予算単価を特別に配慮してくれという御要望でございますが、残念ながら現在の法制上これができないのでございます。ただし予算の執行の段階において県、市町村配慮が十分あればそういった面も考慮して幾らかの負担軽減をはかることが十分できるのではないかと思うのであります。もちろんその点につきましては、国、県、市町村一体となってその面で十分配慮をしていかなければなりませんし、確かに両先島は運賃が相当かさみますので、特に運賃に対する配慮をもう一段と考慮していかなければならない。この問題につきましては今後とも引き続き検討いたしまして離島振興の一助にしたい、かように考えております。
  33. 國場幸昌

    國場委員 政務次官も離島苦、沖繩出身でございますので、私が言うまでもなくこの離島問題に対しては関心を持ち、今後どんなにかしてというようなことのお考えもいまの答弁の中からもよく理解されるわけでございますが、しかしこれは何とかやっていかなければいけないということで、沖繩県内においての予算の構成からしますと、三割自治といわれるのが普通いわれておる地方財源でありますが、沖繩では一割自治もないという。ことしに至っても予算割り当てが来ましてずいぶん予算編成のときには苦労され、きのうから県会も始まっておるわけなんですが、一割自治の中から県財政で何とかそれはやりくりしてやったら、こういうようなことはとうていこれは政務次官御案内のとおりそでの振りようがない。あるそでは振れるがないそでは振れないとうような沖繩県財政の中で、どんなにかしてこれはやはりこの離島苦を解消するためのこういう地方財源に対して配慮していただきたいということを希望して、私はその離島問題に対しては質問を打ち切ります。  それから次ですが、沖繩医療関係についてちょっとお伺いしたいと思います。  沖繩医療現状は、二十七年にわたる軍事優先の政治、経済その他地理的な事情もあって全般的に立ちおくれており、特に医療機関においては本土水準に比べて一般病院が二五%、伝染病床が二〇%、その上多くの離島、僻地を有しているため、医療施設整備、医師、看護婦等医療従事者の確保、救急医療対策の強化等は、国、県、各市町村がそれぞれの立場から対策を講じねばならないが、しかしまあいまのところ一番大きな悩みとするものは沖繩医療整備でございます。沖繩医療整備に対して、いまさっき申し上げましたとおり、本土の類似県に比べまして約二・五分の一もしくは三分の一、こういうことで、離島が多いがゆえに緊急なる措置を講ずるという無医村、こういうことに対してはいま自衛隊の動員を得まして救急患者なんかはようやく命を取りとめておるというのが現状なんです。だからそういうようなあらゆる医療問題に対しては各分野にわたって立ちおくれておるが、復帰して二カ年、全然それが格差是正のほうには向いていないというようなことを感ずるわけです。ことに海洋博を迎えてくるのに対してまた一日に約三万平均の人が沖繩に入り込んでくるというようなことになりますと、医療に対してはこれは県内だけの問題ではなくして国際的な問題となって、これが大きくわが日本の国のメンツにもかかわることなんですが、これをいかような施策をもって今後医療関係に対しては策定せんとするものであるか、また実施せんとするものであるか、これに対しての御答弁を得たいのであります。
  34. 渥美謙二

    渥美政府委員 医療の問題につきましては医療要員の確保の問題と施設の問題とに分かれると思います。医師の確保につきましては、御承知のように現在応急の措置といたしまして従来から派遣医師制度というものを実施しておりますが、基本的にはやはり琉大の医学部、これの設置を促進いたします。従来実施してきております国費留学制度、こういうものと相まって医療要員を充実していくということが必要であろうかと思います。  施設整備につきましては、これまた従来からずっと県や関係省と御相談してきているわけでございますが、県立病院、僻地の診療所、保健所あるいは伝染病の隔離病舎、こういったようなものの整備を進めていく必要があるし、また援助金時代あるいは四十七年度予算以降におきましてもそのような予算措置を講じてきたところでございますが、四十九年度におきましても引き続きそのような公的医療機関等の施設整備及びその中身のいろいろな医療機械等の整備でございますが、そういうものを充実していく。そのほか、現在ございます国立療養所、これを移転して拡充していく。また琉大付属病院の機能がもっと活用されるようにいろいろ措置をしていく、こういうようなことを四十九年度予算で考えてございます。これらができますと相当医療整備前進、こういうことになろうかと思っております。  特に沖繩県におきましては、他県に比べまして救急医療体制といったようなものの不備が痛感されますので、四十九年度予算におきましては特にこの点に重点を置きまして、那覇に広域救急センターをつくる、また名護に地区の救急センターをつくるというような予算措置を講じます。また琉大の付属病院におきましても、救急部を新たに設置、拡充する、こういうふうなことも予定されております。救急面におきましてもかなりの改善がなされるのではないかというふうに期待しております。
  35. 國場幸昌

    國場委員 いま一番緊急を要するのは、いまおっしゃったように医療技術者並びに看護婦、これの補充の問題です。復帰前において契約学生というのが、お医者さんは特別に沖繩のほうは育英資金を優先的に割り当てをもらって、医療技術者を養成する計画を立ててやったわけなんですが、それが目的にはほど遠くしまして、卒業の後になかなか沖繩に帰ってこないのですよ。帰ってこないという要因といいましょうか、どうしてそれでは帰ってこないかといいますと、学校教育期間中においての技術体得に対しては十分でないというわけなんですね。じゃ沖繩に帰っていってということになると、沖繩には研究機関がないというわけなんです。だからそういう方面それからその他の設備、こういう方面からしてなかなか帰っていかないということでございます。またさっき振興局長がおっしゃったような、琉大のほうに医学部を設置するとか、お医者さんを一人育成するために、初歩からしますと約十二カ年かかるということを聞いておりますが、七カ年にして、いま制度がちょっと変わってきてもっと早くなったかもしれませんが、インターンまですると正味七カ年間、それから一人前のお医者さんとしてとうとい人命を扱うわけですから、そうするにはあまた研究の過程を経まして開業ということになる、一人前になる、こういうようなことでありますので、人口の自然増加比率に対してお医者さんの——これは本土でもそういう統計になっておりますが、絶対的に足りないですね。そうしますと、沖繩の医介輔とかこういう人も年をとっていって次第次第に廃業者も出ていくこういうことになるとますます——これは保険制度になったら患者が三倍にふえておるということもいわれております。そういうことを何とか、これは計画倒れで、こういうような御答弁もずいぶんありがたいこととはいえども、しかしこれが実現に結ばねば何にもならないという空念仏でございます。その点に対しても何とかいいような、実現に結ぶような方法はありはしないか。どんなにしても、これは韓国なり台湾なりあるいは本土から技術者を導入しなければいけないということになっておりますが、そのほうに対しては計画だけじゃなくして、実現するための実際的な行動をやはりしなければいけないと思うのですが、今年度予算のほうには、そういう面に対して、医療を充実するための予算がどれほど組まれておるかどうか。設備に対しても、いまさっき局長はいろいろ配慮してやっておるが、コスト問題とかそういうもので、実現に対しては執行率が悪い、こういうこともおっしゃったのですが、まずもって看護婦とか、ことに緊急病院なんかはもうたいへんなことになっておるでしょうね。医者が少ないのに当直をしろといわれましても、沖繩では本土の三分の一ですから、本土なら十日に一回すればいいのに、沖繩においてはやはりその三分の一に日にちが短縮される。たとえば十日間に一回回ってくるものであれば三日に一回ずつ夜勤の勤務をしなければいけない、こういうようなことでございます。看護婦にしてもしかりなんです。最近沖繩においては看護婦になる人がおらない。本土においてもそうでありますが、ことに緊急病院についてはそういうようなつとめ手が全然おらないというのが現状なんです。そこで何としましても、何とかこういう人たちに対しては特別なる予算配慮してやらなければいけない。公設病院も沖繩においては少ないし、いかがですか、そういう面に対して今度の予算は十分に配慮しておるというようなことでございますかどうか、お伺いしたいと思います。
  36. 西銘順治

    西銘政府委員 御指摘のとおり医療体制につきましては、全く本土の三分の一体制と申し上げましても言い過ぎではございません。問題は先ほど振興局長からお話がありましたとおり、施設整備強化の問題と、医師、看護婦等の医療陣の充実、この二つの面において今後施策を進めていかなければならないのでございますが、施設の面につきましては現在予算をもって宮古病院あるいは名護病院、公立病院の整備強化がはかられておりますし、医療機械器具等につきましても予算が計上されて内容の充実に当たっているわけであります。  救急センターにつきましては、那覇におきまして全地域を対象とする広域救急センター、また海洋博関連させるという意味におきまして、名護におきまして地域的な救急センターをつくることになっておりまして、予算も計上されておるのであります。その中でも施設の面につきましては、年次計画施設内容等を充実していくことができるのでございますが、一番問題になりますのは医師、看護婦等の問題でございます。その点につきましては、琉大に医学部も設置されるでありましょうし、先生が御指摘になった、せっかく国費をいただいて本土その他米国等に留学いたしましても、なかなか帰ってこないということでございますが、それにいたしましても、七割程度は現在帰っておるのであります。したがいまして、医療留学生、給費留学生を、帰って郷土の医療体制に当たるためにも、琉球大学の設置を急ぎ、その他の公立病院等における研究機関等も充実整備いたしまして、帰ってきても十分研究できる体制をつくって、医師を確保する、また看護婦等を確保するということが目下の急務ではないかと思っております。ただ、それにいたしましても、離島、四十五ですか、数字ははっきり覚えておりませんが、そういう人の住んでおる島をたくさんかかえておりまして、復帰当初においてフライング・ドクター・システムというものをつくって、巡回診療制度をつくったのでございますが、これが十分に活用されていないということで、最後に残るのは離島僻地における医療体制をどう整備していくかということが残るのではないかと思っております。
  37. 國場幸昌

    國場委員 医療問題はずいぶんむずかしい問題でもあるし、またことに早急にやらなければいけない問題ですが、一般医療とまた違いまして、沖繩には南静園と愛楽園と、二つありますね、ハンセン氏病に対して。あの患者は、あの不遇な身をもってここまで切実な陳情に何回か来ております。  そこで、彼らの要求するのは、やはり社会からああいうようなぐあいで冷たい目で見られて、日の目を見ない、こういう立場にある人たち。ことに沖繩においてはこれは後進病ともいわれておりますが、残念ながらこれが本土沖繩沖繩とまた離島ですね、こういうようなぐあいにおいてこの増加率といいましょうか、異常なる患者がおって、毎日暗い日を送っております。この人たちが要求しておることは、医者をふやせ、それから看護婦をふやせ、職員も少ないんだ、設備はどうかというようなことでずいぶん不満もあるし、また涙を流して嘆願しておるようなわけでございますが、復帰して、目ぼしいような、このハンセン氏患者に対しての療養のなにがまだ行き届いていない、こういうようなことでございます。  これは厚生省関係と思いますが、厚生省来ておられますか。——沖繩に対しての特別措置法というのもありますし、この問題に対してどういうような計画をお持ちであり、要望する陳情書も届いておりますか、毎年要望書を出しておりますが。その要望にこたえての、この療養所に対して今後の施策をどういうぐあいにやっていくか、これをお聞かせしていただけませんか。
  38. 木戸脩

    ○木戸説明員 沖繩におきますらい療養所の整備に関しましては、復帰以来すでに症状が固定しまして身体障害が残りました方々に対します不自由者等の整備、あるいは患者の浴場の更新あるいは愛楽園のほうの准看護婦養成所の整備等を行なってきたわけでございます。基本的な方針といたしましては、一日も一早く国内の、本土におきますらい療養所と同じような整備をし、要員を確保する、これが基本でございます。  現在、沖繩におきましておくれておりますのは、先ほど申し上げました不自由者等の整備がおくれておるわけでございます。  それから定員につきましては、特に目の不自由な方々等に対します付き添い補導員と申しますか、こういう方々の定員が本土に比べればおくれておるわけでございます。  これらに対しましては、本年度、四十九年度におきまして本土のらい療養所を上回ります予算措置、ワクを計上しているわけでございますが、まだ四十九年度で全部この格差を解消するというわけにはまいらないわけでございますが、この整備なり定員の補強をピッチを上げまして二、三年のうちには必ず本土並みにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  39. 國場幸昌

    國場委員 このデータによります数字から申し上げますと、本土に、大島青松園というのですが、同じような療養所があるようですね。そこの入所患者五百四十名。一般職員、これが、私あまり詳しくないのですが、行(一)、行(二)と書いてあるのですが、この大島青松園というところで一般職員が二十五名に対して、沖繩は六百五十九名にこれが二十五名、数の比例からしますと三十三名になるわけです。それから行(二)に書いてあるのですが、これが百一名に対して、現在四十七名しかございません。そうすると、これは本土におけるところの大島青松園というものの比例からしますと百十五名、これだけが必要だというようなことでございます。  それからお医者さん、医療技術ですね。お医者さん、五百四十名に対して八名おって、沖繩の六百五十九名に対しては三名しかおらない。八名に増員しなければいけない。それから医(二)の、同じくお医者さんで、これは専門でしょうか、七名ずつである。しかし収容人員の患者からしますと十一名が必要である。それからお医者さんの(三)というようなことになりますと、これが四十名に対して四十五名。ほんとうは五十二名必要である。  こういうようなことで、あらゆる面においてこれが少ない。  施設に対しましても、雨が漏って、亀裂が入って、それから、重病患者も軽病患者あるいはまた出る前になっておる者も雑居をしておるというようなこともあるというようなことで、これじゃたいへんだ。  それに、これは後進病ともいわれておりまして、沖繩がずいぶんそれに対して数が多いということはまことに残念なことではありますが、しかし、この患者にかかっておる人たちの立場を考えますと、この患者の人たちは日本に復帰すると国立になって、われわれも、いままでの耐え忍びもある程度よくなるであろうというようなことと、これを期待しておったが、しかし一向にこれが改善されない、こういうようなことではるばる——あれはやはり伝染病でございましょうから、汽車に乗り、船に乗り、飛行機に乗りしますと、衛生上も悪いかもしれませんけれども、毎年毎年ここに上京してくるわけなんですよ。だからこういう立場からしますと、やはり徹底的な——これが全部収容されていないということも聞いておりますが、こういうものに対しては一日も早くこの患者の撲滅を期するような施策を講じていただきたい、こういうことを考えるわけでございます。  いまの必要なる人員に対しての増員を今度どういうぐあいになされておるか。これまでは教えていただけませんか。
  40. 木戸脩

    ○木戸説明員 四十九年度におきます定員の増加の内容は、先ほど申し上げました患者付き添いの指導員が十一名。先ほど先生指摘のように本土のらいの療養所と比べて一番定員が少なく劣っておりますのは、この患者付き添いの指導員、行政職(二)に該当します職種でございますが、これにつきまして十一名の増をはかっております。それからあと一名、宮古の南静園につきまして、医師の定員の増加をはかっておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように本土に比べますとまだ格差がございますので、できるだけ早くこれを是正してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それから施設につきましても、現在本土におきましてもまだ不自由者等の重症病棟の整備が完了いたしておりません。これも二年ないし三年のうちに本土も完了する予定でございますが、少なくとも本土が完了するまでには沖繩のらい療養所についてもきちっと整備を完了いたしたい、かように考えている次第でございます。
  41. 國場幸昌

    國場委員 時間がございませんので、もう一点だけ最後にお伺いいたします。  海洋博の日にちはもうずいぶん切迫しておるわけなんですが、いまさっきも申し上げましたとおり、沖繩のみならず、会場は政府をもってこれをなすというようなことでございますが、関連する設備に対して、会場かいわいにおけるところの民間企業といいましょうか、民間設備といいましょうか、こういうような民間側の投資意欲というのがずいぶん欠けてきまして、意欲を失ってしまって、これじゃ観客の動員に支障を来たすというような現象が現在起きてきているというようなことでございます。だから、この会場周辺におけるところの、あらゆる民間が関連企業としてなすべきこういうものに対して、計画しておった人たちがほとんど引っ込んでしまった、こういうことになると、会場は幾らりっぱにつくっても、やはり付帯するところのこういうものができなかったら、これはたいへんだというようなことで、あわてておるというようなことを新聞は報じております。この要因をなすものはやはり金融引き締めだとかあるいは物価高騰だとか、こういうようなことが原因をなしておる、こういうようなことでございますが、この改善策として担当に当たる通産省、いまの計画が狂ってきた場合、これをどういうぐあいにして計画を順調に実施させるかというようなことを考えておられるか、これをひとつ伺いたい。
  42. 増山孝明

    ○増山説明員 海洋博覧会の周辺地帯の整備につきましては民間企業の活躍に期待していたわけでございます。関連施設と申しますのは、ホテルとかそれに伴いますサービス施設あるいは海洋博の会場に勤務いたします従業員の宿泊施設、こういうようなものでございますけれども、確かにこの建設は当初の計画どおり順調には進展しているとはいえない現状にございます。この大きな原因といたしましては、昨年当初構想しておりました第三セクターによる本部開発公社、この設立がおくれていたということが非常に大きな原因であったわけでございますが、幸いにいたしまして昨年の十二月二十一日に沖繩県リゾート開発公社と申します県と地元の三つの市町村が共同して設立いたしました財団法人が発足いたしましたので、今後この活動を大いに期待しているわけでございます。それで、この県と三市町村が設立いたしました財団法人の活躍を期待いたしまして、これに対しまして財政融資を四十九年度にかなりの額を計上いたしておりまして、開発公社関係で二十億円の融資を行なう計画でございます。それから、これとは別でございますけれども、民間企業によりますペンション、サービス施設等の建設につきましても十億五千万円の財政融資のワクを確保いたしておりまして、この県の公社それから民間施設に対する融資三十億五千万円、これだけの財政融資をもちまして、あと五百数日に迫りました海洋博に対処いたしまして、宿泊設備サービス施設あるいは従業員宿舎等の整備をはかりたいと考えている次第でございます。
  43. 國場幸昌

    國場委員 終わります。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員長 午後二時に再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩     —————————————     午後二時四分開議
  45. 小濱新次

    ○小濱委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清政君。
  46. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 大平外務大臣の所信表明に関連いたしまして若干御質問をしたいと思うのです。  外務大臣の所信表明の中に、「沖繩県における米軍施設、区域の整理、統合を推進しておりますが、すでに御案内のとおり昨年一月二十三日の安保協議委員会において、那覇空港の完全返還及び那覇空港周辺地域の返還につきまして原則的合意が成立いたしましたほか、昨年六月十五日には米軍施設、区域の一部または全部返還、計八カ所につきましてそれぞれ日米間で合意を見、また、今般一月三十日の安保協議委員会においては米軍施設、区域の一部または全部返還、計三十二カ所につきまして合意に達した次第であります。」という大臣の所信表明がありまして、順調にこれだけ返っておるというお話でありますけれども、この米軍施設、区域の返還について、昨年十月の沖繩及び北方問題に関するこの特別委員会の派遣委員の調査団の報告の中に次のように指摘しておるわけであります。「六月十四日の日米合同委員会において合意されたボロー・ポリトン射撃場外七施設を含めて九月十五日までに一一施設の一部又は全部が返還されている。しかしながら、我々派遣委員に提出された県の要請書に」われわれというのはその当時派遣された当委員会の調査団でありますが、県からの要請書に「これまでの返還が一部基地の整理縮小に伴い他の基地の拡充を図る等、基地の再編強化の形でなされております。」という要請書が委員に出されております。このように述べられているわけですが、整理統合という、いかにも基地の縮小、これは単に面積が少なくなったということではなく、機能それ自体も縮小されているという意味も含んでいるわけでありますけれども、そういうことを思わせるような表現の裏側で、実は基地機能は着々と再編、強化されておる。つまり、極東最大の基地といわれる沖繩のこれまでの置かれてきた立場というものには全く手をつけておらない、沖繩県の要請書はこういうことをいっているんだと思うのですが、沖繩県民の米軍施設、区域の整理統合に対する要望は政府としても一十分理解し得るという大臣御自身の発言とあわせて、このことに関して御見解を伺いたいと思います。
  47. 大平正芳

    ○大平国務大臣 在日米軍の使用いたします施設、区域の整理統合の問題は、一面安保条約との関連がございます。返す相手は、整理統合する主体はアメリカ軍でございますが、安保条約はわが国の安全と極東の安全を保つために米軍が在沖米軍基地を使用することになっておるわけでございます。すなわち、米軍といたしまして米軍の機能をそこねるということについては重大な関心を持つことは当然だと思うのでございます。したがって、整理統合をはかり、自余を返還してもらうにつきまして米側と交渉して合意に達しなければならぬ以上、米側の意向についてわれわれは理解を示さなければならぬことはわれわれの立場上やむを得ないことと思うのであります。しかし一面、われわれといたしましては、本土沖繩を通じまして基地周辺の事情がたいへん変化してまいりまして、基地をめぐる社会経済的な緊張が高まっておることを政府として等閑に付することはできないわけでございます。したがいまして、この整理によって返還を求める国民の声をくみ上げてこれに対処してまいる責任が一方にあるわけでございます。したがって、安保条約上の要請と国民の要請、両者を調整して事をなし遂げなければならないという立場におることにつきまして加藤委員におかれても御理解いただけると思うのでございます。そういうラインに沿いまして今日までもやってまいりましたし、今後もやってまいらなければならぬと考えております。とりあえず沖繩につきましては、全沖繩の面積の一〇%をこえる基地をかかえておるわけでございまして、返還後まだ二年足らずでございまして、われわれといたしましてはこの整理統合を鋭意進めてまいりまして、沖繩産業、経済の基盤が整備されて、開発計画も順調にまいりますようにいたしますには、相当基地の整理統合をはかってまいる必要があると考えておるわけでございまして、そういうラインに沿いまして、去年もことしも安保協議委員会を通じて整理統合計画を推進してまいった次第でございます。
  48. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 そこで、すでに合意を見ているあるいは今後の日米間の折衝によって返還を求めていこうとしている米軍の施設、区域について、わが国政府は、将来、極東のキーストーンといわれている沖繩の基地あるいはその役割りそのものを変えさせていこうとしておるのか、あるいは沖繩県の一二%を占めている米軍施設、区域を集中させることに眼目を置いているのかという点についてお尋ねしたいと思います。
  49. 大平正芳

    ○大平国務大臣 これは日米間で合意しなければ施設、区域の整理統合ということは不可能なのでございまして、先ほども申しましたように、アメリカ軍のアジアにおけるプレゼンスということにつきましてはそれなりの目的を持ってアメリカがやられておることでございまして、そのアメリカの理解と協力を得なければ基地の整理統合というのはできないわけでございます。したがって、沖繩の基地をどうするかという問題につきましては、アメリカ自体が考えておることと思うのでございます。私どもその詳しいことは承知いたしておりません。ただ、われわれが伺っておるところは、アメリカといたしましては、アメリカ軍のアジアにおけるプレゼンスをいま変えるつもりはないということでございますから、おそらく沖繩基地の機能というものについて変改を加えようという意図はないものと思うのであります。そういう制約下にありながら、しかも基地の整理統合を進めなければならぬという立場にわれわれはおりますことは御理解をいただきたいと思います。
  50. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 次に北方領土問題に関連してお尋ねしたいと思います。  昨年十月の日ソ首脳会談の際に発表されました共同声明では「一九七四年の適当な時期に両国間で平和条約の締結交渉を継続することに合意した。」と書かれておりますけれども政府はこの交渉をいつごろから開始したいと考えておるのか。また、この平和条約の締結に際して当然北方領土問題が大きな柱になるわけですが、これについて外務大臣は、北方領土問題を解決することによって日ソ平和条約を締結しと述べておられるわけでありますが、この問題について小坂総務長官のほうは、北方領土問題は平和条約の締結によって処理されるべき戦後の未解決の問題であると述べておられるわけでありまして、つまり外務大臣は北方領土問題が解決されなければ平和条約の締結はないのだというふうに言っておられるようにとられるわけですが、片や総務長官は平和条約が締結されることによって北方領土問題は処理されるべきであると言っておられるように受け取れるわけであります。この点について外務大臣と総務長官のお考えについて何か若干意見の統一を欠くというようなきらいがうかがわれるわけでありますけれども、きょうは総務長官にもお尋ねしたいと思いましたがおりませんので、外務大臣からひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  51. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ソ連との間の平和条約の締結交渉を一九七四年中に行なうということは去年の日ソ共同声明にうたわれてあるとおりでございまして、いつどこでそれをやるかということにつきましては、外交ルートを通じまして今後相談しなければならぬことでございますが、国会中でもございまするし、私どもまだソ連当局とこの問題について接触を持っておりません。いずれ相談しなければならぬ問題と心得ております。  第二の点、小坂さんと私との表現に食い違いがあるのではないかという御指摘でございますが、小坂さんのお考えも私の考えも別に変わっていないと思います。要は、平和条約を結ぶ以上は何としても領土条項、領土の区画というのがはっきりしないといかぬわけでございまして、領土問題を解決して平和条約を結ぶという表現に私はなっておるようでございますし、小坂さんの場合は平和条約で処理すべき問題と言われておりますが、いずれにいたしましても平和条約には領土条項をちゃんとしなければならぬという意味でございますので、表現上のあやにすぎないわけで、実体といたしましては全然私は変わりはないと心得ております。
  52. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 外務大臣と総務長官の所信の表明を見ますると、若干何かニュアンスが違うような感じにとられますが、領土条項を確定して平和条約を締結するといういま外務大臣のお話でありますので、それは、私が外務大臣の所信表明あるいは総務長官の所信表明を見まして、何かニュアンスの違いを持って、意見が違うんじゃないかというふうにとられましたのでお尋ねしたわけですが、いま御答弁の中で、一九七四年のうちに日ソ共同声明が外交ルートを通じてソ連当局との話し合いを鋭意進めていくということでありますが、国会開会中でもあるし、大臣としてもなかなか問題が山積しておると思いますが、国民注視の的でもありますので、可及的すみやかにこの問題を爼上にあげて討議をしていただきたい。そしてルートを通じて一そう発展さしていただきたい、そのように要望します。  次に、北方領土問題について政府側の対応のしかたをお尋ねしたいのでありますが、先ほど来の大臣の御答弁の中でも感じられますことは、とにかくにも、ことし中に両国首脳の間で話し合って、この問題を一挙に決着をつけたいというような感じを受けてきたわけです。このことについてはいま大臣から答弁がありましたが、もちろん解決されればいいわけですが、何かしらわが国の外交を見ておりますと、場当たり的と申しますか、一発主義というか、そういう感じを非常に強く抱くのであります。日中の国交回復にしましても、日中国交回復という大きな事業は達成したけれども、いまだに航空協定すら結べないでおりますが、せっかく国交を回復しても、それをてこにして今後の日中間の友好をより一そう強いものにしていくための外交上の積み上げないしは取り組みというものが非常に弱いわけであります。  そこで、日ソ間についても私は同様のことが言えるのではないかと思うのです。昭和三十一年に鳩山内閣の手によって日ソ共同宣言が行なわれまして以来約十八年の年月をけみしましたが、貿易やらあるいは文化交流の面での拡大はあったでありましょうが、北方領土問題についての外交的な積み上げ努力といったものは皆無にひとしいわけであります。ただ、北方領土はわが国固有の領土だと宣言を繰り返していたところで問題は解決されないのであって、このあたりの政府のこれまでの外交交渉の足跡といいますか、及びこの問題解決にあたっての問題点、将来への展望といった点から、あらためて外務大臣の御見解をこの際伺っておきたいと思います。
  53. 大平正芳

    ○大平国務大臣 加藤委員指摘のように、日ソ共同宣言が行われまして、復交ができまして以来十八年の歳月をけみしたわけでございます。その間わが国とソ連との間におきましては、漁業条約でございますとか海難救助協定でございますとか、通商条約、航空協定、領事条約、渡り鳥条約その他もろもろの協定、取りきめをたくさん結んでまいりました。それから貿易も着実にふえてまいりましたし、経済協力も進捗してまいっておりますし、人的交流、理解も深まってきておることは御同慶にたえないのであります。しかし、肝心かなめの領土問題につきましての進展は、一向に見られないことはきわめて残念でございました。従来、ソ連側の態度といたしましては、領土問題というのはもう解決済みである、過去完了の問題であるというようなことで、一向交渉の土俵に乗ってまいることをがえんじなかったのでございます。しかし、昨年の十月田中総理の訪ソがございまして、田中総理といたしましてはモスクワ滞在の大部分の時間をこの問題に傾注されたわけでございます。共同声明にもうたわれておりますように、平和条約の内容についての交渉を行なったのでございまして、その結果、未解決の諸問題を解決して平和条約を締結するということについては両国合意を見たわけでございます。したがって初めてこの問題が一つの交渉のテーブルにのせられたということは間違いないことでございまして、その意味で総理の訪ソは、日ソ外交の上で一つの歴史を刻んだものと私どもは考えておるわけでございます。さらに共同声明では、いま御質問がございましたように、一九七四年中に継続して平和条約締結交渉をやろうということに合意を見ておるわけでございます。  われわれといたしましては、日本の立場は確固不動でございまして、問題の四つの島は日本固有の領土である。かつてどの国の領土になったこともない固有の日本の領土であるから、無条件にお返しいただきたいという立場に変わりはないわけでございます。この立場を踏まえて忍耐強く交渉を続けてまいらなければならぬと思っております。今日までの経過を通じて、ソ連側といたしましては、ようやくテーブルについたものの、この問題を解決するには、日ソ関係が解決するにふさわしいあたたまりを持たなければならぬじゃないか。言いかえれば、いまの日ソ関係というのは、この問題を解決するにはまだ熟した状態にないじゃないかということでございまして、これから先の交渉は容易ならぬものがあろうと考えておりますけれども、われわれはわれわれの立場を踏まえた上で、先ほど申しましたように、忍耐強く取り組んで、所期の目的達成につとめなければならぬと考えております。
  54. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 私の持ち時間の三十分がすでに経過しましたので、大臣の御答弁で、さらに一そう北方領土問題については忍耐強く、しかも一そうの努力をするというお話でありますけれども、ひとつ可及的すみやかに外交ルートを通じて北方領土問題並びに北方漁業の問題について一段と努力をしていただくことを要望して、私の質問を終わります。
  55. 小濱新次

    ○小濱委員長 瀬長亀次郎君。
  56. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初にお聞きしたいのは、この前の外務大臣の施政方針の中で、基地の整理統合というのがありますね。従来、整理縮小ということばで基地問題を取り扱っておりましたが、とりたてて今度の場合整理統合といったような表現を使われたのは、そこに基本的に基地問題に対する姿勢が違ったのか。たとえばニクソン・ドクトリンを現実に持ってくる関東計画を見てもわかりますように、統合してアメリカの基地の機能をむしろ強化する。整理縮小して次第次第に日本全土からアメリカの基地をなくするということではなくて、不用なもの、アメリカにとって不用なものを整理して、そして統合しながら米軍の在日基地を強化していくというふうなことが、その整理統合の中に含まれておるのじゃないか。この問題は御承知だと思いますが、開発庁案の沖繩振興開発計画の中にも、米軍施設、区域の整理縮小をはかり、こうこうする。ところが、外務大臣のこの前の説明ではやはり一貫して整理統合になっております。またきょう出された資料も、整理統合計画日程表を見ても出ている、そういったような基地の機能を整理統合することによって、むしろ強化するという方向が含まれておるのじゃないかと私思うのですが、これどうですか。
  57. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 いわゆる基地問題に関連いたしまする日本側のアメリカとの折衝につきまして、従来私どもが使っております表現は、一貫して基地の整理統合でございます。
  58. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでこの沖繩開発計画沖繩を真に開発するとすれば、どうしても基地は自主的、平和的沖繩の経済にとってじゃまになる。だから基地は整理して、次第次第に縮小して、もう一挙に撤去、すぐあさってしあさって撤去できるということじゃないんで、次第次第に基地のあと地の利用とも関連させながら整理縮小する。これはそういう意味で書かれているが、外務大臣のあるいは外務省の方向は縮小ではなくて統合。だからこの統合の中に、いま私が申し上げましたように、在日米軍の在日本の基地の機能をいよいよ強化さしていく。そして負担日本政府、日本国民の負担にしながら、さらに足りない分は自衛隊で補完していく。ニクソン・ドクトリンのほんとのねらい、これがそういった基地の整理統合の中に含まれているのじゃないかと思ったので、それを質問するわけなんですが、大臣いかがですか。
  59. 大平正芳

    ○大平国務大臣 瀬長さんに御理解いただきたいのは、基地の整理縮小といい、整理統合といい、ことばはどういう文句を使うにいたしましても、現に沖繩の基地は今度きめただけでも三千九百万平米の縮小になっておるわけでございまして、縮小が好きな人は縮小と使ってもいいし、統合ということでなれておれば、統合ということばを使っても私はいいと思いまして、別にこだわりませんが、ただ御理解をいただいておきたいのは、この整理統合計画というのは、アメリカが押しつけてきたものじゃないのです。こちらから頼んで言っておるものなんですよ。日本側から基地の整理を通じて、本土並びに沖繩の基地をめぐる経済的、社会的な緊張を緩和して、産業、経済、民生というような観点から、可能な限りひとつ配慮を頼むというわけでやっているわけでございまして、まず日本からアメリカに要請しておるという性質のものであるということでございます。つまりアメリカが基地の機能を強化するために、日本に押しつけておるものではないということです。よくあなたは強化強化といいますけれども、そんなものじゃないのです。こちらからそういう要請をいたしておるということに間違いはないわけでございますので。瀬長さん、なかなか私の言うことを聞いてくれないので、その点はひとつ議論をするにあたりまして、まず御理解を得ておかなければならぬと思っておるのでございます。  それから今度は、われわれがやっておりますことは、関東計画にいたしましても沖繩の問題にいたしましても、いずれも整理統合をやっておるわけでございまして、基地の機能を強化するためにわざわざ仕組んだものではない。できるだけ国民の期待にこたえて基地を開放していく方向に考えておるつもりでございますので、そういう点もあわせて御理解をちょうだいしたいと思います。
  60. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大臣はそういった方向で返事される以外にはないと思いますが、では、具体的な問題に入ります。  具体的な問題は県道百四号線、それから現に日本道路公団で計画され、建設中の沖繩縦貫道路、これは一般国道になるわけですが、この問題と関連して、いまの大臣の発言があまり真実味がないぞということを証拠立てたいと思うのです。  そこで、これは今月の二十日に起こりましたことでありますが、キャンプ・ハンセン内に例の百四号の県道がありますね。この県道はアメリカが実弾射撃をする場合に使ってよろしい、一応その区域、施設内にある道路は住民の用に供するため開放するが、米軍の活動に支障を与えちゃいかぬといったような合意議事録、これに基づいて行なわれておるということを聞いておりますが、そのとおりですか。
  61. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 昭和四十七年の五月十五日に開催されました合同委員会におきまして、キャンプ・ハンセンを施設、区域として提供されることが合意を見たわけでございます。たまたまその施設、区域の中を、今日、県道百四号と指定されております道路が通っておりまして、この道路の処理に関しましては、復帰の際に県道として認定された道路とみなすという措置がとられておりますけれども施設、区域内に存しておりますこの当該道路の部分につきましては、復帰とともに施設、区域として使用を認められたものであるという関係におきまして、一般の通行は米軍の演習に差しつかえない範囲で使用を認められるということが合意を見ておるわけであります。
  62. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この五月十五日の合意事項、いま局長が話されたことについては一般国民に知らされていますか。告示されていますか。
  63. 奈良義説

    ○奈良説明員 私どものところで提供施設を告示するときに、この道路も含んだ形でもって皆さまに告示をしております。
  64. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が申し上げるのは、いま局長の言ったことは五月十五日の合意部分ですが、その(b)で、「本施設区域内において実弾射撃は認められる。合衆国軍隊が使用する兵器は通常海兵師団が常備する兵器の一般的な範疇に入るものである。」その他として(e)「施設及び区域内の出入路及びルート一〇四号線の地元民の使用を認める。ただしその使用は合衆国軍隊の活動を妨げないものとする。」このとおりですね、局長。これはいいですか。
  65. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 最後の合衆国軍隊の活動を妨げない範囲において使用を認められるというのはそのとおりであります。
  66. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それが一般国民に知らされないで、告示されないで、そしていざという場合には実弾射撃演習をやる。危険だといって県道を封ずる、こういったことが一体秘密事項であるのか。これが秘密事項になるとなれば、国民はどうして安心して生活できるのですか。私はこういったものは告示されない限り合法性を持たない。告示されていないということは、これは事実なんです。ここら辺はどうなんですか。
  67. 奈良義説

    ○奈良説明員 先ほども申しましたように道路全部含んだ形で実は告示いたしております。ただその中でここに特に官報告示の際に図面を添付して、ここにこういう道路が走っているというような形では示しておりませんので、あるいは地元の方にわかりにくいことがあったかと思います。
  68. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 地元の方も——告示は全国民が知らなくちゃいかぬ、知らさなくちゃいかぬというので、国として、やるのですよ。それで、あるいは知らなかったかもしれぬ。このようなことはだれも知りませんよ。初めて、ああいった警察官と対決しまして、部落民はもう生活道路である、だから一日仕事をやめてもこの演習をやめさせなければいかぬという。この住民の生活苦の問題から、さらに県道の管理者である県知事が断固として、これを認められぬ、反対するという意思表示もあるわけなんです。ところが、その段階になって初めて防衛施設局ですか、これが実はこういうのがありますんで、こうだというふうなことになっているのですよ。これは外務大臣、このような取りきめを一体いつまでも秘密にされるおつもりですか。これだけをぜひ答弁してください。
  69. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、その件に関します合同委員会合意の内容は特に秘密にするという考えは毛頭ございませんし、またいま御答弁申し上げておりますように内容の次第を明らかにいたしているわけでございます。なお、私ども承知しておりますところでは、今回の二月二十日の演習につきましては、米軍は地元に対して二月の五日に演習の時日を通報し、県警察並びに現地の施設局において地元の方々にこういう通知の次第を知らしてあるというふうに聞いております。
  70. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは、もちろん秘密にさるべきものではなしに、告示されていないというこの事実は、これは根本的なミスなんですよ。みんな、されていると見ている。これは、されていない。これにつきましては、委員長のほうで正式にこの合意議事録全文、英文、和文、出してもらうように努力してほしいと思います。委員長、いいですか。
  71. 小濱新次

    ○小濱委員長 申し出の件につきましては、後刻理事会にはかりまして取り扱いたいと思います。
  72. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それからいまの県道の問題について、去年の四月二十四日決算委員会で共産党の庄司委員に対して平井政府委員がこのようなことを答弁しています。「安保条約、地位協定に基づきまして米軍にその使用を許します施設、区域の中を道路法上の道路が走るということは、通常の状態としてはできるだけ避けねばならないことだと思います。したがって、その道路部分は提供部分からはずすとか、あるいはどうしてもその部分が必要である場合にはしかるべき他の措置を講ずるという方法が考えられなければならない」といって、県道部分は一貫して区域、施設からはずす、努力するということを言っておるが、いまだにこの百四号を含めて五つの県道が区域、施設内に厳然としてある。この事実は——県民は開放を要求しているのですよ。県知事すらはっきり要求している。これに対して大平大臣はいまさっき国民の要求に基づいて自発的にアメリカにやっているのだとか言っておりましたが、もうすでにやがて一カ年になる。にもかかわらず、いまだに県道として指定された道路が五つ、このような百四号まで含めて、ある。この事実はむしろ大平大臣がアメリカの言うことだけしか聞いていないという証言ではないですか。進んでやっていない。やりますと言ってちゃんと国会答弁しながら、これについてほとんどやっていない。現実に五つあるのですよ、まだ。しかも県道百四号の中で、その区域、施設内で実弾射撃演習をやる。これを許す。さらに警察もまたその味方になってやっていく。これはあとで警察に聞きますが、こういった点で一日も早くこの演習をやめさせる問題。さらに、いま申し上げました百四号を含めて五つの県道がまだ区域、施設内にある。これをむしろ区域、施設内からはずすということをお約束できるかどうか。そうできれば、一番前のことばは幾らか信頼できるかなあといったような感じを与えるのではないかと思うのですが、これ、いかがでしょう。
  73. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 県道百四号が施設、区域内を走っておるということからいろいろな現地の問題が生じたわけでございまして、本来的には施設、区域内をそのような道路が通らないことが望ましいことはもちろんでございます。  そこで、ただいま御指摘ございましたような問題点を踏まえまして、私どもとしては、施設庁において、道路のつけかえということを含めて具体策を御検討しておられるというように承知いたしております。  また、演習の問題につきましては、二月二十日に問題が起きましたあくる日二月二十一日に合同委員会の席上で、日本側からこの問題を米側に提起いたしまして、米側としては実情の調査を約束したわけでございますし、今後このような問題が起きないような努力をしていきたいと考えておるわけであります。  なお、先ほど委員長に対して御要求のございました資料の提出につきましては、合同委員会の合意そのものにつきましては、米側との約束がございましてそのまま提出はできませんけれども、要旨の提出につきまして、米側との打ち合わせをしてみたいと思っております。
  74. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま県道を五つ申し上げましたが、それ御存じですか。どこの区域、どこの施設にどういう県道があるか。もしおわかりでしたら、ここで簡単に発表してください。
  75. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えいたします。  先生いま五本とおっしゃられましたのですが、私どもが理解しております沖繩での県道は四本でございます。キャンプ・ハンセンを走りますいまの百四号線、それから、伊江島の港から補助飛行場といいますか通信施設の部分に参ります進入路でございます。それから、北部訓練場に二つに分かれて二本走っております。道路のナンバーでいいますと十三号線と二号線でございます。この十三号線は基地に入ったり出たりいたしますので、あるいは五本というふうにお考えになられたかもしれませんが、道路のナンバーでいいますと、二号線と十三号線、それから伊江島の港から通信施設に至る線、それから、ただいまのハンセンの百四号線、そういうふうに理解いたしております。
  76. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その県道についての区域、施設内からはずすという面に対する努力は、外務省ではなくて施設庁ということになるのですか。どちらがアメリカに当たるのですか。これは早くしてほしいという……
  77. 奈良義説

    ○奈良説明員 一応施設の問題に直接関係あります事柄は、施設庁が担当いたしまして、いろいろ交渉いたしております。いろいろな意味がございましょうけれども、私どもといたしましては、安保条約及び地位協定に基づいて施設が提供されており、かつその演習も一般的には必要であるという認識を持っておりまして、この演習が要らないのだから返せというところまで、私どもが言える場合は別でございますけれども、なかなかそういう立場にございませんので、直ちに道路等をはずすというような形で交渉するというようなことは不可能であろうかと思っております。
  78. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまお聞きのとおりだと思いますが、はずすように努力するということが日本政府の手でほとんど行なわれていない、これが暴露されたのじゃないですか。そういったのがあるから、外務大臣がいかに自主的に対米外交を進めていると言っても、現実に具体的な問題になりますと、全部それはそうでありませんという裏目が出ておる。ですから、この点については外交交渉の問題になるのですね。外務大臣は、こういった面についてはおとぼけで、別にだれかがやるのだろうぐらいしか考えておらないのですか。これは、県民の県道に関する問題、いわゆる国道、県道、市町村道、こういった道路をはずすということを、努力するもしないも、わけがわからぬような状態に置かれたのでは困るというのがいまの県民の立場なんです。それはいかがでしょうか。
  79. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そう問題を取り違えられたら非常に私迷惑いたします。私が申し上げたのは、基地の整理統合計画というのはアメリカから押しつけられたものではない、日本側から申し出て、アメリカの理解を得て実行いたしておるものであるということを申し上げたわけでございまして、私が申し上げた裏目にすぐ間違いが暴露されておるという御理解は、せっかく瀬長さんの御発言ですけれども、全然間違っていると思うのです。  県道の問題を取り上げられておるわけでございますが、新しくアメリカが県道の指定を求めてきたということではないのでございまして、もともとそれは指定になっておったということでございます。それをどうしてまいるかということは、これから新しい問題になるわけでございまして、これについては施設庁におかれましても検討されておるということを申し上げておるわけでございます。私は決してうそ偽りを申しているわけではございませんし、おとぼけをきめ込んでいるわけでも決してございません。
  80. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは誤解ではなくて、アメリカが基地の機能を強化するため演習するということを合意議事録で認めているのでしょう。
  81. 大平正芳

    ○大平国務大臣 それは前からです。
  82. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 前からやっていることをそのまま認めている。ところが、それに対して実弾射撃演習をやめてほしい、県道もはずしてほしい、これは住民の要求です。生きるための安全を求める国民のほんとうの心からの念願、要求なんです。これに沿っておらないということは現実じゃないですか。その点を、私は警察がとった措置についてお話し申し上げるとわかると思います。  アメリカは、いまの合意事項に基づいて、いつ、何時何分から何時まで実弾射撃演習をやるということを那覇の防衛施設局に知らせると、施設局はそういう知らせがあったということを県に知らせる。さらに警察にも知らせる。その知らせを受けて警察は何をやるかという問題です。警察は道交法に基づいてやっていく。そして道交法の四条の一項あるいは五条——最初は、四回目は四条一項でやっていた。これは現地の警察でもそうだし、ここの警察も認めております。四条一項及び百十条の二項を使いますと、これは知事に知らせなくちゃいかぬ。ところが五条を含めてやると、公安委員会自身でできるんだ。警察官は国民の生命と安全を守るという基本任務が課せられておる。だから、道路が危険な場合には、そういうふうな道の通行を制限したり禁止さえすることができると、この条項を使っている。これは確認しております。  そこで警察庁に聞きますが、この道交法を使ったことについては確認されておりますので、それは確かめません。ところで一番根本的な問題は、県民の安全、さらに生命財産を保障するということで、道を封鎖するということと逆ではないのか。危険の張本人はだれかという問題なんです。そういったような生命財産の危険を脅かしておる張本人、これをまず逮捕して危険のないようにするのがわれわれの常識なんです。道交法もそうなんです。ところが、演習をやっているのはだれか。アメリカだ。アメリカ縛れますか。アメリカ縛れない。そういったように復帰前と復帰後は、国内法とそういったアメリカの単独支配、布令制、この矛盾がいまぶつかっているわけです。警察、どうお考えですか。しかも、アメリカはただ通知するだけだ、こうやりますよと。やりますよと通知すれば、警察は、そのまま道交法に基づいて道路を遮断していく。これは両面あります。アメリカは演習によってどのような危険が起ころうがかまうもんかという人命軽視の問題と、さらに警察、施設局、これが打てば響く、アメリカがこう言うとすぐこうするというふうな一体的なあの従属性、さらに補完物としての性格、こういうものがはっきりそこにあらわれている。警察庁はむしろそういう場合には、危険物は、アメリカが実弾射撃をやることなんだ。これがなければ別に封鎖する必要がない。道交法の姿勢はそうなんですね。この場合、それが逆をいっている。それについてどうお考えか。警察庁、来ておられるでしょう。
  83. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 お答え申し上げます。  先ほど来お話がございましたように、私どもとしては、当該道路は、沖繩復帰の際に、日米間の協定によって、演習時には道路の供用制限があって、その条件のもとで道路法上の道路となったように聞いております。したがって、演習をやるという行為が違法であれば別でございますけれども、合法的に演習が行なわれるという前提のもとにおきまして、私どもとしては、演習が行なわれれば、実弾射撃というようなものが行なわれましたならば、危険がございますので、道路交通法によって通行の禁止、制限をしているわけでございます。前提は、先ほど来お話があったところでございます。
  84. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ですから、前提が、いま対米外交の中で、アメリカのやることはいかに危険であっても、基地の機能を保持するためにはアメリカが実弾射撃をやらなくちゃいかぬ、それを従来認めてきていまも認めている日本政府の対米外交の中にある。しかも、県道ですね。国道ははずした。県道がいまだに残っておる。そういった県道を、道路法やあるいは道交法を使って禁止しなくちゃいけないというところまできておる。この矛盾を解決するのは、アメリカに演習をやめさせる。さらに、いま申し上げました、いまだに区域、施設内を走っておる県道、これをすぐはずすということ以外にないのだ。その点について、外務省、どうですか。
  85. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほど御答弁いたしましたように、四十七年五月の日米合同委員会合意によりまして、キャンプ・ハンセンは施設、区域として提供いたしておりまして、その提供の内容といたしまして、米軍は演習を行なうことが認められているわけであります。したがいまして、合同委員会に基づいての措置でございますから、日本側としまして、米側に演習をやめろということを言う立場にはないわけでございますが、県道百四号というものがその施設、区域内を走っておるという物理的な状況をいかにこれと調整するかという問題があるわけでございまして、この道路を通過する住民の人々の安全を確保するという見地から、これも先ほど御答弁いたしましたけれども、代替道路の設定というふうなことを含めて、具体的なことを施設庁において検討中である、こういうことでございます
  86. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 代替道路あるいは迂回道路、これは県も要求してないし、部落の人々も要求してないですよ。県の土本部長にきのう電話して聞いたのですが、百四号、これをマスタープランに従って整備し、拡張し、県民の福祉向上のためにやりたいというのが、県のいまの方針ですよ。それに対して、演習、これは合意議事録で、やめなさいということができないから、これはずっと確認しておいて、しかも、この県道部分をはずすこともやらぬで、さらに新しい迂回道路をつくってこれに代替させていく。アメリカの演習をずっと継続させる、機能を阻害してはいかぬ、むしろ強化していくという面への努力であるのだということが明らかになっているのじゃないですか、どうですか。なぜ、合意はしたのだが、こういった矛盾が出ているので、アメリカさん少し考えようじゃないか、あっちでは演習をやめて通れるようにしようじゃないかとなぜ一言言えないのですか。そこら辺どうなんですか。
  87. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 施設、区域として提供してありまするために、提供目的が果たされるということが一つの要請でございます。もう一つの要請としては、この道路が通行のために開放されている間において、通行者の安全が確保されるということがこれまた別の要請であります。従来、そのために、たとえば通学時間の間の演習中止というふうな措置がとられたこともあるようでございますが、今回の事件につきましては、米軍は、警察の行為によりまして、道路におる通行者が危険区域内でないという認定のもとに射撃を行なったということを言っておるようでございますが、そこらの事実関係の調査を現に米側に求めておるわけであります。
  88. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは全部質問をはぐらかしておるのですがね。いま大臣も、国民の要求に従い、その利益と安全、そのためには努力してきたのだ。それを真に受けてとるのであれば、たとえば合意した事項であっても、こういった矛盾が出ておるので、ここでは演習をやめて、この県道から通れるようにずっとやろうじゃないか、ということを前向きにやっていくんだという姿勢がなぜとれぬのかという問題、これなんですね。  そこで、これと関連するので前に進みますが、いま沖繩縦貫道路の建設が始まっております。この中で「キャンプ・ハンセン一部返還について」これは「昭和四十八年六月二十八日、合同委員会メモ」となっておりますが、私、要旨を読み上げますから、それを確認できるのか、できぬのか、これを明らかにしてほしいのです。    要旨  高速道路の建設工事が完了するまで地位協定第  二条四(a)に基づき高速道路の建設のため、合同  委員会合意の日から当該土地の返還されるまで  当該土地の共同使用を日本道路公団に認められ  る。  高速道路建設には次のことを行う。  建物の移設(日本側負担)  連絡用通路を作る。  将来米側の新しいユーティリティの要求に対し  日本側は好意的に考慮する。  建設される高架・地下道は共に海兵隊が所有す  るエンジン付車両の運行が可能であること。  最低六ケ所の高架・地下道は戦車をはじめ荷重  第三十種を収容する全車両の運行が可能である  こと。  高速道路の路線権は将来新規又は追加のユー  ティリティー施設を設置する目的で米軍が保有  する。  こういったような要旨のことがいま申し上げました昭和四十八年六月二十八日のキャンプ・ハンセン一部返還についての合同委員会合意事項の中にある。これを認められますか。
  89. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えいたします。  先生がいま指摘されました内容は、たとえばその工事期間中は二条四項(b)で使用させる、それから工事完了後は二条四項(a)で返還をするとか、オーバーパスをつくるとかアンダーパスをつくるとかフェンスの移設でありますとか、そういったような条件はおおむね先生が御指摘になったとおりでございます。  それからでき上がった道路の路線権というようなお話がいまございましたが、これはちょっとこの合意書、協定書では、確かに路線権、ライト・オブ・ウエーズということばを使っておるのでありますけれども、その次にイーズメントという字が出てまいりまして、従来のいろいろつけかえをしたり、あるいはつけかえをしなくても他人の土地の下に専用の水道管を通してもらうとかあるいはケーブルを通してもらうということはしょっちゅうあることでございまして、そういうものを高速道路の下を横断させてもらうというような意味でイーズメントの要求があります。したがいまして、高速道路そのものに対する路線権とかそういったような意味を新たに要求しているとか合意しているとかいうようなことではございません。
  90. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いずれにしてもこの合意事項があるということはもうはっきりしていますね。これは事実はだれも知らないのです。いま初めて国民は知るわけなんです。こういったたいへんな合意事項がある。しかも、建設省あたりから出たものには、これは車両は四十八トン以上の荷重、これが五つ、それからあと三つの高架、これは七十五トン以上の、戦車を積んで走るトレーラー、こういったものまで、しかもこの橋八つ、これは全部で三十四の橋のうち、いま申し上げましたキャンプ・ハンセン、これはシュワブの一部も含みますが、これを含んで八つある。このようにアメリカ海兵隊、マリーンの所有する一切の車両の通行が可能である。しかもそれは費用は日本道路公団が出す。この橋の大体の費用、これは概算ですが三億から四億かかる。アメリカの基地機能を強化し、さらに戦車一切の車両の通行が実にいまよりもより便宜を与えられるような方向でやっていく。そこで、これは日本国民の血税の中から日本道路公団は出るわけですから、当然われわれがアメリカ海兵隊の——あれはあのベトナム侵略戦争の主力ですよ。あれがいまキャンプ・ハンセンに集結している。これのいざという場合一体どうなるかという問題。ぞっとしますよ。この点について、いま戦車が通れるようにということ、これはもちろんいまの縦貫道路、これを横断する橋なんです。この縦貫道路そのものに四十八トンないし七十五トンの荷重の橋をつくるのではないか。そういったオーバーブリッジ、地下にもつくる。イーズメント。このイーズメント、いわゆる路線権というもの、日本の法律用語にはないのだが、アメリカはやっぱりライト・オブ・ウエーズということばを使っておる。この路線権をどういうふうに理解されておるのか。外務省で路線権というのは何か、イーズメントというのは何かということについて統一見解ありますか。——なければ申し上げます。大体日本の法律用語ではないのです。基地の領域は物理的に限定されるものではなく、その周辺を取り巻くいわば機能的に必要な領域までも含むことを如実に示しているのがこの路線権、ライト・オブ・ウエーズである。その戦略の変化に応じて種々の機能を要求するが、その機能を保障するのがこの路線権及びイーズメント、一種の地役権である。もしアメリカがそのように理解して日本政府はそう理解していないといっても、この合意事項のままいくと一体どうなるかという問題。時間がありませんので、私戦車の問題あるいはアメリカがその道路を通った場合の使用料の問題、その他幾つもありますけれども、それはあとにしまして、この路線権の問題は、もしこのような合意事項があった場合、いざという場合の問題なんです。これを使いまして、あの路線を禁止する、閉鎖するくらいのことをアメリカがやる。いままでアメリカはどんなことをやってきたかわれわれよう知っております。そういった意味で、この国道になり一般国道に指定されている三二九ですか、もう実に危険な道路建設がいま県民が知らないままに、国民が知らないままにキャンプ・ハンセンの合意事項のもとに進められているということになるわけなんです。それはいかがですか。
  91. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 まず第一に路線権の問題についてお答えいたします。  地位協定の中で路線権ということばが出てきておりますのは第二十四条でございます。この二十四条にあがっております路線権とは何かということになりますけれども、地位協定の第三条の一項で米軍の施設区域への出入の便をはかるため必要な措置が合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で日本政府または米側によってとられることを定めておりますけれども、このような措置がとられた結果として米軍の出入の便のため米軍が享有する利益の実体をさして路線権ということを言っているわけでありまして、その内容は米側が享有すべき利益の実体いかんということによるわけでございまして、またその実現のためにわが国内法上とられるべき措置いかんということになるわけでございます。したがいまして、路線権という特定の概念による国内法上の権利を特に設定することを規定した性質のものではないというのが、政府のこの問題に対する考え方でございます。  なお、縦貫道路の問題について御指摘でございますけれども、来年の海洋博のために沖繩の縦貫道路を設定したい、こういう計画のもとにその縦貫道路の計画路線上にあります米軍の施設、区域内の地域、部分を米側と交渉いたしまして、米側がこの地域の返還を合意した。そのための返還に至る過程において共同使用を認め、道路の建設が終わりますならばこの分は返還されるということになるわけでございまして、これも先ほど外務大臣の御答弁にありますように、沖繩海洋博のために縦貫道路の設定ということを日本側が要請いたしまして、米側がこれに応じてきたというのが実態であります。
  92. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 日本側の要請によってやったことはわからぬでもないです。要請によってこたえたのがこれなんです。すなわち、いま読み上げました去年の六月二十八日、これですね。だれもわからぬですよ。これを——これは秘密なんですか。これをこの委員会に提出していただけますか、英文も含めて。そうしませんと、一般国道ができるのですよ。その一般国道が、こういったキャンプ・シュワブとハンセンの中、これはここに地図も持ってきてありますが、この中にそういった制限規定がある。そしてイーズメントあるいは路線権、ライト・オブ・ウエーズ、こういった問題が地位協定にあるのですが、事実は、その道路の周辺にいろいろな施設を機能の問題でつくらなければいかぬという場合に、その地域の問題でこの道路をどうするということもあり得るでしょう。作戦上、ここは封鎖しなくちゃいかぬという場合には、このライト・オブ・ウエーズ、路線権を乱用して、どんなことでもやり得る。  それでは、ひとつお聞きしますが、一つは、これは要求はあとでいまの合意議事録、これはぜひ出してもらうように委員長にお願いしますが、それではいま大臣は、いつも条約を結んでいる相手、アメリカ、これを信頼するほかないじゃないかということなんです。まあそれでもいいだろう。かりにいま路線権を向こうが利用して、この道路はいざというとこうだから封鎖するということがあり得る。この場合に、それに歯どめをする法的根拠はどこにあるのですか、それを示してほしいと思います。
  93. 奈良義説

    ○奈良説明員 先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、路線権という字は入っておりますけれども、新しくできます道路についての路線権の問題でございませんで、この道路はキャンプ・ハンセンの駐とん地部分とそれから演習場部分との境目を走る道路でございます。したがって、どうしても区切られるために、こちらから向こうへ渡るというアンダーパスなりあるいはオーバーパスなりが必要でございます。それから、従来からケーブルだとか水道管とかそういったものが走っております。そういうものが、道路ができ上がりますとその部分は返還されますので、他人の土地の下、提供されてない土地の下を通るということになりますので、そういうものが、どうしても必要なものがやはりそこに置かせてもらわなければならないという意味で、日本語でいうと地役権ということになりますか、イーズメントを合意しているというにすぎないわけでございます。それ以上にその道路そのものについてどうこうするということではございません。
  94. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間がありませんので締めますが、私の申し上げましたのは、歯どめがないということなんですよ。こういった路線権のこういった条件のもとで国道がつくられると、さすがに大臣もこれには答えられないので、歯どめないはずなんだ。あるんだったらある、こういった法律で歯どめする。ないんでしょう。大臣いかがですか。アメリカがもし路線権を利用し、イーズメントなんかを利用して、これはいざと心う場合にこの道を閉じるというふうな歯どめはないでしょう。危険ですよ。  そこで、いま委員長からのあれもあるので一応締めますが、外務省にいまの合意議事録、合意された事項、すなわちキャンプ・ハンセンについての合意事項、私が読みましたあの路線権まで含めてのこれを英文と和文をつけて資料として委員会に提出してもらいたい。委員長のほうであとで相談してほしいと思います。  最後に、私はまとめて要望をしたいと思いますが県内にいま四つもあるということ、私のところは五つになっておりますが、この県道、区域、施設内にある県道、これを区域、施設内からはずす。さらに、そういった区域、施設の道路内の演習は一切やめる。それから縦貫道路、これは一般国道になっておりますが、この中のいま申し上げましたアメリカの占領区、すなわち海兵隊、このキャンプ・ハンセンの基地の機能を強化するのを手助けするような条件は一切除く。さらに基地の整理縮小、こういったようなものを統合して、機能をより一そう強化することではなくて、日本国民の要求に基づいて自主的に対米外交を進めて、基地の縮小整理をして、さらに基地を将来なくしていくという努力をぜひやってほしいことを要望をつけ加えまして、終わりますが、いまの資料の提供の問題ですね、これを委員長はっきりさせてください。
  95. 小濱新次

    ○小濱委員長 瀬長君に申し上げます。  御要求の件は後ほど理事会に計らい、善処いたします。  安里積千代君。
  96. 安里積千代

    ○安里委員 大臣のお時間もあまりないようでございますので、簡単に二、三の点を聞きたいと思います。  軍用地問題、ことに沖繩の基地の問題につきましては、これは古くて新しい問題であり、安保条約が存在しまする限り消えない問題であると思います。で、たまたま日米安全保障協議委員会の第十五回の会合におきまして、この返還問題に対しまする合意が三段階に分かれてなされておりますので、そのことに関連をいたしまして二、三お聞きしたいと思っております。  まず、総体的に返還というものが検討される具体的な提案、つまりこの地域を返してもらいたい、この施設を返してもらいたい、あとは返すといったような具体的な問題というものは、先ほどの御答弁から見ますというと、これは日本側からの要求である、こういうふうなお答えでございましたが、この基地の返還につきましては、積極的に日本側からの返還というものが提案をされて、それでアメリカ側との間に検討される、こういう筋合いのものでございましょうか。まずその点からお伺いいたします。
  97. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 沖繩施設、区域の整理統合の問題につきましては、かねて日米間で基本的に整理統合の方向に向かって協力努力をしていくということが話し合われてきているところでございまして、そういう背景のもとに日本側としては沖繩実情に照らして施設、区域の整理統合を促進したいということで昨年の春以来交渉を進めてきたわけでございまして、日本側といたしましては防衛庁、防衛施設庁、関係の官庁と十分協議を重ねて米側との折衝に臨んできたわけでございまして、その過程におきまして、日本側としては当然現地の実情から見てこういう施設は何とか手をつけたいということが出てくるわけであります。
  98. 安里積千代

    ○安里委員 積極的に日本側からこういう施設は返してもらいたいというふうにいろいろなされた、当然なされるべきことだ、こう思っております。そうしますと、今回の話し合いは三つに分かれておりまして、先ほど御説明もありましたし、また資料でもいただいておりますが、移設を要せずに返還される区域、それから移設措置がなされて返還される土地、区域、それから引き続いて検討されると三つに分かれております。単純にこう見ますと、日本側から要求されたのが主体になってこうなったとなりますと、この三つを総合してきますと、三番目にあります引き続き検討される地域ということがございますので、私が疑問を持ちますのは、将来は別といたしまして現段階において日本側が要求してまだ即時にはできないけれども引き続き検討する地域、これが十ぐらいありますか、そうしますと、現時点においてそれ以外の土地については引き続き検討をされる地域に入っておらない、なお言うならば日本側としてはここに引き続き検討される施設、区域の十カ所以外の地域については検討もされない、つまり返還を要求しても検討の余地がない、こういうふうにアメリカ側がけったのか、あるいは日本側からこれ以外の土地も地域も返してもらいたいということを要求しなかったのか、二つの場合が考えられるのです。引き続き検討される区域がありまするから、それ以外の土地については要求しなかったのか、要求してもアメリカがノーと言って検討する余地はない、こういうふうにはっきりとしたために三の部類に入らなかったのかお聞きしたいと思います。
  99. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 いわゆるカテゴリー三番目のものが日本側から提案して引き続き検討の対象になっているというふうにもし御理解でございますと、若干実情が違うかと思いますので、この十カ所あがっているものを日本側が提案したのかあるいは米側が申し出てきたのかということについては、いろいろな経緯でこういうものがここにあがってきているというふうに御理解いただきたいと思います。そういたしますと、カテゴリー二とカテゴリー三とでどういうふうに違うのかという御疑問をあるいはお持ちかと思いますけれども、カテゴリー二の場合には返還ということについてかなり具体的な話が行なわれたけれども、移設の態様その他につきまして必ずしも話が詰まらなかったためにカテゴリー一と同じようなものにはならなかったけれども、カテゴリー一とカテゴリー三の間に位置するものである、こういうふうに御理解いただきたいと思いますし、カテゴリー三のものは、話は出たけれども返還のあり方、移設の問題あるいは単純返還になるのかどうか、いろいろな問題点がありますために今後引き続き検討ということ以外には具体的な約束はできなかった、こういう趣旨のものと御了解いただきたいわけであります。  それじゃこれ以外にないのか、こういう御質問であったかと思いますけれども、その点につきましては、日本側としては沖繩にあります米軍の施設、区域の全般について十分目を通しました上で、現地の実情に即し、また米側が現に使っている状況等をも勘案して問題を取り上げてきた、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  100. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど、一番初めに日本側からの要求に基づいて整理統合がなされておるというようなお話もありましたし、またここに引き続いて検討を要する地域としてわざわざあげておりますのと、また冒頭においてこれらの問題は沖繩県民の強い要望に沿うものであると特に書かれてあります。そういうものを総合しますと、これ以外のものについては政府としては返還を要求する意思がない、あるいはやったけれどもアメリカ側においてどうしてもやはり応じられないものだ、だから検討の余地がないんだというふうな感じを持たされるわけであります。その他の地域についてはさらにどうするということがあれば別でございますけれども、特に三種類あげておるがゆえにお聞きするわけであります。  そこで時間がありませんからお聞きしますが、これ以外、この中におきましてアメリカ側から積極的に返還をするということを申し出た地域がございますか。全部日本側からの要求でしょうか。アメリカから返すというふうに積極的に出られたところがありますか。
  101. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 交渉でございますので、日本側の考えが出ると同時に、また米側からも考えが出てまいりまして、それをつきまぜながら折衝が行なわれたというのが交渉の実態でございます。
  102. 安里積千代

    ○安里委員 土地問題についてはアメリカ側としても日本側としてももっとこの問題に対する考えがあるはずです。確かに話の対象にはなったでしょうけれども、問題はアメリカ側からこれは返還しますということを言い出したのと、日本側のほうでこれは返還してもらいたい、これは私は二筋あると思うのです。じゃ積極的にこう聞きましょう。これまで日本側から要求しなくてもアメリカが積極的にこの地域はもう要らなくなったから返還をするというふうになされたのがこの中にはないんですか。
  103. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 全体の長い交渉の過程において一つのパッケージとしてでき上がっているものでございますので、どれがどれというふうに個別的に申し上げることを遠慮させていただきたいと思います。
  104. 安里積千代

    ○安里委員 私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、沖繩の軍用地というものにはわれわれしろうとが見てもずいぶんとむだもあります。こんな土地を軍事基地としてアメリカが使っておる。常識でも考えられないような地域も施設もあります。そういうものに対して日本側が要求することはもちろんでございましょう。けれども、当然地位協定はアメリカ自身が不用になったものに対しては不用という、まあどこまでが用があるかないかということにはもちろん議論がありましょうけれども、客観的に見て返還してもよろしいあるいは要らない土地というものはアメリカ自身が積極的に返還をする意思表示というのがなされていいんじゃないか、私はそのことが安保条約あるいは地位協定の精神だと思うのです。なぜかならば、地位協定の第二条第三項ですか、この協定の目的のために必要がなくなったときは、アメリカ合衆国はいつでも日本国に返還しなければならないと義務づけておると思うのです。要りもしないのをいつまでも握っておる、こういうことは許されないことであって、地位協定そのものを見ましても、必要がなくなったときはいつでも日本に返還しなければならないということがあると思うのです。  そこで、いまそういう積極的なものをお出しなさらなかったと承りまするが、それじゃ具体的にちょっとお聞きしたいのですが、「移設措置とその実施に係る合意の後返還される施設」、区域の中の屋嘉レストセンターというのは、どういう施設がいまなされておりますか。
  105. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えします。  屋嘉レストセンターといいますのは国頭郡の金武村ですか、ここにございますまあ一種の訓練場でございますが、土地の広さが約二百万平米、そのうちほとんどがいわゆる公有財産になっております。ここには工作物等がほとんどございません。  以上でございます。
  106. 安里積千代

    ○安里委員 訓練場ですか。レストセンターという名前からも、どうも訓練場とは見えませんがな。
  107. 奈良義説

    ○奈良説明員 訂正させていただきます。いま屋嘉訓練場のほうの御説明を申し上げまして、まことに申しわけございません。所在地は先ほど申しました金武村でございますが、各軍の下士官、兵及びその家族がレクリエーションに使っております施設でございまして、宿舎とかクラブとか、その他休養娯楽施設がございます。
  108. 安里積千代

    ○安里委員 久場崎学校地区には施設は何がありますか。何に使われておりますか、いま。
  109. 奈良義説

    ○奈良説明員 久場崎学校施設は中学校でございます。
  110. 安里積千代

    ○安里委員 この屋嘉レストセンターの中には、海岸の海水浴場に使っておる地域も入っておりますか。
  111. 奈良義説

    ○奈良説明員 入っております。
  112. 安里積千代

    ○安里委員 久場崎の学校地区というものは、学校の施設としてどのくらいの施設があることも、あるかないかも御存じでございましょうか。
  113. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えします。  学校施設それから付属の倉庫その他二、三小さいものがございます。
  114. 安里積千代

    ○安里委員 屋嘉レストセンターというのはほとんど実際も使われてはおりません。われわれ通る者がすぐわかる地域であります。そして、おそらく海水などが汚染されてくるので、もうそういうことのためにはあまり使えないということで返還されるものじゃないかと思います。そこでお聞きしたいんですが、移設措置というふうになりますが、この移設措置というものはどこでとられるのですか。
  115. 奈良義説

    ○奈良説明員 今後合同委員会の下部機構にございます施設委員会を通じて日米間で検討してまいります。
  116. 安里積千代

    ○安里委員 日米合同委員会で協議されますけれども、具体的になってきた場合においては——これからの問題はありますよ。この費用はどこが出すのですか。
  117. 奈良義説

    ○奈良説明員 日本側で負担をいたします。
  118. 安里積千代

    ○安里委員 日本側で負担する根拠は何ですか。地位協定のどれに該当して日本側がやりますか。
  119. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 地位協定二十四条二項によって日本側が負担いたします。
  120. 安里積千代

    ○安里委員 その条文を必要な分だけ読み上げてくれませんか。
  121. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 地位協定の二十四条の第二項は「日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権(飛行場及び港における施設及び区域のように共同に使用される施設及び区域を含む。)をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、」云々と書いてございます。
  122. 安里積千代

    ○安里委員 この学校の施設、これもやはりそうなると軍事施設のうちに入るのですか、あるいは保養所、レストセンター、海水浴場、こういったことも日本が提供しなければならぬところの施設のうちに入っておるわけですか。
  123. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 四十七年五月の沖繩返還の際に日米合同委員会の合意によりまして米側に対して提供しました施設、区域の中に、ただいまの屋嘉レストセンター並びに久場崎学校地区も入っているわけでございます。したがいまして、地位協定に基づいて、日米の正式の合意に基づいてこれらの施設、区域が米側に提供されている。それが今度移設を条件として返還の対象として考えられている、こういうことでございます。
  124. 安里積千代

    ○安里委員 これらの学校施設だとか保養所とか、そういったものはあるいは軍事基地内にあるかもしれませんけれども、地位協定の十五条によってアメリカが持っておりまするところの、施設を設けることのできるこういう趣旨に基づいて設けられた施設じゃないですか。私の質問が悪いですかね。地位協定の十五条におきましては、純然たる軍事施設ではありませんけれども、食堂だとか販売所だとか劇場だとか、歳出外資金による諸機関、これは軍隊の構成員やその軍隊の家族の利用に供するためにアメリカ軍隊が使用している施設及び区域ということに入りませんか。
  125. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 地位協定十五条の規定は、合衆国の軍当局がたとえばPXとか食堂、劇場、こういうふうなものを合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の利用に供するため、合衆国軍隊が使用している施設及び区域内に設置することができる、こういう規定でございまして、先ほど来御議論になっておられます施設、区域は日本政府が地位協定二条一項に基づいて米軍に提供している施設、区域でございます。その施設、区域内におきまして、たとえば十五条にあげられているような機関を米軍はその施設、区域内に設けることができるというのが十五条の趣旨であります。
  126. 安里積千代

    ○安里委員 ですから、その地域というものはもちろん提供されましたいわゆる軍事基地、軍用地の中に入れられました。その中において学校をつくる、販売所をつくる、休憩所をつくる、これはアメリカ自身が設置することができる権利がありますから設置しております。私、これを聞くのは、じゃこれを移転し、これを他に移駐する場合に、その費用を日本が持たなければならぬということはおかしなことじゃございませんか。学校そのものがアメリカの必要のためにできた。休憩所ができておった。今度は返還にあたってこれを移駐する。その場合のその費用というものは日本が持つ。アメリカの学校のために日本が負担するのですか。私はその点がこの今度の返還の合意につきまして地位協定というものが非常に拡大されて考えておるのじゃないか、こう思うのですが、そのような付属的な施設もアメリカの軍隊のために、家族のために設けられた。これを他に移駐する、それで返還する。その移駐するところの費用というものを日本政府負担する。非常なばからしい話だと思うし、道理にも合わないことだと思いますが、やはりこれは協定上日本が負担しなければならぬものになっていますか。
  127. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 地位協定十五条に規定されておりますのは歳出外資金諸機関、こういうことで一番端的な例はたとえばPXであろう、こういうふうに思うわけであります。そこで二条一項に基づいて提供しました施設区域内に米軍は第三条によりますいろいろな施設なり構築物の構築を認められておりますけれども、地位協定第二十四条の規定は、かねて政府が国会等で御説明いたしておりますように、日本側が日本側の事情によりまして追加提供あるいは追加提供に準ずるような提供行為を行ないます場合には、これは日本政府の経費負担で実施するものである、こういう立場に立って事を運んでいるわけでございます。
  128. 安里積千代

    ○安里委員 この問題、もっと私も検討いたしますけれども、時間がございませんのできょうはこの程度にとめておきます。  大臣に一言お伺いいたしますが、前回予算委員会におきまして、インド洋で拿捕されましたマグロ漁船の問題につきまして、大臣はあのときに何も聞いておらなかったということで、私と多少——そんなばかなことがあるかということでおしかりをしたようなつもりでございますけれども、それは十五日の沖特委で外務省関係おいでにならなかったので無理もなかったわけでありますが、幸いにいたしまして、二十一日に釈放されたということが発表されております。そこで大臣は、何も知らなかった、外務省が何も知らぬようなふうな記録になっておりますので、これまでに至ります状況について、今度はおわかりのはずでございますから、大臣からあるいはまた関係局長から釈放までのいきさつにつきまして御説明願いたいと思います。
  129. 中江要介

    ○中江説明員 本件拿捕事件の漁船、マグロ漁船第五十八清豊丸でございますが、これは二月十三日の十四時、これは日本時間でございますが、十四時、ニコバル諸島付近でペナン向けに航行中にインド海軍警備艇によって拿捕されたということを海上保安庁から連絡を受けて外務省は最初に知ったわけでございます。さっそく十三日、その日それから十五日それから二十日と三回にわたってニューデリーにあります大使館のインド大使に対しまして訓令を出しまして、インド関係当局からの本件の事情調査を命じまして、同時に東京でも在京のインド大使その他に二月の十八日と二十日の二回にわたってインド側の責任ある回答を督促したわけでございます。これに対してインド側は当初は、インド海軍が領海侵犯のかどで拿捕して現地官憲に引き渡した。しかし乗り組み員の待遇については遺漏ないようにやっているからという話で、乗り組み員の調査がまだ終わっていないので、その経過については追って通報するという回答を得ておりましたのは二十日でございますが、その翌日である二十一日にいま先生がおっしゃいましたように無事釈放されたわけでございますけれども、ただ拿捕されましてから釈放までの取り調べの結果についてはまだ詳報を得ておりませんので、引き続き督促しておりますが、船は無事釈放されて引き続き漁業に従事していると思いますけれども、無事日本に帰ってきましたならば、さらに乗り組み員からもいろいろ事情を聞いていきたい。その点では、また現地と特に御関係のあります先生の御協力もあるいは得られれば非常に幸いだ、こう思っている次第でございます。
  130. 安里積千代

    ○安里委員 私がこれをあれしましたのは、十五日の沖特委で総務長官の出席の場でお話をし、当然外務省にも通じられておると思ったのですが、二十一日の予算委員会のときには外務大臣何も知らなかった。そのことが非常に外務省として、国民の生命、財産というものに対する重大な問題に対して外務大臣にも何らの連絡もしてなかったということになると、どうも熱意というものがうかがわれない、あるいは省内における連絡が不十分であるというふうに思ったから聞いたわけでございますが、いまのお答えからずっと交渉に努力をされてきたということも了承いたしました。  では私の質問を終わります。
  131. 小濱新次

    ○小濱委員長 國場幸昌君。
  132. 國場幸昌

    國場委員 時間がございませんので、ただ一点だけ外務大臣にお伺いしたいと思います。  いま日中航空協定、日台路線の航空民間交渉によって両立させるというような基本的のことでございますが、この航空協定に対しましては外務大臣としてずいぶん苦労されておるというようなこともよく理解しております。そこで、中華民国、台湾とは国交も断絶しました今日において、しかしぜひ台湾の政府の承認を得なければいかないという問題が多々あるのではありますが、沖繩に直接関係するところの沖繩の民間航空機がローカル線、たとえば石垣から与那国、そこへ飛ぶには、これがもし日台間において協定の成立を見ることなくしてでは飛べない、こういうようなことが来たる五月十五日を期限として問題が起きるわけなんです。そこで御案内のとおり復帰の日米協定で、沖繩がアメリカの統治下にあるときには米台航空協定、管制協定、これがなされて、台湾とアメリカとの互いの管制を交流して飛行機は沖繩の領域を飛んでおったわけなのです。これが二カ年が期限になっておりますので、来たる五月十五日にはこの期限が来るわけです。そうしますと、これに対するいわゆる国交のない日台間にありて、いかような手続の上でこれがスムーズに日台航空管制協定に引き継がれるか、この点に対して大臣の御所見を賜わりたいと思います。
  133. 中江要介

    ○中江説明員 御質問の航空管制の問題は、単に日本あるいは台湾の航空機の安全のみならず、第三国のこの地域を航行する航空機についてもきわめて重要な問題でございますので、いま五月十五日に日本側に移管されます沖繩のFIRと、従来ございます台湾のFIRとの関係につきましては、これは関係当事者の間で何らかの調整をいたしておかないことには、非常に国際航空路線にも影響があるということでございまして、その場合に台湾の関係者との間にどういう方法でそういう合意なり了解なり調整をやればいいかという点につきましては、御高承のとおり、日中正常化後、日本と台湾との実務関係を円滑に維持していくために、日本側には交流協会というものを設け、台湾側では亜東関係協会というものを設けまして、これを窓口にいたしまして、正常化前は政府間でやっておりました話し合いも、引き続いて実務関係について意見も交換し、了解もなしていこうという姿勢でございます。したがいまして、本件も、まず第一の窓口といたしましては、この交流協会と関係協会の間で、本件について、国際航空路線に支障のないようにどういうふうにやっていこうかという話をしていくべきか、こういうふうに考えております。
  134. 國場幸昌

    國場委員 その順序でやらなければいけないということは理解しております。ところが、日中航空協定と、日台路線、これが日中航空協定の内容によっては、日台間においてものすごい対立が起きてくるというようなことで、外務大臣としては、ずいぶんこの問題に対して気を砕いているということではございますが、大臣御案内のとおり、わが国の邦人の五千名という財産、生命、あるいはまた領海における問題、領空における問題、沖繩におきましても、地理的条件、歴史的つながりからしましても、今日まで切っても切れないような仲にあるという琉台間、御案内でありましょうかどうか知りませんが、わが沖繩とは、中琉文化経済協会というのがございます。その交流によって、今日まで、大体三十名ぐらいを基準にしまして、台湾のほうから奨学資金を出しまして、それでいまでもやはり台湾の大学のほうに留学しております。こういうようなつながり、あるいはまた尖閣列島の油田問題とか、いまさっきも申し上げましたとおり、もし領海とか摩擦が起きて、この問題で日台間がうまくいかなかった場合には、やはり領海にしましても、台湾海峡を通る船が年間八千隻といわれております。わが国の一日におけるところの百万トンの輸入原材料、あるいは一日における十万トンの輸出製品、かようなるものが八〇%までも台湾海峡を通るということがいわれております。かようなるきびしいような国益あるいは国防、こういう問題に対して、また領海を、もしそこを封鎖されるということになると、フィリピンの沖を通り、ハルマヘラの沖を通り、バリ島の海峡から入るとした場合には、一千キロ以上わが国の船舶は遠回りし、約一週間から十日のむだな航海をしなければいかない、かようなるきびしいような状況下にありて、日中航空協定というのが今国会においてぜひ批准をしてもらわなければいかないというような段階にありまして、私どもは心配をしておるわけでございますので、慎重を期してこの問題に対してはやっていただきたいということを希望するわけでございます。それに対しまして、大臣、ひとつ御所見を賜わりたいと思います。
  135. 大平正芳

    ○大平国務大臣 日中の国交正常化にあたりまして、田中総理と私が最も心を砕いて念頭を離れなかった問題は、いま國場さんがおっしゃった、台湾における邦人の生命、財産、それから日台間の濃密な実務関係の安定的な維持、さらには、いま御指摘のように、沖繩県と台湾との間の伝統的な関係の円滑な維持等々でございまして、幸いに日台双方関係者の理解と自制を得まして、国交正常化後一年四カ月の間問題が起こらずに今日まで参っておりますことを、ありがたいことと思っております。その間示されました台湾当局並びに関係者の御理解と御協力に対して深厚なる感謝の念を持っておる次第でございます。  御指摘の日中航空協定を結ばなければならぬ段階が参りまして、そういう状況下におきまして日台関係をどのように維持していくかという問題は、われわれが当面いたしました第二の大きい関門でございます。第一の関門はかくして問題なく通過できたわけでございますが、第二の関門もまた、周到な配慮をもちまして、そして日台双方の十分な御理解を得まして通過させていただかなければならぬと、せっかくいま心を砕いておる次第でございます。FIRの管轄の移転も含めまして、せっかくいま慎重に対処しつつあるところでございまして、先生におかれましても何ぶんの御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  136. 國場幸昌

    國場委員 終わります。
  137. 小濱新次

    ○小濱委員長 次回は、来たる三月五日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会