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1974-05-15 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十五日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 太田 一夫君 理事 兒玉 末男君    理事 三浦  久君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    細田 吉蔵君       綿貫 民輔君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       坂本 恭一君    梅田  勝君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   松田豊三郎君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   松木 洋三君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省都市局下         水道部長    久保  赳君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  池田 迪弘君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     河本 敏夫君   細田 吉蔵君     千葉 三郎君   綿貫 民輔君     江崎 真澄君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     綿貫 民輔君   河本 敏夫君     國場 幸昌君   千葉 三郎君     細田 吉蔵君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  航空法の一部を改正する法律案内閣提出、第  七十一回国会閣法第八八号)  陸運に関する件(私鉄運賃に関する問題)  港湾に関する件(港湾運送に関する問題)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題  等)  日本国有鉄道経営に関する件(山陽新幹線に  関する問題)  気象に関する件(地震予知に関する問題)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  陸運航空日本国有鉄道経営港湾及び気象に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日、航空に関する件について新東京国際空港公団理事池田通弘君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 三池信

    三池委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。小此木彦三郎君。
  5. 小此木彦三郎

    小此木委員 いまそちらの手元に渡しましたのは、わが国の「産業性別平均年齢定期給与額、入・離職率」のおよそ三十種類にわたる一覧表であります。これを見ますと、最も平均年齢の高いのが鉱業すなわち炭鉱従業者であり、一番低いのが電気機器及び精密機器従業者であります。そして現金給与額が一番大きいのが金融、保険、不動産、これは現場の勤務が少ないので一応例外といたしまして、鉄鋼、その次が国有鉄道業であります。一番低いのが木材及び木製品であるわけであります。そして入職率が一番高いのが建設業、そして離職率が一番高いのが鉱業すなわち炭鉱従事者であります。  この表を一目ごらんになれば、わが国産業の何が好況であり何が不況であるかということが、一目りょう然であるわけでございますけれども、ある意味で、不況であるにもかかわらず、国有鉄道業鉄鋼に次ぐ高い現金給与額を持っている、これにはいささか考えさせられるところがありますけれども、しかしこの表とは別に、もっと現金給与額が少ない、しかも定着率が四五%を割っている悲惨な業態があるわけであります。それはいまの港湾労働者の実態であります。六大港東京名古屋横浜神戸大阪関門、この港における労働者平均年齢というものは四十歳から四十九歳までが一番高い。しかも入職率二二%に対して離職率は三〇%。具体的に言うと、船内作業員が四十六年の六月に二万三千人いたのが四十八年六月には一万八千人と、五千人も減ってしまっておる。このうち神戸横浜が三千六百人も減っておる。  こういう実情を見ますと、日本列島玄関口作業を受け持つ、これは港運事業界のためなどという小さな視野からでなしに、資源の乏しい海洋国家日本へ入ってくる荷物を今後どうやってさばいていくか、あるいは海外に製品を輸出して富を築いていかなければならないその荷物の発送をどうやって処理していくのか、現状から将来にわたってゆゆしい一大事と見なければならないと思うのでありますけれども、当局は、この港湾労働者定着性の乏しさ、その原因を何と見ているか、まずそれを聞かしてほしいのであります。
  6. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、港湾労働者定着性は他の産業に比べて著しく低いと思われます。先生おっしゃいましたように、東京横浜名古屋大阪神戸関門の六大港における常用労働者数運輸省で調べてまいりますと、昭和四十年に六万人、四十四年に七万一千人と増加をしてまいりましたけれども、四十四年以降からは漸次減少してまいりまして、四十七年には六万三千人と、ピーク時の約八九%となっております。平均年齢につきましてもいま先生おっしゃいましたけれども、四十七年一月現在約四十歳でございまして、中高年齢層が多いわけでございます。  それから入職率、これも労働省調べでございますけれども二二%、離職率三〇%、これもいま先生のおっしゃったとおりでございまして、他の産業平均が入職、離職ともそれぞれ一九%であるということに比べて確かに低いと思われます。こういうように定着性が低いということは、数は少ないけれども、確かに日本産業の基盤としての港湾運送という点から考えてみますとゆゆしき問題であると思います。  この原因といたしましては、何と申しましても港湾における作業状態等が、作業環境が十分ではないということもいえると思いますし、また肉体労働が中心であるというような点。実は、労働災害発生率等を調べてみますと、死傷の年千人率で見ますと、四十七年で六十八人、全産業平均が千人当たり十人でございますので、非常に高いことがわかるわけでございます。こういうある程度危険を伴っているというようなこともございまして、そのわりには賃金水準が高くないということが考えられると思います。そういう状態を漸次改善させる、していくというような方向で進めていきたいというふうに考えます。
  7. 小此木彦三郎

    小此木委員 高くないのじゃなくて、一番低いのですよ。いまその中に書いてありませんでしたけれども一、木材木製品よりもむしろ低いのです。それはあとで言いますけれども。元来港湾労働者定着性というのは、横浜神戸においては昔から少なかったわけであります。そういうことはなぜかといえば、そういうところには流れ者的な連中が多く集まっていた、そしてまた散っていった、そういう現象が顕著であったから、神戸横浜には定着性が非常に少なかったということになるわけです。名古屋港だけはいままで定着性は非常に濃かったのです。というのは、名古屋港はその土地の人間が港で働いていたからそういう傾向があったのでございますけれども、しかし最近は、その名古屋港においてすら定着性が薄くなってきた。ということは、ここ数年の日雇いとそれ以外の常用労働者の比率を見れば明白であるわけです。  そういうような六大港が、わが国流通ののど首というものがこれでいいのかということになることを、もっと当局は深刻に受けとめてもらわなければならないと思うわけでございますけれども、いま言われたように、確かに港湾労働というものは条件が非常に過酷だ、安全性が少ない。しかも、何回も言うとおり、このような重労働であるにもかかわらず賃金が安い。いろいろ原因があるわけでございますけれども、暮れの運輸委員会で私はやはり同じように、日本港湾労働者の過酷な条件の中で働いているのに待遇がよくない。たとえば大工さんの例をあげて悪いけれども、昔は沖仲仕というのは大工さんよりもずっと上がりが早かったのに、大工さんよりもむしろ賃金が高かった。いまでは大工さんのほうがずっといい。そうかといって簡単に港湾労働者賃金を上げるようなことを考えていけば、また何かと物価にはね返ってたいへんなことになろう。大臣はこの点をどう考えるかと言ったときに、大臣から、十分検討して実りのあるやり方をやっていきたい、という答弁をもらったわけでありますけれども、きょうはあいにく大臣が出てこない。そこで、その後数カ月たったわけでございますけれども、当局はどのような研究をしたか、その点について、その成果を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  8. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 その後春闘におきまして労使のいろいろな話し合いが行なわれまして、先般労働組合日本運協会との間に一応の仮調印がなされております。その段階におきましては大体三〇%の賃金をアップしようではないかというようなことで、本日本調印になる予定でございます。  考え方といたしまして、従来港湾運送事業者態度、あるいはその中の協会におきましてもいろいろなトラブルないしは意見のまとまりがなかったわけでございますけれども、昨年来鋭意この協会内部立て直しをはかりまして、正常なる労使関係を打ち立てた形でございます。その結果いろいろな調停が行なわれたわけでございますが、順次その港湾運送事業者立て直し、それと労働側との話し合いという線を通して、賃金の面あるいは環境面等につきまして改善がはかられつつあるわけでございます。運輸省といたしましては、そのような事業者態度は非常にけっこうなことではないか、そういう点で、われわれとしてもよい方向指導をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。昨年来からの成果といたしましては、私はそういうことがあるのではないかというように考えております。
  9. 小此木彦三郎

    小此木委員 三〇%云々ということが本日本調印と、これはどういうことですか。
  10. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 全国港湾労働組合日本運協会との間の労働協約が先般仮調印されまして、その中で約三十数%の賃上げが妥結しているわけでございまして、それが本日五月十五日に本調印になるということを聞いております。
  11. 小此木彦三郎

    小此木委員 わかりました。  先ほど私は、大工さんの一日の手間賃港湾労働者手間賃ということを言ったのはどういうことかということを参考までに申し上げますと、それはこういうことなんです。大工さんの手間賃というのは、昔からある商品と見合うものだということがいわれてきたわけです。たとえば明治、大正、昭和の戦前戦後を通じて、大工さんの一日の手間賃というのはヒノキの十尺の三寸五分角の一等品である、それが一日の手間賃だということを長年いわれてきたわけです。  ではそのヒノキの柱というのはどのぐらいするかというと、大体おととしの七月、八月ぐらいで三千円から三千三百円ぐらいのところに安定していたわけです。ところが、十一月になって四千四、五百円になって、十二月についに六千円という倍の小売り価格になった。去年の秋に五千五百円ぐらいまで下がっていって、いまでは五千円以下で暴落の状況だ。それにもかかわらず、大工さんの手間賃というのは上がりっぱなしでちっとも下がらない。もちろんぼくは大工さんの手間賃が高いからここで下げろと言っているわけじゃありません。要するに、昔と違って、のみやかんなでやるのじゃなくて、大工さんの仕事も機械化されて、八千円だ一万円だということもそれはそれなりに理由があるでしょうし、十尺の三寸五分角のヒノキの柱が手間賃の相場だというようなあり方を打破したということは、大げさにいえば大工さんの社会的地位や評価を高めたことで意義があるし、またボーナスやあるいは退職金、そういうものは大工さんにないし、一日が一万円としても、二十日働いて二十万円だということになれば、当然そのぐらいなければいけない。しかし、事物価ということから考えれば、長い間いわれた物価賃金の平衡ということを考えると、賃金のほうが先行してしまったということは事実だと思うのです。  さっきの表を見て、国鉄従業員現金給与額鉄鋼と同じような給与額である。これもやはりある意味における不況産業である国鉄がそれだけの給料を取っているということは、賃金のほうが先行している一つの例だ。あるいはもっといえば、大都市公営交通企業が軒並み赤字だ。その原因は何かといえば、やはりこれは乗車料収入の一〇〇%以上が全部人件費になってしまっている。やはりこれは賃金のほうが先行してしまっておる。戦後の賃金物価のシーソーグームからいけば、あらゆるものが賃金のほうが先行してしまっているということが言えると私は思うのです。その何より証拠には、何だかんだいっても国民生活がこれだけ豊かさ、ぜいたくさを保ち続けていることが私は何よりの証拠だと思うのです。  そういうときに、このぜいたくさ、豊かさを出し入れする作業を受け持つところの港湾労働者、その人たちだけが一番低い給料で押えられている。しかもこの企業を持つところの人たちもそのような苦しさの中であえいでいるということを考えると、ただ単に全港湾日港協だけの問題でなしに、もっともっと当局が考えてもいいところがあるのではないか。  いま申し上げました賃金の問題を簡単にいいますと、港湾労働者賃金が国内的にも他の産業と比べて最も低いのであるけれども、国際的にも世界各国の主要港に比較すると相当な差があるわけです。外国で非常に高い割り増し料金を抜きにして考えても、一時間当たり港湾労働者賃金が、たとえば横浜港を一〇〇とすると、ニューヨークが二三四、サンフランシスコが二一二、ロンドン、ロッテルダム、ハンブルグがおのおの一五〇、しかもこの資料の出た年度が日本のほうがより新しく、外国のほうがより古い。だから、ここに単に全港湾日港協だけの問題でなしに、もっと当局が考えるべき点があるのじゃないか、そこらあたりを伺いたいのであります。
  12. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 賃金の問題あるいは賃金状況の様子は、本来は労働省のほうの仕事ではないかということでございます。しかしながら、われわれ港湾運送事業の健全な発展という面から考えまして、港湾において働いている港湾労働者環境であるとかあるいは賃金という問題に十分の関心を持つわけでございますけれども、確かに先ほど申し上げましたとおりに、過酷な条件の中であまり高くない賃金であると思います。やはり定着性のある仕事をしていくということは、そこに仕事としての誇りを持つべきでございますので、新しい環境の中で新しい感覚に基づいたような労働条件をつくり、その中で定住していくというような方向に持っていくべきであると思います。私どもといたしましては、港湾運送事業者に対して、やはりそのような目で労働者に対すべきであるというようなことで指導をしていきたい、こういうように考えている次第でございます。
  13. 小此木彦三郎

    小此木委員 私が申し上げるのは、きょう本調印になった三十数%の全港湾日港協との問題でありますけれども、それにはやはり港運側に何らか得るものがなければ、そのようなことを無事に遂行することができないのじゃないかということを申し上げたいということなんです。  おわかりになると思いますけれども、もっと具体的にいえば、働く人たち賃金を上げろということになると、問題は必然的に料率改定というようなことに広がっていかざるを得ないのじゃないか。この間、あれは四月四日に衆議院の交通安全対策特別委員会でもって、トラック積みの問題で業界人たちや、運転手さんの代表や、あるいは学者その他の人たちを呼んで参考意見を聞きまして、われわれがその方たちに質問したわけでございますけれども、そのとき運転手さんの代表の人が、とにかくわれわれ運転手は安全な運転を行ないたい、安全運送を行ないたいと念願しているんだけれども、過積みはそれ自体がハードワークとなって、神経を使うし、ハンドルはとられるし、たいへんなんだ。そうかといって過積みをしなければその職場を追われるという極端なことを聞いたわけです。それで、もう一人の参考人である鉄鋼埠頭の社長の言い分は、過積みは確かに行なわれているんだ、しかしその原因は何であるかということをいろいろ考えてみると、まずそれは、最近の交通事情によって運行能率が非常に悪化している。またその次は、トラック運送料金認可料金であって、去る四十年の三月に改定以後六年間据え置かれている。四十六年六月再び改定されたけれども、それ以後すでに三年たっているにもかかわらず改定されていない。また、最近の交通事情によって、このような過酷な環境の中で最も長い超過勤務を要求される運転手、その運転手そのものを確保することがたいへんな問題なんだ。そして、このような悪条件の中で従事しているトラック業者の七〇%が弱小零細企業、ここに問題があるんだ、ということを言っていたわけです。  確かにこのように運転手の確保が困難である、あるいはそのために過積みを余儀なくされる、そういうトラック業界にしても、あるいは作業員が刻々と他の職場に移ってしまう港運業界にしても、言ってみれば零細とはいわないまでも弱小中小企業であることは確かだと思うのです。それゆえに、いろいろなデータを出すにも、大企業のようにてきぱきといかないでしょうし、そこにいろいろな問題が発生することは当然のことでございます。だから私は聞きたいのだけれども、やはりこういうような港湾労働者あるいはトラック運転手を救うということは、間接的には料金改定というものにつながっていくのだとすれば、一番問題は、その料金改定することによって、それが物価にどうはね返ってくるか、あるいはそのことによって便乗値上げを誘発するんじゃないか、それが一番問題だと思うのです。これを当局はどう考えるのか、どう便乗値上げを押える方法を研究されているのか、これはトラックの場合も港運の場合も両方言えることだと思うので、ひとつそれぞれお答えを願いたいと思います。
  14. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 先生おっしゃいますように、確かに港湾運送事業は非常に中小企業が多うございます。昭和四十八年度の港運事業収支を推定いたしますと、収入が二千六百三十一億円、それで支出が二千六百二十億円でございまして、十一億円の黒字でございます。これは約千五百社ございますので、一社当たり七十万円というたいへん少ないものでございます。そしてその支出の二千六百二十億円のうち労務費に千九百八十八億円出すと推定されますので、労務費が七六%でございます。ここら辺の状況はいま先生がおっしゃったとおりであると思います。  この四十九年度の収支予想を考えてみますと、先ほど申し上げましたように三十数%の労務費の妥結の問題、あるいは燃料費値上げの問題ということを加えまして、先ほどの労働条件の妥結等見ますと、相当労働時間の短縮等の問題も含まれております。そういうことから考えまして、相当な赤字になるのではないか、そこら辺を踏まえますと、いままで運輸省として料金改定につきましては非常に慎重な態度をとっていたのでございますけれども、この業界からの強い要望もございますので、これは前向きに対処していく心要があるというように考えております。  公共料金の抑制問題に十分配慮する必要があることは当然でございますけれども、近ごろの状況を見ますと、労務費燃料費の大幅な上昇のため、かなりの赤字経営に対しましてはやはり前向きの姿勢でこれに取り組んでいく。ただこの状況の推移を十分に注意し、態度を決定していきたいというように考えている次第でございます。  また、この料金の値上がりがどのように他の物価に響くかというようなお話でございました。また便乗するものが出てくるのではないか、そういうことをおそれて料金を押えるのではないかというような先生お話でございましたけれども、先生も御研究なさっておられましたように、港湾運送料金のたとえば一トン当たり料金というものは、その一トン当たり価格に比べまして非常に少のうございまして、ひとつ計算いたしますと、先生もずいぶん御研究されているように、たとえば食パンを考えてみましても、食パンのもとの、つくる前は小麦でございますが、小麦輸送費を考えまして、それを今度は食パンの一斤当たりの値段と比べますと、食パン一斤はいま約九十円、まあ百円近い九十円ぐらいでございますけれども、いまの輸送費は大体十八銭くらいでございます。したがいまして、いまの港湾運送事業取り扱い料小麦価格の〇・二%にしかすぎないということになります。また、マグロかん詰めで考えてみました、これは一個が二百円くらいだそうです。これをマグロかん詰めを何百個かやりまして、いわゆる一トンという形にして計算いたしますと、一個の輸送費といいますか、取り扱い料金が三十八銭、これも小売り価格の〇・二%でございます。そういうわけでございますので、かりに二倍にしても、二倍にするということはなかなかないと思いますけれども、かりに二倍にいたしましても、価格の〇・二%、二百円に対して三十八銭というようなオーダーのものでございます。  運輸省といたしましては、この港湾運送料金的定をする場合にも、この料金値上げに伴って便乗値上げを防止するために、いま言ったような例をできるだけPRといいますか、世間に明らかにするというようなことにつとめまして、便乗値上げを押えていく、あるいはまた、こういうことを物資所管官庁に対して十分説明をいたしまして、関係者を十分に指導するように要請していきたいというように考えている次第でございます。
  15. 中村大造

    中村(大)政府委員 トラックのことにつきまして、御質問ございましたけれども、ただいま御指摘の過積みの問題でございますが、これは先生指摘のように、いろいろな原因があるわけでございまして、その中で運賃の問題というのが一つの要素として考えられることは御指摘のとおりでございます。  それで、いわゆる区域トラック車扱いトラックにつきましては、四十六年前回運賃改定いたしましたときに、従来の積み荷一トン当たり幾らというふうな運賃立て方をやめまして、一重当たり幾らと、こういうふうな制度に改正したわけでございます。  そのねらいは、要するにこれは荷主と運送事業者との力関係といいますか、こういうものが非常に大きなウエートを占めるわけでございますけれでも、少なくとも運送事業者運送行為者の側から、そういうふうな過積み運賃面での原因が出てくるということを除去しょうということで、先ほど申し上げましたような一軍当たり、こういうふうな立て方にしたわけでございます。  そうしますと、やはり幾ら積みましても一車当たり運賃は同じということでございますので、少なくとも運送事業者のほうから過積みをしなければいけないという経済的なメリットは出てこない。ただ、先ほど申し上げましたように、荷主と事業者との力関係先生おっしゃいましたように、十両以下の業者というのが約六割というふうな零細事業の多いトラック業界の実態でございますから、そういうふうな力関係ということから、いまこのような車両建て運賃制度というものが守られないので、依然としていわゆる積み荷一トン当たり運賃というものを主にされるというふうな事例もあるということもございまして、少なくとも力関係でそういうふうな過積み原因になるということがないように、われわれといたしましては、その他いろいろな車両の構造面等につきましても検討を加えまして、過積みの防止に努力したいと思っておるわけでございます。  運賃の問題でございますけれども、御指摘のように、四十六年に改定をいたしまして三年を経過いたしておるわけであります。この間諸物価の上昇は非常に大きいわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、トラックにつきましても運賃改定というものは申請があれば慎重に検討しなければいけない、こういうふうに考えるわけでございますけれども、現在路線トラックについては昨年の十一月に申請が出ております。区域トラックについては暫定運賃というふうな申請がござましたけれども一、いまだいわゆる本格的な基本的な運賃改定についての申請は提出されていない、こういう状況でございまして、いずれにいたしましても運賃については、私どもは、その改定の率、それから改定時期等につきましては、先生指摘のような諸物価との関係等も十分考慮いたしまして検討してまいりたいというふうに思っております。
  16. 小此木彦三郎

    小此木委員 この問題を前向きにやる、あるいは慎重に検討するというようなお答えでおりますけれども、要するに大企業というのは値上げを発表すれば翌日からでもできるわけなんです。中小企業の場合は、そういうことになっても、大企業の下請という形でもってやっている以上は、実施は二カ月、三カ月おくれてしまうわけです。と同時に、もちろんこれは調印すれば四月一日ということのバックペイになってくる。二重に苦しむわけですね。だから、そういうような意味から、とにかく早くやってやらなければみんなお手あげになってしまうということを十分考えてやるべきだと思うのです。  と同時に、いま港湾局長便乗値上げを誘発しないような説明を関係官庁によくするということでありますけれども、これは多少きざな言い方になるけれども、関係官庁じゃなしに、やはり国民に説明する必要があるということを私はあえて申し上げたいのです。  どんな場合でも、お米なんかの場合でもそうなんですけれども、値上げの発表を国がやるとなると、非常にきめ荒く、ぼくは何の場合でも拙劣だと思うのです。もちろん発表のやり方をうまくやって国民の目をごまかせということを言っているのじゃありません。要するに、発表のしかたを、内容を、親切に説明することによって、国民生活にショックを与えないでしかも便乗値上げを押えられるとすれば、これほどけっこうなことはないわけでございます。  いま港湾局長が一トンの中に占める港湾の荷役賃の金額が非常に微々たるものだ、小麦粉の場合やマグロかん詰めの場合、あるいは米材、米ツガの場合一本当たり非常に低いということでありますけれどもu、いま〇・二%と言われたけれども、ほんとうはもっと低いんです。〇・〇九%であるわけです。というは、マグロかん詰めが一カートンが四ダース、四ダースということは四十八個入っているわけです。一トンが四十才でありますからマグロかん詰めの場合は〇・八二才だ。〇・八二才なれば、一トン当たり四八・七八カートンぐらいになれば二千三百から二千四百個が一トンになる。マグロの荷役賃は大体一トン四百三十円ですから、現状でもマグロ一個当たりは十八銭四厘ぐらいにすぎないのです。ということは、マグロ一つの値段が二百円とすれば、これは一万分の九ですから〇・〇九%ぐらいだと思うのです。  そうかといって発表のしかたをきめこまかくやれといったって、来月からマグロかん詰めの荷役賃を十八銭四厘にします、米ツガ一本の荷役賃を幾らにしますというようなやり方も、きめがこまか過ぎていやらしい発表になってしまう。そのやり方というものは非常にむずかしいけれども、少なくともこういうような内容なんだということを説明する努力を、これは経済企画庁あるいは総理府の仕事なんだということにしないで、物価政策というものが最優先課題であるとすれば、運輸省にもその責任分野があるのだと私は思うのですが、そういうような自覚を皆さんが持ってしかるべきではないかと思うのです。  そこで、ちょっと方面を変えて、経済企画庁の方どなたか見えていますか。——いまの発表のしかたということについてどう考えるか、経済企画庁の立場でもって一言答弁願いたいと思うのです。
  17. 有松晃

    ○有松政府委員 港湾運送料金の関連物資への影響につきましては、先ほど運輸省から答弁のありましたとおりだと思います。そういう意味で直接価格への影響は非常に小さいと思いますけれども、えてして、そういう場合に便乗値上げの口実に使われるというようなおそれがあっては非常に困ると思いますので、その点については、その物資の所管庁とも連絡いたしまして、十分な指導を行ないたいというふうに考えております。
  18. 小此木彦三郎

    小此木委員 そこで、いま私は世界の主要港における賃金を問題にしたのですけれども、今度はそのステベドアのチャージはどうかというと、たとえば横浜港の場合、一九七三年の時点でトン当たり一〇〇としますと、ニューヨークが一九六八年の時点ですでに六一五なんです。サンフランシスコが六〇五、ロンドンが四三一、ロッテルダムが三四二、ハンブルグが二九一であるわけです。こういうように日本の港と外国の港とのチャージの相違、相違というよりも圧倒的な隔たりといったほうがいいと思うのですが、これからわれわれはどういうことを考えるかというと、日本では要するにその場しのぎに料金改定をやってきた。外国では、われわれしろうとにはよくわかりませんけれども、とにかく会計学あるいは経営学的な理論をもとに料金体系というものをつくり上げてきたのであろうと思うのです。もっと言えば、日本の工業界にしても、トラック業界にしても、一体何を根拠にいままで料金改定の要求の算定を出してきたか。要するに、春闘があったから上げてもらわなければ困る、油が高くなったから料金改定してもらなければ困るというような理由で、その場その場でもって上のせ要求をしてきたにすぎないと思うのです。これが弱小零細企業たるのゆえんでございましょうけれども、また行政側も、そういう要求をうのみにしながら、これを幾らか削ってきめてやればわが事なれりとしてきたというような形じゃないかと思うのです。それが港やトラックの不幸を招いた原因じゃないかと私は思うのですけれども、もっと大きな観点から見れば、このような国際的なステベドアチャージの差ということは、日本の船社や日本の荷主が外国の港でもって高いものを支払わされる。外国の船社や外国の荷主が日本の港に来て安く事を行なうことができる。こういうことは率直に言って非常にばからしいのじゃないか。いますぐ日本の港におけるチャージを外国並みにしろといったところで、外国の港と日本の港とはおい立ちも違いますし、歴史的な背景も違いますし、構成も違いますし、そういうことをすぐやろうといったって無理難題であることは私も十分承知しておりますけれども、ここらあたりでもってこの改正の発想を抜本的に改める必要があるのじゃないか、その点についての政務次官の考え方を伺いたいと思うのです。
  19. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先生指摘のとおりであろうと思います。従来から各種料金をきめます際に経営が経常的に続けていけるという適正利潤も配慮のうちに入っておったはずでございますけれども、それよりも当面の問題の解決というほうに重点がいっておったというところから、今日のような料金体系ができておると思います。また、それを逐次改善をいたさなければならないわけでございますけれども、先ほども御指摘のとおり、その際に行なわれる便乗値上げをどうやって防ぐかということでございます。その便乗値上げを防ぐための社会的な背景をつくらなければならないと思います。それについては、一つはやはり物資関係官庁が行政指導するということも一つの方法でございます。先ほどから説明を申し上げておるわけでございますけれども、御指摘のとおり、それだけではたして実効が期待できるかどうかということも問題があろうかと思いますので、今後の課題として研究をさしていただきたいと思います。
  20. 小此木彦三郎

    小此木委員 合理的な料金改定をするためには、やはりトラック業界の体質も、あるいは港運業界の体質も、あるいは港にある不合理性も一掃して、近代化につとめなければならないことは言うまでもありません。港の世界では、あるいはトラック業界でも多少ございましょうけれども、低い料率の上に眠り口銭というか、そういうさやかせぎ的な非近代的なこともかなり横行している事実を私も知っておりますし、また、これは問題が違いますけれども、たとえばやみはしけの問題にしても、横浜港に四万トンから五万トンのやみはしけがある。しかし、そのうち三万トンぐらいは水船となってしまって、廃船に近い。この水船のうちに処理してしまえば安く始末できるのに、地方海運局もあるいは港湾管理者もあまり積極的に取り組もうとしない。沈廃船の補助事業が三カ年ということで発足するわけでございますけれども、しかし、このことについても、いま申し上げたように、水船のうちに処理してしまえばとにかく簡単なんです。だから、この問題にも積極的に取り組んでもらわなくては困る。しかし、それは時間がありませんから、いつか機会を見てこの問題だけで質問しようと思います。  いま一つ私が申し上げたいのは、港湾労働者の年金制度という問題がいま問題になっているようでありますが、冒頭申し上げたように、日本港湾労働者は、炭鉱従業者よりもむしろ諸条件が悪いと私は判断しておるわけであります。だから、港湾労働者の年金制度ぐらいは一日も早くやってやったほうがいいんじゃないか。少なくとも炭鉱で働く人たち並みにこれを行なってやるべきじゃないかと思うのであります。聞くところによると、正式な機関から答申があったということも聞いているわけでございますけれども、この問題は一体どうなったのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  21. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 年金問題等につきましては、厚生省あるいは労働省等の各省との関係がございますけれども、私どもその点についての重大な関心を持っているわけでございます。港湾労働の各方面にわたりまして、コンテナ輸送であるとかカーフェリーというような形で近代化が行なわれているという現状にかんがみまして、ILOの条約とか勧告、それから港湾調整審議会の建議がございまして、港湾労働者の雇用の安定、生活保障、労働条件の向上等について、十分に配慮しなければならないという点が主張されておりますし、運輸省といたしましても、当然その線に沿って進めていくべきであると考えております。  確かに、筋肉労働者といいますか、若いときにしか十分に力を発揮できないようなこういう仕事にかかっている方々の一生を考えていく場合に、年金制度等は非常に重要な政策であると思います。ことしの春闘におきましても、この点につきましては一歩前進がございまして、港運労使は、最低保障賃金制度の問題、それからいま先生のおっしゃいました港湾労働者年金制度の問題、それから転職資金制度等を内容といたしますところの港湾労働者生活保障基金制度の確立をはかるための協議を今後続行しましょうということの合意に達しております。したがいまして、本年これからでございますけれども、港湾運送事業界におきましても、労使一緒になりまして、いま言った年金制度のための基金ということについて協議を進めていきたいという姿勢になっているわけでございまして、運輸省としても一非常にけっこうなことであるというように考えている次第でございます。  これらの問題の具体化にあたりましては、当然料金制度がまたこれにからまってまいりますが、物価に対する影響とか、そのほか先ほどから申し上げましたいろいろなことも踏まえながら、前向きに対処していかなければいかぬというように考えております。とにかくことしの一つ方向といたしまして、いま言った年金制度の研究を進めていきたいというところに参ってきたことは、非常に喜ばしいというふうに考えている次第でございます。
  22. 小此木彦三郎

    小此木委員 要するに、いままで申し上げたことの中で、きょう解決できることはすみやかに改善してもらいたい。あるいは前向きに取り組んでもらいたい。時間のかかることはもちろん慎重に考えてやってもらわなければいけないけれども、とにかく港運にしてもトラックにしても、日本の流通の玄関なんだ、あるいは動脈の一部なんだという認識が当局に、全くないとは言わないけれども、とにかく欠けていることは事実だと思うのです。これを、考え方をすみやかに改めて、国益を踏まえたビジョンをもって対処してもらうよう要望して、私の質問を終わります。
  23. 三池信

  24. 久保三郎

    久保(三)委員 最初に、きょうの零時から始まった沖繩の管制情報部の関係でありますが、特に引き継ぎは支障はなかったのかどうか。現在は円滑にやっておられるのだろうと思うのですが、その中でも特に先般質問もありました台北FIRの関係についてはどういうふうに話をつけたのか、どんな仕組みで情報の交換をされているのか、その点をまず第一に伺います。
  25. 寺井久美

    ○寺井政府委員 台北のFIRと沖繩のFIR、現在は那覇FIRでございますが、沖繩FIRの間の扱い方につきましては、本日の午前零時に米軍から日本側に引き継ぎました結果、今度の新しい那覇管制部と台北の管制部の間に、航空機の引き渡し、引き継ぎ、通信その他に関する技術的な了解というものができまして、こういう話し合いを進めておったところ、具体的な点についてすべて合意が成立いたしました。  そもそもこういうやり方をいたします前に、交流協会と亜東協会の間で話し合いをいたしまして、こういう技術的、実務的な問題であるから管制官相互で話を詰めたほうがいいという前提がございまして、その了解に基づきまして話し合いを進めて、その結果技術的な合意が確認された。したがいまして、本日の午前零時から日本側が順調にこの業務を引き継ぎ、運航を行なっておるわけでございます。
  26. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、念のためにこれはお聞きしているわけですが、交流協会と亜東協会との話し合いで、本件の問題の処理は管制官同士の取りきめによったらいいだろう、こういうことになったというお話ですが、それでは管制官同士の取りきめというものはどういう形で取りきめられているのか。たとえば管制官同士というが、航空局長ならちゃんと寺井航空局長というのが責任者になりますが、管制官というと大ざっぱな話で、たとえばAという管制官もいるし、Bという管制官もいるのですが、それはどういう立場で向こうのどういう機関とどういう話なり取りきめをされたのか、念のために聞いておきたいと思うのです。
  27. 寺井久美

    ○寺井政府委員 御指摘のとおり、管制官というのは非常にばくとした表現でまことに申しわけないのでございますけれども、先任管制官というのがおりまして、双方の管制部の先任管制官の間でこの合意が確認されておる、こういうことでございます。
  28. 久保三郎

    久保(三)委員 これは前にもちょっと話がありましたが、言うならば民間の取りきめでもないというふうに了解していいわけですね。本来ならFIRの責任者は先任管制官でなくて、そこの所長というかセンターの所長というものじゃなかろうかと思うのですが、この場合はどうしても先任管制官にしたのか。それから台湾側もやはり同じような立場をとっておるのかどうかですね。それはどうなんですか。
  29. 寺井久美

    ○寺井政府委員 台湾側も日本側も双方先任管制官が、覚書と申しますか、通常管制機関同士の間に結びます覚書と同じスタイルでございますけれども、これに署名をいたしております。要するに身分上の問題その他についての御指摘かと思いますけれども、考え方といたしまして、亜東協会、交流協会でこういう取りきめをしよう、しかしながらそういう技術的な能力がこれらの協会にございませんし、また、事実上実務を担当しているのが管制機関でございます。そういうことでそこへ落として、その間で話をしてもらいたい、こういう了解からこれが出発しておるわけでございます。
  30. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、亜東協会と交流協会の間の話し合いというか、大ざっぱな取りきめ、下におろしてやってほしいというのは、それが取りきめになるわけですか。いわゆる実務的なものは先任管制官同士の取りきめである、こういうふうに了解してよろしいわけですか。
  31. 寺井久美

    ○寺井政府委員 そのように御理解いただいてけっこうでございます。
  32. 久保三郎

    久保(三)委員 次に、大邸のFIRとの関係ですが、日中航空協定もきょうもう承認されただろうと思うのですが、直ちに技術的あるいは実務的な折衝に入ると思うのです。その場合に、従来は御承知のように、中国との間については迂回して行かざるを得なかったのでありますが、今回は定期便を走らせるというか飛ばすということであります。そうなると、韓国のFIRの管制の上空を通過していけば最も経済的であるというふうに考えられるのでありますが、こういうものについて考えているのかどうか。いかがです。
  33. 寺井久美

    ○寺井政府委員 日中間にどのような航空路を引くかということは、これから中国側と日本側が協議をしてきめなければならない問題でございます。ただ、先生指摘のように、大郷FIRを通過いたしますと距離的には近うございますけれども、そういう航空路が設定されるかどうかということは、いまの段階ではちょっと予測できないのではなかろうかと存じます。これは、いずれにいたしましても航空路としては近いルートで、かつ安全に飛べればそれにこしたことはございませんので、当然将来ともそういう方向を考えていかなければいけないと思いますが、当面日本と中国との間でどのようなルートを設定するかという話し合いを進めますと、やはり第三国を含めて協議をするということよりは当事国同士で話をしたほうが早いという利点がございます。したがいまして、これは今後の話し合いの結果でございますけれども、おそらく当面は大邸FIRを通らないルートという可能性のほうが強いのではないか、私はいまそのように考えております。
  34. 久保三郎

    久保(三)委員 そこでまた、台北のFIRにちょっと戻るのでありますが、なるほど、日台間のお互いの航空機の発着というか乗り入れば、これはもう向こうの断わりで断絶したままだろうと思うのでありますが、ただ台北のFIRを通過して日本の飛行機が日本から香港なり第三国に行く、そういうルートについてのFIRの取りきめはどうなっていますか。
  35. 寺井久美

    ○寺井政府委員 航空路としては、現に台北のFIRを通る航空路が日本から香港にございます。ただ、日本航空機自身はいま台北のFIRの中を飛ばない、これは一つの行為でございますけれども、そういう結果になっておりまして、日本航空機の航空路として特に台北FIRとの間で話をしたというようなことはございません。これは一般論としてきめられた航空路を飛ぶ航空機の受け渡しについての取りきめでございます。
  36. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、わがほうとしてそんたくして、結局は、わがほうの飛行機が第三国に行く場合においてもその航空路は使う意思はない、現に使ってない、こういうことですね。
  37. 寺井久美

    ○寺井政府委員 現実にその航空路は使っておらない、こういうことでございます。
  38. 久保三郎

    久保(三)委員 よって取りきめにもそのことは取りきめていない、こういうことですね。
  39. 寺井久美

    ○寺井政府委員 さようでございます。
  40. 久保三郎

    久保(三)委員 次に、新東京国際空港の問題でありますが、幾つかありますので簡単にお答えいただきたいと思うのです。  当初の話でありますが、——当初でもありませんか、中途の話だと思うのですが、空港公団と関係者、すなわち、たとえば平和の塔の奉賛会とかそういう人たちとの間で取りかわされた覚書によれば、成田空港発着機と百里航空基地の航空機のニアミス防止のために、現在ある百里空域の南端を北に三十キロ移動するというふうにしているようでありますが、これは防衛庁との間の協議はできているのかどうか。  それから、前の委員会でもお尋ねしたのでありますが、新しい成田空港に対する飛行コースであります。飛行コースからいくと、この空域はいわゆるバッファーゾーンではない。三十キロ北に移動したというのは、バッファーゾーンとして移動して確保するというのではなくて、そこにも飛行コースが設定される、こういうふうになるわけでありますが、これは騒音地域を北側に寄せた、言うならば茨城県のほうに広げたということになると思うのでありますが、その点はどうなんだろうか。
  41. 中曽敬

    ○中曽政府委員 お答え申し上げます。  お答え申し上げます前に、先生がおっしゃいました前段の部分につきまして若干御説明さしていただきたいと思います。と申しますのは、先生ただいまの百里空域の南端を北に三十キロメートルほど移動させて新しい成田空域をつくるというふうな話があるのだが、というお話がございましたけれども、これにつきまして若干御説明さしていただきたいと思いますことは、三十キロメートルと申しますのは、実はその前にちょっと申し上げたいと思いますが、百里空域南部の縮小の問題につきましては、つまり成田空域と百里空域の調整の問題になりますけれども、目下防衛庁と協議をしておる最中でございまして、いまだ結論に達していないということをまず申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、そういうことでございますけれども、われわれとしては一応案を考えていることは事実でございまして、その案によりますと、ただいま先生おっしゃいました三十キロメートルにつきましてのことでございますけれども、この三十キロメートルと申しますのは、百里空域の南部の東端の洋上部分でございまして、つまり海に張り出している部分が三十キロメートルほど押し上げられる、つまり百里のほうに食い込んでくるということでございまして、洋上のほうから扇形型に縮まってまいりますので、内陸部におきましては三十キロメートルにはならない、せいぜい十七、八キロメートル程度になろうかと思いますけれども、そういうかっこうである。一つの案としてはそういうことを考えておるということをまず申し上げたいと思います。  そこで、このように百里空域の南部を縮小したい、そして成田空域をもう少し広くとりたいということは、成田空港の北側の飛行機の離発着、そういったものにつきましての管制を現在の百里空域の管制と分離してやりたい、そういったねらいがございまして、そのためには百里空域に若干取り込みまして新しく成田の空域を設定した、こういうことでございます。したがいまして、先生がおっしゃいましたように、バッファーゾーンをとるためとか、あるいはそういったことによって騒音が茨城県に広がっていくというふうなこととは本質的に問題が違うということでございまして、つまり先ほど申しましたように、成田空域と百里空域の管制を分離してやりたいといったところ、に、そういった三十キロないし十八キロのバッファーゾーンの取り込みをやりたいという結果が実は出てまいるわけでございまして、それによって直接騒音が茨城県側に広がっていくということはございません。
  42. 久保三郎

    久保(三)委員 いまのお話でありますが、結局ぼくの質問からいけば、バッファーゾーンなんていうのはとってないのだ、管制空域を広げてやることだけなんだという話ですね。それから、三十キロはうそです、それは洋上の話です、それはそうだ、扇形となっているから。しかし成田のほうは十七、八キロだ。十七、八キロでもやはり利根川の先のほうへ出っ張るかっこうですね。それは結局、見方によれば茨城県の上をどうしても通る。利根川筋を通っていくというために広げなければいかぬという安全上の問題であって、バッファーゾーンをとってさらに安全を確保するということにはなっておらぬ、こういうことですね。狭いよりは広いほうが安全だということだけだ、そうだね。だから特別に、いつかもここで質問したように、成田の空域と百里の空域との間にバッファーゾーンというか一つの空白地帯を設けることが、立体的にも平面的にも一番安全だ。そうじゃなくて、いまのは接続しているというかっこうですね。それから覚書でいったのはどういうことかというと、いま言ったような意味をにおわせたのではないかということなんですが、いずれにしても時間がありませんから、さらに先へいきましょう。  それからもう一つ。次にはアンカレジあるいはモスクワからの飛行機はそれぞれ水戸のポイントと称するものに集中しますね。その場合の最低の飛行高度は幾らですか。それから成田空港が北風のときは、水戸ポイントを通過したものは、いわゆる銚子のVORTACの上空をいずれにしても通ることになるわけですね。そのときの最低の飛行高度はどの程度であるか。それからもう一つは、水戸ポイントを通過した飛行機は、南風の場合三つのコースがあると思うのですね。その場合には阿見あるいは成田のVORTAC、あるいはいま話した銚子のVORTAC、この三つを通ると思うのだが、これはどうなんでしょう。
  43. 中曽敬

    ○中曽政府委員 私ども現在その経路についての案を検討中でございますけれども、一応その案に基づいて申し上げますと、水戸ポイントにおきますところの最低高度は約一万一千フィート程度になろうかと想定しております。そして北風が吹いた場合、水戸ポイントを通過いたしまして南に下がるわけでございますが、銚子付近におきましては、最低高度といたしましては大体六千フィートぐらいを想定しております。最低高度でございますので、実際にはもう少し高く八千フィート程度を使いたいと考えておりますけれども、そういうことでございます。  それから南風が吹いた場合にはどうなるかということでございますけれども、水戸から銚子VORTAC方面に南下いたしまして、西のほうに向かって成田のほうへ北から入っていくということになろうと思いますが、それがメーンルートというふうにわれわれとしては想定しております。  そしてもう一つは、御指摘の阿見、成田方面に向かっていくルート、これは先ほど申しましたメーンルートの処理ができなくなった場合には、そういったルートもサブルートとして使いたいというふうに考えておるわけでございます。
  44. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、利根川の上空というのはかなり瀕度の多い飛行機の通過になることが一応想定されますね。——よろしゅうございます。  次に、待機径路の問題ですが、一般的に待機径路というのは飛行場からどの程度離れた距離に設定すればいいのか。これは一般的な話です。  それから今度は、具体的に成田空港の場合ですが、茨城県側から進入着陸する飛行機の待機径路は、銚子のVORTACの付近にするのかどうか。それともほかに適当な場所を考えているのかどうか。たとえば大子とか平、これはわれわれの考えでは少し遠過ぎて待機径路としては二次的なものになりはしないか、こういうように思うのだが、その点はどうだろうか。
  45. 中曽敬

    ○中曽政府委員 まず一般的に申しまして待機径路といったものはどういったところに設定したらいいのかという御質問でございますけれども、これはICAOその他のリコメンデーションその他によりまして考えますと、待機径路としては大体空港から十マイル以内、四マイル以遠というふうなところに設けたほうが望ましいということは言えるかと思います。ところで、成田の場合におきましては、そういうふうなことがなかなかむずかしいわけでございます。われわれ現在検討しております案によりますれば、大部分はそういった低高度の待機空域というものは設けないで、それで茨城県側から進入してくるものにつきましては、いわきVORの付近または大子VORの付近に高高度の待機空域というものを設けたいというふうに考えておるわけでございます。そしてまた、銚子VORTAC付近にも待機径路が必要となる場合には、陸上でございませんで洋上部分にそういった待機径路を設けるというふうなことを検討しているわけでございます。
  46. 久保三郎

    久保(三)委員 多少再質問の必要があるのですが、時間もありませんから先へ行って、あとからまた時間があればいたしましょう。  次には、茨城県上空ですね、成田への進入または離陸の際利根川沿いにコースをとることになるわけですね。そうなると、これは運輸省所管じゃなくて自治省所管かもしれませんけれども、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律という非常に特別な法律があるわけなんですが、これは千葉県に限定されているのですね。利根川沿いにコースをとるというのが非常に多いということになるのに、いまの法律から見れば、そのコースは本来ならば利根川より南に、千葉県の中で設定されるのが適当のように思うのだが、それはどうなのか。いままで聞いた範囲でいくと、利根川の上を大体通るというと県境ですよね。はなはだしいのは茨城県の中へ入ってくるわけです。あとからも言いますが、出ていく場合もかなり稲敷郡下一帯に騒音が出てくる。なぜこの法律の対象にしなかったのか。もっとも、この法律を制定する当時はその必要を認めなかったというか、考えなかったのではないか。いわゆる千葉県内で大体処理できるというふうに考えておったのではないだろうか。そうだとすれば、いかなる理由でそんなものを変更したのかということですね。それから、いままで質問した総合的な判定から見れば、茨城県にも騒音が及ぶということになりますね。そうだとすれば、いまあげた特別な法律によって措置されるのが当然だと思うのですね。ところが、いままでお聞きすると、先般改正して成立しました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というもので、そういうものだけやっていこう、こういうふうにもとれるのでありますが、その辺の見解はいかがでしょうか。
  47. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、この新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律と申しますのは自治省所管でございますので、私ども承知しておる限りにおいてお答えを申し上げさせていただきたいと思いますが、この法律に基づきます財政上のいわゆるかさ上げ措置をしております対象は、新空港の周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を行なうというようなことでございまして、具体的に中身を見てまいりますと、空港周辺の道路、河川あるいは上下水道といったようなたぐいのものの整備をやるということでできておるわけでございます。  その対象の地域は、これは法律で定めておるわけでございませんので、具体的に論理を追いますと、千葉県知事が定めた計画によって地域というものは定まっておるというかっこうになろうかと存じますが、現実の姿といたしましては、発足当時からの計画を見てまいりますと、空港周辺のごく一部の市町村に実は限られております。成田市、芝山町その他五、六の市町村が中心になっておりまして、幹線道路のようなものが横へはみ出しておる部分もございますが、この法律のかさ上げ措置を受けておるのは空港周辺の五、六の市町村に限られておるわけでございます。したがって、たとえばこの飛行コースを頭におきますと、千葉県側でも、たとえば九十九里方面へ飛行機が出ていくことを、かねてから申し上げておりますように私ども想定いたしておりますが、たとえばそういう九十九里海岸までの市町村がこの法律の対象になっているかと申しますと、現実の姿は実はそういうふうになっておらないということでございまして、結局私ども理解するところでは、飛行コースとは直接関連を持たせてこの法律を運用しているものではないということであろうかと存じます。私どもとしては、先生指摘のとおり、先ごろ改正案をお認めいただきました公共用飛行場周辺の騒音防止法に基づく騒音対策を、茨城県下におきましても積極的に進めさせていただきたいというふうに存ずる次第でございます。
  48. 久保三郎

    久保(三)委員 松木課長、あなたは九十九里の話をしましたが、九十九里には何にもやってないようなお話ですが、これはあなたのほうから出ただろうと思うのです。どこからもらったかもう忘れちゃったですが、この地図は、色の塗ってあるのは大体周辺整備計画ができた区域なんです。ここが九十九里浜です。だから、この色の塗ってあるところは全部、周辺地域整備計画案という案ですが、これはおそらく案でなくて計画になっていると思うのですね。だからそういうことであります。  それから、飛行コースに関係がないというのは、関係がないのではなくて、飛行コースにも関係がある、その他にも関係があるということにこれはとっていいと思うのですね。言うならば、最近はやりの周辺整備の法律と同じなんですね。たとえば水源地対策の法律とか、あるいは電源開発法とかいうので、悪いことばでいうとあめとむちで、これはあめのほうに属するという法律なんですよね。結局この中身には道路やなんかばかりではなくて、騒音に直接関係あるものもかさ上げしてやっているわけですね。たとえば小学校、中学校とか、学校の教育施設の問題もこれはあるわけです。それから都市改造の問題も一あるわけですね。  それから、県の事業としては騒音地域についてどうするかというのがここにあるわけなんでありまして、これは自治省所管でありますから、詳細についてはあれでありますが、しかし、原局の一つはやはり航空局だと思うのですよ。だから私は、これはどういう——法律ではなるほど地域は限定していませんね。しかし、解釈は、この法律の第一条に「この法律は、新東京国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置について規定するものとする。」ということになっていて、この「周辺地域」というのはもちろん具体的には解説はしてありませんね。しかしながら、第二条では千葉県知事はこの整備計画の案を作成して、それを自治大臣に提出しなければならない、こう書いてあるのですね。そうなると、これは千葉県のことで、千葉県知事が茨城県のほうまで計画をつくるわけにはまいりませんね。だから、結局周辺地域というのはこれは千葉県下というふうに考えていいと思うのですが、そうでしょうね。それは言わずもがなだろうと思うのです。しかし、この法律の矛盾ですね。それでは利根川だったら、茨城県にもしもコースがいままでの審議の中でのように設定されれば、当然茨城県も千葉県も、その県境には関係ないのですね。県境には関係なくて、地域全体として関係してくる。そうだとするならば、この法律は当然茨城県にも適用されなければいけないというふうに思うし、もしも茨城県を想定しない計画であるとするならば、どうして茨城県に被害というか騒音等の問題をもたらすような計画変更をしたのか。これは計画変更したというよりは、最初想定しなかったというのが率直な見方じゃないかと思うのですが、そうでしょうね。どうです、航空局長
  49. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいま御指摘の、この法律を制定いたしました当時のいきさつを私つまびらかにいたしませんけれども、実施状況等から判断いたしますと、やはり空港に非常に近い周辺ということを頭に置いておる。したがいまして、航空機の騒音という観点からこれは運用されておらないというのが現実であろうかと思います。空港が具体化してまいりまして、飛行コースを検討する段階になって、先般の委員会でも御説明申し上げたかと思いますが、第一に飛行の安全、第二には騒音の被害をできるだけ小さくするコースを選定したい。したがって、可能な限り集落の上空を飛ばないようにということで考えているわけでございます。その結果、利根川沿いのルートが一つできておるわけでございますが、かりにこういうふうに迂回しないでまっすぐ飛びましても、茨城県の中に飛んでいくということは当初から想定されておったのではなかろうかと思います。先ほど申し上げましたように、いずれにしても騒音という観点からこの法律が運用されておらないというのが現実であろうかと思います。
  50. 久保三郎

    久保(三)委員 しかし、騒音は大きな比重になっていると思うのですよ。もちろん土地の問題もあります。用地取得の問題もあると思うのですが、騒音問題はかなり大きな問題になっていると思うのですね。その証拠に防音工事が中に入っているわけですね。しかもさっき言ったように、あめとむちじゃないけれども、周辺整備その他の法律も、そういう局部的に限定した法律じゃないんですね。だから、もしもほんとうにいま御指摘あったように、茨城県にまで騒音が及ぶということになりますれば、この法律によって措置されるのが当然だというふうにわれわれは思うのですよ。いかがでしょうか。首をかしげている方がいらっしゃるけれども、違いますかな。
  51. 松木洋三

    ○松木説明員 私からお答え申し上げます。  先生先ほど御指摘の周辺計画は空港公団のアイデアの段階でございまして、いま全くアイデアの域を出ておらないわけでございます。したがって、周辺整備計画としては、先ほど私が申し上げたように、空港周辺のごく限られた地域に現在なっておるというのが状況でございます。  それから、いわゆるかさ上げ法を用いまして学校の防音工事をやっておるではないかというような点でございます。これは実は千葉県知事が定めております計画の中に数字は上がっておりますが、現実の補助制度は、航空機騒音防止法を使っておるわけでございまして、法律本来のかさ上げの趣旨から申しますと、教育施設は、本来空港が置かれることによって、空港関係の従業員その他の人口が急増するといういうことに対する一般的な公共施設の整備を、おそらく目的としておるかさ上げ措置であると存ずるわけでございます。したがいまして、そういうことでこの法律の用い方、非常にむずかしい面があろうかと存じますが、先生の御趣旨を体しまして、また関係省庁とよく相談をしてみたいと存じます。
  52. 久保三郎

    久保(三)委員 騒音ばかりじゃないというお話でありますが、結局、総合的に判定して周辺を整備しようということなんでありまして、いつかも申し上げたように、茨城県は、このままでやるとするならば、開港後はもらい公害である、こういうことでございますね。もらい公害をなくするのが周辺整備——土地改良と騒音は関係ないですからね。道路も関係ないです、実際は。そういう意味で、あなたの答弁があったから、局長、政務次官いらっしゃるが、もしもほんとうにやるとするなら、これはそういうふうにやるほかないのですよ。もしもやらぬというならば、これは千葉県の中で問題を処理してもらいたい、こういうふうにわれわれは思うのであります。いずれにしても、これはあとからまだやりますが、きょうは時間がありませんから、先へ行きましょう。  次には、橋本登美三郎氏が運輸大臣の当時、友納知事との了解事項で、成田空港関係の飛行コースの条件は、九十九里から利根川の間直進上昇、直進降下ということと、それから千葉県の上空通過は離着陸以外は六千フィートを条件としたということになっているのですね。そうだとすれば、先ほどお話があった銚子の上は六千フィートのようですね。ところが先般の話では、六千フィートではなさそうに思うのです。大体三千フィートですね。通過ですから、茨城県も千葉県も同じだと思うのですよ。通過の場合は、千葉県だけ六千フィートを保持して、茨城県は三千フィートなり二千フィートでよろしいという理屈はないと思うのです。子供らしい質問かもしれませんが、理屈ばればそういうことなんですね。だから本来ならば、同じように茨城県上空を通過するものは——茨城県には着陸するものはありません。全部通過でありますから、六千フィート以上を確保するというのが当然のように思うが、どうだろうか。  次には、先ほどから申し上げておるように、茨城県側に騒音が出ないようなコースを設定できないという理由はないではないかというふうに思うのですよ。はっきりいうと、たとえば利根川の上をわざわざ通らぬでも、利根川の南側を通ればいいんですね。それから旋回する場合も、利根川は渡ってから旋回すると言うが、そうじゃなくて、空港公団のある技術者がこの間の質問に答えたそうだが、千葉県の中で旋回は可能であります。羽田あるいは伊丹などでもそういう旋回をしていますね。だから、そういうことができないはずはないんだから、そっちへ持っていったらどうだろうかという意見が再びあるわけなんです。その点についてはどうなのか。  それから、具体的に聞きますが、茨城県下の河内村、新利根村は一番近いところなんですが、これは大体何ホンぐらいになりそうか。いろいろな飛行機の種類があると思うが、われわれが聞いた範囲では、約九十ホンから低くても最低七十ホンぐらいの騒音になるというんだが、それはそのとおりか。  もう一つは、成田開港の時期の決定はいつか知りませんけれども、それには千葉県知事だけの了解でよいのかどうか。茨城県知事の了解がなくともやるのかどうか。もっともいま、燃料輸送の問題で先へ進まぬようでありますが、いずれにしても、最終的にこういう問題を詰めた上でやるのかどうかですね。  時間がありませんから、最後には、鹿島石油を通して燃料を鉄道輸送するわけですが、これは御承知のように、去年の十一月十三日の石油審議会の答申で、二十二万の申請に対して日産十三万五千バーレルを五十一年十月までに完成するということなんです。その中身についてしさいに検討しているかどうか。これは言うなれば工特に関する法律の法制局見解によれば、施設は暫定的に一時使用ならばよろしいということでありますから、十三万五千バーレルの施設がどうあろうとも、あいているものがあれば使えるということなんですが、その辺の詰めをしているのかどうかですね。  以上であります。
  53. 寺井久美

    ○寺井政府委員 まず最初の、通過は六千フィートという千葉県知事との了解事項に関連いたした点でございますが、なるほど茨城県に飛行場はないので通過であるという先生の御意見でございますけれども、飛行場に向かっておりる、あるいは飛行場から離陸するという過程におきまして、六千フィート以下の高度をとらざるを得ない、単にこの空域を通過する場合とやはり意味が違いますので、その点は六千フィート以下の高度が茨城県内にあるということはやむを得ないのではないかというふうに考えております。  ただ、茨城県知事と運輸大臣との話し合いの中に、飛行径路及び騒音対策についていろいろ御要望がございまして、飛行径路の設定につきましては、できるだけ影響を少なくすることと、騒音被害が予想される、あるいは発生した事態においては万全なる措置をとるということ、また補償等の措置を講ずることが条件になっておりますし、さらには、具体的には航空機の騒音の連続測定装置をしかるべき場所に設置するというような御要望がございまして、これらの御要望を踏まえまして、運輸省といたしましては飛行径路の決定作業につきまして県と密接な連絡をとっております。また、騒音対策につきましては、実情に応じて対処するという趣旨を御回答申し上げておるのが現状でございます。  それから新利根村、河内村におきます騒音の程度及び鹿島臨海関係の点につきましては、新空港課長から御答弁させていただきたいと思います。  それから、開港の際にどうするかという御質問がございましたが、開港の時期につきましては、閣僚協議会で決定をしていただきたいというふうに考えておりますが、その際にはやはり千葉県知事、茨城県知事とも十分事前にお話し合いをして最終的な日時を決定さしていただきたい、このように考えております。
  54. 松木洋三

    ○松木説明員 私からお答え申し上げます。  まず第一に、河内村における騒音の程度を明らかにという御質問でございますが、この点についてはさきごろも御質問があったかと存じますが、機種によって非常に違いますし、気象条件等によっても違いますので、実は私ども、まだ十分に範囲を確定しておらないわけでございますが、およそ私がいま持っておる知識で申し上げますと、ジャンボジェット機でかなり重たいケースを想定いたしました場合に、利根川を渡ったあたりで八十四、五ホンになるケースがあろうかというふうに承知いたしております。  それから、先生のおっしゃいますように、利根川の南側で旋回をしたらどうだ、そういうことができるじゃないかという御質問の点でございますが、私どもも利根川を渡ってから旋回を開始しようということではもとよりございませんで、利根川付近で旋回を開始するわけでございますが、茨城県下に旋回で入っていくということに実はならざるを得ないわけでございますが、現在私ども成田空港の出発進入方式で考えておりますやり方は、ヨーロッパの内陸空港において実は広く採用されております急上昇方式というものを使いまして、短距離でできるだけ高い高度に到達させようということを考えまして、空港から離れた地域への騒音をできるだけ低減しよう、こういうやり方を採用しようとしておるわけでございます。したがって、こういう方式をとりますと、北向きに出発する場合には航空機の重量、速度などを考えますと、出発後の直線区間はおおむね利根川付近に至るということにならざるを得ないわけでございます。そういうことでひとつぜひ茨城県側の御協力をちょうだいしたいと思っておる次第でございます。  それから最後に、鹿島石油の増設計画との関連において暫定輸送計画はいかがかという御質問でございますが、昨年十一月に石油審議会の答申が出たことを承知いたしておりますが、先生も御指摘のとおり、許可申請が二十二万バーレルで行なわれたものが十三・五万バーレルという答申になっておると存じます。ただこの点につきましては、私どもは、鹿島石油側からいまの段階では十三・五万バーレルの許可であるから、暫定輸送に関する鹿島石油の取り扱いができないというようなたぐいの話は、実は一切聞いていないわけでございまして、私どもとしては、先ほど先生もおっしゃっておられましたように、ごく一部の施設を暫定的に鹿島石油に提供してもらうと申しますか、鹿島石油自身が取り扱いをしてくださるわけでございますが、そういう全体の作業には支障はないものと考えておるわけでございます。
  55. 久保三郎

    久保(三)委員 以上で終わりますが、時間もありませんのでここに一枚の地図を持っているのですが、これは地元の町村からもらってきたのです。これの真偽について確かめたい。口頭では確かめられないから、これを差し上げますから、これは全くこのとおりであるかどうか、御返事いただきたい。あとからでいいです。  それから政務次官に申し上げますが、いろいろな問題がたくさんあり過ぎる空港なんで実は困っているのですが、いま言ったように、法律一つとっても千葉県側だけで処理されるような法律ができているということなんですが、この辺もやはりよく考えてもらいたいと思う。  最後に、さっき航空局長からお話がありましたが、茨城県知事からの要望が幾つか披露されましたが、これは後刻詳細に、どういう要望があったのか、あらためて書いたものなり何なりをお出しいただきたい。よろしゅうございますね。
  56. 寺井久美

    ○寺井政府委員 けっこうです。
  57. 久保三郎

    久保(三)委員 それでは終わります。ありがとうございました。
  58. 三池信

    三池委員長 兒玉末男君。
  59. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の関係もございますが、最初に気象庁のほうにお伺いしたいと思います。  先般南伊豆町で地震が発生しまして、そして直下型の地震で、震度に比較して非常に被害が大きい、こういうことで特異なケースとして報道されております。その前後、東海大学において全国の地震学会の人たちの研究会も一開かれておりますが、特に東京大学の浅田並びに名大の宇津という両教授の見解が載っておりますけれども、これによりますと、第一は、このような直下型の地震の予知に関してどの程度の体制ができておるのか。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 ところがこの両教授の見解を読みますと、アメリカがかつて日本に落としました原子爆弾をつくるときくらいの、国の財政にかまいなく膨大な金を使うならば予知の体制も可能だ、こういうことをいっておるわけです。私はこれはきわめて重大な問題だと思うのですが、これに対して気象庁としてはどういうふうな考えを持っておるのか。  それから、都市対策の現在の防災都市計画研究所の村上氏の言によりますと、今日のようなビル、マンション、コンクリート建ての高層建築においては、この直下型の地震にあった場合は、少なくとも三キロ四方は一〇〇%壊滅、それから四、五キロ平方は少なくとも五〇%は壊滅する。こういう専門的な立場から出されておりますし、少なくとも東京二十三区等の場合は、この中心に起きた場合は、全地域が被災になるということが専門的な立場から述べられておりますが、気象庁の地震課としては、このようなおそるべき地震に対して、専門的な立場あるいはそういう都市防災対策ということを含めて、今回の南伊豆の地震を通じてどういうふうな検討をされておるのか、お伺いしたいと思います。
  60. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  まず最初に、直下型地震というものは一体いかなる地震をさしているのであるかということを簡単に御説明いたしまして、それからお尋ねの件に対してお答え申し上げたいと思います。  日本のように人口密度が非常に高うございますと、陸地あるいは海でございましても、今回の伊豆半島沖地震のように、陸に非常に近いところで、しかも浅い地震が起きますと、マグニチュード六から七程度でありましても、局地的には大きな被害を起こすことがございます。えびの地震なんかもその一例とお考えくだすっていいと思います。  一方、日本付近では、マグニチュード八、これは関東大地震とかあるいは昭和二十一年の南海道の地震の非常に、巨大地震とわれわれが呼んでおりますものでございますが、幸いなことには、大部分こういった巨大地震は陸地より相当離れた海底に発生しておりまして、陸地に起こることは非常にまれでございます。もちろん広域に被害は発生いたしますけれども、陸地に起こることはめつたにございません。したがいまして、直下型と皆さまが呼んでいらっしゃいます地震は、陸あるいは非常にそれに近いところに起こるマグニチュード六から七程度の浅い地震と御承知いただきたいと存じます。  気象庁は、現在全国に百十八カ所の地点で地震観測を行なっておりまして、陸地のこういった大きな地震あるいはそれに伴って起こります余震の観測体制は十分であると考えております。地震情報その他は十分お役に立つように、この観測網で出すことはできるわけでございます。しかしながら、御指摘になりました今度は予知ということになりますと、この直下型地震は、いわゆる巨大地震に比べますと柄が一段小さいわけでございまして、したがいまして前兆現象であるとかあるいはエネルギーのたまる地域の広さとかいったものも、それにつれて小さくなりますために、現在の気象庁の観測網では、その前兆現象をつかまえ、予知技術を開発するということは、これは容易ではないと思われます。したがいまして、私どもは第三次の地震予知五カ年計画に従いまして、まず第一に地震活動という面から前兆現象をつかまえますために、観測網の地震検知能力の向上、つまりいままでよりもより小さい地震までわかるようにしたい。また地震のエネルギーがたまっていく状態を監視いたしますために、連続観測の可能な埋め込み式ひずみ計の展開を計画しております。こういった計画に従いまして、観測資料がたまりまして技術が進みましたら、将来は業務化すべくさらに将来の計画を立てたいと思っております。  次に、防災体制というお尋ねでございましたが、気象庁の本来の任務は、防災対策にお役に立つような情報を差し上げるというのが任務でございまして、直接防災の対策を講ずるということはいたしておりません。これは中央防災会議あるいは消防庁の御所管かと思いますが、とにかく直下地震といいますのは、広域には被害は発しませんけれども、その直上では第一級の巨大地震に劣らない被害は十分に想定されるわけでございまして、特に東京都のような過密な地帯に起こりますれば、局地的には相当の被害を覚悟してかからなければならないと思います。  こういった過去の例もございますので、そういったことは十分、いま申し上げました防災体制に対する対策を講じておられます方々に、資料を刻々差し上げまして、必要な手を打っていただけるように私どもは努力しておるわけでございます。
  61. 兒玉末男

    ○兒玉委員 気象庁としても中央防災会議のメンバーだと思っていますが、そうですか。
  62. 末広重二

    ○末広説明員 はい。
  63. 兒玉末男

    ○兒玉委員 このような、いわゆる防災都市計画の研究所長の御意見によりましても、現在の建築基準法に照らした場合は、東京都に建っているいまの高層建築は、この安全尺度からはかった場合は全部ゼロだ、こういうことを明言しておるわけです。これはやはり建築の基準についても重大な問題として、特に気象庁の地震課としては、そういうふうな対応策として積極的な提言をして、防災会議においても抜本的な改善策を私は強く主張していくべきだと思うのですが、どのような見解をお持ちか、お伺いしたい。
  64. 末広重二

    ○末広説明員 いま申し上げましたとおり、私どもは、たとえばこういうような地震が起きた場合にはどの地域はどのくらいの強さでゆれるであろうといったような、過去の資料及び過去にはそういった直下型地震が起こった地域はかくかくのところであるといったような資料をお出しいたしまして、それに見合うだけの十分な耐震構造あるいは被害に対する対策をお願いすると申しますか、対策がおとりいただけるように、資料を常にお出ししているわけでございまして、そういう点につきましては、気象庁はできるだけの努力を払いつつあると思っております。
  65. 兒玉末男

    ○兒玉委員 もう一点は、今回の南伊豆の状況を見ますと、旧来の舗装してない道路はたいしたことないけれども、舗装した道路はほとんどこわれているという状況です。  そういうことから類推しますならば、たとえば遠州灘等には相当大きな地震が予想されるということも載っていますけれども、なかんずく私は、東海道並びに新東海道線等の場合、このような地震に遭遇した場合に、はかり知れない被害が予想される。そういう点から、こういう東海道、新東海道等に対しましても、やはり気象庁としても、国鉄との間において慎重な対策をこの際検討する必要があるのではないかと私は思うのですが、これらについてはどういうふうな見解をお持ちですか。
  66. 末広重二

    ○末広説明員 確かに、御指摘のように、古い道路は、非常に長い間踏み固められて固まっているわけでございまして、新しくつくりましたのは、そういう点で完全に固まり方がまだ年代が経てないということでございまして、弱かったのであろうと思うわけでございます。  いま鉄道のことに関しての御質問もございましたが、これは私ども運輸省あるいは国鉄の方々とときどき会合を持っておりまして、沿線でどういうふうな地震が考えられるか、また、そのときにはどこどこ地区はどのくらいゆれるかということは、常に情報を差し上げておるわけでございまして、これは私がはたしてお答えすべきかどうか存じませんけれども、すでに国鉄では、地震が起こったときには自動的に列車がとまるような防護措置はとっていらっしゃると思っております。
  67. 兒玉末男

    ○兒玉委員 要望として、特に予知体制の確立ということが私はきわめて重要な課題ではないか、こういうように考えますので、ひとつ気象庁としてもとれに積極的に取り組んでいただきたいということを要望します。  次に、国鉄にお伺いしたいと思いますが、去る二十三日でございますか、岡山から博多までの新幹線のいわゆる営業開始の期日が、来年の三月上旬ということに突如として発表されたわけであります。しかも、すでに四十九年度予算が通り、いわゆる財政再建措置法等も十分な審議をして通った直後の問題であり、われわれとしても、国鉄当局のこのような対策については非常に不満を持っておるわけですが、これはどういうところに原因をしているのか。  もう一つは、岡山から博多までの新幹線の工事過程において、特に隧道工事を中心として相当の死傷事故が起きております。先般実は現地の状況を見ました。このようにとうとい人命が奪われていることは、直接の工事は担当しないとしても、発注元として、関係の業界等に対しても安全管理という点を十分に徹底すべきじゃないかということを強く感じたわけでございますが、この延期になった原因、対策、それにこのような安全対策の点について、まず国鉄当局の見解を承りたい。
  68. 内田隆滋

    ○内田説明員 新幹線の岡山−博多間の開業につきまして、先般三月上旬ということで延期方を発表させていただきました。まことに申しわけないことでございますが、これは主として沿線のいわゆる騒音、振動の新しい線路に対する被害の説明並びに住民のこれに対する理解がなかなか得られないということが基本的にはございました。それから二番目といたしましては、これに伴いまして用地買収の進捗が非常におくれ、特に民家の移転工事が最後の段階になって非常におくれたということで、三カ月間延ばさざるを得ないということでございます。  それで、この件につきましては、突然の発表ということでございますが、やはり用地の関係がクリアになりませんとあとの工事の進捗のめどが立たないということでございまして、現在の段階では、そういう意味では、完全に用地が解決をいたしまして開業のめどがついたその時点で発表をさせていただきたいということでございます。  それから第二点のトンネル工事に伴ういわゆる従事員の死傷事故の問題でございますが、これは確かに多うございます。ただ、われわれといたしましては一この問題につきましては十分な配慮をし、また労働基準監督局とも御相談をして万遺漏のないような施設をつくり、また工事方法その他につきましても、関係官庁の御指導を得てやっておるつもりでございまして、同様の全国の土木工事のいわゆる度数率、頻度等を勘案いたしますと、トンネル工事の安全度がむしろ非常にいいということになっておるわけでございます。ただ、そうだからといって、こういうような死傷事故を起こすということは非常に遺憾なことでございまして、今後ともこの点につきましては十分な配慮を進めて、そういう事故がないように進めてまいりたいというふうに考えております。
  69. 兒玉末男

    ○兒玉委員 再度お伺いしますけれども、いまの内田常務理事の答弁によりますと、大体三月上旬という設定は、またこれが諸般の事情で再延期ということになりますと、全体的な年末年始の輸送体制を含めて、やはり私はこれに期待する、あるいはいままで協力してきた沿線住民の誠意というものが踏みにじられる、こういうように考えますが、三月上旬というのはいろいろな諸条件を考慮した上での設定なのか、大体一〇〇%近い確信をもっての三月上旬という見解なのか、再度お伺いしたいと思います。
  70. 内田隆滋

    ○内田説明員 その点につきましては、諸条件先生のおっしゃるように十分勘案いたしまして計画をいたしておりますので、予定どおり三月上旬には開業できるというふうに考えております。ただ、現在御承知のように北九州地区で一部騒音、振動の問題につきまして話し合いがつかないために、工事ができないという場所がございます。しかし、これは県並びに市当局も非常に一生懸命でやっておられますし、われわれといたしましても、環境問題につきましてはよく御説明をいたしまして、必ず住民の皆さんの御納得を得られる、したがって、工事は非常に工程的に苦しいところでございますが、間に合うという確信を持っております。
  71. 兒玉末男

    ○兒玉委員 鉄監局長にお伺いしたいわけでありますが、いま内田常務理事からお話がありました、たとえば徳山地区とかあるいは、博多地区とか、さらにまた、いま御指摘のありました北九州地区等の住民のいわゆる騒音公害等に対する抵抗が非常に強いという話がありましたけれども、なかんずく北九州地区等の場合において、聞くところによりますと、運輸省当局国鉄当局との間にこの対策についての見解の食い違いから住民の不信感が高まって、相当の困難を来たしているということも聞き及んでいるわけです。後ほど三浦議員からも当然お尋ねがあるかと思うのですが、私は少なくとも官庁と実務担当との間にそういう根本的な意見の食い違いがあることは、地域住民に対しましても不信感を醸成するだけであって、今後の工事進捗に重大な支障があると思うのですが、そのような関係については、特に監督官庁である運輸省としてどういうふうな対策と見解を持っているか、この際明らかにしていただきたい。
  72. 秋富公正

    秋富政府委員 運輸省といたしましては、従来から環境の保全、特に新幹線の騒音公害対策ということにつきましては、一昨年環境庁長官から運輸大臣に御指摘もございまして、国鉄ともどもこの問題につきましては前向きに対処してきている次第でございます。地元の知事さんあるいは地元の市長さんあるいは町長さん、こういった公共団体の首長の方々とは十分に意見の交換をいたし、またその御意見も尊重し、でき得るものでありましたら、これにつきましてもそれを尊重してまいります姿勢で今日まで来ている次第でございます。  ただ、御意見はございましても、それが私たちあるいは国鉄ということから全般的に見まして、すべてその御意見を取り上げるわけにもいかないことはまた当然でございます。ございますが、私たちといたしましては、新幹線騒音につきましては、音源対策はもちろんのことでございますが、いわゆる障害防止対策につきましても前向きで取り組んでいく考えであります。  御指摘の北九州におきます問題につきまして、こういった運輸省の一般的な見解と申しますか、一般的な事の運び方の問題と具体的な問題とがミックスされまして、一部そういった誤解を招くような伝え方がされたということにつきましては、地元の方々に御不満を与えたということにつきましては私たちも遺憾に思っております。しかし、私たちといたしましては、いずれにいたしましても、地元の方々とよく話し合いいたしまして、いわゆる音源対策、障害防止対策につきましては、前向きに取り組んでいる姿勢には変わりはございませんし、この点につきまして、運輸省国鉄の間に考え方の食い違いがあるということは全くございません。運輸省国鉄とは絶えず一心同体になって事を処しておる次第でございまして、今後も、ただいま御指摘のございました山陽新幹線の開業月につきましても一、三カ月延びましたことは、まことにいろいろと御迷惑をおかけしておる次第でございますが、地元の御協力をいただきまして、所期のとおりこれを完成いたしたいと考えております。
  73. 兒玉末男

    ○兒玉委員 本来ならば大臣の見解を聞きたいわけでございますけれども、政務次官、せっかくお見えでありますので、このようないわゆる監督官庁と実際の出先機関との間にこういうふうな紛争が起きることはきわめて重大であります。でありますから、この点はひとつ政務次官として、特に今後の指導の面、あるいは今後の新幹線工事の進捗の面等含めて、政務次官の見解を聞きたい。同時に、先ほど触れました安全対策の問題についても、これからたとえば上越新幹線あるいは東北新幹線など、相当隧道区間の多い新幹線が予定されておるわけでございますが、このような特に安全対策については、現地の広島局からも上がってくると思うのですけれども、総体的な安全対策についても、この際ひとつ明確な方針を提示を願いたいと思います。この点について、最後に政務次官の見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  74. 増岡博之

    ○増岡政府委員 運輸省国鉄も、地元の方々といろいろお話しを申し上げ、合理的な妥当な線での解決を常にはかっておるわけでございまして、その方法について途中でいろいろな意見はあったかも存じませんけれども、そういう姿勢には変わりはないわけでございますので、御了解願いたいと思います。  また、安全の面で申しましては、先生指摘のとおり、これはいまからももちろんでありますけれども、常にその面には配慮いたしまして、気を配っていかなければならない問題でございます。今後とも十分その気持ちでやってまいりたいと思います。
  75. 兒玉末男

    ○兒玉委員 終わります。
  76. 加藤六月

    ○加藤(六)委員長代理 金瀬俊雄君。
  77. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は最近、毎日新聞、読売新聞、サンケイ新聞、朝日新聞等各種新聞で報道されております、成田地区のパイプライン工事関係の工事で使用された凝固剤で井戸水が汚染した、そのことで給水が成田市で始まった、住民はどうしてこんなことになったのだということでたいへん心配しておる。また、飲み水は危険だということで給水することになったけれども、飲み水以外の水はだいじょうぶなのか。たとえば、ふろへ入る水とかあるいは洗たくをする水とか、そういうものについてはだいじょうぶなのか。非常に不安になっている、また心配しておるということでございますので、そのことに関連いたしまして質問申し上げます。  五月の二日に建設省から事務次官の名前で「薬液注入工法による建設工事の施工について」という通達が出されて、この通達によると、薬液注入工法は一時中止をして、その再開は、周辺の井戸水の水質を調査して、薬液による健康被害が発生するおそれがないことを確認した上で行なうというふうになっていますが、このことに関連いたしまして、以下数点にわたり質問いたします。  第一点は、この通達の対象になっている薬液とはどんなものか、また成田空港の建設について、この根本名川ではどんな薬液が使われたか、そのことについて御説明願いたいと思います。これは建設省でも一公団でもけっこうです。
  78. 池田迪弘

    池田参考人 お答えいたします。  暫定。パイプラインの根本名川、国道五十一号線、同じく二百九十五号線あるいは東関東自動車道路の下、それから小見川県道、資材輸送道路の横断等におきまして、薬液としましては水ガラス系のLW、それからCCP工法によりますもの、それからケミ三号、これらを場所によってでございますが、LWは全部の場所で使っております。CCPにつきましては根本名川の発進坑で使っております。それからケミ三号につきましては東関東自動車道の下で使っております。それから次に、尿素系の薬液でございますが、スミロックという商品名でございますが、これは二百九十五号線のところで使っております。それからユリロックというものを根本名川で使っております。それからエスロックというものもございますが、これは国道五十一号線で使っております。以上のような個所で薬液を注入しております。
  79. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると私どもは、いま工事をやっておる根本名川だけで使われておるというふうに新聞報道その他で考えておりましたが、いまの説明では、空港公団の工事をめぐる各所で薬品が使われておるということになるわけでございますが、この薬品は、建設省の通達によると、いずれも猛毒性があるというふうにいわれているけれども、人体に対してはどのような影響を持つものであるか、その点についてひとつ厚生省、それから建設省の見解を聞かしていただきます。建設省は通達を出しているから相当研究していると思いますから、建設省と厚生省、あるいは通産省からの説明でもけっこうです。
  80. 久保赳

    久保説明員 薬液全般の問題でございますが、三月下旬に福岡県の新宮町の下水道工事にかかわる薬液注入工事によりまして、注入工事現場から非常に近いところの井戸水を飲まれた方に、歩行障害その他の健康被害がございましたので、直ちにその実態を調べると同時に、当面の措置といたしまして、建設省の事務次官名で、工事の一時中止、健康の安全の確保が確認されるまで一時停止ということの通達を出したわけでございますが、この通達の対象になった薬剤は、一応現在使われております薬剤の全部について通達の一時中止の対象にいたしたわけでございます。その理由は、それぞれの薬剤の種類に従いまして毒性の程度にかなりの差があることがわかりましたけれども、全部について完全に安全だというような確証がございませんでしたので、一応薬剤全部について通達を出した次第でございます。
  81. 国川建二

    ○国川説明員 ただいま建設省のほうから御説明ございましたように、薬液注入工法で使われております薬は非常に種類が多うございます。そこで、それぞれの物質の毒性等も当然いろいろ異なるわけでございますが、尿素系の薬液につきまして、たとえば尿素について申しますと、飲料水あるいは食品というような観点からの基準というものは定まっておりませんけれども、尿素につきましては、急性毒性等で申しますと、一万二千ミリグラム・パー・キログラム程度でラットは死亡しないというような報告がございますので、いわゆる毒性というものはかなりたくさんございますけれども、わりあい低いほうではないかというように考えております。また、そのほかホルマリン等につきましては、これは一応毒物劇物法の劇物として指定されておりますけれども、これもいわゆる劇物に指定されるだけの毒性レベルはあるわけでございますが、基準そのものはきまっておりません。まだ私どもの調査は不十分ではございますけれども、ホルマリンにつきましては、ラットの場合、経口致死量八百ミリグラム・パー・キログラムというような報告が出ております。  以上、簡単でございますがお答え申し上げます。
  82. 金瀬俊雄

    金瀬委員 成田で使われたものの中にはホルマリンが含まれておるということがいわれておりますが、いま言ったように、人間生活に非常に危険なものであり、健康に被害を及ぼすということになるわけですが、福岡県の例、江戸川区の例、広島県の例、いろいろ出ております。この点につきましては、あとでまた機会を見て質問いたします。  与えられた時間がございませんので前に進ませていただきますが、土壌安定剤を地盤を固めるということで注入した後に三十秒ないし一分間で凝固してしまう、地下水などには流出の心配はない、いままではそういうことが考えられておったということでございますが、現実に発生している事故については、先日の公害対策並びに環境保全特別委員会で福岡議員から質問があって、その中で、広島大学で凝固反応の実験をした、その実験の中から明らかになったように、全体的に完全に固まることはない、完全反応というものはないということですが、地下水系に溶け込むということは避けることができない、そういうふうに大学で説明しておりますが、その点についてはどう思いますか。これは建設省の方に……。
  83. 久保赳

    久保説明員 先ほど御説明いたしましたように、健康の安全の確認をするまで一時中止をするということで事務次官の通達が出されておるわけでございますが、建設省といたしましては、薬液注入工法に対する問題の究明をはかるために、省内に建設技官を委員長とする検討委員会を発足をいたしております。この検討委員会では、薬液注入工法により施工をしていく上の調査の基準、それから設計の基準、それから施工の基準というものを中心に当面の問題の検討に入っているわけでございますが、さらに引き続きまして、その検討委員会と並行して、学識経験者を中心とするこの薬液注入工法に対する検討の委員会を設ける予定にいたしておりまして、その中でただいま先生が御指摘のような薬液の固まり方、あるいは一たん固まった中で再溶出するかしないか、そういう問題点を含めて検討する予定にいたしております。
  84. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地下水が汚染するということについての所管はどこですか。地下水の汚染を防止するためにどこがどういう所管になっているか、それはわかりますか。これは建設省なのか、環境庁なのか、厚生省なのか、それはどこですか。それがわかったらちょっと説明してくれませんか。
  85. 松田豊三郎

    ○松田説明員 私から御答弁するのが適当かどうかわかりませんけれども、地下水の汚染につきましては、汚染問題あるいは地下環境の保全とかというふうな全体の問題につきまして現在法制の整備がなされておりませんので、この点につきまして現在建設省におきましては、地下水の管理法、これはまだ仮のあれでございますけれども、地下水の保全、管理、利用というようなことにつきまして法制化をはかる必要があるのではないかということで、検討中ということを聞いておるわけでございます。  私どもの環境庁のほうといたしましては、地下水の採取が地盤沈下の原因になるというふうなこともございまして、地下水の採取と地盤沈下の防止という観点から、いま法制の整備を急いでいるところでございますが、その辺につきまして、建設省と環境庁と共同で関連法の総合的な立法をするかどうかというところでいま詰めている段階でございまして、現在のところはっきりした所管は、私といたしましてははっきりはいたしてないのではないかというふうに考えるわけでございますが、ただ、たとえば井戸水でありますとか、それが上水道に利用するとかということになりますと、それぞれそういうふうな各用水の観点からしまして、それぞれの分担の省庁といいますか、そういうところで汚染の防止とかあるいは汚染対策というものを、現段階では講ずるべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  86. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地下水の汚染についての所管は、国のどこの省にもないということははっきりしているようです。なぜ地下水の汚染についての所管を明確にしておかなかったかということについては、これはだれの責任か。事務次官、これはだれの責任でしょうね。地下水の汚染のことについて所管はどこの省でもないということですが、厚生省のほうできよう調査してみても所管外だというのです。そうなってくると、地下水の汚染ということで、内閣に法令もないし何もなかったということになるわけだけれども、これはどういうことですか、だれか答えてください。
  87. 国川建二

    ○国川説明員 厚生省といたしまして、いわゆる地下水といいますのはいろいろな目的に使われていると思いますが、いわゆる飲料水として使われる水道の水源、もちろん地表水、地下水ございますが、そういう意味では、水源の問題あるいは井戸としての井戸水の衛生管理の問題等につきましては、厚生省の衛生管理というサイドからこれを従来とも所管しておりますが、いわゆる一般地下水の汚染ということになりますと、必ずしも私のほうで実際問題として取り扱ってはまいっておりません。そのような衛生管理という立場から、井戸等については私どもで管理しております。
  88. 金瀬俊雄

    金瀬委員 厚生省は、出てきた水を、飲めるか飲めないか、その水が適当であるかどうかということの調査の権限はあるけれども、地下水の汚染のことについてどうすべきかということについては、厚生省にはまだそういう法律がないわけです。いま環境庁から説明のあったとおりなんですよ。ですから、地下水の汚染ということ、成田でこういう問題が起きてから初めて大きな問題になりましたが、この問題については至急検討してみてください、関係省庁でどうすべきかを。将来水不足のときに非常に重大な問題になりますよ。ですから、この問題についてはあとでまた質問いたしますが、内閣の中でどういう対策を立てるか、地下水の汚染ということについては十分検討していただきたい、さように考えております。  それから、もう時間がありませんので急ぎますが、先ほど建設省の中に検討委員会をつくって、専門家なりあるいは学者なりを入れて十分検討した上で、薬液注入ですか、凝固剤をいかに使うかということについては結論を出すということでございますが、その安全性が確認されるまでは現在の工事は一切中止させるのかどうか、その点について御質問いたします。
  89. 久保赳

    久保説明員 その問題につきましては、ことしの五月二日に建設事務次官が、建設省所管の各事業者、地建の局長、さらには各都道府県その他各公団等に通知を出すと同時に、省外の、この薬液注入工法が実施されていると思われる各省の事務次官に同様の文書を出し、さらにはまた、この薬液を使用している業界サイドにもこの趣旨徹底をはかったところでございます。  その内容は、現在施工中の建設工事について薬液注入工法の施工を一時中止いたしまして、その再開は、周辺の井戸水の水質等を調査して、薬液による健康被害の発生のおそれがないことを確認した上で行なうこと、こういう趣旨の通達になっておりますので、安全性が確認されるまでは工事は中止ということと思います。
  90. 金瀬俊雄

    金瀬委員 安全性の確認のためにどういう基礎資料、どういうデータを使うかということについては、先ほど検討委員会をつくっていろいろ学者の意見を聞いて基準をつくるということでしたね。だから、それはまだできてないということですよね。
  91. 久保赳

    久保説明員 安全性の確認は、一応文書の通達先が、事業主体である各地建の局長なりあるいは都道府県なりあるいは各公団総裁あてになっておりますので、事業主体がその井戸水検査をして安全性の確認をすることによって再開が可能である、こういう趣旨になっております。ただし、この薬液注入工事自体を実施していくにあたりましては、先ほど申し上げましたように、検討すべき幾多の問題がございますので、それらの施工基準、調査基準、設計基準等につきましては委員会で検討する。それからさらには、これは調査にかなり時間がかかる点もございますので、徹底的な調査は本委員会で学識経験者等の意見も聞いた上できめる、こういう形になっております。応急的な結論を出す委員会、恒久的な結論を出す委員会、こういうことで対処してまいりたいということでございます。
  92. 金瀬俊雄

    金瀬委員 恒久的、応急的といろいろあるようですが、少なくとも地下水の汚染に対してどこの省が所管するか、また、それに対する法律がないのに許可したり許可しなかったり、そういう人間の生命にかかわるようなことをそう簡単にやられては困るというふうに私ども考えます。特に水俣病のように、少しずつ飲んでいるうちに、国でもわからなかった、最後にああいう病気だということが出てきた。たとえば、いまあなたが言ったような簡単に許可——応急的な許可とかあるいは恒久的な許可ということで分けて、たとえば公団に通達を出したから、公団が自分で検査して安全を確認すればいいということになると、加害者が自分で検査することになります。そうでしょう。加害者が自分で検査をする。公団が道路で使った、あぶないと思えば検査する。加害者が検査する。世の中に、加害者が自分で検査していい悪いをきめるというのはちょっとおかしいと思うのですよ。それから水俣病のようなことがあって、動物実験とかそういうことをやらずに簡単に許可するとあとで大きな問題が残ってくるわけですが、そういうことについて私は、どこが所管かわかってないということだから、所管がはっきりするまで、それからまた、所管がはっきりしたら、そこで地下水の汚染についての法律がはっきり規定されるまで、工事にそういうものを使うことは禁止すべきだというふうに考えていますが、それに対して建設省の考えをちょっと聞かしてください。
  93. 久保赳

    久保説明員 地下水の安全性の確認の問題でございますが、一応これは施工の業者が安全性を確認するのではなくて、国もしくは地方公共団体、公共的な団体が責任をもって安全性を確認するわけでございますし、安全性の確認におきましては、井戸水の水質検査によって当該物質、たとえばアクリルアマイドとか尿素系の薬液とか、それらが井戸水の中に混入しているかしていないかを明らかにするわけでございますから、水質試験によって客観的にこれは明確に出てくるものと判断をいたしております。したがいまして、建設省の通達にございますように、施工主体が責任をもって安全性を確認すれば工事再開は可能であるというふうに考えておるところでございます。
  94. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私の言っているのは、たとえば公団が事業をやった、それでその薬品注入をやった。私どもは根本名川だけだと思っておったら、いま聞いてみるといろいろやっていますね。いろいろな路線でそういうものが使われているということになってくると、これは大きな問題だと思うのですよ。そういうことで、全部検査してだいじょうぶだということにならないうちに工事が再開されるということは重大な問題だと思うのですよ、はっきり言って。しかもその薬品がいいか悪いか、悪い影響を及ぼすかどうかということについての検査を、おたくのほうから通達を受けた公団とか事業主体者がやるというのはおかしいじゃないの。なぜかといえば、加害者が自分で検査するんでしょう。自分がよごしておいて自分が検査するというのはおかしいじゃないですか。それはやはり一定の基準があって、第三者が検査を行なって、そして安全性を認めなければだめだ、その安全性には国でつくったきちんとした一定の基準がなければならない、私はそういうふうに考えますが、どうですか。
  95. 久保赳

    久保説明員 安全性の確認につきましては、薬液注入を実施した個所ごとに行ないますので、たとえば、ただいま先生指摘のように、何カ所もそういう薬液注入をしているということでありますならば、その個所ごとに付近の井戸の安全性を確認するわけでございます。  それからなお、確認の方法は、先ほども申し上げまして繰り返し申し上げますが、使われた当該薬液がその井戸水に混入しているかいないか、少しでも混入していればそれは安全でないということになりますので、その確認でございまして、これは水質検査の結果明らかでございますので、建設省事務次官の通達のとおりに実施をするように趣旨を徹底すればだいじょうぶであるというふうに考えでおります。
  96. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は、建設省からさっき説明があった、きちんとしたデータに基づいて、専門委員会で検討したその結果の資料に基づいて検査をしたものでなければ安全性の確認というのはできない、さように考えております。  それから根本名川だけでなくて、さっきの話だと東関道、それから国道二百九十五号、それから資材輸送道路、そうしたものにも使ったということが説明されておりますが、こうしたものの安全性についても、これはどうするのか、いままで使ったものに対する安全性についてはどうするか、ひとつ公団のほうから説明をお願いします。
  97. 池田迪弘

    池田参考人 とりあえず根本名川、それから二九五の分につきましては、成田市それに千葉県のほうで、ただいま井戸の採水をいたしましてそれの水質の調査をしていただくことにしてあります。その結果によりまして工事をやらせていただきたいというふうに考えております。
  98. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間がございませんので、運輸省、これは建設事務次官から通達が来たときには、すでに空港公団によって千二百トンそういうものを使うということが決定しておったということですが、その通達と千二百トンそういうものを使うということについての関連はどうなっているんですか。
  99. 池田迪弘

    池田参考人 私のほうの工事関係は、全部大体四月二十五日、もちろんものによって違いますが、一番あとで薬液注入をした時期は四月二十五日になっております。通達はそのあとでございます。
  100. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはあとでけっこうですから、何トンぐらいどこへ注入してどういう工事をやったということについて資料として出していただきたい、さように考えております。  それから最後に、時間が参りましたので御質問申し上げますが、これは公団と運輸省のほうですが、完全な安全性が確認されないということであれば成田市の人というのはほとんどいま地下水を井戸でくみ上げて飲んでいるわけですよ、あの辺一帯の人は。そうなってくると、井戸水に及ぼす影響というのは十分調査しなければならないわけですから、いままで使ったものも含めて、安全性ということについて十分注意する意味で、いますでに使われておるものを撤去する、薬品を注入してある土壌を取りかえることですよ。すでに薬品が投入されているんでしょう。使われているでしょう。それを片づけなければいけないんでしょう、安全でないということになれば。そうですね。そういうことも含めて安全性が確認されるまで工事は絶対やらないということを明確に御答弁を願いたい、さように考えております。
  101. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  ただいま公団の理事から御答弁申し上げましたように、現在成田市及び千葉県におかれまして、付近井戸水の水質検査を厳重に行なっておりますので、その結果を見まして、先生の御趣旨を体して付近住民に対する安全の十分な配慮ができるような措置を講じたいと存じております。
  102. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それまでは中止するという意味ですね。
  103. 松木洋三

    ○松木説明員 私どもは県、市の安全であるという御判断が出るまでは工事を再開しないつもりでございます。
  104. 金瀬俊雄

    金瀬委員 運輸政務次官に最後に質問しておきますが、この安全性の確認ということについては、県と市にまかせるということでなくて、国のほうでもまだ法律ができてないということでございますし、また建設省の中でも検討委員会をつくって検討するということでございますので、県と市が検査するといっても、県と市の検査能力ということについても、どういう方法でやるかということについても、いろいろ問題があると思うのですよ。全国的な問題でございますし、この問題についてはひとつ国のほうで責任を持って、こういう基準でこう検査すべきだというものをつくってから県と市にまかせる、そういうことであればいいけれども、初めから県と市に水だけ検査してみろということでないように、ひとつ御配願いたいと思います。  熊本の例をとってみても、県と市がだいじょうぶだということでやっておったのが、何年かたってからああいう病気が出てきたということもあるわけですから、ひとつ国のほうで責任を持って、国の仕事ですから、県と市にまかせるということでなくて、慎重な配慮をお願いしたいと思うのです。
  105. 増岡博之

    ○増岡政府委員 まず、薬液の影響があらわれるまでの間、井戸水を使わないで水道を使うということも考えなければならないと思います。なお、検査機関につきましては、これはおそらく市、県というのは、市、県を通じて公正な第三者的な科学的権威を持つ機関にお願いをするということであろうと思うわけでございます。したがいまして、市や県で、自分でそういう検査機構をお持ちの場合もありましょうし、また厚生省のほうでも、従来からそういう機関をつくっておられるわけでございますから、万全を期してやってまいりたいと思います。
  106. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  107. 加藤六月

    ○加藤(六)委員長代理 この際、午後一時四十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ————◇—————    午後一時四十五分開議
  108. 三池信

    三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君。
  109. 三浦久

    ○三浦委員 運輸省鉄監局にお尋ねいたしたいと思います。  現在小倉北区の日明地区の新幹線工事に際して地域の住民が国鉄当局の不誠意に抗議をしてすわり込みをしている、こういう状況が出ております。住民要求というのは、工事中に住民に対して被害が出ないようにしてほしい、特に騒音の出る工事については朝の八時から五時までにしてほしいというのが一点です。第二点は、非常に住宅の近くを通るので、特に人口密集地帯なのでトンネル化にしてほしいという要求。三番目は、共同アンテナを設置してその維持管理費は国鉄が負担をしてほしい。大体この三つに尽きると思います。  それで、五月の八日に地元住民の代表の徳本さんという方が運輸大臣に抗議と要請文を持ってこられたわけなんです。それで私と私の秘書と三名で運輸省の鉄監局をたずねまして、住田国鉄部長にお会いして、いろいろとドーム化の問題について要請をいたしました。その席で住田部長さんは、ドーム化をいたします、それも市長の要請があればドーム化をいたします、こういう明確な答弁をなさったわけなんですね。ところが、一日二日後に前言をひるがえして、それは誤解であった、こういうことを言われているのですが、一たん住民に約束をした、ドーム化を実現するように運輸省としては国鉄当局を十分に指導監督することを要求いたしたいと思いますけれども、運輸省の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  110. 秋富公正

    秋富政府委員 地元におきまして、新幹線の工事につきましてあるいはその完成後の騒音問題についていろいろな御意見、御要望があるということは私も承知いたしております。私たち運輸省といたしましては、新幹線の騒音公害問題につきましては、一昨年の環境庁長官から運輸大臣に勧告もございましたし、この問題につきましては前向きで臨むということで国鉄指導してきているところでございます。この問題につきましては、音源対策につきましてはもちろん現在いろいろと処置をしておりますが、さらに障害防止対策につきましてもいろいろと現在詰めている段階でございます。こういった公害、騒音問題につきまして、運輸省といたしましては絶えず国鉄と意思の疎通をはかってくると同時に、地元の意見につきましては、地元公共団体の首長でございます知事さんあるいは市長さん、町長さん、村長さんといったような方から、いろいろと御要望が出てまいっておりますし、私たちといたしましても、そういった点につきましてはできるだけその御意見を尊重していく。しかし、これはやはり合理的、妥当なものでございませんと、すべてこれを取り入れるというわけにいかないことは、これまた言をまたないところでございます。しかし、いずれにいたしましても、地元と十分相協力しながら一日も早く工事を完成し、またその運営の円滑をはかっていきたい、前向きでいくという点につきましては、私たちは従来から一貫した姿勢できているわけでございます。  ただいま先生指摘の北九州市の問題につきまして、こういった一般的に地元の御意見を十分尊重しながらいくというわれわれの従来からの姿勢の問題と具体的な問題とがミックスされまして、一部に誤解を招き、またそのために御迷惑をかけたということは、私たちとしても遺憾に思っております。  しかし、いずれにいたしましても、私たちといたしましては、この新幹線騒音公害あるいは振動公害というもの、あるいはただいま御指摘の共同アンテナというような問題につきましても、こういった各般の問題につきまして前向きで現在いろいろと検討を重ね、また工事の一刻も早く完成しまして、すでに三カ月おくれてたいへん地元の皆さま方にも御迷惑をおかけしている山陽新幹線でございますが、所期のとおりに完成いたしたい、かように考えております。
  111. 三浦久

    ○三浦委員 いま鉄監局長のほうから、五月八日の日に住民代表と私が住田国鉄部長とお会いしたときに、一般的な問題と具体的な問題がミックスされて誤解を招いた、こういう御答弁がありましたけれども、これは誤解でも何でもないのですよ。私どもは大臣あての抗議文と要請文を両方持っていっているわけですね。そして大臣のかわりでひとつ会ってほしいということを言って、まず最初に来意を告げたわけです。そうしたら住田部長さんは、いや数日前にも北九州市から幹部がお見えになって事情は説明を聞いております。その幹部の話によれば、もうドームの問題については地元と了解がついた、それから工事時間についてもついた、あと残っているのは共同アンテナの維持管理費の問題だけなんだ、こういうお話なんです。共同アンテナの問題についてもいろいろむずかしい問題がある。たとえば、地元でいま負担をしている過去の共同アンテナの維持管理費、こういう問題もあるのでなかなかむずかしいというようなお話もあったわけです。それで、私どもはそういう話を聞きまして、地元の話とあんまり違うから、地元ではトンネル化、ドーム化を要求してすわり込んでいるわけですね。共同アンテナの維持管理費というのは付随的な問題ですよ。中心的な問題はやはり騒音をなくしてほしい、こういうことでドーム化の要求が中心になってすわり込んでいるわけです。  それで私が、徳本さんという住民の代表の方に地元の実情を説明してくださいと促して、そして徳本さん自身がいろいろお話しになりました。そしてこんなひどいところを通るんだ、だから騒音というのはとても耐えられないような状況になることは間違いはない。そして、国鉄自身が地図の上に線を引くみたいに路線を決定するというのはけしからぬということをお話しになったのです。そうしたら部長さんが、そういうふうに地元と十分話し合いをしなかったことは反省しておる、しかしこれからは十分地元と話し合っていきたい、しかしその地元というのは地域住民の代表ということとして県知事であるし、大きな市では市長さんということでかんべん願いたい、こういうお話だったのですよ。私はそれについて若干の反論はしましたけれども、その後にドーム化の問題について国鉄当局と話し合った結果、国鉄当局はこういうふうに言っておる。たとえばドーム化を日明地区でやれば、全国あちこちでドーム化をやらなければならない、したがってたいへん金がかかることになる。それからまた日照権というむずかしい問題も出てくる。こういうふうに国鉄は言っているが運輸省の見解はどうなんですか、こういうふうに私が聞いたわけです。そうしたら部長さんは、金は幾らかかってもやります、金がかかるからやらないということはありません。こういうふうにはっきり言われたのですよ。それで、地元代表の徳本さんが、それなら日照権は地元が放棄してもいいと言っているのだから、日明地区のドーム化については何ら支障がないじゃありませんか。こういうふうに要求をしたのですよ。日照権は地元民がもう放棄してもいいと言っているのだから、ドーム化については何ら支障がないじゃありませんか。こういうふうに言ったのに対して、住田部長が、地元の市長さんの要請があればやらざるを得ないでしょう、やります。こういうふうにはっきり言われているのです。そのあとどういうことを言っているかというと、ただし、全部税金でまかなうというわけにはまいりませんよ、騒音公害についての原因者は、新幹線に関しては国鉄ではなくて利用者です、こう言っている。だから利用者にも応分の負担をしてもらわなければならないのですよ。金の話まで出ているわけです。そして、その節は先生よろしくお願いしますと、こういう話なんですよ。それでその話は保留だというような若干のやりとりがあった後、徳本さんはたいへん喜んだ、ああ、これでいいおみやげができたと。そして立ち上がってから、もう帰るときです、地元の市長さんの要請があればドーム化していただけるということを確認してもよろしいんですかと。そうしたら部長さんは、確認してもけっこうです。ただし、もうそれで解決したのだから、すぐすわり込みを解いてくださいよ。こういう話まで出たのですよ。そうしたら徳本さんが、いや、くにに帰って市長がどういう返事をするかわからないから、市長から要請をするという返事があったらすわり込みを解きます。それに対して住田部長は、早くしてくださいよ、じゃ一週間以内にお願いしますね。ええ、わかりました、一週間以内に市長との交渉をセットしましょう。こういうことで別れているのですよ。誤解もへったくれもないのです。事実はもう実に具体的であり、明確なんです。金の話もすわり込みを解く話も出たわけなんです。  それを公害一般論の問題を話したのだということでは、私は納得がいかない。これは住民に対する侮辱です。私自身も立ち会って、事態の経過というのは全部はっきり承知しているのです。こういうふうに具体的に、私の立ち会いで地元住民の代表にはっきり約束をしておきながら、それは公害対策一般論について述べたのですなんて、いままでの経過からどこを押したらそんなことが出てくるのですか。もしかこの経過が違うのであれば、住田部長から釈明してもらいたいと思う。新聞にこれが発表されまして、私が住田部長から釈明を求められたというような報道の記事になっている。私は住田部長から一度も釈明を求められたことはありませんよ。私が宮城県の白石市に出張している十日の日に住田部長から釈明の電話が入ったのであって、私自身が釈明を求められたことはありません。しかし、何か私がまるきりうそを言っているので釈明を求めたというような報道をされている。こういうふうに事実関係が違うのですけれども、もしか私がいま言った事実関係が違うというのであれば、住田部長に私は釈明してほしいと思う。
  112. 住田正二

    ○住田政府委員 私の話が出ておりますので、私から申し上げたいと思います。  三浦先生と地元の代表者がおいでになりましていろいろなお話をいたしたわけでございますが、本来運輸省というのは国鉄の一般的な監督をやっているわけでございまして、個々の具体的ケースについて運輸省が指示するということはないわけでございます。したがって、今回の問題についても、私といたしましては一般的な問題としていろいろなお話を申し上げてきたわけでございます。したがって地元市長の、あるいは知事の意見を尊重するということもuそういうことでございますし、それから利用者負担といいますか、財政問題についてお話したのも一般的な問題としてお話を申し上げたわけであります。したがってそういう説明の中で、一般的な問題と個々の具体的なケースについて、私どもがドーム化をしますとかなんとかいうことの権限はないわけでございまして、そういう問題があるいは説明不十分で誤解を招いたということかもしれませんけれども、もしそういう説明が不十分であったということでそういう誤解があったとすれば、非常に遺憾に感じているわけでございます。
  113. 三浦久

    ○三浦委員 権限の云々をいって責任をのがれようとするのは、私はフェアな態度じゃないと思うのですよ。いいですか。いま新幹線工事に反対をしてすわり込んでいるのは、全国で日明地区だけでしょう。ですから、数日前にちゃんと市の幹部が、これはおそらく企画局長だと思いますけれども、この方が運輸省に来られて、国鉄部長に会って、地元の問題について詳細な説明をしているわけでしょう。国鉄当局からだって鉄監局は説明を聞いておるはずですよ、何が問題なのか、何が障害になっておるかということを。そうでしょう。それでわれわれはそういう事態を解決するために、国鉄当局自身が、いままではドーム化はやらないというけれども、しかし一定の基準を設けて、日明地区程度のところであればドーム化をやるという方針に全国的に変わったんだなというふうに理解をして、われわれは帰っておるのです。それはそうでしょう。さっき言ったように、明瞭に、日照権の問題については日明地区の住民は放棄してもいいと言っている。騒音、振動のほうがおそろしいから、日照権は放棄してもいいと言っているのだから、障害はないでしょうと言われて、それに対して、ちゃんとやりましょうと答えているわけなんですから、話の経過からいって、何の誤解の余地もないのですよ。住田部長さんは、いや一般論として言ったんです、運輸省としては具体的なことをやる権限はありません、こうおっしゃるけれども、しかし、われわれに会って言ったときには、具体的にそういうお話をしているわけなんです。それでわれわれは、運輸省の方針が変わったんだ、また国鉄の方針も変わったんだということで、喜んで、一日も早く地元の人に知らせて喜んでもらわなければならぬということで連絡をしたわけなんですよね。ですから、それを地域住民の代表の誤解であるとか、立ち会った私の誤解であるとかいうことは、私は承諾するわけにいきません。  それで、ちょっと話を先に進めますけれども、この日明地区のドーム化の問題なんですけれども、地域住民はたいへん強い意向を持っておるのですよ。特に、前に大きな道路がありますし、裏には鹿児島本線が通っています。それで新幹線がそこを斜めにばっと突っ走るわけですから、これは三重、四重の被害を受けるというので、ドーム化についてはかなり強い態度を持っておるのです。それで、いま鉄監局長が冒頭にお話しになりましたけれども、一般論として公害対策に万全を期すというのであれば、その一般論を具体化するという意味で、日明地区についても十分調査をした上で、環境保全上必要であれば、トンネル化やドーム化の問題も考慮する、必要であればやるということはお約束できますか。
  114. 秋富公正

    秋富政府委員 運輸省としましては、ただいま国鉄部長から申しましたように、一般的に新幹線の公害問題につきましては、絶えずこれを配慮いたしまして国鉄指導いたしておるところでございます。ただ、具体的な問題になりますと、いまの日明地区の問題もそうでございますが、かつて福岡の駅の近くにおきましてやはり同じような問題があったわけでございます。この問題につきまして、国鉄当局、特に下関の工事局におきまして、地元の県あるいは市町村とお話し合いになりまして、こういった問題につきまして話し合いを進められたわけでございます。これは先生御承知のように円満に解決したわけでございますが、そういった場合にも、いろいろと、側道をどういうふうにするとか、あるいは民家の問題をどうするとか、学校の問題をどうするとか、いろいろな問題が具体的にあったわけでございますが、こういった具体的な問題につきましては、一番現地の実情を把握いたしております国鉄、しかも国鉄の現地の工事局と申しますものが一番皆さんとお話し合いをする機会も一多いわけでございますし、また、実態も一番正確に把握しているわけでございますので、私といたしましては、全般的な問題といたしまして国鉄指導監督はいたしておりますが、個々のケースの問題につきましては、極力国鉄がそれにつきまして地元とよく話し合いを進めて、納得の上で工事をするように指導しているという段階でございます。  それで、いまの問題でございますが、この問題につきましても、私たちは大体完成前三カ月ぐらいから試運転をしているわけでございます。そのときにいろいろとまた問題もあるかと思いますが、われわれとしましては、国鉄のほうをさらに指導いたしまして、たとえて申しますと、学校とか病院とかに対する防音対策とか、あるいはそれ以外の実態の把握ということもすみやかにいたしまして、すみやかにこれに対して公害対策を実施していくように、今後とも指導してまいりたいと考えております。
  115. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、ドーム化をする以外に地域の環境を保全することはできないというようなときには、ドーム化をするように指導はしますか。
  116. 秋富公正

    秋富政府委員 新幹線公害対策といたしまして従来とってまいりましたものは、まず第一に音源対策でございますが、これだけでは必ずしも十分でない地域がございます。特に東海道新幹線の場合にそうでございまして、こういうところにつきましては、障害防止対策、すなわち一般の民家に対する問題もいたしておりますし、さらに、建物の移転あるいはあと地の買い上げということまで、できるだけ近いうちにこれを具体化いたしまして実施する所存でございますが、そういう処置をとるということによりまして、おそらくあの地域におきましては、いわゆる暫定基準、あるいは今後出されます環境基準というものがどうなるかということはまだ未定でございますが、そういった問題をにらみ合わせながら、公害対策を進めてまいりたいと考えております。
  117. 三浦久

    ○三浦委員 具体的な問題についてはタッチしないと言いながら、日明地区ではドーム化をしなくても環境対策は万全にできるだろうと思うというような答弁は、私は矛盾していると思うのですよ。やっぱり運輸省だってそういうふうに個々の具体的なケースの問題について、ある一定の判断を持ちながら、全体の公害対策というものを指導していっていると思うのです。この問題、もう時間がありませんから、次の問題に移ります。  鉄監局にお尋ねいたしますけれども、この前私が物価対策特別委員会でもって私鉄運賃の原価の算定基準を出してほしい、こういう要求をしたわけなんです。それに対して、二週間たって出てまいりましたけれども、たいへんお粗末きわまりないものが出ていますね。不誠実だと思うのです。ふまじめだと思います。そういう内容のものが出ているわけなんです。たとえば事業報酬率なんというものを何%見るのかということすら書いていない。それから、原価計算にあたって、他の兼業部門との関係で、たとえば収益や費用というものをどういう基準で配分していくのか、こういうことについても一つも触れていない。これでどうして算定基準を出したということになるのですか。また、新たに投融資事業部門なんというものを設けて収益を配分しているわけでしょう。こんな問題も何も出ていない。一体何だと思ってこんな粗雑なものを出してくるのですか。ふまじめだと思うのですよ。同じ運輸省の管内でも、自動車局のバス運賃についての原価計算の算定基準、かなり詳しいものが出ているのですよ。少なくともこの自動車局が出している程度のものは、同じ運輸省の鉄監局なんですから、私は私鉄運賃の問題については出すべきだと思うのです。なぜ私鉄運賃の問題についてだけこんな粗雑なものを出して、これでこと足れりとしているのか。私は鉄監局長に再度要求しますけれども、少なくとも自動車局でバス運賃に関して出している程度の算定基準は出すように要求したいと思いますが、鉄監局長の御意見を伺いたいと思います。
  118. 秋富公正

    秋富政府委員 この問題につきましては、先生から特に御指摘があったということも私承知いたしておりますが、確かに自動車局におきましては、算定基準というものがかっちりとできておりまして、これは各陸運局にも渡しておるわけでございます。  と申しますのは、バス関係というのは非常に対象業者が多うございまして、これにつきましては各陸運局におきまして個々の実際の認可という処置もいたしておるという関係で、やはりそこに一つの統一的なものをあらかじめつくっておくというために、自動車局におきましてはそういった基準があるわけでございます。しかし、鉄道監督局におきまして、民鉄関係におきましては、従来からこの運賃関係と申しますのは、非常に業者の数も限られているということもございまして、本省において一括してこれを処置してきているわけでございます。そういったいわば部内処理の関係もございまして、自動車局のようなかっちりした基準というものはございません。ただ、いわば一般的な、基本的なことに対する措置の考え方というものはございますので、そういったものを先般御提出した次第でございます。  御指摘のように、たとえば事業報酬というようなものが何%ということが明確でないという御指摘もございますが、これにつきましてもいわば統一したものでなくて、やはりそのときどきにおきます金利の情勢というようなもの、あるいは借り入れの状態というようなものも判断しながら処置していくべきものかと考えておりまして、そういったものが、地方の陸運局において処置するというような場合におきましては、やはり考え方の統一ということをしないといけませんが、私鉄関係につきましては、全部これは本省におきまして一括処置しておりますために、御指摘を受けましたけれども、そういったことで現在まで処置している次第でございます。
  119. 三浦久

    ○三浦委員 この問題は、部内処理の問題だけじゃないと思うのですよ。いままでの経過は、それは鉄監局長が言ったとおりかもしれませんね。しかし、この算定基準が公表されることによって、バス運賃値上げというものがはたして正当性があるのかどうか、私鉄運賃値上げというものがはたして正当性があるのかどうか、これが国民の前に明らかにされていくという作用を持っていますね。そうでしょう。ですから、いまこれだけ大きな物価の上昇があり、そして私鉄運賃上がり、電力料金上がり、その他公共料金値上げがどんどんメジロ押しになっているときに、私鉄運賃値上げというものがまた政府によってたくらまれているときに、その算定基準というものを明らかにして、国民がその値上げの正当性について判断ができる、そういう機会を与えるということも私は重要な作用だと思う。そういう意味で、私は自動車局が出している程度の詳細なものを出す必要があると思いますけれども、その点について結論だけお答えいただきたい。
  120. 秋富公正

    秋富政府委員 自動車局関係につきましては、陸運局長権限というようなものは、運輸審議会の審議というプロセスがないわけでございますが、私鉄につきましては全部本省で処理いたしておりまして、この案件はすべて運輸審議会におはかりしてきているわけでございます。そういった関係で、いわば運輸省行政当局だけで事を処すというわけではなくて、運輸審議会と申します学識経験者のお集まりの審議会におはかりいたしまして、ここで審議いただきまして、その答申もいただいて処置するということできておるわけでございます。これは自動車局と違う点でございます。  いま御指摘の、今後そういうものをつくるかどうかという点でございますが、私たちは、いままで部内処理的にはそういったものまではなかったわけでございますが、今後いま御指摘のようなことにつきまして、運輸審議会という場も持っております私鉄の運賃問題において、しかも運輸審議会におきましてはそこで答申というものを第三者から——第三者と申しますか運輸審議会の答申ということもプロセスとしてございますので、そういう点も踏まえながら、いま少し検討させていただきたいと思っております。
  121. 三浦久

    ○三浦委員 その算定基準がないというようなお話なんですけれども、たとえばバスについての算定基準を見てみますと、これは兼業部門がある場合の収益及び費用の配分基準について書いていますけれども、これには「地方鉄道業または軌道業を兼営するものにあっては、当分の間、その事業について定める基準によるものとする。」こう書いてあるのです。そうすると、地方鉄道業を経営している場合、その地方鉄道業が他の事業部門を兼営しているような場合には、この地方鉄道業自身について配分の基準が定められているというふうにはっきり書いてあるのですね。これは自動車局です。私がこれを言いましたら、民鉄の課長さんは、そんな他の局のやっていることは私は知らぬ、そんなふざけた答弁をしているのですよ。ふまじめですよ。同じ運輸省の管内で、自動車局のほうは、鉄道企業部門を兼営している場合には、そっちで配分の基準を定めているのだからそっちの基準によるのだといって、基準があることを前提にしてこれが出されているわけです。それについてもあくまでも基準がないんだと言い張るというのは、私はどうも何かあるのではないかと勘ぐりたくなるのですよ。  それからまた、販売用土地建物ですね。販売用土地建物を購入する場合に借金をしますね。この利息は、バス運賃の場合には経費に算入していないのですよ。いわゆる金融費用から除くといっているのです。除かれているのです。ところが、私鉄運賃を算定する場合には、この利息もぶち込まれているわけですね。そしてある一定の基準によって各事業部門に配分されているのですよ。この問題についてもどうですか。民鉄部の話は、金に色はついておりませんから、全部の利息を一緒にして、そして一定の基準によって配分する以外にないのです、こう言う。民鉄部は、金に色はついていないと言う。ところが、同じ運輸省の自動車局は、金にちゃんと色がつけられるようになっているのですね。販売用土地建物を買う場合、鉄軌道を買うための借金、新たに新幹線を建設するための借金と、ちゃんと色分けができることが前提になって、こういう配分の基準ができているのですよ。いままでの質問に対する答弁とか、また資料要求に対してもそうだけれども、不誠実きわまりないと思うのですよ。こういう不明朗なことをなくすという意味からいっても、やはり自動車局でもってバス運賃に関して出している程度の算定基準というものははっきりすべきだと思う。私はこれを強く要求しておきたいと思います。  それから、私鉄が兼業部門として不動産事業を行なっている場合ですけれども、不動産事業による収益は、この運賃算定にあたって考慮しているのかしていないのか、お伺いいたしたいと思います。
  122. 秋富公正

    秋富政府委員 まず最初の問題につきましてはあれでございますが、いまの不動産部門についてお答え申し上げますと……
  123. 三浦久

    ○三浦委員 別法人になっている場合ではなくて、一企業の中の不動産事業部門という意味ですから。
  124. 秋富公正

    秋富政府委員 確かに現在の大手私鉄の場合におきましては、兼業部門といたしまして不動産収支というものが大きなウエートを占めておることは御指摘のとおりでございます。従来から私たちの処し方といたしましては、鉄軌道部門と申しますものは鉄軌道部門といたしまして独立して永続していくべきだという考えでございまして、この部門を切り離しまして、すなわち不動産部門の収支というのは切り離しまして、鉄軌道だけで永続していけるかどうかという判断に立ちまして運賃の算定をいたしております。
  125. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、不動産事業部門についての収益は何ら考慮されていない、こういうお話なんですけれども、いかなる場合でも考慮しないわけなんですか、それをちょっとお尋ねしたい。
  126. 秋富公正

    秋富政府委員 現在のところまではいかなる場合でも考慮いたしておりません。
  127. 三浦久

    ○三浦委員 物価安定政策会議の提言が行なわれていますね。これは「公共料金政策のあり方について」そして「交通運賃を中心として」という副題がついておりますが、物価安定政策会議第三調査部会、昭和四十七年四月一日の提言です。(4)のところに「適正原価について」というところがあるのです。これによりますと、「1および3との関係で民営企業の兼業部門の評価の問題について考えると、一概に兼業部門まで含めた企業単位の原価主義をとるべきであるということはできない。」これはいま局長さんのおっしゃったとおり。その次「兼業が問題になるのは規制を受けている企業が、開発利益を内部化した場合を含め、獲得した免許のゆえに兼業部門の市場で他の専業の企業とくらべて競争上有利な条件を享受する場合である。」ですから、たとえば鉄道事業の免許が不動産事業に特に有利な条件を提供したというような場合には、運賃算定の場合に考慮したほうがいい、こういう考え方だと思うのです。こういう考え方についてはどういうふうに思われているのですか。
  128. 秋富公正

    秋富政府委員 確かに、いわゆる開発利益の還元という問題は私はあると思います。これは国鉄、私鉄を問わず、あるいは道路の新設の場合にも、一般的に従来そこに土地を持っておった方々——これは会社の場合もございます、個人の場合もございますが、そういった方々が、新しく鉄道の敷設によりまして、あるいは道路の新設によりまして、地価の高騰とかあるいはその他の開発利益の恩恵を受けるという問題がございまして、これを還元すべきではないかということは、確かに一つの御意見だと私は考えております。ただ、私たちも、この問題をいかに処置すべきかということにつきましては、従来からいろいろと何とか開発利益の還元と申しますものにつきまして措置すべきではないかと考えて、これは建設省とか他の省ともいろいろと御相談しているわけでございますが、開発利益と申しますものを一体どこまでとらえるべきものか、その範囲の問題、また、いかなる形で還元させていくかということにつきまして、その手段、方法につきましてもいろいろと意見がございまして、私たちは、確かにこれは問題であるとは思っておりますけれども、現在までそれを税金の形で取るのか、あるいはそれをどういう形にするかという、いわゆる開発利益の還元の具体化という問題におきまして具体化できてないという実情でございます。
  129. 三浦久

    ○三浦委員 私は開発利益の還元一般について質問したわけじゃないのです。たとえば鉄道を敷設する、そうするといろいろな開発利益が出てくる。これは当然でしょうね。そしてそのこともこの物価安定政策会議の提言の中でいろいろ触れられていますよ。しかし、私が言っているのはそういう開発利益の還元一般ではなくて、一つ企業の不動産部門が、鉄道を利用してその開発利益を一手に享受しているというきわめて具体的な場合に、これを運賃算定にあたって全然考慮しないというようなことになれば、たとえばかなり膨大な土地を買収しておって、そこに新線を建設しますね。そうすれば地価がどんどん上がるでしょう。そうすると不動産事業部門はどんどんもうかるわけですよ。それは経費なしでもうかるわけです、鉄道を敷くのは鉄道部門の経費になるわけだから。そうでしょう。鉄道事業部門は膨大な設備投資をして、そしていわゆる資本的経費、資本的費用がかかって、そしてますます赤字になっていく、こういう関係になるわけでしょう。そして、その鉄道事業部門の赤字は、住民が運賃値上げということで負担しなければならないというのはきわめておかしなことなんですね。そうでしょう。片一方の不動産事業部門は、鉄道はただで敷いてもらって、そしてぼろもうけする。鉄道事業部門のほうは、経費ばかりかかっちゃって全然収益があがらない。そうでしょう。すぐ人口がふえるわけじゃないですから。そういうような場合、いま言ったような場合に、やはり不動産事業部門での利益というものを運賃算定にあたって考慮すべきであるというのはけだし当然だと思うのですね。これはわからないですか。おわかりになるでしょう。それをもう一回答えてください。
  130. 秋富公正

    秋富政府委員 私が一般的に開発利益の還元の問題を申し上げましたのは、たまたま私鉄がその沿線に土地を所有いたしておりまして、その開発利益の還元を運賃算定の原価に入れるということになりますと、他の一般の土地を持っておられる方との間に——現在まだ開発利益の還元というものが制度化されておりません間、私鉄についてのみ、しかもたまたまある一つの会社が土地を保有している場合に限りまして、その土地の開発利益を還元するということは均衡上問題がある、かように考えまして、私といたしましては、現在までそういったものを勘案して算定していない、こういう考えでございます。
  131. 三浦久

    ○三浦委員 私鉄の不動産事業部門以外に開発利益を享受する人たちとの均衡を考えてしていないのだ、私は詭弁だと思うのですよ。一つの会社なんですよ。いいですか。鉄道事業部門と不動産事業部門というのは一つの法人がやっているのですよ。一つの法人なんですよ。本来は経理は一つで見なければならないものを無理やり分けているわけです。そして、その不動産事業部門でぼろもうけしておって、それも鉄道を利用してぼろもうけしておる。その利益を全然考慮しないで、いわゆる鉄軌道、たとえば新線を建設した場合に、その費用は全部運賃値上げということで利用者に負担させるという、そのほうがよっぽど不公平じゃありませんか。そのほうがよっぽど不公平です。一法人の中での不動産事業部門と鉄道事業部門との関係について質問しているわけなんですからね。鉄監局長のように、他の開発利益を享受する人々、まあ一般の人々でしょう。鉄道に関係のないそういう人々との均衡を考えてというのは、私はちょっと論理の飛躍だと思う。そうすると、それじゃ物価安定政策会議の提言はもう全然考慮しないということなんですか。これはちゃんと兼業部門の問題について「問題になるのは」というふうにはっきりいっているのですよ。これは一般の開発利益の問題とは区別してここで述べられているのですよ。この物価安定政策会議の提言の趣旨にのっとって、鉄道を利用してぼろもうけをしているというような場合には、その不動産事業の収入運賃算定にあたって考慮するというのは当然のことだと思うのです。それでなければ、利用者にきわめて不利な扱いをすることになりますよ。
  132. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま先生指摘の、御引用になりましたところのさらに後段でございますが、「しかし、交通事業の免許が兼業部門の市場での他企業との競争にとくに有利な条件を与えないかぎり、兼業部門での利潤は他の専業企業の利潤と変りはないのであり、この利潤を交通部門での運賃料金の決定に当たって含めて考えるのは、むしろ兼業部門の市場での競争に不利な条件を課することになる。これらの点は、現実に即し、適切な判断が行なわれるべきである。」ということがさらに後段に続いているわけでございます。現在、私鉄の路線免許につきましては、御承知のとおり運輸省にございます都市交通審議会におきまして、いろいろと、現在から昭和六十年までの路線の案と申しますものを、東京大阪名古屋あるいは九州というような大都市におきましては御審議いただきまして、そこで昭和六十年までにはかくかくの線を敷くべきであるということが一般にも発表されておるわけでございます。特に私鉄だけが極秘にそれを知っておるとかあるいは計画するというものでなくて、いわばオープンにされておる問題でございまして、しかも現在、開発利益の還元といいますものが制度化されていないときに、たまたま私鉄についてのみ、しかも同一の企業体である場合にのみ、それを運賃原価に算定をするということは、やはり私は均衡を失するのではないかと考えております。
  133. 三浦久

    ○三浦委員 いまの鉄監局長の話は、いまの私鉄経営の実情を見てみますと、いわゆる交通事業の免許が、兼業部門である不動産事業部門の市場での他企業との競争に特に有利な条件を与えていないと思うという、そういう実質的な判断に入られましたね。いいですか。もう一回言いましょうか。交通事業の免許が兼業部門の市場での他企業との競争に特に有利な条件を与えている場合、この場合には考慮するというお考えなんですか。
  134. 秋富公正

    秋富政府委員 私、申し上げましたように、路線を免許するにあたりましては、いわば都市交通審議会におきまして、昭和六十年までの都市計画の網というものが答申をいただきまして、それに基づいて、現在新しく免許というものあるいは鉄道の建設……(三浦委員「それはわかりましたよ、さっき聞いたことですから」と呼ぶ)でございますから、特に私鉄にそういった意味で有利な免許を与えておるとは考えておりません。
  135. 三浦久

    ○三浦委員 これは、特に私鉄に有利な免許を与えているとかどうかということではなくて、鉄道事業の免許が特に兼業の不動産事業部門に有利な条件を与えている場合には、考慮すべきだという考えなんですよね。だから、そういう場合には考慮いたしますかと聞いているのです。いまの私鉄の実情から見て特に有利な免許を与えているんじゃありませんとかなんとかいう実質論に入る前に、そういうことがあれば、この提言のとおりに考慮するんですかと聞いている。鉄道企業に免許を与える、そのことが不動産事業部門に特に有利な条件を与えているというような場合がある場合には、運賃算定にあたって考慮するんですか。
  136. 秋富公正

    秋富政府委員 必ずしも私は、先生のお尋ねに満足な回答とは思いませんけれども、私はやはり鉄道は鉄道としてのその独自性で考えるべきものだと考えております。
  137. 三浦久

    ○三浦委員 ですから、そうすると物価安定政策会議の提言は、あなたは無視されている。そして、あくまでも利用者に犠牲を押しつけ、私鉄独占の利益を擁護するという立場に立っているとしか思えないじゃないですか。  じゃ、時間がないから、具体的にちょっとお話ししましようか。東急の田園都市線というのがある。時間がないから私のほうから言いますけれども、これは昭和三十一年の九月二十八日に新線建設の申請が出ているのです。九月二十八日に溝の口から長津田まで出て、三十二年の十一月十四日には、さらに長津田から中央林間まで申請が出て、三十五年の九月二十日に認可されている。三十八年の十月十一日に着工して、四十一年の四月一日に開通していますね。当時、この路線が決定されたときには、沿線の住民というのはほとんどいなかったはずです。そうでしょう。東急が多摩田園都市をつくるのだ、それで四十万都市をつくるのだ、こういう計画とあわせて新線建設が許可になったと私は思うのです。その多摩田園都市をつくる東急の手口というのは、新線建設を申請するはるか以前の二十五、六年ごろから地主と話し合いです。そして具体的には二十六年ごろからどんどん土地を買収していっているのです。当時、坪数百円といわれていますね。そして区画整理事業を行なっているのですよ。これも、「七四 とうきゅうのしおり」というのに出ていますけれどもね。膨大な土地を、一ブロックから第四ブロックまで分けまして、東急もいわゆる区画整理組合員の一人に入っています。何百人と組合員がおりますけれども、東急は一社でもって約一割の土地を所有しているのですよ。ですから、これがもう東急のいうままに区画整理が行なわれているのは間違いがないですね。そうして区画整理を行なうと同時に、新線建設をどんどんやっていっているのですよ。まだ区画整理をやっているのですよ。そしていまでは、大体土地が坪二十一万円ぐらいになっているというのです。そしてこの付帯事業として、田園都市業というふうに東急は区分していますけれどもね。この田園都市業でもってどのぐらいもうけていると思いますか。土地を先に買って、そしてそこの地主と話し合って区画整理組合を九つもつくって、それでどんどん区画整理はやる。新線は敷く。そして自分の買った土地をどんどん売り飛ばしてぼろも一うけしているのですよ。これは鉄道事業部門なくしてこんな不動産の収益をあげることはできないですよ。  どのぐらい収益をあげているかといいますと、これは最近の五年間ですけれども、昭和四十三年の下期から昭和四十八年の上期までの有価証券報告書に基づいて計算してみました。少なくとも二百六十億円はかせいでいる。この五年間で、東急一社で、あの田園都市業だけで毎年五十億円以上の利益をあげているのですよ。少なくともというのは、これは昭和四十五年の下期までは、有価証券報告書は、収益の部分についても費用の部分についても田園都市業というものを区分してぴしっと出しておりました。しかし、四十六年の下期からは有価証券報告書の記載が変わりまして、田園都市業というものについて収益はぴしっと出ていますけれども、費用については不動産事業として一括して出ているんですよ。ですから、われわれは利益を算定するにあたって、土地と関係のない、建物についての費用部分だけを控除して、残りの全部の費用は田園都市業の費用だというふうに過大に見積もって計算しても二百六十億円ですよ。それもだんだんふえているんですよ。これは土地が値上がりしているからふえているのです。四十七年の上期には三十四億九千万円もうけている。四十七年の下期には、ちょっと減っていますけれども、これは三十億円もうけている。それで四十八年の上期には四十一億九千万円もうけているのですよ。四十八年の上期はどのくらいの土地を売ってこれだけの利益をあげたのかといいますと、十二・五ヘクタールです。これは有価証券報告書に基づいて言っているのです。そうすると現在、現在といってもちょっと古くなりますが、四十八年の四月一日現在で、この多摩田園都市のうちの横浜市内だけで東急はまだ二百二十五ヘクタール持っているのです。わずか十二・五ヘクタール売っただけで四十八年の上期で四十一億円もうけているのです。これからどのくらい利益をこの田園都市業であげていくかはかり知れないのですね。それでこれは全部鉄軌道部門に負うところが非常に多いというのははっきりしている。そしてこの田園都市線の建設費用というのは全部で百二十二億かかっていますね。不動産事業は収益をどんどんあげているけれども、この田園都市線の建設費用については何ら負担をしていないということなんですよ。こんなばかな話ないのです。ですから、どうしたって鉄軌道部門というものを利用して特に膨大な収益を不動産事業であげている場合には、その不動産収益の費用を運賃算定にあたって考慮するか、さもなければ、いわゆる新線建設の費用を不動産事業部門が負担をして、鉄軌道部門の資本的な経費を少なくしてやるというような措置をして、運賃値上げを決定していかなければ、これははなはだしい片手落ちになるし、利用者に一方的に負担を押しつけるということになることは明瞭だと思うのですね。ですから私はさっきから繰り返し言っています。しかし鉄監局長は、繰り返し、いや、鉄道事業部門はそれだけで採算を見るのです。しかし、これがいかに不公平なものであり、私鉄独占資本の利益を弁護している立場に立ち、そして利用者に大きな負担をかけていることになるかということはもうおわかりになったと思うのです。ですから私は、あくまでも不動産事業部門の収益は、運賃値上げにあたって考慮することを強く強く要求しておきたいというふうに思うのです。  時間が超過いたしましたので、一応以上で私はやめたいと思いますけれども、私はいままでに数回にわたって私鉄運賃の問題について御質問を申し上げました。政府は、赤字だから上げるのだと言うけれども、過去の赤字というものも、実際にたとえば費用配分などというものを適正にやる、また減価償却を実情に見合ったようにしていく、こういうことによって実際の赤字というものはない、むしろ黒字なんだということがはっきりしたと思うし、また、これから将来の予測を立てる上においても、たとえばさっきの算定基準等にあらわれているように種々の疑惑が出てきています。そういう意味で、特にいま物価値上げの第三波が押し寄せてきている、こういわれています。田中内閣になってから日本列島改造をやった。そして土地の買い占めとか材木の買い占めとかでどんどん物価が上がっていったのが第一波だと思いますよ。第二波というのは、昨年のつくられた石油不足を口実としてどんどん売り惜しみが行なわれて物価が上げられていった。第三波は、石油の値段が上がったからということを理由にして今度は公共料金をどんどんどんどん政府が上げていこうとしている。いわゆるこういう第三波の大波にいま国民が洗われてあっぷあっぷしょうとしているわけですから、国民生活に重大な影響を持っているこの私鉄運賃値上げについては、私はやはり値上げをすべきではないということを強く要求しておきたいと思います。それと同時に、国民に疑惑を持たせないためにも、算定基準というものを日も早く私どもに提出をしていただくようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  終わります。      ————◇—————
  138. 三池信

    三池委員長 次に、第七十一回国会から継続審査となっております航空法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  139. 三池信

    三池委員長 本案につきましては、第七十一回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  141. 三池信

    三池委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。江藤隆美君。
  142. 江藤隆美

    ○江藤委員 今回の航空法の一部改正は、昭和四十六年七月に岩手県の雫石上空で起こった全日空機と自衛隊機の衝突事故が契機となって改正が企図されたものでありますが、四十七年の三月二十二日第六十八回国会に提出をされて以来、六十九国会、七十国会、それぞれ継続審議になり、特に七十回の国会では審議未了で廃案になりました。今度再度提案されて今回審議をするに至ったわけでありますが、すでに提案をされておおよそ二年と五カ月がたっておるというたいへん長いものであります。  そこで、まずお尋ねしておきたいと思いますが、この雫石の事故が発生して以来、運輸省としては、航空機の衝突事故を防止し、航空交通の安全を確保するためにどういう措置を講じてこられたのか、まずそのことから承っておきたいと思います。
  143. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいま先生指摘のように、今回御審議願いますこの一部改正案は、雫石の事故が契機となっておりますが、今日まで行なりてまいりました諸施策を簡単に御紹介申しますと、まず第一に、全日空機と自衛隊機の衝突事故直後の昭和四十六年の八月に中央交通安全対策会議を開きまして、ここで航空交通安全緊急対策要綱というものを策定いたしまして、これによりまして、秩序ある航空交通を確保するため、空域におけるいわゆる異種交通の分離を主眼といたしまして、自衛隊の訓練空域の設定、特別管制空域の追加設定並びに運輸省と防衛庁の間の業務の調整等を積極的に行なってまいりました。  第二には、昭和四十六年の八月以来、運輸省内に民間の学識経験者を含む航空法制改正検討委員会というのを設けまして、航空法の改正につきまして検討を進めてまいったわけでございますが、航空機の衝突事故を防止するためには、航空法の規定する各分野の中で特に航空交通に関するルールの整備をはかる必要があるという結論が出されまして、これをもとに改正案をまとめまして、ただいま御指摘の一昨年の六十八国会に改正案を提出いたしました。  第三には、航空交通管制など航空保安業務の充実強化、航空保安施設の整備拡充等につきまして抜本的な施策を講じ、あわせまして激増する航空行政事務を円滑に処理いたしますために、運輸本省に管制保安部を設けるなど、航空行政組織の強化をはかってまいっております。また、御案内のように、航空機の事故原因調査を迅速かつ適確に行ないますために、常設の航空事故調査委員会を設置することとなりまして、本年の一月からこの委員会が発足いたしております。  四番目といたしまして、航空交通の安全を確保するに必要な航空保安施設の整備を行なっておりまして、特にVORDME等の整備並びに航空路監視レーダーの整備を計画いたしまして、この計画の繰り上げ実施を行ないまして、現在整備を促進しておる状態でございます。  最後に、航空運送事業者に対しましては、「ばんだい号」事故後直ちに各種の通達を出しまして、注意を喚起いたしますとともに、運航の安全確保のための諸対策を講ずるよう繰り返し指示を行なってまいっております。その後、また一昨年の日本航空の一連の事故等もございましたので、特に日本航空に対しましては、毎年定期的に実施しております安全性確認検査及び年末年始の交通総点検に加え、特別監査を実施して、安全の確保に努力をしてまいっておる次第でございます。
  144. 江藤隆美

    ○江藤委員 いまの御答弁にあったように、事故が発生以来運輸省当局としてもいろいろな対策を講じ、また事後措置を講じてこられたようであります。したがって、そういうことからいたしますと、今回の改正はやはり運航面を主体とした改正である、こういうことがいえると思います。したがって、提案理由の説明等をいろいろ検討してみますと、今回の航空法の改正は、こうしたいろいろな航空事故の防止、すなわち航空交通の安全確保のための改正と、もう一つは騒音基準適合証明制度の創設というのが、二つの柱となっておるようであります。  そこで、この航空法改正案では、航空交通の安全ということについて、どういうふうに改善なり強化がはかられているのか、その点について御説明を願いたいと思います。
  145. 寺井久美

    ○寺井政府委員 まず第一に、航空機の衝突事故を防止するという観点から、いわゆる異種交通の分離という考え方のもとに、曲技飛行あるいは超音速飛行、操縦練習飛行などの特殊な飛行につきまして、一般の航空機の航行いたします空域から排除するとともに、一般の航空機の守るべき航行のルールについても所要の規定を設けまして、航行規制を強化することになっております。  次に、このような航空機に対します規制を実施し、かつ安全運航を一そう確実なものといたしますために、操縦者、いわゆるパイロットの見張り義務を明確にきめております。また、航空機の装備品の装備義務を強化することといたしております。さらには、航空交通の安全の一そうの確保を期するために、これらの規制は、自衛隊の使用する航空機にも適用することといたしております。  このような考え方で今回の航空法改正が提案されておるわけでございます。
  146. 江藤隆美

    ○江藤委員 ただいまの御答弁のように、異種交通の分離という航空交通のルールを確立をする、あるいは設備の装備義務なりについて強化がはかられているということでありますけれども、これらの法制面の手当てに対応するためには、VORDME、航空路監視レーダーといった地上施設、あるいは管制要員の確保ということが重要な課題になってくる。また、これらの施設の整備なり要員の確保については、これも同時にしたがって必要になる事項であります。これはどういう計画で進められておりますか。
  147. 寺井久美

    ○寺井政府委員 まず航空路監視レーダーあるいはVORDME等の地上保安施設につきまして申し上げますと、航空輸送需要の増大に対応いたしまして、航空交通の安全を確保するために、昭和四十六年度を初年度といたします空港整備五カ年計画に基づきまして、目下管制施設、無線施設、通信施設、照明施設などの整備を鋭意推進中でございまして、その具体的な内容といたしましては、航空路管制を大幅に近代化いたしますために、全国八カ所に長距離レーダー網を整備する。同時に、電子計算機を利用いたしました管制情報処理システムを導入いたしまして、航空路の航行の安全をはかるという方法を現在実施いたしております。これは大体この五カ年計画に計画いたしましたテンポよりもやや早いテンポで完成をする見通しになっております。  さらに、幹線航空路を複線化いたしますために、所要の地にVORDMEを設置することといたしておりまして、これも計画どおり設置が進められております。また、空港につきましても、定期便の就航いたします空港には、原則としてVORDMEを設置するほか、定期航空機の着陸回数の多い空港にはILS等も設置する計画を進めております。  次に、保安要員、特に管制要員の確保の計画について申し上げますと、先ほど申し上げました第二次空港整備五カ年計画に基づきまして施設の整備が行なわれますので、それに必要な要員の数を想定いたしまして、養成体制の整備拡充をはかってまいっておりますが、この五カ年計画で必要とされます人員が七百六十名でございましたが、四十九年度まで実施いたしました結果四百八十名が補充されまして、残りが二百八十名となっております。この計画のテンポから申しますとやや人間の補充がおくれておるという感じにもなっておりますが、目下五十年度を初年度といたしましてこの航空保安施設整備計画の見直しを考えておりますので、新しい長期計画に基づきまして管制官の養成、需給計画につきましても、これに斉合いたしました計画に練り直して、今後この要員の確保、養成等を行なっていきたいというふうに考えております。
  148. 江藤隆美

    ○江藤委員 航空の安全施設の整備あるいはこれに必要な要員の確保等については、ただいまお聞きしました限りでは、最大限の努力を払っておる、それもまたかなり成果をおさめつつある、こういうふうに承るわけでありますが、この法案のもう一つの柱として騒音基準適合証明制度の創設が入っております。大阪空港の例で見るように、航空機の騒音問題ということは、最近社会的あるいは国民的な関心が非常に高まっている分野でありまして、この法案が騒音証明制度というものを盛り込んでおるということは、時宜にかなった適切な処置だと私としては思うわけです。  それで、それでは一体この騒音基準適合証明制度を設ける意義なり、あるいはこの制度によって航空機騒音問題についてどういう進展なりあるいは解決がはかられるのか、その間の内容についてお聞かせを願いたいと思います。
  149. 中曽敬

    ○中曽政府委員 従来航空機の騒音につきましては、もっぱらいわゆる航行規制、運航上の規制、それから防音工事などの対策によってやってまいったわけでございますけれども、技術的に可能な限り音源に対する規制も当然行なうべきであるというふうに、私ども率直に反省いたしておるわけでございますけれども、ICAOにおきまして種々検討をいたしました結果、先般、騒音基準適合証明制度を創設するということを内容といたしますところのICAO条約第十六附属書というものが制定されたわけでございます。このICAO条約の締約国でございますわが国も、この附属書に準拠いたしまして国内法を改正し、そして新たに騒音基準適合証明制度を設けまして、航空機騒音対策の一環として強力にやっていこうというふうに考えておるわけでございます。  しからばこの制度を採用いたしますとどういうことになるかと申しますと、今後製造されますところの航空機それ自体が発生いたします騒音は、従来に比べまして相当に減少するというふうにわれわれは考えておるわけでございますけれども、音を出さない航空機は考えられないわけでございますので、したがいましてこの制度は、あくまでも従来から行なわれておりますところの飛行場周辺対策等の諸対策とあわせまして行なうことによりまして、航空機騒音対策の強力な推進をやっていこうというふうに考えておる次第でございます。
  150. 江藤隆美

    ○江藤委員 そうしますと、この騒音基準適合証明制度によって、非常に高い騒音を発生する航空機というのはこれから飛べなくなるんだ、こういうふうに理解していいわけですか。
  151. 中曽敬

    ○中曽政府委員 この騒音基準適合証明制度と申しますのは、先生おっしゃいますように、一定の基準をオーバーいたしました飛行機につきましては、原則といたしまして飛んではならないというふうな規制を行なうというのが趣旨でございます。そういう規制をやることによりまして、要するに大きい音を発生いたします飛行機をいわば追っ払いまして、静かな飛行機だけを飛ばせるということでございます。そういう趣旨でございますので、まさに先生のおっしゃいますとおりであるというふうに考えておる次第でございます。
  152. 江藤隆美

    ○江藤委員 そうすると、この前から話題になっておるコンコルドなどというのはやはり基準にひっかかってくるから、まず一番先に飛べなくなる、あるいはまたかりに飛べるといってもこれにひっかかるわけですから、航空会社としてはコンコルドなどというものは買うわけにはいかぬようになる、こういうふうに理解していいわけでしょうね。  それでは、最近日本航空なりあるいは全日空が国内線に導入しておるエアバス、私もこの前乗りましたが、これについては非常に騒音が低いんだということで航空会社やらあるいは航空当局もそういうことを説明をされておるようでありますが、一体この日航なり全日空が導入して使用しているエアバスは、今度の騒音基準適合証明制度が発足した暁において、一体合格できるのか、それともできないのか、これは一つの事例をあげて、ひとつ証明の基準を聞くためにも、われわれが判断するためにも、エアバスは一体合格するのかせぬのか、端的にお答えをいただくとありがたいと思います。
  153. 中曽敬

    ○中曽政府委員 日本航空が導入いたしましたいわゆるジャンボ、ボーイング747SR、それから全日空が導入いたしましたロッキード一〇二、このいずれも、結論的に申しまして、これから御審議をいただく予定にしておりますところのこの法律炉成立いたしました暁におきましては、当該基準を満足するということでございます。これらの飛行機は、現在すでにアメリカで日本より一足先に騒音証明制度というのを発足しておりますけれども、そういうアメリカの騒音証明制度にはすでに合格しているわけでございます。そういった形のものが現在日本に導入されておるわけでございまして、わが国におきましてこの騒音証明制度ができました暁におきましては、問題なくその基準に適合することができるということでございます。  御参考までに申し上げますと、実は現在考えられておりますICAOのほうで出しておりますところの騒音基準の単位、若干むずかしい単位を使っておりまして恐縮でございますけれども、EPNDBという単位を使っております。これを普通使われておりますホンに直しまして簡単に申し上げますならば、現在747SR、それから一〇一一、こういったものが離陸時における騒音をどのぐらい出すかと申しますと、八十四ないし八十七ホンでございます。これが現在飛んでおりますDC8の六一型とかあるいは727の二〇〇型に比べますと低いのでございます。絶対的な音の大きさからいいましても低いのでございます。DC8の六一型というのは、離陸しますときの音の大きさが百四ホンでございます。それから727の二〇〇が八十九ホンでございますので、先ほど申しました八十四ないし八十七という数字とお比べいただきますれば明らかでありますように、大きな飛行機でありながら、現在飛んでおります飛行機に比べれば低いということでございます。
  154. 江藤隆美

    ○江藤委員 次に、沖繩の関係について二、三お尋ねをしておきたいと思います。  きょうすなわち五月十五日の午前零時を期して、沖繩の航空路管制が米軍からわが国に引き継がれたわけであります。そこで那覇の管制部で管制業務を実施しておると聞いておるわけですけれども、この管制部の定員は一体どうなっておるのか。それから管制官の定員は何人か。この二つのことをお聞かせ願いたい。
  155. 寺井久美

    ○寺井政府委員 那覇航空交通管制部の定員は全体で百五十二名でございまして、そのうち管制官の定員は七十三名となっております。
  156. 江藤隆美

    ○江藤委員 なかんずく管制官というのが非常に大事な役割りを果たすわけですけれども、先ほどもちょっと御説明がありましたが、管制官の養成、訓練ということについては、十分に航空需要を満たしていくだけの確保がはかられておる、あるいは訓練がなされておるかどうか、そのこともつけ加えて御説明をお願いします。
  157. 寺井久美

    ○寺井政府委員 管制官全般につきましては、先ほども御説明申し上げましたような補充計画、養成計画でやっておりますが、特に航空保安大学校におきまして管制官の養成を鋭意行なっております。現在のところ定員そのものが必ずしも十分という段階まで達してはおりませんけれども、現実に業務を遂行するには差しつかえないという程度の定員を今日まで確保しております。特に那覇の航空交通管制部におきまして米軍から業務を引き継ぎますに際しましては、急速に管制官を養成、補充する必要がございました関係もありまして、嘉手納の米軍管制センターにおきまして所要の管制官の訓練を行ないますとともに、一部のレーダー管制官につきましては、米国のFAAのオクラホマアカデミー及びホノルルセンターで訓練をいたしまして、これら双方の訓練を終了いたしました管制官が本日の午前零時から那覇で管制業務についておる、こういうことでございます。
  158. 江藤隆美

    ○江藤委員 従来米軍がやっていた沖繩のFIRの航空路管制が那覇の管制部に移ったわけですが、隣接する管制機関との間で管制業務を実施する上での連絡なり調整というものは十分ですか。
  159. 寺井久美

    ○寺井政府委員 御指摘のように、日本側が米軍から管制業務を引き継ぎますと、隣接の管制機関との間で所要の取りきめを行なっておく必要がございますので、これらにつきましては、たとえば大邸、台北、グアムあるいはマニラ等の管制部との間で管制業務に必要な技術的な取りきめをいたしまして、それがすべて滞りなくできました結果、無事に米軍から業務を引き継いで現在これを行なっておるわけでございます。
  160. 江藤隆美

    ○江藤委員 グアムとかマニラとかは心配しないのですが、ちょうど日台航空路線が不幸にして切れておるさなかでありますので、台北との問題については私どもかねがね心配をしておったわけであります。先ほど申し上げたように、きょうの午前零時からこの引き継ぎが行なわれたわけですが、いまのところトラブルはない、支障はない、あるいは将来においてもそういうものが発生するようなおそれはない、十分に連絡調整が行なわれておる、こういうふうに理解していいですか。
  161. 寺井久美

    ○寺井政府委員 現在までのところトラブルがあったという報告は聞いておりませんし、今後将来にわたりまして、十分連絡調整が行なわれるというふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
  162. 江藤隆美

    ○江藤委員 航空法というものはそもそも昭和二十七年に制定されて、それから二十九年、三十三年、三十五年、四十五年というふうに、それぞれ一部の手直しのための実は改正が行なわれてきたわけであります。今回のこの一部改正は、さきに申し上げましたように、主として航空事故を防止する、衝突事故を防止するということから運航面に重点が置かれて改正が行なわれる、こういうことでありますけれども、制定当時から今日に至る長い期間に、国内的にもあるいは国際的にも世界の航空事情というものは非常に変わってきておる。だからむしろ一部手直しではなくて、航空法そのものの全体を一回見直して、そして新しい体系のもとに航空法を整備していくことが適当ではないか、こういう意見が実は専門家の中にあるわけであります。この一部改正を審議する中でもそういう意見があるわけです。このことについて運輸省当局としては検討なされたことがあるのかどうか、また、そういう用意があるのか、あるいは何かそういう含みがあって、そういうことも勘案しながらさしあたってこの一部改正をなそうとするのか、そのことについて承っておきたいと思います。
  163. 寺井久美

    ○寺井政府委員 この航空法全般の見直しが必要であろうかという御意見は確かにございますし、また航空法体系のあり方としても検討する必要があるのではないかという御意見もあるわけでございます。私どもといたしまして、現在この一部改正をお願いいたしておりますが、これは四十七年以来今日まで延び延びになっておるわけでございまして、当面航空交通の安全をはかるためにはどうしてもこれを急がなければならない。しかし反面、先生の御指摘のように、客観情勢がいろいろ変わっておりますので、やはり全体の見直しをする必要があろうかということで、部内ではこれを検討するという方向でいろいろ準備を進めております。しかしながら、これは相当大作業になりますので、かなり時間をかけて慎重に検討を進める必要があろうかというふうに考えております。
  164. 江藤隆美

    ○江藤委員 全体的な見直しについても、これから慎重にかまえて十分具体的に検討してみたいということでありますので、きょうは時間の制限もあることでありますから、以上で質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  165. 三池信

    三池委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時十五分散会