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1974-04-03 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月三日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 太田 一夫君 理事 兒玉 末男君    理事 三浦  久君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    細田 吉藏君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    斉藤 正男君       坂本 恭一君    松本 忠助君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局次         長       後藤 茂也君         海上保安庁長官 佐原  亨君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   久本 礼一君         大蔵省主計局共         済課長     鈴木 吉之君         資源エネルギー         庁臨時石油対策         本部石油企画官 渡辺 全侊君         運輸大臣官房安         全公害課長   栗林 貞一君         運輸省港湾局管         理課長     勝目久二郎君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   松木 洋三君         日本国有鉄道旅         客局長     柳井乃武夫君         日本国有鉄道共         済事務局長   清水  晋君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   池原武一郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 四月二日  豪雪地帯における鉄道輸送確保に関する請願  (小沢辰男君紹介)(第三二四七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件(都市交通対策に関する問題)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題  等)  海上保安に関する件(海洋汚染の防止に関する  問題)  日本国有鉄道経営に関する件(共済年金に関  する問題等)  日本国有鉄道経営に関する件(上越新幹線の  建設に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  陸運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日、日本国有鉄道経営に関する件について、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君及び同理事池原武一郎君の両君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 三池信

    三池委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。児玉末男君。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 まず、国鉄部長にお伺いをいたしたいと思いますが、本年の二月二十八日の総社第六十八号によりまして、大蔵、運輸、郵政三大臣あて社会保障制度審議会長名公企体関係共済組合制度の一部改正に関する法律案についての答申がなされているわけでございますが、その中で、今回公務員関係並びに遺族関係はいわゆる最低保障制度というものが新設をされたわけでございますけれども、これに対して公企体関係年金受給資格者に対して、たとえば遺族年金等がその資格が短縮され、また最低保障制度を設けたにもかかわらず、公企体関係はこれがないということ これはきわめて遺憾なことでありますが、なぜこういうふうな結果になったのか、今回の改正についての主管である運輸省としての見解を承りたいと思います。
  6. 住田正二

    住田(正)政府委員 御承知のように、国家公務員年金制度公企体年金制度比較いたしますと、いろいろな点で異なっているわけでございます。大きな点を申し上げますと、年金基礎となります俸給額が、国家公務員の場合には現在やめる前三年平均、今回の改正で一年平均ということになっております。それに対しまして公企体のほうは最終俸給による。それから国家公務員の場合には年金最高制限あるいは支給率最高制限という制度がございますが、公企体につきましては最高制限支給率最高制限もない。その反対に、国家公務員の場合には最低保障制度がありますけれども公企体の場合には最低保障制度がない。その他こまかい点はございますが、いま申し上げましたような点で、両年金制度につきましては差異があるわけでございます。  この差異につきましては、これまで総理府に設けられました公的年金制度連絡会議でいろいろ調整をはかってきたわけでございますが、現在なおその調整ができてない状態でございます。私どもといたしましても、今回の改正にあたりまして、いま申し上げましたような点の調整をはかり、いろいろ努力をいたしておったわけでございますけれども、最終的に調整がはかれなかったということで、やむを得ず国家公務員年金制度改正に見合う改正はとらなかったということであります。  ただ、公企体年金につきましては最低保障制度がないわけでございますが、旧法につきましては恩給制度と同じような最低保障制度があるわけでございます。今回旧法につきましては、恩給改善にならいまして改善をいたしております。旧法のほうにあって新法のほうにないのは均衡上おかしいのではないかということで、今回恩給並み最低保障制度を設けて、改正案を現在国会に提出しておるという状態でございます。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 私はやはり、社会保障制度審議会が、年金のあるべき姿勢について、しかも今日、このような同じような年金制度のあり方としては、いわゆる全国民的な年金制度が改革されようとする時期において、特に公企体関係、なかんずく三公社においてこういう差別的といいますか、このような考え方は基本的に納得できないというのがここに従事する組合員主張であるわけでありますが、今後の法案審議過程において、担当運輸省当局としては、こういういわゆる最低保障制度制定ということについての、これは法案修正につながるものと思うのですが、単なる調整ができなかったということでなくして、根本的な修正という点についてあとまだ二点ほどお聞きするわけでございますが、基本的な問題として今後どういうふうに努力していくお気持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  8. 住田正二

    住田(正)政府委員 いま御指摘がございましたように、公企体年金最低保障制度がないということは、制度として非常に残念なことであるというふうに考えております。しかし、やはり年金制度全体といたしましては、いろいろ差があるのを一つだけ解決するというのはやはりまずいわけでございまして、私どもといたしましては、全般を通じて調整をしたい。それで国会でこれから御審議があるわけでございますので、私どものほうとしてこれをどういうふうにするということは申し上げられないわけでございますけれども、今回の審議過程において調整ができなければ、来年の法案提出までにはどうしても調整をはかって最低保障制度等を取り上げていきたいというように考えているわけでございます。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、この際せっかくの機会でありますが、制度的な歴史的変革もありますけれども、やはりこの制度そのものが異なっていたとしましても、これは当然でありまして、いままでの公企体関係がかつての日本国有鉄道から移行する際においても、また本法の立法経過から考えましても、特に国鉄共済組合年金制度は、大正九年に発足し、危険、重労働、不規則という特殊な労働条件下労働者国鉄に定着させ、労働力流動を防ぐための制度として年金制度の先駆的な役割りを含め、企業年金的な意味で発足したいきさつもあります。加えまして、これはたとえば機関士養成にも一年以上もかかるなどの現状から、労働力流動ということが、業務上決定的なことであるということが第一。  第二は、三十一年七月に現行公企体法制定当時も、より独立企業としてこの思想を受け継ぎ、企業的労務管理的な意味合いを強く打ち出し、公務員などとは別に議員立法として制定されたのであり、独立した企業として当然であるし、一般企業でも、企業年金制度を設けたりして使働者の定着をはかっている、これが公務員の場合と違う点ではなかろうか。  同時に、その意味からも、同じ公企体法適用を受けていても企業が異なる、こういうことで、たとえば国鉄から電通あるいは専売、この間においても全然通算しない。さらに国鉄から公務員となっても通算制度がない。加えまして、公務員地方公務員との場合は、別々の法律でもこれを通算している、こういう点等から考えても、さらに厚生年金等は、どこの会社に移ってもその保険期間は全部通算している、こういう点等を無視しては困る、こういうふうに私たち考えるわけでございますが、このような歴史的な経過並びに今日の公務員地方公務員との通算関係、あるいは厚生年金等の他会社へ移転しても通算する、そういう点等公企体関係は特異な立場だということについて、国鉄部長としてはどういうふうな御理解をされているか、お伺いしたいと思います。
  10. 住田正二

    住田(正)政府委員 三公社職員国家公務員になった場合とか、あるいはよその三公社同士の間で異動した場合に、通算制度がないということは御指摘のとおりでありますが、確かにその点非常に大きな問題であるわけでございますけれども現状では三公社の中で行ったり来たりするという例はあまりございませんし、現在国から国鉄へ、運輸省から国鉄のほうへ職員を派遣するということもほとんど例外の状態でございますので、今後できるだけ国と公社、あるいは公社間の交流をはかったほうがいいのではないかというような考え方もありますので、その一環といたしまして、次の改正機会までにいま御指摘の点についての改正を検討いたしたいと考えております。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 さらに私は、いま部長が前向きの姿勢で取り組むということでございますが、これはぜひひとつそのようにしてがんばっていただきたい。  それから、同時に、たとえば財源率問題でございますけれども公務員等の場合においては、実際に年金額平均して国鉄よりも高い。ところが、掛け金率公務員の場合は千分の百五であり、国鉄は千分の百十七、こういうふうにして、公的年金制度の中では一番高い掛け金になっておりますが、もし部長の言われるように、このような調整という意味において、現行制度よりも後退するような形は私たち理解ができない。しからば、いまのこのような公務員とたとえば国鉄職員比較でありますけれども財源率点等についても調整をされるような意向があるのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  12. 住田正二

    住田(正)政府委員 財源率問題につきましては、確かに御指摘のとおり、現在国鉄が一番高いわけでございます。しかも、今後国鉄再建計画を進めてまいりますと、当然合理化が進んでいく。そういたしますと、国鉄職員年金受給者とのバランスといいますか、国鉄現役職員一人が負担する年金受給者の比率がだんだん高まってくるわけでございます。現在年金受給者が約二十二、三万、それに対しまして国鉄職員が四十二、三万でございますので、大体二人に一人の割合になっております。これが今後合理化等が進みますと、一対一まではいかないにいたしましても、国鉄現役職員が負担する負担率負担割合というものは非常に高まってくるわけでございます。そういたしますと、勢い財源率のほうも高くならざるを得ないという傾向にあるわけでございます。しかし、国鉄職員だけが他の専売電電等の二公社よりも高い掛け金率を負担しなければいかぬ、あるいは国家公務員比較いたしまして特に国鉄が非常に高くなるということは非常に問題ではないかというように考えております。したがって、私どもといたしましては、一応五十年に予定いたしております再計算の時期までに、国鉄負担率が非常に高くなる場合にはどういう措置をとったらいいか、これから検討を進めていきたいと思っているわけでございます。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 一般的にこの国鉄関係は非常に恵まれている、特にまた公企体法というのが一般的に公務員よりも制度上有利だというふうにいわれておるわけですが、実際の年金額というものを見てみますと、三十年勤続の場合、公務員の場合は九十六万。国鉄の場合は七十六万。これは若干の基本給の違いにもよるわけでございますが、たとえば九万円で勤続三十年の場合、今度の改正方式による年金比較は、厚生年金適用方式によると六十八万四千円、共済国鉄関係の三公社の場合によると五十九万四千円、これでもうすでに九万円の差があります。また、十万円の場合を例にとりましても、厚年適用によりますと七十二万、共済によると六十六万、こういうふうに結果において非常に金額の差がある。また、先ほど申し上げましたような、制度上有利といわれても、現実的にはこのような、三十年勤続で二十万も格差があるということは、これは私たち理解ができない。そうした場合に、部長が強調されている調整という努力によってこのような格差が解消できるのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  14. 住田正二

    住田(正)政府委員 先ほど申し上げましたように、国家公務員公企体年金制度の間には差があるわけでございまして、その調整は非常にむずかしいわけでございますが、私ども調整をする場合に、制度後退になるというような形で調整をすることは非常にむずかしいのではないかと考えております。したがって、調整をはかるとしても、大体いいほうの制度に近いようなところで調整をしていくことを考えているわけでございますが、そういう調整についても、観念的にこれは後退であるということで反対があるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、制度全体として前進すればそれでいいんじゃないかということで、今後も関係者のほうを説得いたしていきたいというように考えているわけであります。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 三十年勤続で二十万以上の差ということは、これは担当者としても相当努力していただかなければこの改善はむずかしい。ですから、積極的な取り組みを私は強く要請したいと存じます。  最後に、まとめて意見として申し上げるわけでございますが、次に厚生年金との関連で、公企体の場合も通算退職年金方式計算した場合には、その有利な方向によるべきだと、こういう強い主張があるけれども、今回それが取り入れてない。これについてはどういうふうにお考えになるのか、伺いたい。
  16. 住田正二

    住田(正)政府委員 通算退職年金方式というのは、一種の最低保障制度ではないかと考えております。一般公企体年金法適用を受ける場合と、通算退職年金方式適用を受ける場合、これは選択になるわけでございますが――選択といいますか、高いほうをとるということになるわけでございますが、一般的に申し上げて本則でいく場合が有利であるというのが通常の例だと思います。したがって、通常の場合に通算退職年金方式のほうが有利だという例はあまりないのではないかというように考えております。したがって通算退職年金方式が働くのは、最低保障のかわりとして働く場合が非常に多いわけでございまして、最低保障制度につきましては、先ほど来申し上げておりますように、最高制限との関連もございますので、今回その点の調整が十分できなくて、通算退職年金方式採用を見送らざるを得なかったということでございます。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、これにはこういうふうな認識をしているわけです。いわゆる通算退職年金方式採用を今度公務員が取り入れた、これは一面においては、いま申し上げたような最低保障額引き上げの要素を認めるが、勤続三十年ぐらいになりますと、定額年金引き上げという意味でなく、現行制度通算退職年金方式選択であって、どちらか有利なほうの選択制になっている。これはいわば支給率改定に類するものだが、同じ支給率を持つ制度の中で、なぜ公企体にこれを取り入れないのか、これでは同一俸給、同一勤続の場合であっても、公務員よりも公企体が不利になる、これは明らかに法的にも矛盾ではないのか、この点について部長としてはどういうふうな御理解をされているのか。
  18. 住田正二

    住田(正)政府委員 通算退職年金方式採用したほうが有利であるという場合は、私どものほうの計算では、勤続年限が三十年で、基礎俸給が十二万円以下の場合に限られております。したがって三十年勤続いたしまして、基礎俸給が十二万円という例はほとんどないのではないかというように考えております。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 いま最後のところ、ちょっとわかりませんでしたが、三十年勤続以上で十二万円以下というのはいないのじゃないかという意味ですか。ちょっともう一ぺん……。
  20. 住田正二

    住田(正)政府委員 ケースによっていろいろ違うわけでございますが、二十年で十万円、二十五年で十一万一千円、三十年で十二万円、三十五年で十万九千円、これ以上の俸給の場合には本則によったほうが年金額が多いわけでございます。それ以下の場合に限って通算退職年金方式のほうが有利であるということでございまして、したがって三十年勤続して十二万円以下の俸給であるという例はほとんどないのではないかというように見ているわけでございます。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 国鉄のほう、だれか担当者が来ていますか。――来ていますね。いま部長が言われたけれども、おそらく電電あるいは国鉄専売公社の場合でも、三十年以上たちましても十二万円以下の該当者というのは私は相当あると思うのですが、国鉄はどういうふうに理解しているのか。
  22. 清水晋

    清水説明員 先ほど来住田鉄道部長がおっしゃっているとおり、三十年で十二万円以下というのは、そう数はないと思います。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 少数の人といえども法律適用がそういう不公平であってはいけない。だから数が多い少ないじゃなくて、制度そのものが、やはり選択方法は、その当事者の意思によって年金が保障されるということが年金制度本来の使命ではないかと私は思うのです。そのことについて国鉄はどう思いますか。
  24. 清水晋

    清水説明員 おっしゃるとおり、数が少ない多いという問題ではなかろうと思いまして、私ども最低保障問題につきましては、関係各省に何とかこれを実現していただきたく、せっかくいままで努力してまいってきたわけでありますが、先ほどの先生の御質問は、数が多いか少ないかということでございましたので、十二万円以下の者は三十年勤続では数が少ない、かように申し上げた次第でございます。
  25. 兒玉末男

    兒玉委員 鉄道部長にお伺いしますが、ですから数が少なくても、私はやはりその受ける恩恵というのが公平に受けられるようにするのが年金制度の本来の趣旨だと思うが、部長はどうお考えですか。
  26. 住田正二

    住田(正)政府委員 通算退職年金方式の導入につきましては、数が多い少ないにかかわらず、必要な制度は導入する必要があるというように考えているわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、通算退職年金方式というのは最低保障意味を持っているわけでございまして、したがって、最低保障制度を取り入れる場合には、最高制限をどうするとか、あるいは最高支給率公企体の場合には現在制限していないわけでございますけれども、その支給率最高制限を設けるかどうかということの調整をはからないと、やはり最終的に最低保障制度採用に踏み切れなかったということでございまして、制度全体として調整する必要があるということで今回採用しなかったわけでございます。
  27. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、どうしても本人がいわゆる有利なほうを採用できるような方向にぜひひとつ努力してもらいたい。     〔委員長退席佐藤(文)委員長代理着席〕  大きな第三点としては、公務員が、今回の改正によりますと、退職前一年間の平均になりますが、これによって基礎俸給公企体とほとんど同じようになるわけです。違っても一年の昇給分の二分の一ないしは三分の一程度で、国鉄のように昇給率が二・四%、公務員が三・五%以上であれば全く変わらないということになるわけでございます。それでありますならば、今日まで退職手当を三%公務員よりも減額して支給している公企体退職手当公務員と同率で支給すべきだと考えるわけでございますが、この際、公務員共済法改正との関連退職手当法第五条の二を削除すべきだと思うのですが、いわゆる三%削減について、われわれは公務員同様に一〇〇%にすべきだ、こういうように考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  28. 住田正二

    住田(正)政府委員 三公社職員退職手当は、国家公務員の場合と比較いたしまして三%低いわけでございますが、現在の三年平均と三公社最終俸給との差がどれくらいあるか、計算は非常にむずかしいわけでございますけれども現状ではやはり一〇%近い差があるのではないか。かりに退職手当を三%減らされても、最終俸給年金をもらうほうが一〇%ぐらい有利ではないかというように見ているわけでございます。今回、一年平均に変わったわけでございますが、一年平均の場合に、それでは何%が妥当であるかということになると、計算が非常にむずかしいわけでございます。計算方法といたしましては、これから何年ぐらい一般に生きられるであろうかとか、あるいは今後毎年年金改定がどれくらいの率で行なわれるであろうかというような予測をしなければならないわけでございまして、そういう予測をすることは非常に困難であるということ、また、やめた時期によって差があるわけでございまして、早くやめた方とおそくやめた方の間では率が変わってくるというようなことで、確かに、三年平均から一年平均に戻す場合には何らかの措置をとる必要があるということでございますが、それでは、三%を二%にしたらいいのか、一%にしたらいいのか、そういう計算が非常にむずかしいために今回見送ったという経緯でございます。  ただ、私どもといたしましては、年金基礎俸給の額について、今回国家公務員が一年平均になる。で、公企体職員最終俸給ということで、その間の調整をはかって、できればこの三%の削減率をやめたいというように考え調整をはかってきたわけでございますけれども、やはり三公社組合関係のほうでは、俸給額調整ということによるマイナスよりも退職手当をそのままにしたマイナスのほうが少ないという御判断だと思いますけれども、現在の年金基礎俸給調整ということについては、なかなか難色を示しておるわけでございますので、そういう点から申し上げても三%程度の差というものは残っているのではないかというように見ているわけでございます。
  29. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、部長認識が、この公企体関係が、いわゆる年金基礎となる退職時の基本給というものが、あたかも特別に昇給をされているのではないか、そのことが一般公務員と差があるという発言に受け取れるわけでございますが、私は、今日のようなことを三公社がやっているとは思わないのです。しかも本来の職務内容その他経験あるいは実績等を含めても、しかも全組合員がかなり高率の掛け金をかけている、そういう点等から、絶えず三公社の場合においても、なかんずく国鉄の場合等においても、財源確保ということについては非常な努力をしているのではないか、この点はやはり十分認識しなければ、公務員一〇〇%、三%の削減ということは、どうしても気持ちとしても、また実際に高い掛け金をかげながら絶えず財源確保努力しているという立場から考えた場合に、いまの部長理解ではわれわれは納得できない、こういうように考えるわけでございますが、この際特に国鉄側としての三公社を代表した立場から見解を承りたいと思います。
  30. 清水晋

    清水説明員 お答え申し上げます。  私どもは、いろいろ運輸省あるいは大蔵省にお願いする立場でございますので、この問題につきましてもいろいろお願いを続けてまいってきております。先ほど、若干考え方が違うかと思いますけれども現状では一〇%の差があるのではなかろうかというような鉄道部長の御発言でございましたけれども、私どもはこのような差があるとは認識いたしておりません。  いずれにいたしましても、退職俸給国家公務員が従来三カ年平均という差がございましたのを一年平均ということに変わってまいりましたので、近い機会に何らかのこれに見合う措置をとっていただきたい。先ほど先生がおっしゃいましたように、公務員退職手当法の第五条の二を修正していただきたいという気持ちは強く持っております。今後もこの努力は続けてまいりたいと思っております。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 いま国鉄のほうから答弁がありましたように、やはり運輸省当局としてもいまのような姿勢考え方というものをぜひひとつ改善の目標として努力していただきたいということを強く部長に要望したいと思います。  次に、大蔵省の方、お見えでございますか。――年金財源の国庫負担分について、これは特に三公社でございますが、これはやはり完全に国の負担にすべきだ、こういうように改善すべきだと思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  32. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 共済年金に対する国庫負担の問題につきましては、国の場合は、経済の主体である国という立場で一五%の国庫負担をいたしておるわけでございますが、公企体の場合におきましても、国と同様の公経済の主体としての活動をなしている公共企業体でございますので、同様に、国と同じような立場で公経済の主体としての負担をなしてしかるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に、部長にお伺いしたいわけですが、いままで最低保障制度あるいは厚生年金等通算年金制度選択問題、それからいわゆる退職手当の三%削減をやめて公務員と同様にすべきだという点、それから最後共済年金のスライドということが、いわゆる年金受給者の切実な願いであり、今日のように非常に物価が不安定な時代において、年金の持つ意味というものを、やはり私たちはスライドの実施の時期というものをもう少し早めてしかるべきじゃないか。厚生年金等においては三カ月繰り上げ、こういうことが巷間いわれておりますが、公企体等の場合においても、このようないわゆる繰り上げの時期を、三カ月程度繰り上げ実施をすべきじゃないか。これについてどういうふうに考えておるのか伺いたい。
  34. 住田正二

    住田(正)政府委員 現在国会に提案いたしております公企体年金改正法の附則の四条で、厚生年金につきましては物価スライド制があるわけでございますが、厚生年金のほうで物価スライド制をとった場合には、公企体年金についても、厚生年金のほうで措置がとられた月以降政令で年金額について改定をすることができるという規定を入れたわけでございますので、厚生年金のほうで物価スライド制がとられた場合には、自動的に公企体年金についてもスライド制がとられるということになるわけでございます。
  35. 兒玉末男

    兒玉委員 国鉄にお伺いしたいわけですが、実質的に、一般の受給者の要望は三カ月程度の繰り上げを実施すべきである、こういうふうな要望が強いわけでございますが、運輸省当局並びに国鉄のほうの見解を承りたい。
  36. 住田正二

    住田(正)政府委員 ただいまの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、厚生年金とのバランスをはかることになると思いますので、やはり政府全体の問題ではないかと思います。したがって、今後関係者との間でいろいろ相談をいたしたいというように考えております。
  37. 兒玉末男

    兒玉委員 年金関係はこれで終わりますので、けっこうでございます。  次に、運輸行政の問題で若干伺いたいと存じます。特に、最近の都心における公共交通が非常に混雑をしている。やはり市民の足、国民の足を十分に確保するという立場から、路面交通における交通のいわゆる整理といいますか、特にバス専用道路における専用レーン設定の問題、それから路面電車における軌道区間の通行の禁止、さらに通勤通学等のいわゆる特定地域内へのマイカーの乗り入れの規制、さらにタクシー専用レーン等の設置の問題、さらに全般的な交通が混雑する地域へのマイカーの規制等の強化、こういうことを通して、私は路面交通におけるところの交通の維持ということを、この際強く推進していくべきだと思うのですが、どういうふうな対策を今日考えておるのか、第一点としてお伺いしたいと思います。
  38. 中村大造

    中村(大)政府委員 自動車交通を中心にして御答弁申し上げますけれども、先生御指摘のように、大都市における庶民の足を確保するということのためには、公共交通機関の整備をいたしまして、それの運行を確保するということが、これはもう絶対の条件であり、また最近はその要請が非常に強くなっておることは確かでございます。  いろいろな方法があるわけでございまして、そういう方法を総合的に実施する必要があるわけでございますけれども、先生御指摘のように、たとえばバスにつきまして、せっかくバスの輸送力が量的にはございましても、それが実際に正規の運行ができないために、公共交通機関としての使命が達成できないという事態が従来からあったわけでございますけれども、私どもとしては、従来からバスの運行を確保するために、専用レーンとかあるいは優先レーンというものの設定について、強く要望をしてきたわけでございます。この点は、最近警察庁をはじめとして、関係官庁が非常に積極的に推進をしていただいておるわけでございまして、専用レーンとかあるいは優先レーンの設置数というものは相当増加してきておるわけでございます。私どもは、この点については今後ともこれを強力に、また効果的に進めていくように、関係官庁とも十分に思想統一をいたしまして進めてまいりたいと思うわけでございます。  それから、全般的に大都市内にマイカーを規制すべきだという議論でございますけれども、これは一般論としては、私ども全くそのとおりだと思っております。ただ、これの実施方法につきましては、先般来からたびたび申し上げておりますように、非常にむずかしい問題がございます。マイカーと申しましても、その中にはほんとうに抑制していいものと、また抑制すべきではないもの、いろいろございます。そういうものをどのようにして識別するかという具体的な問題から、現実にそれを規制する方法、あるいはそれに違反したものについて処罰する、そういう一連のいろいろな方法考えますと、なかなかむずかしい問題でございます。たとえば重量税等について、四十九年度からいわゆる事業用と自家用について差を設けることになるわけでございますが、こういう措置が自家用車と営業用、公共用の輸送機関との間で、どのように変化をもたらすかということについては、私ども重大な関心を持ち、またその推移を慎重に見守って、いろいろ今後とも有効な手を打つ参考にいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  39. 兒玉末男

    兒玉委員 警察庁のほう……。
  40. 久本礼一

    ○久本説明員 警察庁の立場から申し上げたいと思います。  バス優先の問題でございますが、最近の都市交通の過密状態から申しまして、都市交通問題を解決する一環として、いわゆるマイカーを、輸送効率の高いバスを中心にした都市交通の形に持っていこうということは、現在非常に重要な課題ではないか。この一環として、警察といたしましても交通規制の手段によって極力バスの都市交通の中における効率的な運行をはかり、マイカーから大量交通機関に移ってもらうような措置を講じていくということは、現在私どもが特に力を入れて進めているところでございます。  具体的には、バスの専用レーン等を設けまして、一般の車両をある程度押え込んでも、バスを効果的に動かしていくということであろうと思いますが、この点につきましては、ここ一、二年来強力にその推進を督励しているところでございまして、その実数は相当ふえているところでございますが、なおより強力な指導をいたしていきたいというふうに考えます。具体的には、いままでは極力他の交通には支障のないような形で、バスを優先させるという考えでございましたが、むしろほかの交通に支障があってもある程度バスは優先的に通すという形で、移しかえを促進すべきではないかという形に考え方を進めまして、そういうような効果的なバス優先というものをできるだけ進めたい。また、現実にあるバス優先扱いにつきましても、レーンの優先化から専用化といったような、内容的な強化も含めまして、この点の推進をはかってまいりたいという考えでございます。
  41. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸省並びに警察庁にお伺いします。現在、私の郷里の都城でありますが、国道十号線をかなり以前に拡幅したわけでございますけれども、トラック等の大型化により、また交通量の非常な増加によって、いま警察庁が答弁されましたように、バスの運行が非常に重大な支障を来たしておる。しかも交通事故も非常に多い。これは単に一地域ではなくして、全国的な傾向だと思うのですが、今後市民の足であるバス専用レーン等の設定について、どういうふうな具体的な計画を持っておるのか、また、いままですでに実施しているレーンはどうなっておるのか、そういうようなことについて、あとでひとつ資料として出していただきたい、これを要望します。  次に、これは国鉄、民鉄を問わずでありますが、特に相互乗り入れあるいは共通区間の利用者の利便を確保するという立場から、共通の乗車券あるいは共通の通学通勤等の定期乗車券、こういうような運営の一元化をはかるための機構の設立ということは、今日なかんずく都市交通においてきわめて重要な問題ではないかと思うのですが、このような共通乗車券なりあるいは定期乗車券等の一元化の問題について、現在どういうふうな取り組みをし、今後の解決策としてどうしようとしておるのか、特に利用者からの強い要請の出ている問題でございますが、交通行政の一環として、運輸省当局の見解を承りたい。
  42. 住田正二

    住田(正)政府委員 国鉄の運賃の決定原則と、私鉄の運賃の決定原則とはかなり差があるわけでございます。国鉄は、御承知のように全国的に鉄道網を経営するという立場から運賃を決定いたしておるわけでございますが、それに対しまして私鉄のほうは、一地区、一地方の交通の経営でございますので、一地方の交通の経営という面から運賃がきめられておる。この結果、御承知のように国鉄の運賃と私鉄の運賃とは同じ区域をとりましても大幅に違っている現状でございます。したがって、こういう現状から申し上げますと、国鉄運賃と私鉄運賃との間で共通の乗車券あるいは定期券を発行するということは、非常にむずかしい面があるわけでございます。しかし、いま御指摘のございましたように、利用者の立場からいたしますと、国鉄、私鉄を利用する場合にそれぞれ別の料金を払わなければいけない。特に最近は都市交通網が非常に整備されておりまして、一つの場所から他の場所へ行く場合に、複数の企業体が経営している交通機関を使わざるを得ないという点からいいますと、利用者の面からの要望として共通の切符あるいは定期券を売ってもらいたいというのは、当然の要望だと思います。しかし、いま申し上げましたような問題もあり、現在いろいろ検討を重ねている段階でございますが、問題としては非常にむずかしいということでございます。
  43. 兒玉末男

    兒玉委員 民鉄部長いかがですか。
  44. 中村四郎

    中村説明員 先生御質問の国私鉄間の共通乗車券なりあるいは定期券の発行という問題につきましては、国鉄なり私鉄の性格の相違からまいる、ただいま国鉄部長の申し上げたような事情があるわけでありますが、私どものほうといたしましては、私鉄の中でそういうことができないかということを検討しておるわけでありまして、現在東京都内の地下鉄の整備を急速に行なうということで、帝都高速度交通営団と東京都という二つが主体になっておりますが、これらの間におきましては、経営体の収支その他の事情が異なりますが、併算割引制度で普通運賃なり定期の共通制への一歩を進めるという方向を取りつつありますが、さらにこの事情を検討いたしまして前向きに進みたい、かような考え方でおります。
  45. 兒玉末男

    兒玉委員 国鉄当局はどうですか。
  46. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 ただいま国鉄部長、民鉄部長から御答弁があったとおりでございまして、先ほど先生の御指摘のとおり、利用者の側からいえば、確かに一つの切符であらゆるといいますか、幾つかの交通機関を共通に使えるというのは、まことに便利であり、またそういう要望も私ども耳にいたしております。非常に重要なことだ、かように存じておりますが、ただいまの御答弁にもございましたように、いろいろな経営主体が違うということからくる問題がございますので、利用者の声を実現するにどうしたらいいか、さらに時間をかしていただいて検討さしていただきたいと思います。
  47. 兒玉末男

    兒玉委員 国鉄、民鉄それぞれ経営の主体が違うわけでございますけれども国鉄部長としては、特に運輸省の立場から、このような機構の整備のためにひとつ全力を尽くして市民の期待にこたえてもらいたいという点を強く要望します。  次に、新聞にも載っていましたが、今度四月に国鉄のダイヤ改正が行なわれます。これは特に九州関係は延期になったようでございますが、さらに博多までの新幹線開通によって大幅なダイヤ改正になるわけですが、いままで私たちが各地域においていろいろ苦情として受けとめていることは、なかなか利用者の意思というものがダイヤ改正に反映されない、こういうことが、いずこの場合においても苦情として出されているわけでございますが、今回四月の場合は一応やむを得ないとして、少なくとも博多の新幹線開通を転機として、十分に利用者の意思がダイヤ改正に反映されるように、ひとつ格段の配慮を国鉄はすべきだと思うのですが、利用者の意見は現在どういう形でくみ取られてダイヤ改正の面に反映されているのか、これらの点について国鉄当局の見解を承りたい。
  48. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 ダイヤ改正についての御指摘でございます。先生の御指摘のとおり、利用者の御便利になるようなダイヤをつくるということが一番重要な点でございます。利用者の方々の御便宜を計らうためにどうしたらいいかということでございますが、従来も私どもといたしましては、駅長あるいは駅長から管理局のほうへということで地元の方々のいろいろな御意見を伺いまして吸収いたしております。具体的には、どこの学校が何時からに授業時間が変わったというようなこととか、そういう事情は駅長がよくつまびらかにするわけでございます。そういう意見を局のほうに具申をしてまいる、あるいは口頭で言ってまいるということで、各地の御利用者の声というものを具体的には吸収しつつ、ダイヤを事あるごとに改正してきておるというのが現状でございます。また、今後につきましても、そのようなわけでございますので、さらに十分に利用者の方々、これもいろいろ地域によりまして、あるいはまた遠距離、近距離、いろいろございます。先ほどの先生の御指摘は長距離の例かと思うのでございますが、すべて万般にわたりまして、十分にそのようなことで利用者の方々の御意見といいますか声を吸収して、御便宜を計らってまいりたいと思います。
  49. 兒玉末男

    兒玉委員 特に、ダイヤ改正では、接続関係でも非常に極端な例でありますけれども、たとえば一分ないし三分で最終列車に接続できない。あるいは九州方面からの急行で岡山の新幹線の乗り継ぎでも、一分ないし三分で接続できない。こういうふうな問題は、新幹線の時間は変更できないにしましても、ローカル急行等の場合には二分、三分程度の繰り上げということは不可能ではない。そういう点、もう少し利用者の立場を考えるならば、その辺の接続関係についても、この際年末の九州全般のダイヤ改正に向けて、いまからひとつ十分意思が反映できるように、そういうふうな一分ないし三分程度のことで接続できないようなダイヤを組まないように、ひとつ慎重な配慮で利用者の利便に最重点を置いたダイヤ改正に全力を尽くしていただきたいと要望します。
  50. 柳井乃武夫

    ○柳井説明員 御指摘のとおり、新幹線の接続につきましては、さらに重点を置きまして御便宜を計らうようにしたいと思います。
  51. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が参りましたので、最後に自動車局長と通産省のほうにお伺いしたいわけでございますが、これは昨年末からの石油類の危機によって公共交通の燃料は、いわゆる石油需給適正化法に基づきまして優先一類にされているわけでございますが、やはり今日の陸上交通を担当する自動車部門の使命というものはきわめて重いわけでありまして、この優先一類の適用を除外すべきではないか、このように考えているわけですが、自動車局長並びに通産省の見解を承りたいと思います。
  52. 中村大造

    中村(大)政府委員 いわゆる公共交通機関用の燃料につきましては、これを最優先的に確保するというのが私ども姿勢でございますし、また政府全体といたしましても、公共交通機関については、その中でもいろいろ程度はございますけれども、必要なものについては必要な量を確保するというのが、現在までとられてきておる姿勢でございます。現在の問題といたしまして、いわゆる現在一類にランクされております業種につきましては、一類と申しますのは、要するに昨年の実績を一〇〇%確保するということでございますので、私ども現実の問題として、一類にランクされておって、それで総量として燃料の需給に非常な困難を感ずるということはないわけでございます。これは燃料事情の全体の見込み、それに対する今後の政府全体としての方針にかかわる問題でございますけれども、私どもとしては、要するに公共交通機関、その中でも特に必要な機関については、これはもう必要なものは一〇〇%確保という姿勢でおりますし、また現実に、その点については現在要望が満たされておるというふうに申し上げていいのではないかと思っております。問題は、現在一類にランクされておりません業種がまだ運輸事業の中にもあるわけでございますけれども、こういう問題について今後どうするかということがむしろ問題ではないかというふうに思っております。
  53. 渡辺全侊

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  まず基本的な考え方でございますが、御指摘にございましたように、いまの需給適正化法は、御承知の緊急事態のもとにおきまして、実際問題としまして、毎月ごとに必要な規制を行なっておるわけでございます。したがいまして、基本的なものの考え方といたしましては、周囲の内外の情勢の変化に応じまして、これを不必要に固執をすることなく変えるべきであるということはあろうかと思っております。  ただ、最近の状態でございますが、御承知のように、昨月の十八日に、対外的な関係におきましても、OAPECの石油相会議がウィーンでございまして、いわゆる対米禁輸を解く、あるいは昨年九月水準に対しまして一五%カットをするといったことはやめるといったようなことがきまったように伝えられておりますし、私どもそのように承知をしておりますが、実際この加入国が生産を九月の水準に回復するか、あるいはするといたしましてもその後の必要な増産をするかといったことにつきましては、まだいわば注視をする必要があろうかといったような状態でございます。その他御承知のように海外の問題につきましてはなお流動的でございます。  また、国内につきましても、過般石油製品の必要な値上げをいたしたしたので、その影響等がどうなりますか、これから詳細に注意深く把握をしていく必要がある段階になっております。したがいまして、この四月、当面の問題等につきましては、政府ベースでもなお事態が流動的であるので、これを見守りながら、規制面等については三月の規制を引き続き継続を実施する、こういうように相なった次第でございます。  それで、御質問の需要節減の関係の業種の分類でございますが、先ほど冒頭に申し上げましたような、基本的な考え方といたしましては、必要な内外の客観情勢の変化等によりまして、これをいたずらに墨守するということはとるべきでなかろうと思っております。しかしながら、現在の事態がそのようでございますし、政府ベースにおきましてもそのような決定を見ておるといったことが一つございます。また、現在の実態といたしましても、先ほど関係所管省からお答えがございましたように、実際の個々の実需等につきましては、そう大きな摩擦的な現象もないのではなかろうかと、このように思っておるわけでございます。  いまの需要節減の業種区分の構成でございますが、御指摘のございました、適用除外といいまして、必要最小限の量はどうぞお使いくださいといった業種には、基本的には二つのものが含まれております。一つは、いわゆる国民の生命なり財産に直接関連いたします、水道の関係あるいは保安、保守の関係、あるいは火葬場であるとか、そうした基本的な国民の生命、財産に関係するものが含まれております。それからもう一つは、石油以外のエネルギーあるいは熱関係の供給事業に対する油の供給といったものが含まれておるわけでございます。御指摘のバス等の公共運輸機関等につきましては、いわゆる二類ということになっておりまして、前年同月並みというのが現在の需要節減のものの考え方でございますが、さしあたりはこの形で実際上の不自由はあまりなかろうではないかというふうに、目下認識をしておる次第でございます。  しかしながら、過般来閣議等で基本方針を御決定いただきました場合におきましても、公共輸送機関の輸送力の確保といった問題につきましては、特段の配慮をすべきことになっておりますし、その適切な必要量の確保といった点につきましては、一般原則は原則ですが、たとえば個々の公共輸送機関の輸送力の増強等の事態が別途事後に生ずるといったようなことがございましたらば、これは直ちに関係省と御協議をして適切な措置を講じたいというようなものの考え方をしてきてまいっておりますので、関係省とも御相談の上、個別にいろいろまたお話がございますれば、十分これは協議をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  54. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  55. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 金瀬俊雄君。
  56. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は、最初に海洋汚染、主として港湾関係の油流出事故等についての御質問を申し上げます。  第一点は、港湾の区域内に発生した油事故の取り締まり等の責任は、港湾管理者にあるのか、あるいは海上保安庁にあるのか、どこにあるのかということについて御答弁願いたいと思います。
  57. 佐原亨

    ○佐原政府委員 お答えいたします。  海上保安庁は、庁法の一条に基づきまして、海洋の汚染によって海上において人命、財産に危険が及ぶあるいは及ぶおそれがあるような場合、当然この危険を排除するために必要な措置を講ずる責務を持っております。港則法にも、御存じのとおり、みだりに汚染してはならないという規定がございますので、当然その取り締まりは当庁が行なうたてまえになっております。  ただ、前国会での港湾法の改正によりまして、港湾管理者が港湾区域あるいはその管理する施設を良好な状態に維持するため、業務の一環といたしまして、港湾区域内の水域の清掃その他汚染の防除を行なうようになりました。それから、あわせて運輸省設置法の改正によりまして、運輸省港湾建設局も汚染の防除に関する事業を実施するようなことになりました。  海上保安庁と港湾当局との関係でございますが、海上保安庁はあくまでも警察的な立場から緊急事態に対処する防除の方法、それから港湾管理者は日常の清掃という観点から汚染の防除を行なう、このような関係に立っておると御了解いただきたいと思います。
  58. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いま聞いてみると、港湾管理者と港湾局と海上保安庁と、この三者で共同でいろいろ作業をするわけですね。緊急の場合は海上保安庁、平素は港湾局とか港湾管理者がやる、こういうことですが、たとえば岸壁の中、いわゆる工場から岸壁を通じて油が港湾の中に流れ出したとか、あるいは港湾の外、港の囲いの外でも港湾区域になっていますね、そういうところで油事故があったとか、いろいろな場合が想定されますね。そうしたことについて保安庁とそれから管理者と港湾局で、何か法律に基づいてのいろいろな調整とか話し合いとか、こういうときにはこっちがやるとか、こういうときにはこっちがやるとかという話し合いがいままでに行なわれたかどうか。
  59. 佐原亨

    ○佐原政府委員 ある意味で重複しているような法律制度になっております。それで話し合い――別にはっきりした文書の協定はございませんけれども、同じ運輸省部内でございますので、当庁と港湾局当局では話し合いが行なわれております。先ほどから申しましたように、あくまでも海上保安庁は緊急事態に対処する警察的な業務をやる、港湾局は日常の清掃をやるということで、具体的に港の中で岸壁あるいは工場から油が流れて、ある意味の危険が及んだような場合は、当然当庁がまずまっ先に出ていくことになっております。  ただ、現実には港湾管理者以外にも、船舶所有者とか、あるいは石油を管理する業者、こういった関係者が一ぱいおりますので、港ごとにいろんな対策協議会というのを設けまして、油が流れたときにどういうような仕組みでその防除作業をやるかというようなことを、常日ごろからきめておりまして、訓練も行なっておる、こういうふうに御承知いただきたいと思います。
  60. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題について、港湾局は、各県の港湾管理者に、今度港湾の中でこういう油の流出事故が起きた場合は、どういうふうに海上保安庁との間の協議が整っておるとか、そういうことについて何か連絡を出したことはございますか。
  61. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 ただいま保安庁長官から御答弁申し上げましたように、昨年の港湾法の改正によりまして、港湾管理者の業務といたしまして、港湾区域内を良好な状態に保つために、漂流物、廃船その他船舶航行に支障を及ぼすおそれがあるものの除去とか、港湾区域内の水域の清掃その他汚染の防除を新たに港湾管理者の業務としてつけ加えたわけでございます。こよによりまして、港湾管理者といたしましては、自己の管理する港湾の機能を良好に維持しなければならないということになったわけでございまして、御指摘のような関係機関との協議を十分行なうようにということは指導しておるわけでございます。
  62. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この点については、各県の港湾管理者というのは、港湾の中の油事故が起きた場合の処理ということについて、どの範囲まで自分が責任を負うべきか、どの範囲が海上保安庁が責任を負うべきかということについて、明確な判断ができなくて困っている管理者もおるわけですよ。そういうことに対して、こういうふうに海上保安庁と話しがついたとか、こういう協議内容になっておるということを通達したことがございますか。
  63. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 港湾管理者が港湾区域内における海洋汚染防除についてどのように対処するかということにつきましては、先ほど保安庁長官から申されましたとおり、日常的なよごれというものを当面の対象とするのだというように考えております。そのような考え方港湾管理者としての体制を整備するよう指導しているところでございます。
  64. 金瀬俊雄

    金瀬委員 ふだんそういうことを指導していますか。公文書か何かでそういう通達を各県に出してありますか。たとえば緊急事態とか、それから警察権を使用して調べなければわからないときは海上保安庁だ、平素のよごれというのは港湾管理者がやるとか、そういう仕事の分担とか責任の範囲というのは、通知を各県に出してありますか。
  65. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 特に文書をもってその点を指示はいたしておりませんが、港湾法の改正の趣旨というものは十分伝えておるというように考えております。
  66. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは港湾法を送ればいいということじゃなくて、港湾法の説明会を開くとか、それだけで十分であるということは考えられないと思うんですよ。だから海上保安庁はこういう話になっているとか、あるいは他の機関とはこういうふうな連絡方法をとるとか、いろいろ港湾局のほうで港湾管理者のほうへひとつはっきり公文書で出していただきたい、そういうふうに考えています。  それから第四点は、港湾区域内に油が流れた場合に、それを清掃する費用というのは、これは原因者がわかっているときはいいけれども、わからなかった場合はだれが出すのですか。
  67. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 原因者が明らかな場合は当然原因者でございますが、原因者が究明できない、したがって当該防除作業そのものを港湾管理者のほうで実施した場合には、現在のところ、それを制度的に補てんをするという道はございません。
  68. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはまたあとで出てまいりますのでその程度にしまして、第五点として、去年、海の記念日の問題を質問いたしましたが、ことしは海の記念日にはどういうような仕事をするように計画をしておるか、内容がわかりましたら御発表願いたいと思います。
  69. 栗林貞一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  官房といたしましては、ことしの海の記念日、あるいは海の旬間ということで去年はやったわけでございますけれども、その問題をどういうふうにやっていくか、現在、事務的に検討いたしておる段階でございまして、運輸省としてまだこういう具体的な内容をやるというところまではいっておりませんが、私ども事務的な段階では、昨年やりましたものを一応基盤にいたしまして、PRとかその他海上安全、それから海洋汚染防止、それと海事思想の普及といったようなことを柱にしながらやっていきたいというふうに考えております。
  70. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは予算はどのくらいありますか。
  71. 栗林貞一

    ○栗林説明員 これは民間団体が、予算といいますか経費を出し合ってやるということでございますので、その辺のところはまだ固まっておりません。
  72. 金瀬俊雄

    金瀬委員 去年、私が海の記念日のことについて質問したときに、来年は予算を組んで大々的にやるということを原田審議官が約束しているんだよ。ことしはどのくらい予算を組んでいるのか、一銭もないのかあるのか、民間にたよるということであれば、どこにたよるのか、それをはっきり言ってみてください。そうでしょう、去年、ここの答弁で、予算を組みますと言っている。ことしもまた民間団体から金をもらってやるということでしょう、いまのあなたの答弁だと。どこからもらってどういうふうにするのか、はっきりしてください。
  73. 栗林貞一

    ○栗林説明員 海の旬間という名目で国の予算として幾らということは、そういう項あるいは目といったかっこうではございません。それは現在、各局、官房などで取れている予算をいま整理しております。  それから、民間でといいますのは、民間からもらって国がどうするということじゃございませんで、主催団体あるいは協力団体ということで、現実にどういうふうな姿で協力してやっていただけるかということについて、現在折衝をしているというふうな段階でございます。
  74. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、現在どんな折衝をしているのか、あなたは折衝していると言ったから。
  75. 栗林貞一

    ○栗林説明員 昨年でございますと、たとえば船舶振興会でございますとか海事財団でございますとか、そのほか業界の関係団体などに働きかけていろいろ行事をやったわけでございますが、そういうところとことしもどんなかっこうで協力できるかということについて、役所側からも働きかけておるというふうなことでございます。金瀬委員 去年海の記念日でやったことは、船舶振興会から金をもらって、あるいはそれに指示して、きれいなポスターをつくって、各漁業組合とかあるいは駅とかいろいろ張りましたよね。そのことについてはある程度効果があったというふうに考えていいと思うのですよ。ところが、国のほうは何をやったかということですよ。船舶振興会とかそういうところに予算をとらしてこういうことをやる。それも悪いとは言いませんよ。悪いとは言わないが、この前の質問のときに 国が責任をもってやりますとはっきり答えているんだよ。予算を組みますと言っているんだ。だからこのことについて一千万組んだとか二千万組んだとか、あるいは三千万組んだとか、どうなっているかということです。組んでなければ組んでないということをはっきり言っていいんですよ。あなたのほうはあとで方々から寄せ集めてやりますというのか。
  76. 栗林貞一

    ○栗林説明員 国としてやりましたことは、たとえば海上保安庁では現場で海の旬間を中心にしていろいろな行事をやる、あるいは地方の海運局におきましては、海上安全の指導でございますとかあるいはPRでございますとか、そういうことを去年も現実にやっておりますし、ことしもやろうといたしております。したがいまして、予算といたしましては、海の旬間のために幾らというふうなものではございませんで、それぞれの船舶の行動の経費とかそういうものに含まれておるわけでございまして、いまここですぐこの項目で幾らというふうなことは申し上げにくいわけでございますが、それぞれに含まれておって、私どもはそれを全体としていま計画をつくりつつあるという段階でございます。
  77. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたの答弁は去年とぴったり同じだよ。去年も、それぞれの各課にあるから、各局にあるから、それでやってますというのとぴったり同じですよ。去年そのことについて質問したら、今度は別ワクでちゃんとつくって、こういう行事のために、海洋汚染防止のために積極的に行事をやって、海事思想の普及とかあるいは安全とか海洋汚濁とか、そういうことについての積極的な施策をやりますということを約束しておるのですよ。ですから、あなたの言うように、各局に予算が組んであるとすれば、ひとつあとで資料として、どこにどのくらい予算が組んであって、どういう行事をやるということをはっきり出してくれませんか。
  78. 栗林貞一

    ○栗林説明員 先ほど来申し上げておりますように、現在事務的にその辺の計画を実際つくっておるところでございますので、なるべく早い時期に計画をまとめたいと考えております。その時点でいまのお話について提出できるものができればという考えでございます。
  79. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その次に廃油、流れ出してきた油を集めて処理する施設、こういうものが各県にある程度港湾の多いところはできておりますが、その活用の点について御質問申し上げます。  第一点は、そういう廃油施設までの廃油を運ぶ時間がかかり過ぎるということと、もう一つは、処理する費用がかかり過ぎるということで、こういう施設をあまり利用したがらないというふうなことがいわれているけれども、これを活用させるような施策があるかどうか、その点についてお伺いします。
  80. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 先生御指摘のように、廃油処理施設と申しますのは、現在日本の各主要港にはできておりまして、能力的には船舶から発生する廃油の処理を行なうという体制になっております。原則的には、当該廃油処理施設までの廃油の持ち込みと申しますのは、船舶の側で行なわなければならないわけでございます。当該施設の配置等の事情で利用しにくいという実態がある場合もあろうかと考えられます。そういう場合にはどういうふうにして船舶から出る廃油を集めるか、集めて廃油処理施設まで運搬するかという問題があるわけでございます。一部ではそういう廃油処理のための特別の企業がありまして、そういう収集業務をやっているというようなところがございます。これは当該港湾のいろいろな特殊事情もあろうかと思いますので、それに適した体制がとられるように整備されるようはかっていきたいというように考えております。  それから、料金の問題につきましては、現在のところ廃油処理施設の側から見ますと、採算的にはまだ十分でないという面もございますので、適切な廃油処理の料金をどの程度にすべきかということは検討しなければならないと思っておりますが、これを現段階で低廉化を特にはかるということは、実態的には困難かというように考えております。
  81. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この点については、せっかく施設をつくっても、利用するのに費用もかかるし、また非常に不便であるということで利用者が少ないということを聞いておりますので、何か取り締まるとか指導とかいろいろな面でひとつそういうことができるように御考慮願いたい、さように考えております。  それから、その次に海上保安庁長官に御質問申し上げますが、総トン数三百トン未満のタンカー以外の船舶が油を大量に流すことが多いといわれております。近ごろ特に小さな貨物船がたくさん東京湾に入ってきて、石を運ぶとか木材を運ぶとかあるいは鉄鋼を運ぶとか、あるいは鉄材を運ぶとか、事故を起こしておりますが、そうした船のたれ流しを取り締まる方法がございますか、三百トン以下の場合。
  82. 佐原亨

    ○佐原政府委員 御指摘のように、海洋汚染防止法では、タンカー以外の三百トン未満の船のビルジ排出を禁止する規定がございません。したがいまして、現実にはそういった船から、あるいは先生がおっしゃるように、ひそかにたれ流しが行なわれておるようにも考えられますが、この法制自体の問題からまず申し上げますと、実は海洋汚染に関するいろいろな国際条約がございます。国際条約関係では五百トンで線を引いております。それから一九七三年条約ではそれを四百トンまで下げようかというような動き、これはまだ未発効でございますが、そういう動きがございまして、国内現行法ではすでに国際条約を上回った三百トンの線で引いているというような面から、法改正を直ちにするかどうかは慎重にまた検討させていただきたいと思います。  現状のままで取り締まる方法があるかという点でございますが、実は港則法に、みだりに排出してはならないという規定がございまして、港則法は港域の外たしか一万メートルの範囲内まで違反を禁止することができると思いますので、保安庁の勢力のある範囲内で極力そういったものの取り締まりに努力をさせていただきたいと思います。
  83. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それから長官にもう一つお願いですが、ノリの最盛期、いまノリをつくっておるときには、漁民が自分のところの生活を守るために自分たちで非常に監視しています。だから外を通る船も廃油を捨てることを非常に気をつけながら通るから、事故というのは起きても割合に少ないのです。ところが、最盛期を過ぎてしまうと、漁民の事故に対する監視の目が少なくなるわけです、外へ出てませんから。そういうときに油を流すことが多いのですが、この点について、海上保安庁からひとつ積極的に、そういう時期でも海洋汚染防止ということで大いに御努力願いたい、さように御要望申し上げておきます。  その次は、いま海上保安庁は消防艇が非常に少ないといわれていますが、東京湾に何隻くらい就航しているかということをお尋ねしたい。
  84. 佐原亨

    ○佐原政府委員 おっしゃるとおり、確かに東京湾には消防艇が少のうございまして、実は千葉県サイドだけ調べてまいりましたが、千葉県では非常に初期に建造された小さな消防艇が一隻あるだけでございます。四十九年度の予算におきましては、中型消防艇の代替建造を要求いたしまして、全国的な話でございますが、二隻の代替建造、それから一隻新規増、合計三隻の消防艇をつくるわけでございますが、これの配属につきましては、まだ未決定でございます。これから各保安部署の業務の量、質を検討いたしまして、どこに配属するかを決定いたしたいと思っております。そのほか東京湾を受け持って消防活動を行なう消防艇としましては、千葉側の一隻のほか、大型消防艇といいますか、非常にマストの高い「ひりゆう」という消防船と小型の消防艇一隻が横浜に配属されております。これが一応東京湾内を受け持って消火活動をやるような考え方でおります。  なお、民間施設でもって「ひりゆう」と同じようなタイプの「おおたき」という消防艇が一隻ございまして、これも湾内を遊よくして、適宜適切な働きをなす、このような考え方になっております。将来に向かいましては、いろいろ問題がございますので、この面の整備拡充に努力をさしていただきたい、このように考えております。
  85. 金瀬俊雄

    金瀬委員 長官、いま油の精製というのは、大体日本の四割くらいを東京湾の中の工場で精製しているわけですね。したがって、東京湾に入ってくる油を積んだ船の量あるいは出荷する船の量が非常に多いわけでね。それだけに事故が起こりやすいわけです。ですから、いまの海上保安庁の持っている消防艇の能力を越えるような船の数が出ておるわけですから、来年度の予算でできる限り消防艇をふやして、そして事故を防止し、あるいは事故が起きた場合の処理する能力を高めていただきたい、さように強く御要望申し上げておきます。  その次に、近ごろ大島とか館山の沖あたり、たいへん屎尿とかあるいはその他水道の下へたまったかすとか、いろいろなものを捨てるということで、千葉県南部の漁業組合の人たちが集まってそうしたことに対して対策をいろいろ練っているわけです。     〔佐藤(文)委員長代理退席、加藤(六)委員長代理着席〕 いま海上保安庁は大島沖くらいまで取り締まりするような能力といいますか、船があるかどうか、またそういったことをやっているかどうか、そういうことについてお伺いします。
  86. 佐原亨

    ○佐原政府委員 海洋汚染と申しますか、公害の監視、取り締まりの体制といたしまして、全国的に巡視船艇あるいは航空機を使って当庁はやっておりますが、油を流す蓋然性の高い海域、それに次ぐ海域、さらにその外側の海域ということで、重点的に海域を第一海域、第二海域というような分け方をいたしまして、それぞれ航空機なり船艇の行動をきめておるわけでございますが、御質問の館山から大島近海にわたるような範囲は、いまの私の話で言いますと第二海域に相当します。第二海域の取り締まり基準といたしましては、毎日一回航空機を飛ばす、それから常時一隻の巡視船を配備させて哨戒をやらせておる、こういう体制になっております。それで十分かどうか、非常に問題があるところでございますが、限られた勢力でございますので、少なくともその体制は今後とも維持する、さらに事情が許せば一段と強化をはかっていきたい、このように考えております。
  87. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最後に、これは海上保安庁長官に御答弁願うのが適切であるかどうか、どなたでもけっこうですが、こういうことを要望しておきます。  漁業関係者が原因不明の油でたいへん被害を受ける。被害を受けただけでなくて、今度はその清掃費まで自分で負担しているということになりますから、被害者みずからが被害者を救済しているというようなことになるわけです。加害者というのは、大体東京湾に入ってくる船というのは、どこかの工場に油を納入するとか、あるいはそこから製品を出荷するとか、どちらかをやるわけで、そうした船が事故を起こすわけですから、大体加害者というのは臨海工業地帯の工場であり、あるいは工場に出入りしている船であるということがはっきりしているわけですが、実際問題としますと、一つ一つ現場を押えない限りは加害者が逃げてしまう、ですから補償がきまらないというような状況になっているわけですが、そうしたことを防ぐために、国は海洋汚染の防止と漁民救済ということで、原因不明の油流出に対する事故については、国で補償制度なりあるいは救済制度なり、そうしたものをつくることが前から非常に強く叫ばれておりますが、そうしたことについて検討したことがあるかどうか。
  88. 佐原亨

    ○佐原政府委員 私が答弁するのがはたして適当かどうかわかりません。耳に入っておる範囲でお答えをさせていただきたいと思いますが、おっしゃるように、加害者が判明している場合は、当庁が厳重に取り締まりをいたして事後措置を講じておりますが、原因者不明の場合には全くなすところがないわけでございます。漁民の御事情もよくわかります。何らかの対策を講ずべく、実は水産庁を中心にいたしましてこの問題を取り上げつつあるように聞いております。運輸省といたしましてもこれに協力いたしまして、その制度の整備に努力をしておるというふうに聞いております。四十九年度の予算におきましては、この救済のための事務費の一部に要する費用として、約四千万円が水産庁に計上されておるように聞いておりますので、協力いたしまして、前向きにこの制度の実現に努力してまいりたい、このように考えております。
  89. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは港湾局と海上保安庁はけっこうです。  それでは、成田の問題につきまして先に御質問申し上げます。  第一点は、航空需要の予測の見直しを行なっている、その作業が三月の末で終了したということが読売新聞に書いてあります。これによると、たいへん予測が変わってきたということがいわれておりますが、その点について御説明願いたいと思います。
  90. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりました新聞記事は、現在の段階で運輸省航空局事務当局が勉強している過程のものが記事になったものでございます。まだ航空輸送の需要の見通しにつきまして、私どもが省あるいは関係省とも相談をいたしました上で、政府としてはこう思うというような、現在と違った確たる見直しの数字を、自信を持って申し上げる段階には至っておりません。  ただ、今日の航空需要の見通しについて御説明申し上げますと、私どもは昭和四十六年度を初年度といたします空港整備五カ年計画を策定するにあたりまして、当時の時点におきまして、将来の航空旅客需要の見通しを行なったわけでございますけれども、その際、将来の航空輸送というものは、機材の大型化、近代化が大いに進みまして、他の交通機関、たとえば鉄道輸送といったようなものと比較すれば、旅客一人一キロメートル当たりのコストが相対的にだんだん安くなるのであろう。したがって、現在は鉄道を利用しているお客さんも、相対的に安くなるコストを反映して飛行機のほうに流れてくるという傾向があるであろうというような考え方をもとにしておりまして、四十六年度には将来の航空旅客輸送需要を立てております。現在われわれが執行いたしております空港整備五カ年計画というものは、そのような見通じに立ちました数字をもとにして立てられたものでございます。最近の世の中の情勢を新しい材料を加えましていろいろ考えまして、機材の大型化、近代化によって航空輸送の旅客一人一キロメートル当たりのコストが他の交通機関に比べて安くなるであろうという考え方が、はたして正しいかどうかというものを航空局の事務当局でただいま検討中である、これは事実でございます。  さらに、御説明申し上げますならば、御承知のような最近の航空機の騒音に対する施策というものを今後ますます充実しなければならない、われわれはそのように考えております。     〔加藤(六)委員長代理退席、佐藤(孝)委員長代理着席〕 また、その費用をどこに求めるかということにつきましても、今後の検討をまたなければなりませんけれども一般的に申しまして、いわゆるPPP原則ということからいって、航空機の旅客あるいは騒音の発生源を動かしておる航空会社というものが、将来ふえるであろう騒音対策の費用をまかなうのに重要な役割りを占めなければならぬであろうということを考えますと、航空機のそういう費用も含めました上でのお客さんの一人一キロメートル当たりのコストが、他の交通機関に比べて安くなるであろうというような従来の考え方は、はたして正しいかどうかということを私どもはいま考えているわけでございます。  ただ一方、かく申しましても、それと対比いたします鉄道それ自体が、また別個に騒音を発して走っているわけでございまして、鉄道のコストがどうなるのかということもまた別個に考えなければなりません。したがいまして、ただいま先生の御指摘の新聞記事は、私ども航空局内部で模索している段階においての状況が書かれたものでございまして、私どもは、いま申し上げましたようなことも含めましてさらに検討を進めまして、できれば従来われわれが立てておりました輸送の見通しというものはかくのごとく変えなければならないと考えますという明確なるものをつくり上げまして、それが必要ならば、それに基づく新しい将来の空港整備のあり方というものを政府としてきめていただきたいと思っておりますが、それは今日以降の問題であります。
  91. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの答弁ですと、この読売新聞に出た記事については、まだ運輸省としては結論を出したものではなくて、いまいろいろと研究中のものであるというふうに考えてよろしゅうございますか。そう考えていいわけですね。
  92. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。ただいままだ研究中のものでございます。
  93. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そして料金も安くなるかどうか、騒音対策費とかいろいろなものを含めて非常に問題があるということでしたが、日本航空、全日空あるいは東亜国内航空、そうした航空会社が年間どのくらい燃料を使っているかわかりますか。金に直してもいいし、量でもけっこうです。
  94. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 量でお答え申し上げますが、国内線に限りまして、定期航空会社が四十八年度一年間に消費する航空燃料は約百三十三万キロリットルと考えられております。
  95. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私の調査しておるところでは、日本航空が一年間で支払っている油の代金は大体二百五十億、全日空が八十億、東亜国内航空が大体三十億。それが今度の油の値上がりによって、日本航空は国外で買う場合には大体四倍の高さのものを買うといわれていますので大体七百億、それから全日空が百六十億、国内航空が大体六十億。そういうふうに燃料費がふえるということになっています。そうなってくると、さっきあなたが言った航空運賃の問題にこれがどういうふうにはね返ってくるのか、あるいは今後そうしたものがどういう形で解決されていくのか、その点について答えてください。
  96. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、一般の石油製品の値上がりと同じく航空機燃料の値段もただいまだんだん値上げになる傾向にございます。そのことは当然に航空機の運航コストの上昇をもたらすことになる。われわれもそのように見通しております。すでに私ども運輸省は、昨年、国内航空三社並びに南西航空から、こういった事情をまだ勘定に入れない段階で国内運賃の値上げの申請を受け取っておりまして、私どもはそれを検討中という段階でございます。おそらくは、先生が御指摘になりましたような今後起こるであろう燃料費の高騰というものは、その申請にはあらわれていなかった燃料費の高騰部分もさらに実際上の問題として追加して検討せざるを得ないかと考えております。
  97. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうなってくると、当然騒音対策費も運賃の中に入れる、それから油の値上がりした分も入る、もちろん航空運賃はたいへん変わってくるわけです。そうすると、利用するお客の数というのは伸びるということは考えられませんね。
  98. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 御指摘のように、騒音対策費につきましては、具体的に将来長い目で見てわれわれは先ほどの御説明を申し上げたわけでございまして、ただいまの段階で直ちに航空会社がどのような形で騒音対策費の財源の一部を今後新たに負担していくかという方式につきましては、今後検討しなければ数字的には明らかにされないものかと思います。先ほどもども自身が、いま従来の見通しというものの前提に疑いを持っておるということを御説明申し上げましたとおり、航空機の騒音に対する各般の施策に要する経費の相当部分を騒音源である航空会社が負担をすることになるという考え方は、私どもは原則としてすでに持っております、金額的にどのようになるかということにつきましては、今後の検討をまたなければはっきりわかりません。しかしながら、そのような結果、長期的に見まして、航空機の運賃というものは従来よりも実質的に高くなるということは当然に予想されるわけでございます。ただ、その高くなり方の程度でございまするけれども、伸びがとまるのか、伸びるのは伸びるけれども、従来ほどひどく伸びないのか、減るのか、そこいらの問題につきましては、数量的にあるいは金額的に私どもの検討がまだ進んでおりませんただいまの段階では、明確には申し上げられないと思います。
  99. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私の聞きたいのは、この前質問申し上げましたときに出していただいた資料の中に成田の新空港の需要予測というのをもらいましたが、こういう、いま言ったような事情がいろいろ重なってきてお客の乗る数がたいへん減ってくるということを考えた場合に、成田飛行場を使う飛行機の発着数、総裁は二百三十便とか四十便と発表しておりましたね。私どもが聞いておったのは、羽田がそのまま引っ越しても百六十ということになるわけだけれども、総裁が発表したのとわれわれが考えておった羽田の百六十との差が非常にあり過ぎるのですよね。そのことについてどういう見解を持っておるか。
  100. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 成田空港は御承知のとおり、私どもは原則的に国際空港として運用するという考え方でおります。国際空港としての新東京空港の発着回数が将来いかようになるかということにつきましては、これまでいろいろと騒音対策費との関連において御説明申し上げましたが、これまでは触れておりませんけれども、全般の日本の景気の動向が将来どうなるかという見通し、必ずしもそれが学説的、理論的に合っているかどうか存じませんけれども、日本人の国際旅客の過去の動向というものは、日本の国内の景気の動向と従来のデーターで見ますと非常に相関しておるという事実がございます、正しいかどうかはよくわかりませんが。これまで御説明申し上げましたような、騒音対策費の必要からくる航空会社の負担、それによる航空運賃の若干の押し上げ要因がここにあること、それから景気の動向がどのようになるかということで、はたしてそれに直ちに結びつけて議論するのが正しいかどうかは別として、日本人の海外旅行というものの趨勢が今後どのように伸びるかということ、そのようなことをいろいろ考え合わせますと、従来私どもが、先ほど申し上げました、昭和四十六年度に立てました国際旅客の見通しというものは、また別の意味考え直さざるを得ないのかもしれないと思っております。いま先生御指摘になりましたが、二百三十でございますか、一方では、外国の会社も含めました国際の使用機材というものが大型化していくテンポの見通しが、従来の見通しと合っているかどうかという問題もございます。それら全体を総合いたしまして、二百三十という数字がはたしていまでも見通しとして正しいかどうかということになりますと、私は、個人的な感じでございますけれども、いつの時点、五十一年と見るのか五十五年と見るのか、いろいろございましょうけれども、国際線の定期旅客の飛行機の発着の機数は、大型になればなるほど便数は減るわけでございます。そういうようなことも全部考えに入れますと、二百三十といったような数字がはたして妥当であるのかどうかは若干の疑いがございますけれども、しからばおまえは何年に何便と考えておるのかというふうに新しい問題として提起いたしますと、ただいまの段階では、私はほかの数字をもってお答えする自信がございません。
  101. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題は、成田空港をつくる当初の計画として、羽田空港は四百六十便ある、そのうち国際線が百六十ぐらいだ、だから成田へ来るのは百六十ぐらいというふうな予測が立てられておったわけですね。ところが、これが大型化したりいろいろなってくればそれは減るのが当然だけれども、ふえるというのが総裁の発表で、私どもも少しおかしいじゃないかというふうに感ずるわけです。  それからもう一つは、これから先お客がふえるということはそう考えられないというふうに、私どもこの新聞と同じように考えているんですよ。そうした場合に、ちょっと総裁のきのうの発表はおかしいなということを考えるわけです。その点についてはあとでまた話し合いをしたいと考えておりますが、時間が参りましたので、最後にもう一点だけお伺いします。  騒音防止法が通過した。通過しますと運輸大臣が第一種、第二種、第三種という区域を指定するわけでしょう。それはやりますね、運輸大臣が。そうでしょう。そうするとその作業にいま入るわけですよね。すると成田の場合は、新しい空港としての、まだ飛行機を飛ばしてませんから、そうした作業をどういう形でやって、いつごろまでで一種、二種、三種というのがきまるのか、その見通しについてお答え願いたいと思います。     〔佐藤(孝)委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  成田空港についての地域指定の問題については、かねてから議会での御質問を通じてお答え申し上げておりますように、他の空港と同じように、およそ八五WECPNL以上の区域を第一種区域とする、九〇WECPNL以上は第二種、九五WECPNL以上の区域は第三種というようなことは基本として考えられておるわけでございまして、幸い法案を通していただきましたので、引き続きこれに伴います政省令の作業に入っております。その段階において他の空港と同時にきめていくことになると存じます。
  103. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、時間が参りましたので、終わります。
  104. 三池信

    三池委員長 三浦久君。
  105. 三浦久

    ○三浦委員 鉄建公団にお尋ねをいたします。  上越新幹線のトンネル工事によって、群馬県北群馬郡榛東村の地下水が枯渇した問題ですね、この問題は新聞でも非常に大きく報道されています。また榛東村議会はもとより、群馬の県議会でも問題となって、それぞれ公団に対して、根本的な解決を要求する決議が最近なされております。そういうように非常に大きな社会問題になっておるわけでありますけれども、どのような被害が榛東村に生じているのか、まず最初にお尋ねいたしたいと思います。
  106. 篠原武司

    篠原参考人 上越新幹線につきまして、いまお話に出ましたのは榛名トンネルというトンネルの問題でございまして、上越新幹線は非常に大きなトンネルがたくさんございまして、工事としてもなかなかたいへんでございまして、鋭意努力しているところでございます。  榛名トンネルにつきましては、工事を始める前から渇水の問題その他いろいろな悪い影響が出るといけないということで慎重にいろいろ調査をしてまいっておりまして、渇水とか、水源がかれるとか、いろいろな問題が起こるといけないというので、あらかじめ町や村の関係の方々ともいろいろお打ち合わせをして、ほんとうにこのトンネルによってどうなるかということを慎重に調べるために、いろいろ調査を進めてきたわけでございますが、トンネルが原因だろうと思われるようなことでいろいろ渇水その他の問題が出てきておりますことは事実でございます。  そういう問題に対しては、応急対策とか恒久対策とかいろいろ講じておりまして、たとえば応急対策といたしましては、タンク車によって飲料水を給水したり、それからまた、トンネルから多量の水が出てまいっておりますので、これを浄化して直接給水したり、あるいは貯水池に水を送るとか、新たに井戸をつくるとか、御迷惑を最小限にとどめるように誠心誠意努力してきております。恒久的な対策としましては、トンネル完成後の状態をよく観察いたしまして、地元市町村と十分協議して実施する所存でございます。  水の出る状態を申し上げますと、現在一応この榛名トンネルで、これは毎分でございますが、二十五トンぐらい出ております。当初いろいろ調査いたしまして、二十六トンぐらい出るのじゃないかという予想をしておりましたが、大体その見当が出ております。個々の問題につきましては多少の食い違いがございますが、一応そういうふうな形で湧水がございます。
  107. 三浦久

    ○三浦委員 被害についてもう少し具体的に詳細に御答弁を承りたいと思うんですね。たとえば飲料水が枯渇したとか、水源が枯渇したとかいうような非常に大きなお話だったのですが、もう少し具体的に御答弁いただけませんか。たとえば浅井戸が枯渇したとか、それから北部浄水場に水源として深井戸を四本掘っていますね、そういう深井戸が枯渇したとか、それから川の水がどうなったとか、いろいろありますからね、それをもう少し具体的にお話しいただきたいと思います。
  108. 篠原武司

    篠原参考人 いろいろ詳しく申し上げるには、担当理事の池原を連れてまいりましたので、これから御答弁させていただきます。
  109. 池原武一郎

    ○池原参考人 担当の池原でございます。総裁にかわりまして答弁させていただきます。  発生の時期を追って御説明させていただきたいと思います。  一番最初に減水が起きましたのは、昭和四十八年の十一月十九日から二十一日ぐらいにわたって三日間、長岡地区、そこにちょうど私どもの斜坑を掘っておりますが、長岡地区で約五、六十戸の水が少なくなって、日常の上水が足りないという現象が起きました。  その後、四十八年の十一月二十一日から二十二日ぐらいまでは、水出というところに給水のための貯水池があるわけなんですが、それがかなり水が減ったので、トンネルから、先ほど総裁の話のように二十トン近く出ておりますので、トンネルが原因じゃないかということで、応急的に一部群馬用水路の施設をお借りしまして、それによって運んだというようなことがございます。  もう少し部落的に言いますと、榛東村の新井地区付近が大体十五戸ぐらい、それから先ほど言いました長岡地区が、全部合わせますと大体五十戸ぐらい、主として井戸の水がかれたわけなんですが、これの対策は、先ほど総裁が話しましたとおり、私どものトンネルの斜坑から出ている水を送りまして、そして上水として使っていただくし、それからシイタケその他の雑用水については、浄化しないそのままの水を別に配管して送っている、そういうふうにしてこの榛東村の両方の地区の応急対策を施した次第でございます。
  110. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、給水車で飲料水を給水した戸数というのは六十五戸ということになりますね。
  111. 池原武一郎

    ○池原参考人 はい。
  112. 三浦久

    ○三浦委員 それは間違いで、全部で九十五戸ではありませんか。
  113. 池原武一郎

    ○池原参考人 はっきりした数字はちょっとわかりませんが、私どものほうに入っている数字は、六十五戸ないし九十五戸と書いてあったもので、いまそう申しましたのですが、どの程度各戸に給水したか、ちょっといまはっきりした数字をつかんでおりません。
  114. 三浦久

    ○三浦委員 そのほかに沢水がかれているとか、それから川、たとえばすぐそばに午王頭川という川があります。それから八幡川という川があります。この川の水が枯渇しているというような事実はつかんでおりませんか。
  115. 池原武一郎

    ○池原参考人 私どもは、トンネルの湧水によって渇水が起きましては私どもとして補償しなければいかぬものですから、工事がスタートする前に村にお願いしまして――ということは、水の需要が、いろいろ地元の方に入っていただかないとよくわからないものですから、村にお願いをしまして、各所に、いまおっしゃったような沢に井ぜきを置いたり、あるいは特定の井戸の水位をはかったり、そういう調査を村の方にお願いしてやっております。それで、個々の沢の渇水に関しまして継続的に測定しているはずでございますが、具体的な点は、実は私ども本社としてまだつかんでおらないわけでございます。
  116. 三浦久

    ○三浦委員 私は、それはきわめて怠慢だと思うのです。あなたたちがこの榛東村に、たとえば浅井戸とか沢について調査を依頼していますね。私が公団から聞いたところによると、浅井戸については枯渇しているという報告は受けております。それから沢水については、各住民からはそういう話は聞いておりますけれども調査をしている榛東村当局からは聞いておりません、こういうお話なんですよ。ところが、私が榛東村にたずねてみますと、あなたたちが沢水について調査を委託しているところが八カ所あるのです。これは長岡地区で三カ所です。山子田地区で二カ所、新井地区で三カ所、これは全部新幹線工事をやっておるところ、いわゆるトンネルの予定地よりも山の下なんです。山寄りじゃなくて下側だけなんです。そうすると、このトンネル工事をやっている上のほう、山寄りについては全然調査の対象になっていないのです。ところが、現在かれているのは、この山ぎわのほうがずっとかれているのですよ。それはそうですね。大体水というのは上のほうからかれてくると思うのですよ。下のほうはたまりますけれどもね。ですからかなりの被害が出ているということは間違いありません。ですから私は、いまあなたたちが、このトンネル工事によって榛東村にどの程度の被害が起きているのかということを正確に把握してないということは、これは住民無視もはなはだしいと思うのです。飲料水であるとかかんがい用水であるとかいうのは、人間の生活にとって欠くべからざるものじゃないでしょうか。ちょっと私はびっくりしているところですが、先ほども申しましたように、村議会でも県議会でも、満場一致でもって、この問題について対策を講じてくれという決議がなされているわけですよ。意見書が行っていましょう。  私は、いま総裁並びに池原理事ですか、池原さんが新幹線トンネル工事にその原因があるということをお認めになっていらっしゃるようですから、その点はそれでいいとするのですが、ただ、こういう大きな被害が出ているということがある程度予測をされているわけですから、当然、事前に十分なボーリング調査等をおやりになったと思うのですね。こういうボーリング調査等をおやりになった結果、いまのような被害が榛東村に出るということは予測されなかったのかどうか、このことをお尋ねしたいと思います。
  117. 池原武一郎

    ○池原参考人 実は、榛名トンネルにつきまして、大体五百メートルに一本の、二十八本のボーリングと、それからそのボーリングを結びまして全部で約十八キロの区間にわたりまして弾性波調査ということをして地質調査をしました。それだけの調査をしましても、実はどのくらいの水圧の水があるかということは、ボーリングの穴にたまっている水の深さによってある程度は推定がつきますが、どのくらいの量の水が出るかということは、従来のトンネルもそうでございますが、なかなかつかみにくい。それで、先ほど先生のおっしゃったとおり、トンネルにごく近接してあるものについては当然因果関係予測されますので、そういうものについてはつとめて事前に予防措置を講ずるようにはしておりますが、一般的にいいますと、地下水を取った場合に、どの付近に水不足が起きるかということの予測がいまの段階ではなかなか困難でございますので、御迷惑をおかけするようなことが出てきたということでございます。
  118. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、二十八本ボーリングをし、十八キロにわたって調査をした。しかし、いまのそういうボーリング技術によっては、どの程度の湧水があり、そしてどの程度の生活用水に影響が出てくるかというようなことは正確に把握できない、こういうことですね。――それなら、あなたたちが地元の人々、また榛東村の人々にいろいろ説明をしたときに、ほとんど影響ない、特に飲料水なんかについては被害はあり得ないというようなことを説明されているのですが、これはなぜなんですか。たとえば、昭和四十八年二月二十二日榛東村村長から鉄建公団に要望書がいっております。この要望書で見ますと、この水の問題を非常に心配しているのです。工事着工前です。そして、あなたの計画によると、トンネルは地下八十メートルから百メートルであるので、深井戸はもちろんのこと、幹線付近の一般住宅の浅井戸も、またかんがい用水にもほとんど影響はないだろうとの御説明でありますが、私どもしろうとが考えても影響があるのではないかというふうに考えておる、という趣旨のことが書かれておりますね。  それからまた、あなたたちがこの要望書に対する回答を同年二月二十六日にしておられますけれども、その中でも「飲料水の確保に万が一のことが生じた場合には社会的重大問題となりますので当局としても憂慮し種々検討をしてまいりました。」こういうようなことを御答弁なさっておるのです。そうすると、ほとんど影響がないと説明し、万が一起きても、いろいろ検討している。そうすると、これは住民をだましたことになりませんか。科学的に予測ができないものを、だいじょうぶだ、だいじょうぶだと、工事をやるために住民をだましておった、村をだましておったということになると思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えですか。
  119. 池原武一郎

    ○池原参考人 その事前の榛東村の皆さんに対するやりとり、いま先生がお読みになったやりとりについては、実は私どものところにまだ参っておらぬものですから、私はそれはどういう経緯でそういうあれがあったか存じませんが、実際問題といたしまして、いまのこういう問題に対する補償といいますのはどうしても事後補償というのが原則であるといわれておりますものですから、といいますのは、はたして因果関係があるかないかということがつかめないとなかなかできませんし、そういうことはある程度のデータがないと非常にむずかしゅうございますので、ごくトンネルの直上だとかそれに近いものに関しましては、事前に予防措置をとるということに私どもつとめておりますけれども、そういうつもりで、まさか害が出るというつもりでは工事をやっているわけではございませんで、誠心誠意やっているつもりなんですけれども、間々そういうことが出てきたというふうに考えていただきたいと思います。
  120. 三浦久

    ○三浦委員 いまあなたが、そういうことはよくわからないというような、手元に何か書類がきていないとか報告がないとかいうようなことを言われましたけれども、いま私が申し述べました資料は、昭和四十八年二月二十二日に榛東村長の小山房吉さんが鉄建公団の東京新幹線建設局長あてに出しているものですよ。それに対して鉄建公団から東建契等一七六号、昭和四十八年二月二十六日付で、いま言った東京新幹線建設局長原島龍一氏の名前で榛東村長小山房吉殿にあてられた文書なんですよ。間違いないでしょう、これは。
  121. 池原武一郎

    ○池原参考人 それは正式の公文でございますから、私ども建設局長原島が出した正式の文書で、原島局長はそのつもりで出したものだと思います。  ただ、私どもの公団のたてまえとしまして、一般にこういう渇水その他の問題に関しては、原島局長の権限でいろいろなことの処理をするということになっておりますので、原島局長のほうから私どものほうに報告がきていないということで、決してその公文がうそをついた公文であるということではございません。
  122. 三浦久

    ○三浦委員 こういうことは、あなたたちみたいな幹部の耳に入らないような仕組みになっているのですか、鉄建公団というのは。そうするとかなり大掃除をしないといけないところじゃないですか。  いまあなたのほうで、事後補償が原則だ、とんでもないことを言われていると思うのですね。それなら、工事をどんどんやって、地元民にじゃんじゃん迷惑をかける、水だけではないのですよ、これは。そうでしょう。騒音の問題もあるし、交通公害の問題もあるし、それからいままでおったヤマメが死んだとか、フナが死んだとか、いろんな被害が出ているわけですよ。被害はどんどん出してもいいのだ、工事さえ進めればいいのだ、あとの問題はおれのところは金何ぼでもあるのだから、金で補償すればいいのだ、そんな考え方で工事をやられたのではたまったものではありませんよ。たとえば、県議会でも、特にまたあなたたちに要望が行っているでしょう。群馬県知事の神田さんから何回も行っているはずですよ。どういうことかというと、「本地域は飲料水の大部分を地下水に依存しているので不測の事態が生じないよう万全の措置を講じたうえ工事に着手されたい。」と、こういう要望書が行っているのですよ。これは昭和四十七年の一月二十二日です。それから去年の十二月五日にも、同じく群馬県知事から鉄建公団あてに要望書が出ていますよ。「かねてから不測の事態を生じないように万全の対策を講じたうえ工事に着手されるよう要望しておりましたが、このたび榛東村長岡地区付近一帯に減水を来たし住民生活に多大の支障と不安を与えたことは誠に遺憾であります。」そうすると、あなたたちの工事をやる態度というのは、住民無視というか、工事さえやればいいという態度に承れるのですが、事後補償すればそれでいいのだというお考えですか。事前に万全の対策を講じなければならない、住民の被害を最小限度に食いとめるような措置をとらなければならないというようなことは思っていらっしゃらないのですか。
  123. 篠原武司

    篠原参考人 ただいま池原理事から事後補償がたてまえみたいな言い方をされましたけれども、これはことばが足りなかったのだと思います。私どもとしては、住民に御迷惑を絶対に起こさせないように、あらかじめできるだけの措置はするというのがたてまえでございまして、そういう考えであらかじめいろいろな調査をやっていたわけでございます。ボーリングもそうですし、弾性波調査もそういうような形でやりまして、できるだけの手は打ってやる。それから水や何かについても、押えられるものは極力押えていくというのが筋でございますから、そういうたてまえでやっております。現に大清水トンネルとか、この隣の中山トンネルとか榛名トンネル、みな同じようにいろいろな手を打ってきておるわけでございますが、たまたま榛名トンネルでこういう問題が起きておりまして、この地区がまた非常に水が少ない地区であったものですから、いろいろ御迷惑をかけたのだというふうに思います。
  124. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、もう一度お尋ねしますが、工事に着工する前には、村当局に対してはどういうような説明をされたのですか。
  125. 池原武一郎

    ○池原参考人 先ほどちょっと御説明申し上げましたとおり、渇水ということも考えられ得るために、その地元の方々は水のことをよく御存じですから、その方々に具体的の調査をお願いしたいということでして、それから万が一渇水ができたときの対策としては、先ほど総裁も申しましたとおり、飲料水についてはタンク車の手配その他も考えましたし、それから、私どものほうの水もトンネルで出しておりますので、その水の使い方も考えて、できるだけ御迷惑が少なくなるようにやりますという説明をしたと考えておりますし、現実に私どもも、現場におりますときにはそういう説明を申し上げております。
  126. 三浦久

    ○三浦委員 トンネルの深さは百メートルで、したがってそのトンネルから半径五百メートルについては影響があるかもしれない、ただし飲料水の被害はあり得ない、こういうようなことを説明したことはありませんか。
  127. 池原武一郎

    ○池原参考人 先ほども言いましたとおり、個々の説明でどういう説明をしたか、実は現地のことでございまして、私まだ聞いておりませんが、緊急事態には直ちに応じ得るような体制というのは、先ほど言いましたとおりのタンク車の手配だとか、あるいは続いて応急処置をやるわけですが、パイプを引くにしましても時間がかかるわけなので、現地にはかなりの迷惑をおかけしたということに結果的になったということで、その点についてはおわびしなければならぬことだと思います。
  128. 三浦久

    ○三浦委員 出水があって水がかれたというような場合に、こういう対策をとります、こういう説明だけで地元の人は納得していないと思うのですよ。なぜならば、さっき私が申しましたように、県知事もまた村当局も、そういう水がかれるなどという不測の事態が生じないように、万全の対策を講じてから着工してくれということを、繰り返しあなたたちと折衝しておるわけだ。それなのに、いや水が出たらこうやりますよというようなことだけで納得をして工事の着工に至ったとは私は考えないのです。やはりあなたたちが、いやトンネルを掘ればこうこうこういう影響がありますよ。またそんな影響はありませんよ、という説明をされているから、納得して工事の着工をさせたのだと思うのです。ですから問題をはぐらかさないであなたたちが現場でどういう説明をしたのか、正直におっしゃい。
  129. 池原武一郎

    ○池原参考人 現地の説明は、具体的にどういう説明をしたかと言われますと、ちょっと私もあれしておりませんのでわかりませんが、一般的に見まして、地下水の流れというのは非常に複雑なものですから、事前に予防するということは、非常に広範な地域にわたりますし、現実の問題として的確な手段であるかどうかということも、わからない点も多々あると思います。それで、先ほども申しましたとおり、五百メートルに一本の、二十八本のボーリングをやりましたし、弾性波地質調査もしましたし、いまわかる段階ではかなりな地質調査もしましたけれども、事前の処置ということを的確にやるほどの想定というのはやはり現在つかない段階でございますので、現地でも当然、そういう万が一のときにはという措置についてもお話し申し上げて、御了解いただいて工事にかかったのだろう、私はこう思います。
  130. 三浦久

    ○三浦委員 だから私は、あなたたち予測が全くはずれているということを言いたいのですね。不完全なボーリング調査でもって、地元を納得させるというために、一般住宅の浅井戸も、またかんがい用水にもほとんど影響がないだろうというようなことを言って、そして結果的にはこういう大きな被害を出しているわけでしょう。たとえば、あなたたちからの説明を受けただけでも、下新井でもって深井戸から毎分一・二トン、斜坑内からは〇・四トン出ているし、長岡からも深井戸でもって毎分二トン、斜坑内からは七・二トンも毎分出ているわけでしょう。その結果、どのくらいの大きな被害が出ているかといいますと、まず浅井戸がかれているということですよ。それから沢の水がかれているということ、それから深井戸がかれているということ、それから川が渇水状態になってしまったということ、それから水出の貯水場、これはここの唯一の飲料水といいますか上水道ですね、この水出の貯水場もからになってしまったということなんです。これだけ大きな被害が出ているのですよ。あなたたちは、飲料水の問題については、強制排出をした水を最初は群馬用水を通して水出の貯水池に入れた。今度配管ができたから水出の貯水池に直接入れている。それで何とか飲料水については確保できているでしょう。しかし、それだって水道料金よけい取られるわけですから、それぞれ被害があるわけなんですよ。ところが、かんがい用水についてはどういうふうにされる予定なんですか。いま地元の人たちが一番困っているのは、五月一日にせき普請というのをやるのですね。これは村あげての行事なんです。五月一日になぜやるかというと、御承知のとおり苗しろの時期だし、田植えの時期でしょう。いままでずっと使ってないかんがい用水路がいろいろなごみや何かで詰まるわけですね。それで、水が少ない地域ですから、水を効率的に使おうというので、五月一日に一ぺんにかんがい用水路の掃除をするのです。これをせき普請といっているのです。このせき普請がもうできないということでたいへん困っているのです。もっと困るのは、せき普請をかりにやったとしたって、その後の水がないでしょう。かんがい用水がないということが致命的になっているのですよ。この問題について公団のほうとしてはどういう対策を講じられているのか、お尋ねしたいと思います。
  131. 池原武一郎

    ○池原参考人 先ほど総裁の説明がありましたとおり、現在各斜坑の水を集めますと大体二十五トン出ておりますので、その水を、この前のとおり群馬用水を使わせていただくか、あるいは私どものほうで配管しておりますパイプを使いまして水出の貯水池にそういうかんがい用水を送りますか、そういうことをこれから現地の皆さんと相談しまして、いまトンネルから出ております水をフルに使ってしのいでいただこうというふうに考えておりまして、現地で榛東村の方々と相談をしてきめるということにしております。
  132. 三浦久

    ○三浦委員 いま群馬用水と水出の貯水池に給水するというお話でしたけれども、群馬用水というのは地形上榛東村全部の水田を潤すことはできないのです。たとえば、長岡のすぐそばですけれども、山子田地区では群馬用水路を使えないのですよ。それからまた、水出の貯水池云々と言われましたけれども、水出の貯水池というのはいま飲料水で一ぱいなんですよ。たとえば、北部浄水場に四本の深井戸を掘っておったでしょう。それから浄水場に入れる。それからまた不足分は水出の貯水池から入れる。こうやって村民の水道、飲料水をまかなっておったわけですけれども、いまその四本の深井戸が全部枯渇してしまって、水出の貯水池からだけ北部浄水場に送っているという状況なんです。そうすると水出の貯水池からかんがい用水に回すことは不可能なんです。それから、たとえあなたたちが言うように水出の貯水池からといっても、それよりも上にある畑、山手にある畑、こういうところには水が全然行かない、こういう状況なんです。  いままではどういうふうにやっておったかといいますと、ここに午王頭川というのがあるでしょう、水出の貯水池の付近に。――ありますね。それと、そのずっと下のほうに八幡川という川があるでしょう。その川から水を引いて、そうしてせき普請をやっておったのです。またかんがい用水もそれをおもに使っておったのです。群馬用水というのは補給水の役割りを果たしておったのです。ところが、この午王頭川と八幡川というのは、下流――下流といいますとちょうどこの水田地帯です。この水田地帯にちょぼちょぼとある程度で、水田より上部は全部かれちゃっているのです。そうすると水田もできない。またここの地区では養蚕業が盛んです。養蚕業というのがただ一つの現金収入ということで非常に大きな期待がかけられています。この辺は桑畑なんですね。これに水が行かなくなってしまうのです。そうすると、水田にも被害がある、桑畑にも被害がある、したがって養蚕業に被害がある、こういう大きな事態を迎えているわけなんです。ですから、群馬用水を使うとか水出の貯水池に給水するとかいうだけでは、いま村民が持っている不安というものを解消することはできない状態にあるということなんです。ですから、その点についてどういうふうに対策を立てようとお考えになっているのか、お尋ねしたいと思うのです。
  133. 池原武一郎

    ○池原参考人 原則といたしまして、田畑の水でありますとかそういう水については、私ども外で考えるより地元の方々の御意見をお伺いしまして、地元の方々との話し合いの上でいろいろな施設をしていくのが一番いいと考えております。田植えの時期のように確かに水がふだんよりたくさん要るときとか、そういうものについては応急的に、先ほども言いましたとおり地元とよく相談をしまして、私どものトンネルから出てくる水を使おうということを考えております。  ただ、元来この地区は非常に水利の不便なところと承っておりますので、トンネルから離れた区間については、一般の天候の不順との関係その他いろいろありますし、私どもとすれば、やはり事前に要所要所の地表水の調査もお願いしておりますが、明らかにトンネルの掘さくによって水が減ったという地域に限ってそういう応急措置をしたいと思っております。  それで、将来の恒久対策については、トンネルができ上がってコンクリートの巻き立てを完了いたしますと、地下水の条件だとかそういうものがまた変わりますので、その後の姿を見てからいろいろな対策を私どもも御協力して立てなければいかぬケースもあるかと思いますが、それはそれとしまして今後やっていきたい、こう考えております。
  134. 三浦久

    ○三浦委員 地元と相談して相談してということを言われますけれども、あなたたちが三月三十日に県それから村との間で合意を見た誓約書があるでしょう。知っていますか。
  135. 池原武一郎

    ○池原参考人 三月十八日のでございますか。
  136. 三浦久

    ○三浦委員 三月三十日ですよ。あなたのところ連絡が悪いね。  三月十八日というのは、榛東村の決議ですよ、何とかせいという……(池原参考人「三月三十一日の、ございます」と呼ぶ)誓約書をあなたのほうで書いておるでしょう。これには何て書いてあるのですか。
  137. 池原武一郎

    ○池原参考人 「応急対策は公団において、村当局ならびに県、関係機関と協議のうえ、直ちにこれを実施いたします。」というのが第二項にございまして、第三項に「恒久対策はこの決議書を尊重し、内容については貴村ならびに県、関係機関と公団において十分協議し、実態に即した施設を設置いたします。」こう書いてございます。
  138. 三浦久

    ○三浦委員 そうして、「恒久対策の協議は今後三十日以内に開始いたします。」というのが第四項でしょう。こんなゆうちょうなことじゃだめなんですよ。あなたたちの応急対策というのは、たとえばタンク車で水を運びますとかその程度のことでしょうが。かんがい用水については一体どういうふうに考えているのですか。
  139. 池原武一郎

    ○池原参考人 タンク車で運ぶというのは、先ほど緊急対策といいまして、主として飲料水で問題が起きたときにタンク車で運ぶのでございまして、かんがい用水や多量に使う雑用水については、私どもで配管をいたしまして、ポンプで送って使うということで、すでにやっております。そういう意味で応急対策としては一通りはやってあると思いますけれども、まだ不十分な点もあるだろうと思いまして、そういうことに関しましては、第二項に書いてあるとおり、村当局や関係機関と御相談してやりたい、こういうことでございます。
  140. 三浦久

    ○三浦委員 その配管を、いわゆるかんがい用水とか大量に使う雑用水については、配管をすでにやって支障のないようにしているというような話ですけれども、じゃ、どこに配管してあるのですか。水出の貯水池でしょう、それだけじゃないですか。
  141. 池原武一郎

    ○池原参考人 たとえば、榛東村の長岡付近ですと、水出の貯水池だとか北部浄水場に送水いたしております。それから、新井地区では、私どものポンプアップしましたディープウェルをためておくところから直接にその部落にパイプをつけまして送っております。そういうふうに、一律にはいっておりませんが、たとえば榛東村ではその三カ所ですが、そのほかにつきましてもそれぞれの配水地に送ったり、あるいはディープウェルから直接送っております。
  142. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、あなたはいま言った北部浄水場と水出の貯水池と、あとは下新井の斜坑の付近と、その三つだけの配管で今後のかんがい用水は完全に確保できると思っているのですか。ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  143. 池原武一郎

    ○池原参考人 現地からの情報、まだ全部あれしておりませんのでわかりませんが、明らかにわれわれのトンネルで渇水を起こして、ことにそういう水の要る田植え時期の水が不足であるというようなことがあれば、現地としましては、現地の局長の権限として当然できることでございますし、そういう必要な配管はやってくれることと思っております。
  144. 三浦久

    ○三浦委員 ちょっと総裁にお尋ねしますけれども、いまの三カ所の配管というのは、特に下新井の場合には、これは非常に小規模なものなんですよ。数戸に飲料水を送るというだけの話なんですから、こんなものはかんがい用水と関係がないのです。問題は、いわゆる山子田地区ですかね、それからまた、そのずっと山ぎわの畑地でしょう。そういうところにどうやってかんがい用水を送っていくのかということが問題なんですよ。そうすると、水出の貯水池にいま給水していますけれども、これじゃ飲料水で一ぱいで、かんがい用水になんかとても回らないのですよ。そうでしょう。井戸がみんな枯渇して、水出の貯水池だけで飲料水をやっているのですから。そうするとかんがい用水についてはどういうふうな具体策をお持ちなのかということを私は聞いているのです。だから、三月十八日に村議会が決議したというのも、その決議の内容にはいろいろな問題点があると思いますけれども、しかし三月十八日に村議会が満場一致で決議したというのも、そのかんがい用水を何とかしてほしいということからなんです。ですから、この点について総裁がどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思うのです。
  145. 篠原武司

    篠原参考人 地元にどの程度御迷惑をかけているか、私もいろいろ心配しているわけでございますが、かんがい用水ということになりますとなかなかたいへんな水じゃないかと思います。二つの川、午王頭川、それから八幡川、このような川の水がどの程度あるか、それからことしはどういうふうに減ってきたか、そういうような問題とか、それから隧道の中から発生する水が、たとえば二十五トンというような数字が出ていますけれども、これがどの程度に貢献できるか、そういうようなことを至急調べまして、できるだけの措置はとりたいというふうに思います。
  146. 三浦久

    ○三浦委員 この本坑の工事ですね、いまは斜坑工事でしょう。いわば準備段階です。それでこれだけの大きな水が出て被害が出ているわけですが、本坑工事に着手するのはいつごろを予定されていますか。
  147. 池原武一郎

    ○池原参考人 現在本坑にかかっておりますのは、渋川方の川島口というのがすでに本坑にかかっております。それから二、三の斜坑で、一部本坑の、ちょうど本坑と交差する付近の部分をやっておりますので、近々斜坑とも本坑にかかれるのではないかと思います。
  148. 三浦久

    ○三浦委員 近々というのはいつごろを予定していますか。
  149. 池原武一郎

    ○池原参考人 一、二カ月後にかかれると思います。 三浦委員 そうすると、本坑工事を行なう場合に、いまの湧水の状況、また生活用水に与える影響、こういうものについてはどういう予測を立てられていますか。
  150. 池原武一郎

    ○池原参考人 いま斜坑を掘っておりまして、ことに斜坑掘さくについては、非常に水が出ると工事しにくいということで、先ほど来出ておりましたディープウェルと言いまして、深井戸を掘って両側の水をポンプアップして斜坑を掘るということをやっております。ただ、本坑に入りますと、でき上がりました斜坑を使いまして、もうディープウェルはやらないでも本坑が掘さくできると思いますので、ディープウェル分の水はなくなるだろうと思います。ただ本坑がだんだん延びていきますとやはり水もふえるのではないかと現段階では考えられますけれども、先ほど来言いましたとおり、じゃこの水がどのくらいまでふえるかということになりますと、その後の地質調査を加えましても的確に想像はつきませんが、あまり水が出るようなことになりますれば、当然本坑ではセメントの注入をしたり、そういう漏水防止のための新しい工法も使うことになると思います。
  151. 三浦久

    ○三浦委員 非常にたよりないわけですね。これだけ住民が大きな不安を持っている中で、今度は本坑工事にかかる。さあ、どれだけ影響が出てくるのかまだわかりません、これじゃ住民が不安に思うのはあたりまえのことでしょう。私は、そういういいかげんな予測しか立てられないような現段階であれば、住民が納得するような対策が立てられるまで、本坑の工事というのは中止すべきだと思いますが、いかがですか、総裁。
  152. 篠原武司

    篠原参考人 まだ池原理事の説明が十分でなかったと思いますが、これがどんどん水が出るようになりますと、やはりたいへんなことになりますので、普通の工法ではやらないような工法、いろいろな問題があると思います。先ほどちょっと池原理事から申し上げましたのですが、トンネルのコンクリートを打ったあと、裏のほうにセメントを注入するとかなんとかいろいろな問題がやれると思います。お金がかかってもこういうことは積極的にどんどんやりまして、極力水の発生を防ぐということが大事じゃないかと思いますので、そういう点を十分やりまして、御迷惑を極力少なくする、技術的に可能な限り少なくするという方法をとってまいりたいというふうに思います。
  153. 三浦久

    ○三浦委員 いままでの公団がとってきた対策というものは、地元の人たちを納得させていないんです。たとえば、これは読売新聞の三月二十九日の朝刊ですけれども、ここに榛東村の小山という水道課長さんの話が出ています。「公団は口先ばかりでなかなか具体的な対策を打ち出してくれない。このままでは村の水は一滴もなくなってしまう。死活問題だ」この榛東村というのはきわめて保守的なところですね。そういう人たちまでも、公団の仕打ちに対して、もう口先ばかりで全然信用できない、こういうことを言わせるほど、公団のいままでの対策というのは不誠意きわまりないものだったということははっきりしていると思うのですよ。そうすると、私がさっき申しましたように、川がかれてしまう、また沢水もかれてしまう、浅井戸も深井戸もかれてしまう、そうして住民が非常に大きな不安を持っているという状態の中で、私はこういう不安を解消するための抜本的な対策というものを直ちにやっていただきたいと思う。川がかれたのはどういう原因なのかということをいまから御調査なさるということなんですけれども、その調査によって、トンネルを掘さくしたことによってそういう水の枯渇が出たということが判明した場合には、総裁、どうされるおつもりですか。
  154. 篠原武司

    篠原参考人 実は、公団は、毎年仕事量が非常にふえておりまして、人手がなかなか思うように充足できないというような問題もございまして、地元との連絡が必ずしも十分でなかったというような感じもいたしております。実は、数日前にも知事さんが見えましていろいろ話したのですが、地元と公団との連絡について、現場の建設所以外にないのだ、それではどうも話がしにくいというお話もございましたので、何らか積極的に地元と連絡がとれるようにいたしまして、まずい影響を極力少なくするようにこれからも努力してまいりたいと思います。幸い来年度運輸省にも何とか人をふやしていただきたいということをお願いしておりますので、こういうような面も十分配慮した上で措置していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  155. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。
  156. 三池信

    三池委員長 次回は、来たる十日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十六分散会