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1974-03-27 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十七日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君 理事 三浦  久君       井原 岸高君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    細田 吉藏君       宮崎 茂一君    山村新治郎君       綿貫 民輔君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    紺野与次郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局次         長       後藤 茂也君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君  委員外出席者         警察庁形事局保         安部防犯少年課         長       武田 安雄君         首都圏整備委員         会事務局計画第         一部長     山東 良文君         環境庁企画調整         局企画調整課長 青木 英世君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   松木 洋三君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     野原 石松君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         建設省河川局次         長       堺  徳吾君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君         日本国有鉄道常         務理事     速水 信一君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(踏切事故に関する問題)  海運に関する件(内航海運に関する問題)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題  等)  日本国有鉄道経営に関する件(保線の要員に  関する問題等)  港湾に関する件(港湾の埋立に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  海運航空日本国有鉄道経営及び港湾に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。金瀬俊雄君。
  3. 金瀬俊雄

    金瀬委員 与えられた時間が短いようでございますので、簡単に御質問申し上げますから、答えのほうも簡単でけっこうでございますので、お願いいたします。  最初に、港湾局及び建設省に御質問申し上げます。  現在、東京湾の中で新規に埋め立て考えられておるようなことにつきまして御質問申し上げます。  第一点は、東京都では羽田沖及び中央防波堤の沖の埋め立て計画され、法律上の手続が進行中であるというふうに聞いておりますが、現在どんな段階になっておるのか。また運輸大臣はそれを認可されたかどうか。それからまた、埋め立て開始の時期がいつなのか。また完了するのはいつなのか。また、埋め立てによって造成される土地の広さはそれぞれどのくらいあるのか。それから羽田沖埋め立てに関して、羽田空港との関係あと地利用方法がいろいろと論議されているが、あと地利用方法について運輸省なりあるいは東京都の考え方に相違があった場合、どういうふうな話し合いが行なわれておるかということについて、ひとつお答え願いたいと思っています。
  4. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 お答えいたします。  東京港におきましては、先日、本年三月十八日付をもちまして羽田沖面積四百三ヘクタールの公有水面埋め立てが、東京都に対しまして追認された次第でございます。それ以前に四十八年三月三十一日、昨年の三月三十一日には、東京都に対しまして東京都の中央防波堤内側地区百八十八ヘクタールが免許されております。また、先日の港湾審議会におきまして、先ほども申し上げました羽田沖埋め立て計画と合わせまして、中央防波堤外側地区に三百十四ヘクタールの埋め立て計画決定されております。これらは、いま申し上げました羽田沖埋め立て、それから中央防波堤内側並びに外側のこの部分埋め立てば、都市ごみ廃棄物等一般廃棄物のほか、港湾しゅんせつ土砂等廃棄物によって埋め立てが行なわれることになっておりまして、今後十年くらい、大体は昭和六十年を目標にいたしまして、廃棄物処分場として機能いたします。  この施工後の利用計画でございますけれども、この利用計画につきましては、中央防波堤内側地区につきましては埠頭用地であるとか、道路用地あるいは公園緑地として利用されることになっておりますけれども、羽田沖地区につきましては、いろいろそのようなものも検討いたしますが、今後広域的なあるいは総合的な見地からさらに検討するということになっております。したがいまして、羽田沖計画につきましては、東京港の港湾管理者におきましてその利用計画をこれから研究するわけでございますけれども、その間広範ないろいろな方の御意見、各官庁意見等もいろいろ聞きながらきめていくということになっております。このことにつきましては、この埋め立て免許あるいは認可をするにあたりまして、そのように広くいろんなところと議論しながら、連絡をとりながら、その用途についてはきめていくということに相なっておる次第でございます。  中央防波堤外側地区につきましては、先ほど計画ができていると申し上げましたけれども、まだ埋め立て許可はおりておりません。それから中央防波堤内側地区につきましては、現在連絡架橋の架設が終わりまして、すでに廃棄物の投棄が始まっている次第でございます。  以上でございます。
  5. 金瀬俊雄

    金瀬委員 航空局に質問申し上げますけれども、羽田空港でいま起きておる航空機騒音問題あるいは航空需要の増大の問題、そうしたこととからみ合わして何か羽田空港拡張した場合にどうするかという問題、あるいは完全に拡張でなく新しい埋め立て地といまの羽田空港との入れかえの問題、そうした問題を含めて東京都と何か話し合いが行なわれておるかどうかということについて御質問いたします。
  6. 隅健三

    隅説明員 昭和四十六年に制定されました第二次空港整備五カ年計画におきましては、羽田東京国際空港の能力について、羽田の沖合いに埋め立てをして拡張をするということがうたわれておりまして、その点について事務的に検討を二、三いたしましたけれども、昨年の四十八年の十二月二十七日に新たに環境庁から「航空機騒音に係る環境基準について」が告示されまして、これに基づきまして羽田東京国際空港騒音をどのようにして環境基準に合わせるかという事務的な検討はいたしておりますけれども、いまだに東京都とはこれについて打ち合わせをしたことはございません。
  7. 金瀬俊雄

    金瀬委員 港湾局長に御質問申し上げます。  横浜金沢地区埋め立てというのは現在どうなっているのか。これは一回認可したけれども、その後公害問題その他で公園用地を広げるとか、あるいはいろいろな公害関係用地を確保するために面積を広げるということで申請が重ねて追加で出されているという話がございますので、その点はどうなっているかということについて御質問いたします。
  8. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 金沢地区埋め立ては三工区というか三地区ございまして、そのうちの二つまでが前に認可されておりまして、最後の第三区目がせんだって認可されたわけでございます。先生そのことをおっしゃったのかと思います。  概要を申し上げますと、横浜金沢地区埋め立て計画は、横浜市の都市開発一環として横浜市によって構想されまして、その総面積は六百六十ヘクタールでございます。港湾計画といたしましては、昭和四十二年九月二十六日の港湾審議会の議を経まして計画決定されております。これは港湾区域内の港湾計画でございます。この埋め立て地は、先ほど申し上げましたように、一号地と二号地と三号地の三地区に分かれておりまして、一号地面積は百九十三ヘクタールでございまして、昭和四十五年十一月九日に、また二号地面積が百七十ヘクタールでございまして、これは昭和四十七年五月二十二日に埋め立て免許になっております。  現在、一号地につきましては、ほとんどその用地の粗造成土地ができるというところまではほぼ完了しておりますけれども、二号地につきましては、工事費換算で申し上げますと、約三三%が進捗している次第でございます。  最後の三号地問題でございますが、これは面積が二百九十七ヘクタールございまして、この二百九十七ヘクタールのうち、一部分横浜港の港湾区域の中に入っておりまして、他の部分が外に出ております。この一部の港湾区域部分が大体全体の三分の一の九十四ヘクタールでございまして、区域外部分が二百三ヘクタールになっております。それで、この区域外部分建設大臣の所管になっている次第でございますが、この両方合わせまして二百九十七ヘクタールが今年の三月十四日付をもちまして埋め立て免許がなされたばかりのところでございます。この竣工期限は、着手の日から五年間とされております。工事はその一号、二号、三号とも横浜市によって行なわれております。  また、この六百六十ヘクタールの全体の埋め立て土地利用計画は、先ほど申し上げましたように都市開発用地というふうな感じでございますが、この都市開発用地に充てる部分が二百七十ヘクタールでございまして、全体の四一%、それから住宅用地が七十五ヘクタールで、全体の一一%、そのほか湾岸道路用地であるとか、公園緑地用地等公共用地、これが二百五十ヘクタールで、全体の三八%となっているほかに、いわゆる海の公園として計画されている部分が六十五ヘクタールございまして、これは全体の一〇%に当たっておる次第でございます。
  9. 金瀬俊雄

    金瀬委員 次に、千葉県の富津地区埋め立てのことについて御質問申し上げます。  第一点は、この富津地区埋め立てについては、新日本製鉄君津工場木更津の南部に建設を開始した当時、いまからちょうど十数年前ですが、昭和三十六年に埋め立て構想閣議了承事項になっているが、それは間違いないかどうか。このことについては、経済企画庁建設省運輸省首都圏整備委員会に御質問申し上げます。
  10. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 運輸省のほうからいまの状況をちょっと御説明いたしたいと思います。  千葉県の富津地区につきましては、現在大部分港湾区域外の海面でございます。これは木更津港の区域外でございますが、昭和三十年代の後半から、千葉県によりまして臨海工業地帯造成のための大規模な埋め立て検討されております。昭和四十二年九月の港湾審議会におきましては、この木更津港の港湾計画一環といたしまして、約千四百ヘクタールに及ぶ埋め立て計画が決定されている次第でございます。  この間におきまして、その以前に、先ほど先生閣議了解ということがございましたけれども、昭和三十六年にいわゆる小川構想という構想が出まして、木更津以南富津岬を中心とする工業地帯造成計画というものが提唱されまして、それが閣議において了承されたという動きがございます。これは昭和三十六年でございますので、いま私の申し上げました昭和四十二年の港湾審議会の千四百ヘクタールの母体になっているのではないかと思います。  この昭和四十二年以降のことをちょっと申し上げますと、千葉県はこの一環開発計画に従いまして、漁業補償誘致企業等検討を開始しておりまして、昭和四十五年二月には漁業補償についての交渉が妥結したのをはじめ、誘致企業につきましても、このときは石油精製事業石油化学金属精錬中心にその概要がほぼまとまった次第でございます。しかし、その後いろいろ公害問題が深刻になりまして、全国的な反省時期が参りまして、これを契機に、先ほど申し上げました計画を全面的に再検討するということになりまして、現在は、先ほどの千四百ヘクタールに及ぶ埋め立て計画につきましては、県が再検討を進めている最中でございます。  昨年の六月には千葉県が千葉県第四次総合五カ年計画を作成いたしまして、この総合計画によりますと、方向といたしましては、この傾向といたしましては、この富津地区に良質の燃料供給基地LNGであるとかLPG、そのようなSO2の少ない燃料基地をここにつくりたい、あるいは金属精製ではなくて、鉄鋼、アルミ等の二次加工基地をつくりたい、あるいは建材、一般雑貨等の、そういうような公害の少ないものの流通加工基地建設したいということで、千三百三十ヘクタールの埋め立て地造成する計画となっております。大体千葉県ではいまそのような方向計画を進めているようでございます。  運輸省といたしましては……
  11. 金瀬俊雄

    金瀬委員 けっこうです。  閣議了承事項というのは法的根拠があるかどうかということを聞こうとしているわけで、質問しないことをだいぶ答えていただきましたが、それは何か法的根拠はあるわけですか。そのことについて相談してけっこうですが、どういうことなんですか。
  12. 下河辺淳

    下河辺政府委員 私の記憶によりますので、必ずしも正確ではないかとも思いますけれども、その当時小川構想というものが非常に宣伝されまして、閣議においても小川構想の紹介がございまして、閣議においてこの計画をいろいろと検討するに値するのではないかというお話し合いがあったというふうに伺っておりまして、法的な根拠をもって小川構想閣議了解したということではないと考えております。
  13. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは局長さんにお願いしますが、昭和四十四年の新全国総合開発計画の中で、富津埋め立てというのが「臨海性工業基地建設する」ということで計画の中に載っていますね。そのことについては間違いございませんか。
  14. 下河辺淳

    下河辺政府委員 ただいま御指摘いただきました線は、国土総合開発法に基づいて政府において正式に決定したものでございます。
  15. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうしますと、先ほど港湾局長のほうから説明がございましたが、千葉県はその計画に基づいて地元の四つの漁業組合との間で漁業補償というのを始めて、補償金額約百六十億円の決定をいたしまして、金の支払いが全部その時点で終わっておるということを知っておるかどうかということについてお伺いします。
  16. 下河辺淳

    下河辺政府委員 漁業補償につきましては、細部については必ずしもつまびらかに知っておりませんが、漁業補償を始められて、かなりの部分漁業補償を締結しているということは県から聞いております。
  17. 金瀬俊雄

    金瀬委員 千葉県では昭和四十六年に総合開発審議会というのを開いて、この審議会の中には、千葉県の人だけでなくて中央の学者とかいろいろ官庁の人も入って、先ほど港湾局長から話がございましたように、立地する業種をきめて、電力とかLNGとかLPGとか、あるいは新日鉄関係加工業者とか、そうしたものを入れるということをきめて、それから昭和四十七年に公害対策審議会というのを開いて、その地区を無公害地域にするということでいろいろと対策を立てて、関係各省話し合いがある程度進んでおるということを聞いていますが、事実進んでいるのかどうか。その点についてひとつ六省庁ですか、きょうはここへ来ていないところもあると思いますが、どの程度進んでいるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  18. 山東良文

    山東説明員 六省庁会議におきまする事務を私のほうでとっておる関係上、首都圏整備委員会のほうからお答え申し上げます。  六省庁会議は、申すまでもないことでございますが、首都圏経済企画庁、通産省、運輸省建設省環境庁、この六省庁からなっておるものでございますけれども、ただいま御指摘になりました点につきましては、各省庁に対しまして千葉県側からそれぞれ御説明申し上げており、一部まだ説明が終わっていないところもあるというふうに聞いておりますけれども、県のほうから各省庁に対しまして説明をしておるということでございまして、それで私たちのほうでは、近くできるだけ早い機会に、とにかく六省庁会議を持ちまして、担当者会議を持ちまして、それで県側からの意向を求めたいというふうなことでございまして、ただいま各省庁に対しましてその打診をしておる最中でございます。
  19. 金瀬俊雄

    金瀬委員 埋め立て申請書は、これは港湾局へ出すのですか。富津地区建設省へ出すのですか。それとも六省庁全部へ出すものなんですか。
  20. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 埋め立て申請につきましては、港湾区域におきましては港湾管理者の長に出します。それは運輸大臣認可にかかわります。それから港湾区域外につきましては県知事でございまして、それは建設省にかかわると思います。
  21. 堺徳吾

    堺説明員 富津埋め立てでございますが、ただいま港湾局長が申されましたように、この地区港湾区域外でございますので、建設大臣認可ということになるわけでございますが、現在一部は港湾区域に入っておるそうでございますが、まだ正式な認可申請は出ておりませんが、先ほど来お話がございましたように、計画内容につきましてはそれぞれ各省は県から説明を聞いておるわけでございます。したがいまして、認可する立場といたしましても、建設省自身の見解はもちろんでございますけれども、関係省庁意見をなるべくすみやかにまとめていただいて、この問題を処理していきたいというふうに考えております。
  22. 金瀬俊雄

    金瀬委員 富津地区というのは私の生まれた地元なんですが、実は千葉県で近く埋め立て許可になっていろいろ仕事が始まる、工業進出もあるので町村合併をしたほうがいいということで、富津町と大佐和町と天羽町、三町が合併して新しい市をつくったわけです。ところが、新しい市をつくってみたところが、工業立地計画というのは全然きまっていない。埋め立て申請書もまだ国のほうで受け付けていない。そのために市の財政計画というのは全く成り立たない。それからもう一つは、その工場中心にして都市計画というのをやったけれども、どこへどういうものが張りついて、港がどうできるかもわからないということで、都市計画も全然できないということで市自身の将来計画というのが全く立たないという状況にいまなっているわけです。そのことについて国がどう今後処理してくれるかということについて、ひとつ国の考え方首都圏のほうからでけっこうですから、お願いします。
  23. 山東良文

    山東説明員 御指摘になられましたように、地元の市町村の立場からいたしましては、できるだけ将来計画を早く立てなければいけないということは、その事情は非常によくわかるところでございまして、県のほうからもその間の事情のあることは承っております。  ただ問題は、東京湾全域あるいはまた首都圏地域につきまして、基本的にはできるだけ人口、産業の集中を抑制したいという、まあ総論、一般論があるわけでございまして、そのような中におきまして個々の具体的なケースにつきましてどう対処していくかということは、これはケースケースによりまして非常にむずかしい問題であろうと思います。  そういうようなことから各省庁――私たちのほうだけでもまいりませんので、いま申しました六省庁でもっていろいろと協議を重ねながらしかるべく、場合によりましたら修正するところは修正していただくとかなんとかというようなことでもって処理していくというようなことでございます。
  24. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題がこのままになっていきますと、非常に困る問題が二つあるんですよ。いま市の問題ですが……。  その一つは、漁業組合員が千四百名いたわけですよ。その人たち補償金を払ったわけですね。もう払ってから五年たつんですよ。補償金をほとんど使い尽くしてしまった。うちを直したり、それから工業が来るだろうというのでアパートをつくったりいろいろなものをつくってしまって、何も来ないからそのままになっている。五年たつもんですから転業ももうできない。会社へつとめようと思ってやめたけれども、会社が来ないから就職できない、転業もできない。それからまたいろいろな仕事計画したけれども、仕事もできないという状況に千四百名の漁民がなっているということが一つ。  もう一つは、県が投資した補償金というのは、これは借りて投資していますから、元利合計で二百三十五億円になった。このまま捨てておけばだんだんだんだん金額がふえてくるということになるわけですが、この二点について、これは経済企画庁あたりで何か考えがあるかどうか、ちょっと聞かしていただけませんか。
  25. 下河辺淳

    下河辺政府委員 いまのお尋ねでございますが、実は千葉海岸の場合だけではなくて、全国的にも幾つかそういう事情地域がございます。それらにつきまして思いますことは、ちょうど先ほど指摘いただきましたように、昭和四十四年国が国土総合開発計画をつくりました当時と経済的なあるいは社会的な背景が著しい変化を遂げておることは御承知のとおりでありますし、石油問題その他もございますし、それから環境に対します非常にきつい行政がいよいよ本格化するというようなことを通じて、実は一度始められた開発計画が慎重さを要するということで一時足踏み状態になる地区幾つか出てまいりました。それらの地区は、いずれもただいま御指摘いただいたような問題をかかえておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、これは長く放置しておくことは決して好ましいことではございませんので、関係省庁と相談をして一刻も早く計画方向づけをいたしまして、現実の問題に対処しなければならないということで作業を始めたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。
  26. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その問題については了解しました。とにかく地元の市なり漁民なりあるいは地域の人にとって重大問題でございますので、どういう方向になるにしても、国の指導計画に基づいて策定した立地計画でございますので、その点については国も十分その責任を感じて今後処理していただきたい、さように要望いたします。  それから次に、富津市と対岸の横須賀市の間で、この富津埋め立てに関連してかどうか、十年ぐらい前から架橋計画があるということで、要するに橋をつくるということでいろいろと促進大会が開かれたり、そこに建設大臣が出席したり、あるいはいろいろな大臣が出て、できるということをはっきり言っておりますが、実際にできるものかどうか。もしつくるとしたならば、いま港湾局考えておる航路を拡張して深く掘るということと、あるいは第三海堡を撤去するという考えがあって計画に乗っていますが、それとこの橋をつくることとは全く逆のことのように考えられますが、その点については現在どうなっておるか、それをお答えを願いたいと思います。
  27. 堺徳吾

    堺説明員 直接の担当でございませんのであれでございますけれども、この問題につきましては、現在なお調査費をつけて調査段階でございます。まあ所掌のところから聞くところによりますと、技術的にも可能であり、採算的にも可能であるというふうに聞いてはおります。ただ、環境問題その他いろいろな問題がございますので、この問題についてはより慎重になお調査していく必要があるだろうという段階にございます。
  28. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 港湾といまの架橋との関係でございますけれども、建設省の内部でいろいろ検討されているときに、運輸省にもいろいろ意見を聞くことがございまして、港湾といたしましては現在の千葉港等の機能をそこなわないような形で橋をつくってもらわなければ困る、そういう点がございます。たとえば航路を一本にするとか二本にするとかいろいろな案がございますけれども、それらに対しまして意見を申し上げながら進めていくということになっております。  また、第三海堡につきましては、第三海堡がその架橋の橋脚の基礎になるというような話も一時ございましたけれども、現在のところでは、第三海堡そのものを架橋の基礎にするということには不適当であるというように聞いております。
  29. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いま川崎市と木更津との間に計画されておる横断道路、これは実施するということを発表しております。そうなってくると、東京湾の中に二つ橋をつくることになるわけですが、そういうことが可能なのかどうなのか、それから海上交通安全法という法律ができて巨大船優先の航路をつくるということをはっきりしていまして、そうした中で、東京湾の入り口に橋ができて、その奥のほうにもう一つ橋をつくることがはたして可能性があるのかどうなのか。地元の人にいつまで希望だけ持たせて――毎年花火をあげている、こういうものができるというので、花火を毎年あげている。たいへんな金をかけている。ところが花火をあげっぱなしでもう十年たつ。やるともやらないとも全然はっきりしてない。そこのところを国のほうで、橋を東京湾に二つつくるのか、あるいは一本なのか、それをはっきりしてくれないと、両方で競争したり、両方で促進大会を開いて花火をあげたり、ばく大な金を使っているわけです。それに対してどう関係各省考えているか、そのことについて御答弁。
  30. 堺徳吾

    堺説明員 担当のほうが来ておりませんので、その問題は十分先生の意向をお伝えいたしたいと思います。
  31. 下河辺淳

    下河辺政府委員 いまのお尋ねの点でございますけれども、現在政府としては、公共事業を中心として総需要の抑制をするという必要性に迫られて施策を講じなければならないことは御承知のとおりでございまして、現在大規模な公共投資について積極的にやるやらないをきめるということよりは、むしろ慎重な調査を十分しておくということが現在の実態でございますけれども、東京湾についての交通体系につきましては、やはりできるだけ早急にきめる必要があるということで、建設省の道路局を中心として話をまとめつつございまして、それにもやはり関係各省が非常に大きなと言いますか、たくさんの省庁関係いたしますので、御指摘いただいた点十分各省庁で相談して、できるだけ早い機会にその方向性を定めたいと思います。
  32. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この川崎と木更津の間の横断道路については、これは道路だけつくるのですか。それとも国鉄もこの中へ入るかどうか。国鉄のほうから御答弁願いたい。
  33. 増岡博之

    ○増岡政府委員 担当局長が来ておりませんので、私からお答え申し上げますけれども、現在のところ鉄道を敷く予定はございません。
  34. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは港湾局長、あるいは建設省からでけっこうですが、千葉県のいま残っている海岸、まだ補償を終わっていない海岸ですね、残っているところに補償をやって、そして今度できる宅地開発公団ですか、まだこれは法案は通過していませんが、公団で住宅地を海岸につくるというような構想があるということが新聞に出ましたし、実際そういう計画を持っているのかどうなのか、その点についてお伺いします。
  35. 吉田公二

    ○吉田説明員 宅地開発公団は、住宅不足あるいは宅地需要の著しい地域におきまして、宅地の大量供給をはかるために新設いたしているものでございまして、この公団に対しまして新しい市街地を建設するための手法として、土地区画整理事業でございますとか、新住宅市街地開発事業その他の事業が実施できるように権能を付与することにしておりますが、水面埋め立て事業についても施行できるように権能を与えるようにいたしております。したがいまして、こうした公団の宅地供給という目的のために、技術的に見ても経済的に見ても適当な候補地があって、これが関係機関あるいは地方公共団体関係者、こういうものの調整がつき、協力が得られるというケースがございましたならば、もちろんこれは実施させることにいたしたいというふうに考えているわけでございます。  これは総論としてそういう考え方はもちろんあるわけでございますが、現在具体的に、どこのところでいつどういうふうにしてやっていくというような具体のプロジェクトについては考えておりませんので、具体のケースについては今後の問題として検討課題ということになろうかと思います。
  36. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最後に、六省庁関係の方にお願いしておきますが、先ほど富津地区開発問題について、いずれにしても近き将来早急にどういう方向に進むかということについて、千葉県側とよく話をして結論を出していただきたいということをお願いしておきましたが、一番大きな問題になるのは公害問題じゃないかと思います。いま海洋汚染ということを非常に強く地元の人も心配しておりますので、そういう点を含めまして、富津問題が早く処理できますようにひとつ御協力と御指導をお願いしたい、さように考えております。どうぞよろしくお願いします。  あと、国鉄関係問題について御質問申し上げます。  近ごろ地震の問題がたいへん話題をにぎわしておりますが、現在房総半島を中心とする南関東というのは、全国で随一の地震の観測強化地域というのになっております。私もせんだって、私のほうの地元に地磁気の観測所とか、それから東大の地震研究所の研究施設があって、いま調査研究していますのでその人たちに実際に会って話を聞いてみますと、房総半島というのは南西が隆起して北東が沈下しつつある、こういう傾向がこのまま続いていくと地震が起こる可能性が十分あるという説明を受けたわけでございますが、その他の学者のいろいろな説でも、いま大地震が起きる可能性があるということで、特に東京都などの各学校では、子供の避難訓練をいまやっております。それで、鉄かぶとがいいとか、あるいは昔の防空ずきんのようなものをかぶったほうがいいとか、いろいろ論議されておりますので、そのことについて質問いたします。  房総半島の国鉄の現状というのは、その悪さにおいて全国第三位の危険地域だということがいわれていますが、それがほんとうかどうかということが第一点。それから列車が危険だというので徐行する個所が、勝浦の保線区だけでも、百キロ足らずの間で十四カ所もあるというふうにいわれておりますが、それが事実かどうか。それから、房総半島というのは、御存じのように地すべりが起きたりいろんな場所があって路盤が非常に軟弱である、そうした路盤にかかわらず、設備投資が非常に少ないので、そうしたことが起きているんじゃないかということがいわれておりますが、その点についてお答えをお願いいたします。
  37. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生、御質問の最初の地震の件でございますが、確かに昨年以来地震の問題が非常にクローズアップされてまいりまして、国鉄といたしましても、特に通勤の要所を握っておる首都圏では、地震に対する対策としまして、新幹線と同じようにある一定のガルを定めまして、そのガルをこえるような地震が発生しますと、信号機とリンクして信号機を赤にして列車をとめるというようなものを首都圏の中に開発し設置していきたい、かように考えております。従来は、各保線区に地震計がございまして、房総地区では震度が四になりますと列車をとめて徐行いたしまして、線路の安全を確認して走る。それから震度五になりますと、全線を巡回いたしまして構造物の変状がないということを確認してから列車を運転するというような規定になっておりますが、これをもう少し震度化いたしまして、信号機とリンクするような新しい機械を開発しまして、そういうものを首都圏のほうでは整備したいと四十九年度は考えております。  それから、第二点の房総の線路は日本で三番目に悪いんじゃないかということですが、線路のいわゆる狂いの統計学的な検討からいきますと、先生のおっしゃるとおりでございます。と申しますのは、先生も御承知だと思いますが、千倉-千葉間及び上総一の宮-蘇我間に、いわゆる電化に伴います線路改良工事といたしまして線増あるいはレールを重くする、あるいは道床を砕石にして厚くする、まくら木をコンクリートまくら木にするというような投資をしてまいりまして、五十年度に完成の予定で、いま大体六割完成しております。  ところが千倉と上総一の宮の間、主として勝浦保線区の管内は、そういう意味では投資がおくれておりまして、これらの線区から見ますと非常に見劣りのする線区になっておりまして、一昨年の災害の後遺症もございまして、現在先生のおっしゃるとおり徐行しておるというのが事実でございます。これに対しましては、昨年も御答弁申し上げましたが、特別修繕費をこの管内に約五千万かけまして、千倉-上総一の宮の区間にかけまして四十八年度ほとんど決済いたしまして、四十九年度も引き続きまして、この区間にいわゆる線路改良の工事経費の区間に指定の格上げをするようにいま折衝中でございますが、その辺とともに、修繕費もかけまして整備をしていきたい、かように考えております。  整備の内容は、主としてレールを太くして、それから道床を取りかえるという点でございまして、房総のほかの線区に比べますと昨年は五割くらい修繕費をよけいかけておるというのが実情でございまして、四十九年度も引き続きそのような整備をしまして、乗り心地のいい線路にしたい、かように考えております。
  38. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは、国鉄の人の話によりますと、国鉄は保線要員を、新幹線とか金のもうかるほうへほとんど全部送ってしまって、あまりもうからない路線のほうへ人を置かないので、保線のあれが十分できないという話がいまあるのですね。工事にしても、すべて重点主義でそっちに行ってしまうから。そういうことでは、この勝浦関係の路線がよくなるのには相当長年月かかるのじゃないかと思うのです。そこで、先ほど申し上げました地震のことの話もございますので、できるだけ早くこの路線の徐行個所が少なくなるように御配慮を願いたい、さように要望いたします。  それから次に踏切の問題について、成田-佐原線、それから成田-我孫子線、これが成田市内にあるわけですが、そこに踏切が二十五あって、そのうち五つを廃止する、それから規制強化するのが三つ、立体交差するものが一つ、こういう計画を国鉄が立てた。それに対して成田市は、国鉄に対して反対を表明しておる。ところが、国鉄のほうでは、沿線の住民とか成田市の意向を無視してどんどんその計画を進めている。その進める最大の理由は、成田空港へ燃料を貨車で輸送するための規制強化ではないか、そういうふうに住民はとっているわけです。これは成田市内だけでなくて、千葉-成田、あるいは将来は鹿島-成田というふうにそういうことが行なわれるのじゃないかといわれていますが、それに対する国鉄の考え方をひとつ……。
  39. 篠原良男

    ○篠原説明員 踏切は現在全国に三万数カ所ございまして、一日に大体平均しまして四件ないし五件の事故が発生しております。鋭意、立体交差あるいは廃止等によりまして踏切の数を減しておりますが、過去十カ年間で一万ぐらい踏切を減してまいりました。踏切を極力減すとともに、残りました踏切は、保安向上、整備をして保安度を上げていきたいというのが国鉄の踏切に対する基本方針でございまして、四百メートルあるいは三百メートルに一カ所ずつある踏切は、地元と協議いたしまして極力廃止していただく、残る踏切には遮断機をつけて、全遮断をしてチャンチャンをつけるというように地元話し合いをしております。廃止いたすにつきましても、車禁――この車禁に大型車を通さない、耕うん機は通れるというように、A車禁、B車禁、C車禁とございますが、この車禁の話し合いというものも、全部公安委員会の許可がないと私のほうで単独でやるわけにはいきません。したがいまして、私のほうから強く公安委員会のほうに踏切の規制については要請しております。公安委員会が地元話し合いがつきましたところについて私のほうに連絡がございますと、車禁あるいは廃止、そうしますと道路諸標を建てていただかなければいけません。これは全部公安委員会がやっていただくことになっておりますので、私ども一方的にやっておるということは耳にしておりませんが、公安委員会を通じて、公安委員会の許可があればやっておるというのが実情でございます。
  40. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その成田の廃止する踏切の中の一つに囲護台の踏切というのがある。これは立体交差することになっているのですが、その金を空港公団が負担するということになっているようですが、これは理由はどういう理由ですか。これは航空局のほうから……。
  41. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  先生も御承知かと存じますが、鹿島港から成田市へ鉄道によりまして航空燃料を輸送しようという構想が出ましてから、この沿線の市町村におきまして、燃料輸送の安全対策という点で踏切の改良等の御要望が出ております。ただいまの囲護台の踏切と申しますのは成田駅に接続する非常に交通量の多いところでございますので、踏切の遮断回数が多くなるというようなことから、何らかの改良が必要であるということが成田市長等から御要望が出ておりまして、現在それをどのような形で改良するかということ、それからその場合の費用の負担をどうするかというようなことについて詰めを行なっておる段階でございます。空港公団の油輸送にもっぱら基因するものである場合には空港公団が費用を負担するようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  42. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、時間が参りましたので最後に政務次官に御質問申し上げます。  これは空港の騒音防止法の審議の中で感じたことですが、政府航空産業のために非常に強力な援助をしている。第一点が、空港は政府の力で建設する、第二点が、航空の保安施設も政府で全部つくる、第三点は、航空管制官というのは全部政府の職員である、第四点は、騒音防止については整備機構という公団に似たようなものをつくって国が大幅にめんどう見る、また地方の公共団体にも負担をさせる。非常に過保護と申しますか分を越えたような援助を航空産業、いわゆる飛行機のほうにはやっておるわけです。ところが、国鉄については全部自前でやれということです。ですから、国鉄は自然に赤字の累積が出てくるということは、これは当然そういう形になるわけです。国鉄は、赤字になるから苦しいから一番最初にやることが合理化だ、その次が、新幹線のようにもうかるところには非常に無理をしても過密のダイヤを組んでいる。その反対に、損するようなところと申しますか黒字にならないような路線はどんどん間引きする、しかも保線要員まで全部引き揚げてもうかるほうへ持っていくことをやっている。ですから、過密のほうは過密で、もうかるけれども、だんだん危険度を増してくる、騒音も出てくる。それから過疎のほうは過疎のほうで、手が届かないから危険になってくる。両面にわたって悪循環が国鉄の中に出てきているということは十分考えられるわけですが、飛行機と鉄道と、なぜ同じ運輸省、同じ政府がそう差別して、鉄道だけいじめて国鉄をまま子扱いにして飛行機だけめんどうを見るか、そのことについて政務次官は今後どう考えるか、それをはっきり御答弁願いたいと考えている。
  43. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先生、御承知のとおり、国鉄に対しましては今後十年間にわたりまして国も相当な出資、財政的な援助もいたしたいということで考えておるところでございまして、また航空の面におきましても騒音問題解決には巨額な費用が要るわけでございまするけれども、これは必ずしも全額国費ということは考えておりません。PPPの原則にのっとってやっていこうということを今後の課題として考えておるわけでございます。したがいまして、当面先生の御指摘の面もそのとおりかと思いますけれども、私どもはそれをならして、公平な立場から仕事をやっていきたいと考えております。
  44. 金瀬俊雄

    金瀬委員 じゃ、政務次官は、いまのやり方から考えると、国鉄と飛行機と考えてみた場合は、国鉄に対して非常に不公平であるというふうに考えますかどうですか。
  45. 増岡博之

    ○増岡政府委員 必ずしも不公平と考えておるわけではございませんで、やはり過去の歴史から見ますと、国鉄に対して国も相当なことを、数十年前の話でございまするけれども、初期においてはいたしておったと思います。そういう観点から考えますと、長期的に見ますと必ずしも不公平ではないように考えております。
  46. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最後に、大臣が参りましたので大臣に御質問申し上げますが、私ども、世間一般でいわれていることは、鉄道、それから船、港ですね、それから飛行機、それから高速道路、そういうものに政府が予算を投下している投下のしかたというものを考えてみると、一番恵まれてないのが国鉄、それから一番恵まれているのが飛行機、それから船と自動車がその間にある。国鉄というのが一番日本国民の需要というか、お客を運んでおる量は多いし、足を守るという意味で一番役割りを果たしているわけですが、それが一番少なくてほかのほうが多いということについて、私どもは非常に不公平だというふうに考えているし、行政のあり方というのはやはり公正でなければならない。そこに不平、不満があっちゃならないということを感ずるわけですが、特に飛行機なんかも、国鉄の新幹線に乗っている運転士さんのもらっている俸給と、操縦士がもらっている俸給じゃ、三倍も開きがある。危険さとか、そういうものはみんな同じじゃないかと思うのです。あるいは勤務時間も、新幹線に乗っている人たちのほうがむしろ多いし、過度な労働もしているし、また技術も最高のものを持っていなければならないというふうに考えていますが、あまりにも待遇が違い過ぎるし、また国の援助のやり方というものもきわめて公正を欠いていると考えますが、大臣はそれに対して今後是正する考えがあるかどうか、あるいはそのことについてどう思っているか、そのことについて御答弁……。
  47. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 公共性を持っておりますこれらの問題に対しては、国の援助というものは公平でなければならないと思います。そういう面で今後も、いま御指摘のような面等も十分検討いたしまして、私どもは、おくれているものについてはそれなりのやはり手助けをしてまいらなければならないだろうと思いますが、十分配慮してまいりたいと思っております。
  48. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは時間が参りましたから……。
  49. 三池信

    ○三池委員長 久保三郎君。
  50. 久保三郎

    ○久保(三)委員 航空に関することでお尋ねをしたいのでありますが、特に成田空港というか新国際空港の問題でありますが、その前に、当面折衝中であります日中航空協定というか交渉の問題について、大臣いらっしゃる間にお尋ねしたいと思うのでありますが、これまでこの国会でも予算委員会あるいは外務委員会等々でそれぞれ関係大臣の御答弁はあったようでありますし、現に北京にそれぞれ関係各省から交渉員が行きまして、現在、中国側と日中航空協定の締結について交渉中でありますので、当委員会としましても、一応運輸大臣から政府の御方針なり見通し、あるいは今日折衝中の中身、中身といっても全部御披露いただくわけにはまいらぬかもしれませんが、大体どういうお見通しであるのか。われわれとしては、日中航空協定が今日まで交渉の運びに至らなかったことが、たいへん長い期間だったと思っているわけでありまして、田中総理が、就任早々中国に渡りまして、国交回復の交渉をされて、実務協定の第一番目として早急に日中航空協定が締結されるべきものだと考えておったわけだし、またそうすることが日本国の利益にもなるし、世界平和のためにも貢献するであろう、こういうような観点から実は考えてきたわけでありますが、おそきに失するといっても、現に交渉に入っておることでありますから、早急に交渉の妥結を得られて、できますれば今国会に批准の手続その他を進められるように、われわれとしては考えておるわけでありますが、これらに対してどんな模様であるのか、あなたからお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  51. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 日中航空協定の問題につきましては、これは私からどの程度申し上げていいのか、外務省が窓口になりまして、外務大臣中心にいろいろ事を運んでおるわけでございまして、外務大臣がしばしば、なるたけこれの調印を急いでこの国会で批准ができるようにやりたいという希望を、それぞれの委員会でお述べになっていることは御承知のとおりでございます。この考えは私どもも同感でございます。  二十二日に運輸省の係官も中国に派遣いたしまして、交渉団の中に加わって、いろいろな作業と申しますか交渉に当たらしておるわけでございますが、いままでに中国側との交渉は二回やったようでございます。その内容につきましては、いま非常に微妙な段階にございますし、私もある程度は存じておりますけれども、ここで申し上げるのを御遠慮さしていただきたい、御了承いただきたいと思います。  運輸省といたしましては、外務省のそういう基本線にのっとりまして、いろいろな運輸省がやらなければならない、専門官が手をつけなければならない問題等について、いま話し合いを鋭意進めている最中でございます。運輸省の基本的な態度といたしましては、いままでに航空協定というのはたくさん各国とやっておりますし、そういうような国際間の慣例に従いまして、十分諸般の情勢、これは抽象的でございますけれども、考慮しつついま話を鋭意進めておる段階でございます。
  52. 久保三郎

    ○久保(三)委員 なかなか微妙な段階でありますからお答えもむずかしいのかもしれませんが、大体、お気持ちとしては、政府部内――気持ちというよりは、政府部内での意思統一はもちろんなさって交渉に当たっているんだと思うので、原則的なことはお答えがいただけると思うのですが、大体この妥結のめどは、先ほど私からも申し上げたように、今国会で批准ができ得るように早急にまとめたい、こういう御意向で交渉をさせているのかどうか、いかがですか。
  53. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 政府部内においていろいろな意見の相違とかそういうものはございません。何か世間一般にはいろいろなうわさも伝わっておるようでございます。私もどこかの委員会で運輸省が何か非常に消極的ではないかというようなお尋ねも受けたことがございますけれども、そういうことはございません。これはもう全く緊密な連絡のもとに歩調を合わせて進んでおることは間違いございませんから、誤解のないように、この際明確にお答えを申し上げておきます。  それから、今国会中にそれではやれるかということでございますが、この国会もあともう一カ月余りになりましたから、いろいろな、たとえばかりに――仮のことを言って申しわけございませんけれども、いろいろな仮署名ができ、それからまた本調印と申しますか本署名と申しますか、よくその辺は存じませんけれども、そういうような正式なものができ上がるまでにも、いろいろな法文の整理であるとか、多少時間がかかるのではないかと思います。しかし、外務大臣中心にしましていま話し合っていることは、この国会で何とか御承認をいただくような手はずでひとつ鋭意努力しようということでございます。ただ、交渉ごとでございますので、これから先の見通しということになりますと、その辺が非常に微妙なということでございまして、御了承いただきたいと思います。
  54. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは、たとえば、私もたとえばの話でございまして、いまお話しのような外務大臣中心にしての考え方というか、政府考え方でしょうが、できれば今国会にということでありますが、そういうふうな手順になった場合に、実務を扱う運輸省として、これに大体応じ得られるような準備はしてあるわけですね、そうなりますと。
  55. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 日中路線とそれから日台路線を両方維持していくという一つ命題があるわけでございまして、その辺のかね合いが今後どう出てまいりますか、なかなかいろいろなむずかしい問題があるかとも思いますけれども、日中協定につきましては、その辺が、内容がどういうふうにからむかは別といたしまして、私どもは、現在行っておりますから、まあこちらの要望もございますし、向こうの要望もございますし、その辺を十分詰め合わした上で事を取り運ぶわけでございますから、今後、この国会で批准ということがどういう形で、どういう速度で参りますか、これもまだ――一応の目標は、この国会で批准をいただくような努力をしようということで意見がまとまっております。また、その努力を事実しているわけでございます。  運輸省としての作業といたしましては、できる限りそういう方向でいま進めておる最中でございます。
  56. 久保三郎

    ○久保(三)委員 もう一言この問題で。いまのお話だというと、日中あるいは日台とのかね合いでというおことばがありましたが、かね合いというのはどういうふうにとったらいいのかわかりませんが、巷間伝えられているあの運輸、外務両省案というか、これをワンパッケージでというようなことも伝えられておりますが、そのワンパッケージというのは時間的なワンパッケージなのか、あるいはそうでなくて問題の処理のしかたとしてワンパッケージなのか、いまのかね合いというおことばがあるというと何か時間的なワンパッケージのようにも受け取れるわけであります。これは新聞の記事でありますが、先般外務大臣は、とにかく日中は日中として航空協定の締結に持っていきたい、こういう強い意見を、強い意見というか、まあそういう意見を表明されたように伝えられているわけでありますが、いまのかね合いというのは時間的なことをおっしゃっているのか、それとも案件の処理のしかたとしてワンパッケージというそういう意味のかね合いなのか、いかがでしょう。  いま私がお尋ねしていることは、中国との間の航空協定の早期締結についていかがでしょうかというお尋ねなんであります。もちろん日台の関係もこれはございますから、それはどうでもいいということではあり得ないとは思うのですが、しかし、いまのお話だと何か日台も日中も一緒にというような時間的なことにもとれそうなんでありますが、われわれ自身は、繰り返し申し上げるように、少なくともいま交渉中のものをまず第一にきめていくというのが手順ではなかろうかというふうに思うのであります。もちろん日台の間に交渉がうまくいって、それが同時になるかどうかは別でありますが、いずれにしてもそういう気持ちでいるわけですが、その辺はいかがでしょう。
  57. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 大平外務大臣がワンパッケージ論というのをお出しになりまして、これにはことばにいろいろな誤解もございまして、必ずしもそれらをだんごにしなければどうにもならぬということじゃないのだというような意味のお話も後日あったわけであります。したがいまして、一番いいことは、一番早く両方がぱあっと一ぺんにいくことが一番いいと思います。それが最善だろうと思います。その最善に向かって努力をしなければならぬと思いますし、またそれがもしもできない場合にはどうするかという次善の策もいろいろ考えて、いま外務省を中心に努力をしている最中でございます。何ぶんにも中国には現に大使館もございますし、使節団も行っておるわけでございます。片や民間交渉のほうはいろいろまた直接的なお話し合いのできにくい面もございますし、そういうことでそれはそれとしまして、鋭意いまそういうことも乗り越えつつ努力の最中でございます。
  58. 久保三郎

    ○久保(三)委員 この問題は交渉中でありますからなんですが、ただ、これは大まかな話でありますが、日中航空協定が順調にいきまして締結されるという暁になりますと、これは遠いアメリカとかフランスとかイギリスとかいうようなところとの航空協定とは事違いまして、言うならば近い外国との間の国際協定に相なります。そうなりますと、ちょっと予想されるのは近距離の国際線という一つの見方が出てきますね。そういうものを考えると、従来とられてきたわが国の航空政策も一部修正の可能性が出てはこないのかというふうにてまえどもは考えるわけであります。いまは御承知のように、国際線は日航一社、それでわずかに全日空がチャーター便で近距離の国際線に乗り入れているということでありますが、大体そういう形の延長でやるのか、それともダブルトラッキングというか、言うならば二社を近距離には入れていくのか、そういう問題が出てくると思うんですね。事実、政府部内でもあるいはそれぞれの向きでも議論していると思うのですが、そういうものについてのものの考え方については、どういうふうにお考えでしょうか。
  59. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 御指摘のように、いろいろなことが考えられるがけでございます。ただいまの原則といたしましては、お話がございましたように日航は国外の定期、全日空はチャーター、国内はそれぞれやっているわけでございますが、この原則がこれでくずれるかどうかということでございます。これは交渉の経過ともからみましていろいろ問題が出てこようと思います。それに対応いたしまして、いままだ固まったものが実はございません。ございませんが、その状況によりましてはやはりこれのいままでの見直しをやらなければならぬ、あるいは必要があれば航空政策審議会にもおはかりし、閣議了解事項というものを一ぺん見直さなければいかぬということもあり得るだろうと思います。そういうようなことにつきまして、ただいま政府部内において鋭意検討を重ねておる最中でございます。
  60. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それじゃこの問題はその程度にいたしまして、次にもう一つ、法案が内閣委員会にかかっている沖繩の情報区の関係であります。  これは台湾の情報区との関係が今度直接わがほうには出てくるわけでありますが、こういうものについて、それから片方、日中航空協定の締結ということになりますし、しかもこれは当分の間、日中航空協定が締結されても、情報区というかそういうものを勘案すると、ストレートに、直線で東京-北京というものが、従来と同じでありますが、結び得ない。大邱の情報区がございますから結び得ない。空は自由であるべきなんだが、まことに非常に不自由という感じをつくづく最近思うのであります。ついては全体的な問題は別にして、沖繩の情報区が日本の手に五月十五日に返還になるわけで、諸般の準備を整えているのでありますが、この台湾の情報区との関係が今度は非常に微妙になってきはしないか。そういう情報区の扱い方はどうなのか。しかも台湾は、ICAOから中国を代表するものではないというふうになっているわけでありまして、そうなると、国際航空協定の中あるいは機構、そういうものの関係からいっても解釈と運用というか、非常にめんどうになりはしないかと思うのです。これらについて、これは専門的でありますから航空局長からお伺いをしたほうがいいかもしれませんが、これはどういうふうに解釈しておりますか。
  61. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいま先生指摘のように、五月十五日に沖繩の管制部が日本側に――管制業務は日本側が行なうということになります。したがいまして、現在は沖繩FIRと台北のFIRの関係は米国軍がやっておりまして、これを引き継ぐことになるわけでございますが、その引き継ぎます際に、航空機の受け渡し通信等につきまして技術的な了解というものが台北FIRと沖繩FIRのセンター間で必要になってまいります。これがございませんと、特に定期便が自由に飛ぶということが非常に確保しにくくなるわけでございまして、私どもは、技術的な取りきめと申しますか了解と申しますか、こういうものを何らかの形で台北の管制部と沖繩の管制部との間に結ぶ必要があるということを考えておりまして、すでにこのセンター間である程度の接触を始めております。これは本来非常に技術的な問題でございまして、先生指摘のように、台湾がICAOにおきまして中国を代表するものでないということになって、現在ICAOから脱退しておるわけでございますが、脱退後も引き続きこの管制業務を続け航空情報のサービスを提供するということになっております。したがいまして、私どものほうといたしましては、この台湾と沖繩の両管制区の受け渡し業務がとだえますと、あらゆる航空が、これは日本と台湾の航空機のみならず第三国の航空機も飛べなくなるという状態に相なりますので、この技術的な取りきめというものは、政治問題を別といたしまして、何らかの形で合意できるというふうに考えております。
  62. 久保三郎

    ○久保(三)委員 もちろん政治問題抜きにしてというのは、台湾と日本との間についてはそうだと思うのでありますが、第三国との関係ではなかなかむずかしい面が出てきはしないかという心配をてまえどもはしているわけなんですね。そういう問題についてはどういうふうになりますか。  それから、いま局長おっしゃるような台北との間の何らかの協定というのは、どういう協定なんですかね。これはもちろん、いま台湾と日本との間の航空協定というか、そういうものは実際はないのですね。これはないのですね。無協定のままお互いに乗り入れているし、それぞれの以遠権もそのまま存続しているということなんで、こういうもののあり方というのは、これはなかなか変則的なことでありますが、しかし、一たん問題になりますというと非常に支障を来たすと思うのですね。だから情報区の問題も、いまお話しのようにどういう協定というか、どういう話というか、どういう取りきめでやるのか。向こうは国家を代表するものではないし、ところがこっちは国家を代表するものが情報区を持っているのでありますから、たとえば航空会社みたいのなら、言うなら民間協定というかそういうようなものも、やり方、やり口もあると思うのですが、情報区だけは国家を代表するものでありますから、そうすると台北との間の協定といったら、国家を代表するものと民間との間の協定とでもいうのでしょうか、これはどういう形になるのでしょうか。いかがでしょう。
  63. 寺井久美

    ○寺井政府委員 その協定の性格と申しますか、要するに管制機関は日本の場合も台湾の場合も一応政府機関でございますので、その意味で政府間の取りきめになるということを御指摘かと存じますが、私どもがいま考えておりますのは、これは非常に実務的な問題でございまして、技術的な取りきめであるということで、やはり先生の御指摘になりましたように、航空協定によって飛行機が飛んでいるわけでは現在ないわけでございまして、これを民間取りきめで飛ばそうという形を考えております。それと同じようなことで、やはり民間の取りきめというようなかっこうで、この両機関の合意といいますか了解、一つの方法で飛行機の受け渡しをするということについての了解をしておく必要があり、そこで私は先ほど何らかの取りきめと申し上げましたけれども、これをどういう形でやるかについては、まだ最終的に実は政府部内で考え方がきまっておりません。ただ、何らかのそういう合意が必要であるということは間違いございませんでしょう。そういう実質的な了解というものを相互に取り結んでおく必要がある。これのやり方につきましてはどういう形式をとるかについては、目下検討中でございます。
  64. 久保三郎

    ○久保(三)委員 間もなく五月十五日でありますから、早急にこの問題を詰めねばいかぬだろうと思うのですが、いずれまた機会を見てお尋ねすることにして、時間もありませんので、新国際空港に関連して二、三お尋ねをしたいと思うのです。いままでそれぞれいろいろな角度からお尋ねがありましたが、時間もありませんので簡単にお答えいただいたほうがいいかもしれませんね。  まず一つは、飛行コースについてどういうふうになるのか。特に私が関係するのは、千葉県の隣の茨城県の隣接区域には当然飛行コースというか、茨城県も飛行コースになるということでありまして、そこで地元問題としましては、一つ騒音問題でありますね。それから一つには百里の航空基地がございますから、自衛隊の基地ですね、この百里の訓練空域とこの空域の関係はどうなのか。従来、開港については、ことしの秋だとか来春だとかいろいろ言うのだけれども、肝心かなめの飛行コースなどについては、いつお尋ねしてもどうもあまりはっきりしない。非常にむずかしい問題であるからやむを得ぬと思うのでありますが、もはや地元は暗中模索の中で反対をしているわけです。これは当然だと思うのですね。そんなはっきりもしないのに賛成なんかできっこはないし、油の輸送についても何らの保障もないのでこれは反対だ、これは当然だと思うのですよ。われわれ自身は、地元の一人とすれば、極端な言い方をすればどうも公害だけもらう、もらい公害ということで、新しいことばが最近茨城県に出まして、もらい公害、何にも利益がなくて公害ばかりいただくのではどうも困ったものだという、そういう反対の理由も最近出てきました。だから早急に、飛行コースはおきめになっているのだろうからこれを公表して、地元対策はどうあるべきか、あるいはそれについて修正するとかいうようなことを考えなければならぬのではなかろうかというふうに一つは思うのであります。  そこでお聞きしますが、特に北風の場合というか、そういうときにおける飛行コースの問題が、茨城県に関係一つはあると思うのですね。それからもう一つは、アンカレジ、モスクワ、そういう方向から出たり入ったりする飛行コースの問題があるのですね。これはいつ聞いてもあんまりよくわからぬ。これはまず第一、飛行コースというのは大体内定はしているのかどうか。内部的にはきめてあるのかどうか。ただし公表ができないというのか。それとも全然、ほんとうに正直に言って内部でも暗中模索である点があるのかどうか。そうだとするならばいかなる理由があるのか、これをひとつ……。
  65. 寺井久美

    ○寺井政府委員 まず成田空港離発着のための飛行コースにつきましては、おおむね部内で案を得ております。ただ、まだ一、二カ所問題点がございまして、最終案というかっこうにならない状態にあることも事実でございます。それから、特に洋上の部分につきましては、内陸部に比べますと少しまだ問題が残っておる、こういう状態でございます。  ただ、特に北に向かって出発するというような場合の茨城県側関係につきましては、地元の方々にもアウトラインを一応御説明してございまして、大体、音の計算をいたしましてもこの程度になるというようなことの概略の御説明は、そのつどさせていただいておるところであります。  考え方といたしましては、まず第一に、航空機が安全に離発着できるコースであること、それから第二には、できる限り音の被害を少なくするために人家の密集地を避ける、この二つの面から実はコースをいろいろ検討したわけでございまして、その結果、北に向かって発進いたしますと利根川上空で旋回いたしまして、利根川沿いに太平洋に出ていくという一つのコースと、それから先生指摘のように、アンカレジあるいはモスクワ方面に行く航空機はまっすぐ大子のほうに向かっていく、こういうおおむね二本の線が北向きには考えられますし、南に参ります場合には、成田空港上空で旋回をして出ていくというようなコースが大体考えられると思います。
  66. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大体きまっておるということでありますが、洋上については問題があるというお話、洋上に問題があるというのは、自衛隊あるいは米軍の訓練空域との関係問題があるのですか、きまらないのですか。
  67. 寺井久美

    ○寺井政府委員 訓練空域をどう設定するかということも、もちろん関係がございます。これはルートのとり方その他とも関連いたしまして、最も運営上有利な、安全なルートというものについてどうとるかということで問題が多少残っておる、こういう現状でございます。
  68. 久保三郎

    ○久保(三)委員 訓練空域で問題が残っておるというのは、言うならば競合するということでありますか。だから、われわれとしては、少なくとも訓練空域と立体的にも平面的にもこれは完全分離をすることがたてまえだろうと思うのですね。そうでないと、向こうは戦争を前提にした、安全は二の次と言ったら語弊がありますが、安全は二の次で、いざという場合にはボタン一つでパラシュートで飛びおりるのでありますが、片方はそういう簡単なわけにいきませんから、そういう飛行機と同じ空域を飛んでいること自体が問題だと思うのですね。これは管制が一元化されようがされまいが、私はそういうふうに考えている。だから先般も予算委員会やなんかで問題がありましたが、従来問題になっているのは、自衛隊とかあるいは米軍のR一二一ですか、そういう空域もございますね、そういうものとやはり完全に分離してこの際はやらなければ安全は確保できないと思うので、その辺の詰めをしているのかどうか。立体的にも平面的にも交差させない、完全分離であるというたてまえで貫き通すお考えであるのかどうか。その辺はどうなんです。
  69. 中曽敬

    ○中曽政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる百里沖の訓練空域でございますが、一応自衛隊サイドからだいぶ前に、いまから二年ほど前になりますけれども、そこに訓練空域を設定してくれという話がございまして、それ以来実は私どものほうで鋭意検討を重ねて今日まで至っておるわけでございますが、先生指摘のように、あの洋上と申しますか、いわゆる関東の東の洋上は、現在でも非常に航空路がいろいろ錯綜しておる。それで、われわれの考え方といたしましては、まず現在の航空路というものを前提にいたしまして訓練空域が設定されるかどうかという問題、それから成田開港後においてどのようになるかというふうに、二つに分けて考えなければいかぬというふうなことでやっておるわけでございますが、まず、自衛隊といたしましては現在の時点において訓練空域を設定してもらいたいということでありますので、私どもといたしましては、そういう要望に対応いたしましてどのような訓練空域が設定されるかということを検討しておるわけでございますが、これが先ほど先生のお話にございますように、セパレーション、いわゆる分離を絶対やらなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。  この分離のやり方としてはどういうやり方があるかと申しますと、まずは第一に、平面的にいわゆる飛行機のルートから訓練空域を分離するというやり方、それから高度差によります分離のやり方、もう一つは時間差によります、いわゆるタイムシェアリングによります分離のやり方というふうな分離のしかたがあるわけでございますけれども、そういった三つの分離のやり方をどのようにこの空域に当てはめてやっていこうか、空域はあくまでも、われわれの考え方といたしましては、先ほど申しました三つの分離のしかたのいずれかに該当するように、要するに訓練空域の中は飛行機が飛ばないようにというふうな考え方のもとに検討を進めさせていただいておるわけでございます。もちろんこれは、開港後におきましてはルートがどのようになるかということ等も、当然同じ考え方のもとに空域の設定作業ということが行なわれるわけでございますので、これは成田開港前、後、いずれも、われわれといたしましては完全なる空域分離というふうなことを前提といたしまして検討を進めておる、こういうことでございます。
  70. 久保三郎

    ○久保(三)委員 技術部長、あなたのおっしゃることは、三つの分離の方法があるというか、三つあればどれでもいいというのなら、これは私が言うようなことはどうでもいいということに通ずるのじゃないですか。時間的な分離にしても、時間だってかすかすのときはあぶないし、それから立体的な分離、これはなかなかむずかしいのですね。立体的な分離というのは危険性が多分にあると思うのですよ。だから、私としては完全な分離が必要だというふうに思うので、この際、少なくとも飛行コースについては、それが狭いか広いかは別にしまして、これはやはり太平洋上ある一定の地点までは完全分離をさせるべきだというふうに思うのですよ。完全分離でないと、つい最近、雫石の事故に関連して、いままだ裁判をやっていますけれども、その中で自衛隊のパイロットは民間の飛行コースを知らなかったというのですよ。知らなかったというのは、空域が隣接しているというか、立体的になっているということだと思うのですね。そういう一事をもってしても、これはやはり万が一という場合も想定しながら分離をしなければいかぬというふうに思うのでありまして、いまの御答弁ではどうも、三つあるからそのうちのどれか一つでもとろうかということでありまして、それじゃちょっと話が違うと思うのですね。私は、少なくとも完全分離のためにいま航空局は自衛隊と鋭意折衝中であるというふうに思っていたのだが、どうもそうじゃないとなれば、そうなると、いつでもすぐにできるということですね。合意に達することが可能だということでしょう。これはそれじゃ困るんだな。いかがです。
  71. 中曽敬

    ○中曽政府委員 私の説明がちょっと舌足らずでございまして、久保先生御理解いただけなかったかと思うのでございますが、私どもが考えておりますことは、分離ということは、当然かなりの余裕、アローアンスを持ちました分離のしかたというふうなことを考えているわけでございます。たとえば平面的な分離をやります場合に、航空路きちきちに訓練エリアを設けるということはございませんで、航空路の両側に若干のバッファーゾーンを設けまして、いわゆるニアミスの生ずるというふうなことのないように十分余裕を持った分離をするということでございます。  それから、高度差分離ということにつきましても、これもいわゆる全くの余裕のないような分離をやるということではございませんで、当然千フィートの単位になるかと思いますけれども、そういったバッファーゾーンと申しますか余裕を見積もった分離をやるということになります。  時間の分離におきましても、いわゆる自衛隊のほうの訓練を終わったとたんに民間機が飛び出すというふうなことでございませんで、そこには十分な余裕を見積もったそういった分離をやるということでございまして、この分離のしかたについて、われわれとしては十分航空の安全が確保できるという、そういっためどのもとに検討を進めておるということでございます。
  72. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いずれにしても、訓練空域の問題は安全第一で、完全な分離をやってもらわなければならぬというふうに思うのであります。  そこで飛行コースにまた戻りますが、どうも地図がお互いにないので、ことばの上での地図でありますからいいあんばいになるので困るのでありますが、私から質問しますからそれにお答えいただいたほうがいいと思う。  一つは、成田から飛び立った飛行機は、モスクワあるいはアンカレジに行く飛行機を想定しますと、まず第一に目がけていくのは、大体直進で行きますから直進はどこまで行くか、それから方向転換して阿見のポイントというかそういうのを左手に見て、出島ポイントというのを新しくつくるのかどうか、それから出島から大子、大子から今度は向こうへ行くようなこと、それからもう一つは、大子からいわきへ行って、これはアンカレジのコースですね。そういうコースが北のほうにはある。中部太平洋というかそういうのは、大体いま北へ直進で出て旋回して潮来のほうに行く――ああ、これは進入ですね。アンカレジのほうから進入するときには、アンカレジからいわき目がけてきて、いわきから今度は水戸ポイント、水戸ポイントから鹿島の近辺から潮来、そして佐原というか稲敷郡の上空で旋回して成田に直進する、こういう進入経路ですね。そういう経路。それから中部太平洋のほうは、さっき申し上げたように直進で出て、あの稲敷郡の上で旋回して潮来目がけて、今度は南下して利根川沿いに来て銚子に向いてくる、銚子からいままでのあるコースに乗って中部太平洋に出るというようなこと、あるいはそういうコースで逆に入ってくる、風向きでは。そういうのがまず飛行コース。それからもう一つは、南へ行くコースですね。そのコースの場合の北風の場合には、成田を直進で出て、利根川をはさんで茨城県の利根町、新利根村、河内村、その近辺を中心にして旋回してそれぞれ南に向いていくということ、そういうのが大体茨城県を中心にした飛行コースのように考えるが、それはそれで間違いがないか。  そうなりますと、利根川をはさんで北総というかあるいは常陸の南部というか、そういうところに言うならば飛行機のコースが非常に密集するわけですね。だから騒音問題についても、これはいま図上で考えているほど簡単なものではなさそうだとわれわれは思うのでありますが、まず第一、いま私から幾つか概略申し上げたような飛行コースについてそうであるのかどうか。それをお答えいただきたい。
  73. 寺井久美

    ○寺井政府委員 私、まことに申しわけないんですが、その地名が実は正確にトレースできませんので、先生のいまおっしゃいましたコースが全部正確にそうであるかどうか、確答いたしかねる点がございますけれども、おおむね先生のおっしゃったようなコースを考えておるというふうに印象を持ちました。
  74. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大体そういうことのようでありますが、それじゃ、騒音のコンターですね、従来内部で大体計算しておられると思う。ただし、いまの飛行コースに従っての計算ができているかどうかですね。直進の場合の計算は、ずっと前にできているはずだと私らは思っているわけだ。いま私が言ったコースどおりのコンターはできているかどうか、これはいかがですか。
  75. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  新空港の騒音コンターにつきましては、二年ほど前に八五WECPNL以上の範囲についてはコンターを公表させていただいております。これは昭和五十一年度の新空港への発着飛行機というものを想定いたしました予測コンターでございます。このコンターは、先生指摘のような直進上昇、直進降下という形の範囲内におさまっておるコンターでございます。したがいまして、北向き発進の場合には、利根川に至る数キロ手前でこの八五WECPNLの先端が切れておるというかっこうになっております。いま先生指摘の茨城県内に入った場合の騒音コンターがどうか、こういうことでございますが、これはおそらく八〇よりももう少し低い七五WECPNLぐらいのコンターが書かれた段階で茨城県の市町村に範囲が及ぶというかっこうになろうかと存じますが、これについては、実は現在慎重に作業中でございます。と申しますのは、音の影響が低くなるに従いまして、気象条件その他いろいろなものに左右されて線が動く可能性が非常にございます。実際飛んでおります空港についての実測コンターと違いまして、成田の場合はあくまでも予測コンターでございますので、予測が大きく狂うということは非常におそろしいわけでございまして、そういう意味で実は作業に手間どっている面がございます。  七五WECPNLと申しますのは、先生御存じのとおり、昨年暮れに環境庁が出しました新しい環境基準に合わせますと、新空港の場合は十年以内目標ということになっているわけでございます。したがいまして、その程度の音の高さの範囲だと御承知いただきたいわけでございますが、十年後の予測コンターはいまとても出すことはできませんので、私どもとしては、やはりいままでに発表いたしましたものと同じように、五十一年時点ぐらいをにらんだ七五WECPNLの範囲のコンターを出したいと思って、いま作業をいたしておるわけでございます。およその私どもの感じでは、これはまさに計算結果が出ないとわからないものでございますが、北向きの発進の場合、利根川を越えて一、二の町村にその範囲が及ぶというような結果が出るんじゃなかろうかというような感じを、私これは感じだけを申し上げてまことに恐縮でございますが、そんなような範囲ではなかろうかと考えております。
  76. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまの松木課長のお話は、七五WECPNL、こういうものの計算ということだそうでありますが、これはいつ計算ができるのか。  それからもう一つは、これは航空局に直接関係ないので、技術の関係がおいででありますからお聞きしたいのでありますが、関係の町村長が空港公団へ行って説明を受けた際に、空港公団の三浦という騒音対策室の次長の説によれば、さっき私が飛行コースについて申し上げた、南に出ていく飛行機のいわゆる旋回ですね、北風の場合の旋回の地点は大体千葉県内でも可能であるというような話をしたそうでありまして、大体八・七キロで、高度は五百から六百メートルだから旋回可能である。利根川までは大体十キロぐらいございますから、八・七キロならば千葉県の中で旋回できるという説明をされたそうでありますが、それは可能であるかどうか。  それからもう一つは、先ほど私が言った、航空局長が大体お認めになった飛行コースで、いま松木課長がおっしゃった一、二の町村、これは河内村とか新利根村とか、その近辺だと思うのでありますが、村だけではいけませんね。それから牛久とか阿見とか、そういうところまである場合には行くかもしれませんから。そういう町村だと思うのですが、そういう町村で、特に利根川に近い例をとりますれば、河内村とか新利根村の近辺で、これは成田から二十キロぐらいになりますか、もっと近いかもしれませんが、その地点で、大体十五キロ地点あるいは二十キロ地点で、飛行機にもよりましょうけれども、高度はどのくらいになるとお認めになっているのか。この公団の三浦次長は大体平均で言ったんだろうと思うのですが、高度は八・七キロメートルの地点で大体五百から六百だ、こういうお話ですが、そのことはそうなのか。くどいようですが、私がさっき口頭で申し上げたコースと、松木課長がおっしゃる一、二の町村、そういうところでの高度はどの程度になるのか。いかがですか。
  77. 松木洋三

    ○松木説明員 順次お答え申し上げます。  まず、七五WECPNLのコンターがいつごろできるかというお話でございますが、先ほど来話題になっております飛行経路につきまして、最終的に私どもも結論を得た段階でありませんと、その予測コンターがきまらないという一面がございます。それはそれといたしまして、現在いろいろな作業に取りかかっております。いましばらく時間をちょうだいいたしたいと存じます。  それから次に、空港公団が千葉県内で旋回できるという御説明を稲敷郡の新利根村の方に申し上げたという件でございますが、これにつきましては、実はその後、二月の七日であったかと存じますが、稲敷郡の騒音対策協議会という形で、郡内の全市町村長さん方が私どものほうへお見えくださいまして、その席でも詳細に実は御説明を申し上げたわけでございますが、実はその空港公団の説明が非常に舌足らずでございまして、羽田での現在の離陸形態というものをとりまして、それを新空港へ当てはめれば千葉県内でも回れるという――回れるという言い方はよくないのですが、回っているというかっこうに、羽田の現在の離陸コースはなっています。こういうことでございます。  実は、新空港の場合は羽田と違いまして、御存じのとおり内陸型の空港でございますので、海の上を飛ぶというようなわけにいかない、常に下に人家があるということを頭に置きながら飛行コースの設定をしなければいけない。私どもは、この成田空港の場合には、なるべく早く音の影響がなくなるような離陸のさせ方をいたしたい、こういうふうに基本的に考えておりまして、離陸後できるだけ早く高度をかせぐと申しますか、フルパワーで高度をかせぐというやり方で離陸をさせまして、そして一定の高度に達した後に旋回に必要なスピードをつけて旋回をさせる、およそそういうようなことが基本的な考え方になっておるわけでございます。そういうことの結果、私どもとしては、かねがね基本的にこの利根川付近での旋回という考え方をとってきておるわけでございます。  そこで、御指摘の河内村とか新利根村の場合、いま私が申し上げたような考え方で離陸させた場合の航空機の高度はどれくらいか、こういう問題でございますが、この点につきましては、いまのような発進形態をとらせるということで、実はあくまでもこれは予測的な数字でございますし、それから先生もおっしゃっておられますように、飛行機の型あるいは積載量によって相当違いがございますので、はっきりしたことをちょっと申し上げかねるのでございますが、およそ大部分の飛行機については三千フィート近くかあるいは三千フィート以上ぐらいになっておるのではないかというふうに私は考えております。
  78. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間もありませんから続いて質問申し上げますが、いまのお話だというと三千ぐらいだ、こういうお話ですが、大体何キロぐらいの地点で旋回するのか、そのことをあとから答えていただきたい。旋回する場合は大体三千ということになるのかもしれませんが、それ以外に、直進してアンカレジなりモスクワなりそういうところへ行く、あるいは今度は潮来のほうから回り込んで進入する場合、そういう進入する場合と出発していく場合では高度もだいぶ違うと思うのでありますが、その辺のことを、数字だけでけっこうですからお述べいただきたいと思います。  それからもう一つは、航空機騒音障害防止法というか、先般改正して、きょう参議院を通ったと思うのでありますが、この法律に基づく防音施設の問題でございますが、これによりますれば、「航空機の騒音の強度及びひん度に関する告示」というのがございますが、環境基準も変わってきているので、この告示の内容は修正すべき筋合いではないかというふうに思うのです。たとえば教育施設の場合を見ても、七十ホンで十回以上、一授業単位にある場合は全額補助するとかいうようなことを書いてあるようでありますが、こういうのも見直す必要がありはしないかというのが次の質問であります。  それからもう一つは、さっき松木課長からお話があった茨城県の大体対象になりそうだという市町村の騒音コンターは大体七五WECPNLだろう、こういうのですね。七五だというと、この騒音障害防止法に基づくそれぞれの防音施設に対する助成がどういうふうになるのか、私はよくこの計算ができないのでわかりませんが、たとえばいま申し上げたように、一授業単位、教育施設の場合は、七十ホンの場合で十回以上というようなことで、WECPNLで計算してはないんですね。そういうことでありますから、これはどうなのか。  それからもう一つは、施行令で指定する福祉施設とかあるいは集会の場所とかいうようなものに対する助成は全額ではないものがあるのですね。そういうものについてはどういうふうにしようとしているのか。実際にやろうとする場合、われわれはこれに全面的に賛意を表するわけにはいきませんけれども、現実に、たとえばあなたのほうで成田の開港をして飛行機を飛ばすという場合には、少なくともそういう防音というか騒音問題ぐらいは片をつけなければならぬだろうというふうに思うのであります。ところが、関係の町村というのは、言うなら全額国庫負担なら問題はないでしょう。しかしながら、七五WECPNLでやった場合にある部分について、あるものについては全額でないかもしらぬというようなことになりますと、これは負担能力のない町村であります。言うなら農村でありますから、何ら自己財源というか、そういうものもほとんどない村ですね。そう  いうものに対して従来のやり方でやるのかどうか、そういうことについてはどういうふうに思うのか。少なくともいままでの話では、関係町村はこっちのほうへ飛んで来られるのは反対だということでありまして、防音施設をしてくれとかなんとかいう要求はまだないようでありますが、私は、先走った形でありますが、一応お答えいただきたい、こういうふうに思うのです。  大体時間でありますので、いま申し上げた四つばかりの点についてお答えをいただきたい。以上です。
  79. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  助成の方針的なことにつきましては、局長から後ほどお答えを申し上げることにさせていただきたいと思いますが、そのほかの問題をちょっと御説明を申し上げたいと存じます。  まず第一に、北向き発進の場合の施回点はどれぐらいの距離と考えているかということでございますが、およそ利根川あたりと御説明を申し上げたいと存じます。その距離は、およそ新空港にございます無線施設、DMEというものがございますが、これから七マイル程度の距離になろうかと存じます。そこから旋回を始めるという考え方を大体いま考えております。したがいまして、その七マイルのときの高度が何フィートかということが問題なんでございますが、三千フィートということをあまりかたくおとりいただきますと非常に私も実は困るのでございますが、飛行機の機種、積載量等によって相当違うということをどうぞお含みおきをいただきたいと存じます。  それから、先ほど先生申されておられました進入の場合の高度はどうか、こういうことでございますが、これは進入の考え方では、飛行場のILSという機器に乗りますポイントが、利根川よりももう少し先の段階で機器に乗らせるようなことをいま考えております。その際の高度はおよそ二千五百フィートぐらいではないか、これはILSは機器で三度というふうにきまっておりますので、大体そういう数字になろうかと存じます。
  80. 寺井久美

    ○寺井政府委員 この助成の方針その他あるいは基準の問題につきまして御指摘がございました。今回改正法案が成立いたしましたならば、その方向で全国でこぼこのないように助成をしてまいるわけでございまして、学校等の防音工事にホンを使っておる、これは飛行機の回数があまり多くない場合にはそれでよろしいわけでございまして、それのほうが単純明快にわかるというようなことから採用されたわけでございますが、今度環境基準がきまりまして、一定のエリアをWECPNLで表示するというようなことに相なりますれば、これの範囲内ということで別の基準といいますか、基準をある程度修正をする必要があろうかと存じます。これは技術的にもう少し詰めませんと、ちょっと御即答いたしかねるわけでございますが、先生の御指摘のような点十分考慮いたしまして、その基準を修正する必要があれば修正をしていくということで検討さしていただきたいと思います。
  81. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまのお答えに続いて、具体的には茨城県の旋回の場所、特にそういう下になる、あるいは進入のコースの下になる町村について、いま申し上げたような騒音の防止に対する助成ですね、これはどうなのかというふうにお聞きしているのです。これは開港前にそういうものも全部整備しなければいけないんじゃないかというふうにてまえどもは――少なくとも開港を前提にすればそういうことではないのかというふうにいまお尋ねしたわけなんで、それはどうなんですか。大体七五WECPNLだとすれば、教育とか福祉とかそういうものを含めて、全額でやろうとすればそこでやる以外にないということなのか、それとも一部助成ということになるのか、その辺のお見通しはどうなんですか。
  82. 松木洋三

    ○松木説明員 先ほど来話題になっております利根川の先になります茨城県下の市町村についての防音工事問題でございますが、これは私どもも、河内村等におきましては局長が御説明したようにWECPNLでない助成の基準になっておりますが、その点がちょっとむずかしゅうございますが、学校防音工事をさせていただくべきものが出てくるのではなかろうか、こう実は考えております。そしてその際、先生が御指摘のように、それが全額助成でないという問題がございます。村の資金力の問題もあるようでございます。それは私どもよく承知いたしております。それがゆえに非常にむずかしい問題だと存じますが、いまのところ私どもが思っております助成基準では七五%が公団からの補助ということになるわけでございます。あと残りは自治省の起債、そしてさらにその起債でまかなえない一部、約六%強になるかと存じますが、それはとりあえず関係の自治体で出していただかねばならない、こういうようなことになっているわけでございますが、何らかの方法においてそういう問題をよく御相談しながら解決の道を講じた上で、私どもとしては、新空港の開港までの間にできるだけそういう防音工事を早目に進めていきたい、こういう姿勢で現在取り組んでおる次第でございます。
  83. 久保三郎

    ○久保(三)委員 終わりますが、いまの六%にしても、冒頭申し上げたように、関係町村はもらい公害なんで、もらい公害を自分から金を出して、しかもあまり財源もないいなか一いなかと言ったら語弊がありますが、農村の自治体が負担していくことについて、村民の合意を得られるはずはないと私は思うのですよ。そういうところを考えないでいろいろやろうといっても、これは無理なんでありまして、政務次官もいらっしゃって――あなたも茨城県のほうへおいてになったようでありますが、そういうものも考えないで、ただおまえら賛成しろというようなことを言っても無理だろうというふうに思うので、いまのような問題についてどうですか。もう時間が過ぎておりますから、一言だけ伺っておきましょう。
  84. 増岡博之

    ○増岡政府委員 ただいままでは、現在の法律制度でできる限りのことをいたすということを申し上げておるわけでございます。私も今後ともあとう限りの努力をしてまいりたいと思いますけれども、先生指摘のような状況でございますので、今後相当突っ込んだ考え方をしていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  85. 久保三郎

    ○久保(三)委員 終わります。
  86. 三池信

    ○三池委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十八分開議
  87. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  陸運、海運及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。三浦久君。
  88. 三浦久

    ○三浦委員 海運局長にお尋ねいたしますが、内航海運業、特に内航船舶貸渡業を営んでいる業者の経営問題についてお尋ねしたいと思うのです。  この内航船舶貸渡業を営んでいるいわゆる零細な一ぱい船主の経営というものが、最近非常に悪くなってきているわけですね。そして転廃業が多くなってきていると思います。これは海運局のほうからいただいた資料によりましても、四十六年度はこの会社数でいいますと百七十二あったものが四十七年度では六十一社に減っておりますし、また、経常損益を見てみましても赤字がふえているという実情にあると思うのです。こういうように、いわゆる用船契約によって内航運送に従事している一ぱい船主たち経営がなぜ悪くなってきたのか、この点について、どういうふうにお考えになっているかについてお尋ねいたしたいと思います。
  89. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生いまお話しの貸渡業者の数というのは、実は少ない数がお手元に届いたかもしれませんが、実は数はもっと多うございまして、全体では四十八年度末に六千二百五十八ございまして、そしてそのうち一ぱい船主の数が四千九百五十六ございます。この資料は、実はお手元に届きましたのはタンカーの経営状況の資料ということで、そのうちから一部抜き出したもの、あるいは標準的なものということでおまとめした数字であったと思います。  私ども、実は内航海運業、貸渡業に限らず、非常に経営能力ということについては底の浅い業界でございまして、やはりどうしても景気の好不況に支配されましたり、それからどうしても力関係において運送業のほうが荷主のほうの力よりも弱いというような点がありまして、経営内容については絶えず多少上向いたり、また悪くなったりというようなことの繰り返しでございます。そういった点で、企業体力をつけるという点において、いつも私ども確信を持ってやっているつもりでございます。  また最近、特に油の価格の上昇が経営に与える影響というのは非常に大きく出てくると思います。内航海運において油のコストは運航コストの約一割だというようなことでありまして、油の値段が最近のようにまた上がってまいりましたら、かなりそういうコストの面に響くのが多いと思っております。そんなことで、先生お話しの、特に貸渡業についてはそういった面が非常に強いということを感じております。
  90. 三浦久

    ○三浦委員 いま局長は、力関係によってだいぶ左右されてくるのだということも経営不振の一つの原因にあげられましたけれども、私どもが調査をしてみますと、このピンはねが非常に多いのですね。そして、これから、そういうピンはねからこういう零細業者を守っていくという保護規定がない、あってもそれが全然活用されていない、こういう状態だと思うのです。  それで、少し海運局のほうに実情を知っていただくためにお尋ねしたいのですが、現在の内航運送業者の運賃、これは実勢運賃というものがどういうふうになっているのか、お聞きしたいと思うのです。
  91. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 内航海運の運賃につきまして例で申しますと、石炭の室蘭から京浜に来ております運賃は、最近四十七年に八百九十円くらいまで上がっている。それから鉄鉱の関門から阪神への運賃につきましては七百二十円、それから重油の京浜から中京へにつきましては五百五円、それから関門から阪神へ運んでおります石炭については五百十五円と、一番安かった不況のときの三十八年、三十九年、四十年のころに比べますとかなり上回っているという実勢にございます。
  92. 三浦久

    ○三浦委員 平水区域を油を運送しているタンカーがありますね。このタンカーの実勢運賃をお尋ねしたいと思うのですが。
  93. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 平水の運送事業者、これはタンカーでございますが、大体全国の八〇%までが東京湾にございます。それで私ども調べましたところでは、運送業者の数が七十社、それから貸渡業者の数が二百五十七社、その所有船腹が五百六十四隻、十万グロストン、二十万キロリットルということでございまして、船は五十キロリットル積みぐらいの小さいものから四千キロリットル積みぐらいの大きいものまで、かなり種類がございます。  東京湾におきますところの四十七年度における実勢運賃は、私どもの調べましたところでは、二百五十キロリットル未満のロットにつきまして、一キロリットル当たり三百七十五円、二百五十キロリットル以上五百キロリットル未満のロットにつきまして、一キロリットル当たり三百四十五円、五百キロリットル以上千キロリットル未満のロットにつきまして、一キロリットル当たり三百十五円、それから千キロリットル以上のロットにつきまして、一キロリットル当たり二百八十円というふうに調べております。
  94. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、これは荷主から内航運送業者が請け負ったときの金額だと思うのですが、このいわゆるオペレーターというものが用船契約を結んでそして零細業者を使いますね。それが第一次、第二次というふうになる場合もあると思いますけれども、そういう場合にオペレーターがどの程度の手数料を取っているのか、お尋ねしたいと思います。
  95. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 オペレーターが荷主から運賃をもらいまして、その運賃の中からオーナーに対して用船料を払うというかっこうになりますが、これは言いわけではございませんけれども、一つは、最近公害防止、特に油を取り扱うタンカーでございますので、油の取り扱いによってそそうがあって海を汚染してはいけないというようなことから、オペレーターのほうが陸上から人をかなり派遣して、厳重に荷役を監督しているというような点を私ども聞いております。  それからまた、外国の船から積み取りましてそれを小さいロットに分けるというような運送形態をいたしますときに、外航船の入港予定がさだかでないというような場合がございまして、配船繰りの関係で自分の手元にある支配船腹では間に合わないというような場合がございまして、ほかの会社の船舶の融通を得て配船を余儀なくされる、そういったときに、その二社だとか三社が介在してくる、そういう点がございます。  そんな事情を私ども聞き及んでおりますけれども、一般にオペレーターが荷主から受け取りました運賃の二〇%ぐらい引かれたものが船主の収入となっていいのじゃないか、それが通常の形態じゃないかというふうに私ども聞き及んでおります。
  96. 三浦久

    ○三浦委員 私のところに、やはり東京湾の平水区域の中で油の輸送をしている小型タンカーのオーナーから訴えがきているんです。この例を調べてみますと、大体実勢運賃は、一キロリットル当たり二百キロから五百キロリットルまでの船の大きさのものについては三百四十五円だということでした。ところが私のところに訴えに来たオーナーは、大体一キロリットル当たり百八十円弱ぐらいの値段で運ばされているんです。これはもうずっとそうなんです。たとえば、ちょっと具体的に例をおあげいたしますと、ただ、会社の名前だとかオペレーターの名前だとか言いますと、これはあとで仕事を切られてしまいますので、その点は省略をいたしますけれども、この船は大体総トン数が百六十八トンなんです。そして三百五十キロリットルを運搬できる船なんですね。そして、昭和三十五年に建造されています。船価は二千百万円で建造しているわけなんです。現在この船を建造すると五千七百万から五千八百万円くらいかかるだろう、こういうふうにいわれている船であります。そして船員を四名乗船させている。しかしこのオーナーが一人船長で乗っていますから、使用人は三名ということです。全員で船員が四名。これがあるオペレーターに用船されているわけですが、一カ月の用船料は百十万円だというんですね。そして手数料が月に五万円取られているわけです。それで一カ月に平均二十航海はやる、こういうわけなんです。  そうしますと、これは大体どんなに少な目に見積もっても、一カ月に六千キロリットルは運んでいるだろうと思われるんです。これでこの計算百十万から五万円を引かれて百五万円ですね、実質的には。その百五万円を六千キロリットルで割ってみますと、百八十円弱なんですね。百七十五円くらいにしかならないんです。それで非常に安くなっているわけなんです。この人が四十七年度にやはり委託契約で運送したときがあります。この委託契約で運送したときでも、一キロリットル当たり百二十円から二百円くらい。非常に安い運賃で運ばされているわけなんです。こういうことが、ほとんど同じ程度の船主の場合には全部同じ運賃だというんです。この用船料は、たとえば三百五十キロリットル運べる船で一月に二十航海くらいやって、百十万円の用船料というのが相場になっているというんです。そうすると、実勢運賃から見てかなりかけ離れているんです。半分ですね。四〇%以上がピンはねされているというそういう関係になるわけなんですね。これじゃ全く経営が成り立っていかないというふうに言っています。  それで、私がもっと調べてみましたら、同じこの業者が昭和三十六年に委託でもって油を運んでいる記録がある。ところが、この記録を見ましても百七十円とか二百円とか二百五十円で運んでいるんです、一キロリットル当たり、委託契約でも。そうすると、十数年前の運送賃がそのままこの業者には適用になっているということなんです。ですから、全然もう経営が成り立っていかないという事情があるんです。  それで、私お尋ねしたいんですが、こういういわゆる下請業者や、下請の下請といわれるような業者の実情というものをどういうふうに把握されているか、お尋ねしたいと思うのです。
  97. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘の実例をいま拝聴いたしました。私どもも適当な方法で調べさせていただきたいと思います。  ただ、いろいろな商売上の関係がございますでしょうから、私先ほどちょっと申しましたその二〇%というものはどういうことで計算しているのかという点もございますし、多少、私先ほど二点ばかり申し上げた事情もあろうかと思いますけれども、いずれにしても何らかの方法で一ぺん調べさせていただきたいと思っております。私どもとしては、やはり先ほど申し上げましたような経営能力の非常に底が浅い業界でございますけれども、そのオペレーターがとりました荷主からの運送契約というものをあまり二重、三重にクッションを使って下請に出す、まる投げにするというようなことでなくて、できるだけそのオペレーターは荷主と直結をする。それで下請に出すというようなかっこうの用船契約はなるべく二重、三重にならないようにするというようなかっこうで、私ども指導を従来からしてきておるつもりですが、今後とも、その実情を調べました上でそういった点について十分検討させていただきたいと思います。
  98. 三浦久

    ○三浦委員 私のところに訴えがありましたこの小型タンカーのオーナーですが、どういう経営の状態になるかと申しますと、これは百十万円で計算をいたしますと、一年間で千三百二十万円になるのですね。ところが、これは船が故障したりして運航できないというようなときには日割りで引かれてしまうわけです。そうすると、そういうのが大体一割ぐらいあるわけですね。そうすると、百十万円が十二カ月だと年間千三百二十万円になります。そしてその一割ですと、百三十二万円がそれから引かれるということになります。それからさっき言いました手数料が一月五万円ですから、六十万円引かれてしまうわけですね。そのほか人件費が、これは三人分といたしまして、一人が二百四十万は賞与込みでかかるというわけですね。そうすると、それが四人分とすると九百六十万というお金になりますね。それから船員の食料費、これが一人どうしても月に一万四千円かかると言っております。四人分と見ますと六十七万かかるのですね。それから燃料費が二百十六万円かかると言っております。その他のオイルが三十万円ほどかかる。保険料、これが六十万円かかると言っております。それからPI保険、これがやっぱり六十万円かかる。それからトバロップ保険というのがあるのだそうですね。これが十万円かかるといっております。これは全部年間であります。それから船員保険の三分の二を事業者が負担するというので、これが九十六万円だそうです。修繕費が大体月二十万くらいはかかるので、これが二百四十万はかかる。それからこの船主は船をつくったときに八百万円ほど借金をしておるそうですが、その金利が八十万ほどかかっている。それから事務所を置いたり電話を置いたり、そういう管理費がやはり年間六十万はどんなことがあってもかかるというのですね。そうしますと、これをずっと足してみますと千九百三十九万円になってしまうのですね。千三百二十万円の収入しかなくて、千九百三十九万円の支出がかかる。これではやっていけない。税務署が調査に来ましても、おまえ、こんなことでよく商売やっておれるなといってあきれて帰るくらいの経理内容だということなんですね。それでこの業者は、近くこの権利を内航船舶貸渡業の許可を受けていますね。この権利を別の業者に今度譲渡するということをいま考えているのだということだったのですが、こういう状態ですから、結局、海運局のほうが想像するより以上に大きな困難に直面しているということがいえると思うのです。  それで、私はお尋ねしたいのですが、たとえば、この内航海運業法の第十六条には、いわゆる標準運賃として「内港運送業又は内港運送取扱業について標準運賃又は標準料金を設定し、これを告示する。」というふうになっていますね。これについては、どの程度の範囲にわたって標準運賃や標準料金を設定され、告示されているのか、お尋ねしたいと思うのです。
  99. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 内航海運業法の十六条の三項に基づいて標準運賃をきめておりますのは、実は四十六年の五月現在できめたものがございまして、その種類は七航路三品目でございます。鉄鋼が三航路、石炭が二航路、重油が二航路、計三品目七航路をきめております。ただ、この標準運賃につきましては、実はだいぶん時代がたちまして現在の時勢に合わない点がございますので、私どもこれは一度再検討したいというふうに考えているところでございます。
  100. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、たとえばさっきお話がありました東京湾の平水区域ですね、こういうところの標準運賃というのはきめてないわけですか。
  101. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 きめておりません。
  102. 三浦久

    ○三浦委員 第十九条に、「運輸大臣は、内航海運業の健全な発達を図るため必要があると認めるときは、標準貸渡料を設定することができる。」こうありますね。この規定に基づいて現在設定をしているのでしょうか。
  103. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 貸渡業については設定をしておりません。
  104. 三浦久

    ○三浦委員 そこが私は問題ではないかと思うのです。たとえば、おたくのほうからいただきました、これは先ほど私、ちょっと間違えましたが、タンカーの内航船舶貸渡業をやっている会社の数というのが、四十六年度百七十二、四十七年度六十一社ですね。これの八五%が一ぱい船主だということなんですね。そうすると、これは非常に零細企業であります。こういう零細企業を守るために、第十九条にいわゆる標準貸渡料を設定することができるという規定があると思うのですね。ところが現実におやりになっているのは、第十六条でいわゆる内航運送業という、オペレーターの荷主から取る運賃のその部分的なものについて規定していて、標準貸渡料については何ら規定を設けないというのは、私はいまの実情に合わないのではないか。零細業者であり、そしてこの用船契約によって運送をしている一ぱい船主たち、こういう人たちも内航海運業に従事している者であり、内航海運業に入るわけでしょう。そうすると、この人たちを抜きにして内航海運業の健全な発展ということは私はあり得ないと思うのですね。いま言ったような実情にこの一ぱい船主たちが置かれているとすれば、第十九条の規定を適用して標準貸渡料というものを設定をする。これは設定したとしても、これが直接効力のあるものじゃありませんけれども、間接的には業者を縛っていくという機能を果たせるのじゃないかと思うのですね。なぜ第十九条でもって標準貸渡料を設定していないのか、そしてまた、それを今後設定するおつもりがあるのか、この点、お尋ねしたいと思います。
  105. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 この標準運賃と申しますのは、実は、この法律にもございますように「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものでなければならない。」ということが書いてございます。で、具体的には、標準的な船型、積み荷条件等を前提としてきめるものですが、これと異なる運賃で取引するということを一切禁止しておるというものではございません。一応の指標として標準的な運賃を告示しているものであって、標準運賃と異なる運賃で取引をすることが内航海運業の健全な発展を阻害するおそれがある場合に運輸大臣がその是正措置を求める勧告または命令を出すことができるということで、確定的にこれを必ずしも一銭も違わずに守れという趣旨のものではございません。  ただ、私どもいままでオーナーについてこの標準料金というものを設定いたしておりませんのは、実は私どもは運送事業と貸渡業との間のそういった用船上の関係というのは内部関係であると思っております。そこで、やはり船が足りなくなってくるとその運賃は高くなる、またオペレーターがもらう運賃が高くなればオーナーに払う運賃も高くなるというような、実勢にまかせておくほうが、これを標準運賃として一銭も違わないように守れという趣旨の運賃ではございませんので、むしろそういったかっこうにまかせるほうがいいのではないかというふうに従来考えておりました。
  106. 三浦久

    ○三浦委員 私もそういうことはわかっているのです。この法律にそう書いてあるわけです。ですから、直接的に統制運賃というものではない。しかし、少なくともこういう趣旨を設けたのは、いま海運局長が言われたように、十八条でもって「当該取引が内航海運業の健全な発達を阻害するおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該取引の是正その他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。」勧告に応じなければ命令することができる、こういうふうに強い行政指導が規定されているわけでしょう。ですから、そういう意味ではこれが一つの基準になっているということはいえるのですね。そうすれば、さっき言いましたように、零細業者というのもやはり内航海運業をになっている、重要な役割りを果たしているわけですから、その人たちが、いま海運局長が言われたように、業者の自主性にまかしておくと、力関係によって実勢運賃の約半分というような運賃でもって運送を強制される。そしていまばたばた転廃業が出ているという状況なんですね。こういう事態を目の前にしても、なおかつ第十九条を発動する意思がないのかどうか、お尋ねしたいと思うのです。
  107. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 さしあたって、先生指摘になりました東京湾の平水の内航のタンカーの貸渡業者が受け取っている用船料については、具体的な例で調べさせていただきたいと思いますけれども、この十九条の関係については、私どももうちょっと勉強させていただきたいと思います。  いま実は標準運賃の見直しも、時勢に合いませんので検討をしているのですが、まあ経済情勢の変動がいまのようにございますので、しかもなお、いままでの航路、いままでの船積みの港というようなもの、また品目別に、どういう標準の船型で運賃を設定するかということがいまの時勢に合いますかどうかということを検討しておりますので、それとあわせて先生指摘の点については検討させていただきたいと思います。
  108. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、第十九条に基づいて標準貸渡料を設定するかどうかということについては、ちょっと考えさしてくれ、こういうことですね。ところが、いまあなたたちのお示しになった資料によっても、どんどん転廃業がふえてきているという実情でしょう。そうしますと、これは一刻の猶予もできない問題だと私は思うのです。先ほど、ある業者の例を出して、どの程度の収入があり、どの程度の経費がかかるのか、そしてどの程度赤字になるのかということを具体的にお話し申し上げましたけれども、少なくとも局長が言われるように二〇%程度の手数料で運送費がきめられるということになれば、これはとんとんでやっていけるんですね。そうすると、いまばたばた転廃業が出ているというような状態を前にして、第十九条で標準貸渡料を設定するかどうか、これはゆっくり考えますというのでは業者が救われないと思うんですね。ですから、十九条に基づいて早急に設定するという方向で私は御検討いただきたいということと、この十九条に基づいて標準貸渡料を設定する以前にも、もう直ちにオペレーターのところへ行って、どういう事情なんだ、そして早急に、そんなにピンはねをしてはならぬという行政指導をするべきではないかというふうに私は思うのですが、この点、いかがでしょう。
  109. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほども申し述べましたように、具体的な例について私どもは適当な方法で――先生いまおっしゃったように、個別にとうこうというようなことがあって、また望ましくないような影響を業者に与えてもかえっていけません。だから適当な方法でこれは調査をさせていただいて、実情を調べさせていただいて、もし先生おっしゃるように不当にピンはねをしているというような事情があるのだったら、適当に指導をさせていただくことをお約束したいと思います。  ただ、標準運賃も含めまして貸渡料につきましては、いま実はすぐにということをお約束できないのは、油の値段一つが実はきまっていなくて、むしろ私ども、これは四十六年五月からの標準運賃をこういうかっこうでほうっておくこと自体が非常に気にかかってはいるのです。しかし、そういった経済情勢の落ちつき方というものを見ませんと、簡単に油の値上げ率をどのくらいだということで、先ほども申し述べましたように、運航経費の中に占める割合が何%だからどういう影響が出てくるということで、いまコスト計算をするということが私ども非常に心配でならないというような事情もございますし、また、その後輸送形態も変わっておって、どういう航路を標準的にとるのがいいのか、どういう船型を標準的にとるのがいいのか、どういう港を陸揚げ港にとればいいのかというようなことを私ども実は検討を始めていますので、そういったことで将来の方向考えさせていただくということで御承知を願いたいと思うのであります。
  110. 三浦久

    ○三浦委員 標準貸渡料については内航海運業法の十九条で「設定することができる。」と書いてありますね。ところが委託契約ですね、いわゆる下請契約というのでしょうか、そういう委託契約については何の規定もないのですね。そうすると、零細業者がますます圧迫をされていくということになり、内航海運業の健全な発達にとってマイナスになると私どもは考えるわけなんですけれども、この委託契約についてはやはり何らかの規制措置、また零細業者の保護措置をとる意思があるのかないのか、お尋ねしたいと思うのです。
  111. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 運航委託と申しますのは、実は船主がオペレーターに運航委託に出すという関係を想定してみましたら、そのときの運航採算というのは実は船主に帰属する、それで単にオペレーターには運航を委託するだけであって、運航委託料を船主のほうからオペレーターに払う、こういうかっこうになっているのが運航委託船、こういっているわけでございます。それから用船料という場合には、オペレーターが定期用船などの形でオーナーから船を雇う。そこでオペレーターは用船料をオーナーに払う、こういう関係になっているのでございます。  いずれにしましても、先生おっしゃる委託というのが、ちょっと私にはよく承れなかったのですけれども、そういった関係の点がございますが、さしあたっての問題としては、内航タンカーの海運組合にそれぞれみんな組合員として入っていると思いますので、そういった内航海運組合の中の組織を通じてオーナーからオペレーターに運航委託に出しているかっこうなのか、オペレーターからそのオーナーに用船をして用船料を払っているかっこうなのかということも調べてみたいと思います。  いずれにしましても、その個別の問題と同時に、海運組合の中でそういったオペレーターとオーナーとの関係が適当でないかっこうがないように、この組合を私どもは行政指導をすぐしてみたいと思っております。
  112. 三浦久

    ○三浦委員 いまの、調査をし適切な――適当なじゃなくて適切な指導をするということですから、それ以上追及しませんけれども、しかしこの海運業法それ自体が、零細業者の営業を守るという観点になっていないし、それからまた行政自体が、私はそういう立場に立っていないと思う。たとえば十九条でちゃんと標準貸渡料を設定することができるんだとなっているのに、これを設定をしない。そして、さっき言ったように非常に激しいピンはねが行なわれているというような状態をそのまま続けさせる、黙認しているとは言いませんけれども、そのままの状態を続けさせている。ですから私は、もっと内航海運全体の健全な発展のために零細業者の保護という、そこにもっと力点を置いた行政指導を強めていただくようにお願いをして、この問題についての質問は終わりたいと思います。  それから、民鉄部長さんにお尋ねをいたします。  ことしの三月二日の八時二十分ごろなんですが、これは福岡県の話です。西鉄というのがありまして、西鉄大牟田線の白木原一号無人踏切で事故がありまして、そして中学生の山本公一君という方が即死をいたしました。それから同じく軽トラックで同踏切に入ってきた会社員の安部さんという方と谷村さんという方が重傷と軽傷を負ったという事件が起きたわけなんです。それで西鉄当局のほうは、これは遮断機がおりているのに、遮断機を無視して中学生が踏切を通過しようとしたんだ、また軽トラックも同じだ、こういう御主張なんですね。ところが、当時、目撃者がたくさんおったわけなんです。というのは、最初に上り電車が通過をして、そして遮断機が上がりまして、そこへ下り電車が入ってきて、全然上がりっぱなしだった、こういうことなんですね。それでその当時二十一人ほどの同じ中学生がその踏切におりました。それからまた、重傷を負った安部さんという方と谷村さんという方も同じように証言しているわけなんです。  それで、これが遮断機の故障ではないかという疑いがいま非常に強くなってきて、福岡県会でも問題になっておるわけなんです。そして県会では、県警本部のほうが、踏切は上がっていた、おりていなかったということを認めたわけですね。県警の見解として認めたわけであります。  で、私どもが調べてみますと、西鉄電車の西鉄大牟田線の踏切事故というのは非常に多いんですね。毎年十数人が死亡をいたしております。たとえば、四十一年では十三人、四十二年では十一人、それから四十六年では十五人、四十七年では十五人ですね。ですから、四十一年から四十七年までには合計百人が死亡し、負傷者は百二十七名にも及んでいるわけなんです。で、こういうように西鉄大牟田線に踏切事故が多いというその原因について、民鉄部長さんのほうでおわかりになっておったらお知らせいただきたいと思うのです。
  113. 中村四郎

    ○中村説明員 西鉄の大牟田線におきまして、御指摘のように他社に比べますと踏切事故件数なり死傷者の数が多きにのぼっておる、こういう実態はうかがえるわけでありまして、その原因につきましては、踏切全体の中で四種踏切というものが西日本鉄道の場合に比較的多い。これは踏切保安設備を整備し、踏切の保安を確保していくということが必要ではなかろうかというふうに考えております。
  114. 三浦久

    ○三浦委員 四種踏切が多いということですが、警報機についても何らかの欠陥があるんじゃないかという疑いがいま出ているのですが、この点についてはどうですか。いまのは警報機、遮断機両方です。
  115. 中村四郎

    ○中村説明員 ただいま先生の御指摘の三月二日の大牟田線の白木原一号踏切、これは第一種自動踏切になっておるわけであります。したがいまして、警報機が鳴り、それに伴って遮断機が下降してまいって通行を遮断する、こういう仕組みになっているわけでございます。  私どものほうに来た陸運局からの報告によりますと、この事故後、警察当局と調査をいたしたそうでございます。その結果では、この作動なり結線図、設計でございますが、こういうものにつきましては、一応その後は異常は認められてない。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、事故当時の多数の方の証言という問題がございますので、警察当局におきましても、本日から四月上旬にかけまして数回に分けてさらに精密な調査をいたす、こういうことになっております。  従来、西鉄の踏切事故におきまして’こういった警報機なり遮断機の作動の不良あるいは故障ということに伴います死傷者の発生ということはなかったわけでございますが、この事故についてはその点の真偽がまだはっきりいたしておりませんので、私どものほうとしましても、ぜひこの事故原因というものをはっきりさせたい、かように考えております。
  116. 三浦久

    ○三浦委員 いま部長さんは、いままで警報機とか遮断機の故障によって踏切事故が起きたというのは西鉄にはない、こうおっしゃいましたけれども、しかしこれは目撃者がいない場合には、機械が正確なんだからということで、そういう西鉄の見解が押しつけられてきたというふうに考えられないこともないんですね。ですから、いままではそういう警報機、遮断機の故障による踏切事故はなかったんだというふうに断定するのは、私はちょっと早計ではないかと思うんですよ。たとえば今度の場合でも、目撃者がいなかったとします。三人とも全部死んでしまったとしますよ。それからまた、そばに中学生がいなかったとしますね。そうであれば、いままでと同じように、西鉄のほうは、これは当然遮断機はおりておったんだから、それを無視して中学生が通行したんだということで押し通せるはずだったですね。ですから私は、いま部長さんがおっしゃるように、いままではなかったんだということはちょっと早計じゃないか、いままでもあったんじゃなかろうかということで、過去をさかのぼって御調査いただくということが大事だと思うのですよ。  それで、いま、その後はこの作動状態に異常はないというふうに言われましたね。そうすると、これは原因がまだはっきりしていないということですね。三月二日の八時二十分に電車が通過した、そのときに遮断機がおりていなかったということだけは、これは万人が認めているわけですから、そうすると、そのときになぜ遮断機がおりなかったのか、この原因はいまの段階では不明だということですね。それはどうですか。
  117. 中村四郎

    ○中村説明員 その後の調査で、事故当時において正確に作動していたということには必ずしもならぬわけであります。これは数回その実験をやり、調査をやり、そしてそれによって事故当時はたして正確に作動していたかということを究明するよりほかないと思うのであります。その場合に、御指摘の多数の方の証言と複合してそこに原因がはっきりする。で、警察当局におきましてもさらに調査を行なう、これには陸運局としても立ち会いましてはっきりさせたい、こう考えておる次第でございます。
  118. 三浦久

    ○三浦委員 大体わかりましたが、この事故があってから二、三日ぐらいは西鉄はこの踏切に踏切番を置いたんだそうです。ところが現在は置いていないんですね。これは、いま部長さんがお話しになったように、その後も何回も調査したけれども、作動状況に異常はない、まあ、こういうことで踏切番をはずしたんじゃないかと思いますけれどもね。しかし、原因がはっきりしていないわけですから、そういう三月二日みたいな状況がまたいつ出現するとも限らないわけですね。そうであれば、原因がはっきりし、そしてそれを修復した後でなければ踏切番を引き揚げるべきではないと私は思うんです。ですから、そういう意味で原因が明らかになるまで、そしてそれに対して適切な措置をとって、今後こういう事故が発生しないということが確認されるまでの間は、やはり人間を置いて踏切の安全をはかるべきだと思いますけれども、部長さんのほうから、そういう行政指導をするおつもりがあるのかないのか、お尋ねしたいと思います。
  119. 中村四郎

    ○中村説明員 ただいま先生指摘の、二、三日間踏切番と申しますか踏切を警護する人間を配置した、このことについては、実は私どものほうは承知いたしておりませんでした。その後その人たちをまた撤収してしまった、こういう事態があるとするならば、私どものほうとしましても、この原因関係がはっきりするまでの間、踏切の保安を維持し確立していくということはぜひ必要なことでございますので、そのような措置を指導してまいりたい、かように考えております。
  120. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。
  121. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 松本忠助君。
  122. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 まず、先に国鉄の関係について若干問いただしをいたしまして、そのあとコインロッカーの問題に移りたいと思っております。  国鉄の関係の方々に、もうこれは常識的な問題でございますけれども、公共輸送機関としての国鉄の基本的な使命は何かといえば、何といっても安全に快適に、そして速く輸送するということではなかろうかと思います。この目的を達成するために、非常に過酷な労働条件のもとに、一生懸命に国鉄再建のために戦っているいわゆる職場の方々、施設関係の労働者、こういう方々の存在というものを私は忘れてはならないと思うわけでございます。さらには、この劣悪な、そして過酷な労働条件のもとに仕事をなすっていらっしゃる方々の立場をよく理解してあげて、そしてこれを改善していくということが何よりも大事なことではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。  そういうところから、先般も、二十二日の質疑の中で、私は総裁に対しましてお伺いしました。国鉄の労使の対話というものを、ほんとうに実りのある対話にしてもらいたい、そして、この対話こそ国鉄再建のかぎだ、そしてそれによって生まれてくる人の和というものが大事ではなかろうか、こういうふうに私、総裁にもお話を申し上げました。総裁も全くその意見には賛意を表してくれました。要するに、すべての職場とはいいませんけれども、最近の国鉄の職場の中で、明朗化を訴えるという動きがございます。安全、快適な職場をつくろうという動きがあります。これは、とりもなおさず、職場が明朗でなかったり、安全、快適な職場でないからして、やはりそういう要望、そういう動きが出てくるものと思います。  しかし、一方、これを阻害するような動きもあるわけでございます。まあ、無差別な職場暴力が存在する、職場の秩序を乱している、こういう事実もときおり聞くわけでございまして、非常に残念なことだと思うわけでございます。こうしたことに対しまして、職場の管理者が見て見ないふりをしている、何か避けようとしている、こういう姿もあります。これでは職場の秩序が破壊され、そうして職場社会におけるところの共同的な連帯感というものがくずれ去ってしまうのではなかろうかと私は危惧します。かつての国鉄一家というのは、いい意味で言いますと団結、それが一部の分子によって破壊されてしまうという点について、どうしても職場秩序を回復するという意味から、これに対して国鉄当局としてはどのように対処しようとしていくのか、こういう点をまず第一番目にお伺いしたいわけであります。
  123. 篠原良男

    ○篠原説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、施設の現場といいますのは、団体作業が主体でございます。したがって、そのチームワークがいいというのが基本でございまして、従来は、われわれ土木屋は、同じかまのめしを食ったという意識で非常に仲がよかった、それが例のマル生以後、現場によっては若干ひずみの入ったところが出ておりますが、団体作業が主体ですから、お互い呼吸が合わないとけが人が出るというようなこともございますので、管理者あるいは現場の職員を通じまして、一体として融和感を持って明るい職場にするように、指導あるいは設備その他の面で鋭意処置しておるのが実情でございます。
  124. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 職場の責任者が、下のほうで起こっている陰でやる暴力でございますけれども、いやがらせといいますか、そういう問題に対して見て見ないふりをしている、こういう事例を聞いたことはございませんか。また、それに対して手を打たれていない、こう私どもは認識しておるわけですが、その点どうでしょうか。
  125. 篠原良男

    ○篠原説明員 どこそこでどういうことがあったということまでつぶさにいま承知しておりませんが、管理者を若返らせて、現場の若い人たちと対話のできるような管理者層を発令するというようなことで処置をしておるというのが実情でございます。
  126. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうもお答えがぴんとこないので、私、不満足でございます。国鉄の中にも「花の運転涙の保線」というような、国鉄内部のことばをおかりしてここで申し上げるまでもございませんけれども、どうしても運転者優位といいますか、こういう思想はなかなか払拭しようとしても払拭されないだろうと思います。一方は非常に危険な作業、触車事故が多い、重労働だ、しかも汚損な職場だ、こういう点から、保守保線に携わっているところの国鉄の労働者の存在は、はなやかな運転士の存在とは比べものにならない、非常に恵まれないところで黙々として働いている、こういうものがほんとうに団結をして職場において仕事をしなければならぬのに、その職場の中において忌まわしい問題がある、こういうことは非常に私どもも残念なことだと思うわけであります。何としても、このたいへんにむずかしい現場で働いている人たちに対するあたたかい思いやりというものを当局が十分に認識をし、そしてやってもらわなければならないと思うのであります。  要するに、運転者諸君のはなやかな一面というのは、よくいわれますように、列車の新しい路線が開通したとか、あるいはまた、時節になりましてミカン列車が出る、東京の市場を目ざして初出荷だ、こういうときに振りそでを着たお嬢さんが花束を渡す、これを受け取る運転者諸君というものは非常にはなやかな存在であり、得意然としてその機関車に乗り込んでいくという姿をときどきテレビの放送等で見受けるわけであります。しかし そのはなやかな姿というものの陰に、黙々として保守保線に携わる者があるからこそ、そういうはなやかな場面の演出ができるのでありまして、そういう点に対して、ほんとうに私どもが常日ごろからそういう存在を忘れないで、そういう人に対するあたたかい思いやりというものを考えていかなかったならば、国鉄のいい意味における国鉄一家が破壊されてしまうのではないか、何か対立している状態があってはならないと私どもは思うわけでございます。  そこで、施設関係労務者の要員が非常に需給の面において隘路を幾つもつくっている、ネックがたくさん出てきておる、こういうことがいわれるわけです。この慢性的な欠員状態にありますところの施設関係労務者の要員需給の困難を打開する道について、どのように今後考えているか、抜本的な対策を当局は持っているのか、こう私たちは聞きたいわけであります。私たち調査でも、現在の若手職員の中で離職率が増大している、いなかへ帰って両親のめんどうを見たいとか、いなかへ帰って結婚したいとか、たいへん表面はもっともな理由でございますけれども、やはり職場がいやでたまらない、そういうところから、ていさいのいい理由をつけて職場から離れていく者が、われわれが調査しただけでも東京三局の中で四千五百人くらいいるんじゃなかろうか。これは施設ばかりではございません、全部でございますけれども、特に施設関係の保守保線に携わる人たち状況、非常にそういう中に占めるウエートが多いということを私どもは聞いております。事実、構内作業、軌道の保守作業等、先ほども申し上げましたように触車の危険がある。そしてまた、夜間作業もあり、重労働である。そしてまた、頭からあの黄色いところの黄害をかぶるという汚染の職場であるというようなところから、若い人たちの最も毛ぎらいする職場にいまなっている。ですから、後継者がこういう職場にはだんだんなくなってしまう。こうなりますと、施設関係の職場というものに何の魅力も感じない人たちが続々職を離れていく、せっかく国鉄の職員になりながら、途中で転身していく者が多いわけであります。まだこれを食いとめるところの対策というものが樹立されていないんじゃなかろうかと私は思います。しかし、当局としては、当然こういうものに対する対策考えておりますと言われるでしょうけれども、どうやら私たちが見ておりますと、こういう対策がマンマンデーではないかというふうに思われるわけでございます。  そこで、われわれがいろいろ調査をしまして聞いてみますと、要するに他の企業とのバランスを考慮したところの職務給与であるとかあるいは採用給与であるとかいう賃金制度の改善をしなければ、こういう職場に長く居つかないんじゃなかろうか、あるいはまた、若年層職員の離職防止のためには、独身寮、新婚者の住宅等をきちっと整備してやる、これは他の企業に比べましたらば、国鉄のいまの施設というものは数段劣っているんではなかろうかというふうに考えられます。それからまた、職場環境の改善、言うならば魅力のある制服などもこの際きちっとしてやる、こういうことが職場に定着させるところの問題になるんじゃなかろうか。ただそういった物質的なものばかり、形のものばかりをここで満足させてみたところで、やはり根本は職場におけるほんとうに働きやすい職場、楽しい職場、毎日職場へ出てくることがうれしくてたまらないというような状況をつくってやらなければ、若い人たちは長続きしないんじゃないか、こういう心配がございます。したがいまして、これらの点についての対策をどのように樹立されているか、やっておられるか、その点を伺っておきたいわけであります。
  127. 篠原良男

    ○篠原説明員 実情及びわれわれのとる対策というのは、先生のおっしゃるとおりでございまして、そういうことにつきまして一々処置をしておりますが、具体的に申し上げますと、一つはやはりかっこうのいい職場にしなければいかぬ、それから魅力のある職場にしないとなかなか定着性がございません。その前に、全体の保守量といいますか、線路のこわれるのをこわれないようにするというのがまず一番最初とっておる方法でございまして、これにはたとえばスラブ軌道といいまして、従来は砂利とまくら木とレールで線路をつくっておりまして、線路を電車が走りますと砂利が若干変位をしまして、それをタンピングして直すという方法をとっておりましたが、最近は砂利を使わないで、高架橋あるいはトンネルは、コンクリートの上に直接レールをくっつけるというようなスラブ軌道というものを採用しております。微々たる数字でございますが、全線で現在線のほうに約五十数キロ敷設しております。それからレールを重くする、こういたしますとやはり作業量が減ってまいります。これは先般、四十九年度から実施したいということで決定いたしましたのは主要幹線八千キロ、これは今後レールを取りかえるときに六十キロのに取りかえます。そういうようにしてレールを太くする、それから二級線で通過トン数が八百万トン以上、これは大体七千キロくらいございますが、これはレールは五十キロの新品を投入していこう、それ以外は側線といえども全部レールは古い五十キロを入れていって、いわゆる保守量全体を少なくしよう、これがまず第一点でございます。  第二点は、それでは残る線路の狂いを直す作業を極力機械化して、かっこうのいい機械掛、いわゆる保線機械掛という職名にいたしますと、これは軌道掛よりランクが高うございます。したがって、保線機械掛というような職名にいたしまして、マルチプルタイタンパーとかまくら木更換機とかパワーレンチというような――コンクリートまくら木の更換なんかは、木のまくら木に比べると非常に重労働でございますので、機械によって更換するような機械の開発及び整備をしております。しかし、これがためには、先ほど先生もおっしゃいますように、列車の間合いが必要でございます。間合いをとろうとしますと、どうしてもターミナル、東京、大阪のようなところは夜間に仕事が集中してまいります。したがって、夜間終列車から初電車の間に機械を使って保守をするというようなかっこうのいい職場にして、ランクの高い保線機械掛のほうの人数をふやしていくような方法を現在考えております。したがって、日中あるいは平常の仕事は、巡回あるいは検査と緊急を要する軌道整備というようなものに集約いたしまして、極力機械化によってかっこうのいいような作業体系にしないと若い人が定着しない、あるいはなりたがらないということをかまえまして現在やっております。しかし、一〇〇%いま全部進んでおるというわけではございませんで、各局で話し合いを進めまして、話し合いのついたところから鋭意機械化を進め、機械の増備をはかっておるというのが実情でございます。     〔佐藤(文)委員長代理退席、佐藤(守)委員長代     理着席〕
  128. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かに最近の機械化は見るべきものがあると私も思います。しかし、やはり現在の国鉄の経営状態からいって、それがすぐ導入されてすぐ実施されるというふうには考えられないわけです。いまお答えになったように、やりたいと思っているというけれども、現実にはなかなかそうはいかないのがいまの姿じゃないかと思うのです。確かにそういうものがどんどん導入されて、いわゆる昔のようなたいへんな重労働がなくなってくる、機械にたよっていくということになれば、これは確かに若い人たちも定着するだろうけれども、やはりなかなかそこまでいっていないのが実情じゃないかと思います。そういう点について一そう努力をしてもらう以外にないと思うのです。  そうした点を一つ考えていただくと同時に、離職の防止ばかりじゃなくて、新規採用の問題についても考えなければならないのではなかろうかと思うのですね。特に、大都市の周辺におきましては、新規応募者が減少してくるという事実があると思うのですね。これの原因は、当然のこと、出生率が低下しておる、あるいはまた進学率が向上しておる、こういったところからくるところの労働力の不足です。それからまた、軽作業の新設工場、こういう職場がどんどん地方にできます。そうなりますと、勢いそちらのほうに人間を引っぱられるということになります。そうなってくると、昔でいえば菜っぱ服を着て労働に従事することよりも、もっともっとかっこうのいい作業衣で、そしてまた通勤にはきれいなせびろに着がえての通勤ができるような、現在国鉄の職員もほとんどせびろの通勤でございますけれども、やはり労働に対する考え方というものが最近非常に変わってきていると思うのですね。そういうところから、やはり新規採用者に対しての問題をよく考えていかないと――離職の防止も大事でありますし、当然また新規採用ということについても努力を払わなければならぬ。こうしなければ、機械を導入すればできるのだといっても、機械そのものを使う人間すらいなくなってしまってはどうなるのかということですね。最近の国鉄のいわゆる保線関係の職員の平均年齢など調べてみましても、まだまだ相当の力仕事をやって働いてきた人たちもあります。そういう人たちがほんとうに機械力というものに対してなれてくるかというと、やはり若い人のほうが早いだろうと思います。そういうところを考えれば、新しい機械力をどんどん消化できるような若年の労働者を吸収して、その人たちを仕込んでいく。そうしなければ、いかに機械がそろったところで、それを運転する人がいなければどうにもならぬわけでありますから、そういう点についても今後十分考えていってもらわなければならぬのじゃないかと思うわけです。  それと同時に、最近非常に請負という体制が多くなっているように思います。これは国鉄の考え方でございますので、われわれがとやかく言う筋合いはないかもしれませんけれども、保守保線という問題は、国鉄の仕事の中で一番大事な仕事だ。安全な運転ができるということも、とりもなおさず保守保線が完全になされているからこそ、はなやかな運転の風景が見られるようになるわけです。この一番下積みで一番大事な仕事を、言うならば請負にまかせてしまうということは、私どもは非常に危険があるのじゃなかろうかというふうな気がしております。まあ脱線事故等につながってくるというようなおそれがあります。そこで、これには十分な経験と豊かな保守保線の知識の所有者でなければこれをやっていくことができない。そうなりますと、請負というのは当然一、二の専門家はいるかもしれないけれども、やはりそこで使われている人間は全くの未経験者の寄せ集めの人たちです。そういうものでは完全な保線保守というものはできないのじゃなかろうか。しかもいまお話があったように、夜間作業なんです。昼間は単なる巡視である。夜間にどうしても作業をしなければならぬ。ところが、御承知のように夜間の照明の問題等も完全なものとは言い切れないわけです。そうした中で、とにかく危険をおかしてやる作業について、今後のそういう保守保線に携わるような新しい労働力というものを導入していく対策、新規採用の対策、こういうものに対して当局はどのようにお考えになっているのかということを私は伺っておきたいと思います。
  129. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生の御指摘のとおり、現在中高年齢層の人は、新しい機械が入りましても、なかなか機械になじみにくいという体質がございますが、若い人は比較的機械の扱いになじみやすいというので、学園にいわゆる保線機械の講習会の科をつくりまして養成いたしまして、極力保線機械掛のほうに転用するように教育しております。若い人たちも機械掛になるのを非常に好んでおりまして、そういう要請には非常に応じてくれておるというのが実情でございます。今後ともそういう機械化でかっこうのいい作業体系に持っていくように考えていきたいと思っております。  また、先生指摘のように、今後夜間作業がふえてまいりますので、休養設備あるいは若い人たちの独身寮なんかについても、職員局とよく相談いたしまして充実して、いわゆる採用しやすいような職種になるように私のほうも努力していきたいと考えております。
  130. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間の関係もありますので、一応結論を伺いたいと思うのでありますが、昨年の六月一日にも当委員会で質疑をいたしました。屋外の夜間作業におけるところの危険防止のための照明設備を、一定の基準に定めることが必要だということを伺ったわけであります。これに対しましては、労働安全衛生規則の第五百五十五条に「保線作業等における照度の保持」という問題がございます。そこで、その当時労働省からも中西課長さんに出ていただきまして、夜間作業について安全を期するために必要な照度の基準を定める、その作業を検討中だというお話がございました。また、それに追っかけまして国鉄の内田常務理事からも、第五百五十五条は四十七年の九月に制定されたもので、これを受けて国鉄としても労働科学研究所で基準を四十八年度につくるべく勉強中です、こういうふうに当時言われたわけであります。したがいまして、それからまだ一年はたっておりませんけれども、これらの問題に対して労働省でその後どのような検討が進められたのか、また、国鉄当局としてもどのようにこれに対して労働科学研究所でやったのか、こういう点を御両所から伺いたいわけであります。
  131. 野原石松

    ○野原説明員 ただいま先生指摘の国鉄の夜間における保守作業の照度基準の問題でありますが、これにつきましては、昨年国鉄の保線作業の現場につきまして実態調査をいたしまして、その結果を踏まえ、さらにはILOの報告――これは港湾荷役作業に関するものでありますが、非常に類似しておりますので、これを参考にし、さらには日本工業規格の中に照度の基準がございますので、これ等も参考にしつつ、昨年の十二月にこの照度の基準を定めました。それを以下申し上げますが、それを私どもの地方の労働基準局長に通達をいたしますと同時に、国鉄当局にもお示しいたしまして、関係の照明設備の改善を進めていただいているところでございます。  その中身と申しますのは二つに分かれておりまして、まず一つは、保線作業そのものが行なわれる場所につきましては、軌道の中間の道床面における水平照度は二十ルックス以上にするということでございます。それから、そういう保線作業をするために通行されるわけですが、その通行区域につきましては五ルックス以上、こういうふうに二つに分けまして、これを保線作業現場における夜間の照度基準ということにいたしまして、先ほど申し上げましたような改善措置を進めているところでございます。
  132. 篠原良男

    ○篠原説明員 国鉄の労働科学研究所、労研のほうに私のほうもいろいろ指示を仰ぎましたところ、労働省に資料を提供して労働省から基準が出るということで、いろいろの説明は聞いておりますが、十二月二十一日に七百十一号ということで、いま労働省のほうのお答えになったような基準をいただいておりまして、これを受けまして、今後の設備その他を合わせるように検討していきたいと考えております。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、復習になりますが、労働省から出された基準というもの、昨年の十二月二十一日ですか、その基準を国鉄では受けて、その基準に合致したようなものをつくってそれを実施する、こういう答えと理解していいわけてすね。――それはいつごろまでに実施に移されるわけですか。昨年の十二月二十一日に労働省から資料をもらった、それを実際問題として国鉄が現場に適用していくのはいつなんですか。
  134. 篠原良男

    ○篠原説明員 四十九年度にいろいろなルックスの試験をやりたいと思っています。その試験の結果によりまして、どういう機械を何台整備するか、作業それぞれに応じまして設備基準をきめていかざるを得ないと思います。四十九年度の上半期にはこういう各種の試験をやりたいと思っています。と申しますのは、先生御承知のとおり、たとえば東京駅あるいは横浜駅のようなところは非常に幅の広い線路を持っています。しかも架線がありますので、こういうところは電源を比較的取りやすうございます。あるいはトンネルなんかも照明がございます。したがってコンセントがございまして、比較的電力を取りやすうございます。ところが、中間になりますと、線路が、複線区間で二本しかございませんので、電源がなかなか取れない。こういうところは発電機を回さなければいけません。そうすると、発電機の音の問題もございますので、どれくらいの機械をどの程度設置すれば二十ルックスが取れるかというようなことを、四十九年度まずいろいろな機械を使いましてテストをして、設置基準の標準をきめまして実行に移していきたい、こう考えております。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 せっかく基準が出まして、その対応策を四十九年度の上半期でやろうというお気持ちのようでありますから、その成果を見なければならぬと思います。いずれにしましてもいままで非常に危険な状態の中で夜間作業をしている人たちのことを思えば、早いとこその結論を出してやるべきではないか、こういうふうに思うわけでございます。  それからもう一点、夜間作業をやるについて、これはまああたたかいところと寒いところと非常に差もあるかとも思います。しかし、夜間の特殊業務手当といいますか、こういったものをやはりこの人たちには支給すべきじゃないか、こういうふうに考えておりますけれども、こういう点について支給の意思がありますか、ありませんか。
  136. 篠原良男

    ○篠原説明員 所管は実は職員局でございますが、先生の御指摘になっておるのは夜間重労務手当のことだと思います。現在国鉄全線のほとんどが一応マル重区間という俗称で指定しております。そういう区間でレール更換あるいは軌道整備というような重労務を行なった場合には、夜間重労務作業手当というものを支給しております。これは今回から倍額に増額するようになったと職員局のほうから聞いております。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 倍額というのは具体的に言って幾らですか。
  138. 篠原良男

    ○篠原説明員 従来が現在線では一晩一回五百円出していたのが千円、このように聞いております。幹線はこれより若干高い、こう聞いております、新幹線のほうは。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 われわれが聞いております点では、やはりこれは最近の物価高というものも影響があると思いますけれども、五百円を千円というのは、倍額というのはたいへん聞こえがよろしいわけですけれども、やはり一晩当たり二千円程度はほしいというようなことを、重労働に関係している方たちは言っております。そういう面で五百円が千円、倍額ではなはだもっともらしく聞こえるわけであります。しかしまた、これに携わる人たちの非常に危険な夜間作業、こういったものもまた限られた時間の中でやらなければならぬ、こういう点を考えますと、やはり私どもは二千円くらいはいまの相場としては当然ではなかろうか、こういうふうに思いますので、この点を私は強く要求をしておきます。  それからなお、夜間の重労働作業の時間の問題でございます。時間短縮をすべきではないかというふうにも思うわけでございます。これは深夜非常に長時間にわたりまして重労働作業をすると、当然疲労が増大する。あたりまえの話です。また、当然のこと注意力が減退してくる。そうなりますと、作業員の安全確保というものができなくなってまいります。それらの理由から、やはり一作業における継続労働時間というものの規制基準を示すべきではないか。これをやはり三時間以下というふうに明確にすべきではないかと私は思いますが、当局の考えはいかがですか。
  140. 篠原良男

    ○篠原説明員 ちょっと手元に賃金規定類集を持ってきておりませんので詳しくわかりませんし、所管が実は職員局になりますので、もし間違っておればごかんべん願いたいのですが、夜間重労務作業といいますのは、準備作業その他を含めまして三時間になる場合には、あくる日の勤務の繰り上げということで処置をしている、このように記憶しております。したがって、たとえばレール更換の場合に、いろいろな準備作業がございます。油を塗ったり、あるいはボルトを一ぺんゆるめてみてもう一回締めて作業がしやすくなるような軽作業も含めまして、勤務時間といいますか、ほんとうの実作業は、これは列車と列車の間でしかできませんので、大体三時間くらいが――実重労働作業は三時間ぐらいが標準になっておるというふうに記憶しております。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 当面の職員局長を要求しておいたわけですけれども、組合側との折衝の問題で出られないというお話があったので、私も了解したわけであります。したがいまして、いまのお答えは、職員局長が当然はっきりした答えを示してもらうようひとつ要求しておきます。  それから、この問題最後でございますが、昨年もいわゆる黄害――黄色いほうの害でありますが、この問題について問いただしました。先般二十日にも同僚石田議員が質問をしているようでございますので多くは触れませんけれども、やはりこの根本的な解決という問題は、排せつ物をタンクの中に収納するというのが一番完全な処理の方法だと思います。その根本的な解決方法を努力されていることはわかるわけでありますけれども、昨年も篠原さんからのお話を伺いまして、車両の設備のほうで二割、地上施設のほうで二五%、こういうふうな改善が進んでおりますというようなお話でありましたけれども、その後どの程度までこれが進んでいるのか。また、四十九年度としてはどのような計画でいるのか、この点をお答えを願いたい。
  142. 山岸勘六

    ○山岸説明員 私からお答えをいたします。  現在までのとりあえずの計画と現在までの進行状況を先に申し上げたいと思うのでありますが、私どもは第一の目標といたしまして、長距離列車、主として東京、名古屋、大阪に出入りする列車、あるいはまた地方の都市間の急行列車等を対象にいたしまして、長距離列車を一番先に片づけたいというような目標を立てまして着手しているわけでございますが、これに要する車は大体七千両でございます。  それから、これに要する基地といたしましては、現在線だけで申し上げておりますが、現在線で十二カ所を予定いたしているわけであります。それに対しまして現在すでに車としてできております、あるいはまたタンクを取りつけさえすればいつでも使えるという状態のものが、三千三百両になっております。それから、基地のほうは、すでに使用いたしております基地が二カ所であります。はっきり申し上げまして千葉県の幕張、千葉のちょっと手前の幕張と、大阪の寝屋川に基地が完成いたしまして現在使用中でございます。そのほかに現在工事に着手または地元との折衝中のもの、これが八カ所ございまして、ちょっと申し上げてみますと、品川、田町、それから九州へまいりまして南福岡、それから東北のほうへまいりまして仙台、青森、秋田、それから信越、北陸では長野、金沢、この八カ所につきまして、すでに工事着手または地元との折衝中であります。なお、今後できるだけ早い機会に折衝を始めたいという状態のものが、大船と大阪の向日町であります。したがいまして、現在線でこの十二カ所をできるだけ早く基地を完成して、七千両の車にタンクを取りつけまして稼働いたしますと、長距離列車のほとんどのものが大体タンクによって処理できるという状態に相なるわけであります。  昭和四十九年度、来年度に一応予定しております――これはまあ地上基地との問題でありまして、基地地元の了解をできるだけ早く得られまして完成いたしますれば、それに相応した車両を充てていきたい、こういうのが基本的考え方でありますが、現在のところで考えておりますのは、車で八百五十両、お金にいたしまして十三、四億になろうかと思います。これは車種によってちょっと値段が違いますので、大体十三、四億とお考えいただけばよろしいかと思います。  それから基地のほうは、これは相手次第になるわけでありますが、十五億程度できれば私どもとしては非常に状態としてはよく進んだということになるのじゃなかろうか。もっとやりたいわけでありますけれども、実際問題といたしまして大体十五億程度できれば、また来年引き続きがんばることによって、目標よりも早く――五十三年度を目標にしておったわけでありますけれども、それ以前にも、できればできるだけ早くこの七千両によるタンク収納をやりたい。しかる後に、さらに四十カ所くらいやれば全車両についてできるわけでありますけれども、短距離とかその他のものになりますから基準が非常に違ってまいります。この問題につきましては、この七千両の十二カ所の完成を目の前にする前に、できるだけ早い計画を立てたい、こういうように現在考慮しておる次第でございます。
  143. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その努力に対しては私ども理解できますけれども、やはりこれが完成されるまでというものは、この施設労務者というもの、携わっている人たちは、頭からこの黄害を浴びているわけであります。そういう非常に非衛生的な問題がまだまだこれから何年も何年も続かなければならない、こういうことを考えますと、これに対する何らかの方策を至急考えなければならぬ根本的な問題であると思いますので、一そうの努力をひとつお願いしたいと思います。  それでは、次の問題に移りまして、コインロッカーの問題でございますけれども、この問題についても七十一国会で、四十八年の六月一日に取り上げた問題でございます。国鉄、私鉄の各駅に設置され、非常に急速に増加していることは事実でございまして、皆さんも御承知のとおりでございます。これは、確かに利用客が多いということ、便利だということ、こういった点からどんどんふえている。こういうことはよくわかるわけでございますが、私がたびたび警告しましたように、また警察庁が防犯の立場から心配していたように、最近はどうもこれが悪の温床になっているというふうに考えられるわけでございます。  青少年が制服を着がえて町へ出かけていく、こういう場所に利用するというようなことはまだ序の口でございまして、最近は爆弾をコインロッカーにしかけたり、かわいい赤ちゃんを殺して捨てたりというような聞くにたえないような問題がございます。ほんとうに常識で考えられないような問題が次から次と出てくるわけでございますが、この最近のコインロッカーを舞台にしたところの犯罪について、犯人がなぜコインロッカーを使用するのかということについて、警察庁としてはどのようにこれを握っていらっしゃるか、犯人を調査した結果、なぜコインロッカーを舞台にしてこういった犯罪を行なうのか、こういう点についての御調査がありましたらば報告をしでいただきたい。
  144. 武田安雄

    ○武田説明員 お答え申し上げます。  本年の一月一日から三月二十五日までコインロッカーの関係での不法物品の保管事案等でございますが、先生が申されましたとおり二件の爆破事件が起こっております。御存じのとおり、二月十八日午前零時五十三分ごろ、大阪の近鉄上本町駅構内で起こりました事案と、三月十三日午後五時十八分ごろ国鉄の小倉駅構内のコインロッカーで起こりました事案でございます。それから嬰児死体が存置されました事案といたしましては、国鉄駅構内のコインロッカーでは七件、ステーションビル構内が一件、私鉄駅構内が二件でございます。そして総数が十一件のうち以上が十件を占めているという状況でございます。それから覚せい剤が存置をされておったというのが国鉄の駅構内で一件ございます。  どういうことでこうなるかと申しますと、嬰児の死体あるいは覚せい剤、あるいは盗まれた品物を置くというのは、わりあい人が使いやすい場所で、わりあい簡単に百円玉一つで置けるというふうな気楽なところからではなかろうかというふうに考えられます。それから爆破事件につきましては、近鉄の上本町駅構内の事件につきましては、三月十三日検挙をいたしまして、犯人の自供をいろいろ聞いておりますけれども、本人はやはり、金を持っておる者からとってやろうということで近鉄を選んだというふうなことを言っておりますし、それから国鉄の小倉駅構内の事件につきましても、これも御存じのとおり三月二十三日の夕方、中学二年生を少年法の緊急同行状を請求いたしまして調べました結果、七件やったということを自供いたしておりますが、友だちからつまはじきされておもしろくない、むしゃくしゃするのでやったんだというふうなことを答えておりますが、コインロッカーにしかけたという点、まだ詳しくは追及しておりませんけれども、これも簡単にしかけられやすいというふうな点からではなかろうかと考えられます。
  145. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  そこで、鉄監局の民鉄部長、お見えくだすっているわけでありますけれども、最近国鉄や私鉄の当事者に対して、このコインロッカーの管理、営業等について注意、要望をした事実があるならばお示しを願いたいわけです。
  146. 中村四郎

    ○中村説明員 私鉄の関係でいまお話ございましたように、近鉄でコインロッカーの爆破事件がございましたので、この私鉄の各駅におきまして、主要駅でございますが、いろいろな形態がございまして、構内営業として民間会社がこれを経営しておる。一部直営でやっておるところもあるわけでありますが、これらに対しまして、旅客サービス上必要十分な限度内にその設置個所数を限りなさいということと、それから設置場所につきまして、薄暗いところを避けたり、それから見通しのよいところに設けるというようなこと、それから警備上の観点ということがこの事件以来重大になってまいっておりますので、必要の場合にその方面の御意見も伺って、このコインロッカーを設置するという話を関係事業者に伝えております。
  147. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 鉄監局としても、いろいろ仕事の忙しい中でこういう小さな問題に対してたいへんであろうと思いますけれども、やはり民鉄部長とすれば、各私鉄におけるこういう問題については十分注意を喚起していかなければいかぬ。現に近鉄にああいう大きな問題が起きておるわけでありますし、どうしてもこれは常日ごろ注意を喚起していないと、ついつい人にまかせてあるのだからというのでうっかりしてしまうということになるわけでありまして、私ども国鉄に対してもいままでしばしば注意を喚起しております。これはやはり善良な使用者という立場で私は申し上げているのであります。警察庁のほうでも防犯の立場から国鉄に対していろいろと要望をなすっていらっしゃるのですけれども、国鉄がどうもその要望に対して十分な配慮のもとにこれに対してやってくれているんだろうかというような気持ちが私はしてならないわけです。  完全にということはなかなかむずかしいとしてみても、やはりこれに対する努力というものは必要じゃないかと思われるわけでありますけれども、どうも国鉄の現在の考え方というのは、大きな赤字をしょっておる国鉄として、そんな小さな問題には取っ組んでいられないのだというような姿ではないかと思うわけでございます。確かに国鉄自身として直営でやっておるものは少ないと思います。しかし、全然ないわけじゃありません。直営もあります。それからまた、他の業者にこれを委託しておるものもかなりあります。いずれにしましても、改善をすればするだけ、やはり費用がかかるのだから、現在の国鉄としてはそういうものに対して、単なるいわゆる伝達と申しますか、通達と申しますか、そういうものをしておけばそれで済むんだというぐらいにしか考えておらないのじゃないか。ほんとうに本腰入れてコインロッカーの問題に取り組んで、さっき警察庁で指摘したような爆弾の事件、あるいは子供の死体遺棄の問題こういうことはほんとうに残念なことでありまして、こういう問題はどうしてもなくさなければいけない。そのために徹底した努力を国鉄当局が先頭に立ってやらなければ、下の業者はもうけ仕事というのでやっておるし、あまりもうからないというところから適当にやっておる者もあるし、それからまた、機械がこわれていても修繕もしていないというような状態もあるわけであります。こういうことを考えますと、やはり国鉄当局がもっともっと真剣になってこのコインロッカーの問題に取り組んでもらいたいという気がします。一般の人は、国鉄の駅の構内ということから、要するに、それがどこまでが国鉄の部分であって、それから先は、たとえば駅ビルの問題そっちのほうに設置されてあっても、一般人たちは、国鉄の領域の中だという考えを持っておるわけです。ですから、国鉄がこのコインロッカーを設置してくれているのだという考えしかないわけです。これは確かに、よく見れば弘済会であるとか何々会社であるとか、こういろいろとございます。だけれども、国鉄をよく理解している人ならそれがわかるかもしれませんけれども、一般の乗客はそういうことは一切おかまいなし、国鉄のとりでの中にあるのだというところから、すべてを国鉄の責任だ、こう思っているわけです。ですから、そういう誤解を解く意味からも、やはり真剣になってこれに対して国鉄自身が取り組んでいかなければならないわけでございますが、そうした取り組み方がどうもちょっとにぶいのじゃなかろうかというふうに私は思うわけでございます。そういう点で何か、このようにやりましたというような、私を納得させてくれるような実績があるならば、ひとつお示しを願いたいと思うのであります。
  148. 速水信一

    ○速水説明員 昨年の国会で先生からたいへん有益な御指摘、御指導をいただきまして、その後、私どもといたしましても勉強いたし、それから警察庁と御相談し、お知恵を拝借いたしまして、幾つかの改正点がございますので、それを申し述べさせていただきます。  まず、一番基本といたしましては、いままででも警察と十分御連絡はとっておったのでございますけれども、いままで以上に一そう緊密な連絡をとっていくということがいろんな考え方の前提にまずございます。いろんなことが起きたとき、直ちに連絡がとれる、あるいは速報する、ふだんでも連絡を緊密にする、これがまず前提にございます。  それから、具体的にとりました第一の点は、まず約款を変えました点でございます。約款を変えました内容といたしまして、いま先生もおっしゃったように、いろいろ犯罪を起こす者に対して心理的な抑圧を、ある程度警察の御指導もあって、加えたほうがいいだろうということで、中に「収容できないもの」といたしまして、「死体」及び「犯罪の用に供するおそれのあるもの」というものを加えました。  それから犯罪が起きた場合のあとの対策になりますが、犯罪が起きた場合、早く発見できるようにということで、使用期間がいままで四日ないし五日ということでございましたのを、これも約款の改正で三日間までに改めました。  それから保管期間を――取りに来ないものを会社のほうで保管するわけでございますけれども、それがいままで二カ月置いておったものを三十日に改める、この三点が変えましたおもなものでございます。  それから次に改めました点は、何か事故が起きたときに、そこに国鉄の職員あるいは会社の職員がおればよろしゅうございますが、いないときに、直ちに連絡できるようにということで、会社名、それから会社の所在地、電話番号、こういうものを見やすいところに明示するということをいたしました。それから場所によっては、職員の待機している部屋にブザーが鳴るような仕組みを考える。それから監視体制といたしまして、いままでよりも会社の職員の巡回回数をふやす、あるいは目の届きにくい場所にバックミラーを置くとか、いろんなくふうを加えております。  それから、昨年先生からも御指摘を受けました、コインロッカーの機械の中に、やはりかぎの不十分な会社のものもありまして、これは事故の起きやすい大都市中心として、大規模に取りかえを行なっております。それからまた、約款等が、いままで印刷したものがロッカーの中に入れてあったりした場合もございます。しかし、そういう場合、紛失する、なくなるというようなことも間々あったということで、そういう方式を改めまして、ほかにもあったわけでございますが、見やすいところに大きく掲示を出す、こういうふうにいま大体統一しております。どうしても中に紙を置いておくと、なくなったり持っていかれたりして紛失してしまうというようなことが多うございます。  以上が昨年以来打った主要な点でございます。
  149. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの答弁で、その努力は一応私も理解はいたします。しかし、最初の保管期間の三日間という問題については、これはまだまだ警察のほうの要望というものを完全にいれているわけではないわけですね。警察とすれば、これは二日間が当然じゃなかろうか、しかし、やはり旅客の便利、旅行者の便利ということを考えれば、国鉄としては三日ぐらい、これは当然のことだろうと思います。それで二日が望ましいところだけれども、やむを得ないで三日にしているというのが実情じゃないかと思います。しかし、やはり会社の名前とか電話を明示するとか、あるいは巡回員をふやすとかバックミラーをつけるとか、さまざまいまお話がありましたけれども、いままで契約されているものを新規に変えていくという方法はなかなかむずかしいのじゃないかと私は思うんですね。いっそのこと、これを新しく設置するところについては、何かもっと条件をかっちりつけて、指示してやったほうが効果があるのじゃないかと思うのです。私どもが調べました県下でも、岡山の鉄道管理局の前の営業部長の高木さんがこの問題に真剣に取り組んでくれている、こういうことを私どもも見ております。そのやり方というのは、いわゆるコインロッカーの設置場所の入口に――これはもちろん場所があったからてきたわけでございますけれども、地元の物産、おみやげ店、こういうものを販売する店舗を新しく設けさせた。その新しく設けさせた店舗にコインロッカーの営業を同時に付与している。そうして経営させている。そうしますから、コインロッカーだけではなかなか収支が償わない場合もあるでしょうけれども、おみやげ店といいますか、そちらのほうの地元物産を売る、それによっての収入、これをそのコインロッカーの、たとえて言うならば管理の人件費であるとか、印刷物の費用に充てるとか、あるいはまた利用者の苦情を即刻受けてそれを解決するための努力をするとかいうふうな方向が岡山駅において現に行なわれているわけですね。やはりこういうことをやるというのは熱意の問題、努力の問題だと思います。私は、そういったことについて一人でも二人でもやってくれることはけっこうな話だ。まあ全体がやってくれれば一番いいわけでありますけれども、なかなかそうもいかない。それを事業局でけつをはたいて、旅客の便益をはかり、ほんとうに国民のための国鉄というふうな方向に持っていくとするならば、――このコインロッカーの問題も決してゆるがせにできない問題だ、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、今後契約を更改するとか、あるいはまた新しく設置場所を設けるとかいうようなときに、十分その実情を知っている現場の人たちが新しい改善方法をここに取り入れていくということをしなければならないだろうと、こう思うわけでございます。  とにかく私は、コインロッカーの問題についてたいへん口うるさく申し上げているわけでございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、国鉄の構内というものすべてが国鉄で直接やっているんだというふうに一般の方は受け取っているわけです。そういう点から、国鉄の信用を非常につけていく点においても、国鉄自身としてもこういう旅客の便益をはかるための努力が大いに必要ではないか、こう思うわけでございます。  そこで、最後でございますが、事業局長から昨年の六月十四日付で通達が出ております。またさらに、そのあとを追いかけるようにしまして、六月二十日でございましたか、やはりこのコインロッカーの問題について次長の名前で事務連絡が出ております。こうした努力をされていることはわかるわけでございますけれども、警察庁としては、やはりこういった通達が、実際に下部のほうにおいて行なわれているかどうか。この通達の内容については警察と緊密な連絡をとれというようなことがあるわけです。しかし、現実の問題として、緊密な連絡が下部において、末端においては行なわれてないのじゃないか、こういう心配が私はあるのです。そういう点について、警察当局として、この通達は、もちろん出したことについては十分警察と国鉄のほうで連絡をした上で出したわけですから、どういうことを出したかということは警察のほうでも知っているわけです。そこで警察当局として、その末端のほうの実際上取り扱っているところと所轄の警察との横の連絡が十分にできているかどうか、これはもう犯罪の防止につながる重大な問題でございますので、私は、あえてこの点で警察当局として満足すべき連絡体制ができ上がっているかどうか、現在の国鉄がほんとうにそういうものに対して努力を払ってくれることを認めるかどうか、これは警察からひとつ伺っておきたいわけであります。
  150. 武田安雄

    ○武田説明員 お答え申し上げます。  私のほうといたしましては、国鉄のほうから下部に通達が流されたということを連絡を受けまして、管区の保安課長会議等を通じまして、国鉄のほうにもこういうことで下部に連絡が行っているからよく連絡をとるようにということで、警察のほうを指導いたしております。そういうことで、下部におきましても国鉄当局と警察との間には緊密な連絡はとられているというふうに考えております。
  151. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 当然そうなければならないと私は思いますけれども、現実にはなかなかそういっていない、しっくりいっていないというのが私どもの調べた結果でございます。しかし、これはここで具体的に私が名前や場所を申し上げる必要もないと思いますので、この問題について一そう緊密な連絡をとって、事故を未然に防ぐ、また発生した事故については、すみやかにその解決をはかるという点について、警察当局と鉄道のほうとがっちりした連絡ができるように心から要望しておくわけでございます。  最後でございますが、要するに国鉄当局としてコインロッカーの構内営業というものを、今後もまだまだ、これは相当便利であるがゆえに続くであろうということが考えられます。それで、根本的に基本的な考え方というものを国鉄としても示してもらいたいと思います。それからまた、鉄監局長、きょうは見えておりませんので民鉄部長にかわってもらいますが、国鉄、私鉄いずれにもかかわりません、どちらにしましても、この鉄道の問題についての監督的な立場にある鉄監局として、今後どのようにこのコインロッカーの問題について対処していかれるのか、この基本的な考え方、それから最後に、警察庁としては防犯上の立場から今後この駅構内のコインロッカーの営業についてどう対処しようとするのか、お三方からそれぞれの御意見を伺いたい、それで質問を終わりたいと思います。
  152. 速水信一

    ○速水説明員 ただいまお話のありました点につきましては、国鉄の場合、大部分会社経営させておるわけでございますけれども、やはり先生のお話のように、経営のというか営業の責任は会社にございます。国鉄の駅内でございますけれども、われわれといたしまして十分管理、指導をいたし、今後ともお客さんの満足のいくようなサービスができるように努力していきたい、こう考えております。
  153. 中村四郎

    ○中村説明員 私鉄を含めましたコインロッカーの設置管理につきましては、鉄道事業者におきまして関係当局、特に警察当局と十分協議した上で、設置は旅客サービスに必要な限度にとどめまして、また設置場所につきましては、先ほども申し上げましたように見通しのよい位置にする等検討いたしまして、随時巡視をして、不審の際に直ちにこれに対応できる体制がとれるよう、そういった観点からの指導をしてまいりたいと思っております。
  154. 武田安雄

    ○武田説明員 警察といたしましては、三月十三日小倉駅構内のコインロッカー爆発事件が起こりましたので、直ちに翌十四日付で緊急電話通達を下部に発しまして、警察といたしましてとれる措置、すなわち、国鉄、私鉄あるいはコインロッカーの管理者あるいは設置者等に対しまして、さらに管理の徹底方についてお願いをいたしますとともに、駅等におきましては、駅の交番の警察官のパトロールを重点的に行なえというふうなことを指示をいたしております。今後とも関係の傘下の機関と連絡を密にいたしまして防犯上の措置をさらに進めてまいりたいと思っております。
  155. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わるわけでありますが、せっかく政務次官もお見えになっておりますので伺っておきますが、要するに、空港などにもこのコインロッカーはあるわけであります。それからまた、いわゆるフェリーボートの発着場等にも最近はコインロッカーが出現しております。運輸全般にこういう問題は非常に関心を深めていかなければならない問題であると思いますので、最後に政務次官から一言それに対する考え方を、どのように対処するかを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  156. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先生指摘のとおり、非常に便利なものでありますけれども、それが逆に犯罪に利用されるというようなことがあってはなりませんので、そういう面の管理運営につきまして十分気をつけさせまして、まじめな利用者の便宜をはかってまいりたいと思います。
  157. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  158. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 次回は、来たる四月三日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十五分散会