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1974-03-20 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 工藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 兒玉 末男君    理事 三浦  久君       阿部 喜元君    井原 岸高君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       細田 吉藏君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       梅田  勝君    石田幸四郎君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         防衛庁参事官  長坂  強君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 住田 俊一君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         海上保安庁長官 佐原  亨君         高等海難審判庁         長官      愛澤 新五君         気象庁長官   高橋浩一郎君         気象庁次長   石原  明君  委員外出席者         首都圏整備委員         会計画第一部長 山東 良文君         経済企画庁総合         計画局計画官  小池  力君         運輸省船舶局造         船課長     神津 信男君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         気象庁総務部航         空気象管理課長 安斎 政雄君         日本団有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道副         総裁      井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 三月十九日  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六六号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五九号)  陸運に関する件(民営鉄道経営に関する問  題)  港湾に関する件(流通港湾整備に関する問  題)  気象に関する件(航空及び海洋の気象業務に関  する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(新幹線の騒音  対策に関する問題等)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。河村勝君。
  3. 河村勝

    河村委員 戦後わが国では、戦後の復興の時期から今日までずっと産業を育成して、それで特に国際収支改善を重点に置いていろいろな手厚い助成措置を講じてまいりました。この海運造船についても特に手厚い助成措置が講じられてまいりました。これはこの数年来対外的にも非常に大きな問題となっておりますが、それなりに今日までは日本の戦後の復興国際収支改善に役に立ってきた、そういうメリットがあったことは間違いありませんし、とらざるを得なかった方法であるということも間違いがありません。しかし、同時に、いつまでもそういうことをとっていくのがいいのかどうかということは、最近の日本福祉経済への転換をはかっていく問題、それから国際収支も安定をしてきたという時期になって、逆に助成措置が対外的な非難を浴びるようになってきたということもございます。  ほかの産業についてはそうした助成措置を徐々になくしてきて、だんだん自立体制がとられてきたわけでありますが、海運造船関係については、今日海運会社についても世界一の商船隊を持つようになりましたし、造船に至っては世界造船能力の五〇%を持つというような強力な産業になったわけであります。それにもかかわらず、依然として大きな助成を続けてきている。一体、こういった助成措置をいつまで続けていくかというのは、単にこの法律の中で、海運企業の健全な発達を阻害しないようになるまでという、そうした形式的なことではなしに、国民経済全体の中でもう一ぺん考え直さなければならぬ時期に来ていると思うのです。その点、造船海運を通じての助成策というものを今後根本的に考え直す時期に来ていると思うのですけれども政務次官、あなたは一体どういうふうに考えておりますか。
  4. 増岡博之

    増岡政府委員 先生指摘のとおり、戦後の日本経済の立て直しのために、各業界におきまして助成措置を講じ、その力がつくに従いまして順次自由化してまいったわけでございます。  そこで、この海運関係についてでございますけれども、私どもも当然、永久に恒久的に法律をそのまま据え置くという気持ちはございませんけれども、しかし一面、いまだにこの法律なしで自由にまかしておきますと、日本造船所船台がほとんど外国船主に予約で占有されてしまうという実情にあるのも一面の事実でございます。したがいまして、それを放任しておきましたならば、いつの日かまた日本商船隊外国にひけをとるということになりかねないと思うのでございまして、そういうことやら、また最近は、特にいろんな専用船が新しくできまして、技術的にも相当な船型・船種の問題につきまして確保しておかなければならない事情もございますので、そのようなことが解決をいたしますまで、やむなく臨時措置をとらざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  5. 河村勝

    河村委員 私が伺っておるのは、ほんとうはそういうことではなしに、もっと海運造船全般についての助成措置をこれから見直すべき時期に来ておるはずだが、一体政府としてはどう考えておるか、こういうことを聞いておるので、単に船台があるなしの問題を聞いているわけではありません。
  6. 増岡博之

    増岡政府委員 このような問題は、経済情勢の変化あるいは国際経済の変動によりまして、毎年頭の中では考えておかなければならない問題であろうと私も存じております。しかし、日本の船で日本輸出いたします品物につきまして運んでおりますのがまだ三割にも満たないという状態でもございますので、やはりまだ日本開放下貿易、したがって国民のために必要な資材を運びますための安定的な輸送力を確保するという意味では、しばらくの間続けていかなくてはならない問題であろうというふうに思っております。
  7. 河村勝

    河村委員 しかし、あなたは積取比率がまだ低いということを言っておられますね。そういうことですね。だけれども、私は、これから無理に助成措置を講じなくても船はふえていくと思います。思いますが、その問題を一応別にしまして、これから船をふやしていって、積取比率というものが、四十五年に設定をした、輸入については五四・三%、輸出については五〇%という邦船の積取比率をつくっていますね。一体、船さえふやせばこれに近づけることができる、そう考えておるのですか。
  8. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 やはり海運日本経済に必要な物資の安定輸送を引き受けなければならない。したがって、引き続いて検討していかなければならない。ただ、日本経済伸び方が、おそらく従来のような大きい経済成長率では伸びてこないだろうというようなことをいろいろ考え合わせまして、過去において、船をつくりながら積取比率が上がらなかったという実態は、やはり貿易伸びに対して船の伸び方が足りなかったとかいうような原因が私は一番大きかったと思います。したがって、今後従来のような大きな伸び率でなければ、船腹の増強というものが目標の積取比率に到達するような実績が私はあがってくると思います。
  9. 河村勝

    河村委員 私は、それはたいへんな間違いだと思うのです。これからはいかに船をつくりましても、最近の世界情勢というのは、資源ナショナリズムだけでなしに、資源ナショナリズムプラス海運ナショナリズムですね。みんな自分のところの貿易するものは自分のところの船で運ぶということが、だんだん支配的になっておりますね。いま開発途上国で、すでに法律で、自国貿易のものは何%は自分のところの船で運ばなければならないというような法律化をしている国さえかなりの数にのぼっていますね。一体、それはどのくらいありますか。
  10. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いま、どれぐらいあるかということをちょっと調べさしていただきたいと思います。何%を自分のところで運ばなければならないというような規定は、私はしてないと思います。自国船で自国貨を優先的に運ぶのだという法律をしているのが多いというふうに私は思いますが、率まではきめてないと思います。  それから一方、現に三月十一日から三週間にわたって、国連の場で、開発途上国ができるだけ自分の船の積取比率を擁護するようにという意味での国際会議が行なわれておりますが、現状においては、実はこれは定期船だけのことでありまして、不定期船その他にはまだこの話が及んでいない。定期船をめぐって、従来の同盟の規約に対して開発途上国から批判が起こりまして、それに対して、たとえば一つの航路の荷物を両当事国が五〇、五 ○で分けてしまうとか、あるいは三国船がありますときには二〇を残して四〇、四〇で分けてしまいますとか、そういうことを条約できめてしまおうじゃないかというのが、定期船をめぐって現在行なわれている状態でありまして、これをめぐっても、実はほんとうに船を四〇なり五〇なり充足する実力がないのに、いきなりそういう権利を主張されても困るというような論議が行なわれて、現在国際会議が行なわれているという実態でございます。  ただ、先生指摘のように、定期船以外についてもそういった傾向が徐々にあらわれてくるということは考えられますが、現状においてそういった傾向がそのまま定期船以外についてもあらわれてくるという現状には、実はなっていないということでございます。
  11. 河村勝

    河村委員 そのとおりです。さしあたりは定期船だけの問題ですけれども、しかし、海洋法問題の会議がことしの六月からカラカスでありますね。これは直接この問題には関係はないけれども、そうした全体の空気というものは、だんだん、いまはそう規模が大きくなくても、そういう方向になってくることだけは間違いないのですよ。だから、ほんとう邦船の積取比率をふやして、それで安定輸送をやろうということが海運会社に対する助成の主たる目的であるとすれば、それはもはや幾らやってみたってこの積取比率はよくならない、そう考えるのがほんとうだと私は思います。そう思いませんか。
  12. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもも、いっそういう事態が来るのかということが、実は今後の問題でございますけれども、たとえば輸出については、われわれはしたがって目標数値としては五〇%ということにしてございます。ただ、いきなり専用船などについてそういう事態が起こるとは思えませんので、私どもは、油については六五%の積み取りというものを考えております。鉄鉱石についても五五ということの積み取りを考えております。これは一挙にそういう事態に、開発途上国が全部そういった海運力を持って日本輸送に役立つようにやってくれるとも思えない、そういうことで私どもは、当分の間はまだ油は六五、鉄鉱石は五五、日本のためにもやはり日本海運で運ばなければならぬのじゃないかと思っております。
  13. 河村勝

    河村委員 油を六五%日本の船で運ぼうという、そういう目標を片方でつくっておりますね。  私は、これはきのうの新聞で見ただけだから詳しい内容を知らないので、これを聞かしてもらいたいと思う。  海運業界アラブに接近をはかって、アラブとの提携をはかるために、自分が確保した造船所船台譲渡をしたりして、何か結びつきを強めていこう、これは一体どういう内容なんですか。私は新聞だけですから、それを説明してください。
  14. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもも昨日の新聞を見まして、昨夜各船会社から事情を聴取してみました。だいぶ新聞にははっきり断定的に書いてあったりするようなことが、私ども会社から聞いた話とかなり違うのですが、それを、ちょっと聞きましたところだけをお話をさせていただきます。  日本郵船は、サウジアラビアの国に対して、三菱グループとサウジアラビアの国との間で石油精製プラント輸出計画がある、これがまとまると、日本郵船船舶を提供して輸送を担当する予定である。しかしこのプロジェクトにはまだ技術的な問題点が多くてはっきりしていない。したがって、その所要船腹隻数その他というものは全く白紙であるというのが郵船の話でございました。  それから、商船三井サウジアラビアということが新聞記事に出ておったと思いますけれども、具体的な計画はいまのところ発表できるものはないという返事でございました。  それから、山下新日本は、相手方のクウェートとの話が新聞に出ておりましたが、実はアラブの国から中古船譲渡合弁企業による船舶の保有、運航等について打診があった程度であって、具体的な計画はないという返事でございました。それからクウェートとの船舶原油バーター取引計画というものが出ているけれども、これは全く根拠はないという返事でございました。  それから、ジャパンラインは、アブダビとの間には、もうすでに既定の計画として、四十八年の二月にアブダビ政府DD原油を購入することとした、これはもう契約済みである。そこで、所要船舶は、このDD原油の全量が入ってくるということになったらかなり隻数が要ると思われるけれども、現在は買い取っている荷物日本原油購入先石油会社が逐次手当てをしている、こういうことでございます。それから日経の報道でアブダビとの間で新契約がある旨伝えているけれども、これは誤りである、これは去年の二月に契約したことが全部であるということです。それから新しい計画としてはアブダビと同じ首長国連邦のシャルジャという国との間で昨年十一月にDD原油を購入する契約を結んだ、こういうことでございます。しかしこの数量はあまり多くない、こういうことです。それから三光汽船については、ちょっと調査が明確にできておりません。
  15. 河村勝

    河村委員 この問題と一番関連の深い三光汽船に関する記事は、「イラクに対し同社が確保していたタンカー四隻分の船台譲渡することに成功した。」こういう記事があるのですね。ここのところが一番本件との関連で非常に奇異に感ずる問題なんです。ここのところは確認してないのですか。
  16. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 それは確認できませんでした。
  17. 河村勝

    河村委員 この法律目的は抽象的には書いてあるけれども、ごく端的に言えば、先ほどから政務次官も言っておられるように、ほうっておけば日本造船所外国船受注一ぱいになってしまって、それで国内船がつくれない、だから国内船船台を確保するためにあるんだ、そう理解してよろしいか。
  18. 内田守

    内田政府委員 ちょっと、私のほうから御説明さしていただきますけれども、いま海運局長から答弁がありましたように、その船台譲渡という意味がまだつまびらかではないわけでございますけれども、単なる商取引上でそういうことを言ったのか、あるいは確たる話であるのかということはわからないわけでございますけれども、事実として考えられますことは、契約直前の船ということももちろんありますけれども、かりに既契約の船でそういうことが行なわれるんだ、あるいは行なわれる可能性があるんだということであるならば、これは臨時船舶建造調整法、いまお願いしております法律で、契約当事者がかわるわけでございますから、従来そういうことに該当する場合には建造許可取り直しということにもちろんなるわけでございます。したがいまして、その段階に来れば、当然この法律によって適否を考えて、許可をあらためて出すか、あるいは許可を出さないかということになろうかと思います。
  19. 河村勝

    河村委員 そのあとの私が質問したのに返事しないで、さっきの前の質問だけ答弁しておる。一体、この法律目的というものは、抽象的な表現を抜きにして端的に言えば、外国の船だけを受注するようになってしまって、日本船がつくれなくなるから、許可制にして船台を確保するんだ、そこにあるんだというふうに理解してよろしいか、こう言っているのです。
  20. 内田守

    内田政府委員 おっしゃるとおりがこの臨調法の主たる目的でございます。
  21. 河村勝

    河村委員 だから、そうなると、一体船台譲渡ということばが出てくるのはきわめてふしぎなんだ。これは少なくとも自国船ではありませんね。そうでしょう。いかがですか。
  22. 内田守

    内田政府委員 新聞のその表現は、船台譲渡ということばがよくわからないのでございますけれども、先ほど申しましたように、この法律での許可の問題ももちろん一つございますが、それから造船所サイドから考えてみても、契約当事者がこういう場合ですと変わるわけでございますから、たとえば契約条件とかそういうようなものがすべて変わってくるので、従来のこういうことに該当するような契約の場合には造船所自身契約をやり直しをする、場合によってはその契約に応じないというようなことが当然あるわけでございまして、いま先生おっしゃいますような船台譲渡ということばは、私自身も奇異に感じておりますし、それから造船業界のほうでも、そういうことばと申しますか、そういうことを非常に奇異に感じているというのが実情でございます。
  23. 河村勝

    河村委員 この前私が仕組み船の問題について質問いたしましたけれども、やはりこれは現実に自国船建造を確保するだけじゃなくて、日本の海外の子会社等仕組み船と称して、今度の油の場合もおそらくそうだろうと思うのだけれども、とにかくアラブ国籍の船をつくる、その際に、どういう方法を講じているのかわからないけれども、ちょうど学校で席取りやって、人が来たら渡してやるような、そういうようなふうにこの法律が運用されているのではないか、そういう疑惑を持たざるを得ないのですね。そうだとしたら、これは法律違反ですよ。自国船建造を確保するという目的であるにもかかわらず、チャーターバックするような式のものに対して海運会社船台権利を持っていて、それを武器にして外国契約をして外国の船をつくるということになれば、そういうことがもしかりにあるとすれば、それは明らかに法律違反ですね。どうですか。
  24. 内田守

    内田政府委員 建造許可を受けたものについてかってにそういうことが行なわれれば、これは法律違反でございます。
  25. 河村勝

    河村委員 かってでなくとも、そういう事情を承知した上で、一応架空の契約みたいなものがあって、それを契約を変更するという形でもって建造許可運輸省が認めたとしても、実質的にそういうことをやっておれば、そういうことは法律違反でしょうね。どうですか。
  26. 内田守

    内田政府委員 先ほど申しましたように、船主がかわれば、あるいは日本船外国船に変わるようなケースの場合には、白紙に戻して建造許可ということを全く新しくやりかえるわけでございまして、そのときに判断する問題でございますので、そういうことがなく、いまおっしゃいましたようなことが行なわれれば法律違反でございます。
  27. 河村勝

    河村委員 ぼくは手続のことを言っておるのではないのです。形式的な手続はどうやってもできる。だから行政指導ということばが最近非常にはやるけれども、そういうことが可能ですから、そういうことがある場合にはあり得ても私はいいと思っている。だけれども、それをこうしたきれいな法律をつくっておいて、それを悪用してやろうというようなことであれば、これは明らかに国際信義上も私はおかしいと思う。だから、どうしてもやりたいというのならば、それはちゃんとはっきり表に出してやらなければいけない。だから、もし、あなたが、そういうことは絶対やってはいないというならば、そう返事していただいてけっこうです。私もこの実態がどうであるかということをはっきりつかんでおりませんから、その上でまた質問しますけれども、そういうことはないのですね。
  28. 内田守

    内田政府委員 少なくとも私どもは聞いておりません。
  29. 河村勝

    河村委員 ないというならないことを私も期待をします。しかし、この三光汽船記事というのは、新聞記事ですから、これ自体が信憑性があるとは私も思わないけれども、何か火のないところに煙は立たないみたいな感じがしますから、これは実態を調べてください。お願いしておきます。  それから、一体造船会社がどうしてそんなに手一ぱい状態で、ほうっておけば日本の船がつくられぬ状態にあるのだろう。もし、きのうの質問にありましたように、日本船が技術的にも優秀であり、納期も確かだということで集中をしてくるというならば、自由経済であれば、もしほんとう日本の船が評判がよければ、値上がりをしてそれで需給のバランスが保たれてくるというのが常識ですね。値段は最近は安くはないという話だったけれども日本のは高いという話も聞かない。一体その辺の関係はどういうふうになっているのですか。
  30. 内田守

    内田政府委員 日本造船所国際競争力は、いま主として、きのうも御説明いたしましたように、造船の技術の能力と、それから納期の順守ということが主たる理由でございます。それで、最近特に先物輸出船に非常に多いということにつきましては、全体的な需要の増加ということももちろんございますけれども、特に外国船主発注は、その資金量と申しますか、外国船主体力と申しますか、前金を払ってまで注文し得るそういう体力、それから今後の需要というものに対する外国船主の対応の機敏さ、それから最近特に物価上昇というようなことがいろいろ見込まれてくること、そういうことに対して、先物をなるべくとりたいというような傾向がむしろ世界的にあるわけであります。一方、わがほうの造船業から見ても、世界の五〇%近い供給力を持つ業界としましては、ある程度の安定操業ということをはかる意味からも、手持ち工事量というものをやはり数年持っていたいという受注意欲もあるということであると考えます。
  31. 河村勝

    河村委員 手持ち工事量をある程度持つのはあたりまえですね、受注産業ですから。だけれども日本船をつくれないほどに外国のものを、どんな条件でもいいからどんどん受けるということじゃないはずなんだ。この場合、非常に注文が殺到しているわけですから、その中で選別をして有利な条件のものを引き受けてつくっていくということにすれば、おのずから日本船がはみ出すほどの膨大なものにはならないで、バランスがとれるはずだと考えるのが商売の常識なんですね。それを、法律で保護しなければならないというのは、どう考えても常識的でないと思うのだけれども、あなた方の常識ではそうではありませんか。
  32. 内田守

    内田政府委員 もちろん、造船業としましては、相手の船主船価等を勘案しまして、選別して受注しておるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、先物を注文したいという発注意欲というものが従来非常に旺盛でございまして、造船業のほうも、選別はしておるわけでございますけれども、結果的にはいま申しましたような状況になっておるというのが実情でございます。
  33. 河村勝

    河村委員 しかし、最近の外国船受注量は減っていましょう。どうですか。物価が非常に変動する時期には、先物を持ちたいといったって、あぶなくてそんなに引き受けられるはずのものじゃありませんね。だから、どんどん造船所が長期の工事を受注するということは考えられないのですけれども、最近の状況はどうですか。
  34. 内田守

    内田政府委員 今年に入りまして、確かにおっしゃるように受注の成約した契約件数は非常に減っております。ただ、先ほど申しましたように、引き合いそのものは依然として旺盛でございまして、先生おっしゃいますように、造船所サイドがここしばらくは、今後の物価の値上がりとかそういう面から受注を控えているということでございます。特に、これからの電力とか石油とか、あるいは労賃等の見通しをつけ得るまで、ここ数カ月は守りと申しますか、そういう状況にあるわけでございます。
  35. 河村勝

    河村委員 ですから、そういう条件の変化があれば、おのずから受注を手控えたりしてコントロールができるはずなんだ。特に、これから為替変動なんかどうなるかわからないときには、円建てで契約をすれば別だけれども、そうでなければ、国内船のほうが有利なはずだし、だからどうも、法律で縛らなければならぬという条件が依然としてあるのかというのが、私は非常に疑問に思うのです。もしそんなに受注がこれから多ければ、造船所は当然もっとよけいドックをつくるはずですね。そうでしょう。つくらないというのは、それほどでもないということなんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  36. 内田守

    内田政府委員 先ほど申しました受注の見通しで、いま造船所が手控えているということを申し上げましたが、考え方としては、いまこういう変動でございますので、一時的な現象として手控えているということで、長期の見通しとしては、必ずしも手控えるというような見通しを持っていないわけでございます。  それからもう一つは、これからの見通しといたしまして、単に量的な問題だけじゃなくて、船型のいろいろな種類の引き合いという多様性というものも出ておりまして、先生おっしゃいますここ一月、二月の状況は、確かに成約は造船所サイドで差し控えておりますけれども、われわれもこれは一時的な状況だろうというふうに見ております。
  37. 河村勝

    河村委員 ちょっと伺いますが、外国との比較で、各国ともそれぞれ海運助成あるいは輸出船に対する助成はやっておるようですが、日本を除くおも立ったスウェーデン、西ドイツ、イギリス等の輸出船に対する助成条件、それから自国の船をつくるときの助成条件、それがわかったら教えてください。
  38. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども海運の面からお答えをしたいと思います。主として各国国内船海運に対してとっている助成というふうにおとりいただいてけっこうだと思います。  イギリスは、建造助成ということで船価に対して、一九七二年は一〇%、一九七三年は四%、一九七四年は三%、それで七四年末で一応打ち切りというふうになっている建造助成の制度がございます。それから金融関係としては、国内の建造船に対して政府保証によるところの市中融資を、融資比率八〇%、融資期間が八年、金利が七%ということでやっておるようでございます。  西ドイツでは、建造補助、船価の一〇%を船主に対してやっている。それから融資としては、国内船主に対して融資比率七〇%、融資期間十二年、金利六%でございます。  スウェーデンは、融資関係といたしまして、船舶抵当融資銀行を通じて国内船主に、融資比率が八〇ないし九〇%、融資期間が十五年、金利が八%ないし八・二五%でございます。  以上でございます。
  39. 河村勝

    河村委員 その八%とか七%というのは最終的な金利ですか。それとも当該抵当銀行なり政府保証の金融なりの利率がそうなっているのかどっちなんです。
  40. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 おそらくそれぞれの金融機関から貸しておる貸し出し金利だと思います。船主の負担金利はこれとは違ってくると思います。
  41. 内田守

    内田政府委員 私どものほうから造船所に対する助成のおもなことを申し上げます。国としては英国と西ドイツ、スウェーデンを例にさせていただきます。  英国の場合は、いま海運局長が御説明になりました建造補助、これは輸出船にも建造補助がなされます。一九七二年に船価の一〇%、七三年四%、それから七四年が三%で、七四年までで廃止する、七四年までの措置でございます。それから英国の場合には、船を建造する場合の舶用のいろいろな資材を輸入する場合に、その輸入関税は免除または返還されます。それから、その他新造船に対する租税の軽減ないし免除ということがございます。それから輸出船そのものにつきましては、輸出信用に対する政府保証をやっております。そして、そういう保証が与えられた場合には、金融機関からの低金利融資がなされております。これは後ほど御説明いたします西ドイツ、スウェーデンとも、御承知のOECDで延べ払い条件が基本的にきまっておりますので、それに合わせて斉合させたそれぞれの条件を持っているわけでございます。  それから西ドイツでございますが、西ドイツも国内・輸出船を問わず船舶用の資材を輸入する場合の関税を免除しております。また、外航の新造船に対しての売上高税、向こうの税制はよくわからないのでございますけれども、新造船にあたってのその税金を免除しておるということでございます。それから造船所に対しまして、経済復興資金というところから、造船業の合理化投資等についての資金融資をやっております。それからもう一つは、代表的な、これは一社だそうでございますけれども、商船建造造船所に対して政府が株式を保有しているという制度を持っております。それから、先ほどの輸出信用等に対する問題につきましては、利子補給という形でOECDの条件に斉合させているということでございます。  それからスウェーデンでございますが、スウェーデンは英国、西ドイツと同じように、やはり舶用の輸入資材の関税免除をいたしております。それから、同じように新造船に対する税金の免除ないし軽減の制度を持っております。それからまた、西ドイツと同じように、主要な会社四社だそうでありますが、特に代表的なウデバラという造船所は全株政府出資で経営しております。そういう資本参加をやっております。それから輸出信用に対する問題については、やはり英国と同じように政府保証をいたしまして、金融機関からの融資に対して、先ほど申しましたようなOECDの条件を保てるような助成をしておるということでございます。
  42. 河村勝

    河村委員 これだけじゃ比較がほんとうはわからないので、最終的にどういう条件になっているのか、一ぺん資料をつくってください。  しかし、感じから言いましても、たとえばスウェーデンあたりは、国内船をつくるために抵当銀行の金利が八%くらいということでしょう。そうすれば日本国内船助成に比べればはるかに低いですね。日本はいま幾らですか。
  43. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 市中金利は九分四厘でございます。ただ、外国助成金利は、それぞれの金融機関からの貸し出し金利は高いのも安いのも実はございます。
  44. 河村勝

    河村委員 市中金利のことを聞いたのではない。市中金利とそれから利子補給を含めた、開銀からの融資、そういうものをひっくるめればいま幾らですか。
  45. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現在の海運政策に盛られています数字では、市中の金利は六分五厘まで、それから開銀の金利は、コンテナ船については五分五厘まで、それからその他の船については五分八厘までという予定です。ただ、最近市中の金利が九分四厘まで上がり、それから開銀の金利が七分五厘まで上がりましたので、現在のところはこれを〇・三%ずつくらい上回ったところまでしか利子補給はできないという中間的な数値に四十九年度はなっています。
  46. 河村勝

    河村委員 いろいろ御返事を聞きましたけれども、まだ正確なところはわからないのだけれども、どうももうぼちぼち、外国と比べても日本はこれだけ大きくなってきたのですから、船会社にしても、造船会社にしても、もうちょっと政府の介入をだんだん減らしていくということが必要な時期になっているという印象しかないので、今後もう少し詳しい資料をいただいてから私も聞きたいと思っております。  それで、この前お聞きした残りを確認してこの質問を一応終わりますけれども、この前仕組み船と海外売船の話を聞いたときに、海外の子会社が船をつくる場合に、それをチャーターする場合に、海外の子会社か実際資金——資金というのは、自己資金だけでなしに、金を借りた借金も含むのですよ。金を借りてつくる場合も自分で金を出すということになるのですから。そういうものは一体どれだけあるか。それはわかりましたか。
  47. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 仕組み船十隻のうち、日本船会社の子会社である外国船主と仕組んでいると考えられるものが一隻、それから孫会社関係にあると思われるものが九隻、合わせて十隻でございます。  それからチャーターバック船は、日本船会社と子会社関係にある外国船主に船を売って、その先から日本がチャーターバックしているものが、子会社関係で十隻、孫会社と思われる関係で七隻、合わせて十七隻でございます。チャーターバックで十七隻、仕組み船で十隻ということでございます。
  48. 河村勝

    河村委員 このチャーターバックのはいいとして、仕組み船のほう、海外の子会社がつくる場合、この前は、自己資金、借金を含めた、金を借りて自分がつくっているというのはなくて、何かみんな海外の船主が事実上金を出してつくっているんだ、という説明だったけれども、そこでいま質問しているのは、実際どんな形にせよ、自己資金にせよ、あるいは借金にせよ、結局自分で金を出すわけですから、だから一方で計画造船で国の援助を受けていながら、片一方でわざわざ自分の金を海外の子会社に回して船をつくるというのはおかしいではないかということを聞いたわけなんです。一体、そうした金の使い方をやっているのがこの十隻のうちに幾らあるのかということを聞きたいわけです。
  49. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 その船をつくります資金は、その子会社なり孫会社外国で調達しているというものが大部分であって、この子と孫の関係というのは、きわめてわずかな金額の資本金を日本船会社が投資として海外に出しているという実態であって、そこでできた会社外国でその会社の金融力によって調達している。そこで船価をまかなっているというのが実態でございます。
  50. 河村勝

    河村委員 一応質問はこれで終わります。
  51. 三池信

    ○三池委員長 久保三郎君。
  52. 久保三郎

    ○久保(三)委員 だいぶ質問も進んでおりますので、あるいは重複するかもしれませんが、お許しいただいて、幾つかの問題でお尋ねしたいんです。  まず第一に、臨調法による建造許可という許可とは、いかなる時点が許可なのか。いまも御質問がありましたが、いわゆる建造してもよろしいという単なる許可なのか、それとも着工ということを許すのか、その辺はどうなんだろうか。何か船舶局長、よくわからぬようだけれども、あなたのほうが専門家だからわかっておると思う。着工という場合は、昔は船台に竜骨というかキールを乗せた時点が着工だろうと思うのです。いまはブロック建造だから、ブロックを船台に乗せてドッキングというか、始まる時点が着工なのか、許可と着工との関係はどういうふうに考えておられるのか。
  53. 内田守

    内田政府委員 建造許可は着工を許可するということでございます。それで、着工の解釈でございますが、これは先生指摘のとおり、最近のブロック建造の場合ですと、そのブロックを船台なりあるいはドックの定位置に定着させるときを着工というふうに考えております。
  54. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そうしますと、建造許可を与えたものは、いつ船台に乗せてもよろしいということに相なりますな。そうですね。
  55. 内田守

    内田政府委員 そのとおりでございます。
  56. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまのような建造方式になると、建造許可が出る前に、今度は去年の十一月ですかには通達を出しておられるから多少違うと思うのでありますが、建造許可の出る前に、いわゆる許可がおそくなれば、その前に大体ブロックというか船郭の建造が始まってくる。それでまぎわまで船台に乗せないでいる形も出てくる思うのですね。そういうものは今度の通達でなくなることなのかどうなのか。
  57. 内田守

    内田政府委員 たとえば、建造許可とそれから着工が、わりあい着工時期が早いものについて、ぎりぎりのものについては若干着工前に内容等の工事が行なわれるということはあるかもしれませんけれども、先ほど来説明しておりますように、わりあい受注形態がいま先物になっておりますので、普通の場合はおっしゃるようなことはないというふうに考えております。
  58. 久保三郎

    ○久保(三)委員 受注建造許可とは違いますね。いわゆる造船所受注することと建造許可というのは同時でないですね。そうでしょう。
  59. 内田守

    内田政府委員 時点的には違います。受注してから許可ということになります。
  60. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そうしますと、いまの話で大体わかりましたが、受注してから大体建造許可という手順になるだろう。建造許可がぎりぎりになるが、造船所の工程というかそういうものの都合、あるいは船主の都合で、さっき申し上げたように、いまの船はブロックづくりであるから、それぞれ船台に乗せる前につくり始めるということになると思うのですね。そういうところに問題がありはしないかということを聞きたいわけですよ。
  61. 内田守

    内田政府委員 通常の場合ですと、受注しまして一カ月か二カ月ぐらいで建造許可をおろすというのが普通の状態でございまして、それで実際に着工するのは、先ほど来御説明しておりますように、輸出船の場合ですと数年先というような状況でございますので、普通の場合は、先生のおっしゃるようなことはないわけでございますけれども、着工時期がわりあい迫っているような船につきましては、建造許可を受けてからわりあい早い時期に着工しなければいかぬ、納期関係でやらなければいかぬという船も中にはあるわけでございますが、それは法制的には、先ほど申しておりますように、着工というのは、ブロック建造の場合は、船台ないしはドックの定位置に塔載するということをもって着工の時期というふうにしておりますので、そういう船については、内容等がそれ以前に始まるというようなこともあり得るというふうに考えております。
  62. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それではさように伺っておきますが、着工というのは、私がさっき申し上げたように、船台に乗せてドッキングが始まるときが着工ですか。だから単にブロックをつくることは着工ではない、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  63. 内田守

    内田政府委員 この法律の上ではそういうふうにしております。
  64. 久保三郎

    ○久保(三)委員 法律の上ではということになると、実際にもそうだということに相なりますね。そうですね。
  65. 内田守

    内田政府委員 そのとおりでございます。
  66. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それで、受注はした、しかし建造許可がおりなかったという場合の措置が問題になってくると思うんですね。特に今度のこの通達、第三十一次以降の計画造船建造許可問題について運輸省は通達を出したわけですね。これは臨調法に基づく通達であろうかどうかわかりませんけれども、通達を出した。それは言うならば国内船、特に計画造船の場合は開銀融資が手間どる、船台の確保に問題があるというところに焦点をしぼって、三十一次船からこういう方法をとれということなんで、一面たいへん融通のきく話ではありますが、もしも開銀融資というか、計画造船にのせない、あるいは建造主である船社が、計画造船にはしません、最近はやりのいわゆる仕組み船にするという場合もあるかもしれませんな。船台は確保しておいて仕組み船にする、そういう場合には、おそらく建造許可はもらわないということですね。ただし別途の許可はもらうかもしれませんが、計画造船建造許可はもらわない。しかし、もう船は実際はできておるんですね。船台には乗らぬでも、船は一部はできている。もう始まっているんですからね。そうでしょう。そういうときに、結局受注していくものはだんだん許可せざるを得なくなってくるのではないかと思うのです。いわゆる臨調法そのものは、言うならばしり抜けではなかろうかというふうに一つは思う。それから臨調法というか、計画造船船台を利用して仕組み船建造という方向へ持っていく場合がありはしないかというふうに私どもは思うのです。過去においてもそういうものがあったのではなかろうかというふうに思うんですね、仕組み船というものは。そういうものについて明確にお答えをいただければ幸いだと思うのです。
  67. 内田守

    内田政府委員 過去の経緯につきまして、私どものほうの造船課長から説明さしていただきます。
  68. 神津信男

    ○神津説明員 ただいま先生の御指摘のございました通達につきましては、実は三十一次以降の計画造船というのは、まだはっきりとした計画はございません。かりに三十一次以降計画造船があるかないかわからない状態において、日本船船台を確保するためには、契約の済んだものから事前に許可をしていく必要があるということで、そのような通達で非常に先物国内船について受注を可能なようにした。しかし、その場合には、将来計画造船があった場合には、それにのせるかどうかというのは、制度が固まった上で決定することでございまして、かりに計画造船にのらなくても、それは自己資金で建造するというたてまえを一応考えておりまして、先生の御指摘のありました、かりにそれを仕組み船に変えるというような場合には、一応国内船として許可をとりましたあとで、また仕組み船としての許可のとり直しということになりますので、その段階で十分チェックをいたしまして、好ましくない仕組み船への転換というのは、当然排除できるというふうに考えております。
  69. 久保三郎

    ○久保(三)委員 三十一次船の通達を例に出したのでちょっと話が混線しましたが、現在はどうなのか。現在は開銀の融資決定がおそくなる、しかし船台の確保はしなければならぬ。だから、実際には受注だけはしていくということはやっておられるのではなかろうかと思うんですね。まぎわになって許可になるとかならぬとか、要らないとか要るとかいう問題が起きてくると思うんですね。だからこの通達があるなしにかかわらず、実際の行為というものは同じじゃないかというふうに私は思うんですよ。ただ、この通達は、仕組み船というか、そういうものがはっきりいうとしやすくなると言ったらおかしいが、しやすくなる。そういうものは別途置ければいいのだというようなことになりますれば、そういうふうにも解釈できるのですが、それはどういうふうにお考えですか。  それからもう一つは、いま仕組み船のやり方は、船台確保その他についてはどういうふうにやっているんですか、簡単にお答えをいただきたいのです。
  70. 神津信男

    ○神津説明員 ただいま先生の、現在でも同様のことがあるのではないかという御指摘でございましたが、計画造船のおくれというのは、大体開銀の融資承諾が出る前にきまっておりまして、開銀の融資承諾が非常におくれるので、それが仕組みに変わるというようなことは従来ございません。ただ、中に一部自己資金として許可を受けていたものを仕組みに変えたいという話はございましたが、それはその段階で国内船として必要なものは国内船として建造を続けるというような指導をしております。  それから、将来、この通達によって仕組みがしやすくなるのではないかという御指摘でございますが、私どもとしては、むしろなるべく早目に国内船としての建造を決定するという趣旨でその通達も考えておりまして、今後そのために仕組みが容易になるということにはならないというふうに考えております。
  71. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それじゃ次に行きましょう。  次に聞きたいのは、建造の工期ですね、工程、期間、こういうものについては監督官庁としての船舶局は別にとやかく言っていることではないのでありますか、これはいかがですか。
  72. 内田守

    内田政府委員 建造許可の審査の際に、工程の山積表等を調べましてチェックいたしております。
  73. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それは従来どおりでありますか、それともずいぶん短縮されておるのですか、その辺はどうなんです。
  74. 内田守

    内田政府委員 最近のブロック建造の様式というのですか、そういう建造様式が変わってまいりまして、たとえばサブブロックを利用してやっていくとか、そういう建造方法の変更によって、工期はその分だけ縮まっているというのが実情でございます。
  75. 久保三郎

    ○久保(三)委員 その建造期間というか、工期ですね、そういうものを審査するというお話でありますが、審査する中身はどんなふうに——専門家ですからこまかいことをおっしゃるかもしれませんが、私が聞きたいのは、工程を短縮するために問題になりましたような、たとえば溶接漏れとか、いわゆる検査、そういうものの期間を十分とっておかなければいかぬものを、単純に、ただ初めから終わりまでの期間で、最近は合理化してブロック建造になったからこの辺でいいというようなことになっているのか。それとも検査期間は幾日間なら幾日間、何時間なら何時間というものを船型別にきめてあるのか、そういうものについて一々チェックをしながら建造許可を与えているのかどうか、それを聞きたい。
  76. 内田守

    内田政府委員 日本船舶の建造を確保するという意味からいきましても、逆に輸出船等も含めまして、そういう工期のチェックというのは、むしろ無理のない工期を組ますということから、一律にどういう基準ということではございませんけれども、たとえば二時間残業以上のところに非常に無理をした工程があったら、それをならさせて工期をきめるとか、そういうことで、むしろ無理のない工程を組ますというチェックのしかたをやっております。
  77. 久保三郎

    ○久保(三)委員 無理のない工程を組ませるように指導していると言うが、ぼくは技術的なものはそれぞれ各社において多少違うものもあると思う。だから、それはそれで短縮されてもいいと思うのです。最後の仕上げのいわゆる内部検査というか、検査にある程度やはりきちんとしたワクを設けて、その期間は守らせて点検なり検査は十分に仕上げるということが必要だと思うのです。そういうふうに指導なり建造許可の場合にはチェックするのがほんとうじゃないかと思う。それはおやりになるかどうかわかりませんが、いままでのお話だというとそういうものをひっくるめての話でありまして、私が考えているようなことはあまりぴんとこられないようですが、それでは単なる机上における判こ押しというかそういうものになると思うのです。それではいけないと思うので、ぜひそういう問題についてひとつ考えてみる必要がある、こういうふうに思うのであります。  それから、そういうものに関連して二、三お伺いしたいのでありますが、先ほども申し上げたように、一時欠陥船ということでいろいろな問題がありまして、その当時検査もやった。そこで、この問題に関連して二点ほど聞きたいのでありますが、まず第一に、その当時問題になりました品質管理について、運輸省はいかなる指導方策というかそういう体制を築いているのか、それが一点。二点目は、この検査体制をあれ以来あまりさわってはおらないと思うのでありますが、たとえば船級協会の体制ですね。あるいは運輸省内部におけるところの検査体制、そういうものの強化があの当時は叫ばれたにもかかわらず、いままであまり目ぼしいものはやっておらぬと思うのでありますが、この検査体制の強化についてはいかなる方策をやったか、あるいは考えているか、この二点。
  78. 内田守

    内田政府委員 第一点の造船所における品質管理体制の問題でございますけれども、これはいま「ぼりばあ丸」、「かりふおるにあ丸」等の事件、さらにはその後にございました手抜き工事等の不祥事等がございまして、私どものほうでいわゆる総点検と申しますか、大部分の造船所に対してその品質管理体制をチェックした。そうしまして、それに対応する成績あるいは改善すべき機構等をチェックいたしまして、それを改善させるように指導しております。それから一方、業界を通じまして各社とも品質管理体制についての指導基準とか指導の方法とかというようなものをつくらせまして、そういう品質の管理の強化ということをやってきております。  それから、検査につきましては、ちょっといま数字を覚えておりませんけれども、実際にこの種、特に大型船を検査する機関であります日本海事協会に、数字はいま手元に持っておりませんけれども、相当な増員をさせまして、NK自身の検査体制は強化されつつあります。それから、御承知だと思いますけれども、NKの鋼船規則、基準でございますが、それにつきましても数回にわたって改正、強化をさせております。  それから、いま数字がございますが、いま申しました日本海事協会の検査員の増員は、昭和四十七年に二十五名、それから四十八年に十名増員させております。  それから、われわれのほうの検査体制自身でございますが、不十分ではございますけれども、ここ二、三年数名ずつではございますけれども、検査官の増員をはかるとともに、検査の方法と申しますか、検査の具体的なやり方等についての強化通達、それから研修等をやっておるというのが現状でございます。
  79. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間がないので、簡単に説明していただくようにお願いしたい。  いまのお話で、要員のほうは海事協会のほうも増員したと言うが、いまおあげになった数字から見れば、船舶建造比率というか、増加に比べれば、だいぶ少ないんではなかろうかというふうにてまえどもは思うわけであります。  それから次に申し上げたいのは、いまの船舶検査というか、これは中間検査とか定期検査とかいろいろございますが、大体時間というか、期限というか、そういうものは、建造してから何年、検査してから何年、こういうふうになってますな。そうですね。そういうものはもう古いんですね。船舶安全法そのものも、淵源をたどればかたかなで書いた法律でありますから、いまやまさに百万トンタンカーもという話になっているし、そういう時代に、しかも船の運航もクイックディスパッチしているわけですから、そうなると、これは昔ながらの検査のタイムというか、時間ではいけないので、むしろこれは船舶建造のときからの年数、いわゆる耐用年数というか、そういうものとの関係じゃなくて、むしろ航海した時間、そういうものを単位に検査を切りかえる時期ではないかというふうに思うのであります。というのは、非常に高速にもなってきた、クイックディスパッチャーもするということになりますと、昔のようにのんびり——のんびりと言うとおかしいが、まあゆっくり走ってきて、港でもかなり時間があるというんじゃなくて、かなりその間船もいたむことは理の当然だと思うのですね。そういう体制に切りかえる必要があると思うのだが、検討をされておりますかどうか。
  80. 内田守

    内田政府委員 検査の期間その他については、従来からいろいろなところで、われわれも含めまして検討してきておるわけでございます。それで、航空機のように、何というんですか、航行時間というようなものを単位にするという考え方ももちろんあるわけでございまして、一部の小型の高速エンジン等についてはそういう制度も入っておるわけでございますけれども船舶が多種多様だということと、それから先生御承知の、こういう検査機関というのは、国際的にもロイドとかABとか船級協会がいろいろありまして、いずれも四年ごとの定期、それから一年の中間検査という制度をとってやっておりますので、そういう制度の中でむしろ中間検査を従来の中間検査よりも強化するとか、そういう従来の制度を生かす中でのむしろ検査の充実という方向がいま強うございまして、抜本的に検査期間まで変えるというような結論を出すのはだいぶかかるのじゃないかと思います。
  81. 久保三郎

    ○久保(三)委員 あまり前向きの答弁じゃないですね。いま国際的にもというのは、国際的にあまり関係ないんですよ、はっきり言うと。ただそういうしきたりでどこの国でもやっているから——しかし船の使い方は変わってきているわけですね。船の構造も変わってきている。そういうことからいけば、昔ながらの四年たったら定期検査をやるとか、中間検査をその間にやるとか、中間検査そのものも、側だけ、船殻だけなでていって、ひび割れがないかとかどうだとかいうことじゃなくて、中のほうの点検がやはり必要になってきたわけですね。そういうものを取り入れて、改善すべきものは改善していくというのが必要ではないかというふうにわれわれは思うのだが、あなたのところでほんとうの監督行政でやるとするなら、はっきり言うと、この安全の問題が一番じゃないですか。局長は、前には首席検査官というのですか、おやりになって経験がおありですが、その仕事がやはり船舶局の中心課題だと思うのです。船の建造にサインをするかどうかは二の次じゃなかろうかというふうにさえ私は思うのであります。だから、そういう意味からいって、検査体制全体を洗い直す必要が私はあると思う。  時間もありませんから、また運輸大臣が来たときにでもお尋ねしますが、次にはさっきお話も出ました「ぼりばあ丸」とか「かりふおるにあ丸」とか、こういうものの海難事故が出ました。その審判庁の結審も出た。その中で特に審判庁からもいろいろ注文が出てるはずですね。その中で特に注文の大きいのは、波浪に対するところの耐航性というか、そういうものについて考えろというのが出ている。なるほど船体構造計算書ですか、そういう船体構造計算法というのが最近でき上がったかできるか知りませんが、そういうものが一つできてきた。これはそのとおりにやったことでありますからそれはいいとして、それ以外のものもやはりこの際検討しなければいかぬわけですね。  海上保安庁長官も来ているけれども、この結審の中にあなたのところに関係するものもある。あるいは船舶局に関係するのは、たとえば遭難した場合におけるところの救命艇の問題についても、勧告というかしてあるわけですね。救命艇の開発はどうなっているのかといったら、これはなかなかうまいぐあいにいっていないと思うのですね。外洋で波浪が激しい中で、いま開発されている単なるゴムボートなどに乗り移れるはずはないのですね。これは乗り移れない。そういうもの、あるいはシューターも波浪の中では用はきかない。そういうことを考えると、船は大型化する、あるいは四六時中悪天候の中でも走らなければいかぬという経済性、そういうものを考えると、やはり安全性についての関心が——事故が起きたときだけはたいへん関心があるようだけれども、どうもあとは忘れがちではないか。こういう研究開発はいまどういうふうになっているか。救命設備というか、これはいかがですか。
  82. 内田守

    内田政府委員 特に救命設備だけに限定して申し上げますと、造船研究協会にわれわれも参加いたしまして、その部会をつくりまして、救命艇をはじめとするいろいろな装置等の開発を進めておるわけです、たとえば、その一例として全天候型の救命艇というものも一応試作は終わっておりまして、たしか実船にのせて成績をとるというようなところまできておるわけでございまして、特に先生指摘の、上げたりおろしたりする装置が、なかなかうまいものか——また改善の余地かあるというところでございますけれども、そういう個々の施設等につきましていろいろ開発を進めているというのが現状でございます。
  83. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そのほか、大型船のいわゆる安全性についての研究はどうなっていますか。
  84. 内田守

    内田政府委員 大型船の安全性につきましては、「ぼりばあ丸」につきましては八項目、それから「かりふおるにあ丸」につきましては二項目の要望事項があったわけでございます。私ども造船の面からそれを取り入れてやるのは「ぼりばあ丸」関係の八項目でございますが、いま申しました構造の計算法とか開発以外のNKのルールの改善であるとか、あるいはバラストタンクの防蝕方法改善であるとか、その他いろいろあるわけでございますが、現在までのところそういう船級協会の規則を改正したり、それからわれわれの規則通達の中へ大体取り入れて、残っておりますのはいまおっしゃいましたいろいろな安全設備の開発と、それから構造のそういう計算の開発ということでございまして、いずれもいま申しました造船研究協会のところへ広く人を集めまして研究開発をやっているというのが実情でございます。
  85. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いずれ安全の問題についてはあとでまたやりましょう。  次に参りますが、その前に一言蛇足ですが申し上げておきますが、そういう審判庁の勧告というか、審判庁の勧告であるからどうかという問題じゃなくて、そういう事故の際の反省というか、そういうものを率直に受け入れる体制というものが私は必要だと思うんですね。案外そういうものが置き去りにされて、何か目先の問題に目がくらんでいくきらいがあるので私は特に申し上げているわけであります。十分この次までに、もう少し体系立って政策的に前進できるような方策を練っておいてください。これは政務次官もおられるからお願いしておきます。  それから次に、LNG船の建造で先般来もいろいろお話がありましたが、これは日本における将来のエネルギー、特にクリーン・エネルギーというか、そういう問題からいっても考えなければならぬことだと思うのであります。単にこれは船をつくることだけではなくて、揚げ地というか、おろしあるいは積み出し、あるいは航行、いわゆる積み出しからおろすところまで、おろすところというのはおろす設備、そういうもの全体の安全というか、そういうものを考えなければならないだろうと思うんですね。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 単にLNG船だけ手当てをすればあとは何とかなるだろうというようなことではいけないことだと思うんですね。また、そういうことをやると環境問題、安全性の問題が直ちに出てきて、機能は停止する以外にないかもしらぬという心配があるわけです。だから、これは単に運輸省だけじゃなくて、関連するというか関係する役所、あるいはそういうものを使う船社も必要でしょうが、そういう企業、そういうもの全体として一つのプロジェクトチームをつくって、この建設をどうするか、あるいは建造をどうするか、そういうものに取り組む必要があると私は思うんですね。単に海運政策の面からこれだけは計画造船にのせて助成しようというような簡単なものではないと思うのですが、これは海運局長、あなたはどう考えておりますか。
  86. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お説のとおりだと思います。ただ、現在もうすでに入ってきているのがございまして、私ども技術的によくわかりませんけれども、安全性において、こういった部分の施設も含めて危険はないのだということを聞いております。わが国がいよいよやるということになったら、当然その辺も慎重に考えて総合的に考えたいと思います。
  87. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いますでに外国のものは入ってはきておりますが、それで入ってきているから安全だというふうには、てまえどもは考えておらないのですよ。だから、そういう意味で、これは政務次官にお聞きしたほうがいいでしょう。  先ほどから私が申し上げるように、一運輸省の問題だけじゃなくて、通産省も関係するだろうし、船会社関係するだろうし、造船会社関係するだろうし、いろいろな点で、あるいは役所でいえば海上保安庁も関係するだろうし、そういうものができちゃってから、ここへ揚げます、そこは航行してはいけませんなんということでも困るわけですから、総合的な対策を早急に立てるべきだと思うのです。海造審あたりでは、小委員会をつくって結論を出したか出さぬかわかりませんが、あるようでありますが、それは総合的なものではないのではないか。船をどうしたらうまくつくれるかということだけではないかと思うので、政務次官からお考えをお聞きしたいし、また今後どうするのか、いかがでしょうか。
  88. 増岡博之

    増岡政府委員 先生指摘のとおり、特にLNGにつきましては、生産地から消費者の家庭まで、その間でも何万トンというような大量輸送する船、それが分配に至るまでの総合的な経路というもの全体につきまして、船はもちろんでございます、より広範な判断をする必要があろうかと思います。今後検討の課題にさしていただきたいと思います。
  89. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間もありませんから、それでは先に進みましょう。  計画造船というのは、いままでの皆さんの質問でもいろいろ出ておりますが、計画造船海運政策だと世間ではとっておるし、また、大体役所もそういうふうにとっておるようにも見受けるわけでありますが、なるほど、戦後におけるところの日本海運政策というのは、船腹政策というか、船腹増強を中心にしてやってきた。その目的は、いろいろな見方もありますが、ほぼ達成してきた。それはそうですね。世界で一番目でありますから、足りないかどうかは別にして、総体的には目的を達成した。それから、一とき、海運二法が出まして、海運企業も救済しなければならぬということでやってきたのであります。その目的は何か。船腹を増強する目的海運企業を再建する目的は何かというと、当時はいわゆる国際収支改善するということ。それからもう一つは、物資の安定輸送である、こういうことになっているわけでありますか、いまやこの二つの問題について——もっとも、最近国際収支は逆転しておりますから、今度はまた昔に戻るのかもしれませんけれども、私は国際収支への問題では、もちろん全然関係ないとは言いませんけれども、もっと海運政策というのは、別な面から探求すべきものだというふうに思うのですね。だから、今度海造審かなんかで、いま新しい海運政策というか、その中身は計画造船を幾らにするかということがおおよその落ちではないかと思いますが、それをやっているのでありますが、海運局長としては、政策の中におられるのでありますから、新しい海運政策のねらいというのはいまどこに置いて考えておられるのですか。
  90. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 一時は国際収支といい、何か安定輸送といって、非常にふらふらしているように聞こえた点もございますけれども、私は実はその点に関する限りは、やはり一体ではないかと思っております。安定輸送の結果が実は国際収支にもあらわれるのだろうと思っております。  ただ、国際収支というものは、いまお話もございましたとおり、一時は日本国全体としてたいへん悪かったときに、海運がかせげという、何か国際収支のにない手として非常に注目を溶びたという時期もございましたし、また一方、ここ少し前の情勢ですと、国際収支が黒字基調だったから、海運が国際活動をするのはむしろ役に立たぬというような御批判もございました。私は、やはり貿易立国の、物資の安定輸送をはかるというのが海運政策の目標だと思いまして、それによって国際収支改善がはかられるということだろうと思います。また、どうも一時的な現象を見ますと、貿易伸び海運が追いつかない。海運伸びが追いつかないと積取比率も下がるし、国際収支も悪くなるというような時点はございましたけれども、まあ普通に安定的な経済成長をしておりますときに、それに応じた船腹の増強をはかって、安定輸送にも役に立つし、ひいては国際収支にも役に立つということは、今後の経済のために必要なことではないかと私は考えております。
  91. 久保三郎

    ○久保(三)委員 海運というか、外航は、いま発展途上国が中心になって、UNCTADで海運憲章の問題も問題にはなっておりますが、この問題はあとから申し上げます。そういうものもありますが、もともと外航は国際的なんですね。だから、そこの問題と日本列島の中の交通や運輸とを同じように考えてはいけないし、また考えるべきではないのです。たとえば、日本の中の過疎地における過疎交通をどうするかという場合に、運輸省は路線バスに対して何がしかの助成をして運行を確保する、国民の足を確保する、これは必要なことですね。いまお話が出ました安定輸送というのはどういうことなのか。いつでも好きなときに輸送が果たし得られればいいということですね、安定輸送というのは。安定して輸送できるこの安定輸送というのは、日本の船であるから、あるいは日本の船社が持っている船であるから安定輸送ができるかというと、海洋の自由の原則からいけば、しかも私企業であって資本主義体制の中に息をついている海運企業であれば、運賃の高いところに船は流れていく、運賃の安いところから船は引き揚げるということですよ。それが日本のものであろうが外国のものであろうが、高いところにそういう輸送というのはついていくかっこうでしょう。そういうものがある限りは、それを否定しない限りは、日本計画造船安定輸送ができるとは考えられない。全部計画造船でやれば別ですよ。それでぎっちり縛るということになれば別でありますが、そうでない限りはできないですね。しかもいま問題は、安定輸送じゃなくて、そういう物資を安定して確保できるかどうかの問題になってきている。そうでしょう。そういうことを考えれば、安定輸送というものをあまり強調し過ぎると問題が解決できないかもしらぬという心配がある。それが証拠に、日本の中核六社もそれぞれ海外にぺ−パーカンパニーか何かわかりませんが、最近流行の多国籍企業というか、そういうことになってきて、中核六社だけで外国に商社を持っているのが四十七社あるのだ。みな海運会社だ。四十七社持っている。昭和海運がないだけであとはみな持っているわけです。この四十七社を持ってやっているということと、もう一つは、さっき言った仕組み船あるいは便宜置籍船——便宜置籍船も、先ほど来御説明があったように、かなりふえているわけです。あるいは海外売船ということでやっているわけです。そうなると、計画造船を中心にした海運政策というのは、はたしてどこへ行くのだろうかという気持ちが私どもはするわけなんです。これが全部いいということではありませんよ。ありませんが、どこに行くのだろうかという気持ちがする。そういう問題に対して明確に政府がお答えいただけるかどうか、私どもは疑問に思っているのです。  それから、発展途上国のいわゆるUNCTADにおけるところの主張も、これも無理からぬ点が数々あると思うのですね。わが日本国としては、UNCTADにおいて、どういう代表が行ってどういう発言をしているのか知りませんけれども、こういう問題に対していかなる方針をもって代表はやっておるのかどうか、そういうものをひっくるめて今後の海運政策というのは考えるべきだし、日本の国内における産業構造も変えなくちゃいかぬというのが大方の意見ですね。固定はまだしないようでありますが、大方の意見です。そうすれば、よってもって貿易構造も変わってくる。貿易構造も、そればかりじゃなくて、たとえばソ連、中国との貿易も従来にましてふえてくるというかっこうですよ。そういう中で、いままでどおりの計画造船を中心にした海運政策でやっていけるのかどうかという問題がある、意味があるかどうかという問題がある。  それからもう一つは、船員局長もおられますが、大体船員局のこの船員需給計画なんというものは、見通しというのは、計画造配の数ができてからこれに合わせて策定しているようですね。それでいいんだろうかということ。なるほど計画造船だけに合わせればいいかもしれないが、片方では便宜置籍船なり売船というのがどんどん仕組み船で行っているわけです。そうなると、これは船員の需給計画などは、いままでのような、極端なことを言いますれば、海運政策にはちっとものっていないということです。のっていないから、よって持っている養成計画は軌道に乗っていない。だから、せっかく海技大学で再訓練しようといっても、人が集まらぬということ、あるいは海員学校には入ってこないということなんですね。そういうものについてひとつこれは海運局長、本来ならば大臣だろうけれども、大臣おられないし、まず専門家の海運局長、それから船員局長、それから船舶局長、そういう方から一言ずつでいいから、どういう考えをしているのか、お聞きしたい。  その前に、時間がなくてせっかく呼んで帰られても困るから、文部省おいでになっていますか。あなたは、もちろん文部省だから御存じないかもしれませんが、海員学校といって中学卒業で二年課程の船員を養成する学校が御承知のとおり運輸省の中にあるわけですね。これは二年でありますから高校卒業の資格はもちろんありませんし、これは文部省の認可校でありませんからないんですね、各種学校になっているのか知りませんが。そこで、これらの人たちが海員学校を卒業して上の学校へ行こうとすれば、上の学校はみんな文部省です。商船専門学校というか、高等専門学校というか、そういうのは五年課程のものがあるが、これも中間から入れるような仕組みにはなっていない。商船大学はもちろんのこと、これは入る資格はないということなんですね。そういう矛盾があるから、一つには魅力がないから入ってこない。これはやはり魅力を持たせた学校にすることが一つだろうと思うのです。  それから、二年というのは非常にはんぱだと思うのですね。職業訓練校だと私は思うのです。学校じゃない。だから私は、少なくとも最近における教育の問題からいっても、中途はんぱな二年のような、高校にあらずして中学卒業者を入れるというような学校があってはいけないと思うのです。この際は、船員局長の意見もあとから聞きますが、二年課程じゃなくて、必要あれば三年課程にして、高校卒業と同じような資格を与えることが一番いいのではないかというふうに思うのです。  そういうことに対して文部省はどんなふうにしたらいいか、もちろん二年で高校卒業の資格が与えられるくふうがあればこれはけっこうなんでありますが、与えられないとすればどうするか、いかがですか。
  92. 木田宏

    ○木田政府委員 最後のお尋ねのほうから先に私からお答えさしていただきます。  海員学校が中卒者を受け入れて二年の学校であるということは承知してございますし、その志願者の状況等は、高等学校も普及してまいりますので、かつてとは違っておるのではないかというふうに思います。しかし、伺っておりますと、高等学校の入学志願者の状況も、延べてまいりますと、ほぼみんな入学できるような段階にもございますから、特定の学校の競争試験ということは、学校によって高うございますが、高等学校全体というこの競争の状況から見れば、海員学校の状況もそう極端なものではないというふうに考えております。  ただ、御指摘のように、今日九割をこえる子供たちがみんな中学校から高等学校に行っておるときに、高等学校教育にないものを、高等学校レベルに準じたものとしてどういうふうに維持していくかというのは問題があろうかと思います。また、海員全体の教育の制度としては、船舶職員のために高等専門、すなわち商船の専門学校、高等専門学校あるいは商船大学等を文部省としても持っておるわけでございますが、これらの学校に対する志願者の動きも、実はことしの進学状況その他を見ておりますと心配をいたしております。もう少し大学の中でしっかりした教育ができますとともに、また職場の確保ということもからんでまいりませんと、大学関係者も昨年、ことしの商船大学に対する進学率のあり方について気にしておるところでございます。また、その教育のシステムをどう変えるかというのは私どもも考えていかなければなりませんので、この国会におきましても、商船大学には大学院をつけたい、そして船舶職員の再教育の課題も含めまして、その大学院における技術の向上ということも考えておきたいというふうに考えております。  いまお尋ねになりました海員学校を高等学校と同じようにすぐ考えろということは、これはむずかしいかと思います。しかし、例がちょっとそぐわないかもしれませんけれども、看護婦養成につきまして、戦後看護学校ということで中卒者を入れてまいりましたものが、事実上それではうまくいかぬということから、高等学校の中に看護の課程ということを正規に取り入れまして、いま百十校を数えるほどにそういう学校もふえてまいりましたし、看護のための短期大学もつくっておるところでございますから、私どもが学校教育のシステムの中でそうした課題を受けとめていくということは、今後十分考えていきたいというふうに思っております。
  93. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまのお話、そのとおりだと思うんですね。一つには、海運政策が固定してないというか安定してない。よってもって、海運政策ばかりじゃなく、その中に船員需給計画というか、雇用安定計画というか、そういう方策がないものでありますから、商船大学を出たってどうにもならぬというようなことも一つはあると思うのですね。ましてや再教育を受けようなんということをしてまででなくて、おかへあがれればおかへあがったほうがいいという考えが出てくると思うんですね。そういう者もある。  ただ問題は、海員学校は、局長御承知かもしれませんが、文部省の学校と違って授業料はただなんですね。これは一つの魅力なんですね。こういう学校もあってもいいと私は思うのです。授業料を払える者はどんどん払っていただく学校で、そうでないほんとうに根っから船員になろうというような諸君は諸君でやはり養成したらいいと思うのですね。だから、そのためにはやはり高等学校と同じような資格が得られるような制度に置きかえることに私は努力すべきだろうと思う。これは船員局長というか運輸省が先に考えて文部省に申し込むことだと思うのですが、そういう手順でしような。文部省からおまえの学校だめだなどというわけにはいかないでしょうな、いかがでしょう。
  94. 木田宏

    ○木田政府委員 海員学校のことにつきましては、いままで具体的な御相談をまだ受けておりません。これはいまお尋ねがございました御意見の中にもありますように、そのこと自体を目的とした養成訓練の施設でございますから、それ自体存在意義は私はあると思います。それをどのようにリンクさせるかということは、これはやはりそうした学校を維持しておられる方々のお考えに即して、私どもも御相談にあずかるべきものだ、こう考えます。
  95. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それじゃその問題を含めて、さっきの問題で船員局長からまず第一に聞いて、そのあと海運局長船舶局長、それぞれ時間もないようでありますから、明快にお答えいただきたいと思います。大学局長はお忙しければ御退席願ってけっこうであります。あとからまた申し上げますから。
  96. 住田俊一

    ○住田政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に海員学校の問題についてお答え申し上げたいと思います。  ただいま久保先生の御質問に対しまして、文部省の方から御答弁があったわけでございますが、私どもはかねがね先生のおっしゃるように、いわゆるチャーミングスクールといいますか、魅力のある学校づくりということをかねてから考えておるわけでございます。おっしゃるように、やはり魅力がなければ生徒は学校に集まらないわけでございまして、そういう意味におきまして、いま先生のおっしゃるように、せっかく卒業されても高校卒の資格がないということは、いろんな面において不都合であるということは私ども聞いております。そういうことで文部省にもいろいろとお願いいたしまして、前向きでこの問題に今後とも対処していきたい、かように考えておる次第でございます。その点また先生からもよろしく御支援のほどをお願い申し上げます。  次に、先生から御指摘のございました船員の需給計画といいますか、この点についてお話がございました。これは確かに先生おっしゃるように、私どもといたしましても、現在基本的な需給計画につきましては海運造船合理化審議会に諮問が行なわれておりまして、その決定をまちまして、いろいろと検討しておるわけでございますが、もとよりそれだけではございませんで、私どもといたしましても、現在の海運の需給、船員の実態、そういったものをいろいろな面から見てそういった需給状況というものを鋭意考えておるわけでございます。  ちなみに、簡単に最近の需給状況について以下お話し申し上げたいと思うのでございます。  まず、外航関係でございますが、確かに四十八年度におきましては新造船建造減だとか、あるいは先生おっしゃるような不経済船の海外売船、こういうようなことで余剰の傾向が見込まれておりました。確かにあったことは事実でございます。しかしながら、その後御承知のように計画どおりの海外売船が行なわれていない、こういうようなことから、最近においては一応余剰の発生には至っていないというふうに見られるのが第一点。  それから内航につきましては、御承知のようにいま新造船建造が再開されております。そういうことで労働力はやや不足傾向ではないかと見られております。  それから、水産業につきましては、依然として労働力は不足の基調がありますが、最近御承知のように船舶の近代化あるいは大型化に伴いまして、一応全体としては労働力の安定を保っておりまするが、若年労働力は不足傾向にある、こういう状況でございます。  ともあれ基本的な問題につきましては、現在海造審に、船員の需給対策につきましてもいろいろと海運造船合理化の答申と相まちまして検討していきたい、かように考えておるわけでございます。  しからばもう少し具体的にどういうふうに需給計画の数字をはじいているかと申しますと、次のように私どもは考えております。いまお話ししましたように、全体としてはほぼ船員の需給計画というものが均衡を保っておるということが一応言えるのじゃないかと思いますが、まず商船大学だとかあるいは商船高等専門学校、この卒業生につきましては、一応外航職員の自然減耗を補う程度——この自然減耗というものは私ともの実績では約五%というふうに見ております。したがいまして、その分を従来需給計画の中の一環として考えておりまして、たとえば数字的に申し上げますると、先生御承知かと思いますが、職員は四十九年一月一日現在で約一万二千人でございますが、職員のほうは減耗率五%に相当する六百二十九名、部員は減耗率の半分程度を養成しております。したがいまして、現在約二万四千人でございまして、その五%の千二百十九人の半分でございます。こういうことでほぼ現在の需給は安定を保っておるわけでございます。もとより経済情勢あるいはその他の情勢によって非常に変動のあるときもございます。その場合にはほかの学校から補う、こういうようなことでやっておりますが、大体いま私がお話しましたように減耗率に見合う分を補っていく、これが一つの私どもの需給計画の基本的な考えでございます。そういうことで今後そういった経済情勢あるいは海造審の答申その他を相関連いたしまして、今後の需給計画をさらに鋭意検討を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 久保三郎

    ○久保(三)委員 ちょっと船員局長、こまかいお話だが、結論として減耗補充の計画があなたの計画だと言うが、いま海外売船をしたりあるいは便宜置籍船をつくったりというようなことで自然減耗じゃないのです。人為的な減耗なのですね。  それからもう一つは、あなたの立場からいって、そういうものによる雇用の不安定について、あなたは何もお述べにならない。時間がありませんからこの次までお答えを保留してもらってけっこうです。いま船員が不安に思っていることについて全然お答えがないことは残念なのでありまして——何かありますか、簡単にお答えいただきたいのですが……。
  98. 住田俊一

    ○住田政府委員 先生が御指摘のように、売船あるいは仕組み船等の増加に伴いまして日本の船員が乗り込まない、こういうことで雇用不安があるのじゃないか、こういう御質問でございますが、私ども、この船員の雇用安定といいますか、こういったものに対しては非常に関心も持ち、またこの対策も検討しておるわけでございまして、これにつきましては海運局とも緊密な連絡をとりまして船員の雇用不安を惹起しないように鋭意努力を重ねていきたい、かように考えておる次第でございます。
  99. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それはお答えというか、お話は不安定を感じないように措置しておりますと言うが、具体的にはどうなのですか。だから海外売船をとめるとかそれをチェックするとか、あるいは便宜置籍船をやっている中核六社に対してはどういう問題を投げかけるとか、具体的になければ、ただ相談して善処しておりますでは話にならないと私は思うので、いずれこの問題はやりましょう。  それから、時間もないようでありますから、経済企画庁の小池計画官おいでですか。——せっかくおいでですから、さっき申し上げましたこれからの海運政策と経済政策というか、あなたのほうの経済計画という問題とのからみについていまどういうふうに考えておられるのか、それもお答えいただきたいと思う。順々に答弁してもらいますからお願いします。
  100. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生からたいへんたくさんの問題をいただきましたので、十分答えられるかどうかわかりませんし、われわれがいま一番問題として悩んでいるところでございますので、結論として、海運造船合理化審議会の場を通じて私どももよく検討していきたいということでございます。  お答えできる範囲のことをお答えさせていただきたいと思います。  海運の量のことにつきましては、やはり国の経済計画がおそらく見直されるということでございましょう。そのときが待てるかどうかという問題かございますので、これはまた待てなければ別の観点から考えなければならぬと思っております。いずれにしても、そういった国の経済の構造変化に伴って、国の経済計画によって私ども船舶整備の状況を考えていくというのは当然でございます。やはり私どもは、そういった場合に、先生おっしゃいますように安定輸送といって全部が全部の物資を完全にどうこうというような点まではなかなかいかないと思います。いままでは鉄と油と石炭と自動車専用船とか、そういった長期の安定的な輸入計画というものが立つものを主として実は考えてまいりました。そういうことで、その大宗物資であり、主要物資であるものはどういうものかということを考えて、今後の経済計画の中でわれわれは船腹整備計画を立てていくということでございます。  それから質の点につきましては、利子補給だとか財政投融資だとかということがもう手厚過ぎるじゃないかという御批判をいただいておることも私ども承知しております。ただ、また一方において国際的な海運助成というものが世界的に見て決して少なくなってはいないという情勢もございます。また、人件費その他の諸経費の高騰からする、日本海運国際競争力がなくなっているということも現実でございます。そういった点を勘案して、私どもは質の点を十分考えていきたいと思っております。  また、積取比率その他につきまして国際問題があるということも、私どもは承知しております。したがって、いま立てております目標も、輸出は五〇%、それから重要な大宗物資である油については六五%、それから鉄鉱石については五五%、石炭については四五%、こういうことで現在設けております目標自体も、そんなに過大なものとは私どもは思っておりません。  それから、現在国際問題で論議されていることは、ジュネーブで二十一日から三週間ほどやられておりまして、次長が出席をしておりますが、国際海運の特に定期船をめぐりますシェアの問題としてたいへんな曲がり角に来ておるということは、私ども承知しております。ただ、これは定期だけの問題であり、また、世界的に条約化が行なわれる時期というのはすぐではございません。したがって私ども、今後の目標をきめるのにも、われわれが、わが国向けの安定輸送を、開発途上国の実力に全くまかし得ない分まで、その実力以上のものまでおまかせすることはできないので、私どもは、当面そういった開発途上国海運力の実力の伸びというものを考えながら、わが国の積取比率を考えていかなければならぬということに考えております。  それから、船員の問題については私どもは絶対に忘れておりません。私どもは、やはり日本海運は、りっぱな日本の船体とともにりっぱな日本の船員があってはじめて優秀な日本の船隊といえるということを考えております。したがって私どもは、計画造船ということばづかいが端的にどう受け取られるかによって違いますけれども、国の安定輸送のために必要な船腹整備していくということは大事でございますから、その日本計画的な船腹整備による船体、それから日本の優秀な船員というものを中心に、それをまずやりたい、できるだけやっていきたいということが私どもの考えでございます。
  101. 小池力

    ○小池説明員 お答えいたします。  経済社会基本計画は、五十二年の輸送需要の推計を参考資料として載せてございます。これはもう先生御存じのとおりでございまして、内航、外航にわたりまして、経済計画で描きました五年先の日本経済の見通しに合わせまして、それとの相関の計算をいたした結果、大体現在の二倍程度の輸送需要が出てまいるであろうという予測をいたしております。  ただ、先生おっしゃっておられます、あるいは海運局長のお答えにもございましたように、その後、御存じのとおり資源等の制約の問題が出てまいりまして、現在経済計画のフォローアップ作業というものを進めてございます。この辺の結果を見ました上で、必要に応じては輸送需要の推計なり、あるいは内航、外航なりの海運政策といったものについても、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  102. 久保三郎

    ○久保(三)委員 約束の時間でありますからこれで終わりにしますが、大臣にはあとから聞きますが、海運政策ですね、いまのお話の中で一言、二言ちょっと申し上げます。  海運局長がおっしゃった、発展途上国が自分の実力以上に要求されても、わがほうでは安定輸送  にはならないから、それはそれで考えなければいかぬ。それはそうです。しかし、権益というか、大体そういうものは、対等に話をして、その上でやはり国際協力でやるべきものはやると——向こうだって、実力でできないものを、ぼくのシェアであるからこれはぼくがやるということをたとえば言っても、じゃそれは日本にどういう程度まではやってもらおうとか、あるいはどこの国にやってもらう、こういう話になるものだと私は思っているんですね。これからは、安定輸送なんというのは、国際協調の中でのみ考えられることであって、これは資源確保も同じでありますが、これはワンセットで考えるべき筋合いであろうかと思うのでありまして、そういう意味からいっても、計画造船を中心にした船腹増強の政策はこの辺でもう一ぺん方向を、そのもの自身じゃなくてその方向をやはり明確に出さないと、国民の合意も得られないものがありはしないか。ましてや雇用安定を欠くような政策の遂行は、われわれ自身としてもこれは問題である。何でももうかるものがあれば、さっき言ったように、四十七社も海外に商社をつくってやっていくんだ、もうからぬものはもうやらぬ、もうかるものなら売船でも何でもやる、外国の船員でも何でも乗せようというような時代ではもうないんですね。この間のいわゆる石油パニック以来、世間ではそういうものは承知しないのですよ、もう。社会正義というものを中心に考えてもらわなければ、政策じゃありませんよ、これははっきり言って。そういうものを考えてもらいたい、こういうふうに私は思います。  以上で終わります。      ————◇—————
  103. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 この際、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。徳永軍輸大臣。     —————————————
  104. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  第七十一回国会において成立した国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律により、国鉄財政再建対策の一環として国鉄の運賃改定が昭和四十九年三月三十一日から実施されることとなっていることは御承知のとおりであります。  しかしながら、現下の物価情勢にはきわめてきびしいものがあり、このため、政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。  御提案申し上げております法律案は、このような物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  105. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 以上で提案理由の説明は終わりました。  この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  106. 三池信

    ○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。加藤六月君。
  107. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 先ほど運輸大臣が提案理由の説明の中に、昭和四十九年十月一日に延期するこの法案の趣旨として、「物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。」こういうことでございます。私たちは、物価対策の問題ももちろん重視し、この運輸大臣の提案理由の説明の前のほうに、「政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。」そこで、物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を、三月三十一日であったものを、十月一日に延期したい、こう提案理由の説明で言われておるわけであります。  昨年の特別国会におきまして、われわれ当運輸委員会は、あらゆる方面から、あらゆる角度で百数十時間の審議を、国鉄再建法並びに運賃改定についてやったわけであります。その中の各委員、いろいろな質問内容等あったと思いますが、はたしてこの案で国鉄が再建できるかできないかという問題も、非常に重要なる骨子として、大部分の時間はこの問題に注がれたわけであります。  もちろん、国鉄運賃が物価に及ぼす影響というもの等も議論にはなったわけでございますが、要は、国民の足として、げたではない、くつではない、ほんとうの足だ、この足を国民のために国鉄の重要なる使命を認識して、再建しなくてはならないという立場が骨子であったと思うわけですが、今回運賃改定を延ばす理由は、物価対策だということになるとしますと、再建というものはどうなるのかということについて、そういう点等も政府は考慮して、この十月一日案というのを出したのか。もう再建問題はたな上げして、物価だけを押えなくちゃならないという立場でやったのか。そこら辺の気持ちをまず承っておきたい、こう思います。
  108. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま先生指摘のとおり、昨年の国会におきまして、きわめて異例な長時間の御審議をいただいたわけでございます。その一番ポイントは、御指摘のように、国民の足でございます、国民経済社会生活にきわめて緊要な国鉄の財政を再建するということが究極の目的でございました。今回これをさらに半年延ばすということは、国鉄の財政再建という点からも、私たちはこの問題につきましてきわめて真剣に検討を重ねたわけでございます。運賃改定の実施が半年延びることによりまして、大体九百七十六億の収入見込み減となるわけでございますが、この点につきましては、いろいろとお骨折りをいただきまして、昨年の改正におきまして三月三十一日となりましたときに、特別利子補給金という制度を国といたしましてもつくったわけでございますが、今回の九百七十六億の収入減に対しましては、全額これを財政融資で補てんする、そういたしまして、その利子は新しく負担となるわけでございますが、これにつきましては、再建期間中その利子分を国におきまして特別利子補給金という制度で補てんしていくという制度をとったわけでございます。しかし、これだけの借り入れ金がふえるということはこれは事実でございます。この点につきましては、今後さらに運輸省といたしましても、国鉄といたしましても、万般の措置をとるとともに、企業努力によりましてこれに対処いたしたい、かように考えております。
  109. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そこで私は、昨年、特別国会において、政府側が十カ年の長期計画委員会にお示しになり、そしてまた、それぞれその十カ年計画の収支試算の大前提として、まず再建期間、その次に輸送量としての旅客と貨物、それから運賃改定、工事費、工事費補助金、政府出資、過去債務対策、公団借料、要員数、こういったものを十カ年の再建計画を立てる場合の長期収支の大きな基礎として、十カ年間の計画委員会にお出しになった。また、昨年二月二日の閣議了承の内容も当委員会にお出しになったわけであります。あれらはすべて昭和四十八年四月一日から運賃改定が行なわれるという前提で、いろいろのものがあったわけであります。  それが具体的には一年半変わってきまして、四十九年十月一日ということになりますと、一年半の食い違いが出てくるわけです。これは運輸収入の面において大きく食い違いが出てくるわけですが、こういった問題等関連しまして、あの法律の中に、政府は基本方針をきめる、国鉄は政府の基本方針に従って基本計画を策定して、先ほどの使命である国鉄再建というものを果たさなくてはならぬということになるわけであります。そこで私は、これに関連する問題を中心に、与えられた時間内ちょっと御質問いたしたい、こう思うわけであります。  まず、政府は基本方針、国鉄当局は基本計画というものを昭和四十八年の閣議了承並びに国会へお出しになった長期収支というものを基礎にして、運賃改定に一年半という大幅な狂いがあるわけですが、それをどういうようにこなして基本方針並びに再建計画をお立てになるような気持ちがあるんだろうかどうだろうかということを、運輸省並びに国鉄のほうに承りたい、こう思う次第です。
  110. 秋富公正

    秋富政府委員 まことに深刻な問題でございますが、まず私たちといたしましては、昨年の二月二日に閣議了解をいたしました線、並びにこの国会におきまして、国鉄が試算いたしました長期試算というものを中心といたしまして、長時間御審議いただいた次第でございまして、私たちの基本的姿勢といたしましては、あくまでもこれをもととして再建の基本方針並びに国鉄の再建計画というものを策定いたしたいと思いまして、現在鋭意検討中でございます。  ただ、御指摘の一つの問題は、運賃改定が一年半延びたという問題でございますが、これにつきましては、昨年の補正予算におきまして、四十八年度分につきましては手当てをいたしましたし、また今回御提案いたしております半年延ばすことにつきましても、ただいま国会において御審議いただいております四十九年度予算におきまして手当てをいたしておりますので、この限りにおきましては、四十八年度並びに四十九年度の収支ということにつきましては手当てをしたわけでございまして、再建計画の最終目標でございます五十七年度の損益には関係ないわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、長期借り入れ金がふえるということは事実でございます。これに対しましては、一方におきまして、長期計画におきましては一兆五千億の政府出資をするという予定でございましたものを、四十八年度並びに四十九年度におきまして約八百八十億というものをさらに上積みいたしまして政府出資をしたわけでございまして、この利子効果といいますものはやはり再建計画にプラスに響くものでございます。こういったことにつきましては、それぞれ措置をとった次第でございます。  いま一つ出てまいりましたのは、昨年の後半以来、石油問題を契機といたしまして出てまいりましたいわゆる異常なる物価騰貴の問題、これがどういうふうに影響してくるか、あるいは省エネルギー対策という面からまいりまして、産業経済、社会の見通しというものはどうなってくるか、こういう点につきましては、私たちも深刻に受けとめておる次第でございます。これと昨年の国会において御審議をいただきました長期計画とのからみ合わせの問題、あるいはすべての数字的な問題もあるわけでございますが、現在、長期計画につきましては、新しい見通しというものは、政府におきましてもまだいろいろ模索中でございまして、そういったときに国鉄の長期収支計画を出すということのその辺の関連性の問題につきまして、私たちといたしましてもいろいろと苦慮しているということが率直なる立場でございます。
  111. 井上邦之

    ○井上説明員 この問題につきましては、ただいま鉄監局長から御説明申し上げたとおりでございますが、国鉄といたしましても、従来もそうでありますけれども、今後につきましても緊密な連絡をとりながら、運輸省の御方針に従いつつこの問題を処理してまいりたい、かように考えております。  それで、申し上げることはいま鉄監局長が申し上げましたことと重複いたしますのではしょりますけれども、考え方といたしまして、長期収支計画というものは一応はやはり計画的な数字でございまして、現実の数字と必ずしもそれがぴたりぴたり、びた一文狂うことなく合っていくということはあり得ないと思うのでございます。現実に四十八年度、四十九年度すでに数字が変わっておるということは事実でございますが、そうかといいまして、すでに二年変わっておるからというので、先般お示しいたしました、また御説明申し上げました長期収支計画を根底から変えるということは、まだその変えるほどの材料もない。たとえて申し上げますれば、あの計画の基礎になりました経済社会基本計画にいたしましても、まだあれは変わってはおりませんし、やはり現時点におきましては、先般お示ししました長期収支計画を骨子といたしまして、ただ四十八年度、四十九年度に受けました収支上の悪影響、これが五十年度以降に残らないように、累積的にそれが増加していかないように、そういう措置をおとりいただくということが私どもの念願であり希望でございましたが、その点は関係御当局の御努力によって達成されております。確かに四十八年度、四十九年度の数字は変わっておりますけれども、五十年度以降については、それが累積的な悪影響を及ぼさないという措置をとっていただいておりますので、現時点におきましては、長期収支計画を根底から変えるという段階ではない、かように考えておるところでございます。
  112. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 鉄監局長がちょっと触れられ、また副総裁も少し触れられたわけですが、私はこれから個別に少し突っ込んでお聞きしてみたいとも思っておったんですが、基本計画——もちろん副総裁がお触れになりました経済社会基本計画の見直しがまだ行なわれてないわけだから、長期収支の問題についての抜本的に手を加える要因にはならない、こうおっしゃったんですけれども、昭和四十八年の、去年のあの時点における問題と、すでに今日いろいろな問題で再建計画に疑問が投げつけられております。先ほど鉄監局長がお触れになりましたけれども、たとえば人件費のアップ、われわれはあの計画の五十一年までは一二・三%という読みをしておりました。四十八年度自体においても、すでにそれに対する狂いは相当出て、たしか五百八十何億というものに対する特別な処置をせざるを得なくなった。したがって、あの長期収支計画における人件費の増という問題はどうなるかわからない、あるいは物件費の伸び率あるいは物価のアップ率というものも相当考慮はいたしておりましたが、卸売り物価が安定しておる時点における長期収支の計画を入れておったわけであります。あの時点からことしのきょうの時点に至るまでの物価の狂乱というものは非常に激しいものであります。そうすると、そういう問題が収支計画にどういう影響を及ぼすか、あるいはまた、工事費において十兆五千億という内容を相当厳重に、きびしく当委員会において——当委員会ですよ、当委員会において追及し、それが十兆五千億という金額は適当であるかどうか、またその投資金額がはたして国鉄再建のためにどうなるのかという問題等も議論いたしました。ところが、昭和四十九年度の予算における工事量の押えという問題が現実には起こってまいりました。この問題が再建計画にどういう影響を及ぼすんだ、その他一つずつ先ほどの「長期収支試算前提」というものから見ていっても、その間の狂いというものは何やかんやで私があげるだけでも十三項目ぐらいあると思うわけであります。その内容をとにかくいま言ってもどうかと思うわけでございますが、けさの新聞にたとえば「新幹線公害国鉄が具体策」「買い取り・防音推進」ということでいろいろ出ておりますね。あの十兆五千億の工事費の中に騒音対策というのは、局長、たしか八百億ぐらい入れてあったと思うのですが、あれは十カ年間で八百億であったのですか。それとも三年間、あれは五十一年、五十二年ごろまでに八百億は使うというつもりで十兆五千億の中に入れてあったのですか。どういう御判断ですか。
  113. 三池信

    ○三池委員長 ちょっと御注意申し上げますけれども、机の前にあるマイクは、これは拡声用じゃなくて記録用ですから、どうも速記もしにくいし聞き取りにくいようだから、御答弁は少し大きな声でお願いします。  秋富鉄監局長
  114. 秋富公正

    秋富政府委員 再建期間中におきます工事規模と申しますものは大体十兆五千億を考えておるわけでございますが、この中で現在すでに営業いたしております新幹線、すなわち東京−岡山間の公害対策といたしまして八百億を計上しておった次第でございます。これにつきましては四十七年の十二月に環境庁長官からの勧告もございまして、その対策といたしましてはおおむね五十年ないし五十一年にこれを達成するという考えでございまして、八百億と申しますものはこの間にそれを工事費に充てるという考えでございます。並びに新しくつくる新幹線につきましては、大体その五%を公害対策ということに考えておる次第でございます。
  115. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうすると、あの十兆五千億の中に入れてあった公害関係費用としての八百億は、新幹線の、しかも既存新幹線の東京から岡山の間の騒音対策事業、あるいはこれは振動が入っておるかどうか、あまりあのときは詳しくしてなかったわけですが、昨年の法案を審議した段階において、既存の新幹線に対する公害騒音対策費として八百億組んでおった。そしてそれ以外のこれからつくる新幹線については、あのときの色分けを、在来線とかいろいろなものに十兆五千億を分けておられたように聞くわけですが、それ以外の新幹線の騒音対策あるいは振動対策というのは、工事費の中で五%程度、それをすでに十兆五千億の中の新幹線部門の中に組み込んでおる。だから、私がお伺いする十カ年間の基本計画の中の十兆五千億の中で、たとえばけさ新聞に載っておるこういう問題をやっても、積極的に前向き——この内容はあとから申し上げますが、積極的に前向きに解決していっても十兆五千億という——あれは昭和四十七年の単価で計算したのか、四十八年の初期の単価で計算したのか、たしか四十七年の単価で計算してあったと思うのですが、そこら辺の狂いは工事費についてはない、こう判断していいのですか、どうですか。  私の質問のしかたがはっきりしないのでどうかと思うのですが、きょうの新聞を読みますと、大体国鉄が具体策をし、防音の推進をやりますと両方で五百億、五百億、あるいは五百億、三百億、これが一千億かかるということになる。局長はいま八百億で東京から岡山の間は計算済みだと言う。ところが、それなら一千億かかるということになる。もちろん単価のとり方が昭和四十七年の単価のとり方と昭和四十九年度における単価のとり方での若干のずれや何はわかるとしても、はっきり言ってこの対策を積極前向きに推進していく場合に——もう少し質問を変えますと、十兆五千億の規模の中で、十カ年の長期収支の中で、しかも国鉄は、新聞によって違いますけれども、五十一年までに解決する、あるいは五十三年までに解決したい、両方の何が出ておりますけれども、とにかく十兆五千億という国会へお示しになった工事費の中で騒音問題は解決するワクがある、こう判断していいかどうかということで御答弁願いたいと思います。
  116. 井上邦之

    ○井上説明員 騒音等を含めました公害問題につきましては、先生指摘になりましたとおり、国鉄といたしましては三年間でこの問題を解決いたしたい。今後できてまいります新しい新幹線については別でございますけれども、少なくとも東海道新幹線あるいは山陽新幹線につきましては三年間には解決したい、こういう考えを初めから持っております。  それから工事費の問題でございますが、先ほど鉄監局長から申し上げましたとおり十兆五千億の中に含まれております。これはきのう国鉄が組合側に提示したものでございますが、その程度のものは含まれております。ただし、十カ年の長期計画全般を通じまして物騰率を三%ということで見込んでおりますので、これは十カ年の平均の三%の率でございますが、この率が著しく変わってまいりますればまたちょっと変わってきますけれども、ともかく十カ年を通して三%の物騰率の値上がりである限りはまかない得るという考えを持っております。
  117. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 副総裁、私、ちょっと言ったのですが、物騰率は長期収支では三%組んである、われわれが今度の国鉄の昭和四十九年度の経費をどういう見方をするかということにもなりますが、詳しい計算をしてみるとわかるが、物騰率の関係でいいますと、長期収支の中の物騰率の値上がり分というのは、去年からことしにかけての分だけで大体五年分か六年分を一ぺんに食われると思うのですよ。その問題はあとから触れるのですが、私が質問しておるのはそういうことでなしに、騒音工事費というのは公害対策費という中で十兆五千億に入れておったわけです。だから十兆五千億はいいかげんの積み重ねやなにをやったはずではないのです。在来線の複線電化から、構造改善から、あるいは合理化といいますか、あるいは新幹線との振り合い、いろいろな問題、その中には用地買収費が一アール平均大体どのくらいになるという積算もやって十兆五千億という数字を出したのです。その中で新幹線の公害問題が当時から問題になっておったから、その問題に対するものとして公害対策費として八百億——たしか八百億ですね。そうすると今日国鉄が労使の安全協議会の席上で組合側にお示しになったこの数字というものは、もうすでに国会に長期収支計画をお出しになったときに、八百億でこうやってやるのだという腹をきめておって、八百億公害対策に必要だということで十兆五千億をおやりになったのですか。  もう一ぺん言いますよ。十兆五千億の工事費の中は全部色分けをして、厳重な積算でしてあるのです。その中に公害対策費として八百億あったのです。ところが、きのう国鉄当局は、労使の安全対策の話し合いの上で、きょう新聞に出ているこういうものを発表された。そうすると、この程度の、八十五ホン以上のものとか二十メートル以内とか書いている、いろいろな問題を含んで、大体十兆五千億の中の内訳としての八百億の公害対策費というものの中は一ぺんにこれを使ってしまうわけですね。なくなるわけですから、去年この案をおつくりになるときに、長期収支計画をおつくりになり、十兆五千億の内訳をおきめになるときに、新聞に漏れているこの程度のものをやるという腹で、あの八百億なければぎりぎりやっていけないという考えがあっておやりになったのかどうかということです。回りくどくなりましたが。
  118. 井上邦之

    ○井上説明員 私が申しました三%の物騰率というのは、過去の実績から推して将来もこの程度のものであろうということでやったわけでございますが、その中で八百億と計上いたしておりますのは、当時考えられておりました、たとえば防音壁でありますとか、あるいはいろいろな音源対策をやってまいりますために、技術開発の面でいろいろ金がかかりますが、そういった主として音源対策のほうで八百億を要するであろう、こういうことで計上いたしております。その後いろいろな新しい事態が出ておりまして、たとえば買い取り補償に応ずるというような問題が出てくるといたしますと、その点についての費用というものは実はこの八百億の中には入っていない。私も、この当時計画をつくったときにおりませんでしたので、どうも説明が間違ったようですが、音源対策として五百五十億、それからその他の費用、買い取り  の分も含めまして二百五十億、こういうことになっておるようでございますので、これは私の考え違いでございます。
  119. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 もちろんあの時点から言うと、急激に変化し、大阪の空港周辺整備の判決も出、当委員会においてそういう法案の内容も審議する過程から、一日も早く国鉄にそういう騒音、振動対策を出してもらわなくちゃならないという私たちの気持ちがあるのですが、八百億を少々オーバーするとか、あるいはその中からどうのこうのというのがあっても、それはある面で言えばもうへ理屈になるので、要は、それよりか新幹線沿線の住民の皆さん方に安心してもらえる対策というのがあるならば、十兆五千億の中での操作、あるいは逆に十兆五千億そのものも見直さなくちゃならないのじゃないかという気持ちもありますから、そこら辺はあまりこだわりを持たずに、率直な心境を御披瀝いただければいいんじゃないかと思うわけでございます。  その次に、質問を変えますと、大体既存新幹線の防音を推進していかなくてはならない、まあ鉄橋が幾らだとか、アパートが幾らだとか、その鉄橋の場合でもいろいろな議論がありますが、そういうことは一切抜きにして、新幹線に沿うた、大体何キロぐらいがこの騒音対策推進の地域になるのでしょうか。世にいわれておる名古屋の三地区だけがそうなるのでしょうか、どうでしょうか。
  120. 井上邦之

    ○井上説明員 主としてやはり都市の密集地帯が問題になりますので、東京を出まして、静岡、豊橋、名古屋、ずっと行きまして、大体その密集地帯の総延長キロを考えますと百三十五キロぐらいになります。そのほか、都市の密集地帯でなくても、無道床の鉄げたのところがございます。そういうところはやはり相当な騒音を出しますので、そういったところの騒音対策を考えていかなくちゃなりません。そういう場所が、いま申しました百三十五キロ以外のところで約二十カ所ほどございます。そういった点について今後私ども鋭意対策を講じていかなくちゃならぬと考えております。
  121. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと、この新幹線で、特定の組合の名前をあげて恐縮ですが、国労、動労は、いままで減速闘争といいますか、違法な行為をやっておりましたですね。そうすると、その区間全部がそういう減速をやられますと、ダイヤが大幅に狂うとか、東京−大阪間「ひかり」で三時間十分、東京−岡山間四時間半あるいは四時間十分、「ひかり」でも新大阪以降にはとまる駅の内容が違いますので、時間は若干狂いますが、減速闘争でやられますと平均どのくらい時間の誤差というものが出るわけでしょうか。
  122. 井上邦之

    ○井上説明員 現在動労が減速闘争をやっておりますのは、名古屋駅の近くのわずかに九キロぐらいのところでやっておるのでございまして、このくらいのところでたとえば百十キロぐらいに速度を落としましても、本来ダイヤというものには安全性を見越して多少の余裕を見ておりますから、その余裕時分の中でまかない得る程度の時間のおくれでございます。したがいまして、その程度でございますと、新大阪に着くまでに大体取り戻せるというぐらいのものでございますが、先ほど私が申しましたように、それと同じような場所が延長にいたしまして約百三十五キロ、そのほかにまた、都市の密集地帯ではございませんけれども、やはり相当の騒音を発する個所として二十カ所ぐらいは同じ状態になりますので、そういうところを全部同じようなことで減速していくということをかりに認めますれば、現在三時間十分で新大阪まで行っておりますのが、一時間半はよけいにかかる、四時間四十分かかる、こういう一応の計算はいたしております。  現在三時間十分で行っておりますのが四時間四十分かかって行くということになりますと、輸送力は大ざっぱに申しましても六割ぐらいに落ちます。六割に落ちるということになりますと、現在でも一日三十万の旅客を新幹線で運んでおります。しかもそれが相当な好況でありまして、お客さんは非常に切符が買えないとかいうことで御不便を願っている場合も間々出ておりますが、それが六割に輸送力が落ちるということになりますと、非常な輸送制限をせざるを得なくなる、こういうことで、国民の皆さま方に非常な御迷惑をかける、こういうことになります。また、四時間四十分かかるということになりますと、全国的にダイヤの改正ということの問題も派生してまいりますし、これは相当大きな問題でございます。  また、輸送力の問題で大ざっぱに申しまして六割に輸送力が落ちると申しましたが、それじゃ車をふやしてその輸送力の落ちるのをカバーできやしないかという御議論も出てまいりますけれども、確かにそれは車をふやしまして列車回数をふやせば輸送力の減をある程度カバーできますが、それには約四百両ぐらいの車も要しますし、四百両車がふえるということになりますと、それに相応するぐらいに車両基地をつくらなければならぬ、こういうような問題にもなります。また、そういうような手当てをいたしましても、東京から新大阪まで行くのに一時間半よけいにかかるということは、終列車を一時間半早く出さなくちゃならぬということにもなります。それはもう物理的にカバーできない問題でございまして、その面からいたしましても、いかに車をふやしましても最終的にカバーできないのが一割以上の輸送力の減が出てまいる、こういうことでございまして、非常に大きな問題を実はこの問題ははらんでおるということを御了解いただきたいと思います。
  123. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私は、実は減速闘争から長期収支計画の旅客と貨物の輸送量の問題に触れようと思うておったら、副総裁が先にそういう問題についての御説明があったわけでございます。この新幹線騒音問題はこの程度にしておきたいと思いますが、この新聞へ出たのは、運輸省から漏れたとか出たのではなくして、国鉄当局が安全協議会の席で話し合いのときに出されたということでございますが、こういう問題は、一番先に提示するのは国会ではないかと思うのです。国会へ一番先に提示し、国会でいろいろ議論した上で私はそういう問題はするのが一番正しい筋ではないかと思います。内容については、いまここで議論いたしますと、また騒音関係法律での問題とか、あるいはいろいろな問題等になりますし、また在来線とか、あるいは市電とか、あるいは八十五ホン以上の虎の門の——電車も鉄道も全然通っていないところの騒音問題とか、いろいろな問題に波及してきます。したがって、そういう内容には触れませんけれども手続の問題としては、もちろん悪いと言うのではありませんが、労使の席に出すというのもいいかもしれませんけれども、いままで当委員会においてこの問題はたびたび議論しておったわけです。また、当局に対して、これに対するはっきりした姿勢を示しなさいと言っておったわけです。そういうことで、ひとつこの問題は、そういう点においての問題としてはいささか遺憾であるということを申さしていただきます。  その次に、長期収支計画のいまの輸送量の問題で御質問しようと思いましたが、減速闘争にからむものとして想定した場合に、副総裁からすでに答弁がございましたので、私はこの問題はもうこれ以上触れません。  ちょっと話を変えまして、先般参議院の予算委員会において田中総理が表明された問題について、政務次官に少し承りたいと思います。  それは、総理のああいう民営論的な、あるいは分割論的なお考えというものについて、運輸省あるいは政務次官はどういうお考えをお持ちなのか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  124. 増岡博之

    増岡政府委員 まだ総理のほうから直接御指示はありませんけれども新聞紙上あるいはその他のいろんな情勢から判断しまして、また従来から運輸省独自の立場でいろんな面から検討いたしておるところでございますので、その作業を進めてまいりたいと思いますが、早急にはなかなか結論が出にくい非常に困難な問題ではないかというふうに考えております。
  125. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私は、きょう質問する内容政府当局に申し上げてなかったわけで、不意に私も質問しなければいかぬようになったので、いろいろ政府側もはっきり答弁がおできにならぬと思いますが、いま政務次官のおっしゃった、総理から直接御指示がまだないという点、それからまた、運輸省はいろいろ作業をしておるけれども、困難であるということになりますと、総理から指示がないという点はわかりますけれども、いろいろ作業をしておるという中には、それなら国鉄の民有論か分割論か、あるいは組合に対するスト権の問題は、まさか運輸省がやるんではないだろうと思いますから、そのいろいろ作業をしておるというのは、何かそういう作業を総理から指示がなくてもやっておるのですか。
  126. 秋富公正

    秋富政府委員 昨年、公制審におきまして、実はスト権の問題にからみまして、経営形態も含めて検討するというのが一案、二案、三案の中の一つにあったわけでございます。私たちといたしましては、別に指示はございませんが、公制審のそういった答申というものを踏まえまして結論を出すということではございませんが、問題点はどこにあるかという点につきましての検討ということを続けてきたというのが、ただいま政務次官のお答え申しました趣旨でございます。
  127. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと、またそこでもとへ返るわけですが、政府は、運輸省は、国鉄再建の基本方針をつくる。国鉄当局はそれに従って十カ年間の基本計画をつくる、こういうことと、総理のああいう考え方、いまのところはまだ運輸省に直接そういう指示がないからいいと思うわけですけれども、少なくともこの基本方針、基本計画というのは閣議にまで上がるわけでしょう。閣議にまで上がるその場合に、総理から、十カ年間ですからね、こういうものはだめだ、ひとつ民営論か分割論か、あるいは閑散線と幹線を切り離すとか、新幹線と在来線を切り離すとか、いろいろな案をぱあっとやらないと、わしは承知せぬ、こう言われた場合どうするのですか。指示がないけれども、少なくとも今回、政府がいつ基本方針を作成し基本計画をいつ決定されるのか私は知りませんけれども、冒頭にちょっとお伺いしましたら、いろいろなお含みもあるようでございますけれども、少なくともこれは十カ年ですからね。その場合に、私が一番頭を痛めるのは、総理の指示があった場合に、運輸省も国鉄も基本方針も基本計画も指示があったら立てられないのじゃないだろうかということに対しての懸念があるわけなんです。この基本方針並びに基本計画を決定するまでの間に総理の具体的な指示はないだろう、こういう立場で基本方針や基本計画をつくるのですか。それとも、いろいろ作業をするとなると、総理からもし指示が出てきた場合は、もうこの基本方針や基本計画なんかふっ飛んでしまって、全然別の立場で作業するつもりなんですか、どうなんですか。
  128. 秋富公正

    秋富政府委員 現内閣におきまして、昨年再建法を出すにあたりまして、閣議了解をした次第でございます。その精神は、あくまでも現在の経営形態でいかにして国鉄を財政再建するかということを踏まえての閣議了解でございます。これはもう私から申し上げるまでもございませんが、経営形態の問題はきわめて重大な問題でございますし、また、日本国有鉄道法自体の法改正の問題にまでからんでくることでございまして、そういうことを待っておりましては、国鉄の財政再建というのは一日でもおくれてくるわけでございますので、私たちといたしましては、あくまでも昨年二月にいたしました国といたしましての措置、すなわち、財政助成の強化、こういう措置をもちまして、再建の基本方針を出したいと考えております。
  129. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 事を荒立てたりいろいろのことをしようと私は一つも思うておるのではなくて、国鉄の再建こそ国民の足を確保するという意味で、いままで三、四年いろいろこの問題に取り組んできたわけです。ただ、この場合、御注意といいますか、注意を喚起しておきたいのは、少なくとも一国の総理大臣が、しかも予算委員会の席上でああいう内容を漏らされたということについて、それに対してわれわれが、それなら具体案があるのかないのかということを具体的にお聞きした場合に、運輸省あるいは国鉄——これは国鉄は関係ないでしょう。運輸省に、総理がああいう発言をされた内容についての若干でも裏づけのある資料があるかないかということは、これは考えておかなければいけないことで、それならあれは総理の放言として見のがすか見のがさないかというところまでいきかねないと思うのです。結局、春闘対策、スト対策、そういう立場でおっしゃったのだろうとは思いますけれども、少なくとも、この法案が国会にかかり、去年再建と運賃法の法律を通して、政府並びに運輸省が基本方針並びに基本計画を策定しなければならぬというときに、ああいう問題が出るということについては、私自身もたいへん不愉快に思っておる。また、不見識だと思っておる。しかし、ここに総理がおるわけではございませず、逆にああいうことを言われたので、一番困っておられるのは運輸省や国鉄じゃないだろうか、こうも思っておるわけでございますので、この問題についてもあまり深く追いませんけれども、これはひとつ運輸省というよりか、政府内部で一ぺんあの問題についての十分なる相談とか根回しとかをしておかないといけないと思うのです。ああいうことを予算委員会で言われながら、いま政務次官に承りますと、運輸省のほうへまだ指示がない。ということになりますと、指示があったらどうするのだということになりますからね。そういう場合に運輸省、国鉄は、からだを張って抵抗するのか、それとも、そういう総理大臣はやめさせるのかという問題にまで発展せざるを得ないような重要な問題になってくると思うのです。  われわれのような人間まで、非常にあの発言は心配しまして、これは困ったことをおっしゃったもんだな、もちろん春闘という問題が国民の生活を破壊するという大きな要因があるということ等の立場から言われたろうという善意の解釈のしかたもあるわけですけれども、そういう点で、ひとつ政府内部で一生懸命そのまわりについての意見の調整というものはしておきたい、こう思うわけであります。  もう与えられた一時間がだいぶ来てしまって、あと十分ほどしかございません。そこでまたもとへ返るわけでございますが、やじで総裁に質問しろということでありますので、ひとつ総裁にちょっと質問さしてもらいます。  総裁、さっきから私がずっと質問しておるのは、去年の当運輸委員会でいろいろ審議した、政府から出してもらった長期収支計画、そのもとになる基礎数字、いろいろな問題から、政府がきめる基本方針並びに国鉄がそれに従ってやる再建計画というものが、あまり数字をいじらずにできるのかできないのか。現実に国鉄の今回の再建計画というのは、昭和四十八年四月一日に運賃を改定して、それでいろいろな政府助成とかなんとかミックスしたものとして昭和五十七年末までに再建がややできたようなかっこうになるという立場で議論したわけですが、その間に、物件費とか、人件費とか、あるいは工事費とか、あるいは小さいことを言いますと国鉄が借りておる金の利子の問題まで、項目をあげていきますと十三項目ぐらい、国鉄再建の長期計画の示された数字とは変わってきておる問題があるのですが、総裁は、そういうことによりか四十六万職員の信望をつなぎ、国鉄の立場としての国民の足を確保していくという一番大きな任務があるので、総裁にはそういう点についてはお聞きしませんが、ただ、いまのままの国鉄の状態で、しかも、政府の都合で三月三十一日が今度は十月一日になるというようなことで、物価対策という立場はわかりますけれども、国鉄再建というものがこういうようにやられていった場合に、できるかできないかということを、一言、できるとか、できないとか、総裁の決意のほどをひとつお示しいただきたいと思います。
  130. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 はなはだむずかしい質問でございますけれども、私はおそらくおしかりを受けるだろうと思いますが、再建計画というものは、これは十年もの長い間にやろうということであって、もう少し物価の現象であるとか経済情勢が安定しますれば、これはできるとかできぬとかいう判断もある程度はできるだろうと思うけれども、現在のような激動しておる時代に、できるできぬの議論をするのはまだ時期的に適当でない。と同時に、再建計画は、これは数字は変わりますけれれども、要するに国鉄が十年後に自力でもってその時代の陸上の動脈たる使命を持たすのだということであって、もちろんそのためには、急務である金の問題、払うことは当然でございますけれども、そういう意味合いにおいて私は、できるできぬじゃなくて、ぜひしなくてはいかぬのだ、それには、そういう変化が起こってきたら一体どういう手を打たなくてはいかぬだろうかと、ちょっとおしかりを受けるようなことを考えておるのでございます。
  131. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それはひとつ、いま総裁がおっしゃったような決意でいかねばいけないと思うのです。私は、いまとにかく労使一体となり、しかもそれは親方日の丸主義でなくして、われわれは国民経済国民の生活を確保し向上させていくのだ、そのために一生懸命がんばるんだというこの精神こそ、私が質問した小さい数字やいろいろなことよりも一番大切なことだ、こう思います。そういう点で、総裁の決意のほどがよくわかりましたので了といたします。  そこで最後に、もう時間も来たようでございますが、一体、基本方針並びに基本計画はいつごろまでに作成したいというお気持ちでしょうか。
  132. 秋富公正

    秋富政府委員 冒頭に申しましたように、いろいろとむずかしい環境に立たされておるということは事実でございますが、この国鉄の財政再建は四十八年度から発足するものでございますので、できるだけ早い時期に閣議決定をいたし、また国鉄の再建計画の提出を待って認可いたしたいと考えております。
  133. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これで終わります。どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  134. 三池信

    ○三池委員長 次に、日本国有鉄道経営港湾及び気象に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  135. 久保三郎

    ○久保(三)委員 きょうは港湾関係で、特に水戸射爆場あと地の利用に関連してお尋ねするわけでありますが、まず第一に、簡単な質問を、防衛庁並びに科学技術庁のほうに先にお尋ねしておきたいと思うので、運輸省その他はあと回しにしたいと思います。  そこで、防衛庁にお伺いしますが、水戸の射爆場あと地は御承知のように米軍から返還になった。あと地の利用については、いまだ確定はいたしておりませんが、現在までというか、あの射爆場の一部で防衛施設学校というか、これが爆破訓練をしておる場所があるわけですね。これは当時の約束からいいますれば、両三年の間にこれは立ちのくというか、どこかへ場所を移動するという約束でありますが、もはや一年を過ぎております。こういう問題は、なかなか右から左に解決するものではないし、あのあと地をどんなふうに利用するにいたしましても、爆破訓練場が、そのまま作業というか仕事をやっていたのでは、マスタープランをかくのにはなかなかかきにくいだろうというふうに思うわけであります。  そこで、防衛庁としては、この訓練施設をどういうふうにして撤去をしようと思っているのか。いわゆる撤収というか撤去というか、適当な土地をさがしておられるのではなかろうかと思うのでありますが、適当な土地をさがすくふうをしているのかどうか、あるいは代替地というか、そういうものを見つけるとすれば、施設学校は勝田にございますけれども、その近辺をさがすのかどうか、そういう問題について、防衛庁本庁にはまだいろいろ話が上がってこないにしても、基本的な方向は防衛庁でお立てになっていると思うので、その辺の事情と最近の見通しをお聞かせいただきたい。
  136. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答えいたします。  先生お話しの中にございましたように、これは三年間に限りまして爆破訓練場として一部を使用するということで進んでおります。したがいましで、この訓練場の代替地をどこか適当なところに求めるべく現地の施設学校で現在検討をしておる段階でございます。  それで、これは三年間と申しますと、最終の時期は五十一年の四月でございますが、それに間に合わせるべく県内、県外両方ともいろいろな案を現地の施設学校で検討しておるという段階でございます。
  137. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そうしますと、いろいろな案を検討しているというのは、幾つかの候補地みたいなものを大体物色した上で検討しておられるのですか。
  138. 長坂強

    ○長坂政府委員 現地の施設学校では、やはりいきなり一カ所というわけにいかぬと思いますので、幾つかの候補地について県内、県外ともいろいろ検討しておる、こういう段階でございます。
  139. 久保三郎

    ○久保(三)委員 くどいようでありますが、幾つかの候補地のようなものを大体見つけて、それを内部的に検討していらっしゃる段階ですか。
  140. 長坂強

    ○長坂政府委員 具体的にどこというふうにまだしぼられてはおりませんけれども、その位置とか地形とかいうものを比較検討しながら考えておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  141. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そうしますと、位置とか地形とか、そういうものを比較検討しているというのは、比較するものがあってやっているわけですね。だから全然抽象的な検討ではなくて、外部にはもちろんまだ出す段階ではないけれども、内部的には具体的なものを彼此検討しておる、こういうことですか。
  142. 長坂強

    ○長坂政府委員 まだ図上の段階でございます。図上の段階ではございますが、たとえば交通の距離の関係とか地形の関係とか位置の関係、そういうようなところを図上で、データでいろいろ比べておる、こういうところでございます。
  143. 久保三郎

    ○久保(三)委員 ちょっとよくわからぬのでありますが、地図の上ででも、大体この辺ならどうだろうかとかその見当を探っておられるのかどうか、どっちなんですか。
  144. 長坂強

    ○長坂政府委員 現地施設学校では、先生おっしゃるように検討しておるということでございます。
  145. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは、まだ具体的ではないが、具体的にいろいろございますが、たとえば甲という地点を地図の上で見て、その地形あるいはその交通あるいはその場所、そういうものについていろいろ検討されている、それは県内外にわたってやっておる、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。——それでは続いて答えてください。それでは、そのめどはいつにしておりますか。当時、三年というから、三年までに間に合えばいいということでやっておられるのかどうか、それはどうですか。
  146. 長坂強

    ○長坂政府委員 最終的には、三年目に間に合えばよろしいということでございますが、こういうことは、実際に今度は具体的な候補地として作案されましてもなかなか時間がかかることでございますので、まあなるべく早い時期にその作案ができるような、そういう考えではおるわけでございます。しかし、最終的には、三年に間に合えばよろしいというふうなつもりでおります。
  147. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは、まだ至って雲をつかむような話というふうに了解してよろしいですな。——それでは時間もありませんから次に参ります。  科学技術庁の伊原次長、これも同じように水戸の射爆場あと場ですが、これは動燃の敷地に隣接した地域にあるわけですね。動燃の再処理工場というか、そういうものがいま話題というか、建設にかかっているのですかな。そういうさなかに、聞くところによれば、一応隣接地域あたりに、射爆場あと地は、そういうプラントの建設というか、そういう考えがあるやに聞いておりますが、動燃の再処理工場の建設等はあと地の利用には全く関係ありませんか、どうですか。
  148. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま先生から御質問のございました点につきまして、動燃事業団の再処理工場を、さらにあと地に土地を求めて拡張するというふうな計画はございません。
  149. 久保三郎

    ○久保(三)委員 ついでに、恐縮でありますが、動燃並びに原研あるいは原発、あそこにはいろいろ施設が密集しておるのでありますが、いわゆる排水の問題と海洋汚染の問題では、この間、あなたのほうで頼んだ、話題の分析研究所ですか、あれなどに頼んで、大体放射能の数値を調べたこともあるようでありますが、現在におけるところの海洋の汚染というか環境というか、そういうものと排水あるいは放射能というか、そういうものとの関係はどういうふうにいまなっておりますか。
  150. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先生の御質問は、先ほど不祥事件を起こしました分析化学研究所の環境放射能に関する分析結果があの東海地区の環境モニタリングとどういう関係があるかという御質問かと存じますが、東海地区におきましては、従来から原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団あるいは日本原子力発電株式会社が、自己の研究あるいは調査といたしまして、海洋汚染関係調査を相当幅広くやっておりますので、一部、分析化研に試料分析をお願いしました場合にもそのクロスチェックなども原研等でやっております。そういう関係からいたしまして、特に今回の分析化研の問題は、東海地区の海洋環境モニタリングに直接に影響を与えることはないと理解いたしております。
  151. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは、時間の関係もありますから、科学技術庁並びに防衛庁の関係の方は御退席願ってけっこうです。  次に、港湾局長にお伺いしたいのでありますが、港湾整備計画は、期限からいけばまだ改定期じゃない、五十年かと思うのですが、しかし、御案内のように、最近における産業構造の問題あるいは物流全体の問題も見直す時期に来ていると思うのです。ついては、この港湾整備五カ年計画も見直さなければならぬと思うのでありますが、先般、昨年の国会では港湾法の改正を、一部改正でありますがいたしまして、こういうものの改正整備計画の中に含まれるものも多少守備範囲が広くなったというか、そういうふうにも思われるわけであります。ついては、そういうものを織り込んで港湾整備計画というのは改定されることが当然だというふうにてまえどもは一つは考えている。  もう一つの改定する必要性は、これはあとからもお尋ねしますが、海浜を含んだ海洋というか、そういうものの日本全体の、産業ばかりじゃなくて国民生活とのかかわり合い、そういう中で考え直さなければならない時点であろうというふうに思うのですね。いままでの港湾整備五カ年計画なり港湾整備の政策というのは、新全総なり、端的にあらわしたのが列島改造論でありますが、そういうものを基本にしての、日本の高度経済成長を前提にしての港湾整備計画というか、方策というか、そういうものであったと思うのです。事実まだ高度成長の時期の一九六〇年代においては、当然港湾整備計画が現実の成長のあとを追って歩んでいかなければならぬという事態もありましたから、あの時期においてはやはりそういうものも必要であったかもしらぬが、いまやそういうやり方については、反省もしブレーキもかけなければいかぬという事態でありますから、そういう観点からも、港湾整備計画というか、港湾政策と言ったほうがいいと思うのですが、整備計画を具体的に五カ年計画にどうあらわすかということでありまして、いわゆる港湾政策そのものを見直さなければならないというふうに思うのですね。そういうものについての検討はなされているかどうか、これをお尋ねしておきたい。
  152. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生のおっしゃいますとおり、港湾の使命を考えますと、その地域の人々がいかにその港を利用し、開発し、そしてその地域を発展していくかというところに考えの力点がございます。従来、産業というものを中心に考えてきたきらいといいますか、そういうものが非常な港湾の推進の原動力になっていたことは確かでございます。しかしながら、私どもいつも思っておりますことは、港湾というものが産業の場を提供すると同時に、輸送、交通の場も提供する、また、そこにおける市民の生活の場でもあるということを強く考えながら、従来の計画も進めてきたわけでございますが、いま先生のおっしゃいますのは、特に最後の部分、環境であるとか海洋との関係を特に重視して考えを新たにすべきであるというようなお話であると思いますが、全くそのとおりであると思います。  昨年港湾法を改正いたしまして、ことしの七月からはそれの施行になるわけでございますが、その中でも特に環境問題、安全問題、こういうものを強く打ち出していく所存でございます。また、そういう環境問題であるとか、安全問題であるとか、こういう点には強く施策の方向を向けてございまして、海洋における油の問題であるとか、ゴミの問題であるとか、あるいは一つ一つの港湾の陸域ですね、その地域における緑地の問題であるとか、あるいは工場との分離の問題、そういうものを大きく計画の中に取り入れたところの全体の計画を見直すべきである、このように考えております。
  153. 久保三郎

    ○久保(三)委員 その中身というか、ものの考え方については、私とそんなに変わりはないようでありますが、具体的にはいつのころまでに五カ年計画を策定し直すのか、そういうものについてどういう手順をこれから踏もうとするのかですね。それを参考のために聞かしてほしい。
  154. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 御承知かと思いますが、実は、現在の計画は、昭和四十六年から五十年までの計画でございます。その後、先ほど申し上げましたような、また先生の御指摘になりましたような時代の変遷並びに要望を踏まえまして、四十九年からの計画に改定しようかと思いましたけれども、これを取りやめまして現在に至っているわけでございます。私といたしましては、できるだけ早く全体の計画を見直したい、できればできるだけ早く改定すべきだと思いますけれども、もう少し現在の経済情勢あるいは社会情勢というものを見てきめていきたいというように現在は考えておる次第でございます。
  155. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それはわかりました。現状とこれからの推移というか、そういうものを見てお考えになるのは当然でありますが、そこで一番問題になるのは、産業構造をどう変えていくかという基本が定まらぬことには、極端なことを言えば、すべては定まらぬような気もするわけですね。  それにしても、最近大きなショックを受けたエネルギーの問題、これはなるほどこの間OAPECの会議では、バルブのほうはあまり締めないが値段のほうは少し高い。少しというかだいぶ高いのでありますが、そういうものだから金さえあれば大体買えるという考えをするかもしれませんが、もはやわれわれは、二度とああいう失敗というかショックを受けたくないと思っているんですね。これは国民だれもがそうだと思うのです。それにはやはりエネルギーの有効な使用というか効率のいいものをやっていこう、これは当然だと思うのですね。  それからもう一つは、輸送自体においても効率のいい輸送をやろう、こういうことになろうかと思うのですね。いま見ますると、大体最近は、前近代的というか、古いじゃなくて、何というか、最近のような社会正義が全然ない、放任された資本主義というか自由主義というか、もうかれば何でもいい、何でもやるという。それからこれには最近ではもう国籍もないんですね。多国籍企業といってコスモポリタン的なものになっている。そういう者に言わせれば、交錯輸送なんというのはもうかればやる。これは一つの例でありますが、しかし、輸送の効率からいけば、交錯輸送ぐらいむだなものはないんですね。  それからもう一つは、総合交通体系の中でいろいろ議論もされているのでありますが、運輸省が出したというか答申を受けた総合交通体系、これはあとで企画庁が中心になってやったのとは多少違うと思うのでありますが、それでも中を流れている輸送の分野というかシェアの確立をささえるものは利用者の選択によるというのが大体この思想なんですね。しかし、もはや利用するものの選択にまかせてそれぞれの輸送分野を確立するんだということは、これは荒唐無稽と言ったらたいへん極端な話でありますが、国全体から見れば、もうこれはとんでもないというか、考えなければならぬと思うのですね。そういうようなものをいろいろ考えてまいりますと、いま局長からお話がありました、これからどういうふうにしたらいいかという基本になるものは、そういうものを基本にして考えるべきだとわれわれは思う。  それから、最も大事なものは、歴史と自然というものは、飛躍した話になるかもしれませんが、一ぺん破壊したらば永久にもとに戻らぬというものなんですね。歴史のことは別としても、自然の問題というのは、これはもう一番手っとり早く今日までわかっていることなんですね。だから、その自然をどう価値づけてどういうふうにわれわれの人間社会の中で共存していくかという問題だと思うのです。共存だと思うのですね。いままでは、言うならば自然を征服していくというのが今日までの生存競争の中でとられてきた思想なんですけれども、そういうものはもはや許されない時代になってきたことも、これも私から申し上げることもないと思うのですね。これから話を進めていこうとする水戸の射爆場のあと地の問題でありますが、これは大体十キロぐらいの海浜、約三百万坪か四百万坪あると思うのでありますが、そういう自然の空間なんですね。その中身に入る前に、大体いわきから鹿島灘一帯をずっと頭に浮かべてみて、北のほうから見てくれば小名浜という港、それから茨城県へ入りまして大津、平潟港、それからきて日立港ですね、それから那珂湊あるいは大洗港、それから鹿島港あるいは銚子、名洗というか、そういうことでずっと港がたくさんあるわけですが、いずれも整備はそんなに進んでいるとは私は思っていない。  ただ、鹿島は御承知のように新産都市というか、工特というか、そういう法律でつくられた港でありますが、最近では悪評さくさくたる代表的なものになっている。これは港が悪いわけじゃなくて、港に蝟集したところの産業立地が悪いということでありますね。そのもとをつくったのが港であるといえば、これはやはり港湾局長も——港湾局長というのはおかしいが、運輸省もその責めの一端をになわなければなりませんが、いずれにしてもそういうことなんですね。しかも、保安庁を呼ぶまでもありませんが、鹿島灘一帯は油による汚染がひどいのですね。これは沖繩の石垣あるいは沖繩本島の南部ですね、そういうものと同じように、廃油ボールの汚染にまかされている、と言ったら語弊がありますが、非常にひどい。だから、海岸という海岸はもはや昔の海浜——昔というか、海水浴のできる海浜というか、そういうものはほとんどないと言っていいくらいなんですね。  そればかりじゃなくて、今度は銚子からずっと南へ下がって九十九里浜、これは運輸省も一枚かんでいるようでありますが、いわゆる海洋レクリエーションセンターというか、基地というか、そういうものを考えておるようですが、これも汚染されている。駿河湾一帯までもずっと汚染されている。その中でたった一つ、いま申し上げた水戸の射爆場あと地だけは、大体十キロぐらいの長さであるけれども、背後地も手つかずで自然をそのまま持っている。しかも地主は国が一つということでありますね。そういうものを考えると、大事にこれを利用していくということが一番考えられなければならぬと思うのですね。そういうことを考えて、先ほどから港湾整備計画というか、港湾政策も考えてほしいということを言っているわけなんでありまして、私からお聞きしたいのは、今度は首都圏整備委員会にお尋ねしましよう。  整備委員会では、御承知のように、水戸日立都市開発区域整備計画というか、そういうものをさきにお立てになって、その中で、いま私が話をしている射爆場あと地を拠点流通港湾にしようという考えがあるようでありますが、これは、いまるる述べたような観点からまず第一に再検討をすべきではないか。もう一ぺん申し上げますと、新全総に基づくあるいは総合開発というか、従来の総合開発政策というか、そういうものに基づくところのこれは流通港湾なんですね。いわゆる北関東開発拠点、それは、東京湾がもはや物流でパンク寸前にある。だからここへ穴をあけて、北関東の拠点にして息を抜こう。まあ言うならば過密過疎対策として考えてきたようであります。いままで申し上げたような情勢下にありますので、この拠点流通港湾を中心とする北関東開発そのものも、再検討というか、見直す時期ではないだろうかというふうに思うわけですね。当然新全総なり列島改造というか、そういうものを見直す時期に来ているのでありますから、これも見直すべき時期であるから、少なくともこれをもう一ぺん白紙に戻して考えてみたらどうか。それから、利用する場合には、さっき港湾局長にも言ったように、その自然、それから立地条件、そういうものを人間生活の中に当てはめて考えてみたらどうか、こういうふうにわれわれは思うのでありますが、首都圏整備委員会としてはどういうふうに考えられているか。
  156. 山東良文

    ○山東説明員 首都圏整備計画は、基本的な方針といたしまして、従来から東京を中心といたしました関東一円における過密あるいは過大を防止しようとして、それを基本的な政策としておるわけでございます。  ところで、ただいま議論になりました北関東の地域でございますけれども、この北関東の地域につきましては、現在の段階では非常に発展の可能性が強いというようなことがございまして、しかも、かたがたいろいろ私たちの調べによりますと、ほかの東北地方あるいは九州地域、そういったところに比べましても、非常にと言っていいと思いますが、開発の程度が低いというようなことがございまして、そういったことを受けまして、従来の首都圏整備の基本計画は、できるだけ東京圏域における過密を解消いたしますために、北のほうを積極的に開発しようということをその方針としておったことは事実でございます。  しかし、それ以後いろいろと情勢の変化がございまして、首都圏自体は、むしろ南と北との関係もさることながら、首都圏対ほかの地方というような関係におきまして、地方をできるだけ開発を促進させていかなければならないというような情勢の変化もこれあり、それからまた、首都圏全域につきましての水条件をはじめ、いろいろと制約条件もあらわれてまいったというようなこともございまして、そういう角度から、いままさしく先生がおっしゃられましたような意味での、白紙に返りましてのそれ以後の条件変化といったことを考えながら、基本計画の練り直しをやっている最中でございます。それで、目標といたしましては、五十年度一ぱいにはそういった基本計画の改定作業をやっていきたいということでございます。  ただ、ここで先ほども申しましたように、かたがた北関東につきましてはいろいろと、現在開発の程度も低く、そしてまた、たとえて申しますと産業構造でございますけれども、三次化率と申しますか、そういった程度も非常に低い、ほかの地域と比べても低いというようなこともございますので、できるだけ首都圏の中における北関東での雇用の機会を増加させながら、全体の計画をどう定着させていくかということと、それから、まさしくいまおっしゃられましたような自然ということが非常に大事でありまして、一度破壊すると戻らないというような御指摘がございました。そういうようなことをも考慮しながら調査を進め、計画を練り直していきたい、そういうふうに考えております。
  157. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大体は私の考えているようなことを考えておられて、基本計画は練り直すというお話ですが、これは首都圏ばかりではなくて、当然全体的に練り直すことだと思うのであります。  そこで、いまことばじりをとらえての話ではございませんが、北関東は開発が非常に低いというお話でありますが、これは開発という意味が問い直される時代ではないかというふうに思うのですよ。というのは、まず第一に産業構造からいっても、農業政策がいま問い直されているわけですね。資源問題も問い直されましたが、今度は農業問題です。いままで北関東というのは大体農業立地というか、そういうもので進んできた。だから、見ようによっては開発が非常におそいのですね。そういう意味で従来の開発という観点からすればおそい。しかし、いままでの問題は、適地というか立地条件が大体農業、たとえば東海地方などは農業に適さないどころも多々あるようでありますから そういうところはそういうところのように工業立地ということにいったと思うのです。私は別に自然のながらでいいとばかりは考えていないのでありますが、少なくともそういう産業的な立地条件も考えて、開発そのものの概念というかそういうものも考えて変えていかなければならない。  それから、大体御了解いただいたと思うのでありますが、自然についてもそのとおりです。自然の開発とは何か。自然を開発するということは、そこに何かを新しくつくるということだけではなくて、自然を生かしながら人間との共存も考えていかなければならない。特に、あなたらに要望しておきたいのは、さっきも申し上げたように、広大な土地が、幸か不幸かわかりませんが、戦争中から戦後のつい去年まで手つかずにあったわけです。だから、そこにはいろいろな自然が存在しているわけです。そういう自然をなくさないように、しかも人間とのかかわり合いにおいてこれが保たれていくようにすることが一番いい。  それからレクリエーション、われわれは地元としまして、地元の一人として、わが党は大ざっぱな案でありますが、御承知かもしれませんが、ここには海洋レクリエーションセンターを中心に考えていこうというような案を先年発表しているのであります。これはごらんいただけたかと思うのでありますが、別に概念についてどなたも異議はないと思うのであります。  ただ、問題は、流通港湾という問題がいままで出てきたものでありますから、そこに何というか、県民の間にも衝突が出てきたということでありますので、その辺のところの問題も自然を生かしながらやっていくという、結局、首都圏全体からとりましても、日本全体からとっても、三百五十万坪か四百万坪、それから前面の海洋を入れますればかなり広大なものがあいているのですね。空間があいている。緑と水と空間とあいている。そういうものはやはり人間生活の中に一番直接的に密着できるものに考えていくことが民主的だと私は思うのであります。これは産業発展がいけないという意味じゃありません。極端なことを言うなら、話は違いますが、北関東の開発を拠点として穴をあけたいというならば、日本海側からあけるくふうも考えていい時代ではないのかというふうに思うのであります。別に向こうへ押しやるという意味じゃありませんよ。ありませんが、全部ふさがっているところへ、なぜ無理して企業で穴をあけるかという感じもあります。  いずれにしてもそういうレクリエーション基地にする。それはどういうことかというと、ついこの間も日曜日に水戸の観梅というのがございまして、今度の日曜日にもあるのでありましょうが、そういうときにあの狭い公園——公園といったって昔の公園でありますから非常に狭い。そこへ三十五万人来るのです。夏の大洗などは最近は海水浴もあまりできなくなりました。そこへ車で来るというのが、最近ガソリンがどうかなりましたからそうでもないかもしれませんが、水戸の入り口まで車でつながるわけですね。結局レジャーというか、レクリエーションというか、そういうものが生活の中で非常に大事になってきたということです。それを利用させることを考えることがわれわれは先決ではないのかというふうに思うわけです。われわれのプランから言うならば、大体同時収容十万人ですね。宿泊大体一万人ぐらいのセンターをつくることは可能であろうというふうに思うのであります。もちろんこれはしろうとであるわれわれが一応考えたことでありますから、多少の出入りはあると思うのでありますが、自然を利用しながらそういうふうにやっていこうというふうに思うので、これは検討をしてもらいたい、こう思うのであります。ついては次の——いままでの話は大体首都圏整備委員会のほうでも練り直すということでありますからくどくは申し上げませんが、そういうものを頭に置いて練り直しをしてもらいたい。  それからもう一つは、この基本計画の練り直し、これは港湾局も一緒でありましょうが、建設省もそこへ入るのでありましょうが、これは関係の省庁全体を入れてマスタープランだけはつくってほしいと思うのです。港の問題もそのとおり。なるほど港湾法の構想では、マスタープランというか、基本計画というか、そういうものは港湾管理者がつくるようになっております。文字のあやかもしれませんが、基本構想ですか、方針ですか、それは運輸省がつくることになっておるのでありますが、私が言うところのマスタープランというのは、関係省庁で十分練った上でやってほしい。そうでないと、この間みたいな苫小牧東部のような問題が出てくる心配があると私は思うのです。同じというふうには言いませんけれども。だから、そういう意味首都圏整備委員会にお尋ねしたいのは、基本計画をつくる場合には、審議会はいろいろな役所が来てやりますが、あれはセレモニーですよね。言うならば、あまり発言する人もなくて、御異議ございませんかと言って、はなはだしいのになると代理がみんな出てきて、そのメンバーは役所のほうはほとんど出てこない。出てくるのは首都圏整備委員会のお役人だけ、あとはもうその人でないというような……。だから、このマスタープランをつくる下地は、関係省庁で十分練ってほしい。基本計画の練り直しは、十分関係の省庁で練り直しをしてほしいと思うんだが、それはどうですか。
  158. 山東良文

    ○山東説明員 まさにいま先生の言われましたようなことでございまして、北関東の総合開発の調査につきましては、学識経験者を中心にいたしまして、さらにそれに関係の省庁が加わりまして、そしてさらにまた、地元の県が加わりまして、それで調査委員会をつくっております。それで、その調査委員会といたしましては、まず総括になる調査委員会がございまして、それからさらにその内部に専門委員会といたしまして交通関係、それから水関係、土地利用関係、そういうふうにやっておりまして、できるだけいまおっしゃられましたような趣旨のことを生かすようにつとめておるわけでございます。  それで、いま基本計画の練り直しというようなこともございましたが、むしろ練り直しと申しますよりは、いままだ調査中でございまして、これからつくり上げていく、そういうようなことでございますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  159. 久保三郎

    ○久保(三)委員 部長、これからつくり上げていくというのだが、大体あなたのほうの出している告示か何か知りませんが、基本計画というのは一応かいてあるのですね。かいたものがある。それに基づいていろいろな審議会というか、地元の関係でもやっておられるんですが、この基本計画をかき直してほしい、練り直すということはそういうことだと思うんですね。そういうふうに私はさっきからお話をとっているわけです。それと同時に、関係市町村もけっこうでありますが、特に関係の住民の意向というか、そういうものも考えていく必要があるというふうに思うのであります。  そこで、どんな調査をされているかわかりませんが、毎年ずっと調査をされているんだろうと思うのでありますが、あなたのほうのこの調査は、特定開発事業推進調査費という、そういう予算の項目で調査をされていると思うのですが、どういう方面に分配して、どういう方面が調査しているのですか。港湾局にもその費用をやって調査させているのですか。それから、できますれば簡単に調査研究のテーマをお知らせいただきたい。
  160. 山東良文

    ○山東説明員 お答え申し上げます。  いまおっしゃられましたように、首都圏特定開発事業推進調査費と申しますのは、四十七年度から計上されておりまして、当初の予定では、四十七、四十八、四十九と三カ年間で完成する予定でおりましたところ、たまたま経済情勢の変化等にもよりまして、いまのところ五十年度まで四カ年間で完成させたいという計画でございます。  主要なテーマといたしましては、交通輸送体系関連調査、それから排水計画及び水需給関連調査、それから三番目には土地利用及び開発保全関連調査というふうにございますが、そのうちでも、いま言われました流通港湾関係につきましては、第一の交通輸送体系関連調査の中に入っております。特定開発事業推進調査費全体といたしましては、四十七年度で二億円、それから四十八年度で二億三千万円ということになっておりまして、四十九年度は二億円ということでございます。  それからなお、当然流通港湾関係につきましては、運輸省のほうを通じまして、調査を執行するということになっております。これは運輸省だけではございませんで、他の調査費につきましても、全部関係省庁を通じまして調査を実施する、そういうことになっております。
  161. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そこで港湾局長、あなたのほうでも調査しているわけですが、この流通港湾を中心にして調査をしているのか、それとも鹿島灘一帯というか日立ですね、あの近辺からいって、日立港から大竹というか——大竹は建設省の考えではレクリエーションなんとかいうことになっているようでありますが、もはやこれは意味のない地域になったようでありますけれども、そういう地域についてやっておられるのかどうか、いかがです。
  162. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 運輸省といたしましては、四十六年から現在までずっと調査を継続しております。その中の、調査費といたしましては、運輸省のいわゆる港湾調査費、それからいま首都圏のほうからの推進費と両方合わせてやっている次第でございますが、その範囲は日立からやはり大竹付近まで、四十キロメートルにわたりまして、そこにおけるところの自然、いわゆる気象とか海象ですね、波浪とか漂砂とか、あるいは地質、水質、そういう性質のもの、並びにこの臨海部を利用するための経済調査、こういうものを含めて実施しております。考え方といたしましては、当然その地域全体の開発、たとえばレクリエーションの問題先生のおっしゃられました、そういう考え方も含めまして、流通港湾をこのところにつくるためのデータということも含めまして、自然調査経済調査を実施しております。こういう姿でございます。
  163. 久保三郎

    ○久保(三)委員 その物流に関係した流通港湾の問題、もちろん一つの調査のしかただろうとは思いますけれども、さっきからくどくど申し上げているように、物流そのものあるいは開発そのものも見直す時期でありますので、物流というか、経済調査は御専門でありますからいつでもできるのでありますから、むしろ私どもがやってほしいのは、さっきからくどく申し上げている自然の利用——自然の利用といっても全然手をかけないわけではありませんで、海浜のためにはマリーナをつくるとかというようなものもあるでしょう。そういうものを含めて、射爆場あと地の利用も考えて検討してみたらどうか、こういうふうに思うわけでありまして、物流ばかりを中心にやられることについては、われわれ自身は、どうも正鵠を欠くのではないか、失敗するのではないかというふうに思うわけであります。  それからもう一つ、これは首都圏整備委員会ですか、いろいろなテーマがあるそうでありますが、その中で、土地利用と保全の問題をテーマにしているようでありますが、その土地利用と保全の問題は、どこの省庁にどういうことで依頼しておるのか。続けて答弁してください。
  164. 山東良文

    ○山東説明員 水関係と土地利用でございますが、水関係のほうにつきましては建設省、それから通産省というところがおもなものでございます。  それから土地利用のほうでございますけれども、これは幾つかに分かれておりまして、都市関係、それからオープンスペース関係、それから業務拠点関係、あるいはまた農業関係というふうに分かれておりまして、建設省、農林省、それから通産省、そういうふうにいろいろ分かれておりまして、先生のいま御指摘になりましたレクリエーション関係でございますけれども、この点につきましては、この土地利用のほうの部分でもって専門委員会をつくりまして検討を進めていくということになっております。  なおまた、これは非常におくればせであったわけでございますけれども、従来この調査には農林省関係は入っておりませんでしたけれども、四十九年度から新しく農林省が参加してくださるというようなことになりまして、だんだんと調査自体が総合化してくる、そういうふうな方向に向かっております。
  165. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾計画あるいは調査そのものは、先生のおっしゃっているそのものだと私は思っております。たとえば流通港湾のためとさっき言いましたけれども、その地域のプランそのものは、自然に対する挑戦とか、そういうようなものの考え方でなくて、そこにいるその地域の人々が最もよい姿という点に重点を置くべきでありますし、現在、この管理者はおそらく茨城県がなると思いますが、国が計画するということよりも、県の管理者が自分計画していく、それを国のほうからできるだけお手伝いするというような感覚でやっているわけでございますが、いろいろな海象や気象やあるいは植生、海域の生態調査、そういう調査もやりまして、それらの総合的なものは、単に流通港湾であるとか工業港であるとか、そういうことだけでなく、その地域全体の最もバランスのとれた港をつくるべきであると私たちは思っておりますし、そのような調査を進めたいと思います。
  166. 久保三郎

    ○久保(三)委員 手続からいくと、さっきからも言っているように、いまもお話があったように、港の問題は、港湾法に従って、運輸省の、運輸大臣というか、基本方針に合致するような基本計画というか、そういうものを港湾管理者が出してくるという手続になっているのですが、これは港湾法の審議のときもいろいろ議論しましたが、言うなればこの辺が非常に問題なところでありまして、これは実際にやる場合も非常に問題が出てくる。これからも出てくると思うのですね。法律は通ったのでありますから、法律どおりやらなければいけませんけれども、特に首都圏整備委員会もおられるけれども港湾局長もそのとおりだと思うのですが、基本方針というか、整備委員会では基本計画ですね、そういうマスタープラン、港湾法でいうところの基本方針というのはマスタープランでないというような説明もあったようでありますが、実際言うとマスタープランだと思います。そういうものがあとから行って、港湾計画が先に出てくるというようなことになりますというと、形はずいぶん変になるのじゃないかというふうに思うのです。だから、そういう点からいくと、くどいようでありますが、言うならば港湾管理者が出してくる前に、広大な地域でありますし、それから国が所有している場所でありますから、当然これは国全体の立場から、少なくとも首都圏あるいは北関東という広域的な立場から問題をとらえていくべきだろうと思うので、港湾法に従って港湾審議会も遠からず地元にできるでしょう。ただ、そういう審議会を通して出てくればやらなければいけませんというようなことであってはいけないと思うので、くどいようでありますが、いわゆるマスタープランというか、そういうものは、先ほど来申し上げておるように、中央において十分専門家が検討しておく必要があるし、首都圏整備委員会は、練り直しというか、白紙に書きかえるくらいのつもりでこの問題は処理してもらいたい、こういうふうにてまえどもは思うわけであります。最後に、時間がありませんが、二人からそれぞれそういう問題についてお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  167. 山東良文

    ○山東説明員 ただいまの御指摘の点に関しましては、運輸省当局ともかねがね御相談申しておりまして、あくまで全体といたしましての構想をつくり、そしてそれに基づきまして、それぞれの港湾計画なり、あるいはまた、それ以外の計画を進めていく、そういうふうにいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  168. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾の基本方針は運輸大臣の基本方針でございますけれども、これは七月までに出さなくてはいけない、こういう姿でございますが、大まかの考え方は、すでに港湾法の議論のときに御説明してあったと思いますが、この港湾管理者が計画をつくる際に、環境であるとか、安全であるとか、地域住民の意向を十分に尊重しなければいけない、そういう性質のものと、もう一つは港湾の配置論でございますが、この配置論であるとか、機能及び能力に関する問題、こういうことにつきましては、この地域ブロック等の開発規模に関する長期的見通しを参考にしてください、こういうことになると思うのでございます。ということは、やはり首都圏の計画等十分参考としながら計画をつくってください、こういう基本方針になります。したがいまして、いま首都圏のほうからおっしゃいましたように、十分国としても首都圏の方向を見きわめてその方針を打ち立てる、それを参考としながら、港湾管理者が計画をつくっていく、このような姿勢になると思います。
  169. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大体抽象的な話でありますと、抽象的なお答えしか出ないと思うのでありますが、私が申し上げていることも大体御理解をいただけたと思うのであります。さっきから言うように、もう産業構造も変えていかなければならぬ、開発もあらためて問い直さなければならぬ、それから自然というか、そういうものと人間とのかかわり合いも重視していかなければならぬというようなことも含めて考えてもらいたいし、それからもう一つ、港湾局長に、これは地元のことでありますが、どうもわれわれ見ていると、たとえば日立港の整備もずいぶん長いことかかっているのだが、なかなか思わしくないというように見ているわけです。それから鹿島港は御存じのとおりでありまして、いろいろな問題をかかえているのです。だから、われわれが地元で考えている面は、——大洗港もそうですね、大洗港も多少前進しておりますが、全体としては、まだまだピッチとしては当初の計画から見ればずいぶん手ぬるいんじゃないかと思う。そうかと思うと、ぽかっとあと地に拠点流通港湾どうだろうかなどという話が出てくると、何を考えているのだろうというふうになります。いまある港を十分機能させるということも当面必要なことでありますから、そういうものについてまず力点を置く。それから手直しですね、いろいろな問題があるのです。それを手直しすることがまずわれわれは開発だろうと思っておるのです。いまあるものの手直し、そういうものを考えてもらいたいと思っています。  政務次官、せっかくおいででありますが、私が申し上げたことは、長々申し上げたからおわかりになったと思うのでありますが、港湾計画なりあるいは首都圏整備計画というか、そういうものは慎重に、いろいろな問題を含めて考えてほしいし、特に射爆場あと地の利用については、単に開発、経済成長、流通、そういうものにしぼってやらぬで、この自然を生かして、首都圏なり日本国全体の立場に立って、その価値を認めながらやってほしい、こういうふうに思うのであります。いかがでしょう。
  170. 増岡博之

    増岡政府委員 先生の御指摘のような趣旨に沿うべく、港湾局もこれまでも努力をしてまいったわけでございますし、また、さらには首都圏の基本計画の変更といいますか、見直しが行なわれるわけでございます。また、港湾管理者の問題もございますけれども、それぞれ法律、規則にこだわらず、運輸省が発言する機会が数々あろうかと思います。その際先生の御趣旨を体して港湾局に発言をさせてまいりたいと思います。
  171. 三池信

    ○三池委員長 三浦君。
  172. 三浦久

    ○三浦委員 気象庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  気象業務法第十六条に、「気象庁は、運輸省令で定める航空機に対し、その航行前、気象、地象又は水象についての予想を記載した航空予報図を交付しなければならない。」こういうふうに記載されてありますね。そして、これに基づいて航空気象業務を行なっていらっしゃると思います。この航空気象の果たしている役割りですね。なぜこれをやらなければならないのかということ、そのことについてまず最初にお尋ねいたしたいと思います。
  173. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 ただいまの点についてお答えしたいと思います。  飛行機が飛ぶ場合には、気象状況が非常に重要な関係がございまして、そういう意味でパイロットが気象状況を知るということが非常に重要ではないかと思うわけでございます。そういう観点からいたしまして、いまのような法規が定まったものだろう、こう私は思っております。
  174. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、飛行機が安全に飛行するために正確な気象情報を提供するということはどうしても必要だ、そういうことでございますね。
  175. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 そのとおりでございます。
  176. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、気象庁のほうで気象情報を提供しなければならない航空機の数というのは、どんどん増加をしていると私は考えておるわけですが、長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  177. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 そのとおりだと思います。年々ふえているように存じます。
  178. 三浦久

    ○三浦委員 航空気象業務を行なっている気象庁の傘下の官署ですね、そこでの昭和四十五年から四十八年度までの定員の推移についてお答えをいただきたいと思います。特に、その中で、全部ですとたいへんですから、名古屋、大阪、東京、千歳、福岡、こういう代表的なところだけでけっこうだと思います。
  179. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 まず東京では、羽田でございますけれども、これにつきましては四十五年度は百八十四名でございまして、その次の年は十三名ほど減っており、四十七年度は五十三名ほど減っており、四十八年度は十名ほど減っております。しかしこれは成田のほうに新東京国際空港ができますので、そのほうの関係で減ったのでございまして、新東京国際空港のほうには四十五年度には五名、四十六年度は七十二名、四十七年度は七十二名増加しており、四十八年度は四名ほど減っておる、そういう状態でございます。したがって、全体といたしましては新東京国際空港では百四十五名、それから羽田のほうでは百八名でございます。その次に、大阪につきましては、四十五年度、四十七名でございまして、変化はございません。千歳も三十九名でございまして、変わっておりません。名古屋も三十二名で、現在も同じ状況でございます。それから板付が三十五名で四十六年度に十三名ふえ、現在四十八名、こういうような状況でございます。
  180. 三浦久

    ○三浦委員 おたくのほうから各航空交通管制部へ派遣をされている、というよりも配置されている要員がございますね。それの昭和四十五年から四十八年度までの定員の推移についてお尋ねいたしたいと思います。
  181. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 東京の羽田につきましては二十名ほどでございます。千歳につきましては十一名、それから福岡、板付でございますが、これが十一名でございます。
  182. 三浦久

    ○三浦委員 それでは四十九年度ではその定員をどういうふうになさるおつもりですか。
  183. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 この管制の問題につきましては、各航空測候所にこのほかに別に予報課がございます。そこでいろいろな予報、航空気象の情報を出すためのいろいろな作業をしております。同時に、管制のほうにも同じような仕事をダブってやっておる点がございます。そういう点をある程度合理化する必要があるということで、その管制でやっております仕事の部分を一部予報課のほうへ移します。そういうことを考えまして、千歳につきましては二名予報課のほうへ移します。それから板付につきましても同様でございます。それから成田につきましては四名ほど移す、こういう予定でございます。  なお、これにつきましては、このほかに別なことを考えています。と申しますのは、やはり予報をやっております場合に、いろいろな資料が必要でございます。そのために最近、昨年の十月からでございますけれども、悪天予想図というものをつくりまして……
  184. 三浦久

    ○三浦委員 またあとから聞きますから、よろしいです、聞かないことをお答えにならなくとも。
  185. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 大体以上でございます。
  186. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、東京の東久留米市に管制気象課がございますね、ここの定員はどのくらいからどのくらいになるのですか。
  187. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 二十名が十一名ほどになります。
  188. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、いまでもそう余裕のある人員じゃないと思うのですが、かなり大幅な削減でございますね、二十名から十一名ということですから。これで気象庁のほうとしては、完全に業務が遂行できるのだとお考えになって削減されたのだろうと思うのですけれども、そういうふうに思われた理由ですね、この程度の人員削減をやっても業務に支障はないのだ、こういうように思われた具体的な理由をお尋ねいたしたいと思います。
  189. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 先ほどもちょっと申し上げかけたのでございますけれども、要するに、予報課のほうと管制気象課のほうでいろいろダブってやっている仕事があるわけでございます。そのもとの何と申しましょうか、いろいろな天気図類をつくっているわけでございますけれども、そういうものをダブってつくるのはむだでございますので、予報課のほうへ移すわけです。そうすると、そのほうの人が減るわけでございます。そういうようなことを考えてまいりますと、そういったところで十分できるのではないか、こう考えておる次第でございます。  なお、そのほかに、先ほどもちょっと申し上げかけたのでございますけれども、そういたしますと、少し資料が不足する点もあるのではないかということもございますので、昨年の十月から空域悪天予想図というものをつくりまして、これを気象庁のほうからファックス操作で流しておるわけでございます。そうしますと、従来よりもそういったもとの管制気象課のほうで使います資料がふえるわけでございまして、それをもって管制官のほうに解説すればいいわけでございまして、大体いままでと同じように、あるいはいままでよりよりよい情報が管制官のほうに流せるだろう、こういうような考え方からやっておるわけでございます。
  190. 三浦久

    ○三浦委員 いまファクシミリの話が出ましたけれども、これはいつごろから採用されたものですか。
  191. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 昨年の十月からでございます。
  192. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、電子計算機で入れた天気図ですか、これをファクシミリでもって測候所やなんかに流していくわけですね、それがやはり人員削減の一つの理由になっているわけですか。
  193. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 それは特別直接の原因というわけではございませんけれども、やはり航空気象というものは非常に重要でございますので、そういったところを強化するというような意味もございましてやったわけでございます。ただしそれは、人員削減というよりはむしろ強化という方面について大きな効果があるかと思っております。むしろ削減という程度では、管制気象課でつくっております図を予報課のほうに移して、そこからいろいろな情報を流すというふうにしたことによって、削減が成り立ったというふうに考えたほうがよろしいかと思っております。
  194. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、いろいろダブっている仕事があるので、それをダブらないようにしたのだというお話ですね。そうしますと、東京の場合、二十人が十一人になったわけでしょう。そうすると、この十一名の業務の内容ですけれども、——その前にこの十一名を職種別にちょっとお話しいただきたい。
  195. 石原明

    ○石原政府委員 十一名の内訳でございますけれども、いわゆる現業に当たるのが二シートでありまして、常時当たるのが二人でございまして、それが四交代でございますから、合計して八名、ですから八名が現業に当たる方です。いわば予報の解説をやる業務でございます。それから残りのうちの二名が、通信保守だとかあるいはまた現業の方に何かいろいろなことがあったときにバックアップするような予備といいますか、あるいはその他の事務をやるというような要員が二人でございます。あと一名は課長でございます。そのうちに予報官がございますが、予報官の人数はちょっといま失念いたしております。
  196. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、その十一名の人たちはどういう勤務の形態になっているんですか。
  197. 石原明

    ○石原政府委員 常時管制官に対して解説に当るのが二人でございまして、その二人が大体二十四時間勤務でございますから、そこで三組あればいいわけでありますが、その他に年休だとかいろいろございますので、二人の席のために四組、合計八人当たるということでございます。これが常時当たるわけでございまして、残りの二人は——大体いまの通信保守とかそういった方は日勤でございます。課長ももちろん日勤でございます。
  198. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、いわゆる現業員という人たちですね、この人たちは四組三交代ということになるのですか。
  199. 石原明

    ○石原政府委員 三直四交と私どもは申し上げております。二十四時間で八時間勤務ですから、したがって三交代ですね。そういう意味で三直で、そのかわり組は四つありまして、それでぐるぐる回っていく。一組よけいあることによりまして、年休だとか研修だとかそういったものに充てるということで、私どもは三直四交といっておりまして、三直四交という制度でございます。
  200. 三浦久

    ○三浦委員 いずれにしても、一組が二人になるということでしょう。そうすると、この二人の仕事の内容ですね。常時どういうことをやっているのか、ちょっとお話しください。
  201. 安斎政雄

    ○安斎説明員 おもな仕事は、先ほど長官からお話がありました、ファクシミリで受けた天気図、そういうものの管制官に対する解説、あるいは各地の飛行場で観測した気候上の実況報といっておりますが、気象観測の実況、こういうものがテレタイプで常時入ることになります、こういうものを管制官に提供する。そのほかいわば空域の警報に匹敵するような悪天情報、技術的にはシグメット情報とかあるいは空域悪天情報、いろいろ種類がございますけれども、予報課あるいは羽田のほうで出したそういう飛行機の安全のために寄与するいろいろの情報をテレタイプで受けまして、そういうものを管制官のほうに提供するということで、大体そんなことでございます。
  202. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、ファクシミリを受ける仕事もやらなければいけませんね。テレタイプから情報を受ける仕事もしなければいけませんね。そうしてまた、管制官にいろいろと情報を提供する、こういう仕事もしなければなりませんね。これは二人で十分できますか。
  203. 安斎政雄

    ○安斎説明員 ほかの官署と比較しまして、十分にできる量だと解釈しております。
  204. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、この二人の人たち、たとえば一人病気で休むとかそういうような場合に、この仕事をちゃんと一人で遂行できますか。
  205. 石原明

    ○石原政府委員 いまのような大体二人がシートでございますから、したがって二つのシート、要するに二人がいなければ仕事ができません。したがいまして、現業の方が病気である場合には、いろいろと勤務のやりくりをいたしますけれども、そういうことで足りない場合には、予備の人がおりますから、そういった人で埋めるし、さらにそういったことで足りませんときには、羽田のほうの本台といいますか、羽田のほうから応援を出すということで、常時二人が勤務できるようにするということにはつとめております。
  206. 三浦久

    ○三浦委員 何か非常にあぶなっかしい話なんですね、たとえば連勤をするとか、また応援を頼むとか、これはちゃんと来てくれればいいけれども、断わられた場合なんかあぶなっかしくてしょうがないというような感じがするわけですよ。それからまた、連勤なんかやれば労働強化になっていきますし、労働者の疲労度もふえてくるということで、やはりあまりぎりぎりの定員でもってこういう交通安全の仕事をさせるということは、私はよくないことだと思うのですね。幾ら人員を減らせということが至上命令であっても、少なくとも事は人命に関する問題ですからね、私はもっと余裕のある人員の配置をすべきだというふうに思います。  それで、情報不足になるのでいろいろと情報を送るためのファクシミリの活用を昨年の十月から考えられたというんですけれども、このファクシミリはものすごく評判が悪いんじゃないですか、どうですか。
  207. 石原明

    ○石原政府委員 私どもの聞いておりますのは、ファクシミリは無線で送りますから、したがって、空中状態の悪いときにはファックスが十分にうまく出ない、不鮮明になるということが全国的に往々にあります。これは、私どもとしては、有線にできるだけ早く取りかえなければいかぬと思っておりますが、当分の間はファックスは無線で送っておりますので、そういうふうな空中状態が悪い、特に朝方にはそういうことがあろうかと思います。そういう点で多分に御懸念があるというふうなことは、私どもの管制のほうの担当者、管制気象担当者あるいは航空管制関係の方からもそういうふうな御心配をいただいておりますけれども、これに対しまして私どもといたしましては、そういうふうなことがありますけれども、ファックスで送っているものは、それぞれ千歳なり、福岡のほうは問題ございますが、そういうところは自分のところでやっておりましたけれども、今度送るということによって、そういうふうな意味合いのマイナスは多少あろうかと思いますけれども、回数を、従来は大体二回でございますのを四回にふやすというふうなことをいたしておりますので、したがって、朝方例外的にそういうことがあるかもしれませんが、全体としてはプラスになる。  それから、先ほど長官が申しましたように——ただいま申し上げておりますのは悪天気象図というものでございますけれども、いまは悪天気象図というのは、いわば一般の場合でありますと予報に当たるものでございます。さらにそれに付加いたしまして、こういうふうにして来ました人員によりまして警報に準ずるべきような空域悪天情報というものを四月から実施しようということでございまして、そういうふうにファックスの回数をふやすということ、さらに単なる予報的なもののほかに警報的なものを四月から実施するというふうなことでございまして、全体としては、提供する管制気象に対する定期サービスというものは向上するというふうに考えております。したがいまして、ファックスの点については御指摘のとおりでございますが、全体としてはそうだというふうに御理解願いたいと思います。
  208. 三浦久

    ○三浦委員 ファックスを使う前には、手がきで天気図をかいておったでしょう。どうですか。
  209. 石原明

    ○石原政府委員 御指摘のとおりでございます。
  210. 三浦久

    ○三浦委員 そのファクシミリで送られてくる天気図と手がきの天気図と、どっちが信頼度が高いと思いますか。
  211. 安斎政雄

    ○安斎説明員 お答え申し上げます。  従前現地でつくっておりました悪天予想図と、羽田がつくったものをファクシミリで送った天気図の精度の問題でございますが、これはその羽田の予報課に入る悪天に関する情報量と、東久留米の管制気象課に入る情報量とは格段の差がございます。と申しますのは、飛行機が悪天に遭遇しました場合に、管制官あるいは各航空会社のディスパッチャー、そういうところに報告されますけれども、その情報量が羽田のほうが多いので、予報の精度といたしましては、羽田のファクシミリの図のほうが格段にいいと確信しております。  ただ、先生指摘のように、これを無線で送るということのために見にくいということは確かにあるという感じでおります。
  212. 三浦久

    ○三浦委員 さっきのお話だと、ファクシミリというのをもとにして、それを予報官が解説して管制官にいろいろ情報を提供する、こういうわけでしょう。そのファクシミリが見にくいというのは一体どういうことなんですか。  ここに現物がありますよ。見にくいとわかっていてやるというのはよけい悪いことですね。たとえば、ここに比較的よく出たのもあるんですよ。しかし、全然見られないのがありますよ。これは国内悪天予想図ですが、これをおそらくファクシミリで送ったのだろうと思う。同じものとは思えませんよ、ごらんになったらわかりますが。こんな不完全なファクシミリでもって飛行機に関する気象の情報をやるなんというのは、私はとんでもない話だと思うのですよ。それに、これは飛行機から送られてきたものですけれども、字がものすごく読みにくいですよ。これじゃとっさの間に合いませんよ。予報官がこれを全部頭に入れるのにずいぶんかかるだろうと思う。こんな不完全なもので、おいおい有線に直していきますなんて言いますけれども、事は人命に関する問題なんですから、少なくともこういう現象があらわれたらそれはやめて、有線なら有線に切りかえて、こういう電波の関係の影響を受けないような正確なものを送るようにしてからやるべきだと私は思うのです。それでなければ、予報官だってたいへんな御苦労だろうというふうに私は思うのですよ。  それで、あなたたちたいへん写りが悪くて見にくいということはお認めになっていらっしゃいますけれども、それはただあなたたち机の上にすわっているから、そんなこと平気で言えるのであって、実際にそれに基づいて管制官に気象情報を提供する予報官の苦労というものを、もっと真剣に考えてもらいたいと思うのですよ。  それから、ファクシミリで送ったもののほうが何かとても正確だというようなお話でしたけれども、私、現物をここに持ってきているのですよ、手がきの天気図とファクシミリのものと。これが手がきの天気図ですよ。これは予報官がテレタイプからいろいろ情報を得たものに基づいて刻々かいていくわけですね。ですから、非常に熟練度の要るものだと思うし、いろいろな技能とか能力とかが必要なものだと思いますよ。これですと、どこに雲があってどこに雷が鳴ったとか、そういうことが全部かかれてあるのですよ。というのは、この端が九州です。そしてこの端が北海道の函館くらいなんですね。ですから、かなり日本全体が大きくなっているわけです。紙も大きいし、かなり詳細にかき込むことができるのです。ところが、このファクシミリというのは、いままでの手がきの用紙よりも紙がはるかに小さいですね。それに日本列島がこのまん中に、十五センチもありましょうか、そういうものですよ。ですから、日本の国のどこに雷が鳴ったのか、どこに雲があるのか、そんなことわからないのですね。そうしますと、少なくとも日本の国内を飛ぶ飛行機が、こういう送られてきた大ざっぱなファクシミリの天気図とこの手がきの天気図と比べてみたら、これははるかに手がきの天気図のほうが正確であるし、パイロットにとっても信頼性のあるものだとわれわれは思うのです。それはいかがですか。
  213. 安斎政雄

    ○安斎説明員 お答えします。  実は、その図のほうを先生は強調されていらっしゃるわけでございますが、航空機の安全には、その図そのものよりも悪天に関する情報、たとえばどこに飛行機に影響のある雷があるか、あるいは乱気流がどこにありそうだ、あるいはどの飛行機がいつ乱気流をどこで経験した、そういうような情報が非常に大事なんでございます。そういう情報は、いままで国際的なレベルで広い範囲で発表はしておりましたけれども、きめのこまかさについて必ずしも十分でなかった、そういうことで、機長やディスパッチャーあたりから、もう少しきめのこまかい情報を提出してもらいたいという要望が強かったわけでございます。それにこたえるために、先ほど長官、次長からお話がありましたように、空域悪天情報というものをやったわけでございますが、空域悪天情報を随時管制官に提供したほうが、航空の安全におそらく寄与する度合いが大きいだろうというふうに思っております。  図に対しては先生のおっしゃるとおりでございます。その図から管制官が直接見るのではなくて、予報官がそれをそういうものに翻訳して管制官に提供するわけでございます。なお、図も必要なものではございますので、その図の解説、そういうようなものを——羽田の気象台がつくった図でございますので、そういうような図が悪かった場合には、羽田の気象台のほうから随時解説みたいなものを送るとか、あるいは場合によっては再放送などというようなことも今後考えていきたいというふうには考えております。
  214. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、かなりまだるっこしい話じゃないですか。いままでは管制官のすぐそばに予報官がおって、そして刻々入ってくる情報をもとに、いま言ったように手がきの天気図をつくっているわけでしょう。手がきの天気図をつくってやっていれば、かいているうちに全部頭に入っていくわけです。どこに雲がある、どこで雷が鳴った、ほらどこの気圧が幾らだ、どんどん自分でかき込んでいくわけですから、これは非常に頭に入りやすいですよ。このファクシミリで送られてきた天気図では、これは結果がかいてあるだけであって、その結果がどうして出てきたかというデータは何もないわけです。予報官としては、たとえばいろいろな気象状況の変化を正確に自分で予測していくためには、やはりこういう自分でかいた天気図をもとにしながらやったほうが正確にできるということは、これは間違いのない事実だと思うのです。事実そういう声がたくさんあがっているのです。それをあなたたちは、今度はこういう手がきの天気図はかかなくてよろしい、そういうふうに直したわけでしょう。それじゃ一体、航空の安全という観点からいってマイナスになっていやしないですか。あなたはさっきプラスになっているんだなんということを言いましたけれども、現場の予報官でそんなことを言う人はいませんよ。どうなんですか。
  215. 安斎政雄

    ○安斎説明員 かなり技術的なことの御質問でございます。実は、私も航空予報のほうは十何年担当して経験がございますが、先生からいまお見せしていただきましたその図というのは、地上の観測者が観測した資料を記入しました図で、いわゆる地上天気図というようなものでございます。もちろんそこにはどういう雲があるか、どこで雨が降っている、雷がどこにあるかというような情報はその天気図でわかるのでございますが、実は飛行機の安全に直接関係をする乱気流であるとか、あるいは着氷現象であるとか、そういうようなものはそういう図ではわからないのです。そういう図は気圧配置を示す図でございまして、直接どこに乱気流があるか、どこにアイシングがあるかというようなこまかいことはその図ではわからない(三浦委員「その図というのはどっち、手がきのですか」と呼ぶ)手がきでもまだ不十分でございます。(三浦委員「手がきならかけばわかるじゃないですか」と呼ぶ)いや、よくわからないのです。どういう雲が出ている、気温はどのくらいだということはわかるわけでございますが、実はかなりこまかくなりますが、乱気流であるとか、着氷であるとかいうような現象は、気象自身はそれを観測する観測網は持ってないわけです。もっぱらそういう観測値そのものは、飛行機が実際に体験したそういう観測値に基づいてやる。そういう観測値を監視をしてこそ初めてこまかい乱気流の予報であるとか、着氷の予報というのが可能なので、その天気図だけではそこまでできないのです。と申しますと、その天気図の利用度というのは、それは手がきのほうがいいにはきまっておりますけれども、そういう意味でそっちの乱気流、着氷、ひどい雷、そういうものがどこにあるかというようなことを監視すること、そちらを優先的に取り上げたいというのが四月一日からの大きな改正の趣旨でございます。
  216. 三浦久

    ○三浦委員 それはちょっと詭弁じゃないですか。乱気流の問題でも雷の問題でも、それは予報官にどんどん情報を送って、それで天気図にかき込ませたらいいでしょう。天気図に技術的にかくことができないというのであれば、予報官に覚えさせておけばいいでしょう。そして、絶えず管制官のそばにいる予報官が、管制官の要求に従っていろんな情報をどんどん提供していって航空機の安全をはかる、こういうのが一番いいんじゃありませんか。だから私は、何もそういう別の情報が提供されるということを拒否しているわけでも何でもないのですよ。ただ、この手がきの天気図のほうが、ファクシミリの天気図よりもより正確で役に立つ、このことをあなたはお認めになりましたから、それならなぜこの手がきの天気図をやめてしまって、こんなものをかくなということでかかせないで、そして不完全な——全くこれは古いデータでしょう。たとえば午後九時の気象条件が午前の一時二十分にならなければでき上がってこない、こういうものでしょう。そういう意味では過去の古いデータですよ。こんなものをもとにしていわゆる航空気象情報を提供していくというようなことは間違いだと私は言っているのです。やはりこの手がきの天気図を廃止しないで、これを基本にしながらファクシミリもまた参考にしながらやっていくようにすべきだ。それが航空の安全にとって重要なんじゃありませんかということをお尋ねしているのですよ。
  217. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 ただいまの先生のおっしゃるような考え方も私はあるかと思います。しかし、全般的に考えてみますというと、航空の安全ということに対して最もよくやるにはどうしたらよろしいか、それからもう一つの問題は、やはり仕事の合理化ということが多少はございまして、そういう点から考えて、従来と比較してどうかという比較の問題であろうか、こう考えるわけでございます。先ほど航空気象管理課長から申し上げましたように、悪天予想図のほうがパイロットには実際の役に立つのであろうかと思います。特に、乱気流を出します場合に、もちろんパイロットからの報告もございますけれども、このほかに高層のラジオゾンデやなんかのデータを計算で処理いたしまして、風の傾度なんかを勘定いたしまして、そういうようなことから推定するということもやるわけでございます。これは普通の一人の予報官がやったのではとてもできませんので、電子計算機を使いましてそういうことをやるようにしているわけでございます。そういう点でやはりまとめてやったほうがいい資料ができる、そういう関係がございまして、いまのような体系に持っていったわけでございます。
  218. 三浦久

    ○三浦委員 人の命を守るために人間を多少ぜいたくに使ったって、それはあたりまえのことですよ。万が一ということを考えて余裕のある人員配置をしておかなければだめだと私は思いますよ。上から人員を幾ら削減せいと言われて、それであくせく人間をどうやって削減しようかというようなことに頭を使うよりも、どうやったら正確な気象情報を提供できるか、そういう観点で人員なんかでもどんどん要求をしていく、そういう立場に立たなければならないのじゃないかと私は思うのですよ。それで、まだ電子計算機に基づいてファクシミリで送っているそっちのほうがいいのだというようなお話なのですけれども、たとえば航空会社のほうから、現在のプロッグ——これは予報図という意味でしょうね。現在のプロッグではフォーカーストとアクチュアルの差があり過ぎるので——これは予報と実際の天気という意味なんでしょうね。予報と実際の天気との差があり過ぎるので、実際の運航計画に使えるよう早急に改良してもらいたい、燃料節約中でもあり、現行のプロッグでは非常に問題がある、こういうようなことを航空会社から言われていることはありませんか。
  219. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 いまの御質問の前に、もう一つ先ほどのに関連いたしましてちょっと補足したいと思うのでございますけれども、パイロットにウェザーブリーフィングいたしますのは実は管制でございませんで、たとえば羽田の航空気象台あるいは千歳の航空測候所、そういうところでやっているわけでございます。このほうは別に人が減っているわけではございません。そこでやっておりますので、そういう点では変わらないわけです。管制のほうではおもに飛んでいる飛行機やなにかからの問い合わせやなにか、それから管制官がいろいろやっていく場合の参考資料としてやっているわけでございます。そういうような状況でございまして、パイロットにはいままでと変わらない、むしろいままでよりいい材料が行っている、こういうことでございます。  それから次のいまの御質問のことでございますけれども、これは航空会社で言っておりますのは私よくはわかりませんけれども、やはり予想でございますというと、これはある程度の誤差が出るのはどうしてもやむを得ないことでございます。もちろん計算機をフルに活用いたしまして精度をなるべく上げるように努力しております。前に比べますとだいぶよくなってきておりますけれども、やはり予報でございますので、予報に対して実況との食い違いができるということは、どうしてもやむを得ない点であろうかと思うわけでございます。その問題につきましてはよくわかりませんけれども、あるいは実況と飛んでいる飛行機との差を意味しているのかもしれませんけれども、その点がちょっとわかりませんのではっきりお答えしかねるのですけれども、予想につきましては大体そういったようなところで、これは技術的にやむを得ないことであろうかと思います。
  220. 三浦久

    ○三浦委員 まあ、当たらないのが天気予報だというようなお話に承れるようなお話なんですけれども、それは確かに予報ですから当たらないということもあり得ると思います。しかし、私が申し上げているのは、手がきの天気図をもとにしながらいろいろ情報提供をしておられたときと、電子計算機、ファクシミリを使っておやりになったときとで、どちらが当たるようになったか当たらないようになったか、こういうことなんですね。  それで、これはさらに続けてこういうことがいわれているのです。誤差を何らかの方法で修正したものを提供してもらいたい、こういう要望が航空会社から出てます。そうしてその次に電計——これは電子計算機の略だと思いますが、電計の再検討はできないか、そしてコンピューター化もけっこうだが、使えないプロッグチャートでは困る——これは予想天気図という意味ですね。コンピューター化もけっこうだが、使えない予想天気図では困る、こういうことがいわれているのですよ。こういうことを御存じでしょうか。
  221. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 ただいまの件、やはり予想でございますので、いろいろな問題点がございます。予想をやります場合には、昔でございますというと、予報官が判断をいたしまして、そして低気圧を動かしてやるとか、あるいは手がきの天気図を使ってやったわけです。それを最近になりますというと、電計を使って予想をつくる、こういうような方向に変わってきておるわけです。それでいろいろ比較してみますと、昔はまだ電計のはうまくいかない場合もございましたようですけれども、現在の段階でございますと、やはり電計を使ってやった予報のほうが一般的にいい結果が出るような結果が出ております。ただ、その誤差につきましては、これは予想でございますので、それがわかっておればもちろん正確な予報ができるわけなんです。その点が若干あると思います。  なお、いまの問題につきましては、現在いろいろ検討しておりまして、二月から新しい方法にいろいろ変えてきております。
  222. 三浦久

    ○三浦委員 二月からですか。
  223. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 二月からでございます。電計のプログラムのやり方を少し改善いたしました。
  224. 三浦久

    ○三浦委員 どういうふうに改善したか知りませんけれども、いま私がお話ししたのは、昔の話じゃないのですよ。去年の十二月二十一日に、これは東航の東管業務課というところが出席しています。それからあとKLMとか、それから全日空とか、日本航空とか、それからBOACとか、こういう航空会社側と懇談会をやっているのですね。この席でいろいろといま言ったような話が出ているのですね。手がきの予報図よりも結局電算機のほうが当たらないというのですよ。そうして、そういうことを言われて気象台のほうは何と答えているかというと、「機会あるたびに検討しているが、現在の時点ではどうしようもない。民航側から直接本庁に話してもらいたい。」こういう回答をしているのですね。ですから、先ほど長官は、十月に電算機を取り入れてファクシミリで送るようになった、こう言われたでしょう。そのあと十二月の二十一日にそれが非常にぐあいが悪い、全く当たらない、前のほうがよっぽどいい、コンピューター化もけっこうだけれども、何とか使えるようなものにしてくれないかというほどの苦情が航空会社のほうから出てきているというような現状だったのですよね。そして、これはやはり人員削減の一つの補完物としてこういうことが行なわれているわけでしょう。私は、そういうことに、やはり安全第一主義というためにある航空気象業務に携わる皆さん方が、少し軽率だったのではないか、ほんとうにもっとはっきり映るようになるまでそういう電算化は行なわないとか、電子計算機の性能のほうが手がきのやつよりもっともっと性能がいいという確認を得た上で電算化を行なうべきであったのではないかというふうに考えているのですね。  いま二月に若干の改善をされたと言われておりますけれども、私どもは、実際に仕事に携わっている人々からお話をお聞きしていますけれども、顕著な改善というものは全くないように聞いておるのですよ。ですから、私は四月一日からこの人員の削減というものを強硬に行ない、手がきの天気図の作成をやめてしまう、こういうようなことは私はやるべきではないのじゃないか、少なくともその正確さというようなものが確認されるまでの間は、人員削減はやめるべきだ、延期すべきだというふうに思うのですが、この点いかがでしょうか。
  225. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 ただいま先生のおことばがございますけれども、われわれの検討しました結果では、先ほどの電計を使ったのは、前からもやっておりまして、航空会社で言っているようなものとちょっと何か少し食い違いがあるような感じがします。
  226. 三浦久

    ○三浦委員 これはあなたたちの判こが押してあるのですよ、長官。第三十一回航空気象懇談会議事録というのがありましてね、気象庁の皆さん方の判こまで押してある。これは部内に回覧されたものなんですね。秘密のものでも何でもありません。これにさっき言ったようなことが書かれてあるわけなんですよ。それを踏まえた上で御答弁いただきたいと思うのですね。
  227. 安斎政雄

    ○安斎説明員 先生のいまの御指摘の点でございますが、十月にスタートして、十二月の懇談会というときに、各航空会社から御意見があがったということは存じております。議事録のとおりでございます。これは羽田の気象台が、羽田でやっている予報警報業務をよりよく利用していただくために、各航空会社と自主的にそういう会を持って、改善すべき点は改善しようという努力の会でございますが、その会でそういうものがあがったということで、さっそく電子計算機室の電子計算を担当するほうに持ちかけまして、それでその悪い部分——全般か悪いわけではございません、主としてそのとき強調されたのは、南のほうの風が弱く出るということだったのでございますが、その辺をプログラムを改正いたしまして、現状では上層の風で少なくもプラスマイナス十ノットぐらい——一〇%たったでしょうか、一〇%とかで実況と合うようになったという報告を受けております。今後もそういう会は重ねまして、そのプログラムを改良して実際に合うように努力をしていきたいと思っております。
  228. 三浦久

    ○三浦委員 まあ、この航空懇談会の中で、たとえば風速の問題についていまあなたが言われたようなことがやはり記載されていますけれども、しかし、それが多少是正されたからといって、この手がきの天気図とファクシミリの天気図とは質的に違っているのですね。ですから、私はただ、いま風向きの問題だけが是正されたからといって、これでもって電算機の正確性がためされたのだということには、私はならないというふうに思いますので、ひとつそこをよくお考えになっていただいて、航空の安全を第一に考えるという立場で、ひとつこれからも業務の遂行をしていただきたいというふうに思います。  次に、時間がありませんけれども、海洋観測の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  御承知のとおりに、日本というのは海に囲まれていて、海洋観測というのは非常に重要だと思うのですね。先月も、冷水域が非常に南下してきたというようなことで、たとえば養殖ワカメなどにも相当な被害がある。その原因がオホーツク海の流氷が流れ出したためじゃないかとか、そういうようなことが新聞に出ておりますけれども、この海洋気象観測が現在果たしている役割りですね、その必要性といいますか、これをお話しいただきたいと思うのです。
  229. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 海洋観測につきましては、気象庁としては大体三つあるかと思うわけでございます。  一つは、いろいろな天気の予報をやっていく場合、特に長期予報の場合でございますけれども、海の影響が問題になりますので、そういう意味で海の状況を知りたいということが一つの点でございます。  その次は、船の運航に対しまして、波が問題でございます。そういったようなことを予報するための基礎資料と申しましょうか、こういったことを調査することが第二の問題だろうと思います。  第三の問題は、これは気象庁だけの問題ではございませんけれども、海洋そのものの状況を調べるということでございます。この問題につきましては、気象庁だけでなく海上保安庁、水産庁、そのほかいろいろ関係がございますけれども、大体その三つでございます。気象庁といたしましてはいま申し上げた三つの点だろうかと思います。
  230. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、たいへん重要な役割りを果たしていると思います。たくさんお尋ねしたいのですがもう時間があまりありませんので、結論だけお尋ねいたしますけれども、海洋観測というのは、やはり定期的に毎年毎年同じところでデータをずっととっていくということが非常に重要な要素になるのじゃありませんか。
  231. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 これはいろいろございまして、そういうことが必要なこともございますし、もう一つは、海洋のいろいろな調査がございます。調査となりますと、これは必ずしも毎年定期的にやる必要がなくて、特別にほかの官庁とも共同いたしまして詳しく観測する、そういういろいろございます。
  232. 三浦久

    ○三浦委員 気象庁の今年度の観測船の運航費は、船舶運航費に計上されていますけれども、この中で、船舶燃料費もちゃんと計上されていますね。それで、燃料であるA重油を購入されているわけなんですが、これによりますと、予算は六千百三十七万四千円というふうになっておりまして、そしてこの予算の算出の基礎であるA重油の単価は、一リットル当たり十四円五十銭というようにお聞きしているのですが、間違いありませんか。
  233. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 そのとおりでございます。
  234. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、四十九年度というのは、A重油の値上がりというものを頭に入れないで予算を計上しているということになると思うのですが、この前三月十八日からA重油の価格が上がりましたね。あれを見ますと、一リットル当たり二十九円になっているのですよ。そうすると、ちょうど倍になっているのですね。四十九年度の予算をはじき出したときの単価の倍になっているわけなんですね。そうすると、いままでと同じ程度観測船が走るとすれば、これは予算が倍にならなければならないわけなんです。この予算のままでいきますと、いままでの半分しか観測船は走れないということになるのですね。これでは私は、重要な海洋観測の機能を果たすことはできないんじゃないかというふうに思っているのですが、この点についてどういうふうにお考えでございましょうか。
  235. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 予算につきましては、予算原案では幾分昨年よりふえておりますけれども、いま先生おっしゃいますように、非常に窮屈になっていることは事実でございます。ただ、やはり石油の問題は、一般的な問題といたしましてこれは節約すべき方向にございますので、そういう点はやはり考えていかなければいけないかと思っております。しかし、海洋観測も非常に重要なことでございますので、これを何とか考えていかなければいけない、こう考えております。それにつきましては、仕事の合理化と申しましょうか、計画をいろいろ考えまして、いままで二つの仕事を一緒にやることを考えるとか、それからもう一つは、観測の場合でございますと、いろいろな観測がございまして、船がしょっちゅう走っていなくても、とまってて観測するということもございますので、全般的なものとしては変えないようにしたい、こういうように思います。それからまた、どうしてもそれで足りない分につきましては、いろいろ問題はございましょうけれども、やはり予算のやりくりをいたしまして、若干そのほうを増加してやるというようなことも考えなければいけないかと考えております。
  236. 三浦久

    ○三浦委員 定期的に観測をしなければ、長期的な予測をやる場合に非常に困るというような観測もおありになるわけでしょう。そういうところについては、やはり前年度と同じように定期的な観測を行なっていかなければならないんじゃないかと私は思うのですけれども、いまのお話ですと、仕事の合理化やら予算のやりくりやらというお話ですけれども、そんなことよりも、いままでどおりの観測をやり、観測船を動かして、そして足りなくなったら予算措置を講じる、こういうのがやはり海洋観測に責任を持つ気象庁の立場ではないかと思うのですけれども、そういうことはお考えになっていらっしゃらないのですか。
  237. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 この問題につきましては、気象庁だけの問題でございません。全般的な問題であろうかと思います。現在の段階では、先ほど申しましたように、石油やなんかの非常に問題がございまして、どうなるかわからない問題がいろいろございますので、とりあえずはいま申したようなことで進んでいきたいと考えております。  なお、海洋に関しましては、観測も単に船で観測するだけでなく、衛星やなんかの観測というようなことも考えられますし、また海洋観測につきましては、気象庁だけでなく、海上保安庁、水産庁いろいろございます。そういうところともいろいろ提携いたしまして、いろいろな海上の観測に差しつかえないような方向でいろいろ検討していきたい、現在こう考えている次第でございます。
  238. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、いままでの仕事の合理化をやるなんということをおっしゃっているけれども、そうすると、いままで海洋観測を定期的にかなりやっていますよね、私資料いただいていますから。むだだったということですか。むだなことをいままでやっておったということですか、必要じゃないのに。重油が高くなって、予算措置が講じないから、じゃ海洋観測を合理化しましょうと、いままで五カ所やっていたのを二カ所にしましょうとか、そんなことができるような性格のものなんですか。やってもやらなくてもいいようなことをいままでやっておったということなんですか。あなたたちからいま資料をいただいていますけれども、たとえばこれは啓風丸ですか、本庁に啓風丸とか凌風丸とか二隻ありますね。それから函館、神戸、長崎、舞鶴、それぞれ一隻ずつ観測船がありましょう。これのずっと四十六年、四十七年、四十八年の運航計画、運航実績というものを調べてみたんですが、大体同じところに行っているんですね。たとえば啓風丸であれば四十六年、四十七年、四十八年、これは四月から五月にかけてやはり八丈島の東方で、これは約十五日から二十日ぐらいの間観測をやっているんですよ。それから五月から六月まで、これは約一月間ですけれどもオホーツク海のほうに行っているとか、六月から七月にかけては東シナ海に行っているとか、毎年毎年同じことをやっているんですね。これは同じことをやらなきゃいけないからやっておるわけでしょう。そうすると、どうも長官は、あまり行政官的な立場になり過ぎているんじゃないかとぼくは思うんですよ。重要なこの海洋観測にどうしても責任を持つんだと、それに支障のあるような障害というものは全部排除していくんだという、そういう気概を持って仕事に当たっていただかないと、気象業務をまかせるというわけにいかなくなってしまうじゃありませんか。私はやはり、四十六年、四十七年、四十八年におやりになったことと同じことをやっぱり四十九年度もやる、そのための予算措置も講じていくという立場をとることが大事なことだというふうに思いますが、もう時間がありませんので、この点について長官のお考えを承っておきたいと思うのです。
  239. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 いまの問題につきまして、やはり基本的な観測につきましては、これは前どおり維持していきたいと思っているわけでございます。ただ、中にはいろいろのものがございまして、先ほど申しましたように、いわゆる研究観測というようなものもございますし、そういうようないろいろなことがございますし、それから船の行き来やなんかの、何と申しましょうか、期間やなんかを変えるとかいうことをやっていけばある程度までいくんじゃないか、こう考えているわけなのでございます。先ほども申しましたように、足りない分につきましては予算のやりくりでやっていけるだろう、こういう見込みで現在そういう点を検討しておるところでございます。
  240. 三浦久

    ○三浦委員 最後に一問、これは長官政務次官にお答えいただきたいんですが、いまあなたたちのほうでは、たとえば、私は舞鶴に電話して聞いてみたんですが、昨年舞鶴では千八百海里走った、それを四十九年度は千三百海里に計画をし直すように、こういう指示を出しているということなんですよ。本来は十二月に運航計画がきまるんでしょう。それがまだきまってないわけですね、いろいろ御苦心されていると思いますけれども。そして長崎では、千八百海里昨年走った。四十九年度は千二百海里にしろ、こういう指示を受けているという、電話で私は聞いているわけです。そうすると、これは単なる予算の合理化というんじゃなくて、頭から二割か三割くらいばさっと航行距離を削減しろということなんです。こんなことは私は行なうべきじゃないと思うのです。やっぱり日本国民から付託された気象観測という重要な仕事ですから、これは誠心誠意やっていただくためには、こういうような通達は出すべきじゃない。これは一月の下旬にそういう指示が流されているようですけれども、こういう指示は流すべきじゃないと私は思います。この点についての長官政務次官のお考えをちょうだいして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  241. 高橋浩一郎

    ○高橋(浩)政府委員 いまの点は、指示というよりは、そういう問題があるので、そういった観測やなんかについていろいろ検討してみろという、何と申しましょうか内々の指示というよりは、相談と申しましょうか、というところでございます。全般的なことでございますので、観測はなるべく従来と質が変わらないように、いろいろ計画は立てていきたいと思いますけれども、やはり石油の問題ということがございますので、それを全く無視するわけにはいかないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  242. 増岡博之

    増岡政府委員 先ほど長官の話がございましたように、仕事の組み合わせを考えたり、あるいはまた、基本的なものを除いた研究に見合うもの、あるいはまた、各省庁との連絡による合理化、そういうことを行なうために、ある程度の航行距離というものが減らせるのではないかというような検討をしておる段階ではないかと思います。その指示があったかどうか、私は存じませんけれども、その点について、もしかりに基本的な問題がおろそかになるようなことがないように、私といたしましても調査、検討いたしてみたいと思います。
  243. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。
  244. 三池信

  245. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最初に、民鉄部長に、伊勢八王子線の問題についてお伺いしまして、それから国鉄問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、民鉄部長さんにお伺いをするわけでございますが、先般の分科会におきましても、公明党の坂口委員のほうから御質問がありましたから、概略御存じではあろうと思うのでございますが、どうも私どものほうのいままでの陳情を受けた状況、あるいは現場を調査したり、そういう感じからいきまして、どうもこの問題については、過去約十年になるわけですね、問題が発生してから。ところが、どうもその状況の把握がきちんと行なわれてないのじゃないかというふうに私は感じているのですけれども、この点は、現在の問題の発生、あるいはまた、その八王子線の成立の由来、こういうものについては十分御存じなんですか。簡単にひとつ。
  246. 中村四郎

    ○中村説明員 近鉄の日永から伊勢八王子に至ります八王子線の問題につきましては、ただいま先生指摘のとおり、非常に長い期間かかっておるわけでございますが、この間におきまして、一時この線を廃止してバスに代行しようということにつきまして、地元ないし会社間との話が行なわれ、その実施の問題につきまして細目の詰めなりあるいは当時の代行のバス、代行道路の整備問題とか、あるいは四日市の駅の高架問題とか、いろいろなことによりまして延引されておりました。その間地元の方からも、逆に四郷地区等を中心としましてこの線の存続の要望というものも強く出されてまいり、また、当時ありました当事者間の覚書等につきましても、これの訴訟というようなものも間に入りまして今日に至った次第でございます。
  247. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それではお伺いをするわけでございますけれども、いわゆる四日市という公害都市という特殊事情、これについてはよく御存じのとおりだと思うのでございますけれども、やはり海岸線に近いほうは、住居に適しないというような地域がかなりあるわけでございまして、そこら辺はだんだんと過疎状態ということになっております。したがって、四日市に住む人たちは、逐次山間部の方向へと移動していくわけですね。この八王子線の存続問題が起こったことも、やはりそちらのほうの住民が住居を求めて移転をする、人口がふえたというような条件、あるいはまた、学校がそこに三校存続するというような問題からこの八王子線の存続問題の提起があったわけでございますけれども、まずその地元の人たちが非常に問題にいたしておるのは、この八王子線は三重鉄道その他ということになって、近鉄に現在合併されておりますけれども、その成立は、あそこら辺の製糸業界が当初明治の時代に興りまして、そうしてその地元の人たちが資本を投じてつくった鉄道である。その後合併されたといえども、私たちはそういった意味権利があるではないかというようなことも言うておるのですけれども、そういう由来については御存じですか、簡単に知っておるか知ってないか。
  248. 中村四郎

    ○中村説明員 いまお話しのように、四十年に近鉄に引き継がれたわけでありますが、その前の三重鉄道、それから発祥の際におきまして、これは他の地区でも似たような現象があるわけでありますが、この鉄道につきましても、今先生がお話しのように、地元の方々の御尽力、御協力によって鉄道が敷設された、こういう経緯がございます。
  249. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこで、近鉄に引き継がれてから廃止問題が一応打ち出されたわけでございますけれども、この近鉄の営業姿勢の問題について、運輸省としての行政指導がちょっと弱いのじゃないか、こういうふうに実は思うわけですよ。これは近鉄が出しております笹川ニュータウンのいわゆる宅地造成をいたしまして、その申し込みに対するパンフレットの断片でございますけれども、近鉄けしからぬのは、そういうような廃止の方向、方針を打ち出していながら、この笹川ニュータウン造成の申し込みを受け付けるについては、明確に、ここに八王子線があるから、これは今後も非常に交通の便のいい地域なんだというパンフレットを出しておるわけです。そういうような営業姿勢というのは、一つはごまかしですよ。  それから、もう一点申し上げますと、ここには、これはそちらからいただいた資料でございますが、地図を見るとわかるのでありますけれども、この八王子線というのは、四日市の市道である日永八号線というものと交差しておるわけですね。それで踏切事故が一、二起こって、死亡事故まであったわけですよ。  なぜそういう問題が起こっておるか。私も現場に行ってみましたけれども、これは改善される前と改善された後行ってみましたけれども、ずいぶん長い期間にわたって道路の踏切を、いわゆる線路を横断するわけでございますから、その道路を三分の二程度にわざわざ狭めて、そうしてくいを打って、そこの通行を故意に妨げてあったというかかなり長い間あったのですよ。そういうような営業姿勢というものは私は非常にまずいと思うのですね。こういう二つの事件について、いままで調査の段階でできておりますか。
  250. 中村四郎

    ○中村説明員 御指摘の団地造成に伴ってのパンフレット等については存じておりませんでした。  踏切の問題につきましては、そのくいを打って狭隘にしてそういう状況を保持しておったということにつきましても、さだかに把握しておりませんでした。
  251. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうような姿勢が私は非常に問題だと思うのですよ。これはかなり地元からの抗議がありまして、やむなくこれはようやく撤去になったのでございますけれどもかなりの長い間そういう状況にあった。結局、何としても廃止をしなければならぬという意思が強く働いた。それは会社の方針でありますから、会社の方針は方針としてあると思う。地元の要望は要望としてあると思いますよ。そういうような姿勢というものを根本的に改めなければならない。その点はよく御承知おきいただきたいと思うのですね。それから、先ほど地元の人たちが資本を出して最初建設した鉄道であるということについても……。  これは政務次官のほうにお伺いするわけでございますが、この、私鉄の問題で、こういうような簡便的な鉄道というのはかなり各所にあると思うのですね。そういうような問題、これは国鉄の問題も当然関与してくるのですが、いわゆる鉄道を中心とした都市づくり、そういうものの考え方が私は一貫しておらぬと思うのですね。ですから、たとえば近鉄伊勢八王子線の問題がきわめて典型的な例になると思いますけれども、たとえば駅あるいはその他の交通網との関連、こういうものがきわめて不明確なまま放置されてきたわけですよね。あるいは、どこの県でもあると思うのですけれども、たとえば岐阜県岐阜市から美濃太田のほうへ進んでいる、これも近鉄かと思いますけれどもかなりの人が利用して通勤しておる。ところが、赤字路線というのでなかなか整備をしないわけですね。しかし、鉄道というものはその一線だけで営業が成り立っているものではないのでございまして、鉄道全体の収益の上からいろいろ整備をしていかなければならない問題であろうかと思うのですね。赤字路線ならば全然手をかけず、必要性はないのだというような姿勢はまずいと思うのですね。ですからそういう危険性もあるわけですよ。非常に狭隘な駅、あたかも都電あるいは市電クラスのそういうものがちょこっとのせてある程度のことでは、人命を守る意味からいって十分ではないし、また、雨が降ればみんなそこの露天のところでかさをさしてひしめき合っているというような問題については、私鉄であっても、どういう方針でやっていくのか、そういうようなものを改善するという方向を当然運輸省としても出すべきじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。
  252. 増岡博之

    増岡政府委員 私鉄といえども、公共交通機関としてその地域で役割りを果たしておるわけでございまして、まして御指摘のように相当乗降客があるということでございましたら、まずその安全性についても十分配慮を加えていかなければならぬわけでございます。これは御指摘のとおり、赤字、黒字に関係なくやらなければならないことであろうと思います。また、サービスその他の面につきましても、やはり公共機関としての使命に目ざめていただかなければならない面があろうかと思うわけでございます。全般的に申しまして、運輸省といたしましてもそういう私鉄の問題につきましては、十分その地元の実情その他を勘案いたしまして指導してまいりたいと思います。
  253. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 民鉄部長さんに要望いたして、私はこの問題はこれで終わりにするのですが、とにかくもう十年経過しておるわけですね。そう大きな問題でもないと私は思うのですけれども、こういう問題が十年間もかかってなおかつ結論が出ないということについては、まあそれは都市づくりというような問題もからんでおりますからむずかしいとは思いますが、やはりそういうものを活用していこうという前向きの姿勢で建設省と話し合うとか、県当局と話し合うとか、また私鉄を入れて話し合うとか、そういうような方向を早く煮詰めなければならぬと思うのですよ。十年経過しておるという状況でございますので、よくよくひとつこの点を踏まえて、解決への努力をしていただきたい。きょうは残念ながら時間がありませんので、この程度にしていまの問題は終わっておきますが、よろしゅうございますね。  それでは、時間がありませんから、さっそく国鉄の問題に移り、お伺いをいたしたいと思うのでございます。  総裁にお伺いをするわけでございますが、これは昨日、新幹線公害に対する具体策を国鉄が出したということでかなり大きな話題になったわけでございますが、私は、いまこの新幹線公害で一番問題になっております名古屋市の選出でありますから特に関心があるわけでございます。この新聞報道によりますれば、具体的な方策を示したけれども、これは実施要領ではない、基本的な考え方を説明しただけだというふうに報道されておるわけでございますが、もしこの報道のとおりだとすれば、具体的な実施要領というのはいつごろ結論を出し、お示しをいただけるものか、この点についてお伺いをするわけであります。
  254. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 公害の問題ははなはだ申しわけない問題なんで、おわびしておくのですが、昨日か新聞が書きましたけれども、あれは環境庁が、公害に対してこういう方策をとれといったような勧告がございまして、環境庁のその勧告を肉づけすればおよそ新聞で書いたような形になる、しかし、これを肉づけして現実にその数字を確定するとかなんとかということになりますと、これは運輸省とかあるいは環境庁、その他関係の方々の御意見もお聞きしなくてはいかぬということで、あれはまだそういったことも終わっていない、ただ肉づけをしたらああいう形になるだろうということでございまして、いずれにしましても、先生指摘のように、この問題はできるだけ早く片づけまして、地元の方の御了解も早く得たい、かように考えておりますので、そういった関係の方々の御了解を得べく非常につとめておるというふうに御了解願います。
  255. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうしますと、この実施要領についてはまだ期日が定まっていない、こういうふうに考えてよろしいわけだと思うのでございます。  そこで私は、この問題について、まず一つは、やはり住民サイドの希望というものも考えなければならない。御存じのとおり、訴訟団を組織して裁判に訴えるのだというようなことを言うております。しかし、また一面、新聞報道等を見ますれば、いわゆる騒音六十五ホン、それから幅三十メートルというようなことになれば、私たちも話し合う余地があるのではないかというふうに考えておったというようなこと、まあ、これも報道でございまして、真実を私、確かめたわけではありませんから明確ではありませんけれども、なお、さらにこれは地元の人たちとも話し合いの余地がある、こういうふうに考えていいものかどうか、あるいはこれがもうリミットであるものかどうか、そこら辺の基本的な考えはいかがでしょう。
  256. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 具体的に何メートルにするとかなんとかということは、先ほど申しましたように、関係の方々の御意向も聞き、御相談を申し上げなくてはいけませんけれども、結論的には、やはり被害を受けておる方々の何らかの形で御納得のいくような線を出したい、こういうことでございまして、いま何メートルならというようなことはまだお答えする段階まで至っておりません。
  257. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ですから、私もいま具体的な数字を御期待を申し上げているのではないのでありまして、なおこの実施要綱をきめるにあたっては、いろいろ被害を受けている住民の意見とか、あるいは地方自治体である名古屋市の意見であるとか、あるいは当然運輸省の御意見もありましょう、環境庁の御意見もありましょう、そういうものが、なお皆さんで話し合いをして——特に希望しておるのは、住民サイドの意見交換、それから名古屋市当局との意見交換、これを私希望しておるわけですが今後の実施要綱を決定するに際して、そこら辺がさらに意見の交換が行なわれるのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  258. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 先生指摘のように、そういった話し合いは是が非でもやって御了解を得たい、かように考えております。
  259. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはいろんな議論がありますので、私も時間が許せば十分やりたいところでございますが、いろんな問題はさておいて、特に当初は片側十メートルということがいま二十メートルというようなお話が、国鉄側の一つの意見として出ているようでございますが、これは都市の形成と非常に大きな関係があるわけです。たとえば、私の知っているところでございますけれども、工場騒音を防ぐために、かなりの敷地を持っている工場でございましたので、その住宅地に近いところに倉庫を建てまして、そしてそれを利用しながら、なおかつ防音壁の役目もする、こういうようなことで、住民サイドとかなり話し合いが煮詰まっていま解決の方向に行っておる、こういうようなところもあるわけでございますね。まあ、報道等によりますれば、新幹線で一番騒音で問題になっておるのは大体六十カ所くらいというようなことであるようでございますけれども、やはりこれは鉄道のレールそのものの防音対策も当然ございましょうけれども、これだけの緩衝地帯を設けるということは、これはやはり買収でいくわけですから、たいへんな経費を使うわけです。その経費を使ってなおかつ効果がなかったというようなことになりますれば、これはさらにまた問題は拡大をするわけでございますので、私は十分それを利用した都市づくりという点を詰めていかないとだめなんじゃないかと実は感じておるわけです。先般三木環境庁長官にもその点を申し上げたのでございますけれども、これは主として建設省の問題であろうというようなことでございましたが、私の意見には長官も賛意を表しておられたのでございますけれども、これは国鉄当局といたしましても、ただ拡幅して緩衝地帯を設けるのだというだけの問題では、これは姿勢として非常に弱い。やはり国と相談をして、当然その経費においても国の支出も期待をするでございましょうから、国鉄、それから国、それから地方自治体、そういうところでプランを練って、住民サイドの意見も聞いてというふうに、本格的な騒音地帯に対するそういういわゆる都市づくりの一環としての構想、そういう方向に行っていただかねばならぬのじゃないか、こういうように思っておるのでございますけれども、御意見を承ります。
  260. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 ただいまの御意見、全く賛成でございまして、実は建設省であるとか自治体あたりにもそういう話も持ちかけておるのでございますけれども、これはにわかに、勘ぐるわけじゃないんだが、負担をしょい込んだら困るというような御懸念も当然あるだろうし、話は必ずしもスムーズに進んでおりませんけれども、方向としては御指摘のような方向に進まざるを得ないし、進むべきだと私は考えます。
  261. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 政務次官、この問題はやはり国鉄だけで努力をしましてもなかなかむずかしいのですよ。具体的な都市づくりということになりますと、建設省と自治体との関連になりますので、これは全国に波及していく問題ですから、やはり運輸省なら運輸省が音頭とりになって、その三者の合体機関なり審議会なりをつくって、そうして建設的なやり方をしなければだめだと思うのですけれども運輸省としてはこの方向のリードをとるような、そういう立場でひとつ活動をするというようなわけにはまいりませんか。
  262. 増岡博之

    増岡政府委員 都市そのものの問題では、従来から建設省が中心でやっておられたわけでございますけれども、しかし、都市全体を縦断するようなこういうものにつきましては、国鉄はもちろん、運輸省としても相当な責務を感じなければならない問題であろうと思うわけでございます。ただいままだ十分な考えを持っておるわけでございませんけれども先生の御指摘もございますので、現在の制度で許される限りの範囲内でつとめてまいりたいというふうに思います。
  263. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは政務次官に要望を申し上げておきます。ひとつそういう方向で、運輸省が建設省と相談して一つのプランをつくるというくらいのほんとうに積極的な立場でやってもらいたい。それでなければ公害問題は片づかない。もしこれが成功すれば、そういうプランができて住民も納得するということになりますと、これからの新幹線公害にはこれが非常に大きな一つの指針になるわけです。そういった意味で提言を申し上げているわけでありますので、この問題はまた後ほどやりますけれども、ひとつ要望をいたしておきます。  それから、総裁にもう一つお伺いしますが、この公害を除去するためにはかなりの金がかかるということで、いわゆる騒音料というやつですか、この意見が若干あちこちに出ているわけなんでございますが、国鉄当局としてはそういうような考え方はあるのですか。
  264. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 騒音料と申しましても、これは飛行機なんかのお説だろうと思いますけれども、これは直ちに利用者にはね返るというような形になりますので、国鉄も、その財源をどこに求めるかというようなことには非常なむずかしい問題がございますので、まだ結論までは至っておりませんが、まあ苦悩しておるといったような状態でございます。
  265. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では、その問題はおきまして、国鉄の貨物サービスの問題について若干お伺いをするのですが、これは非常にこまかい問題で恐縮なんですけれども、非常にぐあいの悪いことがいろいろ起こっているわけなんです。というのは、いま全国各都市でいわゆる地番の変更というのをやっておるわけですね。私の調べた実例によりますと、九州から神奈川の相模原に荷物を送った人がいましてね。地番変更になって受け付けてくれない。それが一年前の話なんです。それでやむを得ず、たまたま一年後また九州へ行ったときに、そこから自分の勤務先に近いほうへ駅どめで送った。そしてその駅どめのところでいろいろ調べてみますと、これは五反田駅ですが、そこでもやはりそういうような窓口の地名変更がなされてないために、そこから配達することができないというような状況があるわけです。これは自治省に問い合わせをしてみますと、やはりかなり地名の変更が行なわれておりまして、要するに地名変更で、町名変更なんかは自治省も掌握しておらないらしいのですね。そのために国鉄の貨物の窓口が訂正されておらぬ。そういうことで、そういう町名はないからお送りできませんというようなことで断わられている、そういうケースが、私の想定でございますけれども、若干あるのですね。若干どころかかなりあるのじゃないかと思うのです。今後もそういうようなケースがふえるわけですが、これに対してどういう対処のしかたをしていらっしゃるのか、お伺いをしたいわけです。
  266. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 具体的なお尋ねでございますので私から申し上げますが、確かに、先生おっしゃいますように、非常に地番の変更が多うございまして、率直に申し上げて私どもも実は困っているわけでございます。地番変更がございますと、自治省に連絡いたしまして、それを私ども部内の広報誌に乗っけまして、これは全国的な問題でございますので、現場に通達するわけでございます。これが非常に数が多うございまして、現場の第一線では、それをのりとはさみで配達区域表というものに張りつけて、いろいろ対処しているわけでございます。それが非常にひんぱんになりますので、間々先生指摘のような事情が実はございます。これは率直におわびを申し上げますし、また、私どもは、この地番変更ももうそろそろ落ちついたころだと存じますので、区域表の改正を新しく印刷し直すということでもって体制を整えたいと思っておりますけれども、いましばらくそういうことに時間がかかりますが、もうちょっとふえんさしていただきますならば、全国に大体三千個所荷物を受け付ける駅がございますが、そのうちの大体千七百程度は配達区域の指定区域でございます。あと千三百駅程度が駅どめでございます。駅どめあての荷物ですと、地番の変更があるなしにかかわらず駅どめになってしまいます。その辺のこともございますので、十分に御指摘を体して対処したいと思っております。
  267. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がかれこれあと五、六分しかありませんから、まとめてお伺いをするわけでございますが、これはどなたに伺っていいかわかりませんが、再建十カ年計画の中に十一万人の合理化、こういう問題が盛り込まれておるわけでございます。この中に付随して起きてくる問題は、技術の進歩に伴ってだんだんと仕事が複雑になってくるであろうと思うのでございますが、そういった意味で新しい専門的な要員が必要になると思うのでございます。この十一万人の要員の合理化問題は、大綱をお伺いしますと、いわゆる配置転換ということで、首切りではないのだ、こういうような御説明が前回の国鉄運賃法の改正の審議のときにあったわけでございますが、こういう問題についてまず一つは、この前提になる近代化計画がなければ十一万人の要員合理化は進まない。そういった意味でどういう近代化の計画をお持ちになっているか。  それから、十一万人の合理化について当然具体的なプログラムを持っておられると思うのでございますけれども、その全貌について後ほどひとつ資料としてあかしをいただきたい。こういうふうにまず一点お願いをするわけです。  それからもう一点。国鉄の職員の問題を考えましたときに、いろいろな専門分野があるようでございます。その専門分野、国鉄の職員が従事をすべきいろいろな仕事があるわけでございますが、これも一つは委託化といいますか、他の業者を入れて業務委託をしていく、そういうこともあろうと思います。これに確たる方針があるのか。あるいは現在そういうことで成功している状況、問題がある状況、こういったことについて、もしおわかりならば教えていただきたい。  もう一点、最後でございますが、国鉄職員の仕事の内容について、どれがりっぱであり、どれがりっぱでないというような評価はあり得ないと思うのでございますけれども、特に下積みになっている人たち、極端な話をすれば便所掃除をやっている人たちとか、あるいはまた線路の保守に従事されている人たちが、黄色い公害でしばしば人間的意味での劣等感を感ずるという問題があるわけですね。そういうごく下積みの人たちに対しては、国鉄当局としても、こういう方向でそれぞれの労働の問題を評価していくんだという精神的、経済的な裏づけがなければ非常に気の毒な状態ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう下積み全般の方に対して、国鉄当局としてどういうような労働対策を立てていらっしゃるか、この点を第三点としてお伺いをしたいわけです。
  268. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 最初の人員削減の問題でございますが、国鉄は御承知のように毎年やめていく職員が相当おりますので、彼らが働いていたものを、技術だの何だのの進歩とか改善をはかりまして、彼らの労働力を漸次機械に置きかえていくということで、漸次人間を減らしていく。それで具体的に何年にどういうふうになるということは、技術の進歩を前提にしての議論なので、十年間ぐらいの再建期間中には、現在の技術の進歩の趨勢をもってすればあの程度はしぼれるのではないかという、一つの目標と申してはちょっと言いようが悪いのでありますけれども、そういうつもりでおります。  それから第二点の、だんだん仕事がむずかしくなっていく、技術が高級化していくんだが、これはどうするんだということなんですが、国鉄の内部には中央学園とかなんとかいう大学教育もやっておりますし、外部からもそういう専門職を少数でいいのですからとるということで、技術の進歩に追いついていきたい、追いついていかなかったらいかぬ、かように考えております。  最後に、下積みの——総裁の仕事はりっぱで下積みの仕事が悪いということではなくて、みんな与えられた仕事を一生懸命やっていくということが国鉄職員のあれでございますので、先生指摘のような気の毒な作業をなさるような方には、できるだけそれに報いるような待遇を考えていかなくちゃいかぬじゃないか。現在それで十分だとは申しませんけれども先生の御指摘のようなものに対しては、いろいろ待遇を考えたり、人のいやがる仕事はペイの面で何とかめんどうを見てやるといったようなことでもせざるを得ないだろう、こう考えております。ばぐ然とした答えでまことに恐縮でございますが……。
  269. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それらの問題については、また次の機会に十分お伺いをしたいと思います。  本日はこれで終わります。
  270. 三池信

    ○三池委員長 次回は、来たる二十二日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十八分散会