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1974-03-13 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十三日(水曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員   委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 太田 一夫君 理事 兒玉 末男君       井原 岸高君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    細田 吉藏君       宮崎 茂一君    山村新治郎君       綿貫 民輔君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       紺野与次郎君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         海上保安庁長官 佐原  亨君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     山田 英雄君         厚生省保険局企         画課長     山口新一郎君         運輸省海運局参         事官      浜田直太郎君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     松原 青美君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出第二八号)  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六六号)  航空に関する件(日航機不法奪取に関する問  題等)  陸運に関する件(地下鉄建設に関する問題)  海運に関する件(LNG船に関する問題等)  港湾に関する件(港湾の防災に関する問題等)  海上保安に関する件(海洋汚染防止に関する  問題等)  日本国有鉄道経営に関する件(地方交通線の  合理化に関する問題)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について調査を進めます。  この際、きのうの日航機不法奪取に関する問題について航空局長から説明を求めます。寺井航空局長
  3. 寺井久美

    寺井政府委員 昨日の日航機ハイジャック事件につきまして御報告申し上げます。  東京発那覇行き九〇三便ボーイング747SR型機、この飛行機乗客が四百九名と乗員十七名、合計四百二十六名が搭乗いたしておりましたが、昨日の午後一時二十分ごろ、那覇上空において、未成年の日本人男子一人に乗っ取られたという事件が起こりました。その後一時四十五分ごろ那覇空港に着陸いたしまして、誘導路上に駐機されました。  那覇空港におきまして、犯人は、五千五百万ドル及び日本円二億円、その他パラシュート、ロープ等を要求いたしました。また犯人は、午後三時過ぎに婦女子及び病人合計百六十二名を釈放いたしました。これらの乗客全員バスで市内のホテルに収容されました。その後犯人は、食料及び燃料の搭載を要求いたしましたが、午後八時八分ごろ犯人機内で逮捕され、残りの乗客も無事に釈放されました。犯人は、その後の調査凶器を所有いたしておりませんでした。  政府は、事件発生運輸省日航機ハイジャック対策連絡本部を設置いたしまして、運輸政務次官運輸省航空局監理部長警察庁警備局参事官現地に派遣いたしますことを決定いたしました。  また、現地沖縄におきまして、那覇空港事務所内に那覇空港ハイジャック緊急対策本部を設置いたしまして、きめのこまかい連絡体制を敷き、情報の収集、指示徹底に遺漏なきを期しました。  なお、この747SRに搭乗いたしました乗客検査は、羽田におきまして九時十五分から十時三十五分の間に行なわれましたが、この検査の過程におきましてエックス線透視機によりまして、不審な手荷物が二十三個ございましたが、これを開披点検したところ、凶器に類するものはございませんでした。  乗客、乗員全員無事に救出されましたことを心から喜びますとともに、関係各位の御協力に対しまして心から感謝の意を表したいと存じます。
  4. 三池信

    三池委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 三池信

    三池委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  6. 兒玉末男

    兒玉委員 航空局長にお伺いしたいわけでございますが、ただいま御報告のありました昨日の日航機ハイジャックに関してでございますけれども、結果的には大事に至らず、不幸中の幸いということが言えるわけでございますけれども、最近の頻発するこの事件から判断しますと、今後もこのような事件がさらに起こるという可能性はきわめて大きい。加えまして、今後国内線にもエアバスが就航するということで、すでに就航している面もありますが、ますます輸送量は拡大する、大型化することによってその被害もきわめて大きくなる。こういう点等から考えます場合に、特に航空当局としては、関係航空会社に対するこのような事件の再発を最小限に食いとめるという緻密な対策が必要であると思うわけでございますが、当面、この事件発生に関連して、因果関係を通じてどういうような対策をとろうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  7. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま先生指摘のように、この種のハイジャック発生いたします可能性というものが今後ともございますので、私どもといたしましては、ハイジャック防止緊急対策会議政府部内に設立せられまして、ここで決定されましたハイジャック等防止対策要綱に基づきまして、ハイジャック防止に対します措置を講じてきておる次第でございます。  過去のハイジャックの経験に徴しまして、四十八年度より乗客及び機内持ち込み手荷物安全検査機械化効率化をはかりますことを計画いたしまして、東京大阪をはじめ主要十六空港につきましてエックス線透視手荷物検査機並びに精度の高い改良されました金属探知機整備をいたしまして、これに必要な予算措置も講じておりますが、現在のところ全国で、東京大阪千歳、福岡、名古屋、宮崎、鹿児島、那覇、この八空港につきまして、ただいま申し上げましたエックスレイ探知機あるいは精度の高い金属探知機を設置いたしますとともに、必要に応じましてボディーチェック等も実施をし、このようなハイジャックに使われます凶器等持ち込み防止につとめておる次第でございます。  今回の事件は、調査の詳細をまたなければ確定的なことは申し上げられませんけれども犯人凶器を持っておらなかったという特異なケースでございまして、このようなケースをどのように防止するかという点につきましては、さらに検討をして対策を講じる必要がある、このように考えております。
  8. 兒玉末男

    兒玉委員 特に今回は凶器持ち込みということがなかったことは不幸中の幸いでございますが、こういうふうな凶器持ち込みが、いまは大阪とかあるいは羽田とか、かなりきびしい検査をしているようでございますが、このような機械の力をのがれてやる、そういうことも私は十分考慮されるわけでございますが、現在の機械の力によって完全に防ぎ得るものかどうか、その辺の技術的な点はどうでございますか。
  9. 寺井久美

    寺井政府委員 現在の設置されておりますエックスレイによりまして検査できますのは、金属はもちろんでございますが、形状等もかなり判明いたしますし、検査員能力の向上をはかれば、ある程度不審なものは摘発、摘出できるというふうに考えております。  ただ何ぶんにもエックスレイでございまして、爆薬等につきましてはなかなか把握しにくいというふうに聞いております。こういう点につきましても今後どのような検査方法をとるかというのは、さらに技術面開発と相まって検査方法を検討開発していかなければならない、このように考えております。
  10. 兒玉末男

    兒玉委員 特に、私のほうの郷里の宮崎空港等においては、まだまだ検査は係員がバッグを点検してやる、そういうような検査方法としてはきわめて非近代的なやり方がやられておる。ですから、少なくとも先ほど言われた十六空港でございますか、こういう点につきましては早急な対策整備すべきだと思うのですが、その計画についてはどうなっておりますか。
  11. 隅健三

    隅説明員 いま先生の御質問の十六空港についていつまでに設置ができるかという御質問でございましたが、さっき局長説明したかと思いますけれども、四十八年度の予備費からの支出を加えまして大体三億七千万の金がございます。もう三月もわずかでございますが、われわれといたしましては、年度内にこの十六空港について全部エックス線手荷物検査装置新型金属探知機のセットを設置する予定にいたしております。
  12. 兒玉末男

    兒玉委員 早急な整備を強く要望します。同時に、現在いろいろな事故の経過等見ておりますと、ハイジャックが起きてから飛行機の中におけるスチュワーデス操縦士連絡という点等について、そのような対策というのはとられてないのじゃないか。たとえば、部屋が隔離されておりますから、一ぺん一ぺんスチュワーデス操縦席に行って連絡をしなくてはいけない。そういうことではなくして、何か記号とか暗号とか、そういうような非常の事態に、そういう危険な状態発生した場合に、部屋が隔絶されておりましても、スチュワーデスとパイロットの間において容易に連絡ができるように、飛行機内の構造等についてもこの際検討する必要があるのじゃないかということを、常識的な判断として私は考えるわけでございますが、それらの点についてはどういうふうに考えておられるか。  それから第二点は、一般乗客が運ぶところの手荷物については、携帯するのじゃなく手荷物等に託送する分については、現在どういうふうな検査体制がとられているのか。この点は、爆発物等持ち込みということが手荷物託送として行なわれる危険性ということも、この際十分検討する必要があるのじゃないか、これらの二点についてお伺いします。
  13. 寺井久美

    寺井政府委員 まず第一点の、機内客室乗務員といわゆるコックピットクルーとの連絡でございますが、これは電話回線といいますか通信ができるようになっておりまして、外からも当然コックピットクルー連絡ができるようにはなっております。  ただ、先生指摘のように、客室内で非常事態発生したという場合に、どのような連絡方法をとっておるかということにつきまして、私つまびらかでございませんが、当然スチュワーデスならスチュワーデス電話連絡をできるシステムになっておると了解いたしております。ただ、その連絡方法、今回のケースのようにあまり問題なく犯人が機長のコックピットに入っているというようなこと、これは日航乗組員に対する指示が、乗客の安全を第一に考えまして、犯人にさからわないという指導をいたしておりますので、そういう結果になったかと思いますが、どういう体制になっておるかという点につきましては、後刻また御報告さしていただく機会があるかと思いますけれども、御指摘のように十分その辺も改善をはかる余地があるかもしれませんので、この点は検討さしていただきたいと存じます。  それから第二の点でございますが、チェックインをする手荷物、これも原則としては、開披して中身は何ですかということで確かめた上で受け付けておるという状態になっております。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 せっかく警察庁からお見えでございますが、なかなかこの乗客取り締まりといいますか警備というのはむずかしい問題であろうかと思うわけでございます。特に人権の問題もありますけれども、やはり過去の例から見ますと、全く無関係な善良なる客がこのことによって非常な損害なり死傷を加えられておる。こういう点等から、取り締まりの衝に当たる警察庁として、現在主要な飛行場で、あるいは地方における飛行場を含めて、今度の事件を例としてどういうふうな対策をとっておるのか、また、今後のハイジャックに備えて広範な警備体制といいますか、あるいはそのような状況等の把握というものをどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  15. 山田英雄

    山田説明員 警察といたしましては、全国六十空港あるわけでございますが、平常時におきましてもハイジャック警戒のために約五百人の警察官を、そのための警戒だけに空港に配置しております。重点はやはり、ただいままでお話がございました手荷物に対するチェック、これの徹底重点でございます。各航空会社運送約款を担保していただくためのガードマンによる自主警戒措置、これは最近においてはエックス線透視装置あるいは金属探知機ということでかなり機械化されてきておるわけでございますが、そのバックアップといたしまして、警察官の専門的な職質能力をフルに活用いたしまして、実は四十八年度におきましてもエックスレイ装置が導入されない段階におきまして、全国で一万九千百二十九件という危険物件の一時預かりその他の措置をとっておるわけでございます。  また、昨年十二月十七日に起きましたローマ国際空港におけるハイジャックといいますか、飛行機爆破といいますか、そういうテロ事件経緯にもかんがみまして、手荷物チェックというだけではなしに、空港地域全体に対する警戒危険人物の徘徊なり接近なりの警戒ということにも重点を置いてやっておるところでございます。  いま申し上げましたのは平常時の措置でございまして、情報がありましたようなときには、従来からも随時関係県警察に通達いたしまして、要員の増強配置を行なって警戒の万全を期しております。  また、ハイジャック事件が外国において起きました場合、あるいは昨日のような一つの県において起きた場合におきましても、空港を管轄する警察には、飛行機の再び立ち回りその他に対する警戒を含めまして、臨時増強配置を行なっております。昨日の場合も、ジャンボ機が着陸可能な羽田千歳、板付、伊丹の各空港につきましては、それぞれ約五百人程度増強配置を行なって警戒についたところであります。  それから、警察としてのハイジャックに対する処理の基本方針でございます。昨日の例もその例に漏れないわけでございますが、やはりただいま御指摘乗客の安全を第一義に行動するということを常に鉄則としてございます。そのためには、昨日も、犯人が単数であるかどうか、凶器を持っているかどうかということを、機内警察官を入れまして十分に確かめた上で検挙措置を講じた次第でございます。今後においても、事前の未然防止措置あるいは検挙措置警戒措置についても万全を期してまいりたいと思っている次第でございます。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に、これは警察航空局に聞きたいわけですけれども、これから非常に大型化されますと相当多数の客が乗るわけです。国鉄の場合等もその犯罪予防あるいは犯罪発生に対して、非常に評判は悪かったわけですけれども公安官警乗ということをやっているわけですが、特に航空機の場合は、特異な隔絶された状況下に置かれるわけですから、やはり若干の、こういうふうな機内における治安といいますか、生命財産の保護という点から、各便というわけにはいかぬでしょうけれども、一定の期間ごとでも警乗ということをこの際検討することも決してむだではないのではないか。この点についてどういうふうな見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  17. 寺井久美

    寺井政府委員 航空機内に警乗と申しますか、いわゆるエアマーシャル的な警乗員を乗せるということにつきましては、過去においてもいろいろ議論をされまして、利点、欠点がございます。特に機内で格闘等起こりまして航行の安全に支障を来たすおそれがあるということでございまして、現在のところは、一応犯人の言うことを聞いて乗客の安全をはかるというのがまず大切である。機内犯人を逮捕する、あるいは格闘が起こるような状態というのは好ましくないということで、一応政府部内はそういう考え方になっております。しかし、先生の御指摘の点もございますので、これはさらに今後の実態等考え合わせて検討すべき課題であるというふうに考えております。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 航空関係はこれで終ります。  次に、国鉄に対してお伺いしたいと思います。  国鉄合理化計画一環として提起された問題であり、先般分科会等においても、特に合理化一環としての貨物駅の取り扱い廃止ということが指摘されておったようでございますが、特に赤字線区といわれる地域貨物輸送ということは、やはりこの十数年間自動車輸送増強に伴って鉄道部門による貨物輸送量が低下していることは現実であります。特に大分管理局と熊本の管内において、現在新線建設一環として問題となっている高森線高森駅と従来の日ノ影線でありますが日ノ影駅の貨物扱いが近々に廃止される、こういうことについていま地域住民の間においては、特に日ノ影の場合は、現在の延岡を結ぶこの高千穂線で一駅しか扱っていない。しかも開業以来すでに三十四年の歴史を持っているわけでございまして、これから全線の開通によってますます貨物輸送の需要ということは増大するのではないか。しかもこれが廃止に伴って地域住民がこうむる不便というものははかり知れないものがあるんじゃないか。こういう今後のいわゆる開発が予想される地区において、しかも地方議会等においては、昨年の十二月二十日でございますか、満場一致廃止反対決議もし、さらにその後県等に対してもこの要請がなされておるにもかかわらず、町長同意によってこれが近々に廃止がきまるという問題が提起されておりますが、国鉄当局としては、一体これにどういうふうに対応し、いままでの経過を含めてどんな対策を考えておるのか、これについて見解を承りたい。
  19. 伊江朝雄

    伊江説明員 お答えを申し上げます。  御指摘の線は、延岡から五十・一キロ高千穂駅に至るローカル線でございますけれども、これは昭和三十五年ごろにこの沿線から非常に鉱物資源が出まして、一日に三百トンの扱いということであったわけでありますが、その後、先ほど先生の御質問にございましたとおり、トラックへの転移——とにかく延岡まで四十キロ弱でございますので、道路も並行して非常にいい道路があるということで、ほとんど大部分貨物トラックに転移いたしまして、その結果、現時点では一日にわずか三十五トンということになっております。したがいまして、私どもは、全線出荷が三十五トン程度であるということになりますと、そのための列車の回数というものがやはり旅客列車を圧迫しちゃいけない、しかし一日三十五トンあるわけでございますから、営業線でございますので何らかの形でやらなくちゃならぬということで、実は二日に一回貨物列車を運転している、こんなような状況でございます。しかしながら、漸次そういった減少傾向があり、将来とも出荷の増ということが見込めませんので、荷主あるいは地元の皆さまに御了解いただきまして、この三月の末をもって貨物取り扱い廃止したい、その廃止の結果荷主皆さまには若干横持ち距離の伸びがございますが、大部分荷主の方につきましては御了解いただいたわけでございます。  また、経緯はどうかという御質問でございますが、経緯につきましては、昨年十二月に、なるほど町から反対決議の陳情がございましたけれども、明けてことしの一月に、関係日之影町長高千穂町長五ケ瀬町長から、廃止につきまして条件つきの項目を付しまして同意書が出た、かような経緯をもちまして私ども運輸省営業廃止の許可の申請をいまやっておる、こういう状況でございます。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 いま経過をお聞きしたわけでございますが、現在、町においては、沿線を含めて賛成、反対のいろいろなビラ合戦なりPR合戦が展開されているわけです。しかも私の手元へ参った書面によりますと、地域住民の半数以上が、それは困る、こういう署名も出ている、こういわれておるわけです。私は、一般的な集統廃合の場合と違いまして、これから国鉄が相当の資金を投じて高森を結ぶ建設途上にある。そうした場合の今後の経済的な地域発展という点からも、これはやはりもう少し慎重を期すべきじゃないか。  もう一つは、日ノ影という点でなくして高千穂線全体が貨物が全く運行しない。しかも、いままで毎年、聞いておりますと、集中豪雨等の災害によりまして、国道線運行停止一般自動車輸送等停止ということも再三あるわけです。そうした場合にはやはり国鉄に依存する以外方法はないという特殊な事情もあるわけです。私も国鉄マンとしてこの線には何べんも行ったことがありますが、そういうような状況を考えます場合には、点としての廃止じゃなくしてラインとしての廃止ということは、やはり国鉄当局としても慎重な配慮が必要である。  なお、県議会の中に設けておりますところのいわゆる国鉄空港特別委員会では、この資料によりますと、町の広報では、これは満場一致同意を得たということになっておるようでありますが、昨年県議会の議長に問い合わせしたところ、これは全く誤報だ、特別委員会では決議しておらない、こういうことも実は確認されておりますし、もちろん宮崎県内全体としても、国鉄関係あるいは航空関係については最大限の協力をしていない、こういう点等からも、やはり住民の意向というものは十分これが尊重されてしかるべきではないか。  それから、条件として下関工事局の責任において、現在簡易線でありますが、これを昇格するために二十億程度予算を投じて改善をするということがいわれておりますが、一体これは具体的にどういうような計画が行なわれるのか、同時に、これの廃止に伴ってそういうような異常事態等におけるいわゆる生鮮食料品、木材、セメントあるいはこのような関連物資等輸送ということは、どういうような対応策を考えるのか、こういうような今後のいろいろな事態に対応する対応策というものを、私はやはりこの際、住民の不安がないように考えてやるのがほんとうのあり方じゃないかと思うのです。こういう点等についてどういうような見解をお持ちなのか、お伺いいたします。
  21. 伊江朝雄

    伊江説明員 まず、御質問にお答えします前に、なぜ貨物営業廃止するかということにつきまして、先ほど舌足らずでございましたので一言つけ加えさせていただきます。  御承知のとおり、この四月から日豊線が電化いたしまして、あの地域にある蒸気機関車が全廃をいたします。したがいまして、現在高千穂線には蒸気機関車一両をもって貨物輸送をやっておりますが、これも廃止いたすというかっこうになりますと、ディーゼルロコモーティブ、DLがそこへ投入されるのには線路が弱い。先ほど先生指摘の、簡易線であるという事情にも一つの大きな原因があるということをつけ加えさせていただきます。  それに関連いたしまして、工事計画はどうかという御質問につながると思いますが、いま具体的に二十億という数字先生からの御質問の中に出ましたが、私どもとしては、二十億という数字は実はまだ予算上計上いたしておりませんし、それにまずこの線を強化するということは、どういう輸送体系をとるかという一つの目的を持たない限り投入はできないわけでございます。  現在御指摘線路を強化するのはどういうことかということにつきましては、若干古い、昭和十四年の開業が一部ございますので、三十年以上の経過をたどっておりますから、橋梁が多少老朽化いたしております。これを取りかえるということを中心にし、またカーブその他が非常に多うございます線区でございますから、そういったものについての強化をするということでございまして、いまの御質問の中身は、貨物輸送を大型のディーゼル機関車を入れて再開するというための現在線の強化ということにおとりいただいては実は困るかと思います。したがいまして、将来私どもはこれが高千穂高森とを通じまして熊本と延岡が非常に近接する短絡線になりますので、将来は観光客を主とした旅客輸送の短絡速達効果をこの線に持たせたい、こういうふうに考えております。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 あと二点ぐらいで終わりますけれども、日之影町が広報として出しているこの中に、こういうことが書いてあるわけですよ。「条件とは」ということで、「廃止については諸般の事情から止むを得ないものと認め同意する。「ただし在来線の改良をすすめるとともに旅客輸送改善について努力し、将来の貨物取扱については、輸送の需要の動向により検討協議する」」こういうふうに書いてあります。それからさらに、「条件は、このような表現になっておりますが、在来線の改良は二十億円で、高千穂線全線開通の前期に下関総局の」これは工事局の誤りと思いますが、「責任において実施する。」こういうようなことが、地元の町の広報紙に明白に書いてあるわけです。  これは、住民については、いま常務理事が言われた点とは若干見解の違いがあるのじゃないか。ですから、それらの点を含めて、こういうようなことが活字として出されている以上は、それは住民がこの際残してもらうように運動しようということは、私は常識論としてもうなずけるし、現在すでに高千穂までの営業開始によって確かに旅客も相当ふえております。そういうふうに、今後経済線としても、あるいは観光線としても両立する路線だ、まして高森ともつながることによって、ますますその地位は高まっていくのではないか。まあ江藤先輩もおられますけれども、特にここは森林資材の多いところでありまして、貨物輸送の比重はふえても決して減ることはない。こういう地域性等含めて、当局としては再検討すべきだということを私は強く要望して、この言っているところの件について再度常務理事見解を求めたい。要望としては再検討を強く私は要望したい。
  23. 伊江朝雄

    伊江説明員 御指摘のとおりでありまして、やはり需要の発生に応じまして私ども輸送の体系を組み立てる、これが基本原則でございますから、将来貨物の需要が非常に多いという場合には、いままでの経緯にこだわることなく、これは輸送をしたいと思っております。  しかしながら、需要に応じての輸送体系ということを申しました前提には、現在非常に旅客輸送が多うございまして、貨物輸送は、先ほど申しましたとおりの数字で非常に微々たるものであります。将来、現在の線ではふえる見込みはないだろう、しかしこれが高森と通じました段階で貨物がどの程度ふえるかという需要の予測は、ある程度は立ちますけれども、それにいたしましても、現在以上に大幅に貨物輸送を強化しなければならぬという数字に実はなっておりませんので、いまのところ私どもとしては、全線開通いたしました時点においては、線路の強化はもちろん当然でございますけれども、旅客輸送を主体にして考え、そして需要の発生を見ながら、貨物輸送ということも将来としてはあるかもしれない、こういうことでございます。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 では最後に、今後の在来線の改良で二十億という資金を投入するについては、当局としてはその数字は知らない、こういうふうに理解しますが、ここに活字としてあがっておる以上は、全く架空の数字ではない、こういうように私は判断をします。ですから、在来線の改良については、その目安と二十億という数字の根拠について、どういうところでこのような数字が出たのか、当局が調べた上であとでひとつ報告をしていただきたいということを要望して、終わります。
  25. 三池信

    三池委員長 金瀬俊雄君。
  26. 金瀬俊雄

    金瀬委員 三月十二日の新聞に「成田空港の早期完工を」という表題で、田中総理から徳永運輸大臣に対して、成田空港の暫定パイプラインの出水事故について報告を求めたということが載っています。そういう事実がありますか。
  27. 寺井久美

    寺井政府委員 私、大臣から直接伺っておりませんので、事実関係をちょっとお答えいたしにくいわけでございますが、そのような話があったというふうに伺っております。
  28. 金瀬俊雄

    金瀬委員 総理から、成田空港の問題についてそういう指示があったということを聞いておるということでございますので、そのことに関連して御質問いたします。  成田空港の暫定パイプラインの建設現場、特に寺台地区に出水事故が発生した。運輸省ではそうした事実を知っているかどうかということが第一点。  第二点は、なぜこうした事故が起きたかということ。  第三点は、事故現場の周辺は昔から掘り抜き井戸がたくさんある場所なんですよ。地下水量のきわめて豊富な場所ですが、工事を施行する前に地盤の調査等をやったかどうか、もしやったとすれば、その調査そのものがきわめて不備であったのじゃないかということが考えられますが、その点についてお答え願いたい。
  29. 隅健三

    隅説明員 お答えいたします。  暫定パイプラインの寺台地区におきます、ことに根本名川の予定河川の地域において立て坑を掘っているときに水が出たという報告は、運輸省といたしましては受けております。その原因につきましては、詳細つまびらかにいたしませんけれども先生御承知のように、あそこは根本名川がございまして、さっき仰せのとおり地下水の非常に豊富なところであります。その地下水層に立て坑の工事のときに、そこに掘り当てたと申しますか、そういうことだろうと思います。  それから、事故現場については、掘り抜き井戸が昔からたくさんあったというお話でございます。この地質調査につきましては、工事にあたりまして、空港公団といたしましては相当の数のボーリング調査をしたように聞いております。その調査が不備であったかどうかにつきましては、いま手元に調査の資料がございませんので、後はどそのボーリングの調査結果について御報告に上がりたいと思います。
  30. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、そのボーリング調査の資料というのはあとで提出していただけますね。
  31. 隅健三

    隅説明員 地質調査につきましは後ほど提出いたしまします。
  32. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この事故対策として、公団ではその近くに二十四メートルの井戸を二本掘ることによって地下水の水位を二メートル下げる、そうしたことによって工事を進めたいということを言っているようですが、そのことについて、二本掘ることによって二メートルの水位が下がるという保証は全くないんですよ。下がるということは考えられないという。そこの井戸を掘っている井戸屋さんに聞いたら、とりあえず二本ばかり掘ってみる、だめだったらたくさん掘るという。そうすると、その辺の地下水の水系について全然公団が知ってないんじゃないか、めくらめっぽう掘っているんじゃないかということが考えられるし、それからその近くで国道のインターチェンジをやっているのですよ。これを請け負っている会社が三井建設、そこの現場の主任の人に聞いてみたら、このままで地下水を掘っていられると、自分のほうが沈下してだめになっちゃって、工事ができないと発表しておるのだよ。インターチェンジができないと言っているんだよ。これをどうするつもりか、そのことについて何かおたくのほうで対策があったら言ってみてくれませんか。どういう調査で、どういうふうに掘って、どういうことをやっているかということがわからないわけです。
  33. 隅健三

    隅説明員 現場で、国道五十一号線を越えましてインターチェンジの工事が行なわれていることは十分私といたしましても存じておりますが、いま私の手元にございますのは、先生が御指摘のとおり、二十四メートルの井戸を二本掘ってその対策に充てるという報告を受けているところでございまして、その点、二メートルの水位が下がるかどうか、あるいはさらに補完的な対策を講じるか、あるいはこのインターチェンジの地盤沈下が起こるかという点については、現在調査の結果を詳細に聞いておりませんので、後ほどお答えをさしていただきたいと思います。
  34. 金瀬俊雄

    金瀬委員 結局、ここの工事そのものが、ボーリングとかいろいろな調査がきわめて不十分のまま施工されたということになるわけですよ。それで、そのことについてきのう成田の長谷川市長が公団に対して、井戸を掘ったりすると地盤沈下が起こるおそれが十分あると、その上農業用水や飲料水の枯渇をもたらすことになりかねないので中止をしてくれということを申し入れたということがいわれていますが、その点について、これは確かに公団に申し入れしているわけです。
  35. 隅健三

    隅説明員 長谷川成田市長が公団に対してこの工事の中止を求めたことについては、私、きょう出てくるまでその報告を受けておりませんです。ただ、小川国彦県会議員が、この点についていろいろ見解でございますか、成田市長に対してこの工事の中止を求めたということは、私は新聞で拝見いたしました。
  36. 金瀬俊雄

    金瀬委員 長谷川市長は、工事の中止じゃない、井戸を掘ることを中止してくれということを申し入れたというのですよ。だから、井戸を掘ることを中止するということは工事を中止することにつながるわけだけれども、とにかくそのはっきりした原因がつかめないまま工事をやることは困るということを申し入れしていますので、その点についてひとつ十分な検討をして、あとでこれは知らしてください。
  37. 隅健三

    隅説明員 十分調査をいたしまして、後ほど報告さしていただきます。
  38. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それから、運輸省の当初のいろいろな予測によって、国際線の全便が成田に移行した後の羽田空港は、国内便だけでも昭和五十一年度には処理能力の限界に達するということをいわれています。そういうことが事実であるかどうか。おたくの出した資料によると、昭和五十一年になると、国際線が成田に引っ越したにしても羽田が満タンになっちゃうということをいっているけれども、それは事実かということです。
  39. 寺井久美

    寺井政府委員 成田計画当時、その後需要予測をいたしまして、その結果、現在羽田に就航いたしております国際線を成田に移しましても、需要増から見ますと、羽田空港はまた現状のように一ぱいになるという予測をいたしましたことは事実でございます。
  40. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、成田ができても羽田が満タンになる、そういうことで運輸省の中の大臣官房の中にプロジェクトチームができて、そこで内部的に、運輸省の内部として羽田空港の拡張計画が検討されたという話があります。それが事実であるかどうか、その点について御説明願いたい。
  41. 隅健三

    隅説明員 いま先生の御質問は、羽田の拡張計画運輸省のプロジェクトチームで検討しているかどうかという御質問だと思いますけれども、われわれといたしましては、昨年の十二月二十七日に環境庁から航空機騒音に係る環境基準が勧告されまして、これに基づいて各空港を所定の期間内に基準を守れるようにするのにはどのようにしたらいいかという点を検討していることは事実でございます。この点につきまして、羽田空港もその一つでございまして、沖合いに対して埋め立て地を利用して空港をつくった場合にはどのような騒音コンターが描かれるかということについての事務的な検討を開始をしたことは事実でございます。
  42. 金瀬俊雄

    金瀬委員 羽田空港の拡張を検討したということが事実であるということに基づいて御質問しますが、この中で羽田空港の拡張計画に対する調査が、日本空港コンサルタント——せんだって参考人に出てきた秋山さんの会社、この会社に委託したという話がある。外注されているという話があるけれども、それは事実かどうか。
  43. 隅健三

    隅説明員 手元に資料がございませんので、その点つまびらかにいたしませんけれども、私の記憶では、潮流であるとか、航路であるとか、そういうような予備調査の委託をした事実があるかもしれません。この点、手元に資料がございませんので、これも後ほど御報告させていただきたいと思います。
  44. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはおたくのほうで調査委託した事実があるんですよ。だから率直に、委託したら委託したと、予備調査とかなんとかうまい名前言わないで、ちゃんとはっきり、委託したら委託したと言えばそれでいいです。  それから、運輸省航空局の名前で「東京国際空港拡張計画報告書」というのが昭和四十七年三月の日付で出されていますね。その出されている報告書は、日本空港コンサルタントでつくったといわれています。これは緑色のパンフレット。これは事実かどうか。
  45. 隅健三

    隅説明員 羽田の沖合いに対して飛行場をどのように計画と申しますか、置いたらどうなるかというような調査結果をまとめたパンフレットは事実でございます。
  46. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そのパンフレットを日本空港コンサルタントに依頼してつくらせたものかどうかということを聞いているんだ。
  47. 隅健三

    隅説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、正確な資料がございませんので、直ちに連絡いたしまして、後ほどお答えいたします。
  48. 金瀬俊雄

    金瀬委員 毎日新聞に「羽田空港、沖合に移転」と題する記事が出ましたね。これに載せられている図、これはNHKでもニュースで放映したんですよ、ぴったり同じことを。そうすると、運輸省が考えている羽田空港の滑走路の配置図、そうしたものはさっき申し上げた報告書に基づいていろいろ検討した具体案の中の一つであるかどうかということです。簡単に言うと、毎日新聞に出された案というようなもの、あるいはNHKでニュースで出した案なんというのは、いま運輸省で検討しているものかどうかということです。
  49. 隅健三

    隅説明員 現在の新聞報道あるいはテレビに放映されました絵は、われわれといたしましては、いろいろ絵をかいてまいりました。これは先ほど申しましたように、騒音コンターの点で滑走路をいろいろ曲げてみて、そうして陸上にできるだけ騒音が及ばないような滑走路の向きの検討を事務的にしております中の一つでございます。
  50. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その中に国内便、あるいは近距離国際便を前提として羽田空港が使われると考えた場合、滑走路の長さというのは、きのうハイジャックになったエアバスでも二千五百メートルくらいで飛び上がれるはずですよね。そうすると、毎日新聞とかテレビのニュースでは、滑走路の長さを三千メートルから三千二百メートルということが書かれている。それはどういうわけか。
  51. 隅健三

    隅説明員 現在の羽田東京国際空港の滑走路はAランが三千メートル、Bランが、横風用が二千五百メートル、現在使っておりますCランが三千百五十メートルでございます。大体この現状をもとにして滑走路の案を一案として絵をかいてみたということでございます。
  52. 金瀬俊雄

    金瀬委員 現在使っておるのが三千百五十メートルですか。
  53. 隅健三

    隅説明員 Cランが三千百五十でございます。
  54. 金瀬俊雄

    金瀬委員 わかりました。  続いて成田空港の問題について御質問いたします。  成田空港の中で航空機燃料の輸送のためのパイプライン、成田と千葉の間ですね。農地法及び消防法に対する違法行為が行なわれていたということがいわれているのです。いいですか、農地法と消防法の違法行為が行なわれておったということなんです。そのことについて何点か質問します。  公団の石油パイプラインが一部で農地を地目変更して使用すべきところを、そうしたことをしなくて、千葉県知事の許可を得ないまま工事を行なっていた場所が何カ所か出てきているわけですが、そのことについて運輸省知っておったかどうか。
  55. 隅健三

    隅説明員 運輸省といたしましては、その点をつまびらかにいたしておりません。
  56. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、農地法なり消防法を知らずにやっておったということを認めますか。全然わかりませんか。
  57. 隅健三

    隅説明員 四十四キロの本格パイプラインの工事で通る地点が非常に多うございます。その点を一々私のほうで農地法の関係を全部チェックいたしまして、地目変更の知事の認可を得たかどうかということにつきましては、つまびらかにいたしておりません。
  58. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは証拠がこうあるのですね、許可を得ずにやったという証拠が。場所は富里の七栄とか成田市の東和田とかそういうところでやっておる証拠があるのですよ。そこであなたのほうがあわててあとで許可をとったのですよ。だから、あとで許可をとったということは、前は不正工事をやっておったということなんですね。そうでしょう。あとで許可をとったということは、いままでやっていたことが不正であったということになるわね。そうでしょう。やっちゃってから許可をとったということは、許可をとった時点からは有効だけれども、その前は不正であったということを認めるかどうかということです。
  59. 隅健三

    隅説明員 そういう事実を私つまびらかにいたしておりませんので、先生指摘の点のようなことがございますかどうか、帰りまして公団を呼びまして、私のほうからそれの詳細について調査をいたします。
  60. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、わからないということでございますので、あとの質問はそれに関する事項でございますので、これは質問してもちょっと答えられないでしょうね。  それでは広島空港のことについて簡単に質問いたしますので、簡単に結論だけ答えてください。  広島空港は、滑走路を千二百メートルから千八百メートルに延長しましたね。延長したということは、ジェット機を飛ばすために延長したのでしょう。そうでしょう。
  61. 隅健三

    隅説明員 そのとおりでございます。
  62. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまジェット機が飛んでいないのはどういうわけですか。
  63. 隅健三

    隅説明員 一つは、地元の皆さま方から、ジェット機の騒音に対してのいろいろの反対がございますことと、それから進入表面に若干のポプラ等の立ち木がございます。しかし、これは広島県知事がその点についてはいまいろいろ地元ともお話し合いをされておるように伺っております。この点については、目下、広島県知事とお話し合いをしておる段階でございます。
  64. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、滑走路を延長するときに、航空局のほうでは、飛行機の騒音ということについては、全然考慮をせずに滑走路をつくったのかどうかということについてひとつ。
  65. 隅健三

    隅説明員 この点につきましては、公聴会あるいは地元の皆さまの声は一応、現在としてはいろいろお話を伺うことにいたしております。たとえば、高知空港では地元の皆さまと、あるいは地方公共団体と話がまとまりませんで、いまだに工事の着工をいたしておりません。広島空港につきましては、地元の皆さまとのお話し合いが完全に円満に行なわれないうちに工事に着工したということについては、若干その点について十分なものがなかったんではないかというふうに考えています。
  66. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、航空機騒音に対する住民反対運動が続いておれば、ジェット機は飛ばさないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  67. 寺井久美

    寺井政府委員 地元の航空機騒音に対する反対、いろいろございます。そこで私どもといたしましては、環境基準というものが公示されておりますので、その環境基準の範囲内におきまして空港が運営されるという確信ができましたならば、地元の方々の御理解を得てジェット機を入れたいと考えております。しかしながら、先生指摘のように、現在は、進入表面に立っておりますポプラの木が切れませんで、ジェット機が進入できる状態にはないわけでございます。そこでやはり、このポプラの木そのものを切ることにつきましても、地元の御了解を得なければならない。先ほど飛行場部長がお答え申し上げましたように、広島県におきまして、この地元の説得等ごあっせん願っております。私どもといたしましては、やはり地元の意思を十分尊重しつつ、御理解を得て、ジェット機の導入をはかっていきたいと考えておりますけれども、基本的にはやはり地元公共団体を中心といたしまして、十分その点御納得いただかなければいけないというふうに思っております。
  68. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、広島空港の問題についていま聞きましたが、成田空港についても同じだと考えてよろしゅうございますか。
  69. 寺井久美

    寺井政府委員 成田空港につきましては、これは日本の表玄関である国際空港として建設を開始いたしております。したがいまして、やはり環境基準というものを充足しつつ運営をすべきであるというふうに考えております。
  70. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、広島と同じということであれば、騒音反対住民運動がある限りは、話し合いがつかなければジェット機を飛ばさないということになるわけでしょう。そう解釈してよろしゅうございますか。
  71. 寺井久美

    寺井政府委員 ちょっと私の御答弁が明確でなかった点もございますかと思いますが、私どもが地元と申しておりますのは、地元公共団体を通じましてその御意向を伺っておるということでございまして、広島空港も成田空港空港として基本的に同じでございますが、環境基準が守られる限り、やはり空港として与えられた運営をしていかなければならないというふうに考えます。
  72. 金瀬俊雄

    金瀬委員 さっきの御返事だと、広島県知事、宮沢さんですか、広島県知事に中へ入ってもらって解決するようにいま努力している、だから広島県知事がうんと言わなければ飛行機を飛ばさない、こういうことなんですね。成田空港の場合も、友納知事がいいと言わなければ飛行機を飛ばさないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  73. 寺井久美

    寺井政府委員 基本的にはそういうことでございますけれども、成田空港につきましては、やはり国際空港として非常に大きな使命がございますし、広島空港というローカル空港とはおのずから性格が違っております。したがいまして、広島空港につきましては、かなりゆっくり時間をかけて御説得を願うという努力を続けておりますが、成田空港の場合は、やはり環境基準というものを尺度といたしまして、予定どおり開港し、運営をしなければならないというふうに考えております。
  74. 金瀬俊雄

    金瀬委員 局長は、さっき地元の人たちと了解をつけるように知事を通じて努力する、話がつかなければジェット機を飛ばさない、だから広島は飛ばしてないのだ、こういうことなんですね。それで広島と千葉とは違う、こちらは国際空港だからローカル空港とは使命が違うと言うけれども、こちらの成田のほうがジェット機の台数は多いわけですよ。それだけ騒音も排気ガスも振動も広島よりはるか過重になるわけですよ。広島のほうが便数は少ないわけです。便数の少ない広島は知事のあっせんを待って、それがなければ決定しない、成田はそれでなくてもやる、地元の了解を得なくてもやる、こういう意味ですか。
  75. 寺井久美

    寺井政府委員 基本的には県知事の御了解が必要だと私どもは考えております。
  76. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、千葉県の場合も騒音対策、振動対策、コースの問題、いろいろ開港については千葉県知事が了承しなければジェット機を飛ばさぬと解釈してよろしゅうございますか。
  77. 寺井久美

    寺井政府委員 先ほどから申し上げておりますように、私どもは環境基準を守りましてジェット機を導入いたしたいと考えております。この考え方は広島空港についても同じでございます。ただ、広島空港の場合、現在転移表面にかかる障害物件が除去できません。この除去についていろいろごあっせんを願っておるわけであります。
  78. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは空港関係についての質問はこれで打ち切りまして、次に船舶関係について御質問いたします。  現在LNGは東京瓦斯とか東京電力によって直接輸入されています。特に千葉県の袖ケ浦地先にLNGの巨大な基地が建設されて、その基地から東京瓦斯は首都圏にガスを供給し、それから東京電力は沿岸に建設されている発電所にこのガスを送っているわけですが、LNGですので、硫黄分が少ないとか、あるいは窒素酸化物も非常に少ない、それから燃えかすがないということで、公害で苦しんでいる住民にとっては、ミナス原油とかあるいはナフサよりもこのほうがたいへんいいということで、各発電所とかはそうしたものに切りかえをやってくれ、LNGに切りかえてくれという強い要望が出されておって、東京電力もそれに呼応して切りかえているわけですが、LNGの確保についての質問を申し上げます。  現在、ガスをアラスカとかあるいはブルネイとかから持ってくる場合に、ほとんどアラスカの場合にはアメリカ系、それからブルネイの場合にはイギリス系の会社がギスを運んでいるわけですが、日本の国の船で運ぶことができないのかどうか。日本は造船国だといわれているけれども、全部外国の船で運んでいる。なぜかということについてお伺いします。
  79. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生いまお話しのように、LNGはアラスカからと、それからブルネイからと、それからアブダビからと現在日本に入ってきているようであります。それで東京電力、東京瓦斯、それから大阪瓦斯という会社が需要先としてLNGを使っているようでございます。  この輸送につきましては、現在、大体オーナーは外国の海運会社でございますが、運航会社はその船会社とそれから需要先の会社とが合併で運航をしておるというような例が多いようでございます。何しろ船自体の船価がたいへん高うございますことと、それから運航に対する危険と申しますか、負担がかなりかかりますので、現在のところ日本の船会社としては船を持つこともしておりませんし、また、もちろんその運航の面にも携わっていないというのが実情でございます。
  80. 金瀬俊雄

    金瀬委員 ガスの運賃と油の運賃とを比べてみて、ガスの運賃というのは大体どのくらいかかっているかわかりますか。
  81. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、実はこのLNGの輸送について、日本の海運としてどう考えるかということをいま研究をしておりまして、来年度以降の海運政策をきめるときに、この問題をどういうふうに取り上げていったらいいであろうかということについて検討を始めておりますけれども、いま実は詳細に、特にいまお尋ねの油の値段とLNGの値段などの比較というものを現状ではつまびらかにしておりません。
  82. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは私ども調査によると、いま日本へ入ってきているガスは、石油に直すと一バーレル十二ドルだという。それで運賃が六ドルだというんですよ。だからLNGというのは運賃がやや高いじゃないか、そういうことになっている。そうすると、日本のようにドルの少ないところが運賃にまでドルを払っておる、資源確保のために使う金よりも運賃のほうに払う金が多くなって、ドルの流出を防ぐとか確保するとかいうことになってくるとたいへんな損失になるわけです。そこで、できれば日本の船をつくって、そして日本の船会社で運航したほうがいいということだけはわかるわけでしょうね。ところが、国のそういうものに対する姿勢というか対策というか、どういう根本的な考えを持っているかということが問題になるわけですが、将来、この船は三十ぱいぐらいないと日本では間に合わないそうですね。これから先、どんどんつくらなければいけないということになるわけだけれども、それに対する運輸省対策はどうかということについて伺いたい。
  83. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現在・日本に入っておるのは、先ほど申し上げました三カ所でございます。その次にどんな輸入先からこのLNGの輸入が可能であろうかということを、私どもも絶えず商社のほうの話も実は勉強をしております。なかなかむずかしいようでございまして、私ども、一時サラワク、それからインドネシア、それからイランとかいう話も聞いたのですが、どうもそのまま、この三カ所の輸入先との話がスムーズに行なわれているというふうには私どもは理解できない点がございます。したがって、どういう地点から輸入が今後可能になるのであろうかということを、私どもも商社などからよく引き続いて勉強を続けたいと思います。  それから、一方、船会社のほうとしては、船価が一時二百五十億円といわれておりましたが、現状ではもうもっともっと高くなっておるというような現状のようにこれも聞いております。それから、運航の上で不稼働というようなことが起こりますと、電力に響き、ガスに響き、たいへんなことになりますので、そのプロジェクトとしてこの船が、たとえばインドネシアだったら四はい、イランに行くならば八はいというような程度で、プロジェクトとして絶えず一日も休むことなく運んでこなければならぬということで、不稼働ということは一切許されないということ、それから、高価な船であるだけに、船体の保険料などもかなりかかるということでございまして、そういった面で、運航補助ということだけでいきますのか、それとも建造補助ということまでいかないと、とても日本の海運がこの運営をできないものでありますかどうか、その辺も実は来年度の海運政策の見直しのときに、現在、海運造船合理化審議会で御検討いただいている課題の一つとしてこの件についても検討を進めていきたい。ただ、従来のような財政融資であるとか利子補給であるとかいうような程度では、日本海運でこの船はとても運航できないというふうに私どもは現状では理解しております。
  84. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは造船ということと運航ということと二つに分けて、両方とも将来の問題として取り上げていただきたい、さように考えておりますが、LNGの船というのは他に転用できないという一つのあれがあるそうです。ほかのものに使えない。それから、油のようにタンクさえあればどこでも揚げることができるというものではなくて、その受け入れ態勢がなければ着けないということとか、あるいは油輸送のほうが回転率が早くてもうかるとか、それからもう一つは、これは精密な船だからいつまでもドックを占用している。だからつくる場合にも回転率が非常に悪いということで、日本の船会社はつくることをきらっているという話もあるんですよね。だから将来日本で船を持つ、しかも運航するということはたいへん困難なことがあるし、国のほうでの指導とか協力とか援助とかいろいろな問題があると思いますが、ひとつその点について十分な配慮をして、資源確保という意味でやっていただきたい。千葉県のような場合は、自分のところで使っているガスじゃないのですよ。全部東京へ来ているのですよ。そのガスは千葉県では使っていないのです。電気も、発電しても東京へ六割来ているのですよ。四割しか地元で使ってないですよ。ですから、資源確保ということについては、及ぼす影響はほとんど首都圏に及ぼす影響であって、千葉県というのは、そのことによってそんなに影響を受けることがないわけですよ。そういう意味においては首都圏に及ぼす影響は大きいわけですから、十分な配慮をしていただきたいと要望しておきます。  最後に、ちょっと海洋汚染の問題を質問いたします。  去年の夏に魚騒動というのが起きまして、東京湾の魚あるいは瀬戸内海の魚あるいは水俣の魚とかいうものが食べられないということでたいへんな騒ぎになったわけですが、ことしもまたその時期に来たわけです。五月になりますとスズキをとる時期になりますし、いろいろそうした時期になりますが、そうしたことについて海上保安庁なりあるいは水産庁が、去年の夏の例にかんがみてどういうふうな対策を講じてきたかということについて御質問申し上げます。
  85. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先生から言われるまでもなく、海上保安庁といたしましては、全国の巡視船艇、航空機を有効に使いまして、特に東京湾におきましては、船舶交通の度合い、海岸汚染発生可能性等から、最重点海域ということで監視取り締まりをやっております。残念ながら海洋汚染発生は、四十八年度は若干減ったような計数になっておりますけれども、ことしに入りましてからはまた発生の度合いがもとへ戻りつつあるような傾向が見受けられます。まだ年度途中でございますので、これから先どうなるか、見通しは立ちませんけれども、若干増加の傾向が見受けられますので、監視取り締まりの度合いをさらに一そう深めまして、先生方の御期待に沿いたい、このように考えております。
  86. 金瀬俊雄

    金瀬委員 海上保安庁はたいへん費用も少なくて、船の数も少ない。夏また魚騒動が起きたとすればたいへん過重な労働になると思いますが、そうした騒動が起きる前にいろいろ解決できるように努力していただきたい、さように考えております。  まだセイゴとかハマグリとかアサリは相当油のにおいがするということで売れ行きがそう順調でございませんし、またスズキとかフッコというのは、東京都でまだ食べていいというような条件が出されていないわけですよ。それから横浜の魚市場でもまだ買ってないわけです。そういうものに対する対策が去年からあまり進んでいないということになるわけですが、海洋汚染ということは非常に大きな影響を持つことですから、それに対する万全な対策をひとつお願いしたい。特に、海上保安庁の人は取り締まりだけで、自分から施策をやるということはできないわけですから、ひとつ取り締まりについては厳重にやっていただきたいということを海上保安庁の皆さん方にお願いしておきます。  次に、港湾局に質問いたしますが、千葉県では全部事業者負担ということで旭硝子とか住友化学にヘドロの処理をやらせているわけです。簡単に言うと加害者負担ということになります。それから神奈川県では、川崎市ではそういうことで日本鋼管の埋め立て地の中にヘドロを拾てておるようです。それから福岡県もやはり同じような形でやっておるようですが、熊本の場合にはちょっと違った形でやるように新聞で出たりテレビで出ています。熊本は港湾局の管轄ですが、どういう形でやるか、千葉とか神奈川とか福岡とだいぶ違うようですが、その点について御説明願いたい。
  87. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 水俣のヘドロのしゅんせつは最もティピカルといいますか、普通のやり方でやっていくことになると思います。すなわち、公害防止対策事業としてやっていくわけでございますけれども、現在の考え方といたしましては、県がその事業の主体者になりましてまず計画をつくります。その計画に基づきまして知事が公害対策審議会を開きまして、公害対策審議会におきまして事業者の負担金を定めまして、その次に、自治大臣、環境庁長官、それから運輸大臣がその事業を公害防止対策事業として認めますと、残りの事業の半々に対しまして国費と県の負担を出す、このような形で、一番標準的な事業として進めていくことになろうかと思います。
  88. 金瀬俊雄

    金瀬委員 チッソについては千葉県にも工場があるんですよ。それで、二度ほど爆発事故を起こしていま問題になっていまして、チッソの近くの住民が移転さしてくれということで住民運動を起こしているわけです。ところが、チッソの話とか千葉県の調査によると、水俣の問題でたいへん補償金がかかったり、あるいはあとの工事の金がかかる、そのために千葉県で起こした災害に対して、チッソでもうかっているのは千葉の工場だけだ、だからもうかった金はみんな熊本へ送るから千葉のほうは十分やれない、こういう話がいまのところ出ているわけです。事実そのとおりである。チッソのもうけの八割を千葉で出して、それが全部水俣に送られているということも聞いていますが、まあこれはチッソが企業として当然やるべき責任を果たしているんだからやむを得ないと思いますけれども、その場合に、爆発事故を起こして、引っ越したいという千葉県のほうの人たちは引っ越せない、補償金が出ないという問題が一つ起きているわけです。だからその点について国が援助するとすれば、港湾局でやっているような援助方式を、災害で引っ越したいという人たちにもとれるかどうかということが一つのモデルケースになりますから、こういう形でこの程度国で出すということがきまったら、あとでひとつ御連絡願いたい、さように考えております。  それからもう一つは、水銀のヘドロ処理で、千葉県の場合もそうでしたが、機械屋とか建設屋とかいろんな業者が、自分のところではこういうような優秀な機械を発明したとか開発したということで売り込みに来て、設計の資料を出すとか、あるいは機械を出すとかいろんなことがあって、一時どういうことを採用するかということで非常に混乱したことがあるんですよ。だから、その点については、ひとつ港湾局で十分な検討をしていただいて、千葉の場合でも横浜の場合でも熊本の場合でもどこでも同じですが、将来そういったことが起こらないように十分な御配慮をお願いしたい、かように考えております。  それから最後に、建設省関係あるいは国の行政機関の人に公害の問題でちょっと質問しますが、こういうものが内閣で出されているんですよ。「公害問題に関する世論調査」というので、これは大臣官房から出されたものですよ。その中にこういうことが書かれているんです。海洋汚染も含めて公害の原因は何から起きるかということで、これは政府で発表したから間違いないのですね。第一点が「企業の責任感の不足」、これは五〇%、それから「行政機関の取り組み方が不十分」、これは三一%、「都市計画の不備」二六%、「社会資本の不足(例えば下水道の不足)」、これが二三%、それから「技術開発のおくれ」が一七%、法律が不備であるというのが一二%、こういうふうに世論調査の結果が出てきたということをはっきり政府で発表しているわけです。  これに対して、たとえば東京湾の中の汚染ということについて、都市計画上建設省はどういうことを考えているか、あるいは社会資本の不足ということで下水道が非常に東京湾なり瀬戸内海なり、そうしたところをよごす最大の原因の一つだということを内閣で発表しているわけですよ。それに対してどんな対策を立てているか、ひとつお答え願いたい。
  89. 松原青美

    ○松原説明員 都市計画全般のことにつきましては私の所管外でございますが、下水道につきましては、先生指摘のように、下水道整備の不備ということが、あるいは立ちおくれということが、公共用水域の水質を汚濁させている大きな原因の一つになっているわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。したがいまして、建設省としましても、下水道整備に全力をあげて取り組みつつあるわけでございます。  この数年来、下水道予算も飛躍的に毎年増加してございます。特に下水道整備にあたりましては、水質環境基準の達成ということに重点を置き、また公害防止計画が策定されておる地域につきましては、その公害防止計画の実施ということに重点を置きまして事業の整備を進めてございます。
  90. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間が十二時までということでございますのでこれで質問はやめますが、最後に水産庁の方に質問いたします。  水産庁で、去年の魚騒動からことしいまに至るまでに、東京湾汚染問題とか含めまして水銀あるいは鉛、そうしたものの海底に沈んでいるのを除去することについてどういう行政をやってきたかということについて、あとで文書でけっこうでございますので提出していただきたい、さように考えております。と申しますのは、最近、地方の新聞でございますが、鹿島灘の水銀汚染の問題がいま出ておりますので、水産庁がいままでやってきた行政について御報告願いたい、さように考えております。時間がございませんので答弁はけっこうですから、ひとつ資料をあとで出していただきたい。委員長、よろしゅうございますか、これもらうことは。——それでは、委員長の了承を得ましたので、あとで書類を出していただきたい。  それでは、これで質問を打ち切らせていただきます。どうもありがとうございました。
  91. 三池信

  92. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初に海運局長にお聞きしますが、きのう海難問題で五百トン未満の海難と、その中で三百トンの上と下でどうなっているかということを聞きましたが、あのときはわからなかったですね。それで調査をしてほしいということを言かおきましたってら、ここでひとつお聞きしたいと思います。
  93. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 昨日はまことに準備不十分で申しわけございませんでした。昨晩実は統計をとって調査をいたしました。その結果を御報告をさせていただきます。  昨日、四十七年の数字で要救助海難発生件数のうちで全損、行くえ不明船の遭難件数が合計で四百七十一隻、そのうち漁船の二百四十八隻を除きますと二百二十三隻となりますが、そのうち動力鋼船は九十四隻、動力木船は百七隻、無動力船は二十二隻ということを申し上げまして、動力鋼船のうち五百トン未満の隻数が七十八隻であるということを申し上げました。その七十八隻の内訳を調べてみました結果、三百トン未満のものはそのうち五十六隻、それから三百トンをこえまして五百トン未満のものが二十二隻、合計七十八隻という数字が出てまいりました。昨日見通しなどを申し上げるのに少しこの数字と違ったことを申し上げたかと思いますが、実態はこういうことでございます。
  94. 紺野与次郎

    ○紺野委員 きのうの予想では、半々だろうというお話がありましたけれども、これによると一対二以上ですね。そういう点でやはり正確なデータに基づいて政策を立てないと、砂上の楼閣的なものになってしまうので、やはりぐあいが悪いと思います。私たちはそういう点からも、またいわゆる木船については再保険制度をやめてしまうというふうな軽率なことをやられたことについても、それは間違っているんではないかということを昨日いろいろ申し述べました。そういう点で、私たちはどうしても船主相互保険組合に関する問題については、小型鋼船を入れたという点については、これはやはり希望がありますし、その点については積極的な意義を持ち、これを支持するということにやぶさかではありません。しかし残念ながら、再保険制度の廃止をやったということは、一般会計による事務費負担を廃止したし、そういう点で残念である、やはり間違っているんじゃないかと思います。  それから第二点は、保険財政がパンクした場合、そういうことをきのうも言いましたが、その場合に、政府によるところの援助制度というものが、資金運用部からの借り入れ等々を含めて援助制度の廃止ということにもなって、行政のカッコづきの合理化ですね、そういうことで、われわれとしてはこの点については賛成できない。また、将来部分損を保険に加えるべきであるということも言いましたが、そういうふうな点から見て、各種の援助が政府からますます必要であるというときに、いわゆるけちの精神ときのう言いましたけれども、全くこういうことについてはけちなんですね。大企業にはたいへん湯水のように使われておるようでありますが、ここについてはきわめて過酷であるという点もありまして、私たちは保険制度の改善を将来に向かって願う点からいって、今度のこの船主相互保険組合のあの改正については棄権の態度をとらざるを得ないと考えております。そういうことで、その点については明確に私たちの意のあるところをこの際、一般国政の問題でありますから、これをはっきりしておきます。  さて、その次にきょうの第二の問題点でありますけれども、それはこうなんです。いま東京の過密状態ですね、このことを基礎にいたしまして、昭和四十七年の三月一日に、都市交通審議会の答申第十五号、「東京及びその周辺における高速鉄道を中心とする交通網の整備増強に関する基本計画について」答申を行なっているわけなんです。この答申に基づきまして、十三の地下鉄が緊急であり必要であるということで、これに基づいて東京都は四十七年十月に地下鉄十二号線の免許を申請しております。四十七年十月、かなり遠い前であります。それからもう一年半も放置されているということですね。ですから、ここで確認したいとわれわれ思うのは、この都市交通審議会の答申十五号でいっているところの事実認識というものと、それからその立場というものを運輸省は軽視しているのじゃないか、この点どうですか。
  95. 中村四郎

    中村説明員 東京及びその周辺の高速鉄道の整備につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、一昨年の都市交通審議会の答申を受けまして、その整備を促進してまいっておるわけでございます。  この十二号線につきましては、私どもとしまして、四十七年十月の申請以来、その建設費なり、事業収支なり、輸送需要なり、そういうことについて検討を加えてまいってきております。この線につきましては、東京の高速鉄道交通網を見ました場合に、従来放射状的な路線というものの整備は着々進んでおりますが、環状交通であるということ、特に山手線が縦環状的な形態をなしておりますが、十二号線は横に長い環状、こういう形態になっております。また、これによりまして、新宿副都心なりあるいは江東地帯、それから飯田橋、柳町地区の開発とか、いろいろそういった効果も持っております。そういった意味におきまして、この必要性につきましては十分認識しておりまして、この審査について放置しておるというような態度で対応しておるわけではございません。ただ、当初、車両基地の問題につきまして、東京都におきましても、現下の情勢ではなかなか適地を得がたいということで、埼玉県の新座を予定をしておりましたが、昨年の秋ごろより、これを変更いたしましてキャンプ朝霞のあと地を利用いたしまして、車両基地の計画とする、こういう状態に相なってまいったわけであります。私どもとしては、なお一そうこれの促進をはかってまいる考えでございます。
  96. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、去年の運輸委員会でも、大都市における通勤通学の問題というものは、これは国鉄としても第一優先でやらなければならない重大問題であるということを確認すると同時に、さらに地下鉄とかその他のいろいろの交通機関の協力を得て解決に努力しなければならない、ということを言っておると思うのですね。だから、これを打開する都市交通の緊急性というのか、そういう点からいって、やはり十二号線もその中で重要な一環として必要であるという点については確認するわけですね。
  97. 中村四郎

    中村説明員 ただいま申し上げましたように、私どもとしましても、従来の東京の地下高速鉄道網の中でも、従来わりあい補完されていなかった環状交通の使命を果たすという意味におきまして、その必要性については認識いたしておる次第でございます。
  98. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、十二号線がそういう点でまさにそうだ、放射線が非常に多くつくられている、しかし環状線がないということが、いわば都市交通の構造的な弱点をなしておりますね。でありますから、遠い多摩のニュータウンとか、あるいは千葉のニュータウンとか、いろいろなところから来ても、やはり中心のいわゆる都心部に向かって集中しているところの、そういう一方的な建設になっておった。それを今度は環状線でずっと都内でそれらを結合するというメリットというか、この点は都市交通の構造上の弱点を補って、そしてより質的に高い体系に仕上げていくという点で、これはたいへん重要なものだという点について確認をしておられるということだと思います。そうですね。
  99. 中村四郎

    中村説明員 その点につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございます。
  100. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういう点と、もう一つ、この線のまわりの住宅ですね。新しく職住近接的な、比較的都心部にあって、しかも住宅地というふうな意味で重要なところがずっとつながっているわけなんです。たとえば、いま問題になっております月島のような——月島は陸の孤島といわれているのですが、この環状線によって初めていわば陸の孤島たる状態から脱却する。いまあそこにはたくさんの大きな工場もあって、従業員がたくさん通わなければいけない。高等学校が二つあります。それから最近は団地がたくさん建設されるということもあるし、その他最近は新しく住む人もふえていっているのです。ところが、都電がなくなって以後というものは、あれは陸の孤島になってしまっているというふうな状態で、地元の人もほとんど各界あげて地下鉄建設を促進せよということを、住民と各団体と区議会がやっているわけです。そういうことについてはよくわかっているのですか。
  101. 中村四郎

    中村説明員 ただいま先生仰せられた江東地帯につきましては、現在都営十号線が東西の線として建設されており、また、すでに営団の五号線、東西線と申すものが設置されております。しかしながら、南北の流れにつきましては、現在の交通体系上補完する必要があるだろう、こういうことで、八号線と申します線につきましても、本年の秋銀座一丁目まで開通いたしますが、これを明石町からさらに江東地帯を北に向かって延ばそう、こういう計画案になっております。そういった観点から見まして、この十二号線におきまして、いま御指摘のような月島から蔵前にかけまして、その部分を取り上げますと南北交通の一部を形成する、こういうことでその意味が果たせる、かように考えておる次第でございます。
  102. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、それは環状線と八号線を両方つなぐということですか。
  103. 中村四郎

    中村説明員 これは横長の環状線の形態をなしておりますが、その中の江東地帯を走る部分を取り上げてみますと、月島—蔵前を結ぶ部分は、江東地区の従来補完すべきであった南北交通に対応できる使命を持っている路線である、こういう趣旨を申し上げた次第でございます。その趣旨においては、八号線が南北に、やはり北へ伸びて行く線と同様の効用を持っておる、こういう意味合いを申し上げた次第でございます。
  104. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、月島については地下鉄でもって蔵前からここへ結びつけるということですか。いつごろまでですか。
  105. 中村四郎

    中村説明員 十二号線と申しますのは高松町を発しまして、西新宿を経過して浜松町から月島を経まして、蔵前を通って御徒町方面から西大久保、新宿、こういう環状になっておるわけです。その月島から蔵前の部分を取り上げてみますと、御指摘のような江東地区の従来から補完をすべきであった南北交通の使命を達成できる路線を形成いたしております。こういう趣旨を申し上げたわけでございます。
  106. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで月島も当然そういうことでこの十二号線で大きな足を持つということになるわけですね。それから、ここでは牛込、これも大きな居住地帯です。それから麻布とか青山とか、江東の先ほど言いました沿線ですね、そういう開発を新しくされなければならない、いわば回春、再び春を迎えるように新しい活力を取り戻すであろう古い住宅地帯ですね、これが浮かび上がってくるというメリットは私は非常に大きいと思うのです。この点は確認できますね。
  107. 中村四郎

    中村説明員 飯田橋とかあるいは柳町、これは牛込でございますが、あるいは麻布といった地域におきましては、ただいま先生指摘の効用をこの十二号線は果たすものというふうに考えておる次第でございます。
  108. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いま言われたように、牛込の隣には柳町があって、柳町には新しい開発計画も出ております。そういう点でこれらをいわば戦略的に浮かび上がらせる大きな力を持っている、こういうことであります。  それからもう一つ重要な点は、確認を得たいと思うのは、この沿線に病院が多いことですね。たとえば東京医大、女子医大、国立第一病院、小野田さんがいまいるところです。それから厚生病院、東大病院、それから三井の厚生病院、済生会病院、慶応大学の病院、こういうふうに、やはり十二号線というのは社会保障列車というわけじゃないけれども、要するに医療にとって東京の非常に重要な大病院がこの沿線にずっとつながっているという点は私は一つの特徴だと思います。それから、もう一つそれに加うるに、身障者の大きな施設があるのですね。たとえば若松町の付近で、戸山町のいわゆる身障者の大きなセンターがあります。都立戸山町身障者センターですね。ここでは全都の障害者が必ず診察を受けなければならないようになっております。でありますから、そういう点でもこれは重要なものになるし、現在国立の戸山町身障者センターもあります。義足の方がここでみんなやられるようになっているわけであります。またもう一つ、三田のところに今度は都立の身障者福祉センターができるわけなんです。それから柳町の付近には日傷会館というがありまして、たくさんの身障者の方々があそこにおられます。そういうふうなことで、病院とかあるいは身障者の重要な施設、こういうものがずっと連なっているという点ですね、こういう点の重要な面というものを、ひとつ十分に確認してもらいたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  109. 中村四郎

    中村説明員 十二号線の沿線にいま御指摘のような病院等所在しておることは事実でございます。私ども地下鉄をつくっていく場合に、輸送需要の態様に応じまして、駅設備なり乗降関係の設備なりを充実させていく、こういう専門的な考え方を持っておる次第でございます。
  110. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういうことでもう一つ言えば、地場産業というのがこの沿線に多いのです。たとえば牛込を中心とする印刷製本関係ですね。あるいはさらに本郷からずっと台東方面にかけまして問屋街がたくさんありますね。玩具あるいははきものとか皮製品のそういう地場産業地帯が連綿と続いているということ。それから港の方面でも、印刷等の中小企業がずっとあるということですね。そういう点からして、東京ではともすればこの地場産業というのが軽視されがちなんですけれども、実際はこれはなかなか重要な東京本来の産業でありますから、そういう点もずっと連ねていっておるという点が私は非常に重要だというふうに思うのです。そして、これとあわせて、この線の最も重要なものは、東京のいまの都心部ですね、都心部だけに全部集中してきている、これをある程度抑制しまして、そしてもう一つの副都心ですね、大体新宿を中心として副都心が形成されつつあるわけですけれども、そういう副都心を育成する。そして全体としてバランスのあるような配置に都市構造を変えるという点でも、この答申案自身がいっておりますけれども、そういう点でも非常に重要な役割りを持っておるものであるというように思うのです。そうですね。ですから、そういう点でそういう重要性が確認されるならば、これをなぜ延ばしているのか。すぐこれは免許を与えるべきであるのではないかというように思いますけれども、どうですか。
  111. 中村四郎

    中村説明員 この十二号線につきましては、先ほど申し上げましたように、都市交通審議会から路線の一部として答申されておる線でございます。したがいまして、これの効用につきましては、いろいろな面で備わっております。その必要性は十分われわれも認めておるわけでございます。したがいまして、これを放置しているとか、のろのろ審査しておるというような事情には相なっておりません。私どもとしましても、これの促進をいたしておるわけでございます。ただ、輸送需要の想定とか事業の収支とか、あるいはその採算性なり建設費なり、こういうものは詰められるわけでございますが、地下高速鉄道におきましてその動脈と申しますか、輸送の基地であります車両基地の問題につきましては、これの確定する見通しを持っておりませんと、単に路線を設定し、地下鉄をつくりましても、車両の搬入あるいは車両の点検整備、車両の留置、こういったことが行なわれませんければ、円滑な運行ができないわけでございます。したがいまして、その車両基地の問題について今後さらに詰めをして処理をいたしたい、かように考えております。      ————◇—————
  112. 三池信

    三池委員長 この際、船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は昨十二日終了いたしております。  これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 三池信

    三池委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  115. 三池信

    三池委員長 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。徳永運輸大臣。
  116. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ただいまは、船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案について、慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。      ————◇—————
  117. 三池信

    三池委員長 次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。徳永運輸大臣。     —————————————
  118. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  臨時船舶建造調整法は、わが国の国際海運の健全な発展に資することを目的として、昭和二十八年に制定されたものでありまして、臨時に外航船舶の建造を許可にかかわらしめ、その調整を行なうことを内容とするもので、その有効期間は現在昭和五十年三月三十一日までとされております。  わが国経済の発展のためには、今後とも、原材料を中心とする膨大な量の海上貨物の安定輸送をはかることができるよう、引き続きわが国商船隊を整備していく必要がありますが、一方におきまして最近のわが国造船業に対する外航船舶の建造需要は非常に旺盛であり、特に外国船主の発注が国内船主の発注より先行すること、建造船舶の船種・船型が多様化していること等の事情によりまして、国内船の建造船台を適切に確保することが現行の許可制の延長なくしては困難になる状況にあります。このため、今後とも臨時船舶建造調整法を活用して、国内船と輸出船の建造調整をはかり、わが国商船隊の整備の円滑な遂行に資することが今回の改正の趣旨でございます。  次に、改正案の内容でございますが、現在昭和五十年三月三十一日までとなっております臨時船舶建造調整法の有効期間を、国際海運に従事し得る船舶の建造の需給の動向等に照らして、船舶の建造についての調整を行なわなくともわが国の国際海運の健全な発展に支障を生じないと認められる状態になるまで延長することでございます。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  119. 三池信

    三池委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  120. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。紺野与次郎君。
  121. 紺野与次郎

    ○紺野委員 この前にも私は身障者の問題なんかについてもいろいろ国鉄当局に対して、いわゆる健常者、健康な人、健康というわけじゃないけれども、要するに健常者ということばで一般の人たちはいわれているんですね、健常者だけが利用できる国鉄とか、あるいは私鉄とか地下鉄とか。これからはこういうことではいけない。身障者たちも十分に車いすを持って気楽に安心して旅行もできるというふうな時代をつくり出そうじゃないかということで、運輸省の中にもそういう特別の委員会をつくったとか何かあったんです。それで私は先ほど申しました。東京都の都市交通を解決する新しい線をつくる問題と関連して、せっかく新しくつくるんだから、だとすれば、これにそのような配慮、多くの人から希望や要求が出されているものを反映させるということをぜひしてもらいたいという立場から申し上げるんですが、この十二号線の沿線にたくさん大病院があったり身障者の施設があったりするという点から見て、身障者あるいは病人、老人、病弱者といったほうがいいね。心臓の非常に弱い人もおりますから、この際そういう人たちや老人が安心して利用できるような地下鉄にしたらどうか。そしてわれわれは、福祉元年とよくいわれるような時代に入ったことを記念するモニュメントのように、新しい地下鉄建造にそういう配慮をわれわれはするようにしたらどうだろうか、こういう点の必要性、これを正当なものとお考えになりますか、どうですか。
  122. 中村四郎

    中村説明員 身体障害者の方、あるいは病院へ出入りする方、あるいは病人の方、そういった方々を含めまして、私どものほうとしましては、輸送需要の態様に応じまして利用者の利便を促進するという上で、輸送施設の改善なり整備を行なっていきたい、こういうのが基本的な考え方でございます。
  123. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで環状線十二号を新しくつくる。しかも環状線だといろいろなものと交差するというふうな特殊な役割りを持っておるという点から見て、いま言いました健常者及びその他の身障者や老人や病弱者も利用できるような構想をもって今度つくるという点で特に望まれていることは、エレベーターなんです。これはいまエスカレーターがありますね。エレベーターは、いま日本のどんな小さな建物でもないところないみたいになっているのですね。ところが、一番重要なこういう地下鉄だとか、あるいは新幹線とか、そういうものには何か拒否反応があるのかどういうわけなのか、そういうものをつくるということにまだなってない。しかし、これは北欧のほう、ヨーロッパのほうでもたしかすでにそれをやっておるところがあるというのです。これは運輸省の方から聞いたのですよ。この目で見てきたというのです。ですから、ヨーロッパにあることは間違いない。われわれは世界で三番目の工業生産力を持っておるとかなんか言っている時代ですから、ぜひこのエレベーターを今度の十二号線のあれには採用してみてはどうかということなんですが、どうですか。
  124. 中村四郎

    中村説明員 十二号線につきましても、免許を受けた以後におきまして、工事施工という段階におきまして、具体的にどうとらえていくかということに相なるかと思いますが、この問題につきましては、いまお話しのように、スウェーデン等でそういう施設を整備している、こういうことがあるわけでありますが、普通の鉄道と違いまして、地下高速鉄道の場合には、非常に道路の下を利用するケースが多い。その場合に、当該道路構造等に制約される面がございます。またエレベーター等につきまして、地下に入るに際しての技術的な問題、それからスペースの問題、こういったものも今後検討してまいりたい、かように考えております。また、東京都においてもさような研究をしておるように聞いておる次第でございます。
  125. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、この問題については前向きに研究もし、そしてできるだけその実現に努力するという姿勢だと思いますけれども、そうですね。というのは、高林次官に去年暮れごろにお会いしていろんな問題をお話ししたとき、基本的にそういう施設をつくることは賛成であるというふうに言われましたし、それから昨年の二月ごろ、十二号線の問題で話したときに、宇都宮課長ですか、その当時の施設課長も、そういう構想については前向きにやってみたい、それは非常にいいことだというふうに賛成されて、前向きに努力したいというふうに言われたと思うのです。ですから、そういうふうに前向きにこのことについては研究もし、努力もし、実現を、いろんな困難があってもできるだけ努力してみたいということですね。
  126. 中村四郎

    中村説明員 私どものほうとしましては、身体障害者関係の鉄道輸送対策懇談会というのを設けまして、この場を通じながら、また、事務の面におきましてもいろいろ検討すべき問題が多うございますので、その点については検討を続けながらその実現に努力してまいりたい、かように考えております。
  127. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、その次に、先ほどのお話によりますと、都市交通問題の緊急かつ必要な解決ということは認める、努力をするということだったと思います。それで、十二号線について特に問題となっている点については、車庫問題ということをおっしゃったのですね。この車庫問題について、われわれ聞くところによりますと、運輸省のほうで、日本自動車ターミナル会社ですか、いわゆる流通センターの案が朝霞のあの土地にやはり出されている、そのために十二号線の車庫の問題が競合しているのだというふうに仄聞している面があるのですけれども、そういうことはあるのですか。競合状態にそれはあるのですか。
  128. 中村四郎

    中村説明員 ただいま先生が申されました流通センターの問題というのは、内容的に私どもとしてはつまびらかに存じあげておりませんが、その問題と地下鉄十二号線の現在東京都が要望しております車両基地の問題につきましては、両者相競合する、あるいは、地下鉄の車両基地を排除するというような受け取り方は、われわれとしてはいたしておりません。
  129. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、競合状態にあるものではないということですね。そのためにこれがおくれているというふうなことではないのですね。その点は……。
  130. 中村四郎

    中村説明員 現在のキャンプ朝霞のあと地の利用計画におきましては、具体的に、全体のスペースの上に区画を設けて、この地域は何に使う、これは何に使うというような段階に至っておりません。したがって、私どものほうとしては、基本的に流通センターの計画とこの十二号線の車両基地とが競合するという理解はいたしておらぬ状態でございます。
  131. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうであるとすれば、運輸省はもっと積極的に——去年の運輸委員会のいろいろの審議の中でも、都市交通問題は最大のいわばガンのようなものであって、民間あるいはその他の交通機関と協力して打開しなければ通学通勤問題は解決しないということをいわれておったわけですね。そうすると、単に受動的に、いつそれがきまるだろうかということではなく、やはり適地として、高松町ですか、最初の終点ですね、そこから至近の距離にあると思うのです。ですから適地の一つなんですね。ですから、そこに積極的にそういう前提条件を実現して、一刻も早くそれを実現するような運輸省としての努力がほしいと思うんですよ。いつか来るだろう、いつかそういうことが訪れるというのじゃなくて、積極的に都市交通問題の打開のために、もうそこまでいろいろな計画が出て、東京都の計画では四十九年から五十六年までの間にやりたいということで出願もされているわけなんです。ですからことしなんですね。ことしからもう事業計画も立てて、実際には予算も計上しておったものなんです。ところが、いつまでたってもらちがあかないというふうなことで困っているわけなんですね。ですから、そういうことで運輸省としては積極的に指導性を発揮するというか、問題解決に前向きに取り組まれて、車庫問題についても努力をするというふうにひとつお願いしたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  132. 中村四郎

    中村説明員 十二号線に限りませんで、他の線におきましても、車両基地の問題で似たような状態のものがあるわけでありますが、私どものほうとしまして、当該線についての必要性を認めまして、車両基地が一番のネックになっておるというような事案につきましては、それぞれについて申請者の要望を支援するという態度で臨んでおる次第でございます。
  133. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、東京都の場合には四十九年から五十六年にかけての事業で、できるだけ早く都市の通勤通学問題の解決に資したいというふうに出しているのですから、今年中、やはり時というものが必要ですから、四十九年度に解決してもらうように御努力願いたいと思いますけれども、どうでございますか。
  134. 中村四郎

    中村説明員 これは、御存じのように返還財産についての処理対策連絡会というのがありまして、各省からいろいろな要望が出ておるわけであります。したがって、これは運輸省だけの力で四十九年度中に決定するというような筋合いのものではございませんが、われわれとしては、この地下鉄の建設を促進するという意味におきまして力を注いでまいりたい、こういうことでございます。
  135. 紺野与次郎

    ○紺野委員 力を注ぎたいということですから、四十九年度中にできるだけは努力をしたいというふうに受け取っていいでしょうか。時期はもう切迫しているものだと思うのですね。
  136. 中村四郎

    中村説明員 いま仰せのとおりの線で進みたいと思っておりますが、これは運輸省だけで決定するというような筋合いのものでないことは御理解いただきたいと思います。
  137. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、そこでただ運輸省だけではきまらないというふうに、自分たちの役割りを非常に低めているのじゃないかという感じがするのですね。やはり重要なものであれば、特に運輸行政を担当しておられるところであれば、重要な首都の交通問題の解決ということになれば、それを積極的に、強硬に主張して、そしてその方向で実際にそういうことが実現するように努力をするということが必ず実現に結びつくと思うのです。そういう場合に、あなた方が一生懸命にそれを言っているのに——東京都のほうもそんなに困っているのかとか、東京にみんな住んでおりますから自分のこととしてわかるわけですから、そのこととあわせてもあなた方が積極的にそれを言われれば私は実現していくものだと思うのです。何も障害があるはずはないのです。ですから、そういうことでひとつ前向きに実現方を重ねてお願いしたいと思います。どうですか。
  138. 中村四郎

    中村説明員 国有財産の利用の問題でございますし、キャンプ朝霞のあと地利用計画全体の中の一環という取り上げ方になると思います。したがって、私どものほうとしましては、東京都が現在ここを車両基地の候補地として選定し、それを利用したいということについては、これについて支持してまいりたい、こういう考えでございます。
  139. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その提案、東京都の言っていることについて、積極的にその実現方に努力していきたいということですね。そうですね。では、そういうことで、私の質問は、少し時間が余りましたが、終わります。
  140. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 松本忠助君。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 港湾局にお伺いいたしますが、過剰はしけの問題であります。  過剰はしけの買い上げの状況等について、私、昨日もお伺いしたわけでありますが、局長が出ておられなくて、担当の方、他の部局からお答えがありましたので、あらためて伺うわけでありますが、いわゆる過剰はしけの買い上げの状況についてまずお尋ね申し上げたいわけであります。  実態はなかなかつかみづらい点もあろうと思いますけれども、その点についてはまたあとで伺うとしまして、この買い上げを希望しているトン数、こういうものはどれぐらいあるものか、あるいはまた、その買い上げの単価というものはどんなふうにこれからきめようとしているのか、あるいはまた、民間負担分の所要資金の調達方法についてはどのように対処しようとしているのか、この三点について一応港湾局長からお答えを願いたい。
  142. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾におきます輸送革新と岸壁整備の進展の結果、昭和四十三年ごろからはしけの運送量は非常に減少に転じまして、その後も引き続き減少しております。このようなはしけの運送の衰退は構造的なものと考えられます。また、各港におけるはしけ、引き船の余剰遊休化が顕著となってきましたので、積極的にはしけ、引き船の廃棄を推進することによって、はしけ運送の秩序回復を行なう必要が生じてまいりました。  このため、本年度、四十八年度でございますが、財団法人港湾運送近代化基金の行なう過剰はしけ及び引き船の買い上げに要する費用の一部を一般会計から補助することにいたしたわけでございます。四十八年度のこの補助費の予算といたしましては三億五千六百万円の予算を計上しております。この予算時の当初の計画では、はしけにつきましては二千四百六十三隻、四十一万七千積トンを買い上げることといたしまして、また、引き船につきましては四百十二隻、三万一千馬力を買い上げることとしております。それに対する補助金の限度額は、はしけにつきましては積トン当たり二千二百円の三分の一でございますから、七百三十円ということでございます。それから引き船につきましての補助金限度額は、一馬力当たり四千九百円の三分の一を補助金の対象としているわけでございます。  次に、過剰はしけ等の買い上げ廃棄事業の現在までの概要でございますが、先ほど申し上げましたように、ことしの二月に、実は四十八年度中進めてくる中でいろいろ意見がまとまらない部分がございましたけれども、本年二月にようやくこれがまとまりまして、補助金の交付要綱を定めました。この中で、先ほど申し上げましたように、港湾運送近代化基金にこのはしけ買い上げを行なわせるということにいたしまして、実施計画を定め、これに対して補助金を出すということにしたわけでございます。  この買い上げの申し込み受け付け期間は、四十九年、本年の二月二十日から二月二十八日までの九日間でございます。買い上げ対象のはしけ等は、港湾運送事業法上の事業計画に記載されているものでありまして、現に稼働が可能であることが確認されたものに限定しております。  買い上げ価格は、先ほども若干申し上げましたけれども、はしけ、機付はしけ一積トン当たり木製のものが二千五百円——先ほど二千二百円と申し上げましたが、予算時の予定でございましたけれども、今回の計画におきましては、トン当たり木製で二千五百円、それから鋼製で三千五百円、それから引き船は一馬力当たり六千円、機付はしけ三千円としております。  それから最後に、過剰はしけ等の買い上げ申請の状況でございますが、基金に対する買い上げ申請状況は、数字的には正確にはつかんでおりませんが、大体はしけが千八十七隻、約十九万トン、機付はしけが百七十七隻、約一万七千トン、合計いたしますと千二百六十四隻で約二十一万トンでございます。これは先ほど申し上げました予定が二千四百六十三隻でございますので、それの約半分程度の申告しかないわけでございます。それから予定で四十一万七千トンでありましたのが、二十一万トンという申請でございます。それから引き船につきましては三十八隻、約三千馬力という申請があったと聞いております。引き船につきましては、先ほど来、四百十二隻、三万一千馬力と予定したわけでございますが、ぐっと少なくなりまして、希望者は三千馬力と聞いておるわけでございます。  運輸省といたしましては、これに関する基金から補助金の交付申請があり次第、審査の上、三月末までに補助金の交付決定を行ないたい、このように考えております。  以上が概要の経緯でございます。
  143. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお答えで、ことしの二月二十日から二十八日までの申し込みが、トン数にして二十一万トン、隻数にして千二百六十四ということですね。これは残った分については引き続き買い上げをするような方向でやるんですか。それで一応四十八年度としては締めてしまうわけですか、やめてしまうわけですか。
  144. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 これは四十八年度といたしましては、やや少し前に申し込み期間を出しまして、先ほど申し上げましたように、二十日から二十八日までで締め切ったわけでございます。  それから、今後の問題につきましては、当初考えましたよりも相当要求が少のうございますので、四十九年度は一応見送りましてその様子を見ていきたい、このように考えておるわけでございます。
  145. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、四十八年度の分も予算が残っている、そうですね。で、四十九年度の分は予算は計上しなかったわけですね。
  146. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  147. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、先ほど民間負担分の所要資金の調達方法についてお答え願うように申し上げましたが、その点はどうなりますか。
  148. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先ほどその点を申し忘れまして失礼いたしました。  はしけ買い上げの民間負担は、港運業者が元請料金の一%を基金に積み立てておりまして、その一部分をもちましてこれに充てることとしております。その額は約十億円程度であると思います。
  149. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、いわゆる補助金の交付要綱というものがきめられて、申し込みを受け付けて実施される。具体的に言うと、補助金の交付はいつごろになる予定ですか。
  150. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 交付決定を三月一ぱいでやりまして、実際の交付は四月になると思います。   〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次に伺いたいことは、やみはしけの対策の問題でございます。これは非常にむずかしい問題だろうと思うわけでありますけれども、いわゆるやみはしけと称するものについての実態調査を役所としてしたことがあるかないか、これが一点。  それから第二点は、当然この対策を考えていると思いますけれども、いま言っているいわゆる過剰はしけの買い上げをしている一面でやみはしけを放置しておくということになりますと、これは本末転倒のことでありますから、当然のこと、このやみはしけの対策というものは強力にやらなければならないと思うのでございます。その場合にどういった方向でやみはしけ対策をしようとしているのか、この三点について。
  152. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 やみはしけにつきましては、この字句のとおり非常にむずかしゅうございまして、徹底的に調査に取り組んだというようなことは聞いておりませんが、ただ実態をわれわれの知っている限りのことを申し上げますと、要するに、港湾運送事業者の事業計画に記載されていないはしけで港湾運送用に使用されているというはしけでございます。このやみはしけが無免許ではしけ運送事業そのものを営んでいる場合と、もう一つは、すでに免許を受けた港湾運送事業者がやみはしけを利用しているというような実態があるようでございます。  それで、だいぶ前でございますけれども、数年前に調査したところによりますと、これも大体のものでございますが、特に京浜港においてこの数が多うございまして、過去におきましては約十万トンぐらいあったのではないかというように聞いております。現在ではおよそ四万トン程度に減少していると聞いております。このやみはしけは、昭和四十一、二年ごろ非常にはしけが不足状態になってきたときに増加したものである。また、このはしけの性能が、鋼船等で比較的経済的競争力を持っておるというように聞いております。  それから次に、このやみはしけに対する対策でございますけれども、要するに、正規に港湾運送事業者としてやっているものではなかったり、あるいは港湾運送事業者がやみでやっているというアウトローの問題でございますので、運輸省といたしましては、これはやはり取り締まるというのが大きな方針でございます。港湾運送事業の無免許営業であるために、港湾運送事業の無免許を見つけた場合には法第四条の違反でございまして、十万円の罰金に処することになっております。それから港湾運送事業者がやみはしけを利用した場合には、これは事業計画を変更したことになるわけでございますけれども、その認可を受けずにやるわけでございますから、これは法第十七条の違反でございます。この場合には法第二十二条の規定によって免許を取り消すことができる、このような罰則規定が一応あるわけでございます。  こういうような背景のもとにやみはしけに対する取り締まりをしなくてはいけないわけでございますが、その方法論といたしましては、各官庁にお願いしまして、関係官庁あるいは海運局の組織でこの違法船の発見につとめるというのがまず第一番。  それから第二番目に、じゃどうやって発見するか、これにつきましては、いまはしけ業界で、ある程度一見して区別ができるようにしなければいかぬだろうというような話もございまして、正規の港運船を実際に一隻ずつ確認して新しい番号札をつけようというようなこともやっております。  それから第三番目に、日本港運協会、これは港湾運送事業者の全体の協会でございますが、この協会の内部にひとつやみはしけ対策の委員会でもつくってやったらどうかということを私は考えておりますが、やみはしけは使わない、使わない方針でいこうということを、港湾運送事業者に徹底させていきたい。以上三点がこの方向ではないかというように考えております。
  153. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 陸上のやみの、いわゆる白ナンバーのトラックがいろいろやっているのもなかなかつかまらないわけですね。ましてや海の上ですから、なかなかたいへんだろうと思うのですね。確かに港湾事業者が使った場合取り締まる規則はできています。そのとき、十七条違反だから免許を取り消すといっても、実際上いままで免許を取り消された業者はないだろうと思うのですがね。また、いま局長の言われたように、発見につとめると言われても、いま港湾局として手足がないから、実際に自分ではできないから他にお願いするということになるわけですね。港運協会の内部にそういったやみはしけ対策の委員会をつくるということも、まあ、業界の自主的な監視体制を強めるという意味からいって私は必要だと思いますが、実際、これは使わないようにしようといっても、どうしても本船をあけなければならない、はしけに積んでしまわなければならないというそういうタイムリミットのあるときに、本船の滞船料というものを考えますとそういうことはできないわけですね。だからこれはなかなかできないだろうと思うのです。そういった港湾局のお考えはわかりますけれども、やみはしけ対策というものは非常にたいへんだと思います。  そこで、海上保安庁はこのやみはしけを発見するということに対して手をかしているんですか。この点について海上保安庁のほうからひとつ……。
  154. 佐原亨

    ○佐原政府委員 海上における法令の励行をつかさどる海上保安庁でございます。なかんずく海事法令につきましては優先的に考えざるを得ないと思いますが、限られた施設、人員でございますので、同じ海事法令の中でも特に安全問題と結びつきの濃い法令を優先的に考えまして、こういった業法違反的なものは、正直に申し上げますと二の次ということにならざるを得ないかと思います。
  155. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 保安庁としても、それは実際問題として海難もあり、あるいはまたタンカーの爆発とか、また狭水道を通る場合の誘導とかいろいろのたいへんにむずかしい問題がありますので、こういうやみはしけの摘発などに手をかす時間はとうていないだろうと私も理解できます。やむを得ないだろうと思います。しかし、このままほうっておくわけにもいきませんので、やはりこれは業界の自主的な監視体制を強化する、そういう方向でいく、あるいはまた、一連番号を新しくつけ直すというような新しいことを何か考えなければならないだろうと思いますね。これは全然当てはまるかどうかわかりませんけれども、いわゆる北方の領域で、根室の港へ行きますと、舷側にずっと赤いペンキを塗ったその船だけはコンブ漁ができる、それ以外はコンブ漁ができないというふうな区別がありますけれども、ああいった方向でもとって、新しくここできちっとした一連番号をつけて、そしてそれにないもの、そういうものはきちっと取り締まっていくということにしなければならないだろうと私は思うわけでありますが、そうしたことについてもいろいろと港湾局でもお考えのことと思いますが、実際問題としてこのやみはしけというものが現存する以上は、何らかの方法等は立てなければならないと思います。一そうこの点についての努力をお願いいたしたい、こう思います。
  156. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生のおっしゃいました根室の例など非常に私どもの参考になると思います。今後十分研究してこれに対処していきたいというふうに考えております。
  157. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次の問題でありますが、タグボートの問題について少し伺っておきたいわけであります。  本船タグボートの必要性についていまさら申し上げるまでもないと思います。危険物を積載したところの本船の接岸の場合でも、あるいはまた小型船でも、タグは必要とすると思います。危険品を積んだ場合、特に大型タンカーについては絶対なければならない、こういうふうに思うわけでございます。タグなくして大型船の港湾内の運航などというものは考えられないというのが実情じゃないかと思うわけでございます。  御承知のように、船は大きくなればなるほど運動が非常に鈍くなる。そういうことになりますと、大きくなればなるほどタグの必要性というものが倍増してくる。それからまた、一面コンビナート火災などが最近ひんぴんとして出ております。そういった場合に、いわゆる接岸して作業しているというような本船があれば、直ちに作業を中止して難を避けるために緊急離岸しなければならない。そればかりでなく、タンカー自体が爆発、火災を起こす場合もあるだろう。そうなれば当然のこと陸上の施設への延焼を防止する意味からも、緊急に離岸しなければならない、引き出す必要ができてくる、これは当然のことだと思うのであります。そうした場合に、実際問題として各港湾にこういうタグがあるわけでございますが、港の規模あるいはその港へ入港してくる貨物、この貨物の性質にもよりましょうし、また数量にもよりましょうし、その他いろいろな条件がございましょうが、要するにそういったものは全部、港自体によっておのおの特殊性がありますから違うわけでございますけれども、全日本海員組合が四十七年の六月にまとめた「港の総点検」というのによりますと、タグボートの数が不足していると答えた港が二十、これは全部の港について調べたわけじゃございませんが、約百ばかりの港のうち二十、そしてまたパーセンテージで言いますと二〇%がタグボートの数が不足している、こういうことを言っているわけです。この調査は四十七年六月に発表になったものですから、その前の時点においてつくられたものでしょう。そこで一年有余経過している今日といたしまして、タグボートは実際不足しているのかどうなのか、その辺のところをひとつつかんでいらっしゃるか、これはどうでしょう。
  158. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 タグボートにつきましては、先生おっしゃいましたように、港湾の形等も昔と変わってまいりまして、非常にタグボートのウエートは高くなってきた、必要な状態になってきたと思います。現在わが国の全体の、昭和四十七年十月でございますから、海員組合のお調べになったとき程度でございますが、五百十八隻、延べにしまして九十一万三千馬力がございました。それでこのタグボートにつきましては各港で整備することになっておりますが、一般にはこのタグボートは民間企業としてやっておる。それの足りない部分港湾管理者が補足するというふうな形でやっております。ポートサービスというような形でこれをやっておりまして、毎年港湾管理者といたしましては、その港湾で足りないもの、企業でやり切れない、足りないものについて運輸省に申請してまいりまして、これに対して起債のあっせんをいたしまして地方債を自治省から出すという形にしております。現在では毎年管理者からその起債のあっせん方の申請が運輸省にありまして、そして運輸省はそれを審査いたしまして、自治省に通じまして起債を承認してもらうというんですか、地方債を出す形にしております。  これの考え方でございますけれども、大体その港に入る一番大きな船を頭に描きまして、たとえば十万トンといたしますとそれの一割、すなわち一万馬力をその港の一つのサービスの基準というふうに考えておりまして、それに対応するような形で起債のあっせんをし、その港湾管理者に対してサゼストしているというのが現状でございます。その後昭和四十七年以降要求もございました。もちろん完全とは言い切れませんけれども、その後も要求がございまして、いま言ったような考え方のもとにタグボートの整備を援助しているという姿勢でございます。
  159. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお答えの、要するに四十七年十月現在で五百十八隻、九十一万三千馬力ですか、この五百十八隻というのはやはり大小があると思うのですが、その能力別に、たとえば千馬力以上のが何隻とか、ランクをつけて、その集計はできてますか、つかんでますか。
  160. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 データの詳細なものは把握しております。持っております。
  161. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃ、それはあとでけっこうです。四十七年十月現在の九十一万三千馬力については掌握しているわけですね。ではあとで届けてください。その資料をいただいて検討してみたいと思います。
  162. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 このぐらいございますので、後ほどこれを焼いて提出いたします。
  163. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、先ほど申し上げましたけれども、全日海でとりましたこの「港の総点検」の中で、能力的に不足しているということを訴えているのが十一港、比率にして一七%あるわけです。いま全体では五百十八隻ある、九十一万三千馬力あるといっても、それが片寄っているからこそ、こういった十一港あるいは一七%の能力不足を訴えてくるところがあると思うのですね。そこでいま局長が言われたように、足らないところは運輸省にあっせんを依頼してくるということでわかりますが、余ったところは余ったままにしておく、たとえば最近の貨物の様相が変わった、大きい船が入らなくなった、こういったところがタグが余っていて、それが宝の持ちぐされ的になっているのではないかと私は思うのです。そういう点について十分な配慮がなければならぬと思うのでありますけれども、いまのお話しの、十万トンの船を動かすのに一万馬力というお話がありました。この一万馬力ということは、一万馬力が一ぱいではどうせできないわけでありますから、二千五百馬力が四はいとか三千馬力あるいは三千五百馬力が三ばいとかというふうなことになるだろうと思うわけです。そういったところから、いまの資料はちょうだいして、ほんとうは港別にこれをもう一ぺん洗い直ししないといけないのじゃないか、私はこう思います。  そこで、離岸する場合と着岸する場合とではどちらが能力を必要とするか。これは当然私は着けるというほうがむずかしい。引っぱり出すほうは、一方に引っぱり出せばいいんですから、そう思いますけれども、どうですか。
  164. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 着岸のときのほうが力が要るわけでございます。
  165. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、最近の掌握が四十七年十月でございますから、それ以後のものができていないとすればやむを得ないわけでございますけれども、タグボートの所有者というものは、いまお話がございましたような港湾管理者、あるいはまたタグボート自身を持ってそしてそれを営業している者、あるいはまた、船会社あたりが自分で持っているのもあるのではなかろうかと私は思います。あるいはそれ以外のものがあるのかもしれませんが、そういったものについてどういうパーセンテージ、要すれば港湾管理者が持っておるのが何割、タグを持って営業している者が何割というような計算は出ておりますか、統計が出ていますか。
  166. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 統計的なデータを分類すれば出てくるようでございます。港湾管理者と民間とは出ておりますが、その民間の中の内訳のところまでは出ていないようでございます。これはデータとしての話でございます。それから、理論的に管理者がどのくらいというものはございません。
  167. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その辺のところですね、いまいろいろなコンビナート火災というようなものがひんぴんとして出てくる。ああいう危険な状態にある港については、これは早急に調査をして、とにかく最も悪い条件の場合にもこれだけのタグが必要なんだというものを把握すべきじゃないかと私は思うのです。それでないと、非常の事態ができた、そのときに自分みずから離岸するということは、陸上施設が燃えたような場合、これはほんとうにたいへんだろうと思うのです。非常な事態が起きているのに着岸するばかはないのですから、そのほうはいいとしましても、非常の場合の離岸するときにどうしても必要なタグというものを、港々にはっきりしたものをきちっときめて、そしてそこに定着させるというふうにしなければ、危険な場合に、万が一陸上の火災がそのタンカーに延焼したというようなことになりますとたいへんなことになるし、または逆にタンカーのほうから陸上のほうの施設に燃え移った、こういうようなことが起きてもたいへんなわけであります。そういう点からひとつこの点は至急に詰める必要があると私は思いますが、どうでしょうか。
  168. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 まず第一に、せんだって全日海の方が、四十七年五月、このときの点検は非常に貴重なものでございまして、このときのデータは全部港湾管理者に知らせまして、その結果皆さん方はどうするかというところまで通知をいたしまして、それに従って整備をするというような方向でやっております。したがいまして、タグの問題につきましても、大部分は管理者側からももっともだというふうな意見がありまして、その方向でいっていると思います。  それから第二番目に、いかなる場合にも非常な事態、緊急事態に対応して引っぱり出せるだけのタグを持つべきではないか、これはほんとうに先生のおっしゃるとおりだと思うのです。思うのですが、なかなか、先ほども申し上げましたように、タグの整備方針がポートサービスという感覚、考え方でやっておりまして、もしコンビナートが火事のときに、十万トンとか十五万トンの船を引っぱり出すというタグを各所に配置するというような考え方からは現在まだやっていないわけでございます。しかしながら、先生のおっしゃることは、考えますともう確かにそのとおりでございますので、この点につきましては、港湾管理者だけではとてもやり切れません。したがいまして、何らかの港湾港湾における災害に対する考え方を、特にこれは港長さんたちにもいろいろ中心になっていただいて、その港に対する考え方を詰めていくということが必要ではないか。その中で港湾管理者がタグをどういうふうにするかというようなことを研究していくべきではないかというように考えております。
  169. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 お話の中に出ましたけれども、営業にしているものですね、そういったところは採算面などからいくとどういうふうな採算になっているのか。それから、ポートサービスと言われるけれども、別にサービスといって無料でやっているわけではないだろうと思うのでありますけれども、そういった港湾管理者がやっているものについても収支は償っているのかどうか、この辺のところの記録はございますか。調査したことはありますか。
  170. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 料金までは調査してございますが、それが採算に合っているかどうかはまだ調査してございません。
  171. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、やはり採算に合うか合わないかというのが一つの問題だろうと思うのです。採算に合わなければ仕事をしっこないわけであります。増強してくれと言っても増強しっこないわけであります。ですから、やはり採算に合うか合わないかというところを考えてやって、そして採算に合うようにしてやらなければこれは片手落ちじゃないかと私は思うのです。そういう点を十分配慮してやっていただくように特に希望しておきます。  それから、海運局参事官いらっしゃいますね。このタグボートの問題でありますけれども、非常に小さいけれども力を持った船でありますが、こういったものは鋼船のものが多いのか、それとも木船が多いのか。それから、木船のような場合に、いままでのいわゆる全木とか日木というようなところの損保契約はできているのかどうか、その点についてひとつ伺っておきたいわけです。
  172. 浜田直太郎

    ○浜田説明員 タグは仕事の性格上、これは鋼船が非常に多うございます。統計といたしましては、私ども引き船ということで取り扱っておりますので、鋼船のほうの引き船全般の数はちょっとわかりかねます。  それから、保険の加入状況でございますが、四十七年度末現在におきまして、木船の引き船は合計百九十五隻が木船保険組合に加入いたしております。それからさらに、民間の保険でございますが、これは大蔵省のほうから業界に聞いてもらいましたところ、木船の引き船が五百四十六隻加入しております。それから鋼船の引き船は千七百七十七隻加入いたしております。かような数字をいただいておるわけであります。
  173. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それはいずれも保険契約を結ばれておりますか。
  174. 浜田直太郎

    ○浜田説明員 はい、結ばれております。
  175. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。とにかくタグというものの性質上非常に危険な状態のところに出入りしなければならない。また、特に接岸するような場合は、船そのものをいためるというようなこともあると思いますし、こういったタグが全損したことが過去にありますか。
  176. 浜田直太郎

    ○浜田説明員 四十七年度の実績で二隻、例があります。木船でございます。
  177. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは海運局のほうはけっこうです。  そこで、海上保安庁長官にお伺いするわけでございますけれども、一応千葉港の現状について私ちょっと心配がございます。現在、千葉港の貨物取り扱い量がどれくらいあるかというような点について、船の出入りについて常にその状況を握っていらっしゃる海上保安庁に伺うわけでありますけれども、千葉港というのが最近非常な力を持って、いわゆる京浜の港よりも新しい力を伸ばしつつあるということは御承知のとおりだと思います。話によりますと、全国で三位だというようなことをいっております。それからまた、年間取り扱い貨物量が一億トンというようなことをいっておりますけれども、こういった数字は事実かどうか、また、その中でどれくらいの危険物、いわゆる重油とか軽油とかあるいはガソリンとか、そういった傾向の危険物といわれるものがどれくらいあるのか、その点をひとつ伺いたい。
  178. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 千葉港の取り扱い貨物量につきましては私のほうからお答えいたします。  昭和四十七年でございますが、一月から十二月までの一年間の総貨物量は一億三百万トンでございます。内訳は、外国貿易が五千五百万トン、それから内国貿易が四千八百万トンでございます。  このうち、特に石油関係でございますが、石油及び石油類の取り扱い量が、原油の輸入が三千六百五十五万トン、それから内国貿易関係のものが二千四百十五万トン、その二千四百十五万トンのうち外に出ていく、移出でございますね、よそへの移出関係が二千四十三万トン、移入が三百七十二万トンということになっております。
  179. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、いわゆる一億三百万トンですか、一億三百万トンのうちに六千万トン以上のものがいわゆる油類というふうになるわけですね。その率からいっても六割六分ということになるわけですから、たいへんに高いものじゃないかと私思うのです。  そこで、これはことしの三月一日の読売新聞の記事をちょっと引用させていただきますが、京葉工業地帯で火災とか爆発事故が非常に多い。そういうところから全日本海員組合千葉支部で調査をした。どういうものを調査したかというと「千葉石油化学コンビナートの安全対策調査」ということをやったわけです。その内容は、突発事故発生の際、乗組員に対する通報、避難誘導体制はどうなっているか。二番目に、船舶の緊急離岸のための引き船配置状態はどうなっているか。三番目に、化学消火薬品の内容と保有量はどうなっているか。こういう点を調査したようでございます。  調査の対象になったのは三井石油化学千葉工場、丸善石油千葉製油所、それから極東石油千葉製油所、それから富士石油袖ケ浦製油所、それから出光興産千葉製油所、住友千葉化学、こういった六社が対象になったようでございます。  そこで、調べた結果というものは、大型タンカーが事故を起こしたというようなとき、あるいは陸上の工場で爆発事故が起きたといったときに、ほんとうにそれに対応する策が何もできていないということが発見された。その調査の結果は、千葉港とすると大型のタグボートが一隻しかないというようなこの新聞報道でございます。  先ほどからいろいろと港湾局長にもお伺いいたしました、タグボートが偏在しているのじゃないかということもありますが、問題は、一億トンも取り扱い貨物量があり、その六割に相当する石油製品がある。そういったところにありまして、大型タンカーがもうたいへん入ってきているわけです。そこでこういったものを離岸させるための大型のタグボートが一隻しかないという事実は、非常に私も危険きわまりないと思うわけでございます。この新聞報道のとおりとしますと、これはたいへんな問題が千葉港において発生するのではなかろうかと思うわけです。そういった点から考えまして、当然千葉港の港湾管理者にも問題があろうと思います。しかし、いろいろ港湾管理者としても、財政面から考えてみて、やりたくてもなかなかできないというようなところもございますので、国の立場からこの港湾の防災対策というものについてもっともっと真剣にやらなければならないと思うわけでございますが、この点についての港湾局並びに海上保安庁の答弁をいただきたいわけです。
  180. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございますが、先ほども申し上げましたように、港湾管理者としてのタグを持っている限界、あるいは実は昭和四十五年以降に先ほど申し上げました港湾管理者がつくるタグには消火施設などをつけるようにいま努力しております。しかしながら、なかなか先生のおっしゃるようなところまでは手が伸びないというのがほんとうのところだと思います。現在、港湾管理者といたしましては、港湾法で、その業務といたしまして消火、救難のための必要な設備、オイルフェンス等の防除施設の整備を行なうということを規定しておりますけれども、実際の緊急時におきましては、その必要な措置といたしましては、陸上におきましては消防署でしょうか、それから海面におきましては海上保安庁が中心になってやっていただかなければいけないというのが現状でございまして、それらの消防署や海上保安庁と港湾内の関係者と緊密な連絡をとりながら防災活動を行なうというふうな形になると思います。  そこで、先ほど言われましたような大きな災害の発生が予想される港におきましては、これらの関係者が集まりまして、その体制を将来考えながら、その中で港湾管理者のあり方を見きわめ、それに対する政策を打ち立てていくようにしたいと思う次第でございます。できるだけ大きなタグを随所に配置するということは非常に理想的なことだと思いますけれども、実際にはなかなかむずかしい面があるのではないか。したがいまして、その港々における防災を研究いたしまして、その中でどのように配備していくかという点について研究を進めていきたいというように考えます。
  181. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先生の御指摘、まことにごもっともでございまして、千葉港における大型タグが少ないという点は事実であろうと思います。ただ、先ほどもちょっと先生もお触れになりましたが、大型船を押す場合、引っぱる場合、一ぱいのタグだけでやるわけではございませんで、十万トンの船も三ばい、四はいで押せば出せるわけでございます。ですから、多くのタンカーが同時に離着岸を必要とするときは非常に問題が多うございますが、まあ一ぱい程度の火災あるいは離岸を必要とするようなケースは、何とか千葉港のタグボートで量的にはまかなえる。ただ物理的にはいろいろな問題があると思いますけれども、そういうふうに一応了解しております。  それから、決して先生にさからうわけではございませんが、タンカーの火災は、荷役中には少なくともいままで経験的にはあまりございません。これは労働安全衛生規則あるいは船舶安全法関係の法令で規制しておりまして、荷役中の事故というのはあまりなくて、離着岸の際、むしろ着岸の際に衝突して火災を起こす場合、それからタンククリーニング中、ガスフリーのときに火災を起こすような場合、こういった場合がタンクの火災であろうかと思います。それで、着岸の場合は、実はこれは言いわけではございませんけれども、海上交通安全法でもって、五万トン以上の大型タンカーには、浦賀水道からずっと警戒船をつけるようになっております。警戒船のほとんどはタグボートでございます。消防能力を備えたタグボートをつけるように指導しております。  したがいまして、離着岸の際まではタグボートがその本船の近辺におるということでございまして、問題はコンビナートが大災害を起こして一挙にタンカーを離岸をしようとする場合、これが非常に問題であろうかと思います。この点は先生指摘のとおり、いままであまり検討が十分ではないということがわれわれわかりましたので、先ほど港湾局長も申しましたように、各港々で関係者がさっそく検討を開始いたしまして、善処方を努力いたしたい、このように考えております。
  182. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 まだ質問したいことがたくさんあるのですが、いま十分程度という通報がありましたので、急いで答えていただきたいわけですが、この三月一日の読売にも、チッソの五井工場が爆発した。いま長官も言われました危険なほうの陸上のほうの爆発。それで、その五井工場が爆発した際に、接岸していたタンカー自体が発見したようですね、この新聞によりますと。排ガス燃焼筒の異常燃焼を確認して工場に連絡した、こういうふうに新聞には書いてあります。その直後に爆発が起きた。しかし工場のほうから何の連絡もなかった。やむなく自力で離岸して警戒を続けた。こういったときには、どうしてもいまのお話のようになければならないわけですね。そうしたときに、ほんとうにこの一隻では間に合わないのじゃなかろうか、こういうように思うわけです。海員組合でも、こういう陸上の火災、そのときに急遽脱出するというその体制についての点を指摘しているわけであります。  いずれにしましても、不足であるということはお認めになったわけでありますし、それに対して対応策を考えるということもわかるわけであります。したがいまして、これは至急にやるべきではないか、こういう問題をいつまでもいつまでも放置しておくということは、これは問題になると私は思うわけでございます。シーバースの問題も同じことでございます。  そこで、これはちょっと古いことになりますけれども、海員組合が四十八年の十一月、石油連盟あるいは石油化学工業協会に対して、石油化学工場の災害と船舶の安全確保という問題で申し入れをした。ところが、どうも一向にこれに対する工場側の体制が整わないということを私ども聞いて心配しておるわけです。これにもございますけれども、非常に長い文章ですから、簡単に一部のところだけ読んでみますと、「出光石油徳山工場をはじめとし、千葉、川崎と続いたうえ、直江津の信越化学における爆発事故など、本年に入ってからの事故件数も十数件にのぼっており、厳しい世論の批判をうけている実情にあります。これら石油産業の発展の陰には、原油をはじめ製品輸送の任にあたっている船舶があります。その数は日本商船隊の過半数を占めており、それらの船舶の運航に従事している船員は十数万人にも及んでおります。」、まん中は飛ばしますけれども、「これら船舶の乗組員は貴工場従業員と同様に、船舶上において危険物と同居しており、われわれは絶えず安全については最大の努力を払ってきているところであり、工場側からも厳しい規制をうけてもおりますが、増産第一主義の工場側の安全に対する怠慢が、かかる一連の事故続発の原因であると断ぜざるをえません。よって、われわれは貴連盟・協会を通じ、貴会長の責任において参加各社に対し、安全管理の徹底と下記事項について、直ちに善処されるよう要請します。」  その内容については、事故発生時の問題が三つ、通常の場合の問題が五つ、こういうふうに分かれております。事故発生時、このときに一番として「プラント工程に異常を認めたときは、直ちに船長に通知するとともに、荷役を中止し、船長判断による安全な場所に退避させること。」二番が「完全に異常状態(火災を含む)を脱しない限り、接岸および荷役を開始しないこと。」三番に、「緊急帰船する船員の通行に便宜を与えること。」——この緊急帰船する船員の通行に便宜を与えるという問題は、徳山でも一つ具体例があります。帰ろうとしたけれども帰れなかった、そういう例もあるので、ここへ出てきたと思うのでありますが、二番に通常の場合です。一番が「工場における防災および避難計画を入港船に周知しておくこと。」、当然のことだと思います。二番、「接岸施設は、プラント施設が爆発しても直接被害をうけない距離を維持すること。」三番、「大型船で曳船を必要とする船舶には、事故発生に直ちに対応できるよう曳船を待機させること。」、この三番は問題だろうと思うのです。四番、「陸上におけるホース・コネクションおよび繋船索要員船舶設備に対応した人員を常時配置しておくこと。」当然のことだと思います。それから「工場側の安全、防災訓練には船舶も参加させ、連繋プレーが直ちに実施できるように配意すること。」、こういった申し入れをしているのですが、工場側は、申し入れをしても全く聞かないというんですね。  こういう問題に対して、役所としても当然何らかの策をとって安全の徹底をはからなければいかぬと私は思うわけでございます。そうした意味から、保安庁長官はどのようにお考えになっているか。こういうものに対して、陸上の問題であるけれども、一方、船がそこにあるわけです。陸上のものが船のほうに延焼するということは、これは当然ないことが好ましいわけでありますけれども、爆発等があればこれもないとも言えないわけでありますので、そういう点に対する配慮をひとつ考えておいていただきたいと私は思いますので、この申し入れに対して——この申し入れがあったということは御承知かどうかわかりませんけれども、当然のことを当然のように申し入れたにすぎないと思うので、こういう点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  183. 佐原亨

    ○佐原政府委員 申し入れに関しまして詳細なる点は、実は申しわけございませんが、私、存じませんでしたけれども、ただいま先生お読み上げになりました内容につきましては、異論を唱える何ものもございません。船員の問題でございますので、船員局長とも十分連絡をとりまして、陸上ではございますが、コンビナート地区、陸上の工場側に対しまして申し入れをする必要があるものは強力に申し入れをさせたい、このように思っております。タグの問題はじめいろいろな問題がございますが、一度慎重に検討させていただきたいと思います。
  184. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、さっき港湾局長が言われましたが、消火施設をタグボートにつける、これはたいへんけっこうなことだと思うのでありますけれども、実際上、消火施設が、もちろん初期消火ですが、それがついているタグボートというものも非常に少ないようにこの「海の総点検」ではいっております。タグボートに消火設備があるかないかについての調査で、あっても不十分というのが十六回答があり二四%、全然ないというのが九回答あって一三%、こういうふうに三七%のものはタグボートの消火設備がない。ですから、これは至急につけなければいかぬと思うのです。  そこで、民間のタグボートに消火設備をつけさせるために、これは義務づけするということになっているのですか、義務づけじゃないのですか、その点はどうなんですか。
  185. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 義務づけではございませんで、行政指導をやっております。それで港湾管理者のものに対しましては、先ほど申し上げましたように、港湾整備促進法という法律で起債をあっせんするというときにそういう指導を行なっております。それから民間の場合にも、開銀融資をお世話するというような形でタッチしているところがございまして、そういう点につきましても、できるだけ消火設備をつけてもらうというような形で現在のところは指導をしているということでございます。  また、念のために申し上げますと、引き船は四十七年十月現在で五百十八隻ございます。そのうち消火設備を有するものが二百十五隻ございまして、そのうち化学消火設備を有するものが百二十三隻になっております。
  186. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 質問を終わりますが、要するに、これも私の考えは、義務づけすべきじゃないか、そして民間のもの等についてはそれ相当の補助をつけてやる。ただ行政指導でやれやれと言ったって、これは金が出なければできっこないわけでありますから、新設する場合には、当然のこと、そういったものに対しては義務づけをし、しかも補助をするというような体制へ持っていくべきではないかと思います。  私、この前川崎の廃油施設を見に行ったときに、ちょうどそのときにタンカーの「ていむず丸」が爆発しました。それにちょうどぶつかったものですから、私も非常に「ていむず丸」の問題については調査もしましたが、実際あのときでも東京湾内にいた「ひりゆう」以下いろいろの海上保安庁の消火船艇が現場にかけつけるまでには非常に時間がかかったということですね。これは、どこで発生するかわからない、だからどこで待機しているといっても、たいへんこれはむずかしい問題だろうと私は思います。しかし、現実に、そのときの記録を見ましても、最終的には相当のものがかけつけていますけれども、実際に行動していたもの、すぐにもかけつけられる態勢にあったもの、ただし現場に近いところにいたものばかりではございませんけれども、遠いのは浦賀水道あるいは館山沖、こういったところにいたものもありますが、要するに発動の知らせを受けてから現場に到着するまでに、千葉からかけつけた「ひりゆう」が五十五分、館山沖にいたものは、当然これは距離がありますからやむを得ませんが、「げんかい」が百二十五分、それから浦賀水道にいた「すみだ」が四十五分、こういうふうになっているわけです。これらのものが、泡消火の原液を積んで行っていても、「ひりゆう」のような大型のものならともかく、小さな船になりますと、大型タンカーにはとても届かないのだという話ですね。ですから、タグボート等が、初期防火に若干の役に立つのではなかろうかと私は思いますが、これは全く初期の消火だけだと思います。しかし、ないよりはあったほうがいいというところから私は申し上げるわけでありますが、いずれにしましても、危険物が横行しております湾内におきますところの危険状態をなくするためにも、そういった火災発生を未然に防止するためにも、常に万全の体制がなければならない、こう思いますので、一そうこの面について港湾局並びに海上保安庁の努力を要望したいわけであります。  以上で質問を終わりますが、最後に長官と局長から決意のほどを聞かせておいていただきたいと思います。
  187. 佐原亨

    ○佐原政府委員 海上保安庁といたしましては、保安庁なりに一つの考え方に基づきまして消防船の整備計画を持っておりますが、結論的に申しますと、現時点ではまだ目標に達しておりません。御指摘のとおり、当庁の船が最後にはかけつけるわけでございますけれども、それまでの間の過渡的な初期消火が非常にウィークである、おっしゃるとおりでございます。この点では、港湾局とも十分連絡をとりまして、民間の船あるいは港湾管理者のタグボート、タグボート以外の船であろうとも、なるべく化学消防施設を備えつけるよう強力に指導をいたしたいと思います。
  188. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 すべての船に消火体制をつくれという先生の御意見でございますが、それに対しては、私ども可能な限り指導していきたいという形でやってまいりたい。先生のおっしゃる御意見、十分承りまして、港湾管理者に対しての指導を強く進めていきたいというふうに考えます。
  189. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  190. 三池信

  191. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最初に空港騒音の問題から入りたいと思います。  先般、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律を審議したわけでございますが、この改正が通過をしたわけでございますけれども、私は、名古屋空港周辺の問題について、これから若干お伺いをしてまいりたいと思うわけであります。  この名古屋空港は、御存じのとおり自衛隊と民間の共用飛行場になっておりまして、かなり頻度が高まっておるわけでございます。周辺都市は、名古屋市、春日井市、小牧市、豊山町、師勝町、そういうような問題でございますが、昭和四十六年二月十七日、離着陸の頻度を調べてみますと、自衛隊と民間と約半々ぐらいでございまして、到着が百十三便、離陸が百一便というような数字が出ております。  そういうような状況にあり、さらに春日井市におきましては、飛行場を撤去してもらいたいというような住民の要望もある。いろいろなデータを調べてみますと、これは毎日の航空騒音の状態等も調べておりますが、最高値をとらえてみると、百二十ホンを下るということがめったにないというようなデータが出ております。たとえば、昭和四十七年十月から四十八年一月ぐらいまでに調べたデータを見ましても、一日のうちで百二十ホンを下るということは半分以下ではないかというような状況でございまして、最高値は百二十六ホンというような結果が出ておるわけでございます。  それで、まず基本的に伺っておきたいのは、いわゆる都市周辺の飛行場については順次整備がなされるようにこの法律では定められておるわけでございますが、いわゆる空港周辺整備機構については、先般の法案審議のときに私が質問をした限りにおいては、当分の間、関西空港のみであるというようなお答えをいただいております。また、この法案の第八条の二の、いわゆる「住宅の騒音防止工事の助成」、こういうところに指定されている飛行場も、東京大阪、福岡、成田、大体四港が対象になろう、こういうようなことが法案の説明のときにありました。また、第九条の二も、緑地帯等の整備をする旨、この法案に追加をされたわけでございますけれども、これもまた宮崎、松山、函館、仙台、そこら辺が対象になるであろうというふうに御説明があったわけでございます。この関西空港の問題をいろいろ考えてみますと、いわゆる万博以前においてはそんなに就航便数というものも多くなかったのですが、そこから順次急激にふえてきた、こういう経緯があるわけでございます。したがって、万博以前の状態のときに、都市化が進んでいない状態のうちにいち早くその周辺に対するいろいろな対策を立てておけば、今日のような大騒ぎにならないで済んだのではないだろうか、そういうことを言う人もあるわけでございます。これも私は確かに一理あると思います。  そういった意味におきまして、航空局としては、この都市周辺の飛行場に対して、どういう態度をもってこれから整備をしようとしているのか。現在すでに騒音で騒がれている関西空港周辺みたいな状況に立ち至ってからでは、どう手をつけても、お金がかかるばかりで、さらにまた非常に複雑な問題も出てまいります、住民感情等のつながりもありましょうから。そういった意味で、なるべく早くそういう都市周辺の空港については考えなければならぬ、そういう観点からひとつ方針について伺いたい、こういうふうに思います。
  192. 隅健三

    隅説明員 名古屋空港の騒音につきましては、地元の春日井市豊山町、それから小牧市の住民皆さま方が半年に一回はお見えになりまして、名古屋空港の騒音についての訴えをなさるのを私は聞いております。確かに都市空港につきまして、いま先生のおっしゃるとおり、これの先取りと申しますか、この対策が重要なことは申すまでもございませんが、この前当委員会で審議をし、可決をいただきました騒音防止法につきましては、東京国際空港羽田、それから大阪国際空港いわゆる伊丹空港、それから成田の新東京国際空港、それに福岡と鹿児島が特定空港に指定をされております。なお、先生がおっしゃいましたように、宮崎、松山、仙台、函館につきましては、四十九年度において政令を改正いたしまして特定空港にする予定でございます。これによりまして、用地移転補償であるとか、学校の防音工事であるとか、あるいは民家の防音工事に手をつけることができるわけでございます。ただ、名古屋空港につきましては、一応防衛庁がこの空港の騒音対策を基地の周辺整備のほうでやっていただいておりますので、この点われわれといたしましては、防衛施設庁と十分協議をいたしまして、名古屋空港の騒音対策をいろいろお話しをして進めていっておるところでございます。  なお、防衛施設庁におきましては、お話を聞きますと、四十九年度において法律を改正いたしまして、民家の防音工事もこれに入れるということでございますので、当然名古屋空港におきましては、民家の防音工事というものも四十九年度から対象になると存じます。  いずれにいたしましても、都市周辺の空港につきましては、移転補償であるとか、緑地であるとか、あるいは音源対策といたしまして便数の削減であるとか、あるいは低騒音機の導入であるとかいうような点をさらに一段と強化をする必要があると存じます。また一方では、都市周辺というために土地価格が非常に高い。それで移転補償その他についてもなかなか進まないという問題もございますので、今後とも名古屋空港におきましては、防衛施設庁あるいは愛知県、あるいは地元の春日井市、豊山町、小牧市というところともお話し合いを続けていろいろの対策を講じていきたいというふうに存じております。
  193. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私はその点についてもう一点伺いたいのでございますけれども、御存じのとおり企画庁のほうから総合交通体系というものが出されておりまして、交通問題全般の整備をしていかなければならない、その関連についても整備をしていかなければならない、これが基本的な問題になっておるわけでございます。これから国鉄が新幹線網を全国に敷こうとしておりますけれども、そういうことによって距離的な間隔というのはたいへんに縮まってくる。同時に、地方空港においてもジェット機を導入したいというような傾向が全般的に見られるであろう、私はこう思います。そういう問題についてどう考えていらっしゃるか。  たとえば、この前の関西の空港周辺の問題については、これからのいわゆる旅客の増加分については、需要の増大分については、いわゆる代替輸送を考えるのも一つの方向であろうということが、環境庁長官の話からも、あるいは運輸大臣の話の中からも出てきておるわけでございます。御存じのとおり、大阪東京間は三時間十分、名古屋等はそれに比較しますとまたこれはわずかに二時間というような状況になっております。そういう二、三時間で行けるような状態になったときに、ジェット機導入の問題を航空局としてはどういうふうにさばいていくのか。いまだに東京—名古屋間の定期便もあるわけでございまして、確かに需要も十分あるようでございます。しかし、そこら辺のところは思い切って整理をして、そうして総合交通体系の上からいっても、この辺はせいぜい汽車でやるんだというような強い方針をこれから立てていかないと、両方に金がかかるばかりで、その効果というのははたしてどれだけあがるかということも考えていかなければならぬのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  194. 隅健三

    隅説明員 新幹線が開通いたしましてから、東京—名古屋につきましては、いま先生がおっしゃいましたように、確かに一便は残っておりますけれども、ほとんどの便数を切りました。東京—名古屋については新幹線でやっていただく。それで総合交通体系の上から、日本の今後の地方空港のジェット化をどのように考えるかというお話でございますが、われわれは、四十六年に立てました第二次空港整備五カ年計画では、各地区の拠点については原則としてできるだけ国内空港としてのジェット化をはかるという方針を打ち出したことは事実でございます。たとえば旭川であるとか帯広であるとか、あるいは花巻、秋田、山形、高松、徳島、高知、宇部、米子というところは、ジェット化の対象といたしまして計画をいたしました。しかし、新幹線網がだんだんと拡充整備されていきますときには、われわれといたしましては、第三次空港整備五カ年計画では、この点はやはり総合交通体系の上から見直しをする必要があるであろうということは、今後の第三次空港整備五カ年計画を事務的に検討していくにあたって一番重要な問題の一つだと考えております。やはり列車で二時間ないし三時間で行かれるところは、しいてジェット空港ということでなくて、やはり総合交通体系の上から、現在のYSあるいは短距離の騒音の少ない飛行場輸送ができるならば、何もジェット化しなくてもいいではないかという御意見のあることも十分承知をいたしまして、検討を開始いたしております。
  195. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、名古屋空港周辺の具体的な問題をさらにお伺いをしたいのでございますが、この新聞は一般紙でございますが、去年の九月十八日に載った問題でございまして、これは六段見出し、かなり大きな記事の扱いでございます。これによりますと、「雨降ると床下浸水」という見出しになっておりまして、この名古屋空港の周辺は、大雨が降りますと直ちに冠水をするという状況になっております。  なぜそういうようになったのかといえば、名古屋空港をつくる当時の状況というのは、言うまでもなく都市化がまだ進んでいない状態でございますから、田んぼが多かったわけですね。ですから、少々大雨が降っても、これはもう田んぼに水が全部吸収されてしまうわけですから何も問題がなかった。ところが、空港をつくるにあたって周辺との高低差をつけてかさ上げをして建設した関係上、この空港周辺の土地というのは低くなっておりまして非常に水はけが悪くなった、こういう状況で、そこら辺が常に大雨が降ると冠水状態になる、こういうことになっておるわけです。  それから、飛行場の東部になりますか南になりますか、この南のオーバーランというのがあるわけでございます。空港の事務所が左にあるとしますと、右手のほうに当たるわけでございますけれども、その飛行場の周辺にいわゆる水路をずっとめぐらしておるわけでございます。それからこの南のオーバーランのところの下に水路が一本通っている、こういうふうにぼくらの調査ではなっておるわけでございますけれども、そのちょうど宗法町というところの出口のあたりが川から水が流れているわけでございまして、その川の水が空港の中を通るのが一本と周辺を回っているのが一本、こういう状態になっている。ところが、川に比較しまして空港を取り巻いている水路も幅が狭い、また空港の中を横切っている水路も非常に水の取水口が小さくて、そのためにこの辺はちょっと雨が降ると必ずその周辺は水がつく、こういう状況になっておるわけでございます。  これは長い間の懸案でございまして、名古屋市においても、その河口のほうを整備しようというような計画計画としてはあるというふうに伺っておりますけれども、とにかく毎年毎年のことなんですね。周辺の人は非常に困っておる。そういう状況があります。飛行機の騒音に悩まされ、また冠水で悩まされたのでは、いかにも気の毒でございます。騒音のほうは、対策としては音源対策から始まっていろいろむずかしい問題はあるにしても、この浸水問題はそうむずかしい問題ではないのではないか、こう私は考えるわけでございます。もちろん河口のほうの川幅を増幅する必要はあるにしましても、たとえばこの周辺をめぐっている水路だけでも倍ぐらいにすれば何とか片がつくのではないか。私は建築家ではありませんので、しろうと的な発想であるかもしれないにしても、これは何らか解決方法がある、こう私は思うわけです。そうむずかしい問題ではないと思います、治水工事の問題というのは。そういうことで何とかこれは改善ができないかということを御要望申し上げるわけですが、いかがですか。
  196. 隅健三

    隅説明員 先生いま御指摘のとおり、名古屋空港というのは、昭和十九年に、この辺が高台でございまして、あとは全部水田と申しますか農地でございました。それを陸軍が飛行場につくったわけでございます。空港の東南側には八田川、西側にいま御指摘の大山川、それから南側に地蔵川という川がございます。その河川に囲まれた位置が名古屋空港でございます。また、その辺は無数の水路で結ばれておる。そこで、位置的に申しましても、大体春日井市のほうから、北東から南西の方向に土地が傾斜がついております。降った雨は空港の中から豊山、名古屋のほうへ流れていく。先生のおっしゃったような、宗法町のほうからこっちの豊山のほうへ流れていくということは確かに事実でございます。そこで、われわれといたしましては、この空港の排水路についていろいろ検討いたしております。  いま一つは、空港の滑走路の北側の下を大山川が流れておりまして、これは今後上流と下流において河川改修を行なう場合には、われわれといたしましても、空港内の大山川の河川改修は十分建設省と協議をいたしまして、川の流量に耐えるだけの排水口の工事を、これは滑走路がございますので、一応滑走路をクローズしても十分な建設をいたしたい。これはしかし治水計画で県あるいは建設省とも十分御連絡をした上で計画を立てていきたいと存じます。  もう一本は、南側のオーバーランの下を先生のおっしゃっておる水路が横断をいたしております。この水路につきましては、これは実は昭和三十年ころ米軍が施工いたしまして、いろいろのデータが不足な向きがございます。それで、われわれとしてもできる限り水路を検討いたしました。断面あるいは勾配を計算をいたしまして、あるいは現場を見まして、大体幅が三メートル三五、深さが一メートル三五という比較的大きいと申しますか、計算からすれば毎秒十三立方メートルくらいの流量があるのではないかと思いますけれども、しかし問題は、先生のおっしゃるように、こちらの取りつけ口のほうの問題がございました。そこで県といたしましては、お話を伺っておりますと、防衛施設庁とも建設省とも御相談になって、豊山町であるとか名古屋市の河川対策の三年計画で、いろいろ根本的な排水対策というものを四十七年、四十八年に基本的設計をおやりになっている。われわれといたしましても、これに沿いまして、空港から出ます排水につきまして、これの受け入れ口と、それから建設省あるいは県でおやりになる河川改修との接点については、万遺憾なきを期したいということで検討はいたしておりますけれども、われわれのほうだけで一方的に進めるわけにはいきませんし、また空港周辺の水路につきましても、現在空港事務所あるいは第五港湾建設局に調査を命じております。
  197. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは建設省との問題もございますので、そちらのほうだけに御要望しても解決はしないと思いますけれども、いずれにしてもそういうような基本設計等やっておるわけでございますから、私のほうからも建設省にこの問題は提示をしたいと思いますが、ひとつ運輸省としても十分な措置をしていただきたい。なるべく早い機会に、特に最近の降雨の状態というのは、特に夏場近くになりますと、集中豪雨的な降り方をするのが最近の特徴なわけですね。ですから、しょっちゅうその周辺は水につかる、こういう特殊事情をよく御勘案をいただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきます。ではこの問題は以上にしておきます。  それから海難事故の問題についてお伺いをしたいわけでございますが、まず最初に、海上保安庁のほうから四十七年度、四十八年度の海難事故者はどのくらいになっているか、最近の何年間かとらえてこれは増加傾向にあるのか、あるいは減少傾向にあるのか、ここら辺からお伺いをしたい。  それからもう一点、自分の不注意によって起こった事故はその中においてどのくらいのパーセントを占めるものか。逆に言えば、いわゆるそういう天候の異変によって起こる事故が大部分だと思いますけれども、そこら辺のパーセントはどのくらいになっているか、この点をお伺いしたいと思います。
  198. 佐原亨

    ○佐原政府委員 四十七年、八年という御質問でございますので、二年に限ってお答えさせていただきますが、一般船舶、漁船合わせまして四十七年は二千六百五十七隻、四十八年は二千六百十五隻で、過去の傾向を見まして大体横ばいということでございます。そのうち不注意によるものがどのくらいあるかということでございますが、ちょっと計数的につかんでおりませんけれども、海難の大半は運航過誤あるいは不注意、操船の過誤、こういったものが圧倒的に多いパーセントを占めておるのではなかろうかと思います。ちょっとはっきりした計数を持っておりませんけれども、半数以上は不注意によるものだと思います。
  199. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それからもう一つ確認をしておきますが、地域的に片寄りがあるのではないかと思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
  200. 佐原亨

    ○佐原政府委員 港内における海難、それから距岸三マイル以内の海難がこれまた非常に多い、そのような傾向であろうかと思います。
  201. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私が言っているのは、そういう場所的な問題じゃなくて、日本全国の地理を考えてみたときに、北海道とか青森とかあるいは九州とか、そういう地域的な片寄りがあるのじゃないかということを伺っておるわけです。
  202. 佐原亨

    ○佐原政府委員 ちょっと地域別にどうかという統計をとっておりませんので、この場でお答えしかねますが、特にある地域に偏在するということはないようでございます。
  203. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それはあとでもけっこうでございますが、やはり県によってはかなり遭難のあれが片寄っているように私は記憶をいたしておるわけです。たとえば青森、北海道とか、あるいは九州の長崎とか、そういったところに多いのじゃないかと思いますが……。
  204. 佐原亨

    ○佐原政府委員 海域で分けた資料はございませんが、私どもの管区別に分けた資料がございます。これは四十七年の数字でございますが、それで申しますと、第五管区が四百二十九隻で一番多うございます。(石田(幸)委員「第五というのはどこら辺ですか」と呼ぶ)第五は、神戸に管区本部がございまして、大阪府、兵庫県、徳島県、高知県を管轄しております。それからその次が北海道三百七十七隻、これは北海道一円でございます。その次が第七管区、これは九州の北部でございますが、三百六十三隻。その次が第六管区三百二十二隻、これが大体瀬戸内を四国と中国にわたって管轄しておる管区でございます。大体そのような順位でございます。
  205. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは厚生省にお伺いをいたすわけでございますが、いま海上保安庁から報告がありましたように、四十七年度二千六百五十七隻、四十八年度二千六百十五隻、こういうふうになっておるわけでございますが、いわゆる海難事故者の中で死亡者が相当多いことはしばしばニュース等で知られておるわけなんであります。また、その事故の悲惨さというのは、陸上の事故とは全く違いまして、私たちが想像する以上の、極端に言えば、簡単に死に至るというような事故になってしまう場合がかなりあるわけですね。したがって、そういうような問題が起これば、いわゆる残された家族の、御主人がなくなられたあとの経済的な安定を求めようという要求は当然無理からぬものがあると思うのです。こういったものは、いま船員保険によって一時支給あるいは年金等になっておるわけでございますが、その状況について私ちょっと申し上げますので、それに対する意見を承りたいと思うわけでございます。  一つは、その従業員の遺家族の場合の実例を申し上げますと、昭和四十七年五月二十八日に起こった第8十勝丸の場合、十八人が全員死亡という状況になっておりますね。その状況を調べてみますと、その遺家族で船員保険の最高の年金をもらった人が八十五万二千円、最低が五十万六千円、一時金として乗組員の厚生共済保険によって百万円、それから船員保険年金から、第一子に対して年額七千二百円、第二子に対して四千八百円、こういうふうになっております。この第8十勝丸の場合は、いわゆる任意の生命保険に入っている人がかなりあったわけでございますが、全く入ってなかった人が二人おる、こういう状況であったわけでございます。  そこで、私も現地へ行ってこれをいろいろ調べてみたのでございますけれども、遺家族の実態というのはきわめて同情すべきものがあるわけです。一つは、その遺家族の場合は、自分たちの生計を保つために漁協関係に働いている人がほとんどであります。ところが、女性であるために日当が非常に低い。去年の四月に私は調査に参りましたけれども、日当千円前後というのが普通であります。時間給の場合で百五十円から百八十円くらい。こういうようなきわめて低い労働条件の中で働いておられる。あるいはまた、たまたま生命保険等の外交をやっている人も中にはおりますけれども、そういうようなケースにいたしましても、働き手がいわゆる日給月給でありますから、病気になったときなんかたちまち家計に赤字を生ずる。場合によっては生活保護を受けなければならぬ、こういうような場合も出るようでございます。また、残された遺家族の特徴というのは、そういう海で遠出をする人というのは、高年令層というのはいない。大体中年層から青年層が多いわけですね。そういったために未亡人も比較的若い人が多い、こういう状況でございます。  具体的な実例を私は聞いたのでございますが、たとえば未亡人が子供を連れて、若いから、自分はもう実家へ帰りたい。しかし、家にはなくなった主人の両親がおって、子供を連れていかれては保険金がもらえない。今度は老夫婦が生活ができなくなってしまうということで、子供の所属をめぐってその未亡人としゅうとさんの間で大げんかが起こっておる、こういうような実態も実はあるわけなんです。まあ老人夫婦があきらめて生活保護でも受ければいいのですけれども、やはりいなかの人でございますから、生活保護を受けること自体がその地域で指をさされかねないという状況があって、なかなか生活保護を受けようとしない、こういうような実態があるわけです。したがって、こういう問題を解決するためにはどういう対策がいいか、いわゆる年金制度という問題をいろいろな意味で考えなければならぬ。  もう少し申し上げますと、今度は年金で生活をしていらっしゃる家へ行きまして私もいろいろ状況を聞いてみました。ところが、年金に対してかなり不満を持っておる。それは物価上昇が非常にきびしいので、十年も経過している場合はどうにもならないような、まあお小づかい程度にしかならなくなってしまう。そういうような状況になっている。年金は主たる生活の資金ではないというふうにならざるを得ない。そういったところから年金の物価スライド制を強くこの人たちも望んでおるわけです。中にはいろいろな方がいまして、年金のほうがいいという方も事実おられるわけです。たとえば、子供さんが比較的大きくて、あと三、四年しんぼうすれば子供も社会に出て働いてくれるだろう、そういう三、四年の間であるから、年金をもらって、そしてその間子供の養育費に充て、その他の生活費は自分たちがさらにまたかせいでいく、こういうようなことでやっていける家も多い。こういうところはもちろん年金を望んでおるわけです。ところが、先ほども申し上げているように、未亡人が比較的年令が若くて、実家に帰りたい、あるいは将来の物価高を心配しまして、とても年金だけではやっていけないから、一時金をもらって下宿屋か何か商売でもやって生計を立てたい、こういうような希望の人もずいぶんおるわけですね。そういうわけでこの年金という制度については、その人の生活状態によって一時金として全額もらう、その人の希望によっては年金がもらえる、こういうような両方の制度が適用できるような方向にならぬものか、この点が私の最もお伺いしたいところのポイントなわけであります。いかがですか。
  206. 山口新一郎

    ○山口説明員 年金につきましては、私どもも年金局を中心にいたしまして、従来から歴史が浅いために何かと不備な点が多かったわけでございますが、給付要件あるいは水準等につきまして改善につとめてまいってきたわけでございますが、先生のお話にございましたように、元来は年金で毎月の生活を何とかまかなっていけるというふうに持っていくのが本来だとは思いますが、お話にありましたように、確かに一時にややまとまったお金を使いまして将来の生計を立てるということも、一つ方法として考えられる問題だと存じます。  実は、昨年厚生年金保険法等の一部改正という法律案を国会にお出しいたしまして、おかげさまで年金の相当な改善ができたわけでございますが、その法律案の審議の過程で衆議院におきまして修正が行なわれまして、ちょうど恩給のほうで担保貸し付けをやっておりますが、それと同じような貸し付け制度を別に法律でつくるというものが加えられております。私どもといたしましては、それを受けまして今国会に国民年金法等の一部改正という法律案をお願いをいたしてございますが、その中に年金福祉事業団法の改正がございまして、このほうで具体的に担保貸し付けの制度を立てることにいたしております。それができますと、年金を担保いたしまして一時的にある程度のまとまった金を融通できるという道ができるわけでございまして、これなんかもいまお話しの問題にある程度対応できるのではないかというふうに考えております。  それからまた、今国会にやはり労働者災害補償保険法等の一部改正ということで、船員保険の災害部門の改善をお願いいたしてございますが、その改善と一緒に、これは福祉施設費といたしまして、業務上でおなくなりになったような場合には、金額はまだ問題があるかと思いますが、百万円程度を一時金として年金にプラスをするという考え方も現在とっておるわけでございます。そういうようなことで、これからもいろいろ知恵を出しまして、できるだけお話にありましたようなケースに何とか対応できるように、検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  207. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その担保貸し付けは、限度額はどのくらいですか。
  208. 山口新一郎

    ○山口説明員 現在年金局のほうで具体的な中身を検討いたしておりますが、おそらく例がございますので、恩給の場合と似たような扱いになるのではないかと思いますが、恩給の例で申し上げますと、四十九年度におきましては一応年金の三年分ということで、金額的には四十九年度は七十万円を限度という考え方で、恩給のほうは扱っておられるようでございます。
  209. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 年額七十万円という意味ですか。三十六カ月分。……。
  210. 山口新一郎

    ○山口説明員 年金の三年分ということでございまして、一時的に融通を申し上げるということになりますから、一時に七十万円ということになろうかと思います。
  211. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まあ、これから中身を検討されるのであれば、ひとつ年金の三年分といいましても、大体年金をもらえる人たちは、低い層—高くても八十万円か百万円くらいですよ。低い人は五十万円ぐらいでしょう。百五十万円ではこれはどうにもならぬのですね。これはひとつもう一度御検討を願いたいのです。  それから、もう一点お伺いしたいのは、その未亡人たちが再婚をしたい、その場合に、再婚をしてしまえば完全に年金が打ち切りである、こういうことになっていますね。これは人道上非常に問題があると思うのですよ。その人が再婚をして確かに生活のかてを新たに、まあ新しい御主人を中心にして獲得できるということはありましょうけれども、前の御主人がなくならない場合はその人とともに生活をしていくのだし、それなりの生活設計の希望を持って私は人生を戦い取っていった人たちであろうと思うのですね。御主人がなくなった。再婚すれば年金は打ち切りというようなことは、年金額それ自体がそう高額のものではないのですから、やはりそれなりの人たちのいままでの努力というものを認めて、再婚しても年金はその人がもらえるのだというぐらい、私は人道上の立場からもしていくべきじゃないかと思いますが、この点はそういうふうに改善はむずかしいですか。
  212. 山口新一郎

    ○山口説明員 この点は共済組合、厚生年金、もろもろの被用者の年金制度と軌を一にいたしまして、船員保険でもいま先生からお話がございましたような取り扱いをしているわけでございます。  再婚ということで新しい方とまた新しい生活に入られるわけでございますから、そういう意味で、前の方のなごりがあるのもある面ではいかがかというような考え方もあるようでございますが、いずれにいたしましても、年金制度といたしましては、一応まああるだけの財源をなるべく有効に給付のほうに役立たせたいというような考え方のもとにいまの取り扱いをいたしておると思いますが、なお先生のお話のありました問題、年金局にも伝えまして、一つの問題ということで検討させていただきたいと思います。
  213. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私がなぜそういうことを申し上げるかと言いますと、年金の打ち切りのことからむしろ再婚にちゅうちょをしている場合もあるわけですよ。  こういう実例があるのですね。その人の名前は、個人的なプライバシーの問題でございますから差し控えますけれども、たとえば自分は実家に帰ってそして再婚をしたい、しかしながら子供がおる。その御主人との問題についていろいろあって、子供を連れて再婚するわけにいかないので、実家のほうで育ててもらうというような話し合いになっておるわけですね。再婚すればもちろん自分には年金が来ないわけでございまして、そういった家族、自分の親族に預ける分についてはいろいろとやはり仕送り等もしてあげなければならぬ。そういうようなところから、年金が削られるのではどうにもならぬというので悩んでおられた方がおるわけです。  私は、一つ一つそういうような実情を申し上げてもそれはきりがないかと思いますけれども、もう少しそういう特例事項的なことを、県なら県の中に審議会でもつくるなりして、そういう特例事項にもあたたかい政治の愛の手を差し伸べてあげられるようなことを考えていただかなければ、法律というものはすべてそうでございますけれども、その一つ法律においてすべてを律することは当然できないわけでございますから、そこらへんは何らかの行政措置でできる方法も考えないと、私はそういう非常に気の毒な立場にある人たちを救済することはできないのじゃないか、こういう意味で申し上げておるわけでございます。  いまここで返事をしてくださいと言っても非常にむずかしい問題でございますから、また機会を見て私も詰めることにしますが、十分ひとつ御検討を願いたいわけです。  それからもう一点、これは確かにそういう海難事故にあいますれば、船員保険のいわゆる年金がもらえるわけですが、いま申し上げたように、残された家族は年額五十万ちょっと。子供さんについても年間七千幾らでございますから、これで生活はできないことは言うまでもないわけです。しっかりしていらっしゃる人は自分でその生命保険をかけておるわけです。ですから、千万、二千万の生命保険をかけている人はそれでいいのですけれども、どうも見ていると、せいぜいかけても百万とか二百万、少額のものしかかけていないのが圧倒的なんです。これは何かそういった意味で強制的な保険をかけるとか、あるいは保険額を大幅に引き上げるにしても、そういうものは救済されるんだという方法をとることはできないのか。と申しますのは、この海難事故問題については、交通事故問題と比較すると非常に見捨てられた存在ではないか、取り残された存在ではないかと思うのです。事故の件数からいって比較にならぬのでございますけれども、自動車の場合は強制賠償保険で死亡事故一千万、こういうことになっておるわけですね。これはもう強制的に加入せざるを得ないわけでしょう。それにプラス任意保険ということでございますから、残された家族は非常に気の毒であるけれども、一時的な生活に困ることはないというのが、この自動車賠償保険の一つのいい点ではないかと思うのです。ところが、海難事故に対してはそういうような制度がない。そこから悲劇が起こるという状況になっておるわけですが、この問題についての何らかの皆さんの今後のお考えというのはないのか、この点はぜひ確認をしておきたいところなんです。どうでしょうか。
  214. 山口新一郎

    ○山口説明員 あとのお話にお答えする前に、前の問題でございますが、お子さんが十八歳未満ですと、単なる打ち切りではございませんで、お子さんのほうに遺族年金が振りかわって支給されるという点がございます。  それから、あとの問題でございますが、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、海難事故等の場合の遺族年金の給付水準ということで、実は労災保険と一緒に今回改善をするということで法律案を出しておりますが、いままでは一律に、なくなった方の月給の四五%ということでございましたが、その給付率をお子さんが一人あるという場合は五〇%、二人いらっしゃる場合には五五%というふうに率を高めることにいたしております。  それから、先ほど申し上げました一時金も、わずかではございますが、百万円程度プラスをするということで、その方向へ幾らかでも努力をしようということでございます。  なお、交通事故の場合のプラスの制度でございますが、これにつきましては、私ども厚生省といたしまして、社会保険ということの一環で船員保険を扱わしていただいておりますが、プラスということになりますと、船員労働行政とのからみもございますので、運輸省の船員局とも相談をいたしながら検討させていただきたい、このように考える次第でございます。
  215. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私の質問は以上で終わりますが、いまの問題は、労働行政との関連もあって非常にむずかしいと思います。むずかしいと思いますけれども、日本は何といっても海産物に私たちの食べものを大きく依存しておるわけですから、それなりのやはり制度というものを改善し、新しいものをつくっていかないと、いままでのものを補完する程度だというような考え方では私はだめだというふうに思っておるわけです。この点については、また新しいところで議論をするとしまして、どうかひとつそういう実態を踏まえた要望があったということをそれぞれの関係者に御報告を願いたい、こういうふうに思うわけであります。  以上で終わります。
  216. 三池信

    三池委員長 次回は、来たる十五日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会