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1974-02-13 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十三日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君 理事 三浦  久君       阿部 喜元君    井原 岸高君      小此木彦三郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    細田 吉藏君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    斉藤 正男君       梅田  勝君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸大臣官房長 内村 信行君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 住田 俊一君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         海上保安庁長官 佐原  亨君         気象庁長官   高橋浩一郎君  委員外出席者         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸省港湾局防         災課長     堀口 孝男君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君 二月五日  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出第二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順序これを許します。松本忠助君。
  3. 松本忠助

    松本(忠)委員 先般、二月五日に大臣所信の表明を伺いました。運輸行政基本方針についてきょうは質問をするわけでございますが、限られた時間でございますので、具体的な問題を特に取り上げまして、そしてそれを通じまして、大臣所信をあらためて伺いたいと思うわけでございます。  第一に、先般の大臣お話によりますと「国民生活の安定をはかり、健全な生活環境つくり上げるための対策に取り組んでまいる」、このことについて私も全く同意見でございます。特に「このため、私は、国民の足を確保し、生活必需物資の円滑な輸送をはかるべく特段の努力を払う」、こういう大臣お話でございます。この御意思も私よく理解できるわけでございます。  そこで、具体的な問題によりましてこの姿勢をただしてまいりたいと思うわけでございますが、まず第一番目に、具体的な問題として、大臣は「新住宅地関連バス補助強化を行ない、」こういうことをうたっているわけであります。この問題をまず取り上げてみて意見を伺いたいわけでございます。  御承知のように、最近各所に新しい団地ができ上がる。その団地と駅の間のバス路線がないために、団地ができて入居いたしましても、なかなかこの足の確保ができていないという実情は、十分御存じのとおりだと思います。入るほうの人も、足がないことをもう承知の上で入るわけでございます。しかし、いつまでもいつまでもその足の確保ができないということになりますと、やはりそこに、どうしてもおつとめの関係上等、いろいろ不平不満も出てくるわけでございます。  そうしたことから、再三私のところにもこういう問題についての陳情が出てまいります。お役所のほうにもそのつど取り次いでいるわけでございますけれども、最近の一つの事例といたしまして、埼玉県の吉川団地住民方々から陳情がございました。代表者吉川団地自治会会長白崎亀松さんという人の話でございますが、要するに団地ともよりの駅の間のバス運行か非常にたいへんな状態だ、朝晩の通勤ラッシュには、収容力の二倍、三倍という、もうほんとうにぎゅうぎゅう詰めで、そして駅に送り込んでいる。冬の寒い間、その団地バスの乗り場で長い列をして待っているという状態でございます。  そこで、何とかしてこの解決をはかりたいということでいろいろ御相談に見えたわけでございますが、お話を聞いてみますと、もう少し何らかの行政的の措置が早くできればこの団地の足は解決できるのじゃないかというような気がいたします。そこで、若干の路線の迂回がございますけれども、そのことによって団地全体が非常に交通の便に恵まれる、そして会社も収益があがるのではないかというふうに言っているわけでございます。  こういう例は枚挙にいとまがないと思いますが、こうしたことについて、迅速にその路線変更の認可を与えるなり、あるいは輸送の人員にマッチしたところのバス確保するなり、こういった行政指導をすることが、要するにまず一番必要な問題ではないかと思うわけでございます。そうした結果、赤字の場合は、この運行されているバスに対する補助という問題が出てくるのだろうと思う。  まず、この新住宅地関連バス補助強化ということは当然のことでございますが、その前段として、バスがないために非常に苦しんでいる、交通機関がないために苦しんでいる、こういう人たちに対して一刻も早く何らかの手を打つ、こういうことが私は必要と思います。そういったことで、ぜひこの際、これら関連の問題に対して大臣がどのように対処され、迅速にこれを実行に移されていかれるお考えがあるかないか、こういう点をまず第一番目にお伺いしたいわけでございます。
  4. 徳永正利

    徳永国務大臣 吉川団地の現状につきましては、まだ詳細な事情を私、聞いておりませんけれども、しかしながら、先生おっしゃるように、御指摘のようなそういう問題は各所に起こっておることは承知しております。したがいまして、運輸省としましても、バスの増発でございますとか、あるいはそのほか終バスの延長でございますとか、できる限りの行政指導をやってまいっておるわけでございますが、いろんな関係でそれがまだ住民皆さま方の御満足のいくようなところまでいっていないことも事実でございます。したがいまして、今後におきましては、そういう問題解消のために一段の力を注いでまいりますとともに、さらにタクシー等相乗りと申しますか、そういうようなものも十分慫慂いたしまして、住民皆さん方の足の御不自由のないように努力を重ねてまいりたいと思います。  なお、大団地の問題につきましては、今後また宅地造成公団等もできるようでございます。そのときにまた御審議いただきたいと思いますが、今後一段の努力を払ってまいるつもりでございます。
  5. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま大臣からタクシー相乗りの問題が出ました。この相乗りの問題は、私も大いに検討する必要があろうと思います。しかし、朝の通勤時、このときはとにかく朝の七時とか八時とか、そういう時点でございますから、別に変な問題を考える必要はないわけでございますが、夜間でございます。夜間になりまして相乗りをいたしますと、とんでもない事件に発展したという、そういう危険性があったということも聞いておりますし、警察当局としては、やはりこの相乗りという問題に対しては、あまり好ましいことではないというふうに言っておりますが、その点についてどうでございますか。
  6. 中村大造

    中村(大)政府委員 先生御説のように、タクシー相乗りというものは本質的にタクシー制度と相いれないわけでございます。したがって、こういうものを無秩序に、無制限に許すということは非常に問題がある。ただ、団地等との往復について、終バスがなくなったあととか、あるいは道路が非常に狭くて本来的にバス運行ができない、こういうふうなところにつきましては、いろいろな条件を設定いたしまして、そういう条件に合致するところだけについて相乗り制度というものを昨年の暮れから認めたわけでございます。したがって、これを認めるについては、いろいろな条件を付しております。したがって、その条件に合うところについては、今後ともこれは拡充していくべきだと存じますけれども、しかしながら、それ以外のところについて無秩序に行なわれるということは、これは厳に取り締まってまいりたいというふうに思っております。
  7. 松本忠助

    松本(忠)委員 この問題については、今後も実情に応じてよく検討していかなければならない問題であろうと思っております。  それでは、次の問題でございますが、大臣は、公共交通機関運賃改定の問題につきまして「国民生活への影響及び各事業の実体を十分勘案の上、」——たいへんうまいことばでございます。そうした結果、極力抑制する方針であるというふうに言われております。私どもも当然のことであろうと思います。  問題は、総理の演説、一月二十一日にございました。その直後に、全くこれに反抗するような問題で行なわれたのが大都市のタクシー料金値上げでございます。これは燃料であるところのLPG不足によりましてこういう事態になったことは、私もあのときは認めざるを得なかったとは思いますけれども、今日、依然としてLPG不足かというと、そうではないわけであります。つくられた物不足で、現在ではもう希望するだけ注入されているというのが実情でございます。  個人タクシーのような場合はたいへんに問題は大きいと思います。燃料確保ができるかできないかが直接生活に影響するわけでございますので、個人タクシーのような場合はたいへんむずかしい問題と思いますけれども大手タクシー会社は、いずれも自分のところでLPGのスタンドを持ち、あるいはまた傍系の会社にそういうものをやらせて、そういうところで十分の過去からの実績があり、手当てして、そうして注入をしておりますので、大会社のほうでは燃料確保というものは少しも困らなかったのが実情ではなかったかと思います。  そこで、その料金法人個人と二本立てにするなんということは、当然できないことでありますので、もうやむを得ないことと思いますけれども、今回の値上げによりまして、個人タクシー経営はたいへん困っていたのがほっと一息ついたというような状況ではないかと思いますが、法人タクシーのほうは、もうほくほくの状態だということをいわれております。  まあ、この業界裏面に詳しい者の話でありまして、事実であるかどうか私も確認はしておりませんけれども、今回の値上げにあたりまして、大手法人タクシー会社が一台につき三万円のいわゆる値上げ運動資金というようなものを拠出し合って、この暫定料金の設定について猛烈な働きかけをした、その結果成功したんだ、というようなニュースが流れてきております。そのようなことはあるべきではないと思いますけれども、なるほどなと思われないこともないわけでございます。そういう問題については、われわれも十分に調べなければならない問題だと思いますが、何かそういう問題について運輸当局として御承知でございましょうか。
  8. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまお話しのようなことについては、私どもは存じておりません。おりませんが、もしそういうような、運動資金によってこの値上げがどういう形で推進されたかということについては、今後私ども十分注意をしてまいらなければならぬし、関心を持ってまいらなければならぬと思います。どういうところにそういうものが使われたかということにつきましては、これは重大な結果をもたらすものだと考えております。
  9. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、こういうまだ未確認の情報でございますけれども、こういうことがあってはならない、こう思います。しかも総理としては、公共料金を上げるべきでない、抑制すべきだという発言をしているその裏から、総理発言に反抗するような状態で行なわれてきたということについて、私どももまだ非常に釈然としない面があります。  大企業の法人タクシーのほうは、まずまず、先ほども申し上げましたようにほくほくの状態というのは事実じゃないかと思います。個人タクシーにおいては、ようやくほっと一息ついたという実情のようでございますので、この辺の裏面の問題は、ここではこれ以上は追及いたしませんけれども、とにかくそういううわさがもっぱら流れているということだけ、そして、今後そういうことがあってはならないということ、こういうことについて特に大臣のお考えをひとつはっきりしておきたいということから、私、いま申し上げたわけでございます。  その次の問題でございますが、要するに換算表でございます。大臣タクシーにお乗りになったことはないから御存じないと思いますが、夜間になりますと、あの薄暗い車内換算表を見てメーターを見て、そうして料金が幾らかということを自分納得できない、言われるままに払っているというのが実情です。中には、換算表をぶら下げることになっているのでしょうけれども、実際問題としてぶら下げていない、そういう自動車もあるわけです。こういう点について実情御存じでございましょうか。
  10. 徳永正利

    徳永国務大臣 私がタクシーに乗ったことがないだろうというお話でございますが、私はたびたび乗っております。また、タクシーばかりではございません。通勤は、毎日電車通勤しておりますから、その実情はよく承知しております。しかし、そういうような暗いところで、確かに換算表というのを私見ますと、暗いところでは見にくい小さいものでございますが、そういうような点につきましては、やはり乗客の皆さん納得のいくようなことにならなければならないと思います。この点につきましては今後指導してまいりたいと思います。
  11. 松本忠助

    松本(忠)委員 その納得のいく方法というのは、やはりメーターを直すことが一番納得がいく。メーターに出た表示金額そのまま払えばいいのですから。ところが、メーターに出た金額、それのいわゆる三割増しというような、そういう金額で払わなければならないというところに非常に問題があるわけなんです。やはりメーターは、これは早い時期においてかえなければいけないんじゃないか、こういうふうに私思います。  たまたまいろんな話が私のところに飛び込んでまいりますけれどもメーターを直さないで換算表でやっているということは、いわゆる暫定料金なるものが全く暫定であって、申請しているところのほんとう値上げをしてもらうために、それが決定したならばそのときメーターを直すんだ、それまではメーターを直してもしようがないんだ、だから暫定料金としてあの換算表をもってやっていくんだ、こういうことがもっぱら町でいわれているわけであります。そうすると、その町の人のいうことを私信じるわけじゃございませんけれども、何かしら運賃値上げを、この次に本格的なタクシー料金値上げというものがあるようにも考えられるわけです。私どもは、国民の足を確保するという意味から、そしてまた国民生活を安定する意味からも、タクシー料金というようなものは、一番国民生活に密着した足の問題でございますので、これはどうしても上げるべきではない。ぎりぎりまでしんぼうしてもらってやっていくべきだ、こういうことを考えております。そこで、タクシー料金の本格的な値上げをする考えがないとするならば、メーターは即時私は直すべきじゃないか、こう思いますが、御所見はいかがでしょう。
  12. 徳永正利

    徳永国務大臣 暫定運賃の問題につきましては、先ほど来、いろんな時期あるいはその背景等についてお触れになりましたが、私もこの十一月からの間のことを事つまびらかにお話し申し上げればいいのでございますけれども、時間もないようでございますし、御承知のことと思いますので申し上げませんが、これはあくまでも暫定運賃でございまして、いま全国的にガスがどういうふうな出回りをしているのか、料金がどうなっているのかということを調査させております。それによりましてはさらにこれを検討してまいらなければならないと思います。(「下げるのか上げるのか」と呼ぶ者あり)下げる場合もありましょうし、いろいろあると思います。したがいまして、そういう面も含めてさらに今後検討しなければならぬということで、ただいま調査さしているところでございます。  したがいまして、その調査を待っていろいろ検討したいと思っておりますが、そういうことで、ただいま暫定の間、なおかつ、このタクシー料金につきましては、先生御存じのように、各地方ごとに二年ごとのローテーションでいろいろ本格的な改定をやっております。そういうようなものを含めて検討をしてまいりたい、それまではこの暫定でまいりたいということでございます。
  13. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうしますと、暫定でやっている間はメーターを取りかえないというお考えでございますか。
  14. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまのところそういう考えでございます。
  15. 松本忠助

    松本(忠)委員 ちょっとその問題は私は理解できないと思うのです。やはりきちっと表示された金額を払うところにメーターをつけておく意味があると思うのです。それを、メーター換算表を首っ引きでなければ払えない。しかも夜間になりますと、あの薄暗い車内換算表メーターを見て、そして要求された金額を払うということはなかなか至難なわざです。やはりこれはメーターをかえるべきじゃないかと思う。それをかえるお考えがないということは、明らかに暫定料金はあくまでも暫定料金であって、近い将来において本格的な料金値上げをするお考えというふうに私には受け取れますが、どうでしょうか。
  16. 徳永正利

    徳永国務大臣 暫定ということでございまして、それをいま全国的に検討さしている。油の需給状況、あるいはまた値段等検討さしておりまして、その結果においてひとつ慎重にこの料金検討してまいりたいということでございまして、これは必ずしも値上げを前提にしておるからというふうにお考えいただくということは、その結果を見てまいりませんと言えないことだろうと思いますし、私どもはそういう意味合いでただいま暫定料金ということを申し上げておるわけでございます。
  17. 松本忠助

    松本(忠)委員 私はタクシーメーターをかえるかどうかということを聞いているんですよ。かえるかどうかということなんです。それが幾らかかるかといえば、何十万もかかるわけじゃないでしょう。せいぜい三万かそこらでできるわけです。それをかけないでいるということは、何か運輸当局タクシー業界の圧力に屈しているんじゃないかというふうなことをいわれるとほんとうに残念じゃないかと思うから、あえて御注意申し上げるんですよ。
  18. 中村大造

    中村(大)政府委員 ただいま大臣から説明申し上げましたとおり、まず今回の暫定運賃は、できるだけ早く本来の姿に戻したい、こういう趣旨でございます。したがいまして、あくまでも暫定的なものでございますので、換算表でしばらくごしんぼういただきたいということでございます。  それからもう一つ、従来とも運賃改定をいたしましたときには、しばらくの間は換算表でやらざるを得なかった。今回の暫定運賃は、何ぶんにも全国的な規模で一斉に行なったわけでございます。したがって、これを全国的な規模メーターの改造をいたしますということになりますと、最終的に全部そろうまでには相当長期間の日数を要する。こういう点もございまして、いま全国的に一斉に新しいメーターに切りかえるということは、現実の問題としてなかなかむずかしいわけでございます。  いずれにいたしましても、暫定料金というものはわれわれは暫定というふうに考えておりますので、ひとつしばらく換算表でお客さまにもごしんぼうをいただきたい。その間、大臣も申し上げましたように、油の動向値段動向その他を十分調査いたしまして、暫定運賃というものをどうするかということもわれわれは再検討するわけでございますので、それと並行して換算表の問題も検討いたしていきたい、こういうふうに思っております。
  19. 松本忠助

    松本(忠)委員 もうこの問題はこんにゃく問答になりますからやめますが、私のほうは市民の立場から、国民立場から、メーターへ出たもの即払えるというような体制に一日も早くしなさいという、またそれが当然だと思う。それでなければ、どうも不明朗なことが今後も起きるんじゃないかと思いますし、その指導監督という立場からも、運輸省として一日も早くメーターを取りかえるんだという意思表示をなさるべきじゃないかと思うのです。そして、メーター製造会社のほうでも、それに対応したいわゆる生産も製作もするのが当然だと思うのです。まあこの問題は、私きょうは時間の関係でその程度にとどめておきますが、一刻も早く、自動車局長検討してメーターをかえるということ、これをぜひともお願いしたいと思います。  それから次の問題でございますが、大臣が言われておりますところに交通安全の問題がございます。これは当然の問題でございますが、交通安全の問題につきましてはまた交通安全対策特別委員会のほうでお伺いすることにしまして、交通公害の中の特に航空機騒音の問題、これについては「空港周辺地域の総合的な土地利用計画を策定し、」云々と大臣が言われておりますが、確かに、これの対象になっております関西伊丹空港の問題については、もう住民方々からたいへんな問題が出ております。  そこで、まずその問題に関連しまして、関西国際空港をおつくりになる意思があるだろうと私は思うのですが、おつくりになるとしたならば、一体いつごろまでにそれを決定なさるのか、あるいはまた、新国際空港予定地は一体どこなのかというようなことについて、大臣のお考えをお示し願いたいと思います。
  20. 寺井久美

    寺井政府委員 現在……。
  21. 松本忠助

    松本(忠)委員 ちょっと待ってください。これだけはひとつ大臣に。大事な問題なんです。
  22. 徳永正利

    徳永国務大臣 航空機騒音の問題につきましては、御承知のように、前国会にも法案を提出いたしまして御審議をわずらわしているところでございますが、そういうこと等において、地方公共団体等とも十分相談もし、御協力いただきまして、この騒音の問題の解決に当たりたいと思います。  なおまた、関西国際空港をつくるのかつくらぬのかということでございますが、これもたしか四十六年でございましたか、審議会答申をお願いをいたして審議をお願いしております。したがいまして、その位置等についてもいろいろ御検討をいただいて、二十数回にわたって御審議をただいまわずらわしているところであります。したがいまして、いまの伊丹空港をこのまま将来とも残すというわけにはまいらないだろうと思います。したがいまして、新しい空港をどこにつくるかということ、どういう形につくるかということについて審議会の御答申を待って、また地方公共団体先生方ともよく御相談をして新設の運びになるわけでございます。この点については、今後十分慎重に配慮してまいりたいと思っております。
  23. 松本忠助

    松本(忠)委員 たいへんどうも回りくどい御説明でございましたけれども、結局、関西国際空港はつくるんだ、これは基本的な方針がきまっている。そうなりますと、当然いまの大臣お話からすると、伊丹は閉鎖するというお考えと受け取ってよろしいか、新国際空港ができた場合、関西空港ができた場合、現在の伊丹は閉鎖するというお考えと受け取ってよろしいかどうか。
  24. 徳永正利

    徳永国務大臣 どういう形で新国際空港ができ上がりますか、その時点においてこの伊丹空港に対する態度を決定してまいりたい、かように考えております。
  25. 松本忠助

    松本(忠)委員 とにかく、現在の伊丹状態などというのは、もう大臣十分御存じだと思います。万が一、そんなことがあってはほんとうに困るわけでございますけれども、万が一伊丹の上空で航空機の事故があった。あの密集した人家の上に落っこった、そして多数の死傷者が出た、または大火災が発生した、こういうことはあってはならないことでございますけれども、万が一ということもございます。そうしたときには、当然人道的な見地からいってもすぐ閉鎖しなければならない、私はそう思います。たいへんな問題になる。そういう問題が起きないということはこれは全く言えないわけです。そうなると、やはり関西国際空港というもの、橋本現幹事長が大臣の当時からも、海上空港をつくるんだというようなことをしばしば私どもに話をしました。そういう点から考えましても、一刻も早く、陸につくるか海につくるか、これはまだ未知数の問題としてみても、陸の上につくるということは、成田の問題から考えても大きな問題を残すんじゃないかと思うと、やはり海上飛行場じゃないかと思います。そうして、やはりこれは一刻も早く急いでおかないと、万が一の場合、伊丹にそういう事故ができたときのことを考えても、やはり新国際空港は建設を急がなければならない。伊丹はそのときに、そういう事態が起きて閉鎖してしまったならば、関西航空機の発着が全くなくなってしまうということになったらこれはたいへんな問題です。やはり私は、なるべく早い時期にそれを決定すべきではないかと思いますが、大体、大臣として予定地を決定するめど、いわゆるこの審議会答申なるものはいつごろを目標としておられるのか、その点はどうでしょう。
  26. 徳永正利

    徳永国務大臣 せっかくいま審議会で御審議をわずらわしておる最中でございますが、大体七月ごろには答申が出る予定でございます。
  27. 松本忠助

    松本(忠)委員 本年七月にはその答申が出る、こういうふうに大臣のお答えがありましたことは私も一応確認しておきます。  いずれにしましても、国民的の合意のもとにこの新空港はできなければならないと思います。またそうすべきであると思います。そういった点から、ぜひとも大臣の任期中に、この空港の問題についてめどをつけていただきたい、このように思うわけでございます。  それと同時に、問題は東京の新国際空港でございます。これはもうほんとうに、大臣にお聞きするのがお気の毒なぐらい、歴代の運輸大臣がかわるたびかわるたびにこの質問をぶつけても、いつになっても解決しないのがこの問題。一体、いつになったら開港できるのか、その開港の時期に対するめど、これを伺っておきたい。
  28. 徳永正利

    徳永国務大臣 いままでの成田空港に対するいろいろなパイプライン等の問題については御承知いただいていると思いますが、何とか今年中には開港にこぎつけたい、地元の皆さま方等の御協力を得ましてそういうふうにやりたいと思っております。
  29. 松本忠助

    松本(忠)委員 今年じゅうということは、十二月までに開港するという御意思ですね。
  30. 徳永正利

    徳永国務大臣 そういうことでございます。
  31. 松本忠助

    松本(忠)委員 これはオオカミと少年みたいになっては困るわけでございまして、いつもいつもこの問題で、私どもも一刻も早く新国際空港をつくるべきである、そうしてまた、国際航空機の発達に備えていかなければならない問題でございますし、本年一ぱい大臣が待てとおっしゃるなら待ちますけれども、一刻も早くこの問題のめどをつけていただきたいことを重ねてお願いしておきます。  いまお話の中にございましたけれども暫定パイプのほうの問題、パイプラインの問題、暫定的な問題と、それから千葉港のほうから空港へ持っていくところの本格的なパイプラインの建設の問題、この二点について伺っておきたいわけです。
  32. 寺井久美

    寺井政府委員 まず暫定パイプラインにつきましては、昨年十月に工事に着手いたしました。農地法に基づく農地転用許可の手続、あるいは石油パイプライン事業法に基づきます技術基準の細目を定める告示に伴います関係機関に対する道路、河川などの占用変更申請、こうしたことがございまして一時工事を中止いたしておりました。昨年末に至りましてその関係の許可がとれましたので、本年一月十一日から工事を再開いたして現在進んでおりますが、現在までの進捗状況から考えますと、パイプラインの埋設工事そのものは大体九月ころには完成するであろうという見込みでございます。  それから、本格パイプラインのほうにつきましては、昨年九月までに、総延長約四十四キロメートルのうち約三十キロメートルを埋設いたしておりましたが、九月末に出されました石油パイプライン事業法に基づく技術基準の細目を定める告示に伴う手直しなどのために設計変更の必要が生じております。また、千葉市内の市内ルートの一部につきましては、地元との関係から工事の施行ができない部分が生じまして、現在のところ工事を中止いたしております。
  33. 松本忠助

    松本(忠)委員 当初から、飛行場ができれば、当然のこと、そこへ着陸する、そうして飛び立っていく飛行機のための燃料という、当然考えなければならなかった問題が後手に回っていたということは、これは事実でありまして、この問題について当局が一生懸命に努力している点は私も認めますけれども暫定のパイプも、そうしてまた本格的なパイプも、やはり完成を至急に急いで、そうして一刻も早く飛行場の開設にこぎつけられるように御努力をお願いしたいと思います。  その次の問題でございますが、さっきタクシー暫定料金の問題が出ました。航空機のほうの運賃も、暫定運賃が何かきまるというようなことがちらちらと出ております。というのは、いわゆる日航、全日空、東亜国内航空のこの三社の、特に東亜国内航空の赤字の問題がいま話題になっております。きのうもいろいろと調査をしてみましたが、東亜国内航空のほうはたいへんな赤字のようでございますが、当局で現在つかんでいらっしゃるところの、最近の三社の決算状況、簡単でいいですから、ひとつお答え願いたい。
  34. 寺井久美

    寺井政府委員 定期航空三社、四十七年度の決算の概要は、概略次のとおりでございまして、日本航空株式会社、経常損益で見ますと、百三十七億円の経常利益。それから、全日空が二十億円。東亜国内が三十三億のマイナスということでございまして、四十八年度の決算見通しにつきましては、各社の概算によりますと、日本航空については、国際通貨変動の影響、燃料費、諸経費の高騰によりまして、四十七年度よりもかなり減収になる見込みでございます。全日空につきましては、国内線の利用率が非常に高いという事実にささえられまして、四十七年度よりはかなり増収になるだろう。東亜国内につきましては、引き続きかなり欠損を計上する見込みである。以上でございます。
  35. 松本忠助

    松本(忠)委員 大体そういうことになりますと、問題は、黒字のほうはいいとしましても、赤字のほうの東亜国内航空でありますけれども、この三月期の決算では、おそらく累積赤字が八十億をこすのじゃないかと思います。そうなりますと、資本金を食ってしまうのではないかという懸念がございます。この点に対してどのような対応策を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  36. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま申し上げましたように、東亜国内航空のみが目下赤字を計上するような状態になっておりますが、この原因と申しますのは、まず第一に、YSを運航する路線が非常に多くて、その採算性が悪いということ。それとうらはらになりますが、ジェット機を運航する路線が比較的少ない、またジェット機そのもののコストも非常に高い、これは他社に比べて高いということでございまして、初度調弁費的なものがございますので、一時的な現象というふうに考えております。  したがいまして、東亜国内航空経営の健全化の方向としては、まず第一に、会社自身におきます経費の節減等の経営努力が必要であるということでございまして、またそのほかに、基本的には、比較的採算性のよいジェット路線の比率を向上させてやることが必要であろうと考えられます。  しかしながら、この場合、場合によりますと路線の再配分というようなことも検討しなければなりませんし、ただ路線の再配分ということ自体は、他の企業にもかなり大きな影響を及ぼすものでございますので、航空全体の秩序を維持しながら、今後の東亜国内の再建方法をどうするかということにつきましては、慎重にいま検討したいというふうに考えております。
  37. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間もございませんので、私、それ以上追及はいたしませんけれども、とにかく東亜国内航空一社だけが赤字である、その赤字の原因は、いま局長が述べられたような問題が多分にあるだろうと思います。そこで、それを救済するという考え方から、ローカル線だけ、運賃暫定料金として値上げをするのだというような御意思が当局にあるのかないのか、これは大臣、ひとつお答え願いたいと思います。
  38. 徳永正利

    徳永国務大臣 暫定運賃というのは、元来運賃体系の中になじまないものでございます。ローカル線に対する航空機の暫定運賃というのは、ただいまのところ考えておりません。
  39. 松本忠助

    松本(忠)委員 運賃収入のほうが要するにふえない。料金改定を、ローカル線にしてみてもとにかくいまのところ変える考えがない。政府の物価抑制方針に対応すれば当然そうなるだろうと思います。そうなった場合には、今度は東亜国内航空経営というものがえらいピンチになってくるわけでありますが、その問題に対して、これから時間があれば十分詰めたいわけでありますが、きょうは私その程度にとどめておきます。  とにかく東亜国内航空に対して、これは経営の問題についても十分当局としても考えておかなければいけないのじゃないか、このままでいくと全く資本金を食ってしまって、たいへんな状態になってしまうということがいえるだろうと思います。こうなってしまいますと、とにかくたいへんな事態になりますので、ただ単に、ローカル運賃を上げない、上げないでいれば当然会社経営はおかしくなってしまう。上げれば今度は、いまでももうかっている全日空がよけいもうかるようになってしまう。東亜国内航空だけ運賃を上げるというわけにいかぬわけですから、当然そういうことになってくると思います。この点について、新しく国内航空路の改編の問題等もお考えだろうと思いますけれども、十分検討をしていただきたいと思うわけでございます。  それから、日中航空協定の問題でございます。この問題についていろいろと紛議をかもしておるようでございますが、大体、新聞の報道によりますと、どうやら大詰めに来たように思われます。大臣のそれに対する見解をお述べいただきたい。
  40. 徳永正利

    徳永国務大臣 日中航空協定につきましては、大平外務大臣が本年早々中国に参られましていろいろお話し合いをされ、そうしてお帰りになったわけでございます。そこで、そのお話し合いを中心にしまして、運輸省とも協議いたしまして、外務、運輸両省案というものをつくったわけでございます。これにつきましていろいろ御議論をちょうだいしたわけでございますが、ただいまのところ、両方の路線を維持する方法でこの問題の解決に当たりたいということで、まだ最終的な結論は出ておりませんけれども、大平外務大臣もやがてお帰りになることでございましょうし、その時点でよく御相談いたしまして、基本的な進め方を固めてまいりたいと思っております。
  41. 松本忠助

    松本(忠)委員 この問題は非常にむずかしい問題でもございますし、したがいまして、大平外務大臣がお帰りになれば、当然運輸大臣と協議をして、最終的なものがきまってくるというふうに私思います。きょうはこれ以上詰めませんが、どうか、一刻も早く、一日も早く日中航空協定の締結を促進をしていただきたいことを希望しておきます。  もう時間もございませんし、以上をもって終わるわけでございますが、特に航空機騒音に次いで新幹線の騒音が問題になっております。これはまた、いずれ国鉄運賃問題を討議する機会もございますので、そちらの機会に譲りたいと思いますし、また、大きな問題になっております海洋汚染の問題につきましても、海運関係の法案の審議の際にやらせていただきたいと思っております。  きょうは非常に限られた時間でございますし、以上をもってとどめる次第でございますが、どうか、いま大臣が言われました交通安全の問題、公害の問題、それから業界の問題、いろいろ多事多難な問題でございますが、とにかく国民の足を確保するという意味から、大臣が取り組まれる姿勢について、私どもも全面的に協力し、悪いところは悪いと言い、そうしてまたいい点については大いに協力もしていきたい、こういうふうに考えております。  とにかく、国民のためにほんとうに、また総理がよく言われます、正直者がばかを見ないような世の中をつくるためにも、ぜひ一段の努力をしていただきたいことを切に希望しまして、私の質問を終わる次第でございます。どうもありがとうございました。
  42. 三池信

    ○三池委員長 綿貫民輔君。
  43. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 先般来、石油危機と物価高という二重パンチを食らいまして、国民は政治、行政に対する不信さえも持ち始めておる時期でございますが、特に昨今の物価問題につきましては、政治の最大の命題としていま国会で取り上げられておるわけであります。その中におきまして、運輸行政というものの姿勢あるいは考え方、こういうものはきわめて重要な意味を持つと考えるのでございまして、そういう基本的な運輸省の姿勢、考え方、今後に対処する方向などについて触れながら質問を試みたいと存じます。  運輸行政と申しますのはよく許認可行政だ、許認可だけじゃないか、というような言い方までもされるわけでございますけれども、これは言いかえてみますと、許認可の範囲の中には、たとえば国営に類するもの、あるいは公社に類するもの、またあるいは、半官半民、また民営、民営でも大手と中小企業、こういういろいろな問題が含まれておると思うわけであります。  その中で、消費者、つまり利用者に対する末端の影響も含んだ行政が行なわれるわけでありまして、その中で指導行政あるいは誘導行政、いろいろな弾力的な運用もなし得る形になっておるわけであります。これは、つまり現在の日本の自由主義経済、資本主義経済の中で一つの秩序をつくり得る可能性を持った行政であると私は思います。そういう点で私は、いまの日本のこの混乱した経済をリードしていく意味においても、運輸行政のぴしっとした態度というものが非常に強く望まれるのではないかと思うわけであります。  最近よく公権の介入だとかいろいろなことがいわれますが、これは悪いことばでいえば公権力の介入でございますけれども、要するに許認可のアフターケア、これをきちっとやるということだと思います。そういう意味大臣は、この問題について基本的にどういうふうにお考えであるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  44. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は、運輸行政の根幹は、やはり国民大衆の生活をどういうふうにこの行政の間に守っていくかということが根幹であると思います。この一点をくずしたならば運輸行政というものは成り立たないというふうに私は深く決しております。したがいまして、いま御指摘のように、運輸行政というのは許認可の行政じゃないかというような御批判も世の中にはあるという話でございますが、その許認可にあたりましても、私は、先ほど申し上げましたような立場に立って、どういうふうにしてその点を貫くかという一点に立ってこれを進めてまいりたい、かように考える次第でございます。
  45. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいま大臣から決意のほどを伺ったのでありますが、やはり従来の流れをそのまま踏襲するというのがいままでの行政の姿勢でございまして、最近の緊急事態の中において、尋常の決意で行政の転換というものはできない。行政に対する姿勢の転換というものは非常にむずかしいと私は思います。特に、最高のリーダーである大臣の特段の御決意を促したいと思うのでございます。  それにつきましても、運輸省の行政の自立的立場、こういうものが非常に望まれると思うわけでありますが、ややもすると、先般の日中航空協定のときにおきます運輸省立場、またあるいはエネルギー危機のときにおきますいろいろの困惑、こういうものを見るにつけても、やや自立的行政というものに対する自信のほどが疑われるような面があるように私は考えます。特に、昭和四十一年の日ソ航空協定の締結のときに、モスクワから向こうの以遠権の問題について、いろいろと利害の対立を見ておりました。しかし、当時運輸省サイドでは、以遠権のないモスクワ乗り入れば無意味である、こういうふうに主張を貫かれまして、外務省はメンツがあって、もうこれ以上は主張ができないというような事態が起こったときに、時の中村運輸大臣と椎名外務大臣が話し合いをされまして、椎名さんが、一国の利益のためであればおれが恥をかいてもかまわない、こういう決意のもとに以遠権を獲得したという歴史があると聞いております。  そういうことを思うにつけましても、今回の日中航空協定の際の問題は、何かあと味の悪いものが残ったような気がするわけでありまして、これについて運輸大臣は、まだまだこのあと航空協定の内容の問題あるいはその他日台路線の維持の問題、こういうものについて大きな課題をかかえておる時期でございますので、特に自立的な運輸行政をやるという覚悟が望まれると思うのでございますが、これについて大臣のお考えを承りたいと思います。
  46. 徳永正利

    徳永国務大臣 日中航空協定の問題につきましては、昨年来長い間の懸案をここに解決を見ようとしているわけでございますが、ただいま御指摘がございましたように、私といたしましては、日台間の現在の路線、さらに日中間の路線、これを確保するために御激励いただきましたように、全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  47. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいま日台路線の維持の問題についてちょっと触れましたけれども、これは日中友好の基本方針に従いまして日中の航空協定を結ぶということは、だれしもみんなが賛成をいたしておることでございますが、特にこの日台路線のあとの問題について、いろいろと考え方の多少のズレがいままであったようであります。これについてどういうふうに経済路線として維持していくのか、ひとつ運輸省としてのお考えを承っておきたいと思います。
  48. 徳永正利

    徳永国務大臣 まだ、具体的な問題等につきましては、いまからいろいろと詰めていかなければならない問題であろうと思います。しかしながら、御指摘のございましたように、今日まで日台間には日台路線というものが現存しているわけでございますから、この路線の維持を中心にいたしましてこれをまず維持する。同時に、日中間の路線にも、これを協定によって日中路線も行なうということでございまして、これからどういうふうに具体的に事を運ぶかということにつきましては、ただいまのところ、ちょっと検討中であるということでごかんべんをいただきたいと思います。
  49. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 今国会で批准というふうになりますと、具体的に乗り入れの地点、そういうものが問題になってくると思いますが、巷間で聞きますところでは、日本は北京、上海、広州というようなものを要求しておるということであります。これに対して中国は、東京、大阪、こういうものを要求しておるということはほんとうでしょうか。また、広州の乗り入れは中国側では拒否をしておるというふうにも聞いておりますけれども、これもどういうことになっておるのか。また、以遠権についても、欧州への複数路線を要求するわが国は、中国と多少の考え方の相違を見せておるということでございますが、これについてもどういうふうにお考えであるのか、承りたいと思います。
  50. 寺井久美

    寺井政府委員 日中間の航空交渉の過程におきまして、巷間伝えられておるような点があったかと思いますが、これは交渉ごとでございまして、決着がつきますまで公表はしないというたてまえになっておりますので、その点については御答弁を御容赦いただきたいと思います。  ただ、考え方といたしまして、日本側は、当然のことながら北京でとまる路線を期待いたしておるわけではございませんで、それから先に行く路線を期待いたしております。
  51. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 公表しないということであれば、公表されないものを聞くというわけにいきませんけれども、あとからまた混乱の起こらないように、ひとつ慎重な根回しと対策を立ててやっていただくように特に強く要望を申し上げたいと思います。  ところで、日本の航空政策に関しましては、たびたび閣議了解事項とかいろいろ方針も打ち出されておりますけれども、五年ももたない、日本の航空政策は絶えずネコの目のように変わるんだというような世評もあるわけであります。私は、変化に順応するということは行政として当然のことだと思いますけれども基本方針がぐらつくというようなことは、いたずらに混乱を招くだけであると思います。そういう点で、たとえば一番新しい、つい最近の閣議了解は昭和四十五年になされております。こういう基本方針については、今後もお続けになるのか、あるいはやはり変化に応じていろいろと今後もまた考えるんだということであるのか、そういうことについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  52. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御指摘のございましたように、四十五年十一月の閣議了解というものによりまして、航空企業の運営体制というものが設定されまして、その後この方針に従いまして現在まで航空政策というものがとられてきております。御存じのように、航空産業というものの発展のテンポは非常に速うございまして、これは刻々に変化いたしておるものでございます。したがいまして、当時の考え方というものが現状に合っているかどうかということを検討する必要があろうかと思います。その結果、従来の方針でよろしいということになるのか、あるいは多少軌道修正をしなければならぬということになるのか、この辺は目下検討中でございまして、われわれといたしましても、常時客観情勢というものを踏まえた上で、それに合った政策というものがあってしかるべきだというふうに考えております。
  53. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 たいへん幅のある御答弁でございますけれども、とりあえずこの日中航空協定にからみまして、日台路線というものをどこにやらせるのか、こういう問題もこの四十五年の閣議了解事項に触れる問題だ、こう思うわけであります。そういう点で、もうすでに目先に来た問題に対してどう対処するかという態度がきまっていないというようなことは、私が先ほど冒頭に申し上げました、自立的な行政の姿勢が欠けておるからそういうふうになるのじゃないかというふうにも考えます。非常にむずかしい問題でもありますけれども、これについて航空行政の基本的な問題、あるいはこういう閣議事項に対する考え方というものの確立をひとつ強く要望しておきたい、こう思うわけであります。  先般からハイジャック問題が非常に問題になっておりますけれども、その中で、日本航空機長会から声明書が出されております。今後ハイジャックが起こっても、そういう危険な、保障のないところへ行かない、こういうことでありますが、きょうにもあしたにもまたハイジャックが起こるかもしれませんし、一説には日航がもうねらわれておるという話も出ております。今後できた場合にこの問題にどう対処されるのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  54. 寺井久美

    寺井政府委員 日本航空の機長会から、今回のようなケースが起こったら今後協力できないという趣旨の声明文が出されております。本件につきましては、機長の協力を得て今回の事件が解決いたしたわけでございまして、今後この協力が得られないということであれば、あのような形で航空機を飛ばすことは不可能になります。したがいまして、今回の事件をもとにいたしまして、運輸省といたしましても、機長会と、どういう点に問題があったかというようなことにつきまして十分話し合いをする必要がございますし、今後の問題といたしましては、やはりこういう場合に全くめどもなく飛行機を出すというようなことはできるだけ避けるようにせざるを得ないと思います。問題は、やはり機長の気持ちというものを十分われわれが理解する必要があろうかと考えておりまして、この点、早急に機長会のほうと話を進めたいというふうに考えます。
  55. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 大臣所信表明の中には、ハイジャック防止体制の整備というものが書いてあるわけでございます。しかし、こういう起こった事態に対処するというのも、行政の一つの重要な使命だと思うわけであります。ただいま航空局長お話では、そのうちにやろうというようなお話みたいに承れるのでありますが、これはさっそく手を打たないと、そういう事態が起こったときに外国の飛行機をチャーターするというような、そんななまぬるいことでもいけないと思うわけであります。そういう点で私は緊急の問題だと思いますので、これについての早急な——飛ばないと言っているのじゃない、いろいろな保障をしろと言っているわけですから、不可能な話ではないと思うわけであります。ひとつ十分取り組んでいただきたいと思います。  次に、いま航空の話に的をしぼってまいりましたけれども、日中の協定で海の協定の問題が次にやってまいると思うわけであります。先ほどから航空協定でいろいろと見せたもたつき、こういうことが今度の場合に起こり得ないような対策が必要だと思うのでありますけれども、これについてはまた同じようなことになるのか、今後の見通しについてひとつお聞かせを願いたいと思います。
  56. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 日中の海運協定につきましては、航空の問題に比しまして、私ども事務的に考えて、比較的問題となる点が少ないと思われますので、先生御指摘のように、十分対応することを考えながら、時期が到来いたしましたら、できるだけ早く締結の方向に進みたいと思って、準備を進めております。
  57. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 空よりも海のほうが問題が少ないというのは、具体的にどういうあれでしょうか。たとえば今度の場合、旗の問題というようなものがいろいろ問題になっておりました。飛行機と船ではマークと旗だというようないろいろな論議があったわけでありますけれども、こういう問題も含めてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  58. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 台湾船舶の入港及び台湾の旗の取り扱いについて、海運関係考えておることを申し上げますと、まず通常の場合、国際間においては開港への入港は自由とされておる。したがって、わが国におきましても開港への入港は自由に認めておりまして、いかなる旗を掲げてくるかによって日本の開港への入港についての区別はしないという態度をとっております。そういう点で旗の問題については、航空と違って問題となることはないと私ども考えております。
  59. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 局長はだいぶん自信を持っておやりのようですから、ひとつ航空のときのようなことがないようにお願いをしたいと思います。  次に、海の問題の基本である海運行政についてお尋ねをいたしたいと思います。  近年めざましい成長を遂げた日本の海運も、その国際競争力は必ずしも強くはないという形が出てまいっておるように思います。企業の体質はきわめて不安定な面が多いように思いますし、二度にわたる円の切り上げと、今度の石油危機、ドル高で、海運界はどのように変化をしてきておるのか、この現状をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  60. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 最近の通貨事情とか油の状態の影響は、わが国海運としても避けることはできない現状にあると思っております。ちょうど海運政策を見直すべき時期に実はまいってきております。今後の日本の貿易立国という立場は、いずれにしても変わりませんので、海運が日本の輸出入貿易のための安定輸送を果たすべき使命は少しも変わっておりません。したがいまして、新しい海運政策をどうするかということを、運輸大臣からも海運造船合理化審議会のほうに諮問をして検討を得ている最中でございます。私どももその検討の場を通じて新しい海運政策の樹立に努力をしていきたいと思っているところでございます。
  61. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 基本についてはいまのお話のとおりでありますが、最近のいろいろの世界的な変化に対応してどういう変化が生まれておるか、これをちょっとお聞きしたいのであります。
  62. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実は三月期の海運業の収支がどうなるかということに私どもも非常に関心を持っておるわけでございますが、実は通貨変動のことにつきましては、最近また多少円安という状況が出てまいりまして、一時二百六十五円といっておりましたような時代に比べますと、現在のところ通貨の影響は海運業にとっては好転しているというふうにとられるわけでございます。ただ、燃料のほうの影響がどうなるか。これはいずれにしても燃料の重油の値段が非常に不安定でありまして、推測することがなかなか困難でございます。  ただ、現状から申しますと、昨年の春のバンカーオイルの値段が大体十八ドルぐらいでございましたのが、年末には二十数ドルになり、非常に不安定な、例をあげますと、六十ドル程度になっているという話も聞きますので、その面からする収支の影響が三月期の決算などにどう出てくるであろうかということが非常に心配でございます。ただ目先そういう通貨の影響、それからバンカーオイルの影響というようなものがございますけれども、根本的には、先ほど申し上げましたように、海運の使命をますます果たしていくべき時期が来ておるので、それと海運政策とどういうふうに対応させていったらいいかという点を、今後考えていかなければいけないと思っておるのでございます。
  63. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 最近のそういういろいろの状況の中で、日本の海運一つの傾向として、中、小型船の海外への売却、つまり仕組み船とかチャーターバック船というものが多く見受けられるようでありますが、これまでの日本の船員を乗せて走りました日本の船に圧倒的に依存してまいりました海運の行き方に多少の変化が出ておるのではないかと思うわけでございますけれども、今後安定輸送のたてまえから将来に支障はないのかどうか。また、船員の雇用の問題について、これもこれに関連あると思いますが、これについてどういうふうにお考えであるか、お伺いいたしたいと思います。
  64. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 まず海外売船の傾向について申し上げますと、四十七年には二百三十四万トンの船が海外売船をされました。四十八年度では百五十万トン程度の海外売船であろうと思われます。したがいまして、計画造船をやって安定輸送ということをいたしておりますけれども、一方、海外売船が行なわれると船が減って困るのではないかという話がございます。  ただ、海外売船の中身を調べますと、大体二万トンないし三万トン程度の船舶、また船齢の古い船舶というものが主としてその対象となっております。これは実は最近船員費をはじめとする諸経費の上昇が非常に船舶の採算を圧迫しておって、国際競争力が失われてきておるというおそれがございますので、それを国際市場に売っていくという傾向が出てきておると思われます。  この海外売船につきましては、私どもは海上運送法で、二千総トン以上の貨物船を海外に売船するときには、その法律の許可を得るのだということになっておるのでございますけれども、その許可をするにあたりましては、海外売船によって、船舶の需要に対して船舶の供給が著しく不足することとなって、かつ日本海運の振興に著しく支障を来たすということにならない限り、海外売船は許可するのだということになっておるのでございます。そこで、私が先ほど申し上げました理由によります海外売船は、この許可の基準に徴しまして、日本海運経営実情から見てやむを得ないのじゃないかということを私ども考えております。  ただ、この点につきまして、特にこの船が日本の船員の雇用問題に関係があるということは、私どもも重々承知をしております。したがいまして、海外売船を許可するにあたりましては、実は特段法的には必要とする措置ではございませんけれども、私どもは、売船をする船会社のほうから船員対策についての説明を聞いて、その許可を与えているという実情でございます。  いずれにしましても、海外売船で船がもし足りなくなって、日本の海運が果たさなければならない使命であるところの安定輸送ということに欠けるところが出てくるというような実情でございましたならば、われわれは今後の計画造船を考えるにあたりまして、さらに整備すべき船腹の拡充というものをはかっていかなければならないと考えております。
  65. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 計画造船を進めていく上におきましても、ある程度やはり資金にも限度がある、こういうようなことから仕組み船というような現象もあらわれてきたのだと思います。そういう点で、今後計画造船ということは日本の国策として続けるべきものだと思いますが、四十九年度で造船に対する利子補給法というものが大体時限立法で切れることになっておる。これについては今後どういうふうにお考えであるか。この方向をお伺いいたしたいと思います。
  66. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 利子補給法が、先生御指摘のように、四十九年度一ぱいで法律上の期限が切れることに相なります。そこで、五十年度以降の海運政策をどういうふうに進めていくかということについて、先ほども申し述べましたけれども海運造船合理化審議会でも現在御審議をいただいております。私どもとして、今後やはり、先ほど申しましたように、日本の国として安定輸送に役立つような国際競争力のある船を日本の優秀な船員とともにつくっていきたいということは、私ども考えておりますので、そういった線に沿って今後の政策を考えていきたいということでございます。
  67. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 これまで計画造船につきましてはいろいろの助成をしてまいりましたけれども、これは量的な拡大ということに重点を置いてきたように思うわけでありますが、すでに海運合理化審議会においても検討されておりますLNG船あるいは超自動化船などに対する重点的助成というものについては、今後どのようにお考えであるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  68. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 計画造船を進めるにあたりましては、単に量でなくて質の点も考慮すべきことは当然でございます。私どもとしても、国際競争力を考えます上で、諸外国の海運助成なども考えながら、必要のある限度の助成を考えてまいったわけでございます。  幸いにしていままでのところ、先生承知のとおり、在来定期船がコンテナ船に変わる、タンカーが大型化をいたしまして、それから自動化船ができます。自動車専用船、鉄鉱石専用船その他の近代化された専用船ができますということで、質的な面もこれに伴って充実をしてまいりまして、世界に比べて船の種類、船の形、速力、荷役方式、自動化等の点で非常に進んだ優秀な船隊を保有することができてきたと思います。  今後ももちろんその方針で船腹の整備を進めたいのでございますが、先生御指摘のように、新しい技術を要するLNG船が出てまいっております。現在のところ、遺憾ながら日本の船ではLNG船を持っておりません。しかし、今後のわが国の燃料政策を勘案いたしまして、わが国としてもLNG船を持てるようにしたいというのが私ども考え方でございます。諸外国ではかなり、直接、間接に建造補助その他の方法でこのLNG船に対する助成が行なわれているという現状でございます。わが国としても、諸外国の助成策等を考えながら、また日本が必要とする時期にぜひLNG船を日本人の手でつくりたいということで、今後とるべき助成の方法等について考えていきたいと思っております。
  69. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいまの局長の御答弁のとおり、質、量ともにこれから非常に重要な時期だと思いますので、特に質の問題について、近代化の面について助成をしていただきたいと思いますけれども、しかし、いままではあまりにも国家助成にたより過ぎてきた海運界の体質があるんじゃないかと思います。そのためには、経営の革新とかあるいは技術の革新に目を向けてもらわないと困るわけでありまして、助成、助成だけではいけないと思うわけでありまして、これの指導につきまして今後どのように臨まれるのか、これもあわせてお聞きをいたしておきたいと思います。
  70. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海運界が計画造船を中心とします国家助成の線に甘え過ぎているのではないかという御批判は、従来からも私どもいただいておるところでございます。私どもも、先ほども申し上げましたように、そのときどきの国際競争力というものがどういうものであるかということをよく考えまして、財政融資比率、利子補給率の面で決して過度にならないように、そのときどきの判断をして適切な助成の方法を考えているつもりでございます。  財政融資比率にいたしましても、利子補給率にいたしましても、六社の集中合併ができ上がりました三十九年から再建整備期間である四十四年まで、五年度間の期間がそれらの点で最高であったと思います。その後こういった助成の率は多少減少をしてきておる現状でございます。したがいまして、私ども会社の自立体制の確立ということについては当然考えておるところでございます。今後とも、そういった国の助成に甘えることなく、自立体制を確立するように、また船会社相互間において運航体制の面で協調体制がとれますように、また、海外の国際海運活動の面でも強化をいたしますように、十分監督をしていきたいと思っております。
  71. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 先ほどからも申し上げましたように、自由主義経済体制の中で、やはり創意くふうあるいは革新、こういう意欲を持たせるような方向に指導あるいは誘導していくというのが非常に重要だと思います。そして、それが国益に結びつくという方向づけについて、今後の指導方針が非常に重要だと思いますので、この点について特段の努力を願いたいと思います。  次に、最近、海の問題につきましては、海洋法問題をめぐりましていろいろと論議が世界的に繰り広げられておるわけであります。また、開発途上国では二百海里エコノミックゾーンというようなものを持ち出すような時期にもなっております。今後、航行の問題を特に中心にいたしまして、この海洋法のいろいろの諸問題にどのように対処をしていかれるのか、これについてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  72. 原田昇左右

    ○原田政府委員 海洋法につきましては、本年七月にカラカスで国際海洋法会議が予定されております。ただいままでのところ、領海の幅員問題あるいは大陸だなあるいは海洋汚染の問題等がここで議論されることになろうかと思いますが、私どもは、わが国の海運活動を円滑にするということと、さらに、国際間の協調をはかるという両面から、十分これを検討いたしましてこの会議に臨むという方針のもとに、目下検討を進めておる次第でございます。
  73. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 この問題は、いろいろほかの国におきましては、防衛上からもこの海の問題が見られております。日本だけが防衛という問題は抜きにしたような考えでありますけれども、これはやはりそういう意味で非常に複雑な考え方が各国間にあると思います。そういう意味で、日本も今後の日本の国益ということを中心にしての海洋法に対する関心を強めると同時に、日本の主張というものも今後ひとつ十分に貫くようにしていただきたいと思います。  一説では、もう十二海里はのんでもいい、三海里は無理だというような話も出ておりますけれども、この十二海里ならばいいということに大体合意ができておるのでしょうか。これについてお伺いいたしたいと思います。
  74. 原田昇左右

    ○原田政府委員 領海の幅員を何海里にするかという点については、各国においてきわめて議論のあるところでございます。最近、各国間の主張の中で一番多く主張されておるのが十二海里というように承知しております。しかしながら、わが国その他伝統的な海運諸国は、依然として三海里であるという見解をとっております。  しかしながら、私どももいろいろ各省間で検討いたしまして、もしこの会議において国際的な合意が成立して、領海の幅員がかりに十二海里という合意が成立するならば、わが国としてもこれに従うことにやぶさかでないという方針を一応内定いたしまして、そういう方針のもとにこの会議に臨みたい、こういうように考えておる次第でございます。
  75. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 海の重要なもう一つの問題に、海洋汚染の防止という問題があるわけでありますけれども、外国では少なくとも二百海里に及ぶこの汚染防止水域というような考え方を持っておるようでありますけれども、わが国は、この汚染防止の基準と申しましょうか、そういうものについてはどういうふうに考えておられるのでしょうか。
  76. 原田昇左右

    ○原田政府委員 海洋汚染問題につきましては、先般、昨年の十月から十一月にかけまして、ロンドンにおいて行なわれました海洋汚染防止に関する国際条約会議がございまして、この会議で一九七三年海洋汚染防止条約の採択がございました。わが国といたしましては、この採択されました条約を、今後国内法との関係を十分詰めまして、この線に沿って対処してまいるというのが今後の方針になろうかと存じます。  先ほど御指摘のございました海洋汚染防止ゾーンということで、かなりの国が二百海里ぐらいのことを考えて、その中においてはその国の管轄権を主張して、いろいろな汚染防止上の規制をするということについては、この条約会議においては議論をはずしまして、要するに管轄権ということは一応ことばとしては出ておりますが、その管轄権が何海里までであるということについては、この七三年条約会議の結論としては議論がたな上げということになっておりまして、国際海洋法会議においてそういった問題が詰められるというように了解しております。  ただ、私どもは、七三年条約の会議においても主張し、また会議の大勢としましても、管轄権の中で何でも規制ができるということではなくて、現在の無害通航権というものは確保されるし、また一定の海洋汚染防止条約に基づきます国際的な規制に従って船舶が管轄権の中を通航することは、無害通航権に矛盾しないという見解を持っておる次第でございます。
  77. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 汚染防止ゾーンというような一つの権利の問題が中心にいま論議がされておりましたが、もうすでに海洋は出口のない湖というふうに考えるべきでございまして、この海洋汚染の防止につとめる国際機関を組織的につくって、どんどん推進をはかるべきだと思います。そこで、少なくとも主導権は、海洋国日本がとるべきではないかというふうに考えるわけであります。そこで、とりあえず日本とアメリカが中心になって、太平洋油濁事故に対する損害を国家が防止し、かつ補償するという考えが成り立たないものかどうか、これについてひとつ意見を伺いたいと思います。
  78. 原田昇左右

    ○原田政府委員 海洋汚染、特に船舶による油の被害に対する補償の問題でございますが、この点については、日米間だけで一つの条約のようなものを考える、協定のようなものを考えるというお話でございますが、私どもは、やはりこれにつきましては、国際間の一つの条約のような形で多数国が参加した一つの取りきめというものが必要であろうかと思います。  そこで、現在のところ、これに対しましては、油濁関係の国際条約といたしまして、まず海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約というものと、それから油濁損害についての民事責任に関する国際条約というものが一応すでに国際条約会議で採択されております。さらに、油濁損害についての民事責任に関する国際条約を補完するものとして、油濁損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約というものも採択されておりまして、これらはいずれもまだ未発効でございますが、わが国といたしましても、この条約の批准を今後はからなければならないという状態にございます。そこで、こういった国際条約をまず批准して、その上で、さらに足りない場合には、国際的に検討していくという方針考えるべきではないかと思います。
  79. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 いろいろと御研究を願っておるようでありますが、先ほど申し上げましたように、海洋国の日本でありますから、主導権を持って積極的に取り組むようにひとつお願いをしたいと思います。  いろいろとまだ触れたい点もたくさんございましたけれども、陸上の問題に関しまして、最近過疎バスというような問題が、いろいろと話題には前からなっておりますけれども、最近の社会の情勢を見るにつけましても、輸送人員の減少ということだけを理由に、バスや離島のいろいろの路線を廃止していくということがはたしていい行政指導であろうか。廃止させる、あるいはするものを認める、こういうことがいい行政であるかどうかということに一つの大きな疑問が投げかけられておるわけであります。民間企業で成り立たないならば、政府が抜本的な対策で、こうした恵まれない地域に愛の手を差し伸べる、これがほんとうの政治ではなかろうかと思うわけであります。これはむしろ行政を越えた政治の問題だと思います。大臣にひとつこの点についてのお考えを承っておきたいと思います。
  80. 徳永正利

    徳永国務大臣 全く御指摘のとおりだと思います。私もこの問題につきましては、運輸省に参りましてから非常に関心のある問題でございまして、今年度の予算も、昨年度に比べまして倍増程度の二十億近い予算を獲得したわけでございますが、過疎地域に対するバス対策国民の足の問題につきましては、今後さらに力を入れてまいらなければならぬと思います。  この予算獲得のときでも、最後まで私は、これはことによれば大臣折衝に持ち込んででもやるという決心をきめたわけでございます。大蔵省は幸いにして、その決心も皆さんの御協力によりまして円満に片づいた。これで満足しているものではございませんが、今後もなお一そうの努力をしてまいる決心でございます。
  81. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 大臣に御努力いただいたことを私どもも重々承知をいたしておりますが、これが政治だという形のものを今後とも実現するようにひとつ努力をしていただきたいと思います。  次に、四月の上旬に交通ゼネストが行なわれるということが伝えられておりますけれども、この問題につきまして、やはり交通がとまれば日本経済は混乱する、そういうことのもとに行なわれるものだと思います。それほど交通というものは重要だということでもあるわけでありますけれども、これについて所管の大臣として、これは労働省やあるいは官房長官にまかせておけばいいというような問題ではないと思うのでありますが、どういうふうに対処されるのか、基本的なお考えを伺いたいと思います。
  82. 徳永正利

    徳永国務大臣 私も、この点については非常に憂慮をいたしております。私はあくまでこの秩序を守って、ひとつ特にこの経済情勢の混乱している今日、ぜひそういうことのないような御協力をいただきたいということで、私はあえて組合の幹部の皆さん方ともお目にかかりまして、真意を吐露し、そして協力を仰ぐつもりでございます。
  83. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 大臣の特段の努力にひとつ期待をいたしたいと思います。  いろいろと先ほどから航空海運を中心にして運輸行政に対する基本的な問題について触れてまいったつもりでございますけれども、私はトランスポーテーション、この運輸というものが日本経済の経済力の涵養と国民生活の安定に果たしてきた使命は非常に重大であり、今後も大きく期待をされるわけでありますけれども、いろいろ考えてみますと、社会資本といわれるもの、つまり、港湾、空港、橋、道路、新幹線、いろいろ考えてみますと、みな交通関係があるわけであります。したがいまして、運輸行政というものがほんとうに自立をしてぴしっといくならば、現在日本の経済が、資本主義経済の中でややもすると無秩序になりがちでございますが、ここに一本筋を通していく、つまり、社会政策的なものをどんどん入れていくという方向であるならば、これを運輸行政がリードをしていったならば、日本の国民生活の中に一つの秩序をよみがえらせることができるというふうに私ども考えるわけであります。そういう点で、今後この運輸行政の運営のしかたというものは、国民生活のいま非常に乱れかかっておる、この資本主義経済あるいは自由主義経済といわれるものの中に一つの秩序を求めておる今日において、非常に重要な意味を持つのではないかと思うわけでございまして、これについて、今後の運輸行政の基本的な推進についての大臣の御方針を最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  84. 徳永正利

    徳永国務大臣 全く御指摘のとおりだと思います。私も、最初に申し上げましたように、運輸行政というものは、やはり国民生活運輸行政の面でどういうふうに守り抜いていくかということにあると思います。資本主義社会の中にありましても、今後いろいろな面における足あるいは流通の問題に対しまして、私どもの果たす役割りはきわめて大きいと思います。そういう自覚の上に立って、今後も懸命の努力をしてまいる決心でございます。
  85. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 総合交通体系ということがよくいわれますけれども、単に利用するものを適宜組み合わせるということではなしに、ただいま申し上げましたような、日本の経済に秩序をつくるという気概でこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  終わります。(拍手)
  86. 三池信

    ○三池委員長 兒玉末男君。
  87. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、先般行なわれました運輸大臣所信表明に対してただいまから質問を行ないたいと存じますが、質問を行なうにあたりまして、今日の国民不在の高度経済成長政策は、都市化の進行とモータリゼーションを進展させ、大都市における通勤地獄と事故の激増、光化学スモッグや騒音、振動は、輸送秩序の混乱と相まって国民の人命を脅かし、大きな不安を与えております。他方、資本の高蓄積から取り残されました地域は過疎化が進み、公共輸送機関の経営の悪化によって住民の足が奪われ、生活基盤は重大な危機に直面しております。  このような状況のもとで、国民生活に欠くことのできない交通サービスを確保し、事故や公害から国民の命と暮らしを守ることは、今日政治に課せられた重大な責任であるのに、独占資本の利益を第一に考えている田中内閣は、この国民的課題にこたえようとしないばかりか、日本列島改造に見られる全国新幹線あるいは高速道路のネットワークの構想は、国民の期待に逆行して、より一そう高度経済成長を推し進めようとしております。特に石油ショック後の今日、なおその基本方針は変わっていないと考えます。  このような大企業優先の交通政策は、当然のことながら、過密過疎問題を深刻なものにし、交通産業の経営近代化あるいは合理化政策は、業務の切り捨てによるサービスの低下や安全の無視につながり、国民大衆と交通産業労働者に過酷な犠牲をしいていると考えます。このような国民大衆の生活の犠牲の上に進められる独占資本奉仕の交通政策を根本的に転換させ、公共交通の動力源を確保することを前提としながら、国民生活を保障する快的で安全な国民のための交通サービスの確保と改善に全力を尽くすべきだと存じます。  大臣所信表明の中にいま申し上げた点の若干の改善考慮のあとは見られるわけでございますが、御承知のとおり、いま申し上げた状況から、特に交通行政の大事な点は、国民の足を守ること、あるいは生活必需物資の優先的な確保、あるいは貨物運賃制度等の大企業優先の運賃制度から、大衆物資等のいわゆる高度の割り引き政策あるいは交通事故、安全、公害の排除、さらに交通関係労働者の労働条件の改善、こういう点に対する積極的な取り組みが見られぬと考えるわけでございますが、まず運輸大臣の今後の運輸行政全体のこのような問題点の改革に対する基本的な決意についてお伺いをしたいと存じます。
  88. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、所信の中にも申し上げましたように、いままでもたびたび申し上げておりますように、国民生活をどういうふうに運輸行政の面から守り抜くかということが運輸行政の中心でなければならないと思います。それがためには、いまいろいろ御指摘がございましたが、私は必ずしも運輸行政が今日まで大企業優先の線に沿っておるとも考えておりませんけれども、これから先も、国の政策に沿って国民の足をどういうふうに守るか、あるいはまた、生活必需品をどういうふうに国民の台所に円滑に届けるか、また、これらの問題に付随した諸施策につきましては、いろいろ御議論がございましたように、みんなが乏しきを、苦しさを分かち合って、特にこういう経済情勢のもとでございますから、これらの問題について、率先して献身的に努力が重ねられるように運輸行政体制というものをつくってまいりたい、かように考える次第でございます。
  89. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣の御答弁、きわめて抽象的な表現でございますが、私はこれから各項目ごとに御所見を伺いたいと思います。  まず第一に、いま国民が現在の田中内閣、政府に期待することは——このように狂乱状態にある物価に対して何ら打つべき手を打っていない。きょうの新聞報道を見ましても、日銀の報告によりましても、とにかく日本の物価の上昇というのは、世界の先進国に比べても問題にならないほど異常な状態である。この時点で私は、特に大臣にお伺いしたいことは、これからいわゆる国鉄運賃の問題、あるいは私鉄、あるいは昨年末申請されているところのバス航空運賃など、このようないわゆる交通関連する各種公共料金値上げがひしめいているわけでありますが、われわれは、少なくとも今日のいわゆる政治の要諦は、いかにしてこのような物価に重大な影響を与える各種のこの種の公共料金を凍結するかということがきわめて重大であろうかと存じます。  きょうの新聞報道を見ますと、たとえば千葉市等におきましては、向こう一年間、特に国民生活関係の深い、市民生活関係のある各種の公共料金を一年間凍結する、こういう思い切った政策が発表されております。これに要する財源は、おそらく七億といわれておりまするが、まして今後の運輸行政で、国鉄をはじめとするこのような交通関係運賃の値上がりは、きわめて国民生活に重大な影響を与えると思うのですが、私はこの際、少なくとも三年程度のこのような各種の交通関係料金を凍結すべきではないか、こういう見解を持つものでございますが、大臣の御所見を承りたい。
  90. 徳永正利

    徳永国務大臣 公共料金を三年間凍結したらどうだという御提案でございますが、公共料金は御承知のようにいろいろな面に与える影響が大きいことも十分承知しておりますし、また、今日までそういう面においていろいろな御議論がございました。  昨年暮れにタクシー運賃の問題につきましていろいろな混乱が起こりまして、私もこの問題については実は就任早々心を痛めたわけでございます。しかし、これも何とか逃げられるものならと思ってあらゆる手を尽くしてみましたけれども、残念ながら力足らず、零細な、むしろ個人企業の多いタクシーにつきましては、暫定運賃というところに踏み切らざるを得なかったわけでございます。この点はいろいろ御批判があろうと思いますけれども、御理解をいただきたいと存じますが、その他の問題につきましては、ただいまのところ、慎重に検討を続けております。  三年間の凍結ということにつきましては、いま直ちに同意することは困難でございますけれども、今度、国鉄運賃につきましては半年間の、十月一日の実施ということで御審議をわずらわすことにお願いを申し上げるわけでございますが、公共料金もお説のような要素は多分に含んでおりますけれども、それと同時に、また反面、輸送の拡充、あるいはまた安全の確保というような面等もございまして、この交通問題に対する公共料金というものについては、そういう点において非常に問題を含んでおりますし、十分慎重に、今後抑制するという原則を前に置きまして慎重に検討してまいりたいと思っております。
  91. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一応大臣のお考えを頭に入れながら、次に具体的な問題に入っていきたいと存じますが、特に輸送関係国民生活に重大な関係を持っているわけであります。昨年末の十二月十七日の当委員会で私は申し上げましたが、これはいろいろな状況があったにしましても、たとえば年末年始における輸送対策の中で、特に、たとえば北海道におけるバレイショ、タマネギあるいはビート糖など、こういう正月を迎えてのこのような重要物資が停滞をするために、関西なりあるいは東京地方におきましても、このような物資の高騰を相当招いた、こういう点から緊急対策を強く要請をいたしたわけでございますが、なかんずく、私は先ほど申しましたように、このような国民生活に対する重要な大衆物資の優先確保という問題、あるいは今日、国鉄を含めて合理化によるところの地方における輸送体制のサービスの低下なり、あるいは私鉄バス、私鉄企業等が、採算が悪いという点等から、いわゆる路線の廃止など、こういうふうな大衆サービスという基本的な姿勢に対して、今日の輸送体制に欠ける点があると思うのですが、この点について一体どういうふうな考えをお持ちなのか、その基本的な問題としてお伺いしたいと存じます。
  92. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいま御指摘のございました、生活必需物資の供給が輸送面から円滑を欠かないような対策をすべきではないかという点でございますが、特に私どもは、昨年年末、燃料の事情が非常に悪化した際におきましても、生活必需物資につきましては優先輸送をやるように燃料を十分確保するという対策を講じたわけでございます。さらに、最近におきまして、北海道等におきまして雪害のために輸送が停滞するという問題が生じてはならないということから、種々対策を講じておりまして、国鉄におきましても除雪作業を徹底的にやりまして、列車運行の回復につとめております。さらに、生活必需物資の優先輸送ということも国鉄において十分に対策を講じておるわけでございますが、なおそれでも不十分な面は、幹線道路網あるいは長距離フェリー等によるトラックの機動的な運行をはかりまして、これら地方における物資の供給の確保をはかる所存でございます。  なお本日、北海道の生活安定本部、道庁の内部組織でございますが、そこから聴取したところによりますと、現在のところ雪害等による輸送停滞の影響は表面的には出ていない。ただし備蓄対象物資については、備蓄量の食いつぶしを若干やっておるので、これについては今後ぜひ配慮してほしいという御意見がございました。私どもとしては、こういった物資については、極力優先的に輸送確保することによって万全を期したい、こう考えておる次第であります。
  93. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは具体的な項に入っていきたいと存じますが、まず第一点は国鉄関係でございます。  二月七日に運輸審議会長から運輸大臣あてに答申として「日本国有鉄道における鉄道及び航路の運賃及び料金の変更について」ということで出されておりますが、問題の国鉄再建整備法関係の法律が前国会で成立を見たわけでございます。今回のこの運輸審議会答申は、諸般の情勢、国民生活への影響等を考慮する、こういう意味で、運賃改定の実施をさらに六カ月延期する旨の答申がなされておるわけでございますが、このような運賃改定の延期に対しましては、一体政府はどういうふうな措置をとろうとしているのか。なお、特に昨年から本年にかけての、いわゆる四十八年度を含めて長期収支に与える影響ということもきわめて重大ではないかと私は思うわけでございますが、これらの点についてどういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いしたいのであります。
  94. 秋富公正

    秋富政府委員 運賃改定の実施につきましては、先生いま御指摘のように、さきの国会におきまして、ことしの三月三十一日より実施というふうになったわけでございます。さらに今回、これを六カ月延期するという法案を国会に提出いたしたわけでございますが、これの影響につきましては、まず四十八年度分、これを一年間延ばしたことによります国鉄の減収額は千八百五十五億でございます。それから、四十九年に半年延ばすことによります減収額が九百七十六億でございまして、合わせまして二千八百三十一億ということでございます。  それで、これに対します措置でございますが、この減収不足額相当分につきましては、全額これを借り入れ金で補てんするという措置を行なったわけでございます。本年の九百七十六億につきましても、これを全額財政融資で措置したわけでございますが、その借り入れ金の増加ということが今後の国鉄財政に悪影響を及ぼすことのないように、昨年の補正予算におきまして新しく特別利子補給金、こういう制度を設けまして、全額これを国において補てんするという措置をとったわけでございます。すなわち四十八年度におきましては四十四億円、特別利子補給金を国鉄に支給したわけでございますが、さらに、現在国会において御審議いただいております四十九年度予算におきましては、合わせまして二百四十億を特別利子補給金といたしまして計上いたしておるわけでございます。  したがいまして、運賃改定実施期日の延期による影響につきましては、四十八年度、四十九年度ともにこれを全額利子補給をするということによりまして、五十年度以降におきましては、損益計算上におきましては影響はないわけでございますが、さらにこれに加えまして、政府といたしましては、四十八年度、四十九年度の両年度を通しまして、初期の再建計画で予定いたしておりました一兆五千七百億の出資に加えまして八百八十五億の出資をいたしておるわけでございます。この出資の利子節約効果によりまして、五十年度以降の損益収支は従来よりも改善されることとなったわけでございます。
  95. 兒玉末男

    ○兒玉委員 利子の補給関係はわかるわけですけれども、実質的には昨年の仲裁裁定実施等の問題を含めて約二千四百億、本年の九百七十六億、合計約三千五百億程度というのは、これは国鉄の負債として残っていこうかと思うわけです。そういうことを踏まえながら、さらに十月一日になりますと消費者米価も上げる。そしてまた、国鉄運賃も実行される。そういうふうになりますと、これが物価高騰にさらに拍車をかける結果になるんじゃないかというふうに考えますが、その影響をどういうふうに考えておるのか。  第二点は、運賃改定の延期ということは、今日の物価高騰の状況から判断した場合に、今日の諸般の情勢から判断した場合に、再建十カ年計画というものは、提案説明の時期にも申し上げましたけれども、事実上その根本が相当くずれていくのじゃないか。こういう点から考えますならば、新たな経済情勢に即応し、運賃改定を含めてこの再建計画を抜本的に練り直す段階に来たのではないかと私は考えるわけでございますが、これに対する御所見を承りたいと思います。
  96. 秋富公正

    秋富政府委員 まず第一の国鉄運賃改定が物価あるいは国民生活に与える影響でございますが、これはさきの国会におきましてもお答え申し上げましたように、〇・四%の影響でございます。しかし、私たちといたしましては、これが他の物価高騰の引き金になるということのないように、今回特別の措置といたしまして半年延期したわけでございますが、これは、今後の国鉄のいわゆる財政再建、あるいは国鉄のになっております公共的使命と輸送確保という面から申しましたら、私たちといたしましては、十月からはぜひ運賃改定をさしていただきたい、かように考えております。  次に、この半年、さらに昨年一年延ばしたことによる影響により国鉄の財政再建がくずれたのではないか、こういう御指摘の点でございますが、昨年の二月二日におきまして閣議了解いたしまして、またその後、さきの国会におきましてもお答え申し上げましたように、国鉄の財政再建と申しますことにつきましては、昭和五十七年度におきます損益計算において利益を生ずるように財政の健全性を回復するということを、私たちとしましては再建計画のめどといたしておる次第でございまして、五十七年度におきます収支につきましては、先ほども申し上げましたように、むしろ出資を増加したことによりましての効果は増大し、損益の面におきましては改善されておるわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、いわゆる借り入れ金額がふえるということは事実でございますが、この点につきましても、一兆五千億の投資をいたしまして国鉄の体質改善をすることによりまして、五十七年度以降におきましては、収益もさらに増大することになりまして、この点につきましても私たちは見通しを考えておるわけでございまして、再建計画は予定どおり進めさしていただきたい、かように考えております。
  97. 兒玉末男

    ○兒玉委員 物価への波及とか、あるいは再建計画の可能性があるという御答弁でございますが、これらの点はいずれまた、本日は時間がございませんので、論争は後日に延ばすことにしまして、次に進めてまいりたいと思います。  大きな第二点は、先ほどもちょっと触れられましたが、新幹線公害の問題でございます。  御承知のとおり、昨日の新聞でも報道されておりましたが、名古屋周辺の市民がいわゆる新幹線の騒音等を中心とする公害に対する集団提訴を行なう、こういうことが報道されているわけでございますが、一体、その内容はどういうふうな内容になっているのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  98. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお説のように、名古屋周辺の人たちの提訴というお話は伺っておりますけれども、提訴をするだろうということでございまして、まだその訴状の内容を拝見いたしておりませんので、いずれそれを拝見して、国鉄としてその対策をよく考えたい、かように考えております。
  99. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、特に新幹線の騒音公害というものは、これは非常に重大な注目を浴びている問題じゃないかと考えるわけでございますが、おそらく、国鉄当局並びに運輸省としても、これは真剣に取り組んでいただきたい問題であろうかと思うわけでございますが、この集団提訴に対して総裁の答弁は、まだ実際にそれが行なわれていないということでございますけれども、もしこれが提訴という段階に至った場合には、国鉄はどのような態度で臨もうとしているのか、これは特に大臣並びに総裁にお伺いしたいと思います。
  100. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 先ほど提訴の内容を存じませんと申しましたが、しからば公害対策何もやっていないかと申しますと、実はそうでございませんで、御承知のように環境庁長官から基準の指示があり、運輸省からも指示がございまして、国鉄としては、いままでは主として音源対策、つまり騒音を発生するその音源をいかにして小さくするかということに苦慮いたしておったのでございますけれども、これは御承知のように比較的新しい技術でもございまして、いまだにはっきりした実を全部が結んだというわけでないのははなはだ申しわけなく存じておりますが、そういった音源の対策、音を小さくするという対策を、これからも極力進めていきたい、かように考えております。  音を低くすると申しましてもおのずから限度がございまして、環境庁長官から指示がございましたその網に残るものはどうするかということになると、将来の対策ということにも相なりますので、この点に関しましては、運輸省その他の御意向、御指示を伺いながらその対策を講じようという意味で、国鉄内部にも環境保全の推進本部というようなものをつくって極力進めているような次第でございまして、なお詳細には担当の者から、こういうことをやっているということを御説明させます。
  101. 徳永正利

    徳永国務大臣 基本的な問題について答えろということでございますが、私も実は新幹線ではございませんけれども、鉄道のすぐそばに住んでおったことがございます。朝の四時ごろになりまして貨車が通りますと、泊まりに来たやつはびっくりして、地震じゃないかと思って必ず飛び起きる。そのぐらいの振動に対してもいろいろな問題を含んでおります。  特に、新幹線の騒音問題につきましては、いろいろ問題が出ておることは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、いま国鉄総裁が申しましたように、いろいろな音源の対策については鋭意やっておるようでございますが、さらに民家のそういう方々に対する防音装置とかあるいは疎開の問題お話し合いの上でいろいろ疎開と申しますか、移転の問題等も含めまして、今後十分誠意を尽くして対処してまいりたいと思っております。
  102. 兒玉末男

    ○兒玉委員 総裁の御答弁はきわめて抽象的でございますが、やはりわれわれ、いまこのことについては相当国民が関心を持っておるわけでございますし、特に昨年は、環境庁からもいわゆる騒音の基準というものも示されているわけでございまして、国鉄当局としても、それに対応する具体的な対策も持っていると私は思うのですが、この際、担当者のほうからこれの対策をぜひお聞かせいただきたい。
  103. 内田守

    内田説明員 先ごろの国会でも詳しく申し上げましたとおり、一昨年の十二月に、環境庁から新幹線の騒音対策に対する勧告がございまして、それに基づきまして現在鋭意音源対策をやっておるわけでございます。  昨年実施しました音源対策は、防音壁を主体といたしまして、レールの重軌条更換等、あるいは一番問題になりますのは無道床の鉄げたの防音工事、そういうようなものにつきまして大体百三十五億、計画の約三分の一をこの三月までには実施する予定になっております。これを三カ年間で実施いたしますと、大体特殊な場所、いわゆる鉄げたの部分以外のところは、環境庁の基準に合致するようになるという確信を持っております。  ただ、鉄げたのところ、あるいは高層アパート等につきましては、いまの音源対策では不十分なので、これに対しましては、いわゆる民家の防音工事を今後いたしてまいりたいと思っております。なお、それでもだめだというものにつきましては、民家の移転等につきましても、沿線の住民方々と十分お話をして進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、問題は振動に対する対策でございますが、これは工事をやってしまったあとではなかなかやっかいな問題でございまして、やはり民家にのいていただく以外には方法がございませんので、特に振動の激しいようなところにつきましては、今後運輸省等とよく御相談をいたしまして、民家の移転ということについて積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  104. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それならば、現在特に名古屋地区が一つの代表的な件でございますが、現在現地のいろいろな提訴にあたっては、原因なり住民の要求というものが具体的に提起されていると思うのですが、それはどういうふうに調査し、把握をされているのか、この際お伺いしたいと思います。
  105. 内田守

    内田説明員 名古屋につきましては、これは前の国会でもいろいろお話し申し上げたとおりでございまして、私のほうといたしましては、振動、騒音等につきましては十分な調査をしております。特に名古屋は御承知のような軟弱地帯でございますので、ほかの地区とは違った、音と振動が一緒になっているということで、条件が非常に悪いということに相なっております。この点につきましては、先ほども申し上げましたような特段の措置を今後進めてまいりましょうということでございますが、いままでの考え方といたしましては、民家に実際振動で被害があったものにつきましては、これは補償をいたしております。しかし、その程度のことではなかなか沿線の皆さまの納得がいかないという事態になりまして、国鉄としても確かに対策が十分でなかった面もございまして、いまは住民との話し合いがとぎれた状態にございます。したがって、いますぐ話し合いを進めるということもできませんし、家屋の調査をしに入るということもできないというのが現在の状況でございます。
  106. 兒玉末男

    ○兒玉委員 やはりこれは当局の積極的な姿勢と誠意の問題が今後の解決のかぎじゃないか、そういうふうに理解します。  なお、同時に、今後の、いま計画、着工中の新幹線についてもこのような問題がもし提起されるとするならば、この対策というのは相当巨額の資金を要すると私は思うわけでございますが、これらの対策は一体どう考えているのか。  同時にまた、きょうの航空機騒音の問題でも、関係の空域に着発する飛行機の利用者から一千円の騒音対策費というものを、形はどうだかわかりませんけれども、徴収するというふうなことも報道されておるわけでございますが、この際、特に法案も出されておるわけでございますけれども、国鉄のこのような新幹線公害、あるいは在来線の場合においても同様のことが今後提起されると思うわけでございます。これば当然国の機関とも密接な関係があるわけですが、費用の負担等についてはどういう形でいくべきか、この点について運輸省当局並びに国鉄の見解を承りたい。
  107. 秋富公正

    秋富政府委員 現在まで建設されてすでに運行をいたしております新幹線につきまして、ただいま国鉄の理事のほうから御説明申し上げましたが、いろいろの対策を講じておるわけでございます。この費用につきましては、十カ年間の十兆五千億の中で八百億をこの新幹線の公害対策に充てておるわけでございます。今後つくります新幹線につきましても、そういった騒音、振動によります公害の除去という点につきましては、種々対策を講じておるわけでございます。  まず、最初のほうの在来線、すでにできました新幹線について申し上げますが、これは新しくつくる新幹線も同様でございますが、国といたしましては、出資とそれから三・五%までの利子補給ということをいたしておりまして、実質上国といたしましては工事費の金利が三%になるように予定をいたしておるわけでございまして、こういったいろいろの対策につきましては、その工事費の中でいたすわけでございますので、すなわち、国といたしましては三%まで利子の補給をいたしておるわけでございます。それの措置によりまして今後も騒音対策をいたしていくつもりでございます。
  108. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この公害の問題というのは、これからおそらく各地域において非常に多発するであろうということが考慮されますし、特に地域住民のいわゆる生活環境を守るという基本的な点を十分認識されて、今後これの対策には真剣に、しかも積極的に取り組んでいただきたいということを要望しまして、次の点に入りたいと思います。  大きな第三点としましては、特に今日長距離路線トラック等を含め交通災害ということがたいへん大きな政治課題になっておるようでございますが、中でも高速道路等におけるところのいわゆるトラック等の過積みということが大きな課題になり、同時に、運転者等については非常に過酷なダイヤが組まれまして、交通労働者が重大な危機に立たされておる。  先般の交通関係研究集会でも強く指摘されたわけでございますが、まず一つには、過積み等に対するところのトラックそのもの、自動車そのものの構造上の問題について、運輸省当局としてはどのような安全対策を講じているのか。あるいは過積み等に対しても、これが構造的に第三者あるいは取り締まり機関がいつでも探知できる、こういうような体制。もう一つは、非常にスピードの超過によるところの交通事故ということが起きております。これは運転者の次害心による行動でなくして、そういうような非常に強制的な劣悪な労働条件の中にやむなくこういう事態が発生しておる。こういうようないわゆる交通災害の防止対策について、運輸省当局はどういうふうな対策検討し、とられようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
  109. 中村大造

    中村(大)政府委員 先生御指摘のように、長距離トラック等のいわゆる過積み防止、これは交通安全の面からいきましても非常に大切なことでございます。これに対する対策といたしましては、いろいろな面から対策が講じられるべきでございますけれども、車両の構造上あるいは車両につける設備、こういう点から考えますと、まず昨年の九月一日から施行いたしておりますけれども、保安基準を改正いたしまして、差しワクをつけることを禁止したわけでございます。  それからもう一つは、ダンプ規制法によりまして自重計を装着することを義務づけておるわけでございます。それで、この自重計につきましては、過積み防止装置研究委員会というものを四十六年に設置いたしまして、その後いろいろと検討をしてきておるわけでございまして、現在義務づけております自重計につきましては、その機能の上からいきまして、まだ必ずしもこれで一〇〇%十分であるということは期し得ないわけでございまして、これの精度の向上につきましてはさらに鋭意この研究をいたしておる次第でございます。  それから、先生御指摘のように、やはりこのスピードという点につきましても、これは事故の防止の上から大きな要素でございまして、これにつきましては、大型トラック等につきましては、運行記録計、いわゆるタコグラフの装着を義務づけております。それからまた、大型トラックにつきましては、速度表示装置、いわゆる青ランプをつけることによりまして、外部から速度のオーバーを確認し得るように、そういうふうな措置を講じておるということでございます。
  110. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一応の御説明は聞いたわけですけれども、私は、具体的な例を一つ指摘しながら、今後の運輸省当局のもう少し意欲的な責任ある指導体制を要望したい。  これは一つの例でございますが、一月の二十六日に福岡市の博多区にあるところの東洋埠頭というのが、警察の手によって摘発されております。これについては、七年前から一般港湾の組合員の諸君が良心的に、いわゆる倉庫関係の運送に対して、道路行政あるいは職安法違反、あるいは労働基準法、海運関係の運送事業法違反、さらに道交法関係違反、こういうことで、再三にわたり具体的にこの改善を要求してきた。それを全く無視をされ、さらに四年前には、参議院のわが党の同志の小柳議員がそういうような点をさらに改善方を指摘しました。これに対しまして運輸省当局は、直ちに行政指導を通して回復をするということを約束をしながら、ついに今日まで全然それがなされていない。  同時に、これと関連する福岡の、これは名称を控えますけれども、ある運送業者が、とにかく運転手に過酷な労働条件を与えて、いわゆる過積みをして、そうして違反にかかるような仕事をした場合は一五%の運賃に対する歩合給をやるとか、あるいは違反等にかかった罰金は全部会社がめんどうを見る、こういうふうな露骨な状態が今回警察側の摘発によってわかったわけでございます。  これはほんとう一つの例でありますが、いま局長が申されましたけれども、今日こういうふうなトラック輸送、運送関係についても、このように何ら反省の色がないということが具体的に指摘をされておるわけでございますが、これらの点については、おそらく運輸省に報告は上がっていると思うのですが、これは一つの例でありますけれども、一体これらについてはどういうふうな認識をされているのか、お伺いしたい。
  111. 中村大造

    中村(大)政府委員 先ほど私、御答弁申し上げました点は、主として構造上の点とかあるいは装置の点について御説明申し上げたわけでございまして、やはり基本的には、これを運行いたします運行責任者、事業者の心がまえというものでございまして、それに対するわれわれの監督の姿勢、こういうことかと存じます。この点はもう先生おっしゃるとおりでございます。  この点についてもいろいろ規制はございますけれども、要は、そういうものを徹底させるようにわれわれとしては十分な指導を今後ともやってまいりたいと思うわけでございます。  それから、先生御指摘の事業者については、私、詳細存じませんけれども、えてしてこういうものにつきましては、荷主と運送事業者との力関係というものが相当大きな影響を与えることもございまして、荷主、官庁とも十分な連絡をとりながら、運送責任者が適正な労働条件あるいは設備を持って運送を遂行するようにさらに指導してまいりたいというふうに考えております。
  112. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に自動車等の公害関係でもう一点お聞きしたいわけでございます。  これは車両の構造上の関係でございますが、法律を改正をして、昭和五十年から、低公害でございますか、自動車等の排気ガス等についても構造並びに法的規制を通して抜本的な改善をはかるということがいわれておるわけですが、これについては具体的にどういうふうな作業を進めておるのか、お伺いしたいと思います。
  113. 中村大造

    中村(大)政府委員 五十年規制につきましては、もうすでに公示をいたしまして、五十年からこれを実施に移すという段階でございます。  それから、その次にいわゆる五十一年規制というものが予定されておるわけでございまして、これにつきましても現在鋭意検討を進めておりまして、近く結論を出して実施に移してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  114. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間がありませんので、次に進みたいと思います。  これは先ほど触れましたが、過疎現象が進む中におきまして、地方の過疎地域を含めたいわゆる国民の足を守るという立場から、地方バス経営の維持、さらには私鉄関係の中小企業に対するところの補助対策ということが、金額の面そのものについては前年度よりもかなり増額をされておりますけれども、全体的な運輸関係予算の中から見ますと、まだまだ微々たるものでございます。これらの点につきまして、今後私が指摘したいことは、このような補助対策、助成対策というものは、予算面においてもまだ一段の増額をはかるべきじゃないのか。同時に、こういう対策についてやはり法的な対策というものを考えていかなければ、一体どういう構想で、どういうふうな対処をやっていくのか。これは、特に地方バスなりあるいは鉄道というものは、どうしても今日の過疎現象から採算がとれないということは明確になっているわけでございまして、問題は、いかにしてこのような地域の住民の足を守るか、この点に重点を指向していかなければいけないと思うわけでございます。私鉄等並びに地方バス等に対する補助対策についての今後の対策を承りたいと思います。
  115. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のとおりでございます。地方におきましては、いま過疎事情がだんだんと深刻な状況になってきているのは御指摘のとおりでございまして、私も先生のいまの御意見のように考えております。この点につきましては、まあ今年は多少なりとも予算は伸びましたけれども、——倍に伸びたといっても元が小さいのですから、これはもうたいしていばれた話じゃないと思います。今後におきましては、こういう問題については、運輸省としましては特に力を入れて、過疎地域の住民の足をどういうふうに守り抜くかということについて、中小赤字経営の私鉄も含めまして今後力を注いでまいりたいと思います。
  116. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま大臣の御所見を承りましたが、ひとつ特に今日の高度経済成長のひずみの中で苦しんでいる地域住民の要求というものが十二分に届いていかれるように強く要望して、次に入りたいと思います。  それは安全に関係する問題でございます。私のほうの宮崎からもカーフェリーが運航しておりまして、相当の人が利用しているわけでございますが、特に四十一年から開始されて、そして今日、カーフェリーのいわゆる隻数、運航回数あるいは総トン数等にしても相当の増加を見ておるわけでございますけれども、その積載する状況等から判断をいたしましても、万一事故発生の場合は重大な惨事を引き起こすということが予想され、しかも海難事故関係の中におきましても、とにかくこの数字というものが非常に増加の状況にあるわけでございます。昨年、カーフェリーの事故対策についての通達もなされておるようでございますが、これに対して、内容を見ておりますと、衝突事故が大半を占めておるようであります。これは船の構造上の欠陥あるいは運航者、乗務員の技術の未熟というような点があろうかと思うのですが、このカーフェリー等の事故対策についてどういうふうな対策をとっておるのか、お伺いいたします。
  117. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいま御指摘のとおり、昨年五月から七月にかけましてカーフェリーの事故が相次いで発生しましたことにかんがみまして、昨年八月、これらの事故の教訓をもとにいたしまして、新しいカーフェリー安全対策運輸省として策定、実施いたしまして、カーフェリー事業者が安全運航に徹した経営体制を確立するようにいたしておるわけでございます。  具体的な内容といたしましては、特に昨年の事故の原因が、現在までわかっております。たとえば三十八隻について見ますと、運航の過誤によるものが二十九隻で、機関機器の整備点検、取り扱い不良によるものが六隻、相手船の過失によるものが三隻ということになっておりまして、そのほとんどが人為的な誤りによるものと推定されるわけでございます。  したがって、海上保安庁、関係局と相談いたしまして、このカーフェリー安全対策では、特に設備の改善、それからカーフェリーターミナルの施設の安全確保ということを徹底的に通達をいたしまして指導いたしておりますが、それより増して重要な問題といたしまして、運航管理体制を強化するということ、これには運航管理のチェックあるいはダイヤの再検討等を含みまして考えております。さらに、運航管理者の研修をやりまして、教育訓練を実施する、それから乗り組み員の乗務体制を強化するという線で、乗り組み員の操練の励行をするとか、あるいは救命艇手の制度を充実するとか、海上交通安全関係法令の指導強化、これは海上保安庁がいろいろ衝突予防法あるいは海上交通安全法等の規定に基づきまして指導をする、それから指導監督体制の強化として、船舶検査官、船員労務官、運航管理担当官、海上保安官の体制を強化いたしまして、立ち入り検査とか乗船指導監査とか乗務監督が十分な回数行なわれるようにいたしたわけでございます。  こういうことによって最近では事故が急激に減っておるわけでございますが、なお私どもとしては、こういう措置を徹底的に実施するように、安全対策を強化するようにつとめてまいりたいと思います。
  118. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点についてはまだ二、三お伺いしたいわけですけれども、時間の関係で非常に総括的になりますけれども、これはまた後日これより突っ込んだお伺をしたい、このように考えております。  次にお伺をしたいことは、先ほども前の委員が聞かれましたが、本年の六月でございますか、海洋法会議が開催される。これは非常に日本の今後の海洋関係についても多くの問題を持っておるようでございますが、御指摘が先ほどもありましたようですけれども、特にこれは外務省の「国際情報」に掲載されているものでございますが、特に領海の幅につきまして三海里か十二海里か、こういう点が非常に論議をされるようでございますけれども、中でも大多数の国が十二海里を妥当としているけれども、多数の後進国は、いわゆる排他的なエコノミックゾーンというものが同時に認められることが、領海十二海里成立の条件として指摘をされている。これはきわめて重大な問題でございますが、これに対しましては一体どういうふうな対策をもって臨もうとされるのか。  それから第二点は、これも御指摘がありましたけれども、特にタンカー船の運航の非常に多い今日におきまして、海洋汚染ということは、これは外洋を問わず、国内の沿岸を問わず、きわめて大きな課題であり、海上保安庁の統計によりましても、油による汚染というものがきわめて大きな比重を占めまして、これが沿岸漁業等についても大きな影響と環境破壊をもたらしておるわけでございますが、海洋法会議に対するところの、いわゆる海洋汚染に対しては、一体日本政府としてはどういうふうな態度で臨もうとしているのか。  それからもう一つは、海峡航行の関係でも問題となりましたが、いわゆる自由通航権の問題、あるいは無害通航権、この二つの点でそれぞれ意見が対立をしておるわけでございますが、特に日本の場合等は、マラッカ海峡等はおそらく二十万トン以下の船舶等は相当の影響を与える結果になると思うのでございますが、この汚染、それから領海、それにいわゆる海峡等の通航権、この三点について、いかなる姿勢で臨もうとされておるのか、明らかにしていただきたい。
  119. 原田昇左右

    ○原田政府委員 まず御質問の第一点の領海の幅員問題でございますが、わが国は御承知のように、伝統的に海運、漁業等におきまして海洋国家として海の利用に格別に深い関心を持っておるわけでございます。しかしながら、もちろんわれわれといたしましても、開発途上国の立場にもまた深い同情を持っておるわけでございまして、領海の幅員につきましては、わが国の国益を守るとともに、開発途上国の立場にも十分耳を傾けるということから、従来伝統的に慣習法として成立しておりました三海里という主張を、もし大部分の国が十二海里ということに合意されるならば、われわれとしてもその十二海里に同調することにやぶさかでないという立場で臨もうということで、関係官庁の間で意見の調整ができておる次第でございます。  それから第二は海洋汚染問題でございますが、海洋汚染問題については、七三年の国際海洋汚染防止条約の会議が先般ロンドンで行なわれまして、ここで採択されました海洋汚染防止条約の線に沿ってわれわれとしては対処してまいりたいと考えております。  なお、海洋汚染防止ゾーンを距岸二百海里程度まで拡大して設定するという主張に対しましては、われわれといたしましては、特に国際船舶航行の自由に不当な干渉とならないような妥当な歯どめがない限り同意するわけにはいかないということであろうと考えます。  ただ、もちろん領海のあるいは沿岸の海洋汚染防止については、国際条約の線に沿いまして十分協力する用意がございますし、また国際的に、海洋汚染防止については、わが国としても、世界に先がけて現在海洋汚染防止法というものができておりますので、さらにこれを七三年条約の線で改定するなり、所要の国際的な措置をとって、積極的に海洋汚染防止については協力してまいりたい。むしろ指導的な役割りを果たすべきではないか、こういうように考える次第でございます。  それから第三の海峡の通航権の問題でございますが、これにつきましては、一部の大国は海峡におきます自由航行権というものを強く主張いたしております。わが国としましては、これについては各国の利害がきわめて対立いたしておりますし、またわが国の国益上も従来と同様、海峡におきます通航権は確保さるべきと考えておりますので、利用国と沿岸国との利益のバランスということを十分考えまして対処するということになろうかと存じます。
  120. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間がもうまいりましたので、あと二点だけにしぼってお伺いして、まだあと四、五点残っておりますけれども、割愛させていただきます。  第一点は、いまの御答弁にもありましたが、特に海上保安庁からいただきました資料、あるいは各地域における住民の苦情というものが、やはり国内における沿岸の油による汚染ということによって起きております。ですから、海上保安庁としては、特にこの原因でも、昭和四十八年度の調査によりましても、二千二百四十九件のうちに、実に千八百六十五件が油による汚染だということからも、取り締まりの強化ということと同時に、原因の追及ということに積極的な努力を払うべきだと私は思うのですが、これに対しては一体どういうふうな措置をとろうとしておるのか。  第二点は、これは局が違いますけれども、港湾局関係かと存じますが、先ほどの博多における倉庫業等の非常に悪質なやり方というようなものに対して、一体どう対処しようとしているのか。  第三点は、物価との関連になるわけでございますけれども、特にわれわれが先般倉庫関係調査した中で、いただいた資料でも特異な状況が数字であるわけでございます。これは、まず本年の一月末現在の港湾局の統計によりますと、中でも生活関連物資で、去年の同月と本年の一月十日現在の比較であります。第一は、トイレットペーパーでございますけれども、昨年の同月は五千百八十四トン、それが本年一月は千四百六十二トン。合成洗剤は、昨年の一月は二万八千二百十サン三トン、本年の一月は八千百十九トン。砂糖は、六万一百トンあったのが、本年一月は二万五千六百トン。小麦粉は、一万三千トンであったものが、八千五百トン。これがおしなべて半分あるいは三分の一、一年間の統計で見た場合に、在庫量が極端な減少を示しておる。倉庫業というものは、一定の量は絶えず保管されておるところに倉庫業本来の使命があるのではないか。にもかかわらず、このような物価高騰を招いた、生活関連物資の在庫が極端に減少している。特異な状況としてわれわれしろうととしては判断するわけでございますが、こういうふうな状況になった原因というものは一体どこにあるのか、その点をひとつ御説明いただきまして、今後の対策をひとつ御検討いただきたい。
  121. 佐原亨

    ○佐原政府委員 海洋汚染の問題につきまして、先生御指摘のとおり、二千件をこす海洋汚染発生件数のうち、油によるものが約八割以上を占めております。  私どもの監視、取り締まりのやり方といたしましては、海洋汚染発生の多発海域ともいうべき東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、これを第一海域と称しまして、たとえば、毎日飛行機で二回、空から監視をする。巡視船艇は必ず常時一隻はパトロールをする。第二海域はさらにその程度を薄めまして、段階的にやらせております。  その第一海域である東京湾、伊勢湾、大阪湾等におきましては、明らかに発生件数も減少しておりますし、監視、取り締まりを強化すれば、必ずその成果はあがるものとわれわれ考えております。来年度の予算におきましても巡視船艇の代替建造、航空機の増強等をはかりまして、監視、取り締まりの網をさらに密度を高くしてまいりたい、このように考えております。  そのほか、いろいろ海洋汚染の分析、測定器具の整備、こういったこともはかっておりますし、それから、万一不幸にして油が流れましたときの防除体制などもかなり強化をはかっていきたい、このように考えております。
  122. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾局のほうからお答えいたします。  博多の倉庫業の悪質な輸送でございますか、それは私、まだ存じませんので、調査いたしまして対処いたしたいと思います。  また、第二点の、一月十日に営業倉庫の生活必需物資調査いたしましたところ、いま先生のおっしゃいましたように、トイレットペーパー、印刷用紙、合成洗剤、合板、塩化ビニールパイプ、砂糖、小麦粉、この七品目を調査したわけでございますが、先ほど先生のおっしゃったように、確かに昨年に比べまして減少しております。また、そのほか、たとえば倉はしけ等も調査いたしますと、一般に昨年に比べて減少したり、あるいは昨年の八月ごろに比べましても現在非常に減少しているというような状態でございます。ただ、営業倉庫は、寄託を受けた他人の貨物を保管する業務でございまして、貨物の出庫、入庫は、荷主の指示によって行なわれておりますので、その保管貨物の減少や増加がどういう原因であるかという点については、私ども明らかにしているわけではございません。ただ、一般的にはトイレットペーパーとか砂糖、小麦粉、こういうものは、いずれも品薄が伝えられておりますので、このための流通が促進されて、在庫量が急に減ったのではないかという点、これはわれわれのほうの推測にすぎませんけれども、そういうように感ずるわけでございます。なお、合板がふえているわけでございますが、これは建築抑制等がございまして、そういう点でふえているのではないかというように考えております。いずれにしろ、原因そのものは、営業倉庫を監督している私どもとしては、憶測するにすぎないわけでございます。
  123. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、いま御答弁を聞いたわけですけれども、いま申し上げたような洗剤なりトイレットペーパーなり砂糖なり、一番国民が関心を示しているものの極端な在庫の変動ということについては、一応正常な行為であったにしても、どうしてもわれわれは疑いを持たざるを得ない。そういう点から考えますならば、これが価格つり上げのために操作されたのではないか、だから、一体こういう品物はどういう形でどこへ出ていったのか、そういうことが的確に把握されない限りは、依然として大きな疑問と、倉庫業に対する不安が残るわけでございます。ですから、必要によっては、私はそういうものの存在が的確に把握できるための倉庫業法等の改正というところまで、この際検討すべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  124. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 倉庫業法は、倉庫業そのものを監督する法律でございますので、その品物の行くえであるとか、入ってくる先であるとか、そういう点の調査をするように改正するということは、ちょっと考えられないのではないかと私は考えているわけでございます。
  125. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、最後に運輸大臣に御要望申し上げますが、いままでずっと各項について御質問したわけでございますが、十分な時間の割り当てができなかった関係で、残念に思いますけれども、また後日この委員会を通して追及して詰めてまいりたいと思いますが、要するに、大臣に申し上げたいことは、運輸行政を通して国民生活の安定ということに最大の力点を置かれ、特に冒頭申し上げました公共料金等の抑制には、大臣も積極的に取り組むということを明確に表明されておりますから、国民各層の期待にこたえるように、ひとつ最大の努力を強く要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  126. 三池信

    ○三池委員長 この際、午後三時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後三時四分開議
  127. 三池信

    ○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君。
  128. 三浦久

    ○三浦委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、大臣所信表明に対する質問を行ないたいと思います。  所信表明の中では、あれもやる、これもやるというふうに大臣は、まあことばをかえて言えば、耳ざわりのいいことをたくさん並べておられますけれども、その中身を具体的に検討してみると、現在の国民の苦しみを解決するための具体的な政策というものが非常に欠けているというふうに私は感想を持ちました。なぜそういうふうになったのかということを考えてみると、国民生活の苦しみの原因というものが一体どこから来たのか、この原因に対する反省が足りないのではないかということを痛感しているわけであります。  大臣所信表明の中で、わが国経済は、戦後大きな成長発展を見た、しかしそれとうらはらをなすように、異常な物価上昇、公害、過密、過疎、社会資本の立ちおくれ、エネルギーの供給不足などの諸問題が発生し、これが解決は非常な急務であるというふうに述べられておるわけでありますけれども、ここで述べられておる国民生活の窮乏、これは一体どこから出てきたのか。それは歴代の自民党政府が行なってきた、大企業のための高度成長政策の必然的な結果だったわけであります。  たとえば物価の問題にいたしましても、予算委員会の質疑の中でも明らかにされましたように、大商社や大企業の買い占め、売り惜しみ、こういうものを野放しにしてきた政府の責任は重大だと思います。また、独占価格を放任するとか公共料金をどんどん上げていくとか、またインフレ政策をとっていくとか、こういうことが物価をつり上げてきた根本的な原因なんです。また、産業基盤の造成に膨大な公共投資を行なうとか、また大企業に対する特権的な減免税を行なうとか、こういうように国の財政をあげて大企業に奉仕をしてきた。そうして片一方で、国民生活は、社会福祉がそのためにおろそかになる、また農業、中小企業が破壊をされる、自然環境や国土の破壊がそれに伴う、こういう状態というのは、全く大臣が言っておられるような経済の発展とうらはらの関係に出てきたというものではなくて、まさに一体のものとして、その必然的な結果として出てきたのだということがいえると思うのですね。  運輸行政においてもそのことは例外ではないと思います。たとえば国鉄運賃を再三にわたって値上げをいたしております。その反面、ローカル線は切り捨てていく、海運や造船関係へは巨額な国家資金を投入する、またモータリゼーションを促進をしていくとか港湾や新幹線などへまた膨大な公共投資を行なっていく。こういうように、運輸行政全般を見ましても、大企業べったりの政治が行なわれてきたし、今後も行なわれようとしていると思います。そうしてそのことが今日の国民の重大な危機を生み出しているのだというふうに私は考えているわけであります。  そういう意味大臣は、こういう大企業べったりの運輸行政を改めて、国民本位の運輸行政をこれから行なう決意があるのかどうか、最初にまず承りたいと思います。
  129. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、先ほど来たびたび申し上げておりますように、運輸行政はやはり国民生活をどう守り抜くか、この点に発想がなければならないと思います。今後におきましても、この国民生活を守る、どういう点から運輸行政において守り抜くかということに徹してまいりたいと思っております。
  130. 三浦久

    ○三浦委員 大臣は、いままでの運輸行政というのは決して大企業本位のものではなかった、こういう前提でいまお話しになっておられると思うのですね。たとえばモータリゼーション一つとってみましても、自動車がふえるから道路をつくる、道路がふえるから自動車をつくるんだ、そうしてまた自動車がふえたから道路をつくる、こういう繰り返しをずっと行なってきて、それに膨大な公共投資を行なって、そうして自動車関連産業やまた道路関連産業がほろもうけをしておる。その反面、国民は年間に百万人以上が交通事故でもって殺されたりけがをさせられておる。全く国民生活の犠牲の上にこういう経済の高度成長というものが行なわれてきているということです。ですから、いままでの運輸行政一つとってみましても、それが大企業本位のものであったということは私は明々白々な事実だというふうに思うわけです。  こういう運輸行政を転換させて、国民の利益になる運輸行政をやるためには、どうしても私は、政府を握っている自民党が、財界からの政治献金をもらわない、財界との醜い癒着を断ち切るということが大事なことだというふうに思っています。たとえば、自民党に対する政治献金というのは、昨日の朝日新聞の報道によりましても、たいへんにふえているわけですね。物価がどんどん上がって国民生活はたいへん苦しくなっているけれども、自民党はもうインフレ何するものぞです。インフレを上回るような政治献金を財界から受けているわけなんです。  たとえば、昨年一年間だけでも二百億円も政治献金を受けている。これは国民協会が出したやつだけなんです。そして去年の八月ごろから、会費も軒並みに引き上げ、当初は二・五倍ということを目安にしておったけれども、実際は四・一倍になっている。これは通常経費だけであります。通常経費だけで全体で三十三億円以上の政治献金をもらっているわけですね。そうすると、国民協会が出している金の中で、通常経費というのはわずか一〇%、そのほかに臨時会費または寄付、そういう名目であとの九〇%が国民協会から自民党に流れているわけですから、これはたいへんな政治献金が自民党には行なわれているということになると思います。  運輸省の所管だけを見ましても、私鉄、造船、海運タクシー、こういうものからの政治献金があります。特に私は指摘しておきたいのは、私鉄というのは現在大幅な運賃値上げを申請中の企業なんです。造船、海運にいたしましても、財投やまた利子補給という国の金が行っているわけです。タクシーも、この前運賃値上げが認可されましたけれども、また再度の値上げが見込まれているというような状況にあるではありませんか。ですから、こういう企業から政治献金をもらうというようなことを続けていけば、運賃値上げとこの政治献金との間には、何か怪しい関係があるのではなかろうか、因果関係があるのではなかろうかと国民が疑惑を持つのは、私は当然のことだと思うのですね。  朝日新聞によりますと、この私鉄は今回会費が値上げになった。いままで二百八十四万円だった。これが六百九十万円、二・四倍にふくれ上がっておるわけです。造船関係にしても、百七十七万円から千九十五万円と、これは六・二倍です。海運関係は、百三十二万円から三百九十九万円、三倍にふくれ上がっているわけですね。大企業が石油危機に便乗してぼろもうけをしているわけですが、そのぼろもうけの上前を自民党がはねておるといわれたってしかたがないような事実が現実に起こっているのじゃありませんか。きょうの朝日新聞見てみましたら、こういう記事が出ております。自民党に政治献金した分だけでも、せめて物価を値下げしてくれ、こういう要求が出ておりましたね。私は、大臣がそれを見てどういうふうにお考えになったかわかりませんけれども、私鉄の場合なんかは、この前私が質問いたしまして、私鉄の原価の中に自民党に対する政治献金が含まれているかいないか、含まないように検討しましょうと、こういうような御返事をいただいたわけですけれども、この際ですから、自民党の政治献金というのは、私鉄の原価の中には入れないということをはっきりお約束をしていただきたい。  それからもう一つは、この政府が言う赤字で苦しんでいる私鉄企業から、赤字で苦しんで値上げ申請していると政府が言うわけですから、せめてその企業からは政治献金をもらわないということですね。もらわないというより、むしろ政治献金をするなというそういう行政指導を、国民のための運輸行政をやると言っている運輸大臣のほうから、ひとつそういう指導をしていただくようにお願いしたいと思うのですね。このことについての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  131. 徳永正利

    徳永国務大臣 私鉄の寄付金につきまして、内容がどういうふうに動いておるか、私はつまびらかにいたしておりませんが、いま申されるように原価の中からとるというのはやめろというお話でございます。私は、この前の速記録を読んでみまして、きょうたぶんこういうようなお話があるのじゃないかと思っておったわけですが、私鉄の経費は寄付金という項目の中で出しておるようでございます。したがいまして、この寄付金には当然損金算入限度額というものがあるわけでございまして、私、会計法上のことは実はしろうとでよくわかりませんけれども、他の交際費やその他と同じように、一定の損金算入限度額というワクの中の操作が行なわれて、税法上のワクの中で行なっておるというふうに考えております。  したがいまして、この問題は、後段の御質問と同じように、政治資金規正法そのものの議論になってまいると思います。今日政治に多額の金がかかるということは、まことに私どもも憂うべきことだと思っております。しかしながら、現実にそういう政治資金規正法という法律がここにございまして、そしてその法律の中において使途を明確にし、あるいはまた収支を明確に国民の前にしているわけでございますから、先生御指摘のような点につきましては、いま私がここでどうこうというお約束を申し上げる段階ではないと思います。
  132. 三浦久

    ○三浦委員 私は、政治資金規正法違反だということを言っているわけではありません。もし政治献金をもらったのが法律違反だなどということになると、これは汚職か何かの場合でありますからね。そういうことを言っているわけじゃないのです。もらわない権利というのも政治家にはあるはずなんです。相手が出してきても、国民に疑惑を持たれるような金はもらわない、これは政治家の立場として当然できるはずであります。  田中総理の演説を聞いておると、何か企業も政治に参加する権利があるから、自民党のほうはこれをもらうのは義務だみたいな話をしておりますけれども、企業というのは投票権はないのです。ですから、企業の政治参加とか、そんなことを口実にして企業から政治献金をもらうのを合理化しようというのは、私はおかしな話だというふうに思うのです。  この前の委員会でも私この点をお尋ねしましたけれども、依然態度が改まらないようでありますけれども、こういうことでは、私は国民のための運輸行政というものをほんとうに推進していくことはできないんじゃないかというふうに思います。  次に、私は公共投資の問題について御質問をいたしたいと思います。  公共投資というのは、二重の意味で大企業に奉仕をしているという性格を持っていると思います。一つは、建設の過程の中でセメント、鉄鋼、電気その他の大企業の市場を提供していくという側面、もう一つは、公共投資によってつくられたものが、大企業の便益に供されているという側面だと思います。国民の側から見ると、こういう大型プロジェクトというのは、自然環境の破壊、また地価の高騰、物価の上昇ということによって、あまり得るところはない、むしろ被害を受けているというふうに思われます。  国民総生産が上がった上がったといわれますけれども国民生活を向上させないような国民総生産の向上というのは、国民にとっては全く意味がないわけであります。大臣は、所信表明の中で、新幹線網の形成とか、空港、港湾の整備等については、総需要の抑制の見地から、現下の経済情勢に対応するよう配慮した、こういうふうに言われております。そうして、国鉄在来線の整備増強を中心に進めるのだということが言われておりますけれども、私は、現在のような物不足や物価上昇の中で、いま言ったような大型プロジェクト、大企業の利益のみをはかる、そういう公共投資をもう一回全部洗い直して、そして、こういう公共投資というものを全部やめてしまう、そういう態度をとり、そして浮いた金を国民の福祉のために回すということが必要だと思いますが、現在の公共投資を洗い直し、どれが大企業の利益のみをはかっているものかどうか、また、国民の利益をはかっているものかどうか、これをひとつ洗い直してみるお気持ちがあるかどうか。洗い直して大企業の利益に奉仕しているものはやめる、こういう御決意があるかどうか、そのことを私はお尋ねいたしたいと思います。
  133. 徳永正利

    徳永国務大臣 福祉国家の建設ということは、これはもう異論がないところでございまして、あらゆる面においてこの努力は怠ってはならぬと思います。  ただ、先生御指摘のように、公共投資そのものがいままで大企業べったりで、大企業のための便益をはかっているではないかというお話でございますが、私は実はそうは考えないわけでございます。いろいろな公害の問題にいたしましても、今後また美しい国をつくるという立場から、いろいろな面において配慮していかなければならないことは当然のことでございます。そういう面は十分今後配慮し、また検討し、修正してまいらなければなりませんが、いままでやったことが全部大企業べったりで、公共投資はけしからぬというお話に対しては、いささか私は共感するわけにはまいらないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、公害その他住民生活、美しい社会をつくり、福祉国家を建設するという面においては、さらに一段とくふうをこらし、また努力をしてまいるつもりでございます。
  134. 三浦久

    ○三浦委員 私は、公共投資が全部大企業の利益をはかるものだというふうには言っておりません。公共投資の中にも、産業基盤の整備、また生活基盤の整備と両方あるわけでありますからね。しかし、私がいま御質問をいたしましたのは、大企業の利益をはかる公共投資を洗い直してやめる意思があるかないか、このことをお尋ねをいたしたわけであります。  私はもう少し具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、港湾整備五カ年計画で、石油港湾や鉄鋼港湾の整備として航路しゅんせつがずっと行なわれてきておるわけですけれども、特定の企業のみしか利用できない、そういう航路のしゅんせつというものがいままでどのくらいなされてきたのか、お尋ねしたいと思います。
  135. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいましたのは、特定の企業のみしか利用できないしゅんせつと言われたわけでございますけれども、港湾のほうといたしましては、どこまでも工事をやっておりますのは公有水面でございまして、港湾管理者の管理している港湾の中の施設としての航路を実施しております。それで当然でございますから、その航路にはもちろんだれでも入ってもよろしいということになるわけでございます。しかし、たぶん先生のおっしゃるのは、いわゆる特定港湾施設整備としての石油港湾であるとか、あるいは鉄鋼港湾の事業をお聞きになったんではないかと思いますので、その実績を申し上げます。  石油港湾といたしましては、この五カ年計画の中で、すなわち四十六年から五十年までの五カ年計画でございますが、四十六年、四十七年、四十八年の三カ年までに終わらしましたのが、事業費といましまして百六十億一千五百五十万円でございます。国費は二十三億五百六十八万七千円。それから鉄鋼関係の仕事とたしましては、事業費が二百二十九億一千七百二十万円でございまして、国費が三十五億四千三十一万四千円というのが四十六年から四十八年までの三カ年間に実施した事業でございます。
  136. 三浦久

    ○三浦委員 抽象的な御答弁しかありませんでしたので、私のほうで指摘いたします。  北九州の戸畑航路のしゅんせつですね、これが昭和四十四年から昭和四十六年度にかけて行なわれているわけですが、これは新日本製鉄の戸畑埠頭を使う船しか通る必要のない航路じゃありませんか。
  137. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 御指摘の戸畑航路は、新日本製鉄の申請によりまして実施いたしましたものでございます。事業費といましましては六億七千八百万で、そのうち新日本製鉄が四億七千七百万という受益者負担を出しているわけでありますが、その航路は新日本製鉄の船だけでなく一般の避難船等も通れるわけでございます。そういう港湾管理者の管理する公有の水面であるというように考えております。現在主として利用しているのは、当然新日本製鉄が大型船を入れる場合にはその航路を利用しているわけでございます。
  138. 三浦久

    ○三浦委員 避難するときはどこにでも避難できると思うのですよ。通常この戸畑航路を通る船というのは、いわゆる公共埠頭に向かう船舶ではなくて、新日本製鉄の戸畑埠頭に入港したり出港したりする船が通るためにしゅんせつをしているわけでしょう。そうじゃないですか。
  139. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾管理者が港を開発整備いたしまして、地元における企業の発展をはかるということは、港湾管理者としての一つの仕事であるかと思います。その企業の発展を経由といいますか媒介といたしまして、次々にまた市民の発展をはかっていくという考え方になりまして、港湾管理者というものは、常にその港の発展を考えているわけでございます。それで、港湾の管理者は、水面を管理いたしまして、その航路も公共としての航路でございます。そこに新日鉄が企業合理化促進法、そういう法律に基づくまして申請してくるわけでございますが、新日鉄に対する申請と公共としての港湾の管理の面と両方から勘案いたしまして、公共事業として実施している、こういうわけでございます。
  140. 三浦久

    ○三浦委員 全く詭弁ですよ。戸畑航路はたしかに公有水面ですよ。港湾管理者が管理しているのはあたりまえ。しかし新日本製鉄の事業活動がなければ、こんなにマイナス十七メートルもしゅんせつをする必要のないものじゃありませんか。このマイナス十七メートルのしゅんせつというのは、戸畑埠頭の十七メートルに合わせてしゅんせつしているわけでしょう。避難船のために十七メートルのしゅんせつが必要だとか、そんなことは全くなへ理屈ですよ。要するに、港湾管理者としては、これをしゅんせつしているというのは、結局新日鉄の事業活動に便利なためじゃないですか。そして、その先には何ら公共埠頭はないのですよ。そして、この戸畑埠頭というのは製鉄のものなんですから、製鉄の事業活動に必要な船しか入らない。製鉄がだめだと言った船は入れないのですよ。それを公共事業でもってしゅんせつをするなんというのこそ、まさに大企業べったりの運輸行政じゃないですか。港湾行政じゃないですか。どうなんですか。
  141. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾行政が大企業べったりという考え方ではございません。港湾管理者の仕事というものは、その港湾において企業に産業の場を提供する、あるいはまた流通の場を提供する、あるいはレクリエーションの場を提供する、そういうようないろいろな義務といいますか任務がございます。その一つとして企業というものに対する発展策、これは当然考えていかなくてはいけない面であると思います。そういう要素が一点。  それから、公有の水面に対する公有の航路を建設する、その建設に対して安全な航路をつくっていくというのも港湾管理者の一つの要素であります。で、両方を考えまして、新日鉄、特に現在企業合理化促進法によりまして申請されてまいりました企業からは応分の受益者負担金を取りまして、たとえば、非常に大きな船になりますと約九割を、受益者負担金として取るわけでございますけれども、そういう負担金を取りながら仕事をしていく、こういうたてまえをとっております。
  142. 三浦久

    ○三浦委員 大臣にお尋ねしますけれども、事実関係は大体はっきりしておると思うのですね。ここに地図がありますけれども、この戸畑航路のしゅんせつをしているわけです。この奥は新日鉄の埠頭であります。新日鉄の事業活動のためだけに必要な戸畑航路のしゅんせつのために、国が金を出している、管理組合が金を出しているわけですね。これこそまさに大企業べったりの運輸行政じゃないかと私は思うのですが、大臣は、こういうことを今後もずっと続けていくというお考えなのかどうか、お聞きしたいと思います。
  143. 徳永正利

    徳永国務大臣 先生は戸畑の例をお引きになりまして、新日鉄だけじゃないか、だから新日鉄のためオンリーで、ほかの何ものもない、大企業新日鉄べったりじゃないか、こういうような御議論であるようでございます。(三浦委員「戸畑航路のしゅんせつについて」と呼ぶ)そのしゅんせつをやることにつきましてそういうふうな御議論のようでございます。しかし、新日鉄という会社がその戸畑に占める意義と申しますか、そういうものの背景というものもやはり見てまいらなければならないと思うのです。私は、公共投資というのは、そういう面からいろいろ——ただそのしゅんせつをやるのが、新日鉄に物を運ぶ船だけが出入りするんだから、そのしゅんせつを公共の金を使ってやるというのは、大企業べったりでけしからぬじゃないかということには私は通じないと思います。戸畑における新日鉄の産業的な位置といいますか、そういうようなものがいろいろな面において戸畑の住民あるいは地域社会に及ぼす影響も多いわけでございますから、そういう点も十分配慮したものの考えの上に立ってやられておるというふうに考えております。
  144. 三浦久

    ○三浦委員 まあ、語るに落ちたといわなければ  いけないと思うのですけれども、たとえば、じゃ、これをなぜ全額受益者負担でやることができないのですか。公有水面だからといったって、全額受益者負担でやれる場合があるでしょう。幾らでもあるはずですね。  この前、東九フェリーが六・一メートルのフェリーをつくってしまった。岸壁が五・五メートルしかないので、これを七・五メートルにしゅんせつをしたときに、これは全部東九フェリーが負担をしてやっているじゃありませんか。そうであれば、この戸畑航路のしゅんせつについても、全額企業の負担でやらして国費は出さない、そういう態度をとることこそが私は必要であるというふうに思うのですね。  この問題はこれで打ち切って次にまいりたいと思いますが、鹿島港の場合にしても同じなんですね。たとえば、中央航路のマイナス十九メートルのしゅんせつ、これも住友金属に出入りする船舶のためにやっているわけです。鹿島港の場合には、確かに奥に公共埠頭がありますけれども、この公共埠頭は、水深はマイナス十メートルでありますから、中央航路のしゅんせつ十九メートルまでしなければならないということじゃないわけなんですね。この十九メートルも住友金属のため、また鹿島石油のためには二十二メートルの外港泊地のしゅんせつもやっているということで、全く特定の企業のために便益を提供するということが、港湾行政の中で行なわれているということ、このことに私は重大な関心を持つし、政府の注意を喚起したいと思います。  それで次に、私は門司の大久保護岸の復旧工事の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  北九州門司の大久保護岸というのは、昭和三十五年に護岸敷二メートルを残して背後の埋め立て地を三井物産と丸紅飯田に譲渡したわけですね。これが昭和四十六年の台風九号でもって護岸の長さが約三十六・一メートル、背後の護岸敷が五メートルにわたってずっと被害を受けたわけであります。そのほかにも、その護岸が決壊をした以外にも水たたきの被害を受けております。これの復旧を公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づいて国の補助と管理組合の負担でもって復旧するということがきまって復旧したわけです。この水たたき部分には丸紅飯田の土地が二百八十八平方メートル、三井物産の土地が百五十九平米含まれているわけです。  で、北九州港管理組合は、この公共復旧を受けるために丸紅と三井物産の土地を北九州港管理組合に譲渡をさせたわけです。しかし、譲渡をさせると同時に、復旧後は譲渡した土地は丸紅飯田に返還いたしますよと、そういう念書を入れているわけなんですね。結局、この国庫負担法によれば、公共復旧を受ける要件として、公共土木施設でなければならないわけです、私人の施設は入りませんから。であるから、あたかもこれが公共の土木施設であるかのように見せかけるために、丸紅飯田の土地、三井物産の土地を管理組合に譲渡させる。そして、譲渡させた同じ日付でもって、復旧後は返還しますよ、こういう念書を入れているわけです。全く公共復旧を受けるための仮装譲渡をやっている。そして公共復旧を受けている。まさにこれは詐欺ですね。詐欺のたぐいだと思うのですが、まず、この土地が丸紅飯田と三井物産のものであれば、公共復旧の適用はできなかったのではないかということをお尋ねしたい。
  145. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生のおっしゃいました、この部分が丸紅飯田の土地であるというのは、どの部分でございますでしょうか。いま先生おっしゃいましたこの部分は丸紅飯田の……(三浦委員「あなた、地図を持ってきてないですか」と呼ぶ)水たたきの部分でございますか、先生のおっしゃっているのは。
  146. 三浦久

    ○三浦委員 そうです、そうです。護岸敷二メートルを残して売ったわけでしょう。決壊したのは二メートル以上決壊しているわけですね。そうすると、丸紅飯田の土地も決壊部分に入っているわけです。それを全部公共復旧の対象にして復旧させているわけでしょう。そして、現在は二メートルの護岸敷を残しては丸紅飯田の土地になっているわけですよ。
  147. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生のおっしゃいました、現在は丸紅飯田の土地になったという点は、近ごろ知りました。先ほどおっしゃいました念書の件につきましては、現在地元のほうで告訴をしているようでございまして、その様子を見ながら考えていかなくてはいけないと思いますが、私どもといたしましては、現在の丸紅飯田等の土地は、管理組合に寄付されるものであるというように解釈しております。  なお、そのような護岸が国庫負担法の対象になるかどうか、当時の査定官の判断からいたしまして国庫負担の対象になり得るというように考えたわけでございます。
  148. 三浦久

    ○三浦委員 時間がありませんので、質問に的確に答えてほしいんですよ。これが公共復旧の対象になるためには公共土木施設に限られるわけでしょう。そうすると、本件の場合に、丸紅飯田の土地が管理組合に譲渡されていなければ、公共復旧の対象にはならなかったのではないかということをお尋ねしているんですよ。いかがですか。
  149. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 その護岸につきましては、二メートルの公共部分と三メートルの民有の部分があったことは確かでございます。それを災害の状況ないしはその原因等から判断いたしますと、その五メートルを一体として見なければいかぬという技術的な判断に立ったわけでございまして、それで三メートルにつきましては、民間から管理組合のほうに譲渡させまして、全体を公共の施設として国庫負担法の対象にしたわけでございます。
  150. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、護岸復旧したのは三十六・一メートルでしょう。水たたき部分はもっとたくさんやっているんですよ。護岸が決壊されたところだけをやっているわけじゃないんです。護岸が決壊されていない部分についても、水たたき部分についてはずっと公共復旧をやっているんですよ。知らない、あなたたちが出してきた地図じゃないですか。
  151. 堀口孝男

    ○堀口説明員 ちょっとお尋ねいたしますが、いまの御質問は、四十六年の台風十九号に基づくときの護岸のうしろにございます水たたきの復旧のことを申されておるのでございましょうか、それともそれ以前のものでございましょうか。
  152. 三浦久

    ○三浦委員 四十六年のですよ。
  153. 堀口孝男

    ○堀口説明員 四十六年の十九号台風で破壊したときのものでございますか。その破壊した部分も含めて、すべて工法上からきます場合に、まずその護岸の構造でございますが、水たたきの真下くらいまで護岸構造があります。したがって、その護岸には継ぎ目がいろいろございます。つまり前から波が作用しますと、波の圧力がマイナスになりますので、そこから砂が流出してしまう。それを防ぐためには、すなわち護岸の安全を保つためには、砂の流出を防ぐ防砂板をどうしても入れなければならない。しかも今度は、前から来る波力に対抗するためには、そこに五メートル幅の土砂をたっぷり入れて、その上にさらに水たたきでその土砂がこわれないようにせざるを得ない。そういう一体化した技術的な構造としての安定性を保つために、どうしても護岸を一体化して持つ必要があるだろうという判断で——先生のおっしゃいますように、民間の持っている施設はもちろんやりません。しかし、原因を追及して、こういうふうになってきて、どうしてもこういうふうに持たなければならないということになりました場合には、国庫負担法の二条でやることができることになっております。
  154. 三浦久

    ○三浦委員 一体の工事と言うけれども、確かに二メートルの部分だけでは護岸工事はできない、そうおっしゃるわけなんですが、護岸が決壊したのは三十六・一メートルで、水たたきを復旧さしたのはその倍ですよ。六十七・五メートルの部分にわたって水たたきをずっと復旧しているわけですよ。ですから、この土地が丸紅飯田のものだったとしても、譲渡されていなかったとしても、公共復旧の適用はこの工事全体について受けられたんだというふうに、あなたたちは御答弁なさるわけなんですか。はっきりさしてください。
  155. 堀口孝男

    ○堀口説明員 護岸の長さと水たたきのこわれた幅が合致してないではないかというのがまず第一の問題だと思います。先ほど申しましたように護岸……(三浦委員「そんなことじゃないよ」と呼ぶ)いや、そういうことでございます。われわれの工学上の経験から申し上げているわけでございます。つまり前面の護岸から吸い出されるという部分があった場合に、その背後の土砂がなくなってしまう。そうしますと上から波にたたかれますので、護岸それ自身はこわれなくても、吸い出されたためによけいな幅だけさらに水たたきがこわれるという可能性もあるわけでございます。したがいまして、そういう技術的なものを総合的に考えた上で査定官は、これは一体として考えるべきであろう、そういうふうに判断したものと思います。
  156. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、公共復旧は受けられたんだというお考えですね。そういう前提だと思います。  ではお尋ねしますけれども、公共復旧の対象にした丸紅飯田の三メートルの土地の所有権はいまどうなっているのですか。これはもう丸紅飯田に戻っているのじゃありませんか。どうですか。
  157. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 その後の経緯は実はよく知りませんが、査定の際の考え方といたしましては、その部分を組合に譲渡して一体として管理するということでございます。
  158. 三浦久

    ○三浦委員 現在どうなっているのかと聞いているのですよ。
  159. 堀口孝男

    ○堀口説明員 現在の状態は、管理者である北九州港管理組合が譲渡すべく手続を進めている最中であるというふうに聞いております。
  160. 三浦久

    ○三浦委員 もう一回言ってごらんなさい。譲渡すべくというのは、譲渡を受けるべくですか。
  161. 堀口孝男

    ○堀口説明員 譲渡を受けるべくです。
  162. 三浦久

    ○三浦委員 そうしたら丸紅飯田の所有だということでしょう。そうすると、国の金で公共復旧をやっておって、そして、いままで公共施設になっている部分が丸紅飯田の所有になったということなんです。こんなことを放置しておくわけにはいかないと思うのです。  それで、この問題が問題になった後に、丸紅飯田と三井物産は、管理組合に対して、管理組合が負担した部分の金額を返還しているのですね。この事実は御承知ですか。——早く答えてください。時間が一時間しかないのですから。
  163. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 企業が返還しているとおっしゃいますのは、企業が組合にでございますね。(三浦委員「そうですよ。よく聞いていてくださいよ」と呼ぶ)組合がその金額を徴収したことを聞いております。
  164. 三浦久

    ○三浦委員 昭和四十八年三月に丸紅飯田は百七十六万二千三百九十七円を管理組合に返還しているのです。三井のほうは、面積が少ないから二十八万七千百二十円ですけれども、これだけの金を返還しているのです。しかし、これは管理組合の負担分なんです。国が負担した分というのは四百十万五千百八十七円あります。これについては、国としては、その負担金の返還を要求するという意思はないのですか。
  165. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生のおっしゃられました、丸紅飯田から管理組合のほうにその負担分相当額を渡したということは、実はこのようないろいろな事情がございまして、その間に私どもが知ったわけでございます。このような事情は、最近の組合議会における港湾管理に関する諸問題の討議の一環として論議が重ねられていたようでございましたが、その結果として、われわれも知り得たことでございますので、ここら辺の事情は十分今後検討しなければいかぬと考えております。直ちに国費を全部召し上げるべきであるか、あるいはもう少し別な方法があるのか、これが非常にむずかしいところでございまして、われわれとしても十分調査をしていきたいというように考えております。
  166. 三浦久

    ○三浦委員 ずいぶん弱腰ですね。たとえば、さっき言った公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法を見てみますと、災害復旧事業の監督というのが主務大臣にあることになっているのですよ。ここでは「災害復旧事業を適正に実施させるため、必要な検査を行い、報告を求め、又は事業の施行に関し必要な指示をすることができる。」監督義務があなたたちにあるわけでしょう。それをいままで知りませんでしたとか、そんなことでは通用しないと思うのです。そしてまた、負担金の還付の問題につきましても、第十一条にちゃんと規定があるでしょう。「負担金をその目的に反して使用したときは、主務大臣は、」その返還をさせることができる。ちゃんとあるわけでしょう。そして管理組合ですらもう返還をさせているわけですよ。そうでしょう。返還をさせているでしょう。それはあなた認めたじゃないですか。返還させているわけですよ。ですから、国としても当然、国が負担した事業の中で丸紅飯田、三井物産の土地に相応する費用については、その返還を求めるというようなことぐらいはしなければ、これは丸紅飯田や三井物産に頭が上がらないんじゃないかと思われたってしかたがないじゃありませんか。その点、大臣いかがですか。
  167. 徳永正利

    徳永国務大臣 この問題につきましては、いろいろ長い歴史があるようでございます。最初からずいぶん、三十五年ごろからの話、またそれから発生した念書だとかいろんなことが問題になり、管理組合においてもいろんな立場でいろんな議論がなされているわけでございますが、いま先生御指摘の点につきましては、十分検討いたしまして、その検討の結果、善処いたしたいと思います。
  168. 三浦久

    ○三浦委員 それでは、私は次にタクシー料金値上げの問題についてお尋ねしたいと思います。  これは午前中でも言われましたが、田中総理が施政方針演説の中で、公共料金を極力抑制したい、こう言った翌日にタクシー料金が六大都市では二九%も値上げになった、こういう事実があります。これには国民もあいた口がふさがらなかったわけでありますけれども、なぜ六大都市で二九%の値上げを認めたのか、この根拠についてお尋ねしたい。
  169. 中村大造

    中村(大)政府委員 今回の暫定運賃は、昨年末からのいわゆるエネルギーショック、LPGの供給量の削減と、それからLPGの価格の高騰、それによりましてタクシー業界が非常な打撃を受けまして、しかもその企業の大部分が零細企業である、あるいは個人タクシーである、こういうことでそれの収入減をいわゆる補てんし、またLPGの価格の高騰による支出増を補てんする、こういう意味で、いろいろな他の方法を考えましたけれども、緊急やむを得ざる措置として暫定運賃に踏み切ったわけでございます。  そうして、その算定の根拠といたしましては、LPGの供給削減につきましては、四十八年度におけるいわゆる想定見込み量というものに対してどれだけ削減されておるかという実態を調べまして、それが一五%のカットになっておるということでございます。それからLPGの価格の高騰が、以前は二十一円ないしは二円であったものが四十三円程度に上がっておるということで、これは八十数%の値上がりになっておるわけでございます。それによりまして、経費の中で占める燃料費の高騰がございます。それでこの両方を入れまして計算いたしますと二三・五%、約二四%程度の増収を見込むような運賃改定を必要とするということにしたわけでございます。  ただ、六大都市につきましては、四十七年の二月に前回改定をいたしまして、その後二年を経過いたしておるわけでございまして、事実、事業者からも基本運賃改定申請が出ておるわけでございますけれども公共料金を抑制するという政府の方針との関連もございますし、この際六大都市における基本運賃改定は当分見送る、こういうことも考慮いたしまして、二四%に約五%の上積みをして二九%の暫定運賃値上げをした、こういうことでございます。
  170. 三浦久

    ○三浦委員 供給量が一五%削減されると言うけれども、現在は、これはタクシーに乗ってお聞きになってもわかるけれども燃料は全部満タンだという話であります。実際もそうだろうと思います。そうすると、総経費の中で燃料の占める割合が八%でありますから、燃料費が倍になったとしても八%値上げすればそれで済むわけなのですね。しかし私は八%値上げしろと言っているわけじゃありません。何しろ一番重要なのは、燃料が上がらないような手をやはり運輸省や通産省が打って、そうして料金を上げないで済むような方法を講じることだったと思うのですね。みずからの行政的な怠慢を、安易な運賃値上げでもって糊塗しようというのは私は許せないことだというふうに思うのです。  それで、この石油危機というのが、御承知のとおりに意識的につくられたものだということはもう社会の常識になっております。そして、そういう大企業の悪どいボロもうけのために国民が非常に大きな犠牲を受ける。タクシー業者も、個人タクシーの業者が二人死ぬとか、法人タクシーの運転手が一人自殺をするとか、そういう悲惨な状況も出てきておるわけでありますけれども、あの十一月から十二月にかけてLPGが非常に不足をする、そしてどんどん値が上がっていった、あの時期に運輸省としてはどういうような行政指導をされたのか、お尋ねしたいと思います。
  171. 中村大造

    中村(大)政府委員 お答え申し上げます。  先生承知のように、LPGの業者からタクシー業者に対しまして三〇%程度の供給削減をするという通告があったのは十一月の二十日ごろでございます。それから私どもといたしましては、直ちに通産省資源エネルギー庁に照会をいたしまして、とにかくタクシーの公共的な使命を達成する上からいっても、最優先的にLPGの供給を確保してもらいたいということで、再三再四エネルギー庁に要請をしたわけでございます。  しかしながら、当時の状況といたしましては、その緊迫した状況が改善されるという確証は得られないままに十二月になったわけでございます。十二月以降、われわれといたしましても、さらに引き続いてこのLPG確保についてエネルギー庁と折衝を重ねてきたわけでございますし、またエネルギー庁としても最善の努力をしていただいたというふうに私どもは信じております。  しかしながら、事態は急迫いたしておりましたので、とにかくわれわれとしては、従来確保しておったその全量を確保できないまでも、出し得る最大限度の量を確保したいということで通産省と協議をいたしました結果、十二月八日に、十二月分といたしまして十一万五千トンという量の確保を確約したわけでございます。この十一万五千トンという量は、いわゆる十月、十一月の使用実績から見ますと一〇%の減、それから十二月の必要量から見ますと二〇%の減であったわけでございます。しかしながら、われわれとしては、とにかくそれだけの量を確保してそのパニック状態を回避したい、こういうことで合意をしたわけでございます。  それで、それに従いましてその十一万五千トンを今度はいかにして公平にタクシー業者に分配するか、こういう問題が起こりまして、至急この配分案の検討に入り、これは業界の自主的な協力を得まして、十三日に配分案を決定し、その配分方法について通産省とも密接に協議をいたしまして、翌十四日に全国の陸運局の自動車部長を集めまして、そうしてこの配分案を寄託した、こういうことでございます。  その後私どもといたしましては、この危機を回避するために、まず融資を考えるべきであるというふうに考えまして、十二月十九日に中小企業庁に対して緊急融資の申し入れをいたしました。しかしながら、これについては、融資ワクの決定あるいは融資条件の緩和ということにつきましては、なかなかむずかしい問題がございまして、すぐにこの成果を見るというわけにはまいらなかったわけでございます。したがいまして、エネルギーの供給見込みもまだはっきりしないということで、十一万五千トンの配分を完了いたしましたけれども、その限られた量で運営いたしますためには、どうしても暫定運賃をせざるを得ない、こういうことで、十二月の末に暫定運賃に踏み切るという方針を発表したわけでございます。  その後も引き続きまして必要量の確保については努力をしてまいっておるわけでございまして、現在でもそのとおり努力いたしております。しかしながら、一月分の供給量につきましても、十二月と同量の十一万五千トン、こういう量でございまして、依然としてこれは必要量に対して一五%のカット量でございます。それから二月分につきましても十一万五千トンということで、この量は当分一定するというふうにわれわれは考えておりまして、決してLPGが急にだぶつく、こういうことは総量的にはあり得ないというふうに考えておるわけでございます。
  172. 三浦久

    ○三浦委員 量の確保の問題について一定の御努力をされたということは私もわかります。しかし、値段は全然下がらないのですね。上がりっぱなしに上がっているのですね。この値段が上がる原因というものをやはりもっときびしく探求をする、そして下げられるものは下げるというかまえがなければ私はだめだと思うのですね。  たとえば石油元売り十二社が昨年五回にわたって石油製品を上げた。これがやみカルテル協定だった。やみカルテルだったということは公取の調査ではっきりして、破棄勧告を受けておりますけれども、もっとひどいのは、ゼネラルなんというのは、千載一遇の好機だからもうけろもうけろ、それで消費者も政府もこうやってだますのだなんといってだまし方まで教えておる。そうやって国民の苦しさをよそにぼろもうけをしているわけですね。  これがLPGの元売り八社についてもそういうようなやみ協定がなかったとは言えないと私は思うのです。それはいままでの推移を見れば明らかだと思います。品物不足が故意につくり出される。これはLPGも同じです。そして出てきたときには値段がぐっと上がっている。これもほかの石油製品と同じなんです。ですから、何といってもいまLPG値段を下げる、そうしてタクシー料金も下げさせるということが必要だと思うのですね。  それで、私はお尋ねしたいのですが、このLPG料金の値下げのために運輸省並びに通産省が今後どのような措置をとられようとしているか、これをお尋ねしたい。
  173. 中村大造

    中村(大)政府委員 価格の安定につきましては、私どもももちろんこれを強く希望いたしておりまして、先ほどから申し上げました経過の中で、量の確保と同時に価格の引き下げについてもこれは強く要請してきたわけでございます。  ただ、当時といたしましては、価格よりもまず量の確保、こういうことに重点を置いたことは確かでございます。私どもといたしましては、今後引き続きまして、価格の引き下げについてはもちろん通産省を通じまして強力に引き下げの努力をしてまいりたいということを申し上げたのでございます。
  174. 三浦久

    ○三浦委員 通産省、どうですか。
  175. 松村克之

    ○松村説明員 通産省といたしましては、先生承知のとおり、現在原油の価格が一月以降約倍に上がっているわけでございます。その分の値上げということは現在やってはいけないということで、今後通産省のほうで、その分の適正な値上げ時期等につきまして指導していきたいということを、通産大臣が国会等で言明しているところでございます。したがいまして、その線でいやしくも便乗値上げといったようなことのないように指導していきたい、こういうふうに考えております。
  176. 三浦久

    ○三浦委員 通産省のほうは、今後値上げがないように指導するけれども、値下げの方向では考えないということなんですか。ちょっともう一度お尋ねしたい。
  177. 松村克之

    ○松村説明員 原油価格につきましては、OAPECの原油価格の値上げがございましたのが十月の十六日でございますけれども、そのときに約倍の原油価格が上がったのでございます。それから今度の一月からさらにそれが倍になったということでございます。したがいまして、一月積みの船が一月の二十日ごろには日本に到着しているわけでございますが、その分の値上げについては、今後適正な時期というものを指導していきたい、そういう意味でございます。
  178. 三浦久

    ○三浦委員 それはね、LPGというのは原油からつくるだけではなくて、直接輸入している分もあるのですね。だから原油が倍に上がったから倍に上げなければならぬとか、そういうものじゃないのですよ。  それはまあともかくとして、時間がもう来ていますので、最後に大臣にお尋ねしたいのですが、タクシー料金が上がって乗る人もたいへん困っておる。また、じゃタクシーの運転手はどうかというと、経営者から足切りの攻撃を受けてかえって賃金がダウンする、こういうような状況が出てきているわけですが、とりわけ中でも身体障害者が非常に困っているわけです。この人たちは、生活能力もあまりありませんし、われわれがあたたかい手を差し伸べてやらなければならないと思うのですが、二月の十日にこの身体障害者たちが、インフレに抗議をして生活危機を突破する、こういう名目の集会を開いております。その中で、タクシー料金を身体障害者に対しては割り引いてほしい、こういう要求をしようという決議をいたしておるわけであります。この点について大臣は、こういう身体障害者の要求にこたえる意思があるのかどうか、これをお尋ねいたしたい。
  179. 徳永正利

    徳永国務大臣 身体障害者の方々のお気持ちは十分お察しするに足るわけでございます。ただ、タクシー料金を、これは私が御説明申し上げるまでもなく、先生承知のとおりの個々の業者が集まってやっているわけでございますから、これに対する対策というものはなかなか技術的にむずかしい面もあるだろうと思いますが、そういう御要望のあるということは確かに心にとめておきたいと思います。
  180. 三浦久

    ○三浦委員 時間が来たのでこれでやめます。私は今回の質疑を通じて、政府が考えていること、やっていることと口に出して言うこととが全く違う。いわゆる大企業奉仕の運輸行政じゃない、国民のための運輸行政をやるんだと言っておりながら、その中身というのは、またその気持ちも、やっていることも、大企業奉仕の運輸行政をやっているということがあらかた明らかになってきただろうと思うのですね。私は今後国民のために、安くて、そして便利で快適な運輸行政交通機関を整備をする、そしてほんとう国民のための運輸行政が行なえるようにこの国会を通じて奮闘していくこと、この決意を表明して質問を終わりたいと思います。
  181. 三池信

    ○三池委員長 河村勝君。
  182. 河村勝

    ○河村委員 ただいまもタクシー運賃の問題が出ましたが、けさほどからタクシー暫定運賃の問題について各党の代表から質問がございました。私も、一月二十九日、六大都市を皮切りにして各都市でこの暫定運賃がつくられたことについて非常に遺憾に思っております。大臣は先ほど、こういう事態になることを避けるためにあらゆる努力をやったけれども、しかし力足らずしてこうなったので了解してもらいたいというお話がありましたが、一体どれだけほんとう努力をされたかということについて疑問に思っております。原油価格というものはこれから下がる見込みはありません。だからいつまでも上げないで済むとは私も思っておりません。しかし、とにかくいま一−三月という時期、春までの時期が、短期決戦と大蔵大臣が言っておりますように、一番大事な時期ですね。そのために、国鉄運賃、それから米、そうしたものの料金のストップまでやっているわけですね。その間に、とにかく情勢に迫られたとはいえ、ああして見切り発車みたいなかっこうで上げてしまうというのは、何ともうなづけないんですね。大臣ほんとうに万策尽きたというふうにお考えだったのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  183. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は先ほど来自動車局長が昨年の十一月ごろからの事情を御説明申し上げておりまして、お聞き取りだったと思います。この点は重複を避けますが、とにかく何とかこのガスの供給量並びに価格というものが確保できないかということで、実は私も陣頭に立って通産大臣ともお話をし、また業界に対して強力な指導をひとつやってもらいたいということを強硬に折衝を始めておったわけでございます。  それと同時に、十一、二月の初めごろから、御承知のようなまことに気の毒な自殺者までも出てきたということもあったわけでございます。しかもタクシー業者は六大都市の約半数近いものが個人業者でございまして、その他がしからば大業者かというと、大業者というのはわずかに数えるぐらいしかございません。自動車の台数にすれば相当数ございますけれども、その他の業者というのは、三十台ないし五十台とか、あるいは六、七十台持った零細な業者でございまして、この方々が、もう経営者もあるいは運転者も、ともに非常な苦境におちいられておる。もうみんなが一体になって、この場を何とか切り抜けるためには、量をふやしてくれるか、あるいはさらに値段も下げてもらっていくよりほかに方法はないということで、私どもとしましては、先ほどお話し申し上げておりましたように、融資でこれが切り抜けられるものかということは実は真剣に考えたわけでございます。公庫に対しましてもそういうような手配もいたしまして、ワクも実は設定をしてもらうところまで努力してみましたけれども、やはり増収のめどのないそういう零細業者になかなか融資ということはなじまないわけでございます。  そういうようなことで昨年の暮れに、社会不安も起きかねないという状態を見まして、一応暫定運賃に踏み切らざるを得ないということを発表したのでございますが、その後におきましても、一月一日から石油のカットをやるというようなきびしい状況でございましたが、それを十日に延ばすとかいうような話も出てまいりまして、もう一ぺん何とか考えられぬかということでいろいろその間の積み重ねを事実やったわけでございます。しかしながら、たいへんタイミングが悪くて、総理が演説した翌日にやったんじゃないかといっておしかりを受けておりますが、タイミングとしては非常に悪い時期でございましたけれども、背景にそういうようなことがあったということを御理解いただきたいと存じます。
  184. 河村勝

    ○河村委員 ただいま自動車局長は、これからも大体十一万五千トン程度しか確保できないというようなお話でしたね。私はその点が非常に疑問に思うので、タクシーに私もしばしば乗って聞いておりましても、先の話は別として、とにかく量さえ十分にあればまださしあたり困りやしないんだというのが常識なんですね。一体どれだけ量が入ってきておるかということ。それで原油については、これはもう決して減ってはおらぬというのは、いままでのいろいろな論議で明白ですね。一体LPGそのものの輸入量、これは半分でしょう。これは一体減っているのかといったら、どうも減ってないようなんですね。一体通産省は、昨年の一月−十二月でいって、LPGの輸入量というものは対前年どのくらいの。パーセンテージになっておるのか、それから値上げの幅、上がった幅というものはどのくらいになっているのか、それはおわかりでしょう。
  185. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  LPGの供給のうちで、先生の御指摘のように、ほぼ半分が国内産、それからあとの半分が輸入でございます。それで国内産につきましては、原油の輸入量の減少、これはいま先生も大体普通並みに入っているというお話でございますけれども、当初の見込みに比べましては相当ゆるやかになったのは事実でございますが、まだ全体の規制を解くというところまではいってないわけでございます。ただ私どもといたしましては、その限られた量の原油の中からLPGをできるだけたくさんとるようにという努力をしてきたわけでございます。  また、輸入のほうでございますけれども、輸入につきましては、当初私どもが申し上げておりましたのは、レギュラーの輸入というものがほぼ確保できております。ただスポット的な輸入、冬場については特にスポット輸入が多いわけでございますが、その分が非常に少なくなったということを申し上げたわけでございますが、最近で申しますと、価格のほうでございますが、レギュラーの値段が約六十五ドルから八十五ドルくらいでございますけれども、スポット物は九十ドルから百二十ドルくらいで、相当高いものです。しかし、やはりスポット物の輸入を極力努力するようにという指導をいたしまして、最近では石油事情の緩和に伴いましてスポット物の入手がやや好転いたした、そういう点もございまして、先ほど運輸省のほうから話がございましたように、一月の十一万五千トンというものは、一、月でその程度は供給できる。三月以後につきましては、私どもはその程度の量は確保するし、できる限り今後御迷惑かけないようにということでいたしております。
  186. 河村勝

    ○河村委員 通関統計で見ますと、一月−十二月のLPGの輸入量というのは四百六十五万トン、対前年二〇%増しですね。一月−十二月ですよ。冬場のスポット買いだけじゃなしに、一月−十二月を通じて対前年二〇%増。それから価格についても大体トン千四百円高くらい。だから一四%くらいですね。そんなものでしょう。どうですか。
  187. 松村克之

    ○松村説明員 LPGの需要というものは非常に最近目立ってふえております。したがいまして、対前年二〇%増というのが大体ことしの輸入ということでございます。したがいまして、先ほど私が申し上げましたように、レギュラーは大体当初から確保できるという見通しでございましたし、スポットについても、最近の情勢によりまして、すでにそれらのものを確保するということができたのです。  それから価格でございますけれども、価格は、いま先生がおっしゃいました千四百円というのは、ちょっと値上がり幅としては低過ぎるんじゃないかという気がいたします。
  188. 河村勝

    ○河村委員 価格の点で若干違いがあるかもしれないけれども、とにかく対前年二〇%ふえているんですよ。それで十二月の際に私も、LPG確保する方法はいろいろあるであろう、ナフサ等の融通等を考れば、削減した中でも相当量LPGはふやせるはずだということを申しました。だからどう考えてもそんなに二〇%も減らなければならぬという理屈にはならないんだ。だから私は、大臣があらゆる手をお尽くしになったと言われても、通産省も大体その辺の見当はつけておったというくらいでしょう。どうもその辺が、運輸省運輸省努力されたかもしらぬけれども、運輸、通産一体になってやったという形跡は私はないように思うんですね。その点が非常に私は遺憾なんですよ。ですから、これは幾ら議論しても死んだ子の年を教えるようなものであるから、私もやめますけれども、しかし、こういう事実がある。だから実際、努力されたといっても、全政府的に努力はしてないんですね。それだけははっきりしているのですよ。ですから、その点を運輸大臣肝に銘じてこれからおやりをいただきたいと思うのです。この話は一応済んだことだから、今後の問題は今後の問題としてまた取り上げる時期があると思いますけれども、この問題はこれで打ち切ります。  ところで大臣、四十九年度予算を見ますと、外航船舶の拡充整備ということで、財投で九百十一億五千万、それから利子補給で一般会計から百四十八億の金を出して計画造船を継続することに相なっておりますね。計画造船を実行する政策目的、何のためにやるか、大臣にお伺いします。
  189. 徳永正利

    徳永国務大臣 貿易のいろいろな物資の安定輸送のために、やはり計画造船というものはやらざるを得ないというふうに考えております。
  190. 河村勝

    ○河村委員 そこで、安定輸送のためという御返事でありますが、最近、仕組み船、チャーターバック船というのが数年非常にふえてまいりまして、これが船員の雇用問題と関連をして非常に重大な問題に相なっております。一般論としまして、仕組み船というのは、船会社が外国に子会社をつくって投資をして、そこに船を発注をして外国船としてつくらせる。こっちから金を持っていってですよ。それからチャーターバック船というのは、船会社の持ち船を外国の船主に売って、それを用船をして使うわけですね。ですから、片一方で計画造船、これは安定輸送というのが本来の目的である。同時に、その裏返しに、実力があれば何も国からお金を出してめんどう見なくても、自分でつくれるわけでしょう。お金が足りないからということですね。片一方でそういうことをやりながら、船を売り払って、要らないというのならともかく、またそれを借りてくる。あるいは外国に資本を投下して、それで船を発注して、外国船にして、それをまた日本へ借りてくる。一方では計画造船をやりながら、片一方でこういうことをやるというのははなはだしい矛盾であると思いますが、そうお考えにならないでしょうか。これは大臣にごく簡単な常識問題としてお伺いしておるのです。
  191. 徳永正利

    徳永国務大臣 実はほんとうのことを申し上げましてまことに恐縮でございますが、仕組み船とは一体どういうようなものかというようなことにつきまして、きのう一生懸命に勉強したわけでございます。なかなかむずかしい問題で、そういうようなことも私もおぼろげながら承知してまいりました。また、いまおっしゃるように、計画造船とそういうものに矛盾があるじゃないかという御指摘につきましては、そういう感なきも得ないわけでございますが、何ぶんにもいろいろ商船隊の整備がまだ不十分でございますのと、わが国の貿易物資の安定輸送の見地からいろいろな問題がまたあるわけでございまして、それに要する船員等につきましてもまたいろいろな問題がこれにからんでおるようでございまして、御指摘の点は十分私にも理解できるわけでございますが、今後とも計画造船等の推進をいたしまして、わが国の商船隊の整備というものにつとめる必要があるとともに、また仕組み船には、日本船員の配乗等についても特別の考慮等も払ってまいらなければならないというふうに、非常に素朴なしろうとの答えでございますが、さように考えておる次第でございます。
  192. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私からも補足して説明さしていただきたいと思います。  いろいろな定義がいまも大臣から申しましたようにございます。先生の御説を拝聴しておりまして、私、二つに分けて考えたいのでございます。確かに国外に売船をするのが多い、それからそのうちからチャーターバックしてきている船が多い、それは船員の雇用安定上問題があるのじゃないかということが一つ。それから仕組み船のほうは、これは古い船じゃございません、新しい船でございまして、いわゆる仕組みという意味がいろいろなふうにとられているのでございますけれども、私ども決しておことばを返すのではございませんけれども、外国へ日本の資本が流れていって、それで外国の子会社が日本の造船所に発注をしてきて、それでその船を子会社に持たせてということよりは、実は実態をいろいろ調べてみたのでございますけれども、日本人の船主が長期用船をする目的で日本の造船所の船台を見つけまして、それを外国人にあっせんをしてつくらせた輸出船だというふうに解釈するのが正しくて、その場合に、実は外国の船主というのは単純な海外の船主が多うございまして、日本との資本関係があるのがむしろ少ないという実態でございますので、その辺ちょっと先生お話と食い違うのじゃないかということがありますが、いずれにしても、この仕組み船も多くなってまいりますと、計画造船にかわって船員の雇用問題が起こってくる、これは私どももそのとおりだと思います。  そこで、最初の話の海外売船が多くなって、そのうちある部分がチャーターバックしてきて日本で働いて、船は日本向けの輸送に当たっているけれども日本船員の雇用問題につながるというほうのお話でございますけれども、確かにそういう問題がございますので、私ども国外に売船をいたしますときに、二千トン以上の船は許可になっておるのでございますけれども、その船を売ることによって、日本の船舶の需要に対して船舶の供給が著しく不足することとなって、なおその上に日本海運の振興に著しく支障を及ぼすこととなるというのが不許可の基準でございますので、逆にいうと、そういう事態が発生しなければ許可しなければならないということに実はなっておるわけでございます。許可の基準としては、その船一ぱい売りまして、そういう著しく不足状況がその船の売船によって生じましたり、あるいは海運の振興に著しく支障を及ぼすというような事態が発生したと認められませんと、実はこの許可の基準からすると認めていかなければいかぬ。それから経済現象としても実はこのところふえてきました。と申しますのは、四十七年に二百三十四万トン、四十八年はちょっと減りまして百五十五万トンでございますけれども、そのように売船がふえてきましたという売船の中身を見ましたら、二万トン、三万トンまでの中小型の船が多くて、やはり船員費も上がりましたし、諸経費も上がりまして、どうも国際競争力がなくなった船だということで、どうも経済現象としても売船はやむを得ないのじゃないかということをいっておるわけでございます。  そこで、船員の雇用問題につきましては、私ども当然そういう問題があることを承知しておりますので、労使の間でもお話し合いになっているようですし、したがって私どもも、実は売船を認めますときに、その許可、不許可をきめるときの別に必要書類ではないのでございますけれども、船主のほうに船員対策の説明書をひとつつけてくれ、こういうことで、事実上その船を売ることによって雇用問題に支障が起こらないということを私どもでチェックをして許可の処分をしているというふうにしてございます。  それから第二番目の輸出船のほうでございますけれども、日本の計画造船だけで必要な船をどんどんつくっていくだけ助成が十分でございましたらいい、また船主も、自己資金など資金調達力があってどんどんと船がつくれたらいいので、日本船舶として日本船員を乗せて海外に活躍をして、日本の貿易物資の安定輸送をはかるということが一番望ましいのでございますけれども、やはり計画造船でつくるトン数に制限がございますし、それから船会社のほうも、自分の資金力に限りがございますので、どうしてもそういう日本船をつくる限度が出てまいります。そこで、この輸出船のほう、仕組み船のほうは、先ほども申し上げましたように、海外の船主の資金力を動員して、ちょうど日本の船台が見つかっておる、したがってその船台でつくった船を、日本の船主が外国船主から長期用船してくるのにちょうどいい船台があって、ちょうどいい船ができるようだという条件が整っておりますときにそれを仕組むという意味で仕組み船をつくった、そういうことになるのですが、実は日本の貿易物資の安定輸送ということからしますと、もしその船がなかったらやはり外国用船に流れざるを得ない。日本の現状から申しまして、幾ら日本船だけでがんばってみましても、邦船だけの積み取り比率は、四十七年でございますけれども、輸出で二八・七%しかないし、輸入でも四一・九%しかございませんので、残ったものは外国用船にたよらざるを得ない。そこで、単なる外国用船でございますと、世界の海運市況のまにまに高かったり安かったりでございますけれども、一般に不安定な用船市場から、そのときどきにある船をとくにかく間に合わせで用船してこなければいかぬということになりますので、そういう単純な外国用船を考えましたら、そういった仕組んだ意味で適当な船がございましたら、それを長期用船でまかなっていくということは、単なる外国用船よりもよろしいのじゃないかということでございます。  それから、チャーターバックのほうも、ちょっともとへ戻って恐縮ですけれども、単に海外に売りっぱなしてしまうというよりも、チャーターバックしてこられまして引き続いて日本の物資の輸送のために使えるというのだったら、それは安定輸送の面からはいいんだ、こういうことでございます。  まあいずれにしても船員の雇用問題はございます。第二番目の輸出船の仕組み船と申しますのも、それがたいへん多くなりますと純粋な日本船の領域が侵されて雇用問題が起きるということでございますので、私どもはあるべき国家助成を考えて、できるだけ日本の船舶をつくって優秀な日本船員に乗ってもらえるようにしたいということでございます。
  193. 河村勝

    ○河村委員 仕組み船について、何かいまの御説明だと、外国の船主に船台をあっせんして、それでつくらせる、それで外国資金を導入するのだというお話でしたね。しかし、私などが聞き知っているところでは、日本の中核六社が主体でありますけれども、これが海外に外国法人で子会社をこしらえて、それが発注をしているというふうに聞いているのですが、それはないはずはないと思うので、一体、純粋に外国の船主に船台をあっせんしたものと、海外に投資して子会社をつくって発注したものとの割合は、どのくらいになるのです。
  194. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもで調べましたところでは、六中核体で仕組み船が四十八隻ございますけれども、そのうちで、六社が出資をして海外の会社につくらせたというのは十隻程度であると思います。残りはしたがって単純な海外の船主がつくっているものが多いというふうに私どもは理解しております。
  195. 河村勝

    ○河村委員 その点、間違いありませんね。これはいま返事したのだからそうでないとは言わないでしょうが、私どもも調べます。これは問題として残します。  それから、かりに外国の船主に船台をあっせんしてつくったというものが大部分であるとすれば、ただ船台をあっせんしたぐらいで、金を一文も出さないで、それでその船を用船したからといって、単純なる一般の用船と異なる太いロープがつくというふうには私は考えられないんだけれども、もしほんとうに何らかの保障があるとすれば、そこに何か金を一部出しているということがなければ、そういうきずなはできないはずだと思うが、その点はどうですか。
  196. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生おっしゃるように、その間の関係につきましては、いろんな関係が実はあろうかと思うのですけれども、実はその間の結びつきにつきましては、正直に申し上げまして、一船ずつどういう関係だからどうなっているということを私どももつまびらかにすることができません。
  197. 河村勝

    ○河村委員 だから、これだけ問題になっていてその実態がつかめないというのは、私は怠慢だと思うんですね。これはきょうけじめがつかなければまたあとに問題を残しますが、大臣、少なくとも外国に資金を投下して、それで外国船としてつくって、それで借り上げてくるわけでしょう。そういう会社国民の税金から、先ほど言いましたように、ことしでも百四十八億、財投で九百十一億というような多額の援助を得て計画造船のめんどうを見てもらってやっているわけですね。それなのに、外国に金を回して、それでつくるという余裕があるという。それなら、少なくとも計画造船をやっておる、割り当てられておる会社は、そんなことはやるべきでないというくらいのことは常識じゃないのでしょうか。その点はどうお考えですか。
  198. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 その間の事情については、先生、もっとよく私ども調査をさせていただきたいと思います。六社が片一方で計画造船をやって国の資金を使っているのに、こういうかっこうでの仕組み船をつくったらいけないということは実は言えないので、私の説明が不十分ですけれども、やはり海外活動を広くして多角的に経営をするというのが船会社の最近の仕事にもなっておりますので、こういった外国船主と結んで、日本の安い船台を自分の船会社が事前に押えていたというようなことを利用して、それをあっせんしてやるということで相手とかなり長い期間の長期用船を結び得るという場合に、こういった長期用船を利用するということは、船会社の海外活動としてあることではないかと私、考えております。とにかく単純な外国用船をしますよりは、やはりこういう長期的に安定した関係での外国船主と結びついて用船をしていくということは必要なことではないかと実は考えております。
  199. 河村勝

    ○河村委員 どうも問題をそらされては困るので、私は、ただ船台をあっせんしてつながりをつくった、そしてつくらせてそれを用船するというなら文句は言わないのです。しかし、そうじゃないだろうと思うからね。現に四十八隻のうち十隻は海外の子会社につくらしているのだから、これは資金を自分で出してやっておるわけですね。それが矛盾じゃないかと言っているのです。だからあっせんの場合だって、ただここに船台がありますよと言ってあっせんしてつくらしたというのではなしに、必ず金も分担しているに相違ないとぼくは思いますけれどもね。けれどもこれはもうちょっと調べてください、問題を残しますからね。  それからチャーターバックのことを聞きますけれども、これもいま、ただ売りっぱなしするよりも用船したほうがいいというが、初めから売らなければいいんですよ、用船するぐらいなら。その売った理由というのは、だんだん船員費が高騰したりして国際競争力がなくなるという理由ですね。ぼくはそれはあると思うんですよ、中古船なんかになれば。これはずいぶん国際的な賃金格差ができましたからね。だから、そういう能率の悪い船に日本の船員を乗せた場合には、それは競争力が落ちるということがあるかもしらぬから、ぼくはその点はそういうものがあってもよろしいと思う。思うけれども、それがただいいかげんになされてはいけないんだな。さっきあなたも言ったでしょう。二つ問題があるんですよ。一つはこの法律で、これはとにかく、船腹の供給が需要に対して著しく不足したり海運の振興に著しい障害にならない限り許可しなければならない、こういうふうな禁止の解除がほんとうに軽いものになっているからやりにくいのかもしれぬけれども、実際これは運用でやりようがあると思うのだけれども、売船の場合に許可しなかった例もありますか。
  200. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 おそらくほとんどないと思います。
  201. 河村勝

    ○河村委員 だから、そこに問題があるんだな。結局言いなりに売るものはみんな売らせてしまう、そうして片方でもって計画造船をやっていて、いかに中古船といえ売るほうは自由自在だというのは、それはおかしいんだ。だから計画造船をやっている以上は、この法律を改正するぐらいなことは当然考えるべきでしょう。計画造船をやめたのなら、ぼくは場合によってはこれでもよろしいと思うのだけれども、片方で船腹拡大整備というようなことを政策目標に掲げてやっているのに、外国に売るのはしり抜けだというのでは、これは完全に矛盾でしょう。ですから、もし法律がこういうふうに書いてあるから押えられないというなら、この法律改正ぐらいやるのは当然じゃありませんか。大臣、そう思いませんか。
  202. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生のおっしゃることはわかりますが、計画造船でつくった船は五年間は売らせないということにしてございます。それからその他の船は、先ほど先生がおっしゃったような経済情勢で海外に売られていくということは、私はやむを得ないと思いますし、簿価を上回ってそういう古い船が処分ができるときに海外に売られていくということは、経済現象としてはやむを得ないことじゃないかと思いますので、これを全然ストップしてしまうということは考えたくないと思うのでございます。  なお、こういう古い船あるいはどうしても国際競争力がなくなった船を売ることによって、計画造船が目ざしているような日本の貿易の安定輸送のための船腹の整備ということに非常にしり抜けになって困るというような事情がないように、私は計画造船で整備する船の拡充を必要な場合には考えていかなければいかぬというふうに考えております。まあ古い船が売られて新しい船になっていくというのは、これはやはり必要なことではないかと思いますので、そういった経済現象は認めていきたいと思うのでございます。
  203. 河村勝

    ○河村委員 どうも私の言うことに答弁してないのでね。私は売るのを絶対いけないなんて言ってないのですよ。だけれども計画造船をやって船腹をある規模まで増強しようとしているときでしょう。いま聞けば、売るといったものは全部売らしちゃったということでしょう。それじゃおかしいじゃないか。必要な船腹をある程度まで確保しようという目標があるならば、そのために国の金を出して片っ方でつくらしているわけでしょう。そうしたら売るほうだってそれはコントロールする必要があるでしょう。売っちゃいけないなんてだれも言ってはいませんよ。それは古いもの、能率の悪いものを売るのはかまわないけれども、政府がそこのところをコントロールしていかなければ、政策的に斉合性がないじゃありませんか。私の言っていることがわかりませんか。
  204. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実は売られている船は二、三万トン以下の小さい船でございまして、一方、計画造船では、いままでのやり方ですとかなり大型船をつくっております。それで私どもも、これからの日本の船腹拡充というのは、国際的な競争力のあるところの船を中心としてつくっていかなければいけないので、もう競争力のなくなった古い船が淘汰されていくということはしかたがないことじゃないか。したがって、日本の安定輸送のためにどういった種類の船が大事かという今後の計画造船のあり方を考えていくということで、その点に重点を置いて船舶を整備していくということに考えていきたいと思います。
  205. 河村勝

    ○河村委員 どうも返事にならないのだな。古い能率の悪いものは売ってもいい。それはいいですよ。だけれども、いまのあなたの答弁では、さっきの法律の解釈上、どんな船が売られたってとめようがないのでしょう。だからおかしいと言っているんですよ。わかるでしょう。どうもそれがおかしくないようじゃ困るんだな。それなら何のために船腹の増強をやっているのか。片っ方で一定規模の船腹を増強するために金を出して、片一方で外に持っていって売ってしまう、それをコントロールする力を持つのがあたりまえじゃないですか。それがいやなら計画造船をやめたらいいんですよ。そうでしょう。もう一ぺんひとつよく考えてください。
  206. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お説はわかりました。説明が不十分な点もございますので、私ももうちょっと勉強させていただきたいと思います。
  207. 河村勝

    ○河村委員 それから、チャーターバックにまだ問題があるので、あともう一つ聞きますけれども、もう一つ問題があるのは、日本の船、これは古い船じゃありませんよ、新しい船でも、外国に裸用船で貸しておいて、それに船員を乗せてもう一ぺんチャーターをしてそれでやっておる。したがって、日本の旗を掲げた船に外国人の船員が乗っておるというのが相当数ある。それは御存じですか。これは船員局かな。
  208. 住田俊一

    ○住田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃっておるような事実はございます。すなわち、外国に貸し渡された日本船舶に乗り込む外国の船員、こういったケースというものはございます。
  209. 河村勝

    ○河村委員 問題はこの場合も同じだ。古くて能率の悪い船を貸し渡して、それに乗せてこっちで使うというのは、さっき言ったように、国際競争力とあなたが言う問題もあるから、私はあってもいいと思う。だけれども、新しい船、能率のいい船を日本人の船員を乗せないで、それで安い労働力を搾取して使おうというのは、これは時期が少し早過ぎるんじゃないのか。外国人労働者を受け入れるということは、まだ日本では原則的にやらない時期ですよね。そういうときに、能率の悪い古い船なら、さっきも言ったように、確かに賃金格差も非常に大きいからそういう場合があってもいいと思うけれども、新しい能率のいい船にまた安い労働力を外国から求めて——これは完全にやみだな。それで日本の船にしておいて、日本の船であるけれども船員は全部外国人だ。大体開発途上国の船員ですよね。これはおかしいんじゃないですか。
  210. 住田俊一

    ○住田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいました前半の外国人労務者の制限の問題これは御承知のように、昭和四十二年三月十日と昭和四十八年一月三十日の閣議におきまして労働大臣から、外国人労働者の受け入れは行なわない、こういう趣旨の発言がございました。そういうような趣旨にかんがみまして、日本の海運企業につきましても、先ほど薗村海運局長が申されましたように、原則といたしまして日本人の船員を乗せるということは当然好ましいことだ、こういうふうに思われるわけでございますが、さて現実におきましては、いま先生がおっしゃったような、日本船舶の貸し渡しを受けた外国の海運会社、こういった企業が当該船舶に配乗するために外国人を雇用するという例は確かにございます。この点につきましては、現在のわが国の法規では規制することがなかなか困難でございます。しかしながら、このような船舶につきましては、少なくとも日本船舶でありまする以上は船員法の適用があることは当然でございます。したがいまして、従来から同法の順守につきましては、船員局といたしましても極力その指導を行なってきたのでございますが、現実の問題といたしまして、このような当該海運会社が外国人である、外国にある、こういうことのために、いろいろと言語上の障害なりあるいは遠く外国に所在する、こういうふうな事情からなかなかその指導の徹底が期せられなかったことも事実でございます。しかし、御指摘の点につきましては、今後私どもも一そうの適切な指導をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  211. 河村勝

    ○河村委員 私が聞かないことまで先に答弁しちゃったけれども、私がいま聞いたのは、古い船を貸して、それで向こうの人を乗せてやるのはよろしいと言うんですよね、そういう場合があって、も。だけれども、相当新しい船でそういうことをやっているのが多いらしい、新しくつくった能率のいい船まで裸用船をして、それに安い労働力を乗せて使うという、これはもう後進国との関係からいったってほんとうにやるべきことではない。これはもうほんとうにもうけるためにやるだけの話でしょう。そういうものが規制できないというのはおかしいじゃないか。私はそれを言っているんで、あとの船員法その他の関係で矛盾があることはこれから聞くことであって、そこまでは返事をしなくてもよろしい。
  212. 住田俊一

    ○住田政府委員 先生どうも失礼しました。いま先生がおっしゃる点は、新しいたとえばMゼロ船ですね。こういったものは私のほうに報告が来ておりません。古い船でございますね。こういった場合のケースはございますが、Mゼロ船とかそういった新種の船舶については、先生の御指摘のようなケースはない、こういうふうに聞いております。
  213. 河村勝

    ○河村委員 間違いありませんね。もう一ぺんよく調べてください。
  214. 住田俊一

    ○住田政府委員 なお、さらに詳細調べてみますが……。
  215. 河村勝

    ○河村委員 続きはこの次やるから。どうも私の調べている限りにおいてはそうではないと思うのでね。調べてください。  それからもう一つ船員法との関係。船員法五条の船舶所有者の義務、それから船員法五十条で船員手帳を持たせなければならないが、いずれもこれは令部しり抜けでしょう。実際日本の旗を掲げているけれども、全然これは法外船だ。こういうものをほっといてやるというのは一体どういうことだろう。明らかに船員法というものがあって、順守すべき船舶所有者の義務がある。それから船員手帳は、これは本人の義務であると同時に政府の義務なんだね、船員手帳を持たさなければならないというのは。それすらできないものが横行しているというのをそのままにしておくというのは、どう考えても矛盾でしょう。だから、こういうことをやるなら、まず法律を改正して、それでできるようにして、それからやるべきものですよ。全然しり抜けで、法律が守られないことがわかっているのを、なかなか及ばないのは遺憾でありますなんといって事実はほっておくというのは、これは許されることじゃないでしょう。いかがですか。
  216. 住田俊一

    ○住田政府委員 ただいま先生お話しのように、船員法の違反事実、すなわち、たとえば船員手帳の受有だとかあるいは雇い入れ契約の公認、こういった点につきまして、少なくともそういった違反事実があることは事実でございます。こういったことにつきましては、もちろんわれわれとしても十分に検討しておるわけでございますが、ともあれ極力こういったことにつきまして強力な行政指導をはかりまして、同法の順守につきまして一そうの努力をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  217. 河村勝

    ○河村委員 この問題、まだ続けてやりますけれども、きょうはもう少し問題が残っておるから、これも宿題に預けるためについでにやっておきますが、船員の雇用関係について、先ほど海運局長は、十分配慮してやっておるというお話だった。しかし、現実にはどうもそういうふうにはいっていないようであって、現実に中核六社の場合でも、こうしたチャーターバックあるいは裸用船をして、用船に回して外国人船員を乗せたために、その船からおりる船員を一体どういうふうにするのか。いままで古い船に乗っていて新しい船に適応する資格がなければ、再教育でもしてそっちに回すとか、とにかくそういう雇用計画というものがなくて片っ端からばたばたやれば、当然そこには、失業とまでいかなくても、船からおりちゃって半失業状態になる者ができるはずでしょう。現に日本郵船だけでも五百人くらい、中核六社ではおそらく二千人ぐらいあるのでしょう。そのためにおろされてしまって、何か陸勤と称して、なれない陸上の仕事をさせられているという者が現にあるという事実をあなたは御存じですか。
  218. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 船員の雇用安定の問題については、実は労使間の問題としてお互いに、私どもの聞いている範囲では、協定をつくってケース・バイ・ケースで話し合いをしようということが行なわれているようでありまして、それに基づいて私どもは、船主の売船にあたってその船員対策の説明を聞く、説明書をつけるというようなことをとっておりますので、私どもに上がってきますときには、そういう問題が実は何らかのかっこうで解決がついている、協定に基づいて解決がついていると私は思っております。ただ、内部の問題としてそういった職場の違いが出てきたりというようなことについては、私は実は把握していないということは事実でございます。
  219. 河村勝

    ○河村委員 これも一ぺん実態をよく調べておいてください、またお尋ねをしますからね。  それからもう一つ聞いておきますが、現在船員というのは国で養成しているわけですね、商船大学はじめ海員学校等で。現実には、最近まで新しく船員学校をつくり、ふやしていますね。そうしておいて、学校の定員と現在員とを比べると、実際入っている人間のほうがずっと少ないというその数字がありますが、人間というのは、ただ養成するのではなくて、一体船をどれだけつくって、どれだけ動かして、それに見合うためにどれだけの学校をつくり養成するという目安があってつくったものだと思う。それが実際つくられた規模に見合うだけの人間を養成をしてないというのは、一体どういう意味であるか。そうした全体の海運行政の中で、当然その養成計画というものはそれにマッチしたものでなければならないはずだ。その点の斉合性というものはどういうように考えているか、それを伺いたいと思う。
  220. 住田俊一

    ○住田政府委員 現在、応募の数と定員との関係は、全部満員とはいっておりませんが、若干足りない、こういうことでございます。後ほど詳しい数字はまた先生に差し上げたいと思います。  ただ、実際問題といたしまして、国がつくったこういった海員機関に全然生徒数がないということはないのでございますし、かつまた、実際の卒業生は希望のところに行けないという点はございまするが、就職率はきわめていい、こういう状況でございます。なお、私どもといたしましては、今後の計画といたしまして、海運局と密接な関係を保ちつつ計画造船の推移その他の推移とにらみ合わしまして船員の需給計画を立てる、並びに今後のこういった施設、機関の充実化をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。  ちなみに、ことしの予算におきまして、先生方のお力によりまして、海技大学におきましても再訓練の予算がつきました。また、今度の予算におきましても、波方の海員学校の分校が今度本校に認められた。こういうことで、いろいろと大蔵当局といたしましても、実際の実態に応じまして予算をいただいておりますが、先生の御指摘のように、全然応募者がないということはございません。  なお、私どもといたしましては、地方のいろいろな関係機関、あるいは海運局その他海事広報協会を通しまして、極力こういった海員学校に学生が集まるようにいろいろとPRその他を考えておる、こういう状況でございます。
  221. 河村勝

    ○河村委員 私の調べたところによりますと、海員学校は一番下級船員を養成する。これだけで見ましても、学校の定員としては九百三十五、しかし実際四十八年の三月に卒業した者は六百八十二、だから三分の二ぐらいですね。これには私はいろいろな原因があり得ると思う。だけれども、現実にはそういうことですね。だから、いままでいろいろお伺いしておりますと、どうもほんとう海運行政というものが必ずしも斉合性ありと思われないので、だからわざわざ減らしてしまってこんなことにしているという可能性も十分ありそうなんで、一体その辺どう考えているのか、今後の問題として宿題として残しておきます。  とにかく、いまいろいろな角度から申し上げましたけれども大臣、一ぺんお聞きになっても、多少矛盾しているところがあるということはお気づきだろうと思うのです。もう一ぺんよく検討していただいて、またの機会にもう一ぺん質問いたしますので、そう御準備をいただきたい。お願いをしておきます。  時間がなくなってしまったので、最後に、ちょっとこまかい問題ですけれども、懸案ですから一つだけお尋ねをしておきます。  ILO六十九号条約というものがあります。これは船のコック、料理人ですね。料理人について、これが日本で一万人ぐらいおるわけでありますけれども、今日までどんな人間でも乗せていいということになっているわけです。資格も何もないわけです。で、大臣もよく御体験のように、船の中というのは衛生が一番むずかしいし、赤痢でも発生したら一ぺんにたいへんなことになるというところでもあるし、同時に、栄養管理も非常にむずかしいのですね。それが今日までそういう状態になっております。ところが、これについてILOで条約ができまして、船舶料理人に対しては、一定の資格証明書を所持するものでなければ乗せてならない、そういう条約ができたのです。これができたのはいつでしたか、ちょっと年月日を忘れましたが、もうずいぶん前です。その後、こういう料理人たちでもやはり一つのプライドを持ってやりたいわけですが、さっぱりこれが批准にならないで延々として今日に至っているわけです。それには多少いろいろな準備等の期間も要ると思いますから、急にできるとは思わないけれども、あんまり長く延びておるので、いいかげんにこの辺でもってやらないことには、対外的にもみっともない話だと思いますので、この点、最後にどうするつもりか伺いまして、その御返事を聞いて質問を終わりたいと思います。
  222. 住田俊一

    ○住田政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたILOの条約の第六十九号、これは船舶料理人条約でございます。先生も海軍で御存じのとおり、そういった艦内におきまする調理人というものは、士気の高揚あるいは安全衛生、こういった面からも非常に重要なことだと私も考えておるものでございます。ところで本条約は、先生も御指摘のように、この船舶料理人につきまして資格証明書を授与する、持つということと、それから資格付与の条件、こういったものを定めております。こういうことによりまして、先生の御指摘のように、船内におきまする食生活の向上、あるいは先生の御指摘の司厨関係者のプライドといいますか、地位の向上あるいは資質の向上、こういったことに非常に寄与するものではないかというふうに私どももかねてから考えておるのでございます。  この条約は、御承知のように採択されたのが一九四六年でございます。それから発効したのは一九五三年でございまして、現在批准国数は全部で二十カ国でございます。日本政府といたしましても、この重要性にかんがみまして、現在関係方面と緊密な連絡をとりまして、できるだけ早い機会にこの批准の運びに持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  223. 河村勝

    ○河村委員 できるだけ早く批准ぐらいじゃ、これは五年ぐらい前からそう言っているので、また五年ぐらいかかってもおかしくない。一体もう少し明確な答弁はできないのですか。
  224. 住田俊一

    ○住田政府委員 これはざっくばらんに申し上げますと、いま外務省といろいろ交渉しております。外務省さんのほうもいろいろと現在こういった条約を多数かかえております。私どもも何とかこれを優先的にやってもらいたいということで話しておりますが、先生の御指摘のとおり、極力関係方面と折衝いたしまして早く実現するように努力したい、かように考えております。
  225. 河村勝

    ○河村委員 外務省と相談してというが、外務省は何にも手間ひまかかるわけじゃない。これを批准することによって、外務省はメンツこそ立てマイナスは何にもないんですね。外務省がどうだこうだという話は絶対ないはずだ。そういういいかげんな答弁をされては困るんだな。それはどうなんです。
  226. 住田俊一

    ○住田政府委員 失礼いたしました。もちろん関係方面とも極力努力いたしますが、ちょっと先ほど言い忘れてたいへん失礼しましたけれども、この条約に関連いたしまして船員法の改正という問題も出てくるわけです。こういった司厨人を乗っけなくちゃいかぬ、こういうことになりますと、船員法のようなこういった国内法の改正、こういう問題もいろいろ出てくると思います。そういうことで、極力関係機関と折衝いたしまして、先生の御期待に沿うようにできるだけ早く実現したい、かように考えております。
  227. 河村勝

    ○河村委員 外務省とまるっきり関係ないじゃないか。船員法は運輸省が改正案をつくって運輸委員会に出せばできるんでね。船員法の改正案はいつ出しますか。
  228. 住田俊一

    ○住田政府委員 まだいつということは言えませんが、検討しておる段階でございます。
  229. 河村勝

    ○河村委員 これはそんなむずかしい問題じゃないはずだな。あしたにでも出せるはずだと思うんだ。少なくとも今国会中には出すとか、あるいは来国会には出すとか、そのくらいの返事はできるでしょう。どうですか。
  230. 住田俊一

    ○住田政府委員 極力御趣旨を体しまして早くやりたいと思います。
  231. 河村勝

    ○河村委員 大臣、どうもあれですな、大臣もこの問題はそう詳しくは御存じないと思いますから、もう一ぺん御検討ください。ひとつお願いします。どうもあまりはっきりしない答弁ばかりで非常に遺憾であります。
  232. 徳永正利

    徳永国務大臣 まことにどうも私は恐縮しております。最初から私の答弁からして歯切れの悪いことばかりで、まことに恐縮しておりますが、よく勉強もいたしますし、またいまの船員法の問題なんか、私も船乗りで、船に乗っているときにはもう食うことが一番楽しみでございます。そういうようなことで、やはり料理人をちゃんとするということは、これも私はほんとに必要なことだと思いますし、この点も、この国会に間に合うかどうか別といたしまして、早い時期に出させるように努力いたします。
  233. 河村勝

    ○河村委員 それじゃ終わります。
  234. 三池信

    ○三池委員長 次回は、来たる十五日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会