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1973-12-18 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十八日(火曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君       阿部 喜元君    井原 岸高君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       細田 吉藏君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       多田 光雄君    三浦  久君       沖本 泰幸君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      秋山  進君         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮本 保孝君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         農林省食品流通         局流通企画課長 佐竹 五六君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸省港湾局参         事官      高橋 全吉君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 十二月十八日  辞任         補欠選任   紺野与次郎君     多田 光雄君   石田幸四郎君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   多田 光雄君     紺野与次郎君   沖本 泰幸君     石田幸四郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運海運航空日本国有鉄道経営及び港  湾に関する件(石油供給不足に伴う運輸交通  対策に関する諸問題等)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  この際、運輸大臣政務次官及び日本国有鉄道総裁からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。徳永運輸大臣
  3. 徳永正利

    徳永国務大臣 一言あいさつを申し上げます。このたび運輸大臣を拝命いたしました徳永でございます。  最近のエネルギー不足は、わが国交通部門に対しても深刻な影響を及ぼしつつあります。私はこのような事態に対処いたしまして、日常生活に不可欠な旅客輸送及び国民生活上必要な物資の円滑な輸送を行なうため、必要なエネルギー確保に特段の努力を払うとともに、不要不急輸送需要抑制につとめ、わが国経済社会の混乱を防止し、国民生活への影響を最小限にとどめる決意であります。  また、運輸行政の基本である安全の確保と公害の防止につきましても、陸海空にわたる具体的な対策全力をあげて取り組んでまいる所存でございます。  最後に、国土の均衡ある発展をはかるためには、鉄道港湾空港等交通関係社会資本を先行的に整備することが必要不可欠ではありますが、その実施にあたっては、現下の経済情勢等を十分に配慮しつつ、長期的な視野のもとに進めてまいりたいと考えております。  これらは言うまでもなく、委員各位の絶大なる御理解と御支援を必要とする問題ばかりでございます。とにかく一生懸命やってまいるつもりでございますから、一そうの御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  4. 三池信

  5. 増岡博之

    増岡政府委員 このたび、運輸政務次官を拝命いたしました増岡でございます。  ただいま大臣からお話がございましたとおり、重大な時局に際しまして、ますます運輸行政の任務が大きくかつ重くなっておるわけでございます。私、不敏ではございますが、一生懸命やらしていただきますので、どうか委員長はじめ諸先生、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。(拍手
  6. 三池信

  7. 藤井松太郎

    藤井説明員 一言あいさつ申し上げます。  すでに御承知おきを願っておりますが、三月ほど前に国鉄責任者に就任いたしました藤井松太郎でございます。きわめて不才な男でございまして、このむずかしい職にはたして耐え得るのかというので実は戸惑いをいたしておるような次第でございますが、一たんお引き受けした以上は、ひとつ全力をあげて職責を果たしたい、かように念願いたしておりますので、今後とも御支援、御指導のほどをお願い申し上げます。  本運輸委員会の諸先生には、国鉄の問題は大小となく御指導を願い、御支援を賜わっておったのでございますが、御承知国鉄財政再建の問題は、われわれ国鉄人にとりまして至上命令でございますので、四十数万の者が一丸となってぜがひでもこれを完遂する決意でございます。いろいろな問題が派生することも考えられますので、今後ともお助けのほどをお願いいたしまして、ごあいさつにかえます。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  8. 三池信

    三池委員長 陸運海運航空日本国有鉄道経営及び港湾に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小此木彦三郎君。
  9. 小此木彦三郎

    小此木委員 ゆうべ、日本時間にして九時ごろ、ローマのフィウミチーノ空港でもってかつてない残虐なパレスチナゲリラによるハイジャック事件があったのでございますが、これはもっと時間のおそいほうがはっきりした情報が確認されると思いますので、私の質問の終わりのほうにひとつはっきりした答弁を願いたいと思うのであります。  いずれにしろこのような事件が起こるということは、中東和平への道が非常にきびしいというものを証左するものであると思うのでございますが、そのような中で石油危機日本列島じゅうがさらされておる。それは列島という島国であるがゆえに、この中で海運であるとか、港湾であるとか、航空であるとか、あるいは港運の中に含まれる対策がまことに多種多様でございまして、しかも深刻なものが非常に多いわけであります。  先般、日本鉄鋼連盟運輸省通産省に対しまして、邦船外国船を問わず、船舶に対するいわゆるバンカーオイル供給を、全産業に対してよりも優先的にこれを行なってもらいたいということを強く要望したということであります。いわばそれは、原油削減よりも船の麻痺を来たしたほうが痛いということであるようでございますが、このバンカーオイルを一〇〇%確保するためには、鉄鋼業界への石油供給削減率が多少高まるようなことがあってもやむを得ないというような考え方がその骨子であるようであります。  かような非常事態の中で、遠洋、近海を問わず、外航船に対して運輸大臣はその油の確保についてどのような対策を持っておられるか、まずお聞きしたいのであります。
  10. 徳永正利

    徳永国務大臣 外航船の本年度における所要量は二千六百万キロリットルでございます。その半分が大体外地補給をしておったわけでございますが、二〇%削減が提起されまして、一時十一月分につきましては混乱いたしましたけれども、その後通産省との間の話し合い、あるいはまた業者間の船主協会石油連盟等話し合いによりまして、十二月分の外航船に対するおおむねの手当てはできたわけでございます。  なおまた、わが国に入港する外国船に対する補油は、本年度は約七百三十万キロリットルを所要量と見込んでおるわけでございますが、この点についても大体本年度じゅうの見当は一応確保できたという段階でございます。  しかし、いまお説のように、この船の油につきましては、極力経済速力で走ってもらうような抑制前提としてお願いしつつ、将来においてもこれらの補油については、全力をあげて通産省とも折衝し、また優先的にこれを配慮していただくように話を進めておる次第でございます。
  11. 小此木彦三郎

    小此木委員 聞くところによれば、運輸省では十一月分ではそういうことになったけれども、十二月分については現在石油連盟日本船主協会が協議して、船舶経済速力を保つためのいわゆるスピードダウンでありますか、そういうような所要合理化を行なうことを前提にして一応必要な運航確保できる、その程度に油の供給を続けられるのだという見通しがあったといたしましても、現実にはその見通しのように油が確保できていない状況が各所に生じているようであります。末端においては特にその状況がはなはだしいようであります。  たとえばけさの日本海事新聞によりますれば、二十日以降在来定期船の九〇%近くが運航中止のやむなきに追い込まれることもあり得るのじゃないか。タンカー関係は全量確保されたものの、貨物船関係は、邦船所要量九十九万トンの約一五%削減というおおよその合意しか得られない、こういうような記事、情報が示すとおり、外航船運航スケジュールというものにかなりの支障が生じている。私はそれをまず具体的に説明してほしいし、特に外地における日本船の油の補給状況がどういうぐあいになっているのか、支障がかなり生じているのじゃないか、これらの点を具体的に説明していただきたいのであります。
  12. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いま小此木先生から御質問いただきましたように、一応十二月分のバンカーにつきましては業界間で量の確保見通しがついたのではございますけれども各社別に従来油を入手している商社、元売り関係との結びつきがいろいろ一律ではございません。それから船の種類別にも、先生お話しのように、タンカーについては最優先でこれは一〇〇%従来ベルンや湾で往復分積んでおったのを、最近は三割ぐらいの船しか往復補油できませんで、七割ぐらいの船は片道をこちらで積んでいくというかっこうでやっておりますけれども先生指摘のように、やはり在来定期船などにしわが寄せられて、今後の運航スケジュールが乱れるのではないかということが心配でございます。  ただ、具体的に申しますと、十七日現在で十九日までに手当てを必要とする船舶のうちでまだ補油手当てのついてないものを拾い上げてみますと、内地で六隻、外地で七隻と、十三隻が、十七日現在でまだ十九日に出る船の補油手当てがついてないということでございますけれども、こういう状況はいわばその日暮らし補油手当てをしているということで、結局のところ十九日現在でまあいままでの状態だったら大部分解消していくというような状態でございます。
  13. 小此木彦三郎

    小此木委員 これらの問題の具体的なことの一つに、これはまあニュースは多少古いのでありますけれども、先月末の日本経済新聞で、あの時点におきましても、日本チャーター船インドネシアチェリボン港で燃料の給油ができないで滞船してしまっているというニュースがあったのであります。私たちの常識的な考え方では、インドネシアのような産油国でもってさえ油が補給できない、それでは産油国でない国の港に入った日本船はどういうことになってしまうのか心配でならないわけでありますけれどもインドネシアチェリボン港でもってどうしてそういうような問題が起きたのか。そして、その後滞船した船はどういうふうになったのか。またその後日本の船が行って滞船してしまったような状況が続いたのか、これについて伺いたいのであります。
  14. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 外地での補油状況につきましては、いまインドネシアお話が出ましたので、インドネシアのことを、私どもが知り得た情報お話し申し上げますと、実は私ども産油国で油に心配はないのかと思っておりましたが、実は製油能力不足の点がございまして、せっかく原油がありながらいままで外国製油に出しておるというような状況がございまして、その外国での製油の能率が落ちるに従って、自分のところでの製品の消費にことを欠くということであって、どうやら外国船に油を補油しないというようなことでしわが寄ったものと思われております。  現在のところ、インドネシアで数隻、過去において立ち往生している船がございましたのですが、現在のところは一応その状態は解消いたしまして、ごく近く出る予定の船は、ジャカルタを十七日に出る船、十九日に出る船ということで、私どもはこれは十七日現在で押えた資料がございますけれども、一応とまった船の状態は解消しているというふうに存じております。
  15. 小此木彦三郎

    小此木委員 要するに、インドネシア産油国ではあるけれども製油能力というか精錬施設というものがないから、バンカーオイルをめったやたらに供給することができないんだということだろうと思うのです。  それならば運輸大臣に申し上げたいのでありますけれども原油不足日本が悩んでいて、そのために日本製油能力と申しますか精錬施設というものが遊休化してしまう。要するに製油能力がないインドネシア原油をそういう理由のもとにもっと供給してもらう。これができれば簡単に問題は解決するのでありましょうけれども、この点の考え方を聞きたいし、同時に来春、田中総理東南アジア方面を歴訪されるので、このことを強く進言されるべきであると思うのでありますが、大臣考え方をお聞きしたいのであります。
  16. 徳永正利

    徳永国務大臣 先生指摘のお考えは、私は通産省に間違いなく連絡いたしまして、そういう考えのあることをお伝えし、確かに一つ考えであるというふうに思う次第でございます。
  17. 小此木彦三郎

    小此木委員 日本の船と外国の船との油を供給し合ういわゆるボンド油というものがあるということでございますけれども外国船に対して日本国内の港の油の補給状況を、いま簡単な説明がございましたけれども、これらはほぼ完全に行なわれているのであるか。これからどういう状況になっていくのか。ということは、日本がもし外国の船に油を供給することが満足にいかないために、日本の船が外国の港に行ったときに報復的な処置と申しますか、仕返しということばが悪いのでありますけれども、要するに、日本の港でもって船に油を入れてくれないから、こちらでも入れられないんだという、一つの口実にされる心配というものがわれわれはどうしても考えられるのでありますけれども外国の船に対する日本の油の供給状況、その見通し、これをいま少し詳しく聞きたいと思うのであります。
  18. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お答えいたします。  ことしの見込み数字で申し上げますと、日本ボンド油外国船に七百三十万キロリッターくらい内地補油をして与えたい。それから逆に、日本船が海外で先ほど大臣から申し述べましたように、二千六百万キロリッターの全体の量の約半分、したがって千三百万キロリッターくらいは外地補油をしたいということの計画でございます。したがって、七百三十万キロリッターを与えて、千三百万キロリッター程度外地補油を受けていきたいというのが日本側現状でございまして、その限りでは、平生の状態では外国とお互いに便宜を供与し合っていくといういい傾向がずっと続いておったわけでございます。ところが、最近の世界的な石油危機でございますので、私どもの船も、先ほどから先生指摘のように、ところどころでやはり油の補油不足をしているという現状でございます。しかしながら、私どもとしては、こういう基礎的な数字を踏まえまして、諸外国がそれぞれの外国船に油を供給し合うといういい関係をできるだけ続けていきたいと思いますので、私ども邦船に対するボンド油要求と同じように、外国船にもボンド油を分けて与えたいということで、通産省にその量の要求をしておるという現状でございます。  ただ、外国船の実態の把握が実は非常に困難でございまして、いままで契約関係のない外船がたまたま日本に寄って、日本で油がもらえるぞということで集まってくるということでございますと、とても外国船にまんべんなく油を配給するというわけにいきません。  それから日本船も、実はスピードダウンをするとか配船調整をするとかいうことでかなりきびしい制限を受けて運航して、その日暮らしをしておるという実情でございます。それからまた、日本船外国で油を与えてもらう相手国と、こちらで油を与える相手国とがバーターになっておると申しますか、ちゃんと相互関係になっておるということもございません。したがいまして、この油の危機については、私はやはりもう少し事態が進みましたら何か国際的な話し合いが行なわれるのではないかという気もいたしております。
  19. 小此木彦三郎

    小此木委員 外国船把握と申しますか、定期船不定期船あるいはスポット船というのでありますか、そういうものの状況把握できないということではありますけれども、いまの局長説明によりますと、算術的には日本のほうが油は得をしておるというような考え方でよろしいのですか。
  20. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 平生の状態ではそういう実情であったということを申し上げております。ただ、もうすでに先ほど申し上げましたように、ペルシャ湾に参りますタンカーは、ペルシャ湾往復補油が受けられてきたという平素状態が、実はもう七割近くが片道しか受けられないという状態になっておりますので、この状態平素状態とはいまの状態は少し変わってきておると私は思っております。
  21. 小此木彦三郎

    小此木委員 ボンド油というものがあって、そうやって曲がりなりにも外国船の場合はどうやら安心とはいかないけれども、どうにかなるということでありますけれども、今度は内航船の場合はどうであるのか。たとえば、船の大きさにもよりましょうけれども、横浜から神戸に行って、神戸でもって油がなくなって、神戸のほうで油を無事に補給できる体制にあるのかどうか。あるいは離島航路の場合などにはどういうふうなきめこまかい配慮がなされていく体制を組むのか。さらには国内観光船の場合はどういうふうになっているのか。また、ついでながら、これは事前に話をしませんでしたけれどもトラックやあるいはタクシーハイヤーの場合でもそういうことが当然起きてくると思いますので、この点自動車局長からも、ちょうどおられるので、その面を一言お答え願いたいのであります。  まず、内航船の場合の問題からお願いいたします。
  22. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生お話しのように、内航の貨物船はその燃料の油を全国の寄港地で少量ずつ給油しておるという実情でございまして、その供給を円滑に行なうためには実はたいへんな困難、苦労があると思います。現状のところ、実は私どもが聞いております状況では、A重油について平素値段が一万円ぐらいでしたのがもうすでに二万円をこえている。おそらく、特定の港でどうしても買わなければならぬというときにはもっと高い値段になっている。B重油も同様でございまして、七千五百円というのが一万五千円をこえている。もっと高いというような現状であろうと思いまして、私ども非常に心配しているところでございます。特に、ボンド油と違って陸上の産業との競合関係がございますので、どうしても値段が高くなってくるという影響は免れないんじゃないかということでございます。したがって私どもとしては、各海運局に、できるだけ地区海運組合連絡をとって、ほんとうに困っている船が現実にあったら、それに対して対応の措置を適宜にとるようにということで連絡をしてございます。  それから旅客船でございますが、これは実は内航と違いまして、定着性は実はございます。そこで、各相手油会社から十二月の油分につきましては三〇%、あるいはもっときびしいところでは四〇%以上という削減の量を油会社から言ってきたという会社は、別に事情がございます。これも各社別いろいろ差はございますが、地方の海運局であまりにきびしい削減率を言ってきた油屋さんなどについては、海運局にかけ合いをさせまして、極端な削減率のないように言って、話を押し戻して交渉をさせておるという実情でございます。まだ、目下本格的な減便という事情は出ておりませんけれどもスピードダウンをいたしましたり、あるいは一部抜航いたしましたり、そういうことでやりくりをして、何とか十二月の運航を行なっているという実情でございますが、このままですと、一月の早々から減便状態が出てくるんじゃないかということが非常に憂慮されます。そのときに、先生指摘のように、遊覧航路、それから離島航路、それから日々の確保をしなければならない定期航路、その辺のプライオリティーをどうつけて、その削減に対処していくかということを目下私どものところで検討中でございます。
  23. 中村大造

    中村(大)政府委員 自動車関係につきましては、タクシーが使っておりますLPガスの問題と、それからバストラックが使っております軽油の問題とあるわけでございます。  LPガスにつきましては、御承知のように去る十四日に十二月分の供給量というものを一応運輸省通産省の間で話を取りきめまして、十一万五千トンという量を確保いたしました。これを業界運輸省とで相談いたしまして、公平に配分するというやり方をきめまして、現在具体的にガソリンスタンドに登録をする事務と、それから各地区ごとに一両ごと配分量をきめる作業を並行して行なっておる次第でございまして、今週中にはこれが軌道に乗るというふうに考えておるわけでございます。  一月以降につきましては、これは現在まだどれだけの量を確保できるかということについては、最終的な詰めができておりませんけれども、従来から、一月から三月までの必要量について、いろいろ通産省とも折衝をいたしておりますので、できるだけ早い機会にそれを詰めまして、そして御説明申し上げましたような、いわゆる配給ルートを通じまして円滑に流していきたい、こういうふうに思っております。  それから、軽油につきましては、これはまだしPガスほどは供給量削減ということについて全般的な話としては出てまいっておりません。ただ、個々事業者個々石油業者につきましては、あるいは一〇%、あるいは二〇%というふうな削減通告を受けておるところがございますが、これはそれと値段のアップと両方かみ合わして申し出があるという状況でございます。したがって、先ほどちょっとA重油のことで申し落としましたけれども、価格につきましては、LPについては五割以上の値上がりがいたしております。軽油については三割程度値上がりということはございますけれども軽油についての供給量については、総体的には十二月分については何とか確保ができる、こういう状況でございます。  ただ、具体的なスタンドにおける販売という点につきましては、たとえばスタンドは日曜日に休むということがございまして、長距離トラック等が帰りの便に必要な燃料が積めない、こういうような具体的な問題が起こっておりますので、これにつきましては現在通産省と、たとえば日曜日あるいは夜間でも開き得るスタンドについて特定をしようじゃないかということで、いろいろ相談をいたしておる、こういう状況でございます。
  24. 小此木彦三郎

    小此木委員 いまのトラック輸送やあるいはバスハイヤーの問題の一部でもあることで、だれでもが訴え、またどこでもいわれることは、要するに目的地に行くまでの油はあるけれども、帰りの油がないから困るのだということであるわけであります。これからますますむずかしい局面になっていくわけでございましょうが、ひとつ実情に沿った、あたたかい配慮、施策をぜひお願いしたいと思うのであります。  そこで、いまの内航船のことでありますけれども離島航路などの場合には、へんぴな港とへんぴな港との往復というものが当然あり得るわけであります。ということは、地方のあまり資源を送りにくい状況下にある港同士のやりくりということになるわけであると思うのでありますけれども、そういう点の特にきめこまかい配慮というものを私はここでお願いしておきたいと思うのであります。  そこで、運輸大臣にお聞きしたいのでありますけれども、そう言うて、バンカーオイルの問題の一部に流されておるところの悲観的な情報というものが、いま現実の問題として諸物価の急騰に拍車をかけているということは言うまでもないのであります。たとえば東南アジア方面から来るところの木材、主としてラワン材でありますが、この近海外航船の就航カットを理由に、この木材はきわめて短期間のうちに原木が倍以上の気違い相場を現出させている。そして、それを材料とするところのベニア板などは、たとえば皆さんが選挙で使うあの二・七ミリの三×六の畳一畳の一番小さいベニア板でありますけれども、これがこの二カ月から三カ月の間に小売り値でもって五百五、六十円から、一部においては六百円近い、一番悪い、一番安いあの板が、そんなに高くなってしまっているというわけなのであります。これはもちろん、こういう意味からも超党派的な協力によって、衆参両院において一日も早く石油需給適正化法案、国民生活安定緊急措置法案の両法案が成立されねばならないことでございますけれども運輸大臣におかれては、通産大臣と密接な協議の上、このバンカーオイル確保の問題については一歩も二歩も腰を入れた気持ちでもって対処されたい。と同時に、この際運輸大臣は、この油の確保の問題について、いままで通産大臣に対してどのような申し入れを行ない、今後どのような協議を行なっていくのか、また今後楽観を許されないこの油の問題に対して、海運界全体に対する指導方針をどのように持っておられるのか、その確固とした自信のほどをこの際示されたいのであります。
  25. 徳永正利

    徳永国務大臣 バンカー油の物価に関連するものの実に大きいことは御指摘のとおりでございます。ほかにもいろいろあろうと思いますけれども、実はまことに自信のある答弁を申し上げたいのでございますけれどもバンカー油ばかりでなくて、ほかの所管いたしておりますいろいろな問題について連日、何とか、せめて供給の目標でも立てて、その上で円滑な運営ができるようにお願いしたいということを、通産大臣とは話を進めておるわけでございますが、なかなか思うような結論が出てまいりません。まことに申しわけない次第でございますけれども、そういう事情でございます。事情ではございますけれども、私どもは、その影響するところがきわめて大きいわけでございまして、実はけさも通産大臣に対しまして石油関係のいろいろなお願いをして、協議を進めておるわけでございますが、どういう形で定着していくかということもなかなか見当がつきませんし、明快なお答えを申し上げることができないのをまことに残念に思いますけれども、優先順位を明確にしまして、一生懸命とにかく確保のために努力を続けてまいりたいと思います。  なお、海運業界等につきましては、節約できる範囲のものは運航等においても節約していただきまして、また運航の緊急度等も配慮していただいて、船の運航支障のないような、また少しでも国民経済に影響のないような配慮をしていただくようにお願いをしておる次第でございます。
  26. 小此木彦三郎

    小此木委員 懸命な努力をお願い申し上げる次第であります。  次に、港湾局の関係に入りますけれども、いま日本のすべての港湾運送業界が、引き船であるとか、はしけであるとか、大型荷役機械であるとか、移動クレーンであるとか、そういうものに使用する重油、軽油、ガソリンなどの年間使用量、またその燃料費はどのくらいの額にのぼると港湾局は把握されておられますか。簡単にその数字が出ないとすれば——この仕事は日本港湾の中にあってきわめて重要な位置にあり、また零細な企業もかなり多いので、その面に対する油の確保というものは十分考えてやらなければいけないと思いますので、その対策はどういうふうになっておるか、聞かせてほしいのであります。
  27. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 現在調べたところによりますと、港湾運送で年間使用します石油の消費量は、一年間に大体二十三万トン程度でございます。そのうち重油が四五%、軽油が四五%、ガソリンや灯油は一〇%という程度でございます。ことしの一月の実績を見てみますと、一カ月大体一万六千トン程度でございます。そう計算いたしますと、来年、四十九年の一月から三月ぐらいまでは約六万トンぐらい必要ではないか、こういうように現在推算しております。  そこで、現在の状況でございますけれども、荷役能力の低下というような現象はございません。しかしながら、比較的少ない油の量でございますけれども、この荷役がストップいたしますと船そのものがストップするのと同じ非常に大事な面がここで押えられていると思います。そこで現在地方海運局あるいは各地区港運協会を通じまして極力石油の消費状況や入手状況把握につとめております。また、各地区港運協会にエネルギー対策委員会という組織を設置いたしまして、業界としても積極的に対策に取り組むように指導していきたいというように現在進めております。
  28. 小此木彦三郎

    小此木委員 大体わかりました。それで、ついでながら私は、今度は港湾局の問題で港運の構造改善、その中の一部であるはしけの問題につきまして、はしけの買い上げの件についてこの際少しく聞いておきたいことがあるのであります。  いま日本全国の港湾にあるはしけは約二百十八万トンといわれておるわけでありますが、そのうち横浜、神戸が約百万トン近くあるのであります。もちろんこの中にはやみはしけであるとか第三国人の持つはしけは入っておりません。運輸省港湾運送事業界の近代化、合理化ということを目的としてしかるべき機関に答申を求めて、港運の構造改善を行なう方針を固め、その一環としてはしけの買い上げを行なうんだということで、本年度三億五千六百万円の予算を得ることとなったのでありますが、それではこの三億五千六百万円というものは、買い上げるべきはしけはトン数にしてどのくらいのものを目標とされておられるのか。そしてまた、そのトン数の三分の一を国が買い上げるために負担するのであるといたしますれば、残りの分は業界あるいは利用者が出し得る体制にあるのかどうか、まずこの点を聞かせてほしいのであります。
  29. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、本年はしけの買い上げの予定といたしまして三億五千六百万円の予算を計上してございます。その買い上げの対象は四十一万七千トン、それから引き船が三万一千馬力でございます。これは、これだけで買い上げるわけではございませんで、民間で買い上げていただきまして、その補助にこれを使うという考え方でございます。
  30. 小此木彦三郎

    小此木委員 その民間への補助というものが、業界、利用者が出し得る体制にあるのかどうかという私の質問でありますけれども、いまの答弁の中の、はしけが四十一万七千トン、引き船が三万一千馬力、ことしはそうであったとしても、当初運輸省が全体的な目標として考えたトン数はどのくらいであったのか、その点を聞かせてほしいのであります。
  31. 高橋全吉

    ○高橋説明員 いま先生のお尋ねのはしけの全体の計画でございますが、先ほど先生がおっしゃいました二百数万トンの登録はしけのうち、港湾整備あるいはコンテナ化等に伴いまして過剰はしけが出るであろう、これは計算上約八十万トン、これを大体三年間で買い上げよう、こういう計画を一応立てたわけでございます。したがいまして、先ほど局長が申し上げました四十一万七千トンあるいは三万一千馬力というのは、予算の積算上一応そういう積算をして、三億五千六百万円というものが積算の基礎になっておる、こういうことでございます。
  32. 小此木彦三郎

    小此木委員 全体目標が八十万トンということは、四十万トンだから半分ということになるのでございますけれども、言うまでもなく、今年度当初における輸入超過という現象がはしけを倉庫化してしまった、いわゆる倉ばしけの状況を促して、横浜や神戸のような大港湾におきましては、常時そのはしけがそれぞれ十万トン内外に及ぶありさまであったのであります。巷間伝えられる日本港運協会の内部の問題等もさることながら、このような倉ばしけ化の状態というものが、はしけの買い上げの予算の行使をおくらせた一番大きな原因じゃないかと私は考えるのであります。さればといって、いま国が総需要抑制という考え方であらゆる施策を行なっていくとすれば、当然経済成長というものは鈍化し、不急不要な品物を中心に、港に入ってくる貨物も必然的に減ってくるわけであります。そうすると、いまあるところの倉ばしけ化という状態はなくなってくる。そのことは、当初の答申どおり、運輸省が初めてはしけの買い上げを行ない、港運の構造改善を一そう積極的に行なわなければならない状態があらためてやってくる、そういう状態に戻ってくると私は考えるのであります。だから問題はむしろこれからだと思うわけでありますけれども、今後運輸省はこの仕事に対して、どういう考えを持っているか、きっぱりと伺いたい。ということは、この仕事をどういうぐあいに継続していくのであるか、その点をはっきりと伺いたいのであります。
  33. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 はしけが、本年の輸入貨物が前年に比較しまして大幅に増加いたしまして、そのためにことしの春ごろから倉庫がわりに使用されている、いわゆる倉ばしけになっている、先生、いまおっしゃったとおりでございます。  一方、このはしけ買い上げの民間における意思を決定する機関の日本港運協会というのがございまして、この日本港運協会が事実上の機能を停止しておりまして、そういうことのために、いままでこの予算を使うことができなかったわけでございますが、ただいま先生のおっしゃいましたように、倉ばしけの状態は、いま順次減少しております。ほぼ平常に復してきつつあるというのが現在の状態でございます。  なお、日本港運協会も、先日臨時総会を開催いたしまして、その機能も正常に復す状態になっております。また、はしけも、基本的にははしけの余剰遊休化は、いま先生のおっしゃったように、構造的なものとなるというように考えておりますので、はしけ買い上げについての関係者間の合意を早急にとりまして、この買い上げの実施を本年度内にできるだけ完了していきたいというように考えております。
  34. 小此木彦三郎

    小此木委員 いまの問題で、今後それをどういうふうに継続していくのか、きっぱり返事をしてもらいたいというところが抜けておったようでありますけれども、その点の考え方を示してもらいたいと思います。
  35. 高橋全吉

    ○高橋説明員 いま局長が御答弁申し上げたとおりでございますけれども、実は今年度の、先ほど申し上げました三億五千六百万円の予算の消化につきましても、まだ主体であります日本港運協会の意思が決定しておりません。そういうことでございますので、ともかく今年度のことを完了すべく私たち現在努力しておる最中でございまして、来年度以降のことについては、協会としてはまだ意思決定しておりません。したがいまして、来年度以降のことはともかく、今年度の実施につきましての努力を現在やっておるところでございます。
  36. 小此木彦三郎

    小此木委員 日本港運協会内部の問題も一〇〇%方態勢が固まったようであると聞いておりますし、倉ばしけ化の状態も平常に戻ったということでありますし、この予算の行使を敏速に行なわれるようやってもらいたいし、同時に、最初の目標が八十万トンということであるならば、またこれを継続して行なわなければ答申どおり行なわないことにもなりかねぬと私は考えますので、この点における考え方を今後至急に固めてもらいたいと思うのであります。  そこで、少ない時間の中でいろいろな問題に及んで恐縮でありますけれども、私は日本港運料金というものが各国と比べて非常に低いところにあるということに常々疑問を持っているのであります。あのような条件の悪い、冬は寒風にさらされるデッキの上で、夏はあの蒸し暑いダンブルの中で長い時間働かなければならない港湾労働者、ほかの産業や企業に比べて、あれほど過酷な条件のもとにある勤労者はないと私は思うのです。それでもまだ昔はよかったのであります。大工さんを例に引いては悪いのでありますが、たとえば、昔は大工さんの賃金と沖仲仕の賃金を比べれば、沖仲仕のほうがずっと上がりが早いのに、五割も八割も、場合によっては十割もよかった。ところが、いまでは大工さんのほうがよい場合のほうが多い。港湾労務者のほうがずっと給金が悪いのであります。悪いけれども、ただこれをいたずらに料金改定と申しますか、料率を改定して上げてしまえば、当然これは物価に響いてくるわけであります。ですから、これを物価に影響を及ぼさないで、諸外国並みに料率を改定して料金を上げて、港湾労働者の上にあたたかい手を差し伸べたい、運輸大臣はこれについて何か妙案があるか、りっぱな政策があるかどうか、この際お聞きしたいのであります。
  37. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は私、港湾のことについて不勉強でございまして、いま御指摘の点につきましては、ひとつ十分研究させていただきたいと存じます。
  38. 小此木彦三郎

    小此木委員 もちろんこれは非常にむずかしい問題でありまして、人によれば労働災害防止団体等に対する法律による予算措置というものがあるのだから、これを行なって、安全対策の中から何ものかを生み出していくべきではないか、あるいは労賃そのものに福祉政策を加味して、過酷な条件にある港湾労務者を救ってやるべきではないかというような意見もございますが、私は、今後この問題をこの委員会の中で、私自身の勉強の中でもやっていきたいと思いますので、大臣におかれましても十分この点を、恐縮な言い方でございますが、御勉強願いたいと申し上げて、私の質問を終わります。(拍手
  39. 三池信

    三池委員長 綿貫民輔君。
  40. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 石油危機の深刻化する中で、当面インフレ克服を目ざして、総需要の抑制という名目で予算編成がたいへん注目をされておるおりであります。国民生活安定のために、国民が総ぐるみの節約の時代に入ったということは当然でございますけれども、この際国民にとって不必要なものは思い切って切り捨てる、必要なものはどんどん取り入れるという勇断が必要だと思うのでございます。  そこで、けさの新聞の第一面に、国鉄、消費者米価は十月まで半年凍結するということに政府・自民党が決定を見たということが出ておるのでございますけれども国鉄を担当されます運輸大臣は、この問題についてどのような手順で相談をお受けになり、また同意をされたのか、これについてお聞かせを願いたいと思います。
  41. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は昨日、政府側から大蔵大臣、経済企画庁長官、党側から椎名副総裁はじめ三役がお出になり、そのほか政調、税制調査会の方々がお出になって、いろいろお話があったようでございます。その結果、いま御指摘のような問題が出てきたようでございます。私はそのことを聞きまして、連絡いたしまして、どういうことなのかということをただしましたにつきまして、これはただ——ただということばはちょっと軽率でございますが、昨日一応決定を見たのは、来年度の予算編成に対して、政府及び党の基本的な態度をこういうような態度でひとつ検討しようじゃないか、検討の材料としてそういうことを決定を見たのであるということでございました。それまでは連絡にあずからなかったわけでございますが、来年度予算編成に対しての一つのたたき台として話し合われたようでございます。けさの政府の閣僚の懇談会でそのことをあらためてただしましたが、そのほかいろいろな項目がきまっているようでございますけれども、私が受け取っているように、一応の検討材料として出した。さらに、これは正規の手続を踏んで政府の姿勢としてきめられるものだというふうに私は考えております。
  42. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 これは今後のたたき台だということでありますが、これが正式に議題となった場合に、運輸大臣としてどのような態度で臨まれるか、これをお聞きすると同時に、もしかりに三月三十一日の運賃値上げの施行が半年間繰り延べになったという場合には、おおよそ一千億円にのぼる財源の不足が見込まれるわけでございますが、この補てんについての見込みと申しましょうか、こういう問題についてどういうふうにお考えになっておるか。また、そういうことをやろうとする場合に、法律改正が必要じゃないかというふうにいわれておるのでありますが、これについてのお考えを承っておきたいと思います。
  43. 徳永正利

    徳永国務大臣 当然正規の部会あるいは政調あるいは総務会等において、これは順次結論を見るものと思います。党内としてはそういう点はほんとうにそう思いますし、政府としてはそれと常に連絡をとって、政府としての全体の態度をきめていくことになると思います。したがいまして、私としましては、政府全体の来年度のこのきびしい状況下においての一環としてこれを受けとめていかなければならぬと思います。  なお、かりに半年繰り延べするとしますと、おおむね一千億前後の来年度の予算措置が当然必要になってくると思います。これは大蔵省において、決定された場合には、その予算の手当て要求してまいらなければなりませんし、また三月三十一日実施という法律で規定されたことでございますから、その実施期日の変更は当然、法律改正を要するものだと考えております。
  44. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 国鉄運賃の問題に関しましては、大臣はまだ就任早々でございますけれども、当委員会においては、約半年の歳月を費やして、与野党を通じていろいろ論戦の中から結論を導き出したものでありまして、いまいろいろと緊急事態があるとはいえ、長期的な要素も含んだ上での値上げの問題であります。そういう点も踏まえられまして、今回の予算の編成にあたりましては、日本のバックボーンになる国鉄の問題についてひとつ格段のお力添えを賜わりたいということを特に強く要望申し上げておきたいと思います。  それで、これは事務当局の問題になると思いますけれども、公共料金というものを凍結するということは、いまもし国鉄の場合にそういうことになれば、当然財政的な負担を伴うということになって、結局財政規模を増長させるということになると思います。ところが、インフレ要因のためにこれを圧縮する、こういう一つの矛盾した基本があると思うのですが、これについて大蔵事務当局でいまは予算編成の大綱もすでに決定した、こう言っておりますけれども、いろいろ折衝の過程でどういうふうにそれを受けとめておられるのか、鉄監局長の感触をお聞かせ願いたいと思います。
  45. 秋富公正

    秋富政府委員 実は、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、このことにつきましては、昨日夜急に私のほうといたしましても承知いたしたわけでございまして、さっそく昨晩から財政当局とは——ただいま大臣が申しましたように、約千億の収入減になるわけでございまして、これが国鉄再建計画影響を及ぼさないように、私たちとしましては万全の措置をとる必要がございますので、先般この国会におきまして御審議いただきました補正予算と同じように、各般の財政措置をさっそく要求いたしておりますが、まだ具体的な段階には至っていない現状でございます。
  46. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 冒頭に大臣が、これはたたき台だ、こう言われたので、質問することがすべて仮定の問題、かりにという問題になってしまうのですが、これはもうすでに予算折衝に入る時期でございますから、現実の問題としてひとつとらえていただきたい、こう思います。  そこで、すでに新幹線の工事費などにおいては、債務負担行為が相当額四十九年度の分がいま行なわれておるというふうに聞いておりますが、その内容をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  47. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま国鉄、鉄建公団それぞれにおきまして工事を進めておる状況でございまして、現在まだ正確にどれだけの債務負担行為になるかと申しますことば確定しておりません。と申しますのは、本年まだいまから下期約三カ月の期間がございまして、この間に工事を進めてまいりまして、同時にその間に債務負担額というものも決定するわけでございまして、現在はまだいろいろと試算中でございますが、国鉄、鉄建公団ともに相当な債務負担額が出る見込みでございます。
  48. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 もし今回の緊縮財政で、すでに大蔵当局と合意のもとになされている債務負担行為が履行できないというような場合、その責任の所在はどこになるのですか。
  49. 秋富公正

    秋富政府委員 私たちといたしましては、現在まで債務を負担いたしたものを取り消したという事例はないわけでございます。これにつきましては、いわゆる契約上のいろいろな問題もあるわけでございまして、まだ来年度の工事規模が明確になっておりませんが、ただいま先生の御指摘のような問題につきましては、十分われわれといたしましても配慮しなければいけない問題だと思います。
  50. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 この問題につきましては、また後日はっきりした状態でいろいろとお知らせを願いたいと思います。  ところで、これに関係いたしまして、各地域ではこういう緊急事態が起こる前に、新幹線を誘致しようということで住民がたいへん大きな期待を持ち、また運動を展開してきたわけでありまして、すでに整備計画の五線というものの建設予算、こういうものも今回は提出されるというふうに期待をいたしておったわけであります。こういう事態になったからこういうものは当分全部見送りだ、あるいはもう新幹線はしばらく待て、これは緊急事態だから、そういうふうに言っていただければ住民も納得すると思いますけれども、あやふやな態度は住民に不安をもたらすものだ、こう私は思うのであります。これについての大臣のお考えをひとつ承っておきたいと思います。
  51. 徳永正利

    徳永国務大臣 先ほど私はたたき台と俗なことばで申し上げました。俗なことばというのはいろいろな誤解を呼びますから、明確に訂正さしていただきますが、そういうような方針で将来検討する、こういうことでございます。そういう案がきのう出たということでございます。  それから新幹線の問題でございますが、きのうのお話し合いの中にいろいろな問題が実はあるわけでございまして、公共事業は前年度以内、四十八年度以内にとどめるんだ、なおまた、その事業量等においては、四十七年度の量以内にとどめたいというようなきびしい話し合いが実は行なわれておるわけでございます。したがいまして、いま私がここで取りやめるとか、あるいは、いや何が何でもやるんだというようなことはちょっと言いかねますけれども、明年度の予算は非常にきびしいものであるということは考えられると思います。
  52. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいま大臣のおっしゃられたことを私どももそのとおりだと思います。そこで、予算の決定と同時に、やはり新幹線というものについての基本的な今後の見通し、もし見通しが立たなければ、来年はもう一切やらないとか、今後どうするとかいう発表をしていただかないと、受け入れる各県とか、あるいは住民の感じというものが、まだ非常に甘い、淡い期待を持っておると思うのであります。したがって、そういうものについての決意というものを表明していただく必要があると思うわけでありますが、これについて、そういう決意を表明していただけるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  53. 徳永正利

    徳永国務大臣 私も、住民の期待に大きく沿うようなことでございますから、予算が決定を見ましたならば、それについての将来の進み方等について考えを明らかにする必要があろうと思います。
  54. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 いままでのルールでまいりますと、この整備計画の五線については工事実施計画というものをもうすでに提出するという時期に来ておるわけであります。しかし、そういうものも当分はもう見送り、こういうふうになるのでしょうか。
  55. 徳永正利

    徳永国務大臣 そういうものもあわせて今後の予算折衝の過程に解決をつけなければならないと思いますが、先ほども申し上げましたように、今年度の予算は非常にきびしいものであるということは、たびたび申し上げているとおりでございます。
  56. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 それでは参考までにお伺いいたしたいのでありますが、これは地方自治体が非常に心配をいたしておったことでありますけれども、この新幹線の建設に際しまして鉄道利用債を何%ぐらい持たされるんだろう、こういうようなことを非常に不安に思っておる向きがありますので、参考までに伺っておきたいと思います。
  57. 秋富公正

    秋富政府委員 四十六年度の工事三新幹線の予算の編成に際しまして、ただいま先生の御指摘のように、国鉄に対しましては約百億、鉄建公団に対しましては約九十億の地方公共団体の引き受け債というものがあったわけであります。これにつきましては、当時たまたまそれが国鉄、鉄建公団に対します出資額と対応いたしておりまして、出資見合い分をすべて地元が引き受けるのかというような非常な危惧があったわけでございます。四十八年度の予算におきましては、そういった地方で引き受ける額というものは明確にいたしておりませんが、私たちといたしましては、地方の財政事情もよくわかりますので、同時にこれは地方の開発にもなるわけでございまして、応分の利用債の引き受けはしていただきたい。ただその金利につきましては、これを地元において消化できるような金利にいたしたいと思って、財政当局あるいは自治行政当局とも種々折衝しているわけでございまして、現在のところまでその額が本年度は明確にはなっていないわけでございます。私は、全国新幹線鉄道整備法十三条の規定にもございますように、地方におきましても応分の御協力はいただきたいと思っておりますが、なおこれの具体的な数字は確定いたしておりません。
  58. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 非常に緊縮財政あるいは緊迫した状況下でそういう質問は当を得ていないかと思いますが、参考までにお聞きしたわけであります。  次に、石油危機に関しましての輸送体系の問題についてお伺いいたしたいと思います。これはいろいろと私個人で聞いたり新聞で見たことなどもありますけれども、国民が聞いておるというつもりでひとつ真剣に御答弁を願いたいと思います。  まず第一番に、年末年始を控えまして生活物資の値上がりがたいへんに目立っておると思いますが、特に生鮮食料品の輸送のネックのためにこれがより拍車をかけられるということがないかどうか、こういうものに対する緊急輸送について運輸当局はどういうふうな行政指導を行なおうとしておられるか、また行なっておられるのか、これをひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  59. 原田昇左右

    ○原田政府委員 お答えいたします。  例年輸送需要が集中いたします年末につきましては、輸送が逼迫することは御指摘のとおりでございまして、最近の石油事情にかんがみまして輸送燃料確保を中心とする輸送力の確保が非常に問題でございます。  まずトラック輸送につきましては、生鮮食料品を含みます生活必需物資あるいは関連物資のトラック輸送に必要な燃料確保につきまして通産省と折衝してまいっておるわけでございますが、特に十二月において重要な点は、関係トラックの利用しますガソリンスタンド等につきまして、夜間、休日等の営業時間の確保対策が必要でございます。これについて通産省と目下話し合いを続けておるわけでございます。  なお、生鮮食料品の特に緊急輸送を行なわなければならない品目、数量、地域等に関しましては、農林省と協議中でございまして、農林省から具体的な資料を得次第、その輸送に必要としますトラックを優先的に確保するということ、そのためには燃料を特にそのトラック確保しなければなりません。その燃料確保等につきまして、運輸、通産、農林の間で目下話し合いを行なっておるわけでございます。こういうことによりまして、燃料を優先的に確保することにより生鮮食料品の輸送支障を生じないように考えております。  次に、鉄道輸送につきましては、生鮮食料品を主体とした急送品列車等を中心に年末年始用の生活必需物資の輸送確保することを重点といたしまして、まず生活必需物資並びに関連物資の重点輸送というのを実施しております。  第二に、一部輸送余力のありますフレートライナーを活用いたしまして、たとえば、特に東北発首都圏、九州発首都圏といったようなところには若干コンテナの空車がございますので、これの利用転換を荷主に働きかけるということをいたしております。  第三は、不急の貨物について、輸送力の余力のございます一月以降にできるだけ繰り延べていただきたいということで、出荷団体に協力を国鉄のほうから要請いたしております。  第四には、通運荷役体制の整備があわせて必要でございますので、これにつきましては土曜、日曜の出荷をぜひ荷主にしていただきたい、それから引き取りも土曜、日曜にやっていただけませんかということを協力要請しておるわけでございます。  なお、通運に必要な燃料確保については、十分通産省と打ち合わせておりますが、現在のところほぼ満足すべき状態になっております。
  60. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいまの審議官お話を聞いておりますと、まあ事務的には手を打ってあるからだいじょうぶだ、こういうふうに聞き取れるわけでありますけれども、行政の一つのそういう段取りと国民生活の実態というものが間々そごを来たす場合が多いわけであります。そういう点で私は、この問題はただ運輸省サイドだけで解決できる問題じゃなしに、日本石油の総合的な配給の中から生まれる重要な問題だと思います。そういう意味で末端においては一〇〇%満足のできないような事態も起こり得るわけです。また起こっております。これに対して、その苦情をどういうふうに処理するかということが非常に重要だと思うわけであります。苦情処理といった問題について、今後強力な行政体制をしいてもらわなければならないと思いますが、これについての決意をひとつ聞いておきたいと思います。
  61. 原田昇左右

    ○原田政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、こういう事態に際しましては苦情を処理することは非常に重要であります。われわれとしましては地方の陸海運局に苦情処理の窓口を設けまして、そういう苦情が発生した場合にはそれに十分的確な相談にのり、また指示を与え、また通産局と折衝するなり本省に連絡するなりするように、各地方に石油対策本部を陸海運局ごとにつくりまして、苦情処理あるいは実態の把握につとめておる次第でございます。
  62. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 それでは次に、これもやはり庶民の足ということでハイヤータクシー業界や、あるいは国民がこれを利用する上においていま非常に大きな混乱を来たしております。  そこで、LPガス不足をめぐりまして、最近自殺者が出たというようなことが新聞に報ぜられたり、またそういうことで非常に大きな不安を呼んでおりますが、これの混乱を避けるためには、結局、個人タクシーとか、あるいは法人タクシーとかいろいろありますけれども、切符制ということが最終的にはとられなければこの混乱はおさまらない、こういうふうに私は考えるのですが、そういうことに対する準備をしておられるか、あるいはそういう考えを持っておられるか、これについてお伺いいたしたいと思います。
  63. 中村大造

    中村(大)政府委員 先生指摘のように、油不足の中でも一番LPガス不足が最近の深刻な問題になったわけでございます。そういうことで、最近個人タクシーの方が自殺をされるという痛ましい事件が起きましたことにつきましては、行政の一端をになっております私どもといたしましても責任を痛感いたしておるわけであります。  ところで、LPガスにつきましては、実は家庭用に半分以上が使われておるということでございまして、その他どの部分をとりましても非常に削減しにくい状況にあるわけでございまして、その中で全体の約二二%を占めるハイタク用のLPガスをどのようにして確保するかということで、通産省ともひとつ折衝を続けてきたわけでございます。そして、われわれといたしましては、一月から三月までについてある程度の基本的な見通しを立てたいと思っておるわけでございますけれども、とにかくこの年末を控えまして、十二月のLPガス供給確保しなければいかぬということで、この十四日に十二月分といたしまして十一万五千トン、これは十一月の実績の約一割減ということでございますけれども、そういう数量を確保いたしまして、それをいま先生は切符制とおっしゃいましたけれども、現在の段階では民間のそれぞれの事業者が自発的にそれの配分方法についていろいろ研究を重ねまして、また役所といたしましても、それの算定の基礎になりますいろいろな実績データは私どもから提供し、またいろいろ考え方等につきましてもわれわれの考え方も示しまして、そうして両方協力いたしまして一つの配分制というものを十四日から実施に移すというスタートを踏み出したわけでございます。  したがいまして、全国的に個人、法人を通じまして、四十七年度の使用実績というものを基礎にいたしまして、十一万五千トンをできる限り公平に配分する、そして、具体的にそれを購入いたします場合には、個々スタンドにあらかじめ登録をいたしまして、そこで必要量を購入できる、こういうふうに、目下通産省の協力を得まして処理を進めておる次第でございますので、近いうちにそれが軌道に乗る、こういうふうに確信いたしておるわけでございます。
  64. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 ただいまの局長の御答弁を聞いておりますと、どこか遠い国のことかあるいはずっと先の話のような気がするわけであります。現実の問題としてもうすでにタクシー業者が皆さん方のところにも陳情にたくさん行ったということも聞いておりますが、もう足元に火がついておる、こういう状態のときに、まあ自主的に何とかというようなそういうなまぬるいことで私はこの混乱を切り抜けられるとは思いません。ただいまの答弁、私は非常に残念に思います。  すでにもう深夜の乗車拒否とか遠距離返上というような問題、そして自主運賃、これはやみ運賃です。これはもうそういう形で乗車が行なわれておるこの現実に、免許行政をしいておる運輸当局が、まあ何とかそのうちに通産省と話をして何とかやってやるわいというようなことではおさまらないと思います。むしろ私はこの際、タクシーというものの位置づけ、こういうものをはっきりすべきだと思います。中学生でも高校生でもお金を出せば乗れる、げたみたいなものです。この、げたみたいなものだという考え方をこの際改めて、やはりこれは緊急な場合あるいは特殊な場合に乗る乗りものである。大切な油を分け合っていかなければならない時代を迎えて、いまなおいままでの惰性でタクシーというものを考えていくということは、私は間違いだと思います。むしろタクシーをやっておる、個人タクシーにしても企業にいたしましても、たとえ台数が多少減っても、あるいは油の配給が少なくなっても、そこに需要と供給というものをある程度加味した運賃制度というものを取り入れた行政をしいてほしいということを期待しておるのではないか、こう思うわけであります。これについて、ひとつ抜本的なタクシーの位置づけというものを、国民のどういう足であるか、こういうことを考える時期が来たんじゃないかと思いますが、これについてのお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  65. 中村大造

    中村(大)政府委員 まず、油の割り当てにつきまして業界が自主的にという御説明を申し上げましたけれども、これはいわゆる業者がかってかってにやるという趣旨では決してございませんで、要するに十一万五千トンというLPガスを、全国の法人、個人の全タクシーにどのようにして公平に現在の段階で分けるかということで、その分ける方法につきまして、業界の自主的な検討と私どものデータとを突き合わせ、そして私どももこれに対して指導をいたしまして、そしていわば先生おっしゃいましたような切符制といいますか、要するに一人一人が買い得る油の量というものは一応きまるわけでございますから、そういう意味では配給制というものに近いのではないかということを、この月から実施しようとしておるわけでございますので、ほんとうにこれはもう緊急措置としてやることにしておるわけでございます。  それから、そうなりますと一月以降、油の供給量がどうなるかという関係もございますけれども、確かに先生おっしゃいましたように、タクシーというものの位置づけというものを、今度の燃料問題を契機にして今度いろいろ考えなければならないということはございますと思いますが、さしあたりは現在の段階で少しでも多くの油を確保して、それを公平に分ける、こういうことに専心いたしたいと思っておる次第でございまして、先生おっしゃいましたようなタクシーの位置づけというものは、それと並行して私ども真剣に検討してまいりたいと思います。
  66. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 本日の衆議院の本会議石油関連の二法案が通過すると思いますけれども、これはもしかすると統制経済へ入っていく第一歩になるかもしれない、こういう時代を迎えておるわけであります。  その中で、大臣にお伺いをいたしたいのは、運輸省の所管のいろいろの交通機関があります。国鉄、民鉄、タクシーバストラック航空、いろんなものがありますけれども、たとえば国鉄に対して民鉄というのは民営であります。これは現在の資本主義経済あるいは市場主義経済というものを中心にして運営をされておるわけでありますが、また航空の問題にいたしましても、すべてそういう中で、市場経済の中で需要供給から価格が生まれたという時代から統制の時代へ入れば、一方的に価格をきめるということになるわけであります。そういう点で、たとえばきょうの新聞に出ておりますように、国鉄は繰り延べるけれども、民鉄の場合はどうなるんだろうというような問題が出てまいります。そういう点で、やはり民間企業というものと公共企業というもの、それから公共性というもの、これらの関連の中において総合交通体系というものがやはりもう一ぺん見直される時代が来たと思います。  先般の国会の中で総合交通体系という問題が非常に各党から大きな関心をもって大臣に質問を集中しておりましたけれども、新大臣も、今後は新しい時代に立っての総合交通体系、こういうものについてひとつ特別の角度から御考慮を願いたいと考えておるのでありますが、これについての所見をお伺いいたしたいと思います。
  67. 徳永正利

    徳永国務大臣 こういう緊急な石油事態を迎えまして、御説のように総合交通体系というものを一ぺん見直す時期に来ておるんじゃないかという御説は私にはよくわかります。いままではいろんな面で、特に貨物等におきましては自動車に依存しておった面が非常に大きいわけでございますが、こうしたエネルギーの逼迫した時代になりましたから、省エネルギーの機関にこれを移していがなければならぬというようなことは当然のことだと思います。したがいまして、この点については、いま直ちにここで、この危機がどういう形で定着するかということも一つの問題でございますけれども、なおそれらの問題については十分検討してまいりたいと思います。  それから、公共性を持っておる私企業の機関、いろいろ私鉄でございますとか、あるいはまたバスでございますとか、タクシーでございますとかございますが、これらの問題は、ただ押えるというだけでは、経営の面から安全の態度がくずれるということになってはたいへんでございます。ここに非常な問題を提起しておるわけでございます。  料金問題につきましては、いま慎重な態度で臨んでおりますが、私といたしましては、それらの問題については、十分背景を明確にしてこれにこたえてまいらなければならぬと思っております。
  68. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 これは通常の状態におきましても、交通というものは非常に重要な問題でありますけれども、特にこういう非常に石油危機といいましょうか、こういう状態の中での交通の施策というものが、国民に非常に大きな混乱を生んだり、あるいは時と場合によってはある程度のがまんなり覚悟というものを植えつけることにもなると思います。そういう点で、交通行政のあり方というものは、非常に国政の中に大きなウエートを占めてきたと思います。  したがいまして、たとえば諸外国でマイカーの禁止をしておるのに、なぜ日本でやらないのであろうかという疑問をむしろみんなが持っておるような時代、これは大臣は非常に強い決意を持っておるということを言っておられますが、こういう問題も、やるかやらないか、こういうことが国民の中における非常な緊張感を生むか生まないかという問題にも通じると思いますし、また、交通暴動が起こるのじゃないかというような流言飛語が飛ぶような時代でありまして、一歩間違いますと、交通暴動ということにもなりかねないわけで、そういう形の中でひとつ大臣におかれましては、慎重にしかも大胆にこの交通行政をうまく切り抜けていただきたいと思います。特にマイカーの問題についてどういうふうにお考えであるか、最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 徳永正利

    徳永国務大臣 マイカーにつきましては、御承知のようにガソリンの全消費量の五三%をマイカーが使って走っておる状況でございます。したがいまして、これの自粛、規制というものは非常に大きな影響を及ぼすと思います。いろんな油の関係LPガスとかその関連の操作の問題もございましょうけれども、私といたしましては、運輸省としていろいろ議論があるわけでございますけれども、政府全体として、ただ自粛を呼びかけるだけではなくて、また関連業者にどうこうしたとか、そういうような団体にどういうふうな通知を出したとかいうふうなことではなくて、もう少しきびしいマイカー規制に対する態度をとるべきであるということで、かねがね閣内においても進言をいたしておりまして、総務長官の手元でいま一案をつくって、さしあたりどうするか、また、石油二法が通過した暁にその範囲内でどういうことができるのか、ということを検討していただいております。近く私は、なるだけ早い時期に、勇気をもってこの問題についてもひとつ政府としては態度を明確にすべきだ、かように考えておる次第でございます。
  70. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 終わります。(拍手
  71. 三池信

    三池委員長 児玉末男君。
  72. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大蔵当局が見えていないようでございますので、早急にひとつ手配を願います。  まず最初にお伺いしたいのは、運輸大臣にお伺いしたいのですが、けさの新聞によりますと、政府の今年度の予算編成にあたって、いわゆる総需要の抑制と物価安定を主眼として編成するという中で、特に先般の国会で決定しました国鉄運賃の値上げ等をはじめ、消費者米価など、三月三十一日の実施を六カ月延期するという報道が載っておるわけでございますが、この真意はどうなのか、まずお伺いしたいと思います。
  73. 徳永正利

    徳永国務大臣 昨日、政府・与党間で来年度の予算の編成の大綱についていろいろその下打ち合わせがなされたのでございますが、その中で、いま御指摘国鉄運賃、これはもう法律できまった問題でございますけれども、これをさらに六カ月、この物価高の今日、押えていきたい、そういうような方針でひとつ検討しようじゃないか——これには法律的な手続もいろいろございますし、いろいろな作業が要ると思いますけれども、そういう方針で直ちに検討に入ろうということで方針をきめた、こういうふうに承っております。
  74. 兒玉末男

    ○兒玉委員 われわれは、この国鉄再建法並びに運賃値上げ法の審議にあっても、国民生活影響が大きいので、これはもう白紙に返すべきだ、再検討すべきだと強く要求してきたにもかかわらず、二回にわたる再延長でこれはゴリ押しに通っておる、こういう経過を踏まえて考えますならば、たとえ短期間でもこれを凍結することはけっこうでございますが、これを半年、六カ月という期間に限定してきめたのは一体どういう根拠なのか、お伺いしたい。
  75. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、この会議に参画しておりませんからその間の経緯はよくつまびらかにいたしておりませんけれども、短期にひとつ物価問題を処理しようという決意のもとにやったことであると思います。
  76. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣の所管の国鉄の運賃に関して、直接このような重要な会議に参画もしない、その真相を十分に把握しない、それは私はきわめて不見識だと思うわけですよ。であるならば当然この財政的な問題が起きてくるわけでございます。大蔵省、まだ来ていないでしょうか。いわゆる再建計画そのものに重大なそごを来たすものではないかと私は思う。とするならば、財政的な一時の手当てでこれをやっていくのか、これにしても法律改正が必要であります。さもなくば十カ年計画の根本的な改革をするのか、この二者のいずれを今後とろうと考えておるのか、きわめて重大な問題でございますので、基本的な点についてひとつ見解を承りたいと思います。
  77. 徳永正利

    徳永国務大臣 再建計画につきましては、長期的な展望に立った施策でございまして、このたびの、一応方針とはいえ検討するという問題につきましては、この再建計画を手直しするということで考えられたことではないと思います。
  78. 兒玉末男

    ○兒玉委員 新聞の報道なり先ほどの質問でも明らかなとおりに、六カ月間のいわゆる延期となりますと、財源の面において収入減が約一千億といわれておるわけでございますが、これはこの間における国鉄経営についても私は重大な影響を与えると思うのですが、それはどういうふうに受けとめておられるのか、国鉄当局並びに運輸大臣の見解を承りたい。
  79. 徳永正利

    徳永国務大臣 今後の予算編成を通じまして、法律の改正等も含め、この財政の手当てを満足なものにつくり上げていかなければならないと思っております。先ほども申し上げましたように、ただ単に六カ月の暫定期間を凍結するというふうに受け取っておりますから、まあこれが最終的な決定になるかどうかということは、いまここでどうこうというわけにはまいりませんけれども、たぶんそういう方向に進むのではないかということに立って、その手当てを予算編成の間に進めていきたいと思っております。
  80. 藤井松太郎

    藤井説明員 半年間の延期によりまして、御指摘のように千億の穴があくのでございますが、これはあらゆる処置を講じていただいて穴埋めをしていただかぬと、再建計画にひびが入るということは明らかなことでございまして、運輸当局並びに政府にお願いして、何らかの財政措置で埋めていただきたい、かように思います。
  81. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただし、総裁のそういう通り一ぺんのことでは、なかなか事はさよう簡単に片づかない。とするならば、財政的な措置としては、一体運輸省としては国鉄に対して具体的にどういうふうな形で財政措置をしようと考えておるのか、その辺が明らかでないと、これはきわめて問題が重大でありますので、その点ひとつ明確にお答えいただきたい。
  82. 秋富公正

    秋富政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今回の補正予算におきましていろいろと御審議いただきました助成の方法、これを十分踏まえて財政当局とさらに詰めてまいりたいと考えております。
  83. 兒玉末男

    ○兒玉委員 鉄監局長の御答弁でございますけれども、これは少なくとも一般財源からの完全な補てんという形でなければ、単なる財政融資というような形では、それに対する利子、こういう点等で現在でも相当の借金をかかえていることでございますから、その辺の見通し対策については、局長、どういうふうな形をとるように対処しようとするのか、明らかにしていただきたい。
  84. 秋富公正

    秋富政府委員 今回御審議いただきました補正予算におきましては、国会におきまして成立いたしました運賃法、三月三十一日になりましたけれども、約千八百五十億の収入減になるのでございまして、これは全部借り入れ金でこれを埋める。それの利子につきましては、特別利子補給金という制度を新しくつくりまして、これを再建期間十カ年間、この利子を全額一般会計から補てんするということをいたしたわけでございます。と同時に、一般会計の出資を増額いたしますことによりまして、それの利子効果ということをもちまして収入の不足を補うという措置を今回の補正予算におきましてはとった次第でございます。こういった方式を踏まえまして、さらに新しい事態に対しまして財政当局とさっそく協議に入っている段階でございます。
  85. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この問題、もう少しやりたいわけですが、時間がありませんが、国鉄当局としては、ただいまの鉄監局長の主張されておるような措置についてどういうふうな見解をお持ちかお伺いしたい。
  86. 藤井松太郎

    藤井説明員 国鉄総裁の立場を端的に申しますと、補給金とかなんとかいうことでいただくことが一番望ましいのでございますが、いろいろ財政上の御都合もあって、利子を補給していただいて借り入れになるということも、結論的にはそれで再建計画がこわれるというわけではございませんので、さよう考えておりますが、できるだけそういうことでなくて補給していただきたい、かように考えます。
  87. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸大臣、いま総裁の主張される点を十分ひとつ配慮して今後の予算編成に当たってもらいたいということを強く要望いたします。  大蔵省の主計官お見えになったようでございますが、いま運輸省並びに国鉄当局といろいろ意見の交換をしたわけでございますが、予算編成の衝に当たる大蔵省としては、どういうふうな措置で対処しようというのか、この際見解をお聞きしたい。
  88. 宮本保孝

    ○宮本説明員 ただいまちょっとおそくなりまして申しわけありません。  実は今回の措置につきましては、急なお話でございまして、財政当局といたしましても慎重に検討いたしておりますけれども、この点につきましては、関係の各方面と折衝いたしまして今後検討を進めてまいりたい、こう思っております。
  89. 兒玉末男

    ○兒玉委員 主計官の立場では何も正確なことは言えないでしょうし、今後の努力目標として、先ほど総裁、運輸大臣等の見解を十分配慮してひとつ努力していただきたい。  次に、輸送関係でございますけれども、御承知のように燃料不足によるいろいろな輸送関係で、年末を控えて特に生鮮食料品等の輸送が逼迫している。新聞の報道等によりますと、たとえば特に年末に必要である北海道等の農産物の中でタマネギあるいはバレイショ、それに正月用に家庭で非常に必要であるビート糖の砂糖、こういうもの等がかなりの、バレイショが三万トン、それからタマネギ二万五千トン、それからビート糖関係が約一万九千トン、こういうふうな滞貨の状況で、本土の主要都市に非常に重大な問題を提起しているやに聞いているわけですが、これの、特に関連物資の輸送対策について、まず国鉄当局の対策についてお伺いしたい。
  90. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答え申し上げます。  全国的な緊急物資の輸送と十二月分の計画を申し上げますと、緊急物資の輸送というのはどういうことかといいますと、御承知のとおり、米、生鮮食料品、それから石油、油、食料加工品、こういったものでございますが、十二月で大体私ども輸送の要請がありますものが、二百六十三万トンぐらいございます。現実、ただいま十五日まで、ちょうど月の半分でございますが、いろいろな障害がございまして一〇%ばかりの送り不足でございますが、ほほ順調にいっております。ただし御指摘の北海道につきましては、まことに遺憾なことでございますけれども、ストがございましてその後遺症がまだいえておりません。したがいまして、北海道につきましては多少輸送計画がダウンいたしております。ただし、滞貨というふうな御指摘は、国鉄に要請をされたものに対するのみの計画に対してのパーセンテージが六〇%程度ということでございまして、特に先生指摘の砂糖はやはり五〇%程度輸送、しかし逐次輸送を回復してまいりたいと存じております。今年じゅうにはできるだけ現在の送り不足を、増送によりまして、あるいはまた一般の船との連絡運輸によりまして片づけてまいりたい、こういうふうに考えます。
  91. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸省当局にお伺いしたいんですが、国鉄のいまの説明では、予定の約六〇%程度を消化しているということでございますが、これは道内におけるトラック輸送等も非常に国鉄輸送と密接な関係があるわけですが、それに道内からいわゆる本土向けの陸上輸送あるいは九州方面からのミカン等の輸送も相当逼迫していると聞いているわけですが、これに対しては、国鉄並びに運輸省としては、予定されておるところの諸物資の大体どの程度を具体的に消化できるのか。これはあとで倉庫のほうにも聞きたいわけですけれども、先般の倉庫の状況では、特に大阪、関西、北九州、こういう地域におけるところのいわゆる先ほどの農林関係物資の在庫が非常に少ない、こういうふうな状況等も含めて、大体年末までに具体的に何%程度輸送が可能なのか、この点ひとつお伺いしたい。
  92. 原田昇左右

    ○原田政府委員 年末輸送については、御指摘のように非常に輸送が集中いたしますし、また一部で国鉄についてはストライキの後遺症が残っておる、また石油不足によって長距離トラックの運行がはかばかしくないという問題がございます。そこで私どもとしては、何とか生鮮食料品を含みます生活必需物資の輸送全力をあげることにいたしまして、トラック輸送については必要な燃料確保と、それから国鉄で必ずしもはけない部分についてはトラックの長距離輸送をやらせる必要がございますので、そういったトラックの利用するガソリンスタンドについての夜間、休日等の営業時間の確保、それから農林省に具体的な生鮮食料品等の品目、数量をお願いしまして、特に窮乏しているところ、あるいは滞貨のはなはだしいところ等について具体的な数量を取り寄せておるわけでございます。そこで、そういったものについてトラックを優先的に確保し、またガソリンスタンドの夜間営業、休日営業をやってもらうように通産省とも話を煮詰めておるという状況でございますので、具体的な数量等につきましては、今後その詰めの結果によって判明してまいるものと思っております。
  93. 中村大造

    中村(大)政府委員 生鮮食料品の輸送のうち特にトラックにつきましては、先ほど審議官から御説明いたしましたとおりでございますけれども、具体的な問題といたしまして私ども考えておりますのは、そういう緊急必要物資をどれだけどこからどこへ運ばなければならないかというその要請をわれわれとしては的確に受けまして、それを輸送業者に指示する必要があるのではないか。個々ばらばらに需要家から個々トラック業者に運べ、こういうふうになりましても、もうすでに引き受けている貨物をお断わりしてそれを運ぶということになりますと、トラック不足したりあるいは油の問題もございます。したがいまして、現在農林省、もちろん通産省とは油の確保の問題、それからガソリンスタンド問題等について打ち合わせをいたしておりますけれども、そういうふうな具体的な必要物資についてどのような方法で優先的に輸送するのが一番効率的であるか、そのために油の確保をどのようにするか、こういうことにつきまして農林省においてもいろいろ考え方があるわけでございますので、それを現在突き合わせまして、そして通産省とも強力に折衝して、年末年始の輸送に、少なくともトラックについては大きな支障がないように措置を講じたいというふうに思うわけでございます。
  94. 兒玉末男

    ○兒玉委員 農林省の方がお見えのようでございますが、特にこの食品流通関係について、現在どういうふうな形でこの年末年始のいわゆる供給体制と流通対策について具体的な計画を持っておられるか。事は非常に急でありますし、石油不足という重要、重大な問題が突発しまして、いま自動車局長も話があったが、そういう具体的な点についていま相談しているというわけですが、農林省としては特に主要な野菜類あるいは砂糖類、そういうような農産関係物資についてどういうふうな対策を持っているのか、お伺いしたい。
  95. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、北海道につきましてはやや特殊事情がございますが、全国的に生鮮食料品の輸送問題が非常に深刻化しております。その深刻さの程度は、東京、大阪のような大消費地につきましては曲がりなりにも荷が入ってまいりますが、地方の中小都市等に対する遠隔地からの輸送が非常に逼迫の度を加えております。私ども各地から情報をとりまして、現在の状況で判断いたしますに、遠隔の主要大産地におきましては、大体従来から定期的に契約しているトラック等もございますので、まずトラックの手配につきましては曲がりなりにも何とかなっているのではないか。問題は、産地を出発しまして途中の給油、それから帰りの給油、この点を押えれば何とか年末を乗り切れるのではないかと考えております。  そこで、私どもといたしましては、十二月下旬におきます物の流れが、どこの産地からどこの消費地に動くというのが大体数量がつかめておりますので、現在、米、これは自主流通米でございますが、野菜、果実、水産物、これらは主として市場に出るものでございますが、その他食肉、鶏卵、鶏肉、生乳につきまして、全体としての物の流れを全国地域別に把握いたしまして、そしてそれに必要な油の量を一応計算いたしまして、まあ日量二千キロリットルというような数字も出ておりますが、これらの輸送につきまして、途中で給油を確保していただければ何とかやれるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  現在、問題は物量的には押えられておるわけでございますが、先ほど運輸省のほうからお話もございましたように、具体的なトラック業者結びつき、それからさらに途中のガソリンスタンド、これもそれぞれいろいろな系列関係その他がございまして、これらを既存の流通経路にどういうふうに私どもの物の輸送面からはじきました数字を組み合わせていくかという点につきまして、運輸省通産省、さらに業界と鋭意検討中でございます。皆さん、年末における生鮮食料品輸送問題の重要性を十分御認識いただきまして、何とかしなければならぬということで連日連夜鋭意努力いたしまして、何とか早急にこれの体制を出発させたい、かように考えております。
  96. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は地域的の主要な、もう少し具体的な対策を聞きたいわけですが、無理かと思いますので、その点、農林省としては、そのような特に北海道の物資が東京都内等において相当な物価高を招いているという、こういう現状をひとつ具体的に把握して的確な対策をとってもらいたい。  次に、私は特に国鉄のほうにお聞きしたいわけでございます。北海道ばかりというわけではございませんが、とにかく国鉄のいわゆる全体的な年末年始のそういう必要物資の輸送対策について、現在主要都市向けの輸送状況は大体予定の計画のどういうふうな状況になっておるか、たとえば北九州あるいは大阪あるいは東京、そのような概況についてひとつお聞きをしたい。
  97. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、十二月の計画は二百六十三万トンでございまして、この輸送計画が十五日まで、つまり半分でございますが、半分で四一%でございます。したがいまして、九%程度——ほんとうは五〇%になるわけでございますが、九%程度が雪その他の輸送障害によりまして送り不足でございます。ただし生鮮食料品はこれは緊急な輸送でございますので、現在でも急送品列車を特に仕立てまして、フレートライナーを含みます十八本の急送品列車を、これは生鮮食料品を含みますが、そのほか石油輸送というのも年末には非常に需要も高うございますし緊急物資でございますので、これは全国で百五十三本、列車を走らせております。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる正月の季節用品プラス一般の生鮮食料品というものは、例年の月よりは一五%ばかり輸送が張りますが、これについては何とかいま申し上げましたような点で輸送体制を講じてまいりたいということでございます。  それから、御指摘の東京あるいは北九州方面の輸送概況はどうかという御質問でございますが、東京、大阪につきましては、特に入荷の点は、鉄道輸送にかかりますものにつきましては心配ないというふうに考えております。ただし先ほど来の御指摘のとおり、対北海道の輸送が六〇%ちょっと上回る、まあしいて申せば六六%ぐらいになりますが、これはもう少し時間を置きまして、スト後遺症というものはだんだんなおってまいっておりますので、善処してまいりたいと存じます。  北九州の輸送につきましては、おおむね順調に輸送が行なわれております。特に北九州と申しますか九州地区の鹿児島から東京へあるいは大阪への鮮魚、野菜列車、これは順調に動いておりまして、まずは九州地区から対関西、対東京の輸送心配ないものというふうに考えております。
  98. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは運輸省並びに国鉄に聞きますけれども、いま物資の問題を聞いたわけですが、特に年末年始の民族の移動というのがあるわけでございますけれども運輸省としては、特に自動車バスですが、これの対策は一体どうなのか。なお、全体的にはやはり燃料供給という点で、長距離客に対してのバスによる輸送というのはかなり不安なのじゃないか。それから、当然国鉄に傾斜してくるという傾向が強いのじゃないかと思うのですが、年末年始の特に旅客面の輸送対策、車の確保あるいは燃料確保等はどういうふうな対策をとっておるのか、お伺いしたいと思います。
  99. 中村大造

    中村(大)政府委員 年末年始の自動車輸送の中で、やはり一番問題になりますのはいわゆる帰省客の輸送であろうかと思います。それで、私どもといたしましては、これは貸し切りバスを使うわけでございますが、帰省客のためのバス輸送につきましては、まあ正直なところ、できる限り国鉄等でお帰りいただける方はそういう機関を使っていただきたいわけでございますけれども、しかしどうしてもバスでなければならない帰省客もございます。また過去の実績もあるわけでございますので、その実績も踏まえまして、帰省バスについては、車両の確保とそれから油の確保については、これはもうできる限りの措置を講ずるということで、これは石油業界といたしましても、帰省バス用の油は優先的に考えますというようなことを言っておりますので、これについて大きな支障を来たすことはまずあるまいというふうに考えております。
  100. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 ただいま運輸省からも御答弁ございましたように、帰省バスの申請は昨年よりもちょっと多い申請だそうでございますけれども、先ほどのお話のとおり、帰省バスはできる限り確保していただくということにいたしますと、その面から国鉄へのはね返りというのはまずは考えられないのじゃなかろうか。ただしマイカーからの一部転換ということは考えられますが、例年以上に座席数をふやしてございまして、輸送力的には心配ないというふうに考えておりますが、ただお客さまの列車選好度合いというものが夜間に集中いたします。したがいまして、今週から昼間のすいた臨時列車を御利用いただくようにキャンペーンと申しますか、御案内したい、こういうふうに考えておりまして、要するに、二十九日、三十日が一番ピークになりますが、なるべく前広に平準化をして利用していただく、こういう計画で進めておりますので、まずはだいじょうぶではなかろうか、こういうふうに考えております。
  101. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これも毎年の年中行事みたいですけれども、まあ東京駅なり各周辺駅に行きますと、とにかく徹宵で、ござを敷いたり、新聞敷いたりやって、同じことを繰り返しておるわけです。このような長距離客等の座席確保について、もう少し改善の余地がありはしないかということは、私も地方出身議員として常に考えているわけですが、十年一日のごとし、ほとんど進歩が見られないというわけです。これについては一体どういうふうな今後の改善策を考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  102. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 根本的には、やはり輸送力が絶対的に不足しておる。年末特にピークには不足しているということと、それから年末の帰省客のほかに、スキー客というレジャーのお客さまが重なるという事情が、年末のあの大混乱になるわけでございます。これはいま駅で徹夜をするという態勢をしいるのは非常に心苦しいわけでございますので、着席券という、いわゆる予約みたいな着席の確保できる措置をとりまして、おいでになりましたら、着席券をお配りして、それで当日、列車の発車までにおいでいただくというかっこうにしておりますので、一般的には徹夜で列車が出るまでそこで待っておられるという態勢は、徐々にではございますけれども、解決をしてまいっております。しかし、先ほど申しましたように、絶対的に輸送力というものが二十九日、三十日のピークには、これはやはり限られておりますので、どうしてもピークのときには先生指摘のような状況も出てまいるということでございます。これの根本的な解決には少々時間がかかるのじゃないかというふうに考えております。
  103. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸省のほうにお伺いしたいわけですが、いろいろ話が交錯しますけれども、特に運輸省の御説明によりますと、これからの年末輸送関係に備えて、常に運用できる約千三百台程度トラックを配置して輸送に対応したい、こういうようなことを言っておられるわけでございますが、きのうの新聞でございますか、たとえば築地の市場等に来る長距離トラック等が、いわゆる帰りの燃料補給が夕方六時ごろから翌朝の七時ごろまで補給してくれない。そのために非常に待ち時間が長いために、非常な不便になる、こういう具体的な件が指摘をされておるわけでございますが、運輸省考えておる千三百台のトラックのいわゆる緊急な輸送対策というものは、問題となる燃料補給ですね、こういうような関係は通産当局とどういうふうな体制をとっておられるのか、この際ひとつお伺いしたいと思います。
  104. 中村大造

    中村(大)政府委員 千三百両といいますのは、実は緊急にどうしても必要物資を運ばなければならないというときに、運輸省といたしまして、たとえば実施官庁からいつどこからこういう物資をどこへ運んでほしいというふうな要請がございましたときに、いますぐとにかく出し得る両数というのはどの程度かということを調査いたしまして、そして一応千三百両程度のものはそれに向けられるということで用意しているわけでございまして、これは別にその車をからにして待機しているというわけではございません。これは日常満ぱいで走っているわけでございます。  いずれにいたしましても、先生指摘のように、そういう車を確保いたしました場合でも、それが長距離トラックである場合に、帰りに給油できないというスタンドの問題があるわけでございます。これは先ほどからも申し上げておりますように、日曜あるいは夜間にガソリンスタンドが閉鎖するところが多いわけでございますが、そのうちで、全部というわけにいきませんので、極力数をしぼりまして、そういうものについては休日等についても給油のできるような体制にしてもらいたいということで、これを通産省を通じまして業界ともいろいろ折衝をいたしておるわけでございます。これはいまだどことどこ、あるいはどういうふうにしてという、そこまで詰まり切っておりませんけれども、鋭意通産省と交渉をいたしておるということでございます。
  105. 兒玉末男

    ○兒玉委員 あと二、三点お伺いしたいわけです。特にそのようなトラック輸送に対する燃料供給関係について運輸省にお伺いしますけれども、この前の新聞報道によりますと、十七日からいわゆる法人タクシー、個人タクシーを対象に、LPガス供給体制を実施するということが報道されておりますが、これはどうなっているのか。同時にまた、先般、今月九日、東京都内において百五トン程度LPガスの緊急放出がなされたけれども、実際それが末端のスタンドの配給段階におきますと、特定の、特に法人関係に重点的な、片寄った配分がなされておる、こういうことが新聞でも指摘をされ、特に個人タクシー関係状況においては、現在五千台近くが供給を受けられないで非常に困惑している。加えまして、すでにこの一週間前後に二人の自殺者が出るなど、もちろんこのことだけが要因ではないにいたしましても、非常にガスの供給に対しての先行き不安といいますか、生活に対する自信と不安というものが錯綜しているわけでございますが、これからのこういうガスの供給体制について、通産省とどういうふうな具体的対策をとっておるのか。また、きのうから実施予定の全国的な配分状況はどういうふうになっているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  106. 中村大造

    中村(大)政府委員 タクシーLPガスの配分計画の経緯につきまして簡単に御説明を申し上げますと、十一月の終わりごろから三割カット、あるいは値段の倍近い値上がり、こういう通告がございまして、十二月からそういう事態になってきたわけでございます。それで私どもは、非常に事態が重大であるというふうに感じまして、通産省LPガス確保についていろいろ折衝をいたしてきたわけでございますが、ちょうど八日、先々週の土曜日でございますけれども先生指摘になりましたような、いわゆるLPガスの緊急放出ということが行なわれたわけで、このとき確かに東京で十五カ所のスタンドと聞いておりますけれども、そこにしPガス供給されまして、そこでその配分といいますか、実際に油をタクシー供給する段階でいろいろトラブルが起こったということをわれわれ承知いたしておるわけでございます。  私どもはそういう緊急——もちろん緊急でございますけれども、とにかく十二月から三月までのある程度見通しを立てまして、そして恒久的な配分をしなければいかぬというふうに考えておったわけでございまして、ちょうどその八日の緊急配分の行なわれました日に、通産省との間で十二月分として十一万五千トンのLPガス確保しよう、こういう話し合いがついたわけでございます。したがいまして、そうなりますと、われわれといたしましてはその十一万五千トンをできる限り早く公平に末端まで配分する、こういうことが最も緊要であるというふうに考えまして、それの配分方法について鋭意通産省とも折衝しながら検討を進めてまいりまして、去る十四日にそれの配分方法がきまったわけでございます。  このきめ方は、もちろん運輸省がいろいろの基本的な考え方等について指導いたし、またわれわれがつかんでおりますいろいろなデータを提示いたしまして、それをもとにして個人、法人の業界におきまして自主的にそれの配分方法について検討をして、そして十四日に結論が出た、こういうことでございます。したがいまして、その十四日に結論が出た段階で、翌週といいますか、きのうからでございますけれども、十七日ごろから具体的な配給が軌道に乗りますように、われわれはわれわれの業界指導する。通産省のほうはそれぞれの業界指導していただくということにやってきておるわけでございます。  それで、まだ昨日段階におきましては具体的なその配分が全般的に実施に移されたというところまでは至っておりませんけれども、現在まず一番基礎になります各都道府県内の各車両の配分量をきめますことと、それからそのきめられたものをスタンドで買うためにスタンドに登録をする、こういう事務をいま鋭意やっておる段階でございまして、もう日ならずしてそれが完了いたすと思いますので、先生おっしゃいましたようなスムーズな、量は全体として十一月の一〇%減ということでございますけれども、少なくとも、だれが多くてだれが少ないということじゃなくて、公平に分配がされるということはもう近く実現するだろうというふうに考えておるわけでございます。
  107. 兒玉末男

    ○兒玉委員 では最後に、運輸大臣にひとつ要望とお伺いをいたしますが、いま局長のほうからこまごまと説明があったわけですけれども、私は、最近の新聞を見ますと、特に油に関しては弱い者がいじめられて強い者が得をする、こういう傾向が非常に強いわけですね。ですから、きのううちの仲間の話によりますと、たとえば登録するにしても一万円ないし五万円の保証金を積まなければだめだ、こういう露骨な、非常に悪質な業者もいるように聞いているわけです。特に経営規模の小さい個人タクシー等の場合は、どうしてもそういうふうな財政的な面からの一つの負担ということが——われわれが言うように、いま局長も言ったように、これは減量することはやむを得ないにしても、やはり公平、適正な分配について、特に運輸省の姿勢というものは私はまだ弱いように思いますので、この際通産当局に対しては、特に運輸行政をあずかる最高の責任者としてこまかい配慮と公平なる供給体制というものが、すみやかに末端まで、そして国民各層が見てもなるほど運輸省の指示は的確である、こういうことが十分国民各層に理解されるように、ひとつ積極的な努力を強く要望して、大臣の見解を承りたい。
  108. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまLPガスのことにつきましていろいろお話がございました。私も全く同感でございまして、これが弱い者にしわ寄せがくるということが絶対あってはいかぬと思います。この点については強く指示いたしておりますと同時に、今後もそういうような事態に対しましては的確な対策を立てていきたいと思いますし、通産当局に対しましても、また石油連盟あるいはスタンド等に対しましても、私どもの手が及ぶ限りの努力をしてまいる決心でございます。
  109. 兒玉末男

    ○兒玉委員 終わります。
  110. 三池信

    三池委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十八分開議
  111. 三池信

    三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、小此木委員の質疑に対し、航空局長から発言を求められておりますので、これを許します。寺井航空局長
  112. 寺井久美

    ○寺井政府委員 けさほど小此木先生より御質問のございましたローマ空港のテロ事件につきまして、現在まで外務省に入りました情報を総合いたしまして御報告さしていただきます。  十七日の十二時五十分現地時間、東京時間の午後八時五十分ごろ、ローマ空港ターミナルにおきまして機内持ち込み手荷物検査をいたしておりましたところ、銃を持っている男が発見され、突然発砲いたしました。近くにとまっておりましたパンアメリカンのボーイング707機に乗り込みまして、爆破を行ないました。犯人の数は不明でございますが、この犯人は続いて近くに駐機いたしておりましたルフトハンザのボーイング707機に乗り込みまして空港を飛び立った。この飛行機は十六時五十分現地時間にアテネに到着いたしておりまして、アテネにおきまして、去る七月のアテネ空港襲撃事件の犯人二名の釈放を要求中でございまして、目下のところ、ギリシア政府と交渉中であるということでございます。  それから第二点で、死傷者につきましてでございますが、イタリア国防警察空港司令部の発表によりますと、死者が三十名、このうち二名は飛行機の外で死んでおりました。二十八名が機内でございますが、死体の状況は非常に悪くて、その九〇%程度は識別が困難であるという発表をいたしております。  この被害者の中に日本人が含まれておったかどうかという点につきましては、爆破されたパンアメリカンの707には日本人が約四十名乗って到着いたしたのでございますが、すべてローマで日本航空に乗りかえるためにおりておりまして、この四十名については全く関係がございません。  なお、乗客名簿によりますと野口という方が乗っておられました。この方は無事に飛行機から脱出したということが確認されております。そのほか、日本人らしき名前の者が二名おりますが、これは日本人であるかどうかという点について確認を急いでおりますけれども、負傷者で病院に収容されました者の中にも日本人はおらないし、爆破された航空機の中にもたぶんおらないであろうということでございますが、目下ローマ大使館で確認を急いでおります。  なお、この爆破されましたパンアメリカン機の比較的近く、三百メートルほどといわれておりますが、に駐機いたしておりました日本航空の南回り線は、六時間おくれましてローマを出発いたしております。  簡単でございますが、以上でございます。     —————————————
  113. 三池信

    三池委員長 質疑を続行いたします。久保三郎君。
  114. 久保三郎

    ○久保(三)委員 けさからの質問で、たくさんの方がいろいろお尋ねしておりますが、私の質問も、その点、重複する点があるかもしれませんが、あらかじめ御了承いただいて、限られた時間ですから、なるべく簡潔にしたいと思いますが、一つは、歯切れの悪い答弁ばかりなんで、この事態に来て、やはり答弁はきちんとしていただきたいように思うことが二つあります。  一つは、けさの新聞というか、きのう政府並びに与党の間できめられた、公共料金の目玉といわれるような国鉄の運賃あるいは米価の値上げを半年間据え置く、こういう方針に大体政府・与党の大綱としてはさまったように報道されているわけでありまして、われわれもこれは当然しかるべきだと考えているわけなんです。半年がいいかどうかは別にして、いまや天井知らずといってもいいほどの物価値上がりのさなかでありますから、何といってもやはり政府の姿勢を正すことが一つだと思うのです。先般の、古い話というかありふれた話でありますが、トイレットペーパー一つとりましても、これは政府の姿勢に対しての不信感があるから来たんだろうというふうに一つは思うわけであります。これに便乗して、物を持っている者が、いわゆる品不足という口実のもとに値上げをしていくということがずっと続いているわけです。いまは油がそうですね。われわれが知る範囲では、なるほど産油国からの輸出というか、輸入は、いままでよりは押えられていることは事実であります。しかし、われわれが考えてみるのに、現実に町で、あるいはスタンドで押えられているほどのものでないというふうに思うわけですね。そこに国民の不安というか不平がたくさんあるわけなんです。これを、もちろんきょうの本会議で可決されるだろうと思うのでありますが、二つの法律で何とかしょうということでありますが、私は法律が出ても必ずしもうまくいくとは考えておらないのであります。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 たいへんこれは不見識な話かもしれませんが、事実そうだと思うのです。むしろいま問題なのは、田中内閣の政治姿勢をきちんと正すのが私は一番だと思うのです。それは単に口頭禅であってはならないので、訓辞ではだめなんです。列島改造論からひっくるめてずっと来て、そういうことばのあやあるいは数字のマジック、そういうもので国民はもう信用しなくなってきた。だから具体的に、いつ、どんなことを何をやるか、だれのためにやるかということが私は大事だと思うのです。そういう意味で、きのうの政府・与党間の首脳部の会談で方針がきめられたということだと思うのでありますが、私はやはり隗より始めよですから、そういうことを言い出したらやはりやることが当然だと思うのです。もちろん、いままでの運輸大臣というか、運輸行政は、企業擁護のために一つはあったわけですね。だから免許可というか、そういうものが中心だったのです。いまやまさにそうでなくて、これを利用する国民のために運輸行政というのはあるはずだと思うのです。  それから、ことばをかえていえば、生活というのは衣食住の三つが生活だといままでよくいわれておりましたが、三つでは生活は成り立たないことは御案内のとおりであります。衣食住のほかに交通、運輸、そういうものが連ならなければ人間は生活ができないことはもう常識になっているわけなんですね。午前中のやりとりを聞いておりますと、油一つとりましても、何か控え目に控え目にということで、国民の生活を守るためにはという気魄に欠けているように私は思えてならない。  だから、そういう点を前提にしてこれからお尋ねするわけでありますが、国鉄の運賃は、やはりここまで来ては、一たん口から出したらやめるべきだと思う。いろいろ事情はあるでしょう。これはたいへんだと思う。あるいは米価にしてもそのとおりだと思う。しかしながら、あれを見て、ああ政府もやる気だなというふうに感じたのは、これは一億国民だれもそう思っていると思うのです。ところが、きょうのこの委員会での御答弁を聞いていると、これはまだそれほどじゃないなという感じで、かえって不信感が増すのではなかろうかと思うのであります。  そこで、運輸大臣にお尋ねしますが、自余の処置についてはまた別として、きのうあなたはお加わりにならなかったそうでありますが、これは全然連絡のないはずはないでしょう。全然連絡がないとするならば、いわゆる国務大臣としての存在も私は疑われると思うのですね。もしもそういうことがあなたが知らないうちにきめられて、けさの新聞や昨夜のテレビであなたが御存じであったならば、進んでそれはしかるべきところに問い合わせするなり談判をすべき筋合いのものだと私は思うのであります。  ところが、どうもけさからの御答弁を聞いていると、新しくなられた大臣にたいへん失礼なことばでありますが、どうも何からち外に置かれたような話をされております。これはあなた自身の方針ではなくて、閣僚全体、いわゆる政府全体の方針として考える筋合いのものだと私は思うのです。よって、どうです。国鉄運賃はこの際、出たからにはそのとおりやる、たたき台ではない、半年をどうかは別として、とにかく公共料金据え置きのまず一つの柱としてこれはやり抜くのだというような御決心を持っておられるのかどうか、いかがでしょう。
  115. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、午前、そういう点について少し用心し過ぎたものの言い方をしたと思います。と申しますのは、いろいろなきのうの経緯もあったようでございまして、正式な閣議において決定されたものでないというような前提の上に立ってものを言いましたから、いま御指摘のあったような非常に歯切れの悪い、しかも信念に欠けた回りくどいお話になったと思いますが、昨日もそういう話が耳に入りましたから、昨日夕景に企画庁長官に電話をいたしまして、その内容はどうなんだ、うちの運輸省関係のあることはどうなんだということをただしました。そこで、企画庁長官は、国鉄運賃は半年間凍結の方向で検討するということになったというお話でございました。私もそれは了承いたしました。また、きょうの朝の閣僚懇談会におきましても、大蔵大臣から昨日の話が報告されました。そこで私は、国鉄料金については、そのかわりに補てんする予算措置は間違いなくやってもらうということを一応条件にいたしまして、その件については私も了承いたした次第でございます。
  116. 久保三郎

    ○久保(三)委員 たいへんはっきりした御答弁でありまして、けさほどの御答弁とはたいへん違うので安心しました。そうだろうと私は思うのでありまして、ただ正式の決定は閣議でなされるのが当然でありますから、これはそれでいいと思うのです。そういう御方針であられるならば私はけっこうだと思うのです。  それで、あなたのお話のとおり、財源措置についてでありますが、これはやはりわれわれは運輸委員の一人として条件があります。大蔵省からは主計官だけしかおいでになっていないようでありますが、主計官は担当の第一線に立つ方でありますから、一応見解も聞いておきたいのでありますが、ともすればこういうことをやった場合は、財投でめんどうを見よう、借金でめんどうを見よう、そして、多少の利子補給でごまかしていこうというようなことをこれまでもやってきたのですね。そのために国鉄は、財政的には再建できないままに、いまかなり多額の借金をしょっていることは事実であります。ここで公共料金の値上げを押える、こういうことはやらなければなりません。それと同時に、もう一つは、そのために国鉄の再建というか、財政がさらに悪化するようなことは、これは本末転倒だと私は思う。  そこで聞きますが、これは運輸大臣からもけさの閣僚懇談会、総理大臣が欠席なので懇談会なんでしょうが、正式ならば、総理が出てくれば閣議だと思うのですが、そこでお話があったように、的確なる財政措置とは、私は一般財政から補てんすべき筋合いだ、こういうふうに思うのだが、大蔵省主計局としてはどういうふうに考えておるのか。いかがです。
  117. 宮本保孝

    ○宮本説明員 お答え申し上げます。  大蔵省といたしましては、従来も公共料金等につきましては極力抑制的に取り扱ってきたつもりでございます。しかしながら、この間の国鉄再建法等の御審議等におきましても、バス鉄道、郵便等につきましては、その利用によりまして受益する者がある程度特定している場合につきましては、受益者に負担をしてもらうという点につきましても御理解をいただきまして、国庫補助、それから国鉄なら国鉄の努力、それから受益者のある程度の負担、こういうことで御審議いただきまして、法律を通していただいたわけでございますけれども、今回非常事態を迎えまして、このような考えも一時凍結いたしまして、きのうの決定でございますか、あるいは申し合わせでございますか、すっきり、半年ほど繰り延べるということでございまして、財政当局といたしましても、現下の経済情勢を見ます限り、この取りきめに何ら異存はございませんし、賛成でございます。  ただ、いま御指摘国鉄財政の手当ての問題でございますけれども、一方で一般会計に対します圧縮の要請が非常に強うございまして、われわれといたしましても、第一線でいろいろと査定をいたしておりますけれども、毎日毎日、大臣局長のほうから、もう少し圧縮しろ圧縮しろという要望がございまして、非常に苦慮いたしております。そういう点につきまして、したがいまして財政支出につきましては、そういう点とのバランスを考えましてやっていきたいと思っております。特に長期的見地に立ちまして国鉄財政の再建に資するというふうな方法で何らか考えていきたい、こういうように考えております。  具体的な方法につきましては、きのう初めていろいろおりてきた次第でございまして、関係の各機関、各省等とこれから検討してまいりたい、こう思っております。
  118. 久保三郎

    ○久保(三)委員 主計官としてはいろいろ個人的には考えもあるのだろうけれども、むずかしい問題だからその程度かもしれませんが、あなたが最後におっしゃった、国鉄再建は長期にわたってというのは、十カ年計画というのはナンセンスだ、二年間私らは議論してきた。あなたも内心ではそう思っていらっしゃるだろうと私は思うのです。十年計画というのはこの際通りますか。二カ月ほど前に、油はどうなるかというのは田中総理大臣も知らなかったのですよ、はっきりいえば。そうでしょう。その上に国鉄再建十カ年計画なんというのを立てて、そして新幹線七千キロ敷くなんていって、出したと思ったらまた引っ込めなければならぬなんて、こういうばかばかしいことをやって、この間の内閣は一応総辞職して新しくなった。新しくなったからいいようなものの、古かったらつまらぬ内閣だと思うんですね。そういう意味で、私がくどくど申し上げる必要はありませんけれども、財投などでめんどう見るのはめんどう見る部類ではないんですよ。  それから、膨張する財政云々でありますが、これはこれからもお話ししますが、いわゆる新規の投資を押える、これが総需要抑制一つの方法ですね。そうだとすれば、そういうところで締めて、いま言った公共料金を押えて、生活を安定するというところには財政を出していくというのが筋じゃなかろうかと、てまえどもは単純かもしれぬが思っているわけであります。  ついては、簡単でけっこうでありますが、国鉄総裁いかがでしょう、私の所論に間違いがありますか、あるいは賛成ですか、反対ですか、いかがです。
  119. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答え申し上げます。  国鉄財政再建の十カ年計画というのは、ただいま御表現になったような言い方も確かにあると思いますけれども、一応国鉄を再建する方向を示したということであって、当初想定したものよりも違うようなことができれば、これは十カ年計画でも五カ年計画でも、その時宜に即した修正をすることは当然でございますが、われわれとしては、長日月にわたりまして皆さんの御論議をいただいて、かくすれば国鉄が再建されるのだという方向をお示し願ったのでありますから、修正はともかくとして、最大限度の敬意を表し、その方向に進む所存でございます。
  120. 久保三郎

    ○久保(三)委員 総裁はおなりになってまだ日が新しいからよく御理解いただけない面もあるのかもしれませんが、いずれにしましても、十カ年計画は、もうナンセンスというのは別にしまして、こういう事態になったならば修正せざるを得ないのではないですか、ということを私は言いたいのです。すでにそういうことでしょう。新幹線七千キロとはいってみたものの、大型プロジェクトをこの際やっていいのかどうか。むしろこういう時代になっては、幹線、いわゆる既存の線区におけるところの幹線や亜幹線の線路の増強をはかることが先決だろうというのが常識だし、またそういうことをわれわれは主張してきたのです。だから、来年度から始まる新しい工事は、そういうところに力点を置いてさしあたりやるべきだろう、そういうふうに思うのですよ。  それからもう一つは、財政再建といっても、十カ年計画でなるほど五十七年度には計算としては単年度黒字は出ます。しかし、大きな長期債務をしょってくる、累積赤字も出てくるということは、すでにあなたも御存じのとおりなのでありますから、この辺でそういう問題を含めて十カ年再建計画は修正すべきだろうというのが私どもの意見であります。きょうは短い時間でありますからそれ以上申し上げませんが、そういうふうに考えているわけであります。  続いて公共料金の問題です。ただいま大臣から適切なる御答弁がございましたが、国鉄の運賃を少なくとも押えるという姿勢であるならば、それに類する公共料金はやはり一切押えていくのが私は筋かと思うのですね。ところが、目の前に問題になっているのは、タクシーバス鉄道というかそういうものがありますね。こういうものは、なるほど原料であるべきところの油が上がってきたということが一つあります。しかし、アブダビかどこか知りませんが、そこから積んできたときの値上がりと、スタンドで販売するときの値上がりとでは、ずいぶん不合理があると私は思っているわけであります。これは運輸省といっても油を使うところがいろいろあるんですね。一本になっていないですな。一本になっていないから、自分たちの業者が使う値段が正当であるかどうかというのがわからないのじゃないですか。いかがです。一番油を使うようなのはどこです。中村自動車局長のところですな。あなたは、輸入の、いわゆるOPECでもって値上げした原油値段と比較して、たとえばLPGあるいは軽油というもののいまの実勢価格が妥当だと思っていらっしゃるかどうか、いかがです。
  121. 中村大造

    中村(大)政府委員 LPガスに例をとりますと、現在タクシー現実に購入しております値段が、いわゆる輸入価格ないしは国内における生産価格、それから途中の流通過程のいろいろな経費というものを総合いたしまして、はたして正当な値段であるかどうかということにつきましては、まことに恥ずかしいことでございますけれども、私といたしましては正確な判断材料がないわけでございます。ただ、感じといたしましては、非常に大幅な値上げになっているという実感を持っているわけでございます。
  122. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大臣、あなたにお願いしておきますが、これは今度法律ができますればある程度の立ち入り検査や何かしてできるかもしれません。しかし、政府機関が積極的に本腰を入れなければ、高くなったからという口実を裏にひっくり返してほんとうであるかどうかなんということはわからないと私は思うのですね。品不足の問題も大事ですけれども値段の上がり方ももっと大事だと私は思うのですね。不足ならくふうもしましょうが、上がった上がったではくふうのしようもないんですよ。だから、そういうことを考えれば、使う立場からいって当然この値段が正当であるかどうかは、業者まかせにするのじゃなくて、役所が少なくともこういうことについて検討する必要が私はあると思うのです。ついては各局で、自分のところで、たとえば海運局バンカーについての手当てをしている。航空局長航空燃料の問題をやっている。自動車局長バストラックタクシーの問題をやっている。国鉄国鉄バスの問題やディーゼルカーの問題をやっている。港湾局は、さっき話があったように、はしけやなんかの港運の油をやっている。七つの局でやっている。そのほかにもう一つあるかもしれない。何があるかといえば観光部がある。八つですよ。そういうばらばらなところで油の手配を個別にやっているのでありますから、これはうまくいくわけがありません。少なくとも油を一番国民生活に直結して使う役所であるというならば、本腰を入れて運輸省は油対策本部を設け、全省をあげて一本になって取り組むべきであると思うのですが、いかがでしょう。
  123. 原田昇左右

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  運輸省としましては、十一月十六日の閣議で石油の緊急対策要綱が決定されまして、それに軌を合わせまして十六日付で運輸省内に運輸の石油に対する緊急対策本部を設置いたしまして、これに総合的に対処することにいたしております。
  124. 久保三郎

    ○久保(三)委員 寡聞にして活躍の内容を知らぬ。原田審議官、ほんとうに積極的にやっているのかどうか。大体、私が資料としていままで要求して、運輸省関係輸送機関別の油の種類別を出してきてくれと言ったらば、二回にわたって出してきて、不確実です。確定はしてない。大体自分の部門で使っている油の種類も油の量もわからぬというのでありますから、値段のことなんかはっきり言ってわかりっこありませんよ。私は国民の一人としてほんとうに腹が立つ。何をやっているんだということです。あなたの答弁では、十六日の閣議を受けて直ちに対策本部をつくったという。対策本部をつくるだけが能じゃないのですよ。いかにやったかということなんです。いままで、午前中の答弁を聞いていても、それじゃはっきり通産省に対して全量をよこせという要求をしたのかどうか。全量をよこせなんという要求はしてない。割り当ては一〇%でしょう。カットは一〇%にします、来月はわかりません、そんなのは通産省の言う話であって、運輸省の言う話じゃありませんよ。しかも去年に比べて、原油の輸入というか、持っている高はそんなに変わっていないのでしょう。それがスタンドではみんな三割も五割もカットされているのですよ。  それじゃ聞きますが、値段についてはどうなんです。値段について交渉したか。まだ調べてないようですな。これは調べるべきです。対策本部というのはそういうことをやるんだと思うが、どうですか。原油のほうから得率はきまっているのですから、何が幾ら出るというのはおおよそきまっているのですから、そんな計算はしろうとだってできると言ったら語弊があるが、できるわけだ。それをもって通産省なり石油業界に当たるぐらいの気がまえがなければ、業者は生きていけませんし、国民は車に乗れませんよ。いかがです。
  125. 原田昇左右

    ○原田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように非常に事態が窮迫いたしましてからわずか一カ月ぐらいの間でございますので、なかなか御満足のいくような十分な資料ができない点は御容赦願いたいのでございますが、一応私どもといたしましては、緊急対策本部を設置いたしまして、省内の各局の十二月分の予定数量あるいは一−三月についての予測等を検討いたしまして、通産省に対しましては、閣議決定の優先度の高い、つまり鉄道等の公共性の高い輸送機関に対する油の優先確保という点について交渉いたしたわけでございます。その各部門についてどの程度という話は一応いたしておりますが、先般LPGについては両政務次官の間で一応合意に達しておりますし、また外航船の油についても一応の数字は出たわけでございます。ほかの業種については、十二月の初めぐらいに若干の混乱がございましたけれども、比較的現在の段階では供給が円滑に行なわれていると承知しています。  それで値段の点については、これは現在政府として統制手段を持っておりません。通産省のほうで灯油とかLPGについて指導価格は出たわけでございますか、われわれのほうとしては、通産省に強く申し入れてはおりますが、何しろ現在のところ価格統制の手段を持たないというところに一つの問題がございます。  いずれにいたしましても、末端まで円滑に確保するためには、やはり総量とその末端に流すメカニズムといいますか、流通経路というものについて、いろいろ業界同士、あるいは役所の間で指導しなければならない点が多々ございます。こういった点について、鋭意通産省あるいは両業界指導して、通産省と協力してやるということにいたしておるわけでございます。
  126. 久保三郎

    ○久保(三)委員 審議官、あなたの話を聞いていると日が暮れてしまいますよ、悪いけれども。そんなのはあたりまえのことだ。私が言っているのはもっと強くやれということなんですよ。しかも、対策本部をつくったけれども、そのメンバーはだれです。それを専門にやっている人いるの。いないんでしょう。いないようだからそれはまあいいよ。いるはずがないのだ。これからでもいいからつくりなさいよ。  それから、もう一つ聞く。量の問題と値段の問題を聞いた。だからそういう方向でやってもらいたい。もう一つ聞くが、税金の問題どうした。公共料金を押えるというならば、せめて油にかかっている公共輸送の使う油の税金ぐらいは全部まけなさい。減免する。この間連合審査の神門君の質問で、大蔵政務次官は、関税だけは何とかやめるというような話をしていたそうだが、関税ばかりじゃない、軽油引き取り税も何でもある。そういうものを全部やめさす。そのかわり料金を押えるということにならなければ、ただ押えるだけでは、これははっきり言って押えることはできませんよ。その税金については、あなたは前向きで交渉しているのですか。いかがです。
  127. 徳永正利

    徳永国務大臣 久保先生の御指摘、一々ごもっともでございます。先ほどのまず量を確保する、それから価格の点においても、使用者の立場として積極的に価格にも取り組めというお話でございます。まことにごもっともでございます。まず量の確保に奔走しまして、実は価格の点までに踏み込むだけの余裕がなかったかとも存じますけれども、また価格の面も、二法案が通りますと、大体標準価格というものがつくられるだろうと思う。聞くところによりますと、この標準価格はなかなか問題があるようでございまして、むずかしい面もあろうと思いますけれども、私どもは使用するほうの立場としまして、できる限りの努力を重ねてまいりたいと思います。  なお、公共料金の問題に関連いたしまして、税金等については、国税、地方税あるようでございますけれども、この点については、これまたいろいろ議論のあろうところと思いますけれども、もし公共料金をそういう面で押えていくとするならば、税金の面、あるいはまたその他融資の面もございましょう、その他の面々において私は手当てをしなければ大きな足の混乱を起こすもとになると思って、ただいまいろいろ検討しておるところでございます。
  128. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大臣からお話がありましたが、そういう御方針でおやりになるということならばこれ以上つけ加えることはございませんけれども、大体、公共料金を押えるという御方針にきちっとなったと思うから、私はその他の公共料金も押えるということだろう、そうだとするならば押えるだけのくふうをやはりしなければいかぬじゃないかということを、まず一つは申し上げているわけなんであります。  今後軒並みにそろっているものをどうするのか。まああとからも質問がありますから、私は深く立ち入りませんけれども、少なくとも公共料金を押えるというからには、あらゆる手段、方法をとって持っていかなければいかぬと思うのですね。ただ、公共料金を押える、税金は取る、値段は高くする、それじゃ公共輸送はみんなつぶれてしまいますよ。これではみんな足がなくなってしまうのです。とんでもないことだと思うのですね。そういうことを考えているわけでありますから、そういう方針でひとつ本気になってかまえてもらいたい。同時に、専門的に取り組む人をやはり御指名いただいて、兼務だなんて言わないで、本気でやる者に対して——やらなかったらそういう者はどこかへ飛ばすとか、そのくらいの気がまえでなければとてもじゃないが、難局は乗り切れませんよ。  それからもう一つ、この問題と直接関係はありませんけれども、この際輸送にむだがあればやはり輸送合理化する、輸送の調整をはかるべきだと私は思うのです。タクシーは流しが原則だが、流しがいいかどうか。もしもタクシーベイをつくってやるとするならば、これは一つの例でありますが、タクシーベイを幾つつくってもそこへ流し禁止では来ませんからな、これは。だから少なくとも電話がなくちゃいけません。電話は直ちにはつけられないとするならば、東京都内にはどこの町角にも公衆電話のボックスがあるから、そのボックスのあるところをタクシーベイにしたらいい。一つの案ですよ。いいか悪いかは専門家に検討してもらいたいですが、そういうものもある。  それから、航空局長もいらっしゃるけれども、油の問題や騒音の問題、これもひっくるめて、あるいはこれからの将来の国内におけるところの航空の問題もひっくるめて、近距離はどうするか。国際便はある程度運航を調整しておられるようでありますが、国内便についてもやはり調整すべきものは調整する。それからこの乗客の選別についても、やはりある程度検討してみる必要があるというふうにてまえども考えます。  それからもう一つ国鉄も、何でも国鉄へ持ってきてくださいったって、さっきの話じゃ、何か全部自分でできるようなお話もあったようでありますが、そんな能力はなかなかこれはないと思うのですね。これはやはりならしにこれを輸送するというくふうも早くつけてもらわねばいけません。特に貨物についてはそうです。さっき何か鉄監局長、フレートライナーはあいていると言うが、少しは余裕があるような話で言っておりますが、それ何であいているかというと、コンテナの輸送ができないからあいているのでしょう。おそらくそうでしょう。コンテナが輸送できないというのは、コンテナが配達できないからフレートライナーに乗っからないのですよ。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  やはりそういう問題を考えて、ひとつこの際思い切った対策を、将来の展望に立って展開してほしいと私は思うのです。  そこで、時間ももうありませんから、企画庁の宮崎計画局長いらっしゃるが、総合交通体系はなるほどできましたよ。しかし、総合交通体系はできたが、総合交通政策というのはあまり聞いたことがないのですね。もちろん多少ハードの面では道路五カ年計画とか、国鉄の十カ年計画とか、港湾の五カ年計画とか、空港整備五カ年計画とかいろいろある。しかし、これはやはりこの際見直すべきだと思うのですね。最近では、見直しを付録としてつけた経済社会基本計画でありますか、これは毎年フォローアップすると書いてあって、なかなかじょうずに書いたなと思ってことしの二月見たのだが、毎年見直すのがあたりまえであって、だから今度は大きく見直したらどうか。小細工じゃなくて、単に数量が合うとか合わぬとかの問題じゃなくて、もっと長期の展望、こうあるべきだというビジョンに向かってもう少し見直す時期だと私は思うのです。  そこで、総合交通体系についての施策について、それぞれの五カ年計画は、この際新規予算について見直しを必要とすると私は思うのですが、あなたはどう思いますか。
  129. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、四十六年十二月に総合交通体系をつくりまして、そして交通政策全般あるいは交通需要とか各輸送機関別の運搬というような問題、料金問題というようなことについても、広範に政策として検討をいたしたわけでございますが、その後そういったものを踏まえまして、本年の二月に経済社会基本計画をつくるということをやったわけでございます。ところが、その後もまた変化も非常に激しい。特に最近の石油をめぐる急激な情勢の変化ということは、中期的に見ましてもかなり影響があるだろうというようなことがいわれております。昨日、経済審議会の総合部会で今年度のフォローアップ報告を採択をしていただきましたが、その中にもそういった点が触れられております。私どもとしては、こういったいわばエネルギーとか、資源というような物的な供給制約下において、経済運営というものはどうあるべきかということを、これは至急検討をしていかなければならないということをこの報告に書いてございますが、いま課題として持っておるわけでございます。  交通問題につきましても、当然そういった経済運営の一環といたしまして、これは十分にこの新しい事態に対して検討を加えていく必要があろうと思います。ただ、御承知のとおり、石油関係にいたしましても、見通しという点になりますと、なかなかいまどうだというようなことは言えないようなむずかしい状況にあります。それから、そういった制約がいろいろある中において、経済運営ということをやっていくための理論的なメカニズムと申しますか、そういう点においていろいろ勉強しなければならない点がございます。そういうことをいろいろ考えまして、経済企画庁といたしましては、来年度のフォローアップということも含めまして、後半にひとつ検討を進めてまいりたいと思います。運輸省の当局とも、特に交通体系方面につきましては共同でいろいろ検討を進めてまいりたいと考えております。
  130. 久保三郎

    ○久保(三)委員 来年度の予算すべり出しに間に合うように、これはやはり検討を急いだほうがいいというようにてまえども考えておる。なかなかむずかしいかもしれませんが、いつでも新しい予算ができてそのあとで計画というのが大体できてくる。何か逆じゃないかと私は思っている。そういう点はひとつあなたのところで考えてみたらどうか、こういうように思うのです。  それからもう一つは、あなたは、油の見通しはわからないから、こう言っておられるが、そうだと思うのですね。油の見通しはわかりませんよ。向こうが何と言うかわからないですから、それはわからない。しかし、わかっているのは、エネルギーをいかに有効に使っていくかという問題だけはわかった、はっきり。エネルギーを、特に石油というか、そういうものを金さえあればいつでも買えるのだというような観念から置きかえていかねばならぬということだけはわかったんだから、だからそのわかった時点で、そういう方向でやはり総合交通対策というか、そういうものを考えるべきではないのかということを私どもは言うわけなんです。だからその点はあなたのほうが専門家だから、おわかりでしょうからくどくは言いませんが、そういうこと。  それから、海軍局長にも言っておきますが、これは総合交通体系の中に入らないのが大体外航ですよ、一つは。外航は日本産業構造と直接関係してくるわけだ。いまやまさに産業構造についても議論が出てきて、もういままでの産業構造ではだめだなという感じがだれもしているわけです。  それからもう一つは、海運自由の原則というか、御承知のように、これが発展途上国の海運同盟の憲章会議において主張が出てきた。いままでの考えならば、海運自由だということで、言うならばいままでの計画造船を中心にする海運政策は積み取り比率を重点に置いてきた。ところが、もはや積み取り比率というものはかってにきめるわけにはいかなくなってきた。また、そういうことが原則になってきた。発展途上国も一対一だ、そういう立場でやはりものごと考える時期ではないのか。単に先進国と一緒になって発展途上国をおっちめていくということなれば、石油の二の舞いにならざるを得ないではないかというふうにてまえども考えている。だから来年度考えるべきなのは、いままでの計画造船を中心にした海運政策の延長だとは思うのだけれども、これは誤りだと私は思う。もう一ぺん根底から見直す、洗い直す必要がある。時間がありませんから詳細を申し上げることはできませんけれども大臣、そういうふうに私は思うのですよ。  あなたも海運については御経験がおありでありでありますが、計画造船はもういろいろな功罪がある。ところがいま現実に見ても、非集約船の問題はどうなんだ、集約した中核六社の問題はどうなんだ、いろいろ考えれば問題はずいぶん違ってきたなという感じがする。それからもう一つ、私はここで専門店かデパートとかという議論をしたことがある。私は、やるのなら専門店になれ、こう言った。デパートはだめだ。ところがいまのいわゆる中核六社の集約というのはデパート方式ですね。デパートでやっているから、やはり一般産業の従属産業として海運は今日までずっと脱却できないままでいるというふうにてまえども考えている。そういう問題も含めて、計画造船というものを中心にした海運政策は、来年度予算要求にあわせてもう一ぺん、これは与党の中にも異論はあると思うのだけれども、私は洗い直すべきだと考えているのだが、どうでしょう。時間もありませんから、簡単にひとつ。
  131. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いまの先生から御指摘のあった点、率直にそのまま承ることもありますし、多少はこちらから申し上げたい点もございます。それらを含めて、来年度の予算に間に合うように見直しをいたします。ちょうど海運造船合理化審議会に諮問しておりますから、その場をかりて私どもの意見も取り入れていただいて、見直しをいたします。
  132. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そこで、海運対策では船員対策というのがやはり大きな問題になっているわけですね。安ければいいというものではないと思うのですね。今度の石油一つとっても、安ければいいという問題ではない。その問題も含めて海運対策と船員対策はしてほしいと私は思うのですね。最近はどうも船費がかさんで困るからというので、売船をしたり、あるいはバックチャーターをしたり仕組み船をやったりということで、言うならばあまりいい手ではありませんな。そういう手を全然やめてしまえとは私は言いたくありませんけれども、やはりもう少し公正にやるべきものはやっていく。そうでなければ助成はやめたらいい。何のために助成しているのかと言いたくなりますよ。だから、そういうものを含めて海運政策を練り直すということにしてほしい。時間がありませんから、もう終わります。  最後に運輸大臣、たいへん失礼な質問をいろいろしましたが、さっき宮崎総合計画局長からもあったように、きのうの審議会でも答申があったように、新規の投資はやめろというのが、私が見ている範囲では答申の基本のようであります。でありますから、特にこの港湾の問題は、この間も連合審査で話題になっておるようでありますが、少なくとも、あした審議会にかけるものもあるでしょう、ありましょうが、私は、新規投資になるものは一ぺんチェックをしたらいい。そうして見直していく。それは一部設計変更とか局部変更ならば、これはもうやむを得ぬものもあるでしょう。しかし、新しい五カ年計画の軌道に乗っていかなければならぬようなものは、やはり慎重にかまえてほしいと思うのでありますが、最後にそれを御答弁をいただくと同時に、いままで申し上げたことについて、私は率直に、あなたの陣営に対して失礼かもしれませんが、油対策をとっても、それから輸送構造のこれからの変革に対応する姿勢にしても、どうもばらばらだ。有能な士がたくさんいるのです。頭は日本一りっぱな人ばかりいるのです。ただ個別にやっているからどうも束になっていかない。これはやはり束ねて、油の問題なら油の問題に集中して対策を立てると同時に、対策本部ができておるじゃなくて、どうやるかということをあなたは厳重に監督していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。  以上です。
  133. 徳永正利

    徳永国務大臣 公共投資のことにつきましてはお説のとおりでございまして、私どももその面につきましては十分心得て進みたいと思っております。ただ、いろいろの今日までの経緯の問題等につきましては、これまたいろいろな状況がございますけれども、その施行にあたりましては、いま御指摘の点は腹におさめて、万全を期してまいりたいと思います。  なお、いろいろな油の問題につきましても、集中計画が立ってないじゃないかという御指摘でございます。いままで手なれない急激な変化に対応する姿勢ができておらなかったことも確かでございますが、今後は十分その点にも留意いたしまして、できる限りの努力を払ってまいるつもりでございます。
  134. 三池信

  135. 多田光雄

    多田委員 私がこれからお尋ねする件は、先般も大臣にちょっとお伺いしたことがございますし、それから同僚議員が幾たびか審議あるいはまた質問された問題です。それはあす十九日、中央港湾審議会が開かれる、この審議会に例の北海道の苫小牧東部の港についていろいろ御審議されるということを聞いております。  質問に入ります前にちょっとその経過について私、申し上げておきたいと思うのです。  この苫小牧東部をつくるその背景となる苫小牧東部の大規模工業基地開発計画は、昭和四十五年の閣議で決定された第三期北海道総合開発計画、これに基づいて策定されたものです。そして、この計画については、田中総理、それから前江崎北海道開発庁長官も、日本列島改造のはしりである、あるいはまたひな型である、こういうふうに持ち上げていたのですが、それも無理がないと思うのです。それは例の大規模開発の特に中心となる九州の志布志、それから青森のむつ小川原、これらが用地取得の問題で難航しているときに、苫小牧においては、北海道が非常に肩を入れて一万ヘクタールという膨大な土地を、ちょうど農民からなま木を裂くようにこれを買い上げていった。そしてこの東部開発計画の六十年代の規模を申し上げますと、鉄鋼が二千万トンです。それから石油精製が百万バーレル、それから石油化学が百六十万トン、それから自動車が五十万台、電力が六百万キロワット、それに世界一の掘り込み港をつくっていく、そして用地が一万ヘクタール。文字どおりこれは日本はおろか世界でも類のない巨大なコンビナート、こういうものが策定されたわけですね。しかし公害問題で住民の反対が非常に激しくなってくる、そしてまた、公害その他の問題で環境庁もいろいろいちゃもんをつけてくるということで、前回の港湾審議会ではこれが審議されなかったという経過があるわけです。しかし北海道開発庁、政府が非常にお急ぎになったようで、一応住民の声をなだめるとしか思えないのですが、市の独自案というのをつくって先般出されたわけですが、この独自案に基づいた港計画があすの十九日にかけられる、こういう運びになっておるというふうに私ども考えているわけです。そして、その市の独自案というのは、これは一応昭和五十三年までを目標にして石油精製を三十万バーレル、それから石油化学四十万トン、自動車は十八万台、電力三十万キロ、こういうふうに五十三年までの一応の目標を立てられた。しかしその港湾規模は、一部は点線で囲っているけれども、まさに六十年代の生産規模にふさわしい大きな港をいま考えておられる。きょうは、大臣もごらんになったと思いますが、運輸省の前には現地からはるばる数十名の住民が来て、そしてあすの港湾審議会にはこの計画をかけてもらわないでほしい、こういう訴えですわり込んでいるはずでございます。  以上の前段を一応申し上げて質問申し上げたいと思いますから、ひとつ大臣、各関係庁の答弁をよくお聞きになって、そして御善処を願いたい、こう思うわけです。  最初に開発庁にひとつ伺います。ひとつ実務的に答えてください。  今回提出された市の独自案には、国が四十六年七月にまとめたマスタープラン、これによる昭和六十年代の最終工業開発規模との関連については一言も触れておりません、お読みになったらわかるように。これまで政府は、五十四年以降は白紙である、こういうふうに言明してきましたけれども、この独自案は六十年代を展望するマスタープランと全く関係ないと見てよいのかどうか、この点、ひとつ伺いたいと思います。
  136. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 先生指摘の昭和六十年代の苫小牧のいわゆるマスタープランでございますが、これは私どもといたしましては、苫小牧のああいった地域に、すぐれた生活環境と工業生産機能を備えたいわば理想的な工業都市を創設したいということでございますが、何せ昭和六十年代における開発の全体のいわば長期構想でございまして、したがいまして、こういった広範かつ多岐、しかも長期の問題でございますから、これの具体的展開につきましては、当然経済、社会情勢の変化などに応じまして弾力的に解すべき性格のものであると考えております。  そこで、御指摘になりました市の独自の五十三年までの構想でございますが、市といたしましては、これは市の立場から独自の構想でございますが、何せやはり生活環境といったことを一義的に考えまして、第一期の計画といたしまして、当面、五十二年を目標とする第一期計画でございます。そこで、その後の問題につきましては、これは環境の問題等考えつつ、段階立地をするということでございまして、それ以降の問題についてはどうかということになりますと、これは今後の経済、社会情勢、環境問題を考えつつ慎重に対処すべき問題である、このように考えております。
  137. 多田光雄

    多田委員 それでは伺うけれども、そうすると第一期の計画であるとすれば、六十年までの全体計画の一部、これは大西企画室長が前回話したことですが、全体の一部と。その全体はまあいろいろぼうばくともしている。構想ともいうし、かかれた絵だという。これは保利長官が言っていたが、絵だともいうし、計画だともいう。どうもさまざまなんだけれども、ともかくその全体構想の一部であると考えてよろしいですね。これは大西室長が言ったことですよ。
  138. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 私ども考えております昭和六十年代を想定した長期構想の一部としてそごを来たしていない、しかしそれを五十四年以降どうするかという具体的な業種、規模等についてはこれは別問題でございまして、その時点において十分経済情勢、環境問題を検討して進める、こういうことでございます。
  139. 多田光雄

    多田委員 そうすると、六十年計画は存在しますね。
  140. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 これは、北海道開発庁といたしまして六十年代の長期構想というものはございます。しかし、その具体的な展開については、先ほど来申し上げたとおりでございます。
  141. 多田光雄

    多田委員 常識的にいって、普通われわれは、全体構想をもってその一部というときは、全体構想を展望しながらその一部を立てるものなんですね。これが常識的な見方です。そういう意味では、当然この問題は六十年代と全く無関係とは考えられない。私はこの質問はこれで終わります。大臣、よく聞いてください。  次に、それでは具体的に聞くけれども、基本計画に盛られている、先ほど言った鉄鋼二千万トン、アルミ、非鉄金属の配置はそのまま計画として残っているのかどうか。それから石油精製百万バーレル、石油化学百六十万トン、これらは一体どうなったのですか、伺います。
  142. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 鉄鋼についての二千万トン、それから御指摘のアルミニウムにつきましては、五十三年を目標とする開発規模の中には含まれておりません。それから石油精製、石油化学につきましては、先生のただいま御指摘ございましたような数字で目標が設定をされている、こういうことでございます。
  143. 多田光雄

    多田委員 六十年を目ざしたマスタープランの五十五年次までの目標と、今回の五十三年次目標の生産規模を比較してみて、どうなっているか。これは石油精製でマスタープランの五十五年では三十万バーレル、ところが今回の五十三年までが三十万バーレル、二年早まっています。それから石油化学、五十五年までのマスタープランは五十万トン、それから五十三年と二年早まったものが四十万トン。それから自動車は、五十五年のマスタープランが十五万台、それから五十三年の二年早まったものが三万台ふえて十八万台。いいですか、この規模です。生産規模を縮小したどころか、肝心の石油関係についてはむしろスピードアップが行なわれていて、そして量もふえている。これでも六十年代の構想と関係がないとか、あるいはまた白紙だと言えますか。これも簡潔に。
  144. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 五十五年の構想につきましては、先ほど御指摘がございましたように、鉄鋼、またアルミニウム、非鉄金属が含まれておるわけでございますが、五十三年の市の案によりますと鉄鋼が落ちておりますし、それから非鉄金属も落ちております。それから……。
  145. 多田光雄

    多田委員 いや、関係があるかどうかということを聞いているのです。あんまりくだぐだ要らない、ぼくはよく知っているから。
  146. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 したがいまして、五十四年以降の問題については、市といたしましては具体的な計画は現在設定されていないわけでございます。
  147. 多田光雄

    多田委員 さらに重要なことは、十一月二十一日苫小牧市港湾審議会に提出された「苫小牧東港地区港湾計画資料」、ここにありますが、この資料では、昭和六十年代の生産規模を想定した取り扱い貨物量、それから業種別出荷額、それから入港船舶隻数などまでが出ているのです。これでもなお、五十四年以降は白紙と言えるかどうか。現地の苫小牧の管理者が、道のつくった六十年代の展望の資料をもって重要な資料としてそれを審議してきめて上げてきているのです。これで一体、常識的にいって六十年代と関係ないと言えるかどうか。その点どうですか。
  148. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾管理者の計画は昭和五十三年までの計画でございまして、その後のものは参考と解しております。
  149. 多田光雄

    多田委員 五十三年度までの計画が、重要な資料として六十年代までの出荷額その他を全部資料として出して検討してきめてきているのです。あなた方がどんなに関係ないと言っても、つくった者の頭には関係があるのだ。こんなことはっきりしているのだ。大臣、これもよく聞いておいてください。  次に移ります。  今回の市独自案での貨物取り扱い量は二千八百十万トンです。そして港湾事業費は千五百三十億円、これは一トン当たり五千四百四十五円になるのです。そこで伺うけれども日本や世界で貨物取り扱い一トン当たり五千四百四十五円もかかるようなそういう港があるのかどうなのか、わかっていたら教えてください。
  150. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 ああいう外海の港にはそういうのがございます。
  151. 多田光雄

    多田委員 その港はどこですか。トン当たり幾らか言ってください。
  152. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 急いで調べましたので何ですが、二、三の例を言いますと、たとえば八戸等はやはり五千円以上になっております。
  153. 多田光雄

    多田委員 幾らだ。五千円以上ではなく、五千幾ら……。
  154. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いまのこれは急いで調べたわけでございますが、約八千円でございます。
  155. 多田光雄

    多田委員 急いで調べた資料で約八千円ということですが、ひとつそれは後日もっと詳しく聞かしていただきたい。私の聞いた範囲では、あまり例がないというほどの高くつく港です。  しかも昭和五十三年までに立地されるのはせいぜい五、六社ですよ。石油コンビナートも、それからまた「いすゞ」が進出を決定した自動車工場も、今度の石油危機で一体いつ立地するかわからない、こういう状況です。しかも現在の苫小牧ですらも、進出を決定した七十五社のうち半数に近い三十五社は、まだ工場建設に着手してないのです。それなのに、この数社の企業のためにこんなばく大な大金をつぎ込む必要が一体あるのかどうなのか。いまの内外情勢、石油問題、それからインフレ、高物価、物不足、こういう中で、文字どおりこれは不要不急の仕事ではないか。本四架橋、新幹線、その他公共投資まで押えていく、こう言っている中で、わずか数社のために類例のない高い港を、しかも六十年代を目ざす目標もさだかでないというようなものをつくることを一体なぜそれほど急がれるのか。これは私は非常に疑問だ。これは意見として言っておきます。これも大臣ひとつ聞いておいてください。  次、これは開発庁に聞きます。  あの港をつくる一番基部になる浜厚真、ここは数十戸の漁民ですが、沿岸漁民として模範的な養殖栽培をやってきたわけです。ところがここをつぶさなければこの港ができない。そして政府も、この漁業権が消滅しない限り港はつくりませんと言っている。しかもいま役所は、札束で漁民のほおをたたいて反対の組合の団結を乱してきているということを先般来聞いています。一体これを漁民に押しつけるのかどうなのか。私の聞きたいことは、漁業権がなくならなければ絶対手をつけませんね。つけるかつけないか、その一言
  156. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 漁業補償の問題につきましては、現在、港湾管理者と関係者の間で十分話し合いが進められているというふうに聞いております。もちろん、御指摘がございましたように、漁業補償の問題が解決しない限り着工はいたしません。
  157. 多田光雄

    多田委員 これもひとつ大臣聞いておいてください。  次、勇払の問題。これこそまさに公害に取り込まれる五千数百名住んでいる町です。移転させない、残すと言っておりながら、十二月六日現地から住民が来たときに開発庁の大西室長も、人が住む環境として好ましくないと言っている。ところが昨年、市が作成した苫小牧圏都市計画案の用途地域の指定では、従来の住居地域から準工業地域に変更し、周辺を工業専用地域で包囲してしまった。なぜ住居専用地域にしておかないのか、これを伺いたい。
  158. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 先生御案内のように、新都市計画法は従来の都市計画法と違いまして、従来の都市計画法は現況主義で土地利用をきめるわけでございますが、新都市計画法は、今後望ましい土地利用形態を考えまして、それで土地利用計画、都市計画を策定することにたてまえはなっておるわけでございます。  そこで、住居地域から準工業地域への変更を都市計画策定者でございます道が考えておりますが、これは何せすぐ近くに国策パルプといった大工場が隣接しております。そういった関係もございまして、将来住居地域として開発整備することがどうかという問題もございまして、準工業地域のことを考えておるように私どもは伺っておるわけでございます。もちろん準工業地域に指定したからといって、従来の住居が移転を迫られるものでもなければ、新しくまた住居も新設できるわけでございますし、また工場も、これも一般工場として環境を害しない工場のみしか立地ができないということでございますから、先生指摘のような問題はないと思っております。
  159. 多田光雄

    多田委員 非常に急いでこれを変更しているんだね。その辺の腹のうちはわかる。それで、国鉄も走らなくなる、駅も撤去されてしまう。そのうち住民は生活できないからこれは引っ越しせざるを得ないのですよ。いままでの多くの経験がそうなんだ。金をかけないで、補償金も要らないで、そういう勘ぐりをしたくなる。これがほんとうに住民本位の開発といえるかどうか。この意見を述べている。これもひとつ大臣頭に入れておいてください。  次、そこで開発庁に伺いたいのですが、今度の五十三年までのこの港づくり、鋼材、セメント、石材、油、どれだけの資材を使いますか。
  160. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 五十三年までの計画といたしまして鋼材が約七万八千トン、セメントが六十五万トン、石が四百万立方メートル、油が十八万キロリットルの程度でございます。
  161. 多田光雄

    多田委員 大臣、聞いてください。こういう物不足のときにこれだけの膨大な資材を使うのです。これは私どもが政府からもらったいろいろな数字で試算してみました。鋼材七万八千トンからは二月当たり七十平方メートルとした団地が二万二千戸はできるのです。セメント六十五万トンでは団地六万五千戸に相当するものです。それから高校の建設に換算すると、一校当たりの延べ面積五千平方メートルとしてそれぞれ鋼材相当で百九十五校なんです。セメント相当分で六百校余りとなるのです。それから、この間の東京都が建設中の都立東久留米高校は四階建ての校舎の延べ面積が五千二百八十四平方メートルという平均的な大きざですが、これに使われる鋼材は何とわずか四百トンちょっとなんです。いいですか。この間草加市に行きました。ここに資料がございますが、品不足とそれから価格の騰貴でもって事業がほとんどいまできていない。草加市では、人口急増地帯ですが、業者と契約済みのものが十月一日現在で全額の三二%、件数二四%ですよ。こういう中であえて数社の大企業が入る。六十年代の見通しははっきりしない。当面五十三年までである。まさにそれにふさわしいようなでかい港をいま一千億以上の金をかけて一体何で強行しなければならないのか。これはひとつ大臣、私の意見として述べておきます。  そこで、大蔵省来ておりますか。この一事を見ても、いま大蔵大臣をはじめとして、公共投資その他の繰り延べその他を主張しておられる。それから石油二法で審議されているように、物不足その他、国民の一番大きな問題です。新幹線その他も繰り延べその他が問題になっている。何でいま苫小牧東部を急ぐのか。何で十一省庁の会議においてそれに反対しないで同意するような態度を大蔵省はとったのですか。大企業の数社のためですよ。しかも一万ヘクタールの土地を道が買って、いつ入るかわからない土地を持っていて、三百億の金を先行投資で地方自治体が払っている。これがいま問題になって百条委員会で警察の手まで入っている、いろいろな汚職や買収がからんで。地方自治体の困難なときに、大企業のために三百億の金を投下して一万ヘクタールの土地を買う。いつ工場が張りつくのか。こういうものに大蔵省として賛成なさるのですか。ぜひこれは金を出さないでいただきたい。十九日の港湾審議会に対してはっきり大蔵大臣としての態度をとることこそが、大蔵大臣が施政演説で言ったことをりっぱに果たす役割りだと思う。どうですか。
  162. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  最近のような経済情勢に対応しまして、公共投資の圧縮をはかるということはこれは政府の方針でございます。そこでいま御指摘の苫小牧東部の開発計画でございますが、計画自体はおそらく長期的な観点から多角的にこれは検討される問題だと思います。私どもとしましては、とりあえず四十九年度予算の編成にあたりましては、これは大型プロジェクト等につきましては特にスローダウンをはかりたい、かような考えでございますので、四十九年度予算におきましては御要求は相当な額がまいっておるわけでございますが、これは圧縮をはからざるを得ない、かように考えておる次第でございます。
  163. 多田光雄

    多田委員 大蔵省はそれで終わります。  大臣に意見をお伺いしたいんですが、前から政府は、港湾審にかける前にあまり国としての口を差しはさむべきではない、こう言っておられます。私はその御趣旨も十分わかります。しかし苫小牧東部は三期計画として閣議決定されたものですよ。しかもそれが計画が延び延びになる、鉄鋼保留だ、こうなったものを、当然上の行政機関として、市から意見が上がってきたときに、いろいろな適正な助言その他をするのは私は当然なことだと思う。審議会にかける前に事務局を担当している運輸省がしかるべき意見を言うのは私は当然なことと思うのですが、大臣どうでしょうか。
  164. 徳永正利

    徳永国務大臣 先生一々御指摘の点、拝聴いたしました。この苫小牧東部開発計画につきましては長い間のいろいろな歴史があったようでございます。いまこういう事態に不急不要の過剰投資ではないか、あるいはまた、住民の皆さん方に対する環境の問題等もいろいろ御指摘がございましたが、環境問題等につきましては、環境庁からいろいろ意見をいままで取りまとめてようやくここまでこぎつけ、その間において六十年計画が五十三年計画にならざるを得なかったということも聞き及んでおります。  なお、この計画そのものは一応長期的な多角的なものでございまして、今日までいろんな面を積み上げてここまできたわけでございまして、私ども港湾審議会の所定の手続に従いまして、必ずしも事務的に法律的にこれを処理するというわけじゃございませんけれども、手続に従いまして、一ぺん港湾審議会の隔意のない御意見、御審議をわずらわして、その上でその審議の経過あるいは結果、答申を待ちまして慎重に対処していきたい、かように考えておるわけでございます。  なお、いろいろ御議論の中にございましたように、こういう大きな構想の事業の着手につきましては、こういう時代でございますから、いま直ちにこれを大きく踏み切るということでなくて、経済情勢に合ったような、十分その辺を配慮してまいりたい、かように考える次第でございます。
  165. 多田光雄

    多田委員 私の持ち時間はもう一分か二分しかないんです。で、港湾審議会でこれがオーケーが出ますと、先ほどから私が述べてきている、これは非常にずさんと言ったらいいのか、むしろペテンと言いたい。この計画はゴーのサインが出ることになるのです。審議会できまったから、工場の張りつけば必ずしもいつになるかわからない、こういうものじゃないと思うのです。しかもあの辺一帯の海岸は日本でも有数の漁場ですよ。公害の問題についても、つい先だってまでは環境庁はずいぶん横やりを入れたけれども、どういうものか今回は、開発庁長官がかわったせいか、非常に協力的になってきておる。環境庁の精神はどこに行ったのかと言いたくなるくらいです。もう時間がないから聞きません。自然環境のアセスメントすらも十分できていない。これははっきり政府が言っているのです。海面の汚濁の問題すらもはっきりは出ていない。窒素の問題だって調査が不十分だ。しかも大臣、あすの港湾審議会です。もしそこできまれば、あそこにいる何千という漁民や農民や住民にあすから影響があるのです。私は、あすの港湾審議会にぜひこれをかけないでもらいたい、このことをほんとうに強く申し上げると同時に、この苫小牧東部工業開発が真の住民本位で、北海道がつり合いのとれた発展をするような開発であれば私も賛成します。そうじゃない。この開発のマスタープランもほんとうにいま再検討しないと、幾ら大蔵大臣が公共投資の抑制だと言ってみたって、一面ではまるで穴のあいたざるから水がこぼれるようなものです。そういう意味でぜひあすの港湾審議会には大臣はほんとうに勇断をもって臨まれたい。もう一度それをお伺いしたいと思います。
  166. 徳永正利

    徳永国務大臣 いままで住んでいらっしゃるたくさんの住民の皆さん方に対する配慮は十分しなければならぬ。これはもう既定の開発に伴う問題でございますし、またここは、特に模範的な開発をやろうということで、いままでいろいろ手を尽くしているようでございます。今後におきましても、その配慮は十分なされるべきであると私は思います。  ただ、港湾審議会にあしたかけるのを中止しろということでございますけれども、いままでのいろいろな道行き、経緯等から考えまして、あしたはかけさせていただきたい、かように考える次第でございます。
  167. 多田光雄

    多田委員 かけないでいただきたいということを最後にもう一度申し上げて、ちょうど時間が来ましたからここで終わります。
  168. 三池信

  169. 沖本泰幸

    沖本委員 いろいろお伺いしたいことはたくさんあるのですが、きょうはとりあえず領海問題に関しまして御質問をしていきたいと思います。御関係政府委員の方はお願いします。  これは、農林と漁業に関しましてはそれぞれ関係があることなので、運輸省としても十分横の連絡をおとりになりながらお進めになっていらっしゃると思いますけれども石油危機に関しまして、海外におけるわが国の船腹あるいは輸送量、あるいはそれに対する燃料補給、あるいは漁船に対するいろいろな中間の補給の問題、こういうものもからんできまして、海運の中においてもこれからいろいろ手直しをしなければならないし、今後に対して対策をあらためて練り直さなければならない、こういう問題が山積していると思うわけです。  そういう中にありまして、国連の海洋法会議で各国が二百海里にわたって魚族資源の管理権を持つ、こういうことが決定すると、食糧問題として重大なことが起こってくるということは御承知のことだと思います。  それとあわせまして同時に考えられることは、現在三海里説がとられておりますけれども、これが六海里になったり十二海里になったりという問題が今後ふくそうしてやってきますから、いわゆる公海の自由、いろいろな問題にからんできて、これまた十分対策考えなければならない問題が出てくるわけです。こういう問題にからみまして、あわせてお伺いしていきたいと思います。順序はいろいろ狂うかもわかりませんが、その点はよろしくお願いしたいと思います。  いままで日本は、ソ連とかアメリカと同じように、領海外の航行については自由通航権を主体にしてやってきたわけです。しかし、今後発展途上国がどんどん出てきて、国連の海洋法会議の中におきましても参加する国が非常に多くなってきて、そしていままでとってきた海峡における自由通航権なり公海上の問題につきましても、この発展途上国の発言のほうが強くなってきて、決定権を十分持ってくるということになってきて、いわゆる十九世紀の最後の三十年間は帝国主義諸国による地球上の領土の分割が行なわれたけれども、二十世紀の最後の三十年間は沿岸諸国による海洋の分割が進む時代になるだろう、こういうふうにブルガリアの代表は演説しているという内容もあるわけでございます。  そこで、海峡の航行権についてそれぞれ主張しているところは、アメリカ、ソ連等は自由通航権。それから中国は無害通航権。日本は自由な商業海運の保障、発展途上国は無害通航権、こういう主張の対立があるわけです。  それから現行法では、領海内は無害通航権で、領海外は航行の自由が認められておる。こういうことであり、これにあわせて最近における海洋の汚染が広まってきて、これが国際的な問題になってきておる。  そういうところから、この海洋汚染の取り締まりにつきましては、アメリカは国際条約によるという内容と、汚染防止ゾーンの設置に反対するという点と、帰港時の取り締まりでよい、こういう主張をしており、ソ連は、アメリカと一と二は同じで、取り締まりは沿岸国の主権に属する、こう主張しており、中国は発展途上国と同じであり、発展途上国は、沿岸国が国内法で取り締まる、汚染防止ゾーンを設ける、航行中でも取り締まる、こういうきびしい内容を持っておるわけです。日本は一番目の国際条約によるという点、二、汚染防止ゾーンは条件つきで賛成、それから帰港のときの取り締まりでいい、こういう内容があって、現在の法律は領海内、大陸だな、公海の三つに分けているけれども、基本は、その旗を持っている国が全部基本的なものは持っている、こういう現行法になっておる。  さらに加えてこれから問題になりますのは、深海の海底鉱物資源についての問題がいろいろ出てくるわけです。それでこの中に盛り込まれておる内容はそれぞれ違いますけれども、この深海の海底鉱物資源は、これから大きな争いを起こしてくるだろう、こういうふうなことがもうはっきりしておるということになるわけですから、ひいては日本ももう近いうちにこの問題についてはっきりした態度を示さなければならない。ですから三海里説あるいは六海里、十二海里という領海の問題、あるいは通航権の問題、こういうことについても日本は現在あいまいである、はっきりしたものがない、こういう点について問題が出てきており、ひいてそれが発展途上国の日本に対する非常な不信の一つの材料にもなってきておるということになるわけです。  こういう問題についてそれぞれ検討はしていらっしゃると思いますけれども、この海洋法会議は来年の六月に始まるわけです。結論はおそらく出ないだろうとは言っているけれども、次はもうジュネーブのほうで再来年は結論を出さなければならない。どっちにしても来年に日本の示す態度というものは、この石油資源問題と、これを輸送する関連において、いろいろな問題について問題を起こしてくるわけですね。  いままですべてのこういう問題についてあいまいであったというところに、日本の態度というものが国際信義上いろいろな問題点を出してきて不信を買っておるということになるわけですけれども、そういう点について運輸省のほうではいまどういう対策考えており、この国際会議に臨む場合にはっきりした態度を出そうとしておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  170. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまの御質問でございますが、来年海洋法会議があるわけでございまして、日本の領海に関します態度につきまして非常にあいまいであるという御指摘でございますが、私どもは必ずしもそう考えておりません。  これにつきましては、所管は外務省でございますので、外務省から公式にお聞きになるのが筋かと思いますが、私どもの知る限りにおきましてお答えいたしますと、われわれは従来領海については三海里というのが国際慣習上認められたものと考えておるわけでございます。しかしながら最近、沿岸国等におきまして十二海里の主張、あるいは汚染防止ゾーン二百海里とかいうような主張がいろいろ行なわれておりますことも事実でございますが、これらはすべて一方的に主権国家が宣言してきまるというものではないであろう、あくまでも国際的な合意に基づいて初めて有効になるものではないかというのが私どもの主張でございます。したがって、もし海洋法会議で十二海里という、基線から十二海里が領海であるということがきめられれば、日本としては受諾する用意があるということは、前国会におきまして条約局長からも御答弁申し上げておる次第でございます。  あくまでも、国際的合意があれば日本としてはそれを守ることにはやぶさかではない。しかしながら、一方的に各国がかってに十二海里であるとか二十海里であるとかという主張をするのをそのまま認めるわけにはまいらないというのが日本の立場であろうと私どもは解釈しております。
  171. 沖本泰幸

    沖本委員 国際的な合意を得て十二海里になればそれを受諾する用意がある、これは当然だと思うのですね。現在津軽海峡あたりは、ソ連の艦隊やアメリカの艦隊は自由に出入りしている。現在は三海里ですから、軍事目的で動く船も幾ら通航してもいい、こういうようなことになるわけです。ですからそういう問題にからんでくるわけですけれども、六海里とか十二海里とかきまったらその場合には受諾する用意があると言うけれども日本として最も妥当な、国民の利益を守っていく点について何海里が一番必要なのか、はっきり主張できるだけの内容を十分用意していなければ、こちらはまあいろいろ意見はあるだろうけれども、きまったらそれに従いますと、こういうことでは主体性がないように思える。やはりはっきりした主張を持った中で、きまったものについて従っていく、こういうことでなければならない。まあ三海里をきめておるという点がありますけれども、アメリカも三海里なんですね。そうすると日米安保体制の中で、あるいはアメリカとのいろいろな協定の中に置かれて日本は三海里説をとっておる。だから日本の主体性というものは、三海里と言っておるけれども日本側も三海里が大事なんだというふうな意味合いで言っているとは見えないと、こういう主張もあるわけですね。ですから三海里の場合は、こういうふうな点が日本の国にとって必要な問題だから、いまは三海里を認めておるのだ。だけれども、それが十二海里になった場合には、これだけのプラス面とマイナス面が出てくるというものがはっきりと国民の前へ出てこなければならないと思うのですが、その点いかがですか。
  172. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまの御質問にお答えするには若干筋違いかと思いますが、私どもの知る限りにおきましては、われわれは従来どおり三海里というのがわれわれの主張でございますが、しかしながら、もし世界の大多数の国が十二海里をいいとし、海洋法会議で領海を十二海里ということをきめるならば、われわれとしてもその程度までは考えていいという基本的な立場でございます。
  173. 沖本泰幸

    沖本委員 なぜこういうことを申し上げるかというと、問題は外務省のほうにあるわけであって運輸省にはないということになるかもわかりませんけれどもタンカーとかそれぞれの船が海峡を通るときにいろいろな問題が出てくるわけでしょう。そうすると、運輸省という立場に立ってみて、いままで三海里だと自由に海峡を通る権利を認められておるからいまは問題になっていないけれども、それがいわゆる十二海里なり六海里なりを主張する国々が先進国を追いやって、発展途上国の意見のほうが国際会議を主体してしまうというような内容にいま変わりつつあるというのはいま申し上げたとおりなんです。そうすると運輸省として、たくさんの商船隊を持っており、日本は海に囲まれているわけですから、海洋上必要な条件が一ぱいあるわけですね。そういう関係に対して、外務省ではそういう主張をするかもわからないけれども運輸省としたらやはり自分の国の利益を守るためにはこういう考えに立っているのだ、しかし国際上の問題は外務省がそれを担当してやるわけだから、十分に外務省には意見は言うけれども運輸省としてはこういうものがあるのだというものがあるべきだと私は考えるわけです。そういう点についてお伺いしているわけなんです。
  174. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまの御質問は、要するに沿岸部をプロテクションする領域とあるいは自由航行との利害の均衡の問題になろうかと思いますが、運輸省としては、従来から海洋の自由航行ということから三海里が国際的な慣行として認められておりますし、これが一番望ましい姿であるというように考えております。しかしながら、いろいろな利害の均衡からいって、各国がまあ十二海里くらいが妥当だというようなことで合意になるのなら、これもやむを得ないというところでございます。ただ、いま御質問にございました、海峡における自由通航の問題と無害航行権の問題は若干意味が違うということを申し上げたいと思います。たとえばマラッカ海峡等において国際通航権としてございます、現在海洋法会議で、先ほども御質問にもございましたが、米ソが主張しております国際通航権というものと、領海内の無害航行権とは若干違いまして、国際海峡における通航権というのはもう少しグレードの高いといいますか、ものであり、無害通航権とは若干意味が違うように思います。  それからなお、先般、十月末から十一月にかけまして、ロンドンで条約会議がございまして、一応その条約会議で採択された七三年の海洋汚染防止条約というのがあります。これは海洋汚染を防止するための国際条約でございまして、われわれも参画いたしたわけでございますが、その際、領海という表現を取りまして、管轄権という表現にいたしまして、一番論争になりましたのは、管轄権の中においては、沿岸国が船舶の排出規制について、国際的なスタンダードより強い排出規制をかってにできるということと、船舶のさらに構造設備についても、新しい規制が一定の条件のもとに課し得るという条項を、主として沿岸国側が入れようとしたわけでございますが、これは会議において討論の結果、否決されまして、その条項は落ちたという経緯がございます。
  175. 沖本泰幸

    沖本委員 いずれにいたしましても、これから変わるんだ、大きな転換なり変化を海運にももたらされてくる問題になっていくわけですから、その点は十分検討していただきたいわけです。それで、十分議論を尽くしていただいて、日本の国の権利が守れるということでなければならないと思います。  ですから、問題は違いますけれども、領海六海里になった場合は五十、十二海里の場合は百十六の海峡が公海から領海に変わる、こういうふうな点が出てくるわけですね。そうなってくると、いままで自由に通過できたタンカーにしても何にしても、いろいろそこから国際紛争が起きてくることが考えられるわけです。それを原則にした主張なり何なりを持たれてくる、そうなってくると、そこで国際紛争が起きたりという、これはいまでさえ現実にあるわけですから。いろいろタンカーがとめられたり、貨物船がとめられて、それで思いもしないような目にあうことがしばしば起こっているわけですから、そういう点については、こういう際ですからはっきりしたものをちゃんと取りつけていくなり、国際会議ですからそうなっていくと思いますけれども、ただ単に外務省まかせということでないように十分検討していただきたいと思います。
  176. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまの点につきましては、外務省を中心に、農林省、運輸省、環境庁、法務省その他の関係省集まりまして、随時、対策を政府全体として練りまして、海洋法会議に臨む体制ができております。外務省には海洋法の対策本部のようなものが設置されておりまして、そこで十分意見調整をいたしまして、日本政府として統一した見解で臨むという体制になっております。  なお、御指摘の、現在においてどうかという点につきましては、現在はまだそういう海洋法で明確な合意ができておらぬわけでございますから、現在の国際条約が適用されるということでございますので、われわれとしては、あくまでも領海三海里というのが国際法で慣習法としてできておる領海基線であるという見解のもとに、あらゆる紛争に対処してまいっておるわけであります。
  177. 沖本泰幸

    沖本委員 その外務省の中における対策会議ですね。これは当然外務省が窓口になり、外務省が出ていくわけですからということですけれども、それは、各省との間の議論の中身というのは、ただ意見を述べる程度になっているのですか。十分その間のものは主張され、練られていっているものなんでしょうか。対策が十分できているということですけれども、もうすでに来年六月に始まるわけですから、その中には十分練られたものが盛り込まれていなければならないと思うのですけれども、その辺はどの辺まで詰められているのですか。
  178. 原田昇左右

    ○原田政府委員 すでに大きい方針はきまっておりまして、会議の代表には、外務省のみならず運輸省からも代表あるいは人員を派遣いたすことになろうかと思います。随時、その海洋法会議の準備会議がございまして、これには運輸省からも代表者を派遣いたします。  それから、七三年の、先ほど申し上げました海洋汚染防止条約会議には、私も政府代表として参画いたしました。
  179. 沖本泰幸

    沖本委員 同じような内容からですけれども、これは海運界の中でも南北対立がいま起きてきて、いわゆる発展途上国が自分のところが船を持ちたいということであり、特にペルシャ湾沿岸の国であるとか、あるいは南米の国々であるとか、あるいは石油の産出国が石油を運ぶだけの自分の国の船腹がないというところから、合弁会社をやってみたり、いろいろな形で問題が出てきておるわけですけれども、そのために、はなはだしいのは自分の国の船に輸出物を積むことを優先的な権限を与えておるとか、それに税金の問題がからんできておるということでいろいろと問題が出てきておりますけれども、このものに対しては、いわゆる海運同盟が非常な差しさわりが起きてきて、そうしてますます対立を深めていっているということがいわれているわけですけれども、この点についてはどうなんですか。
  180. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生いまお話のございました、開発途上国から先進国に対して海運問題についていろいろな新しい問題が提起をされておりますのはそのとおりでございまして、現在ジュネーブで定期船同盟憲章の問題について、それを世界的な統一の条約にしようという会議が行なわれております。実はこの会議は、十二月の十五日にひとまず終わりまして、結論に近づきつつありますけれども、最終結論は来年の三月に延ばされまして、会議は一応終わりました。  その背景といたしましては、先生がいまおっしゃったように、開発途上国が自分の国の海運を擁護したいということから、自国貨自国船主義というのをとりまして、自分の国の荷物は自分の国の船でなければ運ばせないというようなこと、その他、従来の定期船同盟に対しまして、自分の国の加入を優先的に認めろ、いろいろな要求が出ておるのでございます。それにつきまして私どもは、先進海運国の一員として、自分の国の荷物はすべて自分の国の海運でなければ運ばせないんだというような主義主張には反対いたしておるところでございます。  ただ、従来の定期船同盟の内容につきまして、やはり新しい発展途上国の意見も取り入れていかなければならない。そこで、世界的にみんなが受諾し得るような新しい同盟憲章というものをつくるということについては、その内容次第でわが国もそれをのみ得るような内容の条約をつくりたいということで、いま会議をやっておるところでございます。ある程度自分の国の海運を伸ばしたいという開発途上国の意見は、私どももそれをいれるにやぶさかではないという態度でございます。
  181. 沖本泰幸

    沖本委員 それが、わりかた発展途上国に近い立場をとっておるアメリカと、三国間貿易に力を入れてきた、海運自由の原則をとっておるヨーロッパということになると、日本はそのヨーロッパに近いということがいえるわけですね。そういうのが石油危機を問題にしていろんな変化を起こしてきておる。そして、その国連の貿易開発会議でも、最終的には投票権の多い発展途上国のほうの意見できまってしまうだろう、こういうような予想が出ておるわけですが、それに対して運輸省としてはどういうような見解を持っており、海運界をどういう方向で指導していくか。これからの問題ですからはっきりしたものがなかったらいけないと思うのですね。それについていかがですか。
  182. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実は、先進海運国としては、定期船の従来の同盟について開発途上国からいろんな批判が出てまいりましたときに、新しい同盟の憲章というものをつくって、改革すべき点は改革しようじゃないか、先年の第三回の国連貿易開発会議で、そういう方向に持っていこうというのが先進海運国の一致した意見だったのですが、先生先ほどお述べになりましたように、投票にかけますと、開発途上国の勢力が圧倒的なものですから、そういう手直しの憲章ではだめだ、同盟の規約を直すのを世界的な条約にしろ、こういうことで投票にかけられまして、それが開発途上国の数で押し切ることになって、現在ジュネーブでどういう条約をつくるかということが内容になっているという次第でございます。  その内容につきましては、実は一番保守的なのは、先生お話しのようにノルウェーなどを中心とする北欧の海運国でございまして、これはいままでのような海運自由の原則というものを守って、いわば古い秩序のままで世界の海運に活動したいというのがノルウェーなどの態度でございます。  一方、アメリカなどは多少違いまして、アメリカの借款物資などは、自分のところの海運でなければ積ませないんだ、ある程度開発途上国の自国船優先主義に似たようなことを、実はアメリカなどではもうすでにやっているという点がございます。  そこで、日本の態度はどういうことかということになりますが、私どもは世界の貿易の中で占めるシェアが日本の貿易としてはたいへん大きいのですから、その世界の荷動きの中で占めるシェアの大きい荷主国として、日本の独自の考え方でこの問題に対処していきたいということで、いろいろ考えておるというのが現状でございます。
  183. 沖本泰幸

    沖本委員 当然そうなると思うのです。現在のような国内事情、国際事情というものをかかえ込んでみて、その中から掘り下げていくと、もっと検討を要する内容が出てくると思うのです。そうすると、どうしても資源のない日本にしてみれば資源を入れなければならない。入れるにはやはり海を通さなければどうしても多数のものは入れられない。また、できた製品を輸出するにしてもやはり船腹が必要である、そういうところから、日本の保有船腹というものがかかってきて、そこにおける日本海運の占める内容そのものが日本の国情に大きく影響してくる、こういうものがあるわけですから、これはいいかげんに考えていくわけにはいかないわけです。  それで、十分めどの立った展望に立ってこの問題を処理していかないと、間違いを起こすとたいへんなことになってくる。まあしかし、国際会議できめられることですから、先ほどお話のあったとおり、きまれば従わなければならないわけですけれども、こういうふうな石油事情をかかえ込んだ現在としては、当然発展途上国が自分の産業規模を広げていき、経済を向上させていこうという努力は、お互いの国でされるわけですから、それは当然のことであり、そこから起きてくる問題と見合っていかなければならないわけですね。そうすると、そういうものを読み取ったところの日本海運政策というものが生まれてこなければならないはずなんです。ですからそれに対する、先ほどからのお話ではないですけれども、はっきりした内容が整っていなければならないのですけれども、いまはそれを検討中なんですか、あるいはもうはっきりしたものができ上がっているのですか、その点はどうなんです。
  184. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現在論議されている内容にはいろいろあるのでございますが、たとえて申しますと、先ほど申し上げましたように、自国の船でなければ自分の国の荷物を運ばないというようなことを各国でやり出しますと、世界じゅうがへんぱな海運活動になりますので、これは反対である。それから同盟内の問題について一々政府が介入をして、政府が決定権を持って参加してくるというようなことは、これは従来の海運自由の原則にも反するし、今後の同盟の円滑な運営にも支障を来たすということで、政府がみだりに決定権を持って介入してくるというようなことには反対である。ただ私どもは、荷主国としての日本の立場を守って、当然同盟の相手国である開発途上国の地位も認めて、適当なシェアをお互いにガイドラインとして持ち合って、同盟の中で仲よくやっていこう、特に相手のナショナルラインと申しますか、相手の国の船会社がその同盟に参加してくるというような立場については十分認めてあげよう、こういう立場でございます。  なお、現下の石油危機から来る海上輸送状況にかんがみましても、日本としては、ナショナルミニマムと申しますか、日本の国にとって必要な船腹は自分の国の旗の船で持っていなければならぬということを、今回もさらにその感を深くいたしますので、その面からは日本海運の整備充実につとめていきたいということを考えております。
  185. 沖本泰幸

    沖本委員 これはおわかりになっているとは思いますけれども、この問題は日本の経済をゆるがす大きな問題になってくるわけですから、その点は大臣も十分御検討いただいて、石油だけにとどまらず、すべてのものに影響することであり、また発展途上国との関係性、いろいろなものもあり、今後のいろいろな関係性が複雑化していくわけですから、その点も十分考え対策をお立てになっていただかないと、大きなそごを起こしてくるということにもなりますし、またこれからいろいろ考え直されていく発展途上国の援助にもからんでくるわけです。ですから、十分にそういう国々の実情に合わせながら、またいろいろな形の向こうの立場に立った援助を考えながらこういう問題を消化しなければならないという点。ですから、単に主張だけにとどまってそれで済むという問題ではなくて、それが複雑になってくることは御承知だと思うわけです。そういう点を十分お考えになってやっていただかないと、重大な結果をもたらしてくるということになるわけですから、これについて大臣はどういうお考えをお持ちなんでしょうか。
  186. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は、お恥ずかしいことでございますけれども、私いま先生の御議論を通じまして、この問題に非常に関心をもって拝聴したわけでございます。いずれにいたしましても、国益に直接大きな関連のある問題でございますから、今後私も勉強さしていただきますし、また運輸省としましても検討して、国益のために間違いのないようなやり方をとっていきたいと思っております。
  187. 沖本泰幸

    沖本委員 同じようにこれは農林とのいろいろな関係性が出てくるわけですけれども、魚の値上がりとか途中で油が足りなくなった、それで海外の漁場からの漁獲量が減ってくるとか、いろいろな日本国内経済に及ぼす問題が出てきておりますし、あるいは消費者の生活の中に重大な危険をもたらしてきておるわけですけれども、ここで問題になってくるのがいわゆる領海の沿岸の漁業資源を守っていくために二百海里という問題が出てきて、これは早晩そういう形がとられるであろうということが予想されるわけですね。  そこで、われわれ日本人がとっている海洋資源から得るたん白質の摂取のしかたは世界一なんですね。ですから、これはもう重大な問題になってきます。国連の海洋法会議で二百海里にわたって漁族資源の管轄権を持つということが決定されますと、総漁獲量が一千万トンとされているわけですけれども、それがきまると五百万トンに落ちてしまうということになると、日本の食糧事情に重大な影響が起きてくる、こういうことになってくるわけです。ですから、この対策もたいへんなことになるわけですね。しばしば海外の漁場から日本船が締め出されていっているということは現実に起きているわけですから、そういう問題に対してどういう対策を現在運輸省としてはお持ちであるか。たとえて言いますと、船籍票を向こうに持たせたり、いろいろな形で日本海運は外に向かって出ていっているわけですけれども、そういう問題にからんで、現在どういうふうな対策をお立てになっているか、その辺をお伺いしたいと思います。
  188. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまの二百海里の管轄権内の漁獲禁止等につきましては、農林省のほうからお答えすべきであろうと思いますので、運輸省としましては、管轄権の問題につきましては、あくまでも先ほどから申し上げますように、国際的な合意のもとにやってもらいたいということで、その合意の場としては海洋法会議が一番適当であろうということで、従来から海洋法会議の準備会議その他でそういう主張を続けてまいっておるわけでございます。  なお、運輸省として当面重大な関心を持っておりますマラッカ海峡の通航の問題は、あそこに相当大型タンカーがたくさん通過いたしますので、この安全航行の問題として、安全確保に必要な測量、海図の作製、あるいは灯台の設置といったような問題を沿岸国に協力して、日本の技術なり資金で協力申し上げるという形で着々現在安全対策が実行されつつあるわけでございます。
  189. 沖本泰幸

    沖本委員 これは海員組合からいただいた資料なんですが、この中で述べていらっしゃることは、「わが国漁業の自立自給体制をめざした水産政策の確立を求め運動を進める。」これは海員組合の運動方針なんですが、「海洋法問題がなお流動的であることから見て、漁場確保のための積極的な外交展開を政府、業界要求」するという点。三番目に、「海外漁業については、発展途上国への経済援助と相互協力を基本とし、政府に対して、商社の海外漁業活動を規制する具体策をとるよう要求し、あわせて、海外漁業協力財団の機能を強化させる。」「水産資源の調査研究機関の有機的連携ならびに資源管理体制の強化をはかり、国際信用の向上をはからせる。」「漁業生産の危機を克服するためには、未利用資源の開発も緊急を要する。したがって政府および海洋資源開発センターに対し、より広汎な調査活動の実施と、新たな安定的漁場の開発を促進するよう要求する。」「北洋すけそうの資源は減退しつつあるので、資源保持上、漁船、魚体処理機の輸出を規制する政府の実効ある施策実施を要求する。」「沿岸漁業構造改善事業に対する総花的補助金行政の改革をうながし、沿岸漁業等振興審議会などの場を通じて、沿岸漁場造成、水産物自給体制など政府に施策の確立を要求する。」こういうようなのは農林省とも十分連携をとっていただかなければなりませんけれども、「船舶の油、工場汚廃水、都市排水等による漁場悪化による水産物の汚染に対し、公害関係法令、水質汚濁防止法などによる施設の整備ならびに監視、測定、試験検査、調査、機構の充実強化」をはかってもらう。それぞれの「運動の成果を期するため、漁船同盟および関係労組とも提携して」いくということになるのですが、こちらのほうの、全国漁船労働組合で述べていらっしゃるところでは、「高度経済成長政策の転換を図り、農産物の自給率を高め、沿岸漁場の回復を図る」これは同じ意見なんです。「沖合・遠洋漁業については資源保護中心の漁業に改め、発展途上国に対して誠意を持って経済・技術援助を行ない、捕鯨業や北洋漁業に対する大国の不当な規制に断固として反対する立場を確立すべきである」こういうようなことも述べられておるわけです。  それはなぜこういうふうに述べられるかというと、いま言ったとおりに、来年は重大な食糧危機を迎えなければならないだろう、石油危機と並んで次に来るのは食糧の危機じゃないかという点について、水産資源の確保が重大な問題だという点にからんでこういうことをおっしゃっているわけです。いまおっしゃっていたことが具体的にきちっと整理されて、それぞれの関係機関にどういうような形で政府からの指導なり対策が行き届いていっておるか、あるいは来年のそういうものを見込んだ施策が行なわれているか、具体的なことをお伺いしたいと思うのです。
  190. 原田昇左右

    ○原田政府委員 漁業の点は農林省のほうからお答えする筋合いでございますので、私ども海洋汚染防止という関係からいま御指摘の点について若干申し上げたいと思います。  御承知のように、海洋汚染防止条約がございまして、これよりははるかに進んだと申しますか、まだ海洋汚染防止条約の六九年条約というのは世界的には適用されてないわけでございますが、わが国はそれに世界に先がけて海洋汚染防止法をつくりまして、国内法として海洋の汚染防止につとめておるわけでございます。本年の七月に完全に施行に至りましたので、従来よりは適用除外がなくなった関係もございまして、取り締まりやすくなりましたし、また海上保安庁のほうでも、条約によって違法汚染の摘発をやっておりますので、相当の成果が今後期待できるのではないかと思います。  なお、さらに七三年の条約が先般ロンドンの海洋汚染防止会議で採択されましたので、わが国としてもさらにきびしい七三年条約の規制を国内法化して、これを実現すべく今後準備を重ねまして、あらためて海洋汚染防止法の改正を来々会あたりに出したい、こういうように考えております。
  191. 沖本泰幸

    沖本委員 もう時間をオーバーしておるのですが、最後に大臣にお伺いしたいわけですけれども、いまお答えになった点につきましても、それぞれの御担当のところから外国のそれぞれの専門のところへ窓口的にいってしまって、日本の対外政策というものがその国に大きく反映しない。ただ部分的に知られておるようなことになったのでは、これは何も対策にならないわけです。ですからそういう点も十分内容を検討していただいて、正面から、大筋から発展途上国の漁場の問題につき、いろいろな問題について、具体的な援助なり何なり交歓を重ねながら資源を確保していく、船舶の安全をはかっていく、こういう方向に向かっていただかないと、言ったとおりにならないというあれがあるわけですね。そういう点を十分見合っていかなければならない。大臣としては、もう大きな問題をかかえ込んで、すべてのものからいろいろと責め立てられ、あるいは対策を立てられ、いろいろなことになるとは思うのですけれども、要は、幾つあっても足りないくらい大きな問題がこれから出てくるわけですから、一つ一つ大事にはかっていただいて消化していただき、実効をあげていただかないと、たちまち重大な危機を持ち込むということになりますから、そういう点を十分やっていただきたいと思います。ただ、希望を述べたようなことになりましたけれども、この資源の確保あるいは船舶の安全、二百海里問題という問題について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  192. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまるる述べられましたように、この海洋資源の保護、資源の確保あるいはまた船舶の安全航行等につきましては、いろいろな問題で運輸省ばかりではなく、また各省にまたがった問題もあろうと思いますが、先ほど来申し上げましたように、これは非常に国益に、目に見えてすぐどうこうという問題ではございませんけれども、根強く広く国益に関連した問題でもございますし、関係各省とも十分連携をとりまして間違いのないように努力をしたいと思っております。
  193. 沖本泰幸

    沖本委員 終わります。
  194. 三池信

    三池委員長 河村勝君。
  195. 河村勝

    ○河村委員 きょうは、この間日曜日の石油二法案の連合審査の際に、大臣に少しだけ石油危機に対処する運輸省としてとるべき施策について質問をいたしましたが、あのときは時間がなかったもんですから、ほんの入り口だけで終わってしまったわけであります。きょうは引き続いてお尋ねをしたいと思います。  その前に、さっき久保委員政府委員とのやりとりを大臣お聞きになってどういう感じをお持ちになったかということなんです。聞いておりますと、私も運輸省の方々に危機感がちっともないという気がするのです。なるほど石油対策本部というものをおつくりになったそうでありますけれども、さっきの答弁を聞いておりますと、実際輸入された石油なりLPGなりの値段の推移、それから末端価格の推移、そうしたものについての実態もつかんでおられない。それではおかしいんであって、いまこれからこの石油危機に際会してすべての物価が上がってくる。これを押えるのは、ただ経済企画庁や通産省にまかしておけばいいということじゃなしに、これは国民的な課題であるわけであります。特に役所としては、その所管を問わずに、総力をあげなければとてもできることではないと私は思います。だから、いまおやりになっている状態でありますと、石油がカットされればカットされたなりに公平に配られさえすればよろしい。それでコストが上がって経営がやり切れなくなったら、そうしたら運賃でも上げてやればいいんだというくらいにしか考えておられないんではないかという、私はそういう危惧を持つのです。  きのうですか、さっきから問題になりました、すでにきまった米の消費者価格、それから国鉄運賃までストップせねばならぬというような事態になりまして、おそらく運輸当局においてもショックだと思うのですが、ひとつこの辺でほんとうに腹を固めてやりませんと、運輸省傘下にあるいろいろな業界にしましても、これは片方のほうでがっぽり、石油危機で価格転嫁が自由なところはばかばかもうけているけれども運輸省の監督下にある企業というのはそういうわけにいかないのです。ですから、やりようによってはたいへんな危機状態になることも間違いがないのですね。ですから、この辺で大臣としてほんとうに本腰を据えて、とにかくこの問題に対処するという決意がなければいかぬと思うのです。  大臣に最初にその辺、さっきからのやりとりをお聞きになっていて、所見をまずお伺いをしたいと思います。
  196. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は、久保先生の質疑を通じての御議論にたいへん傾聴させられるものがございました。私は、ここに一々、しかもこういうふうにやりたいと思いますということをお約束したのを紙に書いております。これは非常にむずかしい問題もございます。私の力の及ばぬ問題もあろうと思いますけれども、私はこのことは必ずやってみます。その結果を出してみようと思って、いま一々メモをして、久保先生の問題に対しても書いておるわけです。その他の先生方の問題に対しても一々私はメモしているわけでございます。おっしゃるように危機感がないじゃないか、そういうふうにごらんになるのもやむを得ぬかと思いますが、とにかくこのたびのこのエネルギーショックというのは、思わざる大敵にぶち当たったようなものでございまして、ほんとうのところ右往左往したというのが事実でございます。ようやく一つ一つ目鼻をつけなければならないというので、てんでんばらばらに動いておったということも、御指摘になられるような面があると思います。今後はひとつ腰を据えて——政府・与党間できのう大綱の方針として出しましたが、ああいう方針といたしまして決意を固めるということは非常なことだと思います。私どももそれを受けまして、今後皆さま方におしかりを受けないような努力をひとつ重ねてまいる決心であります。
  197. 河村勝

    ○河村委員 ハイヤータクシーの問題から入りますが、最近自主運賃ということばが使われておって、一部では何か実力で運賃体系をきめてそれでやってしまおう——現実に行なわれているのではないと思いますが、一体どういう状態になっておるのか。自主運賃というからには何らか根拠法規みたいなものを考えて行動しているのか。その辺、どういうことか伺います。
  198. 中村大造

    中村(大)政府委員 十二月の初めごろにLPガス供給が非常に混乱いたしましたときに、運輸省ないしは通産省に対しまして、LPガス供給量ないしは価格、こういうものについて早く結論を出せ、こういう要求をし、業界といたしまして、そのときに、その要求が入れられなければ、十五日から自主料金に入る、こういうふうなことを言っておったことは確かでございます。その後、先ほどから御説明申し上げましたようなかっこうで一応十二月分の供給量がきまりまして、また配分もきまった、こういうことで自主料金を実施することは延期するといいますか、撤回する、こういうことに業界としてはいたしたわけでございます。  自主料金というのは、私も直接聞いてみませんからよくわかりませんけれども、おそらく認可運賃をオーバーして料金をとるということで、これはもう、もちろん道路運送法違反でございまして、とうてい認められる筋合いのものではございません。現状では自主料金で運行しているということは私どもも確認いたしておりませんし、またそういうことは絶対ないというふうに信じております。
  199. 河村勝

    ○河村委員 暫定運賃という形でいまの異常な状態を切り抜けるために、期間を限って運賃値上げの申請をしているという報道がありますが、一体それはいまどんなことになっておりますか。
  200. 徳永正利

    徳永国務大臣 暫定運賃という名前で申請が出ているところもございます。しかし、こういう異常な物価高のさなかに、異常な決意でこの物価に立ち向かおうといういまでございますから、この暫定運賃という問題は、制度上からもいろいろ問題があるかと思いますけれども、慎重に対処してまいらなければならぬと思っております。
  201. 河村勝

    ○河村委員 慎重にというだけでなしに、いまの状態で自主運賃は当然違法であるし、暫定運賃も認めるような状態ではないはずです。ただその場合、それならそれで押しつければよろしいというわけにはいかない。国鉄のように赤字補てんをするわけにいかないわけですから。ですから運輸省としては、いまこの時期においてとにかく運賃は押える。押えるかわりに、もうからないまでも、倒産したりなんかしない限度に手当てをしなければならない。それが私は運輸省の責任だと思うのです。そうであればいまここで、単に石油削減率に応じて公平に配分すればいいんだというだけでは済まないはずです。運輸省として当然、今後どうやったら何とか運賃を値上げしなくてもやれるだけの体制をつくれるかというところに重大な責任があります。それを今日まで何か考えられたことがありますか。
  202. 中村大造

    中村(大)政府委員 実は、私どもといたしまして、十二月分のLPガス供給量が十一月分の約一〇%減ということで、決してこれに発足当初から満足して了承しているわけではございません。それから現在の油の価格についても、もっと引き下げてもらいたいという希望を強く持っております。また望みを持っておるわけでございます。したがいまして、やはり一月以降のLPガス供給量の動向ないしは価格がどの程度引き下げられるかということを見定めませんと、軽々に経営上の影響ということについてどうこうということは結論は出しにくいというふうに思っております。さしあたりは供給量をできるだけ確保する、それから油の価格を下げていくということ、それから、たとえば先ほどから出ておりますように、流し地域を制限いたしまして、できる限りタクシーベイをたくさんつくるということについて警察庁ともいろいろ相談をして、できるところから実施するということで、なるべく油を使わないで実車率を上げるというようなくふうもして必要な収入をあげることに努力するということをしたい。  それからもう一つ考えられますことは、いわゆるつなぎ融資といいますか、そういうふうな融資面のことにつきましても、実は現在いろいろ算定をいたしまして、中小企業庁にもこれを持ち込みまして協議を始めたいというふうに思っておるわけでございます。  いろいろなことを総合的に考えていきたいということございまして、直ちに運賃に結びつけるというようなことは毛頭考えておりません。
  203. 河村勝

    ○河村委員 先ほど運輸省ではわからなかったのですけれども、時間の関係もありますから、LPGだけに限って通産省に聞きます。  LPGの小売り価格が、ところによってばらつきもあるでしょうけれども、十月から大体倍ぐらい上がっていますね。通産省の調べではどうですか。私が調べたのでは、十月にリットル二十二、三円だったものが大体四十七、八円になっている。そういう数字が出ておりますが、大体そんなものですか。
  204. 松村克之

    ○松村説明員 大体先生お話のとおりでございます。
  205. 河村勝

    ○河村委員 LPGとして輸入をしているものと、国内で生産されているものがあるわけですね。LPGの輸入価格は、この三、四カ月でどれぐらい上がっておりますか。
  206. 松村克之

    ○松村説明員 予告分も含めましてほぼ三倍ということでございます。
  207. 河村勝

    ○河村委員 三倍といって——じゃ、聞き直しましょう。リットル当たりで言うとどのくらい上がっていますか。
  208. 松村克之

    ○松村説明員 トン当たり二十五ドルというのが最近までの数字でございますが、これが六十九ドルないし七十ドルということになろうかと思います。
  209. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、リットル当たりにするとこれの千分の一というわけですか。
  210. 松村克之

    ○松村説明員 トン当たりでございますから、キログラムに直しますと千分の一ということでございます。これはFOB価格でございます。
  211. 河村勝

    ○河村委員 円で言うと幾らになるか。要するに、わかりやすくリットル当たりの円価格で言ってください。
  212. 松村克之

    ○松村説明員 円で言いますと、CIFで現在がキログラム当たり十円ないし十一円といったようなところでございますが、値上げ後は、これが円換算をいたしますと二十三円ないし二十四円というところになろうかと思います。
  213. 河村勝

    ○河村委員 これもまだキログラムでリットルじゃないのだな。一体リットルに換算した数字はないのですか。わかりやすくしてほしいのです。
  214. 松村克之

    ○松村説明員 LPGの価格は、大体家庭用その他ほぼキログラム単位で売買されておりますのでキログラムで申し上げたわけでございますけれども、(「じゃ、一貫して言ってくれ」と呼ぶ者あり)一貫して申し上げますと、キログラムまたはトンで言うわけでございます。キログラムで言いますと、輸入価格が現在十円ないし十一円というものが、値上げ後は二十三円ないし二十四円、これは先ほど三倍と申し上げましたけれども、これはFOBのことを申し上げましたので、CIFでわかりやすく申し上げますといま申し上げたような数字になるわけでございます。
  215. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、家庭用はなるほど確かにキログラムでやっていますね。自動車用はリットルで出している。だからちょっと比較がしにくいのだけれども、このくらい上がるのはあたりまえだ、自動車用のもので言えばそういう考え方ですか。
  216. 松村克之

    ○松村説明員 家庭用につきましては、非常に異常な値段の高騰がございましたので、これについて規制と申しますか、指導的な価格を出したわけでございますけれどもタクシー用につきましては、これはまたおのずから別途な用途でございますので、別途な観点で考えるべきかと思いますが、まだその点について運輸省側からのお話も承っておりませんし、私どもとしては、値上がりの実態というものはほぼ先生のおっしゃった程度ではないかというふうに考えているわけでございます。
  217. 河村勝

    ○河村委員 それじゃ端的に伺いましょう。今晩これから石油関係二法案が通過する予定です。そこで、石油規制法の十一条というものはすぐにでも適用できる状態になる、配給制度。それから国民生活安定法のほうの七条、特定標準価格、これもこの間企画庁長官に確認したところが、これも標準価格の段階を経ずしてこの特定標準価格を導入することができる、そういう解釈だというはっきりした返事がありました。そこで、標準価格とか特定標準価格というのはなかなか運用はむずかしいと思うけれども、しかし、石油関係に関する限りわりあいとやりやすい。だから、当面問題になっておるLPGのようなものは、家庭用であるか、公共事業であるハイヤータクシー用というようなものであって、ほかに工業用の燃料に使われておるものが若干あるけれども、とにかく確保しなければならない量というものが非常にはっきりしておるわけですね。同時に、つかまえやすい。だから、こういうものは法案が通ったらすぐに特定標準価格をきめて配給制をとる、切符制をとる。これは一番やりやすくて、そういうところから始めていけば、物価対策も非常にやりやすいのだろうと私は思うのだけれども、あなたは事務当局であるから、いまその政策的な判断を要求するのはむずかしいかもしらぬけれども、その可能性についての判断をするだけの学識経験はあるはずだから、一体これはやればやれるし、実効があると思うかないと思うか、それを聞かしてもらいたい。
  218. 松村克之

    ○松村説明員 私、あまり御答弁するほどの学識経験もないわけでございますが、一般的に申し上げまして、石油のいろいろな油種の中でLPGの需給が特に窮屈であるということは実態でございます。その面から言いますと、いろいろな面でいろいろな手段を使ってLPGの供給確保するということは必要であろうと思います。その場合に、私どもとしてまず現在考えておりますのは、とにかく供給を公平にするということと同時に、やはり必要なところに必要な量を供給するということが非常に重要であろうかと思いますが、その面から申しますと、これはやはり需要側を所管しておられる運輸省のほうの御意向を十分伺いまして実態に即した対策をとっていかなければならない、こういうふうに考えております。  それから、先生御質問の標準価格ということでございますが、価格についての問題は、やはりタクシーでございますと公共運賃といったようなこともございますし、そういった関連も含めまして運輸省御当局のお話を十分承って検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  219. 河村勝

    ○河村委員 運輸省の意向できまるような返事をしていますが、しかし、これは運輸省の協力があってやる気になればやり得る、そういう判断なんですね。簡単にイエスかノーでけっこうです。
  220. 松村克之

    ○松村説明員 標準価格の設定と申しますと、これは法律に基づく問題でございますから、それにつきましてはいろいろな基礎的なデータも必要でございますし、いまここで可能であるかないかという点については、ちょっと私としてはお答えしかねると思います。
  221. 河村勝

    ○河村委員 そこで、LPGの需給が特に窮屈であるというところで、やはりLPGをふやすことを考えなければならないのです、なけなしのものの中でもね。それに関連して、この間、連合審査で大臣にマイカーの規制のことをお話ししたのですが、マイカーの規制のことはあとで伺うこととして、その前提として、マイカーを規制してガソリンを節約されたから直にはLPGが浮くというわけにはいかないけれども、ガソリンを規制してガソリンの得率を減らしてナフサをふやして、それをどこかほかに使って、間接にLPGを浮かすということが可能であるという返事を聞きました。実際それがどのぐらいできるかということについて聞く時間がなかったので聞かなかったけれども、一体得率の変更によってナフサをふやし得る量、それをガス会社なり何なりに使わして、それでLPGをふやす量、そういうものについて試算でもしたことがありますか、まだありませんか。
  222. 松村克之

    ○松村説明員 連合審査の際に先生から御質問のありました点は、先生のおっしゃるとおりだと思いますが、これは得率の問題と申しますよりは、むしろガソリンとナフサはほぼ同様なものでございますから、ガソリンの需要が減った分をナフサをふやす、そのふえたナフサを都市ガスに回しまして、その分だけもしLPGが浮いたといたしますと、それが他の部分に回るということでございます。これは得率というよりもむしろマイカーが減った場合にそれが都市ガスに回る、回った場合に、都市ガスの中でもやはりLPG専用の都市ガスもあるわけでございますし、それからナフサとLPG両方たいているところもございます。その場合に、ナフサの能力の限度まではこれは転換しやすいということはございます。  ただ、LPGは増熱剤といいますか、増カロリー剤に使われておりますので、これは一般家庭用の都市ガスのカロリーのダウンということに響いてまいりますので、直にそのまますべての量が浮くということではないわけでございます。
  223. 河村勝

    ○河村委員 そこで大臣、やはり運輸省としてもとにかくLPGを確保したい、それによってこの危機を乗り切りたいというのであれば、運輸省でできる限り、そうした直接LPGを節約できなくても、ガソリンを節約することによってそれが可能になるならば、極力それをやるべきだというのが私の意見なんです。  ところが、今日まで欧米諸国——欧米というかヨーロッパ諸国では、すでに日曜、祝祭日のマイカー規制をやっておりますね。ところが、わが国の場合、さっぱりそこまで進んでおらない。昨今ようやく新聞等に出ておるので、この間大臣に伺ったところが、相当思い切ったことをやるのだというお話を伺ったのですけれども、一体どういう構想でおやりになるつもりであるか、それをちょっと日にちも二、三日たちましたから、かたまっておるならお伺いをしたい。
  224. 徳永正利

    徳永国務大臣 実際私としましては、地方からの声、あるいは直接私の耳に入る先生のお説と同じような声が、マイカーを何とかすべきじゃないか、自由かってに走っておるじゃないかという声は、もうむちでたたかれるような思いがするわけなんです。私も機会あるごとにこれを何とか一歩踏み込んでやろうじゃないか、多少乱暴なことでも、一応国民の共感の得られる範囲でひとつやってみようじゃないかということを言って、いろいろな具体策を実は私はいま持っておりますけれども、これはまだ個条書きに書いた、総理府でまとめて個条書きで、各省がこういうことを言っているという段階で、これがいまの段階で行政的に実際やれるものか、あるいは何かの法律を背景にしてやらなければいかぬものか、石油二法ができてからやれるものかということを、いま仕分けをやっている最中でございまして、まことに申しわけございませんけれども、いまのところ具体的にお目にかける案を持っておりませんことを申しわけないと思っております。
  225. 河村勝

    ○河村委員 総理府の交通安全対策室長、いま大臣は非常に率直に、いろいろな案がたくさんあるけれども、まだ整理中だというお話であった。この間石油緊急対策第二次要綱か何かで並んでおりましたが、あれは総理府でまとめたものじゃないかとぼくは想像していたのだけれども、総理府としてもまだそんな段階ですか。
  226. 秋山進

    ○秋山政府委員 総理府の場合は、各省の中心になりまして、マイカーの自粛というものについて作業しておるわけでございますが、これにつきましては、すでに十一月十六日の閣議決定、それから十九日の事務次官会議の申し合わせ等に基づきまして、不要不急のマイカーの自粛、休日におけるマイカードライブの高速乗り入れの自粛、それから高速道路における時速八十キロメートル以下の走行の励行、そういうような措置をとりまして、それぞれの省庁を通じまして実施しているわけでございます。  ただ、この自粛の運動の効果的な推進というのがまだ十分ではございませんので、これをさらに具体化して、効果的な推進をはかる、いま関係省庁と協議してできるだけ早くこれをやりたいというふうに考えております。  また、すでに現行法のもとにおきまして、交通事故あるいは交通渋滞、交通公害を防止するために、都市における自動車の交通総量の削減という対策は、従来から私どもの非常な重点でございまして、特に警察によりて行なう交通規制を中心に、あるいはその受けざらとして公共輸送機関による輸送力の確保対策あるいは自転車の安全利用対策など推進してまいりますが、これをさらに今後強力に推進していく。それから法規整理の問題につきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、具体的に実施を担当することとなる警察等が中心に、問題点、規制案等、いま検討している最中でございます。
  227. 河村勝

    ○河村委員 どうも本会議が始まっちゃうので時間がなくなりましたので、残念ながらやめますが、自粛の対策なんか何も聞いちゃいないのです。自粛なんというのはきき目があるわけないのですからね。ですから、いまごろまだそんなのんきな段階である二とを私は非常に残念に思うのです。大臣、私は軍人精神なんて言うとおこられるけれども、非常に意欲的な気魄を持っておられると思いますので、ひとつ事務当局を指導いただいて、大いにこの際緊急の対策をつくっていただきたい、それを最後にお願いをして、質問を終わります。
  228. 三池信

    三池委員長 次回は明十九日午前十時から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十七分散会