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須原昭二君 医療用だからと——それは妊娠というものは予防と、避妊というのは治療用じゃない、医療用じゃないということですが、そうしたら、栄養剤なんか薬品としてこれを認めていくのはおかしいじゃないですか。
一般用と医療用と分けてあなたは
考えて、避妊をこれを項目の中へ入れぬという、先ほどの答弁はおかしいと思う。そうしたら、今度は副作用と変わってきたでしょう。なるほど副作用の問題については、私も薬剤師ですから率直に申します。あなたたちは、薬の副作用、副作用と、副作用があるから薬は悪いんだというものの
考え方は間違いなんだ。薬物には副作用があるのはあたりまえのことなんです。先ほ
ども佐々木さんがおっしゃったように、その使用法をいかにしてそれをチェックをするかというところに問題があるのであって、副作用と言うんだったら、たばこ吸っとってもこれはみんな副作用が全部あるんです。しょうゆを一升飲んでごらんなさい。副作用は出てくる。副作用の論議なんかだめなんです。副作用があるんだったら、その根拠を明らかにすべきなんです。そうでしょう。
そこで、私は申し上げたいんです。ピルのこの副作用の問題については、その副作用の論議の前にもう
一つ問題点がある。
厚生省でピルが、経口避妊薬が、ピルがピルとして許可されそうになったことがあるんですよ。あなたは知らぬのですよ。あなたは事務官だから、わからないんだ。そのときは、副作用の問題ではないんです。あれはちょうどマルピーでしたが、何か製薬
会社の汚職が起きてパーになった。その次には、
厚生省が今度は産婦人科学会に諮問をして、そしてその産婦人科学会も、副作用は問題にならないと、経口避妊薬ピルの解禁の答申を準備したことがあるんです。そうしたら、若年
労働者が不足してしまって、これは時代逆行だといって一喝食らって、
厚生省は引っ込めちまったんだ。こういうデータを私は持っている。その証拠に、この学会の権威者であります
小林産婦人科学会の会頭さんが「家庭画報」の中に、医学的には問題がないが、いつも横やりが入るのでと、こうちゃんと明記されている。ピルが、先ほど申し上げたように、生理不順だとか、月経困難の薬であるということが、今度は
一般の女性に知れ始めちゃったら、あなたたちは何をやったか。一昨年の十二月二十八日大みそかに、みんなの知らぬうちに、厚生
大臣の決定権である中央薬事
審議会の薬効
審査会、その中に副作用
審査会という
審査会までつくっておきながら、そこに何ら諮問をせずに、官僚的独善で要指示薬に決定してしまっただろう。どういう根拠でやったんだ。いかなる根拠でピルが禁止をされるのか。同成分の混合黄体卵胞ホルモンのこの問題を、そういう官僚だけで簡単に独断でそういう要指示薬にして、ますます
一般女性の手に遠いものにしてしまったいうことは、どういうことなんだ。まさに疑問で、奇々怪々ですよ、これは。
副作用の問題を申し上げておきましょう。副作用の問題を豊田参事官からもらった。書いてあることがふるっている。血栓症だ、腟ガンだ、乳ガンだ、生まれてきた子供、女の子が腟ガンになると、こう言う。ピルを使ってて、生まれてくる子供がおるかね。ばかなこと言っちゃだめですよ。国際家族計画連盟の中央
委員会は、もうすでに四十五年の四月一日、世界じゅうから専門家を集め、ピルについて討議を行なった結果、ピルは、その性質上予測できないある種の危険性を将来もたらす可能性もあるが——四十五年の段階ですが、現在のところ、母体健康を保つためには最も重要な手段であり、今後もこれを続けて用いることが正当であるという結論に達したと、四十五年四月一日に声明文を全世界に公表している。それから、ここに私は持ってきたけれ
ども、一ぺん読んでみなさいよ。あなたたちは最高の学府を出ておられるんだから、横文字読めるでしょう。薬物の安全性について最も早く最もきびしい——あの最も早く安全性に気がつき、そして最もきびしい安全性の高いイギリス。イギリスの、国際的にも非常に高いレベルだと言われている
委員会でありますが、英国医薬品安全
委員会ですよ。その
資料はあなたにお上げしますから、よく読みなさい。七二年の十月ですよ、昨年の十月、経口避妊薬の副作用としての発ガン性の不安はないと断定をしてますよ。血栓症はすでに六八年、卵胞ホルモンが〇・〇五ミリグラム以下ならよいと立証しているんですよ、これは。それを胎児の腟ガンになる、乳児の子宮ガンだ、血栓症だと、こんな薄弱なあなたたちの副作用モニター報告で処理をするということは、きわめて非科学的ですよ。だから
大臣、私の申し上げたように、いまは亡くなられた前の厚生
大臣に私は言ったんです。薬務
局長というようなこのような重要な職責は、今後は技官にかえるべきだ、薬の専門家にすべきだ。こういうことを言ったら、あの人もそのとおりだと、しかし、いまは帯に短したすきに長し——あまりいい人がないとおっしゃった。松下さん個人を私は言うんじゃない。そういう人を中心に置いて薬務行政をやらなければ、先ほどの佐々木さんのような質問はどんどんあとを断たないですよ、これは。
特に私はもっと進めておきたいと思うのです、認識を改めてもらうために。薬物の副作用があるからといっておるけれ
ども、副作用があるなら、ほんとうに百歩譲ってこれが心配なら、白日のもとにピルというものを明らかにして、品質
管理といいますか、品質改良開発の方向へ積極的に前向きに進むのが当然製薬家の
責任ですよ。そうでしょう。それがほんとうの姿ではないか。これがほんとうの行政のあり方ですよ。たとえば率直に申し上げますが、黄体ホルモン、最初は世界でも一錠中には九・八五ミリグラム、一錠の中ですよ。九・八五ミリグラム入れておった。しかし、今日ずっと三年、四年、五年、十年たっているうちに、もう九・八五ミリグラム要らぬ。今日ではこの製品を見ますると、二・五ミリグラムまで減ってきているんです。四分の一でけっこうだ。それから卵胞ホルモンのほうは〇・一五ミリグラム、それがどんどん改良しているうちにこれは逆に〇・七五に世界のやつはなっているけれ
ども、
日本人は世界の女の人よりも小さいですから、これは私の
考え方で言うならば〇・〇五ぐらいが適当だと思うのです。そうすれば、副作用の作用は全くないんですよ。使用方法についてもみんな克明に書いてありますよ。中に入っています。研究を続ければいいんですよ。いまではもう卵胞ホルモンを一定にしておけば黄体ホルモンは少しで済むんだと、ここまで文献は明らかにしている。こういう問題を抜きにして、ただ情報があったから、これはあきまへん。だから、これは危険ですから要指示薬と。要指示薬になってどうなっているんですか。要指示薬になったら制限されましたか。私はここにメーカーの生産リスト、生産のデータを持ってきたけれ
ども、たとえば新EPでも要指示薬なら減ったと思うでしょう。要指示薬の規定になったのは去年の四月、その以前三カ月、あと三カ月を比べてみると、前が五三、四七、エナビットなんかは四一・八が五八・一に伸びている。リンデオールなんか三五・七が六四・二になっている。要指示薬になってもどんどんふえている。そういうことはどういうことなんですか。たとえば、それが副作用があるとしながら、チェックされていないんですよ。医師が出すならば要指示薬として指示書が出てくるだろう、薬剤士がチェックするだろうということで、あなた方は、良心的にあっちに回したかもわからぬ。しかし、現実にはふえているんです。ここに大阪府の医師会の会長の山口さん、
大臣が任命した中医協の
委員ですよ。この方ですら「要指示薬には反対であり、協力できない。」と声明書を
出しているんです、公文書を。しかも私は、これは健保
制度の問題の財政の問題で
指摘をしたいんだけれ
ども、薬価基準に登載されないもので、登載されているという同効の薬剤で、交換できるものは十分
説明して
保険診療として切りかえよと、堂々と書いてあるのです。
たとえば、新EP錠を女の人が取りにきたら、二百円の初診療をとって、EPは使いなさんなと、これは薬価基準に載っているアノブラールという、ここにありますけれ
どもこのアノブラールを代用しなさい。そうするとあなたはただで済みますよと、こういうことになっている。そしてどんどん使っているんです。こんなばかげたことが堂々とまかり通っているんです。そして
一般の女性には、経口避妊薬は副作用がある、使ってはいけません、使ってはいけませんというような方向へいっているということは、まさに私としてはどうしても認めるわけにはまいらない。
大臣の所見を承りたいと思う。