○矢追秀彦君 第四
分科会の
審査の
経過並びに結果について御
報告申し上げます。
本
分科会の
審査の対象は、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治
省所管でありまして、去る五日から本日までの四日間にわたり慎重
審査を行ないました。その詳細につきましては
会議録によってごらん願うこととし、ここでは
質疑のあらましにつき、簡単に御
報告いたします。
まず、労働
省所管について申しますと、「福祉国家の建設が叫ばれ、厚生年金が、
内容はともあれ、二万円から五万円年金に引き上げられるというのに、ひとり労災保険が何ら
改善されないままに放置されているのは納得できない。先般の三井砂川の落盤事件で死亡した遺族の補償年金が、三人ないし四人家族で六十万円、妻一人の場合は二十余万円、月にすればわずか一万七、八千円で、厚生年金の半分以下である。労働省が労働者の味方であるなら、この際労災保険の
改善について、真剣に
考え直す必要はないか」との
質疑がありました。
これに対し、
加藤労働大臣から、「労災保険の給付が厚生年金などに比べはなはだ低いので、今回も極力
改善につとめたが、スライド制の導入だけにとまった。保険
制度そのものにも問題があると思うので、労災保険
審議会に諮問しているが、労働省としても前向きに検討してみたい」との
答弁がありました。
このほか、じん肺病患者の管理区分の問題、日雇い労働者の賃金、産炭
地域緊急就労事業の存続、海外進出
企業における労働問題、技術研修生の名目で入国する外国人労働者の取り扱い、労災病院における独立採算制の
問題等について熱心な
質疑がありました。
次に、厚生
省所管におきましては、終戦後の軍事
裁判で終身禁錮刑を受けた将校の未亡人が、いまだに
恩給も遺族扶助料ももらえない実例に対する援護
措置、爆発的な人口増加と優生
保護法の
関係、重症心身障害児と寝たきり老人
対策の
問題点、難病
対策をめぐる研究体制の強化、薬事行政のあり方及び医療機関の整備と要員確保の問題、小児ガン、白血病並びに放射線患者に対する救護
措置、精薄児
施設における国庫補助率、委託
措置費及び就学の問題、診療報酬の適正化と看護料算定方式、乳児医療
対策、老人医療の無料化と扶養義務者の所得制限、医療の公費負担、保険医療の負担区分と差額ベッドの問題、離島医療体制の確立、薬品公害とワクチン業者の不正販売事件のほか、民間保育所をめぐる諸問題、父子家庭
対策、戦没者遺骨の収集及び広島県大久野島における毒ガス被害者の救済策等々、厚生
省所管の多岐にわたって活発な
質疑が展開されました。
このうち、「重症心身障害児の
施設の
問題点として、職員の不足がまず問題である。人手不足の中で一日に六回もおむつを取りかえるなど、苦労の限りを尽くしているが、
給与が少ないため退職者が絶えない。不幸な子供たちの能力を引き出し、人間らしい生活を送らすために、職員をふやす
考えはないか」との
質疑がありましたが、これに対し、齋藤厚生大臣から、「
施設の職員不足については、四十九
年度から看護婦、保母、指導員などの職員と収容されている児童の比率が一対一になるよう
改善する。また、大きくなった子供の世話は女性では無理な場合もあるので、新たに男性の介護人
制度を取り入れたいと
考えている」旨の
答弁がありました。
また、保育所の問題について、「保母の充足策として、無資格保母を使ってみてはどうか。また、保育所のわきにマンションが建って日照が奪われるという問題が各地で起こっている。子供から太陽を守るための
対策を聞きたい」などの
質疑があったのに対し、齋藤厚生大臣からは、「保育所の保母不足
対策の一つとして、今
年度から非常勤保母制を採用することにしているが、無資格保母については、目下、中央児童福祉
審議会の特別部会で検討中」との
答弁がありました。
次に、科学技術庁所管では、「原子力発電の安全性の問題をめぐって、エネルギー危機に備え、原子力の研究
開発は重要だが、
政府は原子力研究所で進めているガス拡散法と動燃事業団の遠心分離法といずれの研究に
重点を置いているのか。また、一年も前から安全性に関する公聴会を開くと言明しているが公聴会のやり方いかんではかえって不安感を助長することにもなりかねないし、安全性をごまかせば
地元民の不信をそそるだけである。また、地震地として特に指定されているような土地に原子炉の建設を許しているのは危険ではないか」などの
質疑がありました。
これに対し、前田科学技術庁長官から、「遠心分離法に必要な濃縮ウランはアメリカから供給を受けているが、それにも限度があるので、ガス拡散法の研究もおろそかにはできない。公聴会は原子力発電の安全性に対する
国民の意見を反映する場にしたいと
考えているが、はたしてどうなるか、参会者の良識にまつほかはない。安全性をごまかす意思はないが、電力会社にまかせっきりではいけないので、やはり国として責任をもって
地元民と納得のいく話し合いを進めることにしたい。原子炉と地震の危険性については、目下安全
審査委員会で具体的に研究しているが、関東大震災の三倍程度の地震でも原子炉はだいじょうぶと聞いているので建設を許している」旨の
答弁がありました。
さらに、自治
省所管でありますが、「固定資産の評価の問題に関連し、ゴルフ場の建設が盛んであるが、農地の宅地並み課税が実施されようとしている際に、ゴルフ場の固定資産税評価が安過ぎる。これは税の公平負担の原則からいっても問題で、この際評価がえすべきだと思うが、自治大臣の
考えはどうか」との
質疑がありました。
これに対し、江崎自治大臣は、「ゴルフ場を特別扱いする
理由はどこにもない。市街地区域内農地に宅地並み課税する以上、不公平があれば
実情に即して適正な評価がえを行ないたい」旨の
答弁がありました。
また、復帰後の
沖繩の
実情に関する
質疑と並んで、奄美群島の
振興開発の問題が論議されました。すなわち、島内住民の生活水準の格差是正、主要
地方道路の国道への格上げ、港湾、漁港の整備、奄美国立公園構想、みかん
対策、石油コンビナート建設をめぐる
地元民の反対の問題など、
質疑は多岐にわたったのでありますが、その中で、「奄美群島に対する公共事業の投資額は
沖繩など他の離島に比べ非常に少ない。投資ワクを拡大すべきではないか」との
質疑がありました。
これに対し、江府自治大臣から、「私はまだ現地を見ていないが、直接現地
調査もし、既定計画にとらわれず、
関係各省庁とも折衝して善処する」旨の
答弁がありました。
最後に、文部
省所管でありますが、「心身障害児の教育
環境をめぐって、不幸な子供たちが勉強したいと願っても、教育の
施設が足りない。特に重症心身障害児の場合は、児童福祉法に定める教育費補助の恩典からもはずされている。西別府病院の養護学園では、寝たきりの子供たちのために訪問教育を実施し、効果をあげたが、教員数をふやせないため、せっかくの企ても中止になった。教育機会均等からも見放された子供たちのために、高等部も設けてほしいというのが
関係者一同の要望だが、文部当局の所見を伺いたい」との
質疑がありました。
これに対し、奥野文部大臣は、「
昭和四十七
年度から三分の二の国庫補助をもって養護学校七ヵ年計画を実施しているが、まだ期待に沿うまでには進んでいない。重症心身障害児の教育費補助は何としても実施したい。高等部の設置は必要と
考えるので達成実現に
努力する。訪問教育のための教員の増員についても財源をつけて実現をはかりたい」旨の
答弁がありました。
このほか、同和教育のあり方、非常勤
公務員の法的根拠、非常勤職員の定員化、公私立幼稚園の格差是正、幼稚園整備計画の進捗
状況、医科大学の設置
条件、青年教育
施設及び児童館の設置
状況、社会教育とボランティア活動、大学院及びオーバー・ドクターの
実態等につき
質疑がありました。
以上御
報告いたします。(
拍手)