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1973-03-28 第71回国会 参議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十八日(水曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      片山 正英君     山崎 五郎君      内田 善利君     藤原 房雄君      加藤  進君     塚田 大願君      喜屋武眞榮君     野末 和彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大竹平八郎君     理 事                 上田  稔君                 佐藤  隆君                 高橋 邦雄君                 西村 尚治君                 米田 正文君                 森中 守義君                 横川 正市君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君     委 員                 小笠 公韶君                 梶木 又三君                 川上 為治君                 木村 睦男君                 楠  正俊君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 白井  勇君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 中村 禎二君                 長屋  茂君                 林田悠紀夫君                 山崎 五郎君                 山内 一郎君                 吉武 恵市君                 上田  哲君                 川村 清一君                 小林  武君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 安永 英雄君                 塩出 啓典君                 藤原 房雄君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君                 塚田 大願君                 星野  力君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        法 務 大 臣  田中伊三次君        外 務 大 臣  大平 正芳君        大蔵大臣臨時代        理        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂善太郎君        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        農 林 大 臣  櫻内 義雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君        労 働 大 臣  加藤常太郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      江崎 真澄君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       福田 赳夫君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  増原 恵吉君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       前田佳都男君    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        北海道開発庁総        務監理官     山田 嘉治君        北海道開発庁予        算課長      首藤 泰雄君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁長官官房        長        田代 一正君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁長官  高松 敬治君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        防衛施設庁労務        部長       松崎鎮一郎君        経済企画庁国民        生活局長     小島 英敏君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  仁君        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        科学技術庁長官        官房長      進   淳君        環境庁企画調整        局長       船後 正道君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        大蔵大臣官房審        議官       大倉 眞隆君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省理財局次        長        小幡 琢也君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        大蔵省国際金融        局次長      松川 道哉君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        厚生省社会局長  加藤 威二君        厚生省児童家庭        局長       穴山 徳夫君        厚生省保険局長  北川 力夫君        農林大臣官房長  三善 信二君        農林大臣官房予        算課長      渡邊 文雄君        農林省構造改善        局長       小沼  勇君        農林省農蚕園芸        局長       伊藤 俊三君        食糧庁長官    中野 和仁君        林野庁長官    福田 省一君        水産庁長官    荒勝  巖君        通商産業政務次        官        矢野  登君        通商産業省企業        局長       山下 英明君        中小企業庁計画        部長       原山 義史君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        運輸省航空局長  内村 信行君        郵政省郵務局長  溝呂木 繁君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君        自治省行政局長  林  忠雄君        消防庁長官    宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君    参考人        公害防止事業団        理事長      江口 俊男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十八年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  総予算審査のため、本日、公害防止事業団理事長江口俊男君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 昭和四十八年度一般会計予算  昭和四十八年度特別会計予算  昭和四十八年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑を行ないます。小柳勇君。(拍手)
  5. 小柳勇

    小柳勇君 私は、当面しておる問題を四つと、あと自家用トラックのはんらんによります物価問題について政府見解を聞きます。  まず第一は、きのう早朝に起こりました佐世保海軍基地タンカー爆発事件について、関係大臣報告を求めます。
  6. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 昨日、三月二十七日午前二時ごろ、佐世保港に停泊中の米軍タンカーピスカタクア号」で火災発生しました。火災は約十分後に鎮火をしたのでありまするが、その後、事故点検中にエンジン部分爆発をし、そのために海軍消防隊隊長外一名が死亡するほか、五人が重軽傷を負ったのであります。  当庁としては、現地長崎県から十時に報告を受け取りますと同時に、直ちに事故発生原因究明をなすよう指示をいたしますとともに、とりあえず労務調査官から米軍府中司令部に対して、今後かかる事故再発を防止し、安全措置の徹底がなされるよう厳重に申し入れをした次第でございます。  なお、当庁としても、当該被害者——この被害者の方は、米軍に雇用された日本人でございます。御承知と思いまするが、日本人でございまするので、当該被害者に対してできるだけの救済措置を講ずるように手配中でございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 その場合に、日本官憲立ち入り調査ができたのかどうかお聞きいたします。
  8. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) たいへん恐縮でございまするが、係の施設部長をいま呼んでおりまするので、来るまで、そのお答えをお待ちを願いたいと思います。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ、その問題は施設部長から聞きますが、この種の事故がほかの基地でも起こっておると聞いておりますが、過去の経緯をお聞きいたします。
  10. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) どうも失礼いたしました。  御質問の、今回の佐世保におきますような港湾等におきますところの米軍火災事故、そういったものにつきましては、施設区域の問題とは離れた問題でございまして、そういう事故の場合には、一応外交ルートを通じて問題を調査し、把握することになっております。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 それでは外務大臣——外務大臣を呼んでもらいましょう。
  12. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) この際、委員長より各省に要望いたします。  参議院委員部から質疑者の通告をいたしました際は、必ず本委員会出席して審議に十分協力していただくよう、重ねて強く要望いたします。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 時間がもったいないから施設部長に質問しますがね。施設部長、きのうの事故は、日本官憲調査に立ち合うことができたのかどうか。
  14. 松崎鎮一郎

    政府委員松崎鎮一郎君) お答えいたします。  昨日の事故につきましては、直ちに米側のほうに事故原因究明並びに再発防止の対策を申し入れますと一緒に、労働基準監督署その他の国内関係機関立ち入り調査できるように申し入れてございます。昨日申し入れました。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 その申し入れの結果、日本官憲立ち入り調査ができたのかどうか。同時に、新聞記者立ち入りできなかったそうだが、報道陣が立ち入ったかどうかお聞きいたします。
  16. 松崎鎮一郎

    政府委員松崎鎮一郎君) ただいま、けさここに出て参ります前には、まだその報告は聞いておりません。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 防衛庁長官に質問いたしますが、さっき長官がここに報告されたのは、どこから出た情報かお聞きいたします。
  18. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 先ほど申し上げました報告は、長崎県のほうから通報を受けたものでございます。なお、外務省からも防衛庁通報があったということでございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣は見えてないようですけれども外務省政府委員が見えているかどうかお調べください。
  20. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 外務省政府委員は……。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 じゃあ、長官、さっき答弁されました長崎県からの報告というのは、長崎県のどういうところから調査して報告したか御返事願います。
  22. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 渉外の労務関係からということでございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官に質問しましょう。これだけの重大な事故、しかもタンカー爆発して、日本労働者一名死亡、六名重傷、こういう重大な事故に対して、その調査もできぬような状態、しかも、いまの政府態度はどうでしょうか。官房長官見解を聞きます。
  24. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) お答えする前に、先ほどから当局出席がなかったり、おくれたり、また、適切に答弁ができなかったりしたことを、私は非常に遺憾に思います。今後こういうことがないように、厳重に各省にも私のほうからも申し伝えるつもりでございます。まことに遺憾に存じます。  こういう事故が起こることは、はなはだ私も遺憾だと思っております。しかも、まあ米軍関係タンカーに、炎上、火災が起こり、その結果、両方に死者が出たり、負傷者が出たり、こういうことは決して好ましいことではありませんし、またこういう事故発生いたしますと、今日まで見られたように、市民との間において非常に悪い感情問題も起こってくることは必然でございます。また、基地全体の問題にもこういう問題が論及されることはもう明らかでございますから、まず私は、こういう事故がないように、米軍当局にも、外務省を通じ、あるいは施設庁を通じて、厳重に、事故を起こさないような措置を十分講じていただきたいということを申し入れていただくつもりでもございますし、また、日米安保協議委員会等もございますから、来たるべき会議には、ぜひこういう問題も取り上げて、こういう事故が起こらないようにいたさなければならないと考えております。  なおまた、いま外務大臣もお見えになりましたから、こういうことについて具体的な問題についてのお尋ねは、外務当局あるいは防衛庁当局にしていただきたいと思います。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 私は、このあと芦屋基地岡垣実弾射撃場の重要な問題で、施設庁長官には出席を求めております。しかも、きょうは出てないらしい。私は、この始末を内閣でして、その結果を私に報告願います。官房長官答弁求めます。
  26. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 承知いたしました。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣に質問いたしますが、きのう佐世保基地米軍タンカー爆発いたしました。日本労働者一名死亡、六名重傷でありますが、その実態外務省は掌握しておられるかどうか、報告を求めます。
  28. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 昨二十七日午前一時半、佐世保港内赤崎貯油所地区元船桟橋で、給油中の米軍チャータータンカーピスカタクア号ボイラー室より火災発生し、直ちに日本人基地消防隊及び同船船員消火活動に当たった結果、午前二時十五分過ぎ、火災は鎮火されました。午前二時二十分過ぎ、基地消防隊員及び同船船員が、点検のため船内に立ち入ったところ爆発が起こり、日米双方死者各一名、負傷者十二名、内訳を申しますと、日本側重傷者一名、軽傷者五名、米側重傷者二名、軽傷者四名を出しました。なお、陸上施設には被害はございませんでした。  実態は以上でございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまの報告はどこから入手されたか、また、外務省現地に行って調査したのかどうか、お聞きいたします。
  30. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 事故発生を聞きまして、直後、米国大使館を通じまして調査したものでございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 他の米軍基地でもこのような事故が再三起こっておるようでありまするが、その経過を報告願います。
  32. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 昨日の事故につきましても、直ちにアメリカ局長といたしまして、私が在京米大使館シュースミス公使を招致いたしまして、かかる事故の起きたことはまことに遺憾であるということを申し入れるとともに、地位協定規定に従いまして、米側施設区域内の作業にあたっても十分公共の安全に妥当な考慮を払うべきであるということについての注意を喚起したわけでございますけれども米軍は、地位協定に従いまして、施設区域を使用いたします際には当然公共の安全に十分な考慮を払うことが義務づけられているわけでございまして、そのつど、日本側といたしましては、米側に対しまして、その規定順守方注意を喚起しているところでございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 そのことはあとで質問するつもりで、そんなことを質問していません。いま聞いているのは、この佐世保海軍基地のようなことが、たとえば相模原など他の基地でも起こったではないか、そのときにどういう措置をやりましたかと、こう聞いている。
  34. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 御指摘のとおりに、相模原補給廠におきましても作業中に事故が起きたという事例はございますし、そのつど、日本側といたしましては、米側に対しまして、かかる不祥事の起きないことを十分申し入れているわけであります。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣に聞きますがね、日本労働者が死に、かつ重傷であるのに、現地日本官憲調査できないということで、いままで見過ごしてきたのはどういうことですか。
  36. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 基地内のことにつきましては、管理権アメリカにありますけれどもアメリカ軍の同意を得まして日本官憲が立ち入ることは可能なんでございます。したがいまして、そういう場合におきまして、御指摘のように、日本政府におきまして、現地におもむいて善後措置につきまして、注意深い、行き届いたお世話を申し上げるのが私は日本政府のやるべきことであると思いますが、従来そういうことができていなかったということに対しましてはたいへん残念に思います。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 立ち入り調査ができるのになぜやらぬのです。きょう今日までやっておるのかやっていないのか、答弁願います。
  38. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 今回のような事故が起きました際に、現場調査の必要が出てまいるわけでございますけれども、その調査の必要が出ました際におきましては、米側に対しまして、調整の上で、必要に応じて現場調査を行なうということができるわけでございまして、施設庁並び労働基準局関係当局におかれて、必要の措置を講じておられるというふうに承知いたしております。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 施設庁長官——いや、じゃ、防衛庁長官に聞きましょう。——労働大臣は見えていますか。おのおの労働大臣施設庁長官から聞きましょう、調査をしたかどうか。——労働大臣呼んでもらおう。
  40. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) いま労働大臣連絡しましたから。
  41. 松崎鎮一郎

    政府委員松崎鎮一郎君) 日本人従業員に関する事故がございました場合には、アメリカ側と、かねて、そういう事故についての必要な調査について、日本国の権限のある官署が立ち入って調査する、事前調整の上、立ち入って調査するということは約束ができておりまして、それに従って、たとえば、先生先ほどおっしゃいました相模原における事故等の際、その他の事故の際にも、労働省のほうから立ち入っておられますし、施設庁としては、労働省の依頼を受けましてそのあっせんをいたしております。
  42. 小柳勇

    小柳勇君 さっきの外務省の話では、施設庁及び労働省が、官憲が必要と思えば立ち入って調査したとあるが、施設庁としては、今度の事件で必要あると認めたのか認めないのか。
  43. 松崎鎮一郎

    政府委員松崎鎮一郎君) お答えいたします。  昨日午前十時ごろ、その報告長崎県から受けまして、直ちに米側のほうに、そういう、たとえば労働基準監督署立ち入り等、そういったことがすみやかに現地で行なわれるよう在日米軍司令部から指示をするよう、申し入れを行なったところでございます。
  44. 小柳勇

    小柳勇君 十時に長崎県から報告があったと言うけれども発生は一時五十分です。その八時間の間、何しておったかということを長崎県に聞いたのか聞かぬのか。労務部長、もう一回答弁願いましょう。
  45. 松崎鎮一郎

    政府委員松崎鎮一郎君) 私どもとしては、テレビを見まして直ちに長崎県に聞きました。
  46. 小柳勇

    小柳勇君 外務省に聞きますが、相模原の場合は入ったが、今度は外務省としては入る必要ないと考えて労働省施設庁連絡しなかったのかどうか、外務省に聞きしょう。
  47. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 私ども事故発生承知いたしましたのは、ただいま施設庁から御答弁がありました時刻とほぼ同じころでございまして、その結果、私どもといたしましては、施設庁連絡をとりながら在京米大使館連絡をとりまして、先ほど報告いたしましたような事実関係をまず確かめたわけでございます。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ、相模原の場合はわかりましたが、呉の弾薬庫の場合、沖繩毒ガス事故の場合はどうでした。
  49. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩毒ガス事故と申しますのは、おそらく那覇軍港におきまして塩素ガスの流出という事故のことかと思いますけれども、この問題につきましては、現地施設局から施設本庁報告があったそうでございまして、そのことにつきまして、私ども施設庁から連絡を受けたわけでございます。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 呉の弾薬庫は。
  51. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 呉弾薬庫の問題につきましては、新聞で騒がれ、国会で御論議が出たわけでございますけれども、この過程におきまして、在京米大使館に、私どもといたしましては事実関係につきましていろいろ確かめたわけでございます。
  52. 小柳勇

    小柳勇君 まだ労働大臣見えぬようですが、官房長官、この米軍基地の中に働いているたくさんの日本人人命というものが、何かこう全然日本人じゃないような印象各省扱われておるが、どうですか、いまの答弁印象で。
  53. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 私は、同じ日本人施設内に働いておって事故があった場合に、日本人でないような感覚で政府当局も取り扱っておるというような印象だとおっしゃいますが、私はそうではないと思っておりますが、いろいろな米軍との関係は、なかなか思うように立ち入りができなかったりするという事情もあることは御承知のとおりでございますから、できる限りの範囲において話をつけて、そして調査をするというたてまえにいまなっておりまして、したがって、時間その他も多少経過する場合もあると思いますし、また御指摘のような問題も起こっておると思います。そういうことについて、そういうふうにいろいろお考えになることはやむを得ないと思っておりますが、しかし、人命は、あくまでも、軽んずるという態度でもってこういう措置をしておるとは考えておりません。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 施設庁では外務省が主体だと言う。外務省としては施設庁労働省だとおっしゃるでしょう。その間にもう一日も二日も実態がわからぬまま、調査もできぬまま。死んだ者は死に切れません。重傷者がいま現在病院に入っているでしょうが、それも実態はわからぬでしょう。そういうことで政府の責任は全うされたと言えましょうか。もう一回、ひとつ官房長官、あなた、内閣を代表して答弁してください。
  55. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) いまお述べになりましたようなことが、もしありとするなら、まことに遺憾に私も存じます。できるだけそういうことがないように、ひとつ最善の努力をいたすことは当然だと思っております。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣、これは問題はたくさんありますけれども、きょうはほかの問題もありますが、もう一回聞いておきますが、いまのような状態では日本人労働者は安心して働けません。今後、米軍基地に働く労働者の問題について、どういうふうにいまの論議を聞いて考えておられるか。今後の措置をどうするか、決意を聞きます。
  57. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのように、人命を尊重してまいりますことは政治の基本であると思います。米軍基地関係あるいは基地外の米軍の行動に関して、過去におきましても何回か不幸な事件が起きたわけでございまして、私どもといたしましては、地位協定に従いまして、これに善後措置を講じなければならぬことは当然でございますけれども政府の各機関が連絡を迅速かつ正確に、連絡を密にいたしまして、米軍公共の安全に妥当な考慮が払われておるかどうかという問題と、それから不幸にして起きた事件究明被害者の援護、そういったことにつきましては、迅速かつ周到な措置をやらなければなりませんし、今後も十分注意しながら、仰せのような趣旨に従いまして措置してまいるつもりでございます。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 これは、労働大臣施設庁及び外務省一緒に並べてやらなければなりません。まだ補償の問題や病気見舞いの問題、現地調査の問題、報道陣立ち入りの問題がありますが、保留して先に進みます。  第二の問題は、岡垣射撃場の問題であります。  防衛庁長官に質問いたしますが、北海道から沖繩まで陸海空の飛行部隊は一体どのくらいありますか。
  59. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 航空部隊の数の御質問でありますが、北海道が四、本州が二十四、四国が二、九州が六、沖繩が三、合計三十九航空部隊であります。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 その三十九航空部隊で、現在実弾射撃場は幾つありますか。
  61. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 対地射爆撃場が現在のところは二、島松と三沢、それから問題になっておりますのが岡垣訓練場でありますが、これはまだ使っておりません。それからあと空対空の射撃訓練場が八つございます。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 三十九の飛行部隊で射撃場は二つしかありません。その二つで全部隊が実弾射撃の訓練ができているのかどうか。
  63. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 各航空機につきましては、シラバスというのがございまして、大体一機当たり二百時間の中でどういった爆撃、どういった操縦をやるということはきめられておりますが、その中での対地射爆の訓練から申しますると、全体でいまの二つの射撃訓練場で五五%ぐらいという数字が出ております。
  64. 小柳勇

    小柳勇君 他の四五%はどこで訓練しているんですか。
  65. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) したがいまして、射撃訓練そのものができませんので、実際のたとえば地上での訓練でありますとか、まれに海上に、水中、水上の目標を置きましてやっておりますが、これは一機当たり年間一、二回でございますので、やれない部分はその部分を他の科目に転用しているというのが実態であります。
  66. 小柳勇

    小柳勇君 五五%の実弾射撃訓練をやるために、国定公園までやらぬでよかろうと思うが、どうですか。
  67. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私どもといたしましては、関係官庁と協議連絡をいたしまして、また地元とも協議いたしまして、できる範囲のことはなるべくならば、二つではちょっと不十分なので三つの射撃訓練場を使いたいということは考えております。
  68. 小柳勇

    小柳勇君 環境庁長官に質問いたしますが、国定公園は、環境保全法もできました、積極的に国民の健康のために利用しなければならぬ。そこをわざわざ、これから実弾射撃訓練場に使うのは絶対にこれは阻止すべきだと思うが、どうですか。
  69. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 自然の環境を保全するということは、今日非常に大切なことですから、でき得べくんば、その自然の保全という見地からして、射爆場のようなものがそういう国定公園の中にあるというようなことは好ましいことではないと思いますが、しかし、一方においては安保条約等の関係もあって、そういう場合もあり得るんでしょうが、全体としては好ましくないということは当然でございます。
  70. 小柳勇

    小柳勇君 林野庁長官見えておりますか。林野庁長官に質問いたしますが、樹齢三百年の保安林を守らなければならぬ、その保安林のところが実弾射撃場に使われようとしておる。そういうものについて林野庁としてはどうお考えですか。
  71. 福田省一

    政府委員福田省一君) 約三百ヘクタールくらいは明治三十年から防風保安林になっております。うしろのほうには田畑とかあるいは農家がございます。できるだけ、林野庁としましては、そういった保安機能を維持してやることは大切であると、かように考えております。
  72. 小柳勇

    小柳勇君 行管長官に質問いたしますが、行管長官はここに、これは新聞に出たのでありますが、自然破壊で勧告を出しておられます。その真意をお聞きいたします。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが日本の国土と申しますか、われわれの自然環境、これをきれいな形で保存するということは、健康で文化的なわれわれの生活の必須条件であるのみならず、これはわれわれの自然に対する責任でもあり、また子孫に対する義務でもある、これくらい大事なことである、こういうふうに考えているわけでございます。ところが、実際問題といたしますと、近年、経済、科学技術の進歩、そういうものに伴いまして、わが国土の自然環境というものが相当破壊される。非常にこれは憂慮すべき状態になってきておる。そこで、どういうところに欠陥があるか、こういうことについて、昨年管理庁におきまして行政監察を実施いたしたわけであります。そうしますと、行政上も多々問題があることが発見されたわけであります。  要点を申し上げますと、一つは、いま保安林のお話がありましたが、ああいうものにつきましては自然環境に関連のあるいろんな規制があるわけであります。あるいは史跡の保護というような見地につきましてもいろんな規制がある。公園につきましてもいろんな規制措置がある。その法令が守られておらぬという問題があるんです。許可を受くべき案件が許可を受けずして破壊行為が進んでおる、こういうような問題もある、そういう問題。それからもう一つは、環境破壊を防止するための基準そのものについての問題であります。それが適正であるかどうか、あるいはいろんな規制立法におきまする規制措置について許可を与える、認可を与える、そういう際におきまする統一基準、そういうものが非常に不備な点が多いとか、あるいは許可を与えるにあたりまして、事前の調査等につきまして行き届かない点があるとか、そういう許可基準、環境破壊の防止基準、その問題をめぐるいろんな問題点がある。それからさらに、たとえば、これは自然公園なんかに見られるわけでありまするけれども、その自然公園の環境保全の措置、それが十分でない。これは予算とか、そういうものへもいろいろ関係すると思いまするけれども、そういう問題点がある。そういういろんな問題点がありますので、これは立法問題もいろいろ考えれば考えられる問題でありますけれども、それはさておき、この行政の運営の面におきましても多々改善の余地がある、こういうふうに存じまして、その行政監察の結果を勧告案にまとめ、去る二十六日に関係各省に対しまして勧告をいたすということにいたした次第でございます。
  74. 小柳勇

    小柳勇君 もう一つ、行管長官ですよ。  そのような決意のところに、国定公園の第一種指定の地域で三百メーターばかり砂利を採取している、それをことし、環境保全法がもう実施されようとしていることし、県が許可しておりますが、このようなものはいかに思いますか。
  75. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま御指摘の事例につきましては、私、まだその具体問題として私自身は報告は受けておりませんが、しかし、同じような事例がずいぶんあるわけなんです。許可事項になっておる、それを許可を受けずにして砂利の採取、そういうような環境破壊行為が行なわれておるということが多々あるわけなんです。それからさらに、また、あの人に砂利の許可がおりたんだから私にもというようなものが出てきた場合におきまして、前例があるから許可するんだというようなことで、また次の環境破壊活動が行なわれる、こういうような事例があるのであります。それはちゃんと、法におきまして、そういう際におきまして、これは許可を受けなきゃならぬということになっており、その際にはちゃんと基準があるわけでありまするから、その基準に従って、許可を与え得るものは与える、与え得ざるものは与えない。与えないものに対しまして、そういう破壊行為が進むということがありますれば、これは法に従って処断をするということをびしんびしんとやっていくべきである、こういうふうに考えます。
  76. 小柳勇

    小柳勇君 今度は環境庁長官ですよ。  いま、行管長官がおっしゃったように、環境保全法すらできたんですから、それに第一種指定、国定公園の特別地域ですよ。国定公園の特別地域の第一種指定の地域から砂を採取している、それも、いままで例があったから県の観光課がこれを許可した、そういうことです。したがって、私言いたいのは、国立公園の指定解除は、これは大臣、環境大臣。ところが、国定公園は県の申請によって大臣が許認可するわけですね、解除も。そういうところに矛盾がありはせぬかと思う。したがって、また、積極的に環境を守ろうとするなら、少し法律改正をしなきゃならぬと思うが、どうですか。
  77. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 日本の場合は、もう少し自然環境の保全の地域を広げていかなければいかぬと思っているんですよ。いま、まだやっぱり少な過ぎるわけです。だから、自然環境の保全法もできて四月から実施されるわけですから、そうなってくれば、特定地域とか府県のやる自然環境の保全の地域とかいう指定ができるわけですから、これをやはりもっと広げて、いま国土の一三%程度だと思うんですが、もう少しやはり広げていかなければならぬ。したがって、国定公園に指定するときには府県の申し出がなければならぬことになっておるんですが、これはいま法律改正は考えてないんですが、国定公園の地域を広げていきたいという考えがあるものですから、これを府県との間の連絡を緊密にして拡大するという方向で県と連絡をとって、そしてなるべく府県もそういう方針に協力するように誘導していきたいと考えておるわけです、広げたいという方針を。法律改正ということはいま考えておらない。必要があればやっていいのですよ、広げたいというのですから。いま十分な連絡を府県ととれば、その目的は達成できるのではないか。府県においても、やはり自然の環境の保全地域を広げるというのが県民のいまの意識じゃないでしょうか。したがって……。
  78. 小柳勇

    小柳勇君 県民はそうだけれども、役所はそうじゃない、癒着……。
  79. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) しかし、やはり知事としても、県民の意識というものを代表しなければ県政はやれないでしょうから、そういう声は非常に全国的に強いですから、県との間に緊密な連絡をとれば、そういう自然環境の保全地域を拡大するという目的は達成できるのではないかというふうに考えておるわけですが、それが必要があれば法律改正だっていいと思うのでありますよ。
  80. 小柳勇

    小柳勇君 そこにちょっとおってください。ここで、この地図は北部九州の地図ですがね。この青いところは国定公園で、ずっと玄海公園。玄海国定公園の中で、ここにぽつんぽつん二つ切れています。こちらはこれは芦屋基地米軍芦屋基地。ここは雁ノ巣基地。それだけを、残念ながら接収されていたから国定公園にできなかった。したがって、昨年七月十一日に完全返還されました。だから、この際こちらのほう、こちらのほう、両方とも国定公園に申請させ、指定すべきであると思いますが、いかがですか。
  81. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 福岡県からその申請があれば——私も地図を見たのですよ。そこは黒松の林で非常に景勝の地でありますから、福岡県から申請があれば、国定公園として拡大したいという意図を持っておりますが、いま、先ほどからお話のあったような射爆場の関係等もありますから、やはり福岡県の申請ということが前提でありますが、あれば拡大をしたいという意図を持っておることを申し上げておきたいと思います。
  82. 小柳勇

    小柳勇君 次は自治大臣。  いまのようなことで、県も、この三十日か三十一日の県会で最終決定。それから町は、この岡垣町という実弾射撃場の町は、町長、助役はノイローゼになりまして、やめました。したがって、一日から選挙です。とにかく実弾射撃場になるだろうということで——まだなっていませんが、なるだろうということで、もう町政が麻痺してしまっています、反対運動で。したがって、反対派が勝ちましても、賛成派が勝ちましても、これがある限りは、もう麻痺いたします。たとえば、賛成派が勝ちますと、すぐリコールが成立します。町民の八割が反対、実弾射撃反対。賛成派が勝ちますと、すぐこれはもう協定無効宣言しますね。残念ながら、防衛庁に協定書を町長が病院から送っております、五カ年間同意するということを。したがって、それをたてにとって、やればあと町政麻痺。その真意を聞きますというと、交付金や補助金や補償金、これは約二億ばかり出ます、年間。このことがやはり町長としては魅力だったようです。しかし、そのようなことで、かつてのあの大飢餓のときに農村から娘を売って生活したような町政は、いままで昭和二十一年に米軍に接収されたから、これが栄えなかった。だから、いま栄えない貧乏な町だから、二億の金がたいへん必要。だから、町長は町の犠牲になるつもりで同意書を出したと思うのです。しかし、もし実弾射撃場をやらぬで、国定公園にしてやれば、もうりっぱな町です。すぐ住宅団地、りっぱなものができましょう。そういう町であります。したがって、これでもう、これを解決するのはいまの時期しかありませんが、実弾射撃場にしないように、自治大臣としても考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  83. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 町長がみずからの判断によって自衛隊と協定書を取りかわした。これは私ども小柳委員からの質問要旨を承りましたので、調べてみますると、正式の議会ではないが、全員協議会にはかって、その協定を進めたというふうな返事が返ってきておるわけでありまするが、その後の情勢の変化によって、町長、助役が非常に窮境に立った。いかにも残念なことが起こったものだと憂慮いたしておる次第でございます。もともと、これは町長と防衛庁施設庁との間に合意が成立して、そこで話し合いがなされたものというふうに私どもとしては受け取っておるわけでございまして、市民と町責任者との間で円満に調整ができることを念願するものでございます。そういう場合に、自治省としては、調停なり仲介なりの積極的要請があれば、これは相談にこたえるということもあり得るわけでありまするが、中央が過剰介入になってもなりませんので、まあ普通の場合は県が調整に当たるというのは御承知のとおりでございます。  それから後段の、基地交付金とか、あるいは基地周辺整備法に基づく周辺整備の金額がほしいために協定書を送付したのではないか、そういう疑いがある、こういう御質問でございまするが、御承知のように、基地交付金というのは、その市町村に占める広大な基地というもののメリットが少ない——御承知のように、普通の工場であるとか、そこにもつと他のものを誘致すれば、固定資産税があがったり、町の実収にプラスする面が多いわけでありまするが、基地という、特に広大な地積を占めるものが何ら報われるところがないというところから、それに見合って、まあ固定資産税並みとはとうていまいりませんが、交付しておることは、これはもう御承知のとおりであります。それから基地周辺整備法は、御承知のとおり、これも基地がその市町村に迷惑をかけるということから、基地住民のためにできるだけ公共事業その他にかさ上げをして協力をするという意図に基づいてできたものでありまして、法に基づくこれらの交付金ないし整備事業というものは適切妥当なものであると考えておりまするが、もし、いま御指摘のようなことがほんとうであるとすれば、これはいかにも本末転倒した話だと言わざるを得ないと思います。まあ、基地交付金の魅力というものがそんなにあるかどうか、これは責任者の立場に立ってみませんというとわかりませんが、われわれ自治省としても、十分ひとつそのあたりの推移など調査をいたしてみたいと思います。
  84. 小柳勇

    小柳勇君 それは、地方財政の約二割に及ぶ基地交付金というものは相当の魅力でしょう、町長としては、町議会としても。それと、私はそれを廃止するだけでは町政はよくならぬと思いますが、昭和二十一年から米軍に接収されておるわけです。もしそれなかりせば——さっき申しましたように、りっぱな町です。もういま、どんどん黒字の町ですね。したがって、これは全国的にそういう例はありましょうから、二十一年にそれが接収されたような町には、その償いの交付金、そういうものを自治大臣としては考えなきゃならぬと思うが、どうですか。
  85. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) まあ、基地があれば、それに基地交付金はいまでも交付をしておるわけでありまして、これが米軍から自衛隊にかわったということにおいて、その基地形態が違うために、その市町村にあがるいわゆる消費の支出が少ないということはあろうかと思います。しかし、そのことによって基地特別交付金を考慮するという事情にはならぬと思うわけで、それが今日の基地交付金の積算の根拠にもなり、また、周辺整備事業の推進ということにもなっておるわけでありまするから、米軍時代から継続して自衛隊ということになれば、それ相当の協力をしておる、こういうわけでございますね。
  86. 小柳勇

    小柳勇君 償わなきゃ……。ずいぶん犠牲をしいたのだから。
  87. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) ですから、その犠牲をしいてきたことについて、基地交付金及び周辺整備事業を推進しておる、こういうわけでございます。
  88. 安永英雄

    ○安永英雄君 関連。  防衛庁にお聞きしますが、私は現地調査に参りましたが、ここの岡垣の射爆場の中に、町の射爆場の中に、自衛隊員が十数人おりまして、さらに鉄条網でこれを囲いをして自衛隊の立ち入り禁止の札を立てておる。この自衛隊員というのは何のためにおるのか、また、この自衛隊はどこから来ているのか、どういう任務を持っておるのか、これをはっきりさしてもらいたいと思います。  それからさらに、これは、たとえば、農林省あたりから依頼を受けてここにおるんだということであれば、農林大臣はこれは何のために置いておるのか。これはもうはっきり完全返還ですから、農林省としては、当然、アメリカ軍が使っておったこの施設、そういったものを撤収を要求するのが当然だと思う。それに、あるいはまた保安林というものの管理というのに専念しなければならぬと思うのですけれども、もしも農林大臣のほうから防衛庁のほうにこの管理を委任しておるとするならば、どういう理由で委任をしておるのか。この点を、まずはっきりしてもらうとともに、私は、あの近郊の学校を回ったのですけれども、待ちに待った昨年の三月末の完全返還ということで、各学校はこれについて、ようやくあの騒音、爆音というものからのがれて、ほんとに実の入った教育ができると楽しんでおったけれども、それさえも強引に射爆場に使用するということで、これは、地元の住民はもとよりのこと、教育に関係しておる者、あるいは生徒児童そのものが非常に落胆をしておるし、腹の底から、あそこの射爆場に長いことがまんしたけれども、この際ひとつ、はっきりやめてもらって、そして防衛庁がつくったといわれるあの防音の校舎——夏はどういう授業をしているか御存じですか、文部省との打ち合せも何もなくて、そして、かってに教育的な配慮も加えずに防音校舎をつくっておるが、これは教育の環境としては最も悪い、こういったものを取りはずして、ほんとにすがすがしい中で教育にいそしまれる、こういうことで待っておった。こういう事態を私はつぶさに見てきたのでありますが、教育問題は、文部大臣がいらっしゃらないから、私は別の機会に質問をするとしましても、地元住民が期待をしておる、この自然環境を取り戻す、こういった熱意のある中で、あたかも刺激するように自衛隊があの中に入っておるけれども、実際に正式に何人おるのか、どこの部隊から来ておるのか、どういう任務を持っておるのか。もしもこの農林関係がこれを委託しておるということになれば、どういう理由なのか。保安林はこれを確保するのが当然の任務であるし、これをやっておるということなら許せないと私は思うのですけれども、この点、防衛庁長官と農林大臣の見解を承りたい。
  89. 長坂強

    政府委員(長坂強君) 先生御質問の第一点、自衛隊の隊員が警備をしておるようだと、何名ぐらいおるのか、どこから来ておるのかという、その第一点についてお答え申し上げます。  これは、昭和四十七年の四月一日、つまり昨年米軍からこの施設が返還になりました翌日、それ以降、直方営林署から福岡防衛施設局に警備依頼がございまして、航空自衛隊の芦屋基地において警備をする、その依頼に基づきまして警備をしておるという状況でございます。この施設管理要員は十七名をもってこれに充てております。そして、監視塔、ハットメントなど、返還財産及びその敷地の警備依頼ということでございます。  以上でございます。
  90. 福田省一

    政府委員福田省一君) ただいま御質問ございました点について林野庁からお答えいたします。  保安林の問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、これは耕地の防風林が主でございまして、防砂あるいはまた防潮の保安林となっておりますから、これは林野庁としましても、今後、防風機能、防砂機能、防潮機能に万全を期してまいりたいと、かように思っております。ただ、福岡県知事からこれを使用することについての協議があったわけでございまして、その点については、保安林の問題を中心にしまして検討はいたしておりますけれども、私たちは、ただいま申し上げたように考えております。  なおまた、御指摘のございました建物については一防衛庁との間でいろいろこの点についての具体的な事務的な処理を進めてまいりたいと、かように考えております。一応私たちは、いま申し上げましたように、申し入れを受けて検討はしておりますけれども、防風機能、防潮機能、あるいは防砂機能に支障を来たさないようにしてまいりたいということを中心にして、ただいま検討しております。
  91. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵大臣、いまこれは国有地で、その中で大部分が国定公園ですけれども、接収されたものはいま大蔵省が管理しておりますが、これを地方自治体に、レジャーセンターあるいは健康住宅団地などに払い下げるような意図はございませんか。
  92. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御設問の芦屋対地射爆撃場のあとは三百十二万六千平方メートルございまして、すべて国有地でございますが、そのほとんどの二百九十七万六千平方メートルは農林省所管の国有林野事業特別会計所属の財産でございまして、大蔵省所管一般会計所属普通財産は海岸沿いの細長い土地、すなわち十二万八千平方メートル、全体に対して四%でございます。このあと地を防衛施設庁に使用させることにつきましては、国有地の大部分を管理している林野庁の許可が必要でございまするほか、地元公共団体の了解を得られることが望ましいことと考えております。したがいまして、大蔵省としては、これらの要件が具備するということが手続をとる前提であると考えておるわけでございますが、なお、この土地は玄海国定公園と隣接しておりまして、国定公園の指定は地元地方公共団体の申し出によって環境庁において指定することとなっておりますので、地方公共団体においては、従来の使用状況を考慮し、防衛施設庁が使用することについて了解するならば差しつかえないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いまの御設問は、まあ私どもはそういうことを考える立場にないと、こういうことに考えておるわけでございます。
  93. 小柳勇

    小柳勇君 またあと、地方公共団体などから申請がありましたら考えてください。  最後に、防衛庁長官に質問いたしますが、過去に百件もの誤射事故がありました、実弾射撃で。で、死亡者三名、重傷一名、戦々恐々としているわけです。実弾射撃ですから、非常に危険なんですね、町全体が。したがって、このような国定公園でございますから、実弾射撃などに使わない、そういう方針をきめてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  94. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 小柳委員の申されるところ、まことにごもっともなことと思うのでございまするが、先ほど来防衛局長等から御説明をしましたように、日本にはいわゆる射爆撃場はいま二カ所でございます。現在問題になっておりまするこの地は、従来米軍が射爆撃場に使っておりまして、その時分、昭和三十五年以来は自衛隊も共同使用をさしてもらっておったというようなことでございます。全国的に考えまして、二カ所では五五%程度の、所望に満たない訓練しか、いまできないという状況でございます。そういうことで、この岡垣——まあわれわれ芦屋射爆撃場と普通言っておりまするが、ここのところは気象条件なども他の個所に比べてはるかによく、近所に芦屋及び築城の飛行場もあるということで、射爆撃場としての操作をいたしまするのにまことに適当な施設であるということで、私どもも射爆撃場を設けなくてよろしいということができますれば、射爆撃場をつくらないということにしたいと、もとより考えるわけでございまするが、自衛隊を設置をし、最小限度の自衛力を整備していくというたてまえ上、やはりこの射爆撃場がたいへん重要な必要性を持っておるという点にかんがみまして、地元の方々と折衝をずっと続けてまいりまして、地元の町村長と話し合いをいたしました結果、一応覚え書きをつくることができまして、この射爆撃場については従来事故があった経験もありまするので、将来自衛隊が使いまする場合、そうした安全確保については特段の注意をいたしましてこれを使用する、そうして使用を開始してから五年間経過したところで、周辺の開発状況その他いろいろなことを考えまして協議をするということで、一応覚え書きをつくることができたのでございます。何とかこの覚え書きに従いまして、私どもとしては、この射爆撃場を使うようにさしていただきたい、事故防止については万全の措置をとるようにいたしたい、かように考えておるところでございます。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 防衛庁長官の気持ちはわかりましたが、まだ現地のほうはたいへんな紛糾状態でありまして、北九州国有財産移転審議会もなかなか結論が出ません。したがって、またこれは内閣委員会など他の委員会で徹底的にひとつ論議いたしましょう。  第三の問題は、カネミ油症事件の問題です。厚生大臣、カネミ油症事件は、先般来関係省庁に陳情をいたしまして、非常に前向きの具体策が出されまして感謝いたしております。また、水俣裁判以来、公害患者の救済が急速に進められておりまして、このことも喜ばしいことであります。森永ミルク事件も裁判を待たずして行政的に救済措置をとることが報じられております。したがって、最後の大事件としてのカネミ・オイル患者に対しましても、裁判がいまなされておりますが、これから一年から一年半かかります。その間、患者もたいへんでありますから、裁判を待たずして行政的な救済措置を講じられたいと思いますが、いかがですか。
  96. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) カネミの油症患者の問題でございますが、私も患者の方々に先般お目にかかりましたが、ほんとうにお気の毒と申しますか、悲惨な状況であることを私も知りました。いかにPCBというもののおそるべきものであるかということを十分私も知ったわけでございまして、今日まで、カネミの会社におきましても、できるだけの救済はするようにということを私のほうからも言うておりますし、会社のほうでもいたしておるわけでございますが、まだまだそれは十分でないような感じもいたします。そこで、私どもは、患者さん方のお気持ちも承りまして、いろいろな未確認の患者の確認を急ぐとか、患者の受け付けの窓口をどうするとか、いろんなことを手は打っておりますが、究極は、やっぱり救済だと思うわけでございます。この事件は、いま現在裁判になっておりますので、裁判中の事項について私がとやかくのことを申し上げることはできないと思いますが、やっぱり究極は、救済が十分にいくかいかないか、それが私は問題だと思うんです。裁判ということになりますと、なかなか相当の時日もかかる。そうしている間に患者さんは非常に苦しむ、こういう状況に置かれておりますので、私としては、いままでのいろいろな事例等を頭に描きながら、そうしたことを反省の上に立って、裁判は裁判としても、何とかできるだけ早く解決をしてあげる方法がないだろうかということを私も悩んでおるわけでございまして、できることならば、私たちとしては一日も早く行政措置と申しますか、行政の指導といいますか、解決をしてあげたいなあという感じを持っておりますが、にわかに、ただこれ、中に入って飛び込んでいって、さあどうだというわけにも、これ、まいらぬことでございますので、現在の私の心境を率直に申しますと、裁判中の事項ではありますが、救済ということを頭に描いて、できるだけ早く実際問題として解決することができるかどうか、その可能性をいま検討をしておる段階だと、こう率直に申し上げることがいいのではないかと思います。いますぐ何とかするというようなことは私は言いません。何とか行政的な指導によって解決できるかどうか、その可能性を目下検討しておるという段階にあることを申し上げておきたいと思います。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっと、いまの発言は、この前の陳情から後退しておりまして、第一に、ことばじりじゃありませんが、中に飛び込んでいってはということばは、ぼくはやっぱり厚生省の責任、行政責任を感じてもらわなきゃならぬと思う。食品衛生については監督官庁ですから、他人ごとのような態度は改めてもらいたいんです。やっぱり、みずからの問題として処理してもらいたい。これは、この前の陳情のときはそれを感じました。したがって、この前は公害病としての救済措置のために立法措置も考えるとおっしゃった。それから、患者の生活保障、それから未認定患者の一斉検診、治療法の研究費の増額、このことも、陳情のときには、われわれは前向きに受け取っていますから、こういうものを早急に措置されるものと理解してよろしいか。
  98. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) カネミ油症患者につきましては、先般も申し上げましたが、研究費の増額、一斉検診、未確認の確認を急ぐ、いろいろの点についてはこの前申し上げたとおりの措置を現在とってもおりますし、進めてまいりたいと考えております。それから、この問題の行政的な解決の問題につきましては、私は前向きに何とかできないかということで考えておるところでございまして、この前申し上げたときと気持ちは一つも変わっておりません。何とかお気の毒な——カネミ患者を見ますと、ほんとうに悲惨だと思います。PCBというのはいかにおそるべきものであるかということを、しみじみ感じておるわけでございまして、前向きに努力をいたす考えでございます。
  99. 小柳勇

    小柳勇君 これは新聞の報道ですから、まだ正確に把握しておりませんが、長崎県の一斉検診で、患者の信頼する医者を県側がきらっているとの報道がありましたが、事実かどうか。したがって、今後の一斉検診では、患者の信頼できる医者をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  100. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 長崎におきまして、一斉検診が、以前には地元のお医者さんを入れないというようなことでもめておったようでございますが、先般、患者の方々にお目にかかりましたときに、地元のお医者さんも十分入っていただくような措置をいたしますということをいたしまして、その通達もいたしました。そこで、長崎県におきましては、その対策協議会をつくって、患者の方々の要望も入れて、地元医師を検診班に加えるということに相なりましたので、今回の一斉検診は円滑に進められるものと考えておる次第でございまして、ここにもちょっとありますが、三月二十五日付の朝日新聞によりますと、患者の検診が八カ月ぶりに始まるということでございまして、先般来申し上げました方針に沿うて、今後とも努力をいたす考えでございます。
  101. 小柳勇

    小柳勇君 この問題の最後でありますが、カネミ工場の前には、昨年の十月から今日なおすわり込みが続けられております。人道上も許されませんので、地方自治体とも連絡をして、会社側と交渉できるように、このすわり込みの態勢が解けるように行政指導をお願いしたいが、いかがですか。
  102. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) お答え申し上げますが、ほんとうにお気の毒な患者の方々が居すわりをしているという事例、私も承りまして、何とかこういうことを一日も早く解消できるような措置ができないかどうか、十分私も前向きに努力をいたしてみます。
  103. 田中寿美子

    田中寿美子君 関連。  昨年の国会で食品衛生法を改正しましたときに附帯決議がついておるのですが、そのおりに、カネミ油症患者の問題、それから森永の砒素ミルク中毒患者の、この両方の救済を念頭に置いて、そうして一刻も早く食品の中に含まれる有害な物質の犠牲者に対して、被害者に対しての救済法をつくるのだと。それで、その中で二両年ということばが入っておりましたけれども、そのときに前の斎藤厚生大臣は、国会終了次第法律作成の作業に入りますということを国会で言明していらっしゃるのですが、それはどうなったかということです。  それから、もう一点は、カネミの油症患者たちは九大の診療班に対してたいへん不信感を持っておるわけですね。特にカネミの問題は、もう後遺症の治療だけというふうな考え方に立って今日まで来ている。厚生省のほうでもそういう立場をとっているということに対して、油症患者はたいへん不満を持っているので、後遺症ではない。現に油症そのものに悩んで、どんどん病気も進行しているわけですね。それで、どういう態度を厚生省はいまとっていらっしゃるのか、あらためてこの二点をお伺いしたいと思います。
  104. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) お答え申し上げますが、森永ミルクのほうは後遺症の問題が中心になっておるわけでございますが、カネミ油症は後遺症ではなくて、全般的な医療問題として深刻な状況にあるわけでございます。油症患者の方々の非常な悩みは、ふだん検診を受けておられる民間の地元の方々のお医者さんを正式の検診班に入れてもらえないというところに一番の不満があったわけでございますが、先般、そういうことは好ましいことではありませんので、そういう方々も検診班に入れて、皆さん方の御要望も十分承って、ひとつやりましょうということにいたしまして、その点は御納得をいただいております。先ほども申し上げました長崎などは、検診に応じないということでございましたが、気持ちよく応じていただけるようになっております。  そこで、後遺症の問題になっておりますのは森永ミルクの問題でございまして、これはもうほんとうに十七年越しの、昭和三十年の事件でございますから、ほんとうにたいへんな長い歴史を経た問題でございますが、これにつきましては、岡山医科大学で、患者さんの御要望もいれてのお医者さんの研究、検診の結果というものによりますと、後遺症はない、残像であると、こう言っておりますが、守る会のほうでは、いや後遺症だ、これが一番の大きな問題でございまして、この二つ、森永問題につきましても、何とか中に入って行政的に解決する方法がないだろうか、いま研究を進めているようなところでございます。  そこで、結論的に、最初の御質問でございました制度的な救済の問題ですが、いま食品から起こっておりまするこういう問題は、森永ミルクとこのカネミの問題、二つが中心でございまして、やはりこれは加害者がその救済、補償に当たるべきことは当然でございましょうけれども、制度的に長い間の裁判をやらなければ結論が出ないわけでございますから、何とかこの補償なり救済をやるための制度を考える必要があるんではないか。で、前の斎藤厚生大臣もその点は頭に入れられて、事務当局に、補償の制度的なものを考えられぬかということを指示して、事務当局においても検討しておりますが、まだ成案と申し上げるところまでは至っておりませんが、幸いに四十八年度の予算に、この制度をつくるための予算が正式に入りました。したがって、この予算が成立いたしましたら、私としては、直ちに関係の専門家の方方の研究会をつくっていただきまして、ことしじゅうに、こうした食品公害と言うんですか、そういう被害を受けられた方々の救済制度を本年じゅうにつくりまして、できるならば来年の通常国会に提案をしたいというふうに考えておるわけでございまして、真剣に取り組んで進めたいと考えております。
  105. 小柳勇

    小柳勇君 通産大臣、第四点は火力発電所の建設の問題であります。全国各地で火力発電所建設に反対運動が展開されておりますが、電力の需給関係と、この現状について御説明を願います。
  106. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) わが国の電力需要増は大体一〇%弱で毎年伸びております。昭和四十六年度において二千九百三十六億キロワットアワーであったものが、五十一年度におきましては約一・七倍に相当いたします四千九百三十六億キロワットアワーに達し、最大需要電力は四十六年度の五千四百万キロワットに対して約一・八倍に相当する九千四百六十万キロワットになると想定されております。ところが、なかなか地元の御了解が得られないで、電源開発地点の選択に悩んでおるのが実情でございます。たしか、昨年度の例を見ますと、着工認可は千三百万キロワットぐらいに対して、着工ができたものが三百万キロワット台にとどまっております。で、こういうような状況でございますので、できるだけ地元の御了解を得て着工地点をふやすように努力していきたいと思っておるのでございますが、現在の需給関係の見通し等を申し上げますと、稼働中の電源と電源開発調整審議会で決定を見ている電源によって将来の供給力を想定いたしますと、供給予備率は五十一年度には二・一%に低下して、大体適正予備率は八ないし一〇%でございますが、二・一%程度に落下いたしまして、将来深刻な電力危機が起きることを懸念している実情でございます。
  107. 小柳勇

    小柳勇君 その問題について少し議論いたしますが、まず、大きな問題で、周防灘開発構想がどうなっておるかということでありますが、この問題は、豊前火力発電所が建設されるということで——九州電力の発電所であります。この周防灘開発構想が進展する、そして大型工業基地化されるその引き金がこの豊前火力発電所である、こういうような危機感があるわけでありますから、通産大臣とそれから経済企画庁長官から、周防灘開発構想についての見解を聞きたい。
  108. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 豊前火力は、周防灘開発とは別個に、九州電力管内全体の需給関係から計画が進められているものでございます。九州における電力需要の想定を見ますと、最大電力需要に対する供給予備率は、五十一年度には、先ほども申し上げた適正予備率八ないし一〇%をさらに下回って六・四%、五十二年度にはマイナス一・一%に転じることが予想されております。こういうことに対して、九州電力が豊前火力を五十万キロ二台を設置を計画しておるようでございます。そして、五十一年七月及び五十二年七月に使用開始して、その対策に充てる考えのようでございます。しかし、これはまだ電調審の審議にかかったわけではございません。われわれといたしましては、地元の御了解を得て、特に県知事さん等の御了解を得て、その上でなければ電調審にかけるということはいたさない考えでございます。
  109. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいま通産大臣の言われましたとおりでございますけれども、周防灘地域におきまする開発の進め方については、福岡県、山口県、大分県、この三県と北九州市が中心になって、周防灘総合開発促進協議会を結成しまして検討を進めておりますわけでございます。国におきましては、この地域の工業開発の可能性と問題点並びに地域の総合開発に資するための課題につきまして検討するために、国土総合開発事業調査費等によって、地質、海象、水資源など基礎条件の調査を進めるほか、瀬戸内海の環境保全問題との関連を考慮しながら、環境保全の面から調査を進めておるわけでございます。周防灘地域の開発の方向づけは、これらの調査の結果を踏まえ、地域の意向をただしつつ慎重に行なう必要があると考えておる次第でございます。  九州電力の豊前火力発電所の建設計画は、九州全域の電力需要の増加に対応するためのものでありまして、周防灘地域での大規模工業基地の建設とは関係ございませんけれども、建設にあたっては、環境保全に万全を期することが望ましいと考えておる次第でございます。
  110. 小柳勇

    小柳勇君 通産大臣に質問いたしますが、さっきの発言によりますと、電力需要については、どんどんふえるので、発電所計画も進めなければならぬということであります。ところが、昨日の新聞報道によりますと、「エネルギー節約型に転換」、ちょうど先般産業計画懇から提言がありました、供給に見合う需要をやったらどうか、特に火力発電については、特に都市隣接の火力発電所建設などは、需要に見合うように供給建設するのではなくて、供給に見合う需要をやれと、いわゆる削減の方向であります。節減の方向あるいは建設ストップの方向でありますが、この通産大臣の発表された見解もそういうものによるものかどうか、お聞きしたい。
  111. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 必ずしもそうではないのであります。産業計画懇談会の御趣旨は、おっしゃいましたように、都市隣接地等において火力発電所を建設するというようなことはなるたけ制限したほうがよろしい、そういう御趣旨で、その御趣旨は御趣旨として私も理解をいたしまして、なるたけそういうことでないほうが一応一般論としては好ましいと思います。しかし、問題は、公害の除去の問題、それから住民の皆さんとの調和の問題等が問題でございまして、いまいろいろローサルファの油の供給とか、あるいは公害に対するいろいろな除去施設の整備とか、そういうことが発展していきますならば、住民の皆さんの御協力の得られるところも出てくると思います。そういうところについては火力発電を設置するということは必ずしも否定すべきものではない。しかし、全般的に見ますと、この日本のエネルギー資源、エネルギーの供給と需要を見ますというと、どうしても需要のほうが多くて供給が不足する傾向に、予測では出てまいります。われわれが建設を相当急いでも間に合わぬという情勢が出てくる可能性があります。でありまするから、できるだけ節約をして、むだなものを排除しようと、そういう趣旨で私は申し上げたのでございます。
  112. 小柳勇

    小柳勇君 せっかく産業計画懇の提言があったから、それを受けて、賢明なる通産大臣がその方向に踏み切ったと理解して、非常に尊敬しておったけれども、いまの話を聞いたら、ほとんど前の話と変わらぬですね。所信表明も読みました。読みましたが、あの中には、発電所計画して公害除去なんて一言も書いてないわけです。それはまあいいです。  じゃ、環境庁長官、質問いたしますが、硫黄酸化物をきびしく抑制するということで、環境庁は五十二年度末に現在の環境基準を四分の一にすると、きびしい、これを四月に告示したいという話でありますが、その決意があるかどうか、お聞きしたい。
  113. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 大気の汚染というものは非常に深刻化していきますから、環境基準というものをきびしくして、その規制のもとに、いままでの大気汚染の状態というものを改善をしていかなければならぬと考えておりますので、ただいまその作業を急いでおるわけでございます。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 通産大臣、いまのように環境基準がきびしくなりまして、環境庁では〇・〇一三PPM、年平均、ということのようです。で、脱硫装置の開発は間に合いますか。
  115. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一生懸命やっているところでございますが、脱硫装置以外にいろいろ燃料方面で改良を加えて、ローサルファであるとか、そのほかの燃料によって公害を起こさないような措置も加えていきたいと思っているわけでございます。脱硫装置は一生懸命開発しておりますが、いますぐこれで絶対いいというところまでは行っていないようであります。
  116. 小柳勇

    小柳勇君 九州電力も、県との協定では、まあ〇・〇九以下ぐらいのことは出してあります、協定には。ところが、脱硫装置はこれからだということです。いまおっしゃったように、環境基準もきびしくされ、この新聞報道だけは勇ましいけれども、実際は、日本の脱硫装置なり、燃料の供給力などというものは、五十一年までは無理ではないかというのが一般的な識者の意見なんですが、もう一回聞いておきたいのです。間に合いますか。
  117. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 脱硫装置だけにたよりますと、なかなかむずかしいと思います。しかし、いまインドネシアそのほかにローサルファの油を相当手配をしておりましたり、情勢によってナフサだけをふやしていく、そういういろんな政策を混合させまして、ともかく住民の皆さんに迷惑をかけないように減じていく、そして環境庁が指定する基準にできるだけ早く近づけていきたいと、そう考えておるわけでございます。
  118. 小柳勇

    小柳勇君 次は、環境庁長官、もう具体的に、豊前火力発電所ができますと、煙突二百メーターですが、ちょうどそれから十二キロのところに日田国定公園、耶馬渓。日田、耶馬渓の国定公園なんです、あの地帯が。しかも、あの辺には天然記念物もございまして、日本では一つしかないという、そういう天然植物群もございます。で、地元の人が言っておるのは、ここに火力発電所ができる——できては困るが、環境庁がこれはストップするだろうと言って楽しみにしているわけですが、環境庁長官、どうですか。
  119. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まだ福岡県から、これに対して環境保全計画とか、あるいは火力発電についての連絡を受けていないわけであります。しかし、これがいよいよということになれば、通産大臣も言っておったように、電源の開発審議会にかけて、そしてきめなければならぬわけですから、その関所があるわけですよ。この火力発電所というものは硫黄酸化物等の大気汚染の問題もありますし、あるいは温排水の問題もありまして、これはもしそういう審議会にかかったときには、環境庁はきびしい態度をもって臨みたいという考えでございます。
  120. 小柳勇

    小柳勇君 最後は通産大臣でございますがね。  環境的にもそうですし、それから地元の人は、発電所ができましてもちっともメリットはない。もう発電しましたら、ただ公害だけで、人も雇わない、それからお金も落ちない。発電しましたものは遠方の工業地帯に送るのだ。公害を受けるだけ。しかも、あそこにやはり国定公園もありますし、海岸はりっぱな松林の海岸でございますから、そこを埋め立てて、温水は排出され、あるいはタンカーが来て油汚染されてはたまらぬ、そういうことで猛烈に反対をしておられるわけです。したがって、どうせつくるなら、その電力を受けるところに、メリットがあるところにつくってくれというのが真相ですね。通産大臣みたいに、もうどうせ電力足りませんとおっしゃるなら、ほんとうにそこで使うところにつくってくれ、りっぱなところに、健康地帯に、環境を守らなければならぬところに発電所をつくって、公害だけばらまいて、その電力は遠方に持っていっちゃ困ると、そういう話ですから、そういう点についての見解を聞くと同時に、豊前火力発電所、なかなかこれはもう地元の反対がたいへんでありますから、九州電力にも中止を指導されたほうがいいんじゃないかと思うが、いかがでしょうか。
  121. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 地元のそういう御要請がございますから、今国会に、電源開発、特に火力及び原子力等に関する周辺整備法を提案いたしたいと思って、いまその準備をしております。それで、その地点に対するいろいろ下水とか、道路とか、港湾とか、そういうものの補助をかなり一般の補助より上げるとか、それから電力会社からも金を出させまして、そういう地帯整備について協力してもらう、そういう方途も講じたく思いますし、それから住民の保健その他についても、あるいは原子力発電所が設置される場合には、いろいろなモニタリング等につきましても措置をやれるように、いま法案を整備しておりまして、今議会に提案したいと思っております。
  122. 小柳勇

    小柳勇君 いまの最後に言われた、法案の、電源周辺地域の整備に関する法律を出そうとしておられるようだけれども、その内容についてちょっと説明をしておいてもらいたい。それでいまのこの関係の質問を終わりますから。
  123. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま各省間において折衝中でございまして、大体今週の金曜日の閣議に間に合わしたいと、そういう考えでスピードアップいたしております。内容は、火力発電と原子力発電を対象としよう、主務大臣は、したがって、通産大臣と科学技術庁長官になります。それで、一つは、固定資産税の減免ということを地元から非常に強く御要望になっておるわけでございます。いままでは二五%を地元に還元いたしましたが、それをふやせという、五〇%にせよという、そういう御要望がございます。これはいま自治省といろいろもみ合っているところで、まだここで確たることを申し上げる段階には参りません。第二点は、道路あるいは港湾、下水道あるいは簡易下水、そういうことに対する補助率のアップです。これは大体話がつきまして、たとえば、いままで二分の一補助であったものは四分の三にするとか、そういうふうに補助率をかなり上げるようにしております。港湾についても同様でございます。それから、いまのモニタリング等については、原子力発電の場合にこれを設置したい、これも大体できるだろうと思います。  いまのところ、私の頭に残っているところはそういうことでございますが、もしお指図がありますれば、法案の原案ができましたらお届けいたさせます。
  124. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  125. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、総予算に対し小柳君の質疑を続行いたします。小柳君。
  126. 小柳勇

    小柳勇君 冒頭に、けさの国会軽視的行為について、防衛施設庁長官の釈明を求めます。
  127. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 不覚にもゆうべからちょっと熱を出しておりまして、その間の連絡がうまくいきませんで、まことに御迷惑をおかけいたしました。つつしんでおわびいたします。
  128. 小柳勇

    小柳勇君 病気だそうでありますから、私のほうに連絡がありませんので、問題が起こりました。あとは、自民党の理事のほうで処理してもらいます。  けさ、日本官憲調査介入の問題を問題にいたしましたが、現在まで調査しておるのかどうか、過去のこの事件に対する調査も含めて報告を求めます。
  129. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 過去の、いままでありました相模原その他の事故につきましても同様でございますが、関係当局労働基準局、あるいは警察、あるいは海上保安庁というふうなところで、犯罪に関係のある部面あるいは労働基準局関係する部面についての立ち入り調査を実施しております。本件につきましては、昨日来、米軍当局にもその点を申し入れておりますし、それから現在おそらくもう関係当局が入ってやっていると思います。先ほど受けました連絡では、府中の係官が現場に着くと、それと一緒に爆発の危険性が完全に除去されると、こういう状態に大体なってきたようでありまして、それで、所要の調査、事情聴取を近く行なうと、こういうふうな報告を受けております。もうきょうの午後には大体立ち入り調査を実施できるのではなかろうかというふうに考えております。
  130. 小柳勇

    小柳勇君 外務省に聞きますが、昨日の朝の一時五十分に発生して、いまごろから立ち入り調査ができるのではないかというような問題でありますが、その間のいきさつを御説明願います。
  131. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 米側との連絡につきまして、けさほどの委員会で御説明いたしましたけれども、私どもといたしましては、その後米軍とも直接連絡いたしまして、ただいま施設庁長官から御答弁がございましたように、米側としてはいつでも労働基準局の係官が現場におもむいて調査に当たることについて何の異議も持っておらないということでございます。
  132. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣、そのような外務省なり米軍の考えであるにかかわらず、発生以来今日まで調査しなかったのは、なぜですか。
  133. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) お答えいたしますが、昨日の事件の問題ですか、全体でなしに。
  134. 小柳勇

    小柳勇君 昨日のやつも、それから全体のやつも。
  135. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) 事件のことは、私、おらなかったからわからぬのですが、詳細施設庁から報告がありましたか。どういうようになってこういうようになってと、報告はあったのですか、ここで。
  136. 小柳勇

    小柳勇君 あったけれども、おたくのほうから調べてないから、なぜ調べなかったかと言っているんです。
  137. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) この件でありますが、昨日午前二時、タンカーでありますが、これはアメリカ軍のほうの公用船というかっこうでタンカー火災が起きたと、こういうので、基地の消防隊、まあ私設的なものでありますが、やはり駐留軍の労働者でありますが、これが応援に行った。そうして、鎮火して帰ろうという直前にまた機関部から爆発がありまして、米のほうの船員も死傷者があり、また、こちらのほうも二名死亡いたしました。重軽傷五名と、こういうかっこうで、これは当然人命尊重の意味で応援に行ったようなかっこうでありますから、船舶でありますから、それにさっそく基準局、警察が入るのにとめるのはけしからぬと、こういうので、しかし、承諾はないので、船の内部は船長の承諾も要りますので、やかましく外務省を通じて大体承諾しかかって、先ほどの施設庁長官報告では、もう入ったというようでありますが、私のほうでは、現地の基準監督局からいま聞いたところでありますが、まだ入っておらぬと、これはもってのほかだと、こういうので、これはもうはいれると思いますが、労働者労働省の傘下でありますから、基地であっても承諾を得て入るのが当然でありますから、今後その原因なりいろいろな問題——あとの対策はいろいろやっておりますが、その原因なりいろいろの調査を、やはり基地内でもまたこれが基地の内部だったらこれはもう問題がなかったと思うのでありますが、やはり船舶というような関係で船長なりいろいろが文句を言ったのでありましょうが、これは原則的には立ち入ることができると思います。そうして、今後も十分原因なりまたいろいろの問題につきましても、基準法なりまた安全衛生法でそぐわないようなことがあった場合には、われわれ、同様の扱いでいろいろ調査をいたしたいと思います。
  138. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣は人ごとのように言っていますけれども、あなたのほうの労働基準局長ですよ。だから、きのうわかったら、すぐ局長どうかと、調査したかと言わなければならぬのに、何だか回りくどい話ですが、どうなんですか、そのいきさつを言ってください。
  139. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) お答えします。  ちょっと勘違いされておりますが、決して他人ごとと思っておりません。普通の民間の工場の労働者であろうが、公共企業体の労働者と同様、責務をもって私どももやきもきいたしておるのであります。しかし、これがやはり基地内、そこへもっていって向こうは米海軍の公船というので、これは船舶のほうは船長の許可も要りますので、これは人ごとでなくてやかましく言って、先ほど言ったように、大いに人命尊重の立場で奉仕的にぐっと行ってお手伝いした、それがやられたのでありますから、これは先ほども言ったように立腹して再三再四にわたって労働省はずっともう電話をかけっぱなしであります。府中のほうとも連絡をとり、外務省とも連絡をとり、人ごとでありません、一生懸命にやっておりますことを御報告いたします。
  140. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、過去にもそういう事件があったようですが、過去はどうされたか、お聞きいたします。
  141. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) お答え申し上げます。  基地内で災害等が起きました場合には、基準法に基づきまして基準監督官が立ち入り調査を過去にもいたしております。手続等は労務基本契約による手続に従っておりますけれども基地立ち入りまして必要な調査をいたしておるわけでございます。
  142. 小柳勇

    小柳勇君 もう一回外務省に確かめたいんですが、こういう事件発生いたしましてすぐ情報が入る、それから施設庁なりあるいは労働省連絡するとか、あるいは逆に連絡してくるような場合がありますが、その手続についてちょっと御説明願いたいと思います。
  143. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 多くの場合には、現地関係当局——警察である場合もございましょうし、また施設局の場合もございますけれども現地関係当局のほうから中央のほうへ連絡がありまして、その事案によりまして、施設庁あるいは労働省等と関係当局との間で十分調整をいたし、また、必要に応じ米側とも直接連絡をとりまして、事実関係を確かめるということがまず最初にあるわけでございます。
  144. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、いま、死体の処理とか、あるいは病人の見舞いなり処置についてのそういうものは調査されておりますか。
  145. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 事後の処理につきまして、たとえば補償の問題につきましては、地位協定に当該規定がございますので、これに基づきまして関係当局において御措置願うことになりますし、それから負傷者の見舞いその他手当てにつきましては、それぞれまた関係当局において処置していただくことになっております。
  146. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣、現在、この事件の遺体の処理と病人の状態についてはどうなっていますか。
  147. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 現在のところ、先ほど大臣が申しましたように、中央では大体話はついておりますが、現地ではまだ立ち入りの許可が来ておりませんので、監督署は待機をしておるところでございます。まだ現地は中に入っておりませんので、現在の状況をまだ把握いたしておりません。
  148. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 遺体の処理は。
  149. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 一般の場合の遺体の処理等は、これは駐留軍労務者であれば、調達庁ですので……
  150. 小柳勇

    小柳勇君 一般じゃない、いまの現状です。
  151. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 遺体は、遺族に引き渡されたそうでございます。  それから負傷者は、基地内の病院で加療中でございます。
  152. 小柳勇

    小柳勇君 いま局長が言われた点、前に言われた点ですね、中央では話はついておりますけれども現地ではまだ待機しておるという、そういうことがあるのかどうか、外務省、どうですか。
  153. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) いま受けました御報告では、本件については米側も一名死亡、六名負傷という事態でございます。現在、横須賀からそれの調査に当たる米側の係官が現地にすでにきょう向っておるそうでございます。それで、それと一緒にきょうの午後に立ち入りを実施すると、こういう予定になっておるというのが現地からのいまの報告でございます。
  154. 小柳勇

    小柳勇君 それでわかりました。米側の係官の到着を待って日本のほうも入るということですね。わかりました。  こういう事件があった場合、やはり日本の報道人も知りたいんだが、報道人の立ち入りなどはできないのですか、外務省
  155. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 事故を起こしました当該の船は米側の公船でございまして、その意味では報道人の立ち入りということについては米側の許諾が要るわけでございますけれども米側はいまその意向はないようでございます。
  156. 小柳勇

    小柳勇君 許さない……。
  157. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) いまその意向はないように承知いたしております。
  158. 横川正市

    ○横川正市君 いまの質問と関連して、何といいますか、事故現場の確認が、時間の経過的に見ますと、ほとんど確認することのできないような状態になってから関係者が現場確認に入る。そこで、事件が起こったときに通知をもらえば、その通知に従って現場を直ちに確認できるような事前の取りきめといいますか、そういういわばスムーズな事の処理の運び方といいますか、これができていないということは、結果的には正しい判断をすることができなくなるのじゃないか、ただ事務的に処理をいたしましたという結果にならないか、こういうように思いますけれども、前例もあることですし、今度の場合だけではありませんから、前回行なわれた事件、それから今回の場合等を勘案してみて、関係当局はどうお考えでしょうか。
  159. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 御指摘の点、私も非常にごもっともであると思います。従来の私の経験しました幾つかの事例で見ますと、非常に早く立ち入りをしている事例もございます。それから何らかの現地の誤解と申しますか、現地の間の行き違いがあって、上級司令部の許可を得なければなかなかできないというふうなことで多少それがおくれているというものもございます。本件の場合も、何か司令部の指揮系統が違うからとかなんとかということで多少その点の時間がおくれているようでございまして、私どももその点は非常に気をもみまして、昨日来府中の司令部に対しても非常に強くその点を要求して、そうして、その点については府中としても別に異論はない、そういうふうに早く措置をとるからと、こういうことで今日に至っておるわけでございます。  御指摘のように、これにつきまして、もっと一般的に明確な取りきめをやるというふうなことも、私ももっと必要ではないかというふうに考えまして、この点は米側とも今後いろいろまた協議をしてまいりたいと、かように思っております。
  160. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) お答えしますが、かような問題はもう過去にもあったのでありますが、やはり許可がなかったらいかぬとか、そしてときにはいろいろな事後でおくれたときも私は聞いております。やはり、事件があった場合には、向こうが好意でそのまま保存しておいても、疑えば疑えるというような点もありますので、今後、労働省の立場としては、労働省が直接という交渉がなかなかむずかしい点もありますが、外務省を通じてかような問題は迅速にやるように、われわれのほうから関係官庁を通じて御趣旨のような線に沿うようにこれは本腰で努力いたします。当然と思います、これは。だって、一週間だ、二日だ、三日だというのは、これは基地であっても私はそう何らむずかしくない。作戦行動とか戦車の搬出とかでいろいろもめたとかという場合に、いろいろ例もありますけれども、迅速にやるのが当然と思いますので、相当本腰で交渉して御趣旨のような線に沿うように善処いたします。
  161. 小柳勇

    小柳勇君 病人に対する家族の見舞いなり、あるいは、地元の人は、油倉庫にまた火がついて爆発するのじゃないかという心配もあるようでありますから、早急に官憲立ち入り調査、あるいは報道人が中に入って正確に国民に報道をする、そのために外務省として米軍に折衝する用意があるかどうか、お聞きいたします。
  162. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 幸いにして火はおさまり、再爆発の危険性はなくなったという状況において、本日の午後関係労働当局の担当官の立ち入り調査ということが行なわれることになったわけでございまして、そういう意味から申しますと、今回の事故に関する限りは、再爆発という危険性はまずないものと考えられていいのではないかと思っております。  また、報道人の立ち入りの問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、米側としては許諾をする考えはないというふうに聞いておりますが、この問題についてただいま御指摘がございました点を留意いたしまして考えてみたいと思います。
  163. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、この問題は終わります。  次は、自家用トラックのはんらんと物価の問題を質問いたします。  時間が予定の半分ばかりになりましたので、本日十分な論議もできないかと思います。ただ、この問題は非常に重要な問題でありまして、運輸委員会あるいは物価委員会に入りましてこの国会中深く掘り下げて論議したいと思っています。数字もたくさん出しておりますが、ここでは一般的な総論的なものを、大臣、国鉄総裁及び経済企画庁長官に質問をいたします。  まず、一番初めに、物価政策とそれから運輸行政の中の運賃政策というものは対応すべきであると、そう考えておるのでありますが、運輸大臣及び経済企画庁長官の答弁を求めます。
  164. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 交通機関の運賃というものは、もちろん物価体系の中の一つの要素でございますから、原則といたしましてそれに対応して考えていくのは当然だと思います。
  165. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) やはり、物価を考えまする場合、流通部門の対策というのが非常に重要でございまして、わが国では、非常に高能率に組織せられましたる部門と、低能率的な部門があるわけでございますが、流通段階はとかく能率が低い、生産性が低いというふうにいわれておるわけでございます。そういう点にメスを入れましてトラックの問題を提起されたというふうに考えるわけでございます。
  166. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣、国鉄貨物運賃の収入なり、それから営業トラックの運賃収入は、これは管理機構がしっかりしていますから、ちゃんと統計に出ています。ところが、自家用トラックの運賃なりその数なり、動いている姿については、ほとんど統計に出ていません。言うならば、運輸行政の盲点だと思うが、運輸大臣の御見解を聞きます。
  167. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) お話のように、自家用トラックにつきましては、調査を進めておるのですけれども、まだその成果が十分あがっていないというのは事実でございまして、あるいは事務当局からそういった問題につきまして資料を差し上げたかもしれませんが、とにかく、概数でいきまして、営業用のトラックと自家用トラックを比べますと、車両数からいくと、自家用のトラックというのが大体十四倍にもなっておるらしいですね、これはほんとの概数でございますが。そういう状況でありますが、その営業トラックと自家用トラックとをどういうふうに将来考えていくべきかというようなことにつきましては、運輸行政の中におきましてもこれからこの問題について積極的に取り組んでいこうというところでございまして、資料もまだ十分整っておりませんが、しかし、多少の予算を要求いたしまして、そういった問題についてはこの四十八年度から特に重点を置いて調べた上でそれに対する対策を講じていこうというかまえ方をしております。しかし、これは御質問外ですけれども申し上げますと、予算金額も、一応とれたというものの、きわめて少ないのです。これではそういった要望にこたえるわけにはいかないので、私は、こういった問題について、次の年度にはもう少し積極的な考え方を示しまして、予算についても特段の配慮をしてもらうように財務当局にも折衝をする心がまえでおることだけをつけ加えて申し上げておきます。
  168. 小柳勇

    小柳勇君 経済企画庁長官、いま、景気変動を調整するのに、公定歩合の上げ下げをいたしますね。物と金と動いております。物の動きに対しては、鉄道運賃、トラック運賃、あるいは自家用トラックの運賃を調整することによって物価を調整できると私は考えておるのでありますが、長官見解を聞きます。
  169. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 一つのお考えだと思いますが、実はいままであまりそこに入っておりませんわけです、これは御承知のことと思いますが。で、いま運輸大臣からお話がございましたが、最近自家用のトラックが非常にふえておりまして、正確な数字をつかんでおりませんけれども、一応いま営業用トラックというものは六・四%ぐらいで、あとの九三・六%は自家用であるということでございます。自家用トラックが一体どのくらいの輸送費を持っておるのかという点も、これは実は未知の分野でございまして、企画庁としてはこれは当たっておりませんわけです。運輸省の一応の試算は、大体五兆円ぐらいではないかというふうに言っておるわけでありまして、確かに私は輸送部門というものにメスを入れていく、輸送部門でわりあいに大量の自家用トラックがあるという点が従来人が見のがしていた点ではないかと思いますので、大いに御見識だと敬意を表するわけでございます。さらによく検討さしていただきたいと思います。
  170. 小柳勇

    小柳勇君 自家用トラックが営業用トラックの十四倍から十五倍と運輸大臣はおっしゃいました。運輸大臣にお聞きいたしますが、この運賃はほとんど統計に出ていませんから、いま、物価の中に一〇〇%組み込まれて、会社では経費で落としているということは理解していいですか。
  171. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 正確な資料を持っておりませんが、一般論としてお話のとおりだと思います。
  172. 小柳勇

    小柳勇君 推算いたしますと、経済企画庁長官は五兆円とおっしゃいましたけれども、私の推算では四十五年度で約八兆円です。当時の国民総生産が七十三兆円ですね。消費支出が三十二兆円、公共料金はそれを一九・五%としますと約七兆八千億ですが、その公共支出の七兆八千億よりも自家用トラックの運賃、輸送費のほうが高い。したがって、もう物価に影響せざるを得ぬと思うのですけれども、経済企画庁の統計にも運輸省の統計にもないわけです。したがって、この問題を正確に把握するために、経済企画庁としては、運輸省と連絡をしながら調査してもらいたい、そして十分ではなくとも統計を出してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  173. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) さようでけっこうだと思います。十分調査さしていただきたいと思いますが、しかも、ふえ方の伸び率でございますね、これも、四十年度末ですと、自家用トラックが二百六十一万一千台、営業用トラックが二十五万台でございましたのが、四十六年になりまして、五百三十九万八千台の自家用トラックに対して、営業用トラックの台数が三十六万九千台というふうな数字が出ております。こういう数字と、その扱う貨物の量と、それからそれの物価の面から試算した数、そういうことはよく運輸省と連絡をとりまして調査をさしていただきたいと考えます。
  174. 小柳勇

    小柳勇君 国鉄総裁に質問いたしますが、いま質問いたしましたように、相当の自家用トラックの数が動いておるのでありますが、トラック運賃の運賃制度が昭和四十一年ごろから——それまでは鉄道運賃みたいにがちっときまりましてそれを管理して取っていたのですが、そのころから幅が広くなりまして、十トン車に十トン積んで百キロ走れば幾らというふうになってきた。したがって、言うならば、国鉄が運んでおったような貨物も、大部分そういうトラックの方向にとられたのではないかと思う。それが現在の国鉄の貨物の少ない一つの原因ではないかと思うが、総裁の見解を聞きたい。
  175. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先生のおっしゃいましたとおり、確かに、トラック輸送が国鉄輸送に影響し始めましたのは、昭和三十九年、四十年からでございます。ちょうど道路が整備されて、いま企画庁長官がおっしゃいましたようにトラックの自家用トラックが急激にふえだしたことがすごく私どものほうへ影響してまいりました。  品目別に見ますと、先生御承知のとおり、いわゆる一級、二級の高等級の、わりあいにうちとしては商売になる荷物、これが、過去五、六年、昭和三十九年ごろから全然伸びておりません。大体一千万トン台、二億トンのうちの一千万トン台でずっと横ばいになっているということは、日本の経済がこれほど伸びているのに、そういう一級、二級の品物が国鉄の輸送量としてふえないということは、やはり国鉄の貨物輸送として当然伸びるべきものがトラックに行ってしまっていると、こういう感じであります。しかも、そのトラックも、いわゆる営業用トラックはもう何といったって輸送量が知れておりますので、やっぱり、営業用でなしに、私は自家用トラックであると。ことに自家用トラックの帰りの荷物になりますと、全く私ども見当がつきません、運賃にいたしましても。そういう意味で、自家用トラックの国鉄貨物輸送に対する影響、ことに一級、二級の高級品に対する影響は、非常に大きいというふうに思っております。
  176. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣、運賃政策ですけれども、昔は、四級——貨物を等級を分けまして、トラックも鉄道も大体似たような運賃を取っていた。最近はそれが圧縮いたしまして、したがって、もうばらばらですね。そういう等級は、口で言っても、ほとんど変わりません。だから、もう少しこの運賃制度を検討して、そして現場の陸運局や運輸事務所の職員を少しふやしまして、以前のように自家用トラックをもう少し管理する体制、規制する体制をとらなければ、物価を押えることはできぬのではないかと思うのです。それには予算も必要でしょうけれども、それは大蔵大臣に聞きますけれども、運輸大臣の見解を聞きたいと思います。
  177. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) お話の点は、私も実は気がついておる点でございまして、その点については、先ほども申し上げましたように、こういう非常に急激にトラックがふえまして、自動車輸送の荷物がどんどんふえてまいります。国鉄のほうは、総裁が申しましたように、本来なら国鉄に来るべき荷物でも逃げてしまうというような状況が続いているのじゃないかと思います。これは、もちろん、私は、運賃政策だけで解決する問題ではないと考えます。他にもいろいろな要因がございます。しかし、そういったものを総合いたしまして、これは小柳先生よく御承知のように、私どものほうでいまそれを柱にしておりますが、総合交通体系の中で国鉄の受け持つべき役割りはどういうものであるか、また、自動車輸送はどうか、自動車の中でも営業用と自家用とこういうふうに分かれますが、そういったものがもう少し——これはなかなか荷主の選択によるわけですから、こう規制をしまして簡単にこれが動くとも思いません。思いませんけれども、いろいろな政策を総合して考えますことによりまして、国鉄の分野、それから営業用自動車の分野、自家用自動車の分野というふうに望ましい姿に持っていくことは、これは努力をしなければならぬと思いますので、そういう方向に向かって私もこれは考えなきゃならぬと思っておるやさきでございましたが、非常にいい点についてアドバイスをいただきまして、これはありがたいと思っております。  おっしゃるように、陸運局における管理機構としまして、何百万か、六百万とか七百万程度の経費をとっておりますが、これではとてもいまどんどんふえてくる自動車の輸送の実態というものを把握することは困難でございまして、そのためにお話のようにそれがいろいろの物価に響いたり各種の交通料金に響いたりする、その影響等についても非常に捕捉しがたいということは事実でございまして、先ほども申し上げましたように、この点は、新年度になりましたら、ひとつ構想を新たにいたしまして、財務当局とも十分相談をして対策を講じなきゃならぬと私も考えておるところでございます。
  178. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵大臣に質問いたしますが、いま運輸大臣もおっしゃいましたように、貨物運賃政策が物価政策に対応すると。したがって、運賃政策をがちっと守るには、管理機構体制が必要である。諸外国の統計を見ますと、貨物収入の約一%が管理機構の費用になっておるようです。そういたしますと、国鉄運賃が約三千億、トラック収入が約一兆五千億、それに白トラの動きがいま大体八兆円といたしますと、約十兆円ですね。日本でいま貨物を動かすために使っている費用が約十兆円、その一%といいますと一千億ですね。諸外国の例にいうならば、約一千億の金をこの陸運の管理機構に費やしてやっと物価調整ができておる。これがいわゆる輸送秩序を守っておるといわれています。日本の場合には、いまおっしゃったように、陸運行政に使っておる金は何千万かですね。これでは、しょせん、もう許認可行政だけで手いっぱいですよ。おたくのほうの公共料金というもののウエートを考えてみますと、いま、私鉄運賃と国鉄運賃、バス代というのは公共料金政策に入っていますけれども、貨物運賃というのは入っていない。トラックは、営業用トラックも自家用トラックも入っていないんです。約九兆円の金が無視されて公共料金ウエートが算出されていますから、運賃値上げが物価に影響しないなどとたかをくくっておられるわけですから、経済企画庁、頭をもう少し根本的に変えまして、そして大蔵省が金をそういうところに出して本気で物価を抑制する気があるならば、大蔵省で少し金を出す、そういう決心をしてもらいたいが、いかがですか。
  179. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 十分検討さしていただきたいと思いまするが、物価指数には入っておりませんわけでございますが、公共料金対策といたしましては、これは十分計算に入れておるわけでございます。しかし……
  180. 小柳勇

    小柳勇君 入れてないから言っている。
  181. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 入っておりますのでございますが、なお、よく検討さしていただきます。
  182. 小柳勇

    小柳勇君 勉強しておいてください。  それじゃ終わります。
  183. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて小柳君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  184. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 藤原房雄君。(拍手)
  185. 藤原房雄

    藤原房雄君 私は、公明党を代表いたしまして、若干の質問をいたします。  最初に経済問題に入りたいと思いますが、田中内閣成立以来、物価上昇は目に余るものがあります。最近の新聞をにぎわしているものだけでも、毛糸や綿糸やマグロ、大豆、木材、セメント、そのほか日用品に至るまで数えれば数限りないほどの物価上昇の様相であります。これらの商品の異常な暴騰は、インフレ基調の上に、政府の言うように大商社をはじめ一部の買い占めによるものであるということは疑いのないことだと思うのであります。株式の利回りを見ましても、日本を含めて先進諸国はいずれも、四十五年、四十六年ともにこれは三・五%前後から四%前後で動いていたわけでありますが、田中内閣成立前後から日本の株式は急上昇いたしまして、そのために利回りは急速に低下し、昨年の十月は、ついに二%を割って一・九%になった。一年前まで日本と大同小異の歩みを見せていました先進諸国の利回りは、同月の比率で三%から三・五%を前後しておる。一、二年前まで、利回りの面から見る限り先進諸国と同一歩調を日本もとっておったわけでありますが、株価が日本だけ最近は約五〇%高になっておる。こういう理由は一体どこにあるのか。これがどうして政府の言うインフレとは無関係だという、この点ですね、政府の明快なる答弁を求めたいと思うのであります。
  186. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実に最近の状況というものは困ったものでございまして、何とかこれを克服せにゃならぬ。実は全力を傾けておるわけでございます。根本的には、過剰流動性ということを言っておるわけでございますが、いまの経済需要にマッチする以上の流動性があるということだろうと思いますが、これはどこからきたかというと、しばしば申し上げておりますように、一昨年のニクソン・ショック以来の、日本がドルを買ったこと、それに伴って円資金がふえたこと、そうしてもう一つは、四十六年の不況を克服するために、金融を非常に緩めて経済活動を活発ならしめたこと、そういうものが根っことなって、さらに貸し出しが続いて、そうしてその貸し出しが続いていくうちにこういう状況になってきたということだろうと思います。  具体的に申しますと、いまの外為の払い超が大体六兆円でございまして、銀行の貸し出し増が四十六年、四十七年で三十兆円、そういう非常なふえ方であるわけでございます。これに対処いたしまして、預金準備率の引き上げというものを二回にわたっていたしたり、あるいは日銀の窓口指導をやったり、あるいは商社の輸出手形の割引の額を、大口のものを割り引かないようにしたり、土地に対する融資を制限したり、いろいろやっておりまして、最近だんだん効果が出てきたように思っておるわけでございますが、また一方、商社の思惑に対しましては、例の買い占め売り惜しみの規制に関する法律というのを国会に出しておるわけでございまして、この法律も相当の効果があるものと期待しておりまして、ひとつぜひ国会で早く審議して通していただきたい、こうわれわれは熱望いたしておるわけなのでございます。土地の関係でも、例の国土総合開発法が昨日の閣議で決定いたされたわけでございます。  こういうものがいろいろ重なり合って効果を生じてくる、こういうふうに思いますが、根本的には、そういうことを背景として、いわゆるインフレマインドでございますね、インフレが進むんだ、だから物を買っておけという、そういう気持ちが根本にある。一方、資金もたっぷりある。そういうことが因となり果となって、この今日の異常な状況が起こっておるということだと思います。株式にいたしましても、本来の利回りというものを全く無視した、そんな低い利回りで持っておるということは、これは貯金をするよりはるかに悪いわけでございますから、普通ならば考えられぬことでございまするけれども、そういう事態が、先ほど申しましたような事情を背景としてある、こういうことであろうと思います。さようなことについては、私どもは満々たる自信を持って立ち向かいまして、ぜひ国民の憂いをなくするようにいたしたいと思っておる次第でございます。
  187. 藤原房雄

    藤原房雄君 インフレマインド、また、あり余る資金がということでございますが、きょうはインフレ論議につきましては次回に譲りたいと思いますが、いずれにしましても、土地その他の商品投機、異常な暴騰の元凶は、いまお話しありましたように、あり余る資金、だぶついた資金であるという、これは大手商社によります買い占めといいますか。  この大手商社でありますが、輸出代金がまるまる商社の手元に残って、それがいわゆる過剰流動性になる、こういうことに預金準備率を引き上げるということの効果を期待するということでありますが、いろいろなものがふくそうしておりますから、実際はそう効果がはっきりあらわれるものではない。政府の一貫した言い方というのは、大体もう同じようなことを言っているわけでありますが、輸出代金が商社の手元に入っても、それがそっくり商社の純益にはならない。それは一部であって、政府がいつも言うようなことは当たらないと思います。  また、輸出前受け金も昨年の二月から規制されまして、いまだ一件五千ドルしか受け取れない。外為の管理が世界一きびしい日本の中にあっては、金を送れない。また、さきの豚肉輸入のようにインボイス価格を水増しするようなことも可能でしょう。また交互勘定の悪用も可能かもしれません。本店−現地支店、また現地為銀支店と為銀本店との間での種々の操作も、むろんこれは可能だろうと思うのでありますが、しかし、いずれもこれらには限度があるだろうと思います。商社投機また土地の買い占めといった巨額の金、長期の資金を捻出するということは、これらのことでは不可能だろうと、こう思うわけであります。  過剰流動性の実体というのはこういうことではなくて、これも要因でもあるかもしれませんけれども、別なところにあるのではないか、このように思うわけでありますが、この間についての御見解をお伺いいたします。
  188. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 貿易、輸出代金のしりが円資金になる、それから投機資金等が出るとすれば、その間を切断したらどうか。公債等を持たせるというような方法はいま西ドイツで考えておるわけでございますが、そういうことも実は研究してみたことがございますのですけれども、いまになりますと、これはフロートしておる、為替が変動相場制をとっておりますから、そういうのは今後の問題としてはなくなっているわけでございます。西ドイツのように、何がなんでも固定相場を動かさぬといってドルを買いささえた、あのような事態でいまの西ドイツの政策が考えられているわけでございますが、いまのわがほうとしては、いま申し上げたようなことで、必要がないというふうに思っているわけでございます。  で、こういう為替変動相場制のもとにおける過剰流動性はどういうふうにして出てくるかというと、私はやはり一義的には銀行の貸し出しであるというふうに思います。それからもう一つは、やはり政府による信用造出でございますね、有効需要の造出があれば、それによってそういう経済活動が活発化する、それから資金が出てくるということは考えられますけれども、これは、その点については政府として十分いまの経済状況というものを頭に入れながらいたしますから、それはない。そこで、やっぱりいまの御設問にお答えすれば、結局銀行の貸し出しではないかというふうに思います。  これに対しましては、いまの経済状況から見て、これがあまりに行き過ぎないようにしようということは銀行自身も考えておられるようでございますし、また新聞報道等によりますれば、日本銀行も近く公定歩合を引き上げるということを考えているようでございますから、そういう点もだんだんに解消されるのではないか、こう思っております。
  189. 藤原房雄

    藤原房雄君 投機資金の主たる源泉は銀行の融資にあるのではないかということでありますが、これに対する政府の、秩序ある金融を確立するという対処のしかたというものはいまお話しがありませんでしたけれども政府の考え方、所信をお伺いしたいと思うんです。
  190. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) いま小坂大臣からお答えになりましたように、流動性というものの基本は、やはり銀行から融資を受けられるということだろうと思います。したがいまして、先ほどのお話しがございましたように、基本的な姿としては、融資総量を圧縮していくということが基本であろうと思います。このために預金準備率、あるいは先ほど言及のございました公定歩合という政策がございます。  なおそのほかに、実際的に非常に効果を発揮しておりますのは、日本銀行のいたしております日々の貸し出し指導であろうかと思います。この窓口指導というものの強さというものを推し進めていくことによって、一定の期間が経過いたしますと、銀行の貸し出し態度というものに変化があらわれてまいりまして、そうして総量としての融資規制が行なわれていく、こういう仕組みになっておるわけでございます。ただ、その貸し出し規制と申しますのは、日本銀行の窓口に来たところで断わるということではなくて、その事前の段階で、個別の金融機関が民間に金を貸そうとする段階でワクをつくって指導していく、こういうやり方でございますので、一−三の三カ月間あるいは四−六という期間を通じて非常にきびしいワクをこれから指導していくと言っているのが現状でございます。  なおそのほかに、商社でございますとかあるいは土地でございますとか、具体的な個別の摩擦現象を起こしておるそういうものについては、別途の規制をやっておるというのが現状でございます。
  191. 藤原房雄

    藤原房雄君 市中銀行でほとんどの銀行が、それから相互銀行や信用金庫の一部で、自己の不動産会社を持っておる。銀行法では、確かに他社の持ち株は一割に制限されておるわけでありますが、合法的な抜け道で全株に近い株を支配している。このような事実を大蔵当局が知らないはずはないと思うのでありますが、銀行はみずから土地に投機を行ない、また大商社その他に多くの融資をしておる。これはもう共犯と言わなきゃならないと思うのでありますが、このような事実を大蔵当局はどのように処置するのか。この点についてお伺いしたいと思います。
  192. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 銀行あるいは相互・信金といわれております金融機関と不動産業者、いわゆる系列の不動産業者との関係は、二つに分けられるかと思います。一つの種類は、銀行の営業用の不動産のみを管理するということから出発してまいりましたものでございます。これにつきましては、先ほどお話しのございましたように、独禁法というものの特別の除外を受けまして、そういうものに限定して不動産業務をやっておるというものがございます。それからもう一つは、そうではございませんで、一般の企業と同様に、金融機関というものは、産業支配を排除するというたてまえから、株式の保有は一〇%以内という独禁法の規定のもとで制限を受けておる不動産業がございます。  最初の、一〇〇%に近い、一〇%をこえた不動産会社につきましては、これは事柄の性質上、当然一般の不動産業というようなものをやるべき性質のものではございません。したがいまして、もしもそういう事実がございましたならば、これはもう資本関係を引き上げるか、あるいはそういう業務をやめさせるか、いずれかということで現在指導しております。現在まで私ども承知しておる限りにおきましては、その第一のカテゴリーに入りますものにつきましては、そういう問題というものは大きな問題は聞いておりません。  問題は第二のカテゴリーでございまして、一〇%以内の株式の保有関係である系列の不動産会社が、いわゆる一般の不動産企業と同様の仕事をしておる、こういう問題があるときに、金融機関が特別の不動産業と密接な関係があることがいいかどうかという問題だろうと思います。これは何と申しましても、そういう金融機関と特殊の関係にある不動産業というものが、特に優越した立場で、ほかの企業よりは有利な立場で業務を行なうというようなことはあってはならないわけでございまして、先週もきびしく私のほうから通達を出しまして、一般の不動産業と同じ関係に立つように、したがって、たとえば名称を銀行の名称を使わすとかあるいは不当に職員関係の密接な関係を断ち切るとか、それから融資にあたって特に有利な扱いということのないようにということを基本として通達し、その結果の報告を求めておるというのが現状でございます。
  193. 藤原房雄

    藤原房雄君 大蔵省・日銀が公定歩合の引き上げを決定したようでありますが、今回の処置は、国内よりむしろ対外的な要因が大きかったのではないか、こういう点でおそきに失した感が強いわけでありますが、変動相場制も相当長期にわたる見通しであります。輸出関連の中小零細企業者の中には自殺者まで出ておるのでありますが、非常に重大な問題だろうと思います。政府はこの輸出関連中小零細業者に対して、さらに予算を増額するとともに、無担保・無保証で融資する、こういう積極的な姿勢がなければならないと思うのでありますが、これらに対して大蔵、通産の両大臣から所見を伺いたいと思います。
  194. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 詳しくは通産大臣からまたお話があると思いますが、御承知のように、先般二千二百億の融資を決定いたしました。しかも特利で、六分二厘というような特利を出したわけでございますが、これは一昨年のニクソンショックの直後は千五百億円、さらに三百億円追加したものでございますが、今度は前回の経験にかんがみまして二千二百億円ということを決定したわけでございます。なお実態を見まして、またこの点につきましては流動的に、できるだけ中小企業の諸君が困るというようなことがないような努力をしたいと考えておるわけでございます。
  195. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般の閣議決定に基づきまして、輸出関連中小企業体に対する緊急融資といたしまして、ただいまお話がございましたように中小公庫から七百五十億円、国民公庫から五百五十億円、商工中金から九百億円、六・二%の特利で期限は四年以内、必要に応じて五年以内、いずれも据え置き期間二年、そういう措置をいたしました。そのほか沖繩振興開発金融公庫についても同様に実施いたしております。それから既往融資の返済猶予といたしまして、前回ドルショック緊急融資及び繊維特別融資の分につきまして、返済猶予、これを一年以内延ばす。それから高度化資金、設備近代化資金については二年以内延ばす。さらに信用保険の特例といたしまして、保険限度の別ワクを特別に設定いたしました。現行通常分が二千五百万円というのに対して、さらに二千五百万円これをふやしました。無担保保険については三百万円をさらに四百五十万円追加いたしました。特別小口保険は八十万円をさらに八十万円追加いたしました。さらに保険料率の引き下げ、これは通常の料率の三分の二の料率を適用するということでございます。それから税制措置といたしまして、今後二年間欠損金の繰り戻し制度による環付を既往三年間にさかのぼって行なう。地方税についても今後二年間、欠損の繰り越しをし得る期間を二年間延長する。そのほか中小企業の事業転換を推進するために、いろいろ所要の措置を中小企業振興事業団等を通じて行なうことにいたしております。
  196. 藤原房雄

    藤原房雄君 いずれにしましても、最近の土地の買い占めというものはたいへんなものであります。これが大手によりまして山林原野、さらに農地に至るまでだんだん手が伸びておる。こういう実態からいたしまして、私ども日常生活において最も欠かすことのできない食糧、そしてまた将来の農業のあり方というものにまでこの問題は発展するのではないかと憂えるわけであります。しかも、今日まで農業振興のために国や県が補助対象としておりました農地が、いつの間にか買い占められておる。法的に明るくない農民の方々が、たくみな商社の手に乗って手放した例も数多く聞いております。私は、これらの幾つかの中で具体的な問題を一つ取り上げてみたいと思うのであります。  農林省の資料によりますと、青森県の上北郡七戸町にある野々上放牧地主組合の所有しておる野左掛共有地が昨年の十一月に売買されておるのでありますが、この売買に至る経過を説明していただきたいと思います。
  197. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 資料に基づいて申し上げます。  青森県の報告によりますと、青森県上北郡七戸町字野左掛所在の共有地約五百八十ヘクタールにつき、昭和四十七年十一月二十四日、京成電鉄株式会社との間で売買契約が締結され、その対価の額は約八億七千万円であると報告されております。  地目は、台帳では原野ということになっております。それから所有者は三上政男氏外百名、合計百一名の持ち分共有ということでございます。共有者のうち反対者が七名ございまして、この方々を除いて九十四人の方と持ち分の売買契約を締結をして、京成電鉄と反対者七名の持ち分登記をいたしておるということでございます。  以上でございます。
  198. 藤原房雄

    藤原房雄君 この野々上放牧地主組合というのは一体どういう内容の組合で、また野左掛共有地というのは、いろいろな目的に使われておるわけでありますが、使われておる土地の使用目的、これをあわせて御説明いただきたいと思います。
  199. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) お答え申し上げます。  野々上の放牧地主組合は百一名の構成でございますが、いわゆる土地改良事業ではございませんで、土地を共同で放牧のために利用するという形のものでございまして、いま大臣から説明いたしましたような経過で売買の契約をしているということでございます。
  200. 藤原房雄

    藤原房雄君 土地の使用目的。
  201. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 土地の使用目的は放牧に使用するということで、採草・放牧をするところもございますし、また混牧林として利用するという形のものもございます。放牧でございます。
  202. 藤原房雄

    藤原房雄君 この共有地を買収しましたいまお話に出ました京成電鉄というのは、どういう企業で、営業目的といいますか、会社が買収しました買収目的というのは一体どこにあるのか、この点お伺いしたいと思います。どういう話し合いでこれを買ったのか。
  203. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど申し上げました報告の範囲では、京成電鉄がどういう利用目的で買ったかは判然といたしません。また現在のところ、何らかの措置と申しましょうか、具体的な行動を起こしておるようには報告を受けておりませんので、おそらく長期的な目的で売買契約をしたものではないかと、これは私どもの推定でございまして、別段の利用計画等がわれわれの手元には参っておらないことを正直に申し上げます。
  204. 藤原房雄

    藤原房雄君 京成電鉄ですから、会社の営業目的は明らかだと思います。運輸大臣、これ、おわかりになりますか。
  205. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 関係政府委員が来ておりませんが、調べてお答えさせていただきたいと思いますけれども、電鉄会社は非常に兼業としていろんな仕事を持っておるようでございますが、電鉄事業そのものにつきましては、もちろんわれわれの監督下にありますから十分の調査をいたしておりますが、兼業という方面につきましても非常に詳しい調査資料をとったり報告をとったりということは、しておらないと思います。トータルでどうなっておるかということはもちろん調べておると思いますけれども、内容についてはわからないのじゃないかと思いますが、政府委員を呼んで調べます。
  206. 藤原房雄

    藤原房雄君 実際京成電鉄が何の目的でという、その目的がおわかりにならないようですが、まさか電鉄会社が、看板のとおりこの七戸に鉄道を敷くわけじゃ決してないと思います。ほかの目的のため。そうであれば当然これは観光ということが中心になると思います。これはもうはっりしておることでありますが、そこで、買収された野左掛共有地の五百七十四ヘクタールは、水源涵養保安林、それから農業振興地域に指定されているのですが、その内容をお示しいただきたい。それからまた、それらはいずれもどこの指定になるのか、それから指定の目的は一体どういうことにあるのか、この点についてお示しいただきたいと思います。
  207. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) お尋ねの野左掛共有地は、昭和三十一年十一月六日に農林省告示の八〇五号によりまして、水源涵養保安林として三百七十九ヘクタールが指定されております。また野左掛共有地の五百八十ヘクタール、おそらく今回の契約の大体全部の対象が農業振興地域ということになっております。  以上でございます。
  208. 藤原房雄

    藤原房雄君 その指定の目的というもの。
  209. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) これはいま申し上げましたとおりに、一つには農業振興地域としての指定でございますから、おのずからそういう目的のためであるということは御判断いただけると思うのであります。それと、水源涵養のための保安林指定が行なわれている、こういうことでございます。
  210. 藤原房雄

    藤原房雄君 住民生活に最も大事な水源涵養保安林、これが売買されているということですね。企業の買収目的、これは先ほどもお伺いしましたが、おわかりにならないようですが、これはもう観光に間違いありません。そうしますと、森林を切らないという保証はどこにもないということもいえるのじゃありませんか。  それから農林省が、あなた、大臣が指定しました農業振興地域が、指定後一年ちょっとで非農業法人に転売されている。農民の農業振興という最も大事な目的のために使われなければならないのにかかわらず、こういうことになっているということは非常に遺憾だと思うのでありますが、この点について大臣の見解をお伺いしたい。
  211. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 京成電鉄との間の売買契約の事実を青森県の報告でつかんだわけでございまするが、この土地に対しまして、たとえば、ただいま申し上げました水源涵養保安林三百七十九ヘクタールが含まれておるのでございまするが、しかし京成電鉄は、買っておって、これに対する解除申請などは出してきてはおらないのであります。ですから、私が先ほど、まだ具体的な計画もなし、長期的な見通しで土地を買ったのではないかというようなことを一応推定して申し上げたのでありますが、また、この農業振興地域につきましては、これは農業振興地域の整備に関する法律に基づきまして、知事がその指定を行なっておるのでございまするが、この場合におきましても、農地をかりに御指摘のような観光等の目的に使おうといたすといたしますれば、農地の転用許可申請というものの必要性が出てまいるわけでございまするが、現在のところ、そのようなことは聞いておりません。かりにそのようなことがございましても、これは農業上の利用を確保するということから申し上げまして、農地転用ということにつきましては私どもとしては考えない、こういうことでございます。
  212. 藤原房雄

    藤原房雄君 水源涵養保安林をすぐほかの目的に使うなんて、こんな非常識なことをするわけはありませんよ。ですから、買ってまだ幾らも時間がたっておりませんから、手をつけていないのはこれは当然です。所有権の問題いろいろございますけれども、いずれにしましても好ましいことでないことは当然であります。今後どういう動きをするか、これはやはりこういう非常に問題になっておるときでもありますから、会社としましてもじっとしておるのは当然だと思います。そんな甘い考えでおりますところに、農業がわれわれの知らないところでだんだんだんだん衰退する方向に進んでいくということを私は心配するわけです。  次に移りますが、売買された共有地内で行なわれた農業振興事業に三つあるわけですね。一つは林業構造改善事業と、次は団体営草地開発事業、三つ目には小規模草地改良事業、これらの事業の目的や内容、年度、補助額について御説明いただきたいと思います。
  213. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 確かに私ども調査で国庫補助事業が三つ行なわれております。  小規模草地改良事業については、昭和四十四年に百四十三万八千円の補助による牧さくを設置いたしております。  それから林業構造改善事業は昭和四十五年に行なわれまして、これは林道をつくったわけでございますが、国庫補助は二百九十五万円でございます。これは調べてみますると、先ほど申し上げましたように、七名が反対をいたしております。そうしてその七名の方々が現在利用をしておるというふうに聞いております。  それから団体営の草地造成事業、これは昭和四十六年に行なったのでございまして、面積は二十二・六九ヘクタールでございます。そうして三百二十一万六千円という国庫補助が出ておりますが、これは売買契約より除外をするということになっておると、青森県からの報告でございます。  以上、三つの事業について申し上げました。
  214. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ、これもとうとい国民の税金が使われてることは間違いありません。さらに、買収された五百七十四ヘクタールの中には、農地法で定める転用許可のない草地が二十二・六九ヘクタールあります。これはまあ、農地法に当然抵触するものと思うんでありますが、これに対する当局の考えをお聞かせいただきたいと思います。
  215. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) もし間違っておりましたら構造改善局長より補足をさせますが、ただいま申し上げましたように、団体営の草地造成事業で二十二・六九ヘクタールでございまして、これを含んで三十九ヘクタールが農地または採草放牧地ということになっておるわけでございます。で、もしこれを利用するとすれば、当然農地法の転用の許可の必要があるんでございまするが、先ほど申し上げましたように、売買契約からはこれは除くことになっておるという報告に接しておるわけでございます。
  216. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ、売買契約から除くというこれは事後処理でありまして、いずれにしましても、こういう売買しようとした、売買したというこういう事実はいなめないと思います。それから、まあ、だんだん問題が大きくなればなるほど、いままでやってきたことに対していろいろな処置がとられるだろうと思いますが、いずれにしましてもね、国が国民のとうとい税金を使ってなされたこの仕事が、こういうことでむざむざと大手の業者に買われる、その使用目的も明確ではないというんですが、これはもうはっきりしておることでありますが、こういうことを続けてることは、これはほんとうにゆゆしき問題だと思います。さらに、この地域内に官行造林が百四十三ヘクタール、官行造林に伴う地上権設定登記が農林省によって全域五百七十四ヘクタールの登記がなされておる。この内容について御説明いただきたいと思いますが。
  217. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) お話しのごとく、百四十二ヘクタールの官行造林地が含まれておるわけでございます。それで、この分につきましては、公有林野等官行造林法第四条の規定によりまして国の承認が必要でございます。で、この点は昨年の十二月にその土地処分の申請が出されておるわけでございまするが、現在私どもとしては、また青森県当局としても、その許可はしないと、こういう方針でございます。
  218. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ、いずれにせよ、農林省の許可が必要なのは当然でありますが、こういうことがみすみす見のがされて今日問題がここまで発展してきておるというところに大きな問題があろうかと思います。で、当然いま大臣も言われたように、保安林指定をはずすなんということはないだろうと思いますけれども、これ、地理的な条件から見まして、位置から見まして、これははずすべきでは絶対ないと思います。そこで、この問題が進むにあたりまして、やはり先ほど私冒頭に申し上げましたが、こういう、この法的なことに非常に明るくない農民の方々が、結局こういうことをいつの間にか売買の対象にされておるということなんであります。しかも、この七戸町の場合には、七戸町長が公文書でこの保安林指定がえが実現するよう協力するという、こういうことを言って歩いたために、土地の方々もまあ信用して結局売買契約に応ずるようになった。まあ、何といたしましても、こういうへんぴなところにおる方々でありますから、そういう社会的な立場の人の一言一句というのは非常に信用をされますし、それが今回の大きな問題、このようにものごとが進展した一つの要因であろうと思います。この町長から野々上放牧組合の組合長に出した公文書の中に「今回貴殿が京成電鉄KKに売渡した野々上放牧地内水源涵養保安林について、京成電鉄KKの開発計画の進捗にともないその開発計画が当町地域住民の福祉向上に貢献すると判断される場合、保安林指定替が実現するよう協力致します」、こういうことを言ったんでは、法に明るくない方々は、町長さんがこんなことを言うんでは、ということになりますね。また、野々上地主組合の組合長さんが町長に対しまして、「野々上放牧地保安指定替について」「今般当組合員の所有する野々上放牧地を京成電鉄KKに売渡しすることになりました。ついてはこの放牧地内に指定されている水源涵養保安林を近傍の別の場所に指定替して下さるよう特段の御配慮と御協力方を御願い申し上げます」。それから組合長から町長に対しまして、「保安林指定替について」「先に、当保安林指定替に関する協力方御依頼申上げましたが、当組合員内二二名より二三八haの指定替予定地について別紙のとおり承諾書を受理しておりますので、これを基礎とされまして特段の御配慮を賜りますよう御願い致します」。こういうことをされたんでは、これはもう地元の方々はこれに応ずる——まあ、たまたま七名の方、応じなかった方がいらっしゃるわけでありますが、それらの方々は、聞くところによりますと、やはり相当そういうことに明るい方であったということです。こういう事実ですね。町長が一枚このたびのこの問題にまあ加わっておるという、お先棒をかついでおるという、こういう立場は一体許されるのかどうかということがほんとうにこれは重大な問題だと思うんでありますが、自治大臣、どうですか。
  219. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) まあ、よく市町村長が地元の開発を進めるために、開発がしたいということで、それぞれの事業者に土地取得の協力体制に立つ、こういうことはまあありがちなことだと思います。しかし、思惑買いや投機買いに協力をするというようなことがありとすれば、これはゆゆしい問題であるというふうに考えます。
  220. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ、こういういままでのいきさつからおわかりのように、町長が違反行為による土地買収の手助けをしておる。まあ、法律的な問題について、あからさまに申し上げるならばいざ知らず、開発をしたい、やはりまあ農外所得一農業の行き詰まり、いろいろな問題があると思います。それは、開発ということはさることながら、この大事な国の税金を使ってまで造成したところの農地がこのように大手業者に買い占められておる。これは非常に重大な問題だと思うんであります。で、先ほどの農林大臣がいろいろ申されましたことをずっと整理いたしますと、京成電鉄が買収した七戸町の野々上放牧地主組合の野左掛共有地には六項目にわたる権利や指定があるということになります。一つは、水源涵養保安林、これは三百七十九ヘクタール。二番目には、農業振興地域、これは全域五百七十四ヘクタール。また、官行造林百四十三ヘクタール。四番目には、林業構造改善事業地区としまして林道千四十メーター。また五番目には、草地造林事業地区——団体営草地開発事業ですが——二十二・六九ヘクタール。六番目は、草地改良事業地区、小規模草地改良事業が、牧柵でこれは全域です。大臣、こういう六種類もの権利が存在する農耕地域が転売されるという事実、これは、国土保全やまた農耕地の確保というこういうことからいたしまして、法の運用を厳格にしなければなりませんし、いま農地の壊廃、まあ、著しいスピードでこれは行なわれているわけでありますが、特に山村僻地におきましては大きな規模でどんどん山ごと、村の半分も買い占められるなんという事実があるようでありますが、こういう大きな勢いで買い占められる。将来農業振興の上にも大きな問題を起こすということを私は心配するわけでありますが、これらの問題につきまして大臣といたしましてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、また、今後の方針、こういう問題について今後どうするのか、それらのお考えをお伺いしたいと思います。
  221. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 関連。  大臣、農業振興地域の整備に関する法律の第十六条には、「国及び地方公共団体は、農用地利用計画を尊重して、農用地区域内にある土地の農業上の利用が確保されるよう努めなければならない」とはっきり言っているんですね。これは自治大臣にはっきりと伺いたいんですが、先ほどのいわゆる変更ですか、指定がえが実現するよう協力するというようなことを言っているのは、この第十六条に完全にひっかかっているわけですね。そういうことが許されるということはこれはあり得ないことなんです。その点は厳重にこれは当然注意しなければならないことだし、そういうことで得た農業上の利用ということが京成電鉄になされるという保証はどこにもないわけでありますから、これははっきりした措置をとってほしいと思いますが、どういうふうになさるかということ。それから農林大臣、同じ法律の第十七条には、「これらの土地が農用地利用計画において指定された用途以外の用途に供されないようにしなければならない」と、こうあるわけですね。そのところから見ると、今回のいわゆる大量に買い占めたということが、これは京成電鉄がそのとおりにやればけっこうですよ。そうでなければこれは問題だと思う、これ、全域が農業振興地域に指定されているんですから。そうすると、この第十七条にもひっかかってくるわけです。その辺のところをはっきりしてもらいたいと思いますね。
  222. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 自治省といたしましては、もしそういう事態がありとすれば、これは県当局を通じて厳重に指導、監督をしなければなりません。直接的には、これは農地委員会がその当否をきめるわけであります。したがいまして、農地委員会が目に余るものありという場合には、農地法違反ということで告発の手続をとる場合もございます。これは国家公安委員長としてのお答えになると思いますが、要するに、告発をされて取り締まるというものは現に毎年相当件数に及んでおるわけでありまして、農地委員会が直接的にはこれを措置するわけでありまするが、いまお示しのような点につきましては、県当局を通じまして自治省としてもその実態を十分調査し、適当な措置をとりたいと思います。
  223. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 先に関連質問についての御答弁のほうをいたします。これは先ほども私申し上げましたように、農地の転用は許可しない方針でおるわけでございます。そこで、第十六条によります「土地の農業上の利用」、この方針につきましては適正な指導、運用、土地利用計画についての総合的な検討を進めていくということでまいりたい。また十七条の、御指摘による農用地以外の用途に供することはできないと、これは現実にはいまそういうことにはなっておらない。また、そのためには農地の転用許可の必要があるのでございまするから、したがいまして、その段階で、先ほどから申し上げるように転用の許可をしない方針でおるわけでございます。これを要するに、今回の京成電鉄が野左掛共有地の売買契約をしたということにつきましては、御指摘のとおりに、保安林の関係からしても、また農業振興地域の関係からいたしましても、官行造林地の関係からいたしましても、これはおそらく会社の思うような使用、利用ということはほとんど不可能に近いようなことではないかと、先ほどから御説明を申し上げておるとおりでございます。なおまた、各種の国庫補助を受けておるという以上におきましては、その国家補助を受けた事業の目的に反するようなことになっていきますれば、これは当然返還を命ずるというようなことも起きてまいりますが、しかし、そういうことであると金で解決できるというようなことになりますが、そうでない、これだけのいろんな制約を受けておる土地であるということになりますると、おそらく転用についてはきわめてむずかしい問題であると私は推定をするわけでございます。  なお、この問題に関しての、町長さんが動かれたという事実につきましては、自治大臣のお答えもございましたが、私としてもきわめて遺憾に存ずるのでございます。そこで、この間うちからこういう農地の関係の転用あるいは買い占めというような事態が、われわれの把握のできない状況のもとにどんどん進行しておる、そして、そのことについてきびしい御指摘をこの委員会を通じてちょうだいをしておるわけでございます。これに対しましては、どうしてもその早い機会にそういう不当行為の行なわれるという情報を得なければ、なかなかこれは押えにくいということで、先般お答えをいたしましたように、農林省としては地方の各農政局に対しまして、そういう動きというものをすみやかにつかんで、そして事前にこのようなことの起こらないようにつとめようということで、厳に省内にそのようなことを指示をしておると。まあ、これも皆さん方から見ればたいへん歯がゆいようなことでございまするけれども、しかし、しないよりも、一つでも努力しなきゃならないということで、われわれとしては、こういう忌まわしい農地の壊廃をできざるように、また、その前に行なわれる契約などによって実体的にすでにその買収者のほうに移るような、そういう事態を許可とか不許可とかいう問題の前提として厳に取り締まってまいりたいと、こう思います。
  224. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ、まことに歯がゆい次第なんで、きょうは具体的な例を一つ申し上げたわけでありますが、私どもも一々調査するわけにいきません。これは、公明党が昨年行ないました土地の買い占めによる総点検をいたしましたところ、相当な、膨大な買い占めがあることは事実であります。こういうことからいたしまして、気がついたときにはすでにもう農地が非常に不足しておった。こんなことになっては、これはたいへんなことだと思います。もっと強い、ほんとうに農業を守るという、ほんとうに日本の国の農林大臣らしい姿勢というものを今後取り続けてこの問題には取り組んでいただきたいと、こう思うわけであります。  農業問題につきましても、いろいろ基本的な食管の問題、そのほか減反の問題等につきましてもいろいろお伺いしたいのでありますが、これは当委員会でもいろいろ議論もされたことでもございますが、ただ、一言だけ申し上げたいのは、この当農民の方にお会いしてお話し合いしましても、やはりこの長期ビジョンといいますか、農業はこうで、日本の産業、日本の位置づけといいますか、そういう明確なものがないということに非常な不安を抱いておる。いつも当委員会でも言われることではありますが、場当たり的に、ちょっと米が余りますと、すぐ減反、足りなくなりますと輸入、そしてまた、ややゆるふんになる。このたび、米の買い占めで食管法が息を吹き返したなんて、こう言われておりますが、本来、法律として厳然とあるわけでありますから、息を返すも何もないわけでありますが、こういう事態になりますと、まあ強い力を発揮する。こういうことから、農業を営む方々については将来に、先き行きに不安を抱く。こういうことからいたしまして、食管制度に穴をあけた自主流通米制度、また物統令の廃止、こういう問題について、もっとはっきりした政府態度をしていただかなければ、また、先ほどの、問題になっておりますような農地の取得にいたしましても、もっと厳格な態度というものがなければ、やはり農業に専心するという気持ちがだんだん薄らいでしまうのではないかと、こう思うわけであります。  まあ、総括的な話になってしまいましたが、この食管法のことや、それから減反問題、それから備蓄制度、こういうこともいろいろ今日まで議論されてまいりましたが、それらのことにつきまして総括的に農林大臣からお答えいただきたいと思います。
  225. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいまの話に関連して、ちょっと申し上げておきたいと思うのでございますが、実は昨日、内閣で決定しました国土総合開発法、これはいま御指摘のような点について配慮をいたしておりますわけでございます。すなわち、都市計画法がございまして、その中での市街化区域、これは二千平方メートル、都市計画法の地域が五千平方メートル、それ以外の地域は一万平方メートル、それ以上のものは届け出をしまして、県知事がそれに対して関与をするということになっております。それからさらに全体の計画としまして、土地利用計画として、都市計画地域、それから農業関係地域、森林法の施行される地域、自然公園地域、自然環境保全の地域、それら五つの系列に分けまして、それぞれの土地の利用計画というものを考えておるわけでございまして、ただいま御指摘のようなことはまことにごもっともでございますので、私どもといたしましても、そういう限りある国土の有効利用、そうして自然環境の保全と土地関係者の福祉をいたす方法を考えておるわけでございますので、どうぞこの法案につきましてもできるだけ御協力をいただきまして、そして目的が達せられるようにお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
  226. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 農林省としては、最も大事なことは食糧の安定的供給にあると思うのでございます。ところが、最近の諸情勢を見まするに、国内的にも国際的にも需給事情が非常に変動をしております。食糧が豊富なときは豊富なりの現実的な施策が迫られます。また、不足してくれば不足の状況に基づく施策の必要というようなことがございます。これは御理解願えるところだと思いまするが、そのつど農政が大きく動揺していくということでは、農業に従事しておられる皆さま方が、お話のとおりに、大きな理想を持って営営として努力するという意欲に欠けてまいるのでございます。そういうことで、私は、いまなかなかむずかしい情勢にはあるが、せっかく昨年の十月に農産物の需給の展望や、これからの生産目標というのを、これはもう相当な専門家の方々の参画のもとにつくっていただいておるので、これに若干の自分の意見はあるといたしましても、しかし、一応いまのこの段階では、これを一つの大きな目標として、この中でこれからの農政を続けていくのがしかるべきではないかと。したがいまして、この試案によりますると、大体十年後の食糧自給率を七五%前後に踏んでおりまするが、現に大体その見当にあるわけであります。これに飼料の増産ということをもう一つ加えて、まあこの指標のもとに農業にいそしんでいただくというようなことで、私自身としても、あまりいろいろなことに動揺してはいけないということで、たとえば、御指摘の食管法につきましても、就任早々に、どうも食糧事情も悪いし、せっかく食管法の改正の検討もしておる、運用面でいろいろ考えるところもあると思うが、まあひとつ落ちつくまで改正は考えまいぞと。あるいは、ここで生産調整のことについてもいろいろな角度から御質問をちょうだいいたしました。しかし、一応出しておる生産調整調整として、これをいまの事情から急に変えて、また全国に生産目標のやり直しをするというようなことでは、これまた動揺が起きると。したがって、適地適作、高能率農業ということを言っておるんだから、その面からのひとつ考慮をしながら、まず、一応はこの目標でいくがいいであろうというようなことで、きょうの御質問の御趣旨、私、十分理解をいたしまして、これからの農政に当たってまいりたいと思います。
  227. 藤原房雄

    藤原房雄君 米の重要なことは、いまさら申し上げるまでもなく、重要なことは重要でございますが、さらに、いま問題になっております酪農生産——私、先ほど京成電鉄のことを申し上げたのも、いま飼料が非常に高くて酪農経営が危機に瀕しておるという、こういう大事なときに、まあ自給率を高めると、ただいま大臣のお話がございましたが、大事な採草放牧地がどんどん大きな規模でゴルフ場になったり観光地になったりするという、こんなことがあってはならない、こういうことを非常に危惧するわけでありますが、酪農問題につきまして、四十八年度の加工原料乳の保証価格、いま審議会で決定されようとしておりますが、飼料の値上げ、そのほか諸物価の値上がり、労賃の上昇、それから負債の累増、それから肉の価格の高騰、こういう非常に生産環境の悪化が訴えられておるわけであります。いま全国各地から、また雪深い北海道からも、この乳価の値上げに対しまして、たくさんの方々が上京しております。きのうもいろいろお話を聞いたのでありますが、去る六月の六日に、北海道の宗谷地方の天北酪農をやっていらっしゃいます宗谷の勇知という駅から十キロ山奥から、ふぶきで閉ざされた道を歩いてきた小林喜代治さんという方が、稚内の市内で行なわれます宗谷地区酪農対策全体委員会出席し、ここで四十八年度要求乳価に臨む最終的な態度を発表する途上で、くずれるように倒れ、息を引き取ったというお話を聞きました。この天北酪農に希望を持って入植し、そして励んでおられた小林さん、こういう方々が、どうしても、このたび乳価を上げていただきたいと切々と訴え、そしてまた、それらの方々の悲痛な叫びが私の耳を離れないわけでありますが、このふぶきの中、たいへんな苦労をして酪農にいそしんでおるこれらの方々の現状、ほんとうに、農林大臣はふぶきの北海道へいらっしゃったことがあるかどうかわかりませんけれども、四十頭、五十頭の牛をわずかな家族の方々で取り扱う、搾乳する、これはもうたいへんな仕事であります。諸物価はどんどん高騰するにもかかわらず、乳価は低く押えられて、ほんとうに農民の希望はいれられない。こういうものに対するたいへんな憤りというものが渦巻いておるわけであります。  いろいろ調べましたところ、最近は、御存じのように、肉牛が高いということから、搾乳牛を売る人が非常に多い、去年一年間で四十万頭とも五十万頭ともいわれておりますが、なぜそんなふうになるか、これは将来の酪農の経営ということを心配するんで私申し上げたんでありますが、経産牛の価格が大体三十五万以上はするらしいです。これ、加工原料乳の保証価格はキロ四十五円四十八銭で、年間搾乳量は四・五トン、それで収入は大体二十万そこそこです。一年間汗水流して得た金額が、肉で売るよりも三割も少ない。三割減。ここから今度は、飼料費とか、償却費その他の経費を引くというわけでありますから、手取りは三分の一にも満たないものになる。さらに広大な規模の放牧地があるわけでありますので、それに伴う負債、こういうわけですから、酪農民のこの悲痛な苦しみというものは、これはもう余りあるものがあるのであります。乳価と肉との価格のバランスは、一般的には一対一三といわれているのですが、最近は肉が非常に高くて、一九・三倍という。こういう乳価が非常に安くて、肉が非常に高い。高きから低きへ、この高い肉のほうへ搾乳牛はどんどん流れていくという、酪農家にとってはたいへんな危機とも言うべきときがいま来ておるのであります。  こういうことについて、いろんなデータやなにかについては、大臣よくお調べになっていらっしゃると思うんでありますが、この乳価のこと、また将来の酪農のことにつきまして、あの雪深い北海道で一生懸命いそしんでいらっしゃる、加工原料乳の大半を占めるこの酪農民の現状に対しましてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。また、今後に対する施策等についてお考えがありましたら、お伺いいたしたいと思います。
  228. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 最初に、北海道の酪農農民の皆さん方の現状についてのいろいろな状況のお話、御意見があったわけでございまするが、私も就任以来、北海道酪農が現に乳牛まで屠殺しなければならないという状況はどうなのか、また、この委員会でも昨日吉田委員の非常にきびしい御質問をちょうだいしたわけでございます。二十頭ぐらいの経営規模がよかろうというのが、さらに四十頭ぐらいの飼育牛、これは経産牛でいきますから、大体常識的にいけば二、三十頭のものが五十頭以上の経営規模にするがよかろう、そうすると、最初の経営規模の拡大当時の負債を負ったまま、次のまた経営規模拡大の資金が必要であるというようなことが重なって、大きな負債を持っておる。そこへ加工原料乳の価格面に対する——まあ私どもとしては、飲用乳等の関連でこの程度でいいんではないかということでまいっておりまするが、これには過去に、この保証価格の引き上げの、適切に思っておっても適切でない影響が出て、非常にだぶついて、そのためにまた御迷惑をかけるというようなことがありまするもんで、そういうことで、この加工原料乳の保証価格の決定については、どうも酪農農民の皆さんの御満足のいくような価格になっていない面がございます。そういうようなことで、いろいろと北海道の酪農農民の御苦労ということがよくわかるのでございます。そういうことで、近く、北海道道庁の実態調査に応じまして、この負債の関係の問題については何か具体的な施策を講じなければならないと、目下検討いたしておるのでございます。  それから、現在酪農農民あるいは畜産農家にとっての重大関心事は、豚肉の安定価格、加工原料乳の保証価格の推移であろうと思うのでございます。加工原料乳保証価格の推移は、四十六年から四十七年はわずか四十四円四十八銭から四十五円四十八銭というような引き上げ方であった。あるいは豚肉の安定価格の推移を見ますると、四十六年から四十七年がキロ当たり三百五十五円が三百六十円、安定上位価格が四百三十四円から四百四十円というようなことで、これらの価格の推移からいたしますれば、現在の飼料価格の状況、労働費の関係、いろいろ勘案していくと、こんな程度のことで、ことしもきめられたのではたいへんだという感じを農民の皆さんが率直に持っておると思うんであります。私どもは、原則として、生産条件、需給事情、その他経済事情を考慮して、再生産を確保することを旨としての価格決定方式、これはそのとおりにやってまいりたいと思うのでございまするが、この中に書かれておる経済事情などを考慮するという面で、少なくとも例年のようなことでなく、何とか大蔵当局にも私どもとしてはできるだけのデータをそろえて理解を求めて今度の価格決定に当りたいと、こう思っておる次第でございます。   〔委員長退席、理事米田正文君着席〕
  229. 藤原房雄

    藤原房雄君 酪農民は異口同音に、低利長期の融資や負債整理の新しい制度が次々とできるよりも、何といっても乳価が上がらなきゃだめだということを声を限りに叫んでおります。それで、現在の乳価ではとても負債を消すことはできないという、そのために肉を売ったほうが得なんだという、そんな農民の知恵が働いたといいますか、これは現状であります。これは、その点、よくひとつ御推察いただきまして、櫻内農林大臣御就任になっての初めての価格決定だと思いますけれども、ひとつ鋭意御努力をいただきたいと思います。  時間もございませんので、ちょっと申し上げますが、農業のことをいろいろ話しますと、当然そこに、東北、北海道にあります出かせぎ問題があるんですが、時間もございませんので、一つ二つしぼってお話ししたいと思います。  一つは、労働大臣来ておりますか。厚生大臣来ていますね。これは、だれも好き好んで出かせぎに行く人はないのであります。現在の農政の一つの大きな欠陥とも言えると思います。それはさておくといたしまして、この出かせぎしなきゃならない方々の立場に立って考えますと、子供たちを置いたままで行かねばならない。そのために、変なことばでありますが、出かせぎ孤児ともいわれるような方が非常に多い。施設のいろんな状況を私どもも調べておりますが、厚生省も当然調べていると思います。それから、お年寄りを置き去りにして行く、子供を置き去りにし、年寄りを置き去りにし、そのまま帰ってこないというのも中にはあるわけであります。福祉元年とか、老人福祉とか、児童福祉とか、いろいろなことがいわれておりますが、東北、北海道におきましては、こういう現象が最近非常に高度経済成長とともに著しい。この問題について、厚生省、どのように掌握なさってこれに対する対策をお考えになっていらっしゃるか、お伺いします。
  230. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) いわゆる出かせぎ孤児と申しますか、最近出かせぎが多くなりましたために、両親、片親が出かせぎに行き、子供だけが残る。そこで実は、統計的数字を申し上げますと、昭和四十四年に、全国、子供さんのある家庭一千六百万世帯を一応調査いたしてみました。おとうさんだけが出かせぎに行っているという家庭が全国で三十三万九千——三十四万、おかあさんが出かせぎに行っているというのは一万三千、父母ともに出かせぎという世帯が四万世帯、合計いたしまして三十九万二千という実に大きな数字にのぼっております。  そこで、こういうふうな置き去りにされておる子供につきましては、家庭で養育ができませんので、私どもとしては、そうした子供さんについては養護施設という児童福祉施設の中に収容いたしておるわけでございまして、これは四十五年の七月の調査でございますが、養護施設に入っている子供のうち、父母ともに就労のために養護施設に入っているという方が五百二十人あるわけでございます。なお、東北、北海道ということで青森にも一つの例がございました。青森の例をちょっと調べてみましたが、ちょうどことしになりまして三月一日現在の調査がございましたが、青森には養護施設が五つございまして、三百八十八人の子供さんがこの青森県五カ所の養護施設に入っておりまして、出かせぎのために入っておる家族が九十八人、相当な比率にのぼっておるわけでございまして、私どもも、出かせぎによってこうした家庭が離散をするということにつきましては、非常に憂えているわけでございまして、そうした子供につきましては養護施設においてできるだけのめんどうを見るようにいたしたいと考え、つとめておる次第でございます。  なお、出かせぎによりまして子供さんはそういう児童福祉施設に収容いたしておりますが、今度は一人暮らしの老人を置いて行くという例もあるわけでございまして、本人の御希望によりましては、老人ホームに入所せしめるとか、あるいは在宅でお年寄りの方々が一人で暮らそうという方々につきましては、福祉事務所の職員によって相談に乗ってあげたり、あるいは病気のときなどには介護人を派遣いたしまして、めんどうを見るようにいたしたいと考えてつとめております。私どもとしては、こういうふうな社会的な現象が起こっておることを否定するわけにはまいりませんので、少しでも出かせぎによる社会的な苦しみを除くように努力をいたしておりますが、今後ともまた、その地方地方の実態に応じ、具体的な措置を講じて努力をいたしてまいりたいと考えております。
  231. 藤原房雄

    藤原房雄君 そういう施設をつくることもけっこうです。あることに対してはなさねばならないと思いますが、やはり一番根本的な問題は、地元で十分な収入を得る仕事があればいいわけであります。まあ仕事があっても、非常に労働賃金が安い。この賃金格差というものが、何といってもやはり大きな問題です。労働大臣がいらっしゃいませんが、ひとつ、農林大臣、これは農業には直接関係あるわけでありますし、農民の方が出られるわけであります。この根本的な問題、労働賃金の格差という問題が少しでも改善されなければ、やっぱりこういう悲劇はどんどん進行するという、仕事があっても非常に安くて、とてもじゃないけれども働けない、生活できない、こういう現況でありますので、その点、ひとつお含みいただきたいと思います。  次に、時間もございませんので、水産関係の問題に入りたいと思いますが、最初に、北海道沿洋で年々水産物の漁獲高が減っておるわけでありますが、その中で、大きなウエートを占めつつあるのはコンブであります。北海道で生産量の大体九割ぐらいといわれておりますけれども、特に、道東方面の漁民の生活のささえはこのコンブにかかっておるわけであります。この問題についてお伺いしたいのでありますが、最初に、まず、北海道水産物検査条例というのがありまして、水検と言っておるのですが、現在、この品目が、コンブとするめだけでありますけれども、この水検の問題につきまして、北海道では五十年をめどに廃止したいと、こう言っておるんですが、農林省としましては、これに対する御見解はどうでしょうか。
  232. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 北海道の水産物でありますコンブと、するめにつきましては、日本経済の中でも非常に大きなウエートを占めておりまして、これが生産並びにその流通対策については力こぶを入れておりますので、道庁のほうでは、いろいろ御意見があるかとも思いますが、これが取り扱いにつきましては慎重に検討いたしてまいりたいと、こう思っております。
  233. 藤原房雄

    藤原房雄君 慎重に、どういうふうに検討をするのですか、どういう方向で検討するんですか。
  234. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) これが流通につきまして、それぞれ規格がありまして初めて円滑な取引ができると思いますので、直ちに検査をはずしますと、流通上規格がはっきりいたさないという場合には問題が多少出てまいりますので、これが取り扱いについては、先ほど申し上げましたように、そう簡単にはずせるものではないという意味で慎重に取り扱ってまいりたいと、こういう意味でございます。
  235. 藤原房雄

    藤原房雄君 それは実態をよく知らないからです。この水検の検査員というのは、助手として一年経験すればなれるのですよ。ところが、実際に携わっている漁民の方々のほうがそんなのはよく知っていまして、宮城でも、青森でも任意検査を実施しております。岩手県でも、この任意検査に切りかえようとしておるわけです。こういう趨勢といいますか、水検の本質というものをわきまえないと、そんな答弁になると思いますが、この点、ひとつ十分にお考えいただきまして、現地の状況というものをよく掌握していただきたいと思います。  この水検というのは、実は、そういう検査規格を云々ということならば、非常にそれなりの働きがあるのでありますが、これがまた別なほうに働きますと、零細漁民に対してたいへんな迷惑を及ぼすことになるのであります。時間もありませんので、詳細に申し上げることができませんが、コンブの取引業者並びに漁業者に対しまして、水検を通らなければいかぬということから、いろんな誓約書を書かせて、零細漁民を守るべき漁協が、その行為を逸脱するようなことを現実やっておるわけです。こういう実態について、水産庁長官、それから公正取引委員長、いろいろ今日まで調べたことがあるはずですけれども、それらを踏んまえて、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
  236. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 道庁におきまして、そういう水検の品目につきまして検査を廃止することを検討されているという話は聞いておりますが、そのほか、いろいろなこういう農産物あるいは水産物の中で規格が不確定なために、取引をたまたま阻害する場合が非常に多うございますので、これらにつきまして、われわれといたしましては、今後、先ほども申し上げましたように、流通が円滑に実施されるという期待がありますれば、そういった検査をはずすことについても異論はございませんが、いきなりはずすということにつきましては、他の農産物も含めまして、いろいろ流通が阻害をされますので、慎重に対処してまいりたいということでございます。
  237. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 私どものほうには、独禁法違反であるという申告——正確なものではございませんが、これを取り調べてくれというふうな御依頼がございました。目下調査中でございます。この内容は、いままでわかっている範囲では、北海道にある漁業組合、漁業協同組合連合会が、その所属員、これは間接的な構成メンバーになりますが、単協ではなくて、その下の漁師の方方、実際に漁業に直接携わっている方々の収穫するコンブを他に転売をしない、全量をあげて漁連のほうに売るという誓約書をかわしておるということ。もう一つは、産地業者と称します一種の仲買い人でございますが、その仲買い人からも誓約書をとっておる。そのとらなかった厚岸市といいますか、という場所の事件でありますが、そこの仲買い人の一人は締め出しを食ったといいますか、漁連のほうから品物を売らないというふうな制裁を受けたというふうなことでございまして、この漁民から誓約書をとっている分については、いま一がいにこれを独禁法違反とは言いかねる。所属員でございますから、内部事項でございます。しかし、もしその制裁が、何か差別的な、他の面で漁連が非常に漁民に対する制裁がきびしいことをすれば、かりにすれば、それは独禁法違反になると思います。それから、すでに産地業者の一名、これ一名ということになっておりますが、一名に対して売らないということを実施しておるというふうに一部の報告があるのですが、もしそうだとしますと、これは明らかに不公正な取引方法に該当いたしますので、独禁法上これを排除しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  238. 藤原房雄

    藤原房雄君 水産物、農産物の何か一般論を水産庁長官はお話ししておりましたが、それは私もよくわかるんですが、水検のいままで果たしてきた役割りというものは、あなたの考えているようなものでないんです。そこらから私は言っているわけですが、いま公正取引委員会の方がおっしゃいましたけれども、漁業者に対しましても、まあ前のほうのことばで大体おわかりだと思いますけれども、「全面的に組合へ出荷することを誓約致します。」、「この誓約を履行しないときは、今年度においての夏昆布漁業の釣数の制約あるいは漁業権承認を全面的に取り消しされても異議ありません。」、こういうことを誓約書の中に書かされておるわけですね。だから、これはもう当然、あなたがいまおっしゃったことに、これはもう当てはまるのは当然です。こういうことで、実際制裁を受けた人があるのかないのか、これは私は直接まだその本人には会っておりませんけれども、こういう誓約書がかわされているという事実ですね。水検を通らなければならない、そして全量買い上げ、そしてそこにこういうようなものがあるということは、これは水検が公平な売買を阻害する大きな要因になっておる。ですから、農産物全般についての検査のあり方というものについては私はよく理解できますけれども、この現在北海道で行なわれていますコンブにつきましては、これは時代に逆行するものであり、青森や宮城がそういうものを取りはずしつつあるというのは、これは時にかなった姿だろうと私は思うんです。その点、よくひとつ御理解いただかなければ、ただ一般論だけではならない。非常に深いいろんな問題があることを、先ほど公正取引委員長の方もおっしゃっておりましたことを御参酌いただきたいと、こう思うんです。  それから農林大臣、いま私の話したことをお聞きになったと思いますけれども、それから公正取引委員長の方がおっしゃったこれらのことを考え合わせて、大体の御判断はつくだろうと思いますけれども、道でどう言おうと、水検については守るような長官のお話ですが、これは実情を十分にひとつ掌握していただいて、新しい時代に即応したような姿にしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  239. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいま、しかと承りました。私としても、ただいまの御質問のことを念頭に置きまして、さらに、よく実情を調査してみたいと思います。
  240. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 先ほどは、調査中の事実を知り得た範囲で申し上げましたが、今後も、漁連の取り扱いでは、コンブについては非常に大きくて、全国の販売高百億円といたしますと、その八割は漁連が扱っておるというふうな状態でございますので、その漁連は非常に力が強い。それで、たとえば、仲買い人なんかに対して先ほど申しましたような制裁的に売り渡しを拒否するというふうなことになりますと、これは取引上、単に組合であるから適用除外になっておるといいましても、その不公正な取引方法については適用除外になっておりませんから、そういう事実が判明いたしますれば、直ちにこれは行政指導によってやめさすべきものであると思いますが、それでも動かない場合には、しかるべき強硬な措置をとって、そういう事態をなくするようにいたします。
  241. 藤原房雄

    藤原房雄君 こういう制度ができたにはいろんな経過があることは、私は十分知っておるんです。まあ、漁連もたいへんな危機に瀕したときもありました。しかし、現在は健全に運営されております。さらに、また営利を目的にしないはずのものでありますから、この漁連のあり方というものにつきましては、これはほんとうに、えりを正さなければならないと思うんです。まあ、手数料のこととか、いろんな問題があるわけですが、時間もありませんから次に進みます。  共販制度というもの、コンブ共同販売制度、これの流通経路を一つ一つ申し上げたいのですが、時間もありませんからあれですが、産地及び漁業者と消費地の業者、それから産地の漁業協同組合の中に道漁連が入り、大体七十五ぐらいの業者がありまして流通経路が組み立てられておるわけでありますが、共販で集荷された道漁連のコンブが公平なルートで業者に取引されていないということが非常に大きな声になっているわけであります。道漁連のコンブの共販実績、おもな取引業者等の実績を報告願いたいと思いますが、これのデータがありますか。
  242. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) お答えいたします。  北海道の漁連がコンブを共販で実施いたしておりますが、道内におきますコンブの生産量の約八割、四十六年の実績でございますが、約八割になっております。四十六年におきます販売対象の相手先といいますか、問屋数は百六十九軒でございまして、そのうち北海道道内の産地問屋には約六割、それから消費地の問屋に約四割の数量の割合で販売いたしております。こういった形で全国にコンブが販売されている、こういうふうに理解しております。
  243. 藤原房雄

    藤原房雄君 いずれにしましても、共販制度によって地元の加工業者の方がなかなか買いにくい、こういうことです。それで、地場産業の育成ということが叫ばれておるわけでありますが、コンブを生産する北海道が、加工したものを大阪から買わなければならないという、こういうことについてもいろいろ議論されておるわけでありますが、この共販制度、これを全部やめてしまえと私言いませんけれども、販売を減少させ、自由な取引量を拡大するという、こういう方向を、現状改革する方向というものを検討しなければならないんじゃないか。いまのままでは、どうしても地元の北海道の中小業者の方々がなかなか入手できない、こういう声がほんとうに聞かれるわけでありますけれども、この点について検討をなさったことはございますでしょうか。
  244. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) こういうコンブのような海産物は、非常に零細な漁民から買い集められて生産されるものでありますので、ともすると、自然に放置いたしておきますと非常に価格の不安定な要因が強く出てまいりますので、従来からこういう海産物につきましては、共販体制の推進をいたすことによりまして価格が極力安定になるように実施して指導してきている次第でございます。今後とも、政府といたしましても、共販体制によりましてコンブの価格が安定いたしますように指導はいたしてまいりますが、先ほど御指摘のありましたような点も十分検討いたしまして、指導上今後実施してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  245. 米田正文

    ○理事(米田正文君) 藤原君、もう時間ですよ。
  246. 藤原房雄

    藤原房雄君 コンブの国内自給体制を確立するために北海道の第三期計画がなされてあるわけでありますが、これは、現実、計画どおり進んでいないというところに一つまた大きな問題があります。これは相当力を入れてやらなければいろんな問題が起きる、また、これを強力に推進してもらいたいということ。  それから輸入政策についてお伺いしたいのでありますが、再三再四、コンブは輸入しないということで来たわけでありますけれども政府は輸入に踏み切りました。そうしてまた、輸入の窓口を道漁連一括輸入という、こういう形でやっておるわけでありますが、その経過、そうしてまた、その実績等について御説明いただきたいと思います。最初、開発庁長官、通産大臣ですね。
  247. 米田正文

    ○理事(米田正文君) 藤原君、時間が経過いたしました。
  248. 藤原房雄

    藤原房雄君 これで終わりです。
  249. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 北海道開発庁長官として御答弁を申し上げますが、地場の産業を育成することは、何といっても北海道開発の一番大事なポイントであるというふうに心得ております。  そこで、水産環境を整備したり、これを充実する。いま御指摘のコンブなどにつきましても、   〔理事米田正文君退席、委員長着席〕 これは将来一・三倍に持っていこう、これは五十五年目標でございますが、そういうことで進めておるわけでありまして、これは関係各省庁と十分連絡をとりながら、御趣旨の点が通るように努力をしてまいりたいと思います。  それから、目下のきわめて重要な乳価の問題でありまするが、これは御指名がありませんでしたので私答弁は差し控えたわけでありまするが、これは北海道開発庁としても容易ならぬ大問題であるというふうに考えております。したがって、加工原料乳の保証価格の問題については、農林省側に、私どもとしましても切実に道民と協力体制に立って、この訂正方を要求いたしておるところであります。それから、何といっても、この酪農民の、生乳といっておりますが、なま乳を道内で消費するということでは限度がありまするから、加工原料乳という形になってくるわけでありまするが、これはやはり一番人口が蝟集しておる東京都に持ってくることが、何といっても大切だと思うのです。そうすると、東京都周辺の酪農民からやはり抗議が出る。しかし、まだまだ日本人のこの生乳に対する関心度というものは低うございます。この摂取量もきわめて低いものがありまするから、もっと積極的に宣伝をする、そうして、これこそ外国から持ってこれるものではありませんので、首都圏の牛乳ぐらいは北海道で一手に引き受けるぐらいの構想で、私は、やはり生乳フェリーというようなものを北東公庫が中心になって融資をして建造したらいいと思うのです。そうして、毎日売るようにこの首都圏に生乳を持ってくるということを十分検討したらどうだ、これは赴任以来、開発庁にも具体的にいま検討を命じておるような次第でございます。
  250. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 北海道におきますコンブの生産量でございますが、これ、全国の約九割を占めておりまして、生産量全体を申し上げますと、四十五年には二万二千百五十六トンのうち北海道が一万七千六百二十一トン。それから四十六年は三万三百四十五トンのうち二万八千百二十三トン。四十七年は全国がまだ集計されておりませんが、仮集計が約二万七千トン、北海道で生産されておりまして、毎年、海流の変化に伴いまして生産量に非常に激しい変動があるようでございます。これにつきまして、私たちといたしましては、生産の安定をはかりますために、北海道の漁場の改良事業あるいはコンブ養殖保存施設、あるいはさらに、コンブの乾燥施設の設置ということにつきましては融資いたしておりますが、なお、四十七年に約七百トンのコンブを中国から入れておるのが最初の実績でございます。
  251. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 藤原君、それじゃいま一問。
  252. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もなくなりまして、まことに申しわけございません。公害事業団の方、いらっしゃっていただきましてどうもありがとうございました、お忙しいところ。  この問題、沿岸漁業を守ろうということから善意の方々が、零細な加工団地の方がお集まりいただきまして水産加工団地をつくられた。この経緯については、お仕事をなさった事業団はよくおわかりだと思います。これもまた何度か、二度にわたりまして質問主意書を出し、答弁書がございました。これらのことにつきまして詳細にお伺いしたかったのでありますが、時間もございませんが、いろいろ国会でも大きな問題になっておりまして、何度か取り上げられております。公害防止事業団といたしましても、また、環境庁といたしましても、これにつきましてはいろいろ御配慮のあることは聞いておりますが、何といいましても、ここで地元の方々が一番切望しておりますことは、四十三年に四千九百万ですべてのことができるんだということで、ほんとうに零細な方々ですから、普通ならできないわけですが、それでできるということで、それならば、あの松島湾をよごしてはならぬ、そういうことから、たいへんな中、これは踏み切って、公害防止事業団に仕事の一切をお願いしたわけであります。公害防止事業団の設立の目的、そしてまた営業内容からいたしまして、これは当然、この仕事につきましては責任を持ってやらなければなりませんし、善意の加工業者の心を踏みにじるようなことがあってはならない、このように思うわけでありますが、それが最初の数値の問題からいろいろあったことは私もよく聞いておりますけれども、今日までの公害防止事業団がなされてきました経過につきまして、そしてまた、今日これに対する対策、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、その点、お伺いしたいということと、環境庁長官には、いま私が申し上げましたように、時間もないので十分に話しできませんが、非常に善意の方々の、何としても公害から守ろう、こういうことでなさったことであります。研究費等につきましては国が負担するということのようでありますが、こんなことは当然のことでありまして、先ほど申し上げました四千九百万でできるということで、みんなたいへんな中を、松島湾を守ろうということで、これに踏み切ったわけであります。実際その数値の問題やいろんなことについて失敗を重ねたのは、仕事をなさった、また、その責任あるのは国であり事業団であることは間違いないのであります。こういう問題からいたしまして、国としては、これをないがしろにしますと、そういう善意が踏みにじられ、全国に同じようなケースがあるわけでありますけれども、加工団地をつくって、どんなに法律をつくってしばろうとしても、ほんとうにまじめな人がえらい思いをしなければならないという悪い風潮をつくってしまうことになるんじゃないか、こういうことを痛切に感ずるわけであります。環境庁長官の、この際これに対する、塩釜の加工団地に対する対策、どこまでお話し合いをし、どういうふうになさろうとしていらっしゃるのか、事業団と環境庁長官にお願いしたいと思います。事業団のほうから先にお話を……。
  253. 江口俊男

    参考人江口俊男君) お答えをいたします。  ただいまお話のございましたのは、過去数回、御指摘を受けたとおりの事実でございまして、昭和四十三年に、事業団の事業として四億九千六百万の経費で、いわゆる事業団法の第二号事業、工場アパートということで建設譲渡をいたしておるのであります。そのうちの水処理施設につきまして、ただいまお話のございました四千九百万できれいな水にするということになっておったわけでございます。ところが、操業いたしてみますというと、御承知のように、数量も、もちろん初めに計画したのよりほとんど倍、初めは六百トン・パー・デーということでございました。それから水のよごれも二一三〇ということで計画をしたのでございまするが、これは事業団が現地に出向きまして、市でございますか、組合でございまするか、の案内で取水をいたし、日本環境衛生協会というところで分析をさせた数値と、ちょうどそのころ宮城県自身でもそれに近い類似した数値が出ておりましたので、その中間をとって二一三〇の水が日に六百トン出るんだという計画で、四千九百万の施設をしたわけでございます。ところが、実際は千トンの水が出る。それから、ひどいときには何万PPMという濃度の水が出るということで、その所期の目的である一〇〇PPM以下に押えるということがとうていできないということになりまして、県、市、組合、当事業団及び、それを請け負いました工事関係者等協議いたしまして、その後ラグーン池を掘ったり、学者に研究調査を頼んだりして、いろいろ手直しをしてまいりましたけれども、どうしてもらちがあかないということで、現在はその方法を変えまして、処理方法について塩釜市が、国なり県なりの協力を得、あるいは補助金等を得まして、現在におきましては、加圧浮上機及びフロス処理機をつけ加えて、さらに処理の方式を、従来バッチ方式でございましたのを連続式に改め、また、水の量も千トン処理できるというような設備にいたしまして、これが昨年の三月に完成をいたしております。これは事業団自身でやったわけではございませんけれども、それに要する経費として、国から三千九百万の委託費——いわゆる補助金が出ておりまするし、また、宮城県からも三千六百万の補助金が出ておるやに聞いておりまするが、私のほうとしては、残りの分につきまして一億三千八百万円の融資ということで現在に至っておるわけであります。  なお、それに引き続きまして、さらにたくさんの——それは十三の工場が入っておるだけでございますから、全体で二百六十ほどございまするが、あと百四十八を入れるということで、今度は第三号事業ということで、いわゆる工場団地というものを造成しまして——これは事業団の事業として造成し、昨年の三月に土地の造成を終わって、これを譲渡し、そしてあと二、三日、今月の末に、それに付随する配管工事の分をお渡しするということになっております。これは八億四千四百万と、まず見込まれております。  なお、そうした場合に、三千トン、さらには、まだたくさん要ると思いまするが、とりあえず、三千トンぐらいの水処理をいたさなければならぬということで、これは現在行なっておりまするような処理方式でやりたい。それには融資をしてもらいたいという意思表示が現在ございます。いままでのいきさつもございまするので、前向きに検討いたしまして、四十八年度にそれに要する経費の八掛けというものを融資をいたすつもりでおります。とにかく、初めの見込み違いということが、すべての問題の根幹になっております。まことに事業団としては遺憾に存じておる次第でございます。
  254. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いま説明のあったように、最初の計画というものが、どうも計画にもいろいろ欠陥があったと思います。それでまあうまくいかなかったわけです。したがって、環境庁では、四十六年にも全部を引き取って、設計も、機械も二千九百万円ぐらいの機械は既往の設備を使ったようですが、やり直して昨年の春完成して、いまは順調に動いておるという報告を受けておるんですが、しかし、これはわれわれとしても、中小企業の公害防止事業というものは成功させなきゃならぬし、また、農林省としてもいろんな水産業の振興の上からも成功させなければなりませんので、今後農林省とも打ち合わして、この塩釜の加工業者の公害防止事業団が所期の目的を達成できるように今後は努力をしてまいりたいと考えております。
  255. 藤原房雄

    藤原房雄君 いまの施設じゃ金がかかって困るんですよ、コストが。
  256. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いまコストが、一日に二十万円ですか、そういう点もあって、こういう点については、いろいろそれが飼料などで、二十万円の運転費の中で、ある程度は返ってきておるようですけれども、この点はやはり農林省ともよく相談をしてみたいと思っております。
  257. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて藤原君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  258. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 木島則夫君。
  259. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、本論に入る前に、まず委員長に伺いたい。  参考人として目黒動労委員長出席要請を私はいたしましたんですけれど、残念ながら決定を見なかった。理事会ではいろいろ詳しく論議があったようでございますけれど、決定を見なかった理由ですね、それからいきさつ、詳しくひとつ委員長から報告をしていただきたい。私がこういうことを申し上げるのは、この順法闘争というのは、もう労使の問題のワクを越えちまっているんです。社会問題、政治問題、そして国民のあらゆる部分に大きな影響があるんだから、私はその当事者を両方お呼びして問題を解明をしたい、それが国民の声を政治に吸収する一つのりっぱな方法だと思ったからなんです。お願いします。
  260. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 木島君にお答えいたします。  去る二十四日、理事会におきまして向井理事から参考人出席要求が行なわれたのであります。本問題につきましては、その後たびたび理事会において協議が行なわれまして、本日はあなたの質問日になっておりますので、本日でなければ目黒委員長出席はならないと、こういうことでございますんで、したがいまして、今朝の理事会におきましては重ねて向井君から強い要請がなされたわけでございます。委員長といたしましては、いまあなたのおっしゃる時節柄その要望はきわめて必要だと信じておりました。御承知のごとく、先日の問題を見ましても、利用者の負傷事件もたくさん出ました。また、それに派生したいろいろな事件も出ました。あるいは物資の滞貨等によりまして、これの影響が物価高を起こしたことも御承知のとおりでございます。そういう趣旨から、私ども自身としては十分了解はいたしておるのでございまするが、先日当院の運輸委員会におきまして同委員長出席を求めておるいきさつがございまして、理事会におきましても協議の結果、この問題については、せっかく向井理事の要請ではございまするけれども、その御趣旨にかなうことができなかった、これが理事会のいきさつでございますので、御了承願いたいと思います。
  261. 木島則夫

    ○木島則夫君 くどくは伺いません。もう一つ聞かしてください。私が伺っているところでは、野党の諸君は賛成をしてくだすったそうです。どうも与党のほうから、このことで反対が出た。どうも私、納得いかないんですね。そして、このことがすんなりきまって、目黒動労委員長のところに連絡が行って、忙しいから出られませんよという御返事が私はあるのが当然だと思った、もしお断わりになるとすれば。そうじゃなくて、内部のところでパイプが詰まっているようですね。こういうパイプは、私は、うんと掃除しなきゃいけないと思いますけれど、委員長、どうですか。
  262. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) いま一言申し上げます。  予算委員会は、木島君御承知のとおり、あまり民間からの参考人というものは出席を求めた例というものはほとんどないんであります。一つ、この間ありました。(「この間やったじゃないか」と呼ぶ者あり)その問題で反論があるだろうと思うので、あえて申し上げますが、この間、チッソの島田社長を出席することにいたしました。これにつきましては大部分の理事が強硬な反対でございました。しかし、委員長は、あのとおり日本じゅうを騒がした大きな問題であり、しかも、当日は二十日に判決が下った日でもございます。そういうような点から、委員長といたしましては、理事の皆さまに、これは前例としないという立場をとりまして、委員長のあえて独断によってというと失礼でございますが、責任におきましてこの出席を認めたわけでございます。そういう意味でございまして、私も長い間当院におりまして、十三、四年前に大蔵委員長をはじめといたしまして、何回か私も委員長をつとめてまいりましたが、当該委員会におきましては始終参考人は呼んでおります。それからまた、参考人でなく、宣誓をさせて、それから証人として呼んでいる事例もたくさんございますが、あまり当予算委員会としてはそういう事例がないのでございます。御趣旨の点はよくわかります。あえて申し上げますなら、私は明治の古い人間でございますが、中国のことばに、泣いて馬謖を切るということばがあります。そういう意味合いをもって、あえてこれをやった次第でございます。どうぞ御了承願います。
  263. 木島則夫

    ○木島則夫君 それじゃ本論に入らせていただきます。  順法闘争が終わってほっとした。しかし、ほっとしたのも、これはつかの間です。つまり、その後遺症がまたまた国民を痛めつけているんです。灯油なんかは最近極端に不足をしている。私が調べたところでは、東北、関東地区、特に北関東がひどいです。東京でも、日野とか立川とか、それぞれいろんなところでそういう現象が起こっている。そしてお得意さんじゃないと売らないなんていうところもあるようですね。通産省に伺います。その実態、そして対策をどういうふうにお立てになっておりますか。
  264. 矢野登

    政府委員(矢野登君) お答えいたします。  御指摘のとおり、灯油の在庫につきましては、国鉄の順法闘争にあわせまして最近の寒波の影響を受けて、一部地域におきましては例年に比べて低い水準となっております。仕入れができない業者というようなものも一部出ておるようでございます。通産省といたしましては、いまだ灯油が需要期にあるという点を十分考慮いたしまして、その供給確保には万全の必要があると十分認識しておる問題でございます。ある地域への輸送の増強につとめるとともに、石油業界に対して緊急に従来に増した増産を行なうように指導をいたしております。  ここであわせて現在の在庫という数字について申し上げたいと思うのでございますが、北海道が昨年度のこれは実績でございますが、東北二十一万四千二百キロ、これが本年の生産供給見込みが二十三万五千七百二十三キロとなっております。合わせて、東京を含めた関東地区が、昨年が八十一万四百三十一キロ、これに対して本年度は九十三万一千九百九十六キロ、この数字は東北におきまして十七日間の在庫を確保しております。合わせて、東京並びに関東は十三日というような在庫日数になっておりますが、この全体の供給の数字は、昨年度に比べまして東北地区が大体一〇%の増でございます。東京、関東地区が一五%の増と、こういうようなことになっております。  以上でございます。
  265. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、あまり詳しく私、追及いたしませんけれど、とにかく、その対策を十分にとっていただきたいということです。  いまサラリーマンにとって、これは異動の時期です。おそらく皆さんの中にも引っ越しをしなきゃいけないけど、国鉄に頼んでもなかなからちがあかない、トラックを頼んでもやたらに輸送賃が高い、お困りの方があろうかと思うんですね。そういうことを一々あげたら、国民生活に及ぼした被害、はかりしれないものがあると思います。有形無形、ほんとうにどのくらいの被害があるかわかりません。順法は終わりましたけれど、しかし、目黒動労委員長は二十三日の中央委員会でこういうふうに言われている。上尾事件を頂点に、激しい世論攻撃を受けて孤立化させられたにもかかわらず、われわれとしては戦後最大のたたかいを成功させた、そして、国鉄当局が処分をした場合には直ちに抗議の強力順法闘争に入ると、こういうふうに言われています。もはやこの問題は、さっき私もちょっと触れたんですけれど、労使問題の域を越えて社会、政治問題に発展をしている。政府も労使問題だと、いままでどうやら逃げていらしたようです。そして政党もなかなかこの問題をほんとうに吸収をされない、一体国民の怒りの声、怨嗟の声というのは、どこが吸い上げたらいいんでしょうかね。  順法闘争のためにこうむった国鉄の損害について私は項目を申し上げておきました。その順序に従って、ひとつ国鉄の被害についておっしゃっていただきたい。
  266. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 多少詳しくなりますが、数字をまじえて申し上げます。  まず旅客、貨物列車の運転休止に伴う運賃の減収でございます。これは当委員会で一ぺん申し上げましたが、精査いたしました結果、旅客の減収額が五十三億でございます。それから貨物が四十八億でございます。五十三億の中には、現実に払い戻した十億、これは現金が出ている金でございます。五十三億、四十八億、いずれもこれは、いまの十億を除きますと、一応、得べかりし利益ということになると存じますが、私ども、これを減収と申しております。  それからその次の特急、急行等の払い戻し、これはいま申し上げました十億でございます。  それから、その他の被害でございますが、上尾の駅の駅舎の被害、あるいはあの電車がこわれましたので、電車の車両の被害、これが三千万円でございます。物的損害でございます。  それからバスを約七百台、全国でチャーターいたしました。それから北海道の物資を緊急に輸送するために私のほうでトラックをチャーターいたしまして、また船も一隻、デッキでございますが、借りました。これらのバス、トラック、船等の代替輸送料が八千万円でございます。これはまだ一部払ってございませんが、大体八千万円になると思います。  それから、これは小さいかもしれませんが、お客さまにお弁当を五万個ほどお出しいたしました。
  267. 木島則夫

    ○木島則夫君 幾つでございますか。
  268. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 五万でございます。
  269. 木島則夫

    ○木島則夫君 五万。
  270. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 一つ二百円で、非常に軽少なもので恐縮でございましたけれども、五万個で二百円で、一千万円でございます。
  271. 木島則夫

    ○木島則夫君 いわゆる駅弁ですか。
  272. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 駅弁ないし、駅弁が間に合わないところはたき出しいたしました。握りめしでございます。それを合わせまして大体一食二百円といたしまして五万個、これは主として長距離列車で途中でとまったものについてでございまして、通勤区間のお客さんには差し上げたものではございません。大体、長距離列車のお客さんでございます。それらを合わせますと約一億二千万円でございますが、その他こまかいものは省略いたします。  それから、運休いたしました本数、これも申し上げましたが、五日から十九日まで一万二千本でございます。旅客列車が一万二千本。これは設定本数と申します私どものダイヤ面からいたしますと、五・四%を運休したということでございます。それから貨物のほうはずっと多くなりまして二万一千本でございます。これは全体の設定本数の三〇%、三割でございます。すなわち全体の貨物列車の三割が動かなかったと、こういうことでございます。  それから影響人員、これは通勤の方も含めまして、影響人員が大体八千四百万人ぐらいというふうに推定されます。これは延べ人員でございます。  それから貨物の減送トン数が二百六十万トンでございます。  旅客の負傷者の方は、申しわけないことながら九十二名でございます。  したがって、損害と申しますと、実際出ました損害が、先ほど申しました被害としての一億二千万円、そのほかに十億の払い戻しをいたしておりますので、実際の金として十一億、それから得べかりし収入として九十億ということになるわけでございます。
  273. 木島則夫

    ○木島則夫君 あとで、私ちょっと全部書き取れませんでしたから、ひとつ資料として私に提出していただきたいんです。  郵政関係伺いたいんです。郵政大臣は、きょう逓信委員会がございますから、私、けっこうですと申し上げておきました。順法闘争のため郵便はどんな影響を受けているか。それに対する対策があったらば、ひとつ教えてください。
  274. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) お答えいたします。  国鉄の順法闘争の期間中、私ども郵便関係で受けた被害関係でございますが、五日に始まりまして十六日ごろまでの状況では、いわゆる郵便車を連結しております列車、これはいわゆる手紙、はがき等を主として運ぶものでございますが、このほうは時間がおくれましたが、おおむね確保できました。しかし、コンテナあるいは貨車で運んでおります、私ども大型と言っておりますが、大きい郵便物及び小包は相当ひどく被害を受けまして、貨車便に至りましては三〇%程度しか確保できませんでした。平常十二便程度の貨車便を持っておりますが、それが三〇%しか確保できませんでした。それから十七日のいわゆる闘争におきましては、これは先ほど申しました郵便車も約百五十四便全部ストップいたしましたし、それからコンテナ便及び貨車便も全部これはストップいたしました。したがいまして、私どもといたしましては、まず近まのところは、自動車を全部借り上げまして、臨時の自動車便によってこれを配送するということで、おおむね十七日のいわゆる手紙、はがきの被害も、その自動車便に切りかえることによって、せいぜい二、三日のおくれで食いとめることができました。しかし、小包関係につきましては、いろいろ私ども全国的な自動車便あるいはカーフェリーを利用してこれに対策をいたしましたが、最高一週間程度のおくれはついに防止することができなかったというような事情でございまして、それらに使いました費用は一千三百万円ほど、この借り上げ等の費用として使用したわけでございます。
  275. 木島則夫

    ○木島則夫君 人為的に、準備をするのに徹夜なんかしたんじゃないですか。
  276. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) そのため常にダイヤがはっきりいたしませんので、貨車に積み込むために用意した郵便物をその情勢によってまた全部自動車に切りかえるといったようなことのために、相当、担当部門の人は十七日などはほとんど完全徹夜というような状態でございました。
  277. 木島則夫

    ○木島則夫君 消防庁関係に伺います。  けが人がさっきの磯崎総裁のお話だと九十二人でしたね、九十二人。今度その救急車の出動回数と、私はこれは新聞で拝見したんだけれど、広島県下での火事のおりに、順法闘争のために踏切があかなかった。あいたけれど、いつものあく時間よりもうんと時間がかかってしまって、消火活動がおくれたために被害を大きくしたという例を新聞で見たんですけれど、確認をしたい。そのほかこういう事例があったらひとつ知らせてください。
  278. 宮澤弘

    政府委員(宮澤弘君) 第一点の、順法闘争中の救急車の出動の件数でございますが、東京、神奈川、埼玉、一都二県、順法闘争中に一般乗客で負傷いたしました人を運びますために出動いたしました件数が二十四件でございます。搬送いたしました人員が二十五人でございます。  それからもう一つの御質問でございますが、順法闘争中の期間、三月十七日に、ただいま御指摘のように、広島県の福山市の西部で火事がございました。火事が起こりましたのが二時四十三分ごろでございまして、消防機関に連絡がございまして、消防機関が出動いたしましたのが二時四十五分ごろでございましたが、現場に到着いたしましたのが二時五十三分でございまして、八分かかっております。その間に、ただいま御指摘のように、山陽線の踏切がございまして、その踏切が締まるのがいつもよりかなり早く締まったようでございます。それから当時急行列車が通過をいたしましたが、急行列車も通常よりもかなりのろのろ運転でございまして、踏切を通過いたしますのに大体四分かかっております。通常の急行列車の運行であれば、まず二分ぐらいで通過できるというところのようでございます。火事は結局一むね全焼をいたしました。あるいはもう少し早く到着をしていれば、被害はより軽減をされたのではないかと思います。
  279. 木島則夫

    ○木島則夫君 順法闘争の影響というのは、いまあげていただいただけでもこれはたいへんなものです。この影響で魚とか野菜、生鮮食料品の不足及び値上がり、つまり物価をいま押えなきゃならない、ならないと言っているときに、こういう状態がまたそこに倍加をされる結果になったと思います。その辺の影響を企画庁長官お答えいただきたい。
  280. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 生鮮食料品の卸売り物価が相当上がったわけでございますが、これは神田、築地市場で見ますと、まあその中で、やはり北海道から持ってまいりますタマネギ、バレイショ、これが一番影響が大きいと思います。他のものは、わりあいにトラック輸送がもうすでに多くなっておりますので、これが一番顕著でございますが、キロ当たり、円単位で申しますと、大体タマネギは四十五円から五十円ぐらいのものが期間中最高七十三円、まあ平均しましても六十七、八円前後、そのくらいになっております。それからバレイショはやはり五十円見当のものでございますが、これは最高百五円まで参りました。九十円台−八十五円から九十円というようなところがずいぶん出ております。いま申し上げましたようなわけでございますが、その他、セメントとか、あるいは灯油関係、これが内陸部で非常に足りなくなるというようなことがございまして、私の出ておる長野県あたりでは、灯油は二日分の貯蔵というところまで参りましたわけでございます。
  281. 木島則夫

    ○木島則夫君 長官ね、私の知っているおばさんが、ホウレンソウが順法闘争の滞貨によってどっと入った、いままで一わ四十円だったものが三十円に下がったと言って、いつもは三わしか買わないのを喜んで四わ五わ買ってきた。しかし、しわしわになっているんですね。それがつまり庶民なんですよ。別にこれに対してはお答えは要りません。  国鉄総裁に伺います。三月の七日です、これは。電気関係作業員が、順法闘争中に立川の駅から八王子に行くのに、予定工事がありまして早朝出勤をした。で、ホームにたまたま列車が入ってきたんですね。動き始めたところへ飛び乗ったんです。飛び乗ろうとしたんです。そしたらば、あやまって列車とホームの間にはさまって、内臓破裂でおなくなりになった。もちろん飛び降り、飛び乗りというのは禁止です。これはわかっています。しかしその人にしてみれば、このあといつ電車が来るかわからない。たまたまホームに入ってきたその列車に乗っかっちまった、乗っかろうとした。こういう災難を受けたわけですね。この事故を御存じか。そうしてその責任、補償はどういうふうになさるおつもりですか。
  282. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私、その事故はよく存じております。まあこれは電気関係——うちの職員でなしに、電力会社の方だったと思います。ふだんよりもだいぶ早く出られて、そうして来た列車に乗った、飛び乗って、けがされてなくなったということでございました。その後ちょっと、私いま実は記憶いたしておりませんけれども、それにつきまして、その方につきましては、どういうふうにあと始末いたしますか、まあいろいろ問題もございますが、まだ何にも——お見舞いその他はやってございます。してございますけれどもあとの補償その他については、まだ何にも考えていないという段階だと思いますが、ただ非常にそういう例が——浦和でけがされた方もおります。この方は全部いま、あとめんどうを見さしていただいておりますが、いまのなくなった方のほうは、ちょっとその因果関係の問題などが少しございますので、もう少し検討してみなければいけないというふうに思っております。
  283. 木島則夫

    ○木島則夫君 もちろん事は慎重に運ばれるのは当然だと思いますけれどね、やっぱりまあ飛び乗りをしたということが悪いと言ってしまえばもうそれまでです。だけど、その方もやっぱりお得意さんに頼まれれば行かなきゃいけなかったでしょうね。そうすれば、このあといつ来るかわからないと思って飛び乗る、これは私は人間としてあたりまえだと思う、むしろ当然だと思う。そこで災難を受けた。順法闘争のもたらしたこれはほんとうに災難ですね。ひとつ事後処理を十分にやっていただきたいと思います。  で、いま総裁のお話の中にもちょっと出てまいりました浦和市のサラリーマン、私、この方の問題をきょう取り上げようと思っていたんです。浦和市の会社員の真寿田裕朗さんという方、これは新聞がおおよその経過を伝えております。五日ばかり——つまり定年退職をされて新しい会社に入って五日ばかりで今度の災難にあった方ですね。しかも念が入っていることには、いままで二回も受けて、今度で三回目の被害が一番大きかったというわけですね。その後の体の状態、事後処置がどう行なわれているか、御報告いただきたい。
  284. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この方は、まだたしか入院しておられるはずでございます。入院しておられて、そうして保険との差額は、もちろんうちでお払いいたしております。それからサラリーマンでございますので、いわゆる休業補償が当然あるわけでございます。これもいまお話し合いをすることにいたしております。これは当然私のほうがお支払いしなきゃいけない。したがって、うちの事故で純粋にけがされた方と同じように扱ってまいりたいというふうに思っております。
  285. 木島則夫

    ○木島則夫君 別にあげ足をとるつもりはございません、総裁。あのね、たしか入院中だと思うというような不的確なお答えは困るんですね。私が調べたら、病名が胸椎圧迫骨折、胸椎の五、六、八番目の三本が、上下振動、たとえばしりもちなどをついたときにこういう状態が出てくるそうです。押しつぶされた形の骨折ですね、そしてもう退院をされています。入院期間が三月の六日から三月の十四日です、九日間。そうして後遺症はまだあらわれていません。以後は二週間に一回くらいずつ通院して経過を見るというのが現状です。  で、私直接お話をしたんです。そうしたらね、真寿田さんこうおっしゃっていた。新しい会社に入って五日ほど通っただけでこの事故にあってしまった。そして、サラリーとしてくださるようだけれどまだわからない、これも。自分はいま言った骨折、つまり胸椎圧迫骨折という傷を負ったけれど、けがで済んだと、ね。これは不幸中の幸いだと。後遺症があるいは出るかもしれないけれど、国鉄相手に訴訟はしないつもりですと、こういうふうに言っている。なぜ訴訟をしないつもりですと言っているか、そのお気持ちが総裁わかりますか。
  286. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私はちょっと、直接お目にかかっておりませんので、どういうお気持ちかよくわかりませんが、先ほどの退院のことは失礼いたしました。三月十四日に退院でございます。いま一応、医師の診断が全治一カ月ということになっているようでございますが、いまおっしゃったように骨折でございますから、どういうふうな後遺症が残るか、これはもうちょっとしてみないとわからないという医師の診断だそうでございました。
  287. 木島則夫

    ○木島則夫君 どういう気持ちで、つまり訴訟をするつもりはないんだというふうに言われたか。あるいはむりかもしれません。
  288. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) さあ、そこはちょっと。  たいへん、いま私のほうはいろいろ皆さんから各般の御批判を受けておりますので、はたしてどういうサイドの御批判か、ちょっと私もわかりかねます。
  289. 木島則夫

    ○木島則夫君 ひとつ聞いていただきたい。訴訟をする気持ちはあるんですと、こう言うんですよ。だけどね、自分のところの家族はみんなつとめに出ている。一たび訴訟を起こしますとね、一般庶民というのはそれにかかずらわっていかなきゃならないというんですね。せっかく新しい会社に入って、これからつとめに出ようとした。そういうときに、この問題に自分は全部集中しなければいけないということは、とてもじゃないけどできない。そして、電話もかけなきゃならないし、タクシー代も使わなきゃならないし、手間ひまかからなきゃだめだというわけですよ。やる気持ちは十分だけれど、そんなことをしてたんじゃ生活か成り立っていかないという、これがほんとうの私は市民の心情だと思う。どうですか。お答えは要りません。  そして、真寿田さんへの見舞いはどういうふうにされておりますか。
  290. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 三月六日に駅長からお見舞いをいたし、三月九日に管理局長からお見舞いを持ってまいりました。その後、入院中のことは先ほど申しましたとおりでございますが、その後につきましては、病院にいらっしゃる、その他伺ってお見舞いをいたしたいというふうに思っておりますが、私のほうも、たとえば北陸線の事故などで多数のけが人が出ておりますが、そういう方々と同じように扱ってまいりたいというふうに思っております。
  291. 木島則夫

    ○木島則夫君 見舞いの金品はどういうふうにされておりますか。
  292. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは一応規則でもって、駅長の見舞い金が三千円でございます。管理局長が一万円でございます。あとは治療費全額負担、それから先ほど申しました休業補償ということでございますが、まあ普通それに、あといわゆる精神的な慰謝料の問題がございます。これはもう少したって、傷がもう少しよくなられてからいろいろお話し合いをいたしたいというふうに思っております。
  293. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、私はあまりこまかいことを申し上げたくないんですけれど、つまり私がきょう言いたいことはですね、訴訟を起こしたいことはやまやまなんだけれど、いま言ったように、起こしてしまったが最後、これはもうたいへんな手間ひまかかって、新しいつとめどころじゃないんだというその気持ちをひとつ先取りをしていただきたいということを、私はここで申し上げているんですよ。私が伺ったところでは、いまおっしゃったように、現場からその日に三千円ですか、三千円、そうですね。これは規定だそうですね。それから一万円。そのほかに菓子折りが一つと、カステラが一つついたそうですね。まあそれが多いか少ないか、ちょうどいいかどうかということは、これは私はいまここで問題にする必要はないと思う。いま言ったようにですね、そういうふうに遠慮をしてしまって、やったらばたいへんだということを先取りをしていただきたいということと同時にね、この真寿田さんというのはなかば泣き声になって私に言っていたことは、できれば動労の人も一緒にお連れいただきたかった。それは動労とか労使とか、そんなことは国鉄職員全体から見れば区別はないでしょう。しかし、当事者の人もやはり来てしかるべきではないだろうかということは、声を大にしてこの方はおっしゃっていた。誘いましたか。一緒に行こうじゃありませんかというような誘いをなすったんですか。そういうことは権限外なんですか。
  294. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これはむしろ良心の問題だと思います。誘って行く行かないの問題でなしに、やはり一緒に行くとか行かないでなしに、やはりけが人の方に対してお見舞いするというのは人間の良心の問題だと思います。
  295. 木島則夫

    ○木島則夫君 良心の問題ならば、つまり自発的に来てくれるのを待つということでなしに、やはりですね、当事者なんですから、私は一緒にお見舞いにも参加されるべきだというふうに思います。それを促すのが私は国鉄の指導者のお立場ではないかというふうに思うんですよ。せんだって、三月七日付けの朝日新聞が、これは動労の書記長の談話として、真寿田さんのけがとわれわれの闘争とすぐ結びつくことは考えられないというようなことをおっしゃっていた。このことについても、この真寿田さんという方は、たいへん遺憾に思うというふうにおっしゃってました。だから、単なる良心の問題だとかということでなしに、積極的に私は行動でもって、やっぱり一緒に、国鉄なんだから、一緒に行こうではありませんかというふうにどうしてお誘いにならないんですか。
  296. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これはあくまでも自発的にやるべきことであって、何と申しますか、うちが誘う誘わないの問題でなくて、やはり本人、動労が自分のほうの責任だというふうにはっきり思えば、自分で行くのが私は筋と思って、誘う誘わないの問題では、私、ないと思います。
  297. 木島則夫

    ○木島則夫君 あのね、動労とか当局とかという分けた考え方は一般はしないんですよ。国鉄の帽子をかぶっている人は全部国鉄としてしか見ない。違いますか。専門家だけですよ。くろうとだけですよ。鉄労とか国労とか動労とか言っている。そうじゃない。違いますか。  私はね、動労であろうが何であろうが国鉄というふうに一般の人が見る、これは国民大半の常識だと思いますよ。そうであるならば、なぜそこでもう初手から、良心の問題だ、言ってもきっと来なかろうからという消極的な姿勢を、総裁、お持ちになるんですか。そこで話をする。それがほんとうに国鉄の中にヒューマンなものを通わせる私は土台になるんじゃないかと思う。あんまり感情論をぶっつけたくありませんよ。しかし、一般の国民というのはそういうふうに国鉄を私は扱っていると思う。見ていると思う。違いますか。
  298. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 外の方からごらんになれば、確かに……
  299. 木島則夫

    ○木島則夫君 いや、外も内もないんですよ。
  300. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いや、一般の方からごらんになればですね、確かに国鉄のコップの中の問題であって、動労だか当局だかそれはわからないと思います。これは当然だと思います。  したがって、あの場合に私のほうといたしましては、国鉄の責任者として責任者がお見舞いに行くことにしたわけでございまして、もちろんかれらに……
  301. 木島則夫

    ○木島則夫君 つまり当事者も行ってほしかったということです。
  302. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) お気持ちは私も確かにそうだと思いますし、私のうちにかかってくる電話なども、ひとつ動労のやつをおれのところに寄こせなんていう電話もずいぶんかかってまいりました。しかし、これはやはり私、いまお読みになった新聞記事で動労の談話が出た。私も非常に憤慨いたしました、実は。で、まあ関係がないと言っているわけではないんですけれども、非常に私はおかしいなと、こういうことを言っていいかなというふうに思いました。しかし、まあそういうことを言ってみても、なかなか納得するかどうかわかりませんがですね、まあその辺が一つの組合としてのスタイルの問題もあるのかもしれません。ああいう闘争の最中でございますと、非常に感情も高ぶっております。私のほうはまあそうでもございませんでしたけれども、高ぶっておりますので、なかなかそういうこともすなおに受け入れないで、ああいうような談話を出したのかなあというように私は思ったわけでございます。
  303. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は何も総裁をここでいじめようと思って言っているんじゃありません。都合のいいときには国鉄一緒になっちゃって、都合の悪いときに労使に分けるというような姿勢は、国民にはこれは納得できないということを申し上げているんです。  先に進みます。先日の国会答弁でも、再三、総理も順法闘争は違法なんだということをはっきりおっしゃっている。違法であるならば、国鉄に与えた損害は違法者によって負担をさせるおつもりはございませんでしょうか。さっきもお話しのように、たいへんな損害を出している。旅客、貨物の運休、特急、急行の払い戻し、あるいは国鉄頼むに足らずといって、荷主がほかの輸送機関に逃げていってしまうという、そういう損害も合わせれば、ばく大なものがあろうかと思います。損害賠償の請求をなさるおつもりはございますか。そして、その先まで言っておきます。立証がむずかしいなんということは私は言わせません。きちっと立証すべきだと思う。どうですか。
  304. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私は、立証がむずかしいから云々ということは、これは不法行為の損害賠償のやり方というのは、御承知のとおりやはり行為者が全部わからなければいけないわけでございます。したがって、いま三月五日から十二日までの実際の行為者でございますね、行為者の行動を全部取っておるわけでございます。それによりまして、それの総体的な責任を動労に求めるということになりますので、個人個人の行動というものを全部いまチェックいたしております。ただ、長距離列車などになりますと非常にむずかしいというふうな問題もございますけれども、いま全精力をあげて、その一人一人の、当日、二週間にわたる行動について詳しく調査いたしております。で、もちろん損害があるわけでございますので、どこまで要求できるか、これはいろいろ訴訟技術の問題はございますが、私のほうとしては、債権が発生いたしておれば、これを請求するのは当然のことだというふうに思います。
  305. 木島則夫

    ○木島則夫君 今度の順法闘争の中心問題は、その深夜時間帯、二十二時から朝の五時を二人乗務とせよとか、あるいは深夜時間帯の勤務の緩和を要求をしています。もちろんそのほかにもいろんな要求を組合のほうではお出しになっております。特にこの一人乗務の問題は、もうたびたびここでも論議されておりますから、私が重複をすることは必要ないと思いますけれど、昭和四十二年に提案されて以来、学識経験者による調査、あるいは諸外国の実情調査など、ばく大なお金を使っての研究調査をした中で、実に三年間という長期にわたる交渉の結果、労使の理解と納得の上で妥結したものだというふうに私は受け取っています。EC、DCの一人乗務問題は、それ以前に了解点に達していたものだというふうに聞いている。今日までの経過の中で、一人乗務の多くの問題点があるとするならば、これは再度私は団体交渉のレールの上に乗せることが先決であって、直ちに闘争という方法に入ることは、これは私は無理だと思う。つまり、要求提出が三日で、すぐに五日からストに入っちまったというのは、これはどう考えても私は納得がいかない。総裁ももちろん納得がいかないですね。確認だけでけっこうです。
  306. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点につきましては、私、当委員会でそういうことが労働慣行上、いままでかつてなかったというふうに申し上げたわけでございます。
  307. 木島則夫

    ○木島則夫君 磯崎総裁、私もずいぶん国鉄を利用しております。ひとつ、これも国民の声なんですよ。私のところへいろんな、今度の順法闘争でいろんな声がたくさん来ています。で、ある方はこういうふうに言っていた。商行為というものがありますねって言うんですね、商行為。で、この商行為というのは、たとえば、まあ国鉄総裁にこんな質問をしてあるいは失礼かもしれない、総裁が食事をするためにレストランに入られますね。あなたが注文をする。ウエートレスなりボーイさんが、あなたが注文をしたものと違ったものを持ってきちゃった場合に、あなたはどういうふうになさいますか。
  308. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まあその品物によって、そのまま食べることもございますれば、きらいなものは返す場合もございます。
  309. 木島則夫

    ○木島則夫君 たいへんいいことをおっしゃった。品物によって、まあそれほど怒ってみても大したことはないというくらいのものならば、そのまま黙って召し上がる。そうですが、そうですね。あるいは、これは私に言わしていただきたい。私もそういうことを経験したことがありますよ。一回や二回そういうことがあったって、別にあんまり文句は言わなかった、私も。しかしね、たとえば、ほんとうは酒のあとにさしみが出てくる。それがいきなりめしが出てきちゃって、一番最後におさしみが出てきたなんということになると、これはもうふざけるなっておこりたくなりますね。総裁、さっきおっしゃった、ものによっては黙っていただく。国民は毎日黙っていただいていたわけですよ。商行為というのは、たとえば国民が電車を使うとしますね、限られた時間で、ある目的地まで連れてってくれるという保証を金で買うわけでしょう、そうですね、違いますか。さきのレストランの話に戻りますけれども、大体、御飯を食べたあとで、お金を払うのが一般商行為の常識ですね、これは。そうですね。ところが、国鉄の場合には先に取られちまうわけですよ。取られるっていうことばはよくないかもしれない。自動販売機の中へお金を入れたが最後、もう出てこないですよ。そうでしょう。そして、つまり自分がいわゆる望んだ、要求をした価値を買おうとして待っていると、そこへペンキで塗りたくった電車が入ってくる。たいへんこれは不快ですよ、不愉快です、そうでしょう。いま環境問題がずいぶん言われているけれど、これなんかも私はやっぱり大きい問題だと思う。ペンキで塗りたくった電車が入ってくる。そしてそこへなだれ込んでいく。ぎゅうぎゅう詰めですよ、けがしちまう。言ってみれば、詐欺行為じゃないですか、これ。
  310. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まあ法律的にどうなるか、よく私、わかりませんけれども、いずれにしましても、国鉄としては、申しわけないことでございます。法律的にどうこう、詐欺かあるいはどうか、これは一応別といたしまして、国鉄といたしまして、国民を安全に正確に運ぶという役目を持っている以上、それを果たせなかったということは、たいへん国鉄として申しわけないことであるというふうに考えます。
  311. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ私は専門家じゃありませんからね、あまり法律論でどうのこうの言うことはできません。むしろこういう国民感情をもろにぶつけるというような、こういう質問に対してはなかなかお答えになりにくいということも、半ばというか、よくわかります。しかし、こういう声が、総裁、なかなかこの場に入ってこない。さっきも、委員長に私が最初に申し上げたように、国民の怨嗟の声がここへ入ってくる間に何となくしぼんじまう。そういう政治のあり方はいけないという意味で、私は国民の声をここでぶつけているんです。ぶつけられる相手があなたです。がまんしてもう少し聞いてください。  いままでのこの順法闘争の経過というものを私なりに振り返ってみますと、当局の姿勢がなっちゃなかったですね、はっきり申し上げて。譲るべきところは、理論的な根拠があれば、法的な根拠があれば、きちっとお譲りになっていいと思う。いつもうしろばかりうかがっているんです。もっと当事者能力っていうものがほんとうはなきゃいけないんですけれど、そういう意味では、私はいままでの当局の姿勢というものが、何か一貫性、自主性をお欠きになっていた。そして、俗なことばで表現をすれば、問題が起こるたんびにあめ玉をしゃぶらせるような形、と言うと、組合の方におしかりを受けるかもしれないけれど、たとえ話として言うならばそういうことです。そして、その場その場を糊塗して何となく事なかれ主義でもって今日までその弊害が滞積をしてしまったということではないかと私は思います。もうこれは総裁にはただ申し上げるだけで、こうなると、あとはやっぱり運輸大臣にお答えをいただきたい。違いますか。
  312. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄総裁にいろいろお聞きになりましたが、私は国鉄を監督をする立場におりますので、その点から申し上げますと、先般の動労の問題につきましては、先ほど木島さんお述べになったようなのと同じような感じを持って受けとめておるのでございまして、私としては、その当時から、こういう事態を招来しないようにということで、上尾事件の前からでございますが、一般の国民生活、国民経済に及ぼす影響を、これを最小限度に食いとめなきゃならぬという考え方から、主管の——労働問題については主管の大臣は労働大臣でございますが、労働大臣と毎日のように打ち合わせをいたしました。国鉄総裁とも毎日のように打ち合わせをいたしました。何かその打開の道はないのかと。で、私の立場を申し上げますと、これはどこの大臣でもそうだと思いますが、労使間の紛争に具体的に介入していくということは、これは避けたほうがいいと思います、主管大臣といたしましては。これは譲ったほうがいいよ、これは譲らぬほうがいいよ、こういうことを主管大臣が命令的に言うことは、これは避けたほうがいいと思います。これはどうしても労使間で内容はきめてもらわなきゃならぬと思いますが、しかし、問題はそのきめ方の問題だろうと思います。何かその間に労使がもっとその誠意を吐露し合って結論に達するようなことはできないのかということは、これは何度言ったか知れません。しかし、私がここで、これは別に動労をここであえて非難しようというわけじゃありませんけれども、この動労の今度の行為というものは、順法闘争、これも違法だとは思いますけれども、最後に行なわれたストライキの行動は、これはもう順法闘争を離れた、ストライキだと、自分でもそういうように宣言しておられます。これはもうストライキの行動、公労法十七条に違反する行為でございます。ですから、そういうようなことによりまして、あなたがお話しになったような国民生活に及ぼす影響というようなものを考えまして、私はやっぱり痛感したことは、労使間にいかなる理由があるにいたしましても、そのために労使ともやはりどこまでも、やはり日本は法治国家でございますから、法律を守ってもらいたいと、そうして社会秩序を守ってもらいたい。そういう意識に徹してもらいますと、おのずから打開の道が出てくるんじゃないかということを痛感しておった次第でございます。労働大臣も非常に骨を折ってくださいました。骨折ってくださいましたが、不幸にして、これは、組合のほうでも国鉄側でもいろいろ話をされた結果、それが実を結ぶわけにいかなかったのでございます。  で、これは木島さん、法律はよく知らぬとおっしゃるけれども、十分御承知だと思うんです、あなたはですね。ですから、いまの労働関係法規で、一体こういう問題に対しまして、当局が法制上、制度上何をなし得るかということですね。これはもちろんあなたがおっしゃったように、これは労使関係を超越した、もっとそれ以前の問題として受けとめたほうがいいよと、それはそのとおりだと思いますが、しかし、当局が発動いたしますのには、やはり制度上、法律上の根拠を持ってやらないと、これは非常な混乱を導くことは明瞭でございますから、そういう中で一体何をなし得るかと、法律上、制度上ですね。ということになりますと、これは私はある意味においては現在の法制についても、このようなことになってくるということになってくると、将来に向かって考えるべき問題があるんじゃないかということを、私見として私は今度感じたわけでございます。しかし、これはなかなかむずかしい問題でございまして、この点は私もこれからも研究しなきゃならぬと思いますけれども、この四月に予定されておる問題にはこれは役に立ちません。でございますから、これに対しましては、私はやっぱりきょう国会でこういう質問していただくのは非常によかったと思います。ということは、国民の方々がこういう動労の先般の順法闘争というものの内容をよく知られまして、実態、こうだったんだということを知っていただいて、国民的な視野からの批判が出てまいりますことは、結局こういう問題を国民的な立場において解決するのに非常に役立つんじゃないかと思って、私はそれは非常にけっこうだったと思っておるんです。  いま申し上げましたような態度でございまして、来月からといって、いまからじっとしてるわけじゃございません。で、この問題に対しましては先般来、ああいうふうな動労の委員長の発表がありまして以来、連日こういう問題について、いかにしてそういう不幸な事態を避けることができるだろうかということについて、関係省とも、国鉄の間でも、鋭意その問題について検討をしているということでございます。
  313. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ運輸大臣のお立場もよくわかるんですけれどね。つまり国民としましては、また動労がストをおやりになると、目に見えてそこに混乱があって、へたをすると暴動に発展するかもしれない。そして、けが人九十二人を出した今回よりも、あるいはもっと多くのとうとい犠牲が出るかもしれない、それはもう火を見るよりこのままでいくと明らかだと思いますね。大臣もさっきおっしゃった、四月には間に合わないとおっしゃった。だけど、間に合わない間に事態はどんどんやっぱり悪いほうに私は切迫しているんじゃないかと思う。これ以上お答えを要求するのは無理なんでしょうかねえ。——無理ですか。つまりね、運輸大臣、こういうことです。世論が起こってこれをいかようにさばくかを待つより策がないということですか。それじゃ私は結論から聞きます。
  314. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先ほど申し上げましたように、制度的に考えますと、ないことはないと思います。しかし、これが成功をするかどうかということは非常に疑問でございます。あなたもそういう法律はもう十分御存じだと思いますが、公労法によりまして、こういう労使の紛争がどうしても当事者同士では話がつかぬという場合に、公共企業体におきましては公労法という法律がございまして、第三者があっせんをし得るという規定がございます。これがまあ制度上、いま私の調べた範囲では制度上適用し得る唯一の道だと思います。しかし、この公労法は成立いたしましてからのいろいろないきさつがあると思いますけれども、一般の公共企業体の関係でない労働争議につきましては、特に公益的な色彩の強いものにつきましては、最終的に総理が職権でもってあっせんの、あるいは仲裁の申請をし得るというような規定もございますけれども、この公労法の関係ではそれがないのです。結局何が残されているかと申しますと、これはあなたもよく御存じかもしれませんけれども、十七条の行為、つまり違法な争議行為をやった場合には「解雇されるものとする。」ということが唯一の解決策のようになっているわけです。ところが、そうじゃないでしょう、実態はですね。そこに問題があると思うのです。その当時——公労法を制定いたしました当時の状況といまの状況とはだいぶ私は変わっていると思います。だから、その変わった状況に応じた措置を何かとれないだろうかというのが、私がさっき申し上げた、宿題のようにして、私個人が——これは政府を代表して言っているのじゃありません。私が個人としてこの間の問題を契機にいたしまして考えて、これは考えなければならぬなと思っている一つの問題であるということを申し上げたわけでございます。
  315. 木島則夫

    ○木島則夫君 ここでお話を伺ってもなかなかやはり策がないですね、はっきり言って。お手あげの状態というふうにしか私は受け取れない。国民もそういうふうに読んでいるんじゃないかと思いますよ、総裁。で、みんなこのごろやたらにこういうことを言うのですね。みんな虚無的になってきている。で、こういう状態が続くのならもう定期なんか見せないよと言うのです。検札があったって応じないと。注意されたらば、あなた方がやった順法にわれわれも協力したのだから今度私どものことにも協力していただきたいと言えばそれで済んじまう。横須賀線とか湘南電車の一定区間禁煙区域がありますね。禁煙区域になっていようが何であろうが、私は遠慮なくたばこを吸わしてもらいますよということになりかねない。そういうことでもしなかったら一般国民のやり場はどこにいくんですかという声が圧倒的に多いのですよ。こうなったらもう無法地帯、無法社会じゃありませんか、総裁。そういう声があるということはお耳に入っていますか。
  316. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 今回の事件に対する国民のそういう御不満、じかに私のところにぶつけてこられる方もおりますし、手紙をちょうだいする方もおりますし、いま先生のおっしゃったようなことは、私としても十分耳に入っていることでございます。ただやはり労働問題というのは、私、実はもう二十数年間手がけて——手がけてというか、相手をしてきておりますけれども、やはりお互いにルールを守ってやるということが私は前提だと思うのでございます。そこに非常に問題があると思います。ですから、私のほうの組合の中でもルールを守る組合と守らない組合とあるというところに非常にむずかしさがあるわけでございまして、私はあえて、いない人を非難する気持ちはございませんけれども、やはりさっき大臣がおっしゃいましたけれども、いまの法律は、両方がルールを守ることを前提での話だと思います。したがって、全然ルールを守らないのだと、先ほどお読み上げになったような動労の委員長のもし中央委員会における話だといたしますれば、なかなかあの組合、一たん組織できめたことは絶対にもう変えないという非常に強いいままでの伝統を持っております。したがって、私どもといたしましては、今後どうして、結局私どもはもう説得する以外に方法はないわけであります。実力行使ということはないわけでございますから。あくまでも説得する以外にないということになりますと、いや、幾ら説得しても中央委員会できめたからだめだということになってしまっては、これはしようがないと思います。しかし、あらゆる努力をいたしますけれども、やはりルールを守るという前提がくずれてしまいますと、なかなか全体の落ちつけ方がむずかしいことも事実でございます。
  317. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は政府がいいとか悪いとか言っているのではありません。客観的に見たいと思います。で、動労とあなた方との間には、まさに水と油といった表現が適切かと思いますね。それぞれ異なった、全く相反した国家体制とか社会体制を私は目ざしているんじゃないかというふうに伺っている。これを、あたかも良識をもって話し合いの場をつくろう。お互いに労使が良識をもって解決をしていこうではありませんか、ありませんかと、いままで何十ぺん、何百回も国民に向かっておっしゃってきたわけですね。それを国民の側じゃどういうふうに受け取るかというと、うまいこと言ったって、労使がぐるになってやっているんじゃないかということばではね返ってくるのです。  今度は労働大臣に伺います。どうですか。もういままでのような何かお話じゃなくて、少し前向きな、あなたの腹の中を国民にひとつ披瀝しませんか、きょうは、思ったことを。あなたも、うずうずしていると思うのだ。違いますか。
  318. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) 私としては、もう木島議員と同じ意見であります。まあ、これは労使がもう少し話し合えと、もうこの段階では、そういったってどうもなかなかこれは解決つけにくい。まあ要は、政治であろうが、行政であろうが、会社であろうが、公共企業体であっても、やはり背後は国民の声ということを認識することが第一であります。ところが、なかなかいまの労使の関係、私は、いまあなたがおっしゃったように、そういっておらないと思います。今回の順法の前から私心配いたしたのでありますが、御承知のように、あっせんを打ち切った。私、どろをかぶるつもりで、いままで労働大臣が飛び込んでいくということはあまりないのでありますけれども、まあ管轄がどうであろうがこうであろうが、まあ政府を代表したような意味になりますけれども、入ってよく話をいたしました。ところがもう、どうもこれは率直に申しますと、国鉄当局もおられますし、主務大臣もおるところではありますけれども、やはりもう少し労使の関係が、相互信頼と話し合いをするという点にほんとうに私欠けておると思います。ごらんのように、テレビを見てても、両者が立っていろいろ討論的なことをやっても、もう両方ともが横を向いたようなかっこうで、同じ日本人でないというようなかっこうであります。やはりかような問題から私は立ち入って、ほんとうによく労使の立場を——ことによったら政府もそれは介入するかもわかりません。それは何で介入するか。法律とかそういう以外に、やはり国全体の行政は、これはもう政府は責任がないようでありますけれども、むろん責任があるんであります。そういう意味で、いろいろこの問題に対しましては研究いたしております。しかし、歯どめがないかというと、歯どめはけっこうあるんであります、公労委で。これはここで主務大臣の運輸大臣と労働大臣は調停、あっせんには申請ができるんでありますから、あの場合でも、それをまずやろうと思っておったんでありますが、あっせんを打ち切ったと、そのあくる日でありますから、もうこれは日にちもありませんから、私は自分で決意いたしまして、飛び込んで、あとで総理の了解を得たと、そういうのでありますから、国鉄が当事者能力なければ、これはことによったら、やはりいまあなたがおっしゃったように大乗的な見地から、事件を解決するために、大乗的見地から、これは少々無理なことをやったかもわかりません。  しかし、いろいろな健全な労働組合の発展、こういうところから考えていくと、なかなかあのときに、まあこれは専門的になりますけれども、動労の言うことを聞くとほかの組合はどうする。総評から日本の労働界全体が私の意見と同様で、この際は国民のために、いろいろ両方文句はあっても、これは解決しなくちゃならぬと、これがもうあのときの大勢であります。ところが、どうも動労のほうはせぬ。国鉄のほうもどうも、そういうような熱意がありながら、もう少し歩み寄ることができなかった。しからば、それでも解決したんであれば、私はここではっきり申し上げるんですが、解決はどうもしておらぬ。いま木島議員がおっしゃったように、四月にやるんだと、これはもう違法であることは間違いありません。しからば、違法に対してどういう処置があるかと申しますと、法律では行政措置で、解雇なりいろいろ減俸問題だけで、刑法的にない。こうなりますと、これはなかなか違法を違法と知りつつやるんでありますから、法律外のことでありますから、やはり公労委を、ひとつあっせんを歯どめにしてもらって、そして、どうもそれでももういかなければ、私は、これはいろいろなことを政府も考えなくちゃならぬと思います。しかしその前に、私が横から見まして、木島議員は納得いたしませんけれども、もう少し感情が両者にあると、やはり国民的視野に立って、迷惑するのは一般の国民で、政党政派を超越して、イデオロギーを超越して、もう全国民がかようなことは困るというようなことは、これは組合側も私はもう少し認識してもらいたい、良識に立って。そうして当局も、これはもう労働者はおまえのほうの関係だからおまえ一人でやれと、これはいけません。やはり当事者がよく考えて政府に要請してくる、こういうような場合もあるかもわかりませんが、いま過程の段階でありますから、もうこれ以上申し上げませんが、本質的にいまでも私の頭には——これはもう労働大臣だとかなんとかいう意味ではありません。国民の一員として、政治家の一員として、もうこの問題に対しまして、これがへたをするとへたなことになりますからたいへんなことになります。そういう意味で……。
  319. 木島則夫

    ○木島則夫君 だから、それを私が聞いているわけですよ。
  320. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) そういう意味で対処いたしますことを、もう私の決意だけを申し上げまして、もう少しこうぐっとこぬところがあると思いますが、ひとつ御了解を願いたいと思います。
  321. 向井長年

    ○向井長年君 関連。  関連でございますので簡単に申し上げますが、国鉄総裁、先ほどルールを守らない組合である、そういう組合があるのだと、これは動労をさしておるのでしょう、おそらくね。あそこにはたくさん組合があるようですが、動労をさしていると、私はそう理解するのですが、ルールを守らない組合ということは、これは健全な組合ではないということですね。健全な組合ではない。それは言うならば国鉄という企業の中で労使問題を解決するところの組合ではないと、こうあなたは考えられますか。したがって、もっとことばをかえて言うならば、何らか目的を別に持った組合のような感じがするわけです。たとえば革命という問題、そういう組合であると、こういうように認識して、労使問題を片づけようとしてもこれは片づきません。幾らあなたが努力されても片づかない。そういう組合とあなたは見ておるのか。  それと同時に、関連だからたびたび言えませんので、運輸大臣にもお聞きいたしますが、先ほど言われたように、私見でそういうことを言われておりますけれども、これは国民世論が、やはり国鉄というこういう企業というものを考えて解決しなければならぬ、こういうように考えて、ただ欠席裁判ではおかしいので、やはり国民世論、この国民世論を反映する場でございますから、いま木島委員が、国民世論の立場に立って質問をしているわけです、当局なり、政府に。したがって、目黒委員長も出てもらって、そうしてやはり主張あるものは言ってもらおうではないか、国民に訴えてもらおうではないか、われわれの疑問点はこれを解こうではないか、こういう形で私たちが参考人の招請をお願いしたけれども、先ほどの委員長報告のように、自民党が反対してこれが聞けなかった。まことに残念です。これはきょうは、本来、運輸委員会でとか言っておりますけれども予算委員会というものは全般に及ぼす問題であると同時に、いまや労使問題が政治化あるいは社会化しておる、社会問題化しておる、こういう事態の中でこの問題をとらえているわけです。したがって私は、運輸大臣なりあるいは労働大臣に聞きたいことは、先ほど申しました国鉄総裁の答弁に対して、あなたたちはどう考えるか、それをあわせて聞きたい。こんな状態でいくならば、もう手の施しようがない、こう言うならば、運輸大臣、いま国民に出そうとしておるところの運賃法は、これはやめなさい。そんなものは出すべきではない、引っ込めなさい、政府自体が。そうすべきですよ。だれが、国民がこぞって、幾ら政府が、国鉄がですよ、あの運賃値上げ問題を説いたところで、いま事実、まだこれからああいう大きな規模のストライキをやると言っているではないか。そしてこういう不祥事が起きたではないか。今後何が起きるかわからぬ。そういう中で国民はどうしてもこれは理解しませんよ。野党だけではありません。与党の中でもそういう気持ちを持っている人たくさんおると思う。したがってそういう問題もあわせて、運輸大臣はこれは撤回するよう私は要請したい。御答弁を願います。
  322. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) ただいま、国鉄の財政再建の法律案を撤回しなさいという御意見がございました。これは御意見として拝聴いたしておきます。私どもはいま国会のほうに成規の手続を経まして提案をいたしておりまして、御審議をいただいておる際でございますから、どうぞひとつ十分にこの内容について御審議をいただきまして、可否を御決定いただきたいと思っておる次第でございます。  それから、私に対してお尋ねになったんではないかとも思いますけれども、先ほど国鉄総裁の申しました、まあルールを守らない云々ということは、先般の動労のあの紛争にあたりまして、動労のとった態度を言っているんだと思いますが、われわれから見ますると、やはり国鉄の職員であり、国鉄の運営について仕事をしておる人たちの集まりでございまして、これは正規の職員の組合であるというふうに考えざるを得ません。ただそのやった行動が、どういうわけでございますか、これがあまりにもいままでの労働争議の慣行から離れたような形でもって行なわれたものですから、どうにもこうにも労使の間の話し合いを進める時間的余裕もなく、あるいは先ほど言われた労働省関係の、労働大臣の非常に配慮をしてのあっせん工作等につきましても、それをもう聞き入れる余地もなく、既定のスケジュールに従ってああいう闘争に入ってしまったということが真相ではないかと思います。そういったことをさして国鉄総裁は、ああいうルールを守らない組合と言ったんだと思いますが、これはしかし、そういう組合でありましても、やはりこれは国鉄の総裁といたしたしましては、自分の担当しておる国鉄の職場のある部分を守っておる職員の団体でございますから、やっぱりどこまでも、それで動労とはもう話し合う余地もないんだということではなしに、やっぱり最後まで誠意を尽くして、そして国鉄の中には他に国労その他大きな組合もございますから、そういった組合との均衡もあることでございますから、個別の団体協約というのは、これはできるはずはありません。そういったことも十分理解をさし、そして国鉄の運営を軌道に乗せるために最後までこれは努力をしなきゃならぬ。私は主管大臣としては、国鉄に対しましてそのような指導をしなきゃならぬし、国鉄もそうあってほしいと思っております。
  323. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私が先ほどルールを守らない組合と申しましたのは、何も動労が一から十まで守らないという意味ではございません。ただ、今回のいろいろな経過をたどりますと、これは私この委員会で何べんでも申し上げましたが、いままでの労働慣行と相当違っているところがあるということでございまして、たとえば十一日の朝刊でございますが、これは各紙全部、もう解決かと、あるいはある新聞は、もう動労は中止することがきまったというふうな大きな見出しまで書いてトップで出されております。したがってそこまで大新聞が全部筆をそろえてお書きになったということは、やはり客観情勢がそうであったということは事実でございます。それがまたすぐもとへ戻ってしまうというふうなことは、いままでの労働慣行としてないことでございます。そういうことを申し上げたんでございまして、私は、いまも大臣も言われましたように、動労はもちろん正規の労働組合でございますし、これが全部法律違反の組合であるということを申したわけではございませんから、その点はことばが足りなければ十分訂正さしていただきます。
  324. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま運輸大臣からも、それから総裁からも、私がこれから申し上げる表現ではございませんけれども、重なり合う部分が、可能性が残されているのだということをおっしゃいましたね。はっきりおっしゃいましたね。つまり、話し合いができるのだということをおっしゃいましたね。おっしゃいましたね。それじゃですね、いつも押し迫ってから話しをしないで、もう一年じゅう話し合ってくださいよ。いつも押し迫ってからやる、時間切れだという、そういうことじゃなしに、ひとつ可能性があるとするならば、いいですか、可能性がある、重なり合いがある、一から十まで悪いのじゃないのだとおっしゃるのならば、ほんとうにこれから前向きに解決していってほしい。そのためにはしょっちゅうお話し合いをなすってください。これは私労働大臣にもひとつ確認をしておきたいのです。誠意をもってお互いに向かい合える、話し合える、そういう組合だという御認識をお持ちですね。
  325. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) ちょっと微妙な質問で、私はまだ今後も、これは任務を終わったのではなしに、これはたいへんなことをやらなければいかぬという前で、話し合いができる組合であるかないかと言われると、批判がましいことはこれはちょっとなかなかいまあらわせない立場にありますが、まあこれはちょっとたとえは違いますけれども、まあ子供がたくさんおったら、丈夫な子供もあれば弱いのもある。だだっ子もある。兄弟か親かおじか知りませんが、私としてはよそといろいろなときに言うて聞かしている最中でありますから、いまの段階で済んだら、私もばあっと思ったことを言いますが、いまの段階では言えないところがありますので、ただまあ国民に迷惑をかけた、これはもう悪いことで、これが違法である、そうして、もう少しその国民の立場を理解するのが理解できないと、あのときにも私……
  326. 木島則夫

    ○木島則夫君 いや、もうけっこうですよ。もうよろしゅうございます。わかりました。ありがとうございました。ちょっと途中で中断さしてほんとうに恐縮でございますけれど、厚生大臣もお急ぎのようですから、何か運輸大臣と総裁とのニュアンスで、どうも私が推測をするに、労働大臣のおっしゃりたいことはちょっと違うような私は印象を受けたのですけれども、それ以上おっしゃってくださらないと思いますから、とにかく重なり合える部分があって可能性があるのだということばは私も信じたい。そうしてそれに向かって最善の努力をしていっていただきたいと思います。  もう少し今度は別な問題で伺います。  福祉優先ということばがやたらに聞かれるのですけれども、結局私は現場にそれをどう生かすかということがこれは問題だと思います。身体障害者の方々にとりまして、ほんとうにその理解のある、あたたかみのある国鉄になってもらいたいという意味で、以下簡単に御質問をいたします。  どうですか。身体障害者の皆さんが私どものところにおいでになって、何とかして車いすを持ったまま乗車をできるように施設を改善をしてほしい、あるいはそういう駅の施設をつくってほしい、いろいろ、いろいろこちらにおいでになります。車いすの問題などを持ち込む問題については、なかなか前向きに検討されておいでのようでございますけれど、運輸大臣、その辺総括してちょっと伺わさしてください。
  327. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄の問題は、国鉄総裁から詳しくお答えしたほうがいいかと思いますが、御承知のように、これについては法律の規定がございまして、国鉄はその法律の規定によりまして、身体障害者及びその介添えをする方に対しましても五〇%の割引をしておるのが実情でございます。国鉄総裁から答えにくいと思いますから、他の交通機関について申し上げますと、大体この国鉄のそういう制度に準じまして、いろいろの配慮を運輸省としては行政指導でもってやらしております。割引率は、場合によりまして五割から三割というのもございますけれども、いろいろの機関、船もそうでございますし、それから飛行機についても言えると思いますし、それから自動車についても言えると思いますが、いずれも可能な限り、行政指導によりましてそれに準じたような割引制度を実施いたしております。ただ問題は、身体障害者にもいろいろございますけれども、重症の方々を交通機関でお引き受けするときに、それに合うような設備が乏しかったということがいままでの問題だったと思うんですね。私も先般そういうことを国鉄にも申しまして、国鉄もさっそく調査してくれまして、二、三日前の新聞紙上に発表したかと思いますけれども、とにかく身体障害者の方々が駅に来られても改札口が通れない、車いすが通れない、そういったところを何とかしよう。それから高架のところを乗りおりするに不便だ、エレベーターを利用しようとか、盲人の方には盲人の方で、点字でもってわかるようにしようとか、何か盲人の方が安全にというんですか、安全に乗降ができるようなものにしようとかいうような配慮をいたしまして、これはもうすぐに実行することにいたしました。
  328. 木島則夫

    ○木島則夫君 すぐ実行なさる。
  329. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) ええそうです。もう実行に取りかかっています。ことに、まあ全体の駅というわけにはいきませんけれども、盲人の場合のごときは、たとえば盲学校が近所にあって絶えず利用されているというような駅、そういったものはよくわかりますから、そういう駅を特定いたしまして、そういう駅から順々にやっていこうということです。こういった制度を、いまおっしゃるように、やっぱり社会福祉をいささかでも増進する意味で、輸送機関もできるだけ採用したほうがいいだろうということで、国鉄の結果を見ながら、各交通機関に対しましても行政指導によって——これは法律で命令するというわけにもいきませんけれども、行政指導によりまして、可能な限りそういう身体障害者に対するあたたかい待遇といいますか、処遇を各交通機関とも進めさせるようにはからいたいと、こう思っております。
  330. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 答弁したいですか。
  331. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) 先ほどちょっとおりて気がついたんでありますが、向井さんの質問はちょっときつい質問で、そちらのほうは話し合いができるかできぬかと。これは私その点をちょっと落としておりましたが、話し合いができる組合と私は思っております。
  332. 木島則夫

    ○木島則夫君 健全な組合かどうかというのが向井委員の……。
  333. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) ああ、あっちのほうには、先ほど言ったようにちょっと答弁ができませんが、いまの問題に対して落としておりますから、これはもう話し合いができると思います。私は始終話をしておるんであります。
  334. 木島則夫

    ○木島則夫君 あっちとこっちと違うんですか。(笑声)
  335. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) ちっと違います。これは質問の要旨が違いますから、向こうのほうはちょっときついことで、私ちょっと御答弁を差し控えたような話をいたしましたが、そちらのほうは話し合いができる組合だと思っております。
  336. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあこれ以上その問題を続けてもしかたがないと思いますけれど、身障者への国鉄の乗車券は、これは一応キロの制限はございますけれど、半額割引ですね、いま。しかし国鉄の特急ですか、飛行機の運賃は全額本人負担と。それでも、現在の国鉄はなかなか特急でないと思うような旅ができない。ましてやからだの不自由な方々にとっては、総裁、私はそうだろうと思いますよ。長時間シートにすわっていることはやっぱり非常に苦痛だと思う。そういう意味で、いま特急の部分は全額本人負担だということですけれど、どうでしょうか。やっぱりそれこそディスカバージャパンじゃありませんけれど、皆さんに快適な日本を味わっていただくためには、レジャーを満喫していただくためには、やっぱりその辺を配慮してあげる必要はございませんか。それじゃないと宝の持ちぐされになってしまうわけですよ。前向きでひとつ御検討いただきたいと思いますが、総裁どうですか。
  337. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私のほうといたしましても、何も順法闘争のおわびというようなけちくさい私は考えじゃございません。どうもすぐそういうふうに新聞に書かれて非常に私は憤慨しているんですけれども、そういう気持ちじゃなしに、ほんとうに私といたしましても、身障者の方をやっぱり楽に旅行さしてあげたいということで、幸いこの間改札口の大きいのをつくる、あるいは便所も身障者のをつくる、あるいはいま国際規格の車いすですと、新幹線のデッキはそのために幅を広くしております。初めから、身障者の車いすの国際規格のものならば入れるようにいたしております。そういうことで、この間も、あれが新聞に出ましたあと、ある横浜の身障者から非常にもう涙の出るほどうれしい手紙をいただきまして、私もぜひ——元気づけられて、もっともっとやっていきたいと思っておりますが、それから盲人の方々にも、さっき大臣言われましたけれども、高田馬場と目白付近には非常に盲人用の施設がたくさんございます。そういうところにつきましては、この間事故もございましたので、その盲人の方々が利用しやすい、たとえば券売機だとか、あるいは駅にぼつぼつのある通路をつくるとかいうことで、モデル駅と申しますか、身障者のモデル駅というものをつくってみたいということでいま考えておりますが、ただ割引のほうになりますと、これはまあうちもこういうような情勢でございますので、私はやはりこれは厚生省なり、政府がやってくだすって、いま半額はもうそれ以上どうするとは申しませんが、これ以上のことは私のほうはやはりサービスと申しますか、設備的にできるだけ利用しやすいように、そちらに力を入れる、そして実際旅行される金銭上の負担については、やはり政府としてお考え願うというふうにしていただきたいと思いますので、その辺を分けて、私どもはもっぱら設備のほうだけはこれは全力をあげてやってまいりたいと思いますので……。
  338. 木島則夫

    ○木島則夫君 総裁が、こういう情勢の中だからなかなかむずかしいという意味のことをおっしゃったけれど、こういう情勢の中だから私はそういうものに積極的に取り組んでいく、それが全体を解決していくムードにつながってほしいということを申し上げたいんです。
  339. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄の総裁のほうから国鉄問題いま申しましたが、私はまあこれで十分身体障害者に対する対策を講じているとは思っていないんです。しかしこれを、国鉄もあれだけ大きな世帯だから、わずか百億や二百億出したっていいじゃないかと、こういうふうに荒っぽく考えられましても、これはやっぱりいま財政再建で非常な御無理をしていただいてやってほしいと言っている際でございますから、やっぱりこれは限度があると思うんです。ここで私は大蔵大臣を前にして予算の獲得の運動をするわけじゃないんですけれども、厚生省も考えてもらいたい、われわれのほうも考えましょうと。しかし、それにはやっぱり社会福祉の一環といたしまして、そういう財源をいただけるようにしていただいて、そしてその身体障害者がもう少し楽に旅行もできるように、またそういった恵まれない状態におられる方でございますから、なるべくあったかい形で迎えるようにできる財源措置は、やっぱりこれは一般会計でもってやってもらうのが順当じゃないかと思っておりますので、この点は関係大臣ともよく御相談をいたしまして、もっとこれは積極的に取り組むように努力をいたしますから、ひとつ木島さんからも、大蔵大臣やその他にも十分説得をしていただきたいと思います。
  340. 木島則夫

    ○木島則夫君 じゃさっそく伺います。  厚生大臣ね、やっぱり予算措置が必要ですよね。もちろん国鉄も全力を投入してもらいたいと思います。厚生大臣、いかがですか。いま非常に運輸大臣、前向きな、建設的な御意見を吐いてくだすってうれしいんですけれど、厚生大臣、いかがですか。
  341. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 国鉄当局が身体障害者のために非常に最近あたたかい配慮をしていただいておること、厚生省としても非常に感謝をいたしておるわけでございます。国鉄ばかりじゃありませんで、やっぱり私鉄とかいろんな問題、たくさんあると思うんです。そういう問題についても、今後身障者のためにできるだけ負担を軽減し、自立を促進する意味において努力をいたしてまいりたいと思います。なお、実は来年度において厚生省におきましても、そういう施設だけじゃなしに、町ぐるみ身体障害者のそういうめんどうを見ようではないかというので、福祉モデル都市をつくろうじゃないかということで、これは来年度は予算はたった三カ所でございますが、これは私はもっと拡充していくべきだと思うんです。そしてやっぱり身体障害者の方々が安心して車いすに乗って歩けるように、また盲人の方々も安心して行けるような、そういうやっぱり町づくりに日本全体がいくようにすべきだと私は思うんです。四十八年度はたった三カ所でございますが、幸いに大蔵大臣も非常に理解を持っているわけですから、来年度はもっと数をふやしていただけるんではないかと、こういうふうにも考えておりますし、私としてももっと前向きに努力をいたしたいと考えております。
  342. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) たいへんいいお話を伺いまして、この間バスに盲導犬を入れることになったわけですね。そういうように非常に考え方がだんだん進歩してといいますか、そうしたいたわりの気持ちを国民はみんな持つようになってきているわけでございます。国鉄についても、一方において非常にとげとげしい問題が起きて国民の批判を浴びておるだけに、いまのお話は十分考慮したいと考えております。何ぶんにも本ものでないものですから、本ものが帰りましたらよく申しておきますから、御意見は十分に傾聴し、尊重したいと思います。
  343. 木島則夫

    ○木島則夫君 極力、これが実現をされるように、ひとつお骨折りをいただきたいと思います。  まだ、私時間がございますけれど、この辺で打ち切りたいと思います。
  344. 向井長年

    ○向井長年君 関連。  厚生大臣、いま木島質問は、具体的には、いま国鉄で五割引きをしておりますね。これは区間を区切っております。しかし、特急なり、急行はだめだとなっている。それを特急なども五割にしたらどうだ、それをすることが福祉につながる問題ではないか、こういう質問をしておるのに、施設を中心にして今後も努力しますということ、わかるけれども、これは具体的な問題ですから、聞きますと百億か、二百億か要るそうですよ。それを国鉄のほうに回して、身体障害者に。そうすれば国鉄はやると言っている。だから、その点をあなた、もう少し具体的に、何とかそれをくめんしてやろう——大蔵大臣も、いま言うような答弁がございますから、まず百億ぐらい出して、それをつくろうではないか、半額ぐらいしようじゃないか、この答弁をほしいのですよ。その答弁がなくて、ただ全般的に努力しますでは、これはちょっと困る。
  345. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 百億、厚生省が予算をとって国鉄に回せといったふうな趣旨の御質問だと承りましたが、この問題については、身体障害者基本法等との問題がございますので、各省連絡会議等において十分相談いたします。相談いたしまして、できることなら——そうして国鉄もいま財政が苦しい際でもありますから、これも一つのいい方法かもしれませんが、いますぐそれを大蔵大臣がイエスとも言えぬでしょうから、十分前向きに検討させていただきたいと思います。
  346. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に、私は政治にひとつ筋を通していただきたいということ、きょうは国鉄総裁にもそのことを、勇気をもってやっぱり事に当たっていただきたいということを最後に申し上げたい。そして、並々ならぬ決意のほどを総裁から伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  347. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私としては全力をあげて事態の収拾に努力いたします。やはり男でございますから、イバラの道とわかっていても歩かなければならない場合もありますし、針のむしろと思ってもすわっていなきゃならないこともあるということを肝に銘じて考えております。
  348. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次回は明日午前十時、公聴会を開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会