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国務大臣(
前田佳都男君)
お答え申し上げます。原子力発電につきましては、現状並びに原子力開発長期
計画の数字は、ただいま熊谷先生御指摘のとおりでございます。さて、この原子力開発の長期
計画がはたして実行できるかどうかという問題でございますが、これはまことに大切な問題でございます。原子力に期待するところが非常に大きいという点から見まして、われわれが全力をあげてこれに取り組まなければいかぬという問題であろうと思います。これにつきまして、まず第一は、原子力発電のその原料になる核燃料、これをどうして確保するかという問題がございます。それから次は、核燃料を確保いたしましても、それが円滑にスムーズに発電できるようなそういう体制をとるということが必要であろうと思うのでございます。くどいようでありまするが、大事な問題でございますので、一応御理解をいただきたいと思うんでありますか、まず原子力発電の原料の天然ウランでございますが、
わが国には非常に埋蔵量が少のうございます。大体推定約八千トンぐらいしかないと思われております。したがいまして、その原料はほとんど海外に依存しなければいけない、その購入は短期契約と長期契約、両方で契約をいたしておりますが、大体五十五年ぐらいまでは確保しておると、その後ももちろん確保しておりますけれども、はたして、需要に応ずるだけ全部確保しておると言えるのは五十五年までは確保しておる。長期的な見地から見まして、したがいまして海外の探鉱といいますか、鉱山を探す探鉱開発に取り組んでおりまして、民間も、民間企業にこの点は成功払い方式で探鉱資金の融資をいたしまして、民間企業をしてやらしめておる。そして動燃事業団という事業団がございますが、これに基礎調査をやらしております。そうして大体のわれわれのめどでありますが、
昭和六十年ごろには所要量の約三分の一程度は海外の探鉱でそれを確保したいというように
考えております。
まあ問題は、天然ウランはそうでありますが、その次に、実際現在の原子炉というのは軽水炉という炉でございまして、軽水炉の原料は濃縮ウラン、エンリッチド・ウラニウムでありまして、このエンリッチド・ウラニウムをどうして確保するかということは話が長うなりますから申し上げませんけれども、もっぱら
アメリカにたよっておるわけでございます。日米原子力
協定という
協定がございまして、この
協定にたよっております。この
協定は四十八年度分までは一応確保しておる。四十九年度以後の分をいま改定交渉中でございまして、事実上もうアグリーメントというか、もう事実上
協定ができておりますので、これを正式な文書にいたしまして、近く
国会に上程をいたしまして、御審議をいただきたいというように
考えております。ただ、
アメリカにたよっておりますけれども、
アメリカの供給力というものも、五十五年ごろにはもう自由主義世界からの需要量に対しまして供給力が足らなくなるというふうな現状でございますので、国際濃縮
計画と申しまして、
アメリカとあるいはフランスが
日本に呼びかけております、一緒になってひとつ濃縮ウランをつくろうじゃないかという、その
計画もございまして、その
計画にわれわれは参加しちゃどうかというわけで、ことしじゅうにその結論を得たいと思って盛んに検討しております。ワーキンググループをつくって検討をいたしております。
とにかく、
アメリカだけにたよるという
考え方はどうかと思うんでありまして、できるだけその供給の多角化と言いますか、各方面から供給を得るように努力をしたい。そればかりじゃございません。
日本の国産で濃縮ウランをひとつつくってはどうかというわけで、四十八年度から本格的に動燃事業団に、遠心分離法によるこの国産化と言いますか、そのことを四十八年度から開発に着手するわけでございまして、これがわれわれの目標では
昭和六十五年以降には、大体
日本で必要とする濃縮ウランの約三分の一程度はこれで確保したいというめどで進んでおりますが、これは相当まあ可能性があると思っております。
それから次は、燃料の問題はそうでありますが、それ以外に、さて具体的に原子力発電をどうして立地するか、スムーズに発電に持っていくかという問題でございますが、この問題はなかなか
現実の問題としていろいろ抵抗、反対等にあっております。私はしかし、抵抗、反対もむげにこれは押し切るべきじゃない、その点は十分、やはり原子力の安全性ということはみんなこれは心配しておる問題でありますから、十分納得のいくようにできるだけしたいと思っておりますが、とにかく原子力発電につきましては、安全性というものはその前提であります。原子力発電の大前提であると思います。したがいまして、現在のこの制度でも、原子力
委員会の中に原子炉安全専門審査会という会がございまして、原子力についての権威者が三十名程度集まりまして、原子炉の申請があった場合は、この安全審査に真剣に取り組んでおる状態でございます。そうして立地の適正、あるいは設備の安全性ということにつきまして、全力をあげて取り組んでおります。それでも、いろんなまあ御意見、反対が出ておることは先生も御承知のとおりでございますが、この問題につきましては、われわれはさらに全力をあげて取り組んでいきたいと
考えております。
ことしの
予算も、原子力
関係につきましては、もちろんその濃縮ウランの確保であるとか、あるいは濃縮ウランの開発であるとか、そういう問題にたくさんの
予算を四十八年度も計上いたしておりまするけれども、原子力の安全性という問題につきまして五十一億円ばかりの
予算を……。