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白木義一郎君 いま
大臣は、どえらい
法律があると、どえらい
法律だとおっしゃいましたけれ
ども、そういうどえらい
法律のある韓国は非常に民主的な政府であり国家であると言うておるのとちょっと矛盾してこやしないか。
それはまあそれといたしまして、先ごろ私の家に隣の子犬が庭に入ってきて、そして子供の古い運動ぐつを、どうでもいい運動ぐつですが、くわえていたずらして帰っちゃった。そしたら、お隣の御主人がさっそく謝罪に見えたわけです、ブドウを持って。それでこちらも非常に恐縮しましてね。で、実は引っ越したばかりであってまだまだお隣、御近所とはまだそう、全然といっていいくらいおつき合いがなかったわけです。それで、こちらもさっそくお返しにそうめんを持ってごあいさつに行ったわけです。それから非常に親しくなりまして、いまはもう犬も子供も自由に出たり入ったりと、こういうことがあったわけです。
そこで今度の問題も、これは国民全体そうですけれ
ども、この韓国との友好促進という問題が大きな焦点になっていろいろと進められ、あるいは心配をしているわけでありますけれ
ども、ほんとうの友好
関係はこういったようになってこそ進むんであって、現在のような状態では、まあ犬がやったことじゃないか、それも知らない、どっかののら犬でしょうというような隣の返事だと、これはなかなかおつき合いが進みにくいわけです。
というようなことでですね、実はけさ
新聞を拝見しましたら、「天声人語」ですか、ここに非常に大事なことが載っているわけです。これはもう、一度御紹介しておいたほうがいいと思います。「このところ
警察に対する風当たりが強い。「強すぎる」と
警察はご不満だろうが、市民は
警察を頼りにしているだけに、警官の不祥事が起こると、きびしい目で
警察を批判しがちだ。ともかく対
警察への市民感情は、複雑に屈折して、ややこしい
警察には、うかがい知れぬ秘密があるように、市民は思う。たしかに
警察とは、内部的にかばい立て意識の強いところだ。
新聞記者が、いちばん取材しにくいのは、警官の起こした
事件である。法の権威にかかわるから、つい内輪にということになり、その度が過ぎて、秘密性が強まる若い人は、
警察というとジュラルミンのタテを思う。いやおうなしに襲いかかってくる、圧倒的な力と、重いクツ音。あの力に巻き込まれたものにとって
警察のイメージは、
一般とはまるで違ったものになっているはずだまた別にテレビに登場する刑事――警官のイメージがある。人情味に厚く、仕事熱心で、金がなく、強く、命をかけて犯人を追う。そしてほとんど例外なしに、刑事は勝つ。悪は善の前に屈する。
警察学校に入りたての若ものでさえ、刑事をあこがれるそうだ
警察当局は「
警察を正しく理解してほしい」という。しかし、
警察に対するイメージは、人みなそれぞれに違う。イメージの違いによって、正しさの基準も変わる。
警察は「正しく理解して」という前に「
警察を信頼してほしい」と、いうべきなのだこ
どもが川に落ちた。警官が飛びこんで助ける。「警官が人を助けるのは当然じゃないか。当然のことをなぜもてはやすのか」などと、いう人もあれば、「警官だから、それができた」とほめる人もある。見方はさまざまだが、共通した心理はある。「せめて
警察だけは、頭から信頼したい。させて欲しい」という祈りに近い気持ちなのである。」これはこの日
本人全体の気持ちを非常にたくみに表現したことだろうと思うのです。
で、こういう考え方の立場で今度の
事件をみんな見ているわけですけれ
ども、だんだんだんだんその理解から、あるいは信頼から遠のいていく。で、いま一生懸命御説明がありましたけれ
ども、車をさがす、あるいはその犯行の行なわれた車がはっきりして、そして明らかに犯行に使われたんだというようなところまでいっても、その先がずうっとぼけて、結局みんないなくなっちゃった。それ以上はどうしようもない。くつがなくなっちゃってそれでどうにもならない。お隣は知らぬ顔、お隣の子犬のやったことじゃないですか、失礼なことを言うな、何を根拠にそういうことを言うんだというような隣であると、とてもじゃないがうちとしてはおつきあいができない。ところがさっそくブドウを持ってこられたんじゃ、これはもうこっちからお返しを持っていかなきゃならないのが、これがおつきあいだと思うのです。
それからもう一つは、こういう状態で進んでいきますと、要するに第一線は必死になって
捜査に当たるわけです。しかしその苦労が将来これはぼやけてくる心配があるんじゃないかというようなことですと、
警察全体に大きな影響が出てくる。それがいろいろなところにひずみになって、結局は接点は国民との接点になる。普通は
任意出頭なんていうと、いやいま忙しいんですというと、来なきゃ連れにくるよと、こういうのが
一般のふだんの
警察なんです。それが今度の
事件では帰っちゃった、ぜひお帰りくださいというようなことで、もう繰り返しですから、非常に国民は不満であり、また、
警察に対してそれこそ理解どころじゃない、不信感を深めている。これが大きな国内に目に見えない波紋となって、いろいろな治安の問題あるいは生活問題等にからんで不幸な日本に進んでいくという心配の上からこういうことを申し上げるんです。
で、もしこれから
金東雲書記官がまた帰ってくるというときに、これは入れられるのか、入国しても今度は外交特権で何も手が出ないというようなことになると、踏んだりけったりというようなことになりゃしないか。それからそう言っているやさきに、相手の外務
大臣は日本を通り越してアメリカへ行ってしまう。ちょっと方向が違うんじゃないか。そういうことを見ていますと、何だこれは、ちょうど二号さんと三号さんが仲たがいが激しくなって、三号さんがウオーターゲートだんなのところへかけ込んでいくような感じを持つわけです。だんなは、まあまあ、わしからうまく言っておくよというようなことを、漫画家だと、かかざるを得ないというような
現状なんです。
そこで、ほんとうに韓国と将来ともりっぱな友好
関係を結んでいくというたてまえでいけば、これじゃ、この状態じゃ話にならないと思うのです。かえってお互いに不信感を深め、結局は両国民が気まずい思いをしなければならない、こういうことになりはしないかと思うのです。そこで問題はいま
大臣がおっしゃったように、
金東雲書記官が
CIAのメンバーであるということになれば、これはもう言うまでもないことですが、しかし、いやしくも大使館に派遣されている
人間が、その
容疑としてはその配下の
職員等を使って起こした
事件という線が非常に強い。それでもこういうことでいかなくちゃならない。外務
大臣は二十三日にアメリカへ行く、それまでには重大決意をすると、こういう報道がありますけれ
ども、その点を含めて、外務
大臣が国を留守する、その決意について少し
大臣から御説明を願いたいのですが。