運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-11-13 第71回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十一月十三日(火曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員異動  九月二十七日     辞任         補欠選任      工藤 良平君     和田 静夫君  十月九日   委員伊部真君は逝去された。  十一月九日     辞任         補欠選任      小柳  勇君     村田 秀三君                 工藤 良平君  十一月十二日     辞任         補欠選任      須藤 五郎君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山下 春江君     理 事                 長屋  茂君                 竹田 四郎君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 川野辺 静君                 嶋崎  均君                 工藤 良平君                 中村 波男君                 村田 秀三君                 小笠原貞子君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂善太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        経済企画政務次        官        橋口  隆君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        外務省中近東ア        フリカ局長    田中 秀穂君        大蔵政務次官   山本敬三郎君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        農林政務次官   鈴木 省吾君        食糧庁次長    森  重弘君        通商産業大臣官        房参事官     高木 俊介君        資源エネルギー        庁石油部長    熊谷 善二君    参考人        日本銀行総裁   佐々木 直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (当面の物価問題等に関する件)  (消費者米価等の決定に関する決議の件)     —————————————
  2. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  議事に入るに先立ち、三百申し上げます。  すでに御承知のことと存じますが、当委員会委員であられました伊部真君には去る十月九日逝去されました。まことに痛惜にたえません。ここにつつしんで哀悼の意を表し、委員各位とともに御冥福をお祈りいたしたいと存じます。     —————————————
  3. 山下春江

    委員長山下春江君) まず、委員異動について御報告いたします。  去る九月二十七日、工藤良平君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。  また、伊部真君の逝去に伴い、その補欠として十一月九日、工藤良平君が選任され、同日、小柳勇君が委員辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。  次いで、昨十一月十二日、須藤五郎君が委員辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  4. 山下春江

    委員長山下春江君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁佐々木直君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 山下春江

    委員長山下春江君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査を議題とし、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 まだ大臣出席されませんけれども、時間の関係質問できるところから進めてまいりたいと思いますが、そうした点では公取委員長が御出席でございますので御質問をいたしたいと思います。  まず、再販価格改定ですが、当初来年の四月一日から改定をすると、こういうことを言っていたのですが、最近の話になりますと、九月一日に延ばした。まあ延ばした点は、非常に物価高騰のおりでもありますだけに、私は、何で延ばしたのか、むしろ早くやるという政府姿勢公取委員会姿勢というものがほしかったわけであります。こういうものを半年も先に延ばす。これはおそらく業者団体の私は圧力だろうと思うのです。一体、なぜ延ばしたのか、この点をまずはっきり答えていただきたい。
  8. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 再販問題は、すでに御承知かと思いますが、約六年あるいはそれ以上前からの懸案事項でございまして、なかなか簡単には解決のできなかった問題であります。そこで、私ども、昨年来、案を練りまして、八月の末ごろきめて発表したのですけれども、本来なれば、原案をそのまま貫くことが筋であると思います。しかし、実際にはいろいろの外部的な制約が強くありまして、私ども考えをそのまま通すだけでは事態がおさまらない。まあ早く申せば、一つの例を申しますと、業界が相当多数公取を囲みまして、何回かそういう事例がありましたが、私どもの正常な業務の執行にも支障を来たすというふうな状態でありました。私ども筋から申せば妥協する余地はないのでありますが、そういうことで、非常にめんどうなことになってまいりまして、そこで、実施の時期を五カ月と、半年とおっしゃいましたが、四月一日の予定であったものを九月一日に延ばすということでまあ一種の妥協をはかり、これによって全体としての構想は、日にちはおくれましたけれども、しかし、多年の懸案であったこのやっかいな問題を、ある程度は前進させることができるならばそのほうがよいのではないかということで、事態を収拾するためにやむを得ず九月一日に実施時期を延期したと、こういう次第でございます。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、業者公取を取り巻いたから、それに対処ができなくて公取としては延ばさざるを得なかった。こういうふうに、公取ともあろうものが、一部の業者が取り巻いたからこれを延ばすというような、これはまさに不公正取引委員会ですね。公正じゃないと思うのです。圧力をかけさえすれば公取はどうにでもするんだと。さらに来年の四月を過ぎてまたそういう圧力が出てくれば、また延ばすということに私はなってしまうと思うのです。こういうふうなせっかく長い間の再販価格というものをくずしていく、これは国民の大きな願いであったわけです。それをごく一部の、しかも金をもうけている連中が取り巻いたからそれを延ばす。これはまさに不公正取引委員会じゃないですか。そう思いませんか、どうなんですか。
  10. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) まあそういう非常に手きびしい御批判もございましょうが、私どもとしては、決してそのことによって公正取引委員会が不公正取引委員会になったというふうには考えておりません。やはりものごとによりまして私ども絶対に妥協などは許されない事柄もございます。しかし、この再販問題というものは非常に根が深い。先ほど私は公取を取り囲んだからと申しましたが、それは一例としてと申しました。一例としてそういう事態もあると。他にも実は理由がないわけじゃありません。しかし、たとえ政党側圧力があったといたしましても、私どもとしてはこれを変更せざるを得なかったことについて遺憾であると、その点は私どもとしてはたいへん遺憾であると思います。しかし、できるだけの努力をした結果、ただいま簡単に変えたというふうにごらんになると、これはそうじゃございませんで、私どもとしてはいろいろな考えを練った上でやむを得ず実施時期を変えると。しかし、実施時期が五カ月ずれたと申しましても、これを手をつけずにまたさらに何年もあとへずらしていくということに比べればこの際としてはまあやむを得ない事情にあったと、こういうふうに御了解していただきたいと考える次第でございます。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はあなたのそういう態度が了解できないんですよ。圧力があればそれに妥協して延ばしていく、こんなことをしていたら公取委員会なんていうのはもうなくしたほうがいいという世論になると私は思うのです。一回決定したものをここでまた四月に引き戻せと私は要望したいのです。しかし、それもできないと思いますが、そういう圧力に屈して正しい方向を曲げると、こういうことが少なくとも今日の物価問題の一番大きい政府姿勢だと私は思うんですよ。そういうものを曲げてくるから、どんどんと幾ら公取が何を言ったってそれが徹底をしないと、こういうことだと思うのです。  次の質問に移りたいのですが、公取銀行拘束預金、非拘束預金、これの調査をやられた点については私は敬意を表します。しかし、それじゃ実際この調査によって銀行をして取引先拘束預金と非拘束預金金額を明示すると、まあこのこともいいと思うんです。しかし、これも必ずしも徹底していませんね。出しているところもあれば出していないところもある。もっと悪いことは、この金額はおたくの拘束預金ではありませんという通知が来ていながら、実際金をおろしに行けばおろさせない、非拘束でありながらおろさせないと、これが現実だと思うんですよ。だから、公正取引委員会がやったことは私は悪いとは思いませんけれども、そのあと監視体制というか、アフターケアというのか、これが全然行なわれていない。これはどういうわけで行なわれていないんですか。これは銀行局にもその点をお尋ねしたいと思うのですけれども、こういうことをせっかくやったって、銀行は、かなり多くの銀行が、私が歩いている範囲ではおろさせないんです。あるいは非常ないやみを言ってなるべくおろさせない方向に誘導しているわけです。中小企業としてはいま金が詰まってきて一番金が必要なときなんです。それにもかかわらず、自分の金をおろせない。こんなばかなことがあっていいものじゃないと思うのです。これは、公取委員長、どういうふうに思いますか。
  12. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 銀行拘束預金というものは私はずっと以前からたいへんむずかしい問題だと思っております。公正取引委員会調査をすることについてそういうことによってはたして効果があるのかどうか。私は、公取委員会じゃなくてこれとまあ対立するわけじゃありませんけれども銀行局みたいに公正取引委員会がこれを特殊指定するというふうな問題に対しては、これは同意できない。なぜというならば、それは金融行政そのものである。いまおっしゃいました預金者自分の金を払い戻すことに対してそれを銀行側が事実上とめるというようなこと、これは実際行なわれていると思います。これはなかなかにやまない。だけれども、これは銀行行政として相当多数の検査官をかかえてそういうことを規制しようと思っておりましても、かなりむずかしい問題であるということで、公正取引委員会がそれをチェックするというふうな具体的な方法があるか。結局、いまはまあ調査を続けておりますから、サンプル調査ではありますけれども、そしてその結果を銀行等にも知らしておる。銀行金融当局にもそれを知らしめて監督行政上注意していただきたいと、こう言っているだけでありまして、それ以上のことをしようとしましても、現在の体制の上から申しまして当然私はこれは金融当局に力を尽くしてやってもらわなければならない。だから、拘束するものと、それから拘束してない債務者預金とがございます。債務者預金のほうがはるかに大きいのです。拘束している部分というものは、今日では、少なくとも私どものほうの調査によれば、さほど大きな率になっていない。まあ小さな率だとは申しませんけれども、厳格な意味での狭義の拘束預金は数%であり、やや広い意味にとりましても債務額に対して十数%であるということでありますけれども債務者預金ということになりますれば、四〇%を上回るというふうな状態で、その中に拘束しているものとしてないもの、これを判別するということは、窓口で実際の例を一々チェックしない限り非常に困難である。結局は、いま公取が行なっております債務者側からの申告といいますか、調査に対する回答によってその実態がほぼつかめているというだけでございます。しかし、これは公正取引委員会でなくとも、金融当局が行なってもしかるべき問題ではないか。公正取引委員会がそれ以上にこれをチェックしようとしましても、全国にある非常に多くの取引関係銀行預金口座数というのはべらぼうな数になるわけです。また、この取り扱う銀行都市銀行、地方銀行相互銀行、信用金庫その他、たいへんな店の数でございまして、これを私どもが一律に規制をしようとしても、何らか強制的な手段、しかし、その強制的な手段を講じましても、なおかつ拘束しているのかしてないのかということは当事者間でないとほんとうのことがわからないというふうなやっかいな問題であります。まあ私自身には若干の別の考えもありますけれども、しかし、それは公取の権限よりもむしろ金融当局立場に属するものと思いますので、それは差し控えておきますが、いずれにしても、戦後債務者預金が非常な高率にのぼっている。これは一時よりは下がっております。確かにその点は改善されておりますけれども、容易にこれを理想的な状態に持っていくことは一朝一夕にはできない、そういうふうに思います。公取のやり得る範囲としてはきわめて限られたことであるというふうに残念ながら御答弁申し上げるよりしようがないと思います。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 実情はある程度つかんでいるようなんですが、せっかくそれだけの調査をし、しかも歩積み・両建てというのはこれはいけないということになっているはずなんですよね。だからあなたのほうで調査されていると思うのですよね。だから、具体的に銀行行政がそれについてどういうふうにやっているかということを公取としては定期的に大蔵省銀行局から聞き取る、そうしてこういうふうにしてほしいという要請ですか、あるいは指示というか、そういうものを出しておられるのですかどうなんですか。
  14. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 私ども公正取引委員会が定期的に必ずしも銀行局に対して申し入れを行なっているわけではありません。最近の情勢拘束預金の率はひところよりは下がって——いまはわかりません、最近の金融引き締めになればこれまたわかりませんけれども、昨年の金融緩和以来その後の情勢としてはほぼ横ばい程度でもって推移しております。そういう点では、金融が相当引き締まりに転じましたけれども拘束の率はあまり変化しておらない。その点では、特にこれを取り上げて申すこともない。しかし、根本的な問題として、根本的に一体こういう債務者預金比率が非常に高いという問題からこういう拘束領金ができているわけですから、そういう点では、何らか金を貸した金融機関債務者から大きな領金を預かるという点についてもう少し考える点があるんじゃないか。私は、そういう点については金融当局申し入れはしておりますが、そういう点において検討を願いたい。債務者預金そのもの比率が、たとえば四四%であるというようなことになりますと、おのずからやはりその中の拘束預金というものはゼロにはならないんですね。私ども拘束するということ自体は確かに公正ではないと思います。銀行法上にも問題がないとは言えないわけです。現在は公正取引として規定をしているわけでありません。これはもう十年前から起こっている問題でございまして、私はその当時は逆に金融当局側責任者でありましたから、この問題には特にいろいろ経験が深いのですけれども、しかし、その当時としても、なかなかきめ手となるようないい手はつかみ得なかったといういきさつがあります。それだけに、私が逆の立場金融当局に要請する場合も、あまり無理な突拍子もないことを言ってもなかなかむずかしいだろうと思う。しかし、やり得る範囲でもう少し日本金融機関債務者預金に多くを依存するという制度——ですから、日本金融機関預金総額は、ネットの預金をあらわしているのではありません。国民蓄積そのものではなくて、債務者に貸した金のはね返りが相当入っている。このこと自体が相当に問題じゃないかと私は思いますが、しかし、たいへんにこれはむずかしい議論の要するところでございます。それだけに、私どもも、時間をかけてもいいからこの辺について十分対策考えていただきたいということは申し入れたことがございます。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 銀行局はこれに対してどういう処置をとっていますか。どうも、私ども回った点で、ちっとも拘束預金が少なくなるというような情勢は、まあ金融緩和時期には若干ありましたけれども、今日むしろそれが強まっている、こういうことですね。これは何回か私は大蔵省銀行局には注意をしているはずなんです。しかし、かなりこの点は最近また広まってきている傾向にあるように私は思います。非拘束預金をおろさせないと、どういう根拠でそういうことをやっているんですか。これは金融がたいへん詰まってきて、中小企業金融が特に詰まってきているときに、自分の金を使えないと、こんなばかなことは私ないと思うのです。どうなんですか。
  16. 吉田太郎一

    説明員吉田太郎一君) 確かに、最近、金融が詰まってくれば、そういう事例が多くなっていくであろうということは、私どもも心配しております。十一月末をもって定期の報告を求め、調査をお求めしたいと考えております。  ただ、先ほどもお話のございましたように、五月の調査でございます限りにおいては、拘束預金というものの件数はだいぶ下がってきておるわけでございます。ただ、問題は、そういうふうに明らかに債務者とそれから金融機関とが合意の上で担保にとっておるものというものの率以外に、債務者拘束されてないと考えているのに、金融機関がそれを見合いに引きとめておるという問題についての問題が、一番不明朗であり、陰湿であるということでございます。この辺のところの調査というのは、両方にしていかなければならないわけでございまして、私どもも、そういうことについて、できるだけそういう申し立てをしてもらいたいということで債務者に呼びかけていく以外にはしかたないと思います。ただ、検査の場合で、たとえば昨年でございますと、約二百店について債務者調査対象に入れて調査したというようなことでございまして、私ども検査官実態からは全体の債務者についてそういうことをお願いできるということはなかなかむずかしいというのが残念ながら実情でございます。私どもといたしましては、金融機関に対して、相手方に対して通知をするということを励行する、この預金拘束はいたしておりませんということを励行するということをこれからもさらにさしていきたいと思います。いままで、とかくダイレクトメールの中に一緒に入っておったり、あるいは見出しが小さかったりというようなことでございますので、ことしの五月からは、大きな赤い字で、しかも「重要」というような封筒に書いて全部の債務者通知をさせておるということでございますが、いまの御指摘のように、金融機関というものの力が強いために、なかなか泣き寝入りになっておるというケースも私は多いかと思います。そういう場合に、できるだけ近くの財務局に苦情申立相談所ということでやっておるわけでございますが、実際には力関係からいって出てこないというのが実情かと思います。しかし、少なくとも通知を励行し、相手方にわかっていただくということを励行さしたいということを考えております。  それから両者の合意によって拘束されておるものについては、それに見合う金利については、これは一般の貸出金利とは特別の預金金利に〇・二五%という利ざやを乗せたものということで普通銀行にはやらしておるということで、いままで十数年の間この問題をやっておりますが、基本的には全体の拘束比率を下げていくということが第一点、第二点はこの拘束通知を励行さすということ、第三は特別の金利拘束預金には貸出金利で適用するという三点を励行していくことで全力をあげたいと、かように考えております。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなた、そんなことを言って、個人から申告をしてそれによって対処させるというようなことを言っているけれども、そんなことできるものじゃないですよ。もしそんなことをやったら、その次に金を貸してくれといったときに、金を貸してくれないんですよ、必ず妨害するんですよ。私のところはもう知りませんという形で必ずやるんですよ。だから、いまあなたがおっしゃっているように、確かに銀行が強いから、非拘束預金というふうに通知を出しても、その預金をおろさせない。なるほど拘束預金がいけないということははっきりしているにしても、それを私も一回にここで全面的になくしてしまうということはなかなか困難だということはわかっております。しかし、銀行からあんたの非拘束預金はこれだけですと通知があったその預金すらおろさせないということなんです。これも銀行によって違うわけです。一律に同じようにやっているわけではありません。こういうことを、預金をして、しかも銀行から取引をして金を借りている者にそれを財務部申告してそれをやれと言ったって、そんなことできるわけないですよ、力関係で。そういうことこそ私は大蔵省金融に対する監督義務だと思うんですね。そういうことをしなければ、しようがないじゃないですか、ちっとも直っていかないじゃないですか。どうなんですか。
  18. 吉田太郎一

    説明員吉田太郎一君) 全くそのとおりだと思います。したがいまして、苦情申し立て件数ということはほとんど少ないというのが実情でございます。私どももそれに多くを期待するという姿勢ではやっておりません。むしろ今後機会あるごとに金融機関に対してその通知をしたもの以外のものをそういうないように、これはもう金融機関に要求していく以外にはしかたがございません。そのやり方については非常にむずかしいわけでございまして、私どもとしては、今後ともそういういま御指摘のような方法金融機関に対してその是正を求めていくという形で今後一段と努力してみたいと考えております。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がありませんから次へ進みますけれども、企画庁の長官にお見えいただいておるんですが、最近の新聞を見ますと、毎日物価無策と書いてあるんですよ。物価無策、字を知っていますか、策なしと、こう書いてあるんですが、物価担当経済企画庁長官として、毎日のように新聞にこう書かれているということで、あなたは一体どう感じていますか。これは私ども物価対策をやっている者ですら、何かいやな気持ちがするし、非常な無力を感じざるを得ないわけで、むしろいらいらするわけですけれども物価担当長官として、毎日毎日書かれているわけですね。あなたは一体どういう決意でいるんですか。いまや物価問題に対して政治に対する信頼を失っていると、こういうふうに新聞も書いている。あなたのいまの考えているところをちょっと聞かしていただきたいし、まあ政府の話ですと、何か近く物価問題に対するたいへんすばらしい策が出るというふうなことを新聞が報じておりますけれども、それは一体どういうものなのか、そうした点もあわせてひとつ御報告をいただきたいと思います。
  20. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御指摘のとおり、私といたしましても、新聞等を見まするたびにはなはだ自己の無力を痛感いたしまして、半ば恥じ半ば奮起せねばならぬと思いながら毎日を暮らしておるわけでございます。で、実は、経済企画庁物価担当ということでございまして、ある意味においてそうでございますけれども、現在のこの異常な物価高というものは、やはり基本的には財政金融政策から来る需給の関係によって生じたものであるわけでございますが、そうしたものに直接私どもは担当しているものがございません。われわれとしては、勧告をし、あるいは慫慂をするという立場にあるわけでございます。したがいまして、はなはだ無策のうちに過ぎたということはじくじたるものがございますけれども、しかし、この異常な状態をそれではこれでほうっておいていいかといえば、これは絶対にいかぬわけでございます。そこで、私どもといたしましては、ちょうど石油の供給状況も非常な変化があるというふうに思われる時期でもございます。この際、このときに、ぜひ新たな総需要抑制策を打ち出しまして、そしてその点から物価問題というものを鎮静させていくというふうに考えておる次第でございます。  で、物価の問題は、まず政府が大きな需要をつくり出しておるわけでございますから、政府の問題でもありますし、それから地方公共団体も、これまた政府よりある意味で大きな予算を使っておるわけでございますし、また企業もそうでございますし、国民だれしもまた消費者であるわけでございますので、これは需要者でもあるわけでございます。そうしたものが一体になって今日の異常な物価の問題に対して適切なる対処をしなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたが経企庁長官になって、いままでの田中内閣のまあ半分ぐらいやっているわけですね、あるいは半分以上——もう一年ぐらいになりますか、一年近くなると思うのですがね。相模原市のある主婦が調べた、これはほんとうに民間の主婦の感覚の物価問題をちょっとここで述べてみたいと思うのですが、過去昭和四十三年の九月から昭和四十七年の六月までと、それから去年の七月からことしの九月まで、まあ四年と大体一年、こういう差でありますけれども、たとえばみそを見ますと、この四年間に上がった率は一七%、この一年ちょっとの間に上がった割合が八三%なんです。しょうゆの場合には、前四年間が一四%、この一年間が二五%、それから散髪を見ますと、過去、その前の四年間が五〇%、この一年間が二五%、タオルなんかになりますと、四年間が二〇%、この一年間が六六%、まさにたいへんな——そのほかにもこまかい点はたくさんありますけれども、これが実態なんですよ。そうすると、この一年間に上がった物価というのは非常に大きいわけです。だから物価無策といわれる私はゆえんだろうと思うのです。このように上がっているわけですが、こうした問題について、私は九月の十九日に小坂長官には財政金融面からかなり強いことを言っていると思うのです。しかし、そういうものが、もう二カ月近くなるわけですが、実際には何ら実現していないわけですよね。まああなたはゴルフをやられて楽しんでおられたようでありますけれども、もう少し物価問題に対して、物価担当大臣として、物価情勢について田中首相にもっと進言していいと思うんですよ。九月にはちょっと下がったんでしょう。下がったというよりも騰勢がちょっと鈍って、あなた自体も経済情勢に変化があらわれた、こういうことをあなたはおっしゃっていたでしょう、それがまた全然だめになってきているわけでしょう。まあ石油という一つの伏兵があったにしろ、その他の問題にしても同じであります。まさに、田中首相をはじめとする政府姿勢が少しも物価抑制をしようとしていない。たとえば新幹線の追加路線を出すとか、あるいはこの間の物価安定政策会議ですか、これにおいても、各委員の発言に対してもう一々はね返していくだけ、こういう政府姿勢に私は問題があると思うのですけれども、大蔵大臣に私は出席を求めたんですけれども、かなりしつこく求めたんですけれども、大蔵大臣はきょう来ておりませんけれども、この点は国務大臣として田中政府の経済政策について真剣に物価対策として進言をしているのかどうなのか。まあゴルフをやられるのもけっこうでしょう。しかし、あなたは進言しているんなら私はいいと思うのです。どうもそうした点で田中内閣の物価政策についてはあなたは進言していないようなんです。田中首相の物価政策を直していくようにあなたは努力していないように思うのですが、どうですか。どういう努力を具体的にしたか、ここで明らかにしてください。
  22. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 物価が異常に高騰いたしておりまする際に、先般のゴルフ問題に見られまする私の姿勢については、深く恥じ、また陳謝をいたしております。しかし、それと同時に、この状況に対しては何とか私の能力の及ぶ限りの努力をしなければならぬ、こう考えております次第でございますし、また、考えるだけでない、行動をすべきであると思っております。その内容につきましては、これは閣内のことでございますので、ここで申し上げることはお許しいただきたいと思いますが、私といたしましてはできるだけの努力を今後ともやっていくつもりでございます。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 日銀総裁のお時間の関係がありますから、質問をちょっとほかへそらせますけれども、日銀総裁は、前々から、いまの金融政策については限度があるということをしばしばおっしゃられていたわけであります。私、それはそのとおりだと、こういうふうに思うわけでありますけれども金融政策だけでは今日のいろいろな投機行為を起こすところのだぶつき資金というものをなかなか吸い上げ切れない、こういうことであろうと私は思うわけでありますが現在、こういうまた石油の問題が発生をいたしまして、おそらくいろいろな諸問題が出てくるだろうと思いますし、一方では物価の騰勢があるでしょうし、一方では生産の縮小とかあるいは設備の縮小とかいうようなこともあるだろうと思いますが、当面の金融情勢としまして、一体、大企業の手元の流動性というものは、こうした情勢の中でどうなっていくだろうか、私どもよくわかりませんけれども、どういうふうに変わっていくか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  24. 佐々木直

    参考人佐々木直君) ことしの初めから続けております金融引き締めによりまして、次第に金融が引き締まってきております。その中におきまして、大企業の手元流動性も減少していることは事実でございまして、特にこの十一月から十二月にかけましては、決算資金が必要になりますが、その決算資金に対して金融機関が新しい資金の供給をいたしますことは、いまの非常に強い窓口規制の結果できませんので、われわれのいまの推定では、大企業の手元流動性は、一時月の商い高に対して一・五%ぐらいまで最高はいきましたけれども、年末の予想は一を切る。これは、一を切りますことは、いままでの経験から言いまして相当低い、ボトムに近い、いままでのボトムに近い状況でございます。そういうことで、この年末資金の流出しましたあとでは流動性につきましてはほぼその高さの調整ができるものと、こういうふうに、これは予測でございますけれども考えております。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 各企業の九月決算を見ますとだいぶ利益が著しく出ているように思います。この利益というものを見ていきますと、生産量が上がった、あるいは売り上げ高が上がったということよりも、より大きな要因として価格が上がったという要因が私は非常に強いと思うのです。今後石油規制が始まるということになってまいりまして、まあこれが一〇%規制になるか、二〇%規制になるか、これは若干の推移を見なくちゃならぬと思いますけれども、そういたしますと、一方金融引き締めということはやられているにしても、設備資金に予定された資金、あるいは生産を拡大するというふうに予定された資金、まあこうしたものの余剰というものが当然生まれてくるのじゃないだろうか。また、同時に、そうした生産をやるよりも、むしろ売り上げ高いわゆる価格を引き上げる、こういうことによってそうした生産による利益よりも価格による利益を求めるというようなことになりまして、商品投機あるいは売り惜しみ、こういう現象というものがまたさらに出てくるのではないか、こういうふうに思いますが、そういう点はどうですか。
  26. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 確かに、最近の状況は、値上げを容認するムードが広がっておりまして、かつての場合には値を上げてみてもそれが通らない。要するに、相当生産力の余裕があり、需給関係がおだやかでございましたので、売り手が値を上げていくと、それでは売れないという状況がしばしば見られて、それが売り手の値段に対する態度を慎重にしておったわけでございますが、最近、半年あるいは一年近くになりますが、やはり物が将来不足する可能性があるならば多少値が上がっても買っておこうという買い手の態度の変更がはっきり出ております。そういう点から、はなはだ残念でございますけれども、最近は物の値段によりまして利益の調整をはかるという傾向が非常にはっきり出ておることは事実でございます。ただ、この九月決算の場合にも、一部には見られますけれども、今後における見通しの困難さ、それからまた九月の利益の増大がそういうようないわゆるインフレ収益であるということの判断から、九月決算自身につきましても相当慎重な態度をとっているところもすでに具体的に出ておりますし、それからまた、来期の決算について相当やはり警戒しなきゃいけないという考え方は相当経営者の間にも広がっておると思います。したがいまして、ただいま御指摘のありましたような価格の上昇を安易に容認する風潮の存在、これは否定できませんけれども、しかし、企業の決算に対する態度は漸次慎重になってきておると、こういうふうに見ております。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、日銀の金融政策、これはいままでも窓口規制等を含めましてかなりきびしくやってきているわけです。石油の問題が出ない状況においては、大体そのボトムは一−三月ごろだろうというふうに言われて、まあ来年の四−六あたりから金融はゆるんでいくだろう、こういう推測がかなりあちらこちらでされておりました。しかし、石油問題がこう出てきたということによって、一体そういう形でのインフレ収益を求めるというと、こういうものは私は必然的に起きてくるだろう、こういうふうに思うわけでありますが、今後の日銀総裁として金融政策というのはどうあるべきなのか、どういうふうにやっていくつもりなのか、この点が一点であります。  それからもう一つは、予算編成期に入ってきておりますけれども、一体、今日の物価抑制というものが、財政政策としてどうあるべきなのか、この点をひとつ明確にお示しをいただきましてわれわれ今後の参考にしたいと思うわけでありますが、財政政策についての日銀総裁としての意見をまあなかなか言いにくい点があるかもしれませんが、この際少しはっきりと述べていただきたい。  この二点を質問して終わりたいと思います。
  28. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 第一に金融政策の問題でございますが、ただいまお話がございましたように、いまの金融は相当強く締まっております。特に都市銀行に対する窓口規制は、戦後数回やりました金融引き締めの場合と比べてみまして最も強いと申してもよろしいかと思われます。したがいまして、こういう引き締めの効果は金融面には相当強く現実に出ておりまして、われわれとして、これが総需要の抑制に必ずつながってくるものと考えておりましたが、しかし、いろいろな、外部情勢が思わぬ変化を示しておりまして、なかなかその効果が出にくいのが現実でございます。したがって、こういう強い全面的な金融引き締めというものは、目的を達すればできるだけ早くまたもとへ戻していくべき性質のものでございますが、残念ながらいまの状態はまだそういうような状況が近く来るものとは見通せません。したがいまして、いまの引き締め態度を引き続き堅持していくのが現在の状況では正しいと考えております。もちろん、年末における中小企業金融等につきましては、季節的な問題でもございますし、十分配慮をしていかなきゃなりませんし、それからまた、先般来続けております商社と不動産業に対する質的な調整というものも、これは依然として続けていかなければならないと思っております。したがいまして、解除の時期をいまきめることはむずかしいし、それからまた、いまの御指摘のありました石油関係等を考えますと、どうもこの強い引き締めがある程度長くならざるを得ないように考えられるのでございます。  それから第二の予算のあり方でございますけれども、予算の問題につきましては、従来からのいわゆる既定経費というものの増加、そういうものがあることは事実でございますが、ただいまのような石油の問題から来る総生産の増勢がどの程度チェックされるか、あるいはまた、それが逆に多少でも減るのかどうか、そういうような総体の経済の動きの中の財政というものにつきましては十分その環境を考えて組まれなければならないと思います。それと、もう一つは、やはり予算を組まれるときの政府姿勢が非常に大事でありまして、同じ数字が出ますにしても、押え押えてこれだけだということと、そうでない場合とでは、非常に違う心理的影響があろうと思います。そういう点で、総体の生産の今後の推移いかん、それから物価に対する政府姿勢いかん、こういうことが非常に大事な点であろう、こう考えております。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう一言、すみませんがお願いしたいと思いますが、金融引き締めも一般的にやられるということになりますと、これほど国論が福祉優先という事態になっているときに、福祉方面の充実をやる金融も同じように締められてくる可能性が私は大いにあると思うのです。そういう意味では、産業別といいますか、業種別といいますか、福祉的な融資と、そして産業基盤増強的なものと、業種別にある程度金融政策というのは変えていくべきだ。一つは、たとえば不動産建設業については締めているというのが一つのあり方だと思うのですけれども、それでもかなり大ざっぱ過ぎるような気が私はするわけです。建設の中でも、住宅の問題と、それから高速道路や新幹線の問題とは、ややこれは別でなくちゃならぬ。もう少しこまかく金融政策を適用をしていくということはできないものでしょうかどうでしょうか。いままでは、どうもその点が大ざっぱ過ぎ、一般過ぎたという気がするわけでありますけれども金融政策もそういう形でもう少しきめこまかい金融政策というものはできないものでしょうか。
  30. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 御指摘の点は、私どもも痛感している問題の点でございます。いま申し上げましたように、金融をこういうふうに総量的に強く締めてまいりますと、その中において伸ばすべきものと押えるべきものとが同じような影響を受けてくるという点、これが金融というもののいまのやり方から言いますと一番欠点とも言えるかと思います。ただ、しかし、現実に私どもがそういう問題を頭に置いてやった時期もございましたけれども、なかなか、金融というものの性格から、金というものの性格から言いまして、こまかいみぞ割りというのはなかなかむずかしいのでございます。それで、戦争中に資金調整法というのがございまして、これがそのときの戦争の状況においていろいろ大事なものとそうでないものとの順序をつくって法律で規制したことがございました。まあこれは戦争という特殊な環境の中で法律によって行なったということから、ある程度国民のあきらめもございまして、ある程度の効果をあげた事実がございますが、しかし、その後、戦後におきまして多少質的な調整をやった経験から申しますと、現実にはそういう割り振りが法的な規制あるいは特別な強制というものなくしてはなかなかむずかしい。したがいまして、結局、それを救う手段といたしましては、個々の案件につきましてできるだけ話し合いを金融機関やわれわれとがするということによって大きな点についてのある程度の傾向づけはできるかと思いますけれども、こまかいほんとうに筋道の立った割り振りということはどうもいまの金融政策のやり方の性格から言いましてなかなか困難なように考えます。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ、総裁、ありがとうございました。  あと長官にお伺いするわけですが、長官として、このインフレというのはものすごいインフレで、おそらく戦後でも珍しいインフレだと思うのです。あなた自体、これを押える可能性はあると見ているんですか、もうこれは手のつけられないようなもので押えようはないと、こういうふうに御判断になっているんですか、どっちなんですか。
  32. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私のここにおきまする発言は非常に影響するところが大きいと思いまするので、そういう気持ちでお答えを申し上げたいと思いますが、私どもはこれを押えるべきものであるというように思っております。可能性の問題につきましては、これはやはり外部要因というものも相当ございますが、そういうものを勘案しながらやっていかなきゃならないと思います。ただ、いまおことばにもございましたように、われわれ福祉社会をつくろうという方向をとっているわけでございますが、どうしても福祉社会をつくるという方向へ行く過程において、そのことが物価を若干押し上げる要因にはなると、これはもう経済学的に見てそういうことであるという問題はございます。しかし、先ほどもちょっと触れましたように、石油の供給の問題、これが非常に大きくわが経済に影響するわけでございまして、そういう面から見まして、この時期に必要な総需要の抑制策を果断にとるということによって私は体制を相当に改善することができるし、その上においてこれは一ぺんにというわけにいかぬと思いますが、長期にわたる朝野をあげての一致した努力によってこれを克服しなければならない、かように考えておる次第でございます。
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 押えるべきであるということは、あなた、これ、長官に就任当時からずっと言っていることなんですよね。もう一年近くたっているわけですが、現実には押えるどころか、さっきの相模原の主婦の計算のように、四年間よりももっと上がっている、こういう事態になっているわけで、ちっとも押えるべきだと言っても押えていないんですよね、現実には。ただべきであるということだけでは、これは言うだけですから、執行権を持っていらっしゃる政府としては具体的に押えなければしようがないと思うんですね。ある程度の見通しがあって押えるべきであるというふうにおっしゃっているのか、ただ口だけで押えるべきであると政策的にことばとして言っているのか、どっちなんですか。
  34. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今日の異常な物価高は、ひっきょういたしまするに、非常に需要が強いという面があると思います。この需給のよって来たるところは、従来、四十六年度の不況、これを克服いたしまするために相当財政支出をふやしていったということ、それから円の切り上げに対する措置、それによって生ずる不況というものを予想して、中小企業を擁護するためにはどうしても景気を持っていかなきゃならぬという政府の措置、そういうものが非常に不幸にして昨年の暮れから影響がその意図的のものと逆の方向にあらわれてきた、むしろ景気が過熱するというほうにあらわれてきたのだと思うのであります。私は、何としても、過剰流動性を吸収すること、それから新たなる需要喚起を政府自身によってやらないこと、そのことが非常に重要だと思っておりますのでございますけれども、なかなかそのような予算構成に率直に言ってなっていないと思うのです。まあ八%の財政繰り延べをいたしましたけれども、これよりもこの状況のもとにおいてはさらにこの繰り延べをふやすという必要があろうかというふうに私個人としては思っておりますが、そういう方向についてできるだけこの実現に努力して、何としてもこの物価高を押え込んでまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 実は、ことしの予算のときは私も予算委員会に出まして、これはあなた大蔵大臣の代理だったですが、予算が大き過ぎてこれは物価高になってしまうということを私ども野党はほとんど全部が警告したはずですよね。途中においてもこの予算を修正しなさいということを言ったわけです。あるいは私も政府の公共事業をもっと押えなさいと、こういうことを何回か繰り返し言っているわけですよ。まあ公共事業の点はこの前あなたには初めて言って、その前は大蔵大臣にずっと言っているわけですけれども、全部私どもの言っていることと反対のことをやっているわけですよね。そして今日のこの物価高を招いてしまった。これは、新聞だって、評論家だって、何だって、今度の物価の値上がりは政府の経済政策の誤りだと、もうこういうことをどこでも言っているわけですよね。そういう点ではただ単に田中首相が言ったからいいんだ、そういうことでついていくだけでは私は経済企画庁としてもその役割りを果たしていないと思う。私は、本来なら、きょうここに田中総理の出席を要請したわけなんですが、都合が悪い、大蔵大臣も都合が悪いと、物価の委員会にはそういう物価政策をほんとうに決定する人たちがみな欠席しちゃっている。権限のないあなただけをいじめているような形でたいへんお気の毒だとは思うんですけれどもね。(笑声)しかし、あなたはそういうことについてもっと大蔵大臣なりあるいは田中首相に、いままでの誤った経済政策を改めさせるということをもう口がすっぱくなるほど私は建議をすべき立場にあると思うのです。そういうことをあなたはどうもおやりになっていないように感ずるわけなんです。  時間がないから次へ進めますが、これは大蔵大臣がおりませんから、政務次官ですが、政務次官、もうじきやめられると思っていいかげんな答えをしないでほしい、大蔵省を代表してあるいは政府を代表してものを言ってくれないと困るんですけれども、これだけの物価高、これは勤労者にとっては私は二割近い実際上の物価の圧力になっていると思うのですね。政府が発表した国民、サラリーマンの貯蓄というのは、四十七年度百七十三万円あるということに発表しておりますね。そうすると、この一年で二割高というと、実は三十四万円の貯金の減価というのが起きているわけです。その減価は今度はわれわれの貯金を使った人のほうに移っているわけですね。借り得をしている連中というのがあるわけです。そういうものは私は大企業だと思う。中小企業は、金を借りるといってもなかなか借りられない。大部分のものは大企業なんです。その大企業が、しかも今度の九月決算を見ればたいへんな利益を得ているわけです。得ていないところはむしろ数えるほどしかない。これだけ利益をインフレによって得ているわけでありますから、私はこういうインフレによって利益を得た企業、これには私は当然インフレ利得税をかけていいと思うのです。まあ何だか今度四〇%ぐらいにするということで法人税では私どもの主張に政府も近づいてきましたけれども、私は、そのほかに、インフレ利得税なり、あるいはもう少し大企業に対して租税特別措置法なり、あるいは租税特別措置法にかわるような税の法人税の本法において優遇されているようなそういうものをこの際やめる、そしてそうしたインフレに基づくところの利得というものを国民に返していく、こういうことをこの際やるべきだと思う。そして、インフレによってはもうかるものではない、こういうことをはっきりと大蔵省は示すべきだと思うのです、政府が。そういう意味で、私は、インフレ利得税というのを大企業にかけるべきだと思うのです。これはどうですか。これは経企長官でもどちらでもいいです。
  36. 山本敬三郎

    説明員山本敬三郎君) 竹田委員のお話は、全くよく理解できます。インフレの及ぼす弊害のうちでやっぱり一番大きなものは、貯金をする人には損をさせ、借りる人には利益を与える。したがって、国民サイドから見れば、大半の国民には損をさして企業が利益を得ているという結果になっている、そういう基本的な不公平を生んでいるということは、事実として認めざるを得ないと思うわけです。しかし、企業が得ている利益というのはフローではすでに出ているわけでありまして、私は大蔵省内部で実は竹田委員と同じでありますが、九月から法人税を上げるべきだということを主張したんですけれども、まあ相手にされなかった。残念なんですけれども、しかし、それをやりましても、実はインフレ利得というのはストックの中に出ているわけでありますから、それを再評価でもするという形をとらない限り、法人のインフレによるほんとうの利益を得るという形には基本的にはならないのではないかと、こういうふうに考えますので、やはり問題は、オイルパニックを中心として、いままでの経済政策というのは根底から見直すべきときが来たというふうに考えますし、また、事実問題として一ぺんになだれのように出てきたわけですけれども、二年もたてば電力が限界に来ることもはっきりしていたわけであります。そういう意味において、私たちのとった政策に手ぬるい点があったことは認めますけれども、この際、異常な事態に臨んで、基本的にやっぱりインフレ自体を、対外的要因に基づくものはやむを得ぬとしても、それ以外を押え込むという姿勢がすべてに貫かれなければならぬ、そういう段階に来たと思うわけであります。したがって、ストックについての再評価等の問題は非常にむずかしい問題でありますから、いま直ちにどういう策を講ずるということをお答えはできませんけれども、問題はそこにあるわけであります。しかし、おっしゃる意味は、国民的な立場からいえば全くそのとおりだと思いますので、その努力はやっぱしインフレそのものを国内的要因に基づくものは押え込むという姿勢をいままでよりもはるかに強固に打ち出していくべき段階だと、こう考えているわけであります。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ、理念だけは御承認いただいたから、それでけっこうなんですがね。あなたが総理大臣になると非常にいいと思うのですが、残念ながらあなたの意見も通らないということですから非常に残念でありますけれども、これをやらなければ、いまの国民というのは、一体、土地は買えないでしょう。インフレヘッジのできる金融債券というのはほとんど手に入らないでしょう。あるいは、ただ金融機関への貯蓄しかないんですよ。これでどんどん減っているわけですよね。少しばかり賃上げしたってとても追いつかないですよ。食うのには、まあフローの意味で入ってくるかもしれません。わずかな形のストックがどんどん減っている。百七十三万円としますと、一月三万円ずつ貯蓄は減価しているんですよ。もうおそろしい勢いなんですよ。それをそのままいろいろむずかしいからといって見過ごすということは私は許されないと思うのです。で、少しぐらい非課税を上げるなんといったって、そんなに貯蓄する能力はいまありませんよ。私は、これは何とかインフレ利得というものを国民にやっぱり返さない限りは——あしたからインフレがとまるというならいいですよ。だれが考えてもとまりそうもないわけです。それだけの手当てをしてもらわなければ私は困ると思うのです。国民から、政府の政策の誤りによって、私は極端なことを言うけれども政府がどろぼうしていると思うのです。そう言っても差しつかえがないくらいわれわれの貯蓄は減っているわけですよ。いろいろむずかしい技術的な点はあると思う。この一部の者が得ているインフレ利得は当然私は国民に返すべきだと思うのです。ただ、いろいろのものを検討しているというだけでは困ると思う。具体的にその施策をやってもらわなければ承知できないわけですが、これはどうなんですか、どちらにお答え願ってもいいですよ、政府の責任で答えてください。
  38. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実は、竹田委員のお考えのようなことを私も考えた時期がございまして、この委員会でもそういうようなことを申し上げたのでございます。やはりキャピタルゲインというものが見のがされておるということが問題であるというふうに思っております。そこで、実は政府部内でもいろいろ話をいたしましたが、いまの山本政務次官ではございませんが、なかなか通りませんで、まあ一応私の意見というものは税制調査会に出しまして御討議をいただいておるわけでございます。  それと、これはインフレ利得に対する課税の問題でございます。それと同時に、私の考えまするのは、やはりいまの預金の利息というものは経済の平常時における契約でございます。卸売り物価が下がっておるというようなときには、現在の金利体系というものはそのまま是認できるわけです。このように物価が一〇%以上上がっておる、卸売り物価、小売り物価ともに上がっている、こういう異常な時期においては、やはり何かそこに考えるところがあっていいのではないか。これは、こういうときに個人ということで申し上げるのははなはだどうかと思いますが、いろいろな意見が政府部内にもあるという意味で申し上げるわけです。そういう意味で、ひとつ預金金利というものを思い切って上げたらどうか。私は、御承知のように、安定価値公債というものを提案をしておるわけでございますが、全体の金利体系から見て非常にむずかしい問題があるとするならば、金利体系のへんぱな点で問題があるなら、全部上げたらどうかということも考えるわけでございます。インフレーションというものは預金をする者の犠牲において金を借りる者がもうかるわけでございますから、そういう事態は現にまあインフレであるかないかということは別にいたしまして、いずれにしてもこの異常な物価高がもう長く続いておるわけです。この時代においては、やはり預金金利そのものを思い切って上げたらどうかというふうに私は考えるわけでございます。まあ、しかし、これはいずれにしても民主主義というのは妥協の産物になりますので、最終的には合意がなされなければ実現されぬわけでございます。どうも、今日まで実現されないのははなはだ申しわけないわけでございますが、この石油の問題を契機にいたしまして、私は、やはり、財政、それから金融は先ほど日銀総裁も言われましたので、これを引き締めを続けるということは当然のことだと思っております。そういうことを中心にして、全体の予算の規模、公債の依存度、あるいは税金の問題、そういうものを全部洗い直してみる必要があろうというふうに考えております。
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも、私見だと言われちゃうと実は困るわけでね。この委員会であんまり政府側が私見だ私見だ言われると、あと責任のがれで、あれは私見でございまして政府の意見でございませんでしたと、非常に困るわけですがね。  それでは、財形貯蓄ですね、いまのところ何か百万円まではその利子に税金がかからないということなんですが、この財形貯蓄なども、貯蓄をさせておいて家を与えるわけじゃないし、インフレヘッジのできる財産を与えるわけじゃないし、ただ積ませるだけですね。この財形貯蓄は、私、西ドイツの財形貯蓄が必ずしもいいとは思いませんけれども、まあここにも欠陥があると思いますけども、この間も勤労者財産形成審議会ですか、この答申にも、たとえば五十万円の貯蓄の人には二〇%のプレミアムをつけるとか、まあこういうような案を諮問しておりますけれども、西ドイツの財形貯蓄等を見ますと、低所得者に対して住宅を持とうとする貯蓄については少なくとも四〇%の特別給付金を与えるとか、あるいはインフレヘッジのできる金融債券を持つ場合には所得が高くても二〇%の勤労者に対しては特別給付金を与えるとか、まあこういう制度を西ドイツでやっているわけですね。日本の財形貯蓄というのはまあそういうようなものをまねて日本に輸入した経過もありますけれども、こういう時期に私は財形貯蓄というものをもう一回考え直してみる。せっかく貯金した人にはある程度のプレミアムをやっぱりつけてやる、こういうことをしなければ、勤労者が財産形成をしよう、あるいは貯蓄をするという意欲も私は失われてしまうと思うのです。この財形貯蓄にプレミアムをつけるというそういう財形審議会の諮問に対して、いま大蔵省はどう考えていますか。
  40. 山本敬三郎

    説明員山本敬三郎君) 財形貯蓄の問題はいま大蔵省内で検討しているところだということでありますが、ただ、インフレ下において不公平を是正しなければいけないだろうと。ですから、今度のオイルパニックにつきまして、先ほど大蔵大臣も言いましたが、財政やその他で新しい思い切った政策を転換する以上に、インフレで利益を得た人に対してやっぱり乏しきを憂えるのではなしに等しからざるを憂うという政策をこの際打ち出さなければ断じていけないと思う。その一つの中には、利益した者に対する税制その他の問題もありましょうし、それからインフレの被害だけ受けている人に対して財形貯蓄のような形で思い切った政策をとることも必要でありましょうし、そういうことについて実は大臣に今度こそ思い切ってやってもらわなきゃいけないと思いますということを先ほど進言してきたような状況でありまして、現在では財形貯蓄については検討中というところであります。
  41. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあインフレを押えていくということで私はやっぱり一番大きいのは政府姿勢だと思います。そこで、政府姿勢の中でこれからあらわれてくるのが要するに補正予算なり来年度の予算編成だろうと思う。で、この編成を一体どういうふうにやっていくのか、この点がかなり私は重要だろうと思います。福祉型の社会ということでありますけれども、まあ福祉関係のそういう方面を詰めるというわけにはおそらくこれはこのインフレ下ではいきますまい。そうしますと、私は、列島改造関係ですね、これはやっぱり非常に大きいと思いますね。たとえば四十八年度の公共事業の中でも、政府の公共事業費総計が財政投融資を含めて約七兆でありました。そのうちに、電電公社、それから国鉄関係、高速道路関係、こういうものを含めてみますと、約四兆ですよね。これはさらに波及効果を生んでいくわけです。おそらく二〇%以上、二割五分ぐらいの波及効果を私は生むものだろうと思うのです。そうしますと、これがもう資材の偏在なり、あるいはインフレなり、そういう方向に進んでいくと思うのですけれども、まあ、田中さんは、新幹線をつくるとか、あるいは高速道路でやるとか、盛んに旗を振って、最近は英訳本まで出されておるようでありますけれども、私はやっぱりこれを徹底的に切ることを予算編成の一番基本にしなくちゃいかぬと思うのですけれども、これについてはどういうふうに思いますか。そういう産業基盤をいま整備をしていくというようなものはやはりこれはもう極力押える、あるいは極端なものはもうなしにしていく。たとえば本州−四国架橋の問題なんか見てみますと、何も一ぺんに三本着工することはないと思うのです。一番効率の高いものから着工して、ほかはもう延ばす。新幹線の問題にいたしましても私はそう思うんですよ。その辺を今度の予算の中で徹底的にけずっていく、こうしなくちゃいかぬと私は思うのですけれども、一般会計についての伸びはそう押えられないということは一般に言われておりますけれども、財政投融資計画の伸びというのをこれを極力押えるということが私は基本だろうと思うのです。そういう観点でいけばこれは押えられるわけです。ですから、列島改造関係の予算を来年度はどうするのか、財政投融資計画の規模を一体どうするのか、その辺は、今後のインフレを押えていくか押えていかないか、その辺の政府姿勢の一番大きい分かれ目に私はなると思う。これについては大蔵省は一体どう考えておりますか。ただ検討中じゃ困ると思うのです。これだけ物価が上がってみんなが大騒ぎしているときに、ただ単に検討中じゃ困ると思うのですが、どういう方針でおりますか。
  42. 山本敬三郎

    説明員山本敬三郎君) 省内で半年くらい前から、私は、大臣た、ボトルネックがインフレの原因になっている点が非常に多いから、物動計画ではありませんけれども、物の供給力と見合って、財政、財投、民間の設備投資、こういったものを詰めていかなければなりませんということは大臣にもしばしば申し上げていたところであります。現実に、大蔵省や通産省や企画庁にも実はお話をいたしまして、マクロの立場で企画庁で、おそらく産業連関表をもとにブレークダウンして、資材の供給力というようなものを検討しているはずでありますし、通産省もやっているわけであります。したがって、けさ大臣と話しました限りにおいては、結局、物の供給力に裏づけて財政その他を再検討しなければならぬと異常な考え方を持っておられるように私は受けとってまいりました。かねての主張でありますが、それ以外にあり得ないと、こういうふうに考えております。
  43. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ非常に抽象的でわれわれにはよくわからないんですが、私が実際に質問した来年度の財政投融資計画をどうするのか、列島改造関係関連の事業をどうするのか、この点について、あなたで答えられなければ、経済企画庁長官、政府国務大臣の一員として、ひとつそのあるべき姿、こうあらねばならないということを明確にやっぱりここでしてもらわないと、今度幾らインフレを押えるべきだと言っても、私はその辺を明確にしていかなければインフレはおさまらぬと思います。国民自体が、政府はインフレをやっていくだろうというこういうつもりでいるところでありますから、相当強力なものを出していかなければ政府を信用しないと思います。この点については国務大臣としての小坂さんに、どうあるべきか、はっきりここで答えてもらいたい。
  44. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いま山本政務次官が言われました考え方が大蔵省考え方になるということを私も希望しますが、大蔵大臣ともあるいは通産大臣とも話し合っておりますが、やはり物の裏づけというものを考えてぜひ予算をつくっていこうではないかということを話し合っておりまするので、まあ明年度の関係はさようになると思います。ことに石油の供給が今後できるだけ多いことを私ども期待いたしますし、外務大臣もその点でいろいろ骨を折ってくれることを期待しているわけでございますが、一応十二月は二割減であるというようなことをいわれております。そういたしますると、大体昨年度の規模に近いものになっていくわけであります。そういうことを中心にいたしまして考えを進めてはどうかというふうに思っておるわけでございます。昨年の石油供給が二億五千八百万キロリッターぐらいでございますから、その程度に二割減でなっていくということになりますれば、その物の石油の供給からする鉄鋼、電力、あるいは重化学工業製品、そういうようなものの関係もございます。そういうことと同時に、やはり現在デマンドプル的な要因が非常に強いわけでございますし、過剰流動性が現に存在しておる。これはまあ一つの例でございますが、例の競馬についても、百億円の金が一ぺんに舞うとか、あるいは七五三のお祝いにとてつもないはでな服装がテレビ等に映し出される。こういう点は確かに異常な状況でございます。これは、そういうものが悪いと言ったといってまた逆に非難される向きもあると思いますが、私、何もそう言っているんじゃなくて、現実にそういう問題があるということ、これはやはり全体の資金が政府対民間収支の揚げ超ということだけでなくて、揚げ超であるにかかわらずそれだけの浮動的な資金が存在している。これはやはり十分それを吸収するようなことで考えていかねばならぬのじゃないかというふうに思うわけでございます。  まあいずれにいたしましても、石油の供給減の問題を中心に、明年度の予算、公債の依存度、財政規模全体の問題、税の問題、こういうものをひっくるめてひとつインフレを押えると、物価高はとにかく最大の敵である、それを押え込むことが最も必要なことなんであるという考え方で予算を編成していく考えでおります。
  45. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも、その辺、はっきりしないので、いまの長官のあれだと、国民よ節約しろと、国民よ使うなということだけであって、私は、政府自体がこうやるからおまえたちもこうやってくれという姿勢に非常に欠けていると思うんですよ。こういう状態ではますますトイレットペーパーや石けんや砂糖みたいにどんどんと、物はあるにもかかわらず買い占め状態が起きてくる可能性は非常にあると思うのです。いまのうちに買っておけと、そのうちに政府が消費規制を言ってきたときにもうたっぷり持っているようにしようというような方向に導いてしまうと思うのです。政府自体がこうするんだからという姿勢がちっともあらわれていない。私はそこにいまの物価が上がっていく、あるいはみんなが買い急ぎをするというゆえんがあると思うのですが、どうもそうした姿勢を重ねてお伺いしてもお示しにならないわけでありますから、私の時間も来ているようでありますから、結論を急ぎたいと思います。  そこで、いまの長官の意見で言いますと、二兆円の総理の言う減税ですね、これも減税しちゃいかぬと。おまえらに金を渡せば、七五三の服装をよくしたり、あるいはいろいろ余分な金を使うから、おまえらに金をやらぬほうがいいというような論理につながっていくわけですね。二兆円の減税については、これはどうするんですか。それは国民としてみれば、これだけ物価が上がって、税金は累進税率ですからふえている、生計費以上に税金を取られているというのが私は現状だと思うのです。二兆円減税については、これはどうするんですか。私どもはこれはやるべきだと思うのですけれども大蔵省はこれはどういうふうに考えていますか。
  46. 山本敬三郎

    説明員山本敬三郎君) 二兆円減税は、考え方としては私は成り立ち得ると思いますけれども、来年度一兆六千億減税するという前提は、来年度の税収の伸びがGNPの伸びからいって四兆円くらいあるだろうと、それを前提に考えたものでありますが、現実には来年度のGNPは実質ゼロか、あるいは以下という状況になってくるおそれさえ出てきているわけであります。そういう新しい事態で、一体このインフレを押え込む上に減税はどの程度の幅にすべきかということもまた再検討されなければならぬのではないか。いま再検討を考えているという状況だと思います。
  47. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはやはり国民にだけ犠牲をしいるやり方だと思うのですよね。貯蓄はひったくる、税金はまけない。まるで国民を貧窮のどん底に追いやる私はやり方だと思うのです。それならば、大衆への減税はやって、企業設備などをふやしたり買い占めをする大企業から税金を取ったらいいんですよ。さっき言うようにインフレ利得税を取ればいいんですよ。そうすれば、あなたがさっきおっしゃられた等しからざるを憂える政策になるわけです。片っ方にはそういうことは検討中だ、減税のほうはしない、貯蓄のほうはインフレでひったくっていると、これじゃ国民は踏んだりけったりじゃないですか。それで減税はしないと。これは私は減税をしないというやり方は反対ですよ。やはり少なくとも四人家族で年収二百万円くらいまでは私はいまの形では減税をすべきだと思う。課税最低限をそのくらいに引き上げるべきだと思うのです。  それで、これだけ物価が上がっている。生活保護者やあるいは寡婦や身体障害者や、こういう人たちにはなかなか減税は——まあ減税の対象にはならぬ人が多いと思うのですけれども、物価は上がっている、減税をやったにしても何らの恩恵がない、こういう人たちには一体どうするつもりなんですか。もうこの補正予算から、たとえば生活保護費なりそういうものはふやしていく、こういうことをしなければたまらないと思うのですよね。まだ雇用者はある程度かじりついて少しはひっかじり取ることができるかもしれない。しかし、生活保護者や身体障害者はどうにもすることができないですよ。あるいはある程度減税はするでしょうけれども、減税をしてもその減税の恩典に浴しない人たちが相当数あると思う。勤労者の一五%ぐらい私はあると思う。こういう者には一体どうするのか、この点をひとつお聞きをしたい。  それからあと時間がありませんのでまとめてお聞きしますが、自民党の一部にこういう意見があるそうですけれども、大企業でもうかっている企業で賃金の非常に高いところの企業に対して、ある一定以上の金額でしょうけれども、それは損金算入にしまして経費として認めない。したがって、ある一定以上の賃金を支払った分はこれは税金の課税対象にする。こういう形が、一種の私は所得政策ということになろうと思うんですが、こういうことはやるおつもりがあるのかないのか。  それから何か新聞の伝えるところによりますと、公務員の給与を一カ年凍結するというようなことがありますけれども、これをやるのかどうなのか。まあこの辺のことをお伺いして、私の時間も過ぎておりますのでまとめてひとつお答えをいただきたいと思います。どちらからでもけっこうです。
  48. 山本敬三郎

    説明員山本敬三郎君) 先ほど申し上げましたのは、インフレに伴う臨時利得税についてはこれは十分検討しなければならぬ問題がありますのでにわかに御返事はできませんと申し上げたのであり、それから減税については検討する必要があるということをお話しいたしたので、減税をしないと申し上げたわけではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。  それから、おっしゃるとおりに、生活保護世帯等についての問題は非常に重大でありますが、これは生活扶助基準について年度当初前年度比一四%引き上げをいたしたわけであります。今度の補正予算で加えてプラス五%。これは、したがって、社会福祉施設の入所者の飲食物費やあるいは日常生活諸費等、あるいは失対事業の労務費の単価等にも及ぼしていきまして、大体四十一億円くらいで追加補正をお願い申し上げたい、こういう考えでいるわけであります。  それから第二番目に、課税最低限を百十五万から百五十万に上げる。そうすると、百十五万以下の方にはインフレの救済は全くないではないか、こういう問題でありまして、それはもう全くそのとおりだと私も考えるわけであります。しかし、野党の皆さんの御主張も課税最低限を上げよ上げよということでありますので、まあ単年度で見ますと、百十五万以上百五十万あるいはそれ以上の方と百十五万以下との間に不公平が出てくると確かに言えるわけであります。これを解消しようとすれば、それこそ逆所得税でもやらなければ実は解消できないわけでありまして、まだそこまでは考えてはおらない、こういう状況であります。  それからお話しのありました大企業等賃金の高い企業で損金算入しないとか、あるいは公務員給与一年凍結とかというような問題は、まだ省として議論している段階ではないと、こういうことでございます。
  49. 竹田四郎

    竹田四郎君 それでは、通産省の石油関係の方、お見えになっていますか。もうこまかい話はいたしませんけれども、いまガソリンスタンドに「原油二〇%値上がり」という幕が張ってある。最近になると、また色を違えて、「またもや二〇%の値上がり」と、ああいうことを堂々とやっているんですが、あれはまさに石油の価格を引き上げさせる、あるいは灯油を早く買わなくちゃしようがないという買い占め行動ですね、こういうものをあふるような私は結果になっていると思うのですが、ああいう幕はいまの物価情勢の中で私は不適当だと思うのですけれども、ああいうものは引き下げさせるべきだと思うのですが、どうですか。
  50. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 私ども最近の原油値上げの問題につきまして、これをできるだけ一般製品に及ばないようにいろいろ指導してまいりたいと考えておりますので、ただいま御指摘ございました広告、のぼりその他のものにつきまして、詳細さらに調べてみまして、石商その他にそういうことが広く行なわれているようでございますれば、十分な指導をいたしたいと考えております。
  51. 竹田四郎

    竹田四郎君 調べてみるって、あなた車で走っているでしょう、石油部長なら。通産省とおたくを電車だけで通ってほかへ出ないということはないでしょう。あなたの御近所のガソリンスタンドだってそういう幕がありますよ。私はああいうものを取らすべきだと思うんですよ。「またもや二〇%」「またもや二〇%」ってあのまたもやは何回も聞きますからね。これは経済企画庁長官どうですか、ああいうものを平然とガソリンスタンドに置かせるというのは、私は一そう灯油や石油の買い占めをあふるような結果になると思うのですが、ああいうものをはずさせるわけにはいきませんか。
  52. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 最近の風潮として、非常に便乗値上げが行なわれていることは、非常に残念に思っておるわけでございます。この点については、通産省と協力いたしまして十分善処したいと思います。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 いまさっきから小坂長官に対しまして政府の施策が無策じゃないかということが聞かされておりましたが、この委員会長官は、物価問題に対してよい意見があるならば私にも聞かしていただきたい、このように謙虚な姿勢を示していらっしゃいました。  そこで、特に最近の物価高は目に余るものがあります。公明党といたしまして、このインフレの問題に対しまして何とかしなくてはならないということでこのインフレに対します施策の一端を考えまして、事前に長官にその公明党のインフレ物価抑制の緊急対策もお渡ししておりましたが、ここで簡単にまた要点だけ申し上げますと、八項目になりますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。  第一番目には、基本姿勢の転換についてであります。つまり、政府は現状をインフレと認識し、すべてに優先してインフレ抑止物価対策に取り組むべきである。田中総理が先日ヨーロッパへ行って帰られても、外国に比べたならば日本の物価もたいしたことはないと、そういうような見解を述べていらっしゃいます。私も田中総理がヨーロッパへ行かれたあとヨーロッパへ行ってまいりました。日本の物価に比べるならば安定しております、そういうような感覚であるならば、いま申すとおりに、インフレをインフレとみなすことができないような態度で物価対策ということはできないと思いますから、基本姿勢の転換について私は意見を述べたいと思います。  第二番目には補正予算の編成が行なわれる時期になりました。そこで、インフレを阻止し、国民生活を守るために、産業基盤整備のための公共事業費を繰り越しから削減する。まあただいまも話が出ておりましたが、それからまた、その反対には、老齢福祉年金、生活保護費などの社会保障費の増額に力を入れるべきである、これが第二点であります。  第三点は、四十九年度予算は景気刺激を排除し、経済を高度成長から安定成長路線に転回して、物価の安定と国民福祉の向上を目ざすべきである。大企業に対する法人税を、まあこれもいろいろ問題になりましたが、四十九年度より四二%以上に引き上げることによって、安易な国債発行を押え、産業関連の公共事業を大幅に削減して、社会保障や米あるいは麦、国鉄等、このような公共料金の据え置きと生活関連に重点的に取り組むべきであると、これが第三点でございます。  第四点は、金融財政政策を福祉型に転換すべきである。大企業に対する法人税の引き上げに加えて、租税特別措置法に基づく産業優遇税制の改廃やあるいは交際費課税の強化、さらに広告費課税を創設する。また、インフレ終熄まで金融引き締めを堅持し、しかし中小企業に対しましては別途の政策金融をとりまして、日銀券の発行高を規制することにつとめなくちゃならない、このように私は主張したいと思います。  第五番には、地価の抑制政策を確保することであります。それには日本列島改造構想を撤回して、特定地域の地価を直ちに凍結する一方、土地利用規制、土地利用計画を策定し、土地投機を禁止するために法人の土地譲渡所得に対する分離課税八〇%や土地保有税は六%に引き上げ、また、特に空閑地税及び大規模土地利用税を創設しまして、公的土地の拡大とその活用をはかっていかなくてはならない。この点に力を注がねばならない、これが第五点でございます。  第六点は、調査体制を強化しまして、管理価格を規制すべきである。寡占価格規制法を制定する一方、独禁法を強化しまして公正取引委員会調査体制と権限を強化しなくちゃならないと思います。そういう意味から、いま問題になっております冬を迎えて灯油等の値上げもこれは防止すべきである。  第七番目には、大企業の買い占め・売り惜しみを規制しまして、独占的輸入品の価格を規制していかねばならない。  第八番目には、生鮮食料品の安定供給をはかっていかねばならない。そのために地方公共団体と生産者が契約栽培を行ないやすいように財政措置をとっていかねばならない。また、指定産地制度を拡充しまして価格保証制度を充実し、卸売り市場等を適正に配置していくようにつとめていかなくちゃならない。  このようにいたしまして、インフレ・物価抑制の緊急対策をやるならば、やる気さえあるならば、いま私が八項目にわたって言ったことは実現可能な対策でありますが、長官の見解を伺いたいと思います。
  54. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 十一月十日におきまする公明党のインフレ・物価抑制のための緊急対策につきましては、十分拝承いたしております。その中で多くの有効な建言が行なわれておりますことに対して深く敬意を表したいと存じます。  まず、その第一項にございまするインフレに対する基本姿勢、すなわちインフレということを認めて対策を講じろという点でございますが、仰せのように、今日まで卸売り物価、消費者物価ともに続騰いたしておりまして、かかる現象はまさにインフレの状況であると思います。ただ、インフレということばについて、われわれは戦後の非常に苦い経験を持っておるものでございますから、何か非常に悪性インフレだと。特にいま買っておかないと物がなくなるんだというようなそういう購買心理をあおることを非常に心配をいたしまして、私どもは特にそのことばを避けて、異常なる物価の高騰ということばを使っているわけでございますが、それに対する対処策については同様の考えを持っておる次第でございます。  次に、補正予算の問題でございますが、これも仰せのような点が非常に肯綮に当たる点が多うございまして、公共事業費の削減であるとか、あるいは社会保障や中小企業対策費の増額であるとか、法人税の引き上げであるとか、国債の減額、所得税の減税、これはいずれも、程度の差はございますけれどもどもとして実行したいと考えておる点でございます。ことに、列島改造問題がいろいろ議題に供されるわけでございますが、私は、日本列島の改造そのものはどうしてもやっていかなければならぬことだと思いますが、問題はそのテンポであると思います。非常に急速に、もうあすにもあらゆることに手をつけるというようなその考え方が問題であるのでございまして、どうぞ、政府はさような一気かせいに何でもやってしまうというような考え方ではなくて、状況に応じて逐次問題を取り上げ解決していくという姿勢であることを申し上げて御理解を願いたいと思う次第でございます。  次に、四十九年度予算についてのお考えでございますが、これについてはまあいろいろな重要な点がございまして、全体的に考えますと、たとえば消費者米価・麦価の問題にいたしましても、できるだけ値上げ幅を抑制したいというふうに私ども考えておりますが、どうも諸種の情勢がございまして、ことに、食管を守るという考え方から申しますと、若干の消費者米価の値上げもやむを得ない。ことに、生産者米価が一六・一%も上がり、また、麦価が海外において三倍にもなっておるという状況にかんがみまして、食管の膨大なる七千二百億円という赤字を放置し得ないという考えでおりますことを申し上げたいと存じます。しかし、据え置けという御意見がこの際非常に有力に存在することもよく承知をいたしておる次第でございます。  次に、公共料金の問題でございますが、これは極力抑制的に扱いたいと思っておりますが、国鉄の運賃値上げについては先ごろの国会におきまして可決をいただきましたわけでございますが、この撤回ということについては私ども考えておりませんわけでございます。  次に、公共事業を押えて国民福祉のために思い切った財源の配分をしろと。これもさようだと思って、福祉社会建設のための努力を続けたいと考えております。  第四項の、財政金融税制政策を福祉型に転換すべきであると。これはさように思って、経済社会基本計画においてもそのような考え方をとっております。また、法人税についても、中小企業は据え置きながらその他の法人についての法人税を引き上げるという措置を決定したことは御承知のとおりでございます。  また、広告税の問題を御提案になりましたが、これは非常に購買力を刺激するという意味でむだな消費を刺激するような広告については慎んでもらいたいと私どもは思いますし、この税の構想は私どもについても十分研究をさせていただきたい。こう思います。また、自民党の内部においてもその構想が相当有力に出ていることを申し添えておきたいと思います。  それから地価の抑制政策でございますが、先ほど列島改造の点については申し上げましたような次第でございまして、決して、何でもかんでも二十五万都市がもう近々にでき上がるというような考え方を持たれるといたしましたら、それは誤解でございまして、そういう方向考えませんと、たとえば東京あるいは大阪、名古屋というような巨大都市は、水の問題、電力の問題、あるいは廃棄物の処理の問題、住宅の問題、あるいは通勤通学というような交通の問題、そのいずれにいたしましてももう行き詰まっておるのでございまして、これは何とか解決せねばならぬと、こう考えておる次第でございます。それにつけましても、国土総合開発法、これは国会に提案されておるわけでございますが、ぜひこれが御可決を願いたいと、こう思っておることを申し添えさしていただきます。  それから地価の凍結の問題でございますが、これにつきましては、私ども、この一月に地価対策閣僚協議会を開きまして、法人の土地の譲渡税というものは一般の利益のほかに二〇%課税することにいたし、さらに特別土地保有税というものも新設いたしまして、その面でかなり土地の価格騰貴はとまってきているわけでございますが、さらに御提案の内容については十分考えたいと存じます。  さらに、管理価格の問題でございますが、これは、仰せのとおり、独禁法を強化いたしまして管理価格が乱に流れませんように、先ほど公取委員長も言っておりましたような自由な競争原理を尊重するという方針を貫いてまいりたいと存ずるわけでございます。公取委員会調査体制の権限強化、これもまことに必要だと存じております。  それから灯油の問題は、これは御承知のようにその元売り価格は凍結しておるわけでございますが、末端におきましていろいろな値上げが行なわれ、また、最近の情報ですと、四百十円というような十八リッター価格が出ているということも聞いておりまして、御承知のように、買占め・売惜しみ防止法の適用対象にいたしまして、通産省とよく連絡をとりましてこれが値上がりを禁止したいと考えておる次第でございます。  それから大企業の買い占め・売り惜しみを規制し独占的輸入品の価格を規制せよという第七項の申し入れでございまするが、これも御趣旨はさようであると思いまして、私どもとしては、先ほど申し上げたような物価抑制の見地に立ちまして、できるだけその輸入品が十分に出回りますように考えたいと考えておる次第でございます。  次の第八項目の生鮮食料品の安定供給の問題でございますが、これは私ども物価問題を扱っておりますると特に季節商品の値上がりというものが物価に非常に大きく響いておりまして、何といたしましても野菜とか魚介類とかそういうものの価格が低位に安定することを望んでおるわけでございます。しかし、これを裁培する農民の各位がその労力にふさわしい報酬を得られるということはこれはもとより望ましいことでございまして、その中間のマージンを不当に高くされないように、生産者も消費者も喜ぶような体制を何とかしてつくっていかなければならぬ、こう考えておりまして、この御提案については十分敬意を表し検討をさしていただきたいと考えております。  以上、簡単でございますが……。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 この問題に対しましては、時間がありましたならば、ほんとうは、長官にも事前にもう資料をお渡しいたしましたことだし、一つ一つお尋ねしたいと思いますが、きめられた時間内で質問する要件がほかにもありますから、この程度にしておきたいと思います。  質問の関連の中でお尋ねしたいと思いますが、長官がことしの一月の二十七日でございますが、経済演説の中で、消費者物価の上昇率を五・五%見込みましたと。それは単なる見通しの数字ではなく、政府国民がともに努力することによって達成する政策目標でありますと、このようにお話しになっておりますけれども、事実は、御承知のとおり、ただいまも話がありましたとおりに、毎月毎月一〇%をこす物価の上昇が続いております。政策がないじゃないかといまもきびしいあれがありましたが、いま問題になっております米麦価の問題でございますけれども、この問題に対していま自民党内においてもいろいろな論議が繰り返されておりますが、この問題を根本的に考えていかなくてはならないことは、やはり米あるいは麦というものは国民の主食であります。そういうところから、この問題をいまこれだけ物価が上がっているときに物価の王様と言われるようなこういうものを上げるならば、端的に言うならば猛火の中に爆弾を与えるようなことになるのじゃないかと思うわけなんです。そういう意味から、この米価あるいは麦の値段につきましては、これは据え置くべきではなかろうか。また、特にこれは食管会計の食管法の精神の中にもうたってあります「家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」と、米価をきめるよりどころとなっている食管法の精神にもこのように載っておるわけなんです。食糧庁として試算されたのは、今回、お米、麦が上がったとしても、わずか四百七十七円だとか六百数十円の影響しかないというようなことでありますが、そんなことはないわけなんです、あとでまた数字を出しますけれども。そういうわけで、このお米の値段が上がったならば、麦の値段が上がったならば、どうなるか。もう実際現在標準米が上がらない先に、新米はもう二百円、三百円と値上がりしているわけなんです。これに標準米が上がったならばどうなるか。そういう意味で、幸いにも税の自然増収が一兆五千億から二兆円ぐらい予定されているということでありますし、今回ここで日本人の主食として一番問題になります食糧の問題でありますから、その赤字をば財政負担をしたとしても、物価安定の立場から私は決してむだな税金の使い方ではないと思うわけなんです。そういう意味から、インフレで公共料金の凍結が必要であるというときにこういうものを上げるということは断じて許すことができないし、これは据え置くべきであると私は思いますけれども大臣、いかがでございましょうか。
  56. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 米価に関しましては、国民生活に非常な大きな影響があるものでございまするので、きわめて慎重に扱うべきであるというのが経済企画庁全体の主張でございます。そういう主張に基づきまして、今年の六月に消費者米価を上げたいという意見がございましたときには、御承知のように、これを据え置くことを主張いたしまして、幸いに田中総理の賛同を得まして、米価、麦価ともに据え置いたわけでございます。ただ、麦価につきましては、秋に情勢を見て検討するということになりました。と申しますのは、それは外麦が非常な値上がりをいたしておりまするので、その状況も見ねばならぬという主張に賛同せざるを得なかったわけでございます。そこで、この米価、麦価の会計の問題が出ておるわけでございますが、私どもとしては、極力さっき申し上げたような方針でいろいろ内輪の議論はいたしましたし、また、御提案になりましたようなそういう意見も私も申し、ここにおります小島物価局長もさような主張を他の省に対して申したこともございます。しかしながら、結論といたしましてはああいうようなことでございまして、まあ百グラム当たり十八円のものが二円上がって二十円になるだけでございますということでありまするので、私ども政府諮問案として何としても二四%は困るという主張をようやく一三・八%ということにしてもらいまして出したわけでございます。しかし、それはわれわれの政府の諮問案決定の事情の説明でございますが、何といいましてもこの問題が重要であるということに対する田代委員の御指摘については、たいへんに非常に重要なものであると考えておるわけでございますので、十分御説を拝聴いたしながら、さらに今後自由民主党内における決定もございますことでありますから、そういう点を十分検討さして、いただきたいと、こう考える次第でございます。
  57. 田代富士男

    田代富士男君 いま、米麦価が上がってもさほどの影響はないということで、政府案に賛成をしたというお話でございますが、具体的にこれは政府がいままでに出されました政府の数字でございます。これとまあ現在のこの指数の動きから試算した物価の影響が家庭にどのくらい響くかということを数字をもって言ってみたいと思いますが、御承知のとおりに、どのように落ちつくかはまだ結論が出ておりませんが、米麦が値上げした場合、消費者物価は〇・七二%ぐらい押し上げられていくんじゃないかと思うのです、まあ政府のいまの方針であったならばですよ。それと、国鉄運賃の値上げ分が試算されたのは〇・四二%であったと思う。これを足しますと一・一五%になる。それで現在の毎月一〇%ぐらい上がっている今日の物価高でございますが、このままの状態物価高騰が進んでいきますと、本年度に持ち越す上昇率は二・四%ぐらいと見込まれるんじゃないかと思うのです。まあ、この数字は違うと反論もあるかと思いますが、現在の流れから見るならばこのぐらいになるんじゃないかというこれは見込みでございます。そうしますと、少なくとも三・五五%の上昇は避けられないじゃないかと思うわけなんです。  それから最も深刻なのは関西地区です。ということは、関西地区におきましては、九月に関西電力、大阪ガスの値上げが行なわれました、電気、ガスの値上がりが。そうすると、関西地区における消費者物価の影響は電力の値上げによりまして〇・二%です。それからガスの値上げによりまして〇・二七四%です。関西地区だけでも九月の電力、ガスの値上げによりまして〇・四七%の物価が押し上げられていくということになります。すなわち、関西地区に限って言うならば、電気、ガスの値上がりのためのダブルパンチを食った。そうしますと、いまるる申し上げてまいりました数字でございますが、これを合計いたしますと、四・〇二四%の値上がりということになるんです。この数字は金額に直しますと、十万円の給料をもらっている家庭であるならば、月に四千二十四円の支出増ということになるわけなんです。だから、これだけ十万円の家庭で四千円あるいは五千円近くの支出増、これは食生活は内容はどうなりますか。これでも影響がないと言われるのか。そういう意味から考えて、まだこの米、麦の値上げは、これに便乗する波及する値上がりというものはこの試算の中にあまり含まれておりません。政府の打ち出された指数だけ計算しましてこういう数字になるんです。これでも国民の生活に影響がないと言われるのか。確かに、米価あるいは麦価を値上げするならば、財政的な負担は軽減されるかわかりませんが、そのために国民生活はどうなってもよいというのか。この政治感覚ですね、ここらあたりをこの姿勢を変えない限り、この物価問題は解決できないと思いますが、この数字の上から見て、長官、いかがでございますか。
  58. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 一三・八%米が上がることによって米価のCPIの影響は〇・六、それから三五%麦価が上がることによって〇・一というのが一応政府ではじいた数でございますが、おっしゃるように、ほかのものと比較していろいろな影響があるということはそのとおりであると思います。ただ、私が申し上げたいのは、従来の異常な値上がりですね、この値上がりは実は米価も麦価も据え置いた上で起きておるのでございまして、全体の物価値上げに米麦がどのくらい影響するかということになると、これはマクロで申しますと、いま申し上げたようなことになると思うのでございます。ただ、個人の生活から見ますと、この値上がりが響くことはこれはもう言うを待たないところでございますので、その意味で生活保護世帯の収容施設に入っておられる方であるとか、あるいは失対の就労者であるとか、そういう方に対するものは他に補給いたしまして、米価が上がらないようなそういう措置をとるという条件をつけておるわけでございます。しかし、これとても、そういう直接的な影響ばかりでなくて、外食の米飯が上がるじゃないか、うどんが上がるじゃないかと、そういうことだから何にもならぬという御意見があることは私もよく承知をいたしておるわけでございます。ただ、内閣の一員といたしまして、全体の調和をとっていくということになりますと、まあ当初一九・五%というのが出ておりましたので、いろいろ樽爼折衝の結果二子八というのが、まあ私といたしまして精一ぱいの努力で当時はあったわけであります。これは米審にかけ、米価審議会の委員のいろいろな御意見があったわけでございます。また、与党の内部におきましてもいろいろ今後の御意見があるわけでございますので、それを十分尊重していきたいとこう考えております。
  59. 田代富士男

    田代富士男君 この問題につきましても、いまの大臣のそれでは私は不本意でございますが、あと麦の問題を質問したいと思いますから、それを質問していたら麦を質問する時間がなくなりますから、もっと真剣に考えてもらいたいんです。十万円もらっている人が五千円よけいに支出されるわけなんです。そのための影響というものは深刻なものがあります。これプラスまた便乗値上げ、波及値上げのためにどれだけ苦しむか。まあ大臣も謙虚にそのことは考えていただいていると思いますが、考えるだけでなくして実行をしていただきたいと思うわけなんです。これは意見でございますが、お願いしたいと思います。  それで小麦の麦の問題に質問を移りたいと思いますが、いま米価と同じように小麦が、今回、異常な値上げをされんとしておりますが、従来、海外の安い小麦を購入していままで食管赤字の穴埋めをされてきたのは事実じゃないかと思います。ちょうど小麦が昭和三十三年から十五年間に輸入された、それを私は時間がありませんですから、単純計算です。もっとこれは金額はふえるかわかりませんが、単純な計算をしただけで、この十五年間に小麦の輸入によって黒字になったのが二千七百二十八億円、いままでの食管赤字の穴埋めを十五年間にわたって小麦は貢献をしてきたというのです、ことばをかえて言うならば。その時点におきまして政府は黒字をかせぎ過ぎる、輸入価格がこんなに安いんだからもっと政府の売り渡し価格を値下げして、消費者に安いパンやめん類やお菓子類を与えるべきであるということがたびたび主張されてきていたにもかかわらず、このように輸入によって黒字を生んでいたということは、昨年の夏ごろまで政府の買い入れ価格は一トン二万七千円、これは政府売り渡し価格は三万四千円で売り渡されていたと思うのです。こういうわけでずっと続いてきていた。黒字であったそのときには、もっと下げなさいというときには、国民の声に一向に耳をかさずに、ちょうど昨年ソ連と中国が異常な麦不足のためにアメリカやカナダから要するに大量の輸入をした。ソ連においては全生産量の四分の一近くを輸入した。こういうような異常現象が起きたために、小麦が二倍、三倍、五倍とはね上がってきた。そのために日本の小麦も赤字になってきた。そういう意味で、即座にこれを穴埋めするために、いままで黒字でかせいできた——これは米と麦とは性格が違う点はこの点を私は言いたい。いままで黒字として食管の赤字を穴埋めしてきた、そのときに下げろといったら耳をかさずに、ただ、昨年から小麦が異常な値上がりをしたために上げるというようなこの姿勢、これが現在の政府自民党の国民の声に耳をかさない、国民不在の政治といわれる端的な姿があるんじゃないかと私は思うのです。米も困ります、麦も困るけれども。米と麦とは根本的に違いがある。この点に対しまして、私は断じてこれは納得できないです。このような姿勢で物価問題を取り組み、政治をやっているというならば、おそらくたいへんなことになってくるんじゃないかと思うのですが、この点は、いかがでございましょうか。まず長官からお尋ねしたいと思います。
  60. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 抑せのとおりでございまして、外麦は払い出し価格のほうが買い入れ価格より高かったわけでございまして、それによって食管の赤字を埋めていたのは仰せのとおりでございます。ところが、急激に外麦が上がりまして、三倍にもなったというような状況のもとにおいて何がしかのことをせざるを得まいと、こういう農林省の御意見でございました。まあ経企庁といたしましては、できるだけこれを下げてもらいたいということを申したわけでございましたけれども、結論的には、大蔵省、農林省の御主張に対して若干の修正をいたしまして、三五%ということにいたしたわけでございます。そこで、この問題に対するお考えをよく承りまして、貴重な御意見として拝聴いたします。まだこれは最終決定ではないわけでございます。先ほど申し上げたような事情で十分与党のほうとの連絡をいたしてまいりたいと考えております。
  61. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣がおっしゃるとおりに、最終的な結論が出ておりませんから、ここで云々私がどのように言っても結論は出ないと思いますが、やはり大臣が本気になっていただいて、少なくともいままで国民に高いものを買わせてそして政府の食管会計の赤字を埋めてきていたんですから、その埋め合わせというのは、ことばの語弊があるかもわかりませんが、これは米と麦とは性格が違うという点を、ひとつ大臣、がんばっていただきたいと思うのです。だから、まだ検討中でありますからというのはそれはわからないわけではありません。大臣、がんばっていただきたいと思います。まして、いま大臣がおっしゃるとおりに、外麦は異常な値上がりです。要するに、もう昨年ソ連や中国が小麦の不足のために買い占めて、一ブッシェル一ドル六十セントぐらいしていたのが、三倍、五倍となっているこの事実でありますけれども、幸いにもことしの小麦の生産状況はどうであるか。昨年は凶作でありました。一昨年は豊作であった。で、ことしは史上最大の豊作というような結果が出ております。オーストラリアにおきましては四十七年度は六百五十万トン、これが四十八年度におきましては一千二百万トン、八四・五%の増です。ソ連におきましては、昨年全生産量の四分の一ほど輸入しましたソ連におきましても、昨年度は八千五百八十万トン、ことしは一億トン、だから一六%増。それからカナダは四十七年度が千四百五十一万トン、ことしは千六百九十二万トン、二八・八%の増。アメリカは四千二百四十万トン、昨年です。ことしが四千六百九十九万トン、一一・八%の増。この状況から見ますと、昨年よりもずいぶんの生産量が上がっております。だから、IWCのことしの初めの予想では、四十三年から四十七年度の小麦年度の主要国の輸出ができると能力が満たされたのは六千万トン前後であったわけなんですが、これが六千三百万から六千八百万トンぐらいになったというと、ほぼ満たされるような数字が出てきております。そうしますと、いま長官がおっしゃるように異常高といわれるようなそれはもう峠を過ぎたのじゃないかと思うのです。で、米価に関する資料をここにいただいておりますが、この中でもまだ全部は下がっておりませんが、ことしの半ばごろから横ばい、あるいは一部では値下がりぎみの価格が提示されている分も出てきております。だから、こういう価格というものは、一たん値上がりしますと、なかなか下がるものではないです。だから、こういう意味で、昨年はそういうような異常高で麦が上がった、ことしは、生産量が豊作であるということから、もう一応は先の見通しは立っている段階でもありますし、いまさきの私が質問で申したとおりのことも勘案しましてこれは据え置くべきであると思いますが、いかがでございましょう。
  62. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御説はよく拝聴いたしましたが、実は私ども折衝の段階でいろいろなことがございまして、まあ理論数値から言いますと昨年からことしにかけての異常高で五割ないし九割上げるべきであるという主張が有力に存在したわけでございます。そして、その主張の根拠といたしますところは、まあ外国から買い入れるものを安く払い下げるために税金を使っておる国はどこにもないという主張であったわけでございます。そこで、私どもは、食管制度というものをとっている国もほかにないのであるから、食管制度というものをフルに生かす意味において五割ないし九割の値上げはこれはこらえてもらわにゃいかぬということでいろいろ話をいたし、落ちつくところは三五%上げと、こういうことになったわけでございますが、さらに学童給食等については今年度一ぱい据え置くということにいたしました。しかし、どうも困ったことには、もうすでに値上がり必至ということで小麦粉が雲隠れというような話も一部分伝わっておりまして、どうもはなはだこうしたことの影響はよからぬものであるという点を私も物価に関する責任者といたしまして非常に困ったことだと思っておる次第でございます。
  63. 田代富士男

    田代富士男君 まあ一向に納得のできないような答弁ですが、大臣としてもなかなか言いにくい面もあるかと思いますが、私は不満足です。私自身じゃなくして、これが東京都民あるいは国民の皆さん方がこの場でこの大臣の答弁を聞いているならば何と思うであろうかということを私は思うのです。不満足です。また、このために国民を代表いたしまして米価審議会がありますけれども、その米価審議会の答申の中にも第一点にうたわれているとおりに、お米につきましては当面物価が安定するまで、あるいは麦については国際価格が落ちつきをみるまで据え置くべきであると、こういうような答申が出されているわけなんです。だから、これは国民の声としてこういう答申が出されているし、政府がもし消費者米価あるいは麦価を値上げするならば全く答申を無視したことになると思うのですが、長官、どうですか。答申の無視、こういうことが言えるんじゃないかと思うのです。それと同時に、いまさきも申しましたとおりに、本年度は税の自然増収が一兆五千億から二兆円ぐらいある。これでまかなっても何とかいけないわけはないじゃないですか。そういう意味から、補正予算の段階におきまして組み入れていくならばこれは乗り越えていくことができるんじゃないかと思いますし、答申にも出ているし、そういうところから考えて答申を無視するのか答申を尊重するのか、そこらあたりを、いま二、三質問を連続して聞いておりますけれども大臣の率直な意見を聞かしていただきたいと思います。
  64. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) われわれは米審の答申を尊重してまいりたいと考えております。その内容については農林省のほうから説明をしてもらいます。
  65. 森重弘

    説明員(森重弘君) ただいま先生のほうから米価審議会におけるところの答申の内容について若干触れられましたが、麦の問題の関係は、二の1にこういうふうに書いてあります。「麦の標準売り渡し価格については、米価との関係を考慮しつつ、長期的にみて国際価格水準へ接近するのを適当とする。」と、こう書いてあります。したがいまして、私ども過去二十数年間、麦価の問題につきましては、ずっと据え置いてきたわけであります。その間、米価におきましては若干の値上がり等もございました。いわゆる米価と麦価の関係に非常な差が出てまいる。したがいまして、同じようなでん粉質、こういう消費構造の中で麦があまりにも安くなるということは一体いかがなものであろうか、こういう考え方もあるわけであります。まして、小麦におきましては、先生よく御承知のように、九六%というものを外国市場から買ってきておるわけであります。このような大量な買い付けしたものについて補助金等と考えるような政策をとるということは妥当であるかというのも問題でありました。答申におきましては「米価との関係を考慮しつつ、長期的にみて国際価格水準へ接近するのを適当とする。」と、こう書いてあります。  なお、麦の価格の動向でございますが、先生もよくお調べになっていらっしゃいますから、重ねて私のほうから申し上げることもございませんが、昨年の七月、一ブッシェル当たり一ドル六十セントから七十くらいの値段でございました。ことしの夏ごろから急に上がってまいりました。先生先ほど申されたように、三倍ぐらいの値上がりで一ブッシェル五ドル六、七十セントになっております。それも他のいわゆるグレーンといいますか、コーンとかその他の問題については若干値下がりをいたしておりますが、大体北米の西海岸におきますところの日本向けとわれわれが想定をいたしておりますところの小麦関係につきましては、まだ五ドル台を堅持しておる、こういう状況でございます。なお、本年におけるところの国際的な小麦の供給関係が非常によくなったということのお話、そのとおりであります。しかしながら、昨年における異常な。いわゆる不作といいますか、それをカバーするために各国とも在庫は非常に減っておるわけであります。アメリカにおきましても、カナダにおきましても、オーストラリアは特にこれは悪かったわけでありますけれども、在庫復元等を考えまして今後の需給を考えます場合には、必ずしも供給過多といいますか、需要がゆるんでくるというふうな観点は、私どもも各取り扱いの方面からの情報を集めておりますけれども、それほど緩和するとは考えない。ただし、現在の五ドル台を堅持するかどうかは、これはなかなかむずかしいところであります。あるいはアメリカあたりの生産者の団体ともよく話しておりますけれども、これはやや高きに失するではないか、こういうお話もしておりますから、これぐらいの高い水準になるとは考えておりませんが、それほど安くなるともまた考えられないと、こういう状況でございます。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話がありましたが、じゃちょっと次に進んでお聞きいたしますが、まず輸入小麦につきまして具体的に説明をしていただきたいことは、一つは、需給の見通しの立て方をどうしていくのか、それから数量及び買い付け状況はどうなっているのか、それからカナダ、オーストラリアのボードの買い付けの状況、自由市場でありますアメリカの買い付けはどのようになっているのか、まず説明していただきたい。
  67. 森重弘

    説明員(森重弘君) 私どものほうの会計には、小麦関係におきまして、主食用と飼料用と二つの勘定があります。主食用につきましてはほぼ大体三百五十万トンぐらいの輸入量を期待いたしておりますが、これはいわゆるいままでの私どもが消費いたしますところの国内産の小麦と総合いたしましてこれの消費動向を計算いたしまして総需要量を算定いたします。最近におきましては大体二%ないし三%ぐらいの若干の伸びがございます。十年ぐらい前までは非常に急速な伸びでございました。ところが、若干比較的に落ちつきを見せまして、ここ数年は二、三%の伸びだということで計算をいたしておりますが、その中でこれは国内で生産される小麦を除いたものを輸入に仰ぐという計算のしかたをしておるわけでありまして、この小麦の買い方につきましては、私どものほうで登録指定商社が二十九社ございますが、それを通じて代行買い付けをやっております。先生もすでによく御承知のように、アメリカはこれは自由市場でございますから、これはまた小麦はいわゆる国際商品でございますから、それによって買い付けをいたしますが、特徴的なのは、カナダあるいはオーストラリア——これは若干政府機関に似たようなホイートボード、カナダ、オーストラリアにもホイートボード、こういう小麦局がございまして、そことの関係において買い付けをいたしておりますが、最近はカナダ等におきましては、先生は私が参りました。ことしの夏におきましては長官が行ってまいりました。日本との大体の買い付けの見通し等の打ち合わせをして帰って、ボードと大体の見通しをつけて買い付けをやっておる。オーストラリアは昨年が不作でございまして、私どもも百万トン以上の契約を申し込みましたけれども、ごくわずかな二十万トンぐらいしか契約ができておりません。なお、ことしにつきましても、ホイートボードに対しまして百万トンぐらいの買い付けはするということで申し込みをいたしております。ですから、政府といたしましては、ボードなりそういう公的な機関があるカナダ、オーストラリアにつきましては、若干政府間の打ち合わせというものが下地に残っておるわけであります。ただし、これはFOBの話でございます。それから先はいわゆるフレート、これが関係いたしておりまして、フレートは最近に非常に高騰いたしておりまして、さいぜんは六、七ドルから十ドル前後のことでございましたが、現行におきましては二十ドル前後ぐらいのことでありまして、そういうフレートのスペースを獲得するいわゆる商社の機能活動といいますか、そういうのもあわせまして私どもは買い付けましたものを日本の輸入港における倉庫の渡しという価格で買っておると、こういう状況でございます。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話しされましたとおりに、アメリカからの買い付け、それからカナダ、オーストラリアからの買い付けにつきましては、やり方がいささか違うと思うのです。そこで、一言で言うならば、この外麦の買い付けというものは、まあことば端的に言うならば商社まかせということが言える面もあるわけなんです。それでないとするならばあとでまた質問をいたしますけれども、そういうような動きがされておる。だから、一つ例をとりますと、いまFOB価格の問題を言われましたが、アメリカの小麦を買いカナダの小麦を買って日本の港に着くまで大体四カ月ぐらいかかるということを私は聞いておりますが、まあそれより短いかわかりませんが、大体そのような長い月日がかかる。そうすれば、その時点で三カ月あるいは四カ月あるいは五カ月前に買った値段と日本の港に入ったときの値段というものはずいぶんの違いがあります。ここに資料としていただきましたこのFOBの価格を見ましても、四カ月、五カ月におきましてもずいぶんの違いがある。そうすると、たとえば十二月から、これは上げてはなりません、据え置かなくちゃなりませんけれども、仮定として麦の値段が上がったとした場合に、四カ月あるいは五カ月前に買った値段と今度は港で買う値段というものとの違いという、まあ一つの例をあげますとこういうことが商社主体としてやられているためにどうすることもできない。こういう点に対してどういう措置を講じられようとしているのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 森重弘

    説明員(森重弘君) 商社まかせというおことばですけれども、小麦は国際商品なんです。ですから、国際的な体質というのはあるわけです。そこで「まかせ」ということばの意味がよく私は了解できませんけれども、私どものほうでは直接ポートランド、アメリカのいわゆる西海岸のほう、そこに海外の買い付けの情報官というものを駐在させております。そこから公電ベースで、私どもが入札をするときには入札日にちゃんと公電ベースで価格は言ってくるわけです。それが価格になって、それをにらみながらやっておりまして、商社まかせという意味もいろいろございましょうが、ですから、価格的には私どもは十分チェックができるシステムを持っているわけであります。あるいは領事館等を通じてもその辺の情報をとっておるわけです。農務官等の情報もとっておるわけであります。なお、その辺のフレートの問題、若干船をキャッチするじょうず・へたというそれもございましょう。それで、買い付けば、私どもは、いままでこういうふうな高騰の時代でない場合、比較的安定的な価格水準であります場合にも、国際商品ですから若干のフレはございますが、役所でやる仕事でございますから平均買い付けというものをやってきておったわけです。これは、そのほうが、長い目で見たら、投機的なあれを役所がやるわけじゃございませんから、平均的な平均買い付けというのをやってきたわけですけれども、今日こういう事態においてはそのようなことがいささか買い付け方式としては妥当性を欠く面があるのじゃないかということを考えまして、さっき申しましたように、カナダなりオーストラリアについては政府が関与いたしまして、これについて大ワクのことでございますから、月々の買い付けばい数等について当たっている。それで、FOBのプライスは、小麦国におきましても。濠州におきましても。これは大体もう同じような値段で出てくるわけでございます。そういうことでございまして、一毫に商社まかせということにはあたらないかと私は感じております。
  70. 田代富士男

    田代富士男君 実は、この点につきましては、私が質問する前にいろいろ資料をお願いしたわけなんですが、資料は出てこなかった。私はもっとその問題を深く質問したかった。それで私が求める資料は出てこなかった。それで、直接この麦の問題に取り組んでいる人からいろいろな意見を聞きました。だから、いまなにでございますから、私が今度求める資料を出してもらいたい。そうして、いずれその点でまた質問をやりましょう。私が求める資料を出さずしておいてそういうことは云々と思うのです。  もう一つ聞きますけれども、昨年ソ連が一千百万トンほどアメリカから小麦を輸入しました。そのために外麦が異常な値上がりをしたことは、るるいま話をしたとおりでございますが、これも小麦の仕事をやっている人からの意見ですよ。アメリカ自身が、これだけの小麦をソ連が買い付けたということを買い付けたあとで知った、アメリカ当局自身が。アメリカ当局自身が知ったときにはもうすでに買い付けられていた。いまあなたがおっしゃるとおりに、情報官もちゃんとアメリカに置いておりますと、それで逐次情報が入ってきておりますというような端的な御説明でございますが、それであるならば、昨年の夏においてこのようにアメリカの当局ですら事後にしかこれをキャッチすることができなかった。昨年の八月の時点にこの事態に対してどういう対処をとられたのですか、それをひとつお聞きいたします。
  71. 森重弘

    説明員(森重弘君) 昨年の八月の時点のいわゆるソ連の買い付けは、総計で一千八百万トン以上あるいは各国から買っておりまして、特に、いま御指摘のあるように、アメリカからは一千百万トン買ったという情報は、これはこの間アメリカの農務省においても的確にその事前に把握できなかった、こういうことは私ども情報を聞いております。しかし、それはいわゆるソ連と向こうのシッパーにおけるところのいわゆる取引でございますから、極秘裏にやったと申せばそのとおりでございます。まあ、そういう状況に対して、比較的それがしばらくたってから値上がりが動き出してきた。昨年の夏はIWCが東京の外務省であったわけでありますけれども、その点においては、すでにソ連は買ったにもかかわらず、価格条項については何にもどこの国も触れなかったという状況でございまして、私どもも、その点については若干のそういう情報不足といいますか、そういうものがあったかと思います。
  72. 田代富士男

    田代富士男君 若干の情報不足と言ってしまえばそれまでですけれどもね。たとえばアメリカにCCCという機構があることは御承知だと思うんです。だから、こういうような機構に対しましても、カナダ、オーストラリアはボードを中心としてやっていらっしゃいますが、アメリカのやり方は違いますけれども、CCCの扱いはアメリカにおいてはあまり多量ではないかしりませんが、日本の小麦の量にするならば、それは相当する以上の現物も扱っておるわけなんですが、こういうようなところともそのように政府みずから乗り込んでいきまして対策を講じて、若干の情報不足であったかというようなことでございますけれども、ほんとうに対処していくならば対処していただきたいと思います。だから、商社のことにつきましては、私はまた後日これはやることにいたします。だから、その点はどうでございますか。
  73. 森重弘

    説明員(森重弘君) 先ほどもお答えしたかと思いますけれども、私自身が昨年の十月アメリカに行ったのです。カナダにも行ってまいりました。そこでCCCの状況等についても聞いてまいりました。それで、CCCはもうストックをすでに持たないような状況でございまして、その辺は私ども十分農務省とも打ち合わせをいたしました。ですから、向こうの担当のブランデーバーという次官補ともいろいろ話をしてまいりました。向こうの局長連中ともよく話をしてまいりまして、そういうソ連等の状況等についてのいわゆる私どもに対するインフォーメーションの不足というものも、まあ抗議といいますと語弊がございますけれども、そういうのもしてまいったわけであります。しかしながら、向こうはおっしゃるように自由市場といいますか、のことでございますから、CCCの問題は別にしまして、私どもそういうストックがあれば私どものほうに譲っていただきたいということも言っておりますし、また、私どもそのときにはすでに大部分の手当てもいたしておりまして、その辺はそれほどへたな商売をやっておるとは考えていなかったわけであります。
  74. 田代富士男

    田代富士男君 まあこれは時間がありませんから、へたな商売をやっていなかったというならば、じょうずな商売をやったといわれるように情報を集めてやっていただきたいと思います。これは私の意見でございますが、このことはまた次回に譲りまして次に移りますが、輸入小麦の売り渡し方法についてでございますが、いまも話が出ておりますとおりに、食管会計のために輸入量が限定されております。この輸入された小麦はほとんど大手製粉会社の五社を中心に割り当てられておりますが、ここらあたりで私はこれは極論かわかりませんけれども政府と大手五社でございます……(「四社」と呼ぶ者あり)まあ四社は五社も入りますわ。入れれば幾つもありますよ、それは。しかし、最近の製粉業界として中小の製粉会社は、全部地方の製粉会社はつぶれていく。だから、自然とその大手五社に集まりつつある。そういう政府とそう考えた場合に大手製粉会社とのカルテル的行為というものを一面で受けているわけなんです、極端かしらぬけれどもと言いましたけれども。それと同時に、ここで大手五社に割り当てられると、製品に限定されていると、まあこういうところから、業者、業界に公益法人によるところの上納金というか賦課金というものがばく大に取られているわけでございます。それで、このことにつきましては、利権のからむ外郭団体につきましては、公明党がたびたび各団体を問題を取り上げまして食管の問題として意見を言ってきております。それで、今後検討します検討しますと言われておりますが、このような多くの公益法人の賦課金なるものは、年間にすれば二十数億から三十億ぐらいにも一応試算して出されておりますけれども、そのような団体に対して、検討する検討すると言ってきたけれども、どのように検討されたのか。私はこの質問をする前にもちょっとそれを調べましたけれども、検討しますとおっしゃる前と何ら変わりのないような形態であるわけなんです。ここらあたりはどうなんですか。どのように検討されたんですか。
  75. 森重弘

    説明員(森重弘君) 御指摘のように、国内産の麦にいたしましても、輸入小麦にいたしましても、その流通段階におきまして各種の団体が活動していることはこれは事実であります。いずれにいたしましても、原料なり製品の性格に応じまして流通の適正化をはかると申しますか、そのために活動をいたしておりまして、その所要経費は賦課金という形で行なわれているわけでありますが、この問題について、先生先ほどおっしゃいましたように、いろいろのいわゆる御質問等もございまして、農林省といたしましても、これの許可基準あるいは経理内容等につきましてよく十分調査をいたしております。そこで、小麦の売買それ自体については直接タッチはいたしておりませんが、構成員の負担能力、賦課金というものの負担能力におのずから限度はあるわけでありまして、こういうふうに事務・人件費が高騰する中で唯々諾々としてその賦課金を出すはずはないわけでありまして、それはだから会員の方々の納得ずくでこの運営をやっておる、しかもそれは流通の適正化について十分の活動をしておるというふうに私どもは見ておるわけであります。
  76. 田代富士男

    田代富士男君 森次長、このことにつきましては、前の総理大臣でありました佐藤さん、それから前の経企庁長官でありました木村長官のときにも、こちらがいろいろ数字を提示しました。そのときに、そんなにたくさんあるんですかと、あらためてわかりましたからこれは善処しましょうと、そのように約束されておりますし、その後もこの問題は出しておりますが、いまあなたが御答弁されたことと現実とはちょっと開きがあるような感じがいたしますから、きょうあらためてあなたにもう一度検討をしていただくようにこれはお願いしておきます。後日、どのように検討されたか、いまおそらくこれはあなたの手元になんぼ聞いてもないでしょう、これはどうなっているのか。だから、これは言ってもどうにもしようがないと思いますから、後日、この問題も、いま商社の問題はあなたが申されましたが、そのときあわせましてこの問題はゆっくりと御質問をしたいと思いますから、それまでに準備をしていただきたいと思います。  それからこれは長官にお尋ねしたいと思います。もう私の質問の時間がまいったと思いますが、先日のこの委員会で買い占め防止法案が議決されましたわけなんですが、輸入小麦というものはいま言うとおりに限度があるわけなんです。そうして、小麦からパンだとかおそばだとかお菓子だとかそのようにいろいろな形に変化されていく段階におきましていろいろな障害が起きてくるんじゃないかと思うのですね。そこで、買い占め防止法案が成立したのだから、当然輸入小麦につきましても買い占め防止の特定品に追加すべきであると私は思うのですが、長官、いかがでございましょうか。
  77. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先般モチ米の問題が起きましたときにも申し上げたことでございますのですが、小麦の場合も食管法の規定物資になっておりますわけでございまして、違法な行為をとった者は食管法に準じて処断をされるべきであると、かように思いますので、食管法の運用によって国民に御迷惑はかけないようにいたしたい、こう考えております。
  78. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間が来たので、最後にもう一言。  いまさきも石油のことで話がありましたが、私も同じことになるか知りませんが、この九月から十月にかけまして、消費者米価が一九・三%、あるいは麦価が四〇%から五〇%上がる。上がると、そういうようなことがもうたびたび言われてきた。そういうことが今日のいろいろな特に麦に関係のありますパンなんかの値上げの影響が出てきているんじゃないか。いままで、パンでも、六十円あるいは七十円、八十円、百円のパンが、その中で一番安い六十円のパンは全体の三〇%ぐらいを占めていたわけなんです。ところが、この米価、麦価の話が出ましてから、六十円の一番安いパンは姿を消してしまった。もうこういう現象が起きてきている。それからパンのお菓子が、一個三十円であったお菓子が三十五円に値上がりをしています。お菓子は、昨年の五月、二十五円であったのが三十円になったところです。それがいまはもう三十五円になっています。これはまだ長官がおっしゃるように価格がきまった段階ではない。きまった段階ではないにもかかわらず、こういうような現象が起きている。だから、上がるぞ上がるぞ上がるぞという要するに政府自身のそのような姿勢というものがこのような物価高をあおっている一面があるのじゃないかと思うのです。私は、これは非常に大きいんじゃないかと思うのです。だから、六十円のパンが姿を消してしまった。お菓子が五円——まあそちらの試算によりますと、食パンにも数円程度だと、そんなに高くはなりませんと言うけれども、パン業者なんかは、五円あるいは十円単位で全部上げている。そうしますと、一番最初に私が指数でもちまして十万円の収入の家庭が四千数百円の負担になるということを示しましたけれども、その中にはいま申し上げるような数字が入っていないから、この政府の態度というものに対しましても物価高をあおっている一面があるのじゃないかと思いますが、最後に、長官として今後どのように取り組んでいくのか、決意を述べていただきたいと思います。  私の質問の時間がまいったと思いますので、これで終わります。
  79. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 最近便乗的な値上げが非常に横行しておりまして、値上げはあたかも当然のことのようにする風潮がございまして、まことに残念に思います。ぜひそういう点は国民とともに規制していかなければならぬと考えております。政府は、もとよりあらゆる手だてを使いましてそういうことがないようにいたしたいと思いますが、どうぞ国民の皆さまもさような便乗値上げが安易に行なわれることがないように御協力を賜わりたいと思います。政府のほうにどこどこでどういうことがあるということをおっしゃっていただきますれば、私どものほうで直ちにできるだけの手だてをいたします。何ぶんにも人数の限られた政府の役人でございますので、そういう目に余る状況がございますときは、特にそういう点を御通報願いたいと考えておるわけでございます。
  80. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっと速記をとめてください。   〔午後一時二十四分速記中止〕   〔午後一時四十分速記開始〕
  81. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こして。  本調査に関し、竹田君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田君。
  82. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる消費者米価等の決定に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     消費者米価等の決定に関する決議(案)   政府は、最近における諸物価の異常な高騰が  国民生活へ及ぼす甚大な影響にかんがみ、この  際、米麦の政府売渡価格を据え置くよう配慮す  べきである。   右決議する。  以上でございます。何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
  83. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまの竹田君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  84. 山下春江

    委員長山下春江君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、政府側から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小島物価局長
  85. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) ただいまの御決議の趣旨を体しまして努力してまいりたいと存じます。
  86. 山下春江

    委員長山下春江君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後一時四十二分休憩      —————・—————    午後二時十九分開会
  87. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまから物価等対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、物価等対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  88. 工藤良平

    工藤良平君 私は、時間があまりありませんので、特に物価の中でいま緊急の問題になっております消費者米価にしぼりまして小坂長官と農林省にお伺いをいたしたいと思います。  まず、最初に、先ほど田代先生からもずいぶん麦の問題で御指摘がありましたけれども、非常にいま卸売り物価、消費者物価がなお上昇の傾向にあるわけでありますけれども、その中で特に生活必需物資の上昇というものが顕著になっておるわけでありますが、それと、これから主食の関係を見てまいりたいと思いますので、まず総合的に見た場合に、一体、生活必需物資の上昇機運というのはどういう傾向をたどってきたのか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
  89. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) 最近の消費者物価の中の、特に生活必需物資の関係の値動きについてお答えを申し上げます。   〔委員長退席、理事長屋茂君着席〕  四十五年をベースといたしますいわゆるCPIで見ますと、主食は、これは自主流通米等の値動きもございますけれども、いままで特に米につきましては売り渡し価格が上がっておりませんでしたので、比較的安定的に推移してきておるわけでございますけれども、その他の食糧の中では、最近やはり野菜の値上がりがことし非常に大きくございまして、これが特にことしの消費者物価指数を悪化させた一つの原因になっております。たとえば九月の全国の数字で申し上げますと、一年前に比較いたしまして五六%という約六割近い値上がりをしておるわけでございます。ただ、これは九月が一番天候状況その他で条件が悪かった月でございまして、十月になりましてからはむしろ反落をいたしまして、秋冬物の野菜は幸いにして成育順調でございますので、ここ当分は野菜価格は比較的安定的に推移するものと考えております。  それから魚につきましては、これは汚染問題がございました関係で当時一時的に下落いたしまして、その後はじり高を示しておりましたけれども、またサンマが非常に豊漁ということもございまして、比較的安定的に推移いたしております。  それから肉につきましては、これはやはり魚の汚染から肉に対する需要がふえたということもございますし、同時に、総合飼料のえさの値上がりが非常に顕著でございましたために、特に牛肉につきましてはかなり強い動きを示しておりまして、これもただ最近はようやく輸入牛肉が大幅にワクをふやしました効果が出始めてきておるというふうに見ております。長期的には、牛肉につきましては需要が堅調でございますので、やや強いのではないかという感じがいたします。  それから果物も、これはことしは特にミカンが豊作でございますので、これからは比較的安定的に推移すると思いますが、そのほか、やはり最近の値動きで比較的に顕著なことは、加工食品というものが人件費の値上がりとか原料値上がりでかなり強うございまして、九月、十月の水準でも前年同期に対して二割以上の水準を示しております。  大体そういったところが最近の生活必需物資の値動きでございます。  申しおくれましたが、繊維につきましては、春、あの騒ぎがございまして非常に暴騰いたしまして、その後中小企業関係の賃金の上昇がコストアップに響くということで、一年前に比べますとかなりの高さになっております。ただ、これはごく最近繊維の卸売り価格がむしろ金融引き締めその他の影響で反落をいたしておりましたので、繊維の製品につきましてもかなり在庫がだぶついているという情報がございまして、今後さらにどんどん高くなるという感じのものではないというふうに理解をいたしております。  以上でございます。
  90. 工藤良平

    工藤良平君 いま大臣お聞きのように、これは私は米審に出されました資料に基づいて議論をしていきたいと思っているわけでありますけれども、総理府の消費者物価指数を見ましても、いまお話がありましたように、非食料農林産物、それから繊維、あるいは製材・木材、こういったものが非常に上昇傾向をたどっておるわけでありますが、その中で、いま具体的に野菜あるいは果物、生鮮魚介類等のお話もございましたけれども、私は、主食の上昇率というものの傾向を全体的な物価の状況からながめてみますと、たとえば昨年の物統令撤廃までの状態と、その後、特に昨年の四十七年産の米がとれました状態から新たに主食の上昇傾向が出ているわけでありますが、こういう点から考えてみまして、先ほどもお話がありましたように、私は、食管制度というものが、表面にはあまり出ないけれども、非常に大きなやはり役割りを示していたということは、この統計からもはっきり見れるのではないか、このように思うわけでありまして、その点について、特に物価を担当する大臣としては、その傾向の中から私がいま申し上げますことについてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  91. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 工藤委員仰せのとおりに私も考えます。数字で申し上げましても、CPIの総合指数と主食の指数との関係を見ますと、昭和四十七年指数を昭和四十年指数に対して見まして、総合指数が四五・一%上がっておりますが、主食指数は三八・八%の上昇になっておるわけでございまして、食管制度というものがあるために主食である米の値上がりが規制されておるということはもう疑いのない事実であると思います。
  92. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、もう一つ違う角度からお聞きをしたいと思うのですが、さっき輸入食糧、特に小麦の問題について田代委員からいろいろ御質問がありました。私もその点について非常に矛盾を感じておる一人なんですけれども、まあそれは先ほどお話がありましたから。たとえばそれじゃ飼料のトウモロコシ、コウリャン、ふすま、こういったものの上昇傾向をとらえてみると、それを使って生産をされる肉類、こういうものがやはり上昇するということは一つの傾向として私も十分に理解できるわけでありますが、その傾向についてどのように把握をしているか。
  93. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) 最近のたとえば輸入穀物をとってみますと、日銀調査の輸入物価指数で見ますと、小麦につきましては四十五年を一〇〇といたしまして一八〇・五と約八割上がっているわけでございます。それから豆類につきましては、同じく四十五年を一〇〇として一六六・二ということになっているわけでございます。  これを使いました製品の価格でございますが、ちょっとお待ちを願います。——ちょっとぴったりした製品の価格が出ませんけれども、たとえば加工食品等を見ますと、数字は省略いたしますけれども、原料価格の値上がりよりも、やや長期的に見ますとやはりそれを使った製品価格の値上がりのほうが大きいということはこれは一般的に申せるかと思います。これはやはりこういう食品を扱っております企業は主として中小企業が多いわけでございまして、そういうところはどうしても生産性の上昇といいましても、大規模生産のメリットを十分に発揮できない点がございますために、賃金が上昇いたします場合に、製品単位当たりの賃金コストがどうしても上昇する、そういう傾向もございまして、主としてやはり原料価格にプラスしてこういう賃金コストの上昇によって製品価格がさらに高い上昇になりがちであるという傾向はいなめないように思います。
  94. 工藤良平

    工藤良平君 あとは、先ほど、野菜それから畜産ですね、生鮮魚介類も非常に急激な上昇を指摘をいたしました。一五〇%程度になっているわけでありますけれども、このように日本の食糧を確保するために、外国の食糧に非常に依存をしてきた。それはここ昨年からことしにかけての急激な食糧不足のために、それを原料として使う農業生産物というものが急激に上昇してきた。これについて、これはもちろん抜本的な対策というものが私は必要だと思いますけれども、そういうような状態と比較をしてみて、さっき申し上げましたように、主食というものがあまり大きな上昇をしなかったということは、これは再三繰り返すようですけれども、私は食管制度の持つ非常に意味が大きいということをいまあらためてここで確認をする必要があるのではないか、このように思っておるわけでありますが、したがって、そういう意味から私は考えまして、今回の政府が出している政府の売却価格というものを引き上げることによって、いままで非常に重要な役割りを果たしてきたその食管の持つ役割りというものが大きくくずれていくのではないか、こういうことを私は一番心配をするのでありますけれども、その点について、小坂長官、どのようにお考えになっているか。主要な経済閣僚の一人で、米価にも携わっているわけでありますから、御見解を聞きたいと思います。
  95. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えを申し上げますが、米については、御承知のように物統令が廃止されておりますが、それでも消費者米価は半年はその後ほぼ横ばいでございまして、昨年の十月に政府の売り渡し価格を改定したわけでございます。その後も安定的に推移いたしております。ただ、最近になりまして、新米の出回り期になりましてから、上質米を中心に価格が値上がりをしておるわけでございます。これは消費者の需要がそれに向かっているといえばそういうことでもございますけれども、私どもといたしまして、標準米というものを確保しておるわけでございますから、ぜひこれによって主食の値上がりというものは標準米を召し上がることによって防いでいただきたいと考えておるわけでございます。そのことは工藤委員指摘のように、食管法があればこそでございまして、この点は非常に重要だと考えておるわけでございます。ただ、政府は生産者から買いまして消費者に払い下げる価格を安くしておるわけでございまして、いわゆるその間にコスト逆ざや、あるいは売買逆ざや、それから末端逆ざやというものが出ておるわけでございます。食管の中におきまして七千二百億円の赤字が今度は出てくるということでございまして、今年は生産者米価を一六・一%上げたので、その結果こういうことになっているわけでございます。工藤委員承知のように、生産者米価は四十三年に上げましてから二回据え置かれ、四十六年、四十七年と、こう上がっているわけでございますが、消費者米価のほうは四十三年、四十四年、四十五年と、三年間据え置いておるわけでございます。そんな関係もございまして、四十六年には五・三%上げたわけでございますが、いま申し上げたような非常に末端逆ざやが大きくなってきておる、それをほっておくわけにはいかないということで、大蔵省あるいは農林省も一九・五%上げたいというふうな話がございまして、企画庁といたしましてはできるだけこれを低目に押えたいということで努力をいたしましたが、御承知のような経緯で一三・八%上げるということになっているわけでございまして、まあ私どもといたしましてはできるだけこの価格をいまの経済繁栄の推移に基づきまする一般収入増加の中で吸収をしていただきたい、こう考えております。もとより、生活保護者の施設に入っている方であるとか、あるいは失対労務者の方であるとかという方に対しては、これを据え置きと同様の効果を生ずるような財政措置をするということをきめているわけでございます。
  96. 工藤良平

    工藤良平君 それじゃ、これは食糧庁に具体的にお聞きをいたしますが、物統令の適用前と適用後の政府の売却価格ですね、どの程度の変化がありましたか。
  97. 森重弘

    説明員(森重弘君) 物統令撤廃前と申しますか、はずす前に千五百十円ベースという一つの基準があったわけでありますが、したがいまして、それでこれが一つのまあ中米といいますか並み米みたいなものでございまして、これが今度は政府米売却に銘柄米が設定されまして自主流通米も出てまいります。そうしますと、自主流通米それ自体はこれは上米ということになりまして、これが大体二千二百円見当のものになっておるはずであります。なお、政府が売り渡します米それ自体にも銘柄米がございまして、これが若干その他の米とまざりまして千八百五十五円程度のものになっておりますし、まあ非銘柄米でもあるいは自主流通のいい品種のものと混米をされましてそのような価格になっておる。したがいまして、その辺には若干の幅が出てまいります。もちろん、このコストといいますか、政府の売り渡し価格、いま一三・八の値上げを期待をいたして諮問をいたしたわけでございますけれども、七千八百六円の売り渡し価格でございます。それが自主流通米となりますと一万円程度の価格でございますから、そのコスト差というものがいわゆる精米の価格に反映をしてきておると、こういう関係なんでございます。
  98. 工藤良平

    工藤良平君 じゃ、もう少し具体的に聞きましょう。今度のこの資料でいきますと、四十七年の九月まで米の消費者物価指数の動向を見てみると、四十五年を一〇〇といたしまして一〇二・七ということで来たわけですね、最高で一〇二・七ということで来たわけです。ところが、十月といいますと、大体新米が出回る時期なんです。いわゆる物価統制令が解かれて初めて新米が出てきたその昨年の十月から急激に上昇を始めているわけですね。一〇二・七が一一〇・三ということになっております。大体秋の新米に取りつくときに新米ということで高く売り出されてそれが一般的な価格になっている、それが統計的にここにあらわれてきているわけですね。政府の売却価格というものはあまり変わらないわけでしょう。小売りのほうが、いま言う消費者価格が非常に急上昇を始めたというのは一体何を意味するのか、その点をお聞きしましょう。
  99. 森重弘

    説明員(森重弘君) 物統令の適用撤廃はことしの四月でございまして、新米の時期とは若干のズレがございますが、したがいまして、まあどちらかといいますと、標準価格米の価格の構成といいますか、私どもが売却する場合のマージンの見方等の問題がございます。大体、卸、小売り合わせまして一割二分ぐらいのマージンを見ておりますが、それが現行のいわゆる自主流通米等の動向を見てみますと、あるいは二割程度のものを見ておるのかもしれませんが、全国平均で一割七分ぐらいのいわゆるマージン比率でございます。そういう一つの形態といいますか、販売業者のそういうものも漸次価格に物統令廃止によって顕現化したということもあるいは言えるのではないかと思います。
  100. 工藤良平

    工藤良平君 あなたはいま変なことをおっしゃったけれども、新米が出る出回り期に——物統令は昨年の四月に解かれたわけですね。だから、その後、まあこれは夏場ですから、あまり新しい米は出ませんから、いわゆる従来の傾向でいったわけです。それは食管制度はあったけれども政府米はあったけれども、自由に売られておった。これは本来取り締まるべきものですけれども、そのまま自然の成り行きにまかしていた。その実勢価格というものがかなり動いておったことは事実なんですね。それで推移をしていって昨年の十月の新米に取りついた時期で急激に上がった。それは、上げても別に自主流通米という制度がありますから、物統令を解かれたわけですから、幾らで売ろうとそれは制限がないということになったわけですから、それはそれなりの——物統令をはずしたわけですから意味はわかりますけれども、しかし、急激にここでやっぱり上がった。さらに、本年度、すでにいま平均二千三百円あるいは二千四百円、二千五百円ということで十キロ当たりの米が売られているわけです。またすでに一〇%程度の米が上がっているわけであります。私は、その新米の出る時期に急激に上がる、それがそのまま推移していくということをあなたたち認めますかということを聞いておるわけです。
  101. 森重弘

    説明員(森重弘君) 昨年の新米の時期の問題でございますけれども、すでによく御承知のように、昨年の九月二十八日から米価を上げさしてもらっておるのです。これは七・八%。ですから、この分だけはこれはやはりコストが上がるわけでございますから、これはまあ上がると、こう見てさしつかえないと思いますが、今回の近時の値上がり、まあ百円ないし百五十円あるいは多いところで二百円ぐらいの値上がりを見るというのは、いわゆる生産者価格を一五%、あるいは銘柄格差を入れますと一六・一%ですけれども、それだけ上がりました。それで、私どものほうでも大体二百五十円の補給金をつけておったのを千円を足して二百五十円出しておりますが、要するに上げ幅だけ補給金も出しておりませんし、三百四十円ぐらいは若干足らないわけなんです。したがって、それがコストを上げる一つの要因になりますし、なおかつ、事務・人件費、あるいは運送といいますか、その辺の中間の若干手数料等もございましょうが、それよりも若干上がりまして、このごろは先生おっしゃいましたように百円ないし百五十円あるいは二百円上がったところもある、こういうふうな理解をいたしております。
  102. 工藤良平

    工藤良平君 昨年政府の売却価格七・何%も上げましたか。
  103. 森重弘

    説明員(森重弘君) 七・八でございます。
  104. 工藤良平

    工藤良平君 七・八上げましたか。それは銘柄米を含めての話ですか。
  105. 森重弘

    説明員(森重弘君) そうです。たしか、私の記憶に間違いがなければ、九月二十八日に上げました。
  106. 工藤良平

    工藤良平君 四十七年の十月に政府売却価格は平均いたしまして七千八百四十六円、これは農林省の資料ですよ。四十八年の八月の予定ということで七千八百六円という数字が出ているわけであります、政府売却価格の。これはどういう意味ですか。
  107. 森重弘

    説明員(森重弘君) 九月二十八日に上げて告示をいたしまして、十月からこれは現実に上がるわけですが、それ以前のものは上がってないはずなんですが……。
  108. 工藤良平

    工藤良平君 農林省の統計を見て言っているんですよ。いいですか。もう一ぺん言いますよ。この資料の一ページに、たとえば四十七年の七月に七千三百十七円、四十七年の十月に七千八百四十六円、四十八年の八月が七千八百六円と、こういうことであまり売却米価は実際には動いていないじゃないですかと、こう聞いているんです。あなた、あまり小さく考えるからわからないんですよ。経験で言っているんです、この数字で。
  109. 森重弘

    説明員(森重弘君) ですから、十月一日からは上がるわけですよね。この一二ページの政府売渡価格の四十七年七月は七千三百十七円ですよね。それから四十七年の十月は七千八百四十六円と、こう記載してあるはずでございますが、それが私が言った九月二十八日に告示したのが十月五日適用ですからそれがそれだけ上がったと。平均をいたしますと七・五%ですか、計算ではこうなっております。
  110. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、自主流通米の価格ですね、これがいま大体平均どれくらい売れていますか。
  111. 森重弘

    説明員(森重弘君) 全国平均でいまさっきも申しましたが二千二百円と、こういうふうに見ております。
  112. 工藤良平

    工藤良平君 二千二百円ですね。それでは、政府売却価格の中で最高の米の値段で、たとえば特定銘柄の一等の品物を政府が売却をした場合に、それを二千二百円で販売をしたとしますか、そのときに一体利潤がどれくらい出ますか。
  113. 森重弘

    説明員(森重弘君) いま直ちにそういう計算をいたしかねるわけですけれども、一番私どもが銘柄として売っておりますものは四百円高でございます。ですから、七千八百円に四百円を足して、等級間格差が百六十円ずつございますから、一等と申しますと三百二十円を足します。したがいまして、七百円ぐらいは高くなりますね。八千六百円ぐらいになりますが、それから計算をいたしますれば、相当な利潤が出てくると、こういうふうに考えます。
  114. 工藤良平

    工藤良平君 相当な利潤というのは、一体、どういうことをさして言いますか。たとえばいま二千二百円で一俵当たりに直して計算をしてみなさい。これは概算できるでしょう、そこで。一万幾らになりますか。
  115. 森重弘

    説明員(森重弘君) しばらくお待ちください。
  116. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、その計算する間にちょっと続けましょう、時間がありませんから、計算が出るまで。  この俵、(現物を示す)これはまあ特殊な米だと私も思います。これが普通あってはいけないわけですけれども、これは水戸市の京成デパートに売られている米なんですね。これは福俵米ということですから、まあ特殊のお祝いに使うのだろうと思いますけれども、小坂長官、これは一体幾らすると思いますか。これは八キロ入りなんです。わからないでしょう。八キロ入りで三千二百円、十キロに直して四千円なんです。四千円の米なんです。十キロ四千円ですよ。いまは二千二百円の話をしているのですけれども、これは四千円で売られているんです。私は米を調べてみました。私はずっと前検査員をしていましたからこれを調べたんです。そして、調べたら、これは品種はホウネンワセです。ホウネンワセといいますと、水戸市のあの茨城県ではホウネンワセというものは銘柄米ではないわけでありますから非銘柄米ということになります。そうすると、本来であるとこれは政府の標準価格米として消費者に渡る米なんです。いいですか。ところが、これが本来からいうと千六百円で売られる米が四千円で売られているんです、四千円で。これは一体どのようにお考えですか。ちょっと驚きませんか。これを売ったとしても、しかしこれは取り締まり規則はありますかありませんか。
  117. 森重弘

    説明員(森重弘君) ただいまお示しの化粧俵入りの八キロの米でございますが、私どもがさっそく茨城の食糧事務所に命じまして調査した結果、包装価格、これは熊本県産のイグサでつくられたものだと思いますが、これが店の御主人の話によりましても千四百四十円ということを申しておるわけであります。したがいまして、中身の価格が千七百六十円、これをですから十キロベースに直しますと二千二百円と、お米の値段だけはそういうことになろうと思います。  なお、中身の問題は、ただいま先生ホウネンワセということでございましたが、私も現実にそれを見ました。若干のそういうあれもありますけれども、精米になっておる過程ではこれをホウネンワセ単独のものと断言はできない、あるいは、店の話も信用すれば自主流通米も若干入っておると、こういうことでございますから、私どもが非銘柄米として考えておる価格そのものに対応するかどうかは判然といたしかねる、こういうことでございます。
  118. 工藤良平

    工藤良平君 食糧庁の人たちが頭を合わせてこの米を見てもホウネンワセかどうかわからない、何が入っているかわからない。もちろん、自主流通米が入っているかもわからぬ。しかし、店の人はこれは、茨城県産のホウネンワセですと言っている。茨城県産のホウネンワセというと、これは銘柄米ではないわけですから、非銘柄米ですね。本来千六百円で売られるべき米なんです。それをたとえ二千二百円といたしましても、これは十キロ当たりについて六百円の実は不当な利益を得ているように私は思います。おそらくこれは政府が売却した米でしょう。あなた、いま、この包装を千四百四十円、まあ千四百四十円かかったかもわかりません。これを見てみなさいよ。これは幾らのイグサを使っておりますか。ちゃちなものですよ、この中は。これが千四百四十円もする。こんなものが不当に売られるということは、これは、小坂長官、どうですか。これをちょっと持って行って見せてください。これを見てください。穴があいてですね、確かに。イグサだって幾らのイグサも使っておりませんよ。大分県でいまつくっておりますけれども、一束当たり一万円ぐらい、畳表にしてもそれくらいしかしないんですよ。どうですか。かっこうは確かにいい。
  119. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いや、ちょっと驚き入りました。はなはだ好ましくないことであると思います。
  120. 森重弘

    説明員(森重弘君) いまイグサの問題だけでなくて、プラスチックの何か包装容器に入っておりますけれども、この種のものは通常消費者が買って食べるというようなものではないのではないかという感じもするわけであります。これはまあ贈答用というと食管法上語弊がございますから、自分の家に買って新米のいわゆるかざりみたいなものにいたすかどうかわかりませんが、私どももこれを通常こういう販売形式で売られることには非常に疑問があると、こういうことでございましたから、直ちに事務所長に命じて、この店に対してこういうことは中止するよう勧告をいたしたわけであります。
  121. 工藤良平

    工藤良平君 まあこの米は確かに特殊かもわかりません。しかし、こういう米が出回っているということだけは事実なんですね、四千円で。これが千四百四十円も包装代がかかるなんということはとぼけた話なんです。こんなことを認められること自身、小坂長官、これはひとつあとで十分に検討していただきたいと思う。私は問題があると思いますけれども、時間がありませんから先を急ぎます。要は、こういう米が出回っている。東京をいま回ってみなさい、次長。私この前言いました。いままでは十キロ何ぼという単価で出ておったんですよ。ところが、米屋に行きますと、近ごろ十キロ幾らじゃないんです。一キロ当たり二百三十円、一キロ当たり二百七十円ということで表示がなされているんですね。単位を一キロ当たりにして表示を始めたんです。そして、自主流通米の最低が二千三百円、平均して二千五百円から二千七百円ということで近ごろ売り出されておりますよ。そこで、私が言いたいのは、ここでいま政府の売却をした価格でもって幾らに売ってもよろしいということになってしまったわけです。幾らに売ってもよろしいということになってしまった。しかし、それは、小坂長官、先ほどいわゆる標準価格米があるから、これは千六百円で売っているからそれを買えばいいじゃないかと、こうおっしゃるのです。ところが、これがぐんぐん消費傾向が落ちてきている。これはなぜなのか、長官はどのようにお考えですか、なぜそれが落ちてきているのか。
  122. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まあいろいろ説がございまして、中身が悪くなっておる。すなわち、銘柄米に準銘柄米というものができて、そちらのほうへ内容が移動しておるので、入っておる内容が悪いのだという説もございます。ただ、それと同時に、米というものは、とぎ方、たき方によってずいぶん味が違うと私は思います。何か高いものはいいものだというようなそういう妙な見解も災いしておるのじゃないかというふうに思います。
  123. 工藤良平

    工藤良平君 それは、米のたき方の講釈をしますと私のほうが詳しいと思うのですけれどもね。米をといで二十分ぐらいおいて、そしてできるだけ強い火でたいて、スイッチが切れたら三分ぐらいして一応まぜてやって、そして火蒸しをするとたいへんいい飯ができるんです。そうすると、この標準米でも、自主流通米よりもっとおいしい御飯ができることは私はもう十分知っているんです。知っていますが、いま言うように、問題は、標準価格米がどんどん需要が減ってきたというのは、農林省が政府の買ってきたお米を銘柄米として別に出して標準価格米については非銘柄米でもってつくるというような方向を出してきたために、みんなやっぱりまずいということでこれが消費傾向が減っているわけです。   〔理事長屋茂君退席、委員長着席〕 私どもの生産県では、標準価格米はわずかに二〇%しか売れていないわけですね。そうすると、政府が五百四十万トンも買ってきたけれども、その中で実際に標準価格米として使われるのは二百万トンそこそこであって、三百万トン近くのものはそれが自主流通米として二千二百円あるいは二千三百円という形で私は売られておるというように判断をいたします。間違いないと思います。時間がありませんから。  それで、いま私は計算をしてみました。農林省のこの平均のいまの自主流通米の価格をとりまして、計算をして二千百幾らという価格でとりまして、最高政府がいま銘柄米の一番いい米を売却をしたとして計算をいたしてみますと、幾らの食管会計でむだがあるかということを計算をしてみました。大体それで計算をいたしまして約一千億から一千二百億の全くむだな金が消費者のためにも生産者のためにもならないような形で使われているという現実が計算上出てくるわけであります。それをたとえば二千七百円で売ったとするならば千九百億近くの宙に浮いた幽霊の実は金がどこかに流れているという計算が成り立つわけであります。それは、言いかえますならば、政府が売却する一つの価格をきめておきながら、小売り価格を野放しにしてしまったというところにたいへん大きな問題が起こるわけであって、せっかく三千四百億というばく大なお金を本年度食管会計につぎ込んだけれども、そのうちの三分の一はどこかに消えてしまったと言っても私は言い過ぎではないというふうに計算が出てくるわけでありますから、そういう点からいたしまして、やはりここで消費者価格の物統令というものをはずしたことの非常に誤りであったということ、これをやはり政府としてはもう一ぺん考えてみる必要があるのではないか。そういうことを考えなくて、いま政府の棄却価格を幾らにしようなんということを論議してみても、まさにナンセンス、おかしな話だと私は思うのですが、そういう点については、長官、どうでしょう。
  124. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいまの御意見は、確かに一つの御意見だと思います。ただ、よく私どものほうへもそういう話を伺うのでございますが、米屋さんが混米の自由というのですか、適当に標準米として配給を受けて売るべきものを、自分のほうでかってに他の銘柄米とまぜて利得を得ていると、こういう話も聞きました。そこで、政府としまして、ことに物価関係をやっておりますのは局長以下実は三十二名でございまして、いかにも人数が少ないのでございますが、そういう事情がありましたら、おっしゃっていただきまして、私どもは誠意を傾けてそういうことのないように努力したいと考えております。
  125. 工藤良平

    工藤良平君 これは私は去年の予算委員会でもその点をずいぶん指摘をしたわけでありますけれども、当初から農林省内部におきましても、ある局長は、やはり一千億程度は全くむだにどこかに行ってしまっているという指摘まで実はありました。私もそのとおり計算をしてみると出るわけでありますから、これはぜひひとつ今回の米価決定におきましても、たとえその結果が据え置きになっても、あるいは値上げをするにいたしましても、その効果というものが消費者には行かないということ、そのことは私は十分に指摘してもいいのではないかと、このように思うわけでありますが、私に与えられた四十分という時間がまいりましたから非常に残念で、またこれは機会を改めていろいろと議論をしてみたいと思いますけれども、そういうことならぜひひとつ物価統制令の問題については再検討していただく、そうしてもし国民が多く良質の米を食いたいということであれば、いま、検査、売却は非常にこまめに、私はここに表を持っていますけれども、幾つにも分かれて売却が行なわれているわけであります。しかし、出てきた米は二、三種類しかないという現実でありますから、そこにも実は問題は起こってまいります。ですから、私はあえてこの問題についてはぜひ再検討していただきまして、もし上質の米を必要とする人があれば、いわゆる標準米にプラス売却する際に銘柄加算をつけたそれがプラスとしていくという程度のものでいいのじゃないか。それがいまこう物価が上昇しているときにせめて国民に与える政治としての良心ではないか、私はこのように思います。そういうような意味から、さっき長官も田代さんの質問でも言っていましたけども、食管制度があるのは日本だけだと。日本だけでありますから、それを生かして、いまこういうものをきちんと国民に還元をしてあげるということが政治の本筋ではないかというように考えますので、そういう点を指摘をいたしまして、最後に長官からもう一ぺんこの物価統制の問題について考え直す、そうしなきゃ、こういう四千円もするような米が不当に出てくるということでありますから、そういう点についての御見解をいただきたいということと、さっき田代さんのときに、麦のパンとかあるいは加工品が非常に上昇している、そういう点については食管法の適用でもって規制ができるというお話がありましたが、そういうことができるかどうか、その点もちょっとあわせてお聞きをしておきたいと思います。
  126. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実は、米の物統令をはずす際におきまして、いろいろの議論がございました。結局、消費者の嗜好が多様化するのだから、それに合うような形で考えたらどうかということになったわけでございます。と申しまするのは、御承知のように、非常に米穀生産が大量になりまして、そのために米が過剰になっている。そこで、良質米を生産することによって、過剰を少し中和できるのではないかというような議論でございまして今日の状況になっているわけでございます。しかし、御指摘のように、非常に良質米に対する需要が強くて、その値開きが大きくて、そこでもうけたい一心からそういう混米による不当な利益を得るという問題が出ていることは、御指摘のとおりだと考えます。したがいまして、これについて何らかの適当な措置を消費者のためにもとる必要があるし、おっしゃるとおり政府が出している金が消費者のためにも生産者のためにもなっていない、中間業者が不当なマージンをこやすだけであるということでありますから、その点はよく考えてみたいと思います。  それから小麦粉を不当に扱って利得をする者もあるから、これは買いだめ売り惜しみの法律の適用品目にしたらどうかということに対して、私は、食管品目であるから食管法の適用によって不当な扱い方は排除できるということを申し上げましたわけですが、さように私ども考えておりまて。ちょうどモチ米を操作して何か利益を得ようとして思わざる非常な非難を受けた人があると同様なことで処断できるというふうに考えております。
  127. 工藤良平

    工藤良平君 長官、私はこの問題でことしの分科会でも田中法務大臣とも議論をいたしたところでありますけども、食管法、それから規定規則の中で、不当にそういうことをやった場合には業者に対してきびしい処置をする、営業を停止することもできるわけでありますから、物価の監視をする大臣として、しかも実力大臣でありますから、あまりあっちこっち変なところに行かずに、ひとつ国民のほうを真剣に向いていただいて最大の努力をしていただきたい、こういうことを私は特に最後に要請をいたしまして、非常に時間がありませんから残念ですけれども、これで終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  128. 村田秀三

    村田秀三君 私も物価問題で質問をいたしますが、私の時間は三十五分であります。ところが、何から申し上げていいかわからないほど多くの問題があるわけなんです。私の友だちの母親でありますが、もう七十過ぎたおばあちゃんですが、トイレットペーパー一包みきり売らないというので、一日ひまをかけて数軒の店屋を歩いて買い集めてきたという話もあります。そうかと思うと、きのうの新聞を見ますと、灯油をドラムかんで十数本買いだめて軒下に並べて置いたら、消防署から撤去命令を受けた、これは当然でありますけれども、そういうような状態です。それだけでなくて、バターやチーズも、その辺の店に行きますると、むしろ品物がないというような、そういうような話なんかも聞くわけでございまして、この状態はこれはただ単なる物価上昇、一つ一つの品物についてこれがどうだというそういうような考え方に立つべきなのかどうか。これはまさにパニック状態、恐慌状態だ。国民はその生活に極度に不安を感じておる。むしろ、戦後のインフレ期は、インフレはインフレとしてそれは問題視しておっても、もともと物がないんだからやむを得ないということで配給をするそれに甘んじていたという状態であった。いわば心理的にいって今日ほど不安感を持っておらなかったと私は思うのです。今日の状態は、まさにこれはパニック、恐慌である。一体、この責任はどこにあるのだろうか、なぜこうなったんだろうか、実はこう思うのでありますけれども、一々それを一つ一つ詰めるわけにいきませんから、きょうは灯油の問題——石油の問題ということになりますると、非常に問題が大きくなります。もちろん、そのうちの灯油でありますから、これまた関連するわけでありますけれども、灯油を中心にしながら、その他紙の問題にも一部触れまして、まあその対策等について承知をいたしたいと思います。  なお、ふろしきを広げまして、外務省、公取、いろいろおいでをいただいておるはずでありますが、どうも三十五分の間でそれらのお呼びいたしました方々に対して十分に質問できるかどうか、私も非常に懸念を持っておりますが、ひとつこの点はお許しをいただきたいと思います。  そこで、まず初めに、灯油の実勢価格ですね、きょうの新聞に出ておりました、十二日現在ですね。きのうは石油部から来てもらいまして若干この問題について討議をいたしましたから、私は承知はいたしておるつもりでありますが、まず初めに、その実勢価格をひとつお答えをいただきたいと思います。
  129. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 昨日、通産省が実施しておりますモニター調査によります十月の調査結果を発表いたしたわけでございますが、これは全国平均いたしまして十八リッターかんで四百十円という価格になっておるわけでございます。ただ、灯油の価格は、先生御承知のように、地域によりましてかなりの差がございます。地域別に見ますと、沖繩の四百六十五円、これに次ぎまして仙台の四百三十四円が高い部類でございますが、あと四国が三百九十五円、それから東京、名古屋が大体四百円と、こういうことで調査が出てまいっております。  以上、概要だけ申し上げます。
  130. 村田秀三

    村田秀三君 まあこうやってやりとりいたしておりますと時間がかかりますので、私が調べました数字等について間違いがあれば御指摘いただくといたしまして、こちらの考え方をひとつ述べてみたいと思います。そこで、いま、実は、これは末端価格のモニターによる調査実勢と、こういうことでありますが、私どもが聞いておりますのは、エネルギー庁は元売りを九月の段階において凍結をした、こういうことを聞いております。そして、それは一万二千八百九十八円である。確かに元売りは凍結されましたけれども、しかし、実際に、では小売りの段階においてどうかということになりますると、これはいま出されましたところの小売り価格というのはたぶん十月の価格であろうと思うのでありますけれども八月と九月、これを見ましても相当に上がっております。そして、私が新聞紙上で知り得ました末端価格でも、これは二百八十八円から五百円という数字が出ております。どうしてこういう差があるんだろうかということ。それと、普通の商品ではあまり考えられないと思うのですね。確かに、これから雪が降る、雪道を輸送するのに、あるいは運搬するのに金がかかるとかということもいろいろありましょうけれども、しかし、同じ地域においても非常にばらつきがあります。これは旭川の例でありますけれども、同じ旭川地域の中でAという商店では三百六十円、これはまあ十八リットルです。Bという商店は五百円、大体旭川等では三百六十円から五百円の間を歩いている。私はふしぎに思うのには、これは何かこの小売りの段階に対して元売り、メーカーが介入しているのじゃないか、こういう疑いを持つわけでありますが、実際にそういうことがあるのかどうか、これをひとつ石油部長のほうで把握しておるかどうか。  それからまた、公取委にも来ていただいております。これは十一月二日の新聞でありますけれども、仙台の「宮城県石油商業組合を、石油類の価格協定をめぐる「独禁法違犯」の疑いで立ち入り調査、仙台地方事務所で、証拠書類の審査を進めている。一日までの審査で、灯油、ガソリンなど石油製品の価格協定は、大手メーカーや特約店が“村八分”的な制裁で零細販売業者をしめつけ、競争制限をはかろうとしたことがわかった。」と、こういう書き出しでございますけれども、これは事実かどうか。と同時に、公取委に重ねて聞きますが、これは単に宮城だけの問題ではなくして、山形県でもそういう話も聞きます。全国的な傾向ではないかと実は思うわけでございまして、つまり、メーカーが、十三社が、あるいはいろいろとり方がございまして、特約店という言い方をしているようであります。その特約店の段階で末端小売り価格の価格統制を強制しておるのかどうか、こういう点についてお伺いをいたします。これは双方からお伺いいたします。
  131. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 実は、灯油の販売店と申しますのは全国で十三万店ぐらいございます。そのうち、特約店が二万四千店、その他いわゆる薪炭の卸、あるいは薪炭小売り、あるいは通常の小売り店というような非常にまちまちの販売形態でございまして、私どもとしましては、これらの販売店につきましての実態につきましては、できるだけ把握するように最大の努力を講じておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のような元売りから特約店への価格指示といったようなことは、いやしくもそういうことがないように戒めておるわけでございまして、私どもとしましては、そういう事態がわかりましたら、直ちに公正取引委員会ともお打ち合わせをいたしまして所要の措置を講ずるようにいたしております。
  132. 吉田文剛

    説明員吉田文剛君) 小売り店のいわゆるやみカルテルに元売りが介在しているかどうかという御質問でございますが、小売り商の石油製品等に関するカルテルに元売りが介在するものもあり得るというふうに考えられますけれども、現在、石油関係のやみカルテルにつきましては、事件として九件を審査中でございます。その中に、仰せの宮城石商の事件もございます。宮城石商の事件につきましては、昭和四十八年、ことしの十月二十三日から二十六日までに二十カ所にわたって臨検検査をいたしまして現在審査中でございますので、その内容につきましては、元売りが関与しておるかどうかということにつきましては、審査結果を待たなければ何とも申し上げられないわけでございます。それから全国的に関与しているということも考えられますが、現在、先ほど申し上げましたように、九件について審査中でございます。審査中の事件については、事実の有無、法令の適用についてはこれは申し上げられないということに独禁法三十八条でなっておりますので、審査が終わるまでお許しをいただきたいというふうに思います。
  133. 村田秀三

    村田秀三君 この「朝日新聞」を見ますと、「証拠書類の審査を進めている。一日までの審査で、」と、こうなっていますね。だから、これは仙台で審査している一部が新聞に流れて、ここでそれを述べることはできないわけですか。新聞に書かれておるようなことも実はあるようですと言い切れるかどうかですよ。そのほかにも私はあるんです。だから、ひとつそれを言ってもらいたい。
  134. 吉田文剛

    説明員吉田文剛君) 先ほど申し上げましたように、現在、事件としてこれは審査中でございますので、まだ証拠を固めたり、供述をとったり、いろいろ審査の活動をやらなければなりませんし、まだ終わっておりませんので、いまの段階ではそれが事実かどうかはちょっと申し上げられないわけであります。
  135. 村田秀三

    村田秀三君 それじゃ、これ以上追いませんけれども、これは北海道の旭川で市役所の担当者とそれから業者の話し合いをした記録があります。時間があれば内容的に相当突っ込みたいわけでありますけれども、きょうはありませんから、その部分についてのみ申し上げますが、「メーカーは、灯油が品不足の傾向にあるため、北海道まで持って来なくても本州でいくらでもさばける。昨年は全国一旭川が安値であったため、一段と旭川が締められて、安売りをするなら売らなくても良いと言われた。」そして、「メーカーの価格指導という事が末端価格まで及んでいる。」と、こう弁明をしておるわけであります。でありますから、確かに、北海道は、本州よりも離れておる。輸送費が高い。しかし、輸送費はかけてあるはずですわな。だとすればこれは仙台で行なわれていることが決してうそではないと私は思う。あなたはいまここでは発表できないということを言っておりましたが、そうしますと、これは単なる北海道やあるいは仙台の一地域だけの問題ではなくして、これは全国的に少なくともこういう傾向があると私は思います。そして、きのうの新聞でありますけれども、富山県の石油商業協組が、いわゆる値上げムードのホットのうちに熱いうちに早く手をつけろと、こういうことがやはり新聞記事ではありますけれども出ておりますね。新聞にちゃんと名前まで出して書いてあるんですから、まさかうそを新聞は書くとは私は思いませんけれども、そういうことで、いわば、それは富山県の石油協組だけの問題かもしれませんが、とにかく何らかの形で相当にこれは介入をしている。  もう一つ例を申し上げますが、これは福島の例であります。消費組合が八月ごろ地域の小売り業者と契約をいたしました。三月までは品物を続けますよと価格も決定をいたしました。そして、いざ寒くなるこの十一月になりましてから、十月の末に、にわかに数量は半分にいたします、これはメーカーからのお達しでございます。割り当てでございますということで、一日およそ四百かん配達をしなくてはならない需要があるにもかかわらず、二百かんでとどめておかざるを得ない、こういう問題が出ておりますね。だから、私はここで聞きたいことは、また、石油部長は、もしあるとすればこれは厳重に排除をしますと、こういうことをおっしゃられた。責任を持って排除することができるのかどうかということです。  また、公取といたしましても、いまのようなあいまいなことで来春になって雪が解けての話ではこれはしかたがないのでありますから、審査は早急にして、そして直ちに仮ストップをかけるなり、メーカーに対して厳重に申し入れをするというような適切果敢なやはり措置をしてもらわなくてはならないと思います。  長官も、まあたいへん言いづらいことでありますけれども、午前中からの答弁を伺っておりますると、まあ熱意がないなどというようなことは私は言うつもりはありませんけれども、何かしらどう答えていいのやら迷っておるというようなそういう態度が見受けられます。質問しようとしておる各委員のその熱意にこたえるところの迫力というものが非常に少ないという感じを私は実は受けているわけです。これはいけないと思うのですね。そういうことも含めて、ひとつ公取とそれから石油部長の確たる答弁を求めたいと思います。
  136. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 私どもといたしましては、すでにたびたび元売りの団体でございます石油連盟並びに石商の団体でございます全石連というのがございますが、そこを通じまして、いやしくもやみカルテルといったようなことが行なわれないように厳重に申し渡ししてございます。全国の各府県の石商にもその旨を通達するように指導いたしておるわけでございます。先ほどの仙台地方で公取のほうで御調査されております件はたいへん遺憾に存じておりますが、私どもとしましては、そういったことがないようにこれからも指導してまいりたいと、かように考えております。  なお、先生いま御指摘がございました中で、たとえば富山県のお話が出てまいりましたが、私どものほうとしましては、全国におきます灯油の値段につきましては、通産局を通じまして毎月の実態調査を今後やるということにいたしまして、なお、県とタイアップいたしまして各県におきましてもそういう体制をとっていただくということをすでに実施をいたしておりますが、富山県におきましては灯油相談所というのを設置いたしまして、しかも、それは、県のみならず各市町村でそういう相談所を設けまして、いわば消費者の方の監視と申しますかの御協力を得ていろいろな問題についての苦情を持ち込んでいただく。あやしいと思ったものは直ちに価格調査官を派遣いたしまして調査をする。こういう御協力を得なければ、全国的なこの価格値上げに対しましては私どもとしましても捕捉しがたい点もございまして、各県の御協力を全部得てやっている次第でございます。  先般、元売り段階での価格凍結を実施いたしましたのは、灯油の値段というのは季節性がございまして、毎年八月がいわば一番低値でございます。十二月が一番高値になるというのが例年のサイクルになっていたわけでございますが、ことしは八月に入りましてもそれほど下がらない傾向が見えました。それで、需要期を前にして私どもがこれはいけないということで凍結を九月に実施したわけでございます。最近の原油の削減状況といったものが新聞にいろいろ出ますので、そういったいわばムードなりを利用しての値上げといったようなことがややもすればあり得る話でございますので、私どもとしましては、そういう便乗値上げと申しますか、風潮に便乗した値上げは極力しないように、各石商を通じまして指導を今後とも十分やってまいりたいと考えております。
  137. 吉田文剛

    説明員吉田文剛君) 先ほど九件を現在審査中と申し上げましたが、これは訂正をいたしますが、昭和四十八年度に開始した灯油等のやみカルテル事件の件数が九件ということで、そのうち五件はすでに勧告審決を行なっております。現在審査中のものが四件ということでございます。  で、勧告審決をやりましたのは、香川、兵庫、長野、島根、京都等のこれは石油商業組合の県単位の組合あるいは支部でございますが、この中には、元売り関与という証拠は出てきておりません。大体灯油等の価格協定でございます。  それから現在調べております宮城県等のものにつきましては、これは元売りが関与しているかどうかという点も含めまして審査をいたしたい。それから審査の時期は、これはできるだけ早くいたしませんと時期を失しますので、早急に結論を出したいというふうに考えております。
  138. 村田秀三

    村田秀三君 石油部長にこれは強く望んでおきますが、つまり、通産省としては、石油は供給はもう万全であると、昨年よりも相当数量灯油は備蓄されておると、こういう話でございます。だとすれば、中東の情勢がどうの——これは現実にあるようでありますから、別途論議をいたさなければならない問題でありましょうけれども、そういうことではなしに、これは価格も安定をされるべきであろうし、また、契約したものが割り当てで供給が削減されるなどというようなことがあってはならないと思うのですね。事実そういう問題があれば、早急に措置いたしますか。
  139. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) そういった苦情につきましては、直ちに措置をするつもりでございます。従来もいたしております。
  140. 村田秀三

    村田秀三君 外務省の方、来ておりますか。——おいでをいただきまして一問か二問でまことに恐縮であります。そうしてまた、この石油問題は外交問題が重大な影響を及ぼしておることは、いまさら言うまでもありません。そこで、毎日新聞を見ておりますると、OPECが生産制限を命じたとか、あるいはメジャーが供給削減を通告をしてきたとか、あるいは値上げを通告してきたとか、こういうことが連日のようにこれは新聞に出ておるわけですね。外務省として、これは自由貿易下におけるところの取引であるから、外務省は一々そこまで関与いたしませんというのかどうか知りませんけれども、そういうことは一々外務省は確認をいたしておりますか。それと同時に、きのうの新聞を見ますと、大平外相は、キッシンジャーアメリカ国務長官と会談をする際の態度として、日本の外交政策というものは、これまでもアラブ寄りを表明はいたしておりましたけれども、中立的な態度というものを変えて、親アラブ政策に転換するのではないかと、こういうこれは「読売新聞」をいま私は持っておりますけれども、大かたの新聞が大体そういうことを報道いたしておりますね。つまり、外交問題でありますから、どこと仲よくする、どこと国交を断絶すると。それには善悪どちらに正義があるかという問題についても詰めてみなくてはならないわけでありますけれども、少なくとも、これは日本のこれだけの石油問題におけるところの経済に与える影響、これは石油を中心とするところの経済政策というものがとられてきて以降、当然予想されておった問題でございますね。実際、これはどうするつもりでありますか。そしてまた、実際に親アラブ政策へ転換すると、こういうことであれば、具体的にどういうことをなさるのか。そして、その結果、これはメジャーの問題もある、OPECの問題もありますから、それは一つの問題ではあるいはないかもしれませんけれども、こういう手を打つから石油の輸入は制限されることはまずないと、こういうようなことを明確に言い切るそういう外交が展開されておるのかどうか、この点についてお伺いをいたします。  それから経企庁長官にも聞いていただきたいと思います。公取にも聞いていただきたいと思いますが、石油部長にお伺いいたしますけれども、石油の価格というのは、国内で生産される野菜と同じような需要と供給のバランスの中で正常な価格が形成されるなどというしろものではないと思うのですね。いまのところは、外交問題というものが一番関係が深いわけですね、価格をどうこうする問題といたしましては。だから、価格の安定、供給の安定ということは、この問題を解決しなくてはならぬ。つまり、国の責任における価格に対する影響であります。そうすると、これは夏安くて冬高いなどというしろものではないと思うのです。そういう意味からするならば、供給に責任を持つと同時に、そしてその供給と価格というものを常に安定させておくべき責任を私は政府全体として持っておると思う。でありますから、つまり需給関係で価格形成されるなどというものではなくて、つまり、輸入原価、それを精製に回して、そして元請がそれを受け取る。精製原価、あるいはまた、同じ石油製品でもいろいろあります。ちなみにお伺いしますが、ジェット機の燃料は幾らですか。自衛隊に入れているジェットの燃料価格は幾らですか。これは上がっていますか。削減をいたしますか。その製品にされる種目別にコストを公表する、そして、元売りも押え、末端価格も押える。期別によって価格が変動するなどというようなそういう私は品物ではないと思う、この石油の問題は。どうお考えになりますか、石油部長、それから経企庁長官にお願いいたします。  時間がございませんのでこの際申し上げますが、新聞を見る限りにおきましては、ずいぶん早くから消費規制をしなくてはならない、立法をしなくてはならないと。石油需給臨時調整法という仮称で通常国会に提案する準備をいたしておると、こういう新聞報道も出されておりますから、それを概要についていま検討されておるものを明らかにしていただきたいと思います。と同時に、これは消費者末端米価じゃございませんけれども、やはり、末端価格も、ただ単に元売りの価格を押えてこと足れりとするのではなくて、末端価格もいろいろございましょう。元売りから直接消費者に行くところのルート、これは全体からみると一〇%だそうでありますね。それから特約店に入って特約店から小売り業者に行くのもある。さまざまのルートがございますけれども、少なくともそういうルート別にコストを計算して物統令を適用していくくらいの考え方がこの調整法の中に含まれないとすれば、これはただ単に消費規制するために消費者向けは一〇%規制するとか、あるいは電力には一〇%規制するとか、あるいはネオンを消しなさいなどというようなことで終わる。これは根本的な対策というものを立てる必要がある、こう思いますので、その辺のところをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  141. 田中秀穂

    説明員(田中秀穂君) 外交面での御質問、最初の部分についてお答えいたします。  御指摘のとおりに、OAPEC諸国による石油価格の値上げの問題、あるいはOPEC諸国によります今次の第四次中東戦争、これとのからみによります石油の生産制限あるいは輸出禁止というような措置がとられておるようでございますが、こうした具体的な措置につきましては、各産油国から現地における石油会社、これに通告がなされておるというふうに了解しております。わが国は国営の石油会社を持っておりませんし、そうした生産をやっておりませんので、政府に対しまして直接の通告というものは受けておりません。  それから第二の、新聞で報道されておりますわが国外交政策のアラブ寄り転換という問題でございますが、わが国はアラブとイスラエルとの紛争いわゆる中東紛争というものにつきましては、もちろん深い関心を抱いております。もちろん、わが国は、アラブ各国ともきわめて友好関係にございますし、イスラエルとも国交を維持しております。しかしながら、今度中東紛争に関しましてわが国は武力による領土獲得には絶対に反対であるという立場を終始堅持しておりまして、この見地からイスラエルが六七年戦争、六日戦争の占領地の維持、これを恒久化しあるいはこれを併合するということは絶対に認められないという態度をとっておりまして、国連の安保理事会決議二百四十二号、この決議の早急かつ全面的な実施を主張しております。したがいまして、わが国はアラブ諸国による領土回復の願望は十分に理解するという立場に立ちましてこの問題の全面的解決ということに極力協力をしていきたい、あるいは貢献していきたいと、このように考えております。  第三の、石油に対する政策をどうするかという問題でございますが、今回の中東戦争あるいは中東紛争に関連して起こりました石油の危機の問題というものは、われわれもきわめて緊要な問題であると切実に感じておりまして、何とかこれを打開する必要があるわけでございますが、アラブ産油国は、この戦争とのからみで生産制限というものを継続していくというようなことを申しております。わが国としましては、いずれにしましても、石油が不足をするということは容易ならぬ事態と相なりますので、従来から維持しておりましたアラブ諸国との友好的な関係を今後とも維持すると同時に、ますますこれを深めるという政策を考えていく必要がある、またそれを早急に実施していく必要があるというふうに痛感しております。アラブとしてのこの紛争に対する態度をでき得る限り支持し、かつ、アラブとの友好関係を深め、いろいろな面での協力関係を増進していくと、これがさしあたってわれわれが考えるべき措置ではないかというふうに考えております。
  142. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 石油を日本に供給確保する、こういう問題につきましては、国民生活並びに経済の基本になります石油でございますので、私どもとしましては今後万全の努力を尽くしたいと考えておりますが、御承知のように、従来、石油というものは、いわば買い手市場でございまして、最近の先ほどお話がございましたようにアラブ産油国等の動きによりまして完全ないわば売り手市場に変わってまいっております。そういったものを受けまして、日本の石油の安定供給を確保するためのあり方はどうかという問題につきましては、御指摘のように、私どもは石油政策のあり方につきまして現在見直しをすべきだという考え方で、エネルギー調査会におきましても本件を近く審議をお願いしたいと実は考えておるわけでございます。御指摘のとおり、量の確保ということがこれからの日本にとってたいへん重要な問題であろうというふうに考えているわけでございます。  それから価格の問題につきましては、御指摘の法律によります消費規制といったような問題になりました場合には、この価格問題はやはり何らかの形でこの法律の中で位置づける必要があろうかということで、その問題も含めまして私どもとしては現在勉強をいたしておりますが、最近におきますOAPECの削減措置が継続する見込みがかなりございますので、最悪の事態に備えまして何らかの消費規制的な法律を私どもとしては出す必要があるのではないかということでいろいろ準備中でございます。その中で、ただいま申しましたように、価格問題につきましてもあわせて検討をすべき問題であろうというふうに理解をいたしております。  それから三番目に、現在の石油の価格でございますが、灯油につきましてだけは政府が直接介入いたしまして価格凍結を元売り段階でいたしたわけでございます。これにつきましては、末端におきましても価格をきめるべきではないかという声が私どものほうにもまいっておりますが、何せ十三万軒ございます、しかも各企業形態がまちまちであります販売店の価格でございます。地域差もございますし、また、配達しない、あるいはクーポン制とか非常に合理的な購入方法、あるいは省力化をやっている企業の場合、いろいろな形態がございまして、一義的な価格決定というのはなかなかむずかしい点もございます。ある価格をきめました場合に、逆にその価格が一番下の価格になる、こういうことも懸念されないわけではございません。この価格設定問題につきましては、法律による場合は別でございますが、行政指導の段階では、元売りの十三社というところで私どもは現実に毎月その状況を確実にフォローできます対象企業に対しまして実効を期すと、こういうことで、なお、末端の価格問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、苦情処理という形で、消費者の方々の苦情という形で確認されますいろいろなニュースをもとに対策を講じ、価格の値上がりを防ぎたいと、こういうのが私ども考え方でございます。
  143. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いろいろ御答弁ありましたことでありますが、当庁といたしまして灯油の小売り価格がやみカルテルがあるというような場合には、厳にこれに対して厳罰方針をもって臨むことが適当と考えております。公取委員会ともお話をいたしておるのでありますが、従来、公取というのは、そういう場合に原状に復帰するように勧告をするわけでございまするが、この場合は告発も辞さないという方針で臨んでもらいたい、こう考えております。
  144. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 私どもの仕事で一番困難を感じますのは、カルテルでなければならぬ。そのカルテルは証拠に基づくものでなければならぬ。したがいまして、一見外見上同じような価格が掲示される。しかし、これはこのごろでは売り手がそれぞれの考えで値上げした価格を掲示するようになっておりまして、それ自体が証拠となることはきわめてまれでございます。そこで、そういう点では証拠をつかむということにもたいへんな困難を感じておるわけで、今後ますますそうであろうと思います。私自身の考えを申しますと、この灯油の問題は今後何カ月間の間は、これは永久に続くわけじゃありませんが、石油全体について減産ということは避けられないというふうにもすでにいわれておるわけでございまして、灯油そのものについては、万全をはかると申しましても、消費者の側からすでにドラムかんを買い込んで買いだめをするような悪い風潮さえあります。この間のトイレットペーパー事件におきましても、私ども調査をいたしましたが、やはり、どちらかというと、消費者の側からむしろ投機が起こっている、買いだめが起こっているというふうなことであります。そういう場合に、カルテル行為だけで価格問題が解決できるとは——もちろん私どもはそういうものを発見すれば厳重に取り締まるつもりでおりますし、今後もその点において考えは変わりませんが、価格問題については、何かいま一段とくふうがないと、供給量がもし減るという認識といいますか、誤解が生じた場合に、やはりこれはちょっと独禁法などでは防ぎ得ない問題でございますので、その点については確実に物価を安定させるというふうな措置が伴ってほしいものであるというふうに私ども考えております。
  145. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 今朝来引き続いて各委員からいろいろな御質問がありまして、小坂長官は針のむしろにすわっていられるような感じがしていらっしゃると思います。こんなインフレ、物価高はいまだかつてないことでございましたから、これは田中内閣の失政であり悪政で、まことに重大な責任だと思います。まあこういうときに経済企画庁長官になられたのですから、不運といいますか、時期が悪かったといいますか、しかし、責任をのがれるわけにはいきませんので、これからの質問にも的確にお答えをいただきたいと思います。  最近の物不足、コスト高、あるいは買い占め、天井を知らない物価高、インフレで夢も希望も消えていくどころか、恐怖をさえ覚えるような異常な現状でございますが、私はいまの高橋公取委員長の何か消費者に責任を転嫁したようなお答えではとうてい満足ができませんが、こういうような時期に、今朝来もいろいろお話がありましたけれども、インフレを助長し、物不足を増大させる公共事業はうんと削減すべきだと思います。第七次の道路整備計画、十二本の新幹線、三本の本州−四国連絡橋、こういったものは大幅に時期を延期すべきだと思います。これもけさほどいろいろお話がありましたから、長官のお考えもわかってはおりますけれども、もしもぜひともこういうことを率先してやられるのならば、まず小中学校とか幼稚園、保育所、こういうところへお金と資材をつぎ込むべきだと考えております。プレハブ校舎はここ七年間で約十倍弱にふえてきております。プレハブ校舎は欠陥校舎です。学校や幼稚園、保育所も最近は用地難で、また、その用地の費用がべらぼうにかかるものですから、お手あげでございます。新幹線や橋梁よりもこのほうを優先すべきだと私は考えておりますが、地方自治体からの陳情や要望やそういうものはほとんどが教育施設の整備を求めてきております。そしてまた、この新幹線や、橋を三本かけるというような大きな話ばっかり最近出るものですから、国民はこの上インフレになってはということで、ぜひともこれは延期するかやめてほしいというような意見がずいぶん私どものところにも来ておるわけでございます。この辺について長官のお答えをお願いしたいと思います。
  146. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今日われわれがなすべき最大の問題は、物価の安定をはかることであると思います。その意味で申し上げますると、まず第一に、この需要を創造しておりますものは政府の予算でございます。これについては石油の対策と関連をさせながら大幅にこれを緊縮と申しますか、削減と申しますか、繰り延べと申しますか、まあ本年度については繰り延べでございますが、明年度の予算についてはこれが圧縮削減を考えていかなければならないだろうというふうに考えております。新幹線計画も道路網もあるいは架橋も非常に必要なことだと思いまするけれども、やはりこの時期にこれを足踏みをさせなきゃいけないというふうに考えておるのでございまして、従来GNPの伸びをこえて大幅に予算が増加しておるわけでございますが、財投を含めてこれは何としてもGNPの伸びを刺激しないように抑制型のものにしなければならぬと思います。それから地方公共団体でも、太平洋岸の地方公共団体のほうには非常に財政収入がふえておりましてそういう面の工事が多いわけでございますが、これも不急不用のものはできるだけとめてもらいたいと思います。また、御指摘のような学校あるいは幼稚園の校舎の問題等につきましては、特に人口急増地帯においては問題が多いわけでございますので、その点については十分配意すべきものであると、こう考えております。
  147. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 まあ最近の物価の上昇というのは気違いじみております。そして、これに対する政府の態度は、いま長官からいろいろお伺いはしましたけれども、物価抑制に対する熱意というものは全く欠けておりまして、物価対策、物価対策と口では言いながら、むしろそれはゼスチュアにすぎませんでした。そして、本音は、物価上昇を容認することによって高度経済成長を進め、大企業を中心にした産業界の利益を確保してきたと思います。したがって、小手先の物価抑制政策にすぎなかったと言っても過言ではないと思います。すなわち、高度成長を維持させるための配慮として現在の物価上昇の現状をインフレと認めませんでした。で、先ほどもそのようなお話がございましたけれども、インフレとみなしたくないばっかりに、矛盾した言いのがれや言いわけをしてまいりました。昨今、中東戦争の影響で石油不足問題が起こってまいりまして、ようやくあわて出したかに見受けられますけれども国民はおそらく政府の思惑とは違った感覚で石油不足問題にまたしても恐怖心を抱いていると思います。言いかえれば、物価高も石油不足も国民生活から見れば政府は全く当てにできないということなんです。むしろ、石油の消費節約政策あるいはPRはさらに物価上昇を促す主要な原因になるのではないかとすら思いますが、この点はどうですか。
  148. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御指摘もわかりまするけれども、私は、やはり、物価高、インフレの問題というのは、心理的な面が非常に大きいと思いますので、特に私ども皆さまに御協力をいただきたく思っておりまするのは、結局この経済社会というものは国民がつくっておる経済社会でございまして、国民が、自衛本能と申しますか、自分だけがよけりゃというような考え方で非常に買いあおりをいたしますると、結局それが物価高にはね返って、自分の首を締めてしまうのだということを特にお互いが強く認識しなければならぬということでございます。で、私は、政府のやり方についての御批判は甘んじて受けますし、これについては大いに今後努力しなきゃならぬと思っておりまするのでありますけれども、ただ、このごろつくづく思いますことは、終戦後のいわゆる悪性インフレの際には物が現実になかったわけでございます。いわゆる過小生産恐慌であったと思います。今日は、とにかく問題はいろいろございますけれども、物は増産されております。ことに、先ごろの大阪で起きましたトイレットペーパー事件等は、まさにその増産は一六%増になっておるにかかわらず、これがなくなるというような話がまことしやかに伝わりますと、これは弱い消費者心理でああいうことになるかと思いまして、まことに情報を正しく皆さまに申し上げることがいかに大事なことかということを痛感いたしますような次第でございます。今後とも、いろいろ御叱正をいただきまして、何とかこの状況を正常なものに返すためにこん身の努力を傾けたいと考えております。
  149. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そのトイレットペーパーのパニックの問題は、私のおります関西方面で特にひどかったわけですけれども、家計を預かる主婦としては、生活防衛の第一線に立たされておりますので、生活の不安におびえて、生活を防衛するには自分たちでやらなければならないというような考え方にならざるを得なくなってきているところに私は今日の問題があろうかと思います。いま終戦後のお話もございましたけれども、戦争後のあのインフレのときを経験した者は、さらにいまのトイレットペーパーがなくなるとかあるいはお砂糖がなくなるとかというふうな違った情報が流れれてまいりますと、あのときのことをまた思い出して、自分でやらなくちゃいけないというような気分になることは、私はこれはやむを得ないことだと思います。生活必需品が店頭から姿を消しますと、次に出てきたときは値上がりをしているという体験を重ねてきたというところに、私は主婦たちが惑った一つの原因もあろうかと思います。  そこで、この間はトイレットペーパーがたいへん問題を起こして、ずいぶん主婦が並んだり、あるいはけが人も出たりということがあったわけですけれども、そのときに、まあすぐ隣にあったせいかなんか知りませんけれども、それ、この次は洗剤だ、石けんもなくなっている。そしてまた、その横にあるお砂糖も姿がなかった。グラニュー糖なんかは、完全にもう関西方面では姿を消しておりました。まあこういうようなことがあのパニック状態を起こしたと思いますけれども、確かにいま物があるからだいじょうぶだと、トイレットペーパーも二八%増産をしているからだいじょうぶだと、お砂糖もなくなるようなことはありませんと、こう言われても、現実にそこに行ってみれば、どういう人が一番初めに買い占めをし出したかわかりませんけれども、やれ、お砂糖もないんだ、石けんもないんだということを現実に目で見てまいりますと、まあそういうような買い占めをしなければならないような気になるのも私はこれはやむを得ないことで、むしろ情報が不足していた、そういう点では情報が不足していた。これは私は政府の責任ではなかろうかと思います。そうして、先ほども申し上げましたように、これからはやっぱり物不足になる、あるいは原価がどんどん上がっていく、こういうことで値段が上がることもこれはもう国民がみんな感じていることですから、そういったような恐怖心といいますか、不安心といいますか、そういうところであのようなことになったと思います。そういう中で、私は多少おそろしい感じも実は持っているわけです。何かがあったときに一ぺんにこういうふうな消費者がパニックを起こすようなことになるということは、いろいろ将来の展望をしましたときに、たいへん不安な感じを私どもも感じております。そこで、少し物不足ということを言い過ぎるんではなかろうかという感じもいたします。増産しているのなら、それを早く国民に知らせるようなPRをするべきだと思いますが、少し手の打ち方がおそ過ぎるんではなろうかと、こんな感じがします。  そこで、次はお砂糖だといわれておりますけれども、このお砂糖がこういううわさが流れ出しますと、やっぱり相当値上がりをもうすでにしておりますね。これは砂糖業者が不当なもうけをしているのかいないのか、この点についてもお答えをいただきたいと思います。きょうは農林省をお呼びしていないと思いますが、この点も長官からお答えをいただきたいと思います。
  150. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 砂糖の問題について、その不足というようなことは、これは絶対にございません。ただ、砂糖の協定が世界的に破棄されておりまするので、価格の点に問題があるわけでございます。現に砂糖会社は、私の知る限りでは、非常にみな財政的には困難を感じておるというふうに聞いておりますのですが、それから先の末端の小売り価格等によりましてもうけがあるのかないのかということは、これはまた別の問題でございますが、製糖会社そのものは非常に困難なようでございます。そこで、実は、私、きょう大蔵大臣にも話したのでございますが、砂糖の消費税と関税はわが国が世界で一番高いわけでございます。で、今日、国の財政収入は十分あるのでございますから、ぜひこの二つの税を、砂糖消費税と砂糖の関税を下げるようにしてくれと、それによって価格の高騰というものは当然吸収されるわけでありますから、これを特に研究を依頼したような次第でございます。
  151. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、ついでに灯油の問題についても御質問をしたいと思いましたけれども、先ほど村田委員がずいぶん灯油の問題に詳しくお触れになりましたから、一点だけ質問をさしていただきたいと思います。  もうけさの新聞でも御承知のように、灯油の末端価格ですね、これはすでに要注意ラインを越えて売っているところもあると報道をされております。もしもこのままほうっておきますと、やっぱり灯油も足りないということでやみ取引が横行しないとも限りません。あるいはまた、トイレットペーパーのような例もございますので、監視を十分にしながら、これも後手にならないうちに投機防止法の指定品目に入れるべきだと思いますが、なぜまだいま検討中なんでございますか。
  152. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 灯油はことしの九月に投機防止法の指定品目になっております。いま先生御指摘の点につきまして一言触れたいのでございますが、昨日発表いたしましたモニター調査によりますと、大体三百六十一円から四百円までのグループの価格というのが全体の六二%ぐらい占めているわけでございますが、この四百円から上のランクの中で四百四十一円から四百六十円というグループが二〇%ということで、前後の中でまとまりとしましては少し固まっておる点がございます。そこで、私どもは、直ちに各通産局に指示をいたしまして、この価格帯の実態調査をするように指示をいたしました。その結果につきましては、早急にまとめまして発表いたしたいと、かように考えておるわけでございます。なお、その過程におきまして、いわゆるやみカルテルあるいは便乗値上げといったような問題等がございますれば、私どもとしても厳重な指導をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  153. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 けさほど消費者米価の決定に関する決議をここでいたしました。長官お留守でございましたけれども、ここで皆さんでさしていただいたわけですが、インフレのさなかの消費者米価はぜひとも値上げを見送るべきだということを重ねて要望をいたしたいと思います。食管赤字対策が国民生活に優先するなどということは私ども納得をしかねます。もしも食管赤字を解消するのならば、今年度の赤字分、これは盛んに言われておりますところの二兆円減税のうちの一部を回すべきだと思いますが、この点はいかがでございましょうか。つまり、税率の改正によって一年間の所得が一千万円以上の人たちには減税をする必要はないと思います。そこで、言われるところの金持ち減税分を食管の赤字のほうに回すべきだと思いますが、これについて長官はどうお考えになりますか。
  154. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実は、私どもといたしましていろいろ意見を述べました過程で、ただいま仰せのようなことも私の意見として申したり、あるいは小島物価局長が事務当局同士の三省の会議で主張いたしたりしたわけでございますが、どうもこれが結果的にはさようなことになりませんでございまして、私といたしましては一三・八というものに了承を与えた立場上、場所が変われば違うことを言うということはちょっとできないと思うのでございます。ただ、おっしゃる趣旨は私もよくわかります。減税につきましては、やはり税負担を軽減するということは必要だと思いまするけれども、しかし、減税が消費を刺激するということもこれまた当然のことでございますので、物価に与える影響については十分に注意する必要があると、かように考えております。
  155. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これは私個人の考え方ですけれども、党の考え方ではございませんけれども、やっぱり私も二兆円なんていう膨大な減税ですね、これは将来をながめたときに、はたしていいかどうか、これはまた需要が伸び過ぎてどういうことになるだろうかと考えますときに、多少私も首をかしげざるを得ないわけでございます。その点で、この二兆円も減税をするのならば、食管のほうに繰り入れるとか、あるいはまた、いまたいへん教育問題で先ほども申し上げましたけれども、困っている状態があちこちに起こっておりますから、そういう教育費にこれを回してはどうだろうか、こんな感じもいたしておりますが、これは私個人の考え方でございますから、あえてお答えをちょうだいしないことにいたしておきます。  そこで、いままで四、五点について御質問を申し上げたわけですけれども、こういったような気違いじみた物価の問題について、いますぐにでも政府がやろうとすればできる問題があると思います。その第一は、公共料金の三年間凍結でございます。新聞を見ますと、政府のほうも何か二年間ぐらい凍結をしたらどうかというような話がちらっと出ていたように思いますけれども、その一端として管理価格規制法をつくって、大企業のカルテルややみ協定による生産制限、価格協定をやめさせて、管理価格に鋭いメスを加えることでございますが、これは政府がやる気さえあればできることであると思いますが、どうですか。
  156. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 公共料金につきまして、これまで政府は三十六年、三十九年、そして四十五年の三回、ストップをやった実績がございます。これはいずれも当時の物価状況に対して緊急避難的な措置としてとったものでございまして、まあ心理的な社会的な効果をねらったものであるわけでございます。その結果、一応その目的に沿うた成果はあったかと思いますが、反面、これが解除されたあとに急激なまた値上がりを呼ぶ問題がございまして、他面、これによるサービスの低下ということもございましたりいたしまして、なかなか慎重に考えていかなければならぬという点もあるわけでございます。やはり、公共料金というものは、一般的にもっと構造的な長期的な観点から考えまして、たとえば国鉄なら国鉄というものがもっと機動的に能率的に運営されるということもいろいろ考えなきゃなりませんし、まあ一面から言うと、道路は政府負担で、国鉄は軌道料まで全部国鉄の負担で、そういう点を考えなきゃいかぬとか、いろいろな問題があるわけでございますので、そういうこともやはりあわせて検討しながらいかなきゃならぬと思っておりますが、御意見のところは十分承っておきたいと思います。
  157. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そのお答えは、私ども、公共料金の凍結の問題を出しますと、きまってそういうお答えが出てまいります。何べんも拝聴いたしているわけでございますけれども、結局は、その凍結をした期間にほとんど手が打たれていなかったのではないですか。凍結をしている間に、凍結を解除したときにどうなるか、あるいは、凍結している間に、あっちの手も打ちこっちの手も打ちということをせずに、ただ凍結をしてしっぱなしと、こういうところに、私は解除したときにまた倍ぐらいの公共料金の値上げが行なわれたということになってきているのではなかろうかと思います。  そこで、今度は、まあ時期の問題もございましょうけれども、私は今度三年間ぐらいぶっ続けで凍結をするというのは、たいへんいまがいい時期だと思います。その点をひとつあわせてお考えをいただきたいと思います。  そして、また、もう一つは、個別の物価対策と同時に、それをこえた経済の運営そのものに検討を加えて、景気の波をゆるやかにして需要と供給のバランスがとれるように経済計画を強化していくべきだと思います。そして、その手段として、たとえば、これもきょうだいぶ議論になりましたが、法人税を四二%まで引き上げて、景気が上昇すればなお上のせをして付加税として徴収できるような対策をとることにしてはどうかと思います。竹田委員からはインフレ利得税という御提案がありましたけれども、私どもはまた、付加税として徴収できるような対策をとることにしてはどうか、このように考えておりますが、お答えをいただきたいと思います。
  158. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御提案の趣旨は十分承りまするが、どうも、いままでの対策というものは、税等にいたしましても、フローの面ではいろいろ対策があるわけでございますが、ストックの面の対策というものはあんまりないわけでございます。それについての御提言と承りますわけでございますが、まさにこれからいろいろ予算編成時期でもございますし、検討せねばならぬと考えております。
  159. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 三つ目としまして、海外のインフレが国内へ波及をしております。これを阻止するために、主要輸入物資の備蓄をふやして直接急激な影響をこうむらないようにこれを防止するべきだと思いますが、もちろん、これは民間にまかせれば、現在のように、投機の対象になったり、脱税のえじきになったりするので、これは政府が備蓄公団をつくって対処するべきだと思います。丸紅の豚肉の脱税などということがありましたから、これを民間にまかせずに政府がやるべきだと思いますが、これはいかがですか。
  160. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) おっしゃる趣旨はよくわかりますし、確かに海外の値段が安いときに国がそういうものを買っておいて高くなりましたときに放出することによって価格の安定をはかるというメリットはあるわけでございますけれども、したがって、政府といたしましては、長期的な方針としては、一つの物価対策としておっしゃるような構想を検討いたしております。ただ、さしあたりの問題といたしましては、どうもこの間の国際価格の上昇というのが一般的な世界インフレの結果ということに主原因ではございますけれども、どうも一部には日本の商社の買い付けがやはりそういう相場の高騰の一つの原因であるということが指摘されておりまして、これがまた、国が日本政府が公的にそういう動きをするということについては、一そう海外を刺激するというおそれもございますので、なかなかやはり長期の方向はそういうことといたしましても、具体的なやり方につきましてはかなり慎重を要する面もあると思います。なお検討いたしたいと思います。
  161. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 時間がありませんから、こういう問題についてももっと深く突っ込みたいのですけれども、突っ込む時間の余裕がございません。そこで、家庭に最も大きな影響を与える生鮮食料品については、現在十四兆円にのぼる国の予算のうちで、わずか二百億円にすぎない対策費しか使っていないわけですね。そこで、今度予算を組むにあたりましては、これを一千億円ぐらいにふやして、生産出荷安定基金を大幅に拡充して第二の食管の性格を持たせるようにするべきだと思いますが、どうですか。生産者が安心して生産をし、安定した供給ができるようにすべきだと思いますが、この点のお答えと、来年度の予算のアウトラインがもうきまっていらっしゃると思いますけれども、その中で生鮮食料品対策費をどの程度要求されたか、お答えをいただきたいと思います。
  162. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) 生鮮食品につきまして食管制度的な制度をつくって安定するということは、確かに消費者のサイドから見ますと魅力のある方策かとも思いますけれども、やはり財政負担ということを考えざるを得ないわけでございまして、現在のお米につきましては、確かに、先ほど来御議論ございましたように、これは生産者のためにも消費者のためにもプラスになってはおりますけれども、そのしわがやはりすべて財政によって膨大な財政負担になっているわけでございまして、こういう制度がほかの品目についてどんどん拡大いたしますことは、長期的な財政のあり方としてはやはり非常に問題だと言わざるを得ないわけでございます。したがって、現在の生鮮食品につきましては、そういう制度ではなくて、生産者が安心して、たとえば野菜などにつきましても、暴落をしてもある程度の所得が補償できるような一種の価格補償制度という制度をつくり、さらに指定産地を極力拡大して生産の合理化といいますか、そういう両面の、生産対策と価格対策と両方かみ合わせて価格の安定をはかっているわけでございます。それから同時に、生鮮食品の場合は流通の問題が非常に大きゅうございますので、これは卸売り市場の整備とか、あるいは小売り市場の整備とか、あるいはいわゆる集配センター卸売り市場を通じないバイパス的なもののウエートをふやしていくという、大きな流通近代化の方向に沿いまして各種の政策が行なわれておりまして、最近二、三年は、この流通予算というものは、ほとんど数字はちょっとはっきりいたしませんけれども毎年何割という勢いでふえておるわけでございまして、まだまだ流通関係については絶対額において不足だとは思いますけれども、伸び方といたしましては相当の勢いで伸びておる。そのために流通合理化というものが前から言われながら、人によってはちっとも進んでいないということを言われる方もございますけれども、私どもが冷静に見る限り、着実にやはり進んでおるというふうに感じております。ただし、これはかなり長期を要する問題であるというふうに思います。  それから来年度どういう予算を要求しておるかということにつきましては、ただいまのところ、ちょっと手元に資料を持ってきておりませんので、後ほど資料としてお届けいたしたいと思います。
  163. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまおっしゃられたように、ほんとうに長期を要するといいますか、もう何べんもそういうようなお答えを伺っているんですけれども、相も変わらず野菜が、ことしは豊富だったかと思えば翌年はまた値上がりをしたりということのずっと繰り返しなんですね。そこで私はいまのような御提案を申し上げたわけですから、この点も十分御配慮をしていただいて、ほんとうにいつまでたってもイタチごっこということが繰り返されないように要望をしたいと思います。  それからもう一つ、その次に、インフレの重要な原因となっている土地の価格については、当面思い切って地価を凍結して、その過程で私どもの党が従来から主張しております土地利用公社を創設して、民間の土地売買は公社を通ずる以外はできないこととして、土地の売買だけで利益を得ることを排除するようにすべきだと思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。最近、国民の間では、裕福かどうかということをはかる尺度に、土地を持っているかいなかということできめてかかっているような話をときどき聞きますが、これはまことにゆゆしい風潮だと思いますので、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  164. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 土地に関しましては、まさに物価値上がりの根本をなすもののように私ども思っております。何とかこの土地の価格の安定を期したいということで、去る一月に土地対策閣僚協というのを持ちまして、法人の土地売買益に対しましては二〇%普通の利益賦課税のほかに課税をする。それからあるいは土地保有税というものを新設いたしました。そんな関係でいま一応の土地売買価格は安定しておりまするが、まあしかし、これとても予断を許しませんし、また、全体的にこの供給量は限られておりまするので、やはり購買力が増勢されればそれに従って土地に対する需要もふえていくという問題もございますので、私どもとしましては、これは国総法というものを御提案申し上げまして、非常に投機の対象になるような土地は府県知事の決定によってその価格を三年プラス二年凍結ができるという形にいたしましたり、あるいは土地によって売買の届け出をさしてそしてそれを審査して不当なものについては勧告をする、公表するという制度も持っているようなわけでございますので、実はこれを一日も早く通していただきたいと考えておる次第でございます。  それから土地の公社のお考えもしばしば承っておりまして、大いに研究をさしていただいておるのでございますが、どうも、ただいまのところ、民間取引を前提にしてそして公的な介入をするという措置とは異なりまして、公社が常に一定の土地を保有しておって、そして買い手に対してその需要に応ずるということでございませんと、なかなかその機能が果たされぬと思うのでございますが、どうも私どものいままでの研究では、そういう土地を手に入れることよりもその土地をほしがる人のほうが多いと、こういう状況においてこの機能が適切に運営できるかどうかということについて若干問題があるように考えておりますので、さらに検討さしていただきたいと思います。
  165. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私の持ち時間が二十七分までですからもうわずかでございますが、もう二点だけ続けて申し上げて質問を終わりたいと思います。  それは、去る七十一国会の末にこの委員会で田中総理の出席を求めましたときに、私から逆所得税の導入の問題を提案をいたしました。先ほど山本政務次官がいろいろなお話の中で逆所得税の問題を考えなければそのような政策は実行できないというようなお話がございましたけれども、そこでぜひともこの問題をもう一ぺんここで蒸し返してみたいと思うわけでございます。それは、その節長官もちょうどこの席においでになりましたからお聞き及びでしたでしょうし、すでにわが党が予算委員会でも提案をしていることですから、十分御説明を申し上げなくても御存じだと思いますけれども、二兆円減税が宣伝されましても減税の恩典に沿することのできない谷間の勤労者がたくさんございます。そういったような世帯に対して勤労世帯生活安定法というのを今度私ども考えているわけですね。その生活の安定と向上に資するために、つまり、働く勤労者、その人たちの生活の安定と向上に資するために、逆所得税方式による所得補償の給付金制度を創設しようとしているものでございます。この制度の創設によって現代の資本主義社会の欠陥である富と所得の不公平、不平等化を是正するために必要な所得再配分に大きな効果をあげることができると考えております。また、これによって生活保護世帯から脱却して労働による自立へと人々を動かし、生活保護世帯を減少させるきっかけを与えると考えております。その当時、田中総理が私のこの質問に対しまして、この制度は惰民をつくることになるというようなたいへん認識不足の発言をされたのでございますけれども、賢明な長官はこれをどのようにお考えになられますか、お伺いをしたいと思います。これが一点です。  それからもう一つは、ことしの春以来化学工場の爆発災害等の事故がずいぶんたくさんございました。周辺住民に被害を及ぼし、恐怖を与えましたが、たび重なったこの原因は何でございましたか、通産省にお伺いをします。  そしてまた、一度事故を起こしますと、調査に手間どって長期間の操業停止を余儀なくされていますが、これがまた物不足に拍車をかけ、当然値上がりも予想されるわけですが、トイレットペーパーと同様に、増産しているとはいいながら品物が姿を消してやみ取り引きが行なわれたり、業者の死活問題にもなってきておりますが、通産省にはそのような工場の安全基準の自信があるのか、多少手ぬる過ぎるのではないか、この点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  166. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 負の所得税に対する中沢委員の御提案は、先般も予算委員会でも承りましたし、その後の機会にも承っておりまして、よく承知をいたしております。そこで、所得税の課税最低限以下の所得者に対して、その所得額に応じて補助金を交付するという構想につきましては、老人とか身障者あるいは母子家庭等の生活を重点的に保障する現行の制度といずれが適当であるかという基本的な問題が含まれておりますので、そういう問題についてさらに検討をさしていただきたいと考えております。
  167. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) 最近、コンビナートを中心といたしました化学工場の事故が続発しまして各方面に御迷惑をかけておりますことをたいへん申しわけなく考えております。  先生の御質問の中に安全基準がおかしいのではないかというような御指摘がございましたけれども、ごく最近起きました信越化学を例にとって、少し専門的になるかもしれませんけれどもちょっと時間をかしていただきますと、実は信越化学の事故が起きましたのは、ストレーナーという、いわゆる原料を供給する前に原料の汚物を除去する装置を月に三回ぐらい掃除しておるわけでございます。この掃除をするために前後のバルブを締めなくちゃならぬという一つの過程がございます。そのバルブを締めて、ストレーナーをはずして汚れを除去するわけでございますけれども、そのバルブを締めるときにほんとうなら手で回す装置になっております。これはいわゆる法律に基づき省令で規定してございまして、その省令をなお補完する意味で法律に基づきます高圧ガス保安協会でその補完基準というのをつくっておるわけでございます。それによりますと、そのバルブは内圧十六気圧、温度二百五十度に耐えるものでなくてはいかぬ、また、そのほかいろいろ小さいこともきめてございます。それを手で動かすというのが正常なものでございますけれども、たまたまこの日にテコを利用しまして使ったということでこれのバルブが締まらなかったというのが一つの大きな原因になりましてああいうような大きな事故を起こしたわけでございます。で、この補完基準でございますけれども、当時の技術をベースにいたしまして最高の権威者がいわゆる保安協会で作成しておるわけでございます。こういうことで、安全基準と申しますか技術基準がおかしいのではないかというようなことに対しまして、むしろそれを操作するときテコを使うこと自体にも問題があったのではなかろうかと思います。ただし、現にテコを使われまして折れたという事実がございます以上、今後このバルブをもう少しがんこなものに直さなくてはならぬということは当然私なんか感じておりますし、また、そういうふうに技術基準で改正していく予定でございます。また、最近の事故は、多くのものが一応誤操作あるいは点検の不十分という広い意味での管理体制というものの不備ということに原因しておるのではなかろうかと思います。このため、通産省といたしましては、このたびそういった事故を中心に置きつつ、全国の約三千の化学関係あるいは石油工場の安全点検及び指導を行なうことといたしまして、各通産局に都道府県の参加を得まして、化学保安対策本部というものを設置いたしたような次第でございます。ここを中心にしまして、専門家の大学の先生等の御参加も得まして、各工場の調査をしたいということで予定を立てております。  また、抜本的なコンビナート保安のあり方につきましては、高圧ガス及び火薬類保安審議会——実はきょうも昼から開催いたしておりますけれども、すでにことしに入り、二月の八日に大臣から「今後の高圧ガスの保安のあり方」ということで諮問いたしておりまして、きょうまでで十二回開催いたしております。なお、この審議会の中にコンビナート保安分科会というのを設置いたしまして専門的な御審議をいただいております。その審議の結果をできるだけ早く答申の形でいただきまして、その結果をもとにいたしまして所要の法令改正に取り組む所存でございます。  また、もう一つの点で、いつまでもとめておくとかいうような御質問じゃなかったかと思いますけれども、チッソ石油化学あるいは信越化学等大きな事故を起こしました企業につきましては、安全工学の専門の先生、あるいは化学工学、計測、制御などの各界の専門の先生方にお願いいたしまして、事故の原因調査をやっております。現に、出光のときにもこういう先生方にお願いしたわけでございますけれども、出光のときでも、第一、第二プラントがございまして、事故を起こしましたのは第二のプラントでございますけれども、第二の事故が起きましたときに、第一のプラントも結果的には五十日とめておったようなことになりましたけれども、それは、第二の事故をベースにいたしまして第一のほうも十分その間に見直す期間をおかさしていただいたような次第でございます。第一のプラントに第二の事故の原因をいろいろ追及いたしまして、適用させられるところは適用し、なお安全だということを確認して第一のプラントを動かしたということで五十日間とめたようなかっこうになりました。現に、いま五井の工場のほうでは全面操業ストップいたしております。これもいま対策委員の先生方にいろいろお願いいたしまして、原因その他を追及いたしておるところでございますので、その結果を五井のほうにも当てはめまして、それをベースにして安全だということを確認した上で五井のほうも操業を再開さしたいというふうに考えております。  なお、信越のほうはまだ原因を調査に行っていただいてお帰りいただいたばかりでございまして、十五日、二十三日の日に検討いたしまして、その結果、改善結果を信越のほうに通知する予定でございます。いつまでもとめておくという気持ちはございませんので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  168. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 冬に向かいまして、特に私は北海道でございますけれども、非常に深刻な問題に灯油がなっているわけなんです。食べるものは一食くらいがまんしてもということはありますけれども、暖かい暖房だけは絶対にとめられないということでもう真剣に特に家庭の主婦たちはいま考えているところなのに、きょう、さっきから質問、討論を聞いておりますと、その真剣さが全然わかっていないです、長官にいたしましても、通産省にいたしましても。また、きょう五時から長官はおいでにならないというような中でたいへん残念なんですけれども、これから私の質問をいたしますから、時間も協力をいただいて簡単に要領よく御返事いただきたいと思います。  けさからの質疑の中でもまたあらためてはっきりいたしましたが、灯油は現物は去年に比べてより十分あるという確認をさっき何度もされました。現物がしっかりあると。そして、元売りでは十三円で凍結を九月段階でやりましたと。現物があって元売りで凍結されれば、ちゃんと流れれば何の心配もなく流れるはずなのに、きょうのおたくの調査を見ても非常に値上がりしているというのが客観的な事実なんです。じゃ、一体、この原因はどこにあるのか。元売りがその値段をきちっと守っているんだとすれば、そのあとどこの段階でこんな高い値段で行っちゃっているのか。それはどこにあるのだ、どこだということを一言でいいですからはっきり言ってください。長官も、その辺のところは、現物があって値段も凍結されている、しかし消費者には高い値段になっている原因はどこにあると思うか、お互いに一言ずつで簡単にお答えいただきたいと思います。
  169. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 昨年と比較いたしまして灯油が上がっていることは事実でございますが……
  170. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、だから、簡単に言ってください。そんなことはわかっているんだから。
  171. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 人件費とそれから輸送費等のアップといった点もかなり要素になっているのではないかというふうに考えておりますが、私どもとしましては、四百円台でできるだけ安い価格でこれを押えるように指導していきたいと考えております。
  172. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 一言で申し上げますと、便乗とやみカルテルの問題だと思います。
  173. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま便乗とやみカルテルというような問題が長官からも出ましたけれども、私もやっぱりその辺のところが問題だと思うんですよ。先ほどから村田委員も取り上げられましたけれども、この「朝日新聞」なんか読みましても、仙台の場合それがはっきり出ています。公取のほうでもいまお調べに入っている。結果的にはどうかわかりませんけれども、そういう事実がございますし、また、埼玉県でも、品不足を理由にストップをかけてそして品物を出してくれないという事実もございますし、札幌の場合にも、九月末ではドラムかん二万五千本を契約を申し入れたのに、品物はあるけれども四千四百円でないと売れないということで、それであとでやっと四千円で契約ができたというふうなのが出ております。それからまた、鶴岡のほうでも、これは書類でも出ておりますけれども、価格をくずさないようにということが元売りとも相談して出されているように見受けられます。こういうふうにいたしますと、元売りというのが非常に介入しているということがはっきりしていると思うんですね。元売りが大きな役割りを果たしている。まあ小売り屋さん同士でも、石商なんかでも約束をして値段を下げないというようなことがあると思いますけれども、そういうような問題に対して、いま元売りのほうにもやみカルテルもあるというふうにお考えになるとすれば、その問題についてどういうふうに手を打って調査されたでしょうか。
  174. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 私どもは、いやしくもやみカルテルがあってはいけないということで厳重に指導しているわけでございますが、北海道におきます例で、たとえばいま先生が旭川の件を申されましたが、生協を中心としまして昨年との価格の比較でまとまった数量が契約ができないという状況が続きましたので、私どもとしましては、合理的な価格で契約ができますよう通産局を通じまして調査担当課長も派遣いたしまして成約にこぎつけるよういま指導いたしているところでございます。
  175. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 きょうまた調べてみましたら、宮城のほうでもそれがありますね。宮城の生協連でも、必要量四千二百キロ供給を申し入れたのに、メーカーが保証できないというので三千五百キロの契約しかとれなかったと。また、秋田の大協特約店からは、元売りから一五%の削減の指示があったと。だから、生協に対して購入した三万かんのうち四千五百かん分の返却を要求したというようなことも出ているわけなんですね。そういうように、今度、値段と一緒に量で制限しているというような問題について、その辺のところはどういうふうに調査なすってどういうふうな手を打たれていますか。
  176. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) いま御指摘のところにつきましては、私どもとしても詳細調べたいと思いますが、従来、各店の昨年の販売実績というものをベースにいたしまして、仮需要が出てきた場合にそれにすべて対応できないというような店もあろうかと思います。実際にたとえば昨年と違いまして、生協等で人数が多くなりまして、それだけの、ある一定量以上の、つまり昨年以上の量が必要だといったような場合には、私どものほうとしては、できるだけその量に応ずるように指導いたしているわけでございます。
  177. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その指導ですけど、一々私のほうへずいぶん資料が入るんですけれども、おたくのほうでは実際に全国的にどんな問題がどのくらい出ているかということをつかんでいらっしゃるんでしょうか。つかみ方はどの程度つかんでいらっしゃいますか。
  178. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) たとえば東北地区におきましては、通産局とそれから各県とタイアップいたしまして、そのそれぞれに苦情処理の窓口を設けまして、そこに問題を持ち上げまして処理をする。県の窓口で処理できる場合には通産局まで上がってまいりません。県の窓口で処理できない場合には通産局のほうにそれが上がってまいりまして、通産局のほうで処理できない場合には本省のほうに上がってくる。もちろん、本省のほうに直接御連絡いただきましも、私どものほうとしては直ちに通産局のほうに連絡をいたしまして処理を促進いたしたいと考えております。
  179. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、実際問題困っている人たちが、いまこういうわけで量も制限がされてきて値段がつり上げられてたいへん高い値段になって困っていますよということを北海道なら北海道の通産局、各地の支所なり何なりの窓口へ行けば、そうしたら、そこからおたくが連絡をとって、それについては値段は上げないように、量も確保できるようにということを指導して、そして心配なくできますということを言えますね。
  180. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) そういう方向で指導いたします。
  181. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、その値段のほうはどういうふうに考えていらっしゃいますか。たとえばドラムかん二百リットルが去年に比べてずいぶん高くなっていますね、一かんについても。そうしたら、その値段がどれくらいまで高かったら、おたくのほうで、そんなに高いんじゃ困るじゃないか、もっと安く売りなさいというふうに指導するんですか。
  182. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 灯油の値段は地域によりまして搬送費等が異なりますので、それぞれの地域によってかなりの差がございます。したがいまして、その地域におきます中で特段に高い値段が出ております場合には、その内容としまして十分調査をする必要があると思いますが、一応その地域の中でほぼ妥当と思われる値段の範囲でできるだけ低く購入ができるように指導いたす、こういうように考えております。
  183. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その妥当と思われる値段が主観によって変わってくるわけですよね。だから、いまのところ妥当と思われる値段はどういう値段を考えていらっしゃるんですか。
  184. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 私どもとしましては、四百円台でできるだけ低く指導したいと、かように考えております。
  185. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それだったら全然問題にならないですよ。四百円になって困るからといっていま騒いでいるのに、四百円になったら指導しますなんと言うんだったら、値上げを承認するだけのことじゃないですか。それじゃ何にも指導にもなっていないじゃないですか。四百円まではそうしたらほっておくと、こういうことですか。
  186. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 北海道の場合には、例年、地域的に遠隔でもございますので、他の地域よりも高いという事情があるわけでございます。したがいまして、いま四百円と申し上げましたのは全国平均ということで考えておるわけでございますが、私どもとしましては、元売りの凍結をいたしました値段が十八リットルかんで換算をいたしますれば二百三十円程度になろうかと思います。で、それにいわゆる店の経費、あるいは人件費、その他加味いたしまして、私どもとしましては、四百円台というところでとどまる範囲におきましては、これを直ちに便乗値上げと——特に四百円台が五百円までまいりますと、これはかなり問題かと思いますが、四百円そこそこといった段階でとどまる限りにおいては、直ちにそれをもって便乗値上げだというふうに断ずるわけにはまいるまいというふうに考えておるわけでございます。
  187. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 とんでもない発言なんですね。おたくのほうの十月の調査でも、調査したうちの六四・六%に当たる店が四百円以下で灯油を売っているんですよ、十月のきょうのおたくの調査を発表されたので。六四・六%が四百円以下で売っている。それでもみんな高くていま困っているというのに、四百円から上になったらちょっとたいへんだからそれじゃ指導しますなんて言っているんだったら、この六四・六%の四百円以下で売っているところは大きな顔をして四百円以上にしますよ。そういうことをあなたはすすめることになるんじゃないですか。そしてますますみんなが困っているという段階で、さっきもかっこうよく指導してすぐ善処しますなんと言ったって、こんな高い値段でやったらしないほうがいいですよ。長官、こういう——長官どこかへ行っちゃった。こういうかっこうだから問題は解決しないんですよ。全然もう話にならないです、それだったら。そうでしょう、私の言うのは間違いないでしょう。四百円以下で現在売っているというのが調べたうちの半分以上あるのに、四百円以上になったらそれは押えますなんて言ったら、高い値段の承認を与えているようなものじゃないですか。そういうかっこうだと、全然もう能力なし、通産省全然もうだめですわ。
  188. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 灯油の価格は、先ほども申し上げましたように、八月が一番ボトムでございまして、需要期に入りまして例年少し上がるわけでございますが、私どもとしましては、そういった季節的な性格を持っておりますので、できるだけ低く押えるということで行政指導をやっているわけでございまして、たとえば生協その他のあるまとまった形で契約がございます際には、比較的安い値段で、これは販売店のほうも手間が省けますし、人件費その他のコストもかからないと、こういうことでわりと安い価格で取引もされておりますし、そういう意味で、私どもとしましては、そういった生協なり自治会なりそういった形での取引というのは非常に望ましいと、こういうふうに考えておるわけでございますので、そういう価格と、それからいわゆる店頭売りの一品買いという形のものもそれぞれ入っているわけでございますが、いま十月の時点におきます価格としまして、六割が先ほど申しましたように四百円以下で確かに売られております。その点は私どもとしてはできるだけそういった線にとどめたいと考えておるわけでございます。四百円をこえております、特に四百四十円から六十円台のものにつきましては、先ほど申しましたように、価格の実態調査を直ちに実施するということにいたしておるわけでございます。できるだけ低く押えたいというのが私どもの趣旨でございまして、いま、たとえばどの地区におきましてどの価格が標準価格だということを設定するには、いろいろ店の販売店の形態も違いますし、また、取引の形態も違いますので、直ちには標準価格を設定することはむずかしいというふうに考えておるわけでございます。
  189. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 長官は帰られちゃったんですか。
  190. 山下春江

    委員長山下春江君) いま会議をやっておりまして、政務次官が……。
  191. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、約束では五時からだからというので、少なくとも五時五分前ということだったんですよ。
  192. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  193. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こしてください。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま申し上げましたのを政務次官お聞きになっていたと思いますけれども、これだけ問題になっているときに、四百円というところで何とかしようということでは、これはもう値上げになったものを承認するだけにしかすぎないと、そういうことではだめだと私が言っているのは当然だと思うんですね。  そこで、もう一つ詰めてそこのところをお伺いしたいんですけれども、それじゃ四百円以上になりましたと、これはたいへんですということで指導したいとおっしゃっていましたね、地方でそういう問題が起きたときに。その指導しますという効力は、どの程度効果がありますか。私のほうの店はもう四百五十円から五百円で売っているんです、この近所みんなそうなりました、通産局何とかしてくださいとかけ込みますね。そうしたら、それはおたくの本省にも連絡をしてしかるべく措置をするというふうにさっきおっしゃったわけですが、そういうときにどれだけ効果がありますか。値段を下げさせられる自信がありますか。
  195. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 私どもとしましては、そういう話がございました際には、元売りそれから販売店の話を聞きまして、著しく高いという判断があった場合にはそれを下げるということでございますが、これがどれだけ——たとえばまとまって生協とか自治会とかそういった形の場合には私どもとしては元売りとの関係におきまして相当な指導ができると考えておりますが、一軒一軒の場合に、個々の販売店につきましてどういう効力を持ち得るかは、私どもとしては、行政指導でございますので、この点はよく話を聞いた上で措置したいと考えております。
  196. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 一軒一軒のを取り上げるのはたいへんだと思います。そのまとまってという範囲は、どの程度まとまったら取り上げていただけるのかというのが一つですね。それで、取り上げたときに、行政指導で値段をどれだけ押えるという効果があると思われますかという、その二つを……。
  197. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 通常私どものところに参っております報告によりますと、自治会単位というのはかなり成功例が多いと思います。私どもとしましては、各団地の自治会といったような形でいろいろなケースが持ち込まれましてあっせんをいたしておるわけでございます。これの成功率は比較的多うございますが、他方、その際の値段の問題でございますが、従来のあれでございますれば、自治会の方々も十分御満足いただける価格で従来は取引が行なわれたと考えております。私どもとしましては、平均価格が九月が三百八十六円、それから十月が四百十円と、こういうふうに価格がすでに上がってまいりましたので、まあ平均価格というのは取引の上では一応の参考になるとは思いますが、私どもとしては、その地域のあたりの値段というものもしんしゃくいたしまして合理的な範囲でできるだけ安くというのはその地域地域の事情によって若干異なるかと思いますけれども、できるだけ下げるというふうに指導してまいりたいというのが私ども考えでございます。
  198. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、特に北海道の場合だったら、さっき一かん四百円くらいになったらとおっしゃっていたけれども、もう四百円こえていますよね。そして、生協との協約を見ても四千円ということになれば、もうほぼ一かん四百円くらいになっていますね、値段としては。で、「北海道新聞」が調査していますけれども、大体四千円から四千五百円くらいが平場で、五千円くらいという高値のところもあるわけですよ。そうすると、地域的に生協というようなまとまったところもあるし、全体として北海道はそういうことになっている。そうすれば、早急に北海道の分を調査するということをしていただけますか。
  199. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 北海道につきましては、先生の御意見もございますが、私どもとしましては、すでに旭川、それから函館、特に函館の場合には生協等にあっせんをいたしまして成功いたしておりますが、旭川はまだ残念ながら成功いたしておりませんけれども、いま御指摘にもございましたので、北海道につきましてもあらためて調査をお願いするというふうにいたしたいと思います。
  200. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、それはあらためてやっていただけるのはもう早急にやってもらわなければならないのですけれども、早急にというのはどれくらいの程度できちっとやってもらえますか、もう冬ですから。
  201. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 直ちに通産局長に連絡をいたします。
  202. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、公取のほうにお伺いしたいと思いますけれども、先ほど公取のほうでいろいろ御調査をいただいていると。それからまた九件についてお話しございました。それで、さっき小さい声でよく伺えなかったんですけれども、京都、兵庫、香川、長野、三重、東京、島根というようなところで勧告を出されているわけですね。その勧告はどういう内容で勧告を出されているのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  203. 吉田文剛

    説明員吉田文剛君) 先ほど、昭和四十八年度に開始した灯油等のやみカルテル事件が九件、そのうち勧告五件と、こう申し上げましたが、その五件について申し上げますと、一つは、香川県の石油商業組合高松支部、これは揮発油の価格引き上げ決定協定でございます。それから顧客争奪の禁止、つまり人のお客さんをとっちゃいけないと、そういう内容でございまして、排除措置、これは勧告をして審決をもう出しておりますが、排除措置の内容としては、決定の破棄、それから違約金支払いのための積み立て金の返還、これは協定に違反した場合の違約金の規定がございます。それから店頭価格等の回収、需要者に周知徹底、協定を破棄したことを。それからあとは、兵庫県の石油商業組合、これは内容は揮発油の価格引き上げ、顧客争奪禁止。それから長野県の石油商業組合、これは揮発油、灯油の価格引き上げ決定。それから島根県の石油商業組合出雲支部、これは揮発油の価格引き上げ、顧客争奪の禁止。それから京都府の石油商業組合、これは揮発油の価格引き上げ、顧客争奪の禁止でございまして、排除措置は香川県の場合と大体同様でございます。
  204. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、いろいろ御苦労の中でお調べいただいてそういうことがわかって、そういうことはしてはいけないというふうに勧告をなすったり、そういうことを排除するようにという排除措置をとられたわけですね。とられたあと、それじゃつり上げられた灯油の価格というようなものが下がりましたでしょうか、結果的に。それがお役になっていますでしょうか。
  205. 吉田文剛

    説明員吉田文剛君) 現在まだその点は調査中でございますが、もう少し時間をかけて調べてみないとわかりませんが、これはただ協定の破棄でございますので、必ずしもそれで下がったとは言えないのじゃなかろうかというふうに考えております。
  206. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私が心配しますのは、公取にたいへんやりにくい中でそれだけ御努力をいただいて、いろいろ措置していただいても、その上げたまんまでしているのに対してそれを値段を下げさせるというところの権限ですね、そういうものがおありになりますかどうかということですね。その辺はいかがでございますか。
  207. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) その問題は、たいへん必要でありながら残念ながらただいまの法律の解釈の上では必要な排除措置の中に含み得ないのじゃないか、価格を引き下げるというところまでですね。価格協定で引き上げたわけですから、それ以前の状態に戻すというのは私は常識じゃなかろうかと思います。ただし、これは経済が相当程度に安定しているということでないと、どんどん今日のように物価が先ばしって上がっていくときには、引き下げるといっても実は非常に無理な話になってしまいますから、ただ、たてまえの上では、あくまで価格協定を排除すると同時に、その効果をある程度価格そのものに反映させなければ本来のあり方じゃないのじゃないかということで、これは実は今後の研究課題の一つとして取り上げて、専門家の方にも十分検討してもらった上で法律の問題としてあるいは考えなければいけない、こう考えております。
  208. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 公取立場としては、そこまでの権限はないし、そこまで自信も持てないいまの状態だということになりますと、やはりここのところで売り惜しみ、買い占め防止法案、これが通れば物価は安定しますと田中さんも大宣伝されたわけなんですが、いよいよここで登場してもらわなければならないんですけれども、通産省としてはこういうような問題について、この売り惜しみ買い占めのほうの立場からどういう調査をしてどういうふうな措置をとってどういうふうな効果をいままで見られたかというような点についてお答えをいただきたいと思います。
  209. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 私どもとしましては、買い占め防止法対象品目としての灯油につきまして、いわばこの調査の事前調査と申しますか、そういった意味合いを兼ねまして、従来各通産局にいろいろ実態調査をやってもらっているわけでございますが、たとえば各通産局に対しましては、今後毎月十五日現在で灯油の価格並びに販売数量、あるいは納入先、あるいはその他の仕入れ状況等につきまして調査をするということもすでに指示をいたしておりますが、こういったものを踏まえまして、私どもとしましては買い占め防止法の活用ということを念頭に置いて実はやっているわけでございます。いままでたとえば消防庁のほうでまあ野天にタンクを一定量以上に在庫を持っていると、こういったものにつきまして消防法違反として摘発をしたものにつきましても、私どもとはよく連絡をとっていただくことに連携をとっておりまして、そういったものにつきましてこの投機法によりますところの立ち入り調査実施するということもやっております。  それからあと、これは具体案件で申しますと、たとえば東京の世田谷にありました一件がこれは消防法違反の問題でございますが、そのほか、千葉県で一件、それから静岡県で一件でございますが、各調査官を現地に派遣をいたしまして、報告を求めたりあるいは現在調査中といった状況になっております。先ほど申しましたように、各通産局並びに各府県におきましても苦情の処理の窓口を開きましたので、そういった段階でもこの投機防止法の対象になっておりますような売り惜しみあるいは買い占めといったものに該当するものがあるかどうか、一つの重要な材料があるいは手がかりがそこから得られるのじゃないかというふうに考えておりまして、最終的にはこの法律を活用しての価格防止対策ということでまいりたいと考えておるわけでございます。
  210. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 声が低いもんだからあとよく聞こえないのですけれどもね。たとえば十五日ずつ毎月調査されると、いろいろなことを。だけれども、毎月十五日ずつなんてやっていれば、もう二、三カ月たったらものすごい冬場を過ぎちゃうわけですよね。非常に手ぬるいですよね。現実にいまこんな問題が起きているわけですよ。だから、いろいろ立ち入り調査されたというけれども、消防の関係から立ち入りというようなこともあったし、世田谷の場合も私は聞きましたけれども、たとえば日石が非常に大口ですね。そうしたら、日石と契約して値段を上げたら出してくれたというようなことがあるとすれば、そういう大きな大資本の——大資本というとおかしいですね。日石とか大協とかというようにそういう大口のところをずっと立ち入り調査して調べるというようなこともはいままでしたことはあるんですか。
  211. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 大口のところはいたしておりません。ただ、いわゆる大口の元売りにつきましては石油業法に基づきます元売り価格の届け出がございますので、その段階でその価格の内容につきましては十分チェックするということをいたしております。それからいま先生御指摘ございました日石というのが出たわけでございますが、春日部団地との間でやはり価格並びに量の問題で成約ができなかった場合、通産省のほうであっせんをいたしまして成約にこぎつけたというケースもございます。
  212. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、いまおっしゃった春日部もそうですし、札幌生協の場合もそうですよね。日石か何か対象になっていますでしょう。で、小さいところを立ち入りしたってだめなんですよね。そういう大きいところで一体どうなっているんだと。元売りは押えて凍結してあると。だけれども、下へさっき言ったように流れてこないと。それじゃ、下のこまかいところでどれだけやっているかというのじゃなくて、その大きいところから順を追ってきちっと一つのところを調べるというような調べ方を本気になってやってもらわないと、ちょっとこれは納まりがつかないですよ。どこに行っちゃっているのだかわからない。で、大体そういう意味でその投機禁止法の法を生かしてこれからもずっと調査をして立ち入りして調べるという具体的な計画は持っていますか。
  213. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 先ほど申しました各通産局からの調査、これも一つの例でございますが、必要に応じてこの法律に基づきます立ち入り調査、あるいはその立ち入り調査に至る前の事前の調査ということでこの法律をバックにいたしまして実態の把握につとめてまいりたいと、かように考えております。
  214. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうのをぜひ実際持ってやってもらいたいのですけれども、そういうので調べますね。調べて、大きいところに売り惜しみで品物が残っていたとかいうようなことがもしわかったとしますね。わかった場合に、あれによって公表をするということは直ちにしてもらえますよね。それを公表して、公表したけれども、それじゃその値段をきちっと下げさせるというところまでその法律で押えられますか。
  215. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 大量に保有しておりました場合に価格を定めて放出することを勧告するということになっておるわけでございます。その場合、その価格は、コストプラス適正マージンというのが考え方のベースになっていると……
  216. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 すみません、もうちょっと大きい声ではっきり言ってください。
  217. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 投機防止法によりまして、買い占めという観点で大量に保有しているといった場合に、放出の勧告を出すわけでございますが、その場合に、価格を定めてその勧告を行なうということになっておるわけでございます。
  218. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 価格を定めて出しなさいという勧告をするわけですよね。勧告で従わなかったらどうなんですか。
  219. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) その場合は公表することにしております。
  220. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 公表でしょう。公表したって値段は従わなかったら下がらないわけでしょう。そうしたら、どうしますか。どうしたらいいですか。みんなが値段が高くなって困るというのを問題にしているわけですよね。だから、調査しました、そして安く出しなさいと勧告はしました、しかし値段は上がっているのでは、何もみんなの要求にこたえていないんです。そういうときにどうなさいますか。どうしたらいいと思われますか。
  221. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) あの法律を御審議いただきましたときにも、いろいろ御質疑がございましたときにお答えしたのですけれども、やはり大きな会社というのは社会的な正義に反してそういう大量の買い占めをやったりして、これをしかも公表されるというようなことはたいへんな社会的なマイナスでございますから、特にこの石油については、石油業法というものもあって通産省が非常に強い指導力を持っておりますので、そういうような場合は当然これは通産省の指導に従うものと確信しておる次第でございます。
  222. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういう感覚だから物は下がらないんですよ。大体、公表されたらもうショックを受けるなんていう、そんな純情な会社じゃないですよ。もう公表しなくたって新聞に全部出ているじゃないですか。そうでしょう。そんな感覚だから何にも役に立たないですよ。だから、この法律ができるときにも、何にも役に立たないじゃないか、だから売り惜しみ買い占めをやっているそのことについて罰則を出せというのが野党の案で出したのに、言うことを聞かないで、まあ言うことを聞かないといったらおかしいけれども、それを通さないで、それで、そんな純情な——それで通産省は指導力がありますなんて、指導力がないからこういうことになっているんですよ。全然それじゃもう役に立たないですよ。そういう議論をしていてもしようがないですけれども、そんな純情な会社じゃありません。そして、通産省もそれだけの指導力がありません。だから、いろいろなことをおっしゃっても、現実に物価はこんなに上がっちゃってみんなが苦しんでいるんで、客観的にはこれが事実ですよ。そうすれば、一体どうしたらいいのか。物統令というのを適用するということも考えられるのではないかということを私はいま考えているんですけれども、その辺についてはどうお考えになりますか。政務次官、どうですか。
  223. 小島英敏

    説明員(小島英敏君) 私からお答えします。  やはり現実に投機防止法に基づいて立ち入り検査をして、勧告をして、公表して、その段階で聞かなかった場合には、まさに御批判がそのとおりだと思いますけれども、やはりこれは現実を見てみないとそう明確には申せないことだと思います。  それから物統令適用ということも一つの考え方ではございますけれども、これは先ほど熊谷部長からも御答弁いたしましたように、現在通産省でより抜本的な消費規制を含めた法律案を検討中でございますので、そのワク内で価格規制についてもあわせて検討するということになっておるわけでございます。
  224. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 何かちょっとずれちゃって困っちゃうんですけれども、とにかくこの法律じゃ私は不十分だと思うけれども、不十分だと私が思っても、そちらではやる気になればやれるとおっしゃるなら、その法律に基づいてしっかり早くやってほしいんですよ。それで、調査しますだの何だのなんて言っていたって、いつでも、前向きに検討します、努力しますなんて、前向きに突っ立ったまんま半年も一年もたたれたらみんな困っちゃうわけなんですから、この問題は。だから、少なくとも、この法律でも役に立つんだという立場に立って、きちっと、たとえば特に寒冷地の場合はもう死活の問題ですよ。健康ならいいですけれども、病人を抱えているところだとか、福祉施設だとか、それからもうほかの物価がうんと値上がりして、きょうは時間がなくて残念なんですけれども、たとえば主婦がみんな家計簿をつけています。その家計簿を見せてもらいました。ほかのは去年の同期に比べても下がるくらい倹約しているんですよね。それだけ家計を引き締めながらも、この灯油にはたいへんなお金をかけざるを得ないというような状態になっているんですから、そういう実際問題みんなが苦労しているということを考えて、時間をかけてよく調査いたしましてからでなければなんていうことでは、ほうとうに国民立場に立っていないと言わざるを得ないですから、その辺を至急にしっかりやってもらいたいと思います。  それから通産局がたいへん指導力がおありのようにおっしゃっていましたけれども、じゃ値段をどんどんつり上げていくというこの段階にきましてどういうふうにしたらいいかということですね。たとえばいま問題になっているのは、産油国が供給をカットしてきただとか、それから供給制限をしてきただとか、それから値段を上げてきたというような問題がありますね。その問題についてもやっぱり供給対策をしっかりしてもらわなければいけないと思うんですよ。たとえば産油国が供給制限をしてきた以上にメジャーが制限してきていますでしょう。ちょっと私が調べてみたところでも、たとえば中東八カ国原油カット二九・六%ですよ。三〇%足らずだというのに、ガルフなんかは出光興産なんかに対して三五%から供給制限をやっていますよ。そういうことに対して、日本としてき然としてそういう必要以上にそれこそ便乗カットということをやめさせるというようなことをちゃんとやる気があるのかどうかということですね。いまの設備のまんまでもいま入ってきた原油の中でも灯油の得率を上げられますね。大体一、二%だったら上げられるんじゃないですか、いまのまんまでも。そういう灯油の得率を上げるというようなことを考えていらっしゃるかどうか。  それから大口消費者の規制の問題なんかについても、具体的に考えてもらうというふうなことを考えてもらいたいと思うんですよね。その中で特に私が言いたいことは、カットも、便乗カットで供給を産油国がカットしてくるよりも余分にカットしてくる。そして値段のつり上げだって、向こうがつり上げたよりももっと高い値段でつり上げをやっていますね。そういうことをさせないということをきちっとやってもらいたいんですけれども、そういうふうな具体的にやる気があるかどうか、ちょっと言ってください。
  225. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 灯油の得率でございますが、私どもとしましては、灯油、それから軽油、A重油という中間留分につきましては、これは民生に非常に直結している製品でございますので、従来からこの得率をかなり上げるように指導いたしておりますが、特に最近の状況もございますので、国民生活擁護という観点からの指導を今後続けてまいりたいと思っております。  それから第二の産油国のカット以上にメジャーが切ってきているのではないかと、こういうケースでございますが、私どもも、先般メジャーの代表を呼びまして、不当な差別をしないように厳重に申し入れてございまして、今日まで、たとえばさっき御指摘のガルフにつきましても、なぜそういうふうなことになったのか、これが差別によってそうなったのかという点は確認してございますが、そういった差別ではございませんで、現地側の事情がございました。ちょっと付言さしていただきます。  それから価格の問題につきましては、これはOPECが一方的に今度公示価格を上げる、並びに実勢価格を上げてきたわけでございますが、これにつきましてメジャーはまだ正式にこれを受けておりませんで、今後交渉が続けられることになると思いますが、私どもとしましては、消費国の立場をよく考えて産油国と交渉するように、このことはメジャーの代表にもすでに伝えておるわけでございます。  なお、日本にその価格を転嫁と申しますか、そのまま転嫁するのではなしに、やはりそこに合理的な範囲で議論をした上で、上げて引き取るべきものは引き取らざるを得ないと思いますが、日本全体にわたる影響も価格アップは非常に大きい問題がございますので、努力をするようにメジャーにもまた精製、元売りのほうにもこのことを伝えて指導いたしております。
  226. 山下春江

    委員長山下春江君) 小笠原委員にちょっと申し上げますが、もう時間でございますので……。
  227. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どうもすみません。  さっきカットが便乗カットになっているというのをあげましたけれども、今度値段のほうをちょっと調べてみたんですよね。そうすると、アラビアンライトがどれくらい値上げをしているかという値上げ幅を日本の円で計算しますと、一キロリットルの値が千四百七十円になるんですよ。一キロリットル千四百七十円の値上げにしかすぎないのに、これまたちょっと大きな特約店へ行って調べてきたんですけれども、灯油の場合になると一キロリットル五千円前後の値上げをもう今度は上がるからということで予告するというようなことになっているんですね。だから、灯油だけではなくて、あとガソリンにしても二万円から二万二千円くらいに上がると、やっぱり五千円くらいの値上げを言っていますよ。それに比して、大工場向けの重油、B重油、C重油というのは千五百円とか二千円ぐらいの値上げということなんですね。つまり、家庭用、民生用、消費者のそういうところに、公共料金の仕組みと同じだけれども、そういうところにはもうほんとの値上げよりもうんと幅を上げて値上げをかぶせちゃって、そして大口のほうには安くしているというのも問題だと思いますけれども、とにかくそういうふうに供給量にしても値段にしてもそれを口実にして値上げをするというのをすでに全部もう予告してそういう零囲気をずっとつくってきているということをいまから考えてほしいんです、後手にならないようにね。そこのところをしっかりやっていただきたいと思うんです。それじゃ、石油のそういう会社が損しているのか。損をさせて共産党はやれなんて言っているんじゃないんですよね。この九月にちょうど決算が出たのが調べが出ていました。また、新聞を見ましても、どの新聞も書いてありますよ。「日石空前の好決算」でしょう、これは「朝日」ですか。そして、「原油値上げ消費者転嫁で響かず」でしょう。それから今度「原油高、値上げで吸収、石油大手の利益急増」でしょう。それから「日石も空前の増益」と、ものすごく値段を上げています。で、前期に比べまして大体二倍から三倍の利益をあげている、これが実態なんですよね。そうすると、上がったからといってそもそも消費者にストレートに上げるというのも問題なのに、上がった以上に消費者に大きくかぶせて上げるなんていうことを考えているんだから、決して純情な会社じゃないということを頭に置いていただいて、しっかりその辺のところを指導していただきたいんです。行政指導というのは限界がありますよね。やりなさいと言ったって聞かなきゃしょうがないというちょっと弱いところはあると思います。また、いろいろと義理もおありのような点もありますから、なかなかおやりにくいだろうと思いますけれども、具体的にこういう手を使っていただいたらどうなのかなと思ったんです。  それは、きょう三時から石油審議会が開かれていますね、石油審議会が。で、この石油審議会に新増設の要求というのが各社からたくさん出ているでしょう。そしてきょう大体きめられるということを私は調べてきたんですけれども、そのときに、こういう便乗値上げをするとか、供給を余分にカットするとか、それから今度さっき言わなかったけれども重油のなまだきというのもあれもやめてもらいたいんですよ、灯油の不足の折からね。そうすると、これはすぐの間には合わないけれども、電力会社なんかにも排煙脱硫装置だとか脱硝装置ももうつけなきゃならない時代になっていますよね。そういうことで、新増設を認めてほしいというこの審議会の中でそういうもろもろの問題を規制できるんだから、だからこういうことをちゃんと守らなければ新増設を許可しませんよというくらいの強い姿勢で通産省はやってもらいたいと思うんだけれども、そんなことは考えられてきょう会議があったんでしょうか、そのことを全然考えられていなかったでしょうか、その辺のことをひとつまた聞かせてください。  で、時間がないから続けて質問しておきます。それからもう一つは、民生用とかそれから寒冷地に特に確保してもらいたいということは、値段もさることながら、量ですよね。量もしっかり確保してもらいたいという点についてみんな安心してよろしいというふうに、おたくの責任で、もしか問題があったらきょうの委員会でこういうことを言ったんだから何とかしてくださいと言ったら、ちゃんと手を打てるように、特に民生用、寒冷地向けについては、あなたの責任で、通産省の責任でこの冬は御安心くださいということが言えるのかどうか。言ってもらわなかったらまた問題が長くなっちゃうのだけれども、そんなことをしっかり答えてください、二番目に。  それから三番目に、これは最後の問題なんですけれども、こういうふうにエネルギー問題全般の問題になるんだけれども、これを一つ一つ言っていても問題にならないんですね。もう石炭の問題もあるし、原子力も、電力もありますから。そうすると、やっぱりここで大きく将来を見通さなければならないと思うのです。石油の埋蔵量がないとかといって騒がれている。あれで石油危機ということは私は言いたくないんだけれども、これからの今後の日本のエネルギー政策をどうするかという長期的な根本的な政策というのをいまきちっと立てておかないと、この冬この灯油で火がついたようなことになりますよね。わが党としても、民主連合政府の政策の中でエネルギー公社をつくれというような問題を出していますから、もう時間がないから言いませんけれども、お読みいただけていると思いますけれども、そういう問題について真剣に考えていただきたいという要望ですね。それは。  それからもう一つ、今度は特に北海道の場合、もうふんだりけったりだと思うんですよ。もし灯油がなかったら石炭で間に合わしていられれば何とか済むのに、石炭はどんどんつぶすという政策でしょう。石炭をつぶされちゃって、そうして灯油を買わさされて、灯油は値上げされてでしょう、そうして寒さの中におっぽり出されているというのが、いまの現状ですよ。そうすると、石炭の埋蔵量がないのかと言ったら、ありますね。おたくのほうの出されました四十六年の「本邦鉱業の趨勢」というのを調べてみましても、全国で埋蔵量約二百二億五千万トンというのが出ていますよ。そうすると、そういうものについて総合エネルギー政策をどう考えるかという点について、この石炭をどう位置づけてこれからやるのかということです。これも時間がないから言えませんけれども、火力発電所一つとってみても、日本の場合はもうほとんど重油に切りかえちゃっているわけでしょう。石炭でやるということをやってないですよね。そういうような総合的な、立場から——特に北海道の場合は、石炭をつぶしておいて、そうして今度は灯油を使わせて灯油を値上げさせてふんだりけったりというようなことをするんじゃなくて、この石炭の政策についても考えてもらいたいということですね。そういう総合的な立場についてのいま持っていらっしゃる御見解ですね、大臣にかわってですからしっかり答えていただきたいと思います。
  228. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 本日の石油審議会でございますが、本日の石油審議会は昭和五十一年度及び五十二年度の需要に見合う設備の新設、増設の許可でございまして、許可基準といたしましては、「石油供給計画に照らして著しく過大とならないこと。」「経理的基礎及び技術的能力があること。」それから「事業計画の内容が石油の安定的かつ低廉な供給を確保するため適切であること。」というのが実は許可の基準になっておるわけでございますが、先ほど先生の御指摘になりました協力をしない者は許可をするなというお話でございますが、私どもとしましては、この審議会の問題と離れまして、行政指導は種々いろいろな面でいたしておりますので、十分御趣旨を体しまして指導をやってまいりたい、かように思っております。  それから第二番目の量の確保の問題でございますが、寒冷地におきましては、私ども全く先生と同じく、寒いところで特に灯油の問題は非常に重要であるということは非常に痛感いたしております。ことしの夏ごろから、私どもの場合では札幌通産局ではこの問題がすでに大きな問題になっておりまして、そのころから準備を行なってまいっておりまして、増産をまずやるということが第一でございまして、八月から実は私どもは石油会社に対して増産の指示をいたしていたわけでございます。その結果、例年になくまた貯油ができたという現状になっております。北海道の場合には自給度がたしか六〇%と申しますか、北海道の中に在する石油精製企業で出す油が六〇%ぐらいあると思いますが、なお本土から持ってこなければならない状況にございます。したがいまして、北海道自体の貯油の能力もございますが、私どもとしましては、緊急な事態に対応できますように、本土から輸送をするとか、そういうことにつきましてすでに元売り各社にそういった場合に対応できる仕組みをつくっておくようにということで対策をすでに講じておるわけでございまして、量の確保の問題につきましては、私どもとしましては、この冬必要なものについては十分なめどを持っているというふうに考えておるわけでございまして、もし何らかの事情で、たとえば灯油の中でも産業用の灯油といったようなものが民生のほうの灯油に食い込んでくるとか、そういうようなおそれがないとも限りませんので、これについてはすでに元売り各社に対しまして新規のものにつきましては抑制するということを内々の指導をいま開始をいたしておりまして、いやしくも民生が確保されないことのないように私どもとしては十分対処してまいる所存でございます。  それから三番目の新しいエネルギーの問題につきましては、通産省としましては、来年度予算要求としまして、太陽エネルギー、それから地熱、水素エネルギー、合成天然ガスにつきまして、その開発のために五十五億円予算要求をいたしておりまして、新しいクリーンエネルギーを開発するために今後も大いに努力をしてまいりたいと考えております。  それから第四番目の石炭の位置づけでございますが、最近の原油価格の急激なアップということに対応いたしまして、ここで石炭を見直すべきではないか、あるいは石炭のガス化を研究開発すべきではないかと、こういう声がかなり出てまいっておりまして、新しいエネルギー政策の中で石炭をどう位置づけるかということにつきまして、私どもとしましては、エネルギー調査会におきまして各エネルギーにつきましてのあり方を近い機会に諮問をし、御意見をいただくという機会を持ちたいということでわれわれ事務方としては準備をいたしておるわけでございます。
  229. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もうちょっとだけ、すみませんが。もう一つ、さっき私確認したのかどうかちょっとわからなくなったから伺うんですけれども、量はまあだいじょうぶだと確認していただきましたね。その値段の問題ですよ。調査してみて、そして値段を、いまもう四百円以上になって困っているというところですよね。だから、それを四百円以上というのではなくって、できたら去年並みにしてほしいけれども、去年並みといえばまたちょっと暖冬の問題なんかがあってたいへんだったけれども、少なくともことしの春の段階とかというくらいのところまで、値段はどこら辺まで行政指導のめどとして下げるということで御指導いただけるかどうか、その値段のところを、ちょっとさっき私落としたような気がしたので……。
  230. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 値段の問題は、実は一律にはきめかねることにつきましては先ほど来申し上げたつもりでございます。それで、北海道の場合には、私どものモニター調査によりましても、大体が三百六十円から四百円台のところが数が一番多うございますが、四百四十円から六十円のところも二〇%程度やっぱりございますので、ここのあたりを私ども調査をいたしまして、できるだけ四百円そこそこというところで押え込みたいというのが私どもの気持ちでございます。たとえば、今度の十月のモニター調査によりましても、全体で五十五件実は札幌だけでございますが調査をいたしておりますが、そのうちの十七件がいわゆる四百四十円から四百六十円台のものでございますが、他方、三百八十円から四百円までのものが二十一件ございますので、この間に数があまりないということがございまして、こぶが二つあるみたいな感じになっておりますので、そこら辺がどういう事情でそうなっているのか、さっそく調べるように実はすでに指示はしてあるわけでございますが、そこをよく調べました上で対処いたしたいと思いますが、価格は一律にはきめかねますが、できるだけ低く押えるというのが私どもの方針であるわけでございます。
  231. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 四百円以上なんというのは絶対話にならないですよ。去年までいけばいいけれども、そこまでいかなくても、四百円以上なんというのでは絶対だめだということで考えてみてください。
  232. 山下春江

    委員長山下春江君) 本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会