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1973-08-30 第71回国会 参議院 農林水産委員会 第26号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年八月三十日(木曜日) 午前十時十四分開会
—————————————
委員
の
異動
八月三十日 辞任
補欠選任
高橋雄
之助君
鹿島
俊雄
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
亀井
善彰
君 理 事 初
村滝一郎
君 中村
波男
君 塩出
啓典
君 委 員 梶木 又三君
田口長治郎
君 鍋島 直紹君 平泉 渉君 堀本 宜実君
足鹿
覺君 杉原 一雄君 村田 秀三君 塚田 大願君 国務大臣 農 林 大 臣 櫻内 義雄君 国 務 大 臣 (
総理府総務長
官) 坪川 信三君
政府委員
内閣総理大臣官
房審議室長
亘理 彰君
総理府恩給局長
平川
幸藏
君
大蔵省主計局次
長 辻 敬一君
厚生政務次官
山口 敏夫君
厚生省年金局長
横田 陽吉君
農林省農林経済
局長
内村 良英君
農林省構造改善
局長
小沼 勇君
自治政務次官
武藤 嘉文君
自治省行政局公
務員部長
植弘
親民
君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
参考人
千葉商科大学教
授
松本浩太郎
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
亀井善彰
1
○
委員長
(
亀井善彰
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告をいたします。 本日、
高橋雄
之助君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
鹿島俊雄
君が選任されました。
亀井善彰
2
○
委員長
(
亀井善彰
君)
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
参考人
の
意見
を聴取いたします。
参考人
として
千葉商科大学教授松本浩太郎
君の御
出席
をいただいております。 この際、
松本参考人
に一言ご
あいさつ
を申し上げます。 本日は御多忙の中を本
委員会
に御
出席
をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。
参考人
におかれましては、忌憚のない御
意見
をお述べくださいますよう
お願い
を申し上げます。 議事の進め方といたしまして、初めに
松本参考人
から御
意見
をお述べいただき、引き続いて
委員
の質疑にお答えいただくことにいたしたいと存じます。それでは
松本参考人
に
お願い
いたします。
足鹿覺
3
○
足鹿覺
君 その前にちょっと
委員長
、ご
あいさつかたがた
、すわったままで失礼いたしますが、初めに総括的に、
年金制度
と
農林年金
との
関係
について、
焦点
について伺ってみたいと思います。
わが国
の
公的年金
は、御
承知
のように、それぞれの
経緯
を持って
八つ
の
制度
に分かれておりますが、これらの
制度
は、
国民年金
については
定額制
であり、
厚生年金
、
船員保険
については
定額プラス報酬比例制
の
年金
であります。五つの
共済組合
は、
報酬比例
の
年金
となっておりまして、
給付
の
水準
もそれぞれ、
先生
御
承知
のとおり、異なっております。このように
制度
の内容が異なることによって、当然老後の
保障
にも
年金
によって差異が生ずる結果になり、同じ
国民
でありながら平等の権利が受けられない。この点は七つの不
均衡
な問題として、その
統合化
をはかるべきであるとの
議論
も強いのでありますが、私もその
妥当性
を主張する一人でありますが、この点について
先生
の御
見解
を特に伺っておきたいと思います。 さらに
公的年金
中、
職域ごと
にできている
共済組合
は、従来から
社会保障
としての機能と
労務管理的福利厚生的性格
とをあわせ持ち、
厚生年金
とは異なった位置づけがなされてきておるのであります。で、今回の
厚年法
の
改正
によりまして、
厚生年金
と
共済年金
との
関係
が
逆転現象
さえ見られる状況が生じてきております。そこで、今後、
共済組合
はどのような点に力点を置いて
改善
がはからるべきなのか、特に
農林年金
のように
給与
べースのきわめて低い
共済
では、どのような点を配慮すべきなのか。この点について、
焦点
をしぼって
最初
に伺っておきたいと思います。あとは
先生
の
一般論
の
お話
を聞きました上で
——
ただいま述べた点に対する御
見解
と
一般
的な
先生
の御所見を聞いた上で五、六点具体的にお尋ねを申し上げたいと思いますので、よろしく
お願い
を申し上げます。
亀井善彰
4
○
委員長
(
亀井善彰
君) それでは
松本参考人
お願い
いたします。
松本浩太郎
5
○
参考人
(
松本浩太郎
君) ただいま
委員長
から御紹介ありました
松本
でございます。
足鹿先生
からの御質問を私は大体三点と分けて考えておりますので、まず第一は、
公的年金
と
一般
の
公的年金
——
言うならば
厚生年金
であろうと思いますが、これと
農林年金
の
関係
と、それからそれに伴うところの
年金制度
の
一元化
という問題について
お話
をしたいと思いますですが、端的に申しまして、
農林年金
は
厚生年金プラス企業年金
というものから状り立っておると、かように考えてよろしいと思うわけでございます。それから
一般
の国が行なうところの
社会保障制度
は、単に
わが国
のみならず、世界は広く
スウェーデン
においてすら、一番
年金制度
の進んでおる
スウェーデン
においてすらも、これは遺憾ながら
生活保護法
を少し上回ったような
年金
しかできないという実情にございますので、一本に統合するということは私は、
レベルダウン
であり、そして福祉の向上を逆に阻害するものとして、現
段階
においてはこれは許されないものではないかと考えておる次第でございます。御存じのように、戦後の二十八年間の
年金制度
の動きは、むしろ
多元化
・
多様化
の形においてお互いに競い合ってこれを行なっておるのでございます。 それからもう
一つ
、
わが国
の
社会
の
構造
を見ますと、これはいわゆる
縦社会
と称される
社会
。
縦社会
と申しますのは、
権力構造
というのが
上層部
に移管しておる形でございます。このことは
労働組合
が
企業別労働組合
として発達しておることではっきりこれを物語っております。そのような
意味
におきまして、
わが国
民性というものは
社会保険
の
福利厚生化
ということに非常にすぐれておる能力を持っておるのでございまして、
共済組合
にしろ、
健康保険組合
にしろ、いずれも
社会保険
の
福利厚生化
として、
昭和
二年に
健康保険
ができましたことは、これは
健康保険
の
福利厚生化
であり、
昭和
四十一年に
厚生年金基金
ができました
ことば
、これは
厚生年金
の
福利厚生化
でございます。それから
共済組合
は、
健康保険
と
厚生年金
を
両者一体
としたところの
一つ
の
福利厚生化
の施設でございます。それを受給する
労働者
の
立場
からは、より厚いのが当然の望ましいことでございます。 それからもう
一つ
申し上げたいことは、
わが国
の
共済組合
の
給付
が非常にすぐれておるように言われておりますが、これは
わが国
の
段階
において必ずしもこれがそう言えるかどうかということも問題なのでございまして、少なくとも先駆的に六十七年の
歴史
を持っているこの
共済組合
の
歴史
こそは、
日本
の
年金制度
の私は先達ではないかと思うのであります。 もう
一つ
、これは後ほども
一般論
として申し上げたかったことでございますが、
年金制度
は何か
給付
だけをやることが
目的
のように考えられておるのでございますけれども、実は
年金制度
というのは、
長期
の
成長金融
を確立するための最もすぐれた
手段
であるというように私は考えたいのでございます。昨年の十二月末に、
日本
のいわゆる
金融機関
の
資金総額
は約百五十兆でございますが、そのうちで
長期金融
という
年金
を
中心
とした
金融
というのはほんとうにわずかでございます。これがやはり私は、
金融面
から
日本
のこのインフレを促進している
一つ
の
原因
ではないかと思うのでございまして、民間の
産業資金
として、
長期金融
の蓄積のだめにこそ
共済組合
の果たしてきた
金融
的なこの
長期金融
としての威力は私はたいへんなものだと思います。 また
外国
の例を引いてたいへん恐縮でございますけれども、アメリカでは
年金基金
のことをファスト・グロービング・フィナンシャル・ジアイアンツと称しておる。すみやかに成長する
金融界
の
基金
と申します。
スウェーデン
の
国民付加年金
という
給料比例
の
年金
は、実に超
完全積み立て式
と申してもいいばく大な
積み立て方式
をとって、
スウェーデン経済学者
は、
年金基金
というものはこれは二十
世紀スウェーデン人
の最大の
発明品
だと申しております。なるほど諸
外国
の
公的年金
の中には
賦課式
のものが幾分ございます。これは六十五歳
支給
の分であって、さっき申しましたように、
給付
の
水準
が、
公的年金
、つまり
エリザベス女王
のつくったプア・ロウ、
救貧法
を少し上回った程度以上には出ないのでございます。
企業年金
というものはいずれも
積み立て式
をとっております。したがいまして、
賦課式
とか
積み立て式
とかいう
議論
は当たらないのでございます。
賦課式
と
積み立て式
と、こういう考えでいくべきではないか。 少し話が脱線いたしましたが、こういうような
意味
で、私は、
公的年金
と
農林年金
の
性格
をはっきり
日本
の
国民生活
に合わせてこれを峻別したいと。なるほど、諸
外国
におきましては一本にしようというような
思想
もないではございませんけれども、一本に
年金制度
をしている
公的年金
は
イギリス
だけでございます。ちょうど、これは、私、昨年
ロンドン大学
でアベル・
スミス教授
という
イギリス
の
社会保障
の
最高権威
と話しましたときに、
イギリス
のベバリッジの
年金制度
は大失敗であった。これは画一的な一本の
制度
にして、
賦課式
にしたことだ。スエーデンを見習うべきであると、こういうことを言っておりましたのでありますが、私は、単に理論的や理念的でなくて、
日本
の
社会構造
からも、現
段階
のこの
八つ
に分かれていることは当然の成り行きであり、これこそ
日本経済
にふさわしいあり方であると考えておる次第でございます。そうして、
年金制度
は、先ほど申しましたように、
給付
をやることは当然であるが、
長期金融
をみずからこれをになっていくという責任があってこそその
制度
を
経理
・運営するための熱意も出てくるんでございまして、その
意味
において、遺憾ながら、
厚生年金
以下についての、
共済組合
の
資金
の
運用
において本質的な違いがあることをここに申し上げねばならないと思う次第でございます。 なぜ、
共済組合
だけが
積み立て金
の
自主運用
をやっておるかというようなことについていささか沿革めいたことを申し上げるのでございますが、
大正
九年に初めて
日本
に
共済組合
に
年金制度
ができましたときに、もちろん、一九〇七年
——明治
四十年にできたんですけれども、一九二〇年までの十三年間は一時
金制度
でありました。その
年金制度
をやるときに、過去の十三年間を
年金
のために掛け金を払ったこととして
年金制度
をやること、いわゆる過去
勤務年金
というのが実施されました。なぜ、その
年金
を実施したかと言うと、当時の
床次鉄道院総裁
が何とかして第一次大戦後の景気で
鉄道
を去っていこうとする
従業員
を足どめする方策はないかというときに、そこにできたわけなんでございます。そのときに、
大蔵省
のほうでは、
積み立て式
でやるならこれはけっこうでございます、そうして、
資金
は
国債
を全部買うことにしてくださいと、こういうことにしてできて、
国債
をずうっと買っておったんでございます。ところが、
昭和
十一年の五月一日、
馬場大蔵大臣
のときに、五分
利公債
が三分半に切りかえられましたために、
日本
にありますところの
共済組合
が全面的に非常な打撃を受け、まさに
滅亡寸前
にありましたときに、
前田米蔵鉄道大臣
が、第六十四回
貴族院決算委員会
におきまして、今度の
戦争
のために
戦時公債
を発行するところの犠牲を
国鉄
の
従業員
にしいることはできないから、これは
全額国庫
で
負担
することにしようということを言明し、
昭和
十五年の二月十六日、
勅令
第六十号でそれが発布されました。それで、そのとき、あわせて、
前田米蔵鉄道大臣
は、
積み立て金
の
運用
ということについては、単に
国債
ということでなくて、自主的にこれを
運用
していこうというようなことで、
昭和
十二年の
日本
通運の
株式
に投資するというのが
株式
への
最初
の投資でございました。ところが、
昭和
十六年の七月十一日、
東条内閣
だったと思いますが、
戦時金融基本態勢確立要綱
というのが閣議で決定されまして、
日本
の
公的資金
は全部
大蔵省資金運用部
に預けられることになりました。そのとき、
運輸次官
の
——
もちろん、
共済組合
、
国鉄
も全部ですが、そのときに、
運輸次官
の
長崎惣之助
さんと
大蔵次官
の
谷口恒二
さんとの間の協定の中に、
戦争
が終わりましたらこれは
自主運用
として
国鉄共済
に返していただくということが書いてありました。はたせるかな、戦後、
佐藤榮作
さんが
鉄道総局長官
におなりになりましたときにその条文がものを言いまして、
共済組合
にまた
資金
の
運用
が戻ったのでございます。それを機会に、
共済組合
というものは、すべて
積み立て金
は自主的に
運用
するものだということで今日の繁栄を来たしてきた。こういうことでございました。 私は、こうした実証的な尊い
歴史
を否定して
一元化
を急ぐことは
日本
の
社会保障制度
を低下せしめていくことではないかと、非常に憂心うたた禁じがたいものがございます。 その次でございますが、
労務管理的性格
ということでございますが、労務管理的ということは、いまの中の
社会保険
の
福利厚生化
というような
ことば
の中に十分入っておるのでありまして、
共済組合
の中にあるものを、
社会保障
の
部分
と労務管理的な
部分
とに分けろということは、実は、
化合物
を二つの元素に分けようというようなことで、どだいこれは本質をころしてしまうことなんでございます。そのような
意味
におきまして、
共済組合
という中から完全に、労務管理的と言いますよりも、むしろ、
年金制度
の
経理運営
が
企業体
と完全にシステマ化された形で
運用
されていっておるものだと、かように考えるのであります。
企業経営
の
目的
の
一つ
であるとさえ考えるので、その中には当然労務管理的なことも入っていいのではないかと思うわけでございます。 三番目に
農林年金
の
焦点
の問題でございます。
つまり給付
の差、これは当然
農林漁業団体
の
職員
の
給付
を落とすということになりますので、これはなかなか許されないことであり、その存在の
意義
すら忘れるのみならず、
日本
の
公的年金全般
の
レベルダウン
にすらなるのではないか。これは
年金
の年にかようなことは許されない。どういうようにしたらいいか。それにはまず、何と申しましても、
国庫負担
が千分の十八いただいているのを千分の二十にしていただ装い限りは
——スライド
が行なわれたり、
ベースアップ
が行なわれて、
財政
が苦しくなっているときなんですから、少なくともその
給付水準
の
公平化
はもちろん必要でございますけれども、それよりも
負担
の
均衡——
これは
均衡
というのは弱少の弱いところにはより多くやってもいいという
意味
でございます。そもそも
昭和
三十四年に
農林年金
ができ、それから
昭和
二十九年に
私立学校
ができますときに私たちのこれに
関係
したものの意図は、既存の
共済組合
、
国家公務員組合
や
地方公務員
や
公共企業体共済組合
と
厚生年金
の長所を取り合わせた理想的な
年金制度
をつくることであったのであります。つまり、
国庫負担
も当然に
厚生年金並み
にいただくということが
最初
の
出発点
だったのであります。いまだに、それができまして十数年を経た今日、それが実現されないということは非常に片手落ちであり、不公平ではないかとさえ感ずる次第でございます。 まずこれをやりましてから、それからその
厚生年金
との
給付
の不
均衡
でございます。大体
平均標準報酬月額
と申しますものが、
厚生年金
とそれから
農林年金
との間にはかなり格差がございますんですね。
昭和
四十七年度末の
平均標準報酬月額
は、
農林年金
は五万九千二百余円で、
厚生年金
が七万二千八十一円で、実に八割二分に達しておるにすぎません。これでは低いのはあたりまえで、この低さを低いと見るかどうかということはこれはまた別の問題でございましょう。しかしながら、それは別といたしましても、
平均
の
年金額
がどうなっておるかと申しますと、これは四十六年度末の一人当たりの
年金
しかございませんけれども、
厚生年金
は十九万二千八百十六円でございます。
農林年金
は二十三万百七円でございますから、なるほどここでは二割方高くなっておりますが、今度五万円
年金
ができればおそらく十九万二千八百十六円というのは四十五万ないし五十万にでもなると思います。その場合に、
農林年金
が二十三万百七円が、これが五十万円にはどうしてもなりっこございません。そこの具体的な
方法
なんでございますけれども、実は
厚生年金
には
最低限度
の
給付
というのがございます。で、少なくとも
厚生年金
の
最低限度
の
給付
以上は回るようになってもらいたいのでございます。
最低限度
の
給付
は三十二万一千六百円になっております。この三十二万一千六百円と申しますのは、これは
加入
二十年の者でございます。したがいまして、
最低限度
の
保障
というのを、
農林年金
においては二十一年、二十二年、二十三年というようなぐあいにして、
加入年数
によって
給付
は上がるのでございます。そういうような
意味
の
加入年数別
の
最低限度
をつくるということは、大体一年につきまして一万六千八十円ずつ
年金額
を引き上げていけばいいということでございます。これも
一つ
の
方法
でございます。 それからもう
一つ
は、いま二十年したら四割の
給付
でございます。これを
共済組合
の沿革を見ますと、
大正
九年に
共済組合
ができましたときには
年収
の二割五分だったのです。それが、
鉄道大臣仙石貢
さんのときに三割三分三厘になりました。それから
安孫子豊
さんが副
総裁
のときに、
年収
の四割に上がっております。四割に上がるときも、実は五割で原案がほとんどできて、
労働組合
とも話がついておったのです。それが
議員提案
から
政府提案
に切りかわった瞬間に四割に落ちた次第なんでございまして、これをもうそろそろ五割に上げてもいい時期ではないかと私は思います。と申しますのは、諸
外国
の
年金
を見ますと、
公的年金
と
私的企業年金
とを合わせたら、
企業
の大体六割から六割五分というのが通り相場になってきております。でありますから、そういうようなことをいま
日本
で直ちにやれとは申しませんが、そういう方向も考えなければならぬ。 ただ、ここで考えなければならないことは、やたらに、いい
ことば
かり取り扱ってきているように考えられますが、
年金支給開始年齢
が五十五歳になっております。これはもう定年六十歳、六十五歳を言われているときに、この際これらを考えなければならない。つまり、
国庫負担
千分の二十に上げることと、それから続いて、
厚生年金
との
レベル
、
給付水準
の調整をはかること、
年金支給開始年齢
を行なうこと。 さらにもっと進んでまいりますと、これは直ちにここで申し上げていいかどうかわかりませんけれども、現在の
高度成長
のもとにおきましては、将来の
保険料収入
というものはばく大なものになるのでございます。それを、
保険数理
の形で取り入れる
方法
が今日とられておらないのでございます。それを取り入れられるような新しい
財政方式
の開拓、俗に言う
——
後ほどちょっと御説明いたしたいと思いますが、
修正積み立て式
というような形でこれを取り入れてはいかがかということもございますので、こういう問題を一挙に解決することはたいへん困難ではございますが、そうした研究の体制というものはつくってもしかるべきではないかと思うのです。 以上の三点が、
足鹿先生
の御意に沿わなかったのではないかと思いますが、私の
立場
としての
見解
を一応申し上げた次第でございまして、なおお許しがあれば
一般論
にも移りたいと思いますが、これで一応お休みさしていただきます。
足鹿覺
6
○
足鹿覺
君 ありがとうございました。 いま
先生
の
お話
の中にもありましたように、四十七年度末の
給付率
を見ましても、
農林年金
が五万九千二百余円、
厚年
が七万二千八十一円とおっしゃいましたね。こういうように私が述べておりますのは、不
均衡是正
ということにウエートをかけて、必ずしもその悪いほうに統合するのではなくして、不
均衡
を是正して
国民
が平等の
生活
ができる。そしていますぐ
生活
できる
年金制度
を考えるべきではないかという
意味
のことを申し上げたのであって、その
手段
としては、やはり何らかの形で、この不
均衡是正
の
手段
として
一つ
の
統合方式
も考えなければならぬのではないか。これは一部の
学者
の中にも
意見
がありますね。そういう
意味
合いで申し上げておるのであって、ちょっとその辺もう少し時間があれば、いろいろとお伺いしたいと思うのですけれども、あまり時間もありませんしするので、また後日
先生
の御高見は、この点についてお伺いしたいと思います。その点私の
意味
は、そういう
意味
であって、
統合そのもの
に私はこだわっておりません。要は不
均衡是正
はどうしたらいいかということであります。 そこで、
共済組合
の
年金額
は、いまおっしゃったように、
厚年
を下回る、そうすると
共済組合
というものを組織しておく
意義
がないんじゃないか。こういう点でいかようにこれを措置すべきかということで、まず二〇%にぜひ
補助率
を是正すべきだと、こういう御
意見
が
中心
にあったわけですが、今度の
農林年金法
の
改正案
を見ますと、主として
年金
の
額改定
のようですね。
松本浩太郎
7
○
参考人
(
松本浩太郎
君)
スライド
のほうでございます。
足鹿覺
8
○
足鹿覺
君 これまでの
年金改定
の
経緯
を見ますと、いろいろな理由はありましたが、
財政
上の事由が大きく作用しておる。
公務員給与
の
アップ率
だけ引き上げてきておりません。
公務員
の
給与率
までアップしてきておらないのです。今回の
改正
だけ、四十六年と七年の二年分を一括して取り入れたにすぎない。それまではずっとおくれておるんです。そこで、本来
共済年金
の
スライド基準
はどこに置くべきでしょうか。ここでは四十六、四十七年、二年分をやって、それまではいつも
公務員
よりもおくれをとっておる。これがいわゆる不
均衡
を生じていく、やっぱり拡大をしていく大きな
原因
だと思うんです。ですから、
スライド
の
基準
というものはどこへ置くか、この点について
先生
のひとつ御
見解
を承りたい。
松本浩太郎
9
○
参考人
(
松本浩太郎
君) ただいま、
足鹿先生
の
お話
に対しまして申し上げたいと思いますが、実は、
日本
におきましては、戦後、
恩給
というものは、ことに
軍人恩給
が起きましたときに、
恩給亡国論
なんていうあられもない
意見
が通りましたために、私も当時
総理府恩給局
につとめておりましたが、実際に
恩給受給者
の
年金
を上げるということは、何か
罪悪
のような
思想
があったんじゃないかと思います。そういう
一つ
のイデオロギー的なものがあったんじゃないか。それがいまだに作用しておったために、
年金受給者
というものが非常に不遇の地位に置かれておったのを、ようやく昨今、これは許されない問題だとしてこの問題が起こってきた。 それから、もう
一つ
は、
日本
の
公的年金全般
が、いわゆる
完全積み立て式
とかいう
方式
。これは物価の上がらない、
スライド
のないときが、これが一番合理的な
方法
だったんでございます。それを踏襲している限りにおいては、
スライド
だとか、それから
ベースアップ
ということは、
年金財政
を乱すというようなことになってしまったわけでございます。そのために、むしろいわゆる
年金アクチュアリー
と称するほうの
意見
からすると、それはまた
罪悪
ではないかというようなこと、そういうようなことの
基準
から
スライド
が非常におくれてきて、いまでも、いま
先生
のおっしゃったように、二年分を一ぺんにやりまして、今年度二一二・四%でございます。これだって足らないので、もっともっと大幅にやっていかなければならない。それはそうかといって、完全積み立てを修正積み立て、ひどい人になると
賦課式
なんていう、こういうむちゃをおっしゃる人もございますが、そういうようなことになったら、それこそ
公的年金
亡国論にでもなるんではないか。その
意味
において
財政
の手当てとして
国庫負担
を千分の二十は、これは現
段階
でもらってもよろしいと思います。当然もらわなければなりません。それ以上増加する場合には、労使ともども掛け金率をさらに
負担
するということに踏み切っていただかなければならぬ。ちょうどわれわれが、たとえば五百万円の収入の人の税金が三割、一千万円になると税率が五割になる。じゃ、五割になるのがいやかというと、やっぱり一千万円のほうがいい。そういうように毎年の春闘で
ベースアップ
が行なわれている以上は、掛け金率の増徴ということもある程度は耐え忍ばれるはずでございます。そういうようなことも観念いたしましてこれをやります。やって、そうして
財政
手当てとともに
スライド
もやってもよろしい。それから、先ほど申しましたとおり、
スライド
とか、
スライド
年金
とか、過去
勤務年金
、保険料を払わなかった
年金制度
実施以前の期間を
年金
に通算したため、それの
積み立て金
がない場合、それは当然
賦課式
でございます。将来、今後
年金
をもらっていくという
部分
については、これは
積み立て式
でございます。 したがって、
賦課式
か
積み立て式
かという
議論
は、これは
年金制度
の内容を御存じない御
意見
でございまして、
年金制度
の
性格
だとか、
年金制度
の内容を分析していきますと、
賦課式
でやらなければならないものと
積み立て式
でやらなければならないものと二つある。つまり、
年金財政
というものは
賦課式
と
積み立て式
をいかに組み合わせるか、それのシステマ化されて、こん然一体となったのが、いわゆる
修正積み立て式
という表現によるものだと私は考えてよろしいと思うんです。 その次に、
スライド
の
水準
を何にやったらいいかとこう言えば、賃金と物価でございます。具体的には私は、賃金と物価の間を行きつ戻りつするような形以外にはないと思います。というのは、やはり財源の問題と
財政
の問題がありますから、賃金どおりにやれといったら、たいへんな財源の
負担
になる。そうかといって、物価
スライド
ではこれは満足しない。そこで、たとえば、
スウェーデン
の
国民年金
の、これは定額でございますが、例を言いますと、これは物価
スライド
になっている。ところが、
年金
者に毎年七月に
年金
の定期昇給
——
定期昇給というのは私が、かってに訳したのですけれども、補助
給付
という、サップリメントという、毎年七月に定期昇給があるわけです。
スウェーデン
では、
年金額
を
年金
点数で、
年金
証書が
年金
点数でいっております。シングルの人は〇・九、夫婦は一・四点なんです。毎年七月には〇・〇三ずつ点数が上がる。そうなってくると、物価
スライド
というか、賃金
スライド
というか、ちょっとわからなくなる。
生活
水準
の向上は
年金
者にも与えろというのが、七月のサップリメント、私の言う定期昇給でございます。それからドイツとか、フランスのようなのは、まあいろいろ見ますが、私は、おもにやはり賃金
スライド
ではございますが、やはり三年ぐらいおくれた形の賃金
スライド
のように思っております。それから
イギリス
はどうなっておるかと申しますと、
イギリス
は賃金
スライド
のようでもありますが、何ぶん定額でございますから、定額に対しての
スライド
というのは勢い物価
水準
程度しか出ないわけでございます。しかし総じてでございますが、かれらの国の
年金
は、
スウェーデン
は六十七歳、その他の国は六十五歳というようなことから
年金
が
支給
される。
平均
余命はむしろ
日本
のほうが長いというくらいですから、向こうのほうの
スライド
が
財政
的に与える影響というのは、
日本
よりもはるかに少ないのでございます。 そういうことも考えますと、
日本
では、これはほんの私のいまの思いつきでございますが、六十五歳までは物価
スライド
で、六十五歳過ぎたら賃金
スライド
、こういうことにすると、一緒にやめた人は、六十歳でやめた人と、五十五歳でやめて、同じ部長なら部長でやめた人の
スライド
は変わってくる。これもまた不
均衡
になるのでございますが、要するに、現
段階
では私はやはり物価
スライド
を
中心
にはするけれども、将来は、というか、五年目ごとの再計算のときには、それを賃金
スライド
のようにしていくというのが大原則でございます。 しかしながら、五つの
共済組合
は、これは実は先ほど言いましたように、
恩給
制度
と
厚生年金
のいいところをとったのでございますから、
恩給
制度
の
ベースアップ
におくれるということはできないのでございます。いまの
段階
においては、これ以上何か絶対的な
基準
を求めようということは、要するところ、さいふ勘定に戻ってくるわけでございますから困難ではないだろう、かように考えておる次第でございます。
足鹿覺
10
○
足鹿覺
君
先生
失礼ですが、総理府長官がお急ぎになっておりますので、ちょっとこの際、総理府長官の御質問をはさみますが、お許しをいただきたいと思います。 総理府長官に伺いますが、八月二十六日付
日本経済
新聞だけが掲載しておりますが、今年度の
恩給
改正
の内容が発表になっておる。発表の
方法
はどういう
方法
でありましたか、この記事によりますと、総理府は「四十九年度予算案に盛り込む
恩給
改善
案をまとめ、自民党内閣部会と同
恩給
制度
調査会の了承を得た。」と伝えておりますが、多分に来年を意識したにおいもないではないと思います。自民党も了承したということはどういう
意味
でありますか。この骨格はどのようなものであり、自民党も了承したというものを概算要求をなさるのでありますか。その内容の大綱と了承という
意味
——
了承ということは政府もこれをのむということであるか、その辺の事情を明らかにしていただきたい。
坪川信三
11
○国務大臣(坪川信三君)
足鹿
委員
が御指摘になりましたのは、ある新聞の資料によっていま御
意見
を述べられ、また、政府の態度についての御質疑をなされておるのでございますが、前提で誤解があっては恐縮でございますので申し上げておきたいと思いますけれども、政府が一応いま概算要求の作業を行ないつつあるさなかでございますが、政府の
見解
として正式に発表したものでないということだけははっきりと御理解おき願いたいと思うのでございます。いずれ政府といたしましては、来年度の概算要求を恒例に従って九月の初めまでには行なうというのはもう御
承知
のとおりでございます。 したがいまして、政府といたしましては、そういう事態を踏まえまして、来年度の予算要求に対するところの
恩給
の基本問題についていろいろの角度から検討いたしておるのでございますが、御案内のごとく、去る八月九日、人事院においては本年度の
公務員
に対するところの要求、いわゆる
公務員
の
給与
に関するところの勧告がなされたわけでございます。その
公務員
の
給与
の基本方針は、御
承知
のとおりに、全額一五・三%の
改善
を行なうということ、四月一日からこれを遡及するということ、すみやかなる国会に提案をすべきであるという、こういうような点が重要な点でありますので、政府といたしましては当日の午後、
公務員給与
関係
閣僚協議会を直ちに開きまして、
財政
当局ともいろいろと、また、
関係
閣僚ともよく打ち合わせをいたしまして、基本的に人事院勧告を受け入れるという基本方針をきめ、しかも四月一日から完全実施を行なう、そして本国会にこれを提案するということが二十一日の閣議において正式に政府の態度がきまったようなわけでございます。 かく考えてきますと、いわゆる
恩給
の
水準
と
公務員
の
給与
水準
との問題につきまして、いろいろと検討を加えつつございますが、一五・三%というこれに
スライド
するという方針は、昨年より御案内のごとく
恩給
制度
を改定いたしました際、政府といたしましても、また、担当大臣の私といたしましても、その方針を堅持するということは国会の場等を通じて表明申し上げてきたわけでございます。一五・三%に加うるに
恩給
の
水準
と
給与
の
水準
との間に格差がいまだ一四・七%あるというようなわけでございますので、この一四・七%を四十九年度から二カ年にわたってこの問題を解消することが老齢者に対するところの正しい政治の姿だと私は考えまして、この格差の半分であるところの七・三五%を積み上げるということになりまして、御
承知
のとおりに合計二三・八%の
改善
を行ないたいという基本方針をいまきめつつあるという状況でございまして、それがまとまりまして、そしてまとめ得まして、概算要求として正式に出したい所存である旨を御報告申し上げて御了解願いたいと思います。
足鹿覺
12
○
足鹿覺
君 二三・八という引き上げ幅は、いま大臣が御説明になりました一五・幾らに一四・七の半分を加えますとそういう数字になる。私はそのこと自体に異議を持っておるわけではありません。こういう大幅なものをおやりになってもなお積み残しがある。いま言外にお漏らしになりましたが、四十九、五十の二年間で積み残し分は全部解消しますか。いま、積み残しがあるのに二年後に解消するようなそういう考え方で
恩給受給者
が納得すると思っていらっしゃいますか。来年度解消できないのは財源の問題ではありませんか。積み残し分は私の推算では二百五十億くらい
——
どのくらいになりますか、私もよくわかりませんが、どのくらいになりますか。 まあいずれにいたしましても、これは
大蔵省
の
関係
もありますが、こういう
年金
の年というようなふれ込みをしておきながら、なおまだこのような四十九、五十の二年間で積み残しを解消しなければならないというような事態は私は矛盾しておると思う。積み残し分は幾らになりますか。積み残しの
方法
は四十九、五十年二カ年間で全部解消できますか、その点はいかがですか。
坪川信三
13
○国務大臣(坪川信三君) 要は
足鹿
委員
の御質疑は、これを二年度でなくして単年度でやるべきであるという御意向だと思うのでございます。御
承知
のとおりに、大体いま申しました方針でまいりますと、四十九年度の概算要求額は五千三百二十二億円の予定に相なるようなわけでございまして、本年度の予算額の四千二百五十八億に対しまして二五%の増加となっておるわけでございますが、これを原則として来年、再来年の二年度にわたって行なうということによって完全にいま御心配になりました格差はなくなる、解消するということに相なることだけは御信頼願いたいと思います。
足鹿覺
14
○
足鹿覺
君
大蔵省
にこの際伺っておきますが、いま総理府から積み残し分の解消についての考え方はお聞き及びのとおりですが、財源問題で積み残しの完全解消ができないということは非常に遺憾に思います。先ほども言いましたように
年金
時代が到来したと、直ちに食える
年金
がもらえるような印象を
国民
に与えておきながら、実態は、受給資格のある者の実態というものはそうはまいらぬ。また、その
給付水準
も
生活
費の高騰した今日、とうていやっていける金額ではない。こういう矛盾を内包しておりながら、余剰財源が非常に多いと言われておる今日、なぜ財源措置をなさらないのか。これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、
一般
に与える印象は大幅な引き上げをしたんだという印象を与えておいて、中身は欺瞞的に、この先二年かかって積み残し分も解消するんだ。解消しても、
生活
の実費すらまかなえないんだということではこれは納得するはずはないと思う。そういう点について
大蔵省
は従来の、いまも
松本参考人
の
意見
がありましたが、従来の考え方をこの際改められる必要があるんじゃありませんか。いかがですか。
辻敬一
15
○
政府委員
(辻敬一君) 老齢
保障
の充実につきましては、私どもといたしましても、従来から格段の配慮をしてきたところでございます。四十八年度予算につきましては、すでに御
承知
のとおり、
法律案
で御審議をいただいておるわけでございまして、
厚生年金
につきましても、大幅な
給与
改善
をいたしておりますし、
恩給
につきましても、先ほど来お示しがございましたように、従来の改定
方式
を改めまして、四十六年度及び四十七年度におきます
公務員
の
給与
改善
率によりまして二三・四%というような大幅な引き上げを行なった次第でございます。 来年度の問題につきましては、先ほど総務長官御答弁になりましたように、概算要求の形で提出されるわけでございますが、八月末でございますので、私どもといたしまして、まだ正式に受領いたしているわけではございません。概算要求が提出されましたならば、他の
制度
のバランスでございますとか、財源事情その他勘案いたしまして、政府部内で慎重に検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
足鹿覺
16
○
足鹿覺
君 私のお尋ねすることとだいぶ違った御答弁のようですが、これは後ほど政務次官もおいでになるそうですから、政治問題ですから、そのときに伺います。 新聞発表なり、いまの長官の
お話
によりますと、大体最低
保障
額三十二万円に引き上げるということは大体確定しておるようですね。衆議院における修正点を見ますと、厚生
改正
が、大体政府案が三十万二千四百円が三十二万千六百円になって、大体これと
水準
を合わせておるにすぎないですね、そういうことになっておるんです。私は、これはあるはなきにまさるという
意味
において、この修正は当然のことで、これで満足しないから質問をしておるわけなんです。長官、その辺を、これは衆議院で
農林年金
、
厚生年金
の
改正
をやっているんですね、これと一緒ですよ。それまでは幾らかというと、政府案は三十万二千四百円で出した。それを
年金
時代到来というので、たった二万一千円ほどふやしたにすぎない。そこに、私はやはり総務長官に政治家としては、やっぱりこの際御再考願って決断をしてもらわなければならぬのじゃないかと思います。これはぜひひとつ積み残し二年間のような、こういうことでは、私は
関係
団体はそう簡単に引き下がらないと思う。大体政府与党は
恩給
関係
には弱いようですが、ほかのものにも弱くなってもらいたいんです。どうも
恩給
関係
にだけ弱いんじゃ困るので、ほかのものにも平等に弱くなってもらうことは大歓迎ですが、いかがですか。
坪川信三
17
○国務大臣(坪川信三君) 決してお
ことば
を返す
意味
じゃございませんけれども、
共済
その他
年金
のほうは私の守備範囲でないんでございますから、私は
恩給
者の
立場
から、老人対策の
立場
から、多年の懸案があったこの問題に対して、昨年の予算編成に際して抜本的な、画期的な解決をいたしたわけでございます。それに加うるに、国家
財政
全般から高度に考えながら、これらの受給者の気の毒な老後の
生活
を安定するという考え方から、最大の配慮を今後も、
足鹿
委員
御指摘のような気持ちをもって取り組む方針は微動だにもいたさないわけでございますので、一応事務当局として考えました線、また担当責任大臣として私がとりました来年度の概算要求に対するところの考え方の根底だけはひとつ御理解願いたい、こう考えております。
足鹿覺
18
○
足鹿覺
君 長官のよき御意思は知っておるんです。私はわかっているんです。あなたの守備範囲ではないけれども、やはりこの
恩給
関係
というものとの関連は他の
共済
関係
で必ず出るんですからね。そのことを申し上げて、あなたが、ひとつもう少し弱くなられれば、今度はほかのほうもあわせて弱くなっていけば、
水準
がよくなるのじゃないか。こういう
意味
で、あなたの少し熱意を燃やしてもらいたいということを申し上げたわけなんです。
坪川信三
19
○国務大臣(坪川信三君) よくわかります。
足鹿覺
20
○
足鹿覺
君 そこで、
大蔵省
いまお聞き及びですが、あなた辻さん、いまお聞きのようですが、そうなりますと、
共済年金
の旧法の最低
保障
額は当然この額を適用すべきだと思いますが、いかがですか。
辻敬一
21
○
政府委員
(辻敬一君) 私ども先ほど申し上げましたように、まだ正式に概算要求の形で受領をいたしておりませんので、概算要求が出てまいりましたならば、他の
制度
、財源等にらみ合わせまして十分検討してまいりたいと考えております。
足鹿覺
22
○
足鹿覺
君 もしそうなった場合には、旧法
関係
は解消するかということを聞いているんですよ。別にいまあんたが、ここでこう言ったからといって、その言質をどうこうしようというのではないですよ。総理府長官が、ほとんど実現性に、可能性に近い、いまも熱意をこめて御答弁になっておるんですから、ですから、あなたがこう言ったからといって、今後、大蔵政務次官に追及するなんていうことはいたしません。が、いま言ったようなことになれば、当然旧法
部分
は解消しますね、そう聞いているんです。それならそうとはっきりおっしゃい。
辻敬一
23
○
政府委員
(辻敬一君) 従来のたてまえで申しますと、御
承知
のように、官吏につきましては、
恩給
制度
がございまして、雇用人につきましては、いわゆる旧法があったわけでございます。そこで、官吏と使用人との
均衡
という
意味
から旧法の
部分
の
制度
につきましては、
恩給
制度
と従来歩調を合わせてきておりますので、その点をどうするかにつきましては、
恩給
と旧法とあわせて検討する、かようなことに相なろうかと思います。
足鹿覺
24
○
足鹿覺
君 あわせて検討するということは、今後は
共済年金
の最低
保障
を新法と旧法で区別する必要がなくなる、こう理解してよろしいですか。
辻敬一
25
○
政府委員
(辻敬一君) 新法につきましては、これまた御
承知
のように、
社会保険
制度
として新しく始まった
制度
でございますので、これは従来から
社会保険
の基本でございます
厚生年金
に合わせているわけでございます。先ほど来御指摘のございました旧法の最低
保障
の額は
厚生年金
の額を基礎として計算をいたしているわけでございます。これにつきまして旧法の
部分
につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、官吏に対して適用されました
恩給
制度
との
均衡
をはかる必要がございますので、従来から
恩給
制度
と歩調を合わせているわけでございます。
制度
の考え方につきましては、さようなことになっております。
足鹿覺
26
○
足鹿覺
君 もう少し
経緯
を見てまたお尋ねをしましょう。
恩給
改定と
共済年金
の
スライド
制についてですが、
社会保障制度
審議会は、
共済年金
の改定について
恩給
に追随しているのを改めるべきだと指摘しているんですね、辻さん。政府はどうも
恩給
には非常に……。いまここへ、私がきのう要求いたしました資料が、
昭和
四十九年度
恩給
改善
措置案というものが出ておるのです。これは膨大な中身のもので、私もいま読んで、これが日経に出たものの内容と一致しておるかどうかということの確認がつきません。つきませんが、とにかく画期的な最低
保障
額の引き上げをやる。こういうことは間違いないようですね。 で、先ほどもちょっと申し上げましたが、
恩給
関係
に対してはわりあい配慮が行き届いておるといいますか、
共済年金
については政府は非常にちびるくせがある。先ほどもちょっと私は申し上げたんですが、また参議院選挙対策ということでおやりになっても、私は一向それは差しつかえないと思いますよ。なら、ほかの
共済年金
にも
均衡
のとれた対策をとりなさい。当然でしょう。
大蔵省
はいずれこれを検討すると言いますが、
共済年金
がいつも
恩給
のあとにくっついて行っておるということは、社保審で正式な答申をしておる。それを、こういう
年金
の年のようなときに改めないという
大蔵省
の態度は、私はおかしいと思う。改められますか。いかがですか。
辻敬一
27
○
政府委員
(辻敬一君) 今回
共済年金
につきましても、御
承知
のように
恩給
にならいまして二三・四%というような大幅な
改正
をいたしておるところでございますし、その他いろいろと
制度
の
改善
も
お願い
いたした次第でございます。
恩給
との関連でございますけれども、先ほども御説明申しましたように、
共済
の
年金制度
は
恩給
あるいは旧法の
年金制度
を統合して発足した
制度
でございます。したがいまして、旧
制度
における期待権の保護と申しますか、既得権の
保障
と申しますか、そういうことを考える必要があるわけでございます。しかも、現在の
年金
の計算におきましても、新法の施行前の期間、これは旧
制度
の
恩給
なり旧法なりの計算と同じような計算をしているということもございますので、従来から
恩給
にならって
年金
の改定の措置をとってきたところでございます。 国家
公務員
共済組合
制度
について申し上げますと、たまたま来年度が財源の再計算期にあたっておることでございますので、最近における
厚生年金
等の
水準
の
改善
などの事情も勘案いたしまして、
共済
の
年金
の
水準
をどうするかということにつきまして
関係
の審議会にもおはかりをいたし、また、公的
年金制度
調整連絡会議等におきまして各省との調整もはかりながら、今後
給付
制度
、
水準
、あるいは全般的な
共済
制度
をどういうふうに持っていくかということにつきまして検討してまいる、さような
段階
でございます。
足鹿覺
28
○
足鹿覺
君 これは
最初
に長官に伺って、あとで辻さんに伺いますが、
共済年金
、
恩給
とも、この際、
公務員給与
に完全に
スライド
することを
制度
として仕組むべきだと私は思う。いまも辻さんは、この
制度
改正
の連絡協議会というものがあるやの御答弁でしたが、当然その連絡協議会の議題になっているでしょう。連絡協議会の内容は、
関係
省はどういう
関係
省で、いままでどういう
経緯
で、これからどういうふうな問題と取り組もうとしておられるのか、それを明らかにしてもらいたい。 そこで、総理府長官、最後に、いわゆる
共済年金
にしろ、
恩給
にしろ、老後の
保障
であるという点については、名前が違うだけで同じことなんです。いままでも、
松本
千葉商大の
先生
から参考の御
意見
を聞いておったところなんです。
国民
がその名目によって不
均衡
な
年金
を受けるということはすみやかに解消されなければならない。私があなたに特にきょう来てもらったのは、この新聞記事だけではないのです。
恩給
にみなくっついていくので、あなたは国務大臣の
立場
からやはりこれの抜本
改正
としては、
公務員給与
に
スライド
するという
一つ
の筋を立てるべきではないか。これを
大蔵省
とあなたが渡り合って、もうあなた田中内閣では一番実力者なんだから、ひとっこれをあなたがやられれば、これは
一つ
の
年金
、
恩給
制度
の大前進になりますよ、その御決意のほどを承りたい。
坪川信三
29
○国務大臣(坪川信三君)
わが国
内の果たすべき政治の課題は幾多
——
幾つもございますけれども、その中にあって、不幸な
戦争
によっての
わが国
の発展の上に非常な苦労を重ねられましたいまの老人の方々に、生きがいと安らぎを与えるという老人対策は最も重要な課題の
一つ
に、私は
足鹿
委員
の考え同様考えておるようなわけでございます。その線に従いまして私は、
恩給
問題の格差の是正に取り組んでおるようなわけでございますので、御案内のごとく、皆さまからもまた受給者からも喜んでいただきましたように、昨年の
改正
にあたりましては、
公務員
の
給与
に
スライド
する方針をとったゆえんもここにあるのでございますとともに、今年度の概算要求に際しましても、
スライド
制をとるという不動の方針をとりまして、いずれ内定いたしましたならば、その案を
財政
当局に示す考えでございますので、私はこれで二度にわたる
スライド
制を着実に行なったということにおいて、
制度
化の必要の可否ということは参衆両院において附帯決議でなされておるものでございますから、院議を尊重する
意味
からもこれを
制度
化すべきという考え方は何ら異論ごございませんけれども一、ただいまの
恩給
法第二条の第二項によるところの準拠に従ってこれを行なうということに相なっておりますので、何ら支障は来たし得ないものでありますとともに、範みずから実行に示して、
国民
に安心感を与えると、こういうふうな方針で取り組んでおりますとともに、
足鹿
委員
御指摘のようなこうした重要な問題についてはさらに前向きの姿勢で、誠意を持ってこれに施策の万全を期する方針でこたえてまいりたいという方針を申し上げて御了解願いたいと思います。
足鹿覺
30
○
足鹿覺
君
大蔵省
、先ほど長官に一緒にお尋ねした点で、連絡調整協議会ですか、そのものはいつできましたか、構成、内容、研究課題、いま言ったようないろいろな問題についてどういう連絡、協議をなさっておりますか。いま長官も決意の一端を示されましたが、これは午後政務次官がおいでになるそうですから、あなたからよく伝えておいてください。
大蔵省
としての態度を、政治家としての態度を伺いますから、あなたは連絡調整協議会の構成、
経緯
、課題今後の見通し、いつ結論が出るか、そういったようなことについて御説明を願いたい。
辻敬一
31
○
政府委員
(辻敬一君) この公的
年金制度
調整連絡会議が
昭和
四十二年八月の
関係
事務次官会議の申し合わせによりまして、総理府に設置されたものであります。その契機となりましたのは御
承知
のように四十二年六月二十一日に
社会保障制度
審議会から内閣総理大臣に申し入れがございました。それを契機といたしまして設置をいたしたわけでございます。どういうことをやっているかと申しますと、各公的
年金制度
の
目的
、
性格
、
制度
の仕組み等についての検討、それから各公的
年金制度
の
給付
につきまして
公的年金
としての共通
部分
と、それぞれ
制度
独自の特殊
部分
と区分する考え方をとり得るかどうかについての検討、そういう関連におきましていただいま御指摘のございましたいわゆる
スライド
制、
年金額
の調整の問題等々について論議を重ねているところでございます。 ただ、
共済
制度
、各種
年金制度
それぞれ基盤が違いますので、四十六年一月以降は共通性を持ったグループに分けまして、
公務員
グループあるいは民間グループというような幾つかのグループに分けまして、ただいま検討を進めておるところでございます。
足鹿覺
32
○
足鹿覺
君 それは、総理府の中に、その室はあるのですか、協議会の事務局は。
辻敬一
33
○
政府委員
(辻敬一君) さようでございます。 連絡会議の構成といたしましては、審議室長が主管をしておりまして、総理府人事局、
恩給
局、厚生省の
年金
局、農林省の農経局、自治省行政局、人事院の
給与
局等がメンバーになっておるわけでございます。
足鹿覺
34
○
足鹿覺
君 いま当面しております
厚年
の
改正
に伴う各
年金
共通の修正点が一応出されておる。しかし、これでは満足できない。
スライド
の問題もありますし、最低
保障
の問題もありますし、遺族
年金
の引き上げの問題もありますし、いろいろな問題がありますが、そういう問題についてはただ単に協議会を設けたということだけでは済まぬと思います。あなた方もその成果のあがることは望んでいらっしゃると思いますが、どなたが責任者ですか、総理府の
恩給
局長
が事務
局長
ですか。どこが
中心
になっておられますか。
辻敬一
35
○
政府委員
(辻敬一君) 取りまとめは総理府
内閣総理大臣官
房審議室長
でございます。
足鹿覺
36
○
足鹿覺
君 官
房審議室長
というのはきょうは来ておりませんが、あとで呼んでください、総理府の官
房審議室長
を。 辻さん、あなたは
大蔵省
のこの問題の実力者ですから、その審議室長は、いまおられぬけれども、あなたが実権を握っておると思うのだが、その結論はいつ、何についてどういう結論が出るという見当で作業をしていらっしゃいますか。
辻敬一
37
○
政府委員
(辻敬一君) この問題につきましては、ただいまお答え申し上げましたように、官房の審議室で取り扱っておりますので、官房の審議室からお答え申し上げたほうが適当かと存じますが、
公務員
グループにつきましても、最近数回にわたりまして会議をいたしておるわけでございますが、
厚生年金
につきましていわゆる物価
スライド
が導入されることに関連いたしまして、
公務員
グループの
共済
法におきましても物価
スライド
を導入するかどうかという問題につきまして、最近は検討いたしました。しかし、その結論は、残念ながら得られなかったわけでございます。当面は、本年度、四十八年度は従来どおり
恩給
の改定にならって改定をする、かようなことにいたした次第でございます。 今後の
共済
年金制度
のあり方につきましては、基本的な問題といたしましてなお検討を続けていきたい、かように思っております。
足鹿覺
38
○
足鹿覺
君 総理府の官
房審議室長
が責任者だということになると、総理府長官に、もうちょっといてもらったほうがよかったのですが……。 それでは、農林大臣もおいでになったようでありますが、総理府長官に関連をする
大蔵省
への質問はあとへ残しまして、
松本
先生
たいへん失礼いたしました。いまの点について引き続きよろしく
お願い
いたします。
松本浩太郎
39
○
参考人
(
松本浩太郎
君) 大体、私ただいま申し上げましたようなことで、一とおりは、私の一半の考え方も織りまぜて申し上げましたところでございますが、なお足らない点をもう一度、重要と思う点とともに繰り返して申し上げたいと思う次第でございます。 先ほどから、
年金制度
というものは一本であればいいとか、
一つ
であればいいとかというようなことを言っておりますが、実は
スウェーデン
では
年金制度
を、六十七歳になったら五つ
年金
証書をもらうというのが
目的
のように言われており、実際そう私も聞いております。また、それから
公的年金
と
企業年金
との間で一番問題になるのは、
年金
のポータビリテイーつまり携帯
年金
、通算ができなしということでございます。そういうような
意味
におきまして、
労働組合
と経営者団体との間でプール制の
年金
、
日本
で言いますと、
昭和
三十六年に
日本
船主協会と全日海でやったようなああいう団体交渉による
年金
、協約
年金
というのがフランスと
スウェーデン
では非常に発達しております。そういうような形に私は、将来は
年金
はならなければならないのだとは思いますが、これは、横
社会
の
スウェーデン
やフランスの言うことであって、
縦社会
の
日本
においては、やはり
企業別労働組合
というものが
中心
になっておるこの
日本
の
社会構造
としては、
企業年金
というものをますます重要にしていかなければ、
社会保障
を幾らやろうとしても、それは
国庫負担
の増額というようなことになってしまって、アブハチとらずになるのではないかと思いますので、やはり
社会保障
的な
年金
は薄く広くという形にならざるを得ない。もう少し言いますと、
生活保護法
に少し毛のはえたようなものである。これは
イギリス
のベバリッジの
国民年金
が如実にこれを物語っております。そういう
意味
で、
企業年金
と
社会保障
を一緒にしたこの
社会保険
の
福利厚生化
としての
農林年金
のような存在は、ますます伸ばしていかなければならないと思います。 その
意味
で、今度の
農林年金
の
改正
ということについて、この議案も私見せていただきましたが、私なりに今日の
段階
ではこれ以上を直ちに望むことはなかなか困難ではないかと思います。
足鹿先生
の御
意見
の
スライド
の問題が、
恩給
以上にこれを上げたい気持ちは多々ございますが、それはなかなかいまの
財政
では私は、ひとり
農林年金
だけで解決できる問題ではないように思いますので、二三・四%の
恩給
にならった
スライド
は私は、この際これを認めて差しつかえないと思います。 その次に、先ほど申しました最低
——
厚生年金
に起きるところの最低
保障
の問題というのは、さっき言いましたように、
加入年数別
に行なうか、あるいは二十年したときの
給付
を、四割から始まるのを五割にやろうということも決して行き過ぎではないと考える次第でございます。 それから将来の掛け金率の引き上げと、それから
国庫負担
を千分の二十以上に上げる問題と、事業主の
負担
とか、そういう問題は将来の、それから
財政
計画の新しい分野の開拓というようなものも必要だと思うわけでございます。それにしても千分の二十がまだ
国庫負担
がもらえてないということは、私はこの
年金
の年に当たってまことに残念、遺憾千万に存ずる次第でございます。 さらに
積み立て金
の
運用
という問題に入るわけでございますけれども、
長期金融
、ことにこうした福祉的な
金融
というものをあまり有利に
運用
するということは必ずしもいいかどうかはきわめて問題でございます。むしろこういうものは
長期
に福利厚生的な面とか、あるいは労働生産性の低い老齢退職者の新しい雇用市場の開拓というような
意味
でこれを投融資することにつきましては、幸い今日農林大臣もおいででございますが、農林省において積極的にこういう投融資のことについて御指導あってしかるべきではないかと思います。 それは先ほど申しましたように、
昭和
十一年の五月に
馬場大蔵大臣
のときに低利になりましたときに、前田米蔵運輸大臣のもとで
共済組合
の
資金
運用
が
改正
になって自主的に踏み出そうということになりましたときに、
株式
投資として
日本
通運の株を買ったというような例がございますが、やたらに株を買うなんということはこれはたいへんに危険千万なことでございますが、御当局の御指導のもとに慎重にこれを行なうような態勢もそろそろ始まってもいい
段階
ではないかと思います。 しばしば申しますように、
年金制度
というものは、
制度
よりも
年金
の機能を即時発揮することが大事なんで、この
公的年金
、
農林年金
というのは個人
年金
と違いましてエバーラスティング・ペンション・ポリシーという永遠に続く
年金
契約でございますから、
スライド
の財源とあるいはまたは過去
勤務年金
、保険料を払わなかった過去の勤務におった人も、
年金
がなくてその
制度
を農林漁業のために従事されたんですから、そういう人には、保険料を払わなくても十分に完全
年金
を
支給
するというような体制のために起こった財源の不足は十分に
年金財政
の中でこなしていけるわけでございますから、そういうようなものは
賦課式
でやっていただいて、将来の、勤務して六十歳、六十五歳でもらうような
年金
に対しては、りっぱに
完全積み立て式
、あわせて
修正積み立て式
という表現になるわけでございます。
賦課式
と
完全積み立て式
という形でこの
財政
を検討されていただきたいと思うわけでございます。 最後に、老人問題が出ましたので、ちょっときょうの私の
見解
を逸脱するかもしれませんけれども、老人問題というのは四つございまして、
一つ
は所得
保障
、医療
保障
、それから住宅
保障
、老人に向いた軽微な雇用の問題と、この四つの問題で、所得
保障
は
年金
でございまして、その
年金基金
で老人ホームのようなのを五十年とかいうような
長期
によってこれを建てる。その中にはプールもあれば、温泉もあれば、美容院もあるというような
スウェーデン
式な老人ホームをそろそろ考えては
——
その中には医療
保障
もございますし、また、住宅
保障
は当然にできます。
——
雇用市場というものができるわけでございますが、そういうようないわゆる
年金制度
を中核とした、
年金制度
を老人
金融
の中核としたところの老人福祉のシステム化という方向にこれは進むべきであると考える。このようにいきまして、今日の
農林年金
というものはますます現状
中心
に発展せられんことを希望いたしまして私の御報告とさしていただきます。
足鹿覺
40
○
足鹿覺
君 もう一問だけ
松本
先生
に御質問します。 非常に広範にして該博な御
見解
を承ったわけですが、先刻来、熱心に二〇%の国庫の補助金がまず先決だということを繰り返しおっしゃいまして、私も同感であります。まだ
農林年金
は一八です。これも政府みずからがやったことではないんです。われわれ議員がいろいろと要請をして、これは今日まできた。その前は二八であったわけです。その前は一四であったわけです。それで
農林年金
はいま一八です。
船員保険
は二五ですね、
先生
。
——
どうもいろいろ国の補助というものの立て方がみな
年金
によって差があるということは、これは理屈にも合わないし、私はそこに政治がないと思うんです。全く事務なんですね、従来の惰性の。この際私は国の補助の
基準
というものをやはり明らかにして
——
いまのようなあいまいな従来の慣行だとか、かってな理屈を事務屋がつけて、そして政治家がそれをのまされておる。所管大臣がそれをのんでおるというようなことでは私はよくならぬと思うんです、いま
先生
のおっしゃったことも。で、どこへ補助の
基準
を設けたらいいかということが一点。 それから、もう
一つ
は、
農林年金
は総財源率から国の補助金を差し引いた残りを掛け金率にしているんです、御
承知
のように。労使が折半でこれを
負担
することになっているんです。
共済
制度
にも財源の
負担
は折半であるべきなのかどうかということですね。
公務員
等の
共済
では過去の債務については、国または公共団体が
負担
することになっているようですが、財源
負担
の本来的なあり方はどうあるべきかという点について御
見解
を承りたい。いわゆる
年金
共闘会議とかその他、四十二万の組織されておるこの組合員たちはやはり六、四とか、あるいは八、二とか、強い要求が出ておりますが、そういう具体的なものは別として、本来的なあり方ですね。やはり私は
労働者
の
負担
を軽減していくという
立場
に立って、これはものを考えていかなければならぬと思いますが、そういう見地からひとつ。
松本浩太郎
41
○
参考人
(
松本浩太郎
君) いまの御質問を二つに分けまして、国の補助
基準
をどこに置くかということでございます。これはやはり
一つ
は、私は、国のそのときの内閣の政策というものをやっぱり無視することは現実的にはなかなかむずかしい問題だと思います。ただ、政策についての批判は、これは総選挙といろいろな世論の形で
国民
に問えばよろしい問題だろうと思うわけでございますが、さて、
国庫負担
をどういう形で出すかというと、私は現
段階
においては
高度成長
経済ということが行なわれております。そうなってきますと、インフレ利潤というものが一番多く入ってくるのは、私は国の税収入ではないかと思う。毎年、
大蔵省
の報告によりますと、税収入が予定以上になった。そのためにそれを一番インフレの犠牲になっている層に必ずしも全部やれというのは、これは酷でございます。かなり重点的に考えてもよい
段階
ではないかと、そういうような
意味
において、インフレのなかった時代にきめられた
国庫負担
よりも率が増加してもいいだろうということは肯定できると思います。しかし、それには私、たびたび申しましたように、本人の掛け金だとか、あるいは事業主の
負担
金というものを増加させていけばよろしいと思います。 次に、保険料の労使折半の
負担
の考えでございます。これは実は一八八九年鉄血宰相オットー・フォン・ビスマルクの老齢、廃疾
年金
のときに始まって以来の伝統が依然として守られているままだと私は思います。英国の保守党が一昨年出しました
年金
白書の中においても、事業主のほうに
負担
をより多くする
——
たしか一二・五%であったと思いますが、事業主が七・五%で、
労働者
が五%であるとか、フランスの
年金
とかあるいはドイツの鉱夫の
年金
とかいうようなものに対しましても事業主の
負担
が多くなっております。そういうような
意味
で私は、これをいま直ちに事業主を多くしろというようなことはできませんけれども、
社会保険
の
福利厚生化
というような
意味
で、つまり
健康保険
を
福利厚生化
した
健康保険組合
において事業主の
負担
が現に六対四になっております。こういうようなことを考えまして、現在の広く、
共済組合
の労使折半というのを経営者のほうが持つということは多少
——
多少どころか、当然
妥当性
がある。ただ、そのうちに、少しこまかくなりますが、数理的保険料を折半するか、整理資源を全部事業主に持たすかという
年金
の
性格
によって私は判断したい。先ほど言いました
賦課式
というものは過去
勤務年金
と
スライド
年金
に当たるのであって、将来、
勤務年金
というのは
完全積み立て式
であると私が申しましたように、
完全積み立て式
に対するものの
負担
割合、これも当然折半
負担
は多少是正してもよろしいが、そうかといって整理資源を全部事業主に持たしたから数理的保険料の
負担
までも変えよというようなことはなかなか言えないのでございます。 さらに
共済組合
の
負担
率を六十七年の
歴史
の中で考えてまいりますと、明治四十年
——
一九〇七年後藤新平さんが
共済組合
をつくられてから
床次鉄道院総裁
までの十三年間は事業主が二%で
労働者
が三%でございました。それから一九二〇年に
年金制度
が
共済組合
に統一いたしましたときには、事業主が五%で、組合員が六%でございます。ところが、
昭和
初期の不況のために
財政
が非常に悪くなりましたときに、逆に六%の
労働組合
が七・七%持つようになりました。事業主は依然五%でございます。その差は二・七%と実に
労働組合
のほうが多かったのです。ところが、先ほど言いました五分
利公債
の三分半低利借款によったために
財政
が破綻に瀕したということで、その財源はあげて国庫が持つのが、先ほどの理由で、前田
鉄道
大臣が第六十四回
貴族院決算委員会
の報告でしましたような形で全部事業主が持って、そこで整理資源をも含めまして折半
負担
になりました。 それから
昭和
二十三年に国家
公務員
共済組合
ができ、それからそのときに、
社会保障
という大きなあらしが
日本
にやってまいりましたので、初めて整理資源を国庫で持つというような形になってきております。同じ
共済組合
の中におりましても、整理資源ば全部事業主とか国庫が持つというような形のところもあれば、あわせて折半
負担
というような
私立学校
共済組合
と
農林年金
のようなこともございますが、そういう
ことば
沿革的なこともございますし、またその
制度
の固有のもの、過去
勤務年金
を、
スライド
年金
をどの程度取り入れたかというような詳細な分析を行なわないと、私は、軽軽にはできない問題だと、かように考えております。これをもってお答えにさせていただきます。
足鹿覺
42
○
足鹿覺
君 どうもありがとうございました。
塚田大願
43
○塚田大願君 関連して
一つ
だけ御質問申し上げたいと思います。ただいま
先生
のいろいろ御高見を拝聴したわけでありますし、また、
先生
がお書きになりました
農林年金
の十二月号の、昨年の、
スウェーデン
の
年金制度
という論文を読ましていただきましてたいへん参考になりました。そこで特に
スウェーデン
の場合に、
先生
もおっしゃっておられるのですけれども、現代
年金
学の行くてに多くの示唆と教訓を与えるものであると、こういうふうに評価されておるわけでありまして、その点からいろいろただいまも貴重な御
意見
を聞かしていただいたわけでありますが、ただいま
足鹿
委員
から質問がございました最後の問題であります。つまり財源の
負担
区分の問題、これにつきましては先ほど
先生
から国の
補助率
を一八%を二〇%としても当然であるというふうな御
意見
がございました。これは
労働組合
は三〇%というふうに主張しておりますし、私どもは、本来これは四〇%ぐらいあってしかるべきだと思っておりますけれども、さしあたって
厚生年金並み
の二〇%は当然だという
先生
の御主張、御
意見
は私どもも非常によく賛成でございます。そこで、もう
一つ
のいま最後に
足鹿
委員
が質問されました事業主と
労働者
の
負担
区分の問題でありますが、これは私ども七対三ぐらいにすべきだという主張でございますが、いまの
先生
の御
意見
を聞いておりますと、いろいろ深い御
意見
もあるようでありますけれども、
スウェーデン
の場合、
先生
のお書きになった
スウェーデン
の場合がどういうふうになっているか、その点をひとつ最後に簡単でけっこうでございますから教えていただきたいと思うわけであります。
松本浩太郎
44
○
参考人
(
松本浩太郎
君) ただいま塚田
先生
からの御質問でございますが、その前に
スウェーデン
の
年金制度
が、私さっき六十七歳になって五万円もらえるということを申し上げたことから説明します。
公的年金
が二つございます。
国民年金
と申しまして、これは定額の
年金
でシングルのものが大体いま五十万円ぐらいでございませんか。夫婦で、カップルで九十万円、これは年に二回くらい
スライド
がございますし、先ほど申しましたように、七月にも定期昇給みたいなものがございますので、毎年、毎月というぐらいに変わっておりますから、幾らということは……。この
年金
は五%が本人の
負担
でございます、掛け金率は。事業主は一文も出しておりません。そのかわり完全
賦課式
でございますから、全体の財源の三分の一にあたる数理的保険料は先ほど申しました五%ですから、三分の二は、
つまり給付
の三分の二と申しますのは、これは国庫と地方自治体、地方自治体はほんの一〇%ぐらいで六〇%ばかりを国が出し、三〇%ばかりが本人の、掛け金でいうと五%という形になっております。 次に、もう
一つ
報酬比例
の
年金
でATPというのがございます。これは先ほど申しましたように超
完全積み立て式
とも申しまして、
スウェーデン
の民間
金融
市場の五割を占めておるというばく大な
積み立て方式
でありますが、これは事業主が全部持っております。
資金
の積立
運用
委員会
には、労使、
学者
、政府の役人という四者構成でこれを
運用
しております。 さらに第二の
社会保障
と申しますところの、団体交渉でできたところの協約
年金
、これはホワイトカラーの
部分
がITPと申します。それからブルーカラーのものはSTPと申します。
労働組合
の連中も、いつかは自分はホワイトカラーになってみせるという
意味
で、二十から六十七の間に
労働組合
者として二十年ばかり、それからホワイトカラーとして二十何年おるから、この二つはみんなおれは取ってみせるというのが
労働組合
の幹部の希望のようでございますが、この二つとも全部経営者が持っております。本人は一文も出しておりません。 それから各
企業
に
企業年金
がございます。これは団体交渉によっていろいろ変わっておるようでございますが、少なくとも折半
負担
以上に事業主が
負担
しておるように記憶しております。 さらに、先ほど申しましたように、
イギリス
の
国民年金
というベバリッジのつくった
年金
がございますが、これは国が六分の一で、あとは労使の
負担
の割合は、わずかばかり、十分の一ぐらい使用者が多いぐらいで、大体折半
負担
でございます。しかし、先ほど言いました保守党の今度新しい
国民年金
改革というものでは、経営者が六ぐらいで
労働者
が四ぐらいの割合というように記憶しております。まあ大体そんなことではないかと思いますが、これで終わらしていただきます。
亀井善彰
45
○
委員長
(
亀井善彰
君) 他に御発言もなければ、
参考人
に対する質疑は終了いたしました。
松本参考人
には、御多忙のところを長時間にわたりまして本
委員会
に御
出席
をいただき、貴重な御
意見
を御開陳いただきましたことを厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。 それでは、引き続き本案の質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
足鹿覺
46
○
足鹿覺
君 農林大臣、お待たせいたしました。とうてい大臣の午後の日程に間に合わせることができませんので、いけるところまでいきまして、切りのいいところできょうは打ち切りたいと思います。 当面しております
改正案
の
関係
からまず入ってみたいと思いますが、第一に、この
厚年
を下回る
部分
の手直しに対する基本的な考え方についてでありますが、農林大臣は、今国会の
改正案
の策定の趣旨を、
厚年
を下回る
部分
の手直しに対する点についてどう対処されたんでしょうか。先ほど来
参考人
からの
意見
もありましたが、もう
年金
の年という、こういう
段階
を迎えて、これはあなた方本位に出されたわけです、あなたが、政府が。ですから、こういう不
均衡
は是正をされなければならぬと思います。これをまあお聞きしたいわけなんです。で、まあ言うまでもなく、
厚年
改正案
も社労でいま検討されておりますが、
農林年金法
の
改正案
を策定するに当たって、
厚生年金
との関連をどの程度大臣は御勘案になりましたか。
厚生年金
改正
によって
農林年金
が
給付
額が下回ることのないように、やはり政治家としては、私はもう一歩進めてもらいたかったのです。先ほども、大臣がおいでにならないときに、衆議院における社労委で
厚生年金
の
改正
法案を修正しております、この点について話が出たのですが、退職
年金
が三十万二千四百円のものが三十二万千六百円になる。障害
年金
が三十六万九千六百円が三十九万三千六百円になる、ただし、これは一級ですけれども。遺族
年金
が二十三万五千二百円が三十五万四千四百円になるという程度でして、その並びに一応いったんですけれども、私は、こういうことは、まず
水準
を合わせておいて、さらにどう手を打つかということであってほしかったと思うんですが、いかがですか。
櫻内義雄
47
○国務大臣(櫻内義雄君) この
社会保障制度
を考える場合に、全般的に見て公平でなきゃならぬ、これはもう私どもとしても原則的に常に考えておかなきゃならないことだと思います。また、
社会保障制度
審議会においても、公平の原則をそこなうことのないようにということを答申でいわれておると思います。ですから、その辺については細心の注意を払っておるわけでございまするが、この
農林年金
と
厚生年金
と比較した場合に、老齢
年金
の
支給
開始の年齢の相違とか、あるいは
給付水準
の
一般
的な比較をしてみると、まあ一見
農林年金
は
厚生年金
に劣るものでないというふうに考えておるのでありまするが、しかし、これを国会での御審議を通じ、また私どもも、しさいに検討してまいりまするときに、
足鹿
委員
がもう十分御
承知
のいわゆる定額
部分
にこれが
農林年金
ではないと、こういうことから、ごく一部
給与
の低いものにつきまして
厚生年金
との
関係
で不利になる面があることは事実でございます。この点につきましては私としても、非常に遺憾に存じておるのでありまするが、まあそういう点のあることはどこに
原因
しておるかというと、これもしばしば御指摘を受けましたように、
農林漁業団体
職員
の基本的には、
給与
が低いと、そこに
原因
を求めて差しつかえないのではないか。そうなってくると、農協等の経営基盤の強化をしてそういう点を直していく必要がある。その点については合併の促進その他で鋭意つとめておるようなわけでございまして、いろいろ問題点はあろうかと思いまするが、基本的にはでき得る限り公平であるべきである。また全般的に見た場合には、
厚生年金
と比較してそう劣っておるものでない、まだ多少優位な点もあると、こういう認識でございます。
足鹿覺
48
○
足鹿覺
君 問題は、大臣ね、総合性の問題なんですよね。ただいま私が朗読しましたように、社労委において
厚年
が
改正
になったから関連修正をやってこういうことになった。たとえば遺族
年金
ですね。これはあとで触れようと思っておりますが、この遺族
年金
にしたって改定して二十五万四千四百円です、
平均
ですね。これでやっていけますか、遺族が。いかに農協の給料が低額であるにいたしましても、母体がある農村、農業、農・民が今日のようにいためられておる、これを母体にしておる農協、
農林漁業団体
で働いておる
職員
とはいえ、私は、大型化をあなた方が指導をすることによって、ほとんど兼業的な
職員
はなくなっておりますよ。やっていけません。ぽっくり死なれたら二十五万四千四百円しかもらえない。これで
年金
の年などと言っておさまるものではありません。ですから、私の言いたいのは、大臣の総合判断によって当然
厚年
が
改正
されるんだから、少なくともこれに見合うところまでまず
水準
を合わせておいて、そして
——
あなた方のほうでいい点も若干ないとは言いません。そこでさらに一歩前進して
厚年
を下回った点についてはこれを上げていくと、こういう態度で臨んでほしかったと思いますが、この手直しはいつどういう
方法
でなさいますか。
櫻内義雄
49
○国務大臣(櫻内義雄君) 言うまでもないことでございまするが、この
共済
制度
は
農林漁業団体
だけではございません。そのために調整会議も持たれておることでございまして、まあ先ほど公平でなきゃならぬということをちょっと口にしたわけでございまするが、まあそういう調整会議を通じまして不合理のないように
改善
をしていくということが原則論としては私はやはり考えなきゃならないところではないかと思うんであります。ただ、いま
足鹿
委員
が言われますように、また私がお答えしたように、
農林漁業団体
の
関係
が給料が低いということ、それを
基準
にしていく結果が、遺族
年金
のような場合に一体この程度のもので生計がたっていくのかと、こう言われてみますると、まさに御指摘の点は私としても十分理解しなきゃならない点だと思います。
足鹿覺
50
○
足鹿覺
君 大臣は非常に誠実なお人柄で、どうも大臣をいためるようなことになると思うんですけれどもね。全く私は農林省のこの
農林年金
についての態度というものは、因循こそくだと思うんですよ。先ほども
松本参考人
が
——
大臣は後半お聞きになったと思いますが、冒頭から問題にされたのはまず二〇%を国の補助を出すべきだということを言っておられた。先ほどの質問に答えてもう繰り返しまずそれが前提だと言っておられた。それを、一・七の財源調整費を加えれば一八プラスの一・七七だから、大体二〇に近いじゃないかなんというようなことを、事務当局が
大蔵省
とその程度で話し合いをつけてしまうというような態度自体が私は、おかしいと思っておるのです。当然
厚年
が
改正
になれば関連修正がなされるぐらいなことはこれは見通しとしてあり得るんですよ。それをやってほしかったと思うんです。まあしかし一応関連修正ができたわけでありますから、あとの下回る点を、まだ関連修正してもなお下回る点を、この問題をひとつこれから追及してみたいと思いますが、最低
保障
額とはどのような
性格
を持っておるものでありますか。そしてその額は
厚年
を下回っていないのかどうか。私の考えでは
厚生年金
の最低の
給与
を
基準
として最低
保障
額が定められておりまして、
厚生年金
にはほとんど二十年間、最低
給与
二万円の者はいないと思います。
改正
後の最低
保障
額では
厚年
を下回ると感じていますが、間違っておりますかどうか。 最低
保障
額、これは先ほども総理府の長官にお尋ねをしたんですが、はっきりおっしゃったんですよね、最低
保障
額の大幅引き上げを、最低
保障
額を現行の二倍以上に引き上げて約三十二万円とするということになっていますね。で、
農林年金
の場合、最低
保障
額が一体どういうふうになりますか。大臣、事務的でおわかりにならなければ
局長
でもいいですが。
内村良英
51
○
政府委員
(内村良英君)
農林年金
の最低
保障
額は、
厚生年金
を
基準
にしたものに基づいて計算しておるわけでございます。そこで、四十八年度におきまして、最低
保障
額の計算につきましては、千円かける二百四十ヵ月、プラス二万円かける千分の十かける二百四十、それに配偶者等の加算の半分を加えまして三十二万一千六百円。こういう計算になっているわけでございます。
足鹿覺
52
○
足鹿覺
君 それは旧法
年金
にも適用されますか。
内村良英
53
○
政府委員
(内村良英君) 旧法
年金
には適用になりません。
足鹿覺
54
○
足鹿覺
君 それはおかしいではありませんか。先ほど来も総理府長官にも御質問申し上げたように、いまどき旧法、新法そういうようなことはあり得ざることだと私は思うのですが、なぜ旧法には適用できないのですか。
内村良英
55
○
政府委員
(内村良英君)
先生
御案内のとおり、
共済組合
制度
におきましては、各
制度
とも旧法と新法とがございまして、現在のところ、
給付
については原則として旧法下のものについては旧法、新法下のものについては新法で算定しているわけでございます。先ほど
大蔵省
の主計局次長から
お話
がございましたが、旧法はやはり、
恩給
から国家
公務員
共済
制度
に発展したものに基づいて類似の
共済年金
ができたという
歴史
的な背景から、
恩給
、国家
公務員
共済
制度
との結びつきが強い。それから新法のほうはむしろ
厚生年金
との結びつきが強いんだという御説明がございましたが、現在のところ、そのような形で
運用
しておりまして、原則として旧法は旧法、新法は新法となっているわけでございます。 そこで、今回引き上げをはかることとしております最低
保障
額は、実は旧法には
制度
としては存在しなかったものでございまして、現在のところ、各
共済組合
制度
ともその適用を旧法に及ぼさないことにしているわけでございます。この点につきましては、
恩給
とのバランスということを申し上げるのは非常に心苦しいことでございますが、
恩給
につきまして、もしも旧法について最低
保障
額を適用いたしますと、
恩給
とのバランスの問題が出るということがございまして、先ほど総理府長官からの御説明で、あるいは総理府のほうは明年からこの
関係
についての
改善
も考えておられるようなことを承ったわけでございますが、そういうことになれば、
農林年金
の旧法につきましても、同じような
改正
を考えなければならぬという問題になるのではないかと考えておるわけでございます。
足鹿覺
56
○
足鹿覺
君 大臣いまの答弁をお聞きのように、何でもよそがやれば、これにも行なうべきだというのは追随主義ですよ。農林省の独自性というようなもの、いわゆる
農林漁業団体
に職を奉じて、低額な
給与
に甘んじて働いておる諸君の
立場
をほんとうに取り上げて、真剣に考えようという意図がきわめて薄弱じゃないかと思う。そもそも低額
年金
者の一番多いのは、
給与
水準
が低いからだと、さっき
松本
先生
も言われた。
給与
水準
が低い、したがって低額
年金
者が多い。その
生活
の安定をはかる最低
保障
額、その
生活
の安定をはかるということの
意義
が、私は、それが新法、旧法に分かれていいという理由にはならないと思う。低額
年金
者の
生活
の安定をはかるということが
基準
であり、
意義
であるとするならば、新法、旧法の差というようなものは、これはすみやかに撤廃すべきものだ。それで、
年金
の新法、旧法とかいう発生時期によっての低額
年金
者であっても、救済されないでよいという考え方は、大臣、私は改めてもらわなければいけぬと思うのです。これは政治課題ですよ。あまり従来のいきさつにこだわり過ぎておると思う、いまの内村さんの御答弁は。よそのふりを見てばかりでなしに、みずからが置かれておる
立場
というもの、みずからの判断に従ってほしい。なぜ旧法の
年金
者に適用しないのか、私は納得がいきません。 では、各
共済
の適用時期を明らかにしてください。私の知るところでは、国家
公務員
は三十四年の一月から新最低
保障
が適用されておる。
農林年金
は三十九年十月から適用されておると理解しております。間違っていますか。 こういうことをほじくり出さなければならないようなことでは困るのですよ。
制度
それ自体がダウンしておるのに、新法、旧法も、よそに比べて見劣りがするというようなことは、大臣、あってよろしいでしょうか。大臣の政治判断を、この際ひとつ御所見を承っておきたいと思いますが、いかがですか。
櫻内義雄
57
○国務大臣(櫻内義雄君)
足鹿
委員
の御指摘で私どもが特に考えなければならないことは、各
共済組合
制度
の共通の問題であると、こういうことで、農林省は農林省、文部省は文部省それぞれの
立場
でかりに同趣旨のことが言われておるとするならば、これは私としてもその点はよく反省してみなければならない。やはり
共済
制度
が、これが前向きに検討されていく必要性は認めるものであります。しかし、ただいま経済
局長
がお答えをしておるのは、その事務担当者として、いわばそのたてまえ論を申し上げておると思うのであります。旧法においては最低
保障
という
制度
はなかったのである。したがって適用がされないのであると、こう申し上げたのではないかと思うのであります。私は、それはそれなりにやはりひとつ私どもの答えとしてお聞きを願うことといたしまして、前段申し上げたように、共通問題である、だからすべては御指摘のような右左の様子を見ながらやっていくということでは、なかなかそれは前進は期し得られない。政治的にいえばそういうことはもちろん言えます。しかし、いま現に御審議を願っておる上におきまして、なぜこうなったかということについては、そういうたてまえを申し上げてお答えとしておるということは、お答えとしては御了承いただきたいと思うのです。
足鹿覺
58
○
足鹿覺
君 先ほども言いましたように、
農林年金
の
年金
者は、
給与
が低いことが
原因
で低額
年金
者が多いということはお認めになったわけですね。その低額
年金
者を救済するのが、大臣、最低
保障
だ、こういう
意義
づけです、われわれの見方は。だから、それを新法、旧法に分けるとかなんとかということがすみやかに是正されなければならぬのじゃないかと、端的にいえばそうなんです、大臣ね。その点もう少し決断ある御答弁がいただけませんか。どうでしょう。
櫻内義雄
59
○国務大臣(櫻内義雄君) たいへんお答えがしにくいのでありますが、そういう御趣もあって新法のほうについては今回の最低
保障
の引き上げなども考えられておる。こういうことで、旧法について旧法それ自体にさかのぼっていろいろ配慮をして組合員の皆さんに寄与をするということも考え方の
一つ
でございまするが、それらの点については慎重に検討さしていただきたい。 そもそもが
給与
が低い、低額
給与
者が多い、こういうことについては、先ほどもちょっと申し上げたように、その事実は私どもも認めており、その
給与
の
改善
については別途努力はいたしておるわけであります。そのほうから
改善
される道もあると、こういうことでございまするので、
足鹿
委員
の御
意見
につきましては慎重に検討さしていただきたいと思います。
足鹿覺
60
○
足鹿覺
君 くどいようですけれども、他の
制度
より一番
農林年金
が低額
年金
者を多くかかえておりますから私はすっぱく申し上げておるわけです。
農林年金
に白も不利な適用をするというのは何としても私は納得がいかない。したがって、わが党は野党四党にも御協力をいただきましてこの際法案の修正を衆議院
段階
で出しましたが、政府・与党の御賛成が得られずに、たな上げされたまま一ぺんの質疑もなされることなしに今日に至っております。
厚年
並みの修正率だけの点が直って本
委員会
に、われわれに付託されておる。私はむやみに
農林年金
を上げろ上げろと言っておるんじゃありません。これはまた大臣もよく御
承知
だろうと思うんですが、国家
公務員
との不
均衡
を是正してもらいたいということを言っておるのですよ。たれが考えてみても適当な措置だと、至当な考え方だと私は思いますが、これ以上、農林大臣にいまの御答弁以上のことは求められないと思いますが……。 内閣審議室長が見えたそうですが、あなた方は各省調整連絡協議会というのを設けて
スライド
制の問題を検討したが結論に達しなかったという、さっき主計局次長、辻さんからそういう話もありましたが、若干の
経緯
は聞きましたが、
年金
の年ともいわれるときに
共済年金
、
恩給
ともこの際
公務員給与
は完全に
スライド
するということぐらいを合意に達して、来年度の予算でぴしゃっとこれを片づける、というような熱の入った審議をしていらっしゃるのですか。この連絡協議会なるものを
昭和
四十一年からつくっておるというが、今日までもう七年もたっておる。にもかかわらず、こういうアンバランスが、同じ
国民
を差別しておる、不
均衡
もはなはだしい。物価がとめどもなく上がっていくときに物価にも
スライド
しない、賃金にも
スライド
しない。一体、あなた方は形式と体系を整えておればそれでいいんですか。現
段階
における考えを来年の予算に反映していく第一次予算要求もすでにもうきまらんとしておるが、何をなそうとしておるのですか、はっきり御説明を願いたい。
亘理彰
61
○
政府委員
(亘理彰君) ただいま御指摘のございましたように、公的
年金制度
の調整連絡会議は四十二年の申し合わせによりまして、
関係
各省の
局長
クラス峯員といたしまして
——
公的年金
の、特に
生活
水準
その他、経済的な諸条件の変動によりまして
年金額
を改定する必要があることは当然でございますが、その改定の
基準
、
方式
をできるだけ統一的に求めたいということで検討を続けているわけでございます。ただ、ただいまも御指摘のとおり、検討が当初のもくろみに反しまして、遅々としておるということはまことに申しわけない次第でございますが、各
制度
それぞれ
目的
、沿革を異にしておりますために、なかなか全体としての統一的な
基準
を直ちに求めることはむずかしいということで、現在は四つの部会、グループに分けまして、これは厚生省を幹事官庁といたします民間のグループ、それから
大蔵省
を幹事官庁といたします
公務員
のグループ、それから文部省及び農林省の私学、農林グループ、それからちょっと特殊でございますが、労務災害の補償グループというふうに分けまして、その沿革とか、
給付
体系におきまして、類似性を持っておりますそういうグループごとに、それぞれの改定の
基準
、
方式
についてできるだけ統一的なものを求めたいということでやっておるわけでございます。で、会議はこのグループごとの会議も、あるいは総会とか幹事会とか、何回も開催して検討はいたしておるわけでございますが、当初考えておりましたとおりに、なかなか進んでおりませんのは、やはり各グループに属しますそれぞれの
制度
の
目的
、沿革それから
給付
の体系、あるいは
財政
負担
の体系というものが異っておりますので、簡単にまいらない。技術的にもむずかしい点がいろいろございまして、検討はしておりますが思うようにはかどっておらないのでございます。 ただ、毎年何がしかの前進ははかられておるわけでございまして、本年も民間グループにおきましては、御
承知
のとおり消費者物価を
基準
とする自動
スライド
制を織り込んだ提案を
法律案
として御審議を
お願い
しておるということでございます。ただ、
公務員
グループにつきましては、民間グループと同様に消費者物価による自動
スライド
制を規定するということの適否について検討いたしたわけでございますが、結論に達しなかったわけでございますので、
恩給
年額の改定にならいまして、四十六、四十七両年度の
公務員給与
の
改善
率によって
共済年金
額の改定を行なうということにいたしたわけでございます。私学、農林グループにつきましては、全体の
給付
の体系が
公務員
に準じておるということもございますので、
公務員
グループの検討の状況に対応して検討を進めておるところでございますが、もちろん私学、農林団体にはまたそれなりの特別の事情、実情もあるわけでございますが、大筋の方向としては
公務員
グループの検討の結果と歩調を合わせて進まざるを得ないということでやっておるわけでございますが、何ぶんにも、冒頭申し上げましたとおり、それぞれの
制度
の体系、沿革が異っておる、それからやはりいろいろと
財政
負担
等もからむというふうな問題もございまして、なかなか一挙に理想的な形に進めることは困難でございますけれども、しかし検討を鋭意続けまして、年々一歩一歩着実に前進をはかってもらいたいというふうな心組みで勉強をいたしておる次第でございます。
足鹿覺
62
○
足鹿覺
君 具体的に聞きますがね。今度の
厚年
、国年の
改正
にあたって連絡調整会議はどのような問題を問題にいたしましたか。そして他の
共済年金
等との
関係
についていま私が取り上げておる最低
保障
に対する新法、旧法の区別の問題についてはどういう審議をいたしましたか。農林省からどういう
意見
が出て、
大蔵省
がどういう抵抗を示して、あなた方はどういう態度でこれに臨むべきだという結論に達しましたか。その他問題となっておる今度の
年金
の年というキャッチフレーズのもとに出された案をどのように連絡会議で問題を問題とし、具体的な
意見
の一致を見ましたか。一致をみなかった問題は何ですか。特に新法、旧法の問題については、なぜこのような一番給料も安い、したがって、一番
年金
の中でも安い最低
保障
額の
年金
受給資格のものをたくさん持っておる
農林年金
の問題が切りかえがおくれておるかということが問題になりませんでしたか。農林省はどういう態度でやったんですか。あなた方は、審議室長としてあなたはこれをどうさばきましたか。これは、抽象的なことじゃだめですよ。具体的に説明をしてほしい。
亘理彰
63
○
政府委員
(亘理彰君) いま、いろいろ細部の点についての御指摘があったわけでございますが、私どもにおきましては、なかなかそれぞれの
制度
に技術的な問題が非常にからんでおりますので、グループごとに検討していただくということで、そのグループごとに幹事官庁を設けて検討していただいておるわけでございます。総会といたしましていま御指摘のような点についてまで掘り下げた検討はできなかったというのが実情でございます。
足鹿覺
64
○
足鹿覺
君 私が聞いていることを室長、よく耳にとどめて答えてください。農林省はこの大きな問題に対してどういう主張をし、なぜこれか
——
大臣もこれはお認めになっておるけれども、難関があってできなかったかといういまの質問なんですよ。だから、調整会議はそういう問題を前向きに調整するのが調整会議の責任であり、使命じゃないですか。逆にかくれみのでブレーキをかけるための審議会ならやめちまえ、そんなものは。要らぬ。各省で独自でやったらいい。むしろ私の見たところでは調整会議にかけて調整会議にかけてというのでブレーキの役割りを果たしているのと違うのですか。そういうことなら、これは国費の乱費の問題もあるし、
関係
委員会
、決算、予算で徹底的にこれから追及しますよ。
年金
の年だという政府のキャッチフレーズ忘れたのですか。何をしようとしているのですか。この今度の共通
改正
のときにあたってなぜこの問題が取り上げられなかったか、農林省は何も言わなかったのですか、具体的に答えてください。
亘理彰
65
○
政府委員
(亘理彰君) 申し上げましたように、この連絡会議は
関係
各省の
関係
局長
によります事務的な連絡機構でございます。この
年金
の改定
基準
の問題につきまして、できるだけ統一的な
方式
を求めたいということで
議論
をしておるわけでございまして、
年金
の問題の前進についてブレーキをかけるというふうな意図は毛頭ございません。できるだけ
改善
の歩を進めたいということで検討しておるわけでございますけれども、何ぶんにも問題が非常にむずかしい問題が多うございまして、御指摘のとおり、十分な成果を得ていないということについては、はなはだ申しわけないと思っております。これからのこの連絡会議のあり方、運営につきまして、私どもも反省いたさなければならないと思いますが、行政的な連絡の場でございますので、決して
年金
問題についてブレーキをかけるというふうなことではございませんので、何がしかでも年々前進をはかっていきたいということで、
関係
各省の連絡調整の場をつくっているということでございます。
足鹿覺
66
○
足鹿覺
君 たいへんお待ちをいただいておる厚生、自治両省の政務次官に、いままでのやり取りをお聞き願って、ひとつ御所見を承りたいのですが、あとで触れようと思っておりましたけれども、たとえば
農林年金
は財源調整で一・七七もらっておるですね。それだけなんです。補助金は私学並みの、私学は何もやらないけれども、やかましくわれわれが言うと少しずつ上がってきて一八になっておるのですよ。もとは一四だったのですよ、分離したときは。それでそのほかに私学は財団を持っておりまして、これがまた
財政
調整に役立つ。それから山口さん、都道府県が補助しているのですよね。というふうに、どの面から見ても
農林年金
というものは
給付
の面からいっても、最低
保障
の面からいっても、掛け金は、
国鉄
職員
の最終
給与
額をとっているところが九九で、
農林年金
は九六ですよ、最高です。掛け金は高いし、最低
保障
額は最低で一番多くてもいま言ったように新法、旧法に分かれておってなかなかもらえないわね。財源調整だといって雇用主のほうに八〇%も六〇%も
負担
をかけるといういまの農協の
財政
状態、農村の窮境の影響を受けて必ずしもそうはいかない。こういう進退きわまっておる
立場
におるのですよ。そういう
立場
からいま午前中に総理府長官にお越しをいただきまして
——
総理府が
恩給
を二三・八%を上げる、最低
保障
額も思い切って三十二万円に上げるという、かってないおおばんな内容を自民党へ出されて了承され、おっつけ、おそらくこれは実現するであろうと私は思いますが、
スライド
制についても坪川長官は積極的な意図を持たれた。で、どこで仕事をしているのかといっていろいろ追及してみたら、審議室というものがあってそこでやっていると、こう言う。いまお聞きのような答弁なんですね。 これは私は、やはり閣僚級の政治判断と大所高所に立った基本方針を立てて各省連絡会議で作業させていく。そういうやり方に変えなければ、これは百年河清を待つと思うのですよ。これは自治省、厚生省、特に主管省として厚生省ですね。それから一番悪い
年金
を主管しておる農林省。これは大臣もおいでになっておりますが、
一つ
もブレーキにはなっておらぬと審議室長はおっしゃいますか
——
私は言い過ぎかもしれません。しかし四十二年か四十一年にできて、今日までこういう問題が、
年金
の年を迎えて大きな宣伝だけはするが、中身は旧態依然たる状態である。その
原因
はどこにあるか。私はネックはここにあると思う。で、まず
関係
閣僚で
一つ
の大方針を立てて、そしてそれを各省連絡会議にかけ、そこで具体的作業をさせる。こういう構想の転換をはからなければこれは解決つかぬと思います。ひとつ、両政務次官と櫻内農林大臣に御所見を承りたい。大事な問題ですからひとつ思い切った御所見を承りたいと思います。
櫻内義雄
67
○国務大臣(櫻内義雄君) 公的
年金制度
調整連絡会議は、連絡会議としての使命のあることは担当官よりお答えを申し上げておるわけであります。
足鹿
委員
の御指摘のように、さらにもっと高度の判断のできるようなそういうものにしたらどうかということは、これは私は御
意見
として承っておきたいと思います。実はこの
農林年金
の問題につきましては、国会においてもしばしば真剣な御論議を繰り返していただいておりまして、したがって、これは予算編成のときには普通の扱いではいけないということで、最終まで問題が残った。本年の折衝の場合でも、皆さんの御激励を受けまして、私としても最後まで
財政
当局に対して納得をいたさなかったのであります。そして最終的には大臣折衝ということで、まあ全般のにらみ合わせでやむなく結論が出るというようなことでございましたので、そういうような高度の政治的な配慮をいたす場面も別途にございまするので、この連絡会議の
性格
というものをもっと高度のものにするか、それとも本来持っておる使命を遺憾なく発揮するようにつとめるかということにつきましては、十分検討さしていただきたいと思います。
武藤嘉文
68
○
政府委員
(武藤嘉文君) 先ほど来論議がなされておりますように、
年金
の年と言われ、また
総理府総務長
官も、老後の生きがいと安らぎ、こういうものを考えなきゃいけない、こういう姿勢というのは当然のことだと思います。そういう点から申しまして
先生
の御
意見
もたいへん貴重な御
意見
だと思うわけでございますが、まあ私は正直、いろいろの
年金制度
が
先生
御指摘のとおりあるわけでございまして、こういうものを一日も早くほんとうに調整をして、同じような形で行なわれるというのが望ましいことと思います。しかしながら、それぞれ経過もあり、またそれぞれその基づく法律もあるわけでございまして、そういう点でなかなかむずかしい点もあるのではないかと存じております。でき得るならば事務的な
段階
でそういう新しい時代を踏まえて進められ、そしていま大臣もおっしゃいましたように、最終的に高度な政治判断を要する場合に、閣僚によって決定をするというのが一番私は望ましい姿ではないかと思うわけでございます。
山口敏夫
69
○
政府委員
(山口敏夫君) まあ多様的な
社会
の状況の中にありまして、きめのこまかい
国民
の皆さんの要望や声というものを行政の場に生かすという点につきましては、それぞれの
年金制度
の役割りが果たされておると思うわけでありますけれども、まあそれにしてもこうした
一つ
の
制度
の中におけるアンバランスというものが出てまいりますと、私は
年金
というものの
国民
の皆さんに対する位置づけに非常に大きな混乱と不信が出てくるんではないか。そういう
意味
におきまして、もちろん職業の責任における軽重はないわけでありますし、少なくとも安心できる老後を確立する上の
年金
というものに対しては、政府としても、一体となったバランスの調整をはかっていかなきゃならないという
意味
から、いま審議官もおられますが、やはりわれわれといたしましても、大臣にも率直に
足鹿先生
の御
意見
もお伝えいたしまして、主管の
年金
に対する官庁としての責任を果たしたいと思っておるわけでございます。それにつけましても
厚年
に対する
先生
の御理解に対しまして、この
委員会
が社労であるならばさらに一そう
年金
法も進んでおるのではないかということをうかがいながら
先生
の御
意見
を伺っておったわけでございます。
足鹿覺
70
○
足鹿覺
君 非常に前向きな御答弁をいただいたわけですが、農林大臣、私の手元に
昭和
四十七年四月一日から
昭和
四十八年三月三十一日まで
社会保障制度
審議会報告書というものがあるのです。これを読みますと、実際もう指摘し尽くされておるのですね。それが審議室をつくって六年、七年たっておるのに、この答申の趣旨さえも全然もう手のついておらぬ問題がざらにあります。これはどこにその
原因
があるかと言えば、私が先ほど来述べましたように
——
いわゆる経済閣僚協議会があれば、当然、
社会保障制度
に関連のある老後の
保障
の
年金
問題閣僚協議会というようなものがあってしかるべきじゃないですか。私は、検討してみたいという櫻内農林大臣のお
ことば
は、私の主張を御肯定になって、前自民党の政調会長であり、二期農林大臣をおつとめになっておる櫻内さんとしては、これはリーダーシップをとり得ると。私は、一番不利な条件に置かれておる
農林年金
の
立場
を代表して、やはり閣僚協議会等をつくって、そうしてそこできまった方針を審議室におろしていかなければ、とても
大蔵省
の壁は厚くて破れません。私は、この農林
年金制度
をつくったときの当時から取り組んでおります
関係
上、この二〇%の問題がいまだに片づかなくて、毎年予算編成期のときには汗水たらして野党でありながら全面的な協力をしておるわけですが、この問題に火をつけるのはいつも私が火をつけて今日まで十八%続いている。
昭和
四十二年か三年のときには、予算
委員会
で五時間以上予算をストップして、時の大蔵大臣、福田さんに、一%のアップを法制化させることを言明をとり、自来今日まで来ておる。われわれが何でもかんでも
農林年金
に金をよけい、
年金
をよけいよこせと言うならともかく、少なくとも国家
公務員
並みのものをよこせと、われわれはバランスの問題を謙虚に言っておるのですよ、いまのところ。あと抜本
改正
の問題に入ればまたいろいろ問題を提起しますが。それがただいまの審議室長の御答弁では私はどうしても納得いかない。もう一歩踏み込んで閣僚協議会を設置することについて十分検討し、
関係
各省とも連絡をとって対処していく、こういう趣旨に理解をしてよろしいか。先ほどの十分検討したいということはそういう趣旨に理解をしてよろしいかどうか。この点ひとつくどいようですが、あなたに期待するところ多大でありますので、御所見があれば承りたいと思います。
櫻内義雄
71
○国務大臣(櫻内義雄君) この所管などと申し上げると、よく御批判の出るなわ張り争いのようなことにも関連をしてくるわけでございまするが、
社会保障制度
審議会は総理府の
関係
にある。今回の答申は、これは私どもの
農林年金
に重大な
関係
がございまするので、答申はまた閣僚としての私としては、これに留意することは当然であると、こういう心がまえでまいっておるわけであります。で、各種の
制度
がありますために、連絡調整会議が設けられておる。この連絡調整会議が十分活用されるように、もっと充実した権威あるものにすることについては私としては、そのことを強く主張をいたしたい、連絡調整会議の
関係
者として。で、高度の政治問題となりますると、先ほど申し上げましたように、閣僚折衝にこの問題も残ったということを申し上げておるので、場がないわけではございません。しかし、
足鹿
委員
の言われますように、これがそれぞれ担当の
関係
大臣がおって、お互いに足を引っぱり合うような結果、相手の様子を見るというようなことであってはならないのでございまするから、したがって、いまの
足鹿
委員
の御所見のような
関係
の閣僚において討議をする場を持つというようなことは、私の
立場
からはこれは要望してみたい、御所見に従って要望してみたい。ただ言うまでもなく、それぞれ担当の閣僚のおることでございまするから、現にある
制度
なり機構も十分活用しながら、私としては御
意見
を十分尊重しながら、政治的配慮のできる場において努力することはもとよりである、こういうふうにお答え申し上げたいと思います。
足鹿覺
72
○
足鹿覺
君 非常に前向きな御答弁を得ましたので、この点につきましてはもうこれ以上くどく申し上げません。審議室長もいままでのやりとりをお聞き取りをいただきまして、真剣に連絡会の
運用
を、実情に即するように、受給資格者が不
均衡
にならないように、特に農林
年金制度
が他の
制度
に非常にきわめておくれているということは、四十八年二月十九日
社会保障制度
審議会長から農林大臣あてに出された答申の末尾にある「今回、
厚生年金
が大幅に
改善
される結果、本
制度
の
年金受給者
が著しく不利になるおそれがある。このことは、皆
年金
下における公平の原則をそこなうので、この点に留意し、
財政
基盤の強化その他根本的な検討が必要である。」、かく結んでおるわけです。御
承知
だろうと思うんです。これをぜひひとつやっていただきたい。さっきからくどいようですが、新法の切りかえというものは共通の整理になっておりますが、旧法区分というものは
厚年
にありますか。ちょっと不覚な御質問ですが私もよくわかりませんのでほんとうに聞かしてもらいたい。
厚年
にありますか。
横田陽吉
73
○
政府委員
(横田陽吉君)
厚生年金
は
昭和
十七年に始まりました
年金制度
でございまして、それ以降の被保険者につきましては、新法、旧法というふうなそういった被保険者の区別はございません。
足鹿覺
74
○
足鹿覺
君 いまお聞き及びのとおりです大臣。そうするとこの問題はきわめて明瞭なんですね。で、最低
保障
額が
厚年
を下回っておるゆえに旧法適用者は除外をされておると、こういうことなんです。ですからこれは当
委員会
におきましても、何とかこれ、この一点だけでも、私はあとでまた与党の
先生
方にも御相談を申し上げますが、よく協議をして、質問の趣旨が私の独善でないならば、御協力をいただいて対処していきたいと思います。
委員長
よろしく
お願い
をいたしますが、無理な
お願い
でしょうか、
委員長
の
見解
を聞くわけです。
亀井善彰
75
○
委員長
(
亀井善彰
君)
委員会
としては私は無理でないと思います。
足鹿覺
76
○
足鹿覺
君 そうですか。どうもありがとうございました。それでは、そういうことで
一つ
けりつけましょう。
亀井善彰
77
○
委員長
(
亀井善彰
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
亀井善彰
78
○
委員長
(
亀井善彰
君) 速記をつけて。 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十七分散会