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1973-07-12 第71回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十二日(木曜日)    午前十時十八分開会     —————————————    委員異動  七月十一日     辞任         補欠選任      高橋雄之助君     鹿島 俊雄君      川村 清一君     吉田忠三郎君      辻  一彦君     小谷  守君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀井 善彰君     理 事                 園田 清充君                 初村瀧一郎君                 工藤 良平君                 中村 波男君     委 員                 梶木 又三君                 河口 陽一君                 小林 国司君                 佐藤  隆君                 田口長治郎君                 棚辺 四郎君                 鍋島 直紹君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 足鹿  覺君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 塚田 大願君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        科学技術庁研究        調整局長     千葉  博君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        農林政務次官   鈴木 省吾君        農林省構造改善        局長       小沼  勇君        農林省農蚕園芸        局長       伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君        水産庁長官    荒勝  巖君        通商産業政務次        官        矢野  登君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   相川  孝君        大蔵省関税局監        視課長      本多 行也君        農林省農林経済        局審議官     堀川 春彦君        農林省畜産局審        議官       下浦 静平君        通商産業省鉱山        石炭局石油業務        課長       根岸 正男君        通商産業省鉱山        石炭局石油開発        課長       豊島  格君        運輸省港湾局技        術参事官     大久保喜市君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (天然ガス噴出による農業被害対策に関する  件)  (畜産振興対策に関する件)  (美保湾における漁場埋立問題に関する件)  (輸入豚肉問題に関する件)     —————————————
  2. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十一日、川村清一君、辻一彦君及び高橋雄之助君が委員を辞任され、その補欠として吉田忠三郎君、小谷守君及び鹿島俊雄君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 天然ガス噴出による農業被害対策に関する件を議題といたします。  本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 佐藤隆

    佐藤隆君 いま委員長からお話しありましたように、天然ガス自噴についての被害対策というか、そういう具体的な問題をひとつ、ここで一歩でも二歩でも前進した形できわめさしていただきたいと思いますが、この農林水産委員会で、私が質問する理由の大きなものは、やはりいま国民の命と暮らしを守るという意味で環境問題——非常に大きな問題でありますが、その中で食糧問題というのが、この委員会でも専門的にいろいろ各党から意見が出ているわけであります。その食糧政策の中の、いろんな柱がありますけれども、その柱の一つである優良農地確保という問題、このことについて、最初、農林省の見解を承っておきたいわけであります。優良農地確保ということが食糧政策の中の一つの柱となっておりますが、優良農地確保についてどういう手立てをいままでやってこられたか、また、これからどうしようとしておられるのか、それをまず承っておきます。
  5. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) 御指摘のように、食糧を安定的に供給するというためには、生産力の高い農用地計画的に確保する必要があると考えるわけでございまして、このために、農業振興地域制度を法律に基づきまして制定しておりまして、この農業振興地域の指定、それからその中での農用地区域と、これが大体優良農地に該当するかと思いますが、その農用地区域設定をいま促進をしているわけでございます。これが一つございますが、そういうふうに地域として設定をして確保することをはかるとともに、農地法に基づきまして、そういうところの転用については規制をするということを進めているわけでございます。それだけでは足りませんので、そのほかに、積極的にこの農地を売りたいというふうな人があった場合に、農地保有合理化法人によりまして土地の買い入れをし、それをまた、農業をやりたい人に売るというふうな事業などを進めているという状況であります。ただ、そういうふうな制度面だけではなくて、御承知のとおり、積極的に土地造成していくということも必要でございます。  そういう意味では、優良農地を今後開発造成するということで、土地改良長期計画におきましても、そういう造成事業を大幅に取り入れて進めていく、あわせてこの造成と、従来の土地基盤整備事業ということを進めるということでございまして、総合的に、多角的に、この事業を進めながら、優良農用地計画的に確保するという進め方でございます。
  6. 佐藤隆

    佐藤隆君 いまのことで大体わかりましたが、一つ、私のほうでつけ加えて、また簡単に答弁をいただいておきたいと思いますが、特殊排水事業というのが農林省にありますね。これは、一つの大きな意味では地盤変動というか、ことばを変えて言えば、地盤沈下対策。一時は、これはやはりガスをあまり掘ったから沈下したかとか、いろんな議論が、かつても行なわれたことがあります。  しかし、農林省で第一次、第二次あるいは第三次という形で、特殊排水事業ということで、高率の補助をもって、優良農地の形は整えておるが、その農地の大事な基盤沈下をするというようなことについて、特殊排水事業という形で、いろいろ手立てを今日までやってこられた。地殻変動あるいは地盤変動、まあいろんなことが従来もあったし、これからもあると思います。そういうことについても優良農地確保という観点から、優良農地というのはどういう基準できめるかというと、非常にめんどうだろうと思います。それをここで一々議論しようとは思いませんけれども、いろんな点から考えて、優良農地ではあるが、地盤沈下だとか何だとか、いろいろそういう地殻変動地盤変動的な沈下、そういうものがある場合、いままで手立ては加えてこられた。これからもそういうことが新しい地域に出てこないとは限らない。そういうことも含めて、優良農地確保という問題をひとつ考えていただかなければならぬ。特に、地域分担で、米どころということできめてある地帯であるならば、やはりそういう特殊な事業というものも、いままであるもの、また、これから考えなけりゃならぬもの、いろいろ出てくると思いますが、そういう意味での優良農地確保という考え方も必要でないかと思いますが、いかがですか。
  7. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) 新潟地域特殊排水事業というのが予算の項目でございまして、現在もあるわけでございます。地盤沈下のために、農地それから農用地施設の効用が低下したというふうな場合に、それについての農業用用排水施設の新設、または改修の事業で、大体三百ヘクタール以上の受益面積ということで、そういうかなり大きな地域にわたるものについてこれを行なっているわけでございます。今後もいろいろ地殻変動とか、いろんな問題で、そういうことがないとは言えませんし、そういうこともあるかもしれません。そういうときには、それに対応してあとの、いま御指摘の、優良な農地確保という点から施策を講ずる必要はあろうかと考えております。
  8. 佐藤隆

    佐藤隆君 案は、いま新潟県の中条町で、天然ガス自噴をしておるということで——非常にセンセーショナルな言い方をする人は、大地は燃えるとか、地球は燃えるとかという人もおりますけれども、その実情がどうであるかということで、私も現地を視察をしてみました。これはしかも、天然ガス自噴という問題で、農作物自体に相当な被害を与えておるということ、そういう農業問題、食糧問題。それからもう一つは、これは農地としては四十ヘクタールほどの被害があるように私は聞いておりますが、四十三年ごろからそういう問題が起きておる。そして町でも、県でもいろんな調査をやってきた。しかし、なかなか問題は解決しない。最近、何かこれが広がりつつあるようであると、しかもいま環境保全という問題は非常な国民的な課題でもありますし、政治的な課題でもありますから、環境保全という大きな問題の中に、そういう食糧問題としての問題が出てきておる。なおかつ、これに加えて、メタンがまあ八九%と私聞いておるんですが、どの程度か、相当なメタンを含んでおる。ある程度、またガソリンに近い成分を持った構造性ガスとかという話でありますが、私は専門家でありませんからわかりませんが、そういうものが自噴をしておる。そして私も写真を、先ほど通産政務次官に私のとってきた写真をお見せいたしましたが、たんぼにぷくぷく、ぷくぷくと穴があいて、そしてメタンガス自噴をしておる。そして落水をすると、水を引くと根ぐされを起こす。だから、水をそう張らないでもいい時期にでも水を張ってなきゃならぬ。そういうことで根ぐされが起こっておる。それからたばこもそうでありますし、チューリップ畑もそうでありますし、まあいろいろ被害を与えております。  それはさておいて、構造性ガスということになりますと、この天然ガス自噴問題は、環境問題の中にエネルギー資源開発という問題、これもまた包含をしておる。しかもこの地域の近くには、日本鉱業井戸を掘っておる。そして関東への工業用燃料を送っているやに聞いております。あるいは石油資源開発株式会社井戸もある。そういう地域であるだけに、環境保全という問題、あるいは公害という問題、そういう問題で非常に住民は不安な毎日を送っておる。実はこれは新潟だけの問題、局地的な問題ではありまするけれども中央紙にも、ある一部には「〃ガス攻め〃におののく」、「水道から水田から」天然ガスが「噴出」と、こういうことで書かれておりますが、私も実際、五尺飲料用水に使っておる井戸からガスが同時に出て、もうとても使えないというのを覚ました。それから、五十センチほど掘ると、もう火がぼっとつくというのも実際見てまいりまして、ここに写真もとってまいりました。  そういうことで、これは、環境問題ということになると、すぐ環境庁という話になるわけであります。しかし、環境問題というのは非常にむずかしくて、関係各省がそれぞれやはり環境問題をかかえてはおるけれども環境庁がないほうがいいとは言いませんけれども、その辺のやりとりに、非常に問題があるというふうにも漏れ聞いております。  そういう意味で、私は環境庁にも、きょうはお聞きしたいと思っておるんですが、何といっても、天然ガス自噴しておるという問題、そしてガス井戸を掘っている企業が、実際どうであるか、それはわかりませんけれども、少なくとも構造性ガスというものが自噴をしておる。エネルギー資源開発という問題にも関連して、通産省は一体どう考えておるのか、この問題を。これはやはり、私はこの際お聞きをしておかなければならぬと思うんです。  そういうわけで、まず通産省にお聞きをいたしますが、四十三年以来天然ガスがこの中条高畑地区噴出をした。四十四年六月に、町が原因究明調査委員会というものを発足させた。この調査委員会西田委員長——新潟大学理学部教授西田委員長を、その調査委員会責任者といたしまして、四十五年十月にその調査結果が報告をされた。しかし、まだあいまいさは、依然として残っておる。そういう経過について通産省は御存じですか。
  9. 豊島格

    説明員豊島格君) 存じております。
  10. 佐藤隆

    佐藤隆君 全部その調査報告は知っておるとおっしゃいますから、それでいいですがね。  その内容を私のほうから申し上げますと、いろいろな「地下水位低下」「断層などによるガス層からの漏えい」、「新潟地震による影響」「これらの想定原因について検討した結果、地下水位低下は、誘因になり得るが、本質的な原因とはならない。また、ガス井の掘さくについては直接の因果関係を証明することはできなかった。」と、しかも、これが「究明については、長期にわたる観測が必要であり、」「当分」「ガスの湧出は持続するものと予測される。」と、こういう結論が四十五年十月に出ているんです。いまは、もう四十八年の七月でありますから、これ約三カ年たっているわけであります。そして、最近は、どうもその範囲が拡大されておるように思うということで、不安は絶えないと、こういうことになっておるんです。  七月の六日に、通産省係官をさっそく派遣をされた。これは県議会でも問題になっておりますから、事の重要性は十分お認めになって派遣をされたんだろうと思いますが、その派遣結果について、簡単でいいですから聞かしていただきたいと思います。
  11. 豊島格

    説明員豊島格君) この問題につきましては、四十三年ごろから、相当ガス自噴するということで、県それから中条町その他、先ほど先生の御指摘ありましたように、調査をされるとともに、一方では、これに対する対策も、ガス抜き井戸をつくるというようなことをやってはあったわけです。その後、一時減っていたわけですが、ことしになりましてから、かなりふえた、自噴がまた増加してきたということで、私どもとしましては、特に、現在やっております日本鉱業と、それから石油資源ガス坑井につきまして、そこから漏れていることはないか、再度点検しろという指示を出したわけでございます。いずれにしても、原因が多いということで、何とか根本的な対策を立てる必要があるんじゃないかということを考えまして、とりあえず、私ども係官担当官とそれから地質調査所の専門官派遣したわけですが、実際報道されているように、非常にひどい状況であるという感じがしております。
  12. 佐藤隆

    佐藤隆君 そういうことで、さっそく調査してくださったことは非常にけっこうだと思います。思いますが、いまちょっと御答弁の中に、近隣の企業者側に対して、ガス漏ればないかということについて調査をしなさいという指示をされたということですか、ちょっと聞き取れなかったのですが……。
  13. 豊島格

    説明員豊島格君) これは、六月のたしか半ばだと思いますが、新潟県知事中条町長の要請がございまして、石油資源日本鉱業に対しまして、天然ガス坑井の点検を東京通産局長それから東京鉱山保安監督部長連名で、点検しその内容報告しろということの指示を出しております。
  14. 佐藤隆

    佐藤隆君 私は、その指示をされたのもけっこうです。しかし、その指示に基づいて企業者側がどういうことをやったか、それは私もまだ聞いておりませんし、また私どもが私企業にそう介入するあれもありませんが。監督官庁である通産省が、そこまで指示をしておられるわけでありますから、企業者側企業者側責任においてされることは、それはそれでいいでしょう。しかし、いままで、四十三年からずうっと今日まで経過してまいりました経過を考えますと、これは簡単には原因はわからないと思うんですよ。  それで、やはりこの町でもって、県でもっていろいろやってみて、研究もしてみたけれども、なかなかつまびらかに解明をするわけにはまいらぬ。そうすると、ここで、やはり調査を、国自身が、もちろん県や町とも連絡をとりながら調査する必要があるんじゃないですか。これは、局地的なことだといっても、国自身原因究明する、そういうことが必要だろうと思います。そうして、これは環境保全の問題ともかね合いますが、社会問題にならないうちに、やはりそういう体制を整えて、そして、こういうことから社会不安が起きないように親切な行政をすべきではないか、こう思いますがいかがですか。
  15. 豊島格

    説明員豊島格君) 先生指摘のとおり、これは、単にそういう現在掘っておる天然ガス井から漏れておるかどうかをチェックするだけではなく、西田教授がいろいろ原因を追求されたときも、先ほど先生指摘のように、四つばかり因果関係のありそうなものがあるということでやったけれども、結局わからなかったというのが現状でございますが、わからないままほうっておくということはいけないことは当然でございまして、この際、相当腰を据えて、根本的な原因というのをやっぱりしっかりつかんでおくということをしないと、結局、解決策というのも非常にこそくなことになってしまうということで、根本的な研究関係各省、それから専門学識経験者の力を得ましてやりたいということで、目下鋭意検討中であるということでございます。
  16. 佐藤隆

    佐藤隆君 いまの答弁でそれでいいと思いますけれども、もう少しはっきり、政務次官どうですか、こういうことは、やっぱり早くやらぬといかぬと思いますよ。だから、いまお役人、なかなか答えにくいのでしょうけれども政務次官、きょうここで、こういうことでお尋ねしているわけですから、何かこういう形の委員会とかなんとかつくって、そしてもう今月中なら今月中にやりますとか、あるいはすぐやりますとか、何かめりはりのついた、そういうことをひとつやっていただきたいと思いますな。そうでないと、いたずらに不安から不安へ不安を重ねて、一体政治はどこにあるんだ、行政はどこにあるんだみたいなことで、変なふうにエスカレートして、あるときには、それが反体制運動に利用されるとはなはだ遺憾であります。どうですか。
  17. 矢野登

    政府委員矢野登君) お答えいたします。  中条地域天然ガス自噴の問題につきましては、先生が御指摘になりましたように、資源対策としてのエネルギー問題、こういう方面も相当考えなければならない問題と存じますが、それにもまして農地被害の発生並びに地域住民の居住に心配をかけるという大きい問題でございますので、早急にこの原因究明噴出防止対策を講ずる必要があると存じております。このために、ただいま話題になりました係員を現地派遣いたしまして、噴出状況調査を行なわせたというようなことでございますが、この噴出原因究明とその防止対策検討する調査研究委員会、これを通産省内で現在検討中でございます。この委員会は、学識経験者並びに政府機関の職員、これで構成いたしまして、七月中に、今月中に設置いたしまして直ちに活動を開始する計画でおります。以上お答え申し上げます。
  18. 佐藤隆

    佐藤隆君 それじゃ、ひとつそれ今月中にぜひ発足をさしていただいて、関係各省——きょうは私はそこまでお聞きすればあともうあまり言う必要はないんで。——科学技術庁は来ておられますか。私が心配するのは、だんだん詰めるような言い方で恐縮でありますけれども委員会を設置するというならやっぱり銭かかりますな。これは予算の点はどうなっているか、これは事務的にひとつ答えていただけませんか。どなたからでもけっこうであります。これは関係各省というとやっぱり科学技術庁通産省あるいは農林省の問題もありますし、いろいろあると思います。関係各省というのはそういう意味だろうと思いますが、通産省が窓口になってやる、通産省予算でできるんですか。そういう点まではっきりさしておかぬと、従来何かできても、金がないからあまり進みませんでしたなんというようなことで、進まないのが多いんですよ。だから、老婆心ながら非常にひねた言い方で悪いですが、そこまで詰めさしていただきたいと思う。
  19. 豊島格

    説明員豊島格君) 本件工業法に基づくいろいろな災害ということだけに限りませんでございますが、通産省としても、何とか予算をひねり出すということを目下努力中でございますが、いろいろ井戸を掘ったりなんかして調べるというそういう作業もございますんで、相当費用がかかるというふうに思われますんで、関係の省にも予算面で応援をしていただくということで目下お願いをしつつある段階でございます。
  20. 佐藤隆

    佐藤隆君 私もある程度調べたんですが、科学技術庁にこういう場合に、当てはまるような予算があるんですよ。特別研究促進調整費というもの。ここから出すなり、そういうことは、いまここですぐ、ここから出すんですなんということは、言えないなら言えないでいいですが、そういう点やっぱりはっきりしておいて、そしてどの程度の期間がかかるかわかりませんけれども、やっぱり各省連絡をよくとって、そして金目でもって、この調査が進みませんでした、ということにならないように、これは四十九年度の予算要求も、もういまヒヤリングの最中であろうと思いますし、役所のそれぞれ部内において……。そういう意味科学技術庁どうですか。
  21. 千葉博

    政府委員千葉博君) 実は、いま先生指摘財源は確かにございます。全部で十二億数千万ございまして、その財源性格はこれは二つございまして、一つは緊急にいろいろ研究開発をする必要ができてきた場合、これなんかそれに当たるかもしれません。こういった総合的な研究に出す。それからいま一つは、関係各省にまたがるような大きな研究、あるいは部門が多数にわたる、一つの省で部門が多数にわたる、たとえば通産省ですと、いろんな部門がございますので、そういったような多数部門研究、こういったものを計画的に出していこう、こういった研究にも出せるという二つ性格がございます。  それで科学技術庁の立場というのは、関係各省一つ上といいますか、うしろといいますか、それで関係各省のおやりになりますような研究を推進していくということと、いま申し上げましたような総合的な研究科学技術庁が旗を振って推進していく、こういったような任務がございますので、いま先生の御指摘天然ガス自噴の、つまりいろいろな地域住民に対する被害あるいは農作物に対する被害、これはきわめて重要な問題であると私は思います。それでこの種のものは——やはり科学技術庁は非常に海洋開発だとか、原子力開発だとかというような先行的な開発研究あるいは基礎的な研究、そういったものだけではございませんで、国民生活に直結したような問題、人命の安全の問題だとか、それからいろいろな災害の問題とか、こういったものを重点的にいま取り上げておりますので、本件まだ、私いま初めて伺いましたものですから、通産省あるいは農林省環境庁あたりと十分相談いたしましてその特別研究促進調整費の使う点まで含めまして前向きに積極的に対処していきたい、かようにいま考えております。
  22. 佐藤隆

    佐藤隆君 わかりました。ぜひひとつそういうことで進めていただきたいと思います。  なお、先ほど私ちょっと申しおくれましたか、石油開発課長からの答弁がありましたが、石油開発エネルギー資源開発という問題も兼ね合わせてと申し上げましたが、それとあわせて防災保安体制という面からの検討も、というのを、ちょっと私言い落としておりましたので、当然それも——むしろそっちのほうが大きい、ウエートがそっちのほうに大きくかかってくる。こういうことで、開発だけ先へ進んでもだめですから、開発も大事であります、エネルギー問題の。しかし防災保安体制というものを十分ひとつ考慮に入れてやっていただきたいと思います。  そこで環境庁にお尋ねいたしておきますが、いま議論をしてきたような問題が現実にある。そして調査研究のための委員会を今月中に何としても発足させる、その裏打ちもまずまず心配は要らぬなと、こういうことでありますから、私は非常にいまの時点では満足いたしておりますが、国民大衆から見ますと、こういう問題は環境庁がばっと取り上げてくれるがごとく期待をするんです。ああ環境問題だな、環境庁。こういうことで、たとえば農林省食糧問題になると、それはもうずいぶん通産行政の中での貿易問題、これが食糧行政の中にいろんなウエートというものを占める場合があるんですが、通産省と言わないで農林省一点ばりです。こういうふうに受け取るがごとく、環境問題だというと、全部もう環境庁というような考え方に国民は受け取るわけであります。いま通産省が窓口になって、これを進めてくれるということでありますから、直接の環境庁でいますぐ作業すべきことは、あるいはないかもしれません。ないかもしれませんが、社会問題にこれが大きくエスカレートしないうちに、やっぱりこういうことをよく含んでおいていただいて、大きな問題になってから、取りかかるというのではなくて、逐一ひとつ通産省とも連絡をとりながら、あるときは通産省から報告を受ける、あるときは意見を聞く。こういうことで環境庁国民の期待から——実務上は、そう所管すべきものは当面ないにしても、やっぱり環境庁国民から寄せられておる期待というものに、こたえる姿勢というのは必要だと思うんです。これはほんとうは三木長官から聞けばいいんでしょうけれども、とりあえず、あなたの所管かどうかもわかりませんけれども、とにかく環境庁からだれか責任者出てきてくれと、こういうことでお願いをしておったわけでありますから、環境庁代表してひとつ意見を聞かしておいてください。
  23. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) いま先生からお話の新潟県の中条町の天然ガス自噴の問題、これが公害であるかどうかいろいろ問題があると思いますけれども、お話のとおり、多数の住民の方々の不安の原因になっていることでございます。先生指摘のとおり、現在ではそういうような事態に対応するような法律、制度というのはございません。しかし、やはり一般的な環境問題の一環としまして、環境庁も当然対処しなければならないと私ども考えております。第一義的にはいま通産省その他からお答えございましたとおり、とりあえずは通産省が中心になりまして御検討いただく、やはり原因究明することが第一だと思います。私ども通産省並びに関係省庁と連絡をとりまして、環境庁として、なすべきことはなすという態度でございます。この点今後とも努力してまいりたいと、かように存じております。
  24. 佐藤隆

    佐藤隆君 最後に農林省にもう一度お尋ねをいたしておきますが、さっき優良農地確保という問題をお尋ねをいたしましたが、いまこういうような現実に社会問題に発展しつつあるこういう問題、その中で、もう農民の耕作意欲というか、生産意欲というか、そういうものにとまどいが出ておる。これは現実そうであります。私行ってみまして、いろいろ農民とも直接会って、そういうことを実際感じましたし、話も聞きました。それからこのままで農地をどうしてくれるんだ、何かいいことを考えてもらえないもんだろうかと、そういう要望もあります。先ほどちょっと触れましたように、水田は落水をするとすぐ枯死をする、メタンによって。それから葉たばこ、チューリップの球根はこれは根腐れというか、やっぱり枯死する。それから桑畑も若干ありますが、四十ヘクタールぐらいそういう状況である。それから山林もこれも枯死しております。実にもう原野が、情けなくなるぐらい、山林原野が妙な形になっております、ちょっと口で言いあらわせませんけれども。そういう状態の中で、農林行政として、やっぱり何かひとつ考えてやらなきゃいかぬじゃないかと私思うんです。しかし、いまの調査委員会の中に、やっぱり農林省農林省の立場で調査研究をする意味において通産省とひとつ連絡をとってもらいたいと同時に、たとえば水稲の場合は稲作共済、これはどうなるんであろうかというようなこと、非常に農民は心配しているんです。ところが原因がはっきりしないから、なかなかずばりこれで救いますよとか何とかということにはなかなかなりそうもない。しかし、何とかしてもらわなきゃ困るし、何とかなるんじゃないかという淡い期待をまた農民が持っておる。この辺にももう少し、原因究明究明として、調査究明調査究明として、現実に農作物がやられておる事態に対して、農林省はやっぱり何かを考えてもらわなきゃいかぬ、こういう気がするんです。じゃ、おまえ何をせいと言うのかといわれると、私もちょっといま持ち合わせばないんですが、どうなんでしょうか。
  25. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 農作物共済の関係が出ましたので、その点につきましてお答え申し上げますが、先生御承知のとおり、農業災害補償制度によります共済金の支払いの行なわれる場合は、共済目的、この場合は水稲でございまするが、水稲についても適切な適正な引き受けが行なわれて、その引き受けられました共済目的に沿いまして、共済事故が発生をし、それによって損害がある。その損害の襟度が支払いの対象になる程度に達すれば共済金が支払われるわけでございますが、この場合、問題になりまするのは共済事故に該当するかどうかということであろうと思います。災害補償法の八十四条には、共済事故といたしまして水稲につきましては、「風水害、干害、冷害、雪害その他気象上の原因(地震及び噴火を含む。)による災害、病虫害及び鳥獣害」、かようなことになっておりまして、したがいまして、本件の場合にこの共済事故に該当するかどうか、なおよく慎重に検討いたしまするが、現在の段階で県あるいは農業共済組合連合会等々と急邊連絡をとってみたところによりますると、どうもこの事故には該当しないのではないかという見解を持っておるようでございまして、引き受けは、一応共済事故には該当しないものではあるが、当該水田については引き受けを一応すると。しかし共済事故には該当しないからそれによる減収というものが明らかになった場合におきましては、その減収分は分割評価をいたしまして、共済事故による減収ということでなくて扱うということを前提にして一応引き受けが行なわれておるというふうに聞いておるわけでございまして、一応農業災害補償法の解釈、運用上の態度としては、いまの段階では妥当なところではなかろうかというふうに考えております。  共済事業の面から見ますると、さようなことになるわけでございまするが、しかしこの農作物につきましての被害状況程度というものは、これは収穫段階までいって見ないとわからぬわけでございまするが、その段階で、何らかたとえば金融上の手を打つ必要があるとか、その他必要があるということになりますれば、私どもも十分県当局とも相談いたしまして対策を考えてまいりたいというふうに考えております。
  26. 佐藤隆

    佐藤隆君 もうこれで終わりますが、共済はなかなかむずかしいだろうと、——だろうですね。しかし、地震等の原因によってこういう自噴が起こっているとするならば、異常な気象条件によって、自然現象によってということで該当するかもしれないが、そんな原因究明はここ二、三カ月で、できようはずはない。収穫期までには間に合わない。ことしのものにはならない。そういうときに、やはりそうかといって、何かやはり共済が、いますぐ原因がわからぬからだめだということであるなら、何かやはり県と農林省とひとつきめこまかく相談をしていただいて、何か県自体の融資、あるいは国の融資で該当するものがあるかどうか、県自体の融資に対してまた農林省がどうするか、何かひとつ局地的なことでありますが、考えてやらなければならないのではないか。法律にきめてある適用以外のことを、国がやるということはこれはできないと思います。それはわかっております。わかっておりますが、このままではいけないというときに、やはり地方庁と相談をして、何かひとついい知恵を出す。かつて地盤沈下のときに、特殊排水事業なんというものを考えた、あの知恵に似た形の、あれとは性質が違いまするけれども、みんなやっぱり新しいことはそういうことで知恵を出してきている歴史的経過がございますから、この問題も原因究明を待たずとも、本年度収穫の問題、水稲に限らず、たとえば葉たばこの問題であっても、——きょうは専売は答弁をもらう、そういう意味で来てもらうことにはなっておりませんけれども、農蚕園芸局長のほうから、やっぱり葉たばこの問題については、これは専売と常日ごろの連絡があるわけですから、葉たばこについても、一体どうするかというふうなことをひとつ真剣に考えていただきたいと思います。そういう要望をしておきます。  そういう意味で、最後に、農林政務次官から、やっぱり法律になくても、適用されなくても、何かほかのことを知恵を出し合って措置しなきゃならぬなという、まあ、私の気持ちなんですが、そういう気持ちを農林省が持つか持たぬかによって、これからまた知恵の出ようもあると思うんです。そのことについて一言お尋ねをして、私の質問を終わります。
  27. 鈴木省吾

    政府委員(鈴木省吾君) ただいまの御質問ですけれども、作物共済のほうに該当するかどうかということは、ただいま政府委員のほうから答弁をさせた次第でございますが、しかし、局地的にはかなり被害がひどいのでございますから、そういった手続上、あるいは事務的な検討だけでなくて、ただいまお話のように、県のほうでもいろいろお考えのようでもございますので、県とも相談いたしまして、前向きで——作物の被害、あるいはまた農地そのものに被害が出ているかもしれませんので、そういう問題も含めまして、十分農家の被害を救済できる方法がないかどうか、前向きで検討してまいりたいと、かように考えます。
  28. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 本件に対する質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  29. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 次に、畜産振興対策に関する件を議題といたします。  本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  30. 工藤良平

    ○工藤良平君 私は、ただいま委員長からお話のありましたように、当面する畜産問題で、御質問をいたしたいと思うんですが、私が申し上げるまでもないと思いますが、米の過剰時代に入りまして、これからの農業の三本の柱として畜産、果樹、蔬菜、こういうことで、今日まで選択的拡大の一つの道が進められてきたわけでありますけれども、まあ御承知のように、飼料の不足、さらに汚染魚によるたん白質の減少と、日本の食料事情につきましては、たいへんな事態を迎えていると思いますが、まあそういう点から私は、この当面する農政の基本として、一体どういうような方向で、これからのこの畜産問題に取り組んでいくのか、そういうことについて一つはお伺いいたしたいと考えているわけでありますが、さらにもう一つは、いま奇形児の問題、あるいは早死産の問題等が出てきておりまして、まあこういう点につきましても、先般から私質問をいろいろと準備をしてまいりましたけれども、やっときょうのこの段階で、この機会が与えられましたので、そういう点をいろいろと議論をしながら、最終的に広域畜産開発の問題にしぼって話を進めていきたいと思います。  まず最初に、農政の基調として、これから畜産に一体どう取り組むのか、こういう点についてまず畜産局のほうからお話を伺いたいと思います。
  31. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) 先生の御指摘のございましたとおり、私どもといたしましては、今後の畜産につきましては、農政上のやはり一つの柱というぐあいに考えております。まあこの十年間を振り返ってみますと、農業総生産の中で、十年前におきましてはたしか一四、五%程度の比率を占めるにすぎなかったわけでございますが、最近に至りましては二六%程度の比率を占めるに至っておるということでございまして、これはもう、いわゆる基幹部門一つという地位を占めておるという認識を持っております。で、さらに畜産物需要という面を考えますと、非常な勢いで実は伸びてきておるわけでございますし、今後も国民の食料の摂取形態等からいたしまして、同じような傾向が続くであろうというぐあいに考えておりますので、この農業における畜産の地位というものはますます高まっていくのではないかという認識を持っておる次第でございます。
  32. 工藤良平

    ○工藤良平君 畜産に対する比重というものは、食生活の傾向からいたしましても、非常に重要な問題であることは申し上げるまでもないと思います。今日までの畜産の状態を見ますと、輸入飼料は急激に伸びておりまして、昭和三十四、五年代のいわゆる農業基本法制定当時から比較をいたしてみましても、大体五倍近い輸入飼料というように言われておるわけであります。  したがって、日本の畜産というものが、平場における畜産ということが主体になって進められてきたのではないかと私はこのように思うのですけれども、この点については畜産局として、どのように把握をしていらっしゃるか。そしてまた、今日の傾向として、それはどのような変化というものを統計的にも示しているのか、その点もお伺いしたいと思います。
  33. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) 日本の畜産でございますが、これは畜産の中でも、いろいろな部門がございますわけで、確かに先生の御指摘のとおり、まず酪農につきましては、やはりこれは都市近郊酪農というような形態で発足をいたしまして今日に至ったというような歴史があろうかと存じます。それから、肉牛でございますけれども、肉牛は、酪農とは正反対な形態をとりまして、やはり農山村を中心に発展をしてまいった。これはもう申すまでもないことでございますけれども、役牛としての飼養形態ということからいたしまして、当然の発展形態であったのではないかと存じます。それから、あと中小家畜の豚、鶏でございますが、これらにつきましては、いろいろな実は形態があろうかと存じております。都市周辺でもかなり行なわれておりますし、農山村におきましてもかなりの発展をみたということでございまして、その酪農と肉牛との実は中間的な発展形態であったのではないかと存じております。   〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕  最近の傾向でございますが、大家畜につきましては、これも先生よく御承知のとおり、土地をかなり広く要するという飼養形態でございますので、地価の問題、それから公害の問題、いわゆる畜産公害の問題という、この二つの問題が実は一つ課題というような形で近年出てきてまいりまして、漸次都市近郊から農山村のほうへ向かいまして、地域的に後退を続けておるというような傾向を示しておるわけでございます。それから、中小家畜につきましても、これは土地を要しない飼養形態ではございますが、特に、都市近郊におきましては、公害問題、これは水質汚染あるいは悪臭の問題というようなことが非常に大きく響きまして、これは数年前から、私どもでも、移転の際のめんどうをみようということで、畜産団地という予算を計上いたしまして、移転をはかるというようなことをいたしておりますが、そのような傾向が近年におきましては、特に著しく出ておるということでございます。  いずれにいたしましても、畜産につきましては、今日あるいは将来にわたりまして、地域特化をこれからしていくというようなことではなかろうかと存じます。
  34. 工藤良平

    ○工藤良平君 私は、先般の農業問題の総括的な質問の際にも申し上げたんですけれども、特にいまの消費者の需要傾向を眺めてみますと、一般的に畜産に対する食料の寄与率といいますか、そういう面を見てみますと、たとえば鶏卵、鶏肉、ブタそれから牛乳と、こういったものが、一般的な傾向として非常に需要が増大していると、まあこういうように、私はこの前、総合研究所のデータをもとにいたしまして議論をいたしてまいったわけですが、さらにこれからの傾向は、所得が増加をしてまいりますと、大家畜に対する需要というものが大幅に増加をしていく、こういうような傾向が出ているわけであります。そこでいままで進めてきた平場の畜産経営というものが、過密がますます拡大をしていく、あるいは地価が上昇していく、公害の問題が出てくるということから、どうしてもやはり奥地に入らざるを得ないという傾向というものが出てくるのではないか。それともう一つは、やはり日本の畜産経営というものが、輸入飼料に大幅に依存をしなければならないという傾向、そういうことから、やはりこれからの畜産経営に対する根本的な問題というものが、ここで考え直される必要に迫られているのではないかという気がいたしますけれども、この点については、これは大臣がおると一番いいと思ったんですけれども、きょうは大臣向こうのほうに実は取られておりますので、この点については、構造改善局、さらに畜産局との、農林省省内における私は、調整の基本的な問題だろうと思いますので、この点については、これは政務次官になりますか、ひとつ基本的なところをお聞きをいたしたいと思います。
  35. 鈴木省吾

    政府委員(鈴木省吾君) ただいまのお尋ねでございますけれども、中小家畜は御承知のような多頭飼育ができて、かなり資本を投下すれば土地等の制約をかなり排除してできますけれども、大家畜、特に酪農、乳牛、肉牛は、お話のようにこれから牛肉の需要が多くなると、その飼育については、土地に依存する部面が非常に多いわけでございます。そういうようなことになりますると、平場でこれから需要を満たすだけの生産ができていくかどうかということが問題でございます。さようなことを考えますると、未利用地でありますところの山林、あるいは原野等、大規模に利用されないで残っておりますそういうところを、今後利用しまして、基地といたしましてやっていくことがまた重要な問題であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。さようなことから、ただいま農林省としましては、御承知のような総合農地開発事業等も調査、あるいは実施の段階に移しているような次第でございます。
  36. 工藤良平

    ○工藤良平君 それではもう少しその点をお聞きをしたいと思いますが、さっきから私しばしば申し上げておりますように、日本のいわゆる畜産のたん白資源というものは、輸入飼料にほとんどその大部分をたよっているということなんですけれども、いまのような外国飼料の値上がり、それを踏まえて、一体これからの畜産はどうするのか。もちろん国際的に見て、日本の飼料がきわめて商いということは私も十分承知をするのでありますけれども、そういう中で、それでは飼料の確保についてどういう手だてを講じたらいいのか、これは畜産農民の非常に重要な要求で、全国各地で、その問題に対する要請行動が起こっておりまして、先回、ここの委員会におきましても、米の五十万トンの払い下げ等の問題については、特別立法までつくってやったわけでありますけれども、それは焼け石に水のような状態でありまして、四十七年度の輸入の実績の数字等を背景にして一体これからどうするのか、そこら辺をもう少し御説明いただきたい。
  37. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) お答え申し上げます。  畜産経営の安定的な発展をはかりますためには、当然御指摘のとおり飼料の安定的供給ということが、一つの大きな課題であろうかと存じます。そのため、私どもといたしましても、自給飼料の増大と申しますか、そういった観点からいたしまして、大家畜につきましては、できるだけ自給飼料の給与を多くしていくという姿勢が必要ではないかと存じておる次第でございます。最近におきましては、酪農におきましても、省力化の問題、あるいは肉牛につきましても、肥育の段階でフィードロット等の発達ということもございまして、そういう事情はあるのですけれども、かなり私どもから見まして、濃厚飼料を与える量が少し多いのではないかというような感さえ持っておるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたような観点から、先般閣議決定を見ました土地改良長期計画の中に、草地基盤関係をかなり大幅に織り込んだつもりでございます。内容的には、草地造成四十万ヘクタール、それから既耕地への飼料作物の導入が百万ヘクタールというような内容でございまして、これを基軸といたしまして、できるだけの努力をしてまいりたいと存じております。  それから豚、鶏等の中小家畜でございますけれども、これは先生よく御承知のとおり、ほとんどが配合飼料に実は依存をしておるわけでございます。この配合飼料の主原料は、六〇%弱程度がトウモロコシあるいはマイロというような原料でまかなわれておるわけでございまして、これらにつきましての国内生産ということを考えます場合には、非常に内外の生産性の格差でございますとか、あるいは労働力の問題でございますとか、特にトウモロコシ、コーリャンにつきましては、表作を要するというようなことがございまして、非常にこれは国内生産をはかってまいるということにつきましては、困難な問題が多々あるわけでございます。したがいまして、これらにつきましては、今後ともかなりの部分を海外に依存をせざるを得ないというぐあいに考えておりますが、そのためには、やはり輸入の安定的な確保をはかるというようなことが必要でございまして、そういう点からいたしますと、輸入先の多角化でございますとか、あるいはいわゆる開発輸入でございますとか、そういったような側面の話を今後かなり力を入れてやっていかなくてはならないのではないかというぐあいに考えております。なお麦、特に大麦でございますけれども、これは実はいま申し上げました草資源なりあるいは配合飼料なりの実は中間にあるようなものではないかというぐあいに考えておりますが、これも先ほどトウモロコシなり、コーリャンなりにつきまして申し上げましたような生産性の問題でございますとか、その他の問題が同様にございます。そのためにかなり国内生産も減ってまいったというような事情にあるわけでございますが、昨今の国際需給等にかんがみまして、私どもといたしましても、これは四十九年産から何か総合的に考えたいというつもりでおりまして、そのための検討をいたしておるという段階でございます。
  38. 工藤良平

    ○工藤良平君 いまお話のように、大家畜については、これから粗飼料に相当大きくウエートをかけて開発をはからなければならぬということになるわけでありまして、極端に——この前私はある人と議論をしておりましたら、これは笑い話じゃありませんけれども、近ごろどうも牛があまり反すう作用を起こさなくなったと、だからもう二へんも三べんも返してかむ必要がなくなったというぐらいに、濃厚飼料でやっぱり牛までも飼うという状態になってきておると。牛のこの体質そのものが変わってきておるんだという話を冗談話にしておりましたけれども、確かにそういう傾向があると思うんですね。とにかくやっぱりそういう濃厚飼料をやって育てればいいんだという、牛そのものの何といいますか、性格が変わってきている。これは変えようとしても変わらないわけですけれども、しかし、そういうような状態になってきているということを冗談に言っておりましたけれども。その問題は後ほどこれは畜産広域開発の問題と関連をしてもう少し話を詰めたいと思いますが、濃厚飼料を与えている鶏や豚や、あるいは牛のうちの乳牛ですね。こういう面から私はいま非常に重要な問題が出てきておると思うんですが、これはやっぱりこの飼料に対する安全性の問題が非常に心配をされておるわけでありまして、私ども地域でも牛の流産、あるいは早産、死産の月別の発生件数を見ますと非常に急激にふえておりまして、こういう点から飼料にもその原因の一端があるのではないかというような、実は意見が出されておるようであります。  昨日ですか、獣医師会の皆さんが、この問題について農林省に申し入れをしたということもいわれておりますけれども、私も先般からこの資料をいろいろ集めておりますけれども、どうもやはりそれも一つ原因ではないだろうかという気がいたしますが、この点について農林省としては、どのように把握をしていらっしゃるかお聞きをいたしたいと思います。
  39. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) 昨年の夏ごろからことしの春ごろまでにかけまして、九州の、主としてこれは南九州でございますが、それから中・四国等を中心といたしまして発生をいたしました牛の早流死産の問題につきましての御指摘でございますが、この発生原因につきましては環境、飼養、種つけ、それから導入状況等非常に実は幅広い調査を進めたわけでございます。それと同時に、病原学的検索も行なってまいったわけでございますが、その中におきまして、特に発生農家におきまする飼料の給与状況を見てみますと、たとえば鹿児島県におきましては、野草が主体で、濃厚飼料を給与しない農家、これが三十六戸ございますけれども、このうち十二戸に発生を見ておる。それから青刈り飼料、わら、野草だけを給与いたしておりまして、濃厚飼料を給与しておりません農家二百二十戸の中で、四十六戸に発生を見ておるというような現状でございます。  それから、関東地方におきましては、千葉県におきまして青刈り給与農家の五十二戸のうち、濃厚飼料を給与しない農家九戸に発生を見ておる。さらに青刈りとわらで、百二十三戸の中の二十一戸に発生を見ております。それから野草主体の三十六戸の中の十二戸に発生を見ておるというような次第でございまして、ほかの疫学的な調査結果と考え合わせまして、飼料に関係があるということは実は考えられないというような結果でございます。  したがいまして、この牛の流早死産につきましては、母親である牛に、臨床症状が認められないということもございますし、さらに胎児及び異常子牛の病理所見から見ましても、ウイルス性の疾患に見られます病変が認められるということなどからいたしまして、ウイルスの疑いが最も強いというような結論でございます。したがいまして、目下その追及を進めておるというような段階でございます。
  40. 工藤良平

    ○工藤良平君 まあこの問題については、過去一年ぐらいの統計の中で、そういうものが顕著にあらわれているということなのでありますけれども、さらにいろいろと調査をしてみますと、ここ数年の間に奇形やあるいは早死産というような、この牛の異常事故というものが年々増大をしておりまして、まあかつて三%程度であったものが、だんだん増加をしていって、全体的には五%程度まで伸びているというような、いわゆる出生件数の中のそういうような数字が、ある部面から出ておるようでありますけれども、これがこの全体的な傾向であるとするならば、それは、局地的な、あるいは、たとえばビールスといったようなことだけで済まされるのかどうか。私はやっぱり多分にこの飼料の関係があるのではないかという気がするわけでありますけれども、その点について私はもう少し全体的な面からのやはり解明というものが必要ではないかと思いますので、その点をお伺いいたしたいと思います。
  41. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先ほど審議官のほうから御答弁申し上げましたように、今回の早流死産等につきましては、環境なり、あるいは飼育なり、あるいは導入なり、あるいは人工授精等各般の状況について詳細な検討をいたしたつもりでございます。で、その結果、やはりその疫学的症状等から見まして、ウィルスであろうというような判断に立ちまして、現在、家畜衛生試験場におきまして最終の結論を急いでおりますが、先生指摘のように、最近におきます家畜の疾病等については、各方面から——一時的な断定ではなくて、各方面から、飼料を含めまして諸般の検討を進めるということは当然かと思いますので、この点についてはなお一そう慎重な態度で問題の解明を、各般の、牛のみならず豚その他各般の問題について解明を進めていきたいというふうに考えております。
  42. 工藤良平

    ○工藤良平君 まあ私はこの問題を提起をすることによって、魚のように、畜産物に対する不安というものが出てくるということを一番おそれますから、やはりそれが起こる以前に、その安全性をきちんとやはり農林省でも確保するということが非常に大切だと思って、実は発言をいたしているわけなんですけれども。  これは先般一部この飼料によりまして牛が下痢を起こしたり、そういう事態も発生をしたことがあるので、そこで私いろいろ調査をいたしました。これは福岡の協同飼料の私は調査をしてみたわけでありますけれども、この中には、成分等表示表ということで、成分の表示ですね、あるいは製造月日というものが入っております。たとえば、飼料の用途は乳牛用、正味重量が何キログラム、そして成分量並びに混入物及びその混入割合ということで、たとえば粗たん白質が一三・〇%、粗脂肪が二・〇、粗繊維が一一・〇、粗灰分が一〇・〇、炭酸カルシウム混入が三・〇ということで、その成分比は明確に記されておるのでありますけれども、残念ながら、一体、この飼料というものは何を、どういう原料を配合してつくってこのような成分になったかということが、調査をいたしてみましたけれどもわからないのでありますけれども、この点、私はどうも非常に問題があるのではないか。したがって、これは、コウリャンなり、トウモロコシなり、あるいは魚粉というものがどういう割合で配合されているんだという表示がやはりあっていいのではないかという気がするんですが、その点についてはどうでしょうか。
  43. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、先生指摘のとおり、わが国におきます現在の制度におきましては、飼料の品質改善に関する法律等に基づく表示につきましては、粗たん白だとか粗繊維、粗脂肪というような成分と、あるいは場合によりましては、尿素とか炭酸カルシウム、あるいはその他の添加物の際には、これを表示するということに相なっておりますが、先生指摘のとおり、原料表示ではなくて成分表示ということになっております。これにつきましては、実は飼料の表示問題については諸外国におきましてもいろいろなケースをとっておる例がございます。わが国におきましては、実は成分表示をとった経緯をつぶさにたずねてまいりますと、配合飼料が大部分である、しかも、その配合飼料につきましては、同じたん白の分を配合飼料として確保する場合においても、魚粉とか、大豆かすとか、その他というように、最もそのときどきの有利・安価なものを配合原料とするのが農業団体系あるいは商系統のメーカーの実態でございました。  したがいまして、やはり成分表示のほうが実態に合うのではないかというようなことで従来まいったわけでございますが、やはり飼料の原料に対する安全性の問題なり、あるいは個々の農家が配合飼料とみずからの自給飼料との混合とか、そういうことを考えます場合には、原料表示に進むべきであるという意見も有力でございますので、われわれといたしましては、この点については現在積極的な検討を進めておるというのが偽らざる実情でございます。
  44. 工藤良平

    ○工藤良平君 まあ後ほどの主題に時間がかかると思いますから、この点でこの飼料の問題については農林省に善処を要望して前に進みたいと思うんですが、ただ、いま私が申し上げましたように、いまの配合飼料の中には、たとえばヘドロたん白とか、あるいは石油たん白とか、あるいは他の強化剤としての抗生物質、こういうものもかなり含まれているのではないかということが言われておるのでありますけれども、この点については、先ほど申し上げましたように、安全性というものが徹底的にこれは究明されなければならないと思いますし、そういう意味から申し上げましても、やはり私は、成分等表示表だけではなくて、原料配分表をきちんと明示をさせるような義務づけをする、そして安全性を絶対に確保する、そのことが私はこの畜産振興の基本であり、畜産の安定をさせる道ではないか、このように思いますので、この点についてはぜひ早急にそのような対策をとってもらうように、きのうの獣医師会の皆さんもそのことを主張しておるようでありますけれども、私も従来からこのことを心配してまいりましたので、この点はもう一回ひとつ局長のほうから明快に御答弁をいただきたいと思います。
  45. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) ただいま申し上げましたとおりの従来の経緯でございますが、消費者の畜産物に対する安心感はもちろんでございますが、畜産の立場からいたしましても、畜産物の安全性ということについて、その保証というものが得られることが畜産自体の発展にもつながることでございますので、御指摘の点につきましては、積極的な検討を進めていきたいと、このように考えております。
  46. 工藤良平

    ○工藤良平君 そこで、これからの畜産の基本的な方向につきましてはさっき参事官からお聞きをいたしましたが、畜産開発と言いますか、畜産振興のための指標と言いますか、これは抽象的ではなくて具体的な指標として、これから農林省はどう進めていかれようとするのか、その点もお伺いいたしたいと思います。
  47. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、非常に大きな問題でございますので、なお、先生の御質問によって補足させていただくことをお許し願いまして申し上げますが、われわれといたしましては、先生もしばしば他の問題で御指摘がございます昨年秋の農産物需給長期見通しと生産目標という点、これは試案で、最終的には政府部内で農政審議会等の審議を経てきめるべき問題と考えますが、そこにおける畜産の国民所得の増大に伴います消費の拡大に対して、国内生産を主体といたしまして、これに対応していくという態度で、それぞれの畜産別・畜種別等の目標を設定いたしまして努力をしていくというのが政策の基本的な考えでございます。
  48. 工藤良平

    ○工藤良平君 それでは、もう少し具体的に話を進めてみたいと思いますが、まず畜産の団地形成の問題、この点については……。
  49. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  畜産の団地形成につきましては、粗飼料の供給、大家畜に対する粗飼料の給与率を高めるという問題が一方にあるわけでございます。これにつきましては、先生に申し上げるのはよけいと思いますけれども、従来も酪農なり肉牛等につきまして、特に酪農等を中心として各種の農用地造成事業なり草地開発事業ということを行なっておるわけでございまして、先般の土地改良長期計画におきましても、この十年間に四十万ヘクタールの草地の造成をいたすというふうな姿勢で進めておるわけでございますが、その場合におきましても、広域の草地開発なり、あるいは四十八年度からわれわれの畜産局といたしましては、畜産地の形成の拠点となるところにつきまして畜産地形成事業というものを取り上げるというような方向で、自給飼料の供給の確保のための施策を公共事業の側面で強化してまいりたいというように考えております。また、一般の公共事業以外のところにおきましては、先生御案内のとおり、肉牛につきましては農業団地対策の一環といたしまして、肉用牛生産団地、あるいは乳牛につきましては特に市乳化地帯における逆条件を克服して、その供給を確保するという意味の市乳地域における酪農の団地、あるいは養豚におきましても、繁殖系部門のボトルネックを取り除くというような考えから、四十八年度から養豚団地の仕事も手がけておるわけでございまして、そういう意味で、この事業といたしましては、公共事業、非公共事業合わせまして、団地的な地点を強化してこれに対応していきたいというように考えておるわけでございます。   〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕
  50. 工藤良平

    ○工藤良平君 私もこれからの畜産開発の主要な指標といたしましては、大きく団地の形成をはかるということが非常に大切だ、もちろんそれは共販体制あるいは価格交渉力の増大とか、あるいは資材の大量共同購入によって低価格の有利性というものを有効に発揮できるとか、あるいはまたいま問題になっておりますふん尿処理の共同解決の問題とか、そういった幾つかの問題が非常にいま要請をされておりますから、そういうような方向を私も全面的に支持したいと思うんです。  ただ、そこで問題になりますのは、今日までいろいろと団地形成もやっておりまして、私も各地をよく見て歩くわけでありますけれども、その場合に、やはり基本的に考えなければいけませんことは——これからのやはり生産団地形成の中で個別経営というものを有効に生かしながら、その中で集団的団地形成のさらに有利性というものをやはり加味していくということが正しいのか、そこら辺がやっぱり具体的ないよいよ実施の段階になりますと、私は基本的な問題だとよく考えるわけですけれども、もちろんそれは農家の自主的なやはりやろうという意欲というものがなければ、何をやってももちろんだめでありますけれども、しかし、より効率のいい生産というものを考えていく、もちろん団地形成そのものについては民主的な運営等の問題もあろうと思いますけれども、一体基本的にどう考えたらいいのか、いろいろなケースケースというのはあろうと思いますけれども。具体的に一気に共同化ということもなかなかむずかしいようですし、やっぱり中心になるのは個別経営というものを中心にしながら、その回りにどのようにして全体をつつんでいくのかという体制が必要なような気がいたしますけれども、その点についてはどうでしょう。
  51. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御指摘の点はまさに問題でございまして、われわれが今日進めております畜産関係の各畜種別の団地形成事業におきましても、この辺の調和をどうするかという点について、具体的に問題を組み立てる場合に種々検討しておるところでございますが、たとえば一例を肉牛団地に引きますと、これは御案内のとおり、肉専用牛については資源の枯渇というような問題で非常に問題になっておりますが、特に繁殖段階の経営の収益性なり零細性が非常に問題である。一方、肥育段階におきましては、最近におきます牛肉価格等の比較的恵まれた水準から非常に旺盛だと、そういう場合に、肉用牛団地におきましては、繁殖多頭経営は個別経営で進めていく、そこで生産されましたおす子牛等については、共同事業の肥育を行ないまして、肥育の利益を個々の農家に還元するというような考え方で、個別経営と共同事業との調和をはかっていくというような考えに立っておるわけでございまして、私どもとしてはそれぞれの畜種の実情に応じまして、先生指摘の問題点の調整をはかりながら、団地事業を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  52. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは後ほども議論をしたいと思いますけれども、たとえば入会権等の問題からいたしまして、非常に複雑な問題が出てまいりますから、そういう意味から私はやっぱり大規模畜産中心主義というよりも、むしろ、全体に——これは全部ということではありませんけれども、かなりの部分をやはり抱え込むという方式をとっていかなければ、入会等の問題の調整が非常にむずかしいということから、私はそういうことを申し上げておるわけでありますけれども、そういうことで、できるだけやっぱり大規模畜産中心——たとえば鶏であるとか、あるいは豚の飼育については、かなりの飼料業者あたりが入ってきて、大規模畜産経営というものも、かなり進んでおるようでありますけれども、そうではなくて、やっぱりさっきから申し上げますように、全体的にやっぱり農家がプラスアルファとして畜産に食いつける、こういうものがやはりこの基本に据えられていく。こういうことが必要ではないだろうかと思うんですが、そういう考え方でよろしいかどうかですね。
  53. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) この点につきましては、この畜産の基地と申しますか、大規模な地域における畜産的な開発の場合について種々検討をさるべき問題かと思うわけでございます。先生指摘のように、非常に入り会い等の、開発予定地域が入り会い隣地であって、関係者が多い。したがって、地元の関係農民を取り込んで開発事業をするというような場合に、種々問題が出るわけでございます。したがいまして、その場合におきましては、その地域を肉牛主体なりあるいは酪農主体なりというように開発する場合におきましても、畜種を複合して、養豚なり養鶏というような畜種を複合いたしまして、関係農民を取り込んでいくというようなことも一つの考えかと思うわけでございまして、これについては、一義的なことは申し上げることはちょっとできかねるわけでございますが、今日問題になっております各広域の開発地域におきまして、実情に即して、先生の御指摘の点についての具体的な結論を出していくべきであるというふうに考えております。
  54. 工藤良平

    ○工藤良平君 先ほどからいろいろ議論をしてまいりましたように、日本の畜産というものが、加工農業的な要素を非常に持っている。そのやっぱり弊害というものが、今日のような国際的な食糧危機というものが出てまいりますと、その影響をもろに受けるというようなことでありますので、これに対しましては、たとえば飼料の生産等につきましても、全力をあげて、先ほどからお話がありましたけれども、いろいろなこの助成の対策が必要だと思いますが、それと同時に、やはりさっきからもお話がありましたように、良質のいわゆる粗飼料をどうして確保するかということが非常に重要な課題になってくるだろうと思います。  そこで、現在農林省が考えている大規模畜産開発の構想というものと、それから畜産局が進めている、いま進めている団地形成の関連ですね。この点について、これからやはりまだまだ日本は土地が狭いとはいいましても、かなりの部分の草資源というものがあるわけでありますから、これをどのように生かしてやろうかということが私は、今度の大規模畜産開発の構想だと思うんですけれども、その関連で、これは構造改善局が主体ですか、小沼さんのほうからひとつその関係について若干御説明いただきたいと思うんです。
  55. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) 広域農業開発につきましては、御承知のとおり、四十四年に閣議決定されました新全総の計画によりまして、大規模の開発プロジェクトの構想ができましたんですが、それに基づきまして、全国で四地域を選定して、現在調査をし、一部はすでに着工しているという状況でございます。地域といたしましては、御承知と思いますが、根室中部、それから北上北岩手地区、それから阿武隈八溝地区、それから阿蘇久住飯田地区ということで、全国四地域でございます。北海道の根室地域につきましては、すでに四十四年から調査を開始いたしまして、四十七年度に全体の計画の構想がまとまりましたので、四十八年度からその一部につき事業を開始をしております。着工の段階に入っているわけでございます。それから内地の三地域につきましては、それぞれ各地域とも四十四年から調査を開始したわけでございますが、四十八年度には、具体的に用地をどう調達するかとか、あるいは土地利用計画、草地造成計画、営農計画についてさらに詰めを行なっている段階でございまして、四十九年度にはできるだけ着工に入りたいという考え方で、現在調査検討を進めているという段階でございます。残されたこの内地の三地域につきましても、地域によっては、この先発的な工区をすでに発足させているところもございますし、それぞれの地域によってかなり営農の形態といいますか、酪農の場合、肉牛の場合、それぞれ違います。それも単にそれを大きくまとめるということだけではなしに、そういうものを全体として、どういうふうに地域として組織化していくかということが非常に大事だというふうに思われますので、そういう体系だった地域農業、畜産の展開のしかたを計画として描き、それを着実に事業として進めていくという考え方で、それぞれの地域に合ったやり方を現在くふうをしているわけでございます。残された、北海道はもう手がついておりますが、それ以外につきましても、できるだけ四十九年度から、この事業に入りたいということで取り組んでいる次第でございます。
  56. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは四十四年から決定をみて、それぞれ着手をされておるようでありますが、やはり先ほどから私指摘をしてまいりましたように、日本のたん白資源の問題は非常に重要な問題でありますから、このような大規模な事業をやるといたしますと、やはりその時期なりタイミングが非常に大切だと思うんですが、そういう意味からいきまして、本年度のようなこの時期に、大々的に国が積極的に手をつけていくということが大切ではないかと思うんです。まあそういう意味で、ぜひひとつ本年度から内地の三地域につきましても、積極的にこれをやる必要があろうと思います。そこで、調査の段階での問題点は一体何なのか、これはまあ畜産局なり構造改善局でそれぞれの立場からの分析というものが調査を通じまして、なされておると私は思うんですが、現行のいろいろな制度の中で、これは十分にやれるのか。それが問題であるとするならば、それを解決をしていく方法というものをやはり早急に出さなければならない。私どもも、そのためには全力をあげたい、こう思っているんですが、その点についてはどうでしょう。
  57. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) 全体に共通する問題を申し上げたいと思うんですが、地域によって態様はかなり違うんでございますが、全体に共通しております問題は、やはり土地確保の問題でございます。北海道は、すでに四十五年に六千ヘクタールを農地保有合理化法人——北海道の道の公社でございますが、それが手当てをいたしまして、それが中心になっていま進んでいる。それで、今年国営事業でやれる部分について発足をしたということでございます。岩手県につきましても、やはり土地をどういうふうに確保するか。これは借りてもいいし、買ってもいいわけでございますが、いずれにしても、その土地確保が先決でございまして、その問題について現在、県がその土地確保について努力をしている。すでに三百ヘクタールほどは県の合理化法人で手当てをしたというふうに聞いておりますけれども、今後さらにそういうことで土地確保をしていくということがまず必要であるというふうに考えております。  それから、その阿武隈・八溝につきましても同じような問題がございますが、阿蘇・久住飯田地域では特に入り会い地が非常に多いために、その土地を、どういうふうに提供してもらうかと、使うようにできるかということで、単純に合理化法人が買うというわけにもまいらないものもあります。その辺は、買えるものは買っていいと思いますし、また、買えないところは共同で利用できるように提供してもらうというふうなやり方もあるかもしれません。その辺は、いわゆる酪農中心ではございませんで、肉牛の、先ほど答弁ございました、繁殖の段階から肥育までというところでございますので、それを一貫して全体として展開するためには、どういう土地の使い方というか、が必要かということになるわけでございまして、そういう問題を今年詰めていただきまして、全部について、同時にということにまいりませんから、それはできる地域から順次手をつけていくというふうな考え方でいったほうがいいんじゃないかというふうに考えております。  もう一点、その土地問題以外では、北海道はわりに酪農の形態で割り切っておりますし、五十ヘクタール・五十頭というのが一つの基準になっております。ただ、ほかの地域では、いろいろ肉牛が入ってまいりますので、必ずしもその営農の形態がはっきりしておりません。それを大きく集積した全体の、たとえば管理センターを中心にした地域の全体の体系がどうなるかという点についても、さらに肉牛については相当詰めが必要であるというふうに、私のほうの専門分野でございませんけれども、この大規模の開発にタッチしておりますと、そういう点が問題として指摘されているわけでございます。そういう点を早急に詰めまして、できるだけ早く着工いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  58. 工藤良平

    ○工藤良平君 私はこの前、ミカンのパイロットの問題でいろいろと質問をしたときにも申し上げたのですが、畜産の大規模開発をやる場合に、一体どういう全体的なかかえ込み方をするのかということですね。たとえば国営の場合には五百町歩とかあるいは三百町歩とか、こう一つのワクをおろしてまいります。そうすると、それは団地的に考えればいいのか、局地的に三百町歩なければいけないというように考えていくのか。全体を大きく網をかぶせて、部分的な小さなものもあるけれども、それが一つの、たとえば林がある、あるいは野草があり、改良牧草があると、こういうようなものが組み合わさって一つの大きな畜産開発の規模として、国が全体をかかえていくという構想になるのか。そこら辺が、たとえば国営あるいは県営、団体営と、こういうようなかっこうで、それぞれ補助の率なり、やり方が違ってまいりますと、これまた問題が起こってまいりますが、そういう面は、やはり部分的には、たとえば三百町歩と規定をしても、それが二百町歩であったり、あるいは百五十町歩のものが三つも集まっていく、そういう形で全体を包んで形成をしていくのか。あまりこう機械的に考えますと、国東半島じゃありませんけれども、五百町歩、五百町歩というと、かなり無理なところまで、植えられないようなところまで含めてしまってやるということでは私は問題があると思います。それで、そういう弊害をなくしながら、全体をかかえ込めるような体制で、いま言ったむずかしい、たとえば土地の権利調整の問題等も、一つの解決のめどというものも出てくるのではないかという気がするんですけれども、その点についてはどうでしょう。
  59. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) 現地で拝見しますと、確かにそういう問題がございます。単純に五百ヘクタール国営事業というふうな、あるいは団体営の規模とか、あるいは県営の規模というふうに、段階を分けて整理ができるものではない部分がかなりあると思います。いまの制度にきっちりあてはめて整理をして進めていくというやり方よりも、もうひとついろいろくふうがいるんじゃないかと、あるいはもう全体を含めて、そういう小規模のところも入れて、全体として組織だった開発のしかたにしていくという考え方もあろうかと思うのです。その点については、ただいま御指摘のような点を含めまして検討してまいりたい、四十九年に間に合うように進めてまいりたいと思っております。
  60. 工藤良平

    ○工藤良平君 その土地利用の問題については、ぜひ、私どもも、これは地元といたしましても、全力をあげて、そういう権利調整の問題については取り組んでいかなければならぬと思いますし、またやはり農家の皆さんに意欲を起こさせるということをやらなければいけないんじゃないかというふうに考えておるんですが、ただ問題になりますのは、これは「官庁速報」という私資料をいただいたんですけれども、これにかなり問題点が出されておりますが、現行の制度の中でまいりますと、いま構造改善局の部面と、それから畜産局の部面と、そういうものが並行的に出ていく。で、少なくとも、やはりこの四地域に指定をされました大畜産開発事業は二万ヘクタールから四万ヘクタールという、たいへん広大な規模でありますし、そういった意味から、やはり特別に何らかの制度、さらに、これに取り組む農林省内部における機構的な問題について、別に改善をする必要はないのかですね、その点についてもう少しお伺いをしたいと思います。
  61. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) いま採択の地区の問題から御指摘がございましたが、もう一つの問題、やはりこの地区の広がりという面だけではなしに、やはりこの事業性格といいますか、そういう点では、たとえば国営の農用地開発事業ですと、基盤整備そのものでございますけれども、施設関係が入らないということにもなりますし、そういう点は、やはり全体としてその管理センターまで含めて考えまするならば、こういうものを一貫して、一元的にやれるということが事業の進め方としてはいいのではないかというふうな御意見もございます。地域全体見渡しまして、これ全国四地域でかなりその様相が違うわけでございますけれども事業主体をどういうふうにしていくか、事業の実施ですね。その点については、ひとつ今年度中に方向をはっきり出したいと思っております。はたして現行の制度の形でやれるのか、あるいはもっといい形として、そういうたとえば新しい開発の機構をつくるというふうなこともありますので、そういうことを全部含めまして、ひとつ検討を進めてまいりたいと思っております。
  62. 工藤良平

    ○工藤良平君 さらにもう一つの問題は、非常に広域的な地域にわたりますね。たとえば久住飯田の状態を見ますと、これは阿蘇・久住飯田ということで、二県にまたがるわけですけれども、その場合に、もちろん熊本県と大分県の場合比較をいたしましても、それぞれ農業の形態というものが変わりますから、画一的にはいかないということは私は十分にわかります。もちろんしかもこの開発というものが畜産を中心とした開発でありますから、それがあまり大幅に変更になるということも問題でありましょう。しかし、全体的に広域的にわたるわけでありますから、その中で、この畜産と米、あるいは畜産と野菜、畜産と果樹とか、畜産と養蚕とか、あるいは畜産と林業とどういう組み合わせをやるかという、その形態というものは、いろいろケース・バイ・ケースで変わってくるんではないかと思うんです。で、その場合に、画一的にやはり畜産開発なんだから、それだけに限定するということではなくて、やはり広い意味のかかえ込みというものは、あまりこれは幅を広げてしまいますと特徴がなくなりますから、これは問題があろうと思います。けれども、やはりそういうものは農業開発としていわゆる自立農家をつくり、農業というものを産業として、何とかして残そうという基本的な立場に立つならば、やはり若干の幅というものは広げて検討されるべきではないだろうかという気がするのでありますが、その点については、いま局長おっしゃったように、特殊な条件として、機構の問題についてもあわせて考えていきたい。で、そういうやはりスタッフをそろえてやるということですね。そういうことは、この前、私、ミカンのパイロットでも申し上げたんですけれども、一生懸命土地のほうは進むけれども、ミカンの専用家がいないんじゃないかということも言ってきたんですが、やっぱりそれには畜産の専門家も入る、基盤の整備については、農業土木の専門家が入るという総合的な中で、この全体が進んでいくような気がいたしますので、その点についてひとつお考えをいただきたいと思います。
  63. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) 北海道の酪農のような場合ですと、わりときれいにできるのでございますけれども、肉牛経営の場合、現地を拝見いたしますと、あの繁殖の段階はいろいろな形があるようでございまして、養蚕等と結びついてやっているところもありますし、稲作と結びついてやっているところもありますし、また、シイタケ栽培と結びついてやっているところもあるようでございます。そういう点で、いろいろな他の作物との結びつきを考えながら、繁殖段階についてくふうする必要がございましょうし、そういう意味では畜産の開発を軸にしながら、その地域農業の形を総合的にくふうする必要があるんじゃないかというふうに私は思うのでございます。
  64. 工藤良平

    ○工藤良平君 いま、いろいろと御意見をいただいたわけですけれども、そのような大きな構想を描きながら、新しい農業一つのモデルというものが私は、ここででき上がっていくような気がいたします。そういう展望をもって取り組んでいきたいと思うのですが、やはり問題は、とは言ってみましても、そこに取り組む農家の皆さんの、一体経営が成り立つかどうかということが、非常に何といいましても、意欲をかき立てる場合も必要になってくるわけでありますが、その場合に、これは畜産局長にお伺いいたしますけれども、これは非常にむずかしいと思います。専業の場合と、いわゆる九州のような、いろいろな農業が組み合わされた形の場合と違ってくると思いますけれども、やはり一つの目標というものは立てなければいけないと思うのです。実際に専業としてやる場合と、あるいはプラスアルファーとして組み合わせていく場合に、一つの目標というものは一体どういうものだろうか。こういうような規模であれば、大体資金的な面につきましても、かなりの投資をいたしたとしても、経営が成り立つ、そのための、きちんとした保障というものもできる。こういうことになってくると、やはり意欲的に取り組んでいこうという農家の皆さんもあるわけでありますから、私はそれは必要だと思うのですが、その点について畜産局の考え方をお伺いいたしたいと思うのです。
  65. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 具体的な地域の例が出ております阿蘇・久住飯田等につきましては、最終的なその上に何といいますか、乗っかる経営のそれぞれの類型別の所得目標を設定いたしまして、それに対する施策ということに相なるかと思うわけでございます。一般的に申し上げますと、酪農については、ほぼ専業的な、飼料の確保と結びついた専業的な経営ができるかと思うわけでございますが、肉牛等につきましては、これは先ほどもお話が出ました生産目標の設定等にもございますが、複合経営的な形態をとらざるを得ないだろうという場合、そこでただいまもお話が出ましたような水田なりあるいは養蚕なり、あるいは何と申しますか、シイタケ栽培、阿蘇・久住飯田でございますと、そういうようなもの、複合経営としてやはり一定の想定の、所得目標を達成するには想定をして、これの実現の問題というふうに考えていきたい。話が抽象的で恐縮でございますが、そういう視点から、それぞれ最終、やはり上に乗っかる経営の目標、所得の達成ということによって、開発事業意味を持つわけでございますので、検討すべき問題であるというように考えております。
  66. 工藤良平

    ○工藤良平君 そこで問題になりますのが、やはり資金の手当てだと思います。もちろん全額国に負担をしろと、こう言ってみても、これはなかなかむずかしい問題であります。しかし特に畜産というものが、非常に広範な土地を必要とする。現在のように地価が非常に上昇してまいりますと、どうしても、そういった意味からの畜産の影響というものも大きいと思います。昨日の夕刊でしたか、農林省が出しておりましたけれども、現在り輸入飼料というものを全部計算をしてみると、やはり日本における畜産の飼料というものは、七百万ヘクタールぐらいが、この面積に換算をすると該当するのだということも言っておりましたから、だから、たいへんな畜産というものは、土地を要するということは、私ども、これは農業に取り組む者の常識だと思うんですが、そういった意味から、やはりかなりの資金を必要とする。牧草ができたとしても、それに対する施設なり、あるいは元畜の導入に対する資金も必要になってまいりますから、その手だてを一体どうするのかということですね。だから現行ある制度の中でやはり最高のものを適用してあげる。あるいはもっと言うならば、このような重大なたんぱく資源が危機に頻しておるときでありますから、ぜひひとつ特別的な立法をはかることによって対策を講ずるということも必要ではないか、このように思うんです。  この前、私はマル寒と、それから南九州の特別融資の制度で議論いたしました。あのときに実は、久住飯田のような、あるいは阿武隈、北上といったところの地域というのは、必ずしも農用地としては、りっぱな条件のものではないわけであります。したがって、今日まで放置されていたわけであります。しかし、もっともっと私たちが手を入れることによって、その資源が十分開発利用できるということから、こういうような計画が進んでいるわけでありますから、やはりそういった措置というものが必要ではないのだろうか。このように思いますので、そういう資金的な手だてについて、できるだけやっぱり有利な条件を与えてあげるということが必要じゃないかと思いますので、その点に対する御見解を承りたいと思うんです。
  67. 小沼勇

    政府委員小沼勇君) 広域農業開発に関連する部分で申し上げますが、地元からの陳情でも、肉用牛に対する融資の条件緩和等につきまして陳情が出ておりますが、広域農業開発自体についても、負担の問題等、できるだけ国の負担を多くしてほしいというふうな陳情が出てきております。こういう大きな事業を発足させるわけでございますから、いろいろと地元の方々の御意見も聞きまして、市町村の方々、県とも相談をして、制度的に仕組むべきものは仕組んでいくということについても現在検討を進めております。国営専業、県営事業と分割すれば、それぞれの補助率はあるわけでございますけれども、総合して展開しようという場合には、また変わってまいりますし、全体としてどういうふうな負担方式でいくかということを中心に、現在も検討を進めているわけでございます。来年度までに、それについてはやはり結論を得て発足しなければならないわけでございます。北海道につきましては、現在さしあたり国営事業でスタートしておりますので、その負担割合を適用しておりますが、今後全体として、その展開のしかたがまとまりますれば、それによるということになるわけでございます。あわせまして融資等につきましても、これはこの開発事業はかなりの時間がかかると思いますが、できたところから入っていくことになると思いますし、その場合に、当然導入資金等につきましても、近代化資金等につきましても、現地の実情に合わせた、くふうが必要であろうかというふうに考えております。
  68. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは、大臣がいますと、一番いいと思っていたんですけれども、残念ながら、大臣がこれませんので、この点は後ほど総括的に政務次官から御意見をいただきたいと思っております。  そこでこれは畜産局長にお伺いをいたしますが、いままでの家畜の飼養の方法、形式といいますか、私どもよくその点で矛盾につき当たることがあるわけですが、たとえば私ども地域では昔からよくいわれております、いわゆる畜産共進会に出すいい牛をつくるという風習がありますが、そうではなくて、やはりいまの肉の需要というものは、いい牛を少数つくるのではなくて、やはり需要からいたしますと、かなり大きな規模での畜産開発というものが要請をされるわけですし、それに対応した技術、飼育のしかたというものが普及されていかなければならないのではないかと思います。昨年、私は、農水の委員会調査で、岩手、青森のほうを回りましたけれども、そういった意味では、あの東北の寒冷地帯でかなり思い切った畜産の飼育の方法というものが開発をされ、かなり成功をおさめているのではないかという私は現実を見てまいりましたけれども、団地形成をするにしても、何にするにいたしましても、やはり成功をしている地域というものは、そこにやはり昔からの伝統的な牛に対する飼い方なり、あるいは科学的にいま考えてみると、その飼養の方法というものは、その地域に即したものがある。それが基本になりながら、団地の形成を成功さしていっているというような現実を私はよく見るのでありますけれども、そういうことからいたしまして、やはりこれから畜産開発のこういった大きな事業を進めると同時に、牛の飼い方そのものに対する頭の切りかえ、そういうものが私は非常に大切になってくるのではないかと思います。  この前も私は農業の基本的な問題で、農林省の受け持つ分野というものは何かという議論をいたしましたけれども、やはり試験研究と普及という、そういう面については、かなりやっぱり大きなウエートがかけられていかなければならないと思いますし、県段階でもかなりそういう面については、積極的な部面で進められておりますけれども、やっぱり農林省としても、より私は、強化をしていく部門ではないだろうか、このように思いますので、その点についての局長の御見解をいただきたいと思います。
  69. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 基本的方向はただいま先生がおっしゃったとおりでございまして、大家畜の飼養等、特に肉牛等の飼養の一例をとりましても、零細一、二頭型の舎飼いの飼養方法から、多頭飼育という方向に向かう場合におきます飼養管理方法については大きな変化と申しますか、やはり一つの新しい方向があるべきものと思うわけであります。これについてはやや理屈になりますけれども、家畜改良自体の問題も一、二頭飼いの場合の個体を優先したあれと、群としての多頭飼育の場合における平均的な資質を確保できる家畜の個体とでは、非常に違ってくるわけでございまして、基本的には家畜改良の目標自体から、そういうような畜産の新しい進展に対応したような方向に向かうべきものというふうに思うわけでございまして、直接現実の飼育管理方法につきましても、たとえば肉用でございますと夏山冬里というような、野草地を利用した粗放的な経営と結びつけた省力的な飼育管理というようなものを導入していくというようなことでございまして、それぞれの段階に応じまして、畜産の新しい展開に応じた指導をなすべきものと考えております。
  70. 工藤良平

    ○工藤良平君 あとたくさんこうありますけれども、もう時間もかなり経過をいたしておりますから、またこまめな点については、それぞれ私、別の機会に議論をしてまいりたいと思いますが、ぜひひとつ政務次官にお願いをしておきますけれども、先ほどから私が再三申し上げておりますように、いまやはり積極的に取り組む時期だ、この時期を逃がして私は畜産の開発もあり得ない。日本の食糧確保するためにも、ぜひひとつ積極的な農業の部面として、前面にこれを押し出していただきたいという気がいたします。そのためにも、特別の法制化なり、あるいはいろいろな助成的な措置につきましても、やはりいま新たな角度からこの問題を議論していく必要があるのではないか。このように思いますし、そのような体制確立のための農林省自体の機構等につきましても整備をしていただいて全力をあげていただく。こういうことが必要じゃないかと思いますから、この点については別に私は農林大臣にもまた申し上げますけれども政務次官のほうから、きょうの議論の経過を踏まえながら、積極的に来年度予算の要求段階で全力をあげてひとつ当たっていただきたい、こういうことを申し上げ、政務次官の決意も披瀝をしていただきまして、私質問を終わりたいと思います。
  71. 鈴木省吾

    政府委員(鈴木省吾君) 先ほど来貴重な御意見、問題点の御指摘等ございましてまことに敬服をいたしたのでございますが、御承知のように、今日、日本の畜産というのは、中小家畜あるいは大家畜に至るまで主として輸入飼料に頼っておったような次第でございます。それがまた今日のような状態になっております。しかもまた、畜産物の需要が急速に伸びておるのでありますから、これを国内でできるだけ自給していかなきゃならぬというふうに考えております。とりわけ、この大家畜につきましては、草をもって育つのであります。本来草を食べて育つ動物なんです。幸いまだ日本には草資源が利用されてないのでありますから、これを、平地においてももちろんのこと、先ほどから御指摘ございました広域農業開発地域、こういう点においても十分それを利用して、大家畜酪農なりあるいは肉牛の振興はほんとうに今日急務であるというふうに考えております。さようなことで、これまた、いまのような組織なりあるいはいまのような制度あるいはいまのような補助なり援助の体制でいいのかというような御指摘もごもっともでございます。そういう点、先ほど来両局長からも答弁をいたしておりますけれども、省内において十分来年度の予算等もこれから検討いたすわけでございますから、その節御意見を十分取り入れて検討いたしてまいりたい、また大臣にも貴重な御意見を私も報告をしておきたいと、かように考える次第でございます。
  72. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 暫時休憩いたします。午後は一時三十分から再開いたします。    午後零時二十三分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会
  73. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  美保湾における漁場埋め立て問題に関する件を議題といたします。  本件に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
  74. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、島根半島と鳥取県の弓ケ浜半島に抱かれた、日本海における唯一の良港である境港に接続した美保湾を埋め立てて、約三千ヘクタールの人工島をつくるという構想があって、去る五月二十九日、米子市におきまして、運輸省第三港湾建設局長、竹内良夫君から山陰開発調査を実施したい旨の説明があり、その中に、いま述べたような構想が明らかになったわけであります。  これについてまず伺いたいのでありますが、ここに地図もありますが、この問題は、突如として出てきた問題でありまして、地元民は、びっくりぎょうてんをいたしまして、地元の漁協をはじめ境港の市議会は直ちに会議を開き、反対の決議を出し、漁協は全力をあげて阻止すると言っておりますが、この問題について、特にPCBや水銀汚染で魚が食えないときに、この鳥取県の沿岸のみは、この間も衛生試験所が発表したデータによりますと、何ら心配はないと、こういうところであり、最近はクルマエビを二百万尾、稚魚を放流いたしまして、さらにハマチ、魚介類等を育成いたしまして、正常な魚の宝庫にしようというので、全力をあげておる貴重な地帯でございます。このような地帯に、建設省の出先である第三港湾建設局長が、知事並びに境港市、米子市の両市長を招いて現地で説明をしたのであります。この点について、運輸省、経企庁、農林省は事前に連絡がありましたか。また、その事実を何らかの方法によって御承知おきであったかどうかということをお伺いをいたします。
  75. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいまのお話しの点につきましては、その後、新聞で知った次第でございます。
  76. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 経済企画庁の総合開発局といたしましては、事前に美保湾に関して開発計画を立て、調査をしてみたいという御希望を伺っております。ただし、そのことについては、地元の方々とのお話し合いもあるので、話し合いがまとまり次第、詳細についての御説明を伺うということで、目下のところは、まだ内容については伺っておりません。
  77. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 美保湾の開発計画のことにつきましては、あの地域が新産都市の一角をなしておるという事情がございまして、あの周辺の開発のためのいわゆる港湾、及びその周辺の使い方ということにつきましては、これまでもいろいろと話題になっておりました。そういうようなことを背景にいたしまして、あの周辺の自然の景観、それから海域の環境、それから地域住民の方方の生活水準の向上、こういうようなもろもろの観点からどのような開発を進めるべきであるか、そういうようなことについて、いわゆる工業開発の限界というものの基礎調査をやる必要があるんではないかというようなことで、そういう基礎的な調査をやりたいということの話は、現地の第三港湾建設局から聞いております。その調査をするための調査費の要求について、やはり港湾計画というものは港湾管理者が計画立案の主体になるものでございますので、関係の方々とどうするかということについて二十九日の日に米子でもって打ち合わせ会議を開いたというようなぐあいに報告を受けておる次第でございます。
  78. 足鹿覺

    足鹿覺君 その報告はいつお受けになりましたか。
  79. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 五月三十日の朝、実は第三港湾建設局長から面接私あてに電話を受けました。これは、どういうことかといいますと、五月三十日付の新聞に、いわゆる人工島というような表現で、見出しで、新聞記事が出ておりました。それで第三港湾建設局長としては、そういう人工島ということを計画したつもりは毛頭ないんである。それでどうも新聞記事——内容をよく読んでみると、局長が話したことと、そう変わっていないんですが、見出しのほうが非常にショックを与えるような、人工島をつくる提案をしたというようなニュアンスの表題になっておりましたので、これは非常に局長が話したことの真意と食い違っている。記事の内容のほうは、大体話したことと相違はないというようなことでの連絡を受けたわけでございます。
  80. 足鹿覺

    足鹿覺君 経企庁の方がお急ぎのようでありますから、ちょっとここで、——あなたに続けてやりたいところでありますが、その便宜をはかりまして、下河辺さんに伺います。  いまの運輸省の参事官の答弁と衆議院における野坂浩賢議員に対する答弁とは全く違うんです。高橋参事官は、何も存ぜぬ、そう言っております。速記録を調べてください。——いいですか。そういう、同じ参事官が一方ではそういう連絡を受けたと言い、一方では何も存ぜぬと言い、そういうことで国会の答弁が済むかどうか、あとでみっちりお尋ねをいたします。  そこでこの六月十四日付、石破知事が、口頭では話にならないからというので、第三港湾建設局長あてに、山陰開発調査についての照会を出しております。これに対して、竹内第三港湾建設局長から六月二十三日付で知事あてに「山陰開発調査について」という回答が来ておるのであります。詳細は膨大なものでありますから省略いたしますが、その第一の末尾に、「三建としては本年度調査調整費を運輸本省に申し入れたいと思っています。」かように書いてありますが、運輸省から竹内君の申し入れに基づいて調整費の要請がありましたか。また今後あればどのように対処されますか。
  81. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 最初に、私どものほうの都合で御審議、御便宜いただきまして恐縮でございます。  で、お答えいたしますが、運輸省の第三港湾建設局長からは私どものほうへ電話で、美保湾の基礎調査をしたいので、地元と話がまとまったら調整費の対象として検討してもらえるかどうかというお尋ねがありまして、それに対しましては、もしまとまれば当然私どもといたしましては調整費の対象として適当であるかどうかは検討いたしますという御返事をいたしました。その後、運輸本省のほうからこの美保湾の開発について基礎的な調査をしたいというお話を伺っております。現在のところは、たくさん調査の要望がございますので、順次固まるものから固めておりまして、大半のものが四十八年度予算調査調整費としては固まりつつございますが、美保湾の調査調整費については目下のところは審査を始めておりません。地元の方々のお話も伺うわけでありますし、運輸本省におかれてもまだ十分検討を詰めておられる段階と聞いておりますので、経済企画庁としては美保湾の基礎調査についての結論を現在は持っておりません。今後のことにつきましては、今後の推移に待つところでありまして、今日結論を申し上げるわけにはまいりませんが、私どもといたしましては、やはり開発に関します基礎的な調査ではありましても、地元の方々の御協力がなければ、調査そのものも十分な成果をあげ得ないという視点を強く考えておりますので、地元の方々、特に知事さんその他の方々とのお話し合いの推移を見て慎重を期してまいりたいというふうな考え方でございます。
  82. 足鹿覺

    足鹿覺君 もう一問経企庁の下河辺さんに伺っておきますが、——この第三建の竹内君は一存でやったと、現地ではそう言っておるのです。衆議院においては高橋参事官は全然そういうことは知らない、こう言っておる。いまの技術参事官は三十日に連絡を受けたと言っておる。このような、同じ省で、同じ港湾局で、このようなでたらめな食い違いの答弁というものはあり得ざることである。衆議院のどの委員会であったかしりませんが、あとで記録を調べてごらんになればわかりますが、国会を侮辱しておる。いま経企庁の開発局長は、地元の協力なくしては何事も進まぬと、こういうことでございますが、地元におきましては境港市が反対、漁協はオール反対。また去る六日開かれた県会の全員協議会におきましては、自民、社会、公明、無所属全員で調査を拒否するという態度を正式にきめております。したがって、知事はこの旨を何らかの形で報告するでありましょう。このような現状の上に立って、今後、調整費等を、いろいろな工作がありましても、断固として拒否される御用音がありますかどうか。地元は、地域住民は不安におののいておる。すでに徳山市における出光の石油コンビナートの大火災、一週間になんなんとする大火災。あれらを見まして、恐怖におののいております。この人工鳥には、必ずやチュメニの油田から、船かあるいは油送管かによって中継基地になるであろう。伯備線に沿って水島にそれが輸送されるだろう、というふうに想像されておりまして、地域住民は不安におののいております。このような状態を、一地先の第三建の局長ぐらいな者が発表するような軽軽しい問題ではありません。その点を、しかと念頭に置かれまして、今後慎重に——かかる何ら練れてないとはいうものの、まず調査そのものを拒否するというわけでありますから、このことは今後運輸省から、どのような態度を持ってあなた方に折衝されるか存じませんが、経企庁としての、今後の取り扱い方について御所見があれば承っておきたい。
  83. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 御指摘をいただいた点でございますけれども、まあ国家公務員として、将来の日本の国土の総合開発に関しまして、常日ごろ基礎的な勉強をしておかなければならないという責務は、今日非常に大きいと存じます。特に私どもの、いままでの開発行政の反省からも、地域の方々との話し合いあるいは環境条件に対する十分な配慮ということについて、一段の努力が必要であると存じます。そういうことからいえば、行政計画を決定するということの以前に、かなり基礎的な勉強を公務員としてしておくということは、責務の一つであろうかと思います。しかし、そのことで、住民の方々へ私どもは十分納得のいただけるような努力をするということが仕事でありますけれども、それにもかかわらず、地域の方々の御疑念が多く、心配が多くて調査を拒否なさるという事態があるとすれば、それほど強行してまで調査をすることは不適当であるというふうに私どもは考えます。そのために、運輸省のほうからもこれからいろいろお話があろうかと思いますが、そのお話は十分私どもその意のあるところを伺いたいと存じます。しかし、そのときに私ども調査の査定の方針としては、きょう先生からの御指摘をいただいたわけでございますから、島根県知事、鳥取県知事等と相談を整えるということを条件に考えてまいるということにいたしたいと思います。両県知事が十分地元の方々の御意向をくんで適正な判断をなさるように期待したいというふうに存じます。
  84. 足鹿覺

    足鹿覺君 もう一問だけ。下河辺さんにはお引き取り願ってけっこうでありますが、この竹内君が知事あてに出しました回答書によりますと(ロ)ですね。「地域開発については、その発想法、手段等あらゆる面で転換が必要と思考いたしますが、基本的には地域住民の参加機会の拡大を図るとともに、地域の主体性を充分尊重したものでなければならないと考え、今回の調査についても従来にない新しい手法を導入したものと思います。したがって本調査に当っても、国家レベルの具体的な構想があるわけでなく、今後地元の自治体、住民と協調して調査を進めて行きたいと思いますので念のため申し添えます。」このとおりであるならば、私は、一応文章としては、こういう表現になると思います。しかしながら、これは、島根、鳥取にまたがる問題であり、マスタープランを立てる段階においては、「調査を実施するためには、新しい調査方式を算入する必要があるので、この分野でのすぐれた技術力と豊富な経験をもつアメリカのコンサルタント等の協力を求めることを考えております。」といっておるのであります。実際、わが国の技術水準をもってしても、できないような膨大なものであることは、この最後の一言によって明らかであろうと思います。  このようないわゆる地域状況を全く一変していくような膨大な計画を、国家の方針もきまらないのに、一第三港湾建設局長が運輸省の知らないうちに、あとで電話連絡を受けたという程度で、あなたに調査費の要求をするとは一体何事ですか。あまりにも出過ぎたやり方ではありませんか。これが少々のものであるならば別として、アメリカのコンサルタントの協力を求める、このようなことは、わが山陰にはあったことはございません。日本でも、この種のものは私どもは初めて聞くことであります。このようなことを高橋参事官は知らないと言い、いまの大久保参事官は三十日電話で知ったという。農林省は、新聞で知ったという程度である。一体、国の方針も大体のアイデアもない、一第三建の局長くらいのものが言ったからといって、あなたが調整費を検討するのも私は行き過ぎではないかと思います。  環境庁に伺いますが、これは大山・隠岐国立公園の由緒ある地域の一環であります。この景観がいわゆる大山から、頂上から日本海がながめられる、海をこえて四国の瀬戸内が眺められる。天気のいい日には隠岐の島が見える。そのまん中に人工島ができ、煙突がそびえ、いわゆるコンビナート方式の工場ができたときに、一体自然の景観が維持できるとお考えでしょうか。天ノ橋立をしのぐ大天橋といわれるこの地域は、飛行機の上からごらんになれば、天ノ橋立をしのぐ大天橋であります。なるがゆえに、大山国立公園が、隠岐を包含し、膨大な地域にわたって設定を見たことは御承知のとおりでありますが、環境庁としてこのような構想について何ら事前に御相談をお受けになりませんでしたか。また、このような計画について、現在どのように私の質問に対してお考えになりますか、御構想があり、御所見があれば承りたいと思います。  特に最後には、下河辺さんに申し上げておきますが、大臣にもよく、きょうは、政務次官もおいでになっておりませんし、よく実情を御報告になりまして、みだりに地元住民——議会も住民もこぞって反対しておるのでありますから、この問題に対する限り、いまの御答弁を大臣答弁として私は承っておきますから、大臣にもよろしく伝えられて御善処を願いたいと思います。お引き取りになってけっこうです。
  85. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 環境庁といたしましては、この問題について全く連絡も受けておりませんし、この構想につきまして関知いたしておりません。したがいまして、これについて具体的にどうこうというようなことを申し上げる段階では全くないわけでございます。先生指摘のように、大山隠岐国立公園の美保湾の地域というものは、湾内そのものは全部が指定の地域にかかっておるわけではございませんが、一体どのようなところに、どういうふうなことでやろうとされておるのか、その辺のことを全く承知をいたしておりませんので、何とも申し上げられないのですが、先生が仰せになりましたように、あの辺の地域について非常に膨大なものが、かりにできるといたしますれば、景観がかなり変わってくるということは、これはいなめないことであろうというふうに考えております。
  86. 足鹿覺

    足鹿覺君 次に、通産省に伺いますが、最近の新聞をにぎわしておりますチュメニの油田開発との関係でありますが、私ども、少なくともこの問題に対して、特に地元民が、異常な刺激を受けておりますことは、チュメニからナホトカへ、ナホトカから海底輸送管で境港の人口島を経てコンビナートができるか、あるいは精製工場ができるか、関連産業がくるか、あるいは原油をそのまま伯備線に沿って日野郡を、中国山脈を横断をして岡山の水島へ送るという構想がこの前一斉に新聞に出ておることです。ますます不安は不安を呼んでおるわけでございまして、聞けば水島にはまだ工場建設の余地が残されておるというふうに聞いておりますが、チュメニ油田の開発とこれの日本への導入の方式について、運輸省からこの人口島の問題について関連して何か御連絡がありましたかどうか。また通産省自体として、チュメニ油田の日本への受け入れ態勢については、具体的にどういう検討段階でございますか、この際明らかにしていただきたい。
  87. 矢野登

    政府委員矢野登君) チュメニの油田の問題につきましては、昨年の五月ごろから民間ベースによってこの開発を日本、アメリカ、ソビエトの資本によって開発するというような話題が、新聞によって報道されております。しかし、これまでのところでは、通産省はこの問題に対しては、全然まだ役所ベースの話には乗っておりません。したがいまして、チュメニの原油がナホトカに送られ、それから日本のどこへ持ってくるかというような問題は、通産省としてはこれまでのところ、全然話し合いに乗っておりません。  なお、こまかいことは、業務課長が見えておりますので御報告を申し上げますが、現在のところ、そうした状態にございます。
  88. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) チュメニ油田の導入につきましては、いま政務次官からお答え申し上げましたとおりでございまして、御承知のとおり民間ベースで原則的な話がある程度まとまったということでございまして、今後これも先生御承知かと思いますが、今月から大体詳細な打ち合わせの第一歩に入るという段階でございまして、われわれとしましては、それによって油の種類あるいは輸送方法、その他あるいは積み出し港あるいは積み出し港の規模というようなことが、いろいろきまってまいるわけでございまして、そういうこまかい数字がきまりませんと、われわれのほうもどういう受け入れを考えたらいいかということについても、検討に入るわけにまいりません。そういうことで通産省のほうは、いまのところまだこまかい検討に入る段階にないと考えているわけでございます。  なお、当然将来のエネルギー危機というようなことを考えますと、チュメニからまいりますこれは五十三年以降になりますか、まあ明確でまだございませんけれども、約三千万トンから四千万トンと称せられる油は、非常に重大な貴重な資源になるわけでございますので、具体的な問題になりました際は、運輸省はじめ各関係省庁といろいろ御相談して、受け入れ態勢を考えたいと思っている次第でございます。
  89. 足鹿覺

    足鹿覺君 根岸さんですね、あなたは五月二十六日付の毎日新聞ですね、本年の。それによりますと、有力な候補地として、この美保湾を具体的には言っておられませんが、大体了解が得られれば云々ということを言っておられる。簡単な記事ですから読み上げますと、あなたの話として、「チュメニ原油を運ぶには、日本海を経由しなければならず、境港市が有力候補地にあげられているのも事実だ。いま、わが国では原油をタンクローリーで運んでいるが、将来はCTSとパイプライン方式になる。ヨーロッパでは石油備蓄量九十日分が常識だが、日本は四十五日分の備蓄能力しかない。せめて六十日分にするのが急務だ。昨年成立した石油パイプライン事業法には土地収用権があるが、あくまで地元の了解を得たうえの話だ。」と、かくのごとく具体的にあなたは談話を発表していらっしゃるでしょう。政務次官、これでも御存じないのでありますか。石油課長はこういう談話を発表している。
  90. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。いま先生がお読みになりました新聞の問題につきまして、国会でもほかの委員会でいろいろ御質問があったわけでございます。そこでお答え申し上げたわけでございますけれども、私は先ほど先生にお答え申し上げましたとおり、チュメニ油田の受け入れについては、まだ具体的なことを検討するような段階にわれわれ入っていないわけでございますから、そういう境港がいいとか、有力な候補であるとか、そういうようなことが、私としてお答えできるようなあるいは新聞にお話できるような段階には全然ないわけでございまして、私としては非常にそれは迷惑しておるわけでございます。  それから後段につきましては、あるいはパイプライン、CTSの全般的な問題として、新聞からお尋ねがあれば当然答えるようなことを、いままでも何回もお答え申し上げているわけでございますので、記事の書き方につきましては、たとえば原油をタンクローリーで運ぶなんということは、あまり常識的な話じゃないんですけれども、まあそういうようなことで、私としてはその記事については、私が申し上げたということについては、何ら根拠がないということを申し上げたいと思っております。
  91. 足鹿覺

    足鹿覺君 新聞の記事ですから、私は根拠がないとおっしゃれば何ですが、あなたが何らかの形で、この問題について新聞記者に会われた際に、お話になったということも否定なさるんですか。
  92. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。いま申し上げましたとおりチュメニ油田の扱いについて、私はいままで一回も新聞記者から質問を受けておりません。ただCTS全体の問題と、あるいはパイプラインのというのは、どういうものであるかという一般的な質問は受けました。これは何回も各紙の新聞からいろいろ御質問を受けております。ですから、そういう意味で、要するに、チュメニを日本海沿岸のどこの港に持ってきたらいいかということの具体的なことについては私はお答えしたことは一回もございません。
  93. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこまでおっしゃるならば、それが事実であるとしか思えません。が、しかし、日本の一流の新聞があなたの談話を載せておるという事実も否定できるわけでありません。これと符節を、あなたの談話と合わせるがごとく、今里広記日ソ経済石油委員長、海外石油開発社長の話として「チュメニ原油受入れを希望している市は多く、引く手あまたといってもよい。境港はその一つで、立地条件は確かによい。日本海沿岸各都市の港湾なら、八万トン級のタンカーをピストン往復させればすむ。CTSやパイプラインは危険なものではなく、なぜ反対が起きるのか理解に苦しむ。」云々と述べておられる。何かそうすると、新聞社というものは話をしたこともないのに、このような人名をあげて記事をねつ造するものでしょうか。そうなりますと、もし対決ということになりますと、これは重大な状態が起きますよ。  当委員会といたしましては——どもは、いま日本の海を正常化していくために、当委員会としては先日来も論議をかわし、農林省も苦心をしておられるときに、漁民も生計に困り、毒を受けた地域住民は死に、あるいは業病にとりつかれて生涯をかたわで暮らす。国民は安心して魚が食えない。こういう事態の中で、このようなりっぱな年間五億円以上も、今後十億円にもあげていこうというような、こういうところに、符節を合わせたようにあんたの談話が出、そして日ソ経済石油委員長の談話が載るということは、天下の公器である新聞をわれわれは信用する以外にないです。いかがでしょうか。水産庁の長官なり、鈴木政務次官もおいでになっておりますが、このことについて、いままでのやり取りをお聞きになりまして、地元の漁民はもちろん漁協、地元の市長、鳥取県議会、境市議会すべてが反対しておるわけでありますから、あなた方が新聞で知ったと言われることは、私は当然だと思う。こういう問題は、瀬戸内がいま、持ちも、さげもならぬ汚染状態が深化して困った状態になっておる、太平洋ベルトラインは言わずもがな。九州のほうにおいても、正常な海を返せと漁民が叫んでおる中に、いかにして、今後、汚染されない海を確保するかという立場から、いままでの私どもの、私が質問いたしました点について、農林省としての御見解は、正常な海を守っていく上において、どのような御見解をお持ちになりますか。とにかく日本海沿岸の随所にこの種の打診を開始しておるようです。運輸省は。あるいは竹内個人はやっておるようです。いかがですか。農林省としてのこのような清浄な海を、今後いかにして守っていくかということについて、断固たる決意のほどをお示し願いたいと思います。
  94. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この境の周辺につきましては、特に私たちのほうでも従来から非常に清浄な、きれいな海であるということと、それからさらに今後この辺の漁業は大いに振興すべきであるという見解のもとに、ことしになりまして、特に境漁港を特定第三種漁港に指定いたしまして、第五次漁港整備計画のもとに、今後五カ年間にさらに整備を深めていきたい、こういうふうに考えております。この境港は、日本海の山陰筋でも特に大きな漁港でございまして、約年間四十六年度で十五万トンをこえる漁獲量がありまして、今後ともさらに振興していきたい。利用漁船につきましても、年間約二千面六十隻の船が出入りいたしまして、さらに水産物の産地の流通加工センターも整備していきたい、こういうふうに考えておりまして、これらにつきましてわれわれといたしましてはぜひとも漁業上振興してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  95. 足鹿覺

    足鹿覺君 鈴木政務次官、いかがですか、大臣代理として。
  96. 鈴木省吾

    政府委員(鈴木省吾君) ただいま水産庁長官から御答弁申し上げましたように、つい先般第三種漁港として指定をいたしました。実はただいまお尋ねいただいたことは、何ら農林省としては連絡も受けておりません。既定の方針どおり進んでおったような次第でございます。今後もまた、計画連絡もございませんので、いまお話のようなことで進めてまいりたいと、かように考えております。
  97. 足鹿覺

    足鹿覺君 通産省並びに運輸省に伺いますが、特に運輸省に伺いますが、あなた方の出先機関は、本省と何の打ち合わせもなしに、こういう大構想を地方でぶち上げる権限は、どういう権限に基づいて、こういうことをぶち上げる権限をお与えになっておりますか。それを伺いたい。
  98. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 私、先ほどの御答弁がいささか誤解を生んだように思うのでございますが、私、五月の三十日に第三港湾建設局長から聞きました報告というのは、その構想を打ち上げたのではなくて、要するに、あの地域開発のしかたというのは、あるいは工業開発ということもあるでしょうし、あるいは非常に美しい自然の景観を生かして臨海性のリクリエーションの場として利用するということもあるでしょうし、また流通の港湾として境港を整備を進めていくということもあるでしょうし、ともかくいろいろなことが考えられるが、どういうふうにそこのところを開発していくかということは、これは最終的には、地域住民の意思によってきめられるものである。しかし、どういうふうに開発するかという幾つかの考え方については、ただばく然と論じていててもしようがありませんので、基礎的な調査調査調整費をもらって調査をしたらどうでしょうかということを御相談したというふうに、竹内局長からの報告を受けたわけでございます。  それで、新聞の見出しが、たまたま人工島の構想を提案したかのごとくに見出しのほうがなっておったために、非常に混乱を引き起こしたということは、非常に残念なことだと思いますが、実はたしか、私の記憶、正確ではございませんが、その電話を受けた当日かその直後でございますが、衆議院の農林水産委員会におきまして野坂先生から御質問をちょうだいいたしました。そのときに私、お答え申し上げたわけでございます。それで、そのときは、いまここに議事録がございますので申し上げますと、いま申しましたような「地域開発を総合的な観点に立って進めるべきであり、自然環境を保全し、生活環境の悪化を極力押え、漁業等の他の空間利用との調整をはかりつつ開発を進めるということが必要である。そういうような観点に立っての工業開発の可能性の限界、こういうようなことを調査する必要があると考えるということを述べたようでございます。」というふうに私、お答え申し上げたわけでございます。  それで、第三港湾建設局、所管しております管内は京都府以西でございますが、その管内のいろいろな港湾の整備あるいは地域開発等につきまして、港湾建設局というのはいわゆる専門的な技術的知識を持っておりますので、港湾管理者が計画立案の主体ではございますが、港湾管理者の計画立案にあたっての専門的な立場からのアドバイスを求められることがあるわけでございます。そういうことでの、第三港湾建設局としての調査は、これまでも港湾事業調査費あるいは調査調整費を使いまして調査を行なってきておりますし、それは港湾建設局としての通常の業務と考えている次第でございます。
  99. 足鹿覺

    足鹿覺君 いやね、私がお聞きしておるのは、第三建設局長程度の者に、何に基づいてアメリカのコンサルタントに協力を求める云々という、こういう公式文書を発表する権限を、知事に向かって返事をする権限は何に基づいておやりになっておるかということを聞いておるのです。あなたがおっしゃっていることは、第三建設局長の文書の中に書いてある。何を言っているですか。端的にそれをおっしゃい。何に基づいてこういう膨大な権限を与えておるかということを聞いているのです。
  100. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) お答え申し上げます。  実は現地において非常に混乱を生じたという事実がございまして、鳥取県知事から文書をもって第三港湾建設局長に対してこの調査についての、建設局長に対して調査の目的、内容地域、方法等について返事をくれという文書を第三港湾建設局長は受けたわけでございます。それで、第三港湾建設局長がやはり知事さんと米子でお話ししたことが、それがその報道の面で必ずしも正確に伝わらなかったということからいたしまして、あらためて知事さんと現地でお話ししたことの要点を文書をもってお答えしたというふうに理解いたしております。  それで、いまのアメリカのコンサルタント云々という点につきましては、これは必ずしもこういうことでやるということではなくて、いわゆるこの文書の中で確かに一番終わりのところに、以上の調査を実施するためには云々ということで、先ほど先生のお話にありましたようなことが触れてはございますが、これは別途の機会に、竹内局長から具体的に聞いたわけでございますが、このアメリカのコンサルタントと申しますのは、実はアメリカでは非常に民主的といいますか、地域住民の意向を徴し、それで、それを電子計算機等を駆使してその考え方を整理して、それでその住民意識の所在がどこにあるかということ、また自然的な条件も電子計算機等を駆使して整理する、こういうようなものを組み合わせてシステマティックに評価するという手法が開発されているそうでございます。残念ながらわが国におきましてそういうような評価の手法、そういうようなものにつきまして私どもまだ十分理解をいたしておりません。それで、たとえばこういうような総合的な……
  101. 足鹿覺

    足鹿覺君 委員長注意してください、人の質問に答えるように。人の質問に答えなさい。そんなことを聞いているんじゃない。
  102. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) はい。
  103. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 質問の趣旨によって答えていただきたいと、こういうわけです。
  104. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) それで、そういうような手法を使うことも考えられるというような意味のことが、この回答の中に触れられているわけでございます。
  105. 足鹿覺

    足鹿覺君 私はそういう説明を聞いているんじゃないのです。あなた、ここにちゃんと竹内局長が鳥取県知事に出した原案を持っておるんですから。ですからそんなものを聞いておるんじゃない、あなたの説明を。竹内さんが、五月の末、鳥取、島根に来て話したときには、人工島建設の目的のためで、目的を持っておる。チュメニ油田、ソ連からの石油基地、こういう構想を漏らしておるんだ。それがこれには載ってないだけのことだ。だから、あとで新聞は、きわめて人工島の構想に触れず、あいまいな内容だといって、遺憾の意を表明しておるんだ。都合の悪いことはみな削ってあるんだこの中から。あなたがどのように口を左右されても、資料は全部そろっておる。  さらに通産省に伺いますが、中東の原油受け入れが目的であると運輸省が説明したと、毎日新聞は報道しておる。——いいですか、ここになりますとますます奇々怪々であって、何らか背後にあっていろいろと打ち合わせが進み、極秘裏に計画が練られておるという疑いを持つのは当然でありませんか。ですから、先ほどから、石油課長さんが言われたことや、あるいは今里という人の談話として「引き手あまたの原油受け入れ港を境港が二つ返事で返事をしないのはおかしい」というような記事が新聞に載っておること自体を、こういうものをすべて包合すると、大体私がいま言ったようなことになる。しかも、この記事が出た前後に、県のある最高首脳部の人が「石油基地に反対するというが、この間も漁船が石油がなくて困ったではないか」フフといって笑ったという話も新聞に出ておる。つまりレジャーランドだとか、あるいは地域に景観を損なわない開発を行なうとか、きれい事は確かに並べてありますが、しかし、実際は、中身は中東か、チュメニか、何らかの工業開発をやろうとしておることは歴然たるものである。それを地域住民を、あきめくら同様に取り扱われるところに私どもの不満は爆発しておる。何の権限に基づいて、このような第三建設港湾局長ぐらいな者が独自でこういう返事を出すんですか。あなた方に稟議をしましたか。聞きますが、このような大事を、あなた方の稟議を得て、鳥取県知事に回答しましたか。第三建設局長は知事の照会に対して、このような国際的なアメリカの協力を求めるようなことについてまでも、公式文書で回答するような権限は、何に基づいておるかと、さっきから聞いているんだ。あなたが答弁できなければ、運輸大臣ないしは政務次官を呼びなさい。なんですか、一体。
  106. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  御承知のように、港湾法は、港湾の開発利用、保全に関しまして、港湾計画を立案するのは、地方の港湾管理者ということは明定されておるわけでございます。したがって、港湾管理者が発意し、港湾計画をつくらない限り、この計画はいかなる計画でも出てまいらないわけでございます。その点をはっきり明確にお答えしておきたいと思います。  それから第二に、いま先生のお尋ねの、地方港湾局長の権限についてでございますが、これはあくまでも港湾の建設工事に関しまして、いろいろ調査をし、また、その港湾計画の立案にいろいろなアドバイスをするということでございまして、私どもとしては、この地域の港湾の開発利用、保全に関し、いろいろな観点から、調査をするということを考えておるわけでございまして、たとえば、まあ石油の輸入基地構想というのが、これはチュメニとは全然現段階において無関係でございますが、たとえば瀬戸内海におきますタンカーのふくそうといったような、船舶のふくそうということから、どこかに石油輸入基地を設けてパイプラインで輸送するということは、これは国会でも海上交通安全法を成立さしていただきました際の附帯決議にございまして、そういう調査を早くしろということを言われておりますし、そういった観点、あるいは工業開発港を設けるほうがいいか、あるいは観光、レクリエーションとしての地域の特色を生かした港湾開発をはかっていくか、そういういろいろな観点からの調査を進めるということは、当然、地方港湾局長が本省の意を体しまして、そういう調査を進めておるわけでございます。
  107. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは、あなた方は——あなたは大臣官房審議官という重責にあるようでありますが、あなたたちは、この竹内局長の独断ではないと、運輸省も了承をして、何やあの附帯決議に基づいてやっておるんだと、こう理解するんですか。あなた方は知らぬと言ったじゃないですか。
  108. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) チュメニの油田からの油を受け入れることについては、私どもは、通産省から何らそういう点について国内の港湾整備をしてくれという連絡も受けておりませんし、また、現段階において、そういう調査をあえてするように地方を指定したこともございません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、海上交通安全法の御審議の際の附帯決議として、瀬戸内、東京湾、その他船舶ふくそう海域においては、原油輸入基地港湾を設置して、そこからパイプラインで輸送するということと、そういうふくそう海域における大型タンカーの入湾制限というものについて、御決議をいただいておりますので、こういった観点から、十分な調査をするようにということは、私どもは十分了解しておる次第でございます。
  109. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまあなたがおっしゃったものを文書にして出してください。何の決議ですか、それは。どういう委員会ですか。政府の機関ですか。地元民は参加しておるんですか。
  110. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 国会の御決議でございます。
  111. 足鹿覺

    足鹿覺君 国会の決議は、美保湾を指定しているんですか。
  112. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 美保湾ということを指定はしておりません。ただ、先ほども申し上げましたように、瀬戸内海のような船舶ふくそう海域における石油の輸送について改善をするようにという御趣旨でございます。
  113. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま、あなたのおっしゃったことは、何月何日、国会の何委員会においてと、その経緯を、資料として御提示を願いたい。  なお、県会の議決の際の討議の問題になったのは、反対の理由として、「同地域は新産都計画区域であり、同計画に従って開発が進められている。また、一昨年は日本工業立地センターによる調査結果も出されており、あらためて調査の必要は認められない。」と、こういう正式な態度を決定をし、ここに膨大な境港の開発計画は、工場立地計画その他によってすでにできておる。何をあなた方がおもんぱかって、えてかってにそのようなことをなさるんですか。引く手あまたなら、よそへ持っていってください。境港でないならば、どこを候補地にしておるんですか。一説には、舞鶴はあなた方はきらいだという話も聞いておる。あちこちへ行って、この竹内なる者は、自分の職権外のことをやっておる。  まだあなた方が、これをとやかくおっしゃれば、もう一歩突き進んで申し上げましょうか。何月何日の国会の何委員会において、瀬戸内の海面が汚染をする、だから新しい開発を行なえというならば、日本海はよごれてもいいというんですか。タンカーで運べばどのような事態が起きるかということは、あなたも御存じでしょう。先ほども冒頭に述べたように、ここは日本海の稚魚の陶然育成の地域であります。最近、特に海の汚染がはなはだしいから、日本全体としても、こういう地域は守っていかなければならぬ。瀬戸内がよごれたから、日本海ならよろしいというんですか。地域住民を冒涜するのもはなはだしいじゃありませんか。だれがそんなことを委託したんですか。地域住民のだれが運輸省にこういうことを委託したんですか。どういう権限でこの竹内何がしなる者はこのような地域に大きな波紋を描き、大きな不安と動揺を来たし、県議会の超党派の議決を帯びたものまで、なおあなた方はこれを強行する意思と、そう見ていいんですか。
  114. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 先ほどからたびたび申し上げておりますように、私どもは、地域住民の代表でございます都道府県当局の御了解を得ないでそういう調査を進め、建設を進めるということは絶対にいたしませんから、その点だけは十分誤解のないようにお願いしたいと思います。
  115. 足鹿覺

    足鹿覺君 それはちゃんとあなた方が竹内をして出さしめておるこの文書に載っておるんだ。地域住民に新しい協力関係を打ち立てるなんて、りっぱなことを言っておる。だが、事実上においては地域に大混乱をこのこと自体で起こしたんです。だれがそんなことを聞いておるんですか。本名の了承の上で、これを竹内をしてあらしめておるのかどうかということを聞いているんだ。だとするならば、この際において、県議会も反対、知事も拒否、境港市も反対、漁民も反対、だから、この際において地域住民の意思に従ってこの計画調査その他を進めることを打ち切ります、こういう御答弁をあなた方はできないですか。
  116. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 先ほど御説明したことと若干ダブりますけれども、私の口べたなために誤解があるようでございますので、重ねて申し上げますが、要するに、私どもとしては、石油の輸入基地と、それからパイプラインで輸送するという手段につきまして、大型タンカーの船舶ふくそう海域への入港禁止というような措置とあわせまして、そういう適当な場所はないか、あるいは適当な計画はどう立てたらいいだろうか、ということにつきまして、まず調査をする必要がございます。その場合、まず第一にやるべきことは、地方の住民の代表でございます都道府県当局の御理解と御了解のもとにやらなければなりませんので、私どもの理解では、そのために竹内局長が出かけていって、都道府県知事とあるいは県当局とお会いして、そう調査ができるかどうかということを打診したのではないかと考えるわけでございます。
  117. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから、そういう重大な問題を一局長がしていいか、これだけ環境汚染が問題になっておるときに、そういうことを認める態度が間違いじゃないかということを聞いているのだ。あなたが答弁できなければ、運輸大臣か政務次官を呼んできなさい。あなたの答弁よろしい。何ですか、一体。人が聞いていることに答弁しなさいというのだ。調査が必要だ、だれが頼んだのですか。あなた方が命ずるか、地元から頼む以外ににかってに出てきて——新産都の構想で、現地にはこういうりっぱな図面ができておるのだ。あなた方のおせっかいなんか要らぬ。こういうりっぱな図面もできておる。境外港図の図面です。全部できておる。知っているでしょう。さらに大きくしたのはちゃんとこういうふうに図面ができておるのだ。何をあなた方が必要好んで——いまさら地元も頼んだことはない。では知事に非公式に頼まれたですか。
  118. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 先ほど原田審議官がお答え申し上げましたように、海上交通安全法の関係の附帯決議で、シーバースの適地を調査することが求められておりますので、そのシーバースの適地につきましての、いわゆる初歩的なテーブルプラン的な適地調査をやったわけでございます。要するに、地形的にいいところを幾つか選び出したわけでございます。しかし、先生の御指摘のように、大体そういう自然的な条件のいいところはいい漁場であったり自然景観もよかったり、そういうことがございます。そういうことから、そういう幾つかテーブルプランで考えられますところについても、どのようにしたら、そういうものが受け入れられるか。あるいはどうしてもだめであるか、そういうふうなことをやはり基礎的な調査をやらなければならない。それで、そのためには地域住民の代表でございます知事さんの御意向も伺わなければならない。それで、テーブルプランでは幾つか考えられるうちの一つでありますこの地域について、その知事さんの御了承を得られるならば、調査調整費を用いて調査をしたい。しかし、これは必ずしもシーバースを前提にするものであってはならない。そのシーバース以外にあるいはシーバースが適当でなければ、ほかにたとえばレクリエーション港湾をつくるとか、いろいろなことも考えられるわけでございます。せっかく調査をやるなら、そういう総合的な調査一つとして、幾つかの対案の一つとしてこういう調査をやってみたらいかがでしょうかという御相談を申し上げたのでございまして、これに対して地元がどうしてもそれは好ましくないということでございますれば、これは当然調査はできないわけでございます。そういう段階にございますので、現在のところ、まだ正式な調査費の要求はしていない状況にございますので、御了承いただきたいと思います。  それからいま一つ先生のお示しいただきました境港の計画は、これが現在の時点において港湾管理者として正式にきめられている計画でございまして、したがいまして、現在のところは、まだ調査もやってないようなシーバース構想につきましては、具体的な計画として構想を打ち立てたとか、そういうような段階まで立ち至っていない事情にありますことも御了承いただきたいと思います。
  119. 足鹿覺

    足鹿覺君 要するに、あなた方は知っておって、竹内君にこれを命じたのかどうかということを最初から聞いておるんですよ。そのことを答えなさい。竹内君の独断でやったのか。あなた方はあとで報告を聞いたということでありますから、さように理解してよろしいですか。そのことだけをずばり答えなさい。余分なことを言うな、時間が惜しいわい。
  120. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) シーバースの適地を調査してほしいということは言っております。
  121. 足鹿覺

    足鹿覺君 そんなことじゃないんだよ。いまのは新しい問題だ。この問題はもうとうに片づきだ。それとは別だ。何を言っているんだ。
  122. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 調査調整費につきましては、各建設局に管内のいろいろな調査をしなければならない事項があれば、調査調整費を企画庁に要求するから、各建設局で出してほしいということを建設局に指示してございます。それで私どもといたしましては、この建設局から出す調査調整費の案をまとめる段階で、知事さんの意向を打診したというふうに理解しております。
  123. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしたら、不文律の上においてあなた方は了承しておると。この竹内局長に直接には指示をしてないが、竹内局長があなた方のその調整費等の範囲内において、自分の構想を地元に来て話をした、かように理解できますね。あなた方はあとで報告を受ければその適否を判断すると、こういうわけですか。
  124. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 竹内局長の個人的な構想というのは、ないというふうに、竹内局長から聞いております。
  125. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃあ、だれの構想ですか。
  126. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) この調査調整費で調査をしたいのは、この地域開発の限界。どういうふうに開発したらいいかということの調査をしたい、そういうような調査費を要求することについて、知事さんの意向を打診した、というふうに聞いております。
  127. 足鹿覺

    足鹿覺君 わからぬ人だな。これだけの資料を整えて、あなた方に尋ねておるのは、竹内君が来て話をしたことと、これとは違うんですよ。地元の新聞記者に会ってごらんなさい。人工島構想をぶっておるのだ。だけれども、この返事には載っていないのだ。そういう不信感が今日に至っておるのだ。私をして——衆議院においてはいち早く取り上げられたが、私はすべての資料を整えて、あらゆる方面を全部調べ上げてやっておるんだ。  知事に頼まれましたか。一問でいきましょう。頼まれたか、いなか。イエスかノーか、言ってください。
  128. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 知事さんとしては、いまのところ調査をすることを必要とするかどうか、いま少し地元の関係をよく配慮してからきめたいと、そういうふうに伺っております。
  129. 足鹿覺

    足鹿覺君 県議会の正式の意思が決定をし、知事にこれが文書で通達をされ、知事があなた方のほうへ、県議会の意思を伝達した際には打ち切りますか。
  130. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 知事からの正式なお申し出に従ってわれわれは行動するつもりでございます。
  131. 足鹿覺

    足鹿覺君 竹内局長は第三建に赴任して何年ぐらいになりますか。
  132. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 一年と二カ月程度になると思います。
  133. 足鹿覺

    足鹿覺君 今後、こういう構想をぶつ以上は、相当の年月、第三建の局長として在任をする見込みでありますか。
  134. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 私といたしましては、そういうことについてはお答えできる立場にございません。
  135. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃ、だれが答えるんですか。——あなたは竹内君との間にある程度の意思の疎通があったと私は推定する。大臣の権限だというわけですか。
  136. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 港湾建設局長は大臣の直接の部下でございますので、そのように理解されます。
  137. 足鹿覺

    足鹿覺君 竹内君の人事権の、人事異動その他の権限は運輸省の原局はどこか。大臣に稟議を建てる原局はどこですか。
  138. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 地方局長の任命は大臣が行なうわけであります。
  139. 足鹿覺

    足鹿覺君 それはわかっていますよ。そんな子供に言うようなことを言うな。そんなことを聞いているんじゃない。原局はどこかと聞いているんだ。大体、君たちは国会をばかにしているな。さっきから黙って押し問答をしていれば、いい気になって、人を侮辱しているな。そんなことぐらいは知っておる。ふざけるな。原局はどこかと聞いているんだ。官房審議官として答えられませんか。
  140. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 原局はどこかというお尋ねは非常に実はわれわれ困るわけでございまして、港湾行政の原局は港湾局でございます。しかし人事につきましては、もちろん港湾行政を担当する港湾局長がある程度その意見は申し述べますが、これは人事についての原局というものは、ちょっとどういう御質問の御趣旨かちょっと理解しかねますので、私は、大臣が任命するんであるというお答えをしたわけでございます。
  141. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから、どこが具体的に立案するのかと聞いているんですよ。
  142. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  143. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 速記を起こして。
  144. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 人事につきましては、運輸省の設置法、組織令等によれば、大臣官房が人事の責任部局になっておるわけでございます。そこで港湾行政をつかさどる港湾局とよく相談をしながら人事の原案をつくるというように御了解願えばいいんじゃないかと思います。
  145. 足鹿覺

    足鹿覺君 竹内君は前に運輸省の本省でどういう役職にいましたか。
  146. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 私の前任者でございます。港湾局の技術参事官をやっておりました。
  147. 足鹿覺

    足鹿覺君 その前は……。
  148. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 官房の参事官をやっております。
  149. 足鹿覺

    足鹿覺君 その前は——経済企画庁におったことがあるでしょう。
  150. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 官房の政策計画官をやっております。それでその前は港湾局の計画課長をやっております。
  151. 足鹿覺

    足鹿覺君 経済企画庁に出向しておったことありませんか。
  152. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 経済企画庁の計画局の計画官をやっていたことがございます。
  153. 足鹿覺

    足鹿覺君 委員長、お聞きのように、この人は普通の出先の長とだいぶん経歴が違いますね。あなたの、大久保さんの先輩なんです。第三建といえば地位は出先のように見えるが、本省の局長クラスである、ないしはそれと同等の地位にある人である。したがって、われわれはこの報告書はきわめて重要なものである、彼が鳥取、島根へ来て両県知事と関係市町村長に発表したことを重視しておるのであるのであります。あなた方が、どのように、きょうこの場を切り抜けようとされましても、真実も、やがてわかるときがあるでしょう。それはことしの秋ごろでしょう。何かこの人は別な意図で、あちこちしておるという評判もありますが、第三建の所管地域はどこどこですか。
  154. 大久保喜市

    説明員大久保喜市君) 京都府それから和歌山県を結んだ線から西のほうで、山口県を除く中国地方とそれから四国を含んでおります。なお山口県と九州は別でございます。
  155. 足鹿覺

    足鹿覺君 いずれ秋ごろを待って、私は追ってこの質問を、伝えられる臨時国会でもありますならば、お伺いいたしましょう。そのとき、竹内君の身分に重大な変化がなかったらよろしいが、重大な変化があったときには、あなた方もそのときには、覚悟していらっしゃい。いいかげんな、この場のがれの答弁を繰り返しておられるようでありますが、事実は何よりも雄弁に物語るでありましょう。そのときには、あなた方がいかに今日ちゃらんぽらんな答弁をして——大臣もきょうは来れない、政務次官も来れませんからこれ以上押し問答をしても私は意味ないと思います。いたずらに時間を空費することはやめます。  最後に、通産大臣代理として御出席になりました次官に伺いますが、中東石油、チュメニ石油等の問題については、特に鳥取、島根は反対をいたしております。その中継基地等については反対をいたしております。農林省も正常な海を守る意味においては、おそらく同感であろうと思います。経済企画庁も先ほど下河辺君からあのような明快な答弁がありましたが、運輸省だけは言を左右にしてお聞き及びのような答弁をいたしております。ただし、これは一定のときがたてば、この大ぼらに似たようで事実おそるべき計画を発表した真相も、あるいはこれが地元の反対で消えた後における竹内君の一身上の変化等によって証明されるでしょう。いずれにせよ、このような経過がありまして、もはや余日を経ずして、鳥取県知事から県議会の意思が運輸省へ伝達されるでありましょう。これも踏まえて、この際、通産大臣代理として、チュメニないしは中東の中継基地については、これ以上深入りをしない、こういう御言明がいただけますかどうか、いかがでしょうか。
  156. 矢野登

    政府委員矢野登君) 最近の世相からいって、地元住民の賛成のない仕事が完成するわけがございません。しかも、この問題につきましては、まだ民間ベースで進んでおる状態でございまして、チュメニ油田よりの原油の引き取りというような問題が、大ざっぱには、日本海を経て本土にというようなことを言われておりますが、通産省部内では、まだまだどこの港へこれを持ってくるかというようなことは、話題にものぼっておらない状態でございます。したがいまして、あらゆる場合に、この問題の結論は、地元住民の方々の賛成を得ない限り、通産省その他の省にいたしましても、結論を得るということはむずかしい問題でございます。通産省といたしましても、そういう問題については、十分に地元の方々との連携をとり、各省とも連絡をとりまして、万遺憾ないような方向へ進もうと考えております。
  157. 足鹿覺

    足鹿覺君 最後に、運輸省に申し上げておきますが、四十八年六月七日、大久保さん、あなたは野坂議員に対して「これまでもレクリェーション港湾といいますか、ヨットハーバー等につきまして、たとえば湘南港、オリンピックのときに江ノ島にヨットハーバーをつくったり、その後国体の開催地でヨットハーバーをつくったりしてきておりますし、今後もやはり港湾環境整備というようなことで、今後の福祉需要の増大ということにわれわれとしても対処していかなければならない、そういうふうに考えておる次第でございます。」というようなことをおっしゃっております。港湾局が、レジャーの世話までなさるようなお考えのようでありますが、ヨットハーバーはもう港湾局の所管だと番わんばかりの御答弁をなさっておりますが、いかにあなた方が無責任な、その場のがれの答弁をしていらっしゃるかということは、もはや明らかであります。すみやかに運輸大臣に今日の質疑応答の経過を御報告になって——鳥取県議会議長の意思表示があなたがたのほうへ伝達をされたならば、そのころにいま一ぺん、この国会中にでもその時期があれば、運輸大臣に私はしかと伺いますが、正しく本日の本委員会の質疑応答の経過を述べられて、すなおにこの計画を断念するように強く要請をいたします。しかと伝えていただけますな。断念をするように伝えていただけますな。あえてあなた方が答弁せぬならば、質問主意書を出してしかと確かめますよ。
  158. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 本日の御質疑の真意は十分大臣にお伝えいたしますが、先ほどから御答弁申し上げておりますように、私どもは港湾法に基づいて仕事を進めるわけでございまして、港湾法によりますれば、港湾計画は港湾管理者が立てるたてまえになっておりますので、それを踏みはずして仕事をすることはあり得ないということを重ねて申し上げる次第であります。
  159. 足鹿覺

    足鹿覺君 私がいまあなたにお願いしておるのは、きょうの質疑応答と、最後の締めくくりとして、鳥取県議会議長の意見が、議会の意思が、あなた方の大臣あてに伝達がされた際には、地元住民の意思を無視してはやらないということでありますから、この計画調査を打ち切る、こういう要求を私はいたします。そのことをしかと大臣にお伝えなさい。いずれの機会かに大臣にその御答弁を承りましょう。県会議長から、あるいは知事から、あるいは境港からはすでに出ておるかもしれません。それらに従って地元住民の反対を押し切ってやらない、この正常な海を自然の景観そのままにおいて、現在立案されておるところの港湾計画の範囲内においてこれをとどめていくのだ、これが地元民の総意です。しかと大臣にお伝えくださいまして、そして、私は個人的にも、大胆にお口にかかって確かめたいと思っておりますが、公式には、あなた方が——あるいは大臣に質問の機会が今国会にない場合には、質問主意書等その他によって正式に意思を確かめます。しかと御連絡をしていただけますね。
  160. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 大臣に申し上げます。
  161. 足鹿覺

    足鹿覺君 けっこうです。
  162. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  163. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 次に、輸入豚肉問題に関する件を議題といたします。本件に対し質疑のある方は順次御発言を願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  164. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 速記を起こして。
  165. 中村波男

    ○中村波男君 豚肉の輸入にからみ脱税事件が持ち上がっておるようでありますが、したがいまして、その経過内容等をお尋ねすると同時に、豚肉の流通問題について若干質問をいたしたいと思うわけであります。  まず最初に、大蔵省にお尋ねをいたしたいのでありますが、去る二月の九日の新聞によりますと、大蔵省関税局と東京税関は、豚肉の輸入にからみ、丸紅など一流商社の多額な脱税をしていることがわかりまして捜査をされ、関係商社の捜査を行なって証拠固めを急いでおられる、こういう新聞記事が出ておったわけでありますが、その脱税額は数億円にのぼると見られるという、こういう内容でありました。したがって、相当数カ月の時日的な経過もあるわけでありますから、この捜査をされた結果、どういう事件の内容があったのか、できるだけひとつ具体的にまず御報告を求めたいと思うわけです。
  166. 本多行也

    説明員(本多行也君) お答え申し上げます。  二月の新聞に豚肉の関税通脱事件のことが載ってございまして、捜査をした直後に新聞に載ったわけでございますが、豚肉に関しましてはただいま申し上げたように、関税逋脱——関税逋脱といいますと関税法百十条でございますが、虚偽の申告等をして関税を免がれる。われわれ関税通脱といっておるわけでございますが、その容疑で大蔵省は昨年の末からいろいろやっておりまして、第一弾は昨年の末でございますが、強制捜査をいたしました。丸紅等輸入商社と代理店約三十社、これを対象に強制捜査を実施いたしたわけでございます。延べでまいりますと、本店、支店等ございますので大体約五十回ぐらいの強制捜査をしております。御指摘のとおり、調査は大体目下最終段階に入っているわけでございまして、半年ぐらいを経過したわけでございます。  その内容、手口でございますが、おもに商社がその海外の出先——各商社みな海外に出先、たとえばオストラリアでありますとシドニー、メルボルン、こういうところに出先を持っておるわけでございますが、これは現地法人になっております。そういうところと結託いたしまして不正に高価の輸入申告をする。普通は関税逋脱は低価申告というのが普通でございますが、御承知のようにこれは差額関税制度になっておりますので一定額、これは豚肉の場合政令で告示額がきまっておりますが、その告示額以上のものになりますと免税になる。こういう差額関税制度を悪用いたしまして高価申告をいたしまして、非常に簡単にはなかなか発見できないような巧妙な価格操作をいたしておりまして、これはちょうど豚肉の差額関税制度が始まったのが昭和四十五年六月でございます。したがって、税関、関税局では四十五年六月までさかのぼりましてしらみ潰しにこれをみますと非常に悪質な犯則でございます。  現在どうなっているかということでございますが、先ほど申し上げましたようにほぼ捜査は完了いたしております。犯則の規模は対象の輸入商社及び輸入代理店合計約三十社に及ぶわけでございますが、犯則の通脱金額は大体三億円にのぼります。これの処分でございますが、目下検察当局と協議をいたしておりまして結論を急いでおります。告発にするか通告処分にするかということでございますが、現状ではほぼ告発に踏み切る、こういうことにおおむねの腹をきめておる次第でございます。
  167. 中村波男

    ○中村波男君 脱税額三億円という御報告を承ったのでありますが、私が調べたところによりますと、四十六年の七月から十二月、四十七年四月から十月がいわゆる特別措置がとられたと思うのであります。したがって、その間の輸入量というのは四十六年が二万七千トン、四十七年が六万トン程度でなかろうかと思うのでありますが、この数字に対しまして脱税をしたと思われるのは何割ぐらいにのぼっておるかということはわからないでしょうか。
  168. 本多行也

    説明員(本多行也君) 目下何割ぐらいかという数字は私ども持っておりません。これも最初から全部一斉に逋脱をしているわけではございませんで、私どもの聞きましたところによりますと、たとえばA社がやる。そうすると、B社がそのうちまねをする。それから中には、そういうまねをしないというか、正しい申告をしている商社もございまして、ばらばらでございます。非常にまじめにやった——笑い話でございますが、商社の課長は、お前はまじめにやったということで、逆に左遷されたという笑い話もあるようなことを聞いておりますが、そういうぐあいで、ばらばらでございまして、一斉に全部やっているわけじゃございません。ただ昨年ぐらいはかなりの広範囲で、あそこもやったからここもやるということで、そういう風潮といいますか、犯則が慣例化しているということになったと聞いております。
  169. 中村波男

    ○中村波男君 これは畜産局長からお答えいただいたほうがいいかと思うのでありますが、いま私が申し上げました差額関税の特別措置がとられました期間ですね、いわゆる免税になった数量というものはおつかみになっておりますか。
  170. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) われわれのほうといたしましては、輸入数量でございますね。免税、先生がただいまお話ございましたように、免税期間中の減免制度実施中の輸入数量はつかんでおりますが、その減免対象になった数量なり価格というものはつかんでおりません。
  171. 本多行也

    説明員(本多行也君) 補足さしていただきます。いまの数量でございますが、私どもの調べたところによりますと、豚肉及び豚肉のくず肉の輸入量が四十五年で一万八千二百七十二トン、価格で七十八億二千八百万円、それからそのうち減免税を適用したものがございますが、それは一万五千七十五トン、割合が八二・五%、価格のほうは若干違いまして八三・九%、こういうふうになっております。四十六年が同じく豚肉、同くず肉の輸入量の数量が二万七千四百四十一トン、それから価格がこれは百十二億六千四百万円、そのうち減免税を適用したものが二万五千五百八十五トン、その割合が九三・二%でございまして、価格のほうの割合が九三・二%、同じでございます。四十七年がちょっとこれは一月から十一月まで、減免税の期間が、政令の施行が十一月まででございますが、これが六万三千百六十五トン、価格が二百七十九億六千九百万円、数量が五万三千百五十四トン、パーセンテージで八四・二%、価格のパーセンテージが八四・一%、こういうごとになっております。
  172. 中村波男

    ○中村波男君 続いて警察庁にお尋ねしたいと思うのでありますが、いわゆる豚肉輸入の差額関税制度を悪用した脱税事件を捜査中でありました兵庫県防犯課は、五月の十六日の朝に、明治屋、日本冷蔵会社を捜索された。さらに兵庫県警は七月十日朝、日本食肉市場共同会社と社団法人日本食肉市場卸売協会や田中社長及び清水会長自宅などを関税法、外国為替管理法違反の容疑で捜査を行なったという新聞記事が出ておるわけでありますが、この全容は、まだあとの事件というのは日にちがたっておりませんから御報告いただくわけにはいかないと思うのでありますが、少なくとも五月十六日から捜査をおやりになっておるのでありますので、輪郭は大体おつかみになっておると思うのでありますが、できるだけ具体的に御報告をこの機会にお聞きしておきたい。
  173. 相川孝

    説明員(相川孝君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、兵庫県警では去る五月十六日と七月十日の二回にわたりまして、ただいま問題になっております豚肉の輸入の差額関税制度を悪用いたしましたと見られる日本冷蔵株式会社、それから明治屋について、関税法違反並びにまあ私ども外為法と申しておりますが、外国為替管理法違反の容疑で、それぞれ関係個所を家宅捜索いたしました。五月十六日に家宅捜索をやりましてから、関係者を相次いで任意で取り調べをいたしておりますけれども、実は、この間に私どもが容疑を持っております事実関係が必ずしも明確にならなかったわけです。したがいまして、七月十日に御指摘がありましたように、社団法人日本食肉市場卸売協会などの捜索を行ない、引き続き関係者の取り調べを行なっておるところでございます。  それでは、日本冷蔵株式会社の容疑事実は何かと申し上げますと、四十八年二月に、台湾の中央冷凍食品股ふん公司というのですけれども、股ふん有限公司というところから仕入れました台湾産の冷凍豚肉約九十九トンの輸入申告にあたりまして、先ほど申し上げましたように、虚偽申告を行なったということです。実契約価格はCIFで一キログラム当たり約四百六十一円ぐらいでありましたのに、申告をいたしましたのは四百八十五円七十銭——一キログラム当たりの値段となっております。そしてこの関税の差額金約二百三十万円余りを関税逋脱いたしたということ、これがまあ関税法違反容疑です。それからあわせて、実契約との差額が約七千九百十五ドルですけれども、これ相当の外貨債権を発生させまして、その当事者となったという外為法違反容疑、この二つの違反事実について私どもは取り調べをいたしているわけです。また明治屋のほうでございますが、この容疑事実は四十八年の一月に、同じように台湾の中央冷凍から仕入れました約四十九トンの豚肉の輸入申告にあたりまして、日本冷蔵と同じように、申告価格を高価に偽りまして、関税差額金約百万円余りを逋脱し、約三千九百七十五ドル相当の外貨債権を発生させた当事者となったという容疑であります。  関係者をずっといままで五月十六日以降取り調べいたしておりますけれども、実は差額関税制度を利用して関税を逋脱、悪用して関税を通脱したということを関係者はいままでのところ否認をいたしておるわけです。そして私ども、どうしても関係者がその事実関係を供述段階で否認いたしております場合には、これを一そう明確といいますか、真相を明らかにするために必要な捜査を進めていく必要があるわけですけれども、その真相解明に必要な手だてといたしまして、公認されました捜索手続を用いまして関係の市場共同とか、市場協会の事務所などを今回新たに捜索を行なったということです。関係書類を今回も大体百三十点余り押収してまいりましたので、これらを今後しさいに点検いたしまして、なお、関係者を追及して事案の真相を明らかにしていきたい、そのように考えております。
  174. 中村波男

    ○中村波男君 まあこの席でいま私がお尋ねしようとする内容を弁明いただくことは無理があるかとは思うのでありますが、朝日新聞によりますと、輸入業務を代行させている共同会社と、台湾省農会などと日本の豚肉輸入業界の仲介役をしている同市場卸売協会が、共謀していることがほぼわかったため、この日の捜査は行なった。また読売は、脱税のため価格操作をしていた疑いが強まり、一斉捜査に踏み切った。毎日は、脱税契約ともいうべき密約が交わされていた事実を突きとめ、これに基づき共同会社が輸入商社に輸入値を指示していた。まあこういうような記事が報道されているわけでありますが、この内容についていま少し容疑の内容を御説明いただくことはできないですか。
  175. 相川孝

    説明員(相川孝君) 重ねての御質疑でございますが、目下捜査中でございますので、詳細については、これからの取り調べに待ちたいと思いますので、その点、御了解いただきたいと思います。  なお、私ども、これまでの取り調べで明らか——明らかといいますか、さらにはっきりさせたいと思っておりますことは、御指摘のように市場協会なり市場共同なり、あるいは日冷さんなり明治屋さんがあるわけですが、そのどこでこのような仕入れ価格をきめたのかというようなことが明らかになっていないわけです。お互いにこう、他に責任を転ずるというようないま——他に責任を転ずるというよりも、自分のところはただその言われたとおりやっただけだというような供述といいますか、捜査の段階でございます。したがって、もう少し捜査を詰めましてから、繰り返し申し上げるようになりますが、真相を解明いたしたい、まあこのように考えております。
  176. 中村波男

    ○中村波男君 兵庫県警の捜査対象になっておる内容は、台湾からの豚肉輸入でありますが、大蔵省にお尋ねいたしますが、大蔵省が今日まで捜査、調査をおやりになって、ほぼまあ捜査は完了したという御報告でありますが、この中で、台湾から輸入した商社等の脱税事件というのはあるのかないのか、その点いかがですか。
  177. 本多行也

    説明員(本多行也君) 御説明申し上げます。  まさに御指摘のとおり兵庫県警がおやりになったのは台湾からの輸入豚肉でございます。それで、実は最初申し上げましたように、去年の暮れから犯則調査にかかったわけでございますが、豚肉の輸入のメインはオーストラリア、アメリカでございまして、これにまず着目した。それで、そのうちに台湾、韓国からの豚肉の輸入があるということに気がついてまいりました。ただ、この台湾、韓国の輸入につきましては、輸入の形態がオーストラリア等と違いまして、台湾、韓国は人件費が安いものですから、丸ごとというか、いわゆるセット輸入ということで——部分肉だけについての輸入ではない。これは後発の豚肉輸入の機関が台湾、韓国から輸入するやり方でございまして、このセットで輸入するしかたというのが、なかなか関税法から見ていろいろ違反事実の心証をとるなり、あるいは論理的な解明をするのに、かなり時間がかかったわけでございます。それでもちろんこれについて着目はしていたわけでございますが、そのうち兵庫県警さんが内偵を進められまして、税関に御連絡がございまして、警察としては、これを着手したいという事前の御連絡がございまして、わがほうもそれではけっこうでございますと、いままではわがほうは手をつけていなかった分野でございますので、おやりくださいということで、警察の捜査に待ったわけでございます。そういうことで、先般、いま警察のほうからお話しがございました市場共同の手入れにつきましても、事前に御連絡がございまして、わがほうの参考になる資料も警察の方にお見せしまして、いわば密接なる連絡をとってやっているわけでございます。御指摘のように輸入のしかたがちょっと違ったものですから、わがほうは気がついてはおったんでございますが、たまたま警察の方が、そちらのほうでそちらをおやりになったと、こういう次第でございます。その後は、お互いに協力して連絡を密にして捜査をやっている次第でございます。
  178. 中村波男

    ○中村波男君 いまの御報告を聞いて一つの疑問を感ずるのでありますが、セット輸入のしかたのために、捜査がなかなか困難であった。だから手をつけないままできたところ、今回兵庫県警が手をつけられたんだと、こういうことでありますが、そこで、これは畜産局にお尋ねしたほうがよろしいかどうかわかりませんが、台湾からの輸入は、今回問題になりました明治屋、あるいは日本冷蔵以外も輸入しておるんじゃないかと思うのでありますが、その点はどうなっておるんですか。
  179. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 自由化されております豚肉でございますので、われわれのほうといたしましては詳細をつかんでおりませんが、御指摘の市場KK以外にも商社等が輸入している事実はあるようでございます。
  180. 中村波男

    ○中村波男君 摘発されたから運が悪かったということだけでは済まされない事件だと思うわけです。と申しますのは、いわゆる物価政策として、あまりにも豚肉が高騰を続けておりまするから、それを冷やすということから、差額輸入という方法をおとりになったわけでありますから、そういう中で脱税をしたというこのやり方は全く許せない行為だというふうに私は思いますだけに、本日取り上げて内容をお聞きしたわけであります。したがって警察庁におきましても、あるいは大蔵省の関税局におかれましても、公平な捜査というものを今後も続けられまして、こういう悪質な脱税というものを根本からなくするような、そういう意味における今後の対策というのを十分ひとつお立ていただくことが重要ではないか、こういうように考えて強く要望を申し上げておきたいと思います。  今度は農林省にお尋ねをいたしますが、台湾豚肉の輸入をめぐりまして脱税容疑で、日本食肉市場共同会社と、社団法人日本食肉市場卸売協会が家宅捜索を受け、また社長、会長の自宅まで捜査が及んだと、このことについてまだ取り調べ中であるから脱税をやったという断定はできないんだという、そういう認識の上にお立ちになっておるようでありますが、少なくとも兵庫県警が自宅まで家宅捜査をしたということは、相当容疑が濃厚であると考えなければならないのではないかというふうに思うわけであります。このことについて農林省としては、どうこの事態というのを見ておられるのか、まずその点からお聞きしていきたいと思うわけです。
  181. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  先ほど警察庁からもお話がございましたが、われわれが、当該事件を新聞報道等によって承知いたしまして、協会なりあるいは市場共同会社等から聴取している範囲では、先ほど話が出ました日本冷蔵なりあるいは明治屋等の関税法なり、外為法違反容疑の裏づけ捜査というようなことで、一応の捜査が行なわれたというふうに承知しております。で、そういう点でございますので、はたしてその事実がそのような違反容疑になっているかどうかという点については、やはりすでに捜査段階に入っておりますので、これらについて十分捜査の結果を待って承知いたしたいというのが考え方でございます。なお、関係者等から承知した説明では、もちろん主観的な意図を持って、脱税等を行なったというふうな説明を受けておらないわけでございます。  なお、実は台湾等の豚肉輸入につきましては、台湾等の国の特殊性もございまして、ある程度通常の米国やカナダ等との輸入と違いまして、協会と、むこうの生産者団体と基本契約を結んで、その基本契約のもとで毎年の豚肉の輸入取引が行なわれ、さらに輸入業務を、先ほど名前があがりました商社に委託するというような複雑な関係があるようでございまして、これらについては、われわれといたしましても、それがそのような関係における値ぎめその他がCIF価格の不正申告等の結果になっているかどうかというような点についても、詳細承知したいと思っているわけでございますが、関係者の話によりますと、捜索の結果、関係書類がすべて関係捜査当局の手にありますので、必ずしも十分な説明ができかねるというのが現状でございまして、私どもといたしましても、ただいま先生が御指摘関係団体なり会社等について、弁護をいたすわけは毛頭ないわけでございまして、一日も早く事実が究明されるということを期待しておるわけでございます。
  182. 中村波男

    ○中村波男君 もちろんまだ取り調べ段階でありまするから、共同会社あるいは協会について断定的なことを申し上げることは、もちろん慎重でなければならぬことも十分承知をいたしておりますが、少なくとも公益法人であるということですね。そういう点から見て、共同会社も一般的な株式会社とは性格においても違うわけでありますから、したがって、こういう会社がまた、そこに介在をいたした協会があるといたしますならば、それは問題だというふうに思うわけであります。したがいまして、結果によっては、やはりきびしい態度で農林省は二度とこのような不祥事件が起きないような対策をお立ていただくことは当然なことではないかというふうに思うわけであります。新聞にも指摘をいたしておりますが、いわゆるこれらの協会、会社には、農林省の職員が、俗にいう天下りをしておられる。こういう点も国民にたいへんな私は不信感を与えておると思うのであります。資料によりますと、日本冷蔵株式会社の副社長には、かっての農林事務次官であった西村健次郎さんが出ておられる。また日本食肉市場共同株式会社の社員は、田中良男さんで畜産局の衛生課長であった。同じく専務取締役の白井加一さんは畜産局の調査官であった。また日本食肉市場共同株式会社常務取締役は楠目亮さんで、これまた農林省振興局特産課から出られた人である。もちろん協会の会長は農林省出身である。こういうふうに見てまいりますと、何か、この農林省との癒着というものが問題にされるわけであります。そういう点では、ひとつ農林省としては厳とした態度で、行政指導を今後お続けいただくことを強く私は望むものであります。  そこで、差額関税制度が、また二カ月延期になったと、——そうでしょう。七月、八月また延期になった、三回目ですね。しかし依然として豚肉の相場というのは、高値で、下がりそうにないという、この現実に対して、素朴に国民もなぜだろうかということを、疑問を持って見ておるというふうに思いますし、私も、なぜ下がらないんだろうかというふうに考えるわけであります。まあこの七月になってからを見ましても、東京の市場相場でありまするけれども、上で、高値のときは六百十円、安値が五百五十円、加重値で五百七十六円、安いときでも上で、高値が五百六十円、安値が五百十五円、加重で五百二十八円というふうに、いわゆる高原相場といいますか、全く高値を維持しておるわけでありますが、逆な言い方をすれば、輸入量をふやし差額関税を設けておるから、この価格でとどまっているんだ。これがなかったならば六百円以上になっておるんだろうという、そういう説明もやろうと思えば、やれるんじゃないかと思うんでありますが、しかし輸入量をどんどんどんどん毎年ふやしてきた中で、生産もそんなに全体としては低下しておらない中で、もちろん消費量の増大ということは計算に入れなければなりませんけれども、それらを差し引き勘案いたしましても、少しく異常ではないかと、こういう感がするのであります。この間の事情を畜産局長としてどう分析をし、どう判断をし、またこの現状に対して今後どのように対処されようとしておるのか、この機会にひとつ具体的に御説明を承っておきたいと、こう思うわけです。
  183. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  豚肉の最近における安定上位価格を相当上回って推移しておることと、減免制度を実施しながらしかもかかる事態が現出しておるということにつきましての御指摘でございますが、最近におきます経過について申し上げますと、御案内のように、関税減免制度は本年の三月からこれを行なっております。で、安定上位価格をこえる期間が長く続きましたので、減免制度を行なったわけでございまして、その結果、輸入が相当量ふえまして三月、四月、五月と各月一万トン以上の輸入が行なわれたわけでございます。その結果、四月上旬から五百三十円台をピークといたしまして、四百円台にこの価格が値下がりに転じたわけでございます。こういう事態でございましたので、最近における豚肉の出荷動向その他も見まして、ほぼ価格上昇も鎮静化するというふうな判断をしておりましたところが、六月に入りまして非常に価格が、卸売り価格が相当また上回る結果となってきたということでございます。この点については、その事柄に藉口するわけではございませんけれども、やはり魚類の汚染問題等を契機として豚肉に対する需要が小売り筋なり市場筋の話では急増しておるというようなふうな事情の説明があるわけでございまして、その結果、われわれといたしましては、六月から再び二カ月間の減免の延長をとったわけでございますが、豚肉につきましては、一つは、輸入豚肉は冷蔵ものでございまして、先生も御案内のとおりで恐縮でございますが、ハム等の加工品の代替物、したがって、内需への圧力を輸入肉によって振りかえて、したがって生肉価格を安定させるという関係でございまして、輸入牛肉のように直接国内牛肉との代替関係が少ないわけでございます。したがって、まあ相当輸入豚肉は入っておりますが、七身ごろの需要最盛期になる加工品の手当てという関係の面もございまして、輸入はふえておりますが、価格の、生肉の生食用の一般家庭用の肉が下がっておらないというのが実情でございます。ただ、最近のこの四、五日の経過を見ますと、ようやくその騰勢が一段落を告げたというふうな推移も見えてまいりまして、五百二、三十円台に、一ころ六百円台に近かった価格が五百二、三十円台に相なってきておるということでございまして、まあ過去の豚の種つけの動向なり、出荷動向を見ますと、供給も若干七、八、九等にふえるような判断もしておりますので、値段といたしましては、鎮静化に向かうものではないかというふうに判断をしております。
  184. 中村波男

    ○中村波男君 四月ごろには、ある程度豚肉が下がり差して、農林省としても、関税の特別措置を延期しなくてもいいんじゃないかというようなふうに見ておられたようでありますが、五月ごろから六月にかけまして、まただんだんとじりじり上がってきまして、三回目のいわゆる差額減税を続けなければならぬ、こういう結果になったわけでありますが、その間、いわゆるこの特別措置を続けさせるために、商社等が価格操作をやったんじゃないか、こういう見方があるわけでありますが、脱税をするような商社でありますから、そういうこともやりかねないと、全くこれはうわさとして放置してよろしいのかどうか、こういう点については、私も問題があるというふうに考えるのであります。したがいまして、農林省として、どれぐらいの価格に安定させることが望ましいかと、安定指標といいますか、そういうものをお持ちになっておるのかどうか。そこへ落ちつかせるために、やはり政策というのの焦点を合わせなければならないんじゃないか、こういうことを感ずるのでありますが、その点どうですか。
  185. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 前段のその関税減免期間を延長するために人為的な操作があったのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては先ほど簡単に触れましたように、六月に入りまして魚類汚染問題その他がございまして、相当な需要の度が強くなったという点が一つかと思いますし、また、減免制度、実施の前提は東京の卸売り市場の価格関係でございまして、そこで急な買いが入ったとか、あるいは価格操作が行なわれたとかという点については、われわれも深甚な注意を払っておったわけでございますが、そのような事実はなくて、一般的な需給関係の結果であるというふうに判断をしておるわけでございます。  なお、高い豚肉価格について、一定の安定のめどをどこに求めて、どういう考えで、施策を進めていくかという御指摘でございますが、この点につきましては、先生のもう十分に御案内のとおり、本年度、四十八年度の豚肉の安定価格、安定帯は、下限基準価格が三百八十円、上限が四耳六十五円でございますが、残念ながら、需給が非常にタイトであるために、現在のような価格水準になっておるというのが実情でございます。で、四百六十五円と三百八十円でございますが、その上限価格付近に安定させることが一つのめどになっておるわけでございます。  これについては、牛肉その他と違いまして、相当生産期間が短いわけでございますが、基本的には需給の不均衡があるわけでございまして、やはり生産対策を強化し、その出荷を督励していくというような点によって、需給の不均衡を是正していくということが基本かと思うわけでございます。
  186. 中村波男

    ○中村波男君 いま御説明のあった安定価格帯の上限が四百六十五円、下限が三百八十円、これが、飼料の値上がり、一般的な物価の値上がり、また水質汚濁防止法が畜産に適用された現在において、公害施設等に相当な金を要する、費用を要するという状況から見て、いま局長がおっしゃった四百六十五円、いわゆる上限価格程度に安定させるという方針が現実的であるかどうか、妥当な価格であるかどうかということについては、私は疑問に感ずるわけであります。もう少し高いところで安定的供給がはかられるならば、よろしいのではないかということも感ずるわけであります。問題は、五百五十円も六百円もするところに、問題があるんじゃないかというふうに考えるわけであります。したがって、こういう点についても、次期の改定期には、相当慎重に検討をされて、まず、妥当な安定帯というのをしいていただく、その上に立って、関税の減税措置が、また金額として出てくるわけでありますから、そういう点をひとつ検討をされる必要があるんじゃないかと、こう考えておるわけであります。  問題は、いかにして豚肉の生産を、国内でふやすかということに尽きると思うのであります。従来のような、幸いか、不幸かは別にしてですね、ビッグサイクル的な傾向というのは、だんだん狭まったといいますか、少なくなったと申しまするか、この点はたいへんよろしい傾向だと思うのでありますが、しかし、実際問題としては、豚の生産というのが思うにまかせない。どこに原因があるかということについて、どういう認識の上で今後進めようとされておるのか、この機会に明らかにしていただけたらと思うわけであります。
  187. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  豚肉の価格は、時期によるフレはございますが、この二年間ぐらい比較的高水準で推移してまいった。しかるにかかわらず、従来は、価格の刺激が生産の増加、供給増につながって、これがまた低落という反動を招いたわけでございます。——供給増の刺激になってきたということは事実でございます。  最近における豚価水準の比較的な高い水準にもかかわらず、先生ただいま御指摘のような、生産の増加なり供給の増加というものを見ないと、この要因が一つの大きな問題でございます。われわれといたしましても、この点について、いろいろ検討をいたしまして、昨年秋、部外者とも懇談会等を設けて検討をしたわけでございますが、一つには、先生御案内のとおり、豚の飼養形態は急速な勢いで多頭化しております、肥育段階において。ところが、これを供給いたします元豚の供給段階としての繁殖経営、この規模が非常に零細でございまして、肥育規模の多頭化に応ずるような繁殖経営の規模拡大が行なわれておらない。そこにボトルネックがあるという点が生産段階における一つの大きな点であろうというふうに考えられたわけでございます。  それから第二点は、やはり公害の問題でございまして、しばしば指摘されるように、公害問題は豚と鶏に——他の畜種においても起きておりますけれども、最も大きな問題でございまして、この二点がやはり豚肉の生産増加なり供給増加の一つの大きな点ではないかというふうに認識したわけでございまして、事こまかく申し上げませんが、四十八年度の関係においては、従来酪農ないし肉牛等に比べましてやや生産をはじめとする諸対策において手薄でございました豚対策につきましても、予算額等を相当大幅に充実いたしました。また公害対策等につきましては、昨年秋先生からも当委員会においていろいろ事実上の御指摘があったと思いますが、具体的内容は御質問があればお答え申し上げますが、従来の予算規模をはるかに規模としても上回り、内容としても強化しているというような方向で、やはり生産対策は、やや時間を要しますが、その問題、基礎的な強化という点について進めてまいりたいというふうに考えております。
  188. 中村波男

    ○中村波男君 予定の時間が残り少なくなりましたので、また別な機会にいろいろ具体的な内容については指摘をし見解を求めたいと思いますが、午前中、同僚の工藤委員からも質問がなされたようでありますが、私その答弁等も聞いておりませんので、重複した質問になろうかと思いますが、最近、いわゆる畜産の奇病といいますか、奇形なものがどんどん出てまいりまして、どこに原因があるのかということについていろいろと論議がされておりますが、まだこれらの原因については究明されておらない。したがって、まず問題解決は、どうしてこういう奇形の牛や豚が生まれるのか、また奇病に取りつかれるのかという、原因因果関係を明らかにする必要がある。それについて農林省としてどのような研究がなされておるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  189. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、最近における牛の死流産なり奇形児の出産なり、あるいは豚の問題等についていろいろ問題が提起されておりますが、それらのうちの主要なものについての状況と、その解明の現段階等についての、専門的立場からの中間段階についての判断を申し上げてみたいと思うわけでございます。  第一点の、昨年夏以来、鹿児島、宮崎、熊本等の、南九州から起こりまして中・四国及び南関東に発生いたしました牛の死流産につきましては、これは本年の二月以降急速に終息に向かいまして、ほぼ終息したというわけでございます。これについては、発生が起こりました際、直ちに現地においても、あるいは中央におきましても、家畜衛生試験場その他の試験研究機関なりあるいは現地の大学なり、家畜保健衛生所という、それぞれの段階において、究明につとめてきたわけでございます。そして飼育管理なり、環境なり、あるいは牛でございますので、人工受精なりあるいは導入先というような、それぞれの因果関係について、いろいろ検討したわけでございますけれども、現在われわれの専門的な判断におきましては、その疫学的な特性とか、あるいは小牛からの脳髄等から見られる採取されたウイルス等の関係とか、あるいは親牛には影響がないとか、もろもろ専門的な立場から検討いたしまして——ウイルスではあるまいかというような点で、いかなるウイルスであるかということについて家畜衛生試験場においてその同定を急いでおるというのが現状でございます。  それから第二点の、牛の腫瘍とか関節炎とか、いろいろな豚の問題が提起されておりますが、これについては、多頭飼育に伴いまして畜舎内において敷きわらを敷かないで、コンクリート床で飼育するという問題から、ブドウ状菌等が入りまして、かいようを起こし、さらに関節炎を引き起こしているというような事例が大部分であろうというふうに現在考えられておるわけでございまして、これは、他の多頭飼育が行なわれている諸外国においてもこの症状が見られるというような事例等もあるようでございますが、いずれにいたしましても、これらが単にただいま申し上げましたような原因ではなく、ほかのえさ等に基づく原因ではないかというようないろいろな御指摘もございますので、その関係の子豚等を家畜衛生試験所等において現在各方面から実験に供し、各方面から原因究明につとめておるというのが現段階の実情でございます。
  190. 中村波男

    ○中村波男君 実は昨日、中部地区連合獣医師会の会長武藤六三郎さんの名前で、鈴木政務次官に代表が、陳情をされたわけであります。きのうは、局長さんに農林省でお会いいたしたいと思ってお伺いしたわけですけれども、あいにく御不在でありまして、陳情団を会わせることができなかったわけでありますが、この中部獣医師会におきましても、配合飼料が原因ではないかという大きな疑問を投げかけて、獣医師会として独自にいろいろ研究をされておるようでありますが、そこで疑わしきものは使わず、というこの原則に立ちまして、できるだけ、飼料の中に疑わしいものは配合しないようにする、食わせないようにする。そういう意味からいいまして、いままでの栄養表示といいますか、養分表示を改めて、品質表示に変えるべきでないかという強い要望が出されておるわけであります。  この点については畜産局といたしましても、前向きで御検討いただいておるようでありますが、ぜひひとつ、できるだけ早い機会に、関係法律を改正されまして、いわゆる品質表示をさせるようにされたらいかがなものであろうか。ゆうべのNHKのニュースでもこれを取り上げておりましたけれども、品質表示をさせると、それだけ経費がかかるとか、あるいは相当その表示をさせるために、複雑だとかというような理由で、飼料製造会社等が強く反対をしておる、そういうこともあって農林省も二の足を踏んでおられるんじゃないか。こういう内容のテレビのニュースが流されたわけでありますが、そういうことがもし理由で、品質表示がよろしいんだという上に立ちながら、これに手をつけないというようなことがあってはならぬというふうに私は思うわけであります。これだけ社会的に不安を投げかけておるのでありますから、ぜひひとつこの点は前向きで早急に改正するように検討をしていただきたい。鈴木政務次官もそういう意味の、きのう発言をなさったようでありますが、もう一度この場で確認をしておきたいと思うわけであります。
  191. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、現在の飼料の品質改善に関する法律制度におきましては、先生のお話しのような成分表示に相なっておるわけでございます。で、この成分表示につきましては、従来わが国における飼料の、最終段階の飼料の大半を占めております配合飼料につきまして、そのときそのときのメーカーの原料の手当てが、同じたん白質飼料としても、魚粉が割り安である場合は魚粉にすると、それから大豆かすが有利である、割り安であれば大豆かすをたん白分とするというようなことで、二十数種類にわたります配合飼料原料の中で、組み合わせが相当短い期間でも変わるというような事態があったようでございます。したがいまして、まあ実情に即して、また諸外国でも成分表示で行なっている例もあるというようなことで、成分表示をとってきたわけでございます。したがいまして、その点については、私どもは、一応はそういう意味もあったのではないかというふうに考えておるわけでございますが、ただいまもお話しのように、畜産物を通ずる人体への安全性とか、そういう問題と関連いたしまして、いかなるえさが原料として使われたかという点については、大きな国民的関心事でございますし、また畜産物の消費を確保するためにも、安全なえさが使われているということも必要であるわけでございますので、この点につきましては、原料表示への積極的な検討をいたすべきものというふうに考えております。
  192. 中村波男

    ○中村波男君 もう一つ最後にただしておきたいと思うのでありますが、専門家でありませんから、もちろん専門的知識を持たないわけでありますが、抗生物質の薬品が病気の予防として飼料の中に相当量混入されておる。本来、抗生物質というのは治療に使うべきもので、病気の予防に使わせることには問題があるんじゃないか、こう思うわけです。したがって、いわゆる畜産農家はそういう知識を持たないものですから、病気がおそろしい。だから、抗生物質の薬品を常に食べさせておけば、病気にならないのだというような、そういう何といいますか、過信と申しますか、知識がないためにそれを好んで与えるというような面があるのじゃないか。したがって、この点についてはいろいろ専門家の間では、牛の奇病等もそういうところから原因がきておるのじゃないかというような見方もあるようでございます。この点について、いまのやり方でよろしいという見解の上にお立ちになるのか、検討を要するという立場で今後検討をされるのか、その点を明らかにしていただきたいと思うわけです。
  193. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  抗生物質につきましては、配合飼料の添加物としては、成長促進意味が家畜栄養学的にはあるということで、いろいろなものについては、これを入れることを認めておるというのが第一点でございます。これについては、その量なり使用基準等については、飼料添加物公定書という制度を設けまして、一定の学識経験者検討の結果、基準を定めております。  次に、予防的な段階になりますと、これは要指示薬、動物医薬品としての要指示薬としておりまして、獣医師の処法に従って実需農家が依頼した上でメーカーがこれを配合するというたてまえになっておるわけでございますが、先生指摘のように、ややもすると家畜飼養農家等で、抗生物質等を多量に入れておけば、それによって病気にならないというような点もございますので、実は先般も、各種の飼料の安全な、品質確保の問題も出ておりますので、末端に対してそのたてまえの貫徹ということを指導しておるわけでございますが、その点で多量な使用による家畜自体の異常性、あるいは畜産物への残留というような問題について、さらに効果的な方法等については検討をしてまいりたいというように思っております。
  194. 中村波男

    ○中村波男君 最後に、鈴木政務次官からお答えをいただければ幸いでありますが、きょう私が、この問題を特に取り上げて農林省の見解をただしましたのも、御承知のように、公益法人がこれらを、いわゆる脱税に関係しておるという疑いを持たれたことははなはだ遺憾だと思うからです。幾ら農林省が、できるだけ豚肉の価格を安定させようとして輸入量をおふやしになっても、小売り値というのは一向安くならない。そういう中で、背後には業者のもうけ本位の価格操作が隠されておる。四十六年の十月に自由化されましたものの、国内相場は値上がりする一方だ。したがって、結果的には輸入でもうけて、脱税でもうけて、商社の猛烈商法の陰で国民大衆が高い豚肉を食わされて泣かなければならぬ。こういう実態の中でありまするから、少なくとも、公益法人として認可を与えておるのでありまするから、今後十分この事件に関係ある、ないは別にいたしましても、行政指導をぜひお願いしたいと思うわけです。  農林省として、きょうここで申し上げるのはどうかと思うのでありますが、私ちょっと調べたんでありますが、社団法人、財団法人、すなわち公益法人が農林省だけで三百九十四あるわけですね。畜産局だけで局長幾つあると御存じですか——八十九あるわけですよ。この内容を十分まだ調べておりませんけれども、全く開店休業のものもある。同じような性格、同じような機能を持ったようなものもあるように見受けられるわけですね。こういう点については、これは畜産局だけで手をつけるということではないと思いますが、できないかもわかりませんが、次官、ひとつ農林省として公益法人について、もう少し厳重に内容を審査されて、廃止すべきものは廃止する。それから、天下り等の批判を受けるような人事というのは、できるだけこれはやめられるべきだというふうに思うわけです。そういう点を最後に強く要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  195. 鈴木省吾

    政府委員(鈴木省吾君) 食肉共同会社なり、あるいは飼料協会が関係あるか、ないかわかりませんけれども、とにかく取り調べを受けなければならないというような事態になりましたことはまことに遺憾に考えます。また、指導監督にある者としても、今後十分厳正な指導なり監督をしてまいりたい、かように考えております。  さらに御指摘のたくさんの公益法人、指導監督のもとにある公益法人につきましては、お話のような点を十分考えまして、再検討を加え、また適正な指導をすべきところは適正な指導あるいは監督をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  196. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会      —————・—————