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塚田大願君 私も今回の
調査に参加をいたしまして、事態の深刻さについては、もう先ほどから具体的な事例がたくさん述べられましたので、繰り返す必要はないと思うのでありまするけれ
ども、私
どもが
陳情を受けますと、とにかくそれはもう何と表現していいか、その地元の
漁民の皆さん、関連業者の皆さんの不安、焦燥、怒り、これはちょっと表現のしょうがないのですね。特に
漁民の皆さんというのは、たいへん口が荒いですから非常に激しいです。こういう
陳情は、私もずいぶんいろいろいろんな機会で
陳情もいただきましたけれ
ども、今度の
陳情は最も激しいものだ、深刻なものだったというふうに受けとめております。
で、私はそういう
陳情を受けまして感じましたのは、一番不安で私自身が心配しましたのは、やはりそういう不安とか焦燥、怒りというものが、結局は政治的不信につながっていく。いまの政府は何にもやってくれない、自民党も何をやっているんだ
——これは初村さん、
園田さんもいらっしゃるから率直に言うけれ
ども、もう自民党さんを名指しで批判がされる。国
会議員は何をやっているのだと。今度はわれわれのところにきます。この間も衆議院議員の
調査団が
調査に来た。しかし帰って国会で何を
質問したか、議事録を見たけれ
ども、たいしたことは出ていないじゃないか。相当深くやはり国会の動きも注目されておりまして、批判が出ました。そういう点から見まして、私は今度の
調査に参加いたしまして、やはり政治の重さというもの、政治の
責任の重さというもの、行政の
責任の重さというものをほんとうに痛感してきたわけであります。
そこで、私いろいろ政府に
質問申し上げたいわけでありますが、きょうは
環境庁長官もいらっしゃらないというようなことで、まことに残念ですが、私まず第一に聞きたいと思うのは、この事態の認識の問題、いま
現状が、どんなふうな
現状になっているかというこの現場の
実情、あるいはこういう事態になった根本原因についての反省、こういうものをはたして政府は、お持ちなのかどうかということをまず第一にお聞きしたいわけであります。しかし、きょうもたくさん
質問がありまして、
答弁が行なわれましたが、みんな
検討中である、
調査中である、計画中であると、まあ大体こんなところでしょう。皆さん聞いていらっしゃった方は全部お感じになったと思うのだが、私もそう感じます。田中内閣は「決断と実行」という看板が出ていますけれ
ども、決断と実行なんか、この場合少なくとも何にもないということを私は率直に申し上げることができるのじゃないか。たとえば今度の第三
水俣の原因になりました日本合成、先ほどからいろいろ出ました三井東圧の場合もそうでありますけれ
ども。とにかく日本合成の場合は、三十四年に熊大の有機
水銀説が
発表されまして、
水俣病の原因というものがこの時点でわかったわけでありますが、その後もなおかつチッソと同じアセトアルデヒド工法で
水銀をたれ流した。大体これを四十年ごろまでやっておったわけでありますね。六年も七年も平気で
水銀をたれ流している。これを許しておったというこの政府の態度、あるいはチッソの場合でも、四十三年に
公害が
認定されて、それ以後今日まで五年間あの
水俣湾の
水銀の処理というものが全然行なわれようとしてなかった。今度たいへんあわてて、港湾のしゅんせつをどうするかなんという問題が運輸省で考えておられますけれ
ども、一体こういう長い期間何をしていたんだという問題であります。
あるいは、いまの
質問にもございましたが、通産省が
企業の
水銀の処理
状況をまだ正確に把握していない。こういう点を見ますと、結局政府の
公害対策というものは、人体実験による
公害対策ではないか。人体実験をして初めて
対策を考えていく。つまり、
水俣病などが出てこなければ、今度の第三
水俣にしてもそうですが、これが出てこなければやはり
対策というものは全く考えられていなかったというふうな
現状ですね。こういう
公害対策、人体実験、おそるべきことだと思うのですよ。そして初めて
対策が考えられる。私は、ここに政府の
公害に対する認識と反省がいかにあるべきかという問題をここであらためて私は
質問したいのです。
しかし、おそらくこれは
課長やなんかにお聞きしても、これは無理のことでしょう。また閣僚としては農林大臣一人しかいらっしゃらないが、これも担当外だというふうなお話ですから、これはきょうはこの問題は保留しておきます。この次に機会がありましたら、
環境庁長官に私は徹底的に聞いてみたい、こう思っています。
それで、この問題については
答弁をいただくのを保留しておきますが、まず最初に
厚生省にお伺いします。
あの例の暫定
基準の問題ですが、先ほどからもいろいろ出ました〇・三PPMの
基準。これはこの間この
委員会で厚生大臣に私聞きました。この〇・三PPMというのはあまいのじゃないか、この
基準では。そうしましたら、厚生大臣は、いや、これは
専門家会議できめていただいた、アメリカなんかよりもきびしくしてありますと、こういう
お答えでございました。時間がなくて、それ以上進みませんでしたが、しかし、この〇・三PPMというのはFAO、WHOの週間暫定摂取許容量の
基準と同じですね。これはそうでしょう。しかし、この計算にいたしましても、計算どおりで正確にやればこれは〇・三PPMにならないのですよ。ほんとうは〇・二二三PPMですか、こういうことになるはずであります。ところが、
厚生省は、この場合端数を切り上げた、そうして〇・三にしたんだと、こういう
説明になっているわけであります。しかし考えてみれば、ほんとうに
国民の健康ということを考えれば、つまり安全サイドで考えれば、これはむしろ切り上げるのではなくて、切り捨てなければならない。〇・二PPMでなければ理屈に合わないのです、ほんとうならば。〇・二二三PPMですが、これは端数を切り下げて、そうして〇・二PPMにするというのが、これが
一般の
国民の立場に立てば、当然常識的な処置だろうと思うのですけれ
ども、そういうふうにならずに、反対に切り上げた。この辺はどうなんですか、
厚生省。どういうふうにこの点は考えていらっしゃるのですか。