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1973-06-07 第71回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月七日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀井 善彰君     理 事                 佐藤  隆君                 初村瀧一郎君                 工藤 良平君                 中村 波男君                 塩出 啓典君     委 員                 河口 陽一君                 田口長治郎君                 高橋雄之助君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 足鹿  覺君                 杉原 一雄君                 辻  一彦君                 村田 秀三君                 塚田 大願君    政府委員        農林政務次官   鈴木 省吾君        農林省農林経済  内村 良英君        局長    事務局側        常任委員会専門  宮出 秀雄君        員    参考人        全国農業協同組        合中央会会長   宮脇 朝男君        農林中央金庫理        事長       片柳 真吉君        財団法人協同組        合経営研究所理        事長       一楽 照雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○農水産業協同組合貯金保険法案内閣提出、衆  議院送付) ○農林中央金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法案農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、参考人意見を聴取いたします。  参考人としては、全国農業協同組合中央会会長宮脇朝男君、農林中央金庫理事長片柳真吉君、財団法人協同組合経営研究所理事長、一楽照雄君の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙の中をお出かけいただきまして、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  参考人におかれましては、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願いを申し上げます。  なお、議事の進め方といたしまして、初めに参考人からお一人十五分程度の御意見をお述べいただき、引き続いて委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、宮脇参考人からお願いをいたします。
  3. 宮脇朝男

    参考人宮脇朝男君) 私、参考人としてお呼びいただきまして、農業金融拡充強化関連いたします四法案について当委員会先生方御審議の御参考に、私の意見を聞いていただくことを厚くお礼を申し上げます。  まずこの法律案につきましては、かいつまんで申しまして、いままでの法律の中では、社会経済情勢の急速な変化に対応できない、いうならば、からだに洋服が合わない部分が出てまいった。したがってその部分を直してもらって、合うような服にしてもらいたい、こういうのが内容でございます。他の参考人、とりわけ農林中央金庫片柳理事長等から金融関係につきましての御意見があるかと思いますので、私はむしろ農業協同組合法関係につきまして述べたいと思います。  農業協同組合法は、今日この法律のもとで、全国のほとんどの農家組合員となって、一つ農業生産、あるいは他面農家生活におきまして、組合要求する、また期待する機能発揮いたしてまいっておるのでございます。だからその第一は、生産共同体としまして、農業生産拡大を通じまして、農家生活の安定なり、組合員の社会的、経済的方向なりに寄与しようとしていることであります。私が全国農協中央会長昭和四十二年に就任いたしました当時は、営農技術職員というのは、全国単協で一万二千名程度しかおらなかったのであります。その後、生産共同体として、また農家農業生産に対する技術営農の指導について、機能発揮要求されますために、これを拡充いたすということでもって努力をいたしてまいりました結果、今日の時点では一万五千五百名程度拡充をされておる。四十二年時点から見ますると、三千余りの職員強化されたというような状況でございます。  こういう状況でありますが、農家農業経営の中におきましても、一つは、一般物価賃金が今日のようにだんだん高くなってきておりますので、金の分野でも、営農資金等につきましても、相当金額が大きくかさばってまいる。そのことにつきましては、近代化資金等でも、いろいろ政府関係でも配慮をしていただいておりますけれども農業協同組合みずからの金融の中におきましても、相当供給の量を多くしていかないと間に合わない。そういう点も現実の問題として生まれてまいっておる次第でございます。  また、最近における取引、とりわけ金融関係におきましては、手形の割引であるとか、あるいは債務の保証であるとかという問題が、これまたいやおうなく日常の組合員から要求される、当然果たさなければならない仕事として数多く出てまいっておるという点、これにも対応してまいらなければならない。  さらに、地方、その地域におきまして、いろいろ最近の情勢に行政が対応する。したがって、市町村なり、あるいは市町村等主体になっております公社、都道府県が主体になっている公社、こういった非営利法人といいますか、そういった性格法人がいろいろその地域の開発なり、あるいは改善なりをする。もちろん、これとその地域農家組合員営農とは不可分の関係でありまして、放任しておくわけにはまいらぬというものにつきましての資金需要等も、当然に農業協同組合として対応が要求される、これらの問題。  また、最近におきましては、非常に、国民住宅要求等におきまして、これを充足するということに、国としての政策指向もそのほうに向いておりますし、府県も同様でございます。私どもは、現在の土地私有権個人財産権が非常に強く保障されておるわが国といたしまして、なかなか^今日の物価高、とりわけインフレ的傾向の中におきまして、しかも一般国民大衆住宅需要、こういったものに対しまして、いわゆる土地を持っておるというのは、大ざっぱに言いまして、むしろ農業者農民が、自分の営農の当然の土台といたしまして土地を持っております。これらの土地に対しまして、むしろ、住宅地としてよろしく提供さるべきであるという声が社会的にも強い。こういう点が、過般の市街化農地宅地並み課税等においても極端にあらわれてまいっておりますので、むしろ課税の面から、税制の面から手放さざるを得ぬようにしむけていこうという意図がありますように、地方におきましても、宅地要求というものは社会的に相当強いものがございます。これを背景といたしまして、いわゆるデベロッパー等の買いあさりも出てまいります。一つは、インフレに対するヘッジもございましょうし、それらに対しまして、ただそれを傍観するわけにはいかない、したがって農地として非常に優秀な農地、またその地域農業経営から見まして、農地として残していくことが適当なところは残していくと同時に、生産性が低いとかその他の条件で、むしろ住宅地として活用することのほうがどうしてもいいであろうといわれるような点につきましては、単にデベロッパー等土地買いあさりの対象として放任しておくのではなくて、積極的にその農地農協に委託、もしくは農家みずからが、ともあれ宅地として借家アパート等を、むしろ協同組合の手なり協同組合組合員の手みずからでつくりまして、住宅需要を充足していこうということが、社会的な要求にもこたえるであろうし、また、インフレ傾向の中で農家自体財産を守っていくという点からも、早く手放すよりは、持っておきまして、今後の物価賃金等の変動に見合う借家賃等の改定をいたしまして、農民自体インフレの中で収奪されていく、あるいはこういうどさくさの機会土地を手放してしまうというふうなことのないような配慮を当然しなくちゃならないというふうに思いますので・そういうことをも含めまして、今度の法の改正の中で片をつけてもらいたい。こういう点が、私どもお願いを申し上げ、また今度の法律案の中で一般情勢変化に対応するために一部改正をしていただくと好都合であるという内容でございます。  また、農業協同組合が、今日のような急速な変化の中におきまして、やはり合併等がどんどん進んでおる、進まざるを得ない、こういう状況でございます。そういう中でやはりいろいろの問題が起きてまいりますので、合併に伴って起きるであろう、また現実に起こりつつある資産負債等の処理の問題等につきましても、今度の改正法律案の中で措置をしていただければけっこうだと、こういうことが内容でございます。  ただ、私ども農業協同組合は、いま・国際化の中で、非常に、農業それ自体、また農家生活、暮らしそれ自体の中で、将来に対する展望がなかなか持ち得られないというところに、不安を組合員が持っております。もちろん、これは、国際化の中における日本農業のあり方が政策的に発揮されなければならないのでございますが、いまの段階におきましては、絶えず政策的にも振幅がございまして、これは農産物自体の問題の性格上、工業生産品でございませんから、自然条件の中で、もはや、経済合理主義の上に立って、食糧国際分業の上に立っていくほうが正しいのであるというような考え方でいままで指導されてき、あるいはそういう方向政策も向けてきたかのようでありますけれども、最近におきましては、そういうことではいかないんだ。やっぱりある程度農業土台をしっかりしまして、その上に国民食糧相当部分は自給しないと、他国依存というものは、その国の国民が食うてなおかつ余った場合にのみ人畜食糧が分けてもらえる。そうじゃない限りだめなんだということが具体的に実証されようとしております。こういう点につきまして、やはり国際化全体を否定するものじゃございません。ございませんけれども、その中における国の独自性といいますか、その国における重要な国民食生活の根底だけは大きく動揺しないものにしなくてはなるまい。これはやはり農業の安定をおいて期待できませんので、それらとの関連におきまして、この際はぜひ、要請いたしておりますこれらの関係四つ法案先生方によりまして御審議いただきまして、すみやかにこれをおきめいただきたい、また通していただきたいということを念願しておるものでございます。  御批判あるいは御質問あらんかと思いますが、微細につきましては私もお答えできない点があるかもしれませんが、大筋につきましてお尋ねがございましたらお答えいたしたいと存じておる次第でございます。  ただ、最後に申し上げておきたいことは、いろいろむずかしい状況でありますけれども日本農業のむしろ今後の発展なり農協組合員要求にこたえるための努力を、農業協同組合組織の番人として全国農協中央会が負わされておるという責任なり義務、それらの意識につきましては十分に覚悟いたして日常やっておるつもりでございます。  よろしくお願いを申し上げたいと思っております。
  4. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ありがとうございました。  次に、片柳参考人お願いいたします。
  5. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) 農林中金理事長でございます。  御指名に従いまして、農林中金法を中心といたしまして、それに関連する法案にも触れまして意見を申し上げて御参考に供したいと思います。このような機会を与えていただきましてあつく御礼を申し上げます。  最初に、農業金融農協系統金融現状と、その中で農林中央金庫が果たしておりまする役割り等につきまして、ごくかいつまんでまず御報告を申し上げたいと存じます。  まず、昭和四十七年三月末現在の全国主要金融機関、これは政府機関を含んでおりまするが生保、損保は除いておりまするが、全国主要金融機関貸し出し総残高は約八十六兆円でございまして、このうち農業に対する貸し出しは、全貸し出しの六・四%、五兆六千億となっておるような状況でございます。この数字が多いか少ないかはいろいろな見方があると存じまするが、このような五兆六千億になりますと、農業産出額の約一・三倍にのぼる数字でございまして、まずまずの貸し出しがされておるとマクロ的には見ることができると存じます。  ところで、この農業貸し出し五兆六千億につきまして、系統金融がどのような地位を占めておるかと申しますると、この八割近い四兆四千億円は私ども系統金融が担当しております。その残りの十数%が農林漁業金融公庫が担当しております。一般金融機関のシェアは五%弱というような数字になっておるような状況でございます。  系統金融は、その使命にかんがみまして、当然のことではございますが、協同組織の長所を生かし、他の金融機関では担当しがたい農業金融に取り組んでおるのでございまして、この分野では、御承知のように、諸外国にあまり例を見ないほどの重要な役割りを果たしているといっても過言ではないかと存じておるわけでございまして、私ども組合金融系統金融責任の重さを痛感をしておるような次第でございます。  さて、私ども金庫系統金融全国機関として果たすべき役割りでございますが、要約いたしますると、大体三点になろうかと存じまするが、第一は、系統金融拡充強化の線に沿いまして全国金融機関としての機能、特に単協信連を補完する機能を十全に発揮すること、これが第一でございます。第二は、一般金融市場との接点に立ちまして、国民経済発展に資するよう機能いたしまして、あわせて系統資金の効率的な運用をはかり農村負託にこたえること、第三は系統体質改善を進めまして総合的な金融機能充実すること、この三点になると存じます。  少しく具体的に申し上げますると、第一の組合金融拡充強化は、資金増強貸し出し機能伸長でございます。系統金融資金増強につきましては、今日まで組織的、計画的な貯蓄運動を推進をしておりまして、現在農協貯金十兆円、漁協貯金五千億円の達成に向かって着々成果をあげておるような昨今の状況でございます。同時に、これと並行いたしまして、貯金者保護のための自主的な特別の施設を設け、単協信連金庫一体となって努力してまいったところでございますが、御高承のとおり、一般金融機関について預金保険法が制定されましたこととの均衡もございまして、農協漁協にも同様の措置を講じていただきたいと存じまして、このような公的な施設と、従来やっておりまする自主的な制度と相まちまして貯金者保護なり信用保持に遺憾なきを期したいと存じております。  次に農林漁業に対する貸し出し機能伸長につきましては、今後一そう努力すべきは言をまたないところでありまして、単協信連金庫がおのおのそのところを得ましてそれぞれの機能が十全に発揮できるようにすべきであると存ずるのでございます。融資分野拡大関連する農協法金庫法改正お願いいたしましたゆえんもここにあるのでございまして、先ほどの宮脇参考人の御意見も同趣旨だと存じます。金庫といたしましては、今日まで単協信連段階で十分な機能発揮ができるようにするため貸し出し実務の研修、情報の提供、低利な原資供給などに意を用いまするとともに、地域業種規模等の特性から単協信連で対応できにくいもの、たとえば開拓関係でございますとか、果樹、畜産等専門農協がこれにあたると存じますが、そういうものに対して積極的な融資をいたしてまいったのでありますが、この際金庫補完機能を一歩進めまして農林水産業者の大口、長期の資金需要であって単協等で対応できないものにつきまして直接融資の道を開いていただき、大規模農業の育成にお役に立ちたいと考えておる次第であります。  また農村社会資本充実のおくれが指摘され、農村意図と逆行した地域開発が批判されておりまする昨今の情勢にかんがみまして、農村の理解の上に立った公共性の強い農村地域開発に新しく融資の道を開いていただきまして、農村環境整備に積極的に取り組ませていただくことを要望しているところでございます。  なお、貸し出し伸長にあたっては、農協資金活用のための融資制度改正拡大するのはもちろん、信用補完措置強化する必要のあることは申すまでもないところでございまして、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法改正法の成立をこの点から強く要望するものでございます。  農業貸し出しは昨今やや低迷気味でございますが、真に農村の繁栄のためにはこれでよいというわけにはいかないことは申すまでもございません。また、生活資金等庶民金融という面につきましても、さらに努力が重ねられなければならないと存ずるのでございます。このような趣旨におきまして農村における生産から生活にわたる本格的な農政確立を強く要望する次第でございまして、そのようになりまするときは、金庫の果たすべき役割りはいよいよ重大となってまいり、系統に対する資金の供与、全国連の発展に伴う融資拡大等はもちろん、自主流通米、真珠の調整保管、生糸の需給調整等政策関連する融資にも遺憾なく対処していかなければならないと存ずるのでございます。  第二の一般金融市場との接点に立っての機能のことでございまするが、金庫系統内部での資金の季節的、地域的調整や各業種間の調整をはかりますほか、系統全体の資金じりを外部との関係において最終的に調整しなければならない重要な役割りを持っておる次第であります。現在の農協貯金性格を見てまいりますると、これを有利確実に運用してほしいという信託的な性格が強く出てきておるような状況でございます。もちろん組合金融でございますから、内部において極力貸し出しに回すべきでございますが、なお残るところの資金については、極力効率的な運用をはかり、その利益を特配等によって還元し、農家負託にこたうべきであると存じております。昨今、系統資金充実に伴いまして、その運用力強化、特に、一般金融市場との接点に立っておりまするところの私ども金庫に対し、その、要請が強くなってまいっておる状況でございます。  従来は、御高承のとおり、金庫に集積されました余裕資金は、関連産業貸し出し有価証券の保有、コール・ローン等運用してまいったのでございますが、このような限局された狭い運用分野では、資金のさばきがつかなくなってきておるのでございまして、これでは系統負託にこたえられないような状況になりつつあります。また、せっかくの資金農協で集めましても、その金が有効に使われないというようなことにもなろうかと存じます。そのような趣旨から、会員に対する貸し出しの遂行に妨げのない限度におきまして農山漁村基盤整備、福祉の向上、ないしは社会資本充実等国民経済発展に寄与する分野にも貸し出しの道を講じていただきまして、系統資金運用適正化をはかられまするよう、強く念願している次第でございます。  最後に、第三の系統体質改善総合的機能発揮の点でございますが、これにつきましては、系統一体となりまして合併の促進、自己資本増強電算機利用体制確立等によりまして、資金コストの引き下げ、事務迅速化を進めまするとともに、各般にわたるサービス向上につとめてまいったような次第でございます。しかし単協庶民金融や、公共料金の振りかえ、出かせぎ者の地元送金等組合員に対する金融サービスを万全に行ない得るような仕組みの整備が強く要請されるに至っておりますので、そのような趣旨から為替業務等についての農協法金庫法の所要の改正お願いしておるような次第でございます。  このように農業農村のための系統金融機能強化はいよいよ重大となってきておるのでございまして、系統一体となって善処することの必要性を痛感いたしておるような次第でございます。  また、金庫特別法に基づきまする特殊法人ではございますが、しかし農林水産業協同組合全国的機関でございますので、その運営にあたりましては系統の意思が十分に反映されなければならないと存じます。その趣旨から従来理事長の一方的任命に属しておりました副理事長理事の就任につきましては管理委員会とよく相談いたし、最後には総代会の同意を要するよう法改正について御高配をいただきまして系統強力の実をあげたいと存ずるのでございます。  なお、ここで消費生活協同組合との取り引きの問題について一言触れさせていただきたいと存じます。  御承知のとおり、生活協同組合は歴史的には産業組合法のもとでは購買組合として私ども構成員であったわけでございまして、現に生産消費の直結という趣旨から農協系統漁協系統生協との取り引き関係は日々密接さを加えているところでございます。生協金庫准会員にするという考え方は実現できなかった次第でございますが、金庫といたしましては生協活動にできる限りの金融上の御協力を申し上げまして、実質的には准会員と変わらないような効果をあげてまいりたいと存じておるような次第でございます。  以上は、今回の法改正との関連でとらえました農業金融農協系統金融現状問題点の概要でございます。  系統農協といたしましては、かねて政策当局に対して総合農政確立を強く要望いたしまするとともに、みずからは農業基本構想及び生活基本構想確立いたしまして、総合三カ年計画のもとにこれを実践してまいったのでございますが、特に信用事業につきましては、農林中金法改正を含め、農業金融に関する諸制度総合的に拡充改善することを系統の総意として強く要望してまいった次第でございます。  本委員会に付託されておりまする農業金融関係の四法案は、別々の法案ではございまするが、農業金融農協系統金融改善拡充という目的によって有機的に結合されておりまして、また、系統農協がかねて要望してまいりました総合対策ともほぼ基本的に符合するものと考えております。  農業金融の問題は、基本的には農政の展開と密着した事柄を多々含んでおりますが、私ども系統金融内部におきましても、改めるべきは改めるという努力を怠ってはならないと存じているのでございます。したがいまして、外部の声にも率直に耳を傾け、その改善に真剣に取り組み、農家農業農村発展に今後とも一そう寄与してまいりたい所存でございます。そのような努力を貫いていきます上におきましても、今回の法律改正はぜひとも必要と考えられまするので、これらの法案が今国会でなるべくすみやかに成立しまするよう、切にお願いを申し上げまして、私の意見開陳を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
  6. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ありがとうございました。  次に、一楽参考人お願いをいたします。
  7. 一楽照雄

    参考人(一楽照雄君) 一楽でございます。  先ほどは委員長からきわめて御丁重なるごあいさつをいただきまして、恐縮をいたしております。おことばに従いまして、率直なる私の意見を申し上げさしていただきます。  四件の法案になっておりまするが、私が従来最も関心を持ってきておりましたのは農林中央金庫法改正でございまするので、まずそのことを、その案についての意見を申し上げさしていただきまして、他の問題は、時間の都合によりまして、質問のときに延ばしていただきたいと考えております。  農林中央金庫は、御承知のとおりに、大正十二年に産業組合中央金庫として成立したことは御存じのとおりでございます。そして戦後になりますまで、日本の協同組合は産業組合という名前によって、実態は協同組合であるということで、これはもうどなたも御異存のないことだろうと思うわけでございます。戦争を経過しまして、産業組合農業協同組合という名前に変わり、市街地においては生活協同組合というように変わり、また、農林中央金庫は、昭和十三年から漁業協同組合も傘下に入れるということになっております。すなわち農林中央金庫の前の名称、産業組合時代と言っていたときは、協同組合の中央金庫であったわけでして、何も農業とか、漁業とか、水産とかと限定された産業金融機関ではなかったわけでございます。企業金融機関ではない、産業金融機関ではない、協同組合金融機関であった。では協同組合とは何ぞやと。これは職業組合ではない、全的人間の組織であるということは、これは国際的に一致した通説でございます。そうしますと、今日のように、農林中央金庫をいかにも農業のため、漁業のため、林業のための金融機関であるかのごとくに限定して考えるのは、産業組合中央金庫時代と比べて非常に範囲が狭められたことになっているんじゃないかと。したがいまして、法律改正機会には、私は、産業組合中央金庫相当するように、協同組合中央金庫と名前を改めるべきであると。それは名前だけのことではなくして、中央金庫性格をどう見るかということであります。その性格づけが非常に一つ組織としては基本的に大事なことだと思う。今日においてはその点についての認識がどうもぼやけてはっきりしておらないと思う。この機会確立することができればそうしていただきたいもんだと、かねて考えておるわけでございます。このことと、こういう趣旨から言いますと、当然に生活協同組合は復活して、この金庫の傘下に入れるべきであると、準会員なんという差別をしないで、堂々と正会員として加入さすべきであると思います。  それから、今回中央金庫法改正農林中金関係等から強く要望されました理由は、とにかく資金量がふえて、いわゆる余裕金の消化ということにはもう少し自由に範囲を広げてやりたいと、こういうことであります。これは私はきわめて必要な、また切実な希望であると思います。この点については、ひとつ積極的にその道を開いていただきたいと思います。ただ、しかし、その資金運用の方途を広げるということは、やはり中央金庫性格にかんがみて、できるだけ協同組合の精神、考え方に沿ったような方向でやるべきである。したがいまして、私は、この大量の資金は、一つには、庶民金融——企業金融ではない庶民金融、それを供給するその財源に使ってもらいたい。もう一つは、社会福祉の方面に使ってもらいたい。この今日の日本の金融組織におきましては、地方公共団体等に対して、福祉金融、支出金を、社会投資の資金供給するのは大蔵省の資金部しかないくらいで、その財源もこれからそうふえないと思います。それから、庶民金融のほうに至っては、ほとんどこれぞといった機関がないわけです。戦争前に庶民金庫というのをつくってありました。また恩給金庫もつくってありました。戦後それは国民金融公庫に変わりました。変わったときに、これは驚くなかれ、と言いたいくらいですが、庶民金融の中で、庶民金融をとって中小企業金融になっているのです、国民金融公庫の内容が。そのくらい庶民金融というのは、戦後金融体系の中で欠落しているわけです。したがいまして、庶民金融の方面に金庫の金を流して、また、今後企業金融に比べて飛躍的に拡充しなければならぬ社会福祉施設に金を流していく。そういう点につきまして、一つには生活協同組合金庫会員とすることによって、この生活協同組合を通じて庶民金融を流すことができる。さしあたりの問題とすれば、住宅金融なんかですね、もう切実なる要望だと思うのです。で、生活協同組合金融事業はやりませんから、貯金は取り扱いできませんけれども金庫から金を借りてそれを組合に貸すということは現在の制度でも十分やれるわけですから。ちょうど金融事業をやっていない森林組合金庫の傘下になって、金借りる専門ですけれども、貯金はあまりしないです。しかし、これは生活協同組合会員にすることによって、庶民金融として市場に流れていく。これは金庫資金がはけて金庫の運営がしやすいということじゃなくて、それが社会的な意味が非常にあるじゃないかということ。それからもう一つは、公共団体に対する貸し出しを、農村における産業基盤または生活環境の整備のためだなんて、限定したようなしないような、読み方によればどうでもとれるようなそんなことじゃなくて、これは地方公共団体がやることは、それは地域住民のためにその福祉に役立つ、あるいは地域の経済にも役立つことしかやらないのですから、何らの制限なく地方公共団体には出したほうがいいんじゃないか。この二つの道を大きく開きますと、資金の用途は広く開けるのではないかと思うのでございます。  なお、その場合に、私は、生活協同組合に出す貸し出しは、生活協同組合会員にするわけですから、これは本来の業務になるわけですし、それから、地方公共団体に出すほうは、これは予備金の運用ということになると思うのです。現在出ておりまする法案においては、貸し出し部面において予備金の運用の、としてではなくて業務としてやるというような表現になっておりますが、私は、これはことばにはあまりこだわる必要はない。意味は同じですからいいわけですけれども、教育的な効果からいいますと、どうも従来のとおりに会員以外に対する貸し出しは、やはり余裕金の運用の中でやったほうがいいんじゃないか。教育的な意味において、私はそう信じております。  なお、この中央金庫に対する諸般の監督等は、これはもう政府出資があったときと違いますし、また、協同組合も五十年以上の歴史を持って、それぞれの機関の職員も数も多くなるし、質も向上してきておるわけでございますから、具体的な、こまかいケース・バイ・ケースの監督というようなものは、これは極力避けていただきたいと思うわけです。また官庁による監督というものは、必ずプラスにはならない。行き過ぎになりますとかえってマイナスの場合もあり得るわけです。ことに金融というものは中立性というものが非常に大事なわけでございまするから、あまり政府との監督関係を強くすることはよろしくないと思います。と同時に、自主的な管理、具体的にいいますと、監事の監査と、自治監査、そういうものは大いに強化しなければならないと思います。これは各協同組合を通じての問題、農林中央金庫だけではないと思います。そういう意味において、私は一つのくふうをして監事の権威を高める方法を考える。その一つの方法として、中央金庫の場合には監査に要する費用は総会において決議をして、一定金額、わずかな金ですけれども決議して、そして監事の補助職員は監事が採用するというようにして、この執行部に対しての独立性というものを強化する方途、こういうことは理論的のみならず、過去の実情から見まして、私は監事を質的に強化し、その機能と権威を高めるということは、これは一つのくふうでございます。こういうことをやっていただきたいと思います。  なお、具体的にいろいろ意見はあるわけでございまするが、時間がありませんのでこれで一応終わりといたしますが、もしもう少し私の意見参考にしていただける方がありますれば、私ちょうどプリントに書いて印刷して七ページほどのものがありまするからお読みいただければありがたいと思います。
  8. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ありがとうございました。  それでは参考人に質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 足鹿覺

    足鹿覺君 たいへん失礼でありますが、ちょっと健康の都合上すわったままやらしていただきます。
  10. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) どうぞ。
  11. 足鹿覺

    足鹿覺君 委員長のお許しをいただきましたので、ちょっとすわったままでお尋ねをいたします。たいへん失礼でありますが、参考人の皆さんも気楽に、すわったままでひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。  最初に委員長お願いがあるんでありますが、本日は、日本の農協運動のトップクラスの中央会長、中金理事長、一楽農協研究所理事長をお呼びいただいたわけでありますが、この次の機会に、全農の会長、それから全国生協の中央機関の代表者、このお二方をお呼びをいただく。そうして御意見を拝聴し、質疑をする機会をぜひ御善処いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。——委員長、お返事がありませんが……。
  12. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 理事会で協議します。
  13. 足鹿覺

    足鹿覺君 よろしくどうぞお願いします。  農林中金法関係四法をめぐるその背景とでも申しますか、そういうことについては宮脇全中会長からもお話になりましたが、農業農村農民の危機とでも申しますか、その状況はきわめて深刻である。したがって、母体が危機に直面しておる限り農協が安泰であるということはいえるはずがない。すなわち都市化が、都市の膨張によって一段と激化をする。日本列島改造によって地方にまでこれが波及をする、さらに残、された労力吸収、水利を工業化していくための水利の工業転用等がはかられ、兼業がさらに拡大をしていく。米の生産調整一つの転期にきておるとはいえ、いまだこれは続けられておる。しかも自由化の波はきびしい。また目の玉の変わるように、金融の緩和があるかというと引き締めになる。全くこれらの情勢を見ますと、結果としては、自立農家の育成強化ということが農協によってうたわれたけれども、実態は完全に失敬に終わってしまった。したがって、こういう情勢の中で、資本主義経済への対抗組織とでも申しますか、いわゆる産業組合が、共存同栄の旗を掲げたのも一つの対抗組織のシンボルであったわけでありますが、現在の農協もそのらち外であるとは私は考えません。それがいわゆる経営を重点とし、組合員サービスをしていかなければならないという一面も加味されておりますから、両者の表裏一体化が必ずしもうまくいかない。むしろ経営のほうにウエートがかかり過ぎて、資本主義経済への対抗組織としての方向がややもすれば薄くなり、事実対抗の相手である資本主義体制の制度内に後退する、そういう傾向が最近あるのではないか。私はそういう矛盾を感じ、昭和三十九年につまらんものでありますが、ここへ持ってきておりますけれども「戦後農政の追及」というものをあらわしまして、このことも指摘しておるのでありますが、現在も私はそう大した変わりはないと思います。この傾向は強まっておると思います。で、そういう点から農協組織、経営、事業、運動、こういう各般にわたる御質問を申し上げることは、時間の関係もありませんから、私はほんの問題点だけを率直に少しぶしつけかと思いますが、申し上げて、問題を提起し、お三人の御所見を承りたい。つまり私がいま指摘したような情勢で、きわめて深刻な、農業も、農協も事態に直面しておるが、今回の関係四法程度改正で対応しきれるかどうか、ただいま一楽さんからは、今回の改正に対する積極的提言がなされましたけれども、特に中央会会長なり中金理事長の御所見を承りたい。  先ほど、宮脇さんのお話は、あまりにも時間の関係上、抽象的でありましたので、もう少し突っ込んだ御見解を承りたいし、中金理事長からは、いまの一楽提言等も踏まえて、こういうものになったけれども、しかし問題はこういうふうに考えておる。将来はこういうことを志向しておるというような点がありましたら、承りたいと思います。
  14. 宮脇朝男

    参考人宮脇朝男君) 私のほうから、いまの足鹿先生のお尋ねにまず答えたいと思います。  今度の法改正案の程度でもって今日の事態に十分対応できるかということのようでありますが、率直に言いまして、今後の展望の中で、さらにどう動いていくのかということについての見通しは、十分立ちません。したがって、現在の事態に対応するという限度においてしかいい得ないだろう。だから、将来いろんな問題が起きてくるであろうと思いますけれども、それらのものは、いま予見して、先取り的に法改正の中に全体的に十分織り込めるかということになりますと、なかなかそうはまいらぬというのが現実だと思うんです。  それで、少なくとも今日の状況の中で、いろいろ寡占——独占というよりもむしろ寡占が、きわめて寡占資本からの攻勢というものが具体的になってきました、農村に対しましての。もはやはっきりしてきつつある。これに対する一つの防衛、防護の方途を講じなければならないという御趣旨はもう私どもも賛成でございまして、ただ、そういった防衛が、この制度で十分なのかと言われますと、さしあたりまずこういう改正をしてもらうことによって対応していきたいということでございます。
  15. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) 私からも、非常に大きな問題でございますがお答えをいたしまするが、金融の面から見てまいりますると、昨今の金融情勢がネコの目のように変わっておることは御承知のとおりでございまして、わずか十ヵ月も足らざる間に、預金金利が五厘下げられて、また五厘上がっておる。最近はまた中期預金の問題まで出ておるというようなさなかでございまして、まことに対応に実はいとまがない状況でございます。  そこで私は、特に申し上げていきたいと思いまするのは、今度の公定歩合の引き上げ等の金融引き締めの措置は、農業は全く無関係である。むしろ一般の企業活動が行き過ぎて、それを押える意味で、公定歩合等なり預金金利を上げるという、引き締めの措置が出ているわけです。農業のほうは、むしろ、農業生産性を上げ国際競争力をつけろという要請が出ておるのであって、農業は、他の一般産業の企業活動が行き過ぎたあふりを食らって金利が上がるということは、これはやっぱり農政一般高度成長のあふりを受けておるということで、これは私は、政治としては、その辺にはっきりした分界をつけて、金融でございますから、それは一般の影響を受けまするけれども、その影響を、政治の面なり政策面でカットをしてもらう。農業金融はもっと低利でなければならぬということですけれども、預金金利が上がってくれば、これはやっぱり貸し出し金利を上げざるを得ない。これは、やっぱり私は、高度成長のあふりを農業が受けておるという実態をよく御認識をいただいて、適切な手を打ってもらうということが必要ではないか。  どうも、何かしらぬが、金融は、これはどうしても一般の金利が上がれば上がらざるを得ないということですけれども、ですから御承知のように、農業近代化資金も、この間五厘下がったもんですから、国会でもいろいろ御心配をいただきまして、ある程度無理はございましたけれども金庫信連単協も五厘下げた、近代化資金の水準は。ところが、その後も一月ぐらいでまた金利はもとに戻ってしまった。これは、現に相当経営上苦しいわけです。私どもは、ことしは歯を食いしばっても、これでやっていきたいと思いまするけれども、これはひどいではないかという感触です。  ですから、私は、一般企業活動の行き過ぎを押えるという必要性は、インフレの対策で必要でございましょうけれども、それが農業金融が受ける影響というものは、これはたとえば政府の補給金を弾力的に運用して、どうしても一般金利が上がらざるを得ぬ場合には、補給金をある程度ふやしてもらうとか、そういう弾力的な措置を講じてもらいませんと、高度成長のあふりの中で、農業金融農村の要請に逆行する態度をとらざるを得ぬという問題がございますので、完全なお答えになっておるかわかりませんが、そういう具体的な感触を持っておりますので御高配をいただきたいと存じます。
  16. 足鹿覺

    足鹿覺君 一楽さん、ありましたら。
  17. 一楽照雄

    参考人(一楽照雄君) 私の考えは短期間に御理解願うことは非常に無理かと思うんですが、大体農業の発達とかいうことをどういう意味に解するかということですね。大体行なわれておる、多くの方々のおっしゃることは、農業の近代化だとか、大経営だとか、生産性向上とか、生産費を安くするとか、国際競争力にたえるようにするとか、大体農業基本法成立当時からそういう考え方が多いと思うんです。  私は、全くそういう考え方に疑問を持たざるを得ないんです。農業の危機といいますが、それはもう、危機はすでにすでにもう経過していると思うんです。農業において機械化されたいろいろな施設に金を投じた、農業に金はたくさん要るようになりましたけれども農業で働く仕事は、農民の手から奪われて、工業のほうへいっているわけです。百姓の仕事といえば肥料をつくること、つくった肥料を田にやるというのが一いまは、肥料は肥料会社がつくってくれる。虫をとるのは、病虫害を防ぐのは農薬会社が除草剤をつくってくれるというように、農業の仕事が農民の手から工業の手に奪われてきているわけです。それでこういう状態になっている。それでもなお足らぬから、農林中金から、大口の、企業農業を育成するために選別金融で、大きなやつを大いに充実してやれというのが農政審議会の、委員会での答申です。  私は、全くそういう考え方は逆にしなければいかぬ。農民によって農業に従事して、農業という仕事に携わる人の数が国民の中にできるだけ多いほうがいい。しかし全部が専業農家になるわけにいきません。兼業の形においてでも多くの方々が農業に携わるということが、これが、経済の貨幣価値の上での成長率は何かという問題じゃなくて、国民の身体の健康、そして精神の健康、人間生活の生きがい、人間らしい生活というものにとって、農業農村というものは単に農民だけの問題じゃなくして、国民全体のもののためにわれわれは大いに尊重しなければならぬ問題じゃないかと思うんです。これを、いかにも、資本主義企業と同じような線で農業の発達を考えても、それはよろしくないと同時に、現実においても、そういう意味で発達する見込みはないと思うんです。ですから、中央金庫は、大口の貸し出し単協が貸せないやつを直接貸すなんというようなことをやっても、それはそう大きな金額になるはずはないと思うんです。私は、いま足鹿先生のおっしゃったような問題については、ひとつ、経済合理主義、そして工業における合理主義と同じような考え方農業を考えておる考え方を徹底的にわれわれは御検討願わなければならないと思うんです。ですから、単に経済問題じゃない。人生にとって経済・金銭は大事ですけれども、金銭だけで何もかも解決するわけじゃないことは皆さんにもう申し上げるまでもないことですけれども、そういう意味において、私は基本的に、戦後一そう強くなっておる農業の本質、農業の工業と違うこと、そしてこれは資本主義的な考え方で発達させるべきものでないということ、ですから、農業拡充充実ということを私は主張したい。そのためには、一つの経営の面積を広げるなんということじゃなくて、零細な経営においても、できるだけ縦に仕事の領域を広げなければならぬ。だから、農家が使う資材はなるべく自分でできる限りつくる。そんなに工業にこれはつくってもらうんじゃなくて、つくる。それで、製品もなるべく最終需要者のところまで、農産物の加工等は自分でやる。たとえばお酒のごときものは、少なくともお米をつくって、そのお米を原料とするお酒は農民がつくる、農業団体がつくる。たばこも農業団体がつくる。そして肥料や農薬も、そういうものも、あまり工業のほうから供給してもらわなくて。農機具だってあんなガソリンばかり使って、もしガソリンの供給がとまれば農業までできなくなるので、そういう危険性のないようなものを農業で、できるだけ一むだな手間じゃないのですね、農民の手によって農業の領域を縦に広げていくということに努力する。金融なんかも、そういう意味でのことを、積極的に指導金融で実現していくべきじゃないかと思う。私はこういう機会に、ほんとうに学者、実際に立脚しない空論の学者先生の流儀の、ものの考え方を、いつまでもそういう考え方で日本の農政を支配しているのではなく、この際こそ、もうここまでくれば、根本的に考え直していただきたいということを強く感じております。
  18. 足鹿覺

    足鹿覺君 次に、今度の改正の中心は、農協法といってみても、これは問題になりません、あんな程度のものは。宮脇さん御承知のとおりなんです。でもまあ、現実起きておるものだから、この程度はとおっしゃるけれども宮脇さんのほんとうの腹の中はそんなものであってはならぬという気持も私はあると思う。ただ、機が熟しておるかおらぬかという判定は、これはまあ別として。ですから、それはこの次の機会に政府にも質問してみますが、何としても今度の改正は中金法ですから、中金法を例にとりながら二、三お答えいただきたいと思います。  今度の改正のポイントはいろいろあると思いますが、五十年の暫定法が恒久法になる、これはもちろんけっこうなことであります。それも大きなねらいの一つだろうと思う。それから、いま理事長のお話によると、農協間の為替業務というようなことがいま閉されているから、これを広げていくことが必要だと。確かにこれは必要だと思います。また今度、外国との為替取り組みも、法改正の中にも織り込まれる。別にそれに異議をとなえるものではありません。ただ、全体として見た場合の私どもの印象を、失礼ですけれども申しますと、何か大型の都市銀行を志向しておられるような印象を最初から受けるのです。これは、ずいぶんいままでの審議の過程を通じて、また、これが法案になる過程にいろいろ意見を求められました。超党派のいろいろな検討会もありますし、言いたいほうだいのことをわれわれ言ってきましたが、せんじ詰めてくると、結局どうも二つに尽きるのではないか。たとえばいま庶民金融ということが出てきましたが、まあ私ども単協の場合で言いますと、安い利息で手軽く借りられるということが、特に生活資金の面で非常にこのごろウエートが大きいのです。それは住宅資金もありましょうし、それから一般生活資金、これは生活向上によってそれに応じ切れませんので、各単協では相当手軽く簡易金融もはかってきております。しかし、何しろ無担保ですから、一種の信用貸借ですから、そう大きなことはできません。金利も下げてあげるということもなりません。やっぱり九分程度取っている。ずいぶん資本主義的な企業体へも、資金貸し出しておられる。余裕金運用という面で、効率運用という面でなされることに対して、とやかく言いませんが、本来の意味から言うと、貸し出し金融系統への貸し出し金融というものが中心になっていかなければならぬと私は思うのです。余裕金の運用は補完的なものでなければならぬ、かように思っておるわけです。そういう意味から、いま各単協を通じて組合員が求めておるものは、子供の学資であるとか、あるいはいろいろな生活の高度化に基づく生活資金の問題だとか、いろいろな要望がある。これらに対して、もっと系統金融として配慮を加える余地はないのか。もっとこれを本格的に取り上げていく道はないのか。たとえて申しますと、金利の、余裕金運用で得たものの、あるパーセントをもって、その金利補給の原資に充てる、いろいろ検討すればあると思うのです。一番、単協の声を聞いてみますと、そういう面が最近非常に強い。そういう点で、片柳さん、何か御検討なさる余地は——私ども、さっぱり中金法の改正ということは必要だと思いますが、何としても何かひとつ目玉がなければならぬ。その目玉商品は一体何か。農民が今日のような、農林漁業が今日のような状態になっているときに、出かせぎ、日かせぎで、生活を維持し、営農を維持していかなければならないときに、やはり共歓共苦の立場から、せめて生活資金のめんどうを見ていくというような切実な声に、要求にこたえるものがあっていいではないか、こういうふうに思うのですが、その点、何か運用の面において御配慮になる余地がありますかどうか。
  19. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) 今回の改正が、私ども金庫を都市銀行化するというような御批判もあるようでございますが、要するに、信連単協資金力が相当増強をしてまいりますと、概していままで程度農業金融でございますれば、信連段階以下でほぼ対応できる。したがって、私どもへ上がってくる貯金というものは、信連単協農業金融等にできるだけ貸した残余の余裕金が私どもの預金として上がってくる。これは、やはりできるだけ効率運用をはかって、特配等で還元をしてほしいということに通ずるわけでございまして、足鹿先生も御承知のように、いままで貸し付け先が限定されておりますると、現在のように、逆ざやになっても、コール市場なり割手市場に運用せざるを得ない。コール市場なり割手市場に行った金は、結局は銀行を通じて金が行くわけでありまして、そういう迂回金融で中間のものに利益をとらせるよりも、筋がかなうものであれば、農林漁業等の関連がある向きであれば、むしろ直接に融資をして、それで上がった利益は還元する。で、もう御承知のように、私のほうは農業金融のほうはできるだけコストを安くする。安くしながらできるだけ特配をふやしてくれということは、その関連産業等の融資で効率運用をはかる以外にその要請にはこたえ得ないと、こういう状況でございまして、したがって、私ども一般の都市銀行のように利益追求ということでないことは申すまでもないのでございまして、やっぱり信託性の強い預金に対して、ある程度のやはりその負託にこたえるということになりますというと、農業なり林業なり漁業貸し出しでは、これは利益はあげ得ない、その他の融資の効率運用でその負託にこたえる以外にはないというこの二律背反的な立場も御了解をいただきたいと思います。  そこで、私は一楽さんの生活金融庶民金融は全く同感でございまして、いろいろ昨年も御心配をいただきましたが、郵便局の例の簡易貸し付けの反対の理由も、本来農協漁協等が庶民金融を担当する機能を持っておるわけで、これを活用すべきであるということで私どもは、強力な反対をいたしたわけであります。したがって、私どもは、今後庶民金融については従来以上に努力をすべきことは当然でございまして、それでまだ私どもは、具体的な構想までは至っておりませんが、一応指導方針としては、まあクローバーローンというようなものをいまいろいろ考えておりまして、百万円以内であれば、簡易な貸し付けができるというような制度全国的に推進してまいりたい。ただ、御承知のように、金利を安くするということになりますると、これは単協だけの自己負担ではできないことになりまするので、そこで御指摘のような、金庫がある程度もうけるところでもうけた金と見合って、庶民金融の金利を下げろという御指摘ではないかと私は思いますが、それは私どもは今後十分考えてみたいと思います。  現在、農協金融の用途別のあれを見てまいりますると、ここにこまかい数字は持っておりませんが、大体生産金融が五割強、庶民金融生活金融というのが二割強、農業以外の事業資金が二割五分ぐらいになっておるわけでございまして、比率からしても生活金融の本来やるべき分野のシェアが低いわけでございますので、金庫でもある程度収益が上がって負担力が出てまいりますれば、金庫の原資として、ある程度安いものを原資として信連単協供給するということは、今後の問題としては十分これは検討してみたいと思うのでありますが、まあこの間の総代会で御承認を得ましたような昨今の収支状況では、なかなかそこまではいかんわけでありますが、今後法律改正の線に沿いまして効率運用努力をいたしながら、そういう問題については少なくとも真剣に取り組んでいきたいということでお答えといたしたいと思います。
  20. 足鹿覺

    足鹿覺君 この前、郵便貯金のときにはずいぶんあわてておられたわけなんです。ふだんからやっておれば、何もあんなことにあわてることもなかったと思うのです。まああれはあれなりに一つの問題を提起したと思うのです。私は、そのことそれ自体が、政府の事業としてやっておる郵政事業の一環としてやることが、妥当であるかいなかというようなことは、これはあまり議論にならない、農民側から見ると。いわゆる金を預けておる者あるいは金を借りようとしている者から見ると、それが適正か、適正でないかとかというようなことについては——法律に違反する、しないは別として、適正か、不適正かということはあまり問題にしない。やはり簡単に便利よくサービスしてくれるもののほうを喜ぶ。こういうことになりますので、やはりそういう点につきましては、一つの教訓として、私は少なくとも今度の改正に盛り込んだいただきたかった。運用面ではなしに、制度的に、あの教訓を生かしてもらいたかったということだけは申し上げておきます。  次に、時間もありませんので、一九六六年のICA大会で決定されました異種協同組合間の提携の問題なんです。これは先ほど一楽さんから生協との提携問題が出されました。私は、購買生協との連携、あるいは今日の生協農協との提携の一そうの強化ということで、先般全農と生協との間に合意の覚え書きですか、何かできたわけですが、盛んに幹部の皆さんが、ICAの大会に行くとか、理事会に行くとか、視察に行くとか、とにかく農協は上から下まで、国内を行脚されることも行脚されるでしょうけれども、外国にはずいぶんよくお出でになっておる。だが、一体そのICAの精神なり、外国での学ばれた点が、いかように、国内の、この危機にある日本の農業や、ひいては農協の危機に対応しておられるかという点については、私は疑問なきを得ない。もっと真剣に考えていただきたい。私は十分海外に目を広げられるということについては賛成である。しかしそれがどのように生かされるか、少なくともICAの世界の機関が異種協同組合間の提携問題を提起して、それを原則として認められた以上は、なぜこのたび準組合員にもできなかったのかというところに不満は残っております。これは衆議院でもずいぶん論議になったと思いますが、私は何べん論議してもいいと思う。これはくどくなると思いますが、金庫の門戸開放が私はまず生協との間に行なわれて、ICAの加盟決議の線に沿って実践化されてしかるべきである。いま一楽さんから生協そのもので貸し出しはできるというお話がありまして、ちょっとこれは私もそういう事例を知らぬのでありますが、そういう事例があれば、ひとつお示しを願いたいと思いますが、全国にそういう事例がたくさんあれば、これは貯金業務はできないが、貸し出しはできる。これは余裕があればできると思いますが、専門農協の場合でも貸し付け業務をやっておるところもありますから、ですから、可能だと思います。やはりそういうところまで来ておるとするならば、やはり私は生産消費の直結という面からも、この際、百尺竿頭一歩を進めるべきではなかったか、かように思います。この点について準会員としての取り扱いに遺憾なきを期するというような表現をいまも理事長なさいましたけれども、正会員にすべきであると、これは近き将来においてそういう御意図がありますか。まあ当分これでお茶を濁すと言うと語弊がありますが、これでやってみると、こういうことでありますか。もっと私はそういう面に手を伸べていかれれば、つまり社会資本充実のために中金が貢献をするという面もおのずから開けてくるのじゃないかという気もするのです。生協という一つの門戸を大きく組織的に広げていけば、生産消費を直結し、さらに社会資本充実生活環境の整備に、うたい文句ではなしに手が組めるのではないかという気がするのです。その点についていかがでありますか。異種協同組合間の提携という一線からICAの決議の実践化について踏み切る御意思はございませんか。いまのところ、なかなかそうお答えしにくいと思いますが、決意のほどをあなたから。
  21. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) 御承知のように、私ども系統のまとまった意見としては、正会員はむずかしいけれども、準会員として扱ってほしいというのが私ども系統の一致した要請であったわけでありますが、しかし、政府の御見解も聞いてみますると、やはりそれぞれの理屈もあるようでございまして、私どもは政府の考え方を一応了とせざるを得ないということでございます。ただ、協同組合運動が、足鹿先生には釈迦に説法でございますが、生産者と消費者を直結して、中間利潤をできるだけ排除するという協同組合運動の趣旨は、これはまあ当然私どもは順守していかなければならぬと考えておりまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように、準会員としては認められませんでも、実体的には会員に準じた扱いを金融面ではやってまいりたいということでございまして、今後どうするかということになりますると、農林中央金庫性格を、農林水産業協同組合全国機関にあらずして、一楽さんの言われたように、オール協同組合全国機関というふうに踏み切るかどうかの問題でございまして、これは、なかなか生協が他の省の所管でもあるということもございましょうし、労働金庫という一応の金融機関も独自の金融機関もあるというふうなこともございますので、簡単には私はいかぬと思いますが、少なくとも金庫性格を広げない限りは、これはなかなかむずかしいということではないかと思います。ただ、重ねて実体的には、私ども生協の扱いについては、お入りにならぬでも支障のないような、特に全農と日本生活協同組合との連携ということもできておりますので、その線に沿いまして実体的には支障のないような処理をしていきたいということでお答えにかえたいと思います。
  22. 足鹿覺

    足鹿覺君 時間が制約されておりますので、もう一問できょうは終わります。  何か参考人意見聴取が、形骸的に、形式的になっていくということを私は非常におそれるのです。御多忙な方でありますから、長いこと一人で占有する了見もありませんし、他の方にも十分やってもらいたいと思いますが、午前中程度の日程で、この問題を消化しようということが、そもそも間違いなんです。で、まあまたの機会に、こういう機会でなくてもいいですけれども、やはり公式の場面を通じてやりとりも必要でありますし、それを掘り下げていくためには、やはり非公式な会談ということも必要になってくると思いますので、十分ひとつこの点については委員長においてもよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。  そこで、先ほど御三人からの御意見もありましたが、組合単協の大型化問題への対応の問題が出てきております。つまり、米の生産調整、三カ年間米価の据え置き、他の物価の値上がりに即応して米価が追随ができない。いろいろな点から、小さな行政区画単位の単協では、経営が困難になるというので、数度にわたる合併促進法の延長を行なって、現在相当大型化が進んできておると思います。ところが、果樹、養蚕、酪農、畜産、養鶏、それから開拓、森林、茶業、漁業というふうに、みんな専門農協を持って中央機関を持っております。現在の単協の、総合単協の姿を見ておりますと、稲作を主とした地域の別名のような形をなしておる。そうでないところは二重、三重にその組織に加盟しておる。こういう点が顕著だと思う。これだけ情報化が進み、そして中央においても全販、全購の合併ができ、しかもなお三段階制を踏み切れない。何か私はそこら辺に……。農協労働者の立場というものは別途に考えればよろしい。これを失職せしめたりなどないような配慮は必要でありますが、現在必要なことは、急激な社会や経済や農業情勢変化に即応していくためには、単協大型化もある程度進んだし、情報化もほとんどの単協において整備も進んでおりますので——特に、この水稲に依存しておって信用事業の収益率が大幅に低下したところは、農協運営の危機すら唱えられておる、また、果樹を主としたところにおいても同様である、酪農を主とした地帯においても同様である。私の県なんかでは、企業と別な全県一つの大山乳業協同組合というのが、生産から販売まで一貫してやっておりますが、大乳業の向こうを張ってけっこうやっております。ですから、香川県で全県一単協という構想を宮脇会長が出されたときに、私も、これは大いに検討の余地があると、こういうふうに思ったこともありますが、以来何かこの大型単協にさわることを中央機関はタブーのようにしておられるのじゃないか、そういう印象を受けるのです。これは一体どういうことか。つまり現在中金には総代会というものがあって、三百名近い意思決定機関がある。ところが、県連は単協組合長会議が事実上の総会である。全国連は全国の会長会議が事実上の総会である。そういう運営になっておりまして、私は議会と当局という関係を力説するものではありません。が、単協の運営は、総代会を切り抜けるためには必死です。支所別の説明会を開き、声を聞き、そしてこれを事業計画の中へ織り込み、予算化して出さなければ総代会は通らない。だのに、現在の県連でも、中央機関でも、まるでぬるま湯につかったように、一日に、はなはだしきに至っては、二つでも三つでも総会を開いて、異議なし、異議なしで一瀉千里で通してしまう。いわゆる運営が形骸化しておる。組合民主主義というものが眠ってしまっておるのではないか。手順は経てあるけれども血が通っておらない。これだけ農業危機があっても、各県連の総会が二日がかり、三日がかりでみっちり練ったというような話は聞いたことがない。全国連にしてしかりであります。私はそういう面から、大型単協整備された機会に、これは宮脇会長、思い切った農協民主主義をどう具体化していくかということについてメスを入れ、せめて宮脇会長の、今日までの実績の上から解決ができないはずはないと私は思う。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。そのことなしに——いわゆる金融事業だけで、土地を売った金が入ってくるからいまどうにかやっていけますが、販売事業も低下、購買事業も低下。金融事業だけで都市農協は食っておりますが、農村では金融事業が低下しておる。こういう危機的様相を克服していく道は私はないと思う。そういう点について、中央会長として、締めくくりに、ひとつ強い御意思の表明を求めて私の質問を終わりますが、よろしくお願いします。
  23. 宮脇朝男

    参考人宮脇朝男君) 足鹿先生の現在の組織現状につきましての御批判等がございまして、私の見解、決意を求められたのでありますが、おっしゃるとおり専門化している組織総合農協という農協二とおりございます。ございますが、県によりましては、そういった専門農協総合農協入りまじって農家がその両方へ加入して、両方へ何らかの形で負担をしているというふうなものが整理されつつあったし、すでに整理をされてしまっておる。自県のことを申し上げて恐縮ですけれども、私の香川県では、そういった専門農協のようなものはいち早く解消いたしまして、総合農協専門農協の一体化を進めてきている。むしろ主産地、ミカンのところではもうミカン中心の総合農協になっておる、野菜が多いところで野菜中心の総合農協になっておる。むしろ米のほうがつけたりと、そういう形で、まあいろいろ問題はありますけれども、大筋大きな混乱なくまいっておるという実態でございます。ただ、御指摘のように、今日のような急速な経済的な変化、社会的な変動、しかも通信、交通、運搬等が非常にスピードアップされてきておる、情報は多元化されておる、こういう中で、しかもことしのように二〇%近い、あるいは前後の賃上げは当然に応じていかなきゃならない。こういう状況の中で、組織はどうあるべきなのか、もちろん農業協同組合の民主的運営ということは先ほども御指摘のありましたICA、国際協同組合同盟の中におきましても、協同組合の民主的運営ということについては、絶えず再確認をしてまいっておる次第でございます。だから、効率的であって、しかも組合員の意思が反映しやすい組織体系ということが要求され得ると思うのでありまして、今後とも、その点においては十分な討議を重ね、成果を得たものを勇敢に実施するという形で進みたいと考えております。なかんずく、いまも御指摘のありました単協がだんだん大規模化してまいりますと、単協も力がついてまいります。だから県連がやっておって、単協は県連のところを利用しておればいいんだという形のものは、だんだんもうそんなことしなくたって、単協にやらして、単協自体がやれるというふうなものは単協にゆだねてしかるべきだと、これは順次そういう方向で規模も拡大され、力がついてまいりますれば、そういう方向にいま進みつつございます。今後も進まなければならないと考えるのであります。  具体的には三段階制の現状という問題にもお触れになりましたが、この問題については、すでにもう先生方承知のように、具体的に大規模農協全国協議会から、とりわけ全農と全協連に対する直接加入の申し入れがまいっております。そしてこの問題も申し入れられて相当久しきにわたるというものでございますので、じんぜん日を延ばすということは許されません。本年の九月末、九月二十七日に第十三回の全国農協大会を開催する運びにいたしております。ここのところでは、三年ごとに開催いたしますので、第十二回大会できめられました路線、この成果がどうなっておるかということについて私は報告の義務を持っております。同時に、それを踏まえまして今後三ヵ年間農業協同組合が進むであろう総路線の戦略、戦術を決定するという重要な大会でございます。で、この大会をめどに具体的に大規模農協の直接加入という問題は、規模の大小でもって直接加入をさせるか、させぬかということをきめるべきじゃございません。規模が大きかろうが、小さかろうが、加入の道を開くとすれば加入でき得るようにしなければなりません。この点については、けじめをつけたいと思っております。むしろそれは可能な方向でけじめをつけなきゃならぬであろう。そうしてやはり御指摘のように、ただ連合会が寄って、なあなあで、しゃんしゃんと進めるというようなものが、年一回あるいは二回の総会であってはならないと、十分地方地方意見が反映さるべきである。私も同感であります。  したがって、わが全協としましては、御承知のように、総代によりまして、単協代表を含めて総会が持たれます。相当にぎやかな御発言がございます。これはむしろ私は誇りと考えております。だから、今後、直接加入問題が具体的話題にのぼっております全協連、また全農につきましてどういう運営のやり方をやるか、また事業のやり方をやるかという問題は当然に論議、検討を要しますが、それらの問題の煮詰めをいたしまして、ことしの十三回大会ではけじめをつけてまいりたい、こう考えております。ただ、農業協同組合が広域化してまいりますのと、それからもう一つは専業農家、自立経営農家が米、畜産、園芸を含めまして四%程度にまで追い詰められておる。ただ兼業であり出かせぎが多いという実態の中ではなかなか会合、集会を開きましても、御婦人とかお年寄りが出てこられまして、ほんとうに意見のある若い営農の中心、もしくは一家の主人というふうな方がお越しいただけないという、他面そういう点もございます。ございますが、なるたけ皆の民意、組合員意見を聞く機会は、単協のほうでもいやおうなく、おっしゃるように持たなければ単協はやっていけないんであります。その単協が吸収しておる働く農民意見を連合会——これは県、全国を通じましての場に盛り上げてくるということが大切である。こういった点が具体的には民主的経営になるのであろうと。もちろん議論はあってきまるところがない、けじめのつかない会議というようなものは避けるべきでございますが、少なくとも、ルールのもとにおいて十分議論が尽くされる方向には留意して、そういう組織体系にもってまいりたいという考え方をいたしております。  以上申し述べまして私の意見をおくみ取りいただきたいと思っております。
  24. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 時間が大幅にずれ込んでおりますのできわめて簡単にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  最初に宮脇さんにお尋ねをいたしたいと思いますけれども、私はこれからの農業政策農業方向というのは、いまの経済体制下においてですね、ということは、先ほどもいろいろイデオロギーを前面に出した形の参考人の御意見もございましたけれども、現体制下において、やはりどうあるべきかという形で、いかにそこに農協の使命、今日の事態においての新しい使命があるのであろうかというようなことについて、私も大いに関心を持ち、勉強しなければならぬと思っているわけであります。そうすると、やはりこれから市場メカニズムもいろいろの問題がございますが、まあ米が契約栽培的なものである、たばこがそうである。いろんなものが、農産品が契約栽培的な方向で、計画的にしかもいいものが、品質の規格統一されたものが、適切な契約どおりの時期に出荷をされる等のそういう生産体制、これを真剣に考えなきゃならぬ時期ではないか、そういうものが具体的に系統部内から持ち上がってきたところへ、農林省のいままでにない適切な行政、そうしてまた金融、そういうことが考えられていかなければいかぬのではないか。そう私は考えているわけでありますが、どうも私からまあ歯に衣を着せずに申し上げさしていただくと、いまの農協というのは購買、販売そして生産部門というようなウエートのかかり方の順序、しかしこれはちょっとどうかなと。やはり生産部門にまずウエートをかける、農林金融面では先ほど理事長からお話があったように、五〇%も生産部門に融資がされているわけでありますから、一番大きくなっておりますが、農業技術普及とかそういう面についても、生産部門としての取り組みが、もっとウエートを置いた取り組みの姿勢が必要ではないか、こう考えるんですが、その点についてちょっと御意見を承りたい、こういうことであります。  それからついでにもう並べて申し上げますが、社会的な要請、それから政治的課題という大きな問題で宅地供給ということが俎上にのぼっておるわけでありますが、宅地のみならず、農地、そういうものを含めての土地問題というのが非常にいま照星の関心事になっておるわけであります。そういうときに、宅地供給事業というのが、まず扱いとして農協が汲っていいのかどうかというような一部世論もある。しかし、これは先ほど会長からお話ございましたからここで御意見を承らなくてもけっこうでありますが、これに関連をいたしまして、土地問題の中の農地問題として、宅地供給事業をこれから始めようとするときに、やはりその土地問題、農地問題というのを考えなきゃいかぬのではないか。特に、従来議論をされてきた、農地農民財産でありますから、これをひとつ守ってやらなければならぬ。とすると、まあ農業形態もいろいろ変わってまいりますが、所有権と利用権の問題、これをやはりもう少しはっきりさせていかないといろいろ問題が出てくるのではないか。そういう点について、農地法上どうだ、こうだという議論はもう時間ございませんから御意見を求めようとは思いませんが、やはりそういう問題についても、この宅地供給事業を始めるについて、農地はかくあるべきだと、そしてその中身として所有権と利用権の分離はかくあるべきであるというようなお考えを簡単にここで御開陳いただければありがたいと、こう思っております。農林省でもいろいろ進めていることではありまするけれども系統部内の議論として簡単に一言承りたいと、こういうことであります。
  25. 宮脇朝男

    参考人宮脇朝男君) 佐藤先生のお尋ねでございますが、農業協同組合生産共同体としての対応はどうだと。どうも信用購買といったような仕事のところに、あるいは共済といったところに重点を置いて、本来の生産活動ということがおろそかになってきた、あるいは手薄じゃないのかという第一の御指摘だと思うのです。これは私ども、第十二回農協大会できめられた最も大きな柱が、生産営農団地というものが一つと、それから生活の近代化という生活構想というものと、これを車の両輪として生活を合理化し効率の高いものにしていこう、豊かなものにしていこうということと、この表になりますのが営農団地を中心にした生産態勢の拡充であります。これは具体的に、前段も、最初に申し上げましたように、四十二年に私が就任当時は一万二千名程度でございましたが、現在一万五千五百名程度に、技術職員といいますか、営農指導、技術指導の職員拡充されてきておる。この点でおくみ取りいただけると思うのでありますが、おっしゃるとおりの生産の共同化・効率化ということに対しまして今後も重点は置いてまいりたい。ただ契約栽培の問題につきましては、論議のずいぶんあるところでございます。これは、たとえばビール麦にしましても、ずいぶん改善はされましたけれども、ビール会社の何だか小作的な立場に置かれてきた苦い経験を持っております。また、たばこの耕作が、御承知のように、官製の専売制度のもとにおきまして、専売公社の意のままに、最近はだいぶん改善されましたけれども、一時は全く領主と領民のごとき、まことに私どもとしては情けない状態が存在したことも事実でございます。だからして、畜産にいたしましても、豚小作になるなということを私どもは標榜しておる。これはいままでの経過でございます。むしろ、それら農業協同組合生産・販売の一環体制を確立いたしまして、でき得る限りは、太い短い流通経路でもって消費者のところへ届けていくということに専念いたさなけりゃならぬであろうということで、順次、その方向協同組合・単位協等でもって進められておることは事実であります。  それから第二の問題でありますが、宅地供給等の問題で、土地問題の地権——土地の所有権と利用権の関係等についてどう考えておるかと。私は、お答えになるかどうか別でありますが、一つの見解として、日本の農地の五百七十万ヘクタール程度のものは守らるべきである。だから、どうしてもある程度のものは、それがある地域からは住宅用地化されたとするならば、新しく、農用適地は勇敢に農地たらしめる必要がある。これでなければ、国民食糧の自給度というのはどんどん落ちちゃう、こういう基本的な考えを持っております。その具体的な例で申し上げますと、七百万ヘクタール程度もあるという国有林野、このうちで農用地あるいは住宅地、可住地もしくは可農地たり得るものについては、これは国がその用益権を農協なりあるいは地方自治体に勇敢に無償で開放すべきである、こういう考え方を持っております。無償で開放すべきである。そのことによって、より社会的な要求が満たされ、政治的にも正しい施策としてあらすべきである、こう考えております。だから、農業協同組合とか農家におきましては、その土地の所有権をもらう必要はない。所有権をもらっても、やあ、土地が上がったから売った、けしからぬやつだとかなんて言われるようなことをする必要はないのでありまして、結局、農地たり得る用益権、そこで畜産なりあるいは園芸なり、そういったものが十分やられて生産の用に供されるという形になればそれで十分ではないか。もちろん、可住地としての住宅地も、その土地に住まうという、生活ができるということが土台でありまして、その土地が用益さえ自由になれば、むしろ、所有権をどうこうする必要はないんじゃなかろうか——不安定ではいけません。用益権が永久的に、半永久的に安定した用益権であるならばそれは別に問題はないであろう。こういうふうに考えるのであります。したがって、農家が持っておる土地農地あるいは林野の中で、かつては採草地・薪炭林であった、そういうところでもちまして、だれが見てもこれはこのあたりで住宅地にしたほうが適当であろうというものにつきましては、所有権をどうこうするんじゃなくて、用益権、つまり、その上に、でき得れば、農協あるいは農協組合員である農家みずからが、系統金融なりあるいはその他国の助成・援助なりを含めまして、借り主にあまり高くつかない資質のいいものが割り安に提供される住まいがあればこれが理想ではないか。これは、ほうっておきますと、やはりデベロッパーなり、必ずしも良質とは言えない連中に買い占められ、結果においては粗悪にして高い住宅に入らなけりゃならない結果になるんじゃないか。非常に消極的ではありますけれども、私どもは、農業協同組合の社会的な使命にかんがみまして、やっぱり、そういう方向でこの問題は取り組むべきである、こう考えておる次第でございます。
  26. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 農林中金理事長にお尋ねをいたしますが、今度の中金法の改正、これは系統金融のいろいろな変化、それに対応するための改正案が出されておるわけでありますけれども、具体的にいろいろな意見を私も持っておりますが、時間の関係一つ、二つにしますが、農山漁村整備資金ですね、農民のために、農業のために、農村のためにという趣旨が曲がらないように、この資金運用のしかたいかんによっては、ちょっと、中金の性格問題に、この辺が少し一楽参考人と私は意見を異にするんですが、農林中金性格に影響をしてくる、しかねないというふうにも思っているんですが、この取り組みの姿勢をひとつ簡単に承っておきたいと思います。  それからついでに申し上げますが、もう一つは先ほど三段制の問題が、系統組織論の問題が出ましたけれども、いまの組織論として、それから派生する問題として、やっぱり大きな問題が三つあると思います。都市農協、これをどうするか。過密都市のどまん中にある農協をどうするか、都市農協の問題。それから先ほどちょっと議論の出ました三段制の問題、それからもう一つは、制度金融組合金融との分野調整、中金とか公庫の分野調整の問題、これは従来から議論をされてきたんですが、一部には、そういうことが解決できなけりゃ何も始まらぬのだ、このことが解決するのが基本だぞ、というような極端な意見もございますけれども、私は、あまり先を急いで結論を出すこともまた危険だぞと、しかし避けて通るわけにはいかないぞと、こういう気持ちを持っておるわけです。先ほど三段制のことについては、きわめて慎重な宮脇参考人のお話ございましたが、系統金融機関の中枢としての中金の片柳理事長は、こうした問題についてどう考えておられるかということを、ひとつ簡単でけっこうでありますから、お答えおきをいただきたいと思います。宮脇会長から答えていただければいいのかもしれませんけれども、先ほど三段制の問題で御意見承りましたから。都市農協、三段制、分野調整の問題は、こういう機会に多少触れる必要がある、また、われわれも勉強のために聞いておく必要がある。こう思うものですから、特にお聞きをいたしておきたい。  以上二点、これで私の質問を終わります。
  27. 河口陽一

    ○河口陽一君 ちょっと関連。  時間がないので佐藤君の関連質問でちょっとお尋ねしたいんですが、お尋ねするというよりも意見を申し上げたいと申したほうが適切かと思いますが、産業組合の発足からの経過を見ますと、先ほどお話があったように、非常な意欲を持って農民が人間的結合、あるいは経済的な結合、そういうことに非常な意欲を持って発展をしてきたという経過がございます。協同組合になってからは、そういう中心的な運動課題というものが明確に示されておらぬというところに私は、非常な大きな問題をはらんでおる。こういうふうに考えて、何か今日の段階になれば、この協同組合運動の必要性に対して、もっと明確にして対応するのでなければ一この四法案改正は今日の段階で必要と考えますが、もう一歩進めて、御質問や御意見を承っておっても、何か私は食い足りぬような感じを非常に強く持つわけでございまして、人間的団結、あるいは経済的な要求の団結というんで、近くは米価運動をやられるために、宮脇さんは張り切っておられるようですが、今日の世相から考えて、そういうことで、農民が満足し、国の要請にこたえる体制でない、全部を満たしておらぬと私は考えるわけで、何かこれは全部の要求にこたえる体制を協同組合が持つのでなければ、社会的にも、農民感情からしても、満足しないという悩みを、私は持ち続けておるわけでございまして、これは産業組合時代は、資本主義経済の中にあって、零細な農民がこれに対応すると申しますか、非常な熱意と意欲を持って今日まで進んでまいったことは、非常な成果をあげたということは御案内のとおりでございますが、今日のように経済が進み、社会が進展した段階で、そういう理論だけで推移をしておることは許されない、満足しない。最近の協同組合運動には、先ほどおっしゃられたように、大型化するとか三段制にする、そういうことも必要な問題ではあるが、基本が明確になっていないから、いつまでたっても結論が出ない。こういうのが実態だと思いますので、ここで協同組合にひとつ柱をお立てになってはどうか、にしきの御旗をひとつおつくりになってはどうか、そういう御研究を一楽さんに真剣にやっていただきたいと私はお願いをしたいのです。  で、私はこの農林中金資金運用についても、余裕金の活用上、幅を広げられるということに対しては賛成をいたしますが、今日の農業の実態は近代化されて大型化されようとしております。いままでの体制であれば富農、貧農という形で農村問題が取り上げられておりましたが、今後の農村農業というものは大型化、近代化を推進するのでなければ、少なくとも世界の農業に伍していくということは不可能と考えるわけで、そういう方向を志向した体制というものと真剣に取り組むのでなければ、これは国の要請にも、国民の要請にもこたえられない、こういうことを真剣に考えて対応しなければならぬ。今日の余裕金が、おおよそ農民が余裕金ができて貯金をした金ではなくして、都市近郊の土地を売った金がいわゆる農林中金に余裕金となってあらわれておるわけでございますから、この金をいま申し上げた近代化、大型化の資金に活用するという、そのためには長期低利の資金が必要であるから、これは中金の段階でコストを下げるということは不可能です。限度があります。したがって、この資金に対して、国の利子補給を要請をして、その資金農協運動の中心として指導をし、日本の農業を近代化あるいは大型化にこれを一大転換をさせるという方向を示して、組合運動を推進する、またそういう適切な施策を行なう、そういうことによって価格問題というものもそれらによってある程度解消されてくる。こういうようなことを常日ごろ考えておるので、御意見があったら、お三者からお答えをいただき、御研究を願う。時間がないそうでございますから、私はこれ以上意見を申し上げることを差し控えますが、一つのテーマとして私はそういうことをいま考えつつあるということ、これに対して御意見があれば承りたいと思います。
  28. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) まず地域開発の点でございますが、法案にもございまするように、「農山漁村ニ於テ産業基盤若ハ生活環境ノ整備ノ事業ヲ行ナフ」法人。こうございますので、農林漁業に縁なきところに出ないということは当然でございまして、加えてその客体の地方公共団体その他の非営利法人または地方公共団体その他の営利を目的としない法人が主たる構成員となっておるという制約がございますので、おのずからこれが農林中央金庫の使命に背反することがないという理解でございまして、この点はきわめて厳密に今後の適用はやってまいりたいと思っております。  それから都市農協、三段制、分野調整の問題でございますが、これはなかなか重大問題でございまして、明快な答えがなかなか困難だと思いますが、都市農協問題は、実は農政審議会でも意見が出たわけでございまするが、これは単に金融面からのみ都市農協をどうするというわけにはまいりませんので、農協全体のあり方として別途に検討するということで農政審議会は終わっていることは御承知のとおりでございます。また、農協内部におきましても、これは一楽さんのあれにも通ずるかもしれませんが、昔の産業組合のような地域協同組合にしたらどうかという意見も実は内部で検討中でございまして、その問題とあわせて都市農協の問題を今後私どもは対処してまいりたいと思っております。ただ、都市農協は概して信用事業オンリーでございますが、昨今では購買事業、生協的な色彩をだいぶ加えてきておる都市農協も出てきておりますので、その辺も踏まえまして今後のあり方を検討してまいりたいと私は思っております。  それから三段制の問題は、さっき宮脇会長からも言われましたような、末端の大型化が進んでまいりますと、いろいろな問題が出てくるわけでございまして、系統金融のコストを下げろという要請も別途あるわけでございまして、したがいまして、この問題は、私どもも十分検討してまいりたい。すでに信連会長の一部からも、金庫信連との機能分担という表現を使っておりますが、金庫信連のあり方について、この際根本的に検討してほしいという要請が、先刻正式の実は要請も出てきておるわけでございまして、ただ私どもは、系統運動のことでございますから、当然のことでございますが、上からどうこうということは、これは筋が違うわけでございまして、あくまで単協の意向を私どもは主にして、この問題を今後検討してまいりたいということでございます。  公庫との分野調整は、衆議院にも出た問題でございますが、率直に言わしてもらいますれば、これだけの資金量になってまいりますれば、近代化資金制度はでき得ればもっと利子補給をふやして、系統資金をもっと系統内で活用するということは当然でございまして、これは河口先生の御意見にも通ずると思いますが、私どもは、農業近代化資金制度を先般基準金利を下げましたが、さらに今後この問題については前向きに検討してまいりたいということでございます。
  29. 一楽照雄

    参考人(一楽照雄君) ただいま河口さんから意見があれば申せというお話でありましたが、大いに意見があるわけでございますが、ただいま、時間がないから答える必要ないという御内命もありましたので——意見がないから申さないのじゃなくて、申したいことはたくさんあるんだけれども、時間がないから省略いたします。
  30. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは私も二、三関連してお聞きしたいのでありますが、先ほどからいろいろ足鹿先生からも、この四法案だけでは、これは根本的な農業の解決はないと、何かほかにもっと将来に向かっていろいろやることがあるんじゃないか、そういうことで宮脇会長からも、これは言うなれば洋服が小さくなったから似合う洋服にするので、先のことは、情勢が非常に変わって、変動でわからない。そういうようなお話です。ちょうど大海を船が行っておる。いまちょうど水が入って、応急手当をするだけであって、常に私は現在の米価の値上げとか、あるいは昨年のミカンの暴落、そういう問題にしても、常に応急手当、そういうことでわいわい言っているだけであるが、やはりもっと日本の農業の将来に向かって、本質においてこれが必要なんだと、そういうことをやはり農業団体のほうで検討してもらいたい。実際、私も農林水産委員になって、まだ日が浅いわけですけれども、なかなか農業というものはわからないわけですね。実際、政府が上から何かやってくれるんじゃないか。いまの複雑な情勢の中で、政府が、上から与えられたものの中でやっていくということは、これはもう不可能に近いんじゃないかと思うんです。そういう点で私は、農業協同組合というものが、体質改善をして、先ほどから話がありましたように、金融重点ではなくして、そういう協同組合の本質をほんとうに生かして、先ほどたとえば契約栽培の問題にしても、専売公社の言うままになるとか、ビール会社の言うままになるとか、だからよくないのだと。そういうこと自体がわれわれの感じでは、はなはだ敗北主義である。そこで農民が団結をし、そういう問題をやはりあらためて、何かそういう新しい方向を求めていくべきではないかという、私はしろうとでございますけれども、感じがするわけでございますが、そういう点について、宮脇会長とそれから一楽研究所理事長の御意見をお聞きしたいと思います。  それと、続けてあれしますが、特に農協においては、いわゆる購買事業ですね、年々データを見ますと、赤字がふえていっている。何か信用部門では持っている。こういう状態は、それでいいのかどうか。私の友人が、やはり県の経済連へ勤めているのですが、その人は、個人的には養鶏をやっている。ところが、えさはもう自分で商社から買う。そのほうがはるかに安いと言っているわけです。そういう農業協同組合、そういう団体の組織がありながら、こういうある程度販路というものが、新しく開拓しなくても、ある。そういった農協組織でありながら、いわゆる購買事業が年々赤字になっていく、この点はやはり私は、いろいろ問題点があるんじゃないかと思うのですけれども、いまのような点について宮脇会長としては、農協体質改善とあわせてどう考えているのか。  それから中金の理事長にお尋ねしたいのでございますが、先ほど一楽さんからも、いわゆる監査の独立性というのですかね、ありましたが、これはおそらく最近は、農協等においていろいろ金融の使い込みとか、非常に事故が多いわけですね。私は岡山に住んでおりますが、中国地方でも、そういう話があちこちにあるわけでありますが、そういうようなことでは、はなはだ農民の人にとってもよろしくないと思いますけれども、こういう点でいわゆる内部監査と申しますか、その強化というような点で、一楽さんが独立性、あるいは機能と権威を高めるとか、そういうようなことをいま意見を述べられたわけでありますが、そういう問題についてはどのように考えておられますか。
  31. 宮脇朝男

    参考人宮脇朝男君) いま塩出先生からいろいろ多くの問題が提起されておる農産物の生産、販売、価格、これらについて、農協が、その力でもって対応していくということを考えたらどうだ、というような意味のお話がございましたが、私は、農協はもちろんやらなければなりません。やらなければなりませんが、同時に、やはり国の農政方向をひとつはっきりしてもらわなければならない。たとえば麦にしても、いま収穫されて、あと田植えされつつありますし、近く麦価の審議が行なわれようとしておりますが、麦は御承知のように、パリティ価格を下っちゃならないとなっておるのでありますけれども、いままでの読み方は、パリティ価格を越えてはならないと当局はお読みになったのかと思うのであります。押えに押え、まさに安楽死の方向をおとりになって、制限することなく外国からどんどんどんどんお入れになった。結果は御承知のように、足腰立たず、もはやもう少ししますと、日本の馬と同じく、麦というのは、こういうものが昔あったというような、植物標本でも置いておかなければならないような状況にまで追い詰めてまいったのであります。だから、比較優位の原則の上に立ってやる工業生産品の貿易自由の原則を、同じように農産物にとって当てはめていったならば、かくもむざんにやられていくという、いい見本だと思う。これは大豆にしてもしかり、あるいはなたねにしてもしかり、日本人の食っているもので、日本でつくっているものは、オリジナルで計算すると四割ぐらいしか日本のものはない。六割までが外国輸入に依存している。こういう形の農政、国の政策志向がある限り、これはとうろうのおのです。私どもがどんなにやったところで、それはどうにもならぬという問題であります。同時に、農業協同組合は、本来経済的な生産、経済生活ということでありますけれども、もっぱら具体的には経済的な点で団結をいたしております。したがって、激しい抵抗の、レジスタンスの組織を、闘争を組むわけにいきません。私らもほんとう言うと、政府を向こうへ回わして一戦やりたい。米価でも一戦やりたい。やりたいけれども、社会的な農業の使命といいますか——米だって自分だけが生きていくだけのもの、食うものをつくって、納得のいく米価をくれなければ、飯米以外はつくりませんと、ほんとうは言いたい。言いたいけれども、そういうことがやれない宿命を持っている、体質を持っている。したがって、やはりある程度の政府の政策というものによりまして大きく日本農業は左右されていく。だから私どもは、これらをそういう状況のもとに置かないためには、拡大ECがやっているように、少なくとも不足払い制度確立する。しかも、基準価格というものを、絶えず、うそのデータで押えて、農民に損をさすようなデータを出すんじゃなくて、正しく出されたデータ、それでもって基準価格がきめられ、国内価格が基準価格より安ければ、その差額を財政で補給するというふうな形でやるべきである。同時に、その前提は、国内における自給度を法律でぴしゃりきめてもらうという形であって、主要農産物はそういう段取りをしてくれないと、ともかくレールのないところへ走らせておる車みたいで、どっち向いて走るかわからぬ、どこで転覆するやらわからぬようなところへ乗せられておるというのが農民でございますから、だから、もう少し政策の路線を、はっきりしたレール、はっきりした車の上へ乗っけてもらわなきゃどうにもならぬという状況でございますので、お説の点は、農業団体として、農協として大いにみずからが改めなきゃならぬ点は改めてまいりたい、また、結束もはかっていくようにいたしたい、かように考えております。  何ぶんの御理解とまた御指導をいただきたいと存じておる次第でございます。
  32. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) それでは、一楽さんの管理機能の自主性なり独立性を強化するという御意見、私は趣旨は同感でございます。私ども農林中金は、これだけの大きな資金量でございますので、特に国会でも、かつて非常な御高配を賜わりました共和製糖事件というような前例もございますので、私がその善後措置を引き受けたというてまえもございますが、あれを機会に、従来の監事二名を、系統信連会長から特に監事一名を増員いたしまして、現在三名の監事で鋭意監査をやっていただいております。ただ、その補助機関がないということはございまするので、一楽さんの意見も十分検討していきたいと思っておりますが、私のほうにも相当内容整備した検査部がございまして、これは実は各地では非常に敬遠されておるくらいの厳正な検査をやっている検査部がございますので、現在では監事は、適宜検査部がやった検査の内容をデータにいたしまして大局的な判断をするということで、大体私はうまくいっているのではないかと思いますが、しかし、一楽さんの御意見一つの御意見でございますので、十分検討してみたいと思います。
  33. 一楽照雄

    参考人(一楽照雄君) ただいま塩出先生からお話がありましたことは、先ほど河口先生からお話になったことと相当関連しておると思います。私は、協同組合は役職員が運動として情熱をささげるというようなことが望ましい。相当程度産業組合時代にはそういう点があったと思うのですが、いま非常にこれが希薄になっております。いろいろ先生方から制度等について御配慮いただきましても、何といいましても日常この運営を担当している常勤役員並びに職員考え方、その態度というものが非常に大きく影響を持つと思います。そこで、どうしましても、今日のように三十何万人というように大きく従業員ができておるこの人たちが、単にサラリーマンとして月給だけをもらうのではなくて、もう少しわれわれは会社なんかにつとめているのとは違って、協同組合運動に従事しているのだというような情熱が持てるような理想——理想というと少し何ですけれども、目標を、ちょうど河口先生がおっしゃるように、より鮮明にすることが必要だと思うのです。その点は全く河口先生の御意見と一〇〇%私は同感でございます。ただ、そこまではいいのですけれども、そうしますると、農業についてどう考えるのかということをあらためてひとつ、何ものにもとらわれなくて、農民のため、農村のため、そうして農民以外の国民大衆のために、農業の将来はいかにあるべきかということを、私は、単に近代化とか、合理化とか、大経営化とかという観念を、無批判的に受け入れるのではなくて、大は善なりと言えるかどうか、そういう点までわれわれの陣営で明確にしていく、そうしませんと、協同組合運動が今日の社会、今後の社会においていかなる意義を持つかということは、その特色、社会的な特色というものがはっきりしないのじゃないかと思うのです。そういう内容に立ち入りますと、時間がもちろんありませんから、河口先生は研究をしたらどうかとおっしゃいましたが、まことに不十分、お恥ずかしい実態でございますが、それなりに研究に努力をしております。ささやかながら印刷物等もおりおり出しておるわけでございますので、これを機会に、こういったきわめて限定された時間でなくして、ひとつ各党の皆さま方がきわめておひまがありましたときには、私ども意見も聞いてやるという機会をきょうの機会におつくり願うようにしていただければ、はなはだありがたいと思います。
  34. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それではもう一点だけ。  宮脇会長に、私は、決して農業団体だけの責任という意味で申したわけではなく、われわれはやはり政治家も政府も責任あるわけでありますが、一番やはり当事者は農業団体でございますので、先ほども申しましたように、会長も言われたように、国民食糧供給ということで、まあ農業団体の中には、もうともかく米のストをやろうじゃないかと、そういう意見もあるやに聞いているわけでありますが、私は、国家百年の大計等を考えるならば、場合によっては、もう、ストをしろとは言いませんけれども、それぐらいの馬力で強力な線を打ち出して、そうしてやっぱり農民も同じ人間であり、労働者も人間、サラリーマンも人間ですから、農民だけが犠牲になるということはよろしくないと思うんですね。そういう点でひとつどんどん政府に対しても強力な要望を打ち出して、またそれの闘争をやって、そうして農民の人も人間としての生活ができるようにがんばっていただきたい。  三人の参考人の方には、いろいろ御意見をいただきまして、ほんとうにありがとうございました。
  35. 塚田大願

    ○塚田大願君 私も時間がたいへん制約されておりますので、三点にしぼってお伺いしたいと思います。  一つは、まず第一に、宮脇参考人にお伺いしたいのでありますが、先ほども日本の農政についての御発言がございましたが、これはやはり基本的な問題でございまして、そういう意味からいいますと、いま政府の列島改造政策というふうなものが打ち出されまして、特にこの土地の買い占めというものが非常に広がってきている。これがいわば社会的、政治的な問題にまでなり、国会でもずいぶんこれが論議をされ、新聞でも連日これが出る。こういう事態になってきておったと思うのでございますが、こういう問題は農業の将来から見まして、これはゆゆしき問題であることはこれはもう常識でございます。特に先ほどもお話が出ましたが、国際的な食糧の危機等が叫ばれているときに、日本の食糧の自給はどうするんだと、全く深刻な問題だと思うんです。重大問題だと思う。あるいは環境汚染という問題から見まして、緑をどう守るか、これも今日きわめて大きな問題になってきている。そういう点から見まして、まず第一に宮脇参考人にお伺いしたいのですが、こういう大企業による土地買い占めというものに対して、農協の立場からどういうふうにお考えなのか。そしてまた、これに対してどういうふうな対策、措置をお考えなのか、この点をまず、きわめて常識的な問題でございますから、まず簡単に御説明願いたいと思います。
  36. 宮脇朝男

    参考人宮脇朝男君) 塚田先生からのお尋ねでございましたが、私どもは経過的にはこういうことであります。  第一は、いろいろ土地の買い占めをやられておるその土地とはどういう土地かといいますと、農地はわりと少ない、比較からいいますと。むしろ林野のほうが多い。林野の中でも国有林は手がつきませんから、国有林とか県有林とかいうのはわりあいに買われていない。したがって、国有林、県有林以外の市町村有林、共有林、部落共有林、それから個人有林、ここのところが大体買われておる、対象になっておる。しかもそれは保安林等の指定のない場所が大体主となりまして、中には保安林に引っかかっておるというのが大体の例のようであります。  経過としては、私どもはこれに対しまして、でき得べくんば環境保安林といったような法律を、仮称でありますけれども、立法してくれぬか。白地のところはもうすべて環境保全上必要なんだという形で、林野に対しては保安林もぶっかけちまえ、環境保安林として。魚つき保安林であるとかあるいは風致保安林であるとか集水林であるとか、現在の保安林で指定していないところをぶっかけちまったらいいじゃないかということを第一に提唱してまいったのであります。政府も私どもの申し上げるとおりには特別の法律ではおやりにならなくて、森林法か何かの一部を変えておやりになるということでございます。これは今後期待いたしております。  具体的にいま農民の持っておる林野を含めた農地につきましては、土地を簡単には手放せぬようにしようじゃないか、売らないようにしようじゃないかと——こういうインフレ指向の中では一番ヘッジとしては土地がかっこうのものだから、宝は、金の値打ちが下がるということで、土地にかえておこうというので、だまされて土地は買われてしまう。放したらしまいだぞということを強く言ってまいっております。またほとんどの地域においては、土地を売らないでおこうという運動を農業会議所あるいは県農協中央会等が共同でもって農民に呼びかけておる、こういう実態でございます。ただしかし、これも精神運動の域を出ないと実効はあがりませんから、具体的には、単協におけるさしあたりの、先ほど来も話の出ました日常の要る金の借り入れが簡便にできるように、担保の措置であるとか、保証人の措置をやることなく五十万なり百万なりにワクを広げなさい、単協の。そのワクを広げて貸し付けに応じたい。そういう形でまずいこうじゃないか。それからどうしても手放さなきゃ——何らかの事情があって、相続税を取られるとか、あるいはまた病人が出たとか、結婚とか、就学とか、そういうものにつきましては、農協でもって担保金融でやっていくというようなことで、まずこの際借りてやっておくほうが、いまの状況の中においてはあなたが得ですよ、それでも売るというなら農協で買い取りましょう、農協が買い取っておきましょうという方向で、問題をケース・バイ・ケースで処理をしていくということを、組織方向としていま進めておるという実態でございます。
  37. 塚田大願

    ○塚田大願君 よくわかりました。確かにいまお話がございました農地を売らない運動、農地を守る運動、私はこれはやはり大事だと思うのですね。で、これはかなり全国的に各県でもおやりのようでございますが、ただ私考えまするに、この運動の中にやはり二とおりあるんではないかという感じが私はするのです。と申しますのは、一つは文字どおり、確かに文字どおりに農地を売らないで、農地農地として農業のために利用するというこの一つの運動の型、たとえばこれは静岡県でたしかお聞きしたんでありますが、緑と財産を守る融資制度でございますか、県農協で五カ年間、約八〇%のあれで融資をする。五カ年間たったら利息だけつけて返す。ですから、土地はそのまんま耕作をしていると、こういう型の融資をおやりのところもございます。あるいは島根県では先ほども出ましたが、農業団地というふうな形でやっておると。こういう、つまりその土地をデベロッパーやその他の企業には売らない。しかし、それはあくまでも農業として継続するという立場で守っていくというこの型ですね。これは私は一番積極的なあり方だと思うのですが、しかし他にもう一つのあれを見ますと、先ほどの御説明にも出ましたが、つまり土地は確かに売らないと。しかし農協がみずから宅地供給をする、あるいはひどいところになりますと、ゴルフ場をつくっているところがあるということを聞きまして、ちょっとびっくりしておるのですけれども、そういう観光開発というふうな方向ではなくて——まあ方向ではなくてじゃなくて、そういう型が一つあるように私は思うのですが、こういう二つの行き方。やはり確かに土地を売らないという点では共通しているんでありますけれども、これをその土地をどういうふうに守るかという守り方にやはりいろいろ問題があるように思っていま申し上げたわけですけれども。ですから、私の考えとしましては、その最初の型ですね、静岡県のああいう融資制度、こういうものは非常に私は高く評価していいと思うのですが、その点で宮脇さんあるいは片柳さん——中金さんとされては、どういうふうに評価されておりますかね。そしてまた、それに対してそういう積極的な融資を中金としてもおやりになるのかどうか、そういう点をお二人にお伺いしたいと思うのです。
  38. 宮脇朝男

    参考人宮脇朝男君) 金融の観点からは片柳参考人から御意見があると思いますが、私は、方向としては緑と土地を守ると、とりわけ農地を守るのだという静岡かの方向というのは正しいと思います。したがって、具体的にそういった問題が金融の問題と不都合なく仕組まれていくならば、これを拡大していくということがよいであろうと考えます。
  39. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) 私も静岡の例はよく承知をしておりまして、私の講演が効果があるかどうかわかりませんが、私は昨年の農協大会で農協組合員が概して土地を持ち、これだけの資金を持ちながら、自分で農地を守れぬことはないではないかという講演もいたしたような経過もございまして、あの行き方は非常に賛成であります。したがってこれは全国的にあのような制度になりますれば、私のほうとしても、さっき足鹿先生の生活資金を低利に出せというような要請もございますが、それと同じような式で金庫としてもできるだけ対応していきたいとは考えておりますが、全国的な制度になってまいりますれば、やはりあるいは近代化資金拡充する等の措置によって、制度融資としてこれをある程度国がバックアップするということも必要ではないかという考えを持っておりますが、いずれにいたしましても、ああいう行き方は、しごく私は賛成でございます。
  40. 塚田大願

    ○塚田大願君 最後にもう一度、片柳参考人お願いしたいと思うんですが、大体いまのお話で基本的な考え方はよくわかりましたが、ただ金融問題ということになりますと、先ほどからいろいろ論議が出ました。やはり農協資金というものは、今日土地代金、あるいは兼業所得、出かせぎによる所得、こういうものによって、農協資金が非常にふえてきたということを考えてみましたときに、問題はやはりそういう資金をこれからどう使うかという問題に、具体的な問題でいろいろ御提案があるわけでありますけれども、問題はやはりそういう資金というものが、いわば農業が縮小されていく過程においてふえた資金である。土地を売る、あるいは出かせぎに行くという、したがってこれをやはり農業をもっとこれから発展きせるという立場で、これをお使いになるのでなければ、いわば縮小再生産、この悪循環といいますか、悪いサイクルでこれがどんどん回っていったら、これは日本の農業のやはり破壊、縮小、ますます日本の農業が貧困化してくる。その動機になるのではないかというふうに私はやはり心配するわけでございまして、他の委員も、大かたそのことを御心配になっておられるわけですが、この点につきまして、ちょっといささか理論めきましたが、確かに、先ほど中金の片柳先生も確かに二律背反だとおっしゃっておられたと思うのですけれども、しかし、ここはやっぱりはっきりさせないと、日本の農業という観点から見ますと、農協という立場から見れば、あるいはもうちょっとあれして返還をしてやればいいじゃないかとおっしゃるかもしれないけれども、日本の農業という、大きな観点から見ますと、やはりこういう資金の使い方というものは、やはり相当問題があるんではないかと思うんですが、その辺の私どもの不安といいますか、疑問について一言お答え願いたいと思います。
  41. 片柳真吉

    参考人片柳真吉君) 当然系統金融なり、私どもはやはり農林漁業融資を最優先に考えていくことは当然でございまして、ただ実際的には市街化区域になってまいりますと、これは別途の農地課税等の問題もあると思いますが、なかなかこれは金融面だけでは、御指摘のようなそういう地域農業をさらに盛り立てるということはなかなか困難ではないかと思っておりますが、ただ実際的には、近代化資金等の例を見てまいりましても、せっかくの制度資金等が末端では活用されておらないという向きが相当ございまするので、私どもは現在多少の例がございますが、信連と私のほうと一緒になりまして、そういうような農業伸長のための金融相談、新しい農業を導入するなり、あるいは新しい施設をやる場合の、そういう金融の相談に乗れるという機能充実しながら、できるだけ農業の向きに前向きに対応してまいりたいと思います。ただ、実際上なかなか市街化区域のほうは、金融面だけでは困難だということがあると思いますが、ただ御指摘のように二律背反と申しましても、当然これは農業には安く貸して農業を振興するというたてまえはこれは当然でございますので、そういう方向に対しまして今後むずかしい問題でございますが、努力をしてまいりたいと思っております。
  42. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 他に御発言もないようでございますので、参考人に対する質疑は終了いたします。  参考人の方々には御多忙のところを長時間にわたりまして本委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を御開陳いただきましてまことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  なお、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕