○
政府委員(
鈴木省吾君) 昭和四十八年度
農林関係予算についてその概要を御説明申し上げます。
まず、昭和四十八年度の
一般会計における
農林関係予算の総体につきましては、
農林省所管合計は、一兆四千七十三億円で、これに総理府、外務省、厚生省及び建設省の
他省所管の
農林関係予算を加えた
農林関係予算の総額は、一兆五千三百四十六億円となり、これを昭和四十七年度の当初予算と比較しますと、二千三百四十九億円の増加となります。
以下、この
農林関係予算の
重点事項について御説明いたします。
第一に、高
能率農業の展開に関する予算について申し上げます。
わが国経済の発展とその急速な
国際化の進展に対応して、
国民経済の一部門としての農業の均衡ある発展をはかるためには、その
体質改善を急速に推し進め、
生産性の高い近代的な農業として確立することが基本的に重要であります。このため、今後十カ年にわたる
土地改良長期計画を策定し、これを踏まえて
農業生産基盤の重点的な
整備開発を進めるとともに、
農業団地の育成、
農業構造の
改善等の諸施策を強力に推進することとしております。
まず、
農業生産基盤の整備について申し上げます。
農業の
構造改善と
生産性の向上をはかるとともに、
農村環境の整備に資するため、昭和四十八年度から十カ年にわたる
土地改良長期計画を策定し、総事業費十三兆円をもちまして、高能率の
機械化営農が広く可能となるよう
農業生産の基盤となる土地及び水の条件の
整備開発を積極的に進めることとしております。
昭和四十八年度につきましては、その初年度として、
圃場整備、
農道整備、畑地帯の
総合整備、
農用地開発等の
各種事業を積極的に推進することとしております。
圃場整備につきましては、七百十二億二千四百万円を計上して、
末端圃場条件の整備をはかることとし、また、農道の整備につきましては、六百五億一千二百万円を計上して、事業の大幅な拡充をはかることとしております。
畑地帯の
総合整備につきましては、一百三十二億三千二百万円を計上することとし、また、
農地開発事業につきましては、四百三十九億一千八百万円を計上して、事業の拡充をはかるとともに、新たに、広域未
開発地域において大規模な
畜産基地の建設を進めるため、
開発構想の具体化した一部の地域について特別の
国営総合農地開発事業に着手することとしております。
畜産基盤の整備につきましては、一百四十九億八千二百万円を計上するとともに、新たに、
共同利用模範牧場設置事業の一環として
畜産基地建設事業を実施するほか、
畜産経営をめぐる環境問題に対処するため、
畜産経営環境整備事業を実施することとしております。
また、
基幹農業用用排水施設の
体系的整備につきまして、八百三十四億八千四百万円を計上しております。
以上のほか、
農地防災事業、
調査計画費等を合わせて、
農業基盤整備農業費として、総額三千四百四十五億九千四百万円を計上しております。
次に、
農業団地の育成について申し上げます。
生産性の高い
近代的農業として
わが国農業の
体質改善を進めるとともに需要の動向に即応した
農業生産を推進するため、四十七年度から実施している
農業団地育成対策について、その一そうの
拡充強化をはかることとしております。近代的な機械、装置の導入を中心に団地として
農業生産の
組織化を進める高
能率生産団地育成事業につきましては、一百二億七千九百万円を計上して事業の拡充をはかるとともに、新たに、米、
落葉果樹、花卉、養豚を
対象作目に加えることとしております。
また、
農業団地育成対策の一環として、
広域営農団地整備事業について四十二億六千八百万円、
モデル農業団地形成事業について二十五億三千七百万円をそれぞれ計上して、事業の
拡充実施をはかることとしております。
次に、
農業構造の改善について申し上げます。
農地流動化の促進につきましては、四十七億七百万円を計上して、
農地保有合理化法人の行なう事業の拡充、その
運営基盤の
強化等を進めることとし、第二次
農業構造改善事業につきましては、その
計画的推進をはかるため、新たに二百三十地区について事業に着手することとして、三百二十八億七千九百万円を計上しております。
高能率な
農業生産を実現するためには、
経営規模の拡大と並んで集団的な
生産組織の育成が重要でありますので、新たに、高
能率集団的生産組織育成対策事業を実施し、専業的な
中核農家群を中心とする
農作業受委託組織を広く育成することとし、六億二千七百万円を計上しております。
また、
農業者年金制度の運営につきまして、九十七億五百万円を計上するほか、
農業就業近代化対策、出かせぎ
農業者営農改善対策等につきましても、施策の拡充をはかることとしております。
第二に、
農業生産の再編成の推進に関する予算について申し上げます。
米作の
過剰基調に対処し、需要に対応した
農業生産の展開をはかるため、引き続き、米の
生産調整と
稲作転換の推進をはかるとともに、需要の伸長が期待される畜産、野菜、
果樹等について生産、価格及び
流通加工にわたる各般の施策を
拡充強化することとしております。
まず、昭和四十八年産米の
生産調整につきましては、米の
需給事情に即し、
目標数量を二百五万トンとし、転作及び休耕の態様に応じて
米生産調整奨励補助金を交付することとし、総額一千七百五十八億四百万円を計上するとともに、別に、
米生産調整協力特別交付金二百億円を計上しております。
また、水稲から今後需要の増大が見込まれる農作物への
作付転換を一そう推進するため、
稲作転換促進特別事業等各種助成事業の
拡充強化をはかることとしております。
次に、
畑作農業の振興について申し上げます。
野菜対策につきましては、生産及び価格の安定が強く要請されていることにかんがみ、前年度に引き続き施策の大幅な
拡充実施をはかることとし、まず、
生産対策につきましては、
野菜指定産地の
生産出荷近代化事業、
露地野菜生産団地の
育成等を引き続き推進するとともに、新たに、
野菜指定産地のうち特に規模の大きい産地に
基幹的産地としての
役割りをになわせるための
基幹野菜指定産地近代化推進事業を実施することとしております。
野菜の
価格対策につきましては、特に
春夏期等の野菜の
価格補てん事業の拡充をはかることとし、
対象品目の拡大、
国庫負担率の
引き上げ等を行なうほか、野菜の
売買保管、
緊急輸送、消費地における大
規模低温貯蔵庫の
設置等の
設置等につき引き続き助成を行なうこととしております。
野菜の
流通加工対策につきましては、引き続き、野菜集送
センターの設置、
野菜冷凍工場の
実験的設置等につき助成を行なうほか、新たに、
低温流通方式等開発実験事業を実施することとしております。
以上のほか、
野菜試験研究の強化、
卸売り市場の
野菜関係施設の
整備等を推進することとし、これらを含めました
野菜対策の総額は、一百五十四億八千三百万円となっております。
果樹農業の
振興対策につきましては、
果樹広域主産地形成事業等の
拡充実施をはかるほか、新たに、
温州ミカンの品質の保持をはかるための
共同予措事業、
落葉果樹の
生産振興のため果樹園の
総合整備等を行なう
落葉果樹生産振興特別事業等を実施することとしております。
また、
加工原料用果実価格安定対策事業について、新たに、
かん詰め用温州ミカンを対象に加える等その拡充をはかるほか、引き続き、
温州ミカン等の近代的な
果汁工場の整備を進めるとともに、新たに、大消費地に
冷蔵果汁の
製造集配施設を設置することとしております。
これら果実の生産、価格、
流通加工対策に要する経費として、総額四十六億五千七百万円を計上しております。
養蚕対策につきましては、引き続き、主産地等における集団営農の
推進等をはかるほか、新たに種繭生産モデル地域育成施設設置事業を実施することとしております。
また、特産農作物及び甘味資源作物の
生産対策につきましては、特産物生産団地の育成、てん菜大規模集団産地の
育成等を引き続き推進するとともに、新たに、食用バレイショ等の品質の保持をはかるための放射線照射利用実験事業及びてん菜の共同育苗施設の設置事業を行なうこととしております。
これら、養蚕、特産農作物等の
生産対策として総額三十七億一千万円を計上しております。
さらに、砂糖及び甘味資源作物の価格の安定対策として六十二億九千三百万円、大豆なたね交付金等として十八億三百万円を計上しております。
なお、北海道その他
重要畑作地帯における畑作の振興をはかるため、新たに、高能率集団畑作経営確立対策及び耕土改善対策を実施することとし、これらに要する経費として、七億八千八百万円を計上しております。
花卉対策につきましては、国民生活の向上に伴い、増大する花卉需要に対応して、新たに、花卉集団産地育成事業、フラワー
センター設置事業を実施する等施策の拡充をはかることとし、これらに要する経費として、四億六千六百万円を計上しております。
次に、畜産の
振興対策について申し上げます。
まず、畜産の基盤となります自給飼料の確保につきましては、公共事業による草地開発の拡充をはかるほか、既耕地における飼料作物の生産利用の促進及び水稲の飼料作物への転換を強力に進めることとしております。
また、酪農及び肉用牛につきましては、市乳供給モデル団地の育成、肉用牛生産団地の育成、乳用雄子牛の利用促進、家畜の導入等の事業を
拡充実施して、引き続き、その
生産振興を推進することとしております。
さらに、養豚につきましては、豚肉の
需給事情、生産環境問題等に対処して総合的な
振興対策を推進することとし、新たに、繁殖経営の安定的拡大をはかるための養豚団地の育成、原種豚育種集団の強化
推進等の事業を実施するほか、養鶏対策につきましても、国産種鶏の増殖、優良種鶏の集団
育成等の事業を実施することとしております。
また、
畜産経営をめぐる環境問題に積極的に対処するため、新たに、高能率養豚施設の設置、悪臭防止対策の推進、公共事業による
畜産経営環境の
総合的整備等を行なうこととしております。
このほか、家畜衛生対策等につき、所要の経費を計上することとしており、これらを含めまして、畜産
生産対策の総額は、三百七億一千七百万円となっております。
畜産物の
価格対策につきましては、引き続き、加工原料乳に対する不足払い、肉用牛の価格安定、乳用雄肥育素牛の供給及び価格の
安定等の事業を実施することとし、また、
流通加工対策につきましては、引き続き、基幹食肉流通施設の整備、成鶏肉処理加工の
合理化等を推進するほか、新たに、濃縮乳生産専門モデルプラントの設置、食肉取引安定特別対策、食肉処理技術者養成施設の
設置等の事業を実施することとしております。
さらに、学校給食用牛乳の供給について、新たに、僻地校に対する牛乳供給を促進するための事業を実施することとし、これらを含めまして、畜産物の価格、
流通加工対策の総額は、三百十六億八百万円となっております。
次に、米麦の生産改善対策について申し上げます。
まず、稲作につきましては、
生産性の向上と良質米の供給を促進するため、新たに、高能率の機械化一貫作業体系の導入をはかる高能率米麦作団地育成対策事業を実施するほか、広域米生産流通総合改善事業、直まき稲作推進事業等を引き続き推進することとし、また、麦作につきましては、高能率稲麦作団地育成対策事業等の実施により
生産性の向上をはかることとし、これらに要する経費として、二十九億二千二百万円を計上しております。
第三に、高
福祉農村の建設に関する予算について申し上げます。
豊かで近代的な農村を建設し、農業の健全な発展と農村居住者の福祉の向上をはかるためには、都市に比べて立ちおくれている
農村環境の
総合的整備開発を進めることが大切であります。このため、昭和四十八年度から五カ年の計画で
農村総合整備モデル事業を実施し、
農業生産基盤とあわせて、集落道路、生活排水施設、農産物廃棄物処理施設等を総合的かつ計画的に整備することとし、従来からの農村基盤
総合整備パイロット事業とあわせて二十六億五千万円を計上しております。
また、
農村地域への工業導入を促進するため、新たに、二百五十市町村について工業導入実施計画を策定するほか、市町村による工場用地の造成等に対する資金融通及び工業導入関連諸施設の整備を新たに推進することとし、六億九千一百万円を計上しております。
さらに、農業ないしは農村の持つ
環境保全機能、レクリエーション機能を積極的に評価し、その増進をはかるため、新たに、国の大型プロジェクト研究の一環として、
農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究を実施するとともに、自然休養村の
計画的整備、花卉対策の充実等をはかることとしております。
また、生活改善普及事業、農山漁村同和対策等を拡充するとともに、第二期山村対策事業として、四十七年度に計画を樹立した九十地域につき、
農林漁業特別対策事業を実施することとしております。
第四に、食品
流通加工の
近代化と
消費者対策の充実について申し上げます。
生鮮食料品等の流通を
近代化し、消費者物価の安定をはかることは広く国民的な要請となっておりますので、野菜、畜産物等の
流通加工の改善をはかり、消費生活の安定に資するための事業を積極的に推進することとしております。このため、さきに御説明しましたように、野菜、果実及び畜産物についての対策を拡充するほか、中央卸売市場及び地方卸売市場の施設整備の促進、
総合食料品小売センターの増設、
生鮮食料品集配センターの
設置等について助成を行なうこととし、これら
生鮮食料品等の
流通加工対策に関する経費として、一百五十三億六千一百万円を計上しております。
また、
消費者保護対策につきましては、農林物資規格表示の設定普及、テレビによる啓発、情報提供等を引き続き行なうほか、JASに準ずる地域食品認証制度、消費者テレフォンサービス等の新規事業を実施することとし、また、
食品産業等農林関連企業対策につきましては、新たに、産業及び人口の
地方分散に即応した食品企業の適正合理的な立地目標の策定と食品工業団地の適正な形成を促進することとし、これらに必要な経費として、四億九千四百万円を計上しております。
第五に、
農林漁業金融の拡充について申し上げます。
まず、
農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貨し付け計画額を三千三百七十億円に拡大するとともに、土地改良資金、
畜産経営環境保全資金、造林資金、卸売市場
近代化資金等各種資金について、貸し付け金利の引き下げ、融資率の
引き上げ等融資内容を幅広く改善することとしております。なお、この原資として、財政投融資二千四百八十八億円を予定するとともに、同公庫に対し補給金二百七十億三百万円を交付することとしております。
次に、
農業近代化資金制度につきましては、貸し付けワクを三千億円とするとともに、貸付金利の引き下げ及び貸し付け限度額の
引き上げ等をはかるほか、所要の利子補給補助等を行なうこととし、また、
農業信用保証保険制度について、保険の対象となる資金の範囲を拡大する等その充実をはかることとし、合わせて九十四億九千一百万円を計上しております。
また、農業改良資金制度につきましては、貸し付けワクを一百九十億円とするとともに、新たに、技術導入資金を活用して、
農業者の自主的な技術開発及び
集団的生産組織の育成、運営に必要な資金の融通をはかることとし、これに要する経費として四十億五千三百万円を計上しております。
さらに、漁業
近代化資金制度につきましては、貸し付けワクを五百五十億円に拡大することとし、これに要する経費として十二億三千三百万円を計上しております。
このほか、
農水産業協同組合貯金保険機構に対する出資、開拓融資保証制度を円滑に
農業信用保証保険制度へ移行させるための、農業信用保険協会の融資資金造成等を行なうこととしております。
第六に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。
治山事業につきましては、六百二億八千三百万円を計上して、これを積極的に推進することとし、このうち一百億円を国有林野内
治山事業に充てることとするほか、新たに、
治山事業施行林地につき、保育に対する助成を行なうこととしております。
さらに、森林開発公団が行なう水源林造成事業につきましては、
一般会計からの出資金七十億円を計上しております。
次に、林業生産基盤の整備を促進するため、林道事業につきましては、二百七十億四百万円を計上して、事業の
拡充実施をはかるとともに、補助体系の改定及び大規模林業圏開発林道事業の新規実施を行なうこととし、造林事業につきましては、一百七十五億二百万円を計上して、事業の推進をはかるとともに、補助体系の改訂及び保安林等における育林作業の新規実施を行なうこととしております。
また、国土緑化の推進につきましては、都市部を含めた国土の緑化を一そう推進することとし、新たに、総合的緑化技術のコンサルティング活動、緑化用苗木の需給情報の提供等を行なうために設立される法人に対し、基金造成等の助成を行なうこととしております。
このほか、第二次林業
構造改善事業につきましては、四十七年度に事業計画を樹立した一百地域において事業に着手することとし、第一次林業
構造改善対策事業と合わせて六十七億七千七百万円を計上するとともに、
森林計画制度の運営、森林病害虫等の防除、林産物の生産流通の改善、森林組合の育成強化、林業労働力対策、林業普及指導等について
拡充実施をはかることとしております。
第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。
漁業生産基盤の整備につきましては、昭和四十八年度から五カ年にわたる第五次
漁港整備計画を策定し、総事業費七千五百億円をもちまして漁港の
計画的整備をはかることとし、四十八年度につきましては、その初年度として五百三億二千七百万円を計上するほか、大型魚礁設置事業、浅海漁場開発事業及び漁港関連道の整備を引き続き推進することとし、合わせて五百三十六億八百万円を計上しております。
次に、海洋水産資源の開発につきましては、沿岸海域における栽培漁業の振興をはかるため、瀬戸内海における従来の事業を引き続き推進するほか、新たに、日本海における栽培漁業
センターの設置について助成するとともに、遠洋及び沖合い海域における海洋新漁場開発事業を拡充し、新たに未利用の深海漁場の開発体制を整備することとし、合わせて三十八億一千八百万円を計上しております。
また、発展途上国を中心に領海等を拡大する動きが強まっていることに対処し、海外漁業協力事業に必要な資金の融通等を行ないわが国
海外漁場の確保と海外漁業協力とを一体的に推進することとし、これに必要な経費として外務省計上の経済
開発等援助費のうちの十億円を含めて二十二億一千一百万円を計上しております。
水産物の
価格安定対策につきましては、
冷凍水産物等の流通改善、水産物産地
流通加工センターの形成等の事業を拡充するとともに、新たに、水産物入出荷
合理化促進事業、水産物市場情報収集事業等を実施することとし、合わせて二十二億二千三百万円を計上しております。
さらに、
漁場環境保全対策につきましては、四億八千四百万円を計上して、新たに、P・C・B汚染漁場の定期点検及び赤潮被害防止対策を実施することとしております。
以上のほか、
農林漁業施策の推進のために重要な予算について申し上げます。
まず、
農林水産業の
試験研究につきましては、新たに、
農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究等を実施するとともに、
試験研究費の増額、施設の
計画的整備等により
試験研究の強化をはかることとし、これらに要する経費として二百四十二億三千三百万円を計上しております。
なお、研究学園都市建設促進のため、特定国有財産整備特別会計に必要経費を計上して、新たに、果樹試験場、蚕糸試験場等の施設の建設等に着手することとしております。
次に、
農林水産業の改良普及事業につきましては、農業改良普及事業について、新たに、
農業団地特別指導事業等を行なうことを含めて一百二十一億八百万円、生活改善普及事業について二十五億五千五百万円をそれぞれ計上しておりますほか、
畜産経営技術の普及指導として四億五千三百万円、蚕業技術の普及指導として十七億七千三百万円、林業普及指導事業として二十三億四千万円、水産業改良普及事業として三億九千四百万円をそれぞれ計上しております。
このほか、農業団体の整備強化に八十二億六千一百万円、農業炭害補償制度の実施に五百四十一億八千四百万円をそれぞれ計上するとともに、農林統計情報の充実整備、公害・環境保全対策、災害対策公共事業等につきましても所要の経費を計上しております。
次に、昭和四十八年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。
第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧につき
食糧管理制度の適切な運営をはかるため、米の
生産調整対策及び自主流通米との関係に配慮するとともに、過剰米の計画的な処分を引き続き実施することとし、所要の予算を計上しておりますが、
一般会計からは、調整勘定へ二千六百八十億円、過剰米の処理にかかる損失の計画的補てんに充てるため、国内米管理勘定へ七百五十億円を繰り入れることとしております。
また、国内産イモでん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため、
一般会計から、農産物等安定勘定へ七億円、輸入飼料勘定へ九十四億円をそれぞれ繰り入れることとしております。
第二、農業共済再保険特別会計につきましては、果樹保険の本格的実施等を含め、農業災害補償制度の運営のため必要な予算を計上しており、
一般会計から総額三百二十億二千万円を繰り入れることとしております。
第三に、
国有林野事業特別会計につきましては、
国有林野事業の財務状況に対処し、森林の持つ
公益的機能の維持増進、木材の持続的かつ計画的供給という国有林に課せられた使命を果たしつつ、可能な限り経営の
合理化を進めることとしておりますが、国有林事業勘定の歳入予定額は一千八百八十一億三千二百万円、歳出予定額は一千九百五十一億三千二百万円でありまして、差し引き歳出超過額七十億円は、前年度からの持ち越し現金をもって充当することとしております。
また、特別会計の財政事情を考慮し、治山勘定において実施する国有林野内
治山事業につきましては、
一般会計から一百億円を繰り入れその大幅な拡充をはかるとともに、
国有林野事業勘定において実施する造林事業につきましては、新たに、資金運用部から二百億円の借り入れを予定することとしております。
第四に、漁船再保険及び漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険事業及び漁業共済保険事業の実施のため必要な予算を計上しており、
一般会計から総額三十五億二百万円を繰り入れることとしております。
以上のほか、自作農創設特別措置、特定土地改良工事、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。
最後に、昭和四十八年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。
財政投融資の計画額としましては、
農林漁業金融公庫、農地開発機械公団、森林開発公団、八郎潟新農村建設事業団及び特定土地改良工事特別会計に対するもののほか、新たに、
国有林野事業特別会計に対するものを含め、総額二千九百五十一億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。
これをもちまして、昭和四十八年度
農林関係予算及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。
—————————————