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1973-09-26 第71回国会 参議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月二十六日(水曜日)    午前十時五十七分開会     ―――――――――――――    委員異動  九月二十五日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     上田  哲君  九月二十六日     辞任         補欠選任      中村 利次君     向井 長年君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高田 浩運君     理 事                 内藤誉三郎君                 中山 太郎君                 山本茂一郎君                 片岡 勝治君     委 員                 源田  実君                 佐藤  隆君                 長屋  茂君                 西村 尚治君                 星野 重次君                 町村 金五君                 上田  哲君                 鈴木  力君                 鶴園 哲夫君                 前川  旦君                 黒柳  明君                 宮崎 正義君                 向井 長年君                 岩間 正男君    委員以外の議員        議     員  加藤シヅエ君    衆議院議員        内閣委員長    三原 朝雄君        内閣委員長代理  大出  俊君    国務大臣        法 務 大 臣  田中伊三次君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       坪川 信三君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        管理局長        兼人事院事務総        局任用局長    茨木  広君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        総理府人事局長  皆川 迪夫君        警察庁警備局長  山本 鎮彦君        防衛庁参事官   大西誠一郎君        防衛庁長官官房        長        田代 一正君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        法務大臣官房長  香川 保一君        法務省民事局長  川島 一郎君        法務省矯正局長  長島  敦君        法務省入国管理        局長       吉岡  章君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部省大学学術        局長       木田  宏君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        法務大臣官房人        事課長      前田  宏君        法務大臣官房営        繕課長      水原 敏博君        外務省アジア局        外務参事官    大森 誠一君        大蔵省理財局国        有財産審査課長  佐藤徳太郎君        文部大臣官房人        事課長      望月哲太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (金大中事件と元自衛隊員の問題に関する件) ○一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際  海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○動物の保護及び管理に関する法律案衆議院提  出) ○法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○国家公務員たる看護婦等給与改善に関する請  願(第一四号)(第一八号)(第一九号) ○恩給共済年金受給者処遇改善に関する請願  (第五九号) ○元満鉄職員であった公務員等恩給共済年金通  算等に関する請願(第二一五号) ○診療放射線技師国家公務員一の待遇改善に関  する請願(第二六〇号)(第四二六号)(第四  二七号)(第四二八号)(第四二九号)(第四  三〇号)(第四三一号)(第四三二号)(第四  三三号)(第四三四号)(第四三五号)(第四  三六号)(第四三七号)(第四三八号)(第四  三九号)(第四四〇号)(第四四一号)(第四  七二号)(第四七三号)(第四七四号)(第五  〇二号)(第五二一号)(第五二八号)(第五  二九号)(第五六一号)(第五八四号)(第五  八五号)(第六四三号)(第六四四号)(第六  四五号)(第六四六号)(第六四七号)(第六  四八号)(第六六七号)(第六七五号)(第八  一〇号)(第一九七五号) ○終戦直後海軍刑法による厚木航空隊員受刑者の  名誉回復措置に関する請願(第五四一号)(第  五五一号)(第五五六号)(第六五〇号)(第  八三二号)(第八八九号)(第九一五号)(第  三〇五七号) ○靖国神社国家護持に関する請願(第五五〇号)  (第二〇五五号)(第二一三〇号)(第二一三  七号)(第二一三八号)(第二一四〇号)(第  二一四三号)(第二一四七号)(第二一四八  号)(第二一四九号)(第二一五〇号)(第二  一五一号)(第二一五二号)(第二一五三号)  (第二一五四号)(第二一五五号)(第二一五  六号)(第二一五七号)(第二一五八号)(第  二一五九号)(第二一六〇号)(第二一六一  号)(第二一六二号)(第二一六三号)(第二  一六四号)(第二一六五号)(第二一六六号)  (第二一六七号)(第二一六八号)(第二一六  九号)(第二一七〇号)(第二一七一号)(第  二一七二号)(第二一七三号)(第二一七四  号)(第二一七五号)(第二一八七号)(第二  一八八号)(第二一八九号)(第二一九〇号)  (第二一九一号)(第二一九二号)(第二一九  三号)(第二一九四号)(第二一九五号)(第  二一九六号)(第二一九七号)(第二一九八  号)(第二二二七号)(第二二二八号)(第二  二二九号)(第二二三〇号)(第二二三一号)  (第二二三二号)(第二二三三号)(第二二三  四号)(第二二三五号)(第二二三六号)(第  二二四六号)(第二二四七号)(第二二四八  号)(第二二四九号)(第二二五〇号)(第二  二八六号)(第二二八七号)(第二二八八号)  (第二二八九号)  (第二二九〇号)(第二二九一号)(第二二九  二号)(第二二九三号)(第二二九四号)(第  二二九五号)(第二二九六号)(第二二九七  号)(第二二九八号)(第二二九九号)(第二  三〇〇号)(第二三〇一号)(第二三〇二号)  (第二三四〇号)(第二三四一号)(第二三四  二号)(第二三四八号)(第二三四九号)(第  二三五八号)(第二三五九号)(第二三六〇  号)(第二三六一号)(第二三六二号)(第二  三六三号)(第二三六四号)(第二三六五号)  (第二四〇八号)(第二四〇九号)(第二四一  〇号)(第二四九九号)(第二五〇〇号)(第  二五〇一号)(第二五〇二号)(第二五二二  号)(第二五五〇号)(第二六一七号)(第二  六九四号)(第二七二七号)(第二七六六号)  (第二八〇三号)(第二八一〇号)(第二八二  五号)(第二八三七号)(第二八三八号)(第  二八六一号)(第三〇四二号)(第三一三五  号)(第三二〇七号)(第三二一〇号)(第三  三五一号)(第三六二一号)(第三六二二号)  (第三六五三号)(第三六八二号)(第三七一  二号)(第三七七九号)(第三七八〇号)(第  三七九五号)(第三八〇八号)(第三八三二  号)(第三八四八号)(第四二七〇号)(第四  二七一号)(第四二七二号)(第四二七三号)  (第四二七四号)(第四二七五号)(第四二七  六号)(第四二七七号)(第四二七八号)(第  四二七九号)(第四二八〇号)(第四二八一  号)(第四二八二号)(第四二八三号)(第四  二八四号)(第四二八五号)(第四二八六号)  (第四二八七号)(第四三一三号)(第四三一  四号)(第四三一五号)(第四四八八号)(第  四四八九号)(第四四九〇号)(第四五七七  号)(第四五七八号)(第四五七九号)(第四  五八〇号)(第四六一五号)(第四六一六号)  (第四六五五号)(第四六五六号)(第四六五  七号)(第四六五八号)(第四六五九号)(第  四七二九号)(第四七三〇号)(第四七三一  号)(第四七三二号)(第四八八六号)(第四  八八七号)(第四八八八号)(第四八八九号)  (第四八九〇号)(第五二一一号) ○公務員年金スライド制早期実現に関する請  願(第六七六号)(第六八〇号)(第六八一  号)(第六八二号)(第一二八七号)(第一六  二五号)(第一六二六号)(第一六二七号)  (第一六二八号)(第一六二九号)(第一六三  〇号)(第一六三一号)(第一六三二号)(第  一六四四号)(第一六四九号)(第一六五二  号)(第一六五三号)(第一六五四号)(第一  六五五号)(第一六五六号)(第一六五七号)  (第一六五八号)(第一七〇二号)(第一七〇  三号)(第一七〇四号)(第一七〇五号)(第  一七〇六号)(第一七〇七号)(第一七二二  号)(第一七二三号)(第一七二四号)(第一  七二五号)(第一七二六号)(第一七二七号)  (第一七二八号)(第一七二九号)(第一七三  六号)(第一七四七号)(第一七四八号)(第  一七五二号)(第一七九一号)(第一七九二  号)(第一七九七号)(第一八一九号)(第一  八二二号)(第一八二六号)(第一九〇八号)  (第一九〇九号)(第一九三九号)(第一九五  〇号)(第二〇〇六号)(第二〇七二号)(第  二一一一号)(第二一一二号)(第二二二一  号)(第二二四四号) ○靖国神社国家管理反対に関する請願(第七四  九号)(第七五〇号)(第七五一号)(第七五  二号)(第七五三号)(第七六一号)(第七八  一号)(第七八二号)(第八三一号)(第八四  四号)(第八五八号)(第八五九号)(第八六  〇号)(第八六一号)(第八六二号)(第八六  三号)(第八六四号)(第八八六号)(第一〇  一〇号)(第一〇一一号)(第一〇一二号)  (第一〇一三号)(第一〇二五号)(第一〇四  三号)(第一一一六号)(第一一六四号)(第  一一六五号)(第一一六六号)(第一一六七  号)(第一一六八号)(第一一六九号)(第一  一七〇号)(第一一九六号)(第一一九七号)  (第二〇七〇号)(第三二一二号)(第三二三  一号)(第三二三二号)(第三二三三号)(第  三三〇五号)(第三三五二号)(第三三八九  号)(第三四二六号)(第三四三九号)(第三  四四二号)(第三四四三号)(第三四五六号)  (第三四六一号)(第三四六二号)(第三四六  三号)(第三四八二号)(第三五〇四号)(第  三五二四号)(第三五五二号)(第三五八〇  号)(第三五八一号)(第三六七五号)(第三  六八三号)(第三八二七号)(第三八三七号)  (第三八三八号)(第三八三九号)(第三八四  〇号)(第三八四一号)(第三八四二号)(第  三八四三号)(第三八四四号)(第三八四五  号)(第三八四六号)(第三八四七号)(第三  九一二号)(第三九一三号)(第三九一四号)  (第三九一五号)(第三九一六号)(第三九一  七号)(第三九一八号)(第三九一九号)(第  三九二〇号)(第三九二一号)(第三九三一  号)(第四〇三〇号)(第四〇三一号)(第四  〇三七号)(第四〇五二号)(第四〇五三号)  (第四〇五四号)(第四〇五五号)(第四〇五  六号)(第四〇五七号)(第四〇五八号)(第  四〇五九号)(第四〇六〇号)(第四〇六一  号)(第四〇六二号)(第四〇七五号)(第四  〇八六号)(第四〇八七号)(第四〇八八号)  (第四〇八九号)(第四一三二号)(第四一三  三号)(第四一三四号)(第四一三五号)(第  四一三六号)(第四一三七号)(第四一三八  号)(第四一三九号)(第四一八二号)(第四  一八三号)(第四一八四号)(第四一八五号)  (第四一八六号)(第四一八七号)(第四一八  八号)(第四一八九号)(第四一九〇号)(第  四一九一号)(第四一九二号)(第四二八八  号)(第四二八九号)(第四二九〇号)(第四  二九一号)(第四二九二号)(第四二九三号)  (第四二九四号)(第四二九五号)(第四二九  六号)(第四二九七号)(第四二九八号)(第  四三一六号)(第四六四七号)(第四六四八  号)(第四六四九号)(第四六五〇号)(第四  六五一号)(第四六五二号)(第四六五三号)  (第四六五四号)(第四七八五号)(第四八二  六号)(第四八二七号)(第四八二八号)(第  四八二九号)(第四八三〇号)(第四八三一  号)(第四八三二号)(第四八三三号)(第四  八三四号)(第四八三五号)(第四八三六号)  (第四八三七号)(第四八三八号)(第四八三  九号)(第四八四〇号)(第四九二四号)(第  五二三六号)(第五二三七号)(第五三七〇  号)(第五三七一号)(第五三八五号)(第五  三八六号)(第五四一三号)(第五四一四号)  (第五四一五号)(第五四一六号)(第五四一  七号)(第五四二一号)(第五四二二号)(第  五四二三号)(第五四二四号)(第五四二五  号)(第五四二六号)(第五四三七号)(第五  四三八号)(第五四三九号)(第五四四〇号)  (第五四四一号)(第五四四二号)(第五四四  三号)(第五四五四号)(第五四五五号)(第  五四五六号)(第五四五七号)(第五四六〇  号)(第五四六一号)(第五四六八号)(第五  四六九号)(第五四七〇号)(第五四七一号)  (第五四七二号)(第五四七三号)(第五四七  四号)(第五四七五号)(第五四七六号)(第  五四七七号)(第五四七八号)(第五四七九  号)(第五四八〇号)(第五五一〇号)(第五  五一一号)(第五五一二号)(第五五一三号)  (第五五一四号)(第五五一五号)(第五五一  六号)(第五五一七号)(第五五一八号)(第  五五一九号)(第五五三二号)(第五五三三  号)(第五五三四号)(第五五三五号)(第五  五三六号)(第五五三七号)(第五五三八号)  (第五五三九号)(第五五五四号)(第五五五  五号)(第五五五六号)(第五五五七号)(第  五五五八号)(第五五五九号)(第五五六〇  号)(第五五六一号)(第五五六二号)(第五  五六七号) ○非核三原則立法化等に関する請願(第八一二  号)(第八一三号) ○退職教職員恩給年金完全スライド制実施  等に関する請願(第九五五号) ○米軍池子弾薬庫全面返還等に関する請願(第  二一一〇号) ○両眼失明重度戦傷病者に対する恩給等改善に関  する請願(第二二五一号)(第二八四八号)  (第二八四九号)(第二八七二号)(第二九〇  二号)(第二九一二号)(第二九一三号)(第  二九三二号)(第二九三四号)(第二九三五  号)(第二九三六号)(第二九五四号)(第二  九五七号)(第二九五八号)(第二九五九号)  (第二九八〇号)(第二九八二号)(第二九八  三号)(第二九九九号)(第三〇五八号)(第  三〇九五号)(第三〇九六号)(第三〇九七  号)(第三一一八号)(第三一九八号)(第三  二一一号)(第三三〇四号)(第三三八七号)  (第三六七四号)(第四〇三三号) ○米空母横須賀母港化反対等に関する請願(第  二五二八号)(第三四九四号) ○千歳基地周辺市民生活安全確保に関する請  願(第三二一八号)(第三四八〇号)(第三六  二九号) ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正案反対等  に関する請願(第三八六八号) ○自衛隊伊丹基地撤去に関する請願(第四六九五  号) ○傷病恩給支給額の改定に関する請願(第四七  七〇号) ○恩給年金改善並びにスライド制法制化等  に関する請願(第四九七〇号) ○金鵄勲章年金及び一時賜金に関する請願(第五  〇一四号) ○恩給共済年金受給者処遇改善に関する請  願(第五〇二二号) ○北海道開発局事業所等の統合に関する請願  (第五〇九三号) ○旧満州農産物検査所職員に対する恩給法適用  に関する請願(第五一三〇号) ○元南満州鉄道株式会社社員等に対する恩給法の  適用に関する請願(第五一三一号) ○防衛施設庁の富士演習場北富士地区をめぐる補  助金行政のびん乱の防止と是正に関する請願  (第五二八〇号)(第五六〇四号) ○軍人恩給等改善に関する請願(第五二九〇  号) ○傷病恩給等の不均衡是正に関する請願(第五三  三四号)(第五三三五号)(第五三五四号) ○仮称月形少年院早期開設に関する請願(第五三  三六号) ○軍人恩給支給に関する請願(第五四二八号) ○岐阜市に勤務地をもつ公務員調整手当支給に  関する請願(第五五六三号) ○靖国神社法案反対に関する請願(第五五八八号) ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、竹田現照君が委員辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。  これにより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 上田哲

    上田哲君 金大中誘拐拉致事件に関しまして、現職自衛隊員見張り役をしていたという問題についてお伺いをいたします。  この問題は、当局としては、これは私は防衛庁捜査当局の両方にお伺いいたしますけれども、いつごろの事実を御存じであったのですか。
  5. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 私どものほうでは、九月の初めごろに警察庁から連絡がありまして、元自衛官二名が金大中所在確認のために活動をしていたらしいと、当時は、九月の初めのころは、らしいという話があったのが最初であります。そして、九月中旬ごろに警察庁からおおよその概要の連絡を受けました。
  6. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  7. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。
  8. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) これは金大中さんが連れ去られたという時点、八月八日ですね。この事件が起きてから数日たって、探偵社の方が自発的に申し出てこられた、こういうことであります。
  9. 上田哲

    上田哲君 そうすると、大体このミリオン興信所関係の問題については、捜査は終わっているというふうに考えていいですか。
  10. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 捜査と申しますが、そういうことで、事情を御本人からいろいろと承って、十分その間の事情は把握しております。
  11. 上田哲

    上田哲君 私どもが聞いたところでは、ミリオン興信所というところで、元自衛官所長と、当時現職自衛隊員の二人がこの問題に関与をしたと。ところがもう一人ですね、もう一人、現職自衛官が主として関西方面を担当して活動したという情報があるのですが、これはどうでしょうか。
  12. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 私どものほうは、そのお二人としか聞いておりません。
  13. 上田哲

    上田哲君 では、別な質問にいたしますが、関西方面の、つまり金大中氏が関西方面に拉致されて韓国に渡ったという道筋があるわけですが、その関西方面誘拐拉致の流れの中で、自衛隊員がかんでいたという事実はありますか。
  14. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) いままでそういう事実は全然聞いておりません。
  15. 上田哲

    上田哲君 私どものほうに聞こえてきた話では、ミリオン興信所に、実は自衛隊関係者二名ではなくて、もう一人、現職自衛隊員関西方面を担当して活動したという話があります。これはひとつ御調査をいただきたいと思います。  そこで、いまのお話では、この事件が起きた直後に、ミリオン興信所のほうから申し出があって事情を聞いたのだと、こういうお話でありました。しかし、ミリオン興信所坪山所長の発言によりますと、こちら側から申し出たのではないと、これは警察側から話が来て事情を聞かれたのにすぎないと、こういう言い方をしておりますが、この食い違いはどうなんでしょうか。
  16. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 私ども捜査本部からの報告によりますと、事件の発生を知って、元自衛隊の方ですね、この方が自発的に、捜査の参考になるんじゃないかということで、その間の事情説明に来られたと、そういうふうに聞いておりますけれども
  17. 上田哲

    上田哲君 それは所長のほうですか、所員のほうですか。
  18. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) それは所長のほうです。
  19. 上田哲

    上田哲君 所長のほうは、さらにこの依頼者金東雲一等書記官であったというのは、たくさんの写真を見せられて、その中からこの人に違いないということで金東雲氏というふうになったのだということではないと、警察捜査当局の調べの中からそういうことになったんだという趣旨のことをにおわしているわけです。その事実はどうですか。
  20. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) われわれとしては、いろいろと事情を伺っている間に、犯人像というもの、犯人像といいますか、その依頼した人の像をいろいろな形で解明していく過程で、写真をいろいろと見せて、この中にそういう人はいないかというふうにしたところ、確かにこれに似た人であると、そういうふうにおっしゃったというふうにわれわれは聞いております。
  21. 上田哲

    上田哲君 警察当局捜査当局判断としては、坪山所長高田馬場の張り込みを依頼したのは金東雲氏であるということを断定しておられるわけですね。
  22. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) まあ、大体間違いないというふうに判断しております。
  23. 上田哲

    上田哲君 ほぼ間違いないという、非常にすぐれた捜査能力を持っている捜査当局が断定するという根拠に、写真をたくさん見せて、この中からこれに間違いないという本人の証言があったということをもって足れりとしておられるのか。内容を承らなくてもけっこうだけれども、それ以外にもっと有力な何らかの心証なり、傍証なりがあるのでありましょうか。
  24. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 写真はやはり一番有力なあれでございますが、そのほか捜査上のいろいろ積み重ね、こういうものの判断も加わっておるということをお含みいただきたいと思います。
  25. 上田哲

    上田哲君 その内容については、御報告はいただけませんか。
  26. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) その内容は、ちょっと捜査の機微になりますので遠慮させていただきたしと……。
  27. 上田哲

    上田哲君 では、その内容は伺いません。伺いませんが、一つだけ確認しておきたいのは、金東雲氏が坪山所長依頼をしたということがほぼ間違いないと断定される根拠、たくさんおありでありましょうが、その中で、本人にたくさんの写真を見せて固めたということが一番有力なのですか。それ以外のいろいろな証拠というもの、あるいは心証というもの、そうしたもののほうが、あわせていえば大きいのですか。
  28. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) それは、その比率はなかなか、何分何分というわけではございませんが、両方を総合してそういう判断を下したということでございます。
  29. 上田哲

    上田哲君 いろんな考え方やデータから話を詰めていきたいのですが、非常に霧に包まれているという問題は捜査当局もおありだろうし、われわれなんかの立場ではもっとそれが強いわけですかち、若干推論にならざるを得ない部分はありますけれども、われわれはわれわれなりに得た心証なり、ささやかなデータを積み上げてみると、いまのお話でどうしてもわからないことが一つある。それは、テレビ映画で見ればそういうことはおもしろさになるんでしょうが、事実上の捜査過程としては、写真を並べて、ああ、この人ということだけで、これほど大きな問題についての犯人、依頼者を断定するということは、やっぱり私はかなり危険があると思うし、捜査当局がそのことに大きい比重を置いて断定をされるというのは少し冒険であろう。私はどうしてもそこに、それが何であるかということはかりに言えないにしても、お互いにそれは触れ合わないにしても、やはりもう一つ大きな何といいましょうか、そうならなければならない推論なり、何かがなければならないと思うんです。私のこの考え方はどうでしょうか。
  30. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、写真だけで簡単に断定する、これは非常に危険でございます。写真といっても、数枚の写真の中からこれという形でなくて、かなり多数のいろいろな写真の中から、ためらうことなくさっと引き出した場合と、いろいろとちゅうちょして引き出した場合、いろいろとあるわけですが、この場合は、捜査の専門の担当官が、その写真の抽出のしかたが、かなり多数の写真の中から非常に端的に、率直に示したということで、心証上かなりこれは強い自信を持って引き出したものである、こういう判断をしておるということは申し上げることができます。
  31. 上田哲

    上田哲君 写真に非常に大きなウエートを置いておられるということはよくわかります。そこで、その写真に大きなウエートを置くためには、たとえば町ですりにあったと、銀座の町かどでこんな人にたくさん会ったか会わなかったかという、不特定多数の多くの写真を並べるというようなことではなくて、このミリオン興信所依頼をし得る人の数はきわめて限定されておる。こういう前提が一つ加わりませんと、不特定多数の、きわめて不特定多数の中から無作為的に選ぶという場合とは、心証が違うはずですね。これは一つはっきりしていることだと思います。  もう一つ、そもそもそのミリオン興信所にそういうものを依頼する人の数はかなり限定されていたとい、う前提がそこで浮かび上がってくると思いますけれども、これはお認めになりますね。
  32. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) そうあまり多数の人が、一般不特定に来るというわけではないということは事実であります。
  33. 上田哲

    上田哲君 そこで、ちょっともう一つの側面に移りまして、そのミリオン興信所についての御調査をお伺いしたいのですが、これは七月一日に発足をしたんですか。日にちはどうですか。
  34. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) お答えいたします。そういうことでございます。
  35. 上田哲

    上田哲君 七月一日に店開きをしたと。で、この場所は非常にわかりにくいところにあって、それこそもう一つ探偵がいなければ探り当てられないような場所だといってもいい。そしてここには看板が出ているわけではないと、あるいは電話番号帳に電話が記載されているわけでもない、他のいかなるPR方法もとっていない。となると、ここに依頼に来る依頼人というものの限定は、かなり狭められてまいりますね。捜査当局としては、そういう依頼人の限定の上に立たれたのは、これは間違いないと思いますけれども、どういう限定幅をお考えになっているのか。あるいは、もしそれ以外のところがあるなら、どういうところがあったのか、念のためにお伺いいたします。
  36. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) その依頼に来られた経緯ということは、その依頼された方――すなわち捜査本部に申し入れた方から伺ったんですけれども、その方も、どういう経緯で来たのか実はわからないんだと、一方的に向こうのほうから言ってまいったので、これは商売上のことですから、できることなら、始めたばっかしだし、あまりせんさくしないで承ったということで、その間の経緯がどういうことになっているか、私ども承知いたしておりません。
  37. 上田哲

    上田哲君 もう一つ、別な側面から伺いますが、この種の探偵社というんですか、興信所ですな、興信所。この種の興信所というのは、元自衛隊員あるいは調査隊出身者というものが営んでいるこの種の興信所というのは、どれぐらいあるものでしょうか。
  38. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) ちょっと私ども調査いたしておりません。
  39. 上田哲

    上田哲君 それではこの問題の調査金東雲氏が依頼をするときに、金東雲氏は、もう一人の人物とともに、このミリオン興信所へ行く前に、場所で言うなら、新橋付近の某興信所へ行って、同じ問題についての調査依頼し、断わられた。そこで、そういう理由も付しながらミリオン興信所へ出かけたという経過はいかがですか。
  40. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) そういう経緯、承知いたしておりません。
  41. 上田哲

    上田哲君 その経緯があるようであります。  そして、その新橋地区ということだけにしておきましょうが、その興信所も、また同じように同種類の人たちによって運営される興信所で、そして依頼人に付き添っていた人は、韓国問題にたいへん明るい関係者だというふうにわれわれは聞いておりますけれども、その点の事実も御存じありませんか。
  42. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 全然承知いたしておません。
  43. 上田哲

    上田哲君 ああそうですか。  そこで、それらの状況を考えますと、もう一つの推論も浮かび上がらざるを得ないのですが、これは、坪山所長にこのような依頼をした人は金東雲氏以外のことはあり得ないでしょうか。あるいは、金東雲氏も実はだれかの代理であったというようなことはあり得ないでしょうか。
  44. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) そこらの点はまだはっきりしないわけでございます。ほかの人、あるいは金東雲氏がだれかに頼まれたか、そういう点についてははっきりしませんので、実は金東雲さんからその間の事情は直接伺いたい、こういうことで任意出頭をお願いしたということもあるわけでございます。
  45. 上田哲

    上田哲君 もう一点だけ広げておきます。このミリオン興信所の事務所の借り主は、外事課の元課員である。つまり警察の人であるという事実はいかがですか。
  46. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 元、警視庁の外事二課におられた方ですが、六年ほど前にやめた人で、その後事業を手広くやっている。この方がその事務所を借りて仕事をしておったようですが、手狭になったので、それを引き払ってほかへ移って、まだ契約が続いているということで、たまたま知人を介して紹介されたその今度の元自衛隊の方ですね、この方には又貸しをしたということは事実でございます。
  47. 上田哲

    上田哲君 その元外事課の方と坪山所長との関係は、どういう関係なんでしょうか。
  48. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) それは前から何か顔見知りであったというふうに承知いたしております。
  49. 上田哲

    上田哲君 顔見知りであったということのつながりの一つに、韓国問題について、調査隊員であった坪山さんと、それから外事課としては当然な職務範囲ですから、この二人が業務上、そういうことでつき合うことが十分にあり得たと思います。そういう関係はすでに御調査を終わっておられますか。
  50. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) そういう仕事の関係ではないと聞いておりますが、この警察の方は韓国担当ではなくて、ほかの係であったというふうに承知いたしておりまして、その関係については、聞いたところ、個人的な関係であるということであり、また、これ、犯罪に直接結びつく問題でもないし、それ以上は調査いたしておりません。
  51. 上田哲

    上田哲君 一般的には、この二つは役所の仕事としてつながり得るはずなんです。  で、いまのお話を伺ってみると、その二人の関係はどうだったのかということを全然知らないのではなくて、この二人の関係はどうであったのかということについては、御調査になった上、関係がないというふうに断定をされているわけですね。
  52. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 一応仕事のほうでは関係ないと、個人的な関係で知り合っていると、こういうことでございます。
  53. 上田哲

    上田哲君 逆に言うならば、この二人は、韓国問題について知識を交換し合う関係を持ち得ると思いますが、持ち得ないというふうに断定できましょうか。
  54. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) まあこの方は、もう六年半以上前にやめておりまして、その後事業に専心して、何か手広くいろいろな仕事をしておるということで、現在はそういうことは全然関心がない方で、ただ仕事一本やりというふうにわれわれは承知いたしております。
  55. 上田哲

    上田哲君 もう一つ、一般論としてお伺いしておきますが、金大中事件が起きたのが八月の八日である。そして八月一日付ということになっておりまして、関連する現場は確かに高田馬場で切れるわけですけれども、ことばは何と使っていいのかわかりませんが、もしも容疑者である金東雲氏が、この誘拐事件を緻密に計画をし、あらゆる段取りを考慮していたとするならば、主要な現場となるべきグランドホテルの前の、一週間前までは、さまざまな張り番なり何なりをそういうところまで手を伸ばしてやっておりながら、グランドホテルの主要な現場での誘拐拉致をするときにのみ、そういう配置を全部怠っていたということは考えにくいわけです。私の想像としては、捜査の当然な進展として、それは、なるほど、その興信所はそこで切れたかもしれないけれども、そのあとどのような関連がほかの部分に発展をしていたか、これは追及されているに違いないと思いますが、そこはどうなっておりましょうか。
  56. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) おっしゃるとおり、この関係では、もう七月の二十八日ですか、そのころもうやめたということで、これはもう全く間違いのない事実だと思いますが、まあその後、そういう誘拐関係者がどのようないわば張り込みをし、監視をしておったのか、そういう点は一つの捜査の問題点でございまして、それは十分いろいろな関係で捜査はいたしております。
  57. 上田哲

    上田哲君 その捜査の中で何か浮かび上がってまいりませんか。
  58. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) いまのところ、御報告申し上げるような事実は浮かび上がってきておりません。
  59. 上田哲

    上田哲君 金大中氏の誘拐に至る時点以前にもこれだけの張り番があった、そして誘拐されるそのときに、何らかの向こうからする張り番態勢といいましょうか、そういうものがなかったと信ずることは非常にむずかしいわけですけれども、そうお考えになるんですか。それとも、そういうものがあり得たであろうという推定で捜査をしなきゃならぬと私は思うんだが、そういう前提でお考えになっていらっしゃるんですか。
  60. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) お答えいたします。  これはまあ一つの推定でございますが、おそらくその時点で、そういう誘拐をたくらんだ人は、金大中さんの所在を何らかの方法で確認したんだと思いますね。確かに、金大中さんはグランドパレスホテルへ行く前は、パレスホテルから出られたわけですから、きわめて近いところですから、そういう事実関係をおそらく何らかの方法ですでにキャッチしておったのではないか、こういうふうに推定はいたしております。
  61. 上田哲

    上田哲君 私は、ここで、優秀な捜査当局がかなりいろいろなデータを詰めてこられたと思うので、まあ、いまをあえて中間段階と規定し小がら、その限りで、まあ腹も立つだろうし、言いにくいこともあるだろうと思うので、そこまでは追及しないけれども、どうも私は話が少しきれいごとにまるめているといいましょうか、かどをまるめているというふうな感じがいなめないわけです。これはまあお答えいただこうとは思いません。  私は、そこのところを自分の推論という形で申し述べてみたいのでありますが、話がどうもとぎれとぎれになり、どこかでぶち切られ、押さなきゃならないところが落ちているという感じは、もしこの事件を追うなら当然出てくるポイントだと思うんです。たとえばその一つは、これが一体金東雲氏の依頼であったということを断定する根拠が、たくさんの不特定多数の写真によってきめたというのは少し無理がある。これはやはり必然的にこれまでの流れの中でそういう段取りにならざるを得ないという状況の確信がなければ、この写真の――他人のそら似だってあるわけてすから、私は問題が出てくるだろうと思います。その重要なポイントが、縮めて言うなら、まずミリオン興信所なるものは、元来自衛隊――まあ自衛隊というのはこの場合調査隊でありましょうけれども自衛隊調査隊、あるいは一般のといいましょうか、公安調査庁とか、そういうところのみをお得意さんにして営業するという目的で設立されており、そのゆえにこそ電話も公表せず、場所も、大通りでもちろんなくても、看板一つ出さなくても営業が可能である。そして事務所を一つ選ぶにも、もとよりそういう関係の人々の中で事務所があっせんをされているということも十分推論するほうがむしろ自然だと、こういうふうに考えていかざるを得ないと思います。しかもその下に流れているのは、韓国情報というものに共通するプロがそれぞれそうした場を共有し合っているという姿がどうしても浮かび上がってこなければならないように思います。私のまず非常に大まかな推論を申し上げたんだけれども、その方向に向かって捜査を進めなければ十分ではないという感じはいかがでしょうか。
  62. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) おっしゃるとおり、いろいろなことが考えられるわけでございます。われわれもすべてのことを推定、想定しながら、しかも予断に立つことなく、どこまでも真実を追求する、こういう態度で捜査、この点も進めていきたい、これまでも進めてきたということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  63. 上田哲

    上田哲君 たいへん抽象的に私の意見をお認めいただいたと思うんですが、たとえばです、たとえば、これはあの三日間だけでこれが切れた、あとは何もないということを想像することはむずかしいわけで、もっといろいろな手が打たれているというふうに推定しなければ、捜査は進展しないわけです。そういうことでいえば、たとえばグランドホテルの場合も、金大中氏がソウルの自宅にあらわれてから、実は拉致されるときにエレベーターの中でアベックらしい男女に会ったということになっておりましたけれども、これはアベックの男女ではなくて、中年紳士の二人連れであったというふうに訂正をしていいんでしょうね。
  64. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 訂正していいかどうか、これはちょっとそれまでわれわれ言い切れないのでございますが、諸般の事情から見て、その証言される方の証言の内容、それからその状況、こういうものから総合的に判断して、実際は男の方二人であって、男女二人というのは、何か見間違いか勘違いかではないか、こういうふうにわれわれとしては現在推定しているわけでございます。
  65. 上田哲

    上田哲君 これはきのうの本会議で江崎大臣からも、たとえばエレベーターの中の二人については、御本人の立場を守らなきゃならないので、わかっていても言えないのだという話がありました。ということは、名前や職業なんとかいうことを私は言ってもらおうとのみは思いませんが、少なくともこの人たちと捜査当局は当然に会って事情は聞いていて、あのときエレベーターの中にいたのはこの人たちだということは確認をされているわけですね。そうであるとすれば、これは中年の紳士お二人であったということは断定をしていいわけですね。
  66. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) その証人は、まさに中年の男子二人でございます。
  67. 上田哲

    上田哲君 この中年の男子二人がだれであったということをいまここでは伺ってもむだでありましょう。むだでありましょうけれども、たとえばこれは社会的に十分に信頼し得る中年の紳士二人であったというような表現までですか。
  68. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) お答えいたします。これまでもそのように申し上げております。
  69. 上田哲

    上田哲君 ふしぎなことは、このエレベーターは、若い男女のアベックだという表現を聞いていると、あの背の高い華麗なグランドホテルから、突如としてテレビ映画もどきに重要な人物が拉致されていく。そこに新婚夫婦のアベックの二人がいたみたいな感じになるんですが、そうではなくて、このエレベーターこそはまさに一般宿泊人の乗るべきエレベーターではなくで、従業員エレベーターである。従業員エレベーターにアベックなどは乗るわけはないんでありまして、ここに乗っていた人はきわめて限定される、特定な人でなければならない。ホテルの従業員であるか、しからずんば、ホテルの従業員と同じようにここに乗ることが許されるような特定の条件の人でなければならないということになります。私はこれはたいへんおかしいと思うんです。したがって、もう一ぺん申し上げるが、住所や氏名や職業をということまではお伺いできないとしても、非常に特定な人が乗っていたのだということでいいんですね。
  70. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 特定の人という意味、ちょっとわかりかねますが、そのエレベーターは別に従業員用とかなんとかというふうにわれわれ聞いておりません。ただ、直通して地下の駐車場まで行けるエレベーターであって、普通のエレベーターは、一階なり、そこでとまるわけですが、地下の駐車場まで行けるエレベーターである、だから、だれでもそこには乗れるんだというふうに承知いたしております。その限りにおいて、特定という表現は私ども適切であるとは思わないわけでございます。
  71. 上田哲

    上田哲君 その日、まだ誘拐をしようというときでないときにも、わざわざ、もし人間の数が足りないんなら幾らでもいるのに、そういう興信所の人を頼んで、元自衛隊や現自衛隊を頼んで見張りをさせていたということになれば、現実に誘拐、拉致をしようというときに見張りを立てないことはあり得ないということはさっき申し上げた。とすると、何人かがどっと囲んで金大中氏を連れていく。その金大中氏を連れていくエレベーターの中に、そのようなガードマンがいたということは当然考えてみるべき推定であります。私はこの二人の中年紳士なるものが、実は偶然乗り合わせたのでなくて、これはまさしくミリオンと同じ路線上にあるべき、この誘拐犯人グループによって委嘱をされた見張り役ガードマンであるというふうに断定するほうが、かなり信頼性が高いと思うんですけれども、どうでしょう。
  72. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) そういうふうにお考えになるのも一つの考え方かと思いますが、この場合、全くそうではございません。詳しいことを申し上げられないのは残念でございますが、そういうガードマンとか、特殊な職業とか、ホテルと特別な関係ある人とか、そういう方では全くございません。
  73. 上田哲

    上田哲君 では、もうちょっとほかからいきます。この坪山さんという人も、まあ決して成績が悪い人ではない。年齢からいっても、現在の地位からいっても、自衛隊をやめなければならない理由はありません。この人がこの時期に、それこそ屋台を一つ持って店を開こうかぐらいの、通常なら冒険と考えられるような仕事に乗り出すということは、まあ常識ではない。よほど現在よりも、現在の地位を捨ててもプラスになるようなという保証があるようでなければ、この種の仕事にはなかなか踏み出さないだろうと思うんですけれども、そういう保証があったというところに私は問題があると思うので伺うのだが、その辺のところも調査なすったと思うんですが、これは、そこへまた現職自衛隊員が、いかに退職まぎわという説明があるにせよ、出かけていたということは、これは現実問題として、防衛庁調査隊の、いうところの調査活動の、ある意味の一翼をになうべき一あえて言っても下請業務として成立し得る範囲というものがあったと、こういう立場で、当然にその金東雲氏もそういう存在を知っていたであろうし、したがって、まあ私たちにたずねていけと言われたら一日かかってもたずねられないであろう事務所を、いとも簡単にたずね当てて委嘱もすると、こういうことになったというふうに考えなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  74. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) どういう経路でそこをたずねたか、その点は、先ほど申し上げましたように、依頼された方からの話ではわからないと。直接おいでになったので、どういう紹介なり過程で来られたかわからぬということで、私どももそれ以上はちょっと知るすべがございませんので、そのように考えておるわけでございますが、その自衛隊の方が、どうして自衛隊をやめられてそういうことをされたかという、そういう個人的、私的なことについては、われわれとしてはあまり立ち入って伺っておらないわけでございます。
  75. 上田哲

    上田哲君 金東雲氏が依頼をしたというときに、金東雲氏に付き添った人がいる。しかもこの人はすでに、またしても韓国へ旅行をされたようにも伺っておりますが、二の事実はいかがですか。
  76. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) ちょっとそういうことは私ども承知いたしておりません。
  77. 上田哲

    上田哲君 とすると、金東雲氏は、坪山所長に一対一で依頼をしたということになるわけですか。
  78. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 私どもはそのように聞いております。
  79. 上田哲

    上田哲君 そこは私ども調査と非常に違うところであります。まあそれは御調査をいただけばいいと思うのです。  そこで、どうしてもここで浮かび上がってくることは、これは防衛庁長官のほうにむしろ一緒に聞いていただいて御答弁をいただきたいのだが、この話、まことに不自然であります。前途有為な防衛庁の三佐が、まだ先が十分あるのにこういうところへ飛び出していく。これは先ほどの質問にもあわせてお答えいただきたいんだが、この種の業務というものが、このミリオン興信所のみに限らない。こういうものが実は、ことばは悪いけれども自衛隊調査隊のダミーとして、そのような業務を引き継ぐようなシェアを持っている。逆に言うならば、そのようなことがなければこのような営業は成り立たないのでありまして、たとえば最初に依頼に行って断わられた新橋地区の興信所にしても、たいへん隆盛をきわめて、そんなことはしないということで断わったというふうにも聞いておりますけれども、このようなことが、このような組織が、まことに社会的な私企業だというようなことで存在をしているものの、実体的にはそのような、まあ出入り業者と言ってはちょっとことばが違いますけれども、下請業者とでもいいましょうか、うまいことばでは言えませんけれども、広くいえば、自衛隊調査活動の一部を、結果論的には少なくとも、になっているというような結果になっている。こういう問題が私はこの際浮かび上がってくるように思うのです。防衛庁長官、いかがでしょうか。
  80. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 調査隊はそういうために置いてあるものではないことは本会議で答弁いたしました。また、自衛隊防衛庁としても、韓国この場合は大韓民国でありますから、その間にいわゆる外国情報の収集、連絡、そういうものをする必要が全くありませんし、してもおりませんし、したがってまた、それのダミー的なものを私たちが必要とするというものが第一存在をしないということでありまして、私どもとしては、やめた隊員について強制的に調査をすることもできませんが、協力を依頼しつつ、一応調査と申しますか、事情聴取等をいまいたしておりますけれども、われわれ防衛庁自衛隊というものが必要とする分野ではない。したがって、それがダミーとしていわゆる関係者と相談の上つくられたものである、そういうことは全くありません。
  81. 上田哲

    上田哲君 じゃ、念のためにひとつ伺っておきますが、調査隊の具体的な日常的活動のあり方、これはどういうふうになっておりますか。
  82. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 調査隊は、現在陸と空に置かれておりまするけれども、外部からの自衛隊に対する働きかけに関する自衛隊そのものの防護ということであります。  具体的に申し上げれば、全体で六百六十人ばかりの調査隊員、これは調査隊長以下でありますが、陸と空と合わせますると六百六十人おりまするけれども、それぞれは駐とん地に所在をいたしております。そして、たとえば自衛隊の中で反自衛隊的な活動をするような者があると、あるいは自衛隊に対して反自衛隊な規律違反の行為をそそのかせるような行為が外から働きかけられるとかというような場合に、自衛隊の内外について調査をする。あるいは、いわゆる自衛隊の中から、機密と申しますか、スパイ的な活動をそそのかせる外部勢力がございます。これは外国人を含めてでありますが、そういった場合に、隊の内外を調査するというようなことで、駐とん地に居をかまえながら、必要に応じて駐とん地の中あるいは外について具体的な調査を行なうというようなのが実態であります。
  83. 上田哲

    上田哲君 この調査隊については非常にベールがかぶされておりまして、私どもには実態がわからぬのです。つまりこれは旧中野学校の再現ではないか、あるいはJCIAではないか、こういう疑惑が非常に持たれるところです。  一つ伺うけれども、いま反自衛隊活動云々というお話がありました。反自衛隊活動ということの中に、たとえば立川基地反対闘争は含まれますか。
  84. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) これはいわば政治的あるいは市民的な運動でありますから、自衛隊の問題とは別個の問題であります。たとえば反自衛隊といいますのは、自衛官が勤務を命じられているにもかかわらず、勤務を逸脱するようにそそのかせる全般的な運動でありますとか、あるいは自衛隊の施設を損壊する、破壊するというような情報が流れたりします。あるいはビラ、ポスターなどが配られたりいたします。そういったような場合に、これは全体の人数が全国でわずか六百六十名でありますから、それほど大きな活動はできません。したがいまして、警察その他の治安機関と連絡をとりながら、具体的な行動が出た場合に、それを具体的な事象に応じて活動するということで、一般的に、いま言われましたような、立川の基地の反対闘争といったような問題については格別の運動をいたしません、活動をいたしません。ただ、立川の基地の中に乱入するおそれがあるというような情報が警察からもたらされました場合には、基地の周辺を調査するということはあり得ると思います。
  85. 上田哲

    上田哲君 非常に重大じゃないですか。言ってみれば、まだいま議論をされている刑法の動乱予備罪そのものではありませんか。乱入するおそれがあるといったらすぐ調査に入るというようなことになれば、おそれがあったら何でもできるということになるでしょう。そんなことが一体――自衛隊のたとえば第三条に何と書いてありますか。そういう危険があるんですよ。その辺のところが楽に出てきちゃ非常に問題です。これは治安維持法下の姿と同じになるではありませんか。まさに中野学校になるではありませんか。特高になるではありませんか。もしそうでないなら、警務隊でいいんですよ、警務隊でいいんですよ。警務隊じゃなくて、こういうものをつくるというのは、いまのあなたのことばにも出てきたように、自衛隊基地に乱入するおそれがあるときは事前に調査すると、こうなってきたら、市民権はどうなりますか。立川基地では現にそういう調査が行なわれた。自衛隊自衛隊員の中をどのようにコントロールされるかはあなた方の任務の一つだとお考えになってもよかろうが、かきねを一つ越えて基地反対闘争をかりにする立場があれば、これは市民運動であって、憲法の保障範囲です。こんなところへ自衛隊が一歩踏み込んでくるなんていうことは絶対にあってはならないのに、こういうことが行なわれることが、現にあなたの答弁の中にも出ておるじゃありませんか。これが非常に危険なんです。ことばであわてて訂正されたって実体が変わるわけではありませんけれども、少なくともそのおことばはしっかり御訂正いただきたい。
  86. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 自衛隊調査隊員が調査をするといいましても、そういう大げさなものではございません。いま具体的な事象に応じてと申しましたように、そしてまた警務隊の場合には捜査権という権限を持っておりまするけれども調査隊の調査というものは権限かないわけであります。そこで、隊の門の周辺に大ぜいの人が集まって、門の中に入ってくるというおそれがあるという情報が警察からもたらされた場合に、そういった集まった人たちの動向を見守っている、で、どういうふうになっているかということを隊の中に連絡をする、そういう具体的なことでありまして、反基地闘争全般について調査をするというようなところまではとてもできるものではございません。したがって、権限のないものが事実行為としてやるわけでありますから、きわめて限られた具体的な事象に応じて、特に施設なら施設の損壊に直接結びつくような動きがあるのかないのかということを外から見てやるということで、個人にいろいろと当たってみて調査をするというような権限は持っておりません。
  87. 上田哲

    上田哲君 あたかも見守っているなんていうことばじゃ大笑いですよ。見守っているだけなら要らないじゃないですか、こんなものは。何を調査するのですか。調査隊じゃなくて監視隊ということばにしたらいいじゃないですか。そういう詭弁を弄しても実態があるのだ。  時間が制限されましたから、もう私は先に急ぎますけれども、立川の基地反対闘争についてどういう調査をしたのかということを、後刻、私のほうとも突き合わせるから資料を出していただきたい。そのような事実があったら、防衛庁長官もきちんとした立場を明らかにしていただきたい。  このことをひとつ申し述べて、たいへん時間が制約されましたから先にいきますけれども、問題は、六百六十人なんておっしゃるけれども、六百六十人が実は八千人にもなっているではありませんか。そして、それが制服を脱いで、こういう形で興信所になって、六百六十人じゃできないようなやりにくいような問題も全部引き受けてやっているというところに問題があるのです。  ひとつ問題を振り戻っておきますけれども金東雲氏は韓国陸軍中佐だという話でありますが、それはどうなのか。そして金東雲氏は韓国大使館に駐在しておったときに、自由にといいましょうか、かなり足しげく市ヶ谷にも出入りをしていた。市ヶ谷すなわち調査隊であります。つまりそういう立場で、駐在武官として、彼は市ヶ谷の日本自衛隊調査隊とかなり足しげき交流を持っていた。この反証として言うならば、わが国の韓国駐在の武官も、同じように相手方の情報を、部隊といいましょうか、接触を持っているという実態があります。こういう相互交換とでもいいましょうか、こういう交流の中で今回の問題が、どうしても自衛隊というものが組織的につながっていった。そうでなければ、いかに金東雲氏が日本の事情に明るいからといって、いかにKCIAの能力が卓抜であったからといって、この町の中に米粒のように存在している開所早々のミリオン興信所を突きとめて、このように重大な、わかったらえらいことになる――普通の興信所には、結婚相談所の興信所にはちょっと頼めませんわな、国際問題になるのですから。よほどの信頼がなきやならない。開店早々、一カ月そこそこのところへこんな重大な問題を頼みに行くでありましょうか、常識的に言って。これは明らかに調査隊活動というものをそういう形で引き受けている実態の組織に向かって、それだけの保証を負った上で依頼に行ったということをみごとに物語っているということになると思うのです。金東雲氏がそういう肩書きを持ち、そういう活動を在日中もしていたという実態は御調査になっていると思いますけれども、その点もひとつ当局からお伺いをしたい。
  88. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 金東雲さんは、大使館員として入ってきたのは四十三年の五月でございますが、その後一等書記官になっているということでございまして、その陸軍の中佐云々ということは、われわれ承知いたしておりません。
  89. 上田哲

    上田哲君 ですから、市ヶ谷と、市ヶ谷調査隊との足しげき交流があった、自由な交流があったと――。また、防衛庁からもついてに伺いたいのだが、時間が制限されておりますから、簡単にひとつやりとりしたいのだが、韓国駐在の日本自衛官も同じようにそういう交流を持っているであろうということかあると思うのてすが――これはこちらからですが、その部分です。
  90. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 金東雲氏は、われわれかつてこれまで視察対象として見ておったわけじゃございませんので、その間の事情は承知いたしておりません。
  91. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 金東雲氏が市ケ谷に来ておったかどうか、私どもが知っておる範囲では、そういう事実はないというふうに承知いたしております。  それから韓国におりまする防衛駐在官は、これは政府機関、いろんなところに行って総合して情報を送ってまいります。その情報の結果は、外務省を通じて私どもにも連絡されます。どこに行ったかということは明白になっておりませんので、その点、CIAに行ったかどうかは承知いたしておりません。
  92. 上田哲

    上田哲君 興信所には――たとえば調査隊員は六百六十人とおっしゃるが、これは少ない数ではなくて、かなり大きい数ですよ。この六百六十人が日常的にどうしているかといえば、これは制服を脱ぎ、証明書も落とし、そして実はこういう興信所を根城にして動くのです。給料日以外はほとんど顔を出さないじゃないですか、調査隊員は。忍者というのは、お互い同士何をやっているかということを連絡し合わないことが一つの鉄則であります。お互い同士何をやっているかということは完全には掌握しきれない。そこで制服を脱ぎ、背広を着て、それがまた市ケ谷に帰ってくるんじゃぐあいが悪いので、帰るところはこういう興信所をアジトにしながら動いているという実態が歴然としているんですよ。そういうところに、部内から出ていって、退職して、有為な人材が拠点をかまえる。だから、電話帳も要らなければ、看板も要らない。韓国としても、そういう事件を起こそうとすれば、信頼のできる、保証つきのこういうところで頼むことができるということになっていくということがある。この組織的な実態は、単に八月一日付の退職まぎわの人間であったからということではのがれられない。すでに先ほど来明らかになりましたように、一カ月ぐらい前から――もっと前ですな、事件発生直後から、この事件は政府当局は知っておったのです、知っておったのです。知っておったということになれば、これは金東雲をよこせ、あるいは韓国に対する主権侵犯であるという主張をすることに、実は主権侵犯の共同正犯ないしはこちら側からの相手側への主権侵犯であるという問題も生じて、非常にぐあいの悪いことが起きてきたということが出てくるではありませんか。私はそういう実態が今日まで秘匿されていたということも非常に問題だと思います。捜査当局はその事実をどう考えておられたか。それが捜査を進める上について非常に問題になったのではないか。自衛隊としては、このことを、単に退職まぎわなどということではなくて、そういう組織的なつながりの中で問題があったのだということが、私は大いにここで論難さるべきだと思うのですが、その点については、それぞれからお答えをいただきたい。
  93. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 捜査当局といたしましては、先ほど申し上げましたように、事件発生後、この探偵社のほうから自発的に、捜査の参考にならないかということで提報があり、しかもその中で、その探偵社の名前なり自分たちの名前、これはぜひ秘匿してやってもらいたい、こういうことで証人の立場を守り、証人保護ということでずっとやってまいりまして、その間の捜査で、特にその関係で支障があったというようなことは全然ございません。
  94. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 調査隊は当該興信所をダミーのように使っておるわけではございません。調査隊は調査隊としての独自の活動をやっておるわけでありまするから、現在の事件というものは、警察から連絡を受け、若干の私ども調査した範囲でしかありませんけれども、あくまでも当該委嘱者とこの興信所の関係のものであって、自衛隊とは無関係のものである、そういう立場に立って、主権の問題云々は出てこないというふうに考えております。
  95. 上田哲

    上田哲君 私はそういう答弁しかそれは出せないと思います。出せないと思うけれども、しからば調査隊とは何か。しからば六百六十人の調査隊の日常行動はどういうふうになっておるのかということを、それ自体としてここで追及しなければならないと思います。簡単に言うなら、調査隊の現在の行動というのは自衛隊法三条違反でもありましょうし、憲法違反でもありましようし、無用の存在であります。おっしゃるような話なら警務隊でいいのであります。そうではないところに、たとえばこの調査隊がやっておることは何かといえば、情報収集技能の習得と語学の修得であります。語学は韓国語とソビエト語と中国語だけであります。英語もドイツ語もフランス語もないのであります。こういうたんのうな能力なんというものは、ほかの機関では、今日わが国では養成され得ない。韓国問題が、KCIAが出てくるとすれば、いかに優秀なKCIAといったところで、こういうものとの協力関係を求めたくなるのはきわめて当然なところであります。そういう問題と、自衛隊側の縦横な外部資料の収集ということとがマッチするということは、ここに当然出てこなければならないと思わざるを得ません。調査隊自身について、そうした内容を、日常的な行動――私はたとえば、具体的に言わなければだめでしょう。給料日以外はほとんど顔を出さない、忍者のように飛び回っているということが事実であるかないかだけでもいいから、いずれきちっと報告してください。そして、そういう人たちが、制服を脱いでこういう興信所に具体的に出入りをしているという実態がないと言われるのならば、また反証を提出する努力もいたさなきゃならぬ。その辺のところも具体的にひとつ責任のある答弁をしていただきたいと思います。  そこで、私は、そういう非常に霧のかかる背景というものがこの事件の裏側にはある、このことだけはしっかり追及をしておかなければならないし、まだまだ私たちにとってはその霧はわからぬけれども、先ほど来、久保防衛局長のあの答弁を聞いておりますと、たとえば基地反対闘争をやるような人はマークされるようであります。しからば、自衛隊反対の政治家であるとか、何となく自衛隊に批判的な記事を書く記者であるとか、そういう人間に対しても、調査隊は今後調査活動の対象としていくんではありませんか。ことばだけでは何の保証にもならないけれども、そのことだけは、私はこの時期にしっかり聞いておかなければならないと思う。また、もしたとえばダミーと称せられることを裏づけるような制服を脱いだ人々の活動が、こういうところを幾つか根城にして行動している事実があったらどうするのか。もっと具体的に、三人目の――あの坪山氏、江村氏じゃなくて、もう一人の現職自衛官関西方面で活動していたということが出てくるような実態があれば、どういう処置をとられるのか。その辺をまとめて、これは長官からひとつ伺って、残念でありますけれども、きょうは時間が切れたようでありますから、あとに留保いたします。
  96. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 自衛隊調査隊の具体的な活動は、全般的には先ほど申し上げました。  そして、私服を着て活動する。これはやはり具体的な調査をやる場合に、たどえば自衛隊員に接近をしたり、あるいは自衛隊の施設の周辺を調査をする場合、これは施設の周辺を見張ったり、そういったような場合に、制服を着て調査をするというのは不適当であるということですから、私服を着ている場合は確かに多かろうと思います。しかしながら、六百六十名と申しましても、これは司令部要員、本部要員も相当いるわけでありまするから、どの程度の者が外に出て活動をしているか、ちょっと数字はつかんでおりません。  それから給料日以外は外に出てばかりいるではないかということでありまするが、これは必ずしもそうではないと思います。やはり本部と綿密に連絡をしながら調査をし、そしてまた必ずしも――全国の駐とん地、相当多数にはらまかれておるわけでありますから、具体的な事案がそうあるわけではございません。そういった場合には、資料の整理その他をやっております。具体的な事案――ある自衛官がどうもおかしいといったような場合に、その自衛官の周辺を調べる。ある施設について、具体的な破壊活動が行なわれそうだというような情報が入った場合に初めて動くということでありまするから、そう四六時中多くの者が外に出ているというふうな実態とは見ておりません。
  97. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私はまだ就任して四カ月になりませんので、私が全部を掌握していると言ったら、むしろそのほうがうそです。したがって、私自身がこの調査隊の実態、あるいはその実際の仕事その他について、国会が一段落――と言ったら失礼でありますけれども、私に時間ができましたら、早急にその問題と取り組んでみるつもりでありますから、いまのところ局長の答弁にとどめさせていただいておきまして、私が調査をしてみて、問題点があれば直しますし、いろいろと検討をこれからしてみたいと考えているところです。
  98. 上田哲

    上田哲君 ちょっと一言だけ。簡単に聞きます。  捜査当局からは、非公式であれ、組織的にこうした興信所、あるいはその興信所の発展として今度の金大中問題、その背景に――まあそれは切ってもいいです。この興信所の背景に自衛隊との、そうした非公式であれ、つながりというものを否定するわけにはいかないのじゃないか、こう思いますけれども、このことが一つ。  それから長官、これはやっぱりおっしゃるように四カ月だということですから、そのことはそのことでけっこうですが、はっきりしておいていただきたいのだが、私は調査隊というのは不必要だと思います。自衛隊の中の問題であるならば警務隊でけっこうだと思います。しかし、少なくともそれを必要だと言われるのであれば、これはことばの問題にすぎないかもしれないが、立川の事例などもありますので、少なくとも調査隊の調査事項として、反基地闘争なり反自衛隊感覚を持っている政治家であるとか、記者であるとか、一般人であるとか、そうした者は断じて対象にしないということは御確認をいただいておかなければならないと思います。
  99. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) そういうことはまさかやるはずもありませんし、やってはならないことですし、やっていない。その点は断言できますし、あらためて、私が調査をする前に、私自身が調査を開始する前に、そういうことは絶対にしないということはお約束をしておきます。
  100. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 確かにそういう自衛隊調査隊の方が、やめた方が、そういう興信所をやっているということは、十分認識いたして捜査をしていきたいというふうに考えております。
  101. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私、新聞見ましてね、ふしぎに思ったのは、あれ、三十八歳と書いてありましたね、元二等陸佐。三十八歳の二等陸佐といったらエリート中のエリートという感じがするわけです。その人がやめてこういうものをつくられたと。これはちょっと尋常じゃないという感じですね。三十八歳の二等陸佐といったら、これはりっぱなものですね。その方がおやめになっておつくりになったと。しかも、いま上田委員がるる質問しましたように、そこで一カ月か二カ月でできたところへぽっと飛び込んでやったということは、これはとても理解つかないという、私は直感的に受けましたね。いずれまたこの問題は、まだ残っておりますから、やらなければならぬと思います。この点だけ申し上げておきます。     ―――――――――――――
  102. 高田浩運

    委員長高田浩運君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、中村利次君が委員辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     ―――――――――――――
  103. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  104. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。
  105. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 昨日の本会議以来問題になっております件に関連するような――しないような、するような問題なんですが、金大中との関係性はないことはないんじゃないかというふうに思うわけですが、いずれにしましても、私がこれから質問をいたしたいのは、金喆佑――北大の先生で助手の方なんですが、北大の理学部地質学鉱物学科を卒業されて、同学科の研究生となられたのが一九五六年五月、それから一九五七年に同大学院に進学をされて、一九六二年の三月に博士課程を修了して理学博士になった方で、一九六四年十月に北海道大学の外国人講師となって、一九六六年四月に文部教官・教育職四等級・北海道大学理学部助手に採用されて、地質学鉱物学科の鉱床学講座勤務を命ぜられている方でございます。一九六六年四月には北海道立の地下資源調査所嘱託となってもおりますし、一九六八年の四月に大学院の理学研究科における学生指導を命ぜられておる方なんですが、この方が六月に韓国に行かれて今日帰国をしていないのですが、この事情について、文部省から、どんなふうに現在なっているか御説明を願いたいと思います。
  106. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 北大の理学部助手をしておりますキムチョルウ――どういうふうに読むのかよくわかりませんが、本年の六月四日から八日までの五日間、家事都合を理由として年次休暇の承認を経たのでございますが、そのまま休暇の期間が過ぎましても学校に出てこないものでございますから、関係者が心配し、また家族からも申し出もありまして、大学の関係者も、その間、金助手の兄が韓国でやはりスパイ容疑で検挙されたといったような新聞報道なども出ましたので、捜索願い等を札幌の韓国総領事館をたずねて提出したということでございます。六月二十九日に至りまして、韓国及びわが国の新聞に、金助手が韓国の陸軍保安司令部にスパイ容疑で逮捕されたということが報道された次第でございます。そのことにつきましては、外務省から私のほうにあてましても、一応こういう報道があったという連絡を受けておるのでございます。一方、この学校側のほうは有給休暇のままでございまして、普通外国へ渡航いたします場合には、海外渡航の手続等を事前にとられる習いになっておるわけでございます。そういうこともなされないまま、有給休暇をとったままで期限が切れておりますので、年次休暇のあります期間、その出勤を待っておったわけでございますが、年次有給休暇も切れまして無断欠勤という形になっておるものでございますから、現在の給与法の規定の適用上、給与の支給を打ち切らざるを得ない、こういうことで今日に至っておる次第でございます。
  107. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 山本警備局長、これは道議会でもこの問題は取り上げられておるようでございますね。それで、この問題はどんなふうにして今日警察関係では調査をしておりますか。
  108. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 私どももこの事実は韓国の新聞報道で承知しておるだけでございまして、日本においては別に犯罪の容疑もございませんし、韓国側から何らわれわれに通報もございませんし、したがって、この件についてはわれわれは何も調査いたしておりません。
  109. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 外務省はどなたか見えましたか。
  110. 大森誠一

    説明員(大森誠一君) 外務省のほうで調査いたしましたところによりますと、金喆佑という方は、七十一年三月に北朝鮮へ潜入の指令を受けたこと、それから在米韓国人への宣伝活動を行なったこと、それから韓国鉱業界人の包摂または同分野の情報を収集して報告したということ、以上三点のような容疑によりまして韓国の当局に逮捕されたということでございます。なお、逮捕前後の状況としましては、職場である北大を休暇で離れて韓国滞在中に逮捕されたということでございます。なお、その四十八年の八月二日に起訴されておりまするが、これは幾つかの、たとえば刑法とか反共法といったような根拠法規に基づいて起訴されているという状況でございます。現在、身柄は拘束中であるけれども、判決の事態には至っていないと、こういうことでございます。  以上が大体の状況でございます。
  111. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 新聞報道をちょっと参考に私読んでみますと、これの、金博士の生徒といいますか、弟子といいますか、林さんという人か――林さんという人は鉱物学教室での学生時代から教えを受けていた、その林さんという人が、八月の二十八日に出発して、三十日正午からソウルの拘置所で特別面会を行なった。そうした事情なんかは外務省はとらえて聞いておりますか。
  112. 大森誠一

    説明員(大森誠一君) この金博士は韓国籍でございますので、政府として、いわゆる外交保護権を行使する立場にはないわけでございますけれども、しかし、私どもといたしましても、日本に在住している方であり、非常な関心は持っておりまするので、この金博士の友人の林正彦さんという方が韓国へ参りました際に、わがほうの在韓大使館のほうで、特別面会の措置を認めるように韓国当局のほうにあっせんいたしまして、この特別面会を実現するという、そういう便宜を当方で取り計らった経緯がございます。
  113. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この報道されるものによりますと、金大中事件の影響もあってか、特別な処置をされたというのは、外務省からいまお話がありましたような形でできたということを、いま伺いましたんですがね、その内容等についてはわかりませんか、どんなふうな内容なのか。
  114. 大森誠一

    説明員(大森誠一君) この特別面会の際に、わがほうの大使館員が立ち会っておりませんので、どういう内容であったかについては私ども承知いたしておりません。
  115. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この文によりますと、「韓国語で書かれた自白書に署名しろといわれたが、自分は韓国語がわからないので断った。しかし、強引に母印を押さされてしまった」「食べ物と水が悪いせいか下痢がとまらない。できれば栄養剤を差し入れてほしい」「どういう訳で捕まったのか、どこで、どうして捕まったのか思い出せない」「何にもしないで独房に閉じ込められている苦しみは経験したものでないとわからない」ということをぼつぼつとこの林さんに語ったということが報じられているわけですが、逮捕されたときの記憶がないという話から、逮捕時に薬品が使われたのではなかろうかという想像もあるということが出ておりますがね、これには。  これは外務省の所管の問題であるかどうか、これはまた別として、少なくとも韓国にいる人たちは大使館を唯一のたよりとしているわけですね。ですから、つぶさにそういう事情ということも当然わかっていかなければならないし、また今後の対策も講じていくようにしなければならない、こう思うわけですがね。その点どうですか。
  116. 大森誠一

    説明員(大森誠一君) 私どもといたしましても、当然金博士が公正な処遇を受けるということを切望している次第でございますが、何ぶんにもこれは、この方は韓国政府の管轄下にある方でありますので、私どものそのような意向の表明につきましては、どうしても限度があるという点については御了承いただきたいと存じます。
  117. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 事情はわからないわけじゃございません。金大中事件にしても、いまだに政府自体がはっきりしていない事態ですからね。あなたにそれ以上こうだああだと言ったところにしても答えられないでありましょう。  まあ、それはさておいて、そういう実情に置かれている留守家族という人は、国家公務員の、職員の一家庭の者であるならば、やはり国家が留守家族にも生活の保障というものを考えてあげなければならないと思うんですが、先ほどの文部省当局お話ですと、これを文部省自体としては、給与法に定められているからどうすることもできないと、これだけで済まそうとされているんですか。
  118. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 無断で欠勤したことになっておる、少なくとも給与法の適用上はそういう形になっておる次第でございまして、それにつきましては、給与額を減額して支給しろという法律の規定になっておりますので、今日の給与制度の上では、この家族につきましてのいろいろな御事情はわからないわけではないのでございますけれども、規定の扱いといたしまして、他にやりようがないということでございます。
  119. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この金博士に対して、北大の先生方あるいは国民ひとしお問題にしで、たいへんだと、何とかして生活を守ってやらなければならないのだといって、会までつくりながらやっているのにかかわらず、文部省当局が、法できめられているんだから知らぬという、そういうふうなことから一歩も出ていないのかどうか、どういうふうに措置を考えていこうとしているのか、この点どうなんですか。
  120. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 同じようにお答えを申し上げるほかないのでございますけれども給与処遇につきましては、給与法の規定によって取り進めてまいります以外に方法がございません。本人が有給休暇の届けを出したまま帰ってこない、あらわれてこないという事情でございまして、その間の経緯は、六月末以降、韓国に渡り、韓国で逮捕されておるという事実は確かに判明をいたしたわけでございますけれども、そうした事実に対応して特別の計らいをするというような法令上の規定になっておりませんものでございますから、国の給与として扱います部分は、今日扶養手当の四千八百円を支給するという以外に支給の方法がない次第でございまして、八月分は四千八百円の扶養手当の支給ということになっておる次第でございます。
  121. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 四千円の扶養手当を八月は支給したと。それで生活ができるかどうか、これは考えただけでもわかると思うんです。お子さんが三人てすか、それで四千円の中から――。これをちょっと読んでみましょうか。「本俸はゼロ、扶養手当(月額四千余円)だけを支払うことにしている。今回の支払い分には六月分給与のほぼ全額と八月に支給された燃料手当を含んでいるため、二十万円になっているもので、今後毎月美代子夫人の手元に支払われるのは」――いまお話がありましたように、扶養手当から宿舎費を差し引いた五百九十円足らずでこの留守家族の者が生活をしなきゃならないということになっているんですがね。  で、私は言いたいのは、文部省当局のほうから、人事院総裁あるいは総務長官等に、この対策は、法は一応の基準はあるけれども、何とかできないのかという相談か何かされたことありますか、人事院総裁に。
  122. 木田宏

    政府委員(木田宏君) その点は、担当の人事課長が参っておりますから、詳しいことは人事課長のほうでお答え申し上げたほうがいいかと思いますが、人事院にも、こうした予想していない事例の扱いにつきまして、いろいろと方法を相談をいたしたようでございます。今日まで、他の運用等につきましての方法がないということで、御相談をいたしました結果、先ほど申し上げましたような御答弁を申し上げておる次第でございます。
  123. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、相談を受けた総理府のほうはどうですか。総理府から来ているでしょう、総理府の給与関係。
  124. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 文部省で相談をいたしておりますのは、人事院の担当局のほうへ御相談を申し上げて一国家公務員法の運用につきまして、人事院が担当でございまするから、たとえば国内でございますると、起訴になった場合に起訴休職というような方法がとれるわけでございますが、外国で起訴になったというような場合に、同じような扱いができるのかどうかといった相談もいたした次第でございますが、国内の例でございまして、外国のことまで予定していないというような御意見のように聞いておるのでございまして、先ほど申し上げましたように、国家公務員給与法の運用といたしまして、他に方途がないということを言っておるわけでございます。
  125. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、その給与法といまおっしゃいましたね。その給与法の説明をしてください、どの事項に照らしてやっているのか。
  126. 望月哲太郎

    説明員望月哲太郎君) 給与の減額という規定は、一般職職員給与に関する法律の中に、十五条できめられておりますけれども、ここは、「職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき特に承認のあった場合を除く外、その勤務しない一時間につき、第十九条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」という規定がございます。それで、この「勤務しないことにつき特に承認のあった場合」というのは有給休暇、有給休暇の中には年次有給休暇、あるいは特別休暇、あるいは病気休暇等がございます。そういう場合。それから女子職員において、出産をいたした後、五週間は勤務につかせないというふうなことが人事院規則で定められておりますので、そういう場合には給与は支給いたしますけれども、それ以外の場合には欠勤扱いといたしまして給与は減額いたすと、こういう規定になっております。  それからもう一つ、私どもがいろいろ人事院のほうにも照会をいたしましたのは、国家公務員法に休職の規定がございます。そして、その休職の規定の中には、刑事事件により起訴された場合には休職にすることができるという規定がございますが、この刑事休職の規定は、国内の場合を予定しておりまして、国外での起訴ということはこの法律が予定していないところであるという人事院の見解でもございますので、そういう意味におきまして、休職扱いにするということも現在法令上いたしかねるわけでございまして、先ほど来、木田局長からお答え申し上げておりますように、現段階におきましては欠勤扱いとせざるを得ない、こういう状況にあるわけでございます。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 防衛庁長官の所管外でございますけれども、お聞きおき願いたいと思います。そして、お考え等もひとつ聞かせていただきたい。  いま説明のありました第十五条、これは「職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき特に承認のあった場合を除く外、その勤務しない一時間につき、」云々と、こうあるわけですが、これの規則の一五-六という、一般職職員給与に関する法律の運用方針というところめ第一五条関係の第一項の中にも、「特に承認のあった場合」、これは休暇というふうにいま説明がありましたけれども、「特に承認のあった」もの、それから先ほどの説明がありましたこの休職ということも、国内の場合。国外はそういう適用がなかったという、法律がまだできてないという問題と、それから人事院規則の十五-六、この「休暇」という問題の中に、先ほど説明がありました、ほんの上つらだけをお話をなさったんですが、このことにつきましても、十四の細部にわたり、さらにその十四のものを六に分けて、こういう事項、こういう事項、こういう事項に対しては年次休暇の適用に充てるんだということを実際に書いてあるわけです。こういうふうに、公務員の、非常にこまかい点まで規定をされてあるのにもかかわらず、今回のような、国家公務員でありながら、特別な事情で、自分が休暇届けを出すこともできない、やりたくともやれない。身は拘置所の中に入れられてしまっておる。しかも、それがわかったのはだいぶ日がたってしまってからであるという、スパイ容疑でつかまっているということで、やりたくともその手続ができなかったという時点をとらえて、しかも、そのやめるという場合でも、これは警察に抑留されているとか、あるいは起訴されているとかいう立場においては、団内ではこの官のほうから命令してやめさせることはできるけれども、休暇の場合は自分が届け出なければならない。届け出る休暇も自分で届け出られない、こういう実情下においでの中で、現在の法律だけで打ち切ってしまおうという、その対策は、今後の法の解釈はどうあらねばならないとか、その特別な事情、ほんとうにまことの特殊な状況下に置かれたわけなんですから、その「特に承認」というふうな法の精神からいけば守ってやらなければならない、何とかして生活というものはやはり認めてやらなきゃならないというのが法の精神であるならば――しかも法自体には欠陥があるわけです。外国で起訴されたり、拘置所に抑留されたりする場合には、この日本の法律はまだ制定されてないんだと、こういうふうな関係の中で、今日まで本人がやりたくともやれない。手続をしたくともできない。しかも日本の法制の中には欠陥がある。しかも家庭は三人のお子さんをかかえて、扶養手当だけ四千円。しかも宿舎費を引かれれば五百九十円ぐらいしか生活費がない。その方が、北大の助手であり、専門学を修めた優秀な先生として迎えている人、その留守家族を見守ってやれない。ただ法があるから、法があるから、法があるからと。法も、それ自体も、よく調べてみれば抜け道がある、欠陥があるというようなことを考えて、人道的な問題として取り上げてみた場合どう考えられるかですね。これは人事院総裁にも、また総理府長官にも私は質問をする予定でございますけれども、いまおいでになりませんので、人間としての立場でどう受けとめられるか、総務長官、ひとつお考えを願いたい。御答弁願いたい。――防衛庁長官です。
  128. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) いま総務長官と言い間違われたように、総務長官を非常に長くやりましたから……。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 だから、言い直したでしょう、防衛庁長官って。
  130. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) その立場でものを言おうと思えば言えないこともありませんが、現在は防衛庁長官であります。したがって、木田局長が大臣に当然本日の委員会審議を報告するでありましょうし、奥野大臣より総務長官及び人事院総裁にその連絡があると思います。  私の立場からは以上しか言えないと思います。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 非常に冷たい。自衛隊給与法の問題が出たらあとでやりますけれども、まことに冷たい。前総理府長官であれば、もう少しぼくは、人間的には、これは当然法を改正しなきゃいけないんだぐらいのことが、お話があるんじゃなかろうかと思って期待しておった。(「防衛になってから悪くなった」と呼ぶ者あり)やじが出ておりますが、まことに冷たくなりました。私は、国務大臣という立場であれば、これは日本をしょっての大臣だと思うんですよ。そうなれば、私の言わんとすることは人間的な叫びじゃないかと思うんです。これを、私はいま、立場が違うから言えないといって――だから防衛庁職員給与法でも問題が一ぱいあるんですよ。安い給料を与えておいて、あと、被服費があるだろう、食糧があるだろう、生活もただだろうというようなことで、外に家を持っている人たちはあの俸給だけで生活ができるかというんです。そういう問題は一いまの場合は給与法ではございませんから、あとの問題でございますけれども、いずれにしろ、自分の身内のことをお考えになっても、私たちの国民の生活というものを考えてもらえばはっきりすると思うんですよ。そういうふうな冷たい仕打ちというものが、全部右へならえで、今回のこの金喆佑さんの家庭の人が救えないんです。どうしてやるか。法律の欠陥があるんです。外国で逮捕され、起訴されているという場合、そういう法律がないんだ。ないから、どうすることもできない。それだけでは私は済ませる問題じゃないと思うんです。かりに休職であろうとどうであろうと、法そのものをもう少し生かしていかなきゃならない。それが預かっているあなた方の考えで処さなきやならないと私は思うんですが、どうなんですか。
  132. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私は総務長官の経験が長いから、その立場でものを言えば言えないことはありませんがと申しましたのは、非常に冷たいんじゃなくて、わかる気持ちがするんですけれども、しかし、振り返って私が、いま、ここに総務長官もだれもおりませんし、私の立場で言及するものではなかろう、こう申し上げているので、冷たい、あたたかいとまた別な問題でございます。
  133. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 文部省、どうですか。
  134. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 予測し得ないことであるという点も一つあるわけでございますが、しかし、国内法の規定の適用の上からは、とにかく本人の勤務が突然なくなったという状態が続いておるわけでございまして、今日、その状態につきまして家族のいろいろとお困りになる理由はございましても、それを、法の規定の内容を何とかくふうしてという余地がなかなか出てこないんでございます。でございますから、その問題についてのいろんな検討課題はなお残るといたしましても、今日私どもがとり得る措置といたしますと、人事院の関係当局に相談をしながら、その法の定められた運用によって現実の事態に対処するという以外に、文部省としてはとり得る措置がない。適当に、何か気持ちだけで処理をするということは、やはり私ども給与制度を維持してまいります上においてできないことなのでございまするから、その意味では、相談をかけ、その返事によって処理をしていくという立場のありますことはひとつ御理解を賜わりたいと思います。  また、こうした思いがけない事態に対して、関係者がどのようにその法律適用以外の救援の措置をとるか。これらの点は、またいろいろと考えなければならぬことがあろうかと思いまするけれども、このために文部省限りで何か措置をとれと、こうおっしゃいましても、できにくい点のある点はひとつ御理解を賜わりたいと思う次第でございます。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間が、私の持ち時間を過ぎたようでございまするので、先ほども申し上げましたように、これは文部省だけでは片づく問題じゃございませんよ。総理府もありますし、人事院のほうの関係もございますし、法律自体が、休職の場合等に、国内だけは規定はされているものがあるけれども、国外については規定されていないという、特別な事情が発生しているこの現実をつかまえて、どうしていくかということが必要じゃないのかと私は言っているのですがね。それらの話し合いをすることも、今後の対策というものをやっていかなければいけないんじゃないかということを言っているわけです。  これでやめます、質問を。時間がもう過ぎちゃっていますからね。
  136. 向井長年

    向井長年君 長官にお聞きしますが、金大中事件は、国民からして見るならば、これは全く非常に疑惑の多い問題であって、大多数の諸君は、わが国の主権の侵害である、こういう立場をとってこの問題をとらえておると思います。政府は侵害であるとはまだ言っておりませんけれども、そういうような情勢の中で、一昨日報道された中に、現職自衛隊員がこれに関連しておった、こういうことが報道された。これに対して、昨日の本会議で、田中総理なり、あるいは防衛庁長官、あるいは国家公安委員長、それぞれの立場から解明がなされまして、事実、その解明についてはわれわれもわからぬことはありません。しかしながら、国民はあの報道を見たときに非常に驚いたと思うのですよ。そうしてまた大きな疑惑を持ったことは事実だと思います。こういう中で、自衛隊の中にしかも調査隊たるものがあるのか、これも初めて国民は知ったのではなかろうかと思います。しからば、この調査隊の目的と、それから性格と、任務と、こういうものは、先ほども上田議員の質問に答えておると思いますけれども、私は、この点、明確に国民にわかるようにしていただきたいと思います、まず第一に。
  137. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 調査隊は、外部からの働きかけ等に対しまして、部隊の秘密を保全するという立場、あるいは部隊の規律、部隊の施設、そういったものを保護するというようなことのために、必要な情報、資料を収集、整理及び調査を行なうということを任務といたしております。  組織といたしましては、陸上自衛隊で中央調査隊、それから各方面、五つありますけれども、そこに方面調査隊というのがあります。合計で約五百九十人になりますが、そうして航空自衛隊は航空自衛隊調査隊約七十人、合計六百六十名というものを持っております。
  138. 向井長年

    向井長年君 それでいいの……。目的、性格、任務。
  139. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 目的は、いま申し上げましたように自衛隊の規律、あるいは自衛隊の施設、そういうものを外部からの働きかけに対して保護するという目的であります。  任務は、目的と任務とやや似たようなものでありますが、先ほど申し上げたような任務を持っておるわけであります。  で、性格といいますと、ちょっと、どういうことになりますか、犯罪、つまり刑事罰の伴うものについての調査、いわゆる犯罪調査については警務隊がやっておりまするけれども、犯罪に至らない、自衛隊の規律なり隊内の規律、あるいは施設を防護する、全般の自衛隊の機密を保護する、そういうようなもののために必要な調査を行なうという場合には、これは犯罪と直接関係ございませんので、調査隊が行なうということになります。
  140. 向井長年

    向井長年君 これは、そうすると、ことばの使い方はそういうことでしょうが、平凡なことばで言うと、言うならば、一つには情報部というか、あるいは一つには過去の憲兵的性格を持っておるのか、あるいはまた過去の警察治安でいえば特高的性格、もろもろの性格を持っておるんですか、これは。
  141. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 警察の特高の場合には、これは当時の治安維持法、その他やはり特別の法規の根拠に基づきまして、つまり特定の分野におきまする犯罪捜査おそらくそれに関連する情報の収集もやったかもしれませんが、そういうことを行なったのが特高であるというふうに承知をいたしております。  それから憲兵隊については、私も調べられたことがありまするけれども、あまりよく存じておりません。しかし、少なくとも、いま情報部とおっしゃっいましたけれども、いわゆる国外情報あるいは国内の情報というものは、これはそういう意味での内外情報というものは、これは調査部あるいは二部という別個の組織がございます。そして、たとえば方面総監部におきましても、方面総監部の第二部というところが、国内の治安情報あるいは国外の情報というもの、全般的な情報というものはそこで扱っております。  この調査隊というのは、そういった一般的な情報を扱うのではなくて、個々の隊員について、隊員の規律を乱すように外からの働きかけがある。その場合に、隊員の行動を視察をしたり、外部からどういう人が働きかけをするのかということを視察をする。あるいは、たとえば最近まで情報はなかったと思いまするけれども、弾薬庫を襲撃するというような情報があったとします。あるいは基地に火炎びんを投げると、これは情報がございます。そういった場合に、その危険個所はどこであるか、あるいは外部からの働きかけがどうであるかということ、これを全般的に調査することは困難でありまするので、警察等の治安機関から情報を入れまして、そういった場合に不審な者が行動するかどうかということを見張っておると。先ほども申し上げましたように、権限としてはございません。犯罪捜査をやるわけではありませんので権限としてはございません。単に外から見張っておる。そういった情報を入れて、施設の警備隊員のほうに連絡をして、当該施設の警備を厳重にするように、そういった行動のために必要なそういう資料の調査、そういう活動を行なうという点が情報部系統と違っておるところであります。
  142. 向井長年

    向井長年君 そうすると、やっぱり私が言ったような部面も入っておるということですね。たとえば外から何らか施設の破壊とか、そういうような動きがある。それが内部の自衛隊員との連係があるかもしれない、そういうこともあわせて調査をする。そうなれば、やはり憲兵的性格を持って、内部の、言うならばブラックリストをその中につくろうと、こういうこともできてくるんです。したがって、そういう意味におきましては、やはりそういう性格も具備しておるということは言えると思いますが、そこで、これ、みなで六百六十人おるんですか。今日までその目的、性格、任務を持って行動され、活動された中で、しからばそういう事犯が各所にありましたか。そして大きな成果をおさめましたか。どういう成果があがっていますか。
  143. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 具体的な調査件数というものはここで把握いたしておりません。私の手元に数字はございませんが、個々の施設に対して襲撃をするとか、あるいは火炎びんを投げつける、あるいは地方連絡部に火炎びんを投入するといったような情報は警察からもらいます。そういった場合に、どういうところがあぶないのかということを現場について調査をする、そうして警備のほうに、危険な個所あるいは危険な情報についてそれを連絡してやる。単純な場合には警察からの情報をそのまま伝達する場合もありまするし、必要であれば、その周辺において集会その他がありました場合にそれを視察したケースもあったと思いまするけれども、具体的に個々の事案についてそういう活動を行なっておるので、非常に大きな成果があったために何か防止できたということを、私の手元の資料では持っておりません。
  144. 向井長年

    向井長年君 これはまあどう言おうと、やはり過去の秘密警察的な、あるいは情報部、あるいはいま申しました特高的な、こういう性格はやっぱりあることは事実なんですよね。しかし、そういうようにして大きな成果が今日まであまりないとするならば、こういう疑惑を招くような調査隊というものは必要じゃなくなるんじゃないかというような気がしますがね。それは治安関係なりでは、警察の権限の中で連携をとらえることはいいと思いますよ。しかし、特別にこういう調査隊をつくって、情報収集という名のもとに、あるいはまた施設保護という名のもとにものごとをやることについて、そこまで必要な状態であるのかどうか。これはひとつ国民から見ても、こういう事犯が起きた今日、非常に疑惑を持つと思うんです。  長官ね、これはやっぱりきのう、おとついも釈明されて遺憾の意を表明されましたが、確かにそのとおりだと思います。これはよくわかります。しかしながら、やっぱりそういう自衛隊の重要な任務におった人が、民間の、やめてからこういう仕事をやられた。これも憲法で保障された職業の自由でございますから文句は言えないにしても、これはやはり過去において、何といいますか、その事犯が起きる前までは、やはり自衛隊職員としてあらゆる仕事をやっておられた、そして、後においてそこへこういう問題を依頼された、それを受けて監視をしたということは、一連のものとして、これは国民から見ればどうしても疑わざるを得ないという状態が出てくるんですよ。政府からの一応の釈明はわれわれはわからぬことはありません。そのとおりでしょう。しかし、そういう問題については、これはやはり国民全般は非常に大きな疑惑を持っておる。こういう問題を今後起こさないようにするということも、できるだけそういう問題も規律の面で考えていきたいということを長官からも言われておりましたが、しからば、どういうようにしてこれを今後自衛隊職員に対する指導、教育をやっていくのか。この点どうなんですか、具体的に。
  145. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 先ほど上田委員にも私答弁したんですが、私、まだ就任して四カ月になりませんし、この調査隊の活動のすべて――中には長官直轄の部隊もおるわけでありますから、掌握していると申し上げたらむしろそのことがうそでしょう。だから、正直言って防衛二法に忙殺されておりましたし、国会が終わり、私に時間が出てまいりましたならば、一体どのようなことが行なわれているのか、それがよろしい範囲なのか、あるいは必要なのかという点について、私が克明に調べてみたいと思うんです。そして、私自身のいわゆる政治家としての統括責任者の立場において、その調査した後において、私としてとるべき措置があればとりたい、そう思っている段階でございまして、まだどうするというところまでは具体的な調査もいたしていないところであります。
  146. 向井長年

    向井長年君 長官の言われること、率直によくわかりますが、しからば、私が申しましたように、何らかの形でこういう一つの任務を持った機関というものは、場合によればなくしてもいいと、こういうことも、調査の中で出てくれば考えられるわけですね。
  147. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) まだ、なくすればいいとかいうようなことは考えておりませんが、しかし、あなたのおっしゃったように、どうしてこういうことにかかずらっていたのであろうという疑問は、私も率直に言って持っております。ですから、それらの体質その他もよく調べてみまして、すべての問題を今後検討さしてほしいということです。
  148. 向井長年

    向井長年君 これは、われわれから見ますとね、やはり陸佐ですか、三十八歳か幾らの陸佐、あるいは陸曹ですか、こういう人たちが自衛隊を退職されてこういう職業を選んだというのは、やはりその調査隊で学んだといえばおかしいけれども、経験をしたそのことを生かして、こういう職業を選んだとわれわれは思うんですよ。したがって、そういう意味において、いわゆる国家公務員、いわゆる自衛隊の、しかもこれ、陸佐といえば相当の階級の人ですね、こういう諸君がそういうような職を持って、これ、やはり国民としてもうあれじゃないですか。一つの自衛隊をやめた後、自分たちが生活するためにはいろいろな職業を選ぶでしょう。そういう中で、そういう任務のためにやってきた経験上、これでやれば自分の能力を発揮できると、こういう形で私は選んだんじゃないかと思います。そして、そのかつての部下を、やめればおれのところへ来いということでこの陸曹が来たんでしょう。それがたまたまそういう依頼を受けて、監視なりそういうことをやった。これはやはり過去において、その現職の中で何らかの関連がそこにあったからその人に依頼しに行ったと、こういう結果になることはこれは事実だと思うんですよ。先ほど上田委員も言われたように、ぽつっと何も知らぬしろうとが興信所を持った、そしてそこへ頼みに行こうと。これは普通の人だったら、やはりそこに経験と、何といいますか、信用と、こういう問題を中心にしてものを依頼すると思うんだが、しかしながら、短期間でこういう興信所を開設したときに、やはり過去において一つの何らかの連係を持ってきたということはこれはいなめない事実だと、そういう点をこれから考えていくならば、もろもろの問題が自衛隊の中で大いに経験され、そして職業を選ぶことは自由であるから、われわれはいけないとは言えませんけれども、そういう立場の問題としては、やはり現職の中で規律あるいは教育というものが必要になってくるんじゃないですか。それと同時に、もう一つは、やはりやめてまだ有給休暇の中で見習いとしていくことは、これは当然かもしらぬけれども、これはやはり何らかの形で規制しなければならぬのじゃないですか。この点もあわせて私は、長官、どう今後対処されるか、お聞きしたいと思うのです。
  149. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 前段の問題は、これから私のほうで十分確認して考えてみます。  さらに、いまの後段の問題については、これは確かにおっしゃる点もごもっともな点がありますから、私どもとしてもさらに検討してみるということだと思うのです。
  150. 向井長年

    向井長年君 そこで、最後に、先ほど冒頭に申し上げましたように、やはりどう解明しようと非常に大きなショックですよね。現職自衛隊員が関与しておったというあの報道に対しましては、内容は別として、国民はほんとうに大きなショックと疑惑を持ったと思います。国会でこういうふうにして詳しく審議し、あるいは解明されていることが十分国民には理解されないと思うんですよ。防衛庁長官として、これは国民に、こうだということで疑惑を解くための一つの何か方策ありますか。これ、ひとつ考えなければいかぬと思いますね。
  151. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私も、自衛隊は何をしているんだろうと国民から思われるような存在であってはならない、私が絶えず言っている開放された自衛隊でなければならぬ、開かれた自衛隊というのが、まさに開いてはならない、場合によっては国民が心配をしなければならぬような部分を持っておることは、わが国の自衛隊というものは本来あってならない姿である。したがって、先ほどお話のありました、やめるときの再就職の道も閉ざすわけにはいきませんが、それについて幕僚長通達できめられておりますこと等についても、詳細にきめてあるんですけれども、それのきめた内容のよしあしよりも、そういうことを今後認めていっていいかどうかという問題も含めてやはり検討してみて、少なくとも国民から――憲法上の論争はあると思うのですが、自衛隊の行動なり組織なりに疑問があるということは、これはわれわれの、わが国における将来とも許されてほしいと思う自衛隊のあり方にとっては、あってはならないことである、この認識は先生と私も一致すると思います。
  152. 向井長年

    向井長年君 私は、その認識も一致しますし、そういう防衛庁長官の態度もいいと思うのですが、ただ、国民のこの疑惑を解くためにどういう措置をするか、もう黙って――それていいのか、こういうことなんですが、これはやはり明確にしていく必要があると思うんですよ。何らかの形で、これはこうであったということで国民の疑惑を解かなければいかぬと思うんです、事実ならば。この点をどうされますかと、こういうことなんです。
  153. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) そのことは、実はやめておりますので、したがって、やめた者について自衛隊法その他が及びませんし、職務中知り得た機密を漏らしてはならないとかという一般の公務員の規定みたいなものは、やめた後も道義的には働いていると思うんですけれども、この間も、やめたばかりの者が六本木で強盗に入りまして、強盗に入ったほうががたがたふるえていたという記事を見たのですが、これはやはりやめたばかりの自衛官です。だから、いろいろありますが、やめた者についてどうこうということは、今回はその関係した部門が知らなかったとはいえ、きわめて重大な事件に関係しておったということでありますから、私も事柄の重要性は十分わかっております。わかっておりますが、この当該元自衛官二人についての措置ということ、したがって、とった措置を国民に明らかにするということはちょっとできかねる点がございます。はっきり言えることは、今後このようなことは絶対に、少なくとも退官以前においてそのようなことがあってはならないということははっきり言えると思います。
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初に、事実関係についてお聞きしますが、ミリオン資料サービス社が金大中事件と関係があるのではないか、こういう質問がなされたわけでありますが、これに対して江崎国家公安委員長は、関係があるなら自分から申し出ることはないはずだ、こう言って関係を打ち消しておられます。しかし、どうですか。この問題は朝日新聞のインタビューによりますと、坪山所長と記者の問答でこういう一節があります。「記者警視庁の調べでは、あなたと江村菊男さんの方から同庁に届け出たことになっているが」「坪山 とんでもない。警視庁の方から問い合わせがあったのだ。金東雲氏の顔写真を見て証言したなどというのも、事実と違う」、こういう一節があるんですが、この点はどういうことになりますか。
  155. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) お答えいたします。  この件については、金大中さんがいなくなったということが報道されましてしばらくたって、その探偵社の方が七月の中旬、金大中さんの所在確認ということで、ある人から依頼を受けて、所在確認の仕事をしたということを申し出てきたわけでございます。ただし、その際に、これは自分のいわば私的な仕事であり、そうして、この関係については、信用の問題もあって外には言えないということで、自分の名前も秘していただきたいということで、証人保護という立場でわれわれはそれを承っておるわけでございまして、事実としてはそういう形で申し出てきた。  それから写真についても、こちらのほうで提示いたしました多数の写真の中から、こういう人に依頼されたということで、写真の一枚を取り上げて指摘したというのが事実でございます。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 朝日新聞の記者会見の記事はうそだということになりますね。坪山所長がはっきり、とんでもないと、いま読み上げたでしょう。いま読み上げたのでもはっきりしているように、警察のほうから聞いてきたと言っておる。警察のほうから聞いたのか、それから向こうから、興信所から届け出たのか、ここは非常に重要なところなんですが、そうすると、これは新聞の記者会見での坪山氏の談話というのはうそだということですか。
  157. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) われわれは、本人から申し出てその間の事情を聞いたということでございます。
  158. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、私は先ほどの理事会で申しましたが、やはり坪山晃三氏とそれから江村菊男氏を証人として当委員会に喚問してほしいと思う。ここのところはこれは非常に重大な問題ですから、これは証人喚問がはっきりしなければこの問題は明らかになりません。これは非常に自衛隊の根幹に関する問題でありますから、このことを私はあらためて委員長に要求したいと思います。
  159. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいま岩間君から御発言のありました件につきましては、あとで理事会において相談をいたします。
  160. 岩間正男

    ○岩間正男君 警視庁は、これをどんどん問い詰めていった経路ですね、これは聞いたということになっているんですが、この点は先にいって事実が違ったらどうなんですか。あなたたちの立場というのは全部根本的に狂ってしまいますよ、間違いないですか。
  161. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 私のいま申し上げたところは間違いございません。
  162. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは聞きますが、その後、とにかくそういう申し出があった、それに基づいてあなたたちは調べたというのですが、そうすると、いろいろ問い合わせたわけでしょう。結局そのとき申し出た人の身柄というようなものも当然調べたでしょう。前身はどういうようなのか、興信所の所長さんはどうか、それから江村所員はどういうような前身であるか、当然このことについては調べられたでしょう。どうですか。
  163. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) それは、申し出た方でございますので、申し出た方のお話は承りました。
  164. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、申し出た人の前身とか、そういうことについて何も聞かないで、興信所の所員の身元というものを明らかにしないで、あなたたちはその申し出をそのまま受けるというわけはないわけですよ。あなたは、どういう人で、どういう関係だったということは当然調べたでしょう。
  165. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) ですから、その方に、そういういろいろな仕事の関係ですね、過去の経歴、そういうことはそのお方からいろいろと伺いました。
  166. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然、ミリオン資料サービス社というのは、これはこの構成についてもあなたたちは調べられた。これはもと調査隊につとめておった三佐であり、あるいは二曹ですか、そういう、前身は自衛隊であり、ことに江村氏の場合は現職中だということが明らかになった。当然この身元については自衛隊に問い合わせたはずですね。防衛庁に問い合わせなければ、ここのところははっきりしないわけです。問い合わせたのですか、問い合わせないのですか。
  167. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) それは、八月の下旬ごろ、防衛庁に身分関係は問い合わせております。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 八月の下旬ですか。
  169. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) そうでございます。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁長官、あなたはこの問題を知ったのはいつですか。
  171. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 九月の二十二日の夜、報告を受けました。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 これだけの重大な問題を、これに関係しておった、そしてあとでこんなに大きな問題になる問題について、これは全然防衛庁長官は知らなかったというのですか。九月の二十二日まで知らなかった――二十二日ですか。
  173. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) そうです。
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 二十二日――そのときは防衛二法がかかっていたまっ最中だね。そのときまで知らなかったのですか。
  175. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 九月二十二日の夜知りまして、それから一日おいて一昨日、参議院本会議が終わって、総理に電話で報告をいたし、昨日の閣議前に総理とお会いして概要を説明をいたしております。
  176. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁のどこに問い合わせたのですか。問い合わせた先を知らしてください。
  177. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) 防衛庁の人事当局でございます。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 人事当局は、そうすると防衛庁長官の耳に八月中にこれを知らさなかったのですか。そういうことはあり得ないじゃないですか。もしそういうことがあったとすれば、これは怠慢であり、そういう重大な問題を隠匿した、そういうことになるのですね。大体防衛二法の審議の中で、ほんとうはこの問題はやはり明らかにされなくちゃならない問題であったのですよ。防衛二法はもう通ってしまった。しかし、このような重大な暗黒の面が出てきた。これで一体この防衛二法そのものも再検討されなくちゃならない、そういう重大な問題を持っている。それを防衛庁長官は知らなかったと言われる。知らなかったと言われるのがことばのとおりだとすれば、非常にこれはあなたたちの機構というものは、これだけの重大な問題を責任者に報告をしないという、怠慢なそういう組織であるということを何より証明しているし、もし知っていて知らない――まあ山中長官はそういう立場をとるかどうかわかりませんが、そうだとすれば、これは重大問題じゃないですか。どっちですか。どっちにしろ責任は免れないじゃないですか。
  179. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私のところに届いたのは確かにおそかったようですが、それは自衛隊の隊員じゃなくて、やめた者であるということのために、私に対する説明はする必要はなかったという判断をしていたようであります。私も、ある意味では少しおそかったという気はいたします。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、実際は現職だったわけでしょう。辞令は八月一日に出ているんでしょう。辞令が出ないうちに何だかんだといろんな説明をしたにしても、これは結局は現職でしょう。現職自衛官であった。それを、やめた者だからというようなことで、かってにそういう、いわば隠匿の気持ちというのが非常に動いていると言われてもしかたがないと思うのですね。これは私は非常にこの点は重大な問題だと思いますよ。あなたたちの――どうなんてす、情報とかなんとか言っているけれども、全然そういう重大な何が防衛庁長官に通らない、そういう立場になっているんですか。
  181. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 別段悪意があったとも私は思っておりませんし、作為があったとも思っておりません。事実、私が本会議で社会党の安永君に答弁をいたしました後に、政府委員室に帰りまして次の御質問を承るために待っておりました時間の間にもまた事実がわかったから、訂正しておわびをしますと申し上げましたとおり、辞表の日付は、決裁の日付は八月一日でありますが、しかし七月の十三日に、方面総監より本人に対して、日付は八月の一日、すなわち自衛隊で人事異動を一斉にやった日付にそろえたわけでありますが、八月一日に君の辞表は受理されることになったということを七月の十三日に当人に内示をしておるということも、そのあとわかったわけでありまして、そこに、やめた自衛官の、元自衛官のやっていたことであるということで、若干のあるいは問題の見方の、かかわった事件が大きい事件であるということに関する考え方が少し甘かったと言えば、そういう点があったかもしれません。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体、本会議で私もあれ聞いておりましたが、ああいうこと自体がおかしいですよ。非常に国民に疑惑を与える。七月一日に最初は退職願いを出していた。八月一日に退職の辞令が出た。それを途中でもって六月の二十二日に退職願いが出て、そしてそれを決裁したのは七月の十三日たというふうに言い直した。この辺自身が――一体どうなんです、それをあそこで言い直して、しかも言いのがれのために使われるような印象を与えるという、そのこと自体が非常にこれはおかしい。しかも、決裁はどうあろうとも、こんなことは内部のあなたたちの問題です。国民からいえば、はっきり、ちゃんと辞令が出た八月一日、その日が問題になる。その観点から見れば、当然これは現職であることは間違いない。現職自衛隊があのような重大な問題に関係をしておったということは、これは責任は免れません。こんなきたないやり方をすべきじゃない。山中長官のために惜しむべきことだと思うのです。だから、事実がどっちなのかというのを国民に疑われたってしようがないんじゃないですか。いま二通りになっている。そういうことはわかりませんよ、われわれは内部に入っていないんだから。しかし、そういう疑われるようなことはとにかくやめてほしいんだ、こういう問題があるときにですね。  次にまた、事実関係をお聞きします。江村所員は、羽田で知り合って名刺を渡した。その翌日金大中氏の張り込みを頼まれたというように経過はなっているんですね。しかし、その運転手さんの何があるわけですよ、その後、記者とのインタビューがある。そのインタビューによりますというと、こう言っているんですよ。七月二十三日午後四時ごろ、Aさんが羽田空港国際線到着ロビー前のタクシー駐車場に駐車していたところ、四時過ぎに着く人がいると、車に乗り込んだ男がいました。Aさん――これは個人タクシーの運転手さんの名前てす――の話では、男は、その人は乗用車かタクシーで行くだろうが尾行してくれ――と言ったのか、この車に乗ると言ったのか、いまでははっきりしない。結局、到着するはずの人があらわれず、その男から、興信所ができたばかりで、今後この車をチャーターすることもあると言われ、翌日さっそくAさん宅に電話があり、原田ビルの監視に当たった。だから、これで見るというと、羽田空港でも張り込み活動をやっていたということがあるんですね、これがわかった。こういう事実は当然捜査の過程で明らかになるはずだが、こういう点についてはいまはまだ全然捜査してないのですか。単にこれは原田ビルだけの張り込みじゃないですよ。三日間の張り込みだけじゃないのです。実はもう羽田から始まっておる。羽田に来る重要な人でしょう。その人に張り込みを頼まれて、そうしてこの運転手はやっているわけです。そういう事実はどうですか。
  183. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) そういう事実はわれわれの捜査の中で出てきておりません。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、こういうのはインタビューで新たな事実が加えられたのですから、これは捜査の中に当然加えますね。今後どうでしょうか。
  185. 山本鎮彦

    政府委員山本鎮彦君) この点は、これからの捜査の問題としてやはりやらなければならないことかと思いますが、現在まではそういう事実は全く把握されておりません。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、こういう点についての捜査の範囲というのは、非常に限定されて、しかもなるたけ拡大しないような形になっているというふうに国民は考えますよね。警視庁のあれだけの組織をもって、あれだけの時間をかけ、あれだけの人員をかかえていて、こういう問題についてもっとやっぱり明確にすることが、いま日本の非常に一つの集中した重大な課題になっているのですから、こういう点について、当然やはりもっと捜査の手を伸ばすべきだ。そうすると、性格もずいぶん違ってくるわけです。三回だけ頼まれてあそこで張り込みをやって、行ったけれどもそのような人はあらわれなかった。ところが、実際は羽田からこれがもうちゃんと継続されている。そうすると、この広がりというのは、どこまで広がっていくかということはわからぬのですよ。そういうものについてもっと調べたのですか。実はどうも、出てきたら、調べていったら、正体が自衛隊関係だった。自衛隊関係の背後関係というものはあまり明らかにするとぐあいが悪い。ときあたかも防衛二法の審議最中だ。こういう事態の中で、実際は警察捜査の範囲でだんだんだんだん縮めていって、むしろ国民から目をおおった、そういう点があったと言われてもこれはしかたがないじゃないか。これぐらいのことは、これははっきりわかるわけだ。わからないというほうがふしぎですよ。そういう点で私は、この問題の背景というものは今後もっともっと明らかにしなければなりません。先ほど、とにかく証人喚問のこともございましたし、警視庁の捜査の段階だからといって、あなたたちはいろいろこれを公表することを差し控えておられる部面もあるだろうが、それでは済まない課題ですよ。これはもっともっとこの背景、暗黒の背景というやつが、重く深く広がっているこの背景というものが明確になるかということが、日本のいまのこれは自衛隊の問題であり、同時に日本の政治全体の問題だ。暗黒の政治の問題というのはいま非常に大きな問題になっている。私たちはまた国会の論議の中でも、自衛隊があのような憲法違反をやって、そうして二十数年やってきた、日本の政治路線はゆがんだ、そこから一切の暗黒が発生した、その根源はそこにあるということを追及したわけです。そういう問題とはっきりこれは深い関係があるのです。その点について、警察ははたしてそれだけの任務を一体遂行するのか。逆に、国民の目から問題をおおうというようなかっこうでは、これは全く問題にならないと思うのですから、警察捜査の体制として、まだ公安委員長見えていませんけれども、これは公安委員長にはっきり伝えてください。こうすると、何かおおうような、そういう印象しか与えていませんよ。こんなことでは絶対国民は承知しません。  そこで、次にこれはお聞きしますが、長官、この調査隊の英語表示と、それから略号ではどう呼んでいますか。
  187. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 私、存じません。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 知らないんですか。あなたたちはもう英語で呼ぶのが得意じゃないですか。CICと呼んでいるでしょう、日本CICだと。そうじゃないですか。KCICあるいはアメリカ陸軍保安部のCIC、こう考えてくるというと、このアジアの暗黒がまさにつながるんだ。CICでしょう。そうして、しかも調査学校です。調査学校の問題は、これは私がいまから八年ほど前のあの相馬ケ原の治安行動訓練の中で明らかにしたことがあります。そのとき、あなたたちは、やっぱりこれに対して、ほんとうにあの調査学校の問題、これは言わなかった。しかし、あそこの中で韓国語、それからロシア語、中国語、それから英語をやっているでしょう。その中で特に韓国語に力を入れている。それで、あそこでやっている調査学校の生徒たちは、たとえばニックネームが陳上尉だとか蔡中尉だとか、こういう名前でこれは呼ばれてやっていることを知っていますか。
  189. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 私は防衛局関係十年近くおりますが、調査隊関係をCICと呼んでいることは全然知っておりません。そこで、調査学校の関係については大西参事官から御答弁申し上げます。
  190. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 調査学校でどのような符牒で呼んでいるか、その辺はわかりませんが、ただいま御質問がございました語学の点でございますが、昭和四十七年度の実績で申しますと、英語が四分の三を占めております、大体百五十名。それで、英語以外の語学といたしましては、ロシア語、中国語、朝鮮語でございますが、それぞれ十名前後というふうになっております。
  191. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも質問したことにぴたっと答えてない。あんまり数は聞かなかったのですが、あなたのほうで話してくれましたけれども。しかし、最近非常に韓国との関係は深まってきているんじゃないですか。これは私も本会議で、上層部の交流の問題について非常に重大な問題があるんじゃないか、韓国の軍の上層部と日本の軍の上層部がこれは接近をしており、交流をやって、そして実際は、これはお互いにこのような軍事提携を深めている。そういう体制の中で、これは下のほうはどうかという問題が一つあるわけです。  そこで、私は、お聞きしますが、調査学校ですね、調査学校の出身者の調査隊への配置、それからそれ以外の部署、行き先。これはもう時間の関係から資料で出していただいてもいいのでありますけれども、とにかく八千五百人いる、卒業生は。そうすると、この行くえというものは非常にやはり明らかにされる必要がある。八千五百人はどういうふうになっているのか。そのうち、これは調査隊員に相当――これは先ほど六百六十人ですか、これは全部学校を出ているかどうかわかりませんけれども、これは行っているんでしょう。しかし、ほかの人たちはどこに行っているのか。  さらに、もう一つお聞きしたいのは、卒業、退職したあと、この調査隊員というのはどういうところでこれは身の振り方をつけているのか。これもあなたたちはやはり調べる必要がある。調べておりますか、調べておりませんか、これは。
  192. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 調査学校の卒業生八千五百名と大臣が本会議で御答弁ございましたが、これは昭和二十九年から今日まで、すなわち約二十年間の卒業生でございます。そこで、この学生が現在自衛隊に全部おるわけでございませんで、幹部、陸曹の退職率が毎年三%でございますから、きわめて大まかな計算をいたしますと大体六千名ぐらいおるだろう、しかもその中で約半数が語学の教育を受けた者でございまして、その他が情報プロパーの教育を受けた者でございます。この者たちがどういう形でおるかということは、一々こまかく当たっておりませんが、大まかに申し上げますと、先ほど来お話がございました調査隊六百数十名、そのほか資料隊、あとは各級司令部、部隊等の情報幹部といたしまして勤務をいたしております。  以上でございます。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 ですから、その仕分けもひとつ資料として出してください。  もう一つ聞きたいのは、退職調査隊員が、これはどこに就職をしておるか、身の振り方をつけておるか。そういう中で、たとえば興信所のようなもの、あるいは調査所という名前、こういうような、実際は、事実はこれはスパイ的な行為をやる、そういうところにこれは行っているのがだいぶおるわけでしょう。こういう事態というものを明らかにすることが今日どうしてもわれわれに要求されている。  もう一つお聞きしたいのは、調査隊員が韓国へ留学している。これは留学要員というふうに長官は本会議で述べられましたね。そうすると、これは韓国にも留学している。現在何人行っているんですか。韓国でどのようなことを一体やっておるんですか、学んでおるんですか、これをお聞きしたい。
  194. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 調査隊員で韓国へ留学している者はございません。
  195. 岩間正男

    ○岩間正男君 全然――それじゃ留学しなくても、行っているのはどうなんです、ないんですか。
  196. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 研修等で短期に旅行をいたしている者は間々ございますが、留学をいたしている者はございません。
  197. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはことばのあやじゃないんですよね。実際あなた、研修で短期と言ったって何カ月いる。結局これは留学という名前で呼んで悪ければ、研修のために韓国へ行っている、これはわかるでしょう。これも資料として出してください。これも時間がないから、どうなんですか。それは年度別にして、最近十年ぐらいの間を出してください。最近の動向がわかる。これは時間の関係から……、いまやれますか。わかるなら簡単でいい、そこだけ。
  198. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 最近韓国へ出張いたしております人員は、四十六年度七十一名、四十七年度五十六名、四十八年度二十二名でございますが、これは大部分が防衛研修所の研修員が一週間ばかり出張いたしておりますのと、その他の者につきましても、大体その程度の期間の旅行というような実績でございます。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 調査隊員の分布の状況、これは方面隊に所属している者、師団に所属している者、連隊に所属している者、その内訳というものは六百六十人を明確にひとつ資料としてこれは出してほしい。これはいまわかるなら何してもらう。  もう一つ最後にお聞きしますけれども、治安行動、訓練の際の調査隊というもの、これは明確にしなければなりません。これは、私は相馬ケ原のときに実は驚いたのは、国会周辺に大ぜいの調査隊が出ておる事実を指摘したわけです。相馬ケ原の演習のときには国会を想定してやった。むろん、なわ張りであそこでつくって、そして練馬から、市ヶ谷から、駒門から、それから宇都宮ですか、大がかりの五千人以上の、ちょうど日韓条約の前夜の状況でありました。そのときに国会付近の建物、道路を堅持する。そしてそういう形で攻防戦をやったわけですが、その前に紺色の服を着て、それからこれはむろん制服じゃありません、そして帽子をかぶった人たちが国会の周辺をずいぶんうろうろしておった事実を私は指摘したわけであります。これがまさに調査隊であったということはまぎれもない事実なんです。そうすると、これは国民の動きというものは、実際は治安行動のこういう問題にあたって絶えず監視されている、調査されている。このような事実は明白だと思うんです。私はこういうふうに考えてみますと、時間の関係からもっと詳細にやることはできませんけれども、最後にこれは長官にお聞きするんだが、自衛隊員がこのような調査に当たるということ、そして実際は、場合によっては労働者をつけ回します、それから平和のために戦っているそういうような人たちの動静を絶えずスパイをする、こういうことは憲法に保障されておりますか。憲法からいったら、まさに憲法違反じゃないか。ここから考えたって、自衛隊というものはまさに憲法違反のこういう暗黒の面を持っているという事実を、この調査隊の調査の事実というものぐらい明らかにしたものはない。ここです。こんなことでいいですか、こんな体制で。だから私は、治安行動の場合にどれだけの調査隊がいるのか、どういう実際の仕事をやっておるのか。治安行動草案が国会で明らかにされてから今年で十三年目を迎えている。そのときから調査隊の問題が問題になっている。そういう中で、相馬ケ原の訓練の中で私は実体的にこういうものを質問したわけです。そのときにこれに対してほんとうにあなたたちは対決する姿勢を失っておった。そういう形でありますけれども、いまこういう事態の中で新たに韓国との問題、さらに大きな統一されたアジアのこういうスパイ組織、調査の名で行なわれている、これが問題になっているときに、私はどうしてもこの事態というものをここで明らかにするのがわれわれの任務だと思う。したがって、いまいろいろな資料の要求をいたしましたけれども、少なくともこの資料についてはお出しをいただきたい。資料をいただいて、もっと時間をかけてやりたいと思います。  時間が迫っておりますから、最後にその答弁をお聞きして、憲法違反であるかどうかということを一つ、それから資料に対してこの要求をどうするかということをお答えいただいて、私の質問を終わります。
  200. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 憲法違反であるかどうかという行動の実態について、私は岩間先生のおっしゃったことをそのまま事実関係として認める立場にいまございませんし、知ってはおりません。したがって、いまは自衛隊が一審で違憲といわれているのですから、すべてが憲法違反だといわれているんでしょうけれども、われわれはそういうことはない。また、自衛隊本来のあり方から見ても、憲法に反し、基本的な人権その他国民の生活に向かって脅かす存在に自衛隊があることは絶対にない、そういうことはあってはならないことである、さように繰り返し申し上げておきます。  なお、資料の問題はこまかくいろいろ言われましたので、検討して、なるべく出せるようにいたします。
  201. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 本調査についてはこの程度にいたします。  速記をとめてください。   〔速記中止
  202. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。     ―――――――――――――
  203. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案  以上三案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。坪川総務長官。
  204. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律案、並びに特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、一括してその提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず第一、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  本年八月九日、一般職職員給与について、俸給表及び諸手当の改定等を内容とする人事院勧告が行なわれたのでありますが、政府としては、その内容を検討した結果、人事院勧告どおり、本年四月一日からこれを実施することとし、このたび一般職職員給与に関する法律について、所要の改正を行なおうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、全俸給表の全俸給月額を引き上げることとしたことであります。  第二は、行政職俸給表(二)、税務職俸給表、公安職俸給表(一)、公安職俸給表(二)、海事職俸給表(二)及び医療職俸給表(二)に特一等級を新設することとしたことであります。  第三は、指定職俸給表の甲欄と乙欄との区分を廃止することとしたことであります。  第四は、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員に支給する初任給調整手当について、支給月額の限度額を十一万円に引き上げることとしたことであります。  第五は、扶養手当について、配偶者についての支給月額を二千四百円から三千五百円に引き上げるとともに、満十八歳未満の子のうち二人までについての支給月額を八百円から千円にそれぞれ引き上げることとするほか、配偶者を欠く職員の子のうち一人についての支給月額を千六百円から二千五百円に引き上げることとしたことであります。  第六は、住居手当について、公務員宿舎の入居者等を除き、月額四千円をこえる家賃を支払っている職員に住居手当を支給することとしたことであります。この場合において、月額七千円以下の家賃を支払っている職員に支給する住居手当の月額は家賃から四千円を控除した額とするとともに、月額七千円をこえる家賃を支払っている職員に支給する住居手当の月額は家賃から七千円を控除した額の二分の一を三千円に加算した額とし、その加算した額が五千円をこえるときは五千円とすることとしております。  第七は、交通機関等を利用して通勤する職員に支給する通勤手当について、運賃等相当額の全額支給の限度額を月額四千円から月額五千円に引き上げるとともに、自転車等を使用して通勤する職員に支給する通勤手当を、自転車等の使用距離が片道十キロメートル未満の職員にあっては月額千百円、その他の職員にあっては月額千八百円、人事院規則で定めるところにより通勤が不便であると認められる職員のうち、自転車等の使用距離が片道十キロメートル以上十五キロメートル未満である者にあっては二千円、自転車等の使用距離が十五キロメートル以上である者にあっては二千五百円とすることとしたことであります。  なお、交通機関等と自転車等を併用して通勤する職員に支給する通勤手当についても、その支給月額を改定することとしております。  第八は、宿日直勤務一回についての宿日直手当の支給限度額を、通常の宿日直勤務にあっては六百二十円から千円に、管理・監督等の業務を主として行なう宿日直勤務にあっては千二百円から二千円に、土曜日等の退庁時から引き続いて行なわれる宿直勤務にあっては九百三十円から千五百円に、土曜日等の退庁時から引き続いて行なわれる宿直勤務で管理・監督等の業務を主として行なう者にあっては千八百円から一二千円にそれぞれ引き上げるとともに、常直的な宿日直勤務についての支給月額を、四千四百円から七千円に引き上げることとしたことであります。  第九は、非常勤の委員、顧問、参与等に支給する手当の支給限度額を、日額九千八百円から日額一万二千円に引き上げることとじたことであります。  以上のほか、附則において、この法律の施行期日、適用日、特定の職務の等級の切りかえ及び特定の号俸等の切りかえ等に関する所要の措置について規定しております。  次に、特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、特別職職員給与についても、ただいま御説明申し上げました一般職国家公務員給与改定に伴い、所要の改正を行なおうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、特別職職員の俸給月額を引き上げることとしたことであります。その内容を御説明いたしますと、内閣総理大臣の俸給月額は百五万円とし、国務大臣等の俸給月額は七十五万円とし、内閣法制局長官等の俸給月額は六十万円とし、その他政務次官以下の俸給月額については、一般職職員の指定職俸給表の改定に準じ、五十二万円から四十四万円の範囲内で改定することとしております。  また、大使及び公使については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使の俸給月額は七十五万円とし、大使五号俸は六十万円とし、大使四号俸及び公使四号俸以下については、一般職職員の指定職俸給表の改定に準じ、五十一万円から三十九万円の範囲内で改定することとしております。  なお、秘書官については、一般職職員給与改定に準じてその俸給月額を引き上げることといたしました。  第二は、委員手当について、委員会の常勤の委員に日額の手当を支給する場合の支給限度額を二万千六百円に、非常勤の委員に支給する手当の支給限度額を日額一万二千円にそれぞれ引き上げることとしたことであります。  第三は、沖繩国際海洋博覧会政府代表の俸給月額を五十一万円に引き上げることとしたことであります。  以上のほか、附則においては、この法律の施行期日、適用日等について規定しております。  以上両法律案の提案理由及びその概要について御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。以上。
  205. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 山中防衛庁長官
  206. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員給与の改定を行なうものであります。  すなわち、参事官等及び自衛官の俸給並びに防衛大学校学生の学生手当を一般職職員給与改定の例に準じて改定するとともに、営外手当についても従前の例にならい改定することとしております。  なお、事務官等の俸給、扶養手当、通勤手当、医師及び歯科医師である自衛官または事務官等に対する初任給調整手当等につきましては、一般職職員給与に関する法律の規定を準用しておりますので、同法の改正によって同様の改定が行なわれることとなります。  以上のほか、この法律案においては、防衛医科大学校学生に対し、防衛大学校学生におけると同様の学生手当等を支給できるよう規定を整備することといたしております。  この法律案の規定は、公布の日から施行し、昭和四十八年四月一日から適用するこことしております。このほか附則において、俸給の切りかえ等に関する事項について、一般職におけるところに準じて定めております。  なお、防衛医科大学校の学生にかかる改正規定は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律第一条中防衛医科大学校にかかる規定の施行の日から施行することといたしております。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  207. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 以上で説明は終わりました。  それではこれより三案に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  208. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三つ伺います。   〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕  一つは、総理府総務長官にお伺いしたいんですが、十日に法案が出るという、十日に法案がきまりまして、十一日に国会へ出るというお話がありまして、確定的になっておったんですが、それが十八日に延びまして、それがさらに二十一日というふうになったんですが、これらの経緯はここではひとつ問題にしませんで、まず総理府総務長官に伺いたいのは、公制審の答申が出ます直前に、九月の四日、まあそれから公制審が出てすぐそのあと九月十九日、国労、動労に対しまして十四万というたいへん大きな処分が出たわけですね。続いて各省当局もそれぞれ検討をしておるようですが、まあ御承知のように、この公制審の答申の中では、制度改正まで労使関係の改善のため最大の努力を払うべきであると、こうなっているわけですね。まあ今日のこの公制審を設けられたことそのものも、また労使関係が今日のような状態になっていることも、一番大きな問題はこの点なんですね。ですから、公制審の中にも、制度改善までの間に労使関係の改善に最大の努力を払うべきであるという断定をしているわけなんです。にかかわらず、公制審の直前に、答申が出た直後に十四万という処分、大量の処分を行なった。その後、検討をしているところです。御承知のように、昨年の十一月のILO結社の自由委員会、ことしに入りまして、六月の同委員会の中間報告並びに条約勧告適用専門委員会の中間報告、意見書ですね、これは。これはいずれも公務員の争議行為について日本政府の過酷な処分を適用するという硬直した態度を改めていない、過酷な処分をするという日本政府の硬直した姿勢を改めていないということを三回にわたって勧告をし、中間報告をし、意見書を出しておるわけですね。そういう中で、しかも公制審もこういうことを言っている。にかかわらず、こういう大きな処分を出すということは、私は政府が労使関係を改善するという積極的な姿勢が少ないんじゃないかと、こういうふうに思えてならないわけなんです。ですから私は、いままでに行なった処分については、これはひとつ労使で話し合うと、あるいはこれから行なおうという処分についてはこれを凍結すると、こういう努力を払っていくべきではないか。これ以上ILO、国際関係の信用を失墜するということは政府のとるべき態度じゃないと思うんですね、公制審の答申を尊重するということになっておるわけですから。そういう関係からいいましても、政府は労使関係の正常化のために、この処分の問題を中心にして起こっておるんですから積極的に努力する、そういう姿勢が必要だと私は思うわけです。総理府総務長官の見解をお聞きしたい。
  209. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 鶴園委員御承知のとおりに、三公社五現業の処分その他の問題については、御案内のように、決しておことばを返す意味じゃございませんが、私の守備範囲といいますか、私の担当の立場で行なう分野でないことは御理解願えると思うのでございます。鶴園委員が御指摘になる心情は十分私も理解もいたしておるわけではございますが、その点ひとつ、御了解願いたいと思うんでございます。  御承知のとおりに、公制審の三者合意のもとにおいての満場一致で答申されました答申につきましては、当時私も総務長官の立場から声明を発表いたし、官房長官も政府を代表されて、その答申を十分尊重いたしながら問題の解明に努力をいたして結論を出してまいりたいという声明も出されたことも、鶴園委員よく御了承のとおりでございます。したがいまして、新聞にも発表いたしましたごとく、さしあたり先般の関係閣僚懇談会におきまして、官房長官、総務長官、労働大臣、自治大臣等が会合いたしまして、今後の重要なこの問題についての努力、解明、その方向等を十分検討するという重要なことでもあり、これをやはり可及的に取り組むべきであるという観点から、四者懇談会を開きまして、その結果、御承知のとおりに、十省からなるそれぞれの事務次官が入りまして、私が、総務長官が議長という形になってこれを主宰するということは一昨々日の協議で決定をいたし、昨日の閣議に私から報告をいたして御了承賜わったような次第でありますので、私といたしましては、来週ごろにその第一回の会談を、会議いたしまして、これに対して積極的に配慮、努力いたしてまいりたいという政府並びに総務長官としての考え方を御報告申し上げて、御理解を賜わりたいと思うのでございますが、   〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕 処分あるいは処分の撤回、これらの問題については、現行の法律から考えてみますときに、当然これは法を犯した処分でございますので、これを撤回するとか、あるいは改善するとかという問題は別個の問題として、これからの問題としては、新たな問題として当協議会で協議をいたしてその改善に努力をいたし、現在までの問題については、やはり法治国の立場から当然そうした処置が講ぜられるということはやむを得ない実態であるということも、賢明な鶴園委員御理解いただけるものと、こう私は確信いたしており、御信頼を賜わりたいと、こう思っておる次第でございます。
  210. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの国鉄の問題なり動労の問題についてはどうだとかいうお話ですけれども、これは御承知のように、答申を受けて、そして十省からなる連絡協議会ができて、その議長に総理府総務長官なっておられるわけですから、これは当然国労も動労も含めてお考えいただかなければならぬわけで、ただ、私が言っていることは、こういうふうに国際的にたび重なる勧告が行なわれたり、意見書が出ている、中間報告が出ているじゃないかと、それは日本政府の処分という、過酷な処分というこの姿勢を改めていない、硬直した姿勢を改めていないということは、これは総理府総務長官だっておわかりになると思うのですよ。法令がどうだこうだとおっしゃるけれども、これはさじがあるわけですから、いままでの経緯から見ましても、これはさじかげんによっていろいろあるわけですから、ですから過酷な処分をやるという、その硬直した姿勢というものを変える必要があると私は言っておるわけです。これは、すべてを含めてですよ。しかも公制審の場合は、制度改正までは労使関係の改善のために最大の努力を払うというのですから、この中にはいろいろな問題が入っております。入っておりますけれども、そもそもこの公制審が設けられた、あるいはILOに対して各組合が提訴をしているという理由の一番根底にはこの問題があったわけですから、そこへお答えいただかなきやならない。硬直した過酷な処分とその姿勢をこれは変えていく必要がある。そのことが私は公制審の答申を尊重する、あるいは国際的にいえばそういう意見なり中間報告なり、そういうものに対する回答をある程度与えていくという姿勢だと思うのです。ですから私は、いままで行なった処分については、これはひとつ労使で誠意をもって話し合うと、さらに今後の処分の問題については凍結をして話し合うと、こういう私は姿勢が必要だと、こういう主張をしているわけです。そこへひとつお答えをいただきたい。
  211. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 政府並びに私としてこれに取り組む心がまえの基本的な方針と姿勢を申し上げましたわけでございます。鶴園委員のいまの御意見は御意見として十分承っておきたいと、こう考えております。
  212. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がないわけですよ。ですから私は、重ねて申し上げたような経緯でありますから、特に国家公務員の担当者でもあり、今後の処分の問題については、これは誠意をもって考えてもらいたいということをひとつ要望申し上げておきます。  もう一つ、長官がお話しになりました新しく設置したという公務員問題連絡会議、これが事務局がどうもはっきりしないようですね。どうも窓口が一本になったということにならないというので、非常に不満があるわけですよ。これは労働省に行かなきゃならぬ、こっちへ行かなきゃならぬ、あっちへ行かなきゃならぬという形で、せっかくおつくりになったのだが、窓口が一本になったという形になってないという不満かたくさんありますので、そういうことにならないように、これは窓口を一本にしたんだというところへやっていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
  213. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 懇談会のそうした事務的な問題は、あの当時、あのときに、きのうも発表いたしたわけでございますので、問題は各省庁にまたがっておりますけれども、窓口はあくまでも総理府の人事局でこれをいたすということが付記されておりますので、この点は御安心願いたいと、こう思っております。
  214. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういうふうにお願いしたいと思います。  次に、第二点ですが、これは人事院総裁にお尋ねしたいのですけれども、今度の勧告及び報告の中に、非常に重要な問題が載っておりまして、これはもう御承知のように、公務員給与決定について重大な変化が示唆されておる。つまり、教員と看護婦の給与改善についてかねてから努力を重ねてきたと、今後一そうの改善をはかる必要があるという、まあ断定をしておられるわけで。一そうの改善をはかる必要があると。これと関連をして、官民比較の基本原則の適用方式に若干の変更を加えることについてすみやかに検討を行なう考えであると、すみやかに検討を行なう考えであるというように、はっきりとしたことが載っておるわけですね。これはまあ今度の勧告並びに報告の中できわめて重視すべき内容だと、こう思っておるわけですが、八月の十何日ですか、八月の十六日、勧告が出ましてすぐあとですが、八月の十六日の東京新聞で、このことについて二次勧告があると、あるいはまた追加勧告があるという報道が行なわれまして、しかもこれは一般職で言うならば二%か三%であるということと、もう一つは段階的に処理したいと、段階的にといいますか、年次計画的にといいますか、そういうふうなことにしたいという二つのことが載ったわけですよ。つまり追加勧告をする、その中身は何かといえば、それは二%か三%である。もう一つは、段階的に、年次計画的に処理をするのだと、こういうような内容のものが出たわけですね。そこで、私は、なるほどこれはうまい報道だというふうに考えたわけてす。というのは、いまお話――ここにありますように、看護婦それから教員、こういう俸給表を除きますと、これはもう残るところはちっぽけな俸給になりまして、結局これは行政職俸給表(一)と行政職俸給表(二)と、これと民間のそれに該当するところと比較をするというふうな形が基本になって人事院勧告がこれから行なわれるというようなことになるんじゃないかという印象を非常に強く受けたわけです。まあこのことは私は従来からこの委員会でもたびたび何年かにわたって主張してきたことであるわけですね。そういう点から、かりに行(一)と行(二)と、民間の行(一)と行(二)に該当するところと比較をいたしますと、二・七%ほど格差が出ている、ことしですね。ことし二・七%ほど上げなきゃならないという数字が出でくる、この人事院勧告の資料から。さらに同じようなことで考えますと、四十七年はどうだったかというと、四十七年は三・五%引き上げなきゃならぬという数字が出ている。四十六年も三・五%、四十五年は四.二%、四十四年は三・五%、過去五年の例をとりましても、いま申し上げましたように、そういう考え方でいきますと、行(一)と行(二)についていえば、民間の行(一)と行(二)に該当するところとは非常な差が出ている。したがって、本年はさしあたり二%か三%の第二次勧告、しかし、これは過去を考えてみるとある程度段階的に、あるいは年次的に考えていかざるを得ないというふうなお考えを人事院が持たれることはしごく当然だというふうに私は理解したわけです。  そこで、その後また新聞にも報道されまして、第二次勧告が出る、それで追加勧告が出るという話が出ました。そこで、人事院総裁はことしの四月、参議院の予算委員会におきまして、私のほうの安永委員が質問いたしましたときに、いわゆる人材確保法案というものがあろうとなかろうと、この考え方というのは人事院のいままでの勧告の考え方の路線の上にあるので、あろうとなかろうと勧告をするのだというお話があったわけですね。しかも、その勧告と報告の中には、これは一そうの改善をはかる必要があり、しかもその他の一般職国家公務員についてもすみやかに検討を行なう考えであるというふうに報告に指摘してありますから、これを根拠にして私はさっき申し上げたような追加勧告というものが当然想定されるというふうに考えるのですけれども、総裁のお考え方をお聞きしたいと思います。
  215. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ポイントをお答え申しますと、従来、御承知のように、総合格差の方式をとってまいったのでありますけれども、そのために教員や看護婦等の逆格差になっておるところの改善が思うようにいかなかった。そういうことから、まあ総合格差というものについて再検討の必要があるじゃないかという気持ちをもって今度の報告書にこれをあげたわけでございます。したがって、ことしは総合格差の方式をとって勧告を申し上げておるわけですから、この方式を変えるとすれば来年の勧告からという形になるわけであります。しかし、すみやかに検討をして、あるいはある種の調整措置というような形のものがその前にとれるならば、あるいはそれも一つの検討の対象としてよろしいじゃないかという気持ちが、おそらく二次勧告というような報道になってあらわれたと思いますけれども、新聞には私の写真が出ておりますけれども、これは私が発表したわけではございません。私どもとしては慎重に検討を続けておりますということで御了解を願いたいと思います。
  216. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の伺いたいのは、結論は、ここの勧告並びに報告の中でこういう指摘をなさった。これはいままでにないことです。なかなかりっぱな指摘だと思うのですが、指摘をなさった。しかもその予算委員会では、人材確保法案がどうなろうと私は勧告するのだというお話、これもなかなかりっぱな態度だ。まあ人事院は、国家公務員法によりますと、一年に一回以上勧告することができるということになっております。一回以上という規定をしてあるわけです。ですから、ここの報告とからみ合わせて、総裁の予算委員会における発言等とからみ合わせますと、これは追加勧告なり何なりが当然あるものと、こう考えなきゃならぬのですが、そこの点をはっきりしてもらいたい。
  217. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 予算委員会のことを二度もおっしゃいますと、ちょっとここで正確にしておかなきゃいけませんが、この報告書の文章というのは、ごくまぎわになって書いたんでありまして、予算委員会の当時こんなごとを考えて答弁をしたわけでは絶対ございません。予算委員会の安永さんの質問に対するお答えの趣旨は、予算を何億かもらったじゃないかと、そうすりゃもう勧告権を人事院が持っているから、勧告は可能であろうというポイントを御質疑になりましたので、それはもちろん勧告権を持っております以上は勧告はできます、必ずしも法律を待ってということにはそれはならないと、事の基本的な考え方を申し上げた。そのときは、まだ人材確保法案の話が出ていない段階で、基本的な考え方としてはそういうことを考えておるということだけを申し上げましたんで、いわゆる二次勧告、いまの総合格差主義をどうこうというところまでの知恵はそのときはまだ頭の中にわいておりません。その後、順次熟成されて今度の報告書の文章になりましたと、こう申し上げるのが一番正確でございます。
  218. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、私の聞いているのは、おやりになるのかならないのかということを聞いているんです。ことしのうちにおやりになるのかならないのかということを聞いている。
  219. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは先ほど申しましたように、筋は来年の勧告のときの官民比較の問題でございますから、それは来年やってしかるべきことかもしれません。しかし、すみやかに研究するということを書いておりますから、その研究はすみやかにやりたいと思っております。
  220. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、私、総裁変身なさったんじゃないかという感じがしまして、少しばかり伺ったわけですけれども、どうもそうでないようですね。おやりになるという考え方のようですね。まあいいでしょう。それは法律の中にもあるんですから、一回以上とあるわけですから、おやりになってけっこうな話。大いにひとつおやりになるように私としては要望いたしたいと思います。おやりになるんですな。
  221. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御要望を大きな激励として承っておきたいと思います。
  222. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そんなのあぶないよ、だめだよ。(笑声)  もう一つ、総裁、これはもうつけ足しです。いま、御承知のように、文部省のほうで教頭を一等級に格づけする、それを通達で出そうというような話がだいぶ伝わっているわけなんです。これは私は人事院としては問題だと、いまの人事院規則からいえば問題だと思うんですが、この点についての総裁のお考えをお聞きしたいと思います。
  223. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これも一時新聞だねになりましたけれども、確かにおっしゃるとおり人事院としては問題でございます。何となれば、地方公務員である公立学校の先生の問題でございますから、それに人事院がとかくくちばしをいれるということは、これは問題であろうという意味で、われわれとしてはそれに対して批判的なことは申し上げないという態度に徹しておりますけれども、しかし、ただ御参考までに申し上げておきますと、国立学校の付属小中学校の場合は、これはまあ専任の校長がいないということもありますけれども、一等級――校長の職務を行なうものという、一等級のところへ教頭を格づけして運用はしている、そういう事実はございます。
  224. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ちょっと時間がありませんので、これで終わります。
  225. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 十分間で終われというのですが、たいへんな問題なんです。午前中に私が取り上げた問題であるのですが、これは給与法の問題ですが、北大の金喆佑という人のことなんです。この人が一九六四年十月に北海道大学の外国人講師となり、一九六六年の四月に文部教官・教育職四等級・北海道大学理学部助手に採用され、地質学鉱物学科鉱床学講座勤務を命ぜられる。そのほかございますけれども、あとでこれをお見せしますけれども、この方がいまソウルの拘置所に入っているわけです。私のお伺いしたいのは国家公務員法の七十九条のこの問題ですが、この方が休職するとかしないとかでなくって、突発的に起きた問題なんです。で、まず、この人が国家公務員に該当するかしないかということ、この点なんですが、ひとつ御答弁を願いたいと思うのです。
  226. 茨木広

    政府委員(茨木広君) ただいまの件お答え申し上げます。国家公務員でございます。
  227. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この方が希望しているとか希望してがいとかは別の問題として、七十九条というこの規定は、国内の人のみですか。国外のことは含まれていないですね、これ。
  228. 茨木広

    政府委員(茨木広君) 刑事休職の問題であろうと思いますけれども、日本の司法権のもとにおきます刑事事件について起訴されました場合についてだけでございます。
  229. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 事実上国家公務員のこの方が韓国のソウルでいま起訴されているわけです。この場合適用するかしないかということです。
  230. 茨木広

    政府委員(茨木広君) 先般も文部省のほうから御照会がございまして、内部でいろいろ検討いたしましたが、やはり日本の国権のもとにおきますところの起訴が対象になっておりますわけでございまして、日本国外において、外国法に基づく起訴等をやられました問題については、この法律はやはり適用はない、こういうように考えております。
  231. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、法律がないということですね、法律がまだ制定されてないということですね。
  232. 茨木広

    政府委員(茨木広君) この方は、たまたま韓国籍の方でございまして、その方が外国人のまま日本の国家公務員になっておる、こういうようなケースに相なるわけでございます。で、そのような場合の、ほかの国籍を有する者について、その本国政府下において刑事事件に問われましたというような場合についてどのように取り扱うかという問題についての規定は、現在のところございません。
  233. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 長官、どうですか。こういう問題が将来起きないとも限りません。どうですか。
  234. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 初めて伺った問題でありまして、私のほうでも十分にいま研究をいたしたわけではございませんが、現在の法律で予想してなかった事態が起こっている、かように考えております。将来起こり得る問題とすれば、いろいろ検討すべき項目を含んでいるのじゃないだろうかと、かように思いますが、何といいましても国家公務員法なりあるいは給与法の解釈の問題でございますので、第一義的には人事院のほうでいろいろ御調査をなさっておりますので、その御見解等も伺った上で私どもまた検討してみたいと思います。
  235. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一般職職員給与に関する法律の休職者の給与、二十三条にこの規定がございます。この規定の問題もあわせて将来考えていかなければならないと思うのです。ですから、これはひとつ御研究願いたい、このように思います。これは今後またこういう問題が起きてくると思うのです。そういう方々が生活の問題をどうするか、いま私の申し上げているこの方、たいへんな生活状態に追い込まれているわけです。だれも救済する方法がないのです。救済してあげる法がないのです。ですから、全く冷たいままで、文部省はそういう給与法がないから、もう知らぬのだとほうり出して、家族の人は扶養手当四千円しかもらっていない、しかも宿舎費を引けば九百六十円しか手元に残らない。これで三人のお子さんを養ってどうしていけるかという問題が起きているわけです。これ、ひとつ十二分に、総務長官御考慮願いたいと思います。
  236. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 先ほど来の先生の御意見、全く憂えられるお気持ち同様、私も非常に憂えておるわけでございます。当時出ました新聞を切り抜いて私の資料の中に張っているほどまで、私も心を打たれた問題でございますので、ただいま人事局長申しましたとおり、いわゆる人事院の協議をいただきながら、こうした不幸なお人方の生活を守る意味において、正しい正義感を持って取り組んでいくことは、政治の意味からも正しいことだと思いますので、十分前向きの姿勢で検討してまいりたいと、こう思っております。
  237. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 人事院の勧告が始まって以来の高率の一五・三九%ですか、一万四千四百九十三円の勧告が行なわれて、生活実態調査から見た官民の比較といいますか、これが行なわれていきますが、この生活実態調査から見た官民比較の私のところにいま資料がございますが、これによりますと、いまの暮らしの状態が、かなり余裕がある、官公労のほうが〇・三、民間が〇・五。多少ゆとりがある、これが官公労が五・六、民間が一一・七。まあまあ何とかなるというのが、官公労が三七・七、民間のほうが五三・二%やりくりがたいへんだというのが、官公労が四六・三、民間が二七・八。非常に苦しいというのが、官公労が七・九、民間が四・五。これ、ずうとやっていきますと時間がないのでやめますが、この資料に基づいて、今回一五・三九%としたからこれでいいと言えるかどうか、また報道等では、官公労がずいぶん上げているじゃないかと、これ以上また上げるのかというような面も、一般庶民の中にもそういう声もありますが、さて、それでは国家公務員のほうの立場になってみて、こうずっと見ると、この生活実態調査から見た官民比較から見ても、将来問題がまだまだ残されておると思うんです、給与問題については。これは人事院総裁、どんなふうに将来のことをお考えになっておりますか。また、どういうふうに今後はされようとするか、その点ですね。
  238. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 結論を申しますというと、現在の官民比較という基本のたてまえは、これは当面やっぱり維持していかなければならないと思います。私どもの押えております民間従業員は、まあ日本全国の従業員の過半数をとらえての給与を、水準をつかまえておるわけでございますからして、それに合わせるということは御納得いただけるだろうというふうな立場に立ちまして、民間の従業員の方々が歯を食いしばって苦しんでいらっしゃるということならば、公務員もやはり公務員だけがのうのうとしているというわけにはいかぬだろうということで、たてまえを立てておりますかちして、いまのお調べはどういうお調べか全然見当がつきませんですけれども、私どもとしては、給与の比較の上からこれが適正な水準であろうと、こういうことでおります。
  239. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間がありませんから、この問題、ずっと触れていこうと思ったが、やめます。  大体、最近の消費者物価、卸売り物価、輸入物価等の動向をこう見ていきましてもたいへんなものです。もう私がいまさらに申し上げるまでもなく、七月においては、前年の比較にしても、消費者物価にしても、一一・九%。卸売り物価にしましても、前年同月の比にして一三・六%、輸入物価にしましても一八・四%というものすごい物価上昇の中にあって、今回の改正等も行なわれたと思いますが、諸手当の問題について一言だけ触れて終わりにしたいと思いますが、扶養手当だとか住居手当等、先ほど説明ございました。通勤手当も、宿日直手当等の改善を行なうという説明がありましたけれども、この持ち家居住者といいますか、自宅居住者に対する手当というものが今回も考えられていない。これは大きな問題が私はあると思うんです。マイホームをつくれつくれと、一面では民間に住宅をつくるように建設省は持っていっている。で、また、公務員の人たちも何とかして自分の家をつくろうといって、苦労してつくっている。ところが、何というのですか、全職員が四十八万九千九百七十四人ですか、このうちの五万三千四百五十九人の人がこの住宅手当を受けている。そのほかの人たちの分析というものがどんなふうになっているか、こういう分析も当然なされていると思うんです。そうした上で、持ち家居住者の人に対しては、どれだけあって、どういうふうな生活状態が、実態がこうなんで、借金してこういう建物を建てた者はこれだけいるんだというような分析が当然行なわれていなきやならないと思うのですが、それとあわせて、その内容と、今後、持ち家居住者に対する住宅手当というものをどう考えていくか、この二点を伺って終わりにします。
  240. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 持ち家関係の御意見は各方面からたびたび承っておりますし、また、この委員会の席でも御発言がありまして、なかなかむずかしゅうございますということは申し上げてきたんでございますが、今度の勧告については、できるだけひとつ具体案を取り組んで考えてみようじゃないかという意気込みで、給与局にも大いに勉強してもらいまして、相当の具体案まで書いてみました。しかし、やっぱり一つ一つ点検いたしますというと、まだこう筋の通らぬところが出てくる、これはどうするかと、これは漏れるとどうするかというようなことがございまして、とうとうまだ答案ができませんでしたけれども、しかし、御要望は御要望でございますからして、今後もなおじっくりと研究を続けて、いい案がございましたら、またここで御審議をわずらわしたいという気持ちでおります。
  241. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ことばじりをとらえて申しわけありません。ゆっくりじゃなくて、もうこれは毎日日常生活……、先ほど申し上げましたように、特に住宅問題、資材問題、物価問題等、にらみ合わせながら困っている実情ということを踏んまえられて、ひとつよろしく御考慮願いたいと思う。
  242. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) じっくりと申し上げたつもりでございますけれども、もしも間違いましたら、ゆっくりの「ゆ」を「じ」と改めて御了解願います。
  243. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 分析、わかりますか。――わからなきゃいいです、あとで資料出してもらえば、時間ございませんから。
  244. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) その資料、提出いたします。
  245. 向井長年

    向井長年君 今回の人事院勧告は、われわれはまあ万全とは言いませんけれども、高く評価したいと思います。   〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕  そういう中で、その受ける政府の姿勢ですけれども、この中で、特に人事院は、週休二日制を昭和五十年度に実現するための条件整備を勧告いたしておりますね。こういうことでございますが、特にここで問題になるのは、看護婦、心身障害児の施設に働く人たち、これに対しては休日の二日制をしくとしかないとにかかわらず、現在、職員をいかに確保するかという問題が問題だと思うんですよ。そうですね。これに対して政府はどう対処するか、続いて、少なくとも週二日制を実施するためには、これらの施設の従業員の大幅な定員の増加、これがまず必要になってくると思います。あわせて、この待遇でございますが、これは抜本的に改善しなきゃならぬのじゃないかという気がしますが、特殊なこういう人たちでございますから、この点について政府の一つの態度と、人事院のほうでもこれに対してどう対処していくか、これをまずお聞きしたいと思います。
  246. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 週休二日制の問題につきましては、いまや大切な国民的課題になっておるというほどまで重要な問題があるわけであるとともに、大切な果たすべき課題であろうと考えるのでございます。したがいまして、民間の動向あるいはいま御指摘になりましたような受け入れ体制、あるいはレジャー施設、いろいろと多くのまた内政上施さなければならない問題点もあるというようなことでございますので、政府といたしましては、その目標に向かって前向きの姿勢で取り組む覚悟であるという当時官房長官談話を発表いたしましたゆえんもここにあるのでございます。  一つ一つ重要でございますが、いま向井委員御指摘の看護婦さんの問題あるいは保母さんの問題、こういうような重要な場を受け持っていただく方々の非常な不足からくるところの問題点も多くございます。施設等においてもまたしかりでございます。そうした点を定員上どう考えなければならぬか、あるいはそのいろいろの補充、あるいはそれに対するところのいろいろの措置、非常に多く伏在をいたしておりますので、ただいま労働省が中心となりまして週休二日制の閣僚協議会を持っておりますので、公制審の答申にもありましたので、非常な重要な課題として、政府はこれに対するあらゆる角度からの対処すべき方向をいま検討をいたしておるというようなことでありますので、御指摘の点は全く同感でございます。
  247. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いわゆる福祉施設、厚生施設という部面につきましては、私ども従来から非常に努力をいたしまして、たとえば調整額が俸給表の外にあるわけですが、それらについても手厚くやっております。特に今回の勧告におきましては、宿日直手当を思い切って上げまして、従来六百二十円のところを今度は一回につき千五百円と、非常に力を入れたということだけは御了承をいただきたいと思います。  なお、週休二日制の問題につきましては、これは総務長官からお話のございましたように、総理府その他と緊密な連携をとっていま研究を進めております。
  248. 向井長年

    向井長年君 いま申しましたように、こういう特殊な業務に携わる方々に対する待遇の改善、今後も格段の御努力を賜わりたいということ。それから政府に対しましてはやっぱり定員の確保。やはり待遇をよくすればまた志願者も多くなるんですから、この問題にひとつ力を入れていただきたいということを要望しておきます。  そこで、特に民間においては週休二日制を実施するためには業務能率の向上なり、合理化なり、時短の問題も、これ血みどろでいま努力しておると思いますし、したがって、これに対して政府は一般公務員の週休二日、こういう問題を今後適用するとするならば、これは業務の能率の向上、職場の規律の確立等、あるいは国民に対するサービス、こういう問題に総力をあげなければならない。  ところで、いまや労使間がこういう状態で、やはり問題が多いわけです。この問題の多い理由は何かといえば、まず第一に当事者能力の問題、あるいはまた労働基本権の問題、この二つが問題だと思います。これは私はきょうはここで論議しようとはしません。しませんが、やはり職場規律というものは厳然としてなければならぬということですよ。幾ら何を言おうと、やはり現状の中では悪法も法でございますから、これはやはり厳重にやると同時に、先ほど申しました当事者能力の問題並びに労働基本権の問題、これは今後の問題として早急にやはり確立しなければならぬ。こういうことを私は申し添えて政府の意思を聞きたいと思います。
  249. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 向井委員の御憂慮になりましたとおりでございまして、私も全く同感でございます。ことに当事者能力の問題あるいは基本権の問題、これなどが優先されまして、これらと並行しながら、いまおっしゃったような能率増進あるいは国民へのサービス、そうした問題点も十分ひとつ配慮いたしてその方向をさらに検討いたしてまいりたい、こう考えております。
  250. 向井長年

    向井長年君 最後に、私はそういうことをつくり上げるためには現在までの弊害をなくさなければならぬと思います。この弊害の中で、特に公団、公社に対して高級官僚が天下りをする、こういうことは非常に大きな疑惑となお弊害になっている点があると思います。これについては今後これをやらないという方向で進んでいただきたいと思いますが、この点に対してお聞きいたします。
  251. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 御指摘の公団、公社のあり方、あるいは天下り人事等、これなどは国民も非常な関心を持ってその推移をながめており、また期待もいたしておるということを考えるときに、両院において、それぞれの場において、の委員会その他各党の政策の委員会において、また各常任委員会などにおいてもこれなどがいろいろと論議をかわされておりますので、そうした点を踏まえまして十分政府は積極的に対策を講じたい、こう考えております。
  252. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がありませんから簡単にお聞きしますが、私たちは最初に、この法案に対する態度、あるいは一般職給与の問題ですが、これは人事院勧告をそのまま織り込んだ点、この政府の努力、これは一応われわれも評価するわけです。しかし、何といっても、先ほどから繰り返されて述べていられるように、最近の物価の高騰というやつは、これは生活の基盤をゆり動かしているわけですね。私はよく話すんだけれども、一番これを感じているのは主婦ですよ。朝に晩にマーケットに行ったその瞬間に怒りと不安が渦巻いているというのが日本の現実です。それほどインフレは高進しているわけです。だから、自分の立っている生活の基盤というのがゆり動いている、不安にさらされているんですね。  そういう中で、この人事院勧告は八月に出された、こういう形ですが、もう非常に大きなズレがあるんですね。こういう点について、これはあなたたちずっと作業をやってそれである程度の勧告をされておるんでありますが、これは現実に即応するかどうか、これについての人事院総裁としての、いまの物価高、インフレ、しかも異常な高進の状態の中においてたいへんやはり問題を持っていると思うんですね。この点について率直な感想を述べていただきたい。
  253. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 結論は、決してうれしいこと、喜ばしいこととは思っておりません。帰趨を真剣に見守っておるわけでありますけれども、今度の私どもの勧告に関しましては、これは六月十五日まで調査をたっぷりとりまして、ことしのいわゆる春闘における、局間における給与の引き上げはほとんど余すところなくこれをさらってきた。そうして今度はできるだけ早く支給をするようにお計らいをいただいていくということで、総務長官のほうの統計局の御協力を得まして、われわれとしては相当無理をいたしまして勧告を早く申し上げ、そうしておそらくもう今月末、来月早々には支給をいただけるだろう、その意味ではほっと安心しているところでございます。要するに、民間の給与には合わせてあるということに尽きるわけでございます。
  254. 岩間正男

    ○岩間正男君 安心していると言うけれども、安心できなくて不安でしょう、あんなたたちも。これは全く何百万の労働者、勤労者のそういう生命をになっている、そういう中で基盤がゆれ動いているということは、これは政府がスピードを出して急ぐといっても限度があるわけですね。実際給与がほんとうに生活者の手に渡るまでは時間がかかる。その間にものすごいズレが出すんですよ。このズレの上に立って行なわれているこういう人事院勧告の仕事というものはやっぱり安定していないんです。   〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕  そういう点からいうと、やはり今度のこの勧告が実施されたにしても、もう実態は半年前、半年前の格差というやつはたいへんなことなんで、これを埋める手だてというのはいまのところない。この点が非常に私は政治的に大きな問題だというふうに思う。したがって、担当大臣として、これは総理府総務長官どういうふうにこの点についてお考えになりますか。
  255. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 御指摘になりました点、私も正しく理解いたし、また受けとめてもおるわけでございます。政府といたしましては、消費者物価、卸売り物価、その他の高騰は現実の事実としてあらわれてきてもおり、私が統計局を担当いたしております立場からの毎月の統計上にあらわれてくる急騰の状況を見るときに、まことに憂うべきことだと考えておるような次第でありますとともに、田中内閣、また田中総理といたしましても、その点を真剣に考慮され、憂慮されまして、先週も物価対策閣僚協議会を開きまして、あらゆる点からこの高騰抑制のためにいろいろの策を協議いたしておるので、政府といたしましては、岩間委員御指摘のような点について十分真剣に取り組んで、田中総理もおっしゃるごとく、秋場においてはぜひともこれを押えたいという方向で、政府をあげて努力いたしておりますので、御了解願いたいと思います。
  256. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、法案が通ろうとする苦しいときの答弁みたいなことで、真剣でありません。さっぱり真剣でないんです。少しも問題は解決しない。こういう実態というのはもう国民の生活感情ではっきりつかんでいるのですから、そういう形で御答弁になりましたけれども、もう法案は通さなければならぬ、何とかそこのところつじつまを合わせようという答弁じゃ全く話になりませんよ。一本これはくぎをさしておかなきゃならぬと思う。もう土俵がどんどん広がってくる、ちょうど今度の国会の乱脈な会期延長と似ている。われわれの生活をやっているところの基盤がどんどんインフレで広がってくる。こういうかっこうの不安定、こういうものの上にはっきり立っているんだということ、この大衆感覚をはっきりつかまなきゃ話になりません。ことばなんかで真剣だとかなんとか言ったって、何も真剣じゃない。真剣でない証拠は、何も解決してない。ここのところはほんとうにあなたたちの命取りにだってなるのだから、この点をもっと真剣にこれは考えなきゃなりません。真剣ということば好きですけれども、これは坪川長官、真剣ということば好きです。ここにも、いま速記を見たら、四十八年七月十二日ですから、三カ月前にも同じやっぱり真剣を使っている。これはどういうものだか、いま聞いてみればこれでわかる。それから、そういう中で、とにかく今度のこの給与は、官民格差は依然として残る、上厚下薄は残る、こういうことで依然としてこの給与法の性格というものはやはり根本的には変わっていない、そういう点はこれははっきり認めなきゃならぬと思うのです。  もう一つは、人事院勧告の実施によって、これと引きかえに定員の削減、それから当然これに対して業務量が非常にふえるということ、したがって労働強化がこれに伴ってきている、こういう実態がある点は、これははっきり私は指摘しておきたいと思います。したがって、これは一般職給与に関する法案についてはわれわれは評価をし、これに賛成するわけですが、特別職、さらに防衛庁給与の一部については、これは賛成することはできないんだという点をはっきりしておきたいと思います。  で、時間ないから最後にお聞きしたいのは、いわゆるあなたの真剣な問題です。これは、この前に総理府の設置法に関連して私はお聞きをした。つまりあなたの足元の総理府の統計局、ことに女子職員、キーパンチャーの方たちの頸肩腕症候群、これが非常に多くなっている。耐えがたくて一これを上申して、そして局長にやった、問題を取り上げたわけです。これは非常に答弁もできなかった。局長はそのとき答弁もできないという、まことにしどろもどろな答弁をした。ずいぶんこれについて私たちは追及をしたわけですね。最後に長官何と言っておられますか、速記を読みますか、まあ言わなくてもいいけれども、大体のことはわかりますけどね。「具体的に申し上げますと、いま岩間委員が御指摘になられた点の含まれておることも、含まれております。私は私なりの配慮をもってこれらの健康管理を全面的にさらに進めてまいりたいと、こう考えております。」「事態というものを正確に把握いたしながら正確なる措置を急いでまいりたいと、こう考えております。」、それから三カ月、すでに秋の半ばになりました。こういう中でこれはどうなりましたか、お聞きをしたい。
  257. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) お答えいたしたとおりでございますので、さっそく公務障害等の問題についていま人事院で御検討をわずらわしておる、その御検討の結果を踏まえて処覆してまいりたいと、決してこれを放置しておるような問題ではございません。真剣にやっていることだけを御理解願いたいと思います。
  258. 岩間正男

    ○岩間正男君 人事院総裁にお聞きしますが、どうなっておりますか。
  259. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この間までの話では、われわれの要請するぴったりした資料がまだ届いてこないそうだそうです。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうですか、この食い違いは。調査はしていると言ったって、もう三カ月ですよ。これが真剣で、大急ぎでということになりますか。国会の一体急ぐというのはどういうことなんだ。どれをどの程度一体急ぐという、直ちに……、それから三カ月、そうして秋風が吹いている、あのときは暑さに向かう前だった、どうなんだ。
  261. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 時期的にずれていることは事実でございますが、御承知のとおりに人事院から答申はなされました。これを皆さんはもうすみやかに、すみやかに、もう一日でも早く出せ出せとおっしゃる、その作業はどこがやっているかということは、岩間委員よくおわかりだと思います。そうした仕事もいたし、またこういう人命に関する重要な問題とも取り組んでおりますので、この点はひとつ人事院に調査資料も出しており、また人事院もいま検討していただいておりますので、どうか御理解願いたいと、こう思います。
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 国会をむだに延ばしているとこういうことになる。何だって国会だけどんどん延ばして……、仕事が進まないで、具体的なこういう国民の健康の問題とか生活の問題、こういうふうなものは非常にないがしろになっているのが現状ですから、いまの答弁そのものが、何よりもいま持っている政府の姿勢というものははっきりしているわけですよね。その点は明確にしておかなければならない。法案が通る、苦しい、そのときはうまいことを言う。しかし、実際はどうか、少しもやっていやしないじゃないか、ほおかむりだ、のど元過ぎれば熱さを忘れる、こういうことじゃ話になりませんよ。今度はどうします。はっきり言ってください。
  263. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 十分統計局長に指示いたしまして、その資料の提出、またその内容等にすみやかに事務的に進めるよう命じておきたいと、こう考えております。
  264. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは人事院総裁も大急ぎでやってください。人事院も何かまあ一つの調節弁みたいなことをされちゃ困る。人事院に回ったからそれで逃げちゃった、そんなことでないのです。実際もっとこれは総務課の責任でやるべきですよ。そうして意見だって出す、これをもっと具体的に解決しろと、こういうふうにいかなければならないのに、人事院に回せばいい。人事院というのはだから盲腸的存在だと言わなければならない。そうだろう、調節弁なんだ、調節弁になって、事態をしきりに延ばすだけの役割りなら話にならぬ。いいですか、このことを最後に苦言を呈して、それからくぎをはっきりさしておきまして、具体的にこれは見守るから。そういう立場で私は終わります。
  265. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ほかに御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  266. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  267. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  268. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後二時四十一分休憩      ―――――・―――――    午後四時二十二分開会
  270. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  動物の保護及び管理に関する法律案を議題といたします。  まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長三原朝雄君。
  271. 三原朝雄

    衆議院議員(三原朝雄君) ただいま議題となりました動物の保護及び管理に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。  動物は、古くから人間の生活に必須のものとして、人の衣食の用に、使役に、そして愛玩用に供されてきましたし、また、人の健康の保持のために、科学上及び医学上の研究実験の用に供されるなど、人類の生存、福祉及び発展に貢献してきましたことは御承知のとおりであります。  しかるに、わが国では、これら動物に対する取り扱いが科学研究用、食用及び観覧用において、また、愛玩用においてさえ往々にして適切な配慮を欠き、そのため動物に不必要な苦痛を与えております。  他方、動物の保管に適正を欠くため、動物による人身被害等が生じ、また、動物により人が迷惑をこうむる事件も多く生じているのであります。  従来、これら動物に対する立法措置といたしましては、文化財保護法、軽犯罪法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、狂犬病予防法等があり、さらに地方公共団体が各地の実情に応じて制定した飼い犬等取締条例等があります。これらの法令は、それぞれの制定目的等を異にしており、動物の保護及び管理について総合的、統一的な措置を講ずることは困難であり、十分にその実をあげておらない実情であります。したがいまして、動物保護の見地から、また、動物による人の生命等の被害防止の見地から、動物の保護及び管理についての総合的な措置が必要と存ずるのであります。  欧米等諸外国におきましては、数十年前から動物の保護に関する法律の制定を見ているのであります。文化国家であるわが国といたしまして、また、わが国における動物の保護に対する国際的評価を改善する上からも、動物の保護のための法律の制定が急務であると考え、ここに動物の保護及び管理に関する法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、動物の保護に関する原則、すなわち動物の保護に関する基本的な考え方を国民の前に明らかにして、動物の保護に関する国民の心がまえについての指標を与えることとしております。このため、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにするのみではなく、その習性を考慮して適正に取り扱うべきことを明らかにしております。  第二に、動物愛護週間を設けることといたしました。毎年九月二十日から同月二十六日までを動物愛護週間とし、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい行事が実施されるようにつとめなければならないこととしております。  第三に、動物の所有者または占有者は、動物を適正に飼養し、保管することにより、動物の保護及び動物による人の生命等の被害防止につとめなければならないものとするとともに、地方公共団体は、条例で、動物の飼養及び保管に関し、必要な措置を講ずることができることとしております。  また、動物の保護のための具体的な行為、すなわち、負傷動物等の発見者の通報措置、犬及びネコの繁殖制限、動物を殺す場合の方法、動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置に関しても規定しております。  第四に、都道府県または政令で定める市は、犬またはネコの引き取りを求められたときは、これを引き取らなければならないものとするとともに、国は、都道府県または政令で定める市に対し、予算の範囲内において引き取りに関する費用の一部を補助することができることとしております。  第五に、内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の適正な飼養及び保管、動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置に関する基準並びに犬及びネコの引き取り、負傷動物等の収容及び動物を殺す場合の方法に関する必要事項を定めることができることとするとともに、これらの基準または必要事項を定め、または変更、廃止しようとするときは、動物保護審議会に諮問しなければならないこととしております。  第六に、総理府に、付属機関として、動物保護審議会を置き、動物の保護及び管理に関する重要事項を調査審議することとしております。  第七に、牛、馬、犬、ネコ等の保護動物を虐待し、または遺棄した者を処罰する規定を設けております。  以上が本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  本法律案は、衆議院内閣委員会において全会一致をもって委員会提出法律案と決したものであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  272. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 以上で説明は終わりました。  本案の審査は後刻に譲りたいと存じます。     ―――――――――――――
  273. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案はすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  274. 鈴木力

    ○鈴木力君 今度の改正について若干端的にお伺いいたしますので、ひとつ御答弁をいただきます。  まず、そのうちの一つは、沖繩の弁護士資格者に対する事務の整備関係、沖繩の弁護士資格者等に対する本土の資格付与等の事務はもうすでに終了したと伺っておるんですけれども、その結果、一つは、復帰前に沖繩の弁護士資格者等の合計は三百四十三名だったと聞いております。それが復帰後本土の資格を得た者は二百四十二名と聞いておるんですが、その数字はそのとおりでありますかどうか。なお、そのついでに、そうなってまいりますと、大体百一名が資格を取り得なかったわけでありますが、その資格を取り得なかった人たちに対して今後どういう指導なり、どういう処置なり救済処置があるのか、講じておられるのか、この点について、まずひとつお伺いをいたしたい。
  275. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいまのお尋ねの点でございますが、いわゆる資格者が三百四十人余りございましたわけでございますけれども、例の特別措置法によります試験選考を受けました受験者は全員でございませんで、二百五十三名ということに相なっております。したがいまして、先ほど合格者が二百四十二名ということでございますので、十一人が不合格という結果になっておるわけでございますから、率にいたしますと、九割五分ぐらいは合格したということに相なっております。  それから第二の点でございますが、遺憾ながら少数の方でございますけれども、その選考に合格されなかった方があるわけでございまして、その方々につきましては、例の特別措置法の第七条におきまして、いわゆる暫定措置というものが定められてございます。それによりますと、復帰の日から五年間は沖繩におきまして従来同様の弁護士業務が行なわれるということがまず定められてございます。そういうことで、当然の暫定措置としてはそのような制度が一部にあるわけでございます。あとのまあ救済と申しますと、沖繩が本土と一体になったわけでございますので、当人たちが勉強していただきまして、本土の資格を取っていただくということしかないということに相なるわけでございます。
  276. 鈴木力

    ○鈴木力君 それで、それしかないんですが、私がお伺いしたのは、特別に何か講習をするとか、指導するとか、少なくとも沖繩の資格は持っておった十一名ですから、そして試験を受けさせるなら受けさせるにしても、五年間の暫定期間のうちにできるだけ資格を取らせるような処置がやはりしてもらいたい、そういう気持ちで伺ったんですけれども、その点はどうですか。
  277. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいまの点でございますが、具体的にそのような講習等の措置を考えているということではございませんが、ただいまの趣旨のようなことで、なるべく試験に合格されまして、受けられるような方法を、実際の現地の御意向等もまたあらためて伺いまして、考えてまいりたいと思います。
  278. 鈴木力

    ○鈴木力君 それでは、いまの点はもう要望にとどめておきまして、時間がありませんから、できるだけ具体的にひとつ御検討をいただいて救済をしていただきたい、こう思います。  その次に、刑務所関係を若干伺います。  今度松山刑務所の移転がこの法で決定するわけでありますけれども、まず一つは、これは法務省だけというより政府全省なんですが、どの省も同じように、予算を先に取りまして、その施設がもう先にできてしまう。具体的には、もう店開きをするといいますか、機能はできているけれども法律のほうがおくれてくるということが、これはもう法務省ということじゃなしに、文部省の学校もそういう傾向がある。みんなそういう仕組みになっているんですけれども、私は、何となしに、これは予算がいって法律があとから追っかけていく。何か昔のくつに足を合わせるといったような不自然さを感じてしょうがないわけです。その点についての何か改善策がないかということを先にひとつ伺いたい。  それからその次には、具体的に今度松山刑務所が移転をするわけであります。そのあとに、松山市自体は、土地交換をして公園、緑地、駐車場等の計画があると聞いております。そういう計画の進行状況、具体的にどうなっているのか、お伺いいたしたいと思います。と同時に、同じようなことなんですけれども、刑務所の移転運動というのがだいぶ全国的に行なわれているというふうに聞きます。神奈川刑務所でありますとか、中野刑務所、あるいは私の郷里の盛岡刑務所もそういう動きがございますが、全体でどのくらいありますか。同時に、その二十七カ所とかと聞いておりますけれども、これに対する法務省のいまの具体的な方策がどうなっているのか、あるいは将来の計画がどこまでいっているのか、お伺いいたしたいと思います。
  279. 長島敦

    政府委員(長島敦君) お尋ねの第一点でございますが、当松山刑務所につきましては、昨年の七月に新施設が完成いたしまして、十月から新施設を利用しているわけでございますが、法律上まだもとの場所に刑務所があるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、たいへん実は困るわけでございますが、もとの場所に一部の職員を残しまして、官署としてはそこにまだ現在あるわけでございます。収容者の方につきましては、できるだけ新しい、いい施設がせっかくできておりますので、そちらのほうに収容するということで実際はまかなっている次第でございますが、今回これを通していただきますれば、さような点も解消するというふうに思っているわけでございます。  第二は、あと地の利用でございますが、この点につきましては、昨年施設が完成いたしましたときに、土地を四国の財務局のほうへ渡しまして、財務局から松山市のほうに引き渡し済みになっております。ただいま私どもの承知しておりますところでは、松山市のほうでは県の中央病院をそこへ建てるということで進んでおられるというふうに承知しているわけでございます。  第三の御質問の、一般的に施設の移転の問題でございますが、ただいま施設移転の要請がございますのは、全国で三十カ町ございまして、そこのうちで現在移転工事をやっておりますのが六カ町でございます。本年度予算によりまして移転する予定が四カ町ございまして、結局移転計画中が十カ町でございます。残り二十カ町でございますが、そこのうちで移転の候補地が現地の市町村等から提出がございましたのが十二カ町ございますが、これにつきましては、それぞれ現地とただいま折衝を続けている状況でございまして、残り八カ町については、現地からも候補地の提供がいまだない状況でございます。一般的に、移転につきまして法務省の考え方でございますけれども、これにつきましては、一つは、施設の現在あります場所が、受刑者あるいは少年の教育上適当な場所であるかどうかというのが一つの問題でございます。一つは、その地域の発展を阻害しているかどうかということが一つの事情でございますが、もう一つは、職員及び受刑者の問題がございまして、移転先が職員及び受刑者の教育等にとりまして非常に支障があるというような場合には、やはり非常に移転が困難になってまいるわけでございます。  そういうようなことで、ただいまは個々的に検討しておりますけれども、この問題はひとつ全国的に非常に大きな問題になってきておりますので、長期的な計画を立てまして全国的な規模で再検討する必要があるということで、ただいま全国的規模の検討を始めている段階でございます。さような方針で今後まいりたいと思っております。
  280. 鈴木力

    ○鈴木力君 いまの点は、時間がありませんから、具体的にどこがどうだとお伺いしているとたいへんな時間になりますから、これはひとつあとで資料を出しておいてください。  それから、さきに申し上げましたことは、これは大臣に申し上げたいことなんですが、もう大臣に申し上げても、ここでの御答弁をいただくことはむずかしいと思いますけれども、予算と法律のこの関係は、全体のあり方としてひとつ検討すべき必要がありはしないか、でないと、いまのようなちぐはぐなことが起こり得る、そういう点を私は申し上げたわけであります。  時間がありませんから、もう一つだけ伺いますが、今回の改正で、地位協定第九条に基づく米軍構成員等の出入管理を行なうため、ずっとこうありますが、そのうちで私がどう見てもわからないのは、いろいろお伺いしたいのですけれども、立川の出張所を残しておりますね。現にもう立川というのは、米軍家族ほとんど引っ越しておられる。これをあえて残しておられた理由は何なのか、ちょっとわれわれが考えますと、横田あたりこそむしろ必要であって、立川はもうなくてもいいんじゃないか、こういう感じがするのですけれども、その間の事情をひとつお伺いいたしたいと思います。  もう一つは、特に地位協定による特別な入管事務といいますか、やっていろいろチェックをすることになっておりますけれども、それらのことがほんとうにきっちりいっておられるのかどうか。と申しますのは、米軍ルート等を通じていろいろなものが入ってくるということがよくある。たとえば拳銃が入ってくるとか、麻薬が入ってくるとか、そういうことに対する手だてはどうなっておるのか、その二つだけをお伺いいたしたいと、こう思います。
  281. 吉岡章

    政府委員(吉岡章君) 御指摘の立川及び横田の関係でございますが、立川出張所を設置いたしました昭和三十二年の時点におきましては、立川のほうが確かに出入国が量的に多かった次第でございます。御指摘のとおり、その後の情勢の変化によりまして、現状においては横田のほうが量的に多いかというふうに考えますが、御承知のとおり、この出張所の改廃につきましても法律事項でございますので、そういった実態をはっきり踏まえた上でその改廃を考えたいと思っておりますが、立川基地につきましては近く日本側に返還になるというようなうわさも耳にいたしておりますので、その時点におきまして立川をやめ横田に移すか、あるいはさらに立川も存続させる必要があって横田に新設するとかということにつきましては、その時点において研究いたしたいというふうに考えております。  それから、基地を通しましていろいろの拳銃等が入ってくるということでございますが、私のほうはもう出入国のチェックだけをいたしておりまして、物の面におきますチェックは、これはむしろ税関の仕事であろうかと存じますので、その点につきましては答弁を差し控えさせていただきます。
  282. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま鈴木委員のほうから指摘がありましたけれども、たとえば月形少年院新設の問題につきましても、これは約二年前ですか、建物はできている。予算措置が先になって法律はあとになっている。こういうようなことが非常に問題点になって、地元では相当困ってきているわけです。こういう点は、将来もまたちょこちょこ、法的なものと建設の面とはスムーズに合致していかないというと、これは問題だと思うのです。  その点が一つと、それからもう一つは、これは資料でけっこうです。きょうは時間がございません。だいぶ質問があるわけですが、これだけにしぼりますけれども、北海道地区における四少年院がございます。この四少年院――北海道は大体一一〇%から一二〇%、ひどいところは一三〇%以上の定員増になっている。そういうふうなことで、今度は月形に設けるというふうなことだと思うんですが、これの内容と、それから紫明女子学院のほうの女子のほうの関係、これを今後どうしていくのか。女子のほうの関係はどのように考えて持っていこうとしているのか、これだけのことをお伺いしておきたいと思います。
  283. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 両先生から当初にお尋ねの点でございますが、予算は先に通って法案審議がおくれる。これは、一つには、予算は政府が一括して出しまして、そして予算の裏づけをなす、まさに裏づけの法案の一つでございますが、裏づけ法案の提出がおくれるということが間々ございます。そういうことのないように、今後は予算を提出すると同時に時間的に接着して、裏づけとなっておる法案を出すように一そうの努力もしていかなければならないと思います。  それから、これは政府の言うべきことはでないのでありますが、実際の中身はどういうことでおくれるのかといいますと、予算の審議中は委員会が開かれにくい、予算は旧年度内にちゃんと通ってしまう、法案のほうは新年度に入って時間がかかるという事情でございます。こういう問題も、私たちは、できるだけ国会の運営のやり方を、私が申しますようなふうに、同時に並行して審議のできるようにしていただくことができればまことにありがたいものだと、同時に、根本の問題としましては、予算を提出しておきながら法案の提出が時期がおくれておるというようなことは不都合なことでございます。そういうことのないように、今後は法案の提出を、予算と同時提出ができますように、十分に力を入れて努力をしていきたい、こう考えるわけでございます。
  284. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 法案を先に出して、そしてそのあとからやるのが一番妥当だと思うのですが、いま大臣のおっしゃった、その両方同時に併用していく、それもいいと思います。どうしても変則的なことが、議会の審議状態においても変則的なことが続けられてくるわけです。ですから、そういうようなことが今日まで数多くあってきたことですから、今後の処置としては、あくまでも法案のほうを先に出すようにして、そしてそのあとでそれに伴う実質的なものをやっていくと、施設のほうはやっていくという形が好ましいんじゃないかと思うわけですね。あと答弁してください。
  285. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) お説のごとくに、極力事前に準備をいたしまして、時期のおくれないように努力をしてまいりたいと思います。
  286. 長島敦

    政府委員(長島敦君) 先生の御指摘にございましたように、札幌地区に北海、千歳、柴明、それから帯広と、四つの少年院があるわけでございます。ただいま全国的には少年の数がだんだん減ってきておるわけでございますが、北海道につきましては比較的その傾向が少のうございまして、この今回の月形少年院の場合でございますけれども、これは主として北海少年院に入っております中の初等少年院と申しますか、義務教育を終わっていないような子供をそこへ集中して集めまして、教育中心の、教化専門でやろうという考えでございます。この北海少年院につきましては過剰拘禁の状態でございまして、そういう意味で、この月形ができます場合には、この北海道の少年の関係の矯正としては非常な進歩になるということを考えております。そのほかの少年院につきましては、現在の実情から申しますと、この現状で大体まかなえるという状況でございます。で、紫明等につきましても、現在の実員から申しますと現状でまかなえるわけでございますが、今後とも施設の整備と教育内容の充実等には十分力を注ぎたいというふうに考えております。
  287. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないから簡単にお伺いしますから、簡単にお答え願います。  昭和四十一年八月十四日、福島県の喜多方市と、それから福島県福島地方法務局喜多方出張所との間に財産交換がされたわけですね。これは移転に伴うところのあと地の問題です。喜多方市より法務省は、どういう公共用の用に供するとこれを認めてこのような願いを許可したのか、まず伺いたい。簡単にやってくださいよ。
  288. 水原敏博

    説明員(水原敏博君) 別に用途指定はいたしておりません。
  289. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは喜多方市からは児童館建設の敷地として申請されて、それを認可したのではありませんか。
  290. 水原敏博

    説明員(水原敏博君) その当時は、契約内容には全く用途指定に関する条件を付しておりませんので、そのように処理いたしました。
  291. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかくそういう願いを出してそれを許可している。その土地には、市長は初めから児童館を建設する意思はなくて、その後これはどうなりました、現在どうなっておる。
  292. 水原敏博

    説明員(水原敏博君) 四十一年八月に市が農業協同組合に売却いたしております。さらに四十七年十一月に、農協がプロパン会社に売却していることが、調べた結果わかりました。
  293. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、市が売却を受けるとき、それから今度プロパンに売却したとき、これは幾らですか、価格。
  294. 水原敏博

    説明員(水原敏博君) それはまだ資料がございませんので、調査いたしておりません。
  295. 岩間正男

    ○岩間正男君 約千二百万でこれは払い下げを受けたんですね。それが今度は、福島の日石プロパンに売るときは二千九百二十万円でこれは売却された、こういう事実はわれわれの調査で明らかになっております。そうすると、どうなんですか、法務大臣お伺いしますが、法務省のあと地というのは――しかもこれは法務省のあと地ですね。国有地の中でも最も厳密にしなくちゃならない、そういうものが、実際はこれは市から農協に売却をした、農協はさらにこれをプロパンガスに売っている、こういう現状がはっきりしておるのですが、これはどうお考えですか。
  296. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 申しわけのないことでございますが、ありのままに申しますと、この喜多方に売却をいたしました当時はどういう条件であったかといいますと、払い下げに際しまして用途指定ということをしていないので、そういう用途指定がないので、おことばのように不都合が生じてきておるわけでございまして、用途指定があれば、その用途指定がものをいうわけでございます。そういうことでございますんで、最近の規定は必ず用途指定をする、用途以外の売却というものを認めない、こういうことに最近の規則はなっておりますので、今後はあやまちはないわけでございます。
  297. 岩間正男

    ○岩間正男君 国有地を公共用に――市ですからね、これは売却をするときは交換にして売却するかっこうになるわけですが、そういうときに公共用に使うということは、これは明らかでしょうね。――理財局来ていますね。それ、どうなんてすか、こういうことは。
  298. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) お答えいたしますが、交換の場合には、先生御承知のように、国及び地方公共団体が必要ということでうたっておるわけでございます。必要に基づいて交換をいたすということになっておるわけでございます。
  299. 岩間正男

    ○岩間正男君 必要に応じてといっても、児童館という、そういう目的で、これは市会なんかでもきめられてやっておるわけです。ところが、実際は売却用にこれを使っているというのは、これはどうですか、国有地の目的からいったら違反じゃないですか。
  300. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) お答えいたします。  ただいま法務大臣からお話がありましたように、当時といたしましては用途指定をかけるという制度になってございませんものですから、いたし方なかった次第でございます。現在は、そういう場合には用途指定を十分つけて処理することにいたしております。
  301. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつからですか。いつから、当時というのはいつから。
  302. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) お答えいたします。  四十二年三月以降ですね、用途指定をつけて売り払う、あるいは処理するというぐあいにしておるわけでございます。
  303. 岩間正男

    ○岩間正男君 ともかく公共用で、市が売却用ということで払い下げを受けるということは、これはあり得ないし、市会でも事実児童館を建てると、こういうことですね。だから、その不備のためにあとでは法的な整備をしたというのですが、こういうようなことがそのあとに行なわれたようですね。こういう移転については、これは法務大臣、どういうふうに考えておられますか。  もう一つは、これは福島で多いんですね。河沼郡会津坂下町においても同じようなことがあるわけですね。町当局と法務局あと地の交換が行なわれて、で、使用目的である公民館の建設、そういうことでありましたが、これがやっぱり農協に売却されている。農協ではいまだにこれを建てていない。これなんかも、これはいつになりますか、事実はわかりますか。このような非常に乱脈なやり方というもの。まあ時間がないですから、私は最後に法務大臣として、特に法を行なう立場から考えたら、こういうやり方ではまずいんじゃないですか。大蔵省の理財局としても、法的には国で規定してなかったから、それはどうでもいいんだ、そういうことじゃないと思う。それも法を改正した精神から考えてもね。そのあとにこれは起こっている。法改正後にこれは行なわれているんですね。だから、法がくぐれるときは何でもいいと、そういうわけにはいかぬ問題だと思うんですね。そこをきちっとした見解があるんだろうと思う。この点について、これは法相並びに理財局の見解を明確にしておきたいと思います。
  304. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 改正前のできごとではありますけれども、その前の状況は不都合きわまるものと存じます。よって、改正をいたしまして、今後は、改正以後におきましては用途指定を必ずかけるということになっておりますので、御心配のような事態は今後は起こらないものと存じます。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題に対しては、どういうことです。これは法的に何ともならぬからということですか。しかし、少なくとも政治的にはちゃんと市会のこれは決議に反しているんですよね。だから、法のなにさえくぐればいいというのが法務省の立場なんですか。そこのところはどうなんですか。現実的な問題として、政治的に判断してもそういうことは望ましいことじゃないでしょう。それははっきり言えるでしょう、どうなんですか。しかも今度はこれは営業用に売っているのだ、プロパンガスに売っておるわけです。こういうことでいいんですか。法務省のしかもあと地ですよ、そのあと地が、もう三転して、実際はこれは営業用に売られる。理財局はどうなんですか、こういうことはかまわないのですか。
  306. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) おことばのとおり、不都合なことでございます。不都合なことでございますので、改正後においてはさようなことのないように処置をしておるわけでございます。当時のできごととしてはまことに不都合であります。深く反省をしておるわけでございます。
  307. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) お話のようなことがございますので、四十二年三月以降は必ず用途指定をつけまして、先生のお話のようなことのないようにつとめておるわけでございます。
  308. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題について、はっきりそういう見解を出すと、そういう何かないですか。
  309. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) それは先生、法的にできません、法的に。かけてないんですから。用途指定がかけてないと、何をしているかということを口では言えるのですが、それを聞かない場合においては処置をするということが残念ながらできません。この部分は、どうか、改正前のできごとでございますから、お話しをいただきたいと思います。
  310. 岩間正男

    ○岩間正男君 行政指導はできないのですか、行政指導。
  311. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 行政指導も、こいつはやれません。
  312. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に替成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  313. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  315. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、動物の保護及び管理に関する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  316. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 ちょっとお伺いしたいのですけれども、伝書バトの通信訓練は本法にいう動物の虐待に該当しないというふうに理解しておりますけれども、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  317. 大出俊

    衆議院議員(大出俊君) お答えをいたします。  ハトレース協会の方々、これ、二団体ございますが、先般、関係二十三団体にお集まりいただきました際に、お出かけいただきまして、そのときに特段の御意見が実はなかったので申し上げなかったのですが、この法律からは除外をされているわけであります。  理由を簡単に申し上げますが、ベルギーあたりの例からいきますというと、三十八万世帯ぐらいが実はハトを飼っている。国民よりもハトの数のほうが多いという国もあるわけでありまして、英国、フランス、ベルギー、オランダ、西ドイツあたりはたいへんハトレースが盛んな国であります。ただ、それを飼う方々は全部愛鳩家でありまして、たいへんかわいがる。だから、むしろこの法律と別に、それらの国々にあるような伝書バトあるいはレースバトのための法律をつくれという御意見が実はレース協会から強いのでございます。たいへんこれは、スポーツという意味で、品種改良という意味で、有意義なことでございますから、また、歴史的な千数百年の裏づけもありますので、そこで除外をしている、こういうことでございます。
  318. 上田哲

    上田哲君 動物愛護はまことにけっこうでありますけれども、ハブとマングースについてはどういうお考えであるか、お伺いしたい。
  319. 大出俊

    衆議院議員(大出俊君) ハブとマングースは奄美大島でやっておりまして、保護動物といわれるこの定義の中にはマングースは入っておりません。ハブは爬虫類でございまして、この定義の中にこれまた入っていないのであります。ただ問題は、動物一般という定義が二条等でいたしておりますから、そういう広義な意味では入っているわけであります。ただ、マングースというのは、本来ハブの天敵でございまして、たとえば小笠原のサソリをなくすためにアフリカマイマイを持ってくると同じ意味で、人に危害を加えるハブを減らすということで、マングースを持ってきたわけであります。したがって、実は奄美大島から、この観光用にやっておりますのを禁止されると十万人の観光客が減るというので、直接御連絡もいただきましたが、いま私が申し上げたような目的が明確でございますから、この法律からははずしてある。はっきりいたしておりますから、その点はひとつ御了解いただきたい。
  320. 上田哲

    上田哲君 非常によくわかりました。
  321. 前川旦

    ○前川旦君 一問だけ。私、土佐でありますが、闘犬、闘牛、四国では盛んでありますが、これははずしてあるのですか、どうなんですか。
  322. 大出俊

    衆議院議員(大出俊君) 簡単に申し上げます。ただまあ議事録に残りませんといけませんので、ちょっとだけひとつお許しいただきたいのですが、闘牛につきましては、新潟とか、愛知とか、あるいは四国とかいうところでやっております。ただ、日本の闘牛というのは、外国と違いまして、その前にせり市をつくるとか、品評会をやるとか、闘牛をやったあとでまたせりをやるとか、品評会をやるとか、品種改良と非常に大きく結びついておりまして、一つのワクの中で角を合わせて押しっこをさせて、押されたほうは外へ逃げて出る、こういう形のものでございまして、歴史的に牛の市と、品種改良と、見せるという意味の闘牛と、こういうセットでございまして、歴史的な意味がございまして、やはりこれからははずしておる、こういうわけであります。  もう一つ、土佐犬等の問題、あるいは土佐犬普及会などがいろいろものを書いてございますが、座高なんかをきめまして、人に対する犬の忠誠心を最大限に発揮させる、人と犬とセットになりましたスポーツである、まず犬のからだをきたえるということに非常に懸命に力を入れてやるというわけでありまして、そういう意味で歴史的な背景もあり、かつスポーツと見ていいのではないか。ただ、二条その他の原則がございますので、レースが終わった、終わったのだがおもしろがってかましているなんていうようなことまではやっていただきたくない、こういうことをはっきりさせてあるわけでございます。御了解をいただきたいわけであります。
  323. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 第一条の目的の、「動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。」――一つは野ザルてすね。それからもう一つはクマ。サルの場合、餌づけをしてふえて困るというので、それから野ザルの場合は畑を荒らすのがだいぶん出てきておる。これはなんかの問題、現在どういうふうに……。地方自治体のほうにゆだねることになるだろうと思うのですけれども、これを法律的にどうするか、それからクマの場合もどう考えていくか、このことだけ。
  324. 大出俊

    衆議院議員(大出俊君) いま野ザルのお話が出ましたが、実は大分であるとか、あるいは静岡の石廊崎などで、実は自治体がむしろ餌づけ人を置いて餌をやって保護しているところが非常に多いのです。したがって、そういうところは自治体の意向を十分承ってみませんというと、一がいに言うわけにまいらぬ面がございます。だがしかし、一般的に申し上げれば、畑を荒らす云々というのは、これは何とか防がなければならない。そこで、動物保護審議会というものをここでつくることになっておりますが、ここに専門家等を入れまして十五人の委員をつくっておりますけれども、ここで一がいに、いまいけないと、こう言ってしまうというとその都道府県で困る場合も出てまいりますから、十分事情を聞かしていただいて、審議会がこうしなさいということを言えるようにする、あわせて、この条文の第四条の二項でございますが、関係行政機関の長と総理が協議をいたしまして、動物の正しい飼養、正しい保管、そういう点につきまして、これはこうすべきだということを言えるようになっております。基準もつくれるようになっております。それから六条では危害という問題について、これを防いでいくという条文ができております。したがって、これらとの関係で規制すべきであるということになれば規制をしなければならない。  それからクマの話が出ましたが、北海道のたとえば昭和新山等でクマが――クマはりこうでございますから、肩車して飛び出して人をかんだ、殺したと……。ここには二条のところにございますけれども、「みだりに殺し、」という表現を実はいたしております。「動物をみだりに殺し、」、みだりではなくて、当然これは人に危害を加えるから殺さなければならないという場合が出てまいります。その場合は、この二条からははずれていくわけでございますから、そういう判断をした場合には射殺をするということもあり得る、こういうわけでございます。  そういう理解で提案をいたしておりますことをお答えをいたしておきます。
  325. 高田浩運

    委員長高田浩運君) この際、おはかりいたします。  加藤シヅエ君から委員以外の議員として発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  326. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認めます。  それでは加藤シヅエ君に発言を許します。加藤君。
  327. 加藤シヅエ

    委員以外の議員加藤シヅエ君) 私は、この法律、実に二十二年間にわたりまして国会においていろいろの委員の皆さまからたいへんに御配慮をいただいておりましたが、なかなかその機会が到達いたしませんでした。しかるに、今日は、衆議院の三原委員長からただいま趣旨の御説明があり、また大出理事がたいへんにお骨折りくださいまして、ようやく満場一致の法案として、この参議院の内閣委員会でただいま御審議をいただくような事情になりましたことを、私個人及びこの法律制定までにたいへんたくさんの関係団体の皆さまの熱心な御協力がございましたので、その関係団体をも代表いたしまして、この委員会の皆さまに厚くお礼を申し上げたいと存じます。なお、幸い今日は動物愛護週間の最後の日でございまして、その日にこの法案が国会で成立するということは、私どもにとりましては、もうたいへんな喜びでございます。そうして、来年はこの動物愛護週間が法律に基づく催しということになりますので、さらにこれは二重、三重の喜びでございます。  ここで大出理事に一つお伺いいたしたいのは、この法律がここまで来るのにたいへんに骨が折れましたと申しますのは、このような法律は一体どの役所が担当するのかということが大きな問題になって、どのお役所でもないというようなことになって、それで結局総理府が窓口ということになりましたけれども、やはり法案の実施にあたりましては、たくさんの関係官庁があるわけでございますので、それはどういう役所がどういうことを担当してくださいますのか、この機会に大出さんに伺いたいと思います。
  328. 大出俊

    衆議院議員(大出俊君) 長らく手がけておいでになりました加藤先生でございますので、むしろ私より詳しく御存じではないかと思うのでありますが、せっかくの御質問でございますからお答えをいたしたいと存じます。  実は、関係省庁が九つばかりこの動物関係につきましてはございます。そのおのおのの省庁と、個々に長い間御相談をしてまいりましたが、環境庁は環境庁の理由があって、なかなか所管をいたしにくい、あるいは厚生省は厚生省の理由があって、狂犬病予防法等は所管をしているけれども、一般的な意味では所管がしにくい、いろいろな事情がございまして、総理府にお願いをし、御了承をいただいているわけであります。それからもう一つ、実は保健所がいままでは、犬、ネコの引き取り、法的には犬だけでありますが、ネコも含めてやっているところが多いのでありますが、これが実は保健所の設置基準の関係がございまして、全国で現在八百三十二カ所しかございません。だから、市町村というところをずばり法律に明らかにして、責任を持ってもらう、こういうふうに実は考えたのでありますが、所管の総理府の御意向がございまして、都道府県ということを表に出してくれと、総理府には足がないんだから、都道府県の関係者が集まっていただいて、都道府県に責任を持ってもらって、所管の省庁として。その都道府県から市町村、こういうふうにおろしていただく、そうすれば三千二百ぐらいある市町村を包括的に責任を持ってこの法律を前に進めていただくことができる、こういう実は御希望でございましたから、七条でございますが、法案の中身を変えて、都道府県を中心にして、そこから市町村にということになるようにいたしました。そして総理府は、そういう意味で、いまお話がございました動物愛護週間、九月二十日から二十六日まで、これ、二十年来やっている行事でございますが、こういう機会を使って、国もパンフレットなり、あるいは国民一般、あるいは都道府県、市町村にこの法律に基づいて前にもう少し出て、行政的な仕事をしていただけるような、そういう措置をこの週間等を節にしてやっていただくというふうな実は相談にまでなっているわけであります。  最後に、補助金の問題が実は非常に大きな問題でございまして、国が前に出て市町村にやってくれと言うについても補助金が必要になる。これは自治省と大蔵省と意見が多少違いまして、自治省は、かかる金の二分の一を国が補助するということを法律条文できめてくれという御決定を、実は自治省としてして、私にお申し出がございました。大蔵省は、どうも法律条文で二分の一補助ときめられることは困るという御意見がございました。折衷をいたしまして、やはり政令でということになるんでありますけれども、大体三千二百の市町村等に引き取り所をつくりますと一カ所四百万ぐらいかかります。それに対して、できれば半分の補助をということで話を進めているんでありますが、愛知大蔵大臣もその昔外務大臣をおやりのときに、この問題に大きくかかわり合いをお持ちでございまして、できる限りの予算的な配慮もなさると、こう言っておられますから、そこらに一つの期待を持ちまして、そういう予算的裏づけもして、先生がおっしゃっておりますように、この面の行政が前に進む、全国的に。こういうふうに総理府を中心にしてさせていただく、こういう考え方で進めているわけでございます。
  329. 加藤シヅエ

    委員以外の議員加藤シヅエ君) この種の議員立法はなかなか予算の裏づけということがむづかしいのが通例でございます。にもかかわらず、ただいまの御答弁のように、補助金、予算等にも御配慮いただいて成立することになりましたことを重ねてお礼を申し上げまして、私の発言を終わらしていただきます。(拍手)
  330. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ほかに御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  動物の保護及び管理に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  331. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  332. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  333. 高田浩運

    委員長高田浩運君) これより請願の審査を行ないます。  第一四号国家公務員たる看護婦等給与改善に関する請願外五百六十三件を議題といたします。  これらの請願につきましては、先刻理事会において協議いたしましたとおり、第一四号国家公務員たる看護婦等給与改善に関する請願外百四十六件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第五五〇号靖国神社国家護持に関する請願外四百十六件は保留と決定することに御異議ございませんか。
  334. 岩間正男

    ○岩間正男君 ぼくのほうで、その中で五件ですね、五種類棄権がございますから、それは事務局のほうで、時間の関係から、ちゃんと記録しておいてもらうことを条件として承認したいと思います。いいですね、そういうことを確認しておきます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  335. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  336. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  337. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、継続審査要求に関する件について、おはかりいたします。  厚生省設置法の一部を改正する法律案及び外務省設置法の一部を改正する法律案の二案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、二案の継続審査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  338. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  339. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  340. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、文部省設置法の一部を改正する法律案につきましても閉会中審査を継続することとし、そのための継続審査要求書を議長に提出することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  341. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 多数と認めます。よって、本案の継続審査要求書を議長に提出することに決定いたしました。  議長に提出いたします要求書の作成は委員長に一任することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  342. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 全会一致と認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  343. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  344. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  345. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  346. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、閉会中の委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま決定されました二件の継続調査が承認されました場合に、これらの調査のため委員派遣を行なうこととし、これらの取り扱いにつきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  347. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会      ―――――・―――――