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1973-03-28 第71回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十八日(水曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 今泉 正二君                 古池 信三君                 塚田十一郎君                 森  勝治君     委 員                 植竹 春彦君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 西村 尚治君                 松岡 克由君                 鈴木  強君                 松本 賢一君                 塩出 啓典君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  久野 忠治君    政府委員        郵政政務次官   鬼丸 勝之君        郵政大臣官房長  廣瀬  弘君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        建設省計画局宅        地部宅地政策課        長        川上 幸郎君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会専        務理事      藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      竹中 重敏君        日本放送協会専        務理事      佐野 弘吉君        日本放送協会専        務理事      大村 三郎君        日本放送協会専        務理事      松浦 隼雄君        日本放送協会専        務理事      藤根井和夫君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会理        事        吉田 行範君        日本放送協会理        事        坂本 朝一君        日本放送協会理        事        斎藤  清君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員移動について御報告いたします。  本日、山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 白井勇

    白井勇君 NHKさんのことにつきまして、こうしていろいろお尋ねをし、話し合いをする時期というのは、こういう予算の時期しかありませんので、まあ皆さんもそうであろうと思いますが、いろいろとお尋ねをしたい事項が非常に多いんでありますが、時間的にいろいろ制限があるそうでありますから、できるだけ要点をつまみましてお尋ねを申し上げたいと思います。  一番最初に、私は、やはりNHKさんはじめ郵政大臣も特に力を入れられておりまする難視聴対策につきましてお尋ねをしたいと思いまするが、まず最初に、そのうちの音声放送というものにつきましてお尋ねをしたいと思います。  いまNHKカバレージテレビが九六%であるとか、あるいは中波はほとんど一〇〇%、こういうふうにいわれておりまして、全国あまねくテレビラジオも聴視できるかのごとく国民は感じておるわけであります。九六%あるいは一〇〇%のカバレージがあるなんていわれますというと、各世帯の少なくとも九六%あるいは一〇〇%に近いものがテレビラジオというものを聴視できるんじゃないだろうかというふうな錯覚におちいっているわけでありまするが、申し上げるまでもなしに、非常に難視聴地帯というものは多いわけであります。私は、何をおきましても、少なくともNHKニュースだけは、全国至るところどこにおりましてもニュースだけは正確にキャッチできる、こういうような体制をまず最初につくり上げなければならぬじゃなかろうか、こう考えております。  昨年も同様のようなことを私お尋ねをしたんでありまするけれども郵政省御当局としましては、大電力化をはかりましていろいろやっておると、ただこれにも限度がある、それは何であるかと申しますと、来年でありますか、ITUを中心といたしました国際協定話し合いがあるんだから、それがきまりませんとはっきりせぬのですと。しかしそういうような点がありましても、個別にはそれぞれ中継局をつくるなりなどいたしまして、できるだけ難聴地帯解消に当たります、こういう答弁を得たと私は記憶をいたしておりまするが、その後、音声放送につきまして去年からことしにどれくらい難聴地帯というものは解消できたものであるか、またこれからの見通し等につきまして、一応郵政並びにNHKからお話を願いたいと思います。
  5. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 音声放送の再編成の問題でございますけれども、これは昭和四十三年にその基本的な考え方をきめたわけでございますが、これは外国混信対策のため大電力化をはかる、大電力化による中波放送の再編成という問題、それから超短波放送利用を検討するということが内容でございます。検討の結果、昭和四十六年に周波数割り当て計画を変更いたしまして、NHKについては全国的にその受信が可能となるよう大電力放送を行なうということ、それから民放につきましては、可能な限り増力を行ないまして、十七局の増力を措置いたしました。超短波放送につきましては、去る四十三年の十一月にこれまた周波数割り当て計画を作成いたしまして、NHKについては全国的にその実施が可能となるようにするという方針をきめたわけでありますが、民放につきましては、さしむき四地区——東京大阪、名古屋、福岡、この四地区について、短波放送の特質を生かした放送を実施するという方針をきめたわけでございます。  超短波放送の今後の置局につきましては、中波放送近隣の諸外国から著しい混信を受けておりますために、将来、音声放送の媒体の機能を十分に果たし得なくなるというおそれもございますので、今後、中波放送を含めた音声放送全体のあり方を検討していく、そういう中で考究してまいりたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  6. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) 先生指摘のように、NHKといたしましては、テレビジョンと並んで音声放送全国あまねく放送するということを基本的な使命としております。将来といたしまして、中波並びにFMを結合することによってそのサービスを全くしたいというふうに考えております。  現在、中波放送におきまして、第一放送送信所百七十局、第二放送百三十九局をもって、先生指摘のように、ほぼ所定電界強度といたしましては一〇〇%に近いサービスをいたしておりますけれども、いま電監局長から御説明もありましたように、中波の問題につきましては、外国電波との混信ということで、夜間に至りまして必ずしも十分なサービスをしておらないというのが実情でございます。でそういうことを補完するためにFM放送網によってそれをカバーしていくというのが実際的には結局到達するところではないかというふうに考えておりますけれども中波の持っております利点、すなわち簡易なる受信機をもってあらゆる移動体の中ででも簡便に聴取できるという利点は、これまた非常に大切なものだと考えておりますので、中波周波数の良好なる確保ということにつきましては、NHKといたしましても、郵政省の御指導によりまして、できるだけ主張してまいりたいと、協力してまいりたいと考えております。  と申しますのは、この中波の問題は、非常に足が長いものですから、国内だけじゃなくて、国外からの電波によって電波がよごれてしまうという問題がございますので、どうしてもこれは国際的な話し合いにまたざるを得ない。で現在ITU傘下におきまして、これは一九七二年五月六日のITU管理理事会で決定されたということでございますけれども、七四年の十月に第一地域・第三地域合同会議——第一地域と申しますのはヨーロッパ、第三地域と申しますのはアジアでございますが、合同会議を開いて、長波並びに中波に関する地域主管庁会議を開催する予定になっております。来年、七四年十月に予定されておりますのは、主としていろいろな技術的基準を設定する、続いて一九七五年の春に予定しておりますところで、地域周波数計画を定めるということになっておりまして、実際に私どもの予想では、この話がうまく成功裏につくとしても、これは一九七五年以降、何年かかかるのではないかというふうに思われます。  同時に、この第三地域におきまして、ITU傘下に入っておらなかったところ、十分な活動をしておらなかったところで中波放送をやっておる近隣の国がございますので、このような問題で話をつけていくということについてはなかなか問題があると思いますけれども、まず技術基準をはっきりさして、これは単に国と国との間の自己主張だけじゃなくて、国際的協調ということを達成いたしませんと、どうしても中波サービスが十分にならないという事情がございます。それで予想されます議論の対象といましましては、現在、第一地域ではラジオ一つチャンネル周波数バンド幅を九キロヘルツにとっており、第三地域においては十キロヘルツにとっておりますけれども、これを好音質の、良質の放送ということを中波においてはやや抵下さしても、むしろたくさんのチャンネルをとるべきであるということで、八キロヘルツということで世界的な統一をはかったらどうかということが主としてヨーロッパのほうから提唱されるがごとき動きがございます。そうなりますと、現在、日本で全体として中波チャンネル数百八、そのうち八波はとても外国電波混信で使えませんので、現在百波を使っておりますけれども、これをふやしていくということもあるいは可能かと思いますけれども、これは将来の問題でございます。  それから、一方、大電力ということで、われわれも郵政省指導のもとに建設を進めてまいりましたけれども、これもいわゆるクリアチャンネルでない場合には、その最も有効に利用されるべき夜間空間波というものに混信が出てまいりますので、必ずしも思ったとおりの所期のサービスに至らないという事情がございます。そういうことで中波につきましては、率直に申し上げまして、かなり問題がございますけれども先ほども申し上げましたような中波放送利点ということを最大限に生かすべく私どもは今後も努力を続けていきたいと思っております。  ちなみに、四十六年五月に、郵政省チャンネルプラン修正に伴う私ども関係の今後あるべき目標値といたしましては、第一放送において五局、第二放送において二局というもののいわゆる大電力化ということがございます。これに要する経費は、昨日も技師長から申し上げましたとおり、百十億ないし百三十億かかるというふうに計算されますが、前段で申し上げましたとおり、中波の波の問題につきましては、周波数の純化と申しますか、混信の少ないという状況を確保いたしませんと、必ずしも大電力の効果が十分でないという悩みがございます。そういうことから、一方、私どもといたしましては、FM放送という、広域というよりは地域サービスに適したネットワークの完成につとめております。現在、四十七年度末で三百九十一局をもってほぼ、いわゆる所定上は九四%と計算されます区域サービスしてございますけれども、これは同じく超短波でございますが、テレビの場合と違いまして、雑音の少ないところでは放送区域外でも十分サービスできるということでございますので、実質的なサービスは九四%をはるかにこえた相当の部分サービスしているというふうに私どもは考えております。で四十八年度を含めまして、五十一年度に至るまで現在確定しております計画といたしましては、約六億弱を投入いたしまして七十七局を建設いたしまして、型式上というか、法定電界上のサービス区域を九六%強に持っていくという計画を確定してございますけれども、これにつきましては、FM受信機普及状況、現在大まかに申しまして世帯当たり〇・六台、つまり六割の方々がFM受信できる受信機を持っておる、一方、中波のほうは世帯当たり一・六台ということで、ほぼ全世帯に普及して余りがあるという状況、これを勘案いたしますと、必ずしも送り手側である放送局側だけでFMに全部早期に切りかえていくということは不可能でございます。したがってその状況を勘案しながら、放送番組におきましても、FMの中におけるニュースサービスというものを特に昨年度から強化してまいりましたけれども、この線につきましては、先ほど申し上げた国際的な中波の波の有効利用ということに成功いたしますように努力いたしますが、その結果、それからそれが必ずしも、まあこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、なかなかいかなかった場合に、FMというものをもって音声放送を完備させるというふうに考えております。  以上でございます。
  7. 白井勇

    白井勇君 大体わかりましたけれどもね、私ども記憶では、大電力化によって中波難聴地帯解消するというような話がずいぶん進んでおったと思うのですが、たとえば第二は秋田熊本札幌東京大阪を五百キロワットにするということで、完成しましたのは秋田ぐらいですね。あとは札幌土地購入だけ済んでおりますけれども、それがやっぱりストップしているように思いまするし、それからたとえば第一につきましては、札幌東京大阪福岡という四カ所を三百キロ、これがまだそのままになっておるように思うのですが、まあITU会議があるから、それまでそういう工事をストップしておくんだという姿になっておるようにも思うんですけれども、しかし中波を使わないということになってきますと、やっぱり来年、再来年の会議でむしろそれを吐き出さなければならないような結果にも相なることもありますし、やっぱり実績をかせいでおくんだということも一面においては必要じゃないかと思うのですね。いまお話のとおりに、FMというものは、これはもう混信もないし、いいんだということになりましても、やっぱり受信機は六〇%しか普及していない。そうしますと、私が申し上げておりまするように、NHKニュースというものは少なくもあまねく聞こえるということになりますと、第一それにFMを併用していくということになるかと思いまするが、そういうことなんでありましょうし、ここらあたりのこの大電力化というものは、事業が少しストップしておるような姿というものは、どういう理由なんですか。
  8. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) 先生指摘のように、大電力につきましては、先ほども申し上げましたように、第一放送において五局、第二放送において二局というものが四十六年五月のチャンネルプランによって予定されてございます。これは先ほど申し上げましたような事情スローダウンしておりますけれども、必ずしもストップということではございません。それからチャンネルプランが確定いたしましてから以後、秋田並び熊本についての第二放送の五百キロ化を完了しております。それから札幌につきましては土地の手配は済んでおりますが、先ほど申し上げました良好な周波数が確保できないということで、それをいろいろ検討しておるのでございまして、その結果、確かに年度的に申しますとスローダウンの傾向がございますが、ストップということではございません。
  9. 白井勇

    白井勇君 私行儀が悪いし、立ったりすわったりしていますと、時間とりますから、ひとりおすわりになって御答弁願いたいと思います。私もすわったままでお聞きいたします。  これはストップになっていないのかもしれませんけれども、多少速度が当初の計画よりもスローダウンしていることは間違いないと思うんです。先ほど申しましたように、来年、再来年は会議もあるわけでありまするし、これはおたくだけじゃなしに、郵政省もやっぱり基本的なこの音声放送についての対策というものはきめておいて、そして会議に臨まざるを得ないのじゃないかと思いますが、その辺はひとつ万遺漏なきを期していただきたいと、お願いを申し上げておきます。  それから、テレビですね、私は、去年はこの問題をいろいろNHKさんに、どうも私が見ておりまする感覚で、おたくのいわゆる難視聴世帯というものは相当数字におきまして食い違いがあるのだというお話を申し上げたのですが、その後お調べになって、去年の段階におきましては六十二万世帯というものが、最近ではお調べの結果百三十三万ぐらいになった、こういうことのようでありますが、この解消にはこれからどういうような、大いにやるのだという御趣旨はわかりまするけれども、大体何年ごろまでに、解消するという計画なんでしょうか。
  10. 藤島克己

    参考人藤島克己君) ただいま御指摘のとおりでございまして、、私どもとしましては、別にテレビラジオいずれに軽重をつけるわけではございませんけれども現実聴視態様といたしまして、ラジオ夜間はともかくとしてかなり聴取範囲を持っております。テレビにつきましては、全く見えないところがかなり残っておるわけでございますので、昨年先生の御指摘もありましたし、最近の受信態様から見まして、いままで考えていた難視数字というのは少し実態と合わないんじゃないかという御指摘がございました。  私どもも、昨今の地方宅地造成かなり激しい勢いで進んでおるということ、それからカラーテレビが普及いたしまして、受信の、同じく受かってはいますけれども画質に対して非常に御不満が多いという実態もございますので、そういうものを合わせまして、いま難視というものはどういうことになっているだろうということで、昨年、四十七年度当初から全国の施設を動員いたしまして、従来にも増して、言うならば完全に受信者の側に立ってみればどういうことになるだろう。そういうことを申し上げるのも変ですが、従来のカバレージという考え方はどちらかといえば送信側のほうから見たカバレージでございまして、それでは実際の受信者の気持ちにこたえるゆえんではないということでございますので、今度の調査の重点はもっぱら受信者立場からこれを検討しようということで、検討する材料、つまり測定機その他にいたしましても受信者がふだん使っておられると同じような受信機を使いまして、それから各地方の自治体その他とも連絡を緊密にいたしまして、ただ単なる統計上の世帯数だけにたよりませずに、世帯数の分布の実態も詳細に調査をいたしました。そういうことを全国で約四万点ぐらいのサンプル点を出しまして、そういう点でこまかい調査をいたしました結果、従来の数字で残存六十二万世帯と申し上げておりましたことが、四十六年度末日で算定いたしますと約百三十三万、つまり七十一万ぐらいふえた。  ふえたのはどこでふえたかといいますと、従来六十二万といっている見えなかったほうがふえた部分も若干ございますけれども、主として、言うなれば従来は見えているいわゆる良視地域といわれている部分でございます。つまり都会の周辺で地理的には完全にカバレージという計算の中に入っている部分に新しく宅地造成その他で全く電波が届かないようなところで世帯数がふえた。その結果、かなり難視世帯が言うならば良視地区の中にできてきたということが一つの問題。もう一つは、先ほどもちょっと触れましたように、画質そのものが、従来の白黒テレビまではあまり問題にならなかったようなものが、山岳の反射とか建物の反射とか屈折とかいうものの関係で、カラーテレビ特有の非常に見にくい絵柄になります。そういうことがありますので、当然電波の強さからいえば見えるはずのところが画質的にこれはだめだと、いわゆる見えないという世帯かなり出てまいりまして、新しく七十一万ぐらいが増加いたしまして、そういうものを合わせますと四十六年度末でほぼ百三十三万ぐらいの数字が出てまいりました。  それで、四十七年度じゅうにそれを約十六万世帯——これは実際の解消は十九万世帯ぐらいの解消になりますけれども、いま申し上げましたように、新しく宅地造成のために難視がふえてまいります。これは年間大体三万世帯ぐらいふえるであろうと、これは今後の推計でございますけれども建設省の資料その他によりますと、四十八年から五十年度までにほぼ全国で百七十万世帯宅地造成をやるんだという数字がございます。そういうものから推計いたしまして、それから四十七年度当初私どもが自分の手で調査いたしました結果と合わせますと、やはり年間二万五千ないし三万ぐらいの増加は考えにゃいかぬだろうということが一つ出てまいりましてので、四十七年度は解消世帯数からいいますと十九万ぐらいでございますけれども、新しく難視としてふえるのが三万ぐらいありますので、差し引きますと十六万ぐらいの改善になりまして、百三十三万から十六万引きまして四十七年度末は百十七万世帯であろうと、もうすぐ四十七年度末に相なりますけれども、そういう予定をいま考えております。  今後、しからばどういうふうな解消をするかということでございますけれども、いま御指摘のとおりに、非常に従来考えていたよりも難視世帯がふえてまいっておりますので、私どもといたしましても極力これを技術的にあるいは財政的にも全力をあげまして解消いたすわけでございますが、ただ、これが普通の事務所をつくったりビルを建てたりするのと違いまして、共聴にしろあるいは置局にしろ電波をつないでいかなきゃいけませんので、かなり技術的な問題がございまして、ただ単に予算を倍にすれば局が倍できるんじゃないかというふうには至らないという、たいへんどうも私どもとしてもつらい立場があるのでございます。そこで四十八年度以降は、ほぼ千二百三十地区つまり共聴設備を千十地区ぐらい、それから置局を二百二十地区ぐらいと四十八年度予算では明示いたしておりますけれども、四十九年度以降、両方合わせました千二百三十地区というものを、その地形のぐあいあるいは難視のぐあいによりまして、年度ごとに今後こまかくあんばいをいたします。たぶん総計をいたしますと千二百三十地区ぐらいのことにいたしたいと思っております。  そのほかに、昨年度から申し上げておると思いますけれども、だんだんと難視地区過疎状態になってまいりまして、従来の共聴なりあるいは置局でありますと非常にコスト局になりまして、世帯当たりコストがおそらく十万以上にもなるということに相なりますので、そこで新しいごく微小の、言うならば無線共聴ということばを、適当であるかどうかは別といたしまして、一応かりに使っておきますけれども、共聴と置局とのあいのこみたいなものも考えて、今年、四十七年度中にそれを七地区東京を入れまして八地区現実実用化の実験をいまいたしているところでございます。  いろいろ郵政省の御指導を受けながら、この問題の完成を急ぎたいと思っておりまして、これができますと、いまの千一百三十地区のほかに、この部分を毎年百ないし一百地区ぐらいいたしまして、その両方で、従来の計画でいきますと、五十一年度末にはほぼ六十万世帯ぐらいにいたしたいと言っておったものを、一年繰り上げまして昭和四十八年、九年、五十年度とこの三カ年で大体五十万台の残存に持っていきたいというふうにいま考えておるわけでございます。あえて五十万台と申しておりますのは、いま言ったように新しい宅地造成数字の読み方その他がいろいろと問題がございますので、あえて五十万台と申しておきますけれども、従来の考え方からいいますと、これは結果的にいえばほぼ一年間ぐらい繰り上がった形に相なろうかと思っております。大体そういうようなものがいま考えております全国難視に対する私どもの当面の考え方でございます。
  11. 白井勇

    白井勇君 去年、私お聞きいたしましたときに、六十二万世帯というものは、十世帯から二十世帯以下のかたまいりというところもあって、一世帯当たり現在におきまする手段では二十万以上かかるというようなことで、だからこれはもう非常にたいへんなことでありますというお話を承った。ことしは、約五十億をかけまして十九万世帯解消するわけですね、一世帯当たり二万六、七千円ですか——ところが、この間会長さんが衆議院で御説明されたところによりますと、いやそれに人件費等を加えるというと、十九万世帯で百三十億ぐらいかかるんだというような御説明をされております。たいへんな金がかかるわけですね、これは。あれですか、いまの四十八年、四十九年、五十年、三年やって残存を五十万世帯にするという場合に、大体どのくらいの金が三年間にかかるのか。私は郵政省的な考え方で難視聴地帯で——都市難視は考えておりません、とりあえず。郵政省的な考えで申し上げているのですから、新しい都市難視は除外しまして——お考えになりますか、どうでしょう、何ぼぐらい金がかかるのか。
  12. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) ただいま技師長が御報告申し上げました辺地の難視解消に今後かかります金は、五十一年度までに二百五十億でございます。  それから、先生いま御指摘の衆議院での話といいますものは、この難視解消——いま対象になっております額は五十億でございます。それは中継局の設置並びに共同受信施設の設置で約五十億でございますが、そのほかに、いわゆる難視解消といたしましてこういう事情がございます。  現在、四十七年度末でNHKは総合テレビで千六百七十七放送所を持っておりますが、そのうちの九百以上、九百十五でございますが、これは多段中継をしております。多段中継——当初は親局から電波を出しまして、その電波を受けて中継するという中継放送所を一段、二段という程度をつくっておりましたが、現在ではもう一番多いのが七段中継になっております。そういたしますと、ちょうどCATVの端末のようにだんだん画質が悪くなってまいります。そういう点からそういう多段中継が必然的に多くなったところを解消するために、親局であるところの基幹局の放送設備をさらに改善しなければならないという事情がございます。こんなようなもので緊急を要するもの、そのほか軽微のものを入れまして、四十八年度においてこれが約二十数局でございます、二十三局、既設設備の改善として。こういうものにも約十四億以上の金がかかる。  それから、いわゆる難視——全然見えなかったということではございませんが、いろいろなゴーストその他でもって電波がよごれてきたものを改善する。これは大体二百二十万世帯に影響をする、つまり改善効果があるというようなこと、そういうようなものを入れまして、設備にかかる金が昨年度、四十七年度よりも十億ふやして七十五億弱、人件費を入れまして百億以上、こういうことを先日申し上げたわけでございます。
  13. 白井勇

    白井勇君 私時間がないものですから、あまりお尋ねできないんですが、結局百三十三万あって、五十年末には五十万分だけ残る、こういう計算をしますと、三年間でならしていきますれば、少なくも二十七万ぐらいしなければならないから、来年から大いに馬力をかけなければいかぬ。その金が二百五十億ぐらいで済むのかどうか、私もちょっとわからないんですけれども、たいへんな金ですね。  その点はそれだけにしまして、ことしの予算の組み方におきまして、四十七年度はこれは沖縄という特殊な事情がありましたから、経常収支では償わないんだ、沖縄の施設がどうなるかわからない点もあったわけですから、それらを含んでやむを得ず赤字で組んだというようなことも考えられたわけですけれども、四十八年になりますと、一応正常化していると思うんですね。それなのに経常収支においては赤字ですよと、こういう予算の組み方というものは、これはちょっと私どういうものかなという感じなんですが、これはどういうものですかね。
  14. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。  四十七年度におきままして、収支の差が八億二千万の赤字であるということは御指摘のとおりでございます。四十八年度のそういう意味合いでの状況はどうかと申しますと、これまた御指摘のございましたように九億八千六百万という状況になってございます。  この状況の内容から申しますと、四十七年度は沖縄の放送協会を承継いたしますという特殊な事情下にございまして、これは沖縄の場合に非常に本土と条件が違っておりました。すなわち受信料の収納・契約の面におきまして、発足後数年、民放がその前にあったというようなかかわりから、なかなか契約・収納ができないでおったというのが沖縄放送協会の一つの特徴的な現象でございます。  さらにまた、実際の放送サービスの面におきまして、テレビジョンの放送は白黒一波だけの放送をやってございます。これは復帰と同時にわれわれが承継いたしまして、テレビジョンのサービスにおきましてまずこれをカラー化する。さらに教育放送を行なう。別にまた中波放送を沖縄の全域において行なう。で放送時間におきましても本土とほぼ匹敵するものを行なう。こういうようなサービス面の強化を行ないました。そこで、設備投資面並びに運用面におきましてかなり多額な資金を要したわけでございます。したがいまして八億二千万円というような当年度赤字というものが出る事情にございました。これが実際の四十七年度中のNHKの事業の結果といたしまして、ただいま申し上げました諸事項がすべて完了したわけでございます。  そこで、四十八年度はどうなるかと申しますと、やはりサービス面におきますところの業務は拡充されてまいりますが、契約・収納の面におきますところの実際の収入、この面につきましては、基本的には、一つ、沖縄の返還にかかわります特別立法の趣旨からいいまして、受信料の額を下げておるということがございます。さらにまた、契約・収納の面におきましてもNHKが承継いたしまして、鋭意新しい角度から契約・収納を確保するようにつとめてはございますが、現在のところ、まだ十分な状態に至っておりません。率直に申しまして本土の半分ぐらいの状態になっておる、そういうような状況がなお二、三年は続かざるを得ないというふうに思っております。  このような状況がございますので、四十八年度につきましても、やはり沖縄関係の収支というものをかりに分計いたしてみますと、ほぼ十億円の赤字は見込まざるを得ない、かような状況がございます。したがいまして私どもといたしましては、復帰した以上は、これは沖縄が分離されているわけじゃございませんから、全体を総合、一本にいたしました収支予算の中で、できるだけ本土のほうの節減あるいは収入の確保、これを進めまして、何とか収支採算の合うというところまで持っていこうという努力をいたしました。その意味ではなお時間を必要とするというような状況がございまして、四十八年度につきましては九億八千万というような収支じりになったわけでございます。
  15. 白井勇

    白井勇君 話違いまするが、あれですか、五十一年の郵政省方針で宇宙実験用放送衛星ですか、打ち上げるということなんですが、NHKとされましては、あれに関連いたしまして四十八年も多少そのほうの予算をふやしておるわけですが、四十九年、五十年、そこまでどのくらいこれから見込まれてなければいかぬか、おおよその見当あるんですか。
  16. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) 御承知のとおり、今回の放送衛星の実験は国の行なう実験でございますので、NHKはこれに全面的に協力するという立場でございますので、直接実験にかかる経費については、私どもといたしましての予算ではございません。私どもは、しかし、放送衛星技術ということでございまして、四十八年度におきましては、研究費におきまして一億円、それから研究施設整備費、建設費におきまして二億円を計上しております。
  17. 白井勇

    白井勇君 そうすると、四十九年、五十年はまだ見当つかないですか。大体そのくらいのものですか、毎年。
  18. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) 御承知のとおり、宇宙開発は宇宙開発事業団が行なうということになっておりますので、直接そこにかかります経費につきましては、私どもとして現在独自の立場から計画を立てる自由は持っておりません。ただ、放送衛星システムということでの研究につきましては、大体同額程度のものが見込まれると思っております。
  19. 白井勇

    白井勇君 いただきましたこの九ページの上のほう、四行目のところに、いつもあることばですが、成績が非常に上がったり経費が小さくなりました場合に、職員に対しまして特別の給与を出すということになっておるわけですが、これはいままで毎年こういうもので出しておる実例があるんですか。たとえてみますと、私の記憶では、おたくの賞与は五・七カ月くらいですか、そのほかに、たとえばこの規定によって毎年やっぱり何らかでも出しておるわけですか。それ慣行になっておるのかどうか。
  20. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) 御指摘の点は、予算総則の第七条の二項の点かと思います。これにつきましては、過去において出している例はございます。この条項に該当いたします根拠に基づきまして、年間予算五・七カ月でございますが、三月末、業績手当という形で〇・一%、あるいは増収等の多い場合には〇・三%という程度において出した実例がございます。
  21. 白井勇

    白井勇君 そこで、私、職員の給与につきましてちょっとお尋ねをしたいのですが、この印刷物一六ページですが、これを拝見しますと、(7)のおしまいのほうに「また、職員に対する給与については、適正な水準の維持を図る。」と、これをこのまま読んでみますと、NHKさんの職員の給与というものは適正な水準にあるから、それを維持していけばいいのだ、こういうようなふうに解されるのですが、そういうことでしょうか。
  22. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 給与の水準につきましていろいろ比較が困難でございますけれども、私どもといたしましては、現在の給与は他企業と比べましても遜色のないものであるというふうに考えています。
  23. 白井勇

    白井勇君 一つの適正な水準というのは、大体わかってわからないようなもので、何かほかの比較みたいなもの、基準でもあるのですか。
  24. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 適正な水準と申します場合に、私どもとしては大体三点考えております。  第一点は、NHKの職員は、公共放送としての責任とそれからそれだけの能力も要求されておる。したがってこれにふさわしい給与を考えていきたいというのが第一点であります。それからもう一つは、やはり社会情勢の進展あるいは社会的な水準というのがございます。したがってこれも一つの点として考えております。もう一点は、NHK受信料をもってまかなわれているという観点からいたしましても、経営的に見て適正な人件費を考えていきたい。  そういった大体三点から見まして、適正な水準ということを私どもは考えておるわけであります。
  25. 白井勇

    白井勇君 私はいつも思っているのですが、放送法を読んでみまして、放送の目的——第一条、それから第四十四条のいわゆる放送コードとでもいいますか、ああいう重要な任務を持っておる者は、私はやっぱり相当思い切った優遇をされてしかるべきものであって、それだけ人材をNHKというものは持っていなければならぬ。そのためには、やっぱり待遇というものを思い切ってよくしてしかるべきものじゃないかと、私は放送法からそう考えているのです。  今度、文部省では、御承知のとおりに、教員というものは、その教育水準を維持向上させるには、やっぱり職員の人材を登用しなければならない、そのためには特別に待遇をよくしなければならない、したがって一般公務員よりも給与体系というものはむしろ優遇さるべきものである、こういう基本方針に立って、いま法律を出しているわけですね。そのくらいな私は意欲を持ってしかるべきじゃないかと思うのですが、お話のように、いま水準というものは、これはもう相当なものだというような感覚でいいものか悪いものかですね、放送法のあの大事な仕事をやるというような職責を考えて、やっぱり待遇をよくしていかなければならぬと、こういうふうに私はいつも思うのですけれどもね。私はこれを見まして、どうも「適正な水準の維持を図る。」なんということは、これはまことに、先ほど申し上げましたように、何といいますか、いまの水準は何かいいようなふうに思えるのですね。ところが、きのう、私、会長さんの説明を聞きまして、これは正式の文書でありましょうけれども、会長さんのおっしゃるように「適正な水準を維持するよう改善をはかる所存」である、この「改善をはかる」ということばがこれには落ちているのじゃないかと私は思うのです。会長さんの御趣旨が私はほんとうじゃないかとこう思って、きのう、これをいただきまして読みまして、なるほどなとこう思ったんですが、ちょっとここらあたり食い違いがあるんじゃないですか。——  今度、東京放送会館の土地・建物の売却につきまして、相当、新聞紙上等におきまして騒がしい話題になったわけですが、これはやっぱりこの機会に、会長から、あの経過というものをひとつよくお話を願っておく必要があるんじゃなかろうかと思うんですが、経過をひとつお話しいただけますか。
  26. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 最近の時点を取り上げますと、昭和四十四年の三月の当委員会、それから四十四年の決算と関連する六月の当委員会並びに昨年の予算審議と関連する当委員会において、放送センターの建設には、建設費と関連して聴視者の負担をふやさないというたてまえで、簡単に申しますと、田村町の土地並びに建物を売却することによってこれを補てんするというたてまえを実は明らかにしてまいっております。  それで、その経緯の中で、私は、先生たちの御質問に答えて、四十四年の三月には、大体事務当局の算定では百十億円ぐらいであろうということを私は報告を受けているけれども、今後の推移に照らしてみて——その部分は申し上げませんでしたが、私自身としては百五十億程度を考えているということを何回も申し上げております。最終的には、四十四年の三月の当委員会における御質問に対して、この百五十億をミニマムと考えているということを申し上げております。  それからまた、四十七年の際には、当委員会の御質問に答えて、この金額は土地代だけであるということを明らかにしております、建物は含まれないと。  こういう経緯の上に立って、当委員会の御忠告もありまして、これは結局国民の財産、聴視者の財産であるというたてまえで、その取り扱いについては慎重な態度を必要とするという御意見がございました。したがいまして、私どもは、御審議いただいている明年度予算に金額の点で計上してあるわけでありますが、その取り扱い方については、まあこれは四十四年の三月にも申し上げておりますが、公共的ないろいろな取り扱い方を参考として競争入札に付するということを申し上げており、したがって昨年十二月の時点で十五社を有資格者という判定をいたしまして、十五社の競争入札に付したわけであります。  もちろん、この競争入札に付するにあたっては、幾つかの条件を、いわゆる入札資格と関連して条件を定めました。たとえば、これは転売を許さない、したがって投機の対象とするようなところは入札に参加させないと、幾つかの条件を付したわけであります。その結果として御承知のような金額になった。  これに対して、一般的、国民的なフィーリングの中で、その時期がたまたま地価問題を中心として非常に高揚している時期であり、したがってこの金額そのものについて、一般的な印象としてきわめて高過ぎるではないかと、これは結局全国的な地価の高騰に拍車をかけるものであるという御批判をいただいたことは事実でございます。  しかし、私のこの取り扱いは、昨年一月公示されたいわゆる公示価格を基礎として、三社の鑑定機関にそれぞれ鑑定を依頼しました。その結果として、三社の平均鑑定値は百五十一億でございます。これに対して、いずれも、これを基礎として公開入札を行なう場合には、二〇%ないし三〇%の増額が予想されるということでございます。  では、一体、この公示価格というのは昨年どの程度のものであったかと申しますと、これは二種類ございます。NHKは田村町でございますが、新橋を中心とする商業地域と、また同時に丸ノ内を中心とする地域、この中で一番高いのは、昨年一月の公示によりますと丸ノ内を中心とするいわゆる商業地域においては坪四百三十九万でございます。御承知のように、この公示価格は四十五年から公示されたのでありますが、四十五年、四十六年、四十七年、いずれも大体一月に公示されますが、その年間の増高と申しますか、価格の上昇率を考えますと、大体一一%の上昇率でございます。私どもが昨年行ないましたのは、一月の公示価格を土台として十二月に実際入札を行なったわけでありますので、大体私どもとしては、結果については、まあはっきり申し上げてかなり高いということを、期待よりも高かったということば事実でありますが、その高さは一体どの程度のものであったかということを分析してみますと、土地については坪当たり八百八十七万円でございますので、鑑定者の参考意見と、それから公示価格は年間一一%上昇するという点を勘案いたしますと、私どもが従来当委員会で申し上げてきたものとの関連をとってみますと、当委員会で申し上げてきた考え方に対しては約七〇%の増価格であります。それから一般的な、昨年十二月の実施にあたっての鑑定機関の評価及び公示の地価の一一%上昇というものを考えますと、六〇%前後ではないかというように考えられます。  この意味では、私としては、新聞、雑誌等において攻撃されたものと、中身は、必ずしもフィーリング的でなくて実際的にこれを検討すると、言い方は非常に失礼でございますけれども、十倍とか、二十倍のものではなくて、そのときの時価と、しかも十五社という一流の方々の中で入札をしたという形においては、かなりリーズナブルな方向も出ているんではないかというように考えました。しかしNHKという立場で考えているときに、この問題はやはりいろいろな意味で社会的な批評のまとになることは当然であり、新聞雑誌等が御批評になることは御自由であります。  したがいましてそういう潮流の中で、最終的に私としてはどのような立場に立つべきかということを慎重に考えました。その結果、私がとった道は、まず聴視者を対象として考えるべきであるという考え方であります。この点につきましては、四十三年、四十四年三月の当委員会においても、最終的にやはり聴視者を土台として、聴視者のいわゆる国民的財産であるから、その点を土台として慎重に取り計らえという御意見もございましたし、私としても、当時の聴視者契約総数は二千四百万世帯になっているわけでございますので、昨年十二月の状況から考えますと、明年度予算との関係でも御理解いただけるように、この二千四百万世帯というものは、ある意味においては聴視契約を可能と考える二千七百万世帯という基準に照らしてみると、私ども立場で申し上げると、これもなかなか御理解いただきにくいことかと存じますが、ほぼ国民の大体を対象とするものである。この見地に立って過去五年間の物価上昇の統計を総合して考えますと、消費物価において三〇%の値上がりがあり、公共的な料金において二〇%の値上がりがある。この際、われわれとしては、やはり聴視者の将来の利益を考える場合、御非難はいただいておりますけれども、聴視者本位、それをまた、まあ口幅ったい表現を使いますと、国民の大部分と関連のある問題であるという点で考えますと、この際、これに踏み切って、そうして将来聴視者に負担をかけない、売却益を国民の利益、聴視者の利益に還元すべきであるという最終決意をいたしまして、御審議いただいておりますような処置を考えたわけでございます。
  27. 白井勇

    白井勇君 この問題は、きのう森委員がいろいろ詳細におやりになったそうですから、私はそれ以上のことはやめまするけれども、私はあの当時のいろいろな新聞その他を読みまして感じましたことは、どうも世間一般というものはNHKというものに対しまする認識が足りないのじゃないかという感じですよ。まあそれを逆に言いますと、NHKさんはNHKというものを国民のものであるということについてもPRが足りないといいますか、そういう面も相当災いをしておるのじゃなかろうかという感じを受けたのですがね。それは私の感じを率直に申し上げる。おたくカラーテレビのPRなんかはなかなか一生懸命うまくやりますけれども、やっぱり国民のNHKだという、そういう植えつけが国民全般に対しまして足りないからああいう面も出てくるのじゃないかというような感じを持って私は批評を見ておったということだけ申し上げておきます。  あれに関連をいたしまして、おたくのほうでいろいろの措置を何か発表されたようでありまするけれども、三年間受信料を値上げしないということを非常に胸を張っておっしゃっているようなふうに、一番最初に取り上げていらっしゃるのですが、どうもそういうふうに簡単にこれやれるものかどうかという私感じなんですよ。先ほどから話がありましたみたいに、たとえば中波の問題にしたってここしばらくで百三十億もかかるでしょう。それからテレビの難視聴地帯にしたって三年間で二百五十億はかかるだろうと、こうおっしゃるわけですね。人件費を一〇%上げますれば五十億飛ぶでしょう、そんなもので私は済まないと思うのですがね、そういったようなことを考えていきますと、三年間は上げなくていいんだというようなことは、どこからそう思い切って言えるものかという感じを私は持っておるのです。これは、しかし、おたくでやりくりつくという見通しなんですから、それ以上のことは申し上げませんけれども、非常に私はその点はそうやすやすと三年間その必要がないなどと言い切れるものじゃないじゃないかと、やらなければならないことをやらなければ、先ほど来ありまするとおりに、たとえばだいぶお金のかかる難視聴地帯解消につきましても、ある程度手かげんをしていくということになりますれば、そのくらいのことは何ぼでも浮くでしょう。しかし、聴視者というものは、受信料そのものよりもむしろやっぱりおたくが主張しておりまする難視聴を解消してもらい、質のよい放送をやってもらう、そのことのほうが先決だと思うのですね、逆じゃないかという気がちょっとする。非常に料金にこだわりまするけれども、それは逆なんであって、私どもではこういうことをやりますから、これは国民は負担をしてくださいよと、むしろこれがほんとうの主張じゃないか、私はいつもそう思っている、そう申し上げておきます。  そこで、その措置に関連をいたしまして、百二十億というものを何か放送文化基金というものに出しちゃうんですな。そうしますと、これは一体どういうことになるものかなと私思うのですがね。NHKは国民のものであり、その予算、事業計画等につきまして国民が審査しているわけですね、それを国会でわれわれがやっておる。今度、この措置がきまりますと——衆議院でやっておりますとおり、このまま可決になりますと、百二十億というものがほかの団体に行っちゃいますね、財団に。国民はそのことにつきまして何ら関与することができなくなりますね、百二十億という放送文化基金につきましては。そういう姿であってよいものかどうかと思うのですね。これは郵政省なりNHKはどう考えていらっしゃいますか。
  28. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) ただいま御指摘の点は、一つの御意見であろうと思うのでございます。また重要な示唆も含んでおると私は解します。しかし、この百二十億の文化基金の設定につきましては、NHKから私が聞き及んでおりまするところによりますると、民法第三十四条によりまする財団法人を設立する、そうしてこの事業計画、財団の構成、運営方法につきましては、各界有識者による設立準備委員会において審議の確保をばかる、かように報告を受けておるような次第でございまして、私はこの報告の大筋においては大体理解をいたしておるような次第でございます。
  29. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この問題は、実際問題としては十月以降になるわけでありますが、私としては、技術的なあるいはこの運営の基礎的なことを申し上げますと、御指摘のとおり、民法三十四条に基づく財団、公益法人としての公益財団法人を設立し、そして三十九条に基づいてNHKがこれをつくるということを明らかにしたいと考えているわけでございます。三十九条は御承知だと思いますが、いわゆる財団法人の設立者を規定している条項でございます。とすればNHKが百二十億出すということはNHKが基礎的には設立を意図した団体である。これは個人であってもかまわなぬわけですが、そういうことを明らかにしなければいけないだろうと考えております。  そういう場合に、その意味では、放送法上の手続としては九条の二項の第十号によるわけでありますけれども、これは郵政大臣との関係でございます。しかし財団法人そのものは民法の規定に従って設立されるものでございますので、実際問題は十月以降、先ほど大臣がおっしゃったような形で、準備をいたしたいと御報告申し上げてありますけれども、この民法三十四条に基づく、したがって三十九条及び財団法人の民法的性格からいって、これはある意味でNHKとは切り離せないものだと考えております。したがってその意味においては、私は皆さまのやはり監督と申しますか、御関心を持ち得る団体になるものと確信いたしております。
  30. 白井勇

    白井勇君 おたくで従来いろんなものに助成していらっしゃる。N響とかそれから放送学園とか放送番組センターというもの、一応やっぱりこういう資料で国民の目の前に出てくるわけですね。今回のものにつきましては、それはもちろんNHKさん、いまお話のとおりに、寄付行為者の意思というものはずっと存続しているわけでしょうから、それによってやらなきゃならない筋合いのものでありましょうから、そこのつながりがあろうかと思いまするが、少なくとも百二十億というもの、それを出てしまいますならば、国民の目にはもう触れなくなってしまいますね。と申しますことは、要するに、こういう国会で論議をされる一その事業がどうのこうのというようなことに触れられないわけですね、触れる機会がなくなってしまうわけですね、そういう姿で一体いいものかですね、私まあこのように考えてみたんですが、むしろNHKの内部にそういう特別の基金みたいなものをつくっておって、そこでそういう事業をやっておったほうがまだ国民の審査にかかってくる、こういう姿になるものでなかったのかと、こう思うのです。
  31. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 当然そういう御意見もあると思います。また正論だと思います。当委員会の御意向としては、そういう議論が出てくることば当然であり、私どもは将来これを尊重いたしたいと考えておりますが、たとえば部外にあるもので一番大きな事業をしているものはNHK学園高等学校でございます。これは基金というものは、出損した金額はきわめて少額でございますが、毎年これに補助を与えているという形でございます。しかしこれは全国的に聴視者がここに入学し、勉強し、そして卒業していくという形のものであり、これは教育をする場所でございますから、これの直接の認可の官庁は、手続上は東京都を経過するわけでありますが、文部省と関連を持つわけでございます。  ただいま御指摘先生の御意見では、この百二十億円をNHKの中に積み立てておいて、そうして仕事をしてはどうかという御意見とかりに解釈させていただきますると、その場合には、財団法人的性格は必要でないという議論も出てくるかと思われます。したがいましてこの点につきましては私も法律の専門家ではございませんが、御趣旨はよく理解できますので、将来の問題として、御趣旨をやはり尊重いたしながら、この形がどうあるべきかをわれわれ自身も考えていく必要があると、このように考えております。
  32. 白井勇

    白井勇君 そういうお話でありますれば、繰り返すことはやめますけれども、いま例示されました、たとえば放送学園なんというものは毎年こういうふうにやられますから、国民の審査にかかるわけですよ、ここに。さっき申しましたように、これは一ぺん出てしまいますればあと何ら国民の目には触れられないわけですね。内容について何ら関与できない。それは寄付行為者であるNHKさんは将来ともある程度発言は持つのかもしれませんよ、だけれども、これは国民のものであるそこから生み出したものなんですから、これはやっぱりその運用につきましては、常時、年ごとにこれにかかるような姿になってませんと、これは国民のものであるというNHKと違うのじゃないかという気がするんですな、これ。これはよくひとつ、いま会長さんからもお話がありましたが、そういう線に沿いまして、あとに累を残さないようにやっていただきたいと思います。これからの事務の運び方というものはやっぱりNHKさんが中心になって、これをいろいろ、先ほど大臣のおっしゃった設立委員ですか、そういうようなものを選考されましたりなどしまして、経営委員会か何かにはかられて、これからやっていかれるのですね、運び方は。
  33. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) NHKとしては、手続上は御指摘のとおりの形になると思います。ただ、郵政大臣との関係においては、放送法上の手続を踏むべきだと考えております。
  34. 白井勇

    白井勇君 これだけはひとつぜひ将来に禍根を残さないような方向で運んでいただきたいと思いまするし、それから、いまの財団というものはどういうことをやるんだということにつきまして、衆議院に出されました参考資料ですか、これを読んでみましても、かりにこういうものができた場合に、僻地の小学校や中学校や社会福祉施設にカラー受像機を寄付するんだとか、昔の有閑マダムの慈善事業みたいな感じがないこともないんですね。それから都市の電波障害を何とかするとか、こんなことはこんな財団でやらなくたって当然やらなければならない筋合いのものであって、(3)と(4)ぐらいはまだ話が通ずるかと思うんですが、やっぱり使い道をもうちょっとそれらしい姿にしたらどうかと思うんです。あまりに世論に迎合するような措置じゃなかろうかと  このとおりになると、これは一応NHKさんの案だというのですから、これできまったわけじゃないのですけれども、思うんです。  私はもう一つ言わしてもらいますと、そういうような金がありますれば、私は個人的にいつも考えているんですけれども放送法の改正が問題になりまするのは、やっぱりNHKの番組の向上ですね、国民というものはどういうものを一体放送事業者に期待しているかというような把握のやり方、そこらあたりにつきましてNHKが中心になって民放も一緒になってそれを完全に把握していく、そういう組織体というものはないんですね。だからこれだけの金があるならば、むしろ国民はどういうような放送に対しまして希望を持っているか、要望を持っているか、そしてまた聴視率はどうかというようなもの、そういうようなものを把握できるような機構、そしてそれが中心になって番組の向上もやっていけるというようなものが一番私はいま必要だと、こう思っているのです。そういうようなものに基本的に使うということのほうが効果的じゃなかったかと、これは私の個人の意見です。  いろいろお尋ねしたいことがありまするが、時間がありませんので、ちょっと私二、三申し上げておきたいと思いまするが、去年、私気象報道のことにつきましてお尋ねしましたね。あれは間違った観点からやったんですが、これはむしろ責任は運輸省にあるんであって、おたくは被害者だと私は思うんですけれどもね、あれだけの月二百三、四十万ですか、の金を出さして、年間おそらく三千万以上ですね、これはむしろ運輸省の問題ですから、私そのことには触れませんけれども、気象通報と交通情報のやり方ですね。私は非常にいいことだとは思うんですけれども、やり方が、このごろ少しずつ変えてきたようでありまするけれども、いかに日本気象協会がNHKの施設を使って放送しておるかのごとき感覚を与えるんですよ。それからたとえば日本道路交通情報センターですか、あの場合におきましても日本道路交通情報センターから報告しているんですね。あれを聞いておりましても、やっぱりNHKの施設を使って日本道路交通情報センターというものが交通情報を流している。ああいう表現というものはぼくは非常に誤解を招くんじゃないかという懸念を持っているのです。そういうことができるものであるならば、たとえてみれば東京都内におきまして一番の問題は消費者物価でありますけれども、ある団体があなた方以上の組織網、情報網を 使って小売り物価を調べまして、そして私のほうでおたく放送施設を使ってやらしてくれと、こう言われたとき、断われないんじゃないですか。だから、ああいう表現というものは非常に私まずいと思うのですよ。このごろの放送では日本気象協会だれそれと、そう名前を出している。何の必要があってあんなこと出さなきゃいかぬのか、あれ少し注意されたらいいじゃないかと、こう一つ思います。  それからもう一つは、よくおたくでは火災関係の注意を喚起していらっしゃって非常にいいことだと思うのですが、ついこの間、公衆の広場をきれいにしましょうということをちょっとやっていましたね。あれは非常にぼくはいい着想だと思うのですけれども、あれをもっと繰り返されたらどうかというような感じを持ってこのごろおたくテレビを拝見しているのですが、それらにつきまして、もし御意見がありましたらおっしゃっていただきたい。
  35. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 前段の問題につきまして  は、これは昨年当委員会においても御指摘をいただいたわけですが、これは材料の制作と出演という形でNHKで扱っているわけであります。したがいましてその点についての表示のしかたあるいはまた放送のしかた、それがよりはっきりして誤解を受けない形にすべきであるという御意見については私も同感でございます。この点はさらに放送総局において検討してもらいたいと、こう考えております。  それから、いわゆる都市の美化その他と関連するキャンペーンについては、今後も大いにやってまいりたい、このように考えております。
  36. 白井勇

    白井勇君 以上で終わります。
  37. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 時間が十分でありませんので、質問を簡潔に申し上げますが、答弁もひとつ簡潔にお願いいたします。  放送文化基金についてお尋ねをするのでありますが、NHKがことしの予算にこういう基金の設立を思い立たれた考え方をひとつ簡単に。——
  38. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは三つございます。第一には、田村町の処分と関連して、永久に聴視者ないし国民に寄与する方法はあり得るかどうか、事業年度において寄与するばかりでなく、永久に寄与する方法はあり得るかどうかということ血が第一点でございます。  第二点は、御承知のようにNHK郵政省、外務省その他いろいろな国際機関を通じて、各国の、ことに開発途上国の放送とのつながりでいろいろな仕事をしてまいっており、またNHK自体も多少ながらお役に立つ仕事をしてまいっておりますけれども、各国の情勢を見ますと、西ドイツをはじめとして非常にこの面で大きな活動をいたしております。ところが日本では全くございません、ある意味では。そういう意味で多少ともお役に立ち得るのならばということを考えております。  第三には、率直に申しまして、NHKは二年後に創立満五十周年を記念することになります。  これらの意味で、過去五十年間の国民の財産としてのNHKというものの活動、これに対して過去の聴視者にお礼を申し上げるとともに、NHKの新しい生命を開く将来の聴視者との関係、現在の聴視者との関係におきましても、いささか永遠にお役に立ち得るものをつくり上げることが必要ではないかというような三つの考え方から、私自身としてはこのようにお願いしたいという考え方を持ったわけでございます。
  39. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 NHK予算にぽんと百三十億というような大きな金が、しかも基金設立という形で出てきておるということは、私がことしのNHK予算を見て非常に奇異に感ずる点なんです。  と申しますのは、おそらく国がかりにこういうことをやるとしたら、たとえは外務省が国際文化交流基金というものに百億金を出すということが非常に大きな問題になっておったのであります。ところが一NHKが簡単に百二十億もの金をぽんと出して基金にするということは、ちょっと常識には私は乗らない。ことにかりに企業であるならば、私は古い旧館を売った金をこういう用途に出すということは、全然筋違いだと理解します。と申しますのは、ここにいただいておる説明を見ますと、新しい放送センターの建設費総額三百十七億かかっておるといわれる。ところが、いままで払ってしまって、その建設費の未払い残は百八十億しかなかったから、そこで百八十億だけはその旧館の売し上げた金から返して、あと何か余ったような感覚でいらっしゃる。余っちゃいないでしょう、これは。普通ならば非常に低い評価であった旧館を売って、非常に大きな評価の新館を建てれば、これはもう大きな資本面での支出でありますが、幸いなことに三百十七億かかった新館が、旧館を三百五十四億で売れたということは、旧館をそのまま新館に一支の支出もなしにできたという感覚で受け取っておらなきゃならぬ、どうして三百五十四億の中から、百八十億だけは残っておったから、この借金を返す、あるいは建設費の未払いを返すと、あとの残高が何か余ったというような感覚でこういうものの支出に出てくるのか、その辺の感じどうですか。
  40. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そういう感覚は持っておりません。しかし、先生のおっしゃることも、これはたてまえ論として私は完全に理解できます。ただ、この三百十七億のうち百八十億近くだけが残った、その借金を払えば残りは余りだという考え方は持っておりません。  御承知のように、この借金をゼロにするということも一つの方法かと思いますし、それからまた、たとえばこの金を海年事業費に繰り入れていくという考え方もあるかと思いますけれども、私は、ただいま先生の御指摘を理解しながらも、先ほどお答え申し上げましたような三つの考え方からこれをぜひ御理解いただきたいという考え方でございます。
  41. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 これはね、余ったものという感覚はない、考え方はないと言われるけれど、余ったという感じでなければ、こんな文化基金というようなものをつくろうという考えは出てこないはずなんです。これは余ったと、非常に高く売れて残ったからという感じがあるから、こういうこれは私は端的に言いまして、NHK——日本放送協会というものの性格からして、百二十億もを国がやるとしたってこれはたいへんな仕事で、それを簡単にぽんとできるとお考えになる感じを私は疑うわけです、どうしたって。私は、だからして、なぜ、三百十七億かかったものの百八十億だけを旧館の売却代金から返して、あとを百二十億と五十四億に分けて、こういう処分のしかたをされたかということが絶対に了解できないんです。それはまああって悪いものであろうとは私は思いません。しかし私も先ほど白井委員が御指摘になったように、そういう金を外へ財団という形で出して、国会の審議を経ないという形になることに対しての私も同じ異論を持っておりますけれども、それよりもですね、NHKがたまたま旧館を売った金をこういうことに出されようという感じ自体が私は非常に問題なのじゃないか、私はこういう感じを強く持つわけです。  大体、百二十億なんという数字は、何を根拠にして出てきた数字ですか。
  42. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 最終的に百二十億という考え方は、当初、率直に申しまして、われわれは百五十億を考えました。経営委員会の他意見も伺ったわけであります。その次には、百億ということも考えてみました。しかし、いろいろな意味で最終的には百二十億という数字をきめたわけでございます。
  43. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 これは、ですから私は繰り返して申し上げますけれども、この金の使い方は、新館が三百億以上かかっておりますならば、幸いに旧館がそういう値に売れたということは、まあ事柄の是非は私はこの機会には論じませんけれども、たまたま旧館の金でもって新館ができたと、したがって一文の支出もしないであのようなりっぱな新館ができたという意味でぼくは理解さるべきである。そうだといたしますならば、その金は当然ぼくは(3)号の金として繰り越さるべき性質のものだと考えるが、その辺のお考えはどうでしょうか。
  44. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は原則的には先生のお考え方にも同調できるということを申し上げたわけであります。
  45. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そこで大臣にお尋ねをするのでありますが、かりにこの予算がこのとおりに通りますと、NHKから所管の郵政大臣に財団法人の設立の申請が出るわけです。その段階で郵政大臣はそれをどのように受けられるか。まあ一応NHK予算郵政大臣が意見をつけて国会にお出しになったという感じからすれば、財団法人の設立はまあ暗黙に承知をしておると、したがって設立の認可申請が出れば認可をするおつもりであられようと私は想像するのでありますが、そんな感じでしょうか。
  46. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) NHKから、私は、この説明を受けたわけでございます。大筋においては、私は、大体その方向といたしましては、理解はするわけでございます。しかし、この財団の設立に関しましては、ただいま御指摘等のいろいろな問題点もあることでございますから、やはり各界有識者によります設立準備委員会において審議、確定して、これの万全を期したい、かように考えておるような次第でございます。
  47. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そこで、これから先は電波理局長でけっこうですが、その財団法人の設立をする法的な根拠は放送法第九条第二項第十号だと、こう書いてあるんですが、そのとおりに理解されておりますか。
  48. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 財団法人そのものの設立、それを認可するということは民法上のことでございますので、民法第三十四条によって許可すると、こういうことになろうかと思います。  それから、いま御指摘放送法の問題につきましては、NHKが財団に出損する行為をするわけでございますけれども、その出指ということにつきましては放送法の第九条第二項第十号ということで、十号に該当するというぐあいに解しておるわけでございます。
  49. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 私がお尋ねしたのは、いまの御答弁の後段でございます。  そこで、この放送法第九条第二項第十号というのは、第二項が「協会は、前項の業務の外、第七条の目的を達成するため、左の業務を行うことができる。」と書いて、一号から九号まで具体的に放送協会の行なう業務が羅列してあります。そうして第十号に「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたもの」私はこういう保護規定のやり方というものは、NHKはこういうことができると、九号までに考えられる事柄はみな具体的に羅列した、しかしもしもここの羅列から漏れてNHKが何かやりたい場合に、よるべき法的根拠がないと困るから、その場合にはこの十号で救済しろと、こうあるわけです。したがって、ここにある十号の趣旨というものはNHKが行なう業務であると私は考える。NHK本来の性格から、百二十億もの大金を出して財団法人をつくるなんという事柄ははたして業務といえるのかどうなのか、その辺の解釈はどうですか。
  50. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 九条二項十号の解釈の問題だと思いますけれども、これは私たちも法制局等と十分打ち合わせしまして結論を出したわけでございますが、NHKが過去におきましてこの条項でやっておりますのは、先ほど話題にのぼりましたNHK学園、これに額は少ないわけでございますけれども、十号でもって処置しております。それから、先ほどこれまた話題に出ましたが、放送番組センターに対する助成金、三億ばかりでございますが、これも二項の十号ということで処理いたしております。  それから、これは法制局との関係で詰めた結論でございますけれどもNHKが全然放送関係のないことを行なう団体に出損するということでは十号に該当するということには当たらないと思いますけれども、その団体が放送界の全体の向上発展という放送ときわめて密接な関係のある仕事をするという場合には、NHKの出捐行為そのものが業務に該当すると、こういうような政府の解釈でございます。
  51. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 これは私はそのようには了解をいたしません。この条項はそんな広いものを考えてあれをしておるのではなく、大体NHKが、まあこれから新しい文化基金でどういうことをやるか、事態はまだ未定のことでありますが、そういうことが未定の段階でこれだけの大きな金を出して、そうして文化基金のようなものをつくることがNHKの業務の範囲内だと認められるなんてことは、常識では私は絶対に了解できない話だと思うんです。しかしまあ政府がそういう解釈であると言われれば、これは意見の対立でありますから、これ以上追及いたしません。  そこで、ここにいただいておる、この文化基金がやるという——やるであろうと考えられておる幾つかの仕事、その第一に「教育施設、社会福祉施設に対するカラー受像機の贈呈」「へき地小学校、中学校および社会福祉施設のうち、カラー受像機未設置のものに対し、カラー受像機の贈呈を行なう。」ということでありますが、こういう事柄はこういう基金がなくてもいまのNHKでできませんか、できますか、どうですか。
  52. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 現行の九条関係のところからは直接出てまいらないと思います。
  53. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そうすると、NHKはこういうことはできないと、こういう解釈ですか。
  54. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 直接NHK受信機を買って贈呈する、こういう事柄は不可能だと思います。(「現にやっているじゃないか」と呼ぶ者あり)
  55. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 その点の解釈は私は必ずしも同じではないのですが、かりに電波理局長の解釈のように、NHKができないことを、放送文化基金をつくるとできるようになる、おかしくないですか。NHKができないものをやるそういう文化基金をつくることを郵政大臣は御許可になれるのかどうか。
  56. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先ほどことばが不足しまして申しわけございません。その受信機をやる数、あるいは所要経費によって判断すべきだと思います。
  57. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そうすると、数によってはできる、数によってはできない——もっとも量が質に転化するという話はよくある話ですが。
  58. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 訂正さしていただきます。この条項でできるということでございます。
  59. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そのほか、(2)以降の仕事は、これは先ほど白井委員も御指摘になったように、何も文化基金をつくらないでも、NHKがやろうと思えばこれはおできになると私は思うのです。  しかし、私がここでお尋ねしたのは、一体いまこういうようなもの、たとえば(4)ですね、「放送に関する研究開発の助成」とあって「放送に対する国民の要請にこたえうる新しい技術の研究開発等に対し助成を行なう。」とありますが、現にこういう仕事をやっておって、助成があればもっとすばらしい効果があげられるというような、何か具体的な例はあるのでしょうか。
  60. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 現在具体的にどうこういうものは把握しておりません。ただ、このような事項を予定いたしておりますことは、いわゆる電波放送界の進歩発展も非常に目ざましゅうございます。将来いろいろ急激な変遷をいたし発展をいたすことが予測できます。そういう過程におきましていろいろな要望なり必要が出てこようかと思います。そういうことに備えるために設けた事項でございまして、NHKは直接やはりそういう研究開発関係の問題につきましても現在やっております、それでやれないことはないじゃないか、これも一つの理屈でございますけれども、その範囲だけでとどまるものでなく、やはりこういった放送界全般を潤す研究開発行動というものは、NHKだけでなく、ほかでもやられることが必要でありましょうし、また現にやっておることでございます。そういうことで将来——具体的にまだ把握しておりませんけれども、そういう必要が出ることは予測できますので、そういう場合に備えます一つの手段として、NHKが直接当たるよりもこういった機関においてやっていただくほうがベターではないか、こういうような感じを持っておるわけでございます。
  61. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そうすると、こういうように了解をしていいですか、たまたま旧館を売って、だいぶ金が予想外に入ったから、どこかにこうしておいて、こういう金をつくったからおまえら研究開発をやってみよと、何なら補助をやるぞと、私はいままでの御説明をずっと聞いておって、この文化基金の設立はそういう感じがする。事のついでに、いままでNHK自身がおやりになっていたし、またNHKでできるのだけれども、カラー受像機のないところにはくれてやる。百二十億の金を使って放送文化基金というような財団法人をつくって、どうしても仕事をしなければならないんだという必要性は全然感じられないじゃないですか。
  62. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 必要性が全然感じられないかどうかというところに問題があると思います。ですから、私は先ほど先生の御質問に対して、使い方としては原則的な使い方もあり得るし、またこういう考え方も私どもとしては持ったわけでございますということを申し上げたわけで、この場合は、単年度で、あるいは継続事業として単に百二十億を支出していくという考え方ではございません。これは百二十億を永久の基金として、それから出てくる果実によってこの限度のことはやらしていただきたいという意味での基金でございます。
  63. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 その感覚が問題なのであります。これは百二十億を外へ出して、おそらくその金利でもって仕事をしよう、こういう考えでしょう。そのときにはたとえば一年に六億基金があるのか七億基金があるのか、これを何とか使わなければならないという感じになってしまう。だから、私はその点は、さっき白井委員が御指摘になりましたように、やらなければならない仕事ならばNHKがおやりなさい、そのほうがむしろベターです。そうならば何も無理してお使いになる必要がない。これはもう必ずこういうものをつくると今度仕事をしなければならないから、無理をしてやられる結果が必ず出てくる。それと、ほんとに必要があるからやるという感じはもう現在の時点ではないのですから。私はそういう意味でこのような巨額な金が出るということについては、もう全然理解ができないのですね。  そこで聞きますが、今度は事務当局。この基金が設立されることによって、おそらく何人かの人もそれに関係されるでしょう、そういう基金自体の経費はどれくらいかかるか。
  64. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) 基金の運用につきましては、ただいまお話の出ておりますように、基本財産百二十億円をもとにいたしまして、その資金の運用を行ないまして毎年出てまいります果実をほぼ八億円程度と見込んでおります。これを実際上運営いたします場合の事務諸経費というものがかかろうかと思っております。これについて試算をいたしましたが、この基金は純粋の資金財団としての運用を前提として、みずから事業を行なわないという前提にいたしてございまして、そのような意味合いで考えますと、ほぼ四千万程度の事務経費でやっていけるのではないかというふうに考えております。
  65. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 だから私が言うわけです。基金をおつくりになっただけで四千万というものが事務経費に費やされてしまって、基金本来の目的には使われなくなってしまう。これは白井委員が言われたように、NHKの中に——私はですからして自分の考え方を結論的にもう時間がありませんから申し上げますと、私は、これは債務があるだそうから、こんなものをつくらないで、債務を全部返済しなさい。そうして何かここに基金をつくってやりたいような仕事をおやりになろうと思ったらば、毎年のNHK予算の中で、事業計画の中で御計画なさい。そうすれば、少なくとも四千万は要らない。せっかく八億の金を利息収入であげて、四千万全くむだな金に使っちゃう、何でそんなむだなことをしなければならないのか。  これは結論的に、私は端的にこの放送文化基金に対しての感じを申し上げますと、こういう仕事は、個人が、かなりな資産家かあるいは当代が死んだとか、死なないでもけっこう功成り名遂げて相当な財産を持っているから、これを社会事業に寄付していく、そういう場合にこういう形がよく出る。基金あるいは育英財団というようなものをつくる。同じ形ですよ、これは。NHKが何でそんなことをされなきゃならないんですか。NHK自体はそんな金を出すような経理状況ではございませんでしょう。去年も赤字、ことしも赤字で経営をしていらっしゃる。この赤字の中には、利息の支払いが相当あるからそういう赤字になる。百二十億を借金に返しておけば、それだけでも——、どうでしょう。
  66. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) その基本的なお考え方については、私は特別に反対する気持ちはなく、先ほど申し上げたように、そういう考え方が原則的な考え方であるということは私も理解できます。ただ、将来の問題として申し上げますと、私はこの基金が百二十億でとどまらぬ環境が出てくるであろうということを期待いたしております。これはNHKが基金をふやすという意味ではございません。スタートはNHKの出捐によって百二十億の基金にしたいと考えておりますけれども、これが基礎となって、ただいま御指摘のような方々からも私は寄与を受けてしかるべきではないかというように実は考えております。
  67. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 まあ納得のできる御意見だと思うんです。それならば百二十億なんか要らないんです。せいぜい五億か十億出してやっておかれればいい。どのような観点からいたしましても、今日のNHKの経理の中から、いかにも功成り名遂げた個人資産家が後代に自分の徳を顕彰してもらうためにこういう財団をつくるというような感覚は、私はNHKの性格の中からは出てこないはずだし、出てきてはならないし、そうして二千四百万の聴視者のほんとうの気持ちはこんなものをつくってもらうということではないと私は思う。ほんとうの気持ちはやっぱり聴視料を一年でも二年でもよけい上げないでおいてもらいたいという考え方であると私は了解をしますが、どうでしょうか。
  68. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) その点についても同感でございます。当委員会においてはまだその時期でありませんし、私ども考え方も固まっておりませんので、三年たったら値上げをするのかというような御意見あるいは御疑問もあるかと思いますが、私としては五十年度以降の問題についてある種の実は構想を持っております。まああまり詳しくは申し上げ得ないわけでございますが、たとえば先ほど来の白井委員の御質問に対して、中波の大電力はどうかというような御質問がありましたが、これは事務的に、あるいは国内的に、国際的にいろんな説明のしかたはございますが、国内的に見ますと百億出してももう土地は買えないという現状でございます。そういう実態に即した私は新しい構想を打ち出していくべきであるという実は考え方を持っておるわけでありまして、いわんや国際主管庁会議がどの方式をきめようと、国際関係が分裂している現状においてはこれも効果はないという実は具体的な考え方を持っているわけでございます。したがって私はこの御審議いただいております四十八年度予算の基礎となっているいわゆる四十七年度にわれわれが策定した第四次の長期構想は、すでに御審議の段階で修正しているわけでございますから、私としては、この二年以内に新しい構想で皆さんの御意見を伺いたいという考え方を持っておりますが、しかし、これはいろいろな環境の中で反響も大きく、またいろいろな問題を生じますので、私としては当面申し上げかねることば遺憾でございますけれども、五十一年以降にこの百二十億を取ったから値上げをするんだというような気持ちは毛頭持っておりません。
  69. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  70. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  71. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは大臣と会長にお尋ねいたしますが、昨日、三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件、提案理由の説明と、それから補足的な御説明を伺いましたが、非常に世間を騒がし問題になりました、けさほども御質問のありました放送会館のあと地の問題につきまして、これは一言半句も経過に触れておらないわけですね。これはどうしてお触れにならなかったのでございますか。
  72. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 私は、このNHKのあと地の売却問題につきましては、競手入札が行なわれました実施の期日その他等の事項につきまして、前田会長が私のところをたずねられまして、報告をされたわけでございます。いわゆる経過の報告がございました。それは四十八年の一月十一日でございます。  その後、四十八年の——ことしでございますが、一月の二十七日の午後四時に四十八年度の収支予算、事業計画等の書類を私のところへ持っておいでになりまして、説明がございました。NHKの会長からは以上二回の報告を受けただけでございます。
  73. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣ね、ちょっと私の質問を取り違えておられるのですけれど、そういうふうな御経過があったとすれば、まず第一番に、特に問題のありましたNHKの四十八年度の予算だけに、なぜこういう経過を率直にあなたの提案理由の説明の中にお触れにならなかったのですかということを聞いている。会長も同様に、補足説明をされながら、このあと地の売却の経過については一言も触れられていなかったんだが、どういうわけでしょうか、あれだけ世間を騒がし問題になりましたことだけに、われわれにとっては少しもの足りないわけですよ。それはどうしてここへお触れにならなかったんですかということを私伺ったんです。
  74. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) その点は詳細に報告すべき事柄であろうかとは存じますが、収支予算数字の中にはそのことが含まれておるわけでございますので、どうかこの私の説明で御理解をいただきたいと存じます。
  75. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は、郵政大臣の御説明の補足説明をさせていただきましたときに、この文書の二ページに「また、放送センター総合整備の完了に伴い、不用となる東京放送会館の土地・建物を売却することといたしております。この売却収入につきましては、これを最も有効に国民に還元する趣旨のもとに、」云々と、簡単ではございましたが、触れております。
  76. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはそういうことをしたということだけであって、少なくともあの坪当たり千百万円という値段の売買について非常に問題になったところですから、むしろこれらの経緯について率直に、補足説明をなさるなら、してほしかったと私は思うのです。そういうことを私は申し上げておるのです。ですから、何か言われたら答えようというような御説明なんですね、これを見ますと。当然これは一番先に問題になることでございますから、少なくとも経過的にはこうでございましたということを、自信と確信がある売りさばきをしたなら、天下に恥じることないでしょう、堂々とこれはお述べになったらいかがだったんでしょう。
  77. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) まことに当然の御発言と思います。このような形で御報告したということはきわめて事務的であり、御指摘の点については私も千慮の一失があったということを申し上げて、おわびいたしたいと思います。
  78. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は三月八日の日に約二時間半にわたりましてこの問題についてはすでに質疑をいたしております。それで経過の概要はよく頭の中に入れておりますが、ただ一つどうしても納得ができない点がありますから、きょうは、この点をひとつ率直に会長から所信を承りたいと思います。  それで、問題は、この前いろいろと長いこと会長からも経過を聞き、私も意見出しましたが、結論として、あの売買というものが現行の放送法なり、あるいは商法上なり、従来の慣行から見て違法でもなければ何でもない、要するに適法のものであるということは、これは私たちも認めるわけです。同時に、当時政府側がこれに対して介入をするような動きがありましたことについても、私たちはこれは反対である、ここは一致するわけです。ただ一面、私が申し上げまして会長と見解が違っているのか、そうでもないのか、よくわからないから、きょう私は伺うのですけれども、会長は二千四百万世帯の視聴者の立場に立ってこの措置をした、したがって高く売れれば高く売って、二千四百万世帯の利益を守りたい、これが会長の私のやるべきことであったとこうおっしゃる、それはそのとうりだと思います。  ただ、私が申し上げたように、二千四百万世帯の中にはマイホームの夢を持ったNHKの視聴者というものがたくさんおるだろうと思うんですね。そういう人たちが、一面高額な史上最高の価格によって取引をされるというようなことになりました際に、それが現在の地価をつくり上げる作用を起こして、そうしてそのマイホームの夢を消されてしまう、打ち消されてしまう、こういうふうなことになれば、同じ視聴者である会員が一面においてはそういう大きな打撃を受けるわけです。諸悪の根源は土地にあり、地価にありというくらいのときですから、そういうことを配慮するならば、もう少しこれをやることによって社会的にはどういう影響が起こるだろうかという御配意があってしかるべきであったのではないだろうかという点を私は指摘をしたわけなんです。これに対して、どうも会長は、その辺に対しても何か私たちが納得できるようなお答えがないわけですね。これはどうなんでしょうか、もう会長としてNHKの二千四百万世帯だけのことを考えればいいんだ、あとはそれによって地価がどうなろうと、悪い影響が起きようがそういうことは私の関知するところでないというのがもし会長の所信であったとするならば、これはまた大間違いです。ですから、その辺の政治的な配慮というものをやっぱり持たれてしかるべきではなかったろうかということを実は私は申し上げたわけです。その辺の見解がどうもはっきりしない。だから、きょうはその点だけ明確にしていただきたいと思います。
  79. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御質問の御趣旨は私にもよくわかります。ただ、問題は、あの値段がはたしてお説のとおり史上最高のものであるかどうか、それからまたあの地点でのあの土地の取引が一億の人々のマイホームの夢を破ったかどうかということについては、私も心理的影響を与えているかもしれないという点では非常に悩んだ点の一つでございます。しかし、私が当面決断を下さなければならぬと思い、またそうしなければならないと考えたのは、NHKの会長としての狭い範囲での考え方でございますが、私としては、国民的フィーリング、ただいま御指摘になったマイホームの夢を破るかもしれないという点でのフィーリング、これに、ミートさせる方法というのは、単にNHKの会長として具体的に行為であらわす、行動であらわすということについては非常に困難な立場にあると考えました。したがって、消極的な意味で、そのフィーリングをも考え方の中に入れて、この前御説明したような処置をとらしていただきたい。端的に申し上げるならば、そのフィーリングについても私は感じ取っております。私の当面の立場と国民的フィーリング、この二律背反の間に立ってどのような決定を下すべきかということについては非常に悩んだということも申し上げております。しかし、しょせん私のとるべき方法はこれ以外にあり得なかった。ただ、私は、このことによってNHKが国民全体の利害と関係するただいまの御指摘の点について、やっぱりNHKとしてあるべき形、NHKが番組をもって示すべき方向、これは敢然としてやらなければならないだろう、ここにもある意味では心理的あるいは感情的には内外から一種の二律背反の立場に置かれているという悩みも感じたわけでございます。
  80. 鈴木強

    ○鈴木強君 どうも言い回しがよく私にはわからないんですけれどもね、けさほどもここで盾疑がありましたように、あのあと地はいずれにしても売却するということはわれわれも理解をしておりました。その際に大体百五十億プラスアルファ二割というような点が妥当な線ではなかったかと思います、私も。会長もそうおっしゃったわけですね。当時の地価公示によりますと、あそこの地帯が坪四百三十八万九千円ということでございますね。これは建設省からも来ていただいておりますから、これは大臣が建設委員会の関係で来られぬそうですから、担当課長においでいただいておりますが、この四百三十八万九千円という地価公示ですね、これの関係もあるし、大体常識的なところを会長は百五十億プラス二〇%というような線をおっしゃったんだと思いますから、そう私は悩まなくてよかったんじゃないでしょうかね。百五十億から切れるようなことであるとすれば、それは一回報道しちゃったことですからもう少し考えなければいけなかっただろうということがいえるし、またこれは地価公示価格から見ましてもそういうことがいえると思いますけれども、三百五十四億という、まあいまのところ史上最高ですね、そういうふうな価格で売らなければならなかったときに、一面会長が悩んだ、これがどういうふうに社会的に影響を起こすか、これは政府の土地対策というものが欠けておりますからね、日本列島改造論以来全国的に地価がどんどん上がって、諸悪の根源地価にありというふうにいわれているわけですから、こういう点ではずっと政府の政策の欠除をついていかなければなりませんが、会長としてあまりにも二千四百万世帯受信者だけの利益を追求することだけにきゅうきゅうとして、それによって生ずる社会的影響というものを何ら考慮しなかったということは、少なくとも公共放送の会長としての立場からすれば、私はもう少し全体のことをお考えになる必要があっただろうと思うんです。ですからそういう点がいま考えてみて、確かにそういう配慮をもう少し慎重にやるべきであったとか、欠けておったとか、そういう心境は持てないでしょうか。  私はここに当時の新聞報道のあらゆるものを持ってきておりますけれども、どれ一つを見ましても、NHKがよくやったというような記事はありませんよ。会長はきのう激励のことばも受けた、一部からとおっしゃいました。それはどなたがおっしゃったか知りませんけれども、私もこの問題については国会議員の諸君だとか、あるいは私の近所の方とか、あるいは郷里の方とか、できるだけ人に会う場合には聞いてきました、この売り方に関して。ところがやっぱりいい売り方だという人はおりませんよね。だからそこには自分たちのNHKだという考え方がありながらも、その聴視者が一面ああいうべらぼうな値段で売るほうも売るほうだし、買うほうも買うほうだ、そうしてそのことがいま地価のつり上げに悪い影響を与えることになるというんです、どうしてもなりますよ。たとえば国有地を払い下げるような場合でも、私の郷里であったことですけれども、国有地を借りてそこに住宅を建てておった。   〔委員長退席、理事森勝治君着席〕 ところが、いろいろ苦労して何とか貯金ができて、払い下げてもらおうというときに、私は甲府の事務所に行ってみた。そこの所長さんが言うのには、売買価格というものは実例が価格の基礎になるんですと。だから売った価格を基礎にして、国有地でも、政府はそういう弱い人たちにもわれわれ見れば少し高いような値段で売りつけておるわけですね。それの根拠は売買実例によるんです。そのことがいまあの周辺のたいへんな売買実例になることは間違いないと思うんです。  ですから、もっと言うならば、最近、公共用地とかの問題については、できるだけ早目に地方自治体が土地を取得しておこうという、住宅を建てる場合。そういうようなことで政府が昨年暮れからいろいろ地方自治体に対して土地先買いをやるようにということでずいぶん行政指導をしておりますよ。ところが実際には買えないんです、ですから東京都として都市計画上あの地域をどういうように利用するか、あるいは国としてあの土地をどう利用するかということも、私はもし政府がもっとしっかりした計画を持っておれば、そういうものは出てくるかもしれない。そうすれば、それとの対照であの土地東京都にやろうとか、一たん国にお貸ししておいてそれを全体の利益のために使うとか、そういうことだって考えてもいいと思う。しかし、それは私はいまここでは言いません、言いませんが、現にいろいろと私も各方面の反響を聞きながら、会長との前の質疑も聞き、きのうからの質疑も聞いておりましたけれども、どうもその辺に対する配慮が欠けておるんだと私たちは思うんだけれども、全くその点については一片の反省もしない、そういうあなたの態度に対して私たちは合点がいかぬ、納得ができないというのがほんとうの気持ちです。  人間神さまでない限りは、おのれのやったことについて足りない点もあったと思うんですね。ですからほんとうに、あなたが何と言われてもわしは二千四百万だけのことを考えたんであって、ほかの諸影響ということはもう全く門外だというなら、そのように言ってくださいよ。しかし、それはそうでないでしょう、やっぱり私の言うこともわかってくれというんです。そうであれば、その辺の配慮はどうだったでしょうか、もう少しその辺に配慮をめぐらしていただけなかったでしょうかというのがみんなの気持ちですよ。ほんとうにくどくて悪いですけれども、やはりわれわれは二千四百万の立ち、全国民の立場に立ってここでこの予算を審議しなければならぬわけですから、率直に会長の所信を国民の前に、二千四百万世帯といったらほとんどそうですよ、その人たちの前に明らかにする責務があると思いまして、私は伺っているんです。
  81. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 前回の先生の御質問にもお答えし、また当委員会の正式委員会の席上でもるる申し述べましたが、新聞、雑誌が激しく攻撃したということは私もよく知っております。しかし、それ以外で、私は率直に申し上げて、私どもはここ二年全国に経営懇談会というものをつくっておりまして、そこには主婦連の幹部もおり、消費組合の幹部もおり、それからまた公衆衛生、まあふろ屋さんであるとか、そういう方々をも含めた席上でも私は御意見を伺いました。そのほかに、攻撃する投書もございますけれども、そうでない投書もかなり多い。こういうことを考えますときに、私の立場としては、単なる——単なると申し上げては失礼かもしれませんが、私が当面負うておる責任の直接のかかわり合いから申し上げるならば、いままで申し上げているように、そういう国民的フィーリングの中できわめて時期として好ましからぬ時期に遭遇したという事実をも勘案しながら、私としては、ほかの方法があったかどうか、あるかどうかということを考えますときに、私が責任を持って行なえる、実行できる可能性というものは、私のNHKの会長としての、しかも放送センター建設とその資金をこの処分によって生み出すという限界では、かりにフィーリング的に一人の市民として共感ができても、私の可能性の限度は残念ながらこのような措置を決心しなければならなかったというところにあるわけでありまして、したがってこの金の使い方については、われわれは逆に消極的な面で全国の皆さまの御理解を得る方向に使うべきである、こういう考え方に立ったというわけでございます。
  82. 鈴木強

    ○鈴木強君 どうもまた少し論争をしなければならぬようなかっこうになるんですけれども、問題は、全く二千四百万世帯の利益だけを考えてやったとおっしゃるならば、あなたが売って得た三百五十四億というそのお金は何も、さっきも塚田先生からも御質疑がありましたが、百二十億とか基金にやったりする必要はないんじゃないですか。やはり、あなたにも、売ってみたけれども、どうも予想外に高かった、世間の批判は大きいから、この三百五十四億については何らかやらないとこれはおさまりがつかぬという判断があったんじゃないですか。  前回、私は、田中総理とあなたがお会いになったいきさつ、あるいは官房長官それから建設大臣、久野郵政大臣、当時いろいろと若干の動きがあったこともこれは事実ですよ。そういうことも私は日を追ってあなたに確かめてきたわけですね。東京の当時の新聞にも出ておりますように「「よいチエを出し合おう」と、田中首相が前田NHK会長の肩をたたき、二階堂官房長官も金丸建設相や久野郵政相に世論を静めるための解決を頼みこんだ」と当時の解説が出ておるわけでして、法外に高かったから、その分はひとつ何とか吐き出して、そしてやった行為について世間の理解を得よう、こういうことからしてやったことじゃないですかね。それでなかったら、この三百五十四億はずばりと収入にして、NHKが堂々とお使いになったらよろしい。どうしてそんな、いまこの委員会で批判をされるような放送法九条二項の十号に照らしてみても、与党の理事でさえ法律解釈については絶対納得できない。私もそれを支持する。どう読んでみたってその解釈はこじつけですよ。与野党一致した法律解釈がある。そういうことまでしてこの金をどうして使わなければならないのですか。その辺はこれはいろいろとやれば切りのない論議だと私は思います。  やはり、あのことがいつか——いま直接的に間接的にその隣の土地をつり上げたとかつり上げないということは、あそこには土地がありませんから、出てこないかもしれません、しかし直接、間接的に全国土地の地価をつり上げる作用というものを起こすことは、だれが考えてみたっていまの時代では想定できることですからね。そういう点をNHKの公共放送の会長が全くわれ関せずえんで、そういうことに対しては一片の考慮もしないで、ただ高く売れればそれでいいのだという考え方は通りませんよ。そうではないと私は思う、あなたが苦しんだということはそこにあると思います。  われわれは国民の立場に立っていろいろと批判も聞いてきました。それはあなたのおっしゃるように、よかったという人もおることば私は否定しません。だけれども、あれだけ言論報道機関があげてNHKを攻撃するということは、非難するということはそれだけの私は根拠があるからだと思いますよ。ですからそういうものに謙虚に耳を傾け、人間である限りは謙虚に反省するところは反省していくという考え方がなければ、NHK会長としての責務はつとまらないと私は思います。そういう意味で伺っているわけです。
  83. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は新聞とか雑誌の報道に責任を持つわけにはまいりません。したがって郵政大臣とどうしたとか、官房長官とどうしたとか、あるいは建設大臣とどうしたとか、これは一切事実無根でございます。総理大臣については、この前もお話し申し上げましたように、新年のあいさつに伺っただけで、その中で話題がたまたま出たということは事実であります。したがって全国の言論機関がすべてこの問題を取り上げたというような理解のしかたはいたしておりません、残念ながら。新聞でも、あるいは小さな新聞でも、ある意味では私ども立場に理解を示した新聞もございます。しかし私は新聞によってこの問題で左右されるという気持ちはございません、このことははっきり申し上げたいと思います。  ただ、新聞が考えている裏側の問題については、私も普通の人間でありますから、国民の一人としてこれに思いをいたしたということは事実でございます。しかし文化基金の問題についても、そういう先生考え方のような意味でこれをつくったのではございません。このこともはっきり申し上げておきたいと思います。私がこの文化基金をつくった理由は、借金を払うのもオーソドックスなやり方の一つだと思います、しかし払っただけでは、その後の経営との直接的な関係というものは、このインフレ的傾向の強い時代にはたしてどこまでささえ得るのであるかという問題も考えますと、私としては、このお金を長くNHKの経営を通じて聴視者のプラスになることを考えるべきだというきわめて純粋、率直な気持ちの上で、この文化基金という問題も考えたわけであります。  はなはだ先生の御意向に沿わない答弁ではございますが、私としては、NHKの会長として最終的判断をした理由は以上のような環境の中で行なわれたものでございまして、新聞その他の問題については、そういう国民的風潮があるということについては私は留意し、反省し、悩みもしましたけれども、新聞の報道自体について私は何らの責任を感じておりません。
  84. 鈴木強

    ○鈴木強君 えらい高姿勢で御答弁なさるのですけれども、それは高姿勢でやることは御自由でございますから、それでいいでしょう。しかし、私は、あと地売却代金三百五十四億円というものの処分について、四十八年度以降三年間受信料を値上げしないとか、あるいは事業安定化資金に五十五億円を使うとか、あるいは放送センター建設費残額百八十億円の返済に充てるとか、あるいは放送文化基金というものをつくるとか、そういうふうに使わなければならなかったというそのあなたの考えの裏に——それはあなたもいろいろと否定されるでしょう、否定されるのは否定されてけっこうです、私たちは私たちなりにまたいろいろな情報を持っております。ですから、あなたはおれの考え方でやったんだとこうおっしゃる、それはそれでいいでしょう、しかしそこに到達するまでの間にはやはり政治的ないろいろな動きがあったことも私たちは知っております。  文化基金の財団をつくることについても、先ほどからも御議論がありますように、ほんとに協会がこれだけの金を出して、協会がイニシアをとって大臣に民法上の認可の申請をしていこうという最初からの考え方があったかもしれません、あったかもしれませんが、たまたま案外多くの金が入ってきたものですから、そこで百二十億を出してやろうということになったんじゃございませんか。それは客観的にいろいろとわれわれもわれわれなりに裏は裏の話として知っておりますよ。ですからそうあまり高姿勢にならないで、人間でございますから、私が言うように反省すべき点は反省するという態度に立ってこそ、初めて私はりっぱなNHK会長として国民が信頼できる地位におる方になれると思うのです。私はそういうふうに考えます。  それで、大臣、放送文化基金ですね、これについては一体NHKからあなたに報告はあったわけですね、報告は。その際に一体放送文化基金というものはどういう目的でつくるということだったのですか、あなたもこれには同意をされたと思うのですけれども
  85. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 資料として皆さんにお差し上げしてございますので、ごらんをいただいたことと存じますが、この文化基金をつくるについての財団法人の構成それから事業計画、運営方法、こういうものにつきましては、皆さんにお示ししてありまする資料によりまするとおり、四点にわたって具体的に私は報告を受けたわけでございます。この内容につきまして、私もいろいろと検討をいたしてまいりました。そうして検討をいたしました結果、やはりこの方向についてはおおむね妥当なものであるという意見に到達をいたしまして、そのように意見書の中に書いたような次第でございます。
  86. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは記者会見の記事として見たのでございますが、あなたはこの財団法人放送文化基金というものは全くNHKから切り離して、さっきもちょっとそういうようなニュアンスがあったのですけれども、広く各界の有識者の方々をもって創立準備といいますか、設立準備といいますか、そういうものを進めていかれるようにおっしゃいましたが、そういう趣旨の記者会見の記事を私は拝見しましたけれども、あなたが考えておる財団法人放送文化基金というものは全くNHKから切り離してやるという考え方に立っておられるかどうかですね。
  87. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 先ほども申し上げましたとおり、各界有識者による設立準備委員会において慎重に御審議をいただきまして、その結果、この文化基金の運営方法あるいは構成等について御確定をいただきたい、かような考え方を今日も持っておるような次第でございます。
  88. 鈴木強

    ○鈴木強君 設立準備委員というのは何人ぐらいで、いつごろこれを設置するということですか、そしてその仕事は、準備はどこがやるわけですか。
  89. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この構想は、先ほど申し上げましたように、私ども自身が決定した構想でありまして、この結果が出たことについて八日に即日理事会を開き、さらに経営委員会にはかって、この売却そのものについても、その金の使い方についても、一応のめどをつけたわけでございます。その後、私は、斎藤理事を中心とする理事の懇談会でこの問題の取り扱いについて意見を聞き、さらに経営委員長と単独に会いまして、この構想についての感触を伺い、さらに十二月十八日の経営委員会においてこれについての御意見と御審議を願ったわけであります。したがいまして、私どもとしては、これは純粋にNHKの発意によるものでございまして、私どもが考えている創立総会的な専門家による委員会というのは、私たちがお願いしてつくり上げたいというように考えているわけでございます。
  90. 鈴木強

    ○鈴木強君 郵政大臣、このあなたの意見書を拝見しますと「固定資産売却による特別収入の一部」ですね、すなわちあと地売却による「特別収入の一部を「放送文化基金」の設立に支出することとしているが、この基金の設立にあたっては、それが広く放送文化の発展向上に寄与することを基本的性格とする点に特に留意する必要がある。」こういう意見書をおつけになっておりますが、いま会長が言われたように、この設立準備その他については一切NHKのほうでやると、こういう基本的な考え方郵政省のほうとしてもそのとおりと是認しているわけでございますね。
  91. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 設立準備委員の選任、また協議等につきましては、これはNHKのほうでおやりいただけると思うのでございますが、その中身において留意すべき点を私は意見書の中に御指摘申し上げたような次第でございます。
  92. 鈴木強

    ○鈴木強君 その中身というのはどういう点でございますか。
  93. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 広く放送文化事業のために、いわゆる第九条二項に十の規定がございますが、この規定に従って、十分このことを頭の中に入れ留意をして、聴視者の皆さんにお報いすることができるように配慮をしてほしい、こういう意味でございます。
  94. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、郵政大臣、その諸準備ですね、設立準備委員の選定やあるいは総会をいつ開くとか、いろんな段取りについてはNHKにまかすと、ただしその内容についてあなたがおっしゃっているような「広く放送文化の発展向上に寄与する」ような基本的内容にしなさいということは、あなたが意見を出しているわけですから、これはNHKのほうとしても十分に取り入れてやってもらえると思うんですけれども、そういうふうに理解していいんですか、もう一回。
  95. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) これはあくまでもNHK側から私に示された案でございます。そうしてその説明を私は聞きまして、大筋において私は理解を示したような次第でございますが、しかし、先ほど来私が申し上げましたように、この文化基金の使途につきましては、やはり十分聴視者の皆さんにお報いできるような立場でひとつ留意していただきたい、かように私は考えておるような次第でございます。
  96. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは若干私の思い過ごしであれば、そう指摘していただきたいんですけれど、会長は先ほどからこの問題についてはNHKが独自に考えたんだと、あなたもそうおっしゃいます。しかし事の起こりはあと地問題から出発をしているわけでありまして、前回いろいろとお話をしている中で、総理も、まあこれは売り上げ金といいますか、売り渡したその金によって、収入によって、収入の利用において考えたらどうかというようなニュアンスの趣旨を言われたように聞いたんですけれど、それで、あなたもそういうふうな話を若干なり耳にして、そうしてそういう話についてはNHK側とこういうものをつくったらどうか、この利益金の配分について、使途についてですね、そういうようなことは裏のほうにおいてもやらなかったんでございましょうか。報道について会長はそんなものは責任持たないし、信用しないというようなことをおっしゃっているわけですから、会長には私は聞きません、そのことは。あなたに、この利益金の配分についてはやっぱり何か国民の納得するような方法を考えなきゃならぬというような配慮が私はあったんじゃないかと思うんですよね、政府の中にも。それすらも否定するんでございますかね。そういう動きは全然なかったというふうにおっしゃると思いますけれども、私たちはどうもそうではないように思うものですから、若干この点だけは聞いておきたいわけでございます。
  97. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 鈴木委員御承知のとおり、NHKに対しまする監督権限を持っておりますのは郵政大臣であります私でございますから、やはり上司でありまする、上司と申しますか、内閣総理大臣の命令を受けたり、あるいはまた官房長官の指示を受けたり、あるいはまた建設大臣と協議をしたり、これは土地問題に関連性がございますから、そういうようなことをした事実はございません。前回、私が申し上げたとおりでございます。  それから、NHKの側との間に何らかの非公式な協議を遂げたのではないかという御質問がただいまございましたが、私は一月の十一日の日にいままでの経過の報告を聞いて、それから一月の二十七日の日に収支予算、事業計画その他の報告を聞いて、二回会長にお会いしただけでございまして、それ以外、何らNHK側と接触した事実もございませんし、またそのことによっていろいろ世論の批判を受けたり、あるいは皆さんから私の態度に対しまして意見を申されるようなことがあってはならないと、疑惑を招くようなことがあってはならないと、かように存じまして、私自身NHK側とはそれ以来一回も会長ともお会いをいたしておりませんし、接触もいたしていないのでございます。どうか御理解をいただきたいと存じます。
  98. 鈴木強

    ○鈴木強君 で、建設省の川上宅地政策課長さんにおいでいただいていますから、これに関連してちょっとお伺いしたいんですが、お聞き取りのような事実のありましたことはあなたもよく御承知だと思います。それで私たちはいま私が会長に強く申し上げましたような点が一つと、もう一つはやはり国の土地政策というものが非常に行き当たりばったりで確固たるものがない、私はそこいらにやはり問題があるように思うんです。ですから日本列島改造論もほんとうに過密過疎をなくして平均的な日本の豊かさというものを均てんしようという考え方に立ってやるならば、その点はその点として私は評価できると思うんです。ただ問題は、地価というものがそのことによって上がっていくだろうということは、これは常識的にだれが考えてもあたりまえのことです。その辺の歯どめがほとんどなされておらない。地価公示法なんというものはざる法であって、二十何条かに分かれておりますけれども、私に言わせればこれはもう全く何のために出したのかわからぬと思うくらいに内容がないんです。これはきょうは金丸建設大臣が向こうの委員会がありまして出られませんから、あなたに、事務的な立場に立つ課長にここであまり政策的なことを言いましてもどうかと思いますけれど、帰ったらひとつ大臣にもぜひ伝えてほしいと思うから大臣代理という立場であなた聞いてもらいたいと思いますよ。  それで、今度国土総合開発法案なんというものが閣議決定をされたようですけれども、この内容を見ましても、はたして地価が抑制できるかどうかということは疑問です。ただ産業優先から環境保全ということも考えて、バランスのとれた土地対策というものをお考えになる、これは一つの前進だと思いますけど、ただそのことだけであって、具体的に地価を値上げさせないというしっかりしたくさびがないわけですね。私は地価公示法というものをやはりつくるならば、それをある程度義務的に売買のときには取り入れていくという、若干そこに上下の差はあるとしても、これを一つの標準として売買をするというくらいに規制しなければいかぬと思うんですよ。これは鑑定士を置いて、そして十分いろんな角度から研究をし調査をして、そしてこの土地は幾らという公示をしていただくわけですから、相当権威のあるものだと思います。そうでなるならば、もう少しその辺に対する配慮というものがこの法律では足りないような気もするのですね。ですからこういう法律はまたひとつ機会を見て内容も改正してもらわなければならないしと思うんですけれども、とにかく、建設省として、地価対策、こういうものはまことに私たちから見ると、ないと私は言っても過言でないくらいに思うわけです。どうでしょう、その辺は。
  99. 川上幸郎

    説明員(川上幸郎君) お答えいたします。  先生がおっしゃいますとおり、地価対策が国民生活に及ぼす影響が大であることは当然なことでございます。でございますので、政府におきましても一月の末に地価対策閣僚協議会を開催いたしまして、土地対策につきまして閣議決定をいたした次第でございます。  ただいま御批判がございましたが、この地価公示法があまり役立たないではないかという御批判でございます。これにつきましては、先生御存じのとおり、現在公示価格と申しますものは、公共用地の取得価格の算定にあたりましては、まあ基準とするようになっているわけでございます。このようにいたしまして、公共用地の取得価格が周辺地価の騰貴を誘導することを防止するのに役立っておるというふうに考えております、しかしながら一般土地取引に関しましては、取引価格決定の目安を与えるにとどまっているわけでございます。かつ、なお地価公示制度は現在その対象区域が市街化区域に限られておるという問題もございます。このような情勢のもとにおきまして、現在、政府におきましては地価公示法の改正法案を提案中でございますが、これはまず第一番目には、地価公示の対象区域を都市計画区域に拡大するということとともに、一般の土地取引に際しましても、当事者が公示価格を指標とするように、その責務を有すると、まあこのぐらいの規定を置くこととしております。  さらに加えまして、別途提案いたしております国土総合開発法の改正法案におきましては、土地取引につきましては届け出制、勧告制を設けまして、取引価格が公示価格に照らしまして著しく適正を欠く場合におきましては、取引の中止勧告を行なうような制度を整備することといたしておるわけでございます。
  100. 鈴木強

    ○鈴木強君 わかりました。  そういう改正をもっと早くやるべきであったし、地価公示法を制定する当時にそういうふうなところまでやっていただいておいたら、今度のよりな事件も起きなかったと思うんですけれどもね。まあいずれにいたしましても、これは済んだことでして、いまから言いましても何か問題にならぬように思うかもしれませんけれども、しかし私たちはやっぱりこういう経験を貴重な経験として、ほんとうに国民が理解と納得のできるような土地の売買というものをしなければいけないと思うから私はさっきから言っているわけですよ。せっかく建設省のほうで勉強されて、おそまきながら法律の不備を認めて、これを直そうという態度に出られておりますことについては私は敬意を表します。ですから、すみやかにこの成案を得て国会に提案をしていただく。そうなりますと、再びこういうような問題が——一般の土地にもある程度義務づけて、罰則はないとしても、義務づけていくというようなことになりますれば、特に公共企業体なんかの場合は、一般のそこらのデベロッパーとは違うんですよ、これは。そういう意味において国民のやはりきびしい批判というものも出ているわけでありまして、いまあなたにNHK土地の売買についての所見を聞こうと思いません、大臣いらっしゃいませんからね。聞きませんが、私はそう思っておりますから、ひとつ大臣にも伝えていただいて、何とか——いま次から次へと諸物価が上がる中でマイホームの夢を打ち砕かれるようなこの土地の値上がりというものはがまんできないんです、これはね。  ですから、限られた土地をどう有効に使っていくか、そこにはやはりみんなが協力をして、できるだけ地価を安定させる、こういう努力をしなきゃいかんです。それをあえて土地をつり上げるような政策をやるということは間違いですよ、私はそう強く思っております。ですからして建設省におかれましても、なおこの上とも地価安定政策ということは国の重大な問題としてひとつ御配慮をいただきたいと思います。ぜひひとつ大臣にもよく伝えておいていただきたいと思います。よろしいですか。
  101. 川上幸郎

    説明員(川上幸郎君) 先生のおっしゃいます趣旨を十分体しまして、土地政策の今後の立案に当たりたい、こう考えております。
  102. 鈴木強

    ○鈴木強君 土地問題は、大臣、いま申し上げたような私の気持ちから出ていることですから、私は是は是、非は非としてやっぱりお互いに謙虚に反省をし、足らざるところは補って、そして国民から批判を受けるようなことが再びないようにやることは絶対必要だと思いますよ、私は。もうこういうふうな論議が逓信委員会で再び、公共企業体といいますか、放送法に基づくNHK予算の中でこういう論議が何回も何回も続くようなことだけは厳に避けたいと私は思うのです。そういうひとつ姿勢をお互いにここで確認をし合っていきたいと思います、そういう意味で私はこの点はもうやめておきますけれども
  103. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 私はただいまの鈴木委員の御発言にまことに同感でございます。二度とこのような議論が繰り返され、事態が起きないように、私たちは十分反省をして対処していきたい、かように存ずるような次第でございます。
  104. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私も鈴木先生に対して私の立場を申し述べましたが、たてまえとして私は先生の御発言に全く同感でございます。不幸にしてこういう事実が起こり、これが明年度予算との関係で大きな問題になったことはまことに遺憾だと考えておりますし、私どももこれを一つの貴重な経験として、共感を持ってこれから努力してまいりたいと、このように考えております。
  105. 鈴木強

    ○鈴木強君 それでは次に移りますが、ちょっとジグザグをいたしましたけれども、いまの放送文化基金についてなお若干の質問をいたしたいと思います。  これは会長のほうにお尋ねするわけですが、もし郵政大臣のほうで、会長の御発言で見解が違う点があったら、そのときば同時に答えていただきたいと思います。なければそのまま進んでいただいてけっこうです。  設立の趣旨はわかりました。さっきも塚田委員にお答えしておりますし、それは省略します。そこで、この法人というのは社団にするのか財団にするのか、この辺はどうでございますか。
  106. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 財団法人にいたしたいと考えております。
  107. 鈴木強

    ○鈴木強君 その点はわかりました。  そこで、そうなりますと民法第三十四条によって郵政大臣の許可を受けることになると思います。それでいま問題になりました百二十億というものを放送文化基金としてNHKが出損するのですけれども、これはさっき塚田委員もおっしゃったように、放送法第九条第二項の十号ですね、この解釈は私やっぱり塚田委員と全く同じです。これは少なくともNHKがこれこれの仕事をやるんだということがきめられておりまして、その項目以外のものについては郵政大臣承認を得てやることができるということですから、NHKがおやりになるその仕事のことであって、こういうところへ全を出して、これはNHKがやるというわけでもないのでしょう、これやっぱり財団ができてしまえばね。ですから、その解釈はそれとは私は根本的に違うと思いますから、そういうようなこじつけなことはやめて、とにかく百二十億というものを国会に出して、逓信委員会承認を得た、得た暁においてはこれを堂々と基金として使う、そして財団法人を設立すると、これだけでいいじゃないですか。何か放送法を持ってきて、そしてこじつけな解釈をして、大臣認可でやるんだというようなことになりましても、このこと自体が日本放送協会が業務としてやることではないんですからね、ただ金を出すか出さぬかでしょう、あとは別人格になるわけでございましょう。そういうふうに私はきちっと割り切って、つまらない解釈をして与野党とあなた方と違うような解釈をここへ持ってくる必要ないですよ。国会が最高の立法機関であり、その国会がNHK予算承認したとするならば、この金は文化基金として使うのだということになれば、ずばりそれでいいじゃないですか。なぜそんな九条の二項の十号なんてそういうものを出す必要があるのかわかりませんよ。いろいろいままでも出す場合にそんな理屈をつけてやってきたんですか。百二十億円なんて金は、全く塚田先生おっしゃるように、少しばかりの金ではないですよ、NHKの財産に関して見れば。そういうものをあえていろいろな情勢からしてここでわれわれが承認するということになれば、それでいいじゃないですか。それを使って堂々と財団法人をつくりなさいよ、そして運営してください。そのほうがいいと思いますね。それでいいんじゃないですか。もし法律を出すと、これはまたちょっとわれわれと違うのだ、解釈が。
  108. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先ほども御説明申し上げましたけれどもNHKが行なうことができる、あるいはNHKの活動と申しますか、あるいは仕事と申しますか、これは制限的にきめられているわけでございまして、そこに入らないものは第十号で郵政大臣の認可を受けてやらなきゃならない。もし第十号に入らないとすればNHKは何を根拠に金を出すか、こういう議論が巻き起こるわけでございまして、先ほどから御説明申し上げましたように、NHKが出す放送文化基金というものは、NHKの仕事、これときわめて密接な関係にある場合には、それも考慮に入れて出損行為というものは第九条の二項の十号に該当する、こういう解釈でございます。
  109. 鈴木強

    ○鈴木強君 齋藤さん、そういうへ理屈はやめなさいよ。むしろこれは法律を変えたらいいのだ。何条だったか、事業団に出資することができるというのがありましたね、ここにあります、第九条の三に「協会は、その業務を遂行するために必要がある場合には、郵政大臣の認可を受けて、収支予算、事業計画及び資金計画で定めるところにより、宇宙開発事業団に出資するとができる。」これを「宇宙開発事業団等」とか何とかにして、堂々と出せるようにしたらいい。  その九条の二項の十号というのは、こるは非常に解釈上は塚田先生もおっしゃっているように、NHKは「左の業務を行うことができる。」というのであって、NHKが直接する業務のことをいっているのだ、これは。だから、それをほかにないからあなた方はこじつけていままで三億円出したりなんかしてきたのだ、番組センターに、ほかにないから。だったら、もっと明確に、少なくともこれは国会の承認する事項ですから、そうであればこんなこじつけをやらないで、九条の三というのはこの前新しくつくったのですから、こういうときに「等」を入れて、そしてこういう場合には九条の三によって出資ないしは出捐できるというように法律を変えなさいよ。そのほうがすっきりしていいのだ。何か条文にあなた方がこだわると、やはりわれわれとしてはその解釈は違うと言わざるを得ないので、その点はひとつ懸案問題として検討してください。とにかく、ここで国会が承認すれば出資についてはきまるわけですから、そういうふうにひとつ理解して、放送法電波法の改正もこういう点を早く変えればいい、大臣の権限を強くするようなことは困るけれども。こういう実情に合わない点がたくさんあるから、そういう点を早く直しなさいというのがわれわれの意見なんです。これは大臣どうですか、そういうふうに理解してやろうじゃないですか。
  110. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 放送法の改正につきましては、各方面からいろいろの御意見等を聞いておるわけでございます。そうした御意見なども参酌しつつ、皆さんと十分協議をいたしまして、そうして最終的に結論を得られるようにいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  111. 鈴木強

    ○鈴木強君 齋藤さん何かあるんですか。
  112. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) ただいま大臣から申し上げましたとおりでございますが、将来、電波法、放送法の改正の場合には、ひとり検討事項としてわれわれわれの段階で十分論議を尽くしたい、このように考えております。
  113. 鈴木強

    ○鈴木強君 それで、これは大臣に伺ったほうがいいですかね、民法第三十九条にいうところの財団の設立者というものは、一体これはだれになるんですか、その責任者ですね。設立準備委員というのは広く各界から選ぶそうですけれども、それはNHKのほうでもいいですよ、その準備をそちらでやっているとすればね。一体、設立——まあ代表者といいますか、そういうのはだれになるんですか、NHKがなるんですか、NHKということになると代表者は会長、前田さんですから、そうなるのか、それはどうなんですか。
  114. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 設立者と申しますと、すなわち出捐者——NHKでございます。  ただ、そのあとの運営につきましては、これはまた全く別法人でございますので、これはまた別な点から検討されるべき問題だと思います。
  115. 鈴木強

    ○鈴木強君 設立者が音頭をとって設立準備委員をお願いし、その設立準備委員が集まって設立準備総会といいますか、というものを開くわけですね。総会においていろいろと郵政大臣に認可を受ける諸事項について議決をし、そうしてそれを郵政大臣に提出をし許可を得る、こういう手続になると思うわけですね。  ですから、あなたの言うそれはその準備をするだけの責任者であって、あとはどうなるか、そこできめられるのであって——それはそうでしょうね。しかし、NHKの業務としてほんとうはやってもいいんですよ、これはね。ぼくもそう思うんです、何も基金をつくってやる必要もないと思うのだが、まあこうなっていますからね、一応それを是認した上で話を進めるんだが、そうなるとやっぱりNHKというものがある程度その中で役割りを果たさないと、実際問題としてはうまくいかないんじゃないかと思うんです。その辺の運営は、あなたが言うように、全部手続はNHK側にまかしておくわけだから、その設立準備委員会でどうきめようと、それは郵政省が関知することじゃないでしょう。だから、あなたのいまの考え方のことだね。
  116. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 放送文化基金の設立につきましては、NHK側から説明をお聞きしたわけでございますけれども、その説明によりますと、この文化基金がやる仕事は、従来NHKが本来業務としてやっている仕事、こういうようなものはあまり含まれない。あくまでもわが国の放送文化の向上発展というような高い見地からこれを運営していくのだというような御説明を承っておるわけでございますが、そういたしますと、その設立準備委員の選定その他につきましても、そういう事柄が加味されて、あるいはそれが指導原理になって設立準備委員の選定が行なわれるというのが当然の帰結ではなかろうかと、こういうぐあいに了解しておるわけでございます。
  117. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、これはNHKもその考え方でよろしゅうございますか。
  118. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) NHKとしては、先ほど申し上げましたように、民法第三十四条による公益財団法人の設立を考えているわけであります。これと関連しまして三十九条はNHKが立つべき立場かなり規定しております。  この三十九条は、NHKが設立者として基金の財産、金額、これを出指して、さらに寄付行為を定めるという行為が必要になってきますが、この三十九条は、同時に「三十七条第一号乃至第五号ニ掲ケタル事項」すなわち法人の目的、名称、事務所、資産に関する規定、理事の任免に関する規定「ヲ定ムルコトヲ要ス」ということになっており、また新しい民法の総則上の解釈では「財団法人は、一定の目的に捧げられた財産を中心とし、これを運営する組織を有するものである。」したがって財団は「自主的にその意思を構成して活動することができず、ただ設立者の意思によって与えられた、固定した目的と組織の下に、恒常不変の存在を持続しうるだけである。」という解釈、これは我妻先生の解釈でありますが、そのような解釈がございます。したがいまして、そのあとで郵政大臣との関係が生ずるものであると私はただいまのところはしろうとでございますが、考えており、これらの問題をも含めて有識者の御意見を伺いたいというのが私のただいまの考え方でございます。
  119. 鈴木強

    ○鈴木強君 今度、郵政大臣の主管に属する公益法人の設立および監督に関する省令」というものが全面的に変わりましたね。それで、この中を見ますと、第二条に「(設立許可の申請)」というところがありまして、郵政大臣に提出しなければならない添付書類の内容は、「設立趣意書」「定款又は寄附行為」「財産となるべきものの種類及び総額を記載した書類」「財産となるべきものの権利及び価格を証する書類」「設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書及び収支予算書」それからその次に「設立者の氏名又は名称、住所及び略歴を記載した書類」——この「設立者」というのは、すなわちいま言うNHKがやっぱりなるということですから、そうなると思いますね。それから「理事又は監事となるべき者の氏名、住所及び略歴を記載した書類並びに就任承諾書」というようなこと。それから前回の旧令を見ると「設立当初の理事となる者の就任承諾書および履歴書」こう書いてあるんだが、今回は「理事又は監事となるべき者の氏名」というふうに、「設立当初」というところが抜けてますね。そういうふうになっておりますから、おそらくもう準備段階においてこういうことはきめて、それから大臣に書類を出すということになるわけですから、およそ理事はだれ、監事はだれというところまで決定して申請を出すようになるのですね。こういう理事とか監事とかをきめるのは、設立準備総会というのですか、そういうところで、会長、やるんですか。
  120. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) まだそこまでは率直に申し上げて考えておりません。と申しますのは、これは十月以降の実際上の問題でございますので、ただ、御承知のように、率直に申し上げまして経営委員会ないし監事の中にも大専門家がおられるわけです。そういう方々の意見をまずお伺いして、これをつくることを御承認いただいたならば、その方々の御意見、たとえば我妻先生も私ども関係がございます、元の経営委員でございますし、中山伊知郎先生、また商法あるいは民法関係でも鈴木竹雄先生もおられますし、これらの方々で内輪でまず御意見を伺って、それからつくり方について御相談を願う委員会等をつくり上げたいというのが私の率直な実は考え方でございます。
  121. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 電波理局長お尋ねをしますが、放送文化基金からいろいろな金を出す、いろいろな仕事をする、その放送文化基金がする仕事と、この放送法第九条二項との関係をどういうように理解しておりますか。ということは、さっき放送文化基金がすることは、従来あまりNHKがやってないことをやると。しかし、従来やってなくてもNHKがこの法の規定に従ってできる範囲のことをやるのだと理解していいのか。場合によれば、この基金はこの九条二項の規定にとらわれずに、もっと広い資金の助成とかその他、要するに仕事ができると理解しておるのか、そこはどうですか。
  122. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 九条二項の一号から八号までは、これは協会が目的を達成するために業務を行なうことができると、行なうことができる業務でございますけれども、第十号で放送文化基金に出損します場合には、その放送文化基金の活動範囲は必ずしも一号から八号まででなければならないという制限はないと解釈しております。ただ、それでは何でもできるのかと、その出損した結果できる放送文化基金はどういう仕事でもできるのかといいますと、それはそうではございませんで、放送関係のある仕事と、いま具体的にNHKの一例として四つばかり項目があがっておりますが、ああいうような直接放送関係のある仕事、NHKばかりではございませんで民放もございます、あるいは研究機関その他もございますが、そういう放送の進歩発達に関係のある仕事、そういう事柄が放送文化基金の活動範囲であろう、こういうぐあいに解しております。
  123. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 これはしかし重大ですね、そういうお考えだとすると。NHK自身もこの九条二項の一号から九号まで、さらに十号の場合には特に許可を得た仕事しかできない。放送関係のあるということは、この九条自体が七条の仕事をするためにこういうことをやると書いてあるので、これは七条、九条の関係NHK自体も放送関係のあることしかできない。NHKができないことをNHKが出した百二十億の資金でできた財団ができるなんということは、これは絶対に考えられません。もしそういう考え方をしていられるとすれば、その意味で私どもはまた反対をせざるを得ない。どうですか、これはたいへんなことです。
  124. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) いままでもこの条項によりましてNHK高等学園というものが設立されておりますけれども、これが直接にNHKが経営できるのかどうかという事柄は多分に問題があろうと思います。それから番組センター、これはNHKの番組向上のために放送番組センターというものがございますが、この仕事を直接NHKがやることができるかどうかということ、これもまた疑問だと思います。したがいまして十号の規定でもってやり得る事柄は、一から九までのことはもちろんでございますが、それに限定されるものではないというのが従来の解釈でございます。
  125. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 だから言うでしょう、そういう仕事をやるときは、NHK自体が一々郵政大臣の許可を受けてやりなさいと書いてある。それじゃ放送文化基金がやる場合もこの規定に従って全部一々許可を受けるあれになっていますか、そんなことは考えていないでしょう。許可を得たからいまあなたが列挙したような仕事ができたのであって、そうすれば、全く個々のあれは問わずに、包括的に財団に何でもやりなさい、放送関係のあることはと。NHKよりも大きな権限を持ってしまう、そんなばかなことが考えられますか、どうですか。もし何なら、みんなと相談して、もう一度別の機会でもいいですから。
  126. 森勝治

    ○理事(森勝治君) 郵政省、相談をするなら時間をあげるから、何分あればいいかな、十分間……。
  127. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 暫時でよろしゅうございます。
  128. 森勝治

    ○理事(森勝治君) 暫時このままで休憩をします。    午後二時四十二分休憩      —————・—————    午後二時四十四分開会
  129. 森勝治

    ○理事(森勝治君) 再開します。
  130. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 繰り返すようでおそれ入りますけれどもNHK郵政大臣とは関係なしに——関係なしと言っちゃ語弊がありますが、一応自分でできる仕事、これが一号から九号まででございます。それでここに掲げてあるほかの仕事は、十号で郵政大臣の認可を受けてやることができる、こういうことでございますので、たとえばいままでの前例で申しますと、先ほど出てまいりましたNHK学園というものに対する資金的なものをNHKが出しておりますけれども、これが十号で、一号から九号までではやれない、あるいはNHK自体がやれない仕事で、それで郵政大臣の認可を受けて十号でできると、一ぺん出したお金は(「やれない仕事じゃないんだよ、やれる仕事なんだよ」と呼ぶ者あり)一ぺん出したお金はNHK学園の経営そのものに使うわけでございますから、NHKとは直接関係がなくなると、こういうような解釈を従来とってきたわけでございます。
  131. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 私がお尋ねをしている中心の気持ちがわかりますか。NHKでもこの九条の二項一号から九号までの仕事しか、これは法律で権限を与えられたからできるのです。しかしここにない仕事で、NHKが一しかも放送関係のある九条は総括的に七条の範囲内でやる放送関係のある仕事だが、一号から九号までに規定してないことがあり得ると、それは列挙してあることだけやるわけにはいかぬから、そういう場合にはこの規定でやってよろしい、ただしその場合に一々郵政大臣の許可を得なさい。だからして放送文化基金がやってもNHKのこの仕事以外のものにわたるときには、何かそういう郵政大臣の許可を得るとかいう制約があるならよろしい。NHK自体がやるときに郵政大臣の許可を得なければできないような仕事を、NHKが金を出してつくった文化基金が郵政大臣の許可を得ないでできるなんていうことが考えられますか、一体。どうなんですか、そんなばかなことがあるわけがないじゃないですか。
  132. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先生のおっしゃることもわかるわけでございますけれども、ただ私どもの従来の解釈は、個別的に十号で一々認可をするか、あるいは包括的な一つの活動、放送文化基金というものが日本放送文化の向上発展ということに使われるならば、一々具体的なものをその認可の対象にしなくてもいいのではないか、ことばをかえて言いますと、包括的な一つの認可と申しますか、そういうような一定の方向づけられた金がどういうぐあいに使われるか、文化基金のことでございますけれども、それについてある程度の領域さえきまっておれば、認可の対象になり得るのではないか、こういう考え方でございます。
  133. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 それならば、そういう解釈ならば、かりにそれが許されるとすれば、文化基金をつくることと同時に、少なくとも郵政大臣にそういう総括認可をこの九条二項十号によって申請をする手続がなされていなければならない。ところが、そうではないでしょう、あなた方がこの九条二項十号をあれしたのは。NHKが出捐行為をすることの法的根拠はここにあると言っている。いまだかつていま私が問題にしておるようなことは議論になっていないのです。  そこで、第二段。実質的にNHK自体さえも個々に許可を得なければならない、それくらいにNHKのする仕事を厳格に規定をしておるこの法規定からいって、私は、郵政大臣がそういうことを包括的に許可ができるとは、この法律のこの十号の条項を解しておりません。そんなことを考えておるならば、それだけで私はこれは絶対に賛成できない。全くもう百二十億の文化基金、年に約八億で何をやってもいいということになっちゃうじゃないですか。それこそ私どもが最も——いままだ何をするか具体的な当てもないものに、そんな金をぽんと出して、年に八億近い金——四千万は経費にかかるとして、七億六千万の金を総括的に何をやっても放送関係のあることならばいいんだなんという総括許可は、私は郵政大臣も出さるべきでないと思うし、これは重大ですよ、そんな解釈をしていると。
  134. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはごっちゃにしているんですよ。要するに、あなたのほうではこの九条二項の十号というのは金を出すための一つの根拠にしようとしているわけですよ、そこに無理があるとぼくは言うんですね。したがって塚田先生もおっしゃるように、じゃ財産ができますね、できた場合には、この郵政大臣への届け出の省令の中で、その中の新しく変わった第五項目の「設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書」というものを出さなければだめです、「収支予算書」もね。したがってこの場合、やっぱり大臣の認可——認可の条件ですからね。その事業計画書とそれから収支予算書というものをよく見て、これは放送法上からいっても、出した精神に反するか反しないかということをぼくはここで判断すると思っているんですよ。したがって、あなたが言うように、全然NHKができないような、放送関係のないものまでこの文化基金財団でやるなんということば、これはないので、少なくとも九条二項十号に関連をする、要するにこの中でいっている「受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務」それの関係のものしかできないと思うのですよ。だから塚田先生のおっしゃるように、NHKにできないものをここでやるというのは、そんなことは絶対にできないことです。  要するに、この法律というものは私がさっきからちょっと議事進行もあったから提案したんですけれどもね、根本的にあなた方は出資するための一つの根拠としてここをさがしたんだ、ほかにないから。出資する場合は、宇宙開発事業団のときは、これは最近法律を変えたんですからね。国際放送の場合でもそうですよ、われわれが、国際放送NHKがやらなければならぬと規定しておきながら、その費用は三分の一も払っていない、おかしいじゃないかということで追及したときに、田中角榮さんのときに、法律上のミスがあってこれはたいへんだというので、今度は命令した分だけNHKに金を払うというふうに修正したじゃないですか、われわれが国会に来てから。だから放送法そのものももう不備だらけだ。だから私がさっき言うように、こんなあいまいな、どうこうというのはもう消して、明確に、出せるものは出す、出捐できるものは出損する、出資できるものは出資するとすればいいじゃないですか。そういうふうにしてわれわれが納得し、国民が納得すれば、放送全体のレベルアップのために、技術的にも番組の内容についても、そういうために使うのであれば、国民はこれは理解しますよ。だから堂々と、もっとだれが見てもわかりやすいように法律を変えなさい、私はそれを言っているんです。  検討項目入れますなんて、そんなあなたのんきなことを言っているからやられるんだ。もう少し真剣に——われわれが放送法の改正もそういう面を考えて、ここもう三十九年から九年近くも口をすっぱくするほど言ってきたんだが、あなた方が職務怠慢でちっとも仕事をしない、だからこういうふうなことが出てきて毎年毎年国会の中でもってやるわけだ。  もっと言うならば、あまねくNHK放送が見えるようにするというこの条文だってそうですよ、われわれは無線、有線を問わず、NHKには見えるようにする責任があると言うのです。ところが無線の部分だけあって有線のほうはないなんていう、そんな時代に即応しないような解釈を持ってきてやるものだから、それも衝突しているのですよ。  だから、この論議はあなた方の負けだよ、これは。しかしまあ何とかへ理屈をつけて大臣の認可を得ておかなけりゃどうにもならぬから、これを使っているのでね、ほんとうならこれはいけないですよ、こんな条項を使ってやるということは。むしろ私は一年間これをストップして、法律を変えて、それまでにね、ちゃんと出せるようにしてからやりなさい。その間NHKは百二十億を収入の中に入れておけばいいです、ぼくはそれを提案します。やり直したらどうですか、大臣、そんなへ理屈言うならば。
  135. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先生いま御指摘の財団法人の設立の申請に際して、その事業計画予算その他は厳重にひとつ審査いたしまして、第九条二項第十号の趣旨あるいは放送法の趣旨に反しないような審査を——反しないといいますか、趣旨が生かされるような審査をするつもりでございます。  それから第二段、放送法の改正の問題でございますが、将来これは最も大きな検討事項として心に銘記したいと思います。
  136. 鈴木強

    ○鈴木強君 小さいところから大きくなったんでね、だからあなたやっぱりその法のとらえ方なんだ。できるだけ気がつかなければ法律というものをある程度自己流に有権解釈して、そして進もうというところにやっぱり問題があるんで、これはだれが読んで見たってNHKがやれる業務の例外ですよ、これは。その例外でNHKにやらせる。これは業務をやらせるんであって、金を出すということは何もないですね。NHKに与えたその例外的な業務以外のものも財団にやらせるなんて言うから、そういう論議になる。  だから、私はさっき多数の例を出したのだけれども、結局、とりあえず、いまのところは、あなた方が拡大解釈をしているこの九条二項十号によって認可をしなければ、これはできないですよ、ほんといって。できないんだから、その業務はNHKに認めた業務の範囲であるということです、明確にね。それ以外のものはやれない。そしてその具体的な内容については、やがて大臣に申請があるだろうこの法人認可の際に、よくその内容を確かめて、許可した業務にかけ離れているかどうか、適合しているかどうかということをよくごらんになって、したらいいんじゃないですか、何もそこへ出てきてからじゃなくて、話し合いをすりゃいいじゃないですか、話し合いを、これをやる場合に。そしてわれわれが心配している点を十分に生かせるようにひとつこの認可のときに配慮してください。そういうことでこれは進めるよりほかないです。そしてさっき局長が言われたような点を十分今後生かしていただいて、法律の改正のほうも考えてもらうということで進みましょう。
  137. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 御趣旨の点については、十分理解をしつつ、検討をいたしていきたいと存じます。
  138. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこのところは、いま放送法上の業務との関連についてはわかりました。  それから、この放送文化基金の主務官庁といいますか、これはどうなんですか。文化ということがつくと文部省のほうも関係があるように思うのですが、これは主管官庁というのはもう郵政大臣だけであって、ほかの省、大臣との共管というようなことは考えられないのですか、その点いかがですか。
  139. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 現在のところ、郵政大臣だけの所管だと考えております。
  140. 鈴木強

    ○鈴木強君 郵政大臣の所管であって、他の大臣のことは考えないということですね。  それから、念のために伺っておくのですけど、設立の時期ですね、国会が承認をする、それから設立準備の具体的な構想というのはさっきわかりましたからね、大体いつごろをめどにしてスタートしようとしておられるのでしょうか。   〔理事森勝治君退席、委員長着席〕
  141. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この基金が実際問題としてできますのは、売買契約が完成するときでございまして、売買契約の完成は一応九月三十日と予想しておりますので、十月中に準備を整えて、できれば十一月から発足したいという考え方を持っております。
  142. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあできるだけこれは早いほうがいいですからね、きまりましたら、早くできるようにひとつ取り組んでください。  さっき塚田委員の質問で、人件費が四千万でございましたかね、かかるとおっしゃいましたね。正確には幾らですか、もう一度ひとつ。
  143. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたのは、財団としての経営管理関係の諸経費という意味でございまして、内容に、ただいま御指摘のような人件費、さらに物品費、雑費、旅費等、そういうものを含めた意味合いのものでございます。
  144. 鈴木強

    ○鈴木強君 幾らですか。
  145. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) 四千万円でございます。
  146. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはさっきも塚田委員のおっしゃったような点、私も全く同感ですから、NHKがやっておればそういう金は少なくとも不必要になるわけでして、こういうところをやはりこれをつくることによってのマイナス面があると思いますよ。ですから、できるだけこれは切り詰めて、優秀な人で成果をあげるようにくふうしてもらいたい。  それからもう一つは、やがてこれに理事とか監事とか役員が行くと思いますけど、これはいろいろ非難されるような天下とりとかなんとかいうことのないように、十分配慮していただきたいと思いますが、その点はいかがですか。
  147. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 十分配慮いたしたいと思います。
  148. 鈴木強

    ○鈴木強君 次に、基金の運用の点ですけど、財団自体が直接事業を行なっていくようになるのか、あるいはある程度資金を援助して、そしてその資金の援助によってやらせるのか、さっきの事業の問題との関連ですけど、この辺はまださだかになっていないんでしょうか。
  149. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 基金自体が事業を行なうことは、私どもとしては考えておりません。援助ということが中心になると思っております。
  150. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますとね、その援助をきめるときの基準とか審査とかいうのは、だれがやるわけですか。
  151. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この基金の組織として、審査委員会のようなものをつくりたいと考えております。
  152. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、財団の財産の運用の問題ですけど、この百二十億円というものは、さっきお話聞いておりますと、利息が何分になりますか、七、八億円の利息が浮くそうですからね、そういうものによってまかなえる範囲であれば、百二十億というのはそのまま積み立てていけるわけですね。しかし、どこかでやっぱりこの百二十億というものをだんだんと食いつぶしていってしまって、だんだんこれが百億になり八十億になるという、そういう心配が一つあるわけですね。その辺に対しては、今後、何かこの財団の資金の面で考えているところがございますか、これをふくらましていくような方法か、この資金運用に対しての考え方はありますか。
  153. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この金額が永久の基金の総量であると私は考えたくないと思っているわけです。したがいましていろいろな社会的参加を求めることが可能であれば、また自発的に基金に参加してくださる方がおれば、私はこれを受け入れるべきだと考えており、また同時に、その果実によって行なう事業についても、運営面で協力するという部分があり得れば、これを受けるにやぶさかでない、こういう考え方を持っております。
  154. 鈴木強

    ○鈴木強君 そういうことはまあ今後でき上がる財団の皆さんが十分検討してやってくれると思いますけれど、NHK自体としては、この百二十億円にさらに今後の情勢によって出損するというような構想はいまのところはないわけですか。
  155. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 現在のところは、持っておりません。
  156. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから財団のことに関連して、ちょっと大臣、まだ本論に入らないのですけど伺いたいのですが、これはいろいろの経緯がございましたけどね、その前置きは省きます。  東京の新宿にあります東京ケーブルビジョン、それから名古屋にございます名古屋ケーブルビジョン、それから京阪神ケーブルビジョン、それから福岡ケーブルビジョン、この四つは大臣が認可をした財団法人と思います。そこで、特に東京ケーブルビジョンにいたしましても、認可をされてたしか四年近くたっておると思うのですけれど、残念ながらこの収支目論見を見ますと、昭和四十六年四月一日から四十七年三月三十一日までの会計期間中に三千百二十九万円赤字になっておる。名古屋ケーブルビジョンが六百八十四万三千円、それから京阪神ケーブルビジョンについては四千六百七十六万七千円、福岡ケーブルのほうはちょっとよくて一億一千四百六十一万二千円の黒字経営、こういうふうになっておるのですが、一体、大臣は、これを認可して、こういうような財団の経営状態になって、なおこれを存続していくのかどうなのか。あなたが認可をしたその目的に沿っておるのですか。特に東京ケーブルビジョンというのは有名無実であって、そもそもオリンピックのとき、放送を見ようというので、カラーテレビが見えないという新宿地区に対してつくったのであって、こういうものをいつまで続けていくのですか、存続させるのですか。行管から勧告があったかどうか私知りませんけれど、きょうは行管をちょっと時間の関係で呼んでいませんが、そういう不健全な経営をしているものを私はこのままにしておくことは郵政大臣の責任だと思います。すみやかによく内容を検討していただいて、この認可を取り消すなり何なりしたらどうですか。
  157. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) ただいま先生指摘の四つの財団でございますけれども、これがまだいずれも本格的なCATVの実施体制ということには入っておらないわけでございまして、いま直ちに御指摘のような赤字があるからといってその存廃を決するということは、いささか早過ぎるのではないかというぐあいに考えられますが、しかし、いずれにしましてもCATVに対する需要が当初予想されたよりも少ないわけでございまして、その点で相当問題があると思います。したがいまして今年度、来年度中にCATV関係調査会と申しますか、関係者で調査会を持ちまして根本的な検討を加えたいと思います。ケーブルビジョンだけではございませんで、すべての問題についてひとつ根本的な検討を加えてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  158. 鈴木強

    ○鈴木強君 齋藤さん、それは初めての人に言うならそれでも申しわけが立つよ。しかしこのスタートから、まあ私はいま時間の関係で省いたのですけどね、あなたがそう言われるとやっぱり言わなきゃならぬ。  大臣、これよく聞いてください。当初ですね、財団法人でも何でもないのですよ、任意の会社ができたんですよ。それが経営が行き詰まっちゃって、つぶすわけにいかぬから、あなたのほうで音頭をとって、NHKだとかいろいろ関連の人たちが入ってそれで財団をつくって、あなたが認可したかっこうをとってスタートしてきているのです。まだ早いと言うけれども、もう四年近くもたって残念なことに加入世帯というのは千百八十九件しかないのです。それも新宿が七百八十九、池袋が三百九十七です、これはことしの二月末現在で。こんなゆうちょうなことをしておって、まだ早いとは何事ですか。  桜の花が咲くころにベルボーイが認可になると言って、五年も六年もたってから認可がされたんだから、そういうゆうちょうなことを日本電波監理局がやっておるから、いつもいつもここでもってみんなから非難されるんですよ。これはもう少し責任のある事業目論見書、収支決算、こういうものをわれわれにも示してもらいたいと思うんです。  大臣もぜひひとつこの内容を十分に検討していただいて——もう行管からだって、こんなものは解散せいって勧告が出ますよ。ただメンツでもって強がりを言ってみたって結果が少しも伸びないじゃないですか、いつまでこれを待とうというんです、これは私はいけないと思いますね。  ですから、大臣も監理局長なり官房長からよく聞いてみてください。そして向こうの関係者も寄って鳩首凝議して、ほんとうにやるならやるように責任のある前進を見せてください。六年も七年もたって千百八十九とはこれは何事かと言いたいんだ、私たちは。いま新宿には、この前も私が指摘したようなビル陰障害も出ておりますから、そういうような関連も合わせて、地域の方々あるいは施行者の方々であそこではやっているようですから、そういう方々ともよく話し合いをして、ほんとうに認可した東京ケーブルビジョンというものが再建のめどがあるんなら私はいいですけれども、いまのところは再建のめどがないと私は見ているんですよ。ですから、その点を十分にひとつ検討していただいて、われわれにも責任のある回答をしていただきたいし、また大臣の所見も承りたいと思うんです。
  159. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 御意見の点を十分勘案しつつ、検討させていただきたいと存じます。
  160. 鈴木強

    ○鈴木強君 それでは、予算の内容について若干伺いたいと思います。  まず、郵政大臣最初若干伺いたいんですが、放送法の改正というものもなかなか遅々としてできませんし、その間に時代はどんどんと進んでいく、実態と法律とがうまくかみ合っておらない、こういう事態がございます。  それで、NHKの場合も、今日五十周年を迎えようとしておるんでありまして、その歴史は遠く長くいろいろ紆余曲折はあっても、皆さんの御苦労で公共放送というものの使命を果たしつつあると私は思います。あなたは大臣に就任されて日なお浅いかもしれませんけれども、実際に公共放送としてNHKはこうあってほしいというような考え方がございますでしょうか。  また、ことしの予算を拝見して、この意見書というのは毎年形式的な抽象論で書いてきますからね、おおむね妥当だというんだけれども、おおむね妥当というのは一体何なのか。ことばの観念としてはわかるんだが、具体的によくわからない、こういう点もあります。  企業に介入するとか何とかということでなくて、所管大臣として、このNHK予算を提案するに際して、現行のNHKのあり方が百点満点なのかどうなのか、こういう点はこういうふうにしたほうがなおベターであるというような点があるのかどうなのか、そういう点をもしお気づきになりましたら、率直に聞かしてもらいたいと思います。
  161. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 日本放送協会いわゆるNHKは、聴取料によってその経営がまかなわれておるという特殊な形態を持った財団法人でございます。でありまして、しかも国民の大多数と申し上げてもよろしいほどの聴取者の方がこれに聴取料を支払っていただいておるのでございますから、やはり聴取者の皆さんに十分お報いをしていただけるような経営をしていただきたい、放送法規定されておりまする使命に徹してこの努力をしていただきたい、かように私は考えておるような次第でございまして、今後のこの協会の運営はもちろんのことでございますが、放送上の内容その他等につきましても、十分に経営者がこのことを理解をし努力をせられることを期待いたしておるような次第でございます。
  162. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ抽象論で、それもちょっとよくわかりませんが、具体的にないようですから、けっこうです。  それから、最初に、NHK予算——財源のすべてといってもよろしい聴視料ですがね、この放送受信契約者数というもののつかみ方でございますが、積算の基礎になっております——普通・カラー合わせて有料が六十三万六千件ですか、それから無料が六万一千件だと思いますが、年度内に増加を見越される分ですね、これの根拠は一体何を基準にしてこういうふうなものがはじき出されたんでございましょうか。
  163. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) お答えいたします。  四十八年度の契約につきましての積算の根拠は、四十八年度の日本の総世帯数を三千百万と見込んでおります。そうしてその中で有料契約となり得る世帯数を二千九百九十一万八千と、そういうふうに見込んでいるわけでございます。ただし、この中で、テレビを実際にお持ちになっている方をそれぞれの資料に基づいて推計いたしまして、その結果は三千七百十四万でございます。で二千七百十四万の中で、四十八年度の年度末に二千四百二十五万二千にするというのが私ども計画でございます。  そのほかに非世帯の問題がございまして、非世帯につきましては四十八年度の年度末に四十四万一千ということを考えております。  ただいま申し上げましたのが、契約総数についての算出の根拠でございます。
  164. 鈴木強

    ○鈴木強君 それぞれの資料によって、有料見込み世帯二千九百九十一万のうち二千七百十四万が加入者全体としてのトータルになるわけですね。
  165. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) はい、そうでございます。
  166. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうですね。それで、この非世帯の場合の分は、この中には含まれておらないんですか。
  167. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) はい。
  168. 鈴木強

    ○鈴木強君 それをちょっと言ってください、非世帯
  169. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) いま御指摘がございましたように、年度末の世帯契約が二千四百二十五万である、そのほかに非世帯の契約が四十四万一千ございます。合わせまして二千四百六十九万でございます。
  170. 鈴木強

    ○鈴木強君 この非世帯というのはなるほど四十八年度末四十四万一千というのはわかりましたけれども、非世帯カラーテレビの保有台数というのはなかなか捕捉は困難だと思いますよ、NHKのほうでもね。しかし、この点は、もう少しくふうをされて、的確な保有台数というものを掘り出す必要が私はあると思うんですよ。今年度、どうなんですか、これで見ますとよくわかりませんけれども、何万と見ているんでございますか、この非世帯の分は。
  171. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) 来年度の非世帯の契約増を三万と見込んでおります。
  172. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは私は少し少ないようにも思いますがね、率直に言って。だから皆さんのほうで非世帯の保有台数というのは一体どのくらいあると見ているわけですか、まだ未契約の分が。
  173. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) あと十七万あると見込んでおります。
  174. 鈴木強

    ○鈴木強君 十七万あると見込んでおるのに、どうして三万しか計上できなかったんですか。
  175. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ここ両三年の非世帯の増加件数から推計したものでございます。
  176. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは従来の努力しかしないということですね。もっと保有台数の掘り起こしもやってもらわなきゃならないし、それから少なくとも十七万という人たちが契約をしてないということが事実とすれば、これに対するもっと積極的な対策を立てるべきですよ。三万というのは少ないから、従来の率からいって三万だと言うけれども、それを、あなた、もっと上げて、六万なり七万なりにする努力というものをどうしてやらないのですか。
  177. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) 御指摘のとおり、やりたいと考えております。昨日も全国の営業部長会議でその旨を強く要請しております。
  178. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣、これは新聞紙上で私見たことですから、まああなたのほうはどうも新聞というのをおきらいのようで、会長もよく新聞のことはすぐ反発してくるんだけれども、これは事実だと私は思うんですがね。この辺がNHKの今度の予算の中で郵政省側がクレームをつけた一つじゃなかったんですか。この捕捉の点ですね、たとえば非世帯の事業所というのが私は全国に何百万とあると思います。そういうところに一体どれだけの保有台数というものがあるかどうかというその調査そのものが、十分できているんですか、いないんですか。郵政省としてもう一回この点は検討してくださいと、こうNHK側に検討をお願いしたんじゃないですか。それにはそれだけの郵政省側に理由があったと思うんですけれども、いかがでしょう。——まああんまり先まで言ってしまうと、もしやらないんなら失礼ですが。
  179. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 意見書の中に、私が指摘をいたしました点も、その点でございます。「収入の確保に努めるべきである。」かように申し上げておりまするのは、世論を通じて、この非世帯受信料確保につきましていろいろの批判があったことを私はよく承知をいたしておるわけでございます。その事実の有無につきましては、これは調査をいたさなければできないことでございますので、その実数についてははっきりしたことは申し上げられませんけれども、とにかく収入の確保に全力をあげなさいと、かように意見書に申し上げておるような次第でございます。
  180. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは、齋藤電波理局長さん、十七万とNHKは踏んでいるようですね、郵政省として何か調査をなさったことがございますか。そういう資料によって、郵政省側としては、どのくらいのまだ未契約の非世帯テレビがあると見ておられますか。
  181. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 郵政省としては、こういう調査はまだ行なったことがございません。それで、今回のNHK予算に際しまして、NHK側から報告を求めたわけでございますが、一応、その報告は了承されるというぐあいに考えておるわけでございます。  ただ、先生がおっしゃいますように、一般の家庭でテレビ受信機があると考えられる数の九〇%が契約の対象になっておりますが、非世帯につきましては七〇%そこそこと、こういうことになっておりますので、収入の確保という面につきましてはまだ努力の余地があるのではないか、こういうことで意見書に書いたと、大臣がいき申し上げたとおりでございます。
  182. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、全体の保有数の九〇%しか実際の契約はしておらないというのが郵政省の見解として承っていいんですか。
  183. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) NHK説明によりますと、いろいろな計算方法があるわけでございますが、三千万世帯の中でいろいろな計算によりましてテレビを持っていると推定される数が出てまいります、その数の九〇%が四十八年度中に契約されると。あとの一〇%は四十九年度以降に回される。その理由は、たとえば、年度末に受信機を買ったとか、あるいは契約に行ったけれども留守だったとか、あるいは転居などのためになかなかつかまらない、こういうような世帯が相当あるわけでございます。それが先ほどNHKから説明のありました二百八十何万と、こういうことになるわけでありまして、その二百八十何方が契約を拒否している世帯というわけではございません。
  184. 鈴木強

    ○鈴木強君 郵政省のほうは調査してないんだから、あなたのほうはわからぬのだよね、これは。言う権利がないんだよね。  そこで、NHKのほうで調べられたもので、ちょっと資料があったら教えてほしいんですけれども、まず世帯で持っておって、何というのかな、契約してないというのが——二千九百九十一万というのは世帯の総数ですね、それからそれぞれの調査によってテレビを持っていると思われるのが二千七百十四万世帯と、そうですね。それで四十八年度に二千四百二十五万までは持っていきたい、こういうことで、そこまではいいですね。そうしますと、これは引けばわかるんですが、幾らになるんですか、残りは。二千七百十四万からこれを引きゃいいんだけれども、何ぼですか。
  185. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) 残りは約三百万になります。
  186. 鈴木強

    ○鈴木強君 約三百万。——この三百万のうち、カラーと白黒と分けて、カラーが幾ら、白黒が幾らと見ていますか。
  187. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ちょっとただいまその資料を持ち合わせておりませんので、後刻御報告いたします。
  188. 鈴木強

    ○鈴木強君 それはそれじゃ後刻お願いします。  それでは今度、非世帯の場合、十七万がまだ未契約だというんだが、その根拠がちょっと私ら非常に問題があると思いますが、いま事業所は全国で幾らありますか、官庁なんかも入れて。
  189. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) 百十八万でございます。
  190. 鈴木強

    ○鈴木強君 百十八万。——そうしますと、その事業所に一台はテレビがあると私は思うんですよ。ホテルとか旅館とか役所とか——国会とか会館なんかみな持っていますね。こういうものは全部その中に入っているわけですね。だからして百十八万という事業所の数があるとすれば、私は少なくとも一台ぐらいはあると、平均して。平均して何台ぐらいあると見ているんですか。
  191. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) まず申し上げたいのは、ただいま申し上げましたように、いわゆる事業所というのは百十八万ございますが、その中にきわめて小規模で家族的な営業をやっている喫茶店とか旅館とか、そういうのがございます。そういうのが世帯契約の中で契約しておりますので、そういう数がかなりただいま申しましたような百十八万から減じられるわけでございます。
  192. 鈴木強

    ○鈴木強君 そういう家族みたいにやっているのは幾らですか。
  193. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) 三十八万でございます。
  194. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると八十万残りますね。その八十万というのは、大きく分けて、ホテルが幾ら、旅館が幾ら、官庁関係が幾らですか。
  195. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ただいま半分しか申し上げないで失礼いたしました。いま申し上げたそういう世帯契約の中に入っているもののほかに、きわめて小規模な事業所で受像機を持ってないというのがかなりございます。その数は五十二万九千でございます。したがいまして私どもが非世帯の契約対象として考えておりますのは二十七万三千でございます。そしてその所有台数が四十七年度で五十八万二千、四十八年度で六十一万と推計いたしております。
  196. 鈴木強

    ○鈴木強君 そういう計算でしょう、その十七万というのは。それば私はもう少し調査をしてほしいんですよ。これは立ち入り権とか調査権がありませんからむずかしいでしょうけれども、たとえば官庁関係は厚生省、旅館そのものは運輸省のほうなんですよね、そういうところにも協力を仰いで、実際に受信機を持っておれば契約をしてもらうたてまえなんだから。ところが、旅館でも、一件やっておればそれでいいんだろうなんというふうに錯覚を起こしている人もいるかもしれませんね、知らないために、悪意でなくて。ですから、そういうところには協会もやるし、それからいろいろな各官庁の協力なんかも得て、そしてたとえば農林省だったら農業何とかという団体がありますね、そういうところにもよく趣旨を話して、まず実態を把握することですよ、実態把握をね。そういうふうなことをもっとやっていただけば、台数もはっきりわかるし、それからまたそれに対するお願いもできると思うんです。  問題は、NHKがやっぱり姿勢を正して、自分たちの協会なんだから、いい放送をしてくれる、払おうじゃないかというような、そういういい番組を流してもらうと同時に、たいへんでしょうが、その努力をしていただかなければならぬし、そのための費用というのがことしも組んであるようですね。集金人さんだとか、新契約者の開拓ということはたいへんな苦労があることは私も知っていますよ。ですから、もっとそういう知恵を出して、積極的に非世帯の保有台数というものをまず掘り出して、その方々に積極的に契約していただくような努力をもっともっとしてください。この数字はあなた方がいまいろいろなことから、できるだけの努力をして調べた結果捕捉した数だと私は理解しますけれども、もう一段の努力をしなければいけませんよ、もっとやれば入りますよ、どうですか。
  197. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) いま御指摘のように、ただいまもいろいろとり得るすべての手段を尽くして、一々申し上げませんけれども、努力はいたしておりますけれども先ほども申しましたように全国的にこの問題は推進してまいりたい、そういうふうに考えております。
  198. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 世帯といわず非世帯といわず、従来たびたび激励をいただいております。私どもは肝に銘じておりまして、この関係につきまして十分なる活動をいたしますことがNHKの公共機関としてのあり方であろうと思います。またそういうことで、郵政大臣からも、収入の確保をはかって将来の経営の安定、あるいは値上げを回避するような努力をしろと、これは当然でございます。そのような努力をいたしてまいっておりますが、現在の状況をもちまして、実は正直に申しまして、十分とは考えておりません。そこには申告の義務もございませんし、立ち入り調査権もございませんし、そういう難点はありますが、そういう泣き言は申しません。現在の制度のたてまえにおきましていろいろ方法もあることでございますし、ただいま御示唆をいただきましたたとえばホテル、旅館等については確かに組合がございます、またそれを所管する官庁もございます。また病院等についてもそういった組織もございますし、その他いろいろな組織の非世帯状況につきまして、それぞれ全国組織あるいは地方組織のあるものもございますので、そういうところの協力も得ていろいろ今日努力をいたしてまいっておりますけれども、将来も一そうそういった点については努力をしてまいりたいと思います。  ただ、世帯の点につきましては、いろいろ先ほど吉田理事のほうから、テレビを設置しておってなおかつ契約に至っておらないものが三百万世帯近く、実際には二百六十八万と私ども見ておりますけれども、そういう数字がございますけれども、これは固定的に契約外に放置されているものではないのでございまして、二千七百万世帯テレビを持っております世帯そのものが非常に循環をしております。そう申しては非常におわかりにくいと思いますけれども、現在、都会ほどひどいのでありますが、全国平均で見ましても約一二%の世帯移動がございます。そういう面は在来契約はそのまま生かしておきまして、移転先を把握する努力をいろいろな手段を講じて、経費と人手をかけてやって、そうしてその関係の料金を納めていただく、そういう努力をいたしておりましたが、この移転先の調査自体には非常な人手とぼく大な経費がかかります。かえってそういうことよりは、移転されれば旧住所においては一たん私どものほうで契約を消滅させる措置をとり、新しくどこかで、日本国内に生活しておられるのでございますから、しかもNHK全国組織としてそのような人員、機構を持っておりますので、新しい転居先で契約をしていただいてこれが新規になる、そういう循環をいたしております。そういうことから、二千七百万世帯のうち二百六十八万世帯は、これは恒久に無契約の状態にあるのではなく、二千七百万世帯自体がそのような流動状態を続けております。一定の時期をとって考えてみますと、そういう契約に至っておらないものが案外数多くあるのでございますけれども、それは契約の対象としていろいろの努力をいたしてまいっておりまして、現在の状況では、そういう静止状況で見ますと、テレビ所有世帯の九〇%は現実に契約をいたしていただいておる、こういうことでございます。  非世帯関係につきましては、いろいろ吉田理事からもお答えを申し上げましたけれども、この百十八万の非世帯の中には、実際は世帯と区別のつかないような事業所もございます。非常に小規模のもので、壁一重で片方は住居、片方は店先で営業しておる、これも百十八万世帯の中に入っているのでございまして、そういうものは世帯でも契約をしてもらい、壁一重で事業所があるからにはそこでも非世帯として御契約を願いたいということは、なるほど概念形式的には一つの非世帯の中に入りますけれども、社会常識に反する結果になりまして、そういう形式的真実を追求いたします反面におきましては苛斂誅求のそしりを非常に受ける、受信料制度そのものにつきまして非常な不信と反撃を受けることにもなりますので、そのようなものにつきましては世帯ではっきり契約をしていただいて、これは事業所にもそれを含めたものという扱いをいたしております。そういうものを差し引きますと、先ほど答えましたように二十七万三千件が非世帯契約対象の個所でございます。  この中にはかなりの大規模のホテルもあり、大小いろいろの規模のあります旅館とか官公署、会社、船舶、病院、飲食店、喫茶店というものがあるわけでございますけれども、そのうち約七〇%の契約を現実にいまいただいておる。この点は、これをもって私どもは満足いたしておりません。御指示のとおり、四十八年度におきましてまだ十七万未契約の状況であるのに三万しか計上しておらないということは、これは三万しかやらないということではないのでございまして、最小限度の収入の見積りでございますので、これは確実にとれるだろうということでやっておりますが、まだ十七万あるのでございますので、これは可及的にいろいろな手段、方法を講じまして契約をしていただくような努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  199. 鈴木強

    ○鈴木強君 たいへん苦労されておることはよくわかります。私どもなんかまだ白黒を使っておりますけれども、二カ月に一ぺんぐらい来ますね。家内がうちではこわれたら買い直すのだと言うと、二カ月日に来て、まだこわれませんかと言うんですね。うちではもうアンテナを見ればわかるでしょうと言うのだけれども、それくらい熱心に来ますよ。だから確かによくやっていることは私ども認めておりますけれども、しかしまた見当違いのところに行くと反感を食うんですよ、ほんとうに白黒をやっているのに、おまえさんのところカラーじゃないかなんてしつっこく言われると、けんかになったりするので、その辺が私が言う苦労しているということになるんです。いまお聞きして、なお一そう努力の実情がわかりましたけれど、さっき私が申し上げましたような、これは大臣もいらっしゃいますからね、各官庁、各大臣等にもできるだけ協力をしていただいて、監督の立場にある大臣で、まあ行政指導ということもおこがましいですけれど、いろいろな意味でやっぱり契約をするように努力をしていただくようなことも、大臣にもひとつ御配慮いただくとか、そういうふうないろいろなくふうをして、そしてぜひこの契約数というものをふやさないと、財源が伸びないわけですから。  と同時に、私が申しましたような番組の向上ですね、内容の向上、こういうことについて特に重点施策の中にことしも取り上げていただいておりますから、そういう点を十分配慮してやっていただきたいと思います。
  200. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 非世帯関係につきましては、ただいま御指摘のとおり十分にこれは実情を把握をいたしまして、そうして実数を確実に調査をし、しかもこれに受信料を払っていただきまするようにすべきであると私は思うのでございます。  ただいま、鈴木委員からはしなくも御家庭のことについてお触れになりましたが、私の宿舎もまだ白黒でございまして、私自身、カラーテレビにかえたらどうかと家内に言うんでございますが、まだよく見えますからかえる必要ないと、こう言ってがんとして聞かないのでございまして、もう十数年前に買い入れましたテレビをそのまま据えつけたままでございます。  それから、閣議等で一緒になります各省の所管庁の長には、そのことはよく私は申し上げておるような次第でございますが、国会も同様でございます。国会の議員会館あるいは議員宿舎、こういうところにもテレビがそれぞれ備えつけてあるわけでございますから、こういうような機関に設置してありまするテレビにつきましては、皆さんがぜひ、かりに不幸にして未契約の方があるとするならば、一刻も早く契約をひとつやっていただきたい、かように思っておるような次第でございまして、機会あるごとに皆さんにこのことは申し上げておるような次第でございます。どうぞ御理解のほどをお願いをいたしたいと存じます。
  201. 鈴木強

    ○鈴木強君 カラー受像機の需要の動向というものを電子機械工業会の民生国内調査委員会のデータで調べてみますと、昭和四十七年が六百四十七万三千件。そのうち新規が六九%、買いかえが九%、買い増しが二二%というふうになっています。それから四十八年度を見ますと、若干減りまして、六百一万四千件。新規も五九%と若干減っていますね。それから買いかえがちょっとふえて一六%、それから買い増しが二五%と、こうなっております。ですから、やっぱり更改期に来るような時期が重なれば、そのときはちょっと多くなると思うのですが、いずれにしてもこの需要というものはかなりまだ多いように思いますね。  会長は、何か世帯でも二つ以上保有しているところは、さらに二台目からも取るようなお話をちょっとしたようでしてね、これも新聞報道に伝わりましたが、これは事実ですか、報道があったことは事実ですね。
  202. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ええ。
  203. 鈴木強

    ○鈴木強君 この構想が土地問題のあとに出たものですから、少しがめつくはないかというような意見も聞いたのですけれども、あの構想というのは、これは前田会長、会長としての考え方ですか。
  204. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) あの新聞報道も、実は、記者クラブの会見で質問を受けましたので、五年前に聴視料制度を変える際にいろいろな構想を持ったわけで、その当時検討したことばあると。しかし、現在は考えていないという答え方をしたものでございます。あの当時はまだ一七%ぐらいでした、複数の受像機を持っておる方々は。現在は四〇%に至っているかどうかという程度だろうと思いますが、現在のところは、考えていないという結論を話したわけでございます。
  205. 鈴木強

    ○鈴木強君 現在のところは考えてないのだけれども、やっぱり考えているんでしょう、これは。
  206. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 考える必要のある時期が来れば、考えなければいかぬだろうという考え方は持っております。
  207. 鈴木強

    ○鈴木強君 それで、あなたが思いがけない金が入ってきたものだから、いろいろ使い道を考えているんですが、その中で受信料は、聴視料は三年間上げない、こうおっしゃいましたね。これは公式の発言でございまして、四十七、四十八、四十九、五十年、従来の中期的な計画とかあるいは長期計画をぼくらは知っておりますけれども、何か資料をちょっと拝見したんですけれども、四十八、四十九、五十年の三カ年間の従来の中期計画といいますか、それの変更をして、たしか前は五十数億円ですね、収支の面から見ると赤字になるような内容であったというふうに思うのですけれども、これは私の記憶間違いかもしれません、はっきり覚えておりませんけれども、いずれにしても財政はこう下に下っていくというようなことだったんですが、五十五億円ですか、安定化資金というか、そういう面で今度のもうけたやつが使われるようですから、それによって持ちこたえるということだと思いますけれども、もう少しはっきりした根拠を示してほしいんです。これは郵政大臣の意見書の中には相当長期でしたですかね。
  208. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 「極力長期」です。
  209. 鈴木強

    ○鈴木強君 「極力経費の節減と収入の確保に努めるべきである。」とあるので、極力経費の節約、受信料については「極力長期にわたって受信者の負担」——「極力長期」というのはどういう意味か、なかなか文章というのはうまいもので、よくわかりませんですけれども、これは世間では三年間上げないというと、三年たったら上げることを認めたんじゃないかとか、三年たったら上げるだろうというようなことを言われるわけでして、そうなのか、それとも全体の計画を練り直して、それから収入も契約者をもう少し掘り起こしてふやしていって、できるだけいまの料金は維持していくというふうに考えておるのかどうなのか。それから、白黒からカラーにやっぱりできるだけ転換していくというようなこともあわせて考えて、三年たったら上げるという意味ではないでしょうね、これは。三年間、ひょっとすると、もう少し早く上げるかもしらぬというような話も聞きましたね、前に。ですからそういう意味でございましょうか。  それにしても、その裏づけがわれわれには何にもないんですよ。従来の長期計画を今度はどういうふうに修正して、こういうことだから三年間もっと、三年たったら一体どうなるんだというその展望がなければ、この論議というのはただ国民に三年間上げませんというだけに終わってしまうんで、その先どうなるかということはさっぱりわかりませんから、この辺をひとつ明快に示しておいていただきたいんです。
  210. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御指摘のとおり、私どもは四十七年度予算を御審議いただくにあたって、第四次の長期構想という五カ年構想を立ててみました。その結果として三百八億の赤字が出るという数字が出たわけです。しかし、私は、この点についてもまあうちの同僚に話したんですが、赤字を出す長期構想というものはちょっと受け取れないと、このままでいけばこれだけになるんだと、これをどう経営的に吸収するかということが必要ではないかということを同僚にも語ったわけですが、したがいまして今度の四十八年度予算の御審議と関連して、ただいま申し上げた第四次の長期構想はすでに四十八年、四十九年、五十年と三年間の間に修正をしたことになります。  その修正のしかたは、ただいままで二重機構であった中央機能を一カ所に集めるということによって、簡単に言ってそれだけで年間約六億の節約ができます。  しかし、それはそれとしてもう一つの基礎になる数字は何かと申しますと、御承知のように昭和三十五年の第一次長期計画からほとんど全部の各地の放送会館が新しく生まれ変わりまして、それから機械、設備等も更新されております。今回の放送センターへの集中移転によって、一応形の上では四回にわたる長期計画ないし構想の実施によって、大体この建設費との関係で修正すべき点がまず出てきております。そういう意味では今後三カ年間の建設費は、素朴な、先ほど申し上げた第四次構想の一ことしが初年度で、明年度は二年目になるわけでありますが、二百億をこえる毎年建設費が必要だったわけです。これに対してこれを見直しまして質を高めるという方向で、大体この長期構想と関連して申し上げますと、少なくとも三年間に百二十三億五千万円の建設費の、何と申しますか、計画修正が可能であるという見地に立ったわけでございます。この見地に立ちますと、したがってこの建設関係あるいは技術運用という面で、たとえば減価償却費の問題あるいは支払い利息の問題、施設維持運用費の問題で三年間におおよそ四十二億円が節約できることになります。それからまた同時に、先ほど来申し上げた中央機能への集中、いわゆる放送センターに移行するということによる三年間の具体的な節約可能金額は、これまた四十二億円にあたります。そうしてさらに、これにはいろいろな御意見がございましたが、この四十八年度予算でわれわれが考えている借金の返済方法をお認めいただくならば、これまた、まあ近くまた利子が上がるという話もございますが、おおよそ十億円の利払いの節約が可能になってまいります。そうしますと、これを合わせて約九十一億円ばかりの節約が可能になります。これをもととして、私どもとしては、大体三年間は値上げをしなくてもいいのではないか。  もちろん、過去も五年間聴視料に手をつけておりませんが、この期間に消費物価の騰貴の上昇パーセンテージは約三割であります、公共料金は約二割であります。今後物価指数がどういうふうになるか、あるいは公共料金がどのようなはね返りを示すかということがやはり今日の重要課題の一つになるわけでありますが、これに関しましては、やむを得ざる場合——言い方がおかしいですけれども、やむを得ざる場合は三十四億数千万円のいわゆる安定基金を利用することによってこれを吸収してまいりたいという考え方を持っているわけでございます。  したがいまして当面三年間はやっていけるという計算のもとに、私どもはこういう意思表示をしているわけでございますが、それでは、御質問のように、三年たったら値上げをするのかという反応が常識的には出てまいるわけでございます。もちろん三年後の客観的情勢がどうなるかということについては、私どもといえども予言するわけにはまいりませんが、ただ私が現在考えておりますのは、たとえばもし五十一年度に、これも例の一つでございますから、放送衛星の実用化が可能になるとするならば、いわゆる難視聴対策としてどの程度の効果をあげ得るかということを考えているわけでございます。これは先ほど来午前中にも御質問がございましたが、明年度予算におきましても、いろいろなものを合わせますと総額約七十億の予算を組んでおります。これをさらに推進することになれば、松浦専務からもお答え申し上げましたが、おそらく五年間に要する費用というものは、一〇〇%の措置ができないにもかかわらず、二百数十億を必要とすることになると思います。三年間で考えてみても、明年度のベースで計算しましても、二百億をこえることは明らかであります。しかしこのままでまいりますと、それが共同聴視の形であるか置局の形であるかを問わず、もちろん地上の設備によって難視解消を行なっていかなければなりませんが、もし放送衛星が実用化されるという段階には、いかなるはね返りがあるであろうかということを考えるわけでございます。これについてはいろいろな計算——確実な計算はまだ出ておりませんが、簡単に言ってテレビジョンの分野でも総合、教育を合わせて五十年の終わりころ、五十一年ころにはおそらく四千局をこえることになると思います。  それからまた、けさ、御質問との関連で申し上げましたが、たとえば中波の大電力などという問題は、国内的には予算の計上だけではある意味では実行不可能になってまいりました。それば広大な土地を必要とするからであります。そういうような実情を勘案し、ないし国際機構が一つの原則を打ち出したとしても、これもまた国際政治の力かげんにおいて、必ずしも国際機構が決定した方針がそのまま実際に適用されるということも、いままでの経験で考えますと、かなりむずかしい。そうすればこの面についても新しい構想が必要になる。でこの面でも同じように使えるかどうかは別として、もしこの放送衛星が音声放送の分野でも利用できることになるとすれば、この点でも多少のプラスがあるわけでございます。第一、地上の置局数がある程度、これもまだ別に計算しているわけではありませんが、四千をこえるものが二千以下で済むかもしれない。そういう場合に、特別のやはり計算の価値が出てくる。現在、放送衛星とかあるいは通信衛星を合わせていろいろな分野で三百数十億かかるということが言われておりますけれども放送衛星自体についてはわれわれの考え方では百十五億内外で実現できるものと考えております。つまりこの百十五億内外という金を打ち上げまでの開発に要する費用と考えておりますが、明年七十億かかる難視対策に比べれば、この金は二カ年の費用よりもはるかに安い。もちろんその使用料であるとか運営のしかたとも関連してまいりますが、大ざっぱに言って安いであろうと。  それからまた、同時に、本年度予算を御審議願います際から、私どもとしては、難視解消の波の性格による番組の向上と、波の性格によるというものをつけ加えまして、新しい方向を考えているということを示しているわけでございますが、これらを総合して勘案しながら、すでに明年度予算との関連で事実上修正された第四次構想の立て直しを、少なくとも明年度予算が終わる四十九年ぐらいまでには、私どもは立ててみなければいけない。そういう考え方に立ちますと、社会環境からくるいわゆる支出の増との関連で、私としては五十一年以降も絶対に値上げをすることが必要かどうかということについては、必ずしもそれが必要だという考え方も実は持っていないわけなんです。ただ、御質問のように、まだ最終的見通しが現在の段階では実際的に研究しておりませんので、当面三年間考え方を申し上げて、それに引き続く構想を至急立てたいと、また立てなければならないと考えているということを申し上げて、御理解をいただきたいと思います。
  211. 鈴木強

    ○鈴木強君 いろいろ苦心をされておりますこれからの諸計画についてはよくわかりました。  それで、いま会長が具体的にあげられました建設費の節約をはじめ、支払い利息その他についてもいろいろとありましたけれども、こういう点はどうでございますかね、収入源を、収入をふやすということについて、三年後に、さっきお話しのありました二千九百何万世帯のうち二千七百万世帯は有料の受像機を保有している世帯と見ているわけですから、そういうものがどこまで契約ができるかということが一つ。もう一つは、さっきちょっとお話しが出まして、いま考えておらないとおっしゃった世帯の二台目からのさらに契約ですね、こういう点は少なくともこの三年間のいまお述べになった中には入らないと思いますけれど、その後になると、そういうことも出てくるわけですか。それは全然考えなくていいわけですね。
  212. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) あるいは数字は後ほど訂正さしていただくかもしれませんが、ただいま申し上げた初期の第四次構想では、五十一年ぐらいには大体契約の総数は二千七百万と考えておりました。で、私どもとしては、この数字は事実上やはり尊重しなければならない数字ではないかと思っております。と申しますのは、御承知のように、われわれの制度は毎月集金ではございません、二カ月集金でございますので、したがって経営のコストという点から考えまして、ただ契約を確立することにだけ努力をすることは本来の方向として絶対必要ではありますが、やっぱりつり合いのとれた経営の仕組みを考えなければならないと思っております。で、そういう時期を考えて、御承知のように、第一次五カ年計画以降、いわゆる前納制度、振替制度というものを推進してまいってきたわけでありますが、いろいろな事情でこれが今日までまだわれわれが当初考えた予定の数には達しておりません。四十六年度からかなり伸びてきておりますけれども、こういうことも促進さしてコストダウンをするという方向も考えなければならないと思っております。  そういうことがあるわけですが、いわゆる料金の総額をカバーするために、世帯を単位としてでなく、受信の設備を単位として考えるということになりますと、これはかりにそういう方針を打ち出したとしても、そう簡単に捕捉が可能になるとも考えられません。したがいまして、そういうことを考えるよりは、むしろいままで私が申し上げたような方向で経営の方向を確定し、その限度において、まず私は長期構想の立て直しによって聴視者に迷惑をかけないという方針を研究すべきではないかというように考えておるわけでございます。
  213. 鈴木強

    ○鈴木強君 二つ以上の受像機に対して、取らないですね。
  214. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ただいま申し上げましたように、二つ以上という場合であっても、五十一年以降に二つが中心になるのか、あるいは三台が中心になるのか、あるいは一台ずつあるだけちょうだいすることになるのかというような決定は、かなりむずしい問題になってくると思います。
  215. 鈴木強

    ○鈴木強君 むずかしい問題になるということはわかりましたけれども、そういう前田構想というものはいまは考えていないというのですけれども、だから五十一年までの三年間はないのですね。三年たったその先に行ったら、そういうものが顔を出してくるのですか。そういう構想はもうないと考えておいていいんですか。
  216. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) いまの放送法上の原則が永続する場合、やはりこの聴視料によってのみNHKをまかなっていくというたてまえであれば、複数受像機を対象とできるようなときには、またそのことも考えなければならないかという気持ちもございます。しかし、問題は、一方において百社以上の無料の放送と、一方において聴視料を取ってやるという放送のこの共存のあり方が、これはまた放送法の原則の問題になりますので、大臣とお話し合いをしたこともございませんが、そのままでいいのかどうか、あるいはNHKも逆に聴視料を下げる方式はないかどうかということも実はあわせて考えておるわけでございます。
  217. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣は、この点はどうですか。
  218. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 先ほど来、NHKの短期・長期にわたっての経営方針について、会長からるる御説明があったわけでございます。NHKの事業は、主たる財源であります受信料収入によってまかなわれておるわけでございますが、その伸びが鈍化しておるような実情のようでございます。また、支出面では、人件費等の諸経費の増加も今後避けられないなどの困難な事情もあるように伺っております。でありますから、今後のNHKの経営というのは相当私はむずかしい問題が多々生じてくるのではないかと推測をいたします。推測をいたしますが、しかし、私は、これらの困難な諸問題を解決するためには、やはり極力経費の節減をはかる、こういうことが第一であろうと思うのであります。  それから第二番目には、先ほど来鈴木委員からも御指摘のございましたように、世帯の収入確保等を含めまして、収入の確保、増額をはかる、増収の確保をはかる、こういうことに努力をしていただくことによって、私は長期にわたって受信料の値上げ回避は可能である、かように判断をいたしまして、意見書の中にそのことを付したような次第でございまして、どうか御理解をいただきたいと存じます。
  219. 鈴木強

    ○鈴木強君 それはいいんですけれども、具体的に、二つ以上テレビを持った者にも、それぞれ聴視料を取るという前田さんの構想がちょっと出たわけですよ。これは放送法の改正というよりも、予算総則によって月額の金がきめられるわけですね。その辺とのかね合いがありますから、いま、やるような、やらないような実にうまい答弁をしたんだが、含みのあるお答えをしておったんですけれども、もしかりにやるというような場合、その構想に対して、大臣としては、どうお考えですかということを聞いたんです。
  220. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 現時点では、私は、そのことについてはまだ考えてはおりませんが、将来の問題として検討をする時期が参りますれば、十分検討していきたい、かように存じ上げる次第でございます。
  221. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 失礼ですが、将来の可能性あるいは経営の問題と関連して鈴木先生の御発言がありましたが、私の考え方は、今後三年間はそのようなことは考えない。第四次構想のまず見直しをやってみたい、こういうことが中心でございますので、その点よろしくお願いいたします。
  222. 鈴木強

    ○鈴木強君 その点は、私もそういうふうに理解しているんですが、その先ですよ、私の言っているのは。  その先のことを——あなたが放送衛星の五十一年以降の個別受信ができるか、あるいは共同受信でいけるか、そういう面からの経費の節約、これは大いに、難視聴に何百億という金を出すわけですから、それと一台打ち上げた場合の経費、経済的な効果を考えた場合に、あるいは打ち上げたほうが経済的効果があるかもわからない。これはいろいろ個別受信ができるかどうか、松浦理事のお話ですと、技術的にはできるというのですね。ただし実際問題としてはまだ非常に研究を重ねないと各戸に対する個別受信というのはむずかしいような、かりに打ち上げられてもむずかしいような状況にあるということも私たちは聞いておりますからね。それば一つの将来の展望だと思います。  だからそういうときに、会長のいま考えておらないということが、三年間はない、これははっきり聞いた。そのあとに出てくる可能性がありますかということを聞いたわけです。少し時間が長くなったらお互いにくたびれるから、質問を聞き違えたりするようなこともあるんですけれども、これは真剣にお互いにやっているわけですから、行き違いはお互いに指摘し合えばいいんですから、そういう意味で聞いたんです、何も誤解してない。
  223. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 放送衛星で直接受信という、国際条約といいますか、主管庁会議で決定した問題を即時実行するとすれば、これは放送衛星を上げても効果はあまりないと思います。というのは、受信機そのものの開発はNHKの技術研究所ですでに行なわれておりますけれども、そのコストは非常に高い。それから国際環境から見ましても、直接受信というものが、これはユネスコの会議でも相当白熱的議論をしたんですが、いまの国際政治の実情からいって、これが世界的に使えるという可能性はございません。したがいまして私は中継局を幾つ残すかという問題を先ほどちょっと私の構想として申し述べたわけでございます。  私は、その後の問題について、まあ仮定の問題として申し上げれば、受像機一台について幾らという考え方を持つよりも、むしろ欧米的な公共放送のあり方をお考え願ったほうが聴視者のためには利益となるのではないかということを心ひそかに考えております。
  224. 鈴木強

    ○鈴木強君 だから、私の設問に対してずばりお答えをしていただかないと、欧米の公共放送的なものに話が行ってしまうわけですけれどもね。ですから、会長の言われた考え方が通用しないならしない、将来の構想の中で考えるなら考えると、大臣のように率直に、そういうふうな時代が来た場合には考えなければならぬかもしれませんというお答えでしたがね。これは、私は、時代が進んでいるわけですし、どうなるかわかりません。私たちは、そういうことのないように、少なくとも現状で行ってほしいですよ。ほしいけれども、まあ経営の状態がどうなるか、これはわからぬことですから、先々のことは。そういう場合にどうなるかということを念のために聞いておるので、むしろこれはあまり聞かぬほうがいいかもしれません。聞けばやはり大臣のような答えになるし、大臣も、それはいまの考え方としてわかりますけれども、やはり公共放送ですしね、民放がただで聞けるというようなそういう点もあるのですから、なかなか二台以上ということになりましてもこれはむずかしゅうございますよ。そう簡単にいけるものではないと私は思うのです。これはNHKが考えても、政府なり、あるいはわれわれ国会もそこまでいけるかどうか、これは国民生活全体の問題との関連がありますからね。ここであまり深入りしないでおきましょう。三年間は少なくともそういう構想はないのだと、いまのところは、そういうことでひとつおきましょう。  それで、時間もだんだんたってきますので、もう一つ、いろいろ受信料の徴収については苦労されているのですけれども、故意に不払い的な運動を積極的にやっておる人たちもおりますし、それからNHKの番組を見てどうも気に食わぬといって払わぬ人もおる、いろいろだと思いますけれども、だんだん欠損金として処理する率というものがふえております。不払いの率が多くなってきていることは非常に残念だと思うわけですけれども、一体、協会としてはこれに対して具体的にどういう考え方で積極的に施策をされておるのでございましょうか、簡単でいいですから。
  225. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) お答えいたします。  現在の一番最近の時点、つまり今年度、四十七年度の上半期における受信料の滞納数は三十二万九千でございます。その三十二万九千の内訳は、何と申しますか、物理的原因、航空騒音による難視聴とか、受信障害とか、あるいは新幹線とか、そういうふうなもの、そういうものを合わせて大体六万でございます。そしてそのほかに、私どものほうで、先ほどお話がございますが、しょっちゅう伺っても面接不能と申しますか、いつもお留守であるという世帯が二十万ばかりございます。でNHKという組織と申しますか、NHKに対する十分の理解を持っていないという方が五万六千ばかりございます。こるは大ざっぱな内訳でございまして、ただしこれもしょっちゅう固定しているというわけではないわけでありまして、そういうふうな受信障害とかあるいは新幹線の問題などは、そういう原因が解除された時点において解消する問題でございますし、それから無理解といっても、全く焦げついた無理解ということではなくて、われわれのほうの反復する努力によって若干ずつは解消していくという実態もございます。しかしその反面、また新しいそういう人も暫定的にはふえてくるというのも実態でございます。
  226. 鈴木強

    ○鈴木強君 実態はわかりましたから、具体的にどういう対策を立てているかということ、特に理解をしないという人に対して。五万六千人いるわけですからね。
  227. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) その無理解という方に対しましては、督促状を出すとか、問題はやはりじみちな営業活動、反復して何べんでも伺ってそうしてなるということ以外には、ロイアルロードというものはあまりございません。
  228. 鈴木強

    ○鈴木強君 いやにあっさり言うけれども、実際一生懸命払っている人から見れば、五万六千人の人たちはうまいことをやっているなという気になるわけですね。払わないで済むならみんな払わないでしょう、これは。おそらくそういう気持ちになると思うのですね。それにはやはり払うような番組なりいろいろな努力をして、NHKに魅力を持たせなければいかねでしょう。  官僚式になったり、何かこうあまりオーソドックスのような番組ばかり出しておったのではこれはだめなんで、なるほどNHKは公共放送として魅力があると、ダイヤル回そうというような気持ちになるようなやはり番組でなければならぬ。そういうやっぱり努力を一面続けながら、またその人たちに対して反復いろいろと理解をしていただくような努力をしていくということは、これはまあ従来、さっきの副会長のお話のように、契約の掘り起こしについてもやっておられるわけですから、やっていると思いますけれども、しかし、これはぜひひとつさらに積極的に対策を立てていただいて、たいへんですけれども、何とか払っていただけるような努力をしてもらいたいと思います。それはそれで私の希望としておきますね。  それであと、収入の面では、ことしは国際放送関係などに対する交付金というやつが二億ばかり入っておりますが、これはいずれまたもう一人私のほうでは質問しますから、他に譲って、あと支出面で若干の御質問をいたしますが、まず職員の給与ですけれども、四百十四億円を計上されております。この中に、本年度の賃上げ分としての額はどのくらいになりますか。パーセンテージでもけっこうですけれども、どのくらいになりますか。これは基本給とそれから手当に分けてください。
  229. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 四十八年度の給与改善につきましては、職員平均で一万二百三十円、約一〇%の改善でございまして、総体としての給与予算額は、今年度に比べまして、およそ四十三億九千万円の増加でございます。  なお、基本給と諸手当の内訳については、斎藤理事からお答え申しまげます。
  230. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) 四十八年度におきますNHK予算のうち、給与関係の総額は四百十四億一千二百三十五万、これにつきましてはただいま申し上げました。  で内容といたしましては、職員の給与改善の問題を含めまして、ただいまの説明のとおりでございますが、給料と諸手当というような分類について申し上げますと、基準賃金の関係が全体で二百三十五億五千二百五十五万でございます。それから基準外賃金が五十四億五千五百万。それから諸手当でございますが、これにつきましては、賞与が五・七カ月分でございまして、そのほかこまかい点がございますので、簡単に申し上げますが、住宅手当、冬営手当等を含めまして諸手当と呼称いたしております。これが百十八億一千六百三十九万でございます。なお、もう一つの項目といたしまして、嘱託関係等の労務費という内訳がございます。これの関係が五百三十人分の金額でございまして、五億八千八百三十万でございます。以上の諸項目を合算いたしましたものが四百十四億ということに相なります。
  231. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは労働組合との団体交渉によってきまった額だと思いますがね。  それで、私は、午前中の白井委員の御質問に対して藤根井さんから適正な水準を保持するというような考え方に対して、会長の補足説明では、適正な水準であるけれども、それをさらによくするようにという注釈がついておったというちょっと話がありましたけれども、私は、ことしは、いまは二万円の春闘で回答を出しておるところもあるわけですよ。これは同種の企業に比べて遜色がないと、それはもう少しデータをちゃんとほしいんですけれどもね。  それから、言われたように、公共放送としての責任を持って仕事をやる職員の皆さんの責任とか、あるいは能力というものが第一。それからもう一つは、社会的な水準。それから経営的に見て幾らやりたいと思ったってできない場合もあるわけですから、そういう点と三つを考えて、これは藤根井さんのおっしゃるとおりだと思うんですが、要するにNHKが公共放送として十分にその職責を果たせるような、そういう点を経営の面で許す限り、やっぱり従業員の待遇をよくしてやっていくということが私はもう基本だと思うんですよ。何ぼ皆さんがりっぱな計画を立ててみたところで、職員がふるい立って献身的にやろうという意欲を持てるような待遇なり、労働条件というものを整備しなければ、NHKがほんとうの意味における、国民に、なるほどやれるという、やってくれるなという仕事はできないと思うんですよ。だから、そこに思いをいたしていただいて、今後とも給与改善については万全の御配慮をいただいておきたいと、こう思うんです。これは藤根井さんのことばのあれだと思いますけれども、あなたもいま私が申したようなことについては賛成でしよう。
  232. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 全くおっしゃるとおりでございまして、そういうふうに私どもも努力をいたしておるわけであります。
  233. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、いよいよ渋谷の神南の放送センターができ上がって移転計画もあると思うんですけれども、一体いつごろ向こうに引っ越しを始めるんでございますか。それで、どのくらいの日程で全体が向こうに移れるんでございますか、スケジュールがあったら。
  234. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 現在、すでにいろんな準備も進め、また一部機械サイドの実施を行なっておりますが、実際に人が動きますのは五月の終わりからでございます。五月の終わりから六月の初めにかけまして内幸町から大部隊が移行するということでございます。そのあと少し間を置きまして、七月に残り全部移行するという計画でございまして、報道関係が一番最後になるといういま予定でございます。
  235. 鈴木強

    ○鈴木強君 それで三十三億円かけてでき上がったあのホールですけれどもね、大ホール。これが地上六階、地下二階、収容人員四千人、世界最高級、そして各種の音響装置も完備、音の残響時間は一・六秒、音楽ホールとしてはまことに理想的だというので、大体六月二十日ごろにオープンになるようですけれども、パイプオルガンも二億円をかけてやったそうでして、たいへんなものらしいんですが、ここで一つ問題になりますのは、音響効果の点でN響のメンバーの中でベテランの団員の一人が言うのには——せんだって試験的にこのホールで演奏してみたんだが、気に入らない。たとえば弦は自分でひいているときには非常によく響く、しかし他人の演奏を客席で聞いてみると、まるで音が輝きを失ってしまうという。こういうことで——問題は、ホールが広過ぎて、三階あたりの天井さじきで聞いてみると、われわれの力量が不足しているのか音が小さくしか伝わってこない。この調子だと、マイクでも使わないといけないんじゃないか、というふうに批評している人がいるわけですね。こういうことは実際にどうなんでございますかな、ほんとうでございましょうか。
  236. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) ただいま先生の御指摘の、個人としての主観的な評価ということについては、今後、私どもも必ずしもそればでたらめであるというふうなかっこうには扱いたくはないと思っております。  ただ、確かにN響の試験演奏を、試験というか、ためしのあれをやったことがございます。事実ございますが、この段階においては、音響反射板その他の整備も十分でございません。したがって必ずしも結論的なことだとは思っておりません。それから物理的な測定、いま先生がおっしゃった残響時間一・六秒というようなことにつきましては、一応これも中間的な測定をいたしました。その結果、私どもがこれを計画いたしました当初に考えました線に大体入っております。入っておりますというよりは、それを十分満足しております。といいますのは、物理的な特性といたしましては、現在日本でいいますと、上野にございます文化全館のホールと大体同じというような、部分的には私どもの新しいホールのほうが癖がないというようなふうに物理的測定では出ております。  ただ、そういう批評が出てまいりますことを、これは私がかつてそういう面をやっておりましたので、推測いたしますと、いままで世界じゅうのいわゆるいい音のする音楽堂というものの容積は、これほど大きいものにしないほうがいいという一つの説がございました。その後、それは、たとえばニューヨークのメトロポリタン・オペラ、あれは三千八百人でございまして、やはり非常に大きゅうございます。こういうふうに漸次室内音響の処理のしかたの、これは物理的な問題ですが、進歩によって、かなり容積の広いところでも十分なる音量が得られる、昔に比べれば、というような相対的な変化を来たしております。ただ何といっても非常に広うございますから、狭いところよりも三階の天井のほうでは音圧が一ないし二db下がるというのは確かにございます。ございますけれども、けれどもそれが直ちにあそこは非常に音が悪いというようなふうになるわけではございません。  なお、その辺のことにつきましては、いま私も申しましたように、物理的あるいは客観的評価としては十分計画どおりのものができておりますが、その中の主観的な問題については、今後の使い方、あるいは使い込み方というようなことがございますので、ある程度歳月をかけて完成さしていくべきものだと考えておりますが、その辺のところを御理解の上、この新しいホールを大いにかわいがっていただきたいというふうにお願い申し上げます。
  237. 鈴木強

    ○鈴木強君 率直にこの意見を否定はしてないわけでして、むしろ貴重な資料として大いに万全の配意をしていただくというように受けとめましたから、ぜひひとつやっていただきたいと思います。  それで、このホールはNHKだけが使うのであって、他に開放するといいますか、もちろん使用料をいただいて、そして御希望の方にはそのホールを使っていただくというような方針をお持ちでございますか。
  238. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 大体におきましては、NHKで企画いたしまして放送にいたしますものに使いますのが本来でございます。そのほかNHK自体の企画ではございませんけれども、いろいろ他の放送に乗り得るような催しもの、こういったものはそこで催しものをしていただきまして、もちろん使用料をいただきますけれども放送に出すということでございまして、大体はそういうことで、おおよそ、あとあいておる日数と申しますか、これがやはり七、八十日はあろうかと思います。これはやはりNHKの性格に反しない限度において、きわめて公共性の高いものについては使用していただいたらどうかと、このように考えております。
  239. 鈴木強

    ○鈴木強君 その際、使用料を一日使った場合幾らとか、半日の場合幾らとかいうように、夜の場合幾らとか、大体きまっておるのでございますか。
  240. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) ただいまいろいろそのようなあれは国立のもの、あるいは私営のものでいろいろ例がございます。それも勘案いたしまして、公共放送機関でありますNHKとして妥当だと思われる限度の使用料を設定したいと思いますが、具体的にまだ幾らとかは検討中でございまして、ただいまきまっておりません。
  241. 鈴木強

    ○鈴木強君 それじゃ、いまの副会長の御意見ではきまってないということですから、土地問題のようなことのないようにひとつ十分注意してやってもらいたいと思います。  それから時間の関係で私は難視聴のほうは森委員のほうに譲ります。  それで、これからちょっと番組関係でお伺いしたいのですが、それに先立って、実は、記者の皆さんは報道といわず、あらゆる面において活躍をされているのですけれども、残念な事件が二、三ありますから、これをひとつ真相を伺いたいのですが、一つは、三月の十三日に、NHKの記者を岩国のMPが基地周辺で不法に、取材中連行したという事件がございまして、非常に私は重大問題だと思うのであります。もう一つは、熊本で、これは自衛隊員が事もあろうにNHKの記者の取材中に言いがかりをつけてきたという事件があります。これもまたきわめて重要な問題でございまして、私はあえてこの委員会に取り上げましたのは、上取材活動をしております記者諸君に対して、MPといえども、あるいは自衛隊員といえども、いかなる場合においても不当に取材妨害をするなんということは、絶対に許せないと思います。  そういうわけで、この二つの事件に対しては、どういうふうに処理されたか、事件の概要と処理模様をひとつここへ披露してもらいたい。
  242. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 鈴木先生の、最初の岩国基地でのNHKの記者の問題でございますけれども、これは三月の十三日の午前十時四十五分ごろ、山口県の岩国市の東町のアメリカ海兵隊岩国航空基地の正門前のメインストリートで、NHKの記者が取材中にMPに連行されたという事件でございます。NHKの山口放送局岩国通信部の岡野君という記者でございますが、その取材の目的は、選抜高校野球大会に出場する岩国高校へ資金カンパしたインド人の洋服店主と同店周辺の基地繁華街の模様を取材しようということで、いま申し上げました地点で取材をしておったわけでございます。  連行されました当時の模様といたしましては、基地の正門から約百五十メートルぐらい離れました道ばたに車をとめまして、カメラをかまえていたところが、通りかかりましたMPのパトカーが基地に連絡しまして、基地からMPとSPの日本人の従業員の二名が来て、基地正門の警備員の詰め所に連行した。ことばの関係等もございまして、その連行されている間での意思の疎通が十分でなかったということもあろうかと思いますが、取り調べを開始した際に、同記者のカメラの「NHK」という文字を見たとたんに、勘違いをしてすまなかったという弁解がありまして、十一時十分ごろ釈放されたという事故でございます。  さっそく、NHKといたしましては、山口放送局長名で基地の司令官に抗議をいたしました。取材、報道の自由が侵されたということでございます。なお、東京の報道局の通信部長が同じく米軍当局に抗議をいたしました。  結論といたしまして、先方は陳謝いたしました。三月十五日の二十三時のテレビの全中で、このことは放送いたしました。  それから、岩国の日刊記者クラブでは、緊急クラブ総会を開きまして、基地の報道部長に抗議をいたしました。基外地には米軍の警察権は及ばないはずであるということで抗議をいたしまして、最終的には、三月十五日、アメリカ岩国基地司令官がNHK山口放送局長と岩国日刊記者クラブに公式に文書で謝罪をいたしました。内容といたしましては、最も深い遺憾の意をあらわし、警備関係者に将来このような事件を再び起こさないように指示した。今後、報道の自由と個人の人権の維持に最大の努力をするという意味の確約をいたしております。以上が岩国基地でのNHK記者にかかわる事件でございます。  それから、もう一件の自衛隊の熊本地方連絡部における事件の概要でございますけれども、これは三月七日の夜、九州本部熊本放送局の大島記者が、私服の自衛官が先月末に熊本公共職業安定所の構内で入隊を勧誘した事実があったということをキャッチいたしまして——ニュースソースは御容赦願いたいと思いますが、その事実をキャッチいたしましたので、三月九日、大島記者が自衛隊の責任者でございます藤本部長に取材いたしました。で部長はその事実は認めましたが、募集係隊員がたまたま体格のよい青年がいたので声をかけたまでだというようなことで、詳しい説明がいただけませんでした。さらに質問を続けましたけれども、まあそんなことをするとあなたの将来のためにならないというような、これは必ずしもそのときの環境ではおどかしというような強いことばではなかったようでございますが、それはおどかしというふうに記者が聞きますと、まあお近づきのしるしにということで、ネクタイピンなどを差し出した。記者は、今度は買収かというようなことで——ここら辺のところは必ずしも私が申し上げるようなシリアスなやりとりではなかったようでございますが、ただ不快感を感じたことは事実のようでございます。そしてその日の夜十九時と二十一時の熊本のローカルニュースで、この入隊勧誘があったという事実を報道いたしました。  ところが、三月十一日の朝、その記者の寮に自衛隊の協力団体の一員だという男から電話がございまして、そういうことを取材し、放送するのはけしからぬ、熊本におれなくしてやるというようなやや脅迫の電話があったようでございます。これはおかしいということで、直ちに記者はNHKの責任者に連絡いたしまして、NHKの責任者は直ちに連絡部長に釈明を求めるために参りましたけれども、おいでになりませんので、西部方面総監部の第一部長にその経過を話しまして、調査を求めました。なお、その後、記者クラブでもこの事実が問題になりまして、正式に熊本の西部方面総監部を訪れまして幕僚長に会い、経過を話し、取材、報道の自由を侵すということで抗議をいたしました。その後、幕僚長といたしましては、地方連絡部長を呼び、事実を確認いたしまして、職安内での隊員勧誘事実を認められたわけです。そしてこのため、責任者として監督不行届きであるということでその担当者は強く戒めたと、したがって大島記者に対する言動については、誤解を招くようなことがあってまことに申しわけないということで、西部方面総監部の部長もNHKに対して正式に陳謝をいたしました。で同時に、西部方面の第一部長は熊本県庁に出かけまして、職安担当の商工部長に自衛隊として正式に陳謝したということでございます。  なお、その脅迫めいた電話につきましては、自衛隊の協力団体の中からそれが出たとすれば、自衛隊としても迷惑であり、NHKにも迷惑をかけたことは申しわけないということで、協力団体の会合がある機会をとらえ、このようなことのないように十分要望するということで、この点につきましても釈明がございましたので、現在、NHKとしましては、この抗議をもって一応事を終わらせまして、今後の事態を見守っていくということでございます。
  243. 鈴木強

    ○鈴木強君 内容はわかりました。  それで一つ伺っておきたいのは、取材活動をする場合に、この場合はまあ問題にならぬと思うのですね、基地の中でもないし、全く周辺の、基地の前でございますか、おそらくこれは基地とは関係ないわけでしょう、そこでMPが取材中の記者を連行するなんということはもうたいへんな不法行為ですよね。それで、われわれよく見ていると、記者の皆さんはよく腕章をちゃんとつけておりますね。当日、そういう点はどうだったんでございますか。基地中だとかだったらつけるかもしらんけども、まあ日本の国の、国土の中ですからね、そういうところで何もつけなくたってこれはかまわんのでね。基地なんかに行くときばつける場合もあるでしょうし、国土の中でもつける場合もあると思いますけれども、この場合はどうだったのでしょうか。
  244. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) この場合は、おっしゃるように、公道で、特に記者であるという腕章を巻く必要はないということで、腕章は巻いておりません。
  245. 鈴木強

    ○鈴木強君 それでこれ、大臣、あなたの所管ではないですけれど、しかしまた一方NHKのことになると、まああなたの所管にもなるわけで、ほんとうは防衛庁長官と外務大臣を呼び出し、ここへ来てもらいたかったのですが、それぞれ委員会の関係で来られないので、ひとつあなたから、国務大臣ですから、防衛庁長官には、この熊本地方連絡部で起こった、いまお聞き取りの事件の内容はおわかりでしょうから、こういうことはきわめて不当なことであり、言論、報道の自由を侵害するとんでもない行為ですからね、こういうことはまことに遺憾であり、今後再びこういうことのないように注意をしていただくように、あなたからお願いしておきたい。それからもう一つの岩国のほうは、これは外務省の関係になりますか、ですから外務大臣にもこの事実をよく伝えていただきたい。ただ陳謝したからいいというような、そういうことではないと思いますよ。ひとつこの点は、明確に、閣議の席上でもけっこうですし、そうでなかったら個別にでもいいですから、関係大臣に久野郵政大臣からこの事実を伝えてもらいたいと思うのです。再びこういうことがないようにしていただくように、厳重に申し渡していだきたいと思いますが、いかがですか。
  246. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) ただいま御指摘熊本と岩国の事件につきましては、私から担当大臣に対しまして十分注意するよう申し渡したい、かように存じます。
  247. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、NHKではコメディアンの養成をやるようなんですけれど、この養成のしかたについて、ここに私は週刊サンケイの記事をちょっと持ってきているのですけれど、これによりますと、NHKが一般公募をして、広く全国からコメディアンの金の卵を発掘して独自に養成をし、番組に投入できるようにしたいということがねらいのようです。「落語家の真打が大量生産されたりするわりには、お笑いタレントやコメディアンの顔が、どのチャンネルを回しても変わりばえのしない昨今だけに、これが成功すれば、われわれの受信料も、少しは有効に使われようというもの。」と、こういうようなことで書いておりまして、ただしその場合に、すでに新人養成をした方で「ヤング101」に出ている方がおるそうですね。「その歌と踊りたるや、NHK的特訓のおかげでキッチリと鋳型にはめられたように個性がなく、番組自体もいっこうに視聴者ウケしていないのが現状だ。」と、こういうことじゃまたお笑い番組に向くようなコメディアンの特訓をしても効果はないじゃないか、こういうような趣旨のものでございますが、これはまた見る人、聞く人によってそれぞれ違うと思いますけれども、感じとしては。だからこの批評がずばりそのとおりだとも私は思いませんけれど、しかし、さっきのホールの問題ではありませんが、こういう意見があるとすれば、これはやはり耳を傾ける必要があると思うのです。「NHK民放の要求の違いに応じられるだけの芸の幅がない。つまり、本当の笑いをつくれる力がない」者を養成しても、むだじゃないかというのが私の言わんとする趣旨なんですけれども、こういう点の批評に対してどうお考えですか。
  248. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) その記事になりました事実につきましては、具体的番組の出演者の一種のオーディションという形で実施しておることでございますが、指摘されております点につきましては、私どももやはり番組制作あるいは新人の養成等に十分配慮していかなければいかぬだろうというふうに考えます。
  249. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、番組を流せば当然視聴率がどうかということを確かめたいですね。これはもう放送事業者からすれば当然だと思うんですけれども、しかし視聴率だけによって論ずることも、これまた番組の内容をやっぱり検討してみませんと言えないと思うんです。そういうことは私は百も承知ですけれども、ただここにNHKの教育テレビの視聴率の中で視聴率ゼロというのがかなりあると、この調査は一月二十二日から一週間視聴率調査というのをやって、これはビデオ・リサーチの調べらしいんですが、その結果を見ますと、朝の七時台の「経営新時代」それから「農業教室」、それから午後三時台の「教師の時間」これはほとんどが〇・〇%というのですね。さらに日曜夕刻の「宗教の時間」午後四時ですね、なども含めて、一週間の総番組数二百六十八本中、九十二本がこれに当たるというふうに、これは週刊新潮が指摘をしているわけです。これに対して、堀教育局長が「教育局の番組の視聴率は、ああいう調査ではすくいきれませんので、独自の意識調査を行い、それによって内容の改良に努めています。確かに、局員の中には他局に移りたいという意向の者もいますが、でも、やっているうちに使命感を持つようになるものです。苦労するのは、文部省と教員団体の対立の中で番組を作らねばならないこと。なかなか一致協力というわけにはいかなくて……」と、こう言っているわけです。ですからこの堀さんの意見ですと、独自の意識調査をするとおっしゃっているのですが、そういう独自の意識調査というのは、いまからするのではなくて、もうすでにやっていると思うんですが、こういう見方に対して、NHKの教育放送テレビジョンとしての真価を問われるような部分もあるわけですが、これに対してどういうふうに協会は見ておられますか。
  250. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) いま御指摘調査は、確かに全国を一様のサンプリングで調査いたしたものでございますから、教育テレビあるいは第二放送というように、特殊の聴視者層を対象にいたして実施いたしております番組の聴視率というのは、残念ながら、そういう形で調査いたしますと、低いというのはやむを得ないかと思うんでございます。  そこで、教育局長が申しますように、それらのものは放送をどういうふうに利用し、積極的に生活の中で生かしていただけるかということで、たとえば婦人層、あるいは農村、それから学校でございますればそれぞれの学校という対象をきめまして、あるコミュニケーションをつくりまして、そこでいろいろと御要望を聞いたり、あるいは積極的に集団聴視していただいたりということで、番組の聴視の実をあげる努力をいたしておるわけでございます。
  251. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、時間帯の問題もあるでしょうし、番組の内容にもよるんですが、予算のほうでは、視聴率〇・〇%ということは、これは認めるわけですね。
  252. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) その調査の結果として、ゼロであるということは事実でございます。
  253. 鈴木強

    ○鈴木強君 せっかく貴重な時間を使って放送しているものが見られないんじゃ、これはだめなんですね。それにはどこに原因があるのかということをやっぱり十分に考えていただいて、そして「経営新時代」なんというのは私はかなり見たい人がいると思うんですね。時間がちょっと朝の七時ですから、朝寝坊する人は若干眠っている時間かもしれませんけれども、大体七時といえば起きてくるわけだから、それがゼロということじゃちょっとこれはNHKとしても考えなきゃならぬのじゃないんですか、どうするんですか。
  254. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 聴視率としてゼロであるということは、サンプリングの関係でそう申し上げたわけでございますが、その番組がねらっておる層における聴視率というのは別でございまして、実際には見たり聞いたりされているという実態がございます。そういう実態に即して、その層に対するコミュニケーションをより一そう努力することによって実態を上げていきたい、こういうふうに考えております。  たとえば一例を申し上げますと、「経営新時代」というのは四十七年の十月に調査いたしまして、その視聴率は一%というふうにあがっておりますが、一%といえどもこれは九十三万人という実数でございますので、相当の意味合いを持ち得る可能性を持っている。これはいわゆる一般的なサンプリングの中での結果でございますから、それをそういうところにしぼって利用してもらう努力をすればその実態はもっと上がる、こういうふうに考えております。
  255. 鈴木強

    ○鈴木強君 九十三万人というのを伺いまして、わかりますよ。まあパーセンテージだけじゃ〇・〇ということになると、全く見ないと感じますからね。しかし〇・〇何%かであっても、九十三万人の人が見ているということになれば、これまた一つの意義があることですからね。さらに皆が見られるような、番組の内容についてもくふうをこらしていただいて、今後検討してもらいたいと思います。  それで、ここはさっきもどなたか言っているように、株主総会みたいなところで二千四百万の方々が、ほんとはみんなでここへ来ていろんな意見を言いたいんだと思いますけれども、それができません。私は新聞の投書とか、あるいは「マイクヘ一言」とか「水曜サロン」とか「ジャンボ&ミニ」とか、そういうようなのを全部集録してあるのです。きょう全部それを私は申し上げたいんですけれども、時間がないから言えませんが、いいのがうんとあります、多いです、いいほうがですね。しかし、いいほうはきょうはここは省略をして、特にこうしてほしいというような、そういう意見を二、三視聴者にかわって私が会長にも申し上げ、皆さんの意見を聞きたいのです。  一つは、ここに「火曜サロン」というのがありまして、例の三月十三日の「ニュース特集」の扱い方について批判が出ているのです。これは「「立場が微妙だからお話できない」と新聞記者のインタビューにも応じなかった磯崎国鉄総裁を、中継車まで出して、スタジオにいる動力車労組の目黒委員長と話合いさせたのは、NHKの努力のたまものだったと思う。公共放送として、国民のために、国鉄と動労との対立状況をブラウン管を通じて知らせた意義もあった。しかし、この十三日の「ニュース特集」の扱い方は、かならずしも適切だったとはいえない。それは、司会のアナウンサーが一方的に目黒動労委員長を責め立てていたからだ。客観的な位置にあるべき司会者としては、総裁の責任も追及すべきであったろう。スタジオに同席していないために、総裁に攻撃の矢を向けにくかった面、国民の怒りを代弁して動労側にぶつける計算などがあってのことだろう。それにしても、いくぶん感情的に目黒委員長に食ってかかったきらいがないでもなかった。」こういうふうな記事があるのですね。  ですから、アナウンサーの方々も、昔は記者の書いた原稿を読み上げるというようなラジオの時代を私は見ておりますけれども、そうでなくて、ほんとうにいわゆるタレントとして取材の記者の皆さんと同じような立場で司会をやられる場合もあるわけですから、アナウンサーの皆さんの養成の問題とか、そういうことにも関係があると思いますけれども、まあ政治面であれば政治記者、労働面であれば社会記者とか、そういう方々が司会をすればなお適切だと思うんですけれども、なかなかそうもいかなくて、アナウンサーの方が司会に立つような場合もあると思うんです。ですから、そのアナウンサーのそのときの心理状況とか、また自分が実際にドアにはさまれて痛い目にあったというような直後にインタビューすれば、そういった感情がもろにブラウン管に出てくるようなこともあると思いますから、一がいには言えないんですけれども、アナウンサーが司会のお仕事をなさるような場合に、ただ読み上げればいいということでなくして、相当な訓練と教育というものをなさっていると思うんですが、たまたまこういうような事態が起きているわけでありまして、まあ私もこれは見ておりましたけれども、私自体もそんな感じを実は受けたわけです。こういうことに対して、やはりNHKに対する批判の一つとして出てきておりますから、NHK側としては、あの「ニュース特集」に対して、こういうような批判は当たらないとおっしゃるのでございましょうか、どうでしょうか。当たるとすれば、今後どうしますか。
  256. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) あの日の放送につきましては、私が現場に与えました指示は、NHKとしてはNHK関係者はすべて冷静でなければいけない、冷静で客観的でなければいけないということを強く指示いたしました。いま先生がおっしゃいました個人的な生活環境の中から発言してはいけないということを強く指示いたしました。そしてあの場合には、あの「ニュース特集」という時間の責任アナウンサーと、この国鉄の争議の問題をトレースして担当いたしております解説委員とを出しまして、そして残念ながら、いま御指摘のように、総裁がやむを得ない理由でスタジオへ来られませんでしたので、やや距離的な傾きと申しますか、そういうものが画面から感じられたことは事実でございますけれども、そういう強い指示をしてやりました。  ただ、あの際に、一般の聴視者からの反響といたしましては、当日NHKに約三百八十通の電話が入っております。その電話のやはり多くは、あるいは動労の立場を支持し、あるいは国鉄の立場を支持するというような反響でございまして、大体相半ばしておったようでございます。したがいまして御指摘の点については、やはり今後十分注意していかなきゃならないというふうに私自身考えておる次第でございます。
  257. 鈴木強

    ○鈴木強君 それからもう一つですね、横浜市の鶴見区の佐竹昌さんという方ですけれども、「後味の悪いインタビュー」というのがあるんです。「NHKテレビ2月23日夜のドキュメンタリー「少年は河を上った」は、脱東京を図った少年の、心の軌跡を追うということで現代少年の心理、あるいはマンモス都市東京が内蔵する諸問題を提起したが、帰郷していま平和な生活をしている少年に対する取材アナの温か味のない詰問調のインタビューには、後味の悪い思いが残った。」これもすぐ反響として記事に出てくるんですけれども、これは私は実はちょっと見ておらなかったものですから、実感は言えないんですけれども、坂本さん、どんなふうにこれは理解しておりますか。記事は見られたと思いますがね。
  258. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) いま御指摘放送は、沖縄から東京へ出てまいりました少年の話でございまして、確かにこういう事件の関係者を直接取材いたしますことは、一番取材の、あるいはインタビューの場合はむずかしいところでございまして、つい核心に触れようとするあまり、相手の立場を無視したり相手の感情にさからったりということになりがちで、そのことが聴視者に必ずしも公正さを与えない、あるいは好感を与えないという事実があることも私は承知しております。ただ、あの放送につきましては、御指摘になりましたほどの印象を私自身は持っておりませんけれども、しかし十分そういう場合に戒心しなきゃならないポイントをついておる御批判だと思います。    〔委員長退席、理事森勝治君着席〕
  259. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、これは桐生市の小林正子さんという方の「マイクヘ一言」の項ですが、これはいよいよ「藍より青く」というのが今月一ぱいで終わるわけですね。私たちも非常に楽しく見せてもらいましたが、それでこういうのが来ております。真紀さんというのは非常にうまいですね。私もうまいと思って見ていたんですけれども、真紀さんの演技も、これはなかなかむずかしいと思うのだけれども、こう言っているのです。「終盤を迎え、連日素晴らしい出来で私たちを楽しませている。ただ残念なのは真紀役の真木洋子が四十歳の女らしくないことだ。顔、髪かたちは四十歳だが、動きが年齢相応の動きをしていない。二十代の女優さんには、ちょっと無理?なのかもしれないが、ドラマを盛り上げる意味からももう一工夫欲しい。」こう書いておるわけですね。確かに若いのですから、四十のおばあちゃんに見せるというのはちょっとむずかしいと思うのだけれども、見た人から見ると——あの女の人は何だっけ……波さんなんかうまいやね、波さんは実にうまいですよ。それから周太郎のおとうさんなんかも非常にうまいですよね。だからああいうように年齢に見えるような演技をするものですから、その中で真紀さんがどうも四十歳のおかあさんになっているわけだけれども、そういう点がうまく出なかったので、こういう投書があったと思うのだけれども、これはなかなかむずかしいと思うのだけれども、どうですか、これ。
  260. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 同様のことが、実は、かつて「おはなはん」というドラマをやりましたときに、樫山文枝君が八十くらいの老母まで演じたわけでございますが、いっそそこまでいってしまえば、ある程度うそはうそなりに聴視者も納得してくれるのですけれども、ちょうど四十歳代という中ふけというようなところが一番、リアリズムと申しますか、そういう観点からながめられますと、あの真木洋子君はまだ二十一、二過ぎた程度の女優さんでございますから、そのわりには私自身よくやっているとは思いますけれども、御指摘の点はあろうかと思いますが、ただ一年間の長いドラマの中で、年をとったところだけ年寄りの役者にかえるということは、これはまた現実的にもむずかしいものでございますので、そういう点の不十分な点はひとつ御容赦いただけたらというように思う次第でございます。
  261. 鈴木強

    ○鈴木強君 あれば四十代になると幾らかしわも出てくるので何ですが、しわをうまくつくるとか、あるいは髪も若干すくとかそういうことはぼくはしろうとだからわかりませんですけれども、できないものですかね。そうしてもう少し何か態度とか、ことばつきとかが四十代のようなしゃべり方をしたり、そういうことはできないものですかね。
  262. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) それは御指摘のとおりで、もう少し、女優さんですから、なかなかふけたがらない向きもありますけれども、御指摘のようなことをすればよかったのじゃないかというように、御指摘をいただいて思ったのですが、実は、明後日で終わってしまいますので、今回の「藍より青く」には間に合いかねるかと思いますので、御容赦願いたいと思います。
  263. 鈴木強

    ○鈴木強君 いい点を言わないで、悪い点ばかり言っているのですけれども、まあそう聞いておいてください、そういう批判もあったということで。  それから、これはお願いですけれども、宮城県の金沢キンという方からのお願いですけれども、「期末休みに再放送を」ということで、NHKの「きようの料理」というのが非常にいいらしいのですよ。それで「毎月曜の「台所入門」は、核家族化で年長者と暮すことの少ないいまの生活に毎日の台所仕事の知恵、仕組を教えてくれ、感心することばかりだ。そこで女学生が在宅の期末休みに教育テレビなどで再放送してもらいたいと思う。自信を持って娘たちに指導するためにも二度三度見たい番組だけに、ぜひ。」ひとつお願いしますというのですけれども、これは再放送はちょっとできないですか。やってくれませんか。
  264. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) そういう御要望が料理番組に限らずいろいろな番組にいただいておりますので、夏休みであるとか、あるいは冬休みの時期であるとか、ただいまはちょうど春休みでございますが、そういうような時期にいろいろな諸番組の再放送を実施いたしております。したがって多くの番組の再放送希望がございますので、必ずしもここで確約的にお約束することはむずかしいかと思いますけれども、たいへん有益な御示唆でございますので、検討したいというふうに思います。
  265. 鈴木強

    ○鈴木強君 せっかく参議院の逓信委員会で取り上げたんだから、ひとつ優先的にやってくださいよ、これは。
  266. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 優先的に検討させていただきます。
  267. 鈴木強

    ○鈴木強君 ありがとうございました。ひとつお願いいたします。  それから、大体、NHKのドキュメンタリーというのは、この表を見ると、九〇%以上はみんないいというんですよ、ドキュメンタリーは非常にいいと。これはまあ自信を持ってやってほしいと思います。  それから、ラジオテレビですけれども、最近はラジオのほうを聞いている人のほうが多いんですね。せんだって東京の若者たちを対象にいろいろと調査をした結果が出ておりますけれども、五百六十人という限定された人ですけれども、そのうち七六%はテレビよりもラジオが好きだと、ラジオを聞いているらしいんですね。ですからラジオに対しても、番組の中で、今度拝見しますと、かなり思い切ってやっていただけるようですけれど、なおひとつラジオのほうにも——私、この前、朝、民放なんかがラジオカーを方々にどっと出して、どこがどうだ、どこがどうだという交通なんかのふくそう状態をどんどんと知らしている。あれが非常によかったので、私、去年の委員会で言ったんです。その後、NHKも、日航の予約状況がどうだとか、全国の道路網がどうだとかいうようなことをやってくれていまして、あれは非常によく聞いていますよ、みんな仕事をしながらよく聞いている。テレビというのはやっぱりじっとすわっていなきゃ見れぬものですから、ラジオは仕事をしながらでもポータブルでちょっとかけてみなやっています。大工さんだって、このごろは現場でとんとんのみをたたきながら聞いていますよね。百姓だって野らへトランジスターを、小さい携帯ラジオを持って行って、聞きながらやっているんですよ。ですからラジオのほうにも大いに力を入れてやってほしいと思います。これは具体的にどうこうということは言いませんけれども、そういうふうに好みも変わってきているようですから、ひとつラジオのほうにも力を入れていただきたいと思います。
  268. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) ただいま鈴木先生から御指摘のありましたように、来年度ラジオ編成につきましては、さらに午前中の第一放送の「みんなの茶の間」等の家庭婦人向け等を考えておりますところを、大いに刷新したいというふうに思っておりますし、また高年齢者対象としましては、NHKとしては数多くの文化財ライブラリーのテープを保管、保存しておりますので、それらを活用いたしまして、高年齢者の方にも慰安としてお聞き願えるような時間をつくりたいというふうに考えておる次第でございます。
  269. 鈴木強

    ○鈴木強君 それからNHKの大河ドラマ「国盗り物語」というのが非常に評判がよくて、いま視聴率は二七・五%、TBSの「嫁の縁談」が一七・二%、NETの「気になる関係」が一五%、フジの「春ですもの」というやつが一二・三%、それからNTVの「ご存知時代劇」これが三・九%、こういうふうに比べてみると、かなり視聴率は高いと私は思うんです。  これに対していろいろ批判がひとつ出ておりますのは、NHKは金をたくさん持っているし、俳優に払う出演料というのも高いし、人海作戦と金でもってとても太刀打ちできないというような、そういうような批判もあるんですよ。で一体、俳優は平幹二郎さんだとか高橋英樹さん、池内淳子、浅丘ルリ子、三田佳子という方々が出ているんですが、この資料を見ますと、一回に支払う出演料は五百万円と、こう書いてあるんですね、この資料では。週一回の放映だから、月に出演料だけで二千万円、そういうふうにまあ批判をする人もいるんだが、こっちの資料を見ますと、「国盗り物語」は四十五分で一本当たり四百三十七万四千円、一分に計算してみると九万七千円ですね、一分間当たり。それから「藍より青く」が十五分で五十一万二千円、一分当たりが三万四千円。それから「あすへの記録」三十分、これが百五万八千円ですから一分当たり三万五千円と、それから大相撲が百十分間で百九十五万九千円、一分当たり一万八千円払っているわけですね。これは番組の直接製作費だけですけれどもね。これ何か出演料五百万というような批判をしている記事も見えるんですけれども、これはもう薄謝協会なんというのは昔のことで、相当出演料もよくなっているんでしょうね、これ幾ら払っているんでしょうか。この「国盗り物語」の四百三十七万四千円というのを、よくわからないんですけれども、これちょっと教えてくれますか。
  270. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) その出演料が五百万円だというのは、どこのニュースソースか存じませんが、私どものほうの単価といたしましては、出演料として、一回に割りますと百二十二万二千円と、まあはんぱな数字になって恐縮でございますが、おおむね百二十万程度と、こういうことでございますが、で、だれが幾らかということはちょっとここで、公開の席でございますので御容赦願いたいと思うのでございますが、一回の出演料としましては百二十二万二千円であると、こういうことでございます。
  271. 鈴木強

    ○鈴木強君 百二十二万二千円というのは、俳優さんがたとえがこの日の撮影のときに五人出たというと、その五人で百二十二万二千円を分けるわけですか。その分け方は俳優さんによってどう分けているかは知れぬと、これはだれに払うんですか。
  272. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 百二十二万二千円というのは、一回に割ました平均でございますから、だから五人の場合は安くなりますし、十五人出ればそれよりか高くなるということになるわけで、ただお一人お一人の出演料というのは、その方のいろいろな御経歴なり才能なりあるいは能力なりというようなことで格づけがございまして、そうしてお一人お一人値段は違う、こういうことでございます。
  273. 鈴木強

    ○鈴木強君 いや格づけはわかるんだけれども、一人一人にやっぱり出演料はNHKとしてはお渡しになるわけでしょう。
  274. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) そうでございます。お一人お一人にお払いしておるわけでございます。
  275. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは恐縮ですが、資料でよろしいからいただけますか。大体幾らかかるのかよくわれわれもわからぬのですよ、だから五百万だと言われればそうかなと思うしね。だからそういうときに、いやそうじゃないんだということがわれわれ言えるわけです、間違った批判に対してはね。これは公開したっていいじゃないですか、税金もちゃんと払っているだろうしね、秘密のことないでしょう。資料で出してくださいよ。
  276. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) そのお一人お一人の値段をここで申し上げるということは、お一人お一人のプライバシーにかかわりますので、そういう点はひとつ御容赦願いたいと思いますが、先生の御要請の点につきましては、後ほど御提出したいと思います。
  277. 鈴木強

    ○鈴木強君 それで、たいへん時間が延びちゃって恐縮ですけれども、もう少しひとつしんぼうしてもらいたいと思うんですが、都市難視の点で若干この前質問したのがありますから、調べた結果どうなっているかを教えていただきたいんですけれども、この前の江東区の大島の団地のビル陰障害の問題は、実地調査をしてどういうふうになっておりますか。ちょっと概況を説明してくれませんか。
  278. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 三月八日の当委員会で先生から御指摘のありましたのは、二件あったと思います。  その一つは、王子の問題でございますけれども、これは王子の警察のビルと都営住宅、その二つの複合的な反射ということでございまして、これは二百十世帯が被害を受けていると、こういうような調査になっております。それでこれの措置でございますけれども、警視庁と都が費用を分担いたしまして、共同受信施設を設置するということで、地元の自治会と円満に話し合いがついておるということでございます。いま設計中でございますので、間もなく着工するという運びになろうかと思います。  それから、江戸川区、江東区の電波の障害の問題ですが、これはなかなか複雑でございまして、おそらくは新宿の超高層ビルということが影響しているのではないかと見当はつくわけでございますが、確定までにはまだ調査が進んでおらない。それからこれは目下建設中でございまして、最終的にどういう姿になるかという事柄はもう少しビルが高く建設されまして終了するという段階にまで至らないと、なかなか実数、被害の状況、こういうものはわからないと思います。  ただ、概括的に申し上げますと、相当の被害が見込まれるわけでございまして、都内で約三万五千、千葉県で約一万五千と、これはもちろん大部分はアンテナの向きを変えたり、あるいは若干の手直しで回復するということであろうと見当はつけておりまするが、これもまだビルが完成いたしませんと、具体的な決定的なことばわからないということでございます。  その中で、特に被害の大きいのは江東区の大島地区というところでございまして、この世帯が約二千でございますけれども、これは、おそらくと申しますか、共同受信施設を設置しなければ救済ができないだろうという調査——まあ調査中でございますけれども、そういうような結論が出そうでございます。  以上でございます。
  279. 鈴木強

    ○鈴木強君 なお、それはいろいろ相談に乗ってやったり、実態調査をもう少し詰めてやってみてくれませんか。適切な措置をしていただいて、ビル陰障害から一刻も早く救済できるようにひとつ措置をしてもらいたいと思います。  それで、最近、超高層あるいは高層ビルの乱立がたいへんひどいもんですから、それによって電波障害を起にしておるというので、地方の、県もあるでしょうし、多くは市とか町ですね、町で中高層建築物規制の条例というようなものをつくって、いろいろと電波対策について地方自治体自体がもう動き出してきているというふうに聞いておりますが、普通の公衆的通信あるいは重要無線の場合には、電波法が改正になりまして、ある程度規制ができます。したがってそういうこともあるわけですから、私も前から言っているように、何らか電波法上の救済策というものを考える必要がきているんではないかと思うんですけれど、こういう動きに対して、郵政省は、具体的にどういうお考え方対策をお立てになろうとしているのか、基本方針だけでけっこうですから、示してもらいたいです。
  280. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 御指摘のように、最近は高層ビルによります受信障害が非常に多くなってまいりまして、したがいまして、これに対しては郵政省としても早急に何らかの対策を立てなきゃならぬということでございます。それでこういう問題につきまして、来年度予算をいただきまして、関係の方々にお集まりを願って調査会を開いて、実態の把握それから技術的な解決策の検討、それから財政的な問題——どこが金を持つか、あるいは法制的な問題こういうことにつきまして徹底的に多角的な面から調査を行なう、そしてできるだけ早く結論を出す、こういう方向で進んでおります。  それから、いまお話がありましたように、重要無線につきましては、電波法で一応、高層ビルが重要無線の通信路をさえぎる場合には、一定の期間、二年ないし三年建築を延ばしていただく、話し合いがつかなければ建築を延ばしていただく、こういうような規定があるわけでございますけれどもテレビにつきましては、全国至るところに受信機があるわけでございますし、郵政省側としては望ましいことかもしれませんが、それをテレビに押し及ぼすというようなことになりますと、ビルの方面から相当いろいろな問題が出てまいると思います。と申しますのは、おそらく直ちに都会におきましてはビルを建てることがきわめてむずかしくなるというようなことも考えられますので、その点も十分検討しなきゃいけないということでございまして、郵政省としましては、ビルを建てたことによるビル陰障害につきましては、原因者の責任において救済していただくというようなたてまえをとりたいということでございます。
  281. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはね、あなたそうおっしゃるけどね、地方自治体がすでにそれぞれの市町村の条例において、それぞれの議会の承認を得て、そういうところまで進んできているわけですよ。だからそれには、いまあなたのおっしゃったように、いろいろと隘路もあるかもしれませんがね、少なくとも郵政本省において、電波監理の最高の部局において、その下部の動き等を十分考えながら適切な措置をとって、電波法改正の問題がクローズアップするかどうかは別として、やはりこの検討を加えて、そうしてもしうまい方法があれば、どういう方法かお考えになって、いい方法があれば、また電波法の改正が必要であれば改正するという前向きの姿勢で、地方自治体の情勢にマッチするような行政を進めてもらわないと困りますよ。何か原因者負担でいくので、それはもう関知しなしような、そういう答弁じゃちょっと困りますね。
  282. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 繰り返しになりますけれども、非常にこれは重要問題でございますので、来年度におきましては、権威ある関係者の方々にひとつお集まりを願いましで、徹底的に検討したいと、これが前提でございます。
  283. 鈴木強

    ○鈴木強君 それれはそれでいいですよ。そういうふうにしてひとつ検討してみてください。  それから最後に、NHKの今度の予算の中で放送衛星の問題、さっき会長もおっしゃったんですが、開発研究を積極的に進めるということになっておりますが、その内容と現在までの研究の実績、同時に郵政省のほうも電波研究所でそういう研究を進めておると思いますから、この点はひとつ両者から概略でいいですからね、基本的な問題だけ説明してください。
  284. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) 四十八年度につきましては、先ほども言及いたしましたけれども先ほどは研究費一億円、研究施設費二億円と申し上げましたが、そのほかに国の計画がきまりました段階で衛星に搭載する機器、ミッション機器の開発研究の一部として一億二千二百万円というものを委託されました場合に、合計四億二千二百万円が四十八年度の費用でございます。  で、この最後にいま私が言及いたしました部分が、五十一年に打ち上げを予定されております実験用の放送衛星の搭載機器の具体的な開発に当たるわけでございますが、これはその一部分でございます。一部分と申しますのは、衛星のほうに載せる受信部の部分だけがここに出ておりますので、これだけでは用をなしません。当然、アンテナ部分並びに送信部分、それと受信部分、この三部分が一体になって放送衛星の搭載機器になるわけでございますが、この部分を含めまして、実体の開発を進めていくようにしたいというふうに考えております。  で、そのほかの費用といたしましては、たとえば地上局のあり方はどうであるとか、十二ギガヘルツというSHF帯の受信機をどういうふうにするのが一番いいかというような研究がございます。並びに地上施設として、実験用の衛星本体ができましたときに、これは空に上がってしまいますので、地上において並行していろいろな測定をするための装置というようなものを、これはNHK自体の問題として同時に進めていくということを考えております。  それが四十八年度における問題でございますが、ただ、昨日、宇宙開発委員会のほうから国としてのスケジュール、ステップの問題が出てございましたけれども、フェーズAとかフェーズBとかというかっこうで出ておりましたけれども、私ども放送衛星の緊急性というか必要性というところから、しかも最も経済的に最も早期にやるという点と、それから最も着実にやるという行き方との間に、まだ若干調整を要するところがあるというふうに率直に考えております。もう一度念を押さしていただきますと、アポロ計画のように有人、しかも世界で初めてやるというようないわゆるビッグサイエンスとしての開発と、放送衛星というようなたいへん応用性の高いものの開発との問題は、技術的な問題というものも確かにいまのミッション機器のようなところで開発要素がないとは申せませんけれども、いわゆる巨大科学であるという観点からの開発のしかたと、そのデマンドというか、技術革新が社会に及ぼす影響、その効果ということの緊急性というものを、より一そう勘案していただきたいというふうに私どもは考えております。
  285. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと齋藤さん、この前、放送衛星についてはかなり私は委員会で質疑をしているんです。ですから、いまの私の郵政省への質問に対しては、こういうふうにして答えてくれませんか。五十一年度の打ち上げをやるということで進んでいるんでしょう、その目標にしておる五十一年度に可能かどうか、実際に打ち上げられるものなのかどうなのか、そこのところに焦点を合わしてもらいたいんですよ。それで、ことし郵政省が非常に御苦労されて、一時は二十億まで復活要求がいったと思ったら、また八億にへこんだり、紆余曲折がありましたけれど、かつてない予算がとれたと思うんです。これは大臣の御苦労だと思うんですが、そういうわけで年度当初に放送衛星の計画というものが一応出ておるようですけれども、それによってどんどん進めていった場合、五十一年に打ち上げが可能なのかどうなのか、こういう点を明確にしてもらいたいんです。
  286. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 当初郵政省計画いたしましたスケジュールによりますと、金は四十一億五千万円ということで、内容は概念設計、予備設計、それから基本設計の一部が含まれておったわけでございます。ところが最終的にきまりました額は約八億七千万円ということでございまして、基本設計がそれに含まれておりません。したがいまして、いままでの郵政省の四十一億五千万円の当時の開発スケジュールということは再検討を余儀なくされたわけでございますが、目下、五十一年度を目途に打ち上げるということで、世界の情勢その他から考えて、ぜひとも打ち上げたいということで開発スケジュールの再検討をいま急いでおる最中でございます。
  287. 鈴木強

    ○鈴木強君 打ち上げる必要性というものがあれば、それに合わせてやっぱり技術研究を進めていかなければならぬでしょう。ただ予算的に削られましたから、おっしゃることとはよくわかります。そこでもう一つ考えられるのは、打ち上げ技術、ロケットのほうですね、これはまあアメリカがそういう技術についてはもう数段進んでいるわけですから、そういう技術を導入してやるか、やらないかというところにもくると思うんです。日本の技術陣営からすれば、アメリカの力で打ち上げるなんというのは、ちょっと国の体面もありますし、技術者のプライドにかかわることでありますから、できるだけ自力でやりたいと苦労されているんです。この前、宇宙開発委員会の委員長代理さんにも来ていただいていろいろ伺ったんですけれども、それはたいへんな努力をされているんです。しかし残念ながら、その裏づけが十分ないものですから、たいへん御苦労されている点を私よく伺いましたけれども、もし五十一年に日本のロケット打ち上げ技術が間に合わないとすれば、米国の技術を導入してでもやるというような、いろいろ問題があってもそういう意気込みでやるのかどうなのか、この点はいかがでございましょう。
  288. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) いま世界の大勢から考えまして、郵政省あるいはユーザー側としましては、一日も早くこれを打ち上げたいという希望を持っているわけでございますが、いま、先生の御承知のように、気象衛星につきましてはアメリカに打ち上げてもらおうということで、ほぼ決定しているようでございますが、ユーザー側の希望としては、ひとつ五十一年度に間に合うようにできるだけその打ち上げを要望しているわけでございます。  ただ、ロケットの関係につきましては、これは最終的には宇宙開発委員会がきめるわけでございますので、あまり郵政省側から、この衛星がどうだ、あの衛星がどうだという差しがましいことを申し上げますと、かえって事態が混乱いたしますものですから、私たちとしては、どうしても五十一年度に打ち上げていただきたいという強い要望を申し上げているわけでございます。
  289. 鈴木強

    ○鈴木強君 要望を申し上げたって、向こうが体制ができなきゃこれはしようがないでしょう。だから、要望するには要望するなりの体制ができるような知恵を働かしてやらなきゃだめですよ。これはただ要望だけしておったって、犬が遠くからほえているようなものです。  さっき松浦さんから、きのうでしたか、宇宙開発委員会のほうから何か計画が再修正されたのかどうか知りませんが、それはどんなふうになっているんですか、ちょっと聞かしてくれますか。
  290. 松浦隼雄

    参考人松浦隼雄君) あるいは私から申し上げることでないかもしれませんが、御質問がございましたので知っている限りにおいてお話し申し上げます。  昨日、委員会から発言されましたこと並びに四十七年度の宇宙計画の見直しの中でございますことは、委員長代理も言っておられたように、委員会としては、四十七年度はなお開発研究で慎重を期したいと。それで、それが衛星の、たとえば——こまかいことになりますが、姿勢安定方式とか、大きな送信用の進行波管とかいうもののめどが立てば、本格的に次年度からその開発に入るというふうな表現があったと思うんでございます。それと同時に、N計画というそのロケットの開発計画は、ぎりぎりがんばっても、ペイロード——打ち上げられて上に動く部分の重さが百三十キロでございますから、どう少なく見ましても放送衛星あるいは通信衛星の実験のために必要な星の重さは二百五十キロ以上でございますから、当然ソー・デルタの一番新しい型を使うのが最も経済的であり、可能性があるということになるわけでございます。したがって結論といたしましては、当然、アメリカのロケット施設という——形の上では、先生指摘のように、まるまるたよるのかというようなかっこうでございますけれども、N計画——これも言及するのはどうかと思いますが、技術導入というものは、やはり技術者が実際にそれを扱っていかないとなかなか勉強できないもんでございますから、そのことは、それより先の将来に対して、やはりわが国においても非常に技術の開発のためにも意義があるというふうに考えまして、まあ結論としてはロケットはアメリカのものを使う。なお、アメリカ側は、これは非公式でございますが、現在でも平和利用のためならばロケットの使用については門戸を開放するということは変わってないというふうに聞いております。
  291. 鈴木強

    ○鈴木強君 きのう、森委員が山県さんに御質問になったときに、五十一年度はどうも自信が持てないというような消極的なお答えがあったようでして、これではちょっと困るわけです。だから何とかこれひとつみんなで知恵を出し合って、五十一年度に打ち上げるようなひとつくふうをしていただきたいいと思うんですよ。  それで、おそらくミッション部分は技術的にほとんど可能で、結局ロケット部分だと思いますがね。ソー・デルタでいくか、そういう点の問題が残っているんだと思いますから、最悪の場合に、いま松浦さんのおっしゃったような、平和利用のためにはアメリカが打ち上げについては喜んでやってくれるというような情勢であれば、その問題も含めて御検討いただきたいんだが、まあわれわれ日本立場から見れば、できるだけ日本の技術でロケットも開発して、打ち上げたいわけですよ。ですから、その辺ひとつ、大臣、時間もありませんから、何とか総がかりでくふうをして、大臣もやる気で予算も御折衝いただいて、残念ながら全体が取れませんでしたけれどもNHKもあるいは電電公社もあるでしょうし、それからおたくのほうは郵政が本元ですから、ひとつみんなが協力して、何かそういう体制をつくっていただくように最善の御努力をいただきたいと思います。
  292. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 御指摘の点は、まことにごもっともだと存じます。私の十分力が至らなかったために、関係各機関の御了承を得ることができなくて、当初予算編成の際に、閣僚折衝で決定をいたしました二十億円の額を八億七千万に減額せざるを得なかったわけでございます。これは私の力の至らなかった点でございまして、反省をいたしておるような次第でございます。  しかし、その際、関係閣僚でだいぶお話し合いをいたしました際に申し合わせをいたしましたことは、五十一年度を目途にして開発、研究を行なう旨の、私たち自身は、了解を得たような次第でございます。私はそういうふうに理解をいたしておるんでございます。でございますから、何といたしましても、この宇宙衛星の開発につきましては、皆さんの御協力を得つつ、早期にこれが実現をいたしまするように努力をいたしたいと、かように存ずるような次第でございます。
  293. 鈴木強

    ○鈴木強君 その点はぜひひとつお願いします。  それから一九七二年の宇宙通信に関する世界無線通信主管庁会議というのが持たれまして、放送衛星の定義、それから放送衛星周波数帯の配分がきまったのでありますが、日本は第三地域いわゆるアジア地域に属することになりまして、周波数帯もきわめて限定された周波数を割り当てられるようになると思いますが、これについて、わが国が他の諸国に負けないように、一番いい周波数を獲得できるようなひとつ御配意をしていただかないと、困ると思うんですよ。そういうためにも、打ち上げがおくれますと、おくれただけいい周波数がもらえないというようなことも一面考えられますから、この点はひとつ電波理局長十分肝に銘じて、いま私が言った五十一年度打ち上げということに対する全体的な推進を、大臣もおっしゃっているわけですから、ぜひやってもらいたいと思いますが、いいですね。
  294. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 五十一年にぜひとも打ち上げたいということを私たちが考えております理由の一つには、いま先生がおっしゃいましたように、電波権益の確保という問題があるわけでございますので、その線に沿って全力を尽くして努力したいと思います。
  295. 鈴木強

    ○鈴木強君 それからもう一つ、最後に、去年の秋の国連総会で、宇宙空間の平和利用委員会というのが、放送衛星の利用を規律する原則についてできるだけ早くこれを作成するという要請があって、ことしは六月ごろにその検討に入ることになると聞いておるんですが、これに対して、日本政府は、どういう対処をしていくおつもりでございますか。
  296. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) いま詳細につきましては検討中でございますが、基本的な考え方といたしましては、衛星放送というものは世界の情報の交換あるいは文化の交流ということに果たす役割りがきわめて大きなものであるということを考えまして、積極的にこれに寄与していきたい、こういうことでございますが、反面、これが非常に影響力が強いわけでございまして、国境を越えて国際放送が行なわれるということになりますと、国際間のトラブルということもまた考えられるわけでありますから、国際協調を旨としつつ、放送衛星の持つ可能性を最大限に発揮させたい、こういう基本的な考え方でいま具体的な案を練っておる最中でございます。
  297. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはもうほんとうの最後ですがね。一部の国ですけれども、この場合に、国家間の放送衛星利用ということに当然なるわけですから、その際に何か放送番組に対して一つの国家的な規律をすべきだというような、そういう意見もあるように聞くんですが、これは私は大きな問題だと思うんですよ、わが国の憲法からいたしましても、それぞれ国柄が憲法上も違っている国もあると思いますけれども、国際的に規律する場合にそういうものが出てきて、日本の憲法がそれによって抵触するようになったら、これはたいへんな問題になりますから、これらについてはひとつ慎重に配慮しなきゃならぬと思いますが、少なくとも言論報道の自由を規律するような一部の国の動きに対しては、日本は断固反対をして、日本国憲法に示されたような姿における利用ということを、もう一歩も曲げないで国際会議に臨んでほしい、こう思いますから、この点大臣に強く要請して、終わります。所信があったら。
  298. 久野忠治

    ○国務大臣(久野忠治君) 御指摘の点は、まことに私も同感でございます。その線に従って努力いたしたいと思います。
  299. 森勝治

    ○理事(森勝治君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会をいたします。    午後五時四十七分散会