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参考人(前田義徳君) 御
指摘のとおり、私
どもは四十七年度
予算を御審議いただくにあたって、第四次の長期構想という五カ年構想を立ててみました。その結果として三百八億の赤字が出るという
数字が出たわけです。しかし、私は、この点についてもまあうちの同僚に話したんですが、赤字を出す長期構想というものはちょっと受け取れないと、このままでいけばこれだけになるんだと、これをどう経営的に吸収するかということが必要ではないかということを同僚にも語ったわけですが、したがいまして今度の四十八年度
予算の御審議と関連して、ただいま申し上げた第四次の長期構想はすでに四十八年、四十九年、五十年と三
年間の間に修正をしたことになります。
その修正のしかたは、ただいままで二重機構であった中央機能を一カ所に集めるということによって、簡単に言ってそれだけで
年間約六億の節約ができます。
しかし、それはそれとしてもう
一つの基礎になる
数字は何かと申しますと、御承知のように
昭和三十五年の第一次長期
計画からほとんど全部の各地の
放送会館が新しく生まれ変わりまして、それから機械、設備等も更新されております。今回の
放送センターへの集中移転によって、一応形の上では四回にわたる長期
計画ないし構想の実施によって、大体この建設費との
関係で修正すべき点がまず出てきております。そういう意味では今後三カ
年間の建設費は、素朴な、
先ほど申し上げた第四次構想の一ことしが初年度で、明年度は二年目になるわけでありますが、二百億をこえる毎年建設費が必要だったわけです。これに対してこれを見直しまして質を高めるという方向で、大体この長期構想と関連して申し上げますと、少なくとも三
年間に百二十三億五千万円の建設費の、何と申しますか、
計画修正が可能であるという見地に立ったわけでございます。この見地に立ちますと、したがってこの建設
関係あるいは技術運用という面で、たとえば減価償却費の問題あるいは支払い利息の問題、施設維持運用費の問題で三
年間におおよそ四十二億円が節約できることになります。それからまた同時に、
先ほど来申し上げた中央機能への集中、いわゆる
放送センターに移行するということによる三
年間の具体的な節約可能金額は、これまた四十二億円にあたります。そうしてさらに、これにはいろいろな御意見がございましたが、この四十八年度
予算でわれわれが考えている借金の返済方法をお認めいただくならば、これまた、まあ近くまた利子が上がるという話もございますが、おおよそ十億円の利払いの節約が可能になってまいります。そうしますと、これを合わせて約九十一億円ばかりの節約が可能になります。これをもととして、私
どもとしては、大体三
年間は値上げをしなくてもいいのではないか。
もちろん、過去も五
年間聴視料に手をつけておりませんが、この期間に消費物価の騰貴の上昇パーセンテージは約三割であります、公共料金は約二割であります。今後物価指数がどういうふうになるか、あるいは公共料金がどのようなはね返りを示すかということがやはり今日の重要課題の
一つになるわけでありますが、これに関しましては、やむを得ざる場合——言い方がおかしいですけれ
ども、やむを得ざる場合は三十四億数千万円のいわゆる安定基金を
利用することによってこれを吸収してまいりたいという
考え方を持っているわけでございます。
したがいまして当面三
年間はやっていけるという計算のもとに、私
どもはこういう意思表示をしているわけでございますが、それでは、御質問のように、三年たったら値上げをするのかという反応が常識的には出てまいるわけでございます。もちろん三年後の客観的情勢がどうなるかということについては、私
どもといえ
ども予言するわけにはまいりませんが、ただ私が現在考えておりますのは、たとえばもし五十一年度に、これも例の
一つでございますから、
放送衛星の
実用化が可能になるとするならば、いわゆる難
視聴対策としてどの程度の効果をあげ得るかということを考えているわけでございます。これは
先ほど来午前中にも御質問がございましたが、明年度
予算におきましても、いろいろなものを合わせますと総額約七十億の
予算を組んでおります。これをさらに推進することになれば、
松浦専務からもお答え申し上げましたが、おそらく五
年間に要する費用というものは、一〇〇%の措置ができないにもかかわらず、二百数十億を必要とすることになると思います。三
年間で考えてみても、明年度のベースで計算しましても、二百億をこえることは明らかであります。しかしこのままでまいりますと、それが共同聴視の形であるか
置局の形であるかを問わず、もちろん地上の設備によって
難視解消を行なっていかなければなりませんが、もし
放送衛星が
実用化されるという段階には、いかなるはね返りがあるであろうかということを考えるわけでございます。これについてはいろいろな計算——確実な計算はまだ出ておりませんが、簡単に言って
テレビジョンの分野でも総合、教育を合わせて五十年の終わりころ、五十一年ころにはおそらく四千局をこえることになると思います。
それからまた、けさ、御質問との関連で申し上げましたが、たとえば
中波の大
電力などという問題は、国内的には
予算の計上だけではある意味では実行不可能になってまいりました。それば広大な
土地を必要とするからであります。そういうような実情を勘案し、ないし国際機構が
一つの原則を打ち出したとしても、これもまた国際政治の力かげんにおいて、必ずしも国際機構が決定した
方針がそのまま実際に適用されるということも、いままでの経験で考えますと、
かなりむずかしい。そうすればこの面についても新しい構想が必要になる。でこの面でも同じように使えるかどうかは別として、もしこの
放送衛星が
音声放送の分野でも
利用できることになるとすれば、この点でも多少のプラスがあるわけでございます。第一、地上の
置局数がある程度、これもまだ別に計算しているわけではありませんが、四千をこえるものが二千以下で済むかもしれない。そういう場合に、特別のやはり計算の価値が出てくる。現在、
放送衛星とかあるいは通信衛星を合わせていろいろな分野で三百数十億かかるということが言われておりますけれ
ども、
放送衛星自体についてはわれわれの
考え方では百十五億内外で実現できるものと考えております。
つまりこの百十五億内外という金を打ち上げまでの開発に要する費用と考えておりますが、明年七十億かかる
難視対策に比べれば、この金は二カ年の費用よりもはるかに安い。もちろんその使用料であるとか運営のしかたとも関連してまいりますが、大ざっぱに言って安いであろうと。
それからまた、同時に、本年度
予算を御審議願います際から、私
どもとしては、
難視の
解消の波の性格による番組の向上と、波の性格によるというものをつけ加えまして、新しい方向を考えているということを示しているわけでございますが、これらを総合して勘案しながら、すでに明年度
予算との関連で事実上修正された第四次構想の立て直しを、少なくとも明年度
予算が終わる四十九年ぐらいまでには、私
どもは立ててみなければいけない。そういう
考え方に立ちますと、社会環境からくるいわゆる支出の増との関連で、私としては五十一年以降も絶対に値上げをすることが必要かどうかということについては、必ずしもそれが必要だという
考え方も実は持っていないわけなんです。ただ、御質問のように、まだ最終的見通しが現在の段階では実際的に研究しておりませんので、当面三
年間の
考え方を申し上げて、それに引き続く構想を至急立てたいと、また立てなければならないと考えているということを申し上げて、御理解をいただきたいと思います。