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1973-06-21 第71回国会 参議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十一日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 正明君     理 事                 嶋崎  均君                 土屋 義彦君                 野々山一三君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 河本嘉久蔵君                 柴田  栄君                 徳永 正利君                 桧垣徳太郎君                 船田  譲君                 川村 清一君                 竹田 四郎君                 戸田 菊雄君                 成瀬 幡治君                 山崎  昇君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君    政府委員        大蔵省主計局次        長        吉瀬 維哉君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        大蔵省国際金融        局長       林  大造君        中小企業庁計画        部長       原山 義史君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        通商産業省化学        工業局窯業建材        課長       原野 律郎君        建設省計画局技        術調査官     三浦 孝雄君        自治省行政局行        政課長      砂子田 隆君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業金融制度整備改善のための相互銀行  法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣にちょっとお聞きしますが、まず、最近の中小企業金融、特に中小企業に対する金融状況金融環境といいますか、こういうのは、大臣自体どういうふうに御判断になっておりますか。新聞等で拝見しますと、まだまだ企業手元流動性には余裕があるから、金融引き締めという問題はさらに進めていく方向、おおむねそういう方向のように私は伺っているわけであります。しかし、全般的にはそうでありましょうけれども、個別的に中小企業というものと、大企業というものとをやっぱり分けて考えてみるほうがよかろうと思うんですけれども、そういう点で中小企業者に対する最近の金融環境というものは一体どういうふうになっているか、大臣はどのように御認識になっているか、その点をお尋ねしたいと思います。
  4. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まず、先月末のこれからの経済情勢見通しといたしましては、設備投資が依然として相当過熱傾向である。これは先行指標等から見通しても明らかに見通される事実であるということが一つ。それから、一般的に消費も異常な伸びでございます。それから、国際収支状況はまあ安定といいますか、均衡正常化動向にある。  大体大きく申しますと、そういう見通しでございますので、御案内のように、公定歩合引き上げ預金準備率引き上げを同時に決定をいたしたわけでございます。  それからその次に、御質問の中小企業をどう見ているかという点でございますが、金融政策のほうから見ますと、当初来中小企業に対しては、できるだけの配慮をしなければならないと考えましたから、たとえば、預金準備率の三回にわたる引き上げ等においても、その点は御案内のように、相当配慮をいたしましたが、しかし、銀行筋を締めれば、その影響中小金融機関のほうにシフトされる。その傾向も見受けられますので、預金準備率引き上げに際しましては、その範囲を広げたわけでございます。したがって、その面から、今度は中小企業のほうにこれが影響があってはいけませんから、中小金融それ自体に対しては、きめのこまかい規制を行なうことによって、いわば質的に、あるいは量的に中小企業に対しては悪い引き締め影響が及ばないように、この点はこの上とも配慮してまいりたいと、こういう考え方でございます。  それから、住宅ローン等についても、具体的に非常に配慮を続けておる点でございます。  それから、一般的な状況として、いわゆるオーバーキルの心配はないかというような点については、いままだそれよりもやはり引き締めを続けなければならないというのが現在の情勢であると、こういうふうに判断をいたしておるわけでございますが、その効果がどうしてもやはり相当のタイムラグがございますから、その間の状況推移を見守ってまいりたい。  それからなお、財政上におきましても、契約ベースについての引き締めは御承知のとおりでございますが、なお一そうそのワクの中でも、一面において引き締めを強化する、繰り延べを強化する。ただ、これも地方的あるいは福祉関係等につきましては、できるだけ繰り延べをしないで、目的を達成するようにしたい、こういうふうな概略見方でございます。
  5. 竹田四郎

    竹田四郎君 ここ数日来の新聞を見ておりますと、どうも五月の公定歩合引き上げ——まあ六月の第三次の預金準備率引き上げというのはまだ時間的な点で幾らもたっておりませんけれども、そういう点だけでは金融引き締め効果というものはなかなか期待ができないということでありますが、この前、日銀総裁がお見えになったときに、七−九の日銀窓口指導をどうするかという話がありましたが、それは六月の金融情勢を見て、七月の窓日規制というものを考えていきたい、こういうふうな御答弁であったわけでありますけれども、これは日銀がやることでありますけれども大蔵大臣もこの点については全然話なしにやるということはおそらくなかろうと思うわけでありますが、七−九の窓口指導というのは一体、大体どのくらい減らしていくような方向にあるのか。  それからさらに、公定歩合引き上げ等についても、将来にわたって、まあ少なくとも七−九のこの時期においてさらにそうした総需要抑制策というものをもう少し打ち出していかなくちゃならないわけでありますが、それはまあ二つのやり方があると思いますが、金融政策の面からと、財政政策の面では、先ほどの、上期における公共事業契約ベース、これも若干いまのお話ですと、五九・六というものをさらに再検討して、引き締めるべきものは引き締めていくというような内容のお話のように承ったわけでありますが、今後のそうした金融引き締め、総需要抑制というような点を具体的に公定歩合引き上げとか、あるいは窓口指導と、そういうような面について特に大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  6. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) お話もございましたように、むずかしい状況下でございますから、特に、日本銀行、あるいは政府部内におきましては経済閣僚と、特に、こういう状況下においては連携を常に保ちまして、経済情勢動きについては細心の注意を払っているわけでございます。  それから、公定歩合問題等は、これはむしろ機動的、流動的かつ短期的などちらかといえば政策でございますから、情勢の変化に対応いたしまして適宜、機動的な措置をとってまいりたい。したがって、毎月、毎月はもちろんでございますが、情勢推移を十分よく見きわめて、判断に誤りのないように、そしてとるべき措置については迅速でなければならない、こういう考え方で対処をいたしておりますが、そういう考え方でございますから、今後、六月にはどういう措置をとるとか、七月にはどういう措置をとらないとかいうことは、なかなか現在の時点においてあらかじめ予告をしながらやるということはできないと思いますし、また、そうすることは不適当であると、かように考えている次第でございます。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 この五月から六月にかけての政府関係中小金融機関貸し出し状況というのは、おそらくまだなかなか統計がとれていないでしょうから、はっきり数字的にお示しいただければそれけっこうでございますけれども、特に、国民金融公庫中小企業金融公庫、こういうものの動向というのは大蔵省はどういうふうにおつかみになっておりますか。
  8. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 数字的には銀行局長から御説明申し上げますが、たとえば、二月、三月当時の情勢において最も心配されました輸出関連中小企業に対する政府関係機関からのとりあえずの、たとえば、二千二百億円の規模融資の増というようなものは、これはほとんど所期の目的のために融資されているものと考えております。それ以外の点につきましては、銀行局長から数字的に御説明いたします。
  9. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) まず、国民公庫で申し上げますと、五月末でございますと、実績が三百七十七億でございまして、これは前年に比べますと一三〇・五%という貸し付け金額になっております。中小公庫につきましては、五月末の数字をまだとっておりませんが、四月末で五百二十八億で一七六・八%という数字になっております。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も、地元の国民金融公庫あたりの最近の動きというものを聞いてみますと、最近は国民金額公庫にくるのが非常に多い、ものすごく仕事がふえてきていると、まあこういうことであります。まあそういう意味では、おそらく中小企業に対する金融引き締め、これは大臣中小企業に対しては配慮をしていると、こういうたびたびの御答弁でありますけれども、しかし、実際下部へいくと違うんですね。下部へいくとなかなか貸してくれない。貯金をしろだとか、担保がどうだとか、こうだとか、まあ相互銀行にしても、信用金庫にしても、実際はなかなか貸してくれない。これが現状であります。したがって、そういう立場から、勢い国民金融公庫とか中小企業金融公庫のほうへの貸し出し要請というものがふえていると、こういうふうに私は判断をするわけであります。そうした意味では、この政府中小企業に対する金融は、特に配慮を加えるとは言っているけれども末端にいきますと、どうもそうじゃない。まあ半分ぐらい、場合によればおどかしも実際あるわけです。こういう面での具体的な——政府日銀配慮をすると言いながら、末端にいけば配慮をしてない。これは一体どこにそういうパイプの詰まっているところがあるんですか。そのパイプの詰まっている原因というのは一体どこにあるんですか。だから、幾らどもが国会で大蔵大臣はこういう答弁したと言ったって、下はそんなものは信じやしない。実際には詰まっているわけです。実際にはおどかされているわけです。こういうのは一体どこにその問題があるんですか。その点を少しきょうははっきりさしていただかなければ、幾ら上のほうがていさいのいいことをきめたって、下のほうではどうにもならない。こういうことですが、どこに問題があると思いますか。
  11. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私自身も、地方へ出張するようなときには、つとめて直接そういう声を伺いたいと、積極的に。で、いまお示しのとおりの話はもうしょっちゅう聞いております。私どもとしてはこうこうやっていると、ところが、それはたとえば、金融機関窓口では、いや大蔵省日銀が締めているから、私はあんたに貸すことはできませんと、もっと預金をしなさいとか、やれ何とか言うという不平といいますか、そういうことはしばしば耳にするところでございまして、そのたびごと注意を喚起し、そして政府の考えているところを公に、あるいはこまかく説明指導することにつとめております。  どこにそういうパイプが詰まるかということについては、いろいろの原因があると思いますが、一つは、金融機関が、いまさら申し上げるまでもございませんが、これは国営でやっているわけでもございませんし、預金を吸収し、その範囲内で健全な経営をしなければならないと、こういう点から、基本的にはなかなか政府の意図というものが末端まで浸透しにくいという環境にあることは否定できないと思いますが、そこはわれわれの努力の至らざるところでございますから、さらに一そうそういう点で努力をしていきたいと思います。  それからもう一つは、これは平常の場合におきましてもよく聞く話でございまして、金融引き締め政策をとられていようが、なかろうが、借り入れを希望する向きから言えば、何とかかんとか言って金融機関というものは金を貸さぬもんである。あるいは歩積み両建てを要求するとかいうことは、こういう時期でなくともまた同時によく聞かれる批判であり、不平であるわけでございますから、その辺のところも十分配意していかなければならないところだと思います。  さらに進んで、特に、大事な中小零細金融の問題は、それであるからこそ、一面におきまして、いわゆる政府機関というものがかねがね特別に創設されて、そうして普通金融機関ではなかなか十分に効果を発揮できないところ、あるいはその作用を補完しなければならないところを、こうした政府機関で補い、かつ中小零細企業のために金融をはからっていかなければならないというためにできている機関でございますから、その面への資金量の充実とか、それから、指導とかいうような点については、十分の努力もいたしつつあるものと考えておるわけでございます。  先ほど冒頭にも申しましたように、たとえば、為替相場変動等に伴って一番影響をこうむる輸出関連中小企業等については、特に、資金量も増し、また特に、時期を失せずに親切に配慮することを特に指示もしているようなわけでございまして、こういう点においては、普通の金融機関よりはこういう際に相当能率的な対策、その成果が上がり得るものと。もちろんそれらの金融機関の、政府関係金融機関窓口においても、竹田さんの御指摘のような批判あるいは不平というものは、これはまたよく耳にすることでございますから、適正な合理的な融資等については、迅速に運ぶようにこの上とも指導していきたいと、こう考えております。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 銀行局長、まあ大臣のおっしゃることは、これは政府として私はそういう方針を明示してやっていくということ、これは私そのとおりだと思うのです。あと具体的な指導というものは、むしろ銀行局あるいは銀行局の出先というものが、もっとこまかな指導というものがどうも足りないのじゃないか。それはなるほど借りるほうはたくさん借りたいですから、これはある程度削られるというのはしかたがないし、まあ借りるほうもおそらくある程度、私どものところへ話があってもある程度山をかけているなという感じもそれはわかりますよ。わかるんだけれども、私は、どうも最近は、銀行窓口というのは、かつてよりも非常にまあ態度が横柄になったというのか、失礼な失言というものをあっちこっちで聞くわけですよ。もう毎日一件くらいそういうものを聞くわけですよ。竹田さん、この銀行はこういうことをやっているんだけれどもこれでいいんですかと、あるいはこの信用金庫はこういうことを私に言ったんですが、こういう言い方というのはいいんですか、まさに最近は、どうもそういう点で少し横暴になってきた。これは一つは、やはり中小企業に対する金融のしわ寄せというものがそういう形になってきたと思うのですが、この辺、実際銀行局はどういうふうに手を回しているのかね。どうも大臣の言っていることと、その間で何かそれがすっかり薄められてしまって、下のほうへいくと前とちっとも変わりない、こういう感じを実は私持っているわけですけれども、これは大臣責任というよりも、むしろ銀行局長責任だろうと思うんですが、その辺がたいへん私は不満です。  それから、大臣にもう一つお伺いしますが、なるほどそういう意味で、中小金融機関がなかなか貸してくれないということで、国民金融公庫なり、中小企業金融公庫なり、そういうものへたいへん動いているということは大臣も御認識になっているようでございますけれども、おそらくこういう段階で進んでいくということになりますと、政府関係機関融資ワクというのをもっとふやしていかないと私は、応じ切れないんじゃないかと思うんですけれども、その辺は弾力条項等々の発揮ということもあろうと思います。これは足りなくなってくれば当然その弾力条項を適用して——五〇%までの弾力条項があるわけでありますから、こういうときにこそ、いわゆる弾力条項というものを私は、発揮すべきだと、こういうふうに思うわけですけれども、その辺についての大蔵大臣考え方もこの際お聞きをしておきたいと思います。
  13. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 前段にお述べになっておりますことは、全くこれむずかしいところでございまして、やはり金融引き締めのときには、どうしても金融機関のビヘービアというものが、自然の成り行きとして立場が強くなるというか、まあ率直に言えば横柄になりがちでございますので、この点は非常に私も関心を深くしているところでございますが、先ほど申したようなことで、なかなか隔靴掻痒の感を禁じ得ないというような感じがいたしますことを率直に申し上げます。  それから、政府関係機関のほうはやはり融資規模ワクを拡大しなけりゃならない。その一例を申し上げますと、今年度の第一四半期で、三機関を合計いたしますと、昨年に比べまして、比率で申しますと、五割四分増しに相なっております。これは大体四月から六月の実績に近いものと申し上げてよろしいかと思いますが、全体の総貸し付けワクというか、ほとんど実績に近いものとして、四十八年度、つまりことしの四月から六月が前年の同期間に比べまして五割四分の増というワクの拡大になっております。
  14. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 竹田先生から御指摘いただきました点につきましては、私もいろんなところから耳にしておりまして、全く窓口というものの責任ということについては非常に重要に考えております。そういう意味から、実は私、各業界の団体、特に、最近は地方銀行全体の頭取が集まりました席上で、特に、融資の量を確保するということとともに、中小企業相談相手になるようにということで、非常に強い具体的な例をあげて話しております。その結果、たとえば、地方銀行などでは、そのためにひとつ委員会をつくって、各頭取段階では現場の状況がなかなかつかめないかもしれない、ひとつ支店長以下のところに、そういうことを徹底するようなことを考えようではないかという動きもございます。そういうようなことを逐次各業界に広めてまいりまして、ひとつ御指摘のないようなことに一段と努力してまいりたい、かように考えております。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ確かに中小企業がその能力以上に金をどうしても貸せという、先の危険というものが予見されても、そういうような申し出をすることがあると思うんですよ。そういうときも、私は、別にどなったりおどかしたりしなくてもいいと思うんですよ。もっと論理的に説明してやるのがあたりまえだと思うんですよ。それで納得をざして、どうもこういう形では君の企業はあぶないじゃないか、だから、このくらいでひとつやるのがいいんじゃないかというような、そういう姿で私はあるべきだと思うんですよ。普通のときには、まるで銀行というのは、政府か何かと同じように、これは公共的な機関でございます。したがいまして、中立性が何だのかんだのと言って盛んにいろいろなことを言う。金が詰まってくれば、一転して鬼みたいになってしまうというのは、これはどうも公共的な機関という意識があるならば、私は、そういう態度は示すべきじゃないと思うんです。そういうことについては、たいへん大臣むずかしそうな話、まあ銀行局長の話も、私どうもあまりこう——まあ努力、そういう方向で動いていることはよくわかるんですけれども、なかなかそういうことで窓口まで徹底できるかどうか、この点は疑問でありますけれども、まあこういう点については、これからも具体的にひとつ私は指摘をしていくつもりでありますから、そういう指摘を私がしなくてもいいように、ひとつやっておいていただきたいと思うんですけれども。  その次は、中小金融機関金利というのが高い、あるいは資金コストが高いというのは、まあある意味では小口を扱う任務があるということで、資金コストが高いというのは、これはまあ一応やむを得ないことではありますけれども、しかし、大きな企業は安くて、小さな企業には高い。やっぱり私は、この点あんまりいいことではないと思うんですけれども、具体的に信用金庫都銀とのいまの標準的な金利というのはどのくらいの差があるものですか。
  16. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) これは約定金利で申し上げますと、ことしの三月に各金融機関の平均の金利をとりますと、都市銀行の場合でございますと、六・三三三%でございます。地方銀行になりますと六・九五二%でございます。相互銀行は七・六八九%、信用金庫は七・九七〇%ということでございます。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 結局、信金と都銀と比べてみますと、一分六厘ですか、まあこのくらいの差があるわけですね。こういう形でいまの非常に競争の激しい段階で、同じスタートに立てといっても、金利がこれだけ違うこと自体が、私は、やはり問題があろうと思うんです。ですから、中小金融機関金利をやはり安くするという努力というものはもっと払わなければいけないと思うんです。この点は、この前も資金コストを引き下げるという形にはどういう対策があるのかというお話を両参考人からお聞きしたわけでありますけれども、まあそうした合理化というものがある程度は進んでいるし、その合理化が、ある部面では非常に行員等に対する圧迫という形になってきているわけでありますけれども、何といっても、扱うのが小口だと、それから、件数が非常に多いというようなことから、当然ではありますけれども、しかし、今日の段階では、そういうような形というものはやはり考え直していかなくちゃいけない問題じゃないのか。少なくとも大企業中小企業とが同じ条件になるような形をとっていくべきであろうと、こう思うわけであります。これはただ単に金利だけの問題ではないと思います。電力料金の問題にしても、あるいはその他の運賃の問題にしても、いまそうした世論というのは、ますます多くなりつつあるわけです。そういう意味では、中小企業資金コストを安くして、したがって、貸し出し金利も安くする、こういう方向相当進めていかないと、一方的に中小企業というものは、もうスタートからそうしたハンディを持たざるを得ないということになるわけですが、そこで、国のお金、あるいは都道府県市町村お金、こうしたものも、どうも都銀やあるいは地銀の大きなところ、こういうところに集中しがちのように思います。で、本来は、地域住民のあるいは地域商工業者資金というものが、中小金融機関に主として集まってくるということを考えてみますと、地方自治体と、そうした地域商工業者との連帯感というようなものもやはり考えてみなくちゃいかぬと思うんです。そうした市町村都道府県の金というものが大銀行にばかりいってしまうということになりますと、やはり大銀行資金コストは安くなって、中小金融機関資金コストは高くなる、こういうことになると思うんですが、こういう扱いをもっと私は広げるべきだと思うんです。ほとんどが、これは私のごく狭い経験でありますけれども、ほとんど小さなところへはいっていないで、大きなところばかりになってしまっている。今度は幾らか、そうした点で公的な金を、支払い等に、扱えるようにはなりましたけれども、私は、こんなことではとてもだめだろうと思いますし、やっぱり大きな銀行のほうに公的資金がシフトしていく傾向というものをどっかでひとつ断ち切っていかなければならないと思うんです。これについて、一体、大蔵省あるいは自治省の方お見えでございますか。——自治省というのは一体どういう指導をしているのか。私は、もっとそうしたものは地域住民の利用できるような形で、公的資金の取り扱いというのはさしていいんじゃないか。大銀行に預けて、それは結局地域に戻らないでどっかのほうへいってしまうというような資金の流れというものがかなりあるわけです。その辺は一体どう考えているのか。その辺から、私は、やはり直していかなければいけないんじゃないか。いままでの形でいきますと、結局大企業優先、生産優先というようなことが少しもこういう点からも直っていない、こういう点を私はすみやかに改善をすべきである、こういうふうに思うんですが、これは大蔵省、自治省、一体どういうふうにそういうものに対する考え方を持っているのか、私は改善をすべきであろうと思いますが、どうですか。
  18. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 私どもも同じ方向努力をいたしておるわけでございます。なかなかこれが、従来からの関係、特に、地方自治体の場合でございますと、その財政需要に対して協力し得るという能力というようなこともどうしても関係がございますんで、おのずから、相互銀行信用金庫の場合には、どうしてもそれが、関係が薄くなっていくというような状況にはございます。しかし、非常に、それぞれのところ、地元といろいろ努力いたしまして、今後、たとえば相互銀行の場合でございますと、地方債などについてもそれを引き受けていく努力をしようじゃないかというようなこともやっております。その結果、非常に急激な伸びはございませんが、しかし、従来に比べますと、かなりその取り扱いということについても、徐々にではございますが、進歩しておるようでございます。  国庫関係につきましても、歳入代理店の扱いということについては、今後ともこれを拡大していくという方向でやっておるわけでございまして、この辺のところはさらに一そう努力してまいりたい、かように考えております。
  19. 砂子田隆

    説明員(砂子田隆君) ただいまお話の、地域住民のためなり、あるいは地域中小企業というものを発展させるという意味で、中小の金融機関に公的資金を預け入れるということが望ましいということは、私たちもそう存じております。  ただ、いままでの市町村の形を見ていますと、まあ法律のたてまえもそうでありますが、指定金融機関というのは、御案内のとおり、議会の議決を経るという形になっておりまして、指定金融機関のところまでこちらがどうも手を差し伸べるのは、若干自治に対する干渉がましいところがございまして、これはちょっとむずかしいだろうと感じております。  ただ、おっしゃられますように、預金の預け入れという議論になりますと、これは、まだ預託だとか、いろいろな方法はございますが、収納というところだけをとって、中小金融機関に対する資金量をふやそうということになりますと、だいぶこの方向については市町村自身も考えておりまして、最近伸びてきておる状態にはあると思います。たとえば、いま収納代理店の形だけを申し上げますと、普通銀行で、いま市町村において指定をしておったり、指定をしていなかったりする例はございますが、普通銀行は、たとえば、千八百ほど収納代理店の指定をしておりますが、そのほかにも、たとえば、相互銀行で八百九十ありましたり、信用金庫のほうで八百八十をこえておりましたり、中小金融機関ではございませんが農協でも千をこえる形のものが収納代理店になっておるという形になっておりまして、漸次、市町村自身も、そういう形で自分のところの資金を、なるべくならそういう自分の地域の中の金融機関に預けようというたてまえをだんだんとってきているようでして、一がいに全体の普通銀行にだけに預けるという形ではないように見受けております。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 最近は、都道府県市町村等にしても、いわゆる公社あるいは事業団というようなものもずいぶんできてきている。あるいは同じ中でも、企業庁あるいは公営企業、こういう関係でも、かなりの金を実際は預け入れたり、余裕金を貯金をしたりしているわけですよね。そういうのを見ると、大体都市銀行や、あるいは信託銀行、そういうものがほとんどですわな。そういう分野というのも、これは、私はあると思うんですよ。これは、やろうと思えば、かなりの分野はできると思うんですよ。それは、確かに、こうしろというふうな命令を下すのは自治への干渉かもしれませんけれども、これも、はっきりと論理の形からいけば、私は、できないことはないと思うんですよね。どうも、そういう点について、そういうところへいくと何か自治への介入だ、こう言って逃げる。ほかのことになると、これしろあれしろと言って、やかましくつつく。これは、私は実態だろうと思うんですよ、ほんとうに。——笑われる方もありますけれども。だから、こういう点は、むしろ直していける一番いい分野だと思うんですよ。みんなもこれは協力できるんですよ、こういうことは。それを、ここへくると自治の介入という文句をすぐ出してくる。私は、それはもう考え方が違っているんじゃないか。これは、神奈川県に対して、おまえがこうやっているから、これをこっちへ預けなさいと言うことは、それは自治の介入になるでしょう。しかし、そういうことをするように努力をしてくれと言うことは、私は自治の介入にはちっともならぬと思う。ほかのことでは実際自治の介入をやっているのですからね、おたくのほうは。どうなんですか、その点でもう少し自治省としても、現在の金融事情から見て、ただ単に中小金融機関に盆、暮れの資金を預託するだけじゃなくて、そういうやり方も私は実際上あると思う。そういうことを自治省としてももっと積極的に考える意思はないわけですか。
  21. 砂子田隆

    説明員(砂子田隆君) 別に、自治の干渉の議論につきましては、先ほども申し上げましたように、指定金融機関という議論をとりますと、議会の議決を経るというふうなことがありますからということで申し上げたわけでございまして、収納代理店のほうは別にそうでありませんから、漸次そういうふうにふえる傾向にあるということをお答えを申し上げたわけです。  収納の議論になりますと、おっしゃいましたように、いろんな公庫ができましたり、いろいろあると思います。先ほど事例をもって申し上げたようなかっこうになっておりまして、漸次そういうかっこうに市町村自身も考えてきておる。われわれもそれは望ましいこととは思っておりますが、それをどこまで、もう少し中小企業のためにやれとか、あるいはそういうことをするかという議論になりますと、若干その点でいろんなまた市町村自身の考え方もありましょうし、そういう点を加味しながらいろいろ指導はしたいと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、従来指定金融機関自身の問題につきましても、自治省自身はたいへんきびしい態度をとっておりました。たとえば、普通銀行だけしか指定金融機関にしないという形でやってきた時代もありましたが、最近はそういう形につきましても、若干緩和をいたしておりまして、そういう意味では、相互銀行なり、あるいは信用金庫なり、あるいは農協なり、あるいは労働金庫なり、そういうものも漸次そういう形に移行していくだろう、そういうふうな解釈をしておりまして、なるべくそういう趣旨に合うような努力はいたしたいと存じます。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 何も指定金庫に指定しなければ預け入れられないというものじゃないと思うんです。そういう金というのは相当あるものですよ。あなた方知っているだろうけれども。そんなもの、信託銀行、公庫、金庫に指定しているところなんておそらくないと思う。しかし、かなりの金というものがこういうところに預けられているのです。現実には。確実、有利というようなことでしょう。そういうことでやられているんですよ。そんなものは何も金庫に指定しなくったってそんなことはできるはずですよ。できないはずないですよ。そういうことは、もし間違っているとしたら、ずいぶん多くの自治体で間違いをおかしている。できないはずはない。そういうことは私は堂堂とできると思うわけですが、それはもう少し自治省も、中小企業金融というものをやはり考えながら、そうした地方自治体の金の動きというものをやはりつかんでもらわなければ困る、こういうふうに思う。  それから大蔵大臣にお聞きしたいと思うんですが、そういう形で、全部上位銀行にシフトしていくという形というのが多いのですけれども、そういうことでますます中小金融機関というものは、資金、原資というものが制約を受け、したがって、資金コストはますます高くなっていくということでありますけれども、この問参考人お話をお聞きしますと、信金の協会の会長をやっている小原さんのお話ですと、前には資金運用部から、こうした中小金融機関にかなりの金を貸していたが、最近ではそういうお金は貸していないというお話があったんです。最近の資金運用部の金を見ますと、どうもたいへん集まり過ぎてしまって、その扱いに困っているようなこともあるわけであります。こういうようなものは、もっとそういうところへ活用なさったらどうか。おそらく郵便貯金にいたしましても、中小企業が預け入れているものは相当あると思う。そういうところでもひとつ還元なすったらどうだろう。まあ確かに郵便局の小口貸し出しというものもありますけれども、これはわずか十万円なわけですよね。ですから、そういう面で、運用部資金というようなものを、中小金融機関の原資に貸し出していくということも、私は、今日の段階では必要になってきたと、こういうように思いますけれども大蔵大臣、それはどうでしょうか。
  23. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは御案内と思いますけれども、小原さんが言っておられるように、前には運用部資金貸し付けたことができておったわけですが、その後、私の記憶正確でないのですが——二十六年に運用部資金の運用についての法律ができて、現在では直接信用金庫に対する運用として貸し付けはできないことになりました。それから、やはり小原会長が当委員会で申し上げたと思いますけれども、かりに全信協が債券等発行いたしましても、その債券の引き受けも現行法ではできないということになっております。ですから、現在の法制がいいかどうかという議論は別といたしまして、現在は事実上できない、法律上できない、こういう関係になっております。  それから、これは御質疑以外の点になりますけれども資金運用部資金の運用、それから、たとえば簡保その他も含めて積立金の運用につきましては、御承知のように国会の中におきましても、いろいろの御意見をちょうだいしているわけでございまして、政府といたしましても、こうした資金の性質から言って、より多く直接国民に還元しなければならない、還元運用をはからなければならない。したがいまして、中小零細金融の問題としては、いわゆる政府機関にその金を相当の程度に流すということはこれは法制上もできますし、現在もやっておりますが、その三機関に対する資金の運用ということをもって、まず、その面においての問題としては、この程度でいいのではなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございますから、法律改正までお願いいたしまして、直接貸しというところは、この資金運用部資金の運用の方法としてもいかがであろうか、法律を改正してまで、この制度をまたもとに戻すということは、現在のところ不適当だと私は考えております。  それからなお、これも御案内のとおりでございますが、こうした政府関係機関については、代理貸しを各金融機関にお願いしているわけでございますから、そういう意味では、間接にこうした中小金融機関というものが、活用されておるという点は御承知のとおりと思います。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう意味では、何といっても政府関係機関というのは、なかなかこまかい配慮というのはできないわけですよ。やはり常日ごろ地元で交流をしているところの中小金融機関というものが、何といっても一番最初に当てになるわけであります。で、そういう点が一つ。  それからもう一つは、やはり発想の転換だ、あるいはおくれた中小企業を近代化していくんだというようなことばも常日ごろぼんぼんと政府のほうでは打ち出しているわけですね。書いてあるものにも必ず、それが抜けている文書はほとんどないと言っていいくらい出ているわけですね。そういうふうに考えますと、やはり中小企業の近代化のため、そういう意味では、やはり一番最初に問題になってくるのは資金の問題、これが一番問題になってくると思うのです。そう考えてみると、個々の一つ一つ信用金庫なり相互銀行に直接出すということはなかなかこれはむずかしいでしょうけれども、たとえば信金連とか、そういうようなところに、そういうことをしていくというのが、やっぱり金融構造を変えていくという意味でも、非常に現在考えてみなくちゃならない問題ではないか、こういうふうに私は思うのですが、そういう意味では、とにかくいま禁止されているというならば、それをあえて直してもいいんじゃないか。そしていままでのような、金融というものは常に大企業との密着ということで、中小企業に犠牲がしいられていくという形は、私は直していくべきだと思う。不適当だという点は。大企業に貸したほうが、確かに返りも早いでしょうし、手間もかからぬだろうし、そういう点で、安全性とか確実性という形で考えれば、確かにそれはそのほうが経営面から見れば合理的だと思うのです。私は、いまの段階はそういう段階ではなくなってきている、こういうふうに思うわけです。検討して、いますぐここでお返事はおそらくできないでしょう、検討してみるつもりもございませんか。
  25. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) いまのおことばの中に、大企業云々ということがありましたが、そんなことを絶対に考えているわけじゃないので、資金運用部資金の運用先について、より以上に中小零細の向きに、国民の大切な零細な資金が集まった大事なお金だから、より有効適切に使おうということで、すでにいろいろの発想の転換をしたやり方をやっているのですから、その方法は、信用金庫に直接貸しをしないから大企業だということは私は受け取りかねます。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 確かに、それは資金運用部の金も直接大企業に貸しているということはないでしょう。まあ公社、公団、事業団あるいは開発銀行その他の政府関係金融機関を通じて貸しているわけですよ。実際には開銀を通じて貸している。まあ輸銀の場合はかなりの修正をしたと私は思いますけれども、開銀の場合には必ずしもそうではありません。開銀の貸し出しのシェアを見ても、やはり大きなもののほうが多い。そう考えてみると、この資金運用部の金だっても、厚生年金の資金にいたしましても、郵便貯金の資金にいたしましても、これはやはり中小企業から出ている金というのは、私は相当なものだと思う。それがもっと利用しやすいような形にしていくというのは、金を出した立場からいけば当然だと思う。たとえば、厚生年金の還元融資というようなこともやっているというのは、一般国民が金を出している、こういうところから還元融資をやっているわけなんです。そうであるならば、私は、考えたってこれはちっともおかしくないことだと思います。たいへん大蔵大臣、ごきげんが悪いようでございますが……、(笑声)私はそう思わない。もう一回お答えいただきたいと思います。
  27. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その点については、何べんお答えしても繰り返して申し上げるだけでありますが、要するに、中小零細金融に対して、資金運用部資金を流す方法として、直接信金に持っていくのがいいか、それとも現に三金融機関というものが国家的にあるわけですから、そのルートを通して十分お役に立てるほうがいいのか。要するに、方法論の問題ですから、方法論として、あなたは信金に出せとおっしゃる、それも一つのお考えでございましょうが、これは総合的に考えて、何も信金に直接出さなくとも、より適切有効に、先ほども私営の機関であれば、公共機関でありましても、窓口でなかなか政府の意思が徹底しないということを率直に私は認めているので、それは国民金融公庫や、あるいは中小企業公庫や、あるいは商工中金というようなほうが、もっと適切に政府の意図が浸透するのではないか、こういう配慮から、増すならばむしろそちらのほうを考えることが、現制度下においては私は適切だと思いますと、こう申し上げているわけであります。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ私は、大臣と見解を異にいたしますから、まあ一部は大臣の言うことも私、よくわかります。全体的に大臣の言うことはそのままだというふうには思わないわけであります。これは私も今後検討してみたいと思います。現在のような非常に急に金融引き締めという段階に入った中小企業としての立場というものは、私は、もう少し配慮があっていいものだ、こういう立場からお尋ねをしたわけでありますから、今後こうした問題については私も検討してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。  その次に、歩積み両建ての問題であります。この間、何かこういう面の質問をしますと、だいぶそれは解消されたのだ、あるいは一部やるものは企業のためを思ってこういうことを考えてやっているのだというような、まるで、その歩積み両建てが企業に恩恵を与えてやっているのだというようなことを言わぬばかりの発言であったのですが、これは私は、非常に残念だと思います。今日であっても、非常に歩積み両建てというやつはますます行なわれているわけですよ。金を借りようと思えば、必ず預金をしろ、預金をしなければ金を一切貸さない、こういうわけです。信用保証をつけたって、なかなか簡単に、銀行が信用保証をつけさせるということ、信用保証をつけたものを、保証協会が信用保証をつけたものについて貸し出すというのじゃなくて、逆なんです。こういうような形というのは、私は、金融が逼迫している今日、ますますこれは問題があろうと思います。この辺は一体歩積み両建てというのはやっちゃいけないことに私はなっているというふうに理解しているのですよ。公然とやられているわけです。これはひとつ銀行局長、どういうふうにお考えですか。
  29. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 歩積み両建てはいかぬことでございますから、したがって、私は、つい一週間ほど前の全国銀行大会の際も、いまだに歩積み両建てというようなことが世間の指弾を仰いでいるようなことはまことにけしからぬことである、厳粛にこれをやめてもらいたいということを特に強調いたしました。厳重にこれは今後とも取り締まります。これはいかぬことであります。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 いかぬことだけれど、やってるのだよ。
  31. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 大臣のいま申し上げたような線で、私どもは今後やっていきたいと思っております。もう竹田先生御承知のように、たとえば、預金担保の貸し出しというような一つのカテゴリーというものも、たとえば、期限前に預金を引き出すときには、そういうかっこうでやられておるというような、いろいろな言いわけになるようなことが、事実金融の慣行としてあることもこれまた事実だろうと思います。ほんとうに預金者がそれで納得してやっておるものと、そうでないものとを区別するために、私どもは先月前に拘束通知というものを明らかにいたしました。この預金は自由にお使いくださいということを赤いワクをつけまして、その見出しも従来とは違いまして、全部の預金者に通知さすようにいたしております。ただ、公取のほうの調査によりますと、そういう通知を、来たということをなかなか承知していない預金者の方がおられまして、そういうものをもらってないのだというような実例があるようでございます。それはその非常に残高証明とまぎらわしいようなこともございますので、そういう拘束通知を、これは担保にいただいておりますということ、それから、これは御自由にお使いくださいということをはっきりさせて、その計数を私どもに報告をさせて、こういう形で指導をするというのが一つと、あとはもう検査で見つけ次第にその是正をやっていくという二つの手段しか実は残念なことではございますが、ございません。実例としては、非常に問題になるようなケースがあろうと思いますが、その二つ、しかも、その拘束したものについては、金利は、利ザヤはもう非常に少ないものにしていくということで、もうここ十年来の古い問題でございますが、その間の努力としてはそういう形しかきめ手がないというのが正直なところでございます。それをさらに徹底させていくということをやっていきたいと思います。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 たいへんここで聞くと、私、頼もしく、たいへんうれしく思うのですよ。しかし、現実に下へいってみると、きょうも、きのうも同じようにやられているのですよ。幾らあなたがそういう何か赤ワクで、動員して、通知をしろということを言ったって、守られていないのですよ。自由にお使いくださいといっても、自由に使っちゃうと、あと貸してくれないわけですよ。現実にはそうですよ。だから、幾ら大臣が何を言ったって、かにを言ったって、下のほうにはちっとも通じていない。これじゃ幾らわれわれ国会でこんな議論したって、何で議論しているのかばかばかしくてしょうがない。前々からそういう方向できまっているんだから、もう少しこれは徹底させる方法はないんですか。もう実際聞くと、やることとは大違いだということになってしまっているんですが、これは、ここで聞いても、また同じような答えが返ってくるだけにすぎないんですが、もう少し何とかこれは方法を講じられないものですか。この点をひとつ強くこれは要望しておきます。  それから、最近やはり手形の支払いですね、手形サイトの問題、これがたいへん延びてきているんです。これは一体どうなんですか。どこがこれはそういうものを監督すべきところであるか知りませんけれども、おそらく百二十日から、この間のお話でも、六カ月あるいは二百十日というようなものがかなり最近見え出した、こういうふうにいわれておりますけれども、この辺をひとつ、もう少しやはり、金融が締められれば締められるほど、手形の期間というのは長くなり、これじゃやはり幾らどんなことをして中小企業金融を配意をしていると言っても、これは配意にならない。この点をひとつお答え願って、あと戸田委員が御質問があるそうですから、あとの時間は戸田委員のほうに。
  33. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 最近中小企業庁で二月、五月ということで、この手形サイトなどについて調べております計数がございます。現在までのところ、御承知のように、各業種を通じまして中小企業庁は百二十日以内という指導をしておりますが、その調査によりますと、平均はその中で大体百八十日というような数字になっております。もちろんそれとても平均でございますので、ウエートで申しますと、やはり九十日から百二十日までのが多いが、それをこえておるものもございます。あるいはそれ以内というのもございますが、各業種を平均いたしますと、百十八日というような数字を持っております。  それから私どものほうから、今度は協会を通じて聞き取り調査をしておりますが、現在までのところでは、この中小企業庁の感じと大体同じでございまして、従来の引き締め時でございますと、非常に金融機関が割り引きに困るような長い期間が出てきたが、現在までのところはまだ出てきてないんではないかというような感じでおります。もちろん例外はあろうかと思いますが、総体的にはそういうように承知をしております。
  34. 野々山一三

    野々山一三君 関連。  いまの歩積み両建ての問題ですけれども金融機関なんかそれはできないといわれるわけですね。歩積み両建ては禁止されておりますので。けれども、あなたがよろしければこれ何割はしてください。それでなければこちらのほうはちょっと都合が悪いですと、非常にことばのあやなんですけれども、やっちゃいけませんことになっておりますからやりませんが、しかし、幾ら幾らはやってください、そうしてくださることがけっこうです。これにひっかかっちゃって、ずっとかかるわけですね。そこのところがいまあなたの言われる、竹田君も指摘したように、やっちゃいけないことをやらせる、歩積み両建てをやらせませんと言う、ことばではそう言っておっても、ことばのあやで実際は詰まっている。詰まっているというか、つまり事実上はやられている。拘束預金をやらされる。それから、普通預金でけっこうですから、何割はやってください、それで、おろしに行きますとこれはいけません、こうなるわけです。そこのところをひとつ厳重に処置をしなければ、これは相銀協会でも、あるいは信金連でも、幹部に聞くと、いやそんな歩積み両建てはいたさせておりません、こうおっしゃるけれども、実際は——ということが、非常にもう現実的なんですね。そのことばのあやを的確にとらえて、金融の結果的な処置に困っている諸君ですね、困っている諸君が行くわけです。行くと何割かやられるということになっていることを直視しなければ問題は解決しない。そのことをひとつ注文として申し上げながら、もう一回答弁してください。いまの竹田さんへの答弁では物足りない。
  35. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 歩積み両建てという表現と、拘束預金という表現と二つございますが、いわゆる広い意味で拘束されている預金というもののカテゴリーは、一番右の端には、明らかに法律的手続きを踏んで担保としてとっているというのが一番右にあろうかと思います。それから、一番——その中間にまいりますのは、そういう法律的に手続をとらないで、ただこれは担保としてとっておきますよという合意、そこに問題がありますが、合意と称するものができているというものが一つございます。それからもう一つは、そこまでもいかないで、ふだん債務者の方が、同時に、定期預金をしておられる。あるいは日掛け預金をしておられる。それを引き出されるときに文句を言われるという段階に至るようなものまでございます。  私どもは、まず、法律的に手続をとっているものは、これはきわめて明瞭で、からっとした取引である。これは金融取引としてやむを得ないものがあろうかと、かように考えております。それは、いわゆる歩積み両建てというもののカテゴリーには除くべきかと思うわけですが、しかし、形態的にはやはり拘束の預金ではございます。  問題は、非常に貸し手市場である。金融機関が、強い立場で、それを利用してにらみをきかしているものに対して、これをどう征伐していくかということだろうと思います。そこで、一番私どもは望みたいのは、そのときに、そういううやむやな関係である場合に、これを泣き寝入りしないで、私どものほうにおっしゃって来てほしいということで、実は財務局のほうで相談所を設けているのですが、それを言うのもはなはだ人情を解しないやり方じゃないかと、いまの債務者がそんなことを言って来るかというようなこともございまして、なかなかはかばかしくいかない状況になっております。  そこで、通産局と相談いたしまして、通産局のほうにも言えるように、あるいは商工会議所にも言えるようにということで、やっているわけですが、そこは、なかなかあとのたたりをおそれてやってないというのが、従来のいきさつなんです。ただ、それにしても、だからしょうがないのだということではなくて、それでは、せめてその中で通知をしなさい。証文を持っていらっしゃい。これは拘束しているのです。その証文がなければ、われわれのところへ持ってきなさいということで、まず、通知をしなさいということでやらしているのが現状で、私どもこれが最善とは思いませんが、ぜひともいい知恵がありましたら、虚心たんかいになってやっていきたいとは思いますが、もう戦後三十年来の、古くて新しい問題であるだけに、ある意味では知恵を出して尽くしながら、しかし、あきないで検査と、それから、そういうものを繰り返してやる。それから、各金融機関ごとにその計数を見ていって、少しでも減っている、ふえないようにということで指導していくのが、正直いって現在最大限のところで、はなはだ申しわけないとは思っておりますが、それを続けたいと思っております。
  36. 野々山一三

    野々山一三君 問題は、時間がないしあれですけれども、二つだけ申します。  一つは、法律的の処置をすべきであるということが一つです。それからもう一つは、そういうものはやはり通達で、これはこういうことはやっちゃいかぬのだということをきちっとしなさいよ。つまりこういうことが起こりましょう。事件として私らのほうにいっぱいきます。  たとえば、一億なら一億割ってもらう。そうすると、三割から四割くらい預金をしてください、こうなります。痛いものだから、金がほしいからしょうがない、それじゃわかりました、そうしてこれを同意という。こういう同意を求めるようなやり方はいかぬということを、処置をしなければいかぬ。そうでしょう。そうして、今度はその金を引き出すといったら、そんな引き出してもらっちゃ困ります。あなたのところはだいじょうぶですかと、こうすぐやられるわけです。そういうことばのあやで、これは小さいところほど痛いという結果が、しわ寄せということばになるわけでして、きわめて事態は明白なんですよ。  それからたたりの話、これは完全にたたりというやつはひどいものでして、この次に行ったら、もうおたくはだめです。これはもう完全にたたりとしてくるから、よう言わぬ。幾ら窓口で相談所がございます。言って来てくださいと、あなた方言って来たって、それは言って来たらすぐわかるんですからね。おまえのところはこういうことを言ったじゃないか、これからはもうあきませんと、こう言われることをたたりというんじゃないですか。そのたたりを禁止することはやっぱり行政的に通達をして、そういうたたりなんということがあったら、おまえのところはどうするぞというような措置をするということだ。  それで、知恵を貸してくださいと、こういう話だけれども、あなた方はその知恵を出すというのが仕事でしょう、違いますか。そのために月給もらっているのがあなた方の仕事じゃないか。それを大臣と両方、一ぺん見解を伺いたい。
  37. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は、先ほど竹田さんにもお答えしたんですけれども銀行大会でいまだにこの歩積み両建てが問題になるということは、ほんとうにこれは遺憾千万であると思いましたから、そのとおりの気持ちを全国銀行大会で申しました。  これは余談になりますけれども、ことしの銀行大会には、外国の報道関係の連中がずいぶん多く来ておりましたし、ことし初めてだそうでありますが、同時通訳をやった。  で、そういういわば内外環視の中で、所管の大蔵大臣が、いまだに歩積み両建てというようなそしりを受けることは遺憾千万であるということを、声を大にして申しております。通達のごときは、私はかつて役人をしておったときにもやりましたが、通達なんかは、もう何十枚か、もっとそれ以上かと思います。  まあ、知恵をしぼっておりますし、まことにこれは弱身につけ込んでというか、そういうまことにビヘービアとしておもしろくないことでございますが、この歩積み両建て問題があらためて今日問題になっているのは、やっぱり金融がタイトのときには、必ずこれが金を借りたい人に対する重圧になるわけでございますから、ひとつ、なるほど御指摘のとおり、知恵を出すのは大蔵省でございますから、出すべきであり、十分ひとつまたあらためて徹底的な措置を考え、かつ実行したいと思っております。
  38. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間がありませんから、協力する意味合いにおいてひとつ三点について大臣にお伺いをします。  その第一点は、中期定期預金の創設問題についてでありますが、預金創設をやるのかやらないのかですね。やるとすれば一体時期的にいつごろなのか。  それから、やった場合ですね。かりに——まだ答弁いただいておりませんから、明らかにこれ、いま大臣等が実行しようとするものは一つ目的預金ですね。いわば消費抑制なり、あるいは手元流動性の吸収、あるいはそういうことによって吸い揚げた金を住宅ローンの資金にする等々といろいろ構想があるようであります。そういうことで、制度上、技術上一つ難点がないのかどうか、現行。これは私の理解では初めて今回採用されるのじゃないか、日本の場合は。いままで中期預金制度というようなものは、諸外国ではありましたけれども、日本の場合、今回初めてじゃないかと思うんですが、そういう意味合いで、制度上、技術上、一体難点がないのかですね、この辺の見解もひとつお伺いをしたいと思うんです。  それから、この制度が実行された場合に、直接金融相互間の資金シフトが起こらないのか。あるいは都市銀行、ことに上位銀行ですね、そういうものの銀行の寡占体制におちいらないのか。あるいは高金利預金体制をとるわけですから、どうしても郵便貯金とかもうすでに大蔵省と郵政省の中ではいろんな問題が起きているようであります。そういった郵便貯金とか、あるいは財投関係の政府貸し出し金利体系、こういった全般の金利政策にどう一体対処するのかですね。あるいは中小企業に比較的圧迫になっていくことは私は間違いないと思うんですよ。それはどうしたって、いま金融引き締めその他で、たいへんな資金のシェアの競争体制に入っておる。これは大銀行ほど有利にシェアを獲得できるわけでありますから、そういう意味では、中小企業は非常な圧迫を受けておるわけだ。あるいは資金コストにおいても非常に高まっておるわけですから、そういう各般の、相銀なり信金等の圧迫内容というものがきておるわけでありますけれども、これをもってまた一段と深刻化さしていくのじゃないだろうか、こういう心配が非常に起きております。  ことに私は、その中で聞きたいのは、金利体系がどうなっていくのか。さしあたって郵便貯金の場合、いままでわれわれが理解をする構想の内容というものは、大体金銭信託の五年ものないしは三年もの、あるいは一年半、こういったものの金利体系の中間を採用したようでありまするけれども、そういう問題できますと、どうしても私は、金利政策全般に首を突っ込まざるを得ないという、こういう事態になりはしないかという四点等の中身についてひとつお答えを願いたいと思うのであります。  それからもう一つは、中小企業の安定供給、融資のですね。こういうものをとりたいという熱意が、強い希望があるようです。これは相銀も信金もですね。その場合に、端的に指摘をされておるのは、財政融資融資体制がひとつ制度でとれないのか、あるいは債券発行という形をとれないのか。それで信金等は全国協会連合体制をとって、それを受け手として当面の長期供給安定体制、こういうものをとっていこうという考えのようでありますけれども、いま、現在私たちが一番突き当たっているのは、たとえば日銭かせぎの商売をやっている人ですね、日銭かせぎ。たとえば、仕立て屋さんの三名か四名で五十万か六十万何とか借金をしたい、そういうもの、あるいは小さな店をかまえて、そしてまあ二十万か三十万何とか融資をしてもらいたい。確かに中小企業の信用保証協会というものがありますけれども、しかし、ここへ持って行っても、たとえば、ガソリンスタンド一つ設置をする。おおむね八百万円見当かかる。ところが、田一町歩ぐらい持っておって、三反歩くらいの土地を提供して、そこでガソリンスタンドを、最近農村地帯でもやっていこうというようなとき、金がないから、そこへ行きますと、一町歩ぐらいの田んぼを持っていれば、見返り資金、いわゆる担保と名のつくものがありますから、一たん緩急、何か返却、返済の不可能だという場合にはちゃんと見返りがありますからこれは貸すのです。しかし、こういった零細企業とかそういったものに対しては全然これは発行しませんね。だから、そういうものまで考えれば、何かやっぱり銀行や信金だって、これは見返りなければそれは損金になっちまうわけですから、そういうものに金をふるって貸すということはないわけですね。ですから、多少ですけれども、国家でもってそういうものに対して危険負担行為的な、そういう事態が発生をした場合には、一定の何か融資体制、もしくはめんどうを見ていくというような、そういうすそ野に対する金融のいわば拡充、拡大、こういうものができるような措置を当面とるべきじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけでありまするけれども、こういった問題について大臣どう一体お考えになっておるかお伺いしたいと思うのであります。  それから、いわゆる第二次公定歩合引き上げまで進んできたのでありますが、今後三次、四次といくかどうかということは、この間日銀総裁の意見を聞きましても、その前途の見通しについては明言をしませんでした。大臣、この第三次ないし四次と、今後の経済状況推移によっては再度また金融引き締め公定歩合引き上げ、こういうものを一体実行する気持ちがあるのかですね、あるいはまたそういうところからくる中小企業に対するたいへんな圧迫、最近何か金融引き締め等によって倒産の件数がふえてきているようであります。これはきょう通産省おりませんから確かめられませんが、こういった中小金融機関に対する不当な経営困難、そういう問題に対してどう一体打開策をやっていくのか。この辺の打開策、政策、そういうものがありましたらお聞かせを願いたいと思います。  時間がありませんから、きわめて簡単に三点についてお伺いをいたします。
  39. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まず、第一の中期預金の問題でございますが、中期預金という問題が世上の話になりましてからもう半年以上たちますが、それくらい実はこの問題が与える影響が大きいと思いましたので、ずいぶんいろいろの点から慎重に検討を進めてまいりましたし、それから、まあ常識語で言えば、根回しと申しますか、各方面の協力というものも必要と思いまして、だんだん煮詰まってまいりまして、間もなく一つの線が出し得るかと思いますが、やはりこれは金融制度調査会にも御了解を得なければなりませんので、なるべくすみやかに結論を出したいと考えておりますし、来月は実行の運びに入りたいと、こういうふうに考えております。  その考え方といたしましては、やはりいろいろの意味で、一面におきましては、過剰資金ということが指摘される状況でございますから、国民に貯蓄手段のバラエティーを持ってもらうことがいいのではないか。  それから、御指摘がございましたように、これは大金融機関だけに有利になるような状況であってはいけませんから、その点も十分配慮をする。それから、一般的に預金金利というものも考えなければならない。これは貯蓄増強ということから申しましても、あるいはまた金利相当高い、これは国際的な情勢でございますから、貯蓄手段のバラエティーということから申しましても、金利問題も含めていろいろの方策がなければならない。その一環として中期性の預金というものを位置づけて考えることが妥当ではなかろうかと考えております。  それから、郵便貯金との関係は、これまたいろいろ問題ございますけれども、郵政省との間もだんだん話が進んでまいりまして、さらに、私としては、郵政大臣と近く十分相談をいたしまして、権衡をとりながら、双方ともに好ましい結論を出したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、その次は、中小零細金融に対する資金対策でございますが、これは先ほど竹田委員にも詳しく御説明いたしまして、ある点においては意見が食い違うわけでございますけれども、やはり政府としては、現行の制度のもとで一番適切にかつ実効性があるのは、政府関係三機関を活用することであると考えますので、今年四月から今月までに至る間におきましての三機関融資ワク、これはほぼ実績とお考えいただいてもけっこうですと申し上げたのですが、前年同期に比して五割四分以上の資金を配当し、かつこれが使われている。こういうふうな状況で、この方向に重点を置きたいと考えております。そうして同時に、この資金は、信用金庫も含めまして、代理貸しを大いにお願いしているわけですから、間接ではございますが、信用金庫等の活躍の余地がそこに期待できると、こういうふうに考えております。  繰り返して恐縮なんですが、竹田委員の御指摘もありました小原全信協会長が当委員会で証言をされたこともごもっともでございますけれども、これは現在の法制では、直接に財投資金を投入することはできぬことになっておりますし、また、財投資金については、先般、財投関係の法律制度を政府としては改善いたしたい、国会の議決の対象にしたいということで、法律を制定していただいたわけでありますが、それに関連して、これらの積立金等含めまして、いろいろ今後の活用については積極的な建設的な御意見をいただいて、その方面にさらに傾斜する運用が必要だと思いますので、それとあわせて考える場合に、信金関係を法律改正までお願いをして、直接財投資金を流すということは、今日の段階においては私は適当でないということを率直にお答えしました。それはおまえの考えは間違いだということで、意見の分かれということに相なったわけでありますが、そういう次第であります。  それから、信用保証協会については、本年度予算におきましても、さらに一そうその活躍を充実するように配慮いたしておるわけでございますが、やはり信用保証というものは、中小零細企業に対しては相当有効なものであると考えますので、さらに一段と充実をいたしたいと考えます。  それから、御承知のように、このすそ野に対してもっと広く担保などの問題をあわせて考えるべきである——これはごもっともで、政府といたしましても、今年度においては、御案内のように、無担保無保証という制度も始めまして、これはまだ試みの段階でございますが、今年度中のいよいよ七月からこれが実施されるわけでありますけれども、その状況等を見据えまして、この方式がよろしいか、あるいは別途のやり方がよろしいか、来年度におきましてはこれを伸ばすか、あるいはこの方式をもっと改善をして、もっと効果があるような方向にしたらいいか。これは初めての試みで、商工会議所あるいは商工会等の系統の御協力をいただきながら、国民金融公庫窓口的に御協力することになっているわけで、いわゆる従来的な金融というもののワクからははみ出している考え方だと思いますが、これはほんとうに試みでございますから、本年度の成り行きを見ながら、さらに一段と改善措置を講じてまいりたいと思います。  それから、金利の問題でございますが、公定歩合をどうするか。これも先ほど竹田さんにお答えしたとおりでございまして、現在は、政府といたしましても、オーバーキルの心配というものも一部には出てはおりますが、全体的には現在は、やはり民間設備、国民の全般的な消費、いろいろの先行指標等から見ても、まだまだ過熱を抑制しなければならない。総需要抑制段階であると考えましたので、五月の末に公定歩合引き上げと、預金の準備率の引き上げを同時に併用したわけです。こうして今後の状況相当やはり短期的に見て、機動的な政策運営をしていかなければならないと思いますが、同時に、公定歩合というようなものは、前もって予告をしてきめるべきものではございませんから、ただいま何とも申し上げられませんけれども、しかし、常に経済情勢全般の動きをより的確に掌握しながら、誤まりない措置を講ずべきである。これは公共事業繰り延べ等につきましても、さらに一そうきめこまかく引き締めるべきものは引き締めて、そして一面においては、国民の生活環境、福祉環境の是正というようなものについては引き延ばしをしないでやっていく。要するに、財政においても、一種の窓口指導というようなかっこうで、さらに真剣に取り組んでいきたい。こういうふうに考えております。  それから、倒産の問題でございますが、これは現在の私の見方といたしましては、これにも非常な注意を払っておるわけでございますが、現在までのところは、金融引き締めによって倒産に追い込まれたということはないと言えば言い過ぎかもしれませんが、まずないと申し上げてもいいんじゃないか。これは一件、一件の倒産の実態などを当たってみますと、ほかの原因が、比重が非常に大きいわけでございますので、金融引き締めによって現在倒産が起こりつつあるということはない、しかし、これは非常に警戒していかなきゃならぬところで、かりにも引き締めによって倒産が起こるというようなことは絶対に避けていくべきものである。こう考えるわけでございまして、要するに、総需要抑制はさらにきびしくやらなければならない段階である。そしてそれは、なるべく短い期間に、同時に、そのワクの中で、中小零細あるいはたとえば住宅関係というようなものについては、これは守っていかなければならない、こういう態度でいま現におるわけでございますし、今後もこれを続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  40. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 一つは、この法案の提案理由のことからなんですけれども、いろいろございましたが、中小企業の業務の国際化、それから資本の装備率の上昇、金融サービスに対する社会的要請の多様化、こういうことでなってきております。そして資本金の限度額がおのおの相銀が四億、信金が二億、信用組合が一億というふうになっておりますが、その根拠を一つ。  それからもう一つは、中小企業の定義が、基本法にいっている中小企業の定義と、それから、この専門金融機関で定義している場合の中小企業の定義と、これは中小企業関連法十数本の中で、おのおの、結局最後は中小企業基本法できまることだと思いますが、そういうふうに提案されております。そういうことから関連なしに、この法律が云云されるというのはちょっと私も心配をしているのでありますが、そういう点で、中小企業者の定義を、改定ということが、中小企業政策審議会の中でもいわれている。それに基づいて今回変わってきておると思うんですけれども、その点の中小企業の定義が、基本法にいうのと、この場合と、どういう感覚のとらえ方の違いがあるのか、その二点をまずお伺いをしたいと思います。
  41. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かに中小企業基本法に申します中小企業という場合と、それから、中小企業金融の関係におきます中小企業という場合とは、必ずしも同一とは言えない点があろうかと思います。もう先生御承知のように、いわば大企業に対する金融というのが一方にございます。それから、その次に、大企業以外の金融の中に、いわゆる中小あるいは零細金融というように、だんだん色の濃淡が出てまいっておるという関係が事実だと思います。その場合の金融面からいたしますと、資本金の大きさということが、必ずしも資金需要というものと符節しないという点が、金融面における中小企業というものの考え方の特色ではなかろうか、かように考えます。そういう意味からいたしますと、中小企業基本法におきます中小企業の定義というのを、資本金、それから従業員数ということでやっておることも確かに一つ意味ではございますが、それだけで考えてまいりますと、中小企業金融という面の疎通からいたしますと、まだ実際に合わないという面がございますので、中小企業基本法の精神にのっとりながら、それの考え方を体して、それを中小企業金融資金需要面に当てはめてまいりますと、現在御提案申し上げておりますような会員資格の点でございますとか、その他のこういうことになってまいるわけでございます。  で、資本装備率等の上昇と申しますのは、確かに省力化あるいは合理化と申しますか、福祉施設、社員さんの寮をつくっていくというような形で、どうしても資本的経費が多くなっていくということから、いままでどおりの一億円というような定義が、二億円になっておるというようなことは、必要があれば計数で御説明たしますが、数年間にかなり多く、倍増近くなっておるという実態がございますので、このような提案を申し上げたわけでございます。
  42. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 一昨日ですか、参考人に伺ったときに、信用金庫あるいは相互銀行ともに大蔵省の資料から見ましても、製造業への貸し出しの増加よりも、非製造業へ、特に不動産業へ対しての貸し出し残高が非常にふえてきている。特に、この四、五年の間に、昭和四十四年あたりに比べると三倍近く不動産等に出ている。卸売りサービス業等に少ない。こういうことがわかってまいりました。そういうことで、いままでも金融機関が関連不動産会社に役員を出向させるなど、多額の土地の関連融資をやったということで、非常に今回の土地の値段が上がったということから批判が出ております。けさの新聞でも、土地高騰の問題が、マイホームの夢をむざんにも砕くということが出ておりますけれども、こういう状況があります。私は、この点で、この土地関連融資をどういうように大蔵省はつかんでおられるかということが一つ。いま一つは、いまのようなことについてのいろいろ通達が出ています。土地の関連の融資について。その通達を出しているけれども、その実態調査の結果、はたしてどういうように改善されてきたのかということを聞きたいわけです。  それから、これは大臣からぜひ、先ほども言いましたように、不動産とか、そういうほうへ向けていくのが多くなっているという傾向は、参考人の御意見ですと、そういうほうへの資金需要が多いので、こういうふうになったのでございますという結果論の説明だけで、かといって、参考人の方ですから、ぎゅうぎゅうこっちも詰めるわけにいきませんし、聞きおいだ程度なんでありますけれども、そういうことについての指導といいますか、方向づけをどう持っていくつもりなのかその点を伺いたいと思います。
  43. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) まず、不動産向け融資規制に対する実績と計画という形で、私どもが個別銀行から計画を聴取いたしておりますが、現在までのところは、非常に私どもの承知しておりますように、と申しますのは、私ども考え方は、不動産業、不動産向けに対する融資の伸び率が、ほかの一般の貸し出しの伸び率と同程度にするようにというのが基本的な考え方でございますが、先ほど御指摘にございましたように、昨年秋は非常に高い伸びが、アンバランスな伸びが不動産向けになされておったわけでございます。非常にそういうものを、総貸し出しの伸び率に押えていくということになりますと、非常に急傾斜でこれを押えていくことになるわけでございます。それを四月から六月までの間に実現するという計画で年初来やっておるわけでございまして、大体この辺のところは所期どおりの計画が達成される状況でございます。まだ六月が終わっておりませんが、たとえてみますと、都市銀行の場合でございますと、不動産業に対する伸び率は、昨年暮れが、三カ月間の増加額が一五%でございますが、四月から六月は、これは三%の伸びになる予定でございます。一般不動産業に対する貸し出し。ただ、そのほかに、住宅向けと、それから住宅ローンと、地方公共団体は除外しておりますが、一般不動産向けは三%前後になっておる、地方銀行も大体同様でございます。相互銀行も三%を割る、信用金庫が三・八%というような状況推移するように考えております。大体、従来のような非常にアンバランスな不動産向けの融資というものは是正されていくものと、こういうふうに考えております。
  44. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私からもお答え申し上げたいと思いますが、不動産融資については、ただいまお話がございましたように、昨年末ごろまでは、金融機関の方々から言えば、需要があったから貸し出しをしたんだと、これはまあもっともだと言わざるを得ないと思います。むしろ、そうなったことは、責任を問わるべきとすれば、政府の側であって、金融機関のほうには、まだその当時は、窓口規制あるいは土地関連融資規制ということは発動は必ずしも的確にやっておりませんでしたから。そして現在は、いまさら申し上げるまでもございませんが、年初来、時に、土地と証券と商社と、まあ大別するとこの三つに焦点を合わせてやっておりますので、ただいま銀行局長から説明いたしましたような現実の状況になっております。  土地に対しましては、さらに一そうきびしくやってまいりたいと思いますが、ただ、マイホーム関係は、これは特別に配慮を加えたいと、こういうふうに考えております。
  45. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは大臣も、衆議院でも言われたかと思いますが、全信連が昨年六十億円、本年百二十億円で石油開発公団に対しての融資をしていると、一般貸し出し金利より低くやっております。一昨日伺ったときには、運用として、国債を買っての運用、いわゆる国債による運用と同じような気持ちでやっているというお話があったわけなんです。そういうことになってきますと、こちらもなかなかものが言いにくいわけですけれども、本来ならば開銀なりあるいは輸銀なりといういろんな方法があろうと思います。そういうところからすべきではないかと思いますが、といって、じゃ運用は一体どうするのか。よほどうまいガイドをこちらも考えてあげなければ、政府としても考えなければまずいじゃないかという感じがしております。その点については、へたをすればこれが信金等の自殺行為にもなりかねない問題でありますので、その点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  46. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは一般論としてはいろいろ論議の対象に私はなる問題であると思いますが、ただ四十七年、昨年当時におきまして余裕金の運用として行なったことであって、この余資の運用の一環としては、御案内のように、国債を中心として有価証券を大量に保有しておるわけで、四十七年三月末で申しますと、総資産の二四%になっておるわけであります。石油開発公団に対する貸し付けは、政府保証がつけられておりますし、コールレートが大幅に低下していた四十七年当初におきましては、全信連の資金の当時の運用先としては、不適当なものとは言えないと、こういうように考えるわけでございますが、本来からいえば、また現在のような状況及び今後におきましては、十分こうした点にさらに一そうの配慮を加えるべきものであると、かように存ずる次第でございます。
  47. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 すると、本年百二十億円の予定云云というのは、これはどうなってまいりましょうか。
  48. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) この辺のところは、今後まだ必ずしも確定いたしておりません。あくまでいま御指摘のように、全信連というものが余裕金の範囲内でやっていくと、ほんとうの資金需要、必要な資金供給を圧迫しない範囲でということで、私どもは、総資金量の一五%の範囲内において全信連が金融機関として判断をしてやっていってもらいたい、こういうたてまえをとっておりますので、これはいわば性質的には、政府保証債に匹敵するものという考え方も成り立とうかと考えられます。その辺のところは、むしろ全信連のまず判断を聞いた上で私どもは考えてみたいと思っています。むしろこれは全信連の貸し付けと考えるのか、資金運用の一形態としての運用と考えていくかとなりますと、むしろ余裕資金の運用、支払い準備の運用として考えるべき性質のものもあろうかと考えますので、石油備蓄計画とのかね合いで、今後もう少し様子を見てみたいと考えております。
  49. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 どうも私はその点が、これはすきっとしないのがあたりまえなのかも知りませんけれどもね、両面を持ったような御答弁でありますので。本来としてはあんまり好ましいことじゃないんじゃないかと、何かそういうふうにしか考えられないわけであります。まあ石油備蓄ということは必要なこと、石油開発が必要なことは十分わかっていますけれども、といって、政府保証があるから国債運用と同じように余裕金を運用させるというやり方がはたして妥当かどうかということは、これはもう一ぺん考え直しをしていただかなきゃいけないんじゃないかと思います。その点は意見にとどめておきます。  その次に、ことしの五月の企業の倒産状況、この問題を見ますというと、件数も多くなっていますし、負債も非常に多くなってきている。倒産件数が六百九十六件、対前月比でもって一七・八%。前年同月比で九・三%というふうに、とにかく一年五カ月ぶりに高水準という未曽有のものになってきております。今後また夏から年末へかけて本格的な金融引き締め、先ほど大臣答弁では、それだけが原因ではないと、こうおっしゃっておりました。また、その点もあると思いますが、そういうふうに金融引き締め等の効果が浸透するに従って中小企業の倒産がふえるだろうと、まあこういうふうにいわれております。内容としては、もう完全なインフレ倒産というような感じですね。いろんなものが上がってきている、そういう中で引き締めのしわ寄せも受ける。受けやすいのは中小企業でありますし、そういうことから、こういうような非常に大きな、何といいますか、インフレ倒産というような形をとってきたんじゃないか。  で、先ほども対策については伺いましたけれども、その御答弁では、三機関政府金融機関を云云ということが、かなり言われておりましたけれども、それだけでいいんだろうか、むしろ今回の金融引き締めの中で、相銀や信金の窓口までも規制をしまして、そういう行き方が少し行き過ぎというような面が全然なかったのかと、私どもはそうじゃないんじゃないかという感じがしているわけです。中小企業を育成しなきゃならない、また守っていかなきゃならないという基本的政策があるのに、それ専門の金融機関窓口でかなりの規制をされるということ、そういう点はどうなんだろうかということを考えないわけにいかないわけなんですけれども、その点の考えはいかがでございますか。
  50. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この倒産の関係は、先ほど申しましたように、五月に入って、企業の倒産が件数も金額もともに増加いたしております。御指摘のとおりでございます。しかし、その内容を見てみますと、これは大蔵省だけの見方ではないんでございますが、いわば土地ブームというか、レジャーブームといいますか、それに関連して手形を乱発している事例が多い。で、一様にして言えば、倒産した方々にはお気の毒なコメントになるわけですけれども、放漫経営によるものがその大半であると、こういうふうに政府としては見ておるわけでございますが、しかし、ときあたかも金融引き締めを徹底しているときでございますから、かりそめにもこれが今後の倒産等に影響を及ぼしてはならぬと、この点については非常に頭を悩ましておるところでございます。金融引き締め影響によって倒産が増加しないように、この点については今後とも十分努力してまいりたいと思います。金融政策のあり方につきましては、先ほど来申しておりますように、ほんとうにきめのこまかい指導をやっていかなければなりませんが、やはり率直に言って一番たよりになるのは政府関係三機関、これは最近における輸出関連中小企業対策としても、やはりこの三機関を通ずる対策が一番端的に効果をあげたものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  51. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 たしか大臣答弁なさったように、今回の非常に大きな倒産の中には、中日スタジアムの倒産によるところの連鎖倒産とか、そういう大きなものはあります。これなんかは確かに土地の投機の失敗といったほうがはっきりしているだろうと思いますが、それ以外にもやはり、それだけじゃないと、そういうのはありますけれども、いま一つには、これからあとで質問しようと思っていますが、建設業で資材や人件費が上がったということがあります。また、しかし、それ以外のほかのものということになりますと、やはり資金繰りが一方で詰まってきているのに、景気だけはどんどん上昇していくという感じ、物価そのほかのですね。そういう上昇が続いている、こういうことから、企業資金需要が高まっているのに締められたということ、その辺が一つは、中日スタジアムのようなものや、あるいは建築業界の資材高騰というようなものと別にしても、どうしても若干出てくるのじゃないかという感じがするわけなんですがね。三機関だけが一番だと、それはそのとおりだと思いますけれども、いま言われたきめのこまかい云々といった、そのきめのこまかい問題についてどういうふうに判断されているのか、それからどういうふうにやろうとなさっているのか、その点はもう一度、これは局長からでけっこうですが、詳しく伺いたいと思います。
  52. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かにお話しのような、きめのこまかい指導をしていくまず第一の問題は、日本銀行のまず窓口指導態度があろうかと思います。これにつきましては、やはり都市銀行あるいは長期信用銀行、信託銀行というものに対する規制のやり方と、相互銀行あるいは地方銀行というものとはかなり態度を変えてやっていくごとにならざるを得ないだろうと思います。さらに、信用金庫につきましては、いわゆる窓口規制というものを一律的にやってはおりませんで、むしろ全国で十あまりの信用金庫についてその貸し出し状況を聴取するという程度の規制しか行なっておりません。  それから、相互銀行につきましては、昨年非常に伸びたその時期に比べましても、まず、その量は確保していくという程度の大まかなワク指導しておるというのが実は実態でございます。ただそうは申しましても、やはり総需要抑制ということで、全体の総量を押えていくということからいたしますと、都市銀行あるいはその他の金融機関からはみ出された資金需要、大企業資金需要がこちらに向かってこないようにという防波堤も必要だというところから、各地の日本銀行支店長が、各地の相互銀行と連絡をとって、ある程度のワクを相談しながらやっておる。しかし、それについてはきわめて弾力的にやっておるというのが実態でございます。これがやはり一番大きな中小企業金融に対する一つのやり方の特徴でございます。そのほかは、かねてから申し上げておりますような、準備率に対する配慮でございますとか、あるいは私ども中小企業貸し出しの比率と言っておりますが、全金融機関における中小企業の割合が減らないようにという資料、データを注目しながら指導しておるということでやっていきたい、かように考えております。
  53. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあいま言われたようなきめのこまかいといっても、現場へ行くとなかなかそうなりませんので、その点はがっちりやっていただきたいと思うんです。  それから、この今回のインフレの中で、特に資材の高騰、原材料の入手難、人件費高騰と、こういうことによるインフレ倒産ということで三十四件も出てきたということが新聞に報道されております。その中で、建設業者が鋼材、セメント、木材の値上がりで倒産した。沖繩でも二件出たと、こういうことが出ております——沖繩で六件ですか、建設業が倒産していると。建設業だけでも九十何件だということなんですが、これをちょっと私も調べてみたのですけれども、建設業の方に聞くと、セメントが一応値上がりがとまってきて、現在は一袋三百八十円程度になっている。一時は四百円をこえておりましたし、二千円出しても手に入らないという状況であったのが、二百八十円までは戻りませんけれども、一袋三百八十円程度。ところが、現在に至ってセメントが潤沢になってきたと思うと、御承知のように、鋼材関係が非常に詰まってきた。私が聞いたところでは、H形鋼それからコンクリートの、打つときに使う何かでこぼこしている丸棒がございますが、そういうものも、つい最近までは一トン三万円ぐらいだったのが、いま五万六千円もしておるという、そういうことがいわれております。これは実態は一体どうなんですか。しかも、それで足らないというのです。手に入らなくて困っておると。もう一つは、建設の現場で使っている例の、何と言うんですか、コンクリートの柱、パイルですか、あれがなくてなくて、手に入らないというような、特殊な材料がみな今回は再び不足して、インフレ様相を呈してきております。そういうふうに業界の人たちや、現場の声でわれわれは聞くわけなんですけれども、この点建設省はどういうふうに掌握をされておりますか、ちょっと伺いたいのですが——建設は呼んであったでしょう。
  54. 原山義史

    政府委員(原山義史君) 通産省の窯業建材課長が来ておりますので、担当課長が来ておりますので、担当課長からお答えしたいと思います。
  55. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 二月の末に中国地方を中心といたしまして起こりましたセメントの需給逼迫は、三月、四月と月を追いまして全国的に波及した感がございます。しかし、三月におきますセメントの生産高が約七百七万トンという過去の最高記録を出したこと、及び四月、五月の対前年同月比で三割以上の増産を行なっており、さらにはまた、第一四半期で新規発注予定でございました官工需を七月以降の第二四半期へ繰り越したと、また、連休、降雨あるいは労務者の確保難等による需要の減退等によりまして、五月の連休を過ぎましてセメントの需給は緩和に向かいまして、セメントの在庫量もふえ、私どもは全国七十九カ所に、小口需要者向けの袋物セメントのあっせん相談所を設けましたので、このあっせん相談所におきます受付件数もほぼ連日ゼロというような状態になっております。こうした需給の状況を反映いたしまして、セメントの価格のほうも、三月は、対前月比で日銀の卸売り物価指数によりますと二・三%の上昇、四月は同じく四%の上昇という騰貴傾向を示しておりましたが、五月の中旬、下旬並びに六月の上旬に向かいまして、対前月の同旬比でほとんど変わらない、ほぼ横ばいというような状態になってきております。以上がセメントの状況でございます。  なお、コンクリートパイルにつきましては、四十七年度の生産高は、四十六年度に比べまして約二割増という形で推移しておりまして、価格のほうもこうした需要増を反映いたしましてやや強含みに推移をいたしておりますが、その程度は一割ないし一割二、三分——一二、三%という程度の騰貴傾向かと思われます。
  56. 三浦孝雄

    説明員(三浦孝雄君) セメントにつきましては、ただいま通産省からお話がございましたとおりでございまして、一方公共工事におきましても、御承知のように本年度上半期の契約の繰り延べをいたしておることもございまして、セメントの需給逼迫が現時点で相当緩和いたしました。私どもといたしましては、セメントに関しましては、当面これ以上の悪化はないというふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどお話の形鋼、特にH形鋼等でございますが、確かに対前年比で見まして、最近一割以上の価格上昇になっておるわけでございますが、やはり需要が特に民需を中心といたしまして、機械でございますとか、造船とか、住宅とか、いろいろの民需の増大によりまして逼迫ぎみになっておることが主因であろうかと思いますが、通産省のほうにもいろいろ御要請申し上げまして緊急増産をやっていただいておるわけでございます。その結果、これにつきましても間もなく鎮静化するというふうに私どもは期待をいたしております。  生コンでございますが、これも建設資材の中で非常に最近生コンのウエートが高まっておりますが、これまたセメントと同様の問題がございますが、セメントにつきましては、先ほど申しましたようなことでございますけれども、これにつきましては若干骨材の問題がからんでおるわけでございます。骨材もいろいろの事情から生産上の隘路が若干ございます。しかし、これもまあいろいろ事態が緩和しつつあるわけでございまして、建設省といたしましても一級河川等の管理をいたしておる立場から、河川砂利の砂利採取基本計画の改定を大幅にやろうということで、建設省所管において九河川につきまして検討いたしておりましたけれども、この場合約八千万立米ぐらいの骨材がさらに増産可能であるということを結論を持っております。早急にこれも実施に移すというようなこともいたしまして、河川の立場からも骨材の供給増加を積極的にはかっていこうというふうに考えておるところでございます。  それから、コンクリートパイルもやはり生コンとやや似たような傾向でございますが、これまた最近の値上がりは確かに相当のものがございましたけれども、やはり見通しといたしましては、これ以上著しい悪化はないであろうと、かように考えておる次第でございます。
  57. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 時間がないようですから、もうちょっとで終わりたいと思いますが、いまの答弁からもわかりますけれども、このいただいた資料から見ましても、東京の建設物価で見ると、コンクリートパイルが昨年の同期に比べると四千九百円のものが五千七百四十円と上がっておるわけですね。また、生コンが五千四百円のものが六千五百円、一立米当たり。それから、セメントは一トン五千九百円が六千四百円。形鋼が一トン当たり四万七千五百円のものが五万三千円というふうに、こういうふうにみな上がっておるわけです。こういうことがあります。しかも、そのほかにも衛生陶器、こういうものを見ましても、物価の、生産量に対しての卸売り物価指数というもの、これはあまり変わっておりませんが、若干の上昇傾向が出ている。とにかくいずれにしても必要なものが上がった上に、実際は手に入らないというのが今回の倒産を招いた大きな原因になっているのじゃないかと思います。そういうような材料高による倒産ということは、これは非常にたいへんな問題だと思います。で、大臣は所管じゃないことかもしれませんけれども、国全体として物価問題、やらなきやならない問題でもありますから、その点についての対処のしかたを——まあこまかい点は先ほど答弁がありましたからけっこうでありますけれども、ぜひとも御答弁をいただきたいと思います。  それから、最後にもう一つは、商工中金の調査部が、円フロート後三カ月の産地輸出企業下請組合の現状と見通しということで発表をしております。そういう中で見まして、四十一産地のいろいろな内容やなんかを調べておりますけれども、この中で、円フロート後価格を引き下げるということはもうほとんどできない。ほとんどが価格を引き上げざるを得なかった。ずっと中小企業の内容を見ると、円フロート分の為替差損を、いわゆる一〇〇%そのほかのいろいろなことで吸収ができない。しかも、コストが上がるということで、価格を上げざるを得ない。いままでの価格の中に吸収できなかったということがほとんどいわれております。そうして、すでに輸出の見込みが全然なくなったのがクリスマス電球、ケミカルシューズというようなものは、もう輸出の見込み、今後の成約の見通しも立たないというようなことが出てきております。中には滞貨が、輸出中小企業の中では、フロートに伴う契約のキャンセルが三十社、百二十七件、九億五千七百万円。滞貨が五十社である。中には六カ月分サングラス、あるいは八カ月分ミュージックボックスというような滞貨のふえておるところもあるというわけです。こういうところに対しては、特別な手当てを考えなきゃいけないのじゃないかということを感ずるわけなんですけれども、その点のことと二つをお伺いして終わりたいと思います。
  58. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) いずれもまことにごもっともなことでございまして、第一の、この物資の関係でございますが、実は、私といたしましても、金融財政措置という、要するにお金に関連する対策だけでは、とても成果をあげることはできませんので、物資の需給計画、見通し、それに基づく各般の対策、そうして結局需要と供給というものがバランスがとれるようになることが、インフレ防止の一番のきめ手であると思います。いま需要のほうは過剰であると見受けられますから、これは金のほうでも極力押えておるわけでありますが、一方供給については、輸入もございましょうし、あるいは増産もございましょうし、各般の手を、物資担当官庁においても十分のひとつ御協力をいただきたい。  それから、たとえば金融引き締めや、公共事業の実施にあたりましても、物資の需給関係を十分配慮しながら査定と申しますか、規制をやらなければならない。ぜひそういう面からも物資需給の状況を的確に、金の担当のわれわれのほうにも常時密接に情報を提供していただきたいということで、経済閣僚間で申し合わせもできまして、その方向に急速に手が打たれつつあるわけでございますが、今後とも金と物とを総合した対策によって、需給の均衡をとり、需給がミートするようにする、そのことが基本的にインフレ対策の根幹であろうと、こういう認識でやっておるわけでございまして、これからも一そうの努力をいたしたいと思います。  それから、円の変動相場制移行によりましては、輸出関連においては御指摘のような事実が起こっておりますし、したがって、先ほども申し上げたわけですが、この問題が起こりましてから、早急に三機関相当額の融資を実行し、また各金融機関としても、こうした業界に対しては、御相談に乗りながら、通産、大蔵の出先、それから金融機関というようなところが相ともに御協力をしてまいりたいと思っておりますが、率直に言って、この前の一昨年のときの円相場の変更にあたって、中小企業対策相当やりましたが、今回の場合には、企業の転換あるいは輸出向けの転換ということはもちろんでございますけれども、内需向け転換というようなことについても、転換資金の供給、それから、その企業指導ということが積極的に展開されなければならない、こういうふうに存じまして、かりにも、先ほど申しましたように倒産というようなことにならないように、更生措置ができますように、十分配慮してまいらなければなるまいと、こういうように考えておる次第でございます。
  59. 渡辺武

    ○渡辺武君 最近、大企業のほうは、いわゆる過剰流動性問題でもはっきりあらわれておりますように、手元資金が非常にだぶつきまして、品物の投機だけじゃなくして、土地の買い占めなどに乗り出しているという実情については、大臣も御存じだろうと思います。ところが、この中小企業、特に、零細企業のほうは、円の切り上げだとか、あるいは自由化だとか、あるいは特恵関税制度だとか、いわゆる経済の国際化という政府の方針、さらにはまた、中小企業分野に大企業が進出するということについて、これを野放しにするというような政府の方針と関連して、非常に緊急に融資や国の援助がほしいという事態にきていることは、これはいろんな資料で明らかなところであります。  ところで、総理府の事業所統計を調べてみますと、昭和四十四年の数字で少し古いのですけれども、日本の事業所総数四百六十五万の中で、いわゆる中小事業所といわれるものが九九・三%を占めております。労働者で調べてみますと、三千五百万人の労働者の中の七七・二%がこの中小企業で働いているというような状況です。特に、従業員十九人以下の小規模企業、これが全事業所の八一二%を占めると、非常に大きな比重を占めているのが実態です。ところが、金融のほうを見てみますと、昨年十二月の数字ですけれども、各種金融機関の総融資額四十六兆八千九百七十億円の中で、相互銀行信用金庫、それから信用組合、これの融資残高が合計して二十兆千六百七十億円、わずか四三%を占めているにすぎません。先ほど大臣は、今後政府系の中小金融機関、これの融資を強めていくということをおっしゃいましたけれども、これの融資総額が全体のわずか九%を占めているにすぎないというような実情です。中小企業が占めている比重の大きさからすれば、この金融の非常な比率の低さというのは、これは金融上大きな問題だというふうに考えます。大臣、この点を、これでいいとお考えになっておられるのか。まず、その点を伺いたいと思います。
  60. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 全体の構成比を見ますと、御指摘の大体傾向で、全国銀行で四五・九%、それから相銀、信金、信用協同組合で四一・三、それから政府関係が、御指摘のように九・三というのが実情でございます。それから、中小企業に対する貸し出しの構成比は、全国銀行で三五・七、それから相銀、信金等で九九・九、それから政府関係機関九九・六、それから全体の総計、全金融機関中小企業向け貸し付けの比重、構成比が四八・四%、これが、四十八年三月末現在の数字でございます。  それで、これでいいかどうか。まあ現状がこうでございますので、これは中小企業にも少し配慮すべきだなという感じはいたしますけれども相当の程度この構成比というものはよい姿になりつつあるように存じております。
  61. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、それじゃ困ると思うんですね。特に、中小企業といっても、比較的上位の中小企業もあれば、資金に恵まれない零細な企業もあるし、特にその後者が圧倒的多数を占めているというのが実情でしょう。特に、私は申し上げたいのは、相互銀行信用金庫ですね、ここの貸し出し、最近一口当りの融資額が非常に大きくなってきている、そういう傾向があると思いますけれども、その辺の実情はどうなっておりますか。
  62. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 一件当たりの融資額について見ますと、比較をいつからいたしますかという問題はございますが、四十三年と四十八年を比較いたしますと、四十三年の三月は、相互銀行の割合でございますと、一件当たり融資量は三百三十八万でございます。これが四十八年は五百三十万という平均になっております。信用金庫の場合は、四十三年が二百十二万で、これが四十七年に二百九十五万というようなことでございまして、倍率で申しますと、相互銀行の場合はこの五年間で五七%、信用金庫は四十七年までで三九%伸びたという形になっております。
  63. 渡辺武

    ○渡辺武君 念のために、都市銀行はどうですか。
  64. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 四十三年の一件当たりの平均金額は、都市銀行の場合は千三百七十一万でございますが、これが四十八年の三月は千二百三十一万ということになっております。これは、この伸び方の中には、消費者ローンがウェートが高くなってきておるということを考慮して見る必要がございまして、この消費者ローンを除いた数字というものは、現在手元に持っておりません。
  65. 渡辺武

    ○渡辺武君 都市銀行のほうは、一口当たりの貸し出し額が、これが小さくなっている。消費者ローンという問題もあるでしょうけれども、最近は、中小企業の分野に相当切り込みをかけているというのが、私は実情だと思うんです。それに反して、相互銀行及び信用金庫、特に相互銀行の場合は、一口当たりの貸し出し額が、これが急速にふえていっているというのが、これが現在の傾向だろうと思うんですね。私、大蔵省からいただいた相互銀行及び信用金庫貸し出し金額別の貸し出し件数及び貸し出し残高、四十七年の三月現在、これを見てみますと、相互銀行では貸し出し金額一億円以上のランクでは、件数がわずか〇・九%なのに、貸し出し残高は全体の三四・二%を占めている。逆に一番少ない貸し出し金額百万円以下のランクをとってみますと、件数では六三・六%もあるのに、貸し出し残高はわずか四・三%にすぎない、こういうふうな状況になっているわけです。時間がないから信用金庫については申しませんけれども、同じような傾向があって、まさに中小企業関係の金融機関だと普通思われているところで、大口のところにずっと融資が集中する傾向を示している。これは私、特徴だろうと思うんですね。つまり、別のことばで言えば、零細企業に対する金融上の均てんというのは、傾向的にますます乏しくなっているという状況だと思うんです。私は、このいま論議されております法案の措置ですね、これは、このようないわゆる上位シフトという傾向をますます強めるおそれがあるというふうに思いますけれども、その点どう思われますか。
  66. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かに金額別にいたしますと、御指摘のような数字になっております。もちろん、これはしかし、だからといって、相互銀行あるいは信用金庫の取引先が、こういうものが多いんだと考えていいかどうかとなりますと、やはり件数で見るべきか、金額で見るべきか、どうしても金額が大きくなるものについてはウエートが高くなるということは当然そういう算術の問題でございます。むしろ取引者の大宗は、五百万円以下が八五%を件数として占めておるという点も事実でございます。もちろん、だからと申しまして、金額のウェートが上位にシフトすることがいいんだということとは私どもも考えておりません。  ただ、金融制度調査会の四十五年の答申をいただく場合にも審議されたことでございますが、相互銀行というものの位置づけをどう考えていくかということも一つの対象でございました。その場合に、やはり相互銀行というものは、どちらかというと、中堅企業というものにもやはりめんどうを見ていくべきではなかろうかという考え方があったわけでございます。したがいまして、すべての相互銀行が同じような零細ばかりやっていくのか、あるいはその立地条件によって、都市にございます相互銀行と、あるいは地域的に、いなかにございます相互銀行とのあり方というものは、これから分かれていかざるを得ないものだとは思いますが、しかし、何といっても、いま御指摘のように、大口にシフトしていくということについては、歯どめが要るということも私どもは考えておるわけでございまして、そういう意味で、この法律の限度の中であっても、金額を一定金額以下に、全体の貸し出し量の八割まではするという指導を別途しておるわけでございます。現在までのところ、そのような形で、そういう上位シフトが起こらないということについて通達で指導しておるというのが実情でございます。
  67. 渡辺武

    ○渡辺武君 数学の問題だというような、そんなばかな話ないですよ。そうでしょう。いま私申しましたけれども、百万円以下のランクは件数六三・六%、相互銀行でですよ。その六三・六%を占める企業が借りている金はどのくらいかというと、全体のわずか四・三%です。つまり、零細企業金融上均てんを受けてないということですよ。信用金庫だって同じことです。私は、時間がないからやめたんだけれども、一億円以上のランクは、件数は〇・二四%を占めているにすぎないのに、貸し出し残高の一四・二%、それが上位に集中している。こういう傾向があるんです。問題は、だから、このような傾向があるところへ、今回のように、また一件当たりの融資ワクを広げていいんだというようなことをやれば、ますます上位シフト、つまり零細企業のほうは見捨てられるという傾向がますます強まってくるんじゃないかということなんですよ。  いま歯どめについて考えているとおっしゃいましたけれども、歯どめについて考えるのは、これは当然のことですよ。こんなばかなことないです。しかし、歯どめを考えるだけでは足りないんだ。積極的に零細企業のこの窮状をどういうふうにして救っていくのか、金融面から。その点についての対策こそ必要ですよ。それはどうお考えですか、これは大臣に伺いたい。
  68. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 数字の上の問題だと申し上げたのはそのとおりで、やはり貸し出しの一件の額が少なければ、件数が多くともその総額が少ない、こういうことを申し上げ、また、件数が少なくも、一件当たりの貸し出し金額が多ければ、総量が多くなるというのは、数字の上から当然出てくることでございますが、それはともかくとして、政策的な考慮としては、渡辺さんのおっしゃることは私は御同感でございます。したがって、いろいろの面で、ともすれば大企業金融が、相銀その他にシフトされてくるというようなことを一面に防ぐと同時に、零細な面において本来の、私はよく申しますけれども相互銀行法信用金庫法というものは、制度の立法としてはきわめて特異なんで、これは昭和二十六年の議員立法でできました制度で、そのときの沿革から申しましても、これは中小零細庶民金融を旨としなければならないと、当時の与野党のお考え方が実を結んでここにできたものでございますから、これはわれわれとしては、あくまで運営の問題としては拳々服膺いたしていかなければならない、私はそういう考え方を常に持っておるつもりでございます。したがいまして、今後の運用にあたりましては、十分その点を行政指導の面においても配慮していきたいと思います。  同時に、経済規模が、何と申しましても非常に大きくなってまいっておりますから、昭和二十六年当時は、中小あるいは大企業といわれたようなかっこうのところに規模がだんだん広がっていくことが望ましいので、そうした需要に対してやはり金融もこたえていかなければならない。底辺がだんだん底辺でなくなって、もっと格差が縮まってきて、そして中小企業——零細が小になり、中になるということを育て上げるようにするのが本旨であろうかと、こういうふうに考えておりますから、そういう点から申しまして、一方、だんだん中は大になって、そうしたような需要にもこたえていかなければならない。そこで、制度として幅を広げる必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
  69. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に、一問だけ。  いま、銀行局長自身も言われましたし、それから金融制度調査会の答申も、今度のような制度で金融が上位シフトするおそれがあるので、十分に配慮しろということを言っているわけですね。そういう危険性があるのにもかかわらず、あえてこういうような措置をとられることは、私はこれ、非常に大きな問題だと思うんです。  結局のところ、一番大きなねらいは、私は、この中小企業政策審議会の意見具申、七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策方向についてという意見具申がございますが、この中で一貫して強調しておりますのは、中小企業を以前のように保護していくという政策ではなくして、やれ、日本経済が国際化したから、その他等々という、いろんな一連の問題点をあげて、いわば業種転換、これを急速に進めなければならぬ。そのために中小企業の定義も変えていく必要があるんだということをいっておりますが、その路線に乗った金融上の措置ではないか。別のことばで言えば、転換できる中小企業の比較的上位のところ、ここに金融を集中して、あとの零細なところは、この際整理して淘汰していくという方向ではないかというふうに思いますけれども、その点どうでしょうか。
  70. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) いま私申しましたように、零細というものはなくなす方向が正しいと思うんです。それは、切り捨てではなくて、それが中小——先ほど言いましたように、零細というものが、小になり、そして小が中になり、あるいはそこで安定した健全な経営であると、こういうふうなところが、これからの中小企業政策の中心ではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。切り捨てではなくて、内容がおとなになってもらうことが望ましいと、こういうふうな考え方が各種の答申などにあらわれていることでございますから、それに即応するような制度の改善と、それから一方において、行政指導というものが、そういう心がまえを体してやられるべきものであると、こういうふうに私は考えるわけでございます。
  71. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  73. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
  74. 野々山一三

    野々山一三君 ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議案を便宜私から提出をいたします。案文を朗読いたします。    中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法 律案に対する附帯決議(案)  一、政府は、最近における金融引締めの浸透に伴い、その影響中小企業にしわ寄せされることがないよう、中小企業向け融資量について特段の配慮を加えるとともに、政府関係中小金融機関融資枠についても必要に応じその拡大を図ること。  一、政府は、国民福祉の向上と勤労者財産形成に資するため、住宅資金の供給については金融引締め下においても融資量及び金利の面について最大限の配慮を払いその改善、充実を図ること。  一、政府は、金融の引締めが下請代金の支払遅延に及ばないよう、これが防止策について万全の措置を講ずること。  一、政府は、相互銀行等の中小企業専門金融機関における国、政府関係機関及び地方公共団体等の公金取扱業務の充実に努めること。  右決議する。  以上であります。
  75. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ただいま野々山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  76. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 全会一致と認めます。よって、野々山君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、愛知大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。愛知大蔵大臣
  77. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨を体して十分検討いたしたいと存じます。
  78. 藤田正明

    委員長藤田正明君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後零時四十三分散会