○
政府委員(
橋口收君) これは、
資金運用部資金の性格から御説明を申し上げて御理解をいただくことが必要ではないかと思うのでございますが、
資金運用部資金は、いま
先生からお話しがございましたように、約二十二兆円の残高でございまして、これは財政法第四十四条のいわゆる「
資金」として、
大蔵大臣の責任において管理
運用するということになっておるのでございます。なぜそういう「
資金」という制度が法律上設けられ、
資金運用部資金あるいは外国為替
資金あるいは
経済基盤強化
資金というような、歳入歳出外
現金と申しますか、そういうものが戦前から、あるいは新憲法のもとにおける新財政法においてもそういう
資金が認められておるかと申しますと、これは御承知のように
資金のかたまりでございますので、本来、会計
年度区分とか、あるいは会計
年度独立の原則から申しまして、年々歳々毎日毎日入ってくる
資金であり、それがまた払い出されたり、あるいは
運用されたり回収されたりということでございますので、
年度に区切って財政処理するというものに本来なじまない性格のものであると。それから、一本一本の取引につきましても、予算統制と申しますか、個々の取引で、有価証券を売ったり買ったり、貸し出しがあったり回収があったり、あるいは
預金を
受け入れたり払い込みをしたりと、こういうことでございまして、一本一本の、予算統制になじまない性格のものとして、行政府の責任において管理する
資金というものが財政法上認められておるのでございまして、それが
資金運用部資金の性格でございます。が、本来会計
年度区分等にはなじみにくい
資金でありますもののうち、特に五年以上の
長期の
運用予定額につきましては、やはり財政的
資金の配分という性格を持っておりますので、国権の最高
機関としての国会の御
判断を仰ぐことが適当だということで、いわばその
資金運用部資金のうちの特殊な部分と申しますか、異例な取り扱いを適当とする部分につきまして、特にこういう
措置をとったのでございます。
資金運用部資金全体としては、まあたいへんことばが悪いんでございますが、本来繰り越しを
予定している性格の
資金でございますので、そこで毎
年度、どういうものを繰り越すかという、本来会計
年度独立の原則で処理をされるべき
一般財政でございますならば、それの例外として、繰り越し明許費ということで、事項ごとに指定をして、国会の御承認を得て、繰り越しをするという性格でございますので、
一般予算は会計
年度内に歳出をするのが原則であり、繰り越しが例外でございますが、
資金運用部資金の場合は、いわば繰り越しが本則と申しますか、繰り越しが原則でございまして、会計
年度内の処理という、あるいは会計
年度独立の原則に従うということはむしろ例外的な取り扱いにならざるを得ないのでございまして、そういう点を法律上明らかにするために、法律上の繰り越しの制度ということで御審査をお願いをいたしているわけでございまして、かりに繰り越し明許費のような取り扱いをするということになりますと、これは端的に申しまして、全部の事業が繰越し明許費として事項指定をお願いをしなければ、実際に財投
対象機関としての、猶予期間あるいは
融資期間というものは動かないわけでございます。で、いま繰り越しがたいへん多いという御指摘をいただいておるのでございますが、それは確かに多いのでございまして、これは一時的な
金融情勢とか、
景気情勢に基づく原因のほかに、本質的な問題はいま申し上げたようなことでございまして、しかも毎
年度計画が対前年比相当ふえてまいりますので、どうしても同じ率で繰り越しをしましても、
金額がふえるということでございまして、しかも、そのうち大宗を占めますのは実は
地方団体でございまして、
地方団体は出納整理期間にいろんな財政処理をするという経過がございますので、大体四月−五月にほとんどの
資金が出るのでございます。したがいまして、四十七
年度から八
年度へ繰り越しが予想されます
地方団体は、おそらく八千億ぐらいになるんじゃないかと思います。それと同じように、前
年度から四十七
年度に繰り越されたものの六、七割は
地方団体に対する
融資でございまして、そのほかの
機関もございますが、
地方団体はそういう財政処理という原則があり、しかも、他の財投
機関はどうしても
年度後半に借り入れをし、しかも事業の執行の終わらないものにつきましては、明
年度に繰り越しをして借りる、こういうことでございますので、この点は、第三条による無
制限繰り越しというものは適当でないというおしかりをいただいておるのでございますが、これは
財政投融資の事業の性格と申しますか、
財政投融資対象機関の性格から見て、これはいわば本質的な問題を含む問題ではないかというふうに考えておるのでございます。