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国務大臣(
中曽根康弘君)
予算の額からすると、最近はわりあいに伸び率からいえばいいようであります。しかし、それは過去があまりにも低かったために目に見えてくるという程度でありまして、中身を見ましたらまだまだ非常に弱いものであると私は思っております。
先ほど来申し上げましたように、零細
企業に対する
経営改善の
指導、誘導、そういうような面において非常にまだ足りない面がございます。そういうような面で手足に使っているのは、あるいは協同組合の中央会であるとか、あるいは商工会であるとか、あるいは
商工会議所とか、そういう方々にいろいろ煩労をお願いしておるわけでございますけれ
ども、それらの
中小企業に対する密着度というものを見ますと、必ずしも十全ではないと思います。また、府県には商工部とか商工課というものがございましたし、市町村にもございますけれ
ども、それらも、これはわれわれの力の足らざるところから、積極的に育成したり積極的に乗り込んでやるという意欲がまだ十分でないように思います。いろいろドル・ショックや何かが起きた場合に、受け身でその事務を処理するということはできますけれ
ども、
中小企業そのものを思った親身のやり方がまだ十分でないと思うのです。
これは、
農業関係と比べてみると一目瞭然としておるのでございまして、
経営改善普及という面については、
農業の農事
指導ということはかなり徹底しておりまして、技術の改善普及ということも進んでいるわけです。しかし、
中小企業について見ますと、これは各自各自の創意に期待する面がかなり多いために、そういう画一的な
指導、誘導ができないといううらみはございますけ
ども、だからといって、そういう劣位のままに置いておいていいというものではございません。そういう
意味において、多面的な
指導力を発揮するような
体制、われわれからすれば通産の
指導行政の足腰づくりということが非常に大事だろうと思うのです。
具体的には、これは
商工会議所とか商工会とか、あるいは組合の中央会とか、そういうようないろいろな面に対して
経営改善指導等に関する人的
強化、あるいはその
方向に関する教育、啓蒙、あるいは
資金的な、あるいは情報的な、そういうあらゆる面についてやはり人とチャネルをもっと
強化してやらなければならぬ、そういうように一番痛感しておるところでございます。こういうことをやれば、
予算的にもかなりふえてくる面があると思います。
いままで、たとえば
商工会議所あたりの
経営指導員なんかは六万か七万ぐらいしかもらってないですね。それじゃいい人が来るはずがないわけです。来年度
予算で八万ぐらいに上げよう、次いで十万ぐらいに上げていこう、そういう希望を持っておりますけれ
ども、それだけにしてもかなりの額が要るわけでございまして、そういう面においてまだ非常に薄弱であると、こう思います。