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1973-07-04 第71回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月四日(水曜日)    午後一時三十一分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月二十八日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     加藤  進君  七月三日     辞任         補欠選任      加藤  進君     沓脱タケ子君  七月四日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     辻  一彦君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         森中 守義君     理 事                 金井 元彦君                 菅野 儀作君                 杉原 一雄君                 内田 善利君     委 員                 君  健男君                 斎藤 寿夫君                 寺本 広作君                 林田悠紀夫君                 加藤シヅエ君                 辻  一彦君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君                 沓脱タケ子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君    政府委員        環境庁長官官房        長        城戸 謙次君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        科学技術庁原子        力局次長     倉本 昌昭君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        通商産業省公益        事業局技術長   和田 文夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 森中守義

    委員長森中守義君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、沢田政治君が委員辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 森中守義

    委員長森中守義君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、来たる七月六日、参考人出席を求め、当面の公害対策について意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森中守義

    委員長森中守義君) 御異議ないと認めます。  なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 森中守義

    委員長森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  6. 森中守義

    委員長森中守義君) 自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。三木環境庁長官
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま議題となりました自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  最近、国立公園等のすぐれた自然環境を有する地域にも、各種の開発行為が波及しつつあり、このような事態に対処するためには、国立公園もしくは国定公園普通地域または自然環境保全地域普通地区における行為規制を強化する必要があります。このような観点に立って、自然公園法及び自然環境保全法規定を整備し、わが国における自然環境の適正な保全をはかる目的をもって、この法律案提案いたした次第であります。  以下、この法律案内容を御説明申し上げます。  まず、自然公園法規定改正として、第一に、国立公園または国定公園普通地域における届け出を要する行為に、新たに、  一 土地形状変更すること。  二 海面以外の水面を埋め立て、または干拓すること。  三 陸域において、鉱物を掘採し、または土石を採取すること。  を追加いたすことであります。これは、最近これらの開発行為がますます顕著となる傾向にあり、これが無秩序に進められた場合には、自然破壊をもたらすおそれが大きいため、自然公園法上有効な規制措置を講ずることが緊急の課題であると考えられるからであります。  第二に、自然公園普通地域における届け出を要する行為について、着手制限期間を設けることであり、今後普通地域において届け出を要する行為をしようとする場合には、原則として、その届け出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、当該届け出にかかる行為着手してはならないことといたしております。  この改正は、三十日間の着手制限期間に、届け出のあった行為を十分に審査し、自然環境に悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には、行為着手前にその禁止制限等措置をとることができるように改めるものでありまして、実質的に特別地域における許可制に準ずる規制をはかることをねらいとしたものであります。  次に、自然環境保全法規定改正でありますが、これは、自然公園法普通地域における着手制限期間設定と同様の趣旨のもとに、自然環境保全地域普通地区において届け出を要する行為をしようとする場合に、三十日間の着手制限期間を設けることといたしたものであります。  以上が、この法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 森中守義

    委員長森中守義君) 次に、補足説明を聴取いたします。首尾木自然保護局長
  9. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  まず、自然公園法規定改正でありますが、第一は、国立公園または国定公園普通地域における届け出を要する行為を追加することであります。  現在、自然公園普通地域において届け出を要する行為といたしておりますのは、工作物を新築し、改築し、または増築すること、特別地域内の河川、湖沼等の水位または水量に増減を及ぼさせること、広告物等を掲出し、もしくは設置し、または広告等工作物等に表示すること、海面を埋め立てまたは干拓すること及び海中公園地区周辺海域において鉱物を掘採し、もしくは土石を採取することまたはその海底の形状変更することであります。  しかし、最近自然公園普通地域において、別荘地ゴルフ場造成土石採取等届け出対象外となっている開発行為が相当程度行なわれ、自然環境保全上大きな問題となっておりますので、これらの行為について自然公園法上の規制措置を講ずることができるよう新たに届け出を要する行為として、  一 土地形状変更すること。  二 海面以外の水面を埋め立て、または干拓すること。  三 陸域において、鉱物を掘採し、または土石を採取することを追加することといたしております。  第二は、自然公園普通地域における届け出を要する行為について、三十日間の着手制限期間を設けることであります。申すまでもなく、現行制度のもとにおきましても、普通地域において届け出のあった行為が、当該公園風景保護する上で支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、必要な限度において行為禁止制限等措置を命ずることができることとなっております。  しかしながら、行為届け出をした者は、直ちに当該行為着手しても差しつかえないこととなっており、届け出があった行為内容を審査した後、行為禁止制限等の必要な措置を命じようとする際に、届け出に係る行為がすでに相当進行している場合があります。このように適法に着手された行為をとらえて、その行為の途中ないし完了後に行為内容を大幅に変更させたり、禁止したりすることは、実際上困難な場合が多く、また、行為者にも相当の不利益を与えることとなります。  そこで、本法律案では、このような現行制度上の欠陥を改め、届け出を要する行為をしようとする場合には、原則としてその届け出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、当該届け出に係る行為着手してはならないことといたしております。  このように着手制限期間を三十日間といたしましたのは、行為禁止制限等措置命令は、行為届け出のあった日から起算して原則として三十日以内に行なうことができるとされていることに合わせたものでありますが、風景保護に対する支障の有無の判断に三十日という期間を要しないものについては、その期間を短縮することができることといたしております。  次に、自然環境保全法規定改正でありますが、これは、自然公園法普通地域における着手制限期間設定と同様の趣旨のもとに、自然環境保全地域普通地区において届け出を要する行為をしようとする場合に、三十日間の着手制限期間を設けることといたしております。この自然環境保全法は、本年四月に施行されたばかりでありますが、自然環境保全地域普通地区における規制は、自然公園普通地域規制の例にならったものであり、自然公園法改正趣旨と同様、最近における開発行為の進展に対応して、自然環境保全に万全を期するため、改正をすることといたしております。  以上が自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案提案理由補足説明であります。
  10. 森中守義

    委員長森中守義君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 杉原一雄

    杉原一雄君 いま、提案理由並びに補足説明の中にありました「自然公園法上の規制措置を講ずることができるよう新たに届け出を要する行為として」と、その行為の、三項あるわけですが、第一項の「土地形状変更すること。」これに関連するような具体的な事実について、こちらに入手したニュース等を中心にしながらそれぞれ関係省庁の見解を求め、この法の適用についての今後の判断資料にしたいと思いますので、まず第一点、質問をしたいと思うのですが、それはニュースソースから申しますが、六月二十八日の朝日新聞に載っていたことでございますので、質問としてはあまり権威がないわけですけれども、ただ写真等も載っておりますので、これはたいへんなことだというふうに理解して問題提起をするわけです。  問題の起こっているところは長野志賀高原近くででございますが、森林開発公団スーパー農道をつくった。伐採をやって、どんどん周辺伐採したわけですが、その道路両側並み木をとりあえず植えてあるが、しかし、そこを通る者にとってみれば、その並み木を通して、伐採された荒涼たる姿がまのあたり直ちにわかるという事実があるわけです。地元では、あるいは志賀自然史研究会皆さんたちが「国立公園の、しかも水源かん養林になっているブナ林伐採すること自体人間環境有形無形の大きな影響をもたらすのに、見えないところは切って見えるところは残すとは子どもだましもはなはだしい」と、こういう告発が述べられているわけです。  この事実について、林野庁からも来ておいでになると思いますが、計画進行してきた経過、そしていま具体的にこういう問題提起をされているわけですが、この事実等について、林野庁のいわゆる理由と申しますか、説明があってしかるべきだと思いますので、林野庁の具体的なこの事実に対する説明理由づけをお聞きしたいと思います。
  12. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたのは、奥志賀スーパー林道と称しておりまして、この起点といたしまして長野県の山ノ内町、終点といたしまして栄村というようなことで、延長といたしまして六十八キロ、約十億円を想定いたしております。現在、そのうち約三〇%弱が就工いたしておりまして、その受益面積といたしましては民有林が六千四百ヘクタール、国有林八千二百ヘクタール、合計一万四千六百ヘクタール程度を受益する面積といたしておるのでございます。この林道の特色といたしまして、長野県の上信越高原地帯を南北に結びまして、直接、草津を経まして開発される林産資源北関東市場へ輸送するというような大きい計画計画をいたしておるのでございます。  ただいま先生指摘でございました写真の件でございますが、先ほど御説明申し上げましたように三割弱しか就工いたしておりませんので、実はまだこれを利用いたしておりません。したがって、写真に出ております地帯、やはり国有林と思います、私どこの場所かということは確認いたしておりませんが、そのスーパー林道部分ではないということだけは確かだと思いますが、その周辺は、過去におきまして国有林のそういう伐採をいたしたことがございます。したがって、従来から林道周辺につきましてはなるべく残すように、やはり目隠しと申しますか、あるいはその道路保護管理上も必要であるというようなことで、なるべく四十メーターあるいは三十メーターというようなものを両側に残すように指導いたしてまいっておりますが、私ども写真を拝見いたしましたうちでは、必ずしもそのような幅もございませんので、その事実につきましては現地を十分調査いたしまして、また、所要の手当て等をいたすつもりでございます。  なお、私どもそういう伐採をいたします場合は、国有林施業計画というものがございまして、その中で具体的に伐採植林あるいは林道開設等計画されておるわけでございますが、昨年の二月でございますか、新しい国有林施業方針というのを打ち出しまして、今後皆伐いたします面積をなるべく小面積にいたしまして、しかも分散いたしまして、なお、切る場合にも尾根筋谷筋等には天然林を三割程度は残していく、そのこと自体植林にも十分効果があるというようなこと等を私ども企画いたしまして、ことしの四月から具体的にその施業計画に乗せまして、全国一斉にスタートしているというようなことでございます。以上でございます。
  13. 杉原一雄

    杉原一雄君 いまの答弁でわかることは、目隠しするために、この写真に載っているような、両側に木を残してあちらの荒涼たる姿をそこを通る人に見せないというようなことは、営林署としてすでに方針としてそれをやってきたんだと、そういうとらえ方をしていいわけですね、御説明のとおり。
  14. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 国有林全国に約八百万ヘクタール弱でございます。したがって、その森林といたしましての機能といたしまして、御承知のとおり木材を供給するという使命もございます。同時に、国土保全あるいは水資源の涵養、先生の御指摘のあるいは自然環境保全あるいは造成とかそういう使命、つまり公益的な使命両面がございます。したがって私どもは、その両面が調和ある形において日本の森林資源を育成し、また、そのような要請される機能に対応していくということが、私ども国有林の与えられた使命でもありますし、また、当然私どもそれを受けて施業方針といたしておるわけでございます。  全面的に切らないということそのこと自体は、特に大事なところにつきましては、私ども全国で十数万ヘクタールの保護林、この地帯のようにブナの非常に重要なところ、あるいは学術上非常に大事なところというのは、全国で約千ヵ所ぐらい保護林というかっこうで保存いたしておりますが、それ以外の森林につきましては、保安林なりあるいは自然公園法等の制約のある部分を除きまして、林業経営的な手法を適用いたしておるわけでございます。しかし、先ほどお答え申し上げましたように、そういう場合でございましても、尾根筋とか谷筋とかあるいは道路口というものにつきましては、なるべく天然林を残すことによって、森林の育成あるいは美観の維持ということは前から指導いたしているところでございます。
  15. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうすると、六十八キロメートルでしょう、全体が。その路線が早く確定してしまっているわけで、作業は三〇%内外でしょうけれども路線は確定している。これはまず一応肯定していきたいと思うのですが、そうする中で、奥志賀、いわゆる志賀高原国立公園というところに対する、何か中へ入り込んでいくか、外側を回っていくか、その辺のところの事情は現地はどうなっているのですか。
  16. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  私どもは一般的にスーパー林道等をつくります場合に、特に法的な制限のございます国立公園とかそういうところを通ります場合にも、すでに御承知のとおりに特別地域がございます。自然公園法にきめられました第一種、第二種、第三種とございまして、そのほかに普通地域もございます。したがって、規制のきびしい第一種、第二種地区はなるべく林道は通さないように、それを通過しないように路線選定の場合になるべく考慮をするようにいたしております。また同時に、工法といたしましても、土砂の切り取りあるいは捨て土の問題、あるいはのり面緑化配慮するという、路線選定と同時にそういう工法配慮するというようなことを考えておるわけでございまして、十分この路線選定等につきましては環境庁と御協議申し上げてこれを実行していく、こういうことでございます。  なお、奥志賀スーパーにつきましては、一部若干保護地区が七キロぐらいございますけれども、すべてほかは普通地域を通るようにいたしておるわけでございます。
  17. 杉原一雄

    杉原一雄君 自然環境首尾木さん、その点御承知なんでしょうね。そうすると、第一種、第二種、第三種ということだけれども、七キロ程度だというが、これは六十八キロの七キロですからパーセントはすぐおわかりだと思うのですが、その辺の事実関係は、環境庁として事前十分相談を受けて、よしわかったとオーケーを出しておられると私は判断するのだが、それはどうですか。
  18. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいまお話に出ましたこの奥志賀スーパー林道が通過をいたしております特別地域は七・一キロメートルでございますが、これは工事のない地域でございまして、現に道のある地域でございまして、そこを利用してこれをスーパー林道にいたしているわけでございます、したがいまして、ここには新たなそういう工事を伴っていないということでございます。
  19. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうすると、新しい立法とも直接そり合いがない、既成の事実だけれども、しかしこの立法とも関係がない、だいじょうぶだ、こういういわゆる判断をしておられるわけですね、環境庁としては。
  20. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 奥志賀林道建設そのものにつきましては、これは普通地域につきまして今度新たに土地形状変更といったようなものが入ってまいりますから、それは土地形状変更事前届け出ということになりますけれども、その点はすでに既着手工事でございますので、この点は、法律が通りましても法的な面での問題ということは生じないと思います。ただ、これが普通地域あるいは特別地域――特別地域につきましては先ほど申し上げましたように新たな工事を伴いませんけれども、当然、公園の中を通過する道路でございますから、私どもはやはり管理上の問題といたしましていろいろ意見を申すべきところは申し上げる、こういうことは今後必要だというふうに考えておるわけでございます。
  21. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうすると、法的な問題とかそういったような意味では大体あまり問題はないので、今後の施工上の問題、それによって波及する自然波壊の問題に対して十二分の監督指導をするということだと思いますけれども志賀自然史研究会のメンバーが告発しているこの願いといいますか意図、そうしたものに対してこたえる林野庁なり環境庁の、あと七〇%の作業があるわけですが、今後の作業を進める過程において特段配慮されるような行政上の配慮ですね、そういう点は特別にないですか。既定方針どおりそれでいいと。この告発は、私初めてこれで知ったわけですけれども、そういう点では現地等と照らし合わせていただいて、問題はない、こういうふうに理解していいのですか。  ただ私は、この新聞国民に与える影響等から考えると、営林署林野庁というものは何というばかなことをするんだなあと、こういう印象を受けるわけですね、これを見た限りにおいては。その辺のところを、国民自然愛に対する考え方に失望を与えないような特段配慮をする事項等があるならば、環境庁並び林野庁立場から、ここで自然史保護研究会皆さんじゃなくて、自然を愛する国民にこたえてもらいたい。法律的にはもう支障がない、施工上注意するというようなことではわかりにくいのでありますが、その辺のところを最後のまとめとして、両庁からそれぞれの責任ある答えをいただきたいと思います。
  22. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 私どもこの工事を、現在三割弱でございますけれども、これをあと七割工事をする過程におきましても、先ほど来申し上げておりますように、きわめて注意をしながら、しかもある程度の金をかけながら、十分注意して施工していくということは当然でございます。同時に、その周辺にあります国有林伐採等につきましても、先ほど来申し上げておりますように、この四月からでございますけれども、新しい施業方針、特にこのような亜高山地帯でございますから、これの更新あるいはそれの維持管理というような面につきましても十分配慮いたしまして、伐採についても新聞紙上にありましたような非難のないように配慮しながらまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  23. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 自然公園立場から十分この問題につきまして林野庁に対し、実態もよく把握をいたしまして、その面で、特にこのスーパー林道による自然破壊ということが起こりませんように十分に申し入れをしていきたい、かように考えております。
  24. 杉原一雄

    杉原一雄君 次は、問題を変えますけれども、同じ自然を愛するグループ環境保全グループという銘を打って、私の県の誇るべき大自然である立山連峰の自然を守る会が、六月の下旬にわたって宣伝ビラ等街頭に出てまきながら、立山連峰の自然を守ろうという運動を展開しているわけです。しかも、そのグループ会長は、私の尊敬しております元富山大学の植物学の教授でありますが、いま定年退職されて、そうした市民運動の先頭に立ってがんばっておるわけですけれども、この人たち市民県民に訴えようとする問題は、立山の大自然を守るということ。ところが、この前の前の環境庁長官をしておりました大石さんも、実はこの山を非常に愛して、山登りもした、だからというので、特に私の主張とも意見が一致したのでありますが、この立山連峰の自然を守る会の皆さんたちの体を張っての行動、主張、それは何か、こういうことなんです。   それは結局、最近立山が、観光客あるいは観光バスがどんどん山の中に入ってくる、そのことの結果あらわれてきた現象に、立山独特の野鳥、特に雷鳥等が有名なんでありますが、非常に数が少なくなった。あるいは立山杉、何千年の歴史を誇る巨大な立山杉等ごみをかぶって、まだ排気ガスというところまでいかぬけれども、やはり枝葉にごみがかぶれば呼吸が困難でありますから、木がだんだん衰え始めている。こういう現象的な一つの姿を見て、植物を愛する植木会長等が、いたたまれなくなって街頭に出て、いわゆる観光客等にも呼びかけ、市民県民の協力を求める、こういう実態等が出てまいったわけです。最後にこの人たちの特にきつく言っていることは、立山へのマイカーの乗り入れを永久に禁止する、観光バスの台数を制限してもらいたい、こうした具体的な要求をもひっさげて実は街頭に出て、たくさんの人ではありませんけれども、がんばっている事実を、私のいなかでございますから連絡が実は参ったわけです。  こうしたことは何も私のところの県だけの問題でなくして、全国至るところにあることだと思います。きょうの法案等の指摘は、より具体的にもっと大きなスケールで自然を破壊する、土地形状変更するとか、海面以外の水面を埋め立てるとか、鉱物を掘り起こすとか土石を採取するとか、そういうものに対するこれは規制であります。提案内容はそうだと思うのですね。いま富山大学の環境保全グループのメンバーの提起している問題は、これよりももっときめのこまかい、しかもより広範な影響力を持つ車とか、そういうものに対する、観光客に対する呼びかけでもあるわけです。こうした現象は、日本じゅう至るところにあるのではないか。  そこで、これはいま法案審議でございますが、こうしたこと等についてはこの法案は、積極的にああする、こうするということはないと思うのです、ぼくは。十分点検しておりませんが。こうしたことは首尾木局長、ほかの自然保護その他でこれはどうなるか、環境庁ではどうこうできないのかどうか、県段階でこれはやるべきなのかどうか、やるとすればどういうものをよりどころとしてやるのか、あるいは憲章、あるいは条例その他いろいろあると思いますけれども、その辺のところを、この保全グループ皆さんの訴えにこたえてもらいたいと思う。よしわかった、こちらにまかしてくださいと言えるのかどうか。その辺のところを法解釈の問題として明らかにしてほしいと思います。
  25. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいま御指摘の問題は、いわば公園管理の問題ということで非常に重要な問題でございます。非常にわが国の国立公園が、オーバーユースというようなことで、その面からすぐ自然の破壊といったようなことが問題になっておりまして、私どもこれに対して、これを何とかする方法はないかということで検討いたしておるわけでございますけれども、現在のところ法律的に申し上げまして、私ども法律のほうでこれを権限として規制をするということは、一般的に今日の法律ではできないわけでございます。  御指摘にありました立山の問題でございますが、立山道路につきましては、現在県の自主的な規制といたしまして、千寿ヶ原まででマイカーの乗り入れを禁止しておるというようなことと承知をいたしております。  これは道路管理者としての権限に基づきまして、この道路の使用についての制限を加えておるわけでございまして、道路管理者の決定としてこれをやれば、それは法的にできるわけでございますが、この問題につきましては、もちろん道路をつくります際の道路の設置目的とかそういうようなことからいたしまして、なかなかすべてのこういったような車道について、これを実際の問題といたしまして車の乗り入れを禁止するということは、事実上の問題として非常にむずかしい問題であるわけでございます。  今後、私どもといたしましては、問題がございますので、こういったようなオーバーユース対策といいますか、そういうものにつきましても十分検討をいたしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  26. 杉原一雄

    杉原一雄君 いまの保全グループ皆さんには、まだ先ほど申したように要求があるわけですね。しかし局長の答弁では、それはなかなかいまの法の網では規制は困難、県独自では車、マイカーの規制は、マイカーはいまおっしゃったとおりなんです、千寿ヶ原まで上がってはならぬことになっておるわけですが、環境保全グループ皆さんから、マイカーは今後とも禁止してほしい、それから観光バスの台数を制限してもらいたい。こういう要求が出ておるわけです。  いま、今後検討ということなんだが、自然保護ということに焦点を合わせて今後検討をすることだと思うけれども、その検討の一つの方向づけとして、あるいは立法措置の問題を考えているのか、あるいは県に対する指導行政の方向を考えているか、どちらでもいまのところ総合的に考えているのか、どちらかわかりませんので、局長のいまの検討するという内容についてもう少し検討をしてみたとい思うのですがね、どういうことでしょうか。
  27. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これはやはり総合的に検討をいたしたいと、こういうことでございます。もちろん一つの方法といたしまして、法的な措置によってこれを解決することができるかどうかということも検討をすることでございますけれども、それまでこの問題を放置しておくということではございませんで、それぞれ、そのところところによりまして場所的に、ただいま申し上げましたように、富山等においてはこの立山等においてある程度のそういう規制もやっておられますし、場所によってやりやすい場所、やりにくい場所といったようなものもございますから、全体としてそれを、法的な検討はもちろん一方において進めますと同時に、場所場所によりまして具体的な方法を考えていくということを含めまして、総合的に検討いたしたいということでございます。
  28. 杉原一雄

    杉原一雄君 次は伊達火力の問題ですが、ここでは通産当局とやり合うようなことはやりたくないと思います。問題は、伊達火力は御承知のように、四十五年の三月に北海道電力に火力発電所の誘致を伊達町が申し入れしたと、それは昨年は採択どおりであったのか、その辺はわかりませんが、一応記録的にはそうなってくると思いますが、最近大きく問題となってこの火が燃え上がったのは、六月時点における、北電、機動隊の出動を要請、反対派のすわり込みを実力で排除、強行着工と、こういうところにいよいよ日本全国に大きな問題として燃え上がったわけです。  この火電そのものの反対とか賛成ということなどは、私はここで議論したくないわけです。ただ環境庁として、四十五年から今日までもうすでに三年以上経過しているわけですから、伊達火力と、伊達火力の近くにある国立公園、洞爺湖等があるわけですから、その辺のところを、これを施工しようとする側の企業のほうからの何らかの連絡、また積極的に行政当局として現地を調査して、結果的に環境破壊、自然破壊、こういう問題等が、いわゆる火力発電、地域開発の結果出てくるかどうか、それは起こってからではおそいのでありますから、法案にも書いてあるとおり、事前にチェックするという努力等をなされたかどうか。しかも、そのなされた結果によって、大切な国立公園が何ら汚染される憂いなしというような判断等を下されているのかどうか。  その辺、環境庁として直接タッチされ、調査され、現在判断されたから火力発電が着工を強行にやろうとしているのだろうと思いますから、それの経過をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  29. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 伊達火力発電所の設置問題につきましては、主といたしまして、そこの大気汚染のおそれ等を中心といたしますいわゆる公害関係に関しまして事前の調査ということで、環境庁といたしましては十分これをやっておるところでございます。  ただいま先生の御指摘になりましたのは、伊達火力発電所の近辺にございます国立公園の支笏洞爺国立公園、これについての影響ということについて、これをどのように調査をしたかというようなお尋ねでございますが、この影響としまして一般的に考えられますのは、これはやはり風による影響ということであろうと考えております。洞爺湖は、この国立公園は伊達火力のちょうど真北にあたるところに位置をいたしておりますので、主として南風の影響というものが一番具体的な問題として考えられるわけでございます。この地区の風向でございますが、これは南風の年間頻度が三ないし四%ということでございまして、恒風といたしましては、北北西、東北東の風が四五%というような調査の結果になっております。  この結果によりますと、したがいまして年間三-四%程度でございますので、伊達火力発電所は洞爺国立公園の南端約五キロメートルのところにあるわけでございますから、その点での影響というものはそれほど重要な影響があるというふうには考えられない、こういうような判断をいたしておるものでございます。
  30. 杉原一雄

    杉原一雄君 長官、いまお聞きになっていなかったかもしれないけれども、伊達火力がいよいよ強引に機動隊を動員して、現に着工したわけです。そこでいま局長から事前の調査等についての報告を受けたわけですが、風がほぼ南風で三%ないし四%だ、だから結果的には、局長判断は大体心配がないという考え方のように受けとめますが、しかしそれはちょっと、後ほど辻君からもいろいろなそうした専門的質問があると思いますが、やはりどういう硫黄分を含んだ石油をたくかということで問題はまた変わるわけですから、簡単に風の頻度が少ないからだいじょうぶだというような結論にはならない。  だから、これは今後いろいろ通産等の指導行政によって変わると思いますけれども、しかし、えてしていまの全国的に設置される火力等の状況から見れば、この場合でも煙突が百六十メーターの煙突なんですよ、増設される煙突は。そうしますと、五キロあたりが一番危険じゃないかと思いますね。二キロ、三キロ、四キロ、五キロ、そこらあたりが一番亜硫酸ガスにおかされるのじゃないか。だから、だいじょうぶだなどというようなことなどは私はまだ言える段階ではない。  でありますから、長官にはっきりお願いしたいことは、こうしたことはここだけ起こる問題じゃない。辻君の福井県あたりで原発その他の問題がたくさんあるわけですが、これは環境庁としても相当腹帯を締めてこうした問題に対処していかないと、せっかくの自然、そうしてまた皆さんがなわ割りをされた自然公園が破壊されるおそれはきわめて大きいのではないか。でありますから、あくまでも事前の徹底的な調査と、それからその企業のその後の運営の姿等を点検した上での判断と指導がなければならないと思いますが、これは私、具体的なこの一事をもっていろいろな問題の一つの今後の行政の方向づけを明らかにしていただきたいから、この問題提起を実はしているわけですから、長官からこうした問題、具体的なケースをいま私が提起いたしましたから、今後の行政指導方針といいますか、基本的なこうした問題に対処するかまえをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) こういう問題が将来も起こり得るのですが、事前に環境に及ぼす影響というようなことを調査しなければならぬわけでございます。環境容量といいますか、許される範囲内でいろんな工場の設置等も認めるということでなくては環境は保全できないわけでありますが、今回の場合も、いま杉原さんの御指摘されるように、今後の火力発電所がどういうふうな油をたくかということも影響がありますし、そういうので単に最初に影響はないという判断を下しても、今後におけるいろんな諸条件ともにらみ合わせて考えなければならぬ面もありますので、将来とも環境保全という点から、工場のいろんな排出物に対しても注意をいたしておく必要がある。あんまり安易に考えることはいけないと思います。
  32. 杉原一雄

    杉原一雄君 きょうは七月四日で、南北朝鮮統一の声明を出した日であります。私も去年の七月十四日に向こうへ渡ったのですが、非常に驚いたのは、朝鮮戦争のさなかに金日成首相が、数十ヘクタールのところに苗木を植えて、戦争は必ず勝つ、勝ったあとは木を植えるということで苗木を育成したという、すばらしい将来の展望を持った政治家の姿を見てまいりましたし、現にまたピョンヤンその他は森の町でございます。アメリカの砲火のもとに焼き尽くされたところが、現在は大きな柳の木などでおおい隠されているという現実を見てまいりました。  きょうはその記念すべき七月四日でございますので、金首相のそうした行政の姿を頭に刻みながら、いま環境庁長官の答弁を多とするのでありますが、問題は、これからやはり地域開発というスローガン、美名のもとに、自然破壊の仕事がどんどん行なわれるおそれきわめて大である。林野庁のほうからも、木は切って用材として利用するという、利用面の問題も提起されたわけでありますし、火力発電にしたところで地域開発の拠点という大義名分がおそらくあると思いますが、ただ問題は、立山杉のように何百年何千年の巨大な杉が、いまここにマイカーが流す排気ガス、あるいは観光バスがまき散らす砂や砂ぼこりが木を枯らす、衰えさせるということについては、これはそう年数がかからなくてもできる仕事なんです。  そういうことだから、環境庁の今後の行政指導はやはり長期展望に立った、いわゆる大自然を守る、環境を保全するという大きな任務があると思いますから、その点、すぐれた長官をいただいておりますから私は安心して行政をお預けする気持ちはあるわけですけれども、しかし事は総環境、いわゆる人間環境ですね、それから政治環境、経済環境はなまやさしいものではございませんので、長官の決意と今後の行政に大きく期待を寄せて、きょうは私これで質問を一応終わります。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 杉原委員の言われるように、自然環境は破壊をするとなかなか回復はむずかしいし、年限がかかるわけであります。しかし一方において、いろんな開発という必要性はそれ自体としてのいろんな必要性を持ってきておるわけですから、相当なやっぱり力を持って推進をしようとするわけであります。その間にあって自然環境を守るということは容易なことでは私はない。非常な決意を持たないと、どうも開発のエネルギーに押しまくられる危険性を持っておりますから、いろいろ御指摘になりましたように、環境庁は相当な決意を持って自然環境保全に当たらなければ目的は達成できない。そういう点で、われわれも相当強い決意のもとに、自然環境保全にできるだけ努力をしていきたいという考えでございます。
  34. 辻一彦

    辻一彦君 きょう、自然公園法及び自然環境保全法の一部改正案の審議にあたって、私は国定公園内における原子力発電所の諸問題について質問を若干いたしたいと思います。  これは長官も御存じのとおりでありますが、原子力発電所が建設される場合に、その安全性から考えて大都市を避けている。それから地理的な条件、岩盤のかたさであるとか、あるいは冷却水に必要な海水、こういう点からどうしても海岸線になる。ほとんどが海岸線になっております。しかもその海岸線というのは、非常に風光明媚なところ、水や、空気、そういうものが非常にきれいなところが多く、たとえば福島県の太平洋沿岸もしかりでありますし、また福井県の若狭湾も私はその例であると思います。  福井県の若狭湾について言いますと、去年夏、五百万人海水浴のお客さんが来ている。高浜という町では、土曜、日曜は一万の人口が二十五万人ぐらいにふくれあがる、そういうところになっております。運輸省は、東では九十九里浜、西日本におきましては若狭湾に国民保養基地、海洋性のレクリエーション基地を建設しよう、こういうことで将来千五百万以上の保養人口を若狭湾に誘致をするという、そういう構想のもとにいろんな計画が進められている、そういう条件にあります。  ところが、そういう場に、いま若狭湾では日本原子力発電所、関西電力をはじめ九つの原子力発電所が稼動もしくは建設中である。あるいは、動力炉・核燃料事業団の構想によると高速増殖炉をつくりたい、関西電力は百万クラスの発電所をさらに五つ六つ若狭湾に設置をしたい、こういう計画があるようにいろいろな点から私聞いておるわけであります。  そこで、これは非常に自然環境の破壊という点、国定公園の中の地形変更という点、それから環境の中でもなかんずく熱汚染、温排水の及ぼす水産物並びに自然環境に与える影響という点、あるいはいま非常に問題にもなりますが、放射性廃棄物が環境放出される、これは将来十年、十五年先を考えると非常に大きな問題じゃないかと考えます。こういう点で、環境庁は少なくも住民の立場に立つ、こういう立場でいままで努力をされたと思いますが、こういう原子力発電所のこのような建設状況に対して積極的なる介入を環境庁はやるべきじゃないか、そういう立場から私は二、三ただしたいと思います。  第一に、日本原子力発電所が敦賀において発電所を建設するにあたって、環境庁、その当時は厚生省の担当局であると思いますが、いかなるチェックを行なったか、このことについてまず局長から伺いたい。
  35. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) いまお話しの日本原子力発電の建設につきましては、電調審かと思いますけれども、そこにかかりましたのは四十年の五月というふうに聞いております。当時、当然環境庁がございませんで、どういうようなチェックが行なわれたか必ずしも明らかになっておりません。
  36. 辻一彦

    辻一彦君 そのときに厚生省の担当局があるはずですが、国定公園の中でありますから何らかのタッチをしていると思うのですが、その点はどうですか。
  37. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 御指摘の敦賀の発電所につきましては、当時厚生省におきましては、その問題に具体的にタッチをしておらなかったというふうに承知をいたしております。なお、その後の美浜等につきましては、これは当時の自然公園審議会の管理利用部会のほうにその話をいたしまして、それについての御意見を伺っておるということでございます。こういうふうに承知をいたしております。  なお、これは国定公園でございますので、権限といたしましては県知事の許認可の事項になっておるわけでございまして、ただいま申し上げました自然公園審議会の管理利用部会に、このような案件について厚生省としてどう指導すべきかということについての御意見を、諮問ではございませんが、事実上の問題として御意見を伺ったというふうに聞いております。
  38. 辻一彦

    辻一彦君 逐次私は美浜、高浜、大飯とお飼いをしますが、敦賀のほうからでありますが、当時厚生省は、機構上あるいは法的な根拠においてこういう問題にタッチすることができなかったのかどうか。その点はどうですか。四十年五月に行なわれた敦賀のこれについて。
  39. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 指定になっておりましたので、この問題については、これを事実上の問題として厚生省が国立公園内の問題として福井県のほうを指導をするということはできたわけでございますが、この当時におきましては、そのような指導を特別に行なっておらなかったというふうに伺っております。
  40. 辻一彦

    辻一彦君 やっていなかったということですね。  第二に、敦賀に動力炉・核燃料事業団が新型転換炉、いわゆる高速増殖炉との中間であるという新しい原子炉をつくっておりますが、これの建設についての許認可について当時どうしましたか、これを伺いたいと思います。
  41. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) なお詳細に調べてみたいと思いますが、敦賀の問題につきましては、当時厚生省としてはノータッチでなかったのかというふうに考えております。
  42. 辻一彦

    辻一彦君 ノータッチですか、でなかったか、どっちですか、タッチしたか、しないか。
  43. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) タッチしなかったというふうに想定されます。
  44. 辻一彦

    辻一彦君 これは一応朝、九つの発電所の建設にどう厚生省以来環境庁がタッチしたか、ちょっと通告してあったのですが、一応わかってますね。――通告してありますね。
  45. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ちょっと聞いておらないです。
  46. 辻一彦

    辻一彦君 局長は聞いてない。そうですか。朝知らせたのですが、じゃ時間がかかっても若干尋ねます。  第二は、いま御発言ありました美浜の発電所、これは関西電力ですが、一号炉三十四万、二号炉五十万、三号炉八十二万六千キロと三つの発電所が、すでに二つは稼働している。三つ目は建設中でありますが、これについては先ほど、タッチがあったようでありますが、どういう経過であったか、この点いかがですか。
  47. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 美浜につきましては二号炉からタッチをいたしておりました。このタッチと申しますのは、先ほど申し上げましたが、当時の自然公園審議会の管理利用部会にこの案件につきまして御相談を申し上げておる、こういうことでございます。
  48. 辻一彦

    辻一彦君 御相談というのは、どういう審議というか相談をしておりますか。
  49. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) このような原子力発電所を設けることについての可否、それから設けるとした場合に、どのような点について配慮すべきかというような点でございます。
  50. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、その二号炉の次に、去年の三月に美浜に三つ目の三号炉が認可されておりますが、この三号炉はもう昨年の春のことですから、一年ちょっと前ですね。そのときにはどういうチェックというか、審議が行なわれたか、この点いかがです。
  51. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 審議会は、四十六年の三月二十四日に、先ほど申し上げました自然公園審議会の管理利用部会のほうにこの案件をかけまして、当時、ここの問題につきましては、土捨て場の場所でございますとかその他につきまして指導をいたしております。
  52. 辻一彦

    辻一彦君 いや、その資料を出させて、結論は、環境庁としてはどういう結論を出したのですか、そのときに。
  53. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 美浜の三号炉につきましては、当時の意見といたしまして、管理利用部会としては、これは発電所の建設についてはやむを得ないということでございまして、それの施工方法等について指示をいたすということで、当時の審議会の御意見といいますか、管理利用部会での御意見はそういう結論であったわけでございます。  私どもといたしましては、そういう審議会の御意見も伺いました上で、これについては従来からの継続的な行為といたしまして、この原子力発電所の設置については自然公園法上やはり公益との調整の上からいってやむを得ないというような判断に基づいたわけでございます。
  54. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ第三に高浜地区、この高浜町の和田海岸は日本海岸では有数の海水浴場、先ほど言いましたように、土曜日、日曜は大体一万二千の人口が二十三万から五万にふくれるというたいへん夏に人が来るところですが、ここに関西電力は同様一号炉、二号炉、それぞれ八十二万五千キロワットの発電所がもうすでに完成近い状況になっておりますが、これが審議されたときに、当時の厚生省もしくは環境庁はどうだったか。この点いかがですか。
  55. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいま先生の御指摘になりましたのは、いわゆる安全性問題ということと関連をして、その点についてどういうふうに判断をしたか、こういうお尋ねかと存じますが……
  56. 辻一彦

    辻一彦君 いや、ちょっと。安全性はね、これは科学技術庁がやることですから、原子力委員会がありますからいいですが、国定公園の中でですよ、その中で五つ、六つ、七つ、八つ、九つと、原子力発電所がもうノーズロでどんどん認可されていく。その中で住民の立場から環境庁はどうタッチをしたか、どうチェックをしたか、そのことを聞いておる。
  57. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 高浜の発電所につきましては、昭和四十四年の五月二十一日に当時の厚生省におきましてこれを論議をいたしまして、やはりこの高浜の発電所につきましても建設についてはやむを得ないということで、建設にあたっての、自然景観といいますか自然の風致の保全といったような観点から、必要な指導を四十四年の六月三日にいたしております。
  58. 辻一彦

    辻一彦君 最後に同じく若狭湾の大飯町、ここは和田海岸へ九キロ、小浜市に九キロという距離ですが、大島半島の端に世界最大の百十七万五千キロワットの原子力発電所が二つ認可されていますね、去年の三月。これについて環境庁はどうチェックをしたか。その点いかがですか。
  59. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 大飯発電所につきましては、昭和四十四年の十二月二十三日と四十五年の十月十九日の二回にわたりまして、先ほど申し上げました自然公園審議会の管理利用部会にこれをはかりまして、行為といたしましては調査のためのボーリング、それから土地形状変更及び海面の埋め立てということについて、当時これが議題となりまして論議をされております。その後あらためてこれについての特別に審議会における審議――審議といいますか、御意見を伺うということはいたしておりません。
  60. 辻一彦

    辻一彦君 長官にお伺いしますが、いま私は、第一は福井県若狭湾の敦賀、これは三十五万キロワットの日本原子力発電所、動燃の新型転換炉、それから美浜町におきましては関西電力の一号炉三十四万、二号炉五十万、三号炉八十三万、高浜発電所が同じく関電の一号炉八十二万六千、二号炉同じ、また大飯町は同じく関電の百十七万五千キロワットを一号炉、二号炉、二つ。九つの発電所があの若狭湾という五十三キロの間に全部認可されて建設中です。  私はこれを見たとき、これが国定公園の中に全部含まれているというこういう中で、環境庁がいわゆる自然保護といいますか環境保全というような点からいっても、この九つを、やむを得ない、やむを得ないといって全部認めてきたということは、環境庁機能というか、あり方からして、使命から見て、非常に私は問題があるのじゃないか、こう思いますが、ひとつ環境庁長官としてどうお考えになるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原子力発電というものが、どうしても人家の稠密地域から遠隔の地に選ぶということになるわけで、そうなってくると、立地条件として自然公園内というものが候補地にあがることがあり得ると思います。ことに日本の場合は、石油というものから原子力発電へエネルギー源が変わっていかざるを得ない。公益性を持っているわけですね、エネルギーの。そういう場合に、私も原則としては好ましいことだとは思わないんですよ、そういう自然公園内に原子力発電所がくることは、原則論としては好ましいものとは思いませんが、そういって、一方に持っておる原子力発電という一つの公益性から考えて、だから、自然環境というものを非常に著しく破壊するような場合には、幾ら公益性があってもこれはやめなければならぬが、その間の一つの利害というものをどう調整していくかということが、いずれの場合においても起きるわけであります。  自然公園というものも相当広い範囲内に指定を行なっておるわけでありますから、政府の国有地のようなものでちゃんと確保しておるわけではないですから、相当広い範囲内にわたって国立公園でも国定公園でも地域指定が行なわれておるわけでありますから、そういうところの利害の調整というものが現実の問題としたら非常に起こり得るわけで、今後は、環境庁というものもできて、そうして自然環境保全ということを大きな行政の目標にしておるわけでありますから、原子力発電という社会的に非常な強い要請があるにしても、自然環境保全と両立さすような方向で今後指導していくということよりほかには私はないのじゃないか。必要だからといって、自然環境に害が及ぶというようなものがあれば、これはやっぱり認めるべきではないと思いますが、その間、両方の利害というものをどのように調整していくかということが、その場合その場合で価値判断をせざるを得ない場面にぶつかるんだと思います。しかし原則的には、やはり自然環境保全しながら、国の要請である電力の公共的要請にこたえていく、何とかこれを懸命に調整をするということが必要だと考えております。
  62. 辻一彦

    辻一彦君 それは幾つかの問題がありますから、質疑の中で明らかにしたいと思いますが、まず第一に通産省にお伺いしますが、通産省は、全国に何十ヵ所かの原子力発電所の立地条件を調べて、かなりな個所を調べておったはずですが、私はちょっと数を記憶していないのですが、何ヵ所調べましたか。
  63. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) いま、年度別には出ておりますが、計算しております。
  64. 辻一彦

    辻一彦君 いや、大まかでいいですよ。
  65. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) 大略でございますが 三十七ということでございます。
  66. 辻一彦

    辻一彦君 長官、いま通産省のほうでは一応三十七ヵ所の立地のあり場を調べておるわけですね。これはずいぶん前です。それが一つと、日本にはいろいろな立地条件の場所がかなりあるということもあります。それから若狭湾は、私いま言いましたが、去年でも五百万の海水浴のお客さんが夏に来る。運輸省はこれを千五百万以上にやるんだと、こういっていまいろいろな計画を進めている。そういう条件を見たときに、ここにこれだけ、しかも自然公園国定公園の中に集中するということについて、環境庁が疑問をあまりお持ちになっていないんですね。  審議をされたけれども、ほとんどやむを得ないというような形で全部私はパスしていると思うのですが、これは私は少なくも環境庁が、日本にいろいろなところもあるんだし、ここにこれだけたくさん集中することについていろいろな論議がもっとされなくちゃならないと思いますが、一回その報告があってそれで終わりというようなことでは、真剣に環境の点から、お考えになっておったというようにちょっと思いにくいのですが、この点いかがですか。
  67. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 過去の問題について言いわけをするようでございますが、御指摘のありました一連の敦賀発電所から美浜発電所、それから高浜発電所、大飯発電所等の問題につきましては、これはいわば環境庁の発足以前の問題あるいは以後の問題も若干ございますが、これにつきましてはその以前に、すでにこの建設につきましては厚生省当時におきまして、その点について審議会の一応事実上の御審議もいただいて決定をいたしておりました問題で、その問題について、ただいま申しましたようなやむを得ないというような結論できておるものでございます。  ただし、この当時におきましても、当然この原子力発電所の問題につきましては、特に自然公園の風致との関係から申しましての調整というものを十分やって、その上でこれをやったものと考えております。ただし、もちろんこういったようなものができますれば、その限りにおいて自然の風致をそこなうということにつきましてはこれは明らかな点でございますので、その点はやはり、基本的に公益とその自然公園の目的といたします風致の保護ということとも調整をいたしまして、そこで公益性が非常に高いということで、やむを得ないといったような判断をいたしたものでございます。  環境庁になりまして、その大きな問題といたしましては、現在、那智勝浦、それから鹿久居島等におきまして、国立公園地域内でございますが、この原子力発電所の新設についての調査ボーリングの申請がまいっております。これにつきましては、環境庁が発足をいたしまして、自然環境保全という観点から、さらに単に風致ということだけにとどまらないで、もう少し広く自然環境保全といったような観点を加味をいたしましてこの問題について慎重にすべきだということで、この問題についてはいまペンディングの状態にいたしておるわけでございます。  実態を申し上げますと、原子力発電所の問題につきましては、これはそういったような風致だけの問題ではございませんが、漁業に対する影響の問題でございますとか、あるいは安全性に対する問題でございますとか、こういう点についての一般の地域住民の反対といいますか。そういうものがかなり事実の問題としてあるわけでございますので、いわばこれは自然公園の問題であると同時に、地域の問題であり、環境一般の問題であるということでございまして、単純に風致の判断ということだけからこの問題を私どものほうが先行いたしまして許可をするということによって、何かあたかもそれが全体としてそのことについて国が容認したというようなことに取り運ばれますことは、まことにこれは困ったことであるわけでございますので、私どもは総合的に、そういう問題についてはまず第一に地方公共団体、あるいはその地元あるいは都道府県といったようなところの判断というものを固めまして、そのようなことを見ながら、一方において私どもは厳重に、環境庁も発足をいたしましたので、私ども立場といたしましては、自然環境保全あるいは自然の景観の保持というような視点から、厳重な審査をいたしまして結論をこれに出すべきだというふうに考えておるわけでございます。もちろんその場合に、そういったような事前の調査というものが十分行なわれるということが前提になっておるというふうに考えておるわけでございます。
  68. 辻一彦

    辻一彦君 環境庁発足前の厚生省のことをいまいろいろ申し上げても、これは無理な点がありますから、深くは私これには触れませんが、しかし環境庁が発足して数年ですね、いまこの法案をここで可決をされたとするならば、これからどうしますか。   〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
  69. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、常にこういう問題が起こると思いますのは、辻さんは立地する場所は幾らでもあるじゃないかということでありますが、なかなか立地の条件というものは、いろんな基盤の問題もあるでしょうし、それから地元の同意も要るでしょうし、必ずしも至るところに立地できる場所があるとは思わない。日本は狭いと思いますね、諸外国とは違って非常に狭い国土ですから、こういう問題は起こると思いますが、しかし、いま環境の保全というものについては、これはたいへんな国民的関心も高まっておるときでありますか、らしたがって、今後この問題については、環境庁が環境保全という立場から、従来にもまして厳重な事前のアセスメントをやるということ、これはしなければならぬと考えておりますし、こういう法案が国会において可決されれば、そういう意味からもこの法案を強化をするための改正案を提出をいたしたわけでありますから、今後一段と厳重な事前調査を行なうということでございます。
  70. 辻一彦

    辻一彦君 いや、私は日本中にどこにもたくさんあるなどと、そんなことは言っていないのですよ。少なくも通産省が三十何ヵ所調査している。日本で十幾つかしかないのに、一ヵ所に九つも集まっている。これは感情として、自然公園の中にこんな九つもいくのは少しどうかということで、地元の意見がいろいろあったとしても、私はチェックして考えるべきじゃないか。   〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕  まして、御存じのように大飯の発電所は、これに賛成した町長がリコールで追われて、そして反対の町長が出て電力会社から町への支援をとりつけるとか、美浜町のように五、六億円町に寄付を受けて、坐わり込んだ、賛成になったとかというふうないろいろなケースが美浜や大飯にありますね。大飯の場合は、全般的な振興計画に電力関係がうんと協力をする、こういう約束で、これはやむなく町長が最後に了解をした。しかし、八割の住民の反対の署名が確実にとれたとか、そういう運動があって、いろいろ経緯をたどっておりますね。だから、決して地元が簡単に賛成をしたりそんなものではなかったけれども、いろいろな曲折を経て知事と地元の議会、町長の三者が合意をしたためにやむなく認可になりましたけれども、そのときに、こういう風光明媚な夏五百万も人が来るところに発電所を九つもつくっていいのかどうかという、こういう面からの環境庁規制といいますかチェックというか、介入のしかたが、去年段階でもあってしかるべきじゃないかと、私はこう思うのですよ。  しかし、いま長官の答弁のように、法改正によって、これが成立するとすれば事前に十分な調査をして積極的に介入をしていくというような御意向でありますからして、まあ過去のことは、私あと二、三点どうしても伺わなければならないことがありますから、それに時間をかけることはできないと思いますので、これで切り上げたいと思います。  そこで、この法律が成立をした場合に、地形変更については届け出から一ヵ月の猶予期間を置くということになっておりますね。そこで一定の敷地が、たとえばかなり広大な敷地が電力企業によって確保されている。まあ海でも、補償したあとは幾らよごしてもいいというのが大体いまの企業の考えですね。また、補償して買い上げた土地ならばあとどうしてもいいという、私はこういう企業の考えになると思いますが現実には、もしも増設をしようとすれば新しい地形変更が起こるわけですが、そういう場合の地形変更は、自分が買い取った敷地であるからもう自由なのか、あるいはこの法律によっての規制を受けるのか、これはどうなんですか。
  71. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) この法律規制を受けることになります。
  72. 辻一彦

    辻一彦君 受けるのですね。  その場合に、科学技術庁、通産省、これは言うなれば大体推進の立場にありますね。それから環境庁は、私は昨年の四月に大石長官とも予算の分科会でいろいろな質疑を行ないましたが、通産省がアクセルならば、環境庁はちょっとブレーキを住民の立場から踏んでもらわなければならない使命があると思うのですが、科学技術庁や通産省の意見がいろいろ食い違う場合に、環境庁はどの程度の法的な根拠といいますか、根拠によって、意見が食い違った場合にどう対処されますか。
  73. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、最初に発電所が立地の場合は電調審で、それからまた国立公園の場合には環境庁と協議しなければならぬという点がありますね、特別地域においては協議をしなければならない。そういうふうな、いままでの既存のものでもわれわれが介入する余地はありますが、この改正によりまして届け出を要するというわけでありますから、地形の変更についてわれわれが介入をする法的根拠ができるわけであります。したがって、環境庁は環境の保全ということの大きな立場に立つものですから、国全体の環境保全という立場に立って介入をいたすということでありまして、一企業の側に立つという役所の性格ではない、国民全体、国全体、その環境保全との間にその立地をどういう価値判断をすべきかという立場に立って環境庁は考える使命を負っておるものだと思います。
  74. 辻一彦

    辻一彦君 私は、いまの局長並びに長官答弁は大事なことだと思います。  というのは、あまりこういう発電所をありがたがるところはだんだんなくなりました。最初は固定資産税がたくさん入るというので、われもわれもというようなところもあったのですが、なかなかそういうわけにもいかないし、また、今日の公害のいろんな問題から、当然住民運動が強く出てきます。そうしますと、新しい敷地を求めるのはいろいろな困難がある。そこで既設の敷地に集中するという傾向がいま非常に出ております。これは言うまでもない、大飯の一号炉であれば一千億の予算が要りますが、二号炉になれば敷地や関連費が約八百億で、一つについて二百億安くあがるわけですから、だから集中すればするだけ何百億か経費が安くつく。どうしても一定の敷地に集中しやすくなる。  その場合に、当然地形変更ということが起こるわけですから、だから敷地をたとえ企業が確保しておったとしても、この法の適用によって、これは届け出を必要とし、一か月の期間が置かれ、それに介入の法的根拠が十分あり、環境庁は十分事前調査をしてこれに対して介入していくこういうように私は伺ったのですが、この点念のためにもう一度確認したいと思いますが、いかがですか。
  75. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それでけっこうでございます。
  76. 辻一彦

    辻一彦君 次に第二に、熱汚染、熱公害といわれますが、発電所で問題になるのは冷却水のいわゆる温排水についての問題がございます。  これについて若干お伺いしたいのですが、第一は、九つ発電所がありますと、これは百万キロワットに大体秒七十トンの温排水が出る、こういうように大体計算されておりますから、九つが全部稼動すると六百二十万キロワットになります。そうしますと、一日に出る温排水の量は三千七百万トンですね。それから、もしも関西電力が言うように、ここに五つないし六つの百万単位のものをさらにふやして、千二百万なんていうことになりますと、これは一日に二億トンもしくは二億五千万トンの温排水が若狭湾に流れ込むということに計算上なるわけですね。  そこで、この原子力燃料が燃えた熱量の、火力の場合は半分が電力になり半分が温排水になって出ますが、効率が悪いために三分の一しか電力にならない。三分の二は冷却されて温排水として出る。そうしますと、電力でいえば、昭和五十三年にこれが完成して九基が動いたときに、五十二年から動きますが、そのときに、毎日三千七百万トンの温排水、そしてその熱量は、千二百万キロワットの電力が動いているだけの、それだけの熱量を若狭湾の中に熱量として放出をする。こういうことに計算上なるわけですね。  そうすれば、なるほど海の中に拡散すれば、一度の温度差まで拡散する範囲というのは何キロとかになって広がってきますが、水温の差による水産物への影響もありますし、また漁場やいろいろな水産物への影響もありますが、一つは、大量の熱排水が一つの湾内に流れ込んだときに大量の霧が発生する可能性がいろいろな点から考えられる。そうすれば、気象と同時に海象、海の上にこの熱排水、温排水が及ぼす影響ということがいろいろと私は考えられると思うのですね。こうなると、放射能の問題は別にしても、この熱排水の問題は、自然や水産物、海の気象に与える影響というもの、したがってその週辺にある植物や植生に与える、自然に与える、環境への影響というものは非常に大きなものがある、こう思いますが、これについて全然ないとお考えになっておるか。これだけの熱量が出れば、やはりいろんな影響はあるのじゃないかとお考えなのか。この点いかがですか。
  77. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) お話のとおり、いま熱汚染に限って申し上げますけれども、相当量の温排水が排出されますれば、それなりに影響があるわけでございます。まず第一には、おっしゃるとおり水産物等に対する影響、それから第二番目には海象というか気象ですね、その影響も当然考えられるわけでございます。  そこで、私どもはできるだけ早く温排水につきましての排出基準といいますか、それを設定いたしたいというふうに思っております。そういうような基準ができますれば、もちろん温排水による影響を絶無、根絶するわけにはまいらないにいたしましても、最小限度の範囲にこれを押え込むということは可能になるわけでございまして、その関係から一定地域におきます立地の密度といいますか、それにつきましても一応の基準が出てくるものというふうに考えております。  私どもは、熱汚染によります影響は、ほかの有害物質その他と違いまして、一定範囲には影響を与えますけれども、一定範囲外のものにつきましてはこれは影響がなくなるという性質のものではございます。そこでできるだけ早く、一定範囲を局限をするというようなことに向かって努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  78. 辻一彦

    辻一彦君 あとのほうから伺うと、一定範囲と言われるけれども、霧なんかがたくさん出るというのは、これは車で道路を走っても、川のところを走っていて、ちょっと暖くなると、ばっと霧が出て視界が見えない場合が幾らも出ますね、陸上でも。海でもこういう影響が出たとき、そう簡単に一定の範囲というわけにはいかないと思うのです。これはどうお考えになりますか。
  79. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 霧の問題につきましては、どういう条件のときにどの程度の霧の発生が起こり、その霧がどの程度影響があるかということは現在むずかしい問題でございまして、明らかではございません。したがって、やはり結論的には、どの程度の温度の、どの程度の量の温排、水が出た場合にはわれわれとして避けるべき霧が発生するかどうかということを見きわめまして、私どもは排水基準設定の場合にはそれらを勘案して、できればきめたいというふうに考えておるのであります。
  80. 辻一彦

    辻一彦君 この基準というのは、どういうように大体考えておられるのですか。いわゆる放射能や水銀やPCBなど、水銀ならば水中に幾らの濃度以下という基準がありますね。この温排水の基準で規制すれば心配ないというお考えのようだけれど、一体どんな規制のしかた、基準のきめ方をお考えになっておられますか。
  81. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 実は外国にもその例がありますのでいろいろ調べておりますけれども、外国の場合には多分に、これは先生承知のとおり河川に温排水が放出をされるという場合が多いわけでありまして、日本のように海に直接温排水が出るという場合は非常に少ない。そこで日本は独得の基準でなければなるまいというふうに考えておりますが、実は、いま先生おっしゃいました非常にむずかしい問題である霧の問題もございましょうし、また水産、動植物に対する影響につきましても現在必ずしも明らかではございません。そこで私どもはできるだけ早くそれらの影響を調査いたしまして、それらを勘案しながら、どういう方法で規制したらいいかということを実は検討している最中ということでございます。
  82. 辻一彦

    辻一彦君 いまお話のとおり、基準といっても私は簡単ではないと思うのですよ。それは、アメリカの内陸や湖や沼あるいは河川にある発電所ならば、州によっては法律で自然の温度に返せという法律があるから、もとどおり返さにゃいかぬ。そうやれば四十キロワットぐらいの小さな発電所でも、三千三百ドル、約百億の冷却装置というか、池をつくるとか、あるいは噴水にするとか、そういう施設をつくっておりますね。だから、もし元どおりの温度にするといったらこれはたいへんなことですよ。それには大きな面積が要りますよ。一里ぐらい噴水を上げるか、あるいは大きな冷却池をつくるか、それは簡単じゃないんですね。そうすると、高い温度で出せば、基準と言ったって、かなりな範囲に温排水が拡散して起こってくる現象というのは変わりはない。そういう点で、簡単に環境庁が測定をして基準をきめればもうそれ以下に、工場の水銀のように濃度をぎゅっと押えればいいんだというようなものではなかなかないという、そのむずかしさがありますが、そのことは十分御認識になっておるんでしょうね。
  83. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) むずかしさはもうほんとうに身にしみるほど感じておりまして、現在一生懸命検討をいたしております。先生おっしゃるとおり、温度を下げるということにつきましても、物理的な困難性のほかに、かりにそれができるといたしましても、霧の害とか塩害がかえって起こるというような問題もございます。そういうような防止技術についての比較考量も必要でございますし、また水産動植物に対する影響等につきましても、絶無ということは無理にいたしましても、どうすれば一番被害を少なくして済むかというような比較考量の問題もございます。それらにつきまして現在鋭意検討中ということでございます。
  84. 辻一彦

    辻一彦君 これはなかなかむずかしい問題だと思いますから、しっかり検討してもらわなくちゃならぬと思うんです。  そこで、この温排水の規制問題について、環境庁、科学技術庁、通産省、水産物に関係がありますから水産庁と、それぞれいろんな取り組みがあるのですが、それぞれやっておられるのはけっこうでありますが、どうもはっきりどこが責任官庁として統一的な十分な対策を立てておられるか、私はわかりにくい。そこで各省庁から、これについてどういう取り組みを昨年以降やっておられるか、簡単でけっこうでありますから御報告をいただきたい。これは科学技術庁、通産省、まあ水産庁は要りませんから、環境庁、それぞれひとつお願いしたいと思う。
  85. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 環境庁といたしましては、とりあえずの私どもの取り組み対象は排水基準をつくるということでございます。そこで私どもは、排水基準をつくるに必要なデータの収集ということにつとめているわけでございまして、これは環境庁のみならず通産省、水産庁、関係府県等にお願いをいたしまして、協力をいたしましてそれぞれ調査をいたしているわけでございます。  先生承知のとおり、四十六年の末に東京湾の姉崎地区におきまして予備調査をいたしましたし、四十七年におきましては若狭湾の美浜の発電所を実験台といたしまして、赤外線写真による拡散実態調査とか、調査船による温排水の拡散実態調査並びに温排水が動植物等に与える影響というような調査をいたしております。それ以外にもたとえば瀬戸内海等においてもやっておりますけれども、できるだけ早く今後取りまとめをいたしたい。取りまとめる際におきましても、関係省庁と十分連絡をいたしまして実質的な連絡打ち合わせ会を随時開いておりますけれども、できるだけ早く結論を得たいと、かように考えておる次第でございます。予算につきましてもそれぞれ御協力をいただきまして、私どもとりあえず必要なだけの予算は、順次拡大をいたしまして確保いたしてまいっておるという次第でございます。
  86. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) 通産省といたしましては、いろいろな公害的な規制につきまして、もちろん大気汚染防止法でございますとか水質汚濁防止法の公害規制が行なわれているわけでございますが、発電所等に関する具体的な規制は、さっき言ったような法律で除外規定がございまして、電気事業法にゆだねられておるわけでございます。そういう観点で、またこの電気事業法で、目的の中に公害の防止の面でございますとか、それからいろいろな許可基準あるいは認可するときの技術基準等にもそういう条項が盛り込まれております関係上、さっきお話のあったように、現在水質のほうはまだ基準がきまっておりませんから基準はできておりませんが、そういう関係上、われわれのほうでいろいろな指導行政をやっておるわけでございます。  温排水につきましては、まだ基準はできておりませんが、できるだけ現在の技術で可能な限り低くしようということで、先生承知のような、たとえば、地点によって異りますが、深層取水でございますとか、あるいはカーテンウォールによる取水でございますとか、あるいは放水が早く拡散してまじり合う方法でございますとか、とにかく影響範囲をできるだけ少なくしよう、影響のあるところにつきましては、前面の漁業者等と協議いたしまして漁業補償により解決するよりしようがないのじゃないか、そういう方向で指導しておるわけでございます。  それからいろいろな拡散調査や何かにつきましては、関係の省庁と協力いたしまして数年前から続けておりますし、本年度においても相当予算をふやしてもらいまして精力的に続けて、拡散範囲の的確な把握にもつとめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  87. 倉本昌昭

    説明員(倉本昌昭君) 原子力発電所の設置に関しましては、科学技術庁におきまして、これは発電所の設置の際に設置許可申請書というものが総理大臣あてに出てまいるわけでございますが、本件に関しましては原子力委員会の意見を聞くということに相なっておりますが、原子力委員会並びに科学技術庁におきましては、発電所の設置に伴う安全性の問題のみならず、環境問題についても非常に重大な関心を持っておるところでございます。  ただいま、環境庁及び通産省のほうからそれぞれのお立場で、温排水の規制問題についてその行政上行なわれることになっておる分についてはそれぞれ努力をしていただくことになっておるわけでございますが、原子力委員会におきましても、従来より環境問題につきましては非常に関心を持っておりまして、特に最近は温排水等の問題につきましては、通産省等の御検討等の内容もお伺いいたしましてこれについての認識を深め、また、温排水等の問題についてもその影響等について検討をいたしていくということで、現在環境問題について、さらに温排水問題に今後取り組んでいくための体制等についても検討を進めておるわけでございます。  また、この温排水の問題につきましては、他の環境問題とあわせまして、原子力委員会の中で環境安全専門部会というものを昨年の初めから持っておりまして、その中に温排水分科会というものをつくりまして、温排水の影響の問題また温排水に対します処理の対策の問題、また、これのための研究開発の問題ということにつきまして、専門の先生方にお集まりいただいてその検討を進めてきております。その結果等につきましては、近く専門部会のほうへ答申が出てまいることになっております。
  88. 辻一彦

    辻一彦君 科学技術庁が、環境安全専門部会を去年の二月つくって、そこに温排水の分科会をつくられた、いろいろ検討されているということですが、こういう機関が通産省、環境庁、それぞれあるわけですが、どういう機関があって何をやっているか、ごく簡単に報告してください。
  89. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 環境庁といたしましては、まずアセスメントという立場から取り組むわけでございますけれども、実は現在、どういう手法どういう項目によってチェックをすればよろしいかというような基本的な問題も必ずしも明らかになっておりませんので、アセスメントの手法開発につとめておるというのが現在の段階でございまして、おっしゃるような機構は特別ございません。温排水につきましては、先ほど申し上げましたとおり、関係省庁の御協力を得まして、とりあえず排水基準をつくりたいということで関係各省庁の担当者による連絡会議を現在設けております。
  90. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) 通産省といたしましては、先ほど科学技術庁のほうでお述べになりました環境安全部会のほうに参加しておりますことと、それから従来から通産省としてそれなりに、発電所の立地に伴う環境保全の重要性にかんがみまして、環境の調査をやっていたわけでございますが、こういう環境問題が非常に重要な時節になってまいりましたので、これを今後一そう充実強化していくという点で、われわれだけでわからないことがありますので、各専門分野の学識経験者にお願いして顧問になっていただいて、そういういわば顧問会的なものをつくる計画で、ことしの二月から準備会を数回やっておりまして、できれば八月ごろ本委員会の設置にこぎつけたいと、こういうふうに考えております。
  91. 辻一彦

    辻一彦君 科学技術庁は環境安全専門部会の中に温排水分科会、通産省は顧問会議準備会、それから環境庁は各省庁の温排水の連絡会議、これをそれぞれつくって、あるいは準備をして取り組んでおられる、こういうことであります。  そこで、去年の四月二十五日に参議院の予算の分科会において、当時の大石長官は一時間半ほどの論議の中で、この原子力発電所の許認可の問題については環境庁としては従来よりも積極的に介入しなくちゃならぬ、こういうことを言明をされて、そして各省庁連絡会議、必要あれば原発研究会議等を設けて取り組みたいと、こういう答弁がありまして、一部が動いている。続いてその後に、木内前科学技術庁長官は、環境庁が積極的に介入するということは非常に歓迎をする、こういうことで、ぜひ環境庁にそれをやってもらいたいと、こういう発言があり、続いて六月の二日の参議院の本会議で、当時の佐藤総理は私の漁業白書に対する代表質問に答えて、科学技術庁、通産省、農林省、環境庁それぞれ関係がある温排水については、環境庁が中心になってこれをやる、こういう答弁があり、すでに各省庁会議を発足させている、こういう答弁をされたわけなんですね。  ところが環境庁の動きを見ると、基準をつくるのだということで、まだそれに終始をされておるようであって、昨年からこの一年間を見るとかなりたくさんの原子力発電所が許認可されているにかかわらず、環境に関する発言というものがほとんどなされていないように私はその後も思いますが、これは一体前長官の発言に比べて、この一年間における環境庁の取り組みというものはどういうことかと、こう思うのですが、この点、長官いかがですか。
  92. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) おっしゃるとおり、私ども、まずとりあえずの仕事としましては、基準をつくることと思って一生懸命取り組んでいるわけでございます。ただ、その間におきまして、火力発電、原子力発電、それぞれ温排水に関係のある事案につきまして、それぞれ科学技術庁、通産省のほうから許認可が行なわれておりますが、これらにつきましては、御承知のとおり電調審がございまして、ケース・バイ・ケースの問題として、私どもも参加をいたしまして意見を申し述べているわけでございます。私どもはやはり基準ができておりませんので、やむを得ずケース・バイ・ケースでもって、それぞれの発電所がどれだけの努力をしているか、また温排水の影響がどれくらいに及ぶのか、それの漁業に対する影響をどういうふうに考え、また、それに対して漁業補償等がどういうふうに始末をされているか、こういうことを検討いたしまして、私ども立場から賛否を明らかにしているというような次第でございます。
  93. 辻一彦

    辻一彦君 科学技術庁にちょっと伺いますが、ことしの四月七日、同じく参議院の予算の分科会において前田長官は、この原子炉安全審査のあり方、環境審査のあり方として、今後温排水は通産省、それから一般環境は環境庁において調査をして、その報告を見て、そして原子力委員会としては一段高い立場から独自の判断を加えて許認可を行ないたいと、こういう答弁が行なわれておるわけですね。そこで私は、温排水も一昨年からのいきさつからいえば環境庁がやりなさいと、こう言って要求したのですが、行政上は通産省に動いております。  そこで、昨年四月以降環境庁は、一般環境について科学技術庁、原子力委員会にレポートを、報告を出したことがあるのか。あるいは科学技術庁は、このレポートを、報告書を環境庁要求したことがあるのか。この点はどうですか、両方から。
  94. 倉本昌昭

    説明員(倉本昌昭君) ただいまの温排水の問題につきましては、最近の事例といたしまして、浜岡発電所の件につきましては通産省のほうから温排水の調査の問題について原子力委員会のほうで説明を聞いたことがございますが、それ以外には、現在の時点においては環境庁から御説明をお伺いしたということはございません。
  95. 辻一彦

    辻一彦君 環境庁、いかがですか。
  96. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 環境庁といたしましては、先ほど温排水問題についてケース・バイ・ケースというふうに申しましたが、私どものほうといたしましても、ケース・バイ・ケースの問題といたしまして自然公園上の問題等につきましては処理をいたすということでございまして、特に一般的な環境問題ということで科学技術庁のほうに意見を提出したということはございません。
  97. 辻一彦

    辻一彦君 要求がないから出さないということですが、それで、昨年の環境庁長官、科学技術庁長官、佐藤前総理の答弁からすれば、私は環境庁がもっと中心になってこれをやるべきであると思うのですが、どうも国会の答弁とこの一年間の経過は納得ができない感じがしますが、長官いかがですか、この点。
  98. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうもこの原子力関係は、科学技術庁が行政上は全責任を負っておるようなたてまえになって、その間、辻委員の言われるような点を私も感じます。何かもう少し、たとえば温排水の問題なども、あるいは環境庁が中心になってこの基準の決定にもなることが、基準をきめるのに促進することになるのではないかということで、今後原子力発電に対して、環境問題との関係というものはいままでよりももっと密接な関係を持つようにする必要があると思いますので、そのように環境庁の行政を指導していきたいと思います。
  99. 辻一彦

    辻一彦君 いまの問題は、私もう一つ廃棄物の問題を取り上げて最後にいまの問題についてもう少し触れたいと思います。  まあ積極的にやっていただくならば、たとえばアメリカ等においては、一つの発電所、これは八十四万ぐらいですが、こういう環境レポート、報告書が出されております。私は、環境庁が中心になって温排水を含む多くの環境問題についてこういうレポートをつくって、これを原子力委員会に出すとか、そういうふうに私は環境庁の役割りを住民の立場から期待をほんとうはしたいのですが、この点いかがですか。
  100. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 環境庁はまだできて日も浅いし、いろんな点で実力が伴っていない面もありますが、やはりそういうところまでいくべきだと思いますね。そういうところまで、原子力発電のようなものに対してはそれが与える環境への影響というものをあらゆる角度から調査をして、そしてその環境庁意見がレポートの形で出せるようなところへ持っていくべきだと思います、目標としてはね。そのためには、機構、陣容、これはもっと充実せなければならぬ面はあると思いますが、行政の目標としては、そこまでぐらい行くことが国民の期待に沿うゆえんであると思います。
  101. 辻一彦

    辻一彦君 これは昨年からだいぶ科学技術庁へ持ってき、環境庁へ持ってき、通産へ持ってきて、ぐるぐる回った問題でありますから、長官御答弁のようにたいへん大事でありますから十分検討していただいて、私はそういう方向で考えていただきたいと、こう思います。  そこでもう一つ、三つ目に私は廃棄物の問題に若干触れたいと思いますが、この若狭湾にいま七千本ほどのドラムかんに詰めた廃棄物が、敦賀の発電所と美浜の発電所に三、四千本ずつ倉庫に置いてあります。いま通産省のほうから資料を出してもらうと、五年後の五十三年には、毎年大体一万五千本程度のドラムかん、固体廃棄物が最大廃棄物として出てくる。累積数字では、今日の七千本から、昭和五十三年では四万五千本のドラムかんが若狭湾だけに並ぶことになりますね。これは全国でいったら私はたいへんな、特に若狭の関西電力はP型といいます加圧水型でありますから本数が少ないが、沸騰水型という東京電力のほうはこの数が非常に多いから、相当な数になると思うんですね。そうしますと、若狭湾だけでも一万五千本のドラムかん、全国でいうならば数万本のドラムかんが毎年毎年ふえていきますが、これをどうするかという問題が一つあります。  もう一つは、燃料の燃えかす、燃料棒の残りですね。これが、積算をしますと昭和五十三年には若狭湾だけで四百四十トンになります  そこでもう一つは、液体廃棄物といいますか、洗浄であるとか、いろんな漏れた、そういうものが海中にある時間、時間に放出をされる。これはあまり詳しい数字を私は伺っていないのですが、濃度は規制値がありますが、これが総量において、五十三年ぐらいに放射能を含んだ液体廃棄物がどのぐらい若狭湾の海中に放出されるようになるか、科学技術庁もしくは通産省でこれをひとつ。この点が一つと、それから四百四十トンというこの燃料棒は、東海村に設置が予定されている建設中の再処理工場、年間二百十トン処理のそれと同じトン数を意味しているのか、また、違った基準におけるウランの形態を言っているのか、この二つだけまず伺いたいと思います。
  102. 倉本昌昭

    説明員(倉本昌昭君) ただいまの液体廃棄物の数量でございますが、大体この若狭周辺地区の原子力発電所から出ます数量は、昭和五十三年度ごろになりますと、大体四十キュリーぐらいの数量になるかと思います。これはトリチウム一応除いております。   〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕  それからもう一つの点、使用済みの燃料の発生量でございますが、これは一応ウラン換算の数字でございまして、これは再処理工場のやっております二百トンの単位と同じでございます。
  103. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、こういう形でいけば、若狭湾に、昭和五十三年に四百四十トンの燃料燃えかすが燃料棒として残るとすれば、東海村につくる再処理工場は、たしか一日〇・七トン、年間二百十トン程度の処理能力だと思うんですね。この燃料棒は累積でありますが、五十三年だけで言うならば百八十二トンになるということですが、そうすれば、言うならば東海村に近い再処理の必要が出てまいります。これには大きな発電所の一年分に相当する液体放出量が一日で排出されるという、こういう大体いまの計算になっておりますね。  だから将来再処理工場ができぬとすればたいへんな問題ですが、そうでなくても、私はこれから五十三年の間にいま言われた四十キュリー、これは専門家じゃないですから調べてみないと詳しくは何とも言えないと思いますが、しかし五年後でこう、十年後、十五年後にこういう液体廃棄物放出量というようなものが海中に出てくる。あるいは、ある面は大気中にも出ていくのがありますね。これが十年、十五年、二十年とたったときに、はたしていまの濃度が基準以下であるから安全であるか、そういうことが言い得るのかどうか、私は非常に問題があると思います。  特に私は参議院の農林水産の国会調査で、三十日、一日と二日間、水俣、宇土、大牟田、それから熊本、福岡、佐賀、長崎の四県をいろいろ調査に参りまして、たとえば三井東圧に行ったときに、あそこで水銀の現在の排出、この基準は国では〇.〇二PPMですね、三井東圧の水銀排出量は〇・〇〇二PPM、基準よりも低いからまあいいんだということで工場をとめずにいま流している。漁民は、少しでも出るのだったら、われわれは営業停止を受けて魚がとれないのだから工場をとめちゃえとたいへんなけんまくで、無理ないと思いますが、しかし基準で言えば、安全である基準より低いところなんだからこれは流しているわけです。  そうしますと、微量であっても、毎日ある時間によって液体廃棄物がやはり海中に出ていく。あそこは有明湾の中をずっと湾流が起きておりますが、若狭湾というある一つの内海のような、完全な内海じゃないですが、湾内に長期にわたってこういう量の液体廃棄物が流れて、それが魚介類に泥に蓄積をしていく、こういうことが考えられる。現に京都大学で敦賀湾において調査した中には、石ダイの中にコバルト60が蓄積しておった。これは肉じゃないんですが、胃袋の中に入っておった。それから海藻の中に、ムラサキガイの中に放射性物質がすでに何回も検出されている。いまは基準に比べれば低いから安全だと、こういうことですが、これから十年十五年先に私はこういう問題が、水俣における水銀やPCBやいろいろなものと同じような形で出ないという保証は断言し得ないと思うのですが、こういう点を考えたときに、これは私は一つの個所にこういう形で集中するやり方は非常な問題が今日においてはあると、こう思います。  この点長官、水俣、PCB等にたいへんな努力を傾けていただいておりますが、私はこういう立場からも考えてみる必要があると思いますが、いかがです。
  104. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは科学でまだ究明されていないものがたくさんにありますから、今後、そういうことは将来のことを予測して非常に用心深く考える必要があるわけで、これはどうしてもやはり科学的な研究を経なければならぬわけでありますが、十年、二十年、三十年という将来のことを考えて、一体それだけの年限がたってもどういう影響を与えるかというようなことは、御指摘のとおりだと思います。こういうことも今日から研究をしなければならぬ問題であると思います。
  105. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、一つはクローズドシステム制をぜひともとらなくちゃならないと思いますが、科学技術庁は、さきに朝日新聞等で、再処理工場のクローズドシステムをとるといって非常に大きく出ている。長官の答弁を聞くたびに、追及するたびに後退をしてだんだんだんだんあとずさりしていく。再処理工場は今日の段階で完全なるクローズドシステムをとらなければ動かすべきでない、こう私思いますが、これは長官として、いまのような水俣や水銀やああいうものの影響が十年、二十年後にあらわれてくる、こういうことを考えたときに、世界でクローズドシステムが実現している例があれば、当然日本においても経費がかかってもやるべきだ、こう思いますが、長官いかがですか、この点。
  106. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今度の水俣病などの例をとってみましても、水銀汚染ということから化学工業のクローズドシステム化ということがぜひ必要であるということで、先般の水銀会議のときに、私は、目標の一つの年次をできるだけ短く規制するようにということで、問題の水域では今年中にこのクローズドシステムに苛性ソーダ工場はやるということになったわけであります。来年の九月までを少し繰り上げたわけでございます。諸外国も技術開発ができていないというような面ではなかなか困難な面もありましょうが、しかし再処理工場もそういう例が世界にあって、そしてそれを日本に技術導入ができるならば、やはり日本においてもクローズドシステムを採用して将来における危険をこの際できるだけ防いでおくということは、私もそうすべきだと思います。
  107. 辻一彦

    辻一彦君 私は、世界に例がなくても、科学としてこの目標をきめて、クローズドシステムが実現しなければ動かさないというくらいのところに目標をきめた、科学の一点に集中した目標が必要であると思いますが、いかかがですか。   〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
  108. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう再処理工場のクローズドシステムができぬ限りは動してはいけぬということになりますと、辻さんの言われるお気持ちはわかりますけれども、それは、日本の科学者がそれを目標にしてやることはいいですよ、できるまではストップだということも、現実の問題としてはなかなかむずかしい。しかし、これは世界に例がなくても日本はやはりそういう開発を率先してやるという気がまえがないと、なかなかこれから、日本はいろいろよその国と条件が違いますから、国土の面積が狭いし、その上にこれだけの工業的な発展を遂げておるわけですから、そういう公害に対する神経過敏さというものはよそと比較にならぬぐらいのものを持たなければいろいろな問題を起こす危険があると私は思いますので、そういうことを、よそに例がなくても目標として力を入れろということに対しては全く同感であります。しかし、いろいろな場合に、その開発ができるまではストップされるということは現実問題として当てはまらぬ場合もあると思いますが、しかしそのぐらいの決意でやらぬとなかなか公害問題というものの解決はできない、そういう意味で、そういうお気持ちは私もそうだと思います。
  109. 辻一彦

    辻一彦君 これは、再処理工場が東海村で動くにはまだ数年あるわけですから、どうしてもその目標をきめて、何としてもこれは内閣で、政府でやっていただきたい、こう思います。  そこでもう一つは、再処理工場がそうなっても、いまの原子力発電所、軽水炉からはいろいろな形でやはり膨大な液体が漏れる場合があります。たとえば敦賀湾のPCB、私はその近くですが、東洋紡績にこの間私行きまして、あのシステムはほんとうは漏れないシステムでありますが、軸受けから出るとか、熱媒体、PCBが入れかえをするときに漏れて流れたとか、いろんな形で密閉された中から漏れてあれだけの問題を起こしておるとすれば、この原子力発電所も、福島の最近における放射能漏れをみても、思わぬ操作のミスによって漏れることもあるし、事故があることもあり得る。  こういうことを考えれば、これから長年にわたってずっと発電所を動かす場合に、若狭湾は九つもある。この上にまた高速増殖炉をつくり、さらに五つ六つの大型の百万単位のものをつくっていこうというような、あまり一つ場所に集中したやり方は避けるべきであると思いますが、以上三つの点から考えて若狭湾には過度集中が起こっておると思いますが、いかがですか。
  110. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろな条件で集中することになったわけですが、原子力発電の場合もいろいろな場合を考える必要もありますから、どこまでを過度というかということはむずかしい問題だと思いますが、原則的なことをいえば、あまりにも極端な集中というのは、いろいろな場合を考えてできる限り分散をするということが立地としては適当だと思います。
  111. 辻一彦

    辻一彦君 つい数日前、福井県の県議会で、福井県知事は質問に答えて、高速増殖炉もあるいは関電がいうようなこれ以上の増設ということは県としては考えない、こういうことを言っておりますが、ほぼ限界にあると思いますから、この点はひとつ長官、その原則がまた具体的な現実の問題だ、こういうふうに考えていただきたい。いかがですか。
  112. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、やはりできるだけそういうふうな原則に従って現実を処理することが適当だと思います。
  113. 辻一彦

    辻一彦君 最後に、私は三つの問題を出した。それは自然公園国定公園の中における自然の保護といいますか、地形の保護、自然の保護、環境の保護、それからもう一つはいわゆる温排水を中心とする環境問題、三つ目は廃棄物の問題を言いました。時間があれば詳しくいろいろのことを申し上げたいのですが、時間がありませんので最後に、この三つを考えて環境庁はより積極的に住民の立場に立つべきである。  前回の四月二十五日に、大石長官はこういう答弁をされております。これは最終答弁でありますが、この原子力問題は、非常に特殊な知識や技術が必要であるので、全部すべての行政が科学技術庁にまかされておって一任しておった、口をはさむ余地がなかった、しかし、いろいろの論議を通していろいろの反省を覚えた、環境庁というのはブレーキをかけるというか、要するに被害者を守る立場にあるのが環境庁だ、だから環境庁の本来の使命というものを十分認識してやりたい、こう言われて、そこで、いままで経済の開発に伴ういろんなアクセル役が非常に多くて、十分なブレーキを踏むことが少なかった、こういうことが今日の公害問題の大きな原因になっておるように思う、そこで、原子力問題もいまそのわだちを踏みつつある感じがするので、二度とこういうことを繰り返してはならない、これが大石長官の一年前の答弁だったわけです。  そこで、そういう点からいって、今後長官のこれに関する決意と、その決意のもとに環境庁長官が、こういう問題で協議権を法的に設定して強力な介入をはかるべきである、私はこう思いますが、この点について長官のお考えを伺いたい。
  114. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまでも電調審のメンバーでありますから、発電は全部ここにはからなければならぬので、その電調審のメンバーという立場では強く介入しようとすればできる立場でありますから、環境庁としては、これは環境全体に影響することが原子力発電の場合は多い。立地の問題でも、すでに辻委員が御指摘のように、自然公園内における立地の問題とか、温排水の問題これはまた一般の漁業にも影響する。あるいは大気汚染の問題もある。あるいは廃棄物の処理の問題もある。こういうことを見ますと、原子力発電というものはいろいろ環境全体との間に調整をとらなければならぬ問題が非常に多いと思いますから、これは専門の技術そのものは科学技術庁――原子力委員会も科学技術庁の内部にあるわけでございますから。ですけれども、技術だけではない、そのことからくる環境への影響というのは非常に大きなものがございますから、今後はもっと積極的に、原子力発電に対しては環境庁が環境全体の保全という立場から介入をしていくべきだと私は思います。
  115. 辻一彦

    辻一彦君 五十分ですからもう終わりますが、もう一つ、電調審のときには、環境庁長官はそのメンバーとして協議に応ずるわけですから、必要ならば拒否権があるということですが、その次の段階においていろんな環境上の問題が具体的に出てくる。そういうときに環境庁長官の拒否権が必要であると思いますが、これを何らかの場に設定をして、強力なチェックというか、これは何でも反対しろというわけじゃないのですよ、だけれども、環境の立場から強力に介入できる、そういう法的裏づけを何か考えるべきだと思いますが、この点はどうですか。
  116. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 電調審のメンバーであるわけですから、そこで発言できますし、また電調審で決定をされた後においてもやはり勧告権もございますし、環境庁長官として、非常に環境の保全上そういう開発が問題があるというときには、これに対して発言をする一つの法的な根拠もございますから、ほんとうにこちらが積極的に、環境保全立場から原子力発電についても大きな関心を持っていこうという積極的な態度を持ちさえするならば、現在の法制の上においても十分発言の機会はあると私は思っております。
  117. 辻一彦

    辻一彦君 さっき申しましたように、長官、環境レポートというかそういう報告書をまとめてみる必要があるということでありますが、その中にこれだけはやらなければだめだというような形で出れば、実質的に拒否権の保障はなされると思うのです。だから、形はいろいろあると思いますが、いまの御発言のように、実質的にぜひひとつ拒否権が発動できるような体制をとってもらって、強力にこれに介入関与していただきたい。大石前長官以上の決意を持っていただきたいと思いますが、その決意のほどをもう一度伺って終わりにします。
  118. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も、やはり、原子力発電というものが将来は普通の火力発電などにかわってくるわけですから、各所にこういう問題が起こってまいりますし、そうなってくると、これが与える環境への影響というものはそんなに軽視できる問題ではない。したがって今後は、原子力発電に対する環境庁の介入のしかたというものについては、よほどわれわれとしてもそれだけのことをするだけの実力も持たなければなりませんが、そういう実力あるいは機構の点においても考える点もあると思いますが、そういうことも持ちながら、これは相当やはり環境庁が本腰を入れていかなければならぬ問題であると、そういう決意を持つものでございます。
  119. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  120. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記をおこして。
  121. 小平芳平

    ○小平芳平君 両法の改正案の審議に入るにあたりまして、まず国定公園国立公園は何ヵ所指定になっているか、それから今後の見通し、それから自然環境保全法による指定はどうなっているか、これらの見通しについてお答えいただきたい。
  122. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 現在、国立公園として指定されておりますものは二十六ヵ所でございまして、約二百万ヘクタールが指定をされております。  それから国定公園でございますが、この数が現在四十八でございまして、面積にいたしまして約百万ヘクタール、正確に申しますと百九万ヘクタールでございますが、そういうことでございます。  それからお尋ねではございませんでしたが、そのほか自然公園といたしましては都道府県立自然公園がございまして、これは各府県が自然公園法に基づく、条例でもって指定をいたしておりますが、それが全体といたしまして二百九十ヵ所でございまして、面積にいたしまして約二百万ヘクタールになっております。  それから、今後これがどうなるかという問題でございますが、ただいま現在、国立公園としての申請が出ておりますものが、申請といいますか要望のございますものが一ヵ所ございます。これは利尻礼文のほうでございまして、サロベツ原野等地域の拡大を含めまして、従来の利尻礼文の国定公園国立公園にという、それの要望が出てございます。そのほか、国定公園といたしまして現在候補地になっておりますものが六地区ございまして、これにつきましては、ただいまその地域についての保護計画でございますとかそういうものを策定をいたしておりまして、その地域の確定のための協議を行なっておるという段階にありますが、これらにつきましては、すでに候補地として適当であるという、かつての自然公園審議会のほうの答申も得ておりますので、その協議ができ次第指定を進めていく考えでございます。  次に、自然環境保全法に基づく原生自然環境保全地域、それから自然環境保全地域、さらに、都道府県において都道府県自然環境保全地域というものを指定できるようになっておりますが、この法律は昨年通過をいたしまして、一年内の政令で定める日から施行するということになっておりまして、一年をたちません今年の四月の十二日から、これを私どもとしては今年度から施行いたすということで四月十二日から施行になっておりますが、これにつきましては、この法律施行後、従来の自然公園審議会、それから鳥獣審議会を合体いたしまして、新たに自然環境保全審議会というものを構成をいたしまして、これが五月に発足をいたしまして、目下その審議会において、今後地区の指定等について御諮問を申し上げたいということでございます。  地区の指定といたしましてはまだ指定をいたしておりませんが、この法律によります自然環境保全基本方針に基づいて地区を指定いたすことになっておりますので、まず自然環境保全基本方針を早急にこの夏中にはつくりまして、それに基づいて秋以降、原生自然環境保全地域自然環境保全地域として国が指定すべきものを早急に指定をいたしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。  なお、都道府県の自然環境保全地域でございますが、これも各府県におきまして自然環境保全条例をつくりまして、これによりまして各地域において自然環境保全地域を指定すべく、目下備準中という段階でございます。
  123. 小平芳平

    ○小平芳平君 自然公園法によるものと自然環境保全法によるものと、地域がダブッて指定されることはあり得るか、ないか。
  124. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは、自然環境保全法規定によりまして、相互にダブらないということになっております。
  125. 小平芳平

    ○小平芳平君 自然公園法のほうは、たとえば風景地の保護とか、国民の利用を増進するとかという目的ですね。そうすると、環境庁としては、自然公園というものを守ることと、それから国民に知らせることとということがありますか、任務として。
  126. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 当然、国民に対してその所在あるいはその利用のしかた等につきましてPRをし、かつ、それが望ましい形で利用されるように指導をいたす義務があると考えております。
  127. 小平芳平

    ○小平芳平君 それにしては国立公園及び国定公園が、いま局長説明された内容を資料として提出してほしいといったら、資料として提出していただきましたが、地図もこんな程度ですね、ガリ版刷りの。ですから、ちょっと国民に知らせる義務があるというにしてはおそまつじゃありませんか。何でもきれいなものでなくちゃわからないという意味でもないですが、読めばわかることはわかりますが、どうですか。あるいはまた当委員会に、こうした改正案を審議するについては、わかりやすい、もう少し気のきいた資料の提出はできませんか。
  128. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 差し上げました資料が、ガリ版刷りのそういったような小さい図でございまして、その点から、なかなかこういったようなことではPR資料にならないではないかと、こういうことでございますが、私どもといたしましては、これは個々の国立公園なりあるいは国定公園につきましては地図を、私ども自体がつくっておりませんが、国立公園協会等におきましてそういう地図をつくっておりまして、そういうものが利用として提供をされておるわけでございます。  なかなかこれは国立公園でございますので相当大きな地域でございますから、日本全国の相当大きな地図でございましても、その部分部分としましては日本全国のものをもってここが国立公園であるということを出しましても、これもいわば大同小異でございますので、その点につきましては、ただ当委員会の御資料としては、ここにあるのだということの資料として先生のほうに差し上げたものと考えておりますので、もう少し大きいものという御要求でございますれば、私どもそういうものを用意をいたしたいと思います。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 いや、大きくても小さくても、くふうができませんかと言っただけで、そういう点をくふうしてくださればいいと思うのですよ。  それから三木長官、いま新しく指定されるという見通し等についての御答弁がありましたが、そうした新しく指定することも必要な一つの事項であるのと、それからすでに指定されたものを守るということもきわめて必要な事項だと思うのですが、長官としてはどちらのほうに重点が置かれますか。
  130. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは相当な指定をしておりますから、その管理も十分でないと思っているのですよ。したがって、従来指定しておる国立公園にしても、もう少し人員なども、少しはふやしましたけれども問題にならぬと思っております。そういう点で、もう少し従来指定されたところの管理というものにこれから力を入れていきたいと思っております。これは来年度の予算にも関係することですけれども、そういうふうに思っております。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 人員のことについては後ほどまた詳しく触れたいと思いますが、いま長官が述べられました保護していくということにつきまして、これは行政管理庁から四十八年三月に出された勧告、この勧告は、初めに「自然保護に関する法令違反等に対する行政措置の強化について」――国立公園国定公園、ずっといろいろ経過が出ております。「これら法律違友事例は調査対象二百ヵ所のうち九十五ヵ所、百四事例に及んでいる。これの違反行為に対し、国または都道府県がとった措置の中には、次のように徹底を欠いているものがある。」といって具体例を示しております。  人員が足りないという点に一つの大きな問題点がありますが、行管から勧告を受けるまでもなく、こうした法律違反事項などはとうに担当官庁としてやっていかなくちゃならないわけですが、こういうような指摘を受ける結果になった事情、それからこういう指摘を受けた九十五ヵ所、百四事例はどういうように処置をされましたか。
  132. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 行政管理庁から「自然保護に関する行政監察結果に基づく勧告」が出されたわけでございまして、全体といたしまして、御指摘のように自然保護に関する私どもの直接の所管でございます国立公園あるいは国定公園、都道府県立公園というところにつきまして、いろいろ違反の事例等に対する的確な措置が行なわれておらないというような指摘を受けたことは、まことに遺憾に存じておるわけでございまして、これは、それぞれのものによりまして具体的な事情というものは若干異なるものがあろうと思いますが、全体といたしましてやはり管理体制の不備といいますか、そういうような点から十分に目が届いておらないというような点、それからまた国立公園等を初めとする自然公園内における従来のそういう行政的な監督といいますか、そういう面が必ずしも的確に行なわれておらなかったというような結果に基づくものと反省をいたしておるわけでございます。  私ども環境庁を発足させまして、特に従来から、最近そういう自然環境保全ということについて非常に強調をされておりますし、またこれが非常に重要な問題でございますので、個々の国立公園等につきまして監督を厳重にし、かつ法律の的確な運用ということに努力をいたしてきておりますけれども、にもかかわらず、最近におきましてもそういう問題が起きましたことについてはまことに遺憾でございますので、これらの点については早急に是正をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  これに基づきまして、私どもといたしましては、今年度全国の都道府県の課長会議におきましても、こういったような問題点について今後是正すべき事項、あるいはさらに十分留意すべき事項等につきまして指示をいたしまして、また、具体的に個々の事例として行政管理庁の監察の結果指摘された事項についてはそれぞれその具体的なケースについての是正措置というものを指示をいたしまして、私どもで直接やるべきものについては直接にやり、指示をすべきものについては直接の指示をいたしまして、その結果も個々のケースについてフォローアップしていくというようなことで進めておるわけでございます。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 簡単に言えば、人員が足りないということですね。  それから次の問題としまして、自然公園法改正の第一条「土地形状変更すること。」この「土地形状変更すること」ということについて、それはどういうことかということをもう少し詳しく御説明いただけませんか。
  134. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) たとえば宅地を造成をいたしましたり、あるいはゴルフ場を、自然の土地をはがしましてゴルフ場として造成するとか、あるいは山を切りくずすとか、それから道について土地形状変更するとか、そういうことによって、いわゆる自然によって形成をされました土地の状況というものを変改するということが土地形状変更というように考えております。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 住宅とかゴルフ場とか、そういうものが入るということ。それで、その認定はどういう基準でどこで認定しますか。
  136. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは国立公園につきましては、土地形状変更について、一定の規模以上の土地形状変更につきましては直接に国においてこれを認定をいたします。小規模のもの、あるいは国定公園における土地形状変更というものは、都道府県知事がこれについて許可をするということになっております。  その基準でございますが、その基準につきましては、現在、全般についての基準というものは必ずしも具体的にできておらないのが現状でございます。これは、自然公園法に基づく土地形状変更と申しますのは、やはり実際の問題といたしましては、個々のその行為の行なわれる土地の特異性ということから許容されるかどうかということを判定をいたしておりますので、その関係から、なかなか全国に一律に通じるような基準がつくりがたいということで、これができていないのが現状でございます。ただし、宅地造成といったようなことにつきましては、たとえば宅地造成をしますと、大きな宅地の団地をつくるというような場合には、その結果そこが密集的な住宅地帯になるというようなこと、それによって自然環境が侵されるということが懸念をされますので、そういったような問題については、宅地造成を認めるという場合、認めたとした場合には一区画をどの程度のものにすべきだとか、そういったようなことにつきましては、認める場合のどういうやり方でもって認めるかということは宅地造成等については一応内規的なものを持っておるというのが現状でございます。  現状はそういうことでございますが、そのようなことにいたしますと、なかなかこれを根元から拒否をするということが非常にむずかしいといいますか、そういうことの結果どうもそういう宅地造成等につきまして規制が全体としてきびしく行なわれないというような弊害もございますので、今後の問題といたしましては、私ども早急にやはり認むべきか認めるべきでないかということの基準につきましても、これをまずつくり、かつ、その許可をする場合のやり方につきましても、きびしい基準というものをできれば早急につくっていきたい、こういうふうに考えて、目下その作業をいたしておるところでございます。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 たとえば六月九日の読売新聞ですか、筑波山に五ヵ所ゴルフ場が建設されつつあるという、こういうことが一体どういう――いろいろなケースがあると思いますが、そういう国定公園ゴルフ場が侵食していくというようなことが、もちろん野放しに許可しているわけじゃないでしょうけれども、こういうようなケースはこれからどうなっていきますか。
  138. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これまでの問題と、これからの問題に区別をいたしまして御説明を申し上げたいと思いますが、実は、従来ゴルフ場は一つのいわば自然の環境の中でのレクリエーション事業の一つとして把握をされておりまして、現に公園事業の一つとしてゴルフ事業というものが政令であがっておるわけでございまして、これは私どもゴルフ場は一切だめだと、理論的に考えまして一際だめだというべきかどうかということには、いろいろ問題があると思うわけでございます。過去においては、そういうことでゴルフ場というものがかなり国定公園あるいは国立公園の中にも公園事業として認可をされたものがあるわけでございます。  しかし、今日非常に全国でいわばゴルフ場建設ブームといいますか、こういうものができた今日の段階において、無制限自然公園の中にそういうものを認めていくということにはかなり問題があるわけでございますので、私ども方針といたしましては、今年度からはこの問題、少なくとも国立公園内については今後新たにゴルフ場は一切認めないという原則を立てまして、そういうことでこの問題について乱造されるということに対処をしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。  なお、その他国定公園なりあるいは自然・都道府県立公園でございますが、これらにつきましては、もちろんそういったような地域法律上は都道府県知事の権限になっております。特に都道府県立公園の場合には、これは都道府県の条例に基づきまして、都道府県知事の権限としてこれを認めるかどうかということになっておるわけでございますから、法律的にこれをどうこうするということはできないわけでございますが、指導方針といたしましては、私ども国立公園の中においては原則として認めない、そういう方針で強くやっておりますので、各都道府県に対しましてもそれに準じてやってもらいたいということを指導をしてまいる予定でございます。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 その点、わかりました。  それから次に、同じく行管の勧告の中に「国立・国定公園特別地域内などにおける公園事業として行なわれた道路の建設において、工事方法等の不適切も一因となって、沿線の原生林が枯死、損傷し、あるいは崩落した土砂がけい谷や周辺森林に流出し、」となっておる。こういうのもけしからぬ話だと思うのですがね、工事方法が不適切であるなんということはですね。  それで、これももう何回となく新聞でも指摘され、また国会でも論議のまとになった南アルプス・スーパー林道の場合ですね、この場合などは工事方法は適切なんですか、不適切なんですか。
  140. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) こわされたところにつきまして、工事方法が適切であったとはいえないと思います。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 それだったらどうしますか、不適切だった場合は。
  142. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 公園地域内のそういうものでございます場合には、これにつきまして特にそういう許可を得べきものというものにつきましては、当然これはそれに対する是正措置といいますか、そういうものを命令をするというか、そういう措置をとりたいと考えております。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に管理体制についてですが、行管の勧告にも管理体制については出ておりますが、現状はどうなっておりますか。それで長官から先ほど四十九年度予算編成についてということも御発言がありましたが、どういうようなことを計画しておられますか。
  144. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 国立公園の現在の管理体制でございますが、先ほど申し上げましたように全国に二十六の国立公園がございますが、その中で、現在十ヵ所の国立公園管理事務所というものが置かれてございます。これは、今年度二ヵ所ふえまして十ヵ所ということでございます。現地管理員といたしましては、国立公園管理員といたしまして全部で七十一名でございます。これは本年度九名増員をいたしまして、七十一名の国立公園管理員ということになっているわけでございます。これが直接に国の第一線の機関といたしまして、第一線の担当者としまして、管理と申しますか、現在の国立公園管理をいたしておる、こういうことでございます。なお、これではとても全国を全部をやる体制にはなっておらないわけでございまして、それぞれそういう地域につきましては都道府県の協力も仰ぐ、また、その中にございます国有林等におきましては、国有林管理という立場からこの問題についても御協力をいただく、こういうような体制でやっておるわけでございます。  私どもといたしましては、今後の問題といたしましてこの管理員の増強というもの、これを十分やっていかなければならないと考えておるわけでございまして、これは必要なものを一年度で全部達成してしまうということにつきましては、要員の確保とかいろいろ問題もございますので、ある程度年次計画をもちましてこれに対処をすべきではないかというようなことで、現在私ども公園事務所の拡充の計画、それから増員計画について、来年度予算要求の一環としまして鋭意その案を検討中でございます。
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 この環境保全法の附帯決議に「自然保護取締官」というものが出ておりますが、この附帯決議には、自然保護取締官についてきわめて具体的にあげられておりますが、こういう点についての検討はなされましたかどうか。それが一つと、もう一つは自然公園指導員というものが置かれているように伺いましたが、この点についての御説明。以上二点についてお願いします。
  146. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 自然保護取締官の問題でございますが、これにつきましては、司法警察職員としての、権限を付与したそのような職員を、そういう制度を創設すべきである、こういう附帯決議の御趣旨でございます。  この点につきましては、私どもこの司法警察職員としての職務を行なうことの必要性というものは、これは必要だというふうに考えておるわけでございますが、実際の問題といたしまして、先ほど申し上げましたように全国で、昨年でいえば六十二名、本年で七十一名にようやくなりますが、それだけの人員でこの司法警察職員としての義務を行なうということになりますと、それぞれのそういう現地に派遣をされております者はいろいろ多くの業務を持っておるわけでございまして、そういう点から、そういう司法警察職員としての権限を行なうということになれば、調書の作成でございますとか、あるいはそれを送致をするような問題でありますとか、いろいろそういう問題に時間がさかれまして、十分ほかの業務との調整がとれないというような問題もございますので、現在のところ踏みきれないでおるわけでございます。今後の問題としましては、私は体制の整備とあわせ並行しまして、ぜひそういったような強い指示あるいは強い指導ができるような体制に持っていくことが望ましいというふうに考えておるわけでございますので、引き続きその点については検討をさせていただきたいと考えております。  それから自然公園指導員でございますが、これは全国で現在約千名の自然公園指導員を委嘱をいたしてございます。この自然公園指導員に対しましては、現在のところ手帳を交付をいたしましたり、それから腕章等によりまして自然公園指導員であることが明らかにできるような措置をいたしております。この自然公園指導員につきましては、これは各種の山岳愛好家等のような方もございますし、それから地元における教職にある方でございますとか、あるいは地元の熱心な方々に委嘱をいたしておる、こういうようなことでございますが、今後私どもとしては、そういったような指導職員と公園管理事務所あるいは公園管理員との連携というものを十分いたしまして、その実をあげていくことに努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  147. 小平芳平

    ○小平芳平君 これは三木長官、先ほど局長から、年次計画を立てて人員の体制をつくりたいという御答弁がありました。また、国会の附帯決議に出ている自然保護取締官については、ちょっと難点があるという、いわゆる研究の余地があるような御答弁があったわけですが、この自然公園指導員の場合でも、法的権限がない、環境庁との正規の身分関係もないということで、不安定ですね。不安定な状態ですので、さてここで取締官だけを無限にふやしていけばいいという問題でもないし、かといって、現状はあまりにもおそまつ過ぎて、ちょっと現状では困るという点、その点長官がきわめて強い姿勢で、それこそ先ほど来の答弁にもありましたように、一たん破壊された環境は戻らない、戻すのは容易なことではないということから、ひとつそうした計画を立て強く推進してもらいたいと思うのです。いかがでしょうか。
  148. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま増員して七十一名が二百万ヘクタールですからね、これはもうとても管理といっても管理の能力をこえております。そういって、一ぺんにこれを私の考えておる理想のようにすることはむずかしい。結局は年次計画を立てて、そして管理体制を強化していくことになると思いますね。これは来年度から予算を要求するにしても、年次計画の必要がありますので、そういうことで一つの管理体制を強化していきたい。  私は、やがて一週五日制にもなると思うのですが、休みをこしらえても、一体、そのときの国民の余暇というものの利用を考えないと、全部毎日家におってテレビを見られても困るでしょうね。その休みというものの健康な余暇の利用ということを考えたら、その間に持つ公園の役割りというものはたいへんにいまよりも強いものになると思いますね。そういうことを考えてみると、単に自然の環境保護というばかりではなしに、国民の休養といいますか、レジャー、休養、そういうものの場所としても公園というものに新たな意義が加わってきつつあるのではないか。そういうことを頭に入れて年次計画を立てて、管理体制も強化していくし、あるいは公共的な施設というものはこれからは要ると思いますよ。一つのコマーシャリズムでない施設も要る。そういうことで年次計画を立ててみたいという考えでございます。
  149. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの長官の御発言の中に、レジャーとしてのそういう公園が必要だということ、私も当然そうだと思いますが、大体この環境保全として、自然環境を厳正に保存をしていく、一切手を加えない自然環境を保存していくという地区と、それから第二には歴史的な遺跡のようなこととして保存していくという場合と、それからいま長官がお述べのレクリエーションの場としての自然環境というものと、こういうふうに、必ずしも三つの種類があるわけでもないでしょうが、互いに関連して存在をしているのですが、そういう点で自然環境を厳正に保存するという意味では、もうあらゆる手を加えないということが原則になるし、   〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕 レクリエーションならばある程度遊ぶのが目的ですから、ただあれもしてはいけない、これもしてはいけないということだけにもいかないでしょうし、子供の遊び場をつくるとかということも出てくると思うんですがね、そういうふうな点はいかがでしょうか。
  150. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今度一つの環境の保全地図をつくりたいということで、いまかかっているわけですが、その中には、いま御指摘のように、原生林といいますか、そのまま自然の形で残さなければならぬところもたくさんにある。また歴史的なところもそうでしょうし、自然をまた利用して、またレクリエーションのセンターということもこれからは非常に必要になってくるわけで、単に普通の観光業者にまかしておくというようなことではなくして、公共的な施設が要ると思いますよ。国民休暇村なんかも全国的にありますけれども、スケールは小さいですね。これから一週五日制に向かおうとしておるときの施設としては小さい。そういうことで、御指摘のようにいろいろ区分をしまして、自然の利用をする地域、自然そのものを手をなるべくかけないで残す地域、それを区分して、自然と人間との関係というものを調整する必要があると思います。
  151. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、これはアメリカのことなんですが、日本でもこういうことが検討の対象になるかどうかですね、それは、いよいよ国立公園も予約制にせざるを得ない。それは、無制限に入りますともう全く公園の意味がなくなってしまう。したがって入山規制、入園規制といいますか、予約制にせざるを得なくなったと。もうすでにどこか実施しているところがあるかもしれないですが。それから自動車は一切公園内には乗り入れしない。自動車はまず駐車場へとめておいて、そこからバスで公園内へ案内をするというようなことで、そのバスも、空気を汚染しない電気バスですかね、そういうことを私は直接公園管理者から聞いたのですが、そういう点はいかがでしょう。日本のいまの現状としてはどう考えられますか。
  152. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう入山の制限ということも必要な場合があると思いますね、必要な時代がくると思います。それから、ある地域までは自動車で行くことはやむを得ない、それから先はなるべく電気自動車であるとか、あるいは自転車であるとか、ケーブルカーであるとか、なるべく空気を汚染しないで美しい自然に接するようなことにならなければ、自動車で皆が混雑して自然の景観というものが失われてもきますし、そうなれば何のために、美しい自然が残っておるから行きたいので、そこに残るものは自動車の混雑ばかりだということでは意味がないのですから、そういう点の配慮というものは、管理ということの中にはそういうこまかい配慮もこれからは要る。そういうこまかい配慮を加えることが、これからの管理体制だと考えるのです。
  153. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁は、この上高地をモデルに入山規制の検討ということをしておりますか。おりましたらそのことを御答弁いただきたい。  それから富山県では立山町が、黒部アルペンルートにつながる有料道路へのマイカーの乗り入れを四十六年夏から禁止しているということが報道されていますが、この辺もおわかりですか。   〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
  154. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいま長官からお話がございましたように、今日の国立公園、今後の国立公園は、世界的に見ましてもいわゆるオーバーユースの問題がかなり問題になっております。その中における公園の統制といいますか、利用のいわゆる統制といいますか、そういうことの必要性ということが言われておるのは事実でございます。  これは、そのやり方でございますけれども、たとえば全部が公園専用の土地でございますれば、公園管理という点から統制がきくわけでございますけれども、わが国の国立公園の場合は、残念ながら国土が狭小であるというようなこともございまして全部が国有の土地ではございませんし、その地域はいわゆる地域公園でございまして、公園としての公用制限をかけるという形で、必ずしも公園専用目的のための地域になっておらないわけでございます。そういう点から申しまして、非常にこれの統制という問題はむずかしい問題が伴います。しかしながら、私ども公園計画というものをつくっておりまして、公園計画によりましてこの統制ということをまず考えてまいりたいということでございまして、たとえて申しますと、道路をどこまで通すか、駐車場をどこの地点に設けるか、あるいは舗道をどのような形で設けるかというような、公園計画というものによりまして、これを統制する手段を持っておるわけでございますから、そういう点で、まず第一にこれをやっていきたいというのが当面の問題でございます。  それから、なお今後そういう問題について、各般の関係道路の所管者でありますとか、そういうところと協力をいたしまして、強力に協力を要請いたしまして、できるだけ静謐な公園として維持をしていくということがやるべき問題だというふうに考えております。  御指摘の上高地の問題でございますが、これは現地管理事務所におきまして、あそこに至ります道路が、夏には非常に車がつながりまして混雑をする。その結果またオーバーユースの問題が生じてきているということでございますので、これについて何らかそれにアプローチする手段といたしましてもう少し考える方法はないのかということで、現地でいろいろの案を出して管理事務所で検討いたしておる。私どももそれをモデルといたしまして、上高地でまずそういうふうなことをやってみたいということで、現に検討いたしておるところでございます。  それから立山道路の問題でございますが、これは先ほど杉原先生のお尋ねもございましたが、そのときに申し上げましたように、富山県の自主的な規制という形で、道路管理者としての立場から、これについての車の乗り入れ制限というものを行なっているということでございます。
  155. 小平芳平

    ○小平芳平君 これは日本の場合、アメリカよりももっと狭い国土で、深刻な問題として提起されるべき問題だと思いますので、また、環境庁も検討しているとおっしゃいますので、御検討いただきたいと思います。  次に、国立公園内の私有地の買い上げ、これも昨年大石長官の時代に、相当の公園内の私有地を買い上げるということで予算もつけて、何といいますか、環境庁としての大きな施策の一つだったと思うのですが、土地の値上がりなどでうまくいっていないというふうに聞いておりますが、いかがですか。
  156. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 御指摘のように、土地の買い上げにつきましては、四十七年度初めて土地の買い上げについての予算上の措置が講ぜられたわけでございまして、これは都道府県が交付公債を交付することによりまして土地を買い上げ、それに対して国が十分の十ないし十分の八の補助金をその償還について出していくという制度でございます。これは、この結果、国立公園内の重要な地域につきまして、その私権が非常に制限をされる。たとえば、許可を受けたいと思っても、その地域については許可をしないというような地域については、その私権との調整という意味からいってこの土地を買い上げる措置が開かれたわけでございまして、四十七年度はその起債の、交付公債としての総額が六十億円というワクまでは、償還についての国の補助金を出してよろしいというような予算になっておったわけでございます。  御指摘のように四十七年度は、この問題について一番大きな理由は、土地の価格の非常な上昇でありますとか、あるいは木材価格の異常な上昇というようなことがございまして、全国的な地価の騰貴というようなことから、売り主の間と県の購買するほうの価格、適正価格と考えておりますものの価格との間で折り合いがつかないというようなことから十分にこれを活用することができなかった次第でございまして、これには一つは、最初の土地の買い上げでございますので、この点についてふなれな点もあったということもあろうかと考えておりますし、また土地の買い上げにつきましては、所有者を調べるとか各種の調査を非常に必要としますが、これについて十分な期間がなかったというような点もございまして、四十八年度においても引き続きこの六十億のワク内において、そういう交付公債によって土地を買い上げる措置、それに対する国の補助というものを行なうことになっておりますが、ことしはこの六十億に近いものを消化したいというふうに考えておるわけでございます。  実は、昨年消化いたしましたのは二件でございまして、熊本県と東京都でございますが、二件ございまして、それが、事業費として約一億円というようなきわめて少額にとどまったということが事実でございます。
  157. 小平芳平

    ○小平芳平君 三木長官、うまくいかなかった原因は土地値上がりと木材の値上がりだと。どうも両方とも政策に大いに関係のある話なんですが、今後どうされますか。
  158. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうも、土地が値上がりするという、そういう将来の値上がりを見越して値段が折り合わないのですよ。相当に大きな金額を売る者は期待をするし、こちらのほうは、それを商売に使うわけでもありませんから、どうしても合理的な値段で買おうとする。あまり将来の値上がりというものを値段の中に組み入れてはいませんから。しかし、そういうことではなかなか土地の問題というものは、予算をとっておっても消化できませんから、そして、やはりこの国立公園特別地域というものは、できるだけ国有地にしたらいいという私は意見です。私有地がありますと、それに対してのいろいろな使用上の制限をしようと思っても、なかなかそれが理想的にいかない点がありますから、今後は少し、役人の商売というのはじょうずでないわけですけれども、一年という経験も得たものですし、値段のきめ方にも少し弾力的な幅を持たして、そうしていままでの経験を生かして、ことしは予算を消化できぬというようなことにしないようにしたいと思っております。
  159. 小平芳平

    ○小平芳平君 特別地域は国有地であるべきだという点で、それはもっと強力に進めていただきたいと思うのです。  それから次の問題これで終りますが、行管の勧告に「環境庁は都道府県に対し国立・国定公園に準じて公園計画を策定するように指導しているが、昭和四十七年三月三十一日現在、四七%が未策定である」というふうになっておりますが、この点についてはいかがですか。
  160. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 都道府県立公園におきまして、現在特別地域設定ということがおくれておりますことは事実でございます。私どもは都道府県立公園につきましても早急に特別地域設定をするようにということで、絶えず指導をいたしておりますし、先ほど申し上げました全国課長会議におきましても、この点を強く指示をいたしておるところでございます。
  161. 小平芳平

    ○小平芳平君 総体的に、三木長官、こうした行管の指摘を待つまでもなく、また、今回の法改正によって前進する面も出てくると思いますが、全体的によほどいままでのような観念じゃなくて、環境保全ということ自体が大きなテーマになってきているときであり、また前回の委員会で三木長官は、環境権というものは政治の場においては当然あるという前提で物事は進めるべきだというふうに答弁なさっておられます。しかし現実はなかなか追いついていかないという、そういう点について、やはり環境庁自体が、人数も少ない、定員も少ないし、また各地方に出先機関もありませんし、いろいろやりにくい点があると思うのですが、かといって、せめて環境庁がよりどころであって、どうもほかの省やほかの庁では環境問題公害問題はうまく取り組んでいかれないということで、環境庁に期待をしているわけなんですが、その点ひとつこの機会に長官の御意見をお聞きして終わります。
  162. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いままでの環境行政というもの、ことに自然環境保全という点は、いままでの実績など考えてみまして、これはよほどわれわれとしても決意を新たにしてやらなければならぬ面がある。それにはやはり決意だけでなしに、いろいろな機構とか人員とかいう問題もありますが、しかしもう一つは、府県知事の権限というものがこの問題については非常にあるんですね、国定公園にしても自然公園にしても。これはみな権限は都道府県知事にあるわけですから。  したがって、自然環境保全するというこの目的を達成するためには、幅広い一つの国民的な支持というものが要ると私は思うんですね。そういうことで、一般国民の意識にも大きな変化が起こっておるわけで、あまりGNPだけではどうにもならぬ、自然環境というものは保全をしなければ真の豊かな国にはならぬという、一つの価値観において大きな変化もありますから、したがって自然環境保全ということに一段と力を入れようとする、そういうものに対する支援体制というものは強まっておりますから、これは地方自治体あるいは地方住民、そういう人たちとの間に緊密な協力を保ちながら、環境保全という問題に対して従来の行き方に対する反省も加えて、さらに一段と強力な行政を推進をしていきたいと考えております。
  163. 森中守義

    委員長森中守義君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会します。   午後四時五十六分散会      ―――――・―――――