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政府委員(
首尾木一君) 過去の問題について言いわけをするようでございますが、御
指摘のありました一連の敦賀発電所から美浜発電所、それから高浜発電所、大飯発電所等の問題につきましては、これはいわば
環境庁の発足以前の問題あるいは以後の問題も若干ございますが、これにつきましてはその以前に、すでにこの建設につきましては厚生省当時におきまして、その点について審議会の一応事実上の御審議もいただいて決定をいたしておりました問題で、その問題について、ただいま申しましたようなやむを得ないというような結論できておるものでございます。
ただし、この当時におきましても、当然この原子力発電所の問題につきましては、特に
自然公園の風致との
関係から申しましての調整というものを十分やって、その上でこれをやったものと考えております。ただし、もちろんこういったようなものができますれば、その限りにおいて自然の風致をそこなうということにつきましてはこれは明らかな点でございますので、その点はやはり、基本的に公益とその
自然公園の目的といたします風致の
保護ということとも調整をいたしまして、そこで公益性が非常に高いということで、やむを得ないといったような
判断をいたしたものでございます。
環境庁になりまして、その大きな問題といたしましては、現在、那智勝浦、それから鹿久居島等におきまして、
国立公園地域内でございますが、この原子力発電所の新設についての調査ボーリングの申請がまいっております。これにつきましては、
環境庁が発足をいたしまして、
自然環境の
保全という観点から、さらに単に風致ということだけにとどまらないで、もう少し広く
自然環境の
保全といったような観点を加味をいたしましてこの問題について慎重にすべきだということで、この問題についてはいまペンディングの状態にいたしておるわけでございます。
実態を申し上げますと、原子力発電所の問題につきましては、これはそういったような風致だけの問題ではございませんが、漁業に対する
影響の問題でございますとか、あるいは安全性に対する問題でございますとか、こういう点についての一般の
地域住民の反対といいますか。そういうものがかなり事実の問題としてあるわけでございますので、いわばこれは
自然公園の問題であると同時に、
地域の問題であり、環境一般の問題であるということでございまして、単純に風致の
判断ということだけからこの問題を私
どものほうが先行いたしまして許可をするということによって、何かあたかもそれが全体としてそのことについて国が容認したというようなことに取り運ばれますことは、まことにこれは困ったことであるわけでございますので、私
どもは総合的に、そういう問題についてはまず第一に地方公共団体、あるいはその地元あるいは都道府県といったようなところの
判断というものを固めまして、そのようなことを見ながら、一方において私
どもは厳重に、
環境庁も発足をいたしましたので、私
どもの
立場といたしましては、
自然環境の
保全あるいは自然の景観の保持というような視点から、厳重な審査をいたしまして結論をこれに出すべきだというふうに考えておるわけでございます。もちろんその場合に、そういったような
事前の調査というものが十分行なわれるということが前提になっておるというふうに考えておるわけでございます。