運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-06-06 第71回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月六日(水曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      工藤 良平君     藤田  進君  六月五日    辞任          補欠選任      西村 関一君     工藤 良平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大矢  正君     理 事                 金井 元彦君                 菅野 儀作君                 杉原 一雄君                 内田 善利君     委 員                 青木 一男君                 君  健男君                 斎藤 寿夫君                 田口長治郎君                 寺本 広作君                 林田悠紀夫君                 原 文兵衛君                 加藤シヅエ君                 工藤 良平君                 小平 芳平君                 加藤  進君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君    政府委員        環境庁企画調整        局長       船後 正道君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        水産庁次長    安福 数夫君        通商産業省公害        保安局長     青木 慎三君        通商産業省化学        工業局長     齋藤 太一君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        通商産業省化学        工業局化学第二        課長       小幡 八郎君        労働省労働基準        局補償課長    山口  全君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害及び環境保全対策樹立に関する件)     —————————————
  2. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、西村関一君が委員辞任され、その補欠として工藤良平君が選任されました。     —————————————
  3. 大矢正

    委員長大矢正君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 杉原一雄

    杉原一雄君 とりわけ、きのうから国際環境デーになっているわけで、そういう状況の中できょうの委員会ですから、お互いにこの問題に真剣に取り組みたいという気持ちで一ぱいです。   〔委員長退席理事金井元彦君着席〕  大臣きのう足にマメをでかして歩かれたようでありますが、たいへん御苦労さまでした。  ただ、そうした状況の中で第三水俣病が明らかになり、そしてまた第四水俣病全国に潜在し、かつまた出てくるのじゃないかという不安、全国民の大きな不安に包まれていると思います。  そこで、第三水俣病について、まず事実を簡単に明らかにしていきたいと思うわけですが、第一点として、特に今日まで、第三水俣病熊本大学の良心的な教授の手で明らかにされて以来、今日まで相当日数がかかっておりますので、現状ただいま、あるいは病気になっている人たちの数の問題もありましょうし、あるいは発生源汚染源はどこであるかということもほぼ明らかになっただろうし、また有明海底質調査等も若干進んでいるかと思いますが、そらした現実ただいまの状況、把握しておいでになるものを的確にまず御報告をいただきたいと思います。
  5. 船後正道

    政府委員(船後正道君) いわゆる第三水俣病の問題につきましては、去る五月の二十一日に熊大研究班からの報告が出ざれたわけであります。環境庁では、直ちに翌二十二日に公害保健課長をはじめ係官を派遣いたしました。同時に通産省水産庁厚生省等の各省におかれましても担当官を派遣いたしまして、現地におきまして直接武内教授から御報告内容をお伺いいたしたのでございます。同時に、有明海沿岸の四県の環境部門担当の部長を招集いたしまして、直ちに実施すべき環境調査あるいは健康調査等実施の段どりにつきまして下相談をいたして、帰京いたしたのでございます。  その後、東京におきまして、去る三十日に再び関係県の担当官の上京を求めまして、これらの環境調査健康調査実施の細目につきまして打ち合わせをいたしたのでございます。これは、具体的に調査対象をきめ調査地域をしぼり、また調査担当する人間等を直ちに確定をするまでには至りませんでしたけれども、おおむねの方向を決定いたしまして、ただいま各県では実施具体計画を作成いたしておるところでございます。  他方有機水銀人体影響の問題につきましては、この熊大研究班に基本的な問題が提起されているわけでございますが、直ちに国のレベルで専門家専門の学者にお集まりいただき検討いたしたい、こういうことで目下人選を急いでおりますが、とりあえず、一番問題でございます水銀人体に対する影響の問題につきましては、厚生省におきまして、すでに二回にわたり武内先生も交えまして専門家先生にもおいでをいただき、その上で水銀食品基準量安全基準、あるいはそこまで至らないまでも、とりあえずの暫定的な指導指針というものを早急につくろうという作業を開始しておるという段階でございます。
  6. 杉原一雄

    杉原一雄君 いまの報告で、若干聞き漏らした点もあったかと思いますけれども、結局、まず汚染源が、伝えられるところによると日本合成だというふうにも言われているのですが、その辺のところは、もう現時点では的確にそれが言えるのかどらか。  それから、武内教授を含めての専門家のつどいがごく最近あったようですが、その中で、おそらく武内教授暫定基準の問題について発言をしておられると思います。あるいは〇・二PPMといったような具体的な数字等提起しておられるように伺っておるのですが、その辺のところは事実はどう進行していて、しかもまた、環境庁としてはそらした提起に対して現在どういう理解と判断をしているか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
  7. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 御質問の前段につきましてお答えいたしたいと思いますが、第三水俣病汚染源についての御質問だと思いますけれども、新聞に報じられておりますように、宇土市にございます日本合成、これが従来、水銀等排出いたしていたということは明らかでございます。ただ、私どもは、それらの因果関係等につきまして武内教授報告にもまだ必ずしも明らかになっておりませんので、大至急有明海全域につきましての環境調査をいたしまして、その環境調査の結果によりまして汚染源確定をするというような作業を進めたい、かように考えております。
  8. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) お尋ね武内教授ほかを交えました魚介類水銀許容摂取基準設定のための専門家会議の中身でございますが、私ども環境庁のほうからの御依頼もございまして、さっそく第一回の専門家会議を先月の三十日に招集いたしました。水銀中毒症専門家の方に広く全国からお集まり願ったわけでございますが、第一回のときには、熊本大学からは藤木先生の御参加を得ましたが、武内先生の御参加は、お忙しい御都合から得られませんでした。  第二回は六月の四日に、さらに少し先生方範囲を広げまして、第一回は六名の専門家にお願いいたしましたが、第二回は武内教授を入れまして十二名の専門家にお集まり願いまして、いろいろとこの作業の進め方について意見交換をお願いし、また、考え方についていろいろとデータを提出いただきまして、検討、議論を深めたところでございます。  お尋ね武内教授発言内容でございますが、現在までのところ、全般的な立場からいろいろと水銀の、たとえば最大無作用量とか、あるいは最小の発症量、あるいはまた日本人の毛髪に含まれております水銀のおおよその量、こういったようなデータ意見交換がございまして、武内教授のほうからは、まだ具体的にこのような水準でよかろうといったような御提案はございません。  次回は六月の十五日に、いままでお互い交換いたしました資料を御検討願い、さらに十分に御討議願いまして、早急にいま必要としております少なくとも有明海中心とする魚介類摂取指導基準、できれば食品衛生全般につきましての暫定的な摂取許容基準というものを策定していただくようにお願いし、そのような方向作業は現在進んでおるわけでございます。  したがいまして、いまの段階では武内教授からは、繰り返しになりますが、具体的な案の提示はございません。
  9. 杉原一雄

    杉原一雄君 次は、第一水俣病というのはきわめて明らかにされ、かつまた裁判等を通じて一そうこれは明確になってきた、いわゆる実情とともに責任者の問題を含めて。特に、三木長官も初めて水俣に行かれて、第一水俣病の実態を十分点検なされて、お帰りになってから、この委員会におきましても三つの方針等をお約束なさったわけであります。  ただ、私は非常にふしぎに思うのは、第三水俣病が、長官がお帰りになってからそう遠からぬ日のうちにこれが明らかにされたということの中に、私は、行政サイドで、あるいは国並びに都道府県等において、この問題に対しての予断と申しますか、推測と申しますか、そうしたことについてのもっと広い意味の、あるいは不知火から有明海に及ぶ範囲について当然何らかの調査なり検討をなさるべきであったのじゃないだろうか。だから善意に解釈すれば、なされていただろう、こういうふうに実は思うわけですが、その点、第一から第三が明らかになるまでの間の、点検なり調査なり対策等がどのように行政ベースにおいてなされていたかということをお伺いしたいわけです。そのためにも長官として政治家立場から、第一の水俣の明らかになった時点で現地にお立ちになって、第二、第三、第四——第二はもちろんこれは新潟の話ですから、第三、第四と、こうしたものに対する政治的な鋭い推断といいますか、何かお感じになった点があったのじゃないだろうかということで、とりあえず行政ベースの問題での点検なり調査なり対策等が第一から第三にわたる間なされていたのかどうか、そのことを一応お聞きしたいと思います。
  10. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 水銀による環境汚染問題につきましては、昭和四十三年に厚生省暫定対策要領というのを設けまして、これによりまして、まず地域排水あるいは魚介類等につきましての水銀汚染状況調査し、さらに進んでは健康調査を行なうということで対策を講じてまいったわけでございます。毎年、この暫定対策要領に従いまして、全国水銀汚染されております河川あるいは海域等につきまして調査実施してまいったところでございます。  その結果は、いずれも暫定対策要領で示しておりましたような、魚介類について申しますと総水銀量が一PPMをこえるものが二〇%以下であるというように、当時の学問的な知見に基づきますれば一応健康被害はないと思われる程度汚染状況でございましたので、引き続きこのような水域につきましては毎年調査を行ない、あるいは監視を続けてまいったところでございます。  他方水俣病の問題につきましては、やはり学問的にもまだまだ掘り下げて研究しなければならない問題が残っておるわけでございまして、引き続きまして、熊本大学あるいは新潟大学等中心になりまして研究を進めてまいったのでございますが、そういった一環といたしまして、熊大におきましては、熊本県の委託で昭和四十六年度を初年度とする三カ年計画で、「十年後の水俣病」ということをテーマに基本的な問題からひとつ検討してみようという作業が開始され、第二年度の四十七年度の調査の際に、この調査対照地区、いわば汚染の非常に著しいところとあまり汚染されていないところを比較対照して、疫学的に検討してまいるわけでございますが、そういう対照地区として選ばれました有明町において、水俣病類似の症状を呈する患者が数名発見されたという報告に接したわけでございます。  これは熊大研究班でも指摘いたしておりますように、疫学的な調査というものはまだ不十分でございまして、今後、私ども計画いたしております全面的な環境調査ということによりましてさらに追及する必要があるのでございますが、熊大報告も言っておりますように、これを有機水銀中毒症と見得るといたしますと、やはり過去の水銀人体摂取というようなものの基本的な考え方に反省を加える必要があるわけでございます。そういう趣旨で、先ほど厚生省から説明ございましたようなことで、目下基本問題を検討し、かつ、その結果に基づきまして、私どもも今後の水銀汚染地域調査監視ということはより厳重に進めていく必要がある、このように考えております。
  11. 杉原一雄

    杉原一雄君 六十四国会で水質汚濁防止法というのを審議決定を見たわけですが、その際、衆議院でも参議院でも附帯決議を実は出しておるわけです。  特に衆議院の場合では、排水基準の問題、環境基準の問題、十分なるものを早く設定するようにと、特段その要求が第一項目に実はあげられているわけです。いまの御説明などを聞きますと、かなりそういう点では慎重を期し、かつテンポがおそいという結果になっているわけですが、この際、そういう点では十二分の配慮と、スピードをあげて問題を明らかにしていっていただきたいと思いますし、第一から第三までの間ということでは、参議院附帯決議の中でこういうことを決議しているわけです。「水質汚濁防止の実効を期するため、工場立地適正化を図るとともに、汚水処理施設とくに中小企業向け処理施設開発に努めること。」などとあるわけです。  そうしますと、いま汚染源は、日本合成が大体一〇〇%に近い状態であることは衆目の一致するところでございますし、そうしたこと等につきましても、第一から第三に至るまでの間に、この附帯決議に即応しただけでも、とりあえず何か適切な点検調査などが通産当局でなされておらなければならないはずですが、そうした点等は、第一から第三に至る間の点検調査の中で行なわれていたかどうか。その点をひとつ日本合成にしぼってお尋ねしたいと思います。
  12. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 日本合成は、昭和四十年までアセチレン法によりましてアセトアルデヒド製造いたしておったわけでございます。  昭和三十四年に熊本大学水俣病原因物質といたしまして有機水銀説が発表されまして、まだそれでも当時はいろいろな説がございまして、その辺の因果関係は判然としていなかったわけでございますが、通産省としましては、いずれにしましても排水処理を完ぺきを期することが望ましいと考えまして、三十四年の十一月に、チッソに対しまして排水処理施設を完備するように指示をいたしたのでございます。同時に、他のアセチレン法アセトアルデヒド工場に対しましても同様の通牒を出しました。  その結果、チッソにおきましては、サイクレーターと申します強制凝集沈澱装置を設けまして、さらに三十五年には、排水を全部元の工程へ戻しまして循環して排水を外へ出さない、そういうシステムに切りかえたりいたしまして、そのころから非常に排水処理は進展を見たというふうに考えております。それ以外のアセトアルデヒド工場につきましても、その通牒以前におきましては、排水カーバイドかす等中和をいたしまして沈澱をさせ、その上澄み水をたとえばカーバイドかす沈澱池に引きまして、カーバイドかす中に沈降吸着させる、そしてそのろ過された水を外へ出す、こういった排水処理をいたしておりましたけれども、三十四年以後は、大半の工場におきまして、凝集剤を使いまして水銀の沈降をはかるとか、あるいは強制凝集沈澱装置を新たに設けるとか、こういった排水処理が進んだのでございます。  ただ、基本的には水銀を使わない製法転換をさせることが最も望ましいと考えまして、昭和三十九年から四十年ごろにかけまして、当時石油化学法が出てまいりまして、エチレンからアセトアルデヒドをつくるという製法が出てまいりました。従来はカーバイドからアセトアルデヒドをつくっておりましたけれどもエチレン法の場合には水銀触媒を使用いたしません。またコストも安いというような事情もございまして、開発銀行融資等をつけまして、全国アセトアルデヒドの八つの工場全国的に水銀を使わない製法転換をはかったわけでございます。  その後、昭和四十三年以後におきまして、水銀排出につきましての水質基準等設定を見たわけでございますが、当時の昭和四十年に転換をいたしましたころまでには、水銀につきましてはまだ法律的な排水規制がございませんでしたし、それから水銀の人の健康等に対します影響につきましても、現在と違いましていろいろ科学的な知見がまだ不十分であった状況がございまして、そういう意味では、この排水処理にもう少し徹底をしたらどうかという面につきましては、いまから考えますと、若干不十分な指導の面もあったかと存じますが、いずれにいたしましても、四十年に転換をいたしまして、その後これらの工場では、アセチレン法によりますアセトアルデヒド製造は、以後行なわれておりません。  今回日本合成等の、かつての排出しました水銀等が問題になっておるわけでございますけれども通産省としましては、四十年かうここはすでにアルデヒド製造をやめておりますので、いま残されておりますカーバイドかす等に、かつてここへ排水を引っぱりまして自然沈降させたりいたしておりますので、カーバイドかすの中に排水中の水銀が残っておるのではないかということも考えられますので、カーバイドかす保管状況、特にこれが雨水等によりまして外へ流れ出すようなことがないよう、保管状況につきましてただいま現地調査をいたしておりまして、その結果を待ちまして、至急にこの廃棄物カーバイドかすの安全な保管という意味につきましての処理対策を考えたい、かように考えておるところでございます。
  13. 杉原一雄

    杉原一雄君 ただいまの局長の答弁からやや心配になるわけですが、四十年以前の水銀有明海その他に流れ出て底質をなしているという理解のしかたでいいですか。同時にまた、いま調査をしているという話なんですが、それはいつごろその結果が見えるようになるかどうかということ。  だから、四十年以前の想定される汚染状況、これからも出てくるデータ等をまとめた形の中で、一体、これはおたくの仕事であるか、どっちの仕事になるか知りませんが、どうしたら水銀なりそういうものがなくなる方法が確立されるかという点、そちらのサイドかう発言をいただきたいと思いますけれども、どうですか、通産省立場から。四十年以前の汚染されたものをどうすればどうなる、そして、いま調査の結果をほぼ推定できると思いますが、それについてもどうしたらいいんだと。  つまり、日本合成中心として考えた場合に、有明の海が完全にきれいになって魚が安心して食べれる状況というものについて、直接手を下して指導調査をしておいでになる通産省当局立場でやはり発言があってしかるべきだと思うのですが、その点、局長、どうでしょう。
  14. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この日本合成工場排水から流れ出たと思われます水銀が、どの程度に蓄積されておるかどうかといったような状況につきましては、これから政府としまして総合的に環境庁中心実施されますヘドロの中の水銀調査等々の結果を待ちませんと、詳細には判明しないものかと存じます。  なお、会社のほうに対しまして、過去に使用いたしました水銀の量、回収した水銀の量、それから未回収の量といったようなものにつきましては、詳細につきまして一応ヒアリング調査をいたしましたけれども企業のほうにも、何ぶん古い話でございまして、資料がほとんど残っておりませんで、やや推定に属する部分が多うございまして、非常に正確を期し得ない面がございますが、一応会社報告によりますと、日本合成化学熊本工場におきまして、投入いたしました水銀量回収しました水銀量の差の、いわゆる未回収水銀量は五トンという報告を受けております。  もっとも、この五トンは工場外に流れ出たという量ではございませんで、これをただいま申しましたように、昭和三十四、五年ごろまではピット排水を引きまして、これに中和剤を入れましてピットの底に沈澱をさせる。その上澄み水カーバイドかすの中の沈澱池に引く。こういった処理をいたしておりましたし、三十四年以後におきましては、いろいろ凝集剤を用いまして強制沈降させ、さらにその沈澱物につきましては、これを焼却をいたしまして、気化した水銀をさらに回収する。こういった回収をいたしておりまして、会社報告によります流出量は、三百キログラムというふうに申しております。  ただ、その申し立てが正確かどうかにつきましては、検証の非常にむずかしい問題でございますが、ただいま現地調査に行っております通産省担当官が、カーバイドかす保管状況等につきまして調査をいたしますと同時に、この会社が申しております水銀排出量等につきましても、できるだけ証票書類に当たりまして、その内容のチェックをいたしたいというふうに考えております。  なお、現在このアルデヒド工場全面点検をやっておりますけれども、今月一ぱい現場調査を終わりまして、七月一ぱいでその結果を整理をいたしたいというふうに考えております。
  15. 杉原一雄

    杉原一雄君 それでは、手間どりますから次へ進みますけれども、結局、第一、第三という問題の広がりとか質的な問題等いろいろあるわけですが、ここで第三、第一ともに一体的にとらえて、とりあえずこれから抜本的な対策お互いが真剣に考えなければならぬと思うのですが、私とすれば、少なくとも不知火あるいは有明の海が無公害公害がないんだ、魚も安心して食べれるんだという状況を再現してもういたいという念願を込めながら、環境庁中心としたそれぞれの所管の省庁が一致して問題の対策にあたっていただきたいわけですが、いま想定されるさまざまな問題があるわけです。  それは、きのう私たち陳情を受けました、非常にこれは諸官庁にも陳情が上がっていると思いますが、熊本漁業協同組合連合会第四部会部会長の竹崎さんを先頭にして、多くの方がおいでになって陳情書提起して帰りました。水俣病の問題はもちろん漁民漁業協同組合だけの問題ではないでしょうけれども、最も直接的であるのはやはり漁民であろうと思われるわけですから、この問題の対策が樹立され解決されれば、あとの問題が多く解決される可能性、条件が整ってくると思います。  そこで、皆さんの中から提起された問題は十あって、これは長官の耳にも達しているだろうし、第一の場合にも似たような問題提起をされておったわけですから、一々あげて確答を求めるということもやりたいわけですけれども避けて、問題の多いものだけ拾いますが、きょうは衆議院では、農林水産熊本の馬場君がこの問題をめぐって質問を展開しているはずであります。  でありますから、この中で提起された第一項は、不知火なり有明の徹底的な汚染調査、あるいは浄化の実施をやってもらいたいというわけですが、これは長官のほうでひとつ簡単に御答弁いただきたいと思います。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 有明海も八代海も徹底的な環境調査をやる計画であります。第三の水俣病の問題が起こる前からそういう計画を立てておったわけでありましたが、ああいう事件も起こりましたものですから、これをできるだけ迅速に一有明海の徹底的な環境調査を行ないたい。有明海ばかりでなしに、過去の蓄積された水銀とかカドミウムとかいう重金属の汚染というものが、水俣有明海ばかりでなしに、そういう疑いを持たれる海域もありますので、日本の全体について水銀とかカドミウムなどの重金属による汚染というものを一せいに調査をいたしたい。そういうことで、いろいろ問題が起こってからあとでというよりも、日本の経済発展の時期に、相当いろいろな有害物質などが蓄積をされた疑いを持たなければならぬわけでありますから、全国的な調査を行なって、できるだけ事前にわれわれが実態を把握しておくことが今後の環境行政に必要と考えますので、そういうことを実施をいたしたいと思っております。
  17. 杉原一雄

    杉原一雄君 第二点は、これはこの前の質問にお答えになったことですが、水俣湾の締め切り埋め立ての即時実施とヘドロの処理の問題ですが、これは長官の約束をいただいているわけですが、その後県と一体になってある程度計画が進行しているのかどうか、その辺のところをちょっとお聞きします。
  18. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) この前、長官からお答え申し上げましたとおり、現在運輸省と相談いたしまして、今年度の第四・四半期には本格的に着工をいたすという目標のもとにスケジュールを進めております。  まず最初にやらなければならないのは、水俣湾の底質につきましての細密の調査でございますが、ほぼ熊本県において完了したというふうに聞いております。その取りまとめ中と思いますので、そのデータによりまして、現在私どもが進めております有害金属を含みますヘドロの除去基準、これが間もなくきまりますと、その基準によりまして、しゅんせつをすべきところ、埋め立てをすべきところ、その他を確定をし、それによりまして設計をいたすということを予定いたしております。それができ上がりますれば、試験的な工事に着手いたしまして、環境汚染のないような工法の確定をいたしまして、それから本格着工いたすということで、計画どおり現在進んでいる次第でございます。
  19. 杉原一雄

    杉原一雄君 その次は、安全基準設定をひとつ急いでくれということなんですが、先ほどのやりとりの中で、この問題はまだどんぴしゃりお答えをいただいておらぬわけですけれども、その辺の決意の表明だけひとついただきたいと思います。時期等を含めて。
  20. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) いま、できるだけ早い機会に有明海魚介類の許容摂取基準、これを設定していただくように強く専門家会議に要請しております。前回の集まりのときには、作業の見通しというものにつきましての確たる見通しを立てるまでには至っておりませんが、私の感じといたしましては、次回十五日にいままでのデータを十分に御討議、検討いただきまして、次の次の回ぐらいから取りまとめに入っていただける、大体そのような感覚でおります。さらに、毎回強く早く摂取基準をきめていただくように要請しておりますが、次回におきましては、現地の方々の不安を一刻も早く解消するように、おおむね六月一ぱいをめどとして決定していただくように、なお強くお願いするつもりでございます。  また現在、食品中の水銀許容基準設定は、実は慢性毒性試験を昭和四十六年から継続実施中でございます。現在二カ年を経過いたしておりますが、さらにあと一年ぐらい実験動物の飼育観察を進めていく必要があるということでございますが、これらにつきましてもできるだけその結果を早く出していただくように、別途お願いしているところでございます。
  21. 杉原一雄

    杉原一雄君 十と言いましたけれども、あとはすべて漁業に対する補償、融資の問題とか、生活権の保障の問題、そうした問題なんであります。のちほど水産庁の六月四日の調査等関係と関連しながらこの問題は別途質問いたしますので、陳情書に基づく当面の対策ということでお伺いしたいのはその程度にとどめますが、なお加えて、第一から第三にわたったこうした現状把握の中で、特段環境庁が各省庁を督励してぜひとも進めていきたいといったような、国民に対しあるいは地域住民に対しての期待を持てるような何かはっきりすかっとした提起があれば、この際まとめてお伺いしたいと思います。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) すかっとした答えをしろといろお話でありますが、一番必要なことは、有機水銀の中毒ということでありますから、これは実態を把握する、そのために全国的な調査をしようということであります。  それともら一つは、そういうことで実態を把握しておいて、そして問題が起こらない前に、有機水銀などが蓄積されておるヘドロの処理を事前にやるとか、そういうことで問題を起こさないようにできるだけの処理をするということが一つ。  もう一つは、不幸にして水俣病にかかられた人、これに対しての治療の方法というものがまだ医学的に、こうやったならば水俣病というものの治療ができるんだということは、医学的にそういう可能性は発見されてない。なかなか不治の病ということになっておるわけであります。現地を見て、患者の人々の話を聞いてみると、治療によって病気の進行をある程度とめさせることはできる、訓練によって日常の生活を自分である程度やれる、訓練によってそういうこともできるということですから、根本は治療方法というものを解明をする、あるいはまた社会復帰へのリハビリテーションのようなことも政府が力を入れていくということで、患者の対策、こういうことをできるだけ今後徹底をして、あるいは水俣においても研究、治療、リハビリテーション、こういうものを含めた水俣病のセンターをつくろう、これは専門家意見も聞いてそういうものをつくりたいというので、専門家委員会のようなものをつくりたいと、いま人選をしておるわけであります。広く意見を徴してそういうものをつくりたい。  そういうことで、根本はこういう有機水銀汚染というものが事前に、重大化しないときに防げる方法はないか、水俣病にかかっている人の苦痛をなるべく軽減するような方法はないかということで、すかっとはいたしませんけれども、こういうことで問題がなかなか解明されてない面もあるので、御希望には沿わないかもしれませんが、いま言ったようなことに全力を尽くすことにおいてこの問題に対処していきたいと考えておる次第でございます。
  23. 杉原一雄

    杉原一雄君 それでは次に、長官もいま全国点検ということを大きく打ち出ざれたわけですが、すでにごく最近点検された魚、水質汚濁の問題等で、水産庁なり通産省でなさった作業結果が公にされているわけですから、その一、二点の問題で若干の質問をひとつさせていただきたいと思います。  特に私としては、そうした点検の結果対策を施し、第四の水俣病が起こうないように行政努力を心から期待する立場からお願いをしていきたいと思いますが、第一点として、六月四日の水産庁の発表、魚介類のPCB汚染状況の精密な調査の結果について、こういうのがあるわけですが、私のほうで非常に簡単な資料を手に入れているわけですけれども、これは結果的に、調査の方法と出た結果について、特にわれわれ国民が警戒警報として受けとめるところは一体どういうことなのか、その辺のところを重点にして御報告をひとついただきたいと思います。
  24. 安福数夫

    政府委員(安福数夫君) 今回発表いたしました魚介類のPCBの汚染状況の精密調査の結果でございますが、これは昨年、環境庁をはじめ関係省庁と全国的なPCB汚染の状態の概査をやったわけでございます。昨年末にこの発表がございましたが、その中で、われわれといたしまして警戒すべき地域としてその中から選びました地域が十四水域あるわけでございます。これにつきまして水産庁といたしまして、底質、水質、それから直接魚介類、この三つの観点から調査をいたしたわけでございます。  総検体数としましては二千七百八十でございますけれども、水質はそのうちの二百六検体、それから底質、ヘドロでございますけれども、これについては三百一検体、その他が魚介類、こういうことになっているわけでございます。  そこで、まず水質でございますけれども、水質の調査ではPCBの検出がなかったということで、この点は非常に幸いでございますけれども底質のほうでございますが、これにつきましても三百一検体のうち約一%の三検体が一〇PPMをこえるという結果が出ております。それから、底質につきましての一つの警戒ラインと申しますか、要注意とすべき点は一〇〇PPMということで私ども承知しておるわけでございまして、その一〇〇PPMをこえる検体は皆無であったわけでございます。そういう面で、水質、底質につきましては、現在のところ、われわれの水産サイドの一つの問題としてはまあまあ安堵していいのじゃないだろうか、こういうような結果が出ております。  問題は、総検体数の中で大部分を占めております魚介類でございますけれども、その大体のことは、十四地域のうち、魚介類について一つの警戒ラインでございます三PPMをこえるもの、これが約検体の二〇%をこえる場合は要注意である、こういう一つの現在までの指導的な線が出ております。それに該当する地域が八地域あるわけでございます。  それを概略的に全部を申し上げますと、三PPMをこえるものが現在、魚介類につきまして二千二百七十三検体をやったわけでございますが、そのうちの約六%、九十入検体が三PPMをこえておるわけでございます。これが海産の魚介類でございます。それから淡水の琵琶湖、それから琵琶湖から出ております宇治川、そこがございますけれども、それにつきまして、そういった内水面的な魚介類を対象にいたしましたものに約九%の三PPMをこえる検体が出ております。数量としまして五十五でございます。こういったものがかたまっております地域が入水域出ております。十四水域を対象にいたしまして、そのうちの入水域がわれわれとしましては今後重点的にこの問題に対処すべき地域だ、こういう結果が出ているわけでございます。  われわれ自身、十四水域を対象にいたしました中で、ある意味では従来から非常に汚染が進んでいるということで非常に注目しておりました東京湾、あるいは四日市、水俣湾水域、それから徳島でございますが日和佐港の水域、ここではすべてが三PPM以下であった、こういう結果を得ているわけでございます。  それから、汚染されておりますそういう魚介類がどういう範囲で採取されたかということでございますけれども、一つの調査報告の方法論がございますけれども、ある意味では地形的あるいは距離的、そういった相関関係があると思いますけれども、こういう問題の入地域につきまして、一つの行政措置としてそれを対象としてどう措置するかという場合に、ある意味では限定される、特定し得る水域であるということで、われわれとしましてこれに対する対策はそういう地域的な限定がし得ると、こういう結果を得ているわけでございます。この結果、われわれとしまして六月四日に関係都道府県に対しまして、これに基づいての一つの行政的な、まだ精細な措置ではございませんけれども、臨時的に早急に打つべき一つの指導通達も出しておるような次第でございます。  それから参考までに申し上げますと、エビ、カニ、イカ、タコ、こういった軟体動物につきましては、幸い非常に平均値としましても〇・一八PPMということで、一応警戒ラインでございます三PPMをかなり下回っておるということで安全ではないか、こういう結果がございます。貝類の平均値は〇・〇七PPMで、さらにそれ以下の平均値を得ているということでございます。それから海藻類、藻類でございますが、これがさらに〇・〇一PPM、そういう平均値を得ているということを御報告をさせていただきたいと思います。  以上、簡単でございますけれども調査の結果の概要でございます。
  25. 杉原一雄

    杉原一雄君 さような結果が出た。それについては関係省庁との協議によってその結果の点検、同時に、それをどう対策を樹立して進めるかということ等については、水産庁はまだ作業は進んでいないですか、どうですか、おたくだけではなしに。その辺のところはどうなっていますか。
  26. 安福数夫

    政府委員(安福数夫君) これは恒久的な一つの対策と、それから臨床的な、現在すでに早く手を打たなければいかぬ、こういう問題がございます。したがいまして、十四地域を対象にいたしまして、そのうちの入地域が問題でございますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたように地域を特定し得る、こういうことでございますので、そのところにつきましての漁獲の自主規制と申しますか、そういう形で魚はとらない、こういう措置を徹底してまいる、こういう一つの指導をいたしているわけでございます。  それから特殊な例でございますけれども、こういった問題はやはり原因となるべき工場があるわけでございますので、そういった工場なり原因者をはっきりさしてまいる、こういうことが一番肝心でございますし、事後のいわゆる補償措置についてもやはり原因者負担という原則、たてまえでやっているわけでございますので、そういった点の関係各省の協力は今後とも私どものほうから要請してまいりたい。もちろん県あるいは市町村、そういう段階にも、そういった原因者工場の究明と申しますか、それのトレースをしてまいる、こういうことについては水産庁としても水産サイドのルートを通じて指導してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  27. 杉原一雄

    杉原一雄君 ここで各省庁連絡とれと言ってはむちゃですが、齋藤さんどうですかね、この調査をごらんになったわけでしょう。きのう農水でやりとりしたら、水産庁長官の荒勝さんが、たとえば敦賀湾の場合、敦賀湾の汚染度はたいへんなんですよ。ところが、大体東洋紡だと想定はされるけれども水産庁がその門から入って立ち入り調査ができない、だから断定的な言い方はできないという表現なんです。そうすると、その門から中へ入るのは、水産庁でなくて、おたくでしょう。  そういうことなどで、この水産庁から出たデータは、きょうの朝日新聞が社説で論じているように、「PCB汚染調査の重大な欠陥」という指摘をしているわけです。重大な欠陥の中に、水産庁のいわゆる役所としての権限の問題がある。その中で、いまどうしても各省庁とのつながりがなければならないというのは、汚染源はどこだ、犯人はどこの会社なんだというところで水産庁は手が出ないんです、そこまでは。なわをかけるわけにはいかない。その辺のところを齋藤さん、あなたはどういうふうにこの問題に対応しますか。点検が十分できておうないところで無理なことを申していけませんが、一般論としてどうです。
  28. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 水産庁が発表されましたこのPCBによります魚類の汚染につきましての汚染源は、現在は明らかになっておりません。  通産省といたしましては、PCBのメーカーを指導いたしまして、その販売先のリストの整備を行なわせてまいりましたけれども、現在までに判明しておりますところでは、PCBを使いましたりあるいはこれを取り扱った工場が、全国で約千二百工場にのぼっております。こういった工場の中で、今度の水産庁で発表になりました問題水系に関係します府県内に所在する工場名につきましては、水産庁の御要請もございましたので、PCBを製造して出荷をいたしましたメーカーに指示をいたしまして、出荷先の名簿を水産庁のほうに届けてございます。このリストを水産庁のほうから関係の地方自治体のほうに連絡されておるというふうに聞いておるところでございます。  この使用工場のリストから汚染源を割り出してまいりますには、工場ごとに実態を調査をいたしまして、因果関係検討することが必要かと考えられるわけでございまして、そういう意味で、関係の府県を中心といたしまして汚染源の割り出し作業がこれから行なわれることになろうかと存じますけれども通産省としましてもできるだけこの府県の作業に協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 杉原一雄

    杉原一雄君 厚生省は、きょうの新聞ですから、きのうの対外発表だと思いますが、厚生省側は魚屋へ行って一々魚を抜き取りして調査されたわけですね。ここには簡単な、皆さんの手元にも渡っているような結果が出ているわけです。私は能力がありませんので、水産庁が大がかりにやった調査と、この魚屋の前でつかみ取った魚の実態調査との関連が、これではどうも統計的に読み取れない。その辺のところを、実際やった厚生省と、水産庁が発表した内容との重なりぐあいですね、この辺はどうですか。矛盾はないですか。つまり、水産庁が出したデータ以外のところでPCBが出てきた、魚がそれを濃縮して腹に持っておったというような問題点が、厚生省調査の中から出てきていないかどうか。私わかりませんから、いまもらったばかりで読めませんので、その辺のところを専門的な観点からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  30. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) PCBから国民の健康を守るということは、まず何といっても環境汚染を防止するということでございますが、厚生省は、ことに環境衛生局の立場は、最後の関所といたしまして国民の皆さまの口に食物が入るという段階、その前の段階でチェックするということでもって、昨年、PCBの食品等に関する暫定規制値を設定いたしたわけでございます。この際どのようにしてそれの実効を期するかということで、環境庁中心になっていただきまして、水産庁あるいは通産省関係省庁集まっていろいろと御相談申し上げたわけでございますが、特に私どもといたしましては、流通市場に着きましてから、あるいは小売り店に並びましてから手を打ったのではおそいのでございますので、できるだけ原産地でもって押えていただくということを強くお願いしたわけでございます。これを受けまして、先ほど水産庁のほうから御発表になりましたように、特定の水域についての調査実施されたのでございます。  私どもとの関連は、私どもはざらになお安全を期するために、全国の十都道府県につきまして、流通市場におきまして調査実施したのでございます。つながりは、水産庁のほうで御指定いただきました特定水域、それに重点を合わせまして調査をいたしたのでございます。実は、これはまだ調査の最終的な結果はまとまっておりません。けさ新聞に出ましたのは途中の段階の発表でございましたが、私どものこの調査の目的は、申しましたように最終段階でチェックすると同時に、その産地に連絡いたしまして、産地においてその後再び汚染魚が出回らないように根本で押えていただくということでございます。  ちなみに、お手元に資料がお配りしてあるかと思いますが、現在までの集計の途中の段階でございますが、大体六百十検体魚介類を調べまして、九検体ほど、資料では三PPMの規制値をこえているものが見つかっております。  以上でございます。
  31. 杉原一雄

    杉原一雄君 少し私はっきりしなかったのですが、これは水産庁データですね。おたくのは、きょうの新聞に出たのは一部だとおっしゃっているんですが、結果的にはこの十四地域とおたくが調べられたのと重なる形になりますか。その辺はどうです。重なった場合、私は時間がありませんから申しますが、一つに重ねた形で、たとえば水産庁のでは敦賀湾もたいへんだ、播磨灘もたいへんだ、たいへんだとあるわけですね、それは厚生省もそれに即応して、魚は日本列島を動いておりますからそれぞれ把握しにくいと思いますが、流通の流れはすぐ調査すればわかるのですから、だから播磨灘の魚がどこにいっているか、あるいは敦賀湾の魚はどこへきているかということはわかるので、追跡しながら、具体的に市場の状況はどらかという把握が、これのもっと具体的な詳細なものをもらえばその辺が出てくるのかどうか。重なりがきちんとして、その重なり合ったものが厚生省の見解として出していただげるかどうか、それはいつごろ出せるかということをお聞きしたいと思います。
  32. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 流通の段階を追って私どもとしては調査を進めるという計画でございます。  今回の調査につきまして申しますと、実は水産庁のほうから御報告受けましてから日がまだたっておりません。それから私どものほうが調査の中途段階でございまして、一々のつき合わせはまだいたしておりません。しかし、水産庁のほうから十分に御説明いただき、私どものほうの調査が整いますれば、その辺のところの関係は明白になっていくものと考えております。
  33. 杉原一雄

    杉原一雄君 もう一つ、これは水産庁になると思いますが、六月五日の新聞報道によると、水産庁データによると東京湾はシロだと答えが出ているわけです。ところがそうじゃなくて、東京湾には「きれいな航跡」ということで、船が通ったあと、にわかに消えないアワのすばらしい軌跡が描かれている、これは一体何だということで問題提起がされているし、同時にまた「朝日」の先ほどお示しした問題、きょうの社説の中では、東京湾はシロだというのはおかしいじゃないか、どこの魚をつかまえてきたんだという指摘をしているわけです。それはおかしいじゃないか、おそらく東京湾の入り口ぐらいの魚をつかまえてきたんじゃないか、こういうことの指摘もあるわけです。これは、この疑いを解明してもらわなければ困るわけです。その辺のところ、東京湾にすばらしいきれいなアワ立ちが、にわかに消えないそうですね。簡単にすぐアワというのは消えるものだそうです、物理的には。ところが、なかなか消えないアワ立ちがあるというところから考えれば汚染だと、こうなるわけですがね、しろうと考えでは。  その辺のところを、これはそうではないんだというまず解明と、同時に、これは環境庁だと思うのですけれども、いま申し上げたような、ほんとうに東京湾はシロなのかどうか、調査の経過を掌握しておられますから、これを証言してほしいと思います。
  34. 安福数夫

    政府委員(安福数夫君) 今回の調査は、問題解決につきまして十分従来からも注意していた地域でございます。したがいまして、県あるいは県の試験所、そういったものを中心に問題の水域なり問題の対象魚種なり、そういったものを十分に検討、詳細に打ち合わせしまして今回の調査の対象にしたような次第でございます。  東京湾につきましては、東京湾の東部水域、これは千葉県の地先になるわけでございますけれども、それと神奈川県の東京湾の西部水域と、そういうところが一つの対象になっているわけでございます。私ども水産庁立場としましては、遊漁、いわゆる釣りの遊びという、スポーツとしての遊漁もございますけれども、漁業という立場からの一つのアプローチもあるわけでございます。したがいまして、こういった東京湾の東部海域それから西部海域、それぞれ千葉、神奈川そういった地先についての調査が主体になっておるわけでございます。この地域について、ただいま御報告申し上げましたような、PCBが三PPMをこえるそういう対象魚種が出てこなかったということでございます。  そこで問題は、東京湾は一般的に非常によごれているということでございますけれども、このよごれの原因はいろいろあると思うのでございますけれども、私どもの今回の対象は、PCBについての一つの調査であったということは御理解願えるかと思います。  それから東京都の地先の問題でございます。ここはまた一番よごれている、こう一般的に常識論としてあるわけでございますけれども、今回私どもが対象にいたしましたのは、千葉県の地先、神奈川県の地先でございます。東京都につきましても、私どものほらから出します委託について都とも十分打ち合わせしたわけでございますけれども、東京都は別途、東京都の独自の立場調査されまして、これは昨年やられた結果が十二月と本年の一月でございますが、その発表がされてございます。これははるかに小さいPPMの数字しか出ておらない、こういうことでございまして、その方法その他につきましてはあるいは若干違っているところがあるかもしれませんけれども、東京都としてもだいじょうぶである、こういう結果である、こういう発表がされているということでございます。
  35. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) お話しのとおり東京湾、それから伊勢湾、大阪湾というようなところにつきましては、これは有害物質による汚染も相当進んでいるものと実は考えております。そこで、先ほど長官がお話し申し上げましたとおり、早急にそういうところを重点的に有害物質による汚染状況調査はいたしてまいりたい、かように考えております。
  36. 杉原一雄

    杉原一雄君 私は水産庁の、きのうの農林水産委員会長官説明、いまの次長の説明データ等を見る中で、環境庁に一はだ脱いでもらわなければならぬことが幾つかあると思います。  たとえば、先ほど申しましたように、敦賀湾なら敦賀湾のスズキその他は汚染しているんだ、PCBの汚染源は東洋紡だと大体見当はつく。しかし長官はきのう、断定はできないわけですね。断定できないのは、立ち入り検査をしてそれを明らかにすることが、水産庁の権限としてはできないんだというところに問題があります。こうした問題を総合調整して、強力に推進していただけるのは三木長官だろうと思うのですが、その辺のところについての三木長官の見解とか考え方ですね。  もう一つは補償の問題です。水産庁長官は、それも被害者と会社とかけ合ってやらせるということのようですが、そういうことで済まされるかどらか。これもひとつ、水産庁を責めても始まりませんから、環境庁としてどうそれを総合的に判断して具体的に進められるか、これが一つあるわけです。  もう一つは、魚をとらないでほしい、スズキなりボラなり、さまざまな魚がPCBをからだに持っているものだから困るという判断は水産庁が出されることはけっこうですが、とらないようにする、そのことを指示指令ないし禁止、それが自主規制で済まされるものではないと思うのですが、それも水産庁を責めても始まりませんので、環境庁立場から、それはどうなんだろう、自主規制でいいのかどらかということですね。いわゆる損害賠償、それから業者に対する自主規制の問題、業者とは漁民のことですが、その辺のところ、三つの点で長官のほらで統一した政府を代表する見解をお願いしたいと思います。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 汚染源の究明ということでありますが、私は公害問題というものは、政府、また地方自治体、地域の住民というものの三位一体の協力関係というものがないと、適切な公害対策というものは立たないのではないか。そういう意味からして、汚染源の究明についてはやはり地方自治体、県というものが第一義的にこの究明に努力してもらいたい。政府もむろんいろいろな指導を行ないますけれども、一番地方の実情を知っておるものは県ですからね、そういう点で汚染源の究明というものは、第一義的には県のほうでこの点に対しては徹底的な究明を心がけてもらいたい。  第二の漁業の補償の問題については、近く御審議を願いたいと思っておる公害に対する損害賠償の制度にしても、これはいままで前例もない法案でありますので、あまり間口を広げたならば軌道に乗っていかないということで、健康被害に限ったわけです。しかし、これだけではやはり不十分になってくるということで、昭和四十九年度から生業被害についても研究をいたしますという約束をいたしたわけであります。もしそういうふうな、制度的に生業被害に対して救済する方法が考えられれば、これは恒久的な措置でありますが、いま自主規制にしても、それは漁業者にとっては生業被害といわれる損害が出てくるわけでありますから、原因者がもらはっきり究明できれば、そうすればそれは漁業補償もするべきである。自分が汚染の原因をつくったのですから、そのダメージについてもやはり救済の責任が私はあると思うので、この問題はそういう形で解決ができる。  けれども、そこまでいかないつなぎの間ですね、この漁業家の生業を続けていくためには、これは何か融資をしなければならないわけです。融資についてはいろいろな条件、現行のワク内でもできる余地はあるのですけれども、これはこういうことが全国的に頻発するわけですから、水産庁に対しても研究をしてもらいたいということを私は要請をしておるわけでございます。いまは、しかし現行法のワク内でするよりほかないですね。それはいろいろな方法があるのですけれども、それだけでは不十分だという感じもいたしておるので、ひとつ研究してもらいたいということを水産庁に対しては要請をいたしておる次第でございます。
  38. 杉原一雄

    杉原一雄君 それでは次に、水俣現地に立って三木長官が明らかにされた水銀全国調査ということですが、これは環境庁よりも通産がやるべきだと思うのですが、通産がすでにそれ以来御努力なさっていると思うのです。だから水銀全国的な実態調査、中間報告でもけっこうですが、現状はどのような状態になっているか、総トータルでけっこうです。水銀を使っているところ、もうすでに過去に使っていたところ。先ほど御説明の中で残留があってとかいう話が出たのですが、そうした概況について御報告を実はお受けいたしたい。  同時に、私富山ですが、富山では六月二日に、富山湾は水銀はどうだというので、新聞の見出しによると、富山湾はだいじょうぶだ、「処理は適切、漁民も異常なし」という公害部が発表をしているわけですが、東大の宇井さんが、「危険な海」は富山湾が日本一だと書いているのですね、横に。そうすると、県民はこれを読んで非常に迷っていると思うのです。だから、この問題はもう一度掘り下げることにいたしまして、全国的な総点検をなさった通産のほうでは、どういう一つのテーマ設定をして、どういう手だて、いわゆる計画をして調査をされつつあるか、しかも中間はどうなんだ、こういうことをこの委員会で御報告いただけるならば御報告いただきたい、こう思います。
  39. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 水銀を使用いたしました大きなグループとしましては三グループございます。  第一のグループがアセチレン法によりますアセトアルデヒド製造でございまして、これの触媒といたしまして硫酸水銀を使用いたしておりましたが、これの排水中にまざりまして系外に出た問題が、水俣病の原因ではないかということで過去に問題になったわけでございますが、この系統では工場が七社八工場ございまして、私ども会社から聞き取り調査をいたしました結果では、古いところで昭和三年から始めまして、やめましたのが三十九年から四十三年の間にわたっておりますが、その間に大体、会社報告によります未回収水銀量が三百五十二トンという報告を受けております。  ただこれは、先ほど申し上げましたように、この排水をいろいろ排水処理をいたして、その処理後の水を工場外に放流をいたしておりますので、実際に工場外に出た量はこれよりはるかに少なくなるはずでございますけれども、どれくらいが工場回収をされ、どれくらいが工場外に流れ出たかということにつきましては、非常に現在の時点では解明が困難でございます。  それから第二のグループといたしまして、同じくアセチレン法によりまして塩化ビニールをつくっておりました工場群がございます。十五社十九工場ございましたが、そのうち四社四工場が現在も稼働中でございますが、残りは大体昭和四十四年から四十六年の間に石油化学法転換をいたしておりまして、現在はこれは塩化水銀を触媒として使いますけれども、ただいま申しましたように四社四工場を除きまして、十一社十五工場につきましては水銀を使います製法は現在やめております。  この工場が、会社からの聞き取りによりますと、これまでに未回収となっております水銀量は八十三トンでございます。ただこれも、ただいま申しましたように工場外への流出というものではございませんで、このうち相当部分は回収がされておるというふうに考えられます。  それから最後に、苛性ソーダを電解法によりまして製造をいたしております工場群がございます。全国で三十六社四十九工場でございますが、これが四十七年におきまして、年間に水銀が消耗いたしました量が三百十一トンでございます。  ただ、これにつきましては現在稼働中でございますので、当然水質汚濁防止法が適用されておりまして、排水中からは水銀を検出してはいけないことになっております。非常にいろいろな排水処理の方法を使いまして、活性炭による回収、あるいはイオン交換樹脂による回収等々を行ないまして、排水からは水銀が検出されないという形で排水は外に出されております。これは府県等の立ち入り検査等によっても明らかでございます。  そういう状況でございまして、ただいまこれらの工場の総点検をいたしておりますが、すでに稼働をやめました工場につきましては、過去の廃棄物の堆積の状況調査いたしまして、それが流れ出したりしないような面での管理面の対策を考えたいと考えております。それから稼働中の苛性ソーダ工場並びに四つの塩化ビニール工場につきましては、それの排水処理状況、同じく回収いたしました回収物の保管状況、こういったものを現在調査をいたしておるところでございます。  今後の対策といたしましては、特に現在稼働中の苛性ソーダ工場につきまして、今後の新増設は、水銀を使わない隔膜法という新しい技術の方式によります製法工場に切りかえてまいりたい。それから稼働中の水銀法によります工場につきましては、さらに監督を厳重にいたしまして、完全密閉化の方向に、工程のあらゆる部分につきまして密閉化をさらに完全なものにいたしたい、こういうふうに考えております。
  40. 杉原一雄

    杉原一雄君 もうしばらく委員長から時間をいただきまして、最後に公害白書について簡単に質問し、見解をいただきたいと思います。  いま、ちょうど水銀の問題が出たわけですけれども、去年の公害白書の中ではこういう一節があるわけですね。水銀汚染で「少しでも疑わしい地域が認められたときは早急かつ詳細な調査を進め、所要の対策を行なう」、こういうふうに施策の面で明記されておるわけです。それが水俣病に限って焦点を合わせただけでもかなり後手後手に回っているようでありますので、白書ないし施策等につきましても、かなり腹帯を締めてかかっていただきたいという願いと要求をこめて、ことしの白書について質問をしたいと思います。  第一点は、去年の白書と比較いたしまして、特に変わった特徴的な汚染状況あるいは環境破壊の状況等がありますならば、その点だけ抽出して簡単にお願いしたいと思います。
  41. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 汚染状況につきましては、去年と今年と特段に変わったというわけのものではございません。一般的に申し上げますと、大気あるいは水質につきまして、一部には改善の傾向がございますが、総じて申し上げますと、大気では、窒素酸化物や光化学オキシダントなどは依然として増加の傾向にございますし、また水質につきましても、都市河川とか湖沼等につきましては富栄養化等の汚濁の進行が見られるという状況でございます。  なお、ことしの白書におきましては、こういった一般的な汚染状況を述べましたほかに、特にPCBでございますとか、残留性農薬でございますとか、一度環境中に放出されますとなかなか分解しない、さらに食物連鎖を通じて濃縮していくといったような根深い蓄積性の汚染の問題とか、あるいは自動車、航空機、新幹線等に伴う騒音被害、あるいは生活利便のうらはらの問題として生じてくるプラスチックとか中性洗剤といったものの汚染につきまして、特別に一節をさいて叙述をいたしております。
  42. 杉原一雄

    杉原一雄君 その次は、白書の中にも提起されておりますけれども公害を語り公害を憂える者にとって大きな導きとなり激励を受けたのは、四大公害裁判だと思うのですが、それに対する評価、同時にまた、それをめぐる住民運動の評価等を環境庁はどう受けとめておるかということを要約してお願いしたいと思います。
  43. 船後正道

    政府委員(船後正道君) いわゆる四大公害裁判は一応終結いたしたわけでございますので、ことしの白書では、このあらましをかなりのページをさいて述べております。そうして、これらの公害事件におきまして、いずれの判決も、因果関係、責任、共同不法行為、あるいは損害賠償につきまして新しい考え方を示したのでございますが、特に企業公害防止に対する責任につきましては、なし得る最善の防止措置を講ずるだけでは足らず、いかなる手段をとっても被害者を出すことは許されないというきびしい姿勢をとってその責任を追及しておりますし、同時にまた、行政側におきましても反省をする点があったという点について評価いたしております。  また、住民運動につきましては、特に地域開発に関連いたしまして、各地で環境をめぐる住民運動が活発になってきておりますことを述べまして、地域開発による環境破壊に対する住民の意識にはきびしいものがある。この住民の意向を尊重して開発を進める、開発を考えるということが、基本的に重要問題になってきたということを指摘いたしております。
  44. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうしますと、第一の去年の特徴的な汚染あるいは破壊、そうしたこととあわせて裁判の問題等の評価が局長からあったわけですが、こうした一、二の現状と並びにそうした事象に対する評価とを含めて、それがことしの施策の面で特に、目玉商品ということばをよく使いますが、特徴的なものがどこにどうにじみ出ているか、その点を御指摘いただきたいと思うのです。それで私の質問を終わります。
  45. 船後正道

    政府委員(船後正道君) ことしの白書におきましては、ただいま申し述べましたような環境汚染につきまして客観的に事実を述べ、これを分析し、また、そのよってきたるところが経済成長や地域開発のあり方において問題になるというような反省に立ちまして、今後の環境行政を進めていく上につきましての課題として、規制の強化、これはもう申すまでもなく環境行政の基本でございますが、環境基準を人の健康に害かないようなきびしい水準に改めるとともに、排出規制につきましても濃度規制をさらに進めて、総量規制というものの導入をはかる必要があるというような点を述べ、さらに、公共サイドにおいてなすべき下水道、廃棄物処理等の事業をさらに促進する、また環境保全関連の調査研究、これはいろいろなデータの集積も分析も不十分でございますし、あるいは生態系を含む環境全般のメカニズムの研究もまだ緒についたばかりでございます。さらには公害防止技術とか、あるいはいわゆる無公害生産プロセスといったものの研究が必要であるということを述べております。  また、すでに公害によって被害者が発生しておるという面につきましては、これを早急に救済する。基本的には民事の問題でございますけれども、原因不明等非常にむずかしい問題がございますから、制度的に被害者を救済する問題を取り上げるというようなことを述べておるところでございます。
  46. 杉原一雄

    杉原一雄君 長官がきのう朝と晩と歩かれたわけですからね。それは現象的には小さな問題かもしれませんが、そこは政治家の歩かれたことですから、その中から直観的に、車の問題で頭にきたと思います。その辺のところを、歩かれた前後を通じて、まあ一時間くらい歩いておられるわけですか、新聞も御丁寧に報道しておりますから、それから得た環境庁の守り本尊としての長官の実感というもの、生々しい実感というようなものは端的に言ってどういうことであったか、それをひとつ、非常にさまつなことのようだけれども、ぼくは非常に大事だと思いますのでお伺いしたいと思います。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日本の場合はとにかく平地面積が狭いですからね。だから、われわれも外国の都市も歩くわけですけれども、非常に車というものが、統計を見ても、一キロ平方で日本の百五十台に対して、アメリカは十七台という統計の数字が出ている。そういうふうなことからくる交通の混雑というものが、よその都市に比べて非常に混雑の度合いが多い。その上、道路に比べて自動車の台数というものが、三割ぐらいふえているわけですからね、来年がきたら三千万台にもなろうかというわけですから。そういう狭い国土に対する自動車の量的な問題がありますね。それからくる排気ガスも、目には見えないけれども、これはやはりはだに感ずるものは、非常なやっぱり汚染がある、汚染を感じますね。それは排気ガス、自動車の台数も多い上に、いろいろ汚染の原因というものは複雑ですね、諸外国の都市に比べて。工場地帯なども、先進国の都市にはあまりそんなに都市の中に工場というものがないですからね。そういう点で非常な大気汚染というもの。  もう一つは騒音ですね。いろいろ高速道路の沿線の人たちから騒音に対する苦情が非常に多いんですね。騒音というものは、将来は、自動車自体もできるだけ騒音を少なくする。あるいはまた道の構造でも、タイヤと道路との摩擦面から起こる。これも何か道路の技術の面から改良の余地はないのか。また道路をつくる場合にも一ぱい一ぱいですからね。これに対してもう少しゆとりのある緑地帯を設けるとか、あるいは街路樹の林のようなものをつくるとか、そういうことも考えてみる必要もあるのではないか。  根本的には、将来における都市の交通というものは、一体このような野放しでいいのか。ある規制が必要となってくるのではないか。車の混雑あるいは大気の汚染、こういうものが、ここでただこれはたいへんだなというのでなしに、根本的に考えてみる問題を日本の都市交通というものは含んできておるというのが実感でございます。  閣僚も全部きのうはノーカーで、そしていろいろな点で、われわれ日常自動車で歩いていますと感じられない面もはだで感じた。一月だけのことですから、それはたいした意味はないようでもありますけれども、行政の責任にある者が一日自動車というものについて考えてみるという機会は、一つの意義を持ったと考えております。
  48. 金井元彦

    ○理事(金井元彦君) 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後零時四十五分再開することとして、暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後零時五十五分開会   〔理事杉原一雄委員長席に着く〕
  49. 杉原一雄

    ○理事(杉原一雄君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  50. 工藤良平

    工藤良平君 私は、大分の大気の汚染並びに水質汚濁の問題に関連をいたしまして、公害行政の問題についてごく二、三質問いたしたいと思います。  まず最初に、先日、五月の十日に大分の、これは従来から進出をしてきております住友化学の農薬のパプチオン製造工程の際に、タール貯留タンクから毒性ガスが発生をしたという事件がありましたが、この点について、これは通産省としてどのように把握をしていらっしゃるか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  51. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 住友化学の大分工場におきましては、昭和四十二年の三月から果実用の殺虫剤といたしまして、パプチオンという商品名の農薬の製造を行なっておりますが、この農薬の使用が主として夏場でございまして、また、貯蔵いたしますと品質が低下いたしますので、大体需要期に製造するということでございまして、従来、毎年十月から翌年の四月までは製造をやめておりまして、五月から夏場の間製造する、こういうことにいたしておったようでございます。  このパプチオンの製造工程では、従来もトラブルは生じておりませんけれども排水のBODの負荷が大きくございましたので、従来は総合排水をやっておりましたが、特に今度このパプチオン用の排水につきましては専用の排水処理をいたしたいということで、専用の排水処理施設をつくったのでございます。  それが今回、五月から操業を再開するにあたりまして、この排水処理施設を初めて動かしましたところ、設計のミスによりますものか、あるいは操作上のミスによるものか、原因はまだはっきりいたしませんけれども、廃液をためておきますタンクが、温度が急に上がりまして、内部の廃液が圧力が上昇いたしまして、タンクの上部につけてございましたふたが飛びまして、中の有毒ガスが飛散をしたということで、地域住民の方に被害を及ぼしたということが事件の概況でございます。  この原因等につきましては、目下県警において原因を究明中でございます。  なお、被害者の方は、三十一名の方が急性咽頭炎、のどをやられましたが、そのうち七十歳になる方は入院をされまして、二十日まで入院をしておられたようでございます。五月の三十日現在で、なお二十名の方が病院に通院しておられる、こういう状況のようでございます。
  52. 工藤良平

    工藤良平君 そのいまの御報告は、県の報告でございますか。それとも、企業のほうからも報告をとって、総合的に検討した結果でございましょうか。
  53. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 会社側から事情を聴取したものでございます。
  54. 工藤良平

    工藤良平君 これは長官も聞いておいていただきたいと思いますけれども、この事件が発生をいたしまして、県といたしましては、直ちに住友化学の大分工場に対しまして操業停止の処分をやると同時に、そのガス発生の原因が会社側の大きな初歩的なミスであったということから、すでに御存じと思いますけれども公害犯罪処罰法三条一項、さらに刑法二百十一条の業務上過失傷害違反ということで告発をいたしておるわけであります。  この措置につきましては、私はたいへん県としても迅速な措置であったと、このように考えているのでありますけれども、問題は、告発までされましたこの住友化学が、その後、各党の調査なり私ども調査段階で、いろいろと企業報告に大きな誤りがあったという事実が次々に露呈をいたしているのでありますけれども、この点については通産省としてどのように把握をしていらっしゃるか、お聞きをいたしたいと思います。
  55. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この事故のあと、会社を招致いたしまして、事故の状況、それから今後の対策等につきまして事情を聴取いたしましたけれども、ただいまお話の、うその報告等があったということにつきましては、私どもつまびらかにいたしておりません。
  56. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、ごく二、三の問題ですから、私明らかにしていきたいと思いますが、会社側は当初、このガスの発生は十日の夜七時四十五分ごろ、大体一分間ぐらいガスが出たということを報告をしているわけであります。  しかも、この貯留タンクによる一連の工程というものは、昨年の七月十五日に新設をいたしました試験操業の結果、これを今後の工場のパプチオン製造工程の公害対策施設として行なうということで、すでに実験済みとして実施をされ、今日までそれが使用されてきた、こういうことが報告をされていたのであります。  しかし、その後の私ども調査によりますと、この一分間というガスの発生時間というものは、地域の住民の人は、夜の七時十分ぐらいからガスのにおいが非常にひどくなって、目まいを生じたり吐きけを催す人たちが出てきた。再三にわたりまして、その間に会社側に通告をいたしてきているようであります。そして、夜八時三十分過ぎにようやくそのガスのにおいが若干減少した、こういうような経過が明らかになりました。その後、会社側といたしましても、やはり相当長時間、これが発見されずにガスが放出をされたという事実が明るみに出てまいりました。  さらに、これが昨年の七月十五日に試験実施をしたという、それ以降使用をしてきたということでありますけれども、これもある政党の調査の結果、その際に、五月の十日の日に初めて使用したということが明らかになり、さらに、初めて使用するにもかかわらず、だれも係員がそれについていなかったという事実が明らかになってまいりました。  このような事実というものを私ども検討してみますと、告発された企業が、その後において住民の追及や、あるいは他の第三者の手による追及の中でそういう事実を明かるみに出さなければならないという、このような企業の姿勢、私はこのことに非常に大きな疑問を持つのでありますが、こういうようなことが、通産省として今日までいろいろな業者を扱ってまいったと思いますけれども、今日までそういう事例があったか。あるいは環境庁長官にもお伺いいたしますけれども、告発までされた企業がこのような事実をひた隠しに隠しながら、なおそのような態度で出てくるということが、公害がこれだけ全国的な問題になった今日、そのような企業があるのかどうか。その点についてまずお伺いをいたしておきたいと思います。
  57. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 事故の原因等につきましては、現在県警のほうで検討中でございますので、いずれ明らかになると存じますが、通産省としましては、公害の防止なくして企業の存立はあり得ない、公害防止が企業が操業します大前提である、こういう考え方のもとに、あらゆる企業に対しまして、かねがね公害防止、操業上の注意につきましては、万全の注意を払うように指導をいたしておるところでございますが、今回のような、設計ミスによりますか運転ミスかわかりませんが、事故を起こしましたことにつきましては、非常に遺憾に考えておるわけでございます。  なお、御質問公害罪の適用に関しましても、事例としては今回が最初のように私ども承知いたしております。
  58. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 詳細な個々の、個々といいますか、住友化学の問題については詳細な、いまの報告と実際とが違っておったというような点については、私も承知しないのであります。  しかし、これからの企業というものが、そういう公害問題なんかを起こしたときに、それをできるだけ事実を隠蔽しようという態度、あるいはまた外部に対して事実と違ったような報告をするということは、企業経営者のモラルに反する。これは、そういうことの起こらないようにするのが第一でありますが、起これば、事実を明らかにするということが経営者としての良心であると考える次第でございます。
  59. 工藤良平

    工藤良平君 その後この問題は、そのような虚偽の報告がだんだん明らかになるにつれて、県といたしましても具体的にその原因究明に当たっておるわけでありますけれども、私どもが聞き、また調査をした段階におきましては、ごく初歩的な、貯留装置の中のバルブの締め忘れにその原因があるということを、会社側も実は報告をしておるところであります。  ところが、その後、県が九州環境管理協会に委託をいたしまして、詳細な調査をしたいということで立ち入り調査をいたしておるわけでありますが、その際に、貯留タンクの中にあります生タールを採取いたしまして、その実験をしたい、こういうことで申し入れをいたしたようでありますけれども、その点についても、生タールがほとんどそのタンクの中にはない、こういうことから拒否をしてきた。ところが、生タールでなければ実験の結果がわからないということから再度要求いたしましたら、今度は簡単に生タールを提供したという事実も明らかになってまいっておりまして、非常にこの点は、私は企業の姿勢というものにたいへん大きな疑問を持つのであります。  この点もう一ぺん通産省にお伺いいたしますけれども、この貯留タンクというのが、バルブの締め忘れということだけでこのガスが発生をしたのか、それとも、装置そのものについて性能上の欠陥があるのではないかという疑いも出てくるのでありますけれども、この点、この施設というものは全国でも初めてなのか。初めてであるとするならば、通産省としては当然これまた十分に承知をしていなければならぬと思うのでありますけれども、その点についての把握をなさっていらっしゃるかどうか。その点についてお伺いをしたいと思います。
  60. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 設計上のミスがあってふたが飛びましたものか、締め忘れであったかということにつきましては、現に県の警察のほうで調査中でございますので、その調査を待ちたいというふうに私ども考えておるところでございます。  なお、これと同様な施設がほかにもあるかどうかにつきましては、ちょっとただいまのところ調査をいたしておりません。
  61. 工藤良平

    工藤良平君 これは公害対策の施設としてつくられたものか、パプチオン製造工程で従来からあったものなのか、その点についてはおわかりになりませんか。私どもの聞いた範囲では、住友化学としては、昨年の七月の十五日に試験操業をやったということは、初めて私の工場でこれは設置をしてやることになったのですというように聞いているわけでありますけれども、そうだとするならば、当然通産省としてもある程度把握をしているのじゃないかというように私は理解をしたわけですが、その点はどうでしょう。
  62. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この施設は、このパプチオン工程の排水処理するための施設ということで特別につくりましたもので、従来は、この排水をほかの工場全体の排水処理施設のほうへ流しまして総合排水処理をいたしておったものを、特にこのパプチオン工程の排水につきましては、特別の念入りの排水処理をするために、それ専用の排水処理施設としてこの設備をつくったというふうに私どもは聞いております。したがいまして、生産工程と申しますよりも、排水処理の工程に当たるわけであります。
  63. 工藤良平

    工藤良平君 全国的にこのパプチオン製造をやっている工場がございますか、まだほかに。
  64. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) ちょっとパプチオンの、他社でも製造しておるかどうかについては、いま私承知いたしておりませんが、後ほど調査いたしまして御報告申し上げます。
  65. 工藤良平

    工藤良平君 さっきお話がありましたように、周辺の人たちが、かなり今日もなおからだの異常を訴えておるような状況でありますから、相当有害な、有毒なガスが放出をされたということが考えられるわけであります。しかも、当初一分と言っておりましたのが、約一時間半近くそのガスが放出をされ、その間に何回かの住民からの通報を受けていながら、その原因がつかみ得なかった。  私ども参りましたときも、タンクの中に蒸気を送らなければならない、その蒸気のバルブがしまっておったから、貯留タンクの温度が急激に上がってガスが発散をしたんだ、ところが、その貯留タンクの一番上にある上のバルブが完全にあいていたということなんですから、これは全く故意にやったのか、初歩的なミスといってもあまりにもひどすぎるというように私どもは実は思うのでありますけれども、しかも五月十日が初めての運転の日であったとするならば、なおさらのことたいへんな私は問題だと思うわけであります。  今日まで住友化学の有毒ガスの発生というものは、地域の住民から相当指摘をされてきたところであります。したがって、そういう意味からいいましても、私は、この種の新しい設備をつくったとするならば、相当きびしい点検というものが必要ではなかったのかという気がするのでありますけれども通産省は、こういう問題については実際にはあまり把握をしていない、把握をする必要はない、こういうことになるわけでございますか。その点はどうでしょう。
  66. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) こういった工程につきましては、化学工場はもちろん専門家がそろっておりますし、常にそういった工程の運営におきましてミスがないように、監督を工場自体がやっておるはずでございますし、また、その設計につきましても専門家が設計をいたしますので、このような弁が飛ぶといったような設計上のミスがあるということは想像されないのでございますけれども、本件の場合には、何らかの事情でタンクの中に入っておりました内容物が異常に熱が高くなりまして、そのために中が分解をして気圧が上がりまして、ふたが飛んだと、こういうふうな報告でございまして、どういう事情でタンクの内容物が熱が高くなったのか、その辺の事情はまだわからないのでございますが、化学工場の一般的な安全につきましては指導はいたしておりますが、別に、法律によりましてこの設備の許認可等をやっておるわけではございませんで、当然化学工場としての良識によりまして、設計等はもう二重にも三重にも安全装置をつけまして、こういった事故のないような設計になっておるはずでございますし、そういうようなふうに私ども期待をいたしておったわけでございますが、今回の件につきましては、事情をもう少し原因を調べないといけませんけれども、従来安全だと思っておったものがこういう事故を起こすということになりますと、非常に問題だというふうに考えておる次第でございます。
  67. 工藤良平

    工藤良平君 もちろん、いまこれは告発されておりますから、警察が入りましてその原因究明に当たっているわけでありますけれども通産省としても当然この種の問題については、初歩的なミスか、あるいは故意にバルブをあけてそういうことを予測をしていたのかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、これらの問題については通産省としても相当詳細な調査をする必要があるのではないかという気がいたしますが、この点について通産省として実際に調査をされるかどうか。ぜひ私はしていただきたいと思っているのですけれども、その点について御見解をいただきたいと思います。
  68. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 現在警察のほうで調査中でございますので、そちらの調査が終わりましたらば、御指摘のように、私どものほうとしても調査をいたしたいと思います。
  69. 工藤良平

    工藤良平君 そこでもう一点、私は住友関係でお伺いをいたしたいわけでありますが、先日、全国的に水銀調査実施をいたしておるようでありますが、福岡通産局から住友の水銀の状態についての調査がなされたようでありました。  私どもの承知しているところでは、乙津川、いわゆる住友の排水口の近くでありますけれども、この乙津川の排水口付近から異常に高い濃度の水銀が検出をされておりまして、これはすでに四十二年にもそういうことがあったのでありますが、その後あまり問題にされなかったわけですけれども、さらにことしの二月の県の調査等におきまして、高濃度の水銀が出ているということが指摘をされてまいりました。  先日、通産局のほうから調査に参られたようでありますけれども、その担当官によりますと、現在のところ住友の水銀については問題がない、このような御指摘がなされておるようでありますけれども、そのことと、現実に河川がよごされておるという現状を見ますと、私どもはどうも納得ができないような気がするのであります。その点についての御報告を聞いていらっしゃるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  70. 青木慎三

    政府委員青木慎三君) ただいま御指摘の件は、このたびの第三水俣病問題の重要性にかんがみまして、水銀の使用工場の実態を各通産局で立ち入り調査をいたした際の問題でございます。  福岡通産局は、去る五月の二十九日に水銀使用工場でございます住友化学大分製造所に立ち入り調査を行なったわけでございます。この立ち入り調査の結果によりますと、同製造所で処理しています水銀を含む排水はキレート樹脂による吸着処理を行なっておりまして、現在の排水処理の方法については問題がないのではないかと判断されるわけでございます。  なお、大分県の調査では、四十三年九月、同工場排水口直下の乙津川底泥から最高九・七七PPM、最低〇・一三一PPM水銀が検出されております。また本年二月の調査では、排水口直下の乙津川の底泥から一八・五三PPM水銀が検出されておるという事実がございまして、こういう事実がございますので、この水銀の問題があることは十分承知しておるわけでございます。したがいまして通産省といたしましても、乙津川の浄化につきましては、この工場が最大限の協力を行なうように指導を行なってまいる所存でございます。  ただ、伝えられました点は、住友化学の大分製造所の排水処理設備と排水を調べた結果、この水銀排水はキレート樹脂処理で吸着しておるので、その排水の方法自体には問題がないと、こういうことを申したようでございます。しかし同時に、電解工場から出ます塩水マッドの処理につきましては、現在コンクリート槽の堆積場に入れているだけでございますので、いろいろその辺には問題があるというようなことも同時に指摘しているというような報告でございます。
  71. 工藤良平

    工藤良平君 いまお話しのように、これは四十二年に大分県では干害がありまして、奥岳川のカドミウムとこの乙津川の住友の水銀が非常に問題になったことは御記憶あると思いますけれども、四十二年の調査で九・七PPM、ことしの二月の調査で、これは県の調査でありますけれども、一八・五三PPMという水銀が検出をされておるわけでありまして、汚染の度合いというものは、四十三年からいたしますと、かなり高いものになっているのではないかと私は理解をいたしているわけです。  したがって、今回の調査の当日係官が発表した現在の水銀使用量、さらにスラッジ処理も問題ないということを簡単におっしゃるということは、何か私ども全体に住友の水銀については問題がないという印象を与えるのでありますけれども、現実はやはり相当高い汚染の度合いというものを示しているということを考えますと、これらについてそう軽々にだいじょうぶという私は保証はないのではないかという気がいたしますので、この点についてもきびしくひとつ通産省としての指導体制を確立していただきたいと思います。  そこで、これは長官に私お伺いいたしますけれども、住友の今日まで大分県内における公害行政に対する企業の姿勢というものは、極端に言いますと、行政をあまりにも無視した状態が続いたのではないかと私は思っているのであります。  たまたま、これは住友化学に直接関係はございませんけれども、西日本新聞によりますと、五月の十七日に、これは住友金属の社長が、日本は非常に公害ヒステリーだ、いまの日本の環境基準というものはヨーロッパの環境基準からすると数倍きびし過ぎる、こんなことでは問題にならない、公害何するものぞと、こういうような発言を、極端に言いますと実はなさっているのでありますけれども、私は、どんなに一生懸命になって公害の問題を行政が叫んでみても、企業自身がこのような状態では公害問題の解決にならないような気がいたします。  したがって、今日まで住友の大分工場が対処してまいりました姿勢というものは公害に取り組もうという姿勢ではないと私は理解をせざるを得ないと思います。この例をとるまでもないと思いますけれども、この点については環境庁長官として、特に住友の本社に対して、このような姿勢で今後公害に取り組むとするならばたいへん大きな問題が起こってまいりますので、ぜひこれは企業に対して何らかの警告なり、文書をもっての通告をする必要が私はあるのではないかという気がするのでありますけれども、その点に対して長官の御見解を伺いたいと思います。
  72. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 住友化学の全操業に対して操業の中止を命ずる、告訴をされた、これ以上の私は警告はないと思っております。会社側としても、これは今後の公害対策に対しては、当然の経営者としての、全国にもあまり例がないことですから、今後公害防止に対して一段と、企業はこの不名誉な処分に対してこたえることが当然と思ますが、われわれとしてもそういうことは申すまでもないことだと思いますよ。これを機会に、一段と公害防止に会社側も熱心になることを期待するものでございます。
  73. 工藤良平

    工藤良平君 もちろん、この大分の住友工場に対して県が操業停止をやり、告発までしてまいりました。それはきびしい処断を受けるでありましょう。しかし住友金属の、これは直接の関係はありませんけれども、住友金属社長が公言をしているように、金さえ出せばいいんだ、公害が起ころうと、まず企業の発展が優先だと、こういうような考え方でいるとすれば、たいへん大きな問題があると思います。  住友の大分工場だって、告発された以降においていろいろな問題をひた隠しに隠してきたという事実が明らかにされても、なおかつそれでも隠そうとしている。このような姿勢に対しまして、裁判とか、あるいは結論が出て罰金を二百万円出せばよろしいということではなくて、やはりその姿勢を直していく、企業を預かる責任者立場というものも、考え方を変えていく必要があるのではないか。そういう大きな見地からの長官指導というものも私は必要ではないかということを御指摘を申し上げているわけなんです。  そういう意味から、私は今日までずっと見ておりますと、この住友の公害に対する姿勢というものは決してよくない。それは本社の幹部のそういう思想というものが貫かれているのではないかという疑いまで持たざるを得ない。したがって、私はただ単に事象をとらえて、その問題を告発したからこれで終わりということではなくて、全体的な将来における企業に対する指導として、当然なすべき方策というのがあるのではないか、そういう意味からそういうことを申し上げているわけであります。ぜひ長官としてもそういうような御理解をしていただきたいと思います。どうでしょうか。
  74. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、これからの企業の経営者が、公害の被害を出しておいて、金を出せばそれで問題が解決するという企業者は、近代的な化学工業を経営しておった一流企業の者がそういう考え方を持つということは、信じられないんですよ。そんなものじゃありませんよ。健康や生命は、金でどうして解決するんですか。そういうものじゃないですよ。やはり、人命尊重ということに徹することが新しい企業経営者の、もうこれは一つの基礎になければならぬことでありますから、どういうことを公害問題を引き起こした後に長谷川社長が発言したか、私は承知いたしませんが、大きな意味において、この公害防止ということに対してはわれわれとしても強力な指導を行なっていきたいと考えております。
  75. 工藤良平

    工藤良平君 住友の問題はその程度にいたしまして、時間がありませんから先を急ぎます。  先般から三木長官にはたいへん心労をわずらわしているわけでありますけれども、別府湾の汚濁の問題につきまして、今回大分川のPCBの問題が、水産庁調査結果からいたしまして、全国最高の一三〇PPMというようなたいへんな濃度のウナギが発表されたわけでありますけれども、これにつきましても、もちろん県といたしましてはいち早く対策を講じまして、すでによごされたどろのしゅんせつ等もいたしておるようでありますが、ただ、これらを全体的に見てみまして、いまの各地方自治体の公害行政、それぞれ一生懸命努力をしておるということは認めますけれども、私はどうもまだまだ片手落ちのような気がするのであります。  これは公害行政全体として、特に基本法十三条で指摘をされております「監視、測定等の体制の整備」という意味から申し上げまして、水質の汚濁あるいは大気の汚染というものが、局地的な問題から全国的な問題になってきたということで、法改正にもそういうふうな措置がとられているのでありますけれども、ただ企業との防止協定あるいは設備等の事前申請、あるいは施設の改良あるいは変更、廃止という問題についての対策につきまして、これは行政的なサイドからの対策というものはとられておるのでありますが、ただ問題は、はたしてそれでは、点検、立ち入り調査等について十分なる措置がとられているかどうかといいますと、私は、この点についてはむしろ非常に片手落ちのような気がするのであります。  そういう意味から、特にこの基本法十三条に基づいた体制の整備ということについて、環境庁、さらには各地方自治体におけるその整備の長期的な対策等についてお考えがあれば伺いたいと思います。
  76. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 公害の問題につきましては、やはり予防というものが必要でございます。そのためには、常時監視というものが不可欠でございますので、私どもそのような観点から、公共用施設その他につきまして県におきまして監視計画を樹立いたしまして、その計画に従って監視をするように指示をし、指導をいたしておるわけでございます。  ただ、二つ問題がございまして、一つは、常時監視というものの実をあげるためには機械化というものがぜひ必要でございますけれども、水の点につきましては、必ずしも十分にその機械が開発されておりませんので、現在、人力によって行なっております。そういう関係から人手が足りないという点もありまして、必ずしも十分監視をしているというふうには言い切れない面も確かにございます。  公共用水域につきましても、常時監視といいましても毎月一回というのが最大でございまして、もうそれ以上はなかなか困難であるということもございますし、各工場排水等につきましては、これは毎月というわけにもまいらないで、重点的に調査をするということにいたしております。私どもは、できるだけ早く機械化による常時監視というふうに持っていきたいと思いまして、その開発を急ぎ、それができますならば、将来は少なくとも各企業排水口にはそういう機械を設置させるというようなことにまで持ってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  77. 工藤良平

    工藤良平君 特に水質の汚濁の問題を見ましても、私、先日もこの委員会でも指摘をしましたけれども、たとえば別府湾の場合に、CODとかいろいろな関係からいたしますと非常にきれいになったというデータを県あたりは出す。それは比較をいたしてみますと、時期その他において非常に大きな違いがあったり、比較このものが非常に問題が出てくるわけで、調査の頻度あるいは定点の問題、今回のような魚の調査にいたしましては、検体を一体幾つとるのかという問題もありましょう。こういう問題は、いまお話しのように、検査の機能あるいは設備の問題、そういうものがこれから相当長期的にわたりまして整備されなければならないと思いますけれども、はたしてそれが、それでは一体いつごろできるのか。  基本法の中では常時監視をするということにはなっているけれども、そういう体制というものを法律でわざわざ改正してそれを追加をしてきたけれども、その体制というのはなかなか充実されない。しかも、汚染というものは局地から全国的に大きく広がってどうにもならない。結局、あと追い行政を直すために基本法に基づいたいろいろな関連の法案をつくってはきましたけれども、それに追いついていかないというのが現在の実情ではないだろうかと、このように実は思うわけであります。  そして、そういう整備を急ぐと同時に、さらにもう一つ問題は、いま申し上げましたように、それぞれ地方自治体における機構を見ましても、行政官の配置というものは非常に進んでおりますけれども、それじゃそれに伴った技術家が配置されているのかどうかということになりますと、これはさらに大きく後退をしているのではないかという気がいたします。ですから、立ち入り検査をするといたしましても、それはごく専門的になりますと、これはむずかしい問題かもわかりませんけれども、ある程度それをチェックできるような体制というものは必要ではないのだろうか。それを行なっていくために一体どうしたらいいのか、そういう展望についても明らかにしていく必要があるのではないかということを、私は近ごろ起こってまいります事象をとらえてみましても痛切に感ずるのでありますけれども、その点についてもう少し説明していただきたいと思います。
  78. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 常時監視の充実につきましては、おっしゃるとおり、まず新しい機械の開発ということがございまして、これにつきましては通産省とも相談をいたしまして現在進めておるわけでございますが、私どものめどといたしましては、私どもがぜひやりたいと思っております総量規制、これを実行に移すためには、各企業排水口に排水状況調査を自動的にできる機械の設置というものが不可欠と考えております。そこで、そういうような体制にできるだけ早く持っていくということをめどにいたしまして、現在開発を急いでいる次第でございます。  それから機器の整備等につきましては、現在、大蔵省とも相談をいたしまして、年次計画をもちまして整備をするという方向で、これも大体めどはつきつつあるというのが現状でございます。  それから三番目の人の点でございますが、おっしゃるとおり、急激に需要といいますか、仕事がふえましたので、それに対応する人間、また、人間の質というものが問題になりまして、これは地方において研修をするのみならず、私どもにおきましても研修所を設立いたしまして、その研修所におきまして重点的に研修をするということを現在考えておるわけでございます。ただ、なかなか新しい技術でございますので、十分な技術を短時日において身につけるということは非常に困難でございますので、私どもはなるべく反復いたしまして、できるだけ多い人数の者が研修を受け、また、その研修を受けた人が地方に帰りまして講師になって研修をするというような体制の整備を一日も早くはかりたいと、かように考えておるわけでございます。
  79. 工藤良平

    工藤良平君 長官の時間もあるようですから、私これで切り上げたいと思いますけれども、最後に長官にお伺いいたします。  さっき私が申し上げましたように、これからの公害対策というものについて、特にあと追い行政ではなくて、公害をいかに事前に防止をするかということが公害行政の最大の眼目であるということを私は先日もここで申し上げてまいりました。その対策というものを一体どうするのか。行政サイドでの体制はかなり整備をされつつありますけれども、特に企業というのは非常に種々雑多でありまして、むずかしいと思いますけれども、むずかしいだけに、私は技術的な面でどのようにチェックをしていくか、その技術を伴った体制というものが公害行政の中に一本入ってこなければいかぬという気がいたします。  現在、環境庁中心にいたしまして全国的に講習等も開きまして指導はしておるようでありますけれども、そういうことでは、とにかくこれだけ広がった公害を事前にチェックするということは非常にむずかしい問題ではないかと思いますので、この点に対する積極的なこれからの体制整備、この点について三木長官の御見解を伺って私の質問は終わりたいと、このように思います。
  80. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 環境行政の中には二つの面がある。過去の高度経済成長からくるいろいろな有害有毒物の蓄積があります。これは除去しなければならない。  もう一つは、将来の環境保全という問題がある。これについては事前に、開発なら開発工場の立地なら立地がどういう環境に影響を与えるかということを十分に調査、評価を行なって、そして工場の立地とか開発とかいうものが行なわれる前に、環境に非常に悪い影響を与えるものはその開発はやめなければならぬし、あるいは開発の方法を変えなければならぬ。  これは全国的にそういうアセスメントというもの、これには一々みな大なり小なりの開発に向かってわれわれは関与することはできないですが、大きなやっぱり手法といいますか、アセスメント、これは確立する必要がある。大きな国家的な開発に対しては直接関与をする。そういうふうな一つの、開発する場合のアセスメントの手法というものは、まだ確立されていないと私は思いますね。  それをささえるものは、もう自治体も企業政府も、みな環境というものはお互いに守っていかなければこれはたいへんなことになってくるぞということで、環境の保全、あるいはよき環境をつくるといいますか、そういうことがすべての人間活動の大きな前提になるんだということで、そういう意識のものにこれからの地域開発にしても観光開発にしても産業開発にしても行なわれるということでなければ、どうしてもあと追いになるのです。あと追い行政になる。観光開発が行なわれた、これはたいへんだ、これをあとから追っかけていけば、そのときには手おくれになっているだろうと思う。だから、ほんとうに日本の環境の管理というものは、全国民が環境を守るということが何にもまして大事だということ、そういう国民的なささえがなければ、これはあと追いになりますよ。  国民の意識にも変化がありますね。昔のように成長の謳歌論者でないですからね。むしろ、その速度はおそくなっても環境というものは守ってもらいたいという大きな変化を遂げつつありますから、そういう声が地域住民のいろいろな形の運動となってきてあらわれているわけですから、これはもう、一つの全国民的な、党派も越えた一つの環境の保全ということを前提にして日本の開発が進められていくというような、そういう意識を確立するということがすべての前提である。そういうように環境行政というものをわれわれも指導もしたり、あるいはまた理解も求めたり、そういうことにしてやってまいりたいと考えております。
  81. 内田善利

    ○内田善利君 私もPCB問題、水銀問題について質問したいと思います。  いま三木長官からお話を伺ったわけですけれども、私は水銀問題、また四大裁判、さらにPCB問題と、ここで環境庁長官三木副総理であるときに、私たち日本国民がほんとうに日本列島の周辺を、いままで祖先以来ずっとたん白資源として漁業にその食糧を求めてきた、ここでほんとうに漁業を失わないでいくか、日本の近海にまだまだ工業をつくっていくのか、これをはっきりしないととんでもないことになるのじゃないか。先ごろ予算委員会では石油たん白が問題になりましたけれども、石油たん白どころじゃない、日本周辺の大事なたん白資源が失われつつある。こういうときに、抜本的な対策を講じて公害を撲滅しなければ、たいへんなことになるのじゃないか、このように思うわけです。  それで、いままでの公害問題はいつも住民の告発か、あるいは熊大とか、いろいろな大学の先生方が忙しい研究、教育の中から調査した、こういったことがデータになって、そしてあわてて行政が動く。こういう姿勢はもうこの際改めていただきたい、このように長官に提言したいと思うのですが、この点いかがお考えでしょうか。
  82. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 内田さん、その点については私、考えが違うのです。大いに大学の研究者、これはもし国との、政府との関連があるとするならば、予算をしっかりつけて研究してもらう。やはり科学者の協力を得なければいかぬ。  いろいろ公害問題、たとえば有機水銀にしても、微量蓄積という問題を少しおろそかにし過ぎたのです。直接に有機水銀の被害ということは医学的にも証明されておる。それが魚を通って微量に蓄積することが人体にどういう影響を与えるかということの科学的な解明というものは、ほんとうに究明されたとは言えない。  だから、新しい問題ですからね、公害問題は。日本でもやかましく言い出したのはここ数年ですからね。新しい問題で、もう非常に何といいますか、未解決というか、赤潮にしてもそうでしょう、水俣病にしてもそうだし、至るところにまだ、ほんとうに原因はこうだ、その原因を取り除くのにこうすればいいというこういう問題は、未解決の問題があまりにも多いですから、むしろ政府といっても、政府研究機関もありますよ、これはもう厚生省でも、食品衛生などに対してはもっと調査機能を強化しなければ、食べものの安全性というものは国民は一番心配ですからね。通産省も、新しい化学物質というものはたくさん次々に出てくるわけですから、だから、もうテクノロジー・アセスメントをやって、その安全性というものを確保してくれなければ新しい化学物質なんか発明されなくともいいんですからね、人体影響を与えるから。こういう点で、行政機関の研究機関というものを思い切って、これは政府も相当考えておるけれども、私はもう少し思い切って充実したらいいと思うのですよ。  しかし、それだけでも、政府だけの研究体制というものはやはり弱いですよ。だから、科学者全体の協力を得なければならぬ。ことに大学のそういう研究者というものは、大いに——日本の一番大きな問題でしょう、公害問題というのは——これに取り組むところに、それを解明することに使命感を持ってもらいたいと願うぐらいですから、行政だけでやれというような考えではだめなんで、総がかりでやる。そのために政府研究費を思い切って出せ、こういうのが現時点の日本の公害問題ではないかというふうにいま考えておるわけでございます。
  83. 内田善利

    ○内田善利君 いまの長官のお話も、私も全く同感なんです。同感なんですが、もう少し行政当局が積極的に動いていただきたい。もちろん、いまおっしゃったようにお金も出していただいて、総力をあげて公害を撲滅しなければならないわけですが、とのPCB問題につきましても、私は各省庁から調査結果をいただいて見たわけですけれども、東京湾が一応安全だという水産庁報告ですが、先ほどの神奈川地先、千葉地先、こういったところも、昨年の十二月の環境庁通産省、各省庁の調査結果を見ますと、千葉地先あるいは神奈川水域に比べまして東京都関係工場から出ている排水あるいは底泥、これは非常に多いわけですね。これなどを参考にしたら、検体を採取する場合も、こういったところの地先をやればよかったのじゃないか。やみくもにただ調査すればいいということではなくて、やはりこういったものが去年の十二月の時点で出ているわけですから、これを参考にしてやればよかったのじゃないか、このように思うわけですね。  たとえば東京都の港区あるいは大田区等では、通産省調査では、工場排水それから工場内の排水路またはピットの底泥、排水口直下の底泥等、調査してあるわけですね。それが環境庁でまとめてあるわけです。  申し上げますと、東京都の大田区の不二研究所では、工場内の排水路またはピットの底泥が三三六〇〇PPMです。それから排水口直下の底泥が九二〇〇PPM。それから東光電機が、港区ですが、排水路またはピットの底泥が二三〇PPM。それから東京都北区の帝国コンデンサー製作所では、排水口直下の底泥が一〇八〇〇PPM。こんな大きな、まるでびっくりするようなPCBが排水口直下の底泥の中に出ておる。それから、足立区の倉橋護謨工業では、排水口直下の底泥で一四七〇〇PPM、平均は一〇三〇〇PPM。あるいは東京都板橋区の大日本インキ化学工業では九八七〇〇PPM。こういうPCBが、昨年の十二月二十一日の通産省調査段階で出ているわけですね。  こういった点について、通産省当局水産庁当局は相談なさったのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  84. 安福数夫

    政府委員(安福数夫君) 先ほども質問がございまして、東京湾の実情についてお話し申し上げたわけでございますけれども……
  85. 内田善利

    ○内田善利君 相談したかどうか聞いているんですよ。
  86. 安福数夫

    政府委員(安福数夫君) はい。水産庁といたしましては、昨年の結果に基づきまして、東京湾というものは問題の地域であるという認識のもとに、東京湾全体についての調査も一応頭に浮かべながらやったわけでございます。ただ、東京都自身が自分の手でやるということでございまして、今回の委託の中には、東京都は自分でやるということでございますので、私のほうの調査には東京湾の地先については入っておらない、こういうことでございます。
  87. 内田善利

    ○内田善利君 それはさっき答弁を聞いたんですよ。私が聞いたのは、相談したかということを聞いておるわけです、こういう九八〇〇〇PPMと出ているんですから——。通産省どうですか。
  88. 青木慎三

    政府委員青木慎三君) 昨年末に発表いたしました各省の調査でございますが、これは環境庁のほうで連絡会議できめた方法によって調査いたしましたので、各省間、この調査内容については十分連絡をとり相談もした結果でございます。
  89. 内田善利

    ○内田善利君 相談した結果、汚染源はどこであると推定をされるわけですか。
  90. 青木慎三

    政府委員青木慎三君) このたび水産庁が発表されましたPCB調査の、汚染源はいまの段階では必ずしも明らかではないと私どもは考えます。  ただ通産省では、現在までPCBメーカーを指導いたしまして、その販売先のリストの整備を行なわせてきておりますが、水産庁を通じまして、全国約千二百のPCBを使用した工場あるいはPCBを取り扱った工場について会社を通じてリストを出しておりまして、そのリストは関係地方自治団体に連絡済みであるというふうに承知しております。したがいまして、この主要工場リストから汚染源を割り出すという作業がさらに要るわけでございますが、これは関係地方自治体を中心といたしまして、さらに工場におけるPCBの保管状況その他を調査した結果でわかってくるものというふうに考えます。  したがいまして、今後はこの関係府県を中心といたします割り出し作業につきまして、通産省としましてはできる限りの協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  91. 内田善利

    ○内田善利君 私は、お聞きしても結論は出ないと思いますから、三木長官にお伺いするのですけれども水産庁調査した、通産省排水口その他の調査をした、あるいは建設省も調査をした。その結果を、やはり環境庁でまとめてある程度汚染源の推定をしないと、PPP原則と幾ら言っても、私は被害を受けた漁業の補償はできないのじゃないかと、このように思うのですが、この点いかがでしょう。
  92. 船後正道

    政府委員(船後正道君) PCBにつきましては関係する省庁が非常に多うございますので、御承知のとおり昨年春、各省の連絡の協議会を設けております。  ここでやっております作業は、PCBにつきまして種々の調査を行ないます場合について申し上げますと、この調査は、各工場につきましての排水調査、それからさらに水域、底質、あるいは魚介類、あるいは厚生省が分担いたします母乳の調査というふうに、人の問題まで広範にわたるわけでございます。これらの各種の調査につきましては、この対策会議のほうで調整をとりまして、それぞれの省庁ごとに分担をきめスケジュールを定めて実施しておる。昨年十二月には、これら各省がそれぞれの分担に従いまして、排水あるいは魚介類、土壌その他につきまして行なった調査を発表いたしたわけでございます。  今回水産庁から発表いたしました魚介類につきましての精密調査は、その際に行ないました魚介類の一斉調査の結果に基づきまして、問題となっております水域をしぼってさらに精密調査をいたしたわけでございます。  そこで問題は、こういった魚介類について食品の暫定基準をこえるような汚染のある地域につきまして、今後補償等の問題、種々の問題が起こってくるわけでございますが、そういった場合には、当然その高濃度のPCBを持っておる魚介類が、どこの汚染源から出てまいったPCBによってそういうことになったかといったような、排出源の調査という問題も出てくるわけでございます。こういったことにつきましては、今後、先ほど通産省からお話がございましたように、通産省のほうで調べました工場等の排水調査の結果その他を総合いたしまして、さらに検討を続けてまいる考えでございます。
  93. 内田善利

    ○内田善利君 通産省にお聞きしますけれども、いま日本列島の自然界ですね、環境に排出されていると推定されるPCBの推定量は幾らですか。
  94. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) PCBは昭和二十九年から昨年の夏ごろまで使用されまして、その総量は、生産が五万九千トンでございまして、輸入が千トンございますので、約六万トン供給がございまして、そのうち輸出に五千トン出ておりますので、国内の使用が五万四、五千トン、ちょっと端数がございますが、五万四千トン強でございます。  このうち、現在まで回収いたしましたものは、熱媒体の関係で約三千五百トンでございます。  そのほかにつきましては、一番大口は電気機器の関係でございまして、三万七千トン出荷を見ておりますが、これは相当部分は大型のコンデンサー等で、密閉された容器で現在使われておりますので、この三万七千トンのうち三万一千トン程度は今後回収可能と考えております。  それから熱媒体につきましても、今年末までに一応全部PCB以外の熱媒体に転換をさせるように現在指導をいたしておるところでございますので、ほぼ六千トンぐらいは回収が可能じゃないかというふうに考えております。  それから感圧紙に約五千トン出荷されておりますが、紙量にいたしまして千二、三百トン現在回収をいたしまして、なお紙としてのPCBを使いました感圧紙の在庫が、使用済みのものが大体五、六千トンあろうかと推定されておりまして、これは保管を願っておりますので、今後回収をいたす予定でございます。  それからその他の、インキでございますとか、あるいは塗料とか、接着剤等のいわゆる開放系に出荷されました約三千トンにつきましては、回収はきわめて困難と考えております。  そういたしますと、国内出荷五万四千トンに対しまして、国内での回収がほぼ三万七千トンぐらい。それから輸出されました機器の中に含まれた分のPCB量が約三千トンございますので、今後の回収を含めまして回収が約四万トン。差し引きいたしまして、一万四千トン相当がすでに市場に出て、市場と申しますか、環境に出まして回収ができないままに終わろうかと考えられる数字の推定でございます。
  95. 内田善利

    ○内田善利君 それらのPCBが環境に出てきて、このような今度のような報告がなされたものと思うのですが、このPCBを各工場で使っている、それを、時に熱媒体はことしの末までにはPCBの代替品とかえるということですが、その代替品はどういうものを使っているわけですか。
  96. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 昨年の六月にPCBの出荷を停止をさせましてからは、従来PCBが使われます前にございました熱媒体が大体現在使われておりまして、大きく分けますと、鉱油系のもの、それからビフェニール系のもの、アルキルナフタリン系のもの、アルキルベンゼン系のものと、四種類ございます。いずれもPCBの出現前から使われておったものがほとんどでございます。これらはPCBと違いまして塩素を含んでおりませんで、成分的には石油に類似をいたしておりまして、私どもとしましては、PCBと違いまして安全なものというふうに考えておるところでございます。
  97. 内田善利

    ○内田善利君 住友化学とか呉羽化学などが使っているジクロールベンゼン、これはどうなんですか。
  98. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) ジクロールベンゼンは、ダウサムEという商品名でアメリカのダウケミカルから輸入されておりまして、輸入量は非常にわずかでございまして、昨年が一年間で九トンでございます。
  99. 内田善利

    ○内田善利君 ごまかしちゃいけないと思うんですがね。塩素化合物は使っていないというさっきの答弁だったから、いま聞いてみたのですが、このジクロールベンゼンは毒物なんですか、ら、これをはずして答弁してもらうと困るわけです。  それから、アメリカからはモノイソプロピルビフェニール、ヨーロッパからトリフェニールなどが代替品として入って使用され始めておる、こういうことですが、これは事実ですか。
  100. 小幡八郎

    説明員(小幡八郎君) 私ども調査いたしました限りにおきましては、水素化トリフェニールというものが現在アメリカから輸入されております。モノイソプロピルというのは、私ども調査では、現在のところはまだつかんでおりません。
  101. 内田善利

    ○内田善利君 いずれにしても、代替品はいろいろなものが使われているらしいですね。だから私は、コンデンサーとかあるいは熱媒体にしてもPCBの代替品でなければならないのかどうか、その辺はよく御検討いただきたいと思うのですが、先ごろOECDの勧告もありましたし、新幹線等でこの代替品を使って火事にならないのかどうか、あるいは高層建築等で代替品を使って火事にならないのかどうか、この辺をやっぱり厳密に——われわれの環境に出てこないというふうな技術開発をするのがいいのか、火事の心配がないような代替品がいまできておるのか、私よくわかりませんけれども、その辺はどうなんですか。どうしてもことしの秋までにPCBとその代替品をかえるという意義ですね、これはどういうことなんですか。
  102. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 熱媒体は、PCBが大体八千トン近く使われておりましたけれども、どうもやはり操業の間にバルブ等から少しずつPCBが漏れるといったような問題がございまして、完全に閉鎖型という形でなくて若干漏れが過去にあったようでございまして、そういう意味で、この際、熱媒体については全部PCBでないものに転換したほうが望ましいのではないか、こう考えまして、現在PCBを全部やめまして、非PCB系に転換するように指導をいたしておるところでございます。  なお、新幹線等は熱媒体でございませんで、トランスの系統でございますが、これにつきましても、現在国鉄当局では、シリコンオイルを使って同じような効率が出ないかどうか、試験をしていただいておりまして、もしその試験の結果良好な成績が得られますれば、新幹線のトランスにつきましてもPCBをやめまして、そのシリコンオイルに転換していただきたいというふうに私どもは期待をいたしておるところでございます。
  103. 内田善利

    ○内田善利君 PCBの回収処理なんですけれども、現在使用工場、ユーザーから鐘化、三菱モンサントのほうに持ってきているわけですが、これはどのようになっておりますか。回収状況ですね。
  104. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 現在、熱媒体として使われておりました液状のPCBは、四月末現在で約三千五百トンが回収されまして、メーカーでございます鐘淵化学の高砂工場、それから三菱モンサント化成の四日市工場の、それぞれタンクの中に現在貯蔵してございます。  鐘淵化学のほうは、当初五百立方メートルのタンクでございましたけれども、昨年の十一月に二千百立方メートルのタンクが増設され、さらにことしの五月にもう二千百立方メートルのタンクができまして、合計いたしますと、約五千トン弱の貯蔵能力を持つようなタンクが現在でき上がっております。モンサント化成のほうも、現在約八百五十トンのタンク能力がございます。
  105. 内田善利

    ○内田善利君 ドラムかんは幾らですか。
  106. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) ドラムかんで回収いたしましたものは、ある程度ドラムかんがたまりましたところで、大体一カ月に一回か二回、タンクに全部移しかえております。
  107. 内田善利

    ○内田善利君 これらの焼却状況はどのようになっておりますか。
  108. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 鐘淵化学が、現在年能力にしまして六百トンの焼却炉を持っておりまして、昨年百三十五トン焼却をいたしました。ところが、兵庫県当局から、昨年六月にその焼却炉を操業を中止するように会社のほうに指示がございまして、まだ操業の再開が認められておりませんので、回収されてまいりますPCBは、現在、ただいま申しましたようにタンクにずっとためておりまして、焼却炉を動かして燃やすということはただいまのところ中止いたしております。
  109. 内田善利

    ○内田善利君 私は、このような二千トンもあるようなタンクの中に危険なPCBをいつまでも保管しておくというのは、非常に危険ではないかと、このように思うのですね。どうして焼却炉で早くこれを処理しないのか。三菱モンサントと鐘淵の二工場なんですから、これはすみやかに、何か使うなら別ですけれども、将来焼却するものならば早く焼却してしまわなければいけないと、このように思うのですけれども、ストップしたのが昨年の四月ですか。
  110. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 六月でございます。
  111. 内田善利

    ○内田善利君 六月ですか。それからずっと処分していないわけですから、この点についてはどのように通産省ではお考えになっておりますか。
  112. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) PCBの大気への排出に関します暫定基準が、実は昨年まだできておりませんでした関係で、県から中止を命ぜられまして、その後、昨年の十二年に環境庁でPCBの暫定排出基準が決定を見たのでございます。これによりますと、最高排出濃度が一立米中〇・一五ミリグラム、平均排出濃度が一立米中〇・一ミリグラム、こういう基準でございました。  なお、この鐘淵化学の焼却炉からの排出状況でございますけれども、昨年の九月に環境庁の規格によりまして、私ども通産省の東京工業試験所、それから神戸大学、大阪大学、それから日本分析化学研究所と、四者がそれぞれ資料を採取いたしまして分析をいたしました結果では、この基準の〇・一五ミリグラムに対しまして実績は〇・〇〇一ミリグラムというように、基準の百分の一以下の、ほとんど排出ゼロに近い焼却炉からの排出でございますので、私どもとしましては、この基準ができましたことでもございますし、その基準をさらに百分の一ぐらい下回る程度の、ほとんどまずPCBは焼却炉の煙突から出ていないという状況で完全に処理できるというふうな炉の能力と見ておりますので、再開方を兵庫県に前から要望をいたしておるところでございますけれども、県当局のほうではまだその返事がない状況でございまして、再度私どもとしましては県にお願いをいたしまして焼却再開を急ぎたいと、かように考えておるわけでございます。
  113. 内田善利

    ○内田善利君 その炉の焼却能力はどうなんですか。いまタンクの中には二千数百トン入っているわけですけれども、これを処分できるような焼却能力はあるのかどうか。
  114. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) ただいまの現有設備の能力は年間六百トンでございまして、回収が三千トンをこえる状態になっておりますので、能力が足りません。したがいまして、昨年の七月に千八百トンの能力を持ちます新しい焼却炉を建設するよう通産省としては鐘淵化学に指示をいたしましたところ、県のほうで焼却の中止を命ぜられました関係で、まだ新しい炉の着工を見るに至っておりません。焼却が再開されますれば直ちに新しい焼却炉の建設にかかりたいというふうに会社のほうは申しております。
  115. 内田善利

    ○内田善利君 その〇・〇〇一ミリグラムは、どうなんですか、兵庫県のほうでは心配しているわけですけれども、その危険性ですね。その点はどのように判断されているわけですか。もし、これでだいじょうぶなら、もう少し早くPCBのタンクに入っているのを処分するためにも、説得するとかそういった積極的な姿勢が必要なんじゃないかと思うのですがね。やはり同じように、どうも危険だなというあたりでこのまま消極的な姿勢で、いつもでも焼却しないでそのまま放置しておくのかどうか、この点はいかがですか。
  116. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) ただいま濃度で申し上げましたけれども、かりにこの濃度を実量に当てはめてみますと、一万トンのPCBを焼却したとしまして三キログラムのPCBが煙突から出る、こういう比率になります。いまが三千トンぐらいでございますので約一キロ弱というようなものでございまして、非常に微量でございまして、環境庁排出基準をはかるかに下回ってもおりますし、もちろんゼロになるにこしたことはございませんけれども、これを数年間にわたってやるわけでございますので、実際上の弊害はほとんどないのじゃないかというふうに私のほうとしては考えておるところでございます。
  117. 内田善利

    ○内田善利君 この問題は非常に微妙な問題でございますが、もし万一タンクがどうこうということがあれば非常にたいへんなことになると思うのですね。このタンクの保管状況はだいじょうぶなんでしょうか。この点はいかがですか。
  118. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 通産局の係官をときどき見回らしておりますけれども、非常にがんじょうなものでつくられておりまして、タンク自体は、その中身が流出するといったようなおそれのあるようなものではないという報告を受けております。
  119. 内田善利

    ○内田善利君 厚生省お尋ねしますが、魚介類基準ですね、これが妥当であるのかどうか。水道の中に入ってきた塩素がPCBその他と作用して発ガン性物質になるとか、あるいは中性洗剤がPCBの毒性を強めるとか、いろいろ言われておるわけですけれども、はたしてこの三PPMでだいじょうぶなのか。現在の母乳あるいは子供たちに対して一体だいじょうぶなのか。その安全性はどうなんでしょうか。非常に複合汚染ということが考えられるわけですけれども、その点いかがでしょうか。
  120. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 食品中のPCBにつきましては、昨年八月に食品衛生調査会の答申を受けまして、魚介類等の暫定的規制値という形で定めておるところでございますが、この規制値は、PCBによります食品汚染を防止いたしまして、ただ防止させるだけでなく、将来に向かって低下させたいという目的の行政的指導の指針としてその上限を定めたという性格のものでございます。したがいまして、この規制値の正しい運用によって一般的には安全性が確保されるものと考えております。しかし、妊産婦あるいは乳幼児をはじめといたしまして、内湾海域でとれます魚介類を多食する者につきましては、あるいはまたさらに一部のものにつきましては、食品衛生調査会において引き続き検討をしておるところでございます。この結果を受けまして、必要に応じまして、さらに現在行なわれておりますPCBの規制値につきましては再検討をいたしたいと思っております。  また、水道水中に含まれております塩素あるいは一般に使われております中性洗剤との複合作用につきましては、いままでのところ私詳しい報告を受けておりませんが、さらに勉強させていただきたいと思います。
  121. 内田善利

    ○内田善利君 私は、水銀問題に入りますけれども、やはり流出している工場がはっきりしているわけですから、その工場中心にして健康調査その他の排水調査をやっていくべきじゃないかと、このように思うのです。  この間、三月の二十八日に、チッソ裁判が終わって本委員会水銀問題を質問したわけですけれども、そのときには日本合成熊本工場にも触れて質問したわけですが、チッソがあのような状況になったのですから、日本合成熊本工場周辺の調査をするという、そういうやり方が大事じゃないかと思うのです。全国点検をやると、先ほど三木長官からも答弁がありましたけれども、総点検をやるにしても、出している工場がはっきりしているわけですから、その工場の周辺をどうやって具体的に調査していくか、そういう姿勢でなければならないと、このように思うのです。  したがいまして、第三水俣病汚染源日本合成熊本工場であるといえるのかという先ほどの質問に対しまして、岡安局長は、水銀を出していたことは明らかだと。水銀を出していたことは明らかなんですから、これを中心にした調査が大事じゃないか。また、武内教授もまだこれを明確にしておられない、今後調査をしてその結果をきめたいということですけれども、この第三水俣病も、対照地区としての有明町の調査からこういうものが出てきたわけですが、そうじゃなくて、やはりそういった発生源中心にした調査、こういう姿勢がいままでなかったのじゃないか。そういうことで一番最初に三木長官にあのような質問を申し上げたわけですけれども日本合成チッソと同じような工程で水銀を使っていた、それならば、それを中心として被害者はいないかというふうな調査ですね、そういう姿勢が必要なんじゃないか。私は二十八日の本委員会でも、あの周辺に被害者が出なければけっこうだと、もし万一出るようなことがあればたいへんじゃないですかと言って質問を申し上げたわけですけれども、やはりPCBの場合も同じことだと思うのですね。PCBを使っている工場はもう明確にあがっているわけですから、それを中心とした健康調査環境調査、そういうものが必要じゃないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  122. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 先ほど長官がお答えいたしました水銀その他の有害物質の全国調査でございますが、少なくとも水銀に関しましては、先生おっしゃるとおり、かつて水銀排出していた工場アセトアルデヒド、それから塩ビ、それから現在なおそういうおそれのあるソーダ関係工場等を中心にし、さらに農薬関係水銀等製造している工場、それから水銀関係の鉱山、そういうところを中心にいたしまして私ども環境調査をいたすというふうに考えております。当然、有明、八代海につきましては、そういうことを中心にした以上に、さらに詳細な環境調査をしたいというふうに実は考えている次第でございます。
  123. 内田善利

    ○内田善利君 ひとつそういうふうにしていただきたいと思うのです。  時間がありませんので、端的にこまかい問題を質問しますけれども、苛性ソーダ電解工場で、苛性ソーダが約三百万トン日本では製造されているわけですが、その〇・八六倍は塩素をつくっておる。したがいまして二百五十万トンくらいの塩素がつくられておるわけですが、この塩素化合物は、PCBにしてもBHCにしてもDDTにしても、その他塩素化合物というのは、われわれの生活に必要であって、また毒性が非常に強いわけですけれども、この塩素の行くえ、これもはっきりしておくことが必要じゃないかと思うのですが、この塩素の使用状況あるいは供給状況といいますか、二百五十万トンの行くえですね、これをちょっとお聞きしておきたいと思います。
  124. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 大体三分の一は塩化ビニール向けに塩素は使われておりまして、残りが溶剤でございます。八一クロールエチレン、トリクロールエチレンあるいは塩酸、さらし粉といったようなものに使われております。
  125. 内田善利

    ○内田善利君 ひとつ、この塩素の行くえは明確にしていただきたいと思うのです。次の委員会でもけっこうですが、塩素化合物は非常に毒性の強いものが多いわけですから、約二百五十万トンの塩素がどこにいっているのか、明確にして資料の提出をお願いしたいと思います。  それから、ソーダ工場を二、三私も見たのですが、隔膜法に切りかえる方向だということですけれども、はたしてこれが可能なのかどうか。私が心配する必要はないと思いますけれども。それから、ソーダ工場ではマッドの処理が非常に悪い。各工場ばらばらです。私が行ったところはみんな違う。ブロックをつくってあるところもあれば、マッドをそのまま放置しておるところもありますし、下請に持っていって、どこにいっているのかさっぱりわからない、そういう工場があるわけですが、そのマッドの処理については通産省としても調査をなさって、自然界に流れ出るようなことのないようにしていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  126. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 塩素の用途別の内訳につきましては、後刻先生のお手元にお届けいたしたいと存じます。  それから苛性ソーダの水銀対策でございますけれども、基本的には水銀を使わない製法、今後は設備の増設の場合は必ず隔膜法しかやらせない、こういう方針を通産省としてはきめまして、現在そういう方向指導をいたしております。  隔膜法は、先生御指摘のように、できます製品には、やや品質が悪いとか、コストが水銀法に比べまして割り高でございますとか、隔膜法の技術そのものが、大型設備につきましてはまだわが国にございませんで、外国技術の導入あるいは技術開発等が必要でございますけれども、そういう面を克服をいたしまして、早く隔膜法の建設を急いで水銀法の比重を減らしてまいりたいと考えております。  マッドにつきましては、従来からマッドの中に水銀が移行することを防止するためのいろいろな技術も行なっておりまして、従来、数百PPMございましたマッドの中の水銀が、最近では五〇PPMぐらいまで下がってまいっております。この出てまいりましたマッドの処理でございますけれども、ただいま、大半のところでは工場内にコンクリートのピットと申しますか、プールをつくりまして、そのプールの中に保管をいたしておりますが、今後はこれを焼却いたしまして、さらにその中の水銀回収する、あるいはコンクリートで固化いたしまして深海に捨てる、こういった対策を講ずる必要があろうというふうに考えておりまして、そういう方向指導をいたしてまいりたいと考えております。
  127. 内田善利

    ○内田善利君 時間がありませんので次に進みますが、水銀に対する感覚といいますか、取り扱いといいますか、私は非常にいままで甘かったと思うのです。排出水銀量がわからないなんて、私はこれでは行政当局として非常によくない姿勢じゃないかと思うのです。  私たちは学校で、高等学校でもあるいは大学でも、水銀を使用した場合、水銀化合物を使用した場合は、流しから絶対に流してはいけない、水銀だめに入れて、そしてそれを持っていく。こういうふうに教えられてき、また自分もやってきたわけですけれども工場では幾ら使って幾ら消耗して、どれだけ排水から出ていったかわからないというのは、ちょっとふしぎでならないのです。学校ではそのような教育をしておりながら、工場ではもう非常にずさんである。非常に、水銀という金属は学生のころから有毒であるということを教えられて、水銀だめに保管しておる。にもかかわらず、工場ではそのようなずさんな取り扱いをしておったということは非常に甘いと思うのです。  この点について、今後は、月ごとに使用量を通産省報告を義務づける必要があるのではないか。こういった化学物質については、特定物質について、使用している工場は毎月報告を義務づける必要があるのではないかと、このように思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。  それから、ヘドロのしゅんせつですけれども、何万PPMというような、PCBにしてもあるいは水銀にしても、このようなヘドロのしゅんせつというのは非常に危険ではないかと思うのです。有明海に行き、有明町に行き、帰りに洞海湾にも寄ってまいりましたが、あれをしゅんせつするというのは非常に危険ではないかと思うのです。私は、金がかかるかもしれないけれども、埋め立てるほうがいいのじゃないか。水俣湾も埋め立て、洞海湾も埋め立て、田子の浦も埋め立てる必要があるのではないか。これはどのように検討なさっているのか、お聞きしたいと思います。  それから、水銀の第四、第五、第六の水俣病が起こっているかもしれない、このように、あちこち水銀を使っておる工場の周辺へ行ってみまして心配するわけですけれども、やはり、これらに対するいろんな調査がまだ不十分ではないかと、このように思うのです。この点についてもひとつ検討をしていただきたい。先ほど申しましたように、排水をしている工場中心に総点検をやっていただきたいと、このように思うわけです。  それから、有明町のあの被害者については、水俣病公害病として認定される方向にいかれるのかどうか。この辺お伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  128. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) ただいまのお話の中の、第一点の水銀消費量等の調査につきまして、従来不十分であった点を反省をいたしております。今後、こういった水銀に関します報告を徴収することにつきましては、御指摘のような方向で、そういった報告を定時的に徴収するように検討いたしたいというふうに考えております。
  129. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) ヘドロのしゅんせつでございますが、おっしゃるとおり、水銀を含んでおりますヘドロのしゅんせつは慎重にしなければならない。特に水俣湾につきましては、大量のヘドロの処分ということになるわけでございますので、現在運輸省とも相談をいたしまして、一部埋め立て、一部しゅんせつというようなことで検討いたしております。最終的にまだきまったわけではございません。ただ、しゅんせつその他工事の過程におきまして二次汚染があってはならないということで、今年度の着工を前にいたしまして、まず試験的に工事をしてみる。その結果によりまして、最終的な工法その他を決定をするというような慎重な措置を講じたい、かように考えております。  それから点検でございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、水銀等排出するおそれのある事業所等を中心にいたしまして、全国の総点検をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  130. 船後正道

    政府委員(船後正道君) まず初めに、第四、第五の水俣病があるのじゃないかという問題でございますが、その点につきましては、総点検は、ただいま水質保全局長が申し上げましたように、全国水銀取り扱い工場等を中心環境調査実施いたします。これにつきまして、引き続き健康調査をどうするかという問題につきましては、今回の熊大報告提起されましたような水俣病に関する基本的問題、たとえば脳内の水銀の半減期が、従来考えられておりましたような七十日前後ではなくして、二百三十日程度というふうな問題とも関連いたしますので、専門家の方々に早急に検討いただきまして、その上で四十三年の暫定対策要領、これの再検討をし、それら等も踏まえまして健康調査の問題も全国的に考えてまいりたい、かように考えております。  それから、次に、有明町で今回の熊大報告で指摘されました、定型的水俣病と区別できないような患者の方々の特別措置法上の取り扱いの問題でございますが、この点につきましては、熊大調査でも、疫学的な調査の裏づけがなお必要であると考えられます。したがいまして、早急に有明海につきまして環境調査実施し、この汚染の広がりというものと健康調査というものとの検討から、特別措置法上の扱いというものを早急に結論を出したい、かように考えております。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 初めに、三月二日の当委員会で、田子の浦ヘドロの富士川河川敷処理について、三木長官にるる質問をいたしました。ここへ図を書いて、これこれこういう状況にあるということを説明しました。結論として三木長官は、よく検討します、第三次処理はまだ実施段階ではないので、よく検討しますということでありました。  そこで、環境庁はその後何を検討されたのか、結論として、県にどのような指示をなさったのか、伺いたい。
  132. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いま先生からお話の田子の浦のヘドロの処理につきましては、第二次汚染を防止する立場から、慎重にしなければならないという御指摘がございました。そこで私どもは、昨年実施いたしました経験にかんがみまして、さらに慎重に今年度のヘドロの処理をするということから、処理計画につきましては二、三の改善をいたしております。  それを御報告申し上げますと、まず一つといたしましては、富士川の河川敷にヘドロを持ってまいりまして脱水をいたすわけでございますが、その処分の量を、脱水池面積に比較いたしまして、一回の処分の量を減少いたしました。これは単位面積を広げるということと、汚泥の投入量を減らすということの両方をあわせまして、前回に比べまして単位面積当たりの投入量を三分の一に減少するということにしたわけでございます。  この理由は……。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 理由はいい。
  134. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) それが一つでございます。  二番目には、監視体制の強化でございます。これは二つございまして、測定の点数を増加をする。それは十九地点を三十地点にふやすということ、それから大気につきましては、十三地点を十八地点にするということ、それから測定の検体数を大幅にふやしまして、PCBにつきましては、三十二検体のところを八百四十六検体という二十六倍にふやす。それから、重金属につきましては、四十四検体を八百四十六検体という十九倍にふやす。それから、COD等の一般項目につきましては、千七百四十四検体を一万四千四十三検体というふうに八倍にふやすというような増加をいたしております。  それから基準でございますが、基準につきましては、先般いろいろ御指摘がございました。そこで、地下水とか公共用水域に影響を与えるようなところ、その処分地より多少離れたところでございますけれども、その地点におきますPCBの濃度につきましては、この間御指摘がございましたので、これを〇・五PPM以下にするというようなこと、それから重金属等につきましては環境基準以下にするということでございます。それからDODにつきましては、二PPM以下にするということでございます。ただし、これらは処分地より多少離れたところでございまして、中間地帯におきましては、たとえばCODは一〇PPMでもいいというようなことになっておりますけれども、最終的には環境への影響を考えまして、以上のようなきびしい基準をきめまして工事をするように指示をいたした次第でございます。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁は、それでは、そういうことを検討して工事をするように指示をしたのですか。
  136. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 相談がございましたので、そういう条件が守られるならば工事を進めてよろしいという了解を与えたわけでございます。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 その結果は、田子の浦港の港口で、すぐにもうCODが急上昇。けさはけさでまたパイプが破裂して町じゅうどろまみれ、その経過を御説明してください。
  138. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 前段のことでございますけれども、今年度のヘドロのしゅんせつにつきましては、五月の十九日に着手いたしまして二十二日までやったわけでございますが、お話しのように、CODといいますか、濁りが問題になりまして、漁業組合等との折衝がありました。これはその関係から二十三、二十四、二十五の三日間は、この作業を中止いたしております。話によりますと、いろいろ話し合った結果、了解に達しまして、二十六日に再開ということになっておりまして、現在までの処分量は十四万二千九百トンというところでございます。春におきます計画処理量が三十万トンでございますので、ほぼ半量処分をいたしたということになるわけでございます。  後段の本日の事故でございますが、実は私、先ほど聞いたわけでございますが、県から聞いた模様によりますと、六月の六日、本日でございますけれども、午前四時十五分ごろ、田子の浦港より富士川河川敷まで送泥をいたしております送泥管の中央の上部が、面積にしまして十六センチかける八十八センチというようなところが破裂をいたしまして、どろが八メートルから十メートルぐらい上方に噴出し散逸いたしたというふうに聞いております。その場所は、子の浦港の口から西のほうに三・七キロばかり行きました三四軒屋という部落があります地点でございます。この散逸いたしました量は、ほぼ三百立米程度と推定されておりまして、そのどろが周辺の道路、公会堂、それから四軒にわたります住宅、それから付近の畑等に排出をされたということでございます。  で、措置でございますけれども現地静岡県は、地元の富士市長、それから部落関係者と善後措置を検討中でございまして、きまった措置といたしましては、本日中にふき出しましたどろの除去を行なう。それから民家につきましては、民家の方の納得のいくように清掃並びに消毒を行なう。それから畑等につきましては、なおその対策を協議中であるというふうに聞いておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、さらに至急原因を究明すると同時に、今後の事業の再開につきましては、私どもの了解なしには再開してはならないということを県のほうに指示をいたした次第でございます。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 三木長官が慎重に検討すると言って、その慎重な検討を期待していたのに、それがいま局長説明だと、県にこういうことを注意すれば作業をしてよろしいという指示をしたということじゃないですか。だれの責任ですか。  大体、港の入り口でCODが幾らに上がったですか。その段階で、これは漁業に被害がある、それは漁民に納得してもらったということは、あるいは地域住民に  このパイプで河川敷へ持っていくなんていう、まるで原始的なこんなばかなやり方をどこかでやっていますか、日本国じゅう。そんな原始的なやり方を、三木長官検討すると言いながら、何の検討をしたか知らないけれども指示をして、それでもう海はよごれる、それからいまの説明のように三百立米のヘドロがふき出した。しかも堤防の外側に堤防を越えて住宅地へふき込んでおるわけですよ。そのくらいのことが初めからわからないですか。何を検討したのですか。  それから、三百立米で被害は三十戸というふうにニュースでは言っておりますが、それはどう処理するのですか。そんなヘドロがふき出したら、そばへ行ってもくさくてまともに立っておられないようなくさいものが、御丁寧に町から道路から公会堂から家の中までふき出して、住んでいることさえできないじゃないですか。そういうことでは困る。環境週間どころじゃない。  そういうわけですから、じゃ局長、その中身は一体どうなりますか、三百立米の。水とヘドロとPCBに分けて答えてください。
  140. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) まず先生の前段のお話で、環境庁の了解を与えた工事がこういうようなことになりました。はなはだ申しわけないと思っております。  私どもは、実はヘドロを富士川の河川敷において処理をするという場合の二次汚染、これが一番心配でございましたので、そこに重点を置きまして、いろいろ指示をいたしたわけでございますパイプ送泥につきましては、実は昨年もやっておりますので、これにつきましては、おそらくほとんど問題はあるまいと実は考えておったのでございますが、どういう理由でこういうような、いわば技術的にはまあ初歩的なミスといいますか、が起きたわけで、はなはだ私どもは残念に思っておるわけでございます。私ども、今後はもちろんこういうことも再点検をいたしまして、二度とこういう事態のないような、そういう方法で取り組まなければならないと実は考えておるわけでございます。  二番目の三百立米の内訳でございますが、実はちょっと計算、必ずしも十分できません。ただ私ども理解しておりますのは、田子の浦のヘドロにつきましては、PCBにつきまして、もちろんすべて悉皆調査をいたしたわけではございませんけれども、一四四PPMというような数字も得ております。したがいまして、この三百立米のヘドロの中にもPCBは相当程度入っておるのではなかろうかと実は考えておりまして、今後の処置は十分にしなければならないというふうに考えております。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 今後の処置は十分しなければならないにきまっている。ただ、こうした泥さえさらえば、水で流せばということじゃないでしょう。そうなったらPCBはどこへいきますか。ですから、三木長官質問しているから計算してください。三百何PPMですから。  三木長官、いま新潟でもこうしたヘドロ処理が問題になっているのです。しかし、新潟では、わざわざこうしたパイプで送るのをやめているのですよ。別の方法をとっているのですよ。洞海湾でもヘドロ処理をやろうとしているのですが、そんな民家のところをパイプで通していって、そのくさいのをがまんさせて、河川敷でかわかそうなんという、そんな原始的なやり方は——この水分、結局水ですね、水を、洞海湾の場合だったら処理装置に一たん入れて、処理をしてから流すとか、日本の国だってほかではやっているじゃないですか。にもかかわらず、なぜ田子の浦はこういう原始的なことをやって平気でいるのか、私は何とも、納得がいきませんが、いかがですか。
  142. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 従来あそこのヘドロの処理は、そういう河川敷を埋め立てをするということでやってきて、みんなも納得してそういう方法でヘドロ処理をしようということで従来もやってきておったのですから、そういう方法でヘドロの処理をして、こういう破裂するというようなことは、どういう原因か知りませんけれども非常なミスであると思いますが、とにかく、従来の方法で処理してよかろうと考えておったわけでありますが、いまお話しのように、それ以上にいい方法があるということなら、これは今後そういう埋め立てをする場合には、よく注意をしなければならないことだと思います。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官、もちろん破裂は一つの事故ですよ。とともに、また先ほど来説明いたしますように、もう、処理を始めた、すぐ港の出口が急激に汚濁しているのです。濁りが始まっているのです。ですから、そういうことを注意して、前回も私は再三指摘しましたように、公害が発生したら受けるのはいつも地域の住民であり、しかも、従来から納得して処理をやってきたというけれども、このような計画に対して初めから賛成なんかしていません。そんなことじゃ困ると言って、それですったもんだのあげく、ようやく、あの人が説得し、この人が説得し、こうしてああしてと言ってやり始めた結果がこの始末じゃないですか。  ですから三木長官、県に対しても、そんなもう原始的なやり方は相ならぬと、こういうふうにはっきり言ってください。
  144. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) ヘドロの処理の方法でございますが、どういう方法でやったらいいのか、かつて田子の浦につきましては、ヘドロを船に積みまして沖合いに捨てたり、また、船に積みまして富士川に輸送したりということもやりましたけれども、きわめて非能率であり、かつ作業中に作業員がガスによりまして障害を受けるということもございまして、今回のポンプによります送泥という方法に切りかえたようないきさつがあるわけでございます。  今後、ほかの地区におきましても、やはりヘドロの処理という問題がございます。それをどうするか、もちろん運輸省その他専門家とも相談しなければならないと思いますけれども、私ども現状におきましては、なお検討はいたしますけれども、パイプ輸送というものが、いわば周辺に対する影響としては最も少ない方法ではなかろうかと実は考えたわけでございますけれども、こういうような事故を起こしましたこともございますので、さらに検討をしなければならないというふうに思っております。  それから、先ほど先生の御質問で、ざっと計算いたしたので間違っているかもしれませんけれども、いろいろ前提がございます。まず三百立米のヘドロについての水分の状態その他がどうであったかということもございますし、また、もともとそのヘドロに……
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 説明は要らないから。
  146. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) PCBが何PPMあったかという問題がございますが、かりに一五〇PPMのヘドロというふうに想定いたしますと、四十五リットルないしキログラム程度ではなかろうかというふうに考えております。
  147. 小平芳平

    ○小平芳平君 もっと多いじゃないかと思うけれども、まあいいです、四十五キログラムでも。四十五キログラムのPCBがそこへまかれてしまった。どうしますか、これから。
  148. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 先ほどちょっと御報告申し上げたかと思いますけれども、県と富士市長と部落関係者との相談で現在までにきまっておりますのは、至急に取り除くということと、それから民家等につきましては清掃、消毒をするというようなことでございまして、どのような方法でやるのか、さらに報告を受けてまた関係者とも相談をいたしまして、至急万全の指導はいたしたいと思っております。
  149. 小平芳平

    ○小平芳平君 三木長官に私尋ねているのですがね。これは役人の計画段階じゃないですよ。そんなことが政治として許されますか、政治として。私は、政府の政治の姿勢として、そういう公害が発生した、ヘドロがたくさんたまった、それは地域住民の迷惑もかまわずに、かまわずというわけじゃないかもしれませんが、さんざ公害で迷惑を与えて、公害で迷惑をこうむった地域住民がまたそのヘドロ処理で迷惑を受けなくちゃならない。ですから、そういう安易なやり方、あるいは原始的なやり方は、もうとってもらいたくない、それじゃ困るということを、はっきり答弁してもらいたい。
  150. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、このヘドロ処理は静岡県としても悩み抜いた問題ですね。いま経過的に報告があったように、海上へ持っていって捨てて、それでいろいろの問題を起こしたり、技術的にもこの地域人たちももういろいろな、何年ぐらいやったのか、二年ぐらいやったのか、ある期間、みながもうたいへん知事以下悩み抜いて、こういう処理をしようということでああいうことになったわけですから、そういうパイプでヘドロを処理することを、私がいまここでやめろという指示はできません。  しかし、今後これを再開するについては十分な、一体どうしてそういうことが起こったのか、いま御指摘のとおりですよ、地域の住民とすればたいへん迷惑なことですから、原因を十分に究明して、再びそういう事故が起こるようなことのない保証がつくまでは、この再開は認めない方針でございます。  しかし、これは原始的と言われるが、私も、ヘドロの処理についてはこれは大問題であって、こういう方法がいいという方法がおありになれば、いろいろわれわれも教えを請いたいと思うくらいですけれども、ヘドロの処理という問題は、普通から考えれば、パイプで処理すればその間のいろいろ一番地域の人にも迷惑をかけずに処理できるかと考えるわけですけれども、しかし、これよりももっとこういう方法があればといったら、これは、このことの処理というものが地域人たちにも重大な影響があるわけですから、これは検討を常にせなければならぬ問題でございます。具体的にこうやったらいいという方法があるというなら、これはもう野党の諸君の知恵でもだれの知恵でもかりたいと思いますよ、より合理的な方法があれば。  しかし、いま考えていることは、この原因を究明して、再びこういう事故を起こさないという保証が、納得のいくような保証ができるまではこういうパイプラインによるヘドロの処理は認めない、それだけをお答えするのが、私の現在の持っておる知識からすれば限度でございます。
  151. 小平芳平

    ○小平芳平君 私もそうした技術者でもないししますが、また、時間がなくてそうヘドロばかりやっておるわけにいかないのですが、新潟で、御存じですか、一たん計画ができたけれども、やめて別のことをやっていることは。ですから三木長官、役人にまかせちゃだめだと言っているじゃないですか。この新潟の市議会には建設省からも技術者が入っているんです。そこでパイプ輸送は住民に危険があるからといってやめているんです。ですから、今日の段階としていまのようなお答えしかできないかもしれませんが、ひとつ厳重に注意していただきたい。よろしいですか、長官
  152. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、水俣のヘドロ処理という問題もかかえているわけですから、あらゆる技術で、そして地域の住民のためにも一番いい方法を考え出さなければならぬ問題をかかえておる、ほかのほうにおいても。水俣ばかりではありますまい。したがって、これは一つの工法にこだわらないで、いまの技術の中において一番すぐれている技術というものを、あらゆる専門家意見を徴して今後研究をいたすことにいたします。
  153. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、私は全体的な環境汚染について質問をいたします。  特に、けさほど来PCBについて、あるいは水銀について質問がありましたので、ダブっては質問いたしませんが、まず第一に、通産省では水銀が流出したということを発表しておられるでしょう。このアセトアルデヒド製造工場の未回収水銀の量というのを見ましても、チッソ水俣が生産量が四十五万六千トンで、未回収水銀量が二百七トン。ダイセル新井というところが、生産量が三十万七千トンで未回収水銀が約五トンと、非常にこの数字が合わないと思いませんか。いかがですか。
  154. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 工場によりまして製造の方法等もいろいろ違っておりまして、御指摘のように、原単位をとりますといろいろ高い低いがあるわけでございます。
  155. 小平芳平

    ○小平芳平君 製造の方法が違っているというけれども、それでは局長チッソ水俣とダイセル新井と、どう違いますか。
  156. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 実は、今回のアセトアルデヒド水銀量の流出と申しますか、未回収量の調査につきましては、会社を呼びまして詳細聞き取り調査をいたしたわけでございます。  ダイセルにつきましては、会社側の説明によりますと、このダイセルの製造工程は、創業が昭和十二年でございますけれども、最初からドイツのワッカー法というプラントを導入をいたしまして製造いたしております。  この場合の、他の工場との非常に特徴のある相違点は、ほかの工場の場合には、装てんいたしております水銀触媒が活性を失いますと、それを外部に取り出しまして、再度活性を与える工程を絡ましてまた装てんをする、こういったことをいかしておりますが、その不活性化いたしました水銀の触媒を取り出し、それに硝酸等を加えましてまた活性を与える、こういった工程でも水銀が若干流出をする。  ところが、ダイセルの場合には、この活性を与える工程が工程そのものにくっついておりまして、全部、水銀を外に取り出さないで工程の中で繰り返して循環をさせまして、常に活性を与えながらまたその水銀をもとへ戻す、こういった工程をとっておりまして、これは八工場の中では唯一の循環方式でございますけれども、そのために非常に水銀の消費が少なかった  これは会社側の説明でございますが——と申しております。  ただ、それにいたしましても、あまりに消費量が少ない感じがいたしますので、この点につきましては、さらに今度現場調査に現在出かけておりますけれども、その際に、会社側からよく実情について再度聞きまして検証をする必要があろうというふうに私どもも感じておるところでございます。
  157. 小平芳平

    ○小平芳平君 五トンとなっております。約五トン流出。そのほかに五十四トンという、わけのわからないのがあるのを御存じですか。
  158. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この操業期間、十二年から昭和四十三年まで、約三十一年ございますけれども、その間に装入いたしました水銀量が百六トン、それから途中で回収をいたしましたものが五十四トン、さらに最後にやめましたときに工程内に装てんしてございました水銀が四十七トンということで、差し引き未回収量は五トン、こういう報告を受けております。
  159. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは、だからここに書いてあるけれども、ここに書いてある中で、五十四トンというものがあいまいもことしているということを御存じですかと聞いているのですよ。
  160. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) これは操業開始以来、現在までの操業の途中におきます回収量というふうに私ども承知しております。
  161. 小平芳平

    ○小平芳平君 どろの中に蓄積しているかもしれないと会社側は説明している。要するに、水銀の扱いが、先ほどの内田委員質問のように、大体どれだけ使ったかわからない、どれだけ流れたかわからないなんというのが本質的によくないのですね、本質的に。  そこで、関川の流域はいまPCB汚染で発表になっておりますが、日本曹達、これは苛性ソーダの水銀の扱いについて先ほど質問がありましたが、日本曹達二本木工場では、労働省、どういうことが起きていますか、わかりましたか。
  162. 山口全

    説明員(山口全君) 二本木の下請企業で親栄工業株式会社というのがございます。実態について十分調査するいとまがなかったために詳細存じておりませんが、調べた限度でお答え申し上げます。  この下請企業の親栄工業は各種の下請作業をしておりますが、その中で、水銀中毒を発生するおそれのある作業としては約八名の労働者を使用しております。この八名について、従来からの健康管理状況を調べた結果では、毎年特殊健康診断が実施されておりますが、水銀中毒としての異常者は発見されておりません。
  163. 小平芳平

    ○小平芳平君 私が具体的に、新潟大学へ行って診察を受け、そしてまた労災病院へ行き、また、どこでも入院させてもらえないので、やむを得ず市内の服部病院というところへ入院している患者がいる。この人はどうですか。
  164. 山口全

    説明員(山口全君) この患者について、なおまだ調査を続行しておりますが、把握した状況で申し上げますと、この患者は塩素酸カリの袋詰め作業に従事する労務者でございまして、直接水銀中毒を発生するおそれがあるとは認められないわけでございますが、一異常をみずから訴えまして、新潟労災病院に昨年の十二月九日、整形外科のほうで受診をしております。その際は、右肩に鉄片が入ったという摘出術でございますので、直接中毒とは関係ないかと思いますが、その後、同じく十二月十四日に内科で受診しておりまして、消化器あるいは血液の検査をいたしましたが、異常が認められないということで、病名としては過敏性大腸炎という診断がなされております。  その後、本年の二月二日に新潟大学の付属病院のほうで受診しております。この際も特段の、神経内科で受診しておりますが、特に異常が認められないが、本人の自訴が強く入院の予約をしたようでありますが、入院しておりません。近くは先月の五月二十八日、再び新潟労災病院で整形外科の受診をしております。その際は、所見としては両下肢に知覚の異常もない、皮膚の感覚異常もない、水銀中毒とは判断できないということでございましたのですが、新潟大学付属病院のほうに入院を予約していたという経緯もございましたので、新潟労災病院としては、労災病院のほうに入院を希望するのであれば、新潟大学のほうからの意見書ないしは紹介状を持参していただけないかということで話し合いましたが、その後来診していない、こういうところまで把握しております。  なお調査させておりますので、詳細わかり次第御報告したいと思っております。
  165. 小平芳平

    ○小平芳平君 本人や家族のお話では、どこも異常がないどころじゃないわけですよ。両足がしびれたり、目がかすむというか、もう明るいところへ出ればまぶしくて見えないとか、そういう症状を訴えているのですから、異常なし異常なしで仕事を休んで入院しているわけではないのだから、よく調べてください。  それから、その作業で、じゃどういう症状、どういう危険が起きるのですか、あなたのいま言った作業では。
  166. 山口全

    説明員(山口全君) 袋詰めの作業自体からは水銀中毒を発生するおそれはないそうでございますが、もう一方の作業で、タンクのどろを除去する作業があるのだそうでございます。それには、タンクのどろ除去の作業に専従する下請労務者がおるそうですが、その人員が不足した場合に、袋詰め作業のほうから臨時に応援する場合がある。その限りでは水銀汚染されるおそれがあると、こういう報告を受けております。
  167. 小平芳平

    ○小平芳平君 労働省の関係はまた別の委員会で詳しくやるとしまして、労働災害として業務上か業務外か、その辺よく調べておいていただきたいのです。  それから、こうした環境汚染に対しまして、先ほどの説明暫定基準ですね、四十三年八月十四日の水銀の暫定対策要綱ですか、これは厚生省の時代に暫定対策要綱をやったのですが、環境庁がやるのですか、厚生省がやるのですか。これはどうですか。
  168. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 四十三年八月十四日で厚生省がつくっております「水銀による環境汚染防止の暫定対策要領」、これはやはり広く水銀汚染につきましての調査の進め方というものにつきましての基準でございますので、これの改定は当然環境庁で行ないます。
  169. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、厚生省としては暫定対策要綱とは別に、食品の安全基準というものをつくらなくてはいけないですね。これは先ほど詳しく答弁がありましたからそれでよろしいと思いますが、いつごろできますか。簡単でいいです。
  170. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) あと二、三回の会合はお願いしなくてはならないと思いますが、できるだけ、まあ六月一ぱいにめどをつけるようにということでお願いしております。これは暫定基準という考え方でございます。
  171. 小平芳平

    ○小平芳平君 その辺が、さっきの暫定対策要綱の一PPMが、間違われて魚の安全基準のようにとられがちですから、そういうことのないように、ひとつ厚生省のほうで早く魚の安全基準をつくってほしいということ。  それから水産庁に伺いますが、奇形魚というものがときおり新聞に報道されますが、私たちが集めただけでも地方から相当の奇形魚が出ておりますが、水産庁ではどのように把握しておりますか。
  172. 安福数夫

    政府委員(安福数夫君) 最近全国各地で奇形魚がとれたとか、あるいはそういう現象が私どものほうにもしばしば情報として入ってまいります。したがいまして、私ども四月十八日でございますけれども、一応早急にその実態の調査を各県にお願いしまして、出していただいた数字がございます。さらに、それに追い打ちをかけまして、もう少し実態的な確実な数字ということで協力を求めました結果、五月末に、一つの数字を私どものほうで現在の段階でキャッチしてあります。  個所数として三百三十四カ所、件数としまして五百七件でございます。これは海の面と淡水の面と両方ございます。魚種としましては、淡水のほうではアユ、コイ、フナ、そういったものが、そういう奇形の現象として出ているという報告がございます。海のほうでは、いろいろございますけれども、一般的にはボラ、カレイ、それから養殖ハマチ、そういったものにいろいろな現象が出ております。これがどういう原因で、あるいはどういう類型であるかということをいろいろ私ども研究分野で検討を加えておりますけれども、一応、骨の部分に異常のあるもの。それから、かいよう性のものがある。それから色素が非常にあせる。白くなる、あるいは淡紅色になる、こういうようにあせる。こういう三つの分類に分かれるのじゃないかと、こういう感じがいたすわけでございます。  これが環境汚染に直接結びつくかどうかという原団究明については、まだ必ずしも十分ではございませんけれども、そのほかの原因といたしましては、いま一つの微量沃素によります魚の体内におきますカルシウムの代謝系統に異常が起こるのじゃないか、こういう原因が一つ考えられます。そのほか、外敵によりますもの、天敵と申しますか、そういう外的なもので損傷が加えられる、物理的なものでございます。そのほか細菌であるとか、そういったことによりますかいようでございます。これは養殖ハマチによく見られる現象でございますけれども、ハマチが小さいときに、その管理が必ずしも十分じゃないということによりまして、脊椎なんかに異常が起こる、こういうことがございます。それから、水温の異常によりますいろいろな各種の機能障害、いろいろなそういう原因が考えられます。  そういった分類なり、あるいは類型なりについて、必ずしも現在十分な基礎的な研究が完成しておりませんで、従来からも魚の病気と関連しまして、そうした基礎的な研究をしておるわけでありますけれども、最近、そういう傾向が多角化しておりますし、あるいは態様も非常に分化しておりますので、そういった類型的な分類と同時に、それぞれの原因探求について、私ども研究所、さらに都道府県水産試験所、そういったものを動員いたしまして、そういった基礎的な研究を今後とも精力的に進めたい。その結果、こういう環境汚染と直接関係が出るという結論が出ました場合には、当然それに対する臨床的な対策は講じていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  173. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境汚染関係ないかどうか、とにかく奇形といっても、この狭い日本で三百カ所、五百種類も奇形が出ますと、奇形が本物みたいになってしまうじゃないですか、三木長官。  これは山梨県の山中湖のヘラブナですが、これなどは奇形どころじゃなくて、腹に穴があいて内臓が出てきてしまっている。これはワカサギですが、目が飛び出して、焼いたワカサギみたいに頭がくずれてしまっている。こうしたものが大量に流れついているのです。湖から流れ出すところの金網に大量に引っかかっているわけです。これが環境汚染関係ないかどうか。どうですか長官、どう思いますか。
  174. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も、呉のお化けハゼというのを見たんです。背骨が曲がって、腫瘍、できもののようなものがからだにできている。ひどいものだという感じがしたのです。この問題は、魚に対してそういう影響を、どういう影響かは別として、影響を与えることが人間の健康にも関係ないとは一言えぬですから、水産庁においてもこの問題に関心を持っておるのですから、これは原因を徹底的に究明をすることが必要だと思いますので、この原因というものをさらに究明するようにいたしたいと思います。
  175. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、原因究明が第一だと私も思いますが、最後に三木長官から、原因究明をすることと、長官が先ほど来答えていらっしゃる環境保全ですね、環境を保全し、よくしていこうというこの努力が、いまこそ必要なときはないほど必要だということを私たちは痛感をするわけです。  確かに、先ほど工藤委員質問に対して、化学企業の経営者がそんな態度でいるとは考えられないというような答弁をしておられましたが、私もこの席上では、そう言われるとそう思うかもしれませんが、実際私は、労働省が先ほど説明した工場の労働者が、はたしてどこが悪いか、何が原因かわからないわけですよ。私にはわからないわけですが、とにかく本人や家族や友だちの話を聞けば、惨たんたるものなんです。そして、失明した人もあるとか、こういう人もあるという話があるわけなんです。  しかし、会社に対しては公害だと言えないんです。職業上の被害だと言えないんです。言えないでいるんです、現に。職業上だと労災ですから公害とは区別されるわけですが、一般的に、公害じゃないぞ、公害じゃないぞ、公害ということは言うなということで、その新潟県のある地区ですが、こり固まっているのにびっくりしちゃうんです、行ってみて。ですからそういう点も頭に入れて、環境をよくしていかなければいけない、それが先決だということを痛感いたしますが、いかがです。
  176. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先ほど申し上げますように、実際にこの環境をみんな総がかりでよくしていくということじゃなければ、手おくれになると思いますよ。それくらいのやはり事態であると思います。  ただ、いまの具体的な例ですけれども、御指摘になりました、何という方ですか、その方の状態は、ずいぶん方々の病院で診察を受けていられるのですから、その病院の診察の結果というのは、大体みな同じような結果が出ておるんですからね。大学自身がそんな公害病という一そういう地域がまだあるのかもしれません、公害病だということをなるべく隠そうという意識がある地域があるかもしれませんが、だんだんこのごろは変わってきておると思います。一つの権利意識という目ざめがあるですから。しかし、まだそういうところが残っているにしても、病院を転々として、病院で診察を受けていられるのですから、その病院の診察というものが、病院自体が、本人が公害病の傾向があってもそれを隠蔽せんならぬ必要は、私は病院にはないと思いますよ。  だから、公害でないほうがしあわせなことですからね。この点はどうも、病院まで一緒になって隠蔽するというような、そういうことではないのじゃないか。しかし、本人がそう訴えるならば、できるだけ精密な検査は必要でしょうけれども、病院の診察の結果がよく似ておるというようなことで、公害でなかったというようなことは、本人のためにもかえってしあわせではないかという感じを受けて、私は労働省の報告を受けておったのでございます。
  177. 小平芳平

    ○小平芳平君 その点については、私は後日また明らかにいたしますから。この、病気じゃない、病気じゃないというふうに言われておるだけではありませんので、この点はひとつまた後日明らかにいたします。以上です。
  178. 加藤進

    加藤進君 まず三木長官お尋ねいたしますが、この前の委員会では、ちょうど長官自身が水俣調査に行かれた直後でございまして、私たちも、それぞれの党から水俣病の問題について政府の所信をただしたわけでございますけれども、それ以後、まことにわずかな日数しかたっておらない今日、さらに第三の水俣病が発生した、重大な問題をわれわれがこの委員会で議論しなければならぬというのは、まことに残念であり、悲しむべき事態ではないかと思います。  しかも、第三の水俣病患者の発見というのは、いわば偶然の発見といってもいい状態だったと思います。対照地域として、ここでは患者はおそらくないであろうと予想されていたところで患者が発見されたという事柄自身もきわめて深刻でありますし、同時に、その患者が、微量で従来はほとんど取るに足らない危険性もないと思われていた程度水銀摂取した、しかもそれが長期にわたっておればそのような患者が発生するという、きわめて新しい問題を私は提起されたと思っています。  こういう状況は、水俣あるいは不知火海、そして有明海だけの問題ではなく、もういまや全国民  一億の人たちがすべて、一体どんな魚を食べたらいいんだろうか、われわれの健康は安全だろうか、こう問いたださざるを得ないような不安に私はかられていると思うのです。  こういう状態でありますから、単に水銀の問題だけではなく、相次いでカドミやあるいはPCBの問題が発生しています。もうこれでは環境庁長官も絶えず口にしておられるように、あと追い行政ではだめだ、こういう御決意、けっこうです。また環境白書の中でも、われわれはこの水俣病について対策の立ちおくれを深く反省すると、こう言っております。反省もけっこうです。しかし、もう単なる従来の反省や決意では、こういう深刻な公害の事態を乗り切れないようなところにまでわれわれはきている。こういう認識をはっきりと持ってこの公害問題に対処しなくてはならぬのではないかということを、ひしひしと今回感ずるわけであります。  したがって、そういう点から見て環境庁長官がこういう事態をどのように認識しておられるのか。これに対する対策をどう考えておられるのか。そしてその対策のためには必要な人的な体制、そして予算の裏づけ等々についてもこれは緊急に措置しなくてはならぬ問題だと思いますけれども、その点についての基本的な見解をこの際あらためてお尋ねしたいと思います。
  179. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 公害問題というものは冷静に処理しなければならぬ面もありますので、みんながヒステリックになってやることが公害問題の解決になるとは私は思わない。したがって、こういういろいろな公害問題の発生の事態にかんがみて、政府は非常に用心深く、疑い深く、そういう意味で、私ども有明海についても、あそこには水俣病が発生すまいとは思っておったけれども、これは環境の調査、いわゆる水質、魚、それから底質、これをしようという段取りを立てておったわけです。これをいま時期を早めようということですが、こういう計画の中に入れておったわけですが、それをもう少し広い範囲で、そういう事態が起こらないように今後は日本の汚染の実態を把握しなければならぬ、第一番には。  そうしてそれに対しての対策、いろいろなヘドロの処理など、いま小平さんも、あんなパイプラインでのヘドロ処理は時代おくれだと言うが、いい知恵があったら借りたいのですよ、これは。ヘドロの処理というものを、汚染を根本的に除去するためには非常に大切な、根本的解決としては大切な問題ですから、そうしてできる限りそういう汚染の根本的な原因というものを除去しなければならぬ。  それから健康診断なども、いま予算の話があったが、私はどんなに多額であっても予算要求をするつもりです。できるだけ広く健康の調査をして、そうして、みなが何か社会不安みたいになるようなことはよくない、その間から解決策は出てこないですから冷静に対処しなければならぬけれども政府の持っておる責任は非常に私は重いと思います。  そういう健康調査をやるとか、あるいはまた、不幸にして公害病にかかられた人に対する医学的の面からの研究、治療、こういう体制、私は水俣研究治療センターをつくりたいということの計画を進めているのも、ああいう不幸な事件というものはもう解決したら忘れたくないということで、何かのあそこにそういうセンターでもつくりたいと考えておる次第でございます。  こういうことがいま考えておる点でございます。
  180. 加藤進

    加藤進君 若干反論したい点もありますけれども、時間の都合上これは省略しますが、ただ予算の措置の問題ですが、これは四十八年度の環境庁の予算だけ、あるいは公害・環境保全関係の予算だけでこの事態を乗り切り得るのか、対策は立て得るのか。こういう点は非常に私たちも疑問に思うわけでございますけれども、場合によったら予算の補正を行なうというくらいの御決意があるかどうか、その点一言お聞きしたいと思います。
  181. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 必要があれば予備費を要求するつもりでございます。
  182. 加藤進

    加藤進君 それでは、このような事態に当面して、いま何をなさなくてはならぬかという点で環境庁の御意向をお聞きしましたけれども、昨年環境庁は、水銀汚染の疑いのあると思われる全国の十の水域を調査されたはずだと思いますけれども、その結果はどうでございましょうか。
  183. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 水銀汚染につきましては、四十三年に暫定対策要領が定められまして以後、問題水域につきましては毎年調査実施いたしております。  四十七年度におきましても、北海道の無加川水系ほか十水系につきまして調査をいたしております。この結果はそれぞれの河川ごとに、水域ごとに状況は異なりますけれども、総じて申し上げますと、一般的に魚介類中の総水銀あるいはメチル水銀汚染されておる度合いは、逐年減少傾向にあるわけでございまして、四十七年度の調査によりますれば、少なくともこの暫定対策要領でさらに精密調査に入るべき尺度として示されておりましたような、一PPMをこえるものが総数の二〇%をこえるというような水域はなかったわけでございます。
  184. 加藤進

    加藤進君 ただ、その中で、今回の第三水俣病の死者を出したといわれる地域に近い大牟田川、緑川の河口沖での汚染度、この汚染度を上回るような水域が四カ所あったというふうに私は聞いておりますけれども、その点はどうでしょうか。
  185. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 各水域ごとで検体として選んでおります魚の種類が必ずしも同一ではございませんので、直ちに水系ごとの水銀汚染の度合いというものの比較は困難ではございますが、当然この緑川河口沖で調べました魚介類中の水銀量よりも汚染濃度の高い水域はほかにございます。
  186. 加藤進

    加藤進君 それは兵庫県の円山川流域、敦賀湾、富山湾、新潟湾、こういうふうに言っても間違いじゃないでしょうか。
  187. 船後正道

    政府委員(船後正道君) ちょっと私、直ちにそういうような比較をいたしておりませんけれども、御指摘のように神通川、これは川魚のウグイでございますが、神通川でございますとか敦賀湾等の水銀汚染濃度はかなり比較的高いほうでございます。
  188. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、これはわれわれの側から言うと危険信号がすでに出ていると、こう見てもいいのではないかと思っています。  伊勢湾、これには水銀を使っている工場が東亜合成、日本合成の大垣工場、三井化学、三菱モンサント、大きなところをあげてもこのような水銀工場が存在する。それが伊勢湾に注入する。新潟湾や富山湾につきましても、また兵庫の円山川につきましても大体同様です。こうなってくると、これは水銀汚染度があまり大したことはないなどと言って見過ごしておったら、これは私は第四、第五の水俣病を起こしかねない。こういう私は危惧を持たざるを得ないわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
  189. 船後正道

    政府委員(船後正道君) いま御指摘の円山川でございますが、これは今回調査いたしております北海道の無加川、また、四十七年度は調査いたしませんでしたが奈良県の吉野川、これは従前から自然の水銀鉱床がございまして、かなり河川の水銀汚染濃度、したがいまして、そこに生息しておりますウグイあるいはフナ等の小魚が相当の水銀汚染を持っておったわけでございます。  今回熊本大学研究班で指摘されました問題の中で、基本的にはこの微量長期摂取というのが人体にどのように影響するか、特に従来通説として考えられておりました人体中の水銀の半減期が七十日前後と思われておりましたのが、腎・肝とは違って脳中では二百三十日というような、かなり長い半減期があるという点が指摘されておりまして、それらとの関連から、従来の考え方では、微量でもってむちゃに摂食しなければまずはだいじょうぶであろうと、こう思われておりましたところに、この新しい知見をもとにして検討いたしますとどうなるか、これは非常にむずかしい問題でございまして、先ほど来もお話ございましたように、根本的には現在厚生省におきましてそういった問題の御検討をいただいておりますが、さらにそれに引き続き、私ども人体影響を踏まえましてこの各水域における水銀汚染の危険信号と申しますか、汚染をはかる尺度と申しますか、そういったものにつきましての再検討をいたさねばならない、かように考えております。
  190. 加藤進

    加藤進君 そういう点では、ぜひこの点も十分にマークして、今後の追跡調査もやられるということですね。  もう一つ、通産省の調べによりますと、アセトアルデヒド製造した工場七社八工場のうちで、今度第三水俣病発生源になっておるであろうとほとんど確定的な日本合成熊本工場水銀消失量に比べて、さらにこれを上回る工場が六工場ある。こういう点が指摘されておると思いますけれども通産省関係の方いらっしゃいますか。
  191. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 七社八工場アセチレン法によりますアルデヒド製造工場がございまして、その各社から水銀の未回収量を調査をしたわけでございますが、御指摘のように、日本合成化学熊本工揚が、会社報告によります未回収量は五トンでございますけれども、あとダイセル新井工場が五トンでございまして、その他の工場はいずれもそれを上回った数字になっております。ただ、これは会社報告でございまして、特にこの日本合成熊本工場は生産量に比べまして水銀の消費量が非常に少のうございますので、その内容につきましてはもう少し検証が必要かというふうに考えております。
  192. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、長官、ともかく長期に微量摂取をしていたために第三の水俣病が発生した、そうして、その汚染度は従来はあまり注意を払っていなかった、こういう点があったわけでございますから、もし真剣に水俣病に対処しようとするなら、いまあげたような環境庁通産省の調べによる水域やあるいは工場付近に対しては、他の地域と違った特別の注意が必要だということは、これはもう当然出てくる結論ではないかと思うわけでございますけれども、そういう点の環境調査はもちろんのことでございますけれども、それよりももっと大事なのは、もうすでに有明海やあるいはすぐ近くの市で患者が発生し、あるいは死亡しておられるという事態が起こっておるわけでございますから、とりあえず、地域住民の健康調査をこの地域、水域まで拡大していかなくてはならぬ。これは私は当然これからのなすべき手だてだと思うわけでございますけれども、そのような健康調査についての御意思があるかどうか、その点をひとつ確めておきたいと思います。
  193. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 有明海の全域につきまして、水質、底質魚介類等環境調査はもとより、沿岸住民、特に漁民中心といたしまして健康調査実施いたしたいと考え、現在沿岸四県の担当と詳細な実施計画の打ち合わせをいたしておるところでございます。  なお、健康調査につきましては、問題点は水俣におきましても現在かなり多数の認定申請者の検査をしなければならないし、かつまた、不知火海一帯につきましての一斉検診の補完的な調査もしなければならない。また、この健康診断は水俣病という特殊な疾病でございますので、精密検査の段階になりますとなかなか専門家の数も足りないというような難点がございますけれども、九州はもとより、各国立病院、大学等の応援も得まして、できるだけすみやかに健康調査実施いたしまして、住民の不安解消につとめたい。かつまた、この水俣病の広がりの程度というものにつきまして徹底した調査をいたしたい、かように考えております。
  194. 加藤進

    加藤進君 重ねて聞きますけれども、とにかくいま指摘しましたような地域は危険と想定されるような地域であって、今後十分に監視もし、調査もし、そうして住民の健康診断についても今後計画的にこれを実施しようと、こういうお考えですか。
  195. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 当面は、この八代湾と有明海に重点を置きまして健康調査実施いたします。これは人的能力の上からいきまして、それ以上に手を広げるわけにはまいらないと考えております。  他の問題水域につきましては環境調査、これはいろいろな検体を分析すればできるわけでございますから、先ほど来長官も申しておりますように、疑いのある水域につきましては全国一斉の調査実施いたしまして、そうしてこの有明海における環境調査健康調査知見をもとにいたしまして、これらの水域につきましてもさらにしぼった上で健康調査実施を考えたいと、かように思っております。
  196. 加藤進

    加藤進君 その点では前向きに検討されるということで了解いたします。  そこで、有明海での今後行なわれるであろう健康調査の問題ですけれども、この健康調査をどういうふうにどんな方法でやられるかということがきわめて重大、重要な問題だと思うわけであります。というのは、これは今度の熊大報告におきましてもこの点が、相当遠慮がちな表現でございますけれども、指摘されておるわけですね。これは、くだいて言うならアンケート式の従来の県でやられた方式によると、患者自身の訴えにたよるという方法になるから、ほんとうの患者のうち約二〇%はこれから漏れるというデータが明確になったと、こう言っておるわけでございます。そういう点では、従来の熊本やあるいは鹿児島でやられるような県段階での一斉調査ということが、実は重要な取り上ぐべき発見すべき患者を見落としていた、しかもその割合が二〇%に及ぶというのはきわめて重大な指摘だと思うわけでございますけれども、その点についてあえて私が申し上げるなら、もうすでに水俣研究班での十分な研究の蓄積があり経験があるわけだから、この経験と蓄積を十分に生かして、熊本大学の医学部の研究班の諸君の知見を尊重しつつ、いわば来たるべき健康調査の体制なり方法なり取り組みなりを抜本的に改善していただく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、その点、政府はどのように考えておられるでしょうか。
  197. 船後正道

    政府委員(船後正道君) まず、有明海健康調査の場合には、患者を認定するというための調査というよりは、むしろ今回熊本大学が、まさにたまたまでございますが、対照地区として選んだ有明町で、水俣病と全く区別できないような患者が発見されたということに基礎を置きまして、この有明海全般につきましての環境汚染人体被害との関係、疫学的な調査を主としてスクリーニングをしながら、精密調査に入っていくということをまずやりたいと思っております。  したがいまして、何と申しましてもこのアンケート調査には一つの限界がございますけれども、住民すべてにつきまして精密調査実施するということになりますれば、これは何年かかるかわかりませんので、やはり今回の調査の目的に照らしまして、ある程度アンケート調査によってスクリーニングを行ないまして、その上で二次、三次の精密調査に入っていくという手法にならざるを得ないと考えておりますが、なお、アンケート調査につきましては、先般不知火海で実施いたしました際に、熊本県と鹿児島県ではかなり回答率の差があったわけでございまして、こういった理由等も十分検討いたしまして、完全回収ができますようなことを考え、かつまた二次、三次の検診につきましては、熊大の今回の知見というもの本十分取り入れまして、県におきまして統一した方法で実施いたしたいと考えております。
  198. 加藤進

    加藤進君 くどいようですけれども水俣病はとにかく世界のどこにも発生しておらない日本独特の公害病ですから、これに取っ組んで長年にわたって苦労しておられる熊大の諸先生知見をぜひとも十分に尊重して、これを生かしていくということを柱にした検診あるいは健康診断を実施してほしい、こういうことを要望しておきます。  そこで、もう三木長官の時間がないようですから一つだけお聞きしますけれども、この有明海公害汚染源の問題です。  先ほど三木長官質問に答えて、大体工場その他の実態は県が一番よく知っている、したがって、汚染源はどれかというような点は、第一義的には県にやらしておくべきではないか、こういう意向でしたね。  そこで私、実はその点について一つ疑問を提出しますと、これは五月二十六日の新聞ですけれども、福岡県の環境整備局がこういう発表をしております。それは大牟田市の三井東圧化学に立ち入り調査を行ないまして、その結果について発表しておるわけでございますけれども、それは、排出されたのは無機水銀であって、汚染状態も基準値を下回っておるからこれは問題はない、熊本有明水銀被害との関連性は薄い。いわば新聞の見出しによりますと「三井東圧はシロ」、こういう見出しが出ておるわけでございますけれども、もしこのような状態をそのままにしておいたら、これはほんとうの汚染源というもの、公害発生源というものを県段階にまかしておいて真に確定できるかどうか、私は大きな疑問があると思うのです。  それならば聞くけれども、たとえば日本合成はほんとうにその点についてどうなのかということになれば、熊本県に調査を依頼して熊本県の意見を聞くということだけでは、私は政府の行政責任は果たし得ないじゃないか、こう考えるわけでございますから、この点について、一体発生源企業はどこであるかというような点を担当して真剣に受け持つようないわば部署が政府部内にあってしかるべきだと思いますけれども、これはどこにあるのでしょうか。
  199. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 有明海水銀汚染につきましては、現段階汚染源が何であるかということを断定するには、あまりにも資料が不足いたしておる状態でございます。しかも今回熊大研究で指摘されました患者につきまして、これが熊大では「過去の発症と見るとしても」というような表現もあるわけでございますが、過去の汚染状況、現在の汚染状況という二つが問題になってくるわけでございます。そういったことも踏まえまして、私どもは先ほど申しましたような環境調査健康調査というものを実施いたしまして、その一環といたしまして汚染源検討というものをいたしてまいりたい、かように考えております。
  200. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、汚染企業を明確にするということについては環境庁が責任を持つのですね。
  201. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 有明海の問題につきましては、もちろん環境調査健康調査環境庁の手だけでできるわけのものではございませんでして、厚生省通産省水産庁関係各省と協議の上進める。そして実施はそれぞれの四県で行なうことになるはずでございます。しかし、このように一応関係者が多いわけでございますけれども、やはり問題は統一的に処理する必要がございますので、調査の方法あるいは調査結果の分析、検討等につきましては、当然私ども中心になりまして、統一した見解を持っていく、このようなつもりで作業を進めておるところでございます。
  202. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、政府が責任をもって発生源企業はここであるということを確定して公表する、こういうことですね。
  203. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 政府が責任をもってやるかどうか、ただいまの段階では申し上げられないような状況でございまして、先ほど来申しておりますように、いずれにいたしましても当面急ぐべきことは、判断材料を得るための調査を急ぐわけでございまして、その検討につきましては関係県と、それからただいま申し上げましたような環境庁厚生省通産省水産庁関係省庁間で十分意見を調整した上で一つの結論を見出したい、かように考えております。
  204. 加藤進

    加藤進君 そこで、私はあえて一言だけ指摘いたしますと、ともかく水俣病は裁判によって最終的にとにかく勝ったからこそ、汚染源あるいは公害発生源企業そのものにあるということを明確にさせたわけですけれども、第三水俣病や今後起こるさまざまな公害について、発生源企業はどれだということを、裁判を通じてでなければ明確にされないなどということを許してはならぬ。その意味において、私は政府の行政責任はここにもあるという点をはっきり指摘したいと思うのですけれども、その点はどうですか。
  205. 船後正道

    政府委員(船後正道君) やはり過去のイタイイタイ病にいたしましても、あるいは水俣病にいたしましても、政府ベースでもって関係省庁が協力して調査し、その結果といたしまして、あるいは厚生省の見解、あるいは科学技術庁の見解ということにはなっておりますけれども政府の見解を統一いたしまして、汚染源につきましての見解を出した例もあるわけでございますから、今回の有明海の問題につきましても、当然私どもは先ほど申しましたような手順を経まして、一つの統一した見解というものを早く得たいと考えております。
  206. 加藤進

    加藤進君 すでにもう健康被害は明らかになっておりますし、しかもその健康被害水銀摂取による環境の汚染に原因があるということも今度の報告において明らかに指摘されておることだと思います。そうしますと、発生源企業がどこにあるかということはまずおいて、こういう関連がすでにほぼ明らかになっておるという状態のもとで、一刻も早く救済法に基づく地域指定を行なって、患者の救済に当たるというのが行政の責任ではないかと思いますけれども、その点についての見解はどうでしょうか。
  207. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 水俣病そのものは特別措置法による指定疾病でございます。問題は、この有明町で発見されました患者が、特別措置法に規定いたしておりますように、水質汚濁の影響による疾病という点につきましての疫学的な裏づけが必要でございます。この点につきましては熊大報告におきましても「疫学的調査から有明地区の患者を有機水銀中毒症と見うるとすれば」という報告になっておりまして、なお疫学的な裏づけが必要であると考えております。これらは先ほど申し上げましたような環境調査健康調査というものの結果として出てくるわけでございますから、それを急ぎまして、その結果すみやかに特別措置法上の所要の措置を検討いたしたいと思っております。
  208. 加藤進

    加藤進君 私はおそらくその結論は、健康被害について救済法の地域指定に基づく救済ということになるだろうと予測しています。おそらく政府もそう考えておられるでしょうけれども、念には念を入れてということではなかろうかと思いますけれども、今日このような患者の諸君が、みずから病気を持ちながら、しかも不安におののいて日々の医療そのものについても難渋をきわめておられるというような事態が起こっておるわけです。こういう点について、これは石橋をたたいて明確にするということも必要でしょうけれども、応急当面の緊急措置ということも、これは行政の上において行なわなくてはならぬことだと思いますけれども、その点については患者たちに対して何らかその方向に向いた検討なり、あるいは措置なりをとられることを考えておられるかどうか、その点はいかがでしょうか。
  209. 船後正道

    政府委員(船後正道君) この点は有明町で発見されました患者の方々が医療を要する状態にあるといたしますと、特別措置法の適用につきましてはただいま申し上げましたような手順を経るわけでございますから、その間のつなぎの措置といたしまして、県において何らかの行政措置をとり得るよう、現在県と相談いたしておるところでございます。
  210. 加藤進

    加藤進君 それでは時間の関係もありますから、——水俣地区を中心とするいままでの水俣病の問題について触れたいと思いますけれども、特に認定制度の問題です。これは現在認定申請者の数がどれくらいになっているのか、あるいはそういう申請者が、申請だけして今日認定の措置を待っているのがどれくらいあるのか、数字的にちょっと明らかにしていただきたい。
  211. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 四月末でございますが、水俣病の認定者は熊本県が三百五十九名、鹿児島県が二十一名、計三百八十名でございます。なお、現在認定申請をして検査を待っておるという者は八百名程度にのぼっております。
  212. 加藤進

    加藤進君 八百名程度の申請者がある。そうして審査はどうかというと、二カ月に一回、二日間という程度、そして認定を得られる患者の数は二カ月間に八十名から九十名、こういうことになりますと、今日申請しておられる患者とおぼしき方たちが認定を受けられるのは、最後はいつまでになるかというと、五十一年の二月までかかるという事態が起こるわけですね。これは水俣病の患者として救済を必要とすべき方たちに対して、審査の手続が十分に進行しないから待て、こういうことでは、私はほんとうの患者、被害者の救済にはならないと思うわけですが、その点、審査会の運営、審査会のやり方について何らかの抜本的な措置が必要ではなかろうか、こういう問題が現地においても非常に強く叫ばれておるわけであります。  その点について私はあえてそういう声を代表して提案しますけれども、もし一人のお医者さんが診断しただけでは足らないというなら、二名以上のお医者さんが水俣病と診断しておられるような患者については、とりあえずこの方たちを認定すべきではなかろうか。こういう措置でもとらなければ今後とも非常な困難な状態におちいるではないか、こういう点がありますけれども、その点についての御検討はいかがでしょうか。
  213. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 最近認定申請者が激増いたしておりまして、非常にむずかしい問題になっておりますのは御指摘のとおりでございます。これは認定審査会が二カ月に一ぺんしか開かないということではなくて、認定審査会に持ち込めるような所要の検査をする能力というところに一つの制約があるわけであります。  私も専門家ではございませんけれども水俣病の診断につきましては、眼科、内科、神経科、各科にわたりましてかなり時間をかけた検査が必要でございまして、現在のところ水俣市の能力といたしましては、月四、五十名程度というのが精一ぱいと聞いておりますけれども、最近、できる限り機械化し得る分は機械化しよう、あるいは検査器具等も補充しようということで、水俣市に検診センターというものも設けたのでございますが、私どもも国のベースでこういった検査器具等の整備につきましては県・市にも話しまして、私どものほうで援助できるならばできる限りの援助はいたしたい、こういう線で話を進めておりますし、かつまた患者の検査方法につきましても、熊大あるいは新潟大等、この問題を多年手がけてこられました方々の御意見を聞きまして、正確でかつ迅迅速な審査というものができますよう、さらに努力してまいりたいと考えております。  なお、認定事務が手間どりますので、その間の患者の方々の医療をどうするかという問題がございまして、これらの問題につきましては、認定前につきましても行政的な措置として医療費の支給というものはできないかという点について、現在熊本県と相談いたしておるところでございます。
  214. 加藤進

    加藤進君 その点について先般患者の代表の方たちが国会や政府にお願いに来られたわけでございますけれども水俣病被害者の会の会長さんのことばを私はちょっとここで御紹介しておきたいと思うのです。この方は現在申請中の方です。  「申請中に補償のないまま死ぬ者があとを断っていません。いつになったら認めてくれるのでしょうか。家族の働き手が仕事ができなくなった上に治療費がかさんでどん底の家族が少なくありません、何とかしてください。」こういう訴えが出ておりますから、いま言われたような意味で、ぜひとも認定前においても医療費の問題で困難をされるような患者の方たちに対してはできる限りの配慮と援助をしていただきたい。このことをお願いしておきます。よろしゅうございますね、その点は。  最後に私は漁業補償の問題について一言触れたいと思いますけれども、最近熊本県では、有明海の魚は安全だと、こういういわゆる安全宣言をしたわけでございますけれども、はたして有明海の現在の魚が安全だという保証がつき得るかどうか。この点についての政府、特に厚生省の見解をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  215. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 有明海不知火海の魚介類汚染調査の結果によりますと、通常の摂取量においては安全であるとの武内教授らの御意見もございます。現在のところ厚生省としては安全と考えておるわけでございますが、現在実はこの件につきましては、武内教授も入っていただきまして、魚介類水銀に関する専門家会議という会議を持ちましてさらに検討中でございます。最終的にはその結論を待って判断いたしたいと考えておりますが、先ほども申しましたように、この結論をできるだけ今月中に出していただくように要請中でございます。
  216. 加藤進

    加藤進君 ちょうど、きょう熊本大学武内先生衆議院の参考人として来られたわけですね。その先生のお答えによりますと、私は有明海の魚は完全にだいじょうぶだと言ったわけではないと、こう言っておられます。しかしこの問題は、御承知のように有明海沿岸漁民に深刻な影響を与える問題でございますから、そういう漁民の方たちの感情をも考慮しなくてはならぬ点が多々ある、こういうふうに言っておられるように私は聞きました。  そこで、武内教授はこういうことを提案しておられるわけです。汚染の疑いのある魚を何とか公的機関で買い上げていただいて、これを検査して、安全なものと有害なものとを分けて処分していただけないか、こういう方法ができるならばこれが一番安全な方法なんだ、こう言っておられるわけでございますけれども、そういう方法についての政府の見解はどうでしょうか。
  217. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 有機水銀中毒症、いわゆる水俣病でございますが、これは本来特定の水域あるいは地域におきまする特殊な問題と考えるべきところでございましょうが、一般食品衛生の問題として、私どもは一般国民の方に対する予防的措置として、そういった見地から現在食品中の水銀許容基準設定に必要な研究を進めておるところでございます。  本来的にはこういった基準というものがきまってから、いろいろといま先生の御指摘のような措置もとるべきものとは思いますが、現在そのような根本的な基準というものの決定にはなお時日を要するということで、有明海等のこのような事柄もございますので、先ほど申しましたように、汚染地域におきます魚介類摂取暫定基準設定するという方向専門家会議を招集しているところでございます。  実際の測定ということは、これは私どもは予防措置を講ずる上から、やはり生産地、その水ぎわでもって防止するという観点から、水産庁のほうにその点については格段の御努力をお願いするように要請いたしたいと思います。
  218. 加藤進

    加藤進君 これは非常に困難な措置を伴うと思いますし、相当膨大な予算その他が必要だと思いますけれども、しかし、たとえば有明海から出た魚が神戸の市場へ行って、神戸の市場では、ちょっと待った、これは少し調べなくちゃならぬと、こういって検査しなければ売りに出せないというような事態があるということを頭に置いていくなら、これはきょうの参考人のお話の中にも出たような意味で、公的機関で買い上げて責任を持って出す、そして危険なものは廃棄処分にするというぐらいの措置を私はとるべきであると、こう思いますが、いまの御答弁の中から積極的な面を私が取り上げていくなら、その点についても考慮しつつ基準をできるだけ早く明確にする、こういうふうに理解していいですか。
  219. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 本来、この種の問題を未然に防ぐためには、実は市場に出回った段階で検査するということではおそいのでございます。このような分析というのは、通常かなりの時日を要します。数日間を要します。したがいまして、その結果が出たときはすでに当該の魚介類は売却されておって、場合によっては消費されておるといったような事態に相なるわけでございます。すなわち、この面での食品衛生上からのチェックということには、その抑制力には限度がございます。  しかしながら、このようなチェックによりまして、生産地に私どもは連絡いたしまして、そして常時そこでもって汚染状況を検査、測定していただくということによりまして、その次からそういったような汚染魚介類が市場に出回るということはこれは未然に防げる、そのはずでございます。したがいまして私どもは、いまの効果をあげるという意味合いから申しますと、やはり水産庁あるいは環境庁、その辺のところと十分に連絡をとりまして、私ども立場からすれば十分に予防措置の効果が発揮できるような方法を早急に具体化するようにお願いしたいと考えております。
  220. 加藤進

    加藤進君 ともかく結論的に言うなら、消費者が、これはだいじょうぶ、政府も太鼓判を押していただいた魚だと、こう言って食膳に供せられるような措置をぜひとも政府としても進めていただきたい。  最後に、水俣湾の問題でございますけれども水俣湾の漁民についてはある程度チッソからの補償等々も出ておるわけでございますけれども、その魚を取り扱う鮮魚商等々は、もう水俣湾の魚はこれは売れない、こういうことであすの生活にも非常に困難をしている。こういうのが実態でございまして、私たちが参りましたときには、市場組合の広場で大会を開いて、そして強い訴えをしておるような状態でございました。  ぜひともその点についても、もちろん企業負担の原則は当然でありますから、そういうことを原則にしながらも、なおかつ、つなぎの生活資金、生業資金が必要な者については、こういう鮮魚商に対しても漁民と同様に援助の措置をとっていただく必要があるのじゃないかと思いますけれども、その点どなたがお答えいただけましょうか。お答えしていただく方ございますか。
  221. 安福数夫

    政府委員(安福数夫君) 回答になるかどうかわかりませんけれども、私ども、こういう事態はいろいろ連鎖反応を起こすわけでございますね。したがいまして、現在のわれわれの一つの制度なり融資なりそういった対象として、鮮魚商までそれでとらえるという制度の仕組みになってないわけでございます。そういう面で、いま直ちに水産行政の一環として、鮮魚商まで生活費なりあるいは営業資金なり、そういう手当てをするというかっこうになっておりませんので、おそらくこれは中小企業の商業的な一つのサイドがあるのかと思います。そういった面で何か金融的なつなぎの措置をやられればいいんじゃないかと、こういう感じがします。  ただこれは、国の行政ももちろん関係がございますけれども、県なりあるいは市町村行政、市町村がまず一番手近な問題でございますから、そういったところでどういう手当てをしたらいいだろうかという検討をお願いして、それを県が上げ、それを国との関係でどういうふうにそのアフターケアをしてまいるか、こういう観点から、そういった問題を含めて国の行政でも考えるべき問題だろう。そういった点につきましては、私どもも、魚に関係がございますので、何もそういわゆる縦割り行政云々を言うわけじゃございませんけれども、やはり連絡をとって、そういったものに対しても対処されるべき問題だろうと、こういうふうに考えて認識はいたします。
  222. 加藤進

    加藤進君 あまり明確な答弁を期待できないようですけれども、しかし、そういう問題がとにかく深刻に現地に起こっている、こういう点は認識されて、この鮮魚商の諸君の生業、生活の面についても十分配慮するという立場で行政を進めてほしいというふうに期待いたしまして、私の質問を終わります。
  223. 杉原一雄

    ○理事(杉原一雄君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会