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国務大臣(
新谷寅三郎君) ごもっともだと思います。先ほ
どもちょっと
報告のときに申し上げましたが、結局、この問題はわれわれに対しても非常にいい反省の機会を与えてくれたと思います。
構造上の問題については
船舶局長からるる申し上げましたように、これは
カーフェリーが生まれまして、それで、
構造上の安全というものはどうしたらいいかということで、
専門家が集まっていろいろ審議をした結果、一応の安全
基準ができておるわけです。さらに、その後
大型化したりあるいは
高速化して非常に危険性が増すもんですから、その安全性について再検討をしまして、現在の一万
トン級の
カーフェリーあるいは非常にたくさんの車を積んだ場合にも安全であるという
基準をつくってやっておるのでございまして、その
構造の上からいって、
船舶安全法及び
関係規定の
基準に合致しておればこういうことが
構造上は起こるはずはないんですね。ところが、どうも、推定いたしますと、いまおっしゃったように
検査にもいろいろ種類がございまして、いかなる
部分もいかなる
検査でも必ず見るかと申しますとそうはいかないのでありまして、
検査官も限られた範囲で
船舶安全法上要求されておる
検査はしていると思いますが、しかし、本来ある
状態、安全であるべき
状態をいつも維持しなけりゃならぬと、これについては、やはり第一には企業家
——事業をやっている人、それが絶えずそういったことには留意をいたしまして、そして、自分たちは大事な人命を預かっているんだという意識を持って、自分の船が安全
基準に合致しているかどうかということを絶えず
注意しなけりゃならぬということは当然だろうと思います。
それから第二には、今度は、その
状態をどうして確認するかということでございますが、企業家も全社をあげてやってもらわなけりゃなりませんが、同時に、船に乗っている船長以下、これは、いまここで御
報告したように、そういう
点検をやることになっているんですけれ
ども、つい手抜きをする場合がないとは限りません、
発航前の
点検でございますね。これは、航海に出る前に必ず
発航前の
点検というものをやることを義務づけておるんですが、それも、これはだいじょうぶかと、あぶないところはさまっているんですから、それについて
発航前の
検査というものを励行しておりますと。
検査官がいようといまいと当然やるべきなんです。それを励行してないと、
フェリーは折り返し運転ですから、つい手を抜いてしまうと、思わないところに
事故の
原因が隠されているというようなことになりますので、私
どもの限られた
検査官が何千隻という全体の船について絶えず
状態、
現状を見て
検査して回るということは実際上不可能で、だから、四年に一回とか二年に一回とか毎年とかいうふうに、法律で定められた時期に、基本的な問題については
検査いたしますが、それをどうして維持していくかという問題になりますと、企業家自身も気をつけてもらわなきゃいかぬ。それから乗っておる船長以下職員も絶えず安全ということに責任感を持って配意をするということは当然でございまして、それを今度は励行させるような
措置を、これは
カーフェリーだけじゃございませんで、いい機会ですから、私は
旅客船全部に対して
カーフェリーと同じようにこの際総
点検をしてもらいたい。それから、今後、そういう
発航前の
検査でございますとか
点検でございますとかいうものについては責任を持ってやれという通達を出しまして、厳にそれを実行させつつあるわけでございます。
なお、将来の問題につきましては、
カーフェリーの効用が非常に大きいものでございますから、使用の範囲といいますか、態様ももっと非常に多様化してくると思います。それに応じましての安全の施設というものは、そういった実態に応じてさらに検討を加え、そして実態に即した改正を加えていかなきゃならぬと思っておるのであります。要するに、私のほうで言うと、
船舶局もそれから海運局も船員局も、全部が一体になって今後のそういった問題に対する
事故防止に協力をして全力をあげると、こういう
体制にいたしておりますので、いまのところは各業者にも、船にも徹底していると思います。これがだんだんほんとうにはだにしみついて、やかましく言われぬでも、当然これはやるべきだというのでみんなが気をつけてくれますと、
事故防止には非常にこれ役に立つと、こういうことを期待しておるわけでございます。なお、安全は交通
機関としては一番の問題でございますから、
運輸省といたしましても、ここに最大限の重点を置いて今後とも指導をしたいと思っております。