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説明員(植田守昭君) いわゆる造水といいますか、排水の再生利用につきましては、下水処理水の再生とそれから
工場排水の再生と私
ども二つに分けて
考えておりますが、その下水処理水の再生につきましては、現状をちょっと申し上げますと、
工業用水道で下水処理水を水源とするものが現在でも四カ所ばかりすでにございます。
東京都の江東地区にもございますし、それから川崎、名古屋、大阪というところにそれぞれあるわけでございます。これらの
工業水道は、下水処理水を沈でん等の処理をいたしまして送っているわけでございますが、率直に申しまして、まだ水質の問題もございまして、
需要する側から見ますと、いろいろとクレームがつくというふうな状況でもあるわけでございます。それで、こういった下水の再生につきましては、もう
一つ高度な処理が必要であろう、技術的にももう少し進んだ処理をする必要があるだろうというふうに私
ども考えておるわけでございますが、そういった
観点から、昭和四十五年から三年
計画で私
どもで再生利用の実験
調査を進めてまいりまして、これは
東京都の南砂町の浄水場で、たとえば活性炭の処理千五百トンというふうなパイロットプラントで進めてきましたが、一応そういった点でかなりの技術的なめどができましたので、今年度からは
東京都に日量五万トン
規模の造水プラント、下水処理水を活性炭でろ過する造水プラントを
計画いたしまして、現在基本設計その他に着手したところでございます。この五万トンの下水処理の造水プラントは、もちろんわが国でも初めてでございますし、国際的にもこういった大きなものはまだございませんが、これを実際に給水してみまして、その成果があがれば、今後はほかのいろいろな
都市におきまして、水の不足したところで、こういった造水プラントは進むんではなかろうかというふうに私
どもは期待しております。それから
工場排水の再生処理につきましては、下水処理水まりもある
意味ではまだおくれております、もっとも冷却水等につきましては、かなり再生利用も進んでおります。現在、
産業全体で約五二%
程度の水は再生水でまかなっているという状況でございます。しかし、私
どもといたしましては、昭和六十年ぐらいまでに、少なくとも一ぺん使った水の回収率を七〇%ぐらいまでには高めたいと思っておりまして、そういった点でやはり
工場排水の再生利用の実験を現在進めております。四十八年度は、石油化学の水でございますとか、紙パルプの水につきましてパイロットプラントを
建設すべく現在
計画に着手したところでございます。
それからもう
一つの海水淡水化でございますが、海水淡水化につきましては、昭和四十四年から私
どもの
工業技術院で大型プロジェクト
制度という
制度で、五十年を目標といたしまして、総額約五十億円の予算をつぎ込みまして研究中でございます。つい最近までは茅ケ崎で三千トンのプラントで研究してまいりましたが、ことしからは十万トンのプラントを大分県の鶴崎に
建設中でございまして、昭和五十年度には十万トンのプラントの設計ができるような成果をあげるべく現在進めているところでございます。御指摘のように、現在でも海水淡水化は、たとえば中近東等には
日本から輸出したプラントがございますし、国内でもまた、二、三千トンクラスのものは二、三ございますが、まだコストの点で、たとえば二、三万トン
程度でもトン
当たり百円からかかるだろうという状況でございまして、この辺、解決すべき問題は残されております。私
どもといたしましては、いずれにしましても、排水の再生利用や海水淡水化はこれからの重要な問題だと思いますので、実は先月にも財団法人で造水促進センターというふうなセンターも発足いたしまして、こういったところで造水技術の
開発それから実用化というふうなものを推進していきたいというふうに
考えております。