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1973-06-13 第71回国会 参議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十三日(水曜日)    午後零時三十三分開会     —————————————    委員異動     辞任         補欠選任      竹田 現照君     鶴園 哲夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 片山 正英君                 世耕 政隆君                 渡辺一太郎君                 小谷  守君                 黒柳  明君                 塚田 大願君     委 員                 河本嘉久蔵君                 君  健男君                 斎藤 寿夫君                 中村 登美君                 二木 謙吾君                 松岡 克由君                 片岡 勝治君                 杉山善太郎君                 鈴木  力君                 村田 秀三君                 二宮 文造君                 萩原幽香子君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君        建 設 大 臣  金丸  信君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    江崎 真澄君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        内閣官房長官  山下 元利君        警察庁長官官房        長        丸山  昂君        警察庁交通局長  片岡  誠君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛施設庁長官  高松 敬治君        防衛施設庁総務        部長       河路  康君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        大蔵省主計局次        長        辻  敬一君        郵政政務次官   鬼丸 勝之君        郵政省貯金局長  石井多加三君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  松村 賢吉君        建設省道路局長  菊池 三男君        建設省住宅局長  沢田 光英君        自治大臣官房審        議官       森岡  敞君        自治大臣官房会        計課長      紀埜 孝典君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省税務局長 佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        農林省構造改善        局建設部防災課        長        棚橋 正治君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第三局長   桜木 拳一君        会計検査院事務        総局第五局長   中村 祐三君    参考人        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君        日本住宅公団理        事        上野 誠朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十五年度特別会計歳入歳出決算昭和四十五年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十五  年度政府関係機関決算書(第六十八回国会内閣  提出) ○昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十八回国会内閣提出) ○昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十八回国会内閣提出) ○昭和四十六年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(内閣提出) ○昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十六年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十六年度特別会計予算総則第十条に基づ  く経費増額調書及び経費増額調書内閣提  出、衆議院送付) ○昭和四十六年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書(その2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和四十七年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その1)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十七年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その1)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算総則第十条に基づ  く経費増額調書及び各省庁所管経費増額調  書(その1)(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月七日、竹田現照君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。     —————————————
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、昭和四十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は締めくくり総括質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 片岡勝治

    片岡勝治君 総括ということでありますので、全般的にいろいろ質問をしたいと思うわけでありますけれども、具体的な問題を取り上げまして政府見解なりをただしていきたいと思うわけであります。  まず最初に、警察行政に関しまして、そのうち、警察官職務に協力した者が災害を受けました場合の補償問題について当局見解を承りたいと思うわけでありますけれども、実は過般神奈川県においてこういう問題が起こったわけであります。「相模川の深みにはまった三人の子供がおぼれているのを発見、洋服のまま飛び込んで一人は助けたが力尽きて水死した根本茂さん」、「未亡人の愛子さんは「三人の子供をこれから何としても育て上げて行かねばならない。事故直後は目の前がまつ暗になって、体の骨が抜けたような感じだったが、いまではどうやらこれからの生活を考える気持ちが出てきた」と語っているが、根本さんのように自分の生命を犠牲にして人命救助した人へさしのべる公の手はあまりにも小さく、冷たい。」こういうことでこの事件が大きく新聞に報道されたわけであります。  御承知のように、こうした問題はたいへん悲しい事件であり、命を失った人たちに対して心から冥福を祈りながらこの問題について当局見解を承りたいと思うわけでありますけれども、このように警察官職務に協力をして死亡した民間人、こういう人たち一体どのぐらいおるのか、最近のひとつ事例を発表していただきたい。昭和四十五年ごろからどのくらいの人数になっているか、死亡者だけでけっこうです。
  5. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 警察官職務に協力援助してなくなられた方、あるいはけがをされた方については、非常に私どもとしては実は幾ら感謝してもし切れない方々でございますが、いわゆる警察官要請基づきましてお願いをして、その結果なくなられた方、あるいは負傷された方、これを四十二年からの統計で見ますと、なくなられた方は四十二年から四十七年までの間でございますが、八名でございます。それからけがをされた方は百三十八名でございます。それから警察官がおりませんで、現行犯を逮捕するということで果敢にこの犯人逮捕のために活動されまして、その結果なくなられた方が十名、それから負傷された方が二百九名でございます。それからいま片岡先生が例にあげられましたように、人命救助で、挺身をして人命を救うという行為の過程でおなくなりになった方が八十名、それから負傷された方が百三名、こういうところでございます。
  6. 片岡勝治

    片岡勝治君 私も、調査の結果を聞きまして、特に人命救助のために自分の命を失ってしまったという数がたいへん大きな数字になっておるのには実は驚いたわけであります。同時に、一体この人たちにどういう補償が行なわれておるのかということについていろいろ調べました。いま読み上げました根本さんという方は、三十六歳で、私の推定では月収おおむね十万円、こういうことでありまして、これを、四十七年当時の災害補償といいますか、これを適用した場合に、月収十万円ですと——最近は額が若干改定されましたが、昭和四十七年当時ですと、この人に対しては一体どのぐらいの補償が、年金ですね、遺族年金が年額支給されますか、お尋ねしておきたいと思います。
  7. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 現行制度によりますと根本さんの場合、最高額基礎額にとりまして、遺族給付年金が四十四万二千五十一円でございます。葬祭給付が十三万二千百二十円というところでございます。
  8. 片岡勝治

    片岡勝治君 かりに月収が十五万円の人は、あるいは月収が二十万円の人は幾らになるか、こういう点をまあお尋ねしたいのですけれども、これは同額ですね。  要するに、このように人命救助のために逆に自分が命を落としてしまった場合の補償金というのは頭打ちになっているということであります。つまり根本さんのような月収十万円のような人も年金が四十四万円、この基礎になっているのは、いろいろ計算のしかたがありますけれども最高日額は二千百円ですか。
  9. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 現行は、給付基礎額最低額が千五百円、それから最高額が二千百円ということになっております。
  10. 片岡勝治

    片岡勝治君 したがいまして、根本さんの場合は月収十万円でありますけれども日額二千百円という計算で押えられるわけであります。日額二千百円といえば、これを約三十倍いたしますと六万三千円、つまり十万円の月収の人でも、あなたの月収は六万三千円とみなして、それに一定の率をかけて年金支給する、こういう形になっておりますので、十五万円の人がおなくなりになった、あるいは二十万円の人が人命救助で命を失った場合でも、すべて四十四万円に頭打ちをされておる、こういうことが現行制度でなっておる。  さてそれでは、月給十万円の人が警察官の場合であった場合には、幾ら遺族年金支給額になりますか。警察官の場合に人命救助でおなくなりになった、こういう場合の遺族年金は。概算でけっこうですが……。
  11. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 月収十万の警察官の場合は、単純計算いたしまして六十六万九千円でございます。
  12. 片岡勝治

    片岡勝治君 つまり公務員の場合、警察官の場合ももちろんそうでありますけれども公務員の場合には、月収十万円の人は、十万円を基礎にして日額を出して、それの率を、一定の率をかけて年金支給するということになっていますね。したがって、十五万円の警察官の場合は、ちゃんと十五万円の基礎単価によって計算をして年金支給する。しかし、民間の場合は、十五万円の人は六万三千円、二十万円の人も六万三千円に引き下げられて年金支給する、こういう形になっておるわけです。私はこの実態を見まして、たいへん大きな矛盾を感じるわけであります。  そうして、この計算のやり方は、単に年金支給ということだけではなくして、葬祭料、おなくなりになった場合の葬祭経費として何がしかの支給があるわけでありまして、根本さんの場合には十三万円の支給があった。しかし、同じような条件で、かりに警察官月収十万円の方がおなくなりになった場合の葬祭料は二十万円支給される。お葬式のお金まで違うという、たいへん私はふしぎに感じるわけであります。この点、ひとつ、こうした問題についての政府見解といいますか、大臣見解をこの際承っておきたいと思います。
  13. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ただいま片岡さんから御発言のありました問題は、もうきわめて痛ましい、深く同情申し上げる事件であるというふうに私ども考えております。  これは、幾ら美し上げても取り返しのつくものではございませんが、おっしゃるように、やはり警察官と同じような年金を給付される、それがせめてもの御遺族としての慰めであろうというふうに思われるわけでございます。  そこで、私どもも、本年から警察官給与べースの改定と均衡をはかるために、いま申し上げたように、できるだけ同じような給付額にしたいというわけで、法律施行令の一部改正を行ないまして、給付基礎額の引き上げをこれは措置したわけでございます。したがいまして、たとえば、これは今度は神奈川県でございまするが、神奈川県では六月の県会——これは各都道府県全部一緒でありまするが、神奈川の場合は六月の県会改正条例案を上程しております。これが成立いたしまするというと、四月一日に遡及いたしまして措置をする、そうして警察官公務災害補償とおおむね同額に近い、ほとんど大きく変わらない額を給付することができるように、措置をいたしたような次第でございます。しかし、これは、いまの十万円として六十六万円であっても決してこれは多い金額ではございませんので、今後にかけましても、給付基礎額改定の問題につきましては十分ひとつ留意をして、まあ世の中、たとえば飛行機事故があったという場合などには、ちょっとこれとはもう全然、一時金であるにいたしましても比較にならぬような多額な人命補償がなされるというような世上の動向などを考えあわせまして、十分ひとつ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  14. 片岡勝治

    片岡勝治君 まあ前向きの姿勢のお答えがあったわけでありますけれども、これをぜひ制度化してもらいたい。というのは、私が警察庁のほうからお聞きをした資料によりますと、いわゆるこの年金なり葬祭料なり一時金の支給基礎単価というものが政令で定められておるわけなんでありますけれども昭和四十二年の四月に——年金制度昭和四十二年に発足を見たわけなんです。そのときには最低が千三百円、最高が千八百円、日額で。つまり、どんなに月給が高くても千八百円に頭打ちをされて、それで計算されて年金支給される。その次に改定をされたのが、昭和四十四年であります。これは千五百円と二千百円。これが、何と、昭和四十七年三月まで続いているわけですよ。昭和四十四年、五年、六年、七年、その毎年、いま給与改定なり賃金改定が行なわれているわけですよね、公務員の場合には。したがって、警察官は、もうそのとおり改定された給与によって、不幸、災害を受けた場合には補償されておるのに、民間人の場合には、一般の方の場合には数年間ほっておかれておる。たいへん私は、このきのう記事ではありませんけれども、こういった人たちに対して冷たい仕打ちであろうと考えるわけです。たいへん私は残念に思うわけであります。いま、たまたま大臣もおっしゃったように、非常に性質は違いますけれども飛行機事故などの場合にはもう一千万、二千万の補償金が出る。それに比べて、自分の命を投げ出して子供を救い上げて、しかし自分は力尽きておぼれ死んだという人に対してあまりにも冷たい仕打ちではなかったのか、こういう点を私は強く訴えて、いまの大臣の、前向きの姿勢で今後ひとつ対処してもらいたいと思うのですが、そこで、そのためにはこの給付基礎金つまり日額については、毎年給与改定があった場合にはそれにスライドして改定するということ、これはもう事務的にやるべき問題であろうと思うわけです。こういう点について、ひとつ政府考えをお聞きしておきたい。  それから第二点として、頭打ちの問題があるわけであります。いま大臣は、ほとんど警察官と同じような額になったと言いますけれども、近くこれは今度改正されて三千円になったということは、日額三千円というのは、月給に直せば九万円です。つまり九万円以上のかりに月収があったとしても、民間の場合には九万円に押えられるわけですね。しかし、公務員の場合はそうじゃありませんね、十五万円の人は十五万円で計算されるわけですから。この頭打ちの問題についても、これはもっと前向きに高くすべきであると思う。それが第二点、頭打ちの問題をどう解決をしていくか。  それから第三点として、これもいままで若干やっておったようでありますけれどもスライドした場合に、この古い基礎単価年金をもらっておりますね。その場合に新しく基礎単価スライドして上げた場合に、これを完全にスライドする。いまでも若干やっておるようですけれども、これを完全にスライドしていく。繰り返しますけれども、こういうことは給与改定が行なわれた場合には事務的にやるような制度、これは法律じゃなくて政令であなたのほうはできるのですから、政令をつくれば、都道府県条例をつくるという、事務的に事が運ぶと思うわけです。  以上の三つの点についてひとつお考えをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  15. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 非常に重要な御指摘だというふうに私どもも痛感いたします。スライド、いわゆる給付基礎顔の毎年給与改善に伴うスライド、これはひとつ実行いたします。こういうことは人間愛最高発露ですから、どれだけ報いても、これは経済大国といわれる日本で惜しむ金じゃありません。やはりそれ相当に人間愛最高発露に報いていくということは非常に大切ですし、御質問の点には私は全く同感です。いま官房長も、それは毎年やりましょうといって事務的にも合意をしておってくれますから、これは毎年スライドさせます。  それから頭打ち日額三千円の最高限度額、これは事務的に言いますると、警察官警部、中ぐらいの人の給付額、これが標準になる、そのあたりが第一線の警察官の場合の犠牲者においてもまあ一番多いというようなことから、そのあたりが一つの標準になっておるということを申しておるわけでございます。したがって、この最高限度額におきましても、この限度額頭打ちになると、今後国民所得がどんどん伸びまするときに、はたしてそのバランスはどうか。警部の中くらいでいいのかどうかという問題があります。幾らもらったって、自分の命を投げ捨てて人間愛を発揮する、これはやはりたいへんなことで、銭金の問題じゃありませんから、これはやはりできるだけこの限度額については今後も考慮をしてまいりたい。  第三点の、この基礎額算定基準が変われば全部に均てんするのか、これはさかのぼって全員の方に均てんする、こういうことに相なっております。
  16. 片岡勝治

    片岡勝治君 ぜひいまの方針で今後対処していただきたいと思うわけであります。一切すべて警察官あるいは公務員並みということには一ぺんにはなかなかいかぬかもしれませんけれども、ひとつぜひそれに同じような水準でいくようにやっていただきたいと思うわけであります。それが国民の疑惑にこたえる道だろうと思うわけであります。さらに申し上げれば、これは公務員災害補償法律の二十条二項ですが、危険な職務にある場合には、さらに警察官の場合には、プラスアルファがつくわけであります。私の計算で見ますと、危険な勤務についた場合の災害補償の場合には、普通の場合、月収十万の場合六十六万円でありますが、これが百万円になる、あるいは特に非常に危険な場合においては、さきの成田事件のときのように、内閣総理大臣ですか、閣議決定によって、さらに数百万円の弔慰金支給をされる、こういうふうに警察官の場合、公務員の場合には、至れり尽くせりとは申しません、これでもまだまだ不十分だろうとは思いますけれども民間のそうした犠牲者に対するものに比べればずいぶん条件もいいわけであります。そういう点をひとつぜひ解決をしていただきたいと、こう思うわけであります。  次に、警察官定数問題について若干お伺いをしておきたいと思うわけであります。  昭和四十七年度並びに四十八年度の政令基づ警察官定数は何人になっておるか、これは全国合計でけっこうであります。
  17. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 昭和四十八年度の全国政令基準合計でございますが、十八万五千八百五十でございます。
  18. 片岡勝治

    片岡勝治君 四十七年度は何人になっていますか。
  19. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 十八万一千三百五十でございます。
  20. 片岡勝治

    片岡勝治君 警察官定数政令によって定められているわけでありますけれども、そして警察法五十七条二項によりますれば、警察官の各都道府県定数都道府県条例で定めるということになっております。しかし条例で定める定数は、国の政令で定めた定数を守らねばならない、こういうことになっておりますね。ところが実際、警察庁のほうでもよく御存じのとおり、国で定めた定数に対して、東京及び神奈川県は、この法五十七条二項、つまり政令で定めた守らなければならない定数をオーバーして条例できめられておりますけれども、これは法律違反になるわけであります。この理由はどういうことでしょうか。
  21. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは地方自治の本旨に即しながら、国全体の視野から治安の要請にもあわせてこたえていくというわけで、こういう仕組みになっておるわけでありまするが、率直に申しますると、警察庁側では、これは警察官を持つということについては、多額な経費を要するわけであります。したがって、政令できめる人数というものは、いわゆる最小限基準を示しておるわけであります。したがいまして、その最小限基準、これはぜひ守ってもらいたいというわけです、しかし県の財政事情あるいは県の実情等から申しましても、どうもその最小限では足りないというふうに県知事あるいは県の公安委員会等々が判断をされて、それぞれそこに予算措置の、まあゆとりといっても、いまの貧困な地方財政にはありますまいが、必要性欠くべからずというわけで予算措置をされますと、もともと最低基準を示してあるわけでありまするので、それよりいささかオーバーをした実人員を採用されるということが現実に起こっておるわけであります。それがいまお示しの神奈川県の場合等であります。それじゃ、必要に応じて県の公安委員会ないし県知事が異常に大幅な人員増をしたらどうかという場合には、これはやはり基準はあくまで基準でございまするので、警察庁としては、そんなに格別の人員増は好ましくないということで関与することはあるわけですが、神奈川県の場合大体この程度でありまするならば、まあまあ財政上からいいましても、決して神奈川県自体の判断は間違っていないというふうに認めておるような次第でございます。
  22. 片岡勝治

    片岡勝治君 いまの大臣見解、まことに不思議でありまして、まあ私も神奈川県議会に十六年おりまして、いつもこれが議会で問題になるわけであります。御参考のために、警察法の五十七条二項をそこで読み上げてもらいたいと思うんです。五十七条二項を大きな声で読み上げてください。
  23. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 「地方警察職員定員警察官については、階級別定員を含む。)は、条例で定める。この場合において、警察官定員については、政令で定める基準に従わなければならない。」
  24. 片岡勝治

    片岡勝治君 「政令で定める基準に従わなければならない。」——「なければならない。」ですからね。これは私も法律的にはしろうとでありますけれども専門家に聞いても、「なければならない。」ということになれば、これはもう当然その数を守っていくということが当然なんですが、もし一定の幅を許すようなことを認めるならば別な表現があるということですよ。これは法制局関係もいらっしゃると思うんです。別の表現、何々とするとかそういう幅をもった表現があるでしょう。  「なければならない。」ということになれば、これは当然法解釈としてはその基準を守らなければならないということです。わざわざ「なければならない」という表現を使わなくてもいいと思うんです、いま大臣見解なら。そうでしょう。どうなんですか。
  25. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 私ども在来からこの基準につきましては、いわゆる地方の条例で定める警察官定数基準を、政令で定めておるという考え方をとっておりますし、またそれによって指導いたしております。したがいまして、現実に若干地方においてその基準を上回る、県の特殊事情その他から上回るという実態がございましても、これは本条の趣旨に沿っておるというふうに判断をしておるわけでございます。先ほど大臣からも申し上げましたように、著しく上回るというような問題については、県の財政負担力とそれから当面の県内、その該当する県内の治安情勢等に照らしまして、必要以上に置くという必要はないというふうに考えるわけでございまして、大体この程度の幅については基準に従って置かれたものであるという判断をして、またそのように指導もしておるわけでございます。
  26. 片岡勝治

    片岡勝治君 政令で定める基準によれば、神奈川県は昭和四十八年においては九千八百十人、こういうことですね。この「基準に従わなければならない。」こういう法律であれば、それはやっぱり九千八百十人を神奈川県の定数にするのが常識でしょう。だから大臣がおっしゃる実情も、私は神奈川県出ですからよくわかりますよ。たいへん人口が膨張いたしまして、特に団地等についての警備というものについては住民の要求があるわけですから、交番をつくってくれ、派出所をつくってくれ、そういう実情はわかるんですよ。だからそれに対応する警察の人員、施設というものも、大いにもっと拡張していかなければならない、それも十分わかります。だから、もし政令で定める基準が実態に合わなければ、政令を改めたらどうですか、政令を。それが法の趣旨でしょう。政令では神奈川県が九千八百十人ですよ。そして法律ではこの基準を守らなければいけませんよ。しかし、神奈川県の条例を見れば五人や十人ではないんですよ。何百人だと思うんですか。六百人ですよ、六百人。五人や十人ならそれはまあいい、まけておくという話になりますけれども、六百人も基準をオーバーして条例化するというのは、少なくとも法の趣旨に反するでしょう。ちなみに東京は八百人ですよ、東京の場合は警察官が約三万八千に対して八百人ですから、率にすれば神奈川県よりあるいは少ないかもしれない。九千八百に対して六百人のオーバーを認める、これを通称やみ定員というのです、神奈川県ではやみ定員。こういうことを警察自体が堂々とやっておったのでは、警察自体がどうも法の趣旨に反するような行動をやっておったのではこれはどうもまずかろうと思うわけです。この点は法律の趣旨、もし政令が実態に合わなければ政令を改めて公明正大にやったらどうですか。この点大臣見解を承りたい。
  27. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはおっしゃる意味はそのとおりだと思います。政令を改めたらいいじゃないか、私もその点は全く同感ですが、さっきもちょっと申し上げましたように、なかなか地方財政も思うにまかせません。したがって、全国的な一つの基準ということになりますと、控え目な基準をつくらざるを得ない。それでは神奈川が必ずしも裕福な財政か、そんなことを言ったら、きっと議論の出るところだと思いますが、いまの過密過疎の問題が最近顕著になりまして、これも政治全般の問題でありまするが、交番が必要になる、あるいは団地の。パトロールが必要になるというようなことから、また交通整理一つにいたしましても非常に問題が多いということから、県の実情に合わせて六百人という数字は必ずしも私は少ないとは思いません。相当な上積みになっておるわけでありまするが、こういう場合に、あまりこの基準の数値を多くいたしますと、過疎県ないし後進的な要素を持つ県などにおいては非常なお荷物になるわけでございます。そんなことがついこういう一つのひずみになってあらわれております。これが正しいか正しくないかとおっしゃるならば、私いま確かに片岡さんのおっしゃるように問題があると思いますが、いわゆる行政上の実際運営の面からの措置としてこういう形があるというふうで御了解を願いたいものだというように考えております。
  28. 片岡勝治

    片岡勝治君 これはちょっと了解できません。そういうようなことはいつも県議会で問題になっているわけですから、おそらく東京も同じだろうと思う。おそらくそういう答弁をして、これは神奈川県の警察本部もたいへん苦しい答弁をしている。これはもうまつ正面からこられたらとても議会としても了解するようなものではない。しかも全部神奈川県の持ち出しということだから、私はいまの答弁ではどうも納得できない。ひとつ警察本部、警察庁のほうでこの問題についても根本的に検討をされて、少なくともこういう非常に理解に苦しむような行政措置というものにつきましては、早急にもっと明朗なものに改めていただきたい。実情主義でいくなら何も政令基準なんというのは、事実上無視されているということですから、そういう点についてはもっとしかとした行政指導をとっていただきたい、こう思うわけであります。
  29. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 答弁ありますか。
  30. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ちょっと事務的に少し詳しく官房長からやりましょうか、いまさっきの問題、同工異曲の答弁ではありますが——それでは御要望として承っておきます。
  31. 片岡勝治

    片岡勝治君 もう一つ、警察関係の予算の問題です。いわゆる国庫支弁費というのが各都道府県にあるわけですね。これもたいへん自治体においては都道府県の警察の予算についてはいつも問題になるわけです。つまり県の予算書に盛られていないお金が県警察の中にあって、こういう経費についてはこれは国の費用だからと言って支出官が直接国の費用を支出する、県の予算あるいは県の財政というものはあずかり知らない、しかし実際の活動そのものは県の警察官、言うなれば県の公務員である警察官が執行している、こういうようなことであります。しかも、この金については、つまり国庫支弁の費用については県の監査の対象にならない、これは国の費用だからということでありましょう。しかし、その金を使って実際活動している業務の内容については、これは県議会の調査権が及ぶ、こういう点非常に矛盾があるわけです。これについてはおそらく各地方からも要求があると思いますが、これはやはりすっきりしたものにして、県のつまり予算に計上してそこから支出をしていく、そういう制度にすることが私は自治体警察、   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕 まあ国家警察的な性格が非常に強いですけれども、自治体警察の財政運営のあり方であろうと思うわけです。これについてはひとつ自治大臣であるあなたに見解を承っておきたいと思います。
  32. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 都道府県警察が自治体警察でありまする以上、原則として当然当該都道府県経費を負担する、これはもう原則だと思います。しかし、御承知のように、警察の事務の特質から申しまするというと、国家的な要請に応じさせるためにこれは都道府県に全部まかせるというわけにはいかないものもあるわけでございます。特定の警察活動と目すべき事務とは一体何か。これは警視正以上の階級にある警察官の俸給、それから俸給の特別調整額等のいわゆる人件費、それから都道府県警察学校その他の教養施設の維持管理、それからその警察学校における教育訓練の必要経費、それから第三には、警察通信の新設の維持管理及び警察の専用する電話の専用料、それから犯罪の鑑識施設の維持管理、犯罪統計に要する経費、五番目には、警察用の車両購入、その他の警備等の装備品の購入、維持に要する経費、それから警衛及び警備に要する経費、それから国の公安にかかる犯罪、その他内乱とか外患、国交または騒擾の犯罪——これは法文によって申し上げておるからちょっとことばがなまでありまするが、国の利害にかかわる、また国内全般あるいは国際関係に影響を及ぼすといったような公安を害する犯罪、こういったものは個々の都道府県にその経費を負担させることが、その犯罪のあり方、性格、そういう面から考えまして不適当であるというふうに私ども自治省においてもこれは認めまして、県の経費、国の経費、また国がその施設ないし装備に対して助成する経費、こういう三つに分けて対処しておるという実情でございます。
  33. 片岡勝治

    片岡勝治君 警察業務の内容が、あえて分析すればそういうようなことになると思うのですが、その実態を私は認めないわけじゃないんです。だから、たとえば警察教養施設については国が負担をすると言うならば、他の官庁、他の省がやっているように、国庫負担金とか補助金とか、そういうもので私はやるべきだと言うんですよ。そうじゃなくて、いまの警察は、直接国の金が県の金庫に入らないで、つまり警察本部に来て、そうして警察本部から払われるのですよね。県の金庫とは無関係に。たとえば防衛庁の自衛官の募集費というのがありますよね、これは明らかに国家的な仕事だ。この金はどういうふうに流れているかというと、まず都道府県に入る、都道府県ではちゃんと国からこれだけ、百万円の金が来ますよ、全額国庫負担。これは自衛隊の募集費だと県の予算に載るわけですよ。ああそうか、その県の予算から市町村のほうに行く。市町村ではまた市町村の予算の中に県から十万円来る。これは自衛隊の募集費です。こういう制度になっているわけです。ところが警察関係についてはそういうことじゃないんですよね、そこが私は問題だと。いま大臣がおっしゃったような費用について国が負担をするのはこれは当然でしょう。しかし実際にそれを使って活動しているのは都道府県警察なんだから、都道府県警察の予算に組めばいいじゃないか、全額国庫負担とか。なぜ直接警察庁から県警に金だけ来て、うん、あの金はこっちから出しておこう、こっちの金は県から出しなさい、こういうことでしょう。中には明確でないものがあるんですよ。特に警備費なんて非常に不明確、不明朗。これに対しても県にどんな質問をしても、これは国の金だから一切内容については言えません、それじゃぼくは今度国会に行って聞きましょう、どういう金が幾ら来ているのか、明細を出させます、それでなければ神奈川県の警察の費用の実態というのはつかめないのですよ、あなたのほうより。県警は一切秘密にしておりますから、非常に不明朗。だからそういう制度を自治の本旨ということからしても改めるべきだろう。もう一度お答えを願います。
  34. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは事務的にむしろ明快に答えさせる意味で、丸山官房長から詳細御説明申し上げます。
  35. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) ただいま大臣から御説明申し上げました負担区分のうち、国費をもって支弁する対象になっておりますのは、先ほども片岡先生御指摘のように、教養関係とか鑑識とか、あるいは通信というようなものでございまして、この中身につきましては、当初警察法改正がございました昭和二十九年当時においてもそうで、こざいましたし、現在もやはり同じ状態が続いておるわけでございますが、私どもの仕事の関係から、特殊性から、各県の警察官のレベルを同一水準に維持するという必要性があるわけでございます。そういった点で、特にいま申し上げましたような各部門については同一規格に実施をする。場合によりましては——ほとんど大部分は、装備品なとは国が全体で調達をいたしまして現物が府県に参る、それから通信もほとんど国で全体を調達いたしまして、専用料その他についてはこれを府県に配賦をする、こういうやり方をいたしておるわけでございます。  それから県の本部長が県議会におきまして中身を明らかにできないというふうな説明をしておるようにお話しでございますが、   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 この国から参りますものは各費目別に伝達をされるわけでございまして、総額につきまして国からどういう額が来ておるかということは、これは県の本部長として御説明が十分できるわけでございます。ただ、個々の事案についてどれだけ金がかかっておるかと、こういう御指摘になりますと、なかなか各費目がそれぞれの分野にわたっております関係で、これについての御説明は事実上非常にむずかしい、むずかしいために御説明ができないということでございます。簡単に申しますと、警察官を動員いたしますけれども、そのときの警察官の動員が、かりにこの前ございました相模原の戦車輸送事案などにつきまして、交通整理とか、こういう部門にもし動員されておるものがありますとこれをどっちに考えるかというような問題もございます。それからあながちその事案だけのために警察官というのは活動しておるものではありませんで、各般の活動をやりながらその活動にも計画として参加する、こういう形になりますので、実態の区分けが非常に困難であるという、そういう実情からきておるのでございます。
  36. 片岡勝治

    片岡勝治君 時間がありませんのでこの程度にしておきたいと思いますけれども、いまの答弁によりますと、つまり全国的なレベルをある程度水準を上げるためにこういう措置をとっているんだ。これはそういういまのやり方でなくてもみんなやっているわけですよ、それは。国の補助金、負担金、交付金、広い意味ではみんなこれがそうなんです。半額負担をするから学校を建てなさい。文部省が直接学校建てた請負師に払わなくたってちゃんと市町村を通じてやっているでしょう。だからレベルアップするためにそういう措置をするということは全くこれはおかしいんです。他の行政が全部やっているわけですから。それからいま言った活動の実態が、様態がこれが国家的な警察活動、あるいは地方的な警察活動と、分類が非常にしにくい。だから私は全部の何は県の都道府県警察費の中に入れなさい、だから。あなたの答弁全く逆なお答えになっている。これはひとつぜひ検討していただきたいと思うわけであります。  次に、自治大臣にずっと質問をしてまいりましたので、ついでに建設省関係、防衛庁関係の質問に入りますけれども、先に自治大臣に関係する問題を片づけたいと思います。  最初にこれは過般のノーカーデーですか、六月一日ですか、この日に江崎自治大臣と飛鳥田横浜市長がたいへんすばらしいアドバルーンを上げて、新聞、ラジオ等に大きく宣伝をされました。たいへん私もいい構想であるというふうに考えたわけでございます。当時は、このときは単なる構想のようでありますけれども、しかし自治大臣と飛鳥田市長が共同してこういう構想を発表したということは単なるアドバルーンや構想では済まされないであろう。ひとつこの際自治大臣見解といいますか、構想。  関連をいたしまして建設大臣見解を承りたい。つまり自転車通勤道路、横浜を全国のモデル、コペンハーゲンなどをモデルにしてつくりたいというので大々的に発表されたわけであります。この問題です。
  37. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 実は公営企業の再建整備の法律案が今国会にかかっております。そこで私も実情を知らないわけではありませんが、横浜などが典型的な一つの都市であるということで横浜へ視察に参ったわけでございます。私横浜は以前から親友もおりましたし、いろいろな事情もよく知っております。あまり早く着き過ぎましたので、早く市役所に着いたんでは御迷惑だと思って少し市内を三、四十分自動車で歩いたわけです。緑が非常に多くてこれは飛鳥田市長の説明によると、何でも京都に次いで本土では緑が多い、横浜の自慢だという話でしたが、とにかくしかし交通の混雑はどこもかしこも一緒ですねというところから、いや実は弱っているんだと、交通難の問題が解決すればいやな問題の半分はもう解決すると思ってもいいくらいだということから、ちょうど私も三、四年前にコペンハーゲンに参りましたときに、あれは明らかに日本よりも国民所得は上だ道路は狭い、国柄も狭い。したがって、自動車を買う気なら幾ら狭いところでも小型の自動車、ちょうどイタリーみたいですね。もっと普及するはずだがラッシュには目ざましい自転車が列をなしておる。日本より国民所得の多いところで自転車が見直されておるということは、これはやはり都市交通を解決する上にとって問題じゃないだろうか、ひとつ横浜が第二のコペンハーゲンになってみませんかなんというところからこの思いつきが始まったわけであります。  そこで二人でそのときいろいろ話をしたことでございますが、こういう話というものはとかく話だけになりがちなんであります。しかし私もひとつ国家公安委員長を兼務しておるから、交通局長とよく話し合ってみましょう、飛鳥田さんはまた横浜市の機能をあげて実態調査をしてみよう、あなたが本気であの自転車の通勤、通学奨励というようなことを検討してやってくれるなら横浜市はその実験都市になってよろしい、モデル都市と言ってもよろしゅうございますが、非常に力強い共鳴を得たわけで、これはもうイデオロギーを離れた全く交通事情をどうするかという全日本的な問題ですし、やはりそういうふうに実験都市に進んでなってくださるというところがありませんと、これはどうも思うにまかせません。しかし幸いそういう力強い共鳴も得ましたし、交通局長に戻りまして話したところが、とりあえず道路構造の問題だから、いまお隣りにおられる建設大臣にあなたからよくお願いざれたらどうですか、事務的には私からもおろしましょう、それから運輸省にも、たとえば自転車置き場の問題といえば駅前広場の一画に自転車置き場をつくるとか、そういうこともあるから、関係各省庁にとりあえず連絡をしていただいて、もうすでに岡山では県をあげて自転車通勤帯を守ろうという運動が起こっております、あるいは大阪市でも大島市長になってから非常な熱意で推進をしておられます、いや各地各所にあるから横浜で飛鳥田市長がそういうふうに言ってもらうならば各所に実験都市、モデル都市をつくって、そして協力をしてもらう、われわれ事務的にはひとつ大いに詰めますから政治的にも進めてくれ、こういう交通局長の同意も得ることを得まして、そして現在各省庁に呼びかけて、事務的な詰めをしておるという段階でございます。まだこうする、ああするというほど具体的にまとまってはおりませんが、ぜひひとつ前向きで検討をしたい。一昨日ですか、飛鳥田市長から電話がありまして、わがほうも事務当局に命じていま横浜市がそういう実験都市になった場合どういうふうにするかとうことを事務的に詰めておる、場合によったら有志の地方公共団体の長にそちらでリーダーシップをとってもらって集まって話し合いをしながら、どうせこれは新しい試みだから、いろんな素朴なアイデアを出して、そして交通難緩和を実行しようじゃないかということでございました。私も全く同感でありまして、それこそ委員の皆さんの御共鳴を得ることができれば、これはやはり皆さんからもお知恵を拝借して、ぜひひとつ自転車を見直す。いわゆる通勤の道具として、これはアメリカ等でも最近見直しておるそうですし、コペンハーゲンに見ならえというふうなことだったそうですが、オランダがいま非常にこれを奨励しておるという話も聞いておりまするので、目下在外公館にも問い合わせまして、その実情を、たとえばああいうものが自発的に出てきたものか、まあ自発的に出たって安全性が確保されなければ何ともなりませんので、その安全性確保のためには一体行政機構がどういうふうにこれに協力をしたのか、その経緯、指導性、こういったものをいま具体的に調査しておるという段階でございます。よろしく。
  38. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) ただいま自治大臣からいろいろお話がありましたので、私は多くを申し上げませんが、建設省といたしましては大規模自転車道というものを考えておりまして、ちょうどアドバルーンを自治大臣が上げてくれたというふうな感が私はいたすわけでありますが、これを推進するには各省庁の協力も得なければならぬわけでありますが、交通災害あるいは公害、その他いろいろな問題も出てまいりますので、この問題を推進することはまことに必要だと、適切なあり方だと、私はこう考えておるわけでございます。
  39. 片岡勝治

    片岡勝治君 一つの考え方として今後の大きな課題であろうと思うわけでありますけれども、私は基本的にはこの今日の車社会、これをどう規制していくか、行政的に、政治的にこの車の規制が可能かどうかにかかっていると思うわけであります。そういう意味ではひとつ大いに検討していただいて、この構想の実現の近からんことをぜひ期待をしてこの問題を終わりたいと思います。  次に、建設省関係でありますけれども、最近人間性の回復ということで特に公害に対する国民の要求というものが非常に大きな高まりを示しておるわけであります。このことは建設行政についても決して無関係ではなく、たいへん深いかかわり合いが出てくるわけであります。特に日照権の問題等も大きな問題であります。そこで私は最近、道路の建設、なかんずく国道というような大きな道路あるいは高速道路を建設をする場合に、ほとんどといっていいほど地域住民の反対があるわけであります。これはなぜかといえば、一つは、非常に高速道路あるいは大きな道路ができることによって危険性が増すというようなことももちろんありますけれども、それにもまして公害の問題が大きくなってきたわけであります。排気ガスの問題、騒音の問題あるいは振動の問題、こういう問題から地域住民の反対が非常に強くなってきた、これにどう対応していくか、この問題を解決し得ずして私は道路の建設というものは今後不可能になるのじゃないか。したがって、そういう点について、まず政府の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  40. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) この問題は自動車の構造の改善とか、あるいは沿道利用の規制というような総合的な対策を講じなければならぬと思うわけでございますが、どちらにいたしましても現時点においては人命尊重という立場を考えるということがまず第一だろうと私は考えております。その意味で、排気ガスの問題、あるいは日照権の問題振動の問題、騒音の問題等構造上においてもあらゆる創意くふうをしてやらなければならぬことは当然でありますし、また、その地域住民と対話のない道路というものはでき得ない。あくまでも話し合い、了解の上で道路はつくらなくちゃならぬ、こう考えておるわけでございます。  以上。
  41. 片岡勝治

    片岡勝治君 あらかじめ建設省のほうには資料をお渡ししておきましたけれども、この問題に取り組むために横浜において一つの見解が出されたわけであります。つまり高速道路をつくる場合に、いま申し上げましたような公害の問題をどう解決をしていくか、これなくして地域住民の了解を取りつけることは不可能であろうということで審議会を設けまして、高速道路建設に伴う公害対策についてはどのように対処すべきか、こういうことについて審議、検討を加えてまいった。その結果が過日発表されたわけであります。つまり、今後高速道路の建設にあたってはかくかくしかじかの公害対策というものをとるべきである。逆にそういう公害対策がとり得られなければ、この道路建設ということは不可能になってくる。こういううらはらの問題になってきたわけであります。これは単に私は横浜市の審議会が出した条件というよりは全国的な問題であり、全国民の一つの最低基準であろう、そういう意味でたいへん重要な私は基準といいますか、要望の線だろうと思うわけであります。これについて、この内容について建設省あるいは環境庁、そして交通関係の取り締まりということでは警察庁がたいへん関係が深いわけでありますが、それぞれの見解をひとつこの際発表していただきたいと思います。
  42. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまのお話の横浜市の公害対策審議会、これから市長あてに公害対策についての答申が出ております。実はこれはまだ私どもとしてはこの資料を拝見しただけで、これに対して市から正式な話がきておりませんけれども、この内容を見てみますと、高速道路建設につきましては、やはり横浜市の道路網の一環として計画としてはたいへん必要である、しかしながらそれに伴って沿道の住民の方に環境の被害を及ぼすのでは困るということから、騒音の問題あるいは排気の問題等につきまして一つのこういう基準にできないかという御提案になっておるようでございます。数字的にはたとえば音の、騒音に関します数字を見ますと、環境庁で出されております数字より、さらにこれはもう少し五ホンぐらい低い数字になっておるかと思います。まだこれに対するこまかい説明を受けておりませんので、これを読んだだけからの感じでございますけれどもそういう意味ではたいへんきびしい数字だろうと思いますけれども、まあそういうようなものを守てくれなければ困るという、これは対策審議会の御意向であろうと思います。私どももできるだけ騒音あるいは排気の問題あるいは日照の問題等につきましても、道路の計画上、できますことはできるだけそういう線で沿ってまいりたいと思いますけれども、やはりそこに車が走ります限り、この基準に入れることは非常にむずかしいのではないかと思いますけれども、これはまたさらに検討いたしまして、できるだけそういうような御趣旨に沿いながらやっていきたいというふうに考えております。
  43. 山形操六

    政府委員(山形操六君) 今回の市長に対する答申につきまして、私どもといたしましては、地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じて特定の事業を対象として公害行政の目標を設けてその達成に努力するということを好ましいことと考えております。国におきましても人の健康の保護の観点から、二酸化窒素等のきびしい環境基準を定めておりまして、今後ともその達成に鋭意努力していくつもりでございます。特に今回の高速道路周辺の公害問題、これはいつも大きな問題になっておりますので、このような重要な社会問題となっておるものについてその防止に一そう努力することを今後いたしてまいりたいと思っております。
  44. 片岡勝治

    片岡勝治君 特にいま公害問題が大きく取り上げられてきておるわけでありまして、高速道路あるいはそれに準ずるような道路の建設は即公害を非常にまき散らす、そういう要因をつくり出しているということは否定できないわけです。私はこの基準はいわば最低基準である、さっきも申し上げましたように。この基準最低守るということが行政当局において行なわれなければ、今後高速道路の建設は不可能であろう、こういうふうに考えます。そういう点でひとつこの市から出されました基準について、環境庁あるいは建設省あるいは警察庁、交通関係、十分検討していただいて、この基準に沿うようにひとつ努力をしていただきたい、こういうことを強く要望するわけであります。建設大臣にひとつ御決意のほどをもう一ぺんお伺いして、この問題を終わりたいと思います。
  45. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 福祉国家建設ということでございますから、人命尊重がまず第一であります。道路は、人命尊重う点から考えれば二義的な問題でございますし、そういう点から十分ひとつ配慮をいたしまして、もちろん道路は必要でありますから、道路は絶対つくらないというわけにはいかないのであります。そういう意味で、十分その方面の対策を練りまして、万遺憾なきを期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  46. 片岡勝治

    片岡勝治君 それでは最後に、時間がなくなりましたので、はしょりまして防衛庁関係について二、三お伺いをしてみたいと思います。  御承知のように、ベトナム戦争が終結をいたしまして、私ども今度こそはほんとうの平和が来るのではないかと、そういうことでたいへん期待を大きく持っておるわけです。同時に、私たちはベトナム戦争が終われば、このベトナム戦争に、われわれから言わしむればたいへん政府は献身的にベトナム戦争に協力をされてきた、日本の基地はそのために非常に大きな役割りを果たしてきたわけであります。しかし、ベトナム戦争が終われば、基地の縮小、移転、そういったいまさまざまな基地問題が出てきておるわけでありますけれども、こういう問題も大きくまあ変わっていくだろうと、端的に申し上げますならば、地域住民やあるいは自治体が要求をしております基地の解除移転、そういう問題については、大きく、明るい解決がなされるのではないかと、こういうことを期待しておったわけでありますけれども、しかし、一向にそういうことが具体的になってきていない。たいへん私は残念でありますけれども一体政府はベトナム戦争終了と、こういう時点に立って、日本の基地のあり方について基本的にどう考えておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  47. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 就任のごあいさつはもう省略いたします。急遽登場いたしましたのでよろしくお願いします。  ただいまのお考え方については、私も同感でありますが、その前提として、日本における米軍基地は、ベトナム戦争遂行のために設定されて、提供されておるというものであるというわけでは実はないことは御承知のとおりでありますが、その機能として、それに関連をしてきたということは一部において否定できませんし、また、ことに沖縄において本土復帰以前の状態が続きましたための基地の利用ということが、直接な密接な関係があったことは、B52騒ぎ等においても象徴的にあらわれておりまするので、私もその関連性を否定することはできないと思います。したがって、アメリカにおいては、ベトナム戦の終了後、さらに重なる中華人民共和国との友好あるいはソ連との.友好、こういう問題が次々と展開をしておりまする環境から見て、世界の多極化という新しい問題は別にして、アメリカと日本との関係においては、極東の緊張緩和要因というものは逐次ゆるみつつある、そのように私も思います。そこで、一番問題なのは、やはり沖縄が日本に返らざる前の施政権下において、言いかえるなら、米軍側が最も制約なしに自由に使い得たと思われる基地、そのような規模、そういうような問題等についてすみやかに点検、あるいは日本側の、日本国としての立場から、あらためてこの基地についての姿勢を私たち自身が積極的に進めていくべきものと考えております。基本的な考えを述べますので、あと具体的な御質問についてお答えをいたしてまいります。
  48. 片岡勝治

    片岡勝治君 具体的に政府として、あるいは防衛庁として、こことここはぜひ解除してもらいたい、あるいは基地を移転してもらいたい、こういう要求が当然あろうかと思います。そこに資料があれば、こことここは解除してもらいたいんだ、そういうことを米軍に要求しているんだというところをひとつ場所をあげていただきたいと思う。場所ないし施設の名前をあげていただきたい。
  49. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) たいへん恐縮でございますが、たとえば関東周辺の基地集約というようなものについては、おおむねその輪郭もあるいはテンポも明らかにされつつありますけれども、沖縄においては、目下その問題にいま入りかけておるという段階でございます。したがって、私どものほうの要望はいろいろございますし、ことに、私が着任をいたしましてからは、現在まで行なわれてまいりました各種段階における局長レベル、事務次官レベル、最終的には閣僚レベルに上がるわけでありますが、その閣僚レベルの会議というものはそうひんぱんに開かれていない実績もありますし、向こう側の都合もありましょうから、なるべく事務レベルの段階において具体的に片づけなければならない施設、沖縄においては地名をあげることは御遠慮させていただきますが、一部オープンになっておりますP3の移転の約束が遅延している問題についての促進、これは同時に海洋博に備えての沖縄の緊急かつ当然の要求としてターミナルビルの新しい建設ということについて相互に密接な関連を持ちますから、これを推進すること、並びに那覇市の都市計画以前の姿のままで県庁所在地の市街を構成しております中で、牧港住宅街というて一般に呼ばれております上之屋地区一帯の広大な緑に囲まれた米軍の牧港補給所の関係の諸君が入っております施設、こういうものについでもすみやかにこれを撤去するように、場合によっては私どものほうで、代替施設等がやはり必要でありますから、こういうものについての内部の政府部内の検討を進めながら、これらのものも私どもとしてはいろいろと米側に接触をしておるわけでありますが、その他にも個々にいろいろございますけれども、目下詰めの最中でございまして、私が就任いたしましたその日と——と申しましても夜に防衛庁に、午後十時ごろに参ったのですが、その日はすでに一日目に始まっておりました事務レベルの会合といわれておりますものが、その翌日の三十日も続行されました。その際には、日本側の姿勢、提案そういうものについて私の意見は当然入っていなかったわけであります。しかし、今月の十一日の第三回の日米安全保障運用協議会におきましては、私の意見を十分にいれたものをもってアメリカ側と折衝を開始いたしております。アメリカの感触も一部得られておりますので、なるべく早い機会に、これは日米閣僚レベルの会議において、格式を踏むことなく、すみやかに沖縄における県民の要望であり、また本土政府として長い間手を差し伸べてあげられなかった人たちに対する急ピッチの返還要請にこたえる姿勢を示して具体的に進めてまいりたい、このように考えますので、本日の段階で沖縄の地名をあげることは、これ以上お許しを願いたいと思います。
  50. 片岡勝治

    片岡勝治君 時間がありませんので、最後にお伺いをしておきたいのは、いま申し上げましたように、ベトナム戦争が終結をいたしましたあと、基地がどうなるかということに対して非常に大きな期待を持っておるわけでありますけれども、それがなかなか解決を見ない。で、その多くの事例があるわけでありますけれども、まあ全国沖縄に次ぐ基地県である私も神奈川県におりまして、そういうことについてたいへん裏切られた感じを県民が持っているわけであります。このことを具体的に一、二申し上げますので、はっきりお答えをいただきたい。  池子の弾薬庫、これは数年間ほとんど何らの使用をされていなかった遊休施設である。ところがベトナム戦争が終わったら大挙この弾薬庫が再開をされて、連日弾薬がここに搬入をされた。もう地元ではあすかあさってか、解除されるのは、そういう気持でおったところが、そういうふうになってきた。防衛庁も政府も、あるいは米軍も、これは返すことはないというようなことを言っておりますけれども、このように地域住民の期待を裏切る政府、米軍の行為について私どもは絶体に理解に苦しむわけであります。それから、また厚木航空基地におきましてもそうであります。最近は、今度は自衛隊が入ってきた。海上自衛隊航空集団司令部が厚木基地に来ると。こうなりますと、厚木基地というのはもう今度は接収解除——提供施設が解除になっても、これはもう自衛隊の基地として恒久に使用されるという、そういう前提になるわけであります。こうした大きな問題について関係の市町村あるいは県に対して事前に十分了解を得たかというと、ほとんど関係なく強行されている。あるいは戦車問題で非常に騒がれた相模補給廠、戦車がほとんどいなくなる、いなくなった場合はこれはもう縮小して解除する、こういう問題についてもほとんどその約束が守られていない。たいへん私は遺憾に思うわけであります。こういった具体的な問題についてひとつ政府見解を出していただきたい。
  51. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 初めに横須賀の問題でありますが、これは私は当時駐留軍離職者対策協議会を預かる総務長官でありまして、アメリカのほうが佐世保を「オクラホマシティ」の母港とするというような発表がありまして、したがって人員整理その他が予想されまして、たいへんあわてていろいろの作業を開始しておったやさきに、数ヵ月を出でずしてその方針が変更されたと、また居すわるんだと、こういう通知を、私は総務長官でありましたから通知を受けただけで、衆議院内閣委員会の大出俊君の質問の最中にそのメモが入ってきて、あ然としたという記憶があります。ところが弾薬のほうはいち早くそれを佐世保のほうに運んでいた——「オクラホマシティ」が佐世保に移るということにおいて運んでいたということがあります。これも問題にされました。しかしながら、「オクラホマシティ」が再び横須賀を母港とするという方針変更がなされましたために、また池子弾薬庫について必要な弾薬というものが、これはどこから持ってくるかはいろいろまた議論のあるところでありますが、一応必要な弾薬の所在地として米軍として機能を必要としてきたということから、地元の方々の、弾薬庫ぐらいはせめてなくならなかったのかということに対しまして、具体的に裏切られた感じを持たれたであろう、このことは私もよく想像できるところであります。しかし経緯はただいま申しましたようなことでございますので、今後地元の方々の御意見等を十分承わっていかなければならぬ。また集約等が行なわれる場所があるならば、これは米側と積極的な協議が必要であるとこのように考えます。  さらに厚木の基地の問題でございますが、これは十分事前に地元関係者と御相談を申し上げたつもりでおりましたようでございます。ところが、その航空団司令部、これは四十人ぐらいのものでありますが、機能としてはこれでも司令部でありますので、それが実はそういう申し合わせの中には「等」——「など」という表現になって隠していたんじゃないかというような御疑問等がありまして、そういうことでトラブルに近い議論が行なわれておるということは私も承わりました。基本的には一応厚木基地というものを集約化の一環として自衛隊としても使用さしていただきたいということでございまして、その地元の方々にとっては集約によって基地のなくなる、いなくなるところは歓迎である、これは横田についても米軍に関して同じでありましょうけれども、集約されるほうは迷惑だという御意向は十分私も反映させる姿勢をとらなければならぬと考えておりますので、そこらのところの過去のいきさつについて私もこれからさらにつまびらかにしながら最善の解決策を求めてまいりたい、かように考えます。
  52. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、列島改造問題と不可分左関係を持つ土地問題に関連をいたしまして、言うならば庶民、国民大衆の側に立って若干の質問ということよりも、むしろ追及をすると、こういう立場で若干の時間をもらっておるわけでありますが、金丸建設大臣、その他関係省庁の関係者に申し上げておきますが、私もほんとうは往復四時間ぐらい質問の時間をほしいのでありますけれども九十分にワクをはめられて、それ以下にさらに圧縮せよというふうに委員長から厳達を受けておりますので、非常にきびしいと思っておりますが、要するに、質問に対して私も柱を立てて、それに若干の具体ごとを控えておりますので、要にして簡潔な、それはできないと、できると、というようなかっこうでひとつお答えをいただきたいということを強く御要望申し上げておきます。  そこで、まず最初に、昨今社会問題化してまいりました土地騰貴による地価の異常な暴騰ぶりは、言うならば地価の公示制度が始まって以来最高であるというふうに私は私なりきに受けとめておるわけであります。たとえば、この一年間地価の上昇率は全国平均で三三%強という暴騰ぶりを示しておるわけであります。したがって、列島全域における乱開発、言うならばこれに伴う自然及び環境の破壊などについて、これに対する抜本的な防止のための具体策をひとつこの際、現状こうしておると、将来こうしようというようなかっこうずばりでひとつあるがままにお答えいただきたい、こう思うのであります。
  53. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 御質問の御指摘のとおり、まさに乱開発が行なわれ、そういう結果がひいては土地の細分割あるいは土地騰貴、こういうような問題を引き起こして、まさに社会問題を起こしておるわけでございますが、私は土地問題を解決せずして政治なしと、こう考えております。そういう意味で、いま青年がいかに勤勉に働いていっても、一定な年齢になっても住宅が持てないというようなことになったらデカダンな気持ちになって、働く希望を持たない青年が日本に満ち満ちてきたらどうなるだろうかと、こういうことを考えてみますと、青年に希望を持たせるという意味におきまして、土地という問題については重大な関心を持たなければならぬと、こういうように考えておるわけでありますが、とまるところを知らないというのが現状の姿であろうと思います。そこで今回提案されております国総法等によりまして、あるいは土地対策要綱等によりまして土地の鎮静をはかり、そうしていまの高い土地をたやすく手に入れるような方法を行なうことが今日の私は政治だと、このように実は考えておるわけでございます。
  54. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 所管大臣たる建設大臣としての答弁としてはやはり私は非常に不満でありますけれども、時間がありませんから具体的に申し上げますが、たとえば天下のあらゆるマスコミが田中総理の発想に基づく列島問題に関連をして、ことに土地問題については相当なキャンペーンを張っておると思います。具体的に申し上げますと、四十八年の四月十二日、これは「毎日」の「余緑」欄でありますが、一節だけを参考に申し上げますが、首相指示で目立つのは、セメント用の砂利が手に入らないと建設が進まないという土建屋的発想。これがインフレを促進し、列島破壊へ通じることに気づいていない——とこういうふうに、「余緑」欄にあります。ごらんになっておらなければ、これは勉強してください。それからこれは五月二十一日の「読売」でありますが、本紙であります。ブルドーザー総理「乱掘のすすめ」、「列島改造川より砂利か」ということで「建設省変身」と、こういう形で、これはもう大きく五段抜き、四段抜きで書いています。次は「朝日」であります。「河川砂利採取の規制緩和」、「業者に改修費分担させ」と、こういうふうに書いてあります。昨日の「毎日」にはやはりまたさらに、変身をして、いままでは川で、総理の一声であるからというかっこうでやられたわけでありますけれども、しかし、要するに私のとらえ方は、建設省は三月、田中首相の指示を受け、「治水必要な工事をやれば約八千万立方メートルの河川砂利採取可能」と、全国十の河川の調査結果を五月二十九日報告しました。  これまで河川砂利の問題は、皆さんのほうでは三つにしぼっておられたと思います。要するに、乱採取で川の流れが変わるということと、それから橋げた近くまで採取されれば橋が危険にさらされる、放置された採取あとの深みに子供がはまって死ぬと、こういうような理由できびしく規制されておるはずであったのでありますが、田中総理の鶴の一声で新聞が言っているように、変身をしてしまっているんだというような形で、列島は必然に川をいま以上に堀ったりすれば、当然これは、やはり乱開発に陥って非常に危険を招くというようなことになっておると思いますが、新聞に書いてあるところによれば、この五月二十五日ですか、までぐらいに調査できるという、そういう方向であるわけでありますが、かりそめに十河川の名前、こことここというのを、どういうような——ただ、私は新潟県でありまするから信濃川ということだけははっきり頭の中に知っておるわけですけれども、他の九つの河川はどういう状態になっておるかということと、これは非常に私も遺憾でありまするけれども、昨日も、今度伊勢湾も、やはり台風の時点にかんがみて、伊勢湾の底をとにかく開発したらどうかというかっこうで、東海建設局といいますか、中部地方建設局に調査を命じておると、何んとかかんとか言っておりまするけれども、はなはだこれは調子のいい話であって、ほんとうの本音は何かということで、ひとつこれは大臣なり、それから河川局長なり、なるほど列島の改造には鋼鉄とセメント、川砂と砂利が必要でありましようけれども、結局、日本列島を破壊してまでも、一体そういうようなやり口が政治の次元で公然となされていいかどうか、建設省はやはり、国土を守る行政のワクのスタッフとして、そう簡単に変身してもらっちゃ困ると、こう思うのでありますが、大臣どうですか。
  55. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 先生の御指摘のように、河川の問題につきましては、治山治水という問題を含めまして重大な影響があることでございますので、必ずこれを、砂利が足らないから砂利を取るんだと、こういうような考え方は安易な考え方だと私は思います。そこで総理から指示があったというわけでございますが、総理が指示があったからそれをやるということでなくて、いろいろ指示のあった、それを受けて、河川局あるいは出先機関等の調査によって河川改修をやりながら、河川あるいは治山に影響のないというようなことであるならば、ひとつやろうということで、御案内のように骨材が不足していることは申すまでもないわけですから、ただ日本列島を破壊してまで骨材を採取するという考え方は持ってはおりません。
  56. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) ちょっと補足御説明を申し上げます。  ただいま大臣が言われたように、この砂利の賦存量と申しますか、河川でどれだけ砂利が取れるかという検討をしたわけでございます。従来とも河川の砂利の乱掘ということにつきましては、建設省といたしまして憂慮いたしまして、これの規制等につとめてきたわけでございますけれども、その後、河川のいわゆる改修計画、この内容といたしまして、洪水量の増大その他によりまして、河川の改修そのものも見直しが必要になってきております。それで、順次その河川の改修計画、これはわれわれのほうでいいますと、河川の工事実施基本計画と申しますけれどもこういうものを河川審議会にはかりまして計画を改定してきているわけでございますが、これによりまして河川の計画断面というものがきまってくるわけでございます。それで、その計画断面内において、計画河床高以上におきましてどれだけ砂利が取れるかという調査をやっておるわけでございまして、さしあたり十河川につきまして調べましたのが、先生の申されました約八千万立方メートル弱という数字が出てきておるわけでございます。そういうわけでございまして、今後砂利をとるために、特に河川の底を深く掘るとかという計画ではございません。それで、しかしこの河川の計画河床高でございますが、この砂利をとるためには、単にその主まではもちろんとれないわけでございます。やはり河川工事を並行してやりまして、護岸とかあるいは必要な根固め、床固めというようなものはやっていかなきゃならぬということで、これに要る費用もどの程度かかるかというようなこともいろいろ調べているわけでございます。さしあたり十河川について調査したわけでございますが、さらにこれを全国に及ぼしまして、どの程度のそういう賦存量があるかというような調べ方をやっていくわけでございます。それによりまして、砂利の採取計画につきましても今後検討をしてやっていくわけでございますが、もちろんこれにつきましては乱開発等を防ぎまして、監視等も十分にやっていく所存でございます。  なお、伊勢湾関係の調査でございますが、これにつきましては、建設省といたしまして、海岸関係、これにつきまして、ヘドロの調査、そういうようなものを、海底の調査を全国的にやるわけでございますが、その一部といたしまして、伊勢湾につきまして最近ひとつやろうということで、特に砂利に結びついたということではございませんが、やはりこういうところにも、海底調査の結果におきましては、どの程度の砂利はとってもいいかというようなことも調べたいとは思っております。しかしこれは砂利をとるためにやるという調査ではございません。以上でございます。
  57. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは局長でいいですが、河川砂利の採取可能というような目標をつけながら十の河川を私、まあちらっと見て、十書いてないけれども、新潟の信濃川だけを具体的にそういう、しかもめどとして五月二十九日くらいまでに調査の結果を報告するというようなことを、閣議か、あるいは次官会議かそれは知りませんけれども、現に新聞に出ておるわけなんですが、まあ考えることはないですが、十の河川というものをめくらヘビにだね、やはり群盲象をなでるということのようにきまっているでしょう。その名前をぴっしゃりでひとつ……。
  58. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) では十の河川を申し上げます。宮城県の名取川、それから群馬県におきます烏川、それから神流川、それから鬼怒川、これは茨城県でございます。それから埼玉県の荒川、山梨県富士川、それから新潟県信濃川、石川県手取川、大阪府淀川、それから島根県の斐伊川、以上でございます。
  59. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 伊勢湾云々の問題はまだ、語りぐさでそういうような……。しかし現実の問題ととしては中部地方といいますか、東海地方といいますか、建設局に調査を内示しておるというような、そういうことがあるというふうに新聞で見ておりますが、それはそれとして、私は実は票田は新潟でありますけれども、とれたところは伊勢湾台風の原点であるわけでありますけれども、伊勢湾にいたしても三河湾にいたしましても、あの地域かいわいは、もはやとる漁業からつくる漁業へ変身しているんですよ。あそこを堀ったならば、いわゆる中部圏工業地帯からいろいろな形のヘドロをひっかきまわて、それでたいへんなことですよ。砂利も大事でしょうけれども、事人間の生命や漁民やつくる漁業に関係のあるという、そういう問題についても重大深慮遠謀をめぐらして、これは田中総理発想の日本列島改造に不可分な関係を持って、これはこわされちゃうというような、とにかく新潟県では田中総理のことを今太閤といっておりますから、私はそれなりに善意に評価はしたいと思いますけれども、いいことはいい、悪いことは悪いということにはっきりけじめをつけていきたいと、こういうふうに考えておりますので、この点についてもいま考えておる程度のことならそれでけっこうなんですが、そうなんですか。  ついでに申し上げておきますが、大体次元は違いますけれども、本・四国に三本の橋を一気にかけるなんてことについては、鋼鉄と、砂利とセメントが要るでしょう。電車やあるいは自動車や機械はつくれても、砂利や砂はそう簡単にいきますまい。であるから、そこは十分−空気と水と−土地は有限であって、砂利も有限なんですよ。よほど配慮してやらないと、いい加減に思いつきにどんどんやられると困るということで、十分いいことはいいこととして評価して、悪いことはひとつ建設大臣、うんとひとつレジスタンスをつくって、補佐官である政府委員で、局長あたりは十分−それは田中角さん聞く人ですよ、わかったといったってほんとうにひとつわからせるような方向へ練り上げてもらいたいと、こう思うのですよ。
  60. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 環境保全という立場から、人命は尊重するということは当然でありますし、そういうことから考えて、ただ砂利をとればよろしいということであってはならない。伊勢湾の砂利の問題につきましては、及ぼす影響等はいろいろ派生的にあろうと思いますので、そういう点につきましては、十分配慮してこれに対処してまいる所存でございます。
  61. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 どうも時間が足りませんので先へ進むことにいたしますが、それひとつしっかり頼みますよ。  次は、土地の騰貴と地価の暴騰を進めた政治的な背景について、この際指摘しておきたいと思います。これは記録にとどめておいて−若干聞きたいことがあるのでありますけれども、まあ歴代政府は、過去において、いうならば新産都市建設促進法、工業整備特別地区区域設定法、近くは新全総などの高度経済成長至上主義をとり続け、また田中内閣は、いわゆる日本列島改造を打ち出してきました。これは工業の再配置、全列島を一日行程とする高速度交通ネットワーク、新二十五万都市の建設など、膨大な建設投資を必要とするのであって鉄道、道路、港湾、空港、都市開発への投資、すなわち、鉄鋼、土建、不動産資本が大歓迎するものである。したがってこのような高度経済成長至上主義的なワク組みの中に蟠踞している大資本、法人、商社などが好機逸すべからずとして、土地に対する投機は言うに及ばず、国民生活に必要な米、木材、セメント、大豆、羊毛、綿糸、毛糸に至るまで買い占め、売り惜しみなどが日常茶飯事のごとく、白昼しかも公然として行なわれているのではありませんか。たとえばその一つの事例として地価だけをとらえて見るならば、昭和四十七年上半期の地価上昇率は平均一〇%そこそこであったことは御承知のとおりだと思います。ところが田中内閣が出現した下半期には、急カーブを描いて暴騰しております。これは一年間の地下上昇率平均は先般申し上げたように、全国平均三三%でありますが、住宅地では埼玉県四四・一%で、全国最高であります。東京圏ではこの一年で宅地は三五・九%と、こういうような比率で上昇しているわけであります。したがいまして、このような地価の暴騰と、それによる住宅地のいうならばスプロール、拡散ですね、の原因が何一つ実のある土地対策に打ち出されていないというふうに、私はそういう観点と、そういう視点でとらえております、日本列島改造論を先行させたのは、とりもなおさず政策の貧困であり、あやまちであるといわなければならない。そこで土地売買規制など盛り込んだ新国土総合開発法案が国会に提出されておるが、このようなバスに乗りおくれた形で列島政造論の公表から一年近くおくれた土地対策では、まことにおそかりし由良之助で、取り返しののつかない事態に追い込まれてしまったのではないか。およそ土地問題は、単なる地価鎮静のための土地利用や土地税制対策だけではなくて、過日国鉄の高崎線における上尾事件の誘発の一因であったように、これは明確に国鉄の磯崎総裁も上尾事件の起こったことについても、あの地域社会、地域住宅と通勤人のふえたということを一つの原因にもあげておるとおりでありまして、たとえば通勤者などの立場に立って交通対策や事務分散や公共事業計画などを含めた総合的な都市問題等についても解決しなければならないときがきておると思うが、政府見解についても、これは指摘でありまするから多くを答えていただかなくても、日本列島改造をする場合については、前段申し上げたように、砂利なり、それから砂なり、ありふれたものであっても必要かくべからずと同様に、土地をこういうふうに列島を改造するということになれば、しょせんは私権の問題や売買規制の問題についてそれを事前に打つべき手は打たなければならないし、−一年おくれるじゃありませんか。そういうような点について、これはこういう土師投機が上昇したその政治的背景を指摘していくということにしたいと思いますが、しかし、これは指摘であるから聞きっぱなしということでなくてもうそれはそんなことはないんだと、碁は先手ででいかなきゃならぬから手を打っているんだということであるならば、ひとつお答えをいただきたい、所信でもいいです。
  62. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 先生の御指摘の土地投機の問題につきましては、いろいろの状況が重なり合ってできておる都市集中という問題は、工業生産というような問題も多分にあずかってこの問題が起きておるというような感じもいたします。また、土地という問題につきましては、私は、土地は国民の共有する領土だという考え方でおるわけでございますが、そういう考え方からいいますと、公共のためには、土地というものはあくまでも優先すべきであって、私権を抑制すべきであると、こういうような考え方、しかし、いま先生も御指摘のように、おそかりし由良之助というような形容もあったわけでございますが、まさに手おくれの感も、私も認めざるを得ないと思いますが、おくれてもやらざるを得ないというところにきょうの政治があるんだろうと思いますが、できるだけ一日も早く法案をあげていただいて、なお一そうの努力をするということがこのおくれを挽回するゆえんだろうと、こうも考えておるわけでございます。
  63. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 どうも建設省、法案もあげてくれ、それからしっかりやるという、それはまあ本音でありましようけれども、たてまえと本音について、まあたてまえはやはり十分大事なことでありますから尊重してもらわなければならぬし、法案は、だれも別にゆえなき時間かせぎをやって要らぬことをしゃべっているわけではありませんから、その点はひとつ御留意を願いたいと思います。  次は、指摘じゃありませんので、ひとつ関係省庁の人はしかるべく簡潔にお答えをいただきたいと思います。  これも原稿読んではなはだ不本意でありますけれども、次に、土地投機問題に関連をして、政治家の姿勢について伺いたいと思うのであります。  そこで、まず一例をあげたいと思います。二月二十四日付の、これは某大新聞でございますが、こう書いてあるわけです。「商社対策、頼りないお役所」、「ひどい資料不足」という大見出しであります。その中の重要な個所として指摘しておきたい点があります。「実際に商社対策をどこまでやれるか、という段になると同庁」——これはカッコをつけて経済企画庁ということになっておるが、経済企画庁——「のお役人たちも自信はなさそう。ところで、政府・自民党の投機対策はポーズだけだという批判は強く、ある大手商社の幹部は「どこまでやれますかね。ほんとうに政府が商社を取締まるつもりなら、われわれは新潟県下で政府のある首脳が土地買占めをやっている実態をばらす」と、いっこうにあわてる様子はない。これは原文のままです、と書いてある。天下の大新聞が書いているのだから確かなものと思う。言うならば、上これを行なえば下これに見習うと、こういうことを学んでもらっちゃ困りますけれども、たとえのとおり、物価つり上げの犯人の一人として、政府のある首脳が率先して土地買い占めをしておると、こういっておるわけであります。政府のある首脳とは一体だれをさすのか、政府首脳という限りは閣僚であると思うが、しかも土地買い占めの実態をばらすとまで言い切るのだから、根拠のないものではない。実態を実際に調査してもらいたいと思うが、政府はその点についてお答えいただけますか、また、見解がありますか。この新聞は、率直に申し上げましてごらんになっておると思います。これも初号活字五段抜き、六段抜きで書いてあるのでありますが、見出した「商社対策、頼りないお役所」と、大体みんな、たとえばNHKでも、新聞を読んでいるという、非常にあれは視聴率多いわけでありまして、新聞は見ておられますわけでありますので、それはゆえなき痛くもない腹さぐりであるというふうにお答えならお答えになってもけっこうでありますけれども、そういうことがあるとするならば、これはひとつ調査をすべき責任がやはり主権在民の路線からいってあるんじゃないかと、こう思うのですが、お答えいただかなければいただかなくてもいいわけでありますけれども見解としてですね……。
  64. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) ただいまの御質問、いろいろ内容ございましたけれども一般論といたしまして、土地の買い占めについての実態を把握するという点についてでございます。この点につきましては、私どもも今後の土地対策を講ずる上にそういう必要性が非常にございます。昨年建設省といたしましても五月、一部、二部、東証の上場の会社につきましては実態調査をいたしたわけでございます。しかしながら、全般的にもう少しいろいろ調査する必要がございますので、四十八年度はさらに予算を取りまして、そういう調査をいたすことになっておる次第でございます。ただ、もっと徹底して調査をする必要がございますが、今後、国総法が改正されまして、土地の売買の届け出制度というものができますと、それによりましてその実態が十分把握できるわけでございます。そういうことで、今後、国総法が改正ができますならば、そういう実態が十分把握できますので、現在までの点についてというお話でございますならば、私ども、本年度におきましてもその予算を駆使いたしまして、一般的に調査をする予定でいるわけでございます。  ただいま御質問の中で具体的なお話がございましたが、この点につきましてちょっと私も聞き漏らしましたので、その点についてはお答えは申し上げかねるわけでございます。一般的に申し上げますならば、ただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
  65. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 こういうふうに理解していいですか。やがて土地問題等に関連をして、窓口はどこであっても、いずれ特捜部というものを設けて、綿密に調査をする将来があるから、いまのところ、具体的にどうこうというような問題については答えられないか、あるいはまた把握していないと、こういうふうに理解をしていいですか。
  66. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) ただいま申し上げましたのは、今後もそういう土地の取引の届け出制度及びそれに関連する中止勧告制度というものができますならば、土地の取引の実態が把握できるということを私、申し上げた次第でございます。
  67. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 根も葉もないことをゆえなく言うわけではありませんけれども、ここは、この柱は土地投機問題に関連して政治家の姿勢について伺いたいと、こういうのが柱でありますから、それを荒いぶるいしてこれはこうじゃないかということを言うのがきょうの質問の本意ではありませんけれども、そんなことはこんりんざいないんだというならば、私は私なりに、いわゆる種の逆のネタを持っておりますから、そこで別な次元で、次には予質委員会でも登場さしてもらって、ひとつしゃべらしていただくということでありますが、これはひとつ、いま、特捜部というようなものを設けて土地の売買の規制だとか、あるいはそういう私権の問題等についても私の最後の質問でそれをやりますが、そういうことを将来の点に展望しておりまするから、これはこの程度にとどめておきますけれども大臣も、これは記録に残りますけれども、こういう質問をしておったということをひとつ頭の中に置いといてください。  じゃ次に進むことにいたします。  次は、お手元に「杉山君参考資料」というかっこうで鳥屋野潟のこの計画の図面を各委員の方々に御配布申し上げておいたわけでありますが、したがいまして、言うならば一級河川信濃川下流の鳥屋野潟の公園計画と土地の政治投機についてと、私もいろいろ土地の投機であるとか、政治投機というものは一体どういうものであるかということを概念的に把握するだけじゃこれはいかぬぞというふうに顧みまして、あらゆる百百科事典というものも一応調べてみたんです。だとすれば、やはりこういうことが要するに土地の政治的投機だというふうに判断をして、そのモデルケースがやっぱりよそではなくて、わが足元にあるんじゃないかというふうに考えて、実はこの一級河川信濃川の下流の鳥屋野公園問題に対して土地の政治性投機についてと、こういう形で御質問を申し上げるわけであります。  まず最初に伺いますけれども、新潟県において鳥屋野潟公園計画が都市計画審議会にかけられ、おりから開会中の二月県議会で審議されたが、政府は県から相談を受けておりますか、どうですか、たいへんもめておりますよ、ことしの二月県議会では。全然御存じありませんか、その点について。
  68. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) いまのお話はおそらく都市公園としつの計画決定に関する審議会のことかと存じます。そのことについては連絡を受けております。
  69. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 予算は一体どのぐらいつけるということになりますか。率直に申し上げますけれども、連絡を受けておりますかということについては、全く往復手紙で簡単に解決のつく問題で、権威ある委員会の中でお尋ねをして中身を、どういう連絡を受けたか、あるいは予算は幾らぐらいつけたかというような点についてお伺いいたしたいと思いますが、元来新潟県は御承知のようにこの信濃川のやっぱり下流のこのプロジェクトチームとでもいうものをつくって、知事に答申をしておるそういう経過の中で、このプロジェクトチームの答申によれば、まず原点としては治水対策が大きな柱なんです。それから、鳥屋野潟の公園計画というもの、それと環境整備計画というものと、周辺の道路整備計画というものが原点になっておるわけでありますが、そういうことも含めて、これはいろいろとこの県議会でも論議されておるわけでありますので、そういう点について知っておられるかというものを含めて何か話があったかということと、予算はつけたということはどういう意味で、どの程度の予算をつけたかということをひとつある程度詳細に——前の質問は急行列車で走ってきておりますから、これに相当な時間をかけたいと思うんですが。
  70. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) この問題の経緯は、かねてから新潟県当局におきましてこの鳥屋野潟を総合的に開発整備いたしまして、広域的な都市公園をつくると、まあそういうものを中心としてこのあたり一帯及び広く新潟県民とかさらには新幹線や高速道路等によってかなり遠方からのレクリエーションを求める人たちにもこのみごとな潟とその周辺の森林の環境を見てもらう、こういう趣旨で熱心な事業化の要望がございました。本年度はその初年度としまして、とりあえず水面の中ではなくて、南側の民地を一部買収して公園にするという計画でありましたので、その陸上部の用地買収費という意味で国庫補助対象事業費四千五百万円、補助率三分の一でございますので、国費千五百万円というものを予定しております。これは都市計画決定がなされてから執行するということになりますが、年度内に都市計画決定に持ち込めるのではないかという見込みのもとに予定しているわけでございます。ただ前回の都市計画審議会においていろいろ異論がありましたようで、主たる問題点はこの鳥屋野潟を一部埋め立てまして、あわせて区画整理事業をやるというようなことが前提になっておりますが、その区画整理事業との関係とかそれからこれはまあ遊水機能を持った一級河川の区域でありまして、そういう河川との関係等、まあ公園として整備するいわば前提となる事柄についてまだ十分固まっていないというようなことが主たる理由で計画決定には至らず保留になっていると聞いております。
  71. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは具体的な問題として、たとえば鳥屋野潟総合開発基本計画報告書と、新潟県信濃川下流鳥屋野潟総合開発プロジェクトチームというものができておるということは、またこういうパンフはごらんになっておりますか。——まあおらないにいたしましても、これはかなり大がかりな、有能な人々が苦心してつくった一つの善意に基づいた答申だと思います。問題は、これは、この中に四本の柱が立っていることは、いまいみじくもおっしゃったとおり、一番大切なものはやはり治水事業対策、それからこの沼を、湖を公園化していこうということも一つのものである。それから環境を整備しようと、道路をとにかく整備をしようと、道路事業を整備しようと、推進しょうというようなことも、これは知事の諮問に対して答申をしてありまするから、これに関連をして、知事は、公園計画というものを中断をしておる、こういう経過が流れておるわけでありまするけれども、そういう経過については御存じの上でいまの大体予算はつけておると、こういうことになっております。  蛇足ではありまするけれども、ついでに申し上げてみますけれども、新潟県は大県でありまするので、本年度の当初予算規模は二千二百億をちょっと下回っておりまするけれども、この公園計画費に対して八千百万円の金を——まあいまは凍結の状態にあるようでありますけれども——出しておるわけでありまして、私、やはり新潟県の都市計画地方審議会の委員に聞いてみたら、これはどうもこの周辺の土地の小さな地主、村主といったって妙なんですね、湖面で、その湖の下というものに関連をして、そういうもとに若干のやはり手当てをするために八千百万円というものが組まれておるのだというふうに聞きますが、いまあなたはこの一部をやはり埋めて、そうしてそういう費用の中にもいま政府からお出しになっている三千万、四千万何がしという金がそれに充当する意味で出ておるのかどうか。もしそういう意味で出ておるとするならば、これは鳥屋野潟を公園として、これはつまり森と湖も、しかも新潟県は、そういうような状態の中で市民も県も県民もこれは願望しておるわけでありまして、これがいい悪いという問題ではなくて、よりょく、すっきりとしたいい方向へ持っていくということが、重大な県議会における論議の集点であり、そして県の案に対する都市計画地方審議会も、これはだめだ、修正するというかっこうで原案が否決されて、そして修正案が通っておるわけなんですよ。そしていま膠着状態にあるんだということでありますので、その辺のことも何もかも頭の中に配慮しての大体のいまのお答えであるかどうかという点について、そのとおりだということに理解していいですか。どうですか。
  72. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 先ほど申し上げたつもりでございましたが、本年度公園として補助対象としておりますものは、鳥屋野潟の中にも水面下にある民地、これの買収費ということではございませんで、この計画は、鳥屋野潟を周囲取り囲みまして遊歩道をつくったり、人工的あるいは自然的公園の施設をつくろうというものでありますが、南側の部分につきましては、鳥屋野潟の区域、つまり河川の区域を離れまして、その沿岸の部分身一部、陸上の部分でありますが、これを買収して公園区域に取り込むという計画でありますので、その陸上部分の用地買収費の一部ということでございます。
  73. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 次へ進むことにいたしますが、いま委員部の労をわずらわしまして、図面を皆六んに見ていただいておりますが、鳥屋野潟は、新潟駅のほぼ南二キロメートルに位置しておるわけであります。面積は百八十ヘクタール、東西四キロ、南北一キロで、水の深さは平均一・五メートルの沼でありますが、周囲は九キロあるわけです、そして背後地帯のいわゆる亀田郷約一万ヘクタール余の、日本有数の水田のかんがい遊水池として重要な役割りを果たしてきたことは、政府も御承知のとおりだと思います。  鳥屋野潟とその付近の開発をめぐり、早くから政治家の介入があったことは事実であります。この間の事情は、率直に、建設大臣もそれから河川局長その他もお知りおきいただけばけっこうだと思いますが、昭和四十年の八月、第四十九回国会の衆議院決算委員会で、この委員会の理事は当時新潟県選出の田中彰治さんであったわけですが、この田中彰治さんと、それから社会党の綱紀粛正委員会の委員長をしておったはずでありますが、山田長司氏が質問をしておるわけでありまして、これは念のため申し上げておきますが、こういうようなことで、早くからこれは政治家が介入をいたしておったことは事実であります。たとえば治水整備事業にからみまして、将来鳥屋野潟は埋め立てられるとの前提で、昭和三十五年ごろから白屋野潟の池の底の投機が始まっております。水雷を売ったり買ったりする、そういう投機が動いているわけであります。  当時、鳥屋野潟の湖底の大部分と、近くに蓮潟というやっぱり鳥屋潟よりも小さい潟があるわけでありますが、この蓮潟地区の土地を買い占めた房総観光開発というものがあります。これが脱税をして、金に困って、これらの土地を手放したいと、こういうので、これを買ったのが日本電建であったわけであります。日本電建は約一億円弱で買ったのでありまするけれども、とにかく蓮潟地区を二億円内外で、昭和三十九年五月、実は新潟国体が予定されておったわけでありまするので、そういう展望の中で、この新潟国体の直接間接の関係用地として、県と市がこれを買っておるわけであります。この間の事情はこれは新聞あるいは新潟県議会でも相当に論議されておるわけでありまして、これ自体、いわゆる政治的な投機というものは、言うならばこういうものを位置づけて投機と判断をしてこれはあやまちではないんだというふうに、私なりきに割り切っているわけであります。  その後、日本電建から新星企業、さらに関新関新とは関東の関、新とは新潟の新をかたどっておるわけでありますが、関新観光開発へとともかくも鳥屋野潟の土地は転売されておるわけでありまして、この土地会社は、いまの田中総理まあ総理ではありませんけれども、田中角榮氏と関係がある会社であります。ほかに、大口買い占めの一つに、大潟土地企業という会社もありますが、これも政治家が直接間接に関連しておるわけであります。  で、昭和三十九年の六月、これは実は国体の翌月に新潟大地震があったわけでありますが、治水、水利、地盤沈下対策の目的で親松排水事業が国費を投じて行なわれておるわけでありますが、これは、国費はどの程度なのか。全額国費で負担されたというふうに聞いておりますが、これはその動機、それから親松排水機、東洋一というように配置されておりますが、その辺の点についてひとつ、余事はいいんですが、この親松排水機の問題については、国費をどれだけ投じて、こういう心要性のためにこれをつくったんだと、そういう点について、河川局長でも、農地関係であるならば農地関係の政府委員に、ひとつお答えいただきたいと思います。
  74. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 農林省の防災課長でございます。お答え申し上げます。  いま先生からお話がございましたように、亀田郷は約一万ヘクタールでございます。その水田は、新潟の地震によりまして相当沈下をいたしました。したがいまして、その復興計画といたしまして、従来は、栗ノ木排水機と申しまして、もう少し北寄りでございますが、鳥屋野潟を通じまして、栗ノ木排水機から排水をしております。それを、費用の面から一番有利であるということで、親松というところに切りかえまして、現在は親松排水機から排水をしている次第でございます。  それで、親松排水機に要しました総費用は、三十一億七千九百五十二万一千円でございます。そのうち国費は二十八億四十万二千円でございます。
  75. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 地元では、その辺から、それの前からも、先ほど申し上げておるように、ずっと政治的な尾を引きながら、これを低水位にするか高水位にするか、そして親松排水機であるとかあるいは栗ノ木排水機の状態をどういうふうにしたらいいかというようなそういう関係で、これはお答えいただかなくてもいいのでありますが、とにかく政治的な投機が行なわれたわけであります。  私がこれから論を進めていきたいのは、本来、価値のない湖面下の土地を買い占めるのは、将来埋め立てることによって膨大な利益をあげることを見込んでいたとしか考えられない。幸いにして県民の世論が埋め立ては許さなかったが、今度は鳥屋野潟公園計画が登場してきたわけであります。したがって、公園計画自体には県のほうからも相談のあったことも御了承のとおりでありますし、国からも、いい面については大いに予算上資金上力を貸していただくことは必要だと思いまするけれども、計画自体は、大体御承知だと思いまするけれども、市民四十万に、新潟は一人当たり座ぶとんの大きさといわれるほどしか、緑の地域も公園地域も非常に少ないわけであります。新潟市民は、この公園をとにかく湖の都として、周囲にかなりの、二千本の桜が咲いて、非常に立地的にはいいところでありまするから、公園地域の少ない新潟市民にとってはこの計画はけっこうである、それなりに進めてくれと、こう言っているわけでありまするけれども、計画は、湖底の大口所有者のために、たとえば土地計画整理組合をつくって、湖面全体を公用地化して、言うならば一部を埋め立ててこれを換地するというもの。この換地の対象が、実はここの湖面の中で赤い線を引いてある、これは十八ヘクタールあるわけでありまするけれども、これを換地するというものであって、それが審議が紛糾したという原因であります。つまり、土地を買い占め、転売しながら値をつり上げ、あとから開発計画を立てて大もうけをするやり方は、もうけさせることを百も承知の上で公共用地にするという、言うならば隠れみのをつくりながら、中央を地方が政治のつながりの上で公然とやろうとしておるのが鳥屋野潟問題ではないか。そういうようなやましいことはないんだ、過去は過去である、今後将来に向かってはそういうことは断じてないんだということを言い切ることができるかどうかという点について、ひとつ大臣に所信を述べてもらいたいと思うのですが、まあそれは大臣が、君やれと言われれば、どなたでもいいんですけれども……。
  76. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) この鳥屋野潟は、ただいま先生おっしゃいましたように、相当部分が水面下で、河川区域でありながら民有地になっております。そこで、まあ民有地であります以上、土地区画整理事業が法律上やれないというわけではありません。もっとも、この地域は市街化調整区域に入っておりますから、いわゆる都市計画事業としての施行、つまり県とか市町村というような公共団体の事業としてはやれないわけでございますし、国庫補助も特段いくわけではございませんが、地元の土地所有者等の権利者が組合をつくりまして、土地区画整理組合として事業を行なうということであれば法律上可能であります。その場合に、埋め立てというような工事もその区画整理事業の一環として行なうこともできるわけであります。現在地元のほうで検討しておられることも、そういう組合によって区画整理を行ない、おっしゃったような図面表示のところを埋め立てまして、そこに換地するということのようでございます。
  77. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 このことは、むろん如才なくおわかりでありましょうね。この潟は百八十ヘクタールでありまするけれども、これは水面、 まあ湖面でありますけれども、これを所有しておるのは大体五つの大きな所有者があるわけでありまして、あとは非常に小さい人たちが多く持っているわけでありますが、関新観光開発というのが八十三万三千平方メートル、大潟土地開発KKが十五万平方メートル、松原真治という人が、これはお金持ちで土地持ちだと思いますが、十三万六千平方メートル、平興産というのが七万七千平方メートル、鳥屋野苑というのが、これは料理屋さんでありますが、三万五千平方メートル。これが大体百二十ヘクタールか百三十ヘクタールに、実はヘクタールに直すというと換算されるわけじゃないかと思いますが、こういうふうに大手が土地を持っておるということはわかっておりますね。
  78. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 御質問が通告されましてから、取り急ぎ調べましてわかりました。
  79. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 で、問題は、いま県でもめておるといういわゆる土地整理計画委員会は、これをいわゆる公共水面というものに、一応土地をプールしてこれを換地しようというところに非常に大きな政治問題があり、扱いを誤まるというと社会問題化そうとするということがあるのでありますが、そういうこともお聞きになっておりませんか。その点はどういうふうに受けとめておられますか。
  80. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 区画整理等の前提行当についての計画等がはっきりしないということ片聞いておりましたが、このような買い占めの問題にからんで問題にされているということは、実はただいままで知りませんでした。
  81. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 要するに、私は政治投機とはこういうようなところからだんだんと発展をしていく可能性が十分あるじゃないか、また、これも一つの政治投機というふうに位置づけてあえてこれは過言ではないというふうに受けとめております。  そこで、さらに論を進めまするが、今後のこともあるので、この際確認しておきたいと思います。  で、大臣は十五分間ばかりどうしてもということでありますが、また来ていただきますけれども、どなたがお答えいただいても、ひとつ大臣にかわってお答えいただいたという確認で御質問申し上げるわけでありますが、昭和四十七年の十一月七日、第七十回国会衆議院予算委員会で田中総理は、松本善明予算委員の土地投機問題に関する質問に答えて、質問があったのかどうかは別として、記録に明確なところは、二つのことを答えております。  その一つに、鳥屋野潟問題は房総観光が税金を払えないといって持ち込んできたものである、日本電建から新星、関新に引き継いで現在に至っているが、まだ売っていないし、売る意思もない、「これは国に全部寄付をすることも可能であります」ということを言っております。さらに、「私は、いま鳥屋野潟でもうけようなんて、何もありません。必要あれば政府に何でも寄付します。そんな利得を得ようなんという考えは全くない。」と言い切っております。  当時は木村建設大臣であったわけでありまして、これは歴史の流れの中で実際が証明するという物理的な問題も出てきますが、金丸建設大臣はこのことを、それはおれはその当時は大臣じゃなかったから知らぬと言われるかどうかは別として、これはとにかく木村建設大臣の当時七十回国会でありますから申し上げておきます。  で、二つ目に確認しておきたい点は、湖の一部埋め立て換地計画は、結果的には大口企業者に利得を与えることになる。公用水面を公園化するのに湖面下の土地の私権を買い取らねばならないかどうか。これは非常に矛盾があるんですよ、実際問題として、先ほど図面を差し上げたように。  また、予算委員会における松本善明委員の推定によれば、この土地は、実は町の中央にある新潟市から二十キロ南にあって、ここにいわゆる上越新幹線が入ってくる、北陸自動車道が入ってくる、それから上越自動車道が入ってくるというかっこうで、まさに現在の地価でも、これを換地すれば十万円で売れるが、公園になれば二十万円に売れる。推定からいくならば、大体百万から百五十万円になるというそういう将来性のある土地なんでありますので、だから、そういうような展望と推定の中で——いまはやっぱり都市排水であるとか工業排水が来て、答申の中にあったように、環境を整備して、そしていろいろとヘドロも出さなきゃなりますまいけれども、でありまするから、この湖面下の土地の私権を一体買い取らなければならないかどうか。これは一級河川阿賀野川の下流でありまして、法線を引けば、これは非常に川なんですよ。そういうのでありまして、その湖面をこれは将来埋め立てるか、埋め立てぬかという過去に政治的な尾を引きながら、これを水面だけを買ってその土地が私権であるかどうかということは、これはめくらヘビにおじずで、その辺の、私は法律か何かよくわからぬけれども、常識のものさしでおかしいじゃありませんか。わかるように解明してください、この二点は。一点、換地。
  82. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 河川法の適用を受けた区域でありましても、民地として存在する以上はその民地所有者あるいはそれが集まりました組合というような形で埋め立てることは、河川法の問題はもちろんございます。そのほうの許可等の手続はもちろん要るわけですけれども、そういうものが河川法上の手続として許されるならば、埋め立て自体はできるわけであります。そういう意味で、そういう可能性を秘めたという意味の価格が、水面、現に水面下であります、埋め立てなければ使えないわけですから、かつ河川法の現制を受けているというようなことで、まあ常識的に見てもそう高い値段であるとは思いませんが、一応民地としての価格そのものはあるんではないかと、こう考えます。
  83. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私の、若干どうも質問のしかたが悪かったわけでありますけれども、確認をしておきたいことの二点という意味でありますけれども、換地計画は結果的には大口、先ほど五本の指を言ったでしょう、これだけの人たちがとにかく大もうけをすることになるんですよ。この換地をして、そしてこれを換地をすれば代償として支払いをされれば、土地がとにかく大体一〇%程度になるんです。八十五万平方メートルということになれば大体八十町歩余になると思いまするけれども、その八・五町ぐらいがこの大口所有者の土地になるわけでございまするから、これをもし換地したという形の中で、土地が市価にすれば大体十万程度になるんだと。そして、これがこの公園都市で機能を発すれば、その地域の土地は最低でも二十万円ぐらいになるんだという、そういう意味でありまして、そういう意味も含めていまの答えですね。
  84. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) この区画整理事業をもし行なうとすれば、先ほど申しましたように、土地区画整理組合を結成してこの組合の手で行なうことになると思われます。県からもそのように聞いておりますが、その場合は直接大臣には認可その他の監督の手続はあがってきませんで、一切市の段階で処理してしまうことになるわけでございますけれども、先ほど来法律的にはどういうことになるのかというようなことでございましたのでお答え申し上げた次第でございます。  県からの説明では非常に大きな減歩をする。したがって、現在の持っている土地を埋め立て、かっ換地した場合に民地として生み出される土地は非常に少ないと聞いておりますので、水面下の非常に価値の低い土地を埋め立てて価値の高い土地にするについて、そのような大きな減歩がなされることは当然かなという気持ちで聞いておりました。
  85. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 新潟県の知事は非常に拙速路線を踏襲しながら、公園計画が答申によって位置づけられてから縦覧をして、そしてそれなりの予算をつける方向の中で、あとから県都市計画地方審議会にかけて、これはだめだと、治水上とにかく問題があると、ある自然を生かしてこの池は拡大こそすれ換地のために埋めるなんていうようなことはまかりならぬと、したがってこれはだめだというかっこうで原案が否決されて、そして修正案がとにかく通っておるわけですよ。そして逆戻りをしておるわけなんだ。これは非常に問題があると思いますが、私の確認事項をもう一ぺん読んで、記録の上に残しておきたいと思います。  「鳥屋野潟周辺は都市化が進み、湖の遊水池としての機能はますます重要となる。あわせて亀田郷一万ヘクタール余の稲作地帯を守るためにも、治水上の見地からも一部埋め立ては絶対に許さるべきでないと思うが、政府見解と所信を伺いたい。」——いま大臣はおらぬから、所信は伺わなくていいですけれども、確認事項の三としてこれは簡単に県から言ってきても、そういうことをひとつ記録に残しておきたいと思います。  ついでに申し上げておきますが、亀田郷の土地改良区の佐野藤三郎という理事長は、非常におこった姿勢で私のところへ電話かけてきています。早くりっぱな公園にして治水上も環境上も整備してほしい。しかも、いまの計画ではわずか五、六人の所有者に不当な利益を与えることにしかならないので、換地方式は絶対反対するということを、これは非常に信望と信頼感のある、この亀田郷一万ヘクタール背後地帯における土地整理組合の、県下でも骨のある一人の理事長でありますが、こういうことを言ってきておるわけであります。いずれにいたしましてもこの確認事項は、いま申し上げたように、これは議事録を見ていただけばわかるわけでありまするけれども、三つあるわけでありまして、大体これに対して、大臣がおらぬとのれんに腕押しのような結果になるおそれもありますけれども大臣十五分ということを言っておられましたけれども、あとの質問者の関係もありますが、ひとつ確認事項は確認として大臣に伝えるとかひとつ……。
  86. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) このうちの鳥屋野潟の治水機構、これにつきまして建設省の考え方を申し上げたいと思います。  現在鳥屋野潟はこの周辺の治水のための調節池として大いに役に立っております。それで、将来ともこの治水機能というものは維持しなければならぬということは、当然のことだと思います。ただしここで問題になりますのは、この鳥屋野潟の土地が、ただいまもお話がありましたように、民有地が大部分であるということから、この鳥屋野潟の治水機能を維持するということに対して非常に問題点がある。でき得ればこれを全部官有地といたしましてこの治水機能を万全を期したいという考え方は持っておるわけでございます。それで、まあかりにこの一部が埋め立てられたといたしまして、この場合どういうことになるかということになりますと、面積につきましては多少減がございますけれども、この底を堀ることによりまして、この治水の容量と申しますか、洪水調節の容量は現状よりもさらにふやすことができるわけでございます。こういう観点から総合的に考えまして、鳥屋野潟の治水機能というものは現在以上にさらにすることが必要だろうと考えておるわけでございます。
  87. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 農業用の排水関係から御説明いたします。  農業用といたしまして現在鳥屋野潟に百四十三万立方メートルの洪水調節能力を持っております。したがいまして、今回の計画におきましてこの洪水調節能力を減少させないということになれば支障ないというふうに考えております。
  88. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは実は大臣がおらぬから大臣から——しかし十五分間程度どうしても衆議院のほうの口がかかってきておるということでありますので、十七分間穴をあけるわけにはまいりませんし、委員長の根回しというものにも協力する立場におりますので、三つの確認事項はこれは記録に残されておると思いますけれども、これは十分ひとつ大臣にも、大臣が来たからこれをもう一度やり返すというようなこともこれはないと思いますから、ひとつ十分関係政府委員の方からそれぞれの質問者の真意をお伝えいただきたいというふうに考えております。  あくまでも申し上げておきますが、換地という問題についてはやはり答申の第一からいっても、利水、水利事業からしてもこれを換地して池の一部——私が鳥屋野潟公園の図面、縮尺千分の一を委員部に御足労願って赤線で引いていだだいたのも、だれが考えてみてもほんとうに親身になって自然を利用して、そしてこれを活用するということに対して、これを埋めて大口、つまり所有者に大もうけを与えるなんというようなことは地方的にも許されちゃおらない、県民も反対なんです。ただし、これを頂点として新潟市民、いずれ五十万から百万になる将来性の展望の中で、今日ただいまは一枚の座ぶとんしか公園の立地がないんだから、こういうものを中心として、さらに御承知だと思いまするけれども、関屋分水がとにかく開通をいたしまして信濃川の機能が変わってまいりまして、その下流においても、このいわゆる換地問題やその他河川じり問題が政治問題化してくると、その前提としてひとつ十分考えていていただきたい。大臣お見えになりましたけれども、三つの鳥屋野潟問題について確認事項を記録して、そして関係政府委員の方々にはそれなりに大臣の意をくんで、とにかく大臣にかわって聞いておいたりしゃべってもらっておりますから十分聞いて、これは大事なことなんですからどうかひとつ、この問題についてはこれで先へ進むことにいたします。   これは原稿を読んでひとつ答えでもらうよりしょうがないと思いますが、土地の投機、買い占め、乱開発などの防止対策についてという、そういうテーマでありますが、昨今ほとんどの商品が投機の対象となっておるので、中でも限りのある、有限である土地の買い占めと乱開発はまことに目に余るものがあると思うのであります。新潟県では現実の問題として、一ヘクタール以上の大がかりな土地取引が契約済みで百三十二件なんです。三千七百三十四ヘクタールということになります。交渉中のものが三十七件、五千五十七ヘクタールにのぼっております。県内では一万三千ヘクタール以上に開発の手が伸びておるというのが実情であるわけでありますが、これはだいぶ前のことでありまするので、契約済みのものはどんどんともうすでに実行されておるというのが現実の時点であると思うのでありますが、そこで、とりわけ人口四十万都市にふくれ上がった新潟市では昭和五十二年で十二の——これは新潟県と新潟市でありますけれども昭和五十二年までに十二の小中学校を建てなければならないわけであります。地価の高騰や乱開発が進んでおるので適当な校用地がない、一定基準の面積の確保もむずかしくなっておるのが現状であります。こういう問題が起きておるのでありまして、そしてことし買う予定の場所として一番難航しそうなのは、いま長々と話した新潟鳥屋野潟地区といわれておるわけでありまして、これは地元の新聞は大きく初号活字何段抜きというかっこうで掲げて、まさに教育公害がいわゆる土地乱開発のあおりを食らって、とにかくそういう面も起きておるということであります。土地の乱開発は子供の、まあ言うならば教育の場まで入ってきておるわけでありまして、まさにこれは政治問題であり、社会問題だと、こういうふうに考えておるわけであります。  そこで新潟県では自然環境保全条例であるとか、また、南魚沼郡の大和町、これは言うならば田中総理が名前つけた大清水トンネルを通して東京からいまの鳥屋野潟地域へ乗り入れてくる上越新幹線のとにかく中間駅ができるわけでありますが、ここではやはり乱開発防止条例をつくるなどしておるわけでありますが、対策を立てておることは事実であります。しかしこれらの条例においても土地の取引そのものを規制はできないのであります。そういう前提に立っておるのでありますから、したがって、対策は予防的なものをチェックするというのがねらいであって、おそらく全国の自治体でも大同小異であろうと思いますが、ほんとうの、庶民の求めておる実効のあがる強力な土地対策というものが実際はなければならないんだと、こういうふうに考えておるわけであります。  そこで世上、田中内閣では——悪いけれども卒直に申し上げておきますけれども、世の中ではこう言っておるんですよ。田中内閣では土地対策ができないんだと、物価を押えることもできないと言われてきたが、就任以来土地の高騰、物価の値上がりは史上最高そのもので、買い占め、投機の世の中となったと、言うならば円の切り上げ回避のために金融をゆるめる一方、無方針にも外貨を買い国内に大量の円をだぶつかせたこと、確かに最近は銀行も金融引き締めの方向にあるが、大資本、大企業の手元資金は十分にあるはずだと、かなり株も買い占めておる、したがって、売り出せば資金は困らない、かてて加えて四十八年度予算は十四兆二千八百億円という大型予算だ、金がばらまかれインフレの促進剤となっておることは、これは全くまごうことない既成の事実であります。したがって、インフレが必至となれば値上がり確実の土地の買いあさりであるとか、もうけようとするのは利益追求をする資本の、当然の自由主義経済のこれはメカニズムであると、こういうふうに私ども判断しております。結局投機時代を生じさせたのは政府の責任だけではないと思うが、政府見解はどうかと、とりわけ先ほどの県と新潟市で十二の小中学校というものを予算上資金上考慮しておったんだと、ところが土地がふくれ上がってしまったり、とにかくあの手この手で買い占められちまって学校の建つ目安を失ってしまったと、教育公害が出てきておるんだと、こういうような点について建設大臣、あなたの見解なり所信なりをひとつお聞かせいただきたい、こう思うんです。
  89. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 先生御指摘のように、土地という問題につきましては昨年来の金融のゆるみというようなものがあって影響していることも当然でありますし、また、経済成長というものも異常な成長をしたという点からその余力が土地の投機というような問題にもなっておるというようなことは、学校を建てようにも土地がないと、公共用地を収得することができ得ないというような場面もあるとしういま御指摘のお話でございますが、私もそういう面につきまして謙虚に政府も反省して、この面については今後別な対策を立てていかざるを得ないという状況であろうということだけは考えておるわけでございます。先ほども私が申し上げましたように、土地という問題については十分にひとつ配慮して公共優先という立場をいま少し強く貫いていかなければ土地確保ということはできない、このように考えておるわけであります。
  90. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間もございませんのではしょって申し上げます。まあこれで終わりますけれども、いまの政府の出しておる各種の買占め防止法案は、言うならば、「こういう法律もあるぞ」と、また「こういう法律もあることだし、投機的な動きをすることはできるだけ慎しんでほしい」と、自粛を促す程度のものでしかないと私は見受けておるわけであります。企業にとっては、言うならば、実は痛かったり、かゆかったりという程度のものじゃないかというふうにも判断しております。現に大手商社は、通産省の買占め実態調査に一斉に反論して、相変わらず投機アニマルぶりを発揮しておる。これは四十八年四月四日の読売新聞を一応読んでいただけばそれなりに詳しく書いてありますので、私もこれには、なるほどというふうに、政治家の端くれとして、一応こういうことも、こういう視点のとらえ方も、こういう判断のしかたも評価すべきだというふうに考えておるわけであります。これではとても強力な土地対策は不可能だと思います。で、買い占めの防止法案など一連の土地対策について、国民が安い値で土地が求められるようになるその保証ができるかどうか、ひとっこれは大臣から承りたいと思います。
  91. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) いまの御質問の御趣旨は、一昨年から起こっております金融緩和その他から投機の対象としての土地売買が相当多くなっていることは事実だろうと思います。そのために地一価の上昇が非常に著しくなったということでいろんな支障を来たしておる面が多いわけでございます。したがいまして、投機抑制のための施策として土地利用規制の強化、また一般民間の土地取引に対する公的介入という制度も国総法を中心にいたしましていろいろ御審議をこれから願うことになるわけでございます。同時に投機抑制といたしましては土地税制の面でもすでに改善措置がなされているわけでございます。それに伴って投機の抑制が相当私ども期待できると思いますけれども、先生の御指摘は、さらに一般国民に安い宅地を供給することができるかどうかということでございます。ことしの一月に地価協できめました土地対策要綱、政府の土地対策要綱の中におきましても、一つは土地土地利用制度と、それからいま一つはいまも申し上げました土地税制の改善、第三に宅地供給の促進という面を掲げているわけでございまして、特に大都市地域におきましての一般国民の求める住宅なり宅地を十分にいま供給することは一番大事なことでございます。この施策も大いに盛り込んで私ども今後促進をはかりたいわけでございます。いろんな宅地供給の促進策につきましては、本年度から実施するもの、またさらに四十九年度から実施すべく検討中のものがございますけれども、先生御趣旨のとおり宅地供給が一番大きな問題でございますので、今後とも私ども努力してまいりたいというふうに考えております。
  92. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう見どころ、中身をこれはひとつ見せ場で聞いてもらいたいということはこれは削りますが、大臣がせっかくまたお越しいただいたから、これを聞きたいばっかりに——またこれは田中政権のもとで十分ひとつ閣議で練ってもらいたいということで、これで終わりますが、元来は政府の土地対策は、結局、投機現象を押えるための行政上のあと追い対策でしかないのだと、経済活動が先行して国民のための政治が申しわけ程度についていくということだ。日本経済の体質の中から出てくる投機体質というべき社会的、経済的温床にメスを当てない限り、投機はなくならない。まして、国民は土地買い占め、乱開発から何の利益も受けていない。いまこそ抜本的な対策が必要である。今日国民福祉が叫ばれておる、経済安定的な発展が論議されておる情勢下の中では、土地の私有制度、言うならば、土地が売買の対象となる制度自体も見直すことが政治の重要な課題でなければならないと思う。たとえば、土地の社会化への一歩として、土地の売買の規制、私権の制限等の問題解決に踏み切らねばならない、そういうのが時流であり、時の勢いではないかというふうに、私は私なりに判断しております。  そこで最後に、私は憲法二十五条と憲法二十九条を現状のままでも、ほんとうに主権在民のサイドに立って活用して、たとえば学校用地であるとか、公立病院であるとか、勤労者の住宅用地であるとか、公園等の土地の公有から国有化への方途を検討すべきであるという、そういう段階にきておるのではないかというふうに私は考えておるわけでありますが、政府見解と所信を承っておきます。たとえばいま御承知のように、これはきのうでしたか、大新聞の一部でありますけれども、農業会議ですか、あの鍋島さんの会長しておる。——日本列島全域の関係業者が集まって、十九都道府県についてはこれこれだ、これを四十一府県に推定すれば四十万ヘクタール、東京都の二倍の土地がすでにろくでもない、つまり別荘地であるとか、あるいはわけのわからないゴルフ場であるとかいうようなかっこうで買い占められようとしているということを現に明確に、これは「毎日」でしたか、キャンペーンが出ておるでしょう。そういうような問題がありまして、憲法の二十五条だとか二十九条というものについて、なるほど私権とか、財産の制限であるけれども、土地の売買の規制とか私権の制限というものを、憲法を活用すればできるんじゃないか。そういうものは検討の段階に入っているのではないかということを私は強く要望いたしたいと思いますが、前後いたしますけれども、この鳥屋野潟の問題についても、一にぎりの大手の政治案も含めて土地を所有しておるのがいますけれども、これを「ただで寄付せよ」と田中総理はいみじくも言っておりますけれども、これは痛くもない腹はさぐられたくない、こういうふうにきれいにすべきだというふうに言っておられますけれども、しかし物には原価というものがある、金利というものがある、管理に必要な経費というものがある、そして造成費というものがある。そういうものをミックスして、きれいに大手資本にやれば、土地を買い占みたそういうもののいい悪いというものについては、買い占めたものをすぐはき出させるわけにはいかなくても、いま申し上げた点について、十分この点についてひとつ大臣見解と所信を述べていただきたい、こう思うのです。
  93. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 土地問題につきましては抜本的な施策を試みなければならぬ時点にきておることは、先生のお考えと私の考えも同じでございます。そういう意味で憲法を十分活用して、公益優先ということを考えなければ、いつになってもあとからついていくような政策になってだめだ、思い切った政策を打ち出すというためには、憲法を十分に広義に解釈して、公益優先という立場で私有権の抑制と私権の抑制ということも、思い切ったことを考えてやっていくべきだ。ただいまのお話は閣議でも伝えたいと思います。
  94. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間が限られておりますので、私まず郵政省のほうからやらしていただきたいと思いますが、郵政省の郵便貯金会館のあり方についてです。私は現状の確認をしていただきますので、私発言いたしますが、それをお確かめ願いたいと思います。  財団法人の郵便貯金振興会、これは所在地は港区麻布でありますが、理事長が荒巻伊勢雄さん、元の郵政省の貯金局長をやっていらっしゃった方。この那便貯金振興会と郵政省と委託契約を結びまして郵便貯金会館を業務委託して経営をしている、四十五年から始めまして現在まで東京、大阪、熊本、広島、松山、仙台、これが完成、長野、名古屋、札幌、金沢が四十八年四月から五十年春にかけて完成予定、なお四十五年から四十七年度まで九十億六千六百万円支出をしている、これは郵政省の特別会計から約九十億を支出をしてこの郵便貯金会館をつくる土地と建物を購入するために充てている、さらに四十八年度は金沢、横浜、福岡等にもこの貯金会館をつくる予定がある、こういうふうに認識しておりますが、間違いございませんか。
  95. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) ただいまお話にございました各会館の数字、間違いございません。
  96. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、これはなぜこういう貯金会館をつくるか、この根拠が郵政省の設置法にあると、こう伺っておりますが、何条何項、その趣旨はどういう趣旨であるかお教えいただけますか。
  97. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 郵政省設置法第四条、「郵政省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。」という条文の第二号及び第十四号でございます。
  98. 黒柳明

    ○黒柳明君 その趣旨を……。
  99. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 第二号に書いておりまするのは、「法令の定めるところに従い、所掌事務の遂行に必要な業務施設、研究施設等を設置し、及び管理すること。」、第十四号は、「所掌事務の周知宣伝を行うこと。」という条件がございまして、郵便貯金事業の周知宣伝を行なうための業務施設であるという解釈のもとにこの貯金会館を設置して今日に至っておるわけでございます。
  100. 黒柳明

    ○黒柳明君 郵便貯金業務を周知宣伝すること、まず、私専門家じゃありません。しかし、一国民として常識的に考えまして、郵便貯金というものを周知徹底する必要があるか、郵便貯金というのはもう庶民大衆の貯金機関でありまして、これはもうPR、宣伝、ある意味においてはする必要もないぐらい周知徹底されているんではなかろうか。なおかつ、やっぱり所掌の官庁としてはPRも必要ではなかろうか、私はそうも認めた上において、しかもこの内容なんです。貯金会館の。パンフレットを見ますと、いま幾つかパンフレットあるんですけれども、これ一つですけれども、ホテル、結婚式場、宴会場、貸しホール等ですね。九十億余の国庫の支出をしている。そうすると、私も現場に行きました、増上寺の前にありますね。郵便貯金会館となっておりますが、完全にこれは郵政省のものであることは間違いありません。郵政省のホテルであり、郵政省の結婚式場であり、郵政省の貸しホールである、こういう認識は、これはもう間違いない、こう思うわけでありますが、この郵便業務を周知徹底するために私ははたしてここまでやる必要があるんだろうか、この辺非常に疑問に思うんです。  周知徹底するのは、たしか四十五年からこの貯金会館という委託業務を始めたわけですね。四十四年まではいろいろこう出版物でやっていた。いまも並行してやっているのではなかろうか、こう思います。ホテルへ泊る、結婚式やる、その人がはたしてどれだけその郵便貯金会館でやったことによって、結婚式やったから、一生これは郵便局でめんどう見られた、郵政省の世話になったから、これは死んでも郵便貯金を入れなければならないなんという意識は、まずこれは一〇〇%なかろう。ホテルへ泊まった、あるいはこのホテルのサービスがいい、施設がいい、これは一生郵便局に対して恩を感じたなんということはまず私はなかろう。皆さん方が何らかの方法で周知徹底するためにつくった会館ではあるとは思うのですけれども、どうもこの周知徹底するために、九十億もの国庫支出をして、お金を使って、そしてこういう委託業務をやることについては、どともこれは内容を相当検討しなければ、あり方というものは非常にうまくない、検討の要があるのではないか、こういうふうに思うのですけれどもね。大臣出て来られませんで政務次官いらしゃいますけれども、これは局長さんの話よりも政治的な見解を承ったほうがいい質問かと思いますけれどもどうでしょうか、そこらあたり
  101. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいま黒柳先生の御質問と御意見、私も実は省内で多少検討いたしておりますが、お話のように、郵便貯金の周知宣伝のためだけに貯金会館を設けるという点については、お話の点ごもっともだと思います。ただこれは御承知のように、全国民のうち約六割が郵便貯金をしておる。この六割の預金者に対するサービスといいますか、預金者保護、こういう趣旨も込めまして、そして新しく若い人たちがだんだん成人して社会人になってくる、こういう人たちに貯金の趣旨を宣伝するという趣旨で、四十五年から、おっしゃるように貯金会館を設立しております。この問題はなおいろいろ管理運営ばかりでなく、建設のしかた等につきましても検討の余地はあるというふうに私は考えております。
  102. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまおっしゃた若い人のために云々と、それから国民に対するサービス、そうしますとね、要するに国の機関が、郵政省がホテルをやり、結婚式場をやる、サービスだ、もっとサービスを期し、若い人という政務次官の発言のためならボーリング場やったほうがいいですよ。郵政省がボーリング場を経営する、田中総理大臣直轄の野球チームをつくったらどうですか。郵便貯金マネービルクラブか何かつくって、そして野球に踊り出す、そしてジャイアンツを負かすのです。そうしたら郵政省、郵便貯金は一躍スターですよ。そういうアイデアを出した次官はまず大臣抜てき間違いないんじゃないですか。(笑声)そういう周知徹底はうまくない、こういうやり方での周知徹底は。しかも預金者、利用者に対してのサービスというならば、六割預金している、あとの四割は関係ない、四割も預金する可能性あるでしょうね。しかしほかのこういう会館等のあり方、言うまでもなく厚生年金会館のほうは法律にのっとって運営しているわけですね。これはそういう法律的な根拠がないのです。あとで官房のほうにお伺いしますけれどもね、これは確かに設置法の拡大解釈なんですよ、周知徹底するためにと、ここだけのわずかな一文句を取り上げて、それで周知徹底するならば何でもいいのだ、利用者にサービスするなら何でもいいのだといったら、私はまず当面、下火ですけれどもボーリング場つくりなさい。長期的計画なら、マネービルクラブをつくってジャイアンツ負かしなさい。あ、いまジッイアンツじゃありませんですね、大洋ですか、負かしなさい。そうすれば一躍郵便貯金というものについての国民の関心、特に若者についての関心は持たれる。ところがそんなことは何をやっているのだという、総反発を食う可能性もあるでしょうね。そんなことは私何も冗談をまぜて言っているようですけれども、そもそもこの周知徹底という、拡大解釈、これをもしゃりますと、たいへんなことですよ。設置法を拡大解釈したら。これば政務次官が設置法についての周知徹底ということは、こういうあり方は検討しなければなんないと、こういう発言で、すでに九十億投資しちゃったんです。さらに三ヵ所の建設予定があるんです。これは根こそぎやめろと、ここまで公明党非情じゃありません。しかし、あり方というものを抜本的に検討してもらいたい。そうじゃないと、各省とも設置法を拡大解釈したら、いま官房に聞きますけれども、たいへんなこと。同時に、郵政は特別会計があるか——これもまた郵政のあり方としてうまくないんじゃないですか。とかく郵政省の行政というのは何かそういう他省にないような特別会計を持っているので、大蔵省も監督指導ができないようなきらいも、——局長首をかしげたけれども、私はそう感ずるんです。ですから、こういう郵政独自の周知徹底という、設置法を拡大解釈する、これはうまくない。これは答弁いただいた。さらに六割の利用者に対してサービス、また青年に対してということならば、これは私言いたい。もっともっとそれにサービスを向上さし、ほんとうのサービスをさすための方途が幾らもある。ということは、そんな野球クラブやボウリング場を経営する考え方はないでしょう、当然そんなことは。ということは、逆に言えば、こういうあり方がうまくないんだと、十二分に検討しなければなんないんだと。私、政務次官がいまその答弁をしたから、追っかけてさらに私の主観ととも、意見とともに、もう一回質問、同じような質問ですけれども、するわけですけれども、どうでしょうか。
  103. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいま郵便貯金会館の建設を直接郵政省が金を出してやっていることにつきまして、設置法上拡大解釈ではないかという御意見でございます。私も厳密に設置法を読みますと、そういう疑問をなしとしません。しかしながら、現在までは貯金会館の建設は設置法上抵触するものではないという見解でやってきておりますが、確かに拡大という点においては拡大と言われれば、そういう疑問が出てまいります。そこで、もともとこういう貯金会館のような施設は別の機関に、事業団等の別の機関にやらせたほうがそういう疑問を持たれなくて済むんじゃないか、どうも政府が直接ホテルや結婚式場をやっているという、一般にそういう誤解を招きますことは好ましくないと考えております。  そこで実は簡易保険の保養センター等は簡易保険郵便年金福祉事業団という法律上の特殊法人にやってもらっておりまするが、同様な構想で新しく事業団をつくるか何か既設の機関を活用する等の方法によりまして、郵政省が直接でなく、そういう事業団方式のようなものをひとつ考えていくということを私はぜひ前向きに検討してまいりたいと考えておる次第であります。
  104. 黒柳明

    ○黒柳明君 その前向きな検討を大至急やっていただきたい。  それから九十億は、この支出はどっから出た金ですか、特別会計の項目は。
  105. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 郵政事業特別会計から金を出しているということでございます。
  106. 黒柳明

    ○黒柳明君 項目、科目は。
  107. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 建設勘定でございます。
  108. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、周知奨励費というのがありますね、ちゃんと。毎年十億ぐらい。どうでしょう。
  109. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 大体郵便貯金の周知奨励のための経費という予算上の項目としてあげられておりますのが四十八年度でたしか十二億七千万円ぐらいだったと思いますが、なおそのほかに現場の職員がお客さんのところへ行って、たとえばささやかでもマッチとかタオルを配るという意味での周知奨励といいますか、そういう経費は別でございまして、それらをあわせますと、約一八億、四十八年度で認められているわけでございます。  なお、これはよけいなことかもしれませんが、先ほど九十億の投資ということは、固定資産としての投資でございますし、その中にはもちろん土地も含まれておるわけでございます。
  110. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然そうですね。
  111. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) それから減価償却という意味でいきますと、固定資産でございまするので、一年に直せばまあ一億か、一億五、六千万円。
  112. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこを言うとまた議論が発展しちゃうんです。周知奨励費が十数億ってある。その周知奨励をするためなら周知奨励費でやればいいんですよ。十億もの金を持っている。十七億もの金が四十八年度あるんですから、その周知奨励費の別の建設科目から、これをとっているところに、明らかに先ほどの設置法の周知奨励ということを名目にして、それでこういう事業を、委託事業をやっている。  で、私はそれに引っかけて、これはもう言いたくない。——言いたくないなら言うなと、こう言われるんじゃないかと思うんですけれども、もう天下りなんです。もう天下りを各省に言ったらこれ、申しわけない。ほんとうに私も天下りというのは検討する余地があると思うんです、定年法から抜本的にね。しかしまた、この場においては、そんなややこしい議論はできやしません、検討は。ですから、いま言いました荒巻理事長は貯金局長。それから理事が一、二、三、四、監事が一人、そのうちの一人だけが他会社、あとは四人とも全部郵政局の局長、調査官、あるいは官長。もう完全に郵政省の出身の方、いわゆる天下りでかたまっているし、さらに各会館に行きますと、同じような傾向が見られるんです。だからこんなことを言われるだけ損じゃないですか。もう天下り、まあ現実はそうなのかもわからないですよ、現実が、この実態が。だけれども、もし現実がその天下りと関係ないと言うならば、そんなものはやめたほうがいいです。九十億、固定資産。当然ですよ。だけれども私は、八十億がどこかやみからやみにいっているという論議を進めているんじゃないんですよ、いまここで。そういうものを、周知奨励費がありながら、毎年十数億も使って宣伝しながら、その周知奨励だといって、しかも建設科目から出している。それでホテルを経営し、結婚式場を経営していることはうまくないと、こういうことを言っているんです。だから、九十億が、やみからやみへ不正な金だと言っているんじゃないんですね。  そこで、官房副長官ですね、要するに、拡大解釈であることは間違いないと思います。それで文部省の設置法にもありますよ。「所掌事務の遂行に直接必要な業務用資材、事務用品、研究用資材等を調達すること。」ができる。そうすると、文部省が所掌の事務の遂行に必要と思ったら何でも調達できる。文部省直轄の事務販売商社をつくることもできるんです、これ拡大解釈すると。厚生省もそうですよ。直接必要な云々を遂行するために。さらに厚生省の場合には、第九条の二、「旅館業法を施行する」、あるいは「建築物衛生の改善及び向上に関すること」を施行できると。こういうことになりますと、ビル業やホテル業までもできるというように発展する可能性がありますよ、農林省以下。  だから、この設置法というのはそんな拡大解釈できるものでもありませんし、先ほど政務次官がいみじくも言った、当然法的な根拠を持って、事業団法という、そういうものを特って——これがいい悪いは別ですよ、これも相当やっぱりクレームがついているんです。しかし、もうクレームがついたから、各省庁飽和状態だからそんなものはつくれない。つくれないから、設置法のわずかの「周知」というところをポンと抜いた。もうこういうあり方は非常にこれはうまくない。ですから、そういう拡大解釈したらどうなるか。やったらいいじゃないか、文部省。と言ったら、いや、それはちょっとね、そんな拡大解釈まではしようと思わないし、できませんと、完全に。法制局の見解もそうですよ。まあ、これは法制局だ、各省だ、出す必要もないと思います。  要するに、郵政省、政府日本政府がホテルを経営する、結婚式場を経営する、あるいは貸しホールを経営する。それで、そこで国民の税金を九十億も投資する。それでその利益——委託業務ですから、本来ならば、そのプラスがあってもマイナスがあっても、やっぱり監督機関が責任を持たなければならぬですよ、郵政省が。ところが、完全にこれは委託業務でありながら、委託契約でありながら、収支は郵便貯金財団のほうにまかせっ切りじゃないですか。これにも私は問題があると思うんです。どうですか。政府全体として、こういう設置法の拡大はまかりならぬと同時に、日本政府が、政府が、そういうホテル業まで手を出すようなそんな田中内閣評判悪いといったって、そこまで金には困ってないんじゃないですか。どうですか、官房副長官
  113. 山下元利

    政府委員(山下元利君) 設置法の拡大解釈にわたることは、政府としても厳に避けねばならないと考えております。郵政省の問題につきましては、先ほど郵政政務次官から御答弁のありましたとおりに、そのあり方について根本的な検討をされるようでありますが、政府全体といたしましても、設置法の趣旨を十分に尊重いたしまして、いやしくも拡大解釈にわたることのないようにつとめたいと思います。
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 ひとつ至急にその結果を報告していただきたいと、こう思います。  建設大臣お待たせしました、済みません。官房副長官けっこうです。  次に公団の総裁ですね、これは私、公団のほうから資料いただきまして、募集後長期間未入居の団地、募集後未入居のあき家の管理費、これの年度の増額、長期間使用できない住宅建設用地、住宅が建たないいろいろな事情があります。それから長期間未処分の宅地、造成したけれどもうまくない。もうこれは、確かに私が言うまでもなく、住宅建設について相当やっぱりデッドロックに来ていると思うのです。何か抜本的な手を打ちませんと、用地は確保した、造成はした、何とかは建てた、だけれども、全然入居者はない、宅地造成したけれども販売できない、あるいは建設できない、もうこういう問題にぶつかっちゃっていると思うのですね。これについては、建設大臣、総裁、後ほど抜本的なひとつここで思い切った答弁をいただきたいと思うのです。  それはあとの楽しみとしまして、その中の一つの問題点、これはこま川団地を私は取り上げてみたいと思うのです。これは一回もう指摘されたことがあるんです。ただ、そのときには入居の問題だけです。私はここに住宅公団が投資したお金の問題、これについて中心にやりたいと思うのです。これはもう何回も公団のほうとお話ししています。総裁のほうにもう情報は行っていると思いますけれども、まず私、確認します。こま川団地の所在地は埼玉県入間郡日高町、竣工が四十六年八月、入居戸数が千九百戸、入居開始が昨年の十月三十一日、ところが本年五月三十一日現在まだあき家が八百二十六戸ある、こういう現状。土地の購入年月日が四十年十二月十七日、購入先は東急不動産、面積は十六万六千云々平方米、金額は約七億二千五百万円、これは間違いないと思います。  そこで問題は、こういう団地をつくったんですが、当初の東急不動産との契約で、東急不動産が給水をやると。それができなかった、水が出なかった。そのために、当初、東急不動産と給水施設の協力見込み額、住宅公団から二億二千三百六万五千円、これを負担するのが、最終的には九億四千六百十四万二千円という驚くべき額にふくれ上がっちゃった。土地の取得が七億二千万、給水施設に公団がかけたのが九億四千六百万、これは常識的に考えられない数字だと思うのです。その原因は、東急不動産と取りかわした覚え書き、要するに住宅適地である、五項目にわたって、給水施設は東急不動産が責任もつ。これは、東急不動産の契約不履行から始まったことであると、こう私、認識しているのですが、いかがでございましょう。所感も含めてひとつ。
  115. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 御指摘のこま川団地につきましては、私どものほうで事前の調査不十分というような点、あるいは通勤上の非常に遠隔地であったというような点で、ただいままで、まだ八百余戸の未入居があるという点につきましては、今後の建設計画の反省資料といたしまして、十分に気をつけていきたいと思っております。  水の問題につきましては、先生御指摘のとおり、東急不動産がこの専用水道の施設をする。その際に、利用人口比で費用を負担するということになっておりました。それに基づいてわれわれのほうで費用を負担して今日に至っておるという現状でございます。
  116. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの二億二千万から九億四千万、先ほど言ったこと全部合っていますね、認識は。
  117. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) そのとおりでございます。
  118. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局、専用水道をつくる、負担が二億、暫定水道をつくる、負担が八千万、さらにそれで足りないで、ダムをつくっている、その負担が六億五千万、こういうことですね。当然その地域開発は建設省の守備範囲ですね、大臣。それがいつの間にか家が建っちゃった。水が出ない。水が出ないことには入居者がない。二億二千万の給水施設の負担協力見込み額が九億四千万になっちゃった。私はこれは、土地の選定の誤り、事前調査の誤りということよりも、もう一つ、この東急不動産と契約したそれが不履行になった、さらに専用水道、暫定水道、ダムをつくる過程で、水道給水に対する負担額のリミットというものをきめないところに、大きなやっぱりエスカレートした原因が公団のほうにあると思う。これが第二にうまくない。第一は土地の選定の誤り。東急の契約不履行。それに、エスカレートしちゃったというのは、リミットをきめなかったからですね。その問題もありますけれども、ダムをつくるなんということは、当初の計画に何もなかった。ダム開発まで住宅公団がその負担金を払わされるようなことになっちゃった。そうなると、これはもう監督機関の建設省がやっぱり重大な責任があるし、ダム工事の負担金を住宅公団が出すなんということは考えられないんじゃないですか、地域開発に対して。どうですか建設大臣、こういう問題がある。
  119. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) この問題につきましては、ただいま総裁からもお話があったわけでございますが、私はこの問題につきましていろいろ調査もいたしたわけでございますが、当時ノルマというものが課せられておったというようなことで、そのノルマを仕上げるためにはというようなことで、調査も不十分というようなことになって、あと追いというようなことになって、いま先生御指摘のようなことになったと思うわけでございますが、そういう点につきましては、将来このようなことがあってはならぬし、こんなことは繰り返すべきことでなくて、まことに遺憾なことであると、こう思っておるわけでございます。  また、ダムの問題等につきましては、全く予想しない問題でありまして、これを公団がやらなければならぬというようなことになることについては、一考せざるを得ない問題だと私も思います。以上。    〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  120. 黒柳明

    ○黒柳明君 どうですか、総裁。私は勘ぐりたくないんですけれども、この東急不動産から土地を買ったとき、当然契約書は、ごらんになったように、住居適地でしょう、それだから買うわけですから。土地がちょっと遠かったと。これはエクスキューズの余地があったとしても、住居適地ということは、そして給水施設を東急が全部まかなうということは、土地の評価ということは、水が出るということから土地の評価が始まったわけですね。十六万平方米、それに対しての七億二千万。ところが水が出なくなったということは、水が出るという前提での七億二千万ですから、出なくなった段階では、この金額はべらぼうに高いわけです。当然そうでしょう。道路一本離れたって土地の評価なんて全然違うんですから。住宅適地、水は出ますよ。つくりました。出なかった。出るという条件で、当時七億二千万で買ったわけですから。それが、水が出なかった。当然これはものすごい高い買い物をしたことになる。  と同時に、もう一つ、なぜ交渉の過程で九億までにエスカレートしなきゃならなくなったか、東急不動産になめられているんじゃないですか。東急不動産と勘ぐれば何か裏の話し合いでもあったんですか、勘ぐりたくなる。なぜエスカレートしたか、リミットをきめなかったか、負担金額。それが二点。  それからさらに入居者がない、まあついせんだってまではもう千戸以上入居者がない、だんだん一人、二人入ってきますね、やはり、幾ら不便でも。その入居がおくれたための管理費用が、これがいま一億四千四百万ぐらいになっているわけですね。これがいま東急と賠償で交渉している、これも向こう出すと言っていないのですか。こんなものはもう取ってやんなさいよ、徹底的に東急不動産から。どうなっているんですか、いま。その三点いかがでしょう。
  121. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) まず最初の土地の評価の点でございますけれども、本件土地の評価は水道その他のそういう施設が未整備のままの宅地見込み地としての評価でございました。したがいまして公団が購入する場合は、その水道等を整備する費用を見込みまきて、それが具体的に申すれば二億何がしであったわけでございますけれども、それを見込んで住宅適地と判断して購入したものでございます。  それから東急に対する賠償金の請求でございますが、これは現在得べかりし家賃収入が約一億二千万になります。それについて、これは覚え書をによりまして、そういうときは双方協議することになっておりますので、目下協議中でございます。でございますが、これは現在得べかりし家賃収入が約一億二千万になります。それについて、これは覚え書きによりまして、そういうときは双方協議することになっておりますので、目下協議中でございます。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 目下協議中、けっこうですけれども、これだけばかにされてですよ、これは当初頭下げて東急から無理に譲ってもらったんだと、この事情は私はわかりません。それから先ほど現状においてはこうですけれども、将来ないようにと建設大臣おっしゃったけれども、冒頭に言ったように、もう将来じゃない、現在こういう問題が続々起こっちゃっているんですよ。だから、最後に総裁や建設大臣にこの抜本的な新しい方向をと言って楽しみに答弁を待っていますよと言ったんです。こういう問題が将来決して起こらないようにとおっしゃった。ところがもう現在そういう問題がもう各所で起こっているんです。だからもうここで抜本的な政策がなきゃだめなんです。まあそれは別にしましてね。  いまの東急、交渉中、弱いんじゃないですか。ひとつ、さっき答えが抜けました、どうしてエスカレートしちゃったのかということが抜けましたけれども、エスカレートしちゃった今日ですからまあしょうがないと思うんです。要するに東急不動産の言いなりになっているんじゃないですか。さらにこのこま川団地、公団の千九百世帯の隣には東急の団地があるのでしょう、千数百戸入る。東急としちゃめっけもんじゃないですか。住宅公団が九億もの金を出してダムをつくってくれた。自分の東急不動産がつくる、住宅公団こま川住宅団地の隣の自分と東急の団地までも工事、ダムをつくって水道引ける。だから完全に住宅公団は東急不動産の言いなりになっちゃったと、私はこう言わざるを得ない、見ざるを得ない。だから途中の金額だってますますエスカレートしてこんな結果になっちゃった。さらにほかに一つ、二つあるのですよ、そういうことは。途中でそういう金額に対してリミットをつけない、言いなりになっちゃう。やむを得ない、やむを得ない、いや入居者は入るんだから入らなきゃできない。どうしてその限界をきめてはっきりとぽっと出せないのか。おまえのほうが悪いんだから、おまえのほうが責任を持てと言ってない。しかも一億四千万という膨大な管理費に対しても二千万も交渉中です。もうこんなのはとっくの昔から始まった問題じゃないですか。初めは東急不動産の契約不履行ですよ。そんなものには一切今後タッチさせない、あるいはきびしい指導できるんじゃないですか。建設大臣、どうですか。東急不動産の契約不履行から始まった問題です。それがあまりにも公団がもうほんとうにうまくなかったということは建設大臣も、総裁もおっしゃったからこれはいいですよ。だけどもこの次はやめたい、ところが現状において幾多こういう問題があるんですよ、いまだから、ここでこの問題解決しなきゃ、第二、第三のこま川団地ができるんですよ。ですから、そういう契約不履行から始まったこの問題です。九億もの血税がむだに水道に使われた、用地買収七億、水道に九億なんて、こんなばかな話はありません。しかも一億二千万という、そういう入居の管理費をみすみす公団が払う必要はない、当然賠償請求できるわけです。水が出なかった。そういう東急不動産に対してはきびしいこの問題に対しては処置、行政指導できるんじゃないですか。そんな泣き寝入りあるいは交渉中ですなんておとなしいことを言わないで、建設大臣から公団のほうに厳重にこの処理方を命令したらどうですか、どうでしょう、大臣
  123. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 先生のお話を承って、また住宅公団の話も聞きまして、いろいろ感ずるわけでございますが、どちらにいたしましても、いま請求もいたしておるということでございますが、まあまことになまぬるいという状況も、私もそういう感じもいたします。十分に指導いたしまして、強硬にこの問題を解決するようにいたしたい、こう思っております。
  124. 黒柳明

    ○黒柳明君 なまぬるいもいいところでありましてね。当初から完全に東急不動産になめられているんですよ。いろんな裏話がある、そんなものをやっていたんじゃ時間もありませんから省略、割愛いたしますけれども、完全に住宅公団は手玉にとられてどんどん金ばっかし出されさちゃっているんですよ。親方日の丸と言っちゃ申しわけないけれども、そういう結果。しかもこの規約によると、当初予定が二億二千万ですから、それで九億四千万の給水施設をかけたんだから、引きますと七億二千万、これが当初予定より給水施設でオーーバーした、東急不動産に取れるんだけれども取ることができない一億四千万、計八億六千六百万余、これはどうなるんですか。結局いつの時点あ、また公共料金の値上げに振りかかってくるんでしょう。どうですか。
  125. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 当初の給水の負担予定額は二億でございます。  それからいま先生がおっしゃいますように、七億ふえて九億になったわけでございます。それは結局は家賃で回収することになります。
  126. 黒柳明

    ○黒柳明君 一億四千万も取れなければ……。
  127. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 一億四千万は目下協議中でございますので……
  128. 黒柳明

    ○黒柳明君 取れなければ……
  129. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) はい、取れなければそういうことになります。  それからもう一つ申し上げたいのは貯溜池の建設費は総額でいま計算いたしますと四十億でございます。その中で利用人口比によりまして、公団が負担するのが六億六千万でございます。そのほかに地元町、それから東急、西武等がそれぞれ利用人口比に応じまして負担することになっております。
  130. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはあたりまえであって、四十億全部公団が出すなんてばかなことは考えられない。町も利用し、西武の団地も隣にある、東急の団地も隣にある しかも東急が売ったところだ、東急が水道まで補償したところだ、当然です、分担するのはあたりまえ。だけど、その分担するのがあたりまえという考えがおかしいんです。七億二千万、取れなきゃ一億四千万、計八億六千六百万、東急不動産に請求しなさいよ、建設大臣。こんなことが国民の入居費のアップになって、負担になってはとんでもない話だ、こんなことは。もうこれはたいへんですよ。これ、東急不動産を呼んで払うか払わないか、払わなかったらこんな悪質な建設業者は一切免許取り消し、大臣、やんなさいどうですか。
  131. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) ただいまの御指摘でございますが、十分ひとつ調査いたしまして、強いところは強く出てまいりたいと、こう考えております。
  132. 黒柳明

    ○黒柳明君 強いところは弱いじゃないですか。強いとこは強く……
  133. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 調べた結果ですね。
  134. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうこれは大臣の耳にいってなくたって、関係者は一〇〇%既成の事実、だから冒頭に私言った、一体入居がされてないということで昨年話題にのぼったものなんです。その時点においてはこういうこまかい給水施設、東急不動産との関係は問題にならなかった。そこで私はいろいる調べた。その結果こういう九億にのぼる国民が色担する、少なくとも七億二千万はもう負担ですよ、入居者。たまったもんじゃないじゃないですか。この住宅難、しかも家賃は高くなる、しかもこういう七億二千万東急が出さないと言ったら裁判柱ち込んで、取れなかったら八億六千万、これが住宅公団に、入居者がいつの日かは取られる、こわを。そんな原因をつくった東急不動産でしょう。こんな悪質な業者はないじゃないですか。いままでそういう国庫の負担、九億も一建設業者のために余分な金を使ったなんという例ありますか、総裁。こういう例ありますか、予定金額よりも八倍六千万も余分に超過負担をするであろうという。一億四千万がまだペンデングですから、七億二千万は決定的です。ありますか、こういう例は。例はありますか。
  135. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) これだけ多額な例はございません。
  136. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうなんです。
  137. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) これだけ多額な例はございません。
  138. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうなんです、建設大臣。入居云々の問題は、確かに東急不動産から頭下げて買った、土地がなかったから。その頭下げて買ったかどうか私わかりませんよ。だけど四十四年のときは買ったと、東急不動産に頼んだんだと、だけど土地の選定を誤った、冒頭におっしゃったように。これはもうしょうがない、結果論として。さらに非常に冒頭に申したように、宅地の造成したけど売れない。あるいは家が建たない。一ぱいある。その問題はさておいて、この七億も八億も入居者がこれ負担するんですよ。こういうことをした原因、契約不履行、まあ公団にも問題あります。しかし、その発端をなしたこの東急不動産がのほほんと業務をやっているなんて考えられないじゃないですか。ちょっとしたことについてだってすぐ業務停止とか監査するじゃないですか。これだけの国民の税金をむだ使いしようとするこの住宅公団に対して、建設大臣が、いや前向きに答えるところは答えるとか、それは当然です、政府機関ですから。監督するほうですから、されるほうですから。そうじゃなくて、こういう悪質業者、しかも一億四千万出すとか出さないとか言っている。とんでもない。私は政府部内の人事のこととかなんとかならばこれは多少いいですよ。先ほどの九十億、あれは煙に消えるわけじゃないんです。これは煙に消えちゃうんですよ、七億二千万は。国民が負担するんですよ。こういう業者にいまもって、しかも一億四千万賠償取るとか取らないとかごねる。まるっきり初めから最後までなめられているじゃないですか。建設省としてもうこれは黙っていられないと、こういう悪質な東急不動産、国民に負担させることはうまくないですよ。これ。そこですよ、一点は。公団との関係、これはまあまあとしても、国民にやがて七億二千万、八億六千万ぐらいが負担になるということが、これがうまくないですよ、どう考えたって、いまのこの住宅事情、入居、家賃のアップするという状況から。どうですか、建設大臣
  139. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) なまぬるいことをやっておったんでは、いつになっても解決つきません。そこで強行方針で臨むことを決意いたします。
  140. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、その強行方針というのは東急不動産を呼んで、この事情を確かめる、一億四千万すぐ払えと、七億二千万に対してももし払わなければ厳重な指導、監督するという、そういう内容を持った強行方針と考えていいですね。
  141. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) そのとおりでございます。
  142. 黒柳明

    ○黒柳明君 それを公団総裁、さすが建設大臣ですよ、三Kなんて言われてるけどとんでもない話。りっぱですよ。それを公団総裁がなぜやらなかったんですか。理事の方がなぜやらなかったんですか、それを。いまに至ってこんな国民が負担しなきゃならない時点まで来ちゃって、それでいまごろになって委員会で取り上げられて、国民が負担する——建設大臣のその態度、ひとつ公団総裁もよく建設大臣の指導を受けなさい。そしてすみやかにこの問題を解決して、私は公団と東急不動産の関係が何があったか、どうあったか、これは言いたくない。言うと長くなりもしますし、時間も来ている。大蔵大臣もお見えになりましたしね。その問題じゃなくて、一点、国民の入居の負担。公共料金のアップですよ、これは。国鉄だけでけっこう、もうそんな値段のアップなんか。それに対して厳重にこの東急不動産に対しては取り締まると、この姿勢、建設大臣姿勢を公団総裁も見習って、ひとつあとに続いて、すみやかにこの問題、すべて全貌明らかなんですから、公団側ば。あるいは建設大臣お一人のことは調査して、あるいは事情聴取する余地も残っているかと思いますよ。だけど公団総裁はそんな余地は一瞬たりともありゃしない。むしろ歯がゆく思っている場合もあるでしょう。いまの建設大臣のあとに続く、そして厳重にこれを早急に対処する、それでこの東急不動産が一億四千万払わないと言ったらもう裁判に持ち込んでください、こちら側から。七億二千万、これについても半分出せ、それくらいの強硬態度でやってください。どうですか、総裁。
  143. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) ただいまの一億四千万の請求につきましては大臣の御指示もありますので至急に詰めたいと思います。
  144. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや大臣は一億四千万だけのことじゃないですよ、言ったのは。強硬方針と言ったのは全体を含めてですよ。だからぼくは総裁にそのことを言ったんですよ。七億二千万だって、こんなのは東急不動産の責任ですよ、これ。そのことも含めてですよ。強硬方針で臨むと大臣言ったんだから。
  145. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 公団といたしまして従来の経緯もございます。そこら辺のところを踏まえましてできるだけすみやかに、しかも入居者の負担にできるだけならないという方途で処置をした、いと、このように考えております。
  146. 黒柳明

    ○黒柳明君 できるだけ負担をしないようにと言ったって七億二千万はもう決定的じゃないですか、負担されることは。だからそんに対して何とかやっぱり交渉しなさいよ、一億四千万片づけることはあたりまえのことなんだ。私が言いたいのは七億二千万片づけることを言いたいんですよ、むしろ。これまでも手をつけて、それで東急のほうにむしろ強く出て、何とかしろと。どうですか、理事の方。これできる可能性ありますか。大臣は強硬方針で臨むと言った。そうじゃないと、またここでうやむやにしちゃうともったいない。もう衆議院の社会党の先生だってこれ発言したんです。もったいないですよ。またずるずるずるずる、強硬方針やると言ったってまたそれが中途半端になっちゃう。それじゃうまくないですね。どうですか。どういう解決、見通しありますか。一億四千万、これ取ることあたりまえ。
  147. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) この一億四千万のほかの七億二千万につきましては水が出ない時点で関係庁全部寄り集まりまして協定をした経緯もありますので、ところがその後事態が多少変わっておりますので、いまお話のありましたような趣旨を体しまして、なるべく負担が少なくなるように努力をいたしたいと思います。
  148. 黒柳明

    ○黒柳明君 さらに東急不動産になめられているというのは、公団から出していただいた資料、契約時点において一番いいどまん中を東急不動産が持つと、そこにいま店舗できているわけですね。それでこま川団地、店舗、たとえばそこにあるいろいろな食堂、米屋さんあります。五十平方米で権利金は六十万。大臣。敷金は六十七万。それから家賃が六万七千五百円、大体一律です。ところがその付帯工事費八十万から四十万かかってます、これがこま川団地の店舗を開設する条件です。敷金六十七万、権利金六十万、家賃が六万七千五百円、付帯工事が四十万から八十万。ところがこれと大体同じところと言ったら吉川団地出していただいたんです、公団のほうから。吉川団地出していただいたら化粧品屋やすし屋さんなんか五十六・四七平方米あって権利金はない。敷金は四十万、家賃が六万八千から六万七千円。なぜそれじゃこま川団地の店舗が高いのか。これは東急不動産が店を出す権利を持っているわけです。吉川団地のほうは住宅公団でそれをやっているわけです。だから公団の公的な性格から権利金は取ってない。敷金も四十万ぐらい。家賃は六万七、八千円。ところが片方は東急不動産がこの店舗に対しての権限を持っている。このこま川団地は同じぐらい、むしろ面積も少ない、六平方米ぐらい。地点は同じですよ。地理的条件やなんかも同じとこといって出していただいたんですよ。それでしかも権利金六十万、敷金六十七万、家賃は同じ、これ。付帯工事に七十万も八十万もかかる。東急不動産がこういう——当然そうでしょう、何もただでそんなものを世話しているんじゃないですから。東急不動産が店舗を開店する権利を持っているわけです。こういう店舗を開店するにあたっても不当な権利金や敷金を取られている。公団がそれを世話すればそういう状態じゃない。ここらあたりもいまの東急不動産の言いなりと。その事情はなぜか。いや頭を下げて土地を譲ってもらったんで、造成終わったらどうしても一番いいとこは東急が持つと、こういう契約を結ばざるを得なかったんだ、こういうことです。契約にはそうなってます。これもおかしなことじゃないですか。そして、公団の団地でありながら入居者は東急と契約結んで高い契約金どんどんどんどん取られる。そんな弱身があるんですか、東急に。どうでしょう、大臣。これもおかしいこと思いませんか。
  149. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 当時の状況は私わからないわけでございますが、先生のお話を聞く限りにおいては、常識的にあまりに、企業が利益を追求するという姿は当然の姿とはいえ、土地を売りながらなおかっその中に権利を持つというようなことはちょっとず太過ぎるじゃないかという感じがいたします。
  150. 黒柳明

    ○黒柳明君 そういうず太い東急不動産です。私ね、東急不動産に恩も恨みも何にもありませんよ。五島さんいまごろくしゃみをしているんじゃないかと思うんですけれどもね。全然関係ありません。ただ、この実情というのはね、これはもうお金がからんで、しかも何回もくどいようだけれども、入居者の負担分になるから私はしつこく言うんです。大臣、その点ひとつ御了承いただきたいと、こう思います。  そこで、一番冒頭に言いましたこの住宅公団が持ってる長期未入居の団地ですよ。こま川団地ではいま言った八百六十七の未入居、それから百十七、千十八未入居、これは土地の選定の誤まりでしょう、明らかに。だけども建っちゃった、どうしようもない。入居後のあき家の管理費、先ほど言ったように四十五年が二百万、四十六年七百万、四十七年はもう一千九百万、ことしはもっとこれが管理費はオーバーするかわかんない。さらに長期間利用できない住宅建設用地が二、四、六の七ヵ所、もったいない、これこそ。地元のいろんなクレームが出たんでしょう。いまの客観的な情勢は、いたし方がないとはいうものの、何のために高い金を使って土地を確保し、造成費を使ったのか。これは地元の意向無視はできませんよ。地元と協議中、協議中。これこそもう根本的なやっぱり解決策を見出さなきゃだめです。さらに宅地造成、もうずっと前に造成したけれども処分できない等々の問題、これはもう総裁のほうで非常に頭を悩ましている問題だと思うんですが、これは抜本的にこれからどう対処されますか、基本方針。これからの住宅公団の基本的な住宅建設のあり方というものをこのデータというものは示している。もうこれはいまのあり方じゃ進まないと、建設が。こういうことを示している一つのデータです。総裁、どうでしょう。
  151. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 用地がありながら建設ができないというようないろいろな問題がございますが、これらにつきましては昨年衆議院決算委員会等におきましても、地元との話し合いを十分にしないで建設に着手するということはいけないという御指摘もございました。私どもといたしましては、現在地元と十分話がついてから着工するというシステムに切りかえております。そういうようなことで、それではどういう点で地元との話し合いがつかないかと言いますと、たとえば関連公共施設の費用の負担の問題であるとか、あるいは緑地確保の問題であるとか、あるいは交通機関の整備の問題であるとか、いろいろ各団地団地において事情が違っておりますが、これらを一つ一つつぶしていくということで現在話し合いを進めておるという状態でございます。  根本的に言いますと、いまの公団団地ができるために団地所在の地方公共団体の財政負担が非常に急激にふえるという点についてもう少し公団のほうでめんどう見てもらいたいという話が公共団体としては一番多いのでございます。そういうような問題になりますと、これは国の方針にもなることでございます。現在まではいわゆる五省協定という協定の範囲内で公団としては関連公共施設の負担をいたしております。しかし、もはやその線では公共団体との話がつかないという現状に追い込まれておりますので、何とかこれを抜本的に解決していただきたいということは建設御当局にもお話を申し上げております。そういうようなことで現在の行き詰まりをできるだけ早く打破いたしまして住宅建設に邁進したい、かように考えておる次第でございます。
  152. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後に、建設大臣、いまの総裁のお答えですね、要するに抜本的にやんなきゃ行き詰まりが来てもうだめなんだと、そのおもなのが地方の公共事業の関連費を増額してくれと、それはもうやらなければだめだと、いまのままではデッドロックだと、こういうお話ですけれども、これは何回もそういう話は進んでいるんですよ。だけど現実にこれをやらないと、また未入居の管理費がぐんぐんぐんぐんふえていきますよ、これはまた負担ですよ。そうすると、また私汗かかなきゃなんないことになりますよ。そんなばかなこともうだめじゃないですか。だから、今後ということじゃなくて、いまの問題がまた第二、第三のこま川がここにあるんですよ。入居なんていったって、せっかく建てて千世帯も入れないというのはもったいないものな。いい話でしょう、こんな話は。だって、いま言ったのは住宅の建設用地の問題だけなんですね、総裁がおっしゃったのは。未入居の問題も、それから管理費の増額の問題も、それから宅地の分譲なんか全然進まない問題、こんなのは関係ないですよ、いまのところ。そういうものを含んで、その中の一環としていまおっしゃったことが一つの大きなテーマなんです。その解決策とそれから未入居のまんまになればまた管理費がふえますよ。また入居者の負担分になりますよ。さらに全然いま答えがなかった宅地造成して処分できない、この分までもありますよ。どうするんですか、こういう問題。建設当局が抜本的に考えないと、ただ、検討します、検討しますじゃ、何回もこれがまた国会で取り上げ、指摘されなきやなんない、こういうことになりますよ。どうですか、大臣
  153. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) おっしゃいますように、まずうちを建ててもあいておると、たいへん申しわけないことだと思います。これを考えますのに、やはり冒頭に大臣が申しましたように、一応数をこなすということのあせりがございまして、それで、とにかく遠くても何でも建てよべというとこころに問題があったかと思います。便利なところでございますれば土地もあるんでございますが、地方公共団体との公共関連の費用その他の問題でなかなか話し合いがつかない。遠いところはやさしゅうございますから先にできてしまう、そういう結果こういう結果を招いたわけでございまして、もとは一つでございます。もとはやはりいかにそこに土地を得て、そこの上に建つようにするか、かようなかっこうで、しかも便利なところに建つようにするか、これはやはり大きく言いますれば、いわゆる地方財政に関連いたします関連公共の負担の問題だろうと思います。わが省といたしましては、現在この問題を、まず公共団体と事業体の負担の限度をきめる、さらにはわれわれが持っております関連公共の補助金を大幅にこれにつぎ込んでいく、さらには地方財政に対して何らか抜本的な手を打っていく、かような一連のものを実は鋭意検討中でございまして、できるだけ早い機会にこの世に出して、いまのような御指摘のようなことが起こらぬようにということで実は猛勉中でございますので、大臣もその趣旨を実は私どもに指示しております。そういうことで鋭意努力をしておる次第でございます。
  154. 黒柳明

    ○黒柳明君 すみません、もう最後です。大臣、いまの公団総裁おっしゃった公団の関連事業費の負担のアップ、こういうことは考えていますか。早急にその手を打たなきゃだめじゃないですか、その一点だけ答弁をお願いします。
  155. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) そういう問題につきましては、できるだけ負担が軽減されることを考えなければ今後の住宅政策を遂行することはでき得な  いと、あくまでも極力努力いたします。
  156. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 総括質疑は一応この程度にとどめ、次に昭和四十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四七十年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)ほか二件、以上八件を便宜一括議題といたします。  それでは、まずこれらの概要説明を聴取いたします。愛知大蔵大臣
  157. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その二)ほか三件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十六年度一般会計予備費につきましては、その予算額は九百五十億円であり、このうち、財政法第三十五条(予備費の管理及び使用)の規定により、昭和四十六年四月二十七日から同年十二月二十八日までの間において使用を決定いたしました金額は四百六十億九二百六十八万円であり、すでに第六十八回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしまして、御承諾を得たところでありますが、その後、昭和四十七年一月七日から同年三月二十九日までの間において使用を決定いたしました金額は四百四十五億四千八百六万円であります。  その内訳は、災害対策費として、河川等復旧事業等に必要な経費等の十六件、その他の経費として、臨時繊維産業特別対策に必要な経費等の二十四件であります。  次に、昭和四十六年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は六千五十六億一千三百二十八万円余であり、このうち、昭和四十六年八月六日から同年十二月二十四日までの間において使用を決定いたしました金額は二十一億八百三十四万円余であり、すでに第六十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和四十七年二月四日から同年三月二十九日までの間において使用を決定いたしました金額は五百三億九千五百四十万円余であります。  その内訳は、失業保険特別会計における失業保険給付金の不足を補うために必要な経費、郵便貯金特別会計における仲裁裁定の実施等に伴う郵政事業特別会計へ繰り入れ等に必要な経費等十二特別会計の十四件であります。  次に、昭和四十六年度特別会計予算総則第十条(特別給与の支出)及び第十一条(歳入歳出予算の弾力条項)の規定により、昭和四十六年六月二十二日から同年十二月二十四日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は五十五億三千七百三十九万円余であり、すでに第六十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和四十七年二月十日から同年三月二十八日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は四百三十七億四千七百十二万円余であります。  その内訳は、郵政事業特別会計における業績賞与に必要な経費の増額及び同特別会計における仲裁裁定の実施等に必要な経費の増額等六特別会計の九件であります。  以上が、昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その二)ほか三件の事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  次に、昭和四十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)ほか二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十七年度一般会計予備費につきましては、その当初予算額は一千八百億円でありましたが、補正予算(第一号)により、七百億円を修正減少いたしましたので、改予算額は一千百億円となっております。  このうち、財政法第三十五条(予備費の管理及び使用)の規定により、昭和四十七年四月十四日から同年十二月二十八日までの間において使用を決定いたしました金額は六百十七億五千四百七十八万円余であります。  その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の三十六件、その他の経費として、衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費等の二十六件であります。  次に、昭和四十七年度各特別会計予備費につきましては、その当初予算総額は七千五百九十五億五千八百三十三万円余でありましたが、補正予算(特第一号)により、七億一千万円を修正減少いたしましたので、改予算額は七千五百八十八億四千八百三十三万円余となっております。  このうち、昭和四十七年五月四日から同年十二一月十九日までの間において使用を決定いたしました金額は三百五十四億六百二十三万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における指定銘柄米奨励金及び自主流通米流通促進奨励金の交付に必要な経費等七特別会計の十二件であります。  次に、昭和四十七年度特別会計予算総則第十条(歳入歳出予算の弾力条項)の規定により、昭和四十七年八月四日から同年十二月十九日までの間において経費の増額を決定いたしたま金額は二百八十三億七千五百六十六万円余であります。  その内訳は、貴金属特別会計における金地金の購入に必要な経費の増額、治水特別会計治水勘定における河川事業等に必要な経費の増額等七特別会計の十五件であります。  以上が、昭和四十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)ほか二件の事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  次に、和昭四十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書の報告に関する件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十六年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は三百億円であり、このうち、昭和四十六年発生河川等災害復旧事業費補助等八件につきまして、昭和四十七年二月十日の閣議の決定を経て、総額百四十九億六千百万円の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。  以上が、昭和四十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書の報告に関する件の概要でございます。
  158. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 以上をもちまして、国庫債務負担行為及び予備費関係計八件に対する概要説明聴取を終わります。  それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  159. 塚田大願

    ○塚田大願君 大蔵省に対する総括質問はこの次に譲りまして、私はただいま説明がございましたこの予備費の問題で一つだけ御質問したいわけであります。  それは、大蔵省所管の賠償等特殊債務処理特別会計というこの問題でございますが、四十七年度の当特別会計の予備費を拝見いたしますと、ここにはイタリア請求権問題処理に必要な経費三億六千九百六十万円の支出が閣議で決定されております。この当特別会計は、昭和四十六年度の決算の時点で、一億九十七万六千円という目未定の予算が計上されておりますが、この経費昭和三十八年、三十九年の目未定経費の順次繰り越しによるものだと考えます。これはもちろん法律上の根拠があってそうなっておると思うのであります。つまり財政法附則第一条の二項、それから当特別会計法第十一条、これによって、こういう目未定の経費が毎年繰り越されておるんだと思うんですけれども、この問題でございます、御質問したいのは。私はこの憲法では「豫見し難い豫算の不足に充てるため」に予備費の制度というものがある。したがって、今度のイタリア賠償の場合、まず目目未定の予算を使用して、そしてその不足分があったならば、それを予備費でまかなうというのが本来の行き方ではないかということが一点。  それから、約一億円の目未定経費の順次翌年繰り越しというのは、これは現在でも行なわれておるのかどうか。私は昭和三十八年度に端を発して四十六年度に至るこの繰り越しというのは、財政法の継続費と類似したものになっているように思うわけでありますけれども、そういう継続費と類似したものであるのかどうかという問題。  さらには、繰り越し実施中の資金の預け先は一体どこになっておるのかという問題。  それから、単年度予算主義の立場からは、こういう経費というものはすみやかに不用額に立てるべきではないかという問題。  こういうふうに考えるわけでございます。特に、このイタリア賠償が今度行なわれて、こういういま質問したような形でございますが、これは新聞などを拝見いたしますと、これはもうイタリア賠償というのは最後だと、賠償の。これで終戦処理が全部終わったんだというふうなことを外務省では言っておられると聞きますけれども、だとすれば、いよいよもって目未定というのは不用ではないか、当然不用額に立てるべきではないかという点をきょうは一つだけ御質問するわけであります。
  160. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) こまかい点になりますと、私の答弁申し上げるだけでは不十分かと思いますが、まずこの事実と背景を御説明を申し上げたいと思います。  御指摘のように、イタリアのクレームは四十七年度の賠償等特殊債務処理特別会計の予備費から三億六千九百六十万円を支出いたしました。これは四十七年の七月の十八日に日本とイタリア間で条約の署名があり、発効をいたしまして、三ヵ月以内に支払いを要するというような緊急に話がまとまりましたものでございます。同時に、いま御指摘がございました目未定というのは、オランダのクレームを処理するために予算措置をかねがねいたしたものでございます。そして、その目未定のオランダクレームの処理するその処理のしかたが、オランダとの間で合意ができませんでしたけれども、その段階ではオランダのクレームの年度内の、四十七年度の年度内の処理に政府としては努力をいたしておりましたわけでございまして、イタリアのクレームを四十七年度の特別会計の予備費から支出いたしましたことは、予備費支出として妥当なものであると考えます。  それから、実は四十一年度にオーストリアとの間のクレームにつきまして予備費から支出されている実績がございます。その実績、前例等から申しましても適切な処理ではなかったかと考えるわけでございます。  そこで、第二の問題でございますが、この賠償等特殊債務処理特別会計に、目未定に一億九十七万円が計上されておりますが、これは事情御承知のことと思いますけれども、第二次世界大戦中にオランダの病院船のオプテンノール号というものが日本の海軍によって当時抑留されておりました。終戦直後に自沈させたことに対するオランダ側からのクレームにつきまして、昭和三十八年当時から折衝いたしておったわけでございます。そして、これはさらに具体的に申しますと、この船を日本海軍が抑留したのは昭和十七年二月四日。自沈させたのが昭和二十年の八月十九日でございまして、昭和二十年、終戦当時以来、オランダと交渉を行なっておりましたところが、昭和三十七年に日本政府としては一億円をオランダ政府に支払うことで合意が成立したわけでございます。したがいまして、当時このクレームを処理するために必要な予算を計上いたしたわけでございます。ところが、その後におきましていよいよ交換公文を作成するという交渉の過程でもって、免責条項等について最終的な合意が得られないで今日に至っておるわけでございますが、政府としてはこのオランダ政府に対するクレームの処理が一日も早く結着がつくように、現に努力は継続されているわけでございます。したがいまして、ここに一億九十七万円というものが現に計上されているということは、こうした背景から申しまして、日本政府としてのオランダに対する本件の早期解決の誠意というか、意図の表明と申しますか、そういう点から申しましてもこれはぜひ計上しておかなければならないものであると、かように考えるわけでございます。なお、本件の早期解決のためには、ただいまも極力努力しておるような状況でございます。  それから、先ほど申しましたように、その当時の経緯あるいは背景から申しまして、イタリアのほうは話が急に解決をいたしましたから、予見されない事由として予備費から出しましたが、その当時においてはオランダの問題は依然としてペンディングであったということでございますから、イタリアのほうは予備費で処理をし、またオランダのほうに対しましては目未定のほうに計上しておるということが妥当であろうと、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、その金は不用なものとして繰り越すよりは、支出未済でございますから、不使用として処理すべきではないかということでございますけれども、やはりいまくどくど申し上げましたようにオランダに対しては早急に解決したい。  また、だいぶ前にはなりますが、一億円でほとんど話がつきかけていたところでございますから、さらに外交交渉を促進すればこの程度でめどがっくものであると、かように確信をしておるわけでございます。  それから、その金はどこに預けてあるかと、これは一般の国庫金の経理の原則によっておるわけでございまして、特別に別勘定等で金をためているというものではございません。  なお、先ほど申しましたように、こまかい法律的な解釈の問題等につきましては、政府委員から御答弁申し上げます。
  161. 塚田大願

    ○塚田大願君 もう一つだけ。じゃあ、要するにこのオランダのクレームに対する誠意を示すという意味でこういうものを立てておられると、こういう説明ですが、その点はわかりました。が、しかし、どうでしょうか、まことに不明朗なこういう形の予算を、目を立てているよりも実際に予備費というようなものもちゃんとあるわけでございますし、やはり国民感情からいえば、何だかわからないものがあるということは、まことにあまり芳しくないと思うんです。特にいろいろ福祉問題であるとか、何かいろいろ問題があります今日、やはりこういうものはもうちょっとすっきりするような努力をなさる必要があるんじゃないかと思いますが、その点、最後にもう一言だけ説明していただきたい。
  162. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともなお尋ねと思いますが、先ほど申し上げましたように、オランダのほうは、わがほうから申しますれば、もう一歩で片づくところへきているのではないか、これからも鋭意ひとつ努力をいたしまして、もうすみやかにこれは解決してしまいたいと、こういうふうに考えているわけでございますし、この事情、数年間にわたるこの事情がいま申しましたような状況でございますから、この点が明らかにこうして政府側としても率直に御説明申し上げておるわけでございまして、国民の御理解も得られるのではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。  それから先ほどのお尋ねで、ちょっとお答え点れましたが、イタリアの処理がついたときには、政府としてはもうほっとして、この種の問題、片づいたというような趣旨を政府として発表その他をいたしたかと、私も記憶いたしておりますけれども、これはまあオランダのほうはこういうふうにずっと経過があるけれども、これはわがほうからいえば片づいたも同様であると、もうあとは若干の免責条項、日本がどこまで免責されるかというような、主として法律的な解釈の争い等というものがオランダとの間に残っているだけでございますから、そういう点からいって、これは早期に決着ができる。これでイタリアが片づいたのでこの種の案件は戦後処理がついたということを常識的に当時政府が申したのではなかったかと、私の記憶ではさように存じております。
  163. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 本日はこの程度といたします。  なお、次回の委員会は明後十五日開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時五十三分散会