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1973-04-06 第71回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月六日(金曜日)    午後一時三分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     野末 和彦君  三月三十一日     辞任         補欠選任      塚田 大願君     岩間 正男君  四月四日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     鈴木 一弘君  四月五日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     小林  武君      栗林 卓司君     向井 長年君      萩原幽香子君     藤井 恒男君      岩間 正男君     塚田 大願君      野末 和彦君     喜屋武眞榮君  四月六日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     吉田忠三郎君      鈴木 一弘君     黒柳  明君      藤井 恒男君     萩原幽香子君      向井 長年君     栗林 卓司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 片山 正英君                 世耕 政隆君                 小谷  守君                 黒柳  明君                 塚田 大願君     委 員                 石本  茂君                 河口 陽一君                 河本嘉久蔵君                 小林 国司君                 斎藤 寿夫君                 中村 登美君                 二木 謙吾君                 松岡 克由君                 鈴木  力君                 中尾 辰義君                 二宮 文造君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        外 務 大 臣  大平 正芳君    政府委員        防衛政務次官   箕輪  登君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛施設庁次長  鶴崎  敏君        防衛施設庁労務        部長       松崎鎮一郎君        沖繩開発庁総務        局長       岡田 純夫君        外務大臣官房長  鹿取 泰衛君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        外務省条約局長  高島 益郎君        外務省国際連合        局長       影井 梅夫君        大蔵政務次官   山本敬三郎君        大蔵省理財局次        長        小幡 琢也君        労働省職業安定        局長       道正 邦彦君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        外務省アジア局        外務参事官    中江 要介君        外務省経済協力        局外務参事官   菊地 清明君        国税庁調査査察        部長       磯辺 律男君        会計検査院事務        総局第一局長   服部 桂三君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十五年度特別会計歳入歳出決算昭和四十五年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十五  年度政府関係機関決算書(第六十八回国会内閣  提出) ○昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十八回国会内閣提出) ○昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月四日、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として鈴木一弘君が、四月五日、栗林卓司君、萩原幽香子君及び鶴園哲夫君が委員辞任され、その補欠として向井長年君、藤井恒男君及び小林武君が、また本日、鈴木一弘君及び藤原道子君が委員辞任され、その補欠として黒柳明君及び吉田忠三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、黒柳君及び塚田君の委員異動に伴い、現在理事に三名が欠員となりましたので、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認めます。  それでは、現事に黒柳明君及び塚田大願君を指名いたします。     —————————————
  5. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 昭和四十五年度決算ほか二件を議題といたします。  本日は、外務省及び防衛庁決算について審査を行ないますが、防衛庁につきましては、昨年九月十四日すでに概要説明及び決算検査概要説明を聴取しておりますので、外務省決算概要説明及び決算検査概要説明を聴取いたしたいと存じますが、議事の都合により、これらの説明はいずれも本日の会議録の末尾に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     —————————————
  7. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) それでは、これより防衛庁及び外務省に便宜一括して質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 防衛施設庁にまず先にお伺いしますが、防衛施設周辺整備事業について主としてお伺いいたします。  この防衛施設周辺整備事業を行ないます場合に、まず基本方針を伺いたいのでありますけれども、米軍基地がある、あるいは自衛隊基地が今度できるわけでありますけれども、その基地周辺整備事業実施していく場合の基本方針といいますか、基本原則といいますか、それを先に伺いたいと思います。
  9. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 周辺整備法につきましては、まあ基地のあることによっていろいろ周辺障害を与えるというようなことから、この障害を軽減緩和するためにいろいろ工事をやる必要があるというようなときに、これに対して国として必要な補助をしようということでこの法律ができたわけでございますが、周辺整備法の三条に基づきますものは、いわゆる障害防止工事でございまして、たとえば飛行場周辺航空機騒音によって非常に障害を受けておる、特に学校とか病院というようなものについて障害があるということで、まずそういうものからいわゆる防音工事実施するようにいたしたわけでございます。その後、学校病院のみならず、保育所あるいは養護老人ホームといったような、いろいろな公共的な施設についても範囲を拡大をしてまいったわけであります。したがって、その基準となるものはやはりこの騒音強度とか頻度、こういうものが一定の基準をこえております場合に、所要の防音工事実施をする、こういうことにいたしておるわけでございます。  それから周辺整備法の四条の関係でございますが、これもやはり米軍行為、あるいは自衛隊行為等によっていろいろ地元に御迷惑をおかけしておるという場合に、三条ほど直接的な困果関係ではございませんけれども、いろんな形で御迷惑をおかけしておる、こういう点につきまして市町村等が必要な工事をやろうという場合に、これに対して補助をするということにいたしております。どういうものをやっておりますかといいますと、道路だとか、あるいはごみの処理施設とか……。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 中身は大体わかっておりますから、方針を伺えばいい。
  11. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) そういったものについて間接的に影響があるという場合に、そういうものについて補助をいたす、こういうことにいたしております。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 それで、きょうあまり時間がなさそうですから、その四項目のうちの大体四つ障害防止、あるいは騒音防止民生安定事業道路改修事業というふうに四つに分かれていると思いますけれども、そのうちの騒音防止事業について主としてお伺いをしていきたいと思いますが、まず東京の近所でいいますと、立川市の、立川市というのはずいぶんあれは立川基地で問題になったところなんです。立川市内にある学校防音校舎の、整備状況はどういうふうになっているのですか。これ同時に、時間の都合上、その隣の、隣というか、ちょっと隣ですけれども、国分寺市の市内学校状況を伺いたい。
  13. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 立川市のほうの関係につきましては、ただいま資料を調べておりますので、引き続きお答えしますが、先に国分寺関係についてお答えをしたいと思います。  国分寺関係防音工事につきましては、先ほども申し上げました航空機騒音強度あるいは震度これが非常に著しいということで昭和四十四年度から防音工事をやるようにいたしまして、現在までに中学校が一校完成をいたしております。それから小学校が現在二校実施中でございまして、これは四十八年度に完成する予定となっております。そのほかに小学校が五校、中学校が一校ございますが、これらにつきましては地元から要望がありますれば、騒音状況調査をいたしまして、基準以上に該当すれば採択をいたしたい、このように考えております。  それから立川市の関係防音工事でございますが、学校関係については防音工事はすべて現在までに完了をいたしております。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 まず立川国分寺市の関係で少し、先ほどの基一本方針といいますか、原則といいますか、次長さんの御答弁とあわせてちょっと伺いたいのですけれども、立川市の場合には、これは施設庁からちょうだいした資料によりますと、一番早いのが昭和四十三年に着工しているわけですね。それから四十八年の二月八日に着工したものもある。これは一番新しいものだと思うんです。ところがいま国分寺のほうを伺いますと、一番早いのが四十四年から三年間、それから一番おそいのが第三小学校だと思いますが、四十七年から四十九年、こうなっておるわけです。そういたしますと、この立川市内の同年度に着手した学校状況とそれから国分寺市の同年度に着手した学校とのいわゆる騒音被害といいますか、その度合いはどういう関係になっておりますか、同じ状況だと伺ってよろしいですか。
  15. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 立川市につきましては、最近は米軍の飛行機は飛んでおりませんけれども、いわゆる立川飛行場がございまして、そういったことから非常に騒音が著しいということで国分寺のほうよりも早く防音工事を開始をいたしたわけでございます。国分寺のほうにつきましては、これは横田飛行場のいわゆるブルー14という米軍航空路がございまして、そのブルー14を通る航空機騒音影響があるということで、立川市よりは少しおくれて工事が始まったという状況でございます。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 少しおくれてということなんですが、私に言わせると、数字からいうと決して少しおくれていない、立川の分が早い分がちょっとあったということなんですが、昭和四十三年度に四校しか着手していないわけです。あと国分寺も四十四年度から始まっておる。立川も四十四年度から始まっておるわけです。そうすると、立川のほうを先にやって国分寺のほうをあとからやりましたという御答弁は、これはどうも一当たらないんですね。むしろ国分寺よりもおそく着手したほうが立川には相当に校数があるわけです。だから私は常識的に言いますと、立川基地に近いところであるからというようなことは、理屈はわかるだろうと思いますけれども、実際は採択基準があるわけですね、調査をする場合にはそれぞれの——きょうは時間がないからあまりこまかいこと聞きませんけれども、それぞれの音の高さでありますとか、継続時間でありますとかいろんな調査の上に採択基準があって、その基準によって級別を分けて工事をしておるわけです。実際私のお伺いしたいのは、そういう被害を与えているからそれを防止するためにやるんだというこの法の趣旨だと、基本原則だということに伺っているけれども、原則はあれじゃないんですか、その該当する市町村からの申請があればやるということが原則、というより——原則ということばがよくないんです、手続ですかね。申請があればやるけれども、申請がなければやらないということが本音なんでしょう。ほんとうのことなんでしょう。手続的にどうなんですか。
  17. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 立川市の関係につきましては、実は防音工事を始めたのはかなり前でございまして、三十九年から木造のいわゆる古いタイプの防音工事実施いたしております。それから三十四年ごろからぼつぼつ鉄筋改築工事にかかっておるという状況で、確かに国分寺よりはかなり早くから工事を開始いたしておるわけであります。そこで一つ飛行場をとって考えました場合に、先生のおっしゃったように申請があるとかないとかいうことでなくて、防音工事採択していく順序としましては、何といっても飛行場に近いほうが音がひどいという状況でございますので、まずは飛行場に近いほうをやってそれからだんだん遠いところに及ぼしていくというのが現状でございまして、ただ、申請があってもあまり遠いところからの分を先に着手するということにはこれはいかないわけであります。やはり近くから遠くにだんだんやっていったのが実情でございます。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 それではいまの立川にしても国分寺れにしても、ここだけに限定をして伺いますけども、申請なしでやった学校は何校あるわけですか。
  19. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) これは補助金交付事務手続として交付申請がなければこれは補助金交付できないことは確かでございます。したがって交付申請がないのに補助金交付をしたということはございませんけれども、ただいま申し上げましたように、近くのほうが音がひどいということで近くから遠くに逐次やっていったということでございます。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 まあその辺はどうせ採択基準というのがあるんですから、それによってあとで計測をして条件が満つればと、こういうことになわけです。ただ、なぜ私がこういうことを伺うかといいますと、何となしにこの申請ということの中に、どうもほんとうにさっきおっしゃったような採択基準順序によってその申請申請順序どおりにやられておるかどうかということは、最近少しくずれているんじゃないかという感じがするのです。これは答弁をいただかなくてもいいです。あとでまとめて伺ってもいいですけれども、何となしにこれは申請をさせていくという、これは補助金というシステムですから申請をさせていくということは、手続的にはこれはもう論をまたないところなんですけれども、その申請をしていく——ところがほんとう採択基準——いろいろな基準があるのですけれども、それで厳密にいっておったのかどうかというと、ちょっと最近は政治的な手心がどうも加えられておりはしないかというような感じがする。これはどうも私は、基地周辺整備法意図そのものが、先におっしゃったようなものと事実とはどうもねらいが違うんじゃないかという、これはお前がひがんでおるとおっしゃられると反論しませんけれども、どうもそういうひがみっぽく見たくなるようなものがずいぶんあるから、まずそういうふうに私がいま申し上げたわけです。  時間がありませんから具体的に若干の問題を聞きますけれども、特に私はそういう感じがいたしますのは、どこの市の何という学校がどうだというようなそんなことは言うつもりはありません。ただ学校に限ってみて見ましても、ほんとう教育なら教育というものを、そのものを推進させるという立場に立っての防音校舎になっているのか、その辺から見ると、どうも私は完全だとも言えないし、少し意図的なものがありはしないかという感じがするんです。それで、まあ、若干伺いたいのは、まず設計施工について、これはどこにどうしたということじゃありません。ただ、少なくとも一防音校舎実施する申請をいたしますと、その設計施工防衛庁ですか——防衛施設庁だと思いますが、防衛施設庁登録した業者に依頼しなければならないということが内規とか事務指導ですか、そういう形になっていらっしゃる。その意図は一体どういうことなんですか。
  21. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 防音工事につきましては、これは非常に特殊な工事であるというようなことで、せっかく補助金交付して建物をつくりましても、防音の効果があがらないというようなことになっては、補助目的を達成しないわけですが、この防音工事が始まった当初におきましては、設計工事を同時に発注をやっておったわけです。ところが、だんだん業務量がふえてまいりまして、いろいろ検査院からも施工の不十分な点について御指摘がありました。そこで、この防音工事をりっぱなものにするためには、やはり設計から十分検討していかなくちゃならないということになりまして、従来の設計工事を同時に発注しておったのをやめまして、初年度にはまず設計発注して、その出てきた設計十分防衛施設庁としても内容審査する、その上で、これならば十分目的を達するであろうという見きわめがついた上で、翌年度工事発注するというような形にしたわけです。  そこで設計業者も全国に非常にたくさんあるわけでございますが、やはり設計業者そのものについても、ある程度実力その他を備えた業者でなくてはいけないというようなことから、各防衛施設局におきまして、この設計業者登録申請を受けつけまして、その内容をよく審査しまして、これならば防音工事設計をやらしても十分であるというところで、有資格者として登録をしまして、そういった登録業者設計発注をするということにいたしたわけでございます。これはただいま申し上げましたように、あくまでも防音工事目的を十分に達するために、こういった方法が必要であるという判断のもとに昭和四十二年度から実施をいたしておる。こういうことでございます。
  22. 鈴木力

    鈴木力君 前段の設計を非常に大事にして、事前に設計をして、それから施工にかかる。これはまあ建築の常識でしょうから、設計と同時に施工という話は聞いたことがないですからね。それはそれでよくわかる。それからまた、その設計を、内容を厳重に審査をして、その目的を遂げるということもよくわかる。ただ、私がいま次長さんの御答弁を聞いてみても、防音目的を達成するためにということが非常に強くおっしゃられるんですね。それはそのとおりだ、防音校舎でありますから。そうして、防衛施設庁にいわせれば、たとえば航空機騒音を、あるいは戦車その他のものもあるかもしれません。その騒音を防止するために、防音目的を達成するというところに非常に大きなウエートを置いておるということはわかる。しかし、防音校舎となりますと、音を防ぐことが主目的じゃないんです。教育をする場所が主目的です。その場合に、防音が完全であればこれでよしとする施設庁の今日までのやり方がいろいろな欠陥を生じておる。だから、むしろ私が、たとえば防音校舎をつくってやるという場合に、防音部分についての設計をやかましく言うということはよくわかるんですね。よくわかるが、学校設計というものを施設庁登録業者でなければ設計しちゃいけないというこの考え方を捨てることができないのかどうかということを、まず伺いたい。
  23. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) この設計業者登録いたします場合には、ただいま申し上げたような観点から審査をするわけですが、決して門戸を狭めるとか、そういう意味合いではなくて、どんな設計会社でも申し出があって、なおその営業状況設計能力工事監督能力というようなものが通常であれば、これは登録をするということで、そうやかましい意味で非常に登録業者が狭められておるというようなことではないと承知いたしております。
  24. 鈴木力

    鈴木力君 印象的にですね、登録をしたものと、こういうことなんですが、そうでなしに、たとえば建設省なら建設省がいろいろな基準を求めて一つ業者というものをやっぱり、あるいはこれは府県事業あるいは市町村事業ですから、それぞれ府県なり市町村というのが、この工事発注をする業者というものの基準や何かもある程度きめておるわけであります。そういう中に施設庁が自分のところに登録をした設計なりあるいは施工なりというところを、もし登録してなければあと登録さしてもという、そこにしがみついている意図が私にはわからぬ。  まあ、それはわからぬということにしておきますが、そこで伺いますけれども、いま、ずいぶんその責任を重大に感じていらっしゃるので、基本的に欠陥があるという話はあとで若干伺いたい問題ありますけれども、それをとっておいて、そういたしますと、防音校舎、いま防音校舎に限っておりますが、防音校舎に関する限り、設計から施工まで、そこまで防衛施設庁が厳重にやっておるわけですから、もしも機能上欠陥があれば防衛施設庁責任を持ってそれを直すわけですね。いかがですか。
  25. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 設計等については、ただいま申し上げましたように、防衛施設庁提出されましたならば、その内容審査して適当であるかどうかの判断をし、不適当な部分があれば是正をさしているわけです。それからその設計に基づいて工事をやりますのは、事業主体からの発注による請負業者でございますが、その施工が十分であるかどうかという別の問題もあろうかと思います。したがいまして、その設計上のたとえば不備がある、あるいは工事実施について不備があるというような点がありますれば、これはそれぞれケース・バイ・ケースと申しますか、その内容によって責任の個所はおのずからきまってくるかと思いますけれども、全体的には、やはり補助金交付した官庁として行政指導の面とか、そういった面の責任は出てこようかと思います。
  26. 鈴木力

    鈴木力君 時間があまりありませんから、横っちょにやりとりしていると時間がなくなるから、もうまっすぐにお聞き申し上げますし、お答えいただいてはっきりしたいと。要するに、施工もそれから設計施設庁登録業者ということをきめており、そしてその設計登録業者にするということは、あとでの監督能力もあるというところまでを言っていらっしゃるわけなんです。当然、その立場というのは私はいいと思う。しかし、問題は、使うものは公立の小、中学校であり、あるいは県立なりの高校なりという教育施設なんですね。そうすると、それほど厳重にやっておるということは、責任を持つということなんでしょう、その工事に対して。それを、工事に対してあとでぐあいが悪ければ管理者市町村だからそちらが責任ですとか、管理者が県だからそちらが責任ですと、そういうことは言うつもりはないということをはっきり言ってもらえばいい。どうですか。
  27. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) ただいま申し上げましたように、補助金交付した立場としての責任は当然国にあると思います。しかし、工事施工上の不備な点があれば、これは実施した業者にももちろん責任がありましょうし、それから事業主体である市町村も現実にそういった工事実施される場合に、現場に行っていろいろ監督もするわけですから、そういう意味においては市町村にも責任はあろうかと思います。
  28. 鈴木力

    鈴木力君 だから、私が最初からこの点を問題にしたのは、それならば、その学校を運営する主体であるところに責任を持たしている。工事の面についての条件を出すことは当然ですね、補助をするんですから。出したものが次から次と役に立たぬものが出たり、途中から破壊するようなものが出たら、これはもう補助する側のほうからいっても無責任だと言われてもしようがありません。したがって設計の条件なり基準なり、あるいはいろいろありましょう、施設庁で出しているのにしても、たとえば排気がどうであるとか、いろいろな機械が、何がというようなものがあるわけです。それは私はそれでいいと思うんですよ。それはいいと思うが、業者までも登録をさして、それ以外のものが出たら、これは補助の対象になりませぬぞと市町村行政指導しておいて、しかもその設計はといったら監督能力まで見ておって、登録業者設計をさせるという、そういう方針まできめておいて、できたあと都合が悪ければ業者責任はもちろんその選定をする、登録をさしたところに最終的には責任がいきますが、市町村にもまた責任がある。そういう形に責任をそちらのほうに持っていくということは、どうも私は納得できない。それならば、登録業者に限るとか、その面は市町村責任を持ってやれるところの自由裁量を認めてやるべきだ。私が聞いた限りにおいては、この種の校舎を工事をしている市町村では例外なしに登録業者でやらなければ工事ができませんと言われておる。その辺をはっきりしなければいけないということなんです。  だから、たとえば、これは昔の話で恐縮なんですけれども、青森県の三沢市にある中学校が十勝沖地震のときにたいへんなミスをおかしたでしょう。これはいつか別の委員会でやりとりしたこともありますから、これについてのどうこうということをいま御答弁をいただくつもりはありませんけれども、たとえばああいう地震のときに避難階段がその地震で向こう側に倒れた。幸いに生徒がそこを避難しようとする一歩先に階段が倒れたから人傷事故が起こらなかったという事件があったですね。あれは防音校舎だ。そういうときにだれが責任を持つかということを私ははっきりしておかなきゃいけないということなんです。あの問題をいまどうこうというつもりはありません。  それで私が言いたいのは、そういう問題の責任をはっきりしておくことと、もう一つは、さっき私が言いましたように、教育をする学校なんですから、学校というのは教育をすることが主目的なんで、教育をするために音がじゃまになるからその防音施設をつくるんでしょう。いまの防衛施設庁の指導はそれが逆になっているんですね。防音のほうが主で、教育のほうは多少犠牲になってもやむを得ないという指導がされておる。たとえば、それなら伺いますけれども、国分寺なら国分寺でも、そういう例がありゃしませんか。国分寺の一中が完成をしましたですね。第一中学が完成をいたしますときには、あすこの二階、二階にベランダがあった。これは古い校舎があったから教室の前のベランダは特に許してもらった。第二校舎の部分の一部はベランダがあったわけですが、いま第三小学校を建築している。これはもうベランダはまかりならぬ、学校側のほうでは校長も教師もどうしてもそういう設計をほしいと要求するのに、防音障害があるからベランダはまかりならぬということになった。そういう事実があるわけです。それは一体どういう経緯でベランダを許さなかったのですか。
  29. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 防音校舎をつくります場合に、先生のおっしゃったように、これはあくまでも教育の場である、したがって教育の場としての機能を十分維持できるような工事をしなくてはならないということはわれわれも十分承知しておるわけでございます。ただ、いまお話のベランダという場合は、これは要望はあったようでございますけれども、これを直接補助の対象とすることは防音校舎としての意味合いにおいては少なくも採択がむずかしいということで、その工事をやられること自体は別に反対をしたわけではないと思います。ただ、それを補助対象にするということについてはわがほうの基準等からいって問題があるということを申し上げたんだろうと思います。
  30. 鈴木力

    鈴木力君 それなら話はわかるけれども、それならそのように、下のほうに行政指導の場合にきっちりしてもらわなければいけない。そういう設計をすることはけっこうだけれども、補助の対象になりませんぞという指導と、防衛施設庁登録をしておる業者にはっきり言っておいて、この基準以外の設計はまがりなりませぬぞという指導では非常に混乱をさせる。あるいは、書類上からいうと、そういう指導をしていないとおっしゃるかもしれない。しかし、私どもに現地からくる訴えは、そういう指導で非常にやりにくいんですという、そういう訴えが非常にやってきているんです。だから、私は、きょうはだれが責任をとれとかというような、そんな角度でものをいうつもりはありませんけれども、少なくともその指導の場合には、いまのようなものだったら、そのような方向で間違いのない指導をするべきだということですね。しかも、どういう理由でベランダをつくっちゃいけないかと言われたかと、こういうふうに私が当事者に聞きましたところが、ベランダをつけるとベランダに出るために、ドアをあける回数が多くなる、それじゃ防音の役を果たさないからベランダをつけちゃいけないという指導を受けた、こういう現地の説明なんです。ベランダを授業時間に使う学校はありませんですからね、授業と授業の合い間のときに使う、あるいは放課後に使う、あるいは生徒の健康管理上外に出すという場合に、一々グラウンドまで出せない時間にそれを使うということなんで、そのときは音はあまりじゃまにならぬ。そういう形ですべての末端がやられておるということは私は適切でないと、こう考える。この辺はむしろ、もしそういうことであれば、そういう旨の指導をもう少し的確に、しかも間違いのないように下までいまの次長答弁がそのとおりいけるような指導をひとつお願いをしたいわけです。  それからもう一つだけ伺いますが、さっきの欠陥の中に、ずいぶんいろんな例を私はある程度知っておりますけれども、これは千葉県の東葛飾郡の沼南町という町がありますね。ここにある学校も一防衛施設庁防音校舎ですか。
  31. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 沼南町の学校につきましては、自衛隊の下総基地の関連において、従来、防音工事実施いたしております。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 この沼南町にある学校から、できた防音施設設計不備によって非常にいろいろ教育上困っているという話を聞いたことはありませんか。
  33. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) この換気装置の問題で先生から何らかの御指摘があるというふうに聞きましたんで、沼南町のほうに一体何か具体的にそういう問題があったのかということは照会をいたしましたけれども、町の当局としては、何か聞いていないと、こういう返事だったようでございます。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 私はそうだろうと思うんですよ。実は、私も沼南町の学校と、きょう言っているわけですね。私のところに訴えてきた学校長は、学校の名前は絶対言ってくれるな、とてもじゃないが防衛庁こわいと、こう言うので、学校の名前なんか言ったら私どもは非常に立場がなくなるから、町の名前だけで学校の名前を言ってくれるな、こういう訴えがあったんです、ほんとうのところ。私はそうかもしれないと思った。とすると、当局に問い合わせれば、そういう困っていることはありませんとお答えになる、当然だと思います。しかしもう一歩、今度はPTAを調べてみていただきたい、もしそれならば。PTAのほうからも私どもにはそういう訴えがある。酸欠——酸素の不足をするあれが起こりまして、子供が頭痛を訴える、どうにもならない。そこで、学校の先生たちは授業の合い間、合い間に、結局は窓をあけて、あるいはできるだけ体育の時間を文部省の基準よりもややふやす程度で外に出すとか、いろいろそういう配慮をしていなければ、どうにも学校教育経営が成り行かないんだと、どうにかこれを直してほしいという要望なんですね。直さしてほしいという訴えが私どもには来ております。  私は、実は正直言って、防衛施設庁設計基準、ずうっとこうありますけれども、これでよろしいと施設庁はいつでもおっしゃるけれども、実際にこれでよろしいといわれている学校にめったにお目にかかることがない。弱いですよ、非常に。この換気装置が非常に弱い。同時に、ほんとうを言うならば、この換気装置よりももっと強力な換気装置が必要だ。同時に、千葉県のここの場合ですと、冬期間にそういう症状が起こることが非常に多い、私はこれは暖房との関係があるだろうと思う。調べてみたらほとんどが石油ストーブの暖房を使っておる。そういたしますと、ますます空気の汚染度というのは、換気装置が弱い上に石油ストーブを使うわけですから、これは保健衛生上からいってよくないことは間違いがない。で、これは、だからその点については私は、今後の基準としてはこれは直すべき、訂正すべきだと思うんですね、やっぱり。暖房を要するところにはやっぱり暖房装置をつけないと、教育ができる防音校舎とは言い切れないと思う。それがまあ一つです。  どうも時間がありませんので、急ぎますけれども、もう一つ私は、この換気装置のほかに、聞きますというと、八王子かどっかにそういう校舎をつくったという話を聞いておるんです、冷房装置ですね。これも少し私のほうからむしろ申し上げますけれども、私は、宮崎県の新田原基地周辺学校をずうっと見て歩いたことがあります。あすこですと、夏には外と中との温度が、生徒を教室の中に入れておると五度違う。それはいまの換気装置をフル運転をしておいてですよ。あの換気装置をフル運転をしておいて外と中とが五度違う、どうしたって窓をあけなければ息苦しくって生徒がおれない。そういう校舎をつくっておって、外から見ればコンクリートの校舎をつくってやったから、自衛隊がいくと校舎がりっぱになっていいぞという宣伝にはなるけれども、実際の教育上には何にもプラスになっていない。むしろ基地なんか来ないで、木造校舎でやったほうがどれだけ生徒の保健衛生上いいかわからない、そういうことがいまそちらにもこちらにも起こっておる。したがって私は、きょうはもうこの換気計画も含めた、そしてこの設計の条件といいますか、設計計画基準というのがありますが、これを総点検をすべきだと思うんです。しかもそれは、学校というところは教育を行なう場所であるし、病院は医療の場所であるし、そういうところの事業主体立場に立ってこの基準というのを洗い直すべきだと思う。そういう形でやらないと、この法律の趣旨に合ったような運用ができないのではないか、そういうふうに思いますので、これはひとつ提案をしておきますが、いかがですか。
  35. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) ただいまの換気の問題でございますが、これにつきましては昭和三十六年に文部省に航空機騒音対策協議会というものが置かれまして、いろいろ防音の問題で検討したわけです。その検討事項の中にやはり強制換気の問題がございまして、防音校舎でございますからどうしても外部と遮断をしなくちゃいけない。そうしますと、室内の空気が汚染するというようなことから、現在の換気装置をつくることにしたわけですが、基準としましては、生徒、職員一人あたり一時間四十二立方メートル、または一室一時間あたり七回換気する、このいずれか大きいほうをとるということに相なっております。この基準がちょっと低過ぎるんではないかという御指摘につきましては、私も技術的な問題あまり詳しくないものですから、いろいろ今後現実の状況を調べまして検討をいたしたいと思います。  それから冷暖房の問題でございますが、先生の御指摘のように、外部と遮断しますと、夏は暑くてたまらないという問題もありましょう。それから寒冷地におきましては、やはりどうしても暖房が要るということでございまして、防音工事の始まった当初は、いわゆる防音校舎をつくるということに専念をいたしておりましたけれども、昭和四十三年度からはこの防音工事の質的な改善をはかるという意味合いにおきまして、義務教育施設を優先して夏季における冷房施設、それから冬季におけるいわゆる温度保持、暖房のことでございますが、こういうものを採択して、補助業者からの申し出がありますれば逐次それを実施してきておるというのが現状でございます。ただこれまでに、それじゃこの冷暖房をたくさんやったのかとおっしゃいますと、数学的にはまだそう多くはなっておりませんけれども、お申し出によって逐次やってきておるというのが現状でございます。
  36. 鈴木力

    鈴木力君 これはそういう方針にして、一ぺんにできるものじゃありませんから、そんなに一ぺんにいかなくてもいいと思いますが、しかし、これだけははっきりしていただきたいのは、一ぺん防音校舎としてすでに建設を終わった、終わったけれども今後また冷房なら冷房を入れたいという市町村申請があれば、その改造工事といいますか、それは対象にするんだ、それははっきりしておりますね。
  37. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) すでに防音工事を完了した施設につきましても、お申し出があればこれは採択する方針で考えております。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 それでその点はわかりました。もう一つだけ伺います。  定礎ですね。たとえば国分寺の第一中学校の玄関のわきに行ってみると、こう書いてある。「定礎」と書いて、「この校舎は駐留軍等の航空機騒音を防止するため防衛施設周辺の整備等に関する法律に基づいて防衛施設庁より補助金交付を受けて完成したものである。」昭和何年何月、市長名と、これは私はいつかも、そういうことはやめるべきだということを申し上げたことがあるけれども、しかしいま建設中の国分寺の第一不学校ですか、そちらに行って、もう定礎はなくてもいいでしょうねと言うたら、これは事務的指導だと言われておりますけれども、入れろと言われております、こういうことだった。一体、こういうことを学校に入れるという目的は何なんですか。
  39. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) いろいろ厚生年金その他の資金によりまして工事実施したときに、との工事はこうこうこういう年金によってつくった施設であるというような表示もあるようでございます。そこで、国としてこういった防音の問題について、周辺整備法に基づいてこの校舎はできたのであるということを表示するということもあろうかと思いますが、ただ、これはあくまでも事業主体がそういうものをつくりたいというときに、それじゃどういう規格のものがよろしいかということについて指導するようにいたしております。最近その指導がやや強過ぎたといいますか、そういう面はあったように聞いておりますので、今後はこちらから積極的にどうしてもつくれとかそういうことは言わない。ただ、事業主体がつくりたいといった場合にはあまりばらばらのものをあっちこっちでやったのではかっこうもわるいので、つくるならばこういう規格のものをという程度の指導にとどめるように庁内でも調整をしまして、今後そういう方向でいくということになっております。
  40. 鈴木力

    鈴木力君 私は出身が教師ですから、学校で教師をやったことがあるが、一番教育障害になるのはその種のことなんです。厚生年金もそうです。門から入っていくと、厚生年金の何々によりというやつを書いて大きく見せておる。何で子供にそんなことを見せなければ教育にならぬのか。子供にとって国の補助があったということを教えたいなら国の補助もありましたと教えればいいんで、大体町村の機関に建ててもらった学校でおれたちは勉強するのだということでとどめていいのじゃないか。しかも、いま次長さんが強制的には、やらせないと、しかし、事業主体から申し出があればというけれども、この実態は、申し出さしておいて申し出があるからといっておるのが実態ですよ。これはいつか私は内閣委員会で言ったことがありますがね、この定礎の問題じゃなかったけれども。ある東京の北多摩にある市議会が立川自衛隊移駐に反対決議を上げたら、防衛設施庁のある人が、当時名前までわかって、悪いことをしましたということになってケリがついておりますから復習するつもりはありませんけれども、ああいうことがまた出てくるわけです。そういう決議をされますとおたくのためになりませんぞという電話がいっておる。そうしておいて、ためになるような申請をさしておいて、相談に応じているのが防衛施設庁のやり方だ。しかも、この定礎の文句なんというのは明らかに、だから軍事基地があるとあなたの学校はりっぱに建つのですぞと、それを生徒に毎日見ろということじゃないですか。私は、だから事業主体から相談があったらこういう規格でやらせますなんということじゃなしに、設計までそれほど規制をしているのだから、定礎なんかはこれから廃止せよという指導をすべきだ。それがほんとう教育に協力をする、この法の立場に立った補助金事業だと思うのです。そういうことを末端にはっきりと知らしておくべきだ。どうですか。
  41. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 現在の方針としてはいま申し上げたように、事業主体のほうから申し出があればその規格についてはこういうものに従っていただきたいということになっておるわけですが、先生からの御指摘もございますので、これを廃止すべきかどうかということについてもこれから検討いたしたいと思います。
  42. 鈴木力

    鈴木力君 これは次官にもはっきりと私は答えてもらっておいたほうがいいと思いますよ。この定礎というのは、ただ石に文字を書いてはめて見苦しいかどうかという問題じゃない。学校という中の玄関の脇に規格をきめてこういう文章を入れさしておくということは、これは障害になる。障害になるということが、もし私が障害になるという指摘に反論があるならしていただきたいし、障害になるということをお認めになるなら、廃止するという方針をはっきりと御答弁いただきたい。
  43. 箕輪登

    政府委員(箕輪登君) 御指摘の点につきましては、ただいま鶴崎次長がお答えいたしましたように、私どもあほうでも検討してみたいと思います。ただ、それが教育のために著しく障害になるかどうか、私もちょっとお答えできないのでございますが、それらも含めて検討してみたいと思います。
  44. 鈴木力

    鈴木力君 私の言うことがわからないので、ちょっとあとで時間を延長してもらわないとぐあいが悪いのですがね。著しく障害がなければいいとおっしゃるんですか。
  45. 箕輪登

    政府委員(箕輪登君) 著しく障害になるかどうかを含めて検討してみたいと思います。
  46. 鈴木力

    鈴木力君 学校というものは、学校の中にあるものは石一つが教材だということで、全部それなりの苦労をして配置してあるのです。そうすると、そこにあるものはやっぱり教材なんです。教材として防衛施設庁が押しつけていることになる。その教材は何かというと、私がいま読んだ文面のとおり。そんな教育は文部省の教育課程にもどこにもありゃしない。学校というものをそんなに甘っちょろくみてもらったら防衛庁教育のじゃまをしているということにしかならぬ、施設庁が。このことはそう簡単に言い切られちゃ困るんですよ。著しく障害にならなければ、少しぐらいはいいんだというふうな気持ちでやっているからいろんな問題が起こってくるんですよ。これを入れることによって自衛官の募集には役に立ちませんぞ、むしろ。何かそんなようなことにいろいろこじつけてものを言っているくせは直すべきなんだ。だから私の言うことをよく理解してほしい。まあ、いまここで答弁できないということもわかりますけれども、しかし、著しく障害がなければなんということは、教育の場にものを言うときにはよほどつつしんでほしいと思う。これは要望しておきます。  時間がありませんので次に進みますけれども、その次に、沖繩にある基地関係の問題で若干伺いたい。これは外務省関係があると思いますからお答えはあと外務省にもいただくつもりですので、御質問を申し上げますことは聞いておいていただきたいと思います。  まず最初に伺いたいのは、時間があまりありませんから簡単にお答えいただきたいのですけれども、ことしになってからといったほうがいい、あまり古いことまで言うと時間かかりますからね。ことしになってから沖繩県内において毒ガスの事故が何件ぐらいありましたか、伺いたいと思います。まず施設庁のほうから先に……。外務省しばらく置いておいてもらっていいですよ。
  47. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 四十七年度に発生しました……
  48. 鈴木力

    鈴木力君 四十七年の一月以降だ。——それじゃ外務省でもいいですよ。
  49. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 一月に嘉手納の弾薬地区におきまして、解毒作業中のアンモニアの問題が一件発生いたしております。  それから、三月の初めに那覇の港湾施設におきまして工業用の塩素ガスのボンベによりまするガスの発生の問題、これが一つ起きております。  また、ガスということではございませんけれども、牧港の陸軍の補給地区におきまして、自動車の部品洗浄のための溶剤の作成過程におきまして異臭を発生いたしまして、これがガスじゃないかというふうに騒がれた問題が発生いたしております。
  50. 鈴木力

    鈴木力君 防衛施設庁はこの種のことについては担当じゃないんですか。
  51. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) こういう事故が発生しました場合には、従来米側に対して事故原因の究明とか、あるいは再発の防止をいかにすべきかというようなことについて申し入れをしてきております。ただいまちょっとその資料をさがすのに手間どったのでお答えしなかったのですが、当庁に関係ございます。
  52. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、まず一つずつ伺いますけれども、いま外務省のアメリカ局長からもお答えいただいたように、ことしになってからもう三件あるんです。そのあとの自動車の部品のほうは一応取っておいて、部品の装備のあれは。一月の十一日ですか、一月の十一日に嘉手納の弾薬庫の作業をやっておるときのCSガス、このガス漏れの事故があったわけですね。読谷村の中学校、高校あるいは住民に相当大きな被害を与えた。この件については具体的に政府としてどういうことをなさっておるんですか。
  53. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 読谷村にあります米陸軍弾薬処理場で米軍がCS1を中和作業中にアンモニア状のガスが発生して、基地周辺にそれが流れて関係住民がのどの痛みその他を訴えたという事件でございますが、これにつきましては直ちに米側にその原因は何であったかというようなことの調査の申し入れ、それからこういうことの再発しないようなことについての申し入れをいたしております。この事件の直後、私沖繩に出張しまして、在駐、米陸軍司令官のメイプルス少将にお会いしたわけですが、司令官としてはこういう作業を現地限りにおいて実施したことはまことに遺憾である。こういう作業は本来ならば自分のところに許可を取ってやるべきであったかとも思う。しかしながら、こういう中和作業の処理のしかたそのもの米軍の内規できまっておる手続によってやったものである。しかし、それは米本国においては現在定められておるような手続でやることは可能であろうけれども、沖繩のような人口稠密な地帯において、そういう手続で同じようにやってしまったということはまことに遺憾であるので、今後こういう作業は沖繩においては実施しないようにいたしますという確言を得まして、したがいまして、沖繩において今後この種事故は発生しないというふうに理解をいたしております。
  54. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、このときのガスの種類については確かめられたんですか。何ガスだったんですか。
  55. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) CS1と言いますのは催涙性のガスでございます。
  56. 鈴木力

    鈴木力君 そのCS1がただ単に漏れたということですか。
  57. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) CS1が漏れたということではなくって、CS1の中和作業をやっておりました際にアンモニア状のガスが周辺に流れたということでございます。
  58. 鈴木力

    鈴木力君 まあ米軍がそう答えたんだろうと思うんですね。これは沖繩県の県の担当官が現場に行って、そうして調査書を出しているんですね。そのときには、現場のその当時の責任者であるべーリー大佐という人が立ち会っておりますね。この調査のべーリー大佐の説明もいまの次長さんの答弁の中身と同じ説明をしているんです。だから、そこのところはそれで聞いてくればそういう答えになるだろうと思う。ところがですね、このときにこの作業場の処理をしたところを掘ってみた。よろしいですか。そういたしますとですね、どういう状況でこれを処理しておるかというと、CS1とこう言っておりますがね、それはひとつの粉末状態なんです。それにDS2を注入して液体状態にしてそして中和をするんだ。そういう説明になっておるわけですね。ところが、その穴を掘って、その液体状態にして埋めてそして中和をしたというその現地を掘ってみたら、指先が三センチ土を掘り起こしたら、ものすごく鼻をつく強いにおいが出てきた。それで連続してくしゃみが出てきた。目に痛みを感じた。そこに報道関係者もおったけれども同様の被害を受けた。そうすると、それがほんとうに中和をさして処理をしたということにはどうにもならない。しかも、赤い土に白い粉末がそのまんま出てきた。それが現状なんです。そうしますと現地の人は、なるほどいまの次長さんのお答えのように、従来やってきた中和作業であって、今後やらないからこれでよろしいということにはならない。このやりとりなんかもまあ時間がありませんから一々御披露いたしませんけれども、日本人とすれば相当侮辱を受けたようなそういうやりとりを、このべーリー大佐との間でやっている、沖繩県の調査官が。この辺は私は、日本政府とすれば、この種の訴えは沖繩県からも政府側に出ているわけです、調査をしてほしいということ。また調査をしてほしいということが、出る前にもですね、少なくとも施設庁——まあ施設局が担当だと思いますけれども、その辺のところはもう少し突っ込んだ調査ということができないものかどうかですね、まず伺いたいと思います。
  59. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 先生御指摘の、現場の調査をもっと突っ込んでやるべきでなかろうかという点につきましては、那覇防衛施設局の担当官も事故発生と同時に現場に行きまして、現場を見たと思いますが、ただいま御指摘のような問題は報告を受けておりません。したがいまして、この件につきましてももしそういう声があるようでございましたら、今後さらに米側に確認をいたすようにしたいと存じます。
  60. 鈴木力

    鈴木力君 これはほとんどいままでこの種の政府の答弁は、アメリカ側の説明をそのまんま日本語に訳して伝えるだけが政府の答弁だったと思うんですがね。ここに実は私は非常に日本人に不信感を与えておる。政府も含めてですよ。政府も含めて不信感を与えている。  それから、特にまたこの毒ガスについては沖繩では、非常に沖繩県の人たちは被害意識を持っている。これはいまさら私が申し上げるまでもありませんけれども、一九七一年の九月です、やっと沖繩に毒ガスがないんだと、政府が総理大臣まで含めて何回も答弁しておった。それなのに毒ガスの事故が起こった。そうして、それから初めて七一年の九月に沖繩県から毒ガスを全部搬出をしたということがあった。これはもう御存じのとおりですね。あのときにだって、ないないと言っておって、漏れればあったと言う。それじゃ運びますと、こういうのでしょう。これじゃなかなか信用できないんだ。このときには実は私も沖繩県に参りました。私どもが米軍に申し入れをいたしまして、これは外務省のお世話にもなりましたけれども、嘉手納の毒ガスの弾薬庫のガスの貯蔵庫のあるところを中を見せてもらった。ところが、われわれに中を見せる見せ方はどうかといいますと、バスに乗っけて米軍責任者が案内をして、どこが貯蔵庫だと言っても、知りませんという案内です。そうしてわれわれにはあの天願桟橋から船にガスを積み出していくというその現場を見せますという約束をしておったのです。ところがその現場に行く途中のゲートに行ったら、かぎを忘れてきましたから待ってくださいと言って、しばらくかぎを取りにいってきて、門をあけて桟橋に行ったら、船はずうっと向こうに行っておった。こういうことをいままで繰り返しておったわけです。それが沖繩県に毒ガスがないということの証拠だった。私はだからこの点については非常に疑問なんです。  そこで私は、この読谷村のいまの事故があったこれについてもう一つだけ伺いたいのは、ほんとうにCS1だったのかどうかということです。これは政府はもう少し調査をしてみるべきであると思う。一説によると神経性ガスだと、そう見る向きもあるのです。たとえば変なものというと変なことになりますが、これは私が一月のこのガス事故があった直後に現地に行ったのです。沖繩にまいりました。ところがこういうものが手に入ってる。これが手に入りましたのは、一月の十一日午後三時です。提供した人は、場所を言ってくれるな、——これもそうです、場所と名前は言ってくれるなと。この読谷村で子供たちが事故を起こしたのは正午ごろですか、作業を開始したのは十一時何分かですね。それから四時間後にこの注射器が沖繩県にあったわけです、その周辺に。しかも、私は英語を読めないけれども、私が読んだところでは、神経ガス専用と書いてある。これは沖繩県の新聞もその前にもうすでに取り上げておったわけです。新聞社の記者の皆さんが米軍関係で当たってみると、説明はこういう説明をしているらしいですね。ベトナムでは神経ガスを使っておるけれども沖繩にはないはずだと、だからこれはベトナムから帰ってきた兵隊が落としたのじゃないかと。御丁寧にベトナムからこういう新しいまんまでここまで、沖繩県まで持ってきて、そして弾薬処理をやった、事故を起こした、そこからそれほど距離のないところにわざわざ落とすなんていうこともちょっと考えられない。そういう説明でいってしまおうとするから、沖繩県に毒ガスがなくなったということを沖繩県の人は信用できないわけです。これは私がベトナムから持ってきたのじゃないのです。ただ、本人が言ってくれるなというから言わないけれども、読谷村から車でもう二十分ぐらいの距離のところから出てきているのです。しかもこれを持っておった米軍の年ごろは、これは私が直接会ったのじゃありませんが、二十五ないし二十六歳ぐらいに見える現役兵が持っておった。しかもこれは使ったばっかしのからになった注射器です。何でCS1の処理をするときに神経性ガスの解毒用の注射器を持ってそれを使わなきゃいけないのか。どう考えてみても、これは米側の説明というものを私どもはそうですがと受け取るわけにはいかない。私がそういうふうに見る見方は間違ですか、どうです。
  61. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 先生御指摘のその注射器は、ことしの一月二十日付の「沖繩タイムス」の報道に載っております。われわれとしましても一体その注射器はどういうものであるかということについて米軍に照会をいたしました。おっしゃるようにそれはガス解毒用のものであるということでございますけれども、これは米軍といたしましては防毒マスクあるいは毒ガスの被害を受けた場合のそういう解毒剤の注射器というようなものは、いわゆる防御用具としまして持っておるわけでございます。ただこれを、それじゃ一般の兵隊に持たしておるのかという点になりますと、防毒マスク等はこれは一般の兵隊に持たしておりますけれども、その注射器につきましては、これは軍が一括して特定の場所に保管しておるということで、これは訓練の意味合いにおいて持っておるということで、これはまあ毒ガスの被害を受けたときの訓練でございますから、それがあるから毒ガスがあるということにはならないと思います。またこのCS1の処理をした比較的近くにあったということでございますが、このCS1の中和作業をやったということと、その注射器とは直接の関係はないものかと、このように思います。
  62. 鈴木力

    鈴木力君 これはわれわれは科学的な知識がありませんが、聞いてきたことがそうだからということでそう断定されちゃ困るのであって、私はああいうものは、それならばその処理をしたあとまで——大体CS1を液体状態で処理をして土に埋めるとにおいがしないはずだし、白い粉末状態はなくなっているはずです。ところがベーリー大佐立ち会いで掘ってみたら、指で三センチ掘ったら白い粉末が出てきた、そして涙が出てきた、非常な刺激を受けた、これは事実なんです。そういう国民側のほうの証言を政府側のほうは聞き入れようとしない。だから沖繩に毒ガスがなくなったというこの政府の説明をおそらく国民で信用している人はそんなにありはしないだろう。そうすると政府側の立場に立ってみても、もっと積極的にそうでなかったという証拠をあげるまで、政府側みずからがこれを調査さしてもらうようなことをしなければならないと思うのです、してみるべきだと思う。それはまあいろいろ地位協定が何だとか、立ち入りの権利があるとかないとかということになるだろうと思う。この辺は外務大臣もう少しきっちりと申し入れをして、そうしてほんとうに日本側も納得のできるようなデータを出して、国民を信頼させるべきだ、私はそう思いますけれども、いかがでしょうか。
  63. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま鈴木さんが取り上げられた問題、非常に重要な問題だと思います。いま日米間には安保条約という取りきめがあるわけでございます。これについて賛成反対は別にいたしまして、そういう取りきめがあるということ、これは双方とも厳粛に守らなければならない義務があるわけでございます。またあわせて日米間にはいろいろな、いまあなたが御指摘になりましたような国民側に疑点が起こったような場合に、アメリカ側に照会をいたしまして、アメリカ側にも回答を求めてそれを公表いたしておるわけでございますが、これも公表を、照会に応じて回答いたしました以上、そこにうそ偽りがあってはならないはずのものでございます。私どもといたしましても、あるべき姿は日米間の変わらない信頼でありまして、約束をいたしたことにつきまして、米側も完全にこれを順守していただくことが一番望ましい状態であるし、あるべき姿と思うのであります。しかし実際におきましては数々の疑いがそこに起こって、過去においても起こってまいりましたし、現在も御指摘のようなことがあるわけでございます。その場合に、われわれの手でこれを一々究明いたしまして、真実を究明して、国民の前に明らかにすることができるかというと、これは膨大な組織と要員と知識が要るわけでございますばかりでなく、そもそも日米関係の基本的な信頼関係というものはそこなわれるわけでございますので、私といたしましては、そういうことはすべきでないと思うんでございます。しかしながら、いやしくも疑点が起こったならば、それを米側に提示いたしまして、その解明を求めるということは精力的にやらなきゃいかぬと思うのであります。それでもなお解明されない点がありましたならば、二度でも三度でもそれは誠実にやってまいるのがわれわれの任務であると思うわけでございます。したがいまして、本件につきましてばかりでなく、その他の案件につきましても、いささかも疑いがあるというようなことがございますならば、われわれはそれを先方に照会いたしまして、真実を究明することの労をいとうものではないわけでございます。完全に信頼関係がそこなわれないなんということは、人間関係においては私は非常に不可能だと思うんでございますけれども、可能な限り、そういった疑惑が残らないようにベストを尽くすということであらねばならぬと私は考えております。
  64. 鈴木力

    鈴木力君 私がなぜこんなことをいまごろしつこいみたいに申し上げるかといいますと、私はこの毒ガスという問題については、さっきも申し上げましたけれども、過去に一つの事実があるからですね。要するに政府は、米側に問い合わせても毒ガスは沖繩にありませんということを何べん答えておったかわからない。そしたら事故が起こった。そのあとに、一九七一年の九月に、ありましたと、こういうことになって、そうして搬送したと。そこで、もうありませんと、こう言っているけれども、ありませんということを国民に納得させるような説明一つもない。そうしてそのあとに、まあことが小さいか大きいかは別としても、いま申し上げたようなことがまた出てきている。こうなってきますと、これはますます疑惑に輪をかけるようなことになるわけです。だから、私はそういう意味じゃ政府間の信頼という、まあ政府間ばかりじゃなしに、本来なら、ほんとうほんとうに信頼すべきような状況にいくほうが望ましいと思う。そうすると、そういう問題を解明することに積極的な努力をするということが私は政府の姿勢に望まれていいのではないかと、こう思うんです。  時間がありませんからあと申し上げません、か、もう一つ、たとえばさっき外務省次長さんからありましたように、三月の二日ですか、牧港のアメリカの軍港に積んであったこれもCS1ですか、そのボンベが破損して事故を起こしておりますね。あそこの従業員に聞いてみますと、一週間に一ぺんぐらいずつあるという話です。そういうことを、事故があることを訴えておってもどうにも通用しませんというのが現地の労働者の声でもある。これについても、あそこを撤去をさせるべきである、古いものは始末をすべきであるとか、事故を起こさないようにという要望は、政府側に対しても現地からもずいぶんあったはずなんです。ところが、これが容器が腐食しておってガスが漏れるんですというような状況まで放置をしてある。それを何とも手が出ないというのが日本の政府であるならばですね、どうも日本の政府という感じがしなくなってくるじゃありませんか。アメリカとの約束がありますから手は出せませんですと、これだけでは国民を納得させるような説明にはならぬはずです。初めて事故を起こしたことであれば、今後いたしませんということでわかるかもしれません。同じことを答えて、同じことを何べんも繰り返しておるわけです。もうここらで同じことを何べんも繰り返さないような、そういう手を私は政府が打つべきだと、こう思うから、少しくどくいま申し上げたわけなんです。  同時に、私が沖繩県に参りまして、もう一つだけぜひ政府に、これはもう時間がありませんから、御要望申し上げておきますね。恩納村にある爆弾処理場です。弾薬処理場といいますか、私も行って見てまいりました。写真持ってまいりましたけれども、そんなことをいまここで見せびらかすような気持ちもありません。あの恩納村にある爆弾処理場は小高いところにありまして、それこそ沖繩博をやるあのきれいな沖繩の海がずっと一望に見える非常に景観のいいところです。それが全部爆弾処理場になって、そして爆弾を処理するために、あのきれいな沖繩県の自然が破壊をされておる。いまやもうまっかにはげ山になってしまっている。木が枯れている。まずそれを一つ見ただけでもこれはたいへんだと私は思いました。ところが、もっとたいへんなのは、処理場であるけれども、未処理の弾薬と思われるものがずいぶんそちこちに散らばっております。正直言いまして、私も現地を見て歩きながら拾ってみました。これぐらいのもんです。これは家に持って帰って、こんなものがあるぞということを皆さんに見せようと思ってだれかに見せたら、あぶないぞ、すぐ捨てろ、君がたばこなんか吸ったらたいへんなことになるぞというわけです。それからこれを持ったら飛行機には乗れない。そういうものがあの自然の林の中に幾ら散らばっているかわからぬ。ちょっと歩いただけで、私が拾っただけでもそういうことです。ところが、あそこは処理をしていないときには子供たちにも一般の人も多少の立ち入りは許されているようです。あんな危険な状態でそのまま放置しておいてもいいのかどうか。これはどこまでがどうかわかりませんけれども、防衛庁の設置法の四十五条ですか、によりますと、米軍に提供した施設の管理ということも業務の中には入っているはずです。あれをあのままにしておくという手はなかろうと思うのです。  と同時に、もう一つ、あの周辺の部落に非常に被害を与えておる。これはもう施設庁は多分調査なさっていらっしゃると思うのです。調査をなさってもそのまま放置されておったのでは意味がないわけです。その砲弾処理のために川がものすごくまっかになってしまう。水源池が荒されてしまう。大田、瀬良垣とか、ああいう周辺の部落の人たちは飲料水さえ毎日ろ過しなければ飲めない状態にきている。あるいは水田ももうあの赤ちゃけた泥が流れてきて、水田の用をなさなくなってきている。あるいは爆弾の処理のために爆風で建物に亀裂を生じたという危険な状態もあります。防衛施設庁あてにも村長からも何べんかこれに対して善処方の要望があったようであります。それに対しても私どもが村長に会いましたときには、何べんか頼みましたけれどもなしのつぶてでございますという話を聞いてまいりました。まあ、時間がありませんから、これでやめます。これはまあ御要望申し上げるわけですが、もし処理なさっていることがあればお答えいただきたい。また、将来の私の要望に何かなさろうとなさるならお答えいただければと思います。
  65. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) ただいまのキャンプ・ハンセン内の弾薬処理場に関連する周辺の田畑あるいは水源の汚濁といったようなものの被害につきましては、四十七年度におきまして約百二十五万の調査費用をかけまして実情を調査いたしました。その調査の結果に基づきまして、この水源の汚濁につきましては、沈砂池を設置しようということで現在計画を進めております。それから、田畑の被害あるいは山林の火災による被害というようなものにつきましても、おおむね調査を完了いたしまして、これについて所要の補償をするということで、現在事務的に進めております。  それから、その廃弾処理場の近くに末処理の弾薬が放置してあるというような実態がございますれば、これは非常に危険でございますので、そういった管理面について十分注意するように米側に申し入れをしたいと存じます。
  66. 鈴木力

    鈴木力君 もう一回だけ、恐縮ですが、その処理は、一つはそういうことをしたということはわかりますが、あの場所が弾薬処理場として適当だと施設庁は見るのですか、どうですか。
  67. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) お答えをしましたが、その場所そのものもひとつ考えてもらいたいということを那覇の施設局長から米側に申し入れをしました。したがいまして、米側は現在その弾薬処理を中止いたしております。それでほかの適当な場所にこれを移そうということで検討中というふうに聞いております。
  68. 黒柳明

    黒柳明君 私、在日外国公館のことについてお伺いしたいと思いますが、大蔵省にお伺いしたいと思いますけれども、現在の在日外国公館の国有地を貸し付けているところの名称、それから土地の面積、貸し付けの始まった期間、それから年額の貸し付け料、これを教えていただきたいと思います。  それともう一点、昨年の春まで横浜の山下町にありましたアメリカの総領事館についても、以上言った点について教えてください。
  69. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) アメリカ領事館の土地でございますが、横浜市中区山下町六の一にございまして、数量は三千百八十三・九〇平方メートル、坪数にいたしまして九百六十三坪一二でございます。これが国有地としてアメリカ領事館に明治十七年以来貸し付けていたものでございます。  私ちょっと最初聞き漏らして恐縮でございますが、現在外国公館用地として貸し付けております国有地の状況でございますが、全部で六件ございまして、イギリス大使館が千代田区一番町で一万五百五十二坪でございます。それからイギリス領事館、これが横浜市中区日本大通りにございまして、数量が九百十五坪でございます。それからオランダ大使館が港区芝にございまして、坪数が三千二十五坪でございます。それからアメリカ大使館が港区赤坂一丁目にございまして、三千八百八十二坪、それからメキシコ大使館が千代田区永田町にございまして、土地の数量千五百十九坪、それから最後にスペイン大使館が港区六本木にございまして千七百九十坪、以上でございます。
  70. 黒柳明

    黒柳明君 年額の貸し付け料。
  71. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 以上の貸し付けの国有地の年額の貸し付け料でございますが、これはちょっと集計したものがございませんが、イギリス大使館が九十七万一千円、イギリス領事館が三十九万四千円、オランダ大使館が十三万四千円、アメリカ大使館が六十三万一千円、メキシコ大使館が十八万九千円、スペイン大使館が二十九万六千円と相なっておりますが、ただ、アメリカ関係につきましてはいろいろ事情がございまして、現在相手方との話はまだできておりませんものですから、これは収納になっておりません。
  72. 黒柳明

    黒柳明君 アメリカ総領事館、昨年まであったのは二十七万と、いただいた書類にそうなっておりますので、これは間違いないと思います。そこでイギリス、オランダ、メキシコ、スペインは、いま最後にちょっとお触れになりましたけれども年額の貸し付け料を徴収している。アメリカの大使館、また昨年春まであったアメリカの総領事館、これは年額貸し付け料を徴収していない、この事情について御説明していただきたいのですが、どうしてアメリカ大使館、総領事館だけが借地料を徴収してないのか。
  73. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 外国公館の敷地として貸しております国有地の貸し付け料の問題につきましては、実はいずれも戦前から貸した状態がそのままになっておりまして、貸し付け料の年額の改定をしていなかったわけでございますので、講和条約発効後これを改定する必要があるということで、大蔵省といたしまして、外務省と打ち合わせをいたしまして、四十一年六月には通達を出しまして、この作業を進めていたわけでございますが、外務省におきましても鋭意努力されまして、そのうちイギリス、スペイン、オランダ、それからメキシコ等につきまして、いずれも貸し付け料改定の交渉がうまく妥結を見るに至ったわけでございますが、アメリカのみにつきましては、実はこれはいろいろ経緯がございまして、その交渉がいまスムーズに進んでいない。それはなぜかと申しますと、実はアメリカ大使館がございます港区赤坂の土地でございますが、この土地は実は永代借地権の問題がございまして、アメリカ側といたしましては、これは永代借地権を主張いたしまして、すでに所有権がアメリカ側に転換しているという主張を強くいたしておりましたものですから、こういった貸し付け料改定の交渉が一切進んでいなかった。それにつきましては、実は四十六年、いろいろ法務省その他法制的に検討いたしまして、アメリカ側と交渉しました結果、ついにアメリカ側もそれを認めまして、永代借地権はここには存在しない、すなわち所有権をあきらめるということに相なったわけでございまして、それでさらに外務省を通じまして、それでは永代借地権のほうはあきらめたのであるから、あとはほかの各国並みに貸し付け料年額の改定に応じてほしいということを言ったわけでございますけれども、いろいろとアメリカのほうの言い分がございまして、その辺がまだもうちょっと時日を要する。これは実は交渉に当たっておられますのは外務省でございますが、そういうような考え方であるわけでございます。
  74. 黒柳明

    黒柳明君 総領事館のほうの経緯。
  75. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) アメリカ領事館のほう、横浜のほうでございますが、これにつきましてはやはりこのアメリカ大使館の永代借地権の処理の問題と同じように扱おうというアメリカ側の態度が最初ございましたものですから、大使館の永代借地権の問題が片づかないとこれがうまくいかないということで延びていたわけでございますが、これにつきましては実は借地権の譲渡が済みましたものですから、現在はこれは横浜日航ホテルと貸し付け契約をしていると、こういう状況でございます。
  76. 黒柳明

    黒柳明君 それでは交渉に当たっている外務省から、交渉の経過を。
  77. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 在京米大使館の敷地の問題並びに横浜にありまする米国の総領事館の敷地の問題について、ただいま大蔵省から経緯が御説明あったとおりでございまして、大使館の敷地につきましては、永代借地権の性格に関しまして長年米側との間にいろいろな解釈上の食い違いがあったわけでございますけれども昭和四十六年に日本側といたしましては、永代借地というかっこうで米側に所有権を認めることはできないと、したがって米側が主張しておりまする権利は所有権に転換されたものではないということを日本側の見解として正式に伝えまして、これに対しまして米国側からその点に関する見解については米側としても同意をせざるを得ないということを言ってまいりましたけれども、賃借の問題につきまして具体的な話し合いがその後進みませんで、日本側といたしましては米側が永代借地に基づく所有権を有していない以上、新しい情勢に応じて合理的な借料を支払うべしと、こういうことで話し合いをいたしてきておりますけれども、この問題についてまだはかばかしい進展を見ておらないわけでございます。一方横浜の前の総領事館の敷地の問題につきましては、日本側といたしましては昭和四十二年以来この敷地の賃借料の値上げの問題について要求をいたしておりまして、米側といたしましては、同じ米国の公館が使っておる敷地という関連におきまして、大使館の土地の問題と関連してこの問題を考えたいということで総領事館の敷地の問題につきましても借料の値上げ並びに借料の支払い、これを今日まで応じてきておらない、こういう状況でございます。
  78. 黒柳明

    黒柳明君 まあいろいろ状況はあるにしても、外務大臣どうなんですか。これは、借料はやっぱり国有地ですからね、無償貸し付けは、これは絶対だめですね。だから、現状は無償貸し付けと同じ状態になっているんじゃないですか。有償じゃなくて、まあ交渉の過程はあるにせよ、私は前提を置きます。国有地の無償借し付けばまかりならぬ、だけど現状は無償と同じ状態ですね。どうですこれ、無償ですね、現状は。実は無償ですね。
  79. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 払うべきものを払っていないという状態でございます。
  80. 黒柳明

    黒柳明君 だから無償、払っていれば有償、払っていなければ無償。
  81. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 実態的にはそういうことでございます。
  82. 黒柳明

    黒柳明君 そうですね。そうすると国有財産法違法ですよ、これは。国有地というものは絶対に、これは私こんなこと言うと釈迦に説法でしょう。公社公団、政府機関に対しては、これは無償でもいい。ほかについては有償じゃなければ何です。こうなりますと、これは私、いろいろ事情があることは聞いております。アメリカ大使館にもいろいろ聞きまして、何も私アメリカを攻撃するために言っているんじゃないんですよ。どうもやっぱりこういうことがありますと、国民感情として納得できないということで、私突き上げられているんですよ。黒柳はこういう資料をいうまで持ってて何をやっているんだというようなことで、私はもうこの問題はすっきりしたほうがいいと。だれかやっぱりすっきりするための起動力にならなければ外務省としてやりにくいんではなかろうかと、むしろ私は善意的にそういう憎まれ役をやろうと、こういうつもりです。どうもこれすっきりしませんね。国有地は有償でなければならぬ。それは無償です、現状は、これはだれがどう言ったって否定できない、国有財産法違反です。どうですか外務大臣、何かこれ解決しなきゃうまかない。ちょっと時期が長過ぎるわけですよ、解決の時期が。まあこれは外交上の問題でもあることは、私納得、承知している上で、すべて私は善意に解釈しているつもりですけれども、それにしてもちょっとこの交渉の期間が長過ぎる。それからこれほど国有地の問題でシビアに考えなきゃならない時点においてこういう目抜きが、しかも一番トップの、また悪意に解しますとアメリカにイエス・サーといわなければならないといっているんじゃなかろうかと、こうもいわれている。日本政府がほかのところから取っていてアメリカだけは取っていない。取れないんじゃないかと、こういうことを言っている人もあるんです。ですからあれやこれやですっきりしないということばを私使ったわけですが、ひとつ外務大臣、これはやっぱり早くお取りになったほうがいい。そうじゃないと、これは国有財産法でも違反になる。いかがでしょう。
  83. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の点はごもっともであります。また御注意をちょうだいいたしましたことに対しまして感謝します。外務省といたしまして、本件の処理につきまして極力努力をいたす所存でございます。
  84. 黒柳明

    黒柳明君 それからもう一つ、またこれいやみをつけ加えれば、これは民法、五百十四条では要するに借地権払ってなければ一定期間、これはまあ裁判では六ヵ月とこういわれているのです、通説がね。これは地主のほうが申し入れれば借地権解除されちゃうのです。そこまで私要請はしないし、外交上の問題ですから解除して、アメリカ大使館、総領事館出ていけ、こうこともこれはいたしかねると思いますよ。だからこそ早く取るべきものは取らないとね、これはイギリス、オランダメキシコ、スペインはこのことを知っているのですよ。文句言われたのです。これは冗談言っちゃ困るよ。おれ与党じゃない、野党だから、せめて自民党の先生に言ってくださいよと。いやついでだから黒柳先生にも言って、むしろ黒柳先生から言ってもらいたいのだ、大平さんに。こういう言い分、これはわかりますね、大使館の言うことが。自分たちは払っている、アメリカなぜ払わない、こういう言い分なんです。これは言うことわかります。ですから私に対して言うことが的はずれのことを言ったのですが、そういうこともひっくるめて、これはほかの大使館に対したってこれは非常に外聞が悪いです、この状態をほっぽっておくということは。まあいま外務大臣が参考にしてというか、すぐ何とかするという発言で、私はこの問題早く処理したい。  ただ私はこの問題、きょう主題じゃないのです。問題はこれから発展して、先ほど大蔵省がおっしゃいましたアメリカ元総領事館、これが日航ホテルにいった過程というものを私はここで問題にしたい。その前提でいまこの点についても早く処理しないとうまくありませんよと、アメリカとの外交上、これはまあなあなあでもいい。ところがそれと今度はイギリス、オランダ、メキシコ、スペイン、その関係ともうまくなくなります。こういうこともありますので、ひとつ。  それからいまおっしゃいましたアメリカ総領事館は、これは明治十七年ですか、貸し付けの初めが。それで改定が二十七万と、こうおっしゃいました。アメリカ総領事館と国有地を貸し付けた契約書なんかありますか、大蔵省現存していますか。
  85. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 文書によるものは現存しておりません。
  86. 黒柳明

    黒柳明君 そうするとこれはどういう経過で、この国有地約一千坪ぐらいが国有地としてアメリカがいま言った永代権を主張したとかしないとか、こういう過程ありましたけれども、これは文書でないというとどうなんですか。ほかのイギリス、オランダ、メキシコ、スペインも文書でないですか。ほかは文書があるのですか。アメリカ元総領事館だけがないのですか、どうですか。
  87. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) ほかの各国につきましては、実は口上書という形で、契約書に該当するものがあるというふうに聞いております。
  88. 黒柳明

    黒柳明君 どうしてないのですか、アメリカ総領事館。
  89. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 戦前、昔の契約書につきましては、まあ書類としてさがしてみたわけでございますが、ございません。それから戦後こういった貸し付け料を改定したりする場合におきまして口上書を交換するということがあるわけで、ございまして、各国ともそれによって契約の実態があるわけでございますが、アメリカにつきましては、先ほど申しました永代借地権の問題にからみます問題でございますので、口上書をこちら側が渡したわけでございますが、向こうが応じておりませんものですから、要するに合意がない、こういうかっこうになっております。
  90. 黒柳明

    黒柳明君 そこで要するに契約書がない。アメリカ総領事館一番早いのですよ、これ。貸し付けた年月日が明治十七年。そこでいよいよこう問題に入ってくるのですけれどもね。本来ならば民法五百十四条で借地料を払ってなければ半年以内にこれは解除できるのです、アメリカ大使館。ところがアメリカ総領事館も解除できるのです、同じく払っていないのですから。ずっと借地料を払っていない。ところがそれを日航ホテルに借地権つきでアメリカ総領事館が譲渡しましたね。よろしいですか、大蔵省。そのとおりですか。
  91. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) アメリカと横浜日航ホテルとの間の契約によりまして、アメリカ領事館の建物の所有権及びその土地の使用権——つまり借地権でございますが——をアメリカ側から横浜日航ホテルに譲渡いたしましたのが昭和四十六年十二月一日でございます。
  92. 黒柳明

    黒柳明君 その借地料をアメリカ総領事館は未払いだったですね、その未払いだった借地料はどう処理しましたか。
  93. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) この問題につきましては、実は現在横浜日航ホテル、すなわちアメリカの借地権を承継いたしました間に国は貸し付け契約をいま結んでおるわけでございますが、アメリカ時代の貸し付け料につきましては、これは横浜日航ホテルと話しまして、計算いたしました額を横浜日航ホテルに肩がわりして負担させる、こういう話し合いになっております。
  94. 黒柳明

    黒柳明君 外務大臣、それがおかしいというんですよ。なぜアメリカから取らないんですか、まず第一義的には。アメリカが払わなかったものをなぜアメリカに払わさせないんですか。第二義的には、日航ホテルが——そこのあとの問題点はまたこの次にいくんですけれども——なぜ日航ホテルがアメリカが払わなかったものを、アメリカから建物と国有地の借地権を譲渡したときに日航ホテルが払ったことをもってアメリカが払ったことにすり違えちゃうんですか。どうなんですか、これ。
  95. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) ちょっと前に一言。  ただいま私が申し上げましたのは、かりにアメリカ側がこの肩がわりについて了解するならばということでございまして、やはりアメリカ側の態度もございまして、ただそういう場合には横浜日航ホテルがかわりに負担してもいいと、こう言っているわけでございます。
  96. 黒柳明

    黒柳明君 だから、私冒頭に言ったじゃないですか。取る気があるんですか、ないんですかと言ったら、外務大臣おっしゃったじゃないですか、取る気ありますと、そうでしょう。それで私は聞いた、日航ホテルは肩がわりするんですよ、アメリカが承諾すれば。どうですか、外務大臣。先ほど言ったアメリカだけ払ってないということはおかしいんですよ。だけど、これを出ていけと、借地料を取っているということは日本の国内法、民法に準じて取っているわけです。その民法をたてにとれば、追っ払うこともできるんです。解除することもできるんです。それはまあまあとしても、私ここまで突っ込んで追及しません。できるんです、現実に。それはまあまあとしても、総領事館のほうも同じ状態でしょう。総領事館だって同じなんです。解除できるんです、借地権を。ところが、解除できる借地権を解除もしないで、しかもアメリカ、が日航ホテルと上物と借地権、国有地千坪のこの借地権までもアメリカと譲渡を契約したから、だからそれもやるんだということになると、これはますますおかしくならざるを得ませんよ。本来アメリカ総領事館だって借地権は解除できるんです。まして日航——一たび言うならば、これは純粋民間、もう一つ言うならば、日航の孫会社です。日航、日航ホテル、横浜日航ホテル、政府の何らかの金が入っているところ、それで立てかえちゃうんですから、アメリカの不払いを。もうこれはあっちもこっちもおかしいだらけですよ。こういうことがとんとんとんと進みますと、アメリカと日航ホテルとの建物と借地権譲渡したときには外務省から大蔵省に話ありましたか。
  97. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 外務省といたしましては、昭和四十二年に米国大使館あてに横浜の総領事館の敷地の賃借料の値上げを要求いたした経緯がございまするけれども、その後米側の支払いを得ておりませんので、昨年、四十七年の一月に重ねて米側に対しまして未払い分の納付方を要求しておったわけでございます。先ほど御説明申し上げましたように、その後米側からは未払い分の納付について応諾してまいっておらないままに、ただいま問題にしておられまする日航ホテルに対する借地権の譲渡の問題が出てきたというふうに承知いたしておりますけれども、その両者間の話し合いの詳細について私どもは承知いたしておりません。
  98. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) ちょっと経緯を申しますと、大蔵省といたしましてこの話を聞きましたのは昭和四十五年の九月ごろであったわけでございますが、日航ホテル側から、アメリカ領事館の借地権、これをアメリカから譲渡を受けるので、その底地を払い下げてほしい、こういった要望を受けたわけでございます。  それで私どもいろいろ実態を調査したわけでございますけれども、昭和四十六年の初めにかけましていろいろ折衝いたしました結果、この土地、すなわち借地権づきでございますので、これをアメリカ側として閉鎖するということで、それを借地権をすなわち買い取るというものが出てまいったのであります。それがまあ地方団体側の要望もあるのではないかと思いまして、その当時いろいろ調べたわけでございますが、日航ホテル側としてはその辺は話がついているということでございましたので、まあちょうど大蔵省といたしまして、あの土地は借地権づきの土地でありますし、普通の未利用地と違いまして有効に利用できない、むしろ国が必要としております公務員宿舎用地、相手側の所有しておりますところ、それと交換によって処理するほうが適当ではないかと、そういうことで実はいまから二年前、四十六年三月でございますが、大体その方針を固めまして、実はアメリカ側の参事官もたしかそのときに来まして、そういう大体承認の方針を伝えたという経緯がございます。  そういうことで、その後横浜日航ホテルとそれからアメリカ大使館と交渉があったようでございまして、四十六年の十二月一日にその建物の所有権及び土地の使用権の譲渡に関する契約が締結された。  実は私どもといたしましては、これはそういった譲渡と同時に交換処理を済ましてしまう、要するに二年前に済ましてしまうつもりであったわけでございますけれども、実は国が交換で受けます横浜市の千代崎町の土地でございますが、これにつきまして横浜市のほうで造成についていろいろ注文をつけまして、なかなか開発許可がおりない、そういった事情が起きまして、その調整に時日を費やしましていまだに済んでいないというよりも、この三月にやっと大体のめどがついたということでございまして、五月には開発許可がおりるのじゃないか。したがいまして、交換契約の締結は本年の中ごろになるのじゃないか、こういうふうに一応見込んでおります。
  99. 黒柳明

    黒柳明君 外務省が四十二年土地料の値上げについて申請して、四十七年また交渉した、この間というものは要するに無契約状態ですよ。民法によっては政府が自主的に借地権を解除できる状態ですよ。それを大蔵省はなぜ借地権つきだということで日航ホテルとアメリカと契約したのを、わざわざその国有地までくっつけてやらなければならないんですか。アメリカは現在借地権なんか持っていないじゃないですか。無契約状態のときじゃないですか。外務大臣、よろしいですね、聞いてくださいよ。前代のことは私も大目に見ていいという私は言う立場じゃありません。これは早く推進してもらいたい。これはやはり序文なんです。その次の肝心なことはそこからくるわけですよ。外務省じゃ何も知らない。外務省のほうじゃ早く借地料よこしなさいと、うまくないですよと再三にわたって交渉した、この間は無契約状態です。いいですね。借地料もらっていません。国が主体的にやれば借地料の解除もできる状態です。そのときにですよ、アメリカと日航ホテルが建物だけを契約した、それについて大蔵省が、これは建物かアメリカ総領事館のものだから、千坪の国有地も底地だから、借地権があるのだから、借地権も日航ホテルに譲渡するなんということは考えられないじゃないですか。外務大臣いかがですか。
  100. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先ほど、局長から御答弁申し上げましたとおり、敷地借用権の譲渡問題につきましては、私ども承知していませんし、したがってまた外交ルートを通じてアメリカ側と接触を持ったことはないわけでございまして、目下の段階、当事者間の話し合いが行なわれているように、ただいま伺ったわけでございます。事柄の法律的性質を解明いたしますと、黒柳さんのおっしゃるとおりだと思います。
  101. 黒柳明

    黒柳明君 これは事柄の法律的状態を解明するとおっしゃるとおりということは、これは違法ですか。まだ国有地の契約を結んでいない、もっけの幸いです。ここだけ。アメリカが建物と持っているであろうという大蔵省が判断した借地権を日航に譲渡した。まだ国有地の譲渡はしていませんですね。やっていませんね、国有地の。大蔵省と日航ホテルと国有地の契約やっていませんですね、払い下げの。やっていませんね、そこまでは。
  102. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 貸し付け契約だけでございまして、交換契約はやっておりません。
  103. 黒柳明

    黒柳明君 この段階でとめてもらいたい。いいですか、もう一回言いますよ、外務大臣。法的に、私の言うことだったら、これ違法です。もう一回言いますよ。外務省昭和四十二年、四十三年借地料の値上げを申請した。また四十六年、四十七年ですか、いま局長おっしゃったこと、再三これもらいたいと言った。この間は無償で提供していることになります、国有地を。無償で提供しちゃ本来いけない。だけど私はここまて——だから民法を適用して追っ払えということは無理であろうことは百も承知だ。だから、この点は譲るにしても、心情的にですよ、法的に譲るのじゃないです、心情的にです、私個人の。野党の議員として、国民の立場としちゃこんなこと譲れません。早く何とかしなければだめです。外務大臣すると言ったから、私その答弁で納得します。早くやってもらいたい、早くとるということですね。ところが、その無契約状態、こちらが主体的に民法を適用すれば排除もできるときに、アメリカと日航ホテルでやった。外務省しらない。大蔵省これに関与した。それで大蔵省はアメリカの建物がある、当然アメリカが借地権を持っているんだから、譲り渡すことは当然だろうと言っている。そして日航ホテルにそれを譲渡することを認めた。おかしいじゃないですか、これじゃ。譲渡することを認めてはいけないのですよ。  本来国有地というのは、たとえ借地料を払っているものでも、アメリカ大使館の敷地、イギリス大使館の敷地、外務省、大蔵省を飛び越えて、アメリカ大使館がどこかの民間業者と契約して、借地権があるから国有地を払い下げるなんということしますか、いま。そんなことやったらたいへんなことですよ。私の言う意味わかりますか。おわかりでしょう。イギリス大使館一万坪ですよ、借地権はついていますよ、イギリス大使館に。国有地ですよ。それをイギリス大使館がどこかの民間業者に、これは上物、これは大使館のもあだ、土地一万坪借地権あるから譲渡しますよといって、大蔵省これやっていいなんて言いますか、こんなこと。言いやしませんよ。ただでさえも国有地というものは、いまシビアに考えなければならないのです。ところが横浜の総領事館は外務省ですら、そういう問題が介在していて、問題にしている最中に、大蔵省がタッチして、それで借地権があると認めちゃった、みずから。それでアメリカに借地権があるから、これを払い下げると、こういう過程ですよ。これはだめなんです、そんなことやっては。幸いにしてアメリカの借地権譲渡はしました、日航ホテルに。だけれども、国有地そのものは大蔵省と日航ホテルでまだ契約結んでいません。これは大蔵省が言ったような、どこかと交換する、そんなことは二の次ですよ。  問題はこの日本とアメリカとの借地料の問題、さらにそれに付随して日航ホテルの言いなりになっちゃっているんですよ。このあといろいろな問題がありますけれども、いまこの程度です。日航ホテルの言いなりですよ、大蔵省は。それには当然外務省が介在している問題ですよ。どうでしょう、外務大臣。これはすぐこの日航ホテルの払い下げを解除して、国有地を譲り渡すこと、これやめなきゃだめですね、この問題は。外務大臣、どうですか。時間がなくなっちゃう。そこまで私の言ったことを法的にそのとおりだとおっしゃったら、これはそれにやらざるを得ないのです。
  104. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 事は国有財産の問題で大蔵省の問題ではございますけれども、外交関係がからんだ問題でもございまして、いま先生の解明されました問題点をよく踏まえて、どのように処置したらいいか、大蔵省ともよく協議させていただきたいと思います。
  105. 黒柳明

    黒柳明君 私はこの問題は先行しちゃって、もうすでに国会でも論議になっているんです。解明できないのです。ポイントがはずれたと、私に言わせればそういう問題だったのです、そのときの質疑は。それで私はここでいままでの状態ですと、どんどん進んじゃっているわけですよ。しかもアメリカ総領事館どこに行きますか。これはどこの省ですか、外務省ですかね。この山下町からいなくなる予定のアメリカ総領事館、永久にいなくなりますか、どうなりますか。大蔵省。
  106. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 私、詳しいことは知りませんが、横浜日航ホテルとアメリカとの間の契約によりますと、あと地につくります建物の一階の一室約三十坪を横浜日航ホテルがアメリカ側に無償で提供する、そういう契約になっているわけでございます。
  107. 黒柳明

    黒柳明君 大問題じゃないですか、外務大臣。アメリカ総領事館はそこから出ちゃうのじやないのです。そこにいるまま日航ホテルが建てたその一階の一番上等なところを無償で提供してもらう。貴重な国有地がそのため使われる。これは大問題じゃないですか、こうなったら。借地料も払ってない、それに対して無契約状態で、外務省は頭を痛めていた。もし外務省が主体的にやれば、これは民法で借地料、民法に基づいてやっているんです、国内法で。解除もできる。その間に大蔵省が総領事館に借地権があるとみずから認めちゃった。ないのです。借地権はブランクの状態です。無契約状態。そうして日航ホテルとアメリカ総領事館との中に介在して借地権も含めて日航ホテルに譲渡すること、けっこうだ、こう言っちゃった。ところが、その総領事館がまた日航ホテルに入ってくるんですよ。そうすると、どうなんですか。いままでは曲がりなりにも千坪の国有地が確保できた。山下町の一等地ですよ。曲がりなりにも貴重な国有地です。たとえ借地料はとれなかったとしても、国有地。ところが、今度は国有地が日航ホテルのものになっちゃうのです。しかし、その日航ホテルの中にまた総領事館が入ってくるのですよ、無償で。完全にぐるじゃないですか。大蔵省、日航ホテル、アメリカも当然かんでいましょうね。アメリカは私は人がいいからぐるじゃないと思いますよ。ぐるは大蔵省と日航ホテル。アメリカの人は人がいいですからね、大臣も知ってのとおりだ。だまされたのかもわからない。あるいはアメリカだって人が悪いのが二人か三人いるでしょう、それが介在しているかわからない。それは何もそんなことを探偵するのが私の趣味でもありません、本意でもありません。あくまでも法的にうまくないことはうまくないのだ。まして国有地の問題。まして外務省が頭を悩ませていましてね、私は百歩譲って、総領事館がどこかへ行くならまだまだと思ったんですよ。同じ日航ホテルの中に無償で入ってくる。何のため国有地を日航ホテルに払い下げちゃうのですか。よろしいですか、外務大臣。日航ホテルの中に入っちゃう。
  108. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 実は大蔵省はいま私申し上げましたのは、アメリカ側と横浜日航ホテルが契約を締契しましたあとにおきまして、その契約の条文を見た結果わかったことでございまして、領事館が移りましてあと、その契約にそういうようにございますけれども、領事館が戻ってくるかどうか、その内容につきまして実は調査したいと思っているわけでございますが、その実態が実はわからなくて困っているわけでございます。それが一つ。  それからもう一つ申し上げたいのは、借地権の問題でございますが、これは昭和十七年以来、戦前は貸し付け料を取って貸し付けていたわけでございますので、法務省その他民間の学者ともこの問題につきまして相談したわけでございますが、やはりこれは、借料の未払いは未払いであって、借地権は存在すると解せざるを得ないと、こういうような見解がございましたものですから、そこでまあ借地権は認めると。ただ、借地権譲渡と同時に私どもは交換処理をいたしまして、アメリカ側に強く要求いたしまして、未払いの貸し付け料をその段階において取ってしまおうと考えたわけでございますけれども、実は先ほど申しましたような事情で、思いのほかに調整に手間どりまして、なかなかその処理がうまくできなかったというような状況でございまして、おっしゃるとおり、私どもできましたならばアメリカ側から取りたいと、かように考えております。
  109. 黒柳明

    黒柳明君 一番初めの段階は借地料の問題だった。もうこの段階は国有地の問題になっているのです。日米間の国有地問題です。それが日航ホテルに何も漁夫の利をまんまと得さしめることないんです。  それで、一番初めにおっしゃった、大蔵省は契約を終わったあとに払ったんだと、それならそれでいいですよ、私善意に解して。じゃ、やめちゃいなさいよ。契約終わったあとに来たならば、外務大臣、アメリカが日航ホテルと契約したんだ、これはうまくないよ、国有地を日航ホテルに払い下げることはうまくないんだ、いまは。国有地の問題は御存じのように、国民が注目してるんだと。まして山下町はあれはうまくないと、あまりに目立ち過ぎると。もっと、元町のまん中あたりならいいですけれども、山下町はあまりにも目立ち過ぎます。しかも先ほど大蔵省がおっしゃったあとのことを調査していると、これはちゃんと出ていますよ。在日米合衆国総領事関係各位七二年二月九日ですね、ホテルが建ったらその一階に来ますよとちゃんと出ていますね。一階来るかどうか調べているって、ちゃんと来るんです、間違いない、これは。来るんです。そうでしょう。ですからこういう問題を、もし、先ほど言ったことを善意に解して、アメリカと日航ホテルで契約しちゃった。そのあと大蔵省が知った。外務省は全然知らない。知ったならばそのときでノーと言うべきですよ。これはあんた方、たとえ一〇〇%借地権があったとしてもですよ、またこれも譲歩しますよ、私——としたってうまくないですよ、これは。アメリカと日航がやったからといったって、それじゃアメリカ大使館の土地、そうやって許しますか、外務大臣。アメリカ大使館の土地をアメリカ大使館がどこかの業者に譲渡しますよったって、許しますか。ちょっとそれは待てよと、こう言わざるを得ないんじゃないですか。またそんな非常識なこともしませんよ、常識的に考えて。イギリス大使館、オランダ大使館の土地を、いいですか、外務省を越えてある民間業者に借地権を譲渡する、こんなことをさせますか、イエスと。常識的にしないと同時に、そんなことはさせないと思いますよ。まずしないでしょう、常識的に。  なぜここはこうしたかというと、日航ホテルがからんでおるわけです、日航ホテルが。ましてアメリカが払うべきものを日航ホテルが立てかえるなんて、こんなばかなことも考えられないじゃないですか。アメリカの分をなぜ日航ホテルは肩がわりするんですか。日航といったら政府の出資機関ですよ。政府が自分が取り上げる借地料を取らないで、ある意味の機関にフォローしている。そんなばかな借地料の払い込みなんかないじゃないですか。また大蔵省があとに知ったら、それはもう破棄すべきですよ。あるいはその場で外務省と相談してすぐ政府が関与すべきですよ、うまくないと、これは。どうですか、外務大臣。もうこれは外務大臣の政治的決断にまつよりほかありません。このままもし日航ホテルに譲渡して、土地を大蔵省が契約したら、私はこれは徹底的にこの次の、二弾やりますよ、外務大臣。にっちもさっちもいかなくなりますよ。外務大臣、法的には私のおっしゃるとおりだと言ったことは、これを破棄しなきゃだめだという結論なんです。これをどう検討するのかわかりません。いま言ったことがすべてだ。ここで私は外務大臣の政治的な結論をもらいたい。というのは、なぜかなら、この問題は国会でたびたび取り上げられている。すれ違いです。だから私は、ここで最後にこの問題を処理しないと、間もなく貴重な国有財産が払い下げられちゃうんですよ、日航ホテルに。そこにまた総領事館が来るんですよ。いままでは国のものだったのが日航ホテルのものになっちゃうんですよ、安い値段で。そこまでいくとこれはたいへんだ。ちょっと一時間の間じゃできません。そこまでは触れないつもりです、私は。そこまで触れたらこんなになりますよ。  外務大臣、ここでほんとうに政治的決断をしてください、やめるという、日航ホテルには。そのためには外務大臣がアメリカに交渉するんです、うまくないと、これは。大蔵省の判断も間違っている。どうでしょう。
  110. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま指摘された問題は、外交関係、法律関係、まあ国有財産の管理の問題等、いろいろからみがある問題だと承知いたします。したがいまして、私に決断を求められたわけでございますけれども、こういう案件を公正に解決しなければならぬことは当然の政治的責任だと思いますが、ただいまこの時点で私のお答えできますことは、大蔵省はじめ政府の関係者と鋭意早急に協議を遂げまして、いま御提起された問題の公正な解決をどうしたらいいかということを検討する時間的な余裕をしばらく与えていただきたいと思います。
  111. 黒柳明

    黒柳明君 公正というのはどことどこに対しての公正ということですか。
  112. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま申しましたように、外交関係がからんだ問題である。しかし、冷厳な法律関係から、あなたが解明されたとおりの問題であると思いまするし、同時に国有財産の管理がどうあるべきかということが問われている問題でもあろうと思いますので、そういった各般の問題点を念頭に置きまして妥当な解決ということを探求してみなければならぬと思うのでありまして、しばらく時間の余裕を与えていただきたいと思います。
  113. 黒柳明

    黒柳明君 これは日本政府とアメリカと日航と、まあしいて言えば外務省と大蔵省でしょうな。外務省はタッチできなかった、していなかった、むしろですね。大蔵省がタッチしてきた。このタッチしたことにどこに問題があるかというと、外務省が借地料というものを取らなきゃならないというアクションを起こしている最中、無契約状態のときに、大蔵省が総領事館には借地権があるという大前提に立って日航ホテルに譲渡を許可した。やがて国有地まで正式に日航ホテルに払い下げようとする。本来国有地を民間に払い下げることはもうだめなんです。これはいいでしょうね、外務大臣。所管違ったって、このぐらいのことはもう百も承知だと思うのです。国有地は民間に払い下げない、厳重な通達なり閣議了解なり、何回もこれ繰り返しされていることですね。民間に本来払い下げること自体がおかしいんですよ。民間です、明らかに。ところがその国有地がいままで国会で論議されているうちに、譲渡された借地権が、やがてその貴重な国有地が日航ホテルに正式に払い渡しになる可能性が一〇〇%あるんです。そういうときで、公平にと言ったってどこにも公平にということはあたらないんです。ただ、日航ホテルという、大蔵省が借地権があると認めた、それで譲渡を許可したこの日航ホテルに対して、外務大臣、アメリカと日本政府と正式に、この国有地はこれは払い下げうまくないよと、おまえたちは借地料だって払ってないじゃないかと、国内法ではおれたちはあんたたちを排除もできるんだと、こういうことを言って、そしてこの大蔵省の判断というものに対して、間違っていた、それで日航ホテルに対しての譲渡というものを間違いだよとアメリカに言う。それを外務大臣がやる。外務省でやる。時間的余裕、公平ということは、そのことをやっていただけますか。説得しなきゃだめです。話し合いなんかだめです。大蔵省だって話し合いに応じられないのですよ。アメリカの言ったことを、失礼ですけれども、大蔵省とアメリカと、全部日航に払い下げることを大前提に話が進んじゃっているんですから。それに今度は厳密に外務省がタッチして、そしてこれはだめなんだよと、今度は外交ルートで正式にアメリカにきちっと言っていく。これしかないんじゃないですか。そしたらどこにも公平になんて——公平になるところないんです。公平になんていうのは、やっぱり二つ、三つ関係者があって、そのどっちか利害関係があって公平にというのです。損得なんか何にもありません。ただ、日航が全面的に得するという条件しかないのです。外務大臣が外交的ルートを通じてアメリカ大使館にこれを厳重に言うと、こういうことですか。こういうことでよろしいですか。
  114. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 非常に大事な問題でございますので、とっさの判断を求められて、誤ってはなりませんので、大蔵省側と私どものほうで早急に検討させていただきまして、妥当な措置をとらなければならぬと思います。ちょっと時間をかしていただきたいと思います。
  115. 黒柳明

    黒柳明君 まだ九分ぐらいありますね、私の持ち時間。妥当——けっこうです。先ほど言った借地料を何とかする——けっこうです。この問題はたびたび取り上げられてるから、私は——いつもこんなことをやらないのです、時間があったってぱっとやめちゃうんです、私はあっさりしてますから。ですけれども、きょうはそういうわけにいかないのです。また、このままずるずるになったら、大蔵省の判断が先行しちゃいますよ。日航だけですよ、もうかるのは。いいですか。総領事館がのく、のかないの問題は別です。国有地であったところが、国有地でなくなって日航ホテルのものになっちゃって、その日航ホテルの建物の中にまた総領事館が入ってくる、しかも無償だと。こんなばかなことは、これは常識だって——。  まず、それじゃ聞きましょう。これおかしいと思いますか、思いませんか、このシステムは。いまのこと、おかしいでしょう。おかしくないと言いますか。イエスかノーか言ってください。どうもこの合理的時間と公平とか——いつもなら私、引き下がりますけれども、きょうはちょっと引き下がれません、これじゃ。これおかしいと思うか、思わないか。
  116. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ざっくばらんに申しまして、私も本件につきましては、この席で初めて伺ったわけでございます。したがいまして、あなたのおっしゃることを疑うわけでは決してないのです。あなたの指摘された問題点、よく念には念を入れて事態を究明しまして……。
  117. 黒柳明

    黒柳明君 いまの点、おかしいと思いますか、思いませんか、このシステム。
  118. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) その限りにおきまして、問題がないと言えないと思います。思いますが、一ぺんこれ大蔵省側とじっくり相談させていただきまして——だらだらするつもりは毛頭ないわけでございます。ちょっと時間をかしていただきたいと思います。
  119. 黒柳明

    黒柳明君 これはですね、大蔵省、この問題が提起されたのはいつですか、国会で。
  120. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 昨年の五月九日の参議院の地方行政委員会で和田静夫先生から御指摘を受けております。
  121. 黒柳明

    黒柳明君 その一年間のブランクが今日まで発展したんです。これは私、大臣の言うことを信頼したいですよ。こんなに時間を置くつもりはない。この一年間のブランクが今日のところまでずるずるずるつときちゃったんですよ。それで、時間かした、いや、これはやっぱりアメリカの言うなりに、となったら、これは何のための——私たち野党が一生懸命国有財産を守ろうと、そういうおかしなやり方は排除しなきゃなんないと一生懸命やったからといって、いや、時間かして、時間かしてで、その間ずるずるきちゃったじゃないですか、この一年間。だから私、執拗に食い下がっているのです、言うんです。国有地であったところが国有地じゃなくなろうとしているのです、間もなく。その国有地でなくなったところに日航ホテルが建って、そこに再びアメリカ総領事館が入る、無償で、なんていうことはどう考えたって、その限りでは問題がなしとはしないという答弁じゃ、私はちょっと納得できない。おかしいでしょう、これ。
  122. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 委員長
  123. 黒柳明

    黒柳明君 いや、外務大臣。
  124. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) きょう先生の問題の問題点をいろいろ指摘されましたが、そのことは十分私は伺いました。それで、それを踏まえた上で大蔵省側と早急に協議を遂げさしていただいて、妥当な解決をはかるように最善の努力をいたしたいと思いますが、重ねて恐縮でございますけれども、しばらく時間をかしていただきたい。
  125. 黒柳明

    黒柳明君 まあ、妥当な解決ということは、国有地の払い下げがないということもあり得ますね。ないということが私は望ましいというのですよ。そのことも十二分に念頭において、そのない可能性も当然あり得ますね。これが解除されることもあり得ますね。アメリカと日航ホテルとの借地権の譲渡、これが解除される。当然そうなれば国有地の正式な払い下げはなくなる。この可能性も一十二分にあると理解していいですか。
  126. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 御主張をまじえてのあなたの問題点の御指摘は、十分念頭におきまして早急に検討をさしていただきます。
  127. 黒柳明

    黒柳明君 まあ、ちょっと、これでは、何のためにこれだけの資料を集めて、これだけの裏づけとって、重ねて重ねて国会で質疑するか。いま初めてお聞きになった。そうかもわからない。そうなると、当局が外務大臣にこの質問要旨というものを知らせないのは——通告したのですよ。そのために通告するのですから。そうでしょう。ぽんとここでする質問じゃないわけですよ。通告するのですよ。何のために通告するのですか。通告しますと、私の了解だと、政府委員の方が、大臣にメモ書かなければならないので内容を教えてくださいと一生懸命頼みに来ますよ、たいてい私のところに。そのために通告するのじゃないですか。この場で初めて耳にしたと——まあ、先般の国会でやったことを知らなかったかもしれない。きょうの質問はちゃんと通告してあるのですよ。これもまた、きょう私は、ここの場ですから、何にも知りませんで、ここで何ともわかりませんなんということですと、これまたこの次だって、同じことを繰り返されたってしょうがないのじゃないですかね、外務大臣。またこの次時間をおいてやった。そのときは、いや、これは何ともいたしかたがありませんで、払い下げましたと言ったって、これはもうどうしようもないことじゃないですか。通告したのです。通告というものは、外務省に対しては今後要はないですか、一切、それじゃ。こういう問題をやると、外務大臣はそれに対していつも受けないですか。そうすると、これから私はもう一切通告というものは不要ですか、政府機関に対しては。いま初めて外務大臣がお聞きになったということは、このことは、聞いていない、勉強していない、初めてだと、こういう論法ですか。
  128. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうことではないのであります。各国会の委員会におきましてどういう御質疑があらまし予想されるかということにつきましては、前日または当日の早朝御連絡をいただくことになっておりまして、あなたの御質疑につきましてもゆうべ、夜連絡を受けたわけでございます。私がこの場で直ちに聞いたと申し上げたことは間違いでございまして、あなたのお話を初めてこの委員会で聞いたという意味でございまして、(笑声)連絡は事前に受けておったことは事実でございます。それから、これはまあ黒柳さん、やっぱり私を御信頼いただきまして、私も逃げかくれいたしませんから……。(笑声)
  129. 黒柳明

    黒柳明君 それは逃げられませんよ、天下の外務大臣だから。
  130. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま大蔵省側と鋭意協議して、あなたの御指摘になりました問題点を十分踏まえて協議してまいりますので、ちょっと時間をかしていただきたいという意味でございまして、私の希望を何とかお認めいただきたいと思います。
  131. 黒柳明

    黒柳明君 あと一分ありますから……。  じゃ、最後に一つ提案をしますよ。私はここで初めてじゃないんです、国会で。社会党の先生もこの問題に触れて相当やったんです。私もそれを受け継いでいまやっているつもりです。何とかしなければならぬ。もう疑惑だらけです。そのあとの交換問題にくるともっともっと複雑で疑惑だらけ。時間がないから触れないだけのものであって、もっとこれは問題点を内在していることもひとつ頭に入れてください。  最後に私、あまりはっきりしないので、一つだけ聞きましょう。時間をかしてもらいたい、公平に、すぐやると、一番初めの問題。それじゃ、めどとしていつまでにこれを解決して結論を出すか、それだけぐらいのことはきちっとやっぱりここで答弁していただかないと、ちょっと問題が大き過ぎますよ。それじゃいつまで。この問題をはっきり答弁してください。めど。一応のめどを言ってくださいよ。外務大臣、もうこれは外務大臣の政治的判断です。外交ルートでやっぱり交渉するよりほかないです。一応どのどらいまでのめどを判断しますか。
  132. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) なるべく早くやりたいと思いますが、——なるべく早くと申し上げますと、またおしかりを受けるかもしれません。(笑声)事国会でございますので、もしきょう何月何日とお約束申し上げて、一日でも狂いますとたいへん非礼なことになりますので、精一ぱいなるべく早くやりますということで、ひとつ御信頼いただきたいと思います。
  133. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) ちょっと一言。実は昨年、和田先生から御指摘を受けまして漫然としていたわけじゃございませんで、いろいろと折働いたしまして、県、市が県民ホールにこの地を要望したという問題ございますので、その辺は県民ホールの用地は国有地を渡しまして、県、市の関係は円満に処理しておりますし、またもう一つは日照権の問題。高さ制限につきましても、最初二十何階というのを十何階に制限するとかあるいはこの問題を大体国有財産地方審議会に付議してないのはいかぬじゃないかという問題につきましても、さっそくその一ヵ月後に地方審議会にはかって処理しております。  それから、大蔵省だけで処理したとおっしゃるようでございますが、私どもはこの方針をいまから二年前でございますが、私の赴任する前でございますが、そのときに決定いたしましたときも外務省に十分お話ししているわけで、ございます。
  134. 黒柳明

    黒柳明君 すいません。もう二、三分。  アメリカ局長外務省知っていると言うんです。知らない、これはおかしいですよね。どうですか、もう全然食い違う。  それからもう一つは、私は県と市と横浜とどう交換したとか、こんなこと問題にしておりません。一言も触れないでしょう、そんなこと。和田先生が、国有財産の審議会でかけた云々。私はそんなこと触れてないでしょう。そこにいくと、さらに問題が介在する。きょうは時間がないからやらないとわざわざ断わっているでしょう。大蔵省何にもやってない。いや、これやっていますよ。私のきょうの問題のテーマはそれとは違う。そのことはもう社会党の先生がある程度解明しているんです。答弁も読んでいます。そのことと別のことで問題点をきょう提起したわけです。ですから、いま大蔵省、いや、内容いいよと、外務大臣おっしゃった、そのとおりなんです。そんなことは触れていません。そうなると、外務省だってこれ知ってたことになるじゃないですか。まあそこまでやると、またこの次時間なくなります。非常におかしいですよ、これ。
  135. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) まず、横浜の総領事館の敷地の問題につきましては、一体米側が借地権を持っているのかどうかというところから始まらなければいけないと存じますけれども、外務省の記録によりますと、先ほど大蔵省御答弁ございましたように、明治二年にそもそも六百二十七坪の土地を米国総領事館に貸し付けたわけでございますけれども、その後、昭和三年にこれを同じ山下町の二十番地のとこへ九百六十三坪の土地を交換というかっこうで米側に借地権を認めたわけでございまして、借地権そのものを米側が持っており、所有権は国有財産として日本政府にあるということにつきましては、当初から何の疑いもない前提でこの話が起きているわけであります。  そこで、この横浜にありますアメリカの総領事館が米国の国内事情によりまして閉鎖という問題になりまして、米国は横浜に前の、戦前からありました横浜の総領事館を閉鎖いたしまして、東京におきまする総領事が事務所を横浜に持っておるというかっこうで領事事務を営んできておるわけでございますけれども、ただいま申し上げました借地権を持っているアメリカの横浜の総領事館が総領事館の閉鎖に伴いましてこの敷地をどうするかという問題が生じてきたということであるわけでございまして、そうしますと、借地権を持っておりましたアメリカの横浜の旧総領事館がこれをどういうふうに処理するかという問題が出てくるわけでございまして、その観点におきまして、大蔵省からその段階におきまして当然外務省も相談を受けたわけであります。
  136. 黒柳明

    黒柳明君 すみません、もう一問だけ。長くなりますし、ほかの先生に御迷惑かけます。  要するに、知ってるとか知らないとか、なすり合いなんか必要ないんですよ、この際ですから。この際私この次またやります、いまの外務大臣の御答弁をいただいて。そのあとがまた複雑なことががたがた出てくるんです。要するに、日航ホテルというのは、先ほどから言いますように、日航ホテル、横浜の、日航の孫会社です。ある程度政府が出資している会社です。その会社がアメリカが払うべき借地料を払うなんて、そんなばかなことは考えられないですよ。肩がわりして、そしてそれがアメリカの借地料を払ったことにするなんて。しかもこれは等価交換ということで、そこに問題がある。さらに、日航の株主だれですか。どうなると思いますか、この国有地は。そういうようなことになりますと、これは問題がだんだん起こってくるんですよ。もっともっと非常にこれはおかしい、こういう疑惑がある。きょうはもうこれで六分過ぎました。ですから、ひとつ外務大臣、この次はそういうこともきちっと勉強していただいて、いろんな問題があるんだと、いまのところだけじゃありません。そして、ひとついまの問題だけについて外務省も知ってたわけです。おれは知らない——大蔵省、だからちょっとおこっていらっしゃる。そういうことも含めて、ひとつできる、だけ早く出して、そしてそれをまた引き続いてひとつ外務大臣またここでやりましょう、ひとつ一生懸命に。(笑声)すみません、委員長、長くなりまして。
  137. 塚田大願

    塚田大願君 私は、きょうはベトナムに対する経済援助の問題について質問したいと思うのであります。その前に、まずベトナムに対する政府の基本的な姿勢について一、二お伺いしたいと思うんです。  最初に、ベトナム協定の問題でございますが、ベトナム協定は、南ベトナムにおける現実の状態といたしまして、二つの政府、二つの軍隊、二つの支配地域が存在するということをあのベトナム協定第三条において認めておりますが、政府もどの協定に対しましては国会答弁を通じてこれをはっきりと認められておると思います。これは当然のことだと思いますか、したがって、そういう立場で日本政府はそれにふさわしく臨時革命政府の存在というものを尊重して、その政府の代表及びその政府の統治下の人民、人々の、国民の入国保障を含めまして何らかの形で国交関係を持つのが当然ではないかと思うのでありますが、それについての御所見を伺いたいと思うのです。
  138. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、長くかかりました不幸なベトナムの紛争は、パリ協定の締結という姿におきまして一応の収拾ができましたことを私どもは歓迎し、そしてこの和平協定なるものが各当事国によって順守され、当事者によって順守され、関係国がこれを尊重、協力いたしまして着実に実行されて、かの地に平和が定落することを願っておるものであります。したがって、日本政府といたしましてもベトナムに対する政策といたしまして、この和平協定をベースにいたしまして考えてまいる、進めてまいるということをたびたび声明いたしておりますことは御指摘のとおりでございます。  そこで、いま御指摘の、南ベトナムにおける臨時革命政府の問題でございますが、この臨時革命政府がこの大事な和平協定の四つの当事者の一つであるということは隠れもない事実でございます。したがって、そういう存在であるということは十分認めますが、わが国とこの南ベトナム臨時革命政府との間の関係をどのように取り結ぶかということにつきましては、パリ協定自体は何ら触れられていない問題でございます。外交関係は、各国の状況を見ておりましても、塚田さんも一御承知のとおり、南ベトナム政府、南ベトナム臨時革命政府、北越の政府、それぞれその国の好むところによって外交関係が設定されておるわけでございます。  日本の態度といたしましては、従来サイゴン政府なるものを認め、それと外交関係を設定いたしておりますので、南ベトナムにおいてもう一つ存在いたしまする南ベトナム臨時革命政府というものをわが国はこれを承認し、あるいはこれと外交関係を設定するつもりはないということをたびたびこれもまた国会を通じて明らかにいたしておるわけでございます。ただ、ベトナム和平協定は順守されなければならない、これは尊重されねばならぬわけでございまして、その当事国の、当事者の一つとして臨時革命政府というものが存在することもよく承知いたしておるわけでございますので、私どもとしては、南ベトナムにおきましてこのサイゴンと臨時革命政府両方の両当事者が和平協定の精神に沿いまして和解を進めてまいって、来たるべき南ベトナムの政治形態というものを両者の協力に第三勢力が加わってつくり上げていかれることを望んでおるわけでございます。そういう関係の進展を見ながら、この和平協定の当事者としての臨時革命政府に対しましてどのように取り組んでいったらいいか、これはいろいろな問題、援助問題、入国問題等いろいろ出てくると思いますけれども、そういう問題の処理にあたりましては、和平協定を踏まえた上で南ベトナムにおける両当事者の和解の状況を見ながら処理してまいりたいと存じております。
  139. 塚田大願

    塚田大願君 この問題は外交問題といたしまして今日非常に重要な問題で、外務委員会におきましても論議が煮詰められておるところだと思いますから、私はこの問題できょう時間をつぶそうと思っておらないのです。そこで一応政府の見解をお尋ねしたわけですが、もう一つお聞きしたいのは、大臣も一御承知だと思うんですが、日本民主青年同盟及び全学連それから全建労青年部などが招待しておりましたいわゆる南ベトナム解放区の青年代表二人の入国問題であります。この問題につきましては、政府としては時期尚早とかいう理由で拒否されておるわけでありますけれども、ベトナム協定を尊重する立場から考えるならば、やはりすみやかに入国を認めるべきではないかと考えます。もちろんこの入国の問題は法務省の所管でございましょうが、しかし外務省の意見というものも非常に重要であることはこれは常識でございますので、やはり外務省としてはこの問題に対して積極的な態度をとるべきではないかと私も考えるわけですが、この点ではどうでしょうか。
  140. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように入国管理は法務省の御管轄でございますが、法務省のほうから御指摘の案件につきまして御協議を受けたわけでございます。私どもといたしましては、現時点の判断といたしまして、北越の代表については支障はないと判断いたしましたけれども、南ベトナム解放青年同盟二名につきましてはまだ時期尚早ではないかということで、この段階におきましては不許可にお願いしたいということにいたしておるわけでございます。
  141. 塚田大願

    塚田大願君 この問題も私そんなに論議するつもりはないんです、大臣。ただ時期尚早というのはどういうことでございましょうか。どうもわれわれにはよくわからない。パリ協定も成立して、いま和解の話し合いも進んでおる、こういう時点でございますから、あの戦争状態の時代とは全くもう違ってきておる。したがって、何が一体時期尚早なのかという点について、ひとつ大臣のもっと積極的な解明をいただきたいと思います。
  142. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 南ベトナムにおきましては二つの政府が和平協定の当事者になっておるということ、そうしてこの二つの当事者が第三勢力も加えて和平協議会をつくりまして、今後の南ベトナムの将来のブループリントを実現に移していこうという約束になっておるわけでございます。そうだとすれば、この南ベトナムにおける両当事者の間で和解の実があがってまいりますならば日本としては何も文句はないのであります。いまパリにおきましても接触が行なわれておるように聞いておりますけれども、その状況をもう少し私どもとして見させていただきたいということでございます。和平協定を尊重するがゆえにそのように考えておるわけでございます。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  143. 塚田大願

    塚田大願君 まあこの問題はこれからもいろいろ外務省との話し合い、交渉、あるいは論議をしていきたいと思いますので、きょうはこの問題につきましては一応打ち切ります。  で、いよいよ本題に入るわけですが、最初に申しましたように、私はベトナムにおける経済協力の問題をきょうはお聞きするわけでありますが、例の難民救援という問題でございます。外務省は人道的見地と称しまして、いままでベトナム、カンボジア両国に対しましては難民救援緊急援助という名目で日本赤十字社に対しまして救援物資購入費を補助してこられました。この補助の経費でございますけれども昭和四十五年、四十六年、四十七年の各年度別に一般会計予備費から使用されておりますが、その予備費使用の概要ですね、をお聞きしたい。ただし時間がございませんから、きょうは簡潔にひとつ説明していただきまして、詳しい資料は追ってまた出していただきたいと思います。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
  144. 菊地清明

    説明員(菊地清明君) 難民救済のために支出されました予備費の使用状況をごく簡単に項目だけ申し上げます。  昭和四十七年度の予備費から三億円、これは南ベトナムの赤十字社から日本赤十字社に対しまして要請がありましたのでこたえたものでございます。第二は、国際赤十字のインドシナ救援グループというものがございますけれども、これはごく最近、昭和四十七年度の予備費から五億円を支出いたしております。
  145. 塚田大願

    塚田大願君 この予備費の使用が決定された時期、この問題でございますけれども、この予備費がきめられた時期というものを見てみますと、非常にベトナムにおける戦時的な、軍事的な問題、素因との関係が非常に深いんではないかということを私どもは考えるわけです。この難民救援補助金の支出時期がベトナムにおけるアメリカの戦略的な敗北と作戦転換、その時期といつも軌を一にしておる。しかし、考えてみますと、そもそもが難民救済というのはたいへん美しいことですけれども、その実態というものはどっちかというと住民をアメリカの占領区の収容所に強制的に収容する、そして解放戦線と住民とを隔離する、そういうのが、そういう一つの手段として難民救済というものが行なわれてきたわけであります。したがいましてそういう点から見ますと、たとえば三十九年度にベトナム救援が二件ございます、この難民救援の補助の支出が。それから四十五年度におきましては三件ございます。以後一年に一件ずつ出ておると思うのですが、この実態を見ましても、やはり名目は難民救済でございますけれども、予備費と、この現地における軍事的な戦略的な素因とが非常に深いかかわり合いを持っているというふうに考えられます。  そこで一つの疑問があるわけでございますが、なぜこういつも符合が一致するのかということです。そこで疑問として生まれますのは、このベトナムにおきます駐在武官、駐在武官がおるはずですけれども、この駐在武官というのは一体どういう役割り、任務を持っておられるのか。またこの駐在武官——駐在の外交官というのは、この本件予備費使用の閣議決定と職務上どんな関係にあったのか、その点防衛庁外務省にお伺いしたいと思います。
  146. 鹿取泰衛

    政府委員(鹿取泰衛君) ベトナムには防衛駐在官が一人駐在しておりますけれども、資格といたしましては通常の外務公務員でございまして、一等書記官でございます。同時に外務省の公の名称ということで防衛駐在官という名称を持っております。しかしこれは通常の外交要務、ベトナムにおける政治経済情勢の把握その他の通常の要務をしているわけでございまして、一先生先ほど御指摘のありました予備費の支出とは全然関係ございません。
  147. 高瀬忠雄

    政府委員(高瀬忠雄君) いま外務省のほうから御説明がございましたけれども、防衛庁からは防衛駐在官一名、外務省の職員の身分と同時に、兼ねて自衛隊の自衛官の身分を持って防衛駐在官として一名派遣されております。
  148. 塚田大願

    塚田大願君 まあいいでしょう。どうせそんなことがここで具体的に話が出るわけもないと思っておるわけですが、私どもはやはりそういう戦略的な大きな転換の時期、アメリカのですよ、それとこの難民救済の援助費がいつも非常に深い関係を持っているという点につきまして、やはり防衛庁が何も関係してないというふうには考えていないわけであります。この点も追って煮詰めていきたいと思います。  次に難民救済救援物資の支給状況の問題であります。この点につきまして、まず一ぺんに質問を出しておきますから、これをひとつ答えていただきたいと思います。  一つは、日本赤十字社の救援物資の現地における支給者はだれかということであります。日本から支給された物資がだれによって支給されるのか、あるいは南ベトナム赤十字社だと言われるかもしれませんが、けっこうです、その点をはっきり言っていただきたい。  二番目には、現地赤十字社の救援活動の根拠地というのはどこにあるのか。占領区かあるいは解放区なのか、どっちにその救援活動の本拠地があるのか。この点は協定発効前と協定発効後についてひとつお知らせ願いたい。  それから三番目は、外務省の経済開発特別援助費によりまして、四十五年度を初年度といたしまして南ベトナムにチョーライ病院というのが改築工事をやっておりますけれども、この改築されておるチョーライ病院、現地のこの病院を現地の赤十字社が難民救済活動の根拠地として使用しているのではないか、使用しているのかどうかという問題です。  それから四番目には、現地赤十字社が救援物資の支給場所として、占領区と解放区の両方を公平にやっておられるのかどうかということです。この四点につきまして、まず一括して説明をお願いしたいと思います。
  149. 菊地清明

    説明員(菊地清明君) まず第一点の支給先でございますけれども、仰せのとおり、南ベトナム赤十字社でございます。  それから、実際支給される場所は南ベトナム各地にございます難民収容所で、これは去年の六月十六日現在の数字でございますけれども、全国に三百五十一ヵ所ございます。これに対しまして、ベトナム赤十字社がこういった支部を通じまして支給しているということでございます。  第三点のチョーライ病院の件でございますけれども、チョーライ病院はまだ完成しておりませんし、また診療開始をいたしておりませんけれども、ねらいといたしましては難民に限らず一般の民衆でございます。いわゆる施療病院といたしまして、広く民衆に開放されるということでございます。  それから第四点の、救済物資がどこに置いてあるかと、チョーライに置いてないかということでございますけれども、これはそういった事実はございません。
  150. 塚田大願

    塚田大願君 支給場所は……。
  151. 菊地清明

    説明員(菊地清明君) 先ほどお答えしたと思いますけれども、全国三百五十一ヵ所の難民収容所で支給いたしております。
  152. 塚田大願

    塚田大願君 それだったら、根拠地を四つ聞いたんだから四つ答えて下さい。
  153. 中江要介

    説明員(中江要介君) 南ベトナムの赤十字社の根拠地でございますが、サイゴンに中央センターがございまして地方に十二ヵ所ございます。ダナン、ユエ、クイニョン、プレーク、 コンツム、ヴィンズオン、ビンロン、フォク・トゥイ、ヴィンロン、ヴィンヴィン、カントー、チャクドク、これは先ほど先生の御質問のありました。パリ協定以前の根拠地でございまして、パリ協定ができましてから南ベトナムの赤十字社がこの根拠地をどういうふうに拡大したかという点については、私どもまだ情報を持っておりません。
  154. 塚田大願

    塚田大願君 大体見当はつきましたが、いま一番大切なことは、この日本赤十字社から送られました難民救援物資が、臨時革命政府の支配地域とサイゴン政府支配地域の両方に公平に支給されているかどうかという問題だと思うんです、一番大きな問題は。ところがですね、この日赤からの救援物資がこの二つの政権の支配地域の住民に公平に支給されていないというこの疑いが非常に濃い。しかも、臨時革命政府の支配地域の住民には全く支給されてないと考えられるわけで、この点につきましては外務省は情報を持っておりますか。
  155. 中江要介

    説明員(中江要介君) パリ協定ができますまでは戦争が続いておりましたために、南ベトナムの赤十字社の救援活動にも制限がございました。したがいまして、一般的に人道的見地からする援助とは言いながら、その目的を十分に達し得なかった部分はこれはやむを得なかったんではないかと私どもは思っております。ただ、北ベトナムに対する援助が間接的に南ベトナムの解放地区に及んだものだとか、あるいは南ベトナムの赤十字がその救援物資を配給するルートを通じて間接的に解放地区に及んだものもあるかと思いますけれども、それは先生の御指摘のように、決して自慢できるほどの分量でなかったことは認めざるを得なかったと思います。  で、パリ休戦協定ができましてから、本来ならばこの救援活動が南ベトナム全域に及んでいく筋合いのものでございますけれども、御承知のように休戦後の状況は必ずしも直ちに一〇〇%の南ベトナムにおける救援活動が行ない得る状況にはまだ回復しておらないのでございますけれども、いま国際赤十字がインドを通じてやっておりますインドシナ救援グループというものがございます。それはIOGと一般に略称されておりますが、これに対しましては四十七年度予備費をもちまして先ほど御説明しましたように五億円を四十八年三月二十七日に送金しております。このIOGの活動は、活動計画にはあらゆる地域をカバーしておりまして、これにははっきり南ベトナム臨時革命政府の支配している地域に対する救援計画も含まれております。これに対する予備費の支出によりまして、日本政府もいままでとは違った形で解放地区に対しても救援活動、救援物資が行き渡ることを期待しておる、こういうのが現状でございます。
  156. 塚田大願

    塚田大願君 そこで、いまおっしゃった五億円でありますか、私の資料では六億円になっておりますけれども、とにかくこの国際赤十字インドシナ救援班、これがいま活動しているわけであります。各国の全体の総額は四十五億円ぐらいになるわけであります。ところが、停戦後のインドシナにおける医療援助の活動しております国際赤十字インドシナ救援班の南ベトナムにおきます活動が、ここに新聞報道としてございます。この四月三日でございますが、毎日新聞のサイゴンからの報道でありますが、これはお読みになっておると思うのですが、これを見ますとやはり私が先ほど申しましたようなことがはっきり裏づけされておる。ちょっと要点だけ読んでみましょう。  「停戦後のインドシナに医療援助の手を差しのべる「国際赤十字インドシナ救援班」の南ベトナムでの活動が難航している。人道的見地からは最も緊急に医療援助を必要とする共産側支配地区への援助が、サイゴン政府側の阻止や実際の戦闘の危険のため実施できず、赤十字本来の目的を果たせない状態となっている。日本などから送られた医療品も、サイゴン政府の政治的配慮のもとに使われており、「南ベトナム全域への援助」とはほど遠い。」、まず、こういうことが書いてございます。  しかもですね、この救援班の活動がもう非常に困難で、たとえば共産側の支配地域にこの赤十字班が入ろうとすると、サイゴン政府がこれのじゃまをする。あるときには発砲までしてこの赤十字班が入ってくることを阻止する、こういうことを非常に具体的に報道しております。そしてこういうふうにも言っています。  「国際赤十字は日本などを中心に昨年秋、約十億円に相当する医薬品、食料品などを南ベトナム赤十字に送ったが、その配付も同赤十字の手にゆだねられている以上、伝染病や飢えに悩む解放地区にはまったくわたらないのが実情である。」こういう実情から、つい最近こういう事態が発生しているようであります。「国際赤十字インドシナ救援班内部でも、こうした活動の難航ぶりに対し、西ドイツとカナダの代表が」おこって、「赤十字の原則である中立と活動の自由が保障されない以上、かたよった援助に終わってしまうので意味がない」と言って、すでに南ベトナムから引き揚げてしまったと、こういうことなんですね。  ですから、この実態を見ましたときに、先ほど言われましたけれども、公平に物が渡っておるということはとうてい考えられないわけであります。またこのことは、赤十字社本来の精神からいいましてもこれは許せないことだと思いますが、この点を、こういう事実を踏まえた上で、外務省はどういうふうにお考えになっておるのか、もう一度確かめたいと思います。
  157. 中江要介

    説明員(中江要介君) ただいま御指摘の新聞報道は私どもも非常に注目をして読んだわけでございまして、もしここに報道されていることが全くこのとおりであるとすれば非常に遺憾なことだと思います。で、目下こういう事情がほんとうに南ベトナム全域について全くこういうことで救援活動が阻害されているのかどうかという点については慎重に調査しておる段階でございます。  ただ、ここで一つ申し上げておかなければならないと思いますのは、南ベトナムの赤十社に関する限り、いままで日本赤十字社が政府の補助金によって南ベトナムに送付しました救援物資については、非常に能率的にかつ南ベトナム赤十字社、か援助し得る地域に関する限りは公平に分配してきているという点については、現地を一視察しました日本赤十字社の関係の方も、またわれわれ出先の大使館も、その点については非常に戦争が行なわれている地域としてはよく活動しているという心証を得ているという点であります。  それからもう一つは、休戦がなりましたといいましても、停戦協定ができたといいましても、二十何年も戦ってきた、鉄砲を撃ち合ってきた同士のことで、ございますので、そう一瞬にすべてが解決するということは、望ましいことではありますけれども、期待してもあるいは無理な面があるかと思いますし、その点は注意深く見守って、停戦協定が十分に忠実に履行されて、早く救援物資が南ベトナムに真の意味で公平に行き渡るようにと、こう思っておる次第であります。
  158. 塚田大願

    塚田大願君 いま答弁がございましたこの南ベトナム赤十字社の活動が非常によくいってるという話ですけれども、私はそれも非常にあぶないと思うのです。いま言われましたように、解放区にこの物資が一ぺんにはそうスムーズに流れないということは別にいたしましても、サイゴン政権の支配地域内でほんうにこの物資が、日本からの物資が公平に渡ってるのかどうかという問題も私は非常にたくさんの疑惑があると思うのです。先ほど読み上げました毎日新聞にも言っているように、「日本などから送られた医療品も、サイゴン政府の政治的配慮のもとに使われており」、こういうことなんですね。  その政治的配慮とは何かということですけれども、やはりここで私どもが注意をしなければならないのは、あのサイゴン政府というものは、これは外務省も知らないわけじゃないと思うのですけれども、非常に腐敗、汚職がはびこっておるということは、もう今日一般の有識者がみんな指摘しているところだと思うのですね。これはもう何も今度始まったことではございません。たとえば六六年に出されましたアメリカのマクナマラ国防長官がジョンソン大統領に提出いたしました覚え書き案を見ましても、このときから指摘されておるのですね。このマクナマラ覚え書き草案にはどう書いてあるか。「南ベトナム政府当局は至るところで腐敗している。任命、昇進、徴兵猶予はしばしば金で買われている。また給料のピンハネは当然のことであり、下層の幹部たちも彼らの上役と変らない」、こういうことが当時からもうアメリカではちゃんと公式の報告書として出ている。  それから、私はここにも二、三冊資料を持ってまいりましたけれども、たとえばこれは岩波新書でありますが、亀山さんの「ベトナム戦争」であるとか、あるいは岡村昭彦さんの「南ヴェトナム戦争従軍記」であるとか、あるいは岩波の雑誌「世界」の付録などにもこういう事実がもう一ぱい出ておるのですね。この腐敗堕落の実態がどんなにひどいもんかということがたくさん書いてございます。たとえば丸山静雄編の「ベトナム戦争」では、南ベトナム政府軍の政治戦担当将校であるチン・フォという人の「新たな兵員の動員」と題する一文の中で、サイゴンの兵隊たちに戦意がない一つの重要な理由として、サイゴン政府の腐敗がはなはだしくて、兵隊たちに何とか暮らせるだけの給料さえ払おうとしないことによる。こういうふうなことも言われておりますし、亀山さんの著書の中では「配給されるはずの米や油などの食糧は六五年に二六家族に対して二回配給されただけだ。それも難民のふえた六六年はついに一回の配給もなく、六七年になってもいまだに省庁から何の連絡もないということだった。前述の難民救済法は反古同然なのだ。」、まあこういうふうにも言われておる。  もうこういう状態を見ますと、南ベトナムを信頼していれば、サイゴン政権を信頼していれば物資がうまくいくのだということは、これはとても考えられる状態ではない、常識的に。したがいましてこういう状態で日本からの救援物資を送っても私は意味がないではないかと思う。サイゴン政府の一部の役人などの、あるいは政府の要人のふところを肥やすだけのことになる。したがってこういうやり方でなくて、ほんとうに難民救済というならば、一核も早く臨時革命政府との交渉を持って、一番困っておる解放区の人々にも物資を渡すように保障すべきではないかと思うのですが、この点はひとつ大臣から御答弁を願いたいと思います。
  159. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) サイゴン政府に対しましてのいろいろな御批判があったわけでございますが、そういうことがあるとすればたいへんそれは不幸なことだと思いますが、全部が全部そうでありましたならば、南ベトナムの和平をもたらしました和平協定の責任ある当事者といたしましてその任務にたえられないわけでございまして、私どもは、この和平協定というものを尊重して、当事者が真剣に対処することを期待いたしておるわけでございます。その和平協定は、南ベトナムにおける両当事者がまず和解をしなければならぬ。南ベトナムにおきまして第一義的に責任を持っておるのは両当事者でございますから、両当事者の間で話し合いが行なわれ、和解が達成されて、南ベトナムの住民のしあわせのためにお考えいただけるような状況をつくることが和平協定のねらいであろうと思うのであります。したがって、まずいま大事なことは、面当事者が話し合っていただくことが第一に大事なことでございまして、塚田先生おっしゃるように、日本政府がここで、この政府はやめてこの政府のほうに云々というようなことになりますと、これは私はたいへんベトナム和平協定に対して間違った態度になるのではないかとおそれるのでございまして、この両者の話し合い、これはたいへんむずかしいことだと思いますけれども、しかしやらなければ南ベトナムは救われないと思うのでありまして、そのことをわれわれは願っておるわけでございまして、まず第一義的に、両当事者でひとついろいろな問題がございますならばお話し合いを願いたいというのがわれわれの立場でございます。
  160. 塚田大願

    塚田大願君 話し合いは自分のことだから自分でやりなさいと、こういうふうな御趣旨のようですけれども、しかし、それはもちろんそれとして、いま話し合いが。パリでも行なわれていると思うのです。私が聞いておりますのは、日本から送った救援物資が、ほんとうに本来の目的を達していないんではないか、それに対して政府はどのように今後しょうとしているのか、そこがやはり聞きたいところなんですけれども、その点はどうでしょう。
  161. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) それは四十六年、四十七年の場合も、われわれが今回やりました五億円の緊急援助も、国際赤十字社という政治的にニュートラルな立場にある機関のアピール、それに応じてやったのでございまして、その国際赤十字社、その下部機構、そういうものを信頼してやっておるわけでございまして、その一つ一つの手口につきましてこちらが監視して回るというようなつもりはないわけでございます。国際赤十字社がどこまで責任にこたえられるか。これは赤十字社の問題であろうと思うのであります。
  162. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま藤井値男君及び向井長年君が委員辞任され、その補欠として萩原幽香子君及び栗林卓司君が選任されました。
  163. 塚田大願

    塚田大願君 じゃあその問題と関連いたしますけれども、外務省はとにかく補助金を出しておられるのですから、この補助金目的が、補助目的ほんとうに達せられたのかどうかということをやはりつかむ義務が、責任があると思うのですね。これは御承知でしょうけれども、十分御承知なはずだが、補助金適正化法という法律がございまして、非常にきびしく補助金の問題は取り締まっておるわけでありますが、そういう点からいいますと、この法律の第三条、補助金が公正に使用されているかどうか、そしてまた第十四条、補助業者の実績報告の義務、こういう点で、外務省はこういう点についてほんとうにいままではっきり追及されてきたんでしょうか。もしそうでないとすれば、私は外務省の不当な財政、いいかげんな財政支出の責任というものが問われなければならないと思うんですが、この点はどうですか。
  164. 中江要介

    説明員(中江要介君) 外務省からただいまの補助金の点について申し上げますことがありといたしますれば、この補助金はまず日本赤十字社に対する補助金であったわけでございます。日本赤十字社に対してなぜこういう補助金が出されたか、支出されたかという点は、これは南ベトナムの戦争の結果生じたいろいろの災害に対する、人道的な見地からする救済援助の必要性について、南ベトナムの赤十字社、あるいは国際赤十字委員会その他国際赤十字社連盟、そういった団体その他からの要請を受けまして一日本赤十字社が救援の手を差し伸べるのに政府としてこれに支出したと、こういうことで、その補助金によりまして、日本赤十字社がベトナムの赤十字社に対して救援物資を送った。で、送りっぱなしで政府は何も見ていないのかというと、そうではございませんので、先ほど申し上げましたのと繰り返しになるかもしれませんけれども、南ベトナム赤十字社は南ベトナムの政府とは一応別の団体になっておりまして、赤十字の団体である。これには国際赤十字社連盟の代表も参加しておりまして、国際的な赤十字活動の一環として南ベトナム赤十字社が救援活動をやっている。こういうことで、ただその救援活動をし有る地域が、南ベトナム政府の支配している地域に残念ながら限られる場合が非常に多かったという点がいままで問題であったのですが、これはわれわれ日本政府として、いかようにもしかたのないことでございますので、その範囲内ではたして十分な活動を行なっているかという点につきましては、この南ベトナム赤十字社に救援物資を送りました日本赤十字社においても、また現地の大使館においても、南ベトナムの赤十字社は非常によく活動している、こういう心証を得ている、そういうのが私どもの認識でございます。
  165. 塚田大願

    塚田大願君 まあこの問題も私論議しなければならない問題だと思っているわけですが、と申しますのは、第二十回国際赤十字会議が、これは一九六五年に開かれたはずですが、このときの赤十字国際委員会の報告があるわけです。これによりますと、国際的性格を持たない紛争時に、支援活動が要請される場合の赤十字国際委員会の戦争犠牲者のため行なわれた活動の成否は、その国の援助が差し向けられる国々の態度にかかっている。——この「態度」ということばが、あるいは何ですか、受け入れのサービスという、ふうにも解釈されるのですけれども、とにかくこの国々のそういう態度にかかっておると、姿勢にかかっておると、やり方にかかっておるということが指摘されているので、赤十字社から赤十字社に行ったのだから、国とは関係がないと。形式的にはなるほどそういうことになるかもしれないけれども、実際にはその国の政権の姿勢なり、態度なり、受け入れ方なり、そういうものに非常に私は深く関係していると思うのです。ですから、私は先ほどからるる申し上げたんですけれども、やはりこういう腐敗、堕落をしているサイゴン政府を信頼するというふうなやり方では、これはやはり問題が解決しないのだろうと思うのです。  そこで、もう時間が参りましたので、最後に、せっかく大蔵省からも来てもらっていますので、一つだけ質問させていただきたいと思います。これはダニム・ダムの問題でありますが、これは大蔵省のダニム・ダム修復特別援助費によって行なわれておるわけでございますが、この電力が一体何のために使われているのかという問題です。これもいろいろこまかく言えば、材料も一たくさんございますけれども、私がきょうお聞きしたいのは、この電力が戦時中、あるいはこの戦後の場合もそうでございますけれども、このサイゴン政権によってとらわれた政治犯に対する拷問ですね。電気拷問にたくさん使われておる、この電力が。あるいは戦略村の照明のために使われておる。こういう事実がやはりいろいろな方々の報告の中にあるんですよ。これはおそるべきことでしょう。たとえば、拷問に電気を使っているという事実は亀山さんの著書にもあります。「犠牲者の耳、鼻唇、乳首、または下腹部に通常一二ボルトの電極をあてがう。この拷問器具は南ベトナムのすべての米、サイゴン側の拷問室で例外なく発見される。」、拷問のためにダニムダムの電力は使われておるというのですね。あるいは戦略村の照明、これは岡村さんの署書にございます。そういうところに非常にばく大な電力が流されておるというのですが、そういう発電所を日本の政府が一生懸命に国民の税金でつくってやっていっているということ、こういうことだとすれば、私は、政府は非常にやはり重大な、単に人道上の問題だけではなくて、やはり政治的にも私は責任を負わなければならないことになるんではないかと思うのですが、その点についての説明を順いたいと思います。
  166. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) ダニム・ダムはサイゴンの東北二百五十キロぐらいのダニム川につくられたダムでありまして、最大出力、電力十六万キロワットでございます。これの利用状況はといいますと、サイゴン及びダラト地区に送電しているものであり、あわせて低地帯のかんがいに利用する、こういう目的だというふうに承知いたしておりまして、塚田委員が仰せのようなことに使われているといたしますには、その目的のためでは十六万キロワットということではどうもうなずけないので、(笑声)主たる目的はやはりサイゴン及びダラト地区の民生安定に資するものと、こういうふうに承知いたしております。
  167. 塚田大願

    塚田大願君 最後に一言だけ。つまり、もちろんそれだけの電力が全部そういうところに使われているとは思いませんよ。(笑声)しかしながら、少なくともそういうところに流用されておる。とすれば、やっぱり私はそういう使い方はけしからぬじゃないかということで、政府は厳重に抗議すべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
  168. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) これは昭和三十九年に日本の南越に対する賠償資金、それに円借款が加わってつくられたものでありますので、賠償関係も含まれていることでありますから、私はまだそういう点について勉強が足りませんのですが、直ちにそういう行動を起こすべきかどうか、にわかにお答えするわけにはまいりません。
  169. 塚田大願

    塚田大願君 終わりますから、最後に一言だけ言わしてください。とにかく、やっぱりいまの政府の姿勢はほんとうにベトナム協定ができたあの背景に対して、やはり深い洞察と反省を欠いていると思うんですね。やはりいままでどおりの路線で大体ぽつぽつやっていれば、適当に何とかなるだろうというふうな、非常に消極的な態度だと思うんです。そうでなくて、私はやっぱり日本の政府はあのベトナムのほんとうの和平のために民族和解のためにもつと積極的な役割りを果たすべきではないか。そのためには、いろいろ言うべきことは言う。サイゴン政府だから、アメリカだからといって遠慮することは私はないと思うのですね。どんどん言って、ほんとうにベトナムの和平のために、ひとつがんばってもらわなければいけない、こういうふうに思います。  これで終わります。
  170. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  171. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記起こして。
  172. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、質問に入ります前に委員の皆さんにお願いを申し上げておきたい。それは、この委員会はもちろんのこと、国会で、審議を尽くしていくというこの精神にのっとって、十分時間をかけて審議を尽くしていくというこの精神からしますといろいろ要望が一ぱいあるわけなんです。ところが時間には制限がありますので、こんなに一方的に、甘える気持ちもさらさらありませんが、たとえばきょうでいいますと、そういった謙虚な良心的な気持ちに立って、せめて六十分はほしいということで申し入れもしましたけれども、それがいろいろの慣例とかいうことで三十分に削り取られて、そうして、いま私は予定していたものをどのように組み合わしたら、組みかえたらいいかといって、実は戸惑いを感じておる次第なんです。決して無鉄砲に要望したいという気持ちはさらさらありません。このきまりはきまったなりに十分守りたいと思う、尊重いたしたいと思うのですが、せめてこの気持ちは今後の運営のためにもひとっくみ上げていただきたいと、六十分を予定して、しかもあまりにも多いもろもろの問題を集約して六十分を予定しておりましたのに、三十分に削り落とされたということに対しては、非常に不満を持つものでありますが、しかし、これはそうだからといって無鉄砲にやるという気持ちも持たないわけでありますが、持っておるわけではありませんが、十分きまったことは尊重いたしたいと思っておりますが、今後の要望といたしまして、ぜひひとつ御検討願いたいということを、立った初めに御要望を申し上げておきたいと思います。
  173. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) その点について私のほうから申し上げておきますが、御案内のとおり時間が十分とりたいことは十分、私どももそういう態度です。しかしそういう中で第二院クラブの置かれている地位ということを十分お考え願って、時間等の御協力をこれからもやっていただきたいと思います。私のほうからも重ねてお願いをいたしておきます。  それじゃどうぞ。
  174. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣、まず私は、時間もありませんので結論を先に申し上げます。  第一点は、あまりにも日本の対米従属一辺倒の外交姿勢が、一部の国民は利益を占めて得をして喜んでおるかもしれませんが、国民大衆がその政治姿勢、対米従属一辺倒の政治姿勢の中から生まれたもろもろの犠牲が国民大衆にしいられておる。わけても沖繩県民はそのしわ寄せを濃縮した形で受けているという、このことを私は申し上げざるを得ません。  第二点は、事ごとに安保を隠れみのにして、あるいは地位協定を隠れみのにしてこの問題がすりかえられてきた、そのことが、さらに沖繩県民に濃縮した形でその犠牲が、好むと好まざるとにかかわらずしいられてきておるというこのこともがまんならないことなんです。ということを、私は結論を先に強く指摘いたしまして、次のことをお尋ねいたしたい。  第一点は、ニクソンドクトリンやベトナム和平によって沖繩米軍基地の役割りはどのように変わるべきであるか、また変わってきたかということについて、率直な御見解を承りたい。
  175. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ニクソンドクトリンはアメリカの政策基調だと承っております。それは友好国に対する約束を守るかたわら、アメリカの軍事的プレゼンスというものをできるだけ縮小していくというラインに沿った政策であると聞いております。これが今日の段階におきまして、日本並びにその周辺にどのように適用されてまいるかということは、私どもも重大な関心を持っておるわけでございますけれども、具体的にまだその徴候を読み取ることはできないのでありまして、今後日米間におきまして提起されてくるであろう問題の処理を通じまして具体的に対応してまいらなければならぬものと考えております。この間国防長官の証言がございましたけれども、アジア地域につき、とりわけ日本につきましては、わずかしか触れられておりませんので、格別にあの声明だけからは具体的に読み取ることができないことをたいへん、残念に思います。日本の一部の新聞にあのラインをふえんいたしましてもろもろの見解が発表されておるようでございますけれども、これはそれぞれの新聞の見解でございまして、私どもといたしまして、政府の見解ではございません。
  176. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 アメリカの沖繩基地の存置の意義というものは、いわゆる中国封じ込め政策とベトナム侵略戦争に対して、これを前提として沖繩基地の特定がされておる理由があったと思うんです。そういう前提からしますと、今日沖繩基地の価値というものはどのように変化すべきであるか、また変化しなければならないのであるかということに対する御見解をお聞きしたいと思います。
  177. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) せんだっての国防長官の証言におきましては、日米安保条約というものは、引き続き——メージャーインポータンスということばを使いまして、引き続き主要な重要性を持っておるということだけが表現されておるわけでございます。日本政府といたしましては、たびたび国会を通じて申し上げておりますとおり、安保条約は堅持してまいるということを申し上げておるわけでございます。で、これはアジアに緊張緩和のきざしは見えましたけれども、なお依然として不安定要因が伏在いたしておる今日でございますので、この基本的なワク組みというものを軽々に変えちゃならぬ、もしこれを変えると新たな緊張を生むおそれがあるという認識に立ちまして、手がたくこれを維持してまいることが必要であろうという認識を持っておるわけでございます。沖繩は復帰と同時に日米安保条約が適用される地域に相なったわけでございまして、この状態を当面堅持しながら、今後逐次日本政府の企図している安保条約を堅持しながら基地の整理縮小という問題を処理してまいろうということでございますので、沖繩の重要性だけを取り上げて申すということではなくて、安保条約全体を当面手がたく堅持していこうという姿勢を基調にいたしまして、沖繩の事情に配慮を加えながら対処してまいるということが私どもの任務であろうと心得ております。
  178. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 何が緊張を緩和するのか、何が緊張を助長するかということについての論点は、ここではかみ合わない面があるのですが、私はきょうここでそれの論議をする時間も持ちませんので、先を急ぎたいと思います。  次に、いわゆる関東計画、この実施された背景は何でありましょうか。
  179. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これは申すまでもなく日本側から提起した問題でございまして、基地の置かれた当時からと今日を比較してみますと、周辺に急速な都市化が進んでまいりまして、基地経済というものは非常な緊張を呼んでおりますことは御案内のとおりでありまして、基地の本質的な機能をそこなわない範囲内において、できるだけこれを整理縮小してまいって、基地周辺の住民の期待にこたえるというのが政治の重大責務の一つであると考えておるわけでございまして、そういうラインでアメリカ側に提起し、アメリカ側の原則的な合意を見ましたので、第一次的に関東平野計画と那覇空港計画、この二つを取り上げたわけでございまして、今後さらにこういった種類の計画は日米の協議を通じてなお進めてまいらなければならぬと考えております。
  180. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その趣旨に沿うて沖繩も含めて検討していく、考えていく、こういう姿勢でありますね。
  181. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) とりわけ沖繩は先生も御指摘になっておりますように、全体の面積の一三二%が基地に、非常に大事なところが基地に占有されているという事態でございますので、内地におけるよりは一そう基地問題というものが大きな重荷になっていることはわれわれも重々承知しているところでありますので、沖繩の基地の整理縮小ということは特に重点を置いて考えなければならない課題であると思います。
  182. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ところで復帰後沖繩の基地も幾分縮小されたことは事実なんですが、ところがその基地の縮小と軍雇用員の解雇、いわゆる軍雇用員は、基地労働者の解雇は波状的に息つくひまもない勢いで、ばりばり解雇されつつある。ところが基地の縮小はそれにマッチしない。ここに問題があるわけなんですが、それでは基地労働者の問題についても、きょうはここでそれだけ論じても意義のある大事なことなんですが、後日に回したいと、こう思っておりますが、その基地の、不要不急の基地が一ぱいある中で、われわれが見るというと基地労働者が波状的に解雇されつつある。そこでお聞きしたいことは、どこが不要不急であるのか、そういった基地の総点検をするということに対して考えておられますか、どうですか。
  183. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 一月二十三日の安保協議委員会におきまして、那覇周辺施設区域の整理統合ということから、第一歩を踏み出したわけでございますけれども、先般来外務大臣がいろいろな機会に御答弁申し上げておりますように、これがさらに第二次、第三次という整理統合の計画を進めてまいりたいというのが政府の基本的な考え方でございまして、その第二次、第三次を進めてまいります場合に、どこに力点を置いて整理統合をはかるかということになりますと、今後の作業に待たざるを得ませんけれども、一般的に申しますれば、単に面積の縮小をはかる、あるいは施設区域の数の縮小をはかるということではなくして、沖繩の県民の立場から、復帰あるいは返還、こういうものについて強い希望がある施設区域については、十分現地の事情を念頭に置きながら作業を進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。
  184. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 現地の要望を受け入れて十分検討するとおっしゃいますが、政府自体で前向きで積極的に沖繩の実情を、さっき申し上げました不要、どこが一体不要不急であるのか、そういった実態を調査する姿勢はないんですか、あるんですか。
  185. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩にありまする米軍施設区域につきましては、沖繩返還交渉の当時から種々実態の把握に政府としてつとめてまいってきたわけでございまして、復帰後も各施設区域につきまして、それぞれの問題があるという実情につきましてもできる限りの把握につとめてきているわけでございます。したがいまして、そういう実情に照らしまして、米側と緊密な接触を保ちつつ整理統合の方針に沿った措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  186. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま不用意におっしゃったかどうかは知りませんけれども、現地の要望があったらやってやるというこの姿勢そのものに問題があると私は指摘したいんです。要望しようがしなかろうが、政府自体が前向きで乗り出して実態を調査してやるというこの姿勢が当然あってしかるべきだ。現地では終戦来訴えて訴えて訴え抜いておるという、こういう実情の中で、その実態を調査する前向きの姿勢もないということに問題があるんだ。これは許せません。そういう姿勢では百年河清を待っても沖繩の基地の問題は解消できない。先日も私は、沖繩の基地の開放は反戦平和の立場からも、沖繩の平和経済開発の立場からも、人道的立場からもゆるがせにできない基地である、基地の存在である、こういうことを強調いたしました。あの振興開発計画法に基づくあれを具体的に進めていくためにも、この基地の計画的な縮小整理の計画をなされなければ、幾ら振興計画を描きましても、それは絵にかいたもちにしかなりません。この縮小撤廃が進む度合いによってしかこの計画は乗っかかっていきません。そういうことを前提にしない沖縄に云々ということは、それこそナンセンスで絵にかいたもちである、こう思うんですが、いかがですか。
  187. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど私の答弁は、現地の要望があれば初めてそれに取り組んでいくということではございませんで、現地からもいろいろな要望、注文、陳情あるいは苦情、いろいろなものと接しております。そういうものを十分念頭に置きつつ基地の整理統合という全般的な方針のもとにこの問題に取り組んでまいりたいということを申し上げたわけでございまして、現地の要望がなければ取り組まない、あるいは現地の要望があって初めて動くということではないわけであります。
  188. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先ほど那覇の空港という話がありました。この部分的なとらえ方のいまもう時点ではないと私は思います。沖縄全体の実態、いわゆる基地の総点検、その実態把握の上に立って今後の計画を立てなければ、ただ部分的にとらえてどうするこうするということじゃ、これは沖縄のほんとうの振興開発計画の土台づくりになりません。そういう立場から、まずその姿勢があるかどうかということを私は先ほどからお聞きしているわけなんです。沖縄の現在の基地の総点検、どこが至要不急であるのか、その実態を部分的にではなく、沖縄の基地の全体を総点検していくという、実態を調査し、把握していくというこのことに対してその意欲が、姿勢がありますかどうですか。
  189. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 基地の整理統合を進める上におきまして、実情を把握するということがまず前提になることは当然でございまして、今後の作業を進めるにあたりましても、防衛庁施設庁その他関係の向きと十分協議をいたしながらこの問題に取り組んでいきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  190. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは要求します。それではその実態調査はいつまでにやってもらえるか、その調査を私は要求します。外務省調査されたその資料を私は要求いたしたいんですが、いつまでにそれが点検をしてその調査の結果を出してもらえるか、答えてもらいたい。
  191. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) いつまでに具体的にどの資料をと、こういう御要望に関しましては、まだそれに直接お答えできる段階ではございませんけれども、かねて防衛庁施設庁と密接な連絡をとりつつ内部的に基地の整理統合に取り組んでまいります際のいろいろな実情把握にはつとめておるということは申し上げ得るというふうに考えております。
  192. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先ほど現地の要望があるならばということが真意ではないと、こうおっしゃったが、それは了としまして、すでに現地では開放を要望する地域調べがこういうように市町村別に、これは土地連合会——土地連から出されております。それから市町村会で開放要求が出されて、ちゃんと具体的に調査も出ておる。これを吸い上げることはもちろん、そうしてこれに基づいて実態を調査する意欲があってしかるべきなんです。これは四十七年の五月十四日現在で調査出されていますよ。皆さんのところにも出ておりますかどうですか。
  193. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) いま御指摘ございました当該資料、申しわけありませんが、私手元に資料を持ち合わしておりませんけれども、現地の実情把握につきましては、私どもといたしましては、施設庁と十分な連絡をとりつつ内部的な作業を考えておるということを申し上げたいと思います。
  194. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間がありませんので、これを詳しく申し上げるわけにいきませんが、トータル、だけ申し上げますと、二千九百九十万六千七百十一平方米、坪数にして約九百六万のことはすでに出されておる。ところが最近ではさらにまたそれにプラスアルファがあることを私は聞いております。そのように出されておることに対して非常にイージーゴーイングな、そうしてその政治姿勢からひしひしと沖縄県民の生命も財産も人権も犠牲を、損害をこうむりつつあることを思いますと、もう矢もたてもたまらない、こういう気持ちなんです。そのことを知ってもらわなければいけません。それで、その調査をここでめどをいつまでにそれを資料をやるということを確約をしていただきたいんですが、それが無理でありましたら、ひとつできるだけ早くその実態の調査を把握していただきたいということは約束できますね。
  195. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖縄にありまする米軍施設区域の実態把握につきましてはかねがねつとめてきておりますけれども、今後ともその面の努力を一そう重ねたい、こういうふうに考えております。
  196. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そういう実態調査の上に立たなければ、全体のその把握の上に立たなければ長期計画はなり立たないということなんです。部分的にただなしくずしでいったんじゃこれはもう意味のないことなんです。まあ意味がないということは、あまり言い過ぎかもしれませんが、沖縄全体の調査の上に立って沖縄振興開発計画は成り立つんだと、こういうことを私は申し上げたいんです。  それでは次に、防衛施設庁内に沖縄基地関係を取り扱う専門機関を設置すると前に約束されましたが、その後設置されたかどうか、そのことをお聞きしたい。
  197. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 防衛施設庁としましては、最近基地の移転集約ということが非常に重点項目の一つになってきまして、この業務を今後どう進めるかということでいろいろ検討しまして、施設区域移設対策本部というものをつくりました。ところが沖縄につきましてもこれから大いに前向きで取り組まなくちゃならないということでこの機構を強化しまして、その本部の中に沖縄の関係を専門に扱う部門を設置することにいたしました。大体人員配置その他事務的には語がついておりまして、実は四月早々発足する予定でございましたが、少し時期的におくれていますけれども、これは内部訓令によって近く発足できると、こう思います。
  198. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まあこれもいろんな機会に善処するとか考慮するとか検討するという形でみんなすりかえられていきますがね。もうすでにできて具体的に進められているものと私は思っておったわけですが、いまのような御答弁であることに対して非常に不満を持つわけなんですが、これはぜひひとつ急いでもらいたい。その場合に従来あります基地総合調整本部との関係はどうなるんですか。
  199. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 基地総合調整本部は防衛庁の内局に設置されておりまして、これは基地の整理縮小ということももちろん一つの大きな項目でございますけれども、そのほか周辺対策を今後いかに進めるかというようなことで幅広い面から検討をするということになっております。いま申し上げました防衛施設庁内の施設区域移設対策本部といいますのは、いわゆる移転のことについてのみ扱う、こういう形になっております。
  200. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わかりました。それでは、もうこれについてももっとお尋ねしたいこともありますけれども先を急ぎたいと思います。  先日の質問に関連したことですが、どうしても納得のいかないまだ点がありますので、在沖米軍基地のキャンプ桑江内の車販売所のことについてさらに掘り下げてお聞きしたいんですが、これは大蔵ですか。まず地位協定第十五条の特免業者は日本に対して税金を納めているんですか納めていないんですか。適用外にあるんですかどうですか。
  201. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) ただいま先生御指摘がございました地位協定の第十五条でございます、これは明文に書かれておりますように、米軍が使用している施設及び区域内に設けられましたPX等の軍人用販売機関の物品の販買につきましては第一項の(b)項でございますか、ここに規定しているような場合を除きまして法人税または所得税等の直接税、それからまた物品税等の間接税というものは課税されないということになっているのは御案内のとおりでございます。しかしながらこのような課税上の特典を受けられますのは、ここに掲げてございますようにPX等軍人用の販売機関に対してのみ限られるわけでございまして、たとえば物品の販売が米軍の使用する施設及び区域内等で行なわれた場合におきましても、当該物品の販売者が一般の私人、たとえば内国法人であるとかあるいはまた日本国内に支店等を有する外国法人などである場合には通常の例によってその物品の販売につきまして、法人でありましたならば法人税、それから個人でありましたならば所得税等の直接税並びに物品税等の間接税が課税されるということになっております。
  202. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間がきたということでありますので、もうたいへんなことになったなあと思っておるわけですが、このミリタリー・ニュー・カーセール・センターはこれまで税金を納めておるんですか、いないんですか。
  203. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) そのようなシステムで近く退役する米国の軍人あるいは本国に転勤する米国の軍人、軍属、そういった人に対して自動車の販売契約を結んでおるというふうな会社といいますのが私どものいま把握しておる範囲では現地に三社ほどございまして、それは旧法人税法等によりましていままで税の申告をしておりますし、同時にそのキャンプの横で販売いたしました自動車の販売利益につきましては、その申告所得の中に入れて申告されておる、それによりまして適正に課税が行なわれておるということは申し上げていいかと思います。
  204. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま税金を納めておるとおっしゃるんですか、いないとおっしゃるんですか、そこのところ言ってください。
  205. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) 税金を納めておるということでございます。
  206. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、納めておるという前提に立つなら、いよいよこれはおかしいんじゃないですか。このPXの委託販売という中にこれを含めて考えておられるのですね。
  207. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) PXの委託販売とは考えておりません。
  208. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 根拠は何ですか。
  209. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) 地位協定の第十五条ではあくまでもその非課税の法人というものは軍人等に対する販売機関、つまりPXだけに限られておりますので、実際にこれで販売しておりますのは、香港に本店を有する外国法人だとかそういった私法人でございますから、これに対しましてはこの地位協定第十五条の外の一般の法人であるとわれわれは認識しておりまして、課税をしておるわけでございます。
  210. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ地位協定の第一条の(a)項の内容はどうなんですか。
  211. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 地位協定第一条(a)項は「「合衆国軍隊の構成員」とは、」ということで軍隊の構成員の定義をきめておりますけれども、「日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍に属する人員で現に服役中のものをいう。」と、こういうに書いております。
  212. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その(a)項の内容からしましても、その及ぼす適用範囲というのはちゃんときまっておる。そういう条文に照らしまして、この実情が、ここで予約受付をして現物は帰国してからアメリカで、本国で取るようになっておりますね。そこまで一体拡大解釈をすべきであるかどうか、どうなんですか。
  213. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 地位協定第一条は、この地位協定の対象となるべきものの定義をきめているわけでございまするけれども、地位協定の対象となりまするのは合衆国軍隊の構成員と軍属とそれから家族と、こういうことになりますが、第十五条におきまして歳出外資金諸機関ということにつきまして規定がございまして、そこでたとえば合衆国の軍当局が公認し、かつ、規制するPX等の歳出外資金による諸機関は合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の利用に供するため合衆国軍隊が使用している施設及び区域内に設置することができるというふうにございまして、PXはまさに十五条に従いまして施設区域内で活動を行ないましてその対象となりますのが軍隊の構成員、軍属並びに家族と、こういうことになるわけでございます。  そこで、先般来御指摘になっておりまする新車の予約販売を行なっておりまする当該会社はただいま大蔵省で御説明ありましたように、これは地位協定の該当者じゃないわけでございまして、PXの委託を受けて施設区域内を利用して予約事務を行なっている。したがいまして、これは日本の税法上はその会社は課税されると、こういうかっこうになっておるわけでございます。
  214. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまどうですか。この見解の食い違いがあるんじゃありませんか、いまの。
  215. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 私は地位協定の関係並びにそれに基づきまする現実のPXの委託を受けて営業活動を行なっておりまする会社の実態を御説明申し上げましたわけであります。先ほど大蔵省から御答弁ありましたのはまさにその現実に活動を行なっておりまする当該会社が日本の税法に基づいて課税をされているということでございまして、全く食い違いはないわけでございます。
  216. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますとこの特免業の恩恵を受ける軍人軍属及びその家族は当然日本国内に滞在し、そして在日米軍に服役しておる者及びその関係者に限定されておるということになっておると思いますが、どうですか。
  217. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 地位協定の対象となりますのは、まさに第一条にございまする合衆国軍隊の構成員、軍属並びに家族に限られるわけでありいまして、第十五条におきましてもその施設区域内のPXを利用できまするのは地位協定上認められた軍の構成員、軍族並びに家族というふうにはっきり規定しているわけであります。したがいまして、この当該事業はこの施設区域内の施設区域を利用してPXの委託を受けた活動を行なっている会社が、軍の構成員、軍属並びに家族のために新車の予約販売の事務をとり行なっておると、こういうかっこうになるわけでございまして、もちろんこれらの構成員その他が日本を離れ、本国に帰りました場合には地位協定の対象とは当然ならないわけであります。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうもそういうところにこれをあいまいもこのうちに拡大解釈をし、あるいはどちらの側に立って一体法を解釈するかという、こういうところに問題があると思うんですがね。この車両販売社の販売システムは明らかに私は安保に基づく地位協定あるいは特免業の規定に照しましてもどうもいかがわしい、反する、こう思われてなりません。  しかし、これは法論争をここでやる時間もありませんし、要は言いたいことは、単に法的立場にとどまらず、この実情、実態——茶谷村のあの実情、村民の今日までこうむった犠牲、それから沖繩の基地の密度、わけてもあの茶谷村、あの実情を踏まえてとらえた場合に、私はその犠牲のもとでぜいたくな、思う存分に今日までわがもの顔にやっておるあの状態と照らし合わして絶対に許されるもんではないということを外務省がこのあたりでふん切りをつけて、言うべきは言い、ただすべきはただしていくというこのことがなければ、私は沖縄県民は救われない。繰り返すようでありますが、もはやこういう事態に対しても、従来のマンネリな気持ちで、イージーゴーイングな気持ちでいくならば、もうもはや日本には政治はない、政府にも外交はない、こう私はあえて断じたい気持ちでありますが、外務大臣、いかがですか。
  219. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) マンネリとかイージーゴーイングだとか、たいへんお叱りでございますが、私どもそういうぞんざいなことをやっておるつもりはありません。私どもも誠実に与えられた任務をやっておるわけでございますので、その点はひとつ御認識をたまわりたいと思います。あなたは沖繩の基地の整理につきましてたいへん御熱心に主張いただいておりまして、私どももいたく敬意を表しておりますけれども、沖繩が返還になりましたのは昨年の五月十五日でございまして、これからわれわれが本格的にこれに取り組もうといたしておるのでございまして、これから汗をかいてやろうといたしておりますので、どうぞ私どもに御声援をたまわりまして、この大事業につきまして円滑にまいるように御協力を願いたいと思います。
  220. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先を急ぎます。これ、国体がもう目前に迫っておりますが、それと関連した三百三十一号線の開放のことで、どうしてもがんばってもらいたい点でありますので、もし外務大臣はもうお急ぎでしたら、これは施設庁関係ですね。もしお急ぎでしたらもうどうぞ。——時間とりませんのでひとつお許しをいただきたい。  この三百三十一号線を、地図も持ってきて広げたいですけれども、結論だけ答えてください。この三百三十一号線の開放については、私はもう機会あるごとに今日まで訴えました。ところが、施設庁は五月末までには何とかなる、だろうという、こういう御答弁。それから開発庁は早くて六月、おそくても七月という御答弁。それから建設省は国体に間に合うようにできるだけその工事期を短縮したい。こう三者三様のばらばらな答弁をいただいておるのです。結局政府自体に統一した見解、きちっとしたその締めくくりがない、こう思われてなりません。  そこでお尋ねしたいのは、日米間で合意した三百三十一号線の開放に伴うもろもろの安全施設、諸安全施設の整備というのは一体具体的には何々がひっかかっておるのか。何々なんですか。それをお聞きしたい。
  221. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 三百三十一号線の開放につきましては、いろいろ米側とも折衝しまして、三月の二十八日の合同委員会で、いろいろの条件はついておりますけれども、基本的にはこの条件が満たされれば返還をするということで同意を得ました。米側が言っております条件としましては、返還になれば、道路と引き続き存続する施設区域との間にフェンスをつくるということ。それからゲートを十三ヵ所、ゲートボックスを六ヵ所設置してもらいたい。それから信号所を三ヵ所、歩道橋三ヵ所、フェンスの内側に照明装置を備えた歩道を設置してもらいたい。それから道路三ヵ所のつけかえ。こういった条件がついております。この中で時間的にちょっとかかりますのは歩道橋三ヵ所の設置でございます。これは建設省ともいろいろ御相談をしておりますけれども、なるべく工期を短縮してやりたいというふうに思って努力をするつもりでございますが、何分にも歩道橋というのは一種の注文生産といいますか、ひまがかかるものですから、これにかなりの時間がとられようということで、いまのところ国体が五月でございますが、その時期にはちょっと間に合いかねるというふうに考えております。
  222. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それで、こういうわけにはいきませんか。この三百三十一号線を国体に間に合わして開放することができるかできぬかということは、国体を成功させるか不成功に終わるかということにつながる重大な意義を持つことは十分おわかりかと思います。それなるがゆえにもう食い下がって、国体に間に合わして開放してもらいたいという食い下がりの意味はそこにあるわけなんですが、そこで、いま幾つかの項目をあげられてその工事を進行中だとおっしゃったわけですが、それを進めながら開放というわけにいかないのであるのかどうかですね。いわゆる完全に完了して開放するということが望ましいとは思うんですが、そうして国体に間に合わしてもらいたいということが、これは第一の要望なんですが、それに間に合わないならその工事進行の中で開放していくということができないのであるかどうか。もしそれができぬとするなら、せめて国体期間、日時をきめて、ある一定期間そこを開放すると、こういうことが私は可能であると思います。なぜかというと、この前の植樹祭で一日開放した事実があるでしょう、だからそれからするならば、国体期間、四日ですか、その間は開放すると、こういうことは当然可能である。前例がありますから。どうですか。その二つのうちせめて工事中でも開放していくという、それを取りつけてもらいたい。それがもし困るなら、無理ならば、ある日にちを限定して、その期間開放してもらいたいということを強く要望しまして、そのお答えを得ましておしまいにしたいと思います。
  223. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 米側から言ってきております条件等に、これが完成しなくても返還はしてもらえないのかという点につきましては、米軍も引き続き残る家族住宅その他がございますので、それの警備上の問題等からこういったフェンスその他の施設ができないとこれはとうてい返還ということには相ならぬと思います。そこで国体期間中だけでも一何とか工事を進めながら暫定的に通すことを認めてもらえないかという問題につきましては、われわれも沖繩における国体の意義というような面からしましてできればそうしたいという気持ちを持っておりますので、この点については可能かどうかまだはっきり申し上げかねますけれども、ひとつ米側と暫定的に通すことについて折衝をいたしてみたいと思います。ただ、一日だけ通すとかという短期間だけでは国体の場合にはあまり意味がない。やはり一週間か十日ぐらい通さなくちゃならないということで——まあ前例はありますけれどもこれは一日でございます。ところが一週間、十日になりますといろいろ警備上の問題もございますので、そう簡単に……。
  224. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 十日じゃない、今回は四日ですが。
  225. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) まあその前後もというような御希望もあるようです。そこで期間が一日だけではないという点に警備上の問題等もあろうかと思いますが、できるだけの折衝はいたしてみたいと思います。
  226. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの要望は、現地の屋良知事と、それから軍の責任者、それから政府の施設庁ですか、の話し合いも進められておるやに聞いておりますので、ぜひひとつ実現を期していただきたいということを重ねて御要望申し上げます。
  227. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 他に御発言もないようですから、外務省及び防衛庁決算につきましてはこの程度にいたします。次回は四月十三日に開会の予定をいたしております。本日はこれにて散会をいたします。   午後五時二十四分散会