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国務大臣(
前田佳都男君) 渋谷先生御
指摘のように、エネルギー需要と申しましょうか、そのうちにおきましても特に
電力の伸び率というものは、平均大体九・五%前後の率をもって伸びておりまして、それに対しまして
電力のエネルギー源でありまする石油につきましては、私から御
説明するまでもなく、OPECのせいであるとか、あるいは
アメリカが輸入国になっておること、あるいは低硫黄の原油というものを求めているということ、また、地球全体に考えましても、資源的にも石油のあとの命数というものはそんなに長くない、いろんな
情勢もございますし、その場合におきまして、
原子力に対する期待が、クリーンエネルギーというものは、はっきり申し上げていいかどうか疑問でございます、いろんな議論もございますから。けれども
原子力に対する期待というものは相当強いものがあると思われるわけでございまして、それに対しまして
原子力の
供給のほうの面が、エネルギーの
供給のほうの面が、石油も含めましてですが、はたして一体全体予定どおり進むのかどうか、
昭和六十年度に六千万キロワットの
原子力発電というものができるかというふうなお尋ねがあったと思うのでございますが、その点につきましては、いずれにいたしましても
原子力については
安全性ということが非常に大事な問題でございます。
原子力発電所を置きまする場合、
地元の方々の
理解と
協力ということが大前提でございますし、万一事故があったらたいへんだという点から、われわれも
安全性の確保ということについては一生懸命に努力をいたしておりますが、それがためには
原子炉安全審査会に
許可の前にかける、あるいは
許可後におきましても電気事業法に基づきまするいろんな検査をいたしておりますが、とにかく
安全性ということを考えつついろんな立地等も考えておりまするので、時期的にもそうぱっぱっと早くわりあいいかないという点もございます。また環境問題というものが最近特に大きく取り上げられまして、従来は、
地元の声といたしましては、
地元の知事の意見を聞くということをやっておりました。さらにまた、温排水問題等につきましても、環境についても、環境庁に環境基準というのをお願いする以外に、具体的にまた通産省にもお願いをいたしまして、環境調査というものを正式に要求して、その報告を求めて、そうして
原子力委員会としてそれらのものを総合いたしまして判断を下しておるわけでございますが、さらにまた、渋谷先生御案内のように、公聴会というものも今度
原子力委員会で決定をいたしまして、そうして公聴会で
地元のなまの声を聞いて、そのなまの声を安全審査とかそういう方面に反映をしたらいいと、しかし、
原子力委員会だけではこれまたそれだけのスタッフもおりませんから、やはり環境についても、
原子力委員会としても環境についての専門のコンサルティンググループというようなものを置いて、そうしてなかなかそれでも不十分じゃないかというふうないろいろ非難もございますけれども、とにかく一生懸命皆さんの
理解と
協力のもとに、われわれの長期
計画として考えておる目標を推進いたしたいと思って一生懸命にやっておるわけでございます。
それで、
供給のほうはそうして一生懸命にやっておるわけでございますが、その反面、需要のほうを少し考えちゃどうかというわけでございますが、需要のほう、特に一般の
電力需要とかそういう需要もわれわれはチェックしていこうという、そういうふうな統制
経済的な強い
考え方はいまわれわれは持っておりませんけれども、とにかく節電と申しましょうか、相当むだがあるんじゃないか、節電的な、節エネルギー、省エネルギーと申しましょうか、そういう
技術を
開発する必要もあるんじゃないかということで、実は
科学技術行政のあり方としてエネルギーをできるだけ少なくする、省エネルギーの
技術の
開発ということに実は
科学技術の今後のあり方の方針といたしましてきめておりますが、たとえば電気にいたしましても、建築の設計にいたしましても、少しも窓のない設計で、もっと窓をつくって太陽熱を、太陽の光線を取り入れればもっと電気が少なくて済むのじゃないか、あるいはテレビにしても、節電型テレビという、そういうテレビの構造ができるのじゃないかと、そういういろいろな問題もあわせて考えて、とにかくただ
供給だけ一本懸命に努力するというのではなくて、少しくわれわれが改善、くふうをこらす余地はないか、エネルギーに対する需要を国家的統制でどうするというような大それたものではなくして、ほんとうに限られた資源でございますから、エネルギー源の節約になるように、もっとくふうしたらどうかということで、これは
科学技術行政の方針といたしましてその点を打ち出しておる次第でございます。