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1973-06-28 第71回国会 参議院 運輸委員会、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十八日(木曜日)    午前九時三十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    運輸委員会     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 松平 勇雄君                 伊部  真君                 瀬谷 英行君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 山田  勇君    地方行政委員会     委員長        久次米健太郎君     理 事                 柴立 芳文君                 寺本 広作君                 河田 賢治君     委 員                 鬼丸 勝之君                 片山 正英君                 増田  盛君                 神沢  浄君                 上林繁次郎君                 藤原 房雄君                 村尾 重雄君    公害対策及び環境保全特別委員会     委員長         森中 守義君     理 事                 金井 元彦君                 杉原 一雄君                 内田 善利君     委 員                 君  健男君                 加藤シヅエ君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君                 加藤  進君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        環境政務次官   坂本三十次君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        通商産業省化学        工業局長     齋藤 太一君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省港湾局長  岡部  保君        海上保安庁次長  紅村  武君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        通商産業省公害        保安局公害防止        指導課長     松村 克之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) これより運輸委員会地方行政委員会公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。神沢君。
  3. 神沢浄

    神沢浄君 それでは、前回に続いて質問を進めさしていただきますけれども、私は、この法案を一べつしまして、山国生まれでありますからなおさらかもしれませんけれども、シーバースだとか「マリーナ港区」だとか、なかなか横文字名前がたくさん出てきまして、何か外国風のマドロスさんなんかを連想したくなるんですけれども そうしてまいりますと、今度はとたんに「修景厚生港区」というような、たちまち中国風の風景に変わるのでありまして、どうもこの「修景厚生港区」というのがうまく把握できないんですよ。一応の御説明をいただきたいと、こう思うんですが。
  4. 岡部保

    政府委員岡部保君) 御答弁おくれて失礼いたしました。  確かに先生指摘のとおり、「修景厚生港区」というのは、実は前にも御質問で私お答え申し上げたことがあるのでございますけれども、ちょっとどういう意味であるかという点、いささかわかりにくい、新しいことばのような感じがいたします。結局、ねらっておりますところは、港湾区域という考え方で申しますと、一体として港湾活動をしなきゃならないということで海面を見るわけでございます。それでそれに接続する陸域のほうで、臨港地区というところを港湾活動をする陸域であるということで、いわゆる都市計画法上の感覚でございますが、地区制をしいておる。その中でいわゆる港湾活動と申しますか、港湾として一体に見なければならないところであるけれども、むしろ自然を保護するべきではなかろうかというようなところ、たとえばレクリエーション的にも必要であるし、その景色を保存しなければならない、あるいは自然を保存しなければならないというような意味で、ちょっといままで考えておりました臨港地区用途規制と申しますか、そういう地区の区分の考え方からいくと、ちょっと変わった考え方になってまいりましたが、これはやっぱり環境保全というものを考える際に、そういう地区も必要であるというようなことで、その名前をどうするかということで実はいろいろ法制局とも相談いたしまして、ああいう名前をつけた次第でございます。
  5. 神沢浄

    神沢浄君 まあいろいろ御苦心もあったでしょうけれどもしろうと風に一口に言いますと、要するに港の中の公園ということですか、どうなんでしょうかね。
  6. 岡部保

    政府委員岡部保君) まあ一口に言うと、そういう言い方もあるかと存じますが、実は、そのこともいろいろ考えましたんですが、たとえば横浜港で山下公園というのが昔から港の見える公園で珍しい公園であったわけでございますけれども、これからああいう緑地公園をつくらにゃいかぬという感じはございますけれども、あの場合に、あそこの地区だけをそういう別扱いにするのがいいのかという点でちょっと疑問がございまして、むしろたとえば港のはずれで、海面としては全部港の機能である、しかしその背後地はむしろはずれのほうで自然を温存するべき地域だと、たとえばこれは都市公園であったり、それから一部自然公園であったりするところと接触している港があるわけでございます、そういうようなところを、これは確かに港のほうでいえば、そういう別扱いにするべきところというような考え方で考えております。
  7. 神沢浄

    神沢浄君 時間があれば、もう少し——「修景」というんですからね、これはおそらくただ単に風致を保存するというのでなしに、金をかけて、「厚生」ということば意味がもたらすように、まあいわば住民労働者などのためにも厚生目的が達成できるような手をかけるという意味を持っているんだろうと、こうぼくは思うんですけれども、そうなれば、それではそれはどこがやるんだということにもなるし、まあやるのはもちろんその港湾関係の当事者ということになるでしょうが、地方自治体ということになるわけでしょうけれども財政面の問題やらいろいろあると思うんですが、それはまあ多少やっぱりこういう法律をつくるからには、国がめんどうを見るというようなお考えを持っての上でしょうか、ちょっとその点を伺っておきたいと思います。
  8. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生の御指摘のとおり、こうやって港湾の新しい考え方を織り込むという以上、それに対する財政的な裏づけというものを考えながら進むというのが私も当然のことであるかと存じます。それで、これはどんぴしゃりとすべて今回新しく織り込んだものに対しての国の財政負担と申しますか、補助と申しますか、そういうようなことが全部できたかと申しますと、これもしばしば申し上げておるんでございますが、残念ながら全部満足した姿になっておるとは申せません。  ただ、私どもとしては、いわゆる港湾管理者の財政問題、これは非常に大きな問題がございます。まだ決して満足するべき状態じゃございません。いわゆる経常経費のことだけを考えましても、使用料収入一般管理費並びに起債の金利等をまかなえるかと申しますと、まだ収入のほうが支出の三分の二程度でとどまっておる、これがいわゆる主要港湾の平均の値でございます。そういうような調子でございまして、決して十分でない。そういたしますと、そういう点についてもう少し考えるべきだということで、たとえば環境問題でも、いわゆる埠頭に緑地をつくる問題、環境整備施設と呼んでおりますが、そういうものに対して新しく四十八年度から補助の道を開きましたし、それから廃棄物処理施設というようなものに対しても新しく補助の道を開いたわけでございます。そういう点ございますけれども、逆に、たとえば港内の清掃問題というような非常に大きな問題について補助化をしようと思って努力をいたしましたが、残念ながら四十八年度では実現できなかった今後の問題もあります。それから、いわゆる港湾施設整備補助率の問題につきましても、まだまだ不備なところがございますので、これもプラスにする方向で今後考えていかなきゃならないというのが実情でございます。
  9. 神沢浄

    神沢浄君 時間がわずかですから、次に進みます。  地方港湾審議会というのが新しく制度化される。そこで時間の関係もありますから、私は要点だけのお答えをいただければと、こう思うんですが、この種のものはその扱いいかんによっては形式的になってしまうこともあるし、あるいは実際に目的が生かされるような実質的なものにすることもできるし、それにはやっぱり基本考え方が非常に大切だろうと思うんですが、その構成とか員数などにつきまして、たとえば構成の問題については、住民代表を入れるとか、あるいは港のことですから、漁民関係どももちろんあろうかと思いますので、漁民代表も参加できるとか、あるいはこの法律自体環境保全整備というようなことに主眼を置かれているわけですから、そういう方面の代表が入るとかいうふうな点を、もちろんこれは地方港湾審議会ですから地方公共団体の問題でしょうけれども、国としては、そういう面でもって何か条例で定めると、こういうふうになっておるようですから、どういうふうな指導をなさるのかという考え方をちょっとお聞きしておきたいと思うんです。
  10. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生のおっしゃいましたとおり、地方審議会でございますので、地方条例によって具体的には定める。ただ、その条例を定めるにあたって、どういう考え方であるかという点については、私ども指導していく義務があると存じます。  そこで、いま先生のおっしゃいましたように、たとえば港湾を利用する面での非常な考え方を持っておられる方々、あるいは環境問題についての担当の、たとえば府県の部局の方であるとか、あるいはそういう関係権威者、あるいはいまおっしゃいましたように、住民代表というものをどういう姿で入れるか、これは私どもまだ、ほんとうのところ、突き詰めてどういうかっこうで入れるかという結論を得ておりませんけれども、何しろそういう住民のお考え方代表する方、そういう方をやはり入れて、この審議会というのを意義あるようなかっこうにしなきゃいかぬと思っております。したがって、そういうような考え方指導するつもりでございます。
  11. 神沢浄

    神沢浄君 あと質問者の御都合もあって、少し時間がいただけるようですから、たいへんありがたいですが、大体、地方港湾審議会の問題につきましては、国の考え方というようなものは了解できるわけであります。ぜひこの法律が生きるように、これは地方公共団体サイドあたりからいくと、たいへん重要なかかわり合いのあるところですから、申し上げましたように、住民なり漁民なり、あるいは環境保全整備等意見というものが十分反映できるような、ひとつ御指導を特に要望しておきたいと、こう思うわけであります。  それから、これは大臣に私はお尋ねしたほうがいいんじゃないかと思うんですが、三十八条の二で、工場事業場などに対して届け出義務規定をしているようでありますが、要するに建設とか改良とか新設とか増設とかいうような問題について、届け出義務規定をされておるわけですけれども、しかしその届け出の内容につきましては、国のほうが勧告権を持つというように規定がされておるわけであります。この勧告権というものの強制力というのはどの範囲のものであるか、極端に言うと、勧告はしたけれども、聞きっぱなしで済んでしまうと、間々あることですが、その程度のものならばこの法律も生きないことになってしまうような点が不安になりますので、その点をひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  12. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) こまかいことは政府委員からお答えしますが、勧告はやっぱり勧告でございまして、強制権はもちろんございません。  ただ、申し上げたいことは、港湾行政では、御承知のように、地方公共団体港湾管理者になりまして、すべての運営をやっておるわけでございます。設備もそうでございます。国はそれに対して助成をし、補助をし、あるいは国全体の立場から見まして、こうあってほしいというようなことにつきまして、計画をきめまして、基本方針をきめて、そしてその方針にのっとって地方で自分のところの港湾計画をきめていくという段取りになるわけです。したがいまして、これは補助関係もあるし、そういう基本方針関係もございまして、従来から非常に地方公共団体運輸省というのは密接不離関係にございます。で、絶えず、法律面にあらわれたところよりも、実際問題としては、ほんとう一体になって港湾整備をやっているというのが実情でございます。したがいまして勧告というようなことがございますけれども、それはここに書いてありますような場合に勧告をするという法律上の根拠を残しただけでございまして、実際上はそういう勧告によって四角張ってものを言わなきゃならぬというような場合はほとんどないというふうに御了解いただいてけっこうでございます。われわれも勧告したんだから、これを聞かなければ補助をやるとかやらぬとか、そういうような行政措置はしておりませんし、今後もしない、両方が一体になって港湾整備をやっていくというたてまえでございますから、その点は御了承いただきたいと思いますが、法律上の問題につきましては、政府委員からお答えいたします。
  13. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の御指摘のございました三十八条の二の「(臨港地区内における行為届出等)」という点についての御説でございますが、この第七項で「港湾管理者の長は、」「その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し計画の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。」というのが第七項の規定でございますが、これは第八項にもう一つさらにつけ加えた点がございます。と申しますのは、「(第一項第二号及び第四号に掲げる行為を除く。)」ということで、一号と三号でございますが、いわゆる「水域施設、運河、用水きよ又は排水きよ建設又は改良」という行為、それから三号では「工場又は事業場で、」こういうものの「新設又は増設」こういうものについて、港湾計画を著しく変更しないと港湾管理運営が困難になると認めるときにつきましては、これは「計画を変更すべきことを命ずることができる。」という強制権管理者に付与しているところでございます。  やっぱり港湾管理者でございますので、港湾管理上の非常に限定した意味では非常に強い権限を持たせて、それ以外のものについてはやはり勧告程度でとどめるべきではなかろうかという考え方がこういう条文になった次第でございます。
  14. 神沢浄

    神沢浄君 質問者がお見えになったようでございますから、あと一問だけお尋ねをさしていただきましてやめますが、それは「臨港地区」という表現があります。まあこの法律に従いますと、この臨港地区には要するに法律に基づいての指導が行なわれると思うんです。ところが、たとえばかの有名な田子ノ浦港などの場合は、臨港という範囲をどの程度に定められるのかという問題が一つあると思うんですけれども、その範囲外になってしまいますと、この法律が及ばぬということになるんでしょうが、しかし実際には排出される廃液その他は港をよごすわけでありまして、ヘドロが堆積するというようなことでもってもう港としては使えないような状態が現に現出されているわけであります。そういうふうなところまで手が及ばないということになりますと、せっかくの法律が十分には生きないというような懸念も生ずるのでありまして、その辺の扱いはどう考えておられるかという点が一つ。  それから最後に、大臣お尋ねをしておきたいと思うんですが、実は、前の際にも、私は、港がよごされたのもそれから今日環境の問題が提起されなければならないようになったのも、別に地方の自治体や住民の責めに帰する問題ではなくて、むしろ言うなれば経済成長政策の結果として生じてきておるものであって、したがってそれを今度清掃したりきれいにしたり、あるいはその対策措置を講ずるというふうなときに、たとえば清掃関係——清掃といいますか、そのための施設関係では国が四分の一補助するんだというようなことがこれに書いてあるわけなんですが、聞いてみましたらば、いまごみ処理場への補助が四分の一だから、水域におきましても大体その陸上に合わせなきゃいけないというようなことで四分の一になったんだという、これは私はお役人的というかお役所的というか、ちょっとわれわれには理解のできない考え方でありまして、むしろごみ処理場補助金がこの補助率をきめるなどという考え方でなしに、港湾港湾の問題として、そういう実態に即して思い切ってやっぱり方針をとられるような、そういうお考え方が私はこの法のいわゆる使命をきめていくんじゃないかというふうに考えるんです。大臣の決意などをお尋ねして質問を終わりたい、このように思うんです。
  15. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この補助率の問題につきましては、先般来も運輸委員会等お答えしておりますが、今度のこの法律案を出しますについて、一方予算では全体の補助率をもう少し上げたいと思いまして、財務当局と種々折衝をいたしました。思うようにいきませんでした。しかし四十九年度を初年度とする第五次の新しい港湾整備五カ年計画をいま策定しようとして努力をしておる際でございまして、その際には、いまの補助率の問題にも当然触れまして、いまこの港湾管理者財政状態が非常に窮迫しておる状態も見受けられますので、これに対してはできるだけ国の補助率を高めていかなきゃいかぬという考え方で、これからこの四十九年度の予算編成については十分努力をしたいと思っておる次第でございます。また廃棄物の問題とか、その他いろいろ各種の補助率がばらばらになって、しかも昔のままで据え置かれておるという状態はわれわれも適当ではないと考えております。
  16. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほど先生の前段に御質問のございました臨港地区関係あるいは環境保全関係でございますが、臨港地区と申しますのは、従来の考え方で申しますと、いわゆる都市計画法建築基準と申しますか用途規制と申しますか、そういうような考え方主体でございました。今度は行為を規制すると、先ほど御質問のございました点も入ってきたわけでございますけれども、いずれにいたしましてもやはり港湾管理者という立場が非常に強く出るものでございますから、非常に限定された範囲になる。そういたしますと、いわゆる汚染の源であるものを包含したもう少し広い区域の問題をどう考えるかという問題が出てくることは確かでございます。そこで私どもとしては、いまのところ、この考え方についていろいろ議論をいたしましたが、やはりたとえば水質保全法律であるとか等々のいわゆる一般環境保全行政、これは主体都道府県知事にあるかと存じますが、そういうものでそこの保全をしていただいて、それでその続きの港湾では港湾管理者というものが責任を持つという体制にせざるを得ないということに一応踏み切ったわけでございます。
  17. 長田裕二

  18. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 連合審査委員会において問題になっております港湾法の一部改正に関する法律案、このことに関連いたしまして、なお公有水面の一部改正、この法案と、そしてこの改正の及ぼします環境の問題、この問題に関しまして少し伺いたいと思います。  環境庁長官がいまおいでになる途中だとか伺っておりますが、私は公害委員会におります関係上、たいがいの問題はそちらのほうに重点を置いて伺ってまいりたいと思います。  私は、港湾法というような問題は、私の所属しております委員会とはたいへんにかけ離れておりますんで、至ってしろうと的な意見しか持っておらないわけでございます。ただ私が今日あえてこの連合審査に出まして少し伺ってみたいと思いましたのは、数年前のことでございますけれども埋め立ての問題につきまして運輸大臣権限というものは非常に大きな権限を持っていらっしゃいまして、その権限使い方いかんによってたいへんに大きな影響を与えるものであるということを承知いたしたわけでございます。したがいましてその運輸大臣権限というものは、正しい方向に向かってはもっともっと強く使っていただかなくちゃならない。公有水面埋め立てなんかの問題にいたしましても、私の経験いたしましたところでは、運輸大臣がたとえばこういうところは埋め立ててはならない、これは環境の問題あるいは文化的な問題、いろいろな問題でたいへんに影響があるから埋め立て許可をしてはならないというふうに思われまして、許可権をお与えにならないというような処置をおとりになりましても、それを与えないという、禁示しておくという、ストップをかけたという、そういう権限というのは一体どのくらい長く効果があるものか、それがわからないんでございます。  それで、現在の時点において運輸大臣許可しないとおっしゃいましても、たまたまその運輸大臣がたいへんものわかりのいい方であって、それでよくわかってくだすって許可を与えないでおいてくだすっても、おたくのほうの大臣というのは実によくかわるんでございますね。あれはほんとうに困ることで、やっと話のわかる大臣ストップしてくだすったと思っても、半年ぐらいたつともう別の大臣がお出になる。そうすると、またすぐそれに対して反対の運動をやっている方がどんどん運動を持ちかけますと、今度は運輸大臣がぐしゃぐしゃになっちゃって、一度ストップをかけたものも、そうではないような態度をお見せになるというようなことになったら、これは大きな影響を及ぼすことであるのに、そんなにいいとか悪いとかということが簡単に変わるというようなことでは、これは困るわけでございます。運輸大臣のそういう許可を与えるとか、ここには与えないとかいう権限というのは、どのくらいの年限的に有効な権限なんでございますか、それをちょっと伺いたいと思います。
  19. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 運輸省で所管しておりますのは、港湾行政でございます。埋め立て関係法律案がやがて参議院にも回ってまいりますから、その際には建設省と一緒になっていろいろな問題についてお答えをしなければならぬと思っておりますが、港湾外の海岸の埋め立てというものは主として建設省で受け持っております。私のほうは、港湾整備いたしますために必要とする埋め立て、これを主として受け持っておるのでございます、港湾ですね。  それで、いまいろいろお話がございまして、過去の埋め立てというものがはたして今日全部よかったかどうか、あるいは必要以上な埋め立て許可したのじゃないかというようなことにつきましては、これは衆議院の段階でもいろいろ御議論がございまして、お答えを率直にいたしました。いま埋め立ての権利を与えましても、まだそのとおりに埋め立てをしていないというようなところ、そういったところもございます。で、こういったのはどうするのか、これは知事が許可をするわけでございますけれども、その知事に対しまして行政指導をして、そして現在の状況にふさわしくないようなものにつきましては、再検討をいたしますということを申し上げておったわけでございます。  私のほうで原則的に申しますと、これは御承知だと思いますけれども、いま海上の荷動き、つまり海上の輸送需要というものが非常に大きくなってきております。これは世界貿易がああいうふうに自由化されました結果、世界的にふえてきている。それに伴って国内的にも内航海運に依存するような部分が非常にふえてまいりまして、これは流通機構の一環でございますから、どうしてもこれは整備しなければならないという状況でございます。でございますから、私のほうは、日本の国民生活及び国民経済の発展というものに伴いまして、そういったものはどうしても整備しないと、非常に立ちおくれになっているというのが実情です、港湾は。この間も申し上げたのですけれども、一番わかりやすい例が、世界じゅうの船が日本の港で荷役するまでにどのくらい待っていなければならぬかというと、平均四十時間というのです。四十時間たたないと、港に船が入ってきても荷役ができないのです。ということは、輸送需要に対しまして港湾設備が非常に足りない、また港湾設備が貧弱だと思います。港湾整備をやっていかないと、そういう国民生活及び国民経済の上から見ての需要に対応できないということでございます。ですから、私どもは必要な港湾整備ということはどうしてもやらなければならない。その点におきましては港更整備の上ではやはり埋め立てというのが若干伴います。その点はこれはやっていかなきゃいけない、こう思っております。  ただ、その場合に考えなきゃならないことは、ただ経済成長型だけで、明治初年から日本の港湾はだんだんに整備してきたんですが、いままでのような考え方では港湾整備というものをやることは今後はいけません。今度の港湾法改正にあたりましても、その点につきましては十分に考えまして、環境保全、公害の防除というようなことを大きな港湾整備の目標に立てまして、今度いま御審議願っております港湾法改正案も、そういう点を十分考えていたしますということを表明いたしまして、そうして御審議を願っているわけでございます。やがて参議院に回ってくるといいます公有水面埋立法、これにつきましてもこれは非常に古い法律でございます、大正時代の法律でございますけれども、これの全面改正をしなければならないのですけれども、やはり社会的な事情というものは、いま申し上げましたような埋め立てについても、やはり環境保全、公害の防除ということを十分考えてやらなくちゃいけないということで、埋め立てについての免許の基準というものを法律で示したのでございまして、その中には、いま申し上げましたような意味で、いままでの埋め立て、ただ埋め立てて土地をふやすんだということだけではいけない。その場合には環境保全も考えなくちゃいけないし、公害の防除ということについても十分に意を用いてやらなければいかぬということを強調した法律でございまして、両者歩調をそろえまして、いま御心配になっておりますような点がないように努力をしようということで、改正案を出しておるわけでございます。
  20. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 いま運輸大臣から御答弁をいただきましたのでございますけれども運輸大臣のおっしゃったことは、結局、この港湾法というのは昭和二十五年に制定されて、その時分はとにかく所得倍増が最も盛んな時代でございましたから、すべての政府の政策というのは経済成長というほうにまっしぐらに進められていて、それが当然のこととお考えになったんでございましょうし、また国民全般としてもそれをあえて否定するというような考え方はあまりなかったわけでございますから、それに対してこういうような法律ができているというようなことは、一般の国民にはあまり関心がないことということで通ってしまったわけでございます。しかし、その方向が非常にどんどん進められましたことは、結局、いま大臣がおっしゃったような船の出入りが非常に激しくなった。それに付随して港湾整備が非常に必要であるということはもっともなことでございますけれども、同時に港湾整備ということが、公有水面埋め立てということがどんどん行なわれていって、それも経済発展のために最も必要なことであって、ことに外国との競争場裏に立つ場合には、日本のようなこの狭い国ではどうしても埋め立てによる港湾の拡大的な成長という規模の拡大、それに非常に運輸省は重点をお置きになったと思うのでございます。  それで、私はこれは昭和四十三年のころのことでございますが そのときに私は鳥類保護連盟とか野鳥の会とかに関係しておりまして、そういうような自然保護の問題に非常に教えられているわけでございますが、こういう方々の声を始終聞いておりますと、鳥類のやはりたまり場、渡り鳥がたまる場所というのは、これは絶対に必要なものであって、それはここの場所がもう埋められてしまうから、あっちのほうの別の場所にかわってくれということはできないことなんでございますから、そこに与えられた自然の環境というものはそのままの形で残していただかなくちゃいけないという問題が起こっているわけでございます。その当時、そういう問題を取り上げましたときには、何か一部のペットの問題みたいに、鳥をかわいがっているなんていうことはペットをかわいがっているという問題にしか、小さくしか理解できない向きが多かったのでございます。したがって私どもが野鳥の会や鳥類保護連盟のたくさんの方々の要請に応じまして、港湾埋め立てについて運輸省といろいろ折衝いたしましたときには、もう全然御理解がなくて、そんなことは非常につまらぬ小さなことだということを始終聞かされました。  そうして特に私忘れられないのは、東京湾はこれはどんどん埋め立てるのが日本の一番大切な国策であるんだと。それでそんなところで海水浴なんかできないとか、干がたなんというものがなくなるなんということは問題にならないんだと、もし海水浴がしたかったら北陸のほうの海に行ってしたらいいじゃないかと、こういうことさえ言われたんです。その北陸の海もどうなんでございますか、今日はもう油でどんどんよごされてあまり海水浴もできないし、魚もよごれると。こういうようなことが一度に南にも北にも東にも西にも起こって、いま厚生省が一番頭痛はち巻きでございますけれども運輸省だってずいぶんこれは責任があることなんでございますよ。お役所としては別に関係がないみたいな顔をしていらっしゃるけれども、やっぱりその時分の運輸省の、こういうようなことについて、もっと、たった十年か十二年先の話、そのことでももう少し先見の明があったら、きょうこんなひどいことにならないで済んだのかもしれない、こう思うわけでございます。  で、私がいま一番伺いたかった最初の質問に対してのはっきりしたお答えかなかった。つまり運輸大臣公有水面としてここは許可を与えるとか与えないとかということは、知事が許可を与えるその前に、運輸大臣のもっと大きい権限があるというふうに私は理解しているんです。運輸大臣がノーとおっしゃれば、地方自治体の長は申請者に対して許可を与えることができないわけです。  それで、私は、特に重要と思われるところは、運輸大臣のノーというお答えをいただいているわけです。これは東京湾の新浜の御猟場の前の、この辺の野鳥のための足場をとってほしいという、そういう要求から起こったことでございますけれども、そのときにいろいろの折衝がございまして、運輸大臣はあるところを港湾の中で点線にしておおきになって、それでここはとにかく埋め立ててくだすっては困りますと、ほかはいろいろ譲歩いたしましたけれども、ここは埋め立ててくだすっては困りますと、それで運輸大臣はこれは許可は与えないとおっしゃった。これはいつまででもこういうふうに守っていただけますかと言ったら、昭和五十年までとにかく埋め立て許可をしない方針だということを言われたのでございます。それで、その五十年までとか言われたって、そういうことは五十年になって、ここをまた埋め立てられたら何にもならなくなってしまうので、そういうような許可権というものの永続性というものは、法律上どういうふうになっているのでございますか。それをもう少し詳しく説明していただきたい。
  21. 岡部保

    政府委員岡部保君) お答えを申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいました公有水面埋め立てのいわゆる大臣の認可権限というものがどういうふうな永続性と申しますか、があるかという御質問でございますが、話を決してそらすわけじゃないのでございますけれども、まわりからお話を申し上げたほうがいいと思うのですけれども、私ども、先ほど大臣申しましたように、運輸省の所管いたしておりますのは、港湾区域内あるいは公有水面埋立法で港湾と指定された区域の中の埋め立てが当方の権限になっておるわけでございます。  そこで、先生おっしゃいましたように、この公有水面埋め立てする直接の許可をおろすのは都道府県知事であり、港湾区域内の場合は港湾管理者の長であるわけでございます。したがって、その地域であれば千葉県知事ということになるわけでございます。そこで、その許可をいたしますに先立って、たとえば大規模のものである、あるいは埋立法で港湾を甲号港湾と乙号港湾といっておりますが、甲号港湾埋め立ての問題、あるいは乙号港湾の中での埋め立ての問題にいたしましても、港湾の今後の情勢に非常に大きな影響を及ぼすというような判断のあるものについては、大臣の認可を求むることになっておりまして、したがって許可を与えるに先立って大臣のところへ申請してくる。そこで、先ほど先生のおっしゃいました、大臣がこれでいいかどうかという判断を下すわけでございます。  ところが、実態はどうなっておるかと申しますと、現実の問題といたしましては、港湾区域内の問題といたしましては、むしろ港湾計画が先行するというのが事実でございます。そこで、港湾計画というのはどういうものであるかという点について御説明申し上げますと、港湾計画というのは、港湾管理者の長である、やはり千葉県知事になりますが、がお立てになる。そこで、これは今回の御審議いただいております法律によりますと若干手続が変わりますが、まあ現行法でもそう変わってはおりませんが、現実の問題としては千葉県知事が一つ計画の原案をおつくりになる。そこで、これを現行法で申しますれば、必要と認めれば大臣がその計画を提出してくださいとお願いする。そうすると、提出されたものについて、中央で港湾審議会というのがございます、そこで審議をいたしまして、この港の計画はよろしいということになるわけでございます。  それから、今度の改正法をお認めいただければ、これは重要港湾以上であれば必ず提出しなければならないという義務が出てまいります。それで、それに対してやはり同じ中央の港湾審議会というものでこれを審議して、それでこれがよろしいということになれば、運輸大臣が公示をする。何港についてはこういう計画を持つんだという公示をいたします。それから各港湾管理者はその線に沿って港湾整備するというかっこうになります。  その整備の内容として、たとえば一つの新浜でございますか、あそこの埋め立てという計画が、港湾計画としてたとえば目標が昭和五十年の目標である、あるいは五十五年までにこの千葉港というものをこういうふうに直していくんだという計画であるとすれば、その計画の中にそういう埋め立て地が含まれていないとすれば、これはもうここの埋め立てをいたしたいといっても、その計画を変えない以上は絶対に私どもは認可はしないと、よってもうお断わりいたします。したがってその公有水面埋め立てで認可をいたしてしまうと、これは言うなればこの埋め立て事業が竣工する、土地になってしまうというときまで、これは特別のことがない限り、取り消すという形式にはならぬわけでございます。したがって永久的に続くと申しますか、ほんとうに必要な期間はずっと認可の効力は続いてしまうというふうにお考えいただくべきだと思います。  ただ、その前にある港湾計画という点で、この港湾計画というものはもう絶えず変わっております。たとえば先生先ほど御指摘ありましたように、われわれは確かに東京湾に対しての感覚が、環境問題等々についていささか考えが及ばなかったというのは私どもいま反省しておるところでございますけれども、そういう点で、ある時点で考えた計画というのがもう現時点では直さなければいかぬという問題がございます。そういう際に港湾計画のほうでまず直す。それで、その港湾計画の中に含まれている埋め立て、これはよろしいということになったら、それは今度は埋立法の問題ということで、具体的に別途公有水面埋立法の手続に入るというかっこうになるわけでございます。  したがって、やはり先生のおっしゃいました、一体いつまで続くのだと申す問題は、港湾計画で昭和五十年であるとか五十五年であるとかという目標でこういう計画を立てたという時点においては、その年限、年次まではそれに含まれていないものは一切やらないという一つの保証を与えておる。ただ、それを絶えず検討し直しては、場合によっては改正していくということで、それをまたあらためて港湾審議会の議を経て改めていくということはあるわけでございます。
  22. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 港湾審議会というものが改めればその計画が変わっていくというお話でございますが、港湾審議会というものは環境の問題についての発言をなさるような方がどのくらいの割合で参加していらっしゃるのでございますか。そしてその審議会の委員の任期というのは、どのくらいひんぱんにかわるのでございますか、そこをちょっと伺います。
  23. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまのはまず関係官庁の職員というものが出ております、これは事務次官が一応委員ということで出ております。これが約十名おりますが、これの中に環境庁事務次官が入っておられます。そこで当然そういう御発言が最近もありますし、また事前に役人同士の幹事会というのがございまして、これは課長レベルで事前に付議される案件について各省の考え方をいたしますが、最近、はっきり申し上げて一番問題になるのは環境問題でございます。したがって各省も決して環境問題で、こんなのはいいやというような考えはもう全然ございませんで、もうむしろ環境庁のお説に、どういうふうにこれを直すべきかというようなのが非常な議題になっておることは事実でございます。  それから、委員のほうで、この関係行政機関の職員という以外に民間の方々、これはいわゆる全般的に学識経験者ということにいたしております。ただ、その中には、何と申しますか、ほんとう港湾計画の学識経験者ということで、これは運輸省港湾局の先輩でございますが、最近非常に環境問題を一生懸命やっておられます先生がおられたり、それからいわゆる経済学者でしかもやはり環境問題というのを大いに考えるべきだというような考え方に立っておられる方、あるいは、たとえばこれはちょっとあれが違いますけれども、海難防止協会とかそういうところの理事をしておられる方で非常に安全あるいは環境という問題に盛んに関心を持って御発言なさる方々等がおられますので、これは全体の数から申しましたら、これは確かにむしろ少数でございます。そういう明らかにこれは環境問題の発言をされるという方の数からいいましたら少数でございます。ただ、この審議会は非常に技術的なというか、具体的な問題でディスカッションいたしますので、いわゆる採決で多数できめるとか、そういう考え方ではございませんで、もうほんとうにとことんまで議論し合って、それじゃこういうことで考えようというような審議形態をとっておりますので、したがって、そういう意味では最近も現実の審議会の議論でもやはり環境問題というのは非常にウエートが大きいということははっきり申せると存じます。
  24. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 環境問題の審議の際に、ウエートが非常に重くなったという御説明は心強いことだと思いますけれども、必ずしもそれを伺っただけで安心はできないと思います。これは全国的にたいへんに広く波及しておりますし、現実の問題として刻々と方々に新しい具体的なプランが持ち上がっておりますから、私はなお心配な点はあまり解消できないわけでございます。  特に、昨日、田中総理大臣が参議院の本会議におきまして、いまの魚類のいろいろ汚染の問題やなんかで、国民全体が、漁業従事者もたいへんな生活権の問題ですし、消費者の面でもたいへんな問題で、いろいろと各党の委員がそれぞれりっぱな発言をなすったんでございますけれども、総理大臣の御答弁というのはいつも何か食い違っております。まるで発想の基礎がやはり経済成長のほうがより重要だと、重大なんだと、それを信じていらっしゃるらしいんでございます。で、いろいろ日本のために心配なさることはまことに当然であり、けっこうだと思いますけれどもほんとうに日本のために心配をなさる、国民の生活を守ろうというほんとうのお考えがおありになりますならば、総理大臣はもっともっと深く御勉強なさいまして、今日の時点においてどういうところがほんとうに大事なのかということのその発想をどうしても変えていただかなければならないんでございます。けれども、ああいうお考えをお持ちになっている総理大臣が上にいらっしゃって、それでいろいろの、環境の問題でもそうでございましたし、それから今度国土総合開発の問題でも、結局、最後は、総理大臣が一番上の最高の権限を持っていらっしゃるということになりますと、最後は経済成長優先というところにきめられる心配が多分にございます。岡部港湾局長、私の記録にございますとおり、四十三年十月二十五日にいろいろ御説明くださいまして、そのときの御説明といまとだいぶ変わって、局長におきましては心境の変化大いにあるものがあると私は認めますから、どうぞあなたが重要な立場にいらっしゃるので、その新しい心境のもとに新しい御理解のもとに、環境の問題は国全体に一番重要な問題だというその観点で、この公有水面埋め立ての問題あるいは港湾整備の問題についても御発言を進めていただきたいと、私は特にお願いを申し上げます。  それから、その次に伺いたいことは、港湾の問題とそして公有水面埋め立ての問題でございますけれども、その埋め立て地を利用する問題について、生活環境の破壊ということは十分に今後は考慮しなくちゃならないと、いま港湾局長のお話でございましたが、その住民の権利というものの広さというものをどの程度に押えていらっしゃるか、ごく一部の、すぐそこに直面した人の住民の権利というようなことはいままでも言われておりましたけれども、その背後のほうに、非常に広く環境の変化によって影響を及ぼされる面があるということ、それはどのくらい広く、深く押えていらっしゃるかということ、それが一つ。  それからもう一つは、港湾の問題、公有水面埋め立ての問題は直ちに漁業に従事している方々の生活権に密接に関係いたします。で、従来は補償の問題というところにすぐにこうわりあいに簡単に結びついちゃって、漁業に従事していらっしゃる方たちはもうどうせ海はよごれたと、もうこれは商売がえをしなければならないから補償を早くもらえばいいというように、早くあきらめていらっしゃる面も東京湾の場合なんかには見られたと思います。そういうような場合に、いままでの補償というのは漁業の組合というような一つの団体を目標にして補償が行なわれていたようでございますけれども、これでは非常に不十分でございまして、そういうような大きな組合の中に入っていない、外にこぼれているようないろいろの雑種の、やはりそこで生活権を持っている方たちがいろいろございます。そういうような問題をどういうふうに把握していらっしゃるか、それを伺いたいと思います。
  25. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御質問でございますが、現行の公有水面埋立法というものでまず申し上げますと、水面に関する権利者と申しますか、これを非常に法律ではっきり限定をいたしております。そこで水面に関する権利者というのは、その埋め立てられる水面もしくは埋め立てるためにまわりに工事のために占用するような区域が出ます。そういうような非常に限定された範囲の水面に関する権利者ということで、いまおっしゃいました、たとえば漁業権者、こういうもの、いわゆる漁業組合の単位での漁業権者になりますが、そういう方々、あるいはその公有水面から水を引いておるというような方、あるいはそこへ水を排出しているというような方、そういうような非常に直接的な権利者だけが直接の権利の対象であった、これが法律的な厳密な解釈でございます。  ところが、現実にはなかなかそうはまいりません。たとえば漁業者の例をとりましても、実際にここの区域に漁業権を持っていないけれども、すぐ隣で漁業を営んでおる、非常に影響が出るじゃないかというふうなことで、現実の問題としては、先ほど先生のお話のございました補償という問題では影響補償というのを現実に支払っておるのは事実でございます。ただ、現実の法律的にいえば、そういう非常に範囲が狭かった。そこでこの点についてはどうも私どもとしても何かおかしい、こういう点については何か考えなきゃいかぬということで、これは昨日の衆議院の建設委員会で御採決いただいたわけでございますが、公有水面埋立法の一部改正をいたしております。その中では直接の権利者というものについては考えを変えておりませんが、埋め立ての問題が出願された場合に利害関係を有する者は意見書を提出することができるんだと、知事に対して。そういう項目を新たにつけ加えました。この利害関係者というものは、これは決してこういう非常にシビアに狭い範囲に限定いたしておりません。そこで都道府県知事が出願がありますと、こういう出願があったということを告示いたしまして、それを見て、これはわがほうに大いに関係があるということならば意見書を提出する。この意見書を提出するということ、これにとどまっておりますが、これは当然意見書が出た以上はそれを慎重に扱うということは当然でございますけれども、そういうような一歩前進した改正をしようということにいたしております。  したがって先生のいまおっしゃいました、確かに問題に関連した、周辺の方々が、たとえば先ほどのお話の具体的な例で申しますれば、野鳥を守る会という会があって、それでこの埋め立ては反対なんだということをおっしゃる。ところがいままでは直接の権利者であるとは言えなかったわけです。ただ、こういう改正をいたしますれば、当然これはいわゆる利害関係を有する者という立場で、その御意見は法的にもおっしゃれるという根拠を今回の法改正で入れようという考え方でございます。したがってどうもこれではまだまだ足りないといっておしかりを受けているわけでございますけれども、少なくも一歩前進であるということは確かである、こういうふうに考えております。
  26. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまの局長の御答弁で、自然環境の問題で発言をする人の立場というものが法的に認められるということを伺いましたのは、たいへんな進歩であったと私も喜ぶわけでございますけれども、残念なことには、ちょっとずいぶんおくれたわけでございますね。局長がもう少し前にこのことに気がついていてくださればほんとうによかったと思いますけれども、ずいぶん手おくれでございます。ですけれども、まだまだこれからこういう問題はあちらこちら全国的にたいへんたくさんございますので、どうぞそういう自然環境、直接の経済的な利害関係というものが何にもそこに見えませんけれども、国民全体の保健の問題、環境の問題については非常に重要な地位を占めるものとしてこれを認めてくださるということは、たいへんな進歩であったと思います。  次に伺いたいのは、公有水面埋立法の問題でございますけれども、施行令の第十六条に「都道府県知事ハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者に帰属スヘキ埋立地ノ価額ノ百分ノ三ヲ埋立ノ免許料トシテ徴収スヘシ」ということが一つ、それから第二項に「埋立地ノ価額ハ埋立ノ免許ノ日ヲ標準トシ比隣ノ土地ノ価格ヲ参酌シテ都道府県知事之ヲ認定ス」というようなことが書いてあるのでございますが、この点で伺いたいのでございます。  運輸大臣も御承知のとおり、東京湾の埋め立てというのはこれはもうたいへんに大きな面積の埋め立てでございまして、私もまだ埋め立てが手をつけられないときに、鳥類の観察の関係でそこへ参りました。そうしてどんどんと埋め立てが行なわれているその姿をはっきりとそこで見たわけでございます。そうしてそこには広い沿海に日本のありとあらゆる大手の企業のテント張りみたいな、出張所みたいなものがずらっと出ておりまして、日本の大企業というものを一目で見たかったら、あそこに行ってみれば全部の出張所があるというような形でたいへん盛んなことだと思いました。これを見ていると、日本の将来というものは大企業が全部しょっているみたいで、ここをどんどん埋め立てるということによって大企業が発展するということはすなわち日本の経済が発展することであって、たいへんいいことだというふうな解釈で、なされていたように見受けました。私はそう思いませんでしたけれども、そういうようなふうに出ていたわけでございます。  そうしてその時分は、地方自治体の長になる方もあるいは自治体の議会、県議会なんかの議員の方々も、やはり多数の意見というようなものは、そういうことが非常にいいことだというふうに考えて少しも疑わないというようなことでございましたけれども、ここで一番問題になりますことは、公有水面埋め立ての免許ということなんでございますが、これは「元来私人の所有に属しない公有水面を、排他的、永久的に埋立てゝ、」しまって、そうして「埋立免許出願者に所有権を賦与する特許に属する行政処分であると解されている。」これはこの問題について非常に強い関心をもって意見書を出しております日本弁護士連合会の意見書の中にいわれていることでございますが、これは私たちがほんとうに言いたいところなんでございます。  だれにも属していない水、それを埋め立てた人が許可さえもらえば、今度はそれが土地になってあらわれてきて、その土地から生まれる利益というものはもう膨大なものであって、それが全部私的なものに属されてしまうわけですから、この埋め立ての免許ということはもうほんとうに大きな権限なんで、与えるときには十分に考慮して与えなければいけない。公共の、公有の、おてんとさまとか雨とかというものと同じような、水というようなものが一私業に属してしまって永久に私有物になってしまう、こういうような問題の免許ということでございますから、国民の共有財産を一般に廉価で永久に特定の私人の所有にすることを認める行政処分として、こういうものがいままで存在していた。そして一ぺんこれを埋め立ててしまうと、回復することができないわけでございますね。これももうほんとうによく銘記していただかなくちゃならないのでございます。  こういうようなところに免許を与えるということについて、その利害関係というものを十分に慎重に考えていただかなくちゃならないわけでございますが、その免許のときの埋め立ての免許料というものは「百分ノ三ヲ埋立ノ免許料トシテ徴収スヘシ」というのでございますが、これは例をとって、東京湾の千葉県が扱っております埋め立てに対して百分の三というのは、一体、金額にして幾らぐらいを納めたのでございますか。
  27. 岡部保

    政府委員岡部保君) まことに申しわけございませんが、ただいま先生の御指摘の点に対する資料を本日持っておりませんので、御必要であれば至急取り調べさせます。
  28. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 いま答えていただかないとたいへん困るわけでございますね。これは連合審査で、この機会以外にまた別の機会をさがして質問しなくちゃならないわけで、そのとき、もう一つ答えていただきたいのは、埋め立て地の価額は、埋め立ての免許の日を基準にして、その隣近所の土地の価格やなんかを参酌して都道府県知事がこれを認定するというのですから、いまみたいな土地の価格がたいへんに上がっているときに、あの時点で埋め立てたというときは、おそらくひどい安い価格で見たのじゃないかと思うのでございます。これはぜひ一般の国民が知りたいところだと思うのです。あんなにたくさんのものを埋め立てちゃって、あんなにたくさんの公有水面が私有物に帰してしまった。そしてそれがどんなに安い価格で手に入ったかということ、これはもうほんとうにみんなが知っておくべきことだと思いますので、ぜひこれは具体的にお調べになった上で答えていただきたいと思います。そしてその時分、近隣の土地の価格をどのくらいに査定なすったかということも知らしていただきたいと思います。  それで、環境庁長官がおいでになりましたので、長官に対して質問いたしたいのでございますが、今度のこの改正の案の中で、環境に及ぼす影響が非常に大きいということはいま港湾局長からもいろいろ新しい御認識について御説明を承りました。それで、環境庁長官意見も徴するということがここに書いてございましたね。長官はただ意見を聞かれるということだけで御満足なんでございますか、やはりもっと強い権限をそこで持つべきだというふうにお思いにならないんでございましょうか、その点を長官から伺いたい。  私どもは、いま環境の問題がこんなに重要でございますし、港港局長環境の問題も法的根拠のあるものとして今後は認めるとおっしゃったのですから、たいへん心強いのですけれども環境庁長官がそこにただ並んですわっていらっしって意見を聞くだけじゃほんとうに心細いです。やはり認可、許可権というものに一枚環境庁長官が加わるべきだと思うのです。そういうふうにぜひこれは直していただかなくちゃならない。この点を伺います。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 港湾計画基本計画を立てますときは協議をしなければならぬ、協議でありますから環境庁長官環境保全上同意できないときには、その港湾計画というものは実施できぬということになるわけでございますから、加藤さんの言われるように、そんな弱い権限だとは思っておりません。
  30. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 三木長官は副総理という資格をお持ちになった長官でございますからね、その長官が御在任中はまあまあ少しは安心ができますけれども環境庁長官というのはよくおかわりなりまして、必ずしもいつも出ていらっしゃる方が強い発言権をお持ちになるとは、いままでの短い経験でも私はそう思いません。たとえば最初の第一の長官は非常に強い発言権をお持ちになったのですけれども、で、国民は非常に満足をしておりましたが、聞くところによりますと、ああいう強い発言をなさると閣内であまり評判がよくなくて、おまえ言い過ぎるというふうにずいぶんつつかれていらっしゃるというような、そんなふうな状態でございますからね。それで、いま副総理がすわっていらっしゃるからいいので、そうでない方が長官におなりになったら、ただそこに並び台に置いたように並んでいたのでは、これはとっても押えられるものではないんです。やはりここに認可権を一枚必ず加えていただかなくちゃならない、そういうふうにお変えになる気持ちはないんでございますか、もう一度伺います。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは環境庁長官の個人がどうだということでなくして、その背景にはやはり国民の意識の変化がある。環境保全というものを昔はむとんちゃくに——環境に対する影響というものをむとんちゃくに過ごした時代がありましたが、今日はそうはいかない。至るところ、やはり一つの地域における国民の住民パワーといいますか、そういうものはやはり環境問題でしょう、いま起こっておるのは。それは大きなやはり意識の変化を認めざるを得ないわけですから、環境庁長官の個人の力関係というよりも、環境保全ということをあと押しする世論の背景というものが全然違ってきておる。だから加藤さんの御心配になるようなことはないし、またこの港湾計画の場合においても、いろいろ地域住民の意思をくみ取らなければならぬことにもなっておりますから、そういう心配は私はないと、この条項で十分に環境庁長官の力の足りないところは、いわゆる環境保全をしろという国民的世論、やはりこのあと押しもあるわけでございますから、私は心配はないと思うのでございます。
  32. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 長官は、国民の世論を背景にして非常に強い発言ができるとおっしゃいましたが、私は、ほんとう法律の上でそういう強いお立場をここに明記していただくことのほうがほんとうに必要だと、いまでもその考えは変えません。  最後にもう一つだけ伺いたいのは、日ソ渡り鳥協定が次の国会にはきっと上程されるだろうと思います。それで、それまでの間に、この渡り鳥協定の案件の中にいろいろ書かれておりますのは、ソ連と日本との間の渡り鳥のいろいろの生息地、休養地というようなところは、これは法律的にこの協定の上で保護されなければいけないということが明記されておりますから、それはぜひ守っていただかなくてはなりませんけれども、やはり公有水面埋め立てとか、港湾のいろいろな整備の変化とかいうようなことが直接に結びついてまいりますので、そういう点でどういう御認識をお持ちになって、どんなふうにこの日ソの協定に対して十分にこたえられるようなことをなさっていらっしゃるか、それを伺って私は最後の質問といたします。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 加藤さんの御指摘のように、日ソ渡り鳥保護条約は合意に達しておるわけですから、次の通常国会で批准を求めることになると思いますが、渡り鳥というものは生息地というものを離れて存在しないわけですから、生息地の環境保全するということは、この条約の義務をわれわれが履行する場合に、欠くことのできない一つの要件になりますから、いま御指摘の協議権という中に、渡り鳥の生息の環境保全するということは重要な項目の一つだと思っておりますので、生息地の保全には万遺憾なきを期したいと考えております。
  34. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 小平芳平君。
  35. 小平芳平

    ○小平芳平君 初めに、通産省からかあるいは運輸省からか、漁船によって港を封鎖されて企業が操業中止になったと、で政府の姿勢としては、現状において水銀やPCBの発生源工場が操業を中止する必要はない、規制値を守っている限り中止する必要はない、こういうふうに政府が盛んに発言をしているそのときに、一方では漁民によって実際上操業中止をし、そしてまた補償の交渉に入るということが毎日報道されておりますが、このような点についてどう報告を受けておられますか、調査をされておりますか。
  36. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 私どものほうの通産局等を通じまして調査いたしたところによりますと、今月の二十日から二十五日まで岡山県の水島地区にございます四つの、電解法によります苛性ソーダを製造いたしております工場が県当局の御要請によりまして操短をいたしまして、二分の一の操業をいたしておりましたが、さらに一昨二十六日に漁連と補償の——補償と申しますか、見舞い金等の交渉に入りまして、その交渉が続く間、操業をストップするというふうに漁連、県、企業側の間で話がつきまして、一昨二十六日、昨二十七日と操業がストップいたしておりますが、その後話がつきまして、きょうの正午から再開するという予定になっておるようでございます。  それから、四国にございます東亜合成化学工業の坂出工場におきましては、坂出市の申し出によりまして、昨二十七日から全面的に操業をとめまして、現在漁業組合と交渉を継続中でございます。これはいつまで操業をとめておるかという解除の見通しについては未定でございます。  それからもう一つ、同じく東亜合成化学工業の徳島工場——この坂出、徳島いずれも電解法によります苛性ソーダを製造いたしておりますが、二十九日に漁民の決起大会がある予定でございまして、その場合の混乱を避けるという意味合いにおきまして、二十九日の午前十時から三十日の午前十時まで二十四時間操業を停止するということを会社のほうできめております。ただいまのところ操業停止等の関係はこの水島地区と四国の二カ所でございます。
  37. 小平芳平

    ○小平芳平君 佐賀関はどうですか。
  38. 松村克之

    説明員(松村克之君) お答えいたします。  私、直接の担当ではございませんが、日本鉱業の佐賀関につきましては、付近の漁民との間で、たれ流しといいますか、重金属の排出について問題が起こりまして、操業を停止することに話がついたというふうに承っております。
  39. 小平芳平

    ○小平芳平君 新居浜はどうですか。
  40. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 新居浜につきましては、漁民の海上封鎖等の事実はございましたけれども工場はずっと操業を続けております。
  41. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう個所の港はどうなっているのですか、運輸省
  42. 岡部保

    政府委員岡部保君) いまお話に出ましたような港につきまして、港湾の直接の活動として非常に公害のために港の機能が低下したといいますのは、現在、お示しになりました港以外でございまして、例の田子ノ浦がはっきりいえる問題でございます。これは港のいわゆる機能と申しますか、その施設の機能が低下したという意味に限定いたしますと田子ノ浦でございます。それ以外につきましては、確かにいろいろな問題点が起きておりますが、いわゆる港湾施設の問題としては、直接のあれは影響はないという感じで受けております。  ただここで水質汚染のために、これは変な話でございますが、港を利用する船舶に対しての影響が出ておるというような話も聞いておりますので、この点につきましては、まだまだ港湾機能、港湾施設の面から申し上げるだけではいけないということはよくわかりますので、これからもまだ十分注意をしてまいりたいという考え方でございます。
  43. 小平芳平

    ○小平芳平君 田子ノ浦のことはまた後ほど詳しく質問をいたしますが、政府として、これは総理大臣か、環境庁長官お答えいただくべきことだと思うのですが、こうした深刻な状況にありながら、どうして根本的な手を打たれようとしないか、いかがですか、環境庁。
  44. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) この水銀の汚染の問題につきましては、現在は心配すべき危険量は流出をされていないと聞いておりまするけれども、かつての蓄積というものは相当のものでありましょう。そこで、現在、漁民の皆さん方が非常に不安に思っておられる、それが各地でいろいろな紛争を起こしておるわけでございます。で、私どもといたしましても、十一省庁からなる水銀対策の推進会議を開きまして、いろいろと各般にわたりまして対策を検討し、実現をいまやろうとしておるわけでございます。  まあこれは直接の通産省の指導ではございましょうけれども、もう水銀の排出が検出されないことなどというような段階はやめて、もうすっかり、一滴も外へ、海へ出さないというクローズド・システム、そういうものに向かって今年一ぱいにはたれ流しは一切ないというような工程に改めまして、皆さま方の不安を解消したいというようなことも、ただいま話ができておるような段階でございます。あるいはまた、御承知のとおり環境調査も厳重に実行いたしまして、不安の解消につとめてまいりたいと思っておるわけであります。
  45. 小平芳平

    ○小平芳平君 たいへんきれいな表現で、過去の蓄積による不安というふうな表現を使われますが、実際問題、これも重々御承知のように、魚がとれない、売れない、そうすると生活もできない、そういう状況なんです。したがってこれに対する対策として、一体、こういう現状をどう受けとめているか。  これは運輸大臣にも、また環境庁政務次官にもお答えいただきたいんですが、こうした漁船が港を封鎖したという写真が出ていますね、ごらんになっていますか。漁船が港を封鎖しているという現状、あるいは排水口を実力でふさいでしまったという新居浜、こういう現状をどう理解しておられるか、この点はいかがですか。
  46. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 私のほうは港湾行政を担当しておりますが、港湾行政の面におきましては、先ほど政府委員からお答えをしたような影響が出ておるのであります。しかし政府全体としましては、こういった問題については、その汚染根源というものについて徹底的に防除をするような対策を講じなければならぬということを私も考えておるのでありまして、関係閣僚の中で港湾を担当しております私もある程度関係がございますから、そういう点につきましては環境庁長官あるいは通産大臣等と十分協議をしなければならないし、早くそういった不安をなくするような対策を政府としては立てなければならぬということは、これはもう同様に考えておる次第でございます。
  47. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) 先ほども申しましたように、確かに高度的長、その過程の間におきまして、かつてはやはりたれ流しがあった。その蓄積というものがやっぱり今日漁民の不安あるいは消費者の皆さんの不安、国民の不安につながっておるということは、深刻なまず反省から私ども出発をいたさなければならぬと痛感いたしまして、種々の対策を講じておるようなところでございます。  先般来、いろいろと十一項目の決定を見、あるいはついこの間も七項目の対策を立てたわけでございまするけれども、その間にありまして、魚の安全基準なぞ、国民の不安解消に向かって、消費者の不安を解消するということに対して打った手がまた不安を呼んだなどということは、たいへん申しわけのないことだと私どもも反省をいたしておるわけでございまするけれども、とにかく、ただいま運輸大臣も言われましたように、やはりしっかりした——ここでおしかりを受けましょうと、おそまきながらでありましょうと、少しでもあぶないと思うような水域からまず着手をいたしまして、全国的な環境調査をやって、そうして悪いところは悪い、いいところはいいというようなはっきりした海の線引でもいたしまして、そうして不安の解消に向かってこれからも全力をあげてまいりたいと思っております。それにつきまして汚染源なぞがありましたらきびしく指摘をいたして発表をする、そしてその対策を講じていきたい、こう思っておるわけであります。
  48. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは、政務次官、たれ流し、高度成長に対する反省ということは、少なくともきのうの総理の本会議の答弁よりも進んだお考えだと思いますので、三木長官とも御相談の上、ひとつこうした異常事態に私たちが国会議員であったということ、また政府の大臣であり次官であったということ、それ自体が私は非常に大きな責任を感ずるわけであります。  私自身も、ただ表面だけうまい話を演説するというような気持ちは毛頭なく、実際問題、漁船が港を封鎖する、あるいは地域住民が排水口を石でふさいでしまう、そういう事態にいまなっているということ。で魚はとれない、とっても売れないというようなこと、あるいはとれた魚はそのまま工場へ持っていく、工場はそれをあらかじめ穴を掘って埋めている、こういうことが現に行なわれている。私は、これは日本の歴史の上でも世界の中でも、きわめていまの時期というものは公害環境に対するもう重大な時期だということを感じて申し上げているわけであります。なお一そう環境庁にがんばっていただきたいということを要望いたします。  それから次に、先ほど港湾局長が発言された田子ノ浦につきまして、この田子ノ浦の排水は水質基準を上回ったものがなおかつ出ているということなんですが、この点についてひとつ環境庁から御説明いただきたい。
  49. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 田子ノ浦でございますが、この田子ノ浦港に流入いたします汚水、これは主としてパルプ・紙製造業百四十工場の排水でございます。日量といたしまして大体百十万トン程度が流入されております。現在の水質はどうかという御質問でございまするが、岳南排水路におきます最近の水質の平均値をとりますと、SSでは一六九PPM、CODでは一五六PPMというふうになっておりまして、私どもの予定しております水質とSSにつきましては非常な差があるというふうに考えて、非常に残念に考えておる次第でございます。
  50. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、これは岡安局長、田子ノ浦のヘドロ処理で何回か私は問題提起をいたしましたが、ヘドロ処理してもなおかつそういうSSがはるかにオーバーしたものが流れ込んでいたのでは、港はきれいにならないわけですね、どうすればいいですか。また環境庁として打つ手はないんですか、あるいは運輸省として打つ手はないんですか。
  51. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 御指摘のとおり、現在田子ノ浦港に堆積しているヘドロは約九十万トンといわれておりますが、これを実は静岡県におきまして今年度中に大部分しゅんせついたそうという計画でございました。御指摘のとおり、しゅんせついたしましてもSS等が基準以上にさらに流入をするということでは、毎日毎日さらに堆積が進行するということでございます。私どもは、これを年次計画によりまして規制を強化をするということで、静岡県におきましてきびしい上のせ規制をいたしております。しかし御指摘のとおり、現状におきまして静岡県の上のせ規制が完全に守られているとは言いがたい、したがって予定されております毎日の堆積以上にヘドロが堆積をしているということは事実でございます。そこで私どもはヘドロのしゅんせつを急ぐと同時に、さらにこれ以上ヘドロの堆積を進めないということから、各関係工場に対しましては厳重に規制を守らせること以外にはなかろうというふうに考えております。
  52. 小平芳平

    ○小平芳平君 県の計算で、各企業が現時点の排水基準を守っていると仮定した場合に、SSで八五PPMと、こうなっておりますか。——そうすると、平均一六九PPMというものは倍ですね。これを守らせると言うんですが、どういうふうにやりますか。
  53. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 御指摘のとおり、私どもの計算によります水質は八五PPMでなければならないわけでございますが、現状はほぼ倍のSSが排出をされているということでございます。  そこで、県のほうにおきましては、規制を守らせるという意味合いから、昨年以来非常に頻度を多くいたしまして、立ち入り調査をいたしております。その結果、はなはだこれも残念ではございますが、基準を守っていない企業が多数発見をされまして、それぞれ操業の一部停止、改善命令、行政指導等をやっております。これを繰り返しておりますけれども、なお根絶されないということははなはだ私どもも残念に思っておりますが、これはやはりさらに県の監視を強化していくと同時に、違反の企業に対しましては、きびしく処置をすること以外にはなかろうというふうに考えております。
  54. 小平芳平

    ○小平芳平君 運輸大臣、何かいい考えないですか。現にいまなお県の処理にもかかわらず、使えない埠頭があるわけでしょう、そこへ持ってきて——この八五PPMという規制値か妥当かどうか、これはちょっとまた別の問題があるわけですが、少なくとも八五PPMというふうにきめられている規制値の倍ですね、一六九PPMのものがなおかついま流れ出しているということ、しかもそれが港へ流れ込んでいるということ、いかがですか。
  55. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 運輸省権限からいたしますと、非常にこれは困難なことだと思います。私どものほうは港湾を担当しておりますので、港湾機能が発揮されることと、それから港湾における環境保全、それから公害の防除というものがわれわれのやはり責任だと思いますが、しかしその汚染源が、たとえば工場排水からきたり都市の排水からきたり、あるいは上流の河川の水質汚濁というようなのが原因になったりというようなものにつきましては、これは運輸省としては方法がないわけです。  内閣全体としまして、先ほど三木長官も言っておられましたが、あるいは環境庁、汚染源の担当官庁である通産あるいは農林等の各経済官庁ですね、そういったのがほんとう一体になって一つの基準をこしらえたならば、それをもう絶対に守る、また守らせるという積極的な方法を講じていただければ、あと港湾における、これから御質問になるかもしれませんが、汚泥の処理ということにつきましては、あらゆる技術を動員いたしまして、二次公害が起こらないように、これは万全の、どんなに経費がかかっても万全の方法をとらなきゃならぬというように私は考えておりますが、そのもとのほうの問題になりますと、どうもこれは運輸大臣としましてそれをどうしなさいというだけの権限を与えられておりませんので、この点は決して私は逃げ口上を言うわけではありませんが、各担当の官庁においてきめられた基準というものは絶対に守るように、これは厳重な監視をし、また督励をしていくということが根本だろうと考えております。
  56. 小平芳平

    ○小平芳平君 運輸大臣大臣権限の上からいえばいまお話のとおりだと思います、思いますが、この席には大臣は新谷大臣しかおりませんので、あえて政府の御意見を尋ねているわけですが、要は、運輸省として、港の公害防除、環境保全ということ、それはたいへんけっこうな趣旨だと思います、思いますが、とにかくもう現に使えないんですよ、せっかくつくった港の一部埠頭が使えない。まあ大急ぎで地域住民とのいろんな摩擦を起こしながら県が第一次、第二次というような処理をしておりますが、それでもなおかついま現在一部使えないというようなことですから、これはひとつ運輸省も、まあ権限外の汚染源を調査するとか勧告するとかということはもちろんできないでしょうけれども、港の機能を守る任務はあるわけでしょう、港の機能を守る任務は。そういう意味でひとつ、環境庁に尋ねても、通産省に尋ねても、きびしく監視します、指導しますということしかおっしゃらないわけですから、私がいつも通産省や環境庁にはきびしくやるべきだと言うのに対して、きびしくやりますということしか返ってきませんので、きょうはひとつ運輸大臣が御出席ですので、港の機能保持の上から運輸省としては何かとるべき道はないのか、全くないのか、あるいはこういうことならできるということがあるのか、そういう点いかがですか。
  57. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず私から事務的に御答弁させていただきたいと存じますが、私の所管いたしております港湾という面から考えますと、どうもまことに残念ながら、あと追いと申しますか、被害が出たのをいま一生懸命復旧しようとしておる——ちょうど災害復旧と同じような考え方に終始をいたしております。  先生御承知のように、港湾公害防止対策事業というものをいわゆる公共事業、港湾整備事業の中に設けまして、その事業で四十七年には六港ほどヘドロのしゅんせつをいたしております。それから四十八年度には、すでに実施をいたします考え方で進んでおりますのが八港でございまして、前年度の六港にさらに二港ふやしました。それから現在まだ未計画中で予算を保留いたしておりますが、四港ございます。港の名前を申し上げれば、四十七年度、八年度継続いたしておりますのが水島、東京、名古屋、北九州、塩釜、田子ノ浦でございます。それから四十八年度新たに追加になります、すでに一応予算配賦をいたしておりますのが横浜と大阪でございます。それ以外に、未計画と申しましたが、保留をしておりますのが水俣、大牟田、松山、三河、この四港を考えております。  いずれにいたしましても、これはヘドロをしゅんせつし、あるいは埋め殺すというような事業内容でございまして、結局、いま先生の御指摘のございましたように、たとえば田子ノ浦の具体的な問題をとって申し上げますれば、昭和四十五年度から——四十五年度は県の単独事業でございまして、四十六年度以降、公害防止対策事業として国費も出して実施をしているわけでございますが、一応現時点でまたSSが相当大きなのが流入いたしておりますから、またうっかりすればふえるという問題ございますが、いままでの調査で四十八年度当初に考えましたのでは、全体で百三十一万立方メートル、その百三十一万立方メートルのうち、すでに除去できましたのが五十八万五千立法メートルでございまして、まだ残り七十二万五千立法メートルを四十八年度中に何とか除去いたしたいということで、これは予算措置もいたしておりますが、この考え方で、ただちょっと漁期との関係もございますので、現段階で——この間、事故を起こしてまことに申しわけなかった次第でございますが、これから本格的にこの七十二万のヘドロの除去というものにかかりますのは秋に入るかと存じますが、何とか年度内にこの問題のものを除去したいという考え方に立っております。
  58. 小平芳平

    ○小平芳平君 除去したいでしょうけれどもね、たいへんなんです。そんな簡単に作業は行なわれないです。でその除去の方法ですね、ヘドロ除去の方法、まあこれもいろいろ研究するという答弁しかいつもないんですが、あの田子ノ浦のやり方は私は大いに異論があるわけですが、それはまた別の機会にいまして、先ほどのこの岳南排水路のSS等の調査は、通産省も承知しておりますか。で通産省は承知しておられるならば、夜中に高いのはどういうわけですか。その原因は調査しましたか。夜中の午前二時なんというのはCODが最高に高い。
  59. 松村克之

    説明員(松村克之君) 県の調査におきまして、実際に排水の処理設備がありながら、それを使わずに排水をそのまま流しているというような企業もあったように承っているわけでございますが、先生いまお話のございました、夜間に数値が高くなるという点については、やはりそういったふうな、はなはだ遺憾なことではございますが、そういったことがあるのではないかというふうに考えております。
  60. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、運輸省としまして、港の機能を回復する、港の機能を保持していくということが運輸省のきわめて大事な任務だと思いますが、したがってヘドロ処理をしたい、除去したいということも当然の発想でありますが、現実はどうかというんですね、現実は。もう長年にわたって、調査の結果でも、基準を倍上回っております、しかも夜中に特に上回っておりますということをそのままにしておいたのでは、せっかく運輸省努力して港の機能を回復しようというその努力も結局報いられないわけでしょう。したがって、ただ発生源はそれぞれの省で担当してもらう以外にないと、それはそうだと思いますが、かといって何らかの処置をとらない限り、港の機能回復すらできないわけです。そういうことをどう考えますか。
  61. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 港湾が本来の機能を発揮できないということは、運輸省にとっても大問題でございます。したがいまして、この問題は、先ほどの私の答弁をどういうふうにお受け取りになったかは知りませんが、ただ黙って見ておるというわけじゃないんです。そういう機能が発揮されるように関係各省に対しましては強い要望をしております。事務的にもこういった事態は早く解消するようにということで、関係の省の事務当局とは逐次連絡をし、協力をしてもらうような措置をとっているはずでございます。  しかし、きょうの先生のおっしゃったようなこと、これは各省の分担事項なんというものを少し離れて、やはり政府が関係省で協力をいたしまして、早急に処理をしなければならぬ問題の一つであると思いますから、きょうは関係大臣出ておられませんが、私から十分関係大臣にその旨を伝えまして、そういう汚染源をまず第一に基準値に達するように守ってもらうと。それから現在の港湾機能を阻害しておるようなヘドロの処理につきましては、またいろいろ御研究になって、工法についてもいいお知恵があるという話でございますが、またそういう専門的なお知恵も拝借しまして——われわれのほうでもこれほうっておるわけではないのです。港湾関係のものは、おそらく田子ノ浦にしても、あるいは水俣湾にしましても、その他の汚染港湾にいたしましても、地方自治団体から非常な協力を要請されておりますので、もうあらゆるケースにぶつかっております。わりあいにデータもありますし、それから防除工法についても研究をしております。これについては、しかし県がまず計画を立ててくるというたてまえになっているわけです、現在の法律が。この法律のままでいいかどうかということについては、これは私はまた考えなければならぬと思っておりますが、しかしかってに法律を変えるわけにいきませんから、ただいまのところは現行法のもとであらゆる努力をして県と協力をしてヘドロの除去を——これは埋め立てる方法もあるでしょうし、あるいは場所によりましてはしゅんせつする方法もあるかもしれません。いろんな具体的な事例を見て、それに対応したような最も適当な方法で早くこれを除去して、港湾の機能を回復するように努力をしなければならぬ、こう思っております。
  62. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、これは環境庁で岳南排水路の水質検査の結果をいただきましたが、それは六月四日から六月五日までの調査と、それから通日調査分としては五月七日十二時二十分から五月八日十二時五分までの一回分ですが、このほかにもずっと継続してやっているでしょう。継続してやっているんですよ、事実は。それはどうなんですか。
  63. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) ほかの資料があるかという御質問だと思いますけれども、ほかはあまりまだ——あの日以外にもやっているかもしれませんけれども、そう頻度を高くというふうにはやっていないようでございます。実は、あの岳南排水路に自動簡易測定装置を置いておるようでございますけれども、まだ試験段階といいますか、ということで、その資料を整理して公表するというような段階にはきていないというように聞いております。
  64. 小平芳平

    ○小平芳平君 試験段階ではどうしようもありませんが、ちょっとのんびりし過ぎているんじゃないですか。これだけもう田子ノ浦の問題が提起されてから何年にもなるわけですからね。ですから、早くその測定の結果を資料として提出していただきたい。また、それは当然運輸省もそれをもらうべきでしょう、運輸省にもあげるべきでしょう、どうですか。
  65. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 自動測定装置につきましては、特にSS等につきましては、千差といいますか、最末端の装置につきまして非常に問題がなおあるわけでございまして、その点で多少データに信憑性の問題がありまして、検討中ではなかろうかと思いますが、もちろんできますれば、当然これは運輸省を含め関係方面には直ちに御連絡を申し上げまして、それぞれ対策の資料にいたしたいというふうに考えております。
  66. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、これは福岡県洞海湾でヘドロ処理の方法を立て、いままだ着工はしてないかもしれませんが、非常に計画を立てているようですが、それについては具体的におわかりですか。
  67. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほど申し上げましたいわゆる公害防止対策事業の一環といたしまして、先生の御指摘のございました洞海湾の問題、ヘドロ処理の事業をただいますでに一部着工をいたしております。ただ着工と申しましても、受け入れ側の入り江を締め切りまして、そこへ捨て込むという、そのいま受け入れ側の護岸の工事に着工いたしておるところでございます。  そこで、掘るほうの工法について、これは地元、私どものほうの出先あるいは管理組合といろいろ協議をいたしまして研究をいたしましたんでございますが、現段階では、一応、何と申しますか、密閉型というんですか、グラブしゅんせつでやるのがよかろうというような結果が出てまいりまして、しゅんせつにかかりますれば、そういう工法で実施をしようという考え方でございます。
  68. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は北九州市に参りまして、非常に事こまかに聞きました。私はそういう専門家でも技師でもありませんので、どういう工法がどうということはわかりませんが、その関係者の方がお話しなさることを聞けば、あの田子ノ浦のやり方よりも非常に注意深く、要するにほかを濁らせないようにするとか、あるいは締め切って埋め立てをするところからの排水は処理して流すとか、そういうわけでしょう。まああまり技術的なことはわかりませんが、ですから局長感じられている点でも、田子ノ浦のやり方よりも注意深く、第二次公害に対する配慮が注意深く行なわれているというふうに感じますが、いかがですか。
  69. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに私ども考え方で、一つある面では先生のおっしゃるとおりだと存じます。ただ、田子ノ浦で非常にむずかしかった問題は、いわゆる硫化水素が発生いたしますし、それでその捨て場をどこに求めるか、いわゆる埋め殺しの場所をどこに求めるかというようなところで、ずいぶん計画の際にいろいろもめまして、それで一応河川敷に捨てるといういまの工法になったわけでございますけれども、したがって、そういう一つの条件があったということは事実でございますが、確かに先生のおっしゃるように、今後、私どもこれからまた大問題である水俣湾のヘドロ処理をしなきゃいけません。その際にどういうふうな工法でやるかというのをいま検討を始めているところでございますけれども、やはりそこの辺、先生のおっしゃるとおりに、なるべく二次公害を防ぐというためには、確かに洞海湾で研究いたしました勉強の成果というものが相当に役に立つというふうに私ども考えております。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことは環境庁がよく答弁しますけれども、しかしその港は運輸省が進めるわけですね、先ほどあげられた個所については。まあ環境庁のほうの答弁とちょっと違いますけれども、とにかくいまの御趣旨で二次公害に対する配慮がほしい。田子ノ浦は特殊事情もあったにしましても、ちょっとひど過ぎるのですよ。地域住民にとっては耐えがたいものがあるわけですから、今後とも御検討いただきたいと思います。  それから次に、これは別の問題ですが、海洋汚染防止法の一部改正で、排出された油防除のためのオイルフェンス、その他の資材を備えつけておかなければならないとなっておりますが、この点も公害問題あるいは環境問題あるいは水産関係などと非常に大きな関係を持っているのですが、これはちょっと御説明いただきたい。どういうところにどういう資材を備えておかれるのか。
  71. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 法文にございますとおり、オイルフェンス、それから処理剤その他の防除用資材を、大型タンカーのようなタンカーとか、大量の油を流出するおそれのある船舶とか、あるいはシーバース等の油を受け入れる施設、あるいは船舶に給油する施設、そういったようなところに備えつけさせることにいたしておるわけでございます。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 これは具体的には新潟で起きたジュリアナ号の事故のときに、いろいろ環境問題として非常に深刻な影響を及ぼしたことがあるのですが、このオイルフェンスが結局役に立たなかったのですね、日本海の波に対して。それから処理剤というものは毒性があるのかないのか、そういうことで非常に、意見も食い違っていたわけですがね。そういうことを一つ経験したわけですが、現在はどうなっておりますか。
  73. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  お説のとおり、新潟沖のジュリアナ号事件に際しましては、非常にわがほうのオイルフェンスその他の処理技術が未熟なために、惨たんたる結果であったわけでございますが、オイルフェンスにつきましては、その後、民間企業等におきましていろいろ開発が進んでおりますが、現在までの段階では、世界各国いずれを見ましても、まだいかなる荒天時でもだいじょうぶというようなオイルフェンスは開発されておりません。やはり港等の非常に波の少ないところで油が漏れたときに有効であるということではないかと考えます。しかしながら、これはさらに改良いたしまして、かなりの荒天時でも、あるいは風があっても使えるというものを開発すべく、いろいろわれわれも施策を講じておるわけでございまして、これはアメリカ等とも情報交換をいたしておるわけでございます。  それから処理剤につきましては、当時のジュリアナ号の経験をもとにいたしまして、本年二月に流出油用処理剤の使用基準というものを定めたわけでございます。これは関係各省並びに学識経験者を集めましてきめたものでございますが、それの規格の一例を申し上げますと、新潟沖で使いましたものの毒性より大体十分の一ぐらいに減少いたしておりますが、たとえば——非常に専門的なことばで申しわけございませんが、ヒメダカというメダカがおりますが、それを三〇〇〇PPM以上の濃度の液につけた場合であっても二十四時間以内に半分以下にならないというような基準を出しております。またスケレトネマというプランクトンですが、これを処理剤の一〇〇PPM以上のものにつけても一週間では死滅しないというような基準をつくるほかに、使用方法についても非常に厳重な規制基準をつくっておるわけでございます。こういった基準に合格しなければ使ってはいかぬという基準をきめまして、これを周知徹底させておるわけでございます。それからなお、今後は、この御審議願っておりまする法律を施行いたします段階で、省令等でこの規格基準をきめてまいりたいと、こういうように考えております。
  74. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうすると、今後の処理剤はそう毒性の問題は起きないということですか。やはり界面活性剤だと、同じことがまた指摘されるんじゃないか。むしろあのときは新潟ではどうも処理剤はうまくないということで吸着剤というものを使ったでしょう。それはどうですか、その辺のいきさつは。
  75. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  処理剤は二次公害が起きますので、二次公害を起こしても差しつかえないような海面とか、それから非常に緊急事態で火災が起きてたいへんなことになるというような場合には、若干二次公害を起こしても、むしろ火災を起こさないように使うとか、そういうように考えていくべきではないかと考えておりますが、まあ処理剤の基準は年々見直しましてレベルアップをするということになりますので、先ほど申し上げました基準よりだんだん改良が行なわれていくことをわれわれは期待しております。  で、いまのような中和剤ではなくて吸着剤のほうが二次公害が起こらないんじゃないかということは、お説のとおりでございます。したがいまして、まず一般的には吸着剤を先に使うほうが私どもは望ましいと思っております。なおそれから荒天時でない場合でございますれば、回収船で油を吸収するということもあわせて併用すべきではないかと思います。したがって、その状況、状況に応じまして弾力的、臨機応変の処置をしなければならないと考えております。
  76. 小平芳平

    ○小平芳平君 時間がもうきましたので、運輸大臣に。  いまの問題は、御答弁ありましたですが、そういう御答弁しかないと思うんですね。結局、その場その場でそのときの状況により判断するということになると思うんです。ただ、新潟の場合はオイルフェンスは何の役にも立たない、それから処理剤もまきようがなかったですね。それからまた、めちゃくちゃにまいた——乱暴なやり方をしたものですから、魚が全部食べられないじゃないかというようなことになりまして、それからまた、吸着剤と称すものは五十センチ四角くらいのものですかね、海へ落としてはすくう、引っぱり上げるというようなことをやって、そのときは終わったわけですが、そのときに、一体、処理剤というものは毒性があるのかないのかその実験が第一できてないじゃないかということ。ところが海上保安庁で係官の人に尋ねますと、それは油が海へ流れたら処理剤をまくのが常識だと言っていたんです。ですから、その辺にふだんのそういう研究というか対策というか訓練というか、そういうものが欠けていたということがこのジュリアナ号の事故で非常に問題提起になったと思うんです。ですから、そういうことの繰り返しにならないように、今回、備えつけておくということ、整備しておくということはいいと思いますが、ただ、ふだんの実際のそういう事故に対する対応のしかた、その研究、訓練ということについて注意を喚起したい。
  77. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) その点はおっしゃるとおりです。オイルフェンスといい処理剤といい、世界じゅうの国でやっぱり油の汚染で困っている国が多うございますから、海洋をきれいにするという意味で、技術的な開発研究も各国それぞれ進めていると思います。日本もこれをやり出しましてから今日までの間に相当に内容が変わってきております。しかしまだこれが終点じゃないと思います。これはもう絶えず研究をいたしまして、いま御指摘になったような二次公害等は絶対に起こさないようなそういう方法で、しかも迅速に具体的な事情に応じた処理のできるような体制をつくらなければならぬ。これは材料の問題もあるし技術開発の問題もありますが、おっしゃるように、これに対する処理方の訓練というのが大事でございます。  実は、私、この間、いまのジュリアナ号の事件が起こりましたあとで、海上保安庁に対して、全国的にそういった場合を想定して訓練をしたらどうかということで、先般やったようです。これは実は一ぺん訓練しますと、相当経費がかかるんです、全国的にやりますと。しかし、その経費はもう当然のことだから、予算が足りなければ要求するから、ぜひ何回かこれを繰り返してやりなさい、で、いざという場合にすぐに関係者が役に立つような平素からの訓練を身につけておかないとだめじゃないかということで、これはなるべく経費の許す限り最大限たびたびやらせまして、具体的な事件が起こった場合に、迅速に的確に処理ができるような人間のほうの体制も整えたいというんで努力をいたしておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  78. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 高山恒雄君。
  79. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっと基本的なことでお聞きしたいんですが、港湾法等の一部改正のこの案を見ますと、改正の問題点はこの三つにしぼってもいいかどうかということをお聞きしたいんですが、港湾環境保全をはかることがまず第一である、第二は港湾計画的な開発、利用及び保全の体制を確立する、第三は航路の開発及び保全をはかること、大体この三つに分けてもいいかということをお聞きしたいんですが、   〔委員長退席、運輸委員会理事江藤智君着席〕 その中で、環境という点にはどこまで運輸省港湾局としてお考えになっておるのか。先ほどいろいろな田子ノ浦等の問題にも深い関心は持っておられるようだが、それに対してもこれだけ長期にわたってもいまだに公害が出ておる、そうしていつ一体解決がつくのかめどもついていない、これでいいのかという不安を国民が持ち、私もそう考えます。したがってこの環境という点については、どこまでのお考えを持っておられるのか、まず基本的なことをお聞きしたいのです。
  80. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の御指摘がございました、今回の港湾法等の一部改正の三つの大きな問題点であろうとおっしゃった点については、そのとおりでございます。  さらに、その中で、環境保全をどういうふうに考えておるかという点でございますが、非常に抽象的な言い方でございますけれども、全般的に申し上げれば、港湾を場にいたしましてすでに環境が破壊されておる、そういうものに対して、先ほども申し上げましたが、ちょうど災害復旧事業みたいにこれを何とかもとへ戻さなきゃいかぬというために、必要な施設整備でありますとかそういうような考え方、それからもう一つは、港湾を場といたしましての今後の環境破壊というものを予防していこうという考え方と二つに分けられると存じます。  そこで、先生の御指摘である、もうこんなにひどくなってしかもなかなか防除ができないじゃないかというような点、これは全くそのとおりでございますが、やはり私ども港湾法での限界として、港湾を場とする問題に限定いたしております。したがって、どうもその点が、何と申しますか、もの足りないと言われればそのとおりでございますし、私どもも残念に思っている点は多々ございます。ただ、それを具体的に申し上げますならば、すでに環境が破壊されておるという対象の問題として、たとえば廃棄物処理施設でありますとか、海上で発生する廃棄物の焼却施設であるとか等々のそういう施設に対して、これを実際に運営建設していくのが港湾管理者の業務であり、それに対して国が補助措置をとれるようになったというような、これはいささかあと追い的な感覚が強いかと存じます。  あるいは逆に予防的な意味で申し上げるならば、たとえば港湾環境整備施設であるというような、埠頭地帯に緑をもっとふやすべきである、そういうような施設を新たに補助対象にもいたしましたし、港湾施設として繰り入れた。あるいは特にいままでと非常に変わっております点は、臨港地区、いわゆる港湾周辺の陸域でございますが、それほど広くはございませんが、臨港地区内でのいろいろな企業者等の行為の規制を港湾管理者ができる。これはちょうど言うなれば、環境行政で一般的に都道府県知事がいろいろ規制をされるのと、港湾管理者臨港地区においてそういう規制ができるというようなのをダブらせることになりますが、そういうことで少しでも環境の悪化を予防しようというような、大きく言ってそういう点であるかと存じます。
  81. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 考え方はわかりましたが、今度の法律改正に対して、地方自治体から、管理権と申しますか、その問題についてやっぱり目的に明らかにすべきじゃないかという意見が出ておることはもう御承知だと思うんです。なおそのほかに二、三出ております。したがって公害という問題を含めた環境ということをお考えになるなら、私はこれは無視できないと思うんですよ、基本的な問題だと思うんです。地方自治体が管理者としての責任を負うためにも、どうしてもこれを入れておかないと、むしろこの法律ができても運営上かえって困るんじゃないかという心配すら私は逆にするんですが、いままであった目的の中の港湾管理権というものの管理者の今後の運営については、基本的にどう考えられておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  82. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは衆議院でも、参議院の運輸でもいろいろ御意見があったところでございますが、第一条の目的のところに、いままでは港湾管理者がということで、港湾管理者はこうやるんだということが目的だと書いてございましたが、実は、その目的がそれでは足りなくなってきた。港湾管理者権限を中央に吸い上げるというような意図は全くないんです。  ただ、先ほど来問題にされておりますように、港湾というものにつきましても、ただ経済成長策のために港湾をどんどんつくり、どんどん設備をふやすというような考え方ではなしに、今度は、日本の全体の港湾をやっぱり環境保全され、公害もなくするような方向整備をしていかなきゃならぬということがあるものですから、それに関する具体的なやり方を、むしろ港湾法のこれは目的として明示をしたということでございまして、港湾法の現行法も今度の改正案も通覧をしてごらんになりますと、港湾管理者に対してむしろ権限をより多く与えているわけです。決して現行の港湾管理者権限を奪ってくるというような、そういうことはできませんし、そういうことをやったって港湾は動かないですから、やはり地方自治体が中心になって港湾計画を立て、それに対して、運輸省としましては、日本全体の港湾のあり方ということについての抽象的な基本方針というもの——これは道路にいたしましても河川にいたしましても持っているわけですから、中央官庁が。そういうふうな方針のもとで、具体的な計画をつくられるのは地方自治体であると、それに対しては応分の援助もしましょうというようなことが中心でございまして、「港湾管理者」という第一条のところにちょっと書いてあった字句が取れたんで、何かいかにもさびしいというような気で疑心暗鬼といいますか——これはことばが過ぎるかもしれませんが、そういうような考え方を持っておられる方が中にあるようでございますが、それはある委員会において御説明をいたしまして、具体的にそれじゃ御指摘願ってもけっこうでございますが、どこが権限を奪われたかと、どうしたらいいんだと、これは現行法よりもむしろいろいろな点において港湾管理者にいろいろな権限を付与して、港湾の設備それから管理運営というものがいままでよりも港湾管理者を中心にしてうまくいくようにという努力をしておるのでございますから、その御懸念はどうぞひとつ御無用にしていただきたいと思います。
  83. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いま大臣おっしゃるように、私は、港湾計画だとか航路の開発とか、こういう問題は当然のことだと思うのですよ。しかし、われわれ、環境上の最近のいろんな公害の問題から考えてみて、むしろ管理者が入らなければできない仕事が多い。それから運営上やっていくというお話でありますが、第一条なども管理者という問題は全部削除されておりますね。だから、私はやっぱり入れておいたほうがいいんじゃないかという感じがして御質問申し上げたのだが、運営上でむしろ権限管理者のほうに強化しておる一面もあるのだと、こうおっしゃるのなら、それを信頼して、私は次の段階に進みたいと思います。  しからば、公害の問題は何といっても緊急の問題だと思うのですよ。そうして社会的にこのくらい深刻な問題はないのではないか。先ほど局長はやることはすべて後手だ後手だと、こうおっしゃっておりますけれども、しからば運輸省港湾局としてはどういう対策をおくればせながらやってこられたのか、具体的なことをひとつお知らせください。環境庁なり通産省なり、あるいは建設省なり、やっておることはもうほとんどわれわれもいろいろ今日まで質問してまいりましたから、ある程度わかりました。運輸省だけは、公害の面から考えてみて、一体港湾がこれだけ公害にあっておるのに、どういう対策をとってこられたのか、具体的なことをひとつ御報告願いたい。
  84. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほどお答え申し上げましたように、いろいろな面で先取りをしなければならぬという点について、なかなかむずかしいという点を申し上げたわけでございますが、公害に対して私どもが直接港湾の面で具体的にとってきた問題点と申しますと、やはり先ほど前委員に御説明申し上げました公害防止対策事業、これが港湾整備事業という中ではっきりとってきた一つの例であるかと存じます。  と申しますのは、港湾の中にヘドロが相当に堆積いたしております。それからまたすでに水質が非常に悪化しておる。そういうような問題に対して、私ども、公害を防止するための港湾施設として、あるいは港湾整備事業として直接何ができるかという点についていろいろ検討いたしました結果、まず海底にたまっておる汚染されたヘドロの除去、これはどうしても必要である。それからもう一つは、比較的湾入しています港内の汚染された海水、こういうものを何か水を通してやって、いわゆる水を導いてこれを交換させるというようなことができないか。具体的な例で申し上げますが、その二つの問題を考えたわけでございます。  そこで、先ほども申し上げましたが、昭和四十七年度の事業といたしまして、水島港、東京港、名古屋港、北九州港、塩釜港、田子ノ浦港、この六港につきまして海底の汚染されたヘドロのしゅんせつ事業をいたしております、それから四十八年度におきましては、いまの六港と合わせてさらに六港をやるつもりで予算予算化いたしまして、現段階では、先ほどの四十七年度からの継続の六港と、さらに横浜、大阪を付加いたしました八港が実施に移っております。あと四港は、たとえば水俣港のごときもの、これは現在計画中でございまして、今年度中には何とかヘドロ対策処理事業に着工するつもりでおります。  それから、先ほど水をよくするという話がございましたが、これは新潟港におきまして港内の万代泊地に導水路のようなものを引きまして、水を流してやるというような施設を——これは導水事業と呼んでおりますが、実施いたしまして、これで港内の汚染を少しでも除去しようというような事業をいたしたわけでございます。はっきり申し上げて、具体的に事業として港湾関係で実施したというのは、これがはっきりした例だと存じます。  それ以外に、計画面で、たとえば東京湾のこれからの計画をどういうふうに考えていくか、あるいは瀬戸内海の計画をどういうふうに考えていくか、そういうような場合には、最近、港湾だけで見てはだめである、また建設省としても建設省の所管事項だけで見てはだめである、したがって各省、これは環境庁も入っていただく等々、むしろ環境庁が瀬戸内海なんかは御主管なわけでございますけれども、そういう各省の関係者が集まって、いわゆる協議会制度というのを絶えずやっております。たとえば北海道の苫小牧の問題なんかも、これも一つの協議会制度を持っておりますが、そういうように一つ一つの問題で各省のなわ張りにとらわれていたんじゃだめであるということで、すでに共同して協議会制度で何とか進めていこうということで、われわれも絶えず加わって実施をしているというのが実情でございます。
  85. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それじゃ質問がこまかいかもしれませんが、私は、港湾の汚染は船舶自体も出しておると思うんですよ、船舶自体もね。みなそこにとまるんでしょう、一体清掃用には何を使っておるかですよ。船の清掃をやるでしょう、一万五千トンなら一万五千トンのデッキを洗う清掃用には何を使っておるのか。  それからもう一つ、PCBは使ってないのか、あるのか。これは一つの港に、あんた、何百と入るんでしょう。そういう具体的な対策が聞きたいんですよ。水質が悪いとか、あるいは公害対策の事業をやったとか、これは環境庁にみなわれわれも聞いておることです。そうじゃなくて、港湾自体をみずからがどうきれいにするかという処置を何も言っておられない。何を使っておるんですか、一ぺん教えてください。   〔委員長代理江藤智君退席、委員長着席〕
  86. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  船舶の清掃等にかつて苛性ソーダを使ったこともございましたけれども、最近では、もう一切苛性ソーダは使われておりません。  第二の御質問のPCBの点でございますが、船舶におきますPCBの取り扱いにつきましては、昨年五月四日付で船舶局長から各関係業界あてに通達いたしております。その内容は、まず開放型のものについては使用を中止するということ。第二に、閉鎖型のものにつきましては、管理及び処理に万全を期するとともに、代替可能なものについては極力代替をはかること、ということになっております。特にコンデンサーにつきましては、台帳をつくって整理させまして、回収についてはメーカーと一体となった体制を講ずるように指導いたしております。なお、本年度、PCBを含みます造船所等からの廃棄物につきましては、全国的な調査をさらに実施することにいたして、規制を徹底いたしたいと考えております。
  87. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 苛性ソーダはいつごろからやめたんですか。前は使っておることは私も十分承知いたしておりますが、いつごろからやめたんですか。
  88. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 詳しいことはわかりませんが、ただいま聞きましたところでは、十五、六年前ぐらいまでは使っておったということでございます。
  89. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 通達でやめさせたわけですね。
  90. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 通達によりますか指導によりますか、その点はっきりいたしませんが、かなり前からやめておるということでございます。
  91. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 何を使っておりますか。
  92. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 温水で洗浄するということでございます。
  93. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣、お聞きのとおりですが、私はやはり港湾の問題としては港湾みずからがやる姿勢が必要だと思うんですよ。  それから、私は大臣にお聞きしたいんですが、河川の汚染ですね、それから工場のたれ流し排水、それから下水道の対策、これはもう港湾整備には何といっても欠かすことのできない大きな問題なんですよ。ところが、一つの例を私申し上げますが、いまの瀬戸内海ですか、大体あの近郊、四国から岡山さらに広島、山口、この地域だけを見ましても三百五十万の人口が住んでおるんです。日本で一番下水がおくれておるんです、この地域が。  そこで、大臣にお聞きしたいんですが、私は、少なくとも運輸省として港湾をきれいにしようと思いましたら、運輸省とそれから通産省、環境庁はもっと具体的なものを協議してやる必要がある。先ほど局長はやっておるとおっしゃるけれども、まず大臣の姿勢がそうでなければならぬのじゃないかという私は考えを持つわけです。どうも日本の行政には通産は通産で進む、環境庁は権限がないから、一方から要請をする程度法案がすべてなっておる、運輸省運輸省港湾局として別にやる、こういう行政が日本の今日のあらゆる法案の中で、全く何を質問しても、こういう重要な港湾の問題とかいうものには解決がつきにくい、こういうふうに私は考えるわけです。大臣、こういう点ひとついままでにやられたことがあるのか、あるいはまた、これからやっていただくのか、もっと総合的な対策が必要じゃないかと思いますが、大臣意見をお聞きしたい。
  94. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 総理がお答えしなければならぬような御質問でございますが、私国務大臣として答えられることはお答えしたいと思いますが、これは運輸省関係のないこともあるかもしれません。全般的なことになるかもしれませんが、このごろ起こってきます公害問題でございましても、いろいろの新しい問題が起こってまいります。科学技術庁関係のいろんな宇宙開発の問題でございましても、そうでございますが、どうもいままでの行政組織、各省に分かれておりますが、その行政組織のある部分だけでは片づかないという問題が大部分だと思います。それだけ社会事情が非常に複雑化し、多様化して、いままでの行政組織では間に合わないということになってきているんじゃないかと思うんです。  おっしゃるように、そのたびに関係各省の協議会というものをつくりまして、そういった問題に共同して処理に当たっているというのが実情でございまして、御承知のように閣僚協議会も実にたくさんございます。非常に多くの問題が関係各省で協力しないとできないという状況でございまして、根本的には私からお答えする限りではございませんで、行政組織の大本に関する問題でございますから、これはまた別の機会に総理にでもお聞きいただく以外にないかと思いますが、しかしそういった状況でございますから、われわれも運輸省運輸省でセクショナリズムで自分で仕事さえやっていればいいなんという考えは持っておりませんし、そういうことじゃ仕事が動かないんです。これは単に港湾だけじゃございません、自動車の問題もそうでございます、船の問題もそうでございます。関係各省がやはり共同して歩調をそろえてやらないと動かないという問題が大部分でございます。こういう問題については、もう絶えず関係各省の大臣とはわれわれ閣僚としては打ち合わせをいたしておるのでございまして、事務的に申しますと、さっき政府委員が申しましたように、東京港でございますとか、あるいは伊勢湾でございますとか、あるいは瀬戸内でございますとか、そういった非常に公害のひどいところにつきましては、全般的に見なければなりませんから、協議会で関係各省全部集まりまして、絶えず協議をしながら進めておるということで、各省の意思は十分お互いに疎通していると思います。  しかし、残念なことには、そういうふうにやっておりますけれども、いまお話になったように、工場排水も都市の排水もそれから河川から流れてくるものあるいはPCBというようなものも、全部港湾に集中してしまうわけです。それで、運輸大臣はそれでいいのかと、こうおっしゃると、いいとは思っておりません。しかし、そういった問題については、著しい問題については絶えず各省と相談いたしておりますし、先ほどの御質問にもございましたが、きょうは、特にこの公害関係連合審査でそういった点を非常に強く御指摘されましたので、先ほどお答えしましたように、特に環境庁長官、それから通産大臣、それから農林大臣等の非常に密接な関係を持っている閣僚には、きょうの空気を十分伝えまして、もっと前進をした姿勢で、この問題にお互いに協力をして取り組まなければいかぬということを私からも強く申しますということを先ほどお答えいたしましたが、足りないところはこれから反省をして、さらに前進をするようにいたしますが、御心配のように、運輸省がただ孤立して、自分のところだけ、自分の仕事だけやっていればいいというような考えでは、今日では進んでおりませんし、それでは仕事にならないのです。できるだけのことはいたしておりますから、どうぞ御了解いただきたいと思います。
  95. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私はわずか三十分しかないので何も言えないのだが、御承知のように、現在問題となるのはやはり水銀です。この問題でも、年間に排出される水銀含有工場廃棄物というのが、大体、水銀マッドで陸上に百万トン堆積しているというのですよ。これはどうするかといったら、御承知のように海洋汚染防止法に基づいて政令できめておられますが、コンクリートで固体にして海水に流す。どこか二千メートルですかの深さのところに沈めちゃうということでしょう。ところが外国での例を見ますと、コンクリートが固体になっておったのが破損しちゃって、汚染——逆にそのひび割れから事故がどんどん出たという説もわれわれはいろんなものを読んで知っているわけですが、こういう問題でも、これはやはり運輸省が一番責任を持たなくちゃならぬ問題なんですよね。  したがって、むろんきょうは大臣お答えになるような質問を私はしているかもしれませんけれども、私は、運輸大臣としてお願いしたい。運輸大臣の提案で、公害に対しては、運輸、建設あるいは通産省、環境庁も含めて、四つの省がひとつ特別委員会をつくろうじゃないかという御提案をしていただいて、この省ならどの地域について、海の公害なら運輸省港湾局がすべてわかっている、あるいはまた環境庁は全体の問題がわかっているという答弁がなされなければ、われわれも国会議員として国民の代表として、こういう汚染になっているのに、いたずらに質問してやっているわけじゃないのですよ。私は、大臣自身がそういう方針をとってもらいたい。少なくとも、大臣、閣議でそれを発言してもらって、総理にも話をしてもらって、やってもらうことをお願いしておきます。  それからもう一つですが、これはもう時間がありませんから、委員長が時間時間とやかましく言っていますので、肝心なことを一つだけ聞いておきますがね、こういう時代に、これは私は新聞の切り抜きで知った程度ですけれども、全く驚いておるんですよ、こういうことです。  三重県の田尻宗昭君ですね、この人が実は和歌山に転勤になった。——海上保安庁の方です。和歌山に転勤になったのはなぜかというと、実は、三重県の、皆さん御承知のように、海上の汚染は単に海上だけの地域をながめて規制をしてもだめだ、やっぱり工場の大きなたれ流しを、公害を摘発しなければいかぬということでやられたということが新聞に書いてある。それは三重県の石原産業ですよ、だいぶ問題になりました。それをやったために和歌山に転勤になったんだと、こう書いてあるわけですよ。いまの時代に、私は、産業のある欠陥を摘発したからといって、まさかその人が転勤になるようなことはないと、左遷食うようなことはないと考えますよ、常識的に。けれども、新聞に載ってくるということになれば何かがあったに違いないと。したがってこの人事権は海上保安庁にあるのかあるいは運輸省にあるのか大臣は御承知ないかもしれませんが、全くこういうことが今日の時代に、これだけ公害がやかましゅう言われておるのに、新聞に載ってくるということが私は全くおかしなことだと思うんです。しかも田尻君は今度は東京都に転勤するということが書いてあります。新聞の三面に堂々と載っていました。こういう事実があるのかないのか、大臣は御承知なのか、一ぺんお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先般、一、二の新聞に出まして、私も初めて知ったわけです。他の委員会でも御質問がありまして、具体的に海上保安庁長官からお答えをしたのですが、きょうここへ保安庁長官が来ておりませんので、そのときに聞いた保安庁長官の答弁を思い起こしましてお話しいたしますと、そういう事実は、そういう動機で転勤さしたりということは絶対ございません。で、これはやっぱり序列がありまして、役所の序列でやはりその人の栄転になるということで、そういうポストを選んだものと思いますということでございました。しかし非常に篤学の人で、また熱意もあるということで、その熱意を買われて東京都のほうに嘱望されておるということでございまして、それについて本人が行きたいというのであれば、そういうふうにしてやりたいと思っておりますということを保安庁の長官は答弁をしておりました。  で、いまおっしゃるように、そういう何か公害退治をやったから左遷をしてほかへ移したというようなことは、これは私は常識でも考えられないことでございまして、そういうことは絶対にないと思います。そういったことがあり得るということは私には信じられません。少なくとも、私は、そういう曲がった人事は絶対にやりませんから御安心いただきたい。
  97. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 終わります。
  98. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 加藤進君。
  99. 加藤進

    加藤進君 この前の提案の趣旨説明を拝聴いたしますと、この法案改正の一番おもな理由、一番運輸省が力点を置かれている理由というのは、やはり港湾での公害を防止する、そして港湾環境整備に力を入れなくてはならぬというふうに私は聞いたわけでございますけれども、その点は間違いないでしょうか。
  100. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 提案の理由で申し上げましたとおりでございまして、やはり港湾環境保全をはかり、公害を防除するということに重点を置きまして、港湾法関係の一部改正をお願いして、規定整備をはかったということが第一の問題でございます。  なお、その他にも、港湾計画をきめるにつきましてやはり一つのルールをつくりまして、こういう方法によって港湾管理者港湾計画をつくられて、運輸大臣はそれに対してこういうふうな立場から指導をするということを書いてございます。そのほかには、最近の非常に発達してまいりましたシーバースでありますとかマリーナとかそういう方面につきましても、これはやはり適当な根拠規定がないと困るものですから、海の安全を守るというような意味におきまして、適当な規定を置いたということも一つでございます。
  101. 加藤進

    加藤進君 運輸省港湾の機能を保全していくためにももはや公害の問題を放置できないと、何らかの意味で抜本的な環境整備に力を入れなくちゃならぬというふうに認識されたことは、私は進歩だと思います。  しかし、それほど力を入れて、これから本腰を入れて取っ組もうということであるなら、一つ私は素朴な疑問でございますけれども、そういう趣旨を、せっかく第一条の目的についてまで今度は改正されておるわけですから、この目的の中にそのような環境整備の問題を明記していくというくらいのかまえが必要ではないかと私はふと思ったわけでございますけれども、その点はどうでしょうか。目的にこの問題の重要性を明記するということで、先ほどの趣旨説明の中心点をひとつ法案そのものに明らかにしたらいいではないかと、なぜされなかったのかということを逆にお聞きしたいわけであります。
  102. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは一つ一つそういった個別的な目標というものを掲げませんで、包括的な書き方をしておるものですから、こういうふうに、たとえば「港湾の秩序ある整備と適正な運営を図る」とか、その前には「交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展」というような字を使ってございますが、そういう中にこれは包含されておると思うのです。  で、港湾というものは——もちろん、いまおっしゃったような港湾環境保全をはかるとか、あるいは公害を防除するとかいうことは非常に大きな港湾についての大事な仕事であることは間違いありませんけれども港湾そのものというものはやはり海陸の接点でございますから、そういう海上の荷動きに応じまして、それの受け入れ、吐き出しというような陸上との流通をはかるというようなことが本来の港湾の仕事でございますから、この目的にそれを入れませんでも、そういう仕事をやるについて、各条にわたってそういう精神を体して運用していく、また必要に応じてここに立法例がございます、たくさんございます。そういうことで法制局等においてこういう法律案整備したものと考えております。
  103. 加藤進

    加藤進君 まあ趣旨説明に強調されておりますから、そういう趣旨を法案そのものにもしっかり盛り込んでほしいという私の希望だけは申し述べさしていただきました。  そこで、この改正案によってはたしてほんとう港湾の公害防止が可能なのか、環境の真の保全が可能なのかと、こういう点がやっぱり中心問題になると思いますけれども、そこで環境庁にお尋ねいたしますが、この港湾を汚染するおもな原因と申しますか、汚染源というものは一体どこにあるのか、その点をひとつ環境庁の立場から明らかにしていただきたいと思います。
  104. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 港湾の水質を汚染する原因は、やはりまず第一に、港湾に流入いたします河川による汚濁が第一でございまして、それ以外につきましては、港湾に直接工場から排水が流入するということも切り得ると思います。大体、汚染原因は二つであろうというふうに考えております。
  105. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、環境庁の指摘されるように、港湾の汚染の一番大きな原因というのが流入する河川によるものである。したがって、もっとふえんすれば、あるいは河川の沿岸の工場廃棄物あるいは下水道等々の問題が出てくるかと思いますけれども、そういう環境庁の指摘されるような公害の汚染源に対して、運輸省はこの法案によってどういうふうな規制あるいは防除ができるというふうにお考えになるのでしょうか。
  106. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 環境庁のほうから御答弁がありましたが、それに反対するわけじゃないんですが、これは個々の港湾によって違うと思うんです。どこからどういうふうに汚染源が出てくるかということにつきましては、具体的な港湾によって違います。工業港湾でありますと工場から排出されるものが一番大きい。それからまた、その港湾の面積が広くて河川がたくさん入っているところは流域から流れてくる汚染源が多いだろう。また、大きな町や市でございますと、その都市の排出する汚染源というのが相当あると、港湾によってこれは違うと思うんです、一がいには私は言えないと思います。  しかし、そういったものについて、あとのほうのお尋ねの問題でございますが、この港湾法によっては完全に処理はできません。先ほど来申し上げておりますように、これにつきましては関係の各省が緊密な連絡をして根本的な対策を講じないと、今日でもなおこれは不十分でございます。一番今日やかましく騒がれております水銀を中心にした汚染につきましては、環境庁長官が、先般来、これはほうっておけないというんで関係各省と協議をいたしまして、もうお手元にいっていると思いますけれども、一応の緊急な対策を樹立いたしまして、これに対して関係各省が極力お互いに協力をし、連絡をしながら処理をしようとしているやさきでございまして、この港湾法だけではもちろんそういったものを根本的に防除する体制はできておりませんし、またそれは運輸省の組織法からいいましても、運輸省権限外の事項が非常に多いんでございますから、これはやっぱり関係各省が協力する以外には方法はないと考えます。
  107. 加藤進

    加藤進君 ですから、私が質問したいのは、いまの公害諸法によりましてもどんどんと港湾が汚染されていくわけですね、機能まで停止せざるを得ないというような状態にまでいくわけです。したがって港湾管理者あるいは行政の責任者からいうなら、そういう海洋の汚染、とりわけ港そのものの汚染について抜本的なやっぱり措置を講じ得るような法的な保障が必要ではないか、それは港湾そのものについてばかりでなしに、港湾以外の、港湾そのものを汚染させるいわば原因に対してまで規制できるようなことが必要ではないかと。これは港湾法そのものの改正だけではとうてい不可能だとおっしゃると思いますけれども、それなら、あえて他の公害防止諸法についても、関連の法規についてもこれを同時に改正する、こういうことによって初めて港湾そのものの汚染が防止できるのじゃないかと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
  108. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) ただいまの御質問でございますが、御意見として拝聴いたしておきます。  今日の公害関係法律を見ましても、そういった面につきましてはまだ十分整ってはおりませんことは事実でございます。今後、関係各省とも相談をいたしまして、早急に法律的な根拠において、どこが、だれがどういうふうな方法でどうやるかというようなことについては、なおこれは政府としては検討しなきゃならぬ問題が残されておることは事実でございます。
  109. 加藤進

    加藤進君 そこで、港湾そのものの汚染を防止し、あるいは防除するということから申しまして、いま緊急に必要な施設というものは、そのための施設というものはどういう内容のものであるか、どういうことをいま考えておられるのか。この法の改正に基づく具体的な施策について、簡潔にひとつまとめてお知らせ願いたいと思います。
  110. 岡部保

    政府委員岡部保君) なるべくまとめて御説明申し上げたいと存じますが、まずこれは大気等に関係があるかと存じますが、緑地等の港湾環境整備施設と呼んでおりますが、こういうものを整備しなければならぬ。それから廃棄物処理施設、いわゆる海洋汚染の廃棄物の焼却炉でありますとか、そういうような処理をする施設。それから港湾公害防止施設と呼んでおりますが、いわゆる遮断緑地でございますとか、あるいは先ほどもちょっと御説明申し上げました導水の施設であるとか、そういうような港湾公害の防止の施設、こういうものを港湾施設として追加いたしまして、この施設建設改良に国庫補助を行なうというような新たなことを規定いたした次第でございます。  それから、これはちょっと間接的になりますが、港湾計画するという際に、この環境問題というのを非常に重視しなければならないということで、まず一定の基準に適合したものでなければ港湾計画はいけないのだと、さらにその具体的な計画を作成するにあたっては、地方港湾審議会意見によっていろいろ環境問題も議論されるであろうし、そういうような意見の反映が容易になるようにと、その計画の手法としてこれは追加いたしました。  それから港湾管理者の業務といたしまして、たとえば港湾区域内の廃船の除去でありますとか水域の清掃でありますとか、そういうようなものを管理者の業務として明定をいたしました。  それから、先ほどちょっとお話が出ましたが、港湾管理者臨港地区内の工場等の施設について一定の行為規制の権限を与えた。これはやはり環境というのが非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。  それから、そういうようなことをするのに、半面、いわゆる管理者財政と申しますか、資金源の問題がございますので、港湾管理者環境整備負担金を徴収し得るようにいたしました。  それからあと、たとえば今回の法律で、港湾法ではございませんが、海洋汚染防止法の一部改正が一緒に入っておりますが、そういうようなところで、一定の船舶あるいはタンクとか油の積みおろしをする施設管理者というものに、オイルフェンス等の備蓄を義務づけたというような問題。具体的には、そういうようなものが今回の法改正によって織り込まれた次第でございます。
  111. 加藤進

    加藤進君 先ほども廃油の問題、油汚染の問題が非常に重要だという点が強調されました。オイルフェンスだとかあるいは中和剤の問題も出ました。私もあの新潟のジュリアナ号の問題については多少調べさしていただいておりますけれども、ともかく応急の措置をするためには油回収船が必要だ、こういう問題が一つあのときの国会論議でも出ていたと思うのです。油回収船はいまどの程度整備されてきておるんでしょうか、何隻ぐらいあるのでしょうか。
  112. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま詳細な数字ではございませんが、現在日本で油回収船といわれるようなもの、これは性能等々が非常にばらついております。ただ一応油の回収船といわれておりますものは、残念ながら十隻以内でございます。
  113. 加藤進

    加藤進君 大臣、お聞きになったでしょう。日本は海に取り巻かれています。各種の港湾があって、その港湾の汚染を防止しなくちゃならぬ、防除しなくちゃならぬというのに、油一つとってみても、とにかく油回収船が十隻だ。ここからやっぱり行政は直していかなければ、ほんとう港湾環境整備は私は不可能だと思いますけれども、その点ひとつ、大臣、決意を簡潔に述べてください。
  114. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 非常に予算措置が貧弱でございまして、油回収船が少ないということは御指摘のとおりでございますが、実は、今年度から、少ない予算ながら、油を回収し、海をきれいに掃除をする清掃船のようなものですね、それはたぶん三隻だったと思いますが、瀬戸内とか東京湾あたりに配備するために応急に検討しようということで、予算措置は講じてあります。  ただ、いまおっしゃるように、海上保安庁関係でも、油を船から流す全く不心得な船がありますから、それを監視・取り締まりをするようないわゆる巡視船、これも非常に少ないんです。だから、こういったものについては、公害だけじゃございません、海上の交通警察を預かっておるんですから、もし万一のことがあったらたいへんな海の汚染を引き起こしますから、監視船を強化するとか、いまおっしゃったような油の回収船をもっとふやすとかいうことは非常に大事でございますから、私も、来年度予算要求にあたっては、これに対して十分に対処できるような予算を要求したいと思っております。
  115. 加藤進

    加藤進君 油回収船の問題は一例として申し上げたわけでございます。  ともかく環境庁も指摘されるように、海をよごす汚染源はもう至るところにある、こういう現状です。これに対して適切な有効な対応策をとらなくちゃならぬということが、私は今度の改正一つの眼目になってきておると思うんです。したがってこの法案改正点を生かしていくというなら、やはりこれに対応するだけの行政措置を真剣に考えて、年次計画を明確にして、ともに出すというくらいの決意があってしかるべきだと、こういうふうに私は考えるわけでありますが、その点は要望として申し上げておきます。  そこで、もうあとたいした時間ございませんけれども、六大港湾都市協議会から港湾法改正についての要望書というのがもう運輸省その他に入ってきておると思います。この要望書の中で、先ほど私が若干触れましたけれども、こういう点が強調されておりますね。「港湾の汚染は、当然のことながら、港湾それ自体から生ずるというよりもむしろ周辺の工場あるいは河川、下水道等によってもたらされることが多い」これは環境庁の指摘と大体私は同じだと思います。こう港湾管理者は見ておるわけです。例外はあるかもしれません。そこで「港湾管理者に対し、これら港湾汚染の原因者に対する環境保全の見地からする規制権および発言権を港湾法および関係法律に明文化されるようご配慮願います。」こういう切々たる要望があるんです。私は、この点については、運輸大臣もそういうことは無理だなどとはおっしゃらないと思いますけれども、その点は、今度の法案の中にどのように要望が盛り込まれてきておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  116. 岡部保

    政府委員岡部保君) この点につきましては、御要望も承っておりますし、私ども法案を考える際に、ずいぶん議論をいたしたところでございます。  ただ、港湾法で、たとえばこういう河川の問題あるいは下水の問題を処理するということは、どうも法体系としてなかなかむずかしい、表現が非常にむずかしゅうございます。それでは下水道法あるいは河川法等の一部改正を、これと一緒に合わしてやるということにしてはどうかということで考えまして、いろいろそれも検討をいたしましたですが、それぞれ、河川法としては、河川でそういう汚染をするというようなのはもってのほかであるという規定はすでにあるわけでございます。したがって、どうも変な話でございますが、これは法律の問題ではなくて、先ほど先生もおっしゃいましたが、要するに、ほんとうに行政する上での問題である。したがって、ほんとうにこれだけ環境問題が問題になっている時期でございますので、われわれとしても建設省とも十分連絡はとっておりますが、いわゆる行政面での問題として考えていこう。さらに実際にこれの行政をいたします先のほうのところ、言うなれば地方公共団体というところでは、部局こそ違いますけれども、同じ地方公共団体が担当しているわけでございますから、そこら辺で十分やっていこうじゃないかというようなことで、今回の法改正では見送らざるを得なかったというのが実情でございます。
  117. 加藤進

    加藤進君 ともかく、港湾管理者権限がないために、みすみす目の前に起こっておるさまざまな汚染に対しては、手がつけられない。これは、大臣、このままにしておいていいのか。行政面だけでするとおっしゃいますけれども、どういうふうにやられたらいいんでしょうか。
  118. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 法律問題としてはなかなかむずかしい問題が含まれていると思うんですね。しかし港湾管理者は大体府県知事でございますが、府県知事がやっぱりいろいろの法律で、河川につきましても上下水道につきましても、権限を持っているわけです。ですから、同じ人が同じような権限を一方では持っているわけですね、港湾管理者として持っていなくても。ですから、そういうことで、いま政府委員が御答弁しましたようないろいろな経過はございましたけれども行政措置で大部分片づくんじゃないか。中央のほうも中央のほうで、関係省の間で、そういった方針を——これはもうきまっておるわけですけれども、それを運輸省建設省もあるいは通産省も地方へ流して、そうして行政措置によってこれは解決できる問題であろうというようなことで、いまは過ごしてきているわけでございます。  しかし、先ほど来、各委員の方から御質問がございましたけれども、この港湾だけではなしに、日本の海洋汚染、公害の防除ということにつきましては、法制上も足りない点があると思います。こういった問題につきましては、先ほども申し上げましたが、関係各省がよく相談をいたしまして、必要とあればそれに対処するような新しい法制も考えなけりゃなるまい、こう思っておる次第でございます。
  119. 加藤進

    加藤進君 その点について、環境庁はどういう御見解を持っておられるんでしょうか。
  120. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) なるほど、おっしゃいますように、港湾をながめてみればたいへん汚染されておるという御心配から、その管理者であるところの、知事さんが多うございましょうけれども、知事が直接おれの港がよごれておるから、こういうふうに規制しろというような権限を、この港湾法に明記をしろというお話でございまするが、おっしゃる気持ちは私どもも十分わかるような気持ちがいたします。しかし、実は、この港湾法で汚染を押えるというよりは、やっぱり公害関係立法でもって、すでにたとえば水質汚濁防止法もございましょうから、これで十分やっていけば、汚染をだんだん除去していけれるはずであるわけであります。港湾管理者は知事さんでありまするけれども、公害関係の規制の第一線の責任者もまた知事さんであります。そういうような意味におきまして、法律としてはちゃんとございまするし、それから第一線の知事さんが公害関係に規制の目を光らせれば、これはやはり相当な効果があがるように行政的にも体系は整っておるんではないか。しかし、まあ要は現実があまりにも汚濁が進んでおるということからの御指摘であろうと思いますので、こういう関係法令あるいはまた行政指導につきましても、一生懸命やりまして、御期待にこたえたいと思うわけでございます。
  121. 加藤進

    加藤進君 なお若干私は問題を整理してきましたけれども、もうそれほど時間もございませんので、これで割愛さしていただきたいと思いますけれども、特に最後に運輸大臣に要望したいのは、せっかく公害の防除のために法改正までやるというような決意までされておるわけでございますし、法律もこうして改正案が出されておるわけでありますから、ぜひこれに見合うような公害防止、環境保全のための行政措置をひとつ環境庁その他とも十分協議して、積極的に進められるように要望したいと思いますので、その点の御決意を最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 御要望というよりも、これはむしろわれわれの責任でございますから、行政運用の面におきましては、法律の御審議の際に申し述べましたような方向に向かいまして、最大限の努力をいたします。
  123. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後零時五十二分散会