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加藤シヅエ君 ただいまの
局長の御答弁で、自然
環境の問題で発言をする人の
立場というものが法的に認められるということを伺いましたのは、たいへんな進歩であったと私も喜ぶわけでございますけれ
ども、残念なことには、ちょっとずいぶんおくれたわけでございますね。
局長がもう少し前にこのことに気がついていてくだされば
ほんとうによかったと思いますけれ
ども、ずいぶん手おくれでございます。ですけれ
ども、まだまだこれからこういう問題はあちらこちら全国的にたいへんたくさんございますので、どうぞそういう自然
環境、直接の経済的な利害
関係というものが何にもそこに見えませんけれ
ども、国民全体の保健の問題、
環境の問題については非常に重要な地位を占めるものとしてこれを認めてくださるということは、たいへんな進歩であったと思います。
次に伺いたいのは、
公有水面埋立法の問題でございますけれ
ども、施行令の第十六条に「
都道府県知事ハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者に帰属スヘキ埋立地ノ価額ノ百分ノ三ヲ埋立ノ免許料トシテ徴収スヘシ」ということが
一つ、それから第二項に「埋立地ノ価額ハ埋立ノ免許ノ日ヲ標準トシ比隣ノ土地ノ価格ヲ参酌シテ
都道府県知事之ヲ認定ス」というようなことが書いてあるのでございますが、この点で伺いたいのでございます。
運輸大臣も御承知のとおり、東京湾の
埋め立てというのはこれはもうたいへんに大きな面積の
埋め立てでございまして、私もまだ
埋め立てが手をつけられないときに、鳥類の観察の
関係でそこへ参りました。そうしてどんどんと
埋め立てが行なわれているその姿をはっきりとそこで見たわけでございます。そうしてそこには広い沿海に日本のありとあらゆる大手の企業のテント張りみたいな、出張所みたいなものがずらっと出ておりまして、日本の大企業というものを一目で見たかったら、あそこに行ってみれば全部の出張所があるというような形でたいへん盛んなことだと思いました。これを見ていると、日本の将来というものは大企業が全部しょっているみたいで、ここをどんどん
埋め立てるということによって大企業が発展するということはすなわち日本の経済が発展することであって、たいへんいいことだというふうな解釈で、なされていたように見受けました。私はそう思いませんでしたけれ
ども、そういうようなふうに出ていたわけでございます。
そうしてその時分は、
地方自治体の長になる方もあるいは自治体の議会、県議会なんかの議員の方々も、やはり多数の
意見というようなものは、そういうことが非常にいいことだというふうに考えて少しも疑わないというようなことでございましたけれ
ども、ここで一番問題になりますことは、
公有水面の
埋め立ての免許ということなんでございますが、これは「元来私人の所有に属しない
公有水面を、排他的、永久的に埋立てゝ、」しまって、そうして「埋立免許出願者に所有権を賦与する特許に属する行政処分であると解されている。」これはこの問題について非常に強い関心をもって
意見書を出しております日本弁護士連合会の
意見書の中にいわれていることでございますが、これは私たちが
ほんとうに言いたいところなんでございます。
だれにも属していない水、それを
埋め立てた人が
許可さえもらえば、今度はそれが土地になってあらわれてきて、その土地から生まれる利益というものはもう膨大なものであって、それが全部私的なものに属されてしまうわけですから、この
埋め立ての免許ということはもう
ほんとうに大きな
権限なんで、与えるときには十分に考慮して与えなければいけない。公共の、公有の、おてんとさまとか雨とかというものと同じような、水というようなものが一私業に属してしまって永久に私有物になってしまう、こういうような問題の免許ということでございますから、国民の共有財産を
一般に廉価で永久に特定の私人の所有にすることを認める行政処分として、こういうものがいままで存在していた。そして一ぺんこれを
埋め立ててしまうと、回復することができないわけでございますね。これももう
ほんとうによく銘記していただかなくちゃならないのでございます。
こういうようなところに免許を与えるということについて、その利害
関係というものを十分に慎重に考えていただかなくちゃならないわけでございますが、その免許のときの
埋め立ての免許料というものは「百分ノ三ヲ埋立ノ免許料トシテ徴収スヘシ」というのでございますが、これは例をとって、東京湾の千葉県が扱っております
埋め立てに対して百分の三というのは、
一体、金額にして幾らぐらいを納めたのでございますか。