運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-09-12 第71回国会 参議院 運輸委員会、社会労働委員会、農林水産委員会、建設委員会、公害対策及び環境保全特別委員会、交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十二日(水曜日)    午前十時十四分開会     —————————————   委員氏名    運輸委員     委員長         長田 裕二君     理 事         江藤  智君     理 事         木村 睦男君     理 事         山崎 竜男君     理 事         小柳  勇君                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 伊部  真君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    社会労働委員     委員長         大橋 和孝君     理 事         玉置 和郎君     理 事         丸茂 重貞君     理 事         須原 昭二君     理 事         小平 芳平君                 石本  茂君                 上原 正吉君                 川野辺 静君                 君  健男君                 斎藤 十朗君                 塩見 俊二君                 高橋文五郎君                 寺下 岩蔵君                 橋本 繁蔵君                 山下 春江君                 小谷  守君                 藤原 道子君                 矢山 有作君                 柏原 ヤス君                 中沢伊登子君                 沓脱タケ子君    農林水産委員     委員長         亀井 善彰君     理 事         園田 清充君     理 事         工藤 良平君     理 事         中村 波男君     理 事         塩出 啓典君                 鹿島 俊雄君                 河口 陽一君                 小林 国司君                 田口長治郎君                 大松 博文君                 高橋雄之助君                 鍋島 直紹君                 温水 三郎君                 初村滝一郎君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 柳田桃太郎君                 足鹿  覺君                 杉原 一雄君                 辻  一彦君                 村田 秀三君                 吉田忠三郎君                 沢田  実君                 向井 長年君                 塚田 大願君    建設委員     委員長         野々山一三君     理 事         大森 久司君     理 事         竹内 藤男君     理 事         山内 一郎君     理 事         沢田 政治君                 上田  稔君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中津井 真君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 田中  一君                 中村 英男君                 松本 英一君                 田代富士男君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    公害対策及び環境保全特別委員     委員長         森中 守義君     理 事         金井 元彦君     理 事         君  健男君     理 事         杉原 一雄君     理 事         内田 善利君                 青木 一男君                 斎藤 寿夫君                 菅野 儀作君                 田口長治郎君                 寺本 広作君                 林田悠紀夫君                 原 文兵衛君                 安井  謙君                 渡辺一太郎君                 加藤シヅエ君                 沢田 政治君                 藤田  進君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君                 沓脱タケ子君    交通安全対策特別委員     委員長         西村 関一君     理 事         岡本  悟君     理 事         二木 謙吾君     理 事         神沢  浄君     理 事         阿部 憲一君                 岩本 政一君                 鬼丸 勝之君                 黒住 忠行君                 橘  直治君                 中村 禎二君                 中村 登美君                 橋本 繁蔵君                 矢野  登君                 山崎 竜男君                 野々山一三君                 森  勝治君                 吉田忠三郎君                 原田  立君                 田渕 哲也君                 小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。    運輸委員会     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 瀬谷 英行君                 阿部 憲一君                 田渕 哲也君    社会労働委員会     委員長         大橋 和孝君     理 事                 須原 昭二君                 小平 芳平君     委 員                 石本  茂君                 上原 正吉君                 川野辺 静君                 斎藤 十朗君                 塩見 俊二君                 高橋文五郎君                 寺下 岩蔵君                 山下 春江君                 小谷  守君                 矢山 有作君                 沓脱タケ子君    農林水産委員会     委員長         亀井 善彰君     理 事                 工藤 良平君                 中村 波男君     委 員                 田口長治郎君                 鍋島 直紹君                 温水 三郎君                 初村瀧一郎君                 堀本 宜実君                 柳田桃太郎君                 辻  一彦君                 村田 秀三君                 塚田 大願君    建設委員会     委員長         野々山一三君     理 事                 大森 久司君                 竹内 藤男君                 山内 一郎君                 沢田 政治君     委 員                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中津井 真君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 中村 英男君                 田代富士男君                 高山 恒雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    公害対策及び環境保全特別委員会     委員長         森中 守義君     理 事                 金井 元彦君                 君  健男君                 杉原 一雄君                 内田 善利君     委 員                 斎藤 寿夫君                 寺本 広作君    交通安全対策特別委員会     委員長         西村 関一君     理 事                 二木 謙吾君                 神沢  浄君                 阿部 憲一君     委 員                 中村 登美君                 森  勝治君                 小笠原貞子君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        環境政務次官   坂本三十次君        環境庁長官官房        長        信澤  清君        環境庁大気保全        局長       春日  斉君        厚生省社会局長  高木  玄君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        運輸省航空局次        長        寺井 久美君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君        建設省道路局長  菊池 三男君        建設省住宅局長  沢田 光英君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        池部 幸雄君        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    佐々木英文君        大蔵省主計局主        計官       宮本 保孝君        農林省食品流通        局流通企画課長  佐竹 五六君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        小林 正知君        日本国有鉄道理        事        原岡 幸吉君        日本国有鉄道理        事        阪田 貞之君        日本国有鉄道理        事        内田 隆滋君        日本国有鉄道理        事        加賀谷徳治君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案について     —————————————   〔運輸委員長長田裕二委員長席に着く〕
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会社会労働委員会農林水産委員会建設委員会公害対策及び環境保全特別委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。  順次発言を許します。矢山有作君。
  3. 矢山有作

    矢山有作君 きょうの連合審査で、私に与えられた時間が四十分という短時間でありますので、その前提で二、三お尋ねしたいと思いますし、またその前提で簡潔、的確に御答弁を願いたいと思います。  まず最初にお尋ねしたいと思いますのは、去る六月二十一日に社会労働委員会におきまして、私ども与野党一致で「心身障害児者対策推進に関する決議」をいたしました。その中で、国鉄関係の問題についても決議をいたしておりますので、それが実現方を私たちは願っておるわけでありますが、その前提に立って政府並びに国鉄当局のお考え方を承っておきたいと思います。  それは現在、国鉄重度身障者本人付き添い人一人について五割の割引を行なっておるということであります。ただし、この五割割引というのは急行以下の列車に適用されておりまして、まだ特急や、あるいは「こだま」「ひかり」等の新幹線には適用されておらないわけでありますが、私ども福祉優先がいわれる今日の状態の中で、こうした身体障害者に対して全面的な国鉄運賃割引を実施をしていくべきではないか、こういうふうに考えて決議の一端に加えたわけでありますが、これに対するお考えを承りたいと存じます。
  4. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) ただいまの御質問の、身体障害者に対する国鉄運賃割引その他の優遇措置でございますが、趣旨においては運輸省といたしましては、もちろん賛成でございます。ただ先般も予算委員会でお答えしたのでございますが、国鉄財政が非常に窮迫いたしておりまして、ただいま提案をしておりますような十カ年においての再建計画を御審議願っておるわけでございますが、いまお示しのような、いわゆる公共負担といいますか、社会政策的見地からするものを含めまして、公共負担というのが年間に約五百億ぐらいに達しております。でございますから、国鉄に対しまして、さらにそういった方面割引を拡充するということについては、趣旨はまことにけっこうでございますけれども、ただいまの国鉄の状況では、国鉄負担においてそういう割引措置を拡充していくということは、実際上非常に困難であると考えます。でございますから、私の意見といたしましては、社会福祉を担当しておられる厚生省その他の方面におきまして、それに見合う一般財源を補てんをしていただくならば、そういうことは喜んで実行いたしますということを、お答えをしておるわけでございます。  なお関連いたしますが、国鉄に対しましては、そういう身体障害者国鉄を利用しやすいような設備を充実すること、これはもちろん国鉄負担においてやるべきであるということでございまして、これは全国一ぺんにはできませんけれども、主要な駅から順次これを現在実現をしつつある状態でございます。
  5. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま大臣が申されましたとおりでございますが、私のほうは四十七年の実績で申しますと、約百八十万人の方々に対しまして十億の運賃割引をいたしております。で、御承知のような財政状態でございまして、いままでの審議におきましても、いわゆる運賃上の公共負担については、もう国鉄負担能力がないと、国でめんどうを見るべきだというさまざまな御意見がございまして、私どもといたしましても、ぜひ運賃のほうにつきましては、厚生省その他関係のほうでお願いいたしたいと思いますが、ただ私のほうのプロパー輸送サービスにつきましては、できるだけのことをしなければいけないということで、いろいろ先生からも御指示がおありになると思いますけれども、いま、こまかい点につきまして、できるだけの注意を払ってやってまいりたいというふうに思っております。
  6. 矢山有作

    矢山有作君 これは身体障害者にとっては、乗車時間を短縮するということは、これはもう生理的な絶対の要求なんですね。いま、御案内のように、列車に乗りますというと、車いすは通らぬわけですから、乗った人はどうしても短時間で目的地に着きたいという、こういう要求があるわけです。  現在の状態ですと、この間参考人を呼んでいろいろな意見を伺ったんですが、汽車に乗って旅行をするという予定を立てたら、もう身体障害者の方は、その前日から節水、節食をして、かなりの距離の旅行に、生理的に耐えられるような準備をしてかからぬと旅行できないと、こういう状態に置かれているというわけですね。しかも従来の考え方と違って、できるだけこういう身体障害者人たちも、狭い範囲、たとえば家の中に閉じ込めておくというのでなしに、できるだけ広く行動できるような便法を国として講じていくということが、やはり身体障害者福祉の面から、非常に重視されてきている状態です。  したがって、そういう点から言うなら、私は積極的にこの運賃割引等のことをやることによって、身体障害者要求にこたえていくべきだと思うんです。その場合、先ほど御指摘がありましたように、私も国鉄の経営の状態というのはいささか承知をしているわけでありますから、したがって何も国鉄割引だけでやりなさい、こういうことを言っているわけじゃないので、少なくとも、田中内閣の看板が国民福祉増進ということであるなら、やはり一般会計からでもやったらいいんじゃないかと、それほどの私は大きな負担にはならぬのじゃないかと、こういうふうに思っているわけです。したがって、この点については、重ねて運輸省なり、あるいは厚生省もきょう来ているはずですから、厚生省考え方も聞いておきたいと思うんです。
  7. 高木玄

    政府委員高木玄君) 身体障害者運賃割引につきましては、ただいま先生が述べられましたとおりの現在運賃割引制度になっておりまして、これは国鉄当局の御配慮、つまり国鉄負担において現在この割引制度が実施されておるのでございます。しからば国鉄財政事情等もあり、それをさらに拡大するために、必要な部分は国の補助金等をもって行なえばよいじゃないかという質問でございますが、この点につきましては、実は心身障害者対策基本法の第二十三条の規定の趣旨等もございまして、直ちに補助金を組むことが適当であるかどうか、また、その部分のみを何ゆえ国庫補助の対象にするか、この補助金ルールづくりの点からも非常に問題がございますので、せっかくの先生の御意見はよくわかりますので、なお私どもとしても、ひとつ前向きに検討さしていただきたい、かように存じております。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 こうした問題は、私は、いまの制度がどうなっておるからできないのだという考え方では一切できないと思うのですよ。やはりこうした新しい施策をやっていこうというときには、いまの制度がそれに合わないなら、それを変えていくという積極姿勢がなければ、これは要求には応じられぬわけでありますから、そういうことはもうわかり切った話なんですよ。そうすれば、少なくともこれだけ社会福祉増進がいわれ、しかも参議院として与野党一致でこの心身障害者対策推進決議がなされた以上は、この決議趣旨を尊重していただいて、政府としては前向きに実現を考えていただくのが当然であろうと思うのです。でありますから、そういう点では、ただ決議国会国会でやったのだと、行政の実際的な運営はわれわれのことなんだから、決議決議として、その実現についてはうしろ向きだというのでは困るわけです。  そういう点では、ぜひともこれは実現させるように、運輸省としても、厚生省十分協議をしながら、むしろ私は厚生省のほうに積極的な姿勢を求めたいわけです。そういう点で、重ねて意見を伺って次に移りたいと思います。
  9. 高木玄

    政府委員高木玄君) 現行の運賃割引制度を拡大することにつきましては、身体障害者関係の団体からも強い要望がございますので、ただいま先生の申されましたとおり、前向きの姿勢で検討してまいり、国鉄当局と十二分に協議してまいりたいと思います。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、次に質問を移します。  四十七年度の国鉄監督報告書を見てみますというと、「事故防止対策は、事故が発生した場合、当該事故対策にとどまる傾向が見受けられるが、より広範な観点から総合的方策を確立することが肝要である。」こういうふうに、安全確保の問題について強調されておるようであります。ここで私が聞きたいのは、この中にいっておる「より広範な観点から総合的方策を確立する」、この具体的な中身はどういうふうに理解しておられるかということです。
  11. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうの事故と申しますのは、直接発生いたしましたその場における種々な現象だけでなしに、その背後にいろいろな問題があるわけでございます。設備上の問題あるいは人の問題、それらを全部総合的にと、そういうふうに私は監査報告書を理解しております。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 安全確保のために、設備の問題、人の問題両面あると言われましたが、まさに私もそのとおりだと思うのです。安全確保をするために現場労働者つまり人の問題を抜きにして安全確保の問題は考えられないわけでありますから、そういう意味で私は、安全確保のためには現場労働者の積極的な協力体制が要ると思うのです。そこで、安全確保について、現場労働者を、直接安全確保の問題について参画させるというような制度が行なわれておるか、行なわれておりませんか。
  13. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 現場におきましては、安全関係責任者と申しますか、そういった者を指定しておりまして、絶えず現場において一般の職員と接触できるし何でも話ができるというような体制もとっておりますし、それからまた私ども現場におきましては、この問題だけじゃございませんが、現場機関ごとに現場協議会と申しますか、そういったものも設けてございまして、現場長と直接のその部下との間に意思の疎通をはかれると、いろいろな意味で意思の疎通をはかれるというようなことも考え、制度としてやっておるわけでございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 安全確保の問題には、私は労働者の労働条件、またそれに伴う労働者の心身の健康が十分に確保されておる、こういうようなことが非常に重要な関係があるだろうと思うのです。  ところで最近の状況を見ますと、きびしい合理化に伴う要員の削減、一方では営業重視、こうしたことから、現場労働者に対して変則、夜間、神経労働、長時間労働、こうした重圧がかかっておりまして、労働者に対する健康破壊が非常に進んでおると、こういうふうに聞かされておるわけでありますが、その実態に対して、国鉄当局はどういうふうに把握しておいでになるでしょうか。
  15. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) ただいま御指摘の件は、非常に私どもとしても常日ごろ関心をもっていろいろ対策を講じておるつもりでございます。  一般の傾向といたしまして、第一に死傷病の関係で、その職員の状況がどうなっているかということを見ますと、大体三万五千前後病気になったりけがしたりするというようなものがあれでございまして、特にふえている傾向はない。むしろ、漸減ではございますが、減ってきておる。あるいはその病気の程度につきましても、一件当たりの休業日数なんかも非常に減ってきておる。これは非常に悪い傾向じゃなくて、むしろいい傾向じゃなかろうかというふうに考えます。  それからまた、傷病によって死亡する者の数は大体六百から七百くらいということでございまして、これも特にふえておるというような傾向は見られないということになります。ただ私どものほうの一つの問題は、要員構成についての問題は、だんだん高年齢層の者がふえるというようなことがございまして、こういったようなものについても、特に最近は成人病対策と申しますか、そういったものを立てていろいろ施策を講じているわけでございます。その六百から七百くらいの死亡者のうち、成人病に関係してなくなる者は、これも少しずつではございますが減る傾向にあるという点につきましては、幾ぶんでもそういったことが早期に把握されて、効果が出ているのじゃないかというふうに考えます。  それから業務上の問題について申し上げますと、これは古い数字を申し上げますと、非常に業務上でなくなったというような数はかなり多いのでございますが、最近の五年くらいを見ましても、四十三年に五十九人の死亡者が出た、これが四十七年にはだんだん漸減の傾向をたどってきまして、四十七年には初めての二十台、しかも二十一人という、半分以下に終わったということになっております。最近の傾向を見ましても、大体四十七年と同じような程度の傾向でおさまるのじゃないかというようなかっこうになっております。  それから傷病の程度を見ますと、これも古い数字をとりますとかなりあると思うのですが、最近の数字をとらえていきますと、これも徐々でございますが、年間二千五百前後ということになるのですが、大体の傾向を見ますと、徐々でございますが、漸減の方向をたどっているのだというふうに言えると思います。  それから病気のいろいろ——先生のただいまおっしゃいました合理化問題そういったからみとはどういうふうに関連するかわかりませんが、私どもいろいろな職種がございまして、病気の中身なんかにつきましても、いろいろ見ておるわけでございます。職種別なんかの中身を見るわけでございますが、運転業務に直接従事する者と、それ以外の者というふうに大きく区別してみますと、病気になる者は、これはほんの少しの違いでございます。〇・〇二%という程度の違いでございますが、運転関係に従事する者が、そういう面では多いわけでございますが、死亡する者というものから見ますと、運転関係に直接従事する者をとってみますと、むしろ非常に少ないというような数字になっておるわけでございます。  それから病気の中身につきまして、これはいろいろございますが、四十六年の数字だけここにございますけれども、四十六年三万四千六百二十六人の死傷病が出ておりますが、この中で見ましても、国鉄は、御承知のように、早くから結核対策を徹底的にやりまして、これは非常に顕著に減っております。一番多いのはやはり消化器関係の疾患、これは全般の一つの傾向だと思うのですが、七千四百ぐらいおる。それから結核も含みますが、呼吸器関係の故障といったようなものが三千三百ぐらい。それからあとは、たいへんあれな話でございますが、肛門の疾患といいますか、痔とかいったものが多いと思うのですが、そういったようなものが千五、六百おるというようなことで、あとはいろいろな病気に大体分散しておるというようなことでございまして、過去の傾向からして、最近特に顕著に、どういう病気がそのためにふえたとかなんとかというような感じは、私としては見られないというふうに考えている次第でございます。  非常にこまかく申しますと、またいろいろございますが、もし言い忘れたことがございましたら、また御質問に答えたいと思います。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 いまおそらく御説明になったのは、四十八年八月の日本国有鉄道監査委員会の統計資料等をもとに、業務外死傷病の発生の問題なんかをお述べになったと思うのです。しかし業務外死傷病の発生の状況を見ておりますというと、これはあなた方のほうの統計なんですが、昭和四十年を一〇〇とした場合、四十七年では一一七になっていますね、件数にすると三万七千六百三十四、これはかなりなふえ方なんです。それに対してあなたのほうの説明で、いま休業日数は一人当たりにするとだんだん減ってきておる、こういうような説明があって、案外健康状態が優良に保たれておるような印象を与える御答弁だったと思うのです。  しかし、これは私は、この数字の見方に問題があると思いますよ。というのは、業務外の死傷病発生件数はかなりふえておる。ところが反面、一日当たりの労働者の休業日数は減っておる。これはむしろ病気にかかっても十分に休養し療養することができないような状態国鉄労働者が追い込められておるから、一人当たりの休業日数が傷病件数の発生の増加に比べてそれほど大きくないんだと、こういうふうに私は実態を把握すべきだと思うのです。その実態の把握というのが、はたして正確にできておるならば、いまおっしゃったような説明には私はならぬと思う。業務上の死傷者数がむしろ漸減傾向にあると、かいつまんで言うと、そういうような意味の御発言だったと思います。これは私は、けっこうなことだと思います。それだけ事故防止その他に努力されておるということになる。しかしながら、業務上そういうようなことに努力しておることがはね返って、労働者に対する労働過重の負担になって発病が多い、多いのに労働者は休めない、こういうふうな関連をも持ってくるのではないか。こういうふうに考えたら、あなたが言われたほど、国鉄労働者の健康状態というのは優良な状態に保持されておるとは言えない、こういうことについて、私はもう一度、あなた方のほうで、国鉄労働者の健康の状態というものを真剣に検討してみられる必要があるのじゃないかと思う。そういう立場から私は、いささか資料が古うございますので、どうかと思いますが、かいつまんで国鉄労働者の健康の状態というものについて触れてみたいと思うのです。  これは四十四年の五月に発行されました国鉄労働組合の「月刊調査と資料」「レール」という四、五月合併号、ナンバーで言うとNo.九九、これに載っておるものであります。これはいささか統計が古うございますし、それからまたこういう調査というものは、統計の取り方あるいは調査をする場合の約束事その他によって多少の変動はあると思います。変動はあるけれども、その調査によってみますと、大体、十人中七人が健康を害しておると、こういうふうに答えておるようですね。しかも四十一年当時の調査と四十三年の調査を比べてみますというと、これはむしろ健康を害しておるという者の数は広がってきておる。しかも、その健康を害しておるという人々は、どの年齢層にもあまり違わない割合で広がってきた、こういうような調査結果が発表されております。それから病気の状態はどういうようなのかというと、一人で二つ以上の病名を持っておるのが一般的である、そして多いのが胃腸病であるとか視力減退であるとか高血圧だと、こういうふうにいわれております。特に二十代で胃腸病を訴えておる者が非常に数が多い、七二%をこえておるようであります。これはは四十三年の十一月の調査でありますが、前回の四十一年の八月の調査に比べると、二十代で胃腸病を訴えた者が六七・六%、それが四十三年の十一月の調査では七二・四%というのですから、これは非常にふえていきつつある。この胃腸病の原因などというのは、非常な神経の緊張を伴うことによって起こるのだと、私は専門家ではありませんが、そういうふうに一般的に聞かされております。こういう状態で見ると、こうした年齢のいかんを問わず、特に二十代という若いところにまでも非常に健康に対する障害が起こっておるということが、この調査結果から言えるんではないかと思うのです。  それから国鉄労働者の薬の常用状態はどうかということを調べておりますが、労働者の六〇%が薬を常用しておるという調査結果が出ております。これも常用している薬はどんな薬かというと、胃腸病が五二%近い、あとはビタミン剤を飲んでおるのが三八・七%それからトクホン類が二一・二%だとか、こういうように非常にたくさんの者が薬を常用しておる、そして特に二十代の胃腸薬常用者が非常に数が多い。これは二十代において胃腸病の症状を訴えている者が多いというのと符節を合わしておると思うわけであります。  それからさらに調査は、不健康者で医者通いをしておる者はどのくらいあるかということで調べておりますが、不健康者の四六・七%が医者通いをやっておる。先ほど言いましたように、国鉄労働者の七〇%が健康状態が悪いということを訴えておるわけでありますが、その中の半分近い者が医者にかかっておると、こういうふうに訴えておるわけであります。しかも、その医者にかかっておる者の状態を見ますと、二十代にして二四・五%、三十代にして四七・一%、四十代にして五六・八%、五十代にして七六%というのですから、二十代という若さのときから非常に医者にかかっておる者が多いし、また五十歳以上になると、医者にかからないのがふしぎだと、こういうような現象が訴えられておるわけであります。  さらに、こういうようなおそるべき国鉄労働者の健康破壊の直接的な原因は何だと思うかということに対して、調査対象の人々が言っておるのは、神経を使うと答えた者が五二・八%といわれております。食事時間が十分でないというのが四五%、睡眠時間が不規則だというのが四一・八%、夜間労働が多いというのが三三・五%、こういうふうになっております。勤務種別、年齢別それから業務機関別を問わないで、神経を使うと訴えておる人が一番多いということは、国鉄の労働というものがいかに神経をすり減らすような労働、いわゆる神経労働になっておるかということを明白に示しておる結果ではないか、こういうふうに思うわけであります。  それから労働がきつくなり疲労が蓄積すると、いろいろ身体に障害が出るわけでありますが、その症状はどういうふうになっておるかということで調査をしておりますが、具体的な症状で、肩がこる、全身がだるい、頭が重いと訴えておる人が大部分であります。こういうような状態になっておる。いろいろ詳しく言うと、精神的な症状あるいは神経的な症状を訴えておる、そういうような状態の調査も行なわれておりますが、そういう状況であります。  以上言いましたように、この調査の内容というものは、しさいに検討してみなければ、どの程度のものかということは、私も確実には申し上げることはできません。先ほど申し上げましたように、調査のやり方で数字も違ってくると思います。しかしながら、いずれにしても、これだけの調査が行なわれて、こういう結果が発表されておるということは、私はゆるがせにできない問題ではないかと、そういうふうに思うわけでありまして、そういう点から、国鉄当局といたしましては、労働者の健康状態に対して、やはり徹底的に実態を調査し、それを把握していくということが必要なんではないか、こういうふうに思うんですが、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  17. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、確かに私どもの職員は勤務時間が不規則であり、夜間勤務が多く、またしたがって食事時間等も不規則でございます。また常に列車運転その他に携わっておりますので、やはり神経を相当使うということは確かだと存じます。したがって、それが胃腸病その他にも影響することだというふうに考えますが、こまかい専門的なことは一応別といたしまして、私どもといたしましても、確かに昔から国鉄職員はからだが弱いということをいわれておったんでございます。したがいまして、いわゆる事前の保健管理ということには相当力を入れております。各鉄道管理局に保健管理室というものをつくりまして、最近も東京のは新宿の鉄道病院にすぐ並んでつくりましたが、非常にこれは内容が整備しているといって労働省からもほめられたような、ほかの模範になるというふうに言われたぐらいのものをつくりました。結局事前の保健管理をどうしてもやらなきゃいけないと思います。したがいまして、保健管理につきましては、さらに徹底してやってまいりたいというふうに思います。  それから発病後の問題これは幸い私のほうは医療機関がほかの企業と比較すれば整備されているというふうに思います。しかし、やはり近ごろ僻陬地の診療所等に医者がいないという問題などもございまして、いろいろそういう点で困難もいたしておりますが、やはり事前の保健管理と事後のアフターケアと、この二つを柱にして御指摘のとおりの職員全体の健康の向上にぜひつとめてまいりたい。数字的に見ますと、確かに死傷病も減っているし、あるいは公傷の患者も減っている、あるいはなくなる方も減っているというふうになっておりますが、やはり個人個人のいろいろな事情があると思います。そういう意味で、今後とも十分保健管理には意を尽くさなければならない。これが本人自身の問題であると同時に、やはりお客さんの生命に関するということもあるわけでございますので、十分今後もいまの組織を整備いたしましてやってまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 事前事後の健康管理の点を強調されたわけでありますが、それを充実させることはもちろんのことでありまして、問題は現在の労働者の健康管理の状況が具体的にどうなっておるか、さらにそれを具体的に、将来どう改善しようとしていくかということが、私どもにとってはお聞かせ願いたい重要な点なんです。しかし時間がありませんので、そこまで話を持っていくことができないのが残念でありますが、いずれにしても、おっしゃったことはきわめて重要なことでありますので、ぜひこの健康管理の面に万全を期していただきたい。  特に先ほどお話がありました、昔から国鉄職員はからだが弱いといわれておるという発言がありましたが、それは、私は国鉄職員が特別に弱いんじゃないと思うんです。国鉄に就職する前は、みな同じような人なんですから、それが国鉄に就職して、国鉄の中でからだが弱いといわれておるのは、やはり非常に神経を使う疲労の強い仕事をやられておる、たとえばスピードのある乗りものに乗ったり、あるいは事故を防止するために神経を使わなければならないというようなことがあって、いろいろな労働条件からくる緊張感といいますか、疲労というものが激しい、そのことが、言われる国鉄労働者はからだが弱いという表現になってくるんだろうと思うんです。それだけに私は、国鉄労働者に対する健康管理というものが、安全確保の点から見てもゆるがせにできない、こういうふうに思うわけです。  ところが、この点で非常に問題がありますのは、同じ調査の中で、こういう調査結果が出ております。病気になって実際に療養ができたと答えたのが全体の一四・四%にすぎなかったというんであります。自分自身また療養すべきだと思いながらできなかったと答えたのが四〇%だという。この答えを出したのは、年齢階層別に見ると、一番多いのが三十代の人です。主十代の人では五四・二%の人が、療養したいけれども療養ができなかったと、こう言っているわけです。これはやはり三十代という年齢が、労働者としても、もう質の面からも一番充実したときであるし、それだけに仕事の責任もあるし、健康を害しておって休みたいと思っても休めないような、そういう状態にある年代じゃないかと思うのです。それだけに私は、三十代で療養したいのに療養できないということを訴える人が一番多い数を占めておるのではないか、こういうふうに読み取れると思うのです。それからまた療養できなかった人に、療養できなかった理由は何だ、こういう調査をしておりますが、これで見ると、人手不足で休めない、こう答えたのが五八・九%、職制に出勤要求をされる、だから休めないと言ったのが一〇%、そうすると七〇%近い労働者が職場要員不足によってみずからの健康を犠牲にされておる、こういう結論になるわけであります。したがって国鉄の場合、要員が不足して労働強化になる。労働強化は疲労を蓄積させて病気に追い込んでいく、ところが病気になっても療養ができない、こういう悪循環に追い込まれておるんじゃないか。これが国鉄労働者の実態ではないかと私は思うのであります。  これを見ると、私はまさに人間疎外、労働者の命と健康の犠牲の上に立った国鉄経営と言わなければならぬと思うのであります。そういう点から、人間尊重だとか、あるいは福祉優先だとかいうことを口で言うならば、こういうような実態は見のがすことができないわけでありまして、私は健康阻害者が要員が足りないから療養すらできないんだ、こういう状態というものは、一日も早く解消すべきではないかと思いますが、これに対する何かお考えがありましたら承りたいと存じます。
  19. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) ただいま先生からいろいろ御指摘がございましたが、そういうような事態になってはたいへん困ることでありまして、私どもとしましては、十分その点を考えてやっているわけでございますが、十分に療養ができないというような点については、絶対私どもはそういうことはないというふうに考えております。御承知のように、ただいま総裁の答弁にもありましたが、国鉄はたくさんの医療機関を備えておりまして、大体大きなところには、自由自在に行ける医療機関を備えておる。そういったような面からいいましても、十分手当はできるということでございますが、そういう意味では、無理して療養もさせずに引っぱり出すというようなことは、まずないというふうに私考えております。  国民全体の罹病率なんかからいたしますと、国鉄の場合、統計数字から見ますと、これは私どもの医療機関にかかった者全部についての統計、実際にそういう統計を見ておるわけでございますが、全般が一一・一%でございますが、国鉄の場合は七%か八%、そういったところを往来しておるというようなことでして、特にまた最近、先ほども申しましたように、ふえる傾向でもないということでございます。  それからまた勤務の関係につきましては、特に病気についての予備とかなんとか、そういうふうには考えておりませんが、いろいろな意味で、各現場機関に予備を持っておるというようなこともございまして、いろいろ人手不足の場合は助勤手配その他いろいろな横の機関、その他いろいろなあらゆる手配を講じながらやっていっておる。これは非常に病人がふえてばたばた倒れるような状態になりますと、そんなことでは間に合わなくなりますが、大体横ばいというか、むしろ漸減の傾向にあるのでございまして、そういう意味におきましては、現在の要員手配の中において、そう無理なく行なわれておると、私どもとしては信じておる次第でございます。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 いまの国鉄のほうの説明は、きわめて楽観的なんですね、倒れるような状態になったらこれはもう論外なんです。国鉄という多数の国民の生命を預かる公共的な運輸機関においては、事故を起こさないで安全確保をはかっていくということが一番大切なんでしょう。安全輸送を達成していくということが一番大切なんですね。そうすれば、倒れるような状態になっている者を考えるのは、これは論外なんで、からだの変調を訴える、たとえば目が疲れるとか眠いとか頭が痛くてしようがないとか肩がこるとか、そういうような段階のときから十分健康管理に注意しなければならないはずなんです。そのことを私は言っているわけです。  したがって人間のからだが健全、正常な状態に保たれるような十分な健康管理をしないと、国鉄のようにどんどんスピードアップされていき、あるいは運転回数も非常に過密になっていくという状態の中では、健康に変調を来たしておるような人間を使っておったのでは、十分安全が期せられないから、そういう意味で安全確保のために十分な健康管理をやりなさい。そういう点で言うなら、こういうふうに国鉄労働者の中にはたくさんの健康障害を訴えている人がありますよと、こう言っておるんですから、そういう私の言っておる趣旨をとらえて、国鉄において十分な健康管理をやっていくんだという決意がなければ、いまのように、一般に比べて罹病率は少ないんだとか、あるいは十分な手当てができておるんだというような考え方で進まれるのなら、私はこの働く人たちの健康管理に、将来も依然として危惧の念を抱かざるを得ないんです。  あなたは十分手当てができる、それ相応な国鉄には診療機関もあるんだと言われておりますが、私が国鉄労働組合の七〇年七月の実態調査報告で出ている、国鉄労働者の健康状態と医療機関に対する要求というものを調べてみたところによりますと、鉄道病院の利用率というのは二七・五%、診療所の利用率というのが一〇・五%、全体として三八%程度と、こういうふうな数字が示されております。そうすると、なるほどわれわれ一般から考えるならば、鉄道は鉄道病院を持っておる、診療所を持っておる、したがって十分に、健康の不安を感じたならば診断を受けてやっておるだろうと、こういうふうに考える。われわれでもそう思っていた。まして一般の人はそう思うと思うんです。ところが実態は驚くなかれ、鉄道病院、診療所の利用率は三八%という低さなんです。そうすると、必ずしも私は、こういうものがあるから国鉄労働者の健康管理がこれらによって十分果たされておる、こういうふうには断定できない、こういうふうに思うんです。したがって私どもは、あなた方に申し上げたいのは、こうした点の実態を十分把握してもらいたい。そして健康管理に万全を期してもらいたい、そういうことを言っているわけです。  そこで私は、もう一つ、次に質問を移してみたいんですが、私はこれらの健康管理が行き届かない、病院に行きたくても行かれない、こういう原因は、要員不足というものが最大の原因だと思っていますが、そこでお尋ねしたいのは、年次有給休暇の消化状況がどうなっておるか御存じでありましょうか。
  21. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) いま手元に各職種別の詳細な資料を持っておりませんが、大体消化率はいいものというふうに考えております。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 あなた、そういう、いいものと考えておる——まあここだから、答弁はなるべくいいような答弁せぬとぐあい悪いから言ってるんでしょうが、そういうような認識じゃ困るんです。これも国労の東京地方本部が今年の八月二十日に調査をして発表した分でありますが、年次有給休暇消化状況調査の集約が発表されております。これをおそらくごらんになっているだろうと思うんですが、これを見ますと、概要を申し上げますと、完全消化をされておる職場——職場別で言いますと、完全消化されておる職場は数えるほどしかありません。駅について言いますと、おおむね二日ないし三日は未消化であります。車掌区について言うと三日ないし四日は未消化であります。特定の職場で一人が五日以上失効させておるところもあります。いま未消化と言ったのは、数字は一人当たりであります。  問題は特に電気・施設の職場であります。ここはもうあなた方御存じのように、相次ぐ工事量の増加に対して要員措置が追いつけない。したがって担当業務に追われて年休どころではないといった状態であります。たとえば電気の一人当たり有給休暇の残日数が二十・三六日、失効日数が一人当たりにして十・六五日となっておりますが、これは発効年次ではその期間に年休は全然とれないで、前年発効の年休を使い、しかもその半分は流してしまっておるという状況であります。総括的に東京地方本部の職場全体を見ますというと、年休の消化率はきわめて悪い。年休未消化がきわめて多いということであります。これが指摘されておるんでありますが、これは要するに要員が足らないから、年次有給休暇すらとれないと、休みたくても休めないと、こういう状況なんではないかと思うんでありますが、こういう調査結果をもとにして言うなら、あなたのいまの御答弁のように、年次有給休暇はほとんど消化されておるというようなことは言えないと思うんです。ほとんど消化されておる職場はきわめて少ない、まれなんです。
  23. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 職場によりまして、いま詳細な資料がないと申し上げてあれなんですが、職場によりましては、そういうように差があると思います。しかし、そういったことにつきましては、その時期において、たとえば工事量が非常に多いとかなんとかいうようなことで、そういう現象も場所によっては出るということでございますが、その後、一年以内においてなるべくそれを消化させるというような処置を講じておりますし、なお消化できないといったような面につきましては退職の時点と申しますか、そういった時点において、全部処理するというような制度になっております。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 退職時点で処理するというのはどういう意味ですか。
  25. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 退職時点の問題は、私ちょっと間違えましたですが、一年以内にできるだけこれを処理させるということを原則にして運用しております。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 あんた、人をなめたような答弁をしちゃいけませんよ。年次有給休暇というのは、労働者の健康保持という、そういう立場から、労働基準法に一年間何日以上は有給休暇を与えなきゃならぬ——べきじゃない、ならぬということできめられているわけでしょう。だから、その年次年次でそれを消化していくのが正常な状態なんですね。それが消化できないでたまっちゃって、国鉄の場合は二年間でしょう、有効期限が。二年たったら失効させてしまって、年次有給休暇もとれないで流しておるというのが異常なんですよ。そんなものが退職時においてどうして処理するか、そんないいかげんな、人をごまかすような、しろうとをごまかすような答弁をしちゃいけませんよ。もちろん私は、あんたのような国鉄の職員じゃないんだから、その限りじゃしろうとかもしれないけれども、あまりにもなめた答弁をしちゃいけませんよ。  要するに、年次有給休暇の消化が、こういうふうにできておらぬという事実に対して、責任を感ずるのか感じないのか、責任を感じたら、これをどうしようとするのか、それを言ってください。
  27. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) いまの退職時の問題は、先ほども言いましたように、私ちょっと取り違えておりましたんで、取り消させていただきたいと思いますが、いまの次の一年でなるべく消化するというような話も、これはやはり法の精神に従って、できるだけ与えたいということに基づきまして、組合なんかとの話し合いの上でやっておるということでございますが、これはいろいろ問題のないことはございません。しかし現在、そういう話し合いの中で、そういった運用をやっておるというふうに御理解願いたいと思っております。
  28. 矢山有作

    矢山有作君 時間が来たようですから、この問題で労働省の見解を承りたいと思います。
  29. 渡邊健二

    政府委員(渡邊健二君) 年次有給休暇は基準法によりまして、使用者は労働者から請求がありましたときには与えなければならない義務があるわけでございまして、労働者の権利でございます。国鉄ももちろん基準法の適用がありますわけでございますから、もし労働者がとりたくてもとれないといったような状況があるとすれば遺憾なことでございます。労働省といたしましても、十分調査をいたしまして、年次有給休暇が未消化であるのが、とりたくてもとれないといったような状況にあるのかどうか、よく調べました上で、もしそういう状況があれば、そういうことがないように指導してまいりたいと存ずるわけでございます。
  30. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 矢山君、時間が参りました。
  31. 矢山有作

    矢山有作君 明確な労働省の答弁に期待をいたします。これは私がいま言ったように、国鉄労働者の場合、年次有給休暇がとりたくてもとれない、そういうような状態に置かれているわけです。この最大の原因は要員不足であろうと思います。こういう状態がそのまま放置されておったんでは、労働基準法三十九条というものは形骸化していくわけでありますから、なるほど労働者が請求しなければいけないことになる。しかし請求しようにもできないほどの状態に追い込められておるという実態こそが重要なんでありますから、そういう点では、労働省が労働者保護の立場に立つなら、基準局長がいま言われたような立場で、これは早急に実態を調べて、そして年次有給休暇の取り得る状態国鉄の労働条件を改善するように、強力な指導をしていただきたいと思います。  残念ながら時間が参りましたのでこれで終わりますが、私はこういう状況一つを見ても、十一万人の合理化だといって進めておる国鉄当局姿勢に、大きな疑いを持たざるを得ぬのです。去年の法案審議のときにも十一万の合理化をやっていくんだと言った。ことしのこの法案審議についても十一万人の合理化だと言う。はたしてこの十一万人合理化というのが、合理的な根拠で、それぞれの部門別に積み上げられてきたのかどうかということについては、私は大きな疑問を持たざるを得ないと思うんです。腰だめで、とにかくこのくらいを首切っていくんだということをまず前提にして、国鉄再建計画というものが、一つは立てられていくんじゃないか、こういう不安の念を禁じざるを得ません。こういう点では、一体十一万人合理化の基礎はどういうようなところにあるのかということが、徹底的に解明されなければならない。その解明の上に立って、初めて要員の問題が解決でき、さらに、それに深い関連を持つ国鉄労働者の健康保持の問題等についても、深く議論を詰めていくことができるんだろうと思いますが、残念ながら時間がありませんので、きょうは言いっぱなしのような形になりましたが、これで私の質問を終わります。
  32. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 矢山君の質問は終わりました。  工藤良平君。
  33. 工藤良平

    工藤良平君 私は農水の立場から、主として農産物の輸送の問題についてお伺いをいたしたいと思っているわけでありますが、その前に、最初に、今回の国鉄運賃の値上げにおきまして、貨物運賃の値上げが相当大幅に行なわれるわけでありますけれども、特に国鉄の営業収支決算、監査報告等によりますと、かなりの赤字が累積をしておるということから、今回、特に貨物の値上げにつきまして、大幅な値上げというものが計画をされておるように聞くわけでありますけれども、その点について、きわめて概略でよろしゅうございますが、現在の国鉄の運用の内容について御説明いただきたいと思います。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 貨物営業におきまして、いろいろ問題がございますが、問題の中には、やはり貨物の運賃制度そのものに問題がございます。これは御承知のとおり、現在、まだ国鉄におきましては、いわゆる等級制度というものをつくっておりまして、そしてその値段が高ければ運賃が高いという、ちょうど税金のような運賃制度をとっております。いま世界でこういう制度をとっておる国は日本だけでございまして、ほかはほとんどトラックのように一種の実費計算による運賃をとっております。で、国鉄におきましては、したがって、いま四等級ございますが、上の等級は高いと、下の等級は安いということになります。ある一定時点で二千数百の品種の値段をきめまして、調べまして、その値段によりまして一から四まで分類するわけでございますが、その中で六十数品目だけは生活必需品ということで、その価格にかかわらず等級を下げるという措置をいたして——米以下です、六十一品目の価格を下げております。  したがいまして、それを品目別にかりに赤字、黒字を見ますと、四等級の貨物、すなわち等級の数が多くなるほど赤字が多いと、こういう計算になっております。この計算は、先ほど申しましたとおり、一般の普通等級のほかに、政策等級というものをつくりまして、それによって社会政策的な運賃割引を実質的に等級でもってしているというような運賃制度でございます。
  35. 工藤良平

    工藤良平君 国鉄の運営が、きわめて営業不振であるということがいわれておるわけでありますが、その主たる原因が貨物の輸送にあるというような印象を受けるのでありますけれども国鉄から提出をされておりますこの資料によりますと、「昭和四十六年度幹線系線区の線区別経営成績」というものを見さしていただきますと、ここで黒字の出ておりますのは、大阪環状線、総武本線、東北本線、新幹線、山陽本線、高崎線、山手線と、これだけで、あと全線赤字というような結果が出ておるわけでありますけれども、そういたしますと、これは国鉄全体の大きな根本的な問題というように私は理解をするわけでありますけれども、その点についての御見解をいただきたいと思います。
  36. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいまの御質問でございますけれども、御指摘のとおり国鉄全体の問題ではございます。ただ貨物の場合には非常に、何といいますか、環境の変化の影響を非常に強く受けておる、こういうことだと思います。御案内のように、非常に経済構造、社会構造、それから産業の立地構造、したがってまた流通構造、こういうものが著しくこの五年、十年で変わってきたわけでございます。それに対応してまたいいサービスをしなければ利用されないと、それをするためには、貨物関係にもかなり金を入れて、ハードウエアの面においても、それにそういうサービスができるようにしていかなきゃならないと、こういう問題があるわけでございます。それからまたハードウェアだけじゃなくて、まあ利用のしかたといいますか、制度といいますか、こういうものを、先ほど総裁から答弁ございましたような、そういう面からの対応もしていかなきゃならない。それらの両方の面において、非常に劣っておったわけでございます。この十年、ずっとそれが劣っておるわけでございまして、いま御指摘の、何といいますか、状況は、貨物において特に強く影響を受けていると、こういうふうに理解をしているわけでございます。
  37. 工藤良平

    工藤良平君 最も端的にお伺いをいたしますけれども国鉄の営業不振の最も大きな理由というものは、大まかに分けましてどういうことになるわけでありますか、これは総裁のほうから。
  38. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 旅客と貨物におきましては若干理由が違いますが、旅客のほうにつきましては、幸い最近の新幹線その他の関係で、一応、いい線は非常にいいわけでございますが、しかし、やはり全体的な過疎化の影響によりまして、国鉄の全体の二万キロのうちの半分以上は過疎地域を走っております。したがって、これは運ぼうにもお客さんがないという現状でございます。したがって需要が少ない、収入が少ないと、こういうことになるわけでございます。  一方、貨物のほうは若干模様が違いますのは、昭和三十八年までは非常に順調に伸びておりました。まず、御承知のとおり石炭の急激な減少が一つの影響でございますが、現在国鉄の貨物の輸送量は、昭和三十八、九年から二億トンに達しまして以来、そのままずっと横ばいでございます。日本の経済がこれほど発展しておりますのに、国鉄の貨物輸送が横ばいであるということは、一つには石炭の——石炭が一時国鉄全貨物の四分の一を占めておりました。これが現在はもう一割ぐらいになっております。その穴を埋めるのがやっとでもって、とても増加になっていないということもございます。  それからもう一つは、やはり輸送体制の整備の立ちおくれでございます。昭和三十年代におきましては、まず都市の通勤輸送ということで非常に金を使っております。また東海道の逼迫に対する東海道新幹線の建設等のために、昭和三十年代におきましては、ほとんど旅客輸送に重点が置かれておりまして、貨物の設備投資は残念ながら手が回りませんでございました。したがって貨物の輸送の近代化が非常におくれる、一方道路の発達によりまして、トラックが非常に整備されるというようなことで、国鉄の立ちおくれと、競争機関の急激な伸びと、この二つによりまして、現在の貨物輸送はこういう事態になったというふうに一応考えております。
  39. 工藤良平

    工藤良平君 いまお話がありましたように、この貨物輸送が非常に減少のカーブをたどっている。それはいまお話がありましたように、この設備の問題等につきまして、やはり近代化がきわめておくれているというような御説明があったわけでありますけれども、で、だとするならば、それはこの国鉄全体の立場から考えられるべきものであって、これを運賃の大幅な値上げによってまかなうということについては、私は一つの疑問を持つわけであります。これは後ほどいろいろと指摘をしてまいりたいと思います。  そこで、私は今回のこの値上げの状態をながめてみますと、普通旅客運賃の場合に、六百キロ以上が一二二%、それから六百キロ以下が一二二・四%、こういうような状況でありますし、一番値上げ率の高いのが定期、特に通勤定期の一三〇・二と、こういうようなことになるようでありますが、そういうことからいたしますと、この貨物運賃の平均二五%ということでありますが、先ほどお話がありましたこの等級別の整理、そういうものによりまして、たとえば今日まで非常にいろいろな事情から割引をしてまいりました農産物の輸送につきましては、相当大幅な値上げというものが予定をされておるわけでありまして、これにつきましては非常に重要な問題だと私は思っておるのでありますが、とりわけ今日まで暫定割引あるいは特別割引が行なわれてまいりました。その両方を整理をして考えてみますと、一説によりますと、四〇%をこして値上げが行なわれる、このような状態でございますが、これが農産物ひいてはそれが農業の問題に影響してくるわけでありますけれども、その点について、どのような理解を国鉄当局はなさっておるのか、そういう点についてお伺いいたしたいと思うんです。
  40. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 主として農産物に関しての値上げの問題でございますけれども前提といたしまして、昭和二十五年からいわゆる暫定割引ということで割引をいたしてまいりました。それからさらに昭和四十一年から、それにつけ加えまして特別措置割引と、こういう公共政策的な観点からの割引を農産物について実行しておったわけでございます。これを国鉄財政の現況にかんがみまして、昨年の九月末限りでもって全廃する、そしてそれの対応につきましては、関係の主務官庁において対策措置を考えて対処する、こういうことであるわけでございます。  しかして、それも含めまして、今度また国鉄の貨物運賃の改定によりましてかなり大幅の値上げになるじゃないかと。具体的に二、三の例を申し上げたいと思いますけれども国鉄で具体的に運送されておる距離、これを前提といたしますと、たとえばお米は三六・二%、それから生バレイショは三八・四%と、このようになるわけでございます。しかし、これがいま申し上げました、こういう運賃値上げ額と、それから割引の廃止額と、こういうものがそれでは価格にどれだけのウエートを占めるか、こういう観点を見てみますと、米においては〇・三%、それから生バレイショにおいては一・四%、しかも今度は鉄道輸送で全部送られておるわけではございませんので、鉄道輸送によって送られているシェアといいますか、これを前提といたしますと、その影響は米においては〇・一三%、それから生バレイショにおいては〇・四七%と、こういうふうに数字的には理解しておるわけでございます。  で、ただ先ほど申し上げましたように、具体的な流動につきましては、先ほど申し上げたように非常に高くなると、これはわかるわけでありますが、国鉄の等級問題、先ほど御答弁がございましたように、これは逐次トラック、あるいは船等の対抗——対抗といいますか、一般の輸送環境に合ったような近代的なものにしていかなければならない、そういう意味で、等級もそういう環境に合ったようにしていかなければならない、こういう影響もあるわけでございまして、しかも現段階におきましては、これらのものは一番高い等級と比べますとなお二〇%割安な運賃負担になっておると、こういうわけでございます。  そのほかに、先ほども御答弁ございましたように、元来もう少し高い等級を適用しなければならない、これを生活必需物資であるという観点から、六十一の品目について低い等級を適用している、政策等級ということで。しかもまた等級から言いましても、その一番高い等級からすれば二〇%低い等級が実際に適用されておるんだと、こういうことでございまして、まあこの農産物関係運賃改定、これにつきましては、いま御説明申し上げましたように、現状においてこういうことでやっていくほかないと、かように考えておるわけでございます。
  41. 工藤良平

    工藤良平君 いま御説明がありましたけれども、四十六年、四十七年にかけまして暫定割引あるいは特別割引というものが二年にわたりまして半分ずつ削減をしてなくなった、こういうことでありますね。これ平均が八・四%ですね。それに今回等級の整理が行なわれてまいりました。従来の一等から四等級までの差額というものは一〇〇対一五〇であったけれども、それを一〇〇対一二四というように縮めるということでありますから、それが今回の値上げて約三〇%ということ。そうすると、従来の暫定割引あるいは特別割引を含めますと四〇%程度の値上げにここ二年の間になるんだと、だからそれが、いま言う不均衡を是正するという意味で、一五〇を一二四というのに接近をした、しかし、じゃ今日まで三十数段階あったものをだんだん整理はしてきましたけれども、それを認めてきたというものは一体何を意味するのか。  そういう不均衡をつくることによって、それが国民生活に非常に大きく影響するからこそ、その不均衡というものが、逆に言うと、国民生活には非常に均衡のとれたものであったと私は理解をするわけなんです。それを一気に今回一〇〇対一二四に縮めたということは、それだけに暫定割引あるいは特別割引を含めるとたいへん大きな影響が出ているというように私は理解をするわけです。  したがって、もう少し突き詰めて言うならば、不均衡是正というのは一体何を意味して言うのか。ただ率を縮めたからそれが不均衡を是正したことになるのかどうかという、私は疑問を持つのでありますけれども、この点について、根本的にひとつ、これは大臣のほうから見解を伺いたいと思うんですが、これは具体的にもう少し私詰めたいと思います。
  42. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 政府委員から答弁させます。
  43. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 御指摘のいわゆる特別措置割引あるいは暫定措置割引の問題でございますが、これは先ほど国鉄のほうから御答弁いたしましたように、四十六年、四十七年と二回に分けましてこれを廃止したわけでございます。で、その金額は総額で約五十億でございましたが、国鉄が三十九年に赤字に転落して以来、こういった公共負担というものは極力是正していくという方針でいたしました。ただ一度にいたしますことは、激変ということもございますので、激変を緩和する意味におきまして、物価閣僚協議会にもかけまして、四十六、四十七とやったわけでございます。で、今回貨物運賃の改定にいたしましても、先ほど国鉄総裁から申しましたように、他のトラック、あるいは海上輸送というものに比べまして、他のほうにおきましては、いずれも単一の運賃制でございますのに対して、国鉄は長いいきさつもございますが、従価等級制をとってきたわけで、これがひいては国鉄の輸送力あるいは競争力というものに非常に影響を与えまして、国鉄のシェアが三九%ございましたのが一八%というふうに減ってきたわけでございます。  個々の品目につきましては、御指摘のようなものがございますが、国鉄の貨物運賃につきましては、四十一年に改定して以来、旅客につきましては四十三年、四十四年にも改正をしたわけでございますが、これを国鉄の貨物につきましては据え置きまして、今回七年ぶりに運賃を改正さしていただくと、しかも国鉄の貨物というものは、きわめてその営業収支というものは悪化しておりまして、今後それを近代化していくためにも、応分の負担を荷主の方々にお願いしたいと思っておりまして、このたびは運輸省といたしましては、妥当なものだと考えております。
  44. 工藤良平

    工藤良平君 それじゃもう少し具体的にお聞きをしましょう。いま四十一年に貨物を値上げをして今日まで値上げをしなかったと、これは貨物全体にいえることですね。農産物以外に上げたということはないわけですね。そういたしますと、これは全体に、貨物としては同じことがいえるわけです。  そこで私は、農産物の場合に、もう少し詰めてお聞きをいたしますが、たとえば肥料、飼料、農機具、農薬、これはいままでの三等、四等に位置されておりました。今回それが三等級になるわけですね。そういたしますと、これは皆さん御承知のとおり、農業というのは肥料や農機具や農薬を使い、飼料を使って牛や豚を飼うわけですね。ところが原料の輸送賃で飼料や肥料や農機具、農薬が上がる、二九・二から二九・六%に上がるわけです。そのほかにできた生産物を輸送するのにまた特別割引がなくなり、今回二九・二が二九・六に上がるということになると、原材料で上がってさらにそれを使った製品がさらに上がるということになりますと、非常に加重した値上げ率ということになるわけであります。私はそのように理解するわけです。  したがって、そのような状態であるから、わざわざ等級を設定をして政策割引というものを進めてきたわけでしょう。そういう私は意義があったと思うんです。今回それを大幅に縮めるということは、農業にとりましては、きわめて重大な影響が出てくるわけであります。先ほどちょっとお話がありましたけれども、米の場合に三六・二%影響があるといいますけれども、この米というのは自主流通米だけをさしているわけですか。政府輸送が含まれておりますか。政府輸送が含まれているとするならば、政府輸送というのは、いま食管は二重価格制でありますから、これは政府負担をするわけですから、これはあまり消費者には影響ないわけですけれども、特に私が問題にしたいのは肥料、農機具、農薬、こういうものが原材料の輸送で二九・二から二九・六に上がって、今度はそれで生産をしたものがまた二九・二から二九・六に上がるということになるわけでありますから、これは二重にたいへん大きな負担になるように私は計算をするんですが、その点について見解はどうでしょう。
  45. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 今度の貨物運賃の改定はすべての荷物に対して行なうわけでございます。しかし御指摘のような生鮮食料品あるいは原材料と、特に国民生活に必要なものにつきましては六十一品目に限りまして政策等級、いわば従来二等であるべきもの、あるいは三等であるべきものを四等級にしておりましたこの政策等級制度、これは今回も存続するわけでございまして、これによりまして実質上約二〇%の割引になるわけでございます。  先ほど申し上げました暫定割引あるいは特別措置割引、この品目の約九〇%、これは同じく今回の政策等級の同じ品目でございまして、そういう意味におきましては、やはり私たちといたしましては激変緩和、こういう意味におきまして、政策等級を存続するということにおいて考えたつもりでございます。
  46. 工藤良平

    工藤良平君 さっきからしきりにこの二〇%政策割引ということをおっしゃっておりますけれども、従来は一〇〇対一五〇という率で割引をしておったわけでしょう。それを一〇〇対一二四に縮めたわけでしょう。そうすると、相当政策割引というのは大幅に縮まったと私は理解をするんです。じゃないですか。ですから、その急激な変化というものがどのような影響を及ぼすのか。そのようなことが極端に行なわれるということは、特に農産物の場合に非常に大きな影響があるではないかと私は指摘をしているわけです。  じゃ、もう少し違う角度から見てみましょう。率を是正することによって均衡になるという言い方なんですけれども、これは定期をひとつ見ていただきたいと思う。私は国鉄の資料をいただきましたので先ほど検討してみました。通勤定期の二十一キロのところを見てください。これは今度の不均衡是正の中で一番大きな是正をしているランクでありますけれども、これは四〇%の値上げが行なわれるわけですね。これは確かに率から言いますと不均衡をなくしたということになりますけれども、この値上げというのはたいへん大きいわけであります。東京都のいま通勤定期の、私、区画を調べてみました。これはもちろん国鉄も調べていらっしゃると思いますけれども、たとえば十キロの区間を比較をいたしますと、そう大差はございません、いわゆる私鉄と。ところが今回改定になります二十一キロを比較いたしますと、一番高いところで、たとえば京王帝都ですね、これが二十一キロで二千五百五十円、一カ月通勤定期が。ところが今回の値上げによりますと、三千六百円になる、二十一キロが。こういう率を是正することによってきわめて大きな不均衡がまた生じるという結果になるわけでありますが、これと同じように、いまの農産物の場合も不均衡を是正をする、率を縮めたけれども、それが逆に大きな不均衡を生じるということに実はなるわけでありますから、その点私は、根本的なこの率の改定として問題があるような気がいたします。この点、大臣どうでしょうか。大臣ひとつ答えてください。
  47. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 具体的な賃率の問題でございまして、先ほどから政策的には国鉄の総裁あるいは政府委員からお答えしているとおりの方向で、今度の改定をいたしておるのでございますが、具体的な問題でございますから、政府委員から答弁させます。
  48. 工藤良平

    工藤良平君 私はいま矛盾を指摘しているわけで、その矛盾に大臣がお気づきになるかどうかということです。これはあとでいいですから、やりとりを聞きながらあとで答弁をいただきたいと思います。
  49. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 通勤定期におきまして、二十一キロから二十五キロ、特に二十一キロが一番アップ率が大きくて四二・九%、これは御指摘のとおりでございます。現在、国鉄運賃法におきましては、通勤定期につきましては一カ月、三カ月につきましては五〇%まで割り引くということがございまして、現在の平均する割引率は五三・一%でございます。今回、東京都の実態調査をいたしましても、約九〇%近くと申しますものは、通勤定期の負担を会社がいたしておるわけでございまして、こういったものについて、これはやはり極力五〇%まで縮めるべきではないかと、こういう御議論も国会においてもあるところでございます。  そういう意味におきまして、五三・一%を五二・一%に下げたわけでございますが、現在までいわゆる法定の五〇%、これは従来は二十キロまでが五〇%の割引をいたしておりまして、二十キロ以上のところは五〇%以上の割引をしておったわけでございます。それを今回二十一キロから二十五キロまでを五〇%割引というふうにいたしましたために、従来の割引率に対しまして、今回は五〇%にしたと、こういう関係で特に二十一キロというところが四二・九%というふうになったわけでございまして、二十六キロ以上のところはなお五〇%よりも高い割引率を今後も続けていくわけでございますが、漸次これをいわゆる法定限度に近づけていこうということで、今回は二十一キロから二十五キロを五〇%割引に持ってきたためにそういったアップ率になった次第でございます。
  50. 工藤良平

    工藤良平君 それがきわめて機械的であって、現実をなぜ直視をし、現実の中でそういう是正をしないのかということを私は言いたいわけなんですね。  もう少し具体的に御質問をしてまいりましょう。  たとえば九州からミカンを送るといたします。いろいろ調べてみますと、いま一ケース十五キロ入りで大体包括契約をいたしまして、一貨車幾らで積んでまいります。それで計算をいたしますと約百円かかる。ところが、御承知のように、東京に入ってまいりますと、普通、貨物は汐留に入るわけですね。ところが汐留にはミカンは入れてくれない。東京の周辺のほうに入れていくわけです。そうすると、そこからトラックで市場まで持ってくる。この経費が二十二円かかる。合計百二十二円という大体運賃が出ているわけであります。トラックで輸送した場合に幾らかかるかといいますと、表向きは百五十円のようですが、実質、平均いたしますと大体百二十五円かかって市場まで九州から届けられるわけです。で、これをノーマンカーで、フェリーで送ってまいりますと、これは一番安いようであります。これからの傾向としてそういうものがふえていくだろうと思いますけれども国鉄の場合にいま言ったように百二十二円、トラックで持ってきて百五十五円、そうすると、これは鮮度の点において、トラックのほうが早く着くわけです。一日ないし二日早く着く。そうすると、あまり変わらなければトラックにということになっていくわけですね。そうするとさっきおっしゃったように、国鉄の貨物輸送の傾向というものはだんだん減ってまいります。たとえ二九%三〇%今回上げたといたしましても、荷物が減っていけば、これは幾幼運賃を上げててみたところで、私は国鉄の収支のバランスはとれない、このように思うのです。  今回それが三〇%上げられるということになりますと、一ケース百五十円をこすわけであります。さっき物価に対する影響はたいしたことないというようなお話でしたけれども、これは計算をいたしますと非常に大きな影響が出てくるわけです。これが小売り価格に、いままで一箱六百円しておりましたものが、運賃が上がったから六百五十円にいたしますよということで売れればいいのですけれども、農産物の場合はそうじゃないわけです。第三者から値段をつけられていくわけです。そうすると、もしも六百円で市場で値段がつけられたとするならば、その値上げ分は農家の手取りが減るということになるわけです。生産費に食い込んでくるわけです。そういうことから、特に農産物の場合には、私はこの政策的な割引というものが行なわれてきたというように理解をするわけでありますが、そういたしますと、やはり今回のこの値上げの問題につきましては非常に大きな問題があるし、ぜひそういう点については、私は再考慮すべきではないか、この点についてひとつ御見解を伺いたいと思います。
  51. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 政策的な見地からのお尋ねでございますからお答えいたしますが、先ほど国鉄の総裁からも言っておりましたが、この国鉄運賃制度、これは長い間のいろいろの経緯を経まして今日のような運賃制度になってきておるわけでございますが、これは必ずしも国鉄の収入の増加ということにつきましてももちろんでありますが、運賃制度自体といたしましても、これは適当であるかということについては非常に疑問があるところでございます。なるほど公共割引というものを長い間続けてまいりました。これはそのときそのときの社会情勢、経済情勢によりまして判断をせられてそういうふうに決定をされたものと思いますが、しかし、その結果は、国鉄運賃体系といたしまして、非常に不適当だという点が指摘されまして、漸次これを改定しようということで努力をしてまいったわけでございます。  国鉄総裁が申しましたように、公共割引というものを漸次縮めていって、正常な運賃体系に戻そうという努力をしておるわけでございます。今度のこの農産物の問題につきましても、結果的には御指摘のような点が出てくると思いますが、しかし全体といたしましては、やはりわれわれとしましては、この運賃体系というものを正常な姿にしたいという一つの方向と、それから具体的には一挙に生活関連物資の運賃を急激に変更させるということは、やはりおっしゃるように、非常に国民生活にも影響があるという点を考えまして、この等級割引という点において、農産物資につきましては、特に考慮を払ったということでございまして、この点は、あなたのおっしゃるような点はよくわかりますけれども運賃体系な早く整備をしようということ、それから、と言って生活物資について急激な変動を与えたくないというようなこと、それを調和いたしますと、今日御提案をしているようなものになりますということでございます。  なお御指摘になりました、運賃を上げてもトラックにとられるばっかりじゃないか、こういう点、これはよく私たちも了承しておりまして、国鉄が今度の運賃体系をつくるにつきましては、各品目につきましても、そういう点を十分に調査をいたしまして、おっしゃるように、運賃を上げたから今度は利用者が少なくなって、運賃の収入額はトータルにおいてかえって減少したというような結果にならないように、これは非常に科学的な調査もいたしまして、そういうことにならない限度において運賃の改定をはかっておるということでございまして、おっしゃることは今度の運賃体系をつくるにつきまして、十分経過において考慮された問題でございます。
  52. 工藤良平

    工藤良平君 私はどうも納得できないわけでありまして、今回のこの等級整理、そして二九・六という値上げが非常に大幅な農産物に影響するということから、どうしてもこの点については再検討いただきたいと思っているわけでありますが、時間がありませんから最終的に詰めを急ぎたいと思うんです。  それからもう一つは、今日まで包括契約というのが行なわれてきたようでありまして、この点について、実は四十六年は、たとえばミカンを送る場合に、十五トンの包括契約をして送った場合に、十三・二トンで実際の料金が払われていたと、それが四十七年になりますと十四・二トンという計算になったということから、この部面につきましてもかなり圧縮されてきているということから、これまたプラスして運賃の値上げになっている。四十八年度はこれがなくなるのではないかという心配までしておるわけでありますけれども、この点については少なくとも私は、今回の二九・幾らという、三〇%近い値上げをぜひひとつ再考慮いただきたいという気持ちなんです。それと同時に、この包括契約に対する、これは四十六年以前の十三・二トンぐらいには戻すということは、この暫定的な措置として今回これだけの圧縮をやるわけなんでありますから、当然やはり国鉄としては配慮すべきではないかと思うんですが、その点についてはどうでございましょう。
  53. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいま御指摘の問題でございますけれども、前は包括契約という名前でやっておりました。いまは定形契約ということでやっておるわけです。これは、一定量一定区間輸送される場合に、その流通といいますか、運送条件といいますか、これに合ったような運送契約を結ぶと、これが本旨でございます。したがいまして、内容において、いま一車当たり幾らでもって、たとえば普通なら何等級の何トンのというような計算をするのですけれども、そういう一定の流通に対しての関係で一車当たり幾らだと、こういう計算で契約をするというのが内容でございます。その場合に、いま先生御指摘の点は、そのもとになる貨車のトン数、運賃の計算トン数の問題の変化だろうと思うわけであります。この点につきましては、今回の運賃の改定の問題と全く関係のないことでございまして、国鉄の運送営業といいますか、それプロパーの問題でございまして、これの問題と切り離した問題として、具体的な検討といいますか、運送契約そのものの問題として検討さしていただきたいと、こう思うわけであります。
  54. 工藤良平

    工藤良平君 さっきから再三言いますけれども、非常に、この農産物の場合には急激な運賃の値上げになりますから、せめて運用の部面でこの定形契約についてはぜひ詰めていただきまして、四十六年以前の少なくとも十五トンの場合十三・二という、そういう程度のものは私は配慮すべきではないかと思うんですが、大臣この点はどうでしょうか、ぜひひとつ具体的に詰めていただきたい。
  55. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 基本的な方針につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、具体的には各物資官庁といま話を詰めておりまして、おっしゃるようなことも十分含んで交渉をさせたいと思います。
  56. 工藤良平

    工藤良平君 それと、いま一つの問題は、さっき私ちょっと指摘をいたしましたけれども、現在、国鉄貨物を利用する地域というのは、やはり長距離にかなりウエートが置かれるということは私が申し上げるまでもないと思います。いまの傾向を見ますと、非常に品位を落とさない、荷いたみを防ぐと、こういう意味から、いわゆるフェリーによるノーマンカーを使っての輸送が非常に一番いいと、安くて荷いたみがしない、鮮度を保てると、こういうことからそれが非常に普及しつつあります。次が自動車による輸送、それから三番目が国鉄貨物による輸送ということで、値上げはしたけれどもだんだん減っていくという傾向は今後も続くであろう、このまま推移するならば。これをどのようにして貨物を一体国鉄は集めて運んでくれるのかということ、これはやはり重要な問題だと私は思うんです。  そのためには、特に生鮮食料品を輸送する場合の冷凍車あるいは通風車と、こういったものを早急に整備をしてもらう、具体的にできれば示していただきたいと思うんですけれども、あるいはさっき申しましたように、九州から東京に入ってくる貨物が汐留に入れない、周辺に持っていかれる、したがって、その周辺から中央市場に持ってくるまでの間にかなりの日数と時間を要するということから荷いたみが起こると、こういうようなことがしばしば起こるわけであります。ほとんど近ごろでは常時そういうかっこうになっておるわけであります。したがって、ターミナルの整備、これは市場との関係において重要な問題でありますが、この点について今回の、もちろん十カ年計画の中にも示されておると思いますけれども、これは具体的に早急に達成しなければならない事項ではないかと思いますから、これは国鉄当局並びに、農林省来ていらっしゃれば、その点についての見解もあわせてお伺いいたしたいと思います。
  57. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この問題は、今度の十カ年計画の一つのやっぱり柱になる問題ですから、簡単に私からもお答えしておきます。  国鉄が、先ほど国鉄総裁から申しましたように、貨物輸送の面で非常に設備投資がおくれまして近代化されてない。ですから国民の需要にこたえますためには、貨物輸送の面における設備の改善を行なうと同時に、サービスの改善をするということが一つの大きな今度の十カ年計画の柱になっておるわけでございます。で、今日までの状況では、おっしゃるようなことになると思いますが、いま現にもう実行しておりますけれども、たとえば生鮮食料品なんかについてのコンテナ輸送、これなんかもどんどんこれは拡充してまいらなきゃなりません。これを拡充してまいりますと、現にもうコンテナ輸送のほうはだんだんシェアがふえてまいっております。こういった設備改善とサービスの充実ということによりまして、一面、国鉄の経営収支の改善に資すると同時に、荷主に対しましては非常に需要にこたえる体制ができ上がるんじゃないかというので、非常にこれは重点を置いて努力をさしておる問題でございますから、その点御了承いただきたい。  それからターミナルの問題は、これは私は流通機能の問題として特別に力を入れておりますが、ただ残念なことには、運輸省だけの仕事じゃございませんで、関係各省が協力をして、この流通機構を整備するほうに努力をしていく必要は言うまでもございませんので、これはただいまも具体的に、ことに大都市を中心にいたしまして、流通機構の整備ということには、運輸省が先頭に立って努力をしておるという実情でございますから、御了承いただきたいと思います。
  58. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 御答弁いたします。  農林省といたしましては、先生御指摘のように、運賃値上げの消費者あるいは生産者への影響を防止するための方法といたしましては、流通過程を全体として合理化することにあるというふうに理解しております。したがいまして、かねてこの点につきましては、国鉄当局にきめこまかく、各種物資についての合理化措置について申し入れをいたしております。また農林省といたしましても、流通過程全体を合理化するために、生産地から消費地に至るまで、各種施設について、それぞれの措置を講じておるつもりでございます。
  59. 工藤良平

    工藤良平君 時間が参りましたから、これで残念ですけれども終わりますが、私、先ほど申しましたように、不均衡是正というものが機械的に、数字的にただパーセンテージを縮める、そのことが不均衡を是正するということになるという理解は、非常に大きな誤りがあるのではないか、それが逆に不均衡を生ずるという状態も具体的にありますので、特に生鮮食料品の生産をし、販売をしていく過程の中において、客観的にこれらのものが持つ社会的な重要性というものを十分認識をしていただきまして、これは十分な配慮というものが私は必要ではないのかという気がいたすわけであります。この点を強く要請をし、今後、具体的な運営の中で、できるだけそういう趣旨を生かして、私は各省間の調整をはかり、万全の対策をとっていただくように、この点を特に強く要請をいたしまして、時間が参りましたから、これで質問を終わりたいと思います。
  60. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 工藤君の質問は終わりました。  沢田政治君。
  61. 沢田政治

    沢田政治君 私は、主として建設委員会のサイドから御質問いたしたいと思います。  政府は、たしか昭和四十六年に交通総合体系をつくられたと思いますが、この交通総合体系の柱といいますか、主要な点は何であるのか、まず運輸大臣から御見解をお伺いしたいと思います。
  62. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 四十六年の十二月に閣僚協できめました総合交通体系のことだと思いますが、これは具体的な結論は出ておりませんけれども、大体総合交通体系についての考え方あるいは政策の動向というようなものにつきまして、一応の方向を示しておるものだと思います。  これには交通機関としては陸海空というようなものがございますけれども、それぞれの交通機関が非常に特色のある機関でございまして、それは一緒にはできませんが、しかし日本の全体の交通量というものが、毎年毎年経済発展に伴いましてふえてまいります。その中でどういうふうにシェアを分かち、お互いの特色を生かして輸送するような誘導政策、そういったものを駆使することによりまして、よい結果を得られるかというようなことについて、一応の考え方をまとめておるものだと思います。これも一応の数字をあげておりますけれども、これはまだその後におきましても、いろいろの機関がいろいろの数字をあげておられまして、今後の経済社会の情勢の変化というものについては、きまったものとしましては、お手元にも配付されておると思いますが、経済社会基本計画、これにおいて政府がある程度の数字をあげまして、将来の動向を見通しておるということで、一番権威のあるものでございます。しかし総合交通体系の中でも、一応の、いろいろの予測をしておりますけれども、抽象的に申し上げると、先ほど申し上げたように、各機関がそれぞれの特色を生かして、それぞれの望ましい輸送分野を確立して、それぞれの分野で国民生活にも、国土の発展にも寄与するような交通運輸の職責を果たすようにということが主でございまして、お尋ねでなかったのですが、その中の国鉄に与えられました役割りについて申しますと、書いてありますように、やはり日本全土にわたりまして交通網を持っておるものでございますから、都市間の輸送についても、もっと前進しろということ、それから大都市における通勤通学輸送を中心といたしまして、大都市交通というものについて、もっと充実した政策をとれということ、それから特に貨物部門において、先ほども質問がございましたけれども、非常におくれているじゃないか、だから、そういうものについてもっと近代的な設備改善をやり、設備投資をいたしまして、同時にサービスの改善をして、経済方面、社会方面から国民の要望について対応し得るような貨物方面の輸送体制を確立しろということを、国鉄に対しては強く要望いたしておるように記憶しておるのでございます。
  63. 沢田政治

    沢田政治君 まあ鉄道、道路、飛行機、船舶、それぞれの特色を生かす。この点については、私も異議がありません。しかし特色を生かすということは、お互いに競合したり、またその設備投資においてもむだを省くという一つの条件がつけられると思うのであります。特色を生かすから、お互いにこれは競合して、そうしてどんどん自分の何といいますか、なわ張りで国費を乱費してもいい、こういうことに私は相ならぬと思います。  そういう意味で考えるならば、非常にむだな投資をしているのじゃないか、これは国民のサイドから考えて。私はどうしてもそう考えざるを得ないわけであります。いま国鉄が新幹線、五つの新幹線を計画しておるわけでありますが、この新幹線のどこどこというわけじゃありませんが、一、二を見ても非常にむだな投資をしているのじゃないか、こういうふうに考えられる面が非常に多いわけであります。たとえば東北新幹線も盛岡までのルートが決定したようでありますが、比較的山岳地帯もありますが、関東平野あるいは東北のある程度の平野部を走るわけですね。こういう場合、それと並行して幹線自動車道路もいま着工しつつあるわけでさります。  しかも道路のほうは、今年度と初年度として、第七次五カ年計画ということで、十九兆五千億円の膨大な費用で幹線自動車道をつくろうとしておるわけであります。今度、国鉄のほうは国鉄のほうで、同じ並行して新幹線をつくろう——新幹線をつくるとか幹線自動車道をつくるということには何も反対しておるわけじゃありません。これは格差解消とかいろいろな意味で、地域開発の意味というものも私は認めますが、しかし並行して走るわけであります。離れておらぬところを、百メートルのところをこうずっと走っておるわけですね。なぜ路線を一つにできないか。いまの工法でいうならば、これはまあ山岳地帯とかトンネルは、これは構造が非常に緻密になりますね、国鉄の場合にはね、カーブ、勾配。これは道路以上に構造的に緻密なことが必要でありますが、平たん地の場合なぜ一緒に走らぬかというわけであります。上に汽車を走らせるか、下に自動車を走らせるか——まあ荷重の関係で相当地盤等にも微妙な影響をいたしますので、これは上を汽車が走って、下を自動車ということには相ならぬと思いますが、下を重い汽車が走って、上が自動車が走る。いまの工法でこれは不可能じゃありません。海に橋をかけるという時代でありますから。なぜこれを重複投資をしておるかということは、国民が重大な疑問を持っておるわけであります。どこかからもらっている金ならいいわけでありますけれども、せんじ詰めれば、これは国費でありますから、こういう重複投資をやめたほうがいいと思います。  この点については、私も若干勉強するために、国鉄運輸省かわかりませんが、むだじゃないかという雑談をいたしました。いや、その際にそういう考えもあるんだけれども、それぞれ所管が道路と鉄道じゃ違うのでなと、こう気やすく言ったと思いますが、まさに私は、気やすく言ったことはほんとうのことを言っておると思います。なわ張りが違うのでそういうことは考えられぬということだと思うのであります。こういうことでは、私は国民が納得できないと思います。しかも国鉄においては、相当の累積赤字で膨大な負債をかかえているという今日、なぜ国民的な見地から見て、もっと経費を節減するという方向をとらぬのかどうか。これに対して、道路局長も建設省から見えられておりますので、道路局長と運輸大臣の両方から御答弁いただきたいと思います。
  64. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 道路と新幹線との問題をお取り上げになっているようでございますが、道路と新幹線は、なるほどおっしゃるように、競合する部分も出てきていると思います。しかし全体としましては、新幹線というのは新幹線鉄道の鉄道網をつくるための促進法というのがございまして、あそこに書いてあるとおりでございまして、目的は道路と非常に違った部分がございます。で、結局、部市と都市の間を最短時間で結ぼうというのがねらいでございまして、貨物輸送にはいまは使いません。旅客輸送だけでございます。で、かりに、これは手元にあった一例ですが、ちょっと持ってきたのですけれども、名神とか東名とかという高速道路と、「ひかり」とか「こだま」とかというようなものを旅客がどういうふうに利用しているかということの一つの例でございますけれども、これは平均的に——そうでない人もあると思いますよ、それで平均的に見ると、名神高速道路では旅客の走行の距離というものが大体四十一キロぐらいです。それから東名になりますと六十四キロでございます。それから「ひかり」とか「こだま」になりますと二百五十キロとか三百キロです。で、道路一本つくりましたからといって、相当遠距離のところを自動車で道路を利用して走るということにはならないと思うのですね。ですから、新幹線は新幹線で都市と都市とを最短時間で結ぶということには非常に意義がございまして、いまの東海道新幹線にいたしましても山陽新幹線にいたしましても、国民の需要は殺到しております。これはやっぱり国民から非常にこれの利用について評価されているゆえんだと思います。  しかし、新幹線があるからといって道路をつくらなくていいかということなんですが、これはそうはいかぬと思います。道路は必ずしも長距離ではございませんけれども、ある程度の近い距離は道路によらなければしようがないということでございまして、いろいろな、これには研究をした材料がたくさんございまして、私のほうで考えまして、鉄道とそれからトラックですね、それと比較いたしてみましても、大体経済的に見ましても、ある限度があるわけです。ある限度以上こえると、これはもう鉄道でなきゃならぬということになっております。これは新幹線じゃございません、在来線でございますけれどもね。やはりそこに、先ほどお尋ねになりました総合交通体系の中で、どういうふうなたてまえで各交通機関の特色を生かして、過疎、過密を解消して日本全体の発展をはかるか、国民生活、国民経済に寄与するかということを政策的に考えていかなきゃならぬという問題があると思うのです。そういう意味で、私はお説とは反対かもしれませんが、——全部反対じゃないのですけれども、結論としては、やはり高速道路も必要でございますし、新幹線も必要でございます。いま現にそういうふうに活用されておりますということを申し上げる次第でございます。
  65. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいま運輸大臣が答弁されましたので、私のほうから特につけ加えることはございませんけれども、いまのシェアの問題でありますけれども、いま大臣が言われましたのにもうちょっと詳しく申し上げますと、道路の大半が百キロ未満の貨物輸送であり、また旅客の輸送でございます。全体の輸送の、貨物については、たぶんトン数でいきますと九〇%くらいが道路の受け持っている部門でございます。これに距離の要素をかけますと、いまたぶん四三%くらいになっておると思いますけれども、そのうちのほとんどが百キロ未満でございます。そして地域内の交通、それから鉄道あるいは海運等の端末輸送としての道路と、一貫した輸送としての道路という立場の特別な目的がございます。  それで、いまも東名高速道路のお話が出ましたけれども、東名の場合に、確かに旅客輸送、それから小型の貨物輸送、これは平均が五十キロでございます。そのうち全体の占める割合は乗用車——小型乗用車あるいは普通乗用車、いまの平均五十キロのもの、小型の貨物も入れまして八〇%以上がそれでございます。それからトラックになりますと約百キロの平均輸送距離になりますけれども、これは全体の一五%ぐらいしかございません。それからトレーラー等になりますと、平均走行距離は百六十キロくらいになっておりますけれども、これは全体の一%にもなっておりませんので、その大半が百キロ未満であり、八十数%が五十キロぐらいのものでございますので、高速道路そのものがたいへん長距離に使われるような感じがいたしますけれども、実態はそういうことでございますので、中長距離等につきましては、当然鉄道が一番好まれる手段であり、道路につきましては、そういう短トリップの輸送が道路の受け持つシェアだろうと考えております。
  66. 沢田政治

    沢田政治君 答えになっておりませんよ。それは運輸大臣、私も新幹線も必要である、道路も必要である。これ何もあなたと違わぬですよ。けっこうですよ、それで。私も両方必要であろうと思います。まあ長距離の場合は、これは新幹線をお客が選ぶと、これもいいでしょう。両方必要ですが、これはどこの道路、どこの新幹線も同じにせよと言っているんじゃないですよ。特に東北新幹線等を見ますと、ほとんど並行して走っているということですよ。二つの使用目的があることも私知っています。それをなぜ一緒にしないかということです。自動車の場合は短距離を好むんだったら、インターチェンジをつけたらいいじゃないですか、ところどころに。なぜ、それを両方経費を節減する意味で、国鉄等は赤字だ赤字だと言っているんだから、赤字でまた投資するんだから、それがコストに入っていくんだから、全部政府からもらう金じゃないでしょう。国鉄がそれを自分の営業の中からやはり償却していかなくちゃならぬ宿命をしょうわけですね。そういう場合、両方共用したならばコストダウンになるんじゃないか。  私は技術的な観点から不可能だという場合は、これはもう可能にせよということを言っているのじゃないんです。だから、両方の目的があるし任務があるということはわかっています。なぜ百メートルも離れないでずっと並走してつくるかということです。この点はどうですか。だから大臣が私と違うなんて言うんだけれども、違わないです。新幹線もつくってもけっこうでしょう。幹線自動車道つくってもいいでしょう。なぜ百メートルも離れるか離れないように並走して重複投資をするか。これは国民の税金ですからね。
  67. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 御質問趣旨がわかりました。その点については非常に技術的な問題もありましょうから関係者からお答えさせます。  ただ、おっしゃるように、私は高速道路の例はあまり知りませんけれども、たまたま新幹線とそれから道路、これは必ずしも高速とはいえませんでしょうが、同じような時期に着工して建設しようというような場合は、現に私の聞いております範囲では、山陽新幹線等におきましても各都市との連絡をいたしまして、そういうことが可能なように、道路とある程度、何といいますか、上下というようなことが可能であって、それをある程度実現をしているということも報告を受けております。  この点は技術問題もございますし、あるいはその着工の時期が違えば、あとから追いかけていってその上に乗っけるというようなことが可能であるかどうか私はよくわかりません。この点は主として技術的な問題だと思いますから、そのほうからお答えさせますが、あなたのおっしゃることは原則として、方針としてそれが悪いというようなことは私も考えません。悪いと決して思いません。それが可能であれば、可能な限り実現する方向で考えていくことも、これはもちろんけっこうだと思います。しかし、いまの東北新幹線、それが道路と新幹線がいつどちらが着工したか、それが技術的に可能であったかどうだったかということには、ちょっと私は答える材料を持っておりませんので、国鉄なり関係当局からお答えをさせます。
  68. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生の御指摘ごもっともでございます。われわれもこの点につきましては建設省と相談して、そういうようなことを考えようではないかということで勉強いたしたわけでございます。いま運輸大臣からお話がございましたように、市街地等におきましては騒音、振動の問題もございますし、今後新幹線の両側に道路と一緒に新幹線をつくってまいりたいというふうに考えております。ただ中間におきましては、御承知のように、国鉄のカーブは東北新幹線の場合に約四千を普通の場合使っているわけで、できるだけ直線でルート選定をしているわけでございます。ところが、道路の場合にはあまり直線距離が長いとドライバーに非常に心理的に悪い影響があるというので、ある程度カーブを入れなければいけないということで、大体千メートルぐらいのゆるやかなカーブでもって、地形にも合わせて意識してカーブを入れるということでございます。したがってルートの実際の選定におきまして、新幹線と高速道路では、そういう意味では、ルートがどうしても合わないということでございまして、これはまことに先生のおっしゃるとおりにできればよろしいんでございますけれども、そういうような技術的な面で、私のほうはスピードの面からカーブが大きくなるということで、どうしても一緒にならないということでございます。
  69. 沢田政治

    沢田政治君 詳しいドライバーの心理的な状況とか、心理に及ぼす影響とかわかりませんが、それも消極的な理由だと思いますね。と言いますのは、私は遠い将来のこと、遠い将来といいますか、将来を考えているわけですよ。いつか自動車の時代が終わると思いますよ。液体エネルギーがこれは無限じゃありませんから、有限ですから。そうなった場合は、十九兆五千億円もかけた道路というのはまさに無用の長物になるわけだ、これは。そして必ずや私は鉄道の時代、国鉄か私鉄は別として、鉄道輸送の時代がくることは必至ですよ。その場合一緒にしておったならば道路が無用の長物にならぬですよ。一緒に走るのだから、構造上大体鉄道につけ変えできるわけです。路線をふやすことになっても。でありますから、いろいろな理由を言っておりますが、このことは将来新しい道路、新しい鉄道を建設する場合はやはり私は考えてほしいと思います。ひとつ問題提起をしておきたい、こういうように考えています。  大臣が言われるように、工期が違うとか、そういうことじゃないですよ。同時に着工しているじゃないか。大体竣工年次も東北新幹線と東北縦貫自動車道は同じですよ。でありますから、計画した時期が違うとか、竣工する時期が違うなんというのは理由になりません。これ以上押し問答しませんが、ひとつ問題提起をしておきます。国民もそういう疑惑を持っているのです、実際問題として。これは真剣に考えてほしいと思います。  それから国鉄が新幹線網をつくる際に土地を買うわけでありますが、総工事費の中に占める地価、こういうものは一体どれだけの率になっているのか、またどういう手法でこの値段というものを決定しておるのか。一ころは、最近は日本列島改造論という別の要素も加わって、商社の買い占めも加わっているわけでありますが、何といいますか地価をつり上げた一番古い元凶が国鉄だと、こういわれているわけであります。私はそうだとは思っておりませんが、うんなるほどそういうこともあるかなということは考えざるを得ません。どういう方式で土地を買って、どういう方式でそれを決定しているのか、その土地を取得する場合のやり方をひとつ教えてほしいと思います。
  70. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 新幹線の場合、大体総工事費の一四%ぐらいが用地費、これは山陽新幹線の場合、東北新幹線の場合も大体一四%ということになっております。土地の取得は、われわれといたしましては、なるべく地価をつり上げないようにやっておるわけでございまして、まず国鉄が買収しようといたす場合に、国鉄独自の用地の担当者が近傍の価格を調査いたしまして、それで大体の価格をきめます。なおそれでは不十分でございますので、当然いわゆる日本不動産研究所とか、各銀行というような、いわゆる不動産の鑑定の専門家、大体三者ぐらいからとりまして、それを参考にして用地の価格を決定しておるわけでございます。  ただし用地の買収に入りますと、そういうような値段でなかなか妥協いたさないという場合がございます。国鉄の場合には、なるべく付近の価格で買っておりますけれども、最終的に工期が詰まってまいりましたような場合に一部でそういうような御迷惑をおかけしている場合があろうかと思いますが、今後とも十分気をつけてやってまいりたいと思っております。
  71. 沢田政治

    沢田政治君 これは国鉄独自の方式ですか。
  72. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 大体ほかの諸官庁あるいは公団もそういう方式でやっております。
  73. 沢田政治

    沢田政治君 あなたは地価公示法という法律があることを御存じですね。
  74. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 承知いたしております。
  75. 沢田政治

    沢田政治君 私どものほうの委員会で、この地価公示法を制定する際に、いろいろ政府と議論をいたしました。一体、この地価公示法というものは、地価の形成に、しかも地価の安定にどれだけ裨益するものかという疑問も持ったわけであります。これは民間に対しては一つの指標を与える程度で、それを守らなければどうこうということはありません。がしかし、少なくとも地価公示法に基づく公示地点というものがあるわけでありますから、政府関係機関が土地を買収する場合にはその地価公示法に準拠して買うべきだ。また、そうしますと、こういうようなことになっておるわけであります。ところが国鉄独自で不動産鑑定士を頼むか近隣近傍の地価に準拠して買うということになりますと、同じ政府内においても全くばらばらの用地買収をしておるということにならざるを得ないわけであります。これはまことに私は重要なことだと思います。地価公示法なんか要らぬです、そんなことであれば。どうですか、そんなばかなことはないと思います。
  76. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 申しおくれましたけれども、もちろん地価のいわゆる公定値段、公示法による価格というのは、われわれも十分参考にいたしまして、値段の決定の際にそれを参考にしておるわけでございますし、不動産鑑定士もそういう価格を参考にして値段を出してきているわけでございます。ただ実際の売買をいたす場合には、やはり付近近傍の売買実例、これは時点修正があれば、そういう地価公示法による公示と非常に似通ったものであるわけでございますが、時点がややズレた場合には、必ずしもそれによれないという場合があるわけでございます。
  77. 沢田政治

    沢田政治君 地価公示法も、これはどっかのだれかに簡単にやらせるということじゃありません。これは建設省が資格を認めた鑑定士に鑑定さして、大体標準値の公示価格を出すわけでありますから、国鉄が独自に、また経費をかけて鑑定士を頼んで近傍近隣ということになりますと、たいへんな問題だと思います。同じ権威ある鑑定ですからね、これは公示地点が非常に少ないので市町村等の固定資産税までまだ及びません、これはね。が、しかしながら近い将来に固定資産税等もこれに準拠しようという努力を示しておるわけであります。でありますから国鉄としても、これは政府機関の一つでありますから、当然地価公示法によらなければいかぬと思います。法律をつくっているんだから、これはね。これは大臣どうですか。
  78. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先般予算委員会でも同じような質問がございましたのでお答えしたんですが、公示地価に準拠をして国鉄が土地を入手するようにあらゆる努力をしなきゃならぬということは当然のことでございます。ただ実際問題になりますと、その値段でなかなか入手しがたいという場合が非常に多いと思います。そういう場合にどうするか。一々何といいますか、法律の命ずるところによりまして強制収用でもするかということになりますと、これはまた非常に混乱が出ます。できるだけ地主との話し合いを詰めまして、公平な人たち意見も参酌しながら、公示地価に準拠して買うようにあらゆる努力をするということになるわけでございまして、国鉄に対しましても、その点は運輸省としても十分指示をいたしておる次第でございます。
  79. 沢田政治

    沢田政治君 昭和三十六年に踏切の何か立法ができましたね、改良法だか何かですね。それ以降の踏切の事故というものがどういう現象を示しておるのか。あるいはまた改良の進捗率がどうなっておるのか。たしか国鉄の踏切には一種から四種まであったと思いますが、種別にどうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  80. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 法律が制定されましてから踏切の整備をやってまいりましたが、三十八年から四十七年までの実績をまず申し上げますと、高架化で約二百カ所、それから立体交差、これは単独の立体交差になりますが、それが千三百カ所、それから整理統合、いわゆる三つある踏切を一つにしまして二つをつぶすというような方法で八千三百カ所、したがいまして、約九千八百の踏切はそういう措置によって取り除きました。残りました踏切につきましては、踏切の警報機の新設が約一万一千三百、それから遮断機をつけましたのが六千二百、計一万七千五百の踏切につきまして処置をしてまいりました。それから構造改造、これは踏切の幅員を広げる工事でございますが、あるいは舗装、修繕すると、こういうものが一万四千二百カ所、交通規制、これは耕うん機と人だけが通る踏切あるいは乗用車だけが通る踏切、いわゆる大型車車禁というような交通規制を一万七千五百カ所についてやってまいりました。その結果、現段階における踏切は全国で三万二千百九十九ございます。そのうち先生がおっしゃいました四種踏切が一万四千八百四十三カ所、そのうち車禁をしてある踏切、要するに大型車が通っちゃいけないとか、耕うん機以外は通っちゃいけないというような車禁のしてある踏切が九千七百九十八、それから一種踏切といいますのが約八千五百、それから三種踏切、これは例の警報機がついておる踏切でございますが、これが八千六百五十ございます。それから先生がおっしゃいました事故でございますが、事故につきましては、昭和三十五年以来、モータリゼーションとともに非常に踏切事故がふえましたのですが、三十六年が最高でございまして、年間三千百二十三件という踏切事故を起こしております。最近、昭和四十七年では千八百七件と、約半減しておるというような実情でございます。
  81. 沢田政治

    沢田政治君 いま計画されておる東北新幹線の盛岡以北のルートは、どうなっていますか。
  82. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いま調査線になっている路線だと思いますけれども、これは調査ができ次第、調査五線につきましては鉄建公団または国鉄から私の手元に報告書が出されることになると思います。その報告書が出ました場合には、それを十分審査をいたしまして、御承知のように、鉄道建設審議会にかけまして、具体的なルートを決定し、それについての工事にかかるような段取りをすることに相なると思います。
  83. 沢田政治

    沢田政治君 まあどの筋から漏れておるのかわかりませんが、八戸回りと、こういうことが盛んに新聞に出ていますね。もちろん五つの想定される新幹線も、それぞれのルートは大体この方向できまるだろうということは同時に報告されておりますが、そうなりますと、これはもう新幹線ができたために、いまでも裏日本と表日本、鉄道にとりますと山陽についてもそうでありますが、裏表があるわけでありますが、裏表がまさに縮小された形で明暗がはっきりしてくるわけですね。いま上野から青森まで東北本線で参りますと八時間ですね、特急で。秋田まで参りましても八時間。こういうように差がついているわけです、いま現在でも。そうしてまた八戸回りということになると、これはもう格差が拡大してまいるわけでありますね。こんなに新幹線というものは格差解消じゃなく、格差拡大再生産の方向にいくならば、国鉄というものに対して大きな疑惑を持つわけです。  聞くところによると、いまそれじゃ納得しないだろうから、今度は日本海新幹線といいますか、新潟から青森まで同時着工する。同時完工させる。こういうことを田中総理がある知事に約束したと。こういうことが新聞に載っているわけであります。これは一体だれが決定するんですか。政治的な力の度合いで決定するのですか。鉄道審議会で決定するのですか。田中総理が決定するのですか。私が必ず最後の判断を下しますということが新聞に出ていますよ。まあ、そのよしあしを問うわけじゃありません。同時着工するのですか。運輸大臣どうですか。
  84. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いま申し上げたとおりでございまして、報告書がまだ出ておりません。したがいまして、これは運輸大臣が決定をするわけでございますが、鉄道建設審議会の議を経て決定をするわけでございますが、しかし、まだこの問題につきましては報告書も出ておりませんので、何らの決定をする段階ではございません。これは法令にも書いてありますが、法令の定めておるところによりまして、最終的には運輸大臣が責任をもって決定をいたします。
  85. 沢田政治

    沢田政治君 ところが、田中総理が鉄道建設審議会会長の鈴木善幸君に電話をして、おれが最後の決定をするんだと、こう言っていますよ。あんたの決定権と総理の決定権はどういう関係になりますか。——まあ、そこまでは言いません。同時着工するのですか。総理大臣がはっきり言っているんだからね、これは。どうですか、その点をお聞きしたいと思うんですよ。よけいなことは聞きませんよ。
  86. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 両方の路線を決定するというか、決定するかどうかというお尋ねでございますけれども、一方のといいますか、一つの路線を、北海道に至る路線をどうするかということをこれから決定するわけでございまして、それには各府県知事から、あるいは地元の方々から、いろいろの陳情があり、要望のあることは事実でございまして、それにどうこたえるかということにつきましては、国鉄の、あるいは鉄建公団の調査の結果を待ちまして決定をしたいと思っておるのでございまして、これは法律上は運輸大臣の責任でございます。
  87. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 時間も参りましたので……。
  88. 沢田政治

    沢田政治君 はい。総理大臣はあんたの罷免権があるんだから、罷免権のある者が、おれが責任をもってやるんだということだから、あなたが首切られるのかどうか、これはわかりませんが、はっきり約束した以上は、ぼくは確約をとる意味じゃありませんけれども、十分考慮してほしいと思います。  これで二十四分までですから、まだ一分ぐらいありますが、私はもう国鉄がここまで負債を背負って身動きできないのだから、もう少し経営上でも、何かいい方法があったら考えるべきだと思います。たとえば、鉄道官舎というのか公舎というのか、鉄道職員の宿舎がありますね。あれは最も劣悪だと思います。あの平屋建ての長屋の黒ずんだのは国鉄の職員宿舎ということはだれでもわかりますね。駅の構内に雑然と建っているわけであります。あれをなぜもっと合理的に使わぬかということであります。もちろん売れということじゃありません。あれをもう少し近代的な建築物にして、国鉄の方々は三交代勤務でやるのだから、相当安眠も必要とするんだから、もう少し防音してあれをなぜ使わぬかということであります。もちろん所有権は国鉄が持ってもけっこう。そして一番下か上か別として、職員宿舎だけは確保して、もう少し高層建築にする。そうなりますと駅構内も整備できるわけであります。でありますから、あれを利用したならば、土地は合理的に利用できるし、地代は取れるし、そうして顧客も確保できるわけですね。どんないなかの駅でも駅のあるところは、これはもう何というか一番便利なところですから、その地方にとってはね。それをぜひとも私はやるべきだと思います。特に、これは国鉄のほうは賛成だと思います。住宅局長来ているので、どうですか。
  89. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 私ども、住宅に関しましては、すでに御存じのとおり、非常に苦境に立ってございます。特に、それは土地の問題で苦境に立ってございます。しかも、中堅階層以下の方々のものを相手にいたします政府施策の公共住宅、これが土地の問題で非常に困難におちいっております。したがって私どもに、いろいろな施策をやっておりますけれども、その中で私どもは国公有地、こういうものの活用ということは、大いに進めるべき一つの線として、今後もやっていくつもりでございます。ただいま国鉄の構内の宿舎の話でございますが、これにつきましては、国鉄のほうも整備、充実、こういうお考えはいろいろございましょう。私のほうで使わしていただく分がございますれば、大いに使わしていただきたい。そういうことで今後とも連絡をよくしていきたいと思っております。
  90. 沢田政治

    沢田政治君 終わります。
  91. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  92. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会社会労働委員会農林水産委員会建設委員会公害対策及び環境保全特別委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を再開いたします。  午前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。  田代富士男君。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 いま審議されております国鉄運賃法案が、国民の間でも非常に大きな問題になっていることは、大臣も御存じじゃないかと思います。これは国鉄の赤字の問題につきまして、また、いま国会で審議されております健康保険の赤字の問題につきまして、いままでの国民の受け取り方が非常に変わってきにおります。ということは、私はその声を代弁するような形になるかわかりませんが、先日来から田中総理が、総理に就任されるときに、御承知のとおりに、日本列島改造論等をひっさげて総理になられましたが、それから一貫して言われてきてることは、いままでの生産第一主義、あるいは輸出第一主義の政策を改めまして、国民のための福祉を中心にいたしました社会資本ストックの建設、先進国並みの社会保障水準に持っていこうと、このように、一言で申し上げるならば成長経済から福祉経済へ転換しなくてはならぬということが、一つの大きな時代の流れになってきているんじゃないかと思います。まあそういうところから四十八年度の予算編成方針の中にも福祉経済ということが重点的に打ち出されてきておりました。しかし結果といたしましては、その内容を見ましても、福祉経済を中心とした予算というものは、われわれは受け取ることができなかった。というのは、いろいろな問題点があると思いますけれども、いまこの福祉経済ということに対する原則、原理というものがあいまいにされてるんじゃないかと、こういう点も大きな問題点じゃないかと思いますし、こういうことも国民の皆さん方に一つ一つ理解してもらえるように、われわれが国会の審議の場を通じまして、これを明確にしていかなくてはならない責務があるんじゃないかと思っているわけなんです。  そういう意味から、この国鉄運賃の問題等も、赤字の問題等も考えていきますと、これは根本的な問題があるんじゃないかと思うんです。ということは、この福祉経済なり福祉予算というのは、景気政策の手段や道具としては取り扱ってはならないということが大原則じゃないかと思うんです、福祉経済というたてまえでとった場合に。まあそういうところからまた考えていきますと、憲法第二十五条にもきめられてありますとおりに、国民といたしまして、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」がありますし、その生活権を満たし、獲得する権利があるわけなんです。そういうところから考えていきますと、いま申し上げましたような立場の経済であり、予算でなくてはならない、こういう経済が好況であるとか不況であるかという、そういうようなものにとらわれず、福祉充実のためには、そういう福祉予算は優先的にとっていかなくてはならないと思うわけです。  私は、まず最初に、こういうような国民の声を代弁して大臣に申し上げますけれども大臣の率直な意見を最初にお聞かせ願いたいと思います。
  94. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 予算委員会でも、総理から、経済成長予算から今度は福祉予算のほうに転換してまいりますということをしばしば申し上げております。受け取り方は多少違うかもしれませんが、予算編成の内容をごらんになりましても、昨年の予算に比べまして、相当社会福祉というものに重点を置いた編成方針をとったということは、御了承いただけるかと思います。  いま先生のおっしゃった福祉ということでございますが、これは非常に幅の広いことばでございまして、受け取り方が非常に人によって差異があるのはやむを得ません。しかし、そういう福祉というのは何だというようなことは別といたしまして、日本全体としていまの日本の社会を考えてみますると、北欧の国々等に比べまして、いわゆる社会福祉制度あるいはそれに対する配慮というのが足りないということは事実でございます。そういった点をいままでは十分に追跡して、それを実行するような努力が足りなかったと言えば足りなかったかしれませんが、そういう点に十分思いをいたしまして、先ほど申し上げましたように、総理もそういう考え方でございますし、内閣といたしましても、やはり国民の福祉を向上させるためには、相当国が思い切った施策を講じなければならぬということについては、ただいま田代先生のおっしゃったとおりに考えておるんでありまして、私たち国鉄の問題を考えますにつきましても、実はそういったことは絶えず念頭に置いておるのでございまして、いずれ具体的な御質問がございましたら、そういう面からのわれわれの考え方を御披露を申し上げたいと思います。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 いま私は、福祉予算のことでとやかく論争したくない、時間がありませんから。昨年に比べてずいぶんよけいに取られたという、これは見方によるんじゃないかと思うんですね。御承知のとおりに、今年度の予算におけるところの福祉予算の比率は一四・六%だったと思います。昨年度の予算は一四・三%です。〇・三%だけふえたにすぎないわけなんです。だから従来よりもずっと福祉予算がとられましたということは、私はこれは当てはまらないんじゃないかと思います。〇・三%だけでございます。そういうところから、私は時間がありませんから省略しますけれども、さっき申しました原則で、政府が国民に対して提供をする義務のある、たとえば教育の問題あるいは交通の問題、またいま国会で焦点になっております健康保険などの財貨サービスのための財政支出というものは、これは赤字と見るべきではないと思うのです。国が国民に対して提供する義務のあるものです。  そういうところから、これは大臣と私の考えは対立するかわかりませんけれども福祉経済のもとにありましては、こういう国鉄等の公共に関する事業とか、会計というものは独立採算制度をとるということは、私はどうかと思うのです。これはもういまとられておりますから、いまどうこうということはできないかわかりませんが、ここに根本的な問題があるんじゃないかと思うのです。だからこういう根本的な問題を解決せずに、このままいくならば、十年計画でいま再建の計画を出していらっしゃいますけれども、またこれを変更せざるを得ない時期が来ることはもうわかっていると思うのです。  そういうところで、政府が国民に対して提供する義務のあるものに対しましては、私は政府がめんどうを見ていくのは当然じゃないかと思うのです。その一つの例といたしまして申し上げるならば、いま義務教育は無償として、教料書も無償配布がされております。これは公明党が最初に提唱いたしまして、やっと実を結んでここまでやってまいりましたけれども、この一つの例を取り上げますと、いま義務教育は授業料を徴収をしておりませんが、そう言いながら、その反面、教職員の皆さん方の給与あるいは校舎の建設その他の施設の建設等におきまして巨額の教育予算が組まれておりますが、これもそういうたてまえでいくならば、教育費を支出しているということは、これは赤字ということはいわれてないわけなんです。  こういうことから、この国鉄の問題を考えていくならば、国鉄に対して支出をするというのは赤字を見るべきではない。ここが根本的な問題じゃないかと思うのです。おそらく大臣の答弁は私と食い違う答弁じゃないかと思いますが、食い違うけれども、ここを解決しないことには、国民の福祉を充実向上さすというならば、抜本的なというよりも、もっとその大もとから変えていかねばならない。それが成長経済から福祉経済へ流れを変えていこうという、その根本を改めることになると思うのですが、大臣いかがでございましょうか。
  96. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 結論的には田代先生のおっしゃったのと私は違った考えを持っております。おっしゃることはわかりますけれども、たとえばいま例にお引きになりました教育問題、これは教育を国がやらなければならぬ、これは憲法の上から出てくる問題でございまして、皆さんの御努力によって、義務教育はこれはもう国がすべての責任を負ってやるべきだということ、だんだんこれは実行に移されまして、非常にけっこうだと思いますけれども、教育事業そのものからは何らの収益はないわけです。で、これはこの制度が悪いんだとおっしゃればまた議論は別でございますが、両院を通過いたしました昭和二十四年以来の公共企業体に関する法律、これはひとり国鉄だけではございません。電電公社、専売公社、同様でございますが、特に国鉄なり電電公社というのは、これはもう一つの事業体として見ていいんじゃないかと思います。事業体でございますからそこに収益が出てくる。それでどの法令をごらんになりましても、電電公社なり、あるいは国有鉄道というものがいわゆる公共企業体であって、一方では公益性は強いけれども、一方では企業体であるということが、現在のこの法律制度の中ではどこにもあらわれていることでございまして、その点を根本的に変えまして、教育と同じようにしたらいいじゃないかと、こういうことになりますとこれは別でございます。  しかし現在、両院で御承認になりましたこの法律制度のもとにおきましては、やはり国鉄も一つの公共企業体でございます。電電公社のほうは、国鉄のような政府の補助というのは直接にはいたしておりません。しかし、これは料金制度、それから電電公社の事業の収益というのが伸びておるからそうなんでありまして、国鉄も同じでございますけれども、しかし先般来、本会議でも予算委員会でも申し上げましたように、この国鉄に課せられておる公益性というものの比重が、近年非常に重くなってきておりまして、一方、国鉄の内部の事情もございますけれども、とにかくそのこまかい議論はよしまして、国鉄がそれを自分で背負っていくだけの力がございません。それならば公共企業体であるからといって公益的な仕事はどんどんやれと、しかし国は、これは独立採算制でやってもらうので国は知らないということになりますと、国鉄の担当しております陸上交通事業というのが、これはもう壊滅に瀕することは明らかでございます。  そういうことでございますから、昭和四十四年以来、現在の再建計画、第一次の再建計画でございますが、それ以来法律を制定いたしまして、今日御提案をしているような前進になる再建計画というものを国会に出しておるわけでございまして、その中では、御承知のように、国鉄の公益性に対応するような国の助成はすべきであると、つまりその意味においては独立採算性というものが非常な大きな修正を受けておるわけでございまして、これは政府も認めておりますし、国会もお認めになっているわけでございます。ところが、さらに四、五年たちまして現在になりますと、その国鉄の負わされている公益性というものがますます多くなりまして、とうてい国鉄の力だけではどうにもこれは回復の道がないということになりましたものでありますから、今度のような再建計画を出しまして、政府が公益性に対応するような援助をしながら、一方では、企業体でございますから、国鉄自身も努力をすると、そうして利用者の方々にある程度の御負担を願いまして、そうして国鉄財政を再建し、と同時に、再建いたしますことが、これが終局的な目的ではなしに、再建することによって国鉄が負わされておる本来の使命を達成できるような体質を早く回復しようというのが目標でございまして、そういう意味でいま提案をしておるわけでございます。  現在の法律制度のもとにおきましては、われわれはこれが最善の策ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 おそらくこれは、ここで論議をしましても結論は出ないと思いますから、またの機会に譲りたいと思いますが、国鉄の赤字の原因というのは、もう私が申すまでもなく、国鉄輸送のスピード化、効率化のための設備投資、それに基づくところの利子及び債務取り扱い費、修善費減価償却費、こういうものと、それからモータリゼーションの影響によりまして貨物をトラックに取られていったという、それはいろいろな原因があるかと思いますが、その貨物の赤字というものを、現在は旅客運賃の黒字でカバーをしているという、こういう実情は御承知のとおりだと思うのです。  このような国鉄の赤字というのは、いま話をいたしましたようなことで、営業費用をまかなえないための赤字ではないという、この点でございますね。そういうようなことから考えまして、資本費用の中の利子負担を払うためにずいぶんの赤字をかかえていらっしゃるということ、ここは大きな問題だと思うのです。だから、私の知り合いの人に、国鉄の話を聞かせてくれと、いろいろ話をしたときに、単純にその市民の人が言っておりました。その赤字と、何ですか、この支払い利子額というのがほぼイコールという、こんなことでしたら一般会社はつぶれてしまいますなという端的な意見を述べておりましたけれども、私が調べました数字では、国鉄の純損失と支払い利子との比較は、昭和三十九年ですか、当該年度の純損失が三百億で、当該年度の支払い利息は三百九十六億、四十年が千二百二十九億、これが純損失で、支払い利子が六百四十六億、四十一年、四十二年、四十三年、四十四年とほぼ——四十三年が純損失が千三百四十三億、支払い利子のほうが千百九十五億、四十四年が千三百十五億が当該年度の純損失で、当該年度の支払い利子が千三百八十五億と、このように国鉄の決算にあらわれました純損失額——赤字と支払い利子額がほぼ同じことを示しているということですね。  こういうことを考えますと、国が無利子の出資額を思い切ってふやしたならば、端的に言いますと、国鉄の赤字というものは少なくなるんじゃないかと思うんですね。そういうわけで、いま大臣は、公共性に対応する、また国鉄に対応する国の助成はすべきであると、このように言われましたが、この国鉄の報告にも出ておりますが、国鉄の四十五年度では、四兆百九十六億円の資産を持ちながら、政府出資はわずか八十九億、資産総額四兆百九十六億に対しまして〇・二二%にすぎない。これに対しまして、道路公団あるいは首都高速道路公団、阪神道路公団に対する国の出資比率、資本に対する出資比率ですが、それぞれ一二%や六%になっている。まあ国鉄の場合は著しくこういうふうに少ないから、いま大臣がおっしゃるような国鉄に対応する国の助成をもっとすべきであると、いま道路公団等の例をあげましたけれども、その点はどうか。  いま応分の利用者負担をとおっしゃいますけれども、これは私は筋違いじゃないかと思うんです。そういうわけで、これは値上げによって負担をさすということは、一面から言うならば、もうほんとうに増税されたような感じがしてならないわけなんです。その一市民もそういう感じを言っておりましたけれども、この点は大臣いかがでございますか。
  98. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 基本的な問題の議論は別といたしまして、国鉄のこの運賃をこの際改定いたしますことについて、これは根本的に疑いがあると、国民もそう思っているというような御質疑でございますから、その問題にしぼってお答え申し上げますと、これは申すまでもありませんが、国鉄運賃も一つの大きな重大な意味を持った公共料金であることには間違いございません。公共料金に対応して政府がどういう姿勢をとっておるか、これは申すまでもありませんが、非常に慎重にやらなきゃならぬという態度をとってきております。  今日まで国鉄運賃の値上げの状況をごらんになりましても、他の物価上昇と比べまして、国鉄運賃の引き上げがどうであったかということをごらんになりましても、よく御理解がいただけると思います。しかし今度、三本柱と言っておりますが、利用者にも負担していただく、国鉄自身もあらゆる努力をしてもらう、それから政府財政上許す限りの助成をする、その三つの柱によって国鉄財政を再建しようと、こういう計画でございますが、国鉄の料金といえども、やはり公共料金といえども物価体系の中の一つの問題でございまして、公共料金だからといって、そこの部分だけいつまでも据え置くということは、かえって全体の物価体系に混乱を与えるということにしかならないと思います。  むしろ、それよりも大切なことは、国鉄が先ほど申し上げた本来の機能を回復いたしまして、国民の需要に応じるような豊かなサービスを提供するということが本来であろうと思います。それをやりますのには、これはなるほどいまおっしゃった一部分にも触れるのですが、過去を振り返ってみますと、もう少し早くから政府が気がついて、もっと設備投資に対する政府の助成というものを強化していったならば、今日のようなみじめな状態にはならなかったであろうということは、私もあえてこれは否定いたしません。しかしそれは言っても過去のことでございまして、返りませんから、今度はそういったことのないように、この十カ年間において、何とかして国鉄の再建をさせようということで、いまのような案を出しておるわけでございまして、これには財政当局とも最後まで交渉いたしまして、政府として、あとう限りの助成をするような措置をとったつもりでございます。  しかし交通関係の機関はどこの交通機関でも、バスでもそうでございます、地下鉄もそうでございますが、いずれも対価として利用者から料金を取っております。これは国民一般から料金を取っているわけではございませんで、利用者から取っておるわけです。それを利用者から取らないで、つまり料金として取らないで政府でまかなえということは、結局これは一般会計、すなわち税金の中からまかなえということになるわけでございまして、これははたして国民全体から見まして、利用者も利用者でない者も一緒に税金で負担しなけりゃならぬということは、公平かどうかということについては、国民の方々から別の意味で私は批判があるだろうと思います。どこの交通機関でございましても、どこの国をごらんになりましてもそうでございますが、利用者が利用の度合いに応じて負担をするというのがやっぱり原則だろうと思います。  ただ負担させる、してもらう程度が非常に程度を越えたりいたしますと、仰せのようないろんな弊害が出てくると思います。私どもは、いまの国鉄の経済から申しますと、実は値上げ率を最小限度に押えたつもりでおります。こまかいことは政府委員から、あるいは国鉄からお答えさしてもいいですけれども、現在の料金ではもちろんのこと、今度の値上げを国会で御承認をいただきました場合に、国鉄の収支がどうなるかということを考えてみますると、一応の試算ではございますけれども、人件費物件費、それから減価償却、金利というような、いわゆる国鉄のほうではオペレーションコストと言っておりますが、そういったものと収入と見合うであろうかということを考えてみますと、それは見合わない。つまり企業で言いますとランニングコストさえも得られないということでございまして、この点は十分に考えていただかなければならぬ問題だと思います。  でございますから、十分とは言えませんけれども政府におきましても、できるだけの、いまお話しになった再建についての利子の補給はもちろんのことでございますし、それ以外におきましても、設備投資からくる財政の困難さがよくわかりますので、財政投資を大いにやりまして、そういったものを総合いたしまして、この利用者の方々の御協力を得ながら国鉄の再建をはかりたい。国鉄の再建をはかるということは、やはり何と言っても日本の交通の大動脈でございますから、これが混乱したり、あるいは社会経済の発展に応じないような国鉄のあり方だといたしますと、これはもう国民生活にも国民経済にも大きな私は打撃を与えるだろうと思うのです。そういう意味において、私どもは、初めにお触れになりましたような、国民全体の福祉というものも考えながら、やはり交通機関というものを、われわれの望ましい姿にすることが、この際ぜひ必要であると、こういうふうな考え方をもちまして今度の運賃の改定案を提案しているような次第でございます。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 こまかい数字についてはお聞きしたいのですが、時間が制限されておりますからきょうは省きたいと思います。  次に新幹線の公害の問題であります。これも運輸委員会等におきましても、いろいろ具体的な問題をあげられまして、これは取り上げられておりますが、健康をおかし、環境を破壊している具体的な例があげられております。また十年計画の中にも、新幹線の問題も織り込まれておりますが、このような公害の防止策なしに建設するようなことがあってはたいへんであると、こういうわけで新幹線の被害は深刻であることが日弁連の調査報告書においても出されておりますが、これに対して、国鉄としてどのように対処されていかれるのか、これをお聞きしたい。  特にこの一環といたしまして、今後建設する新幹線につきまして、中央公害対策審議会の基準ですか、特に公害の問題は国鉄は音量を中心とした公害に主眼点を置いていらっしゃいますが、これが八十ホン、最悪の場合でも八十五ホン以下を尊重するようにということが出されておりますが、まあこれを、国鉄並びに建設公団等においても前向きに取り扱うようにといわれておりますが、この騒音の問題につきましては、御承知のとおりに、騒音規制法に基づいて定められました工場騒音におきましては、その規制基準というものが、御承知のとおりに、住居用にあわせて商工業の用に供される第三種区域では最高六十五ホン、そして夜間は五十五ホンに押えるべきである、こういうように騒音の規制法には定められておるわけなんです。いま鉄道騒音の暫定基準も定められておりますけれども、私はやはり人間として住める範囲内の条件というものは八十ホンや八十五ホンでなくして、少なくとも六十ホンあるいは六十五ホンに押えるべきではないかと思うわけなんです。これもあわせて御説明を願いたいと思うんです。
  100. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 法規のほうは後ほど政府のほうから御答弁を願うことにいたします。実際のほうでお答えいたします。  私のほうの新幹線の騒音の問題、公害の問題でございますが、東海道新幹線とそれから大阪以西の山陽新幹線とは多少趣を異にいたしておりまして、問題はやはり東海道新幹線でございます。何と申しましても、あれをつくりました昭和三十年代におきましては、率直に申しまして、公害問題というものはたいして頭になかったということも申されます。したがって民家の軒先まで汽車が走っているというふうな実情でございます。大阪から以西のほうは、だいぶそれを参考といたしましたので、ある程度の距離を置くというふうなことをいたしまして、ある程度公害が小さくなっておりますが、やはり問題は東海道新幹線の名古屋付近あるいは浜松付近、静岡付近あるいは大阪の入り口というふうなところでございます。  で、具体的な費用その他申し上げませんが、いま端的に結論だけ申し上げますと、一応環境庁でつくられました、いま先生のお示しの八十ホン以下には絶対に押えたい。八十五ホン以上については、これをある方法によりまして、もう音響対策や防音対策でなしに、何と申しますか、住居そのものにいろいろな遮蔽をするとか、そういう具体的な措置をしてまいりたいというふうに思っておりますが、問題はやはり騒音の消し方の問題でございますが、大体東海道新幹線では約五百億ぐらいの予算がかかることになっておりますが、一番問題は名古屋、浜松にございます道床のない鉄橋でございます。これが一番大きな音を出しておりまして、これはいま実際問題としてかけかえることがほとんど不可能でございます。現在これにつきましては、西のほうで鉄橋全部をカバーしてしまうというふうな試験をやっておりまして、まあ何と申しますか、鉄橋をトンネルで包むというふうな感じでございますが、そこまでして騒音を押えるというふうなことを考え、またいろいろ防音壁等もつくっておりますが、これも限界がございます。そう十ホンや二十ホン下げるということも期待できませんので、いろいろな角度から、全然違った防音壁を実はいまつくりまして、これも明石付近でテストをやっておりますが、いずれにいたしましても、私のほうといたしましては、音響に対してはほとんどいわばしろうとでございます。   〔委員長退席、運輸委員会理事山崎竜男君着席〕 いままでの鉄道技術の中になかったことにこれから取り入れていくということで、私どもといたしましては、これからの鉄道の生命を持続するためには、どうしても環境との調和、いま先生のおっしゃった環境との調和、具体的に申しますれば、公害の防止ということを頭に置かなければ、昔のような鉄道を走らせればいい、速くて乗りごこちがよければいいというだけではだめなんで、やはり環境と調和した鉄道というものをどうつくっていくかが、これからの私は国鉄の生きる道だというふうに存じます。  したがって絶対この問題を避けることなしに、堂々と正面から向かってぶつかっていく、そしてできるだけの技術の粋を集めて減らすことに努力する、かまえとしてはこういうかまえでやっておりますが、なかなか未開の分野もございまして、非常に遅々として進んでおらないことも非常に遺憾でございますが、今度できました岡山以西につきましては極力そういうことを減らしまして、人家密集地におきましては相当の幅をとって騒音、振動を減らすというふうな知恵も大体出てまいりましたので、今後先生のおっしゃった建設するものにつきましては、できるだけ——八十ホンなんというのはほんとうにこれは最高の目標であって、もっとどこまで減らせるかということを頭に置いた上で、決して八十ならいいというふうなけちくさい気持ちでなしに、どこまで減らせるかという一つの未知の分野に対する技術の挑戦というかっこうで問題にかまえてまいりたいと思います。  もし御必要でしたら、こまかい数字がございますが、一応私どもの心がまえを申し上げさしていただきました。
  101. 田代富士男

    田代富士男君 それで、これはちょっと私お尋ねいたしますが、先日建設委員会で、私はこの質問をいたしたんですが、それというのは四十七年の六月の六日、各種公共事業にかかる環境保全対策につきまして閣議了解事項があるわけなんです。この内容を簡単に申し上げますと、国または政府機関が道路、港湾とか、あるいはいろいろな各種事業をやろうとするときには計画の立案、事業の実施にあたって、公害の発生や、あるいは自然環境の破壊等環境保全に重大な支障をもたらすことのないように留意してもらいたいという、いろいろな内容がございまして、それとあわせまして、東京の首都高速道路基本問題調査会が四十七年の十二月二十六日に出しました環境保全対策の中にも、答申に関連した質問をしているわけなんですが、その答申の中にこういうことが書いてあります。「緩衝区域の範囲は、都市高速道路の構造型式に応じ、主として騒音の環境に与える影響を考慮して定めるものとし、沿道の地形、土地の利用状況等を勘案して車道端から、ほぼ一〇メートルないし二〇メートル程度とすることが必要であろう。」と、「緩衝区域については、道路の区域として取り扱うことが適当と考えられる」、いろいろまだほかにこまかい事項がありましたが、私は金丸建設大臣に対しまして、騒音対策、環境保全、そういう立場からこのようにいわれているんだから、四車線の道路を通した場合には、ほぼ十八メーターから二十メーターぐらいになります。そうしますと、その両サイドに十ないし二十、まあ二十メートルを最高としまして、道路をつくる場合には最低六十メーターの道路が必要じゃないか。六十メーターの土地を取得しなくちゃならない。そうすればいままでの予算よりもこれはふえるのではありませんか、それでもこれは実行してもらいたいと、私は要望を入れまして建設大臣質問しましたときに、大臣は、空文に過ぎることなくこれはやっていくという、そのように予算はふえてもやるという、そういうたてまえをとっていただいた。  御承知のとおりに、道路を走るのは自動車も小型、大型、最高十トンあるいは十五トンの大型車も走っておりますけれども、大体十トン以下の車がほとんど。そうしますと、いま新幹線の場合は、「ひかり」でしたら、十六両編成ですから一千トンくらいですか、これだけのトン数の車両が——自動車と比較すること自身がどうかと思いますが、端的に比較した場合、そうして自動車のスピードは出したとしても百キロ以下でございます。ところが二百十キロぐらいで走っている。この騒音ということを考えた場合に、道路でさえもこれだけの環境保全、騒音対策をやろうとしているわけなんです。  今後、全国に新幹線をこのように建設されようとしていらっしゃいますけれども、まあ既存の東海道新幹線はもう大阪、京都あたりにいたしましたら、総裁がいま申されておるとおりに、もうゆっくり走っているときには、その新幹線の中からそこのお宅のテレビに何が映っているかというところまで見えるぐらいのそばまで走っているわけなんです。これはいますぐどうかと思いますけれども、これも解決しなくちゃならない問題だけれども、今後国鉄といたしまして、私いま騒音対策をやっていらっしゃるのは、おもに音を中心としてやっていらっしゃると思うんですが、鉄道の両側に四メーター道路をつけるとか、いろいろ計画されておりますけれども、この道路の場合もこれだけのものを検討されて実行しようとしておりますから、これを参考にするべき点はないかどうか、いかがでございましょうか。
  102. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先生のおっしゃったことは、もうまさに一番大事なことだというふうに考えております。  今度岡山以西、来年開業いたしますが、数カ所におきましては、建設省の非常に御協力を得まして、国道ではございません。大体県道、市道でございますが、いわば結論から申しますと、その道路の上に鉄道をつくるということを認めていただきました。逆に申しますれば、鉄道の両側の一番広いところで北九州市の十五メートルでございます、両側でございます。これはもう道路の建設と新幹線の建設と一緒にやるということで、もうおのずからでき上がったときには両側十五メーターの道路ができるという、これが一番広い例でございますが、そのほか山口県あるいは広島県の一部におきまして、大体岡山以西で五カ所ぐらいでございますが、道路と完全にラップさせまして、そして線路の両側を道路にするというふうな形をやっております。  これはお話のとおり、確かに振動の面からも、騒音の面からも有効でございますが、私どもはさらに一歩進めまして、新幹線の下を一般に開放したいと思っております。私どもは本来、こんな貧乏でございますから、そんなこと言っちゃいけないんでございますが、やはり環境との調和という意味で、高い金を出したところでも、うちは上だけ使えばいいんじゃないかということでガード下を開放すると、あるいは児童遊園地に、あるいは自転車道路にというふうに、まあ駐車場はあまり感心いたしませんが、主として児童遊園地、自転車置き場、あるいは自転車道路というふうなものに開放いたしまして、そして町を遮断するということのないようにするというふうな考え方をもって具体的にやっておりますし、徐々にそういう知恵が出てきたわけでございますが、最近実は阪神三市の方とお目にかかりましたときに、道路をつくることはいやだとおっしゃるんです。もう全部公園にしたいんだとおっしゃるわけです。それならそれでけっこうじゃないですかと、道路にするとやはり通過道路になってしまって子供たちがあぶないと、だから初めから公園にすればよかったとおっしゃいますから、それじゃもう私どもは公園でも道路でもいいですと、とにかく公共用にお使いくださいという意味で、線路の両側をある程度取って、そしてそれを全部含めた、多少細長い公園になりますが、そういうものでもいいじゃないですかというようなお話も実はいたしておりますが、そういうふうなことで、いま先生のおっしゃったことが、これからの一番の新幹線建設の大事な点だと思います。それには残念ながら国鉄の力だけではどうにもなりませんので、やっぱり建設省その他政府関係の御協力をお願いするように、いろいろ事務的に折衝いたしておるわけでございます。
  103. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、よろしくお願いしたいと思います。  時間がありませんから次に移りたいと思いますが、実は大阪の外環状線のことについてでございますが、大阪の地元、すなわち一応関西の経済の中心地でございますが、長い間の懸案として地元から強い要望が出されております。特に、もうこれは国鉄の本社にも届いていると思いますけれども、この地元の総会の議案といたしまして四つの要望の要旨が出されております。一つは全線の取得用地を早急に確保してもらいたい。二つ目には、用地及び建設に要する資金を確保してもらいたい。三番目には、新大阪と東住吉区の加美間の複線電化を即時に着工してもらいたい。それから、全線をスラブ高架にしてもらいたいと、こういう四つの要望が出されておりまして、国鉄におきましていまいろいろ御検討をしていただいていると思いますけれども、この要望に対しましてどの程度取り入れてもらえるのか、計画の概要、規模、予算、また関係各交通機関との接続等につきましても、もし説明できるものならば御説明をお願いしたいと思います。
  104. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) これは先生承知のように、新大阪から放出を通りまして加美、それから杉本町に至る線でございまして、これを複線化して電車を運転いたそうというものでございます。延長は二十七・三キロメートル、工事費が約三百五十億、工期は約五年というふうに現在考えております。  で、御承知のように、この線と交差いたします私鉄がたくさんございます。で、これらの線とどのように連絡していくかということは、今後各私鉄並びに地元の関係都市との協議によって決定をしてまいりたいというふうに考えております。  工事の進捗状況といいますか、計画の進捗状況でございますが、本年度は調査費として約二億円を計上いたしまして、そして実際の工事を進める調査をやっておるわけでございます。  なお、これに伴いまして、関係市町村との設計協議、その他高架化にいたします場合には、いわゆる建設省の都市計画事業という御指定もいただかなければなりませんので、その辺の準備を現在具体的に進めておる段階でございます。——計画が決定し諸般の条件が決定次第に用地の確保に入りたいというふうに考えております。  なお、全線のスラブ高架化は、地元及び建設省との関係がございますが、できるだけ御要望に沿うように設計をいたしたいと思います。  それから建設資金につきましては、われわれとしては地元の利用債ということでお願いをいたしておりますので、計画が決定し、諸般の事情がきまりましたらひとつよろしくお願いいたしたいと思います次第でございます。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明いただきましたが、三番目に、新大阪と加美間の複線電化の問題でございますが、これをどのように今後計画に入れてもらえるのか、この点差しつかえなければ、お答えを願いたいと思います。それと同時に、地元の公共団体あるいはこの沿線住民との話し合いを積極的に進めなくてはならないですけれども、やはり一つの仕事をする場合に目標というものがなくてはなりませんし、まあ現時点で——現時点ですよ、現時点におきまして、計画の見通しや着工時期、あるいは期間は全線二十七・三キロ、五年間の歳月がかかるということでございますが、着工時期等につきまして差しつかえなければ、お答えを願いたいと思いますが、どうでしょう。
  106. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 着工時期でございますが、これは地元との設計協議が済み次第ということでございまして、いまのところは四十九年度後半か五十年度の初めぐらいというふうに考えております。  予算は利用債で確保していただければ、工事のほうはできるだけ計画に沿って進めたいというふうに考えます。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 三番の問題ですが……。
  108. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) これは当然旅客列車を動かすとすれば、電車化をせざるを得ないということでございまして、電化も当然複線電化ということで考えたいというふうに考えております。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 まだこれからは差しさわりがあるらしいのですが、時間もありませんから、また次の機会にしたいと思います。  次にお尋ねしたいことは、先日事故を起こしました鶴見の事故のことでございますが、もう私が言うまでもなく、八月二十七日の貨車の脱線事故のことでございます。これにつきまして、国鉄当局がその原因の発表も一応はされておりますが、実際その国鉄の仕事に携わっている労組の皆さん方の意見と、一部の食い違いがなされているのが現在の状況じゃないかと思うんですね。これは、死傷者がなかったということでございますが、いろいろ前後の様子を調べてみますと、上りの「銀河」が、二十秒前にこの事故を確認して、現場の手前三百メーター近くで停車をいたしまして、「銀河」の乗客が事故を免れている。下り久里浜行きの電車も、直前にこれを確認しまして、未然に停車をいたしまして、大事故に至っておりません。しかしこれは、御承知のとおりに、三十八年度の鶴見事故の場所とほぼ同じところ、三百メーターか五百メーターしか離れてない場所で起きているわけなんです。こういうことを考えれば、人命の事故はなかったと言うけれども、「銀河」の停車したのが、いま申すとおり三百メーターそこそこのところである。これは第二の鶴見事故になっていたんじゃないかと思うわけなんです。  それに対しまして、国鉄側は、一応、下請をやらせていたところの業者の工事ミスであると、こういうように一がいに発表されております。まだしかし、警察当局の正式な発表というものをわれわれは聞いておりませんけれども、一応差しつかえない程度で、いま警察当局として、この事故の原因、おわかりの範囲内をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  110. 佐々木英文

    説明員佐々木英文君) お答えいたします。  事故当日、神奈川県警察におきましては、百六十五名の捜査員によりまして、事故現場の実況見分や関係者からの事情聴取を行なったわけでございます。で、運転士の運転上のミス、それから列車編成並びに積み荷上のミス、それから車輪の欠陥等車両の欠陥、それから線路の補修工事のミス、こういったものの有無など、考えられる事故原因につきまして、広く捜査を実施したわけでございます。  現在までの捜査によりますと、二日間にわたります現場の実況見分の結果、事故現場付近で、正常のカントは四十ミリのところ、プラス四十九ミリの軌道狂いがあったという点、それから保線作業用のジャッキの取りはずしが不完全な状態でセットされていたという、こういうふうな点が明らかになっておりまして、事故当時現場で行なわれておりました道床の整正工事の手直し工事が原因の一つではないかと見られる状況でございます。  ただ神奈川県警では、こうした事故原因の解明のために、九月十一日に東大の工学部の八十島教授に対しまして鑑定嘱託を行なっておりますので、その結果を待ちまして結論を出すという考えでございます。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 いま警察当局の発表を聞き出しましたが、いま事故原因をさらに求めていらっしゃるというところでございますから、これが明確にされておりません。しかし、やはり三十八年度の鶴見事故と同じ場所で起こっておることだし、これは再び起こる可能性があると見て対処していかなくてはならないじゃないかと思うんですね。  それで、いまもお話がありましたが、これは国鉄からの発表でも、下請会社が事故前夜に道床のかさ上げ工事を行なって、十五本の列車が通ったあとさらに調整作業をしたと。で、現場は半径八百メートルのカーブを切っているので、外側のレールは内側のレールより四十ミリほど高くなっているけれども、今回の調べでは九十ミリになっていたと、こういうところが脱線につながった原因じゃないかということが問題にされておりますけれども、私は——これは下請会社の責任であると——それはもちろん現実はそうであるかわかりませんが、国鉄というものはやはり安全第一ということが第一義じゃないかと思うんです。安全であってあたりまえ。その安全であってあたりまえのために、目に見えないところの、そういうすべての力を注ぐところに一〇〇%以上の力を注がなくてはならない、これが国鉄にとって一番大事じゃないかと思います。このときに、一番大事な線路の下請ということを、こういう下請業者にまかしてよいのかと。国鉄人たちチェックをするかと思いますけれども、下請の人たちが経験豊富であるというところで、まかせられる範囲内からまかせているというのが実情じゃないかと思うんですが、国鉄の省力化、近代化に伴いまして、こういうことも当然検討する時代には入ったと思います。いま申しますとおりに、下請に出してそういうような計画をされることもわからないわけはないけれども、他の部門と同じように一律にこういう保線の部門までもこういう道を通るということは、私はどうかと思うんですね。  だから線路の保守要員の昭和四十年度以降の推移を見てみますと、四十年度には職員が四万四千九百人、これがだんだん減ってきておりまして、四十一年には四万四千七百人、四十二年は四万四千二百人と、ずっと、資料をいただいたそれで、四十七年には四万五百人と、このように、一番国鉄の安全というところのキーポイントになります要員が、増員すべきであるとわれわれは考えるくらいでございますが、減らされている。こういうところから今回の下請にまかせていたと。その証拠に、下請の責任者であるユニオン土木会社の米島幸一さんが私に、今回のチェックに対しては、レールにジャッキを当てて調整、水準器で確かめたのでミスは考えられない、このように発言をしているわけなんですね。そうすると、下請業者の責任者がこういうことを言っているし、一体どこに原因があるか。やはりこれは国鉄においてチェックをしなくちゃならないじゃないかと思います。かっては各駅に線路班が毎日点検をしていたけれども、四十三年から主要駅の人員が定期検査をするような方向に切りかえました。それはなぜかというと、国鉄でそのように切りかえるかわりに二千億円の予算を組みましてそういう保安設備というものを完備するということで、こういうような方針に切りかえられたけれども、現在では、その三分の一の約七百億ぐらいしかお金が使われていなくて、そういう第一線におります保安要員の人々というものは、レールはほんとうにたいへんな状態に来ているということも訴えておるわけなんです。  そうした場合に、省力化、いろいろな近代化ということもわかりますけれども事故が起きた場合の事故のあと始末、そういうものを考えるならば、こういうような部門に対しましては、減員するよりも増員をしまして、事故がなくてあたりまえといわれる国鉄の使命を通していただきたいと私は思いますけれども、総裁、どうでございましょうか。人命尊重という立場からお願いをしたいと思います。
  112. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先般の事故が、結果的には人命に損傷がなかったことは、まさに天佑神助だというふうに考えまして、結果がよかったからあの問題を葬ってしまうということは絶対ございません。むしろ天佑神助に感謝しつつ、率直にあの事件を反省いたしまして、今後いかにこれを生かしていくかというふうな考え方でこれに取り組んでまいりたいと思っております。  もちろん下請であろうと何であろうと、これは私のほうの責任に間違いございません。したがいまして、事態は警察当局からいろいろお話しになりまして、私のほうは私のほうなりの技術的な判断だけはいたしましたが、それから先のいろいろなことはわかりませんので、全部警察におまかせしているわけでございますが、ただ率直に申しまして、線路関係の人が減ったと申しますのは、いろいろ線路の機械化あるいは線路そのものの高度化というふうなことも原因がございまして、単に労力不足ということだけではございませんが、しかし、やはり下請であろうと、あるいはうちの職員がやろうと、そのミスがやはりああいうような結果になるということになりますれば、これは重大な問題でございますので、今後の仕事のやり方につきましては、さらにいままでのやり方を検討いたしてやっていかなければいけないというふうに思います。  なお、あの線路は、今度は通勤線に変わってくるわけでございまして、全面的に現在あの線路を補強している実は工事のまっ最中でございまして、その工事の中の一つとして深夜の作業をやり、その手直しをやっておったという意味でございまして、たまたま鶴見事故と非常に近い場所でございましたが、鶴見事故の全く原因不明の競合脱線とは相当趣が違って、原因ははっきりしてくるのじゃないかというふうに思っている次第でございますが、重ね重ねも、死傷者がなかったということに対しましては、私は心から神仏に感謝いたしておる次第でございますが、十分これを生かしていきたいというふうに思っております。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 いま総裁も申されましたとおり、ああいう事故というものは、いろいろな条件が重なって事故というものは特に起きるんじゃないかと思うのです。こういう競合脱線の場合は、レールあるいは車両の構造あるいは積み荷のバランス等のいろいろな条件が重なって起きるんじゃないかと思うのですね。そういうわけで、そういう線路の保安とかそういうことも大事でありますけれども、もう一つには、車両の構造という問題から考えていくならば、いま二軸車を廃止しましてボギー台車に取りかえるということも、これは進めていかなくてはならないじゃないかと思うのです。  それと同時に、事故が起きてはなりませんけれども、ああいう都市部、特に今回事故が起きたところは、正確にはわかりませんが、幅が三十メーターぐらいじゃなかったか。そこへ六車線ほど走っていると、こういうような、都市部に入ってまいりますと、そういう個所が一ぱいあります。そのときに、こういう貨車がスピードを出している場合は、こういう事故が起きた場合には第二鶴見事故になったわけなんですが、今回は免れたけれども、五十キロで走っている場合と、今回の場合は六十五キロ以上で走っていたんじゃないかと思いますけれども、五十キロで——起きてはならないけれども、起きた場合の事故というものは、さほど大きくはならないということもいわれておりますが、それはそのときと場合は違いますけれども、そういうところから、事故防止という場合には、都市部に入った場合には、いろいろダイヤの関係もありますけれども、スピードダウンをするなりして事故防止という、人命尊重という第一義に立つならば、そういう点も検討の余地があるし、また、いま申しました二軸車をボギー台車に取りかえるという、この点につきましても問題点があるんじゃないか。資料を私いただきまして、その実態を見ましたら、二軸車とボギー車の比率というものが、国鉄全車の中で二軸車が大体八四%ぐらいで、ボギー車が一六%ぐらい。これは全車両を合わした場合に、こういうような種類ができておりますけれども、いま十年計画を云々されているわけなんですが、こういう計画を立てる場合に、人命尊重という立場からいくならば、やはりこの二軸車に比べればボギー台車は五倍ないし十倍の安全度があるともいわれておりますけれども、こういうところにも力を入れまして、事故を未然に防いでいくというところに最優先すべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  114. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 確かに私どもで使っております約十四万両の貨車、これはほとんど二軸車が主力でございます。しかし幸い最近の貨物輸送のシステムチェンジで、私のほうでもコンテナ化を非常に強力に進めていこうというふうに考えておりますが、コンテナ化の場合にはやはりいま先生のお示しのボギー車になりますので、ここ数年間ほとんど二軸車は申請いたしておりません。全部つくっているのはボギー車でございます。いずれコンテナは、まだ十万個以下でございますが、これが三十万になり、あるいは五十万になります場合には、ほとんどの主要線を走る貨物列車は全部コンテナになるというふうに考えられます。そういたしますと、いまおっしゃった二軸車は自然に幹線筋から姿を消してくるということになりますが、そういう意味でも当然ボギー化は進まりますが、やはりそれより前に貨物列車事故がとかく二軸車の場合が多いということから申しましても、ぜひ早く二軸車をボギー車にかえまして、そして貨物輸送の面でもメリットがあるようなそういう方法をとってまいりたいというふうに考える次第であります。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 それから人命尊重という立場から、同じような質問になりますけれども事故を起こしてはならないという立場から、去る八月の二十六日に、「こだま二〇三号」が運転中止になりました。その原因を簡単に御説明願いたいと思います。   〔委員長代理山崎竜男君退席、委員長着席〕
  116. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 八月の二十六日の二十一時三十三分に新横浜−小田原間の新横浜寄りのところで一番先頭の車に動揺を感じまして、車を前途運休したことがございました。この原因につきましては、台車で回るモーターの振動を車体に伝えるボルスターアンカーというバーがございますが、そのバーの受けのところが両方の振動を緩衝するためにゴムを使っております。そのゴムの一つが大体厚みが十二ミリでございますから、直径で大体二十四ミリくらいになると思いますが、そのゴムが何らかの原因によりまして摩耗いたしまして、したがいまして、簡単に申し上げるとそこに二十数ミリの余裕ができたわけでございます。そのために車体の振動と台車の振動との間にアンバランスが起きまして、前後左右動が大きくなったというものでございます。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話がありました「こだま二〇三号」一号車のボルスターアンカー緩衝用ゴムの欠陥でこういうような上下左右の振動が起きたという御説明でございますが、こういう車両検査のシステムというのはどういうふうになっているのですか。
  118. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 新幹線の場合で申し上げますと、毎日一往復なり二往復してまいりますと、必ずそこで仕業検査というものをいたします。それからその次に交番検査をいたします。これが大体二十日前後でございます。その次に台車検査というのをいたしますが、台車検査が大体八カ月か十カ月くらいになると思います。それから約二年半前後で——前後と申し上げるのは走行キロによって変わるものですから、あいまいな言い方をして恐縮でございますが、二年半前後で全般の検査をいたします。このときにはいわゆるオーバーホールと称します、全部ばらしてしまう検査でございます。またそれぞればらした場合に全部の検査をすると同時に、ものによりましては全部交換いたしまして新しいものにかえてしまう、それぞれに規定がございまして、在姿検査の場合と、その場で手直しをする場合と、ものを交換してする場合とそれぞれの作業システムは変わっておりますが、だんだんきびしいやり方を繰り返し繰り返しやっております。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明をいただいたとおりに仕業検査、交番検査、台車検査、それからオーバーホールと、このような段階に分かれると、大体交番検査は三万キロ走るごとに車両基地においてこれがなされると、またこの台車検査というのは大体三十万キロ走った場合に大阪基地でやられていると、そしてオーバーホールは九十万キロ走った場合に浜松基地でやられると、こういうような検査を経て新幹線はゆれずに安定しているということで、世界各国にPRされました御自慢の新幹線でございますが、今回このような「こだま」の事故が起きたということは、この「こだま」の列車というものは検査をいつ終わった車だったんでしょうか。
  120. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 先ほど申し上げました交番検査が八月の三日でございます。それからその前の台車検査がことしの二月の二十六日でございます。それから全般検査が昨年の五月の十九日でございます。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、台車検査が終わりましてあまり日にちもたってないわけなんです。だから、そのような検査が終わってあまり日にちもたってないのに、何らかの原因でいま話がありましたボルスターアンカー、緩衝用のゴムが摩滅したということは、突然変異が起きたのか、それともそのような交番検査をしたときにそれを見落としていたのか。いま新幹線が走っているときにいろんな部品が飛び出してくるという、時間がありませんでしたから、公害問題のときにこれは聞きませんでしたけれども、いろいろなそういう苦情が出ていると思いますけれども、時速二百十キロ、一編成一千トンの重量で高架を走っている新幹線、まだ大きな事故はありませんけれども、この車両は四十二年に製造されたということを聞いておりますけれども、だんだんもう走り込んできた車両、新幹線開業以来今日まで九年間走り続けてきた車両等もありますけれども、このように交番検査を終わって間もなくの車両が、こういうような前後左右にゆれ動くようになったというのは、おそらく国民の皆さんはこういうことまで詳しくわかりませんから、安全だと思って乗っておりますけれども、こうなりますと気が気じゃないと思うんですけれども、この点はどうでしょうか。
  122. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 初めにボルスターアンカーがかりに全部折れてしまって、このようなゴムばっかしじゃございませんで、折れてしまったらどうなるかという実験を、新幹線を建設当時、まだ小田原の試運転中に現実にやっております。そういう試験もつくる前にやっております。その場合におきましては、もうどんどんスピードを上げておきまして、これは振動はもちろん大きくなりますが、絶対脱線にならぬというデータを新幹線を建設当時に一つとっております。それから現在は、ただ台車検査までの間ほっとくんじゃございません。台車検査が終わりましたら、必ず振動検査をいたします。自後、台車検査——先ほど先生おっしゃいましたように、約三十万キロでございますから、その間、七万、十四万、二十一万キロごとに車両の振動検査をいたします。その振動検査のときにいろいろデータをとりまして、いままでのいろんな科学的な分析で、これはもうボルスターアンカーが悪いのか、あるいは左右のダンパーが悪いのか、あるいは車輪に偏摩耗が来ているんじゃないか、これは全部波動によってわかるようになっておりまして、その異常が見つかりましたならば、そこですぐ運転所なりに入れまして、それで車輪を削るなり悪いと思われるダンパーの油その他を全部検査いたします。そのような検査を大体台車検査の間ですから合計前後で五回いたします。それによって振動がいいかどうかということを判定しております。  この場合、この事故を起こしましたちょうど四日前に台車検査いたしましてデータが全部とってございますから、その時点におきまして上、中、下いろいろつけておりますが、非常にいいの次の、相当いいというデータの分類に入るデータが出ております。しかも、ここはそこのゴムばっかりじゃございませんで、同じ台車に四カ所使っておりますが、この一つだけが出たということ自体に対する科学分析が、今回は、こういうのは初めてでございますので、ゴム自体の化学変化というものが、どうしてこれが起こったかということに対する分析を、ゴムそのものの分析もいまいたしております。しかもまた、今度入りました車をさっそく運転所に入れまして、その他のダンパーだとかいろんなものを全部検査いたしまして、振動試験して、また新しいゴムを入れてはまた振動試験いたしましたが、もうほとんど異常ございません。このようにゴムがどうしてこういうところで急激にこうなったかと、いままで事例がございませんので、ゴム自体のいま分析を進めておるところでございます。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話を聞きますと、交番検査が八月の三日です。また事故が起きた四日前にこういう台車検査までやって、そのときにオーケーを出していると、そういういま話、私は聞いたんですけれども……。
  124. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 台車検査と台車検査の間の振動試験でございます。振動試験をして、悪いところがあるかどうかを見つけるということでございます。どうもことばが足らなかったようで……。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 ことばが足らないと——それはまあそれ以上のあれはありませんけれども、いまお話がありましたとおりに、少なくとも八月の三日には交番検査によってオーケーが出ているわけなんです。こういうことになるわけがない。今回初めてのことであると、科学分析をやっている最中だとおっしゃいますが、こういう関係事故ということは今回初めてであるということでは済まされないわけなんですね。そのためにいろいろなチェックポイントというものが出されておりますが、開業以来九年間走り続けてきておりますし、これはただ単なる、いま話が出ておりましたこういうところじゃなくして、いろいろな面にも出ていると思うんです。  私自身、ここで申しませんが、体験したことがございます。ゴムパッキングがゆるんだ点につきまして、私自身体験したことがあります、新幹線の中で。これはここで申しませんけれども。そういうことから考えまして、これは新幹線自身がいままで青信号で行くことができたけれども、ここで赤信号じゃないけれども黄色の信号であるというくらいに考えて、新しく入れた車と、そういう走り続けた車とはやっぱり違いがありますから、これは今回初めてだということでなくして、世界に誇った新幹線でありますから最善の努力をしていただきたいと思います。未然に事故を防ぐことが当然のことでございますけれどもそうお願いいたします。  時間がありませんから、最後にもう一点だけお尋ねいたしますが、これも人命尊重の上からのことでございますが、四十七年の十一月の六日に北陸線の北陸トンネル内で急行「きたぐに」の火災事故が起きまして、これ以来、国鉄といたしまして、いま北海道におきまして列車の火災事故のそういういろいろな点検をされております。この点検をされている記事が新聞に報道されておりますが、ちょうど四十八年の九月六日付の交通新聞の報道、四十八年八月三十一日の読売新聞の報道と、両方並べて参考に読んでみますと、全然取り方の違う報道になっているわけなんです。交通新聞の報道と読売新聞の報道とは全然違いがあるわけなんですね。読売新聞のほうでは列車が火だるまで燃えていくような、そういう記事内容になっておりますけれども、交通新聞のほうでは、そういうようなことは書いてない。これの真相はどうであるのか、これは北陸トンネル内の火災事故で煙のために死んだ人がおります。これはあの大阪の千日前デパートのときの火事を私は現場へ行って見ておりますが、あれは縦の被害でありまして、あの事故の直後、私は地行の委員会で、これは縦の事故であるけれども、横の事故が必ず起きるということを言っておりますけれども、北陸トンネルの事故は、これは横の事故じゃないかと思うのです。だから、そういう意味におきまして、北海道の実験をしていらっしゃるが、これは屋外のことであるし、屋内の事故等は参考にできる点はありますけれども、こういう新聞報道では反対の——それはそれぞれ取り方が違いますから、それはきめつけるわけにはいきませんけれども、どういうようなあれが出たのか、今後そういうデータというものに対しまして、国鉄としまして、利用者に安心のできる、そういうPRにも力を入れていかなければならないと思いますが、その点どうでございましょうか。
  126. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) ただいまの御質問につきまして、北海道の実験線には、読売新聞あるいは交通新聞のみならず、多数の報道関係者も行っておられます。また私どものほうからは、ただ国鉄の職員が行っているだけではございませんで、火災、燃焼その他専門の先生方約十数人に立ち会っていただいております。  その結果、先ほども申されましたように、いろいろ取りようがあるとおっしゃいましたが、現実には第一日に、まず難燃車の試験をいたしましたが、これも初めての試験で、あるいは燃えるのじゃないかということを心配しておりましたが、幸いなことに、ほとんど燃えずに終わりました。それから二日目に、今度は従来比較的燃えやすい車で、このときは完全に燃えるというようなつもりで三十一日に実験いたしましたところが、密閉しておりましたし、窓が全部締まっておったせいか酸素が不足して足らなくなりまして、これは燃えずに終わってしまいました。それで九月の一日に、今度はアルコールの量を、相当燃やすもとの量をふやしまして、強制着火いたしましてやりましたところが、今度は燃えました。燃えて所定どおり走りましたが、その結果わかりましたことは、一つは、一番初めに申し上げました難燃化が比較的効果があったということ。二番目には、列車が密閉されておる場合には比較的火勢が強くならないということ。三番目には、一つの車が非常に燃えましたが、隣の車の窓、それからとびらに特殊なガラスをつけてみましたが、これによってほとんど隣の列車には移らない。そこにマウスを置いておきましたが、それも移らない。したがいまして、今後お客さまを誘導いたしますときに、隣の車にでも御誘導して、そこで完全に密閉しておれば、お客さまは何とか避難できるというところまで突き詰めました。あと細部につきましては、今回の実験のデータを全部そろえまして、また専門の先生方に来ていただきますので、その結果をもって発表いたしたいと存じております。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 時間が来ましたからやめます。
  128. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 田代君の質問は終わりました。  高山恒雄君。
  129. 高山恒雄

    高山恒雄君 四十七年度の監査報告が今回出されたわけでありますが、監査委員の方も、国鉄の赤字を憂うという点を強く主張されておることは言うまでもございませんが、この監査の指摘されておる内容の中でも、国鉄運賃の値上げ問題に関連して、一番その原因をなしておるものは何かというと、やっぱり貨物輸送だと、これが基本になっておるように、監査報告にも出ております。  国民もこの点に非常に関心を深めておるのであります。貨物の赤字を一般乗客の値上げの負担で穴埋めするということは不当ではないか。先ほど大臣はこの問題に対して利用者だけがある程度犠牲になってもらう、値上げをするんだと、こういうことを言っておられますけれども国鉄財政の内容を見ると、結果的には貨物輸送の減が今日の一兆円以上の多くの赤字を出しておる。国民ひとしく国鉄自体が一兆円からの赤字を背負って苦しい立場にあるということは、私は理解はできると思うのです。理解ができるということと、矛盾を穴埋めするということは別だと思う。やっぱりこの点を合理的にしないところにその問題があるだろうと私は思うのであります。  そういう意味において、運輸大臣にお聞きしたいのでありますが、鉄道と道路による自動車の輸送は、これは何といっても競合関係にございます。特に貨物部門では、自動車の輸送が圧倒的に優位を占めているように思います。このような競合関係にある鉄道と自動車輸送との関係をどのように調整をされるつもりなのか。いまここで一時値上げ甲して、国鉄にある程度の穴埋めができたにしましても、私は再度値上げをしなくちゃならぬ場面が来る。三兆六千億円の助成を出すにしても、まだまだこの物価騰貴から考えるならば、これは必然的にそうなると思う。したがって運輸面における今後の総合的な交通政策というものを進めていくべきだと思いますが、運輸大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
  130. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 総合交通体系下における国鉄の貨物輸送とトラックの輸送の調整をどうするかという問題だろうと思います。これはおっしゃるとおりに、二つの原因があると思いますけれども、一つは国鉄の貨物輸送に対応する姿勢が近代化されていない。したがって貨物は、かりに料金だけから考えますと、国鉄で運んだほうが利益ではあるけれども、やはり、たとえばいつ着くかわからない、また非常におそくなるというようなサービス面における欠陥がつきまとうものですから、勢い料金としては高くてもトラックのほうに流れていったというような傾向があることは、これはいなめない事実でございます。のみならず、一方において道路交通が発達してまいりまして、日本のモータリゼーションというのが非常な勢いで進んでおります。したがって自動車によりましてドア・ツー・ドアの貨物輸送というのが一番便利でございますから、料金のいかんということよりも、貨物のほうはトラックに流れる部分が多かったという両面からの原因が私はあると思っております。  そこで、それならば今後どうするんだという、調整をどうするんだというお尋ねでございますが、総合交通体系の中でもこれについては誘導策をとりなさいということも勧告されております。しかし御承知のように、私はそういう知識に乏しいのですけれども、一部の国でやっておりますように、西ドイツのレーバープランというようなものですね、そういったように、非常な政府が力をもって自動車輸送を、トラック輸送を押えるというようなことをやれるかやれぬか、また、やったほうがいいかどうか、これは私は非常に問題があろうと思います。いまの日本の状況では、これはなかなかむずかしいことであると考えるのでございます。しかし一体、政府がそういうトラック輸送というものに重点を置いて国鉄関係を考えてないかというと、そうじゃないんです。今度の再建計画の中でも、るる御説明いたしておりますように、国鉄の貨物輸送の体制がおくれておる、設備投資もいままでは旅客が本位であって貨物のほうはゆるがせにしがちであったということは、国鉄も認めておりますが、そういうことでありますから、本来、国鉄のほうで担当しなきゃならぬような貨物輸送というものは、国鉄が国民の需要に応じて、喜んでそういうサービスを提供し、国民がそれを受けてくれるというような体制に、早くすることが一番大切じゃないかということでございまして、そのためには、御承知のように、このごろだんだんPRされて利用されてきておりますが、フレートライナー、コンテナ輸送というようなもの、これは現実に最近の統計を見ますと、コンテナ輸送はふえてきております。   〔委員長退席、運輸委員会理事江藤智君着席〕 ということは、国民の方が喜んで利用されるということでございます。私はやっぱり総合交通体系の中に書いてありますように、日本のいまの社会情勢、経済情勢からいたしますと、やはり競争原理というものが生かされなけりゃならぬ、その競争原理を乗り越えて、国鉄のほうに貨物輸送のシェアをもっと与えてもらえるような、そういう国鉄設備投資も行ない、それに伴ってのサービスの向上というものもしなきゃならぬというふうに考えておるわけでございまして、この十カ年計画におきましては、特にその点に重点を置いて、貨物の輸送関係で、たぶん一兆八千億ぐらいでございますか、のものを投入いたしまして、そういう体制を整備しよう。で、国民の期待にこたえよう、こういう計画で進んでおるわけでございます。
  131. 高山恒雄

    高山恒雄君 そこで、これは国鉄のほうに聞きたいんですが、日本の大動脈といわれる東海道沿線の輸送の需要は、全国の物と人の流れの五〇%を占めておるのです、これは。そういうふうに出ております。いろんなところにそういう報告がなされております。現在こうした地域では、国鉄の東海道線と東海道新幹線と、道路公団の東名、名神の両高速道がいま現在営業をやっておると言っても過言ではないでしょう。国鉄と道路公団との両者から、過去二、三年の営業実績、これは対比されたと思います、国鉄は。どういう実態になっておるか。したがって国鉄については旅客あるいは貨物、これを別にして、あるいは今日の高速道路を走っておる大型トラック、あるいは普通車等に分けて、どういう実態になっておるのか、調査されておるならば、御説明願いたいと思います。
  132. 小林正知

    説明員小林正知君) ただいまお尋ねの件でございますが、まず鉄道部門でございます、新幹線それから東海道在来線、それの輸送量と営業成績、これにつきましてお答えを申し上げます。  順序が逆になりましてはなはだ恐縮でございますが、近い年度から申し上げます。四十七年度でございますが、四十七年度は、ただいま新幹線につきまして、ただ概計がちょっとでき上がった段階でございまして、線別の計算は目下作業中でございますので、在来線のほうはちょっとつまびらかでございません。新幹線だけ申し上げます。  新幹線の輸送量は、私ども人キロで言っておりますが、三百三十八億人キロ、四十七年度でございます。損益は千二百六十二億の益金となっております。それから同じく新幹線でさかのぼって申し上げてまいりますが、四十六年度は人キロが二百六十八億人キロ、損益では千八十三億の黒でございます。四十五年度は輸送量が二百七十九億人キロ、これは万博のあった年でございます。利益が千百七十五億でございます。  在来線のほうについて、四十六年度から申し上げますと、在来線のほうは、輸送量は人キロといたしまして二百九十一億人キロ、国鉄の四十六年度の鉄道全人キロが約千九百億人キロでございますので、約一五%ぐらいに当たるかと存じます。その場合におきます貨物の輸送量は百四十五億トンキロ、その場合の国鉄の輸送総量、貨物の総量は六百十三億トンキロでございますので、約二四%ぐらいに当たります。それで、その場合におきます東海道在来線の営業収支は、損益で客貨合わせまして百七十一億円の赤字でございます。それから四十五年度でございますが、四十五年度は旅客の輸送量は二百九十七億人キロ、それから貨物のほうは百四十七億トンキロでございまして、損益は九十四億の黒字でございます。  大体この二、三年におきますところの東海道新幹線及び在来線の輸送量と、在来線を一本といたしましての損益は以上のような状況でございます。  それから自動車も申し上げますか。
  133. 高山恒雄

    高山恒雄君 自動車も調査してあれば。
  134. 小林正知

    説明員小林正知君) 自動車のほうは、申し上げますと、御承知のように、東名は四十四年の六月に開業をいたしております。それから名神のほうは三十九年の十月の開業となっておりますが、これは国鉄でやっております国鉄自体の自動車部門でございますので、そのほかに、いま先生お尋ねの件は、民間でもこれは東名の何がございますので、国鉄自動車としてやっております……
  135. 高山恒雄

    高山恒雄君 国鉄自動車はいいです。
  136. 小林正知

    説明員小林正知君) これはよろしゅうございますか。それではただいま申し上げたとおりでございます。
  137. 高山恒雄

    高山恒雄君 対比されたものはないですね。——たとえば東名の国鉄の輸送の黒字になっておる面と、いわゆるいまの名神の輸送量との対比をされた、計算をされたものはないですか、それについて。
  138. 小林正知

    説明員小林正知君) そういう分析はちょっといま手元にございません。
  139. 高山恒雄

    高山恒雄君 なけりゃよろしい。  それで、いまの報告を聞きますと、結果的には旧線にせよ新線にせよ、やっぱり旅客は黒字なんですね。したがって問題は、やっぱり競合の激しい貨物の輸送にかかっておると私は思うのであります。たとえば四十四年の現在で自動車輸送が総輸送量の八八%を占めておるということもいわれております。これでは、いかに国鉄が今後、先ほど大臣は今後の貨物輸送に対する近代化をやりたいと言っておられますが、むろん私も個人としても——いままでは手荷物制があった。手荷物持って入れませんよ、いま国鉄は。全くの携帯品だけですね。もう全部それは廃止して、一緒に荷物と人間は着かない。そういうことがいいか悪いかは、それはもうわれわれしろうとが考えても、そういうことを近代化しようという、さっきの大臣のお話でありますが、あるものさえ後退するような方向に持っていっておるのが、今日の国鉄の逆サービスである、こういうふうに私は考えておるわけです。  したがって何といっても、自動車輸送のこの優位が今日進んでおるわけでありますから、こういう傾向にある。その中で国鉄の整備が行なわれるというのが、今日の法案として出ておるのでありますが、これに対して総裁はどのような方針で臨もうとされておるのか。むろん近代化の話はいま大臣に聞きました。聞きましたけれども、総裁として、国鉄自体として根本的にどういうふうにお考えになるのか。先ほど私が言ったように、いまここで値上げして三兆六千億の、あるいはまた貨物に対する一兆八千億ですか、の改造費を入れてやっていけばだいじょうぶだという自信がつくのかどうかですね、この点ちょっとお聞かせを願いたい。
  140. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) かりにいまの私どもで計算いたしております件が、計算のとおりでまいりますと、結局貨物輸送のほうが得だということになるわけであります、端的に申しますと。しかし、これからの日本の経済発展を見て、そして将来の道路あるいは海その他の貨物の移動を見ましたときに、一体トラックと船だけでほんとうに日本じゅうの貨物が運べるかどうか。これは私どもは運べないと言ってしまってはいけないので、むしろ経済企画庁その他の専門家が見た経済社会基本計画なり、あるいはそれの延伸でもって、昭和五十七年度、六十年度に、国鉄は日本全体の輸送量の何%を受け持たなければいけないかというゾルレンのほうからひとつ攻めていってもらいたいということで、昨年一年間勉強してもらったわけでございますが、結局、自動車の、道路事情あるいはガソリンの問題、港の設備の問題等から見まして、やはり昭和六十年度におきましては全体の約一七%、昭和五十二年度には一応一四%に落ちるけれども、労働問題あるいはエネルギー問題でまた変わってくるということで、結局六十年度におきましては全体の一七%のシェアを国鉄でしょわなければいけないという、日本全体からの一種の国鉄に対する割り当てが理論上きまってきたわけでございます。  したがって私どもといたしましては、もうとにかくそこまで持っていくことができるかできないかということを能力の面から考えまして、それにはもちろん背伸びしたことはできませんので、現状を基礎といたしまして、設備投資をした上で、昭和五十七年度までには全体の百四十億トンキロ、ちょうどそのときの全体の二兆トンキロの輸送量の約一七%ぐらいというものを運ばなければいけないし、また運べるようにしなければいけないということで、それにふさわしいような輸送サービスしなければいけない。お客さんが困ればうちへ来るだろうということでは、私いけないと思うんで、輸送をサービスをして、そうしてそれにふさわしいことをする、それは端的に申しますと、鉄道の一番の弱みはドア・ツー・ドアができないでオンレールしかないということでございます。   〔委員長代理江藤智君退席、委員長着席〕 ドイツの国鉄は世界で一番貨物輸送を合理的にやっているということでございますが、コンテナを六十万個持っております。あそこの鉄道は二万五千キロで、うちよりちょっと多いぐらいでございます。そして貨物の輸送量がうちと大差がございません。それで六十万個のコンテナを持っておりますが、私のほうはまだ五万個そこそこでございます。私どもは、今度の計画では三十万個まで持っていきたいというふうに考えております。そういうふうにいたしまして、新しい輸送体制をとらなければ、オンレールだけの輸送では絶対にトラックの便利さには勝てないというふうに考えまして、もうきわめてシンプルな考え方でございますが、コンテナ輸送にどこまで徹し切れるかということでもって勝負をする以外にないんじゃないか。それでもって計算いたしますと、一応五十七年度には百四十億トンキロぐらいのものは運ぶだけの力は出てくるというふうな考え方でございます。
  141. 高山恒雄

    高山恒雄君 大別しますと今日の輸送機関として一番利益の多い機械だとか雑貨、食料品等は主として自動車輸送になっておるというのが現実だろうと思うのです。したがって総裁のおっしゃるのも、一七%というのは、いわゆる材料、これが鉄道輸送になるだろうということは、われわれしろうとが考えてもそう思います。  そこで私は、この十年間に国鉄の貨物輸送を中心として一兆八千億円の投資をされるということでございますが、これが一方、公団、建設省においては九州まで、あるいは北海道までの幹線道路をつくろうとしておりますが、そういうことになっても一七%は必要だとおっしゃるのが総裁の言い分じゃないかと私は思いますけれども、こうした赤字になっておるという事態は、私は国鉄総裁以下管理者の責任もないとは言えませんよ。あらゆる近代化がおくれたという点については責任があるかもしれませんけれども、一方においては道路がどんどんできて開発されていくということになれば、これはいままでの輸送量が半減することはもうきまっておるのです。したがって私は、大臣にお聞きするのですが、なぜ輸送に対する総合対策というものを政府は立てなかったのか、これは政府の責任だと思いますよ。道路ができてくれば荷物が半減することはきまっております。  それを道路は道路でどんどんやっていく、そして多少おくれた国鉄のみが犠牲になって、そしてここに一兆円からの大きな赤字をかかえなければならぬという事態に対して、もっと私は政府が考えるべきだと思うのです。たとえて言うなら、日本にはいわゆる公社、公団が百六十一もあります。これはみんな政府の金ですよ。全部政府関係しているのですよ、公社、公団は。したがって道路公団がそういうふうにどんどん輸送力を持つということになれば、道路公団から国鉄の赤字を埋めてやったらいい。これは当然ですよ。たとえば貨物輸送については特別の料金を取って国鉄の赤字を埋めてやるというような方針を政府がとるなら、これはできるでしょう。ところがそれを税金でまかなってどうかするということを総理もときどき言われますけれども、税金ということになれば、御承知のように、一般自動車も必ず値上げしなくちゃいかぬ、料金を高くしなければいかぬということになるでしょう。これになりますと社会問題です。だからやはり輸送に対する総合的な計画というものを政府がつくって道路の開発をやり、国鉄の開発をやって指導するなら、私は今日のような事態はない。すべてこれは、政府のいままでの総合輸送対策というものがおくれておったということを指摘せざるを得ないのであります。  特に今後、先ほどの総裁の説明では、一七%のシェアだけはどうしても輸送力を確保しなくちゃいかぬという結論が出ておるようでありますが、しかし、これにしても、私はまだまだ未開地域におけるところの、九州地域まで、あるいは東北から北海道に至るまでの幹線が通れば、一七%のシェアと言っておられますけれども、一体どうなるのかということが、やはりわれわれとしては不安なんですよ。この点、総合計画をお立てになる意思はございませんか、大臣、どうですか。
  142. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄の今度の再建計画を出しますについては、御承知のように、一昨年出ました総合交通体系についての閣僚協議会の結論がございます。それを最大限尊重していることは言うまでもございません。しかし、この総合交通体系についてという閣僚協議会の結論は具体的ではないのです。一応の政策の動向を示しただけでございまして、それを現実の交通政策に移すために、いま非常に努力をしているわけでございまして、今度の十カ年計画につきましてもこの総合交通体系に盛られているいろいろの政策をあとう限りこれに加味しておりまして、それの実行につとめておるわけでございます。  道路との関係について、特にお触れになりましたが、これは実は運輸省だけの力ではできません。これは内閣全体の問題であると思います。私どもも、先ほど申し上げましたように、道路との関係といいますよりも、トラックと国鉄との関係でございます。貨物輸送につきまして特にそうでございますが、非常にこれは、本来あるべき姿から、いまだいぶデビエートしていると思うんです。ですから、それを本来の姿に戻すための努力をしなければならぬということを、先ほども申し上げたわけでございまして、先ほどどなたかの御質問がございました際にも申し上げたんですけれども、本来、国鉄というものと道路というものと考えてみますと、これは同じような道を走るということではございますけれども、これは道路は道路、国鉄国鉄の特色があるわけです。その特色が十分生かされてないというところに今日の問題があると思います。  でございますから、もっとこれは、十年も前から気がつけば、こんなことにならなかったんじゃないかというおしかりも、これはそのまま拝聴いたします。私も、それには根本的に、そうじゃございませんということを反論するわけじゃございません。もっと早く気がついて、もっと早く手を打てばよかったなと、いまからは思います。しかし、これは過去のことでございまして、いまこのように国鉄状態が落ち込んで来ておりますから、それを回復するためには、少なくとも、今日提案しておりますような内容の国鉄再建計画というもの、特にその中で、御指摘のような貨物の輸送の近代化というもの、これが現在の日本の社会経済事情に対応するような形でもって、国民に利用していただけるような形でもって推進しなきゃならぬということは、もう当然のことでございまして、そういうような意思をもちまして、今度の再建計画は非常にむずかしゅございますけれども、これに政府としましては、関係各省協力をして取り組もうと、こういう決意であることを、御了承いただきたいと思います。
  143. 高山恒雄

    高山恒雄君 大体責任は感じておられますようですから、大臣にはそれ以上追及はいたしませんがね。全くおそいけれども、私は一つ申し上げたいのは、トラックならトラックの輸送を、これは特別の料金を取ったらいいと思うんですよ。いまトラックには一定のトン数による制限があるでしょう。その制限の監督すらできぬじゃありませんか。だからトラック輸送が拡大することはきまっていますよ。そういうことがぴしっとできるならここまでいかないんですよ。たとえば一〇〇%積んで三千キロ、これしか積めないというものに対して、三千五百あるいは四千積んで輸送しておっても、それの監督はできないでしょう。法律はありましても規制はできないんですよ、そんなことは。できないから今後の問題としても、まあどうせやっぱりできないだろうと思わざるを得ないんです。  私は総裁にお願いしておきたいんですが、もっと国鉄も遠慮なしに、国の政策が悪いんだから、貨物だけについては、われわれの責任よりも、政府の総合政策がないんだと、これを強く主張すべきですよ。そして責任は政府にある。私は総裁がそういう言を吐かれたことは、一ぺんも聞いたことないですよ。わかっておって言われぬのかしらんけれども国鉄だけが犠牲になる必要はないですよ。しかし近代化のおくれだけは国鉄に私は責任があると、先ほども言ったように。こういう点をもっと明らかにしてやってもらいたいと思いますが、きょうは大蔵省も見えておるかしりませんが、企画庁見えておるかしりませんが、一体、貨物自動車の貨物輸送の料金を上げて、その運賃を、国鉄の貨物の輸送にプール的な補助ができないのかできるのか、やろうと思ったら、私はできると思うんですが、どうお考えになっておるか、見えておったら、ひとつお聞かせ願いたい。
  144. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) お答え申し上げます。  先生の御指摘の点でございますけれども、大蔵省といたしましても、本計画は運輸当局、国鉄当局、あらゆる関係の当局と十分相談の上、政府といたしまして決定いたしましたものでございまして、ただいま運輸大臣あるいは総裁等から御答弁の範囲を出ないかもしれませんが、財政当局としての、先生の御質問に対しまして、一言お答えさしていただきたいと思います。  国鉄の赤字、特に貨物の赤字でございますけれども、確かに貨物料金が非常に低かったという点もあろうかと思いますけれども、しかし、それよりも国鉄の貨物の赤字につきましては、近代化が非常におくれておったというところが原因ではなかろうか。それは三十年代におきましては、貨物は国鉄の独占時代でございまして、貨物でも黒字を出しておりました。ところが……
  145. 高山恒雄

    高山恒雄君 ちょっと。私はそんなことは聞きたくないんですよ。その道をつくるのと、国鉄の貨物の減少ということは必然的に起こる問題ではないか。したがって、せめてトラック輸送の料金を上げて、そして国鉄の減少する貨物に対しては、大蔵省としてカバーしてもいいではないかと、このことだけお聞きしたい。
  146. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) その点につきましては各公共企業体、それから公団、それぞれの事業体におきまして、各法律にきめられました事業をやっておりまして、そういう点におきまして、それぞれの企業におきまして事業を遂行してもらいまして、それぞれ予算、決算を行なって、それぞれの職分を果たしていただくということになっておりまして、別途その国鉄の、たとえば貨物に対する対策等につきましては、国有鉄道をどうするかと、こういう見地から、あらためて見直しておるわけでございまして、直接に道路の費用を上げまして、そしてその国鉄の貨物に持ってまいるというふうな、直接のリンクにつきましては考えておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  147. 高山恒雄

    高山恒雄君 いま大蔵省が言っておるのも、やっぱり、いわゆる日本で動いておる貨物量というものを国鉄で運ぶか、トラックで運ぶかという、もう二つしかないんですからね、大きい問題としては。その二つの分析の中で、結果的には独立採算性を持っておるからできないような方向で言っておられるわけですわ。それでは、ここでいま一兆八千五百億という予算を組んで、どれだけ近代化されるか知りませんけれども、私は不可能じゃないかという疑義を持たざるを得ないんですよ。  そういう面は運輸大臣ひとりでできるわけじゃありませんけれども、私は少なくとも国の立場から、いま不均衡になっておる道路開発のために、国鉄が全く悲鳴をあげておるわけですね。これは国鉄の管理者だけじゃありませんよ。ここに働く約五万人の労働者のことを考えてごらんなさい。たいへんな事態です、これは。これを私は申し上げたい。  特に私は総裁にお願いしたいんですが、この監査報告において、大体一万一千三百人の合理化の人員ができたと、こういっておられますけれども、いまの合理化にあう人の退職金を何ぼと思っていますか。私は国鉄でも五百万円ぐらいだと思うんですよ、三十年か三十五年つとめて。そして共済保険にしても、わずかに三万円か四万円じゃないですか。生活できますか。これだけ物価が高騰して、地価の値上がりもして、そして官舎から出ていかなきゃなりません。こういう時代に、これだけの人を合理化しなくちゃならぬという事態には、もっと考え方を異にして、政府に責任のあることを、私は総裁として追及してもらいたい。運輸大臣は運輸大臣の立場から、この貨物におけるところの輸送体系というものは、国の政策として、むろん今日の公団にしても公社にしても独立採算制でやっていることはもうはっきりしています、そんなことぐらいは。けれども、こういう特別の事態における問題については特別の処置があるはずだ。過去の慣例にこだわる必要はないですよ。それが政治だと私は思っておるんです。  それがやれないようなことなら、政治はあってもなくてもいいじゃないかというようなことの結論になろうかと思うんです。この点は、ぜひ私は強く要望いたしておきます。なるほど運輸大臣だけの責任でもございますまい。けれども、その発言をされるところは国鉄総裁であり運輸大臣でなければ、ぼくはできないと——スクラム組んでやってくださいよ。そうすれば解決つく問題だと、こういうふうに考えます。  なお時間が短いのでありますが、私は、これは総裁にお聞きしたいんですが、非常に残念なことに、これだけ国鉄が赤字を持って、しかも労使がいがみ合いで二百億の損を来たしておるということが監督から報告をされております。これは実に情けない話です。ところが新聞記事を読んでも、あらゆる問題を調査すればするほど、まさに今日、国鉄の合理化にあうその人員というものは不幸な事態ではないか、こういう時期に。——それは民間産業も相当やりました、希望退職もつのり、いろんな合理化もやりましたけれども、これはいまから五年前ですよ。まだ退職金で家も建ちましたよ。こういう時代にこういう事態が起こっておる。これをどう考えるかというと、これは管理者の責任において、私はその考え方を基本的に直してもらわなくちゃいかぬ。むろんいろんな労使関係においては解決のつかないような問題もありましょう。かりに二百億の金があるとするならば——雇用人員を、自然退職が一万三千人ある、そして年間三千人の人を新規雇用しておる。それで労使のいがみ合いで二百億の赤字を出すというなら、二百億の金で何人の人が使えますか。かりに年収百五十万の月給取りなら一万三千人使えるじゃありませんか、一万三千三百人。何も極端な合理化を、いまここで押しつけるようなことをして、紛争を起こさなくてもいいじゃないかという、われわれのしろうとから考えるなら。もっと国鉄にはいろんな問題もございましょう。ございましょうけれども、この一面だけを見ても、私はそういう点はよほど考えてもらわなくちゃならぬ。それなら、いま一万五千人でも二万人でもやめる人に二百億のこの金を第別退職金として出したら喜んでやめる人がおるかもしれません。実際問題として、そうですよ。  だから、これから十年先に十万人からの何をやるとおっしゃっていますけれども、やっぱり人間を対象とする問題であるがゆえに、国鉄としては立ちおくれた合理化を一挙にやるということの考え方はやっぱり無理がある。したがって政府で解決をつけてもらうものは政府に強く主張する。そうして、みずからやらなくちゃいかぬことはみずからが反省する、労使が。労使が判断しなくちゃなりませんよ。そうして、再建方式をみずから考えるということにならなければ、私は現状のままで何年たっても繰り返しになるんじゃないか。先ほど私が申しますように、この時期に合理化の対象になった人ほどみじめなものはない。これは何としても管理者は考えるべきだと、私は思うのであります。この点、総裁どうお考えになるか。
  148. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いまの合理化の問題でございますが、一応労使紛争の中にはいろいろ原因がございます。また目的もございます。もちろん必ずしも経済問題だけではなしに、いろいろ政治的な目的が入っていることもございます。私のほうは合理化を進めていきます際には、必ず今年はこういうこと、こういうことをやるということで、年度当初に組合といろいろ話をいたします。この組合も四つございますので、なかなか話がつきませんが、一応年度当初にきめまして、そうしてそのきめたことを実施していくというような、ここ数年来そういうような仕事のやり方をいたしております。  したがって、もちろん、たとえば機関車乗務員の一人乗務など、ずいぶん御迷惑をおかけいたしましたが、一応形としてはきちっと合理化としての話をつけてやった問題でございまして、合理化については、やはりこれは労働条件でございますので、あくまで組合と話をして、話の済んだものからやっていくというたてまえはくずしておらないつもりでございます。しかし末端ではいろいろございますが、本筋といたしましては、あくまで組合と話をしてやっていくというたてまえでございます。  それからもう一つ、確かにいまの時世でやめる人はたいへんつらいと思います。しかし実際私のほうは、首は絶対切らないというたてまえであります。あくまでも減耗補充の調整でやっていくというたてまえでございますので、その点は最近の、物価の関係で、生活が苦しいことはよくわかりますが、やはりいまの国鉄の人員構成から申しまして、定年になったらやめてもらうという以外に方法はないと思います。  非常に四十歳の高年齢企業でございまして、日本で最高の年齢企業だと思います。これはどうしてもある程度新陳代謝をはかりませんと、人員構成がうまくならないということでございまして、この十一万人合理化は、あくまでも減耗補充の調整ということで実施をしてまいりたい。やる内容につきましては組合と話をしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  149. 高山恒雄

    高山恒雄君 もう時間がありませんから簡単に聞きますが、いまの総裁の話を聞いておると、自然退社を待つ。定年退社を堅持するという国鉄の方針のようですから、これは労使でおきめになることですから、そこまで私は言う必要はないと思いますが、問題はこの補充人員の問題だろうと思うんですよ。これがやっぱり合理化につながるのだろうと思うんですよ。そこで、二百億の赤字を出すほど紛争が続くなら、この問題だけでですよ。これ以外の問題もあるといま総裁がおっしゃるから、どんな問題があるか私は詳しくは存じませんけれども、そういう事態が、この合理化のためにそういうことがあるならば、政府としても、これはやっぱり国鉄としても考慮する必要があるのではないか。二百億をペイにするよりも、むしろ段階的に解消していく必要があるのではないかということを私は申し上げたいのであります。  先ほど言いましたように、百五十万の収入者が、大体二百億というと、一万三千人の雇用ができるにもかかわらず、むだな赤字を出すということは、これでは国民が納得しないわけですよ。こういう点をひとつ考慮してもらいたいということを私は申し上げておる。特にお聞きしておきたいのは、公務員には特定退職金というものを出すようになりました。それをもし適用されるとするならば、国鉄はどれくらいの費用がこれに要るのですか。
  150. 小林正知

    説明員小林正知君) お尋ねの件は、先般改正になりました退職金手当法の、勤続二十年以上の方に対する、永年勤続者に対する増額措置の問題かと存じますが、所要額といたしましては、正確に、昨年の十二月にさかのぼって適用するということになっているようでございますが、ちょっといま手元に詳しく持っておりませんが、おおむね百億円というふうに考えております。
  151. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 高山君時間が超過しましたので。
  152. 高山恒雄

    高山恒雄君 時間がありませんから、もっと詳しく申し上げたいのですけれども、これで終わりたいと思いますが、大臣国鉄の総裁もそうですが、結局今度の法案がかりに、どういう結末になるかわかりませんけれども、国民がほんとうに注目をしておりますことは、やっぱり乗客運賃は黒字であるのに、貨物輸送運賃が上げられないというところに大きな問題の焦点があろうかと思うのであります。したがって一兆八千億円の予算を組んで、これから十年間に近代化をはかるとおっしゃっておるのでありますが、そうして何とかして近代化をしようということでありますが、私はやっぱり総合対策の上に、同じ政府が、ある程度投資もし、かつまた監視をしておられる立場から、少なくとも貨物輸送については国鉄だけが犠牲になるということでなくて、もっと総合的な輸送問題を検討してもらって、そうして国鉄の赤字を、それから年々埋めていく、こういう行き方を、ぜひやってもらいたいことを希望意見として申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  153. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 高山君の質問は終わりました。  春日正一君。
  154. 春日正一

    春日正一君 時間が非常に短いものですから、あまりこまかいことではなくて、大きい筋で、特にまあ大臣と総裁にお聞きしたいんですけれども、今度の法案の提案の理由は、国鉄財政を健全化するために運賃の値上げもし、あるいは建設計画も立てるということのようですけれども、ここで出されておる十カ年の試算というものを見ますと、初年度で約二三%ですか値上げして、あと五十一年、五十四年、五十七年と四回値上げをすると、それでこの財政を健全化するということになっているわけですけれども、この間の物価上昇の年平均を三・五%と見込んでの計算だというように聞いているんですけれども、これは間違いないですか。
  155. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) おおむねそういうところでございます。
  156. 春日正一

    春日正一君 これは私の聞いたところでは、卸と小売りといいますか、それ半々で買っているものだから、だから卸がほとんどいままで横ばいになってきたから、だから三・五%という見込みが出たと思うんですけれども、しかし最近の物価の値上がりの状況を見ますと、むしろ卸のほうがリードをしているわけですね。特に国鉄で必要としておるセメントとか鉄鋼とか、そこ他そういう関係のものが非常に値上がりして、七月で対前年比一五・七%、小売りのほうは七月で対前年一一・九%ですか。そして国鉄でこれからやっていくのに必要ないわゆる土地について言えば三三%というような非常に値上がりをしておる。特に卸売り物価が急激な値上がりをしておるというような状況、しかも、これがそう簡単にいつごろ鎮静し下がるかというようなことは考えられないだけでなくて、いままでの経験からすれば、一度上がったものはもう下がるということはないですね、物価は。そういう条件になっている。  そうすると、こういう傾向の中で、この立てられたいわゆる再建計画財政計画というものは当然大きな狂いが出てきて、この計画のまま、つまり最初に考えておったように、実質一五%、一五%、一五%と、それから最後は一〇%というような形で上げていっただけでは、赤字の解消というようなことにはならぬのじゃないか。当然くずれてくる。もうすでにくずれ始めたと言えるんじゃないか。そこの点どうですか。
  157. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) お手元の試算は私のほうで試算したものでございまして、政府のなすったものでございませんので、私なりのもとを申し上げますと、確かにいま先生のおっしゃったとおり、最近異常な卸売り物価の値上がりになっております。初め卸売り物価の値上がりの中でも、ほとんど繊維製品とか、そういうあまりうちに関係のないものの値上がりでございましたが、ことしの春ごろからいまおっしゃったような鉄類、セメントあるいは非鉄金属、塩化ビニール等の値上がりがひどくなってまいりました。ただ私のほうから見ますと、鉄と申しましても一口に鉄全部でございません。たとえばレールとか、あるいは一般に使う鋼材とか、これは全然上がっておりません。もう建て値のとおりでございます。問題は鉄筋でございますが、鉄筋は相当上がっているようでございますが、これは供給不足と申しますより、むしろ流通過程の問題にあるんじゃないかというふうなことがいわれております。それからセメントも若干上がっております、最近。生コンも上がっておりますが、これも少しいま鎮静ぎみでございます。  しかし、たとえば銅のように国際価格を持っておりますものは、これは国外のストライキその他の情勢で急に上がっておりまして、一時七、八年前に、やっぱりいまごろ上がりまして一ぺん下がったことございますが、そういう意味で、非常に物資によりまして先行きがばらばらでございます。また原因も違っておりますので、私どもといたしましては、確かに三・五%は去年の、これをつくりますときの見込みでございますので、いま先生のおっしゃったような御疑問のあるのは確かでございます。しかし現在上がりつつあるものを克明に分析いたしますと、非常に影響のあるものとあまり影響のないものとございます。したがって私どもといたしまして、影響のあるものは主として国際価格のあるものが多うございます。これらについては、やはり私は、政府のいろんな意味の角度からする強硬な卸売り物価に対する抑制政策がいずれ効を奏してくるだろうということを考えておりまして、これがだめだとおっしゃってしまえばそれきりでございますが、私どもは必ずや卸売り物価につきましても、ある程度の鎮静時期が来るということを目標といたしまして、しかも十年間のロングランでございます。三分と申しましても複利できいてまいりますので、そういう長い面から見れば、過去の実績などから見ましても相当抑揚ございますが、十年間で見れば大体その程度のワクでおさまっているというふうに思いますが、もし非常な、私どもの予期しない突発的なことがさらに起こり、それが一切鎮静しないとでもなれば、これはまた別かもしれませんが、いまは私どもそういうことに期待をかけておるわけでございます。
  158. 春日正一

    春日正一君 まあ非常に、だから主観的願望というような不安定な要素が加わっている。しかも経済の様相から見れば、ここ数年来の国際通貨体制の動揺とか、そういうような形の中で、いままでわりあい安定しておったEC諸国なんかでも物価の値上がりというものは激しくなっておるし、国際インフレというような状況の中で、日本だけの要因でなくても上がる、そういうものがふえているわけですね。  そこへ持ってきて、政府が大規模な公共事業をやる。たとえば国鉄でもいままでの三兆何がしというのを十兆五千億にふやしたと、道路のほうでもいままでの約十兆というのが十九兆五千億にふやしたというような形で、これがまあ一つのインフレ要因になっている。そしてとめるために公共投資の繰り延べもしなきゃなるまいということで現にやっているわけでしょう。そういうふうな形で、みずからインフレ要因をつくるような計画を持ち出しており、さらに国鉄運賃を上げるということになれば、相次いで公共料金の値上げが要請されてくるだろうといわれる。現に電気料金とかなんとかいろいろ出てきております。  そうすると、結局国鉄のこの計画自体の中に、あなたの考えた赤字をなくすという計画をこわす矛盾がすでに含まれておる。だからこれは考え直したらどうかとそう思うんですが、どうですか。私はこの計画やっても、必ず途中でやり直してもう一度といって出てくるにきまっていると思う。その点どうですか。
  159. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私も決してやさしい手段、やさしい心がまえでできるものとは思いません。運賃一つ上げていただくんでも、これで九百日かかっております。そういう意味で、今後三年、三年ということはほんとうにできるかどうか、非常にむずかしいと思います。  また運賃に限らず、いろいろないま先生の御指摘のようなむずかしい問題あると思いますが、しかし、やはりそういう難局を乗り越えていかない限り、どうしても国鉄の再建はできないと、また政府からも相当な金をいただくことにいたしておる。これはいわば国民の税金でございます。はたして国民がこれだけの税金をお出しになることを、今後、毎年御承認くださるかどうか、これも国会の御承認が要るわけでございます。そういう意味で、いろいろ先生のおっしゃったように、不確定要素とおっしゃれば、確かに今後、国会で毎年御審議願う予算案あるいは運賃問題、いろいろ不確定要素がたくさんございます。しかし、やはりわれわれといたしましては、そういうことを一つの目標として進まない限り、ただ毎年毎年の行き当たりばったりの予算ではやっていけないわけでございます。四十万人の従業員一人一人にとってみましても、一体おれのところどうなるのかと、十年先どうなるのかという見通しがなければ、ほんとうにまじめに働く気がないと思います。そういう意味で、私といたしましては、できるだけの政府の御援助と国民の御協力を得た上で、こういうものを一つの目標として進みたい。計算をいろいろこまかくいたしまして、いろいろお知恵を拝借しまして、こういう案をつくったわけでございます。非常に困難だと思います。決してやさしいとは私は思いません。困難だとは思いますが、全力を尽くしてやってまいらなければいけないし、またやってまいるべくあらゆる努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  160. 春日正一

    春日正一君 私は、やはり十年、二十年、もっと先まで考えて、しっかりした計画でやることに反対しているわけじゃなくて、もう一度繰り返していえば、いま出されておるこの提案自体の中に、この計画をこわしてしまう矛盾が含まれておる。そのことを指摘しておるわけです。  そこで運賃の問題についても、衆議院でわが党の議員が質問でも明らかにしてきたように、やはり赤字の問題というのは、大企業製品の貨物輸送による大きな赤字、それから約二千億に上る利子の支払い、それからこの定率法による過大な減価償却というようなものが、いま算出されて出てきている赤字の大きな原因なんだから、ここにメスを入れて、この問題を根本的に解決していくというようにしなければ、この赤字の問題というものは、単なる運賃値上げとか、そういうことだけでは片がつかぬのじゃないか。このことはいままで衆議院でも主張してきましたし、私もここで、もっとこの問題に立ち入りたいんですけれども、時間ないから、この点は、やはりここを考えなければならぬのじゃないか、その点だけを指摘して次の問題に入りたいと思います。  そこで、次の問題は、例の設備投資計画の問題ですけれども、この問題について見てみますと、約十兆という設備投資の中で、投資額が新幹線において四兆八千億、鉄建公団の分を合わせると約八兆円ということを見ても明らかなように、新幹線を大急ぎでつくるということが、投資計画の中心になっているというように思うんですけど、その点はどうなんですか。
  161. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 全体は十兆五千億でございますが、その中で約半分ちょっと弱が新幹線でございます。逆に申しますと、半分以上が在来線でございます。これはやはり在来線の複線、電化あるいは通勤輸送の強化あるいは老朽取りかえというふうなところに重点を置いてまいるわけでございまして、確かに新幹線が約半額でございますが、半分以上はやはり現在でも二万キロの在来線の改良であるというふうにおぼしめしていただきたいと思います。
  162. 春日正一

    春日正一君 そこで、去年の提案では、新幹線のほうは五十六年度で三千五百キロというふうに言われておったものが、ことしは五十四年度で三千五百キロ、六十年度で七千キロ、大幅に繰り上がっているようですけれども、これはどういう理由でそうなったんですか。
  163. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 昨年提案いたしましたものは、いま御指摘のとおりでございますが、ことしの分は昭和五十二年度に現在の工事線が完成し、昭和五十四年度に現在の調査線をつくり上げる、こういう計画になっております。これは昨年の案に比較いたしまして、確かに新幹線の整備を早くしよう、いわゆる国土の総合開発を一年でも早くしたいと、こういう御希望によって、われわれの希望も含めましてつくり上げたものでございます。
  164. 春日正一

    春日正一君 新幹線は国土の総合開発を早めるというために早めたということになると、結局、国鉄のそういう投資計画といいますか、建設計画というものが、田中総理の言っておる列島改造論とか、あるいはその前に策定されておる新全総とかいうような産業優先の立場からこれは行なわれておるのだ、こういう判断に受け取っていいですか。
  165. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 田中総理の列島改造論を待つまでもなく、いまの日本の現実であります過疎状態、過密状態、これを改善いたしませんと、日本国土全体にわたって、いわば豊かな生活を国民にしてもらうというわけにはまいりません。それにはやはり都市と都市との間を最短時間で結ぶような幹線も必要でございます。またそれだけではございません。いまお話しのような産業の関係から申しましても、あるいは地域住民の関係から申しましても、現在ございますような在来線の強化、複線にしたり、複々線にいたしましたり、電化をいたしましたり、サービスの内容を変えていくというようなこともこれはぜひ必要でございまして、そういったことを含めまして、今度の提案をしておるわけでございまして、新幹線は非常に経費がかかるものですから、四兆八千億くらいのものを十カ年間に予定しておりますが、五兆八千億くらいのものはやはり在来線のほうに投資するということを、先ほど国鉄総裁が申しましたが、単に産業優先の列島改造にこれはつながるのが趣旨だろうとおっしゃいましても、そうではございません。いま申し上げたような趣旨でございます。
  166. 春日正一

    春日正一君 それでは少し材料をお読みしますけれども、交通新聞の二月四日付の中で、磯崎総裁は、「いまやっている四十四年度からの計画は、十年間で投資が三兆七千億です。それが、今後は十兆五千億ですから、三倍投資するわけです。ですから、その意味では、いままでは過去の再建計画は失敗したといわれていますけれども、四十四年度から見ましても、なるほど財政再建のほうはうまくいっていませんが、設備投資のほうはほとんど計画どおりいっているんです。」、つまり財政再建のための提案として出されてきておるこの法案というものは、総裁自身の頭の中でも、財政再建そのものはうまくいってないけれども設備投資のほうはうまくいっています、こう思っておる。だから私は言うのですよ。その設備投資が問題なんだろうと、そのために運賃も上げ、合理化もやり、国鉄労働者と国民の犠牲でもって、主として大企業のための貨物を安く大量に輸送するための在来線の貨物化、それを浮かすための新幹線の強行的な建設ということをやるのじゃないか、そう言わざるを得ないわけですね。あなたがそう言っておいでなんです。  それからもう一つ申しますと、新幹線の計画自体でもあれなんでしょう、いままではもうかっておるけれども、しかし、これからつくる新幹線で、計画内には黒字になる見込みがないものがあるということを、総裁はやはり同じ新聞で言っておいででしょう。だから、そういうふうに見ていきますと、新幹線をつくるということがすべての中心で、それに付随して黒字になればけっこうだというふうにしか、これは受け取れないわけなんですね。そこらを私は言っているわけです。  それから、ついでに時間の節約上言いますと、じゃ国民の足のほうはどうかという点ですけれども、やはり今後十年間の通勤対策、これは混雑率は二〇〇%まで引き下げる、こういうふうに聞いておりますけれども、やはりこれも衆議院での答弁の記録を読んでみますと、むしろ四十キロ圏、五十キロ圏、そっちのほうくらいまでに国鉄の守備範囲はもうしておいて、主として通勤対策は地下鉄とか私鉄とかというようなものにまかせるような答弁になっているようですけれども、だから大臣言われたように、国民の足も十分改善する、そうして貨物もやるということじゃなくて、実際には貨物が主になるというふうにしか、いままでの審議の経過を見ると受け取れないのですけれども、そこらの辺、どうでしょうか。
  167. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ことしの二月ごろのことで私も正確には覚えておりませんが、それはこういう意味でございます。いわゆる国鉄財政再建というものは、普通の民間企業なら縮小再生産でいらないものをどんどん切って、そして財政だけを再建すればいいんだと、ところが国鉄はそうでなしに、財政を再建すると同時に、やはり国民の要請にこたえて、公共事業としての輸送力の増強をやらなければいけないのだという二面があるというところから説き起こしておるわけでございまして、その点からずっとまいりますと、私の申したことが大体御了解いくと思うんです。  実際にことしの二月でございますので、そのときに一番申したことは、ちょうど東京を中心とした通勤輸送、いわゆる五方面作戦がほぼできかかっているときでございます。御承知のように、現在横須賀線の分離だけができておりませんが、あとは中央線、東北線、総武線、常磐線、全部お約束どおり完成いたしました。それを言ったのでございまして、財政再建がだめになって通勤輸送をよくしないじゃないかというお話でございましたが、そうでないのだと、実際ごらんくださいと、東海道こそいま横浜の別線でもめていますけれども、あとは全部お約束どおりきちっと複々線にしたじゃございませんかということを強く申したので、そうなっておりますが、今後とも、いま一応先生おっしゃいましたこれからの国鉄の、ことに東京における通勤輸送の問題はもう山手線の中では地下以外にはございません。いまの線路に並行してつくることは絶対に不可能でございます。これは住民の関係から申しましても、たとえば中央線をもう一線つくるということは不可能でございます。高くすることもできません。したがって地下でございます。そうなりますと、国鉄というものは地下鉄道については一つの守備範囲がきまっておりまして、なかなかできない。したがって国鉄がやることは、やはりこれからだんだん通勤圏距離が延びてきます。したがって、ある程度遠距離、五十キロ、百キロのところを国鉄がやらなければいけないのであるということを申したのでございまして、決して通勤輸送を粗略にするという意味ではございませんで、むしろこれから、大阪のほうが非常にいままで手が抜かれているわけでございます。大阪の通勤はこの連合審査でも、先ほどもお話ございましたが、ほとんど手が入っておりません。これは徹底的にやらなければいけないというふうに思っているわけでございます。東京だけが通勤じゃございませんで、やはり大阪もわれわれやらなければいけないと、こういう意味で今度の予算の中で四千億でございますか、計上しているわけでございます。
  168. 春日正一

    春日正一君 ここでそういうふうに言われた趣旨、速記録でもいわれておりますけれども、説明があったから、それはそれとしておいて、つまりそうだとしても、これは物理的にできなくなったということを言っておいでになるんで、結局そういうことは、東京にそれほどの、国鉄がどんなに努力しても運び切れないほどの人間が急速に集中してきておるということだと思うんですよ。そうして、先ほど大臣は新幹線をつくる、そういうことで、いわゆる過密、過疎もなくして、旅客の輸送なり、そういうほうもやるというふうに言われたのですけれども、しかし実際は、調べてみますと、高速自動車道路ができたり新幹線ができたりして、交通が便利になると、中心にますます企業は集中するものです。  私、時間の関係上、こちらで調べたものを読み上げますと、たとえば資本金十億円以上の会社が昭和三十八年には全国で七百四十七、東京では四百十五社、五五・六%ですね。それが昭和四十一年では全国で千二十八社、東京で五百九十九社で五八・三%とパーセントは上がっているわけですね。ところが名古屋は三十八年度で三十社、四%、これが四十一年度では三十九社、三・八%、比率がこう下がってくるのですね。  だから東京−大阪が新幹線でつながれて便利になったという状況のもとで、名古屋のような中部圏の中心都市ですら、いわゆる産業配置上の比率というものが下がってくる。本社機能がここに集中されてくるということになれば、それに伴う人間がやはり東京に集中されてくるということになるわけですから、だから交通便利にする、そのことで、これは田中さんの錯覚だと私は思うけれども、日本を一日行動圏にするから、だからどこに住んでも東京に来れるからいいじゃないかというような言い方をしておられますけれども、そういうものじゃなくて、便利になればなるほど単一の中心から全国を支配していくというか、指導していくというか、そういうことになるわけですから、管理中枢機能というものは一カ所に集中していき、それに伴う人口の増加というものが出てくる。現に東京のビルラッシュというものはそういうものでしょう。  だからここのところは考え方が少し違っているのです、事実と。そこを改めなければ、この計画というものは、あなた方の主観的な願望と客観的な結果とは食い違ってくるわけでしまう。あなた方は過密、過疎をなくするために新幹線を全国に張りめぐらそう、それから高速自動車網を全国に張りめぐらそうとしておいでになる。しかも実際には、高速はそうじゃなくて、便利になれば集中されるというのが法則なんだから、資本主義の。そうして現にそうなっておる。その計画をおやりになったらますます過疎になり、ますます過密になる。この差が大きくなるんじゃないか。この事実について、あなた方はどうお考えになっているのか。
  169. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまの御提案、御提起の趣旨は、おそらくいま衆議院で御審議中の新全総についてのいろいろの御議論の中において、戦わされる議論ではないかと思います。したがって運輸省といたしましては、それに対して的確に答えることはできませんけれども、個人的な考えを申し上げますと、新幹線ができれば東京とか大阪というような大都市の地方都市に対する支配力がそれによって増してくるのだ、こういうような御見解のようでございますけれども、むしろそうじゃなくて、われわれのほうは、そういう支配力とかなんとかということじゃなしに、輸送の需要がふえるのです。輸送の需要がふえたら、それに対応した輸送手段というものを考えなければならぬというのが、これは運輸省の責任でございます。  したがいまして、その輸送の需要のふえないところにそういう新しい路線をつくったりということは考えてはおりませんけれども、全国的に、全体の総合開発計画というようなものが進んでまいりますと、それに伴いまして、輸送についてのお客さん、あるいは貨物についての需要がふえてまいりますから、それを見通しまして計画を立てているというふうに御理解をいただきたい。
  170. 春日正一

    春日正一君 もう一つ具体的な問題でお聞きしますが、ローカル鉄道の問題ですけれども、たとえば四国の循環鉄道、これは四国の四百万住民の切望しているものですけれども、昭和三十四年の十一月の鉄道建設審議会で、その建設計画が建議されておるのだけれども、現在まで実現に至っていないわけですけれども、これはいつまでにおやりになる予定ですか。
  171. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 四国の鉄道が、他の地域に比べまして発達がおくれているということは事実でございまして、私たちといたしましても、四国の循環鉄道というものには主力を置いているわけでございます。  御指摘の問題は、一つは阿佐線の問題かと思うわけでございます。一つは窪江線の問題かと思うわけでございます。いずれも現在鉄道建設公団がAB線として建設いたしておるわけでございますが、窪江線につきましては来年の三月の末に完成いたしまして営業を開始する。こういたしますと、四国の西部におきましては宇和島線も進みまして循環鉄道ができるわけでございます。東部につきましては阿佐線でございまして、これはいま徳島のほうから工事を進めるとともに、高知のほうからも現在測量いたしておる段階でございます。で、これもことしの十月に、一部でございますが、さらに牟岐−海部間をことしの十月に開業するということで、このいずれにつきましても、四国の循環鉄道につきましては、運輸省といたしましても鉄道建設公団といたしましても力を注いでいる状態でございます。
  172. 春日正一

    春日正一君 そういうことで、ローカル線なんというものはきわめて進行がおそい。そういう状態にされておる。しかも国鉄の合理化ということで地域産業に直接影響を与える貨物の取り扱い駅を廃止して、現在では取り扱い駅が四国では五分の一以下に減っておるというふうに聞いておるし、そういう形で地方の鉄道というものは非常に不便なものになっておる。そういうふうにしながら新幹線だけは大急ぎでどんどん建設していくというようなことになっておって、しかもそれは、ここではっきり、改造論でもいっているし、新全総でもいっているけれども、「いまの鉄道の貨物輸送能力を四・六倍に拡大しなければならない。そのためには、まず全国新幹線鉄道を九千キロメートル以上建設し、これによって浮いた在来線の旅客輸送力を貨物に切替える必要がある。そうすれば鉄道の貨物輸送力は三倍に増加する。」というように本でいってますよ。そして大体新全総でも、方向としてはそういう方向ですね。だから先ほど総裁はゾルレンとして考えていくと言われたんですけれども、まさに産業のための要請にこたえると、ここに今度の再建計画の提案の一番の骨筋があるんであって、赤字の解消というのは、それをカバーしていくためのもんだと、こういうふうにしか考えられないんじゃないですか。
  173. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 春日先生、たいへん誤解をしていらっしゃいます。これはもうるる予算委員会でも運輸委員会でも御説明をしておるとおりでございまして、特別の産業のために国鉄の十カ年間の改善計画を出しているわけじゃございません。  少し時間かかりますけれども、これは運輸委員会でも申し上げたことですから申し上げますと、単に新幹線だけではございませんで、先ほども申し上げましたように、在来線につきましても、貨物関係で何とかして国民の需要に応じるようにしようというんで、貨物の輸送のシステム改善をやろうということで、十年間に一兆八千億ぐらいの金を出そうとしております。これはしかし大企業のためじゃございません。国民全体のためにやるわけでございます。それから在来線についても複線をやったり、電化をやったりいたします。これも相当の経費を経上しているわけでございます。  それから、むしろ春日先生からはおしかりを受けるんじゃないかと思っておりましたが、むしろ地方のローカル線どうするんだというようなお話、これもことしの予算をごらんになりましても、昨年よりもふやしておりまして、やはり地域住民の最後の足だけは確保したいということで、地域の要望にこたえるための予算の増額をいたしておることは、御承知のとおりでございます。  それから企業企業とおっしゃいますけれども、これはもうあなたの御主張は御主張といたしまして、運輸委員会でも御答弁したんですけれども、まあ新幹線はさっき申し上げたとおり。それから在来線についても複線化率、複線を何%ぐらいやるかと、現在は二四%ぐらい、それを十カ年間に三三%までに上げますと、それから電化率も三二%ぐらいのを四八%まで上げますと、まあ大都市では、旅客輸送については全部冷房化いたしますとかというようなことを、これはもう申し上げると切りはないんですけれども先生のお考えとはだいぶ違った方向で国民全体を対象としてのサービスを強化しようというのがねらいであることだけは御了解をいただきたいのです。
  174. 春日正一

    春日正一君 私は了解できないんですよ。というのは、貨物についていろいろ改善すると言われますけれども、国民が一番手近にすぐそこの駅へ持っていって小荷物を送り出そうとか、荷物を持っていこうとかいっても、小さいところでは受け付けないと、次の駅までトラックかオートバイで持っていかなければならぬというような不便な状態がつくり出されて、そのかわりに大きなところへまとめて扱い所をつくって、まあ合理化をしていくというような形だから、国民にとっては非常に不便なものになっている、これが事実ですよ。  それからもう一つは、新幹線で行くと、東京−大阪は三時間で行ってしまうんですけれども、大阪−松江間の三百七十九キロを、まあこれは新幹線であれば非常に短い時間で行くでしょう。ところが、松江から益田までの間の百六十二キロを急行で三時間十八分、普通で行くと五時間四十分かかるんですね。だから地方の人たちというのは非常な不便を感じる。この間私、丹後の宮津へ行って、帰りに大阪の新幹線までローカル線に乗ってきたけれども、あそこの乗っている時間と新幹線で東京まで帰ってくる時間とあまり違わないというような状況になっているわけですね。ですから決して、大臣の言うように、地方の人たちの便利のためにというようなことにはなっていない。地方は古いまんま、あるいは先ほどの貨物の例のように、依然として不便な状態にされておるというふうに言えると思うんですよ。ここら事実の問題ですからね、事実判断の。だから私、いま時間がないものですから、ほんとうならあなた方に一つずつお聞きして、あなた方の口から答弁してもらって、それを押えてこうなるじゃないかと言っていけば、それが一番いいんですけれども予算委員会みたいに片道方式じゃないものですから、私、大ざっぱに自分のほうから調べたものをぶっつけていくという形になったものですから、非常にラフな議論になったんですけれども……。  もう一つ最後にお聞きしておきたいことは、新幹線が七千キロに達した時点で国鉄の従業員はいまの四十四万から三十三万に、十一万人減らすというのですね。これで在来線のサービスとか新幹線の安全とか、そういったものが守れるのかという問題です。この問題は先ほど田代委員も言いましたし、高山委員も言いました。だから私はそれにつけ加える意味で、一つお聞きしたいことは、あの鶴見の事故、あれはいろいろ原因がありましょうけれども、下請にやらしたと、こう言っているんですね。国鉄にとって線路と言えば、路線の保守、これはもう一番生命でしょう。それを下請にやらせたということでいいのか。手荷物も下請にする、列車の清掃も下請にする。——あのくらいのこと下請かと思っているうちに、線路の保守まで下請にしてしまったと、国鉄は結局何にもしないという状態になっていく、無責任状態が出てくる、そういうことで、この十一万人を減らすのかということですね。その辺どうですか。
  175. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いわゆる十一万人の合理化の問題、これはすでに三万人が実施されておりますので、残りは七万強でございます。したがいまして、今後の問題といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、こまかい項目ごとに積み上げていって、そして大体これで何人、これで何人というふうなやり方をやった上で数が出ているわけでございまして、したがって、それはただ仕事を切り捨てるとかいうことではなくて、やはり設備投資をして、そしてそれによって人を浮かしていく、こういうやり方でございます。
  176. 春日正一

    春日正一君 下請の話。
  177. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それからいままでのように、下請に出すということ、仕事を切り捨てたり下請にするということ、これはもちろんないとは申しません。しかし、おおむね今後は設備投資によって人を浮かしていく、こういうやり方でやるわけでございます。  先ほどの下請の問題は、確かに線路の保守、もちろん重要な保守は全部直営でやっておりますが、きわめて軽微なことであったというふうなことだったと存じますが、これにつきましても非常に厳重な資格審査、試験をいたしまして、監督してやっておったわけでございますが、これはまだ原因がはっきりいたしませんから、だれがどうと申し上げませんが、今後もちろん下請にいたしましても責任は私にございます。そういう意味では一切責任をのがれる意思は毛頭ございません。したがいまして、今後の合理化につきましても、あくまでも輸送の安全、これは絶対でございます。安全が守れなければ私はやめるだけでございます。そういう非常に重大な責任を私は負っております。  したがって私は、ほんとうにあだやおろそかで安全を犠牲にするような気持ちは毛頭ございません。やはり命にかけてやらざるを得ない、やるのが国鉄総裁の仕事であるというふうには思っております。
  178. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 春日君、時間を超過しておりますので、簡略に願います。
  179. 春日正一

    春日正一君 簡単に結論を申します。  私はそういう意味で、下請にして仕事を省いていくというような安易な考えで国鉄はやってもらいたくないし、特に線路の保守の問題とか車両の検査の問題とかいうような、国鉄そのものの生命にかかるようなものは、国鉄自身の責任でやっていく、当然やるべきだと私は思う。  そこで最後の結論で、これは意見がまっこうから分かれたわけですけれども、先ほど来の議論でも明らかなように、道路行政と、それから鉄道行政、これが両方からやられて、主たるいままでの傾向とすれば、むしろモータリゼーションという方向で道路のほうに重点が置かれてきたと思うんですよ。重点が置かれてきた。しかし最近では、もうモータリゼーションというものが、このまま進んでいったら、単に道路の渋滞とか、そういうことだけでなくて、やはり排気ガス——ここを見てごらんなさい。ぼーっと、部屋でみんながたばこを吸ったみたいに外はかすんでいますよ。そういうような状態になってしまう。公害の問題が深刻になって、これではいかぬということは、国際的に問題になってきているんですね。一番先輩のモータリゼーショーンのアメリカでさえ、この間来たマスキー議員なんか、道路をつくれば車がふえる、人が集まるからもう道路はつくらぬほうがいいというような話を環境庁長官との話で言っておりますけれども、そういうような状況になっている。私は四年ほど前にも橋本いまの自民党幹事長が建設大臣やっておられたときですか、予算委員会でこのモータリゼーションをこれ以上進めていいのか、六十年代の見通しとしてこうなっているけれども、そのときになったら東京の交通問題はどうなるかということでお聞きして、あのときも建設大臣として、いや私も賛成だ、モータリゼーションはこれ以上進めるべきでないということを言われた。だからこれをいまの形で進めていけば、国鉄状態も改善されないし、同時に日本の交通輸送量体系というものの渋滞なり混乱、そこから来る公害いうようなものも、これは取り除くことはできない。そこを変えなければならぬところへいま来ているわけです。そこで、いまこの再建計画を立てようというなら、まさにそういう立場に立って、国有鉄道であるこの国鉄を、日本の交通輸送体系の一つの中心として押えて、国民が安くて安全で、そして便利な乗り物として生活できる、日本のすみずみまで。そういうような国鉄として整備もしていくし、貨物の輸送にしても、やはり輸送の動脈としての国鉄の整備という立場でやっていく、そういうような立場からすれば、たとえば今度は道路のほうも、この間、いままでの十兆円計画を十九兆五千億に五カ年計画を繰り上げ変更してやるようになっていますけれども、むしろそういう点の予算を回しても、一般国民の交通往来、そういうものの便利になるように、国鉄を中心にしてやっていくというようなふうに、やるべきじゃないのかというふうに私は考えるわけです。  それで、そういう意味で言えば、この設備投資のやり方を変えて、独立採算制による、借金をしてやっていくというようなやり方でなくて、国の交通の体系の中心として、やはり国が国民に対する責任として鉄道を整備し、つくっていく、そういう角度からやっていくし、そういう立場から考えれば、当然、運賃の問題でも、大企業のために特別割引をしてやるというようなことはやめるというようなことも必要だろうし、国鉄の借金も、国が肩がわりして元利払いの負担を軽くしてやるというようなことも、当火その立場から考えられるので、そうしてこそ赤字もなくなるし、ほんとうに将来ますます発展していく国鉄という展望のもとで、国鉄に働く人たちも大きな見通しを持って働いていけるようなことになるのじゃないか、私はそういう立場から、この再建計画というものが立てられるべきで、いま出ている再建計画というのはその逆なものだ。ますます国鉄の前途を暗くする。日本の交通事情を混乱させるような矛盾を含んだ計画だ、そう思うから私どもは、これは撤回しなさい、廃案にしなさいということを言っているわけです。  このことについては、大臣の答弁はもう求めませんけれども、これは私は決して冗談で言っているわけではない。本気で日本のいまの交通の問題を切り開いていく問題として、提案として言っているわけですから、その点は真剣に聞いておいてもらいたいと思います。  これで私は終わります。
  180. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 春日君の質問を終わりました。  喜屋武眞榮君。
  181. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、たいへん時間が限られておりますので、特に沖繩における国鉄輸送事業、こういう観点にしぼって質問をいたしたいと思います。  そこでお願いしたいことは、この御答弁は結論だけを、追質問をする時間がございませんので、しかも実のある御答弁を御期待いたしまして、よろしくお願いいたしたいと思います。  それじゃ最初にお聞きしたいと思います。この沖繩には国鉄輸送機関が皆無であることは御承知のとおりであります。したがって国の運輸行政の恩恵は何も受けておらぬ、こういう実情であります。ところが沖繩県民も日本国民としての税金は公平に負担いたしております。ならば、公平な分担の原則に反している。税は負担しながらその恩恵は受けておらない。沖繩県民は日本国民としての義務を果たしておりながら国の恩恵が及んでいない。まあいわば非常に不公平な処置をされている、こういうわけでありますが、今回の国鉄財政再建十カ年計画の中で、沖繩での輸送計画がどのように位置づけられておるのであるか、そういった観点から、まず計画があられるのかどうか、あればそれを示してもらいたい。もし、ないとするならば、その理由を明らかにしていただきたい。これをまずお聞きしたいと思います。   〔委員長退席、運輸委員会理事山崎竜男君着席〕
  182. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 特に今度の十カ年計画におきまして、国鉄に関します御質問だと思いますから、国鉄に関してお答えいたしますが、国鉄に関しましては、ただいまのところは沖繩本島に鉄道を敷くとかというような計画は持っておりません。ただ、しかし内地との交通路その他につきましては、空港もそうでございますし、いろいろの方面で交通路の確保というものについては十二分の配慮をいたしております。
  183. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ具体的に要望いたしますが、連絡船の就航と鉄道の建設について、まず第一点は、本土と沖繩間は、本土は東京、神戸、鹿児島と沖繩とが現在民間企業三社が、三つの社の船舶が就航しておる。民間企業で国の補助もないので運賃も割り高であるということは申し上げるまでもありません。ならば、この際国鉄の延長線として当然連絡船が就航さるべきである。ただし、その場合、現在の三つの会社を強化していくのか、あるいは別に新設、就航するのかは、これは今後十分検討するべきものと思いますが、またその三つの航路のうち、どちらを優先して早く就航すべきであるかと、こういうことも検討しなければいけないと思いますが、そのことについて検討がなされておるかどうか、あるならば承りたい。
  184. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄の連絡船については、いまそういう計画はないと思います。これは国鉄総裁のほうからお答えすると思いますが、民営の船会社の就航船は相当多うございまして、先般も、ごく最近でございますが、沖繩との間におきまして、これは沖繩における海洋博との関係もありますので、二隻あらためて建造の許可をいたしました。でき次第就航させる予定でございまして、これができますと、私はむしろ逆に少し船舶のほうが過剰になるのじゃないかという心配さえしておるくらいでございます。
  185. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、陸上の交通事情から申し上げて、どうしても鉄道を開設いただきたい。こういう点で、沖繩の交通事情は車の急増あるいはバス輸送力の弱体等のために、非常にもう麻痺状態に、極限に達しておると言っても過言ではない。そういう情勢の中で、総合交通体系を検討しておるいま最中でありますが、大量輸送機関としての鉄道の建設を急ぐべきであると思うが、これは戦前、戦後を通じて、また現在世論としてもニードの強いものである、高いものである、こういう点、その計画がおありかどうか。  そして現在、その実現に至るまでの当面の輸送力の増強のためには、大衆輸送機関とバス運賃に対して、当然国の財政援助があってしかるべきと思うが、この二点お答えを願います。
  186. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 沖繩本島において、いま鉄道を新しく建設するという計画はございません。これはもちろん事情によるものでございまして、絶対に将来とも鉄道の建設は必要でないということを言っているわけではございませんが、現時点ではございません。道路の状況とか、あるいは輸送の事情、つまり輸送の需要が人及び貨物につきましてどのくらいの需要があるかということにつきましては、将来の動向も見きわめました上で、いまお話しのようなバス路線でございますとか、あるいはトラックによる道路輸送の問題、そういったものに取り組んでいかなきゃならぬと思いますが、決して沖繩の状況を軽視しているわけでも何でもございませんが、できるだけ沖繩の本島にふさわしいような、沖繩にふさわしいような輸送施設を完備しようという努力はこれからもいたしますし、御期待に沿うように持っていくようにしたいと思います。自動車につきまして、このバス路線の問題、これはいま自動車局長が来ておりますから、運輸省で計画をしておりますいろいろな施策について、一応御説明をさせます。
  187. 小林正興

    政府委員小林正興君) 沖繩本島におきまして鉄道がない以上、公共の大量交通機関としてはバスがその主力になるということは、先生の御意見のとおりでございまして、私どもといたしましても、沖繩におけるバスという問題を当面の最大の重要課題として考えておるわけでございます。  現状は先生御案内のとおり、本島内に現在五社バス会社がございまして、それぞれのバス事業者が非常に本土に見られないような競合の状態を呈しておるわけでございます。したがって、その企業基盤というようなものも脆弱であるというように見受けられるわけでございます。具体的にはバス車両が非常に老齢化しているというようなこと等ございまして、このバス事業を何とか再建といいますか、しっかりしたものといたしまして、沖繩本島における基幹輸送力にいたしたいということで、現地の沖繩の開発局におきましても、この地方陸上交通審議会等の場を通じまして、今後のバス輸送の充強化というようなことについて、関係方面とも十分連絡をとりながら、今後積極的に対策を進めていきたいと思っておるわけでございます。で、その第一は、やはりバス輸送につきましては道路の問題が一番大きなわけでございます。私どもの調査したところによりますと、道路整備をもう少し、バス輸送が増強されるように拡幅の問題であるとか、そのほか舗装の問題であるとか、全般的について整備する必要がまず第一にあると、また本土におきましても、現在とっております方策でございますが、自家用車についての駐車規制等あるいはできれば、道路改良とあわせましてバスの優先レーンというようなものを設けるというような点につきまして、道路側あるいは交通規制の担当官庁とも連絡をとりまして、バス輸送を円滑に行なえるようにいたしたいという考え方でございます。  で、バス自体の問題といたしましては、先ほども申し上げました、非常に競合率が高いといいますか、沖繩本島に五社がほとんど路線をオーバーラップして走っているというような状況でございますので、これにつきましては、やはりある程度の集約というようなことが今後必要ではないかと思うわけでございます。しかし、こういった点はそう一挙にそこに持っていくわけにはまいりませんので、漸次そういった方向にバスを持っていきまして、そしてバス路線網を再編成いたしまして、島内における基幹輸送網といたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の、先生御指摘のバス経営の実態から、たとえば運賃問題というような問題につきまして、すでにこれは具体的な案件として出ておるわけでございます。九月の初めに運賃改定の申請が出ておるわけでございますが、こういった点については、復帰前の運賃のままになっておるわけでございまして、現在の沖繩のバス事業の経営というものの実態から見まして、この運賃改定問題につきましても慎重に取り組みたいと思っておるわけでございます。  バス事業の経営が成り立つように、運賃問題で解決をするというようなことについても取り組むということでございますが、もう一つの問題は、財政助成の問題で、これにつきましても、私どもは、沖繩県につきましては、本土復帰当時、すべて本土並みというような考え方で助成方式も考えておったわけでございますが、ただいま申し上げましたような集約もなかなか思うようには進まないというようなことで、沖繩に固有の補助制度ということで、特殊事情を十分勘案するような方向で現在考えておるわけでございます。本土におきましては、集約を前提として赤字路線について補助をするという制度があるわけでございますが、そういった集約を待たずに、やはり路線によっては相当な補助をしなければならぬというようなことも考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、バスが基幹輸送網として十分運行しやすいように道路の整備、路線の再編成、さらにその経営の問題につきましては、ただに運賃にとどまらず、助成もあわせて総合的な対策を講じてまいりたい、かように思っておる次第でございます。   〔委員長代理山崎竜男君退席、委員長着席〕
  188. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖繩においてはバスがすべての交通機関にかわるべき唯一のものでありますので、これの育成強化については十分配慮してほしい。  それから抜本的には国鉄の建設、これはきょう時間がありませんので、いろいろ申し上げる時間がありませんので遠慮いたしまして次の機会に譲りますが、ぜひこの鉄道建設については前向きで御検討願いたい。  最後に、国鉄冷凍船の就航について。沖繩の物価上昇は、結論を申しますと本土平均の五倍にはね上がっておるというふうにマスコミが報じております。これは急激の品不足あるいは貨物輸送の弱体、それから日常生活品の八〇%が本土からの輸入にたよっておると、こういう実情。特に生鮮食料品の本土からの輸入確保については、観光客の増大、あるいは予定されております海洋大の食糧対策、こういった上からも緊急の問題である。また逆に、沖繩の野菜、青果物の本土移出が注目をされておるおり、輸送対策が今日緊急の要務として要望されております。  そういう状況の中で、国鉄冷凍船の就航を早期に実現してほしいと、こういう要望が非常に強い、また私もそういう点特に痛感いたしておりますので、このことに対する御見解と、それから時間が迫りましたのでもう一点、南西船空の増便、運賃値上げの申請に関連して、運輸省にお聞きしたいことは、地元宮古、八重山から再三要望されておりますことは、現在の南西航空独占でなく、他社を乗り入れてもらいたい、それまで南西航空の増便をはかってほしい、こういう強い切なる要望がある。  で、沖繩には先ほど申し上げましたとおり、これ以外、国鉄につながる恩恵がありませんので、特にこれにつながりをもって配慮願いたいということであります。ところで、この本土線は日本航空と全日空とあります。これは復帰の時点で一応値上げになった、そういったいきさつもあって、先般の値上げにあたっては据え置きということになっているのですが、これは当然のことであります。ところで今度南西航空の運賃値上げがまた持ち出されて、これに対して、地元はいま騒然となって値上げ反対を訴えておるのですが、その要望は、運賃値上げは据え置いてもらいたい、増便をはかって客をさばいて、サービスをよくしてもらいたい、そうして他社を乗り入れてもらいたい、大体この三つに集約できると思うのです。  以上の要望に対する運輸省の御見解、それからさっきの国鉄冷凍船の二つについて、御回答をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  189. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄冷凍船とおっしゃいましたが、よくわかりませんけれども、要するに冷凍船をもっとふやしてくれということじゃないかと思います。国鉄が連絡船をあそこにこしらえるということは、いま計画も持っておりませんから。一般の配船から申しますと、おそらく現在非常にたくさんの船が配船されておりますので、冷凍施設を持っている船が相当あると思います。それが足りるか足りないかという問題だろうと思います。冷凍専門の船という意味ではないだろうと思いますが、この点は需給状況をよく調べてみます。それで現地のほうでそれだけの需要があれば、それにふさわしいような施設をした船を回さなければならぬと思いますが、これは関係会社によく指示をいたしたいと思います。  それから航空関係の問題については、航空局の政府委員が来ておりますから、南西航空の問題については政府委員からお答えいたします。
  190. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) ただいま御質問の航空関係の問題二点かと存じますが、まず沖繩県内の航空輸送を増便できないかという御質問にお答えいたしますが、現在南西航空はYS型十五機をもって輸送に従事をいたしております。で、その利用率は御指摘のとおりかなり高くて、必ずしも需要に見合った十分な輸送力を供給しているとはいえない点もございますが、この背景といたしまして、本島と離島間の通信施設がまだ不十分であるということ、それから現在、空港を改修するための工事を行なっておりますが、このために空港の運航時間を制限せざるを得ないというような事情がございまして、いま直ちに増便をするということができない事情もございます。  これに対処いたしますために、運輸省といたしましては、地元沖繩県の協力を得まして、早急に通信施設等あるいは空港施設等の改善を進めていく考えでございまして、またこれと並行いたしまして、南西航空に対しましても、航空機を増強するということにより、輸送力をふやすことを指導しております。で、南西航空は、現在現有の機数に加えまして、本年度から小型のSTOL機並びに年度内にはYS二機を追加することになっておりまして、これらの条件が整備されますと、かなりの輸送力増強が達成されるというふうに考えております。  それから第二点の運賃値上げの申請の問題でございますが、南西航空からは去る八月三十一日、運賃値上げの申請が提出されております。その内容を概略申し上げますと、値上げ率が旅客については大体三五・一%、貨物運賃が約一%ということになっておりまして、値上げの理由といたしましては、四十八年度から燃料税が賦課される、内地ではすでに昨年度から燃料税がかかっております。また航行援助施設利用料が賦課されるというようなことがございます。それから本土復帰を契機として諸物価が非常に高騰して、特に人件費の上昇が著しい、またSTOL機の購入に伴うコストの上昇等を理由としてあげておりますが、運輸省といたしましては、今後運賃改定申請の詳細、原価計算の妥当性等について、申請者から説明を求め、あるいは資料の提出を求めるなどして申請の内容の妥当性について十分調査、検討を進めるとともに、運輸審議会へ諮問をいたしまして、妥当な結論を得たいというふうに考えております。
  191. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 喜屋武君の質問は終わりました。  次は杉原一雄君、お願いします。
  192. 杉原一雄

    杉原一雄君 全く偶然でありますが、きのう私いなかに帰っておりましたところが、いなかの新聞が、ある小学校が北陸線あるいは高山線——ちょうどそこが北陸、高山両線が合流する地点に七十メートル離れて小学校があるわけですが、その小学校が、いまたいへん問題提起として、まあ列車の轟音でたまらないということ、そうしたことが新聞発表されておるわけです。この場合、問題はやはり騒音なんです。でありますから、このことは後ほど順を追うて、それぞれの担当の皆さんに質問をするわけですけれども、ただ、きょうは実は新幹線ということでしぼっていきたかったんですけれども、こうした問題もすでに各地にぼくはあるということを一応想定において、質問を展開していくわけですが、新幹線といいますと、子供がテレビや何かで、もうすばらしい、何かしら夢の世界を想定するまでに、非常な国民的な期待を持たれて実はおるわけですけれども、今日まで国鉄運輸省当局が、新幹線をつくる過程において、そしてまた、あるいは東海道新幹線のようにすでに走っていると、その過程において名古屋等で問題が起こっているわけですが、そのつくる過程において、いわゆるトラブルと申しますか、そういう問題は何と何とが問題であるか、それが一つ。  そして、名古屋等で問題になっているように、どんどん走って、さて期待に反してたいへんなことが起こった、こういうことなども、岡山まで走っているわけですが、問題は幾つか存在する。その問題は一体何か。そうしたことについて、まず当色が陳情なり抗議を受けておりますから、類型別に明らかにしてほしいと思います。
  193. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 御質問趣旨は、つくるまでの問題とつくってからの問題いままでにどんな抗議があったかと、この三つかと思います。  つくるまでの問題でございますが、これは法律に基づきまして、運輸大臣の調査命令をいただきまして、まず調査をいたします。それに基づきまして整備計画が決定されまして、それに基づきまして私のほうから工事の実施計画を提出いたしまして、認可をいただいて工事に着工ということになるわけでございます。したがって、その間、問題は駅の選定あるいは駅と駅のルートの決定と、この二つが問題かと思いますが、駅につきましては、その地域の人口の状況あるいは産業活動の状況あるいは将来の開発動向というようなものを勘案いたしまして、新幹線の目的である地域と地域の交通を結ぶということ並びに新幹線が他の陸上交通機関よりは早く目的地に到達するというようなこと等を勘案し、またその地域における他の交通機関との連絡をどうするかというようなことも、また重要な要素でございますが、これらのことを勘案して駅の位置を決定いたします。  その間を結ぶルートにつきましては、これは建設上の諸条件を満足することはもちろんでございますが、それ以外に、いわゆる地域社会とマッチした、いわゆる公害のないようなルートをきめるということに重点を置いてきめておるわけでございます。そのほか地形、地質等工事施行上の問題については、当然考慮に入れてきめておるわけでございます。  なお、これらのものがきまりますと、地元にその計画を発表いたすわけでございますが、そういたしますと、地元とのいわゆる設計協議の問題あるいは用地の買収に伴う沿線の皆さんの移転の問題等々、相当の協議あるいはお願いをしてまいらなければならないわけでございまして、その間いろいろの苦情があり、これを解決してようやっと工事に着工ということになろうかと思います。そして御承知のように、東海道新幹線におきましては、いわゆる騒音公害の問題について配慮をしなかったと、約十年前に開業いたしましたために、騒音公害の苦情が相当参っております。それで、それらのものに対しましては、現在までに、三十九年からぼつぼつございますが、最近苦情、陳情が非常に出てまいりまして、この十年間に苦情の件数は二百七十三件でございます。この内訳は騒音、振動、騒音と振動が一緒のもの、その他テレビの障害に対する苦情、風圧に対する苦情等々となっております。  これらの問題について現在、先ほども総裁が御説明いたしましたように、騒音対策につきましては、環境庁からの勧告に基づきまして目下約五百億の工事費をもって東海道の騒音防止対策をやっておるわけでございまして、そのほか、もし音源対策で解決しないようなものに対しましては、民家に防音工事をするとか、あるいはやむを得なければ移転補償等の措置を今後やってまいりたいというふうに考えております。
  194. 杉原一雄

    杉原一雄君 いま環境庁の勧告とあるわけですが、次官どういう勧告をしたんですか。
  195. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) 環境庁は昨年の十二月に新幹線鉄道騒音にかかわる緊急対策として音源対策で八十ホン以下とするように運輸省に勧告をいたしました。それに対する対策ということを運輸省に進めてもらっておるというのが実情でございます。
  196. 杉原一雄

    杉原一雄君 それは昨年の十二月ということだから、それなりに了解いたしますが、八日の日に、三木長官が金沢における日本海環境会議に臨まれて、県庁における記者団会見ということで、手幹線の八十ホン以下というのは、それはだめだと、少なくとも六十以下にすべきであるということを明言しておられるわけですが、次官は承知だと思います。その点、確認していいですか。
  197. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) その記者会見の席には私もたまたま同席をいたしておりまして、その六十ホン以下にすべきであるという発言はありませんでした。ただ現在の八十ホンというものは、これはもっときびしく八十ホン以下にすべきであろうと、しかし目下中央公害対策審議会にはかっておると、なるべく早く結論を出したいというような話でございまして、まあ記者諸君の中から六十ホンというような声も出たように思っておりますけれども、長官が六十ホンというようなことを申したわけではありません。
  198. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうしたら次官、あなたはどう考えますかね。騒音というものが人体にどのような影響を与えて、それがどれくらいが適当であるか、適当ということは当たりませんが、耐えられる騒音であるかということについての、環境庁を代表しての見解を明らかにしてほしい。
  199. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) 私も、新幹線の騒音というものは、確かにそばで聞きまして、これは沿線の住民の皆さまにとっては相当な障害になるという、そういう気持ちはいたしております。ただ、何ホンというようなことになりますると、どこで規制をすべきかということになりますると、長官も私どもも八十ホンではいかぬだろうと、もっとそれ以下にきびしくすべきであろうというような感じも持っておるわけでございますが、やっぱり、相当専門的に審議会にかけて、そして結論を出していただきたいと、環境庁としましては、やはりその環境保全の立場から、これからも努力をいたしてまいりたい、そういう考えでございます。
  200. 杉原一雄

    杉原一雄君 相談しなければわからないというのは、どうも私わからないです。  で、運輸省なり国鉄当局に聞きますが、騒音というのま、人体にどのような影響を与えるか、そうした認識の問題、まず認知の問題の統一をはからなければ、八十、六十という議論になり過ぎる。でありますから、一体騒音というのは、運輸省なり国鉄当局がどう理解しているんだ、人体にどのような影響を与えるんだということについて、やはり認識の統一をしていただきたいと思うんですが、医学的でもよろしい、いろいろな観点から例証をあげてもけっこうですが、どういう判断をしておいでになりますか、それを、まずお聞きしたいと思います。
  201. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 運輸省としましては、新幹線の騒音だけじゃございませんで、国際空港におけるジェット機の騒音という問題もございます。真剣に取り組んでおります。ただ私の承知しているところでは、国際空港なんかになりますと、世界的な問題でございますが、各国でも研究を進めておるようですけれども、まだ医学的、科学的に騒音というのがどういうふうに人体に影響するかということについては、各国ともまだ結論を得ていないということを聞いております。私は、そういう点については全然知識がございませんが、何といいましても、政府部内としましては、一番権威のある中央公害対策審議会において権励者が集まってそういう影響等も調査をされるでありましょうから、その結果を待ちまして、それに準拠して騒音対策をきめていくのが一番適当であると、こういうように考えております。
  202. 杉原一雄

    杉原一雄君 騒音規制法ができたのは昭和四十三年。そこで昭和四十六年の五月二十五日に、「騒音に係る環境基準について」という閣議決定を見ているわけです。で、大臣がいまどれほど、人体にどう被害を及ぼすか、そうした問題は専門でないとわからぬと言っていますが、ここにはそうわからぬわけじゃない、わかっているんですね。基準はきまっているわけだ。で、これによりますと、たとえばAA地区——AA地区というのは、「療養施設が集合して設置される地域などとくに静穏を要する地域」と、ここらあたりになりますと、昼間は四十五で押えているわけです。あるいはA地区は五十ホン、それからB地区は六十ホン以下、こういうふうに規制をしているわけですよ、きちんとね、閣議決定で。議論の余地がないわけです。しかも政府の責任において発表しているわけです。ただ、この規制の中で、大臣の逃げ道が一つあるわけです。それは第八項目において、「環境基準の適用除外について」「本環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音および建設作業騒音には適用しないものとする。」と書いてある。これがあなた方の逃げ道なんです。これがなければ閣議決定に従うべきであります。この逃げ道が問題なんです。これをどう理解していいのか、しかもまた鉄道というのは公のために、つまり国民に奉仕をしているんだから、少しぐらいはがまんをしろという理念がここに働いているのか。また鉄道そのものの騒音をなくするための技術が開発されていないからやむを得ないんだと、こういう理解のしかたをすればいいのか、その辺のところを、ひとつ見解を明らかにしてほしい。
  203. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまのお尋ねが、あるいは私が聞き誤ったかもしれませんが、医学的、科学的に騒音が人体にどう影響するかということをおまえ知っているかと、こういうようなお尋ねがあったものですから、世界的にも私の知っている範囲では航空騒音についていろいろ各国とも研究しておりますが、まだその結論は出ておらないようですということをお答えしたわけです。騒音規制法というものも知っております。おっしゃったように、除外規定もございます。で、私どもは、しかしその除外規定があるからといって、航空騒音にいたしましても、新幹線の騒音にいたしましても、これは幾らでもいいなんということは毛頭考えておりません。それには先ほど申し上げましたように、一番権威のある中央公害対策審議会におきまして権威者が集まって、この新幹線騒音についてはこのようにあってほしいということ あるいは航空騒音についても、この程度守ってほしいということを、一応暫定的ではございますが、勧告を出しておりますから、それに従って努力を続けております。  ただ、これは私から御説明する筋合いではないかと思いますけれども、新幹線につきましては、御承知のように、東海道新幹線と、それから山陽新幹線とは非常に違うと思います。東海道新幹線はそこまでの騒音についての配慮が十分でなかったということは、これは事実だろうと思います。私もときどき通るものですから、よく見ておるんですが、浜松から出ましてから名古屋に至りますまでの間におきまして、非常に人家に近いところを通っております。先般も名古屋のほうから関係者が来られまして、実情をよく聞きました。私も見て知っております。こういう騒音というものは、私はしろうとでございますけれども、この距離が若干離れますと、これは非常に低くなるんだそうでございます。音のほうは。でございますから、この国鉄のほうにおきましては具体的に調査を進めておりますが、どうしても、先ほど御説明したかと思いますが、防音壁でありますとか、あるいは騒音を低くするためのいろいろの施設面の改良をいたしましても、どうしても人家に影響を与えるというようなものにつきましては、国鉄も踏み切って、移転補償費を出してでも他に移転をしてもらうようにしなければならぬということで、そういう方針のもとに、いま名古屋方面においては具体的な調査をし交渉を進めておると聞いております。  できるならば私は地方自治体の協力も得まして、先ほど申し上げたように、これはきわめて常識的なことですが、新幹線の騒音については側道のような、道路のようなものが幹線の両側にございますと非常に騒音被害が少なくなるということが非常に明瞭でございますから、できるなら自治体の協力を得て、そういう側道のようなものをつくると、どうしてもできなければ国鉄が土地の買い上げ、あるいは賃貸をいたしまして、周辺といいますか、側面の用地の取得をして、できれば緩衝地帯をつくるような努力をするというようなことも必要であろうと思っております。  いずれにいたしましても、先ほど環境庁からもお答えがございましたが、一応いまのところは八十ホンというのが一つの指針値になっておりますが、しかし、これは私たちも八十ホンでよろしいんだという考えは持っておりませんで、あらゆる技術を動員いたしまして、また他の施策も動員いたしまして、それ以下に押えるような努力は絶えず続けていかなければならぬと、こういうふうな姿勢で対処しておる次第でございます。
  204. 杉原一雄

    杉原一雄君 総裁、きょうは十二日なんだけれども、東北・上越新幹線の沿線の知事が集まるというのは、このあとですね。そこで議論されることは大体わかると思うんです。あなたは想定しておられると思うんですね。そこで、手ぶらで行かれるわけにいかぬと思いますよ。それはどういうことかというと、象徴的に言えば、大宮の駅が起点になるかならないかという議論がマスコミ等で出てきているわけですけれども、それはあくまでも象徴的な表現であるけれども、それでなくして、この問題点はどこにあるかということはもうあなたもぴんときている。で、運輸大臣もおっしゃるように、あくまで騒音その他の問題について努力をするということで、若干の考え方を述べられたわけですけれども、しかし私は、そのことははからずもきょうの毎日新聞がその内容を明らかにしておるわけです。このことの真実について詳細に述べられると相当の時間がかかると思いますが、いま幹線の両側に道路をつくるとかなんとかかんとかおっしゃったんですけれども、そうした大体の、きょうの手みやげのようなものが国民にも明らかにされることが非常に私大事だと思いますから、総裁の手元で作業されている、ここでは五つの新幹線に対して国鉄が公害防止の対策を考えているということを、ひとつお述べいただきたい。概略でよろしい。  しかも、それは私として期待するのは、環境庁がゆるふんのような言い方をしているけれども、八十などという指標は私は許せないと思うんです。いつも私、清水谷の宿舎へ帰りますが、あそこの計測器に八十内外というのはなかなか出ません。相当の車がぐっと来るときでも七十ないし七十五です。八十というのは異常な状態です。それが国民の命を守り、健康を守り、生活環境を保全する政府のかまえじゃない。少なくとも、先ほどの閣議決定等によりますと、五十ないし六十、これが常識ですよ。そういうことを想定に置いてこの防止策をおつくりになったと私は信頼したい。その辺のところ、これはただ何も目標なしにこういうことを言っておられるんじゃないと思うんです。いま運輸大臣がはからずもおっしゃったように、離れれば離れるほど音というのは小さくなる、それは当然のことなんです。そういうことも想定に置いて、一体目標を何ホンぐらいに置いて、このような防止策をお立てになったのか、その輪郭だけひとつ明らかにしてほしいと思います。
  205. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) きょうこれから参りますので、もう三十分ぐらいしたらお集まりかと思います。きょうは第一回でございますから、どういうふうになりますか、私のほうの主催ではございませんので、私が出ていってあいさつを申し上げるという程度になります。これはまた会議の進行模様を見なきゃわかりません。ただ、けさたまたま毎日新聞に出ました、私実は、詳しく読んでまいりませんでここに参ったんでございますが、いろいろ記者が、うちの中で方々から取材したものをまとめたんではないかというふうに思います。きょうのために特に全部コンプリートにまとめたものではございません。もしそれならば、ほかの新聞にも出ているはずでございますが、毎日新聞だけに出ていますということは、いろいろ勉強して書いたものではないかというふうに考えます。  こまかいことは担当から申し上げますが、ただ私どものほうの根本的な考え方といたしましては、いままでの鉄道というものは速くて乗りここちがよければよかったという鉄道から、百年たって、もう地域との調和がなければいけないという鉄道に、性格が大いに変わったんだというところが、まずわれわれの根本理念でなければいけないというふうに考えます。したがって公害問題というものは、鉄道技術そのものであるというふうな考え方、鉄道技術プラスアルファでなしに、新しい二十一世紀の鉄道技術は公害対策を取り込んだものでなければいけないというのが、私どもの部内の最近徹底した理念でございます。したがいまして、私は逆に、国鉄の本社の中には公害の部門をつくっておりません。つくらないということは、各部門が全部公害の問題を自分のこととしてやるというためにそういうふうにしたわけでございまして、その関係の技術者諸君は、中にはほとんどいままで公害、ことに騒音でございますが、あまり実は音響の学者はうちにおりません、正直な話です。したがって現在、騒音振動等の委員会として、有名な仙台の二村先生あるいは東大の五十嵐先生、また大阪の前川先生にもお願いいたしまして、いま日本で騒音振動については最高の権威といわれている方々に実はお集まり願って、昨年から委員会をつくりまして、主としてその委員会でむしろ教えていただいて、いろいろな具体策を講ずるというふうな考え方でやっております。  ただ実際に、まだまだ材料その他についても量産の域に達していないものたくさんございます。まあ技術の発展過程でございますので、まだまだ今後発展するであろうというものもあれば、考え方としても非常に新しいとっぴな考え方もございます。そういうものを、とにかくそしゃくしながら、国鉄プロパーのものにしていくという、ちょうどいまその過渡期でございます。したがって、そこにあらわれました五つの新幹線のいろいろな具体策につきましても、あとになって何だそんなこと役に立たないというものもあれば、いやこれでよかったんだというものもあると思います。いま若干まだ、端的に申しますと暗中模索的なとこがあるかもしれません。しかし私は、あらゆる努力をするんだと、むだになってもいいからやるんだという覚悟でいまやっております。したがって現在、たとえばごらんになったかどうか存じませんが、西のほうでは鉄橋を全部カバーしております。鉄橋を完全に上から下まで、まあ鉄橋をトンネルで包むという感じでございます。こういう思い切ったこともテストとして相当長い鉄橋をやっております。これは名古屋だとか浜松の鉄橋に対するカバーのやり方でございます。  それから、あるいは今度は、もう一つのあれとして、いままでのかきねを折り曲げるわけでございます。折り曲げて、とにかく音というものは発生源から近くでとめるほどいいんだと、有効だということでございますので、そういう相当大きな設備を現在やって試験しております。防音というものは、なかなか実物試験でございませんと、研究所の中の研究では、たとえば十ホン下がったけれども、実際にはだめだったということもございます。そういう意味で、多少試行錯誤的ではございますが、いまありとあらゆる、できるだけのことはやっておるわけでございまして、私はそう数年を出ずして、八十ということは、これは一番程度の悪いものである。もっともっと鉄道技術の面目にかけても下げようじゃないかという覚悟でやっておるわけでございまして、きょう出ましたのはその片りんでございまして、一々御説明申し上げませんが、考え方といたしましては、私どものほうが言っておりますのは、とにかく幸いうちには大気汚染というものはない。大気汚染がないということは非常に心が休まることでございます、われわれといたしましては。ですから、とにかく距離を離すというきわめてシンプルな方法もあるし、また音を消すという方法もあるしということで、私は絶対に前途失望しておりませんし、何とか、八十なんという数字じゃなしにもつともっと下げた数字になり得ると思いますが、ただ、いまじゃあ、あしたからできるかと言われると、それは簡単にできないものでございます。そういう意味で、全力をあげて、鉄道技術の部門としてやっておるということを総括的に申し上げまして、もし御質問があれば、担当の者から具体的に申し上げます。
  206. 杉原一雄

    杉原一雄君 努力なり熱意は総裁わかるけれども、これにはきわめて具体的な、たとえば幅を二十メートルとるとか、それからいま鉄橋の話が出たわけですが、そういう形で囲いをするとか、いろいろなことで具体的なんだけれども、これは新聞が勉強して書いたのだということになると、これはぼくは困るので、少なくともきょうの連合審査を価値あらしめるために、こんなことをやるのだ、こういうことも想定しておるのだ、実験やっているのだということぐらいは、国民の前にはっきり言ったっていいじゃないですか。これだと毎日新聞独自の責任で出した編集になっちゃうから、その点長い話は要りません。簡単でこういうこともある、こういうこともあるという程度、それでもなおこの新聞記事によると、汽車に乗って外の景色をながめることができなくなるので困りますと書いてある、そういう問題も出るわけなんですね。私はそこまで欲は言わない。その点、概略だけちょっと。
  207. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) ただいま総裁の申されたことで概略は尽きておるわけでございますが、大きく分けまして騒音と振動の問題がございます。振動の問題につきましては、これは構造物ができてからではどうにもならない。したがって今後新しくつくるものにつきましては、まず基礎を強固な地盤の上にがっちりとつけるということが基本でございます。それともう一つは、高架橋等の構造物を非常にマッシブなものにして、振動に対して強いものにするということによりまして、振動対策は相当程度解消し得るというふうに考えております。  それから防音の問題でございますが、これはいま総裁が申しました技術開発を、現在山陽新幹線で実験中でございまして、研究所の中では相当の効果があるので、これがもし実物試験をいたしまして、効果があれば、市街地については全面的に採用してまいりたいというふうに考えております。そのほか軌道構造につきまして六十キロの大きなレールを使い、また道床砂利の下にゴムのマットを敷くことによりまして、これは防音にも振動にも効果があるわけでございますが、それを併用する。いろいろこれらのことを併用してまいりまして、振動並びに騒音に対して効果をあげてまいりたいというふうに考えております。これらのものについては、ただいま全部試験をやっております。  以上の対策のほかに、これは地元の自治団体とも協議が必要でございますけれども、いわゆる新幹線の両側に、緑地帯なり、あるいは道路敷として相当幅の、これは地質、地形等によってその幅はきまってまいると思いますけれども、相当幅のいわゆる緩衝地帯を設けることによりまして、所期の目的を達したい。ただ基準値をいま幾らにするかということにつきましては、これは環境庁の御指示もありますし、それらのものを勘案して、もし基準値が変われば、その趣旨に沿うよう努力をしてまいりたいと思います。
  208. 杉原一雄

    杉原一雄君 先般、経済企画庁は経済白書を発表したわけですが、この経済白書の中で、公害防除の推進という項目を一つ大きく起こして、いわゆる公害四大裁判の評価の問題を含めて、いろいろ記述をし、企業の努力の実態等も書いてあるわけですが、途中しぼってこういうことを言っておるわけです。「しかしながら、コスト増を理由として、公害防除が遅れることがあってはならない。また経営合理化や技術革新によって充分吸収することも可能と考えられ、公害防除によるコスト増を安易に価格に転嫁するという姿勢を企業は厳に慎まなければならない。」こうあるわけです。企業のところを消して国鉄と書いても、私は間違いないんじゃないかと思います。そうじゃないですか、これをあなた方どうお聞きになりますか。運輸大臣どうですかね。
  209. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) きょうの新聞には何か料金を取るというふうに書いてございますが、私はまだそこまでは考えておりません。実際、一体どのくらい金のかかるものか、たとえば現在の東海道新幹線に約五百六十億かけることにいたしておりますが、その程度のものは別にお客さんにかける必要はございません。しかし、たとえばいまの工事費の倍とか三倍かかるものかどうか、これらも考えておりますが、そう私は金のかかることではない。問題は用地を幅を広く買うという場合には、その用地費の問題が一番問題だと思います。これはやはり建設省なり地方にもいろいろお願いをいたしまして、国鉄だけで両側二十メートル買う、これはたいへんなことだと思いますが、できるだけ両方で共同し合って、たとえば北九州の場合には十五メートルずつ現在買っております。これも市当局の非常な協力によりまして、両側十五メーターの道路をつくってもらいました。こういうことで、やっぱり話し合いでもって進んでいくと思いますので、すぐそれを料金に転嫁するとかいうふうな気持ちは持っておりませんです。
  210. 杉原一雄

    杉原一雄君 かなり回りくどい言い方をしたから、総裁はそういう言い方をするわけですが、ぼくは最初にいろいろ考えたときに、この種の質問をすると、やぶをつついたらヘビが出たということになって、国鉄運賃値上げの合法化をするような結果になりゃしないかと思って、だいぶ用心したんですけれども、しかしながら、経済企画庁が民間企業等に対して要求しているわけです、これは鋭くきびしく。それは同時に、同じ役所関係ないしそれに近い状況にある国鉄は、当然このとおり受けて立つべきだということで、いま総裁は先を読んでの答弁ですけれども、しかし、その点は私は、総裁の答弁をそのまま真に受けていきたいと思うし、かつまた先ほど内田さんも答弁しました、新しい幹線に対する公害防止対策等については、もっと鋭意努力してがんばっていただきたいということを希望します。  環境庁は、先ほど坂本さんが、おれもおったので、八十だったよというようなことではいかぬでしょう、あなた。閣議決定がそうなっているんですからね。しかもこの閣議決定の第八項目で、鉄道騒音とか航空機騒音を除外していることなんですよ。これ何で除外したかをあなた考えますか。私はわかりますよ。それは実情に合わぬということでしょう。実情に合わせることですよ。それは結局国鉄当局の努力だと思いますが、環境庁はもっと国民の命を大事にする立場から、き然としてほしいと思いますが、その見解をあとで求めます。  内田さん、今日まで国鉄の幹線の路線決定等にあたって、あるいはまた路線をいよいよ具体的に建設する過程にあたって、いろいろ私が公害のところからくるから、公害のことさえ言っておけばよかろうと思っておっしゃったんだろうけれども、自然破壊の問題がやっぱりある。これは高速自動車道路全体に通ずる問題で、このことを私、非常に全国的に目を見張っているところなんです。そうした点についても、内田さん、まさか忘れていないだろうと思うがどうだろう。その答弁、阪本政務次官と内田さんのところからいただければ、ちょうど私の時間が終わると思いますので、終わります。
  211. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) その昨年の十二月の八十ホンという数値は、これはとりあえずの、どうしてもそれ以上は許すことはできないという、とりあえずの暫定的な基準でございまして、決してそれで満足するものではありません。開発とか成長という問題はやはり環境保全の範囲内において行なわれるべきである。もし開発とそれから環境保全が両立し得ないならば、環境の保全をとるべきであるという姿勢においては、変わりはございません。しかし、すでに設置された新幹線もございましょうし、これからやる場合もございましょうけれども、やはりその環境保全の立場からきびしい基準をつくるということが、新しい技術なり何なりを生み出す母だと私も思っておるわけです。そういう意味合いにおいて、その姿勢において、公害対策審議会におきましても、鋭意いま基準づくりに励んでおるというわけでございまして、しばらくひとつ御猶予を願いたい、こういうわけでございます。
  212. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 土木工事をやるものといたしまして、自然破壊の問題については、十分意を払って、いままでもやってまいりましたし、今後もやってまいりたい。  実際問題としては、トンネルを掘さくいたしますと、上部の渇水問題とか、避け得られない問題が出てまいります。これらの問題に対しましては、完全にポンプアップ等の措置をいたしまして、自然に復することを考えておりますし、また福山市では、御承知のように、うしろ側にりっぱなお城がございます。これらのものとの環境のマッチというようなことも、十分考えて工事をやってまいっておりますので、今後とも、そういう点には十分注意をしてやってまいりたいと思います。
  213. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 杉原君の質問は終わりました。  森勝治君、願います。
  214. 森勝治

    ○森勝治君 国鉄の計画によりますと、今後十年間に四兆八千億を投じて新幹線の建設を積極的に推進するということでありますが、これは利用者の立場から見ますと、まことにけっこうなことでありますが、しかしながら新幹線は騒音や振動をはじめ、テレビの受信障害や日照を阻害するなど、沿線住民の生活環境を破壊するという事例が非常に多いようであります。  そこで私は、つい先般、営業を開始いたしました東海道、山陽両新幹線における公害の実情と、しかもその公害を起こしたあとの事後措置、まあこれは救済措置という表現はどうかと思うんでありますが、可及的すみやかにそれらの防護策、事後の処置等はおやりだろうと思うのですが、この点について、ひとつ御報告をいただきたい。
  215. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 新幹線の公害につきましては、先ほども御説明いたしましたが、これは山陽新幹線と東海道ではずいぶん変わっております。東海道新幹線は、そういうようなものをあまり考えないでつくっておりますので、非常に住民の皆さんに御迷惑をかけておるわけでございます。その公害の中身は、騒音、振動それからテレビ障害、日照の問題等々があるわけでございます。  で、昨年十二月の環境庁の勧告によりまして、いわゆるまず音源対策をやりなさいということで、約五百五十億の予算をもちまして、本年度から三カ年間に住家の密集地帯につきまして各種の防音対策をやってまいっておるわけでございます。山陽新幹線につきましても同じようにやっております。これらに対しまして、実際にはいわゆる振動等の被害が出ておるわけでございまして、これらのものに対しましては実損補償をやっております。  なお、テレビ障害につきましては、NHKに協力していただきまして、苦情のあるもの全部について、ただいま高い受信のアンテナ等をつくる、いわゆる共同アンテナ方式等によりまして解決すべく工事中でございます。  なお、振動についてのいままでの補償は、百八十二世帯で千四百五十一万というようなものをお払いしておりますし、ただいま協議中のものが二百七十九世帯、なかなか遅々として進んでおりませんけれども、今後これらのものについては精力的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  216. 森勝治

    ○森勝治君 いまのお話にも若干出てまいりましたが、騒音振動の被害やテレビの受信障害の問題等、最近特に多くなったんでありますが、不十分ながらも補償措置が講ぜられておるというふうに私は承っていたわけですが、その適正を期すためにも、今後さらに新幹線対策というものの適正をはかるという意味からいたしましても、調査等は万全を期して行なわなければならぬと思うのでありますが、そのためにも当然、いま私がことあげいたしました両新幹線における被害の程度、範囲等についても、その実態を十分に把握をしておかなければ、これから新設されるであろうところの他の新幹線の対策というものの抜本的な施策は成り立たないのではないかと思うのであります。  そこで、これは運輸省と公社と両方に聞きたいのでありますが、その基本的な姿勢と、これから一体、この問題についてどう対処されようとしておるのか。ひとつそれぞれお伺いをしたい。
  217. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほど杉原先生にもお答え申し上げましたが、基本的な姿勢と申しますのは、やはり鉄道というものの性格が、いままでの速くて乗りここちがよければいいという時代から、やはり今後は乗ってない人、通過地の人との調和がとれなければいけない、こういう点だと思います。そこが根本姿勢でなければいけないというふうに考えます。  したがって私どもといたしましては、いわゆる過去百年間の鉄道技術に、今後は地域との調和という新しい鉄道技術が入るんだという覚悟でもってこの問題を処理しなければ、とかく避けて通りたがる気持ちになると思います。その意味で、私どもといたしましては、少なくとも、今後設計にあたっては、そういう面を十分もう仕事の中に取り込んでいかなければいけないというふうに考えます。  たとえば山陽新幹線におきましては鉄橋は一つもございません。全部コンクリート橋でございます。これは、どちらかと申しますれば、現場のほんとうの第一線の技術者が、やっぱり鉄けたはうるさくてだめだ、どうしてもコンクリートにしたいということで話を上げてきたと。それは東海道の実績を考えまして、やはり鉄けたはだめだということを実際の技術者が自分でしみじみ感じて、そうして山陽新幹線は、鉄けたは一本もございません。全部コンクリートにいたします。そういうふうに、やはり若干の進歩のステップがあると思います。したがいまして、今後は、問題といたしましては、やはり自分のものである、公害という問題は国鉄自身の問題であるということが根本の姿勢でなければいけないというふうに、私は考えます。
  218. 森勝治

    ○森勝治君 抽象的な表現をもってお答えになったから、さっぱりわからぬ。私は具体的な質問をしているわけですからね、そんな抽象的な普遍的な幅の広い話をしたって、奥行きがなければ何にもなりはしませんからね。もっとその実態論についてお答えいただけませんか。
  219. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生の御指摘がただいまありましたように、まず実態の把握、これが一番大事でございます。  で、東海道、山陽につきましては、沿線につきまして約一キロごとに騒音の測定をいたしております。振動につきましても、人家の密集地帯あるいは軟弱地帯というようなものについては、精密な測定をいたしておりまして、これらのものの実態をまず把握しております。  問題は、これに対しましてどう措置するか、これは本社の問題あるいは新幹線総局——これは現場でございます——の問題と、二つございます。で、これはもう総裁の御指示で、いわゆる新幹線公害の問題は全社をあげてやるということでありまして、技術部門の全局をあげてこれに取り組んでおります。それから、総局には環境管理室というのを設けまして、もっぱら沿線の皆さんの苦情処理あるいは補償の処理というようなものをやることにしております。現場としては、保線所が岡山まで入れまして五カ所ございます。これに公害の補償並びに工事をやるために、本年度になりましてから約百五十人の人間を配置することで、これらの措置を本年度から精力的に解決してまいりたいというふうに考えております。
  220. 森勝治

    ○森勝治君 日本弁護士連合会の公害対策委員会は、新幹線公害実態調査報告書なるものを四十八年の五月十五日公表をいたしました。  それによりますと、新幹線によるこの被害というものは予想以上に深刻であるという前置きがあります。それは、騒音、振動、日照、通風、採光、眺望の妨害、電波障害、家屋の損害など、さまざまな被害を引き起こして、沿線住民の生活環境というものは著しく阻害をされている、破壊をされていることは明らかだと指摘をいたしております。  さらに、その実例といたしまして、新幹線による列車の通行の時期における激しい振動によって、絶えず住民はいらいらし、頭痛を起こし、また睡眠妨害に苦しめられ、さらにはまた病人は寮養ができないというふうに、かなり広範の人が精神的肉体的な被害というものをこうむる段階に来ておる。にもかかわらず、国鉄当局はこのような実情にあえて月をつぶっておるが、早急に実態を調査すべきだとしておるわけでありますが、この点、当局は御存じですか。
  221. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生の御指摘の地区は名古屋地区をさしておられると思いますが、名古屋地区は、確かに、建設当時いわゆる新幹線を非常に民家に近く建設したということで、新幹線の騒音の被害を非常に受けると同時に、あの地帯は軟弱地盤でございますので振動も非常に激しいということで、これについてよく認識しております。いま、また私たちのほうの対応が悪かったということもございますが、現在調査にはいれない状況にございますので、なかなかいろいろの実態を調査することができないということになっておりますので、この辺はまことにわれわれとしても残念だと思っております。一日も早く実情を調査さしていただきたいと思います。
  222. 森勝治

    ○森勝治君 これから御質問申し上げる問題は、環境庁にもお伺いをしたいんでありますが、現在、騒音につきましては、御承知のように、公害対策基本法、騒音規制法により一応規制措置というものがとられておりますけれども、振動被害については対象外とされております。しかも騒音の規制におきましては、工場騒音、建設騒音などのいわゆる産業騒音と自動車騒音にのみ限っておるわけでありますから、鉄道軌道騒音などはいわば放任のままであります。これでは国民生活の環境を重視すべき今日、まことに寒心にたえません。  先ほど環境庁次官は、いずれをとるかといわれたならば人間優先をとるというような意味のお答えを杉原君におやりになった模様でありますが、こういう点について、どうお考えになっておられるのか。  さらにまた、この問題につきましては、昭和四十五年の騒音規制法の一部改正案の審議にあたりましても、衆参の特別委員会は特に附帯決議をもって新幹線騒音防止措置の積極化と騒音の規制措置を要望してありますが、この趣旨からいたしましても、また既設の新幹線の公害を教訓として、国鉄が、いまのお答えだと、まだたとえば名古屋の千種地区の調査もさだかでないという段階の模様でありますけれども政府国鉄当局は、防音や防振の公害防止についてどういう対策を講じられておるのか、これからどうされようとするのか。この点、国鉄と環境庁と両方からひとつお答えをいただきたい。
  223. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 現在出されております基準は、騒音に対しては八十ホンを努力目標とするということでございまして、われわれは騒音に対しては、この目標に対して努力をしているわけでございまして、幸い、この目標に対しましては、いろいろの技術開発をいたしまして、八十ホン以下にするということにつきましては大体の自信を得るに至っております。しかし皆さんからお話があるように、これはこれでとまるべきものではなくて、今後新しい技術開発をすることによってさらに八十ホン以下にしてまいりたいというふうに考えております。  で、振動の問題につきましては、御指摘のとおり、基準がございませんので、これにつきましては、私のほうといたしましては、ただいまはとにかく実損補償、実害の補償をするということで処置をしておるわけでございまして、今後これらのものについて基準が出ましたならば、それ相応の措置をしてまいらなければならないというふうに考えたいと思います。ただ、これから新しくつくるものにつきましては、措置が非常にやりやすいんでございますが、いままでつくったものにつきましては、なかなか振動をなくすということは技術的に非常にむずかしいという点がございます。  そのほか、テレビ障害その他については、十分の措置を現在もやってまいっておりますし、今後もやってまいりたいと思う次第でございます。
  224. 春日斉

    政府委員春日斉君) 新幹線の騒音につきましては、前回の騒音規制法の改正にあたりまして、衆参両院の附帯決議をいただいておることは、先ほど御指摘のとおりでございまして、衆議院におきましては、新幹線による騒音について、今後鉄道営業法等関係法令中に騒音防止をはかるべき旨を明らかにせよということであり、参議院の附帯決議におきましては、やはり同様の、防止方法に関する技術的研究開発の積極的な推進・強化と、関係法令における規制を講ずること、こういう附帯決議をいただいております。それに対しまして、私どもといたしましては、新幹線鉄道構造規則、四十六年十月の追加でございますが、第五条の三に騒音防止に特に配慮された構造たるべきことということを追加していただいて、附帯決議趣旨に若干こたえておるわけでございます。  それから新幹線の騒音につきましては、ただいま次官からお答え申し上げましたように、東海道新幹線並びに山陽新幹線につきましては、すでに指針をお示しいたしておるわけでございますが、現在環境庁におきましては、中央公害対策審議会に新幹線鉄道騒音の環境基準に関しまして審議をお願いいたしておるところでございまして、審議会の結論が得られ次第、早急に設定いたしたいと考えておるわけでございます。先ほどの御質問にもございます。先ほどの御質問にもございますように、ただいまの東海道新幹線並びに山陽新幹線に対しましては八十ホンという指針を出しておりますが、三木長官のお話にもございましたように、私どもは八十ホンというものをそのまま新幹線の環境基準にするつもりはございません。もちろん、それ以下ということで審議をお願いいたしておるような次第でございます。  それから振動の問題でございますが、いわゆる典型七公害のうち、振動につきまして、確かに御指摘のとおり、振動規制法がまだできておりません。私ども事務的には、鋭意振動規制法につきまして準備を続けております。早ければ次期国会にも提出さしていただける運びになろうかとも思っておりますが、現在準備中でございます。  以上でございます。
  225. 森勝治

    ○森勝治君 いまのお話にもありましたように、環境庁は騒音については一応八十ホンという基準を用意されておりますけれども、これはあくまでも指針でありますから、強制力を持つものではないでしょう。ですから環境庁自身が、ことばで言われるように、沿線住民が見のがしがたい被害を受けているわけですから、新幹線によってそういう被害が加わってきているわけですから、このことをお認めになっておられる環境庁の立場だということにいたしますと、非常にかっこうのよい発言の内容とは、この辺がおよそちぐはぐで、いわゆるなまぬるい措置としか言いようがないんであります。もっとも、お話しの中でこの八十ホンというのは当面の措置だと考えているという意味のことがあり、近いうちにいろいろと対策を練ると、こういうお答えであります。したがって、いまのお話ですと、いま中央公害対策審議会に付託をしている模様でありますが、近い将来——いま八十ホンをさらに下げるというようなお話もあったわけだから聞くわけじゃありませんが——近い将来にもっと厳格な基準というものを法制化するおつもりがあるのかどうか。中央公害対策審議会からの答申を待って、単に答申をお蔵入りにするわけではないだろうと思うのでありますが、この辺のところをひとつ環境庁にお伺いをしておきたい。  さらにまた、国鉄当局の防音措置が、この基準を満足し得なかった場合、どのように対処されるのか、この点をお聞きしたいんであります。このことについては、すでに運輸大臣あてに環境庁長官からの公文書も出ているわけでありますから、ひとつ、運輸大臣の本件に対する見解も聞かせていただきたい。
  226. 春日斉

    政府委員春日斉君) ただいまお答え申し上げましたように、現在、新幹線の騒音基準につきまして、中公審に審議をお願いいたしております。それに出てまいりましたお考えは十分に尊重いたしまして、環境基準として、環境庁といたしましては設定をいたしたいと考えております。  それから第二の問題でございますが、それが守れなかったときにどうするかという仮定の御質問でございますが、これにつきましては、先ほど御指摘のように、環境庁長官は公社である国鉄に対しまして、あるいは運輸大臣に対しましては、勧告という手段もございます。私どもすでに昨年の十二月に勧告したと同様な方法もあるわけでございます。
  227. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) お尋ねは、昨年環境庁長官から出ました勧告を運輸省としてはどう扱うかということだと思いますが、きわめて必要なことでございますから、勧告が出ました直後に、国鉄に対しましてこの勧告を移しまして、移牒いたしまして、それに基づいて国鉄が具体的にどういう措置をするかということについての報告を求めたわけでございます。勧告にもありますように、この東海道線のごとき、いますぐといっても全部でき上がるようにすることは困難でございますが、若干の猶予期間、経過期間が設けられております。その期間内において環境庁の勧告の指針値を達成するように、あらゆる努力を払うようにということを、国鉄のほうに指示しておる次第でございます。
  228. 森勝治

    ○森勝治君 それでは次の問題に移りますが、現在着工中の新幹線で、私の選挙区であります埼玉県に乗り入れが決定されているものとしては、東北、上越の両線があります。さらに調査五線の中に北陸新幹線がありますが、しかもこれら各線は、大宮以南の地域におきましては、住宅が密集しておる市街地を通過せざるを得ないことになります。先ほどのお答えにありました名古屋の千種地区にやや相似ているところであります。そういたしますと、沿線住民に及ぼす騒音振動の被害をはじめ、電波障害や日照権等の問題が出てまいりまして、いわゆる新幹線公害の大きいことはもう火を見るよりも明らかであります。  したがって、これら新幹線の建設にあたりましては、当然大宮以南の線路は地下構造とすべきであろうと思いまして、私ども国鉄の第一次発表ではそういうお話でありましたから、これを、私ども埼玉の沿線の利害関係の者は、そういうものだということで、すなおに受け取っておったわけでありますが、しかるに国鉄当局は、突然、まさにこれが豹変をいたしまして、地下方式に決定したこのルートを、地盤沈下、地上に出る戸田−大宮地域の交通分断を理由に、全面高架に切りかえる方針を打ち出しているわけです。さきの第一次発表は、交通分断を少なくするという理由で、地下に入るということが最初の発表でありますけれども、今度は交通分断を理由に高架にするのだという相反する表現を用いているので、この辺も合点がいかないので、この点をひとつ聞きたい。  同時に、全面高架に切りかえる方針を出し、しかも地元の同意を取りつけるいわばえさとして、通勤新線の併設を云々しておりますことは、まことに遺憾だと私は指摘せざるを得ないのであります。まさにわれわれは、これをもって国鉄の変身という表現を用いますけれども、文字どおり国鉄の変身によって、埼玉県南の沿線住民の公害に対する批判は日増しに増大をしておりまして、すでに国鉄当局も御承知のように、地元各市や県議会等でも反対を決議し、関係地方公共団体とも善処を要望しておりますことは、政府国鉄当局も、十分この点は御承知のはずであります。したがいまして、この間の経過と、なぜ地元民の強い反対を押し切って高架にしなければならないかという点を、明確にお示し願いたいのであります。この点につきましては、しばしば他の委員会等での同僚のいろいろの質問の角度からいたしましても、ただ都合だ都合だということで、はなはだその明確性を欠いておりますから、この点をひとつ明確にお答えをいただきたい。
  229. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 大宮−赤羽間の新幹線のルートにつきましては、四十六年に工事実施計画を作成いたしまして、運輸省の認可を得たわけでございますが、この際は、大宮以南のルートの問題につきましては、われわれといたしましても、非常に苦心をいたしまして、いろいろの案を考えたわけでございまして、考えたあげく現在のルートに決定いたしたわけでございます。  その際の地盤の調査は、埼玉県の発行しております埼玉県南東部地域の地盤沈下調査報告書というものに、これは毎年調査報告が出ておるわけでございます。相当信頼のおけるものとわれわれは考えております。それによりまして判定をいたしたわけでございますが、そのときの判定は、軟弱地盤でありますけれども、沈下が本県観測以来最低のものである、大体落ちついているというような調査報告に基づきまして、いわゆるあのような計画をきめたわけでございます。すなわち大宮からまいりまして、いわゆる西側に与野地区で出まして、現在線から約二キロちょっと離れたところを並行して地下でまいって、そして荒川を渡る手前でもって高架にして赤羽に高架で入るという計画でございました。  ところが、その後いろいろと私のほうでも調査しましたし、埼玉県の調査報告書によりますと、地盤沈下が非常に激しく、ことに浦和地区に北上している、しかも年間の沈下が十センチ程度で、しかも一様の沈下でなくて、非常に不規則な沈下をしておるわけでございまして、このようなところに地下構造物をつくることは、新幹線のような高規格の場合には、これが将来の保守等を考えますと、返上等のおそれがないとは言えないわけでございまして、われわれとしては、今後、まあ一ぺんつくれば百年も使える構造物としては自信が持てないということで、まことにあれでございますが、全面高架ということに切りかえたわけでございまして、全面高架にいたしますれば、地盤沈下に対して、けたを上げることによりまして、容易に線路の保守あるいは構造物の保守ができるということでございます。
  230. 森勝治

    ○森勝治君 いまのお答えの高架に変身をした根拠として、埼玉県が発行いたしました埼玉県南東部地域地盤沈下調査報告書なるものをあげておられますけれども、この発行は昭和四十六年一月発行でございます。ところが、それから約一年たった四十六年の十月十二日に埼玉県南部は地下を通すという発表をしておるのですよ。どういうことですか。四十六年一月埼玉県で発行したその地盤沈下の調査報告書に依存したというならば、この認可書は出てこないはずだ。これは認可書の写しだ。出てこないはずだ。詭弁じゃないですか、あなた。そう思いませんか。国鉄がこれを決定して——読みましょうか。
  231. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 森君、時間の関係もありますので、ひとつ……。
  232. 森勝治

    ○森勝治君 じゃ、中身は読みません。詭弁じゃないですか。埼玉県の発表なら、それから一年たって、なんでそれじゃこれを地下にするとしたのですか。このとき最初に、当然高架にするとしなければ、国鉄のいまの議論が生きてこないじゃないですか。どういうことですか、これは。
  233. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 四十六年のこの計画を実施する時点では、四十五年度の発行のものしがなかったということでございます。四十六年のものはなかった。
  234. 森勝治

    ○森勝治君 なるほどそうです。四十五年のものが四十六年の、一月に発行されておるのですよ、あなた。だから同じじゃないですか、何年度のものであっても。この種のものは昭和三十四年から発行されているのですから、ずっと。いいですか、あなたは、四十五年度のものを四十六年の一月に埼玉県発行しているのですから、国鉄が認可したのは、四十六年のもう冬も迫ろうというころですから、約一年間立っているでしょう。どういうことなんです、一体これは。
  235. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 四十五年度の資料によりまして計画を決定したわけでございます。したがって四十六年度、四十七年度のものにつきましては、非常に地盤沈下がその後の調査で激しくなったわけでございまして、そのデータは入手できなかったということです、計画の時点では。
  236. 森勝治

    ○森勝治君 あなた方は、国鉄第三工事局の地元民の説得資料の中にいま言った四十七年度入っているのですよ。四十六年度は四十七年の十二月に発行しているのですね。いいですか、四十五年度は四十六年一月に発行ですから、四十五年度のものを。これによってあなた方は変身をしたとおっしゃるのでしょう。しかし、それは四十六年の一月にあなた方は入手しているんでしょう、これは。四十五年のものを四十六年一月に発行ですから。それから一年たってもし埼玉県のこの調査をもととしたならば、こういう案は出ないだろうというのです。四十六年の一月のを読んでおいてこれを出したのですから、あなたがいま私に答弁した、地下を高架にした、変身をした理由は、論拠は失なわれているのですよ、全く。
  237. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 四十五年度十一月の埼玉県発行のものでは、本件観測以来地盤沈下は最低のものであるという報告が出されておるわけです。その資料によりましてわれわれは四十六年度にそういう判定をしたわけでございます。その後の資料は、その当時においては入手していないということでございます。
  238. 森勝治

    ○森勝治君 委員長、こういうことでほんとうはやりとりしたくないのですがね。あまりわからぬものですから、もう一ぺんお許しいただきたい。  四十六年の一月に埼玉県が発行したものを入手して、これを根拠として地下方式を高架方式に変えたというお答えをいただいたから——あなたがそういうお答えしたんですよ。その一年後に地下方式を発表しているんだから、あなたの言う根拠は失われたと申し上げているのですよ。自分の言ったことばに責任持ちなさいよ、少し。
  239. 長田裕二

    委員長長田裕二君) その間の経緯をはっきりさせていただきます。
  240. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) どうもよくわからないのでありますが、要するにわれわれがこの計画を変更した資料は、四十七年十二月発行の四十六年度版ですね。それで、これによりますと、非常に地盤沈下が激しくなっているということで、高架に変更をさしていただいたわけでございまして、その前の四十五年度版では沈下が非常にとまっているという報告がなされているわけでございます。
  241. 森勝治

    ○森勝治君 まことにこういうお答え困るのですよ。私は具体的に指摘をしているのですから。オウムじゃないのですからね。時間がないのに、貴重な十分も費やされてたまったものじゃないですよ。
  242. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 大体の経過は私も聞いております。で、先般埼玉県の知事がお見えになって、いろいろの検討材料あるいは考え方というようなものについて下打ち合わせをされたことも聞いております。私は会いませんでしたが、政務次官がかわって会いました。  いまの国鉄当局とあなたとのやりとりでございますが、これはこういうことに御理解願ったほうがいいと思うのです。私は具体的に詳しいこと知りませんが、初めに国鉄のほうは、どうも地元のいろんな反対の関係がありまして、ボーリングをしたり、あるいは調査をしたりすることを認めておらないと、やっぱり一応工事計画をきめるについては埼玉県から発行されたこの調査報告書、そういったものをもとにする以外にはほかに手段はなかったということだと思います。それで四十五年か六年か、私はよくわかりませんが、そういうような報告書をもとにして、一応この地盤沈下は大体治まってきたというような報告を何年でございますかね、それをもとにして地盤沈下がおさまるならば地下にしようというようなことで申請をした、それが翌年になりまして、翌年も翌々年もだと思いますが、さらに地盤沈下がまたひどくなってきたというような報告が出てきたものですから、国鉄としては、これは地下は無理だと、高架にせざるを得ないというような計画をきめたんだと思います。しかし、これは運輸省関係におきましては、まだそういう工事変更の許可をしておるわけでもございません。したがって、まだこれは未確定の問題でございます。今後の問題としましては、森先生もひとつ骨折っていただいて、やはりもっと精密に、具体的な地質の調査をしないと、将来非常にまずい結果になるおそれがあると思います。地元の高架反対のこともございましょう、半地下の問題あるいは地下の問題、いろいろな方法があると思います。これらについて十分関係当局も、これならばこうしなければいかぬだろう、これが一番いいだろうという結論を得るための調査をしてもらって、それで高架、半地下、地下、どれをとるかということにつきましては、地元とも十分話し合った上で、最終的にきめるようにする以外にはない、私はそういうふうにこの問題をとらえているわけでございます。
  243. 森勝治

    ○森勝治君 この高架に変身したのは四十八年の二月でしょう、いいですか、そうですね。四十六年にこの認可と同時にもし着工していたらどうなるのですか。東北はもうすでにでき上がっていますね、宇都宮市までもう全部できた、あれと同じように、県南を地下方式で着工していたらどうなるんですか、私はそれを聞きたい。
  244. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 着工いたす前には十分なる地質調査、ボーリング等をやり、また地盤沈下の状況等について現地で実際に調査をしてからやりますので、おそらく設計の段階でやはり高架にならざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  245. 森勝治

    ○森勝治君 どうものらりくらり押し問答してなりませんから、時間が惜しいですから先に進みます。
  246. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 時間が超過しましたので、簡略に。
  247. 森勝治

    ○森勝治君 いま大臣の話では、国鉄は最終的にまだ方針を架橋にするか、地下方式にするかきめてないということの御発言といいますか、この点だけ、大臣もう一度お答えをいただきたい。
  248. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いま申し上げたように、これはいろいろな経過があったと思いますが、大事な問題ですから真剣にこれは調査をするようにということを言っております。で、先ほども申し上げましたが、どの方式をとるのが一番いいかということを、これは技術的な問題が多いですから、技術的にも十分検討し得るような、そういう体制をつくって、検討の上で、最終的に地元ともよく相談の上きめるのが一番いい、私はそう言ったわけです。
  249. 森勝治

    ○森勝治君 国鉄にお伺いしたいのですが、最初の発表の地下方式というのは、どういう根拠をもって発表したんですか、これでは住民を惑わすもとになりますよ、住民はそれを信じて今日まで来たのですから、それが前ぶれもなく変わるというのはどういうわけです。そういうように国鉄というのはネコの目の変わるごとく、くるくる走馬灯のように変わるものですか、国鉄の技術陣というのはそういうふうに低いものですか、この点ひとつお聞かせ願いたい。
  250. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) この点につきましては、前にも申し上げましたように、いろいろの状況がございまして、地質を県の資料によって判定したという点につきましては、われわれとしては確かに問題があろうかと思います。しかし実際には、運輸大臣に認可申請をいたしたわけでございまして、実際のルートの具体的な現地の方々に対する発表、その他は具体的にはまだやってないという段階で、いわゆる構想の段階でございまして、最近になって具体的にこの土地をこういうふうにして通るけれどもいかがでしょうかという御相談をことしの六月ごろにいたしたわけでございまして、それまではいわゆる具体的な計画の発表ではないというふうに考えております。
  251. 森勝治

    ○森勝治君 あなた、具体的な計画の発表でないと言ったって、これは認可されたのでしょう。認可されたのは四十六年でしょう。世間に発表したでしょう、このときに。沿線ルートも何も発表しているでしょう。ことしの六月なんてそんなしらを切るのですか。ことしの六月なら、東北新幹線、北陸新幹線がことしの六月に初めて関係地域の市民に発表したというのなら郡山あたりの工事はどうなった、小山−宇都宮間の工事はどうなった、ことしの八月からあんなに進行できますか。うそもいいかげんにしたまえ。
  252. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 森君に申し上げますが、先ほどの運輸大臣の答弁で了としていただけませんか。
  253. 森勝治

    ○森勝治君 もうちょっと。向こうが悪いのですから、十分間かってなことを言ったのですから。
  254. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 私が申し上げましたのは、この場所をこういうふうに具体的に通るということを現地に落としまして、初めて現地の方とのお話し合いが始まるわけでございまして、そういういわゆる具体的なルートを現地にお示ししたのが、あるいは示した時期がことしの六月です。それまでは、この辺をこういうかっこうで通るというお話はしたわけですけれども、どこをどういうふうに通るかということについては、具体的にはお示しをしてなかったということを申し上げておるわけです。
  255. 森勝治

    ○森勝治君 国鉄は一番悪いやり方ですね。埼玉県民が反対すれば、埼玉県が反対したからできないというらく印を押そうとしているのでしょう。もってのほかですよ。一番困難なところをなぜ早急にやらないのですか、二年もほうっておかないで。一番大切なところでしょう。名古屋でも大問題になっているところですから、大都会を走るわけですから。そういう問題をまっ先に手をつけずに先からやってきて、既成事実をつくってしまって、反対するのはけしからぬ、けしからぬって、ひきょうなやり方じゃないですか、これは。なぜこういう大事なところなら、もっと、六月なんて言わないで、二年前に言わないのですか、おかしい。その点が一点。  それから私が先ほど質問した中で、お答えがないのですよ。埼玉県大宮以南は市街地の分断を避けるために地下にするといって出ているのですよ。ところが、今度の皆さん方の二月の発表で、高架になったのは、市街地を分断しないために高架に移るというのですよ。どういうことなんです、同じことばで相反する表現を用いるのは。納得できませんよ、これでは。
  256. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 確かにほかの地区より具体的な位置の発表がおくれたと。これは、実際には地元の方からも、当然、北陸新幹線等が予想されると。したがって新幹線が二線になるんではないかということで、それらのものについて同時に計画の発表をしなければ、というようなお話もございますし、われわれとしても、そういうことは予想されておりましたので、ここを具体的にどう通るかということについては、その後相当勉強をし、また検討していたということも事実でございますので、そういう意味で、少し発表がおくれたということでございます。  それから新幹線だけで通るということになりますと、これは確かに分断ということになりますけれども、これは地元の皆さんから現在は反対はございますけれども、当時は、通勤新線をあの地区に通すことによって、やはり地域の開発に資するという意味で、いわゆる地域開発ができるという意味で、高架にすることによって、通勤線は高架にならざるを得ないという事情がございますので、まあ町の形成に資するのではないかということで、そういう表現になったかと思います。
  257. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 森君、なお質問もありましょうが、明日でも資料を持って国鉄のほうから御説明にあがるということで、ひとつ御了承いただければと思います。
  258. 森勝治

    ○森勝治君 はい。十分ばかり、お答えがないものですから、押し問答いたしたものですから、あと一、二問お許しいただきたいんです。申しわけありません。
  259. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 簡略にお願いします。
  260. 森勝治

    ○森勝治君 私は、現に地下鉄が、交通が激しく、しかも地盤沈下地帯でありながら何の支障もなく営業を行なっておるということも十分承知をしているわけです。しかも新路線の計画をいまやっているわけです。ところが国鉄は、世界に誇る技術陣と豪語しておりながら、この地下方式が困難であるということを、突然豹変したこの考え方にはどうしても合点がいかないし、ついていけませんし、その考え方に御協力を申し上げることができません。あに私一人ばかりではございません。また百歩譲りまして、皆さんのおっしゃるように、高架方式としたという仮定に立った場合に、公害対策の万全ということについても十分でないし、これは、いま千種の問題が出たと同じように万全でないし、しかも通勤新線をえさにしてやるなんということは、全く私は国鉄を信用できません。私は、失敬でありますし、公式の席でありますから、あまり言うのをはばかりますが、国鉄のある幹部に、技術屋さんに聞いたら、世界に冠たる国鉄の技術陣をしてなら、大宮以南のこの埼玉の新幹線の地下方式は技術的に不可能でないという意味のことをおっしゃる方もおるのです。不可能でないということが満場一致きまったから地下方式を用いたのですから。四十八年の二月になって突然に豹変をして、いま言ったように、もう東北や何か全部折衝して、もうすでに工事が完了したのに、一番難渋をするといわれるこの埼玉県の県南の事態を今日までほうっておいたということは、私はまことにこれは許しがたいところだと思うんです。委員長の御注意もありましたから、私もこれ以上続けるわけにまいりません。  そこで運輸大臣にお伺いするわけですが、先ほどの大臣のお話の中で、結局、運輸省としてはこの線をいずこにするかはまださだかでないというお話。その中で、加えられまして、地下方式にするか、あるいはまた半地下にするか、そういう問題については今後十分検討してみたいというお答えがなされました。これは従来の国鉄の発言等から見ますと、非常に前進したお答えと私は思うのです。いままでは一切考慮する余地なしというので、地元民が陣情いたしましても、県が交渉いたしましても、にべもなく断わり続けてきたわけですから、大臣からそういうお答えがありますものですから、私は、それをよりどころといたしまして——今度、大臣は再検討を約束したものと私は思うんですが、そういう理解で大臣よろしいですね。
  261. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 再検討とおっしゃいますけれども、先ほど申し上げたように、現在まだ、公式に言いますと地下方式で認可をしたままになって、地下方式が技術的に困難であるというような報告も出ておりますから、それで国鉄としては、地下方式がいいのか、あるいは高架方式がいいのかというので、いろいろの案を提案をいたしまして、地元と折衝をしている段階ではないかと思います。したがいまして、これはやっぱり、ただだれが言ったというだけじゃなしに、国鉄が責任を持っているんですから、国鉄がやはりボーリングもやり、あらゆる調査をいたしまして、そして国鉄の責任においてこの方式をきめなきゃならぬと、この思います。でございますから、地元の御要望も要望でございますから、地元がどうしても反対だというのに対して、国鉄が無理やりにそこに新幹線をつくるわけにもいきません。これは十分地元の府県知事とは話し合いをしなきゃならぬということは言うをまたないんです。そういった問題を含めまして、技術的な、一番の問題になっているこの工法をどうするかということについては、徹底的に調査検討させましょう、その結果によって、地元との話し合いも進めさせましょう、こういうことを申しておるわけでございます。後退とか前進とかいうことではなしに、これはもうだれが考えてもそれ以外に方法はないだろうと思うんです。で、私は、そういう方法で国鉄を指導する以外には解決の道はない、こういうことを申し上げている次第でございます。
  262. 森勝治

    ○森勝治君 じゃあ、これで終わります。  場所も場所だし、立場が立場の大臣ですから、新谷さんは、いつも歯切れのよいお方でございますが、きょうは少し新幹線ががたがたゆれたようなお答えでありますが、あなたとしては煮え切らないお答えだと思うんでありますが、運輸大臣としては、私は画期的な発言というふうに受け取ります。個人新谷の発言としては受け取れません、煮え切らないですから。運輸大臣としては、前と違って、非常にハイスピードのお答えというふうに理解いたします。ですから、これをもって私の質問は不本意ながら終わりますが、公社当局に申し上げておきたいんですよ。なるほど土地収用権なるものの法律がありますが、言うことを聞かなけりゃだんびらを広げるというような地元との交渉はやめていただきたい。地元に対するつんぼさじきもやめていただきたい。既成の事実をつくって、それに従わなければ、おまえたちが悪いんだといって、埼玉県あるいは沿線の住民にしりを持ってくることもやめていただきたい。あげて国鉄が本件の計画については、計画を地元に話さないで——福島県や栃木県等に参りますと、あちらで十分話し合えて、土地買収をとっくにしてしまって、終了しているのに、もう工事が完了しているんだから、向こうは。埼玉県の一番工事の難渋、たいへんだったところを、いま申し上げたように、ことしの六月だとおっしゃるんですから、六、七、八、九とわずか百日なんですよ。よそでは工事も完了したのに、わが埼玉は百日、一番困難なところで。これで埼玉県が驚かざるを得なくなるのは当然でしょう。それでも国鉄の当局はてんとして恥じませんか。特に、地下方式を発表しておって、地元民が、これならば不本意ながら協力しようと思っていたら、まさに春雷のごとく——春の雷ですよ、二月に鳴ったんですから、地下方式から高架におどり出たんですからね。国鉄は驚きませんが、われわれはびっくりしたんですよ。それでもなおかつ国鉄の良心に今日まですがってまいりました。しかし国鉄は依然としてかたくなであります。こういうことはやめていただきたい。いま大臣がそういうことをおっしゃったから、私はきょうはこれで引き下がりますけれども、どうぞひとつ早く、地元の要望を入れてやってください。  私は何も新幹線が埼玉を通ってはならぬなんて、そんなへそ曲げたことを申し上げるつもりはありません。新幹線の必要も十分承知しております。しかし、いまのような国鉄のやり方はだめです。そうかと思うと、埼玉で反対するから大宮起点だとうそぶいておやりになる、これではいかぬと思う。だから、ひとつもう少し、地元民にあたたかく接してください、まじめに接してください。馬の鼻づらにニンジン的なやり方、国鉄というかさにかかって埼玉県民をいじめるようなやり方、既成事実をつくって、ここで買収に応じなければ、悪いのは埼玉県並びに埼玉県民だというような、いまのやり方です。あなた方、そう言うとおこるかしらぬが、われわれはそういうふうに思っているんですから、考えることは自由ですから、われわれはそう思っている。だから国鉄に対する不信がありますから、このままでいったらいかなることがあっても国鉄と話し合いには応じないと言って住民はかたくなになっております。この住民のかたくなな気持ちをほぐして、この新幹線に協力させるためには、初心に返ってもらわなければなりません。それは国鉄が大国鉄の名誉にかけて、第一に発表した地下方式というものに、この初心に戻らなければならぬことを、私は申し添えて、私の質問を終わります。
  263. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 森君の質問は終わりました。  それでは、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後六時十五分散会