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1973-06-28 第71回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十八日(木曜日)    午後一時五十八分開会     —————————————    委員異動  六月二十七日     辞任         補欠選任      西村 尚治君     岩本政一君君      杉山善太郎君     藤原 道子君  六月二十八日     辞任      菅野 儀作君     高橋 邦雄君      岩本 政一君     中村 登美君      渡辺一太郎君     斎藤 十朗君      藤原 道子君     杉山善太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 斎藤 十朗君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 中村 登美君                 松平 勇雄君                 伊部  真君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省海運局長  佐原  亨君        運輸省港湾局長  岡部  保君        海上保安庁長官  野村 一彦君        海上保安庁次長  紅村  武君        建設政務次官   松野 幸泰君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君        自治省行政局長  林  忠雄君     —————————————    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        運輸省海運局参        事官       見角 修二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  杉山善太郎君、菅野儀作君が委員辞任され、その補欠として藤原道子君、高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 三木忠雄

    三木忠雄君 前回に引き続きまして質問いたします。  特にきょうは、港湾管理者財政基盤強化の問題についてお伺いしたいと思います。  四十年の十月に、港湾審議会から港湾管理者財政基盤強化等のために緊急に実施すべき答申案が出されていると思うんです。この問題の内容について、まず最初にお伺いしたいと思います。
  5. 岡部保

    政府委員岡部保君) 答申の概要につきましては、まず第一点といたしまして、目的税等特定財源確保、それから入港料徴収確保等による港湾管理者財政基盤強化というのが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、岸壁航路別貨物別優先使用方式推進等による埠頭効率的使用のための措置というのが第二点でございます。  第三点といたしましては、国及び港湾管理者負担を縮小するとともに、埠頭船会社等に貸し付け効率的使用を可能とするための団体設立ということ、これが大きく申しまして、この答申中心点だと存じます。
  6. 三木忠雄

    三木忠雄君 このそれぞれの項目の問題について、審議会として緊急に実施すべき答申案が出ているわけでありますけれども、この問題について、運輸省としてどのように取り組んでこられたか、この点についてお伺いしたいと思います。
  7. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま申し上げました三点に分けてお答えを申し上げます。  まず第一点の、いわゆる入港料につきましては、港湾管理者徴収を希望いたしまして、従来から船主団体との間で検討を続けておりますが、残念ながらまだ解決を見ておりません。と申しますのは、トン税とこの入港料というものが二重徴収になるという反論がございまして、残念ながら、まだ全面的に入港料徴収するというところまで話し合いがついておりません。したがって従来やっておりました一部の港湾のみで徴収されておるところでございます。さらに、目的税等特定財源確保という問題につきましては、いろいろ私ども検討はいたしておりますが、残念ながらまだ具体化いたしておりません。ただ、ここで一つ申せることは、今後増加すると思われます港湾管理者財政需要にこたえるために、今回の改正案においては、港湾環境整備負担金制度というものを新しく考えて法定いたしたいというふうな考え方で、ただいま御審議いただいておるわけでございますが、その点だけは、今回の法律が改正されれば新しいものとして織り込めるということでございます。それ以外は、残念ながら、それからさらに検討を続けていきたいということでございます。  第二点につきましては、いわゆる岸壁航路別貨物別優先使用方式推進ということにつきましては、これは審議会趣旨を受けまして、各港湾管理者を指導いたしまして、その結果、横浜、神戸などの成熟した港湾においては、その趣旨がかなり徹底されまして、埠頭効率的使用に役立っておる次第でございます。  それから第三点の、いわゆる埠頭船会社等に貸し付けて効率的使用を可能とするための団体設立ということでは、外貿埠頭公団法によります京浜外貿埠頭公団阪神外貿埠頭公団設立、これは昭和四十二年度でございますが、こういうものを設立いたしました。また港湾法第五十五条の七に基づく名古屋コンテナ会社設立、これは昭和四十五年度でございます。また各地におけるフェリー埠頭公社設立を通じまして、いずれも答申趣旨を体して、その効率使用をはかっておるところでございます。  したがいまして、もう一度繰り返して申し上げれば、第二、第三の問題点については相当に進捗いたしておりますが、残念ながら第一点の特定財源確保、あるいは入港料徴収確保というような問題については、まだあまり進展を見ていないというのが現状でございます。
  8. 三木忠雄

    三木忠雄君 この二番、三番の問題については、あとでまた具体的にお聞きしたいと思いますが、この目的税の問題ですね、これは地方港湾管理者のいろいろな意見を聞きましても、地方港湾管理者財政負担が非常に多くなってきている。港湾管理者収支状況を見ましても、大半が赤字と、一般財源繰り入れというものが非常に大きくなってきておると、こういう点から考えますと、たとえば、これはいいか悪いかは論議の問題がありますけれども関税の問題ですね、こういう問題、一割なら一割港湾管理者のほうに還元できないだろうか、こういう問題が、いろいろ私たち意見を聞くたびにそういう話が出るわけです。こういう問題についての論議は進められたのかどうか、これをちょっと伺っておきたいと思います。
  9. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま具体的な一つの案として御指摘のございました関税特定財源化の問題これにつきましては、私どももすでにいろいろと検討もいたしましたし、あるいは正式の要求ではございませんが、大蔵省あるいは財政当局関係者ともいろいろと相談もいたしております。ただ現実の問題といたしましては、関税の一部を特定財源化するということに対しての、現実にまだできていないわけでございますが、これに対する反論の主なものを申しますと、関税ということ自体が、これはいわゆる何と申しますか、普通の税制と違って、いろいろ通商貿易上の、通商行政上の問題に関係があるというような点等々で、なかなか難点を言っております。  それから、さらにこういう特定財源をつくります際に、これはもう先生承知と思いますけれども現実にいろいろな道路の場合の特定財源もございますが、新しく財源を創設いたしまして、それを特定財源にするという例はわりにあるわけでございますが、すでにある財源を特に特定財源に回すというのは、なかなか財政当局がうんと申しません。そういうような非常に具体的な理由でございますけれども、そういうようなことで、まだ残念ながら目的を達しておりません。
  10. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、地方管理者は、この前から廃油処理の問題あるいは環境整備等考えあわせても、ますます歳出のほうが多くなってくるわけですね。これに対する歳入——まあ港湾使用料等値上げによって、一般物価値上げ等につながるのでは私はまずいと思うのです。しかし、この国税の使い方ですね、こういう問題で、やはり港湾管理者自身が果たしている機能、いろいろな問題から考えても、もう少し港湾管理者に還元すべき問題がいろいろあるのじゃないかと思うのです。  そうしないと、これはますます地方港湾管理者財政負担というものは規模が大きくなってくるし、これは一般財源繰り入れがますます大きくなってくる。これは地方税増税関係につながってくるのじゃないかという、いろいろな点を私は考慮するわけです。そのための打開策をもう少し私は、運輸省当局として考えなければならないのじゃないかと思うのです。この点についての前向きな検討はなされているのかどうか、もう一度お伺いいたします。
  11. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに先生のおっしゃるとおりであると私も考えます。そこで、たしか衆議院段階であったかと存じますが、お答えを申し上げたこともございますが、私ども例港湾整備五カ年計画というものを、できれば四十九年度から改正していきたいということを計画内容として考えておりますが、その際に、改定されるということで、やはり整備事業規模を見ましても、これは改定された場合に拡大するというのが常識でございます。そういうときに、一体この財源をどういうふうに考えるかという問題が、もうさしずめの問題として出ておりますので、現在いろいろとその財源問題点について作業中でございます。そこで、でき得れば来年度の計画改定とからみ合わせまして、財源についても新たな問題、たとえばここでもお話のございましたような関税特定財源化であるとか、あるいはこれをごく一部分に限定いたしまして、油の関係でやはり港湾関係があるのではなかろうかというような考え方、あるいは入港料というものをどういうふうに考えるという考え方、あるいは埠頭を通過する貨物埠頭通過料と申しますか、いわゆる外国ではワーフェイジと呼んでおりますが、そういうようなものを考えるというようなことはできないかというので、いま作業中でございます。したがって、できる限りの努力はいたすつもりでございます。
  12. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあこれから煮詰められるのでしょうから、いろいろ私たちの今日まで論議してきた問題を、やはりよく生かしていただきたいと思うのです。これは運輸大臣にもお願いしておきたいと思うのです。ますます私は、地方港湾管理者というのはたいへんな港湾管理の状態になってくるのじゃないかと思います。  そこで歳入中に占める使用料収入基本施設整備に対する費用の比率というのは、どの程度のものになっているか、これについて伺いたい。
  13. 岡部保

    政府委員岡部保君) 本日、ここに持っておりますが、主要八港の、いわゆる八大港といっておりますが、主要八港の財政収支データでございますが、大体、収入というのが、使用料等港湾収入、それからいわゆる施設整備いたします際の負担金、これは国庫負担金でありますとか、それから県が管理者であれば市の負担金あるいは受益負担金、そういうようなもの、いわゆる負担金でございますが、それと管理者一般財源繰り入れと、それから公債、いわゆる起債でございますが、公債というものと、こういうように四つに分けてみますと、使用料等港湾収入というのが、この収入総額のうちで、大体二三%ないし二八%程度でございます。これは四十一年度から四十五年の間で出たり入ったりいたしておりますが、大体そのくらいである。約四分の一が使用料等港湾収入である。それから一般財源繰り入れ、これがいわゆる地方財政資金繰り入れでございますが、これがどのくらいかと申しますと、三〇%ないし三五%程度で、約三分の一が一般財源繰り入れである。それ以外に国あるいは受益者あるいは県の場合に市の負担金と、そういうような横から入ってまいります負担金というもの、これを一般財源繰り入れと合わせたものが一つ建設勘定にちょうどなるわけではありませんけれども、比較的近いものになるかと存じますが、そういう負担金収入というのが大体一七ないし一八%ぐらい、残りを公債でまかなっておるというようなオーダーでございます。
  14. 三木忠雄

    三木忠雄君 こういう点考えましても、一般財源繰り入れ、あるいは公債発行収入が非常に大きくなってきて、この港湾管理者というものは非常に負担増が大きいということはもう目に見えている事実だと思うのです。いわんやこれは主要八港でありますけれども地方港湾あるいは重要港湾に至ってはもっと率が大きくなってくるんじゃないかと思うのです。この数字は、私はきょうは聞くことはいたしませんけれども、こういう点を考えますと、やはり早急に港湾管理者の財政問題を次の五カ年計画の中によく考えに入れて、そうしてやっていかないと、ただ法律はつくる、あるいはいろんなことをやれということは、運輸省指示するけれども、あるいは法律でつくるけれども、具体的に港湾管理者に全部負担がかかってくると、それが地域住民にはね返ってくるという結果を招いては、私は何にもならないと思うのです。その点をよく計画段階で考慮に入れていただきたいと思うのです。  そこで三番目に言われた埠頭公団の問題について、一部お伺いしたいと思うのですけれども、確かに埠頭公団現状については、私たちもいろいろ資料等で見ておりますけれども、ちょっと地方港湾管理者との間に、この外貿埠頭公団の問題については考え直さなければならない時期に来ているんじゃないかという、私は率直な意見として感ずるんです。この京浜あるいは阪神外貿埠頭公団現状について、運輸省としてはどういうふうに認識されているか、この点についてまずお伺いしておきます。
  15. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私、先生のおっしゃることが非常によくわかると申しますか、ぴんとくるわけでございます。と申しますのは、埠頭公団問題点で、確かに問題点をだいぶかかえております。  まず第一点に、いまお話のございました、何と申しますか管理者財政という考え方から見てどうなるのかという点、この点につきましては、私どもはそれほどの、これがもしも管理者がこういうことをやっておったというときに、同じような、何かいまの、いわゆる公共事業方式ではできないということで公団方式がつくられたわけでございますので、何らかの資金面での裏づけというものがあって、公共事業に準ずるような仕事港湾管理者自体がやっておった際に、どうであるかという点になりますと、必ずしもこれは管理者財政プラスになったかどうかという点については、私は疑問を持っております。それからもう一つは、この外貿埠頭公団をなぜつくったかという問題で、明らかに、いまも申しましたように、財政資金民間資金の導入を容易ならしめるという、いわゆる借り入れ金を導入するというような思想でこの公団というのが一つは出ております。そういう意味での価値があった点では確かにあると存じます。また運営の面で特定船社に貸し付けると、これはやはり財政資金で、いわゆる公共事業でつくりました施設を単独の企業者に、私人に貸し付けるというのは、いささかどうかと思うという感じもございますので、そういう意味での効果はあるわけでございますが、現段階で、しばしば御意見もございますように、港湾管理者一つのテリトリーの中に、こういう公団というものが管理する施設と、これを包括的な意味では、確かに港湾管理者が全般的に港湾管理しておる。ただ個々施設につきましては、ちょうど鹿島港でだいぶおしかりを受けておりますように、個々企業が並んで岸壁を持っている。それの横の連絡あるいは危険防止のための運営というものに対して、非常にあぶないじゃないかという御批判があるわけでございますが、それとある意味では相通じるような、公団というものが施設管理者であるということのために、港湾管理者である地方公共団体から、独立したような姿になっておる。もちろん公的な団体でございますから、一般の私企業の持っているよりは、はるかに私はいいと思いますけれども、そういう問題点ははらんでおります。  それから外貿埠頭公団で実施しております仕事が、コンテナ埠頭建設と、それから一般外貿定期船埠頭建設というふうに限定しております。ところがこういうコンテナ船のためのバースというものが非常にいままでおくれておりましたために、大急ぎで仕事をやっておる、ところがもうそろそろそれがピークになりかかってきております。これから先、こういうコンテナ船埠頭建設というものが、いままでのような調子で必要であるかどうかというあたりになりますと、こういう一つ独立組織であるだけに、その組織運営という面で問題点が出てまいります。そういうような点で、いろいろ問題がございまして、私どもこれからどういうふうにするかということ、これもどうも検討ばっかりで申しわけございませんけれども、ほんとうに現在も、いろいろ検討している最中でございます。
  16. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは港湾行政の一元化の問題から考えましても、やはり京浜外貿埠頭公団あるいは阪神外貿埠頭公団があるということは、何か独立したもので、やはり地方港湾管理行政が行き届かないのじゃないかという点、あるいはある意味では指示系統が一本化されないじゃないかという、非常に港湾行政の上からいってもちょっとまずいのじゃないかと私は感ずるのです。これは神戸等でもそういう意見が出ていることは、もうすでに局長も御存じだと思うのですけれども、この問題は、やはり私はこの時点において考え直さなければならないのじゃないかと思うのです。ある場合には、鉄建公団と同じように、工事だけはしっかりやるけれども運営管理のほうは地方港湾管理者のほうにまかすとか、いろいろな打開策を、私はこの際考え直すべきときじゃないかと思うのですけれども、これは運輸大臣意見をお伺いしたいと思います。
  17. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これはおっしゃることはよくわかりますが、埠頭公団のできました沿革からいきまして、御承知のように、初めはとても港湾管理者の手に負えないようなものであったために、関係者から相当民間資金を導入してできたものですから、そういう点で、今日までその惰性できているわけです。しかし、おっしゃることはよくわかりますので検討します。検討しますが、今日まで、たとえば安全面とか、あるいは港湾運営面で、外貿埠頭公団であったために、非常に港湾全体の管理の秩序が乱れたとか、そういった事例は、私はあまり聞いていないのです。個人の持っているバースと違いまして、やはりこういうふうな半分公的な色彩を帯びた団体の持っているものですから、そういう点について、やはり港湾管理者に協力をするという体制は初めから持っているだろうと思いますが、しかし、ほうっておきますと、もっともっとふえるでしょう、これは。そういう点を考えますと、やはり将来にわたって考えるべき点があるように思います。この点はひとつ検討さしていただきます。
  18. 三木忠雄

    三木忠雄君 出向社員の問題でちょっとお聞きしたいのですけれども、やはり人事構成の問題からしても、私はちょっとまずいのじゃないかと思うのです。データをいただいたわけでありますけれども、たとえば京浜外貿埠頭公団の人員が、理事長以下百九十四名で、このデータによりますと、国からの出向が四十七人、公共団体からの出向が四十六人、合計九十三人になっておるわけですね。それから阪神外貿埠頭公団が百九十七人中やはり百二十六人が国あるいは地方公共団体からの出向になっているという、こういう資料をいただいているわけですけれども、これからしますと、ほとんどが国あるいは公共団体から出向されて、地元で採用された——地元と言うと語弊がありますけれども埠頭公団自身が採用された職員というのはほんとに浮かばれないような結果になっているのではないか、あるいはこれまでコントロールするのであれば、まさしく地方公共団体管理権を移したほうがいいんじゃないかという私は考えに至るわけなんですが、その点についてはいかがですか。
  19. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生資料を御提出いたしましたとおりでございまして、確かに御説のとおり、京浜外貿埠頭公団では約半数が国と公共団体から出向したと、それから阪神外貿埠頭公団では半数どころではございませんで、六割何分も、三分の二ほどが出向しておるというのが事実でございます。  これはある意味では、国から出向したのと、それから公共団体から出向したのと、京浜外貿埠頭公団では約同数でございます。阪神外貿埠頭公団では公共団体からよけいに出ておる。公共団体と申しますのは、これは港湾管理者の、いわゆる港湾管理部局からの出向でございます。したがってある意味では、こういうことによって、先ほどの御指摘のございました管理者との遊離というものをむしろ逆につなぎとめているというプラスの面はあると存じます。ただ、これだけの出向をさせるならば、もう少し別のことを考えられるじゃないかという先生の御説も確かにいえるわけでございます。  そこで、確かにそういう点ございますが、いまのところ私どもこれを直ちにどうこうと言うのはなかなかむずかしゅうございます。現実人間が張りついておる問題でございますから。したがって、これは先ほどの組織自体のこれからの進み方等々の検討にもあわせて、こういう点については検討していくつもりでございます。
  20. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは私は、確かに検討しなきゃまずいと思うんです。こういう公共団体から来ている職員指示一本で来てるんでしょうけれども、中には希望している人もいらっしゃるかもしれませんけれども、やはり退職金の問題あるいは将来の身分の問題等考えますと、やはりこういう出向社員で絶えず繰り返していくというやり方はあんまり好ましくないんじゃないかと思うんです。したがって曲がりかどに来ているこの二つの埠頭公団の陣容からいっても、どうしてもこれは、いろいろ論議を重ねた上で、継続しなければならないのであれば、百歩譲って認めれば、やはり公団の採用した人たちがどんどん昇給できていく、あるいは将来訓練をされてポストについていくという立場をつくっていかなければ、いつまでも国から出向している、あるいは公共団体から出向している人間が二年か三年上のポストについて、あとは二年、三年終われば、またもとの本省に帰る。その下に働いている、一般採用された職員というのは、いつまでたったっても、年じゅうかわる上の課長なり、あるいは部長から指示を受けるのでは、一貫した事業体制が組まれないと思うんです。こういう点を考え直さなければならないのじゃないか思うんです。  それから、人事のこまかなことは、私はきょうはやる考えは持っておりませんけれども、やはり外貿埠頭公団の役員構成を見ましても、京浜外貿埠頭公団あるいは阪神外貿埠頭公団の監事の人事が非常にまずいと思うんです。たとえば会計検査院の第四局長、これは会計検査院時代に監督していかなければならない立場だったその会計検査院の第四局長とか、あるいは阪神外貿埠頭公団では、これは行政管理庁の局長がやはりポストに監事として占めているわけですね。こういう点から考えても、非常に外貿埠頭公団人事構成にしても、私はまずいのじゃないかと思うんですね。確かに過去の経歴を生かすという点で、私は全部が全部悪いとは言いませんけれども、やはりこういう点にもう一歩、しっかりした行政監督というか、あるいはそういうものをしていかなければ、外貿埠頭公団あるいはこの問題が、地方港湾管理者からいろいろ批判の眼で見られる、あるいはいろいろな問題をかもし出す、こういう点は十分に運輸省の行政として、的確な指示をしていかなければならないのじゃないかと思うんです。この点についての運輸大臣の見解を伺いたい。
  21. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いま御質問の中でお述べになったようなことから選ばれたのだと思います。非常に事務的な答弁になりますが、この監事というものが非常に専門的な知識や経験が要るんだということで、そういう適任者を選んだものと思いますが、そういうふうな考え方がどうかというようなことになりますね、あなたの御質問の趣旨は。私は詳しくは、その当時からの事情をよく知りませんが、御趣旨に沿いまして、ひとつ検討をしてみましょう。これは別に、そういった人を無理やりにここに就職先を見つけてやったということではないと思いますけれども、やはりこういう特殊なものですから、知識経験を生かしたということが主だろうと思います。しかし、これは検討さしていただきます。
  22. 三木忠雄

    三木忠雄君 参考のために伺っておきたいんですけれども、こういう出向社員の身分というのは、出向している間あるいは帰ったあとポスト、あるいは身分保障というのはどういうぐあいに行なわれるんですか。
  23. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは国家公務員の場合と、それから地方公務員の場合で若干の食い違いがあるかと存じますが、大体ほとんど同じはずでございます。いわゆる退職手当の場合も、これはいわゆる最終的な際に公団、公庫等に出ております期間も通算になります。それから共済組合法での年金の問題こういうものもその期間引き続き組合員であったものとみなされる扱いを受けております。したがって、この点では、特殊法人に対する具体的な身分的な差別が生ずるということはないわけでございます。これが地方公務員におきましても、それぞれの条例におきまして、そういう扱いをいたして、出向者に対する差別というか、不利益にならぬようにという扱いをいたしております。
  24. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは今後よく検討していただきたいということをお願いしておきます。  それからこれは運輸大臣か、もしくは官房審議官に……。先般来からいろいろ天上がりとかいうようなことばで——あまりことばはかんばしくないかもしれませんけれども運輸省に民間からの出向社員が六名、何か出向されているというお話を聞いておりますけれども、こういう人たちの具体的な仕事ですね、あれはどういう関係運輸省企業からこの人たちを導入しなければならないのかという点についてお伺いします。
  25. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生いまお話のとおり、    〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 民間から六名程度の調査員が現在運輸省出向してきております。で、これらの調査員については、国に準ずる機関のその職員の実務の研修を運輸省が引き受ける、あるいは運輸省職員と共同の調査研究をやらせるというようなことで、政策部門で長期的な重要な予測とか解析手法の開発というようなものに、両方共同して作業をしていくということで、これは調査研究に当たっているものでございます。したがって国の許認可というような仕事に直接携わっているということではありませんし、また役職についているということでもないわけでございます。
  26. 三木忠雄

    三木忠雄君 しかし、これはいろいろ出向している企業を調べてみると大体銀行ばかりですね。銀行が主力です。大手銀行はみんな、特に入っているのが大臣官房の政策課のほうに入っておる。したがって、やはり企業から考えてみれば、運輸省のいろんな計画を、何と言いますかね、調査するというか、そのための調査員みたいな、そうして企業に情報を提供するみたいな役割りを果たしているとしか私たち考えられないと思うんです。  こういう点について、はたしてこういうものが必要なのかどうか、運輸省として、こういう民間との共同研究のための調査員が必要なのかどうか。まして六名、こういう人たちがほんとうに必要であるかどうかという点を、私は非常に疑わしいと思うんです。じゃどうして限られた銀行だけにこういう人を出向社員として認めているのかどうか、これも論議しなきゃならない問題だと思うんです。この点についていかがですか。
  27. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私ども、一番こういう制度について誤解を受けてはいけないのは、民間の企業と役所の仕事が癒着しているという非難を受けては、これは一番いけないと思っております。したがって現実に入っている仕事は、先生いま御指摘のとおりの政策コーナーでございまして、長期計画の立案、調査研究をするというところでございますので、許認可等の仕事を通じて民間と政府が癒着しているという関係は全くない部門の仕事でございます。  そこで私どもとしては、実は御指摘のような、いろいろ銀行からその研修を受けたいと、一緒に仕事をさせてもらいたいということでございますので、逐次銀行を入れかえて研修ということで役所に来て働いているということをやっているのでございます。したがって、その運用については、決してその派遣元だとか、その配置している場所の仕事だとかいうようなものが、関係があって役所の機密が流れたり、また役所の仕事の重要な部分にそういった民間の会社を参画させたりということのないように、実は十分注意をしているつもりでございます。
  28. 三木忠雄

    三木忠雄君 秘密が流れないようにというところに問題があるんです。秘密は現実に流れているんですよ。これは昨日の毎日新聞です。運輸省から建設会社へマフ秘の文書が筒抜けだとあるんです。港湾局から三部の書類が出ているんです。計画から全部。こういう問題について、民間の銀行やそういう人たちが入ってくるということ自体が、確かに調査というけれども企業から運輸省に対する調査みたいなものですよ。情報を提供するパイプをわざわざつくっているということにしかすぎないと思うんです。たとえば銀行は銀行かもしれない、しかし、その背後にいろんな関連会社、系列会社があるはずなんです。こういうところに全部情報が流れているんです。こういう制度をいつまでも続けるということは、私は役所と民間が癒着しているといわれてもしかたがないと思うんです。  こういう制度をはっきりと改めるべきだと思うんです。それほど人間が足りないのかどうか、あるいはこういうことをしなければならないかということは、私は非常に疑問だと思うんです。前にも私は一回指摘したことがありますけれども、自動車の整備会社にしても同じなんです。民間から人を足りないからといって巻き上げるようなやり方、こういうふうな制度というものは、私は運輸省として、役所としてとるべき姿じゃないと思うんです。この点についての、もう一度見解を伺いたい。
  29. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 時間をとって申しわけないんですけれども、きのうの新聞記事のことがちょっと御議論になりましたので……、実は詳しい内容港湾局長もおりますので、お答えできると思いますが、ちょっと新聞で、御心配をなさっているように、運輸省の機密がそのルートで流れたという意味の書類では実はございません。昨日来新聞に出ましたので、私どもも調査をしてみましたが、そういう心配はない資料でございます。  それと別のことでございますが、この調査員の制度につきましては、先生指摘のような批判もあることを、私どもも存じておりますので、この運営については、今後とも慎重を期していきたいと思いますし、十分先生の御意見も参酌さしていただいて、今後考えていきたいと考えております。
  30. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、きょうは秘密文書のことについてわざわざ質問はしたくありません。しかし、こういうものが流れるということは、やはりこういう制度をはっきり断ち切らなきゃだめだと思うんです。これはあなたの立場じゃできないと思うんですけれども、これは運輸大臣、やはりこういう制度は、私はなくすべきだと思うんです。どうでしょうか。
  31. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 運輸省の中のことですけれども、実はよく知らなかったわけです。いろいろ理由はあったと思うんです。ごく卑近な考え方からいうと、どんどん仕事の幅がふえていくのに、どうしも定員が十分でないと、それについて、おもな役所の仕事をさせるということはめったにないと思いますけれども、ある程度練達の人に手伝いに来てもらう、向こうのほうは、それによって、運輸省仕事がどういうふうに動かされるとか、そういったことについて研修をしたいというようなことで、合意があって、あるいはそういったことが始まったのかもしれません。私よく沿革も何もわからないのですけれども、いまおっしゃるような、企業に対して官庁の内部の政策の方針とか、あるいは特定企業にある種の運輸省の行政措置が漏れていくようなことは、これはもう絶対にいかぬと思いますね。これは避けなきゃいけません。むしろこれは綱紀問題になると思います。ですからいろいろな問題について、おっしゃる点もよくわかりますから、私も調べてみます。で、そういう弊害が認められたら、わずかの人間ですからやめてもいいんです。ただ、その両方に何かプラスになることがあれば、これはおそらく運輸省だけではなしに、ほかの省でも、ある程度弊害を伴わないような方法を講じながら実現しているところがあるんじゃないかと私は思います。そういった点も十分考えまして、私はもう一ぺん具体的に調べてみます。
  32. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはその点、ひとつよくお調べいただきたいと思います。私はいろいろな事情があると思うんです。したがって一特定企業とか、ある一部の銀行だけにそういうふうな制度というか、やはりそういう立場を与えているということ自体が公平じゃないと思うんですね。一部の企業、大企業だけにそういうことをやっているということ、ほんとうに運輸省の政策を民間業者が知りたいと、それならばもっと積極的に講習会なら講習会とか、こういう方針で将来の港湾計画なら港湾計画はこういくんだというものを講義する場所もあるんだし、公の場所で明確にそういうものをすべきだと思うんです。それをわざわざ調査研究とか共同研究とかいうような形で、あるいは運輸省でいえば頭脳的な役割りを果たすところです。政策課といえば。将来の見通しというか、将来計画まで全部これで煮詰めると言ったら語弊かもしれませんけれども、そういうところに人を送り込んできているということ自体、普通常識から考えても、あまりかんばしい姿では私はないと思うんです。こういう点で、どうかこの制度は、私の希望としては、これは運輸省の行政が円滑にいくためにも、公平にいくためにも、こういうものはなくしたほうがいいと、そのことを私は要望しておきたいと思います。  それから次に、東京湾の大井埠頭の埋め立て地の問題について、一点お伺いしたいと思うんです。  先般の新聞等にも、この大井埠頭の複合ターミナルの問題がいろいろ話題になっております。東京都にとってみれば、確かに環状七号線がいま非常に交通が混雑で問題を提起しているわけです。こういう点から考えましても、運輸省がこの大井埠頭に複合ターミナルをつくるということについては、地元の住民も、あるいはいろいろ考え直してもらわなければならない問題が出てくるんじゃないかと思うんです。この計画についての運輸省考え方を伺いたいと思います。
  33. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 大井埠頭は、先生承知のように外貿コンテナ埠頭、あるいは国鉄のフレートライナー基地、それから近くに流通センター、トラックターミナル等がございまして、それ自体が複合的な機能を持つように流通施設の配置が行なわれておるわけでございます。  そこで複合ターミナルの構想といたしましては、現在のままでもある程度の複合機能が果たせるわけでございますが、さらにこうした機能を総合いたしまして、流通倉庫あるいはトラックの出入に便利なターミナル、あるいはこういったものを結びつける頭脳と申しますか、情報のセンターといったようなものを設けようという考え方で、私どもかねてから検討いたしておったわけでございますが、この新聞記事にございますのは、若干その点が事実を曲げて書いてございまして、何か東京都が二十五日にこの計画は応じられないという意思表示をしたとございますが、事実はそうでございませんで、一昨年から昨年にかけて非公式に東京都と接触しておったわけでございますが、その間、東京都の非公式な見解といたしまして、周辺にまだ道路が整備されていない現状においては、相当のトラックがここで出入するということになりますと、周辺のトラック公害というものが起こる可能性があるから、もう少し、この計画については白紙にしておきたいということで、現在ターミナルの予定になりました地域はしばらく白地にして、周辺の施設整備を見ながら今後の使途を考えていこうじゃないかという話し合いになっておりまして、私どもはそれも一つの方法であろうということで、現在に至っておる次第でございます。
  34. 三木忠雄

    三木忠雄君 私もいろいろ東京都のほうからも意見を聞いております。また、そういう方向でいろいろこれから検討されるんだと思うんですけれども、環七の問題は、これは東京都としてもたいへんな問題だと思うんです。  それから、やはりこのトラックターミナルを運輸省がいろいろ計画されていることは私たちも、足立ですか あるいは周辺部に、いわゆるトラックターミナルをつくるという計画もいろいろむずかしいということを聞いているわけです。しかし、この問題がこちらのほうに移動して、こちらのほうにトラックターミナルをつくるという計画になると、また非常に複雑な問題を提起をするんじゃないかと思うんです。  したがって、この問題を運輸省として、いまの計画段階では、なかなかサゼスチョンはできないかもしれませんけれども、ここにトラックターミナルをつくるという、こういう問題は、私は将来も、運輸省として強力に進めていく方針なのかどうなのか、この点について、まずお伺いしたいと思います。
  35. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) トラックターミナルにつきましては、御承知のように、東京都心に大型トラックが入ってくるということは好ましくございませんので、周辺地域で、この大型トラックをさばきまして、ターミナルに誘導して、そこで集配をいたそうという構想で、各高速道路の方面別に流通団地をつくりまして、ここにトラックターミナル、あるいは倉庫、それから国鉄の貨物駅というものを誘導しようというのが、いわゆる流通団地の配置構想でございます。  で、現在までのところ、大体四つないし五つぐらいのものが東京都心の周辺地区に設けられておりまして、たとえば、いま先生お話のありました足立とか、越ケ谷、板橋——板橋についてはかなり計画が進んでおりますが、足立、越ケ谷等についても計画がございまして、それはそれぞれ進めていきたいと考えております。  したがって方面別に分散して配置するというのがその本旨でございまして、大井地区に集中して全部の物流をまかなうという考え方は全然とっておりませんし、またそれはとても不可能であるということを考えております。したがいまして、いまの大井地区にさらに総括するターミナル施設を配置するかどうかという点は、先ほどの周辺地域の道路整備の状況あるいは具体的に、現在配置される予定でございます施設整備状況等をにらみ合わせまして、東京都と十分協議を進めながら環境破壊のないように考えまして、将来のあり方をきめていきたいと、こういうふうに考えております。
  36. 三木忠雄

    三木忠雄君 もう一つ。環七の交通問題が解決したと、ところがこのトラックターミナルですね。いわゆる大企業中心の路線業者、これに集約されるのではないかという、あくまでも中央主導型のそういう態勢でこういう物流基地ができるのじゃないかということに対する、東京都民、特に関係者は、中小企業人たちもやはりそういう点に危惧を抱いておるのではないかと私は思うのです。  こういう点も、もっと東京都とよく話し合いをする。東京都民の利益になってこなきゃならないと思うのですね。それが一部の業者によって主導されていくという形、あるいは中央が統制していくということに対して、地域住民にしても、あるいは東京都にしても、これは納得できない問題じゃないかと思うのです。この点について、私は運輸省として、その構想をよく検討していただきたいと思うのです。この問題についていかがですか。
  37. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 御指摘のとおり、私どもは単に、大企業と申しますか、大手路線トラック業者のみのためにこのターミナルをつくるわけではございません。どうしてもこのトラック中心のターミナルになりますと、路線トラック並びに地域集配をやります区域トラックというものの結合点になるわけでございます。で、すでに日本トラックターミナルKKがトラックターミナルをこの周辺の京浜にも持っておりますので、それが路線業者中心のトラックターミナルでございますが、ここへ新たに、もしかりに情勢が熟しまして考えるといたしましても、現在申請が出ております区域トラック業者とか倉庫業者とか、あるいはそのほかの新しい流通形態といったものを考慮いたしまして、この地域における物的流通の最も近代化に資すような望ましい方式というものを、関係者意見を十分取り入れましてつくっていったらどうかという考え方を持っております。  しかしながら、これはもちろん仮定の問題でございまして、もう少し情勢を見てから、この点は十分東京都とお話し合いをしていきたいと考えております。
  38. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは道路等の整備関係と関連してまいりますので、限定はできないと思いますけれども、大体この周辺の整備計画、これは東京都の計画もいろいろあるでしょうけれども運輸省として、このターミナル、あるいは国鉄の基地ですね。四十八年十月からこの国鉄の基地のほうは使用されるようになっておりますけれども、この周辺のターミナル計画といいますか、大体いつごろを目途にして整備されようとしておるのか、その荒筋を聞いておきます。
  39. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) いまお話のございましたように、国鉄のターミナル計画ができます時点に合わせまして、その辺の考え方をきめていったらどうかと考えておりますが、要するに国鉄のフレートライナーターミナルというのは相当規模なものでございますし、また外貿コンテナ埠頭も、全面的に稼働いたしますと、かなり大規模施設になりまして、貨物の出入がかなりの量になるわけでございまして、そういった点も十分にらみ合わせて考えていきたいと思います。
  40. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは、最後に港湾五カ年計画の問題と、沖繩の港湾整備計画の問題につきまして、ひとつ伺いたいと思います。  一つは、第四次港湾五カ年計画の進捗状況、達成率は大体どの程度になっておるか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  41. 岡部保

    政府委員岡部保君) 現在実施をいたしております第四次の五カ年計画でございますが、昭和四十六年度から開始いたしまして、四十八年度——今年度末で第三年次を終わるわけでございますが、大体今年度末に四八%の進捗率となるという段階でございます。
  42. 三木忠雄

    三木忠雄君 第一次からいろいろ見ましても、大体五〇%前後ですか、この進捗率で次の改定という、いろいろ理由があるでしょうけれども計画変更になった第一次から第四次を含めて、何が原因でこういうふうに途中で計画変更しなければならないか、その問題についてお伺いいたしたいと思います。
  43. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず途中年度で打ち切りとなっておるということ、計画としては変な話でございますが、これにはいろいろな要因があるわけでございます。  そこで第一にあげられますのは、外的な要因であろうかと存じますが、いわゆる港湾整備五カ年計画の基礎となっております国の経済計画がそれぞれ途中年次で改定されたため、この港湾整備五カ年計画もそれに対応して改定することが必要になったということでございます。  それから第二には、むしろ港湾の内部的な要因であるということでございますが、従来の第一次、第二次、第三次に共通する点でございますが、現実の経済が経済計画計画値を常に上回って成長しておった。結局それだからこそ、第一の要因で申し上げました経済計画の改定もあったわけでございましょうが、むしろこの港湾自体としても、経済の実勢をすぐに反映をするものでございますから、私どもがこの計画を立てますときに、当初予想して推定しておった港湾取り扱い貨物量よりも、はるかに中途年次で上回ってしまう。したがって、どうもこの計画では、とても港湾施設整備が不足するのではなかろうかというような問題点が内部的に出てきた。大きく見ますとこの二点が第一次、第二次の五カ年計画の問題ではっきり言えると存じます。  それから、それが一次、二次、三次ございましたが、第三次の五カ年計画の改定では、さらにもう一つは質的な問題が入ってまいります。これは御承知のコンテナリゼーションでありますとか、カーフェリーの就航とか、いわゆる流通革新が非常に進み出した。これのためにどうしたらいいかというような問題が第三次のときに入ってまいりました。そこで、こういうような質的な問題、しいて今回、私が先ほど申しました、来年からできれば改定したいというようなところで、はっきり申し上げられるのは、環境問題とやはり流通革新の問題、こういうのが非常に進んでおるということと、外的な条件としての経済社会基本計画がつくられたというあたりに、これは改定しなければならぬという情勢を私どもは見ておる次第でございます。
  44. 三木忠雄

    三木忠雄君 今度の港湾法の改正等でも、いろいろ問題になりました地方港湾管理者との、あるいは運輸大臣の基本方針との問題に対して、いろんな私は問題点があると思います。それはいろいろ論議されておりますので、私は省きますけれども、来年から行なわれる第四次港湾五カ年計画と、私たちは強く反対しておりますけれども、日本列島改造計画との関係をどのように組み合わしてこの港湾五カ年計画を組もうとされておるのか。あるいは何を素材にしてこの新五カ年計画を組むか。と申しますのは、地方港湾管理者にいろいろ意見を聞きますと、絶えず途中年度で打ち切りになる、そのためにまた翌年度から財政負担が非常に大きくなってくるという点で、いつも地方港湾管理者意見も私たち聞くわけです。そういう点をからみ合わして、来年からの新五カ年計画の策定にあたっては、根本的にどういう点を配慮をしてこの五カ年計画を組むのかどうか、この点について伺います。
  45. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これも、前にお答えしたことを繰り返すようなことになると思いますが、いま政府委員から説明しましたように、基本的に経済社会基本計画というものが変わってきたものですから、これに対応した輸送需要というのが出てくるわけですね。それに応じたやはり港湾設備をしないと、いまでさえも非常に港湾設備が足りないんですから、これでは間に合わないということでございます。  日本列島改造の問題をよくおっしゃるのですが、先般申し上げましたように、日本列島改造の問題は、政策の方向としましては、決して間違っておるとは思いませんけれども、しかし具体的には、これはまだそのまま政府の政策になっているわけじゃございませんから、それをもとにしているわけじゃもちろんないわけでございます。今度の経済社会基本計画にも、それに関連した部分がもちろん取り入れられております。しかし、これは政府が責任をもって出しております経済社会基本計画でございますから、それをそのまま踏襲しているわけじゃもちろんないのでございまして、新しい港湾五カ年計画も、それと全く同じ立て方で組み直そうと言っているわけでございます。ことに、これは港湾の設備も変わってまいりますし、第一、港湾の機能が非常に多様化して、いろいろ荷物の輸送にしても専門的にやったほうがずっと効率があがるんだというようなものがたくさん出てきております。そういったものにも応じたような設備は当然すべきであろうと思います。  それから港湾全体について、今度の港湾法にも書いてありますように、やはり何といっても環境の整備とか公害の防除といったものをもっと前進させなければならぬと思います。そういう点を含みますと、今度の法律改正は法律改正として、予算面で非常に不足分が出てきているわけです。先ほどあなたがおっしゃった港湾管理者財政負担の問題、こういった問題についても、何といいますか、ある一定限度の補助金を出して、あとはしかるべくやりなさいじゃなかなかうまくいかない。ですから港湾管理者財政負担というところも考えまして、国としても出すべきものは出そう。それには補助率も場合によっては上げなきゃならないだろうというようなことも考えまして、設備の拡充充実というものとあわして、そういう将来の管理運営というものに遺憾のないようにしようというんで、新しい港湾五カ年計画を立てようという構想を持っているわけでございます。いままだ作業中でございまして、具体的にはどこをどうするというところまでいかないんです。できるだけ急ぎまして、来年度予算の編成期までには間に合わしたいと思っておるのでございます。
  46. 三木忠雄

    三木忠雄君 いま補助率の問題ちょっと出ましたけれども特定重要港湾の補助率、これは十分の十までということになっておりますけれども、実際の実行補助率はどの程度になっておるのか。各港湾によっていろいろ違いがあるんじゃないかと思うんです。この算定基準はいろいろ微妙な問題があると思いますけれども、実際の行なわれている実行補助率、この点についてお伺いいたします。
  47. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに現行の港湾法の規定でございまして、特定重要港湾においては、国において水域施設または外郭施設についてはその工事に要する費用の十分の十までを、それから係留施設については同じく十分の七・五までを、臨港交通施設については同じく十分の七・五までを負担することができることとなっておるわけでございます。  これは、特定重要港湾の定義でございますけれども、「重要港湾のうち外国貿易の増進上特に重要な港湾」を特定重要港湾と呼んでおるわけでございます。したがって、その港湾が、単に当該地域のための港湾として機能するだけではなくて、もっと広域的な使命がある、場合によっては日本全体のための外国貿易港湾として機能しているという点に着目いたしまして、整備の費用についても国の負担割合を他の重要港湾よりもさらに高くしておるというのがこの規定のよって来たったゆえんでございます。  そこで、このような意味から申しますと、一般重要港湾よりも高い負担率の適用を行なうべき施設と申しますものは、そういう港の港湾施設のうちでも、外国貿易港湾として機能する施設ということに実行上これは限定をいたしております。  そこで、それでは普通の重要港湾であれば十分の五の国が負担率である。それより高いというのは、実行上どういう負担率を使っておるかという点について申し上げますと、外郭施設及び水域施設については、横浜港、神戸港、北九州港——これは門司港区になりますが——それから下関港、この四港につきまして十分の八の負担率を現行で使っております。それからそれ以外の、東京港、名古屋港、四日市港、清水港、それから大阪港、これにつきましては十分の六の負担率を使っております。それから係留施設につきまして、いわゆる岸壁でございますが、係留施設につきましては、先ほど申しました、外郭、水域では十分の八を使っておると申しました横浜港などの港湾にありましては十分の七・五、これは法律できめられておる最高値でございます。それから東京港など、あとで申しました港にあっては、外郭、係留と同じ十分の六という数字でございます。このように、同じ外貿定期船の要請にかかわる施設であっても、実行負担率が異なっておるという、ちょっとこれ、一見はなはだ変なものが残っております。これは変な話でございますが、過去の残渣でございます。と申しますのは、港湾法ができる前に、戦前の横浜港、神戸港、門司港、下関港、特に門司港でございますが、これは国営港であったわけでございます。国がみずから管理運営をしておる港であった。したがって、十分の十、全額国費で実施をしておった。それが港湾法ができまして、管理者地方公共団体に移った。したがってこれは、負担率としてはほかの港と当然同じではないかという感覚で見ましたんですが、いままで十分の十のところを急に十分の五とか十分の七とかにされちゃ困るというふうな、言うなれば過渡的な一つの経過措置というふうな感じでこういう制度が残ってしまいました。そこでむしろ、あとで十分の六と申し上げたほうが、つい先ごろまでは十分の五であったわけでございますが、こんなアンバランスはおかしいということで、むしろ上げる方向にということで、十分の五を十分の六までようやく上げて、少しでも差をなくなそうとしたのが実態でございます。
  48. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは東京湾なんかの場合なんかは十分の六ですね。その他の地域が十分の七・五とか、こういう点を考えますと、やはり東京湾なんかまだまだ整備をしなきゃならない。あるいは事業計画なんかは、非常に規模が大きくなってくると、補助率の関係でいろんな点でしぼられてくるんじゃないかと思うんです。したがって東京港が、たとえば事業規模がどんどんどんどん大きくなっても、この実行、補助率は上げていくという方向でもっと取り組んでいただかないと、やはり同じ特定重要港湾であっても、アンバランスになってくるんじゃないかと思うんです。この点についての配慮はもう少しやはりやるべきじゃないかと思うんです。この点についてお伺いしたいと思います。
  49. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の御指摘のとおりであると、私、思います。たとえば、いま東京港の例をお出しになりましたが、横浜港と東京港とを対比いたしますとそういうアンバランスがある。ところが、その間にはさまれております川崎港、この港は、従来、いわゆる外貿定期船埠頭というものは整備をいたしておりませんでした。むしろトランパーのバースであるという考え方整備でございました。したがって十分の五の負担率でずっと実施してきております。ところが、これからのあの東京、横浜、川崎を通じまして考えますと、川崎港の、これは日本鋼管の扇島の埋め立てというものの接続いたします川崎地先でございますが、これは相当、非常に残された貴重な外貿埠頭建設予定地でございます。こういうところを建設する際に、また一つ、今度は十分の五というアンバランスが出たのでは、これはもうとんでもない話であるということで、私どもとしては、このアンバランスはぜひ解消しよう、しかも解消する以上は上のほうにならわせようということで、今後も努力をいたすつもりでございます。
  50. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは、最後に沖繩の港湾整備計画について何点かお伺いしたいと思います。  特に沖繩が復帰されてから、本土の港湾整備の状況と比べてみれば、沖繩の港湾整備というものは非常におくれていると思うのです。この点について、まず運輸省としてどういうふうな認識に立っていらっしゃるか。私は、相当なピッチを上げた整備計画をしていかなければ、この沖繩の開発というものは非常におくれてくるんじゃないかと思うんです。まず、この点についてお伺いしたい。
  51. 岡部保

    政府委員岡部保君) この点につきましても、全く先生の御意見どおりの考え方を私は持っております。たとえば、例を申しますれば那覇港という港、これは那覇市が管理者でございますが、この港で、いわゆる旧来ございました商港区と申しますか、これは軍港と商港が一緒になった区域になりますが、そういう地域と、それから泊港区と、新しく現在建設中でございます新港区、この新港、これはまだ建設途上でございますので、使い始めてはおりますけれども、まだ十分な使われ方をしていない。そこの港湾施設を一見していただければ、もういわゆる港湾埠頭上に、それこそ荷物の山でございます。非常に港湾の機能が不足しておるということはもう明白でございます。また、そのほか運天港、あるいは先島のほうへ参りまして平良、石垣、この四港が重要港湾でございますが、この運天港にいたしましては、本島の中部でございますが、これはマイナス六メートル岸壁が一バースしかございません、現有施設として。それから平良港にいたしましても、石垣港にいたしましても、マイナス六メートルの岸壁が二バースあるだけでございます。このようなわずかの施設で沖繩の復興開発ができるかという点については、もうとても不足であるということは明白でございます。  そこで私どもとしては、ただいま先生の御指摘のありましたように、これからの重要港湾であるいまの四港の整備はもとより、さらに非常に数多い島で構成されておりますので、少なくとも一つの島には一港だけはちゃんと——これは決して大きな船とは申しません。連絡船である、たとえば五トンの船であっても着けるような施設をつくらなければいけないということが、私はさしあたりの目標ではないかという考え方で、相当にこれは港湾施設整備というものを急速に実施をする予定でございます。    〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  52. 三木忠雄

    三木忠雄君 那覇港の滞船状況なんかを調べますと、ことしの二月ごろでは六十一日間という、こういうふうなデータが出ているわけですね。こういう点から考えますと、沖繩の経済というものはまさしく麻痺状態になってくるのじゃないかという予測をされるわけです。いわんや海洋博で、非常にこの関連工事あるいは資材の搬入等が、相当予想されるわけですね。こういう点から考えますと、まず港湾整備というものを相当ピッチを上げないと沖繩の開発、なかんずくこの海洋博の問題にしましても、解決できないじゃないかと思うのです。御存じのとおり、この運天港にしたって、実際、資材を運べるような一万トン級が着くような港になっていないわけですね。あるいは平良港にしても石垣港にしても二千トン級の船が着かない、あるいは港湾施設は全然ないと言っていいほどの状態です。あるいはこれからいろいろ整備するとしても、相当財政負担をしなければ沖繩の現状は解決できないんじゃないかと思うのです。これについて、これは地方港湾との問題はきょうは抜きにしましても、たとえば運天港あるいは那覇港、平良港等の重要港湾を大体何年ぐらいの目標で整備をされようとしているのかどうか、この点についてまず伺いたいと思います。
  53. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の実例をおあげになりました運天港について詳しく申し上げます。  運天港は、先ほども申し上げましたように、既存の施設はマイナス六メートルの岩壁一バースでございます。そこで、これは海洋博の関連でもございますし、それから沖繩本島の中部以北のための物質の集積と申しますか、流通のための大型の港湾であるということは事実でございます。したがって、マイナス九メートルの岸壁を一バース本年秋までに完成をする予定で、ただいま一生懸命やっている最中でございます。ただ本年の秋には、水深はマイナス九メートルの岸壁でございますが、さしあたりマイナス七メーター五十の水深で使う、言うなれば五千トン級の船までは入る。と申しますのは、この岸壁に至るまでの航路が長々とございます。その航路が相当に岩盤が出る航路でございまして、この岩盤掘さくにちょっと時間がかかるということで、これも来年度中には全部九メーターで通す予定でただいま計画中でございますけれども、今年度中に岩壁はもう一バース完全に完成して七メーター五十で利用はできるようにするという考え方に立っております。まあこれは、いわゆる海洋博の考え方で申しますれば、海洋博の建設資材の揚げ場であるというふうに考えて、大至急建設をしている最中の港でございます。
  54. 三木忠雄

    三木忠雄君 あと、離島航路の中心になっている平良港ですね、それから石垣の港、これはやはり国土開発の上からも大事な問題だと思うのです。いわんや離島航路、特に最近船の旅行というものが非常にふえている。あるいは経済的に見てもどうしても沖繩の離島の人たちは船を利用しなければならないというのが非常に私は多いと思うのです。そういう点から考えてもこの石垣あるいは宮古、この両港ですね、これは早く整備をしなければならないじゃないかと思うのです。いま海洋博の問題で、その工事が集中してしまって、離島はどうも置き去りにされているような感じを私は沖繩開発において受けられるわけです。したがって、この石垣あるいは宮古の振興対策にかんがみましても、この二港が重要港湾である以上は重要港湾らしい機能が果たせるような手を早く打っていただきたいと思うのです。これはもう早急にやっていかなきゃならない問題じゃないかと思う。この点についての見解を伺いたいと思います。
  55. 岡部保

    政府委員岡部保君) これも私ども考え方も全く同じでございまして、当面海洋博のために現在ございます六メーター岸壁というのを活用するということにまず重点を置きまして、航路でありますとか、泊地でありますとか、あるいは防波堤でありますとか——これは特に平良港でございます。それから石垣港についても現有の岸壁の一部改良をする必要がございます。そういうような仕事をまずさしあたりやって、この六メータ一二バース岸壁を有効に使おうということをまず考えております。その次の段階で七メートル五十の岸壁にと申しますか、七メートル五十の岸壁のある突堤を両港ともつくっていくということを、現在計画中でございまして、これは四十九年度までは、海洋博関連のが、どうしても先生のおっしゃるとおり、予算がいささか食われますが、五十年度以降はそういう本来の港を整備しようということで、相当にピッチをあげてやる所存でございます。
  56. 三木忠雄

    三木忠雄君 最後に、沖繩の重要港湾あるいは地方港湾の補助ですね。この問題はいろいろ問題点があるのじゃないかと思うのです。特に非常におくれている沖繩の港湾整備をするためには、十分の十までに補助の実態はなるような形にはなっていますけれども、これは四十八年度の予算あるいは四十九年、五十年以降の問題についても、やはりどの程度の補助率でこの重要港湾あるいは地方港湾の補助を考えていこうとされているのかどうか、実施の見通しを伺います。
  57. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは沖繩の開発の特例ということで、十分の十まで国が補助できることになっておりまして、現実に十分の十全額国費で実施をいたしております。したがって今後とも、十分の十、全額国費で実施をいたしていく予定でございます。
  58. 三木忠雄

    三木忠雄君 最後に運輸大臣に。この沖繩の問題については、離島が多い、あるいは鉄道もない沖繩の問題を考えたときに、やはり港湾施設、こういう運輸行政として非常に大事な問題が山積していると思うのです。いま海洋博に非常に力が入れられている点は何点かあると思いますけれども、沖繩の足を確保するという意味においても、もっと積極的な姿勢で、沖繩開発ではやはり輸送が一番大事だと思うのです。この問題についても積極的な姿勢で臨んでいただきたい、この意見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) おっしゃるように、沖繩は全体か離島でございまして、島内——県内でも離島ばかりでございますから、私どもはできるだけ、航空のほうも早くローカル空港もつくって便利にしたいというので、現地と打ち合わせております。しかし県民の大半が利用されるのは海上交通でしょう。これについては県当局も再々われわれのほうに見えて、いろいろの要望がございます。港湾についてはいま局長が申し上げたとおりですが、それに配船ですね、交通のための配船。これなんかについても、私は最近の状況を見ると、むしろ輸送需要を上回るのじゃないかと、船腹が過剰じゃないかと思うくらいの配船計画をさしているわけです。将来計画考えますと、いろいろな、単に海洋博だけじゃございません。そのあとも沖繩県としてはいろいろな計画を持っておられますから、そういったものを見ると、多少輸送需要を上回るような配船計画であってもこれはやったほうがいいということで、先般も内地との間の航路について、新しい予約船の建造を認めましたり、そういう措置をとったわけです。  島内の交通路、これについては非常に補助航路が多いのですが、そういった問題につきましても、これはいまおっしゃるように、終戦後今日まで、十分に交通路の確保されてなかったという事実がありますから、それを取り戻す意味でも、現在のこういう需要以上に、むしろ交通路のほうが先行するというような形で充実しなければならぬと思っておりますから、ただいま御質問になりましたような趣旨は十分に生かして、いまも現に実行しておるところでございます。
  60. 山田勇

    ○山田勇君 今回の港湾法等の一部を改正する法律案について、各委員からの質疑また当局側からの説明、答弁などにより、改正の意図が大体わかってきたのではありますが、港湾法昭和二十五年制定の古い法律で、今日に至る間の大きな情勢の変化、港湾機能の拡大、そのほかいろいろの点で、実態にそぐわないということは、大体わかりますし、改正法案が提出され審議をされているわけですが、確かに改正をされなければならない点も理解でき、むしろ一日も早く実態に即した港湾法の運用は望ましいと思うのでありますが、しかしながら、大きな問題として自治権の侵害ということがあります。  すなわち第一条の目的から港湾管理者とその権限に見合う規定を取りはずしている点であります。六大港湾都市協議会の名前で出ております港湾法の一部を改正する法律案に対する要望書でも、運輸大臣の権限強化、中央集権化的なものに対しての、その反発のようなものを感じるわけですが、この点について、何度もこの委員会においても繰り返されていることでしょうが、もともと重要な部分でありますので、絶対に自治権の侵害にはならないという保証を大臣の口から言明していただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
  61. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 前の委員の御質問にお答えしたことを繰り返すようなことになるわけですが、この法律案を通覧していただきますと、現行法に比べて地方自治の侵害というようなことは毛頭考えてない。そういう条文はどこにも見当たりません。ただ、そういうことを気にされる一番のもとは、第一条に港湾管理者という字句が使ってあります。現行法では。そういった目的のところで港湾管理者という字がはずれておるんで、何かしら港湾管理者、したがって地方自治体が二義的に扱われるのじゃないかというような御心配が出てきたんじゃないかと思うのです。この点はるる申し上げておりますように、そういうような書き方もありますが、今度はこの港湾というものの機能が、あなたもおっしゃったように、拡大するし、多様化するし、非常に変わってきておりますから、それをもっと実態的に、港湾法においては目的を具体的に表現したほうがいいということで、こういう表現にしただけの話で、全部の条文をごらんになると、いまよりもむしろこの港湾管理者、この法律ができましたときよりも、港湾管理者にむしろ責任を負わし過ぎるくらいに、したがって権限を与え過ぎるくらいに、この港湾管理者というものを主体にして港湾整備を充実していこうという趣旨が、全文を通じて、私は読んでいただけると思うのです。そういう御心配は全然要りません。  ことに運用の問題につきましては、るる御質問があったのでお答えしておりますとおりでありまして、われわれはこの地方港湾管理者である県知事の意見を度外視しまして、それと意見が違うままで港湾計画を進めようと思っても、肝心の港湾の設備をされる方、運営をされる方が地方自治体なんですからやりようがない。ですから最小限度、私どもは全国の港湾管理するという組織法上の権限を持っておりますから、非常に抽象的でありますけれども、日本全体の港湾というものはこういうものであってほしいということを基本方針できめまして、この方針にのっとって具体的な港湾計画を各地方自治体がきめてくださるというように持っていっておりますので、これは先般申し上げましたが、非常にいまの法律よりも、もっと民主的に近代的な形でもって港湾管理者運輸省との関係を規律しようという意思にほかならないのでございます。その点は御安心をいただきたいと思います。
  62. 山田勇

    ○山田勇君 この自治権に対する問題は主観の相違と申しますか、考え方によって変わってくると思いますが、私も子供のころは神戸の港でよく遊んだものでした。そこで育ったものとして、港についてはなみなみならぬ関心といいますか、愛着というものを持っております。神戸などはほんとうに港とともに大きくなった都市でありますが、それを育て上げた市民にとって、その管理権が自治体固有のものであるということは、これ当然のことだと考えております。答弁の中でも、実態はいままでどおりだと幾ら答えられても、やはり条文の中で、国が港湾の基本計画をつくりまして、これを管理者に守らせ、ワクにはめてしまうというところに了解のできないところもあるわけでございます。  先ほど申しましたように、私も神戸の港を遊び場に育ってきたわけですが、子供のころですと、神戸港へひとつ夕涼みがてら行きましても、幾百の船が出入りしまして、海岸なんかにもカニがたわむれたり、小魚が遊泳するのが見えるという、美しい港だったと思います。  それが最近、たまに港へ行ってみますと、よごれているというより、どぶ川の様相でございます。先日も、少しひまを見つけまして、神戸の中突堤、関西汽船の発着所へ行きまして、魚を一ぺんつってみようということで糸をたれておりますと、二、三人の人が来て、ノックさんそんなところじゃあ魚はつれませんと言う人と、つれますかと言う人と、二つに分かれておりまして、たまたまこれぐらいの小さな魚がかかったんですが、そのときに見物していた人が、はあこの神戸港のこういうきたないところでもまだ魚がつれるんだと、たいへん感心をしております。それぐらい神戸の港というものはよごれ切っているという印象が市民の間に根強くあるわけでございます。  そこで工場の廃液の流入、魚介類を通じて人体に影響を与えるまで進展し、港湾の環境保全、公害防止は、一日もゆるがせのできない状態でありますが、この面での規制強化は幾らきびしいものであってもよいと思います。港湾管理者は、これらの取り締りに対して、どのような権限を与えられているのか。こまかい部分でいろいろとありましょうが、まず大きな立場で、港湾のいわゆる環境整備に対する管理者の権限についてお尋ねをしたいと思うんです。
  63. 岡部保

    政府委員岡部保君) 今回の法律改正に基づきまして、新たにつけ加えられました、いわゆる環境保全に対する港湾管理者の権限と申しますか、業務と申しますか、そういうものについて御説明をさせていただきます。  まず、いわゆる港湾施設というものに港湾環境整備施設あるいは廃棄物埋め立て護岸等の廃棄物処理施設あるいは公害防止用緩衝地帯等の港湾公害防止施設、こういう新しい環境の保全のための施設というものを、港湾施設としてはっきり法律で明定いたしまして、そしてこういうようなものに対しての、いわゆる港湾工事としてこういうものを整備するわけでございますが、その際に、これは管理者の権限ではございませんが、国の義務としてこういう補助の規定を設けた次第でございます。  それからさらに、港湾工事として港湾における漂流物の除去その他港湾の保全のために行なう工事というものを加えました。これは、こういう港湾工事というものに対するいろいろな補助が出てくるわけでございますので、そのベースとしてこういう工事を加えたわけでございます。  さらに港湾管理者の業務として、いままでいろいろの問題がございましたが、いわゆる廃船の除去とか水域の清掃その他の汚染の防除あるいは廃棄物埋め立て護岸等の管理運営を行なうというような問題を、はっきり港湾管理者の業務として明定をいたした次第でございます。  さらに、これからは権限になるわけでございますが、港湾管理者港湾の環境の整備のために行なう港湾工事に要する費用について、その一部を港湾区域または臨港地区内にある一定の事業者に負担させる。いわゆる環境整備負担金でございますが、こういう負担金負担させることができる、言うなれば徴収することができるという権能を付与いたしました。  それから次に、臨港地区において、たとえば工場などを新設し、あるいは増設しようとする者は、その旨を港湾管理者の長に届け出なければならない。しかもそれが、港湾の開発、利用及び保全に関する一定の基準に適合しないと認めるときは、これは行為に関する計画の変更その他必要な措置をとることの勧告が行なわれますし、特に港湾計画上非常に重要な問題については、是正の命令まで出せるというような権能を与えている。これがおもに申し上げての環境保全のための今回の法律で加えられたものでございます。
  64. 山田勇

    ○山田勇君 港湾の環境保全については、テレビコマーシャルではありませんが、もとを断たなければだめだと思います。  そこでお尋ねしたいのですが、河川から流れ込む下水や工場廃液——港湾管理以前の問題として、すなわち流入するまでに手を打つことが大切であるということは言うまでもございません。港湾に流入している河川について、河口の地点までが実際に港湾として管理しなければならないか、河口が港湾になっている港もありますが、これは一体どういう形でなっているのか。まあこの河口の定義というのは、ちょっと調べてみますと、法的な基準はないというふうに御返事いただいているのですが、その辺について御説明いただきたいと思うのです。
  65. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに港湾区域と申します。いわゆる港湾管理者管理する水域でございますが、これの範囲は、たとえば河川の中にまで及んでおるのは実態でございます。港に流れ込んでおる河川というのは、普通の川でございますと一番最下流の橋梁までが港湾区域であるという例が非常に多いわけでございます。  そこで、これはそれぞれの港湾区域を指定いたしまして、そのときに明示してございます。ところが、河川のほうで河川区域というのはどこまでかと申しますと、これはどうもはっきりしておりません。言うなれば、上のほうはわかるわけでございますけれども、一番末端が海に至るというような表現でございまして、はっきりいたしておりません。ただ常識的に申しますれば、たとえば両岸に岸があって、それが海になるというところまでが河川区域であろうかと思います。そういたしますと、その河川区域の一番末端と、それから港湾区域の河川のごく一部にかかっている部分と、これは港湾区域でもあり河川区域でもある、いわゆる二重指定になっておる、重複している部分だというふうに御理解いただきたいと存じます。     —————————————
  66. 長田裕二

    委員長長田裕二君) この際、委員異動について御報告いたします。  岩本政一君が委員辞任され、その補欠として中村登美君が選任されました。     —————————————
  67. 山田勇

    ○山田勇君 そうしますと、この港湾の外側などの沿岸工場から流入する廃液などの規制をどうするのか、関係各省との連係といいますか、調整は十分になされているでしょうが、監視体制強化ということで、法案作成の過程で具体的にはどのような折衝があったのか、お尋ねいたします。
  68. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず、いま先生のおっしゃいましたことで、私どもの感じでは二つの問題があると思うのであります。と申しますのは、中央におきますいわゆる各省間の問題それからもう一つは、現実にこういう環境問題を取り扱っております出先の問題。この二段階があるかと存じます。そこで中央の問題につきましては、私ども現実に非常に大きな問題点となっておる地域につきまして、たとえば瀬戸内海であるとか、あるいは東京湾であるとか、そういうような地域につきましては、各省のそういう担当官が集まりまして協議会というのを編成いたしました。で、何か問題があると、こういう、たとえば極端な例で申しますれば、東京湾にこういう埋め立てをしようと思う、あるいは大阪湾にこういう埋め立てをしようと思う。そういうときに、それが是か否かということを環境庁の立場あるいは通産省の立場あるいは建設省の立場等々でディスカッションできるような協議会という場がございます。そういうようなところで協議を絶えずしなければとてもこれからの行政はやっていけないということで実施をいたしております。  また、そういう特に地域的に問題がないところでも、これはもう各省絶えず相談をしなければならない。たとえば港湾計画で申しますれば、中央の港湾計画を審議いたします審議会の際に、各省の事務次官が委員になっておられますし、その前の段階で、幹事会でも各課長レベルでディスカッションいたします。そういうことで、絶えず連絡をしながら進めておるということで、その中心議題が環境保全にどうしても重点が置かれるというのが事実でございます。  それから出先の問題になりますと、これは港湾管理者、いわゆる港湾関係で申しますれば、すべて出先は港湾管理者でございます。そこで港湾管理者が県である場合あるいは大港湾で市長さんが港湾管理者の長、市が港湾管理者であるという場合でございますと、結局同じ市、同じ県の部局で環境担当の部局と港湾担当の部局とは部局では違います。しかし同じ市の中の、県の中の部局であるということで、たとえばこういう問題について、環境問題をどうするのか、それから先ほど申しました環境の問題とそれから河川を管理をするという意味での、やはり県の部局がある。そういたしますと、港湾は土木部の港湾課でやっておる、河川は土木部の河川課でやっておる、環境は公害局でやっておるというようなことになりまして、部局こそ違いますけれども、その横の連絡というのをしなければ最近はとてもだめだということで、相当程度横の連絡というものをしておるというのが実情でございます。  ただ、やはりそこにうっかりいたしますと抜ける点がなきにしもあらずで、そこの辺をちょいちょいおしかりを受けるということは事実でございます。
  69. 山田勇

    ○山田勇君 そうしますと、海上保安庁にお尋ねをしたいのですが、監視の守備範囲といいますか、それを説明をしていただきたいのですが、ちょっと図面を河口、河川の問題について書いてみたんですが、湾がありまして川が湾に入っております。この間、海に一番近い端からこちらを一応港湾区域というふうになっております。そうしますと、かりに港湾に面したところにある工場からかりに廃液等が流入されている、湾へ。その場合は一つの監視体制の中でそういうものは指摘できます。また巡視している間にそういう廃液等が、田尻さんの例を見てもそういうところからひとつ摘発ができますが、これだけ中へ入り込みますと、その辺に問題があろうかと思うのですが、その辺の監視体制といいますか、守備範囲といいますか、それについて説明をいただきたいのです。
  70. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私どもは海上保安庁法によりまして、港湾を含む海上における法令の励行あるいは犯罪の捜査ということをやるわけでございますので、海洋汚染防止法その他の海上における公害関係の法令につきましては、港湾を含む海上における一切の取り締まりをやるべき責任があるわけです。したがいまして、いまお示しのように、また先ほど港湾局長が答えましたように、港湾というものの境界はどこにあるかということでございますが、私どもも従来の一つの慣習法的にと申しますか、河口港におきましては、一番下流にある橋のところまではわれわれの権限が及ぶんだということでやっております。もちろん港湾に臨みました工場等が直接排水口を港湾内に出しておって、そこから違反の廃液が出るという場合には、当然その工場に対しても立ち入り検査をし、あるいは所要の捜査をするということができるわけでございまして、大体港湾区域と目されるところは私ども権限が及ぶ。したがいまして、その港湾区域に臨んでおる工場から港湾に流れますところの違法な廃液等については、当然これに対しては捜査ができる、こういうことでございます。
  71. 山田勇

    ○山田勇君 そこで、これは大阪市の例なんですが、工場の廃液等いろいろな条例、また法律ができております。その中で、Aという工場は基準を守って廃液を流す、Bという工場も市条例なり、また国の法律によって、基準に準じて廃液を流す、それが一本の河川に流入した場合、そこで化学反応を起こす場合がある。これはほとんど臭気なんですが、お互いにAもBも基準を守って流すんですが、一本化されますと、化学反応というんですか、そこで臭気を起こしたり、そこにヘドロをつくってみたりというような形で問題が出てくるわけですね。そういう形で湾へ流れ込むと、そこにヘドロという既成事実ができ上がる。だからほかの工場はそういう基準を守って流している。しかし港湾に来た場合はヘドロという形でもう一つの物体化されてしまう。私はその点で、森中先生も各委員も言われたとおり、これは一級河川は建設省の管轄、普通の河川は自治体の管轄というふうな形に、それぞれ所管が違います。しかし結果は、すべて港湾の中ででき上がってしまう。そういう点で、私は非常にそういう点は矛盾を感じるわけで、そういう点について、再三再四、その結果だけを、いつも港湾のほうでしゅんせつをするなり、ヘドロを吸い上げるなりというような作業をやらなければいけない。ですから私は、冒頭に述べたとおり、もとから断てば、そういう現象が起こらないんだということですから、そういう点を、各省が密なる連絡をとって、ひとつ気をつけていっていただきたいと思います。  それから次にお尋ねしたいんですが、港湾の環境保全の中で、沈廃船の処理も大きな課題であります。陸上でもポンコツ自動車の乗り捨てが非常にふえて社会問題にまでなっておりますが、港湾内でも、所有者不明の沈廃船が相当な数にのぼっておりますし、先日本牧あたりも視察さしていただきましたそのときにも、あちらこちらにまだそういうような廃船が乗り捨ててあるという実態ですが、そういう沈廃船の実態というものについて、少しお知らせ願いたいと思います。
  72. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生お話のございました沈廃船の問題、これはしばしば御論議いただいておるところでございますが、私どもとしても頭の痛い問題でございます。もちろん船舶を海洋に捨てるというのは海洋汚染防止法で完全に禁ぜられておることでございます。ところが現実には相当な数のものが放置されておるというのが実態でございます。  そこで、そういうものに対しまして、これは所有者がわかっておれば、その所有者に引き揚げをさせるということができるわけでございますが、こういうのに限ってまた所有者のわからないという問題があるわけでございます。  そこで現在、全国の重要港湾以上の港湾で、沈廃船というのがどのくらいあるかと申しますと、大体千八百隻ぐらい沈廃船が、重要港湾以上でございますが、ございます。やはり横浜とかいう大港湾では百何十隻という多い数を示しておりますが、日本全国のトータルにいたしましても千八百隻というばかにならぬ数字でございます。したがって、このような問題点について、ただいまも御指摘ございましたように、何とか引き揚げるそういう行為に対して、少なくとも私ども港湾管理者が引き揚げてくれますので、そういうものに対して補助をいたしたいということで予算要求いたしましたが、残念ながら四十八年度においては認められなかった。ただ、こういうものを処理する処理の施設、いわゆる焼却炉でありますとか、破砕の施設であるとか、そういうようなものについては、今回の法改正によりまして四十八年度から何とか補助をしようという段階でございます。
  73. 山田勇

    ○山田勇君 この沈廃船については、大阪港の場合特に多く、現在、私調べましたところでは百四十三隻ほどの沈廃船が天保山運河、それから大阪南港中心に放置されているようですが、環境保全、海難事故防止の見地からいっても、速急に処理されなければなりません。  昨年此花区の住吉町の北港に沈廃船焼却場をつくり、百トン未満十二万三千六百円、百トン以上十二万九千二百円で処理を始めていますが、なかなか計画どおりの処理はむずかしいようですが、このむずかしい原因というのは何であるかということをお尋ねしたかったのですが、いま港湾局長が答弁なされたとおり、そういう予算等の処置がむずかしいということに大きな原因があろうかと思います。運輸省が、今年度三億五千六百四十万かけて実施するこの実動はしけの買い上げに便乗するため、この処理に応じないというようなことを聞いておりますが、このはしけの買い上げの内容と、この便乗防止の方策を聞かしていただきたいのですが。
  74. 岡部保

    政府委員岡部保君) 実は、はしけの買い上げのお話が出ましたので御説明申し上げますが、港湾運送事業者が従来相当な量のはしけを持っておったわけでございます。全国で約二百二十万トン程度——積みトンでございますが、のはしけを現在持っておるわけでございます。それで、このはしけというのが、いわゆる従来の港湾の荷役形態から申しますと、沖に本船が泊まって、そこで荷役をいたしまして、陸にははしけで持ってくるというような、あるいは陸からはしけで持っていって、沖で本船に積むというような、いわゆる沖荷役という形態が非常に多かったわけでございます。ところが、それでは能率が悪い。しかも相当な荷の量がふえてまいりました。そういうようなことから、いわゆる接岸荷役といっておりますが、岸に着いて荷役をする。そうなりますと、あまりはしけの必要性がなくなってくる。特に、こんテナリゼーション——コンテナによっていろいろな荷が動くということになりますと、もうはしけなどはほとんど要らなくなる。そういうことで、港湾運送事業の事業界といたしまして、これはいわゆる景気、不景気の変動ではございませんで、まさに構造が、業の構造改革であるということで、これは景気がよくなったとしても、必ずしもはしけの需要量がまたふえてくるというものではないであろう。  そこで私ども港湾運送事業法で監督いたしておる次第でございますが、その面で、いろいろ業界の意向等も聞きましたし、私ども判断いたしまして、結局、昭和四十八年、四十九年、五十年、この三カ年で、まず現有の約二百二十万トンのはしけのうちの三分の一、約八十万トン程度が不要になるのではなかろうかということを推測いたしたわけでございます。そこで、その八十数万トンのはしけを、これは不要になるのであるから買い上げようということで、何と申しますか、国で一部を補助して、そして港湾運送事業者あるいはこれにお世話になる利用者のほう、そういう業界も金を出し合って、それでこういうはしけを買い上げるということを、何か緊急の措置としてしようということで、予算要求をいたしたわけでございます。  それで予算の認められました額は、要求額よりはだいぶ減ったわけではございますが、いずれにいたしましても、とりあえず八十数万トンのうち四十万トン程度のはしけを買い上げる買い上げ予算の三分の一を国が持とう、あとの三分の二は業界で出せということで三億六千万ほどの予算が認められた次第でございます。  ところが先生おっしゃいましたように、そういうもので買い上げてもらえるなら、これはオンボロのはしけは沈めておけと、それで、そいつを買い上げさせればいいんだというような確かに風潮がございました。これはけしからぬ話だと私は思っております。それで、これは全国的ではございませんが、たとえば横浜などにおきましては、そういう変なことがあってはいかぬということで、現在使っておるはしけの登録と申しますか、これは業法でどの業者がどのくらいのはしけを使っておるというのは一応登録されております。それの今度はそれぞれのはしけに対する鑑礼と申しますか、札がついておるのでございます。その札を全部書きかえて新しいものでひとつやろうというような動きまでございます。  そういうようなことで、いわゆる不正行為でせっかくの業界の体質改善というものにみんなが協力してやろうというときに、何か不正行為を助長するというのでは意味がございませんので、それは厳に戒めるように、私ども地方海運局を通じて指導をしておるところでございます。
  75. 山田勇

    ○山田勇君 聞くところによりますと、神戸港なんぞで放置されております沈廃船ですね、幾ら勧告をしようにも、また通知をしようにも持ち主不明というような形ではしけがあります。それをかってに処分をしまして、しばらくすると、私のはしけをかってに処分してけしからぬ、これには保険が何々かけてあるんでというようなことで、その処分をしたというふうなことについて神戸市の港湾管理者のほうに証明を発行して保険金を搾取するというふうな事例があったりいたします。  そういうことですから、港湾管理者には沈廃船に対してどのような権限がございますか。
  76. 岡部保

    政府委員岡部保君) 港湾管理者が沈廃船に対してある権限というものは、私はむしろ正確に申しましてないと言っていいんじゃないかと思います。と申しますのは、これは今回の法改正をお認めいただければ、港湾管理者の業務にこういう沈廃船を除去するというような業務が入ります。しかしながら、強権発動して、こういうものは除去せいと言うというような権限は港湾管理者には与えられておりません。これはむしろ利用者がわかっておったり、あるいは船舶航行のじゃまになるというような問題での海上保安庁の権限はあると存じますが、これは保安庁長官おられますので、御説明いただいたほうがよろしゅうございますけれども港湾管理者はそういう法的な一つの権限というものはないと御理解いただいたほうがよろしいかと思います。
  77. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 海洋汚染防止法の四十三条に「何人も、船舶を海洋に捨ててはならない。」という規定がございます。この海洋には港湾も当然含むわけでございますので、港湾に船舶を捨ててはならないということでございます。したがいまして、先生のいままでに御質問になりました大阪とか、神戸その他の地区において、それにもかかわらず廃船といいますか、沈船がいろいろあるわけでございまして、私どももこの法律が施行になりました四十六年の六月二十五日以降は、これはだれが捨てたかということを調査いたしまして、わかったものについては検挙をいたしております。そして処罰を検察庁を通じて要求するという送検の手続をとっております。  ただ、それ以前に捨てたものにつきましては、法律が遡及されませんので、これは私どもの取り締まりの対象には残念ながらならない。今後は、だれが捨てたかということがはっきりわかるものにつきましては、この海洋汚染防止法でこれを検挙していく。そして当然その原因者に撤去せしめるという措置もあわせて行なうことができるわけでございますが、そういうわけで、まだ現在あるものの中には、法施行前からあって、だれが捨てたか所有者がわからないという状況もありまして、私どもの海洋汚染防止法の遡及適用にならない船がかなりある、こういう状況でございます。
  78. 山田勇

    ○山田勇君 決してはしけの所有者は捨てたとは言わないそうですね。置いてあるのだということを主張するものですから摘発がしにくい点もあろうかと思いますが、しかし、そういうふうに捨てたという形と見られるはしけというのは、神戸港を見てきましてもたくさんあります。登録番号の、ああいう許可証というのですか、ああいうものを、全部プレートをはずしたようなものがあります。そういうものについては、どしどしと海上保安庁のほうで摘発して、どんどん処分をしていかないと、先ほど局長が言われたとおり、港の近代化というようなことで、はしけの機能というのは非常に低下してまいりますし、今後ますますはしけの廃船というものは出てまいると思います。  そうしますと、いまでさえほんとうに手に余っているのに、だんだん時代に即応してそういうものがどんどん出てくるということになると、私は港の機能の麻痺ということも考えられると思います。そこで、大体のめどでけっこうですから、大体何年くらいまでに沈廃船というものを港から排除していくという大体の見通しでけっこうですから、わかれば御答弁をお願いしたいと思います。
  79. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほど全国で千八百隻あると申しましたが、各港で申しますと、やはり大きな港が多いわけでございます。大体昨年の七月もしくは今年の一月現在あるいは今年の四月現在等の、ちょっと数字はばらばらの数字でございますけれども、たとえば横浜が一番多くて二百七十隻ございます。それから神戸が二百四十五隻、それから北九州が百四十八隻、大阪が百四十三隻、それから名古屋が百十三隻、以上が百隻以上でございまして、あと東京が五十一隻というようなことでございます。  そこで横浜では焼却炉を持っておりまして、この前、現地御視察のときに、船の上からごらんいただいたわけでございますけれども、あそこの能力も決して十分ではないと存じますが、横浜あるいは東京、これは埋め立て地で焼いたりいたしておりますけれども、そういうような管理者の意向を聞きますと、現在あるものを完全にきれいにできるのが二年ないし三年かかるという言い方をいたしております。この点残念でございますけれども、もっと早くするべきだと思いますけれども、一応いまの段階では二、三年というふうに御理解いただきたいと存じます。
  80. 山田勇

    ○山田勇君 それは皆さんの御努力で、なるべくすみやかに排除しなければ、問題がますます大きくエスカレートしていくように思います。  そこで次にお尋ねいたしますが、そのコンテナ船といいますか、ラッシュ船などの出現で、はしけ業者がたいへんな打撃を受け、海上デモなどで、ラッシュ船の寄港反対などとありましたが、その後、はしけ業者の転廃業などはどうなっておりますでしょうか。
  81. 岡部保

    政府委員岡部保君) はしけの運送事業者数、これは免許数でございますが、昭和四十四年の三月から四十七年の三月まで、これちょうど三年間でございますが、この間に四百二十四業者から三百八十二業者へ減っております。それから労働者数は同期間に一万二千五百人から一万二千人へと、これはたいした減りではございませんが、若干減少しております。大体先生の御指摘のとおり、いわゆる転廃業が出ておるということがはっきりいえるかと存じます。またこれは、はしけの運送事業者数でございまして、免許数としていま申し上げましたが、これ以外に、たとえば神戸でありますとか、横浜でありますとか、いわゆるはしけの船腹と申しますか、個人ばしけと申しますか、これはそういう免許をとっておる業者ではなくて、個人ばしけというのがございまして、それがこういう業者との契約によって実際にはしけとして活躍しておるという数字も、まだこれ以外にあるわけでございます。
  82. 山田勇

    ○山田勇君 まあこのはしけを引っぱるというのですか、引くタグボート等の失業と、廃業というふうな問題も若干出てくると思うのですが、そういうはしけ業者含めて、そういうタグボート業者といいますか、そういうような方に対する何か国からの補助なり、また地方自治体からの補助なり、また転業についての、その期間だけ何らかの予算の処置をとるというようなことは全然考えておられませんか。
  83. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまのお話のはしけが転廃業していくと、したがってこの労働者が離職していくと、こういう離職者の発生が予想されますんで、これは私からお答え申し上げるよりは、本来ならば労働省からお答えするべきかと存じますが、今年度の労働省所管の予算で、予算額約一億の就職促進手当の支給等を計上されておられます。そこで全般的に申しますと、いまおっしゃいましたように、はしけの転廃業がある、それからはしけが買い上げされなければならない、そこで港湾運送事業者として、これはやはりこういう業界の構造改善というものに対して考えていかなければいかぬ、ただ、港湾運送に従事している労働者として、これから十分労働力が確保できるかという点では、必ずしも見通しが明るくございません。これはだんだんこういう労働者の数が減るのではなかろうか。  したがって、そういう意味では、はしけの船夫さんがそれにすべて合致するとは申しませんが、離職されて今度は新しい別のそういう労働に従事されるというような意味での、何と申しますか、勉強をされるようなシステムというものを考えなければならない、あるいは新しくそういうものを雇い入れるというための業界としての援助をしていかなければならないというような、いろいろな面で、業界内部でもそういう金の出し合いを、何らかプールした金から出すというようなことを考えていこうじゃないかということで、これも現在いろいろ検討されている際中でございます。
  84. 山田勇

    ○山田勇君 そういう業界の指導については、十分運輸省のほうもお願いをしたいと思います。  はしけの問題が出ましたので、もう一問聞いてみたいと思います。神戸港などでは、はしけを倉庫がわりにして積み荷をそのまま幾日も、特にこれは冷凍食品の場合ですが、放置しているのを見かけますが、長期にわたるはしけのこのような港内での、まあこれは滞船とは、一たん陸揚げしておりますから滞船とは申せませんが、港湾管理者の規制措置がどのようになされているのか。先日、局長と御一緒に港湾を視察しましたときには、本牧などではわりかたスムーズに冷凍食品等のコンテナは動いているということですが、その後、私、神戸港に参りまして見てまいりますと、もう一週間、二週間なんというのは短期間ということで、そのまま放置されている。まああれはコンセントがございますから、そのまま冷凍の機能を果たしております。そうしますと、またそのうちに次の船が入ってくると、結果的には、ある意味で機能が停止をしているような状態もしばしば見受けられるんです。おろしてもコンセントとつなぐ場所がないですから、そのまま荷物を陸揚げしないで船の中で待機をするというふうな形がしばし行なわれています。新聞等でも一部報道されましたが、冷凍食品の値上げといいますか、そういうものを待っているというふうなことを言う方もいますが、すべてがそうではないと思うんですが、何といっても冷凍食品を受け入れる側の需要というものが全然足らない。ですから、港でそういうコンセントを接続して、いつまでも放置している。そこで倉庫業というんですか、これも法律等がありますが、その辺のかみ合わせを兼ねて、御説明いただければ幸いです。
  85. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御質問の点、これは近々に非常に問題化しておる、現実の大問題でございます。まず、はしけであるとか、あるいはコンテナであるとか、そういうようなものが倉庫がわりに使われておる。いわゆるはしけなどを倉庫がわりに使うという、よく倉ばしけと私ども呼んでおりますが、これは昔から一部には見られた現象ではございます。ただ、はしけそのもの、先ほども申しましたように、非常に余剰、遊休化しておるといいながら、最近ではそういうような倉ばしけが非常にふえたために、はしけがあまり余っていないというような、変な一時的な現象が起きておることは事実でございます。  これは先生も御指摘ございましたように、確かに倉庫容量の不足を補うということがはっきり言えると存じます。特に、冷凍倉庫の不足というものが問題でございます。それで私ども、また倉庫業というものも監督をいたしております立場から、この点非常に気になっておりますんですが、どうも民間企業一つ問題点をここにはらんでおるかと存じますが、倉庫業で、私ども倉庫が非常に足らなくなるということで、倉庫をこういうふうに建設するべきであるということで、そういう場合に対して、これは全般的ではございませんが、そういうもののうちの特に伸ばすべきところについては、開発銀行の財政資金の融資というものもあっせんしたりして、倉庫の建設を大いに奨励いたしております。ところが今回のように、何と申しますか、関税関係もあるようでございますし、いろいろな関係かあるようでございますが、非常に肉類等の輸入がふえまして、しかもすでに在庫のものが、なかなか市場へ出ていかないと、これは本来、物価行政からいったら変な話でございますが、どうも私どもそれをどうこうという権限はちょっとございませんけれども、そういう点で、確かに冷凍倉庫が非常にいま不足しております。かといって、いま不足しているからといって、これは直ちにつくりましても、なかなかすぐにでき上がりません。    〔委員長退席、理事木村睦男君着席〕今年の九月、十月ごろになりますと、東京周辺の冷凍倉庫はたいぶふえる、現在建設中のふえる予定でございます。したがって、そのころになればまずこの現象は完全に解消できるという見通しを持っておりますけれども、さしあたりの問題ではとてもこれはまかなえない。したがって、これは農林省等にお願いいたしまして、何しろ在庫品を早く放出するようにしてくれぬとほんとうにえらいことになってしまいます。特に先ほどお話ございました冷凍コンテナの回転が非常に悪い、そのためにコンテナのよさというものが、ただいま激減しておりまして、これは輸送面でも非常に困っております問題でございますので、その点注意をいたしております。ただ私ども直接の、私どもの所管している問題で解決できるという問題じゃございませんので、できる限りそういう点を努力をしていく段階でございます。
  86. 山田勇

    ○山田勇君 時期が偶然といいますか、PCB等の汚染問題で食料品の事情、流通事情というものがたいへん変わってまいりました。確かに冷凍食品等のウエートが重くなってきております今日ですから、特にそういう冷凍食品などの荷が停滞するというようなことですが、ひとつそういう点は、十分気をつけていっていただきたいと思います。  次の問題に移りますが、これは決定した問題ではないので、私もどうかよくわかりませんが、このごろ空港の騒音公害などを避ける意味におきまして、関西などでは泉南沖とか神戸沖とかといわれておりますように、海中に人工島をつくり、埋め立てといいますか、空港をつくろうという傾向にあるようですが、かりにこのようなものが実現した場合、周辺に、乗客また貨物などの輸送に当たる、当然港湾の機能を果たすような発着港のようなものができると思いますが、この際、そういうものができたとしまして、いわゆるこの港湾法とのかかわり合いというものはどの程度でございますか。
  87. 岡部保

    政府委員岡部保君) いまのお話で、いわゆる海上に、たとえばどこになるかというのを現実にはきまっておりませんが、関西の新しい国際空港というようなものが海上にもしもできたという場合に、それのアクセスと申しますか、連絡のための交通機関として海上路が使われるならば、港湾法としてどういうふうに考えるかという御意見だと存じます。  で、その場合、結局、いわゆるフェリーでありますとか、——フェリーの必要はないのかもしれません、いわゆる客船であるかと存じますけれども、そういう船が往復するというようなことで、結局、まず本土側のほうは従来の既成の港を一部改良して使うということに必ずなるであろうと考えております。ただ空港側のほうでの明らかな旅客施設、こういうものについては、これは本来的に申しますれば、地方公共団体管理する地方港湾と申しますか、やっぱり港湾に指定されるべきであろうかと存じます。ただ、うっかりいたしますと、こういうものというのは指定せぬでもええわというようなおそれがございます。現実にヨットハーバー、マリーナと称しておりますが、そういうもので、明らかに港湾でありながら港湾に指定されていない例がございますので、そういう意味では、今回の法律でも安全基準だけは所管の知事がその技術の基準を設けて、それで規制をするという権限を与えている次第でございますが、いずれにいたしましても、私どもとしては、そういうものも港湾として認知されて、この港湾法のすべてを受けていくというものにしたいという考え方でございます。
  88. 山田勇

    ○山田勇君 熊本県の水俣湾に堆積しているヘドロの処理対策として、当初のしゅんせつを変更して湾内の埋め立てを拡大するといいますか、すなわち、しゅんせつすれば逆に水銀を拡散させる危険があるため、いっそ埋め立てて港湾にある恋路島を利用した新港をつくる計画と新聞の報道で見ましたが、このような計画は、今後も全国的に汚染港湾では出てくると考えますが、この改正港湾法との関連はどうなるでしょう。
  89. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま実例をもって水俣湾でお話のございました問題でございますが、いわゆる公害防止対策事業ということで港湾管理者が行なう港湾整備の事業の一つとしてこれは実施をしておりますし、今後もしていくという考え方でございます。したがいまして、この問題直接に関する限りは、必ずしも今回の法改正と直接に結びつきはないわけでございまして、現行法でやり得るという感覚でございます。ただ、いまおっしゃいましたように、水俣の問題で、どういうふうに計画を練っていくか、確かに御指摘のような問題、従来考えておりましたよりももう少し広い面積を埋め立てるというか、埋め殺すというか、そのほうが二次汚染、二次公害のおそれも少ないというような点もございますので、現在これは熊本県が中心になりまして、私ども環境庁とも御相談しながら、現実に現地の計画を練っておるところでございます。  そこで、それが公害防止対策事業だけではございませんで、そうなりますと、すでに水俣の港に港湾施設もございます。これを全部包するようなおそれがございます。そうなりますと、やはりあそこに港の施設が要る、そうすれば、もっと本来の港湾計画というもので見直さなきゃいかぬという問題が出てくるわけでございます。そこの辺につきましては、この新しい法律の三条の二、三条の三という港湾計画の手続に従って、これは将来、当然実施をしていくというかっこうになるかと存じますし、また現実には、従来の現行法とそう手続的に変わっているわけではございませんし、まあそこの辺、特に今回の法改正とからみがあるとはごらんいただかないでいいんじゃないかという感じがいたします。
  90. 山田勇

    ○山田勇君 まあその場合は、埋立法というような法律がありますが、それとの関連はどうなってまいりますか。
  91. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは当然埋立法の所定の手続が要ると存じます。したがいまして、まず港湾法での港湾計画というもの、港湾区域内においては港湾計画というものに関連ございますので、計画として考え、その次に、現実にそれを埋め立てるという段階で埋立法の埋め立ての手続というものが適用されるというふうに御理解いただきたいと存じます。
  92. 山田勇

    ○山田勇君 そういう手続が出される場合は、地方自治体の権限もさりながら、運輸大臣の許可といいますか、運輸大臣にも権限があると思うのですが、そういうものがかりに自治体のほうで出された場合、運輸大臣は許可しますか。
  93. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これはお話がありましたように、現行法では一応のルールがきまっているわけですが、それではいかぬのじゃないと、つまりそれをどういうようにして処理するかという問題については、非常に科学的に調査研究をしないといい工法が見つからないというような状況であると聞いております。したがいまして、そういったものが完備いたしますれば、これならだいじょうぶというめどが立てば、もちろん一日でも早く処理しなければいけない、許可をしなければならぬと思います。  問題はその内容でございまして、いま政府委員から申しましたようにいろいろな手続があります。われわれのほうとしては、法律にこだわらずに、法律では港湾管理者である県知事がそういう案をつくってくるわけですが、なかなかしかし、県だけでつくれるかどうかわかりません。これに対しては、もう極力われわれのほうの技術陣を動員をして調査もし、それから工法の研究もさせまして、そしてこれならというところで地元の県知事の了解を得まして、それで地元からそういう案を出してきて、それで処理するという段取りになるのですが、積極的にこれは対処するつもりでおります。
  94. 山田勇

    ○山田勇君 敦賀湾では湾内の公害汚染の魚を根こそぎ捕獲する。兵庫県の西の高砂港では漁網といいますか、網で港の入り口を封鎖して大量のPCBを含む港内のヘドロに魚を近づけないようにするなど、漁民の生活自衛手段と申しますか、やむにやまれぬ非常手段がとられておりますが、改正港湾法ではどのようにこういう問題を対処していくのか。港湾の機能と漁民の生活権のどちらにウエートを置く考えなのか。全国的な問題として、ひとつ御答弁願いたいと思います。午前中の連合審査等でも、各委員からこういう問題も出されたと思うのですが、御答弁を願いたいと思います。
  95. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに、いま具体的な例でおあげになりました敦賀であったり、あるいは高砂であったり、こういう問題は私どもも伺っております。結局、具体的に言えばPCBの問題かもしれませんが、包括的に言えば環境問題、こういう問題で、たとえば高砂の問題の、船だまりというか、埋め立て地の間の残っております水面を埋めるべきなのか、あるいは一部埋めるべきなのか等々、いろいろ問題点があると思います。そういうような計画について、これから環境問題を中心としての要請でございますし、しかも港湾計画というものと密接につながるわけでございますので、私どもとしては、この港湾法の改正いたしましたいわゆる計画の手続の部分では、こういう港湾計画を立てる際に、各港湾管理者考えていただきたいものを、運輸大臣として、基本方針というところで明定いたしたいと、そのときに実際に環境というのがたいへんな問題であるということを、できるだけ強調をいたすつもりでございます。  またその港湾計画が出てまいりまして、それがこの環境問題に対する対策として、ほんとうに意味のあるようなものでなければ意味がございませんので、したがって、ここの辺は、たとえば専門家である私どもの立場で言えば、環境庁とも御相談をしなければならない。そういうようなことまでこの計画面で考えていく。あと、先ほど運輸大臣も申し上げましたように、実施面ではまたむずかしい点がございます。これについては、特にここの港湾法と直接の関連はございませんけれども、私どもの技術力として、できる限りのことをしていきたいという考え方でございます。
  96. 山田勇

    ○山田勇君 東京−北九州・小倉間に就航予定の大型フェリーが、運輸省九州海運局に航路の免許の申請を出し、昨年十二月に許可がおり、今月二十一日からの事業開始予定であったのが、小倉港の水深が浅くて接岸できず就航延期になったようですが、この場合、船を建造する段階で、喫水が予定より深くなったため小倉港では干潮のときに座礁するかわからないということですが、結果的には小倉港をしゅんせつして水深をふやすといいますか、深くするといいますか、この際、この費用など、港湾管理者はどのように処置をとるのですか。それと、ちょっと新聞記事を見ますと、新しい航路の申請を許可する九州の海運局のほうが、こういう問題が起きてから、談話の中で、こんなケースは前代未聞であるとあきれ顔というふうに報道されているのですが、自分のところの所管で許可をして、結果的には就航をせなかったということに対する、許可を与えるまでの調査といいますか、申請を出してきたしということで許可をしておいて、就航停止といいますか、就航ができなくなってから海運局があきれ顔では、何かちょっと私は片手落ちのような気がするのですが、これは新聞の報道ですから、どの程度あきれ顔をしたか私もわかりませんが、そういう点を含めて御答弁願いたいと思います。
  97. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私どもの所管をいたしておりますしゅんせつ工事の点について先にお答えを申し上げます。  確かに先生の御指摘のとおりでございまして、この辺のいきさつについては、海運局のほうからお答えいただくわけでございますけれども、私ども考え方では、このような問題点について、現在地元で、関係者の間でどういうふうにこれからしていったらいいかという相談をしておるという話を伺っております。ただこういう問題については、私ども考え方で申しますれば、いわゆる財政資金を投入する公共事業の性格にはそぐわない考えであるということだけを、私はここで申し上げておきたいと存じます。
  98. 見角修二

    説明員(見角修二君) 海運局のほうからお答え申し上げますと、先ほど先生指摘ございましたように、この当該航路の申請者は東九フェリー株式会社でございますが、これが免許申請の段階で提出されました計画では、使用船舶の喫水は五・一メートルとなっていたはずでございます。当時はまだ船をつくる前段階でございますから、われわれ海運局といたしましては、その書面によって五・一メートルならばあの港には十分入れるということもございましたし、さらにその段階関係する海上保安本部長、あるいは港湾管理者意見照会を行ないまして、十分協議を遂げたあげく、必要な水深については安全上支障がないということをその段階では確認して免許したわけでございますが、実は免許後、この東九フェリーが船舶の建造段階になりましてから、この喫水を六・三二メートルということに設計変更をしたためでございます。このことが発見されましたのが、船ができてまいりまして就航前の安全の確認検査というのを九州の海運局がやりますが、そのときに初めて発見されました。それでは、小倉港の水深が、岸壁の前面が五・五メートルでございます。現在。それではとてもこの船は入れないということが、その段階で判明したものでございますから、就航をとりあえず延期をさせまして、現地の関係者において、この船を入れるためにどういう工事をすればいいかということを目下協議をしている段階でございまして、東九フェリー株式会社自身も、もしその協議が整えば自分の負担においてしゅんせつを行なう、できるだけ早く就航さしたい、こういうふうに言っておりますので、ほどなくこの問題は解決する、かように思います。
  99. 山田勇

    ○山田勇君 まあ港湾全体ということから考えれば、少しでも水深を深くして港の機能を拡大するということはたいへんいいことだとは思います。しかし一企業の御都合主義によってしゅんせつ船等を繰り出して水深を深くするということになりますと、やや問題があろうかと思います。そういう点で、海運局側の御答弁の中で、企業負担ということですから、そういう点で、まあこのぐらいの大きな会社ですから、そういうような形で公共的に還元をしていってもいいように思いますので、できればそのような形で、一日も早い解決が望ましいと私も思います。  そこで、ちょっと問題は変わりますが、海上保安庁の長官にお尋ねしたいと思います。海上保安庁の田辺海上保安部の田尻宗昭さんのことでありますが、各委員からも御質疑があったと思いますが、あわせてお尋ねをしたいと思います。新聞や週刊誌で相当大きく取り扱われまして、四日市の海上保安部に勤務中に石原産業四日市工場の硫酸たれ流し事件を摘発しまして、これに端を発しまして工場の増設をめぐって通産省と企業の癒着問題まで発展いたしました。国会でもずいぶんと論議をされたのは記憶に新しいのでありますが、その田尻さんが四日市から田辺という比較的公害の少ない方面へ回されました。まあ一部新聞等に報道されておりますように、左遷されたというふうに書いてあるのもありますが、前回森中委員のほうからのお尋ねの中で、そういうことは絶対にないんだということを、長官はるる説明をなさっておりました。よく理解はしておりますが、今度は東京都か引き取って——引き取ってというと語弊がありますが、引き抜いて、公害行政、特に東京湾の汚染対策に本格的に取り組ませるというんでありますが、国のほうでは田尻さんのような有能な人を閑職に回すと、長官の御答弁の中では閑職じゃないということですが、一応革新都政といわれている東京都に引き抜いて、大いに敏腕を振るわせると。公害防止とか、海洋汚染防止とか、幾ら法律をつくっても、取り組む根本的な姿勢が、そもそも国民サイド、住民サイドに立っていない。このような感じを、一つの田尻さんの記事からも、国民は敏感に感じていると思うのですが、長官の御所見を伺いたいと思うんです。
  100. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) この問題につきましては、先般森中先生からも御質問がございましたときにお答えいたしましたように、これは二年ほど前の問題でございますが、私どもその後、当時の事情いろいろ調査いたしまして、はっきり申し上げられるのは、よく世間で四日市は公害が非常に大きいと、その四日市から田辺にやったのは左遷ではないかという御質問でございますが、端的に申し上げますと、四日市は確かに公害の監視取り締まりという面では大きなウエートを持っておりますが、保安部としての規模を申し上げますと、海陸の人員合わせて田辺が約三倍でございます。そして船も、四日市はその港の担任区域の業務の実情に応じまして、巡視艇——小さい船が二はいと、それから消防艇が一隻という保安部でございますが、この田辺は四百五十トン巡視船を持っておりまして、人員も百五十名を擁しておる。その警備救難課長という仕事内容を申し上げますと、まず海難救助の仕事がございます。それから公害の監視取り締まりの仕事がございます。それからその他一般の法令の励行及び捜査という警備業務がございます。大ざっぱに言いまして、この三つの業務を統括しておるわけでございまして、公害の面におきますれば、確かに四日市というものがウエートを持っておりますけれども、警備救難課長という仕事全体から見れば、むしろ保安部の格としては田辺のほうが上だということでございます。  したがいまして、警備救難課長の部門で将来伸びていくためには、やはりそういう警備救難業務全般を体験をし勉強をしてもらうということで、これは何も田尻君一人に限ったことではございませんが、各地の警備救難課長の異動等を考慮するときにはそういう考慮をしてやっておる。田尻君は特に警備救難課長としても公害の問題に執念を焼やしておるということから、あるいは先生の御指摘のように、外部から見ればいかにもおかしいんじゃないかという御意見が出ると思いますけれども、私のいま申し上げたように、保安部の規模から言いましても、業務の量、質から見ても田辺のほうが格が上だと。だから、栄転とは申しませんけれども、これはいわば同じランクの中のもっと大きいところへかわったということでございますし、私ども、その後も大体二年ぐらいに定期的な異動を行なっておりまして、本人の希望もあれば、この前も申し上げましたように、たとえば海上保安大学校の教官にするとか、あるいは試験研究センターの相当の幹部にするということで、公害一途にかりに進むとしてもそういう道もあるわけでございまして、田尻君が東京都からもらいがかかったということに関して、本人の意向を聞きましたところ、本人も行きたいということでございますので、私どもとしては非常に惜しい人物だと思いますけれども、本人のせっかくの希望であるということから、それでは割愛しようかと、こういう現在の状況でございます。
  101. 山田勇

    ○山田勇君 まあ、たいへん意地悪な質問になるかもわかりませんが、いまもなお海上保安庁としては東京湾の公害というものに対して監視体制を続けておられますね。
  102. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 公害の監視におきましては、特に東京湾とそれから伊勢湾、大阪湾を含む瀬戸内海を非常に重視しておりまして、その中でも東京湾は非常に公害の監視の面で問題が多いということから、船艇の増強、それから特に航空機の増強、それから夜間監視装置も、まず第一番に羽田の航空基地に置きましたということで、東京湾の公害監視、取り締まりにはいままでも力を入れてまいったわけでございますが、今後とも一番力を入れていきたいと、かように思っております。
  103. 山田勇

    ○山田勇君 そこで、意地悪い質問かもわかりませんが、東京湾などでいままで摘発されなかった公害源が、田尻さんが東京都へかわったということで、どしどしかりに指摘といいますか、摘発といいますか、暴露されてくるというような状態がかりにでも起これば、海上保安庁の長官としていかがですか。
  104. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私どもは、この前もどなたか先生の御質問にお答えしたわけでございますが、海上における公害の監視、取り締まりの任務を持っておりますので、もちろん公害を未然に防止をするということが一番望ましいことでございますが、どうしてもそれができない場合にはこれを摘発し取り締まるということは当然のことでございます。  したがいまして、公害があった場合に、これを取り締まるということの立場からいままでもやっておるわけでございまして、たとえば船が海上において油を流したということは、これはもう陸上の機関には要望できませんけれども、工場からの廃液とか排水とかは、私どもの立場から言いましても、むしろこれは陸上で押えてもらいたい。そういうものが海に流れ込んでくるのが困るのでございまして、これは産業を所管する、たとえば通産省とか農林省とか、あるいは事柄によっては、都自身が監督をしておられる産業行政の分野で、そういう産業の生産過程においてできてくる廃液とか、そういうものを海に流れないようにするということは、私どもが最も希望しているわけでございます。したがって関係の都道府県に対しても海にそういうものを持ち出さないようにしてくれと、産業廃棄物にしてもしかりということを要望しておるんですが、むしろそれが実施されないということで、私どももどちらかといえば切歯扼腕している立場ですから、そういう廃液等が東京湾に流れ込まないようになれば、私どもとしてももろ手をあげて歓迎すると、こういうことでございます。
  105. 山田勇

    ○山田勇君 ですから、先ほど来私が述べておりますとおり、やはりそれは環境庁なり通産省、海上保安庁等、所管の運輸省は申すに及ばず、よく協議をして、まず公害に持ち込まないということが望しいと、私も同意見でございます。  そこで、そういうような問題が起きてきますと、国側としましては協力し、一体となって公害防止に全力を尽くす姿勢がおありですか、大臣。
  106. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これも再々申し上げているところでございますが、今度の港湾法の改正もそういう点をねらっております。のみならず、これは法律があるとないとにかかわらず、いま保安庁長官も申し上げ、また港湾局長からも再々申し上げておりますように、関係各省がほんとうに一体となりまして海をきれいにするということについては、最大限の努力をしなければならないというのは当然のことでございます。法律がなくとも予算措置で済むことならば予算措置をやらなければならない。また法律の必要なもの、これは至急に法制の整備をしなければならない。これにつきましては、先ほどあなたも連合審査会においでになったとき、お聞きくださいましたように、これは運輸大臣としてのやり得る仕事には限度がございまして、非常に小さい問題かもしれません、運輸大臣としましては。しかし、そのあとの始末といいますか、それは運輸大臣がやらなければならぬことでございますから、これはもう私は、そういう法制が整備されようがされまいが、積極的に関係各大臣に要望しまして、その成果をあげるように、対策を講じてもらうように努力をいたします。     —————————————
  107. 木村睦男

    ○理事(木村睦男君) この際、委員異動について御報告いたします。  渡辺一太郎君が委員辞任され、その補欠として斎藤十朗君が選任されました。     —————————————
  108. 山田勇

    ○山田勇君 昨年でしたか、新潟港沖でタンカー船の油の流出事件がありましたが、タンカーの大型化がますます進む今日、いつどこで事故が発生し、大量の油が海上を汚染するかわかりませんが、これらの防止策としてのオイルフェンスについて若干お尋ねをいたします。  日本で現在使用されておる種類とか、そういうものについては、先ほど来委員会で、オイルフェンスの問題について、よく私も聞いておりますので、重複を避けたいと思いますが、緊急の場合ですね、今回の新しい改正法案では設置義務というのを持っております。そういう緊急の場合、どういう形でオイルフェンスを運ぶのかというような問題を少し聞いてみたいのですが、いかがですか。
  109. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) オイルフェンスは今回の改正法によりまして、民間でも設置義務が課せられたものは、船舶の所有者並びにシーバースとか、あるいは係留施設の設置者になるわけであります。あわせて港湾管理者も油を扱う場合には港湾管理者の業務として新たに設置を規定されておるわけでございます。したがって、もし船舶の座礁あるいは何らかの原因で、船舶から直接油が排出される場合には、荒天時でなければ、直ちに船舶に搭載されておりますオイルフェンスを張るというのが一番緊急にやれる措置ではないかと思いますが、そのほか、たとえば狭水道で海上保安庁の巡視艇等が見張っている場合には、それらの指示によって、あるいはもよりのところから応援に行くとか、いろいろなことができるのじゃないかと思います。それからなお油の積み揚げ、積みおろしをやっておる際に、誤って漏れたという場合には、その施設の設置者あるいは港湾管理者の備蓄しておりますオイルフェンスを直ちに展張するということができるわけです。
  110. 山田勇

    ○山田勇君 新潟港の場合、たいへんそういう処置がおくれたといいますか、まあ日本海側ということで非常にそういうものの作業といいますか、オイルフェンスを張るのに手間がかかったように私は聞いております。    〔理事木村睦男君退席、委員長着席〕 今後、こういう法が改正されますと、それぞれの港湾相当規模の大きいオイルフェンス等の設置をされると思いますので、期待をしたいところですが、そこでほかの先生方もお聞きになったと思うんですが、現在のオイルフェンスは非常に古いもの、昭和三十八年度あたりのものを使われているということですが、除々に新しい法案が通過するにつれて予算等の処置もあり、また新しいオイルフェンス等を購入されるだろうし、鋭意そういうものを研究なされているということを、いままで聞いております限りではございますので、そういうふうになりますと、その古いオイルフェンスの処置というものも当然考えていかなければいけないと思うんですが、そういう点について、かりに新しいオイルフェンスをどんどんと購入していく、そうしますと古いオイルフェンスというものがありますが、そういうものの処置というのはどういうふうに考えておられますか。
  111. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) オイルフェンスを持っておりますのは、海上保安庁——ども自身も持っておりますし、それから船舶所有者、港湾管理者、石油の精製業者、そういう人々も持っておるわけでございますが、役所の持っております国の予算で買いましたオイルフェンスが古くなった場合、これは古くなったからといって、いわゆる第一線の大型タンカーの油が流れた場合の展張ということにはなかなか役に立たないと思いますけれども、たとえば何といいますか、訓練用に使うとか、あるいはこれは地方によってそういうところがございますが、もし民間等に払い下げができるとすれば、たとえば塩釜あたりで、私、現に見たわけですけれども、養殖場の付近にむしろ張るとか、そういうような用途変更の処置も考えられるんではないかと思います。  民間におきましては、これは民間の資金で調達されるわけでございますが、これとても、ただ古くなってより有効なものができたからといって、いままでのものを簡単に拾てるというわけにはいくまいと思いますが、そこは私ども官民でつくっております大型タンカー事故処理対策協議会というのが各港に全国で四十七ほどございますので、そこで相談をして、第一線では使いものにならなくても訓練用で使うとか、あるいはより緊急度の少ないところに回すとか、予備的に使うという方途を考えることができると思います。
  112. 山田勇

    ○山田勇君 ぜひそういうような形で使用していただきたいと思います。かりに小さな漁業組合なんかにはそういうものがございません。実際、最終的に被害を受けるのはそういう小さな末端の漁民であろうと思います。まあ、こういう言い方たいへん失礼かもわかりませんが、ほとんど機能を果たさないにしろ、若干の機能を果たすものは古くてもあろうかと思います。ですから、ノリとか養殖真珠とかいうふうなところに    〔委員長退席、理事山崎竜男君着席〕 払い下げをするというような形で、気休めといえば気休めになるかもわかりませんが、少しでも有効にそういうものをどしどしと民間漁業組合等に払い下げをして、万が一に沖から油が来た場合、少しでもこういうものを張るようにというふうな形をぜひとっていただきたいのと、先日偶然カナダに参りましたときに、バンクーバー港の沖で相当大きな、オイルのフェンスじゃないんですが、何か私もよく知らないんで政府側の方にも申し上げておいたんですが、小さな海綿みたいなものをずっと海上にまき散らしましてオイルを吸収さして、それを今度大きなしゅんせつ船ですくい上げて、それをしぼってまた海へ戻すというような非常に一見して原始的な方法かと思いますが、何か政府側の説明を聞いておりますと、かなり効果があるように聞いておりますし、カナダ政府としては、このデモンストレーションの研究成果によっては正式に国のほうで採用するんだというようなことを、偶然、カナダで私も見てまいりましたのですが、    〔理事山崎竜男君退席、委員長着席〕 そういう海外に対する、そういうオイルの器具というものは非常に発達していると思うのです。そういう点もよく御研究なさって、いいものはどしどしと予算をつけて購入をしていくということはたいへん望ましい姿勢だと思います。  それから船舶の火災についてでありますが、このごろは大型化されまして、三十万トン、四十万トンという大型のタンカーが出てまいります。この火災を発生させた場合など、現在の水上消防艇ではホースの注水が届かぬようなことはないでしょうか。
  113. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 海上における火災発生の場合の対策でございますが、私ども現在、巡視船に、全部化学消防能力を持った巡視船を装備したいと考えておりますが、初期建造の船もございまして全部そうでございません。現在、申し上げますと、大体三百五隻の巡視船艇を持っておりますが、そのうちに強化された化学消防能力を持っておる巡視船は約四〇%、百二十二隻でございます。今後つくるものは、全部化学消防能力を持った船を準備したいと思います。化学消防能力も、先生お説のように、その能力によりまして非常に射程が短いとか、あるいは毎秒当たりの放出の量が少ないというようなことで、必ずしも十分でないものもございますけれども、今後、消防専用船もできるだけ代替建造して優秀なものをつくりたいし、巡視船には全部化学消防能力を備えるようにしたいということで、消防能力の強化をはかっていきたいと、こういう計画でございます。
  114. 山田勇

    ○山田勇君 それでは、これで質問を終わりますが、冒頭にも申し上げましたように、自治権の侵害ということにも十分に御配慮をされなければならないことは申すまでもありませんが、公害の防止と港湾の環境保全、適切な利用といった面からも廃棄物の処理施設、環境整備は目下の急務であります。時代に即した法改正は必要と考えるのでありますが、各委員等からも種々疑問を投げかけられ、特に中央集権化への隠れみののようにこの法案が利用されることを、深く私もおそれるものでありますが、この点、重ねて法案の真意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 港湾管理者との関係につきましては、先ほども具体的に御答弁をいたしましたが、そういう御心配は決してかけませんように、法律面でもそうでございますが、運用面におきましても十分に配慮をするつもりでございます。その点は御安心いただきたいと思います。
  116. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 山田君の質疑はこれで終了いたしました。
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は初めに、いままでの質問に対する関連質問で、具体的な問題を三件ばかりやります。そのあと、その第三番目の問題に関連して、公有水面埋立法がこれから論議されますが、連合審査もできませんでしたので、この法案に関連する法律改正の問題点を触れて、そのあと港湾法の改正についての重要な問題最後に先般から修正意見を出しておりますから、その問題で十二項目修正を申し出ています。その問題で、簡単に修正できますと、それでもう早く質問終わるわけでありますが、修正できませんと、なぜできぬかということを速記録に残しておきませんと、この法律改正に非常に重要ですから、そういうことでこれから質問をさしてもらいます。  まず第一は、いま起こっております問題ですが、先般から起こりました残存機雷の掃海の問題です。全港建の組合から運輸大臣あてに申し入れ書が出ておるようでありまして、最近発生いたしましたのは五月九日です。潜水夫が貝とりに参りましたら爆雷があることがわかったと、ところが、おそろしいもんだから報告しなかった。そしたら、二、三日しましてしゅんせつ船がいかりを投げる、すぐその近所にいかりを投げるのを見て、おそろしくなりまして、これはひとつ運輸省に言っておかなければならぬということで運輸省に報告いたしました。揚げましたのは残存機雷です。  そこで、現在までの掃海の通達書がありまするが、掃海する場合は磁気探査、潜水探査、磁気探査を繰り返しておりまするが、この工事の周辺二十ないし五十メーター周辺をずっと探査するわけです。投錨する範囲は二十メーターから五十メーター範囲までぐらいあるわけですから、そこで、その辺の掃海をやらないと大きなしゅんせつ船も使えませんし、あぶないと、そういうことがいわれておる。最近の発生した問題で、これは関門港だけではなくて、方々でそういう問題が起こると思いまするが、この問題に対して、どういうふうな措置をやられるのか、今日までの全港建から申し入れましたこの申し入れ書に対して、運輸省としてはどういう措置をやられるのか、まずそのことをお聞きいたします。
  118. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの、具体的な問題についての御質問でございますが、私どもも、この話を聞きまして実はひやりとしたわけでございます。そうでなくても、すでに機雷のためのしゅんせつ船の事故というのは再三起こっております。したがって、いま御指摘のございましたような問題について、私は港湾区域内を全面的に掃海と申しますか、機雷探査をするべきではないかということを、たしかかつて申し上げたことがあるわけでございますが、残念ながら、四十八年度の予算折衝では港湾区域全面的の機雷探査というところまでは話がまとまりませんでした。しかし、このしゅんせつ船の、たとえばアンカーの問題でありますとか、そういうようなものをどういうふうに考えるかという点については、私はもうほんとうにこれはいやな問題でございますので、前向きに処理をいたすつもりでおります。したがって今後、先ほど先生がおっしゃいましたが、たとえばのり肩から二十メーター外側まで探査をするというのが、これが二十五メーターになりましても、三十メーターになりましても、そういう問題があるとすれば、当然私はやるべきじゃないかという考え方をもって、ただいま検討中でございますので、はっきりいたしましたところで、そういう方向で処理をいたしたいという考え方でございます。
  119. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは申し入れをしましたのが六月の九日です。もう約一カ月たっています。そうすると、港湾局長としては少しテンポがおそいようでありますが、一番心配しているのは、工事を急ぐあまり、工事をやれやれと、こう四十八年度の工事で追いまくられて、仕事優先のためにこういうずさんなことをやるのではないかと思います。  だから、せっかくこんなりっぱな残存機雷等に関する通達書がありまして、探査の基準もつくってあります。それで新しい控査基準をつくるとおっしゃるが、いまの転錨区域についても磁気探査、潜水探査、磁気探査をやると、こういうことをここで言明できますか。
  120. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうもおしかりを受けるかもしれませんが、ここで私、できますと断言する段階でございませんと申しますのは、先ほどもおしかりを受けたわけでございますが、だいぶ時間がたっていながらそういうことではいかぬという点よくわかります。私自身その点いささか申しわけないと思っておりますが、もうちょっと時間をかしていただきたい。と申しますのは、現地でのいろいろな意見があるようでございます。したがって、その点もう少しまとめさせていただきたいということで、本日はかってでございますが、保留させていただきたいと存じます。
  121. 小柳勇

    ○小柳勇君 私も一方的に聞いていましてね、十分のまだ現地の調査をしてません。すぐ近所ですから調査すればいいけれどもなかなか忙しいもので。  いまょっと別の意見もあるとおっしゃいましたが、参考のために聞かしてください。
  122. 岡部保

    政府委員岡部保君) 別な意見という意味じゃございません。いろいろな、どういうふうに考えたらいいかというような意見がいろいろ出ております。そこで私の考え方をはっきり申し上げれば、これをいま否定的な方向に持っていつもりは毛頭ございません。むしろ肯定的な方向に持っていくつもりでございますが、具体的にどういうふうにすればいいのかという点での意見がまだまとまっていないという意味でございます。
  123. 小柳勇

    ○小柳勇君 前向きにやってもらわなきゃ困ります。でないと作業できません。で、転錨区域を二百五十メーターないし三百メーターと、大体のことを聞いてきました。だからいままでは二十五メーターないし五十メーターぐらい周辺を磁気探査してたんですから、その範囲を二百五十ないし三百に広げるという、これは簡単ではないかと思うのですが、それをやらなければ危険だから、仕事がなかなかできないと言っているわけですよ。具体的なんです。話は。だから、一カ月もほっておきますと、おそらくいま仕事は十分できていないと思うが、これは局長だけでもいかぬから、大臣どうですか。こういうのは早く片づけて、そして探査船も三隻も予算をちゃんと取ってあるのだから、安心して仕事ができる方向でやらなきゃならぬが、これは水かけ論をしてもしようがないから、大臣の決意を聞いておきましょう。
  124. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは別になまけているわけじゃないのです。ただ具体的に、どういう方法でどうやったら探査できるか、またそれをどういうふうにして引き揚げるかというような問題について、具体的にいろいろ検討しているからだと思います。そういう意味では、これは一日でも早く結論を得るようにしなきゃならぬ。その点は、私も同感です。
  125. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは早急に、仕事も急がなければなりませんが、安心して仕事ができるように、いままでの周辺二十五ないし五十メーター、転錨区域のほうにも磁気探査をするという方向で検討して、早急に具体策を立ててください。  次に、これに関連いたしますが、今度船ができまして磁気探査を直営でやるというような方向にあります。で、その場合に、磁気探査をやりますと、あともし作業中に爆発が起こりました場合、これはそのやりました船、いわゆる運輸省の責任になります。それはそのように理解していいですか。
  126. 岡部保

    政府委員岡部保君) ちょっと先生のおっしゃった意味が私にはっきりしませんでしたのですが、探査をいたしまして、それで位置を確認すると、そして、言うなればもう一度そこにあるものの確認をいたしまして、これは潜水探査になるかと思いますが、そこでそれを、今度明らかにこれは機雷であるということで除去しなければならないといろ場合のこの処理については、私どもはあくまでも防衛庁にお願いをするという考え方で立っておりますが、その点で、どこの点のをおっしゃったのか、ちょっと……。
  127. 小柳勇

    ○小柳勇君 新たに、先般から問題になりましたから、磁気探査の船を三隻つくりまして、運輸省が直接探査する。いままでは民間に外注してたわけですね。それを運輸省が直接やりますから、やりました以上責任負わなきゃなりません。磁気探査やりまして、潜水探査やりまして、また磁気探査やります。そうしてオーケーということで工事に入ります。そのときに保安庁のほうに認可を仰ぐのですけれども、そういう手順になっておりますが、もしも磁気探査が不徹底のために爆発した場合は、当然運輸省の責任だと思うがどうかと、刑事責任を問われますが、その覚悟はいいですねと、こういうことです。
  128. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは運輸省として、そういう磁気探査の船をつくり、そういうことを実施する以上、その点はもう覚悟の上のことでございます。
  129. 小柳勇

    ○小柳勇君 したがって、その刑事責任の追及などもされますから、その探査をやる職員ですね、運輸省職員あるいはその磁気探査船の船の職員などについては、それ相当の責任に対する処遇というものも考えておいてもらいたいと思います。  そこで新たな基準をつくらなければならぬ、探査の基準などを。これにもありますが、これではやはりまだ不十分のようですから、その点についての見解を聞いておきます。そして、その基準をつくった以上は責任を負わなければなりません。この点についても見解を聞いておきます。
  130. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生のおっしゃるとおりでございます。  私ども、現在つくっております探査船、これがほんとうに動き出しますのは、残念ながら、いまのところ、いろいろ機器の問題等で問題がございまして、いま一生懸命設計をしている最中でございますが、今年度一ぱいかかるかと存じますが、来年度から実施いたしますので、それに対しての措置というものは、先生のおっしゃるとおり、私ども、いままでとまた改めたものにするという考え方でございます。
  131. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで港湾建設局のほうで、これの担当となるような見通しのようだけれども港湾建設局の職員は、これは保安庁の仕事じゃないかと言っている。最終的にしゅんせつ工事よろしい、あるいは護岸工事よろしいと、決済するのは保安庁のほうなんです。  で、この間、私は書類をずうっと見てきました、この間爆発したあと。磁気探査しましたあと、記録がありまして、それを添えながら工事認可を持っていって、保安部長の認可を得ているわけです。保安部長は港長です。港長の決済を仰いで工事しているわけです。たまたまそれが爆発いたしました。爆発いたしましたら、今度は保安部から行って責任者を逮捕している。そしてそれを勾留して調べているわけですよ。私、本部長に聞きましてね。あなたの責任じゃないか、書類へ印判を押しているじゃないか。それには磁気探査の書類も全部ついているわけですよ。そこんところに、ここに危険物がありますと書いてある。それを見ながらそのあと潜水探査したら、よかったということで、工事の決済をしているわけです。港長としてやっているんですよ。ところが、今度逮捕するときは、保安部長として逮捕しているわけです。そして調べている。したがって、いま港湾建設局の職員が言っているのは、磁気探査というのはもう海上保安庁の責任ではないかと言っているが、どうですか長官。
  132. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お答えいたします。  先生が例にお引きになりました、昨年ですか、関門港における爆発、これは関門港長が港則法に基づいて許可をした。したがって関門港長にもこれは責任があるんではないかという考え方、これは私どもも同感でございます。なぜ責任があるかといいますと、港則法に基づいて許可をしたわけですね。ただ、その許可をするに際しまして、これは許可を与える過程における慎重さを欠いたと。つまり、いわば条件つきにと申しますか、安全を確認してやりなさいよという、きわめて一般的な指示をして、そして許可をしたわけです。そこで、先ほどから議論になっておりますように、安全の確認をしたかと。しましたという簡単なことでは許可はいけないので、今後は私ども、先ほど先生がおっしゃったように、むしろ港湾局にお願いをしているのは、磁気探査それから潜水探査さらに磁気再探査ということで、ほんとうに間違いないということを確認した上で許可しろ、それまでは許可はするなという指示をその後出しているわけです。したがいまして、港則法に基づく許可というものは、あくまでもこれは港長の責任でございます。  先生先ほどおっしゃいました、港長が許可したけれども事件が起こったら自分が捜査したとおっしゃいますが、ちょっと違いまして、これは港長というのは、この場合は門司の海上保安部長なんです。したがって、これを刑事事件として取り上げたときには、門司の保安部長には捜査をさせないで、その上部機関である第七管区の本部長が捜査をしたということでございまして、それは、同一人格で捜査と許可と両方やったということじゃございませんので、その辺の誤解は解いていただきたいと思います。  それから海上保安庁が磁気探査をすべきでないかという、これはちょっと、私どもとしては、海上保安庁が探査をすべきものだとは考えておりません。むしろ港則法に基づいて確認をして、そして確認ができたならば許可をすべきだと、こういうふうに思います。
  133. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの意見港湾局長はどうですか。
  134. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうかと言われると弱るんでございますけれども、私、いまの長官の御意見のとおりだと思っております。
  135. 小柳勇

    ○小柳勇君 これ、空論でありませんでね、実際現地でもうやっているんですから、その責任の所在を明らかにしておきませんと、機雷が爆発しないとも限りませんですよ。たくさんまだある。二千発も関門港だけで残っているんだから。そのことを真剣に考えて話してあるんですから。今度磁気探査船をつくることはいいことです。なるべく正確な船をつくらなければなりません。私もこれは賛成です。民間のチャーターでこんなものはやるべきじゃないですよ。それはわかりますが、ただ、やる職員に責任があります。さっきの刑事責任も追及されましょうし、もし爆発した場合の責任がありますから、これは港湾建設局のほうは建設するほうだから、その海の、建設してもよろしいという保安上の責任は海上保安庁が持つべきではないかという意見も、ぼくはやっぱり一つ意見だと思いますね。しかしまあ、海上保安庁長官は、うちのほうじゃない、港湾建設局とおっしゃるけれども港湾建設——あとでこれは港湾法にも関連しますけれども、今度港湾法が改正になりまして、いままでは港湾建設が主体であった、今度は公害の除去から、いろんなものをやっていきますからね、建設だけでなくなってくるんですよ。港湾建設局の職員が非常に仕事がある。いわゆる清掃業までやらなければならぬですね。そういう場合も、現場は現場なりに非常な悩みがあるわけです。  そういうものを具体例としていま質問しているんです。したがって、この問題は、いま保安庁長官は、そうじゃないとおっしゃった。もう少しこれは大臣、何か省議ででも、問題がありましたら、関連質問がありましたら、十分論議して、下部の職員が磁気探査やる場合の責任の所在を明らかにしておいてもらいたいと思う。安心して仕事ができるようにしておいてもらいたいと思う。  それから、もしものことがあった場合の公務災害の補償制度が、前から抜本改正いたしますとおっしゃったけれども、できていない。それは非常に残念がっています。  例をあげますよ。この間、海麟丸が去年故障が起こりました。あのときに、次席船長がなくなられました。そのときの遺族補償が、遺族補償と年金合算いたしまして、わずかに百三十万七千五百二十二円。それから司厨次長がなくなられました。これが九十七万九千三十一円。これが遺族補償であり年金です。ところが、大手の会社などでもしああいう事故が起こった場合には、法定外として千五百万円ぐらい大体補償されておるようです。あまりにも、役人なるがために、公務員なるがために、遺族補償なり年金が少ない。あれだけの危険のある仕事をするのに、こんなに差別、公務員であるからといって差別をつけられてはたまらぬと。したがって、こういう補償制度を抜本的に改正をして、当面一千万円程度の法定外の給付をしてもらいたい、保障しておいてもらいたい。これはもう磁気探査にも関係がありますよ。あるいはいまのしゅんせつ船にも関係がありますが、港湾局長の決心をひとつ聞いておきましょう。
  136. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私ども考え方として、従前から申し上げておるように、何とかしなければいかぬというのはもう事実だと存じます。ただ、まことに申しわけない御返事になってしまうんでございますけれども、私自身がこれをやり得るという能力を持っておりませんので、こういう点については、今後とも、十分できるような方向に向かって進みたいと思っております。
  137. 小柳勇

    ○小柳勇君 大臣、大事な問題ですから大臣の見解を聞いておきますがね、海麟丸の次席船長、司厨次長がなくなられて、ほんとうに遺族補償なり遺族年金はこれだけです。子供さんが成年に達しますと、消えてなくなりますね。そういう制度でよろしいかどうかということです。だから、公務員の災害補償制度は運輸大臣の所管じゃありませんけれども、抜本的に検討してもらいたいと思いますが、閣僚としての見解を聞いておきたいと思います。
  138. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いろいろの仕事が出てきて、古い公務員災害補償法ではまかないきれない部分が方々に出てきていることは事実でございます。これもその一つだと思いますが、ひとつ関係の省庁とも連絡をしまして対策を考えたいと思います。  まあ最近、いろんな問題で予期しなかったような災害が起こってきておるわけです。そういったものとこれは似たような災害ですね。それとのやっぱり均衡もありますから、私はいま、一般的に普通の国家公務員が災害でけがをしたり、死んだりしたというのと同じように扱うことは、これは不穏当だと思います。その点は十分考えます。
  139. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、あと関門地区の掃海の実態及び新潟でもなお三百個くらいはあるということは明らかでありますが、その後ちっとも揚がっていないというわけですね。その後の残存機雷のあるおもなる地区の掃海の実態はどうなっておりましょうか。
  140. 岡部保

    政府委員岡部保君) 最近と申しますか、今年に入りましてから発見されたものが、いずれも北九州地区でございますが、門司において一個、それから洞海湾で一個、小倉で一個、合計三個の機雷を今年に入って発見いたしております。これは処理をいたしました。したがって先生指摘のとおり、はなはだ遅々として進まずというのが実情でございます。
  141. 小柳勇

    ○小柳勇君 新潟だって三百個あるということはわかっておりますのに、一個も揚がっていないのですよ。だから、二千個あるうちの三個しか揚がっていないのですから、これはほんとうに危険な作業をやっているわけですから、もう少し真剣に掃海作業も進めてもらわなきゃならぬ。でないと、潜水夫がちょっと貝掘りにいったら大きな爆弾があった。おそろしいから三日間も黙っておったというのですから、そのくらい危険なものですね。また、しゅんせつ船が投錨した。その近所に機雷のあることがわかって、ほんとうにふるえ上がってすぐ事務所にかけ込んだというのですから、だからもっと真剣に、しかも速度を速めて全国の港をひとつやってもらいたい。  磁気探査船はいつできるのですか。
  142. 岡部保

    政府委員岡部保君) まだ具体的に何月というところまでいっておりません。現在設計中でございます。大体年度一ぱいには仕上げるというつもりでおります。
  143. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。  小柳委員の質問に対する答弁を聞いておって、ちょっとふに落ちない点があるのですね。そういう機雷なんかの場合は、当然これは処理しなきゃならないし、処理をする場合の責任の所在も明らかにしておかなきゃならぬ。さっきの海上保安庁長官の答弁によると、そちらのほうの分野ではないようなお答えなんだけれども、海上保安庁というのですから、「保安」という以上は、物騒なものは処理するというのもこれは大事な保安じゃないかという気がするのです。たとえば海軍だったら、いまで言うと海上自衛隊になるわけですけれども、海軍に昔は掃海艇というのがあった。海軍の場合は機雷を敷設する敷設艦と、それからそういうものを片づける掃海艇と、そういう役割りがきまっておりましたね。それを今日の海上自衛隊は責任をもってやらないでいいようになっているのかどうか、こういう疑問が一つありますね。  それから、もしそれが海上自衛隊の仕事じゃなくて、運輸省仕事であるとすれば、責任の所在を明らかにした専門の分野があって、専門にそれをやっていいことじゃないかという気がするわけです。それらのやり方があいまいもことした状態ではいけないと思うのですよ。また、そういうことに対しては、相当設備費に金をかけてもだれもおこらぬと思う。だから、これは海上自衛隊にも責任を持たせてしかるべきではないかという気がいたしますが、これは大臣としてはどのような見解を持っておられるか。これはあくまても運輸省だけでもって責任を持つ、こういう考え方でもって対処することになっているのかどうか。今日の海上自衛隊なんというのは、それは昔と違って、戦争をやりに行く仕事を持っていないはずなんだから、これだけの膨大な予算を持っているのだから、当然海上自衛隊だってやらせていいことじゃないかという気がするのです。だから、これはその点大臣として考えてもらってもいいんじゃないかということでちょっとお聞きしたい。  それから、先ほど船長が殉職をした、その場合の遺族補償はちょっとひど過ぎると思うのですね、社会常識からいっても。百万円やそこらは、今日幾ら何でももらったんじゃ引き合わないですよ。田中総理の池のコイだって一匹二百万円するんですよ。そうすると、総理の池のコイも買えないような値段でもって人間一人の命を補償されるのじゃ、これは常識的に考えて引き合わな過ぎる。これは少なくとも四けたにすべきだ、一千万円以上。幾らとは言わないけれども、常識的にいって、こういう仕事でもって殉職をした人の場合は四けた以上にするというのが、これはあたりまえじゃないかという気がする。ちょっと話がひど過ぎると思うのです。これは追っかけてでも何とかすべきじゃないかという気がいたします。その点についても、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  144. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは私も、いつから残存機雷の処理を運輸省がやらなければならなくなったのかについて、お答えをしながら、実はいつからそうなったんだろうと思っておったのですけれども、何か昭和四十五年の十月に関係各省連絡会議でやり方がきまっておるようですから、これはあと政府委員から説明させます。  で、これはおっしゃること、ごもっともですね。昔であれば海軍の掃海艇がさがして海軍が処理するといったのがほんとうでしょう。しかし今日では、そういう能力がないというのでしょうか、しかも港湾の工事の中でそういう機雷が発見されるというようなことで、やっぱり港湾局だとか、運輸省だとかいう問題が出てくるのだろうと思うのです。しかし、これはだれかがやらなければいけませんから、われわれのほうはほっとかれると非常に海上の危険が増しますから、これはやらなければならないと思うのです。しかも、いまおっしゃったように、一体だれが最終責任者なんだということにつきましても、政府委員から説明しますけれども、ある程度そういったことについて話し合いが行なわれたようですから、お聞きの上で——私もさっき申し上げたように、やはりこの問題については積極的に対処していかないと、港湾の安全が確保できないということのようですから、先ほど小柳さんにもお答えしたわけです。関係各省と連絡をしまして、これは十分検討の上、責任の所在も明らかにしなければならないし、いまおっしゃった災害補償の問題も、まあ命を投げ出してやらなきやならぬ場合が多いわけですから、そういう危険な作業についてはそれに見合うような、国家公務員の中でも他にも例があると思います。そういった例も考えまして、これはおそらく法律改正が要るんじゃないかと思いますけれども、そういう手続が必要であれば、できるだけ早い機会にそういう手続をしなきゃならぬかと思います。  いずれにしましても、港湾局長の話を聞いても、ごく最近具体的な事例があって、それから取り組むことになったようですから、まだそういう法律制度も完備してないという実情です。われわれのほうは港湾の安全を確保する意味で、どうしても、これはほかのほうがやろうとやるまいと取り組んでいかなきゃならぬ問題だと思っておりますから、御質問の御趣意のような点は、できるだけ関係閣僚とも相談をして善処をいたします。
  145. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 瀬谷先生の御質問でございますが、先ほど大臣が申されましたように、関係各省がこの残存機雷の処理についてどういう分担をするかということについては、四十五年の十月十四日に総理府の審議室が中心になって、関係各省で一応役割りをきめております。それによりますと、いわゆる海上自衛隊による掃海というものは大部分行なわれましたと、しかし、まだ一部未掃海区域について、通常の船舶の航行に関してはほとんど問題がないと思われるけれども、なお地元との調整をはかりながら防衛庁の海上自衛隊が未掃海域の掃海を行なうということが第一点になっております。  したがいまして、一般に掃海という業務は防衛庁の海上自衛隊がやると。これは現にそういう掃海船隊を持っておられるわけでございます。  それから港湾工事によって海底を攪拌するような作業が行なわれる場合の残存機雷の爆発の危険が存するような場合、その場合はどうするかということで、「運輸省港湾局、海上保安庁等は、機雷が残存すると推定される海域で行なわれるこのような工事の施行については、工事の施行に当たり確実に機雷の探査を行なうよう今後とも十分の指導を行なうものとする。」と、これを指導をする、探査の指導をするというようなことでございます。そして「当該事業を行なう企業者によって機雷の存在が確認された場合には、」——つまり、工事を行なう場合には、その工事をやる企業者が十分港湾局や海上保安庁の指導を受けて確認をすると、そしてその機雷が確認された場合には、「防衛庁(海上自衛隊)がその連絡を受けこれを除去する。この場合において、港湾工事の探査費用は、当該工事費に含められ、港湾法等に基づきその負担区分が定められているものであり、この取扱いを変更する必要はないと認められる。」と、こういうような取りきめがございまして、これはもちろん関係官庁間の取りきめでございまして、これで根本的な解決にはならないと思いますが、一般的な掃海の責任と、それからそれを掃海をする実力は現在海上自衛隊が持っておるわけでございますが、問題は、海底等に埋没した機雷等、つまり海上自衛隊の掃海では処理できないような、発見できないようなもの、したがって処理できないようなものについてどうするかという問題が、現在までのところ、いま申し上げましたような関係各省庁間の申し合わせによって処理をしてきている、しかし、そこにはまだすっきりしない点が残っておると、こういうことでございます。
  146. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 海上自衛隊等の場合は当然やる必要があると思うんですが、ただ機雷なんかの場合、浮かんでいるものと沈んじまったものと、そういういろいろ区分があると思うんですけれども、いずれにしても、物騒なもんだから、処理をするのに——ごみだって問題があるんですからね、ごみより危険なわけですから、これはやはり、責任の所在をあいまいにしておく部分があっちゃいけないと思うんです。これは明らかに分野をきめるならきめるで、責任の所在をあいまいにしないで処理の完ぺきを期するようにすべきじゃないかと、こういう気がいたします。  それからもう一つ。大臣からも御答弁ありましたけれども、先ほど補償が百何十万という話なんですけれども、こういう仕事に従事していた者の場合、いわば仕事に殉職ということになると思うんですけれども、この人たちがこうして仕事のために命を捨てて、百万やそこらじゃこれはひど過ぎると思うんです。どう考えてみても。やはり、世間の常識として、その該当者が運輸省関係の船長であろうと民間の会社の船長であろうと、あるいは海上自衛隊であろうと海上保安庁であろうと、どういう人間が該当はしたにしても、そういう仕事のために犠牲になったということであれば、私は幾らとは言わねけれども、さっき言ったように四けたにしたって多過ぎるということにはならぬと思う、今日の物価からいって。  だから、この問題はただ気の毒だで済ましちゃいかぬと思うんですね。遡及して効力の発生する方法をとってでも——これは見落とした部分であると思うんです。命を落として百万なんてばかなことはない。見落とした部分だと思うから、遡及してでも効力を発するような方法を私は講ずべきだと思うんですが、その点はどうでしょう。
  147. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この問題は処理がなかなかむずかしいだろうと思います。ただ災害補償の問題は、やはり早く解決しておかないといかぬだろうと思いますけれども、海上自衛隊との関係とか運輸省との関係、こういったのは、運輸省の中でも、海上保安庁あり港湾局ありというので、自分のほうじゃないと言っているようですけれども、これはやっぱりどこかに責任を持ってもらう必要があるんじゃないかと思います。そういった問題が突然——突然といいましても、急にそういったものが実際問題として起こったものですから、制度的にもまだこれから研究しなきゃならない、各省で相談しなきゃならぬ問題がたくさん残されているわけです。そういったものを含めまして関係各省の間でもっと話を詰めてみましょう。その上で対策を確立するという方向で、ひとつ、関係各省の大臣方にも話してみようと思います。それ以外にこれはないでしょうね。来年度に間に合えば来年度に必要な、さっきあなたがおっしゃったような、たとえば、探査するについて、それならいまの港湾局で考えているような施設だけでいいのかどうか、実際掘るときにどうするのか、これは自衛隊が行って掘ってくれると言っていますけれども、それがどこまで責任を持ってやってくれるのか、そういった関係がまだ未熟な点が多いんです。ですから、これは大至急に関係各省で相談をしてみます。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間が足らぬものですから……。この問題だけでもたくさんあるんですよ。ほんとうは、全国の海のそういう残存機雷の実態などももう一回確めたいけれども、先に進みます。  それでは、いまの問題で、磁気探査をやるという、これは新たに港湾局に仕事がふえるんですが、今度の港湾法の改正の条文の根拠はどこですか。この危険物除去、磁気探査などをするその仕事は、この何条に該当しますか。
  149. 岡部保

    政府委員岡部保君) 今回の法改正とは、この問題は直接関係がないという考え方でございます。と申しますのは、現在私どもが実施をいたします磯気探査というのは、むしろ、しゅんせつ工事に伴う付帯的な事業であるというふうな理解をいたしておる次第でございます。したがって、しゅんせつ事業、いわゆる公共事業でしゅんせつをいたします際のしゅんせつ事業の金の中にはこれに要する経費も含んでいるという解釈で実施をしていく。したがって、しゅんせつをいたします事前の、何と申しますか準備工事と申しますか、そういうようなものとして考えておるということで、従来の私ども港湾建設をいたしておりました業務というかっこうで、これは実施をするという考え方でございます。
  150. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっきの答弁では新たに磁気探査をやるのに刑事責任が出るような発言がありましたね。いままでなかった仕事ですよ、港湾局の職員には。新たに刑事責任でも発生する作業が追加されるのに法的根拠がなくて、いままでの法律でそのままということはできないでしょう。公務員をそう動かせますか。
  151. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは昨年であったかと思いますけれども、小柳先生の御指摘を受けまして、いろいろ私申し上げて、現実の問題としてこういうことに踏み切ったわけでございますけれども、確かにいま瀬谷先生にも御指摘されました、ほんとうの責任がどこにあって、どういうことによっておるのかという点についての問題は、まだ残念ながら解決いたしておりません。したがって、そういう問題点については、早急に解決しなければいかぬのは確かだと存じます。  ただ私ども、要するに港湾工事をするという一つの責任を持っております。その責任を持っておりますその港湾工事で非常に危険があるということがわかっていて、それを何とか事前に防止しようと。それで工事の安全をはかろうということでまず出発しておるわけでございます。そこで、そういう場合に、先ほど先生のおっしゃいました、もしもこれが爆発したら責任があるじゃないかとおっしゃいました。これ確かに、言うなれば、いままでの事故という例が、そこを通る貨物船であるとかなんとかが磁気で感応して爆発したという例はございません。全くございません。ただ、もぐっているやつの爆薬がまだ死んでいなかったという例でございます。したがって、こういう工事をするという、言うなれば、逆にいえば自己防衛の責任と申しますか、そういうような感覚での責任でございます。ただ現実には、実施する者が同一の人間でないわけでございますし、そういう意味での私は責任が当然あるんだという感じで申し上げたわけでございます。
  152. 小柳勇

    ○小柳勇君 自己防衛じゃないですよ。それは港湾局全体から見れば、局長から見れば、同じ自分の所管内だから、そちらをしゅんせつするためには安全のために磁気探査をすると言いますけれども、現場の職員はおのおの独立の作業ですよ。したがって、公務員を動かすには法的根拠がなくて動かせましょうかね。そうとするなら、今度のこの法律改正の一番大きな——まあ一番大きなじゃありません、追加したものの中には環境の整備などあるんですから、この中に一条加えませんか。
  153. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) さっき申し上げましたように、その問題はまだ法制的にも未熟の問題だと思います。で、これはしゅんせつということに関連をして、事実そういうことをしないと港湾の設備もできない、港湾の改善もできないということで、事実問題としてそういう問題が起きてきたわけです。ですから、いまの法律の範囲内で、別にそれを禁止しているものもないですから、当然しゅんせつというものをやるについてのその前提条件として、そういったものを調べたり、危険物があったらそれを除去していくんだと、こういう考え方でいまは港湾局が取り組んでいるというにすぎない。それをさらにあなた方のおっしゃるような、埋まっている機雷というものはだれが一体責任を負って探査するんだと、それは港湾局が全部やるのか、保安庁が全部やるのか、あるいは海上自衛隊が全部やるのかというようなことになりますと、そういったことがまだ制度的にはあまりきまってないわけです。だから、そういった問題を含めて、さっきも申し上げたように、これは制度的な問題としても考えましょうと申し上げているわけでございまして、いまそのためにこの法律案を変えるとか、変えぬとかということは私ども考えません。  しかし法律案を修正するかどうかということは委員会のお権限でございますから、委員会全体がそういうふうに修正したほうがいいじゃないかといわれれば、私のほうはそれを拒む理由は何もございません。委員会において御審議をいただきたいと思います。
  154. 小柳勇

    ○小柳勇君 何か港湾局長答弁ありますか。
  155. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私の感覚は、先ほど申し上げたのとそう変わっておりませんのですけれども、結局、私ども考え方でいえば、どうしてそういうことをやるのだという根拠の法規として言えることは、運輸省の設置法であって、この設置法によって港湾工事を実施する、しかもそれの直轄工事を実施するんだということの、それの実施部隊である港湾建設局というものがこのしゅんせつ工事を実施する、そのしゅんせつ工事に非常に危険があるので、その事前の作業として探査をするということを入れる。したがって、先ほど自己防衛というのは、私の立場からいって、わが一つの部落という感じで自己防衛と申し上げたんでございますけれども、探査をした、それでもしも爆発した、そのために今度はしゅんせつした人が非常な被害を受けたというときに、一体これをどう考えるかというときに、これは業務上実施をして、そしてほんとうに誠心誠意やっても不可抗力であったという場合もございましょう。それから明らかにこの仕事の上に瑕疵があったというような点になれば、これはもう当然責任を負わなきゃいかぬというような問題、そういうような感覚での、私はいま割り切り方をせざるを得ないという立場でございます。  なぜそういうことを申し上げるかというと、ただいま大臣からも申し上げましたように、ほんとうに法的に、たとえば四十五年の時点で各省庁いろいろ打ち合わせたときに、これで法的にどういうふうな責任がどういうふうな分野であるということがはっきりしていれば、それに従っての措置があったと思いますが、どうしても、なかなかその点がはっきりしない、それから昨年の事故のあとでも、そういう問題なかなかはっきりしないというようなことで、私どもとしては、ほんとうに危険があっちゃかないませんので、むしろそっちのほうに踏み切ったということでございまして、その点は、ある意味ではいささか役人としての軽率さがあったのかもしれませんけれども、そういう感覚で私は進んでおる次第でございます。
  156. 小柳勇

    ○小柳勇君 あなたのお考えはそうですけれども、現場をやるいわゆる公務員は、根拠のないような仕事をやるわけにはまいらぬでしょう。いままでは民間に委託してやっておったわけですね。その民間の人が潜水し、あるいは磁気探査をやって間違いが起こった、実際逮捕されているんですから。あれは保安庁長官、起訴になりましたか、不起訴になりましたか。
  157. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まだちょっと、いまその刑事処分の裁判の結論は存じておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  158. 小柳勇

    ○小柳勇君 まだけりついてないんですか。起訴、不起訴、きまっておりませんか。
  159. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私、まだ聞いておりませんので、あるいはきまっておるかとも思いますけれども、明確なお答えができませんので、調べましてお答えいたします。
  160. 小柳勇

    ○小柳勇君 調べてください。うしろにちゃんと担当官来ているんだから。     —————————————
  161. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 委員異動について御報告いたします。  藤原道子君が委員辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任されました。     —————————————
  162. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかってませんか、大事な問題ですよ。起訴か不起訴か、爆発をして、その責任者は逮捕されているんですから。  まあ具体的には質問通告していませんから、調べてないかもわかりませんが、早急に調べてください。大事な問題ですよ。それだけでもこれはほんとうに審議ストップしなきゃならぬくらいです。  そこで港湾局長、この条文、たくさんこんなにまあこまかく改正されます。大事なことですから磁気探査を、いままでやらなかったことを公務員にやらせるのですからからね、船をつくって。これは普通のその辺にある材木を清掃するというようなことじゃないですよ。したがって、この法律改正には、いま私も具体案ありません、実はいますぐ出せと言われても。しかし省令なり、政令なり早急に法制局とも相談して、ちゃんと法に準拠して公務員が作業できるように対処してもらいたいが、いかがですか。
  163. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま大臣からも、法的にあまりいいかげんなことをしてはいかぬというおしかりを受けたところでございます。必ずその点、これから注意をいたしまして、どういうふうにするかは検討さしていただきます。
  164. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  そこで、全港建の組合がこれに関連して交渉を申し入れておるようでありますから、十分に話を聞いて、現場の職員が安心して仕事ができるように、早急に善処されることを希望いたします。そして次の質問に入りましょう。  実は先般、資料要求いたしました環境庁を中心にする小さい港の水銀の汚染の問題です。福岡県の大牟田市に大牟田川というのがありまして、そこの下流に港があります。小さい港でありまして、調べてみたら正式の漁港でもありませんし、いわゆる重要港湾でももちろんない。大牟田川の下流です。その河口に船ももちろん停泊しますし、漁船も一ぱいおります。それは水深ゼロメーターの港です。おそらく日本では水深ゼロメーターの港などないと思いまするが、それはヘドロだけの川、しかも干満の差がひどいから、潮が引きますと、もうヘドロ一ぱいの港です。そういう港が全国にたくさんあると思うが、この港湾法では、重要港湾なり、あるいは特定重要港湾については手厚いこれからの計画なり保護を加えようとするが、この全国方々にありますそのような川の下流の港などについては、一体どのように考えておられるか、まずそれからお聞きいたします。
  165. 岡部保

    政府委員岡部保君) いわゆる港湾法の体系で、重要港湾あるいはそれ以外の地方港湾があるということで、いま御指摘のございましたのは地方港湾の問題でございます。  そこで現行法のでき上がりましたときのいろいろな考え方という点で申しますれば、確かに重要港湾に対して非常に強い、何と申しますか、重点を置いた法律でございます。と申しますのは、やはり港湾というものの一般的な問題というのをまず考えて、その次に、そのうちで非常にローカルな、ローカルマターとして済む問題と、それからもう少し範囲の広い、たとえば国の段階でいろいろ問題にしなければならぬという問題これとのウエートづけと申しますか、それで非常に影響の及ぼす範囲が広いという問題について、こういう港を重要な港湾だというような感覚でこれを実施した、法律にそういう区分をしたというふうに考えられます。  ところで、それでは港湾管理なり、あるいは建設なり、それが一体それだけの差があるかということで申しますれば、量的には明らかに差がございます。ただ私は、質的にはそんなに差はないものだと思っております。ただ非常に量的に差があるというところに、こういう扱い方が若干違うというところが残っておるのあろうかと思います。したがって、たとえば国庫負担率、補助率という考え方、これは明らかに国家的要請がよけいに入る重要な港が補助率が高くて、そうではない港は補助率が低いという区別をいたしております。これ自身、私しばしば申し上げておりますが、このままでいいのかどうかという点について、私自身まだまだ相当検討を必要とするという感じがいたしております。決して重要港湾、いわゆる国に関係があるから国がよけいに金を出すというような考え方、非常に単純な発想でいいものかどうかという点については、私疑問を持っております。ただ、たとえば計画手法で、重要港湾はこういうこと、いままでの法律にいたしましても、四十八条で重要港湾計画というものについては運輸大臣が変更を求めることができるという条文がございます。それから今回の改正法におきましても、計画について重要港湾はすべて計画を提出していただく、それで必要あれば変更を求めることができるというような規定を設けております。  そういう違いというのは、いわゆる港湾のこういう問題点というので、規模の大きい港が問題点が多いのではなかろうかということで、いま申し上げたような差ができておるということは事実だと存じます。ただ、いま先生のおっしゃいましたように、たとえば環境問題を考えるというようなことになりますと、これはほんとうに環境の問題で取り上げられるようなところが問題なんで、その大きさとは全然無関係でございます。したがって、そういうような観点によって非常に違いますので、そういう点、これからこういう重要港湾地方港湾という区分けがいいのか、あるいはこの港のどういう、いわゆる機能分担で分類すべきなのか、そこの辺いろいろ考え方がありますので、これはもっと検討させていただきたいと存じます。
  166. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは大臣に質問いたします。  私、一昨年から昨年まで災害の委員長をしておりまして、災害を全国各地見て歩きました。もちろん一級河川、二級河川のはんらんもありますが、護岸、地盤の弱い市町村の小さい河川がはんらんいたしました被害が一番多いんですよ。それで昨年、一年間じゅう、中小河川の補修強化、そういうものを一生懸命建設省、農林省に訴えてきたんですが、いまの港の問題は、たとえば特定港湾重要港湾については国は一生懸命めんどうをみる。そして貿易を盛んにする。あるいは輸出入を盛んにする。で、それに金をかける。それがあたりまえになっている。ところが、ほんとうに国民の日常生活はいなかの、あるいは町の川口の港、漁船が着いたり、あるいは遊びに行ったり、あるいは小さい船が着いて荷物を揚げたりする、そういうところこそほんとうに市民の、国民の、県民の港ではないか、それはもうやりっぱなしですね。そういうものも、私はこれは港湾法できるなら、そういうところにもつとメスを入れて、これに手厚い金を入れ、手厚い保護を加えるのがほんとうの港湾行政ではないかと思う。大きな港などには、それは金持ちがどんどん金を幾らでも持ってくる。ところが、そういう町や村の港には、なかなか村や町では金がないからできないんですよ。  そうすると、もうずっと以前、昔その市民の人たちが汗水流して築いたその石、あるいは岸壁はいまだにその港になっているんですよ。そういうものをほったらかしておいて、港湾法の改正などというのは私はナンセンスじゃないか、そういうものについて、ひとつ大臣の決心を聞いておきたい。と同時に、早急にそういうものを一体どうするかという対策を立てなければ、ほんとうの国民のための港湾政策ではないのではないか、どうですか。
  167. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) お話の点は、私はこう思います。大きな港湾規模も大きいと、それからその港湾整備も、する分量が多い。したがって、その金額だけでまいりますと、非常に大きな金額が要るというのは、これは当然のことです。しかし地方港湾のほうは、各地の港湾管理者が出してくる計画というものが、もともと非常に小さいわけです。それは、あなたのおっしゃるような地方開発のための港湾もあるでしょうし、またわれわれのほうに御相談があります地方の流通拠点としての港湾もあるでしょう。いろんな機能を持っているのがあると思いますが、それに応じまして、港湾管理者がわれわれのほうに計画を出してくるわけです。で、ただ補助率が非常に低いじゃないかという点はあると思います。しかし金額が小さいのは、もともとスケールが違うんですから、金額の大きい小さいだけで、金額が小さいから軽視しているとかいうことでは、この御判断の基礎が必ずしも当を得てないと思います。  私どもは、初めから申し上げておりますように、これは鉄道の関係でもそういったことを御説明しているんですけれども、大都市に何もかも集中するようなことはよくないんだと、できるだけ全国の、狭い土地ですから全国どこへ行きましても国民生活が豊かになるように、そういう土地利用も、それぞれの特徴がございますから、その特徴を生かして土地の利用が十分に行なわれるようにということをねらいにいたしまして、そして国土の開発、国民生活の安定というようなことを考えているということはるる申し上げているとおりでございまして、港湾につきましても、これはそのとおり言えると思うんです。ですから地方港湾管理者が、小さい港湾管理者がそういう計画をお出しになってくれば、それに対しては、当然正面から取り組んで、できるだけそういう港湾整備ということにつきましては、これは考えなきゃいかぬと思っております。ことに、この海上の国内の荷動きというものが相当にふえてきてますね。非常にふえてきてます。だから、そういった問題を考えると、やはりこの地方港湾でありましても、これはただ単に、漁船の発着する港であるとか、あるいは遊覧船が発着する港であるとかというような考え方だけでは律し得ない。将来を考えまして、港湾計画に従った、われわれのほうも考え方をまとめて国としての協力をしなきゃならぬと、こう思っております。その点は、ちょっと具体的な例がありましたら、言っていただければ、それに対しましてできるだけの協力を惜しむものではないということを申し上げておきます。
  168. 小柳勇

    ○小柳勇君 答弁としては一通り常識的です。私の言いたいのは、この港湾の補助、表にしてみませんと、どういう国庫補助があるのか、県費負担しなければならぬか、市町村負担——わからぬくらい複雑なんですよ。こんなのもっと単純に、十分の五なら十分の五と、あるいは十分の七なら十分の七と、まずそういうものを期待いたしますと同時に、数字を見ますと、重要港湾特定重要港湾地方港湾、避難港湾とありますが、おのおの補助の差があるわけです。そして地方のほうの港湾地方がやりなさいという思想が流れているわけですよ。そういうものがよろしくないのではないかと言っているわけです。ほんとうに国民の日常生活のための港湾政策であるとするならば、もう少し地方のほうの港湾にも、ひとつ国が、直接はできませんから、補助なり、あるいは指導体制強化しなければならぬのではないか、そういうことを言いたいわけでして、それは本論ではありませんから、それはひとつ希望しておきます。  次に、さっき出ました大牟田川の流域にゼロメーターのヘドロの港があります。これは海員組合などでもたいへんでして、 ヘドロばかりなもんですから、操船もたいへんな港ですが、そこの川底から有明海にわたりまして水銀が一ぱいあるということが明らかになっています。で、経済企画庁に昭和四十一年に鵜崎県知事が臨時に緊急調査を委託をいたしました。それでも水銀のあることが明らかになって以来、亀井知事になりまして、四十二年から四十八年まで調査をいたしまして、水銀があることは確かであります。それを今日まで撤去してない。その港の底も河口もその海も水銀があるということは確かであるのにそれを撤去してない。この間三井東圧だけでも三トン水銀が放出されておることは明らかになりました。私、調査に行きました。三トンの水銀が放出されています。明らかにあるのになぜこれを撤去しないか。先般、閣議ではこれから調査をして水銀があるところは公表します。そして水銀があったら撤去しますという話がありましたが、水銀があることは明らかになっておって、なぜ今日までこれを放置しておるか。しかも、さっき言いました地方港の、その五メーター下のヘドロの下に水銀が、ここに表がたくさん出ていますが、あることが確かであるのに、なぜしゅんせつするだけの費用を惜しむのか、まず環境庁から、その実態並びに対策を聞きたい。
  169. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 先生指摘の大牟田川並びに大野川が出ております河口付近につきまして、経済企画庁が四十一年、四十二年それから四十四年、五年、六年にわたり、また環境庁ができましてから四十七年というように水質、底質等の調査をいたしております。御指摘のとおり、特に底質につきましては、いろいろ数字等には移動がございますけれども、水銀が底質中に含まれているということは明らかになっております。  問題は、そういうことが明らかになっているにもかかわらず、いままでなぜ放置したかという御質問が中心だと思います。もちろん私どもも、この底質中の水銀が環境の汚染につながるということ、これはやはり考えているわけでございますが、    〔委員長退席、理事木村睦男君着席〕 問題は底質中の水銀の挙動につきまして、必ずしも従来明らかでない点があったわけでございます。それが明らかになりませんと、どれぐらいの水銀が底質に含まれていた場合に、その底質を除去その他の処理をすべきであるかというようなことが必ずしも明らかにならないことから、なかなか手がつかなかったということが実情だろうと思っております。  そこで私ども、現在中央公害対策審議会に、底質に含まれております水銀の量がどのくらいであったならばこれを除去すべきであるかというような基準につきまして、諮問をいたしておりまして、近く答申があるというふうに思っておりますので、基準が設定できるということとあわせまして、おくればせながら、全国的に底質中の有害物質の賦存量等につきましての調査を近々いたします。そこで私どもは、あらためて、おくればせではございますけれども、ヘドロのしゅんせつその他の事業を関係省庁にお願いをいたしまして、早急に手をつけていただくというふうなことを考えているわけでございます。
  170. 小柳勇

    ○小柳勇君 もう一回はっきり言っておきますが、三月発表された県庁の環境整備局の発表によりますと、深度五メートルまで五〇PPMの水銀が沈んでいる。それから〇・〇〇七PPMにして年間七十七キロの水銀を現在排出している。これが大牟田川の流域、ちょうど大牟田港にたまっているわけですが、いま明らかであればこれを排除するとおっしゃいましたが、具体的にいつ、どういう方法で排除されますか。
  171. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) もう一度私から申し上げますけれども、いまヘドロの中に含まれております水銀の量によりまして、環境の影響等を考えまして除去すべき基準というものを中央公害対策審議会の水質部会に諮問をいたしておりますので、それの答申が近く出る予定でございます。それを得まして、さらに調査いろいろございますけれども、従来の調査が十分であれば直ちに工事ができますが、十分でなければさらに補足調査、これはもうそう先の将来ではございませんで、近く全国総点検の一環としてここもやりますので、その調査をあわせまして、私どもは早急に措置をいたしたいというふうに考えております。
  172. 小柳勇

    ○小柳勇君 環境庁まだ調査段階ですが、港湾局のほう、その大牟田川の河口の小さい港ですが、そこに水銀があるということは明らかになっています。しかもヘドロです。水深ゼロメートルのヘドロの港ですが、これに対してしゅんせつなど、やるとすればどこがやるのですか。
  173. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず私どものほうでの事実行為について申し上げますと、ここの水銀関係の汚染したヘドロの処理をしなければならないということで、これはいささかつかみ的な予算要求ではございますが、四十八年度の予算で要求をいたしまして、ちょうど水俣港と同じように予算措置は一応できておると申せる段階でございます。ただし、これは具体的な計画があまりはっきりしておりませんために、個々の港というよりも、むしろ現段階では、つかみと申しますか、一億三千万ほどのものを国費で水俣、大牟田、松山、三河、この四港分として現在保留をしております。  それで現実の問題といたしましては、先ほど先生の御指摘がございました非常に深いところまで汚染しているということを、私ども承知いたしましたのはわりに最近のことでございます。従来は非常に表面のところであって、しかも水銀と、それからカドミとの問題で、表面の表層であるということで、これは、あの辺ほんとうにものすごいやわらかいヘドロでございます。したがって、いわゆるポンプのしゅんせつ船で、そのカッターのございませんようなもので吸えば、何か吸えるんではなかろうかというようなことも考えておりまして、ただ、これを入れるところをうまく考えませんといかぬと、その埋めるという段階がどういうふうに考えたらいいかというので、県と相談をしておったわけでございます。ところが、最近になりまして相当深いところまで汚染しておる。そうなると、これ土量がたいへんでございます。それをどういうふうにするかというのは、まだ私どもとしては成案を得ておりません。これからまた県とも十分相談をいたす予定でございます。
  174. 小柳勇

    ○小柳勇君 きょう、もう少し深い決意を聞きたいけれども、実態は把握しておられるようですから、県とも早急に相談されまして、具体的に処理していただきませんと、先般も水銀中毒患者であろうという人が発生いたしました。大騒ぎになっています。この環境庁の資料を見ましても、この河口だけじゃありません。それから有明海ずっと一ぱいに広がりまして、それが水俣から福岡まで一ぱい実績出ているわけですから、こういうものを何とか早急に港はしゅんせつするし、あるいは海のほうも何とか対策をやられませんと、漁業のほうが何とも生活できないという問題でありますから、まあ港湾法の審議で、有明海全般の問題は論議しませんが、港につきましては、責任を持ってしゅんせつなり排土なり、あるいは港の補強なりをしていただきますように要請をいたしたいと思います。  第三の問題は、これは全国各地で起こっている問題でありますが、公有水面の埋め立てにも関係いたしまして、博多港が埋め立てられております。で、その埋め立てが、市が半分出して、あとは民間の資本で埋め立てる、埋め立てたものを民間に売るわけです。その三三%は漁業補償としてやると、埋め立てた土地をですね。こういうような問題が発生いたします。現在も、市会でもいろいろ紛糾いたして、あとの物価上昇のために工事費が値上げになりまして、追加資金などで、いま騒いで問題になっておりまするが、したがって建設省から見えておると思いますが、公有水面の埋め立てを——これの法律改正は近くなされますか、公の港、博多港というりっぱな港の一部を埋め立てて、そして土地をつくる。そこに工場を誘致する。こういうような現在までのあり方に対して、建設省あるいは運輸省として、どういう見解を持っておられるか、まずその大づかみの見解からお聞きいたします。
  175. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御指摘、確かに博多港でそういう例がありましたし、それから港湾管理者である県が、いわゆる千葉方式と呼んでおりますけれども、千葉において民間資金を導入して埋め立てをしたというようなケースがあるわけでございます。  そこで、こういう問題について、私どもいろいろ検討いたしておりますが、端的に申し上げれば、こういう公有水面という、特に私どもの所管しております港湾区域の中で、非常に貴重な水際線、水面になってきておりますところを土地にするということ自体、非常な、何と申しますか、貴重な問題でございます。それだけになるべく公共性を確保したいということが中心の感覚でございます。したがって、でき得れば、地方公共団体である港湾管理者なり、あるいは、港湾管理者じゃない地方公共団体もございますけれども地方公共団体がこういう土地造成というのをなさるべきではなかろうかという考え方に立っております。特に問題は、そこの資金調達の問題であるわけでございます。私ども考え方では、従来地方公共団体が中心になって埋め立て地を造成されるという場合に、準公営債、いわゆる地方債をあっせんしております。ところが現実の問題としては、なかなか資金調達がむずかしいということで、民間資金を導入されるというようなケースになりまして、そこにいろいろな問題が生じておるわけでございます。したがって私どもとしては、先ほども申しましたように、こういう資金面問題等々の面からの制約はあるかもしれませんけれども、でき得べくんば、公的な立場のものにこういう土地造成というのはしていただきたいという考え方が基本的な考え方でございます。
  176. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) お答え申し上げます。  ただいま港湾局長お答え申し上げましたことと、私どもも全く同じ考えでおります。
  177. 小柳勇

    ○小柳勇君 で、本来は、博多港というりっぱな港湾ですから、港湾管理者の責任でなければならぬのですが、これを民間業者に委託しておるわけです。博多港開発株式会社という民間業者に委託いたしまして、これが埋め立てをやる。そういたしますと、漁業補償だけは百分の三十三やる。その他のものの補償はおそらくわずかではないかと思うが、博多港というりっぱな港は、所有する権利は市民、国民の権利であろうと思う。それを埋め立てするために、漁業権者については補償する。しかも漁業協同組合に補償する。環境を阻害される住民については何ら恩恵はない。そうして残り百分の六十七というのは工業地として、たとえば石油センター、あるいはガス会社に売却するわけです。こういうことが全国方々でなされておりますが、今回の公有水面埋立法の改正においてはどのように改正されるか、建設省からお聞きいたしましょう。
  178. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 公有水面の埋め立ての適正化につきましては、昭和四十年の通達等も出しまして適正化についての努力をしてきたところでございますが、そうした通達だけでは、やはり限界がございますので、今回の改正を考えることにした次第でございますが、まず、ただいまのケースは分譲用の埋め立てだと思いますが、分譲用の埋め立てにつきましては、免許条件といたしまして、「出願人が公共団体其ノ他政令ヲ以テ定ムル者ナルコト並埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額が適正ナルコト」といううことをもって免許基準にいたしております。したがいまして、申請書によりまして、まずその出願人がどういう資格の者であるかということ、それから資金計画等はもちろん調べることになっております。これはちょっと条文は前の条文になりますが、第二条に新しい項をつけ加えまして、資金計画書をきちんと出すことにしております。  したがいまして、ひもつき資金でやるのか、あるいはほんとうの公営債、縁故債等のひもつきでない一般財源で資金計画を予定しているのかどうかというようなことも、そこで知り得るわけでございます。また処分方法という問題につきましては、公募を前提とするか、また予定対価は一体どういう額を考えているかというようなことも、すべて判断要素に入れまして、その上で免許の行政処分を行なうというのが、今度の改正の一つのポイントでございます。
  179. 小柳勇

    ○小柳勇君 技術的な問題じゃないものですからね、質問しているのが……。  自治省に質問いたしましょう。行政局長に来ていただきましたが、こういう公有水面の埋め立てが方々でやられています。地方自治体が中心ではありまするが、できましたものは、あと民間に売り払っていくんですが、ほかのほうもそうだと思うんですが、特に福岡の場合は民間会社に一任をいたしています。こういうものに対して、自治省としてはどういうふうな見解を持っておりましょうか。
  180. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 具体的な博多あるいは東京の埋め立てについてのいろいろな見解は持ち合わしておりません。一般的に、地方団体仕事というのは最近非常に複雑化してまいりまして、この埋め立てのような経済行為を伴うものもずいぶんふえてまいりました。しかし地方団体仕事でありますだけに、それはあくまでも最終的な目的は公益でなければならぬ、そういう意味で、その仕事を全くの民間の会社とか民間のそういう法人にまかせるということについては、最終的な目的確保しにくいという面、反面、今度は地方公共団体が全く直営でやるということになりますと、技術の面あるいは資金の面その他でもっていろいろな障害もないわけではない。そこで、できました地方自治の一つの知恵と申しますか、形は民間会社でありますけれども地方団体がその半額を出資するとか、あるいはその幹部に地方団体の気心のよくわかる者、たとえば地方団体に長くつとめた人、そういう人を役員に送り込むという、いわば公益的色彩を持った、これをよく第三セクターと称しておりますけれども、こういう者に仕事をまかせるということについては、もちろん個々具体的な場合場合によって、いろいろあるとは思いますが、そういう必要性があるということは十分考えられることであります。  この場合注意しなければいけないのは、あくまで、それが形の上では民間の会社、営利を目的とする会社のようなかっこうになりますので、確保すべき公益を最後まで確保するような配慮、たとえば、いま申しました人的構成を、ある程度地方団体に近いものにする、あるいはそこの財務についても、十分な、これは自治法である程度検査とか調査ができる権限もございますので、そういうことでもって、十分に、乱に流れないように確保するという配慮は常に払っていかなければならない、その面では注意を怠ってはいけない。しかし方法として、こういう第三セクターに地方団体がやるべき仕事をまかせるということについては、十分その必要性がある場合は大いにやろうと存じますし、その具体的な扱い方については、それぞれの地方団体が創意くふうをこらしていただく、それについては、これはむしろ必要なことであると考えて、肯定しておる次第でございます。
  181. 小柳勇

    ○小柳勇君 環境庁長官に質問したかったんですが、水質保全局長ちょっと場違いなものだから帰ってもらいましたが、自治省行政局長に聞きたいんですが、漁業補償については、もちろんこれは法律にもありますし、明らかであるから当然であると思うんだが、ただ、りっぱな博多湾などという、あるいは博多湾などというのは、漁業者だけのあれじゃないわけですね。一般市民のレクリエーションもありましょうし、その他市民生活の一部ですね、博多湾というのは。それを、市民に対するそういう場合に対するペイが何にもないまま、いわゆる漁業者と、しかもそれは漁業協同組合ですよ、この点もあとで少し質問したいと思うか、私は、漁業者一人一人に支払う、ペイすべきだと思うんだけれども、漁業協同組合に支払っているんですよ、補償は。したがって、そういう問題に対してけさも何か質問があったようでありまするが、環境庁長官には当然、許認可のただ書類を見せるだけではなくて、オーケーと言う権利を与えなければならぬと思うが、自治省としてはもう、私どもは知りません、それで済むんでしょうか。その点、行政局長から意見を聞いておきたい。
  182. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) いま申し上げましたような、こういう仕事というのは、あくまでも公共的な仕事であるべきものでございます。そこでこの民間会社、法律的には民間の一営利会社かもしれませんが、県が半分出資するとか、人的構成を県に近いものにするとかして公益を確保する会社に仕事をまかせる、あるいは委託する、そういう場合に公益的な仕事をどういう範囲でどういうふうにするかということは、当然地方団体の委託する仕事もたいへん多いようでございます。具体的なこの博多港開発会社でも、公共団体からの委託事業のほうが、はるかに、八割以上にまさっておるように聞いておりますが、この事業については地方団体の議会その他で十分審議がされ、漁業者に対する補償が三分の一なら三分の一でいいとか悪いとかは、もちろんそれによって別の漁業者以外に被害を受けるといいますか、そういうものに対する配慮もなされるべきであると存じておりますし、またなされなければ、当然そこの議会その他でも問題になると思いますので、その地方団体で十分審議を尽くした上でその地方団体が公益のためにこれをやるべきであるという結論が出たもの  について、ただその実施を単にこういうものにまかせるということについてならば、それほどの問題は起きないのではないかと思います。  ですから、いまおっしゃいましたような、漁業者以外にも補償すべきものがあれば、その計画を立案する段階地方団体は当然考慮すべきでございます。またその段階でそういう要求も出てきてこれを十分こなしていくべきものだと考えております。
  183. 小柳勇

    ○小柳勇君 建設政務次官にお聞きしましょう。公有水面埋め立て権というのが公権であるか私権であるかという問題ですね。公有水面でありますから国民のものであることは間違いありません。これは国民共有のものです。それを自治体が中心になったとはいえ、第三セクターでこれを埋め立てまして販売いたします。それで埋め立て権というものがちゃんと許認可で成立するわけですけれども、その埋め立て権、それからあと、その権利を持つ、それは一体公権であるか私権であるか、こういう問題についての見解を聞きたい。
  184. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 公有水面の埋め立て権は公権か私権かとのお尋ねでございますが、公有水面の埋め立て権は一応大正六年の大審院の判例によりますと、「埋立権ハソノ埋立ヲ条件トシテコレガ所有権ヲ取得スルモノナレバ私権の範疇に属スルモノトス」というふうにしてございます。現行公有水面埋立法は大正十年の制定でございますが、それ以前に簡単な官有地の取り扱い条例の中で一条でもって、公有水面を埋め立てた人にはその所有権を与えるものとするというような、そういう制度がございまして、ずっと引き続きそういう制度として今日まできたわけでございますが、しかし一応、私権の範疇に入るとはいえますものの、この公有水面の埋め立てを認めてもらう前には法律上のいろいろなたいへんむずかしい慎重な手続もございます。そういうことで、公有水面埋立法の免許という行為があって初めて埋め立て権というようなものが発生するという意味で、非常に公権的な拘束も強い私権であるということがいえると思います。また埋め立てが完成した場合には竣工認可を都道府県知事から得て、初めてそこで所有権が発生するというようなことになっておりますので、まあ私権ではございますが、非常に公権的な色彩が強いものというふうに私どもは解しております。
  185. 小柳勇

    ○小柳勇君 けさも質問があったようですが、運輸大臣に質問いたしますが、港湾区域のある一部を埋め立てる、それを民間の者が——純粋な民間ではありませんけれども港湾管理者ども中心におりまするが、あとは資金など民間にして、そして工業団地などに使う、こういうやり方に対して、どういうふうに考えておられるか。特に今回、この港湾法では、全国的に運輸省港湾計画をしなければならぬが、この港湾計画といまの埋め立てというものは無関係ではあり得ないはずですね。片や民間——純民間とは言いません。言いませんが、埋め立て権というものが出てくる。こちらでは、運輸大臣としては港湾法にのっとりまして港湾計画をつくれと書いてある。それをどういうふうにつながりをつけられるのか。
  186. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 端的に結論を申し上げますと、われわれの考え方としては、なるべく港湾に関しては港湾管理者である地方自治体が埋め立ての主体になるということが望ましいと思っておるんですが、ただ具体的な例をいろいろな角度から検討しないと結論は出ないんですけれども地方自治体といっても、やっぱり資金面で限度がありますし、そういういろいろなことを考えますと、そうでない場合もこれは考えなければならぬと思いますが、原則的にいうと、私はなるべく公的な機関が埋め立ての主体になることは望ましい、そう思っております。
  187. 小柳勇

    ○小柳勇君 よくわかりませんので、もう一回重ねて質問しますが、公有水面を埋め立てる、しかも、それが全然港湾区域以外であったらまた別の論議が出ます。港湾区域内で埋め立て作業がなされた。それを運輸省としては全然無関係ではないはずですね、それはわかります。  この法律では、この公有水面埋立法とこの港湾法との接続はどこにありますかということを聞いているんです。
  188. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私ども考え方を率直に申し上げますと、港湾計画と申しますもの、これは港湾管理者が立てる計画でございますが、この港湾計画というものが港湾区域内で今後どういう土地をつくり、どういう港湾施設をつくり、していくかというのは、すべて港湾計画に含まれます。したがって私ども考えでは、港湾計画というものがまず先行するべきである、その港湾計画の中で、たとえばここに土地をつくる、その土地は緑地にするのだ、あるいは工業用地にするのだ、そういう計画計画の中に当然あるわけでございます。そういうものが前提になって、そしてそのうちのこの部分の埋め立てということを現実にいたしますというときに、初めて公有水面埋立法に定められる手続によって埋め立てが行なわれというふうな考え方に立っております。したがって、先ほど先生のおっしゃいました、どういうものに埋め立てを許すかどうかというような問題といまちょっと離れた関係だけを申し上げましたけれどる、フレームとしてはそういうものではなかろうかというふうに考えております。
  189. 小柳勇

    ○小柳勇君 公有水面を埋め立てますと、あとは役所でなくて、博多港の例を言いますと、博多港開発株式会社に権利は移されるわけです。その場合に、運輸省がここは港湾ですとあとで言う場合、もちろん買収には応ずるでしょうけれども、民間とのあとはいわゆる接収、買収行為などになりますね。したがって港湾法の場合に、たとえばこういう港湾区域については公有水面の埋め立てはできませんとか、何か制限条項などはありますか。
  190. 岡部保

    政府委員岡部保君) いま申し上げた私の御説明がちょっと足りなかったからかとも存じますけれども港湾計画といいますものが、もちろん文章表現もございますけれども、まず港湾の平面図に対してこういう計画をするのだという絵がございます。そこで、これはごく小規模のものであったら別かもしれませんけれども、いまこういう計画を持って、今後の、たとえば昭和五十五年を目標にしてこういう港にしていくのだという一つの絵がありまして、土地にもならない、施設も別につくらないというようなところに埋め立てをするのだといって出願をしてきた場合に、それをどう取り扱うかという問題であろうかと存じます。そういう計画に入っていない計画が、公有水面埋め立ての実体の問題として出願されてきたら、これは拒否せざるを得ません。当然港湾計画にないものをつくらせるというのは絶対に許すべからざるものだという考え方でございます。
  191. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは端的に大臣に聞きますが、公有水面の埋め立てを、現在までやりましたような方法で野放しに大企業が埋め立てをやって、これを自分の所有地として使い、販売するような、そういうようないままでの公有水面の埋め立てのあり方について、運輸大臣としては港湾計画上どうお考えですか。端的に聞いておきましょう。
  192. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この埋立法は、いずれ参議院でも御審議いただけると思いますから、その際に関係各省からいろいろ御説明があると思いますが、いま運輸省としてというお話でございますから、港湾というものに限定して考えますと、これはさっき政府委員から御説明しましたように、港湾計画というのが出てくるわけです。これはだれがきめるかというと、港湾管理者がその港湾計画をきめて、そして私のほうに報告が出てくるわけです。それをいいか悪いかということをわれわれのほうで認定をするわけです。場合によりましては認可というようなものにもかかってくるものも、重要港湾ではそういうふうなものがあります。  その場合に、われわれとしましては、いまの大企業とかいうお話でございますけれども、現地で、さっきも申し上げましたように、私は港湾の中でも埋め立てというものはなるべくならば地方自治体が、資金も許すならば自分の手でやられたほうがいいということを申し上げましたが、そういう方針は持ちたいと思っておるのです。ただしかし、実際上それができないという場合がたくさんあると思いますから、そういったものにつきましては、個々の案件を審査しまして、これはもう港湾管理者である府県知事も、こうでないと港湾の開発はできないんだと。それに伴う埋め立てをこうやるのだということを出してくるわけですから、やはりそういう場合は、地方の実情に応じまして、港湾開発がそれによって進むならば、それを認めていくという方法をとらざるを得ないだろうと思っています。
  193. 小柳勇

    ○小柳勇君 この問題も、さっき山田委員も質問されたようですけれども、大井埠頭の複合ターミナルの問題ですね、大井埠頭の複合ターミナルが、都が反対をしておると。都の方針としては土地を分譲しないで将来賃貸をしたいと、貸したいと。この方向が将来各自治体なり港湾管理者どもそういう方向にいくのではないか、またいくべきだと私は思うのだけれども、この埠頭の問題とあわせて、将来民間の埋め立てでなくて、いわゆる公共的な埋め立ての方向を私どもは支持しておるのであるが、その点についての大臣の見解を伺いたい。
  194. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 同感です。同じような考えを持っています。なるべくならばそうされたほうがいいだろうと。私も同感です。
  195. 小柳勇

    ○小柳勇君 建設省に。
  196. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 建設省といたしましても、ただいま運輸大臣お答えなさいましたとおりの考え方を持っております。
  197. 小柳勇

    ○小柳勇君 いろいろこの法律改正にも問題がたくさんありまするが、最後に、かたかなの古い法律ですね、かたかなの古い法律で、全面的にこれはもう改正しなければ、いま運輸大臣や河川局次長が答弁になりましたように、いままでのような埋め立て方式では時代にマッチしないのではないか。同時にこの法律の形態自体も近代的な法律に改正しなければならぬ。いうならば抜本的に改正しなければならぬと思いますが、いかがですか、次官に。
  198. 松野幸泰

    政府委員(松野幸泰君) 今回は、近年の社会経済環境の変化に伴いまして、特に環境保全等の見地から、現行法の不備な点を補うことによって、重点的に懸案の問題点を解決し、各方面の指摘、要望に緊急に対処する必要があるので、一部改正の形で法案をまとめたものでございます。  全面的な改正については、今後の法運用の実情も考慮しながら、引き続き検討する所存であるが、埋め立て免許権の性格等、根本的な問題を検討する必要があり、そのためには関係方面の意見を集約する等、相当の期間が必要だと考えております。
  199. 小柳勇

    ○小柳勇君 たくさんありますけれども、今度は港湾区域以外の水面の管理権は一体だれが持っているんでしょうか。これは運輸省建設省から聞きたい。
  200. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 港湾区域以外の海岸線を中心にお答え申し上げますと、まず一般海岸は建設省ということで、責任をもって管理いたしております。それから漁港区域につきましては、農林省の、特に水産庁が責任をもって管理しております。それから海岸部に直接土地改良事業、農林省直轄の土地改良事業等が行なわれている場合におきましては、農林省の農地局が責任もって管理しております。すなわち農林省、運輸省以外の一般的な海岸沿いの海域におきましては、建設省が管理しているという実情でございます。
  201. 小柳勇

    ○小柳勇君 海岸線から何キロぐらいまでおたくのほうが持っているんですか、管理しているんですか。
  202. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 海域一般、特に領海という問題でとらえてみますと、これは一種の国有財産であるということで、国有財産につきましては、大蔵省が管理しているもの以外は、たいがい一般的な公共用財産という形で建設省が責任をもって管理しているということでございますが、    〔理事木村睦男君退席、委員長着席〕 なお航路とか、そういった面で、運輸省といろいろ御相談しなければならない点もたくさんございます。実際上の管理上の行為を行なう場合には。ただ潜在的には財産管理の責任という立場で、まず建設省が責任を持っているというつもりで行政を行なっております。
  203. 小柳勇

    ○小柳勇君 港湾法との関係あとで聞きますが、具体的に、たとえば陸上自衛隊が実弾射撃すると、海岸線で。その場合には、いまおっしゃいましたように、建設省の管轄であるのに県知事がそれを許可することはできますか。
  204. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) そういった場合につきましては、都道府県知事が建設省所管の国有財産の部局長という立場で、いろいろな許可行為等を行なっております。
  205. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸省のほうに。いま港湾区域外の水面の管理権建設省がお持ちになるのに、この港湾法の改正の中に、航路の開発事業というのを港湾法に入れているんだが、これはどういう関係ですか。建設省があるとするなら、別途この航路の開発事業というのは、この港湾法と別個にまたつくらなきゃならぬと思うがどうですか。
  206. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの御指摘の点の、後段のほうから先にお答えさしていただきますれども、こういう港湾法というものの中で、航路の問題を取り上げることがいいかどうかという点については、確かにいろいろな御意見はあると存じます。ただ私ども考え方では、従来、はっきり申し上げれば、航路の整備というような問題は運輸省の設置法で実施をしてまいりました。そこで、こういう問題を取り上げるというときに、新たな航路法というようなものをつくるかどうかというのを、ずいぶんディスカッションいたしました。そこで、一つの独立の法体系としてつくるには非常にむずかしい点がございます。そこで現実の問題としては、この開発保全航路という問題は、今回の港湾法の改正で、ちょうど港湾法といいながら、港湾以外のものを取り扱う法律になったわけでございますけれども、確かにそういう意味では、ちょっと特殊な形態でございますが、そういうものにさせていただいたわけでございます。  そこで港湾区域外の一般海面の管理権とのからみで、一体どういうふうに考えるのかと申しますと、私ども考え方を申し上げますと、海面というのは原則として漁業でありますとか、あるいは船舶等の一般使用に供せられるべきものでありまして、これは使用という面からでございます。したがって、港湾とか漁港等を除く大部分の海面においては、あまり管理権というような特別な法規制は加えないで、いわゆる多目的な問題で、むしろそういう利用面での特殊な問題というのを何か扱う必要があるんではなかろうかというような感じで、今回予定しておる開発保全航路のように、深さとか幅とかそういうものに関しまして船舶航行に障害が生じているかどうか、また障害が生ずるおそれのある海面においては、その障害を取り除く必要があるというような感覚から、港湾法中に開発保全航路に関する規定を設けたわけでございまして、いわゆるそのような、非常に部分的な海面の開発保全というものに限定してこういう規定を設けたという考え方でございます。
  207. 小柳勇

    ○小柳勇君 いままでの質問の総まとめといいましょうか、今後の課題として、港湾管理運営あるいは港湾建設に関する——建設省との関連もありますが、抜本的に考えなきゃならぬのではないか。私はこの大きな港湾管理が中心になって、さっきも言いました地方港湾などそういうものもありますが、建設省との関連もあります。それから埋め立てとの関連もありますね。したがって港湾管理の一元化といいましょうか、抜本的に、今回の改正は通るでしょうが、抜本的に早急に改正を必要とするのではないかと思うが、いかがですか。
  208. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは建設省からお答えしたほうがいいかもしれませんが、建設大臣ともいろいろ話し合いました。今度の埋立法の改正案につきましては、先ほど建設省側から御説明がありましたように、もう暫定的なものではあるけれども、目前にほっておけないような問題が出てきたものですから、その点だけ、とりあえず解決するためにこの法改正をしたいというお話がございましたが、全くそのとおりだと思っております。  おっしゃるように、いろいろな点について、単にかな書きだけじゃありません。内容につきましても、もう少しこれは改善を加えて、時代に即応するような内容を盛っていきたい、私もそう考えております。
  209. 小柳勇

    ○小柳勇君 公有水面の埋め立てについてはたくさん問題ありますけれども、先のほうへ少し進みましょう。港湾法の改正につきまして根本的な問題だけやりますから、建設省どうぞ……。  港湾法の問題では何といいましてもこの目的ですね。それで私が言いたいのは、これは山田さんも切々と言っておりましたが、港湾法ができましたのはGHQが港湾を接収しておりまして、それを返してもらうために苦労して交渉した。そのときに地方自治体のほうにほとんどの権限を持たせるならば港湾を開放しようというようなことが、その当時の港湾法のできた基礎だと考えています。しかも、それにはいろいろ限拠もありますが、したがって現在の港湾法、できている港湾法というのはほとんど中央集権でなくて地方に権限を持たせています。そういうものについては、もちろんご存じだと思うけれども運輸大臣から見解をお聞きいたします。
  210. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 恐縮ですが、御質問の要点がよくわかりませんので……。
  211. 小柳勇

    ○小柳勇君 はい、わかりました。これはいまの港湾法ができましたときの議会の速記録なんでございますが、「国の関與する権限は国全体的の立場から必要な最小限度の條項に限定したのであります。即ち国は港湾管理の第一線から退き、管理者に対し公共的国営港湾施設も移管し、地方公共団体の自由意思により定めました港湾管理者港湾の開発発展を図ることとなるのであります。」と、ちょうど戦い敗れまして接収された港、それを一日も早く返してくれという交渉の過程で、中央で港湾をいままでのように牛耳っておったら開放しないが、地方のほうに一切の権限を委譲したら、日本の権限のほうに委譲しようというのが、改正する前の港湾法のできた根拠だと考えていますが、その点は御理解ありますか、どういうことですか。
  212. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 二十五年にできた港湾法を主としてお考えのようでございますが、おっしゃるとおりでございます。その当時は国が管理する港湾もあり、あるいは地方公共団体管理するものもあり、私人の管理するものもあり、もう全くこんとんとしておったと思います。そこで、この中にあって港湾管理者、これを地方自治体を中心にいたしまして統一をして、これによって港湾の開発、利用をはかっていこうという制度を二十五年の港湾法では、そういう趣旨で設けられたものと私も理解しております。
  213. 小柳勇

    ○小柳勇君 それにいたしますと、今回の法律というものは非常に性格が変わっておるというのは、もう衆議院でも参議院でも、速記録を見たらそう書いてありますが、特に私、言っておきたいのは、旧法では第一条に、港湾管理者をつくって云々と書いてあります。港湾管理者をつくることが港湾管理することであると、それが基礎になっているわけですよ、いままでの法律は。言うなれば港湾管理者設立法ですね。現在の港湾法というのは。  ところが今回の法律は、港湾管理者というのは十三条でございますか、そこにいってしまっておる。そのときに初めて港湾管理者というのが出てくるわけです。改正されますと。根本的に変わってまいりました。だから旧港湾法ができた、それは占領軍が港湾を日本人の手に移すときの一つの手だてであった。早急に、早々の間に法律ができていますね、古い港湾法というのは。それから六回も改正されています。時間があれば改正の内容についても聞きたいが、改正されるまで港湾管理者というものが中心になってあるいは港務局が中心になって港湾管理するというのが、アメリカなどの駐留軍から見れば一番民主的だという考えでできておるわけですよ。  その港湾法が、いま運輸大臣が中心になって、港湾審議会意見を聞いて出している。ある場合には港湾管理者意見も聞きましょうとなっていますけれども、基本的に変わっている。これはだれも言っているのですけれども、それをあなた方はサギをカラスに言いくるめて、いや変わっておりませんと、とにかく初めから終わりまで言っておられるわけだ。そこで私は、修正案を出しているのだけれども、妥協するのじゃありませんけれども、この古い港湾法と今回皆さんが考えている港湾法との中間ぐらいの法律がほしいわけです。いまの段階では。さっき私が言いました、地方の港ではどうですかと。国民の港湾、市町村の港湾、県民の港湾という考えをするなら、そのほうにも少し、いわゆる港湾管理者にもう少し権力を置くべきである。あまりに中央集権的に、日本列島の将来を考えながら、中央集権的に計画をし、動かしていくことは早過ぎます。だから現在の港湾法と、皆さんがいま出しておる港湾法との中間ぐらいの機能の港湾法というのが一番必要ではないか。そういう意味で、修正意見も出しておるわけですけれども、そういう点について、大臣の見解を聞きたい。
  214. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これも何回も申し上げたとおりでございまして、杉山先生にもお答えをしたところでございますが、一条から、港湾管理者設立による港湾云々という字を目的のところで変えましたことによりまして、港湾管理者がどっかへいっちゃって、いかにも中央集権になって、港湾管理者の権能が非常に縮小されたというような印象をお受けになるようでございますけれども、その点は、この法律の全体を通覧してごらんになりますと、そういったのは一つもないと思っているんです。港湾管理者の権限を縮小しようとか、あるいは地方自治体である港湾管理者の性格を変えようとか、中央集権で、権限を中央に集めようとかいうのはどこにもないです。  むしろ、これは杉山先生のときにも伊部先生のときにもそういう御説明をしたと記憶しておりますけれども、現行法でいきますと、現行法四十八条にいろいろ書いてあります。運輸大臣がこういうことができるという中で、第二項ですが、「運輸大臣は、前項の計画を審査し、当該計画が全国の港湾の開発のための国の計画に適合しないか、又は当該港湾の利用上著しく不適当であると認めるときは、これを変更すべきことを求めることができる。」と書いてあるわけですね。きわめて端的に書いてあるわけです。これはその当時も申し上げましたが、私は非常に近代的ではない、民主的ではない、こう思います。したがって今度は、それをどういうふうにして、どういうふうなルールで地方港湾計画というものを認定し、それに対して補助を与えていくかというルールをこの三条以下につくってあるということを申し上げたわけです。現行法の四十八条でいきますと、運輸大臣がもうすべての自由裁量権を持っているわけでしょう。自由に裁量できる。そこにはもう基準もない、方法も書いてない。いきなり「これを変更すべきことを求めることができる。」というふうに書いてあります。で、私のほうで今度出しました改正案では、最終的にはその変更を求めるという字を使ってありますけれども、その前提としまして、まずこういうふうな基本方針をきめますと、それにのっとって具体的な港湾計画を出していただきたい、その場合には、いろいろな審議の過程を経まして、地方の実情も十分に聞いた上で、最終的な判断をいたしますというように、主文であるわけですよ。  私は今度の改正案のほうが、港湾管理者に対しましては、その立場をより尊重して、きわめて民主的に港湾計画をきめようとする努力が、これにはっきりあらわれているんじゃないか、むしろ逆にそう考えているわけでございます。  のみならず、先ほども申し上げましたが、今度は港湾管理者に対しまして、いろいろの新しい仕事ができるような権限を付与してございます。この中で、特にいろいろこの港湾区域内における行為の規制権限でありますとか、あるいは負担金徴収の規定でありますとか、そういったものまで盛り込んであるわけでございまして、現行法に比べまして港湾管理者の権限を縮小しようとか、あるいは地方自治体の自治権を侵害しようとかいうような意図は毛頭持っておりません。それは現実にこれを読んでいただくとわかりますということを申し上げておきます。
  215. 小柳勇

    ○小柳勇君 法律はできますと、ひとり歩きしますから、いまの運輸大臣港湾局長おられる間はそれで通りますけれども、おやめになりますとあとはひとりで歩きますから——そういう私のような心配がないなら、六大港湾都市協議会からこういう意見が出るはずがないのですよ。これはもう皆さんが言っているとおりですよ。  したがって、これはこの次に附帯決議などを出しまして、これはいま大臣がおっしゃったようなことを、私どもで文章にしまして、法律の一番最後にでも残しておいてもらいたいと思いますが、ここにちゃんと書いてあるのです。六大都市の港湾管理者たちの代表から、「港湾の地域性を前提とした自主的な整備運営の基本理念について触れるところがないのは私共八大港湾管理者として問題視せざるを得ません」と書いてある。大臣がいまおっしゃったことが率直に受け取れるならそんなの書くはずはない。その後港湾局長などが洗脳されましてね、これは大体引っ込めたようでありまするが、一番初めに直感したものが一番正しいですよ。私どもがこれをずうっと勉強しまして感じたものは、将来の人が法律を見たときに感ずることですから。  したがって、いままでずうっと衆議院から参議院に大臣や港湾局長が答弁されましたようなのをわれわれが短い文章で書きまして、法律の最後に——どうしても私か修正案出してるのを修正されなければですよ。修正されるならそれを入れてもらう、そしてまた衆議院に返してもらいますけれども、もし修正できなければ、いまのようなことは書いておきませんと、法律がひとり歩きいたしますから、その点は、またこちらのほうで理事会で相談いたしますが、一番問題はそこだと思います。この法律は。あとはもう細部の問題技術的な問題です。公害がありますから公害対策しなきゃなりません。環境整備しなきゃなりません。一番問題は、地域にこれからつくろうとする港、古い港の改修、そういうものを一々運輸大臣が権限持ってやっておるより、もっと身近な県庁や市役所に行って、こうしましょうという、あるいはもっと言うなら市町村長にも少し地方港湾の、ほんとのいなかの港湾整備のそういうものの金なり力を与えるべきだという考えすら持っています。私は。  だから、そういうところは基本ですから、あとの問題は、修正意見の論争はこの次にすることにいたしますが、もう一回、非常に大事な点でありますから、二十三年前に占領軍の占領体制からわれわれの手に港湾が返った、そのときは運輸省のいまの、今度つくるような改正案だったらおそらく返ってこないんですよ、日本人の手に。それが港湾管理者の手に返ったわけだから、それを二十何年たって、今度は運輸省がひとつ握っていて、まあ港湾管理者意見は聞きましょうが、それよりもむしろ、港湾管理者よりも港湾審議会意見が皆さんに反映してきます。地方港湾審議会意見が反映してきますよ。そういうものを港湾管理者も心配しているわけです。表面に言うとおこられるから言わぬのですよ、ほんとうは。私どもは知っていますよ。そういう問題をもう少し、私は次の機会に譲って、あと修正意見など出しますから、本日は一応基本的な問題だけを質問して、本日の質問を終わります。
  216. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 野村海上保安庁長官、先ほどの質問に対する残りの答弁をしてください。
  217. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先ほどお答えできませんでした問題についてお答えいたします。第二十七号瀬戸塩触雷爆発事故に関しましては、本年の三月二十日に若築建設の門司港工事事務所長、小島二郎という人と、同じく門司港工事事務所の現場監督、永戸靖浩という二人の人が、前者は業務上過失激発物破裂罪、それから後者は業務上過失傷害罪で起訴をされておりまして現在公判中でございます。すでに本月の初めに一回裁判が開かれております。以上であります。
  218. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 最後に小柳先生お述べになりましたこと、これは私も何べんも衆参両院でお答えをしております。港湾法改正案、これは運輸省が提案者でございます。提案者である運輸省の責任者がそういうことを申しておるのですから、しかも、これは国民のごらんになっている前で、速記録にもちゃんと載せてありますから、これは簡単には、そういう方針を変更できるはずのものじゃありませんし、なお私は、それにつけ加えて申しますが 政令以下において具体的な問題が出てまいります。それにつきましても、いま申し上げたような趣旨を十分にいれまして、この法律の解釈、運用というものをきめていきたいと思っておりますから、それは御安心いただいてけっこうでございます。
  219. 長田裕二

    委員長長田裕二君) それでは本案に対する本日の審査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時散会