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1973-06-21 第71回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十一日(木曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員異動  六月二十日     辞任         補欠選任      中村 禎二君     岩本 政一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 岩本 政一君                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 橘  直治君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        内閣審議官    粟屋 敏信君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省海運局長  佐原  亨君        運輸省船員局長  丸居 幹一君        運輸省港湾局長  岡部  保君        海上保安庁長官  野村 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        防衛施設庁連絡        調整官      奈良 義説君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      中西 正雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  中村禎二君が委員を辞任され、その補欠として岩本政一君が選任されました。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。  港湾法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会公害対策及び環境保全特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することとし、明日開会することに御異議ごさませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者り〕
  4. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連会審査会開会の時間につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 田渕哲也

    田渕哲也君 港湾法等の一部を改正する法律案並びにそれに関連する諸事項について質問を行ないたいと思います。  まず初めに、政府昭和四十六年に総合交通体系についてというものを策定されております。交通関連資本役資については、この総合交通体系に従って行なわれるのが当然と思われますけれども、四十六年から始まりました港湾整備五カ年計画とこの総合交通体系との関連について、運輸大臣にまずお伺いをしたいと思います。
  8. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この総合交通体系は、お話しのように四十六年の十二月に関係閣僚協議会で了承されたものでございます。これはよく田渕さん御承知だと思いますけれども総合交通体系の形成する必要性、その考え方などを示しますと同時に、総合交通政策の推進の方針といたしまして、交通需要調整策をどう推進するか、それから総合的な施設整備をどういうふうにしていくかというその方向、それから費用負担財源調達合理化の問題、運賃料金政策などについて、相当長期的な視野で基本的な方向を示しておるものだと了解しております。  で、われわれも、運輸省の各行政分野におきましても、できるだけこれを取り入れることに努力をしておるのでございますが、現実的な具体的な政策になってまいりますと、どうも直ちにこの結論をそのまま実行することもむずかしい点もあることは事実であります。しかし、この港湾分野について見ましても、たとえば各交通機関別分担関係の確立につきましては、五カ年計画施設整備の目標の設定にあたりまして、国の経済計画に示した見通しに基づいて計画の立案をするとか、流通拠点港湾整備主要幹線交通網整備の一環としてとらえて計画するとかの配慮をいたしておることは、先般来御説明をしてるとおりでございます。また費用負担財源調達合理化の方策といたしまして指摘せられております受益者負担の原則の導入につきましても、これは全部じゃありませんが、埠頭整備における公団とか公社、あるいは会社方式の採用というふうなことで、実現可能なものにつきましては総合交通体系の中で示されておる方向にのっとって処理をしようとしておるのでございます。  方向としましては、この総合交通体系方向に向かって施策を立て、調整策をとり、できるだけこれに沿って前進をしようとしておる次第でございます。
  9. 田渕哲也

    田渕哲也君 五カ年計画におきましては、昭和五十年における全国の港湾取り扱い貨物量を新経済社会発展計画に示されておる経済見通し等に基づきまして三十三億八千万トンというふうに推計しております。これは昭和四十四年の実績の二・一一倍になるということになるわけですけれども、現在でも港湾施設というものが非常に不足しておる、特にバース等の不足によって、滞船現象というものが慢性化しておると思いますけれども、この港湾整備五カ年計画の概要に滞船状況というのが出ております。四十五年までの統計が出ております。その後、この滞船状況というものがどういうことになっておるか、現状についてお伺いをしたいと思います。
  10. 岡部保

    政府委員岡部保君) 港湾で滞船現象が生じておりますのは、いわゆる大港と申しますか、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸などの主要の五港であるかと存じます。もちろんそれ以外で部分的に、あるいは臨時的に滞船というような現象はございますけれども、一般的に申せば、この五港でのデータをもって滞船現象の問題と扱ってよろしいのではないかという感じがいたします。  そこで、これの現状がどういうふうになっておるかという点について申し上げますと、先生承知のように、昭和三十六年に非常な滞船現象があったわけでございます。そのために、ほんとうに経済活動がストップするというような大騒ぎになりまして、これの緊急措置等々いろいろやったわけでございますが、この三十六年の際に、ちょうど一番滞船の激しかったピークをちょっと過ぎた十一月、十二月時点で申しますと、いわゆる入港、着岸する船舶の中で二一%強がバース待ちと申しますか、滞船をしたという実績でございます。それが昭和三十七年、三十八年、三十九年、ずっと減ってまいりまして、三十七年−四十一年は約一〇%ないし一二%の間ぐらいのところでございまして、それがさらに少しずつ、ほとんど横ばいでございまして、四十五年くらいまでまだ一〇%である。それから四十六、四十七年におきましては八%弱というところまで減少してきております。ただ減少してきておりますことと、それからバース待ちをいたしました船が一隻平均一体どのくらいの時間バース待ちしたかという値も問題になるわけでございます。  そこで先ほど申しました、三十六年の十一月、十二月時点でございますと、バース待ちした船は一隻で九十時間程度バース待ちをしたわけでございます。これはたいへんな値でございます。それが現在、バース待ちしたのが、全体の総数のうちでのパーセンテージはずっと減ってきておりますが、四十七年でも、まだ一隻当たり四十時間ぐらいバース待ちしているというような滞船状況でございます。  したがいまして、どうも私どもといたしましては、これは滞船というのは、全く皆無にするためには、よほど施設を過剰といわれるくらいにつくらないと完全な解消というのは無理だと思います。しかし、それにしても、まだ現状ではとても満足できる状態ではないというふうに考えております。
  11. 田渕哲也

    田渕哲也君 港湾の基本的なあり方としましては、船がバース待ちをするのではなくて、バースが船を待つというのが理想だということがいわれておりますけれども、この港湾整備五カ年計画の達成時において、この滞船現象というものは改善されるのかどうか。その辺の見通しについてお伺いをしたいと思います。
  12. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほどもちょっと触れましたように、確かに先生のおっしゃるとおりで、船がバース待ちをするのではなくてバースが船待ちをするというのが理想的な姿であるはずでございます。ところが、どうも残念ながらわが国港湾施設、いわゆるストックと申しますか、資本の集積というものが非常に少のうございます。いわゆる欧米の先進港湾ストックと比較いたしますと、はるかに小さいわけでございます。したがって、この経済の急成長の結果、取り扱い貨物量がふえた、入港船舶隻数もふえた、それに応ずるだけのとてもストックがなくて、これを一生懸命整備しながら追いつく、いわゆる追っかけ投資をしておるというような状態でございますので、何と申しましても、残念ながら、いわゆる滞船を完全に解消するというのはとうてい不可能だと存じます。  ただこの五カ年計画実施いたしまして、現状よりは少しでもよくすると、先ほどの四十六、四十七が七%になってきたというのも一つのあらわれでございますが、こういう問題、少しでも滞船を減らそうというような考え方で、現在実施をいたしているところでございます。  そこで、これをどういう姿で、どう計量的に表現したらいいかという点ございますが、どうもなかなかうまい方法がございませんが、いずれにいたしましても、現在の取り扱い貨物量をマクロ的に見まして、いわゆる施設貨物量等、マクロ的に比較した場合に、これが一つ整備水準になるかと存じますが、そういう目で見てまいりましても、だいぶ改善はすると、しかし、とてもいま先生おっしゃいましたように、岸壁が船を待つんだという姿にはとうていならないと存じます。
  13. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからもう一つ港湾の効率的な使用という見地から考えまして、これは四十年の港湾審議会答申の中でも触れられておりますけれども経岸率というものに触れておるわけです。この経岸率が現在は非常に低いということを指摘しておるわけですけれども、もちろんこの答申に出ておるデータは、昭和三十九年のデータで、きわめて古いものですけれども、揚げにおいて五九%、積みで二九%という数字が指摘されております。これのその後の経過はどうなっておるか、お伺いいたしたいと思います。
  14. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほどのいわゆる滞船現象であらわれました問題と同様でございますが、どうも港湾でかつての荷役というものが、いわゆる沖荷役をいたしまして、岸壁に接岸して、しかもその岸壁を経て荷役をするという量が非常に少なかったということで、いまの御指摘問題点が出たわけでございます。  そこで最近の問題といたしまして、いわゆる大型荷役機械の拡大をしなければならぬ、あるいは逆に輸送形態が、たとえばコンテナ化でございますとか、あるいはカーフェリー化であるとか、そういうような問題が別の動きとして出てきております。そういうようなことから、経岸荷役がだいぶ増大いたしてきております。  そこで五大港経岸率も、昭和四十年では、揚げ積み合わせまして六四%程度でございまして、それが四十六年には七四%程度に上がった。したがって、これは一〇〇%になるのが普通でございますけれども、まだまだ、そこまではいっておりませんが、いわゆる経岸荷役港湾運送一つの常態となりつつあるということはいえるかと存じます。
  15. 田渕哲也

    田渕哲也君 わが国港湾における公共バースと、それから私有バースとあるわけですけれども、これの比率がどのようになっておるか、それから傾向はどうか、これは取り扱い貨物量であらわしていただければけっこうだと思います。
  16. 岡部保

    政府委員岡部保君) 公共バースと、いわゆる民間企業と申しますか、私有バース比率現状について御説明申し上げますが、大体水深四メートル以上の係留施設延長、これを四十七年の三月末現在でございますが、これで統計値によって試算いたしますと、全体の係留施設延長のうちで占める、いわゆる港湾管理者の管理する公共施設というものは約五二%でございます。それから民間の私企業が所有いたしますのが四一%でございます。それからそのほか、これは国鉄でございますとか、あるいは農林省でございますとか、そういうようなちょっと港湾ではわずかでございますが、特殊な方の持っておられる施設というものが約七%、まあ残りでございますから七%程度がその他であるというふうにごらんいただきたいと存じます。  それから貨物量で申しますと、公共施設で取り扱われたものは全体の三六%程度であります。  したがって実延長で考えますよりも、貨物量は、むしろ公共埠頭で取り扱う分が、ウエートが小さい。これはいわゆる工場等の原材料を多量に扱います岸壁というものがこういうものに影響を与えているとは考えられますが、そういうような値でございます。
  17. 田渕哲也

    田渕哲也君 今後の港湾あり方を考えた場合に、公共バース私有バースとの効率性といいますか、どちらが港湾として効率的にその役割りを果たせるのか。それから今後の方向ですね、やはり私有バースをどんどんふやしていくほうがいいのか、あるいは公共バースを基本として考えたほうがいいのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  18. 岡部保

    政府委員岡部保君) いわゆる港湾施設一つ施設でございますので、公共でありましょうと、私有でありましょうと、同様の規格のものを使えば、建設費等コストは当然同様でございますし、したがって要はこれを利用する面、利用頻度と申しますか、そういうほうの利用頻度能率等によってその優劣がきまってくるのかと存じます。  そこで、ごく簡単にかいつまんで申し上げさしていただければ、公共バースでありますれば、いわゆる不特定多数の利用者利用料という形でコストを分割負担いたします。したがって、コストが広く多数に薄められておる。ところが私有バースの場合は、総コストをすべて特定の私人が負担するということで、負担はむしろ私有のほうが重くなっている。ところが専用のために効率化をはかれるというメリットがあります。また現実に、こういう私有港湾施設をつくるということは、いわゆるある程度以上の大量、継続的な貨物のある場合、非常に有利になるということで、こういう姿が出ておるわけでございます。  したがって、今後のいわゆる産業構造の問題もございましょうし、それから流通形態の問題もございます。ただ、一般的に申しますならば、いわゆる大量で継続的な貨物というものに対しては、やはりこういう専用形態というものがあるべきである。それがたとえばコンテナでありますとか、そういう比較的荷主面というか、貨物面から申しますと、非常に不特定多数の貨物であるというような場合には、やはり公共的な性格も担保しなければならないということで、公団埠頭というようなかっこうを持ってきておるわけでございますが、それ以外のものについては、やはり私有港湾施設等整備というものに向いていくだろうと思います。  ただ、ここで非常に貴重な水際線でございます。なかなか水際線を占領するというのは非常に貴重になってきております。そういう点で見ますと、やはりこういうものを公共的な意味で、しかも使用が非常に効率的なものにできるような姿というのを、ただ単に公団ができたからそれでいいんだという考え方ではなくて、もう少し検討していかなければいかぬという点は、私ども、今後の課題として検討いたしてまいりたいというふうに考えます。
  19. 田渕哲也

    田渕哲也君 ただいまの御説明にもありましたように、水際線というものは無限にあるわけじゃなくて限られております。したがって、これは私有であろうと、やはり公共的な性格を持っておるわけです。したがって公共的な見地から、私有バースについての一定の制限が必要になろうかと思います。今回の改正法におきましても、第四十五条の三において、港湾管理者は、この私有バース使用要請することができるというふうにうたっておるわけでありますけれども、これがはたしてどの程度の効果といいますか、強制力を持ち得るものか、この点についてお伺いしたいと思います。
  20. 岡部保

    政府委員岡部保君) この点につきましては、従来の御審議でもいろいろ御議論のあったところでございますが、確かに四十五条の三でいう「要請」ということは、まあある事柄を申し出まして、その申し出に沿って相手方の処置をすすめ、また促す行為である。したがって相手方を拘束する意味法律上有しているものでないことは確かでございます。したがって、いささかこれは弱いのではなかろうかという感じがおありになると思います。  ただ私ども、これを非常に強制力を持たせるということは、やはり私有権を侵害するというような問題にもかかわりますので、これをもしも相当強制権を持たせるとすれば、法的にいろいろなそれに伴う問題を十分扱わなきゃならないという点がございます。それでただ、港湾の問題でも、非常に公的な立場でございますので、要請を受けました係留施設管理者が、正当な理由がないのに要請を拒否したというようなことになれば、これはむしろ最近の事例でもありますように、社会的な非難を受けるのではなかろうか。したがって、そういう御時世にもなってきておりますし、事実上こういう要請という——確かにかったるい点はございますけれども要請という段階現実の問題としては十分な目的を達するのではなかろうかというような判断に立ちまして、こういう表現と申しますか、段階にとどめた次第でございます。
  21. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは要請という段階で一応やってみて、もし問題があれば、さらに法律を強化するということも考えられるわけですか。
  22. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生のおっしゃるとおりかと存じます。私ども、これでまだまだ弊害が残るという場合には、当然さらに強いことを考えなきゃいかぬという点については、おっしゃるとおりでございます。
  23. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから特に、私有バースについて、災害防止上の見地からいろいろ問題があるわけです。たとえばビット相互使用ですね。他の私有バースにわたってビットを使えるようにしてもらいたい、これは特に船員側からの要請が強いようです。  それからもう一つは、たとえば船で火災が発生したような場合に、消防車がなかなかかけつけられない。だから、いわゆる臨水部分さく壁を排除する、こういうような措置が必要かと思いますけれども、たとえば港湾管理者が、こういう災害防止上あるいは安全の見地から、私有バースについていろいろな措置要請することができるような権限を与えるべきではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
  24. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに先生のおっしゃるとおり非常に問題がございます。これは現段階までは、たとえば一バースずつのこま切れ私有岸壁が連続してあったというような例がわりに少なかったために、問題があまり顕著に出ていなかったということも事実かと存じます。ただ鹿島港の実例でだいぶ御指摘を受けているわけでございますが、ああいうような場合に、鉄鋼サイドのは、これは一社でございますから、非常に広いわけでございますけれども油関係のほうのサイドにつきましては、確かにそういう問題がございます。  したがって、これについては、現実の問題として、港湾のいわゆる包括的な管理者としての港湾管理者立場から、これについてどういうふうにしたらいいか。もちろんやはりそれぞれの工場なり、企業のセキュリティーの問題もございましょうし、そういうようなことから、いろいろな問題はございますけれども、やはりいまおっしゃったような感覚、観点からこれを改良しなきゃいかぬということで、実態上何らか改良をさせようということで、現在港湾管理者にも話をしているところでございます。
  25. 田渕哲也

    田渕哲也君 今回の改正法では、港湾環境保全をはかるための環境整備施設港湾施設として追加しておるわけです。そしてこれに対する国の補助が出るわけですけれども、この港湾環境施設とは「海浜、緑地、広場、植栽休憩所その他」となっておりますけれども、このようなものについての整備一つ基準というようなものを示す必要があるのではないか。この点はいかがですか。
  26. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生指摘のございました、こういういろいろな施設整備基準という問題、これは当然一つ考え方をまとめなければならないわけでございます。その点については、先生のお説のとおりだと存じます。ただ湾港のいわゆる地形的な条件とか、あるいは土地利用、さらには当該港湾の有する機能などによってもいろいろ異なる点がございます。したがって、一がいに定め得るものであるかどうかという点について、現在むしろ検討しておる最中でございます。  したがって、こういう問題について、いわゆる基本的な一つ基準という考え方を何とか、最大公約数と申しますか、そういうような考え方で求めまして、さらに個々の港湾特殊性というものにあわせて、これをケース・バイ・ケースで考えていくというような方向で、私ども処理をしてまいりたいということで、現在鋭意検討中でございます。
  27. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから第四十三条では国の補助をきめておるわけですけれども環境整備施設については「十分の五以内」、廃棄物埋立護岸海洋性廃棄物処理施設については「十分の二・五以内」とうたつてあります。衆議院における審議の中で、港湾局長は、これは「十分の五以内」と書いてあるけれども、十分の五の補助、それから「十分の二・五以内」と書いてあるけれども、十分の二・五の補助だと受け取ってもらいたいというような答弁をされております。これはどんな場合でも十分の五、十分の二・五という補助になるわけですか。
  28. 岡部保

    政府委員岡部保君) 衆議院で御質問ございましたのにお答え申し上げましたことは、現在の実行上の問題点としては、そういうふうに実施をいたしておりますという意味でお答え申し上げました。法律的にはもちろん、先生の御指摘のとおり、「以内」という以上、これはそれよりも下回ることがあり得るわけでございます。  ただ、現在実行いたしておりますのは、いわゆる「港湾公害防止施設又は港湾環境整備施設建設又は改良港湾工事」につきましては最高限度の十分の五でございます。  それから「廃棄物埋立護岸又は海洋性廃棄物処理施設建設又は改良港湾工事」につきましても、最高限度の十分の二・五の補助率実行補助率とすることといたしております。  ただ、ここでちょっとお断わり申し上げなければいかぬと思いますのは、細部の問題でございますが、いわゆる港湾環境施設ということで緑地整備をいたしておりますが、緑地用地費につきましては三分の一という  十分の五ということを申し上げましたが、この植栽であるとか、そういうようなものについては十分の五の最高の補助率をいたしておりますが、用地費につきましては三分の一という、十分の五よりも下回った事実上の補助率であるという点が、ごくわずかの問題でございますが、あるわけでございます。
  29. 田渕哲也

    田渕哲也君 四十三条の五にいっております港湾環境整備負担金は、これはどのような場合、それからどのような事業者を対象にして、それからどのような基準負担させるのか、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  30. 岡部保

    政府委員岡部保君) 港湾環境整備負担金と申しますのは、この法文でもございますように、いわゆる何と申しますか、港湾利用するものに対する一般的な負担金の一種であるというふうにごらんいただきたいと思うわけでございますが、港湾環境の整備というものが、港湾利用者に対して益を与える、受益するという点では、港湾利用者の面から申しますれば、受益者負担金的な性格でございますし、また逆の見方をいたしまして、港湾利用者港湾の環境悪化の原因者であるという点から申しますれば、原因者負担金である。言うなれば、受益者負担金と原因者負担金との両方の性格を有するものかと存じます。  ただ、その徴収基準というものは政令で定めることといたしておりますが、具体的には、まず港湾環境整備に要した費用、たとえば緑地港湾の環境の保全のために整備する施設建設または改良に要した費用にあっては、いわゆる原価償却費の相当額と申しますか、そういうような考え方でございますが、こういうような港湾環境整備に要した費用の全部または一部をこれの対象にいたしたい。また当該港湾の臨港地区内等において工場または事業場を営む者などに負担をさせる。負担をさせる相手はこういうふうに考えております。  それから、それらの徴収対象者の年間の総生産額でありますとか、従業員数でありますとか、敷地面積など、一つの共通の指標のもとにそれぞれのものの負担率を求めて、徴収すべき額を定めたいというふうに考えておるところでございます。
  31. 田渕哲也

    田渕哲也君 この場合、受益者ということになれば、たとえば海運会社ですか、そういうところも含まれるわけですか。
  32. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに船舶につきましても、原因者または受益者として負担金を徴収すべきであるということは一つの筋論であるかと存じます。ただ現在、港湾法第四十四条の二の規定によりまして、船舶からは入港料を徴収することができることになっておりまして、環境整備負担金を船舶から徴収した場合、二重徴収になるおそれがあるのではなかろうかということで、もしもそういうような負担金を徴収するならば、入港料で徴収すべきであるのか、あるいはこの環境整備負担金で徴収すべきなのかというあたりの問題もございます。したがって、この辺はもう少し関係者の意見を聞いて検討するということで、本日ここで入れる入れないということを、はっきりお答えできないのは残念でございますけれども、一応もう少し検討さしていただきたいというふうに御了解いただきたいと思います。
  33. 田渕哲也

    田渕哲也君 第二条の第五項の十号に、港湾厚生施設というものがきめられておりますけれども、この港湾厚生施設に対する費用負担は、現在どうなっておりますか。
  34. 岡部保

    政府委員岡部保君) 各港の港湾厚生施設整備につきましては、港湾管理者あるいは雇用促進事業団あるいは港湾福利厚生協会などが資金、土地などを手当ていたしまして、積極的に施設整備を行なっておる次第でございます。このために、先ほど申しました港湾福利厚生協会でこういうものを負担するということの資金源といたしましては、港湾運送事業者がその運送実績に応じて福利厚生分担金というものを港湾福利厚生協会に拠出するという一つのルールができております。そこで、この運送実績に応じまして、トン当たり三円の賦課料金が設定されておりまして、年間の賦課料金の額は、全国で四十七年度に約十五億円となっております。  なお、いろいろと港湾管理者あるいは雇用促進事業団あるいは港湾福利厚生協会等による施設ができておるわけでございますが、たとえば総合福祉センターでございますとか、あるいは宿舎でございますとか、休憩所でございますとか、医療施設でございますとか、そういうような具体的な施設というものを、この資金源によって整備をしているというのが実情でございます。
  35. 田渕哲也

    田渕哲也君 福利厚生施設でありますけれども現状ではトン当たり三円の福利費を取っておるというのは、港湾労務者のための福利施設だと思います。ところが船員のための福利施設というものが、港湾労務者の福利施設に比べると非常に少ない。これは非常に片手落ちだと思うのです。  特に最近、停泊日数が非常に少なくなっておったりしておる関係で、船員の港湾における福利施設の重要性というものは、ますます増しておるのですけれども、ところが船員の場合は、こういう財源措置がないがために、港湾労務者に比べたら施設が少ない。こういう点について、どのようにお考えですか。これ船員局になるのですか。
  36. 丸居幹一

    政府委員丸居幹一君) 船員の福利厚生施設として、たとえば宿泊施設であるとか、そういったものがあるわけでございますが、港湾費用と比較いたしまして、たとえばトン三円取っておるのが船員関係にはないではないかというふうな御趣旨ではないかというふうに思うのでありますけれども、船員の福利厚生施設は主として船員保険会でもってやっておるわけでありますけれども、船員保険会では千分の七を福利厚生関係費用として船員保険の中で徴収いたしております。それで船員保険会で主としてそういう福利厚生関係のものに充てております。それだけではありませんで、船員福利厚生協会であるとか、あるいは海事振興会であるとかいったようなものからも福利厚生関係のお金を出してもらいまして、そうして船員の福利厚生関係の仕事をいたしております。
  37. 田渕哲也

    田渕哲也君 この船員保険会の千分の七というのは、どこが出しているんですか。会社が出しているんですか。
  38. 丸居幹一

    政府委員丸居幹一君) 全額船主負担になっております。
  39. 田渕哲也

    田渕哲也君 この金額は年間どれくらいになっているのですか。
  40. 丸居幹一

    政府委員丸居幹一君) 約年間二十二億ぐらいと思います。
  41. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、こういう金で港湾における船員の福利施設というものが現実につくられているわけですか。
  42. 丸居幹一

    政府委員丸居幹一君) そのとおりでございます。
  43. 田渕哲也

    田渕哲也君 しかし船員側の要求を聞きますと、港湾においては、港湾労務者の施設はあるけれども船員の施設がないというような例が非常に多いということを聞いているわけですが、こういう現状はどうなんですか。
  44. 丸居幹一

    政府委員丸居幹一君) この港湾における船員の福利厚生施設整備状況についてちょっと御説明申し上げますと、昭和四十七年十一月現在の船員厚生施設は、宿泊施設が全国で三百五十五、それから休憩施設が七、それから医療施設が四十八、そのほかに授産施設が一、養老施設が一ということになっております。  それから、これはだいぶ古くからのトータルでございますが、最近三カ年に整備いたしました宿泊休憩施設は、新築が二十三、増改築が三、医療施設は、新築が二、増改築が四ということになっております。ただ、この点で船員の皆さんに多少不満があるのではないかというふうにわれわれが考えておりますところは、最近港の状況が少し変わってまいりました。しかも新しい港の中には、非常にこういった既存の施設利用できないような港であるとか、それから市中の一般の施設利用できないような港があるというようなことでお困りになっているのではないかと思います。まあいい例が鹿島港であります。  そういうところにつきましては、鹿島についてはただいま建設中でございます。そういうところができてまいっておりますので、そういうところを将来は重点的に整備をしてまいらなければならぬのではないかというふうに考えております。
  45. 田渕哲也

    田渕哲也君 船員の施設が非常に古くなって状態がよくないということも聞いているわけです。したがって、これからどんどん港湾が開発されれば、それに付随して船員の厚生施設をもっと充実させなければいけないと思うのですけれども。ところが、そうすると、財源の問題が問題になるわけですけれども港湾労務者の場合のように、特別の福利費を徴収するというような方法は考えられないのですか。
  46. 丸居幹一

    政府委員丸居幹一君) 先ほども説明いたしましたように、船員保険会のほうでこれはやるということに、一応きまっておるわけでございますが、その財源はどこから出るかといいますと、さっきも御説明いたしましたように、全額船主負担になっております。したがいまして、将来これを整備していく上において足りないのだということになれば、まあその部分をもう少しふやしてもらうとかということになるんじゃないかと思いますけれども、まあトン当たり幾ら幾らを船主から出せといいましても、出どころは同じでございますから、やっぱり現在のルールというものに乗っけてやったほうがやりいいのではないかというふうに考えておるのでありますけれども、ただ、これ以外に船員のたとえば宿泊施設なんかこれだけかといいますと、そうでありませんで、船主自身が特に自分のところの船員のために施設しておりますいわゆる自社施設ですね、これがただいま申しました以外に二百十九カ所ございます。そういうことで、自分のところの船が特によく重点的に入るような港につきましては、船会社が自分のところの施設としてつくらすという点もございますので、そういう点等総合的に考えまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、非常に船の動きというのがひんぱんになってまいっておるような傾向もございますので、まあそういう点も十分配慮いたしまして、そういう不便のないように、いま少し足りないような部分については、そこを重点的に整備していくべきではないだろうかと、こういうふうに考えております。
  47. 田渕哲也

    田渕哲也君 まあ自社施設といいましても、この大企業と中小企業とではかなり差があると思います。  それから、せっかく港湾法が改正になって、環境整備とか、そういう面に重点が置かれて国の補助も出るようになったわけですけれども、この福利厚生面においても、その充実のために、何らかの強力な措置をとっていただくように要望したいと思います。  それから次に、今回の港湾法の改正によりまして、第三条の二に「運輸大臣は、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針」を定める。それから三条の三に「港湾計画は、基本方針に適合し、」「基本的な事項に関する運輸省令で定める基準に適合したものでなければならない。」、こういうことが新たにうたわれたわけであります。従来の法律では、第四十八条に「(港湾計画の審査)」ということがあったわけですけれども、実質的にどのような差が出てくるのか、またどのような利点があるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  48. 岡部保

    政府委員岡部保君) 現行法の第四十八条の計画の審査に関する問題と、それから今回の改正法の三条の二、三条の三との関係でございますが、現行法と改正案の違いを要約いたしますと、約三つの点があげられるのじゃないかと存じます。  まず第一点は、現行法におきましては、港湾計画の審査基準として全国の開発に関する国の計画等、という字句を使っております。ところがこれは非常にばく然としておりまして、港湾管理者にとってはむしろ具体的な基準が明確でないという一部の声があるわけでございます。したがいまして今回の改正の機会にこの点を合理的に改定すると申しますか、もう少しはっきりさせようということをいたしたというのが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、これは非常に違いがございますが、重要港湾港湾管理者は、現行法では運輸大臣の求めがあったときのみ港湾計画を提出するということになっておりました。ところが改正案ではその提出を法律上義務づけたわけでございます。重要港湾管理者というものは計画を提出しなければならないことになったという点がございます。これはむしろ三十八条の二というところで、港湾管理者に対して臨港地区内における行為規制権を与えるということから、やはり計画というものをオーソライズしておりませんと、行為の規制をする以上、いわゆる臨港区域内の住民と申しますか、そういうものに知らしめておかなければならないという矛盾が生ずるおそれがありますので、こういう港湾計画をはっきり必須要件とする必要があったということでございます。  それから第三は、従来においても行政指導はいたしてきたところでございますが、港湾管理者港湾計画を立案するにあたって、地方港湾審議会への諮問を法的に義務づけることとしたことでございます。これは最近、環境問題等港湾計画の策定に際しまして配慮すべき事項が非常にふえております。ふえたし、多様化と申しますか、複雑化と申しますか、そういうような傾向にございますので、どうしても住民への配慮あるいは住民に対する意向の聴取ということが十分行なわれるべきであるということで、従来大港湾においてはみずから自分の港の港湾審議会というものを持っておられまして、現実審議をされておったという実例が多々ございますが、これを法的に義務づけたということでございます。  以上が港湾計画策定の手続の改正点でございまして、このような理由で、大きく申せば、三点を現行法の四十八条から非常に変えたということが申せるかと存じます。
  49. 田渕哲也

    田渕哲也君 労働省の方、お見えでしたらお伺いをしたいと思いますが、港湾における労働災害の発生状況について説明していただけませんか。
  50. 中西正雄

    説明員(中西正雄君) 港湾荷役業における労働災害は、昭和四十三、四年ごろから急激に減少しております。相当大幅な減少を毎年続けておりまして、特に昨年は死亡者が九十七名と、初めて百人台を割ったような状況でございます。
  51. 田渕哲也

    田渕哲也君 他の産業の業種に比べてどうですか。
  52. 中西正雄

    説明員(中西正雄君) 他の産業業種と比べますと、災害発生率につきましては、   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 高いほうでございまして、一番高いのは鉱業山の鉱業関係が一番高いわけでございますが、それに次いで高くなっております。度数率という災害発生率をあらわす数字がございますが、これによりますと、港湾荷役業の昨年の度数率は三八・六でございまして、建設業の約二倍半という高率を示しております。
  53. 田渕哲也

    田渕哲也君 いま労働災害が減少したといいましても、他の産業に比べたら鉱業に次いで高いということで、これは非常に大きな問題ではないかと思います。いままでのわが国港湾整備計画というのは、ややもすれば経済優先につくられて、安全対策という面が非常におろそかにされておったのではないかと思います。  全日本海員組合が、わが国の主要九十一港について調査した「港の総点検」というのがあります。これは特に人の面から見た安全のチェックポイント、それから船から見た安全のチェックポイント、この二つに分けて調べておりますけれども、それぞれについて、日本の港というのはきわめて安全性が低いということが指摘をされております。  たとえば、まず人の面の安全ですけれども岸壁で作業をする人の問題あるいは岸壁を通行する人の問題、こういう人のための安全施設や救命設備の欠除というものが指摘をされております。特に岸壁での安全ということでは、たとえば照明の点をとってみましても、十分な明るさのあるのは調査対象の中の六割にすぎません、あとは暗いか、ほとんどないというのが現状であります。それから手すり付きみち板についてもこれが備えられているのは全体のわずか一四%、八六%がこれがないということであります。それから安全な通路標示が示されておるのは全体の三割にすぎない。それから救命具ですね、救命具の設備についても、これは米軍が使っておる埠頭とか、外国の港には必ず備えつけられておるけれども、日本の港にはほとんどないところが多い。特に岸壁の階段ですね、転落した場合の、よじ登るとか、あるいは助けるための岸壁の階段のあるのも全体の半分足らず。それからボートフックがあるのが全体の一割、救命ブイがあるのが全体のわずか八%、ロープとか、はしごが備えつけられているのが一割あまり、このようなきわめてお粗末な現状だと思います。こういう面について、どう考えられますか。
  54. 岡部保

    政府委員岡部保君) 御指摘のとおりでございまして、私どもも全日本海員組合からこの「港の総点検」の資料をいただきまして、御説明を承って非常に恥じ入った点がございます。われわれとしては、考えておったつもりでいながら非常に抜けておったというような感覚がございます。そういう点については大いにこれから反省しなければいかぬと考えておるわけでございます。  ただ現段階で、これに対してどういうふうな考え方、具体的にどういうふうにしていったらいいかという点について申し上げますと、たとえば岸壁の階段でございますとか、あるいははしごであるとか、車どめであるとか、そういうようなものにつきましては、これは岸壁の付帯施設ということで、明らかに公共事業の対象であれば補助対象になり得る施設でございます。そうだとすれば、むしろ岸壁の今後の計画設計、実施設計の内容として、もっとこういうものを取り上げていかなければいかぬという考え方に立っていきたいと考えております。ただ、これと必ずしも、たとえば救命具であるとか等々の、必ずしも港湾施設として補助対象に現行でできないという点が多々ございます。こういう点につきましては、私どもむしろなるべくこういうものを、安全基準と申しますか、そういうものを考えていって、その上でなるべく可能なものは補助事業の対象にするというような方向がやはり一番整備をするためにはプラスになると思います。そういう方向でこれから処置をしてまいりたいというふうに考えております。
  55. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほどの改正法の第三条の二と三ですね、ここで運輸省令で定める基準とか、そういうものがうたわれておるわけですけれども、こういう基準の中には、こういう安全基準も当然含まれるべきだと思いますけれども、こういうものを含めて基準を作成されるお考えはありますかどうか。
  56. 岡部保

    政府委員岡部保君) 当然こういうものの安全をどういうふうに考えていくべきだというような、基本的な考え方は、こういう基本方針にも入りましょうし、それから計画基準というようなところにも当然入ってくると存じます。また、いわゆる港湾施設に関する技術上の基準というのは五十六条の二にございますが、こういうような港湾施設に関する技術上の基準というところでも、やはりこういうものを織り込んでいきたいというふうに考えております。
  57. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、この安全施設に付随しまして、福利厚生面についても、調査の結果、すでに御承知と思いますけれども、公衆便所があるのが約半分、それから港湾関係者の休憩所があるのが大体四割、それから保健所が定められておるのが四五%。こういうことになっておりまして、福利厚生面といいますか、衛生面においてもきわめて不備だということがあるわけです。やはり公衆便所かないと、岸壁で用を足していて転落するというケースもあるようですし、それから港湾関係者の休憩所がないと、船員の居住区に立ち入っていろいろトラブルを起こすということもあるようですので、この点についても基準の中に取り入れていただきたいと思います。
  58. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生のおっしゃるとおりだと存じます。また、そういうものの整備につきましては、従来いわゆる公共埠頭におきまして、一般の雑貨埠頭におきましては上屋の一部をそういう便所あるいは休憩所というようなものに利用するというような実例がございまして、上屋の建設港湾管理者の起債事業で実施をいたしておりますが、そういうような際に、なるべくそういうものをふやしていくように、これは指導をしていくつもりでございます。
  59. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから保健所の管轄がきめられていないというところが半分以上あるわけですけれども、たとえば船の飲料水のよごれの問題とか、たとえば岸壁まではこれは市の保健所が管理しておるけれども、船まで水を運ぶはしけの問題とか、あるいは船そのもののタンクの問題とか、それからまた伝染病が船内で発生したような場合ですね、その場合の管轄保健所とか、そういうものが明らかでないがために非常に困るという例もあるわけです。この点はいかがですか。
  60. 岡部保

    政府委員岡部保君) この問題につきましては、どうもあまりすかっとしたお答えが申し上げられないのでございますけれども、一応船舶給水事業者というものが行なっております給水のように、販売の目的で行なう給水につきましては、食品衛生法の検査、衛生管理の規定の適用を受けまして、厚生省が窓口となるわけでございます。そこで一たん給水事業者から受け取りまして、船舶内に貯蔵された水の水質保持、衛生管理につきましては、船員法の適用を受けて、運輸省が所管しておるということになるかと存じます。したがって、このような点、若干いま先生の御指摘のあったような問題点がその境界面であるということは、私もよく存じておりますので、これについては、今後関係方面と十分打ち合わせをしてまいりたいと考えております。
  61. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、いままでは人の面ですけれども、船の面から見た安全性についても、防波堤があるのが五六%、ないのは二四%、不完全なのは一七%というような結果が出ておるわけです。それから港の広さとか深さにも非常に問題があるようであります。  これに関連しまして、先般福島県の小名浜港でノルウェー船のアンデュウレス号が岸壁で損傷しました。これはまだ防波堤が不完全な状態使用させたがために、波浪でその岸壁に当たってこわれたということでありますけれども、こういう場合の使用判断ですね、これはだれが出すことになっておるわけですか。
  62. 岡部保

    政府委員岡部保君) やはり、ただいま御指摘のございました具体的な例、小名浜港での問題等につきまして、港湾の中でどういうふうに、こういう非常事態のときにどう処理するべきであるかという点については、これは後ほど海上保安庁の長官のほうから御説明いただくと思いますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましても、いままで港湾計画あるいは建設の実態と申しますものが、最初に御指摘のございましたように、利用することを主体にしておったというか、やはりいささか経済を重んじ過ぎたという感じがございまして、たとえば中の岸壁、埠頭を一生懸命先行してつくる、それのわりには防波堤がおくれておるというような反省がございます。したがって、むしろそういう安全を守るための施設というのが非常に先行して、そのあとでほんとうに港が使えるようになっていくというところまで、あえて最初の先行投資というものを考えなければいかぬということを考えておりまして、これは今後とも、われわれも努力いたしますし、それから港湾管理者においても、そういうような考え方港湾計画を立てていただくというふうに、これからもしてまいる考え方でございます。
  63. 田渕哲也

    田渕哲也君 海運局にお尋ねしたいと思いますけれども、苫小牧のカーフェリーバースの問題ですけれども、現在の就航状況はどうなっておりますか。
  64. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 現在、苫小牧港に関するカーフェリーの就航状況でございますが、東京から苫小牧まで一社三隻、それから名古屋から仙台を経まして苫小牧へ行っております航路が一社一隻、八戸から苫小牧が一社一隻、合計三社五隻が就航しておるような状況でございます。
  65. 田渕哲也

    田渕哲也君 現在申請を出しているところはかなりあると思いますけれども、今後の就航計画はどうなっておりますか。
  66. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 就航中のただいま申しました三社五隻のほかに、この秋から来春にかけましてすでに一社二隻、これは仙台−苫小牧でございますが、これが就航する予定でございます。  それから名古屋−仙台 苫小牧、先ほど申しました航路が一隻増便をする予定でございます。これが既免許の分でございます。それから免許申請中のものが東京−鹿島−苫小牧という計画で三社八隻、八戸−苫小牧という航路で一社一隻、これが申請提出中でございます。この申請中のものの処理につきましては、いろいろ苫小牧港の港湾施設の事情もございますので、港湾計画が完成できるまでは免許する気持ちは目下のところございません。
  67. 田渕哲也

    田渕哲也君 現在苫小牧ではカーフェリー専用バースはなくて、石炭バースを使っておるということでありますけれども、現在この三社五隻が就航しておりますけれども、大体四日に一度は一時間交代でシフト制で沖待ちをしておるというのが現状だと思います。これはまあ苫小牧は太平洋に直面しておりまして、きわめて波のうねりが高い、それから港口が非常に狭いというようなこともあって、沖待ちはきわめて危険であるということが指摘をされているわけです。それがさらに七月から一隻ふえる、それから十二月からは八隻になるということになると、この頻度は非常にふえてくる、これはきわめて危険ではないかと思いますが、いかがですか。
  68. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 御指摘のとおり、沖待ちシフトをせずして就航できれば一番それにこしたことはないと思います。港湾計画がもし完成できますれば、当然そういった理想的な姿になるのでございますが、片や社会情勢を反映いたしましたフェリーに対する輸送要請、輸送需要のほうも一がいに無視できませんので、われわれといたしましては、免許をするに際しましては、地方の海上保安部署あるいは港湾管理者に照会をいたしまして、シフトでも一定のルールに従ってやれば安全上支障がないという回答を得て免許をしたような次第でございます。  秋から一ぱい、あるいは二はいふえる問題でございますけれども、八戸からの二はいの問題は運航時間帯の関係で目下の沖待ちシフトの問題とは競合いたしません。  それから、もう一ぱい増便のほうが、多少競合する、間隔が縮まる問題が起こるかと思いますが、これも先ほど申しましたように、現行のルールを厳守していただければ安全上支障はない、このように考えております。
  69. 田渕哲也

    田渕哲也君 この苫小牧をつくるときに、苫小牧は天然港でなくて、太平洋に直接面しておる港であります。したがって沖待ちをしないという前提で、港湾管理者においても港をつくったということを聞いておるわけですけれども、それにかかわらず沖待ちを前提にしたスケジュールを組むというのは、ちょっと問題ではないかと思いますが、いかがですか。
  70. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに先生のおっしゃったとおりで、沖待ちをしないということが前提で計画をされておる港でございます。特に掘り込み式港湾でございますので、泊地を十分とるということは非常にむずかしい構造でございます。したがって苫小牧港自体の問題といたして、非常にそういう点での、まあ言うなれば欠点と申しますか、弱さがあるわけでございます。そこで、いま海運局長も御説明ございましたように、カーフェリーの問題、これはむしろ一刻もすみやかに本格的なカーフェリー埠頭施設というものを早く整備しなけりゃいけないんじゃないかということで、いま沖待ちするようなこと自体を施設面で解消するように、私どもはこれから努力をして、これは現実には民間でおつくりになる施設になるものでございますので、これをなるべく早く仕上げるということのほうに指導をしてまいりたいという考え方に立っております。
  71. 田渕哲也

    田渕哲也君 現在、このシフト制をなくすために室蘭港の利用ということについて、船会社あるいは港湾管理者、さらには海員組合から港湾局長、海運局長に申し入れが出ておると思います。これについてどういう処置をとられましたか、お伺いしたいと思います。
  72. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 全日本海員組合のほうから、沖待ちシフトを解消する一つの手法といたしまして、一つの会社のほうを室蘭に移したらどうか、こういう御提案がなされておることは事実でございます。その提案を受けまして、北海の海運局——やはりこういった問題は東京で論議するよりも現場で論議してもらうほうがより適切ではないかということで、北海の海運局、それからやはり北海道の策一管区海上保安本部、それから全日海の支部長、こういった関係者が集まって協議を続けております。まだ協議を打ち切っておりませんので、最終結論というわけではございませんけれども、いろいろやはり室蘭につきましても問題があるように私の耳に入っております。たとえば室蘭のフェリーバース、これは青森から行っております小さなフェリーが使っております。水深が四メーターしかございませんので、現在苫小牧に就航しておる大きな船はちょっと使えない。しからば一般の公共バースを使ったらどうかということでございますが、室蘭港は非常に潮の干満がございまして、いわゆるランプウェーが非常に急角度になって、車の積みおろしにかえって問題がある、安全的に使えるのが朝夕二時間ずつしかない、このように承っております。  それからもう一つは流通の面でございまして、苫小牧に朝着きまして三十六号線を札幌まで参りますと、大体七時半ごろ青果市場に着く。朝のせりの最後が八時でございますので、一ぱい一ぱいで間に合っておる。これを室蘭に移しますと時間的にどうしても間に合わなくなる、こういった流通面の要素もございます。いろいろな問題があるようでございますので、簡単に室蘭に移せばすべて問題が解決するということではないようでございます。なお現場でもって、少しでも、一歩でも安全サイドにいく余地がないかということで協議は続けております。  現状は以上のようであります。
  73. 田渕哲也

    田渕哲也君 こういう問題は事故が起こってからではおそいので、これは七月からさっそく増便になるわけですけれども、早急に対策を打っていただきたいと思います。  それから次に、消防施設並びに油の拡散防止施設について、これも現在はきわめて不十分だと思います。陸上の消防施設が十分あるのも五〇%にすぎない。それから消防艇が備えつけられておるのはこれまた半分ぐらい、それからオイルフェンスが完全にあるのが四割ぐらいというようなデータも出ておるわけですけれども、今後の整備方針についてお伺いをしたいと思います。
  74. 岡部保

    政府委員岡部保君) いわゆるオイルフェンスと申しますか、油拡散防止施設につきましては、実は昭和四十八年度予算の際に予算要求をいたしまして、こういうものを港湾管理者が備蓄するという場合に、備えつけるためにはそれの補助をするべきであろうということで予算要求をいたしまして、残念ながらこれは認めていただくところまでまいりませんでした。こういうような問題がありまして、今後とも私どもはこういうものを何らか、港湾管理者が備えつけられる、整備されるという以上は、財政面ではこれは御援助をする必要があるんではなかろうかという考え方に立っております。  したがって、いわゆる港湾管理者でこういうものを整備しなければならないということを一生懸命片や指導しておきながら、その裏づけをわれわれが御援助できないというのははなはだ残念でございますので、この点は努力をしていく予定でございます。  また、それと同様な考え方で、たとえば港内を清掃する船であるとか、こういう清掃事業でありますとか、そういうものに対しても、やはり同じような考え方で進んでいきたいという考え方でございます。  ただ消防の施設につきましては、現在港湾の引き船、いわゆる引き船を港湾管理者で持ちます場合に、これは起債事業で実施をいたしております。そういう際に、こういう引き船にも、いわゆるタグボートにも消防施設を併用できるように、併用と申しますか、能力を持たせるように現在指導をしているところでございます。
  75. 田渕哲也

    田渕哲也君 こういった点、いろいろ問題があるわけですけれども、今後の港湾計画の作成にあたって、できる限り使う人の立場に立ってやる必要があると思うのです。したがって地方港湾審議会のメンバーにユーザーの代表としまして、もちろん地元の海運業者の代表が入ることは当然だと思いますけれども、必ず船員代表、具体的には海員組合等の代表ということになろうと思いますけれども、加えるようにしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  76. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私どももそうあるべきだと考えております。ただ、地方港湾審議会のどういうメンバーをどういうふうにするかというような点につきましては、地方条例等で地方の港湾管理者がおきめになるべき問題でございますので、私どもはそういうような線で指導をしてまいりたいという考え方でございます。
  77. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、港湾財政の問題について若干お尋ねをしたいと思います。  港湾整備事業費は年々増加しておりますけれども、行政投資額ベースで昭和三十六年四百六十七億円、これが十年後の四十六年には二千七百十一億円、このように急増しております。港湾管理者はこの大規模な港湾整備費を、一部は国の補助を受けながらやっておりますけれども、大部分は管理者の母体である地方自治体の財政援助によってまかなっております。そしてこの事業規模はどんどん拡大しますけれども港湾施設使用料等の収入増加に対する手段というものは必ずしも十分ではない、したがって管理者及びその母体の地方自治体の経済負担は、ますます重くなっていると思います。このような港湾財政の行き詰まりをどのように打開していくのか、その方向について、考え方をお聞きしたいと思います。
  78. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま御指摘のございましたように、たとえば、何と申しますか、資本勘定と申しますか、建設勘定と申しますか、いわゆる施設建設という面での投資、これが一つの財政の圧迫であるという問題、それから経常と申しますか、管理費用と申しますか、そういうものですらもまだ十分まかなえるような収入が入っていないというような、経常的な経理の問題、そういうような問題があると思います。  そこで私ども考え方といたしましては、いわゆる建設投資というものにつきまして、これは言うなれば国が負担し、あるいは補助しているというものの率を上げていく、もしくは受益者負担と申しますか、これを利用者からそういう資金源を求めるというような方向管理者財政を救うための方法ではなかろうかということで、ある意味では国の補助負担を、新しい項目について今回の法改正でも環境問題についてはお願いをしているわけでございますが、こういうような、実態的に少しでも国の負担補助をふやしていくということに、今後とも努力をしてまいりたいという考え方でございます。  ただ、それともう一つは、先ほども申しましたように、受益者負担と申しますか、そういうような利用者サイドからの資金源を求めるということで、あるいは受益者負担金として直接取る場合もございますし、あるいは公団のように利用者サイドから資金を出させていくというような考え方もございます。そういうような方向で進んでまいりたいという考え方でございます。  そこで今度は、一般の経常的な問題、いわゆる管理費というもの、あるいはそういう建設に要しました債券の利子、金利を負担するというような、そういう経常的な問題についての考え方は、やはり施設使用料等を充実させていかなければいかぬのではなかろうかという考え方でございます。たとえば係船岸の使用料というものも現在若干の値上げと申しますか料率アップをはかっておるわけでございますけれども、そういうような点でこれを補っていきたい。したがって、それによって少なくも経常経費がいわゆる企業会計方式と申しますか、そういうようなもので、少なくもとんとん以上のものにしていきたいというふうな考え方でございます。
  79. 田渕哲也

    田渕哲也君 企業会計方式で採算がとれるようにする、現在は収入が支出の大体三分の二ぐらいだと思いますけれども、いま御指摘のように収入の増大をはかると同時に、経費を減らすと、そのためにはまず国の補助を増大して、金利負担を少なくするということも必要だと思います。それで国の補助の問題ですけれども、重要港湾では五割の補助率ということになっておりますけれども、埠頭用地、それから上屋、荷役機械、こういう機能施設補助対象から除外されております。  ところが、こういうものが必ずしも全部収益をあげ得る事業とは限らない。たとえば埠頭用地の中でも荷さばき用地とか、あるいは臨港交通施設用地などは料金の徴収が困難だということもあるわけであります。収益事業でしたら起債ということでまかなえるわけですけれども、事実上収益を伴わないようなものは、やはり国の補助の対象とすべきではないか、そういった意味で、国の補助の拡大をはかるべきだと思いますれども、この点について、御見解をお伺いしたいと思います。
  80. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私どもも、先生のただいまの御主張に全く同意見でございます。でき得る限り国の持ち分と申しますか、そういうものを増加させていきたいという考え方でございます。ただもちろん、これは財政当局等のなかなか関門もございますし、そう簡単にいく問題ではないと考えます。  ただここで、ちょっと申し上げますと、かつて上屋あるいは荷役機械が一割補助を受けたという実績もあったわけでございます。そういうような事例もございますし、やはりいまおっしゃいましたように、はっきりと収益的な性格を持っていないものについては、やはり補助対象にするべきではなかろうかという考え方が、私ども全く同意見として今後とも努力をしていく所存でございます。
  81. 田渕哲也

    田渕哲也君 この上屋についてもかなり問題があると思います。いま補助の対象になっておりませんけれども、これも四十年の答申の中で、上屋から直接船に積み込む、あるいは荷揚げをするという、これが一番港湾荷役としては理想的な形態であるとされておりますけれども、これがまた主要八港においてもきわめてパーセンテージが低い。揚げの場合に二五%、積みの場合八%ということになっておるわけですけれども、この一つの要因としましては、上屋の使用方法にあるということが指摘されております。これは上屋が収益の対象として考えなければならないから、勢い保管料を取るための事業として考えられる。本来上屋というものは屋根のあるエプロンであって、荷さばきの都合上かりに置くものではなかろうか、そうすると上屋を収益事業として考えた運用をするのは問題がある、こういうことも考えられるわけであります。  したがって、こういう弊害を除くためにも、上屋についても、これは収益事業という言い方ではなくて、補助対象という考え方が必要と思いますけれども、この点はいかがですか。
  82. 岡部保

    政府委員岡部保君) これまた御指摘のとおりでございます。たとえば上屋において、いわゆる上屋という本来の機能、いわゆる荷さばきのための機能ということを考えますと、短期的に貨物が上屋の中に滞留するというのが当然でございまして、長期滞留というのは上屋の本来の性格ではなく、いわゆる倉庫というものが当然長期滞留という性格を持っているというふうに考えられるわけでございます。  したがって、たとえば上屋の使用料の基準にいたしましても、短期滞留は非常に安くて、長期滞留になると高くなるというような料金体系はとっております。ただ、現実の問題といたしましては、そういうものであれば、理想的に使われれば使われるほど収益は全く上がらなくなるというのが本来の性格であるという点の矛盾がございます。したがって、こういうものに対しての整備という問題が、いまのような考え方で済むのかどうかという点については、われわれとしても大いに反省しなければならぬ点がございますので、今後とも努力をいたしたいということでございます。
  83. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、この使用料の問題ですけれども、これも料金の適正化と料金体系の再検討が必要だということが、四十年の答申では指摘されております。  その一つとして、施設使用料の料率を少なくとも原価まで引き上げるべきだと。それからもう一つは、港湾の中で、外郭施設とか水域施設については使用料の徴収が禁じられております。また臨港道路や泊地については、この使用料を徴収することが困難な場合もあります。こういう面をカバーするために、個々の施設別の使用料のほかに、総合チャージを設定すべきである、こういう点も述べられておるわけですけれども、これは具体的にどのような措置がとられてきておるかということについて、お伺いをしたいと思います。
  84. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず施設別の使用料の問題でございますが、現在もやはりこういう使用料の引き上げというのが必要であるというような動きが非常にあるわけでございます。たとえば岸壁使用料というものにつきましては、六大港では統一料金といたしておりますが、往来、一日当たりの船の総トン数一トン当たり四円であったということを、徐々にこれを上げていきたいということで、昭和四十八年度は四円五十銭、四十九年度は五円、五十年度には五円五十銭というふうな、段階的に上げていくということを現在、これは五十年度の五円五十銭という数字については若干の問題があるのでございますが、一応四十八年度、四十九年度のスケジュール的な料率アップということは、利用者サイドも認めまして、これが軌道に乗ったわけでございます。それと、いわゆる係船浮標——ブイの使用料につきましても、従来一日当り総トン数千トン未満の船は千六百七十円でありましたのを、四十八年度以降二千円に改定を行なうというような報告を、私ども承っております。  こういうようなことで、やはり施設別の問題、これは確かに上げなければならないという考え方でおりますが、これとてもやはり利用者サイドのあることでございますので、そこの辺との関連で、どういうふうに進めていくかという問題がございます。  ただ一般的に申しますと、この料金というのは、日本の現行料金が諸外国に比べてどうであるかと申しますと、いわゆる発展途上国の港湾よりは高いけれども、いうなれば、いわゆる先進国と申しますか、そういうような港湾よりは安いんではなかろうか。その間の地位を占めておるということが、ごく大ざっぱに申しての評価かと存じます。  そこで、次に、お話の最後に出てまいりました総合チャージの問題でございますけれども、この問題につきましては、いわゆる個々のそういう港湾施設というものが上がるにいたしましても、たとえば航路でありますとか防波堤など、港湾法によって使用料の徴収を禁じられておる施設がございます。また先ほどもお話に出ましたが、臨港道路であったり泊地のように、使用料徴収は禁じられてはおりませんけれども、徴収が事実上不可能である、あるいは困難であるというような施設建設改良費の負担があげられるわけでございます。こういうようなことを考えまして、入港料でありますとか、あるいは埠頭通過料でありますとか等々の、いわゆる港湾全体に関しての一つの総合チャージというようなものを考えなければいかぬということが、この審議会の答申にも出ているわけでございます。  そこで入港料につきましては、従来から、港湾管理者の集まりと船主団体との間で検討を続けておりますけれども、どうもトン税とこの入港料というものが同じような性格であって、二重に取られるということになるんではなかろうかというような議論で、現段階までは、まだ話し合いがついておりません。したがって、ごく一部の港湾入港料が徴収されているという現状でございます。したがって今後、やはり先生の御指摘のとおり、管理者財政の問題等々から考えますと、やはりこういうものをどういうふうに考えていくべきかという点について、もう少し時間をかしていただきたいと存じますが、絶え間なく検討を進めて、少しでも前進させていきたいという考え方でございます。
  85. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、港湾行政の一元化の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども港湾行政の一元化が前々からいろいろ問題になっておりますけれども、これは具体的な問題としまして、この海上における官庁業務の一元化だけでもやれないものだろうか。たとえば現在の滞船時間の中に、やっぱり検疫待ちとか、そういう時間がかなりあるわけですけれども、現在、関税は大蔵省が来る。それから検疫には厚生省が来る。それから動植物の検査には農林省が来る。それから出入国管理には法務省が来る。全部ばらばらで来るわけです。その間、船のほうは待っていなければならない。非常にロスが多いということも指摘されておるわけですけれども、この辺の改善策について考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  86. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに、港湾においての国の出先機関一元化の必要性と申しますか、簡素化ということが、非常に強い要望があることも事実でございますし、行政管理庁からそういう指摘を受けたという例もございます。したがって私ども、いろいろそういう点では、これはわれわれだけではできることではございませんが、各省とも御相談しながら考えておるというのが事実でございます。そこで各機関とも、それぞれの独自の行政内容でございますので、これをただ無理に集めるといっても、これはなかなかむずかしいと存じます。したがって私どものいままで進んできておる道と申しますと、たとえば入出港届けの様式の統一、これの統一がはかられれば、税関に出す書類も、あるいは海上保安庁に出す書類も港湾管理者に出す書類も、みんな一つのあれで済むではないかという、そういう書類の統一、あるいはこういう機関の横の連絡会議を設けること。それから合同庁舎へ集約して入っておって非常に便利をはかるというような、ちょっとなまぬるい手段かも存じませんけれども、そういうような段階措置は、いままでも少しずつでも進めてきております。今後の基本的な問題については、まだまだこれから先の問題かと存じますが、今後とも検討していかなければならぬという考え方でございます。
  87. 田渕哲也

    田渕哲也君 これはそれぞれ各省が分かれておりますので、なかなか一本化は現実の問題として困難な面もあろうかと思いますけれども、ただやってくる時期がまちまちなのが非常に困るということなんで、一緒に来れるという方法はないものですか。
  88. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは港湾だけではなしに、たとえば国際空港なんかでも問題になるところであると思います。これは権限を一本にしろとかいうことになりましても、行政組織の上からなかなか困難だと思いますが、それぞれの権限のある官庁から派遣された出先機関がばらばらになっているという状態でございましょうから、要は利用されるといいますか、港湾に入ってきて、こういう官庁との接触をされる人たちが、きわめて便利に、手っとり早くいろいろの手続をしてもらうというような仕組みができないかという、具体的な技術的な問題になるんじゃないかと思うんです。この点は全く同感でございます。いままでは性質上検疫は検疫というふうに非常に分かれておりますけれども。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 何とかして事務の性質によってあなたのおっしゃるような一本化できるような仕組みを各省で相談してつくるようにすることが役所側として望ましいし、利用される方にとっては一番それがいいのじゃないかということでございますから、これはさらに、いままでも検討していると思いますが、さらに積極的に関係各省と相談をすべきことにしたいと思います。
  89. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に沖繩の那覇港の問題について若干質問したいと思いますけれども、那覇港の滞船状況が非常にひどいということを聞いております。これは本土の五大港と比較して状況はどうなっておりますか。
  90. 岡部保

    政府委員岡部保君) 昭和四十一年から四十五年の五カ年間の平均で見ますと、本土の五大港で滞船率が一一・三%であるのに対しまして、那覇港では一七%となっておりまして、本土の五大港に比べて那覇港の滞船率はかなり高い数値であるということがいえると存じます。
  91. 田渕哲也

    田渕哲也君 この沖繩の主要港である那覇港は、港がきわめて狭い上に貨物が滞積して、これが沖繩の物資の流通のひとつのネックになっているということも聞いておるわけですけれども、現在この那覇港の沖には平均十隻が入港待ちをしておるという状態であります。しかもその待機期間は三日ぐらいかかるというようなこともいわれておるわけです。  ところがこれに隣接する米軍の那覇軍港は、ベトナム戦争が停戦されたことによりましてがらあきである、こういう状況になっておるわけです。こういう現状から見て、この那覇軍港の返還ということが沖繩県民の最大の願望だというふうに聞いておりますけれども政府は那覇軍港の返還について要求をされておるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  92. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) ことしの五月に入りましてから那覇市の議会の議長さんから、それから六月に入りまして市長さんから、いま先生がおっしゃったような理由で、那覇軍港の返還をぜひ実現してもらいたいという御要望がございました。で、私どもといたしましては、日米合同委員会の下部機構で、私どもが主管官庁になっております施設委員会というのがございますが、そこの場でいろいろいまサウンドしておりますが、ちょっと見通しが困難な感じがいたします。  ただ最近、私どももいろいろお話を承りまして心配しておりますのは、沖繩海洋博の工事に関連いたしまして資材の陸揚げ等について、たいへん陸揚げ場が不足して困っておられるというようなことの関係もありますので、とりあえず当面の措置として共同使用でもさせてもらいたい、こういうようなことを施設委員会の席上で実は申し入れております。これに対しては、十分検討したいという返事をもらっております。
  93. 田渕哲也

    田渕哲也君 返還については全然見通しがないということですか。
  94. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) ちょっといまの段階、返還の可能性をわれわれとしては感じられません。それでいろいろ、そういうサウンドの過程で、もし返還を正式に要求いたしますならば、おそらく代替施設の提供を求められるのではないかというような感じがいたします。
  95. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、特に海洋博のために物資とか人員の輸送の増大が考えられるわけです。これは現在、共同使用を交渉中だということでございますけれども、それと並んで運天港に三千トンクラスの旅客船の入港の必要がある。その整備計画は現在どうなっておりますか、お伺いしたいと思います。
  96. 岡部保

    政府委員岡部保君) 運天港には、現在大型船の岸壁といたしましては水深六メートル岸壁が一バースあるわけでございます。ただ海洋博会場等の建設資材搬入のために、ことしの秋を目ざしまして水深七・五メートル岸壁、いわゆる五千重量トン級の岸壁を一バース整備を現在鋭意実施中でございます。なお、このバースは構造的には水深九メートルでございまして、海洋博の開催時までには、航路関係を掘りますことによりまして、一万重量トン級の船舶が接岸し得るように、現在計画をいたしている次第でございます。
  97. 田渕哲也

    田渕哲也君 沖繩の港湾整備の今後の基本的考え方としまして、那覇港は旅客専用にする、それから泊港は離島航路専用にする、それから那覇新港は貨物専用にする、こういう方針について那覇市と沖繩開発庁が話し合いを進めておるというふうに聞いておりますけれども、具体的に、こういう計画に沿って整備が行なわれておるかどうかお伺いしたいと思います。
  98. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生のおっしゃいましたとおりでございまして、いわゆる那覇商港区と申しますか、先ほどの軍港のありました対岸でございますが、この港区は本土との連絡等の旅客船のための寄航港として、それから泊港区につきましては離島連絡、それから現在、鋭意整備中でございます那覇新港という新しい港を外側につくっておりますが、この港は主として貨物取り扱いの流通基地とするという方向で順次機能の強化をはかっていきたいという考え方でございます。  そこで一応、そういうような線に沿いまして、大体昭和四十七年度で約十二億、昭和四十八年度には約二十億の事業費をもちまして、この港湾整備をしているところでございます。
  99. 田渕哲也

    田渕哲也君 この港湾整備について、先ほどの軍港の問題ですね、これは返還ということを予想は全然していないわけですか。
  100. 岡部保

    政府委員岡部保君) 残念ながら、どうもいまのところまだ見通しがはっきりいたしませんので、返還ということは、この考え方に入っておりません。
  101. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、沖繩の港湾の財政の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、沖繩の港湾の財政の収支は黒字だということがいわれているわけです。その一つの要素は、使用料が本土に比べて非常に高いということがあげられているわけですけれども、この使用料の本土との格差というものについて、今後どういう方向で調整されるのか、あるいは沖繩は高いままやられるのか、お伺いしたいと思います。
  102. 岡部保

    政府委員岡部保君) 那覇港は那覇市が港湾管理者であるわけでございますが、復帰いたしまして以来、昭和四十七年度末までの間における収支状況は、現在集計作業中だそうでございます。したがって、まだ数字を私どもキャッチいたしておりませんが、特に鹿児島港と比較しまして施設使用料の水準がだいぶ高いという声があることは事実でございます。  そこで現行料率は、もともと復帰前の那覇商港及び旧泊港の港湾施設使用料率を基礎として定められましたものでございまして、必ずしも高過ぎるとは思いませんが、本土の料金とだいぶ格差があるということは事実でございます。  そこで、私どもこれをどうするかという御質問でございますけれども、いま那覇市で、施設使用料等の問題につきまして那覇市の港湾審議会で現在検討をされておるという段階でございます。したがって、この那覇市の港湾審議会の結論を得まして、ひとつ運輸省としてどういうふうに考えるかということを、これから考えてまいりたいということでございます。
  103. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから沖繩では、航路の水深、あるいは水路の調査がきわめて不十分で、海図も完全でないというようなことも聞いておるわけですけれども、これに対して、今後はどういう対策をとっていかれますか。
  104. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 沖繩周辺の海域の海図は、御指摘のように非常に不備でございます。現在約二十の海図が刊行されておりますけれども、これの測量が実施されたのは、一番新しいのは昭和十年ということで非常に古うございます。その後、一部は米軍の資料等に基づいて補正等をやっておりますけれども、全般的には非常に未整備な状況でございます。  そこで私どもとしては、沖繩返還後、昭和四十七年度は約千二百万円の予算によりまして那覇新港及び同内港の本測量及び海象の調査それから石垣、平良、金武湾の補正測量を実施いたしました。昭和四十八年度では四千六百万円の予算がついておりますので、これで平良、石垣の本測量をやりますとともに、所要の補正測量を行なうということで現在着手をいたしております。なお、四十九年度は海洋博もございますので、さらにこの測量を進めたいと思っております。五十年以降につきましても、このおくれを少しでも早く取り戻すべく、海上保安庁としての長期計画を立てて精力的に測量を行ない、海図を補正して逐次新しくしていきたい、かように考えております。
  105. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから那覇港における荷役の問題ですけれども、現在石油の荷役が雑貨埠頭において行なわれておる。混合荷役となって非常に危険だということが指摘をされております。これに対して対策を考えておられるかどうか。
  106. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の御指摘のございましたのは、那覇商港区のD岸壁地区ではないかと存じますが、内地との連絡の船の給油、いわゆるバンカーオイルの給油施設であるというのが本来のたてまえでございます。したがって、これは当然であると存じます。ただ現段階では非常に施設不足のために、やむを得ず給油以外の時間にほかの船舶が接岸して貨物荷役を行なっておるというようなことでございますので、これはいわゆる那覇新港の整備ということで、港湾全体としての混雑を解消いたしまして、こういうことを解消するという方向に向かって進みたいという考え方でございます。
  107. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから沖繩の海洋汚染の問題ですけれども、かつてエッソが原油の流出事件を起こして問題になったことがあります。特に沖繩は水が非常にきれいであって、環境保全ということがきわめて重要な問題だと思いますけれども、特に金武湾あるいは中城湾、この辺については、この立地条件のよさに目をつけて、石油会社などがシーバース、あるいはCTSの設置を計画しておると聞いております。  したがって、こういうものに対する公害防止施設というものはきわめて重要になろうかと思いますけれども、特にエッソ、ガルフはじめ、今後設置されるシーバースやCTSの計画はどうなっておるか、さらにそれに対する公害防除の対策はどうなっておるか、お伺いをしたいと思います。
  108. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず最初にCTS構想について申し上げますが、いわゆる沖繩振興開発計画というものによりますと、本島の東海岸の適地に臨海工業の伸展に対応して工業港の新設を検討するということになっており、これが金武湾、中城湾あたりの考え方であるわけでございます。  そこで今後、港湾管理者であります沖繩県でございますが、県がこの基本計画に基づいて、当然検討していくわけでございますが、私ども考え方と申しますか、現状では沖繩のCTSについて金武湾地区に設置したいという構想があるというふうに聞いている程度でございまして、まだ港湾管理者から具体的な計画としての提示を受けておりません。したがって今後、港湾管理者である沖繩県がおまとめになった上で、その計画を伺っていくというような段階になるかと存じます。
  109. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 流出油等の防除対策といたしましては、本土でやっております制度にならいまして、四十七年の十一月に金武・中城湾流出油防除協議会という官民合同の協議会をつくってやっております。そこで製油会社三社及び貯蔵タンクを持っております四社、合わせまして、民間だけで三千八百メートルのオイルフェンス、それから七万四千百トンほどの処理剤を持っております。なおそのほかに、私どもの第十一管区として、オイルフェンス三百メートル、油処理剤三千リットル、これを持っております。
  110. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから沖繩の金武湾及び中城湾におけるガルフ、エッソが、かつて巨大なシーバース建設するための六十年の長期にわたる水域占用許可をとったわけです。これが復帰に伴って、本土の港則法が適用されて、占用範囲、期間、条件等が本土並みに変えられたということを聞いておりますけれども、その具体的な経過と、具体的な内容について知りたいと思います。
  111. 岡部保

    政府委員岡部保君) 金武湾、中城湾におきますガルフ、エッソ両者の水域占用、これは復帰前に米国の海軍軍政府布告第七号によりまして、米国民政府から許可されたものでございます。両港は、復帰後に沖繩県が、先ほども申しましたように、港湾管理者として管理することとなりましたので、上記の占用許可につきましては、同県知事が港湾法三十七条第一項に基づきまして、新たに許可を与えたというのが事実でございます。そこでまず、エッソ関係について申しますと、この占用を申請いたしましたのは南西石油株式会社、これはたしか住友系統の会社と合併した会社でございますが、南西石油株式会社が申請者となりまして、占用の許可面積は三万六百八十三平方メートル、占用料は年額三十三万三千百八十四円、占用期間は四十七年五月十五日から四十八年五月十四日、一年きりでございます。占用目的は原油荷役及び製品荷役設備の設置のため。なお本件については、占用期間更新申請が占用者から提出されまして、現在手続中であるというふうに聞いております。  それからガルフ関係につきましては、沖繩石油精製株式会社と沖繩ターミナル株式会社、両社とも旧ガルフでございますが、占用許可申請が出ておりまして、二社から出ておるということでございますが、まだ許可はされておりません。この占用面積は沖繩石油精製が四万六千六百六十七平方メートル、沖繩ターミナルが一万六千九百六十五平方メートルで、占用の目的は石油製品の出荷桟橋、石油類の入荷及び出荷というような目的で出願されておる。そこでまだこれは許可されていないというようなのが現段階の実情でございます。
  112. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから那覇港の廃油処理施設というものがきわめて不備であるということも指摘されておるわけですけれども、今後の整備状況についてお伺いしたいと思います。
  113. 岡部保

    政府委員岡部保君) 那覇港におきましては、船舶から発生する廃油というものは、いわゆるビルジが主体でございます。したがって廃油を処理するために、港湾管理者であります那覇市が、昭和四十七年度に国庫補助事業として廃油処理施設整備いたしまして、四十八年の五月十一日より稼働いたしました。それでこの廃油処理施設は、大体能力三十二トンパーデイという考え方で、これはもちろん稼働時間が八時間ということで計算いたしておりますが、そういうようなことで、一応現段階で、ビルジに対する廃油処理施設というものは、これが稼働いたしまして、まず満足すべき状態になるであろうという考え方でございます。
  114. 長田裕二

    委員長長田裕二君) それでは、本案に対す田渕君の質問は終了いたしました。  本案に対する午前中の審査はこの程度といたします。  午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時三十八分開会
  115. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き、港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 森中守義

    ○森中守義君 港湾法の審議関連したことですが、保安庁見えていますか。——けさの新聞で、「〃海のネーダー〃復活」ということで、かなり大きな新聞の記事が出ておりますが、ごらんになりましたか。
  117. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先生のおっしゃるのは、けさの読売新聞、あるいは毎日、朝日新聞に載っておりました記事でございましょうか。——これは拝見いたしました。
  118. 森中守義

    ○森中守義君 「四日市・死の海と闘う」という書物を見られたことは……。
  119. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 拝見しております。
  120. 森中守義

    ○森中守義君 私もずっと以前に、公害関係の著述としては、かなり出始めの著作ですから、非常に興味あるものであり、しかも教えられるものがある。のみならず、現職の運輸省職員によって書かれた、そういう特徴的なものですが、長官、読んでどんな感じがしました。
  121. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私、海上保安庁に参りましてからさっそく岩波新書のその本を読みました。非常に公害が社会問題として大きく取り上げられている時期でございまして、この田尻君が自分で実際に公害の監視取り締まりに従事した体験をもとにして、いろいろ問題点指摘してございますし、特に彼が科学の問題を基本から勉強し直して、そして大学の先生を個人的にもいろいろと訪ねて、そのお知恵もかりて勉強もして、いろいろ意欲的に取り組んでおるということで、私ども非常に、これは海上保安庁としても、今後の公害の取り締まりの一つの教訓であるというふうに感じておりまして、たとえば海上保安大学校の学生等に対して、いろいろと体験に基づく講義をしてもらうとか、いろんな活用をするようにしてやっております。
  122. 森中守義

    ○森中守義君 こういう行ないというのが、いわば国家公務員、運輸省職員として妥当なものと思っておられるか。それともその職務を逸脱した行為だと思いますか。
  123. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先生のおっしゃる意味は、田尻君がやった職務上の行為でございますか。これは私はきわめて高く評価すべきものだと思います。
  124. 森中守義

    ○森中守義君 そこで、こういうようにきわめて妥当なものであるということは、いわば今日の公害の専門家というのは各省庁の中にも決して数多いものではない。ある意味では、われわれと同じように、ややものさしというものが常識の範囲を出ない。しかるに、警備救難課長という要職にありながら、ある意味では社会正義に燃えたということもいえるでしょうね。そういう意味で、真剣に職務を全うしたこの田尻君に対し、運輸省としては、他に範をたれるというような意味合いで、本人にこの行為あるいは天下に公にしたこの公害の、いわば一つの文献でもある貴重なものですよ、これを広く推賞したことがありますか。
  125. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これは、私ども海上保安庁の各地の職員は、同僚が書いたものでございますので、非常にこれを読んでおりますし、それから先ほど申し上げました海上保安大学校の学生等もこれをよく読んで勉強しております。それから先般は、海上保安大学校に田尻君を講師として大学校の校長が呼んで、特別講義といいますか、学生といろいろフリートーキングをまじえた話をしたというようなことで、これを十分に教訓として生かしておるわけでございます。
  126. 森中守義

    ○森中守義君 人事の秘密ということでしょうから、なかなかその辺のことがすっきりとお答えいただけるものとは思わない。新聞の表現に関する限り、あるいはまた識者の判断からいけば、この四日市で公害を摘発をした。当時、国会でもかなりこれが問題になった。よって、この人が四日市から田辺の課長に転じたということは左遷だという言い方をしておる。四日市と田辺がどういう格づけになるのか知りませんけれども、左遷ということになりますか、なりませんか。
  127. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) この田尻君が四日市から田辺にかわりましたのは、私が着任をいたします前のことでございますが、私はその当時、こういう田尻という非常に有名な活躍している人がかわったということは知っておりました。  先生のおっしゃるように、左遷というようなことが一部いわれておったようでございますが、海上保安庁の内部のお話を申し上げますと、海上保安部というものが管区本部の下にございまして、そしてその海上保安部というものには、もちろん大小の格づけはございますが、海上保安部の、この場合、四日市の保安部の警備救難課長から田辺の警備救難課長にいったということは左遷ではございません。もちろん栄転でもございませんけれども、これは役所の人事の序列からいいますと、田尻君のような、何といいますか、地位にある人が、大体二年なら二年程度で同じ海上保安部の対等のランクのところを異動するということが一つの慣例的なルールになっておりまして、これはそういう人事異動の一環である、こういうふうに私は考えます。
  128. 森中守義

    ○森中守義君 さっき申し上げたように、わが国の行政官庁で公害の専門家というのは少ないんですよ。もう少し有能な学究が要る、実務者が要る、まさにこれは今日的な要請だと思います。  そこで、こういう著作をして、しかも研究の成果として世の中に公にした、こういう貴重な人材をいま少し運輸省としては尊重すべきであろうし、まあただ海難警備——これももちろん重要な仕事でありましょう。けれども、一般的に左遷じゃないかといわれるような異動、つまり通例の人事として扱うということは、いささか公害に対する運輸省の見解に対し、私は疑問を持つんですが、どうですか。長官は前任者の時代だとこう言われるんだが、しかし運輸省の有能な人材を国、社会のためにより有益に働いてもらうという、そういう配慮が必要だと思う。ところが、四日市と田辺といえば、工場の配置からしましても全然問題にならない。こういう公害の専門家です。しかも非常に真摯な学究的な人を、ただ警備救難という観点からのみ人を動かしていくというのはどういうものだろうか。人材開発、人材の登用、適正な配置、こういうことにいささか運輸省は配慮が足りないんじゃないか、こう思いますが、どうお考えですか。
  129. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お答えいたします。  地方の海上保安部の組織は、部によって多少違いますけれども、海上保安部長のもとに次長がおりまして、その下に通常、管理課と、それから警備救難課と、それからところによっては通信課あるいは灯台課というものがございます。この中で警備救難課といいますのは、海上保安庁の、中央でいいますと、警備救難部の所掌している業務の全部を分掌しているわけでございます。その中には、いわゆる犯罪の一般的な取り締まりをやります警備部門がございます。それから公害の監視取り締まりをやります公害部門がございます。それから海難の防止及び救助をやります救難部門がございます。そういう部門の仕事を全部すべている者が警備救難課長でございます。海上保安部では。したがいまして、その中である保安部においては公害が非常に重要であるというところもあります。ある保安部においては救難が非常に重要だと、あるところでは警備が非常に重要だと、その保安部によりまして、その管轄区域内の内情によって違うわけでございます。  御指摘のように、四日市におきましては非常に警備救難の中で、公害というもののウエートが高いということは事実でございますが、警備救難課長という管理職の立場からいたしますと、一般にその人がだんだんと昇進をしていく場合には、警備救難業務全般についての管理能力を高めるということが必要でございますので、たとえば田尻君の場合でいいますと、公害の専門家として今後ずっともしいくといたしますれば、先ほど申し上げましたように、私のほうのたとえば海上保安大学校でそういう公害関係の教官として後進の育成に当たるという方法もあります。あるいは海上保安の試験研究センターというのが中央にございます。そういうところで、まさに公害の専門家として公害の科学的な研究、それからまた部門に応じましては、それの法制的な研究をする部門があるわけでございまして、したがいまして、田尻君の将来については、おそらく当時の海上保安庁の首脳部としても、どういうふうな進路を進むかということについて、本人の希望もございましょうし、役所の客観的な事情も考えておったわけでございますが、先ほど申し上げましたような、一応海上保安部の第一線の警備救難課長という職務でございますので、それを広く勉強をするという意味で、田辺のほうに行ったと思います。  しかし、その後も機会あるごとに、たとえば海上保安大学校の校長が私のほうの公害の先生にもらいたいというような希望も内々私のところへ申し出てきておりました。あるいは試験研究センターというものができたときに、そこの試験研究センターの幹部にするというようなことも考えられたわけでございますが、今日まで、その機会を得ないでおりましたところ、これはもうありていに申し上げますと、実は昨日私ども初めて聞きましたのですが、東京都の副知事の方が私のほうの次長のところに見えて、田尻君をぜひもらいたいと、こういうことでありましたので、いや実は非常に手放すには惜しい人であるが、本人の意向も聞きたいのでもう二、三日余裕をもらいたいという返事をして帰ったところ、けさ新聞に出て、実は私どもびっくりした次第でございます。
  130. 森中守義

    ○森中守義君 私も、大体官庁の異動基準というのか、その時期というのは多少知っているつもりですよ。だから、その限りにおいては四十三年に赴任をしていって四十七年にかわっているわけだから、しかも時期は七月ということですからちっともおかしいとは思わない。ところが、なかなか世の中そう中身を知っている人ばかりではない。  特にこの記事では、石原産業——例の公害原因者、これの初公判の直前に飛ばしたと、こういつている。何か印象としては、いかにも石原産業の公害、廃液たれ流しに端を発して田尻君が真剣に取り組んだ、しかも社会的に大々的な問題に発展させた、こういうことが運輸省のげきりんに触れて飛ばされたという印象が非常に強い。この御当人は何もコメントしていないわけだ、これに対して。コメントしていないけれども、これから真剣に公害問題に取り組んでいく、こういう自分の立場をよく理解をして、美濃部都知事が三顧の礼を尽くしてもらってくれたということについては非常に感激しているという、こういう言い方をしている。  ですから、この一連の記事によって感ずるのは、何かしら政府運輸省というものは、企業摘発をやる、公害摘発をやる、このことがタブーに付される、やってはならないことをしているんだというような印象を非常に濃厚に植えつけているんですね。いま野村長官のお話によれば、決してそういうことではない、内部でもしかるべき専門の筋に本人の頭脳とその情熱を生かしていきたかったというお話なんだけれども、なかなか世の中そうとっておりませんね。この辺が実はむしろ問題です。大体運輸省では、こういう企業の公害摘発などというものは、本来なら積極的にやるべきなんです。ところが必ずしもそうでないというような印象が非常に濃厚なんです。いま東京都にこういう人材を抜かれてどういう気がしますか。
  131. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私どもとしては、先ほどから申し上げますように、田尻君は海上保安部の警備救難課長として非常に有能な人士でございましたし、特にこの公害の監視取り締まりという面においては力を発揮したわけでございます。そのことは、私が再々申し上げましたように、非常に他の模範となるべきことでございまして、同僚とかいろいろな人からも田尻君の能力は高く評価されておったわけでございます。  私どもは、先ほど申し上げましたように、全国にたくさんの海上保安部がございますが、その海上保安部にはみな警備救難課長がおりまして、そしてそれぞれ公害の監視取り締まりを含む警備救難業務をやっておるわけでございます。田尻君ほど有名ではないわけでございますけれども、多くの者は世間的には名は知られておりませんけれども、相当の私は人材がそろっておると考えております。しかし、これから海上保安庁の業務を考えますと、こういう人々はますます育成しなければならない時期でございますので、こういう人が海上保安庁をかりに去ってよそにいくということは、非常に残念なことでございますが、そこできのうの都の副知事の話もあり、よくわれわれとしても考えたい、また本人の希望も聞きたいから、しばらく余裕を持ってくれという回答を次長がしたわけですが、たまたまきょうこういう新聞が出て、私も全く意外の感でございます。  先ほども申し上げましたように、田尻君の海上保安庁内における位置も、いままで考えてみましても、これから公害の専門家として、学校の先生として公害問題を講義して後進の指導に当たるというようなことも十分考えられておったわけですから、これは非常に意外な感がいたしますが、この点については、さらにあらためて本人の意向を聞いて、それから本人がどうしても行きたいということであれば、私は、これは大局的見地からやむを得ないのじゃないかというふうに思います。
  132. 森中守義

    ○森中守義君 これは当人にしてみると、どちらかというと四日市から田辺に飛ばされた、田辺では、こういう特殊な問題のある地域でもないので、ある意味ではくさっていたということもいえるかもわからない。  それでこれからいよいよ東京湾、東京都民のために、ひとつ公害摘発に敏腕をふるうという意欲に燃えているようですから、だから運輸省全体にとってみると非常に大きな損失ですが、東京にとってみると非常にいいことですよ。ですからこれは、要するに運輸省でこういう人材をほんとうに活用できなかった、適正な配置ができなかったということだけはいえるように私は思う。それで、この新聞にいっているように、石原事件の第一回の公判を前に飛ばした、だから企業から運輸省がごねつかれて、こういうことでは困るというわけで飛ばしたということであるのかないのか、その辺の事実関係だけはっきりしておきたい。
  133. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) その当時の異動でございますが、私ども企業からそういう要請があったとは全く考えておりません。また、万が一そういうことがありましても、私どもは海上における警察機関でございますから、そういう企業から要請があってもそういうものは全く筋違いのものとして、全然受け入れるつもりはございませんし、当時の実情というのはそういうことではなくして、先ほど私が申し上げましたような、海上保安庁の一般的な異動のルールの一環として行なったものだというふうに確信をいたしております。
  134. 森中守義

    ○森中守義君 これは、これからのことでもありますし、新聞がいっているように、石原事件を契機に企業がごねついて飛ばしたというような印象を非常に濃厚に受けるんですが、かりにもこういう疑惑を招いたり、そういうことのないように、また保安庁をはじめ、省内に多数のすぐれた人材がたくさんいると思う、こういう人たちに、いわば一律百戒というような、企業に変なことをやればこのとおりだよ、こういう印象をかりにも与えないように十分の配慮が必要である。私は少し意地悪い言い方だと思うが、ある意味では企業と癒着しておる、そのために一律百戒だ、よい手本にこの田尻君の始末をつける、あとはこれ以上のことはやらないだろうという配慮があったのじゃないだろうかという、つまらぬ推理までしておる、そういうことがあっては困りますよ、十分心してもらいたい。ですから一律百戒でないなら、もう一回、企業がどう言ってきても、この種すぐれた省内の人材については手厚く処遇する、その才能と能力と社会正義のために、いかなる場合でも立ち向かっていくような有能な人材を確保して大事にしてもらいたい、こう思います。これはひとつ運輸大臣、お聞きのとおりですが、そういう地方課長の人事まで大臣の手にかかるかどうかわかりませんけれども、人事の扱いとしては、特に各長官あるいは局長等にあくまでも運輸省の、世間に対していささかの疑惑もないように、人材を尊重してもらうような措置をとってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  135. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 具体的な事情は私よく知りませんが、長官から言ったとおりだと思います。私はどこの役所でもそうだと思いますが、人事行政というものは、客観的に見ると適材適所でなけりゃならぬ、これは言うまでもない。同時に、われわれ上司としましては、本人が自分の才能を生かして、将来ともに役所のためにも、またその人個人としても、将来性のある仕事につくということが非常にその仕事に対する意欲をかき立てるゆえんでございますから、そういうことを上司としてはあたたかい目でもって見て、人事行政をやっていくというのが、これは各省通じての通則だろうと思います。  私は具体的な事実は知りませんが、そういう方針をもちまして、運輸省の人事行政をこれからも処理をしなければいかぬと思うし、あなたのおっしゃることはよくわかりますが、いまの私の気持ちはそういう方針で今後とも十分注意しながらやっていきたいと思っております。
  136. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま大臣からお答えになりましたとおりでございます。私どもは、過去におきましても外部からの圧力によって人事をしたことはないと確信しておりますが、今後とも、そういうことは絶対にやらないということを確信をもってお答えできると思います。
  137. 森中守義

    ○森中守義君 港湾局長、今回の改正案の表現に私は少し疑問がある。「港湾法等の一部を改正する法律案」——「等」とは一体こういうことですか。内容を見れば、第一、第二、第三、第四、第五、こういったように、幾つかの関連法も改正されているわけなんです。そういう意味で「等」とつけられたと思うんですが、どういうことですか。
  138. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御解釈どおりでございまして、港湾法の改正が主体でございますけれども港湾法以外に、御存じのように、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部改正、沖繩振興開発特別措置法の一部改正、海洋汚染防止法の一部改正、港湾整備緊急措置法の一部改正、これをあわせて一つ改正法案として御提出申し上げたので、「等」という字を用いたわけでございます。
  139. 森中守義

    ○森中守義君 そこで、出されている要項の一ページの第二、港湾法の一部改正、これはこれでいいわけだ。北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部改正、これも関連だからよろしい。第四の沖繩振興開発特別措置法の一部改正、これもよろしい。ところが第五の海洋汚染防止法の一部改正、これは港湾法の関連法と私は思っていない。だから法律案の、改正案の態様としてこれは少々無理がある。港湾法となじんでおりますか。率直に言って、海洋汚染防止法の一部改正というのは港湾法の関連法じゃないですよ。むしろこれは単独に海洋汚染防止法の改正をすべきである。こういうように私は解釈をするんですが、一緒にくっけられた理由はどういうことですか。納得のいくように御説明いただきたい。
  140. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  これは漁港管理者に、港湾におきます廃油処理施設整備を行なわしめるための条項あるいは排出油の防除のための資材を港湾係留施設管理者あるいは施設管理者、陸揚げ施設の設置者等に義務づける規定がございまして、港湾法と密接に関係がございますので、この際、一括港湾等の中に含めて提案したわけでございます。
  141. 森中守義

    ○森中守義君 これはさっきも私が申し上げたような見解を持つのですよ。いま審議官が言われるような意味とは、どう考えてもなじみませんよ。  それはあと、逐次質問の中から明らかにしていきたいと思います。官房長、来ておりますか。この国会で運輸省は幾つ法案を出しておりますか。
  142. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 九つ出しております。
  143. 森中守義

    ○森中守義君 そこで、これはこういうことまで委員会で議論するのもどうかと思うけれども、言うまでもなく、国鉄二法案が出ている。いわば運輸省にとっては、あるいは国会にとっても重要法案中の重要法案、しかも昨年のいきさつがある。そこで九つも並べておいて、一体どの法案も成立可能であるという、そういう認識に立ったんですか、どうなんですか。むろん、いや、それは国会でおやりになることだという答弁にはなろうけれども、少なくとも国会の審議の推移、あるいは前年度の経緯、こういうものから考えた場合に、どういう考え方のもとに九つの法案を用意されたのか。しかも審議がきわめて円滑に進み得るという認識をお持ちであったかどうか。どう思いますか。
  144. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生すでに御承知のとおりですけれども、九つの法案のうち、七つが実は予算関係法案でございます。で、昨年以来の予算編成の仕事の一連といたしまして、予算関係の七つの法案が出てまいったのは御承知のとおりでございます。話は飛びますけれども、あと二つは予算関係法案ではございませんで、そのうちの一つは、引き続いた航空法の改正の問題と、それからこれはちょっと性質が違いますが、公共企業体の共済組合が恩給法の改正に準じて年金額の改定をやるという特殊な法案でございます。したがって、九つのうちの七つの予算関係法案は、予算関連として続いて出てまいりまして、したがって、もうだいぶ前になりますけれども、二月の十六日という予算関係法案の提出の期限がございまして、そのうち一番早い、これも御承知のとおりの、去年から引き続いた航空事故調査委員会設置法案は、これはもう去年のままほとんどでき上がっておりましたから、一月三十日の閣議決定、引き続きあと六本の法案は、二月の十六日までということで、半月ぐらいの差しかないままに続いて閣議に予算関係法案として提案をして、国会に提出されたという経緯になっておるわけでございます。  先生のお尋ねの、実は予算関係法案でございますから、当然私どもは、予算執行上の問題としても、この法案は全部御審議を願って、国会で通していただきたいということを念願して、今日に至っておる次第でございます。
  145. 森中守義

    ○森中守義君 これは、なぜ私があらためてこういうお尋ねをするかと申しますと、なるほど昨年からの継続というのか、運賃二法に対して異常な執念を持っているという、それはわかりますよ。けれども、こういうことが、かりに今回どうなるかは別な問題としても、必ずこういう重要法案が出たときは他の法案にさわりますよ。だからその辺の置き方、並べ方、こういう——これはひとり官房長にその責任があるとは私は言っているんじゃないけれども、もう少し配慮が必要でしょう。おそらくその余のものはどうなるかわかりませんよ。しかも今回の運賃二法からいくならば、二年に一回この法案が出てくる。またまたひとつの急迫した状態が展開をされる。二年に一回こんなことをやっていたら運輸省政策展開というのはどういうことになりますか。これはもう非常に大きな問題だ。そこに何がしかの配慮が必要だ。何も野党である私どものほうでも、意図的に、意識的に抑制をせよという意思は全くない、ありません、それは。むしろ航空法並びに航空事故調査委員会等は、何とかこの国会で仕上げる責任を感じている。  ところが最近におけるこの委員会の与野党の理事の攻防戦を見てみると、まさにいずれもが硬直状態である。法案の審議をめぐってどっか折り合いをつけていこう、一つ計画を持とうということが運賃二法以前にない。ない硬直した状態で入っていくということは、私は委員会の運営にとっても必ずしも好ましいとは思っていない。だからそういうようなことを考えれば、当然運賃二法、その余の法案の並べ方等については、いま少し、政府あるいはその余の諸君においても十分配慮されてしかるべきじゃないか、こういうふうに私は思う。大臣どう思われますか。必ずしも今回の法案の提出の順序あるいは扱い、国会への要請そういうものが妥当であるとは思いません。まあこう私は思うんです。どう思いますか。
  146. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは見方の違いじゃないかと思います。われわれのほうはいま官房長が説明したように、予算関係法律案を出さないと予算執行できないのですから、これは当然出さなきゃいかぬということで、政府のほうでも予算をつけたということは、その事柄が新年度においてどうしてもこれは予算をふやしてでも実行しなければならぬという政策一つですから、そういう意味で予算をつけているわけです。  ですから、予算はつけましたが、これは法律は出しませんというわけにいかないのです。当然義務として、政府の義務としてこれは、予算はこのような方法で執行いたしますということは、これ国会に対してやらなければならぬと思います。ですから今度は、前々からの継続した問題もありますけれども、今度出しているのは、大体において官房長が言ったように、予算関係法律案が大部分ですから、これは政府の責任として当然国会に出したということでございます。いま最後におっしゃった順序とか並べ方とか、これはいろいろ見解があると思うのですよ。私どものほうは、提案しております以上は、十分に慎重に御審議をいただいた上で結論を出していただけるものという前提において出しているわけです。ですから順序がいいとか悪いとか、これはいろいろ見方があると思いますけれども、われわれのほうも、政府としても党とよく相談をいたしまして、大体国会に提案をいたしますと、あとは各党の国会対策その他においていろいろ御審議をいただいて、どういう順序でどうやろうかというようなことをお考えいただくことになっているのが慣例です。  これはもう政府政府考え方でもって国会の運営を左右するわけにはもちろんこれはいかないわけです。ですから、われわれのほうも、出すに当たりましては、そういうやり方、あるいは順序等については、党の関係の者と十分な連絡をとりながら出したわけでございますから、今度の国会では、暫定予算が余儀なくされたり、いろいろな事件がありましたから、相当大幅な会期延長をされたにかかわらず、だんだん日程が詰まってきたという結果的な事実はそのとおりです。御心配いただいているそのとおりだと思います。しかし、われわれのほうは初め提案をしたのがどうだとおっしゃると、いま申し上げたようなつもりで、たいへんこれは政府の国会に対する義務としてお出ししたということでございまして、あとはこれは御見解とは多少違うかしれませんが、われわれのほうは十分党との相談の上で、順序、やり方といったものを大体見当つけてお出ししておるということでございます。
  147. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと大臣、私の意味合いがまずくとられている。そういうことを言っているんじゃない。法案を出したことがけしからぬとかよくないと言っているんじゃないんですよ。それは当然でしょう。ただし運賃等にあまりにひとつの比重をかけ過ぎてその余の法案というのは、一体これはだめじゃないのか。だから並べる順序等をもう少し配慮しなさいというような意味を言っているわけです。いま国会だと、こういう話なんだが、それは、確かにそれはそうだ。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)出してくれるほうのあれにもよるんだよ。(発言する者あり)だからおれのほうは何にも関係ないことだから。それはちっとも、いいよ、関係ないことだよ。ただしかし、少しでも法案の成立を期待するなら配慮したほうがええぞと、こういうことを言っているまでのことで、野党はどうということないんだよ。野党はどうということはないんだよ、江藤君。どうということはないんだよ。
  148. 新谷寅三郎

  149. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと待って。何だってよ。
  150. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 不規則発言はありましたけれども質問をお続けください。
  151. 森中守義

    ○森中守義君 何かね、やっているのを君のほうでやじるからさ。(「やじっているんじゃないよ」と呼ぶ者あり)いいよ。まあこちらのほうは一本でも半本でも、少しぐらい仕上がったほうがいいんじゃないかと、こういうつもりで言っているのだよ。文句あるならよそう、もう。
  152. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 質問をひとつお続けください。
  153. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまのまあ非常に、御注意と思います。その御注意はありがたくお受けいたします。  ただ私のほうでも、そういう、あなたが御心配をしてくださったようなことを考えまして、党のほうにも連絡をして、単に運輸委員会だけではなしに、いろいろ特別委員会もありますから、そういったものもできるだけ分担をしてやっていただくようにということを党は考えまして、国会の場で各党でそういうような話し合いもしていただいて、ある程度の法案を、一つに集中しないで、分担をしていただいて、いろいろこの運輸委員会に重要法案を出しておりますから、その荷を軽くしょうというような意味で、平たいことばで言えばですよ、荷を軽くしょうというようなことも配慮しながら出しておるわけでございまして、この点については、あなたまあ国会の運営のベテランですから、いまの状況ごらんになると、なるほどというふうにおわかりいただけると思うのですけれども、これはこういう出し方じゃまずいよという、結果的には、あるいはそういうことになるかもしれませんが、われわれとしてはさっき申し上げたようなつもりで、これはとにかく予算関係法律案であるし、前からの重要法案であるし、党としては何とかしてこれを御理解をいただいて、結論を出していただくようにということを非常に熱望しながら、まあわれわれとしては微力を尽くして、及ばずながら誠心誠意御審議を願っているわけでございます。ひとつその点は、御注意は御注意としてありがたくいただきますが、これからもひとつ、いままでのわれわれの態度を御了解いただいて慎重審議を続けていただきたいと思います。
  154. 森中守義

    ○森中守義君 私の、いま官房長に対する質疑以降、いまの大臣答弁まで、私は少なくとも善意で言ったつもりだが、与党の理事のほうで変なふうにとられたようですから、これは私の本意としないことなので、全部削除してもらいたい。理事でひとつ打ち合わしてもらいたい、いまの質問なかったことにして。(発言する者あり)
  155. 長田裕二

    委員長長田裕二君) これはあとで理事会で相談します。御希望をよく考えて、理事で相談いたします。
  156. 森中守義

    ○森中守義君 そこで、少しお尋ねいたしましょう。  この法案が出されたあと、六大港湾都市協議会、こういうところから要望書が港湾局長出ていますね。ちょっと中身を御披露いただきたい。
  157. 岡部保

    政府委員岡部保君) 六大港湾都市協議会という名前で、港湾法の一部を改正する法律案に対する要望についてということで、二点の要望が昭和四十八年三月という日づけで提出をされております。第一点は「第一条(目的)について」ということで、一応読み上げてまいりますが、「現行港湾法では、その目的を「港湾管理者の設立による港湾の開発、利用及び管理の方法を定めることを目的とする。」としておりますが、改正案によりますと「交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため……」とされており、港湾の地域性を前提とした自主的な整備運営の基本的理念について触れるところがないのは私共八大港港湾管理者として問題視せざるを得ません。上記の観点から改正案第一条を「この法律は、港湾管理者による港湾の秩序ある整備と適正な運営を図ることになり、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に寄与することを目的とする」趣旨で修正されるようご審議かたお願い致します。」これが第一点の要望でございます。  第二点は「第三条の二(基本方針)について」の点でございます。これも読み上げさせていただきます。「現行港湾法では、重要港湾港湾計画は、港湾管理者が発案し、国と調整する建前になっておりますが、改正案によりますと、まず国(運輸大臣)が基本的方針を定め、これに適合しない港湾計画は、これを変更すべきことを求めることができるとされております。しかし、私共大都市港湾は、物流、物価、都市再開発、廃棄物処理等地域住民に密着した港湾整備運営を迫られており、その意味では背後の都市と一体のものであります。従って、港湾の基本方針はまず地域性を前提としたものでなければならず、国家的立場からすると調整は最終的なものでなければならないと考えますが、改正案では港湾管理者の意見具申の機会を付与するのみで、港湾管理者の自主性の尊重に欠ける規定となっております。上記の観点から、改正案第三条の二を「運輸大臣は、基本方針を定め、又は変更しようとするときは、港湾管理者に協議しなければならない」趣旨で修正されるようご審議かたお願い致します。」以上が六大港湾都市協議会の要望書でございます。
  158. 森中守義

    ○森中守義君 それからもう一つ、船主協会の有吉会長からも、何か要望書が出ておりますね。これはどういうものですか。
  159. 岡部保

    政府委員岡部保君) 日本船主協会の会長有吉氏から、昭和四十七年十二月二十五日付で、大臣あてに「港湾法の一部改正に関する要望について」ということで、やはりこれも二点の御指摘がございます。第一は、「港湾法改正案については、船主側意見を前広に徴されること。」、二といたしまして、「港湾の環境整備に要する費用負担について、港湾の各事業者の範囲及び負担方法等につき事前に十分、船主側の意見を徴されること。」、以上が船主協会会長の大臣に対する要望書でございます。
  160. 森中守義

    ○森中守義君 社団法人の日本港湾協会、ここからも要望書が出ていると思うんですが、内容はどういうのですか。
  161. 岡部保

    政府委員岡部保君) 港湾協会からの要望書は、私存じません。
  162. 森中守義

    ○森中守義君 これは四十八年の一月、おそらく運輸大臣に出されたものだと思われる。ありませんか。私の手元にある。ちょっとさがしてみてください。港湾局長、いまのさがしてもらうわけですがね、もう一つ、全日本自治団体労働組合長尾中央執行委員長、自治労港湾対策委員委員長田中友房、こういう人からの申し入ればありませんか。
  163. 岡部保

    政府委員岡部保君) 全日本自治団体労働組合も入りまして、いわゆる港湾中央共闘会議ということで、一九七三年四月十一日付で、「「港湾法の一部改正案」に反対する申入れ」というものを、私どもは手に入れております。
  164. 森中守義

    ○森中守義君 そこで、まず申し上げておきたいのは、出されてきた港湾法の一部改正で、前段はもちろん、あとに至っても、それぞれ所見の表明があって修正の要望等が出されている。これ自体が、この港湾法の性格をどう見ているか、少なくとも、六大港湾都市協議会というのは港湾管理者一つの集まりでもありましよう。かなり内容として重要なものがある。つきましては、この六大港湾都市協議会の要望書等に対して、一緒にテーブルに着いて、事前に法改正に対する意見を徴されたようなことがあるのかないのか。少なくとも、この申し入れの本旨から見ますと行なわれていない。法案は出ちゃった。しかし内容に、たとえば地方港湾管理者が、その権限が侵害をされるし、あるいはきわめて狭小な状態になる、こういうことをおもんぱかって、こういうものが出たんですが、改正案作成の前段におけるこの辺の詰めというのは、どこまでやったんですか。
  165. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生お話の六大港湾都市協議会のこの要望書に関しまして、管理者の長である、東京港、川崎港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、下関港、北九州港、以上の港湾管理者の長の連名の要望書が出たわけでございますが、この各港湾管理者の長ではございませんが、実際上の事務局と申しますか、事務局長と申しますか、いわゆる市の港湾局長であったり、あるいは都の港湾局長であったり、そういう局長レベルの会合、これは年に数回持っておるのが事実でございます。  そこで私ども、この港湾法の原案を作成中に、この港湾、いわゆる六大港湾局長会議の席にまかり出まして御説明を申し上げたこともございます。それでいろいろな御意見がございまして、ある意味では、いろいろそれを参酌させていただいたという例もございます。  これは、はっきり申せるのは、いわゆる広域港湾と申しますか、港湾管理者の協議会というような問題これは明らかにこの六大都市の港湾管理者局長さん方の御意見によって修正をいたした——原案の段階でございますが、直したものでございます。  そこで、ここに出ました要望書、これについて、われわれとしてもざっくばらんな議論を絶えずいたしておりました。それで、この段階で、私ども一応法案をこういうふうにまとめたいということで、まとめておりましたのを御説明いたしましたところ、こういう要望が出てまいりました。それでこの要望をこれはでき上がってすぐだと存じますが、私のところへ来られまして、御説明がございました。そこで現実に、これは東京都の港湾局長とのお話し合いが中心になったのでございますが、私の考え方を、この一点、二点についていろいろお話を申し上げまして、その段階では御了解をいただいたというふうに、私は理解をいたしております。
  166. 森中守義

    ○森中守義君 これは最近、ちょっと足も絶えておりますが、おそらく与野党問わず、関係の議員のほうに、非常に熱心に、こういう趣旨が生かされるようにというお話が来ている。  それでいま、岡部局長のお話によれば、おおむね合意に達したという御説なんだけれども、私は必ずしもそうだとは思っていない。それと二番目に申し上げた船主協会の関係、これについてはどういう状態で対応されておりますか。
  167. 岡部保

    政府委員岡部保君) この船主協会の御要望、これは船主側の意見を前広に徴せということと、いわゆる環境整備負担金の問題で、船主側の意見を徴してもらいたいということでございまして、この第二点のほうは、これはむしろこの法案の運用の際の問題だと考えております。したがって法案自体の御注文ではないというふうに考えております。  それから一番目のこの改正案については、「船主側意見を前広に徴されること。」という要望でございまして、これは船主協会に対して私どものほうの課長が、ある中間段階で御説明を申し上げて、御意見があればということで御説明を申し上げたという事実行為はございます。ただ特に、こういう点についてこういう点についてというような御要望は、あまり具体的には提出されませんでした。  以上でございます。
  168. 森中守義

    ○森中守義君 まださっきの港湾協会の申し入れ、来ませんか。
  169. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生港湾協会の要望書というのは、たしか港湾協会の総会のときの決議書と申しますか、あるいは四十八年度予算に対する要望書ではないかと存じますけれども、ただいま取り寄せておりますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  170. 森中守義

    ○森中守義君 それじゃ少し飛び飛びになりますが、各要望等について一通りお聞きしておりますので、これもちょっと聞かしてもらいましょう。  港湾協会の四十八年度予算の確保という、こういう申し入れですよ。それで港湾整備事業には幾ら今度金を出すのですか。
  171. 岡部保

    政府委員岡部保君) 昭和四十八年度の港湾整備事業に関しまして、要求いたしました予算の総額を申し上げますと、総事業規模で約二千八百六億円でございまして、それに基づきます国費は、運輸省計上予算あるいは総理府計上予算もございますが、これを含めまして千四百十六億三千万円を要求いたした次第でございます。
  172. 森中守義

    ○森中守義君 局長、こういうようにお尋ねするし、答えてください。港湾協会では歳出予算として港湾整備事業費千五百四十七億出してほしい、こういっておるわけです。これに対して確定額は幾らなのか、そういう答弁でいいですよ。内容はあまり詳しく要らないです。
  173. 岡部保

    政府委員岡部保君) たいへん御答弁おそくなって申しわけございませんでした。港湾整備事業として要求が千五百四十七億に対しまして、四十八年度予算で認められました額が千四百十六億でございます。
  174. 森中守義

    ○森中守義君 港湾海岸防災事業費、これを百九十八億出してほしいと、こういっておるんですが、これに対しては幾らになっておりますか。
  175. 岡部保

    政府委員岡部保君) 百九十八億の要求に対しまして、予算できまりました額が百七十六億でございます。
  176. 森中守義

    ○森中守義君 港湾運送構造改善対策事業六億円、これに対しては幾ら。
  177. 岡部保

    政府委員岡部保君) 六億の要求に対しまして約四億でございます。
  178. 森中守義

    ○森中守義君 それから財政投融資の地方債、特別転貸債を含む一千百八十九億の要求ですね、これに対しては幾ら。
  179. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生、ただいま財政投融資の要求が千百八十九億とおっしゃいました、実は港湾整備事業と、港湾機能施設整備事業及び臨海部用地造成事業というのがございまして、それの全体のトータルが千三百三十一億でございます。それで、そのうちの港湾整備事業を抜きますと千百七十億でございます。いずれにいたしましても、ちょっと先生のいまおっしゃいました金額と私の資料と食い違っておりますのであれでございますが、千三百三十一億の要求に対しましての一応決定いたしました額は千百九十四億でございます。
  180. 森中守義

    ○森中守義君 千百九十四億。
  181. 岡部保

    政府委員岡部保君) 千百九十四億でございます。それから、このうちの港湾事業の財政投融資を抜きますと、千百七十億の要求に対しての決定いたしました額は千五十六億でございます。
  182. 森中守義

    ○森中守義君 もう一つ、外貿埠頭公団資金というのは財投から幾らいくのですか。おそらくいま言われた金額の中の一部の構成だと思われる。
  183. 岡部保

    政府委員岡部保君) 外貿埠頭公団の予算で決定いたしました金額は、事業費にいたしまして、京浜外貿埠頭公団と阪神外貿埠頭公団ございますが、両公団合わせまして、事業費で三百十億でございます。このうち財政投融資でみております金額はこれの四割でございますので、百二十四億でございます。
  184. 森中守義

    ○森中守義君 それでよくわかりました。そうなると、この場合、港湾協会は港湾法の改正を一応予定したものであったかどうか、まあこの辺はちょっと何とも言えませんがね。しかし結果的にかなり査定されたというのか、あるいは港湾協会がね。この金額それ自体が運輸省の案であったとは思わないけれども、どうなんですか、いま言われたように、港湾協会は千七百五十一億を一般会計から、それから財投から千三百三十一億、まあこういう要望を出し、これで総会の意思としてまとめながら、港湾の維持管理やっていきたいと、こういうことのようですが、いまお示しの内容からいけば、大体七五%という計算ですね。しかも今度、これほど大がかりな法律改正やって港湾の機能強化をやろうというのですが、財政的にどういう感じがしますか。感じがするというよりも、すでにその予算が成立をして、確定されたものから事業の推進をやっていかれるわけなんだが、できますか。
  185. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうもこういう予算の問題になりますと、多々ますます弁ずというのは、はなはだ無責任な言い方かもしれませんけれども、私ども予算を要求する側の人間として、少しでもふやしたいという希望がございます。したがいまして、いま先生のおっしゃいましたような意味で申せば、決して満足すべき姿であるとは、私とても申せません。しかしながら、個々の問題点につきましてこれは予算を要求いたしますと、いわゆる予算の項でありますとか目でありますとか、そういうような細目についてのいろいろ財政当局との折衝がございます。そういう意味で申しますと、新しく考えた環境問題あるいは公害対策事業のような問題、これは要求の額も全体から見ましたら比較的小さな額でまだございます。しかしながら、そういうものについてはわりによく——言い方か悪いかもしれませんが、歩とまりがよかったということは、今回の予算の成立の過程でいえるかと存じます。  それからもう一つは、いわゆる何と申しますか、当初要求をいたしました金額が、大体この港湾協会の要望という額とそれほど食い遠っておりません、ほとんど同じような金額でございます。ただその後の情勢で、逆に実際に消化ができない工事というようなのが要求の中から出ております。そういうようなものを、自後事務的には十分財政当局と詰めております。したがって、そういう実際にたとえば漁業補償がとても解決するめどがつかないから、この事業は来年度の要求はしてみたけれども要求者である港湾管理者から願い下げるというような例もございます。そういうものを除いてみますと、全体といたしてみればまずまずの段階ではなかろうかという感じを私どもは持っております。と申しますのは、全般的に申しまして前年度の約二五%ぐらい予算額で伸びております。したがって、これは全体の今回の予算、総額で申しますれば相当の伸びでございましたから、これでいいのかどうかと言われますと、厳格に言えばいろいろ議論はございますけれども、しかしまずまずの段階ではなかろうかというふうに私は感じております。
  186. 森中守義

    ○森中守義君 もう一つ要望書の中で「港湾整備五カ年計画の推進」というのがありますね。これは私も不勉強で相済まぬのだが、大体五カ年計画というのは四十六年から五十年までと聞いておる。そこで今回出されているこの改正案の内容ですね。かなり内容にもいろいろ問題があるし、あとで逐次お尋ねしますが、要するに今回の改正案の中に盛り込まれている事業計画というものは、この整備五カ年計画一つの柱になるのか、カテゴリーの中にあるのかどうなのか、この辺どうなんでしょう。
  187. 岡部保

    政府委員岡部保君) 現在持っておりますのは、先生承知のとおり、昭和四十六年度から昭和五十年度に至る五カ年計画第四次港湾整備五カ年計画でございます。これの五カ年計画で、内容的に分類をいたして、こういう仕事についてはこういうふうに考えるということで分類をいたしておりますものはございますが、これをざっと申しますと、外国貿易港湾整備、次に国内流通港湾整備、次に地域開発基盤港湾整備、次に産業関連港湾整備、それから航路等の整備、公害防止事業の推進、港湾調査の実施等、それから調整項目等々になっておるわけでございます。したがって、まずいままで申しましたうちで、今回新たに法改正によってオーソライズされますものといたしましては、この分類では、特に一番問題なのは公害防止事業と申しますか、公害防止事業に従来含んでおりませんでした環境整備事業といったほうがいいかと思いますが、環境整備事業という新しい柱が立たなければならないという問題がございます。従来は公害防止事業の推進ということで、公害防止事業だけについては柱を立てておりましたが、むしろもう少し範囲を広めて、別の環境整備事業というものを柱に立てるべきだと思います。したがって、現在の一応五カ年計画をきめましたときの考え方から申しますと、新しく柱を立てたという感じ処理をせざるを得ないというのが実態でございます。
  188. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、この改正案の内容にある基本方針並びに港湾計画、この辺のことがまた一つ関連を持つわけですが、大づかみな認識をすれば、四十六年から五十年までの現行の整備五カ年計画というものはいずれ修正せざるを得ない、こういうことになるのかどうなのか。それと、いまの五カ年計画の中では資金計画は一体どうなっているのか。もし資金計画が実際の事業を推進する場合には、当然確定しておらねばできないと思う。それらのものは、一体閣議決定という、そういう段階まで話がまとまっているのかどうなのか、その辺ちょっと御説明願いたい。
  189. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの御質問でございますが、五カ年計画の——昭和四十八年度予算がきまりましたので、四十八年度に実施できる港湾整備事業というのが、先ほども申し上げましたが、概略きまったわけでございます。したがって、これて一体どのくらい五カ年計画か——三年目でございますが、四十六、七、八ということで、三年目で一体どのくらい進んだんだということ、これが一つのいわゆる五カ年計画の推進という推進度を大いに上げてもらいたいという御要望に対するお答えかと思いますが、現段階での進捗度は約四八%でございます。約四八%と申しますと、三年間で四八%をこなした、そこであと二年で五二%をこなさなきゃいかぬということで、えらいテンポがおそいじゃないかという御疑問があるかと存じますけれども、これは御承知のように、いわゆる予算というのは年々二〇%とか二〇数%伸びてまいっております。したがって事業費も当然そういうふうに伸びるわけでございます。そこで、そういうふうに、たとえば二〇数%の定率で伸びていくというふうに考えますと、五〇%弱が三カ年目の推捗度であれば、大体計画的であるということが申せるかと存じます。したがって、この進捗度は非常にペースダウンしているようなことではなくて、大体計画的な進捗度であるというふうに、私どもは判断をいたしております。  ただ、先ほども申しましたように、内容的に、確かに考え方を非常に変えなければならないという点がございます。先ほど申しましたように、環境問題というのを新しく柱として取り上げなければ港湾整備はよくならないのだという感覚に立ってまいりますと、いままでの計画というもの自体をもう一度見直さなければいかぬというのは、もう絶対に必要だと私は信じております。したがって昭和四十八年度で三年目でございます。昭和四十九年度になりますと四年目に入るわけでございますが、でき得れば、ここでもう一度全部五カ年計画を見直しまして、四十九年度以降の五カ年計画、四十九年度から五十三年度に至る新しい五カ年計画、言うなれば第五次の五カ年計画ということになりますが、そういうものに切りかえてまいりたいという考え方をいたしておるところでございます。  それから資金の問題でございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、大体この進捗度から申しましても、まず計画的な進捗度であるということから申しまして、いまのような、たとえば全体の事業のうちの国費の率がこのくらいであり、地方での財政資金でまかなっていただくのはこの辺である。それから受益者負担金という民間企業から取り上げる金もございます。そういう金がこのくらいのシェアである。そういうようなシェアが変わらないで進んでいくとすれば、これは大体いまの五カ年計画の資金源としての無理がまずないであろうというふうに、私どもは判断いたしております。  ただここで、先ほど申しましたように、四十九年度以降の五カ年計画というものに変えました際に、新たな感覚から申しまして、もっと投資規模を大きくしなければいかぬというような問題が出てまいりますと、さしずめこの資金源の問題、資金量が確保できるかどうかというのが非常に大きな問題になります。したがって、この点は現在、計画を立てながら、その資金源の問題、資金量確保の可能性の問題、あるいは新たな別の財源を見つける問題等々について、現在検討中でございます。
  190. 森中守義

    ○森中守義君 港湾局長、非常に重要な発言ですね。元来これは、一つの長期計画をつくろうという場合、いかなる場合でも財源の背景のないものはない。ところが、残念ながらこれから財源確保をどうするか、かなりシビアなものだという、こういう見解の表明があった。そこで、これはまたあとで少し詰めますが、ものの考え方として、現在の五カ年計画はそのまま五十年まで持っていき、その中で今回の法律改正によって必要な部分は修正をするという考えに立つのか、あるいはこれから四年目に入ろうというわけですね。したがって三年間で一応切る。つまり現行の五カ年計画というのは取りくずして、あらためて新長期計画をつくるという、そのどっちを選ぼうとするのか。  それで、今回のこの法律改正というのは、長期計画の中にどういう関連を持たせながら出てきたかというのが非常に疑問なんです。継続するのか、継続ということの中で修正を加える、あるいは三年で打ち切って新しくやり直そうというのか、その辺ちょっとお答えの中からあまり明確でない。それと、いま非常にむずかしいが資金計画は何とかせにやなるまいと、こういうことなんだけれども、私はこの五カ年計画の内容を実は持っていない。持っていないということは、運輸大臣の専決として決定された計画なのか、あるいは閣議決定等によるものであるのか、むろん資金計画を含めてですよ、その辺の関係はどうなりますか。
  191. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず最終に御質問のございました、この計画性格がどういうものであるかという点について、まずお答え申し上げますが、この港湾整備五カ年計画と申しますのは、港湾整備緊急措置法という法律に基づきまして閣議決定を見た長期計画でございます。そこで現在の、第四次の港湾整備五カ年計画と申しますと、昭和四十七年三月十七日に閣議決定を見まして、四十六年度末でございましたが閣議決定をいたしまして、四十六年度から五十年度に至る計画でございます。そして、この五カ年計画で全体の総投資規模が二兆一千億でございますが、そのうち閣議決定でほんとうにきめました港湾整備五カ年計画と申しますものは、このうちでいわゆる公共事業対策と申しますか、国の費用が入るような事業、これの金額で二兆一千億のうち一兆五千五百億という投資規模がございます。これは二兆一千億の内ワクでございます。これを閣議で決定をしたというような、厳密に申しますと、そういうような姿になっております。それで、これを要するに一兆五千五百億の公共事業的な、国が補助し、あるいは負担するような事業というものに対しては、閣議決定でございますから五カ年間にこういうものの国費分というのは当然ひとつ負担するべきであるということをここで意思決定をしたいというふうに御解釈いただいていいんではなかろうかというふうに考えております。したがって、先ほども申しましたように、資金構成が現行法どおりであるならば、この段階でよろしいと、これで五カ年間にこれを全うするべきだというふうな意思決定があったというふうに考えるべきだと思っております。  それから御質問の前段の、五カ年計画を改定すると、いささか気やすく申し上げ過ぎたのではないかと思って心配いたしますが、改定するとすれば、一体いまのものを五十年までワク内で進めていくと、ただ内容的に変えるという考えなのか、あるいは四十九年、いわゆる第四年次からいままでの五カ年計画を廃棄して新たな五カ年計画に飛び込むのかということにつきましては、まだほんとうのところきまっておりません。ただこれは、私のいままでやっておりました、たとえば第三次から第四次に移る際の例、あるいは今年度の予算で決定を見ました道路整備五カ年計画が新しい計画に乗り移った際の例等々から考えまして、私としては、でき得れば四十九年度から新たな計画に移ってまいりたい。したがって、そういうことにいたしますれば、この計画を固めます際には、やはり閣議で決定を見ていただかなければならないという問題が当然ついてくるわけでございます。
  192. 森中守義

    ○森中守義君 これは非常に正確になりました。そこで大臣、少し意見ですがね。いま港湾局長のお話ですと、大体局長としては四十九年度を初年度に新しいものをつくりたいんだと、こういう説明ですよ。これは大体どちらかというと、長期計画というのが、どの省庁でもそうなんですけど、ずばり一貫したことがほとんどないんですね。そのくらい情勢の変化、それに対応していくということで、いつも国会ではいわれているわけですが、今日の一年、二年というその経済動向というものを長期に見ること自体がかなり無理だとは思う。しかし、そうなれば大臣、これは何といっても閣議決定、これはいずれ国鉄の問題に入った場合でも、しばしば長期計画がくずれるんですね。その辺のことを、一体行政府としては、情勢が変わったから変えるんだということだけでは済まぬのじゃないですか。  私は、いま局長の答弁で、大体四十六年度を初年度にした三年次の進捗状況が四八%だと、しかもこれは財政を背景にしたもので、テンポとしては必ずしもダウンしてない、こういうことなので、この限りにおいては問題ない。けれども、この法案が成立をする、変えていかなきゃならぬということになると、大体五カ年間にわたる見通しというものを当初持ちながらすべり出したのかどうなのか、一言で言えば、そうそう長期計画というものを簡単に変えられたんでは、これははなはだ困る、こういうことなんですがね。いま局長は、固有の見解としては、三年次で終わって新しいものをつくりたいと、こういうことなのですか、大臣はどうお考えですか。
  193. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) おっしゃるように、ごもっともだと思いますが、現在の港湾整備五カ年計画、これは御承知のとおりに、昭和四十五年の五月に閣議決定をせられました新経済社会発展計画、これに斉合をしてつくられた五カ年計画でございます。ところが、これはまあいろいろ御批判があることと思いますけれども、この新経済社会発展計画というものが、今日、この間から予算委員会等で御審議をいただいた経済社会基本計画というものに変わったわけです。  そこで、この経済社会基本計画というものを、やはりわれわれは、全体の港湾計画につきましても、これの線に沿って計画もしなきゃいけないし、これからの拡充といいますか、整備もしていかなきゃならぬということになるわけでございます。それでさっき局長が言ったのは、要するに方法論の問題は、閣議の決定をまた変えて新しい決定にするわけですから、私もまだここで、これは新規の第五次五カ年計画にいたしますということまではまだ言い切れないんですが、局長もそういう意味のことを言ったんですが、私の立場からいいましても、経済社会基本計画においても、これはお読みになったと思いますけれども港湾に対する投資規模が書いてあります。四十八年度から五年間で三兆一千億と書いてあります。やはりそういった全体の日本の経済社会基本計画というものにのっとっていかないと、部分的な手直しをしたんでは十分でないと、私はそう思っているんです。でございますから、これはいろいろと手続を経ることになると思いますけれども、今後経企庁とか、あるいは財政当局と十分打ち合わせまして、四十九年度の予算編成期がもう間近に迫っておりますから、その際には何とか準備をしまして、第五次の港湾整備計画というものを立てるようにしたいと、また、そうしないと経済社会基本計画と斉合性を持った港湾整備ができないんじゃないかというふうに考えるわけです。でございますから、いま事務当局に対しましても、大体その方向で準備をするということを指示しておるわけですが、まだしかし、閣議決定も他の関係各省との間の協議も十分できておりませんから、いまここで来年度から必ずそういうふうな五カ年計画をいたしますということまでは言い切れないんですけれども運輸大臣立場としてはそういう考えを持っていま進んでおりますということを申し上げる次第でございます。
  194. 森中守義

    ○森中守義君 いま大臣と局長の意見は、聞いていて極端に距離があるとは思わない。ただ法案を審議する側に立ちますと、いまの御答弁は必ずしも親切でないですよ。親切でないというのはことばでは穏やかだけれども、姿勢として問題がある、姿勢として。  それはなぜかといいますと、衆議院及びこちらでも杉山君からかなり論点が集中した三条の二ですね、これが問題なんです。基本方針並びに基本計画をつくるんだという。そこで法律の体系だけひとつやってくれ、仕上げてもらったあとで中身をつくりますよというのでは、これはなかなか審議する側はそう簡単にいきませんよ。これは非常に大臣問題ですよ。この前ちょっと聞いておりますと、杉山君は執拗に同じことを二回も三回も聞いておる、これは内容がないものだから。ただ港湾管理者運輸省との権限の問題だけじゃない、方針と計画ですよ。その中身を示さないで、条文でこういうことを確保して、そこで法律が改正されたならばやりましょうというのでは、これは困る。そういうことが、実は長期計画に一貫性がない。ちょうど四十三年でしたか、前回の国鉄の再建計画、あれが二年でくずれてしまった。そのときを想起してみると、基本方針と計画を持ってこい、こう言うけれども、いやそれはこれをつくり上げてもらったあとでやります。法律のたてまえがそうなっておるんです。こう言って当時逃げ切ってしまった。よってその当時、これは合点がいかない、数年を経ずしてこの計画は破綻がくるであろう、案の定二年で終わっちゃった。それがいまでも尾を引いているんです。十カ年長期計画というんだが、もったことないじゃないか。大体十年間あるいは五年間という長期展望というものは、今日の時点においてとらえられるかどうか。むろん、その間に逐年見直しはしますとは言っておりますけれども、しかし長期計画だ、基本方針だ、こう言われるからには、やはりその内容を国会に示してもらわないと、示さないで、三条の二で基本方針をつくります。長期計画をつくりますというのでは、これは審議する側では何も法律の職人じゃありませんから内容をほしいんですよ。  ですから、このことに関連をして、一体港湾審議会に意見を問われたかどうか。本来ならば、その手順を踏んで諮問をし答申をもらうべきじゃないですか。その手順が踏まれていない。ちょっとこれは設置法上の審議会例の解釈が多少大臣や局長と私との間では相違する点があるかわかりませんが、いやしくも三条の二の中に示している長期計画及び基本方針というものは港湾審議会の法定条項に該当します。この手順が踏まれていない。これはどういうことなんですか。前段の私の質問からずっと答えてください。
  195. 岡部保

    政府委員岡部保君) ちょっと先ほど私、御説明申し上げたので、手続的な意味で申し足りなかった点があるかと存じますので、補足説明をさせていただきます。と申しますのは、先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、いわゆる先ほど御説明申し上げました港湾整備五カ年計画と申しますのは、港湾整備緊急措置法という法律によってこれは裏づけられておる計画でございます。したがって、その法律によって閣議決定の手続等がきまっておるわけでございます。それで現行の港湾整備緊急措置法というところで、第三条に、「運輸大臣は、港湾審議会の意見をきいて、昭和四十六年度以降の五箇年間において実施すべき港湾整備事業に関し、港湾整備五箇年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。」というのがはっきり法定されておるわけでございます。  したがいまして、先ほど私がいささか軽々しく申し上げました、たとえば四十九年度以降五十三年度に至る新たな港湾整備五カ年計画に切りかえるのだということになりますれば、この法律改正を国会で御審議いただいて、お認めいただかなければ、この新しい計画には乗り移れないということで、国会の御審議が必要であるということでございます。したがいまして、もしも四十九年度の予算の際に、新しい五カ年計画に乗り移るということを、政府として一応案としては認めるということになれば、当然この港湾整備緊急措置法の一部改正、これは年次だけが変わるほんとうの一部の改正でございますけれども、この一部改正という案を国会に提出して御審議いただくということで、これが成立しなければ新しい五カ年計画にはならないということがはっきりいえるわけでございます。したがって、その点ちょっと、先ほど申しませんでしたので、あらためて補足をさせていただきます。  そこで、そういうようなこの五カ年計画、これは国が立てる計画でございます。しかも、こういう別の法律によってはっきり定められている計画でございます。そこで今回の港湾法の改正におきましての第三条の二の基本方針あるいは第三条の三の港湾計画、これが一体、国できめる港湾整備五カ年計画というものとどういう関連があるかということであろうかと存じます。それで、その点について申し上げますと、この港湾法で述べております港湾計画と申しますものは、この緊急措置法で考えております五カ年計画あるいはそういう長期計画というようなものと必ずしも一致はいたしておりません。むしろ各港湾管理者が自分の港の今後を、ずっともう少し長い目で見て、一体どういう方向にこの港湾を開発し整備していくのかというような計画が、この港湾法でいう港湾計画でございます。  そこで、そのうちで、たとえば四十九年度からの五カ年計画だといたしますれば、四十九年度から五十三年度に至る間に、少なくもこの事業は国として裏づけをしてちゃんとやってもらいたいという管理者の御要望が出てまいります。そこを集大成いたしまして、しかも全体の総ワクはやはり先ほど先生の御指摘ございましたように、資金面の問題の制約がございます。そういうワクで押えられて、その中で国としては各港このくらいの計画までは裏づけいたしましょう、ただしこれは五カ年間のものを最初の年に全部見通して年次割りにするわけじゃございませんから、どうしてもでこぼこがある、そういうものは調整のワクを別にとっておきましょうというような計画が、この緊急措置法による五カ年計画でございます。したがって資金面の裏づけをきちっとしたという意味計画になるかと存じます。したがって、この港湾法の本来の基本方針であり、それから港湾計画であるというもの、これはむしろ、そういうできるできないというよりも、ほんとうに今後どういう方向に持っていくのだという、もう少しロングレンジで考え、どういう方向であるかというような点についてのお考え方をここでひとつまとめていきたいというような考え方であります。  したがいまして、先ほどの港湾審議会との関連でございますけれども、   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 これはこの五カ年計画、いわゆる緊急措置法にいう五カ年計画を改めるときには、完全にこれも法律によって港湾審議会の議を経て閣議決定するという条文になっております。それから、この港湾法でいうこの基本方針であり、あるいは個々の港湾計画というものにつきましては、基本計画は、運輸大臣が基本方針を定め、または変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議するということと、かつ港湾審議会の意見を聞かなければならないということで、これは当然、港湾審議会の議を経ると申しますか、意見を徴するということが義務づけられております。それから、地方の各港の管理者がつくる港湾計画、これの立案に際しましては、重要港湾港湾管理者は地方港湾審議会の意見を聞かなければいけないということがまず義務づけられます。それから、そういうものが運輸大臣に提出されました場合に、運輸大臣がこの港湾計画について中央の港湾審議会の意見を聞かなければならないという義務づけがございます。こういうことで、口幅ったい言い方ではございますけれども、なるべく民主的な手続を入れて、それでこういうものをきめていくべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  196. 森中守義

    ○森中守義君 いまの港湾局長の緊急措置法の説明で、手続上の問題がよくわかりました。ただし、だからといって、基本方針及び基本計画、こういうものがあとのことだと、これが先だということでは、この法案の審議としてはいささか問題がある。手続上の問題は、これは別ですよ。しかし、端的な言い方をしますと、大臣と局長の間でそう距離のある考えでないから、あえて問題にする必要がないかもわからぬけれども、少なくとも新計画に乗りかえるのか、踏襲するのか、中身の修正にとどめるか、こういう原則的なことは、これはきちっとやっておいてほしいですね。それが一つないということ。  それといま一つは、要するに基本方針基本計画は、手続上の問題は問題として、やはり委員会には、もう当然これは衆議院でも出たでしょう、こういう意見は。その辺のことはやはり整理をして述べてもらわないと、かいもく一体何が基本方針なのか、何が計画なのか。だからさっき変な聞き方をしたんだけれども、何も立法の技術屋、職人じゃないんですよ。むしろその辺の中身を知りたい。そのことが、長期計画が完ぺきなものであるのかどうなのかというようなことが、審議をする側の判断の材料になるわけですからね。これはいまここでできる相談がどうかわかりませんが、ちょっと相談してもらいたい。出しますか。
  197. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 大体さっき政府委員からお答えしたとおりですが、現行法の四十八条、それと改正案の、いま御指摘の三条の二との関係ですが、これはいろいろな見方があると思いますけれども、いまの四十八条をごらんになると、これは非常に運輸大臣の権限が、強過ぎると言うと語弊があるかしれませんが、強過ぎるのです。ほとんど運輸大臣が自分の考えだけで、これは非常に強権的に、いろいろの計画をしてみたり、あるいは国の計画に適合しないような場合には、変更を求めるとか、非常にこれは私は、非常に古い時代の法律なものですから、その点において、局長は民主的ということばを使いましたが、実際はもっと港湾管理者の意見を聞いてやらないと、運輸大臣が一方的にはやれないんです。これは。これはもう現実がそうなんです。ですから、実際港湾管理者とほんとうに一体になって、技術的にも、あるいは工事規模の、設備規模の問題につきましても、それじゃその財源をどうしようかということまで、これはほとんど運輸省が指導をし協議を受けて一体としてやっているのが現実です。それが現行の法律には出てないんです。それをもっと、こういうルールでやりますということを明確にして、一面、港湾管理者に対しましても安心をさせると同時に、こういうふうなルールで、こういうふうな計画を立てて、そうして運輸省のほうと十分相談をして実行に移すんだという、港湾管理者にもそういう心がまえをもってやってもらいたいというようなことがありましたものですから、私も、これは今度の立法のほうがむしろ近代的だと思います。こういうふうにして運輸大臣と各府県知事が一体になって港湾整備に協力をしながらやっていくんだという趣旨が出ておりますから、そういう意味でお考えを願いますと、さっき局長が言いましたように、港湾の基本計画とか、いろいろの省令で基準をきめると書いてありますが、これは各個の港湾に対して具体的に何県の何港というものはこういう方針でいきなさいとか、そういう具体的な港湾整備計画というものをここできめようとするわけじゃないわけです。全体を通じまして、この間も問題になりましたが、たとえば安全を守るようなことをしなければならぬとか、あるいは環境の整備をしなければならぬとかいうような、港湾としてあるべき姿というものを基本方針に十分書きまして、こういう方針にのっとってやってもらいたい、そういう方針にのっとって今度は各府県知事が港湾計画を具体的に立てて、そして運輸省のほうと相談してもらう、こういう形が望ましいということでこういう規定を置いたわけです。  この法律の案文を読みますと、おっしゃるように、多少、抽象論として、一体何を考えているのだというふうに見える部分もあると私も思います。この表現のしかたが。しかし、内容はそういうような趣旨で、これは現行法の足らないところを、くどくど、砕いて港湾整備計画を立てる場合のルールをここできめようというのがこれが本旨でございまして、詳細な点は政府委員からお答えをさせます。
  198. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま大臣の申しました点について、まず基本方針というのは一体どういうものであるかという点について、ごく概略御説明をさせていただきます。  これは第三条の二の第二項に、一号から三号まではっきりと書いてございますが、まず第一号の「港湾の開発、利用及び保全の方向に関する事項」としてどういうものを考えておるのかと申しますと、これは先ほど大臣のお説明にもございましたように、全国的な一つ考え方というものを方針として出すという考え方でございますので、たとえば港湾役割りが非常に重要化し、あるいは多様化するというようなものに対応しなければだめだよというような問題点、あるいは港湾の開発、利用及び保全にあたって環境を重視しなければいかぬというような問題点等々、非常に抽象的な感覚ではございますけれども、そういうような問題点についての、どういうふうな考え方で進むべきであるという点についての方針を第一号のところでは掲げる必要があるんではなかろうか。  それから、第二号の「港湾の配置、機能及び能力に関する基本的な事項」としては、もう少し具体化いたしまして、たとえば各港湾管理者港湾の規模を決定するにあたりまして、全国あるいは地域ブロック別の開発規模に関する長期的な一つ見通しというものを参考にすべきじゃなかろうか、そういうようなものがどういうものであるかという点についての考え方、それから港湾計画の策定にあたって参考とすべき港湾の機能分類、これをどういうふうに考えるというようなこと等々の、もう少し具体化いたしますが、やはりまだ全般的な問題でございますから、方針としていうのは個々の問題ではないというふうな考え方で考えております。ただ第三号の開発保全航路の配置その他開発に関する基本的事項というのは、だいぶこれは趣が変わりまして、と申しますのは、航路の指定をする——これ国がするわけでございまして、いわゆる航路の管理者というのが地方におるわけではございませんので、したがって、これについては開発保全する必要のある航路の指定の方向でございますとか、あるいは開発保全すべき航路の整備及び維持の目標というようなものをここで考えていくと、これが基本方針ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、一応ごく荒っぽい要綱の案はつくっておりますので、御必要であれば資料として提出してもよろしゅうございます。
  199. 森中守義

    ○森中守義君 大臣ね、なかなかうまいぐあいに大臣は答弁されるもんだから、ちょっとこれはよほど用心して聞いていないとえらいことになります。  つまり、さっき私が言ったように、大体もう基本方針というのは、六項並べてあるんですね、項目は。これだけのものが用意されておる。同時にまた、その三条の三で、港湾計画は、これまた九項にわたって出ているわけですからね。これは何も局長出し惜しみをしないで、御必要であれば出しますよというのではこれは困る、あれば出しなさいよ。出すと同時に、私はやっぱり長期的なものか、新しくやり始めるのか、あるいは継続するかというその辺のことぐらいはきちっとして計画書を一緒に出してもらうと、これが一体列島改造とどういう関係があるのかないのか、そういう議論に対する一つの答えにもなると思うんですよ。かなり疑問がありますよ。港湾に限定したとこう言いながら、いやそうじゃなかろう、列島改造とどういう関係があるんだ、あるいはさっき私が冒頭に、要望書が出ている、しかもテーブルについたといわれるけれども、必ずしもそれは完全なコンセンサスが得られたとは思っていない、ならばそこに基本方針を示す、あるいは開発計画を示すということになりますと、だいぶまた、いやこれは権限が縮小されるとか、中央集権になるんだというような、そういう疑問にも答え得ることになるんだと、こう思うんですよ。  だから、正確に、すでに局議できめたとか、省議できめたという、そういうところまでは注文はつけませんけれども、まあひとつ基本方針あるいは計画というものは、用意したものがあるならばひとつお示しをいただきたい。そうしなければ、ちょっと法案の審議は先に進みませんよ。
  200. 岡部保

    政府委員岡部保君) 基本方針につきまして、非常に抽象的なあれではございますけれども、要綱案のごときもの、私ども考えておりますのがございますので提出をさせていただきます。  それから、もう一つ先生の御要望である、計画を提出せいとおっしゃる意味が、実は私はっきりいたしませんでしたのですが、と申しますのは、現段階ではっきり、先ほども申しましたように、法定されておる計画というのは、四十七年三月に閣議決定を見ました港湾整備五カ年計画というものでございまして、これについては資料もございますから、これも提出させていただきます。ただ、今後の計画、いわゆる新しく港湾整備緊急措置法の改正をお願いいたすことになります場合に、それに伴うどういう計画を持っておるというような問題であるかといま伺っておったんですが、これについては、まだほんとうに作業中でございまして、何ら形のまとまったものはございません。  それからもう一つ、この三条の三で「港湾計画」というふうに書いてございます。これにつきましては、従来、港湾審議会港湾管理者計画審議した計画書というものは、いろいろな港についてございます。したがって、どういうものがいままで港湾計画として港湾審議会審議されたかという点の御参考までに提出せいとおっしゃるならば、どっかの港を一つ例にとって計画書を提出するということは可能でございますので、そこの辺、ちょっと御意思を伺いたいと思います。
  201. 森中守義

    ○森中守義君 それは具体的に申し上げるとこういうことですよ。三条の二の中で、開発保全航路の開発というところがある。この開発せんとする航路はどことどことどこなのかということであり、しかも総理の列島改造論の中で、非常に重要な部分があるんですね。これはまあ一つの著述ですから、これが政策ベースに乗ったとはいえない。まあおそらくそういうことはあり得ないと思うけれども、この中で港湾問題にかなり触れておるんですね。たとえば、これは大臣も局長もお読みになったことがありますか——ある。まあ大体発想はこの辺にあるだろうからね、読まなきゃこれはどうにもならない。  そこで、二〇ページに「臨海部において予想される開発候補地点としては、釧路、第二苫小牧、むつ小川原、秋田臨海、中海、有明干拓、志布志湾、宿毛湾、橘湾などがあげられる。」、こういつて、具体的に候補地をあげている。それから中規模臨海工業地帯の候補地としまして、橘湾、宿毛湾、有明、八代、中海、福井新港、新潟東港、酒田新港、函館湾、石狩新港、北関東新港、中南勢、中城湾、金武湾、こういうものをあげているんですね。それから「貿易量増大に対応するために広域外航港湾を拡張し、新国際貿易港を建設する、」それから「大型タンカーが直接、入港できなくとも、港内にシーバースをつくり、ポンプで石油を陸揚げすればよいわけである。」ということで、石油港湾関連して石油備蓄基地、中継基地の建設を考えると、北海道の噴火湾、岩手県の山田湾、宮城県の石巻湾、岩手県の広田、石川県七尾湾、千葉県館山、静岡県の静浦、三重県伊勢湾、愛媛県由良、山口県油谷湾、大分県別府湾、佐賀県伊万里湾、長崎県崎戸、沖繩県金武湾、こういったように、かなり具体的な構想を示しているわけなんですよ。これが具体的な港湾計画のほんとうの中身になるのかどうなのか、この港湾計画の中で予定をする地点とはどこを意味するのか、しかもこれが実際作動する場合に、おそらく三年間の延長になるのか、あるいはこれから五年間出るかは別としまして、少なくとも長期計画の中に、こういうものが当然なこととして採用される可能性がある、こういうことが、列島改造と港湾法の改正とはどういう関係があるんだということが、しばしばいままで議論をされてきて、さてそこまで突きとめた議論になっているかどうか、それは知りませんよ。私は、この辺のことがはっきりしないと、どうしても港湾計画というものは、ただ概念として港湾計画をしておりますというのでは、国会に対する審議要請されている運輸省としては、必ずしも親切ではない、中身がわからなければだめですよと、こう言っているわけです。だから新谷運輸大臣、なかなかうまい答弁としては聞きますが、もうちょっと中身のある答弁をしてください。これは国民の皆さん方もきょうは一ぱい見えているようだから、懇切丁寧にひとつ大臣からお答え願います。
  202. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先ほどお答えしたのは、現行の四十八条に関連しての、改正案の三条の二との関連において、これはこういう趣旨で三条の二というものは立案をしたんですということを抽象的に申し上げたのですが、多少具体的に港湾の名前まであげて、列島改造論との関係をお聞きになりましたので、これはある程度具体的にはっきりしないといけないと思います。  この列島改造論は、これは別に政府できめた政策でもないし計画でもない。一つの著述ですから。ですからここに、いろいろ田中総理が述べておられる御意見につきましては、傾聴に値するものもあると思いますけれども政策的に具体的なアプローチをしていく場合には、これはいろいろ問題があろうと私は思います。したがって、そこに書いてあります現状の認議であるとか、あるいは基本的な構想、そういったものについては、今後政策上取り入れてしかるべき方向もたくさん私はあると思っていますが、それがそのまま政府政策でもないし、それがそのまま具体化されるというものでもないというふうに考えていただきたいと思います。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 ただ、そこに一般的に述べてある、たとえば今日のわが国の地域社会を見てみますと、過密、過疎というような状況が非常に顕在化してきている。公害とか環境問題というものが非常に起こってきている。それが深刻化しつつあるというようなこと。こういったものを緩和して、国民全体が豊かに明るいよい生活を享受するためには、国土利用あり方について、もう一ぺん見直す必要があるんじゃないかというような方向ですね、これは考えなければならぬことだと思うわけです。今度の出しております港湾法の改正につきましても、いま申し上げたようなある部分が取り入れられておることは事実でございます。これはしかし、列島改造論が出たから急にそんなことを考えたわけではもちろんないんで、当然国民の声でもあり、政府としては、考えなければならぬ政策を取り入れていったということにすぎないのであります。  今後は、そういういろいろの意見を参酌しながら、さっき申し上げたような経済社会基本計画、これがひとつの閣議できめた政策の行き方でございますから、これに斉合性を持たせながら、港湾計画というものも具体的に立てる必要があるというふうに考えておるのでありまして、いまお述べになったような、何とか湾何とか湾というものを、いま具体的に意識して第五次五カ年計画を立てようという考え方は持っておりません。
  203. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 森中委員の問題に関連をして、列島改造論が出ましたので。  先般、私がこの港湾法の問題に関連をして、トップバッターで長々と、大臣からいみじくもそう同じことを二回も三回も言うなよと、そういうことは、私は総理の発想が、ともかくも列島改造の中に、ワク組みの中に、内航海連のあり方というものと、その拠点である港湾というものは意図的に位置づけられておるんだ。したがって新しい航路を開発をするという点については、やはり重要な、追及しなければならない点だ。そういうポイントをその当時感じでおったから、繰り返し繰り返し重要なポイントだというふうについて、私の主観からいえば、繰り返すどころか、どうしても政府に理解を深めてもらわなければいかぬということを意図的に申したわけでありますが、今日的に、たとえばそれは御承知だと思いますが、航空自衛隊のこれは四次防となるか五次防になるかということはまだ明確な段階でありませんけれども、硫黄島に航空自衛隊の海上訓練基地をつくろうという論議があるわけでありますが、そうしますというと、やはりそれができるという想定の上に、これは架空じゃない、そういう論議がなされたことは真実でありまするから、そこでそういう状態になるというと、それが航空自衛隊の海上訓練の基地ということになれば、当然これはそこにいろいろな付随として一つの基地化される関係になれば、当然新しい、本土と硫黄島とのやはり新航路というものが配慮されてくるということは、これはもう物理的な自然だと思うのですが、その辺の点については、まだ全然関知もしないし、意図的にもそういうことを、いま運輸省段階では聞いておらないかどうか、その辺の点についてはどうですか。
  204. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) その航空自衛隊の基地がどうなるかということは、これはいずれ港湾関係いたしますと、われわれのほうにも連絡があり、協議があると思いますが、いま硫黄島の問題を具体的にお述べになりましたが、私は聞いておりません。今日聞いていません。事務当局に聞きましたが、事務当局も聞いていないと言っております。あるいは計画があるのかもしれませんが、まだそういう段階ではないようです。
  205. 森中守義

    ○森中守義君 さっき私が示したこの列島改造論ですね。これは全部採用するのじゃないという答弁ですが、これは、こういうことはどうだっていいのですよ。それで、出ないなら出ないように運輸省独自のものをお持ちでしょうから、これはやはりそういう一つの開発計画はお持ちでしょうから、そういうもの出せませんか。そんなのが出てくると、なるほどこれは列島改造に依存したものではないのだ。これを予定したものでないというような理解もできますしね。出てこないものだからどうだどうだと、こうまあ言っているわけですよ。  それからもう一つ、事のついでのようですが、各条項をずっと見ていきますと、政令あるいは省令の委任が非常に多い。ところが、非常に重要な部分が政省令に委任をされておりながら、全然省令あるいは政令というものはない。こういうのは、これは当然審議の重要なものですから出してもらわなければ困りますよ。いま私は、さらっと一つのさわりをやっているわけですがね。中身に入れないのです。政令、省令、基本計画、基本方針がないものだからね。これはどうなんですか。ちょっとこれは理事会でそれを一ぺんやってもらおう。そんなもの、材料を提供しないで審議をやれと言ったって、審議ができるはずないです。ひとつ委員長、理事でやってくださいよ。
  206. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 政令、省令については、これは省令になるといろいろな手続規定なんかもありますから、これは要らぬだろうというものもあるでしょう。しかし資料として提出要求されれば、これは当然法律案審議に必要ですから出さなければならぬと思います。ただ、さっき局長が言いましたように、こまかい手続のようなものとか、非常に細目にわたるようなものについては、まだできてないのもあるかもしれません。それは率直に申し上げればいいと思うのです。こういうわけでまだできておりませんということを率直に申し上げればいいと思うのです。審議をしていただくのに、別にそれを隠しだてする意味じゃ毛頭ございません。十分審議していただくためには出したほうがいいと思いますから、極力出させます。それで御了解いただきたいと思います。  それから、これは局長が答えたほうがいいかもしれませんが、何か具体的な計画があるだろう、それを出せと、こういうようなお話しのようですが、これは、たとえば五カ年計画をつくりますときにも、ほんとうに目分量で計画を立てるわけじゃないのです。これはやはり積算の基礎になる、大体ここではこういうことを考えているのだということは、大体計画としては一応持っているだろうと思うのです。ただ御承知のように、いまの港湾は、これは局長から詳しく事務的なお答えをさせますけれども、いまの港湾は、さっきも田渕さんから御質問がありましたですが、どこを見ましても非常に、これは一つは戦災で港湾設備がほとんどたたきつぶされたということ、それからそのあと、すぐに港湾を、もっと早く手を回して復旧すればよかったと思うのですが、その復旧が非常におくれたということ、そこへもってきて、最近ここ数年間、国際貿易がどんどん自由化されておりますから、どこの国でも非常に輸出入がもう画期的にふえてきております。ですから日本の港湾では滞船が非常に多くて、平均四十時間滞船しているというのですね。荷役を待っているわけです。そういう状況でございますから、非常に流動的なんですね、具体的に言いますと。国際貿易の伸展の模様によりまして、これは非常に流動的で、五年先を見て具体的にどことどことどこをどうするのだというところまで確定をするわけにいかない状況があるわけです。そういう点を十分含んでおいていただいて、われわれのほうも、考えられる計画というものを、概要でも明らかにするようなものを、できるだけそろえて出させるようにしますから、そういう点を含んでおいて、ひとつごらんを願いたいと思います。
  207. 森中守義

    ○森中守義君 これは申し上げたから出すというのでも実際困るし、むしろ政省令にしましても、全然手をつけていないということでもおかしいのです。実際は。ですから、むしろ付属資料というのか、ある意味では重要な内容のものですから、法案をひとつ審議してくれという場合には、何も私は隠しているだろうと、出さぬのはけしからぬと、そう言っているのじゃない。本来持つべきだと、そういうものを、法案を出してくる場合には政令省令も含めて。ただ、そうじゃなくて、何が何でもいいから法案だけ仕上げてくれ、あとでそつのないようにいたしますよというのでは、何回も繰り返すように、立法の職人じゃないわけですから、そういうものを見ないと、やはり計画というのは相当長期性を持つものだろうし、財政がどうなるのか、あるいはその地域開発がどうなっていくのか、そういう非常に各般の問題に関係しますからね。隠しているとかどうとかいう、そういう意味じゃ、大臣ないのですよ。当然そういうものは法案審査に必要なものとして提出をすべきだと、こういう主張なんです。それは誤解があっちゃ困る。  それで、きょうは私も、そろそろ時間が来たようですが、次の機会にはこれはどうしても出してもらわなければ困る。何と何と出しますか。
  208. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御要請は、私ども当然だと存じますので、できる限り提出をさせていただきます。
  209. 森中守義

    ○森中守義君 次回は来週の木曜のようですから、それまでにひとつ間に合いますように、十分勉強もできますようにお願いしておきます。  それから環境庁、来ていますか。ちょっと野村長官も前に出てください。  海洋汚染防止法の改正の中で、「オイルフェンス、薬剤その他の資材を備え付けておかなければならない。」ものとする。こういう条項がある。このオイルフェンスというのは義務づけられたことは義務づけられたことになるんだけれども、実際その性能というのは、ただ多少とも気分的に、公害防止をやるのでオイルフェンスをつければよろしかろうというものなのか、実態はこれはどうなんですか。間違いなく役目を果たすような機能、性能のものですか。ちょっとこれが気になりますね。
  210. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) オイルフェンスでございますが、今度の改正法案でオイルフェンス等を整備するように法律上の義務として要請しているわけでございます。  オイルフェンスの現状を申し上げますと、円筒型の布袋にスカートをつけたものという一つの種類、それからもう一つはびょうぶ式のもの、もう一つは円筒とびょうぶを併列したもの、大体おおむね三つございます。それで、このおもな生地がいろいろございますが、ネオプレーンまたはビニールの帆布というものがおもなオイルフェンスの材質と申しますか、そういうものでございますが、現在、海上保安庁で使っておりますのは、大体十メートルの風に耐え得るであろうというもので、その布袋の径が三十センチないし六十センチ以上になっております。で、民間でいままで持っているもので、必ずしもこれでないものもございますので、いま私が申し上げましたような、円筒型の布袋または円筒、びょうぶの併列したようなもので、そのオイルフェンスの径が三十センチないし六十センチ以上のものであれば、大体十メートルの風に耐え得るという実験上のあれを持っておりますので、極力そういうものを整備するように行政指導して整備させたい、かように考えております。
  211. 森中守義

    ○森中守義君 いま保安庁長官の言われるのは、何年ごろの製造になるものですか。製造メーカーはどこですか。
  212. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) メーカーはいろいろあると思いますがこれは私ども、ジュリアナ号そのの他のいろいろな経験にかんがみまして開発をしつつあるものでございまして、一番新しいものは、ごく最近これが販売をされているというものでございまして、ちょっと正確な、何年製かということをただいま承知いたしておりませんが、非常に新しい制式のものであるというふうに考えております。
  213. 森中守義

    ○森中守義君 これは製造の年次をはっきりしてもらわないとあとで問題があるんですよ。それと製造メーカー、ちょっとすぐ調べてください。すぐわかるはずだ。少なくとも実用に供されているもので一番古い年次のものはいつのころ、一番新しいのはいつのころ、全部統一されていないはずです。
  214. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいますぐ調べます。
  215. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 十分間速記を中止いたします。   〔速記中止〕
  216. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。
  217. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) オイルフェンスの製造業者でございますが、私どもで把握しておりますのは、中村船具工業、横浜でございます。それから山水商事、これは東京でございます。それからナショナル・マリン・プラスチック、東京。住友電気工業、これは東京。大陽工業、東京。東洋ゴム、東京。それから三菱電機、神奈川。それから鈴英、それから赤尾保商店、ブリジストンタイヤ、カナエ産業、栗山ゴム、横浜ゴム、大体こういうところがおもなメーカーでございます。で、現在、私が先ほど申し上げましたように、改良されたタイプのものは、昭和四十六年十二月の例の新潟沖のジュリアナ号事件の教訓というものは非常に大きな契機になっておりまして、これはユーザー、メーカーともに、また私どもにも大きな教訓になっておりますので、この教訓にかんがみまして改良を加えられたものが、現在、ほとんど使われているというふうに確信しております。
  218. 森中守義

    ○森中守義君 メーカーはそれでわかりましたが、肝心な、いま、保安庁の関係で実用に供されているものの製造年次はどうなのか、それが重要なんです。
  219. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) いま私のほうで使っておりますのは、ちょっとまだ、電話で問い合わせ中でございまして、まだそれはちょっと調べるのに時間がかかるかと思いますが……。
  220. 森中守義

    ○森中守義君 どのくらい時間かかりますか。
  221. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これは私のほうから、本庁から横浜の三管区に問い合わせることになっております。具体的に持っているものをずっと調べるわけですから、かなり時間がかかりますので、ひとつほかの点で何でもお答えいたしますから……。
  222. 森中守義

    ○森中守義君 それでは、通ずるまでちょっと一、二問聞いておきましょう。できるだけ急がしてください。それが来ないと、きめ手が出てこないからね。  いま長官がお示しになった機器メーカー、これは運輸省の指定ということですか。こういうメーカーから買っているということですか。それと認定品ということになるのかどうなのか。
  223. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 法律上の認定とか指定とかということではございませんで、私どものほうが、こういう会社でつくっておる規格というものが比較的性能がよろしいということで、推薦と申しますか推奨と申しますか、そういうことを自分自身で持つ場合にもこういうもので持っておるし、それから外部の製油業者あるいは船会社等が持つ場合にも、こういうものの中から、先ほど言いましたような規格のものを選んで備えなさいという指導をいたしておる、こういうものでございます。
  224. 森中守義

    ○森中守義君 そこで長官、性能認定が非常に問題なんですよ。なぜ私が、オイルフェンスに、速記中止までいただいて、また横浜からの返事がなければちょっと休憩でもしてもらわなきゃいかぬのだが、こういうことですよ。昭和四十六年の国立国会図書館調査立法考査局、ここで実態調査をやったわけです。この実態調査の報告書というのが出されたですね、ごく最近。非常に、傾聴に値するような内容なんです。ちなみに、その中身をちょっと御紹介申しておきますと、こういつているんです。「オイルフェンスは、今日まである程度の技術開発が行なわれて来たが、さらに研究を要する点が多い」こういっている。しかして「今日の技術段階では、海難時における大型タンカーからの油の大量漂流の対策が技術的に完成されていない。」こういい切っている。「また、激しい風浪に堪えうるように、オイルフェンスは格段の改良が望まれる。」こういっているんですよ。さらにまた、「われわれは、昭和四十六年十月、神戸港内におけるオイルフェンスの使用実験の見学の機会を得たが、政府機関による研究もさることながら民間業界に対し、大幅な援助を与えてこれが完成の一日も早からんことを望みたい。」と、こういっている。これが問題なんです。だから、いつの時期に製造されたものを実用に供しているかという問題、つまりこの報告書のあと、かなりの期間がたって、改良改良を加えたものを使っているのか、あるいはここに指摘されているような、その時代のものであるのかどうなのか、こういう問題になるんで、それでその製造の時期はいつなのか、これを聞いているわけです。  大体、こういうものは科学技術庁で性能認定をするのか、あるいは環境庁でやるんですか。ただ、いま保安庁長官が例示をしたように、商社はこれとこれとこれとあります。これを買っておりますということでいいのかどうなのか。しかも今回、このオイルフェンスを海洋汚染防止法の改正条項の中に入れてこれを義務づける。しかもこれが非常に重要な公害防止の一つの役目をになっている。そうであれば、ある程度政府の統一した性能認定、そういうものに一つの準拠をしないと、少なくとも保安庁長官の言うように、メーカーがこれこれだ、ここでつくっているから買いましたということでは、強制設備をやろうというこの法律改正では、あまり意味がない。どこが性能認定をやるのか、はっきりしてもらいたいわけですね。来ましたか、横浜から。
  225. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 製造年月日だけがわかりまして、いま、またさらに引き続いて調べておりますが、申し上げますと、私どもの役所で持っているもので、古いものは四十三年の八月、これは先ほど言いました山水商事と日本ゴムのものを使っております。一番新しいものは四十七年の十二月、これは中村船具と山水商事のものでございます。それからこれは民間でございますが、一番古いものは山水商事でつくりました昭和三十八年ものを使っておりますが、一番新しいものは、今月に入って、四十八年の六月に製造されたものを使っているものもございます。これがどれだけか、ちょっとまだ調べておりませんが、製造年月日とメーカーは、いま申し上げたとおりであります。
  226. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 技術開発一般のまず問題でございますが、技術開発一般につきましては、先生おっしゃるとおり、科学技術庁でこれはいろいろつかさどっているわけでございます。ただ、公害防止の関係の技術開発につきましては、科学技術庁とともども環境庁が開発計画その他の調整を行なうということにいたしまして、予算の計上その他を通じまして調整を行なっております。  ただ問題は、第二の問題の性能の認定その他の問題になりますけれども、これは私どもは、詳しいことは承知いたしておりませんが、おそらくは通産省が規格その他の認定をするのではあるまいかというふうに実は考えます。ただ問題のオイルフェンス等につきましては、それをもっぱら使用その他をいたしております海上保安庁におきまして、具体的な性能の認定をいたしまして、指導その他をおやりになると、一般的な商品規格というものは、通産省ではなかろうかというふうに考えます。
  227. 森中守義

    ○森中守義君 その辺が実は問題なので、やはり法律上義務づける、強制づけるということになると、これは何といっても国の金を使うわけだから、しかも今日の公害が非常に重要な問題であれば、これはやっぱり政府の統一した性能認定をしたものでないと、ただ法律は変えました、オイルフェンスは義務づけましたということだけでは、これは意味ないんですよ。だから、そういう意味では、由来、海上保安庁が性能認定をするべき立場にはない、正確な言い方をすると。で、そういう意味で、いま長官の言われるように、一番古いものは三十八年ものだ、新しいもので四十八年ものだと、こう言われるんだが、この国会図書館立法考査局、これはよく私も知った人たちですよ、ある意味では科学技術の国際的な権威者ばかりでやっている。こういう人たちが四十六年段階において、もうオイルフェンスというものは、これでは役にたたぬと、こういっているわけです。よって三十八年当時のものがどのくらいあるのか、その年次ごとに見てみなければわからぬけれども、いま三十八年ものあたりは、要すればただつけているという程度にすぎぬのじゃないですか。これじゃまたどこかでタンカー事故があった、何があったというときどうしますか。だから、この際強制する、義務づけるというならば、それに対応できるような措置はとれませんか。そうしなければ意味ないよこれは。だから最初指摘しましたように、「港湾法等」——「等」の中に、ある意味では私は異質のものだと思う。けれども環境整備という意味で、これをやるならやるように、もう少し画一的に、近代化したもの、これは国会図書館立法考査局が指摘しないようなものを、きちっとしてもらいたいです。しかも、そういう場合に予算措置なんかどうなりますか。あるいは個々に点検でもやりますか。そうしなければ法律改正の意味はない、どうしますか。
  228. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先生の御指摘のように、私どもも各港における大型タンカー事故対策連絡協議会というものを、全国で四十七カ所つくりまして、そして一年に一回ないし二回の訓練を合同でやっております。それをおそらく立法考査局の、その文献にあります調査者の方もごらんになったんだと思いますが、そういうことで、まず私どもがやっておりますのは、港ごとの大体保有の基準をきめまして、オイルフェンス、あるいは油処理剤の保有を行政指導してまいったわけでございまして、大体四分の一が海上保安庁、それからあとの四分の三は船会社あるいは荷主あるいは地方公共団体ということで持っていただいておるわけでございます。  現在、全国で申し上げますと、全国といいますか、いままでありますのは官民合わせまして、オイルフェンスは約二十三万メーター。それから、油処理剤が千六百五十五トン全国で持っておるわけでございます。これは海上保安庁と民間の保有者と合わせまして。その際に、先生いま御指摘のように、オイルフェンスはだんだん改良されておりますけれども、当初は非常に不備なものであったと、それはそのとおりでございます。ただ現在でも、オイルフェンスだけで大量流出油の防除はもちろんできませんので、総合的な対策といたしましては、大量の流出油があった場合にはオイルフェンスを張って、とりあえず応急の措置として、油がより拡散するのを防ぐということと、それからオイルスキーマーと申しますか、油をすくい上げる船、これは今度の港湾局の計画の中にもそれを持つように考えられておるわけでございますが、そのオイルスキーマーを持って、そしてオイルスキーマーですくい上げる。それから二次公害等のおそれがない場合には、ある程度処理剤を使って油の乳酸化をはかってそれをすくい上げる、あるいは吸着させるということをやるわけでございますので、オイルフェンスだけ改良くふうを加えても、なかなか十分でないということは、先生のおっしゃるとおりでございます。  それから、これを持たせる方法でございますが、これはもちろん海上保安庁あるいは官側で持ちますものは、国の本年度予算でもこれを認めていただいておるわけでございます。三千万ほどの予算を認めていただいておるわけですが、民間のものについては、いま言いましたような、私どもが推奨するその仕様、構造のものを民間のそれぞれの会社あるいは地方公共団体で持っていただくように勧奨する、こういうことでございます。
  229. 森中守義

    ○森中守義君 くどいようですが、やはりもう一回再整備をやる必要がある。三十八年ものあたりでは、とても役に立たない。ただつけておりますよという公害防止の言いわけにすぎませんよ。  そこで、さっきの御説明だと、四分の一が海上保安庁、四分の三が民間だと言われるのだが、これは強制設備をやらせるわけだから、こういう機会に性能検定をもう一回やってみて、最も新しいものを備えつけさせる。こういうことをやっていかないと、法律改正やったが、ただ義務づけただけだ。役に立たぬ古いものを持っていても意味ありませんよ。それと、そのオイルフェンスだけで一切がっさい防止がオールマイティということじゃないのだ。他にいろいろな総合的な作業をしなきゃならぬとこう言われるのだが、それはそれとして、やはりオイルフェンスだけを考えるならば、これでは意味がない。やりますか、やりませんか。  それと環境庁も、これは技術庁あたりとよく相談をして、保安庁ともですね、政府みずからが性能検定を一ぺんやってみたらどうですか。役に立たぬものを、金出してやっても意味がありませんよ。  それからもう一つ、この報告書の中では、「大型タンカーの事故事に備え無害な中和剤の研究が望まれる。」こういつておる。中和剤もだめだと、こういうのですよ。いま言われるオイルフェンスにプラス中和剤、いろいろな措置があるでしょうが、中和剤を目下あげているわけですよ。で、この中和剤の現在の開発状態あるいはその供用状態、どうなんです。
  230. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 油処理剤につきましては、その効果的な使用と二次公害の防止をはかるために、去る二月に、流出油処理剤の使用基準というものを定めまして、これに適合したもののみについてその使用を認めておるわけでございます。現在三十四種類の処理剤を認定済みでございます。また使用に当たっての区域、方法等についても基準を定めまして、適正な使用を確保するようにいたしております。  しかしながら、先ほども保安庁長官から答弁がございましたように、オイルフェンス、処理剤とも、世界各国におきまして目下研究開発が進められておりますが、まだまだ完全なものはできておらないわけでございまして、いずれにいたしましても、さらに有効な処理剤を開発するために、本年度われわれといたしましても分散性能の評価とか魚とか海藻類への影響等の研究につきまして予算を計上しておりまして、その成果によりまして、さらに現在の使用基準をレベルアップしていく、こういうように考えております。
  231. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 油の処理剤につきましては、やはり問題になりましたのは、ジュリアナ号の事件のときに大量の処理剤を散布しまして、まあ二次汚染が心配されたわけでございます。そのときに、閣議におきまして、油の処理剤を含めます化学物質につきましては、事前に安全性の点検をする必要があるだろうということになりまして、各般の化学物質につきまして、それぞれの担当省庁をきめまして協議会を設け、検討を進めるということになったわけでございます。  油の処理剤につきましては、いまお話がございましたとおり、運輸省の海上保安庁を中心といたしまして——環境庁も参加しているわけでございますけれども処理剤の使用基準、それから処理剤の規格等につきまして検討をしていただいておるわけでございます。で、中間的な段階といたしまして、すでに海上保安庁のほうから、現在使用することが適当であるという処理剤につきましては保安庁のほうで指定がなされておりまして、その指定をされた処理剤を使用をしていただくというような段階になっておるわけでございます。
  232. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま私どもの官房審議官及び環境庁の局長からお答えがありましたように、私どもも海上保安試験研究センターという試験研究センターを持っております。これは昨年度できましたもので、新しいわけでございますが、公害の防除のいろいろの研究をするところでございますので、いま言いました油の処理剤の研究、これも研究費をいただいてやっております。  こういうところを留意いたしまして、オイルフェンスの開発あるいは改良あるいは油処理剤の質の、何といいますか、低公害性の油処理剤の開発ということのほうを専門的に研究させるということにしておりますので、今後さらにこの機関を拡充強化して、より効果的なものを開発するようにつとめたいと、かように考えております。
  233. 森中守義

    ○森中守義君 どうも、ぎりぎりの答えが少し足りませんね。  私が聞いているのは、それは一挙に一〇〇%、一五〇%の非常に高性能、良質のものがにわかに開発できるものとは、それは思いませんよ。ある程度頭脳が集積されて、段階的に改良されていくもんでしょうからね。そこで、いっているのは三十八年ものがある。これはもうただつけておるにすぎない。こういうのはだめなんだ。それで現状において、どれがベストなのか、どれがベターなのか、そういう、現在における最良最高のものに統一したらどうなんだ、そういう用意があるかどうか、こう聞いているんだ。  それと研究開発の体制、しかも性能認定はどこでだれがやるのか。それをはっきりしてくれと、こう言っているんですよ。
  234. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) ただいまの御質問、御趣旨はたいへんよくわかりますので、私どもといたしましては、今回の法律で、オイルフェンス、処理剤等の備蓄を義務づけておりますので、この義務づけが施行されますことを機会に、技術基準といいますか、性能基準を省令ではっきり定めまして、それによって、備蓄資材の要件をはっきり定めたい、こういうように考えております。
  235. 森中守義

    ○森中守義君 将来課題として、まあそれはいいですよ。ただしかし、今日の公害関係の技術というものは、ある意味では将来技術なんですね。完ぺきなところまでいくには相当時間がかかる。しかし現状において最高のものを選択しなければならぬ、しかも法律上こう義務づけるならば。ないところにつけるというんでなくて、あるところにでも、役に立たなければ新しいものに取りかえていくという、こういうことをしないと、いよいよ事故が起きた、さあ間に合わない。先年の新潟でもその例でしょう、瀬戸内でもしょっちゅうそんなことが起こってる。もう、たびごとに、油問題というのは非常に大きな社会問題になる性質のものであるし、それであればこそ、今回こういう法律改正に踏み切ったわけでしょう。それに実際性を持たせるために措置をとるべきじゃないですか。それと、省令によって基準をつくる、こう言われるんだが、これはもう少し、環境庁あるいは科学技術庁あたりともよく相談をして、もっと高次元のものをつくる必要があると思いますよ。  それと、これはどの程度の財政措置を伴うか知りませんけれども、大臣、これはどうなんですか、義務づけるだけじゃ意味がない、かえませんか、一番いいものと。それで事故が発生しても、幾らかでも社会の期待にこたえられるならば、私は金じゃないと思う。さっき保安庁長官は、四十八年六月ものがある、こう言われた。三十八年ものよりもこれがいいでしょう、あるいは四十三年ものよりもこれがいいでしょう。こういうものに統一してみたらどうなんです。そして二年、三年逐次性能認定をやりながら——これはもう一たんつけたんだから、まだ償却年数が来ていないからもったいない、こういうことでは私は困る。新しいもの、新しいものに、こういうことにこそ、国民は税金を使われても問題にしませんよ。そういったように、いいもの、いいものに性能認定しながらかえていく、こういう方式をとるべきだと、こう思うんですがね。まあこれは、運輸大臣のお答えのほうがより正確であるかわかりませんな。環境庁長官なり技術庁長官ともよく相談をしていただいて、財政の措置をとりながら、より新しいものを常時採用していく、こういうお約束ができるところに、この海洋汚染防止法の法律改正のほんとうの意味があると思う。どうでしょう。
  236. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) おっしゃること、ごもっともだと思います。問題は、たとえば環境庁あたり、あるいはさっき科学技術庁と言われましたが、そういう担当官庁で基準をおきめになると思います。はっきりと。そうすると、これは日進月歩だと思いますから、ですから、たとえば去年のものはもうだめなんだということでは、これは非常に財政負担が多くなる。まあどの程度まで使えるかという実際上の判断の問題だと思うんです。そういったのを含めて、そういう担当官庁が基準をお出しになれば、もちろんそれに従って、あなたのおっしゃるように、新しいものに取りかえていくというほうが望ましいことはもちろんでございます。しかし、きょう取りかえたものが来年になっていいのかということになりますと、どんどんこれ開発されていきましょうから、来年度はまた新しく取りかえるということになってくると、これは財政負担も非常に大きくなると思いますから、要するにこれは、実際の問題として程度問題であり、それから財政負担との関連において十分前向きに積極的な方針で対処していくというような姿勢がほしいという御質問の趣旨だと思いますので、そういう趣旨であれば、私も賛成でございます。その点については、関係省庁とも十分連絡をしながら、処理をしていかなければならぬと思います。
  237. 森中守義

    ○森中守義君 大臣のそういう御答弁で一応いいんですけれども、やはりこの際は、ある程度具体的でないと困る。だから、いま原田審議官が、基準をつくりますと、こう言われるんだが、その基準は、もうちょっと範囲を広げて検討策定が望ましい。  同時に、何年度のものが一番いいのか、その性能認定というのを、これはやっぱり環境庁なり科学技術庁なりまじえてきちんとした認定をすれば、四十八年のものよりも四十七年がいいかもわからない。あるいは四十六年ものでも非常にいいものがあったかもわからない。それは、それぞれの年次によって検討を加えながら、少なくとも新しい改良をすべき点がたくさん出てくると思いますから、一番いいものを一ぺん統一してみたらどうなのか。こういうことなんですよ。  それと、四分の三の民間に対して、これを一体どうするかという問題ができてくる。いままで私どもが公害問題に手をかしてきて感じたことは、たとえば公害防止事業団あたりの金を出そうというが借り手がない、こういう事態もあった。その理由をよく問うてみますと、要約すれば、公害の機器というものはいわば未来産業なんだ、したがって完成されていないものを高価な代償を払って、対価を払って取りつけることはあまり好ましくないというようなことで、なかなか民間企業はつけたがらないんです。こういうことが、ある意味では、日本の公害防止を企業が怠っている。あるいはそのことを政府が容認をしておったという、こういう問題にも通じてくるわけです。そうなると、この際は、四分の三を民間が持っておるとするならば、当然政府の統一したものに従わしめる、こういう行政指導、実際の措置ができるのかどうなのかということをちょっとただしておきたいと思います。
  238. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 今回、先ほども御答弁いたしましたように、流出油用の処理剤につきましては、その使用基準を定めたわけでございますが、その際は科学技術庁、環境庁、通産省、農林省、自治省——これは消防庁てございますが、そういった関係省庁にお集まり願いまして御相談申し上げて、運輸省が中心になって取りまとめた次第でございます。今後もこの法律の施行を機会に、先ほども申し上げましたように、省令で基準を定める際には関係各省に十分御相談申し上げて万全を期したいと考えております。
  239. 森中守義

    ○森中守義君 統一するんですか、しないんですか。きちっと一定のものを確定をしてこれをやれと、四分の三の設備者に。そういう統一をするかしないか。
  240. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) ただいま御提案申し上げております法律によりますと、港湾管理者の業務としてオイルフェンス、処理剤が備えつけられることになります。  それから、三十九条の二で、設置備蓄義務者は船舶所有者、それから船舶からの陸揚げ、あるいは搭載する油で、運輸省令で定める以上の量のものを保管することができる施設の設置者それから係留施設管理者、こういったところに義務づけがされるわけでございますので、これらを統一した基準を省令で定める、こういうことになろうかと思います。
  241. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  森中委員の伺っておりますのは、四十六年のオイルフェンスの試験では、オイルフェンスの効果というのは一〇〇%は期待できない、将来開発研究を要する、こういう判定が下ったというわけですね。しかし今度の汚濁防止法の一部改正では、オイルフェンスというものの効果を認めて、これを設置しなければならないというふうに義務づけろと、そうであれば以前のもので四十六年に問題になったようなものを設置しても、これは意味をなさないであろう、したがって、その設置基準というものを明確にしなければならないではないかと、こういう質問なんです。  しかしながら、四分の一は海上保安庁で用意するけれども、あとの四分の三は民間だということになると、その基準が明確でなければ、先ほど御指摘のあったように、三十八年のものが、四十三年のものが使われると、オイルフェンスは備えたけれども、一たん問題が生じましたときにはオイルフェンスの効果はなかったということにもなりかねない、これではこの法律をつくる意味がないではないか、そこできちんと、もっと行政基準なり、あるいは義務基準なりというものを明確にすべきではないか、効果のあるオイルフェンスというものを備えつけなければならないとしなければならないではないか。しかし民間になりますと、非常な財政負担を要することになるので、そこらの点は何だということまで加えて伺っているわけですね。それにお答えをいただかなければ困ると思う。  それから私が、あらためてもう一度伺いたいことは、明原丸のことやりませんから御安心をいただきたいと思いますが、明原丸の流出油の処理について、中和剤が七百かん近く使われて、むしろが千三百枚使われた、したがって、どのくらいの流出油の量というものがあるかということは推定できるんじゃないかと質問をいたしましたら、一トンが百五十リットルで処理される場合もあれば、一トンが一トン中和剤がなければ処理されないような場合もあるというようなあいまいなお答えであった。私から判断をすればあいまいなお答えであった。中和剤の基準をつくるというのに、そんなあいまいな認識しかなくて、中和剤の基準がどうしてつくれるかという疑問をいま私は伺っておって感じたわけです。これらは、皆さんは中和剤の専門家でもなければオイルフェンスの専門家でもないけれども、一応監督官庁という責任があるわけですから、それぞれの関係官庁にも協力を仰いで、きちんとしたものをつくってもらわなければどうにもならないのではないか、こういう御趣旨と、私は森中委員質問を拝聴したわけなんです。それを明確にしていただきたいと思う。  感想を言って悪いけれども、四十六年の検査でオイルフェンスだめだといわれているのに、何年のオイルフェンスを備えるかわからないような、基準をあいまいにしたままで法律を発効さしてもどうにもならない。省令なり、あるいは規則なりでこれからつくるというなら、こういうワクでそれはきちんとワクづけをしますから御心配ありませんというお答えをいただきたい。
  242. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 制度の問題、原田審議官からお答えすると思いますが、森中先生の御質問並びに加瀬先生の御質問、全くそのとおりだと思います。  そこで私ども、先ほど四分の一は海上保安庁が持ち、四分の三はその他の地方公共団体あるいは民間の会社が持つということでございますので、規格を統一しなければ意味がございません。私どもの考えは全国で四十七カ所にこれをふやすつもりでございますが、大型タンカー事故対策連絡協議会という官民合同の事実上の会議体を持っております。したがって海上保安庁が四分の一、地方その他が四分の三の資材を備蓄する場合には、備蓄場所をあらかじめきめて、官民のやつを一緒に同じ規格にして、同じところに置いて、さあ事故といったときには一番近い人が飛んで行って、すぐかぎをあけて、それからオイルフェンスなり処理剤を出せるという体制にするということでいまやっておるわけです。  したがって規格がばらばらであれば何にもなりませんから、おっしゃるように規格を統一するということを、私どものほうからも関係の向きにお願いをしているわけであります。そういうことで、私どもはむしろ統一を本省のほうにも要求しているわけでございますから、その点御理解いただきたいと思います。  それから加瀬先生の第二段の御質問で、処理剤を幾ら使った、それからオイルフェンスをどれだけ使ったと、それから逆算をしてわからないようではたよりないではないかという御質問でございますが、それは処理剤が何といいますか、処理剤の内容がまちまちだから、そういう基準が違うというわけではございません。量が違うというわけではございませんで、私どもの一応の指導としては、なるべく二次公害等を避けて、そして処理剤は少ない量でもって流れた油を処理するということを理想として訓練をしておるわけでございますが、また民間にもそういうことをよく言ってあるわけですが、しかし、たとえば二次公害のおそれがないと、そしてすみやかにその油を乳化しなければいけないというときには、一対一で、一トンの油に対して一トンの処理剤を投下するということも現実に行なわれておるわけであります。したがいまして、何トンの処理剤を使ったから何トンの油が流れたかという逆算はなかなかケース・バイ・ケースで違うからむずかしいという趣旨をお答えしたわけでございまして、これは乳化剤の処理能力といいますか、その質の問題とは関係ございませんので、ちょっと御質問の本旨からははずれるかと思いますが、その点はそういうふうに御理解いただきます。
  243. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、きのうの質問を蒸し返そうと思っているわけじゃないんですよ。中和剤を使うなら中和剤の効果というものや使用の方法というのが的確にわかっていなければならないのじゃないですか、一トンの油を消すのに一トン要るとか、一トンの油は百五十リットルで消えるとか、そんなまちまちなことではなくて、こういう状態であれば、こういう油であればこれだけの中和剤で消える、あるいはこれだけのむしろを使えばいいという的確な方法というのが幾つかの基準になって、指導をされて、そして的確に流れた油が処理されるということでなければならないだろうと思います。その辺が、まだどうも的確に監督官庁そのものも把握していないんじゃないか。それでは困るので、あなた方中和剤の専門家ではないでしょうから、いろいろの関係政府機関と連絡して、具体的に中和剤を使う方法までもやっぱり指導をするというその基準をつくっていただかなきゃ困る、こういう要望なんです。
  244. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 御質問の御趣旨は、使用基準使用方法まで定めなければならないであろうという御意見だと思いますが、まさしく同感でございまして、私ども、たとえば先般まとめました処理剤の使用基準については詳細に使用方法等を規定いたしております。今回の法律の三十九条の二で、運輸省令で定めるところにより資材を備えつけなければならないということになっておりますので、この省令を定めます際に、具体的な性能基準、画一的な基準をつくりたいと、こう考えておる次第でございます。
  245. 森中守義

    ○森中守義君 大体ね、同じ質問をしているのに、加瀬質問にはきわめて正確な答弁をして、私の質問にはいいかげん。答弁に差をつけては困る。  それで、もうちょっといまのことでお聞きしますが、法案の当初案には、二条の定義の中で、公害監視施設というものがある。それから消防船、公害監視船、こういうものがあったが削られている。これはこれで、あとで問題にしますが、次官会議で削ったようです。  それで、これはもうあと、この関係の条項によって、まあかなり前向きの公害対策が出てはいる。しかして、いま問題にしたようなオイルフェンス等々、一体だれがどこでどうチェックするのか。本来ならば、こういうことを厳重に監視をする、検査をする、インスペクターというものがほんとうは配置されていいんじゃないか。つけっぱなし、どうなっているかわけがわからぬというのでは困ると思うんですね。公害監視施設とか公害監視船というものが当初案にあったのに次官会議で削られた。まさにこういう意味では非常に後退していますよ。次官会議以前に当初案にあったものをなぜ削ったのか。現実的には、こういう一応前向きの公害対策をとりながら、あとだれがどういう方法で性能検査あるいは設備の検査等をするかというのが明らかでない。これは設置法の改正でもして、インスペクターの制度でもつくったらどうですか。これは港湾局長だいぶ御心配のようでもあるから、ちょっとひとつ、局長から聞きましょう。
  246. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまお話のございました前半の問題、この二条の定義のところで、第二条第五項の十の二というところ、「港湾管理施設」というところに公害監視所というのがもとはあったではないか、あるいは十四の「港湾管理用移動施設」という中に公害監視船というのがあったではないか、これが次官会議の際に消えてしまった、それがなぜであるかという御質問でございましたが、これは次官会議で消えたわけではございません。これは衆議院の御審議のときにも、私御説明申し上げたわけでございますが、この法案を作成しておる段階で、そういう公害監視所であるとか、あるいは公害監視船というものを港湾施設としての中に定義づけようという案があったことは事実でございます。ただこれは、もう法案の作成の過程で、ずいぶんいろいろなところでいろいろ変わっております。その一つの過程でこれが省かれたということでございます。  そこで、これはなぜかという点につきましては、私ども決してそういうものを港湾施設としてみるべきではないと考えておるわけではございません。むしろ、たとえば公害監視船でございますれば、港湾管理用移動施設の中に清掃船であるとか通船であるとか、その他港湾の管理のための移動施設というところで、私どもは完全に読めるということで、特にここに例示として掲げていないというだけでございまして、この中に含まれておるという考え方でございます。
  247. 森中守義

    ○森中守義君 保安庁長官、これは汚染防止法の一部改正でこういったように義務づけた、あるいはこれ以外の公害対策がたくさん出ています。こういうものは、ただ義務づけたというならば、履行されているかどうかというチェックの必要がある。いま港湾局長は清掃船、通船等の例をあげて、大体監視体制をとっているのだと、こう言っているのだけれども、今日ほど国際的に日本の公害がむずかしいときですから、法律上強制をした、義務づけたというならば、順守しているかどうかということをチェックする一つの機能、一つの機関というものが当然私は採用されてしかるべきだと思う。  そういう意味で、ここじゃありませんけれども、それを実施しようとすれば当然設置法にも関係があるでしょう。そういう意味で、将来できるだけ早い機会に、この国会はすでに間に合わないでしょうね、そういう検査官制度、インスペクターという制度を採用するようなことは考えませんか。
  248. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 法律が成立いたしますと、私どもは海上における法令の励行ということを設置法におきましてうたわれております。したがいまして、あらゆる法律の海上における励行ということを、立ち入り検査をするなり、あるいはその他の方法で、私ども海上保安官が検査をすべき任務を有するわけでございますから、したがいまして、特別の、いま先生の御提案のような検査官とか、そういう特別のものを置くということは考えておりませんが、海上保安官を教育しまして、そういうようなことのチェックができる、これは一般的な公害の取り締まりをやりましたときもそうでございますけれども、海上保安官というものがあらゆる海上における法令の励行をやるべき職務を持っているわけですから、この中にもちろん専門の者を特に養成をして、そしてできるだけ専門に当たらせるというようなことで、当然人員の増強とか、私どものそういう資材の整備とかも含めて要求をしていこうということで、海上保安庁の本来の任務である海上における法令の励行の一環として強力にやっていく、かように考えております。
  249. 森中守義

    ○森中守義君 それは現行法令上できるという規定があればけっこうでしょう。ただ環境庁の場合、これはこれから本腰を据えてあらゆる環境整備をしていかなきゃならぬのです。そういうことになりますと、環境庁が率先をして、何かそういう設備、対策等、総合的に監視監督をやるという、そういったような特定のポジションでも環境庁の中につくる考えはありませんか。三木さんは、この前、あと始末ばかりでかなわぬと、こういうことをおっしゃっているんだが、これはよくわかる。それで今日、こういう状態が少しでも除去できるような、せっかく個々の法律等で規定をされたものを、もう少し環境庁が総合的に点検できるような、監視できるような、そういうものは考えておりませんか、あるいは考えられませんか。
  250. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 海洋汚染防止法につきましては、これは何といいましても、実力の点からいきまして海上保安庁にいろいろお願いをするということになろうかと思いますけれども、公害関係の一般の監視等につきまして、現在は先生承知のとおり、環境庁がみずからするということではなしに、都道府県の環境公害担当部局にお願いをいたしまして実はやっているわけでございます。私どもといたしましては、第一義的には、やはりそういう都道府県の公害関係部局の強化充実というものが先決だろうと思います。もちろん部内におきましても、いろいろ現在検討しておりますのは、都道府県の充実のみならず、環境庁としても、地方の出先といいますか、総合的に環境行政につきまして、都道府県その他を指導する現地の機関が必要ではないかということは、検討はいたしております。  ただ問題は、なかなか、機関をつくりましたから直ちに円滑にいくというものでもございませんので、人員の充実その他の問題もございますので、私どもは、ぜひいま先生のおっしゃるとおり、監視、監督が円滑に十分に行なえる方向で、機構等もさらに検討はいたしたいというふうに考えている次第でございます。
  251. 森中守義

    ○森中守義君 なかなか正確なお答え、できるだけ早い機会に法案を出しますか。
  252. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 先ほどお答えいたしましたとおり、なかなかむずかしい問題もあるので、現在検討いたしておる段階でございます。
  253. 森中守義

    ○森中守義君 検討中ということは、その必要は認めるということですね。
  254. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) そのとおりでございます。
  255. 森中守義

    ○森中守義君 港湾局長、さっきちょっと触れましたが、私の手元にある一つの資料でこういうことがあるんですよ。当初案というのは、次官会議でずいぶん削除された、翌日閣議にかかってこの法案が閣議決定を見て出された、こういうのですが、次官会議の修正した個所などを、一々これから少しお尋ねしなくちゃなりませんけれども、これはたとえば、いまの公害問題とか、あるいは河川と海域の関係、こういう非常に重要な問題が相当ぼけてしまっている。ある人に言わせると、そういう意味では、これはざる法になった、こういう酷評をする人がある。当初案というものがそのまま生きておれば、かなりこれは前進をした改正案になったと思う。どういう意味で次官会議で削られたのか、また運輸省は、なぜ当初案を貫くことができなかったのか。これは最初に返るようですけれども関係の各団体等から意見が述べられ、修正が求められるというのは、そのことを意味していると思う。はたして今回の改正案というものが、改正にふさわしいものであるかどうか、港湾行政の画期的な前進になるかどうかには、はなはだ問題がある。そのことは、少なくとも次官会議で修正をされない状態であったならば、つまり当初案の状態であったならばもっと前向きのものになったであろう、こういうふうに私は考えるのですが、結局各省庁との妥協の産物に終わっている、それなるがゆえにざる法だ、こういう極論を私はしてもいいように思う。  担当の局長としては、不本意な私の意見であるかもしれないけれども、一連の流れを考えると、そういうものが非常に目立っておるんですね。少しその辺の経緯を御説明願いたい。
  256. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御発言で、私先ほども申し上げましたように、事実と違う点がありますので、おことばを返すようでございますが、反論をさせていただきたいと思います。といいますのは、次官会議で変更させられて閣議のときには、次官会議にかけた案と違ったものが閣議にかかったという御発言でございましたが、こういう事実は全くございません。いろいろ原案から変わってきたということは、先ほども認めましたように事実でございます。ただ、それは次官会議の段階で変わったということではございません。それ以前の段階で少しずつ変わっていったというのが事実でございます。  そこで、ただいま先生のおっしゃいましたように、具体的ないろいろの問題点、私も伺っておりますし、ございます。ただこれは、たとえば各省との協議の間で、こういう問題は特に法定しないでも現実に差しつかえないではなかろうかというような意見があったり、あるいは先生のおことばを借りれば、妥協の産物ではないかとおっしゃるかもしれませんが、そういう点なきにしもあらずでございます。ただ、いずれにいたしましても、これは法制局と相談し、あるいは関係各省と相談し、あるいは先ほども説明いたしましたように、港湾管理者との相談もございました。いろいろな方の御意見によって、ほんとうの当初の案というものからだんだんに変わっていって、次官会議の前にこの成案が一応まとまったということが事実でございます。したがいまして、私としては、そういう意味で、先生のおっしゃる担当の責任者として不本意な点があるかどうかという点については、私はもうこれで本意であるという立場でございます。
  257. 森中守義

    ○森中守義君 それでは、本意だということですから、もう少しお尋ねします。  この要綱の中で、大臣が説明された内容等で、あらかた改正案の本質がわかる。ところが、これから申し上げる三点について、本意とされる局長の見解というものを、もう少しはっきりしてもらいたい。つまり私の考える改正案の本旨というものは要約して三つになっているように思う。これが一つの議論の分かれどころだと思うんですよ。  その第一点は、列島改造計画に沿った地方港、特に拠点港湾の開発を促進するというところに一つのねらいがあるのではないか、こういうことを私は考える。二番は、いままでしばしば議論してきましたように、最近公害というものが放置できなくなった。海洋汚染あるいは公害がぎりぎりの限界まできておる。よってこの際、環境保全ということを一応表に出さざるを得なくなったというのが第二点。それから第三点は、これは大臣も言われておりますが、大都市中心の産業基盤、港湾開発、ひいては流通機能の過密化が異常な段階にきたので、これに対する転換をはからねばならなくなった。おおむねこの三点が、一言でいうならば、この法案の背景をなしたものではないのか、こう思うんです。どうでしょうか。大臣の提案理由の説明とはやや趣が違うような背景を持っているように思うが、いかがでしょうか。
  258. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの御発言の三点でございますけれども、まずその三点、一つ一つについて私の考え方を申させていただきたいと思いますが、まず列島改造に沿ったいわゆる地方港の拠点開発というものを考えなければならない、そういうことのために、この一つ法律の改正があったという御発言、これはこの法律改正の具体的な内容で申しますれば、計画的な開発、利用及び保全の体制を確立するというあたりをさしておっしゃっていることだと存じます。この点につきましては、私ども確かに、いわゆる先ほどもお話がございましたが、いわゆる列島改造論、田中総理の著書である列島改造論ということ自体は別にいたしまして、現段階で日本列島をやはり改造しなければならぬのだという感じは私、否定いたしません。そういう意味で、確かに過密過疎の解消ということを、どういうやり方をしたらできるのかという点が確かにあると思います。  そういう意味で考えるならば、確かに地方というもの、いわゆる地方都市を開発し、それに伴うというか、それと同時に成立すべき地方の港湾の開発というものを考えなければならないという観点に立てば、私はそういう計画考え方というものが、私たちにないということは否定いたしません。まずそういう考え方があるのは事実でございます。ただ、それとこの法律の改正でそれが直接結びつくかどうかという点になりますと、私はそういうものではないという感じでございます。といいますのは、いままでも再三再四申し上げておりますように、いわゆる計画法的な手法、こういうものが、いままでの港湾法の四十八条の「計画の審査」という段階では、あまりに簡単であり過ぎたと申しますか、逆に言えば、運輸大臣が、自由裁量の非常に範囲が広いような点がございました。それをいわゆる最近の計画法的な手法、ほかの法律と非常に似通っておりますが、そういうような手法を取り上げて、ここで整備したということでございまして、決してこの法律改正自体を考えますとそういうことではないという気がいたします。  それから第二点の、公害を放置できない、そういう段階になってしまったから、環境保全を表に出さざるを得ないという点につきましては、これは私ども、ちょっと先生のおっしゃり方が非常にどうも困りますので弱るのでございますけれども現実の問題としては、ある意味で肯定せざるを得ない点がございます。いままで確かに、私ども港湾整備という面で、環境問題というものに対する関心が薄かった点が多々あります。その点で、たとえば工業港の一つ計画をもってみましても、実際に環境問題という点から見て、やはり計画をもう少し改正しなければいかぬ、改めなければいかぬという点がございます。そういう点で、確かに大いに反省をいたしておるところでございまして、どうもこうなってきてうるさいから表に出さざるを得ないという意味ではございませんで、いままでの、ほんとうにわれわれの誤りを正すというつもりで、確かにこの環境問題というものを、この法律に十分織り込まなければいかぬという点で、これではまだ不十分ではないかという御批判はあると思いますけれども、できるかぎりの織り込み方をしたつもりでございます。  それから第三点の、大都市開発、過密化を避けるという意味、これは先ほどの第一点と同じような、ちょうどうらはらの関係になる問題だと思います。ここで確かに大都市周辺と申しますか、いわゆる東京湾、大阪湾の開発という問題がはたして今後、いままでのような調子でいいかどうか、これを港湾計画上から見ても、私ども非常に反省をしておりますし、これから新たな考え方で進まなければいかぬというのは事実でございます。ただこれは、そういう計画一つ考え方というものがあるということであって、この法律改正の計画手法という点については、これはやはり別の考え方で、この計画法的な手法をここで法律的に整備したというふうに御理解いただきたいと考えております。
  259. 森中守義

    ○森中守義君 その辺のことが非常に一つの基本になる問題ですが、いまはしなくも局長が、法改正それ自体が列島改造に結合するものじゃない、時点が違うのだ、けれども、将来的な問題としてはその可能性はあろう、こういう暗に肯定するような御意見なんですが、それなるがゆえに、先ほどから開発計画を出してくれと、こう言っているのですが、一応その概念としては、列島改造に関連をする二、三の法案が出ておる。これがどういう処理になるのか、あるいはまた田中内閣がいつまで続くのか、これはわれわれの想像の限りではない。長いのかどうなのか、これはわかりませんけれども、一応列島改造というものが必要であるないという議論とは別に、やはり新しい開発計画という段階になれば結ばざるを得ないのじゃないかというように思うのです。それを、やや予防線を張りながらも、いまその考えはない、法律改正をそれを根拠に置いていたんじゃないと、こう言われるけれども、将来としてあり得るというように、いま言われたことをあらためて確認しておいてよろしゅうございますね。
  260. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうも私の口べたのせいでございますか、いま先生の御理解が、私の考えていることと少し違っているような感じがいたします。といいますのは、港湾なり、あるいは国土というものを今後どういうふうに持っていくかという点においては、思想的にもいろいろな考え方があると存じます。その点についての問題と、それから、いわゆる港湾計画する上での手法というものと、これはやはり別の問題であって、いかなる手法であっても、その背後にある考え方というほうに持っていくときに、同じ手法であってもどっちの方向にでも私は持っていけるものだという感じを持っております。  したがって、むしろ手法として整備をしているのがこの法律の改正の三条の二、三条の三でございまして、それで、何と申しますか、今後どういうふうに持っていくかという点について、いま先生いろいろ御心配になっているというか、御発言があったわけでございますけれども、それはこの手法の問題ではなくて、それをどういうふうに持っていくかということ自体が、一つの言うなれば国土開発計画といいますか、国土計画というか、あるいは港湾一つの今後進めていく方向というものでございますか、そういう問題の具体的な一つ考え方というときに、その問題が出てくるのではなかろうかという感じがいたします。したがって全くいま、たとえば先生がお考えになるような、将来に向いての方向、こうあるべきだとお考えになっている方向があれば、それをこの手法をもって十分進めていけるというふうに、私は考えておる次第でございます。
  261. 森中守義

    ○森中守義君 いま三つの疑問を投げかけたわけですが、これはこれから先の審議の中で、また個々的に出てきますから、そこに譲るとしまして、もう一つこの際承っておきたいのは、一条の目的条項がかなり変わっておりますね。それと第六章に、「開発保全航路」というものが挿入された、新しく起こされた。  ここでお尋ねしておきたいのは、現行の港湾法の適用範囲、これが改正案によってかなり適用範囲が拡大されている、こういう認識を持つのです。具体的に現行法の適用範囲はどこまでか。改正案による適用範囲はどこまでか、そこをごくわかりやすくちょっと説明してください。
  262. 岡部保

    政府委員岡部保君) 現行法での港湾法の適用範囲と申しますと、いわゆる港湾区域を設定されたこの港湾区域、あるいは陸域である臨港地区、隣接地域、そういうものに対する問題、これがまず第一義的に港湾法の対象範囲でございます。それからもう一つは、五十六条にございますが、いわゆる港湾区域は設定されておりませんが、公告された水域で港湾に準ずる扱いを受けるというところまでが、この現行法の及ぶ範囲であるというふうに御理解いただきたいと思います。  ところが今回の改正法によりますと、確かに先生のおっしゃいましたように、この港湾区域あるいは臨港地区、隣接地域、あるいは五十六条の公告区域、これ以上に範囲が広がっております。これは確かに先生の御指摘のとおり、開発保全航路という航路の問題がはっきり広がりました問題、それから港湾区域外で港湾と同様の施設があります際に、これはやはり安全というものを中心にした一つの規制をしなければいかぬという考え方から、技術基準というものをもって、そういうものを考えなければいかぬという意味で、港湾区域以外の海域にまでこの法律の適用範囲が拡大したというふうに御解釈いただきたいと思います。
  263. 森中守義

    ○森中守義君 わかりました。そこにまた一つ問題がありますのは、そういったように現行法の適用範囲が、改正案によりまして相当その適用の範囲が拡大したということになりますと、公害問題が新しい改正案の中に相当大幅に盛り込まれておるのに、自然災害あるいは防災、こういうものが全然この中に採用されていない。むろんこれは海岸法でとられているのだというお答えになるかもわかりませんけれども、範囲がぐっと拡大をしたならば、当然これは海岸法との関係において、自然災害をどうこの中でとらえていくか、これもやっぱり一つの大きな問題として、私は注視したい。たとえばゼロ地帯がある。もう台東のすぐ向こうはそういうところですね。あるいは伊勢湾台風である。昨年、一昨年、大小の災害が海の上から殺到した。それは港湾のすぐ周辺ですよ。こういうことを考えていくならば、当然これは防災、自然災害、こういう角度からも改正案はとらえられてもよかったんじゃないかと、こう思うのですがね、それを単に海岸法だと。しかもそうなると、建設省がある、農林省がある、こういう必ずしも共管とはいえないにしても、その辺との調和をどうするのか。ただ汚染防止や航路を開発するんだという程度の、範囲は広がったが、一番大事な護岸対策、防災対策がとられていないというものは、ある意味では非常にざる法の中のざる法といえるのじゃないだろうか、極端な言い方をするとね。そういうように思うのですが、御見解はどうですか。
  264. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの点どうも、ざる法では決して私はないと思っておりますが、先生から御指摘のございましたように、私ども海岸法というものを、確かに三省共管でございますが、持っております。そこで、海岸法ということによって、海岸保全施設という感覚で、いわゆる海岸の防災という面を考えておる次第でございます。  そこで確かに海岸法というもの、これも海に面する問題であるし、したがって、これも港湾法でここまで対象範囲を拡大したならば一本にしたらいいではないかという御意見かと存じますけれども先生指摘のとおり、海岸法につきまして、いわゆる海岸の保全施設の管理というものが三省に分かれております。いわゆる港湾区域においては、港湾管理者の長か海岸管理者になっております。それから漁港におきましては、漁港の管理者が海岸の管理者でございます。それから、いわゆる農地干拓等の問題につきましては、これはやはり農林省所管で、その干拓の管理者が海岸の管理者であるというたてまえになっております。それ以外の海岸につきましては、都道府県が管理者でございまして、これは建設大臣が監督するというたてまえになっておる次第でございます。  したがって、これは先生のおっしゃるように、こういう同じようなものだから、一つの法体系でまとめたらいいじゃないかとおっしゃる、私、その御意思はわからぬわけではございません。ただこれは、ほんとうに法的にまとめようといたしますと、非常にむずかしゅうございます。現実の問題としては非常にむずかしい点が多々出てまいります。したがって、むしろ同じ港湾の中で海岸行政と港湾行政とがそごを来たしては困るということで、港湾区域内の海岸管理者港湾管理者と同一のものがなるんだということで、一つの調整をはかっておるということが、現状一つ先生の御疑問に対する打開策で、私ども実施をしているというふうに御理解いただきたいと思います。
  265. 森中守義

    ○森中守義君 私は法体系それ自体を問題にしているんじゃないんですよ。こういったように、公害等の問題がことさらに改正案の中に盛られているならば、なぜ適用範囲を拡大をしてそれに対応した措置をとらないのか。こういう指摘なんです。たとえば、これは局長のところの防災課で編さんをされた「日本の海岸」という貴重な文献がある。この中でそういうことを言っているんですね。たとえばちょっと内容を申し上げると、「港湾地帯の海岸防災の特性」八ページ、暗記しているでしょう。この中でこういっております。ちょっと参考までに。(1)として「港湾地帯の特性」「港湾地帯は古くからわが国の社会的、経済的諸活動の中心であり、海陸交通の要として重要な役割を果してきた。」これはこのとおり。「近年に至り、これらの港湾の背後地及びその周辺地域は人口集中による都市化と、産業構造の高度化に伴う重化学工業の集積が進んでいる。たとえば現在、わが国の人口十万人以上の百三十一都市のうち五十八都市が港湾を有する港湾都市であり、又、全国工業出荷額の五〇%は東京湾、伊勢湾、大阪湾における主要な港湾を中心とする臨海工業地帯で占められている。一方、これらの港湾都市及び臨海工業地帯を擁する港湾地帯は、台風による高潮や地震による津波に対して最も危険な湾奥に位置しているものが多い。」こう指摘しているんですね。「しかも臨海工業地帯は低い沖積平野、又は埋立地上に立地しており、そのうちのいくつかの地域では工業用水としての地下水の過剰揚水によって地盤沈下を起している。」非常に危険だとこういっておるのですね。「港湾地帯の海岸防災事業を進めるに当っては、この地帯に人と富とが集中し、海岸災害に極めて悪い条件にあるという質的重要性を認識するとともに、港湾機能及び港湾を場とする諸活動と防災機能との調整を重要視しなければならない。また、将来の配慮として、港湾計画、埋立計画、都市計画等の各種長期計画との調整についても十分な検討が必要である。」、こういっておる。こういったように港湾局それ自体、担当の防災課それ自体が、港湾と防災を分離しては考えられないとこういっているんですよ。だから私は、いままでの適用範囲というものはもう外海に出た、相当広範なものになっている。しかし内のほうでは自然災害あるいは人為災害に非常に困っておるんじゃないか、こういうものを改正案の中のどこにその答えを求めようとするのか。ただ海岸法があるからそういうものはこれでやっておきやよろしいというその発想がどう考えてみても気に食わない。どう調和しますか、気に食うようにひとつ御説明願います。
  266. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうも気に食うような御説明はいささかむずかしいかと存じますけれども、いずれにいたしましても、まず先ほど申しましたように、そういう調整が全く必要であるというのは事実でございます。  そこで海岸法という法律が、もちろん港湾法よりあとからできたわけでございますが、これができたときに港湾区域内の海岸管理者というものは、港湾管理者がなるんだということで、全く同じ立場で一緒に見る必要がある。根拠法規こそ違うけれども、一緒の立場で見る必要があるという考え方にまずいたしましたのが第一点でございます。  それから第二点として、現実港湾計画を各港湾管理者がお立てになる際に、決してこれを別々のものとして考えてはおりません。ただ、いわゆる何と申しますか、施設整備する際の、たとえば補助規定であるとか、そういうものが別々の法律によって根拠になっておる。しかし、たとえば一つ管理者港湾計画を立てるというときには、当然同じ一つのものとして考え、それを実際現実実施する際に、港湾法によって港湾補助負担を受け、海岸法によって海岸国庫補助を受けるというようなたてまえで実施をいたしております。したがって私は、そういう御心配よくわかりますのですが、現実の問題としては、その調整はとられているものである。ただ私が先ほど申しましたように、法体系としてせっかくそこまでいっているなら、もう少し考えようがあるんじゃないかという点については、私ども確かにその点、もう少し考える必要があると思います。ただ現実の問題としては、法体系としてこれを取り入れようとすると、簡単なものではないという点があることは事実でございます。
  267. 森中守義

    ○森中守義君 ただ局長、これは公害の国であり、災害の国ですからね。これはもうなかなか、いま言われるようなことで、災害の常襲地帯であるとか、あるいは予想地帯、あるいは経験地帯というのは、いま言われるようなことではおさまりませんよ。言うまでもなく、国会でも、両院を通じて災害特別委員会などというものをつくりながら、生命と財産を守っていこう、こういう配慮をしているわけです。そこで、もう梅雨の季節でもあるし、秋にかけていつどこで何があるかわからない。しかも現実に、港湾あるいはその周辺において、こういうような地盤沈下があったり、あるいは沿岸が浸食されているという、こういうふうに非常に危険な状態にある。これはむずかしいからといって、しかも海岸法がある、農林、建設三省共管だから、そことの調和がむずかしいということで、これを見のがしていいということにはならない。だから、かりにこの法案がどういうふうなコースを通っていくかわかりません。わかりませんが、最初の段階では、この辺のことはひとつ修正に値する問題だというように私は思うんですよ。  もう少し、当初案を作成をされる際に、こういうことが一通り頭の中にあったのか、あるいは議論の中にあったのかどうなのか。最初から割り切ってこれは別だ、法案だけいければよろしいということであったのか。まあ私は、この港湾法の改正案の内容は、かなり広範多岐にわたり、内容等煮詰めておりますからね。それに比べると、これが目こぼしになっている、取りこぼしだというように指摘をしながら、もう一回、ひとつその辺のいきさつを承っておきたいと思います。
  268. 岡部保

    政府委員岡部保君) この海岸あるいは災害の問題、たとえば災害に対する基本的な考え方の問題等につきまして、この法律改正のときにどういうふうな考え方であったかという点につきましては、むしろ先生がおっしゃいましたあとのほうであって、いわゆるそういうものはそういう法律の体系で災害対策の基本法に基づき、あるいは公共土木施設災害の国庫負担法律に基づき、等々で考えるべきである。それから、海岸は海岸としていくべきである。したがって港湾というものについて考えるということでやって、港湾自体のことを非常に一生懸命考えておりました。それで、その港湾自体を考えておりますと、港湾以外の港湾区域の外にこういう考え方をどうしても及ぼしてこなければならないということで、先ほども説明申し上げましたような、範囲が拡大したということは事実でございますが、むしろ別体系で災害あるいは海岸というものは考えるべきであるという考え方であったことが事実でございます。
  269. 森中守義

    ○森中守義君 もう一つ、ちょっと指摘しておかねばならぬのは、この文献の二項に非常に大事なことをいっているんですね。「港湾機能との調整」というところで、「海からの自然力に対する港湾地帯の防災対策としては、海岸線に沿って防災施設を築造する方法が一般的に採られる。ところで、これらの施設の典型的なものは、堤防、護岸、防潮壁等であるが、これらの海岸防災施設は、港湾の埠頭地帯における荷捌き又は荷役の機能、背後地への輸送、船舶の運航等に障害となる場合がある。港湾地帯の海岸防災対策としては、閘門の施設、高潮防波堤の建設などによりこのような障害を極力なくすような方法がとられている。」、こういっているんです。  こういうように見てきますと、前段でいっている港湾計画、埋め立て計画、都市計画等の各種長期計画との調整について十分な検討が必要である。こういうのですよ。そこで改正案に房りますけれども、この中で港湾計画というものがある。もろにこの問題は港湾計画にかぶってくるのです。よろしゅうございますか。それなのに、いや、これは法体系は別にある。三省共管でそれはそれで対応できるのだから、港湾計画港湾計画でよろしい。港湾法は港湾法でよろしいということには割り切れないんじゃないですか。港にもろにかぶっているのですよ。これはどう調和するんですか。だから、遺憾ながら局長の言われるように、それはもう別なものとして処理できます。対応できるということでは、港湾計画それ自体、港湾構造それ自体がそれでは終わらないというように私は見る。いかがでしょうか。
  270. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先生のおっしゃるとおり、非常に重複しておりますし、それを分けて考えるわけにはまいりません。したがって先ほども申し上げたつもりであったわけでございますけれども港湾計画という中に、当然そういう防災計画あるいは海岸の保全の計画、そういうものが入ってまいります。  したがって、たとえば一つの例を申しますれば、新潟港というのは非常に海岸が決壊するというところでございます。そういう場合に、港湾計画というときに、信濃川の河口から外に出ました海岸線、これの保護というものが非常に大きな問題になってまいります。これがやはり港湾計画の一部門であるというふうに考えております。したがって港湾計画にはそういうものが入ってきて、港湾管理者が両方とも見ておりますかち、計画として入ってくる。それを現実実施する際に、どういう法律に基づいて実施をしていくか。あるいは施設を管理していくかというような考え方に立って、計画はやはり一つのものである。先生のおっしゃるとおりに、現実処理しておるということでございます。
  271. 森中守義

    ○森中守義君 わかるけれども、どうしてもわからない。つまりその基本方針あるいは基本計画を、あるいは港湾計画、ずっと中を見ましても、いまのようなことが実際の計画の中にあるんだと、こう言いながら、やはり基本方針もしくは港湾計画の中に、堤防であろうと何であろうと、さっき指摘したようなものが、やはりどこかにうたい上げられるとか、あるいは計画基準の中にこういうものが表現をされておかなければまずいんじゃないか。そういうものはどこにもない、こういうことですよ。そのことを整理をして、法体系は重複したってそれはいいかもわからない、そういうものはありますよ、ままね。そういうものをこの中に採用しなければ自然災害に対応するそういう措置はとれないじゃないか。  ことに、さっき申し上げたように、現行法の適用範囲、改正案の適用範囲というものは相当違っているわけだから、当然こういうものを入れ込んだらどうなのか、まあこういうことですがね。あまり一ぺんに終わっちまうと、この次、種がなくなっちまうから、いまの答弁もらって、きょうこの程度でやめてもらいたい。もう六時近い。
  272. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御意見、私よくわかります。と申しますのは、私どもの考えている感覚で申しますと、たとえば先ほどもお読みになりました中で、海岸の防災というときに、たとえば護岸が要る、あるいは堤防が要る、こういうのは、いわゆるここの港湾法でいえば港湾施設の外郭施設であるわけでございます。これは現行法でありまして、今度は改正はいたしておりません。外郭施設でございます。そういういわゆる港湾施設であり、そういう防災的な機能を持っておるという施設、それから港湾施設であり、岸壁のように全く流通のための機能を持っている施設と、いろいろあるわけでございます。それで同じ港湾施設であってそれの港湾施設の全体の計画というのが港湾計画として管理者が立てるというのがたてまえでございます。  そこで、ただそれではこういうときにこの改正法でどういうふうに考えておるかと申しますと、たとえば基本方針というところで、これは基本方針の第一号の「港湾の開発、利用及び保全」に関する事項というところでは、たとえば港湾の開発、利用及び保全にあたっては、安全問題あるいは防災問題、そういうことを十分考えなければいけませんよというような一つの方針が、ここで当然うたわれるはずでございます。  それから次に、港湾の配置、能力という際に、そういう防災的な問題のところについては、こういうことを考えなくてはいけませんよということを基本方針として示す。それが各管理者が自分の港の計画を立てるときの一つの方針になって、それでそういうものに従って立てた港湾計画というものになってくるわけでございます。したがって、この港湾計画にはそういうものもすべて含まれておる。したがって、どうも確かに法律的に重複して、それで今度それを管理し、あるいは建設し、改良するというようなときには別々の法律を使わなければいかぬということで、確かに問題はございますけれども、いまのやり方はそういうふうにしてきておりますし、それから今後もそういうかっこうでやっていきたいという考え方でございます。
  273. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 質問してください。
  274. 森中守義

    ○森中守義君 理事会をやってくれ。
  275. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 小柳理事からの申し出で理事会やっていますから……。質問をお続けください。——貴重な時間ですので質問を続行してください。——質問をお続けください。——速記をとめます。   〔速記中止〕
  276. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こしてください。  質問を続行してください。(「もう疲れたよ」「続行続行」「自民党の諸君熱心だな、みんなそろっている、いつもそうありたいものだな」と呼ぶ者あり)質問を続けてください。——貴重な時間ですので、質問を続行してください、森中君。   〔委員長退席、理事山崎竜男君着席〕   〔理事山崎竜男君退席、委員長着席〕   〔委員長退席、理事山崎竜男君着席〕   〔理事山崎竜男君退席、委員長着席〕
  277. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をとめて。   〔午後八時十九分速記中止〕   〔午後九時四十七分速記開始〕
  278. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こしてください。  これにて休憩いたします。    午後九時四十八分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————