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杉山善太郎君 まあ、本省の中にそれらの
公害あるいは環境等の問題を消化するための制度なり部局なりが
それなりにあったとしても、ほんとうにそれが機能しておるのかどうかという問題を
現実の
港湾の実態に対処して見るというと、機能していないのじゃないかというふうに判断をいたしております。裏を返せば、
予算的措置がはなはだ貧弱だということも言い得るかと思いますが、要するに、
環境整備を二の次にしてきた行政姿勢に問題があるのじゃないかというふうに
考えております。
環境整備にしろ、
公害対策にせよ、
現行法や
整備措置法でやれたはずだと思いまするけれ
ども、しかし、それに伴う必要な
予算的措置や、それを消化するところの技術的なスタッフが貧困であったというふうにも判断できないではありませんけれ
ども、しかし反面、外貨獲得の先兵の役割りが
港湾に実際はあるわけでありますが、ことに地方財政の圧迫であるとか、今日エコノミックアニマルであるとかというような国際的な非難を受けながらも、円の切り上げで
労働者、中小企業を苦しめさせた上に、いまごろになっても、その責任と義務を
港湾管理者にかぶせるというのはおかしいではないか。確かにこれは運輸省そのものが表面に立っておるのではなくて、
港湾管理者にいろいろな問題がしわ寄せされてきておると思います。
一例を言っても、たとえば新潟の港におけるリベリアのジュリアナ号の問題でも、それから航路をしゅんせつする、これは運輸省所管の第一
港湾のしゅんせつ船でありまするけれ
ども、機雷が爆発して船の損傷だけでなくて人命も損傷しておる。それはひとり新潟だけではなくて、関門港においても、それから戦争の傷あととして
日本海水域においても、かつて米軍によって投下された機雷が、落としたという数は一応推定ではなくて、双方の
協議の上で確かにわかっておりますけれ
ども、それが掃海をされた、これだけが処理されておるんだと、残った分は一体どうなっておるのだということも、これは
一つの大きな問題になってくると思いますが、それはともあれ、
港湾管理者というものが、財政的にとにかくいろいろな圧迫やしわ寄せを受けておるというようなこと、それに対する財政上の保障が完全に位置づけられていないと、そういうようなことが一回、二回の
要望書の形になってあらわれておるのではないかというふうに、
それなりに私は
理解をしておるわけであります。
で、時間もあまり多くありませんので申し上げておきますが、次に環境問題であります。これは第一次の
港湾法改正に関する
要望書ですか、
要望書の中で、若干読みかえて申し上げたように、私は将来の価値観というものを展望する場合に、たとえば石油エネルギーというものはやはり有限であると、枯渇をするということで、今日的には、やはりかわるものとして原子力エネルギーというものが
一つの課題として世上に浮かんできておるわけであります。御
承知だと思いまするけれ
ども、たとえば今日もうすでに問題化してきておる原子力船の第一号は、これは「むつ」でありますけれ
ども、将来
船舶の運航、稼動がいわゆるラッシュ船であるとかコンテナ船であるとかという場合については、これで採算を、だれがやっても、国が経営しても船主が経営しても非常な競争に耐え得るについては、容積と速度というものを必要とするわけであります。それに対しては、どうしても原子力船というものが問題になってくるわけでありますが、原子力船が、これはただでさえ、アサイ・ジュナルの評価によれば、
日本列島は油濁の海に浮かんでおる
一つの
列島じゃないか、油で汚染された海の上に浮んでいる小さな島ではないかと、こう言っておるのです。そこへ、たとえば
昭和六十年であるとか、あるいは二〇〇〇年ですか、それまでに、大体これは昨今の新聞に出ておる事実でありますけれ
ども、原子力船のコンテナ船をまず最初二隻ひとつつくって、西暦二〇〇〇年までには二百八十隻をつくると、こういっているわけであります。
ただ問題は、
日本列島全域に原子力発電所が大体四十カ所、もちろんこれは集約されて原子力センターというものができるでありましょうけれ
ども、とにかく二億二千万キロワットを原子力エネルギーに現にかえるという方向づけの中で、エネルギーは絶対に必要であるからということになりますというと、この原子力発電所から出てくる温排水と放射能のまじったものが、一体
港湾の中にどういう形で流れ込んで来るかという展望をいたしますというと、これは先年、新潟でのジュリアナ号の油の汚染——その当時まだ
港湾の
装備が、オイルフェンスとか、そういういま一部計画されているような計画がなかった状態の中でありまするから、当時の環境庁長官は大石さんでありましたけれ
ども、私、いろいろな視点から注文をつけたんでありますけれ
ども、たとえば若狭湾ですね、福井県一帯、いまあすこは、やはり敦賀を中心として
一つの、原子力発電所の集中的センターになっておりまするけれ
ども、今度は柏崎にも大体一千万キロワット近いところの発電所が、原発がつくられておりまするが、これは
日本列島全域に、大体立地的に四十カ所をマークして、
昭和七十五年、つまり西暦二〇〇〇年くらいまでを目標として、石油という問題も、いろいろの輸入ルートからして、それに依拠依存することは危険であるから、エネルギーの価値観を原子力に変えるという、そういう方向づけの中で、これは政治的には非常に問題があると思いまするけれ
ども、いま方向づけられておる路線としては、やはり
港湾というものの環境の中に、従来の油であるとか、あるいは従来の工場排水であるとか工場下水であるとか都市排水だというもの、それからこの石油の汚濁であるとかというものの以外に、配慮しなければならない問題であるというふうにも
考えまして、今日この発想が、きょうは環境庁から調整課長かどなたかおられるかと思いまするけれ
ども、こういつたような問題については、全然まだ
日本列島改造ということが、現にだれの発想であろうと現状のままではやはりいかないということが、政治の
一つの課題になっている中で、
現実の問題として、やはり
港湾法を、つまり一部
改正という、評価はそうであっても、
中身は
相当な将来を展望しての、つまり有限の中のやはり問題として、石油も土地も、これは有限でありまするから、これをどういうふうに活用していくかという問題については、行政スタッフとしては
相当に重大な問題だと思う。
そこで私は、いろいろ申し上げましたけれ
ども、
港湾のこの環境問題について、たとえば港について、そういう温排水であるとか、海水の中の放射能であるとか、あるいはそういう有害物が流れ込んで来るというような場合については、どのような処置をされようとしておられるのか。まあそれは将来の問題であって、現在の
改正の時点では、なるほど環境問題は目玉商品という
程度に
論議されておるけれ
ども、そういうようなふうに
考えておられるかどうか、その辺についての
見解を承っておきたいと思うし、環境問題は目玉商品であるが、これは
予算の
支出上、どこがどういうような形で
支出されるようになるのかというような点について伺ったのも、私は、いま非常に間口が広がり過ぎましたけれ
ども、そういうことを展望の中でマークしながら、この時点において、やはり記録の中に残して、これは十年先、二十年先の環境問題は、石油にかわって原子力のエネルギーから副産物として出てくる温排水や放射能というものが問題になるので、やはりそれは、今後は八
大港に限らず、
日本海、太平洋沿岸を問わず、
日本列島が善意に改善されるならば、裏もなく表もなく高く評価されてくるならば、
日本は島国であることは絶対に間違いのないやっぱり状態でありまするから、そういう点について、どのような視点をとらえて、どのように評価しておられるかということも、一応この際伺っておきたいと、こう思うわけであります。
いまそんなことは
考えていないなら
考えていないでずばりでいいし、環境庁のほうも、そういう問題についても、目下全然まだそのことは次元が違うから
考えていないんだというふうに
考えておられるかどうか むずかしく受けとめていただかなくてもいいわけでありますが、私は私なりの発想として、これは時は早いからというふうに
考えているわけであります。