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1973-03-07 第71回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月七日(水曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 細田 吉藏君       仮谷 忠男君    正示啓次郎君       野原 正勝君    山崎平八郎君       安宅 常彦君    金丸 徳重君       小林  進君    阪上安太郎君       佐藤 敬治君    島本 虎三君       芳賀  貢君    広瀬 秀吉君       藤田 高敏君    津川 武一君       有島 重武君    坂井 弘一君    兼務 大野 市郎君 兼務 阿部 昭吾君    兼務 細谷 治嘉君 兼務 庄司 幸助君    兼務 河村  勝君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林大臣官房審         議官      澤邊  守君         農林大臣官房予         算課長     渡邉 文雄君         農林大臣官房経         理課長     石田貞二郎君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君  分科員外出席者         議     員 瀬長亀次郎君         大蔵省主計局主         計官      山口 光秀君         建設省住宅局住         宅生産課長   金子勇次郎君     ————————————— 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     芳賀  貢君   津川 武一君     栗田  翠君   坂井 弘一君     有島 重武君   小平  忠君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     藤田 高敏君   栗田  翠君     津川 武一君   有島 重武君     坂口  力君   竹本 孫一君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     広瀬 秀吉君   坂口  力君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     島本 虎三君 同日  辞任         補欠選任   島本 虎三君     金丸 徳重君 同日  辞任         補欠選任   金丸 徳重君     佐藤 敬治君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     安宅 常彦君 同日  第二分科員河村勝君、第三分科員大野市郎君、  細谷治嘉君、庄司幸助君及び第五分科員阿部昭  吾君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算農林省所管  昭和四十八年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 細田吉藏

    細田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、農林省所管を議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
  3. 大野市郎

    大野(市)分科員 櫻内農林大臣に、森林資源関係についてとりあえず幾つかの御質問をいたしたいと思う次第でございます。非常に時間の制約がありますので、私の質問も単刀直入に簡潔に申したいと思いますが、政府側の御答弁もできるだけ簡単明瞭にお願いいたしたいと思います。  そこで、四十八年、ことしの二月十六日に閣議の御決定を得られて「森林資源に関する基本計画」が策定をされましたことは、われわれも承知をいたしております。したがって、この御説明大臣からお聞きするのが順序なのでございましょうけれども、時間の関係がありますので、その要点を一、二申し上げて、間違いがなければ、それに御返答いただけば次に進みたいと思います。  要するに、従来の木材生産を主眼として森林経営が考えられておったのに対して、今回の閣議決定における基本計画は、木材生産面と、そのほかに公益的機能として国土保全水資源涵養自然環境保全とその形成、こういうテーマで多目的森林資源涵養に関する御決定であると承知をしておりますが、そのように解釈してよろしゅうございましょうか。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大野委員の御指摘のとおりでございまして、そのように御解釈の上でよろしくお願いいたします。
  5. 大野市郎

    大野(市)分科員 そういたしますると、この基本計画を実施に移すにあたりまして、いろいろの施業方法が引き続いて決定されておることも承知いたしておるのでございますが、きょうはそのうちで、林道の用い方の大きな変化があったと思われますので、この林道性格多目的化に対応する今後の林道整備計画に対して、できれば大臣からごく基本的な方針を承りたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 具体的には、このたび新しい考え方によっての補助体系を改めたのでありますが、それは森林多元的機能を総合的かつ最高度に発揮させることをねらいといたしまして、従来の奥地林開発を主目的とした補助体系を改めたということでございます。森林多元的機能が多く期待できる地域開発整備を主目的とする公益基幹林道と、それを補完し直接林業経営に必要な普通林道を組み合わせ整備できるように、補助体系改善をはかることといたしました。
  7. 大野市郎

    大野(市)分科員 その方向は私も歓迎するところでありますが、かねて農道につきましては、国会におきましても、多年にわたりまして、農道公共性をひっさげまして、これが費用負担につきましても、その公益性に準じて手厚いそれぞれの補助、融資、いろいろな助成策が講ぜられてまいりました。林道に対しましても、この農道と同じき意味合いにおきまして、ただいま大臣からお答えをいただいたとおりであるならば、いわゆる林産物の搬出だけが機能ではないのであって、地域住民生活環境の重要な要素の大きな項目であることが明らかになったのでありますから、特に昨今におきまするレクリエーションの非常な発達とか健康保持、そういういままで顧みられなかった部面などの大きいこと、それから各地方における産業の分布、集合という面からの交通網の完備、特に県道、国道にまたがる林道によるところの循環路線の確立という御構想がこのたびの計画の中にはっきりと宣言をされたわけでありますから、そうなると、この林道維持管理実態について、やはりわれわれは注目をせねばならない。  この維持管理実態を見ますと、今日におきましては、市町村管理をいたしておりますものがその七割五分を占めるほどになったわけでございますが、しかし、この市町村管理にいたしましても、地方交付税農林行政費一つとして、いわゆるメートル当たり二十円から六十円の程度のものしか交付税の対象になりませんが、国有林道におきましてはメートル当たり百四十一円が積算をせられておる。また市町村管理林道実態調査によれば、メートル当たり百四十六円要しておるということも明らかにされておるわけなんです。しかも市町村道でありますと百四十四円が算定されておる現状でございますので、先ほどのように林道目的が確立されました今日におきましては、実態から見ても、市町村道並みの百四十四円から百四十六円の維持管理費を、交付税関係においてもめんどうを見られるような必要があろうと思われます。これは交付税でありますので、御管掌が異なるからどういうお答えがいただけるかはわかりませんが、林野庁長官とされましては、大臣が先ほど林道性格を明確にされたのでありますから、これを受けて、いかなる覚悟でこの維持管理費に対しての要求をなさるか、御決心を聞きたいのであります。
  8. 福田省一

    福田政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、林道につきましては、この基本計画で大幅な考え方の回転がなされたのでございますが、新設につきましては、四十八年度予算におきましても、補助率あるいは総額の予算におきまして、相当大幅な増額をいたしております。維持管理費地方交付税につきましては、御指摘のように、昭和四十五年から初めて市町村交付税の中にこれが入れられまして、その当時はわずかメートル当たり二十三円でございますが、四十六年には約四メートル以上が六十円。四十七年に入りまして初めてこの段階を設けまして、幅員によって、金額で二十円、四十円、六十円に改定されております。しかし、これらはやはり市町村道その他に比べますと、まだまだ不十分だというふうに考えられますので、漸次改良は見てきておりますが、今後もっと大幅な増額ができますように折衝してまいりたいと思っております。
  9. 大野市郎

    大野(市)分科員 いまの答弁ではまだ不満足でありますが、一時に満ぱいということも、なかなか実際上はむずかしいものであることも承知しておりますが、その趣旨でこれに十分努力されることを御確約をいただいて、次に進めたいと思います。  次は、農林物資値上がりがたいへん問題で、大臣も頭を痛められておりますが、木材異常値上がりになった。いまやそれも逐次鎮静しておるということも承知はいたしておりますけれども、いかにせん値上がりになった。この値上がりになった原因については、巷間伝うるところでは、いわゆる需給見通しの甘さが当局にあったのではないか、あるいは、外材輸入自由化がありながら行政措置でこの輸入を抑制した、その手違いの結果でないかという痛切な批判が流れておりますが、これらの件についての真の原因はいかがでございましょうか。これに対しては、前内閣の当時からの問題でありますので、長官ひとつ、真の原因が御回答ができまするならばお話しを願いたい。
  10. 福田省一

    福田政府委員 昨年の大体九月ごろからでございますけれども、木材値上がりが目立ってまいりまして、その原因につきましては、ただいま御指摘のように、林野庁がその当時の見通しを誤ったんではないか、あるいはまた、外材輸入を規制したではないかというふうな御指摘一般になされておるのでございます。しかしながら、私ども考えまするに、昭和四十五年の後半から昭和四十六年にかけまして、特にまた四十七年の中ごろまででございますが、非常に木材価格が低迷し、外材が相当量入りまして国内林業を圧迫するというふうな世論もございまして、そのために、衆参両院におきまして林業単独決議がございまして、その際、木材価格が非常に低迷しておる、これに対して外材が相当入ってきておる、こういうことについて林野庁はもっとしっかりとこの問題に取り組んでいかなければならぬから、外材輸入適正化ということを考えろというふうなことが両院決議されております。そこで私たちは、外材輸入問題につきましては、外材需給検討会というものをつくりまして、そこで自主的に、外材をどの程度入れたらいいかというめどを得るための相談を、主として輸入商社国内木材生産者、あるいは山林の所有者というものを中心にいろいろと検討し、一年間の前半、後半に分けて、およそこの辺のめどであろうというふうなことを話をいたしたわけでございます。ですから、木材につきましてはすべて自由化されておりまして、これを林野庁が規制するという力はないわけで、そういうのが一つ目的であったわけであります。  ところが、昨年の九月以降、特に十一月に入りましてから、十二月上旬にかけて急激な暴騰をしたわけです。そういうことから、逆に今度は外材輸入しなければならぬということになりまして、外材需給検討会でございますので、外材をいかにして入れるかということについて、商社その他にもいろいろと協力を要請したといういきさつがございます。したがいまして、私たちは、林業のその決議に基づきまして、今後も外材の円滑適正な輸入を考えていきたい、それがひいては国内木材価格の安定に寄与するものである、かように考えておるわけでございます。
  11. 大野市郎

    大野(市)分科員 その弁明は私は承服はなりません。両院決議があったので開かれたという端緒は理解します。端緒は理解しますけれども、立法府は、外材あるいは木材需要の動きに対しましては、いわば専門家ではないのであります。これをリードをするものとしては、わが国においては、林野庁の手において、国内材のみならず外材動向というものを掌握して、総合判断をしてもらうのが行政府のお役人の仕事だろうと私は理解しているわけです。したがいまして、きっかけは両院決議であったとしても、それらの変化動向を先取りするだけの準備というものが欠けておったということはいなめないと思う。これを外材需給検討会相談しておったので、そこで判断してもらったということであったら、行政の欠陥がそこにあるんじゃないかと私は判断する。そういうようなことで、特に輸入商社がその中のメンバーに入っておったとすると、いま巷間さらにもう一つ伝わっておるのは、その意味合いにおける大手筋のいわゆる売り惜しみのようなものがないかといううわさもあるわけなんです。こういう問題と比べると、検討会があるからといって行政府責任は転嫁されません。こういう点に対して、私は過去のことを特に責めてそれをどうしようとは思いませんが、その検討会で今度は輸入を促進する相談をしてもらいますというその態度は改めてもらいたい。あくまでも諮問機関である。それの責任というものは、政党内閣でありますから、やはり行政官吏の最高峰である林野庁長官がこの問題に対してのけじめをとってもらわないと、政党出身大臣としては、実際問題として、どなたがその職につかれても、はなはだその点では不安定なお気持ちになられると思う。この点、櫻内大臣はよく御了解であろうと思いますが、この点に対しての大臣の御感触を承りたい。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 外材需給検討会は、輸入業者も入っておりますし、学識経験者も入っておりますし、また木材需要者も入っておりますということで、こういう諮問機関のようなものは正しく運用される必要があると思うのです。ただ、お話のように、輸入業者の方々が入っておるために、御指摘のような疑惑を受けたといたしますれば、非常にこれは遺憾なことだと思うのであります。また、この検討会の結論をそのままうのみにしていくというような姿勢であってはいけないのでありまして、あくまでも国際的、国内的に需給というものを大所高所から見て判断をしていくということは、大野委員のおっしゃるとおりだ、こう思います。したがいまして、私といたしましては、こういう検討会を、片寄ったような運営でなく、あくまでも公正に指導もしていくし、またその判断というものはわれわれの参考にとどめて、責任農林省自体にあるという自覚の上でこれからの行政に当たってまいりたいと思います。
  13. 大野市郎

    大野(市)分科員 けっこうであります。そういう方針でひとつ大臣はお守りをいただきたいと思います。  それから、やはり同じ疑惑巷間に流れまして、農林省の林野の側で——出どころはわからないのですよ、巷間伝わるところだから。木材不足なのにブームに乗って住宅をつくり過ぎる、住宅を少しセーブしてつくらせないようにすべきでないかという驚くべき報道を私は散見をいたしたので、はなはだ憂えておるのでありますが、この真相などは問いませんから、そういうことはよもやないと思うのでありますが、林野庁長官からこの点に対して御感触を承りたい。
  14. 福田省一

    福田政府委員 先ほどの御質問にも関連するわけでございますけれども、住宅ローンの緩和によりまして、木材需要が急速に伸びて、昨年の九月以降木材価格が非常に高騰したということでございます。木材供給というのは、先生承知のとおり、なかなかそう簡単には対応できない一つの特質を持っております。外材にしましても、一ぺん輸入しようとすれば、実際に入ってきますのに数カ月、国内におきましてもやはり三月なり半年なりかかるわけでございます。ちょうど四十五年、四十六年、四十七年の前半が低迷しておりましたので、各流通段階にはストックがほとんどなかったわけでございます。これは例年に比べますと半減しております。木材建築需要が急に伸びてきたために、それに対応できなかったというのがほんとうの姿であると思うわけでございます。したがいまして、私たちの立場からいきますならば、建築計画につきましては、やはり供給する側とよく話し合ってもらいたいというふうに思うわけでございます。  そこで、先般、建設省住宅局長ともお話をいたしまして、お互いにひとつ連絡をとっていこうではないか、建築計画にしましても、あるいは木材供給にしましても、スムーズに対応できるということで、住宅用木材需給合理化連絡協議会というものを建設省住宅局林野庁とでつくりまして、いまいろいろと具体的な、長期的な需要見通しであるとか、あるいは供給見通しであるとかいうことにつきまして、長期、短期の構想を練っておるところでございまして、先般の新聞報道は、そういう意味では私たちの真意を伝えておるものではなくて、誤報であると私は判断しております。
  15. 大野市郎

    大野(市)分科員 誤報であってけっこうでありましたが、この点は重要でございますので、私がこれを確かめたいと思いました理由は、わが田中内閣は、自民党が与党として、政策の柱として住宅建設は最重要項目であるので、住宅ローン充実をはかる、あるいは予算措置をさらに充実させる、もうあらゆる関係において知能をしぼって住宅充実をはかることを目ざしておることはお互い承知のとおりなんであります。しかも四十六年の第二次住宅建設五カ年計画閣議了承をとって進行中であります。そのさ中に、誤報であったからしあわせでありますけれども、かりそめにも住宅を木が足らないから減らせよというようなことが政府部内において一部流れたということは、はなはだ遺憾でありまして、この点はひとつ簡単でようございますが、国策の基本の柱を傷つけることはよもやなさるまいと思いますが、これは抽象的でけっこうです。御決意を一言承りたい。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 閣議決定による第二次住宅計画があることは、これはわれわれといたしましては、その方針の変更ない限り、この遂行に万全を尽くすことは当然だと思います。ただいま長官から御説明申し上げたように、そのために、供給面責任のある林野庁があらゆる努力をする、また海外からの供給についても農林省努力をする、これは当然だと思います。しかし、その間に、その供給の実情というものは正直に説明をする、伝える努力はしておるが、こういう状況だということも、これは参考までに申し上げるということは必要なことだとは思うのであります。しかし基本的には、閣議決定に反するような、そういう行政をとるということは私は考えておりません。
  17. 大野市郎

    大野(市)分科員 そうであろうと思います。そこで確かに、やはり二月十六日の閣議決定の「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」、これを拝見しましても、四十四年から四十六年の平均需給率国内産材料では四六・三%である。これが実績である。それを五十六年度に引き延ばすと、三六・八%の需給率に減少をするのだということを私は承知しております。こういう実態を踏んまえましたときに、森林生長のことでありますから、これはなかなか一朝一夕にできないことは承知の上でございます。しからば、なおかつ住宅要求が日本の国内事情からいたしまして熾烈でありますから、この矛盾を解決する方法はどうしたらよいか。木はないのだからつくるなよということは政治でございません。大臣は、明らかにその点は御同感を示されて、しあわせであります。  そこで、木材不足対策いかんという問題になりますが、きょうは何としても時間がありませんので、項目だけ申し上げて善処を促して終わりたいと思います。  たとえば内地の資源涵養についてのくふうは、閣議決定の線もございますが、あるいはさらにこの中身も再検討の必要があるかもしらぬ。それから外材の産地の資源培養の問題が明らかに指摘をされておる。これは東南アジアの方面においては、カリマンタンの問題その他においても、切りっぱなしということはないじゃないかという現地の声がある。当然だろう。したがって、それらに対する資源培養技術援助とか、あるいは資金援助とか、さまざまな次の外材生長の注射が必要であろう。あるいは比島のマルコス大統領が二月十一日に、三年後には丸太輸出はとめようじゃないかと言ったというようなことが伝えられた。アメリカの上院議員国会丸太輸出禁止の法案を出すとかいうことが伝わる。いずれも、言うならば外材輸入という問題を商社にまかしておけない、どうしても国家が外交の力でこれらの諸国との関係の提携に乗り出してあげなければならぬと思うのです。自由の貿易であるけれども、国がそこにお手伝いをするというか、積極的外材輸入のための外交の展開が必要だろうと指摘をされておる、もっともだと思う。それからもう一点は、今度は農林省でございませんが、ベニヤ、合板関係の研究も必要でありましょう。  今度は建設省住宅局関係で、住宅建設を御担当のお役所としては、木材需給見通しがそこまで明らかにされたならば、どうやって家を建てるかということで、住宅構造変化木材節約の設計上のくふうが行なわれていなければならぬと思うが、その点はどうなっているのか。あるいは合板普及、プレハブの普及、これは進んでいることも聞いております。それらをどう調整し、どう合理化するか、安全な住みよい住宅にするかというふうなくふう。それから鉄筋コンクリート耐火建築をさせる方法、そういうような意味合いでの住宅の概念、そういう問題に対する確信が必要でないかというような、木材不足対策としては幾つかあると思う。これらの問題を、農林省当局におかれては、物がないからいいかげんに適当にしたらどうかというしり込み思案はお退けいただいたので幸甚であります。住宅担当のお役所においては、私どもは、不足になるなという非常な危機感を持っておるから、それが妥当な判断であるとするならば、不足なものをどうやって充足させるかという、使用する利用面から、しかも人間の生活を快適にするための住居ですから、快適性を失ってはならぬ。鉄筋コンクリートの冷たい中へ詰め込んじゃだめなんだ。それらをどうするかという配慮が私は非常に必要だと思うので、時間もないものでありますから、お答えはどうしようもありませんが、これらに対して、どうか農林省当局建設省当局から、一言ずつこれらの御決意を、やりましょうならやりましょうでけっこうなんですから、ひとつ御回答いただいて質問を終了したいと思います。
  18. 福田省一

    福田政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、基本計画、それから需給見通し閣議決定の線に沿いまして最善の努力をしてまいりたい。特に国内資源培養。それから外材につきましては、開発輸入という観点から特に施策を強めていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  19. 金子勇次郎

    金子説明員 御指摘の点でございますけれども、建設省では、木材その他供給制約のございます天然資源につきましては、早くから、これにかわる材料を使用する、あるいは有効に活用するという観点工業化を進めております。  さらに、最近のように緊急な事態が発生しました中では、林野庁と一緒に、従来よりさらに連絡を密にして、制約のあります供給に十分こたえられるような需要面の対策を今後とも一そう講じていく方針でございます。
  20. 大野市郎

    大野(市)分科員 どうもありがとうございました。
  21. 細田吉藏

    細田主査 芳賀貢君。
  22. 芳賀貢

    芳賀分科員 農林大臣にお尋ねします。  まず第一は国有林の問題でありますが、その中で、多年懸案になっておるところの国有林の基幹労働者のうちの、常用作業員といわれる大事な作業員が一万七千人おるわけでありますが、これが常勤化の問題につきましては、一昨年の三月二十五日の両院における林業振興に関する特別決議、それを受けて四月の十三日に政府の統一見解が出されたわけであります。この実施につきましては、先週三日の予算分科会におきまして、定員担当福田行政管理長官並びに財政担当の愛知大蔵大臣質疑を行なったわけでありまして、両大臣とも、この問題については重要問題としてとらえて、特に、政府の統一見解に基づいて積極的な努力をするということを言明されたわけでありますが、所管の農林大臣あるいは林野庁長官の取り組みが最も消極的であるというふうにわれわれは見ておるわけであります。  そこで、この常勤化の問題について、特に昭和四十七年度に行なった常勤化の実績、それから四十八年の予算を中心として四十八年度にはどのような計画で常勤化を進めるかという点について、農林大臣からお答え願います。
  23. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 常用作業員の処遇改善の問題につきましては、御指摘のように、政府の統一見解に基づきまして、各省の協力を得て努力をするということで進んでまいってきておるわけでございます。常勤職員との均衡をはかる、そういう方向で目標を明らかにして、その実施について前向きに努力をしておる次第でございますが、お尋ねの詳細については、林野庁長官のほうからお答えさしていただきたいと思います。
  24. 福田省一

    福田政府委員 定員外職員の処遇改善については、御指摘のとおり幾つかの問題がございますけれども、まず定期作業員の常用化の問題につきましては、四十一年度以降四十六年度までは一万一千四十九名実現しております。ただ、私たちがいろいろと現地の実情に即しまして、仕事の組み合わせであるとか、あるいは地域間の流動ということを配慮しまして常用化につとめてまいったのでございますけれども、大体、北の地帯とか南の地帯、いろいろ事情がございまして、四十七年度は結論的にはわずか百二十七名となっております。総計で一万一千百七十六名と相なっております。
  25. 芳賀貢

    芳賀分科員 それじゃ答弁にならぬじゃないですか。段階的にはまず常用作業員を定員化するということが一つあるでしょう。いま長官の言われたのは、定期作業員を常用化するという点について説明されたわけですよね。  そこで、きょうは具体的な問題を一つ取り上げてお尋ねします。すみやかに定員化すべき職種の中で、機関車運転手、貨物自動車運転手、特殊自動車運転手並びに集材機の運転手、これは行管当局においても、当然定員内の職種であるということがもう確認済みなわけですね。ですから、そうなれば当然、この機械要員である運転手の場合は、全員がすでに定員内職員になっておらなければならぬのが、私たちの調査によりますといまだに三百七十四名の諸君が定員内に入れないでおる。つまり定員外の処遇を受けておるということになっておる。これはもう行管も認めておるわけですからね。長官がぜひこれは相互確認どおり定員に繰り入れてくれと言えば、拒否する根拠はないのですよ。どうして三百七十四名がいまだに定員外に置かれておるのか。この理由はどこにあるのですか。
  26. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、機械の作業に従事する常用作業員につきましては、定員内への繰り入れにつきまして労働組合との間で十分協議いたしまして、その数は二千数百名と一応決定しているわけでございます。その範囲内におきまして、できるだけ定員化をはかってきたところでございます。現地におきましては、先生承知のように、仕事の組み合わせを、セットを中心にしまして、それぞれ近代化、合理化をはかっているわけでございます。残りました職員につきましても、これはできるだけそういった現場の実態に合うように、その限度内におきまして組合と話し合いを進めてまいりたい、かように考えております。
  27. 芳賀貢

    芳賀分科員 大臣いいですか。林野庁の職員です。朝、同じ型の貨物自動車にそれぞれ運転手が乗って作業に出かける。一人は定員内の職員だし、一人は、同じ重要な仕事をするにもかかわらず、いまだに定員外に置かれておる。こういう差別が現存しているわけです。すでに定員問題を担当している行政管理庁においては、この機械要員である運転手については、当然これは定員内職種であるということを確認しておるのですよ。そうである以上、いまだに三百七十四名が定員外に放置されておるということは、非常に問題があるわけですね。ですからこれは、四十七年度も残り期間は少ないわけでございますが、農林大臣としても、この実態というものを十分把握して、そして担当長官を督励して全面的に解決してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  28. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 芳賀委員の御指摘は、私承って十分理解いたしました。ただ、いわゆるその予算折衝のおりに、原則は了承されておっても、定員のワクとかいうようなことでいつも壁にぶつかるという現実の交渉過程があるわけであります。これを、いまのようなそういう差別がある、しかも行管長官は了承しているじゃないか、そう言われれば、私どももそれによって鞭撻されて、あらゆる努力をしなければならない。ならないが、努力をした結果、そこまで急にはやれないとかいうようなことで、最終的にはいまのような結果が出ておるということは、私としてもまことに遺憾しごくに存じます。そこで、きょうせっかくの芳賀委員の御指摘でもございますので、これからもう一度私どもとしてがんばって、すみやかにそういう事態の解消に努力をいたしたい。先ほど、一応目標を定めて努力をしているということを申し上げたのでございますが、そういうところに一応の目標を立てながらいくより実際上はむずかしいのかという点もございますが、おっしゃっておることは十分理解いたしました。
  29. 芳賀貢

    芳賀分科員 あわせて実態大臣に申し上げておきます。  これは北海道の旭川営林局管内の実態ですが、いま言いました貨物自動車、特殊自動車、集材機等を中心にした機械の保有台数が、旭川営林局管内では三百九十一台あるのですね。これは毎日稼働すべき台数で、遊休機械の台数は入っていないわけです。ところが、これを稼働させるための運転手要員が現在どれだけおるかというと、三百七十七名ということになっておるのです。稼働すべき機械台数が三百九十一台で、これを十分に効率的に運転すべき要員が三百七十七名しかおらぬわけですからね。まさか一人で二台の機械を操作するわけにはいかぬでしょう。こういう実態です。  国有林の事業もだんだん機械化を進めておるわけでありますから、機械がふえればそれに必要な機械要員も増員しなければならぬということは当然なことなんですよ。しかも林野庁の場合は、機械一台に対して運転手が一名以内ということになっておるわけですね。私は自分の町の農業協同組合の組合長をやっていますけれども、農協の行なっているいわゆる農産物あるいは農業資材の運送のために、ホクレントラックというものを稼働しておるわけですが、私の農協の場合は、トラック等については一台について正式の運転手二名ずつを確保しておる。こうしなければ、機械運転という労働の過重性から見ても、もう時間一ぱい一人でやるなんということはできないのですよ。ですから、交代要員という意味においてもやはり二名必要である。これをやらぬと過労現象が起きて、事故発生の原因にもなるわけですよ。経営力の弱い農業協同組合でさえも、人間尊重でこのようにやっておるにもかかわらず、国の事業である国有林の大事な機械化事業の中でこういう要員が不足しておるというような実態は、定員法があるからとか、五%削減があるからということで、これを解決しないで避けて通るということは許せぬと思うのですよ。  おそらく歴代の農林大臣は、こういう実態を知らないのですよ。国有林のことについては、林野庁長官に当事者能力がある、団交権があるからといって、農林省の中でも林野庁だけは全く孤立しておるというか、疎外されておるというのが農林省内部の実態なんですよ。いいですか、大臣。こういう点は大臣としても、各営林局あるいは営林署の事業現場等においてどういうような作業実態であるかということを、一段と熱意をもって十分把握して、すみやかに改善すべき点については大臣責任において改善する必要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。これは大臣からお答え願います。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まあ正直に言って、就任後三カ月にもならないということで、しかも予算折衝から国会というので、私から言うまでもなく、実態の掌握については欠けておることは、もうみずから認めております。いまのようなお話を承りましたので、林野事業が現実に一体どの程度に行なわれておるのか。たとえば多少自己弁護的に言えば、なるほど稼働台数は三百九十一台である、しかしそれは実際上いまの旭川における事業の上から必要な台数なのかどうかというような点も、ちょっと常識的に——いま全部稼働というのが必要なのかどうかというような疑問などちょっと出ましたが、これは私、正直なことを申し上げるのでございまして、別に芳賀委員のおっしゃることを否定する意味で言うのではないのでございます。そういうように、全く御指摘のとおり実態について十分承知しておりません。もし実態がいまおっしゃるようなことでありますならば、これは大いに反省をしなければならない。また同時に、五%削減をしなければならぬとか定員があるとかいうようなことについて、これは堂々とわれわれが主張しなければならない問題だというふうに認識をいたしました。
  31. 芳賀貢

    芳賀分科員 次にお尋ねしたいのは、国有林の産物の払い下げの問題ですが、これはたとえば立木、素材、製品等、いわゆる国有林から生産されるべき産物の売り渡しを行なっておるわけですが、この売り渡し方法について、これは国会においてもしばしば指摘しておる点でありますけれども、いままでの配材基準等を見ると、どうも独占的な紙パルプ資本を中心にして有利な条件で集中的な売り渡しを行なっておるわけです。ところが、地元の小規模経営の木材工場、製材工場については、むしろきびしい条件の売り払いが行なわれておるというのが実態です。  いままでの国有林の大面積皆伐等の乱伐によって、国有林全体が相当荒廃しておる関係もあり、一方、公害問題も発生する。国土保全上からもいままでのような過伐方式を改めるということで、昨年から既定計画を一〇%縮小した、一〇%減伐方針というものを進めておるわけです。これは当然なことであるとしても、これがもろに地元の小規模の企業にしわ寄せがいっておるわけですね。そういう点も踏まえて、今後の売り払い方法というものを根本的に検討する必要があると思われます。  きょうは時間の関係で詳しい問題は避けますが、こちらから提起する問題として実態の資料要求をしたいと思います。それは、特にパルプ会社に対する特売随意契約の中で、地元の小さい木材業者等に対してパルプ会社が委任状を出して、いわゆる委任状契約による払い下げというものが長い間行なわれておるわけです。これは今後の国有林経営から見ても非常に問題があるわけですね。これを抜本的に改善するにはどうするかということについては、やはり実態を十分調査、把握しなければならぬわけであります。全国に十四営林局があるわけでございますから、その営林局ごとの、主要なパルプ会社の行なっておるいわゆる委任状契約による売り払い方法というものが、どういうような実態で行なわれておるかという点について、林野庁のほうからすみやかに資料を提出してもらいたいと思いますが、いかがですか。これは長官からでもいいです。
  32. 福田省一

    福田政府委員 先生指摘のように、委任状の扱いにつきましては、会計検査院等から指摘されておるような問題もございますので、さっそく各局で調査いたしまして、提出いたします。
  33. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、これは資料の提出を待って、また適当な機会に質疑をいたしたいと思います。  次に畜産関係ですが、農林大臣にお尋ねします。  現在、畜産関係の法律として、加工原料乳に対する補給金法というのがあるわけでございますが、生産者の販売する生乳の価格保障については、毎年三月の末に農林大臣が畜産振興審議会に諮問をして、そうして毎年四月一日から始まる牛乳年度の生産者の保証乳価というものを実行することになっておるわけでありますが、もうその来年度の決定の時期も迫っておるわけです。その前に、補給金法の第十一条がこの保証価格あるいは基準取引価格等の決定条項になっておるわけでありますが、その十一条の八項に、たとえば、四十七年度の保証乳価を決定いたしましても、一年間の年度内において特に生産事情、経済事情が相当変化した場合においては、年度中途であっても農林大臣が畜産振興審議会に諮問をして、そして保証乳価の改定をすることができるということになっておるわけです。私は、四十七年度の保証乳価については、当然この十一条八項の規定を発動すべきであるというふうに考えておるわけです。  その理由としては、昨年の秋以来、御承知の家畜の飼料が品不足のために暴騰を続けておるわけです。ですから、家畜の飼料の価格高騰によりまして、私どもの調査によりますと、たとえば生乳の生産に要する生産費のうちで、えさの値上がり部分というものが生乳一キロに対して約二円十六銭コスト高になっておるというような計算が出てきておるわけであります。現在、生乳の保証価格はキロ当たりにして四十五円四十八銭ですから、それに対して二円十六銭ということになれば、大体五%程度コスト上の値上がりということになるわけです。  もう一つの理由は、ことしの一月十五日から農林省が指導いたしまして、飲用向けの原料乳価というものが、キロ当たり七円五十銭、生産者の手取り分が上昇したことは御承知のとおりであります。飲用乳については、二百ccで今度は三十二円ということになったわけですが、生産者の手取り部分については、一キロについて七円五十銭値上がりがしたわけです。その理由は、当然、えさの値上がり、あるいは生産に対する労働費あるいは諸経費の上昇というものが大きな理由になって、すでに飲用乳については実行されておるわけです。ですから当然、法律で保護されている加工原料乳については、いまの価格比較をいたしますと、加工原料乳は、先ほど申しましたとおり、キロ当たり四十五円四十八銭、飲用向けの生乳価格は平均的にキロ当たり約七十円ということになっておるわけです。ですから、おおよそキロ当たり二十四円、用途別によって格差が生じておるわけです。さらに加工乳につきましては、売り払い制度によりまして、国がキロ当たり約八円の交付金を出しておるわけでありますからして、交付金を引いたおおよそキロ当たり三十七円の価格というのが、乳業メーカーが指定生産者団体から買い受ける価格ということになるわけです。ですから、乳業メーカーにとりましては、同じ生乳であっても、名称が加工原料乳ということになれば、キロ当たり三十七円で購入することができ、飲用向けの生乳の場合は七十円でなければ購入できないという、こういう大きな格差が生じておるわけです。  ですから、飲用向けなま乳の価格が高過ぎるというわけではないのです。これはまだ実態から見れば低過ぎるという説も成り立ちますが、国が保証する加工原料乳の価格というものがこのように圧迫されておる、冷遇されておるということになれば、畜産政策上から見ても、当然、農林大臣として、四十七年度加工原料乳保証乳価についても、進んで第十一条八項の規定の発動をして改定するということが最も賢明な態度であるというふうに考えておるわけであります。もう三月に入りましたから、時宜を少し失するというようなうらみもありますけれども、幾ら期待しても農林省がやらぬわけでありますからして、この機会に、この発動についてどういう方針を持っておられるか、明らかにしてもらいたい。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 詳しい計数をあげての御指摘がございまして、まことに恐縮に思っておるのでありますが、いまの十一条八項によりますと、確かに「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、保証価格等を改定することができる。」これを正直に受け取ってまいりますれば、芳賀委員のおっしゃるような措置が取り得ると思うのでありますが、すでに三月も初旬を終わるという段階で、現在四十八年度の保証価格算定作業に入っておる段階でございます。  これは私が間違っておったらまた御指摘いただきたいのですが、飼料の関係だけでまいりますと、昨年一年間のをずっと見ますと、前半におきましては値下げをしておる。そして本年になりましてから二回の値上げである。こういうことで、飼料の関係からいくと、「著しい変動」かどうかということについては、その範囲ではにわかに判断ができないのであります。しかし、いろいろの計数をあげての御指摘でございまして、少し専門的になりますので、局長のほうから一応お答えいたさせます。
  35. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 加工原料乳不足払いについての保証価格等の改定問題については、制度の適正な運営をなすべきであるというような御指摘が中心かと思いますが、四十七年度につきましては、保証価格につきましては、実は飼料価格は、先ほど大臣ちょっとおっしゃいましたが、たとえば購入価格で三万二千円である、この数年来にない安い水準で十二月末までは推移してきたわけでございます。したがいまして、それでなお値上げがいろいろいわれておりますが、確かに、国際穀物原料の価格相場等によりて今後値上がりを見込まれ、それに対する対策を詰めておるわけでございますが、対策の効果なり、あるいは円の為替変動相場制移行等諸般の事情を見て、飼料価格値上がりの帰趨を判断すべきものというふうに考えておるわけでございます。  第二点の加工原料乳の価格と飲用向け生乳の価格、その格差の問題、これについてもしばしば御指摘を受けておるところでございますが、やや理屈を述べさせていただければ、市乳、飲用乳につきましては、地域需要に応じまして自由に形成されておる。加工原料乳につきましては、酪農適地におきます加工原料乳の再生産を確保するために生産費を保証するという価格で、それぞれの体系で形成されておりますし、また地域間格差なり、あるいは用途別格差等をどの程度に見るべきかという点については、いろいろ議論があると思うのでございますが、先生の御指摘に対してのあれといたしましては、四十八年度の加工原料乳の保証価格を、飼料の動向とかあるいは飲用乳価の値上げの結果とかを見まして、適正な算定を慎重にいたすということであろうかと思っております。
  36. 芳賀貢

    芳賀分科員 これでやめますが、結局きょうの質問は、四十七年度乳価の改定を積極的にやる意思があるかどうかということをただしたわけです。ただ、過去三年の加工乳と飲用乳の価格推移を見ますと、加工乳については、四十七年は前年度に対して一円の値上げですね。その前の年はキロ当たり七十五銭、その前の年は二十一銭ですからして、過去三カ年間に一円九十六銭の値上げということになっておるわけですから、これは実質的には値下げをやったということになるわけです。飲用向けの乳価は、ことしは先ほど言ったとおり七円五十銭。去年一年飛ばして、一昨年が六円ですから、飲用向け乳価は三年間に十三円五十銭上がっておるという現象が明らかになったわけです。だから、加工乳価は法律をもってこれを押えておる、飲用乳については自由な需給実勢の上に立って価格形成が行なわれているという逆な現象がいま生じているわけです。来年度の乳価決定の場合は、これから作業に入ると思いますから、この実態というものを十分踏まえて作業にかからないと、それでは何のために不足払い法というものをつくったかという立法府の真意にも関する問題ですから、この点を御注意申し上げまして、きょうはこれで終わっておきます。
  37. 細田吉藏

    細田主査 次に、藤田高敏君。
  38. 藤田高敏

    藤田分科員 私は、ことしの農民にとって重要な政治問題になっておりますミカン問題について、そのものずばりで質問をしたいわけです。  ことしは御承知のように、ミカンがたいへんよくできたということで、ミカンの価格が非常に暴落をいたしております。ついては、全国の生産農民から、またその団体から、あるいはミカンの生産県から、政府に対して強い要望なり要求が出てきておると思いますが、その代表的なものはどういうものであるかお聞かせを願いたい。
  39. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 まことに恐縮でございますが、ちょっと聞き落としましたので、申しわけございませんが……。
  40. 藤田高敏

    藤田分科員 三十分の時間で二分程度というのはきわめて貴重な時間ですから、これは延ばしてもらわなければ困ると思うのだけれども、このことはともかくとして、お尋ねしたのは、ミカンの価格がたいへん暴落をしておる。それでミカン農民なりその生産団体なりミカンの生産県から、政府に対して強い要望書なり要求がたくさん出てきておると思いますが、それを集約すればどういうものになっているか。
  41. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  昨年来のミカンの大暴落というようなことに基づきまして、各ミカン関係生産者団体、それから地方自治体等からいろいろな陳情が参っております。その要旨を申し上げますと、一つは、非常に余ったミカンで価格が低落をいたしたわけでございますから、加工原料用ミカンの価格安定のための措置がございますが、そのワクの拡大をしてほしい。それから加工原料用ミカンの価格水準の足切りの部分を引き下げてほしいというようなこと、つまり保護の範囲を厚くしてほしいというふうなこと。それから学校給食用にミカンを回してもらいたい。それから、いろいろ制度資金などを借りておるから、その制度資金の減免をしてほしい、条件緩和等をしてほしい。それから、再生産資金あるいは生活資金で困っておるから、それについてのめんどうを見てほしい。大体そういうようなことがおもな御要請であったと思います。
  42. 藤田高敏

    藤田分科員 あとで具体的に聞きますが、その中で私は、聞き落としたのかもわかりませんが、オレンジとか果汁の自由化に対しては、政府としてはそういう自由化をやらないでほしい、そういう強い要求はなかったですか。
  43. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私がいま御答弁申し上げましたのは、これは緊急対策としてのお話で御答弁申し上げたわけであります。果汁の自由化の問題、これは、緊急対策ということでなくて御要請があったわけであります。
  44. 藤田高敏

    藤田分科員 質問は、そういう団体からどういう要求が出てきておるかということですから、当面の緊急対策なり、あるいは長期対策なり、そういうものの区別なしに私は聞いておるわけですから、できるだけひとつ、時間の効率化のためにも質問に合わせて答弁してもらいたいと思います。  そこで、そういうことをやりますと時間がありませんからなにしますが、価格安定の問題については、これはきわめて強い要求として出てきておると思うのです。そこで、農業基本法の第十一条の農産物の価格安定の条項に待つまでもなく、ミカンは主要な農産物の中に入ると思うのですけれども、この農業基本法の十一条に該当する農産物と考えてよろしいかどうか。そういうことであれば、米を中心に、いろいろ不完全ではありますけれども、政府介入型、あるいは政府不介入型と、大別して三つぐらいに分かれようと思いますけれども、農畜産物に対する価格政策というものがとられているわけですけれども、その中でミカンだけがとられてないわけですね。これはどういうことなのか。今日このような事態を迎えておるだけに、先ほどの話ではありませんが、緊急対策としても、将来に向けての長期対策としても、ミカンの生産農家が安心して政府の計画に即応するミカンがつくれるような、そういう支持価格制度をつくるべきじゃないかと思うわけですが、政府の見解を聞かせてもらいたい。
  45. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ミカンが果汁の中で一番数量も多いわけで、生産額が大きいわけでございます。したがって私どもは、重要な農産物であるというような考え方をいたしておるわけでございますが、農業基本法は、そういった重要な農産物につきまして、生産政策あるいは構造政策、そういったものをまずとって、そうして、そういったものだけではなお不十分な点については補正する手段というようなことで価格政策をとるということ、「不利を補正する施策の重要な一環として、価格の安定を図るため必要な施策を講ずるものとする。」と書いてあるわけでありますが、ミカンにつきましては、御案内のとおり永年作物でございます。その生産というものは、長期的には大体植栽と見合ってある程度想定できるというようなことでもございます。したがいまして、その需給安定なり価格安定なりというものは、まずは計画的な植栽あるいは計画的な栽培管理というようなことを通じましてはかられるのではないか。さらにはその出荷の調整というようなことも考えていったらいいのじゃないか。そうしてさらには、一部のものはどうしてもやはり豊凶変動というものがあるでございますから、そういったものは加工というようなこと。これは蔬菜とは違いまして加工できる余地がございます。しかもその加工というものも、最近ジュースということで非常に需要が伸びつつあるわけでありますから、そういったものに使うということでやっていく。そうしてさらに、それだけでもなおかつ足りないような場合には、その加工原料用のミカンについて価格安定措置を考えていく、こういうようなことで従来からも努力をいたしてきておりましたし、そういうような面での施策というものも拡充実施してき、また、してまいりたいと考えておるような次第でございます。
  46. 藤田高敏

    藤田分科員 主食のようなわけにはいかぬでしょうけれども、政府は、昭和五十一年まで、あるいは昭和五十何年までという形の長期的な需給計画を立てておるわけですが、たとえば、それでいきますと、昭和四十七年であれば、四十七年の生産計画の政府が立てておる生産量の範囲内については、ことしで言えば、これは少しくあとで数字も出してみたいと思うのですが、所得と生産費は補償するのだ、そうしてその生産計画以上オーバーしたものに対しては、いま言われたような加工品をふやしていくとか他の対策で消化するということで、基本的にはむしろ支持価格制度というものを土台に据えて、この年次計画の範囲内においては、少なくともそれだけのものについては支持価格制度をとりますよ、こういうやり方をすることのほうが基本にならなければならないと思うのですが、どうでしょうか。
  47. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私、ミカンというものは、なまのものにつきまして直接的な支持制度をとることの問題は一つあるわけでございますけれども、それと別に、大体、私どもが想定しました程度のミカンの生産が行なわれますならば、それは市場においてそれなりに評価をされて、価格は安定するものであると考えておるわけです。と申しますのは、私どもが想定いたしておりますある程度の需要の伸びということを考えますと、それに合わせた生産というものが行なわれておる限りは、そう価格の暴落はないであろうというように考えておるからであります。
  48. 藤田高敏

    藤田分科員 それでは、ことしの需給関係からいったら、どの程度のものであれば採算がとれる生産量だと考えていますか。
  49. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 それはかなりむずかしい問題ではあるわけでございますけれども、昨年といいますか、一昨年産のミカンの生産量は二百五十万トンであったわけでございます。その後の需要の伸びというものをかりに一割程度と見ましても大体二百七十五万トンくらいになるわけでございますけれども、まあ二百八十万トン前後のものであれば、大体価格的にはそう大きな変動はなくて、もちろん出荷調整の問題、品質の問題等ございますけれども、それほど大きな変動はなくて済んだのではないかというような感じを持っております。
  50. 藤田高敏

    藤田分科員 きょうは具体的な数字を出し合って議論する時間があまりありませんが、私の手元にある政府資料によっても、昭和五十一年における需要見通し、これは政府の計画としては昭和四十七年度から五十一年、あるいはそれから五十六年における需要見通し、こういうことになっておりますが、昭和五十一年における需要見通しからいっても三百三十六万トンから三百七十万トン、昭和五十一年の段階でそういう見通しを押えて、そして昭和四十七年、四十八年というふうにずっと計画を立てておるわけですが、そういう策定計画からいけば、なるほどことしは全国的に三百五十万トンということで、いま答弁をされたような観点からいけば、少しくオーバーしておるかもわかりませんけれども、政府のこの計画からいけば、さして——これからふえるかもしれませんよ、ふえるかもしれませんけれども、年次計画の範囲内でいけばそう大きな違いはないわけです。   〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕 そういう点からいけば、そういう需給計画の範囲内においてさえことしはミカンがこのように暴落をしておるということであれば、そこに何らかの価格政策というものが、今年あたりからおそまきながら打ち出されてしかるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  51. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 先ほども申し上げましたように私どもは、想定いたしております需要の範囲内の生産であれば、そう価格が暴落するということは考えられないわけでございます。もちろんその年によります豊凶変動というものが当然あるわけでございますから、そういったものはやはり果汁等の加工品で吸収していくというようなことでかなりまかなっていけるのではないか、その場合にも、あまりたくさん果汁になるといけませんから、果汁については、加工原料用ミカンの価格安定対策事業というものを実施しておる次第でございます。
  52. 藤田高敏

    藤田分科員 ことしのウンシュウミカンの実態からいきますと、キロ当たり約十円くらい赤字が生産費と市場価格との差において出ておると思うのですが、こういう状態が起こっている以上、ここには何らかの支持価格制度をつくっていく、なるほどいま答弁があったように、異常に生産量がふえたという場合には、これは若干問題があろうかと思うのですが、政府が奨励をし、計画を立ててきておる範囲内における生産量については何らかの支持価格制度をつくってほしい、つくるべきだということを、これは強く要求しておきたいと思うのです。  ここで私は時間の関係観点を変えますが、先ほどの答弁の中にもこの価格政策の問題と消費量の拡大の問題が並行して出てきますが、消費量の拡大の具体策として、先ほど全国の生産者団体から学校給食にミカンを使ってはどうかという要求が出てきておると答弁がありましたが、そのことに対する政府の見解ですね。これは小中学校、まる数でいきますと、大体児童数が千四百万人ぐらいじゃないかと思いますが、そういうもので計算すると、トン数にしてどの程度消化することができるか、そのあたりを聞かしてもらいたいのと、いま一つは、加工品に対する国内の消費量というものが、諸外国に比べて非常に低いのじゃないか、これは思い切って加工品の消費量を引き上げていくという対策を講ずるべきじゃないか、これはなまミカンの消費量の拡大と同時に、そういう施策を思い切ってとっていくべきじゃないかということが第二点。いま一つは、消費量拡大の一環になりますが、別ワクになるかもわかりませんけれども、輸出ワクをふやさなければいかぬ。ところが円の実質的な再切り上げの問題等と関連して、輸出見通しはどうなのか、それに対する具体的な対策はどういうふうに考えているかです。
  53. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 学校給食につきましては、数量的には私どもの計算では、対象人員が千百六十七万人と見ております。なまミカンの場合に、時期が半年になりますから、十月から三月で、二十三週で、週一回という計算をいたしますと、二万六千八百四十一トン、こういう数字に相なろうかと思います。学校給食につきましては、今回も御要求があったわけでありますが、今回の過剰事態に直面しまして、文部省にもいろいろ私のほうから学校給食に向けられないかということで、ずいぶん折衝もしてみたわけでございますけれども、文部省のほうの考え方は、最近学校給食でも食事内容を豊かにするというような意味で、いろいろな果実を取り入れてきているので、それぞれの地方で季節に応じていろいろな果実を学校給食に使っておる、そういうように取り入れもしている。中ではかんきつの生産量も多いことであるし、従来からもかなり使っておるし、ことにことしのように安い場合にはかなり使ってますよ。ただ、限られた給食費の範囲内で学校給食をする、いろいろな栄養素の均衡をはかるというようなことから考えてみて、特定の果実だけ大幅に使用拡大というのはなかなかむずかしいのですよというような考え方を強く持っておるわけでございまして、そういう意味で、ことしは実際に緊急対策として学校給食をやったような県もございますけれども、一般的に大幅にこれを広げるということがなかなか困難なような点もあるわけでございます。  第二の加工品の消費の拡大というのは、まことにおっしゃるとおりで、加工品にこれからの需要が伸びていくであろうということでございます。私どももそういうことを考えて、ミカンの需要を伸ばしていく努力をしなければならない。そのためにもやはりミカンのジュース工場というものをかなり数をふやしていくということを考えております。そこで来年度予算におきましても、当初私どもは二工場を増設と考えておりましたが、特に予算要求上四工場にふやしまして、ジュース加工というものを進めていく。もちろん需給の安定ということもございますけれども、それを消費の拡大に役立たせていくというようなことを考えておるわけでございます。  それから最後の御質問の、ミカンの輸出の問題でございます。なまミカンにつきましてはなかなかむずかしい点もあるのでございますけれども、さらにわれわれとしては努力を続けていくわけでございますが、ミカンかん詰めにつきましては、幸か不幸か四十七年産のミカンがわりあい低い価格で入手ができたというような、これはかん詰め屋さんのほうの立場から申し上げてでありますが、そういうこともありまして、四十八年の輸出に関する限りは大体予定量が可能ではないか。もちろんこれに対する対策につきましてはいろいろ講じなければならないというように考えております。これは食品流通局長のほうからお答え申し上げることにいたします。
  54. 池田正範

    ○池田政府委員 輸出向けのミカンかん詰めについてちょっと申し上げます。  いま円がフロート中でございますから、いま確実にどうだということを申し上げるのはなかなかむずかしい状態でございます。しかしいま私の手元に集まっております情報からいたしますと、割り当て量は大体全部共販組合に委託済みでございまして、ほぼ受託量の八割くらいは価格の仮払いを受けている状態でございます。  量でございますけれども、全体で約四百万ケース、これをはくことは実はなかなか容易ではないと思います。特にイギリスあるいはヨーロッパのスペイン、あるいは台湾というようなところはかなり進出をしてまいっております。したがって、こういうのに打ち勝ってやるということになりますと、今回の円切り上げというものは相当に響くということは考えざるを得ない。ただ、いま園芸局長から申し上げましたように、幸か不幸か、たまたま今年の原料ミカンの価格が例年に比べて少し安くなっておるということから、その上に乗ってようやく企業採算がとれるか。したがってそういうペースで、いま大体予想される程度でいけばどうやら、四百万ケース程度は何とかこなしたいという強い意欲を持っておるわけであります。
  55. 藤田高敏

    藤田分科員 学校給食の関係は、それはミカンだけというわけにはいかぬでしょうけれども、査定する人員なり一週間のうち何回食べさすかということにもなろうかと思いますが、私の非常に大まかな数字では小、中学校合わせて千四百万、そうして、いま局長答弁では六カ月ということだったですが、十二月から三月までの四カ月、四カ月のうち休みその他ありますから七十日程度と見て、大体二日に一回二個食べさせれば、学校給食に充てれば、十万から十二、三万トン、その程度の数字が出てくるわけですね。これは文部省のそういう予算の問題もありますけれども、ある現職の大臣の中でアメリカのオレンジジュースを学校給食にしたらいいじゃないかというようなことを言っている大臣がいますが、きょうはそのこと自体は問題じゃないですから名前をあげて言ったりする必要はないと思いますが、私は、そんな愚かなことをしないで、国内でできるこういうミカンを隔日ぐらいに積極的に学校給食に充てていくということに農林当局としてはもっと積極的な前向きの姿勢で取り組むべきじゃないか、こう思うわけです。その点についての見解をあらためて聞かしてもらいたい。  それといまの輸出の問題でありますが、これは農林省から出ておる一、二の資料を見ましても、一昨年の円の切り上げに伴って、その影響をまともに受けたものは果汁である、そういうことから見ても、ことしのミカンの輸出は減退するであろう、かなり影響を受けるのじゃないか、こういう資料を私ここに手にしておるわけでありますが、いまの見通しからいくと、若干楽観的な見通しではないか、こんなように思うわけです。というのは、四百万ケースというのは——政府の計画からいけば四十七年度は四百四十万ケースですね。四百万ケースというのは昭和四十六年の資料でしょう。ですから、いまの答弁では四十万ケースはどこかへ消えてなくなった。結局四十万ケース、それだけ輸出が減退するということを政府がもうすでに認めているんじゃないかと思うのですよ。その点についての、数字の見通しの的確性についていま一度お尋ねをしたいわけです。
  56. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 学校給食の問題につきましては、私どももミカンの需要の拡大というようなことから、できる限りミカンを使ってほしいということは申しておるわけでありますけれども、何ぶんにも限られた給食費の範囲内でやる。それから各種の栄養素の均衡をはかるんだというような考え方がございます。そういう意味でミカンだけ云々というようになかなかまいりかねるような点もあるようでございます。北国のほうの学校に行きますと、あるいはリンゴを使うということもございましょうし、あるいは桃を使うというようなところもあるかもしれません。そういう意味でミカンの生産地のところでは、もちろんことしなどもずいぶん使っておるというように私は話を聞いておるわけでございますが、われわれとしてはできる限りさらに文部省とも話をして、こういうように需要が伸び、また需要を伸ばしてもいいようなものにつきまして、さらに消費の拡大ということに努力をしたいと思っております。
  57. 池田正範

    ○池田政府委員 先ほど申し上げましたのは、実は、恐縮でございましたが、ラウンドで申し上げまして四百万ケースと申し上げたのでございますが、計画は、正確にはおっしゃるとおり四百四十万ケースでございます。前年度は三百九十万ケースでしたが、四百四十万ケース、それを計画として達成に努力しておるということでございます。
  58. 藤田高敏

    藤田分科員 そうすると、輸出については円のフロートに関連して、固定相場にいつ移るかはちょっと問題でしょうけれども、いまの国際通貨危機の状態の中から見て、固定相場に帰る場合は大幅な円の切り上げにならざるを得ないだろうということは常識化しておるわけです。そういう条件の中で輸出量は減退しないと見ておるのかどうか。
  59. 池田正範

    ○池田政府委員 先ほど申し上げましたように、現在商談がとまっているわけでございますから、したがってあとは、農業問題を別にいたしますと、かん詰めをつくるほうからいたしますと、原価の構成とフロートした円がどのくらいで固定されるかということとの相関になってこようかと思うのです。したがって、いまかりに四十円のミカンが、たとえば二十円なら二十円で現在手に入っている。ところが、切り上げ幅がその二十円ではこたえられないほど高くなると、そこに急激に影響が出てくると見ざるを得ないので、私どもとしてはなるべくそういうことは回避される形で切り上げの幅がきまり、固定されることが望ましいわけでありますけれども、現段階ではそこは見通ししかねる。ただ、いまフロートしておるような状態のもとでかりに固定されるということを一応の推測の幅の中に入れて、現在かん詰め業界が入手しておるところの原料ミカンの価格水準というものが、そろそろ終わりになるわけでございますが、維持できたといたしますと、業界筋の見通しからいたしますと、かなり苦しいけれども、何とか四百万ケース台の目標達成に近いところまではいけるのではないか、こういうふうに見通しをしておるようでございます。
  60. 藤田高敏

    藤田分科員 輸出関係からいきますと、数字にこだわるわけではありませんけれども、いま局長はまた四百万ケースとこうおっしゃられたんですが、私は四十万ケースというのはかなり大きいと思うんですよ。政府の立てておる四十七年の計画は四百四十万ケースであって、その数字自身を、私が四百万ケースは去年の数字じゃないか、こう指摘しても、また四百万ケースというのが出てくる。結局四、五十万程度は輸出が減るということをあなたたちは知り抜いておるわけだ。そういうことを前提にする限り、私は円のフロートからくる、円の再切り上げからくるミカンの輸出量の減退というものは必至だ、こう思うわけであります。  そこで、時間の関係もあるので大臣にお尋ねしますが、結局需給関係のバランスの問題もありましょうけれども、これだけ政府の選択的拡大による奨励策によってミカンが非常にたくさんできるようになった。そうして政府が、たしか二月二十六日ですか、植栽に対する抑制の通達を出すに至っておる。そういう措置を講じなければいけないほどミカンがよけいできるようになった。そして成木と幼木との関係からいっても、ミカンの生産量はまだ増大していくであろう。国内的にはさらにミカンがふえていくだろう、輸出の面ではいま指摘いたしておりますように減退することはあっても、ことしの見通しからいって増大することはない、こういうことになれば、ここで外国から入る、特にアメリカから入るオレンジ、果汁の自由化は、どんなことがあっても、政府が音頭をとって奨励してきた重要作物に対して重大な影響が起こるという以上は、オレンジや果汁の自由化は絶対やるべきでないと思うわけですが、大臣責任ある見解を聞かしてもらいたい。
  61. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ミカンをめぐる国内外の環境が著しく悪化しておるということは御指摘のとおりでございまして、現にオレンジ、ジュースについてアメリカが自由化を望んでおるという事実はこれを否定することはできません。しかしながら、きょうもいろいろと御検討願ったようなことは私としても十分承知しておるつもりでございまして、そういう面から私に対してオレンジやジュースの自由化問題で何か話がある場合は、それはアメリカ側の人であろうがまた国内の人であろうが、私としては繰り返しその自由化はできないということを主張し続けて今日に至っておる次第でございます。
  62. 藤田高敏

    藤田分科員 この点は私はあえてお尋ねしますけれども、政府が一昨年グレープフルーツの自由化をやったときには、たとえばこれはまたきょうは名前は伏せますけれども、愛媛県へある大臣が応援に来て、そうして参議院選挙が終わる三日前に、グレープフルーツの自由化は絶対やらぬ、こう言って選挙民に演説をぶっておいて、参議院選挙が終わったら、三日目にこのグレープフルーツの自由化をやった、そういう苦々しい実績があるわけです。私はこの点では、主管大臣ですけれども、絶対ひとつからだを張って、農林大臣の職をかけてでもこういう重要な農畜産物の中で農産物に対する自由化は反対する、そういう決意があるかどうかをお聞かせいただきたい。  それは、あえてこういうことを申し上げるのは、最近の新聞にはこういう形で経団連なり財界、業界筋から自由化を促進する一つの身がわりとしてオレンジ、果汁の自由化というものは一番大きな課題になってあがってきておるわけですね。そういう点からいって、生産農民の立場からいえば、きわめて政府のそういう態度に対して重大な関心を持っておる。私はその意味において大臣から、最後にひとつその決意のほどをお聞かせいただくと同時に、最初としまいがたいへん飛んだようなかっこうになりますが、先ほどから事務担当者からミカンの支持価格制度の問題についてその見解を伺ったわけですけれども、農林省の最高責任者である大臣から、ミカンに対する価格政策、私としては何らかの支持価格制度をつくるべきだ、こう思うわけでありますが、大臣の見解を承って質問を終わりたいと思います。
  63. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 オレンジ、ジュースの自由化につきましては、あらゆる努力をしてこれを阻止する、それを貫徹する、こういうことで現に宮脇全中会長が訪米されるときにも、アメリカ側にそのことを徹底してもらうようお願いしたりしております。またアメリカ側においても、必ずしも経団連や何かの記事とは違いまして、理解度は私はあるというふうに見ております。御指摘のとおり、あくまでも私はこのことは貫徹するという私の決意を申し上げておきます。  それから価格支持政策につきましては先ほど局長から御説明を申し上げましたのであるいは御理解を賜わったと思いますが、私としては加工用についての価格政策をとっておること、これがミカンに対する間接的な支持政策であり、また、ミカンやくだものに対する直接的な支持政策はなかなかとりにくい面がある、そういうことであえて間接的な支持政策の拡充につとめてまいりたい、こういうことをお答えとして申し上げたいと思います。
  64. 藤田高敏

    藤田分科員 私これでやめようと思ったのですが、あと一分ください。大臣のいまの答弁を聞きまして、きょう私少しく資料は持ってきておるのですが、加工品の増大ですね、加工ミカンの増大策をとる、こういっておるのですが、政府が国際会議に、一九六九年のFAOに出しておるこの資料等によりましても、日本の加工ミカンの一人当たりの消費量というものはきわめて少ないのですね。これはもう非常に少ない。これはアメリカが一人当たりの消費量二十四キログラム、イスラエルが十三・一キログラム、カナダが十・二キロ、スウェーデンが六・七キロ、ギリシャが五・八、イギリス、スイスが五・一キロ、西ドイツが四・七、オーストラリアが四・三、そういうものに対して日本は一人当たりの消費量がわずか一・八キログラムしかないのですよ。それがそういう現状にありながら、こういう国会答弁では加工品をふやしていく、それはそういう方面について部分的な努力をしかけておることはわからぬことはないけれども、少なくともいわゆるこういったヨーロッパ諸国あたりの消費量に匹敵するところまで思い切ってやはり加工ミカンの手だてをやる必要があると思うのです。そのためには、単にその場限りの答弁用のことではなくて、そこまで熱意を入れておやりになるのであればぜひ年次計画を立てて、この一人当たり一・八キログラムという消費量を、いま日本の国民の一人当たりのかんきつの消費量が十五・七キログラムになっておりますが、少なくともその三分の一とか半分に加工用のミカンを持っていくんだというような年次計画を立てて、かんきつ農家にも安心してこの生産に取り組むことができるような、そういう責任のある施策を打ち立てるべきじゃないかと私は思うのですが、その見解をひとつ大臣から聞かせてもらいたい。
  65. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お示しのように、現在の国民の加工面に対する消費量が著しく少ない、こういうことはまた言いかえるとこれから相当拡充していける、こういうことにもなります。  したがいましてきょういろいろお話が出ました学校給食の面につきましてもさらに文部省とも折衝をいたしまして、全国的に無理があっても、その実施にふさわしい県があればそれについては奨励をするようなくふうをするとか、それからお話しのような年次計画を考えるとか、それは消費量拡大の上に当然取り上げていっていい問題だと思いますので、よく検討させていただきます。
  66. 山崎平八郎

    ○山崎(平)主査代理 この際、委員外議員瀬長亀次郎君の発言を許します。瀬長亀次郎君。
  67. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 私最初に甘味資源の問題について、すなわち、沖繩のサトウキビ生産はこれ以上奨励するのかあるいは米の生産調整のように減らしてもいいというお考えなのか。この点は、沖繩の農業の基幹産業はサトウキビづくりであることは、農林大臣おわかりだと思います。こういった点で、甘味資源確保の方針を全般的に簡潔に述べてほしいと思います。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 国全体の甘味資源政策から考えましても、また地域農業の振興の上から考えましても沖繩糖業については十分配慮してまいりたいと思います。
  69. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 ところで、去る二月六日の予算委員会で、農林大臣は、今回の沖繩のサトウキビ価格決定はそう不満を受けるものではないといったような発言をされておりますが、いまでもそうお考えなんですか。
  70. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、当時数字をあげてお答えをしたと思います。従来に比較いたしまして、そう御非難を受けるものではない。たとえば四十五年、四十六年で言うと、対前年引き上げ額が百六十円、百八十円。今回はその上げ幅は二百円ということでございましたが、トラック等への積み込み費を会社負担というようなことにいたしまして、そのほかに五十円特別に見るということからいたしまして、実質手取り五百円の上げ幅ということで、従来の上げ幅に比較して、そう御非難を受ける価格ではないんじゃないか、私はこう申し上げた次第でございます。
  71. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 この写真をちょっと見てください。これが三日前に写してきた沖繩のキビの写真なんです。立ち枯れして根から芽が出ておるのです。これはブリックスがもうほとんどなくなりまして、工場に搬入をすることすらできないような状態になっておる。これは何を意味するかというと、いま農林大臣が言われたトン当たり七千円ではサトウキビをつくる意欲がなくなってくるということの証明なんです。特に沖繩の労務資金が非常に高くなっていて、サトウキビを収穫するような労働力がほとんどなくなりまして、たいへんな状態になっておりますが、現在のキビ作農家のそういったような実情についておわかりですか。
  72. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいまお示しいただきました写真のような状態が随所にあることは、私どもも報告を受けて知っております。特に立ち枯れ状態になっております中には、労働力不足によりまして、キビを刈ることができないというふうな形での立ち枯れ状態も一部ございます。また一部には、観光資本その他の進出によって、実質的な離村形態のまま農地が放てきされておるというふうなところもあるように聞いておる次第でございます。いずれにいたしましても、現在の沖繩のサトウキビの経営面積がわずかに五十アール程度でございますから、したがって、これを適正な価格で算定いたしますとしましても、サトウキビだけで十分採算をとっていき得るというふうな形にまで持ってまいりますためには、相当の価格引き上げをやらなければならないという問題がからんでおります。そこで、そこいらは、そうではあっても、実質的に具体的処理の問題として、いま御指摘のような沖繩のサトウキビの産業の現実の重みということを十分考えまして、去る、四十八年九月三十日までに収獲されますサトウキビの最低生産者価格決定にあたりましては、その辺を十分に考えまして、ただいま大臣から申し上げましたように、いろいろと実際の価格の上に積み込み費等を加えることによって、実質の農家の手取りを上げるということに重点を置いてきめた次第でございます。
  73. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 ところが、農林大臣やいまあなたが言ったようなこととはうらはらに、沖繩県民の、特にキビ作農家の声はどういうことか。「お先まっ暗のキビ作 島を捨てる時がきた」これは南大東島の話です。それから「製糖代表らが要請県、離島七社への実施示唆」「原料キビ買い上げ、工場赤字に県の補助を」これは工場側の話でありますが、ほとんどの農家が、いまのトン当たり七千円ではやりていけないというふうなことを生活面から言っているのですよ。  それで、現実にどうなっているかと申し上げますと、これはもちろん農林省や農林大臣だけの責任ではないでしょうが、いま労務賃金は三千円から四千円になっております。これは海洋博を目当てにして、砂糖にたかるアリのように本土から大企業、大商社、さらに金融関係まで入り込んできて土地の買い占めが行なわれ、土地投機が行なわれている。特に北部の場合には、耕地の三〇%はすでに買い占められておって、青田刈りにひとしい、キビをつくっておる農地までつぶされつつあるという現状である。と申し上げますのは、二人要るとしまして、一人当たり三千円として六千円吹っ飛びます。これでは農家は、何のために工場に持っていくかわけがわからぬ。肥料代はもちろん、皆さん御承知のとおり、トン当たり一千円以上かかってくる。それで、肥料代だけでもいいから買うてくれ、キビが立ったまんまで一トン当たり千五百円、二千円で買うてくれと言っているのに、買うものすらいなくなっているというのが現状なんです。あなた方は満足するような価格だとか言われておりますが、砂糖の価格安定等に関する法律の第二十一条には、もちろん御承知のように、物価その他の経済事情を参酌して価格をきめる、あるいはまた再生産を確保しなければならないということが明記されております。全国消費者物価指数は六%、キビ価格は前年に比べ三%しか上昇していないといったような問題などでもわかりますように、現在の価格では、再生産の確保どころか、もうキビをつくっていたのでは生活できないからということで、離農するという深刻な事情が起こってきております。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕  御承知のように、本土では米作、沖繩ではキビ作ということで、サトウキビをつくる農民にとっては農業における比重が大きいわけなんです。そこで、いまのキビ作農家を救うためには、そしてまた、甘味資源法にも明記されているように、これを確保するためには、現在のサトウキビ価格の再告示、これが要求されるのではないか。これを計算してみますと、沖繩県庁からあなた方に要求したトン当たりの生産費の問題が出ております。これは七千六百七十円にしてほしい。ところがあなた方七千円できめた。その差額は二百万トン出る予想で、実に十三億四千万円になります。さらに農林省が四十七年十一月十三日公表したキビの生産費、これすら七千三百二十六円となっている。これはあなた方のつくったやつですよ。その七千円を差し引いて三百二十六円残る。二百万トンにかけますと六億五千二百万円の差額が出てきます。それと今度は沖繩の農協中央会、これがキビのトン当たり生産費をはじき出している。これは一ドル対三百五円換算で計算しまして七千六百七十円、その差額が六百七十円、同じく二百万トンかけますと十三億四千万円になりますが、これは政府のものです。農協中央会のは七千九百五十七円、この差額は九百五十七円、二百万トンかけますと十九億一千四百万円という金が出てきます。  さらに、これは重要だと思うのですが、沖繩を差別してはいけないという問題も起こります。現に米作農家が家族労働として計算されているものと同じような家族労働費とするならば、実に一万一千五百円ということになります。七千円との差額は四千五百円です。二百万トン、九十億円で、私がそれを申し上げましたのは、再告示の場合には何をとるかという問題です。当然のことながら、沖繩県民がキビを営々としてつくっておる。本土における米作農家が営々として米をつくっていることと同じである。この労働力、これが一切の価格、価値の決定をするものでなければならない。そういう意味でも、いま申し上げました沖繩県民の一致した要求は、本土における米作農家と同じ家族労働賃金として計算をしてほしい。それで一万一千五百円になる。そうなりますと、九十億円という金が出てまいります。再告示をする場合に、当然常識でも考えられることは、農林省が四十七年十一月に公表した七千三百二十六円、これがキビの生産費なんです。そうしますと六億五千二百万円という金が生産農家に生産奨励費としておろしてもいいんではないかということは無理な注文ではないと思います。さらに沖繩県庁が要求した七千六百七十円、これになりますと、十三億四千万円になり、農協中央会は十九億一千四百万円になる、こういったような計算は算術的なごくありふれた常識の計算なんです。もし農林省が甘味資源を確保しなければならないという政策を変えないとするならば、生産農家のこの離農するという者をどうあっても防がぬといかぬでしょう。離農がどんどん激しくなりますとキビはつくれなくなる。キビをつくれなくなれば、甘味資源は枯渇して砂糖の需要量を満たすことはできなくなる。この問題につきまして、特に政策面でありますので農林大臣の御意見を聞かしてほしいと思います。
  74. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 瀬長議員からいま詳細に沖繩の実情に即しての御指摘をちょうだいいたしました。いろいろ詳しい数字をあげてのことでございまするので、ひとまず担当局長のほうからお答えを申し上げまして、さらに必要があれば私の所見を述べさせていただきたいと思います。
  75. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま御指摘がございました数字の中で、農協中央会等の数字につきましては、これは先生の御案内のように、内地でも米価について農協系統からいろいろと要求が出てまいる、そういうケースがございますので、それは一応おかしていただきまして、いまお述べになりました生産費の問題をベースにしてちょっとお話を申し上げてみたいと思いますが、御案内のように、サトウキビの価格というのはパリティ価格を基準として、それに参酌部門として推定生産費なりその他のものを加えるというのが基本の形になっておるわけであります。そこでそのパリティの上がり方というのは、先生も御案内のように、総合パリティの上昇率をそれぞれ前年と当該年度との間の……。
  76. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 時間の関係もあります。その件は農林省の係から聞きましたので、一応省いてください。
  77. 池田正範

    ○池田政府委員 はい。そういうふうに一応やっておりますので、参酌価格の推定生産費をとりますと、いま先生がおっしゃいましたものは、まさに鹿児島の生産費をおとりいただいておるわけだと思います。そこで沖繩におきましても、沖繩の統計庁における数字があるわけでございますが、これらの数字をとりますと、詳しいことは省きますけれども、いわゆる被害率の高かった四十六年度の被害率を修正いたしまして数字をはじき直しますと、私どもの計算ではおおむね七千円をちょっと上回った程度というところに出てくるわけであります。いまのお話の七千円には、先ほど大臣から申し上げましたように、二百五十円ないし三百六十円のそれぞれ上積み分が積み込み費として乗っかっておりますから、したがって一応の計算をいたしますと、パリティ価格及び参酌された生産価格に対しては見合っておるというふうに一応私どもとしては考えておるわけですが、しかしそういう形で出てきておるだけを申し上げておるのではないということをバックにしてものを考えますと、先ほど申し上げましたような五反歩を行ないまして完全に生産費をまかなう形の糖価水準というものは、とても普通の経営が成り立つ水準ではなくて、したがって自給率の中に組み込むべき砂糖の生産の対象といたしましては、やはりもう少しバランスのとれた価格であってほしい。そこでそれに対応する対策としては、むしろ構造改善対策、その他の生産対策とあわせ講じてということで実現させていくべきであるというふうに考えるわけでございます。
  78. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 本土の七千円の価格決定の基準あるいは事情などをいかに沖繩農民に知らしても、現実がサトウキビを搬入することができないような状態をどう救うかといういわゆる政治の問題になってきます。そこで私再告示を要求しましたのは、砂糖の価格安定等に関する法律の第二十一条第三項「最低生産者価格は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があるときは、改定することができる。この場合には、農林大臣は、遅滞なく、改定後の最低生産者価格を告示しなければならない。」ということも書かれております。いろいろな事情で再告示することができない場合にも、政治的な配慮に基づいてサトウキビ生産奨励費、もちろん工場に対する八億の臨特が出ていることはわかります。だがキビをつくる農民に対するいわゆる所得の補償方式、これが当然のことだと思いますが、いま私が四項目あげた問題点を、農林省が発表した七千三百二十六円、あるいは沖繩県庁があげた七千六百七十円、さらに農協中央会のあげた七千九百五十七円をあげましたのは、そういう生産者に対する政府の何らかの配慮がなければ、沖繩におけるサトウキビ生産はほとんどゼロに近づいてくるような経済情勢にあるということ、これをはっきり理解されるならば、農林大臣としては、特にいま申し上げました海洋博の問題もある、円ドル相場、変動相場制の問題もあります。御承知のように、現在本土と違って沖繩ではドルを使っている業者もおります。基地の業者が、ドルが切り下げられる、それで変動相場制になる、こういったようなもののはね返り、さらに物価は本土よりどんどん高くなりつつある。それに応じて労働賃金が高くなるものですから、キビをつくって、現在畑にキビを置いてある農家が、もう立ち枯れしてもいいということで建設工事のほうに向かっていく。こういったような状況で、いわゆる再生産を保障して、キビ作農家の生活を安定させて、甘味資源をいまのように、また現在よりより多く確保するという政府の方針が述べられたので、ひとつその方針を実現していくためにはやはりキビ作農民に対する何らかの手当てが必要になってきているということは、これはもう専門家でなくても常識でわかることなんです。それに対する農林大臣の御意見を聞かしてほしいと思います。
  79. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 瀬長先生の立場で、またその角度でおっしゃっておることについては、私もよくわかるのでありまするが、しかし政府のとりました従来の価格と今度の価格との場合は、先ほど数字でお示しをしたとおりに、決して不当なものではない。ただそれが瀬長先生のおっしゃるような実態との関係においてどうかということで問題が起きてくると思いますが、このサトウキビの問題を重要視しているために、瀬長先生もおっしゃったように、糖業振興臨時助成金の八億とか、あるいはサトウキビ生産対策に七千六百二十九万今度の予算でお願いしておるとか、あるいは土地改良事業として四十八年度の予算で約十二億円をお願いしておるとか、いろいろ手を打っておるわけでございます。  そこで、いまのお話を私が正直に受けとめて考えてみまするに、先生からもおっしゃられるように、普通の状況で農業を営んできておる限りにおいては私は問題はなかったと思うのです。しかし他の要因からきておる著しい労働費の値上がりなどを御指摘になっておるのでございます。こういう場合に、よくあることでございますが、不測の災害による支出であるとかあるいは全く予想のできないような事態というものについては、これはまた別途国としては、たとえば特別交付税を出す場合の算定にそういう要因を入れてやるという場合もございます。ですからいま瀬長先生から農林省に対していろいろ御注文をちょうだいしてみて、さて私どもが、少し冷酷なようでございまするけれども、農林省全般の農林予算の仕組みの上から、また農家の普通の状況における場合から考えてくると、私どもの予算要求というものがそう著しく間違っておるものではない、これは御了解できるものではないか、こういうふうに思う次第でございます。
  80. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 実際を申し上げますと、農林大臣が少し冷酷過ぎるなというのが偽らざる、特に農民の声なんです。私が申し上げましたのは、七千円で決定され告示が出ましたね。これに対して安過ぎるということと、それに加えましてさらに経済の激動が沖繩にやってきておる。この二つが一緒に結びついて、いま私が申し上げましたように、こういった立ち枯れをさせても農民はもうキビを見たくもないといったような気持ちに追い込むのは、再生産生産意欲を非常に減殺しつつあるということですね。  それでいま農林大臣は最後に、この点について特別な地方交付税をふやす問題とかいろいろ指摘がありましたが、どのような形であれこの甘味資源を確保して、沖繩のキビ作農家が立ち行くようにするためには、再び申し上げますが、何と申し上げましてもキビをつくっては引き合わぬということになるとキビをつくりません。土地は金よりも大事だということも知っております。だが土地を利用して農作物をつくってみたところで、これではしようがないということになると、ブローカーなんかやってくると、さあ売りましょうと売ってしまう。それで農業、第一次産業はだんだん衰退していく、これはもう当然の話であります。  そこで最後に時間がありませんので申し上げたいのですが、キビの生産性を高める問題を常に皆さんも言っておられます。第一にもちろん機械化の問題があります。沖繩のキビ作に適した、しかも安く手に入るような機械化というふうな問題があります。  次に、これが一番大きい問題でありますが、いわゆる生産意欲を高めなければならない。そのためには、農民がキビをつくっても十分だいじょうぶだというふうな価格、その価格も所得補償方式によってきめなければならぬ。  もっとあるでしょうが、これが一緒になりまして初めて甘味資源法の精神に基づき農家の経営の安定と改善をはかる立場から、甘味資源国内自給度を高めていくことができると思いますが、その点につきまして、これは再告示する意思はないのでしょうな。ないとするならば、いま申し上げましたキビをつくってもだいじょうぶだという意味でキビ作農家に対する何らかの形の予算措置、キビ作農家への生産奨励費、あるいはまた地方交付税をもっとふやしてこれをキビ作農家に回すという問題もあるでしょう。そういった面についての総括的な大臣の意見をお聞きいたしまして質問を終わりたいと思います。
  81. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 サトウキビの生産の機械化につきましては、私どもも特に努力をいたしておるところでございます。サトウキビに必要な労働時間の約六〇%近くが収穫でございます。先ほど先生指摘のとおりでございますが、こういった面の省力化というようなことはサトウキビ生産の合理化をはかる上に重要な課題でございます。そういう意味で、従来からもこの機械化に努力をいたしておりまして、小型の刈り取り機、脱葉機というようなものを中心に開発を進めてきております。最近ようやく実用化の段階に到達してまいりました。そういったものの普及を四十七年から沖繩県についても予算措置を講ずるように努力をいたしておるわけでございます。ただ何ぶんにも、この機械は開発されたばかりでございまして、若干まだ初期段階であるというようなこともございます。そういう意味で、営農手段の整備状況というようなものも見ながら、また土地基盤の整備の状況を見ながら、その機械というものの普及をいたしてまいりたい、かように考えております。
  82. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 大臣、この点はっきり、いまのキビ作農家に対する配慮の問題、予算措置の問題、これをはっきり述べてほしいと思います。
  83. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 瀬長先生も十分御承知でお尋ねだと思いますが、この種の施策が、ただ国が独走しておるわけではないわけでございます。県との間においても十分連絡をとってやっておることでございまするので、きょういろいろと御指摘がございまして、現実に農家が困却しておるということも想像にかたくないところでございまするが、この施策がもうすでに決定をして予算をお願いしておるという段階でございまするから、したがって、私としては今後とも県当局とも十分連絡の上できめこまかくいろいろ配慮していったらどうか、こういうふうに思う次第でございます。
  84. 細田吉藏

    細田主査 瀬長君、もう時間ですから、ひとつ結論を。
  85. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 要望しておきたいのですが、いま県とも打ち合わせされたということですが、県の要望ともはるかにキビの価格決定は違っております。したがって、県知事にこの前会いましたが、いまのキビ作農家の生活実態について非常に心労しております。どうすれば一体このキビを立ち枯れから救って砂糖にすることができるかということなんです。そのためにはどうあってもキビ作農家の生活を保障しなくちゃいかぬ。そういった問題について真剣に、ただ決定したから——これは何とかパリティ、パリティなんていっておりますが、これで十分だといったような考え方にならないで、沖繩県の農業の基幹である糖業の、これを発展させる上からも、キビ作農家に対する政治的配慮に基づく予算措置を私は強く要望いたしまして、質問を終わります。
  86. 細田吉藏

    細田主査 次に、阿部昭吾君。
  87. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 時間がございませんので、端的にお尋ねをしたい。  都心において都市街路の整備などを行なう。この場合には実際の道路の路面工事よりも、道路に面しております商店なり何なり、そういうもののいろんな整備のための事業費のほうが約十倍くらいかかっておる。ところが土地改良基盤整備、これを行ないます場合、その区域内に市町村道なりそういう道路がある。土地改良基盤整備をやるのでありますから、当然その中を通っております町村道も、カーブをいろいろ改良したりいろいろなかっこうで改良、改善をしなければならぬわけであります。そういたします場合に、土地改良、つまり農民の側が、この土地改良区域内にある市町村道なりをやはり一緒にやらねばならぬということで三〇%程度の市町村道の道路の改良に対して工事費の負担金を土地改良の側が出さねばならぬ、こういうしかけになっておるのです。私は、都市街路の整備とのかかわりからいうと、土地改良基盤整備の際にその区域内を通っておる一般公道、これが当然改善されなければならぬという場合に、農家から負担金を取らなければならぬという理屈は何と考えても納得がいかぬのです。したがってこれはぜひ農林大臣建設省なり自治省なりに対して、土地改良区域内の道路を土地改良と並行してやらねばならぬという場合に、農家から負担金を取っちゃいかぬ、こういう立場でひとつ政策を展開してもらいたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  88. 小沼勇

    ○小沼政府委員 私からお答え申し上げます。  先生承知のとおり、県道につきましては一部の取りつけ部分を除いては土地改良事業の対象としてはおりませんが、市町村道につきましてはその路線が農業利用上非常に重要なものであるという場合、地元の要望が非常に強くて、かつ農業用に使うというのが大体利用の割合の中で過半数を占めるというふうな場合には、農免道路あるいは広域営農団地農道の一部といたしまして整備の対象に入れるということをやっております。この場合に申請に基づく土地改良事業でございますので、御承知のとおり地元の負担を伴うことになるわけでございます。ただ農道といいましても一般の交通も当然あるわけでございますから、公共性が強いということになります。そういう意味で国庫補助率も、一般農道と違いまして広域農道であるとか農免道路の場合にはかなり補助率を高くいたしておりまして、さらに申しますならば、県のあるいは地元市町村の上乗せも厚くしておりまして、実質的に地元負担が非常に薄くなっているというのが現実でございますし、そういう指導をしていきたいということでございます。
  89. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 私の質問したのはそうではなくて、取っちゃいかぬというのです。都市街路の場合、実際の道路の路面、その工事の事業費の十倍くらいのものを、都市街路に面する商店なり何なりを建てかえたりいろいろやらなければならぬでしょう。その事業費を十倍全部公費でもって投入して都市街路の整備をやっているわけです。農道じゃないですよ、いま私が言うのは。農道には私も一つの意見を持っておりますけれども、いまの基盤整備事業の区域内を走る町村道、これは農道じゃなくて全く公道です。それに三〇%ぐらいその事業費の負担を農家の側からとるというのは、都市街路の整備とのかかわり等から見た場合、そうでなくとも経済合理主義とかなんとかというものさしではいまなかなかやっていけないようなきびしい状態にある農家に対して、公道の負担まで土地改良基盤整備とのかかわりでとるというのはちょっとむちゃじゃなかろうか、こう言っておるのです。とらぬようにがんばるべきじゃないか、こう言っておるのですが、とるのはあたりまえという答弁では納得しませんよ。答弁大臣のほうがいいな。
  90. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほども申し上げましたように、申請に基づきまして土地改良事業をやる。その中の事業でやってほしいということでございます。そういうものは市町村道の場合には間々あるわけでございます。その場合には、土地改良事業でございますために、地元の負担を伴うということを申し上げましたし、また実質上は地元の負担ができるだけ少なくなるような配慮を現実にはしているということを申し上げておるわけでございます。
  91. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 これだけに時間をとるわけにもいかぬが、ぼくはとっちゃいかぬと言うのです。都市街路のほうは、実際の道路の工事よりも道路に面する工事のほうをやるのに十倍も金をかけておるのです。農道じゃないのです。農道にもぼくは一つの意見を持っておりますし、この前も大臣に総括質問のときに申し上げましたが、全くの公道、市町村道という公の道路なんです。その道路がたまたま区域内を走っておるというので、土地改良事業をやるときにやらなければならぬというので、農家の負担をとるということはやめなさいという態度を農林省はとるべきではなかろうか、建設省や自治省に対してそういう立場で問題を提起すべきではなかろうか、こう言っておるのですよ。とるのがあたりまえなんですという話は、ぼくはどこまでいったって納得しません。
  92. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 承っておると、なかなかむずかしい問題だと思うのですね。市町村道路があって、そして農業の側からここで圃場整備をやろう、じゃその道路はそのままでいいんだ、こう言われてしまうとどうにも農林省側の立場がなくなってくるんですね。しかし現実にはそんなばかげたことはない、そういう機会に改善すべきだ、そうなってくると、それはおまえのほうでやれというようなことで現在に至っておると思うのであります。阿部先生のおっしゃるように、そういうものの負担はもうしない、そうなると農村のためにはなるということはわかりますが、経緯からというとちょっとむずかしいな、こういうように思います。  せっかくの御意見でございますので、私どもよく検討させていただきたいと思います。
  93. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 大臣は、建設大臣や自治大臣や通産大臣みたいな話をしちゃいかぬ。昔通産大臣だったからといったって、そういう議論はいかぬと思う。やはり農林大臣として——いま農村の直面しておる土地改良基盤整備や何か、たいへんなんですよ。現実にものすごい賛否両論ある中で、私は少なくともやはり基盤整備土地改良をやるべきだという態度でいろいろな問題に直面してきました。その場合に、区域内を走っておる町村道もおのずから整備されなければならない。これの負担まで農民がせんならぬぞというのは、ちょっと無理じゃないかという議論が至るところで吹き上がるのです。そのとき農林大臣が、これはやはり土地改良のほうの都合で町村道もやらんならぬのだから、それを全く負担するなというのはちょっと無理じゃないかと言ってしまうのでは、これは話にならぬと思うのです。やはり農林大臣としては、全くそのとおりだ、建設省も自治省もそういう方針で行けといってやるようでないと、私は困ると思うのですよ。その辺はいかがでしょう。
  94. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私あとのほうで、阿部委員のおっしゃっておることは私としてもわかるので、今後よく検討してみたいということを申し上げておるのです。ただ、いままでどうしてかということは阿部委員もよくわかっての御質問ですから、あえてこれ以上申し上げません。いままではどうかというと、先ほどお答えしたようなことだったのじゃないか、こういうわけでございます。
  95. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 わかりました。それじゃこの問題は農林大臣、ぜひひとつ、いま土地改良基盤整備の問題は農業のほうも変わっていかなければならない、そういう意味でたいへん至るところで議論がある中で、基盤整備土地改良に対する熱意は私ども高めなければいけない。その場合に、いまの問題至るところで問題になります。農林省としては、土地改良区域内における道路を土地改良をやる場合に当然よくしなければならぬのですから、その場合やはり道路なんですから、農道じゃないんですから、これは自治体なり建設省なりそういうところで農家の負担をとらぬようにしてやるのが筋だ、こういう立場で政策展開を強力に推進して、少なくとも四十九年度あたりからはそうなるように善処をお願いしたい、こう思うんです。
  96. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御趣旨の点はわかりますけれども、町村道は農業用以外の道路としての改良効果を合わせ持つかということになるだろうと思うんです。そういう場合に、地方公共団体側に改良の効果に見合う費用については、やはり公費で負担させるということになろうかと思います。したがいまして、先生のおっしゃるように、地元負担は農民に負担を全部させるべきではないというお話でございますが、それは地域によって違いますが、山形県の場合には農道の場合に負担させておらないようになっておりますが、実際にケース・バイ・ケースでございますけれども、それぞれそういう都道府県のほうに、あるいは市町村のほうに、一般の改良効果があるという場合には、それ相応の負担を当然持つべきであるというふうに思いますし、そういう指導をいたしております。
  97. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 あなた農林省の指導者でしょう。農林省の指導者がそんなことを言っちゃいかぬですよ。ぼくは従来農道や水路でも、これは全部国でやるべきじゃないかということを言ったのに対して、個人財産を公費でやることはなじまぬ、こう大蔵省は言っておったんです。ぼくらの地域農道、水路は、完全配分をやると全部公に返上するのです。ですから農道、水路も農家の負担をとらぬようにせよ、そのかわり個々の圃場、個々の所有権にかかる分のものは従来の負担、こういうものでよろしい。一歩譲って私は、土地改良基盤整備全額国庫負担でやれという勇ましい筋論もありますけれども、そうはいかぬだろう、きわめて現実的に問題を提起しているんですね。いわんや、いま私が言っているのは農道、水路じゃないんです、町村道ですよ。農民以外の多くの方々が大部分利用しておる町村道、これに農家が負担するのはあたりまえというならば、都市街路の場合どうなるんですか。実際の道路の路面の工事よりも、道路に面しておるいろいろなものを整備するのに全部公の費用で十倍も金をかけておる。それとのかかわりからいったら、やはり区域内の町村道整備、並行してやらなければならぬものは土地改良区のほうから負担をとるな、こういう主張は農林省の指導者なら当然じゃありませんか。とるのがあたりまえですという農林省の指導者は、私はけしからぬと思うんですがね。これはあなたと私じゃ議論になっていけませんから、やはり大所高所に立ち櫻内農政を展開されようとする農林大臣から、もう一言明快に……。
  98. 小沼勇

    ○小沼政府委員 圃場整備で造成されます道路、水路の問題については、先生が前のときにも御質問されておりまして、これも先生の御趣旨のとおりではございませんで、やはり負担は当然効用の交換でございますから、その意味では面積の増減にかかわらず、やはりそれ相応の負担がかかるということについては、前にも答弁がされておるように速記録に出ておるわけであります。いま御指摘の点につきましても、やはり効用がどちらに多くあるかという話になろうと思います。圃場整備地区内での道路につきましても、やはり農業者にもその効用があるだろうし、一般の交通者にもあるだろうということでございますので、それに応じた負担をやはりとるということになるというふうに思います。
  99. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 大臣大臣の片腕だか右腕だか知りませんけれども、大幹部の意向はどうもいけませんね。やはり私は、筋の通らぬ議論じゃないと思うのです。都市街路の整備などとのかかわりを考えてみた場合、決して筋の通らぬ理屈じゃないと思うのです。農林省としては、大蔵省なり、建設省なり、自治省なり、いろいろな方面とそういう態度で政策を展開すべきだと私は思います。その努力をぜひお願いしたい。大臣どうでしょう。
  100. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農林側の立場からただいま御指摘のような主張をせいということについては、先ほども私も申したように、私としてはよくわかることで、よく検討さしていただきたいと思います。
  101. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 大臣のほうがちょっぴりいいですよ。時間がありませんので、さらにまたどこかの機会で、この問題はもっと申し上げたいと思います。  第二の問題ですが、私は、農林省の展開する従来のいろいろなそのときどきの農政に対して、いろいろな意味で対応の努力をしてまいりました。たとえば農業基本法が提起をされで、協業化、共同化という方向を出してきた場合も、私は、御存じかもしれませんけれども、農業の共同化運動というものを全国に先がけて展開してきました。そして共同化をやって、労働力の配置や何かもやれるようになってきたわけです。畜産という問題に対して、農林省は、米プラス・アルファだとか何とかいろいろなことを言いましたが、私のほうは米プラス畜産もひとつやってみようというのでずいぶんやってきました。その際の一つの問題は、最近私どもはブロイラーというものをずいぶんとグループで展開さしておるのです。ところが、今回のえさの値上げの問題で、ブロイラー生産者は一ぺんでがたが来ておる。これは、一ぺんがたが来ると、やはりなかなか簡単には立ち直りがきかない。そこで、今回のえさ値上げの問題ですが、予算委員会開始以来いままで、農林大臣はしばしばいろいろなことを言われ、大臣としていま苦労されておる政策の展開の方向なり何なりを提起されましたが、私の認識では、われわれが農林省方針に従って、米プラス畜産といったような方向での新しい活路を見出せといって盛んにやってきたにかかわらず、今回のえさ値上げの問題で、がたっと一ぺんに腰を折ってしまうのです。きのう私のところに何を質問されますかといって聞きに来られた方は、もう二十日くらいたつとおおよそのめどは立つと思いますということでしたが、これはだいじょうぶですか。ブロイラー農家にも、養豚農家にも、養鶏農家にも、もう二十日くらいたつとどうやらめどが立つような展望をほんとうに開いてもらえるのでしょうか。いままで大臣予算委員会開始以来何回も何回も答弁されておる限りでは、どうもそうすかっとめどが出そうな気が私はしないのですよ。だいじょうぶでしょうか。
  102. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 上半期に集中して古古米や政府の麦類を放出する、それと同時に安定基金にてこ入れをしていく、そのほかいろいろやるということを申し上げてきておるので、それらの効果があがらぬということにはならぬと私は思うのですね。少なくとも、当然効果はあがってこなければ、これだけのことを——大体、七十五万トンというと、一カ月分安いものを放出するというのですから、それで高いものを薄めることができると常識的には考えられますね。それと同時に、いまフロートしておりまするから、これからの海外のものは安く入らなければならぬのが当然だと思うのです。日本はフロートしたから今度は上げてやろう、そういうばかげたことはないというようなことで、いま打っておる手が効果が出てくれば、おおむねまず心配はないのではないか。しかし、値上げ幅が全然ないという前提ではないですわね。ある程度の負担はかかっていく。しかし、それは過去において何回かの、昨年の上半期あたりの値下がり等もございますから、今度の値上げ幅は少なくなるということで、まず、この一番むずかしいところは渡れるのではないか。そして、次の国際的な飼料のできぐあいや、また国内でやる転作奨励などの効果が出て、今度は次の段階にいく。まず、渡れるという考えなのです。
  103. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 いまの安定基金の問題ですが、従来のいろいろな経過等の中からの私どもの実感では、あれだけで絶対だいじょうぶだということには絶対ならないのです。しかし、特に、農協の系統利用をしておらない畜産農家が非常に多いのですね。いま農協は大体四〇%くらいですかね。そうすると六〇%の問題、これは大問題になりますよ。これは、いま大臣がおっしゃる安定基金とかなんとか言っても、それはそう簡単なわけにはいかない。いまのえさ値上げの問題は、きのうおいでくださった方は、もうあと二十日間くらいでおおよそのめどは立つとおっしゃっていましたが、私はどうもそんな甘っちょろい情勢ではないという認識なんです。一ぺんここでがたが来たら、なかなかこれはたいへんですね。  そこで、従来大臣がおっしゃっておった——これは言い方としては非常にお気にさわるかもしれませんが、こま切れの畜産対策ではなくて、この際は、やはり将来の展望も含めて、もっと大がかりな、もっと根本的な手だてを講じないと、このピンチは乗り切ることができないのじゃないかという気がしているわけですよ。従来あなたが言っておったことよりも、もっともっと快刀乱麻を断つような、一歩を進めたものが何か出ないのでしょうか。私は、いままで大臣が何度も何度も、口がすっぱくなるほど言っておったことだけではこのピンチは乗り切ることはできない、こういう感じを実感として実は持っておるわけです。この間のいろいろな生産農家の集まりや何かで動向を私なりに調べてみました。ちょっと深刻なんですよ。いかがでしょう。
  104. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いわゆる商社系六〇%の問題については、価格安定基金を新たに創設させる、そのための出資あるいは利子補給をあらかじめするというようなくふうを講じておりますが、この点につきましては、担当者からもうすこし詳しく御説明申し上げますが、私は、いまの阿部委員のお話を聞いておって思ったのですが、まあ、今度の施策としては六つか七つ積み上げておりますね。(阿部(昭)分科員「それもこま切れですよ」と呼ぶ)こま切れだけれども、それで総合的な力がついてくるのじゃないか。それで何か即効薬的な大きな施策があるかといっても、それはなかなか見出しにくい。そして、いまのこま切れという御批判もございますが、こういうものの積み上げや、また、将来へ向かってこの路線をずっと引いていくと非常に大きな効果が出てくる。こういうことで、多少いま御不安感をお持ちのようでございますが、私は、先ほどもお答え申し上げたとおりに、大体この辺でいけるのではないかと思う。これは正直に申し上げますが、私が一人で考えてやるということじゃなくて、皆さん方の大体のお顔つきも見て、それでお知恵も拝借して、それから団体の知恵も拝借して、ここまでならばいけるだろうというような路線をさがしておるわけでございます。しかし、そうは言っても、いま非常に御心配をされる。また、そのことは同時に私どもも同じような境地にあることでございまして、この上いい施策がありますれば、ちゅうちょなく取り入れて万全を期したい、こう思います。
  105. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 もっと詳しい御説明をということですが、時間がありませんので、あとでまた微に入り細にわたり、こま切れのところをもっと大まかにいけるようないろいろなお知恵をお伺わせ願いたいと思います。  次は、私は、山の問題ですが、実は、私は、この十数年来、山でいろいろなことをやっておられる方々のいろいろな問題に首を突っ込んできました。この間木材がぐっと値上がりしましたね。ところが、山元の実際に山をやっておる人々の現地での値段は全然上がりませんね。そして、市場での製品価格だけが暴騰しておるわけです。私のほうの山形県のような山の多い県でさえも、製材工場の皆さんが消化をしておる原木というのは、もう六〇%が輸入材ですね。地場生産のものは四割を割ろうとしておる。その四割の地場生産木材の立木の価格というのは、今回のものすごい木材の暴騰にかかわらず、全然上がらぬのです。  そこで、この間、私のある親類の、少々山をやっている人が来まして、親子三代山にすべてをかけてきたけれども、ばからしいからこの辺で山に見切りをつけようと思っているのだ、見切りをつけるにしても、何をやったらいいかどうもめどが立たぬのだと言っていました。私のある身内の人、これはじいさんの代から山にあらゆるものをかけてきた人がそうおっしゃっておるのです。それから、かつて私どもがお世話しておった人で、山で木を切ったり、搬出したり、地ごしらえをやったり、育成事業をやったり、そういう仕事に従事しておった方々の組合の人。私はその顧問をやっておるのですが、その組合員が、山はばからしいからやめたといって全部出かせぎにかわってきております。私は、この状態で見ると、これからの民有林の展望というのは非常に先が暗いと見ております。だって、いなかの一般土木工事の土工の賃金などよりも、非常に重労働である林業の仕事のほうがはるかに賃金がきびしいのです。条件がよくないのです。だから、どんどん山元の皆さんは山を捨てていく。出かせぎへどんどん転換していっています。そうすると、私は、この民有の山というのはだんだん荒廃に瀕していくと思います。したがって、これからは、国有林及び国の山に対する政策というものが、従来とは異なる意味で非常に重要なものになってきておると思うのです。長官おいでですが、林業振興決議、あれからずいぶん時間がたったように思いますけれども、現地で林業振興決議はどうもあまり大きく展開されておるように私どもは見受けないのです。いままでの速記録などもいろいろ調べてみますると、計画を目下鋭意、という段階がずいぶん続いていますね。このあたりで日本の山というものは——私はいまから長官の援護射撃になるのですが、農林大臣に対して長官がばんばんものを言いやすくなるように問題を提起したいと思うのですが、山というのは、単純にもうかる、もうからぬということだけで考えていい時代はもう終わったんじゃないか。一つには国土保全という問題、治山治水という問題、あるいは環境を確保するという環境保全という観点、あらゆる角度から見て、これからのこの山の持っている比重というものは、日本の国家的見地から見ても非常に大きい。そういう場合の角度から見ましても、いまの国有林の経営のやり方などを私どもから見ますると、米作農業をそうしてきたと同じように、だんだん荒らしづくりに変わろうとしておりますよ。民有のほうは、さっき言ったとおり、山はばからしいからやめちまえといって、みなどんどん出かせぎへ転換です。私は、このあたりでもっと根本的な考え方の転換をすることがいま要求されている時期なんじゃないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  106. 福田省一

    福田政府委員 非常に基本的な問題の御指摘でございまして、どの辺からお答えしていいか困るぐらいなのでございますが……。
  107. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 私の言わんとすることに同感か、反対か。
  108. 福田省一

    福田政府委員 結論から申し上げますと、まことに同感でございます。御趣旨に沿いまして、具体的には、先般、二月十六日でございますけれども、閣議決定していただきましたのが「森林資源に関する基本計画」と「木材需給見通し」でございます。この中に盛られました考え方は、まさに、先生の御指摘がありましたように、自然の保護、環境保全あるいは国土保全、水資源の確保、これを重視した考え方に立ちまして、その推進を考えております。
  109. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 そうだとすると、長官、たとえて言えば、山の実際の施業計画の立案のしかた等々、施業計画の進め方等を見ましても、やっぱり林野庁は、もうかるかもうからぬか、これがあらゆるものに先行するという前提を貫いておるようであります。もうかりたいということで必死になってやっておる。一般の人々の民有の山ですね、これももうからぬというので、みんな山から手を抜いていくという、そういう客観情勢下にあるのです。そこでやっぱり国有林は、これはそうじゃいけないと私は思うのです。単純にもうかるかもうからなぬかのほかに、国土をどうするのか、日本をどうするのかという観点から、損得を度外視した行き方がなければいけない。大臣、その意味で言えば、林道なんかの場合、国有林の会計からべらぼうな負担をしているでしょうが、ああいうものを全部国有林の収支の中からだけ出さなければならぬものかどうかということなんです。ああいうものは、国土保全という観点から、建設省なり、あるいは自治省なり、いろいろな観点でもっと総合してやるべきものじゃないかというふうに私は思うのです。林野庁の山元で営々として働いてあげてくる上がりの中から、林野庁の山の経営とは必ずしも直接関係のないような林道にどんどん金を取られておるでしょう。これは国がもっと別途に金を準備すべきじゃないですか。そうでなければ、国土の保全、環境の保全、治山治水、こういう山の持っておる根本的な立場というものを守ることはできないと思うのですよ。ですから、単に損するかもうかるかということだけですから、その観点基本を置いてやっておりますから、もう山など環境破壊をしようと、ヘリコプターで毒ガスをまいてみたり、いろいろむちゃなことをやっておる。そういう意味では根本的に考え方を転換する必要があると思うのですが、どうでしょうか。
  110. 福田省一

    福田政府委員 国有林の件につきましては、御趣旨のとおりでございまして、四十八年度予算におきましては、大蔵省との折衝の結果、その中で、治山につきましては、大幅な一般会計からの導入を決定しておりまして……。(阿部(昭)分科員林道は」と呼ぶ)林道につきましては、引き続いて御趣旨の点について検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、造林につきましては、従来単年度収支でございましたけれども、一応将来これは帰えるものでございますので、長期借り入れということで、これもやはり新しく借り入れ制度を設けたわけでございます。  いま御指摘林道の問題であるとか、それから、造林についての利子の問題とか、そういった問題につきましては、今後十分大蔵省とも検討してまいりたい、かように考えております。そういう考え方で今度の予算を御審議を願うことになっておるわけでございます。  なお、民有林につきましても、やはりそういった労働力の問題もございますので、民有林でありましても、そういうただもうけるための山ばかりではございません。そういった保安林の強化ということもやはり考えてまいらなければならぬと思っております。これは融資であるとか、補助であるとか、そういった面における助成を大きくしていかなければならぬと思っております。この点におきましても、四十八年度予算においては、従来とかわって相当大きな改善をしているところでございます。
  111. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 時間ですので終わりますが、いまの答弁は必ずしも一〇〇%納得というわけにまいりません。したがって、私の言わんとするところを大いに御賢察いただいて、大臣におかれましては、大いにひとつ努力をしていただきたい。特に、畜産問題については、二十日間たったらどこかの場所で、申し上げましたとおりの状況に展開されたかどうかという点についてまたお尋ねしたいと思います。
  112. 細田吉藏

    細田主査 この際、午後一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後一時三十一分開議
  113. 細田吉藏

    細田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂井弘一君。
  114. 坂井弘一

    坂井分科員 ミカンについてお尋ねしたいのでありますが、御答弁を、ひとつ簡明にお願いしたい。  農林省の「果樹農業振興基本方針」によりますと、昭和五十六年度における需要見通しは四百九万九千トンないし四百二十三万八千トンというふうに立てておるわけでございますが、この見通しの根拠となったもの、これをどこに求めたのか、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  115. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ミカンの需要は、所得の伸びに伴います需要の伸びというようなことを考慮いたしまして、過去の一人当たりの消費量との関係、将来の人口と消費支出の伸びの見通し等を考えまして計算いたしました。加工品につきましては、最近果汁の伸びの幅がたいへん大きいものですから、過去の趨勢から見通すことはなかなかむずかしい点がとざいまして、それは学識経験者の方や業界の方々の御意見というようなものを参考にいたしまして、このような見通しを立てたわけであります。
  116. 坂井弘一

    坂井分科員 そうしますと、人口増加ということも当然この需要見通しの算定根拠になったわけですか。
  117. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 そのとおりでございます。
  118. 坂井弘一

    坂井分科員 そういたしますと、この四百九万九千トンないし四百二十三万八千トンの種目別といいますか、たとえば生食あるいは加工、輸出等、そういう各別にどれぐらいの需要を見通されたのか、お答えいただきたい。
  119. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 加工品は七十四万八千トン、約七十五万トンで、原料換算でございます。それから、その差が生果でございます。
  120. 坂井弘一

    坂井分科員 生食が三百四十五万トンですか。
  121. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 生果が三百三十五万一千トンから三百四十九万トンの範囲ということになります。
  122. 坂井弘一

    坂井分科員 四十七年度の生食は二百六十五万トンでしたか。
  123. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 加工が原料換算六十五万トン程度になる予定でございますから、三百三十万トンから六十五万トンを引きますと二百六十五万トンぐらいになるわけでございます。
  124. 坂井弘一

    坂井分科員 いえ、そうじゃなくして、四十七年度は生食をどれぐらい見込まれたかということを聞いておるわけです。
  125. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 四十七年産ミカンについていまお答え申し上げたわけでありますが、三百三十万トンから六十五万トンを引きました二百六十五万トンということでございます。
  126. 坂井弘一

    坂井分科員 昭和五十六年の生食の見通しをどう立てられたかということを先ほどお尋ねしたわけです。そうすると、四十七年度の生食と、それからいま立てておられる昭和五十六年の生食の需要見通し、その差はどれぐらいになりますか。
  127. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 約七十万トンから八十万トンぐらいになります。
  128. 坂井弘一

    坂井分科員 そういたしますと、七十ないし八十万トンの需要増を見込んだということですね。それには人口増も当然需要増の根拠になった、先ほどの答弁によりますとそういうことになりますが、しからば、昭和五十六年度の人口増というのはどれくらい見込まれましたか。
  129. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ちょっといま五十六年の数字は、私ここに持っておりませんが、五十七年の人口が一億一千八百万だそうで、そこで、これは毎年一・一%増ということになっておりますから、これの一・一%減で御理解いただければ幸いに存じます。
  130. 坂井弘一

    坂井分科員 甘いんじゃないですか。そういう人口増であれば、この四百二十万トンになんなんとする需要見通しは、昭和五十六年で計算しますと、人口約四千万くらいふえなければこれだけの需要は立たないと思いますよ。この見通しについて、四百二十万トン近くこの需要は確保できますか。
  131. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どもは、この需要を確保するために、やはり消費拡大のための努力も講じなければならないと考えております。
  132. 坂井弘一

    坂井分科員 消費拡大ももちろん大事でしょう。それは後ほどお尋ねすることとしまして、それでは、その需要に対しましての生産見通しですが、これは五十六年の見通しを四百十九万二千トンと立てた。その四百十九万二千トンの生産目標の内容をひとつお示しいただきたい。
  133. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 これは、四十五年におきます樹齢別の面積がございますが、そういった樹齢別面積、今後それが五十六年までの間に年数がたってくるわけでございます。それを頭に置きまして、また、今後の植栽というものもやはり樹齢別に考えまして、それを積み上げた数字でございます。
  134. 坂井弘一

    坂井分科員 そうしますと、今後の植栽というのはまだどんどんふやすという方向だろうと思いますが、新植、改植を含めますとどれぐらいふえますか。
  135. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私ども、新植、改植含めまして、四十七年から五十一年の五カ年間で一万五千ヘクタール、それから五十二年から五十六年の五カ年間で一万ヘクタール、こういうふうに見ております。
  136. 坂井弘一

    坂井分科員 そのように、生産を新植、改稿によってなおふやそうというわけですが、現実の問題として、たとえば和歌山県の日置川町において、国営農地開発事業が一部完成した。これから苗木を植えつけまして始まるわけでございますけれども、入植を断念する農家というものが続出しておるわけですね。これはなぜかといいますと、つまり、ことしのミカンの大暴落。その原因は何かというと、いわゆる大豊作ですね。この大豊作は、きのうなんかちょっと論議を聞いておりますと、天候のせいというようなことでありますが、このことは、論議はまたさて別の場所におくといたしましても、つまるところ、その根源をなしたものは何かというと、いわゆる米作をどんどん果樹に転換を進めてきたというところに最大の原因があるということをあとでも指摘したいわけでございますが、ただいまのこの、昭和五十六年に至る需給見通しですね。これはきわめて甘いと私は思う。ただでさえも、ことしこうしてミカンの大暴落を招いた果樹生産農家は、全くこれはもうたいへんな危機に直面をしている。その事態については、もうとく農林省のほうでは御承知のはずだ。したがって、いまこれに対する当面の対策をどうするかというようなことについても、いろいろと手は打たれてきた。しかし、これらに対しては、さらに恒久的な、かつ抜本的な基本対策というものの確立が、緊急課題としてまた一方においては要請されておる。これは根本的な問題だろうと思うのです。そういう中で、いまのこの昭和五十六年に至る果樹農業振興基本方針については、きわめて甘いといいますか、非常に不安だ。そしてまた、この基礎をなした根拠というものが人口増と言い、見通しはたいへん甘い。これはなぜそういうことになったかといいますと、やはり、どんどんと果樹農業を振興さしていこう、どんどんつくろう、そして一方においては、消費の拡大もはかりつつ、果樹生産農家を米作から転換さしたものを進めていこうという、そういう農林省基本的な農政に対する考え方がこの中にあると思うのです。しかし、いま言っているように、一方においては果樹生産農家はまさに危機に瀕しておる。そういう事態にかんがみて、もう一回これを見直すべきではないか。少なくとも、ミカンの需給率については、一〇〇%の目標をもう一回明確にこの辺で立て直さなければならぬのではないかというのが私の考えなんですが、これは大臣、いかがですか。
  137. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昨年のミカンの生産状況からいたしますると、お話のように、これからの計画について、それをも踏まえてよく検討をすべき要素もあるかと存じます。ただ、私は、ミカンの生産の過去五年なり十年なりを振り返って見てまいりますると、今回のような大きな打撃を受けた場合はあまりなかったように記憶するのであります。そういうことで、今度の原因の中には、天候の問題などを申し上げたりしてまいりましたが、そのほかに植栽面積が目標を上回ったというようなこともございます。この植栽目標が狂っておるということは、これからの計画を進める上におきましては細心の注意を払わなければならない問題だと思うのでありますが、いまお尋ねの需給の面、人口増、消費増というものを勘案しての見通しとしては、私は、そう狂いは出ないというふうに見ておる次第でございまして、これからのミカン農業の上におきましては、一番大事なことは、計画どおりに植栽が行なわれていくかどうかという点にあるのではないか、私どもとしては一応そういう判断をしておるわけでございます。
  138. 坂井弘一

    坂井分科員 では、大臣に重ねてお伺いしますけれども、この基本方針に基づくところの計画どおりの植栽が今後進められていくならば、昭和五十六年度における需給のバランスは、これは責任が持てる、こういう意味でございますか。
  139. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在手元にありまする資料に基づいて、どの程度の需要増があるのかとか、あるいは一人当たりミカンをどの程度消費するのかとか、あるいは人口増とか、そういうものから出てきた数字としては、妥当ではないかと思います。ただ、昨年の場合、天候のかげんが大きく影響した。たまたまこの四十六年が隔年結果の表年か裏年か、私はそういうものを調べていませんでしたが、そういうような不測の影響などを受ける場合もちょっと頭に置きますと、まあ、そういう場合の狂いは別として、ただいま申し上げたような諸要素に基づく計算からは、一応妥当なものである、こういうふうに私は見ておるということでございます。
  140. 坂井弘一

    坂井分科員 農家が非常に不安がっておりますね。ですから、これはやはり果樹生産に対するきわめて責任のある農林省基本的な方針なんですから、これをやるならば、果樹生産農家の皆さん方は安心してミカンの生産に携わってください、政府は必ず責任を持ちます、こういうものだろうと私は理解しておるわけです。したがって、そういう立場からいま大臣にお尋ねしたわけです。  そうであるならば、ここで一点どうしてもお聞きしておかなければならぬのですが、この基本方針によりますと、このただし書きの中に「需要見通しは、国内産についてのものである。」とあります。つまり、「国内産についてのものである。」ということは、裏返して言いますと、オレンジ、果汁、これの貿易の自由化はもう絶対しないという前提に立ってのことでございますか。その辺についてひとつ明確にしていただきたいと思います。
  141. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 もとより、この基本方針を立てるときにおきましては、現実に自由化の行なわれていない、その時期でございますから、もうその自由化はないという前提に立っておることは言うまでもないと思います。
  142. 坂井弘一

    坂井分科員 それじゃ、これは非常に大事なところでございますので、念を入れて大臣にお伺いしておきますけれども、いま現在、大臣は、このオレンジ、果汁はもう絶対自由化しないという腹組みについて、強い決意責任のある立場での確固としたものを持っていらっしゃるかどうか。  同じに、そうしたことについて、総理も、この閣僚会議の中で、執拗な自由化攻勢に対して、ある程度自由化をせざるを得ないであろうというような、いささか弱いところがあるわけですけれども、総理との間で、大臣は、この自由化をしないという——いま大臣もそういう立場に立つだろうと私は思うのですが、そのことを明確にしていただくと同時に、総理もそのことを理解していらっしゃるかどうか、それをひとつ明確にしていただきたい。
  143. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 貿易の自由化、特に農産物の自由化につきましては、昨年来、常に皆さん方から大きな御関心を寄せていただいている問題でございまして、こういう問題が話題になるつど、閣議の席上でございましても、また、非公式の席上におきましても、私としては、その自由化がきわめて困難であるということを繰り返し繰り返し申し上げてきておるところでございまするし、また、国会予算委員会、あるいは農林水産委員会におきましても同様なことを申してまいった次第で、いま現在、私は、申し上げたことをここで変えるというような考えはありませんし、また、自由化を阻止するということにつきましてもあくまでも努力を続ける、こういうことをはっきり申し上げておきたいと思います。
  144. 坂井弘一

    坂井分科員 念を入れて恐縮ですけれども、担当大臣として、努力をするとか、非常に困難な問題ではあるが、というような前提は抜きにしまして、大臣として、自由化はしない、絶対阻止するのだという決意に立っていらっしゃるかどうかということを私はお伺いしているわけです。
  145. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そのとおりでございます。
  146. 坂井弘一

    坂井分科員 理解しました。  たいへん唐突なことをお尋ねしますが、大臣、一〇〇%天然のミカンのジュースをお飲みになったことがありますか。
  147. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先日、熊本でできました一〇〇%国内ミカンのジュースを大臣の部屋へお届けいただいたので、それを賞味いたしました。ただ、そのときの説明では、それはミカンではあるけれども、ミカンとポンカンをミックスしたものであるという御説明で、私、一ぱい賞味いたしまして、さらに翌日、きのうのをもう一度飲みたいと言って、合計二はい飲んだことがございます。
  148. 坂井弘一

    坂井分科員 そうしますと、局長も同じように御賞味されましたか。
  149. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私は担当でございますので、大臣よりしばしば賞味いたしております。
  150. 坂井弘一

    坂井分科員 実は、これは和歌山県の一〇〇%ジュースです。紀州はもう御重知のとおり、伝統のある有田ミカン、紀州といえばミカン、ミカンといえば和歌山で、紀国屋文左衛門で有名であります。この和歌山でこういうりっぱな天然ジュースができておる。これを私は初めて飲んだ。一〇〇%です。これまた、ある意味ではたいへん恥ずかしい話ですが、ジュースを賞味しようと思いましても、一〇%あるいは二〇%という、いわゆるインスタントまがいもののジュースがいまや普通ですね。そういう食品公害等もやかましく言われているおりに、こういうりっぱなものができておる。これをひとつ大臣に差し上げますから、これもまた御賞味ください。  そこで、お尋ねしたいのですが、そういう一〇〇%の非常にいいものがどんどんできておる。これは、私は、もっと消費を伸ばすべきじゃないかと思うのです。先ほど消費拡大の話がありましたが、たとえば学校給食であるとか、あるいは病院であるとか、あるいはまた老人ホームであるとか、そういうところの給食用あるいは無料配布だとかということをお考えになってはどうですか。いかがでしょう。
  151. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ジュース、生ミカンを通じまして、ことに、昨年産が大豊作であったということにかんがみまして、ミカン及びジュースを学校給食に、またはその他養護施設に回したらどうか、こういう御意見がかなり出たわけでございますが、私どももとにかく困っておるときでございますから、何とかしたいということで文部省にも話しましたし、その他いろいろの努力をしたつもりでございますが、実は、なかなかむずかしい点もあるわけでございます。一つは、学校給食につきましては、従来から、学童の体位というようなことを考え、あるいは学校栄養全体の配分を考えるというようなことでメニューがきまっておりまして、その中で果実というものはしかるべく取り入れられておる。大体一週間に、ミカンですと二個くらいの勘定だそうでありますが、そういう果実二個くらいのものがとれるだけの形になっておる。そういう意味で、ミカンが余ったからミカンをもっとよけい使ってくれとかジュースをよけい使ってくれと言っても、なかなかそれはむずかしいという点が一つあります。もう一つは、父兄負担の問題もございまして、そういうことでなかなか伸びにくい、学校側としてはなかなか取り上げにくいというようなことを申しているわけであります。私どもも、先方さんはそう申しても、もっとこれを伸ばしたいということでせっかく努力もしておるわけでございますが、なかなか壁がかたいというような感じであります。これをその他いろいろなところに無料で配布したらというようなこともあるわけでございますけれども、ミカンのジュースだけ無料で配布ということにもなかなかいきかねるというようなこともございまして、これまた行き悩んでおるようなこともございます。  私どもとしては、この消費の拡大をするためのいろいろな努力をしなければならぬと思っておりますが、それにはまず加工工場をつくるということが一つでございます。加工工場をつくって、そこでミカンをジュースにして処理する。そしてそれを売り出す。売り出すのに、とにかくもっと消費拡大の努力をしなければならぬという御指摘だろうと思いますが、実は、私どもで加工原料用ミカンの価格安定事業をやっておる協会もあるわけでございます。そういう協会なんかがやはり消費拡大のためのいろいろな経費も若干持っておるわけでございますから、そういうところを通じましても、ほんとうの一〇〇%果汁のオレンジジュースの消費拡大をすみやかにやっていきたいと実は念願いたしております。  ただ、正直に申し上げまして、従来の経緯から言いますと、こういうジュースが、大体ブランドものがかなり出ておりまして、そういうところは共同でやろうということになかなか乗ってこないような点もあるわけでございます。あるところで産出されるそういうジュースについては、自分のところはやるけれども、人さまのことまではとてもというようなことがございましたので、そういうことではいけないので、やはりみんなと一緒になってジュースの消費拡大に努力をしようじゃないか——県によりましては、最近、あるデパートでジュースを販売するというような努力をして、かなり成果があがりそうなところもあるようでございますが、そういう私どもの努力、それから生産者団体自体の努力、両方が合わさって消費が伸びていく。いいものはいいのだというような評価も最近だいぶ出てきたやに私は聞いておるわけであります。
  152. 坂井弘一

    坂井分科員 一〇〇%の天然ジュースを大臣が御賞味されて、これはいかぬとはおそらくおっしゃらぬと私は思うのです。  そこで、いま、局長からも答弁がございましたが、生産者団体等の販売、消費拡大の努力もさることながら、これだけの、昭和五十六年、七年に至る需給見通しを立てて、たいへん不安定な要素もある中で、一つの消費拡大の方向として、この種のもの、こういう天然ジュースというようなものをどんどん拡大すべきで、そのためには、やはり農林省がリードした形で進めていくということが非常に大事なことじゃないかと私は思うわけですが、その辺について、大臣、いかがですか。
  153. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 せっかく農林省としても、米の生産調整に伴い奨励をするものとして果樹を取り上げてまいったのでありますから、その責任の上から申しましても、需要の増大につとめることは大いにやるべきだと思います。また、同時に、国民の食生活の上で、欧米諸国に比較して果実の摂取量が少ない状況から見れば、坂井委員のおっしゃることについては、私として大いにつとめたいと思います。
  154. 坂井弘一

    坂井分科員 時間が迫ってまいりましたので、まとめて簡明に御答弁いただきたいと思いますが、一つは生食用の価格安定制度、これはやはり創設しなければいかぬのじゃないかという問題と、同時に、加工原料用の価格安定制度、これを拡充すべきじゃないかという強い声がありますが、この点についてどうお考えになるかということ。  それから予措施設、この予措施設につきまして、貯蔵施設の設置に対して大幅な助成措置の必要があろうかと思うのです。また、非常に強い要望がございます。ただ、この予措施設の場合、新規建設に限るということで、既存の建物を利用するということに対する適用がなかなかないために、現場の声としては、それもひとつ適用の中に入れていただきたいという声が非常に強い。そういうことに対して適した対策と申しますか、やはりそれに対する手を打っていかなければならぬのじゃないかという点についてどうお考えになるかという、以上、三点につきまして簡単にひとつお願いしたい。
  155. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 生食に対する価格安定制度というもののお話があるわけでございますが、実はこれは、ミカンについてはどうであるかということを、いろいろ私どもも検討をいたしておるわけでございます。ミカンは重要な農作物でございますから、なるべく価格の安定をはかっていくことが必要であるということは、私どもも全くそういうように考えておるわけでございます。それには、先ほど来いろいろ御議論がございました果樹農業振興計画に基づく基本方針というものを立てて、それに従った植栽をやっていくということが必要であろう。また、生産されたミカン、それがあまり隔年結果がないように努力をしていかなければならない、そういうことが必要ではないか。それからまた、できたミカンが年によってどうしてもやはり波があるはずでありますから、そういったものは加工で処理をしていく。価格の安定上非常に問題があるものについては、やはり加工原料用ミカンの価格安定措置をやっていく。そういう論理構成になっておるわけでございまして、したがいまして、私どもとしては、生食用は技術的にもむずかしいし、やはり加工を中心にものを考えていけば、ミカンの場合にはある程度片づいていくんじゃないかというような考え方を持っております。そこで、第二点で先生指摘になりましたような、加工原料用の価格安定制度の充実ということ、これはぜひやりたいということで、ジュースにつきましても量を来年度ふやしたいと思っておりますし、また、かん詰め用のミカンというものも対象にするというようなことで努力をいたしたような次第でございます。  それから最後に予措でございますが、予措は出荷調整の役にも立つわけでございます。ミカンの品質を保持する上からも役立ちますし、出荷調整の役をするということからもぜひやりたい。来年度から予算要求をいたしておるわけでございますが、これにつきましては、私ども当初でございますから、やはりモデル的なものを考えたいというようなことで、施設としてやはりきちっとしたかっこうのものを——ある程度展示をするというような考え方も含んでおりますものですから、お話ではございますけれども、やはり改造ではなくて新設のものを対象といたしたい、かように考えている次第でございます。
  156. 坂井弘一

    坂井分科員 時間がきましたのでやめますが、これにつきまして要望しておきます。つまり米の生産調整を実施しましてミカン価格の大暴落を招いた、こういう事態の中でこれ以上農産物の貿易自由化を進めるということは、これは全く果樹生産農業を根こそぎ破壊するということにほかならないと思うのです。しかもこのことは、先ほど論議したしました農産物需給目標、これの実現を政府がみずから阻害するということに通ずると思うのです。そういうことに相なりますと、政治に対する農業者の信頼、これをまっこうから裏切る、そういう行為にほかならぬと思います。したがって、どうか果樹生産農家が安心して果樹生産に携われるような、そういう対策をなおひとつ強く進めていただきたいということを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
  157. 細田吉藏

    細田主査 次に、広瀬秀吉君。
  158. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 農村総合整備パイロット事業について大臣また事務当局にお伺いしたいわけですが、まず最初に、農村総合整備パイロット事業というものは、根拠法規としては農振法から出発するのだろうと思うのでありますが、四十七年の農地C第二一九号、四十七年六月三十日付の農林次官の通達が出ておるわけであります。そこで事業実施区域を選定する基準らしきものが説明されておるわけでありますが、栃木県の黒羽町川西地区を選んだ理由というものは、この次官通達に該当する、そしてその以前に四十五、四十六年と調査をしてきた結果、適地である、このような判断をされた、こういうことで了解をしてよろしいわけですか。
  159. 小沼勇

    ○小沼政府委員 那須地区につきましては、先生承知のとおり、基盤総合整備パイロット事業のモデル地区として適当な地域であるということで採択をいたしたわけでございます。
  160. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そこで、次官通達で示された事業の実施区域として「次の要件をみたす区域」ということでいろいろな条件が述べられて、一項から四項まであるわけでありますが、その中で「農業経営の合理化、農村の生活環境等についての整備の目標が定められており、緊急にその達成を図ることが望まれていること。」こういう条項がございます。そして「この事業の実施につき、地元の農業者、市町村および農業団体等の意欲が高いこと。」四項目の中で、いまとりあえず問題だなと思う点を二つあげたのですが、こういう条件というものがどういうようにとらえられておったのか。そして、その後の県あるいは当該黒羽町における状況というものを、農林省としてはどういうようにとらえておって、この二つの点について状況は変わったというような認識をされないかどうか。どのようにその辺のところを把握されておるのか、お聞きいたしたいと思うのです。
  161. 小沼勇

    ○小沼政府委員 事業実施区域を選定するにあたりましての条件が四項目ございますが、いま御指摘の「農業経営の合理化、農村の生活環境等についての整備の目標が定められており、緊急にその達成を図ることが望まれていること。」これが第一点でございますが、これにつきましては、すでに事前にいろいろの計画を地元でも考えておりまして、特にこの黒羽町のほうは、(3)にあります地元の農業者、市町村及び農業団体等の意欲が高いということで、非常に熱意を持ってぜひ実施したいということで、全国最初の四カ所の一つとして出てきたものでございます。ただ、その後の情勢といたしまして、おそらく集落にすると十二、三あるかと思いますが、その中で若干反対の意向を表明している向きもあるやに聞いておりますが、やはり大部分は、やりたいということでいまも熱意を持っておるように聞いておりますし、私どもやはり、そういうことでございますればこの事業を進めてまいりたいということで、現在は県が計画を策定しているという段階でございます。
  162. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 全体的には熱意がいまでもある、こういうことのようであります。なるほど町当局というか、町長以下、町は最初そういう要請をしたわけでありますから、それはもういいかげんなことでは済まされないということで、一生懸命やっていることには間違いありません。さらにまた、推進協議会というこの事業推進委員会をつくりまして、この人たちも、メンツにかけてこれをやるんだということで推進をしていることに間違いはない、そういうことでありますが、この受益面積九百ヘクタールといわれますし、また地区全体の面積は千九百ヘクタールといわれる。そしてその大部分の地域、特に受益区域といわれる余瀬地区だとか蜂巣だとか、あるいは寒井だとか篠原だとか檜木沢だとか、その辺のところに、少なくとも五百十五戸の当該関係農家があるわけでありますが、そのうち少なくとも約百六十戸に近い人たちが反対期成同盟というのをつくっているわけです。そしてそのほかにも、なるほど説明会や何かには出席をする、そういう人はおりますが、そういう人たちも、われわれも反対だと言っている人たちがかなり含まれている。しかし、そういう説明会等に出席をした者は全部、町役場では、これは賛成だ、こういうような見方をしているというような実際の状況があるわけなんです。  そして現在、次に伺いたいことは、町と県で出した事業の進め方についてどういう段取り、手続をもって進めていくかというようなことで、まず最初にはこの事業計画のPRが必要だ。それから二番目には地域の確定をするんだ。それから計画概要の確定もいたします。計画概要の公示及び同意署名、こういう段取りになっております。それから土地改良区の設立、実施設計書の作成、工事の実施と、こういうような段取りで進めていきますよということを町と県で発表しているわけでありますが、この四番目の計画概要の公示、こういうようなものをなされておりますが、同意書というものがどれだけいま集まりて、はっきり五百十五戸の中でどういう状況になっているのか、これは本省としてはつかんでおりませんか。
  163. 小沼勇

    ○小沼政府委員 いま計画を策定中でございまして、計画が固まりました段階で同意をとってまいるという手続をとりたいと思っております。
  164. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その計画というのは、計画概要ではなくてどういう計画ですか。実施計画ですか。
  165. 小沼勇

    ○小沼政府委員 土地改良事業といたしまして事業をやる際にとる同意でございます。
  166. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この同意というのは、いまの答弁では土地改良をやる場合の同意だということでありますが、この今回の事業は、いままでのような単なる土地改良事業あるいは圃場整備というような農業構造改善やなんかでやった、そういう整備事業だけではもういけないということで、生活関連の問題あるいは近代化施設など、総合的に新しい農村像をつくり上げるんだというようなことがやはり新しいパイロット事業の本旨になっているだろうと思いますが、その土地改良事業についてだけの同意書というようなこと、その計画、そういうことでいいんでありますか。そうだとするならば、その部分については賛成するが、しかしそれ以外のこれが一体の事業として行なわれる農村整備総合パイロット事業というそのものとは、似ても似つかぬものになるのじゃないか。その一部の土地改良事業についての同意書だけとるというようなことではない、あくまで一体としての計画なんでしょう。その点はどうなんです。
  167. 小沼勇

    ○小沼政府委員 説明が足りませんでしたが、土地改良法に基づく土地改良事業としてやるものについては土地改良法に基づきます同意をとる。それから、先生指摘の、土地改良事業に該当しない事業にあっては、この計画を定める前に費用負担の予定者及び施設の予定管理者の同意を得るということを要綱できめているわけでございます。
  168. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういうことを聞いているのじゃなくて、この事業を一体として農村基盤総合整備パイロット事業というものをそこにやろうとしているわけでしょう。その全体はこれは一体である、こういう形で次官通達も出されておるわけでありますから、そういうように個別に同意書というものをとっていく、こういうことであってはならないのではないかと思うのです。それで新しいこういう事業を昨年からやっていこうということになった。もちろん、とのパイロット事業そのものは四十五年から調査段階に入っていますから、予算としてもついているわけですけれども、上から航空写真をとってというような、地区を選定するための調査ということではなくて、地区を確定した上での調査や計画、その事業実施に向けての具体的な作業が始まるわけでありますから、そういうものを全体としてやはり承諾を得るという立場ではないのでしょうか。その点はっきりさしてください。
  169. 小沼勇

    ○小沼政府委員 考え方は御指摘のとおりでございます。ただ手続的には、土地改良法に基づく事業というしかたのものと、そうでないものとございますので、それはやはり同意をとる場合に、手続としましては分けてやります。しかし、全部合わせてその一体としての同意をとるということに、実質的にはなるわけでございます。
  170. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 それはまたしたがって、計画が完全な形でできてないからその同意はまだとってない、そういう意味での同意もとってない、こういう段階ですね。
  171. 小沼勇

    ○小沼政府委員 土地改良法上の同意は、基本計画策定した段階と、それから申請の段階と、二回土地改良法ではやるようになっておりますけれども、そういう同意の手続を経る段階にまだ至っておりませんで、現在県で計画を策定中であるということでございます。確定しておりませんです。
  172. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 私は、この次官通達の中で述べられている、さっき読み上げました、農業経営の合理化、農村の生活環境等についての整備の目標が定められており、緊急にその達成をはかることが望まれている。この問題につきましても、所在の農民たちが問題を提起したのは、十数年前から米の増産増産ということで、おそらくその受益面積九百ヘクタールといわれる中で約二百二十ヘクタールというものは、畑地やあるいは平地林などをつぶして開田したものなんです。そして開田がそれだけふえたものですから、水がどうしても足りなくなったということで、その水がほしいということで、その農業用の水を確保するための推進協議会をつくっておった、こういうことなんです。それで、その点では緊急性があったかもしれないけれども、生活改善の問題について農民は、これはもう何も国からやってもらわなくたって、自力でそういうものはやることなんであって、たとえば今度の計画の中には、部落の集落再編成ということなんかも入ったり、上下水道が入ったり、あるいはああいう過疎地帯といわれるようなところに山林公園もつくりましょうというようなことなんかが入ったり、あるいは工場地帯もつくろうというようなことが入って、何もそんなことをしてもらう必要はわれわれはないのだ、希望はいたしておりませんというのです。そこにどうして緊急の必要というものがあったのか。水の問題だけは、緊急に井戸を掘るなり、あるいは水道を引くなりということをやってもらいたいというだけの要望であった。まさにこれは適地だといって判断されるというにはほど遠いのではないか、そういうように思われます。  それから、地元の農業者、市町村及び農業団体の意欲が高いというのでありますが、先ほども申し上げたように、町当局は一生懸命やっておるようだけれども、農業団体は黙して語らずですよ。これはもう全く消極的な立場をとっております。県の農業中央会等も、全くこの点ではさわらぬ神にたたりなしというような形で、非常に消極的な立場をとっております。県の農政部と町村だけがえらいハッスルしてやっている。そして一部に、五百十五ですから三分の一以上のものは反対期成同盟を結成している。それから、説明会には出たが反対であると言っている農民も相当多いということなんであります。そういうことだとするならば、これは適地として判断したのがむしろ間違いではなかったかという気すらするわけです。その辺のところはどういうように御判断になるのですか。  それと、実はきのう私のところに現地から連絡があったのですが、きのう推進協議会をやりました、そしてそこで反対があるならばあってもよろしい、したがって、受益面積が約九百ヘクタール、あるいは圃場整備事業の八百二十二ヘクタール、こういうことであるけれども、それが三百ヘクタールになろうと何であろうと反対は反対で、そこのところは抜いてきても実施設計をやるのだ、こういう決定をしたというのですね。そういうような状況なんです。こういう問題についてあなた方はどのようにお考えになりますか。
  173. 小沼勇

    ○小沼政府委員 これは先生承知のとおり、農村基盤の総合整備ということで、従来の土地改良事業をこれと関連する事業とあわせて総合的に整備をしていこうということで、国が押しつけるものでは毛頭ございません。地元あるいは地方の県等がほんとうにやりたい——最も肝心なのはやはり地元だと思いますが、地元の方々がほんとうにやりたいということで出てきたものについて採択をする、そういう性質のものであろうというふうに私ども思っているわけでございます。そういう中で、一部反対の方もあるというふうなことも情報として伺っておるのです。ただ、地元の町村、また県の方々の意向を聞きますと、ひとつぜひ進めたいという非常な熱意を持っておられまして、いませっかく計画を策定中であるということでございますが、先生の御指摘のような点もございましたので、これは私どもも十分事情は調べてみたいと思いますけれども、ただ、いますぐにこれをやめてしまうとか、そういうことは考えておりませんし、また十分情勢を見まして、計画について一部策定中でございますから、まだ変更も十分可能でございますので、計画を描き直すというか、修正をするというか、そういうことも考えてまいってもいいのじゃないかというふうに思っています。要は、その地域の農村の環境を含めて基盤が非常によくなるというようなことが大事でございますし、そういう要請があれば、また従来そういうことで進めてきたわけでございますから、私どもとしましては、これを何とか実現させてあげたいというふうに考えているわけでございます。反対の事情についてはよく調べてみます。
  174. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その実情を的確に把握されることが私は必要だろうと思います。それで、町と県で出した事業の内容にいろいろ書いてあるわけですが、用排水施設の整備、農道の整備、圃場の整備、農地開発。近代化施設用地の整備、これにはライスセンターとか稲作共同機械及び放草用共同機械の格納庫、野菜集出荷貯蔵施設、育苗施設、廃棄物処理施設、地域総合センター、集会所等、こういうものは近代化施設用地として整備をされるということなんですが、集落排水の整備であるとか公園緑地の整備をする。その他ということで、工場用地も二十ヘクタール程度造成する、集落用地をつくる、さらに河川改修も行なう。こういうきわめて多岐にわたる問題が出されておるわけなんです。こういうものを一体としてあくまでやるのだということ。これは次官通達においても、ほぼ私がいま言ったと同じようなことを、事業として一体化して進めるのだという形でいわれているわけです。しかし、農林省の次官通達でいう趣旨を半分実現できればいいなということは、われわれとの会合でも、実は一生懸命やっている県でもそう言っているわけです。それだけやれただけでもいいなという程度で、それ以上にはちょっと無理じゃないかというようなことも、実は一生懸命やっている県ですら言っているのですよ。  そういう問題について、これは農林大臣にお聞きしますが、これはきわめて弾力性のあるものなのか。あるいは当初の発想のとおりに、農業基盤整備、生活環境整備、農業の近代化施設というようなものを一体化してやる、こういうものはあくまで一体であるということでいくのか。きわめて弾力的な、どこまでやれる、どこまでやれないということは地域の実情によってどうにでもなる。しかも補助率についても、一般の場合よりも高率補助で六〇%になっている、こういうようなことについては、五〇%だから高率補助の六〇%はつけないとか、あるいは四〇%だからどうだというような、そういうことはあり得ない性格のものとして考えられていいのか、その辺のところを大臣責任ある御答弁を……。
  175. 小沼勇

    ○小沼政府委員 大臣の先にちょっと御説明申し上げますが、いまの御趣旨の点でございますが、私どもやはり、一体的に整備をするという基本は変わりないわけでございますけれども、地域の実情によって、これは全国四地区いまやりつつありますけれども、それもほんとうにそれぞれの地域の特色を生かした総合的な整備のやり方を進めております。そういう意味合いにおきまして、ここに書いてある柱が全部整わなければいけないというようなことではございません。そういう意味のセットではございません。その地域の態様に応じてほんとうに必要なものを、最も機能的に有効なものを配置していく、整備していくというふうにいたしたい、こう考えております。
  176. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは、農村基盤総合整備パイロット事業としては、全国四つの中で先がけてこの事業をやっておるのでございまして、私どもも非常な期待を持っておるわけであります。しかし、先ほどから広瀬委員の御質問を承っておりますと、必ずしもこの計画に予定された集落全部がこぞってこの事業を推進しようという意気込みでないように受け取れたわけであります。あるいは御質問の趣旨が、部分的には幾つかの事業の中で賛成しているが、全体はいけないのだというようにもとれますが、いずれにしても総合整備パイロット事業について地元に御意見があるようでございますので、私としては、せっかくの国費を投じてやる事業でございますから、そこのところは、あまりかた苦しく考えなくても、ある地区は、御質問の趣旨がよくわかりませんが、はずれるほうがいいということをほんとうにそのとおりにお考えであれば、またこの計画を進めていく上に弾力を持って考えられるのではないか、こういうふうに承ったような次第であります。
  177. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣農林省が行なう土地改良事業あるいは基盤整備事業、これはそれぞれの農業者あるいは当該市町村、こういうようなところが要請をするのだ、こういうたてまえで、その要請にこたえて補助を出しそういう事業をやる、これは、たてまえとしてはいつもそのとおりおっしゃるわけなんです。しかし現実には、たとえば次官通達でこの事業の要綱が決定される、それが都道府県に通達される、これに従って県で工事の概要の計画をつくる。こういうことでやりますよ、どうですかという形になっていくわけですが、それが末端農民の意思というものをほとんど無視した形で、一方的に上から押しつけられた形でいくことが非常に多いわけなんです。これは、私もいろんな経験を持っているわけですけれども、そういうことが現実には行なわれている。そうしますと、いつでもこういう問題が起こる。現に私がタッチした問題でも取りやめになった事例がございます。それは、農民の反撃が非常に強くて、そういう要求が申し出でられてそこにつけたのだのだということが虚構のものであったということがだんだんわかって、それではやることはぐあいが悪いというようなことになって、やめられることはあるけれども、今回の場合もややそれに似ているように私は思うのです。  昨年一億六千万円ですか、調査費がついた。これは調査費ですね。大蔵省来ておりますからわかると思いますが、そのうち一千万円程度しか去年も使えなかった。そうしてことしは七千万円の調査費が——おそらくまた調査費だろうと思うのでありますが、その辺のところをはっきりしてもらいたいと思うのです。四十八年度七千万円の予算割り当てが今度もあったそうですが、これは去年の一億五千万円を使い残した分を繰り越し使用ができる、こういうことになっているのかどうか、その辺のところを、これは事務的に答えてもらいたい。
  178. 山口光秀

    ○山口説明員 四十七年度の予算は、国費で一億円でございまして、事業費で一億六千万円、それがほとんど使えないで繰り越しになる予定であると聞いております。なお、四十八年度の予算につきましては、まだ実施計画をやっておりませんで、今後実施計画をやって個所づけをするということになっております。
  179. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま私がいろいろ地元の実情を申し上げましたが、どんなにいい案であっても、どんなにいいものであっても、押しつけてそれが受け入れられるものではないわけであります。農民のすなおな気持ちというものをしっかりとらえた上で、この事業をやるならやる、やめるなら大胆にやめる、そういうようなことをやはりやっていかなければならないだろう、こういうように思うわけでありまして、このケースなどにつきましても、一たん白紙に返して、地元の人たちにもう一ぺんこの状況を説明をし直すというところから再出発をすべきではないか。どんどん農民の反対の声が高まってくるというような中で強行する考えはよもやあるまいと思うが、その辺のところについて大臣の御所見を最後にお伺いをいたしたいと思います。
  180. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御心配のようなことがないように、常に、これを具体的に推進していく上には県が主体になる、国のほうが目が届かないようなことがあってはいけないというような配慮をしておることは、先生もよく御承知であろうと思うのであります。きょうの問題については、確かに地元に各種の意見もあることが察せられます。したがいまして、その意見も十分参酌しながら、もし必要があれば計画の修正など考えてもいい問題だと思いますが、しかし、農業振興地域において近代的な農村を建設するということを目途として、せっかく基盤総合整備のパイロット事業を全国でも幾つかということで取り上げた問題でございますので、一つのモデルのようなことを期待しておるわけでございますので、できれば地元の御協力を得て円滑に事業の遂行ができるようにつとめたいと思います。
  181. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 どうも私の聞き方も悪かったかもしれませんが、いま百五十何名の人たちが少なくとな反対同盟をつくって強硬な反対をされておるわけです。きのうの推進協議会では、そういう人たちをほうってもこの事業はやるんだという。そうすれば、事業規模としても、地域面積としても、八百ないし九百二十ヘクタールといわれておりますが、その半分ぐらいの地域面積しか圃場整備等においても出てこないだろう。そうしますと、全体的な、一体的な実施計画というものは立たないはずでありますけれども、それでも、実施計画は反対があってもかまわないという形で決議をしてしまった。そういうことで、どこまでもそういう反対が解けないという事態ならば、それでも残った部分だけでやるというような性格のものなのかどうかという、そういう具体的な質問に対して大臣はどのようにお考えになるか。
  182. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまの御質問からいうと、なかなかデリケートな空気があるように察せられます。私どもとしては、こういうモデル的なパイロット事業であるという見地からすれば、そういう部落間のいさかいまで巻き起こしてその事業を強行するというような事態は、できれば避けたいと思いますが、しかし、いまのお話だけでは、私としても十分な事情というものがまだのみ込めない点がございます。したがって私としては、何とか円満にこの事業の遂行ができるように、県が主体でありますから、農林当局としては指導していくのがいいのではないか、かように思うわけでございます。
  183. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 強行するかしないかという点について答えてください。
  184. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまここで強行するとかしないということよりも、円満にやりたいということでお察しをいただきたいと思います。ここでやらないというのも、強行するというのも、おかしなことでございまして、せっかくの事業であるから、でき得る限り努力をして何とか理解を得て円満にやりたい、こういうことで努力してみたいと思います。
  185. 細田吉藏

    細田主査 次に、細谷治嘉君。
  186. 細谷治嘉

    細谷分科員 最初に大臣にお尋ねしたいのですが、大臣は過去に通産大臣をやられました。したがって、通産行政を進めていく場合に、研究活動あるいは研究体制というものの重要性については、これは十分御認識であろうと思うのであります。ところで、農林水産業についての研究体制は、通産行政ということから見ると、これはほうっておいてもいいような面もありますけれども、それだけに私は、ある意味では重要性があろうかと思うのであります。そこで大臣として、現在の農林水産業についての研究体制というものは十分であるのかないのか。さらには、今後一体どういうふうにしようとしておるのか、まずこれをお尋ねいたします。
  187. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 通産の場合をお引き合いで御質問でございますが、私はどういう場合におきましても、試験研究というものが、各種の施策あるいは事業を遂行する上におきまして、基礎的にきわめて重要であるということを感じます。特に農業の場合のように、天候とか土壌とか水とか、そういうものを相手にして、しかもいわば生きもので、メンデルの法則じゃございませんが、遺伝等の関係等からいたしますと、相当長期の試験によっての判断という必要性もございます。しかもその対象となるものは植物、動物各種各様なのでありますので、したがって私は、比較するということでなく、お尋ねのように、試験研究の重要性はどうか、これは非常にある、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
  188. 細谷治嘉

    細谷分科員 お尋ねいたしますが、奄美群島の害虫としてミカンコミバエというのがあるのです。これについて農蚕園芸局植物防疫課で撲滅研究に取り組んでおると承っておりますが、その成果はあがっておりますか。
  189. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 ミカンの病害虫の問題に関しましては、基本的には果樹試験場で相当な研究をいたしてきておりますが、先生質問になりました奄美のミカンコミバエにつきまして、具体的にどういう研究をし、どういう行政的な措置をとろうとしているかということにつきましては、いまここで存じておりませんので、後ほど調査の上お答え申し上げたいと思います。
  190. 細谷治嘉

    細谷分科員 お答えいただけないのですけれども、私の承知しているところでは、ここ数年、数千万円の予算をつぎ込んでこのミバエの撲滅対策に取り組んでおるわけでありますけれども、基礎研究を抜きにして、そして研究者はほんの数人である。したがって、いまだにそれは成功しておらない、こういうふうに聞いております。このミバエで、奄美の特産でありますミカン、パパイア、バナナ、こういうものが被害を受けるばかりじゃなくて、内地への移入すらも禁止されておるわけですね。奄美の言ってみますとこれは死活の問題、こういうことです。  このミバエの問題について、米国ではハワイでかなり大々的な研究をやっておりまして、その研究員は二十五人か三十人のドクターで取り組んでおる。しかも、まだ成功はしてない、こういうふうに聞いております。こういう点からいきまして、私はこの研究を詳細トレースしておりませんけれども、農林水産についての研究体制がきわめて弱いという一面をあらわしていると思うのです。それではお尋ねいたしますが、農林省には、あるいは日本の農業技術研究所には、同定をやる人は何人おりますか。
  191. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 植物のいま先生お話の病害虫に関する同定に専念に従事している研究者は何名あるかというお尋ねでございますが、正直申し上げてつかんでおりません。と申しますのは、同定だけでなくて、研究者は、御承知のとおり、基礎研究におきましても、応用研究におきましても、いわゆる研究部門の横にかかわる部門につきましては、かなり多方面の研究をいたしております。そういう意味におきまして、広い意味の同定事業をやっている者が何名ということでございますならば、これも恐縮でございますが、後刻調査の上お答えさせていただきます。
  192. 細谷治嘉

    細谷分科員 同定が研究の前提になるわけですね。同定ができないのなら対策はできない、研究もできない。私の聞いておる範囲では、いろいろなレベル、いわゆる同定をやる人として、一人前の人、あるいは半人前というのは失礼でありますけれども、そうでない人と、全体で五人ぐらいしかおらぬと聞いているのですね。ところがカナダの農務省には二十五人おるということです。カナダの人口は二千万、日本の人口は一億。食糧問題からいってたいへん深刻な問題なんですね。研究の一番スタートなんですね。こういうことでは、大臣がおっしゃるような農林水産業の研究体制の強化ということは、かりそめにも言えぬじゃないですか。いかがですか、大臣
  193. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 具体的に各国との比較でお示しのことでございますので、それをそのまますなおに承っておりますと、御指摘のように、私が試験研究はきわめて重要だと言うことに対して、あまり裏づけがないじゃないかということはすなおに承ります。
  194. 細谷治嘉

    細谷分科員 前に局の参事官をしておりました川井という人がおるのです。この人もある著書に、そういうことをぴしゃっと具体的に指摘しております。時間がありませんからそれには入りません。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、昨年農林省設置法というものが改正されました。これに基づきまして、従来の果樹試験場と園芸試験場というものが、野菜と果樹の二つの縦割りの研究機関に分かれました。そこで、ある過去の園芸試験場の支場は、定員四十九名で現在員が四十七名おったんです、一月一日現在。ところが、その園芸試験場というものを果樹試験場と野菜試験場に分けたために、どういうことになっているかというと、現状は果樹試験場が二十八人、野菜試験場が十二人に細分されているわけですね。これで一体今日の農業に対応することができますか。おかしいでしょう。何のことはない、二つに分けたところが、頭数を二つに分けただけじゃないですか。こんなことでは、かつて川井参事官が指摘した研究の細分化であって、総合的な研究、現代に対応することはできませんよ。いかがですか。
  195. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 お話のように、昨年の農林省設置法の改正によりまして、従来、野菜関係の仕事は園芸試験場でやっておりましたものを、新たに野菜試験場を新設いたしまして、これに伴いまして、果樹試験場と二つの試験場ができたわけでございます。そのそれぞれの下部の組織につきまして若干の組織変更がございました。その結果、九州の久留米にございました園芸試験場の支場が野菜試験場の支場として残り、同じく九州の長崎県にございます口之津に果樹試験場の支場ができたわけでございます。これに伴いまして、ただいま先生指摘のように、前に四十七名おりました職員が分かれたわけでございまして、支場は正式にことしの一月一日発足しております。そこでの定員は、口之津の果樹支場のほうで三十二名、久留米支場では二十名というふうなことです。この問題につきましては、同様の趣旨の御指摘先生からさいぜんございまして、将来、口之津なりあるいは久留米の支場をどういうふうに充実していくつもりかというお話もございました。私たち、組織改正をする場合の将来の構想といたしましては、久留米支場ならほぼ従来の人員ぐらいは復元する、つまり野菜だけになりましてもほぼそれくらいの研究勢力にしたいということを考え、また果樹につきましても、新たにつくられました果樹支場としての任務を果たすに必要な研究勢力をつくっていきたいというふうに考えております。そ  の結果でございますが、四十八年に関しましては、口之津につきましては、わずかでございますが研究者二名を増加いたしまして病害研究室を新設し、また久留米支場につきましても、新たに病害研究——これは九州地方が高温多雨でございます関係上、果樹につきましても、野菜につきましても、病害虫につきまして害が発生しやすいというようなこともありまして、急遽、当面必要な研究室の増員をはかったような次第でございまして、今後とも、先ほど申し上げました、従来から構想を持っている研究勢力まで充実していくように努力いたしまして、現地における試験研究ないしは現地対応に遺憾のないようにしていきたい、こういうふうに考えております。   〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕
  196. 細谷治嘉

    細谷分科員 お話を承りましたけれども、この農林省設置法を通す際に、理事会で確認された二つの条件があるはずです。一つは、落葉果樹の研究については一日もゆるがせにできないことであるから、その体制を十分とる。もう一つは、温暖多雨地帯であるから、特に病虫害等に対する対策については十全を期する、こういうことが確認されてあの法律が通っておる。これは、局長、御存じでしょう。ところが一月八日に農林大臣の指令が出ている。その指令をちょっと読んでみますと、「広島県にある安芸津支場、温暖寡雨地における落葉果樹とか病虫害の研究をする」、こう書いてあります。あなたのほうの指令ですよ。それから口之津のほうを読んでみますと、「暖地における果樹の研究、暖地における病虫害の研究」。温暖寡雨と暖地の問題ですね。これは多雨多湿のところについて十全を期するということにのっとっておらぬじゃないですか。しかも将来も充実しますということであります。これはもちろんですよ。いま九州、中部地域は落葉果樹というものがものすごい勢いで育っていっているのです。しかし落葉果樹についてなされなければならない点が多々あります。同時に温暖多雨だけになされなければならぬ点も多々あります。こういうことではどうにもならぬ、こう私は思います。大臣、もう時間がありませんが、いま私が申し上げたようなことで、これで農林水産業の研究体制ということで、苦労しておる農家に対応できますか。
  197. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 私からお答えいたします。  御指摘のように、九州の地域におきます落葉果樹の重要性は年々ふえておりますことは御指摘のとおりでございますが、先ほど申し上げております組織改正に際しましては、そういう実態を踏まえまして、九州におきますところの落葉果樹の実情、あるいは国の機関なり県の試験研究機関の対応というようなことを考慮いたしまして、当面、久留米の支場には落葉果樹の研究者として、組織上は口之津に属します研究者を駐在させまして、今後、国と県の試験場での落葉果樹の研究体制をきちっと立てるまで、いわば実情に応じた措置を講じまして、次の段階に新たに県の試験場——県め試験場と申しますのは福岡県でございますが、福岡県の試験場はかなり高水準のようでございますし、現在新しい体制をおとりになる準備中でございますので、その完成を待って現地における落葉果樹の試験研究及び現地対応というようなことに遺漏のないように持っていきたい、こういうふうに基本的に考えております。
  198. 細谷治嘉

    細谷分科員 時間がありませんから、この点は問題がありますから、この点については保留にしておきます。  次に、もう一点お尋ねしたいのです。  農林水産技術会議事務局でまとめた昭和四十六年度の「特別研究・別枠研究成果の概要」というレポートがあります。このレポートに関連して、「しろぐされ等ののりの病因解明に関する研究」というものが四十四年から四十六年の三年間にわたって行なわれております。四十七年、四十八年はどうなっておりますか。
  199. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  この「しろぐされ等ののりの病因解明に関する研究」ということで、四十四年、四十五年、四十六年と、この三年間に約一千九百万円を支出いたしております。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕 おおむねこれで基礎的な検討は終わりましたので、四十八年度につきましては、この研究を経常研究のほうに切りかえまして、そしてさらに今後、病因、病原菌の状態について調査研究を進めることにいたしております。さらにわれわれといたしましては、このノリの問題も非常に重要でございますので、四十八年度の予算におきましては、水産増養殖研究所の立地調査の検討ということで、これは些少でございますが、調査費といたしまして一応四百十八万円を計上いたしまして、こういった専門の研究所をどこかの地点につくるということで、現在四十八年度予算でそういうことを検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  200. 細谷治嘉

    細谷分科員 いまのお答えでは、この問題について基礎的研究は済んだというわけですけれども、このレポートを読む限りにおいては、基礎的研究については済んでおりませんよ。ある部分については糸口がついたにすぎないでしょう。  例をあげて申しましょう。「問題点と今後の計画」というところに書いてあります。一つは「「白ぐされ症」「擬似しろぐされ症」、「芽イタミ症」については病徴の把握がまだ不十分であり病因も明らかでない。」と、こう言っているでしょう。これで基礎的研究は済んだのですか。  もう一つ、「「あかぐされ病」については全国各地の病菌の生理・生態を明らかにし、また漁場での感染、発病、蔓延の機構をさらに明らかにし、栽培的防除技術の確立を計るとともに、遊走子形成を阻害することによる防除剤の開発が必要である。」確かに、この赤腐れ病については一体病原菌が何かということは、このレポートの中にピシウムという菌が原因とされております。この限りにおいては糸口がつきましたけれども、基礎的な研究、さらに応用、実用ということになってまいりますとまだだめですね。さらに、この問題を見てみますと、「「擬似しろぐされ症」および「緑斑病」については細菌の関与は明らかであるが」というのでありますけれども、そのメカニズム、あるいは寄与の度合い、一体予防をどうするのか、こういったことについては全く緒についておらないでしょう。にもかかわらず特別研究はやめました、基礎的研究は済んだという認識はどこから出るのですか。そんなばかげたことはありませんよ。大臣、この報告にぴしゃっと書いてあるとおりですよ。基礎的研究は済んでおりませんよ。成果は認めます。認めますけれども済んでおりません。どうですか。
  201. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、十分な知識を持ち合わせませんが、ただいまの細谷委員の御指摘をそのまま承っておりますると、それは確かに基礎的研究は済んでおらないという判断が出るようにも思いますけれども、ただ、これは私全くここで初めて承ることで、はたして私の見解が正しいかどうかもあまり自信がないということを申し上げておきたいと思います。
  202. 細谷治嘉

    細谷分科員 これも大臣、いまもうたった三年で、四十六年でせっかくここまで成果をあげた。赤腐れ病についてはピシウムという菌がやっているのだということを発見して、それを一体どうやっていくかという研究についてはもはややってないというのでありますから、これはもういままでの千数百万円つぎ込んだのはむだですよ。この研究を生かさなければならぬ、こういうことだと思う。  ところが、研究体制の問題に移りますけれども、農林省関係研究機関というのは水産研究所が三カ所、この問題についての研究員はわずかに八名。大学の基礎研究、こういうのは十大学ありますが、たった十五名。そして県の水産試験所が実用試験研究、大学の基礎研究。そして国のほうが基礎的な大学の研究等も受け、そして県の水産試験所との間をつないでいくということでありますが、これは百五十名。これでは対応できないと思うのです。農林省の資料によりますと、たとえば全国のノリの三割程度を生産されておるといわれております有明海、有明海では毎年のように赤腐れ、白腐れでやられているわけです。これでは漁家はたまったものじゃないですね。資料によりますと、スサビノリというのがおよそ七〇%くらいで、アサクサノリというのがおよそ二〇%くらいで、アオバアサクサノリというのが、これは愛媛で発見されたそうでありますが、大体八%くらいだ。三者で大体九八%を占めておる。ところが、スサビノリとアサクサノリとの性格、いわゆる種類、こういうものからいって、たとえばスサビノリというのは北海道で発見されたそうでありますから、ある程度耐寒性を持っておる。それからわりあい塩分の高いところがいい。アサクサノリというのは名前のとおり東京湾でしょうから、これは海水の薄いところに適しておる。わりあいにスサビノリと比べると弱い、こういうふうにいわれております。いまこのレポートを読みますと、耐病性のある品種が、いまのところほんとうのところは認定されてない。四十数種類ノリのあれがあるそうでございますけれども、これも経験的にスサビノリが強いのだということで七割もつくられていますが、高水温に対してもわりあいに強いという経験的なことから対応されておる、こういうふうに伺っております。でありますから、品種の改良、実用試験研究もまさしく未完成である、こういうふうに申し上げなければならぬわけであります。  水産庁の漁業振興課の資料によりますと、毎年のように、有明海は赤腐れ、白腐れ、そして端的にいいますと、もう暮れまではノリがとれないのですよ、全部病気にやられちゃって。そうして正月あけまして冷凍網を持っていって、ようやく何とか収入をあげておる。しかし四十七年度は六割程度の生産しかない。私の住んでおります大牟田市あるいはその近くにあります大和町、これは壊滅をしております。これは毎年続いておるわけです。一年か二年くらいならいいけれども、毎年続いている。お手上げ、こういう状態であります。しかも統計を見てみますと、年々それがひどくなってきている、こういうふうに思います。でありますから、さっきの研究報告からいっても、この実態からいっても、これは抜本的な対策を講じなければならぬ。特に特別研究で千数百万円の金を使って、ここまで研究の端緒というか、軌道に乗りかけておるわけでありますから、端緒がつかめておるわけでございますから、これはものにしなければならぬと私は思うのです。大臣いかがですか。
  203. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは試験研究のことで、最初に申し上げましたように、相当長期にわたって研究する部面というものは非常に多いと思うんですね。あるいはもうそれが実態だとも言えると思うのです。したがって、ただいまの報告書に基づく御質問を承っておりますると、なお研究の余地は十分あるし、ものによっては中途はんぱに終わっておるということが私にもわかります。その具体的な事例でございまするノリの関係については一体どういう方針を持っておるかということについて、私いまこの場ではその知識を持ち合わせございませんが、こういう研究を継続的にやるほうが好ましいということは私としても言えると思います。
  204. 細谷治嘉

    細谷分科員 時間がありませんから一言。これは昭和四十六年の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県の九州各県から、「西日本海域における栽培漁業の推進について」、その結びとして、「国および関係県を一体とした行政部局、研究機関」、こういうものはもちろんでありますけれども、こういうものについての「強力な推進体制が必要と考えられる。」具体的に言いますと、広島にこの種の試験場がありますけれども、瀬戸内海と環境が全く違うわけであります。干満の差が五メートルもあるところでございますから環境が違います。そういう観点から言って、西日本海域に栽培漁業センターを建設してほしい、こういう陳情が、この漁業関係の人たち、あるいは県知事、前県知事も含めて出ております。私は最後に一つ大臣に伺いたいことは、せっかく特別研究でここまで成果をあげたんですから、今度は何か四百万円ぐらいで研究を続けますなんということじゃなくて、ひとつこの研究の成果を実を結ばせてもらいたい。そのためには、ひとつ予備費等でも使ってこの研究成果か結実させ、そして直ちに実用できるだけのところまで行かしていただきたいということが一つ。  もう一つは、環境が違うのでありますから、そして研究機関としてはきわめて不十分でありますから、状況が違いかつ地元が熱望しておるこの有明海等を中心とした、国立のたとえば浅海漁業についての試験研究機関というものを設置する意思があるかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
  205. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  先ほどの私の答弁があるいは少し言い方が不足いたしたのでございますが、約四百十八万円というのは、新しい水産のための増養殖の研究所を何らかの形で新設するための立地調査のための予算でございまして、これがほんとうの研究費ではないわけでございます。また、水産庁といたしましては、こういうノリの病害等の生理関係の研究を担当する国の研究所を単独に設置するという考え方は現在は持ち合わせてはおりませんが、最近におきますこういった水産の増養殖関係の技術の開発というものの要請が、御指摘のように非常に強うございますので、これに対しまして、国といたしましては、全国的視野に立ちまして、海面あるいは内水面を通じて特に基礎的な分野の研究体制を強化する必要がございますので、こういった従来からあります既存の試験研究機関を再編整備いたしまして、魚介類、モ類の育種、環境管理等の基礎的研究を担当する増養殖関係の研究所を新設いたしたいということで、現在そういった点について調査費の予算をもらいまして検討している、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  206. 細谷治嘉

    細谷分科員 こういう状態でありますから、そういう試験研究機関をつくるといってもやはり三年や四年かかる。そういうことでありますから、少ないスタッフでありますけれども、やはりここまで来たんでありますから、ひとつこの問題についてのプロジェクトをつくって特別研究という形で続行していただきたい。調査費もあるわけでありますし、やはり環境というのは重要でありますから、そういう点において、たとえば国の試験場の分場なりそういうものをつくって将来に対応していくことが必要ではないか、こう思うのであります。大臣答弁をお聞きしたいと思います。
  207. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ノリの関係のプロジェクトの御要望につきましては、現実にいままで研究された方が現在あるいは他の研究へでも移っておるとかというようなことでもあると、ここで軽率なお答えができませんけれども、きょう承った範囲では、なお研究の余地が十分あるというふうに判断されますので、先生の御希望に沿うように、水産庁長官のほうでもよく調査をせしめたい、こう思います。
  208. 細谷治嘉

    細谷分科員 終わります。
  209. 細田吉藏

    細田主査 次に、庄司幸助君。
  210. 庄司幸助

    庄司分科員 私はまず、水産庁長官に対して、最近の水産加工業者による公害の問題についての基本的な考え方について伺いたいと思うのであります。  昨年は宮城県の塩釜市において、いわゆる加工業者の排水口を浅海漁民が土のうでもって防ぐ、あわや血で血を洗うような争いに発展しそうな形勢があったわけです。それからまた、同じく加工業者がたくさんおります気仙沼市、ここでもやはり加工業者と浅海漁民の間のトラブルが絶えないわけです。その点で、私が最近調べた数字ですが、水産加工業が一体どれくらいのBODの負荷量を海水に対して与えているのか。これはおたくのほうの調べですが、大体一日全体として一万四千トンのうち、水産加工業が大体三五、六%を占めているんじゃないか、こういう御報告もあるわけです。水産加工業というのは、いわゆる漁民がとってきた魚、これを加工して商品化して、そうして初めて世に出るわけですが、そういう点で私は、漁民と水産加工業というのは一体の関係にあるんじゃないか、水産庁としても当然そういうものの考え方に立って、水産加工業公害の問題を水産業内部の問題としてとらえて対処する必要があるんじゃないか、こういうふうに考えているわけなんです。ところが、いままでの経過を見ますと、水産加工業の公害についてはもっぱら環境庁のほうのいわゆる公害規制の対象として考えていく。これは抜本的に公害を出さないような施設をつくるなり何なり、こういう点での助成の面なり研究の面なりが水産庁においては若干消極的じゃなかったか。歴史の経過を見ればですよ。最近は若干前向きの姿勢が見られますが。その辺で長官に、いわゆる漁業の内部の一体的な問題としてこれを考えていくのかどうか、この辺、基本的にどうお考えなのか、ひとつ伺っておきたいと思うのです。
  211. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘のように、水産庁といたしましては、従来から、どちらかというと、水産の公害の被害者といいますか、海をよごされて水産物が非常に悪くなる、とれなくなるということで、それに対する配慮を非常に重点的に置きまして水質規制等を要求しておったような次第でございます。これに対しまして、やはり従来までは、加工企業といいますか、加工段階が非常に零細で、全国に非常に零細なのが分散しておりましたので、水産加工物についての問題が少なかったわけでございますが、その後、水質規制の強化とともに、零細企業では対応し得ないというふうなこと、あるいは従来のような、たれ流しというと行き過ぎかもしれませんが、放流しておったのではなかなか解決つかないということで、水産庁といたしましても、今後水質をこれ以上汚濁しないような対策ということに重点を置きまして、水産物の加工業につきましても、公害防止事業団とか、環境庁のみならず水産庁自身におきまして、水産物の流通加工センター形成事業という補助事業をとりまして、公害防止の見地から、公害防止施設の共同化の事業、いわゆる共同事業について助成を行なうという考え方で現在きておるわけでございます。なお、これらに伴いまして、今後ともさらにこういったことを積極的にやらなければならないということで、こういう水産加工業の関係の方々に対しまして、公害防止の管理者の講習会を開くとか、あるいは公害防止技術を指導するというようなことで、今後積極的に対応してまいりたい。ざらに、今後こういった融資関係の事業等につきましても積極的にワクを拡大してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  212. 庄司幸助

    庄司分科員 長官お話伺いましたが、私はその点で、いま予算化されている問題についてはあとで触れますが、これまでの水産加工業者の業態からすれば、非常に中小であり零細である、こういった水産加工業の排水の処理問題というのは非常に複雑な問題なんですね。これは解決ができたかどうかについてはいまだに疑問の余地があるわけです。そういう点について、いわゆる公害防止については企業者負担であるという原則はわれわれもわかりますが、中小零細の業者が集まっているこの水産加工業界の場合、やはり国による特別の援助がなければとうてい複雑な排水処理はなし得ないんじゃないか、こういうふうに考えているわけなんですよ。また、これまでの経過から見てもやはり非常に難点がある。これはあとで具体的な数字を申し上げますけれども、その点で水産庁として、いまつけられているいわゆる加工センターですか、あの程度のもので水産加工業の公害がなくせる、こういうふうに考えておられるのかどうか、その辺ひとつ伺いたいと思うのです。
  213. 荒勝巖

    荒勝政府委員 水産加工の段階で非常に大量の水を使用しながら公害防止事業を実施するわけでございますが、その過程におきます完ぺきな防止対策というものは、実際問題としてなかなかむずかしいんじゃないか。完ぺきなものをやればやるほど経費負担倒れといいますか、そういったことになりまして、企業としては経営がなかなか困難になるということも私たちも心得ておる次第でございます。ただ、現段階におきまして、水質規制の基準に即応した形でやっていけるものについては極力奨励してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、全国のこういう加工団地、あるいは新設して共同で事業を行なおうといわれる方々につきまして、われわれのほうで助成を行ないまして、公害防止につとめているわけでございます。  いままで水産庁が指導いたしまして、こういう加工センターに対する助成事業等を行ないましたところ、非常に大型の企業等におきましては自己負担でおやりになっておりますけれども、おおむね水質基準には適合してさほど大きな問題は出ていない。将来さらに精度を高める必要はあるかとも思いますが、現在の時点におきましては、おおむね経営を営むことができるような基準でございますので、われわれといたしましては、今後この基準を基準にしながら指導を強化してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  214. 庄司幸助

    庄司分科員 それでは少し具体的な問題に移ってまいりますが、今度の水産庁の予算では、概要説明によりますと、いわゆる加工センタト、これは公害だけではありませんが、新規が五カ所、継続十カ所、こういうふうになっています。約十二億余の予算がついておりますが、問題は稚内の場合ですね。これは四十六年からの継続事業になっておりますが、稚内のセンターについての業者の意見はどういうものか、お調べになったことございますか。
  215. 荒勝巖

    荒勝政府委員 いま手元に資料は持ち合わせておりませんが、先般、稚内のこの関係の方々が私のところへお見えになりました。   〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕 それで、そのときにいろいろお話しになっておられましたが、むしろそのときのお話といたしましては、水産庁のこの補助金の基準では、いい意味での公害防止になるような完全な水質基準にはなかなか到達しにぐい、もう少し事業費といいますか、金額をふやしてもらいたいというふうな趣旨のお話があったように私は記憶しております。
  216. 庄司幸助

    庄司分科員 これはぼくらが調べた範囲内ですが、大体四十軒の業者があって、一軒当たり千三百八十万円かかる。これでは、塩釜の実例や何か見ていると、とてもじゃないが不安でたらまらないというんですね。これが加工団地に加入しない一つの大きな原因なんだというふうにぼくら伺っているのですがね。それと労働力の問題もありますけれども、とすれば、そういった業者が不安に思っている点を解決してやらないと、せっかく加工センターをおつくりになっても、あるいはおつくりになる予算をつけても、これはなかなか進まないんじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、その点で、もう少し業者の要望にこたえるような前向きの体制があるのかどうか、その姿勢ですね。この辺を伺いたいのです。
  217. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほどから申し上げております水産物流通加工センター形成事業というものは、いわゆるメニュー方式ということになっておりまして、加工施設もいいし、また、こういった公害防止施設にウエートをかけてもいいしというふうに、それぞれメニューでその当該助成を受けられる。団地の企業の相当な自主性にまかしておるわけでございます。したがいまして、その水産庁の一定のワク内で渡したものにつきまして、やはり上屋もつくりたい、りっぱなオートメーションの加工設備もつくりたい、また公害防止のための施設も完ぺきなものにしたいということになりますとなかなかうまくいかぬ。したがいまして、われわれといたしましてはメニューで指示しておりますので、当該企業団地が自分のところはぜひこれでいきたいというところに超重点を置かれて、まあ極端なことを申し上げれば、初めに加工センターにいきました助成金のうち相当部分をたとえば公害防止に回されるとすれば、ある程度いくんではなかろうか、こういうふうに思いますので、これらにつきましては、水産庁といたしましても、現地に、それぞれの共同事業がそれぞれの場所にございますので、それぞれの現地の実情に応じまして技術的な問題につきましては十分御相談に応ずるということでいまのところ対処しておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  218. 庄司幸助

    庄司分科員 メニュー方式と、こう言われたわけですが、私、メニュー方式の石巻の実例を一つ持っているわけですよ。これで見ますと、これはまあ総額で約十億円くらいの事業費でありますが、そのうち国の負担が三億円。そのうちで、公害関係については約二億八千八百万なんですね、カッコつきですから、数字の読みもありますけれども。この二億八千八百万で、石巻の実情からいって十分な公害防止ができるのかどうかという疑問が一つあるわけなんですね。これは業者の中にもあるわけです。これを端的に表現しているのが、ある新聞に載った「ここをどうする」という記事でありますが、塩釜の失敗の実例について、非常に心配しているわけですよ。公害をなくそうとつくられた全国初の塩釜の加工団地がああいうありさまになった、そういう点で、石巻とか気仙沼なんかの業者が——気仙沼はまだ日程にのぼっておりませんが、加工団地形成事業の問題について非常に心配と関心を持っている。これは事実そのとおりなんです。その点で、石巻の加工センターの場合も、この二億八千八百万ではたして、技術的にも完ぺきなもの、それから経営的に見ても採算のとれるものという問題から見ると、これで十分やれるのかどうか、この点非常に心配しているわけですよ。  その点で、石巻の業者がこの間陳情に来ましたが、やはり一つは資金の問題だ。長期、低利の融資をもっともっとワクを拡大してやってもらいたい。それから二番目には、塩釜の轍を踏まないで、国がもっと業者が安心して使えるような完ぺきなものをつくったらどうか。そういう一つの試験段階を経て、十分操業に耐えられるようなものができれば安心してやれるんだ、こういうふうな意向もあったわけなんですが、その辺水産庁として、実際石巻の計画が、これはおたくの手元に行っているかどうかわかりませんけれども、これでほんとうに経営的にも技術的にも完ぺきなものができるのかどうか、その辺ひとつ伺いたいと思うのです。
  219. 荒勝巖

    荒勝政府委員 公害防止技術といいますか施設というのは、最近二、三年来急速に要望が強く出てきたというようないきさつ等があります関係上、逆に公害防止の設備自身の開発が、完成された技術というものがこれといってまだ十分見られない。要するに、相当な金額を投資すれば回収率は相当高くなる、しかし企業の採算ということになりますと、非常に大規模な企業だとそういった公害防止用の施設の投資額もわりあい簡単に出てくるわけでございますが、零細な企業だとなかなか十分な防止設備が整備できないということで、経営の問題と公害防止という二点でなかなかからんでおりまして、その辺の均衡ある企業採算をとるということで企業者としては非常に苦しんでおるのではなかろうかとわれわれも拝察している次第でございます。したがいまして、たとえば今回塩釜が、過去三、四年にわたりまして、各種の助成事業の中でいろいろな苦労をされて、設備はつくったものの何となく、予定どおりといいますか、計画どおり設備が稼働しなかったということで、非常に苦労されておられるわけでございますが、そういった御苦労を昨年来お話を聞きまして、水産庁といたしましても、四十七年度から二カ年継続で、今度失敗したらたいへんなことになるということを前提にいたしまして、企業の公害防止対策についての十分な調査をしようということで、四十七年度、四十八年度、二カ年間にわたります調査研究を行なって、そこでどういう判断をするかということのめどをつけたい、こういうように考えている次第でございます。これにつきましても、水産庁単独ではなくて、関係の業界に技術についての権威者が若干名おられますので、五、六名ぐらいだと思いましたが、その方々にお願いいたしまして、塩釜のこういったことの検討会といいますか、現地の検討、さらにどういった設備を整備したらうまく補助金の範囲内でいくのかというようなことの見当をつけるべくお願いしておりまして、そういった権威者の方々の意見を聞いてどういう設備で臨んだらいいのかを、この一年かかりまして水産庁としては最終的な判断をいたしたい、こういうようにただいま予定をしている次第でございます。
  220. 庄司幸助

    庄司分科員 そうしますと、塩釜の場合、失敗のないように四十七年、四十八年、二年かかって完ぺきな調査をやる。そういう御所論からいくと、石巻のいま予定している施設で技術的にも経営的にもうまくいくという保証はあるのですか。
  221. 荒勝巖

    荒勝政府委員 塩釜の例で地元の石巻の方々も非常に不安視されているようでございますが、私たちの従来からこの事業をやってきました先例といいますか、各地につきましても担当官といたしましてはそれぞれ現地に行きまして多少見聞をいたしておりますし、また資料ももらっておりまして、さほどたいへんなことにはなっていない、一応公害上パスしているというふうに私たちも考えております。塩釜の場合、どうもスタートのときに設備自身の設計といいますか、計算上どこかに無理があったのではなかろうかというように私たちも考えておりますので、設計的にあるいは基準数値について何らかのミスさえなければある程度いけるのではなかろうか、こういうふうに指導的には考えておる次第でございます。
  222. 庄司幸助

    庄司分科員 どうもちょっと答弁が……。私は石巻のいま考えている施設で技術的、経営的にうまくいく確信があるのか、水産庁として確信を持っているのか、この点を伺っているんですよ。その点端的にひとつお聞かせいただきたい。
  223. 荒勝巖

    荒勝政府委員 石巻の場合につきましては、塩釜と違いまして、県庁が現地における指導機関として正面から取り組んでおられまして、私どもといたしまして県庁とも十分御相談申し上げておりますが、いまの段階では、県との連絡におきましては大体だいじょうぶというふうな御意見もございますので、われわれとしてはそれをそういう線で実行してまいりたい、こういうように考えております。
  224. 庄司幸助

    庄司分科員 そうしますと、これがもしも失敗したとなれば、責任は県庁にあるのですか、水産庁にあるのですか。
  225. 荒勝巖

    荒勝政府委員 水産庁といたしまして、県庁と共同で、石巻の場合につきましても塩釜につきましても見当をつけて判断いたしますので、当然にわれわれといたしましても、県と国との間でこういった事業を認める場合には、うまくいかない場合は多少の責任は感ずるのではなかろうか、こういうように考えております。  石巻におきましても、現在考えておられますのはまだ検討段階でございまして、四十八年一年かかりまして、十分に検討の上計画を出される、事業実施は四十九年からというふうになっておりますので、いろいろと石巻自身もまだ今後先進施設とかいろいろな設備を比較検討された上で県と御相談になるのではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  226. 庄司幸助

    庄司分科員 それでは私は、塩釜の現在成功したと伝えられているテストプラント、この問題について簡単に伺いますが、これは技術的には確かに百PPM以下になったといわれているわけですが、ランニングコストの問題、この点では全くの赤字なんですね。これは十一月分の計算がありますが、これでいくと、当月欠損が六十七万六千円、それから十二月は当月欠損が七十三万一千円、こういうふうに、いわゆる技術的には完成したやに見られる施設も、経営的にはやはり業者の経営を圧迫する要因になっている、この事実を長官どのようにお考えになりますか。
  227. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年末来、そういった、ある程度技術的には成功したけれども、コストが非常に高くつく、企業間競争には今後たえ得ないというふうな報告も私承っておりまして、その方法だけで直ちに設備をやるということにはまだなっておりませんので、これらにつきましても総合勘案の上、四十八年度一ぱいさらに今後検討を続けてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。水産庁といたしましては、昨年ある程度成功されたと聞いております方式自身を、それをあっせんするというふうにはまだ実は判断いたしてない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  228. 庄司幸助

    庄司分科員 では時間もありませんから簡単に伺いますが、塩釜の問題ですね。これはさっき長官もお認めになったように、これは事業団ですね。公害防止事業団、この失敗によって累積赤字が一億三千五百万円、ほかの要因もありますけれども。それからテストプラントで地元負担が一億三千八百万円かかっているのですよ。そのうち業者負担が一億三百万円なんですね。そうすると、いままで日本の水産加工業の公害処理のいわゆるモルモットにされてきたわけですから、いろいろな試行錯誤を重ねてこういう赤字を出してきたわけですが、その上テストプラントの一億三百万円をまた背負わなくちゃならないという点について、端的に伺いますが、累積赤字の一億三千五百万円、この問題で、業者は組合は解散したい、ここまで追い込まれておるわけですよ。さらにこのテストプラントの一億三百万の負担まで背負い込むならば、とうていいわゆる採算のとれるベースじゃない。その点、私は、長官としてもっと愛情をもってこれは援助してやる必要があるのじゃないか、こう思うのですが、いまからやられる塩釜の二次加工団地や石巻の分については、国の三分の一の補助がつきますが、これまでの塩釜の第一次の分についてはほとんど補助金はついていなかったんですね、テストプラントについては環境庁から若干の補助はつきましたがね。その点、塩釜の轍を踏むなというのが全国の業者の強い声のようでありますから、この点について、具体的に水産庁としてどのような援助が考えられるか、その辺ひとつ端的にお答え願いたいと思うのです。
  229. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘がありましたように、私たちの調べたところによりますと、現在までに各方面から、総設備施設費といたしまして、総額大体三億三千七百万円ほどの金額がここに支出されたということになっておるわけでございまして、そのうち塩釜の組合といいますか団地が一億三千九百万円くらい最終的な負担区分になるんではなかろうか。約三分の一程度ではございますが、これに対しまして水産庁といたしましても、今後、新しくこれからわれわれのほうで塩釜の調査というか、県庁と地元で再建というか、新規の設備につきましてどういう形でやるか、それについて案ができましたら、四十九年度から助成事業で三カ年をかけまして設備を整備していく、そういう線でただいま技術指導をいたしておる次第でございます。
  230. 庄司幸助

    庄司分科員 私は、新規のほうについて伺ったのじゃなくて、いままでの失敗を重ねた既存の施設ですね、その累積赤字が組合として一億三千五百万になっている、それから既設の分としてのテストプラントですね、これの業者負担が一億三百万円になっている、これはとっても業界としては負担にたえない、こう言っているわけですから、その点について長官の、いままでの過去の分についてどのような対策あるいは援助をお考えなのか、そこのところをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  231. 荒勝巖

    荒勝政府委員 当然、私たちといたしましては、四十九年度に助成を開始するという段階におきまして、この組合なり企業の経営内容につきましても十分検討させていただくわけでございますが、その際あわせまして、当然再建整備計画というふうな形になるんじゃなかろうかということで、再建整備計画と一緒に新規事業を始める、最初から多少負担を負った形で企業としてはスタートされることになると思います。その際に、われわれといたしましては、全体再建整備計画を出していただいて十分審査し、それに基づきまして、われわれといたしましては、融資のあっせん等を、また関係方面とも相談いたしまして、当該企業が今後成り立つようにいろいろとお世話をするといいますか指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  232. 庄司幸助

    庄司分科員 これで終わりますが、そうすると、いまの長官の御答弁の意味は、こういうふうに解していいかどうか、確認の意味で伺っておきますが、いままでの赤字の分については、再建整備計画が当然出るだろう、それを新規の計画の中で織り込んで援助するというふうに解釈していいですか。
  233. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私たち水産庁の設備助成事業というものは、あくまで新規の設備について助成するという姿勢はくずしておりませんし、またそういう形で今後とも指導してまいりたい。ただ、いろいろな企業行政の一環といたしまして、設備の助成金を出しますけれども、そのほかの再建整備計画という形の中で、融資とかいろいろな形で全体として指導したり御援助する方法はまだ残っておるんじゃなかろうかということを申し上げたのでありまして、直ちにその赤字分につきましてわれわれのほうで援助を申し上げるというふうなことではないのでございます。
  234. 庄司幸助

    庄司分科員 終わります。
  235. 山崎平八郎

    ○山崎(平)主査代理 次に島本虎三君。
  236. 島本虎三

    島本分科員 農林大臣に、この際はっきり伺いたいと思います。  それは先般、私も二、三日、北海道の北見の置戸という町の山の中へ入って、いわゆる白ろう、レイノー患者の実態をよく見てきたのであります。その患者の実態の中には、いま労働省からチェーンソーは二時間程度で、常時使ってはならないということになっておりますが、実際の状態としては、娘を嫁にやらなければならない、ちょうど高校へ上がる子供を持っておった、こういうふうな状態から五時間、六時間とチェーンソーを使っておったのであります。そうして、その人はついに病気になってしまいました。その後会っていろいろ話を聞いてみましたけれども、やはり白ろうになってしまうと使ってくれないし、こういうふうな問題があるから、自分は隠して働いた、無理をした、こういうようなことであります。雇い入れの条件は、個々の雇い入れであって、いわば港湾に例をとってみますと、手配師がいて、また縁故関係等によって雇われるという前時代的な状態がまだ残っているのであります。こういうようにして白ろうとなると、またその実態もなかなか理解されないままになっております。これはもうチェーンソーを使いますから、振動を通して手から脊髄それから脳にいく、騒音を通して直接脳にいく。それが自律神経系統を侵す。その結果が内分泌系に異常を起こして、これはもうホルモン関係の重大な欠点が露呈するわけです。したがってこれはじん臓から肝臓が侵されて、そしてレイノー現象が起き白ろうになる場合にようやく認定されるのであります。この認定される日本の状態を、ソ連の場合に見ると、日本では重症患者になってようやく認定されるというのが実態であります。なかなかこれは悲惨なんであります。  こういうような状態からして、農林大臣にこの際、林業労働者に対する林業労働法の制定と申しますか、共同雇用の制度化をはかる。この立法化は農林関係おくれています。港湾関係の労働者には、これをいまの労働省が今国会に出しておるのであります。そして、まあ林業関係では一部これが行なわれておるのであります。しかし法制化されておりません。こういうような状態の中に、やはり立法化は遅々としておくれておる。この実態と、あわせてこれを救済するために、四十七年五月二十四日に、赤城大臣のころに、早急に検討して法制化いたしますといった雇用安定法、これはいまどうなっているか。これは重大でありますので、この二つの点について大臣の御所見をまず承りたいと思うのです。
  237. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 林業労働者のレイノー現象から白ろう病の認定に至るいまの御指摘につきまして、こういうお気の毒な事態というものは、林業担当する農林省としてそれについての対策を十分にすることは当然のことでございまするが、そういう気持ちの上におきましては十分承知しておりまして、ただ、林業労働者に対する施策を行なう、あるいは雇用安定法の関係で何か考える、こうなりますると、その所管は御承知のように労働省のほうの関係にもなってまいりまするので、そういう現象の起きるほうの責任をあるいはそういう事態を認識しながら、関係省庁との間に白ろう病の方々に対する十分な対策を講じてまいる、ひとまずこういうお答えを申し上げまして、関係各省のほうの一応いろいろ事情を御聴取願いたい、こう思います。
  238. 島本虎三

    島本分科員 御聴取じゃないのです、大臣。これは前の農林大臣林業関係の人、あなたの所管にかかるこの林業労働者に対する雇用安定についての法律、こういうようなものについてもう早急に検討して法制化をはかりたい、こう言っているのでありますから、これはもう全体の労働者ということじゃなしに、林業労働者に対しての雇用安定策であります。その法制化であります。こういうような引き継ぎは、当然あったのじゃないかと思います。これをやらないとどうしてもやれない。それでもう事後処理は労働省でやりなさい、われわれのほうは白ろう病製造します。これじゃもう全然だめでありますから。出さないようにするその方策もないのです。もうすでに林野庁では二時間だ、こういうふうにいっておっても、このなった人に対する、白ろうにがかった人に対する手当て、療法、これさえも確立しておらないのです。まして民間のこういうような請け負わせているような林業労働者に対しましては、ほとんどこれが対策なしでほったらかされている。社会保障さえも受けられない、こういうような低次元の状態にこれを放置さしておくということは、これはやはり農林行政の貧困さ、こういうことになるんじゃなかろうかと思うのであります。したがって、いまこの共同雇用の制度化、これが一つのポイントになるのです。それと同時に林業労働者に対する雇用安定の策、こういうようなものもつくる、こういうようなことが一つキーポイントになるのです。これはやらないとだめなんです。長官のほうではできないのです、大臣のところじゃないと。もう長官のほうは試験済みなんです。ですから大臣のあなたと話をしておるのであります。
  239. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 赤城農林大臣当時のそういう経緯につきましては、まことに申しわけございませんがいままでにその詳細を承っておらなかったのであります。ただこの白ろう病についての林野庁対策がどうなっておるかということにつきましては、機械の開発を進めるとか、あるいは機械操作時間の規制、防寒保温のための措置とか、いろいろの研究をしておることについては私もある程度承知をしておるわけでございまするが、いまの雇用安定法の関係につきましては、これはただいまの御質問からいえば農林省林野庁のほうがイニシアチブをとって労働省に働きかけて具体化すべきそういう経緯にあるようでございまするが、私いまお答えしたとおり、その点については申しわけございませんが、いままでその経緯を十分承知しておりませんので、担当のほうからお答えをさせたいと思います。
  240. 島本虎三

    島本分科員 これは大臣のほうで引き継ぎその他を完全にして、検討してもらいたい。そして関係方面へ出して早く手を打ってもらいたい。このことなんです。それをやると言えばいいわけです。やらないなんということは言えないはずですから。これは大臣、はっきりさしてください。いいですね。
  241. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 はい、よろしゅうございます。
  242. 島本虎三

    島本分科員 次に国土保全、これは日本列島改造計画、これはあくまでも公害防止、環境保全、これに徹してやる、こういうようなことなんです。私どもは、もうこれじゃだめだぞ。というのは二倍も公害が出ることははっきりしているのですから、あの計画ではだめです。ただここに、国土保全のための造林、治山事業費、それから森林保全管理事業、こういうような公益的機能充実させるということは重要なことなんです。したがって、これに要する費用は全額一般会計で負担して、独立採算によってこういうようなものは見るということはやめたほうがいい。これは長い間われわれ主張してきているわけです。今回もこの点等については十分措置するということになっておりますが、林野庁長官、これはどういうふうになっておりますか。
  243. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように森林の中の問題を考えますと、木材生産のほかに国土保全あるいは水資源涵養、こういう公益的な機能があるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、それに必要とする原資については、本来はやはり国有林の経営自体の中でまかなうべきものであるというふうに考えられるのでございますけれども、最近の国有林の経営の状態、あるいはまた国民の皆さんからの指摘によります公益性の重視というふうな状況を考えますと、すべてが国有林の中でまかなわれる状態ではありません。したがいまして、特にその点のはっきりしております治山事業等につきましては一般会計からの導入を四十八年度からお願いするように予算案を組みまして、国会の御審議をいただいているわけでございますし、また造林につきましても、これは将来に対する問題でございますので、長期の借り入れという制度を導入したものでございます。  その他いろいろ公益的な機能森林の中で持っておりますので、これらについては経営の問題と一緒に、やはり一般会計からの導入をどのようにしていくかにつきましては、今後とも大蔵省と慎重に積極的に協議してまいりたい、かように考えているものでございます。
  244. 島本虎三

    島本分科員 慎重にとか、積極的にとか、ことばではなかなか勇ましいけれども、その内容は貧弱じゃいけないのです。やはり国土保全のための造林、治山事業というのは、これは大事なんです。いまの日本で一番大事なんです。それと同時に森林保全管理事業というようなのも、公益的機能を発揮させるために大事なんです。予算書ではねられたというのならいいのです。四十七年には治山関係六十六億でしょう。本年は百億じゃありませんか。三十四億ですか、それほどしか増してない。それでもって完全だなんということはいえませんよ。これはもう林野当局に対しての、国土保全のための造林、治山や森林保全管理、こういうような関係では手抜かりがありますよ。したがいましてこれは、切ってもうけてこれでやるということになったら、日本の緑はだんだん破壊されていくんです。予算あたり見ても去年のほうから見て全部大型化しているのに、この治山関係でもふえているのはただの三十四億だ。こういうような関係じゃ全然だめじゃないか。熱意が足りない。これはやはり予算関係においても農林大臣あたり十分これを配慮してやらないとだめなんじゃないですか。日本列島改造、環境保全のために公害のない日本列島だといかに声を高くしても、これじゃだめです。次から次と破壊されていきます。こういうような状態でまことに不足に過ぎますから、早晩ほんとうの意味で緑を保つために乾坤一てきの勝負をすべきです。これをやらないで何をやったってだめなんですから、大臣、この点では私、ほんとうに今回のこれは遺憾だと思います。  時間三十分なんてまことに困るのですけれども、協力する意味で、次に進めてまいりますが、大臣、この点では予算面で十分配慮しておかないととんでもないことになる。このことだけは忠告を申し上げておきたいのであります。今後、この点に対してどういうようなお考えを持っておりますか。
  245. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 国土保全のために治山対策、造林事業を積極的に遂行していくということは当然でございます。今回の予算措置についておしかりをちょうだいしたわけでございまするが、従来は主として国有林野事業の中でやるというたてまえが、今後はそうでない、そういう大事な問題については一般会計からやる、あるいは長期の資金が入る、そういう道の開けたということがいわば四十八年度の予算の上では特徴的であろうかと思うのでありますが、いまの先生お話をよく体しまして、また体するばかりでなく当然のこととして、より積極的にこれからの予算措置をはじめ、また事業計画などにつきましても十分対処してまいりたいと思います。
  246. 島本虎三

    島本分科員 大臣、今度は水産関係になるのですけれども、水産関係もやはり同じなんです。どうも林野庁も水産庁も両方とも大事なところが抜けている。水産庁の場合は、いま瀬戸内海はもうすでに死の海でしょう。政府自身が環境保全特別措置法のような法律を出さないというなら、これは議員立法で出しますよ。そしてあれを保全しますよ。またそうしなければならない。また一番被害を受けているのも漁民だ。それが、埋め立て工事の条件としては地先の漁業権、これを買い取ればいい、こういうようなことでどんどんやっていきますから、工事の過程で潮流の変化や汚泥を拡散したり赤潮の発生、こういうことで他の区域の漁業に甚大な被害を及ぼしておる、これがいまの実態なんです。響灘、水島、鹿島すべてそうだ。この漁民と漁業のためには、こういうような場合にはっきり対策を立てなければ水産庁としてはだめなはずなんです。大規模の海面埋め立て、こういうような認可をする場合には、都道府県の区域を越えて他の地方自治体のほうに漁業被害を及ぼしておりますから、そういうような場合は、ただ漁業権を売ったからそれでやってもよろしい、こういうような安易な考えでは漁業は全部いまに壊滅してしまいます。だから、周辺の自治体の承認、こういうことは必須条件にすべきです。法的措置は当然講ずべきです。いままで埋め立てその他に対して農林省も水産庁もまことに手抜かりです。いま私が言ったように、この対策をどういうふうにしておるんですか。それから、都道府県の周辺に漁業被害を及ぼしておるのですけれども、それに対するはっきりした手を打ってありますか。この点は水産庁長官からお伺いしたいと思います。
  247. 荒勝巖

    荒勝政府委員 従来の埋め立ての場合につきましては、当該地先におきます漁業権の補償の問題が非常に問題になっておりまして、そういったことの補償が十全になされるように、また地元漁民がそれを納得するような形で補償が支払われるようにということで、水産庁といたしましては指導してきた次第でございます。しかし最近におきますこういった埋め立て事業の非常な大型化、水産庁ではこの漁業法を制定いたしました当時には考えられなかったような大型、大規模な埋め立て事業が最近逐次進行してきておりまして、単なる地先漁業権の補償のみならず、その周辺どころか、はるか遠く離れたところまで場合によっては重大な悪影響を及ぼすのではなかろうかと思われるような段階にまで至ってきておることは、われわれも十分に認めている次第でございまして、こういったことにつきまして関係省庁との間で議論されておりまして、今後そういった埋め立てについては、従来よりももっと正面からこの問題について何らかの形で関係省庁の間で話し合いができるような場所をつくりたいということで現在検討しておる次第でございます。またさらに地元の都道府県あるいは市町村段階におきましてもその辺のことが十分に了解の上で埋め立て事業が行なわれるように、われわれといたしましてもその方向で検討さしていただきたい、かように考えている次第でございます。
  248. 島本虎三

    島本分科員 結局はもうぼさっとした答弁ですよ。具体的に、必須条件として周辺自治体の承認を要するんだと、承認しない埋め立てはやっちゃだめなんだ、こういうようなところまで講じないとだめだということを言っているんですよ。これから考えるんじゃおそいですよ。瀬戸内海はどうしますか。コンビナートを大型にやったところは全部漁業権を放棄しているけれども、そこから流れた水は方々へいって他の地域を侵しているんですよ。水産庁の長官でありますから、漁業と漁民のために一生懸命にやらぬとだめなんですよ。もうすでに瀬戸内海は侵されてしまった。どうしますか。手はないでしょう。そういうような状態なんですけれども、これから一生懸命なんて言って、農林大臣、だめです。手がおそい。もう打つ手がなくなってから考えるんじゃだめなんです。死ぬ前に注射でも打たないとだめですよ。いまの場合はもう瀕死の状態です。それに対して、これから考えましょう、ではおそ過ぎるんです。したがって、この科学的な調査、こういうようなものは国がして、その結果の判明するまでの間はこういうような工事は認めないんだ、こういうことにはっきり今後すべきじゃないですか。大臣、いかがです。
  249. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 島本委員もおっしゃったように、従来科学的な調査というものが十分でなかった。この程度の埋め立てをしたならばどのような変化が起きるか、響灘の場合でも、潮流の変化とでも申しましょうか、海流の変化などが全然予想もしないところに起きておるということで、埋め立てを無方針にどんどんやっておったということに原因があると思います。埋め立てをやればいろいろどのような関係が出てくるかということがあらかじめ十分推定されますならば、直ちに関係府県の合議の必要というようなことが取り上げられたと思うのでありますが、遺憾ながらそういう前提が従来十分でないということはまことに恐縮に思うのでありまするか、瀬戸内海の例をあげてのお話でございまして、今後と申しますか、もちろんこれはもう時間的にそのことによってかけるんでなく、お話のようなことについて関係府県が十分打ち合わせの上、なるほどこれならば安心していけるということで初めて埋め立て計画が遂行されるのが当然のことだと思います。したがって、公有水面埋立法の一部改正なども現に取り上げられておる際でございまするので、そういう面で早急に御趣旨の点を生かして、沿岸漁業に大きな影響を来たさないようにいたしたいと思います。
  250. 島本虎三

    島本分科員 公有水面埋立法によってもはっきりと、公害の防止というのが一項あるのです。それをやっていないのです。そして、あとから出しているのです。法に規定されたこともやっておらないで、ただ埋め立てている。ですから、その科学的な調査を国がして、その結果の判明するまでの間工事はさせない、それぐらいきちっとしてやらないとだめなんです。水産庁はそういうようなことを知っておるはずですが、やらないから、大臣のほうでうんと馬力をかけて、あるいは閣議にかけるなりして、その点きちっとしてやったほうがいいんじゃなかろうか、こういうようなことです。  水産庁長官、これはやらないとだめですよ。ばんばんやりますね。何のために長官になったかわからなくなってしまう。漁民と漁業を守るんだ、それがもう全部いかれちゃう。だから、いい提案をしているのですから、この提案に遠慮する必要ないですよ。  大臣、そういうような点徹底的にやれませんか。それだけじゃないですよ。もっともっと大事な点があるのです。水質汚濁の面なんです。同じ瀬戸内海で、愛媛の伊方というところで原子力発電所の建設を政府のほうで認可したでしょう。放射能のあるトリチウムですよ。それあたりも、排出の中に入って常時排出されるようになるでしょう。これは半減期が十一年ですから、瀬戸内海はたまり水同様ですから、まさに死の海、瀕死の重症であるということになるのですよ。まして、今度トリチウムの海でとれた魚というようなものは人間が食っては危険です。その上に、トリチウムそのものは、去年の日本遺伝学会で明らかにされたのは、いままで考えられていたような許容量よりもはるかに微量なものであっても植物や人間に深刻な遺伝的影響を及ぼす、このことがはっきりしているのです。これを今度また瀬戸内海へたれ流すようになってしまう。半減期がこのように長い、おそるべき物質が瀬戸内海に流されるのです。そうなると、将来どのような悪影響があるか。これは水産庁長官、知っているのですか。農林大臣も、この点を知っていて許可を——直接許可をやるわけでないけれども、これに対して調整権を発動してもいいはずです。おわかりだったですか。
  251. 荒勝巖

    荒勝政府委員 瀬戸内海の愛媛でつくられます原子力発電所の件につきましては、私たちのほうといたしまして、この排出する温水の水産物に対する悪影響がどうなるかということにつきましては、従来から現地の水産業界あるいは県とも十分いろいろ検討いたしておりまして、これらについての対策が十分講ぜられることを念を押しまして、これらの問題についてただいま作業をしている次第でございますが、半減期の問題につきましては、危険性はないというふうに聞かされておる次第でございます。
  252. 島本虎三

    島本分科員 これはあるのです。遺伝学会で、いままでよりも微量なものでも植物や人間に深刻な遺伝的影響を及ぼすものだ、こういうようなことが発表されているから、いままでのデータではだめだ。いままでよりも微量なものでも影響を及ぼすのだ。今度は、それが魚に入ったり植物の中に入ったりすると、とんでもないことになる。もう一回科学的に調査すべきです。環境庁に言ったりしてやらせるべきです。いままで、こういうような点、抜けているのですよ。瀬戸内海だって、公害が出ないはずの水島のコンビナートじゃありませんでしたか。そのためにいま困っている。こういうような状態です。トリチウムのほかに、今度は固形の放射能の廃棄物、たとえば一つの原子力発電では、ドラムかん三千本から五千本も年間出るのですよ。再処理工場では、ドラムかんで年間四万本から五万本まで出るのですよ。それを今度、長期的な最終的な処分、これは陸上ではできないということになる。今度は海中投棄をいま科学技術庁で考えているというのでしょう。これは普通のドラムかんですからすぐ漏れるでしょう。そういうようになった場合は水産資源に及ぼす影響は大きいでしょう。水産庁はそういうようなことを考えてちゃんと手を打たないとだめじゃございませんか。やはり水産庁は水屋ではございません。漁業と漁民を守る、こういう立場でやってもらわないとだめだと思うのです。こういうような点、十分対処しないと、いまに瀬戸内海はおろか、日本の近海は漁民も漁業も、もう全然用にならないような状態になってしまって、残るのは水産庁だけだ、こういうようなことになってはとんでもないことになるのです。私は、こういうような点ちゃんと手を打っておいてもらいたいのです。大臣、これはいかがです。
  253. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私どもの漁民を守る漁業の上におきましては、国民に安全なたん白質を供給する、こういう見地からまいりますれば、きょういろいろと御質問のございます点については、より一そう関心を深め、環境庁がございまするけれども、われわれの立場からも大いに主張すべきことは主張する必要があるということを痛感させられたわけでございます。ただ、専門的なことが多うございまして、トリチウムの場合にどの程度が人体に被害を与え、人体、植物にどういう遺伝性の被害を与えるかということは、正直にいってその知識がないのでございまして、この点はよく検討さしていただき、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
  254. 島本虎三

    島本分科員 したがって、この安全な処理方法、こういうようなものをきちっとしてやらないと、農林漁業に被害が起きるということです。これがまだないのに、許可だけ先行してしまっている。こういうようなことだから、農林漁業がこれによって侵されるということです。瀬戸内海をはじめとして、こういうような問題に対して、環境庁では、水質汚濁の問題に対してはどういうようなお考えですか。
  255. 岡安誠

    ○岡安政府委員 環境庁としましては、特に水質の汚濁の問題につきましては、水質汚濁防止法その他関係法令によりましてその防止をはかっておるわけでございますが、お説の瀬戸内海その他閉鎖性の水域につきましては、普通の状態では非常に早く汚染が進捗するわけでございますので、一般の水域より以上のきびしい規制をかけまして、私どもは、汚染の進行の防止のみならず、できるだけ早い機会にきれいな水を取り戻すということに努力をするつもりでございます。
  256. 島本虎三

    島本分科員 努力をする、慎重に検討する、それはことばとしてはいいんですけれども、そういう検討し法律を幾らつくっても瀬戸内海は死の海になっちゃったんです。その姿勢が問題なんです。私は、それを幾ら言ったってだめですから、もう時間も来て残念ですが、これでやめておきますが、この点は十分検討して、あくまでも漁業と漁民を守るのが水産庁であり、そして森林を守るのが林野庁であり、そうしてともにそれを統括するのが農林大臣である、まあこういうようなことにはっきりしてもらわないと、いまにとんでもないことになることをおそれての質問であります。これから皆さん方の奮起を特に要請して、私の質問を終わります。
  257. 細田吉藏

    細田主査 次に有島重武君。
  258. 有島重武

    有島分科員 ただいまお魚の話があったようでございますが、私は野菜と米とについての話になります。  農用地の土壌の汚染防止等に関する法律第三条に基づいて「農用地土壌汚染対策地域として指定された地域のカドミウムによる汚染状況」こういう調査を私、農林省からいただきました。それから、私たち独自の調査を加えまして御質問申し上げるわけでございますが、この指定されました地域におきましてお米などはすでにこれはつくらないことになっておりますけれども、これは磐梯地域において野菜類のカドミウムの含量というのを福島県の農業試験場でもって調査したわけであります。現地で栽培されております野菜類を任意に採取してカドミウム含量を測定したわけでございますけれども、ここにございますホウレンソウ、これは大臣、このホウレンソウのカドミウム含量一・二一〇ということで、これは現物の場合でございまして、これをかわかしますと、一一・八六三PPMというカドミウムの含量になります。これの作土でございますけれども、土壌は八・七というふうに報告されております。それから、多いものでいきますと、ここには持って来ませんでしたけれども、パセリ、これは葉の部分でございますけれども、カドミウム含量一・五九七、かわかしますと八・四〇五、これをつくっている土壌は一九・〇ということでありました。それから大根、これは御承知のように水分をたくさん含んでおりますから、現物ですと〇・三六七ということですけれども、かわかしますと四・三六九、こういったことでございます。ゴボウなんかはやや少ない〇・七、それから一・〇ということになっておりますけれども、これも相当なものであります。いまのは汚染地区ということになっておる中でもってのことでございますけれども、今度は非汚染地区の食品中でもってカドミウムを現に含んでいるもの、これもやはり福島県の農政部の調べでございますけれども、たとえばカキ、これは北陸ですけれども〇・三五、それからシジミが、山陰のものですけれども〇・三八、アサリのつくだ煮が関西でもって〇・八一、イカの塩辛、このイカの塩辛は関東のもので〇・九六、こういうふうにカドミウムを相当量、大量に含んでおるというものがあるわけでございますけれども、現在は玄米だけが一PPM以上は食品として認められないということになっておりますが、野菜等あるいはこうしたつくだ煮になったもの、こういったものに何らかの基準を定めるべきじゃないか、そのように思うわけでございますけれども、農林省と厚生省と両方からひとりお答えをいただきたい。
  259. 岡安誠

    ○岡安政府委員 土壌汚染防止法につきましては私のほうからお答え申し上げたいと思います。  御承知のとおり土壌汚染防止法によりまして、「人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産」される、それらを防止するための措置が書かれているわけでございます。問題は、先生お話の、野菜等に含まれておりますカドミウムにつきまして、どの程度これが含まれていたら人の健康をそこなうかという問題が現在必ずしもはっきりしておりません。玄米につきましては、食品衛生法によりまして、一PPM以上のカドミウムを含むというふうにきまっておりまして、それらは食用に供されてはならないということになっておりますので、私どもはそれを受けまして、この政令  でもって指定をし、措置を講じております。ただ、野菜等につきましては、現在食品衛生法によりまして規定されておりませんので、それらの規定を待ちまして、私どもはそれらのおそれのある土壌等につきましては、対策、規制その他の措置を講ずることを考えております。  それから、アサリその他の問題でございますが、これは土壌汚染防止法の問題ではなくて、食品衛生法の問題だと思いますが、カドミウムにつきましては、厚生省が検討中であろうというふうに考えております。
  260. 有島重武

    有島分科員 いま環境庁にそんなことを聞いているんじゃないんですよ。いまのところ、これは野放しになっておるから、環境庁じゃどうにもならないから、このことは規制をおつくりになるべきではないかということを農林大臣それから厚生省の方のほうにいまこちらが御提案申し上げている。それについて大臣……。
  261. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農林省が国民に良質な食糧を安定的に供給するという任務から考えまして、そこにもう一つ、良質の安全な食糧という考えを入れていくことは、もう当然のことだと思うのであります。  そこで、相当量まとまっておるものとして米については基準が設けられたのでございまするが、ただいま御指摘の野菜類につきましては、多種多様のことでございまして、農林省側として考えまするときには、いま前段で申し上げた趣旨にあるわけでございますから、できるだけ安全な、安心のできるものでなければならないという趣旨からいたしますならば、早くそういう基準がつくられて、また農林省としてはその基準に基づいての行政指導をやることは当然だと思います。
  262. 有島重武

    有島分科員 厚生省は来ていますか。——それじゃけっこうです。それでは農林大臣のおっしゃったのは、可及的すみやかにこの野菜のほうのカドミウム規定をなさる、そうおっしゃったことですか。
  263. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま申し上げたように、野菜についてまた御指摘のものについてきわめて多種多様にわたることでございまするから、農林省の立場からいえば、その良質な安心のできる品物の供給という立場にございまするから、そういう基準かすみやかにつくられることを期待をいたすものでありますけれども、これは私、正直に申し上げまして、きわめて多種多様なことでもあり、ある汚染地域のものについてはどうこうというようなことでも、早く何か基準がつくられればよいと思いますけれども、何ぶんにも技術的、専門的なことでございますので、私どもとしては、好ましい姿勢としてはそういう基準が早くできることを期待したいのでありますけれども、さてそれから先というものは、なかなか専門的なことでございますので、私の期待どおりにいけるものかどうか、若干その点は正直にいって危ぶんでおるものでございます。
  264. 有島重武

    有島分科員 大臣、期待しておるのは国民の側でございまして、大臣が期待しておるというようなおことばでは、たいへん心外であろうと思うのです。大臣は、その方向に努力する、そう言っていただかないとおかしいのではないかと思うのです。これは期待したいのだけれども、何ぶんむずかしいようだ。だけれども、そうならなければならない。期待しているのは国民でございます。安心な食物を供給していただきたい。ついては、はっきりした基準をつけていただいて——こういうものがすでに出荷されているのです。  それから因果関係がはっきりしないというようなことでございますけれども、米ならば、私ども、一日の摂取量というものが大体きまっているから、年間の摂取量がきまっているから、これだけのものときまるけれども、野菜などはそれこそ食べるほうも多種多様でございまして、その影響力もいろいろであろうというようなことはあるけれども、この累積というものはたいへんなものでございます。ですから農林大臣、その方向にこれからも努力する、そういう御決意をひとつ聞かせていただきたいと思うわけであります。
  265. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そういう方向に努力をするということについては、私異論はございません。ただ、私がきわめて用心深く御回答申し上げておるのは、一般的にいまあげられたそれぞれのものがみなカドミウムの汚染があるがごとき印象を与えてもいけない。なかなか私どもの答弁というものは前後のことがよく伝わらずに、あれもこれもたいへんなんだというようなことで、不必要な不安感を起こしてもならない。おそらくきょう有島委員が御指摘になっておるのは、ある土壌汚染地区からの産物についてこういうPPMが出ているぞということから、全般的な注意を喚起されておると思うのです。それらのことが国民のほうにすぐそのまま映ってもらえば非常にいいのでありますけれども、なかなかこうやって、私もいろいろとしゃべらなければならない。そういう点でもし十分な理解なく、ただもう早く基準がつくられて、それによって一つ一つの野菜はみな検査しなければならないのだというような印象を与えてもいけませんもので、そこで用心深くお答えを申し上げた次第でございますが、先ほどから申すように、安心のできる良質な野菜供給のために私どもが努力をするということは当然考えられてよい、また考えるべきことだと思います。
  266. 有島重武

    有島分科員 ちょっと拡大解釈と、何かすりかえみたいなところがあると思いますけれども、この汚染地区から出ている野菜がそのまま野放しで市場に出回っているということなんです。そのことについてはやはり考えなくちゃならない。それから、その野放しにしておくということは、これは大臣としての御責任であろうかと思うのです。そういうことの基準をおつくりになることについては、さっき前段でおっしゃいましたけれども、努力していただきたい、これをお願いいたします。
  267. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 汚染地区の関係についてのお話はよく理解ができます。
  268. 有島重武

    有島分科員 次に参ります。  玄米の一PPM以上のものは食品として許されない。磐梯地区の大寺六区というところは〇・九九五とか、湯川村というところは〇・九六一とか、会津若松から出るのが〇・九八六とか、こういう米が出ている。これは食品として認められるということになりますでしょうか、農林大臣
  269. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいま食糧庁の取り扱いといたしましては、先ほどお話しのありましたように、一PPMをこえるカドミウムを含む米については、食品衛生上有害ということになっておりまして、買っておりません。一以下のものは食糧庁は現在買い入れをやっております。ただ食品として認めるかどうかということになりますと、非常に形式的に申し上げれば、以下ですから、これは有害ではないということになるわけでございますが、そういう国民感情等を考慮しまして、現在配給いたさないという行政措置をとっておるわけでございます。
  270. 有島重武

    有島分科員 〇・九九五とか〇・九八六というものと一とは全然違うという扱いをしていらっしゃるわけですね。それでよろしいのでしょうか。
  271. 中野和仁

    ○中野政府委員 買う、買わないというのは、まさにおっしゃいましたような違うということにしておりますが、これを国民に配給するという観点からいいますれば、これは現在配給していないということでございますから、違いがあるかどうかということではありませんけれども、配給はいたしておりません。
  272. 有島重武

    有島分科員 それから、もう時間が迫ってまいりましたから先にいきますけれども、汚染指定地区というもの、これは土をばいで客土してその処理をする、そういう計画になっておるようであります。これは群馬県のほうでやっておるのですけれども、このような排土、客土の方法でもって汚染土壌の処理が万全にできるかどうか。現段階で汚染されていると思われる土壌は四万ヘクタールに及んでおります。これは、そういうような操作でやってみたときに、財政面ではどのくらいお金がかかるか。一番には効果があるかどうか、二番目にはどのくらいお金がかかるか、そういったことについて伺いたい。
  273. 小沼勇

    ○小沼政府委員 全体についての算定ではございませんが、対策計画を承認いたしました碓氷川流域地区では、カドミウム汚染農用地土壌の排土及び客土、地力復旧のための土壌改良資材の施用、それから再汚染防止対策といたしまして用水路の汚泥排除、承水路の設置、汚染防止観測田の設置等を含めまして、概算の事業費としては六億三千万ということでございます。
  274. 有島重武

    有島分科員 万全かどうかというほうはどうですか。
  275. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どものほうでは対策計画を策定するにあたりましては、先ほど先生の御指摘のように事業の効果あるいは費用とかいろいろ検討をいたすわけでございますけれども、カドミウムを抑制いたします場合の、吸収を抑制するための客土の量、溶成燐肥、客土と土壌改良資材との併用効果等を内容といたします現地試験を実施いたすことになっており、各地域の土壌条件に適合した科学的な対応方策というものを検証しまして計画内容を確定する、かような手続をとっておる次第でございます。
  276. 有島重武

    有島分科員 じゃ、いまその排土、客土という手法が、いまのところまだほんとうにこれでもって効果があるかないかということはこれから調べるんだ、そういうことですか。
  277. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 それぞれの現地で試験地をつくりまして、その具体的な試験地の試験の結果というものを考えながら計画内容を確定していく、こういうことにしておるわけでございます。
  278. 有島重武

    有島分科員 ここにございますのは群馬県報であります。これは公告でありまして、群馬県知事がこの事業計画を発表しておるわけでございますが、汚染を除去するための事業として、大体安中市、高崎市両方でもって百十八ヘクタールですか、この面積についてもうすでにこれは事業計画になっておりますね。ここでもって気になりますのは、どのくらいの土をはぐかというと十センチということになっております。それで特殊なところだけ、これは板鼻というところ、野殿畑というところ、あるいはほか二カ所ほどが十五センチ、それから中宿岩井というところが二十センチということになっております、深さです。で、これだけの浅さでもっていいかどうかということについてこれは疑義がある。カドミウムというのは一説によりますと土壌の表面にしかない。大体十センチか十二センチのところにあって深くにいくことはまれであるというような説もあるようでありますけれども、磐梯地区でもって私ども入手いたしました調査によりますと、第一層をゼロから十二センチまで、第二層十二センチから二十二センチまで、それから第三層二十二センチから三十二センチまで、こういった調査をやりましたところ、大体第一層の六〇%ぐらいが第二層まできておる、それからさらに第三層のところも二〇%から二五%ぐらいまできておる、そういう調査がございます。原っぱなんかの場合には人が耕さないんだから、風でもって飛んできても水で流れてきてもそれほど深くはいかないであろうというような調査もしておる。ところが人為的な操作によらなくても下方に移行しているという結果が出ております。ですから、下層への移行ということが意外に多いようであるというような意見が出ております。で、こうした土を持っていって、ダムのようなものをつくって捨てるそうですね。それで客土をまた持ってくるそうですね。これは大臣お聞きになって、これはたいへんな操作であるということはお察しいただけると思うのですね。ダンプカーで持っていくのでしょう。それで雨が降ればそれが流れ出すというチャンスも十分あるでしょう。そういうようなことをしてこれがほんとうに汚染土壌の対策になるのか。しかもいまのところ推定汚染地区というのは五十万ヘクタールある、特別地区というのが五百ヘクタールになっておりますけれども、そのうちの指定地区が三万七千、大体四万弱、そういうようなことをしていてこれでだいじょうぶか、これはもう一ぺん御検討なさらなければならぬのじゃないか。  それにつきまして、もう時間もございませんから、これは私の耳学問に属するわけでありますけれども、私は緑化対策についてずっと仕事をしてまいりましたけれども、一つの汚染土壌の中でもって植物が汚染されるということを逆に考えてみますと、この植物を抜いたときは土壌の汚染はこの植物に吸われた分だけ減っているわけです。そうすると今度は植物を利用することによってこの土壌の汚染も減らすことができるわけなんです。そうするとお米なんかは一PPM程度でもってというようなことをいっておりますけれども、一PPM以上のものを吸うということはわかっておりまして、わらなんかも非常にたくさん吸っております。お百姓さんがわらを持ってきてまたそこでたいちゃう。たいてばらまいちゃうから、せっかくわらに吸われたカドミウムがまた畑にばらまかれているというようなことが起こっているわけであります。米なんかもそうでありますけれども、コンフリーとかヘビノネゴザという、これは一種の雑草でございますけれども、これは葉や茎に二千PPMからのカドミウムを吸う。そういう雑草もあるわけなんですね。そういった研究開発をやっているところがある。これは府中の農工大でもってやっていたと私は記憶しておりますけれども、こういうような研究を積極的にお進めになるべきじゃないか、それからまたこういうような実験をもっと広くやるべきではないか。現に富山県のほうではやっておられるようであります。  最後に農林大臣に、さっきも野菜について大臣は、何ぶん多種多様だからこれは押えるのはたいへんだとおっしゃいましたけれども、多種多様も同じどろから出てくるわけですよ。どろのほうの、土壌のほうの汚染を吸収していくということが可能ならば、これは全部解決するわけでしょう。それからそれを規制するのがなかなかむずかしいからとかなんとかいっていても国民の口に入っちゃえばこれはどうにもしようがないわけですよ。それでもう時間がございませんから農林大臣から一言、そういったような研究は御承知であったかどうか、なかったら、こういったようなことを土壌汚染を解消していくといいますか対策として大きくお用いになるべきではないかと私は御提案申し上げたい。
  279. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 先生のいまのお話でございますが、雑草の中で私ども試験をやりまして知っております限りでは二千PPMというような高さではございませんが、たとえばメヒシバの四十七PPMとかヘビノネゴザの十四PPMとか、これは土壌によって違ってまいりますので、何PPMとか一がいに申せませんが、かなり植物として高い濃度を吸い上げるものがございます。一方、いま環境庁から見えておりますが、環境庁のほうでは試験を現にやっておるわけでございます。ただ、私どもこれだけで片づかないと思いますのは、こういった雑草類が水田にはえますと草の量そのものがたいした量にならない。これがたとえ一トンぐらいはえましても、一トンの草がとれまして、そのうち四十PPM入るといたしましても十アール当たり一年間に四十グラムぐらいしか吸い上げない。土壌の表土が十五センチあるとしますと十アール当たり百五十グラムのカドミウムが一PPMについてあるわけであります。だからこれだけでいきますと非常に時間がかかる場合がある。なおまだ環境庁のほうでその試験をやっておられますので、その成果を見まして私どもも取り入れられるものなら検討していきたいと思います。
  280. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 カドミウムの汚染地域に対する対策が排土をしそして客土をする、しかもその深さについても問題があるではないかという御指摘をちょうだいいたしまして傾聴をいたしました。何としてもこの種の公害対策に万全を尽くすことは当然でございますが、現在公害問題についての技術開発という面におきまして、なお、幾多これから変遷があると思うのです。非常に素朴なようではございますが、ひとまずそれによって汚染地域に対応できるということで、せっかく汚染地域の指定をいたし、順次排土、客土の仕事をしておるということで、私としては当然しないよりはこういうことでもどんどんやっていくということがいいのではないか、そのうちにいまお話しのようなほんとうに吸収力の高い草利用のようなことがより効果があるということになれば、順次それに切りかえていくということもそれこそけっこうなことなのでありますから、いずれにしてもこの土壌汚染に対してこれからもっと真剣に取り組んでいかなければならないということを申し上げてお答えにしたいと思います。
  281. 有島重武

    有島分科員 大いに努力をしていただくということをここでもって表明していただいた、私はそう伺うわけでございます。日取後に、農林省がいままでやってらっしゃったことは、これはすぐに材木として使えるものである、ですから杉、松、ヒノキ、こういうことになりますね、それからあとは桑とか米とか蔬菜とか、そういうふうにすぐ直接人に役に立つほうのそういった御研究についてはいろいろやっていらっしゃったと思うのですね。今度はいまのように雑草が公害の防除に役に立ってくれるというような、雑草そのものを育てるのじゃなくて、雑草が土壌を浄化する可能性がある、こういうようなことについての研究になると、ほとんど研究費が出てこないということがあるわけです。ですから、そういうような総合的な、植物によって人間の生活が栄えていく、そういうような循環の上からの御配慮を今後もお進めいただきたいと申し上げまして終わります。
  282. 細田吉藏

    細田主査 次に、金丸徳重君。
  283. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 たいへんじみなあるいは論じ尽くされた問題に過ぎるかもしれませんけれども、山合いの農業及び農民につきまして、どのようなお考え及び対策を持っておられるかについてお考えを承っておきたいと思って御通告いたしておきました。  なぜこんな問題をお尋ねいたすかということにつきまして、実は総論的に新しい農業時代を迎えて、その当然の結果として、米にかわるべき果樹なり蔬菜なり養蚕なりあるいは畜産、養鶏といったようなことに大いに力を入れてもらわなければならないと思っておりましたので、それらの巨細にわたってお伺いをいたした上で、そういう中において山合いという特殊地帯におけるこうした問題に、どの程度、またどういうふうに対処なさっていかれるか、こういうことについて大臣の御所信を承って、これから私どもまた現地におけるいろいろの話し合い、その他において大臣のお考えをお伝えいたさなければならない、こんなに思ったからでございました。  それで実は高度成長政策が断行せられてからすでに年久しい。その間農業はもう私ここで申し上げるまでもなく、とほうにくれておるような暗い前途をずっと続けておりました。しかるに田中内閣成立以来列島改造といいますか、過密過疎の問題を特に取り上げてこられた。それで必然的にいままで怠られておったところの地方、農業、特にまたそういう考に立ちますれば、一番怠られておったところの山合いにおける力というものを、いままでおくれておっただけに、この際それを取り戻さなければならないと思っておるのであります。今度の予算及び政策においてこの点についてどういうふうに具体的に考えをお進めになっておられまするか、まずその大綱を大臣から承って、詳細につきましてまたあとで事務当局から承ることがあれば承っておきたいと思うのであります。
  284. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 金丸委員は御承知であられると思うのでありますが、山村振興法に基づきまして、振興山村を指定して各種の施策を行なってまいったわけでございます。この四十八年から第二次振興対策に入ったのでございまして、私としてはこの山村振興の対策が指定された地域にそれぞれ十分浸透して成果のあがることを期待しておるわけでございますが、このあと具体的にいろいろお尋ねがございますれば、それによってお答えいたしたいと思います。
  285. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 いままでの政策によりまして、いままでも山村振興あるいは急傾斜地帯、その他の山合いに対する対策というものは行なわれてまいった、行なわんとしつつあったやに承っております。しかしそれが現実にはなかなかそういっておらぬのじゃないかと思うのであります。ずっと山合いにおける産業の状況、農業の状況、人口の増減などというものはどういうふうに全国的に把握なさっておられますか。私は山の国に生まれまして、たびたび山の中に入ってまいります。そのつど嘆かれるのは人口が減っていく、これ以上ここにとどまっても前途全く暗いばかりだという嘆きの声であるのであります。農林大臣はこれをどういうふうに全国的におつかみになっておられましょうか。
  286. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 過密過疎問題が起きまして、今後はひとつ均衡ある国土の発展をしたいということで田中総理の列島改造の発想にも盛り込まれておると思うのであります。これは言うまでもなく、高度成長経済の行き過ぎに対する批判またはそれに伴う反省ということからいまのような施策も打ち出されてきておると思います。でありまするから、現に、過疎地域になったということで地域住民にいろいろ影響を与えておりまするけれども、基本の大きな方針というものが変わりつつあるこの段階でございまするし、かてて加えて、ただいま申し上げた山村振興法による諸施策というものが遂行されてまいりまするならば、従来言われておったような過疎地域の悩みとか問題とかというものは順次解決されていくものである、またそうでなければならない、こういう立場で山村についての行政を考えておるような次第でございます。
  287. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 そうでなければならないと大臣はお考えになっている。私も、そのとおりと思います。しかし、今日まで十年以上たっても過疎の傾向というものは減らないのが全国的な状況ではないでしょうか。新聞その他によってだけしか知る以外にないのでありますけれども、しかし、私の県ばかりでなくて、どの県へ行っても、山へ入りますとそのことが嘆かれておる。今度列島改造によって過疎地帯を解消するんだと言われましても、実際にその政策の状態を承っておりますと、それはたとえば農業政策を見ましても、農業として何とかやっていけるようなところについてはそうであるかもしれない。しかし、平地の肥沃なところであってもなかなか容易ならざる現代の日本の農業において、いわんや日照時間が足らない急傾斜地帯だとか、田畑それ自体を耕すことさえもよそよりも苦労の多いようなところにおいて、そこへとどまって、山村振興という声だけを聞いて将来を楽しんでいるというわけにはいかないように思われる。私には、真実そういうふうに響いてまいるのであります。そこで、いままでとは違って、新しく迎えた農業時代にふさわしい強い政策というものがよけいに山合いにとられなければならないのだと私は期待いたしておったのでありますが、本年度予算につきましては、たとえば山村振興計画その他において、大臣のそういうお気持ちというものが、そうでなければならないという立場においてどの程度実現されておられるか、どう御期待してよろしいのか、承っておかなければなりません。
  288. 小沼勇

    ○小沼政府委員 大臣お答えを若干補足させていただきますが、山村と過疎と若干違っておりまして、御承知のとおり、山村振興法指定の振興山村と申しますのは、林野率七五%以上、人口密度ヘクタール当たり一・一六人未満の旧市町村ということで、市町村数としては千百九十九ございます。一方、過疎地域対策緊急措置法というのが別にできておりまして、この過疎は、人口減少率を、過去五年間で一〇%以上の人口減少率ということで押えておりまして、財政力指数が〇・四未満の市町村ということで、これは一千四十七、こうあるわけであります。一千百九十九の山村と一千四十七の過疎村ということでございますが、実際にはダブっている部分がございまして、その中で山村と過疎がダブっておりますのは六百三十七という状況で、そうしますと純山村が五百六十二、純過疎村が四百十、そういうことでございます。  ただし、先生指摘のように、おそらく、山村も過疎も含めて今後どういうふうに積極的に改善していくのであるかという御趣旨であろうかと思いますが、それにつきまして、過疎のほうは、実は私どもよりもむしろ自治省が主管でございます。山村のほうは経済企画庁と私のほうが中心でやりますけれども、四十八年度につきましては、四十三億六千百八十九万円山村振興対策関係予算を計上しておりまして、先ほど大臣が申されましたように、新しく第二次の山村振興地域のいろいろの特別対策事業を開始するということを考えております。  また、従来からやってまいりました振興山村の特別開発事業の残っておる部分についても進めてまいるわけでございますが、そのほかに、一応従来から続いておりました山村開発センターの設置事業につきましても、四十八年に残事業を行なうということでございまして、総合的にこの山村の振興をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  289. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 その山村の振興をはかるためにいろいろと今日まで旗を掲げてきたのでありますが、なかなかその旗どおりにいかなかったというのが今日までの現状ではないでしょうか。そこで、最近になって、都会におけるいろいろな問題からして、ややUターン傾向が見えてきた。私もこれに一るの希望を持ちながら、山村へ入るたびごとに、やがてまた諸君の前に明るい灯が見えるであろう、政府はそういう政策を強くとってくれるだろうということを、もう事あるごとに説いてまいったのでございます。そのUターン傾向が、最近またしてもいろいろな関係からして逆Uターンの傾向があるように思うのでありますが、これはどういうふうに見ておられますか。いままでいろいろな政策がとられてきたんだけれども、現実にはどんどん人が減っていく。一〇%以上のときは手当てをしたんだけれども、それじゃ三%、四%だって減ることは困る。全国的にはたいへん困る現象を起こすのですが、最近はどういうふうに見ておられますか。これは大臣にお伺いするよりも、事務当局のほうがむしろ数字的にわかっておると思うのですが……。
  290. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほど申し上げましたように、地域を指定いたしまして、鋭意この山村の振興につとめてまいったわけでございまして、確かに、山村地域におきましては、農業経営、林業経営をやるについても、経営的に見た場合に、平地農村などと違いまして経済的にも立地条件がよくないという面は確かにあるわけでございまして、そういうものをカバーする意味で、生産基盤の整備あるいは近代化施設の整備、また、環境整備事業等をきめこまかくやってきてまいっております。ただ、全体としての日本の経済の動きの中で、労賃の高い都市工場地帯へ若い労働力が移動していくという傾向が進んでおりますが、そういう傾向について、なかなかそれを阻止するということにはまいらぬと思いますけれども、ただ、最近におきましては、やはり、空気のいい、自然環境のいい山村地域に戻って農業をやりたいという者も出てきているということは私ども感じておるわけでございまして、今後の新しい山村振興ということを目ざして第二次の事業を始めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  291. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 そこで、制約された時間ですから話を次に進めますが、林野庁長官に伺います。  最近における山の安全度というものは、だいぶこれはむずかしいのですけれども、治山治水の関係から言いまして、山が荒れだしているような気がしてしようがないのですが、そういう意味において、これも全国的規模においてあなたはどういうふうにごらんになっておられるか。
  292. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のとおり、一昨年の例をとりましても、台風等によりまして集中豪雨が出ますと、相当被害を受けた地帯が多いわけでございます。実は、山の保全の問題につきましては、治山治水緊急措置法によりまして五カ年計画をつくっておるわけでございます。四十七年度からは第四次五カ年計画を策定いたしまして、それは第三次の治山治水計画の約倍になっております。特に重点としますところは、災害が起きたあとの復旧事業より、起きる前の予防治山ということにつきまして重点を置きまして、そういう治山事業に相当力を入れてやっておるつもりでございます。
  293. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 そこで、私は端的に申し上げるのですが、山が非常に荒れだしている。また、荒れだしてやむを得ない状況だろうと思うのです。といいますことは、山の中に住んで山を守ってくれる人、山とともに生まれ山とともに死ぬ人たちが減っているのです。そういうところで、あなたのほうで国有林について一生懸命いろいろ力を入れているけれども、民有林についてはなかなかそこまでいかない。ことに、最近はだいぶ上がったのですけれども、これは特殊現象で、いままでの状況からいったら、他の産業にはとても及びもつかないということからして、山に手がかからない。したがって、山は荒れほうだい。そして、山を捨てた人の家はつぶれほうだい。残っておるそのつぶれほうだいの家が、倉庫が、物置きが、やがて集中豪雨にあうときには、それが山崩壊の原因になっていくような傾向が出てきた。いままで米の増産のために汗水たらして石がきを積んでつくったたんぼは、捨てられておるがゆえに、その石がきはくずれていくのです。水溝もくずれていく状況が、高い山のほうから自然に下のほうにまで及んでくると思えてならないのであります。これはたいへんなことだと私は思うのであります。今度の大臣の所信表明を承りましても、「農業者の創意に満ちた高能率の農業を育成するとともに、」というのはいままでの御方針だったと思うが、さらに、「農業者の生産生活の場である農村地域を人間性にあふれた豊かで近代的な高福祉の地域社会として建設していくこと」、そういうふうに育てなければならないということは、いままでの方針にはなかったものが今度初めてつけ加えられてきた。これは、私は、新しい農業時代を迎えて、そしてそれを主宰なさる農林大臣の大きな御所信であり、また同時に大きな責任だと思っております。これを実現するための力というものが、ほんとうに予算の面にも政策の面にも出てこなければいけない。農業一般についてそうであると同時に、特に、その農業の一番安全を期する山地の保全というものについては、この際、いままでとられたような旗じるしだけだ、かけ声だけだということでなしに、具体的に思い切った政策、思い切った措置、思い切った金がつぎ込まれなければならないと信じております。  したがって、私は、四十八年度予算についての農林省予算の内容に大きな期待を持っておったのでありますが、先ほど承りますと、御説明には出てくるのですけれども、具体的にこれほど強く力を入れているのだという具体案というものをお示しにならなかった。私は非常に残念ですけれども、いかがでございましょうか。
  294. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 山村の振興のために林業が盛んになる必要がある、林業の構造改善事業をやる、それから畜産を奨励する、あるいは地域特産物の奨励をする、こういうようなことで一応山村の振興の上に寄与をいたしたいと思います。それで、さらに最近の観光というような考え方も導入しながら進んでいく以外には、山村に対してのこれという重要な施策がなかなかないことをたいへん遺憾に思うのでありますが、それにつけましても、県道あるいは市町村道などの道路を整備する、また、山間部におきましては、今度、林道に対する考え方も変えまして、大いに林道をつけよう、こういうことでございますので、いろいろな施策を総合して、御指摘のような事態は、現在ほんとうに深刻なものがあると思います。  また、私どものやっておる施策が不十分なために、山が荒れほうだいで、せっかく林業をやっておる者も、他のもっと収入のいい方面へその労働力が流出するという、そういう傾向もあるのでございまして、現在の山村の振興というものが十分でないということは、私もその感を深くするわけでございますが、遺憾ながら、目に見えて山村振興のためになる施策というものが乏しいので、ただいま申し上げた畜産とか、地域特産とか、あるいは林業構造改善とかいうようなものを地道に推進してまいりまして、そして、最初に申し上げた過密過疎という問題が起きてくる、これからは過疎地域を十分考えなければならない、均衡ある国土の発展をしなければならないという、その中において山村というものが立ち直るようにつとめたい、こういうふうに思います。
  295. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 幾らいい空気、いい水に恵まれても、所得源がないとなかなか落ちついて住むというわけにはまいらない、私もそう思います。そこで、何とか所得源をつくってやらなければならない。いま大臣がおっしゃいましたいろいろなこともいままでにもとられてきた。少なくとも言われてきたことである。しかし、言われてはきたけれども、ほんとうに強力にやられていなかったところに問題がありたと思います。同時に、ほんとうに山を守るということが国土を守る一番の先決だということであるとしますならば、相当思い切った対策が練られなければならないのではないかと思います。これは私の思いつきですけれども、たとえば、いま自治省のほうでやっております地方交付税の算定、あれは人口というものが大きな要素になっておるのでありますが、しかし、人の要素だけで国土が守れるというわけにはいかないと思うので、国土を地方交付税の算定の基準に置くように、農林大臣から強く要求なさることもこの際たいへん大切なことではないか。山を守るところの山村の町村長としては、それを種にして、諸君、この山に住んでくれ、守ってくれというかけ声も号令もかけることができるのではないかと思います。さっき、林道についての新しい予算が強く盛られたということでありまして、私もたいへん安心いたしましたが、何か、そういう仕事をつくる。それも、いままでのような、ただ平にしておくということではなくて、ほんとうに山を守るために、水溝もしっかりした林道でなければならない。金はよけいかかるかもしれませんけれども、それが林道即山を守る道だということであれば、安いものになるのではないでしょうか。  もう一つ、これも全く思いつきで、どうもいけませんけれども、山村に働く人たちには、逆住民税とでもいうようなものを考えたらどうであろうか。住んでおるがゆえに住民税を取られるならば、逆に、住むがゆえに、住む経費というもの、住む報償というものをもらえるようなこともできないか。これはたいへんむずかしいことかもしれません。あるいは、山地にできたところの農業の生産物の価格というものは、平地でできたものよりも高く買ってやるんだ。これもたいへんむずかしいことかもしれません。しかし、私は、そうでなければならないと思う。山の安全というものが大切であると大臣はお考えになる。そうであるならば、この困難さを思い切って乗り越えて、山に若い諸君がUターンして帰って来て、ここにこそ若き生命の生きがいがあるんだというような感じを持つような条件を何とかひとつつくり出してやる必要があると私は思うのです。私は、櫻内農政というものはそういうことであってほしいと思うのですが、いかがですか。
  296. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 逆住民税というような方式も一つの案であるかと思いますが、過疎地域あるいは山村に対して、最初のほうにお話しになりました交付税を特別に考慮することも方法だと思うんですね。われわれは、山林に対して、責任ある行政の立場から、そういう点はひとつ今後とも強調してまいりたいと思います。また、山村地域であり、過疎地域だからといって、特別な施設が乏しいことであってはいけませんので、そういう点では、山村開発センターとか豪雪センターとか、あるいはコミュニケーションセンターとか、農林省外の面からも各種の施設をどんどんつくっていく、あるいは自然休養村であるとか、いろいろ構想があると思うのであります。これらを総合いたしまして、先生のおっしゃるように山村というものが振興できるように、また、同時に、山村というものが、国土の保全自然環境の保護の上に、そこにある程度の地域住民がおられることによってそのこともまた達成されるという認識を深めて、これからの山村振興施策をもっと強力に進めるということにつきましては、先生のおことばを十分尊重してまいりたいと思います。
  297. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 私、ちょうだいした時間がもうなくなってきましたが、いま大臣がおっしゃったいままでの施策、いろいろなところにいろいろなセンターをつくり、それにたよってというおことばでありますが、私もそう思います。思いますけれども、いままでの実績からしますると、それはついに山村に住む若い人たちの足をとどめるだけの力がなかった。また、政府の呼びかけもかよわかったのであります。ここで力強く信頼されるような呼びかけをしていただかなければならないと思うのであります。  そこで、これはちょっとおかしいのでありますけれども、環境庁長官の所信表明というものを私は参考に読ましてもらいましたが、「今日、国民は、経済成長の成果を享受しながらも、いままで営々と追い求めてきたものがはたして何であったかということに強い疑いを持ち始め、金銭であがなうことのできないきれいな空気と水、生き生きとした緑を求めております。国民の欲求に対する価値観は大きく変わってきております。一国の文明の度合いは、その国が、環境の保全にどれだけの努力を傾倒するか、また、破壊された環境の復元にどれほどの能力を有し、熱意を示しているかにあると言っても過言ではないと考えております。」と、環境庁長官は、今度の所信表明で申されております。私もちょうどそれと同じことを言って山地を歩いておったのであります。そこで、いままでの所信を承っておりまして、私は、農林大臣もおそらくこれ以上のお考えを持って、山合いの農村、農業地、農民に対してくださるだろうと信じます。そして、環境庁長官は、具体的に、何か自然の国勢調査をやりたいということを強く申されております。ただ、私は、これを見ておりまして、環境庁長官が申されるところの「自然の国勢調査」というものは、やはり環境庁なりの自然調査のように思われて不足であります。農林大臣、そして山を守る林野庁長官、ことにあなたは原案者であってもらいたいが、山の守護神であるあなたが、この山の自然調査を、この際ちょうど五年目ごとに来るところの国勢調査と同じような山の国勢調査を丁寧にやってもらって、こうあるから、こう心配されるから、農林大臣こそ、閣内においても、大いにがんばってくださいという原案をお立てにならなければいかぬと思うのであります。そうして、そういう中において、いま前途暗いままに非常に浮き足立っているところの山村の、山合いの農業者、住民諸君に、諸君待て、こう考えるから、将来はこうなるから、山のために、国土のためにひとつがんばってくれろという呼びかけを農林大臣から力強くおっしゃっていただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。もう私の質問時間が参りましたから、お答えだけ承って終わることといたします。
  298. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たいへんありがたい御所見をちょうだいして恐縮に思っております。ことに、山林林野の関係は、国土の中でも三分の二近いものを占めており、しかも、いま国民の健康の上に一番大事な、いわば自然の浄化装置だと思うんですね。そういうことを考えるとともに、やはり山林関係は十分な手当てをしてさえおりますならば、これはもう長期にわたる無限の資源である。現在、エコノミックアニマルと言われて、海外に資源をあさって、そうして、加工して賃かせぎをするということではなぐ、この固有の資源、また国民の健康の上に有効な働きをする山林林野というものを頭に置きますときに、そこにある山村のあり方について、もっともっと真剣に各種の施策を講じて振興し、また、その大事な山を守ってもらうように考えていくということについては、きょう先生の御所見を承りまして、一そうその感を深くしたわけでございます。
  299. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 どうもありがとうございました。
  300. 細田吉藏

    細田主査 次に、佐藤敬治君。
  301. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 おもに林野庁の方々にお伺いいたしたいと思います。  この前、二月十六日に、農林省からこういうものが発表になりました。「「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」」というものが閣議決定されて出されたわけですけれども、これに関して、まず二、三お聞きしたいと考えます。  これは、いわゆる林業基本法の第十条に基づいてつくられました林業政策に関する国の指標であります。したがって、これはいいかげんなものではない、しっかりした見通しのもとにできたものに違いないと思いますけれども、いかがですか。
  302. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のとおり、林業基本法に基づきまして閣議決定いたされたものでございます。これは、五十年先の日本の森林見通しでございまして、おっしゃるとおりでございます。
  303. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 お伺いいたしますけれども、さきに、昭和四十一年の四月にやはり閣議決定されて、同じような基本計画が出されております。この基本計画では、昭和五十年で国産材が七千六十万立方メートル、それから外材が二千九百四十万立方メートル、こういうふうになっております。しかしながら、今度の計画では、国産材で四千九百七十万立方メートル、それから外材で八千五百十万立方メートル、こういうふうになっております。それで、今度の計画と前の計画を比較してみますと、国産材では二千九十万立方メートル、外材では五千五百七十万立方メートル、非常に大きな差があるんです。四十一年にこれが設定されてからまだ幾ばくもたっておりませんけれども、これだけたいへんな、大きな差が出たということは、前の計画が少し甘過ぎたのではないか、見通しが大きく狂ったのではないか、こう思います。国産材で見ますと二千九十万ですが、外材で見ますと五千五百七十万と、二倍半くらいの大きな狂いを生じておるのです。こういうふうになっておりますので、前の計画というのは、いま言われましたようにしっかりした見通しに立ってつくったものとちょっと思われないのですが、御感想はいかがですか。
  304. 福田省一

    福田政府委員 先生指摘のとおりでございまして、この前の計画、四十一年につくりましたときの基本的な考え方でございますが、これは日本の森林資源を、木材生産を主とする森林と見まして、できるだけ木材生産量を上げようという考え方に立ったものでございます。今回の計画は、森林というものは、木材生産以外に、たとえば水資源涵養であるとか、あるいは土砂の流出、崩壊を防止するとか、あるいは環境保全のための森林であるとか、レクリエーションの場のための森林であるとか、いわゆる公益的な機能を重視したということが基本的な考え方でございます。もちろん、前にもそういった点はあったのでございますけれども、最近のそういう要請にこたえまして、公益的な機能を重視しましたために、森林の内容を前とは違えまして、施業方法を変更したという結果でございます。
  305. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 森林は、単一に利用するだけじゃなくて、多くの利用の方法があって、そのためになったほかは森林保護、こういう形から少なくなったと言いますけれども、それだけではなくて、まだ別の理由が私はあると思いますが、全くその森林保護の形からだけ減少するようになったのですか。
  306. 福田省一

    福田政府委員 蓄積の内容は、実は将来ふえるのでございます。ただ、そこから出る伐採量は減ってまいります。少し具体的に申し上げますと、前の計画では能率生産ということを主にしまして、大面積の皆伐を機械をもって行なうとか、森林の内容を、天然林の状態を、できるだけ早く人工林の状態にして、早くつくり上げるということで、木材の増産ということを主体に掲げたわけでございます。今度はできるだけ大面積の皆伐をやめて、小面積の皆伐にし、しかもそれを分散する。しかも、できるだけその間に天然林を残して、いわゆる天然林施業に重点を置いたものでございます。ですから、前よりも、できましたところの森林は天然林を主体にしまして、超伐期のものが相当出てまいる。したがいまして、そこから収穫されます材積というのは若干減ってまいるという結果になるのでございます。
  307. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 その説明、よくわかるのですが、少し数字が大き過ぎるのですよ。二千九十万と五割くらいも違うような、こういう大きな数字が起こってくるということは、森林保護の上からいけば非常にいいことですけれども、それだけの理由でこれだけ大きな狂いが出てくるということは、さきの見通しが少し甘過ぎたんじゃないかと思いますけれども……。
  308. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、数字の点は、比較した表があるのですが、きょうちょっと手元に持ってきておりませんので、あとでまた詳しく御説明いたしますけれども、考え方といたしましてはいま申し上げたようなことでございまして、どこまでも——現在ありますところの森林の蓄積の内容というのは二十億立方メートルでございます。五十年先には、これの二倍まではいきませんけれども、二倍近くまでふやそうというふうな考え方に立ちまして、保続を原則として、天然林を主体とした森林の造成という考え方から伐採する数量を落としたということがそういった数字にあらわれてくるわけでございます。  年度ごとの比較につきましては、あとでまた新たに資料をもって御説明申し上げたいと思います。   〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕
  309. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 それでは、外材のほうの、この大きな見当違いはどういうことですか。
  310. 福田省一

    福田政府委員 外材国内材お話をします前に、もう一つの表の需給見通しでありますが、この需給見通しにつきましては、前回の考え方は、基本的には、まず需要量を押えまして、その需要量に対して国内生産量はどのくらいになるかということを出します。したがいまして、需要量と生産量との差額は外材輸入するんだということで、単純に割り切っているわけでございます。ところが、今回は、当初見ましたときよりも、経済の成長が、伸びが非常に大きかったために需要が相当増大しております。それから逆に、国内生産量が、いま申し上げたような理由によって伸びが芳しくないということがございます。  さて、その差額であるところの外材がはたして輸入できるかどうかということが大きな問題点でございまして、前計画に比べますと、やはり輸入に非常に大きく期待しなければなりません。すでに先生も御承知かと思いますけれども、最近では、外材輸入ということは、差額を輸入するといっても、そう単純に入りません。将来は、これに対しましては、開発輸入という考え方に沿って輸入していきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういった理由で外材を相当大きく入れなければならないということになったわけでございます。
  311. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 この計画はしっかりした見通しに立ったと、こう言っておりますが、前の計画といまの計画と比べてみると、非常に奇妙なことが目につくのです。というのは、四十一年の計画によりますと、実績によるところの外材率、これは三十五年には一三・三%、四十年には二八・六%、四十四年には五一・〇、四十五年は五五・〇、四十六年は五四・七と、年を追うて年々どんどん高くなっていっているんです。ところが、今度の新しい計画では、五十六年が六三・二%、六十六年が六〇二%、九十六年が三八・三%と、どんどん少なぐなっていっているのです。これで、前の計画の実績と今度の計画とが何かうらはらになっているような感じを私は持っているのですが、これはどうですか。片方は、外材率がどんどん実績が高くなっている。それにもかかわらず、今度の計画ではどんどん外材率が低くなっていっておる。これはどうもちょっとおかしな感じを受けるのですが、どうですか。
  312. 福田省一

    福田政府委員 前の計画は、実は五十年先を見通したものでございまして、その際には、国内の自給率は九〇%まで高めようという計画に立っておるのでございます。今回の計画は一応五十年先を見通してはございますけれども、木材需給見通しの五十年先ということは、一応の計算の基礎はございますけれども、なかなかむずかしい問題でございまして、今回の計画では、二十年先のところを一応確実な線と見て、参考までに五十年先をあげております。五十年先は、前回に比べまして、外材輸入率、逆に申しますと自給率は、前の九〇%でなくて、約六〇%台というふうに落としておるものでございます。それは、いまお話があったように、食糧と同じように、できるだけ国内の自給率を高めたいのではございますけれども、需要の伸びも、いま申し上げたような森林計画基本方針に基づきますと、どうしてもその程度までしか自給できない。したがって、外材に依存し、開発輸入の方式をもってこれを補給するいこういうことにいたしたわけでございます。ピークは、昭和六十一年の六四%というのが外材輸入率の最高でございます。
  313. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 そうしますと、前の計画と違って、今度の計画は絶対に自信がある、二年や、三年で狂うようなことは絶対にない、こういう自信を持っておるということですね。私は、それは非常にけっこうだと思います。ぜひひとつ、これが狂わないように計画してもらいたいと思います。  ただ、いまも長官お話がありましたが、二、三心配される点があります。今度の計画では、輸入木材が現在五千五百万立方ですけれども、これを五十六年には八千五百十万立方にするい六十六年には八千八百六十万立方にする、こういうふうにここに書いてありますね。これに関しまして、いまも長官からいろいろお話がありましたが、たとえばアメリカでは、三月一日に原木輸出の禁止法案が上院に提出される。いわゆるパクウッド法案ですね。こういうものが出てくる。これなんかを見ますと、これは非常にきびしい法案でして、はたしてこれでほんとうにアメリカから外材が入ってくるのか、こういうような懸念が非常に強いのです。七七年かになりますと全面禁止をするということまで書いてあるような、非常にきびしい内容の法案なので、はたしてこれでもって——外材の四分の一はアメリカからもらっていますけれども、この計画どおり実施することができるかという懸念ですね。あるいは、カナダでは、製材でしか、もう輸出しない。あるいはフィリピンでも、三年後には原木の輸出を全面的に禁止をする心ソ連はたくさんあるようですけれども、輸送手段や何やらで、一括契約等でなかなか思うようにできない。こういうようなことがありまして、この計画でそう簡単に約三千万立方メートルが確保できるかどうか、非常に疑問なんですけれども、その点の見通しはどうですか。
  314. 福田省一

    福田政府委員 少し個別に申し上げてみたいと思いますけれども、いま外材として一番日本に多く入っておりますのは、南洋材でございます。ただし、用途は、先生承知合板の原料としてのラワンでございます。それから、第二が米材へこれはカナダ材を含めての米材でございます。その次がソ連材、ニュージランド材というふうになっておるのでございます。  今後の見通しはどうかということでございますが、アメリカは、いま先生から御指摘がございましたように、針葉樹は主としてロッキー山脈から西のほうにございまして、アメリカ自体もすでに過伐の状態になっておりまして、これはもう増伐はなかなか困難でございます。したがいまして、対象といたしますのは、現在のアメリカの材を現在以上にふやすということはなかなか困難でございます。むしろ、現在の量を維持するということと同時に、内容を、製材というか、角材とした形で輸入するということでいかざるを得ないと思っております。  それから、カナダでございますが、カナダは資源も非常に豊富でございますが、あの国はやはり原木、いわゆる丸太の状態では出してくれません。いまでも製材輸入でございます。ですから、今後、こういったカナダ材は、製材された形から、なおもっと加工された建築の部材の形で入ってくると思うのでございます。日本の建築もそれに合わせた規格に持っていかなければならぬというふうに考えております。  それから、ソ連材につきましても、相当、量は相当ございますし、日本は二十億立方と申しますが、ソ連は八百億立方もあるわけでございます。シベリア地区だけでも五百億立方もあるわけでございますが、あるからといって、すぐ持ってきて買えるわけではございません。鉄道、港湾、道路の設備、それから労働力、いろいろと問題もございますが、やはり、日本海の向こう側の資源というのは一番期待できると思います。その辺の折衝もやってみたいと思っております。  それから、南方材につきましては、いま御指摘がありましたように、フィリピンはすでに問題でございます。昨年も相当の災害が出まして、これ以上はとれない、むしろ緑化のほうに重点を置かなければならぬ、こう言っております。したがって、重点は、南方ではインドネシアでございます。インドネシア自体も、日本がやはり原木のままで持っていってあとを非常に荒らす、ラワン材が非常に少なくなってきているではないかということで、またアメリカのように輸出の禁止をするというような法案が出たようでございます。これは一応通りませんでしたけれども、そういうことで、インドネシアを対象といたしますが、向こうのインドネシアの林野庁長官なんかも、昨年参りましても、やはり言っておりますことは、日本では原木を持っていってあとを荒して困る、あとを緑化する、あるいはいま切っておるラワン材以外の利用を考える、向ごうで加工し、向こうで生産して、製品を向こうの国にも供給し、日本にも持ってくるというような方式をとってもらいたいというような要求が強いわけであります。ですから、先ほど開発輸入ということを言いましたのは、日本の持っております技術と資本を向こうに受け入れてもらい、向こうのためにも、緑化をし、加工をし、その製品を日本に輸入をするというような方式を考えます。なお、そのほかに、南アメリカのブラジルであるとかあるいはアルゼンチンも、現に日本からも進出をしております。そういったところも期待できると思います。  そういう方向で、将来も相当外材をふやさなければなりませんが、何と申しましても、いま申しましたように、加工した形で、しかも向こうの国との協力の形で輸入していくように持っていきたい、かように考えます。
  315. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 ちょっとお伺いしたいのですが、加工した木材輸入するということになると、日本でも大きな問題があるのですがね。製材工場の問題が出てきます。日本には二万四千五百四十六という製材工場があって、二十五万四千人の労働者が働いているのです。これから国内材が非常に少なくなって、外材が、お話ししましたような大きな数字になってきまして、しかも、それがほとんど製材で入ってくる、非常にとまかい製材で入ってくるということになると、製材所、それから働く労働者、こういう問題が非常に出てくるのですが、これに対してはどういうふうに考えますか。  特に、さきの方も質問していましたが、これによって製材所がつぶれ、労働者がどんどん出ていって、一そう農山村の過疎ということに拍車をかける結果になりますけれども、この点についてお聞かせいただきたい。
  316. 福田省一

    福田政府委員 先生指摘のとおりでございます。現在ありますそういう製材工場あるいは建設関係の大工さん、そういった方々のことを考えると、いま申し上げた材木で持ってくることは大問題でございます。したがいまして、その規格をどのようにしていくか。できるならば、向こうで流通している規格をそのまま日本に使えるということが一番望ましいわけでございますけれども、いま申し上げた日本の製材業あるいは日本の建設業の方々がすぐ問題にならないような構造改善事業というものをやはりあわせて考えていかなければならぬと思いまして、建設省住宅局と協議会を持ちまして、ただいまそういった方向について検討を開始しているところでございます。
  317. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 そうしますと、いまの考え方をずっとあれしますと、いろいろなこういう状況の変化にもかかわらず、長期見通しというものはだいじょうぶこのまま維持していける、こういうことですね。
  318. 福田省一

    福田政府委員 さように考えております。
  319. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 それから、先ほどの資料の中にこういうことが書いてあるのですね。いわゆるパクウッド法の出てきた一つ原因として、「最近日本業者が国内業者の買値を」国内ということは、アメリカですね。「国内業者の買値を二、三倍上回る高値で大量に買いあさり、批判が高まっており、議会筋ではパクウッド法案の成立を確実とみている。」ということが出ております。日本の商社が向こうで非常に木材の買いあさりをしている、ここいう商社によるめちゃくちゃな買い占めというものは、外国でも大きな問題になって、それが直接日本にも輸出禁止というふうなかっこうではね返ってきている、こういうことになっています。この外材を扱っている商社というものは、御承知でしょうけれども、約八十社内外ではありますけれども、その八〇%ないし九〇%というのは大手の十五社によって独占されておるのです。米材は三菱商事、日綿実業、日商岩井、丸紅、三井物産、住友林業安宅産業、トーメン、新旭川、伊藤忠、住友商事、山陽国策パルプ、兼松江商、アラスカパルプ、阪和興業、こういう十五社によって八〇%以上買い占められておる。それから、南洋材、ラワンは、同じような業者によって、この十五社によって八〇%以上買い占めがなされております。それで、この寡占状態がますます強まってくると、最近の国内需要の六〇%、東京では九〇%以上がこれらによって外材が独占されておる。流通市場を操作して、価格を操作して、どんどん価格をつり上げて、いまの木材が高騰している一つの大きな原因になっておる。  最近マイホームと盛んに言われておりますけれども、この間までは、家を建てるためには土地を手に入れれば、まず八割方家が建ったと言われておりますけれども、最近は、マイホームの敵は土地だけではなくて、木材が大きな壁になってきているのです。こういうことに対して林野庁は一体どういうふうな手を打とうとしておりますか、あるいは打っておりますか^それをお伺いしたい。
  320. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、昨年の秋から急激な高騰をいたしまして、特に、いまお話の出ました一般のマイホームを建設しようとしておった国民の皆さんあるいは建設関係の大工さんが非常な打撃を受けたわけでございます。しばしば陳情も受けております。従来、林野庁は、山の関係あるいは山から生産過程にあります素材生産業者とか、製材工場とか、市場関係、そういうふうな林業、林産業に従事する人のことを考えていろいろ重点施策をとっておりました。いま御指摘のありました点を考えまして、直接の消費者あるいは大工さんの人たち全般のことを考えた施策をとらなければならぬというふうに思っておりまして、先般、木材価格の安定の対策研究会というものをつくりまして、そこで、種々の、建設関係の代表とか、一般消費者代表、商社代表、木材業者代表、山林所有者代表等の意見をいただいて、年度内に施策を出したい、かように考えておるところでございます。
  321. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いま、木材に関しましては、国産材は林野庁が取り扱っているわけですね。ところが、外材は、輸入材に関しては通産省が取り扱っているのでしょう。いかがですか。
  322. 福田省一

    福田政府委員 取り扱うという意味でございますけれども、いま、外材につきましては、関税なり、そういうものは全然ございません。ごく一部加工された合板であるとか、十六ミリ以下の板とか、全部自由化しておりまして、外材輸入につきましては、昨年の秋までは、国内林業を圧迫するので何とか規制しなければいかぬじゃないかという声もありまして、外材需給対策検討会というものを設けまして、そこでいろ検討しておったのでございます。しかし、通産省のほうとは全然折衝がないかということになると、通産省と私たちのほうで常時連絡しながら、輸入関係については相談してまいっておるところでございます。
  323. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 そうしますと、この輸入に関しては、通産省は関係なく、林野庁だけでこの輸入計画は全部取り扱いができるということですね。
  324. 福田省一

    福田政府委員 林野庁でやるというわけでございませんで、通産省と一緒にやってまいっております。
  325. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 その点の通産省との連絡には抜かりはありませんか。ないと思いますけれども……。  それで、私は、いろいろな問題がございますけれども、国内の林産の状態が非常に悪いということは、外材輸入に対してもいつもひけ目を感じて、高いものを買わなければならなかったり、始終外から攻撃を受けたりすることがあると思いますので、外材輸入の確保もさることながら、やはり、国内林業の振興に大きな力を入れなければいけないと思います。これは単に林業だけでなくて、食糧面でも、国内にあるからこそ外に向かって強いことが言えるので、国内に何もなければ、言いなりに買わなければならぬ。こういうことになりますので、国内林業の振興ということは一生懸命やらなければいけない重要なことだと思います。これについては長官も同感だと思いますが、ところが、国内林業の最高のにない手である国有林の状態を見ますと、どうもうまくいっていないのじゃないかという感を非常に強くしております。下刈りや除伐あるいはつる切り、間伐、こういうようなものに対してはどんどん人減らしをして、手抜きをして、聞くところによると、国有林の成林率というのはたった五五%だ、半分は植えてもだめになる、こういうふうな数字さえ出ておる状態だと聞いております。したがって、国有林における手抜き施業というものは、いま盛んに言われている山荒らしの原因にもなっておるのじゃないかというふうに考えますが、そういう考え方で、この森林資源の整備の目標として、人工林を、現行の八百九十万から千三百十四万ヘクタール、あるいは天然林の整備を、二百七十七万ヘクタールから七百六十四万ヘクタールに拡大する、こういう計画をいま立てておりますね。ところが、いまちょっと申し上げましたが、今日の過疎現象、こういう深刻な林業労働力の現状からして、このことがはたして達成できるかどうか、私は非常に疑問に感じておりますが、こういう点についてどういう考え方をしておりますか。
  326. 福田省一

    福田政府委員 いままで申し上げました五十年先の森林資源の造成の見通しは、単なるペーパープランに終わったのではまことに申しわけないところでございまして、それを実現するためには、国有林ももちろん、民有林につきましても、その対策に細心の努力を払っていかなければならぬと思っております。  特に、いま御指摘がございました労働力の問題でございますが、国有林ももちろんでございますが、民有林におきましては、特に社会保障の問題であるとか、あるいは賃金水準の問題であるとかいうことが、ほかの産業に比べまして非常に低位にあるということが問題でございます。したがいまして、最近五年間に、民有林におきます林業労働力も、三十四万から十七万に半減しております。ただ、内容を詳細に見ますと、事業化されてきておるとか、やや長期になってきておるという傾向はありますが、これは相当憂うべき問題でございまして、そういう林業労働力を確保する施策というものをどうしても強力にやっていかなければならぬというふうに考えております。
  327. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 文部省の学校基本調査によりまずと、中学校卒で農業にとどまる者が、四十年にはたった三万八千二百五十一人、そのうちで林業関係にとどまる者が七百八十二人、それが、四十五年にはわずか二百五十三人、こういう調査さえ出ておるのです。これからの林業労働者を獲得することは、いまの状態でいくと不可能だという感じさえ強くするわけです。さっきからお聞きしますと、山村を中心にしていろいろなことをやっておりますけれども、現実の問題としてこういう問題が出てくれば、これから山を緑につくり上げるところの労働力を確保することは不可能ではないかと思います。政府が、過疎対策として、四十年に山村振興法、四十五年に過疎地域対策緊急措置法というものを設定したのですけれども、過疎現象は深刻になるだけで一向に直っておらない状態で、過疎化といいますのは、林政の危機、国土の荒廃と直結しておると思うのです。こういうふうな意味から、政府の責任は非常に重大であると私は考えます。  そこで、農山村を破壊し、緑の山河を荒廃させておるところの直接の責任者は林野庁だと思う。林野庁として、この過疎対策についてどういうふうな考え方をしているのか、雇用の拡大であるとか、あるいはいまちょっとお話しがありましたが、失業保険もなければ労働基準法からも適用除外をされておる林業労務者を含めて、雇用の拡大や、あるいはまた労働力の確保というものを具体的に一体どういうふうにやっていくつもりなのか、この点をひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  328. 福田省一

    福田政府委員 特に、民有林の場合の例を引いて申し上げるわけでございますが、民有林の場合については、一つは、林業労働力の雇用の長期化ということが問題でございます。それができますように、いろいろと補助制度等を考えております。  もう一つは、流動化の問題でございます。できるだけ一つの村から隣の村にも行けるようにする。そういった場合にいろいろな助成を考えておるというふうな流動化の問題。  それから、労働環境の改善。たとえば一例を引きますと、乗りものの問題であるとか、そういったものに対する助成とか、いろいろございますが、いま三つの例を申しました。
  329. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私はこれを強くお願いしたいのですよ。学校が悪いからといって村を出ていく人はいないのです。ところが、豪雪センターなり文化センターなりがりっぱになったからといって、それで村にとどまっている人もいないのです。やはり、人をとどめておくには、そこで生活の場を与えなければいかぬ。現在の山村というものは、国有林なり、あるいは民有林なり、ほとんどそういうものにたよって生活をしているのです。ところが、いまあなた方のやり方を見ていますと、営林署はつぶす、人は減らす、いろいろなことをして、この山村から生活の場を奪っておるのです。そういう場を奪っておいて、この山村を振興させるということは、これは考えられない。さっきも言いましたように、学校が悪いといって出ていく人はいないのですが、何ぼりっぱな豪雪センター、文化センターをつくったって、そんなもので生活の保障はできない。めしが食えなければみんな出ていくのです。問題はそういうことじゃないのです。そこの山村の住民がそれによって生活するところの場を与えなければならぬ。しかし、いまあなた方が行なっていることは、この生活の場を奪う、こういうことをやっているのだ、私は、そういうふうにしか受け取れないのです。  もう時間がなくなったのでやめますけれども、いままで長い間山村におって苦労してきたあの人たちから、どうか生活の場を奪わないようにお願いいたしたいと思います。林政審議会の答申にも、皆さんの出したこれにも、森林というものは、長い間地場と結びついてやってきたから、山村は振興させなければならないと、はっきりこのように書いてある。それを単なる作文に終わらせるのではなくて、ほんとうに地域の住民から生活の場を奪わないで、そして、そこで山村を振興さしてりっぱに生活していけるように、そういう施策をひとつぜひお願いしたい。そのためにこの間国会で議決されましたところの林業振興に関する決議、これは珍しく各党一致でやられておりますし、全国の自治体の決議をもって、ほとんど全国民の一致した支持を得てこれが決議されておるのです。どうか、これを十分に考えて、このとおり実行していただきたい。これをお願いいたしまして、やめます。  どうもありがとうございました。
  330. 山崎平八郎

    ○山崎(平)主査代理 次に、河村勝君。
  331. 河村勝

    河村分科員 ウンシュウミカンの暴落対策のことでお伺いをいたします。  四十七年度産のウンシュウミカンの価格暴落に伴いまして、ミカン農家が非常な窮迫状態にあることはもちろんでありますが、現在困っているだけでなしに、これから先のことについて、全くお先まっ暗で、非常に暗たんたる気持ちでおるというのがいまの状態であると思います。  そこで、まず、ことしの暴落対策としてとっておられることとして、三十万トンを隔離をして、ジュース、かん詰めに持っていくとか、そのほか制度資金の返済条件の緩和というようなことをやっておられるようでありますが、その実施している経過とその実績、それをまず伺いたいと思います。
  332. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 三十万トンの市場隔離につきましては、私たちといたしましては、十二月の末に決定をいたしまして、その後鋭意実施しておるところであります。まだ最終的な数字になってはおらないわけでありますが、目標としましては、私どもは、ジュース二十万トン、かん詰め十万トンという考え方で進めてきております。ただいままでに報告があったところでは、ジュースにつきましては、十七、八万トン程度まではやれそうだというような報告も受けております。それから、かん詰めにつきましては、前年度よりも十万トン程度多く加工かん詰め処理をするということも聞いております。ただ、かん詰めにつきましては、若干ジュースと違って、これは業態が違うわけでございまして、この業者は、とにかくかん詰めは、つぶして市場から隔離いたしますが、それをどの程度——一年間持ち越すか、この辺は、市況の様子を見ながらかん詰めについてはやりたいということを申しておるわけであります。
  333. 河村勝

    河村分科員 そうすると、あれですか、三十万トン隔離して、ジュースとかん詰めにするといっても、いまジュースについての十七万トンはやれそうだというだけであって、実績もよくわからぬ、結局二十万トンはできない、かん詰めについては市場まかせだ、そういうことになるわけですか。
  334. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ジュースにつきましては、鋭意さらにジュースにつぶすように努力をしておるわけでございます。  それから、ただ、最近値段がかなり回復してきております。そういうことで、むしろ出したほうがいいと農家が思っておられるというような場合もあるわけでございます。その辺のことも考えて、農協の経営のジュース工場が大部分でございますが、ジュースにつぶすことを努力をしておると私どもは承知をいたしております。  かん詰めにつきましては、当然、かん詰めにつくれば、つくっただけはなまミカンが市場から隔離されるわけでございまして、それを一年間持ち越すか持ち越さないかということは、一般の業者でございますとか、むしろそういうところにまかせてよろしいのじゃないかと考えております。
  335. 河村勝

    河村分科員 そういう、国で直接やる緊急対策のほかに、各県でいろいろな緊急対策をやっておるようでありますが、学校給食に回すとか、あるいは社会福祉施設へ供給するとか、いろいろな計画を各県で持っておったようであります。それに対して、農林省としては、県にそうした計画があれば、国としてそれを援助しようというような説明がこの問題の起こった一番当初にありましたが、現在、一体、どのようにそれは進捗をしておりますか。
  336. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 これは、県第二次対策といたしましては、二つあるわけであります。  一つは、県がやりましても、これは国が直接めんどうを見るというかっこうになったわけでございますが、ミカン生産者の再生産資金を低利でめんどうを見てあげるというような措置、そういうことを一つやりまして、さらにそれと別途に、県が、ミカンの消費拡大なり、あるいはミカンの出荷調整なり、あるいはミカンの加工能力——ジュース工場、加工施設の能力を向上するために措置するとか、そういうような事業についてめんどうを見ようということで、これは自治省の交付税のほうにお願いしたわけでございますが、現在これは各県で予算を計上して、各県議会で議論をしておる段階であるように私は思っております。
  337. 河村勝

    河村分科員 私、かつて、農林省から資料をいただいたのですけれども、そのときに、需要拡大策として具体的に各県から出てきているものの中に、たとえば、学校給食について五千五十一トンとか、あるいは社会福祉施設への供給四百六十六トンとか、そういった具体的な数字までもらったのですけれども、現実にこうしたものについて国が援助したという実績はないわけですね。
  338. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 これは、当初の計画として五千五十一トン、それから社会福祉が四百六十六トン、農村需要の拡大というようなことで二千九百七十三トン、こういうような数字を各県から集計いたしまして、そういったことをもとに自治省のほうに特交をお願いしたわけでございますが、各県が最終的にこれから若干変わったようなかっこうで処置しておるところもあるようでございますけれども、そう大きくは変わっていないという感じを受けております。
  339. 河村勝

    河村分科員 いずれにしましても、過剰生産状態になってしまってから措置するというのはほんとうに限界があって、海にでも持っていって捨てる以外、国で買い上げて、それができないとすればやれることは限られるわけです。ですから、生産農家としては、果樹というのは、私が申し上げるまでもなく、実際生産調整というのは非常にむずかしい。そこでみんな非常に苦慮しているわけでありますが、四十八年度についてはどういう見通しを持っておられて、需給の調整についてはどういう対策をとろうとしておられるか、それの輪郭を聞かしてください。
  340. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 実は、四十八年度の見通しというのは非常にむずかしい点がございまして、私ども、どのくらいということを非常に申し上げにくい点がございます。と申しますのは、四十七年産のミカンの生産がたいへんな豊作であったわけでございます。いままでこれだけ反収が高かったことはなかったと言われるくらい豊作であったわけでございます。こういうことがありますと、ミカンの場合には、通常表年裏年という隔年結果があるのを通例といたしますが、ことに、非常に豊作がありますと、そのあとはかなり作が悪いのではないかというようなことが懸念をされるわけでございます。したがいまして、過去の経験によりますと、一割ぐらい差がある。標準偏差から面積にある一定の反収をかけまして得られたものから一割くらいの幅におさまることが七〇%ぐらいであります。そういうことを言っておりますが、それ以上にわたる場合もあるようでございます。したがいまして、四十八年産のミカンというのは、実は非常に慎重な表現をさせていただきますと、五月の花を見たいというのが専門家の方々の御意見でございます。実は、過日も、果樹農業振興審議会——これは専門家の方々ばかりお集まりの会議でございますが、私どもも四十八年の問題についてたいへん心配でございますので、どういうことになるのだろうかということを、私どものほうからそういう専門家の方にお聞きしたこともございます。それに対しまして専門家の方々は、いろいろ花芽を調べたことも若干ありますけれども、まだとてもそれでは不十分なので、五月の花を見てから判断するほうが間違いがないのじゃないかということを言われておるわけであります。  荒っぽく幾らか思い切って言ってみろとおっしゃれば言えないこともないわけでございますが、そういった点は、私どもは、かりそめの数字を申し上げてミスリードするということになるといけませんので、その辺は私どもかなり慎重にしているわけでございます。四十五年、四十六年が二百五十万トン程度の生産でございます。昨年、四十七年産が三百三十万トンでございますから、私どもとしては三百万トンをこすようなことはないであろうというような見方をしておりますが、二百五十万トンよりは上回ることは当然でございまして、かなり幅をもって言ってもいいのだということになれば、二百七、八十万トンから三百万トンの間くらいかなという感じはいたしますけれども、私、ほんとうは、もうちょっと慎重に言わせていただいたほうがよろしいんじゃないかという感じがしております。
  341. 河村勝

    河村分科員 摘果の指導をやっておられるわけですね。これで、四十七年度で言えば、その間にある程度見通しがついたはずだと思うのですけれども、これによってどの程度の効果があって、それでいつごろ見通しがつくものですか。
  342. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 花は大体五月ごろでございますが、摘果は大体夏場にするようでございます。したがいまして、摘果した段階では、実のつきぐあいというものはある程度はっきりしてまいるのじゃないかと思いますが、昨年の場合には、労働力も足りなかったというようなこともございますし、また、昨年よりもさらに二年前といいますか、表年のときが比較的値がよかったということもございまして、摘果が必ずしも十分に行なわれなかったようなうらみもあるわけでございます。それで、昨年の場合には、本来ならば小さいミカンで、あまり商品価値がないようなミカンになるはずのものがかなり肥大をして、それが供給に回ったというようなことがあるようでございます。
  343. 河村勝

    河村分科員 大臣、いま農家で一番不満を持っておりますのは、私は神奈川県ですが、神奈川県のミカン農家なんかは、すでに数年前から、もう需要は頭打ちではないか——頭打ちというのは語弊があるかもしれないけれども、そんなに伸びやしない、伸びはずっと落ちるはずだということを農林省当局とも相当毎年議論をし続けてきているのです。ところが、農林省のほうでは、いや絶対ミカンの需要は拡大をするのだといって、全然一顧もしないで、それで既定方針どおりどんどん進めた。しかも、実際の栽培面積というのは、農林省で考えておるよりもふえておるようでありますが、その辺の政府指導によってこの供給過剰をつくった。昨年はたまたま豊作ということがあったでしょうけれども、それにしても過剰アンバランスになることはほとんどわかっておった。それにもかかわらず強引にやって、しかもめんどうを見ないというのが一番大きな不満なんです。政府の需要見通し並びにそれによる生産振興計画そのものが過大であったと考える以外に判断のしょうがないのですが、大臣、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  344. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この事実を一つ一つつかんでみたいと思うのです。そこで、植栽計画計画どおりに行なわれたかという点からいきますと、指導のいい悪いは別として、計画を上回ったということは事実だと思うのです。それから、よく私どもが申し上げておるのですが、天候は一体よかったか悪かったかというと、きわめて順調であったということも否定ができないと思うのです。それからもう一つは、隔年結果の年に当たるということも事実だ。そこで、これらの要素の積み重ねがミカンの生産に最も条件よく重なり合った、私はこういうふうに見ざるを得ない。そうしますと、残された問題は、いま御指摘のありましたように、体需要の伸びを正しく把握しておったか、あるいは植栽計画にしても、これは私は率直にいって認めておるのですが、よけい植えておるという事実はすぐつかめるのですから、それを県や国の段階で十分注意をしなかった、怠ったのではないかというふうに言われれば、それは否定できない。こういうことで今回のような事態になったと思うのであります。ただ、これからのことを考えまするときに、あれだけの増産ということになると、これは先生が神奈川で、私が言うまでもなく十分おわかりだと思うのですが、樹勢は衰えておると思うのですね。したがって、隔年結果ということは自然現象としてやはりある。だから、ことしは、先ほどから局長のほうから申し上げておるような、非常にラフなことを申し上げておりますが、ことしから相当減産するということは言える。そして、明年はというと、明年はことしの苦い経験をなめておりますから、ミカン生産農家の反省ということばがいいか、自粛ということばがいいか、そういうものが心理的にあらわれる、問題はまる二年後の五十年が問題だ、こういうふうに見ておるわけでございますが、いま役所のほうで立てておる需要がどうだというような点は、私はしろうとでございまするけれども、欧米諸国の需要の状況に比較すれば、もう少し伸びると見てもいい。そうしますと、その伸びに見合うところの植栽計画をしておるのでございますから、この植栽計画を、もし懸念があるならば、多少自粛をするくらいなところで、大体ことしのような問題を起こさずにいけるのではないか。そこで、この間関係局長の連名で、生産調整という意味合いではございませんが、実情に即しての植栽については十分注意をしてもらいたい、こういう指導をいたしたわけでございまするが、私としては、以上のようなことで、まずここ二、三年は問題を起こさずにいけるのではないかと見通しておるわけでございます。
  345. 河村勝

    河村分科員 昨年に、果樹農業振興基本方針の中で、ミカンについても、生産目標というか、国内消費量の見込みですか、これからの栽培面積の拡大の目標を設定されたようでありますが、それはどういう中身ですか。
  346. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 果樹農業振興計画でございますが、ミカンにつきましては、昭和五十六年度における見通しとしまして、四百九万九千トンから四百二十三万八千トン程度の需要見通しということでございます。五十六年におきます生産の目標は四百十九万二千トン、こういう数字になっております。その間の植栽が、前半の五年は一万五千ヘクタール、後半が一万ヘクタールということになっております。
  347. 河村勝

    河村分科員 そうしますと、これでどのくらいの消費量の伸びを見込んでいるのか、そして、そういう目標を立ててこれからも国で助成していくのか、その点をお聞かせください。
  348. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どもは、この消費の伸びは、個人支出の伸びというようなものとの相関を出しまして、それから人口の伸びといったようなことも計算いたしまして、ただいまのような数字を出しておるわけでございます。ただ、もう一つは、加工品につきましては、ジュースでございますが、さきの方の御質問にもございましたけれども、天然ジュースがかなり出回ってきつつあります。これについての評価がかなり高くなりつつあるという状況でございます。こういうものの需要というものはどの程度になるかということは、かなり御議論の余地のあるところでございますが、最近の果樹の伸びを見、これからこのくらいはあるはずだろうとか、また、欧米諸国の様子なんか見まして、学識経験者とか団体の方々、業界の方方、そういった方々とも御相談をしまして、加工品についての需要見通しをつくる、こういうことでございます。
  349. 河村勝

    河村分科員 ですから、いま思い出して聞いたのは、そういう目標を設定して、これから国で助成して、そこまで栽培面積を拡大していく、こういうことなんですね。
  350. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 栽培面積につきましては、先ほど大臣からのお答えにもございましたように、計画を上回るような栽培が行なわれることは、やはり今後問題を起こすわけでございますから、その範囲内にとどめるように指導をしたいというように考えております。それは助成の面でありましても、あるいは、いわゆる補助ですね、土地開発の問題もあるかもしれませんし、あるいは植栽についての金融の問題もあります。そういった面につきましては、全体の植栽の伸びの動きをよくつかまえながらある程度抑制していくということも考えていくつもりでおります。
  351. 河村勝

    河村分科員 抑制していくという意味は、いまの栽培面積で押えるという意味ではないのですね。これからもやはり実際の栽培面積の拡大状態を確認しながら、四百十九万トン生産できるようにこれからも生産振興をやっていこう、こういうことなんでしょう。
  352. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 つまり、この場合には、ミカン農業の振興をそういう目標をつくって振興していくという考え方であります。
  353. 河村勝

    河村分科員 今回こういう状態が発生した現在においても、この方針、目標、そういうものは変更はしないのですか。
  354. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 本年の状況だけを見まして、変更する必要があるかどうかということにつきましては、私どもは、いまの段階では変更する必要はないのだ——もちろん、四十七年の例をとりましても、植栽が私どもの予想いたしましたよりも進んでおることがございますから、そういうことを十分注意をしなければならないというようには考えておる次第でございます。
  355. 河村勝

    河村分科員 大臣、これからも生産振興を進めていく、こういうことですね。  今回の事態でも、非常な大豊作というような偶発事態が重なり合いましたけれども、やはり、いままでの国の行政指導に大きな責任があると私は思うのです。いわんや、こうした事態があって、しかもなおこれから生産振興を続けていくわけでありますから、今後こういった事態が起こった場合は、政府の責任というものはさらに大きいと思いますね。ですから、そういう事態が起こらないことを期待しますけれども、もし起こった場合どうされるか、それを最後に大臣にお伺いいたします。
  356. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の場合におきましても、われわれの行政指導の面に反省すべき点もあり、こういうことで、緊急対策について、不十分ながらもこれを行なったわけでございます。そして、ただいま御質問のごとくに、重ねてこのような事態を起こさないように細心の注意は払ってまいるわけでございまするが、かりにどうかと言われますと、なかなかお答えしにくいですね。そのときに再びまた、計画よりも植栽が、調べてみたら非常に多かったとかいうことになれば、その場合の責任農林省の指導にあるかないかというと、なかなかいまから予測で判断ができかねるわけでございまして、私は、この際お答えするのに最も適切なことは、今回の苦い経験にかんがみまして、われわれの指導の上においても、また、ミカン生産農家におきましても、お互いに十分な注意をして、重ねてこういう事態のないようにつとめる。特に、国全般の事情を見ておる農林省の立場でございますから、農林省には特にその責任がある。したがって、そういう事態を起こさないことに万全を尽くすということでお許しをいただきたいと思います。
  357. 河村勝

    河村分科員 終わります。
  358. 細田吉藏

    細田主査 次回は、明八日木曜日、午前十時より開会し、引き続き農林省所管について審査を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時三十二分散会