運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-06 第71回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月六日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 細田 吉藏君       仮谷 忠男君    正示啓次郎君       野原 正勝君    山崎平八郎君       安宅 常彦君    井上  泉君       上原 康助君    小林  進君       村山 喜一君    森井 忠良君       津川 武一君    野間 友一君       坂井 弘一君    松尾 信人君       小平  忠君    兼務 越智 通雄君 兼務 野田  毅君    兼務 大原  亨君 兼務 北山 愛郎君    兼務 山口 鶴男君 兼務 沖本 泰幸君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁長官         官房長     高橋 英明君         経済企画庁長官         官房会計課長  下山 修二君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         厚生省医務局次         長       信澤  清君         農林政務次官  中尾 栄一君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房予         算課長     渡邉 文雄君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君  分科員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         沖繩開発庁総務         局調査金融課長 松岡  宏君         大蔵省主計局主         計官      山口 光秀君         大蔵省主税局総         務課長     山内  宏君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         通商産業省公害         保安局鉱山課長 蓼沼 美夫君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      根岸 正男君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     村山 喜一君   小林  進君     井上  泉君   津川 武一君     柴田 睦夫君   坂井 弘一君     松尾 信人君   小平  忠君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     上原 康助君   村山 喜一君     八木 一男君   柴田 睦夫君     野間 友一君   松尾 信人君     坂井 弘一君   小沢 貞孝君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     森井 忠良君   八木 一男君     安宅 常彦君   野間 友一君     田代 文久君 同日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     小林  進君   田代 文久君     津川 武一君 同日  第一分科員北山愛郎君、第二分科員越智通雄君、  野田毅君、山口鶴男君、第三分科員大原亨君及  び第五分科員沖本泰幸君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算経済企画庁及び  農林省所管  昭和四十八年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 細田吉藏

    細田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  ごの際、政府から説明を求めます。小坂経済企画庁長官
  3. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 昭和四十八年度の経済企画庁関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち、経済企画庁予算総額は八百五十七億八千二百三十四万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、百四十二億六千百六十二万円の増額となっております。  この予算のうち、経済企画庁一般経費は百十二億六千八百三十五万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと四十八億一千六百七十五万円の増額となっております。  公共事業関係費では七百四十五億一千三百九十九万円を計上しておりまして、前年度予算額に比較いたしますと、九十四億四千四百八十六万円の増額となっております。  次に、特に重点として取り上げました事項について、その内容を御説明申し上げます。  まず第一は、物価局の新設及び物価安定対策推進に必要な経費であります。  物価問題は国民最大関心事であり、国民生活の安定のために政府のなすべき最重点課題一つでありますので、物価対策をより総合的かつ強力に推進するため、当庁に物価局を新設し、物価政策をより実効あるものにしたいと考えております。  このため、物価対策に資する情報提供パイロット事業等推進する経費及び流通問題対策調査等を実施するための経費として、三億四千百五十一万円を計上いたしております。  第二は、国民生活充実対策強化に必要な経費であります。  国民生活の安定及び向上に寄与するため、特殊法人国民生活センターの行なう国民生活に関する情報提供及び調査研究強化をはかり、また、消費者行政促進するため、地方消費生活センターを補助するとともに、新たに、生活環境整備余暇政策について調査研究するために必要な経費として、十億二千百七十九万円を計上しております。  第三は、国土総合開発推進に必要な経費であります。  わが国経済社会発展とともに、その高密度化が一そう進展することを考えますと、国土計画的かつ総合的な有効利用必要性はますます高まるものと思われます。  国土開発は、各省庁の施策の進展に待たねばなりませんが、当庁といたしましては、国土の総合的な開発にかかる各種公共事業調整を行なうとともに、総合的な水資源開発、離島、山村地域豪雪地帯振興対策促進をはかるほか、国土調査事業十カ年計画に基づいて国土調査促進をはかることとしております。これらに必要な経費として七百八十六億九千二百七十四万円を計上しております。  これらのほか、国民のすぐれた頭脳を結集し、総合的な研究開発推進するため、総合研究開発機構を創設して新しい研究開発体制整備をはかる経費として三十億円、また、各省庁の所管する経済政策推進し、かつ、その総合的効果を確保するために必要な諸調査の実施に必要な経費として三億円を計上しております。  以上、一般会計予算概要を御説明申し上げましたが、次に、経済企画庁関係財政投融資計画について、簡単に御説明申し上げます。  まず、海外経済協力基金につきましては、わが国国際的地位の著しい向上とその果たすべき国際的任務増大に対応し、アジア諸国等に対する海外経済協力の大幅な拡充をはかるため、事業規模として前年度に対し三百八十五億円増の一千六百五億円を予定しております。この内訳は、直接借款一千四百十億円及び一般案件百九十五億円でございます。  次に、水資源開発公団につきましては、五大水系における開発事業推進をはかるほか、すでに完成した施設管理等を行なうため、総事業費として、前年度に対し百二十四億円増の七百九十三億円を予定しております。  次に、東北開発株式会社につきましては、会社経営基盤整備強化をはかるとともに、内陸工業団地造成等東北開発促進にとって必要な開発事業を実施することとし、事業資金として、前年度に対し三億円増の三十四億円を予定しております。  最後に、北海道東北開発公庫につきましては、資金需要増大に対処するため、出融資規模として、前年度に対し百六十億円増の九百億円を予定しております。  以上をもちまして、経済企画庁予算並びに財政投融資計画についてその概略を御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。   〔主査退席山崎(平)主査代理着席
  4. 山崎平八郎

    山崎(平)主査代理 以上をもちまして、経済企画庁所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 山崎平八郎

    山崎(平)主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北山愛郎君。
  6. 北山愛郎

    北山分科員 分科会でありますが、私は総括質問の際の問題点について、若干ふえんをして企画庁長官見解を聞きたいと思うのです。  今度の再開国会での施政演説の中で企画庁長官演説は一番格調が高かった、こういうふうに私は考えているわけであります。「貧困の中の闘争の哲学を、豊かさを分かちあう協調の哲学に」、あるいは「豊かな心情がみなぎり、連帯感に満ちた社会を築く」とか、「新しい福祉社会への道」とか、いろいろりっぱなことばがありますが、格調が高いだけに現実からは非常に離れておるわけですね。経済社会のいまの現実を見ますと、こういうりっぱなことばとはまるっきり別で、むしろ虚構の繁栄であり、ギャンブル経済であり、ギャンブル社会の道ではないか、こういうふうに思われるわけであります。  そこで、国民の側から見れば、慢性的なインフレ、しかも物価高がますます激しくなってきておるし、その上に税金をはじめとする負担がふえてまいります。福祉は非常に低い水準に置かれておる。その上に、今度の政府予算の方針、中心目標である円の再切り上げを回避するという目標も、予算審議の途中であえなくもくずれ去ってしまった、こういうことであります。  そこで私は、その中で一番問題になるのは、総括質問の際にも申し上げましたが、いまの経済が、価値を生産する実体的な経済よりも、むしろ土地や株のギャンブル、このほうに傾斜をしておる、これが非常に大きな問題であると思うのです。こういう結果として富、そして所得の不平等というものが非常に拡大をするということなんであります。特に土地につきましては、経済企画庁でも、ことしの経済白書の中で、昭和三十九年から四十四年までの六年間の土地値上がり推定をいたしております。その六年間に宅地だけでも四十一兆三千億円値上がりをしておる。ですから、毎年平均で六兆九千億、約七兆円の宅地値上がりであるということであります。その六兆九千億の大部分、七七%は東京その他三大都市圏宅地値上がりである。こういうふうに推定しておるのですが、これは四十四年ですから、その後さらに土地値上がりというのはひどくなってきておるのですけれども、最近における調査推計、そういうものが企画庁にないかどうか、その点をまず確かめておきたいのであります。
  7. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 仰せのように、最近の経済インフレマインドというものが非常に浸潤してきておるということは、私も率直に認めざるを得ないと思うのであります。私の立場からいたしますれば、何とかしてこれを平静な正常な姿に戻すということのために努力するということを申し上げるわけでございますが、御承知のように、国連統計など見ましても、SNAでございますか、システム・オブ・ナショナル・アカウンツという考え方は、働いて物の価値を増殖したということが国民所得になるんだという考え方になってできておるわけでございます。ところが、最近の一部に見られますこの土地値上がり株式移転、あるいはその他の投機、こういうものは、ただ財貨移転ずるだけで、いわゆる価値そのものの増殖につながっていないのでありますけれども、その所得が非常に大きいという問題があるわけでございます。国際的なSNAによる計算方式によった計算わが国でもとっておるわけでございますので、わが国国民所得の中にはそうしたものが出てきていないというのが現状でございます。  ただいま御指摘のように、四十四年の統計で一応そういうものを当庁としてははじいておるわけでございますが、最近の実態は、その当時から著しく、いわゆる財貨移転だけによる所得キャピタルゲインとでもいいますか、そういうものがふえておることは確かにそうだろうと思われるのでありますが、残念ながら、そうしたものに対する数字を私は目下持っておらないのでございますけれども、なお、そのほうの専門の局長がおりますから、そのほうから、はっきりまた御答弁を補足させたいと思います。
  8. 新田庚一

    新田政府委員 先生指摘土地キャピタルゲイン数字は、昨年の経済白書の分析のために推計いたしましたけれども、四十五年以降の値上がりを含んだ推定はいたしておりません。
  9. 北山愛郎

    北山分科員 ところが、実際に土地値上がりはむしろ四十四年ごろからさらにピッチを上げて、特に、大企業土地の買収、買い占めに乗り出したその後の値上がりがひどいのですから、私の大ざっぱな推計から見ましても、今日では宅地だけでも十兆円以上一年間に値上がりしておるのではないか。ある学者は、これは力石さんですけれども、農地、山林その他を含めまして土地全体の値上がりが三十兆円だ、こう言っておるのですが、この学者見解について、企画庁としてはどのように考えておるか。三十兆円はないだろう、大体これぐらいだろう、こういうふうな見当はございますか。
  10. 宮崎仁

    宮崎(勇)政府委員 ただいまの御指摘のとおり、いろいろの調査がございまして、力石先生の場合には、いまおっしゃられた数字でございますが、そのほか証券会社あたり調査をいたしておりまして、その程度の数字もございます。たとえばある証券会社調査、東証第一部、第二部上場企業千三百一社の土地保有状況に関する調査によりますと、これは紙パルプ鉱業などの産業も含むわけでございますが、土地所有額時価は六十一兆円という推定もございます。ただし、その中から、森林などを非常に持っております紙パルプ、あるいは鉱業というようなものを除きますと、二十三兆七千億円という推定がございますが、いずれも推定方法等につきまして問題がございますので、一つ参考数字だというふうに解釈しております。
  11. 北山愛郎

    北山分科員 いずれにしてもものすごい土地値上がりなんです。ところが、これについて企画庁としては、先ほど長官が言われたように、土地値上がり価値を生むものじゃないんだ、ですからGNPからはこれは除外してある、計算には入れない、こういうのですが、これはしかし、理論上はそういうふうにいいましても、実際上は入ってくるんじゃないだろうか。たとえば不動産業をやっていれば、土地値上がりによってもうけが出て、それが法人所得に入ってくる。こういうものを集計していきますと、どうしても土地値上がりというものがGNPの中にまぎれ込むということは避けられないんじゃないか。あるいはまた農家の所得でも、最近では、農業の所得は三分の一で、兼業所得が三分の一で、あとの三分の一は土地の売り払い代金であるというふうなこともいわれている。いずれにしても、土地の売買によって所得を得た、あるいはまた売らなくてもそれを担保にしてどんどん金を借りて、そこから出てくる有効需要というものがあり、間接的に所得を生み出していくということがあるんですから、これは国民経済計算をするという経済企画庁としては、やはりみずから調査をしてみる。この土地値上がりというものはこれほど膨大であり、ちっとやそっとじゃないのです。ですから、その経済に及ぼす影響実態というものをつかむ必要があるんじゃないかと思うのです。ですから、調査がないと言われますが、その点は非常に企画庁として怠慢ではないか。これほど現実物価その他に影響を及ぼしておる経済実態ですね、それを無視して、そして理論上の数字だけをGNPとしてあげているということはおかしいじゃないか、そんなGNPならさっぱり役に立たないじゃないか、こういう感じが私は率直にするのです。この点について、どういう心がまえでこれからやろうとするか、長官からお考えを聞きたいのです。
  12. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 従来のノーマルな経済状況のもとにおいては、大体その土地値上がりGNPの増加というものがパラになっておる、並行しておるというのが、一般学者や、そういうことをやっている人の意見でございまして、私がそう申し上げるのは、日本不動産研究所というものをやっている櫛田光男君の御意見どもそうでございますが、あったのでございます。いまの国際的な国民所得計算からそうした財貨移転を除いておるというのも、非常に平静なノーマルな経済状態が前提になっておるためだと思うわけでございます。ところが現状は、いままさに北山委員指摘のようなことでございまして、異常な土地ブームと申しますか、異常な土地投機があることは現実事態でございます。私ども立場からいたしますと、どうしてもこういう異常な事態を冷やすことが必要だ、そのためには何としても過剰流動性というものを吸収する措置をとらなければならぬということで、日銀、大蔵省にもいろいろお願いをいたしまして、過剰流動性吸収のための預金準備率の引き上げとか、あるいは窓口指導をやるように、私どものほうとして強く申し入れをし、そうやってもらっておるわけでございます。  そういうことでございますが、もう一つのまた別の面からいいますと、この宅地値上がりというものは、非常に宅地が偏在しておるわけでありまして、いまの日本国土というのが、御承知のように三千七百万ヘクタールでございますが、その中で宅地の占めておるパーセンテージというのは一・四%しかないんですね。それと工業工場用地というものがございますが、これは〇・二二%ぐらいしかない。そこに大体都市集中で一億の半分ぐらいがいるわけでございます。ことに東京、大阪、名古屋というような、こういう大都市中心に三千三百万人の人が婿集している。そういうところから非常に宅地値上がりも大きいわけなんでございますので、そういう人口を散らすようなことを考えなければいかぬ。それが、いろいろ批判もございますけれども国土総合開発という考え方、あるいは日本列島改造という考え方になっているわけだと思うのでございます。片一方においてはギャンブル的なものを押えるということと、片一方においては人口をもっと国土全体に散らして国土総合開発をやっていくという、この二つ考え方でいくべきであるというふうに私ども考えておるわけでございます。  ただいま御指摘の、そういう調査をもう一ぺんやったらいいじゃないかということは、私もそう思いまするが、それはいたしますが、それよりももっと根本的にそういう問題をなくすことに努力しなければならぬというふうに存じておるわけでございます。
  13. 北山愛郎

    北山分科員 この点は、政策は次の問題ですが、まず実態をつかんでいないのですね。しかも経済に対する非常に深刻な影響があるわけですよ。かりに土地値上がりというものがあり、その譲渡所得が地代の先取りであるとするならば、もう何年か、あるいは何十年かの先取りをしている。それは必ず生産や生活負担がかかってくるでしょう。いわゆる土地の取り分が多いということは、産業発展経済の正常な発展からすればこれは重荷になるわけですから。  それから、いまのお話ですけれども、これは従来の政府政策の間違いは、供給をふやせばいいという考え方にあったと思うのです。実際の宅地需要、ほんとうの需要というのはそう多くはない。これはすでに建設省その他で必要な数量は計算されてあるので、それを計画的に確保するならば、それほど混乱がないのですよ。それを、宅地は足りないから高くなるんだというので、供給政策だけとっている。ところが、実際に家を建てるわけじゃない、あるいは工場をつくるわけじゃない中間需要ですね。いわゆる投機需要財産として土地を取得したいという需要、これがものすごく多くなってきたわけです。そこに問題があるわけであって、いまだに供給不足だから供給をふやせという考え方、これはもうすでに失敗しているのですから、むしろ、中間需要投機需要というものを押えるということに重点を置くべきじゃないか。たとえば東京の周辺だって必要な土地は十分あるわけですよ、それをすでに大手不動産会社その他が、いろんな調査によっても、建設省適地調査でも、市街化地域における適地のうちの四割は大手十五社が買い占めてしまっておる。こういう現実が、地価を上げたり、あるいは実際に必要な人の手に入らないような、そういう阻害要因になっておるのですから、それから政策をやるなら、そういう投機需要中間需要、仮需要というものを押えるということ、財産として取得するということを押えるということ、こういうところみ重点を置くべきじゃないか、こう思うのです。しかし、きょうの問題点はそうじゃなくて、経済的な影響ということを私は言いたいのです。聞きたいのです。  株についても同じですが、株については、御承知のどおりに、上場株時価総額というのは、昭和四十六年は二十三兆五千二百億、それが四十七年になると四十九兆五千四百八十一億で、一年間に二十六兆円も株が値上がりをしておるのですね。これはたいへんなことですよ。労働者の賃金だって、三千四百万の労働者が、一年間に春闘をやりベースアップをやってもらったって、五兆円ぐらいしかふえないのですよ。それが黙っておって株が二十六兆円もふえる。しかもその六割以上は大きな会社が持っているのですよ。ですから、会社所得というのは、本業よりも株の値上がりの利益のほうが多いでしょう。ここから出てくるキャピタルゲイン土地値上がりと株の値上がりとで何十兆円も、一年にあぶく銭というか、ぼろもうけをしておるという実態ですね。これは許しておけないんじゃないか、またここからいろいろなインフレ要因が出てくるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、これは真剣になって企画庁が取り組まなければならぬ問題です。私は、この二つ擬制資本の膨張といいますか、株と土地、これについて企画庁は一体どのようにこれから取り組んでいく考えであるか、この覚悟のほどを聞きたいのです。
  14. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 根本的な認識といたしまして、私は全く北山委員と同じように考えます。先般来も、この株の問題につきましては、田中総理自身も特に発言をされまして、特に、株式会社が持ち合って、そして全体の供給を少なくして株価を上げておるというような実態に対しては適切な指導をしなければいかぬということで、すでにもう御承知と存じますけれども大蔵省が立ち入っていろいろこの指導をいたしております。その上、その中には、ある会社の副社長が罪人に擬せられておるというようなことも出ておるわけでございまして、こうしたことをほっておいたのはいけないじゃないかと言われるなら、それはそうだと思いますけれども、今後はそういうことのないように、企画庁としては、真剣にこの問題に対処をするように、現業を持っておる官庁に対して働きかけていこうと思っておるわけでございます。  しかし根本的には、やはり一昨年のニクソン・ショックのあとにおきます事態でございますね。過剰流動性、ドルを買った、それが円資金になった、あるいはそれを根にして銀行貸し出し増をした、そういう大きな変化を、やはり不況回復ということのために見ておったところに一つ問題点があるかと思うのでございます。すでにして、こういうものと取り組んで過剰流動性をなくすことに全力をあげようという政府の姿勢になっておりまするので、これは必ず目的を達成することができる、事態の鎮静化をすることができるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  15. 北山愛郎

    北山分科員 いわゆる外貨がふえてくることから出てくる円資金、これは部分的にあるでしょうが、やはり何としても、その根本は自民党の政府、特に田中内閣になってからよけい景気を刺激した。景気が去年の前半で回復ということははっきりしておったのですが、それに輪をかけて第六次の公定歩合の引き下げをやり、さらには大型の補正予算を組んで、しかも日本列島改造でこれに拍車をかけた。ですから土地と株のギャンブルが出てきたことは明らかですね。そしてまた四十八年度の予算もその基調はそこに置かれているでしょう。その主として目標の中にあるのは、円の再切り上げを阻止する、これが戦略の目標だったと思うんですね。その戦略目標がすでに失敗に帰した。この予算が成立しない前に情勢が大きく変化したのです。ですから、もう前提と目標とが、いわゆる情勢の見通しの間違いと、それから達成すべき主目標というものが、すでに円の再切り上げを余儀なくされておる、ですから私どもはスタートへ戻って出直しなさい、こう言うのです。どうですか、この点については。
  16. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 根本的に四十六年が不況であったという前提でひとつお考えを願いたいのでございますが、あの不況下の物価高という問題をどうしても解決しなければならぬ、とするとやはり景況を上向きにしなければならぬという要請があるわけでございます。その要請に従いまして、田中内閣ができましてから、これは前内閣以来やっておったことでございましょうが、公定歩合を引き下げたり景気の刺激策をとったわけです。補正予算もまたさようでございます。ところが、先ほど申し上げたように、一昨年の八月のドル不安の際に、わがほうとしてはドルを買ったわけでございますね。その年の四十六年度で見ますと、ドルを買い、また輸出代金も入るわけですが、それから来る円の外為の散超が四兆三千億くらいあるのです。それをネットで銀行が貸し出したのが十四兆くらいございます。四兆三千億と十四兆から十五兆くらいある。それで四十七年度になりますと、その大きな買いものがございませんから、外為関係の散超が一兆五、六千だと思いますが、それに対して銀行の貸し出しが十七兆円くらいある。そこで全体のマネーサプライというものが非常に多くなっているわけで、そういうようなことが全体の過剰流動性という事態を生んで、それが土地や株やあるいは一部の商品の投機というところまできたのだと私は思うのです。  こういう事態に直面しまして、私どもは、何としてもその大もとである過剰流動性をなくさねばいかぬということを強く申しておるわけでございます。そういう形が今日の事態であるわけです。しかし、円の切り上げをやったではないかというお話でございますが、これはどうも私ども自体というよりは、外圧と申しますか、イタリア、スイスから来たドル不安が、マルク買いに至って爆発いたしまして、そしてその関係でドルが下げた。したがって円も、その居どころをきめるのに、不安定なる切り下げられたドルに対してどういう形をとったらいいかということが、まだきまらないままにフロートしているわけでございますね。でございますから、これは予算の基礎が変わったのだとおっしゃるのは、ちょっと私は、北山委員のせっかくのお話でございますが、私どもとしては、それは違うというふうに思っておるのでございまして、この予算を組んで手直せという御議論は、社会党の御議論であることは承知しておりますけれども、私どもは、やはりこの際は予算を成立させていただいて、そして、その後のでこぼこがあればこれを補正予算調整する、必要があればそれをやる、こういうことにお願いをいたしたいと思っておるわけでございます。
  17. 北山愛郎

    北山分科員 いろいろその問題はお尋ねしたいのですが、時間が迫ってきておりますので集約をしますが、いま長官がおっしゃったようなことは、政府政策の結果として出てきたのです。それから外圧、外圧というけれども、これは長官だって前から、その他の一般の人も、円の再切り上げの危険性があるということは十分承知しているはずなんで、長官はすでにこのことについては、本会議ですか、今度の予算は円の切り上げをやはりある程度予定しておるというか、見込んでおるというような答弁をなさったのじゃないですか。それはもう客観的な情勢なんで、それを見通して対策を立てるべきなんですよ。こうなりましたから、こうなりましたからということでは、どうにもしようがないじゃないですか。少なくと本去年の補正予算にしても、これはもう去年の前半に景気が回復基調にあることは、企画庁自身も認めていることなんですから、それをさらに、大型の補正を組んだり、日本列島改造で拍車をかけたり、また今度の四十八年度で超大型の予算を組むということは、多少のインフレを起こしても円の再切り上げを回避しようというところに眼目があったのじゃないかと私どもは思うのです。生だ、政府も大体そのような説明をしておるのですから、その前提がくずれたのじゃないですか。しかも二〇%くらいも円の再切り上げが迫られているというときに、これから今度はまたデフレ政策をとるなんということは、まるで行き当たりばったりで、私はいただけないのです。  時間がないからかいつまんで申し上げますと、私は、インフレをやってきたが、それじゃいかぬようになったから今度はデフレだというふうな単純なことじゃなくて、まず、土地と株の投機とか、そういうものに焦点を当てて、そこを締める。そして一般国民大衆のためには大幅な減税をやるとか、社会保障をふやすとか、あるいは今度の国鉄運賃の値上げをやめるとか、健保の値上げをやめるとか、そういうふうな国民生活は豊かにしてやって、そしてこのギャンブルを押えるという直接の療法があると思うのです。  たとえば会社の株の持ち合いというか、株の買い占めというものを避けるためには、現在行なっておる税制の上で特別な措置を法人が受けておる。株の受け取り配当は非課税である。これをやめればいいのです。あるいは有価証券取引税を、倍じゃなくて、一万分の三十くらいじゃなくて、もっと大幅に上げるべきなんです。そして有価証券、株の投機を押える。土地投機の問題だってすぐできるのですよ。個別的にインフレのもとになるところを押えるべきであって、一般的に金融を引き締めをすれば、そのしわ寄せば結局中小企業とか弱いところにいっちゃう。そういうことばかりやってきて失敗しているのです。ですからその点は考え直していただきたいと思うのです。  それからもう一つ申し上げたいのは、このように予算審議の途中で、今日ほど経済情勢、周囲の情勢というものが変わったときはないと思うのですね。だから、率直にその情勢の変化に応じて、弾力のある政策の転換をするということこそが、決して政府の弱さを示すのじゃなくて、強さを示すものである。情勢の変化に応じて政策転換できるという力、これがいまの政治に望まれる一番の問題点だと思うのです。原案を変えれば何か政治的な責任があるだろうとかなんとか、そんなけちなことを言っておったんでは、いまの情勢に適応する政治はできないと思うのですよ。思い切ってひとつ転換するようなお考えをしていただきたい。企画庁長官経済運営の中心の責任者ですから、いますぐやりますとか、そういう答弁はもちろん要求しませんけれども、その点を深く考えていただきたいと思うのですね。まだおそくはないですよ。いまの予算を、きまったものだから政府原案を通さないと形式的な責任がある、そんな政治責任にこだわっている必要はない。田中内閣は情勢の変化に応じた政策の転換ができるということを示してもらう。これが一番必要じゃないか、国民が望んでいるのじゃないか、われわれもこれを要求しているわけです。国鉄の運賃だとか健保の保険料値上げなんかやめるべきですよ。どうですか。お考えがあれば聞きたい。
  18. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 社会党の前政策審議会長としての北山委員の御意見、よく拝聴いたしましたが、ただ二、三ちょっと私の意見と違う御引用がありましたので申し上げますと、まず私は、この予算の中に、円の切り上げを前提として含んでいるというふうにおことばがありましたが、それは違いますので、参議院の御質問に答えて言うたのは、今後五年間の経済社会基本計画の中に、全く為替が変動しないという予想があるかといえば、それはうそになります。やはり財政、金融、貿易、為替、各政策を加味してということを申し上げたわけでございます。それを御了承賜わりたいと思います。  それから、大型予算の点は、これは実は福祉予算を組むという点に一番の重点がございますのでありまして、やはりこういう実態であればあるだけに、いまの生産、輸出重点のわがほうの政策福祉優先の政策に切りかえるということを考えておりまして、そのためにはどうしても予算が大型になるというわけでございまして、決してインフレをあおるというふうなことは考えていないわけでございます。なお、一部に調整インフレというような問題が出ましたときにも、私どもはまっこうからこれに反対した、さようなことは絶対に政府のほうとしてないということを申しておるわけでございます。  それから、証券取引税も倍にいたしておりまして、この点は北山委員のお考えの方向で考えておるわけでございます。(北山分科員「倍じゃだめだ」と呼ぶ)もっと上げろというような御主張は、また十分承っておきたいと思います。  それから、国鉄、健保の値上げをやめてしまえというのですが、国鉄もほんとうは、それはできるだけ安いほうがいいにきまっておりますけれども、いまの国鉄の状況を見ますと、結局、国民へのサービスにはね返ってくる。そこで、最小限やむを得ないものをということでございまして、これは物価に対する影響は〇・三四%というふうに見ているわけであります。それから、健保の場合は逆でございまして、これは、五割の家族の給付が六割になるのでございますから、それは、国民負担というお話ですとこれはわかりますけれども物価にはね返る面からいうと、逆に〇・二%減になるということを私どもは申しているわけなんでございます。いずれにいたしましても、御意見は十分傾聴いたしまして、今後の参考にさせていただきたいと存じます。
  19. 北山愛郎

    北山分科員 大臣、そういうことを言われるから、つけ足しておきますが、やはり福祉というのは、物価が上がったんでは吹っ飛んじゃうのです。もう一つは、社会保障の前進のためには所得の再分配ということを考えなければならぬのですが、今度の場合は、減税と言うけれども、自然増収が国税、地方税で三兆七千億もあって、そのうち四千六百億の減税ですから、勤労者だって、減税はされたものの、倍以上の自然増で税金をやはりよけい取られるでしょう。三兆円以上の税金の増収ですよ。その上に国鉄の運賃が千八百億でしょう。健康保険が千億ぐらい取られる。おまけに、年金だって吸い上げですよ。所得の分配じゃないのですよ。五万円年金で、給付のほうがふえるんじゃなくて、取られるほうがふえるんですから、国民全体の負担から見ると、一般の大衆から税金その他の負担をふやすということなんで、物価高と高負担と円の切り上げと、はさみ打ちですよ。そういう点もあわせて、じっくりと、あまり初めの考え方に固執しないで、弾力性を持つということが企画庁長官にとって一番大事なことなので、大蔵大臣あたりは別だけれども、少なくとも施政方針でああいうなかなかりっぱなことを言われた企画庁長官としては、そういうふうな自分の意見に固執しないで、もっと柔軟性、弾力性のある考え方をしないと、これはとんでもない結果になるんじゃないか、こういうことだけをつけ加えて申し上げておきます。
  20. 山崎平八郎

    山崎(平)主査代理 次に村山喜一君。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
  21. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は、初めに長官にお伺いをいたしておきたいと思うのですが、一月の九日でございましたか、預金準備率の第一次の引き上げがございました。ごく最近において第二次の引き上げがあった。そのときに、新聞が伝えるところでは、経済企画庁長官が閣議において、預金準備率も引き上げをすべきであるという音頭をとられて、それが実現をしたように報道をされておりました。大蔵大臣の所管かと思っていましたら、経済企画庁長官の力というのはたいしたもんだということで新聞にも報道をされておりました。また囲み記事にも、経済企画庁はこのごろ当たっているというのが報道をされておりましたが、そういう角度から申し上げるわけではございませんけれども予算委員会総括質問の中で、宮澤喜一委員の質問に対して、マーシャルのKが最近高過ぎる、だから私はこれを意欲的に処理をしてまいりたいという意味のことをおっしゃっておりました。私はこの記事を見まして、一体どこまでそういうような数値を下げるような方向でお考えになっているのか、この点をまず初めにお伺いをしておきたいと思うのです。それはやはり、第二次の預金準備率の引き上げ政策の中に、あなたの考え方がそこからも生まれてきているのじゃなかろうかと思いますので、その点を初めに確認をしてみたいと思います。
  22. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 最近、ケインズ経済学というのは全盛でございまして、ケインズ経済学からすると、貨幣の数量などというのは古典に属するのだということでございますのですが、最近やはり、貨幣の数量なり流通速度なりというものが問題ではないかという意見が、御承知のようにあるわけでございます。アメリカのブリードマン教授などはそう言っておるわけでございますが、私も、最近の非常な通貨の増発下において、マネーサプライがだぶついておる、それが投機に向かったりしておる、それが国民生活にはね返って非常に困った事態になっておるということから見ますと、われわれはやはり、こうした考え方をもっと真剣に見直すべきではないかというふうに思っておるわけでございます。私も、役所のほうに頼みまして、最近のマーシャルのKの推移というものを表で出してもらって、これはあるいは村山委員がお入り用であれば差し上げたいと存じますけれども、そんなことでございまして、最近、四十六年の七月−九月期以来三〇%をずっとこえておりまして、最近は三五%というようなことになっておるわけでございます。これは本来、昭和三十年代では二〇%から二四、五%、これが三十五年までのところでございますが、そういうものから見ますると、どうも少し行き過ぎているんじゃないか。まあ二〇%台、二八、九%台ぐらいまででいいんじゃないかというふうに、私は実はしろうとで、これからいろいろ専門家の教えを受けなければならぬと思いますけれども、私の感じとしてはそういう感じを持っております。現に日銀の残高が前年同月に比べて二〇数%になっている。二〇%をこえておる。数%はちょっと言い過ぎです。二一%から二二%ぐらいになっている。そういうのは確かに多いんだというふうに思いまして、私の権限からすると、これは確かにたたかれたように、少し行き過ぎがあると思うのですが、見ておれぬという気持ちで、もう二次の切り上げをやってもらったらいいのじゃないかという意味のことを申したわけでございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)分科員 確かに、日銀券の平均発行残高の推移を調べてみますと、一月の末では、おっしゃるように二六・二%です。六兆七千百三十億円。これは昭和二十六年以降の最高の伸びだというように報道されております。ですから、私、前に物価問題で日銀総裁にこの問題を問いただしたことがあるのです。いまの総裁じゃございませんが。そのときに、日銀券というのはツケを払うようなものだから、そんなに数量的に規制をする考え方はとるべきでないというような説をお持ちでした。ところが最近、どうもマネーサプライのパーセンテージが伸びていく、そうしてマーシャルのKが高くなっていく、やはりこれは過剰流動性から生ずるものなんですが、そういうような点から、経済企画庁長官がマーシャルのKは非常に高過ぎる、だからこれを押えなければならないという考え方をお出しになりましたので、実は私も意を強くしているわけなんで、まあフリードマンの説、貨幣数量説でございますか、そういうような考え方だけに立つわけでもないわけですけれども、しかし、あまりにもこういうような過剰流動性が出回っているということはよくないわけですから、きちっとどの辺でこれを押えればいいのかということもぜひ御検討願いたいと思います。  それで、EECのインフレ対策の会議では、御承知のように、物価上昇率と経済の伸び率のほうで、まあ大体望ましい通貨供給量というものを設定しているようでございます。それからするならば、日本の場合にはどうも二倍くらいの高さにまだあるような気がするのです。そういう面から、ひとつ通貨の面から物価対策の面等に対する影響をさらに検討しておいていただきたい。  そこで具体的な問題に入りますが、四十七年度の卸売り物価は二・二%、消費者物価は五・三%の範囲内にとどまるという見通しでございますが、どうも最近の卸売り物価の動きなりあるいは消費者物価の動きを見ておりますと、消費者物価は大体季節商品が下がることによって五・三%の範囲内におさまるだろうと私は思います。しかし、卸売り物価の根強い上騰の動きからいいますと、たいへんこの範囲内にとどまり得るであろうかということの懸念をしているわけですが、率直に言ってどういうふうにお考えになっていますか。
  24. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 村山委員御指摘のように、消費者物価のほうは季節商品が、ことに野菜の出回り等が暖冬の影響もあって非常によろしいわけでございます。そういうこともございまして、今年度五、三というところは押え得るであろうというように思うのでございますが、何せ卸売り物価のほうが、御承知の木材の値上がりは何とか少し低くはなってまいりましたのでございますけれども、いろいろな繊維、羊毛、それから大豆、そういうようなものの値上がりがなかなかあとを断ちませんわけで、これはなかなかきつい状況で、二・二%確保というのはかなりやっかいな状況であるように存じます。もっと専門的な御答弁申し上げたほうがよければ局長のほうから御答弁いたします。
  25. 新田庚一

    新田政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、私ども来年度四十八年度の見通しというか、その前提としての四十七年度の卸売り物価の見通しをつくりました時点では四月−十二月で前年同期に対して一・三%、木材を除きますと〇・八%というふうな水準でございます。私どもとしましては、木材が非常な急騰をしたその反動というものが一月−三月であろうという期待、それ以外の物資につきましては、やはり景気上昇期でございますので、若干強含みに推移するという想定をしまして、一月−三月としまして全体としては弱含み、木材のウエートが非常に大きいものでございますから、そういうふうな想定で二・二%というふうに推定したのでございますけれども、先ほどから大臣からお話がありましたように十二月、特に一月に入りましてから非常な高騰を示しまして、したがいまして今後二月、三月の推移もございますけれども、年度として二・二%というのはかなりむずかしいというふうな感じを持っております。
  26. 村山喜一

    村山(喜)分科員 円がフロートすることによりまして、そのメリットのほうも考えてそれを計算に入れても二・二%の範囲内にとどめることはむずかしい、私たちもそう思います。そうなりますと、今度は四十八年度の物価上昇との関係なんです。それは消費者物価は五・五%の上昇の範囲内に政策目標として押えるように努力をする。それから卸売り物価は二・〇に押えていきたいんだということが計画はされている。ところが一月の予算の総括の段階においては、そのときに宮澤委員の質問でWPIはげたの部分になるのが一・五だ、あとの余地は〇・五しかありませんということでございましたですね。ところがいまの勢いでいきますと、げたがもうずっと上に来まして、そしてはみ出てしまって高げたでころんでしまうんじゃなかろうかと思うのですが、これは余地はまだありますか。
  27. 新田庚一

    新田政府委員 御指摘のとおり来年度二・〇%という推定見通しを立てたわけでございますが、その際、私ども四十七年度のトレンドから推定しまして、御指摘のとおりげた一・五%、年度中〇・五というような推定をしたわけでございます。これはたとえばこの前の四十一年度におきまして、年度中に二・〇%上がった。その次の四十二年度では〇・五というふうに、景気上昇期の一年目、二年目と一つの卸売り物価のカーブがございまして、これは三十七、八年にも同じカーブを描いていますが、そういったことで二・〇と置いたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今年度下期の実績が非常に高い。これは言いわけではありませんけれども、昨年の四月から一月までの水準、前年同期一・九でございますけれども、その前半の四月−九月がマイナス〇・一、十月−一月がプラス五%というようにしり上がりに上がっておるということでございますので、げたも当初予定しておりました一・五よりもかなり高くなるのではないか。今後二月、三月の推移を見ないといけませんけれども、そういったことで、したがいまして二・〇というふうな目標を置いて、それに近づけるためにはかなりの政策努力が要る、そういうふうに考えております。
  28. 村山喜一

    村山(喜)分科員 いまの卸売り物価の一月の前月比は一・五%高いわけですが、昨年の八月上旬からずっと引き続いて上騰に移っておりますから、この勢いで行くと、もう十二月段階で、現在の段階では一・九ですが、どれくらいの数値になりますか、いまの騰勢を続けていったら。
  29. 新田庚一

    新田政府委員 四月−一月で、前年同期比一・九でございます。おそらく一月の水準で横ばいした場合の推定は二%台になるのではないかと思います。
  30. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣、いまお聞きのとおりです。だからこれは政策目標が、四十八年度の経済見通しとしてお出しになった物価に関する限りはもう完全に数字が狂ってきたということなんです。そうなると、これはこれからの政策をどう進めていくのかという非常に基本的な問題をもう一回再点検をする、洗い直すという段階に来ているわけですが、どうされますか。
  31. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 実は卸売り物価の中でのウエートの取り方がいろいろございますが、非常に困ったことには、ウエートの高いものはみんな上がっているわけでございます。これもしかしやはり相場の上の投機的なものもずいぶんございますわけでございますから、私どもとしては党のほうとも相談いたしまして、何か売り惜しみないし買いだめの規制の法律をつくろうじゃないかということで、各党にもお願いして、できれば議員立法でと考えておりましたが、どうもなかなかそういうわけにもいかぬということでありまして、ひとつそうした規制の法律をつくる必要がある。しかしそれに先立って、何としても行政指導をもっとやればやれる余地があるのだからそれを大いにやろうじゃないかということで、特に通産省、農林省の物資が多いわけでございますので、お願いして、その投機と思われるものを、おそらく全体の供給量はたいしたことないのですが、ガーゼのような国民生活に非常に必要なもの、それらが買いだめられている、あるいは売り惜しみされているというようなものをひとつ行政措置でどんどん出していこうじゃないか。そうした繊維類全般の問題もございますが、それから生糸なども、輸入すれば、まだ韓国なり中国なりがあるわけでございます。そういうものを入れていく措置もとろうじゃないか。こういうようないろいろな個々の物資に対するあめとむちを持ってそれをつり出していくような措置をとる一方、村山委員かねて御指摘過剰流動性対策、通貨面からする対策というものも、もっとどんどんやっていく必要があるのではないかと思っているわけであります。ただ一般に、全体の総需要を押えるという考え方までなかなか内閣全体としていっておらないわけであります。そこのところの見きわめを早くつけないと、こういう状況はどんどん進んでしまうのではないかということを私ども心配しておりまして、この見通しは政策努力の一つ目標でございますので、その内容をなすところの政策努力をもっとやろうではないかということを申し合わせておるわけでございます。
  32. 村山喜一

    村山(喜)分科員 まさにいま大臣がおっしゃったように、総需要の抑制政策を進めることを考えておかなければ、政策余地はわずかに〇・一%しか残っていない。それでは掲げた目標自体が二・〇というのは、これは絵にかいたもちどころではなくて、たいへんな見込み違い、政策全体の前提がくずれていくということになりますよ。ですから私は、総需要の抑制政策というものを、物価政策を担当される経済企画庁は、いろいろ検討する段階から、さらにもっと推し進める段階に来ているのではないかと思うのですが、まだ検討中ですか。
  33. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これは、こういう席で正式に申し上げる段階になっていないということでございまして、だんだんそういう方向を考えておるわけでございます。ただ卸売り物価は、実は二月の中ごろまで非常な勢いで出たものが、最近の株価の状況でもちょっと傾向的には一致しているようでございますが、少し鈍化の兆を見せ始めておりまして、何とかひとつそうしたいと思っております。ただ賃金は、どうしても上がってまいります。物価も下がるということはなかなか、騰勢を鈍化するというところでございます。不景気の中の物価高ということを私ども非常に心配しておりまして、何かそうならぬような、じょうずなさじかげんはできぬものかと考えておるわけであります。
  34. 村山喜一

    村山(喜)分科員 CPIのほうは、げたを十二月段階では幾ら見ておったのですか。
  35. 小島英敏

    ○小島政府委員 CPIは、先ほど来お話に出ておりますように、季節性に恵まれました野菜その他の好況と、それから不況の影響が一年おくれであらわれております。それから、一昨年来のレート調整影響というものもございまして、現在の見通し五・一%ぐらいで本年度はおさまるのではないかというふうに見ております。その場合のげたが先生おっしゃいましたとおり三…五%ということで、大体現在のところ、ほとんど予想どおりの線で動いておると考えております。
  36. 村山喜一

    村山(喜)分科員 本年度は五・一%におさまりますか。
  37. 小島英敏

    ○小島政府委員 五・一強ぐらいじゃないかと思っておりますけれども、まだ二月、三月がはっきりいたしませんので、確定的なことは申し上げかねます。
  38. 村山喜一

    村山(喜)分科員 初めは、ひょっとしたら久しぶりに四%台でおさまるのではなかろうかという数字が一応出ておりましたが、五・三%の範囲内にとどまることは間違いないとしても、とすれば、それが来年度四十八年度に持ち込むげたの高さは三・五%と、この数字でながめていいですね。そうなりますと、あと残りは二%ですか。この中で消費者物価が上がらないようにしようという政策をおとりにならなければならぬわけであります。卸売り物価はもうすでに破綻をした。政策余地はほとんどなくなっている。卸売り物価が消費者物価影響が出てくるのは、大体一年弱の段階で出てくるわけですが、それの弾性値は幾ら見ているのですか。いままでの過去の数字からいえば、弾性値が出ておりますね。幾らですか。
  39. 小島英敏

    ○小島政府委員 卸売り物価につきましてはげたがほとんどなくなりましたことは事実でございますけれども、消費者物価と違いまして、卸売り物価のほうは状況いかんによっては下落することも十分可能性がございます。特にレートの調整幅が初め予想していたよりもどうもかなり大きくなるような状況でございますので、これは当然輸入物価影響いたしますし、卸売り物価にもかなり影響するのではないかと思います。したがいまして、大臣おっしゃいましたように、ちょうど二月中旬がほとんど横ばいになっておりますので、今後のレートの落ちつきぐあいいかんでは、卸売物価が傾向的に横ばいに近い線でいくということは十分あり得ることだと思っております。  それからもう一つは、げたが、たとえば消費者物価を三・五といたしますと、五・五の間に二%の余裕がございますけれども、これは年度の平均として二%の余裕があるということでございますから、直線に上がるといたしますと、年度の初めと終わりの間は四%まで余裕があるということになるわけであります。二倍の計算になるわけでございます。  そこで卸売り物価と消費者物価の弾性値の問題でございますけれども、弾性値というものは、本来、短期的な卸売り物価の上昇に対して消費者物価がどれだけ響くかという意味でございますので、世間に誤解されておりますのは、とかく卸売り物価一に対して消費者物価が三倍に響くというような説がございますけれども、これは弾性値ではございませんで、非常に長期的に、十年も十五年もの平均上昇率で見ますと、確かに卸売り物価に比べて消費者物価のほうが三倍ぐらいの上昇になっているということでございますけれども、もともと卸売物価と消費者物価の構成品目というものが非常に違っておりまして、両方ダブっておりますものは大体三割ぐらいでございます。  卸売り物価と消費者物価のルートがどういうふうに消費者物価に波及するかというのは、私ども四つぐらいのルートがあると思います。一つは、いま申しました共通品目が約三割ございますから、その意味では卸売り物価の各品目が同じパーセント、かりに一%ずつ上がって卸売り物価が一%上がった場合には、これはいまの計算で消費者物価に〇・三%すぐに波及するということになりますけれども現実には卸売り物価の構成品目の上がり方が品目によって違いますから、そう簡単には申せませんけれども計算上はすぐに波及するのが約〇・三%。それから、しばらくたちますと原料と製品の関係で消費者物価に波及する面がございます。これは一年、一年半ということじゃなくて、もっと短期間に、二、三カ月か半年以内ぐらいに波及してまいる。いままさにその影響がやや出始めているのではないかと思います。それからさらに時間がかかりますのは、一年とか一年半とかいいますのは、主として賃金上昇とか所得の上昇を通じて消費者物価需要面から影響してくる。それからもう一つは、ことに中小企業、サービスにおいて賃金が上昇することが、そういうところのコスト要因として上昇する。そういう第三、第四の面というのは今後に出てまいりまして、これが一年とか一年半とかいわれておるわけであります。したがいまして、この点は全体の品物の弾性値というものは一義的には出てまいらないという形であります。
  40. 村山喜一

    村山(喜)分科員 あなたがあまりしゃべってしまうと、私の持ち時間は三十分しかないので困るのです。  よくわかるんだけれども、過去の数値を調べてみたら、やはり三・三ぐらいの弾性値が出ているように思うのですが、これはもう一回経済企画庁のほうでも調べていただきたい。どうもそういう点から考えますと、よほど今度レートを高目に見込まなければ、物価の見込みはこれじゃたいへんな見込み違いになるような気がしてなりません。  そこで、もう時間がありませんので、あと五分しかないそうですからちょっとあと一つだけ確認をしておきます。それはいままでは私たちもそうだと考えておりましたが、というのは、大企業の場合には生産性を上昇さしてその中でコストを吸収することができる。ところが中小企業製品の価格が上昇したのはやはり生産性の上昇率が低いからだ。したがって中小企業には近代化投資が必要だ。それで生産性の向上のむずかしい分野に対して、これは中小企業だけじゃなくて生鮮食料品流通部門等も含めてですが、それに近代化投資をすれば個々の流通コストは下がるんだ、こういうような考え方で問題をながめてきました。ところが、どうも最近は近代化投資をすることによって流通コストがかえって上がるというような結果が出ておりませんか。今度も予算の中で、たとえば総合食料品小売りセンター六十五カ所をおつくりになりますね。そのうちの二十カ所は農協ですね。こういうようなことをやりまして、生産者のサイドからはこういうようなセンターなどがつくられます。ところが消費者のサイドからは一体何をしているのですか。生協の場合には一般の小売り価格に比べて一割低いわけですよ。それは数字として出てきます。そういうようなところに対しては、塩見厚生大臣が前の国会で、辻原質問に対して全面的にやりますということを言われながらも、今度流通関係の供給事業を行なうものに対して、約千ありますが、三千五百万円の補助金しか出ておりませんね。これはやはりこの際もう一回発想の転換というのですか、いまの流通コストが物価の中で占める割合は三分の一ですね。そこら辺をもう一回見直して、そうしていままで一本やりの線で縦から下にずっとそれを近代化していくというやつですが、一本構想だけではなくて二本も三本も考えていくという段階を迎えたんじゃないだろうか。大臣も御承知のようにウイスキーなどの総代理店も競争原理に賛成して別につくりましたらうんと下がりましたですね。そういうような面から消費者のサイドというものでもう一回流通の面を洗い直す段階にきていると私は思うのですが、その点いかがでしょう。
  41. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 非常に貴重な御意見だと思います。いろいろな生産段階の合理化あるいは貯蔵設備等をつくります際に、ことしから少し目先を変えて団地にそういうものをつくったらどうだというようなことも申しておりまして、多少そういうこともできているわけです。  それから生協に対する融資等についてもできるだけふやしていくように昨年に比べて一千万円、実は昨年二千五百万円でしたが、ことしは三千五百万円、府県が同額出すから七千万円という考え方を持っておりますが、しかしいまの村山委員のお考えはそういうことではなくて、もっと大きな流通面で消費者のサイドで価格を安くすることを考えたらどうだという御意見だと思いまして、私は非常に同感でございます。  実は昨日ある国の大使が私のところに参りまして、製品輸入のことで話をしましたら、その国は家具が非常にいい国なんですが、日本のデパートというのが何であんなに高く売らなければならぬのかと言うので、じゃほかのデパートに持っていったらいいだろう。どこのデパートにいっても協定で何倍かもうけることになっている。自分の国のものは関税を安くしてもらったり非関税障壁というのがあるが、そういう協定で高く売られる。これじゃどうも日本の国内販売できぬという意見を述べておりました。それではほかのチェーンストアに持っていたらどうか。それじゃ場所がないというのですね。何かそういうフェアでもやれるような場所をつくってあげれば、為替変動によって外国商品が値下がりするこういう利益を消費者に還元することができるのじゃないか、ということを話しながら思ったのですが、ただいまの村山委員の御指摘はまさにそのとおりだと思いまして、いろいろな点を考えてまいりたいと思います。
  42. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間がまいりましたのでもう一点だけ。大蔵省来ていますね。昨年の六月公定歩合を引き下げまして四・二五にした。これは景気が徐々に上昇に移っていくときに公定歩合の引き下げをやるということについて議論をいたしました議事録もございますが、やはりそういうような景気が上昇していく過程の中で公定歩合を引き下げて低金利政策を導入していったというのは、いま振り返ってみますと間違っておったのじゃないか、それが流動性の過剰の状態をつくり出したのではないかという気がするのですが、経済企画庁どういうふうにお考えですか。
  43. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 下期以降の過剰流動性があばれ出したのもいろいろ比較はできると思いますけれども、私は、あの時期はあの時期なりに意味があったと思っておるわけでございまして、今日におきましては、今日の事態に適応する対策をとっていかなければならぬ。その意味においてはやはり公定歩合の問題はらち外ではないのではないかというふうに思っております。
  44. 村山喜一

    村山(喜)分科員 だから預金準備率を引き上げる、あるいは公定歩合の操作もやる、あるいは窓口規制もやる、金融操作もやる、そんなことでしょう。しかし財政とかあるいは税制ですね、そういうようなものとからみ合わせたポリシーミックスがなければ、いまやっているのを見るとどうも金融だけにしわ寄せがされるような、もちろん過剰流動性が一ぱいありますからそれを押える措置は必要ですが、もう少し財政の上からも税制の上からも全体的な立場で、経済企画庁長官、これから計画の見直しをしてひとつあなたの鋭い立場でやっていただきたいということを要請申し上げまして、終わります。
  45. 細田吉藏

    細田主査 次に、井上泉君。
  46. 井上泉

    井上(泉)分科員 最近の物価値上がりの中にいまも説明聞いている中で、卸売り物価値上がりと小売り物価値上がりについての違いをいろいろ説明されておったようですけれども、いまの経済機構の中では卸売り物価が上がるともう時を移さず小売り物価にはね返ってくるわけです。これは特に生活必需物資に至っては私はその状態は顕著だと思うわけですが、その点について経済企画庁のほうでは、卸売り物価値上がりしても小売り物価が上がるまでにはかなり時間的なものがある、そういうふうに生活物資の面でもお考えになっておるかどうか、生活局長の答弁を願います。
  47. 小島英敏

    ○小島政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、約三割くらいのものは卸売り物価が上がりますと同時に消費者物価のほうにも波及いたします。それからその次は原料、製品の関係で卸売り物価関係の、たとえば羊毛が上がったり綿糸が上がったりしますと、多少のタイムラグ、二、三カ月あるいは半年くらいのところでこれが消費者物価影響いたします。これまでの分はわりに早く波及するわけでございまして、すでに現在消費者物価がことしに入りましてから多少増勢が早くなっておりますけれども、これはまず昨年後半以来の卸売り物価値上がりの増勢が反映したというふうに思っております。ただ消費者物価にはそういうコスト面だけではなくて、需要面からの影響というものが相当強いわけでございまして、やはり卸売り物価が上昇するようなときは景気がよろしくて、したがって賃金の上昇率も高くなる、あるいは個人業主の所得の伸びも高まるというようなことを通じて、消費需要として消費者物価影響するわけでございますが、これはやや時間がかかりまして、むしろ賃金等の影響は春闘の上昇率等を通じて、やはり四十八年度において出てくるというふうに思っております。
  48. 井上泉

    井上(泉)分科員 春闘の上昇率とかいうものとは関係なしに、いまあなたが説明された三割程度というものがすぐにはね返ってくる、その三割程度というものが国民生活にとっては一番必需物資じゃないですか。その三割直ちにはね返ってくると思われるような品目は一体どんなものですか。
  49. 小島英敏

    ○小島政府委員 たとえば食料品でございますと、両方に入っております。米などは両方に入っております。生鮮食品の中では肉が両方にダブっております。ところが魚、野菜は、確かに卸売り物価には入っていなくて、消費者物価だけに入っております。それから、サービス関係になりますと、これは全く卸売り物価にはなくて、消費者物価だけに入ってまいるいうことでございますので、必ずしも必需品が卸売り物価とダブるというふうには考えられないと思います。
  50. 井上泉

    井上(泉)分科員 いま物価が高いというのは国民の共通した感じだと思うのですけれども、大臣なんかになると、物価値上がりとかいうようなことはそれほどふところ勘定には影響しない。だから、大臣なんかは物価値上がりに対する逼迫感というものを感じない。特に自民党の政治はそういうことを感じないんじゃないか、こういうふうに思うのです。私は今度国会に来まして、四百九十人という人が並んでおって、これだけ並んでおって、しかも自民党が依然として絶対多数、だが、その絶対多数の中で、これほど物価値上がりの中に生活の危機を感じておる国民に対して、納得のできる、安心のできるような物価対策というものをなぜ打ち出すことができぬのだろうか、こういうふうなことを考える中で、やはりこれは自民党の体質がそういう国民生活危機というものに対してぴんときてないんじゃないか。そこで、大臣としては、そういう国民物価値上がりによる生活の危機感に対して、どういうふうなとらえ方をして、それに対してどういう手を具体的に打とうとしておるのか。いま性急に一千万円ぐらいの予算増額したところで、これは小手先の細工にすぎないわけで、ほんとうの国民生活の危機に対する政治の手じゃないと思うのですが、この際、この物価の高い状態に対して、こうだというようなものを打ち出す意欲はないのかどうか。ありとするならば、その点についての見解を承りたいと思います。
  51. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私も消費者の一人でございますが、いまの消費者物価を何とかして押えたい、また卸売り物価のほうの現状についても何とかこれを押し下げるような努力をしたいというふうに、深刻に考えておるわけでございます。  それではどういう対策を講ずるかということで、施政方針演説みたいになりますが、ちょっとお聞き取りをいただきたいと思います。  まず消費者物価の安定のためには、全体を六つに分けて申し上げますが、まず第一に、生活関連物資を中心とする輸入の自由化、関税の引き下げ等によりまして、輸入の積極的な拡大をはかることでございます。第二に、生鮮食料品の安定供給を確保するために、生産、流通対策を一そう強力に推進することでございます。第三に、農業、中小企業、流通部門の近代化、合理化等の構造改善対策を一そう推進することでございます。第四に、独占禁止法の厳正な運用等により、競争条件の整備をはかることでございます。第五に、公共料金につきましては、企業の合理化努力を前提に、財政援助の拡充をはかりながら、必要最小限度の値上げにとどめるということでございます。第六点に、過剰流動性を吸収するため、先般預金準備率の引き上げ等の金融措置がとられたわけでございますが、今後とも、必要に応じて過剰流動性対策を機動的に講じてまいりたい。なお、先般のドル切り下げと円の変動相場制移行に伴いまする輸入品価格の低下等の効果を末端の消費者物価に十分反映させるための各般の施策を強力に推進してまいりたいと考えておるわけでございます。  特に最近の、大豆、木材、羊毛、綿糸、生糸等の値上がりの激しい物資の対策としては、緊急輸入を促進する、政府在庫を放出する、関係業界へ協力の要請をする、あるいは商品取引所の規制をする、また過剰流動性を吸収するなど、いろいろな施策を実施してきたところでございまして、今後ともさらにこれを進めてまいりたいと思います。  特に生鮮食料品の価格安定をはかりますためには、基本的には安定した供給を確保することであると存じまして、このために、野菜、食肉、水産物等について、野菜指定産地制度の充実、肉用牛生産団地の育成、新漁場の開拓等いろいろの生産対策の充実をはかっておるわけでございます。また、産地から消費地までの流通経費の増高が消費者価格上昇の大きな原因になっていることも否定できませんので、卸売り市場の整備、集配センターの設置、産地直結販売の推進、総合小売りセンターの増設等流通機構の改善合理化を進めておる次第でございます。
  52. 井上泉

    井上(泉)分科員 それはことばとしては非常にけっこうでありますが、そのことが具体化されていく面についてはいろいろと手数がかかるわけです。たとえば畜産の奨励をやるのでも、牛なんか一年かかるわけで、いまからやっても二年先でないと、とてもとても国内需要を満たすようなことにはならないと思うのです。いま国民生活物資が一番高いと考えておる。それは生活物資が高いだけではなしに、食糧の不足ということで、一つの危機感が潜在的にありはしないか。つまり、政府が米の自由市場を認めたがために、けさの新聞なんか見ても、新潟県のような米の主産地で、しかも農協の幹部が商社と組んで大量の米の自由市場への売り渡しをやっておった。こういう中で、これはひょっとしたら今度米が食えぬようになりはしないだろうか、こういうふうな危機感が国民の中にじわじわできてきておる。私ども、地方で絶えず大衆の生活の中におるから、これはもうそういう食糧に対する危機感をひしひしと身に感ずるわけですが、ここで経済企画庁物価の安定をはかるためには、幾つかの政策の中でも——いまの物価値上がりというものは政府主導型で、つまり自民党の政策で物が値上がりしておる、こういう感じがするわけです。そこで、そういう政府主導型の物価値上がりを押えるためには、まず第一番に——いま大臣は、公共料金とかいうようなものについての値上げは必要最小限にとめる、こういうふうに言われました。いつの場合でも、どんな値上げをしても、これは必要最小限の値上げをいたしました、こういうふうに政府説明をされている。いままで、公共料金の値上げのときに、必要最小限以上に値上げをしたという説明をしたことは一ぺんもないのです。一ぺんでも公共料金で必要最小限でない値上げをした例があったらお示しを願いたいと思います。
  53. 小島英敏

    ○小島政府委員 必要最小限以上の値上げをしたことはないと信じます。
  54. 井上泉

    井上(泉)分科員 大臣、ないでしょう、必要最小限以上の値上げは。
  55. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ありません。
  56. 井上泉

    井上(泉)分科員 必要最小限以上の値上げ、そんなことをするはずはない。やはり物価を安定させて値上がりを押えていくためには、この際、政府主導型の物価値上げでなしに、政府主導型の物価の引き下げをやらなければならない、私はそう思うのですが、これについて大臣どうお考えになりますか。
  57. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まさにそういうふうにしたいと思います。ただ、国鉄の場合はどうもやむにやまれぬ事情でございまして……(井上(泉)委員「それはいまさら言いなさんな」と呼ぶ)これは長くなりますからこれでやめますが、そういうことでございまして、何としてもそうしたいと思いますが、ただ世の中にはけしからぬ男もおりまして、ほどほどということを知らぬのもあります。最近の株の持ち合いでつり上げたあれなんかいい例でございますし、またものによってはこれから少し私どものほうも乗り出して、これは企業というものはやはり公共の福祉ということをよほど考えてやらなければ、これはもう政府としてがまんできませんよということも言わなければならぬと思いますし、また現実においてそうしたい、こう考えております。
  58. 井上泉

    井上(泉)分科員 株が高うなっても安うなっても、これは平均給料八万円前後もらっておるサラリーマン、労働者にはそんなにぴんときませんよ。株を一つも持っていませんからね。これはあなた方株を持っているほうには株の上がり下がりというものは非常に敏感に作用するかもしれませんけれども、もう大多数の者はそんな株持ってないのですよ。だから、そういうふうなことは言わないでほしいと思うのです。  そこで、政府主導型の物価値上がりの中で、そういう必要最小限というもので押えるということについても、まあ国鉄の場合は、例にとってこうこうだという説明をされておりましたが、そのことについても論議は別の場所でするわけですが、例としては国鉄の場合をあげた。それなら今度は健保はどうなんだというようなことで例をあげてやられると、軒並み上がっていくわけです。そこで政府に私は、思い切って物価の引き下げの方針を示すためにも——いまここで、各電力会社が非常な設備投資をやって、たとえば四国電力でも、高松の駅前にものすごいビルを建てておるわけです。そして伊方原子力発電所をつくるとか、いろんな投資をやっておるわけですが、そういう中で電気料金の値上げということがうわさをされておるわけです。この間この分科会だったと思いますけれども、共産党の山原君が質問をされた中にも、通産省では値上げがきてないから、そのときに検討するという答弁をなさったように私は承知したわけですが、そういう申請が出される以前に、ここ当分の間は電気料金の値上げは好ましくないことだ、これは経済企画庁としては絶対反対だ、こういう意思表示がされてこそ、やはり庶民に政府主導型の物価安定への一つの誠意が見られるわけですが、どうでしょう。
  59. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 公共料金というものはやはり他の値上げを呼びますわけです。したがって、できるだけ公共料金は値上げをしたくないというのはもう基本方針でございます。ただ、御承知のように政府の仕組みとしては、それぞれの原局があるわけでございまして、ただいまお示しの電力の場合は、通商産業省がこの原局でございまして、それから話を持ってきたときに、私どもいま申し上げた方針でこれに対処いたします。
  60. 井上泉

    井上(泉)分科員 それがやはり従になります。受動的になります。やはり経済企画庁という物価問題等を担当しておる役所としては主導型で物価の値上げを押えていくようなそういう動きを、大もの大臣たるあなたがそれだけのなにを私はなすべきじゃないかと思うのですが、どうですか。やはり受動的ですか。
  61. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、目的を達するためにできるだけじょうず——じょうずと言うとおかしいですけれども、政治的にふるまう必要があるんじゃないかと思うのです。いま私がここで何か言いまして、一部にはたいへん喜ばれても、一部からなかなか、それじゃ何としてでもそれをくずそうという動きが出る。これは、かえって目的を達するゆえんではございませんので、根本には、やはり先ほど申し上げた、物価を押える、そういう姿勢を持っておりますことは、これは天下にとどろいておると思うのです。その中で、きたときにそれをひねる、こういうやり方のほうが、初めからこう力んでいざというときにひねられるよりいいんじゃないかと思うのです。
  62. 井上泉

    井上(泉)分科員 それじゃお手並み拝見ということになりますと国民が失望するわけですから、少なくともいま通産省は業者保護が一般に通説にいわれておるわけですから、やはり国民立場に立ってものごとを考えてくれるものは物価問題ではいまや経済企画庁だけだ、こういう気持ちを国民が抱いておるわけだから、これを問題が提起をされたというのではなしに、やはりいまの日本物価上昇の機運に対してこうしなければいかぬという何か物価安定の六カ条のことをいまあなたが言われたのだけれども、その中で値上げということがやはり頭の中にあるわけですから、その点で何かひとつ物価値上げはこういうことでどうしても食いとめたい。つまり私は、民間の大根の収穫が少なかったら、大根が一本百円になるあるいは二百円になる、こういう場合もあり得るわけですけれども、これは政府がどうこうできるわけのものじゃない。いまの段階ではできないと思うけれども、いま政府がきめ得るあるいは政府が干渉し得る料金については、もうこれ以上はここ当分の間は一切値上げはしません、値上げをしてはこれは好ましくない、これだけの私は主導性を発揮してもらいたいと思うわけですけれども、大臣はそういうふうに説明をするので、これはこれで論議を繰り返しても、これはもう時間のたつだけですから、ぜひひとつ大臣にお願いしたいのは、やはり国民経済企画庁には期待をしておるのだから、その期待にこたえるところの物価引き下げの方針というものを大上段にPRをしてもらいたい。そうすると、同じ閣内でも、田中内閣の中でこれは一本上げようとしても、そこに経済企画庁という良心がおって物価を押えておるんだから、これは少々やってもいかぬのや、こういう感じを受けることができると私は思うのですが、それについてもう一ぺん簡単でいいですから大臣の決意をひとつ聞かしていただきたい。
  63. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お気持ちはよくわかりますけれども、エネルギーの問題はなかなか将来重要な問題でございますが、需要の増加に対して供給が伴わない場合には、国民生活に対して相当なサービスの低下になりますので、その辺もやはり見ていかなければならない点でございます。しかし根本論は井上委員のおっしゃる気持ちと私は全く同じでございます。
  64. 井上泉

    井上(泉)分科員 それはひとつ大臣に期待する中で、それで経済企画庁経済社会基本計画、私はこれをずっといただいたときから、これはけっこうな作文として書かれておるけれども、やはり国民生活の物資に対する目標を与えてない。特にその中でもやはり農林漁業とかいうようなものが経済とは別のような経済企画庁考え方じゃないか。経済というのは工業とか輸入とかそういうようなことで、国民生活に一番必要な農林漁業というものは、これは日本のいわゆる経済社会の根幹をなすものである、そういう位置づけ方でこれはとらえられていない。やはりこの中で「福祉社会の農林漁業政策」というようなもので幾つか項目を掲げておるけれども、やはりこれが一番国民生活必需物資を生産しておる産業ですから、これに対しては将来の食糧の自給率は何ぼにするのだ、あるいは林業の自給率は幾らにするのだ、あるいは水産業の自給率は幾らにするのだ、そういう一つ目標を定めて、その目標に向かっていろいろな農林漁業政策が行なわれるようなことをしないと、行き当たりばったりの目標なしの農林漁業政策であっては、これはもう日本はこういう国民生活必需物資で行き詰まってしまうのじゃないか。それはいろいろ輸入することもけっこうでありますけれども、しかしやはり基本になるところは、日本の国での食糧の自給率はどうするのだ、そうしてこれだけ山があって、そうして外材にいつまでもたよるようなことでなしに、林業政策では将来の自給計画はどれだけのものであるのか、そういう押え方をした上においてこの基本計画というものを立てて進んでもらいたいと思うのですが、一体経済企画庁はこの食糧自給率あるいは木材の自給率、食糧の中でのいわゆる水産資源の自給率をどの程度に押えているのか、これは生活局長のほうで答弁願いたいと思います。
  65. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御指摘の自給率の問題は、計画策定の過程で非常に議論のあったところでありますけれども、五年間の計画ということもございまして、特にこの計画において目標年次における自給率という考え方はとらなかったわけでございます。しかし御承知のように、農林省において作業が行なわれておりまして、昭和五十七年を見通した農業についての自給の見通しが出ておりますし、また林業については林業基本法に基づく見通しが、これは相当長期でございますが、出ておるわけでございます。そういったものをもちろんわれわれとしては考慮に入れながら考えていくということでございまして、農業について見れば大体四十五年の自給率とほぼ同じ程度になる、こういう見通しに考えております。
  66. 井上泉

    井上(泉)分科員 四十五年の自給率とほぼ同じ程度に、いつを目標にしますか。これからずっと四十五年の自給率にするわけですか、どうですか。
  67. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御承知のように農林省の五十七年の見通しが、四十五年の見通しに対して、これは幅を持っておりますが、ほぼ同じ程度ということでございますが、私が申し上げましたのは、計画目標年次である五十二年において、大体総体としては四十五年と似たようなものであると思います。
  68. 井上泉

    井上(泉)分科員 四十五年は何%ですか。
  69. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 四十五年の自給率の見通しは一応七五%という数字になっておるようでございます。
  70. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこでも私は経済企画庁としての自主的な、農林省がそうやってきめたものを経済企画庁がそのまま持つとするならば、経済企画庁なんか必要ないじゃないですか。一体経済企画庁は何をつくるのですか。
  71. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 私どもは、この自給率という押え方でつくることが必ずしも適当ではないという見方でございまして、一方では農業の今後の運営のしかた、高能率の林業を進めていくということを考える、あるいは輸入についての考え方も書いてございます。そういう考え方のもとに立って政策を進めていくわけでありまして、結果として自給率が出てくる、そういうことでございまして、これについては、ですから相当弾力性を持って考えていきたい、こう思っておるわけであります。
  72. 井上泉

    井上(泉)分科員 だめですよそれは。日本の国の政治ですから、国民一つの指標を与えなければいかぬ。それを自給率だけでどうとかということでなしに、国民生活はこれだけの自給率の中で、日本の農業はこれだけのものでやるという、一つ目標の線があってこそ、初めて政策というものが立てられていく、輸入というものが行なわれていくわけです。この点について大臣どうですか。
  73. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 農業の位置づけと申しますか、高能率の農業でなければならないし、それから農業にもっと福祉豊かな環境を持ってもらわなければいかぬということが基本になっておるわけでございます。その意味では、環境保全の中に果たす農業の役割りというものを高く評価しなければならない、かように考えております。したがって自給率という問題は、その後に出てくる問題だと思いますが、これは五年間に自給率をどこへ持っていくというような計画を実は立てておりませんので、たとえば先ほどちょっとお話のあった米の問題も、これはいまの食糧不足という世界的な状況を背景にいたしまして、今後は生産調整をもう少し考え直していったらいいんじゃないかということを私ども考えておるわけであります。そういう状況を反映しながらまいりますが、この全体の豊かな福祉社会をつくろうという五年間の目標の中には、いま申したような高能率の生産をする農業、緑の公園をもって環境を潤す農業、それから農業自体の中において福祉の高さが認められる高福祉の農村をつくる、こういうことだと思っておるわけであります。
  74. 井上泉

    井上(泉)分科員 大豆が非常に不足をして、とうふが六十円になったというときに、私は新聞を見ておりますと、田中総理が大豆の緊急輸入の手配をせよ、こういう指示をした。これは緊急輸入を手配するといって、一方では日本国じゅうりっぱな田畑を草ほうぼうにはやしておいて、ひとつこの大豆の国内生産を高めるように農林省のほうも検討せよ、こういうふうな、当面としては輸入もやるのだけれども、こういうこともやれというような指示をする、これがやはり日本の総理大臣のやることじゃないか、こう思ったわけですけれども、こういうふうなやり方が一貫して経済企画庁の中にも流れておるのじゃないか。その点について、日本がこれだけの四面海に囲まれたところであって水産物が不足をして輸入をする、七割が山であって木材の自給率は四〇%そこそこ、そして米はどっさり余っておるのに飼料が不足をする、大豆が不足をする、こんな矛盾をどっさりかかえておるというのが日本のいまの国土全体の姿じゃないか。こういう国土全体の姿というものを見て、私はいまこそ経済企画庁は、この国土の中からつくり出すところの富というもの、資源というものをこれからの国民生活の中にどう位置づけることによって国民生活の安定をはかるのだ、こういうふうな意思表示があってしかるべきだと思うのですが、その点について経済企画庁長官の積極的な御意見をお伺いして、時間が来ましたので私の質問を終わりたいと思います。
  75. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 大豆の問題は、まさに少し自給度をふやすという方向で考えたほうがいいと思いまして、さような進言をいたしております。ただ全体の輸入量は消費量と見合っておりまして、三百二十万トンぐらいだったと思いますが、これがなぜあんなに投機になったかといいますと、結局アメリカの中部で雪が降って大豆が雪の下にあるとか、あるいは中国側からする輸入が配船の都合でおくれたとか、そういうことが一つ投機に結びついたわけだと思うのでございます。これはその意味で、総理が輸入をちゃんとやれ、こう言われたのだと了解しておるわけでございます。  国内の大豆は、私の選挙区も実は大豆をかなりつくっておりまして、たんぼのあぜにつくっておるわけです。こういうものをもう少し多肥料で多収穫をしてというふうな方向で指導をすることはあるいは可能ではないかというふうに思っておりまして、私は専門家ではございませんものですから、農林当局にもそのことをよくお願いをしておるわけでございます。  全般にこうした食糧が天候の変化によって不測の影響を受けるという事態を背景として、全体の食糧政策というものを考え直したらよかろうというのが私の考え方であります。
  76. 井上泉

    井上(泉)分科員 日本国土が七割も山であってなぜ外材にたよるような状態にあるのか、あるいは日本で生産調整もしなければいかぬのに、そこで飼料が不足し大豆が不足をしておる。そういう日本国土に似通った政治ではなしに、日本国土を荒らすような政治というものが、今日こういう現象を招いているのではないかと思うのです。日本国土を生かす、そのような経済社会の基本計画というものが示されなければいかぬと知は思うのですが、それについての大臣の見解を承りたい。
  77. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 同感でございまして、その意味で国土総合開発計画というものを私どもつくっておるわけでございます。それは他日御審議をわずらわしますのでよろしくお願いをいたしたいと思います。
  78. 細田吉藏

    細田主査 次に、津川武一君。
  79. 津川武一

    津川分科員 長官、この間予算委員会であなたとあとでゆっくり話し合うということで、きょう少し時間をかけてお話ししてみます。  私も大臣の経済演説を聞きました。非常に張り切っておったし、それから演説もあとで読ましていただいて、それで高福祉社会をつくる、こういうことでありましたし、また今度つくられた経済社会基本計画の中にも、「活力ある福祉社会のために」こういうふうな非常に転換したと思われる要素がたくさん見えるわけです。そこでこの部分だけとってみますと、なるほどいいと思うわけです。そこでこの部分をどうしても皆さんの力で実現させてあげなければならぬ、こう思うわけです。  そこで、皆さんのつくったこの経済社会基本計画、四六ページの下から五、六行目のところに「カ 保健医療施設・救急医療対策、へき地医療対策およびがん診療、小児医療等の特殊疾病対策にかかわる施設を重点的に整備する。」「キ 社会福祉施設・ねたきり老人 重度心身障害児(者)など緊急に施設に収容し保護を必要とする者については、全員収容することを目途として施設を整備する。」とあるが、これができ上がったらどんなに日本国民が喜ぶかと私も思うわけですが、これを実現するめどがあるのかどうか。きのうも共産党・革新共同の田中美智子議員が第三分科会で質問したのですが、島田療育園の看護婦不足のことが問題になって、厚生省自身も手の下しようがないという状況でございます。  そこで、厚生省見えておりますね。この医療施設、こういう問題の病気の人を施設に収容するためのどのくらいの計画をつくっておりますか。
  80. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまお話しがございましたへき地対策でございますとか、救急対策、あるいはがんの問題、さらには社会福祉施設の問題ですが、実は、従来も、私ども一応の計画を持って進めてまいったわけでございます。しかし、現状を申しますと、必ずしも十分でないというふうに考えているわけでございまして、お話に出ましたように、今回政府が決定いたしました経済社会基本計画というものを踏まえまして、いわばその各論とも申すべきものを同時に私どもとしては作業いたしまして、この五カ年の中でこの目標の達成に努力いたしたい、このように考えているわけでございます。
  81. 津川武一

    津川分科員 大臣、やはり不足だそうです。  そこで、現在看護婦がどのくらい不足しているかということですが、ここに日本看護協会編の「看護白書」というものがございますが、これでいくと、現在不足している看護婦が十五万人。現在百万ベッドがあって、そのために必要な看護婦人員が三十四万。現在いるのが十九万で、十五万人不足しているという。そして、毎年四万ベッドだけふえるから、このために必要な看護婦が約一万四千。毎年看護婦を養成して、それから卒業して看護婦として仕事する人、やめる人などというのを差し引くと、純増加が一万四千になるのです。この十五万人の看護婦不足の状況で、いまあなた方がここに書かれたものがやれるかどうか、こういうことですが、厚生省、このくらいの不足なんですか。
  82. 信澤清

    信澤政府委員 看護婦不足数がどのくらいであるかということについては、計算のしかたもいろいろあろうかと思います。ただいま先生おあげになりました数字は、たぶん看護協会が編成いたしました白書の中の数字を引用されておると思いますが、あのような計算をいたしますれば、御指摘のように十五万程度不足をするということになろうかと思います。ただ、これには前提条件がございまして、医療法の四対一の数字でございませんで、例の二人夜勤の夜勤回数月八回を全病棟に及ぼす、こういう前提で計算をいたしておりますので、そのような点で、若干割り引くなり再計算をいたさなければなりませんが、大まかに申して、かなりの数の看護婦が不足しているということについてはおっしゃるとおりでございます。
  83. 津川武一

    津川分科員 大臣、聞いたでしょう。そういう状況なんです。  もう一つ、看護婦など医療従事者が不足なために、せっかくつくった病院が使われないでいるところがたくさんある。たとえば虎の門共済病院で病床百五十床を閉鎖している。帝京医科大学病院で、看護婦不足で、七百五十床中二百五十床があいている。動けない。日大病院で三百五十床が動いていない。国立の東一で千ベッド中三百五十しか動いていない。こういうことが全国至るところにあるわけなんですが、厚生省、大体こんなものですか。
  84. 信澤清

    信澤政府委員 個々の病院の事例をおあげになりましたが、それぞれの病院については、最後におあげになりました東一については、現在六百床と聞いておりますので、やや数字の違いがございますが、そういう実例がございますことは御指摘のとおりでございます。  全体から申しますと、医療法で許可をいたします病床に対して利用率は約八割ということになっておりますので、若干摩擦的な空床というものもあり得るわけでありますが、やはりかなりの空床があるということでございます。
  85. 津川武一

    津川分科員 せっかく養成した看護婦さんが、いろいろな事情で看護婦さんの仕事をしていない。いわゆる潜在看護婦さんですね。この潜在看護婦になる理由を聞いてみると、一番が、子供さんを育てるというか、そのための保育に事を欠くのでやめておる。その次が結婚。こういうことでやめる看護婦さんが、これも看護協会の人たちから聞くと、三割五分ばかりおるということですが、こんな状況ですか。
  86. 信澤清

    信澤政府委員 看護婦さんがおやめになります理由の第一は、結婚のためというのが約二割程度でございます。それから、家事あるいは育児というようなことを理由にあげられておりますのが約四割ございまして、総体の六割くらいが結婚、家事を理由にしてやめられておる。いま申し上げましたのは国立病院の例でございますが、おそらく、全国的に見ても同じような傾向ではないかと思います。
  87. 津川武一

    津川分科員 国立療養所、病院が二百五十あるわけです。この中で保育所を持っているところは四十八、そのうち夜間保育をやっているのが八つと聞いているわけです。こういうところだと看護婦さんが仕事しやすい、こういう点です。こういうことをやるとすると、看護婦が潜在看護婦になることを少しは防げますか。
  88. 信澤清

    信澤政府委員 おあげになりました保育設備を設けることだけで防げるとは申せませんが、かなり効果があるということは言えると思います。
  89. 津川武一

    津川分科員 そこで、大臣、皆さんがあげたこの計画は、こういう形でいうと絵にかいたもちで、実現できない。現在でさえ埋まっていないんです。現在のベットを埋めるだけで、新たにこういうものをつくるとあなたたちが言ったって、できっこない。そこをやろうとすれば、いま厚生省が言われたように、看護婦をふやす、このために、まず仕事をする、そしてせっかく養成された看護婦さんが就職できるような状況をふやす、看護婦さんの待遇を改善する、看護婦にそういう夜間保育所なんかつくってあげる、このことがまず基本だと思うのです。このために厚生省は一生懸命やっているので、あなたはこういう計画の立案者として、これに全力をあげて、やはりこの状況をつくってからやらなければいかぬ。大臣のこのことに対する気持ちを伺わしていただきます。
  90. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この問題につきましては、厚生省において、新たにまた五カ年計画をつくりまして、専門家の間でその対策を立てていただくことになっておりますけれども、しかし、いま津川委員御指摘の点は、私は、まさにそのとおりだと思います。多年名医とされてこの問題に取り組んでいらした津川委員でありますから、実情を的確に把握しておられると思うのでございますが、看護婦さんをどうしてふやしたらいいかという問題は、それは確かに、育児をまかせられる保育所をつくることも必要でございましょうけれども、やはり、根本的にはどうなんでございましょうかね。看護婦さんというものの社会的な地位といいますか、その技能を国家が認めるといいますか、社会が認める。そういう意味の実質的な待遇改善とあわせた、何かそういうものを考えてあげることが一つの方法ではないんでございましょうか。私はしろうとでございますが、政治家の端くれとして、いまの看護婦さんの不足という状況を聞くにつけて、何か、夜勤を一週間に二回もして、ただ労働を切り売りしていくうちに年とってしまう。ナイチンゲール賞なんというのもございますけれども、それをもらった人たちの相当数が生活保護者になっている。こういうような状況を直す根本を考えてあげる必要があるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  91. 津川武一

    津川分科員 看護婦に対する日本社会の認識もさることながら、きのうも第三分科会で田中美智子議員が明らかにしたように、看護婦さんの流産が非常に多い。そして、腰が痛くて、足がしびれて、これでまいってしまう。したがって、こういう待遇改善をすることが基本的なことだと大臣も言われました。  そこで、大臣、閣議であなたが総理にこの状況を話して、厚生省がやる仕事について、何はさておいてもあなたはここで最重点とすると言っているんだから——しかも、このことばがいいじゃあ、りませんか。「活力ある福祉社会を実現するため」ということです。ここのところを大前提として、こういうことを閣議でやって、厚生省をあらゆる角度から支援してあげるという決意があるかどうか。
  92. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 社会保障のいろいろな施設は金でできると思いますけれども、その施設を動かす人はお医者さんと看護婦さんなんですね。その看護婦さんが、雑役婦、まかないみたいなことを社会的にさせられ、見られている。それでいいというわけはないと思いますので、やはり、その根本問題に触れて考える必要があると思いますし、厚生大臣ともよく御連絡をとりたいと考えております。  閣議の問題は、これまた閣議としてのお話を、厚生大臣が言われるほうがいいかもしれませんが、その点、私としてまたあとで考えさせていただきます。
  93. 津川武一

    津川分科員 大臣、せっかくそこまで聞いたんだから——厚生大臣は言うでしょう。ところが、いままで厚生大臣が言っても、なかなか通らない。そこで、さっきも話したとおり、あなたは有力閣僚だという話も出てきているので、あなたが直接この点で閣議の中で発言し、総理に進言すべきだと思うのです。重ねてお伺いします。
  94. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御意見はよく承っておきます。
  95. 津川武一

    津川分科員 意見を承ってもらってもしょうがない。やるかやらないか、どっちです。
  96. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これは、こういう席では大体こういうふうな慣習になっている。やりますというのも——大体、承るというと、それに感銘して承ったということで、行動はおのずからその気持ちについて回る。そういうふうな一般的な認識になっておるので、この程度で御了承いただきます。
  97. 津川武一

    津川分科員 くどいようだけれども、あなたたち年金をやると言うでしょう。農民が飛びついた。中身をあけてみたら、二十五年かけてからだ。これがあなたたちの言われる社会福祉だけれども、こういう点で、医療施設をやるという実現の基礎がないから問題にした。それに対して、こういう形でおれが言ったからいいというのでなくて、やはりここは一番大事な、国の最高の権威の国会の中での問題なんだ。総理大臣にこのくらいのことは言えないのですか。重ねて答弁を求めます。
  98. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 看護婦さんの待遇に対する考え方は、私の考え方は申し上げたとおりでございまして、それに対して、どういう実際的な予算づけとかあるいは制度上の改正とかいうものが要るかということは、私は、実は、この問題についてはしろうとだものですからわからない。しかし、何とかせにやならぬということは深く考えております。そういう点もう少し詰めまして、これなら説得できるという自信を持った際に閣議ではっきり申すことはけっこうだと思います。
  99. 津川武一

    津川分科員 厚生省の方、もうけっこうです。  閣議でどうするかということはもう一回別なことで問題にします。  そこで、次は、陸奥湾、小川原湖のナショナル・プロジェクトの問題です。去年の九月の十四日に青森県が出した第一次計画、ここでこれは閣議了解した、こう申しております。そこで了解した内容は、あそこに二百万バーレルの石油精製の計画を持つ施設をつくる、こういうことを了解した、そういうふうに解釈してよろしいのでございますか。
  100. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 閣議の口頭了解いたしました内容でございますけれども……。
  101. 津川武一

    津川分科員 このことを端的に答えていただけばけっこうです。
  102. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 二百万バーレルというものを認めたものではございません。
  103. 津川武一

    津川分科員 四百万トンの石油化学のプラントをつくるということを閣議は了解したわけですか。
  104. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 それも二百万バーレルと同様、認めたものではございません。
  105. 津川武一

    津川分科員 一千万キロの電力を開発する、こういうことを認めましたか。
  106. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 それも同様でございます。
  107. 津川武一

    津川分科員 五千五百ヘクタールの用地を先行取得する、こういうことを認めましたか。
  108. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 五千五百ヘクタールの面積につきましては、住民の協力が得られるということを前提に書いておるということを了承しております。
  109. 津川武一

    津川分科員 そこで、大臣、閣議了解してないことが、竹内知事によって、こういう開発をするのだといっていま盛んに言われている。県民を惑わしておるという状態がこうなんです。このことに対して大臣、どう思っていますか。
  110. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この問題につきましては、国と県がやはり共同の責任があるというふうに考えておるわけでございます。しかし、実際のむつ小川原総合開発推進にあたりましては、十分六ケ所村の理解と協力を得なければなりませんが、この六ケ所村自体では、その賛否について意見の交換を行なっておりまして、これについて国及び青森県が行政的に介入すべきではない、そういう認識に立っておるわけでございます。  ただいま、閣議了解してないことを県知事がかってにやっておるというお話がございましたが、これは内容は私もつまびらかでございませんので、局長のほうから御答弁させます。
  111. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 県がつくりました第一次基本計画というものはございます。この第一次基本計画の中には、いま御指摘になりました産業の業種及び規模が明確に書かれておりますが、それを国のほうは説明を聴取いたしまして、聴取しました結果、さらにあの地域の基礎調査を繰り返した上でないと結論が出ないということで申し渡しまして、県知事もそれを了承しているというふうに考えております。
  112. 津川武一

    津川分科員 経済企画庁の事務次官矢野智雄から、昭和四十七年九月十八日、竹内知事あてに——経済企画庁より県知事にあてた正文が出ていますが、「昭和五十年を目標に最終計画が決定されるよう」とある。これは決定されたみたいなかっこうで宣伝されて、そのためのいろいろな計画をしておるところに問題があるわけですが、私が言うような事情であるということは覚えておると思いますが、知事と何か協議をしなければならないじゃないですか。
  113. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま御指摘いただきましたうちの、事務次官から竹内知事への指示でございますが、これに基づいて知事がどのように仕事をしているかということについては、ときどき事情を聴取しております。知事からの報告によりますと、地元への働きかけも数度にわたってやっておるというふうに聞いておりまして、さらに引き続き地元での協力が求められるように知事へも指導したいと考えております。
  114. 津川武一

    津川分科員 そういうことでなくて、大臣、二百万バーレル、四百万トン、一千万キロワット、こういうことはまだ言うのが早い、こう言うべきじゃありませんか。
  115. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 規模の点については、いま知事が何と言っておるかということを正確にするものではございませんけれども、その規模の点については、事務的にも、私どもは、直接知事に対しまして、調査の結果を待たないとはっきりしたことがわからないということで、知事もその際に、それでは、第二次基本計画を県としてつくる際に、もう一度規模について再検討するということを約しておりますので、知事がいまだに二百万バーレルその他の規模にこだわっておるとは考えておりません。
  116. 津川武一

    津川分科員 それじゃ現地を調べてほしい。知事がどのくらいの規模のことを言っておるか、これを調べて私に報告してもらい、その上でまた言います。  その次に、大臣、あそこの六ケ所村へ行ってみましたか。そこで村長のリコールをやっておるのです。村長は地域住民のためにならないといって了解していない。ところが、今度は、推進するほうの幹部の人、これは村会議員なんですが、対策特別委員長、この人のリコール運動もやっている。あそこは非常に純朴な村だったのです。それがいま村をあげて二派に分かれててんやわんやになっていて、地方自治も何もあったものじゃない。住民生活もこわれてしまっておる。これを大臣としてどう考えますか。
  117. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、六ケ所村へ行ったことはまだございませんけれども、状況は聞いておるわけでございまして、ただいま御指摘のように、村長のリコールと、それから推進委員長のリコールがともに成立するということで、近く、それによっての村をあげての審判といいますか、そういうふうなことが行なわれるように聞いておりますが、まことに困ったことでございまして、地域住民は相互に相互の立場考えながら平和に暮らしていくということが一番よろしいことだと思います。そういう問題が理解の不足から起きることであれば、相互の理解を促進するようなことを私どもとしてもできるだけいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  118. 津川武一

    津川分科員 去年閣議了解を与えた政府に、この状態を起こした責任はありませんか。
  119. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私がこの内閣へ入る前のできごとでございますけれども、いま局長から申し上げたように、あまり細部にわたってどうする、こうするということを了解をしているわけではないようです。やはり、日本の国全体を考えてみますと、狭い国土でございまして、これが三大湾地域にあまりに集中している。だから、それを分散する必要があるのではないか。ひっきょうのところ、むつ小川原になって、まことにそういう開発を望む声も強いということで、政府としては、あの地帯に工業を興すことは適切ではないかというふうに思うことは、これまた当然だと思っておるわけでございます。その後にどういうふうになっておりますかは、いま申し上げたような基本方針で、開発も必要である、しかし、環境の維持も必要である、それにはやはり程度もございましょうが、地域住民が納得するという形がよろしかろう、かように思っておるわけでございます。
  120. 津川武一

    津川分科員 閣議決定でむつ製鉄をつくったのですよ、二十数億円関係者が出資して。それで御破算になって、そのとき政府は責任をとらなかった。今度、閣議了解というのは、責任をとらなくてもいいのですか。了解というのは、ただ聞き置くということでいいのですか。
  121. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 閣議了解をいたしました趣旨でございますけれども昭和四十四年に新全総ができましたあと、地元におきましては、不動産業界が非常に動くということとか、あるいは村の方々が、自分の生活がどうなるかに非常に不安を覚えられているという現状がございまして、その混乱を救うためにどのようにしたらいいかということで、私ども頭を痛めていたわけでございますが、知事から第一次基本計画が提出されましたので、その中でおおよその基本方針を国としても認めるということを明らかにすることによって、村に住んでおられる方々の生活の御方針について、ある一つの安定した方向を求めていただける機会にはならないかということで決定いたしました。ただし、これはあくまでも村の方々の御意向というものを聞こうということを前提にしておりまして、現在リコールその他で村の中が非常に混乱していることは、われわれとしても非常に苦痛でございますけれども、しかし、一度は通らなければならない一つのプロセスでもあるというふうに考えておりまして、十分村の方々の御意向も伺った上で、このむつ小川原開発についての政府としての具体的な、詳細な計画をきめたいということを考えておるわけでございまして、村の方で……。
  122. 津川武一

    津川分科員 もういいですよ。大臣、あなたの隣にいる局長がこんなことをしゃべっているのですよ。国の開発のためには初めから地域住民の納得を得て、総意のもとでやるならいいけれども、一度は波乱を起こしてもいいという話、これは何だ。必ずこの道を通らなければならないというのは、大臣もそう考えていますか。どうです、この局長の発言は。
  123. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 およそ民主主義社会というものは、それぞれの人間の顔が違うように考えが違うわけでございますね。それを一体どうして結論を出すかということになると、やはりとらわれざる立場で選挙を行なう、そうして少数が多数に従う、これが形だと思うのです。局長が申しましたのはまさにそういう考えでありまして、いまの現状は、それをリコールをして選挙している、こういう形で両方が自説を主張して譲らなければ、その説はいずれが支持が多いかということを選挙で問わなければならぬ、こういう意味だと思うのでありまして、別に不当な発言とは思いません。
  124. 津川武一

    津川分科員 いいですか。事務次官からの通牒はこう書いてありますよ。「関係市町村の理解と協力が得られるよう最善の努力を払うこと。」局長は、一度は通らなければならない道と言っている。その一度は通らなければならない道というのは、具体的に六ケ所で言うと、両方でリコールをやって、村をあげて分裂さしておいて、この道を一度通ってもいいという、こういう考え方——ちょっと待ってください。この考え方は私はこうとるのですが、もしそうだとすれば大臣……。いいですか、これについて大臣、大臣……。(小坂国務大臣「本人の考えを」と呼ぶ)
  125. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま私の話で混乱したことはおわびいたしますが、私が申し上げたいのは、リコールによって非常に混乱することが一度通る道ということを申し上げたわけではございませんで、国の閣議決定をいたし、口頭了解をいたしました線に沿って村の方々の御意向を伺いたい。伺います際に、知事から村長へもお話し申し上げておりますし、村の議会にもお話し申し上げておりますし、直接村の方への御説明も県の事務当局からあったと聞いております。その際に、村の方々が、お互いにこの総合開発についてお話し合いをなさるということは当然しなければならないということを、この次官通達と関連して申し上げたつもりでございますので、御了解いただきたいと思います。
  126. 津川武一

    津川分科員 そこで、大臣、閣議了解というものは、地域住民に対して責任ある行動ですか。
  127. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 要するに、むつ小川原を開発するということについて、これをやろう——これは地域開発の原則として、そういう場合にはやはり青森県の知事が中心になるわけでございますね。そこで、県だけじゃない大計画でございますから、いわゆる第三セクターというものが別にもう関与している。こういうことでありますから、それによって生ずる問題というものはやはり国も責任がある、国及び県側に責任がある、こういうように思います。
  128. 津川武一

    津川分科員 責任があれば、国が直接乗り出してこの状態を収拾するのがほんとうではありませんか。どうでございますか。
  129. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私もいろいろな問題に当たって考えておりますが、やはり、その時期というものがあるようでございますね。同じことをするにもタイミングというものがございまして、いずれ国もそれは何らかの形でこの解決に当たることがあると思いますけれども、しかし、それはいまがその時期であるのかどうかということにつきますと、どうも、もう少し様子を見たらいいのじゃないかという気がするのでございます。いずれにしましても、私は、この問題はあまり直接入っておりませんものですから、私の感じを申し上げるだけでございますが、私の感じとしては、まだちょっと早いのじゃないかというように思います。
  130. 津川武一

    津川分科員 三大湾に集めるといけないから分散するというのがあなたの政府の方針でしょう。その分散地に私は直接関与していないからというのは、これはどういうことですか、大臣。
  131. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それはちょっとことばじりと思います。(津川分科員「いや、本質です」と呼ぶ)いや、私はこういうことを言っておるのですよ。これは国の方針として、総合開発を分散しようということである。しかも、むつ小川原の地区からもだいぶいろいろな方が陳情に見えているという話も私は聞いております。そこで、青森県のほうからの要請もある。そこへ国が閣議了解ということで、いまそれが進んでいるわけですね。すると、私が直接この問題について首を突っ込んでいろいろな人の意見を一々聞いているという段階ではないという意味であります。ただ、私は、こういうことで全般の責任を持っておりますから、責任がないとか、そんなことをちっとも言っているのじゃないのです。しかし、それを責任があると言うのは、うまく解決することに責任があるのであって、全般を通観してみた場合、いまそういうことを津川さんからおっしゃられて、ではそれがいいかというと、私は、どうもそうじゃない、もう少し様子を見てみたいというふうに思います。
  132. 津川武一

    津川分科員 大臣、はしなくもあなたは言ってくれた。うまいこと解決することがあなたたちの責任だと言う。これは非常にうまいことを言ってくれたよ。  そこで、私は医者だから、一つの処方せんを出しましょう。この計画を撤回して、白紙に返して、いがみ合って分離されている者の意見を聞いてごらんなさい。きまりますよ。いままで民主主義を踏みにじってきたしこりがあるから、これを白紙に返して虚心たんかいにやってごらんなさいよ。問題は、あるいはあなたたちのほうに行く可能性のほうがかなり強いと思います。こういう解決法、いかがでございますか。
  133. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 現在、この問題については、青森県知事も一生懸命やっておるわけでございます。また、地元でも一生懸命やっておる。また、それに対して反対する者もある。そして、問題が紛糾しておるわけでございますが、われわれ、いきなり白紙撤回などということはちょっと言えぬと思いますね。もう少しこれをやっている人の意見も反映して、地元の意見も反映して、地元でもそれを望んでおる——それで、問題は、こういう問題の解決の場合には、片方の主張が十分全部通るということもございませんでしょうし、白紙撤回ということになると、片方の反対していた意見を全部通すことになりますが、そう簡単にはいかぬでしょう。  そこで、津川さんの御意見も御意見ですけれども、私は、いままだそういう時期でない、そう思っておるわけでございます。御意見をお述べになることはあれですけれども、恐縮ながら、私はそれににわかに賛成はできない。
  134. 津川武一

    津川分科員 そこで、大臣、もう一つ次のことを言いましょう。どんなことかというと、一生懸命やっているのは知事だと言うが、一生懸命てんやわんややっているのは、リコール派と反りコール派で、これは死にもの狂いですよ。こんな一生懸命のやり方なんてぼくもまっぴらごめんなんだ。  もう一つの問題は自治体だ。住民対策として、第一次計画の中に、新市街地の学校、公民館、そういうものを建てる具体的な計画、置かれる部落まできめられているのです。これが竹内知事。これを本来的にきめる主体的な最高の責任者は六ケ所村長ですよ。この同意が何にもないんだ。竹内知事は一生懸命やっていると言うけれども、六ケ所の寺下村長と会わないために一生懸命やっている、やればやるほど会えなくなる、こういうことなんです。こういう形で土地の利用計画が立案されている。六ケ所の村長の意向を聞かないで、村議会の意向も聞かないで、一次計画として出ているのですね。皆さん、住民対策をやるように指示したでしょう。この次官通達の中に何て書いてあるか。「住民対策の具体化を図ること。」と書いてある。そのもう一つ上には、「関係市町村の理解と協力が得られるよう最善の努力を払うこと。」と書いてある。しかし、企画庁や知事がこのために最善の努力を払っていますかどうか。こういう状態で計画を進めていいか。プランとして出せば、あなたは撤回しないと言っている。これはどうにもならなくなるものなんだ。そのくらいはあなた方が一番よくわかっている。こういう状態をどうしますか。
  135. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま新住区のことについて御質問をいただきましたが、これにつきましては、県から聞いているところでは、県のほうが地域の方々にアンケート調査をいたしまして、希望の地域を聴取いたしまして、ほぼ二地域に希望が集約されたという報告を伺っております。この二地域について、今度はその当たりました地域の方々との話し合いを進めて、そして片方のほうにほぼ用地買収の賛成が得やすいのではないかということで、その地域があがってきているというふうに聞いております。そのことについては村のほうへも御報告をしているというふうに聞いております。  以上のような経過でございます。
  136. 津川武一

    津川分科員 公民館とかそういうものはみな、いまの皆さんのやり方では足りないのです。地域住民はのどから手が出るほどほしいんだ。これはあたりまえですよ。だが、国の行政ですよ。地方行政ですよ。地域住民が反対してくれば、知事がそう言っている、県議会がそう言っている、市町村議会が可決したからやる、これがあなたたちの常套手段です。今度は村長が知事と会っていない。村長と知事の対話がとぎれている。そういう状態で、計画にないのに、地域住民が言ってきたから計画に盛った、これでいいのですか、地方自治が。大臣、どうです。
  137. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 どうも、御質問の趣旨がよくわかりかねるのですが、この矢野次官から竹内知事に出した回答書は、まず第一に、「関係市町村の理解と協力が得られるよう最善の努力を払うこと。」いま村長のお話がありましたが、これは村長を含めたことになるのでしょうけれども、村自体の了解が得られるようにということを言っておるわけであります。これは村長だけの意見というわけにはいかないと思うのです。村会議員の意見も当然重要でございます。それから「住民対策の具体化を図ること。」これはまさにいまおっしゃる公民館その他の問題が入るわけですから、それを具体的に、ひとつ大いに御希望に沿うようなものをつくりましょうということで、知事さんに十分やってもらいたいということを言っておるわけでございます。それから「工業開発の規模については、公害防止など環境問題を中心としてさらに調査を行ない再検討すること。」と言っておるわけです。その再検討もしないしないと言って反対している方もあるんじゃないかというふうに私は思うのでございます。そういう点、ひとつ虚心たんかいにやっていただければ、私は、おのずから落ちつくところへ落ちついていくのではないかというふうに思っておるわけであります。
  138. 津川武一

    津川分科員 大臣、あなた、虚心たんかいにやりなさいよ。不特定の人が要求してきたときに、国として、計画したり、予算を組めますか。地方自治体が計画を立てて、村長の責任において出して、村議会が賛成してきたものをあなたたちはやってきたんでしょう。それが自治の本質ではありませんか。それがわからないというのは、あなたこそほんとうにわからないね。これはどういうことですか。公然と地方自治のじゅうりんをやっている。ゆっくり考えましょうや。冷静に考えましょうよ。
  139. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ですから、私が申し上げたように、市町村の理解と協力が得られるように最善を尽くせ、こう言っておるわけです。だから、まだ最善を尽くしていないということになるでしょうね。理解と協力が半分ならば、それは全部得られるように最善を尽くしてもらいたい。東京にいて、何が最善かということは、実際、正直なところわかるものじゃない。それはやはり県内の責任者である知事が判断するのが一義的に正しいと私は思う。この計画なり判断なりが不当なものであるとわれわれが考えれば、拒否する場合もありますけれども、それはあくまで二義的のもので、一義的にはやはり県知事の判断ということでいいんじゃないかと思うのです。県知事は、津川さんの御心配になるようなことは、ある意味で、別の観点かもしれませんが、心配をしていると思いますね。自分の県内の六ケ所村がほんとうに相対峙しちゃっているという状況は、やはり同じ意味で心配していると思いますので、そのうちにだんだん落ちつくところへ落ちつくような形が出てくることをお互いに期待しましょうや。
  140. 津川武一

    津川分科員 知事がだれのために心配しているかは、これから土地問題で明らかにします。しかし、大臣、あなたもずいぶんわからないね、地方自治の根幹が何だかということが。どこの馬の骨かわからない人が来て、保育所がほしいから、集会所がほしいからと言った場合に、それを地域住民対策としてあなたたちの国の計画の中に盛っていいのか。厳粛なる日本の憲法の規定に従って、われわれは国会の規定に従って、地方自治法に従って問題をやる。地方自治体で、地方住民によって選ばれた村長が地方住民によって選ばれた議会とともに相談して計画を組む、組むように指導する、そういうものを計画に乗せる、これが自治の本質でありませんか。
  141. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まさにそうでございましょう。そうでございますが、住民の中に、その村長が気に入らぬという者がおるのもまた事実なんですね。だからリコールというものが成立しているのですから、この段階でリコールが成立している村長の意見だけが正しい、こう断定することも、これまたできないわけでございます。そうでございましょう。
  142. 津川武一

    津川分科員 どうも一方的だね。もう一つは、村長のリコールも成立したのですよ。開発推進委員長のリコールも成立したのですよ。村がまっ二つに割れていますよ。あなた、どっちが多数派かわからないでしょう。わかっていますか。
  143. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それはそうでございますね。ただ、あなたが村長、村長とおっしゃるから村長と言うけれども、これはリコールが出ているからと私は申し上げているので、反対のものも私は否定しておりません。
  144. 津川武一

    津川分科員 あなたたちの指導でやった地域住民計画は、一方を無視して、まっ二つに分かれておる一方だけを取り上げて、地方自治法を無視して計画しているではありませんか。どうです。これはやはり中止させるのがあたりまえじゃありませんか。
  145. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 用地買収を五千五百ヘクタールについてやるということで、その地権者たちと話をします際に、地権者の側に立ってみますと、はたして自分がどこへ引っ越せるのかということを明確にしてほしい、それから、幾らで売れるのかということを明確にしてほしい、そういうことがありませんと、自分がはたして自分の持っている農地を売ってよいかどうかという判断ができませんというお話があったと聞いておりまして、そのために、知事としては、会社から用地買収の価格を発表するようにということと、それから、代替地をどこへ求めるかということについて具体的な提案ができるようにということでやったということでございます。
  146. 津川武一

    津川分科員 それじゃ、大臣、今期国会の間に、もう一回あなたと自治省に来てもらって話し合いしましょう。この地域住民に対する住民計画の中に、村長の知らないことをばりばりと持っていって、そして進めていくというこのやり方がいいかどうかは、自治大臣とあなたと二人で出席してもらって、あなたの常任委員会でもう一回やることにしましょう。  そこで、委員長、質問を続けます。いま局長が言った土地の問題だ。これは前のこの委員会で私が問題にしたわけなんだけれども、どのくらい買われていると思っていますか。
  147. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 昭和四十四年から昭和四十七年までの間に、六ケ所村の中で土地の権利の移動があったものが約千六百ヘクタールというふうに聞いております。ただ、これは農地間の移動も伴っておりますので、宅地としての買収ということについてはあまりはっきりしておりません。ただ、その千六百ヘクタールの中で、五千五百ヘクタールという買収の対象になるところにつきましては約百五十ヘクタールくらいが買収されているというふうに地方公共団体からの報告で承っております。
  148. 津川武一

    津川分科員 前の国会のこの分科会で私が質問したように、三井不動産が一〇〇%株を持っている内外不動産が中心になって買いあさっている。そのときの反別は大体千ヘクタール。それを、そんなことをさせないといってここで答弁している。いま聞くと千六百ヘクタール。さらにこういう土地の先買いが始まっているわけなんですが、これでいいのですか。
  149. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 この中で、内外不動産の六ケ所村の中での買収は約五百六十ヘクタールというふうに聞いております。この五百六十ヘクタールのうち、開発をします五千ヘクタールの中では約百ヘクタールであるというふうに聞いておりまして、むつ小川原開発株式会社ができましたあとはこの面積があまり増大していないというふうに聞いております。
  150. 津川武一

    津川分科員 三井不動産、内外不動産、お金があるのですよ。それで系列会社を使っている。内外不動産、橋本、東栄興業、むつの開発者なんです。これはみんな三井不動産からお金が出ていますよ。この連中で買ったのはどのくらいありますか。
  151. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 足し算をしておりませんので合計がちょっとわかりかねますが、一応六ケ所村を中心とした調査あるいは青森県がいたしました調査によりまして、この内外不動産の土地が五百五十七ヘクタールというふうに考えておりますが、その他、個人名義あるいは法人によります土地買収が若干あることは確かでございまして、内外不動産の系列がどの会社であるかということは現在私どもで把握しておりません。
  152. 津川武一

    津川分科員 いま大資本の土地買いがこれほど国会で問題になっているとき、だから大資本は、衣を着がえて、顔を変えて土地の買いあさりをやる。それを、われわれが三井不動産の子会社として指摘した内外不動産だけ調べているところに、大資本の土地買いを保障してあげている結果になるわけです。すみやかにこの状態を調べて、三井のお金が入っている会社で、私がいま指摘したとおり、これの系列の人たちが買ったものはどのくらいあるか、後刻報告していただきたい。  そこで、三井不動産、内外不動産がどのくらいの値段で買っていますか、十アールで。
  153. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 三井不動産関係といいますか、内外不動産関係が買収しました土地の価格についてはかなりまちまちでありまして、正確に把握されておりません。
  154. 津川武一

    津川分科員 十アールで三万円くらいなものがありますか。
  155. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 地目によってはあるかと思います。
  156. 津川武一

    津川分科員 十アールで十万円以上のものがありましたか。
  157. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 そこまで正確にわかっておりません。
  158. 津川武一

    津川分科員 大臣、こんな形で三井不動産系統が買っている。これを開発公社が買い入れるときに、山林で三等級の土地、これは悪い土地ですが、十アール三万円前後のものが五十一万円です。二等級のところで五十四万円。一等級で五十七万円。私のしろうと勘定で算しただけで、三井不動産、これで四十一億円もうかるのです。いま局長も言ったでしょう。条件によって三万円前後のところがある。それが最悪の悪いところでも五十一万円なんです。こういうことをやらせますか。
  159. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お話のごときことであるとすれば、私は反対です。
  160. 津川武一

    津川分科員 反対であれば、どうされますか。
  161. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま先生が御指摘になりました価格は、地元に住んでいる方、あるいは農民の方からむつ小川原会社が買収します際の基準価格を公表したものというふうに伺っておりまして、農家その他が持っております土地をいかなる価格で買収するかについては、私どもといたしましても、むつ小川原会社あるいは県を通じて強力な指導をしたいと考えておりまして、その間に不当な利益がないようにという行政指導をしたいというふうに考えております。
  162. 津川武一

    津川分科員 局長はそんな事態を認めているわけだ。大臣は、三万円で買ったものを五十一万円で売らせますか。
  163. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そういうことのないように指導したいと思います。
  164. 津川武一

    津川分科員 だれを指導しますか。
  165. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 関係者であります。
  166. 津川武一

    津川分科員 関係者というのは、これを開発会社計画のために五十一万円で買い取る、それから三井不動産と内外不動産がこれを五十一万円で売る、この両方にやりますか。
  167. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 やはり、売るほうと買うほうと両方に働きかけてやったほうがいいと思います。
  168. 津川武一

    津川分科員 その次に陸奥湾のことですが、知事の第一次計画書、これは皆さんのところへ提出されて、閣議の了解の基礎になった。その中には「陸奥湾の利用については、海域環境調査のうえ方針を定める。」とあります。そこで、このナショナルプロジェクトの中に陸奥湾が含まれていますか。
  169. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 陸奥湾の利用につきましては、非常に水深が深いということその他から、大型の船舶を航行させるのには非常に適地であるいう理由も一方にあるかと思いますけれども、陸奥湾というものの水質あるいは生態系を保護するためにはかなり慎重な調査をしないと、どの程度可能であるかということが明確にはならないということがございますので、それが明確になるまでの間は陸奥湾を使わないということを前提に、むつ小川原の工業開発を設計したいということが現在の考え方でございます。
  170. 津川武一

    津川分科員 そうすると、調査のいかんによっては、陸奥湾もこのナショナルプロジェクトの中に組み入れる、こういうことでありますか。
  171. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 将来そういうことがあるかもしれません。
  172. 津川武一

    津川分科員 そのために企画庁は何かしていますか。
  173. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在、むつ小川原につきましては、むつ小川原開発センターというセンターをつくっておりまして、そこで技術的に勉強をし始めているというだけにとどまっております。
  174. 津川武一

    津川分科員 陸奥湾の水質調査に乗り出そうとしたときに、県の漁業協同組合連合会が反対した。身をもっても阻止すると反対した。こういうことは御存じでございますか。
  175. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 よく存じております。私ども調査は、この陸奥湾について、工業開発の側からの調査ということもありますけれども、このたびやろうとしましたのは、水産庁を通じて、この陸奥湾の水産のためにどのような状況に保全することが適当であるかという調査を、やはりこの際徹底的にしておきたいという趣旨で調査費を配りましたが、最初農業関係者の間で御了解を得られたという報告を伺っておりましたが、そのあと、これはどうも大規模な工業開発の関連ではないかというお疑いを持たれたということを伺っておりますが、このお疑いは晴れて、陸奥湾の水産関係の調査ができることを期待しているわけでございます。
  176. 津川武一

    津川分科員 局長、疑いが晴れたというのはとんでもない話ですよ。この間、あなたたちの予算の中で、陸奥湾の水質検査をやったでしょう。それを漁連の人たちに、これが経済企画庁からの予算だと言って調査しましたか。
  177. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 私どものほうの予算国土開発事業調整費から支出しておりまして、瀬戸内海の汚染調査から田子の浦のヘドロ調査までしておりまして、その一環といたしまして保全関係調査もございますし、それから、農業関係の調査あるいは大規模工業基地の調査、各種やっておるわけでございます。いま御指摘の点は、環境庁に調査が必要であるいう御指摘をいただいて、環境庁に移しかえて調査したものでございます。そして、環境庁が地元への御説明をして調査をするということになっているわけでございまして、私どものほうは、その調査企画庁調査費でするということは、すでにだいぶ前に新聞その他でも公表してございます。
  178. 津川武一

    津川分科員 私は、ついこの間、国会の中で漁連の会長に会いました。会長から陳情を受けました。どうも経済企画庁は人をペテンにかける。経済企画庁から出ている調査費で調査するなら、ぼくら断わる。環境庁はそんなこと一言も言わないで、陸奥湾というものの水をきれいにするための調査に来ましたというから応じた。こういう話なんですが、こんなペテンにかけるわけなんですか。
  179. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 それは事務上の連絡が乏しいからによるものでありまして、私ども国土総合開発事業調整費によりまして陸奥湾の水質調査をするということにつきましては、決定した際に公表しているわけでありまして、ペテンにかけるというような意思は毛頭ございませんで、もしその説明が漁連の方々に行き届いていないとすれば、十分説明すべきであったということは言えるかもしれません。しかし、私どもは、別に、その企画庁予算を移しかえてやることを隠すべきであるとか、隠す必要があるということは毛頭ございませんで、環境庁から、企画庁予算の移しかえによってやる調査であるということを漁業の方々に十分公表の上推進していただくということでけっこうでございます。
  180. 津川武一

    津川分科員 企画庁が来るのじゃないかと思って非常におののいているところに、予算を隠してやったこと、これは遺憾だと思うと言って、漁連の会長に陳謝の意を表してくれませんか。
  181. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 私どもが隠そうとしてやってそれがばれたというときに、私どもがそれを陳謝するということはあるかもしれませんが、私どもは、別に、ペテンにかけるとか隠そうとはつゆも思っておりません。しかし、その誤解が出たことは私どもも十分知っているわけでございますから、環境庁から漁業の方々に十分その趣旨を伝えるようにということを環境庁にも申しておりまして、環境庁のほうが直接漁業の方々とお話し合いを進めるということにしてございます。
  182. 津川武一

    津川分科員 これは、漁業なり水産常任委員会の水産庁関係で、もう一回あなたに来てもらってこの点は詰めるといたしまして、非常に神経過敏になっておるので、水質保全のために検査するならいいけれども、前提になるといけないということを申し上げておきます。  時間が来ましたので、最後に一つ。通産省おいでになっていますか。今度むつ六ケ所は石油の開発がたった一つといってもいい事業になっているわけです。そこで、石油の需給状況がこれから将来だいじょぶなのかという問題です。私のほうの地方の新聞で、青森県石油商業協同組合、それから石油販売同業組合の名前で広告を出しておるのです。石油の情勢があまりよくない、心配だからみなであまりむちゃに使うな、こういう広告が出ている。そのときに、現在二億キロリットル、今度は六億キロリットル、そしてこの基本計画の中にある段階では三億二千万キロリットルやろう、こう考えて、そこらを当て込んで一つ計画をするだろうけれども、石油が六億、三億二千万キロリットルなど、こういう形で間違いなく日本の国に入るのですか。
  183. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。石油の原油がそれだけの確保ができるかという問題が、まず御質問があったと思います。原油の確保につきましては、これは御承知のとおり、国際情勢が非常に変わってまいりまして、いままでの買い手市場から売り手市場に変わったということもあり、変換期にあることは事実でございます。そういうことでございますけれども、われわれの見通しといたしましては、相当の量が今後とも十分確保できていくというふうに確信しております。
  184. 津川武一

    津川分科員 国際情勢で確保できない場合も考えられますか。
  185. 根岸正男

    ○根岸説明員 これは、国際情勢というのはいろいろ幅がございますけれども、われわれはそういう突発的な問題が出てきたときのことも考えまして、国内における原油の備蓄という問題についても努力しておりますので、たとえば前例といたしましては、昨年九十日の海員ストがありましたときも、原油の供給あるいは石油製品の購入に支障を来たさないように乗り越してきたという事実もございますので、そういう国際情勢の変化というものは、まだどの程度の変化があるということはわれわれには想像できませんけれども、一応自信があるということでございます。
  186. 津川武一

    津川分科員 むつ製鉄は、砂鉄を中心にしてあそこにつくるつもりであった。アメリカのくず鉄やいろいろなことで状況が変わったら一ぺんにだめになってしまった。それから、三沢の周辺に五千ヘクタールのビート、てん菜、砂糖大根をつくって、これがキューバの革命によりてがらっと変わってだめになってしまった。地元はこれを心配しているのです。知事はそんな心配をしていないのかもわからぬけれども、まじめな人たちは非常に心配しているわけなんです。したがって、せっかくあそこに石油の巨大基地をつくって、国際情勢で石油が入らなくなったときに、あれをおじゃんにされたのではとてもたまらない。そこで、心配しているということを大臣の耳に届けて、私の質問を終わります。
  187. 細田吉藏

    細田主査 この際、午後一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————    午後一時三十一分開議
  188. 細田吉藏

    細田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  189. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 最初に事務的なことをお尋ねしたいと思うのですが、経済企画庁からいただきました利根水系における水資源開発基本計画を拝見いたしましたが、昭和四十五年から五十年までの需要の想定がございまして、これが百三十四トン・パー・セカンドということになっておるわけでありまして、これに対しまして、利根川河口せき、草木ダム、これは群馬県ですが、そのほか各地域の開発計画が載っておりまして、小計で九十三・九トン・パー・セカンド、したがいまして四十・一トン・パー・セカンド足らないわけでして、これはその他と書いてありますが、このその他は、一体どのような地域、どのような御計画が進められておるのでありますか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  190. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 山口委員御指摘の四十五年度以降五十年までの利根水系の需要の見通しでございますが、ただいま仰せのとおりでございまして、この不足のものにつきましては目下調査中でございますが、新年度におきまして奈良俣ダムほか一カ所を予定しておりまして、これができますと毎秒約百立方メートルということになるわけでございます。
  191. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、奈良俣ダムだけでは不足なわけですね。現在もちろん閣議決定にはなっていないわけでありますが、一体どういう地域を選んで調査をしておられるわけでありますか。調査中の段階でしょうから、決定ということじゃなくて現在調査を続行しているということだと思いますが、わかる範囲でお答えをいただきたいと思います。
  192. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 農業用水の合理化事業の問題で埼玉県下での調査もしておりますが、そのほか川治ダム、あるいは八ツ場ダムなどについて調査をしております。
  193. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 群馬県の八ツ場ダム、それから川治ダムは栃木県ですか。そのほか、群馬県でも現在建設省調査中のものに、本庄、山口、跡倉というような地域があるようですね。どういうわけか知りませんが、地形の関係もあると思うのですが、群馬県の、しかも長野県寄りの地域が次次と調査の対象になっているということで、地域住民の人たちも非常に心配をしておるわけです。さらには、木村建設大臣がやると言ったりやらなかったりした沼田ダムというのもあるようでありますが、問題は、従来のすでに建設されたダムを見ますと、群馬県の場合でも、矢木沢でありますとか、薗原でありますとか、比較的人家の少ない非常に山奥の地域に今日までダムの建設が行なわれてきたわけです。けれども、ただいまお述べになりました川治にしても八ツ場にしてもそうだと思いますし、いつも問題になっております沼田ダムもそうでありますし、私が名前をあげました本庄、山口、跡倉、いずれの地域も数百戸、沼田ダムのごときは数千戸の方々が現にそこで生活を営んでおるという地域であります。こういう地域にダムをつくろうということになれば、これは非常に多くの方々が生活の根拠を失うということになりまして、群馬県でも、現在のような制度でこれ以上ダムを進めてもらっては困る、この際抜本的な施策を考えていただかなければ群馬としては協力をしがたい、できれば水源地域開発促進法というような一つの特別立法をつくっていただきたいということを、政府のほうに毎年重ねて要請をいたしていることは大臣も御存じだと思います。本年度、政府が予定しておられます第七十一回国会内閣提出予定法律案、そこを拝見いたしまして、建設省のところを拝見いたしますと、水源地域対策法案(仮称)というのがございまして、一応政府としては提案を予定しておられるようであります。しかし、これは建設省に入っておりますが、水資源を現在所管をしておりますのは経企庁、それからまた昨年、琵琶湖総合開発法につきまして審議が行なわれましたが、この立案も経企庁のほうでおやりになったと思うのです。したがいまして、群馬県からの要請、あるいは現在ダム建設というものが非常に進行が困難になっているという状況も踏まえて、経企庁としては、水源地域対策法案でありますか、水源地域開発促進法案でありますか、名前は仮称になっておるようでありますが、何らかの法案を考えておられるのじゃないかと思います。自民党の議員のほうから聞きますと、きのうあたりほぼ成案もできたと伺っておるわけでありますが、どのような内容のものを考えておられるのか、お示しをいただきたいと思います。
  194. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 水源地域対策特別措置を講ずべき法案につきましては、いま御指摘いただきましたように、地元の群馬県からの強い御要請もありまして、何とか法案をまとめたいということで、私どものほうが中心となりまして、治水、利水関係の各省庁にお集まりいただきまして、連絡協議会をつくりまして、その連絡協議会でこの議論をいたしました結果、やはり特別立法をする必要があるということになりましたので、その成案を得べき担当者を建設省河川局ということに各省の了解できめまして、現在、建設省河川局におきまして水源地対策特別措置法案の要綱を検討しているところは御指摘のとおりでございまして、ほぼ固まってきておりますが、細部にわたってもう少し検討の時間をいただきたいと思いますが、今国会でぜひ提案するようにという御要請も強いので、なるべく早くまとめたいということでございます。  以上が経緯でございますが、内容につきましては現在検討しているところでありますけれども、現行の制度によりまして公共補償その他十分にすべきであるということも実務上重要でありますが、さらにそれの不足の分について特別立法をするというようなことが議論になってきております。  その議論の内容で、法律に特に関係いたします点は、その対策に基づく事業の実施についての費用の地元負担に関しまして、どのような財政上の特例措置を講ずるかというのが一つございますし、それからまた、この対策事業が関係各省非常に広範にまたがりますので、広範にまたがった各省間が十分連絡をとりながら円滑な実施ができるために、どのような組織、連絡のしかたをきめたらよろしいかということもあるかと思います。  そういったようなことを現在検討しておりまして、必要な地域について地域指定をいたしまして、その地域指定の中で対策計画を立てて、以上申しましたような財政特例その他の特別措置を講ずるべく法律案を検討中でございます。
  195. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 琵琶湖総合開発特別措置法が一つのモデルだろうと思いますが、あの琵琶湖総合開発特別措置法の場合は、琵琶湖総合開発計画というものを立てる。そうして、私も昨年の国会で議論をふたしたわけでありますが、総事業費が四千三百億。通常の政府の補助率でいきますと、国の補助額が一千七百億、地元が一千五百億、そして水資源公団その他が施行いたします工事が一千百億、計四千三百億でありますが、このままではいかぬということで補助率のかさ上げをいたしまして、これによって地元の負担を百五十億軽減をする。それから、この水を利用いたします下流県が負担金の形で百五十億持つというようなことによりまして、結局、この地元負担を、千五百億でありますものを千二百億まで軽減をするというような内容だったわけです。そうして通例の地方負担が千五百億。補助金のかさ上げによりまして百五十億減りますから、地元負担が千三百五十億で、この分担が県千百億、市町村が二百五十億だったわけです。今回も補助金のかさ上げをいたしまして、そのかさ上げの対象は県、市町村両方をお考えでありますか。この点はどうでしょうか。
  196. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 実は現在、国の負担特例を設けようという方針をきめておりますが、その対象となります施設のしぼりをどの辺にするかということを、関係各省、大蔵省も入って検討しておりまして、その対象施設がきまりますと、本来市町村事業であるものが対象になれば、市町村の補助の特例にわたるかと思いますが、現在、対象施設をしぼり中でありますので、明確にお答えすることができません。
  197. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 聞くところによりますと、市町村については補助の特例を考えるが、県はどうしようかということでいま論議をしているということを聞いておるわけです。市町村に対して補助のかさ上げをすることも当然ですが、府県に対し補助のかさ上げもないというようなことでは、私は、水源地域の要望からは大きく隔たるということを一点申し上げておきたいと思うのです。  それから、同じく琵琶湖総合開発の場合と関連して聞くわけでありますが、実は群馬県にできております下久保ダムというのがございます。東京都がこの水をずいぶん利用しているわけですが、このダムの完成式に出席しました東京都の美濃部知事が、このように水源県のみに大きく犠牲をかぶせるような水資源開発計画実態では、これはもうこれ以上進まないだろう、この水資源開発の法律、制度というものはこの際抜本的に改めなければならぬだろう、これ以上地元にのみ犠牲をかぶせることについてはやはり相当な改善を講じなければならぬだろうということを言われました。私は当然だろうと思っているわけですが、そういう趣旨からいきますと、この川治にしても八ツ場にしても、こういったダムをつくる、その場合、当然問題になりますのは、東京都あるいは東京周辺の都市用水であり、あるいは工業用水ということになるでしょう。そうなれば、受益するこれらの地域から相当の分担金を取るということが当然じゃないかと私は思います。そういうことは考えておられますか。
  198. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 山口先生、非常にこの問題について御心配いただいて、私も同様な地域から出ておる議員として常々感謝をいたしておるところでございます。  先ほど御質問の琵琶湖の総合開発との関連での地域的な水源地対策特別措置法の問題でございますが、やはり琵琶湖のほうは非常に受益地が大きい、また、その関係する、影響を受ける地域が非常に広いというのに対しまして、この地域的な水源地の場合は、狭い地域の水没等を伴って、地域が狭いだけに非常に深刻な影響を受けるわけだと思うのでございます。そういう点からいたしましても、また、住民自体の住宅の建設とか、文教施設とか保育所とか、あるいは医療施設とか消防施設等までも設置がえをする必要もあるという場合も出てくるわけでございます。そうなりますと、どうも町村だけの補助ということでは足りぬのじゃないか、やはり県としても当然ではなかろうか、こういうように思うわけでございます。まだこれは未決定でございますので、断定的なことは申し上げにくいのでございますが、かように思います。  また、その水源地のみが非常に犠牲を負担して、受益地が一方的にその利益だけを享受するというのも不公平だと存じますので、国の負担、あるいはその中における受益地の負担をふやすという問題も考えてしかるべきものだと思いまして、こういう点について特に強調していただく山口議員に深く敬意を表したいと思います。
  199. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 結局、補助金のかさ上げをいたしましても、琵琶湖の場合もそうですが、地元負担というものはゼロになることはないわけですね。相当やはり負担というものを、関係市町村あるいは関係の府県がしょわなければならぬという事態もあるわけです。ですから私は、当然このダムの——まあダムといえば多目的ダムでしょうから、治水もある、利水もあるわけですね。利水によって受益するところの地方公共団体がそれなりの負担をするということは当然じゃないか、そのような条項は当然法律に織り込んでしかるべきではないかと私は思うのです。  で、あえて申しますならば、治水の場合は、この治水によって利益を受ける地方公共団体いずれも負担をしているわけですね。ですから、多目的ダムをつくりました場合は、治水も相当やるのだということで、群馬県が治水上たいして利益を受けるとは私なんかは思われないのですけれども負担のアロケーションという形で相当な負担をしょわされているわけですね。これは長野県にダムができる場合も同じわけでありますが、治水では水源地域もこのアロケーションで相当な負担をしょわされている。そして利水によって受益するところの利水県がさっぱり負担がないということでは、私はこれは筋が通らぬだろうと思うのです。大臣からも当然そうあるべきだという趣旨の御発言をいただいたのでありますが、事務的にはどうなっておるのですか。
  200. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 もともと公共事業につきましては、地方公共団体が実施すべきものについて国が補助をいたす制度が御承知のようにございまして、その補助をいたします考え方は、一方ではその公共団体の財政の能力ということもございますが、本来的には、その施設の持っている受益の程度が非常に広域的なものであるのか、あるいは小地域的なものであるのかによって補助率の差をつけているというふうに考えておりますが、御指摘のように、今日、利根川を中心といたします大型のダムにつきましては、首都圏一円に及びます利益のためのダムでございますから、かなり高額の補助率であってよいのではないかということが、長官からお答えしましたように、ございます。そのための努力もいたそうと思っておりますが、さらには、直接利水のぶんについては、これは水資源公団の場合もそうでございますが、利益に関するアロケーションをして費用負担をしておりますが、本日御指摘いただきました点は、それに関連して、関連対策をさらに強化することによってダムの建設を推進するという御趣旨だろうと思いますが、その関連対策についてもさらに、琵琶湖と同じように、下流におきます受益地域の公共団体等からも費用の一部を負担していただくということは、やはり、受益者と直接ダムができます地域の方々との気持ちを合わせる上に非常に有効であるということから、私どもは、検討しております法律の中で、その費用の一部を負担すべき旨を法定するという方向で各省間の調整をしております。
  201. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私の言い方がちょっと足らなかったわけですが、そういう意味です。結局、ダム自体の経費については、当然アロケーションで利水県も持っていますが、ダムをつくって水没をしたその地域の公共施設を一体どうするのかといった、関連的な施設についていままで実現していないわけでありますが、当然この補助金のかさ上げもするし、それからさらに、受益いたしております、またするであろう地方公共団体が応分の負担をするということを法律の中で明確にすべきではないかという趣旨でありまして、ただいまお答えいただきました点でわかりました。  ただ、そこで次にお尋ねいたしたいのは、たとえば草木ダムをつくるという場合に、水没したところに採石場がございまして、それが水没するために、いままで石を切り出して生活をしておった人たちの生活が立ち行かない。したがって、より上流のところに採石をするにふさわしいような地域がある、ところがそれが大学の学校林である、それについては何らかの措置をしましょう、こういう約束を建設省はされても、実際に所管は文部省だから、話はしたけれどもその実現が困難だった。あるいは鉄道の駅をどこへつくりましょう。これも国鉄がいまこのような状況なので、建設省としては努力したが実現はしなかったというようなことが、いままで群馬県の草木ダムの場合間々起きたわけです。ですから、当然一つ計画を立てましたら、この琵琶湖総合開発特別措置法にありますような総合開発計画というものをきめて、その実施についてはそれぞれの各省がやはり責任を持つという形をぜひともつくっていただきたいと思います。その点についてはどのようなお考え方がいまあるのか、お尋ねをしたいのが一つ。  それから、お話の中に局長さん触れられなかったのですが、一番問題なのはやはり生活再建対策だろうと私は思うのです。琵琶湖総合開発特別措置法の審議の過程でも私は申したのですが、従来、建設省が水没者に対しまする措置としては、昭和三十七年の閣議決定、これがあるわけです。それでは、琵琶湖総合開発特別措置法の中に特に「生活再建のための措置」を講ずると書いてある、これは昭和三十七年の閣議決定の線よりはさらに進んだものを一体お考えになっておるのか、こう聞きましたら、政府のほうは、この「補償の基準に関します規定を特にこの事業の実施のために改正をするということではなくて考えております。」こういうふうに実は琵琶湖の場合にはお答えになっておるのであります。琵琶湖の場合は、あそこはすでに湛水をしているところですよ。ところが、これからダムをつくるというのは、現に大ぜいの人たちが何百戸も何千戸も生活しておられる。そこが水没するわけですから、生活の基盤を失なう。したがって、当然水源地域に対する特別立法を考える場合は、まず生活再建の措置というものに一番力点を置かなければならないだろう。とすれば、当然この昭和三十七年の閣議決定の基準というものをさらに一歩踏み出すということを考えてしかるべきではないか。また、考えなければ地元住民の理解と協力というのは得られぬだろうと私は思うのです。この点についてはいかがでございますか。
  202. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 二つ御質問いただきましたが、一つは先ほどお答えいたしましたけれども、水源地の法律をつくります必要性があると私ども考えました根拠に、先ほど御質問いただきました財政上の問題が一つございますが、もう一つは御指摘いただきましたように、一つのダムができます際に、それに関連して必要となるいろいろの処置は、ダム管理者あるいはダム建設の監督大臣以外の者に及ぶ場合がむしろ非常に多いわけでございますから、それらの省庁との連絡を密にしてダムの建設が十分円滑にいくようにしたいというのが一つの趣旨でございますから、実務上はひとつその地域の知事さんに総合的な対策の計画をおまとめいただきまして、それを国のほうでそれぞれ関係省庁と連絡して円滑に進むような措置を講じたいというところが、今度立法する趣旨の一つになろうかと思っております。  それから、もう一つ生活再建措置につきましては、きわめてデリケートなむずかしい問題があると思っております。それは公共補償の範囲というものについて制度的に明確にされておりますけれども、実際にそれを運用いたします際には、私どもとしてはできるだけ公共補償の範囲を広げて、十分な公共補償をしてほしいという要望をしておりまして、その公共補償で不足の分について、この水源地の法律のほうでどのような協力ができるかということを検討させていただきたいと思っておりますので、その意味では、いま御指摘の点が多少結果的に拡大したということになるかとも思いますが、もう少し検討させていただきます。
  203. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣、どうでしょうか、私が最後にお尋ねした生活再建の措置というものが、水源地域開発の特別立法を考える場合にはやはり一番基本でなければならない。そういう趣旨で私は、昨年、当時の西村建設大臣にお尋ねしたわけでありますが、西村建設大臣も、「故郷を捨てる人、生活圏を奪われる人、そういう人たちが具体的に納得し得るものがなければいかぬと考えますから、今回の国会には間に合いませんが、せっかくいま勉強させております。」こういうふうにお答えになっておるわけでありまして、結局、昭和三十七年の公共補償に関する閣議決定というものを金科玉条にして、それ以上一歩も踏み出さぬ、こういうような考え方では私はこの問題は解決しないと思うのです。  先ほど申し上げましたように、琵琶湖とはその点が私は大きく違うのではないかと思います。この点やはり、大臣も私と同じ海のない山国でありまして、こういったダム建設のために故郷を捨てる人、故郷を奪われる人、そういう方を現実に目の前にしておられる経験も多いのではないかと思いますが、そういう立場で、いま建設省の河川局が中心になって法案の作業をしておられるという御答弁でありますが、本来は当然これは経済企画庁が中心になって法案作業をすべき課題だったと思うのですけれども、現に協議会は、当初経済企画庁の中におつくりになっていろいろ協議をしてこられたわけでしょうし、その過程で建設省の河川局が一応中心になって法案の作業をしようということだと思いますが、将来この水資源というものがますます私は必要だろうと思うのです。しかし、これからはどうしても人々が大勢生活している地域にダムをつくる以外につくる方法はもうないというところまで来ているわけですから、それだけにこの法案、特に生活再建対策について抜本的なものをひとつ生み出していただきたい。そうでない限り、私はこの形式だけの法律をおつくりになっても、水源地域の人々はこれなら協力しましょうということには絶対にならない、かようにいわざるを得ないだろうと思うのです。その点、大臣のお考えというものをお伺いいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  204. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 昭和三十七年ごろは開発優先の時代でございまして、ダムができるということがそれ自体価値を生むというふうな考えでございましたが、目下は環境優先と申しますか、やはり人間の福祉の満ちあふれた社会をつくるということが一番の目標になっているわけでございます。したがって、ダムをつくってこれに補償する場合にも、開発の犠牲になるというような考え方はとるべきでないのでございまして、そういう方々が次の生活をし得るような、そうしたものが補償の内容でなければいかぬというように考えておりますわけでございます。したがいまして、ただいまいろいろおっしゃっていただきましたように、企画庁といたしましても、十分この問題には関心を持っているべき立場にございますが、先ほど御了解いただきましたように、建設省の河川局が中心になって法案をつくるということでございます。しかし、いま私の申し上げましたような趣旨を十分に体して、この水資源地域の補償の問題を考えてまいりたいと思っております。また、さもなくば、おことばのように、山口委員御指摘のように、そうした水資源地の開発というものができないということ、円滑にまいらないということになる、さような認識に立ってせっかく努力したいと思っております。
  205. 細田吉藏

    細田主査 次に、松尾信人君。
  206. 松尾信人

    松尾分科員 きょうは国土総合開発の関係でありますけれども、その中で特に水資源の問題につきまして、二、三質疑を重ねていきたい、このように思っております。  非常に日本国土水資源の偏在、アンバランスがございまして、そのために非常に水資源の不足のところは、地方自治体も非常に開発資金をいままで多額に要しましたし、財政的にも非常に行き詰まっております。それから干害等では、すぐ飲料水さえも制限給水だとか、いろいろな社会的な問題が起こりまして困っておる。水道料金も日本一だとかというように、水資源の偏在によるアンバランス、そのための地域住民の苦しみ、地方公共団体としての水の供給という立場からの財政資金の行き詰まり、こういう問題が非常に日本の各地でいま起こっております。このことにつきまして、ひとつよく長官のお考え等をはっきり聞いておきたいのであります。  その中で、たとえば長崎県でありますけれども、これは非常に離島が多うございます。離島はもともとが水がなかなかとどまりにくいところでございまして、全部が飲料水にも非常に困っております。それから長崎市なんかは、約四十三万人都市でありますけれども、これも水資源開発で、昨年三カ年かかりまして、約百十一億ぐらいの金を投じまして、ようやく当面の急場をしのいでおるというような実態でございます。多くの資金が要るものですから、やはり水道料金が日本一高い。それで、いろいろ干ばつで問題を起こしておるわけでありますけれども、こういう問題は、国土の総合的開発、またその利用ということに最高責任を持っていらっしゃる長官として、どのようにいま認識されておるか、まずその認識の問題でありますけれども、承っておきたいと思うのであります。
  207. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まさに松尾委員御指摘のように、水の問題、たいへん重要でございます。私ども、水と空気と太陽というものは限りなく得られるような感じを持っておったのでございますけれども、ここにまいりまして、いずれも非常に有限的なものである、限りのあるものであるという認識を強く持たなければならぬと考えておるわけでございます。  数字を申し上げますと、一応、都市における水の需要は、今後十五年、昭和四十五年から六十年までの間に二倍半に増加するというふうに見ております。これは大体水道用水と工業用水が半々にふえるという考え方でございますが、しかし、さような水をどうして得るかということでございますが、やはり地下水、またはその河川の流域に人間が住みついたというような関係がございまして、伏流水をあてにしているというようなこともあるわけでございまして、そういう意味から申しますと、やはり水源地を培養し、これを開発するということはたいへんむずかしい問題で、かつ重要な問題であると存じまするわけでございます。  私どものほうといたしましては、やはり長期的な観点から水の需給計画を策定いたしまして、それに従いまして水源地の開発をしてまいりたいと考えております。また開発をする場合にも、多目的ダム、あるいは河口せき、流況調整河川、湖沼の開発などいろいろな面で開発してまいりたいと考えております。現在すでに水の需給計画が非常に逼迫していると考えられまする地域は、首都圏、近畿圏それから北九州、御指摘の長崎などもそこに入ることかと存じます。それから瀬戸内海の地帯、これについてはそういうことが非常に顕著でございまするので、資源の開発と同時に、やはり水の再生措置を考えていかなければならぬのじゃないかということから、下水の処理の再生、あるいは工場における回収率の向上、あるいは漏水の防止というようなこともやってもらわなければならぬと、こう思っているわけでございます。そのほか水質汚濁の問題が出ておりますし、水の利用の合理化の問題もこれから大いにやってもらわなければならぬというふうに考えております。
  208. 松尾信人

    松尾分科員 他面、日本全体といたしましても、六十年代にも大きく水が不足してくる、こういうことがあります。日本経済成長も、そこで大きな一つの行き詰まりの要因もあるわけでありますから、いろいろ対策はお考えであると思います。それで、わが党といたしましては、最終的に水資源開発は海水の淡水化によることが非常に重大ではないか、こういう考え方からいろいろ推進をしてまいっておりますけれども、幸い工業技術院が過去五年間の研究、いろいろなテストの成果が実りまして、現在二十万トンのテストモジュールを建設して、これがある程度実用の段階に入ったわけです。そうしますと、今後の日本水資源開発を、そのような海水を淡水化していく、こういう方向に向けていくのが大事なことではなかろうか、私はこう思うわけでありますが、お考えいかがでしょうか。
  209. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 たいへん御示唆に富む御発言でございまして、大いに傾聴をいたします。由来、塩をつくります場合の製法が、隔膜交換樹脂を使ってやることに最近なりまして、これがさらに進められれば、淡水化も理論上可能になるわけでありますが、幸い、ただいま御指摘工業技術院の発明というものが実用化されるということでございますから、これは非常に大切な方向をお示しいただいたことだと考えております。
  210. 松尾信人

    松尾分科員 ところで、当面非常に困っておるのは、水資源開発する余力はないんですよ、やるだけやりまして。そうして困って百億も幾らも入れなければならないということで、資源が非常に遠方になりまして、そこで開発して導管で引っぱってくる。そういうことで、料金も非常に高いし、地方財政も行き詰まるわけです。このように海水の淡水化の装置をいたしますにつきましても、そういうところは非常に必要なんです、開発すべき資源がないですから。  ところがこれには、地方としましても相当の財政資金が要るわけですね。もともと水の偏在、そこによるアンバランスで困って、一生懸命地方財政資金も入れてきた、地域住民も非常に困って長年苦労してきた、水道料金も高い、こういうところは、もともとそういう国土総合開発の観点から、各省の上に立った企画庁におかれまして、思い切った国の財政投融資といいますか、財政資金が先行しなければ、これは資源の開発としては大事でありますけれども、できない、こういう地方の実態でありますから、そういうことについて長官はどのようなお考えを持っていらっしゃるか、聞いておきたい、こう思います。
  211. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いままでの発想とたいへんに違った考え方をとっていくわけですが、これは従来のものと併用ということになります。そこで問題になりますのは、電力が非常に消費されるんではないかと思うのでございますが、それを一体どういうふうにしていくかという問題もあろうかと思います。今日、電力の開発状況は、なかなか従来と違いまして、地域住民の反対等もございまして、いまのところ予定の三分の一くらいしかできておらないわけでございます。そういう問題とのからみ合いもございます。したがいまして、関係省庁との間でそうした発想について議論をこれからしていくのがしかるべしと存じまして、大いにこれから積極的にこの問題を取り上げてまいりたいというふうに考えております。
  212. 松尾信人

    松尾分科員 ちょっとはっきりわからなかったのでありますけれども、現在、水で困っている、資源の開発の余力もない、そういうところでいろいろやっていくときに、地方の財政力ではもうどうしようもない段階のものについて、思い切った国の財政資金というものを投じていくべきではないか、こういうことを言っているわけでありますが、もう一回ひとつ。念を押すようでありますけれども
  213. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私のお答えがどうも少し足りなかったと思いますが、とにかくそうした水資源の問題について、私ども国土総合開発という見地から各省庁と十分に話し合ってまいりますわけでございます。その場合、要るものがあれば、国の財政から、予算なり投融資なりの形をとりまして、できるだけ出していかなければいかぬ、こう考えております。
  214. 松尾信人

    松尾分科員 わかりました。  話は長崎市のほうから県に飛びますが、離島が多いということは先ほど申し上げましたね。それから工業用水もこういうわけで足らないのです。広範な地域の住民も飲料水に相当困っております。いま有明海の干拓の問題で、これは政府もある程度認めまして、今回は調査費その他で約一億円の予算をつけてやっていく、こういうことになったのでありますけれども、これがいよいよ実行段階に入りますと、いま申し上げましたとおり、大きな財政資金が地方に非常に要るわけでございます。こういうところでも、資源の総合開発調整という立場から、長年苦しんできたわけでありますから、ひとつ思い切った助成というものを、単なる補助金のかさ上げという問題でなくて、やっていかれるお考えがあるかどうかということを念のため聞いておきたいと思うのでありますが、いかがですか。
  215. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いま長崎県の例が示されましたが、長崎県におきましては、私どもも離島を担当させていただきまして、離島で水にはだいぶ苦労しておりますので、知っておるつもりでありますが、長崎市の水道事業につきましても、非常な苦労が要りまして、大村湾に淡水湖をつくろうという計画をしたこともございましたし、最近では長崎干拓から用水供給をしてはどうかということもございますし、いま御指摘いただきましたように、海水の淡水化のプラントをつくってはどうかということも事務的には少し話し合いになったこともございますが、しかし、いまの御指摘は、そういうものが実りました際にどのような財源措置が講じられるかという御指摘だと思います。  これにつきましては、実は水道事業そのものの財政措置の問題にまでさかのぼって議論になろうかと思っておりまして、御承知のように、いままでは水道事業は起債事業にすぎませんでしたけれども、今日、水道事業というものが国民生活にとって非常に重要なことになってきておりますので、淡水化の問題も含めて、水道事業というものについての財政的な措置をどうしたらよいかということについては、私ども地域開発をやる者の立場で少し検討をいたしまして、また厚生省その他とよく打ち合わせをしたいと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
  216. 松尾信人

    松尾分科員 何と申しましても国民生活優先ですね。地域住民が納得して、喜んで生活できる環境、こういうものは、いろいろの各省がありますけれども、その各省の上で総合調整をしていかれる立場企画庁でありますので、ひとつうんと今後ともお力を入れていただきたい。以上で水のことは終わります。  もう一つは、輸入物資の価格の問題でございます。この点につきましては、円が強くなった範囲におきましては、輸入物資は安く入ってくるべきですね。いろいろ何%下がるというような計算もされたわけですけれども、残念ながら実際はそのようになっておりません。いま政府のほうも、各省、また企画庁におかれましても、いろいろ追跡調査をやっていらっしゃるわけでありますが、この点はきょうは質疑をやめます、時間がありませんので。いずれにしても、輸入物資というものは、円が強くなった分だけは、やはり為替差益としまして安くなってくる。その分は消費者に当然還元されるべきであるというのが政府の言明でもありまするし、昨年の物価の会議におきましても、それを中心に論じられたわけであります。そのような一つの大きな政府考え方から逆行しているような面が輸入品につきまして見えるのであります。  この一例をあげますると、私がそのとき取り上げた問題は輸入の牛肉であります。これにつきまして、調整金というものが一つ課されておりまするし、この協議会のほうでは差益金というものを徴しておるわけであります。むしろ為替差益で安くなっていかなくちゃいけないのでありますけれども、国内の価格は高い。輸入の品物が安い。それがそのまま市場に出ますると、非常に国内価格と輸入価格と差がありますものですから、そこを調整していこう、この考え方はわかります。わかりますけれども、それは消費者のほうへそういうものは当然還元されていくべきものでありますが、一つの国内の畜産行政といいますか、そういう行政によりまして、この水ぎわでいろいろ調整されておる。いわばこれは消費者の負担で国の一つ政策目標というものが達成されておるんじゃなかろうか。これが昨年あたりは、調整金が三億八千万、差益金のほうも同じく三億八千万でございますから、牛肉だけにつきましても、約八億のそのような調整金と差益金が課せられているわけであります。ちょっと消費者としては納得できぬのじゃないか。  他方、畜産の関係は、うんと政府が力を入れまして、そして価格の安定とかいろいろの施策を考えなくちゃいけない問題であると思います。また残存輸入制限の品目でも、農林物資が何としてもやりにくい。そういう立場から、うんと力を入れてそういうものを育成し、また強化するという大きな目標というものはあると思いますけれども、それがいま私が言ったような形で調整されていくことは、私は何といってもこれは納得できない。消費者に還元するというのは政府の大きな施策でありまするから、この際、そのような輸入物資、それが円が強くなった分に対しての為替差益というものを、消費者にほんとうに還元していくのだという新しい要請ですね。そういう面から、物価の最高責任がある企画庁におかれましても、いろいろ調整金等は行なわれておりますけれども、輸入物資から波打ちぎわから取っていくというようなものにつきましては、すべてこれを洗い直して、そしてやはりこれも国民生活優先、消費者保護、また物価の安定でこの価格差を下げる方向を、もう少し近代的に、また消費者も納得する方法でやられたらどうか。関税がこれは二五%かかっております。そういう関税がかかることは、もうこれは価格差の問題でありますから、消費者も納得するわけでありますけれども、ただ、その協議会だとか事業団等で取られておるということは、これは法律的な問題は、はるかかなたのいわゆる畜産の価格安定に関する何とか法という、井の十年前の法律でやっていらっしゃる。また農林省も非常に苦労しております。この内外の価格差をどうするか、これはひとつ新しい観点から長官のほうでそういう問題を洗い直して、消費者というものを優先していく。国民生活優先というか、日本社会経済機構をやはり一つ一つ改めていく。そういう中でうんと農林省の予算を取って、そうして畜産の安定、価格の安定、輸入価格の安い分は消費者へ還元できるような一つの施策というものをお考えになってやられるべきじゃなかろうか、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。
  217. 小島英敏

    ○小島政府委員 御指摘のように、牛肉等につきまして、海外価格と国内価格との格差をそのまま国内の商品価格に反映いたしますと、これは輸入物のウエートがまだ非常に少のうございますから、安く入れたものが結局国内価格で売られてしまって、中間の業者がすべてうまみを吸収してしまうということになるわけでありまして、十年前から現在のような形で、一種の課徴金と申しますか、調整金と申しますか、輸入物について消費者が実質的に負担しているということは、おっしゃるとおりだと思います。私どもといたしましては、消費者本位の考え方から申しますと、全くおっしゃるように、好ましい制度とは思っておりません。一番やはり考え方としてございますのは、不足払い制度ということで、輸入物はそのまま安く国内に売らせる、コストの高い国内物は輸入物に合わせて安く売るかわりに、その生産者に財政負担をして払ってやるということができますれば、これは、消費者本位の価格の観点から申しますと一番望ましいわけでございますけれども、これをやろうと思いますとたいへん膨大な財政負担が必要だということがございまして、現在の段階では、これの抜本的な考え直しということが簡単にはできかねる状況にございます。したがいまして、基本的ないまの制度を改めるということはかなりむずかしいかと思いますけれども、いろいろこまかい点でもっと消費者にプラスが還元するようなやり方を、今後企画庁といたしましても十分勉強いたしまして、農林省当局と検討してまいりたいというふうに考えております。
  218. 松尾信人

    松尾分科員 いまのお答えでありますけれども、こまごまとした部門で是正していくというお話でありますけれども、大もとを私は是正していかなくちゃいかぬのじゃないか、こう思うのです。ですから、何としてもはっきり筋道が立って、そして消費者も納得するという方向、これは何としても日本の畜産という一つの事業、これをどうしていくかという非常な基本問題でございますから、この物価問題から申しましても、また貿易の自由化の問題からいたしましても、これは政府がうんと力を入れていくべき問題である、こう思います。ですから、これはもう、国民生活を優先していくんだという日本の大きな国策の土台でありまするし、これはひとつ各省の上に立って総合調整される長官の大きな使命感に燃えた御発言——総理も、この前の連合審査のとき言うておるんです。そして、次の予算のときにはもう御納得のいくようになりますと——これはぐあいが悪いのでありますけれども、私たちには非常にぐあいがよかったのでありますけれども、そういうふうになっていない。やはりこれは思い切って企画庁長官がひとつリードして、そして農林水産行政にもすぱっとしたいい制度を取り入れて消費者も納得していく、そして国民生活優先という日本社会の仕組みというものに変えられていきませんと、これはいつまでも残っていくんじゃないか。部分的、部分的の改正は、またあと五年も十年も問題になっていくんじゃないか、こう思いますが、長官いかがですか。
  219. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 従来の日本の米作中心農業を選択的に拡大していくと申しますと、行く先は果樹、酪農、食肉ということになるわけでございますが、この食肉の場合だけとってみましても、確かに国際比価は高いわけでございます。そこで、消費者の問題よりも国内のそうした事業を保護するという立場で輸入差益金などを取っておったわけですが、今日のように、消費者行政というのが非常に重くなり、消費者に配給すべき物資を安く、そのためには輸入も拡大する、それが日本の国際協調の一つのあり方にもなるということになりますと、松尾委員のおっしゃるように、大きな方向の転換が必要だと思うのでございますが、それはやはり不足払いということではないかと思いますけれども、残念なことには、この予算にはそういう趣旨が出ておると言いにくい状態でございますので、御趣旨は十分私もわかりますから、今後の問題として検討いたしていきたいと思います。
  220. 松尾信人

    松尾分科員 終わります。
  221. 細田吉藏

    細田主査 次に、大原亨君。
  222. 大原亨

    大原分科員 私は円の再切り上げと経済見通しの問題について質問をいたします。   〔主査退席山崎(平)主査代理着席〕  円の再切り上げは、大体一般的な見通しは、共同変動為替制に移行するといういろいろな問題があるのですが、大体二〇%以上、こういうふうに最近はいわれておるのですけれども、大体いまの情勢では、経済企画庁はそのくらいは見通しを持って、これからの経済の総合的な運営をやるべきではないか、こう思いますが、どうですか。
  223. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御承知のように、ドルがみずから切り下げたわけで、それに対して円はいかにあるべきかということでございまするが、目下のところ変動相場制をとっておるわけでございまして、その相場の行きつくところで固定していったらどうかという考えをとってきたわけでございますけれども大原委員御承知のように、最近またヨーロッパにおいてドルの変動がございます。多量のドル売りがあるということで、これについてヨーロッパの諸国が変動制を共同してとるかどうかということで議論がありまして、目下のところその結論は出ておりません。その段階で日本が一体どうしたらいいかということですが、これは最終的には、やはりアメリカも日本も欧州の中に入って、欧州とともにこの為替の問題を多国間で調整していくのがよかろうかということであろうかと思いますが、いまのところは、それが一体どういう結末になるのかということをはっきり申し上げられない段階であるわけでございます。
  224. 大原亨

    大原分科員 現在は一ドル幾らで大体動いておりますか。買いささえ等はしてないと思いますが。
  225. 新田庚一

    新田政府委員 閉鎖する前の相場、たしか二百六十円くらいだったと思います。
  226. 大原亨

    大原分科員 十何%ですか。
  227. 新田庚一

    新田政府委員 一六%台だと思います。
  228. 大原亨

    大原分科員 最近の情勢では、実際にはやはり一七、八%から少なくとも二〇%ぐらいにはなるだろう、こういうふうにいっているわけですが、そうすると、四十八年度の予算編成のときに閣議決定いたしました経済見通しは相当変えていかなければいけないと思いますけれども、どうでしょうか。
  229. 新田庚一

    新田政府委員 私どもは、経済見通しを立てます際に、四十七年度のあとを受けて四十八年度がどういうふうな経済の姿になるのが望ましいかというふうな点を基礎にしまして描いているわけでございます。その際にやはり、四十六年度の不景気のあとを受けまして、四十七年度の景気上昇のあとを受けて四十八年度の経済考えます場合に、過去何度かありましたように、景気回復後、設備投資が急増して、そうして輸出と結びついて急成長をするというふうな経済のパターンというものは今後とるべきじゃない、またそういう方向にはならないであろうというふうな考え方経済の見通しを立てたわけでございます。その場合に設備投資が、過去の例を見ますと景気回復二年目にはかなりの伸びを示しておりますけれども、私どもとしましては、最近の需給ギャップから見まして、また、ただいま申し上げましたような考え方に立ちまして、一四%というふうに見ているわけでございます。そういったことから経済成長率が一〇・七%という姿になっておるわけでございます。したがいまして、そういった姿を描いていく場合に、経済の総需要がどういうふうに動いていくかという点が一番問題になるのでございますが、そういうものは経済の運営態度に書いてありますように、総需要を適正に保ちながらそういった安定成長路線につないでいくということを基本的に考えているわけでございます。したがいまして、円切り上げの問題はこの作業の前提には組み込まれておりません。  その後こういった為替不安の問題が生じたわけでございますが、御承知のように、この為替レートの問題は、日本経済に対してはデフレの方向に作用するわけでございます。これが、どういった程度、あるいは方向に動いていくかという点は、いましばらく様子を見なければいけないわけでございますが、やはりそういったものを織り込んで、それは一つの与えられた与件として、経済の実体がどういうふうに動いていくかということを見ながら経済運営をやっていく。そして目標としての来年度経済見通しはこのまま置いておいて差しつかえない、そういうふうにいま考えているわけでございます。
  230. 大原亨

    大原分科員 住友銀行、きょうは三和銀行の見通しが出ていますが、三和銀行、住友銀行、あるいは各民間の研究所や証券その他は、低くても一七%、あるいは普通であれば二〇%、そういうことになれば名目で一五・二くらい、あるいは三和銀行は一五・四という数字をきょう出しておりますね。実質は九・〇、それから九・四と、いまお話しのようなデフレ的な効果を見越して成長率が下がる、こういうふうにそれぞれ出しているようですが、政府はそういうことは全然配慮しないでやってよろしいものかどうか。
  231. 新田庚一

    新田政府委員 フロートになりましてから、各方面で経済見通しが出てきておりますが、ただいま御指摘になりました九・四、五%からあるいは一〇・七、八%くらいまでのかなり幅のある見通しが現状で出ているわけでございまして、私どもとしましては、この前つくりました経済見通しというものは現状においても変える必要はない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  232. 大原亨

    大原分科員 それはいままでの質疑応答は、円の切り上げをやらないということの前提で経済見通しを立て予算を組んだ、こういうふうに私たちは言ってきたわけです。円の切り上げを防止するためにやるんだ、こういうふうに政府は言ってきたわけですね。しかしながら、いま現在一六・五%ぐらい、おそらく二〇%は少なくともドルが動いておりますから行くだろう、こういうことになって、そしてGNPやそれに伴う指標が変わらないということは、やはり私は見通しとしてはおかしいのじゃないか、矛盾するのじゃないかと思いますが、どうですか。
  233. 新田庚一

    新田政府委員 これは政府経済見通しの性格論につながる問題でありますけれども、私ども経済見通しをつくります際には、GNPでしたらGNPの重要項目、それからGNP全体、それからGNP以外の項目、そういうものにつきましての実勢とか相互の関連というものを、もちろん作業の過程でそれぞれ計算いたしますけれども、それと同時に、経済の望ましき姿としてどういう姿が望ましいかという一つ目標、それに必要な政策というものを前提にして計画をつくっているわけでございます。したがいまして、昨年、各民間機関がつくりました経済見通しは、ほとんど例外なく一一%あるいは一二%台の見通しが多かったわけでございます。私どもとしましては、やはり経済の安定成長というものに結びつける、過去のような高度成長をもう一度繰り返さないというふうなこと、したがいまして、それに必要な総需要対策というものを前提にして見通しを立てたわけでございます。したがいまして、その総需要対策というもののかじのとり方がいろいろ当初より違ったものになるかもしれませんが、経済の描いている姿そのものに関しては変える必要はない、そういうふうに考えているわけでございます。
  234. 大原亨

    大原分科員 安定成長、安定成長ということを言われますけれども政府の見通しは実質で一〇・七で、名目では一六・四ですね。一六・四ですが、これは安定成長じゃないでしょう。いままでの常識から言えば七%ないし一〇%。七%が安定成長で、福田さんが政権とれば七%から八%、田中の角さんが政権とれば一〇%というのが当時からの大体の相場であったわけです。福田内閣になれば、これは慎重論でインフレを総合的に押えていくという政策をとるだろう。角さんになれば、これは少し花見酒の上にでき上がっておる内閣であるから膨張政策になるだろう、インフレだろう、こういうのが相場だったわけです。見通しは政治的に努力目標だから何をやってもいいけれども経済企画庁がやったやつも当てにならぬのだから何をやってもかまわぬが、二八・四%という名目成長というのは、これは実際上はかなり超高度成長ですよ。これは国際的に見ればもちろんそうだけれども、国内で議論したことからいっても、これは超高度成長で、安定成長、安定成長とときどき長官も言われるが、これはそうじゃない。では、それはどこが安定成長で、どこが超高度成長ですか。どのくらいが境ですか。
  235. 新田庚一

    新田政府委員 一〇%台の成長は、四十六年度五・七%から見ますと、かなりの高度成長というふうに見えますけれども、やはり経済でございますので、かなりの景気循環があるわけでございます。過去におきましても、景気の回復期の、たとえば昭和四十一年度一一%、四十二年度一三%台、それから四十三年度も一三%台というふうに、やはり景気回復の初年度、次年度というものはかなり経済の成長率が高くなるということは、一つの循環の姿として言えるわけでございます。ただ、来年度の一〇・七%というものは、一つのカーブとして見ますと、四十七年度の下期からかなりの景気上昇をしておりますので、いわゆるげたというものを五%ぐらいはいておるわけでございます。そういったことで、年度中の上昇率としましては五・七%ということでございます。ちなみに四十七年度は景気回復の初年度でございますので、これは約八%ぐらいの年度中の上昇率でございます。したがいまして、四十八年度の年度中のカーブとしましては、四十七年度よりもかなり寝ている姿が描かれてくるということでございます。そのあとは、今般つくりました経済社会基本計画の成長ラインに乗っかっていくということを想定しているわけでございます。
  236. 大原亨

    大原分科員 新長期計画では九%程度となっていますね、実質成長率は。だからいつごろから下がるのですか。ばあっと上がっていつごろ下がるの。
  237. 新田庚一

    新田政府委員 長期計画の成長率は平均の姿でございますが、計画にもたしか書いてございますけれども、現在の景気循環を前提にしますので、計画の前半は後半よりも高くなるというふうなカーブを想定しているわけでございます。
  238. 大原亨

    大原分科員 私は長官、こう思うのですよ。総理大臣に補佐官をつくるとか、いろいろキッシンジャー方式みたいにやろうと思っておるのだが、しかし、いまの田中内閣は、あまりあっちこっち頭を突っ込んで、どこへ行くのかわからぬというような印象ですよね、率直の話が。キッシンジャーになるのがおらぬのか、よくあちこち話を聞いてはわかった角さんで、どこへ行くかわからぬというような印象を与えているわけですよ。非常に不安を与えている。みんな専門家も、ここにおられる皆さん方にも、どうもあれ、ついていきよったらええのか悪いのかという印象を与えていると私は思うのですよ、率直な話が。だから、経済企画庁がしゃんとしておって、政策誘導についてはスタッフを動員してやっているんだから、それはきちっとした発言をして、そのときどきにやらなければいけない。それで、一五%、あるいは予想もしなかった二〇%も円の価値が変わってきたのに、情勢は変らぬというようなきれいなことを言っておるから、私はおかしいじゃないかと思う。  いつも、中期経済計画経済社会発展計画、あるいは新長期経済計画、こういうふうにいろいるありましたけれども、そのときに、一番われわわ議論してみて政治的に率直さを欠いているというのは、やはりそれは物価の問題。福祉の指標もさることながら——福祉の指標については、あまり上げると財政硬直化するといって、いまはなくなった村上孝太郎君などもがんばったものです。それは、福祉予算は率をふやしますと非常にふえてまいりますから、そうすると財政硬直化して、そのときどきに応ずるうまみがないというふうなことを言ったわけですね。しかし、それじゃ福祉優先じゃないじゃないかという議論で計画についてやっているわけですが、幾ら計画立てたって、四十三年ごろには振替所得の比率は国民所得に対して大体七%程度に上がっておるはずなんだから、もういまや八・八%を議論する時代ではないのです。ヨーロッパ水準を議論する時代ですけれども、それが一つあるということ。もう一つは、物価をいかにも安定させるのだというような印象を与えるが、実際にはそれを越えてどんどん上がってくる、こういうことですね。物価一つの行政でなしに総合政策だから、この全体の運用をどうするのかという、言うなればトータルが物価になってくると思うのです。だからその物価についての見通しが非常に政治的であって、そうしてそれを追及すると、計画経済でないからと、こう言って逃げていくわけです。だから政策国民生活立場に立って誘導するということについて経済企画庁がもう少し権威を持ってこなければならぬと私は思うわけです。経済企画庁というところは、もう動員しておいて、そうして一生懸命に勉強。勉強にはなると思うのだけれども、そして計画をつくっておいては一、二年でパアになる。外国でも言っているのですけれども日本計画は全然当てにならぬ、これを当てにして日本の将来を考えておったらとんでもない間違いであって、これとは逆のことを考えておればいいというくらい信用がないのじゃないかというようにいわれている。そこに私は、いろいろな議論はしますけれども、欠陥があると思う。  たとえば、そういうようなことで、言うなれば本年の計画で、しかも円の切り上げ等を考えた場合を想定しながらでもそうですが、この四十八年度に二%という卸売り物価の上昇ということは実際上はない。これはいま話がありましたが、いまのは実質成長のげたですが、卸売り物価にいたしましても、これはげたが幾らになるのですか。卸売り物価を二%と想定しておるけれども、この四十七年度末の三月の指数で全平均を割ったげたは、パーセントは幾らになるのですか。
  239. 新田庚一

    新田政府委員 二%と想定した場合の推定のげたは一・五でございます。
  240. 大原亨

    大原分科員 だから、最近の卸売り物価なんか、投機を含めて値上がり状況を見たって、一・五のげたで二%におさまるなどというようなことはないでしょう。去年は年度でいえば八・五%で、それ以後若干下がりましたから、平均してみると、三月の指数で割ってみれば一・五で済んだわけですけれども、そのげたをはいて四十八年度に出てくるということになれば、そうすれば卸売り物価の上昇というものは五%にはなるだろう。そういう推定は普通の常識になっていますよ。いかがでしょう。
  241. 新田庚一

    新田政府委員 私ども二%の想定をしました際、本年度の四月から十二月までの平均一・三というものをベースにしまして、特にその際木材が非常に急騰しておった。一月以降、その反落ということも期待しまして、一応来年度に卸売り物価は一・五というように見ておったわけでございます。今後の問題としましては、フロートの影響がこれは物価の面ではいい方向に作用すると思います。けれども最近の物価の騰貴の状況を見ますと、来年度二%におさめるためには、そのフロートの効果も考慮に入れてかなりの政策努力を必要とする、またそのような政策運営が必要であるというふうに考えておるわけです。
  242. 大原亨

    大原分科員 最近、投機を含めて、インフレ状況の中で卸売り物価は上がっておるわけですね。だから卸売り物価は、消費者物価も若干影響あるけれども、それを上げておいて、そして輸出にブレーキをかけていこうというのが調整インフレ論なんです。中曽根さんが最初、田中総理の意中を受けたかどうか知らぬが、ばっと言って問題になった。だから調整インフレだけれども、そういう状況は下方硬直の状況です。いま物価は明らかにそうですよ。投機的な空気というのはやはり貨幣を信用しないということなんだから、換物思想的なものですから、下方硬直の状況ですけれども、これが一・五のげたをはいて二%で卸売り物価がおさまるということは暴言ですよ。初めから予定が狂うということを想定しなければならないんですよ。そうすると、これは明らかに五%ぐらいは上がるだろうというふうにいわれているわけですね。いかがですか。そんなできないことがはっきりわかったようなことについて、見通しを変える必要がない、そういう議論は、あなたは閣議決定しておるからと言ったって、もう少し頭を流動的にしなければだめですよ、いま変動為替制だから。
  243. 新田庚一

    新田政府委員 卸売り物価は、御承知のように消費者物価よりも流動的でございまして、硬直性は少ない、かなり国内の需給関係に左右される面が強いわけでございます。御指摘のように、最近の物価の情勢を見ますと、来年度の二%というものはかなりきついという感じはありますけれども、それに近い線にできるだけ落ちつかせるというような政策運営をしていきたいと思います。
  244. 大原亨

    大原分科員 公定歩合その他についてあとの時間で言いますけれども、消費者物価ですね。消費者物価は、四十八年度の閣議決定の経済見通しによりますと五・五%になっているのです。五・五%でもべらぼうに高い。一年ものの定期預金が五・二五%ですから、これは高いわけですよ。こんなモラルに反する政治はないわけです。反道徳的な政治はないわけです。しかし、これはげたは幾らになっているのですか。
  245. 小島英敏

    ○小島政府委員 三・五でございます。
  246. 大原亨

    大原分科員 三・五だって、卸売り物価が申し上げたような情勢ですね。卸売り物価は上がっておるし、投機的な値上がりもあるわけですが、それであって五・五%に、二%の範囲内でおさまるというようなことは、いま見通したって絶対にないですよ。そこへおさめる見通しがありますか。
  247. 小島英敏

    ○小島政府委員 余裕が二%あると申しますことは、直線的に、趨勢的に上がるといたしますと、年度の初めから終りまでの間に四%上がる余裕があるということになるわけでございます。二倍したものが年度の初めと終わりとの間の上昇率ですね。これは四%ということになるわけです。四%ということは決して楽な目標でもございませんし、やはり万全の努力をいたさないと五・五%の目標を達成することはなかなかむずかしいということは事実でございますが、少なくも、しかしあらゆる努力を払って五・五%の目標を達成したい、こういうことであります。
  248. 大原亨

    大原分科員 普通、民間のそういう私が申し上げたような機関の、銀行なんか、政治的にやはりある程度チェックしているけれども、大体七%は下らぬだろうといっている。最近のインフレ状況から見て、財政金融政策全般から見て七%は下らぬだろう、こういっていますよ。長官どうですか。五・五%、べらぼうに高い話だけれども、さらにそれを安定させるためには、あなたは閣議において全閣僚を督励して、的確な指示を与えながら総合的な調整ができますか、経済企画庁長官のポストで。総理大臣になれば別ですよ。田中内閣は大体先が見えたから、次にあなたの内閣をつくれば別ですが……。
  249. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 消費者物価の十二月までの指数は、御承知のように四・五でおさまりましたわけでございます。消費者物価の点では、季節的な商品が暖冬というようなことにたいへん好影響を感じまして、野菜等は下がっておるわけでございます。近海の魚介類等も、わりあいにサバが豊漁だったりいたしまして、イワシもとれるというようなことで、わりにその点は恵まれておりまして、五・三%、年度末のは大体それ以下ではないかというふうに私ども思っておるわけでございます。  いま、われわれ、過剰流動性の対策、あるいは銀行のそういうもののほかに、今度は投機的なものを少し押えにかかろうということでいろいろなくふうをめぐらしておるわけでございまして、何とか目標は、とにかく一度掲げたものでございますから、その達成に努力したいと考えておりますが、ただ流動的な問題は、ドルが今後どうなっていくかということでございます。したがって、円の切り上げも何ぼぐらいにいくであろうかという点はかなり流動的な要素でございますが、いずれもこれはデフレ要因として働きます。それでわれわれは、やはり輸入物資というものが、そのまま為替変動の利益が消費者に還元される、そういう形をとりたい。その点については、極力追跡調査をしたり、消費者に対する情報提供をいたしたりして、何とかその目標に到達したいと考えております。  ちなみに申し上げますと、おしかりをいただきましたが、従来の経企庁の物価の見通しは相当はずれておりまして、四十五年度も七・三%、四十六年度も五・七%ということでございまして、だいぶ高くなっております。われわれ何とかひとつことし四十八年こそは目標をはずさないようにいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  250. 大原亨

    大原分科員 ただ、いまの経済状況インフレムードですね。これはだれも否定しない。インフレ自体なんですね。インフレそのものなんですよ。それは政府当局としては、責任者としてそういうことをお認めになるわけにいかぬでしょう。しかしインフレなんです。投機インフレがくっついているわけです。正常な経済活動ではないわけですよ、いまは。そういう事実は率直に認めてやることが必要なんだ。だから、円の再切り上げを防ぐために一方では調整インフレ政策をとってきた。それからすべての諸悪の根源だという土地の問題について政策を持たなかったということが一つその前提にある。そういう中でインフレが進んでいるわけです。そして円の切り上げと、国民から見れば両方からパンチを食らうということになった。しかし、これは物価にはあまり影響ないだろうということなんです。  そこで問題は、経済見通しの中で、民間の指数を見て私どもが感ずることは、デフレ的な要因はやはり貨幣価値が変わってくればあるというふうにいわれておる。そこで、GNPの中身を構成しておる個人消費支出その他は別にしても、問題は国内の民間総資本形成の中での民間設備投資。民間設備投資については政府の見通しは一四%ですが、しかし各銀行、民間団体はずっと一三%、一二・七%、一三%、野村の総合研究所に至っては六・九%、こういうふうにいっておりますが、これはどうでしょう。
  251. 新田庚一

    新田政府委員 いろいろな数字がございます。ただ民間の機関の見通しは、昨年の暮れ、あるいはことしの一月にかけました際は、二〇%、あるいは一九%ないし二〇%くらいの見通しを立てたわけでございますが、フロートあるいは切り上げが企業の長期的な設備投資計画にどういうふうな影響を及ぼすかという点につきましては、必ずしもまだはっきりしない点がございます。私どもとしましては、やはり現状において一四%と申しますのは、この中では輸出に関係のない非製造業の設備投資が一七、八%くらいと見ておりまして、製造業関係は一〇%弱程度の見通ししかしておらないわけでございます。御承知のように、これは過去の成長を引っ張っておった鉄鋼とか石油化学とか、あるいは合繊とかのいわゆる大企業中心の製造業は、かなりの需給ギャップが現在ございまして、そういったものではなくて、最近の財政主導型の経済に対応するためにやはり能力がきつくなっている面の能力増というものが、本年、四十八年度あたりから出てくるという点を見込んでおるわけでございまして、現状におきましても、私どもとしましては、来年度の設備投資は一四%前後というのが妥当な線じゃないかというふうに考えております。
  252. 大原亨

    大原分科員 円の再切り上げはメリット、デメリットが短期的に見ればあると思うのです。しかしメリットは国民にはあまり影響しないで、デメリットが中小企業国民はばあっと影響してくる。そういう傾向を日本の政治の体質は持っている。日本株式会社と言わぬでもそういう体質を持っている。しかし、全体の経済活動からいっても、二割も貨幣価値が変わってくれば、これは影響しないわけがないだろう。そこで大きな予算を組んだという議論にもなるかもしれないが、しかしそういうことになれば税収が変わってくる。法人税その他が変わってくれば当然交付税がかわってくるわけですから、そういう税収の見通しも変わるんじゃないか。予算の基礎が変わるんじゃないか。そういう点は率直に物価の問題を含めて認めて、そして対策を立てるというふうな節度がないから、何をやっても時間つぶしみたいなことになるのじゃないかと私は思うのです。税金の面で、大蔵省は円の再切り上げやいまのような議論を踏まえての見通しはどうなのかという点についてのお答えをいただきたい。
  253. 山内宏

    ○山内説明員 いずれ円が固定レートに復帰をするにいたしましても、現在の段階でそれがどの時期にどの程度の形で行なわれるかということが明らかでございませんので、この段階においてその影響いかんということをここで申し上げるのは適当ではなかろうというふうに考えております。
  254. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ちょっと補足します。  いま申し上げたとおりでございまするが、そこで、私どもとしては、やはりこの予算を早く執行させていただいて、その後に起きた変化についてはこれによって補正するというお願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。現に土地の売買益等は、これは利益が出れば課税をするわけでございますから、その面で非常に大きな売買益が出れば税収はふえると思うのでございます。そのふえた税収をどう使ったらいいのか。いずれにしても国民のために使うべきものと思いますが、そういう点はまた補正において十分なし得ることで、この際は、こういう外部の変動のある時期であればあるだけに、やはり予算を早く執行させていただいて、そして財政、金融等のポリシーミックスによって全きを期したい、こう思っておるわけでございます。
  255. 大原亨

    大原分科員 それは政府としては、できるだけ予算委員会なんかのうるさいことは早く済んで、さっさと気持ちよくなって、それで考えたいという気持ちはわかる。わかるけれども経済計画を立てるあなたのほうが、常にそういうきびしい現実を避けて通るというところに、計画計画倒れになるということがあるわけです。そのために国会があるわけですから、その点はいままでの反省の上に立って、総合計画、長期計画を立て、あるいは経済見通しの反省の上に立って経済見通し、長期計画——長期計画を出したけれども、いつもそれがくずれていくのはなぜかというと、時間がないからあれだけれども物価GNPの関係ですよ。GNPをできるだけ押えると物価が安定するというフレームになるから、だからその関係を政治的に考えて、一応計画を、誘導目標を立てることはいいから、その現実に対応するそういう硬直性のないやり方というものが必要なわけですよ。福祉目標なんか立てておいたって一つも実行したことがないんだから、いままで国民所得に対する振替所得、そういう国民生活でいま一番基本的な構造の改革を求められておるのが生活水準の引き上げなんです。たとえば政府とか銀行がまっ先に週休二日制をばあっとやればいいわけだ。緩行なんか六十カ国やっているわけです。土曜日に窓を開いているのは日本だけだ。そういうことはわかっているはずだし、ますますわかってきたわけだ。日本は土曜日に働いている国だというようなことになっているからね。そういうふうなことや社会保障の面とかいうふうなものについてはびしっと実行するという裏づけをしておきながら、総合的に国民生活の上からどういうふうに経済運営するかということを流動的に、それこそ発展的に考えていくというふうなことが必要ではないか。そういう面においては何とか言いのがれをしておいて、そして国会が済むまでは、予算審議が山を越すまでは固定相場制にしないでおいて、まだそれがどうなるかわかりませんというようなことを言っておる。そんなことを言ったって、いま一六%の円の値上げでやっているわけだから、これは二〇%になる、ヨーロッパの事情を見れば。だから、そういういいかげんなことでやっちゃいけない。田中内閣はだめですよ。もうすぐですよ。パンクするですよ、このままいさよったら。これは自然に国民の不満が爆発しますよ。私はそのことだけ申し上げておきますが、何か答弁があればひとつ言ってください。
  256. 山崎平八郎

    山崎(平)主査代理 次に、上原康助君。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
  257. 上原康助

    上原分科員 いまもいろいろ物価問題で御議論ございましたが、私はおもに沖繩の復帰後の物価問題と関連をさせて、政府のそれに対する対策等について御所見なり御意見を賜わりたいと思うのです。  物価問題は、何も沖繩に限定する問題ではなく、いま国民全体が生活上の問題として非常に大きな関心を持っている政治的課題だと思うのです。そのことを前提にしながらも、復帰前後の沖繩の物価上昇というのは、開発庁あるいは復帰前の総理府の統計資料等をごらんになっても御理解いただけるように、本土の全国平均はおろか、どの地域よりも上昇が激しい、高いという実態になっているわけなんです。  そこで、通貨の交換なりいろいろな要素があったわけですが、特に最近に至っては、御承知の、五十年に行なわれようとする沖繩海洋博覧会との関係において、なお県民生活に非常に大きなしわ寄せを与えている現状なんです。このまま何の対策あるいは手当てもせずに放置すると、それこそもう県民生活そのものが破壊をされる、そういうところまでいきかねない状況だと私たちは見ているわけなんです。たいへんむずかしい問題であるということも一応理解をしつつも、沖繩の物価問題あるいは土地投機の問題等を含めて、抜本的な対策、方策というものを講じていかなければいかない段階にあると考えるのですが、まず、沖繩のこういった物価問題に対して、政府はどのように現状を理解をされ、またどういう方針で今後取り組んでいかれようとしておられるのか、大臣の御所見を賜わりたいと思うのです。
  258. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 本土復帰直後に、沖繩においては消費者物資の異常な高騰が見られたわけであります。私ども、これを非常に心配いたしまして、せっかく復帰の念願を達した沖繩県民諸君にこうしたことで痛手を与えてはいけない、極力本土からの直送物資を送るなどいたしたわけでございます。どうも私の見るところでは、長年の米軍統治下にありました関係もあって、配給機構等がはなはだ完備しておらぬ面がありはしないか、そういう点を一日も早くそれこそ本土並みにしなければならぬのでありまして、こういう点を私どもは関係省庁との間に十分な連絡をとりながら、沖繩の消費者物価の安定をはかりたいと考えておるわけでございます。特に、四十七年六月から四十八年一月までの間に、消費者物価で七%の上昇をいたしました。こういうふうな状況を見るにつけましても、特にその感を深くするわけでございます。  それから海洋博の問題にお触れになりましたが、これは沖繩においてまさに画期的な仕事でございます。日本としてもまた画期的な大きなできごとであるわけでございますが、これが沖繩の消費者物価に与える、あるいは卸売り物価に与える衝撃のようなものでございまして、マーケットも狭いだけに、この事業の与える効果が非常に大きいわけでございます。そうしたことで物価騰貴を来たさないように、あるいは労賃の異常な騰貴からくる物価騰貴を来たさないように十分配慮していかなけばならない、かように思っておるわでございます。
  259. 上原康助

    上原分科員 いま大臣御説明いただいたように、昨年復帰直後の六月から年末までの消費者物価上昇率というのが約七%、実際はこれは数値であって、われわれの実感としては、それの倍かあるいはそれ以上じゃないかという感を受けるわけですね。制度の違いとか通貨の交換というようなことで、制度の変化があったことを一応前提としても、あまりにも異常過ぎるということは否定できないと思うのです。  そこで、そういう実情は御理解いただいているようなんですが、じゃ今後どういう対策を立てていかれようとしているのか、これは沖繩だけにいま物価問題を限定するわけにはいかないと思うのです。また政府が立てた経済成長見通しにしても物価上昇の見込みにしても、先ほどの御議論にもありましたように、当たったためしがないといわれるほど、天気予報以上にこれは見込みが狂っているわけです。そういう面からすると、特に昭和五十年の海洋博の問題との関係においても、本土の物価対策以上の手当てなり対策というものを考えないと、私は、この過熱化した沖繩の物価というものを抑制していく、あるいは鎮静化していくことにはならないと思うのですよ。もし具体的な方針なりお考えがあれば聞かせていただきたいと思うのです。
  260. 小島英敏

    ○小島政府委員 昨年六月以降の沖繩の物価指数の上昇は、いまおっしゃいましたように一月で七%でございますが、この内訳を見ますと、主として食料の上昇がひどいようでございます。食料価格が十二月で九・八%の上昇、ことしの一月で一二・一%の上昇でございまして、食料を除きましたと申しますより、季節商品を除きました総合指数では、ことしの一月でございますが、三・六%の上昇にとどまっております。ちょうど全国の、本土の物価指数で見ましても、季節商品を除きました総合が、同じく去年の六月を一〇〇といたしますと三・六でございまして、したがって、現在沖繩の物価指数が本土の物価指数よりも上がっておりますのは、もっぱら季節商品の上昇であるというふうに判断いたしております。  これはなぜかと申しますと、実は本土におきましても、数年前から季節商品の価格安定というものが物価対策上の最大の問題にされておりまして、その他の商品はあまり激しい乱高下がございませんけれども、季節商品、特に野菜の乱高下というものがはなはだしかったわけでございます。特に野菜サイクルと申しまして、ある年に非常に野菜の値段が下がりますと翌年の作付が激減する、そのために翌年は非常に価格が上がる、そういう形で一年おきのサイクルを描いておりまして、これを何とかしなければいけないということで、一昨年、昨年あたりから、非常に野菜対策に大きな予算が組まれまして、生産対策と価格対策が行なわれております。生産対策につきましては団地を育成いたしまして、指定産地を全国に何百とつくりまして、その中の重要なものにつきましては品目を指定いたしまして、価格対策として、非常に野菜価格が暴落したときにまるまる損にならないように必ず何割かは保障されるような仕組みが現在でき上がっております。したがって、最近、昨年からことしにかけまして本土の野菜が非常に安定しておりますのは、天候に恵まれたということもございますけれども、やはり一昨年と昨年と並んでこういうふうに好調でございますのは、こういう政策がかなり効果を及ぼしてきておるというふうにわれわれは思います。  そこで、沖繩のほうは、農林省のほうに聞いてみますと、どうも現在のところ指定産地というものがまだできていないそうでございまして、来年度の予算で特産野菜生産団地育成事業ということで、特に沖繩分として七百万円のお金が別掲されまして、今後、したがってこの沖繩においても指定産地というものがどんどんできてまいる、そういたしますと、先ほどの価格対策が働き出すわけでございます。したがいまして、ことしはそういうことで非常に遺憾でございますけれども、これはまあ緊急対策として非常に上がる場合にはやはり本土からそういうものを移送するということがおそらく最大の対策になると思いますけれども、ここ二、三年の間にはやはりそういう本土の対策が沖繩に均てんされて季節商品につきましても安定するものと思います。  それから最近問題になっておりますのは資材関係の値上がり、特に木材関係が非常に上がっておるようでございまして、これは後ほど開発庁のほうからも詳しくお話あるかと思いますけれども、やはり事業、工事のテンポというものが現地の物資の供給力なり労働力なりと見合っておりませんと、どうしても過渡的に労賃とか資材の急激な値上がりということが起こりがちでございますので、この辺は十分開発庁を中心といたしまして各省が連絡をいたしまして、沖繩現地の能力に見合ったような形で事業を調整していくということもきわめて必要であろうと思っております。
  261. 上原康助

    上原分科員 長々と御答弁いただいのですが、御説明のように食料品が非常に上昇をしている、上昇率が高いということはそれだけ県民生活に及ぼす影響が強いということなんですよ。そのことが物価値上がりの実感なんです。で、いまおもに季節商品としての野菜などの変動が激しいので指定産地あるいは栽培団地というものをおつくりになってやっていくということですが、奇妙なもので、沖繩で野菜が不足するということも私もいろいろ研究に値する点があるんじゃないかという個人的な考え方も持つわけですが、その点はともかくとしても、私は物価問題というのはやはり国民生活ということをまず中心に考えなければいかないと思うのですよ。政府の対策というものが先行せずに絶えず後手後手でいっているということに問題があるんじゃないかと思うのです。いま御説明いただきましたように、二、三年もすれば何とか補助も与えて指定産地もつくるのでその影響も沖繩にあらわれていくということだというのですが、それじゃあんまり気の長い話なんですね、正直に申し上げて。おっしゃりたいのはそういうお気持ちで言っているとは思いませんが、もっと緊急対策というものをとってしかるべきだと思うのです。  そこにいく前にちょっと開発庁にお伺いしたいのですが、復帰前後に通貨交換なりいろんな物価上昇要因があるということで沖繩物価安定緊急対策について閣議で四十七年五月二十六日におきめになっていろいろ御努力をいただいた。その物価安定緊急対策の委員会なりでどういう役割りどういう機能を果たしたのか、どの程度委員会を開いて、またどういう面でほんとうに物価対策についてやってこられたのか、まず御説明をしていただきたいと思うのです。
  262. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま御指摘になりましたように昨年の五月二十六日に沖繩物価安定緊急対策、これを閣議決定いたしました。その内容はいろいろございますが、物価実態調査及び消費者等への情報提供あるいは価格形成の適正化、主要物資の供給の円滑化、独占禁止法による厳格な取り締まり、さらに関係行政機関における連絡調整の緊密化等、こういうふうな項目がそれぞれ実施に移されたわけでございますが、その最後に出てまいります関係行政機関における連絡調整の緊密化の具体的な中身といたしまして、臨時に関係各省の物価担当官をもって沖繩物価担当官会議を構成する、これを設けてもろもろの連絡調整、施策の実施に当たる、こういうことが決定されたわけでございます。この五月二十六日の閣議決定をいたすためにも事前に関係各省の局長クラスが何回か集まりまして相談をしたわけでございます。この閣議決定を準備した会合自体が関係各省の物価担当官会議であったともいえるわけでございます。もろもろの施策を実施に移しまして、復帰直後における通貨交換の換算レートをめぐる混乱からきた物価の上昇もほぼ鎮静を見たという時期に、昨年の七月四日でございますか、物価担当官会議を招集いたしております。関係十四省庁局長クラスの物価担当官が参加いたしまして、ここで、復帰直後に見られた換算レートの混乱を主因とする消費者物価の上昇の現象は漸次鎮静化してきているものと認められる。したがって復帰直後の物価の混乱を収拾するという当初の目的をほぼ達成したものと認められるが、なお長期の物価の安定達成のため適宜適切な対策を立案していきたい、こういうことでひとまず空襲警報が警戒警報に緩和された、こういうふうな調子で事態を注視してまいっているところでございます。
  263. 上原康助

    上原分科員 いま空襲警報どころじゃない、爆撃されてどうにもならないんですよ、これは。  お伺いしたいのですが、この物価対策、まあ各省庁の担当官会議をもっていろいろ御努力いただいたということですが、功を奏した、ほんとうに実効を伴ったというお考えでおられるのか。まあそのほかにもいろいろお仕事もあるでしょうからやむを得なかったという面もあろうかと思うのですが、もっと打つ手があったという何か御反省なりあるいはあの面はこうすればよかったということまでほんとうに突っ込んだ物価対策というお話し合いなり協議というのも持ったのかどうか、そこいらはどうですか。
  264. 松岡宏

    ○松岡説明員 各省担当官会議では非常に真剣な検討をいたしましたところでございまして、具体的に申し上げますと、沖繩の消費生活、食生活の中で何といっても一つ核心的な地位を占めるのは豚肉である。復帰直後豚肉が高騰したわけでございます。これに対しまして直ちに南九州から豚肉五百トンを緊急輸送する、こういう方針を決定いたしまして、沖繩復帰の月、昨年の五月末にはすでに南九州から那覇港へ第一船七トン豚肉が到着したわけでございます。こういったことが刺激になりまして、地元の豚肉価格は低下をたどり、その後沖繩県知事からもう豚肉の輸送は中止してもらいたい、これがあまり入るようでは地元の生産者にも悪い影響が出るからということで、当初の五百トンの予定が七トン、一回輸送しただけで中止になったわけでございます。この中止を決定したのが先ほどの昨年七月四日の物価担当官会議でございまして、これをもってひとまず復帰直後のごたごたは鎮静したものと判断しておる、こういう次第でございます。
  265. 上原康助

    上原分科員 どうもあまりお役所的な御答弁で納得いかないのですがね。豚肉の話も確かにそういう方策、方針をとられたということも私たちも知っているのですが、実際しかし油っこいやつで味も悪い、質が悪いということで、これじゃ困るという実情もあったわけですよ。政府は何かといえば現地のほうに責任を転嫁していきたがる御答弁だけで何かその場をつくろっていこうとすることも間々あるのですが、実態はそうじゃなかったということ、やはり物価問題というのは、いろいろな土地投機の問題にしてもそうなんですが、心理的な面もかなり影響をするわけですよ。預金をしておるよりも何か品物にかえておく、いまの商品買いだめだってそうでしょう、本土を含めて。だからそういう面に対しては、国民に心理的な悪い影響を与えないかというのが私は企画庁のやる仕事でありお役所の、政府の仕事だと思うんですよ。そういう面先がけてやらないからいろいろな弊害が出てくるという、そういう反省がない限り、いま起きている本土の物価の問題、いろいろな投機問題にしても、沖繩の物価対策に対しても、ほんとうの親身なあれは生まれてこないと思うのですよ。だから、私が申し上げたいことは、確かに皆さんいろいろ御努力をいただいたということも否定はしません。それなりに御努力をいただいているということを前提としながらも、昨年おつくりになったこの沖繩物価対策連絡協議会なんというのは、表向きでは、政府はこういうふうにやっているんだと、新聞報道ではどんどん出しても、実際に上がっている物価をどう抑制していくかというきめこまかい対策をとらなかったところに問題があるということを指摘をせざるを得ないのですよね。そういう反省の上に立って、先ほど申し上げたような問題をぜひやっていただきたいということを申し上げたかったために、少し突っ込んでお聞きしたのですが、どうも納得のいく御答弁にはなっていない点、残念なんです。  そこで、先ほどの日常の諸物価の問題もそうなんですが、最近の建築ブームなどいろいろな面で、これは本土も含めてそうなんですが、物価急騰の元凶はやはり建築資材だといわれているんですよね。昨年の十月ごろは三・三平方メートル当たり十六、七万円で建築見積もりができておったのが、十二月になると、二十万円、あるいは二十二万円、さらに今年に入ってからは二十五万、二十七万というふうに急上昇しているのですよ。これは本土でもそういう上昇にはなっていないと思うのですね。こういう面で、海洋博との関係においても資材の供給体制というものをつくっていかなければいけない問題だと私たち見ているわけです。  そこで、沖繩における今後の物価対策を進めていく上において、一つには公正取引室の機能の問題もあるでしょう。あるいは、よく議論になります物統令の問題、あるいは独禁法の適用の問題、こういう現段階で政府が手を打てるいろいろな対策をきめこまかく、できる面から具体的に進めていかなければいけないと思うのですが、現地総合事務局におかれている公正取引室の機能といいますか、機構といいますか、そういった面はどうなっているのですか。
  266. 松岡宏

    ○松岡説明員 総合事務局に公正取引室という組織がございまして、ここに本土の公正取引委員会からその方面のベテランの職員が派遣され、また地元の関係者と一緒に、独禁法違反の疑いがある価格協定等を厳重に監視いたしております。昨年の五月二十六日の閣議決定の中にも、独占禁止法の疑いのある価格協定は取り上げる、こういう方針がうたってございまして、現に幾つかの業種については行政指導をしております。
  267. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、公正取引室の機能充実というのは、復帰直後より次年度においてはもっと陣容を強化していく方針がとられているということですか。それと、物価問題はもちろん政府だけの責任ではないでしょう。県庁なり関係者との協議機関といいますか、そういうものもやらなければいけない。それを進めていく核になるのはやはり政府だと思うのですよ。開発庁であり、企画庁でなければいけないと思うのですね。そこいらの構想についてはどうなんですか。
  268. 松岡宏

    ○松岡説明員 公正取引室の定員の増加という方針がすでに決定いたしておりまして、近く実現する運びになっております。
  269. 上原康助

    上原分科員 現在は何名で、今後強化をしていかれるというなら、何名増員をするのか、あるいはまた予算の裏づけとか、そういうのはどうなっていますか。
  270. 松岡宏

    ○松岡説明員 定員増の方針は決定いたしておりますが、具体的な計数につきましては、後ほど資料をお届けして御説明させていただきたいと思います。
  271. 上原康助

    上原分科員 そこで、大臣にお伺いしたいわけですが、いまちょっといろいろ議論をしてみましても、どうも、対策委員会をつくるとかあるいは連絡会議を持つ、そのこと自体、私は否定しているわけじゃないですよ。しかし、やはりつくった以上はそれが十分その役割りを果たす機動性、機能というもの、あるいは権限を含めて、持たさなければいけないと思うのですね。そういう意味で、物価対策について、これは県庁あるいは出先の総合事務局とも関係するでしょうか、県においてもすでに物価対策連絡協議会というのを設置して、いろいろな実態調査なり、さらに対策を進めようということで動き出しているわけですよ。そういう意味で私は、本土の物価対策を含めて、この際、実態調査そのものと、それを抑制していく、鎮静化させていくためのいわゆるプロジェクトチーム的なものを政府につくるべきだと思うのです。そういう方法で積極的に進めていかない限り、政府がただ、そのつど指摘をされて、何々対策協議会を持ちましょう、連絡会議を持ちましょう、実態はこうでした、本土はこうなんだ、沖繩はこうなんだということだけでは、いまの物価問題はどうにもならないと思うのですね。そういう意味で、企画庁としてそういったプロジェクトチームなり班なりをつくって、いろいろな投機の問題、商品買い占めの問題あるいは野菜の問題についてきめこまかい対策を立てて、具体的に関係者と連絡を持ちながら、不当な利益を得ているものに対しては、独禁法なり公正取引室の権限を強化する——強化というよりも与えられている権限内で処理をしていく、そういった積極面というものをこの際打ち出すべきだと思うのです。そういうお考えがあるのかどうか。これは本土も一緒なんですが、まず沖繩の場合は優先してそういったものを現地の機構に設置をすることによって手当てをすべきだと思うのです。この点についての決意をまずお伺いしておきたいと思うのです。
  272. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 冒頭に申し上げたように、沖繩の復帰後の物価の上昇に対しましては、私ども非常に心配をいたしております。それと同時に、何とかこれを早く正常化するためにできるだけの努力をしたいと考えておるわけでございます。いま、私どもといたしましては、物価担当者会議というものを企画庁の中に持っておりまして、各省庁のそのほうの担当者に来てもらって会議をいたしております。沖繩の関係も、これを今後さらに推進するようにつとめたいと考えております。  それから明年度のことでございますが、物価局を新設するということで法案を国会に出しております。これができましたときには、物価の総合調整物価政策物価のいろいろな個々の推進、そういうものをやってまいると思うのでございますが、それに先立ちまして、実は私ども、これは予算の関係がございますが、予算は四月から使わしていただくことにいたしますと、モニター制というものをつくりたいと思っております。物価モニターを方々へ置きまして、それから通報していただいて、それに対する措置を進めてまいりたいと思いますが、沖繩にもぜひさようなものを設置したい。沖繩の方々にもモニターとして協力していただけるような手配をしたいと思っておるわけでございます。  それから、最近の沖繩の状況は、私はちょっとごぶさたして行ってないのですけれども、もとは何回も行っておりましたこと御承知と思いますが、あの地域で海洋博が行なわれる、そこで先物買いが土地を買いたい、ホテルをつくりたい、そういう計画が多過ぎるんじゃないかというふうに私個人としては考えております。そういうことが物価に非常に刺激を与えておるとすれば、こういうことも総合的な見地から見直す必要があるんじゃないかというふうにも感じております。これは口で言うだけではございません。それに対するいろいろな措置をとってまいりたい、こう思っております。
  273. 上原康助

    上原分科員 時間が参りましたので締めくくりますが、いまおっしゃるように、海洋博インフレというものとの関連において、まるで離乳したばかりの赤子に大盛りを与えるようなものですよ、いまのやり方は。そういう面でいろいろな物価問題その他の弊害、デメリットというものが出てきております。ですから、ぜひそういったプロジェクトチームというものを、予算の問題はまた別にいたしましても、つくって、さらにあと一つ沖繩の物価問題と関連してぜひお考えになっていただかなければいかぬのは、やはり離島ですから輸送コストの問題ですね、運賃問題、そういう面についても政府部内においても十分御検討いただいて、ぜひひとつ物価対策というものが実効ある結果が生まれるように、特段の御配慮を要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  274. 細田吉藏

    細田主査 以上をもちまして、昭和四十八年度一般会計予算中、経済企画庁所管に対する質疑を一応終了いたしました。     —————————————
  275. 細田吉藏

    細田主査 次に、昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。中尾農林政務次官
  276. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 昭和四十八年度農林関係予算説明を申し上げたいと思います。  昭和四十八年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  最初に、各位の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、予算の裏づけとなっております農林水産業施策の基本方針について申しあげます。  まず、農業についてであります。農業は、国民の必要とする食料を安定的に供給するという重要な役割りを果たしており、また、農業が営まれている農村は、国土の大部分を占め、国民の約半数が住んでいる地域であって、そこでは緑と国土を保全しつつ農民を中心として健全な地域社会を形成しております。私は、このような農業と農村の健全な発展なくしては、わが国経済社会の調和ある発展はないものと考えております。  ひるがえって、わが国農業の現状を見ますと、国内的には、米の生産調整、農業所得の伸び悩み、農業就業者の中高年齢化、対外的には、経済の国際化に伴う農産物輸入の拡大に対する要請の高まり等内外ともにきわめてきびしい情勢のもとにあります。  このような情勢に対処して、農業と農村の健全な発展をはかるため、次の方向に沿って、農政の総合的、計画的な推進をはかることとしております。  まず、高能率農業の展開をはかることとしております。わが国経済発展とその急速な国際化の進展に対応して、国民経済の一部門としての農業の均衡ある発展をはかるためには、その体質改善を急速に推し進め、生産性の高い近代的な農業として確立することが基本的に重要であります。このため、農産物需給の展望と生産目標に即し今後十カ年にわたる土地改良長期計画を策定し、これを踏まえて農業生産基盤の重点的な整備開発を進めるとともに、農業団地の育成、農業構造の改善、集団的生産組織の育成等の諸施策を強力に推進することとしております。  次に、需要の動向と地域の特性に即応しつつ農業生産の再編成を推し進めることとしております。このため、米について、需給の実態に即し、引き続き、生産調整措置を講じつつ他の作目への転換を促進する一方、需要増大が見込まれる畜産、野菜、果樹、畑作物等について、生産、価格及び流通加工にわたる各般の施策を拡充強化することとしております。  さらに、農業者の生産と生活の場である農村地域を豊かで近代的な高福祉の地域社会として建設を進めることとしております。このため、都市に比べて立ちおくれている農村地域の生活環境整備を強力に推進することとし、従来の施策の拡充強化をはかるとともに、新たに、農業生産基盤と農村環境の整備を総合的かつ計画的に推進する農村総合整備モデル事業を実施することとしております。  また、国民消費生活の安定と生産者の所得の確保に資するため、価格対策、流通加工対策、消費者対策の一そうの拡充強化をはかることとしております。このため、特に、野菜、加工原料用果実等の価格安定対策を拡充強化するとともに、中央、地方を通ずる卸売り市場の計画整備、総合食料品小売りセンターの増設等による生鮮食料品の流通の合理化、近代化を推進することとしております。  このほか、農林金融につきましても、農業近代化資金及び農林漁業金融公庫資金の融資内容の改善、農業信用保証保険制度の拡充、農水産業協同組合貯金保険制度の創設をはじめとし、各般にわたり一そうの拡充整備をはかることとしております。  次に、林業につきましては、最近における森林・林業をめぐる諸情勢にかんがみ、森林の公益的機能と木材供給等の経済的機能を総合的かつ高度に発揮させることを基本とし、治山事業の拡充、造林、林道等生産基盤の整備、林業構造の改善、木材需給の安定、林産物の流通加工の合理化等各般の施策を一そう拡充強化することとしております。なお、国有林野事業につきましては、治山事業に対する国の財政措置の強化とあわせて、事業運営及び組織・機構の合理化の推進等事業全般にわたる抜本的な改善を行なうこととしております。  また、水産業につきましては、資源上の制約、国際規制の強化、公害の増加等のきびしい情勢に対処して、各般の施策について拡充強化をはかることとしております。このため、第五次漁港整備計画の発足をはかり、漁港の計画整備を強力に推進するとともに、わが国海外漁場の確保と海外漁業協力とを一体的に推進するための体制を整備することとしております。さらに、未利用漁場の開発と沿岸海域における栽培漁業の振興を通じ、海洋水産資源の開発を積極的に推進するほか、水産物流通加工対策、漁場保全対策等についても、その強化をはかることとしております。  以上、申し述べました農林水産業に対する施策の推進をはかるため、昭和四十八年度農林関係予算につきましては、その充実をはかることにつとめた次第であります。  昭和四十八年度の一般会計における農林関係予算総額は、農林省所管合計一兆四千七十三億円に、総理府、外務省、厚生省及び建設省の他省所管の農林関係予算を加えますと、一兆五千三百四十六億円でありまして、これを昭和四十七年度の当初予算と比較しますと、二千三百四十九億円の増加となっております。  以下、このような予算重点事項については、委員各位のお許しを得まして説明を省略させていただきたいと思います。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  277. 細田吉藏

    細田主査 この際、おはかりいたします。  ただいま中尾農林政務次官から申し出のありました農林省所管関係予算重点事項につきましては、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 細田吉藏

    細田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔中尾政府委員説明を省略した部分〕  以下、この農林関係予算重点事項について御説明いたします。  第一に、高能率農業の展開に関する予算について申し上げます。  まず、農業生産基盤の整備につきましては、農業の構造改善と生産性の向上をはかるとともに、農村環境の整備に資するため、昭和四十八年度から十カ年にわたる土地改良長期計画を策定し、総事業費十三兆円をもちまして、高能率の機械化営農が広く可能となるよう農業生産の基盤となる土地及び水の条件の整備開発を積極的に進めることとしております。  昭和四十八年度におきましては、その初年度として、圃場整備、農道整備、畑地帯の総合整備、農用地開発等の各種事業を積極的に推進することとしております。  圃場整備につきましては、七百十二億二千四百万円を計上して、末端圃場条件の整備をはかることとし、また、農道の整備につきましては、六百五億一千二百万円を計上して、事業の大幅な拡充をはかることとしております。  畑地帯の総合整備につきましては、一百三十二億三千二百万円を計上することとし、また、農地開発事業につきましては、四百三十九億一千八百万円を計上して、事業の拡充をはかるとともに、新たに、広域未開発地域において大規模な畜産基地の建設を進めるため、開発構想の具体化した一部の地域について特別の国営総合農地開発事業に着手することとしております。  畜産基盤の整備につきましては、一百四十九億八千二百万円を計上するとともに、新たに、共同利用模範牧場設置事業の一環として畜産基地建設事業を実施するほか、畜産経営をめぐる環境問題に対処するため、畜産経営環境整備事業を実施することとしております。  また、基幹農業用用排水施設の体系的整備につきまして、八百三十四億八千四百万円を計上しております。  以上のほか、農地防災事業、調査計画費等を合わせて、農業基盤整備事業費として、総額三千四百四十五億九千四百万円を計上しております。  次に、農業団地の育成について申し上げます。  生産性の高い近代的農業としてわが国農業の体質改善を進めるとともに需要の動向に即応した農業生産を推進するため、四十七年度から実施している農業団地育成対策について、その一そうの拡充強化をはかることとしております。近代的な機械、装置の導入を中心に団地として農業生産の組織化を進める高能率生産団地育成事業につきましては、一百二億七千九百万円を計上して事業の拡充をはかるとともに、新たに、米、落葉果樹、花卉、養豚を対象作目に加えることとしております。  また、農業団地育成対策の一環として、広域営農団地整備事業について四十二億六千八百万円、モデル農業団地形成事業について二十五億三千七百万円をそれぞれ計上して、事業の拡充実施をはかることとしております。  次に、農業構造の改善について申し上げます。  農地流動化の促進につきましては、四十七億七百万円を計上して、農地保有合理化法人の行なう事業の拡充、その運営基盤の強化等を進めることとし、第二次農業構造改善事業につきましては、その計画推進をはかるため、新たに二百三十地区について事業に着手することとして、三百二十八億七千九百万円を計上しております。  高能率な農業生産を実現するためには、経営規模の拡大と並んで集団的な生産組織の育成が重要でありますので、新たに、高能率集団的生産組織育成対策事業を実施し、専業的な中核農家群を中心とする農作業受委託組織を広く育成することとし、六億二千七百万円を計上しております。  また、農業者年金制度の運営につきまして、九十七億五百万円を計上するほか、農業就業近代化対策、出稼農業者営農改善対策等につきましても、施策の拡充をはかることとしております。  第二に、農業生産の再編成の推進に関する予算について申し上げます。  まず、昭和四十八年産米の生産調整につきましては、米の需給事情に即し、目標数量を二百五万トンとし、転作及び休耕の態様に応じて米生産調整奨励補助金を交付することとし、総額一千七百五十八億四百万円を計上するとともに、別に、米生産調整協力特別交付金二百億円を計上しております。  また、水稲から今後需要増大が見込まれる農作物への作付け転換を一層推進するため、稲作転換促進特別事業等各種助成事業の拡充強化をはかることとしております。  次に、畑作農業の振興について申し上げます。  野菜対策につきましては、生産および価格の安定が強く要請されていることにかんがみ、前年度に引き続き施策の大幅な拡充実施をはかることとし、まず、生産対策につきましては、野菜指定産地の生産出荷近代化事業、露地野菜生産団地の育成等を引き続き推進するとともに、新たに、野菜指定産地のうちとくに規模の大きい産地に基幹的産地としての役割りをになわせるための基幹野菜指定産地近代化推進事業を実施することとしております。  野菜の価格対策につきましては、特に春夏期等の野菜の価格補てん事業の拡充をはかることとし、対象品目の拡大、国庫負担率の引き上げ等を行なうほか、野菜の売買保管、緊急輸送、消費地における大規模低温貯蔵庫の設置等につき引き続き助成を行なうこととしております。  野菜の流通加工対策につきましては、引き続き、野菜集送センターの設置、野菜冷凍工場の実験的設置等につき助成を行なうほか、新たに、低温流通方式等開発実験事業を実施することとしております。  以上のほか、野菜試験研究の強化、卸売り市場の野菜関係施設の整備等を推進することとし、これらを含めました野菜対策の総額は、一百五十四億八千三百万円となっております。  果樹農業の振興対策につきましては、果樹広域主産地形成事業等の拡充実施をはかるほか、新たに、ウンシュウミカンの品質の保持をはかるための共同予措事業、落葉果樹の生産振興のため果樹園の総合整備等を行なう落葉果樹生産振興特別事業等を実施することとしております。  また、加工原料用果実価格安定対策事業について、新たに、かん詰め用ウンシュウミカンを対象に加える等その拡充をはかるほか、引き続き、ウンシュウミカン等の近代的な果汁工場整備を進めるとともに、新たに、大消費地に冷蔵果汁の製造集配施設を設置することとしております。  これら果実の生産、価格、流通加工対策に要する経費として、総額四十六億五千七百万円を計上しております。  養蚕対策につきましては、引き続き、主産地等における集団営農の推進等をはかるほか、新たに種繭生産モデル地域育成施設設置事業を実施することとしております。  また、特産農作物および甘味資源作物の生産対策につきましては、特産物生産団地の育成、てん菜大規模集団産地の育成等を引き続き推進するとともに、新たに、食用バレイショ等の品質の保持をはかるための放射線照射利用実験事業及びてん菜の共同育苗施設の設置事業を行なうこととしております。  これら、養蚕、特産農作物等の生産対策として総額三十七億一千万円を計上しております。  さらに、砂糖及び甘味資源作物の価格の安定対策として六十二億九千三百万円、大豆なたね交付金等として十八億三百万円を計上しております。  なお、北海道その他重要畑作地帯における畑作の振興をはかるため、新たに、高能率集団畑作経営確立対策及び耕土改善対策を実施することとし、これらに要する経費として、七億八千八百万円を計上しております。  花卉対策につきましては、国民生活向上に伴い、増大する花卉需要に対応して、新たに、花卉集団産地育成事業、フラワーセンター設置事業を実施する等施策の拡充をはかることとし、これらに要する経費として、四億六千六百万円を計上しております。  次に、畜産の振興対策について申し上げます。  まず、畜産の基盤となります自給飼料の確保につきましては、公共事業による草地開発の拡充をはかるほか、既耕地における飼料作物の生産利用の促進及び水稲の飼料作物への転換を強力に進めることとしております。  また、酪農及び肉用牛につきましては、市乳供給モデル団地の育成、肉用牛生産団地の育成、乳用雄子牛の利用促進、家畜の導入等の事業を拡充実施して、引き続き、その生産振興を推進することとしております。  さらに、養豚につきましては、豚肉の需給事情、生産環境問題等に対処して総合的な振興対策推進することとし、新たに、繁殖経営の安定的拡大をはかるための養豚団地の育成、原種豚育種集団の強化推進等の事業を実施するほか、養鶏対策につきましても、国産種鶏の増殖、優良種鶏の集団育成等の事業を実施することとしております。  また畜産経営をめぐる環境問題に積極的に対処するため、新たに、高能率養豚施設の設置、悪臭防止対策の推進、公共事業による畜産経営環境の総合的整備等を行なうこととしております。  このほか、家畜衛生対策等につき、所要の経費を計上することとしており、これらを含めまして、畜産生産対策の総額は、三百七億一千七百万円となっております。  畜産物の価格対策につきましては、引き続き、加工原料乳に対する不足払い、肉用牛の価格害定、乳用雄肥育素牛の供給及び価格の安定等の事業を実施することとし、また、流通加工対策につきましては、引き続き、基幹食肉流通施設の整備、成鶏肉処理加工の合理化等を推進するほか、新たに、濃縮乳生産専門モデルプラントの設置、食肉取引安定特別対策、食肉処理技術者養成施設の設置等の事業を実施することとしております。  さらに、学校給食用牛乳の供給について、新たに、僻地校に対する牛乳供給促進するための事業を実施することとし、これらを含めまして、畜産物の価格、流通加工対策の総額は、三百十六億八百万円となっております。  次に、米麦の生産改善対策について申し上げます。  まず、稲作につきましては、生産性の向上と良質米の供給促進するため、新たに、高能率の機械化一貫作業体系の導入をはかる高能率米麦作団地育成対策事業を実施するほか、広域米生産流通総合改善事業、直播稲作推進事業等を引き続き推進することとし、また、麦作につきましては、高能率稲麦作団地育成対策事業等の実施により生産性の向上をはかることとし、これらに要する経費として、二十九億二千二百万円を計上しております。  第三に、高福祉農村の建設に関する予算について申し上げます。  豊かで近代的な農村を建設し、農業の健全な発展と農村居住者の福祉向上をはかるためには、都市に比べて立ち遅れている農村環境の総合的整備開発を進めることが大切であります。このため、昭和四十八年度から五カ年の計画で農村総合整備モデル事業を実施し、農業生産基盤と合わせて、集落道路、生活排水施設、農産廃棄物処理施設等を総合的かつ計画的に整備することとし、従来からの農村基盤総合整備パイロット事業とあわせて二十六億五千万円を計上しております。  また、農村地域への工業導入を促進するため、新たに、二百五十市町村について工業導入実施計画を策定するほか、市町村による工場用地造成等に対する資金融通及び工業導入関連諸施設の整備を新たに推進することとし、六億九千一百万円を計上しております。  さらに、農業ないしは農村の持つ環境保全機能、レクリエーション機能を積極的に評価し、その増進をはかるため、新たに、国の大型プロジェクト研究の一環として、農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究を実施するとともに、自然休養村の計画整備、花卉対策の充実等をはかることとしております。  また、生活改善普及事業、農山漁村同和対策等を拡充するとともに、第二期山村対策事業として、四十七年度に計画を樹立した九十地域につき、農林漁業特別対策事業を実施することとしております。第四に、食品流通加工の近代化と消費者対策の充実について申し上げます。  生鮮食料品等の流通を近代化し、消費者物価の安定をはかることは広く国民的な要請となっておりますので、野菜、畜産物等の流通加工の改善をはかり、消費生活の安定に資するための事業を積極的に推進することとしております。このため、さきに御説明しましたように、野菜、果実及び畜産物についての対策を拡充するほか、中央卸売市場及び地方卸売市場の施設整備促進、総合食料品小売センターの増設、生鮮食料品集配センターの設置等について助成を行なうこととし、これら生鮮食料品等の流通加工対策に関する経費として、一百五十三億六千一百万円を計上しております。  また、消費者保護対策につきましては、農林物資規格表示の設定普及、テレビによる啓発、情報提供等を引き続き行なうほか、JASに準ずる地域食品認証制度、消費者テレフォンサービス等の新規事業を実施することとし、また、食品産業等農林関連企業対策につきましては、新たに、産業及び人口の地方分散に即応した食品企業の適正合理的な立地目標の策定と食品工業団地の適正な形成を促進することとし、これらに必要な経費として、四億九千四百万円を計上しております。  第五に、農林漁業金融の拡充について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貸し付け計画額を三千三百七十億円に拡大するとともに、土地改良資金、畜産経営環境保全資金、造林資金、卸売り市場近代化資金等各種資金について、貸し付け金利の引き下げ、融資率の引き上げ等融資内容を幅広く改善することとしております。なお、この原資として、財政投融資二千四百八十八億円を予定するとともに、同公庫に対し補給金二百七十億三百万円を交付することとしております。  次に、農業近代化資金制度につきましては、貸付ワクを三千億円とするとともに、貸し付け金利の引き下げ及び貸し付け限度額の引き上げ等をはかるほか、所要の利子補給補助等を行なうこととし、また、農業信用保証保険制度について、保険の対象となる資金の範囲を拡大する等その充実をはかることとし、合わせて九十四億九千一百万円を計上しております。  また、農業改良資金制度につきましては、貸付ワクを一百九十億円とするとともに、新たに、技術導入資金を活用して、農業者の自主的な技術開発及び集団的生産組織の育成、運営に必要な資金の融通をはかることとし、これに要する経費として四十億五千三百万円を計上しております。  さらに、漁業近代化資金制度につきましては、貸し付ワクを五百五十億円に拡大することとし、これに要する経費として十二億三千三百万円を計上しております。  このほか、農水産業協同組合貯金保険機構に対する出資、開拓融資保証制度を円滑に農業信用保証保険制度へ移行させるための、農業信用保険協会の融資資金造成等を行なうこととしております。  第六に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。  治山事業につきましては、六百二億八千三百万円を計上して、これを積極的に推進することとし、このうち一百億円を国有林野内治山事業に充てることとするほか、新たに、治山事業施行林地につき、保育に対する助成を行なうこととしております。  さらに、森林開発公団が行なう水源林造成事業につきましては、一般会計からの出資金七十億円を計上しております。  次に、林業生産基盤の整備促進するため、林道事業につきましては、二百七十億四百万円を計上して、事業の拡充実施をはかるとともに、補助体系の改訂および大規模林業圏開発林道事業の新規実施を行なうこととし、造林事業につきましては、一百七十五億二百万円を計上して、事業の推進をはかるとともに、補助体系の改訂及び保安林等における育林作業の新規実施を行なうこととしております。  また、国土緑化の推進につきましては、都市部を含めた国土の緑化を一層推進することとし、新たに、総合的緑化技術のコンサルティング活動、緑化用苗木の需給情報提供等を行なうために設立される法人に対し、基金造成等の助成を行なうこととしております。  このほか、第二次林業構造改善事業につきましては、四十七年度に事業計画を樹立した一百地域において事業に着手することとし、第一次林業構造改善対策事業と合わせて六十七億七千七百万円を計上するとともに、森林計画制度の運営、森林病害虫等の防除、林産物の生産流通の改善、森林組合の育成強化、林業労働力対策、林業普及指導等について拡充実施をはかることとしております。  第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。  漁業生産基盤の整備につきましては、昭和四十八年度から五カ年にわたる第五次漁港整備計画を策定し、総事業費七千五百億円をもちまして漁港の計画整備をはかることとし、四十八年度におきましては、その初年度として五百三億二千七百万円を計上するほか、大型魚礁設置事業、浅海漁場開発事業及び漁港関連道の整備を引き続き推進することとし、合わせて五百三十六億八百万円を計上しております。  次に、海洋水産資源の開発につきましては、沿岸海域における栽培漁業の振興をはかるため、瀬戸内海における従来の事業を引き続き推進するほか、新たに、日本海における栽培漁業センターの設置について助成するとともに、遠洋および沖合海域における海洋新漁場開発事業を拡充し、新たに未利用の深海漁場の開発体制を整備することとし、合わせて三十八億一千八百万円を計上しております。  また、発展途上国を中心に領海等を拡大する動きが強まっていることに対処し、海外漁業協力事業に必要な資金の融通等を行ない、わが国海外漁場の確保と海外漁業協力とを一体的に推進することとし、これに必要な経費として外務省計上の経済開発等援助費のうちの十億円を含めて二十二億一千一百万円を計上しております。  水産物の価格安定対策につきましては、冷凍水産物等の流通改善、水産物産地流通加工センターの形成等の事業を拡充するとともに、新たに、水産物入出荷合理化促進事業、水産物市場情報収集事業等を実施することとし、合わせて二十二億二千三百万円を計上しております。  さらに、漁場環境保全対策につきましては、四億八千四百万円を計上して、新たに、PCB汚染漁場の定期点検及び赤潮被害防止対策を実施することとしております。  以上のほか、農林漁業施策の推進のために重要な予算について申し上げます。  まず、農林水産業の試験研究につきましては、新たに、農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究等を実施するとともに、試験研究費の増額、施設の計画整備等により試験研究の強化をはかることとし、これらに要する経費として二百四十二億三千三百万円を計上しております。  なお、研究学園都市建設促進のため、特定国有財産整備特別会計に必要経費を計上して、新たに、果樹試験場、蚕糸試験場等の施設の建設等に着手することとしております。  次に、農林水産業の改良普及事業につきましては、農業改良普及事業について、新たに、農業団地特別指導事業等を行なうことを含めて一百二十一億八百万円、生活改善普及事業について二十五億五千五百万円をそれぞれ計上しておりますほか、畜産経営技術の普及指導として四億五千三百万円、蚕業技術の普及指導として十七億七千三百万円、林業普及指導事業として二十三億四千万円、水産業改良普及事業として三億九千四百万円をそれぞれ計上しております。  このほか、農業団体の整備強化に八十二億六千一百万円、農業災害補償制度の実施に五百四十一億八千四百万円をそれぞれ計上するとともに、農林統計情報の充実整備、公害・環境保全対策、災害対策公共事業につきましても所要の経費を計上しております。  次に、昭和四十八年度の農林関係特別会計予算についてご説明いたします。  第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧につき食糧管理制度の適切な運営をはかるため、米の生産調整対策及び自主流通米との関係に配慮するとともに、過剰米の計画的な処分を引き続き実施することとし、所要の予算を計上しておりますが、一般会計からは、調整勘定へ二千六百八十億円、過剰米の処理にかかわる損失の計画的補てんに充てるため、国内米管理勘定へ七百五十億円を繰り入れることとしております。  また、国内産イモでん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため、一般会計から、農産物等安定勘定へ七億円、輸入飼料勘定へ九十四億円をそれぞれ繰り入れることとしております。  第二に、農業共済再保険特別会計につきましては、果樹保険の本格的実施を含め、農業災害補償制度の運営のため必要な予算を計上しており、一般会計から総額三百二十億二千万円を繰り入れることとしております。  第三に、国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業の財務状況に対処し、森林の持つ公益的機能の維持増進、木材の持続的かつ計画供給という国有林に課せられた使命を果しつつ、可能な限り経営の合理化を進めることとしておりますが、国有林野事業勘定の歳入予定額は一千八百八十一億三千二百万円、歳出予定額は一千九百五十一億三千二百万円でありまして、差し引き歳出超過額七十億円は、前年度からの持ち越し現金をもって充当することとしております。  また、特別会計の財政事情を考慮し、治山勘定において実施する国有林野内治山事業につきましては、一般会計から一百億円を繰り入れその大幅な拡充をはかるとともに、国有林野事業勘定において実施する造林事業につきましては、新たに、資金運用部から二百億円の借り入れを予定することとしております。第四に、漁船再保険及漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険事業及び漁業共済保険事業の実施のため必要な予算を計上しており、一般会計から総額三十五億二百万円を繰り入れることとしております。  以上のほか、自作農創設特別措置、特定土地改良工事、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、昭和四十八年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。  財政投融資の計画額としましては、農林漁業金融公庫、農地開発機械公団、森林開発公団、八郎潟新農村建設事業団及び特定土地改良工事特別会計に対するもののほか、新たに、国有林野事業特別会計に対するものを含め、総額二千九百五十一億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。  これをもちまして、昭和四十八年度農林関係予算及び財政投融資計画概要の御説明を終わります。  よろしくご審議くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  279. 細田吉藏

    細田主査 以上をもちまして農林省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  280. 細田吉藏

    細田主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。
  281. 越智通雄

    越智(通)分科員 農林省関係の御審議のトップバッターでたいへん恐縮でございますが、最初に申し上げたいのですが、いま国民生活で最大の問題はやはり物価と申しましょうか、あるいはそれの国際的な面をとらえれば、通貨の価値が外に向かってえらく強くて国内においてえらく弱い。この通貨の現状というものを政治が一番深刻に受けとめねばならない時期がきていると思うわけでございます。  国民生活からいいますと、やはり何といっても物価が上がるというのはつらい。いろいろと土地の問題もございます、あるいは昨今木材の問題等もございますけれども、都市に生活しております主婦の立場からいいますと、食料品の価格がどんどん上がっていくというのが、何かインフレ圧力という生活に対する脅威として一番強く受けとめられておるように思うわけでございます。国民の食生活に責任を持つのはだれであろうか。内閣の中で見回してみますと、やっぱり農林大臣しかいないんじゃないか。農林省の行なうべき仕事の中に、国民食糧の安定的供給というのが描かれていると私理解いたしておりますが、そうした問題について、たいへん失礼ですがいままでの農林省は、何だか知らないけれども生産者のほうばっかり見ているような気がしてしようがない。ただいま次官から御説明のございました文章の中にも、そういった私の申し上げるような趣旨があまり前面に出てきていないという感じをぬぐえないわけでございます。たまたまいま次官が省略されました個所の中に、「食品流通加工の近代化と消費者対策の充実」という項目もなるほど入っています。入っておりますけれども、忘れずにちゃんと入っていたなあというぐらいの感じでございまして、そこら辺については、農林省としてはこれからもっと積極的に国民の食生活に責任を持つんだという決意を、次官からぜひ伺わせていただきたい。それが第一問でございます。
  282. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 まあ、私にということでございますから簡略ながら答弁をさせていただきまして、詳細にわたりましては所管の者にまた答弁をさせてみたいと思っております。  農林省は、農林畜水産業の改良発達及び農山漁家の福祉の増進と並びまして、国民に対する食糧の安定的供給の確保というものをその重要な任務の一環として考えておるわけでございます。このような任務を果たすためには、農林省は法律に定められました権限なども十分行使いたしまして、農林畜水産物並びに飲食料品等の生産、さらにまた、先ほども話題になっておりますけれども、流通及び消費の問題に対する増進、改善並びに調整という事務の遂行に当たっているところでございますけれども、特に最近、越智議員の御指摘のとおり、消費者問題を特に重要な問題として考えていかなければならぬ昨今である点を考慮いたしまして、昨年行ないました農林省の機構改革の中におきましても新たに食品流通局というものを設定いたしまして、そして消費者の行政の一そうの推進をはかっているというのが私ども立場でございます。  御指摘になられました問題点は、私どももよく把握しておるつもりでございますけれども、ややもすれば、農林省は生産者の側しか見ていないではないかという批判が行なわれていることも、これまた事実であろうかと思います。しかし、決してそういうものではございませんで、世界のいわゆる生産の需給、サプライ、ディマンドの関係からする日本のこれまた生産者の立場と消費者の立場というものも、日本国全体としてグローバルに把握していかなければならないということを農林当局の立場考えているわけでありまして、決して一方的に、生産者だけをもってこれが農林省の基本的な防備すべきたぐいだと考えているわけではございません。そういう意味におきましては、先ほどの行政の一環に食品流通局を加えまして、鋭意この問題に前向きに努力をしているということをも御了承願いたいと思うのでございます。
  283. 越智通雄

    越智(通)分科員 たいへん失礼ですが、農林省もやっとみこしをあげてき始めてくださったかと思うのですが、ひとつこの際それをうんと前向きにやっていただきたい。その場合には、いままでのくっついているカキがらみたいないろいろな問題は勇敢にそれを切り取り、新しい時代にふさわしい農林省になっていただきたい。  そういう問題の一つとして、食料品の輸入の問題があると私は思うのでございます。いま日本人も外国人も食べるものはたいへん似てきた。しかし日本人が食べるものは全部日本でつくっているわけではないから、いろいろと輸入されている。ところが、先ほども申し上げましたように円の価値が外に強く内に弱い。これは輸入にとりましてはたいへん条件のいい環境が形成されているわけでございます。また、日本で使われておりますいろいろの食料品を輸入してくる相手方というのは、アメリカとか中国とかそういうところが非常に大きな相手先だと心得ておりますが、その中で、いままでむずかしい関係にありました中国とともかくも国交回復できた。そうしたことも、そうした食料の原料を安定的に輸入してくるのに条件がよくなったはずだと思うのですが、残念ながら、そうした輸入食料品というのが、食料品の値上がりを防ぐあまりいい手段となってない、こういう感じがしてならないわけでございます。それにはいろいろ事情もあると思います。しかし、そこに政府として十分なる手が打たれていたかどうか、私どもはそれを非常に心配するわけでございます。その場合に、たとえば先日のとうふの値上がりがございました。私どももおとうふ屋さんの大会に出席いたしまして、実情をよく聞きました。大豆が、自由化されているにもかかわらず、たいへんな品薄になっている。大豆はアメリカから輸入しているけれども、アメリカのシカゴのほうで雪が降って、取り入ればむずかしくなって、それが日本になかなか輸入できなくてといういろいろな事情はわかるのですけれども、その説明だけでは、われわれの食生活が脅かされたということは救われないわけでございます。そういう意味で、日本政府が食料品の輸入政策というものを果断に実行するたてまえがまだ確立されてないのじゃないか。もっと極言すると、食料品の輸入というのは、いやいやながらやむなくしかやらないのじゃないかという感じがいたします。先ほど御説明のありました文章の中にも、ちょっと気になったのでございますけれども、「対外的には、経済の国際化に伴う農産物輸入の拡大に対する要請の高まり等内外ともにきわめてきびしい情勢」、何か外圧みたいに受け取られたのでは、消費者の立場からいうとむしろ困る。そういう意味で、ぜひとも食料品の輸入政策、これを今後十分に活用するという点についての次官のまたお考えを、ぜひ承っておきたいと思います。
  284. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほど来私も申し述べましたように、あくまでも農林当局の基本的な考え方といいますのは、生産者のみに律するものではなく、同時に消費者の立場考えていくという基本路線は堅持しておるわけでございますが、同時にまた、生産者側の生きていく道というものも、これまた保障していかなければならぬという板ばさみも、これまた農林省のかかえている問題であることも、ぜひ御了解のほどをお願いしたいと思うのでございます。  食料品の価格の安定をはかるというためには、需要の動向に即しまして安定的供給を行なうということとともに、流通機構の合理化をはかることが基本であると考えております。すなわち、農産物は国民生活の基盤をなすものでございますし、安易に輸入に依存することは適当ではない、これはもちろん考えておりますけれども、需給の動向に即して、必要なものについては、消費者の立場を十分に考慮しつつ、今後とも輸入ワクの拡大等の輸入政策を弾力的に運用していきたいという考え方なのでございます。御指摘ございました大豆の問題とても、これも農林省などの行き方といいますものは、よその省と比べましても、天候、自然現象を相手にする省でございますだけに、今回の世界的な気象異変と申しましょうか、大豆の問題とても、大豆かすを入れておりましたというその基本的要因には、ペルーから輸入しておりました魚粉、魚かす等のそういう数万トンにわたる輸入等も、日本では現実的にでき得なくなった、それが大豆等にもしわ寄せがいったというようないろいろな要因がございまして、このような事態が発生し、とうふの値上がりにもひっきょう及ぼしていったということは、言うまでもないのでございますけれども、それだけに私どもはこれを慎重に踏まえまして、天候の責任に必ずしもおしかぶせるつもりは一つもございませんけれども、十分にその点を配慮しながら、日本の輸入というもののワクの拡大も、生産者に大きな圧迫にならないような形をとりながら、なおかつ消費者のためにバランスのとれていく輸入ワクというものが漸次増大していくことも考慮に入れなければ相ならぬという考え方に立っておるわけでございます。
  285. 越智通雄

    越智(通)分科員 そういう意味で、輸入を大いに活用していただきたいわけですけれども、農林水産物の物資にまだ非常に自由化されてないものが残っております。いろいろと自由化の要請の中で、ことばはきついかもしれませんが、かたくなにがんばっている品目がいま二十品目ぐらい残っているように思うのでございますが、そうした問題の中には、いろいろな種類の問題があると思います。一地域の小さな特産品など自由化されては困るという問題もあるかもしれませんけれども、われわれ国民の食生活から言うと、非常に大きな影響のあるものもいまもって輸入割り当てで残っているものが幾つかある。たとえば私は最近の食肉の値上がりというのが主婦にとってはなかなかに痛い。最近の子供は、お茶づけにつけものというわけにはいかない。三食それごとに何か肉類みたいなものを食べたいと言う。それが豚であるか牛であるかあまり気にはしないかもしれませんけれども、豚がかなり基本的には値上がりをする傾向を示しているように私は思っております。子豚の値段が上がっております。えさ代が上がっております。これはそういうことをやっていらっしゃる方々からは、強い陳情と申しますか、不満と申しますか、私どもも聞かされております。いずれは食卓にかなりの影響を及ぼすのではあるまいか。牛肉がまた最近上がってきております。ちょっとオーバー目に言いますと、五割は上がったんじゃあるまいかと私は見ております。そうしますと、この牛肉なんていうものは、確かに米作から転換するしかたとして畜産を奨励されている関係上、外国から輸入するのはあまり望ましくないかもしれませんが、やはり本質的には、外国のほうが食肉牛をつくるいわば先進国でございますので、どんどん輸入して国民の食生活を豊かにし、そうしておそらくはそれが国民のからだをじょうぶにするというか、体位を向上させるというか、そういうものに役立つようにさせたい。今度近くその割り当てのワクをふやしていただけるやに仄聞しておりますけれども、ぜひ輸入を活用していただきたい。その場合に、非常に問題になるのは、輸入されてくる品物が言うなれば、港を通るときとわれわれの食卓に来るときとにかなり値幅があるということでございます。私はたまたまいろいろと調べてみますと、通関の状況では、一キログラム当たりの牛肉が、いいのも悪いのも、うまい肉もまずい肉もと言ったら妙かもしれませんが、一キログラム当たりで四百二十二円、まあ四百円がらみぐらいになっておりますが、実際にいま市場に出ますと、小売り値は相当に高いわけでございます。こうしたものは、私の感じでは、おそらく二倍、むしろ三倍近い値段で最終消費者小売り価格と申しますか、なっている。その間にもっと合理化し、その値幅を縮める努力が十分されているかどうか。せっかくに畜産振興事業団というものができている。そうしたものが有効に動いているかどうか。あるいは、そうしたものがあるにもかかわらず、商社あるいはハムの製造業者等を中心に割り当てを受けているグループはまだ残っております。それらのグループの割り当ての実態は、私どもが伺っているところでは、従来の実績に従って行なわれている。そうだといたしますと、実績主義をつなげていく限り、何年たっても同じ商社が同じような進歩のない輸入をされていたのでは食生活にとっての向上にならないのではないか。ぜひとも食料品に関する限りその輸入のメカニズム、そしてそれが国内の流通市場に回ってくる過程、こうしたものに勇断をもってメスをふるい、合理化していただきたい。農林省としてたとえばいまの食肉等の今後の輸入、そしてそれの流通についてどういう対策をお持ちであるか、局長でけっこうでございますからぜひ具体的な御意見を伺わせていただければありがたいと思います。
  286. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 先生指摘のように、現在農林水産関係では二十四品目が輸入割り当ての対象になっております。したがいまして、そういった輸入制限品目については割り当てをするわけでございますが、いたずらに生産者の立場だけを考えて割り当てをしているわけではございません。やはりそういった輸入制限対象の農林水産物について消費をするのは——農民も一部は消費いたしますけれども、大部分は消費者の方が消費されるわけでございますから、消費者の需要というものは十分考えながら割り当てをやってきているわけでございます。もちろん直接の割り当て自身につきましては通産省の権限でございますから、通産省から一々協議を受けておりますが、消費者の立場というものは十分に考えておるつもりでございます。  それから次に牛肉の話が出たわけでございますが、確かに先生の御指摘のとおり昨年の十一月ごろから牛肉値段が上がっております。それと国内生産にからむ供給というものは、やはり牛肉でございますから、急に生産をふやすわけにもまいりませんので、四十七年度当初は六万一千五百トン割り当てをする予定でございまして、これは前年度に比べますと非常に大きく数字がふえているわけでございます。それをさらに一万トン追加割り当てをするということで二月二十六日にその追加割り当てを行なったのでございます。したがいまして、こういった牛肉が入ってくれば逐次牛肉の価格も安定するのではないか。  それから輸入割り当ての方式についていろいろ問題がないわけではございません。そこで、従来は輸入商社割り当て方式をとっておるものにおきましては、過去の実績に応じまして各商品の割り当てをしてきたということもございますけれども、四十七年度からオレンジ、パイナップルのかん詰めあるいは水産物等につきまして、こういったものは最終消費財でございますから、いわゆる国内でそれを使って加工する人もあまりおりませんので、消費者割り当てをやっておるわけでございます。新規の業者に対して輸入割り当てを行なうということで逐次割り当て方式自体にも改善をはかっておるわけでございます。  なお、入ってきてからの流通機構の合理化の問題につきましては、食品流通局長から御答弁させていただきます。
  287. 池田正範

    ○池田政府委員 入りましたあとのやり方がまずいと、せっかく入ってまいりましたものも十分効果を発しない、これは御指摘のとおりでございます。そこで例を幾つかとって申し上げたいと思います。  一つは、いま御指摘の輸入牛肉でございます。これは経済局長から申し上げましたように、全体としての輸入量は、たとえば四十五年度を一〇〇といたしますと四十六年度は一四五・五、四十七年度には一部見込みも含めまして約二九〇というふうに、全体量としての輸入は牛肉も非常にふえておりまして、果汁その他の物品にいたしましても平均してかなりふえております。金額に直しますともっと大きくなるというのが実情でございます。  そこで、せっかく入ってまいりましたものを消費者の手元に効果あらしめるように配給をしなければいけませんので、たとえば輸入牛肉につきましては、先ほど御質問の中に出ました畜産振興事業団、これが指定輸入牛肉販売店制度というものを持ちまして、全国で約二百九十店近い指定店を通じて販売価格を指示いたしまして、その指示価格の中で売らせるという体制を現在しいております。  またたとえば野菜、これは現在では輸入タマネギでございますが、タマネギなんかにいたしましても蔬菜輸入組合を通産大臣との間で特認をしてつくらせまして、卸、小売り段階それぞれ別に最高販売価格をきめまして、たとえば昨年でございますと、キログラム当たり卸で七十五円、小売りで百円、ことしはもう少し安くなりまして六十五円と九十円といったように、物みな上かっている中ではございますけれども、全体として端境期の対応策といたしましては、物別にやり得るものにつきまして個別に対応策を講じているわけでございます。ただ一般的に申しましてグレープフルーツ、バナナとかいうものはそういう形をとらなくてもかなり下がっているものもございますので、これらはむしろ全体としてあまり国内のミカン農家等に影響のないように、これはむしろ逆にバランスのとれた需給率を確保いたしませんと、輸入インフレという形も当然時期的には出てくるわけでございますので、そういった意味も含めて先ほど政務次官申し上げたわけでございます。
  288. 越智通雄

    越智(通)分科員 そういう点でぜひとも今後の農林省の前向きの施策を期待したいと思います。  ここでもう一つ伺いたいのですが、先ほど申しましたように食料品の輸入をする先として中国があるわけです。中国との今後の交渉において、日本に対して食料品を安定的に供給するようぜひ交渉していただきたい。と申しますのは、相手が国家貿易をやるものですから、非常に政策的な判断でそういうことをされますと、価格の形成についてもあるいは数量の取りきめにいたしましても、われわれの国民生活が脅かされる危険すらある。巷間、町の人たちは日中貿易をやったら何か安く入るのですかという感じでものを見ている。少しは安いものが食えるようになるのですかという考え方に対して、おそらくもっときびしい政治情勢のもとに交渉が行なわれると思いますが、私はぜひとも農林省がその点腹をくくって国民生活安定のために十分なる取りきめをしていただきたい、そのように思うわけでございます。  時間も差し迫っておりますので最後の締めくくりに申し上げますが、私も輸入は大いにしていただきたいと思う。輸入に耐え得るような生産者をつくることがほんとうの農林政策だと思っております。過保護のもとにのみ生存する農林政策、それがほんとうの農林政策だとは思わない。そういう意味で輸入は大いにしなければいけませんが、しかし輸入にたより過ぎた食生活の前提がありますと、相手国の事情でわれわれの生活がいついかなるときにどのように影響を受けるかわからない。アメリカがくしゃみして日本がかぜを引くとかつていわれましたけれども、アメリカが不作だとわれわれのとうふが値上がりするような話ではたいへん心もとない。そういう点についてかっちりと国民生活を守って防いでいくためにこそ農林省はあるのじゃないか。町の人の、われわれ庶民の考えでいえば、ドルがたくさんあるのならば買って持っていればいいじゃないか、よその国が売ってくれなければそれをどっと持ち出すような、昔の何とか蔵ではありませんけれども、お蔵の中に一ぱい入っているというような対策でも講じながら、輸入政策の活用とそれに伴うある種の弊害と申しましょうか、そうしたものを未然に防いでいくだけの積極的な施策をぜひ打っていただきたい。その点について強く要望申し上げまして、時間も参りましたので質問を終わらさしていただきます。最後に次官の御所見を承りたいと思います。
  289. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 需要の動向に即してその安定的供給をはかっていくということが基本的に非常に大切なことであるという先生の特に強調された点であろうと思いますし、私ども十分その意のあるところを体しまして対処していくつもりでございます。
  290. 細田吉藏

    細田主査 次に、森井忠良君。
  291. 森井忠良

    森井分科員 先ほど次官から農林省の新年度の方針についてお伺いしたわけでありますが、私は限られた時間でありますので、その中でしぼって水産関係とそれからできればあとかんきつの振興対策についてお伺いしたいと思います。  まず水産関係の問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、私の住んでおりますのは広島県でございまして、いうなれば瀬戸内海のちょうど中心部に住んでいるわけでありますが、最近は瀬戸内海の異常な汚染によりまして水産動植物に対する非常に数多くの被害が出ておるわけでありまして、ハマチにしろカキにしろ、さらにはまたそのほかの養殖にしろずいぶんと被害を受けてきております。一口に申し上げますと、かつての瀬戸内海は非常に風光が明媚でそして水もきれいで、しかも内海特有の子魚などがとれて非常にすばらしい海であったわけです。ところが池田内閣の高度経済成長政策が打ち出されまして以来、もう私から申し上げるまでもなくだんだんと海がよごれてまいりました。いま申し上げましたような瀬戸内海の位置づけから、工場工場を結ぶ一つの運河的な役割りを果たすようになったわけです。その意味で私は非常に憂慮にたえないものがあるわけでありますが、今日まで農林省は終始一貫瀬戸内海のいわゆる浅海漁業につきましてはとる漁業から栽培をする漁業へと、こういう形で指導してまいられました。漁業構造改善事業にいたしましても、第一次あるいは最近の第二次構造改善事業一貫して養殖を中心にした指導をなさってこられたと思うわけであります。ところがついせんだって、御承知のとおり広島県の特産というよりも日本全部の需要量の七割を占める広島のカキがカドミウムの汚染にやられまして漁民は深刻な打撃を受けたわけであります。具体的には、その当時の調査によりますと最高四・九五PPMのカドミウムが検出されました。せっかく汗水たらして飲まず食わずで実りを待っておりました漁民にとりましてたいへんな痛手であると同時に、残念なことにそのまま出荷を見合わせまして、いま操業を停止しておるわけであります。次官、この問題について実情を御存じかどうか、まずお伺いしておきたいと思います。
  292. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これは事が非常に地域的な問題になりますので、先生のお許しを得て長官に答弁をさせたいと思います。
  293. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先般広島県のカキのカドミウム汚染の問題について広島県から報告があったわけでありますが、それは昨年の十一月に広島県のカキの重金属汚染の調査をした結果というふうに聞いておりまして、それは安芸津、安浦、松永地区において相当のカドミウムの検出値が、過去よりも高いものが出た、こういうことであります。それでこの広島県の報告によりますと、昭和四十五年、四十六年、四十七年と最近重点的にカドミウムの汚染状況の調査をされたようでございますが、昭和四十五年に比べまして四十七年十一月の調査の時点において相当高い、先ほど御指摘になりました最高のものは四・九五PPMという高い数値のものが出ておるようでございまして、さらにこの件につきましては、広島県におきまして再検討といいますか精密調査をするということで、二月の下旬から三月の初旬にかけてさらに精密調査をされるやに聞いておる次第でございます。
  294. 森井忠良

    森井分科員 次官にお願いを申し上げておきますけれどもことばじりをとるわけじゃございませんが、地域的な問題だとおっしゃいました。確かにそういう意味では地域的かと思うのでありますが、先ほど申し上げましたとおり、非常に栄養価の高いカキを広島の場合は七割も全国に供給しておるわけでありまして、そのでき、ふできは非常に大きな国民への影響がございますので、ぜひひとつ認識を新たにするようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、具体的にいま調査結果についての御報告がありました。私はその後再度調査をされたということについて、今度は逆に二回目の調査は数値がどういうかげんか非常に低くなってまいりました。平均をいたしますと〇・三三PPM以下に押えられたのじゃないかというふうに仄聞をしたわけでありますが、厚生省その点キャッチをしておられますか。
  295. 岡部祥治

    ○岡部説明員 先生ただいま御指摘の昨年十一月の広島県においての定期的な検査結果はおっしゃったとおりでございます。その後安芸津湾、松永海域、安浦湾におきまして再度精密調査をいたしております。その結果、ただいま県からの報告によりますといずれも1PPM以下で、平均しまして〇・三という程度でございます。食品衛生上問題ないと考えておりますが、今後とも広島県におきまして定期的な検査を実施して推移を見るように現在指示しておるところでございます。
  296. 森井忠良

    森井分科員 それはいつ入ったのですか。そして問題になっておりました、いまあなたが言われました三つの地域、これは非常に高いカドミウムの数値をあらわしたわけなんでありますが、いま申し上げました三カ所については具体的にひとつ御発表願いたいと思います。
  297. 岡部祥治

    ○岡部説明員 松永海域につきましては、八検体で最高が〇・三九から〇・一五の範囲でございます。平均いたしまして〇・二七PPM。それから安芸津湾につきましては二十二検体でございまして、〇・六七から〇・一七PPMで平均いたしまして〇・三七PPM。安浦につきましては十検体やりまして〇・六七から〇・二五、平均〇・五PPMという数字承知をいたしております。
  298. 森井忠良

    森井分科員 公害にもいろいろあると思うのでありますが、役所が起こします公害とでも申しますか、非常に口が悪いのですが、当初先ほどおっしゃったように、去年の十一月の調査では、いまおっしゃった地域で最高が四・九五PPMという高い数字を出しました。その結果、いま申し上げた三カ所につきましては出荷をもちろんとめまして、そして操業も一切やめるという非常に深刻な打撃を受けておるわけですね。私が申し上げるまでもなく、カキが食ぜんに供せられるまでには、少なくとも漁民は数カ月というものは投資ばかりにずっと終始いたしまして、ようやく結実して、今度は金になる。そういう経過をたどるわけでありますが、ようやく金になるという時点で、いま申し上げました非常に高いカドミウムの数値を出して、やめてしまうという結果になったわけです。しかもいまお話がありましたように、最近の調査、これはおそらく検体その他も前回とあまり変わっていないし、海域についてもあまり変わっていないと理解いたしますが、今度は非常に低い数値が出てきた。これはたまたまわずかな数量の検体で、即座にそういった数値を発表するということにつきましては、生産者の側からも、それから消費者の側からも非常に問題だと思いますが、その点、できればいままで指導してこられました農林省の立場で、お考えを承っておきたいと思うのです。
  299. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私たち、国民の食料に供しております重要な水産物につきましては、極力汚染のないような魚がとれ、かつそれが食ぜんに供せられることを強く希望している次第でございますが、今回の広島ののカキの重金属の汚染問題につきましては、十一月から十二月の調査時点におきまして、県といたしましてもこれを公表することにつきましては、知事以下非常に悩んだ、といったらちょっと失礼かもわかりませんが、お苦しみになったようでありますが、やはり国民の食料であるということで隠すわけにはいかないという知事の御判断で、これにつきましてあえて発表に踏み切った。ただ、発表はしたものの、なお過去の数値よりも非常に高いということのほか、あまりにも極端な、三倍以上も汚染値が出ておりますので、これにつきまして知事が精密な再調査をしたいということで調査されたようでありますが、その結果、調査したところそれほどひどくはなかったということで、われわれもこれにつきましては一応安堵しておる次第でございます。今後ともわれわれといたしましては、ただいま瀬戸内でやはり問題になっておりますPCB汚染というようなことにつきましても、昨年の春以来PCB汚染が問題になったときから調査をいたしまして、これは非常に急いで調査いたしましたので、昨年の年末に発表いたしましたものの、やはり多少これにつきましては、発表したために、かえって漁民にも、また消費者にも不安感を与えたということで、その中で特に汚染度の激しい地点につきましては、現在さらに再調査をいたしておりまして、これも三、四月前後にはあるいは結果がわかるのではなかろうかと思っていますが、常に安全性というものを判断しながら、こういった調査、検討というものは繰り返すということでやっていきたい、こう考えております。
  300. 森井忠良

    森井分科員 具体的にお伺いするわけですが、去年の調査で四・九五PPM、先ほど厚生省から御発表になった数字は、平均をいたしまして〇・三PPM以下という形の数値になっておるわけですね。これだけの違いがございます。  そこで具体的、と申しますのは、高い数値があったとき以来操業停止をいたしまして、現在そのままストックが残っておるわけでございます。先ほどの発表でございますと、今度は安全圏といいますか、〇・三PPM以下でありますから、当然安全圏になるわけでありますが、いまとめております。これは広島県全部からいけば二、三万トンもカキはとれるわけでありますが、そのうちの六、七百トンになろうかと思いますけれども、いま申し上げました三地区について、そのカキは農林省としてはこれから出荷をさせ、市場に出回らせるように指導をなさるのか、その点いかがです。率直に申し上げますと、第一回の発表がありますと、消費者はもうこれが広島のカキかということで非常に気にして、なかなか食ぜんに供するところまでいかない。あれは間違いであった、今度はこれだけなんだということで整理をして出荷できるものかどうなのか、はっきりした答弁をお願いしたい。
  301. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私どもといたしましても、この汚染の問題につきましては、常に基準値ということを問題にしながら考え方を整理しているわけでありますが、カキのカドミウムの汚染につきましては、実はまだ明確な意味での基準値といいますか、許容基準を厚生省のほうでもおきめになっておられないということが、あるいは今回の一つの生産者にとっても消費者にとっても不安な感じを与え、かつ県当局あるいは地元におきましても、非常に安全性をとられまして、出荷の停止ということに踏み切られたんじゃなかろうか、こう思っている次第でございます。  今回精密調査によりまして発表されました数値で検討いたしました限りにおきまして、この数値だとすれば、私たちといたしましても、当然に厚生省とももう一ぺん十分御相談を申し上げるつもりでございます。まだこれはいま私の判断でございますが、他のカドミウムの基準値と比較いたしまして、そう不安なものではないというふうに感じておるわけでございますが、これにつきましては、なお農林省と厚生省と十分御相談申し上げたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  302. 森井忠良

    森井分科員 どうもぴっとこないのですけれどもね。具体的にあれだけの数値が出て操業をやめた。したがって漁民はたちまち食べていけない。したがって休業の補償といいますか、そういったものを行政機関に対してお願いをしておる。これは当然だと思うわけでありまして、よごした元凶は漁民じゃないのです。先ほど申し上げましたとおり、カドミウムなんというのは、漁民が持ってきてカキへ付着させるわけじゃないわけです、吸収させるわけじゃないわけですから、あくまでもいままでの政府の高度経済成長政策、それによって瀬戸内海がすでに死の海と化す寸前のところまでいっておるわけです。したがってもろに被害を受けたのは、そういう意味では漁民なんですね。漁民としてはこれだけカキが悪くなったのだから、したがって何らかの補償をしてくれというのは当然であります。第一義的には、企業がわかればその企業に対して要求することは当然でしょう。しかしいままでの政府のとった態度からいけば、たとえば赤潮一つをとってみましても、いろいろの原因がふくそうしておる。都市下水もあるし、産業排水もある、こういった形なんですね。したがっていうなれば、その意味で原因が明確でないということになるのだろうと思うのですが、そういたしますと、やはりこれは何らかの形で行政的な手を差し伸べてもらいたいということは当然であります。  そこで農林大臣にお伺いをするわけでありますが、大臣、中国地方の御出身でございますし、私どもの県と背中合わせになっておりまして、そういう意味では急場を救っていただくためには、ぜひひとつ力をいただきたいと思うわけでありますが、とりあえず広島県等におきまして、漁民に対しまして何らかの行政的な援助の手を差し伸べようというところまでいっておるわけであります。これに対してひとつ農林省として、政府としてどれだけの手助けをいただけるのか。それから具体的には、私は先ほどの答弁で非常に気になるわけでありますが、当初四・九五PPMというのを一たん発表したら、安芸津、安浦あるいは松永湾でとれたカキについては、私は今年度は売れないのじゃないかと率直に思っております。率直にそういうふうに思っております。消費者の側からすれば、あれはきれいだった。おそらく二回目の調査をしたらきれいになるだろうとだれでも一般的に予測するわけでありまして、案の定そうだったという形になっておりますので、もしそれが出荷ができない状態になりますれば、数百トンのカキでありますけれども、やはり漁民の生活考えていただくなら政府においても何らかの形で、買い取るといいますか、たとえばミカンがああいうふうに豊作で非常に困ったときに、政府といたされましては三十万トンの隔離をなさいました、それと同じような要領で、やはりこのカキ業者に対して積極的な——先ほど言いましたように、原因から見れば明らかに工業優先の政治が生んだ被害でございますので、したがってその点について大臣、どのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
  303. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御指摘のカドミウム汚染のカキの問題でございますが、現在広島県が言うまでもなくその実態を一番把握できる立場であると思うのですね。そこで広島県は同時に何らかの措置をしなければならない、こういうことで経営安定資金や再生産資金のあっせんを検討中だということでございます。  そこで、たいへん迂遠なことを申し上げて恐縮でございまするが、一番実態を把握しておる広島県当局からのいろいろな意見をちょうだいいたしまして、そして本省としての考慮を払いたい、こう思うのであります。私はきょうここで、いま承りましたので、この検査の結果というものについては資料も拝見しておりまするが、この検査によって、一体どれだけの量のカキに影響するものか、御指摘のような四・九五PPMという安芸津のものなどが発表になれば、それに伴って売れないだろうということも想像にかたくございません。しかしその数量は現在把握ができておりませんので、したがってどの程度の被害であるか、どういうふうにめんどう見てよいのかという前提条件がまだここで整っておりませんから、私としては水産庁を督励いたしまして、広島県と緊密な連絡の上で、予想される被害の実態を掌握の上で、広島県のほうでも救済措置を考えておるようでございますので、国、地方を通じて、漁業の皆さん方に何とか措置を講ずるようにいたしたい、こういうふうにただいま一応考えておるようなわけでございます。
  304. 森井忠良

    森井分科員 大臣の荒筋について、もし具体的に被害が出ておれば国としてもある程度措置をしたいというふうに私受け取りたいと思うのですが、問題は、水産庁長官にお伺いするわけでありますが、問題が起きて今日まで、あれだけ大生産地で被害が出たわけでありますから、したがって流通の形はずいぶん変わってきておると思うのです。端的に申し上げますと、広島産のカキは非常に値下がりをしておると聞いておりますが、逆に品不足で全国的にはおそらく倍近く値段が上がったんじゃないか、こういうふうに私ども把握をしておるわけでありますが、水産庁としてはどうですか、その点、分析しておられますか。
  305. 荒勝巖

    荒勝政府委員 十分に把握はいたしておりませんが、今回広島のカキが非常に安くなって、特に関西市場ではほとんど事実上出荷もされないような形になっておりますことにつきましては、十分に県から連絡を受けている次第でございます。
  306. 森井忠良

    森井分科員 この際厚生省にお伺いをしておきたいわけでありますが、カドミウムの——カドミウムだけに限りませんけれども、カドミに例をとれば、一体どの程度のカドミの含有量があれば人体に危険なのか、いままでこの基準がないと思うわけです。たとえば食品衛生法で米については、玄米でありますが、玄米の場合一PPM以下となっております。問題のカキにつきましてはいま全くなくて、アメリカあたりで一応二PPM、これが警戒レベルだというふうに私ども聞いておるわけです。単にこの水産動植物だけでなくて、いまのところ具体的に米しかないと思うわけです。麦についてもない、こういう状態でしょう。しかし国民の側からいけば、どれだけ入っていようと非常に心配なわけですね。一体、具体的にカキの場合はどの程度のPPMで危険なのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  307. 岡部祥治

    ○岡部説明員 先生指摘のとおり、現在特に重金属カドミウムにつきましては、米につきまして一応基準として一PPMというのをきめております。これは、他の食品からのカドミウム摂取をも考慮いたしまして、さらに十分な安全率を見ておるつもりでございます。しかしながら、他の食品につきましてはいまだ十分な調査が行き届いておりませんし、あるいは食品の性格上、摂取量あるいは季節変動等から見まして、その総摂取量が、主食であります米をきめておけば、他の食品につきまして若干の汚染がありましても、それに比べて総摂取量が低いからということで、現在他の食品につきましては個々にまだきめてないわけでございますが、御指摘のように、米に次ぐ主食の麦につきまして現在検討中でございます。
  308. 森井忠良

    森井分科員 答弁になっていないと思うのですよ。いま現実に私が指摘をしましたように、これはカドミウムだけじゃありませんが、なかんずく現在カドミウムでそういう被害が出てきておりまして、どこまでならいいんだろうかということが問題になっているわけですね。厚生省はその辺に対して、どこまでということは言えないのですか。もしほかの——いま麦という話が出ましたけれども、当然あらゆる食品について厚生省としてはその基準を作定しなければならない段階じゃないかと思うのです。その点どうですか。もしやられる意思があるなら、具体的にいつごろどうなるのかというところまで言及していただかないと、私の質問の答弁にならないと思うのです。
  309. 岡部祥治

    ○岡部説明員 具体的には他の食品は若干時間がかかると思うのでございますが、とりあえず現在麦につきまして検討中でございます。それで、特にこういう動物性の食品につきましては、特に海産物等につきましては重金属をみずから取り入れるという性格もございまして、一がいに平常値というものもまだ十分に解明されておりません段階でございますので、さらにこういういわゆるバックグラウンドというものの調査を進めていきたいと考えております。
  310. 森井忠良

    森井分科員 それじゃ具体的にお伺いしますけれども、私が伺っておりますのは、アメリカのFDAの警戒レベルが二PPMということになっているわけですね。この点についてどう思われますか。
  311. 岡部祥治

    ○岡部説明員 アメリカのFDAにおきましては、汚染の指標といたしまして一応ガイドライン的に二PPMというものを引いておると承知しております。
  312. 森井忠良

    森井分科員 御承知のとおり、かなりアメリカに輸出をしておるわけですね、カキはかん詰めになりまして。現実の問題なんです。だからせめて、おそらく作業がかなり時間がかかるのだろうと思いますので、その点理解をいたしますが、いま申し上げましたカキのカドミだけについても——カドミだけじゃいけませんけれども、やはり重金属全部ということになりますか、いずれにしても、今回具体的な被害が出てきておりますので、ぜひ早く基準をきめてもらいたい、こういう気持ちがございますが、いかがですか。
  313. 岡部祥治

    ○岡部説明員 十分、私ども立場も御理解いただきましての御質問と思いますので、さらに御期待に沿うように努力いたしたいと思っております。
  314. 森井忠良

    森井分科員 ちょっとこのカドミの汚染の現状について、それではほかの角度からお尋ねをしたいと思うのですが、付近に二つのカドミウムを生産する工場があるわけなんですね。三井金属と東邦亜鉛と二つ会社がございます。これは以前、県やあるいは鉱山保安監督部等が調査したことがございまして、一度カドミウムを瀬戸内海に流すことについて問題になった会社なんです。その後約二年放置をされまして、今回こういう事件が発生をしたわけです。たまたま、先ほど申し上げました安芸津にしろあるいは安浦にしろ、非常にこの二つのカドミウム製造工場と近くにあるわけですね。そういう意味で、どういいますか、汚染の原因はこの二つ工場にほぼしぼられるのじゃないかという感じを持つわけでありますが、通産省のお考え方を聞きたいと思います。
  315. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 お答えいたします。先生指摘二つの製錬所は、三井金属の竹原製錬所、それから東邦亜鉛の契島製錬所のことかと存じます。この製錬所につきましては、鉱山保安法によりまして、広島の鉱山保安監督部が監督を実施をしているわけでございます。  最近の検査の状況でございますが、四十六年度、四十七年度、合計、契島につきましては七回、それから竹原につきましては六回の水の調査をいたしております。これは広島県と共同して行なっていることもございます。この共同調査によりますと、基準値の数値以下の結果が出ております。
  316. 森井忠良

    森井分科員 問題は調査のしかたにもよると思うのですね。広島の鉱山保安監督部でおそらく定期的な調査をなさるわけでありますが、これはいきなりの立ち入り検査ですか、それとも定期検査ですか。
  317. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 監督局部の検査におきましては、原則として技き打ちでございます。ただし、交通の便その他によって、前もって連絡しないと現地に行けないという場合には前に連絡する場合もありますが、原則として抜き打ちでございます。
  318. 森井忠良

    森井分科員 この二つ工場については、いまのところ法制上たよれるのは鉱山保安監督部だけなんですね。あとは県知事といえども、地元の市長といえども、立ち入り検査その他できないわけですね。その意味では、この保安監督部の仕事というのは今回に関する限り非常に重要だと思うのでありますが、一体この鉱山保安監督部というのは調査できる人が何人くらいいらっしゃるのですか。それから管轄はどこまでですか。
  319. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 監督の担当者は保安の監督官という専門家がおりまして、それを補佐する技官あるいは事務官ということでございます。現在広島の鉱山保安監督部におきましては約四十名おります。その中で専門の監督官というのは約半分でございます。それからテリトリーといいますか、業務監督の区域でございますが、一応山陽、山陰を全部受け持っております。
  320. 森井忠良

    森井分科員 私の感じでは、三、四十人で中国五県を監督をしておられるわけでありまして、きわめて人手不足ではないかと思うわけです。それから、これは事実でないといわれればやむを得ませんけれども現実には立ち入り検査のしかたが、やはりある程度予告をされて、その上で調査をなさった。それでも御案内のとおり、幾つかこの二つ工場については過去問題があったわけでありますが、非常に無理があると思うのです。  そこで、環境庁にお伺いをしたいと思いますが、こういうふうに見てまいりますと、何かこういった鉱山保安監督部だけに立ち入り検査等をまかせるというのは非常に無理があると私は思うのです。特に先ほどお聞きのような少ない人数でいろいろやっていくわけでありますから、たいへんだと思うわけでありますが、この際そういう意味ではぜひ広島県——広島県というよりも、この種の問題ですから、県やあるいは具体的に市町村といった地方自治体、今回の場合は竹原市という市があるわけでありますから、市長等に権限を与えていく、こういう考え方をぜひ持ちたいと思うわけでありますが、この点環境庁として御検討中かどうか、聞いておきたいと思います。
  321. 太田耕二

    ○太田説明員 お答えいたします。  立ち入り検査の権限の問題に属することでございますが、これは水質汚濁防止法第二十二条によりまして、県の職員が検査並びに報告、そういったものができるたてまえになっております。そういうことで、ただいま通産省の担当課長のほうからも、県と一緒にという発言があったかに聞いております。そうして、水質汚濁防止法のたてまえからいきますと、これは広島県知事への委任ということになっております。ただし、広島市の管轄に広島湾はどの辺まで入っておるか、私はつぶさには承知しておりませんが、それが水質汚濁防止法の政令都市になっておりますので、広島湾の広島市に属するところは広島市に権限が委譲されております。
  322. 森井忠良

    森井分科員 すでに瀬戸内海環境保全法というのを出そうという動きがあるわけですね。それに対して、三木環境庁長官は、議員立法でやられる場合には非常に歓迎するという意味の発言をしておられるわけです。そういう前提で、瀬戸内をきれいにという、これはすでに国民的課題だと思うのです。そうしますと、少なくともそういう立ち入り検査なり水質規制なりというものについて、環境庁とされましてもかなり前向きに検討されなければならない時期じゃないかと思うわけです。いま具体的にこういったカキというような問題で被害が起きたときに必要なのは、すぐ間髪を入れずに関係のそういった生産工場に立ち入り検査をする、これが非常に必要なことなんです。ところが、実際には広島にある鉱山保安監督部から行かなければどうにもならない。ちゃんと地元市長がある。しかし、御承知のように人口が五十万ありませんから、したがって、立ち入り検査の権限がないという形になっておるわけですね。よしんば五十万あったにしても、鉱山保安監督部がある限りは、これは現実の問題としてはできないと思うのです。したがって、そこに一番の問題があるので、いま具体的に申し上げたような例からすれば、この際権限委譲されるように法律改正をなさる気持ちはないのかどうか、再度お伺いしておきたいと思います。
  323. 太田耕二

    ○太田説明員 ただいま権限委譲の拡大という問題かと思います。ただいま御指摘のとおり、現在政令都市につきましては五十万以上ということになっております。ただいまそれでは不十分である。結局御指摘のとおり、機動性を持たせなければいけないということで、最終結論は出ておりませんが、約二十五万あたりをめどに現在検討中でございます。ただし、竹原市が人口幾らか、私あまり承知しておりませんですけれども……(森井分科員人口は四万ぐらいだよ。」と呼ぶ)非常に小さいところまでおろしますと、実は、測定機器とか技術者の問題とか、非常にいろいろな問題が出てまいるかと思います。したがいまして、一挙におろすのもどうかというふうに考えられます。  そこで、実は、私ども現在政令都市を約二十五万——これはもう一度申し上げますが、最終的にきまっておりませんけれども、この辺をめどに、非常に可及的すみやかに、近い将来に法令の改正を行なう予定でございますが、そこでも、担当県、関係県並びに当の市の意向を無視するわけにはまいりませんので、その辺の事情を再三聴取いたしまして、その結果、体制上もろ手を上げて賛成ということには実は必ずしもなっておらぬわけでございます。その点につきましては、いろいろな機器整備の面、それから技術者の養成の面、その点につきまして、関係庁といたしましても、可及的すみやかに充実するように指導いたしまして、徐々に権限の拡大、委譲の拡大という方向に進めてまいりたいと思いますが、現在のところ、二十五万あたりをめどに、可及的すみやかに権限委譲ということで検討しておる次第でございます。
  324. 森井忠良

    森井分科員 あまりこの問題で時間をとってもいけませんので、特に要望しておきたいと思いますが、環境庁長官がお見えでないので非常にむずかしいのですが、やはり一つは、この立ち入り検査並びに水質の規制の権限は、先ほど言われましたような能力の問題もありますけれども、むしろ住民の側が公害で必死になっておるわけでありますし、公害で金をつぎ込むということは、いまはもう当然地方行政の上でも非常に重要な課題でありますので、そんなに御心配なさらなくても、たとえば竹原という市が人口四、五万の市でありますけれども、ちゃんと立ち入り検査ができる程度の機材器具あるいは人材というものは確保できると思いますので、ぜひひとつ前向きにこの問題に取り組んでいただきたい。  それから、関連をするわけでありますが、いわゆる無過失損害賠償責任の問題です。これの法制化をやっぱり着実にやっていただかないと、いままでもすべて漁民が泣き寝入りです。赤潮だけじゃなくて、今回これだけ具体的にカキのカドミウム被害が起き、しかも、近くにカドミウムを生産する工場二つも並んでおる。にもかかわらず、まだうちじゃないと言い張れるような状態があるんじゃないかと思うわけです。したがって、これはもう無過失損害賠償補償法をぜひ早くつくっていただいて、そういった被害者の救済に当たっていただきたいと思うわけです。まあ、漏れ承るところによりますと、今国会で健康面の損害賠償の関係の法案については出されるやに伺っておるわけでありますが、これができた後に四十九年度でも考えようかというふうな、漁業の補償については来年度から、四十九年度から考えるというふうな姿勢では、私は、やはり非常におくれを感じると思うので、この点についても非常に不満を持っておるわけであります。  最後にもう一回、大臣おりませんけれども、あなたから所感をひとつ……。
  325. 太田耕二

    ○太田説明員 非常に大きな問題を御質問いただきましたので、実は、役所の担当のほうから申しますと、私、ちょっとお答えする立場にございません。先生指摘の点は、十分担当のほうに、並びに上司のほうに伝えるようにいたします。
  326. 森井忠良

    森井分科員 ここで水産庁長官にもう一度お伺いをしたいわけでありますが、公害によるカキの被害というものが出てきた場合に、これは漁業共済制度の対象になりますか。
  327. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私たち、漁業共済制度につきましては、これはあくまで自然の災害による補償、漁業共済制度ということで、公害ということは一応——一応どころか、支払いの対象にはいたしていないわけでございます。
  328. 森井忠良

    森井分科員 どうも、わかった上で聞くようでたいへん恐縮なんですけれども現実に瀬戸内海ではこうした問題がずいぶん出てくると思うのです。しかし、ハマチ等は、たとえば赤潮で大量に死んだ、こういうケースは幾つかあるわけですね。そうすると、あれは公害と見ないわけですか。
  329. 荒勝巖

    荒勝政府委員 非常に広い意味での公害、海がよごれてその結果発生したのではなかろうかということでの公害かもわかりませんが、実際問題といたしまして、赤潮の場合は、昨年来、国会でも非常に問題になっておりますが、どうも海が非常によごれたのが原因ではなかろうかという程度でございまして、実際問題の因果関係というものはもう一つ、われわれ水産庁の研究陣あげて調査いたしておりますけれども、赤潮は直ちに海のよごれが直接の原因であるというふうに必ずしも断定できない。非常に頻度がふえてきていることは事実でございますが、戦前から非常に多かったということもありまして、赤潮は何となくまだ因果関係がはっきりしないということで、どちらかといえば、天災的な扱いになっている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  330. 森井忠良

    森井分科員 おっしゃったように昔から、それは私どものほうで苦潮と呼んでおりますけれども、確かに、赤潮の非常に規模の小さいものについては、部分的にあったことは事実です。しかし、いま赤潮が問題になっているのはそんなことではないでしょう。明らかに、都市排水なり、あるいは産業排水、廃棄物といったものがわんさ出されてまいりまして、しかも、御丁寧なことには、まだ屎尿を瀬戸内海に投棄をしているという状況でしょう。原因追及がしばしば行なわれているわけでありますが、現実に死んでいるのは、赤潮によって死んでおる。しかも、だれが考えても、常識的に考えて、赤潮は公害だということは明らかなのです。いまさらそういうことを言われるのは私はおかしいと思うのでありますが、赤潮は公害でありませんか。もう一度明確にしていただきたいと思います。
  331. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年、瀬戸内で、赤潮の発生によりまして、養殖のブリ等に非常に被害が発生をいたしまして、政府として対策を講じました際に、一応天災融資法の発動ということで——と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、非常に海がよごれてはおっても、それがどういう理由で、どういう因果関係で赤潮に転化してくるかということについて、もう一つ政府内部でも相当検討いたしておりますが、これの因果関係が明確でない。これは技術陣がはっきりそう言っておりますので、われわれ行政府といたしましても、その問題につきましてはもう一つ明確でないということで、取り扱いとしまして、非常に御迷惑はかけております関係もあり、一応天災融資法の発動ということで、この被害者の、養殖ハマチの漁家に対して融資の保証をいたした、こういうふうに御理解願いたいと思う次第でございます。
  332. 森井忠良

    森井分科員 ハマチが赤潮で死んだ、この場合には漁業共済制度が適用されておるわけでしょう。それで、現実に救済をされておるわけです。私どもは、どう考えたって、これは公害による被害だというふうに判断をせざるを得ないわけですね。これは統計から見ても、赤潮の発生回数は、あなたもおっしゃったけれども、昔もあったけれども、これはないのと同じくらいの頻度でして、これは文字どおり毎年毎年大規模に起きてきておる。数万尾、十数万尾というハマチが死んでおることは御承知のとおりなんです。これに適用があって、いま申し上げました養殖ガキについては、これがカドミウムで汚染をされて、事実上販売できなくなった、出荷できなくなった、こういう場合に、やはり何らかの形でこの漁業共済制度を適用する必要があると思うわけです。もしそれがいまのところ法制上問題があるなら、今回を機会に、やはりぜひそれが適用できるようにしないと、非常に片手落ちな結果を生んでくる、こういうように思うわけですが、いかがですか。明確な御答弁をお願いしたいのです。
  333. 荒勝巖

    荒勝政府委員 このカキのカドミウム被害についての共済制度適用の件でございますが、このカドミウム被害につきましては、先ほど来当委員会でもいろいろ議論がありますように、あくまで天災というかっこうのものではなくて、人災といったらおかしいのですが、そういった性格のものではなかろうか、われわれこういうふうに理解いたしておりまして、漁業共済の対象には仕組むことは困難ではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、公害の問題といたしまして、一般的に原因者がはっきりしている場合におきましては、あくまで原因者負担の原則ということを常にわれわれの行政指導の指針といたしておりまして、今後も、こういった調査の制度を明確にする過程で、そのほかの公害関係につきましても原因者がはっきりしてくると思っておりますので、あくまでそういった原因者負担の原則で、今後こういう公害問題については対処してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  334. 森井忠良

    森井分科員 水産庁の立場は、端的に申し上げますと、漁業をどう振興させるか、漁民をどう救済するか、これが立場なんでしょう。現実にカドミウム汚染で売れなくなった——それは幾らあなたが言われても、今度の調査はカドミウムが低かったけれども、前回の四・九五PPMというものが一たん新聞で出され、役所から発表されたわけですから、売ることもどうすることもできないのです。あれは実際低かったと言っても、安芸津や安浦や松永の漁民が、あれは今度切れなかったといって出荷をしたら、むしろそのほうがおかしいと思うのです。今回に関する限り、かわいそうだけれども、何らかの形で行政的な手を差し伸べて、具体的に隔離をするしかないと思うのです。  そうすると、救済をする方法としては、先ほど大臣に私が御質問いたしましたように、何らかの形で国が買い取るか、さもなくば、せっかく漁業共済制度があるわけですから、それを適用して少しでも被害を少なくしてやる、こういう立場でなければならぬと思うのです。ですから、漁業共済制度については、赤潮で死んだハマチが適用できるんなら、カドミウム汚染のカキがなぜ適用できないのか、こう言って私は聞いておるわけです。どうですか。
  335. 荒勝巖

    荒勝政府委員 カキの場合は、先ほど来申し上げましたように、被害に対する因果関係が明確になっておる。それに対しまして、ハマチの場合は因果関係が非常にはっきりしないということと、それから、昨年は非常な瀬戸内の大雨ということもあって赤潮が発生し、かつ、それが原因となったんではなかろうかということもありまして、ハマチについては天災の発動をした、こういうふうに御理解を願いたいと思う次第でございます。
  336. 森井忠良

    森井分科員 それでは長官、いまあるあのカキは基準が低かったということで、もう一回全国に出荷をしてもいいですか。どうですか、ずばりおっしゃっていただきたいと思うのです。調査結果については、先ほど発表があったとおりです。
  337. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど来申し上げましたように、この件につきましては、実は、広島県のほうから、まだ明確に正式の形では御連絡いただいていないのでありますけれでも、この新しい数値によりますと、前のよりも非常に低い数字になっているようにも思いますので、これにつきましては、県と御相談の上、厚生省とも御相談申し上げまして、その辺の出荷についての判断をいたしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  338. 森井忠良

    森井分科員 では、時間を食い過ぎますので、最後にもう一点だけ、この漁業共済制度についてお伺いしたいと思うのでありますが、いまの漁業共済制度はいろいろ欠陥があるわけですね。たとえばお米なんかの共済制度は非常にはっきりしております。お客さんも政府でありますから、とにかく、つくって政府に米を売ればいいという形になるわけでありますが、漁業共済制度については、そういう意味で非常に不安定であります。特に、カキについては、たとえば加入をする方法についても、ずいぶん欠陥がございます。いつまでたっても直していただけないわけでありますが、一漁場単位になっておるわけですね。御案内のとおり、カキいかだというものは集団で漁場を形成しております。だれか一人加入を拒否すれば——それは漁民の立場からすれば無理もないわけでありまして、保険というものは、かけるときはなかなかおっくうなものです。災害のときには非常にいいわけでありますが、いますぐ身銭を切らなければならないという性質を持っておるわけであります。そこで、カキの場合には漁場ごとに一括、つまり全員が加入しなければ漁業共済に入れないという欠陥があるわけであります。これはぜひひとつ直す必要があると思うのでありますが、再検討される御意思があるかどうか。  もう一つは、今度は具体的に災害の査定の段階になってまいりますと、これまた欠陥がございます。たとえば、それを漁業災害と認めるためには五%以上の被害がなければならない。これは個人と言わず、漁場と言わず、そういうことになっているわけですね。そうしますと、最近は漁場もやはり大型化しております。そういう意味で、五%というのは少し酷だと思うのですね。ですから、部分的にわずかでも災害があったらやはり漁業共済を適用すべきじゃないかと思うのでありますが、この二点について御答弁いただきたい。
  339. 荒勝巖

    荒勝政府委員 まず、共済の一括加入方式についての御質問だと思いますが、これにつきましては、現在の法律で一応一括契約方式ということで、いわゆる相互共済組織といいますか、当該漁業者のグループが全員で災害の際にお互いに助け合うという精神のもとにできた共済でございますので、やはり、一括加入方式ということでわれわれは指導しておる次第でございます。  なおまた、次の五%の問題でございますが、小被害について補償しないということにつきましては、やはりそれはそれなりに管理に十全の注意をふだんから払ってもらうということもありまして、五%程度の小被害なら補償の対象にしないということにしておるわけでございます。これは共済関係全部でございますが、ほかのものにつきましてはもっとひどい二〇%というふうな水準等もありまして、このカキの五%というのはむしろ少ないように理解している次第でございます。ただ、ただいま御指摘のように、養殖系統については大小にかかわらず一律五%ということはやはりおかしいのではないかという意見が漁業者の間にもありますので、四十七年度からでございますが、現在これについては学識経験者にもお願いして調査を委託しておりまして、その調査結果に基づきまして農林省といたしましても何らかの形で意見を出してみたい、こういうように考えておる次第でございます。
  340. 森井忠良

    森井分科員 時間がなくなりましたので、あと二点簡単にお伺いをしておきたいと思います。  一つはノリの問題であります。瀬戸内海には先ほど申し上げましたカキもありますが、ノリも漁民が生きていく上に非常に大事な産物になっておるわけであります。端的に申し上げますと、この最大の敵は何といいましても韓国ノリであります。私どものもとには漁民から、何とか韓国ノリ輸入を押えてもらいたいという要望が届いておりますが、漏れ承るところによりますと、ことしは韓国産のノリが非常に不作のように聞いておるわけです。従来、五億枚以下という御承知のとおりの規制があるわけでありますが、非常に心配しておりますのは、貿易自由化によってノリにも影響が出てくるのじゃないか、五億枚がふえるのじゃないか——いま実績は三億枚のようでありますけれども、いわゆる貿易自由化の波をかぶってこの規制が緩和されるのじゃないかという心配をしておるわけでありますが、この韓国産のノリの輸入問題についてお伺いをしたいと思うのです。  それからもう一つは、時間の関係ではしょることになりますが、ミカンの問題についてお伺いしたいと思うのです。  御承知のとおり、大暴落をして非常に悩んでおるわけでありますが、ことし三百三十万トン、近い将来おそらく四百万トンになろうかと思うのであります。いろいろ農林省のほうでは、最近は今度は逆に規制をするような動き、通達等を出していらっしゃるわけでありますけれども、この需給対策といいますか、生産を落としても、どちらにしたって伸びていく。それに対して一体どのように消費を拡大していくのかということが、農林省の最大の仕事ではないかと思うわけです。  私は、一つの提案をしたいわけでありますが、これは私の住んでおります広島県でも実施をいたしましたが、学校給食で非常に成功いたしまして、子供にも喜んでもらった。しかし、単にこれは広島等だけではいけませんので、この際消費の拡大の意味で、次期に全国的に、特に東京、大阪といった大消費地に、牛乳だけじゃなくて、ミカンを使用することはできないかどうか。これは広島県でも非常に実績をあげて、子供にも喜ばれる、同時に産地にも喜ばれるという結果が出たわけでありますが、この点についてだけお伺いしておきたいと思います。  たくさん聞きたいのですけれども、時間がきたようでありますから……。
  341. 荒勝巖

    荒勝政府委員 韓国ノリにつきましては、従来から、御指摘のように、一応三億枚の輸入割り当てということでございますが、昨年、昭和四十七年につきましては、韓国ノリにつきまして、輸入実績といたしましては八千万枚程度であったわけでございます。  本年度の国内のノリの生産状況はどうかということでございますが、まだことしの生産数量がはっきりいたしておりませんが、一応、三月一日現在では、約四十四億枚程度、こういうふうに理解しておる次第でございます。  なお、四十八年度における韓国ノリの輸入割り当て量につきましては、従来と同様の水準で割り当てをいたしたいと思っておりますが、韓国側の生産状況があまり芳しくないということからいたしますと、これはおおむね昨年程度、あるいはその前後ではなかろうか、こういうふうに予想されますが、今後四月にこの割り当てをするので、明確なことはいまの段階ではどうもはっきりとはお答えしにくい、こういう状況でございます。
  342. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 学校給食の問題につきましては、特に近年は食事内容を豊かにするというような意味で、いろいろな果実が取り入れられておりまして、それぞれの地方で季節に応じた新鮮な果実が学校給食に使用されておるというように私ども承知をいたしておるわけでございます。  かんきつ類につきましては、従来から、果実の中ででは最も多く利用されておりまして、ミカンにつきましても、ことしのように価格が安い場合にはすでに相当量のものが使用されている。また、今回の過剰事態に対応いたしまして、いろいろな県で緊急的にミカンまたはジュースを給食に用いたというような事例も承知をいたしておるわけでございます。  ただ、限られた給食費の範囲内で各種の栄養素の均衡をはかるという、そういうことで学童の体位向上考えていくというような学校給食のたてまえからいきますと、特定の果実だけ大幅にやることは非常にむずかしいのだというのが文部省側の考え方でございます。私どもといたしましては、ミカンのようなものは、非常にうまいものでもありますし、特に低廉に供給できるものでもありますので、大いに考えてほしいということを文部省に従来からも強く申し入れてあるわけでございますけれども、文部省につきましては、牛乳でありますとか、そういった基幹的なものについてはいろいろめんどうを見るということも考えられるけれども、ミカンについてはなかなかむずかしいのだというようなことであります。  私どもとしましては、いま先生指摘のように、やはりミカンの消費拡大というものをこれからもはかっていかなければならないというようなことを考えておりますので、来年はジュース工場を拡充するというようないろいろな手だてを講じまして、そういう中で消費の拡大をはかっていきたいというように考えているような次第でございます。
  343. 森井忠良

    森井分科員 ありがとうございました。
  344. 細田吉藏

    細田主査 次に、沖本泰幸君。
  345. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、主としまして同和関係につきまして、農林大臣並びに関係政府委員に御質問したいと思います。  毎年のように同和関係予算が見積もられてきてはおるわけでございますが、一昨年、総理府のほうで、同和対策事業特別措置法ができてから同和地域の実態調査ということを行なわれたわけですが、それに伴いまして、各省では、この同和対策を具体的に進めていくために、長期財政計画を立てていただく、こういうことになってきておるわけでございますけれども、その内容につきまして、昨年は、ちょうど報告を受けたところで、いろいろ検討するというのが各省のお答えであったわけでございますが、農林省のほうとしては、この実態調査を受けて、どういうふうな長期計画をお立てになったか、この点についてお伺いしたいと思います。
  346. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 お答え申し上げます。  昭和四十六年の全国同和地区調査によれば、昭和四十七年度から昭和五十三年度までに実施をしようとする農林漁業関係の国庫補助対策事業は六百九十三億円、そのうち国費四百六十二億円となっておりまして、農林省としては、今後はこの調査結果を重要な基礎資料として、計画期間内に所期の目的を達成するよう積極的に同和対策事業に邁進していく考えでございます。   〔主査退席山崎(平)主査代理着席
  347. 沖本泰幸

    沖本分科員 大臣のお答えの趣旨はわかるのですけれども、御承知のとおり、これは十年間の時限立法なんです。まあ、大臣の御出身の選挙区にも対策地域はおありで、実態はよく御存じだと考えますけれども、この法律ができましたときは、超党派で、とにかく十年間でこの差別問題を解決するということで一致した内容です。ただ、補助率あるいは国庫補助等、いろいろな点の率については多少異論があったわけですけれども、ともかくも十年間で、物の面と、心の面と、両面にわたる差別の問題を解決していこうというのがこの法律のできた趣旨だったはずなんです。それに伴いまして、これを完全に遂行していくために、十二項目に分けて、いわゆる法律の上に出てこないいろいろな具体的な内容について、各大臣がお答えになっていらっしゃるわけです。そういう内容も踏まえて見まして、いまおっしゃった調査対象というものの報告も受けて、重要な資料として毎年対策を立てていきたい、こういうお答えではございますが、いままでに約四年たっております。間もなく半分たってしまうということなんですけれども、今年度の農林関係の予算は、前から見れば相当額予算を見積もられたということになるわけですけれども、しかし、はたして十年間で完全にこういうものを実態調査に即してやれるかどうか、法律の目的に従ってこれを遂行するためにはどれくらいのものが必要であるか、あるいはどういうふうな施策が必要であるか。それを年々に割り当てていくと、一年間でこの程度になってくる。そうしますと、いま四年たったけれども、その四年分では、これは試験的な状態でしか予算組みがされていないと私たちは考えるわけですけれども、より多くのものがあとに残っていく。それをあと残った人間で解消していくためには、毎年この程度のものをやっていかなければならないとか、あるいは、それが今後さらに積み残されていった場合に、最終的にはどういう形でそういう問題を解消していくかというようなことがちゃんと農林省のほうでできてこなければ、十年間でこの法律の趣旨に従ってやっているということはちょっと考えられないということになってまいります。ただ法律ができたから、農林省の中でいろいろな予算があるけれども、その限られた予算の中である程度考えながらやっていっているということになるわけですけれども、それじゃ、その積み残しが多くて、十年間の時限立法というほんとうの目的は果たせないと考えられるわけですけれども、そういう内容について、農林省のほうである程度の試算をお組みになったか、計画をお立てになったか、あるいは、いま大臣がお答えになったような内容だけを農林省のほうでお考えになっていらっしゃるわけか、その点についてお伺いしたいと思います。
  348. 小沼勇

    ○小沼政府委員 大臣がお答え申し上げましたが、若干内容に入って申し上げますと、同和地域におきます農林漁業は、ほかに比べまして経営規模が零細でございまして、また、生産性も低いということにかんがみまして、同和対策事業特別措置法及び御指摘の長期計画に基づきまして、農林漁業生産の基盤の整備、経営近代化をはかっていくということで現在事業を実施しているわけでございます。  計画そのものにつきましては、総理府を中心に検討を要する事項でございますが、未調査の地区もございますので、確定的なものではございません。しかし、一応、先ほど申し上げたような六百九十三億ということがめどになっておりまして、四十七年から五十三年までにそれを積極的に進めてまいりたいということでございまして、御承知のとおり、補助率におきましても、三分の二の補助率をもって、同和対策事業全般、また、基盤整備事業、漁港改修事業等を、さらにまた金融公庫の資金融資を行なうということを進めてまいっているわけでございます。  今後も、この計画をもとにしましてこの目標年次までに達成をいたしたいということで積極的に進めてまいるという考えでございますが、御承知のとおり、四十八年度御審査いただいております予算につきましても、前年対比でございますと一五〇%でございまして、その伸び率をもってすれば、この目標を十分達し得るというふうに考えている次第でございます。
  349. 沖本泰幸

    沖本分科員 いまおっしゃっているのは、目標を達成し得るということなんですけれども、それは一方的な農林省のほうのお考えであって、いわゆる同和対策事業特別措置法にはこれだけの内容が掲げられて、それによって総理府は実態調査をしたわけですから、実態調査が不備であるという点は、せんだって総理府総務長官がお認めになりました。不足した分についてはこれからも続いて調査をして補っていく、こういうお答えがせんだってもあったわけでありますが、そういう内容から見まして、法律がこうだからこれぐらいのものが要るだろう、実態調査したらこういうことになって、総理府から答えが返ってきたので、それに対して農林省としてはかくかくしかじかのことをやっていく、十年間でこの程度が要るだろう、しかし、四年経過したから、あと残った六年ではこれだけのことをせなければならぬ、それについては、各年でこれくらいを見積もらなければならないと、こういうものをやはり明確にして案をお示しになることが大切なことではないかと思うわけです。この法律で適用されて実施を受ける同和地域の方々にとってみても、それが一つ目標にもなるわけですから、それで満足したものが得られるか得られないか、不満であるかという面もそこから議論が出てくる。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕 こういうことになるわけですから、これは秘密に属する事項であって、それはちょっとおまえさんのあずかり知るところではないのだ、こちらがかってに見積もって法律ができたのだから、法律の精神に基づいて仕事をやっていったらまあそれでいいのだ、こういうふうな形でやってしまわれると何にもならない。せっかくできた法律の実効があがらないということになるわけですね。ですから、いまおっしゃった六百九十三億という一つのめどをつくってくれたが、それじゃ、その六百九十三億というものが、農林省でお考えになり、あるいは農林省で見ていらっしゃる農山漁村の中の差別問題に当てはめてはたして十分であるかないかということの御検討と、それから、六百九十三億が十分であれば、毎年こういうふうに要るのだ、こういうふうな計画であり、それを受けて何々にどういうふうにやっていかなければならない、だから、ことしはこういうふうにここはやっていく、こういうふうな内容が分かれて出てきて、それを地域別に明示されていくということでなければ皆目見当がついていかない、こういうことになるわけですけれども、ただいまの御説明では私は全く納得ができない、こういうふうになるわけです。
  350. 小沼勇

    ○小沼政府委員 四十六年に調査されました農林業関係の同和対策事業でございますが、これは同和対策事業としまして、生産基盤整備事業が九十二億、林道事業が二十六億。ラウンドで申し上げますが、漁場造成改良事業が十四億、農林漁業の近代化施設整備事業が二百二十五億、それから、同和対策農業基盤整備事業が三百五億、それから、漁港改修事業が二十八億ということになっておりまして、これはいま先生の御指摘にございましたけれども、五十三年までの一括した調査に基づく事業費でございまして、これをそれでは年度別にどういうふうにやっていくかということでございますが、私ども、年次別にきっちりと、何年にはこれだけの事業分量というふうな確定した分割はいたしておりませんが、毎年、ことしも四十八年度一五〇%という伸びをお願いしているわけでございますが、その中におきまして、全体を勘案しながらそれぞれ必要なものを積極的に強力に進めてまいるという考え方で従来も進めてまいったわけですが、今後もそういうやり方で進めようというふうに考えておる次第でございます。
  351. 沖本泰幸

    沖本分科員 そうしますと、いまおっしゃった内容について、これは具体的に公表していただけますか。その点どうですか。
  352. 小沼勇

    ○小沼政府委員 調査結果に基づきます要事業量と申しますか、そういう形で発表することはできます。
  353. 沖本泰幸

    沖本分科員 要望されている内容からも、長期計画に掲げられるすべての事業を国庫補助の対象としてもらいたい、それは特別措置法の第十条を適用してもらいたい、こういう項目が掲げられておるわけです。それから、すべての事業を地方自治体が実施しておるものも同和対策事業として認定もしてもらいたい、それから、法第七条に規定する特別助成の対象ともしてもらいたい、それから、同和対策事業に要する経費の起債を認めて、第十条を適用してもらいたい、それから、国庫補助に対しては、実際に出たものについて補助基本額としてもらいたい、公共事業にかかる土地取得については、その部落の置かれている差別性を考慮して、生活破壊を防ぐよう特別に配慮してもらいたい、こういうふうな内容はすべて十二の項目の中に一応うたわれておる内容なんですね。そして、各大臣が全力をあげて、この問題についてはそういうような解決の方法をとっていこうというお答えがあったわけなんです。そういう点についてはいかがですか。
  354. 小沼勇

    ○小沼政府委員 多数項目にわたりまして御要望が出ているわけでございますが、最初の、同和対策を進める上で、府県市町村が単独で事業を余儀なくされているというふうな場合の問題がございます。措置法並びに長期計画に基づきまして計画的に事業を進めておりますが、御要望をされる事業の中には、国の施策のほかに、地域の実情に応じて必要なものも見てまいる。こういう場合には、国の施策とあわせて補完するために自治体が単独にやる場合もございます。これにつきましては、やはり国のほうでは国の施策でそれをバックアップするというか、補完することを進めなければなりませんが、やはり、地方自治体につきましては、起債措置あるいは交付税措置というふうなものによりまして、自治体がやりやすいようにする必要があろうかというふうに考えるわけでございますが、自治省関係の所管でございますので、私どもの気持ちだけを申し上げる次第でございます。  なお、その他補助事業に関連する問題で、いろいろな補助残の融資をどういうふうに進めるかということでございますが、これにつきましては、特別ワクを設定して、現在、四十八年度についても二億円程度を予定しておりますし、また、融資の単独事業ということで、これは四十八年度には十億円に拡大するという措置を講じたいというふうに考えております。  また、採択基準の問題、あるいは経営改善資金の貸し付けの場合の永年作物の扱い等いろいろの点がございますが、今後十分検討いたしまして、取り得るものについては積極的に改善をして取り入れていきたいというふうに考えている次第でございます。
  355. 沖本泰幸

    沖本分科員 こまかくお聞きをしたいことを局長さんのほうで先にずっとお答えがあったわけで、それだけ時間の点でむだが省けたということになるわけですけれども、私が一番心配しておりますのはこういうことなんです。特別措置法ができた。問題は、明治四年に太政官布告令が出て、そして身分の差別を撤廃したわけですね。そこで大きな改革が行なわれたように見えたけれども、同じ民族でありながら、同じ血を持ちながら、同じ戸籍を同じように持っておりながら、同じ人種でありながらなおかつ差別があるというようなことで、最近では私は差別はしておりませんと言うけれども、結婚とか、就職とか、何かのことにぶち当たると、あれはあそこの出だということでクローズアップされてくるということになるわけです。ずっと昔の対象地域というのはごく限られた人数でもありましたけれども、次第に人口が増して、こういう形で、生まれながらにしてそういう宿命を背負わなければならないという状態にあるわけです。そういう点もからんで、心と物の両面から解決していくという、これが大きな転機になって、効果をあげるかあげないか。ただキャッチフレーズだけ大きく出してみたけれども、結果的にはお茶を濁して終わってしまったということであってはならないと思うのです。十年の時限立法の中ですべての項目が完全に達成されていくということが一番大きなねらいでなければならないし、そこに全力をあげなければならないということになるわけです。そうなってきますと、結局、一番先にやらなければならないのは物の面で解決していくことを早くはかっていかなければならないという点にあるのじゃないかということになるわけです。そうしますと、今度は、大きな農林省なら農林省全体のワクの中で、どの程度その問題が比率を占めていくか、あるいは、ほかのいろいろ年次計画的な事業の中で比べて、この問題がどの程度のものを占めていくかという点を御検討になったときに、いや、これは多く出し過ぎるからほかの予算と見合わしてみて、ここのところだけは出過ぎるじゃないかというふうな考えを持てば、そのこと自体がこの法律をもう考えないということになってくるわけです。こういう点をひとつよくお考えになっていただいて、十年の時限立法の中で、十年間の期限の中で、完全にこれが解決できる方向に十分措置をとってもらわなければならない、こういうことになるわけです。日の目を見ない人に日を当ててあげるということがやはり行政担当者の一番大事なねらいでなければならぬのじゃないかということにもなりますし、また、この法の運用あるいは行政面についてお考えいただきたいことは、このためにある特定の人が特別に優遇されているとか、そういうふうな考え方を持ってきて、また、むしろそこに便乗した考え方を持たせるお役人もなきにしもあらずということになるのです。あっちのほうにたくさん予算を食われるので、地方自治体のほうの予算がずいぶん圧迫されてしまいますといえば、あそこだけいい目をしているじゃないか、こういう差別感がまたそこから出てくるのですね。長い間の歴史の過程の中からこういう問題を解決しなければならないから、いろいろな内容を含んだ人たちがここから完全に差別のない社会をお互いにつくり上げていくには、大きなものを考えてあげなければどうにもならないのだ。だから、地域社会をよくしていく、地域産業をより一そう発展さしていくという方向の中でとらえていただいて、行政面に実効をあげていただくような方向で措置を講じていただき、また、地方自治体の指導をしていただく、こういう方向でなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。幸いに、委員長も大臣も同じような問題をよく御認識の御出身でいらっしゃるわけです。ですから、私は、現在のこの予算なり内容について、また、この長期計画、財政計画についてもまだまだ不満を持っておるわけですけれども、まず、大臣御在任中に何かの実効をあげていただかなければならない。こういう点からこの問題にスポットを当てて、ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  356. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 沖本委員からただいまいろいろ御指摘をいただきまして、私も痛切に先生と同じように感ずる次第でございます。  そこで、私どもは、同和対策事業特別措置法に基づいて、また、同和対策長期計画によりまして、具体的に実行に当たっておる者の責任は、先生の言われるように、これが遂行できるかどうかというところがこの際の問題点だと思うのです。そこで、先ほどから、局長のほうから、農林関係の予算について総額六百九十三億円の内容も申し上げました。また、私として、四十五年、四十六年、四十七年、四十八年のこの実績をずっと見ましたときに、おおむね一五〇%以上の予算の獲得に、そのときどき皆さん方の協力のもとに実行ができておる。こういう過去の具体的な予算のつけ方からずっとしてまいりますると、この間も本委員会のほうで八木委員からもきびしい御指摘がございました。私どももまた閣僚一人一人が同和対策の重要性を認識しておるところでございまするから、従来の実績から非常に後退をして、そしてこの六百九十三億円のお示ししておるものが、これが遂行不可能かということについては、私は、そうでなく、このテンポで、また皆さん方の御協力のもとでやっていく以上におきましては、残額をこの計画の十年の中で消化し得るものである、このように見ておるわけでございまするが、せっかくいろいろ御意見を賜わりましたので、この上とも同和対策について十分注意をいたし、実効のあがるようにつとめたいと思います。
  357. 沖本泰幸

    沖本分科員 以上で終わります。
  358. 細田吉藏

    細田主査 次に、野間友一君。
  359. 野間友一

    野間分科員 農林大臣にお伺いしたいわけですけれども、けさの毎日新聞によりますと、昨夜大蔵省顧問の細見氏が派遣ざれた。ついては、対米ドル二〇%以上の円の切り上げの覚悟と、もう一つは、対米協調の実をあげるため、農産物の輸入の自由化でアメリカの要求に応ずるという政府の方針を持って米国に行ったということが報道されておりますけれども、この政府の方針、これは間違いないかどうか。  具体的に特に私がお伺いしたいのは、農産物の輸入自由化について、これは大臣がしばしば自由化は絶対しないということを言っておられますし、特に、二月の二十二日の段階でもその旨農水の中で言っておられるわけです。それについて大臣の所見をまずお聞きしたいと思います。
  360. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま、新聞記事を御引用でお尋ねでございまするが、細見顧問がああいうことを言われたのでございましょう、記事に出るのでありまするから。しかし、これは私との間には何らの関係もございません。それでは、他の何か政府の機関で細見顧問の発言を裏づけるようなものがあるか、こういうことで私が考えてみまするに、それに該当するような事実は、私は存じ上げません。したがいまして、細見顧問としても、対米折衝に行かれたのか、あるいはこれは折衝に行くのかどうかということもつまびらかにしないわけでございまして、私の常識的な判断では、おそらく日本側のある程度の情勢を胸に置きながら、アメリカ側の真意を伺いに行く、打診をするというのが、これが細見顧問の使命ではないかと客観的に見ているわけであります。したがって、そういう場合に、具体的に私自身があれこれ言うことにつきましてはどういうものであろうかというように、きょう新聞記事を見て感じたような次第でございます。
  361. 野間友一

    野間分科員 それはまた奇怪な話だと思うのです。いま大臣は、新聞を見た、こういうふうに言われたわれたわけですけれども、そうすればそれについて、とりわけ農産物の輸入自由化ということが記載されているという点からしても、これは総理なりあるいは細見氏にこういうことを確認するなり、あるいはただすということをされたかどうか。
  362. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 そういうふうにお感じになるのは無理からぬことだと思いますけれども、しかし、いやしくも私が、国務大臣の立場におる者が、一足飛びに顧問けしからぬということで、——これは出発前の談話ですね。そこで私が、何か国際電話をかけるとか、追っかけ回すというようなことは、これは先生におかれても、そういうことはとり得るような立場でないということの御判断はできると思うのであります。要するに、私としては、細見顧問何を言っているのか、どういう認識で言っておるのかというように新聞記事を見た、これが事実なんです。
  363. 野間友一

    野間分科員 いや、細見顧問はともかくとして、新聞では「政府、日銀は」という主語がありまして、それから記述があって、政府の方針が出されている。こういう記述になっていることは大臣も御存じだと思うのですね。ついては、あなたとして、いままでずっと再三、自由化はしないということを言い張ってきたわけですから、こういう記事がある以上、しかも現に細見氏が言ったという事実がある以上、これは総理にその点について真否のほどをただすのは当然じゃないですか。どうなんです。
  364. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これはおっしゃることはわかるのでありまするけれども、しかし、細見顧問がそういうような折衝の任務があるのかどうか、私は、そういうものはないと思うのですよ。それをとらえてどうこう言うというのも私の立場からはいかがかと思いまするし、農林大臣がどういう所見をしておるかということは、予算委員会でも総理の前で発言もしておりますし、また、ときに閣議の席上で発言をしておることで、そういうことはもう十分だれもが認識しておることだと思うのです。
  365. 野間友一

    野間分科員 しかし、こういう報道が一たんあった以上、大臣としては、この真否のほどについて総理に聞きただすなり何なり、そういうことをされるのが農林大臣として当然のことだと思うのですけれども、あなたとしては、それについての真偽を総理にただす必要はないというふうにお考えなのですか。関心があれば問いただすのが当然だと思うのです。
  366. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 それはものの順序はあるでしょう。たとえば、細見君のほうはその報道に出ておるのだから、まあ一応そういうことを言ったのかなという、これはあなたも同じ認識だろうと思うのです。本人はいま飛行機に乗って行っておるのですから、それを私の立場から、私は閣僚であるのに、大蔵省の顧問を相手にいろいろとやる必要も何もない。それよりも強力な権限を持っているのですから。
  367. 野間友一

    野間分科員 私の質問に答えてくださいよ。あなた、そらしちゃ困りますよ。総理に、と、私はずっと聞いておるのでしょう。私の質問に答えてください。どうしてあなたは総理に聞かなかっみのか。あなたを無視してこういうような見解が出され、これをもって細見氏が行ったとすればたいへんなことなんです。その点について、あなたとしては、いままでずっとこの自由化の問題について主張してきた手前、総理にどうしてこういうことを聞かなかったのか、関心がないのか、こういうことをお聞きしているわけです。
  368. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私は閣議の席上でも発言をしておるし、総理の目の前で、委員会でも発言をしておるので、新聞に出たからといって、真相も確かめないですぐ総理のところへ飛んで行って、これは何ごとだと言ったら、総理のほうが、君は何だということになるかもしれない。私はまだそういうケースに入っていないと思うのです。それからまた、常識的に言って何も交渉するということの権限もないのですから、そこはあなたも十分御理解をいただきたいと思うのです。
  369. 野間友一

    野間分科員 権限の問題じゃなくして、そうするとあなたは、この政府の方針については全くいままで聞いていない、こういうことを確認していいわけですか。と同時に、あなたは従前どおり自由化については反対だ、農民、それから農業、林業、漁業の立場に立つというふうにおっしゃっておりますけれども、その立場はいまでも、あるいは将来も堅持して衝に当たられる、こういうふうに確認していいわけですか。
  370. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 政府の方針というものは、これは御説明するまでもなく、閣議なり何なりで決定をする、あるいはもしほんとうにそういう交渉の権限があるとするならば、その出発に先立って、当該担当大臣が閣議に報告がなければその裏づけはないと思うのです。だから、その点は御了承いただきたい。  それから、私が農産物の自由化に反対しておるということについては、何ら変わるところはござません。
  371. 野間友一

    野間分科員 それじゃ、時間がありませんので質問を次に進めたいと思いますけれども、公害とミカンの関係についてお伺いしたいと思うのです。  亜硫酸ガスがミカンにどういう被害を与えるか。これはきのうの分科会の中で環境庁にも聞いたわけですけれども、こういう点について、農林省としてはいままで調査をされたことがあるのかどうか。されたことがあるとすれば、その所見をお聞かせ願いたい。
  372. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 和歌山県の有田市周辺の数町村で、かなり前から、亜硫酸ガス等による落葉ですとか、黒点の発生、酸性物質と言われておりますが、そういうものが若干見られていたわけでありますが、特に、昭和四十四年には下津周辺の三百ヘクタールにわたってこのような被害が多発して、関係企業から農家の方々に補償が行なわれまして、その後においてもなお若干の被害があるということを聞いております。それからまた、県が四十三年ごろから被害調査圃というようなものをつくりまして、被害の実態でありますとか土壌の酸性化等について調査をしてきたわけでありますが、さらにこの対策を強化するために、県の果樹園芸試験場でいろいろな試験をやっておるということも私のほうで報告を受けました。また、これは、国におきましては、別途亜硫酸ガスの作物一般に及ぼす影響というようなものにつきまして、いろいろ基礎的な研究もやっておるわけでございますが、農林省といたしましては、そのような試験研究の結果を踏まえまして、県と協力して、これからもいろいろな研究を続け、問題の解明に当たりたい、かように考えております。
  373. 野間友一

    野間分科員 農林省がこの関係について知ったのはいつごろなのかということをお聞きしたいと思うのです。と申しますのは、昭和三十年ごろからすでに亜硫酸ガスとミカンとの関係が出始めた。特に、いま局長が言ったように、これによって落葉する、それから土壌が酸性化する、さらに黒点病が発生する、商品価値が下がるということで、実は、二月四日にミカンの生産者の危機突破大会が和歌山であって、私も超党派で行ったのですけれども、その中でも、かねや太鼓に踊らされて、つくったミカンがこのとおりということで、非常に痛烈な農林省に対する農政批判があったわけですけれども、このように暴落した上に、いま申し上げたように、亜硫酸ガスの影響の中で非常に農家が苦悩しておる。と申しますのは、一つは、これは三十年ごろからボルドー液を使えないわけですね。そして、新薬を使わざるを得ない。この十年間で、代替農薬、それから散布の労働力というものを換算いたしますと約十億円、これだけの損害をこうむっておるということは、逆にこれだけコストが高くなっている。あるいは土壌が酸性化した問題についても、有機質の肥料をやるとか、いろいろな手だてをよけいにしなければならぬ。さらに、いまの黒点病の問題もあるし、こういうことで、非常に深刻な事態になっておるわけなんです。こういう事態が起こったのは三十年ごろからなのですけれども、農林省はいつごろこういう事実を知られたのか、あるいは具体的にどういう対策を立てられ、これからどういうふうにやっていくのかということについて、明確な答弁を求めたいと思います。
  374. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 こういうような事態があるということは前から聞いておったわけでありますが、私、いつからということをちょっとまだ確認をしておりません。それは調べまして申し上げてもよろしゅうございますが、前からもこういう話が出ておったというように聞いております。最近のことにつきましては、ごく最近、また県のほうからも電話等で連絡が参っております。
  375. 野間友一

    野間分科員 おそらく、最近私のほうが農林省に申し上げたので、あわてて電話で連絡されて確認されたのではないかと思いますけれども、農林省として、これには因果関係があるということはいまの時点で認めるわけですね。
  376. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 これは詳細な調査がありませんと、農林省として、因果関係ありなしというようなことは申し上げかねるような点がございます。
  377. 野間友一

    野間分科員 そうすると、農林省としては、独自には調査していないわけですか。
  378. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 農林省として独自の調査はいたしておりません。
  379. 野間友一

    野間分科員 もともとこの事実を確認したのは、これは下津の丸善石油の石油公害のことですけれども、下津農協の原田さんという技師がおられますが、昭和三十六年九月に下津町の農業公害対策委員会が結成されて、これは加害者側の丸善石油、それから被害者側の農業研究会——これは農協が主体ですね。それと農業委員会、さらに議会、町役場という構成で、これが調査して、その結果を原田さんという人がまとめたものですね。私もこれを調査し、あるいは原田さんにも聞いたのですけれども、具体的にそのデータをそろえて出しているわけですね。しかも、このことがおそらく農林省と私との折衝の間でも——亜硫酸ガスがミカンにどう影響を及ぼすかということについては、農林省がキャッチされたケースがほかではないのじゃないかと思うのですけれども、いま申し上げたように、被害が非常に甚大なので、この点について、これはほんとうに地元の人が一生懸命やってきたということだけに、放置せずに、やはり積極的に農林省が乗り込んで実情を調査して、これに対する対策を立てるべきだというふうに考えますけれども、どうですか。
  380. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 この問題につきましては、特定の地域で起こっていることでもございますので、まず、県の段階でいろいろな対策が講じられて、また調査も行なわれておると思うわけでございます。私どもといたしましては、そういう県のほうの対策なり、調査なり、あるいは研究なり、そういうようなものを十分聴取いたしまして、検討いたしまして、国として必要な措置があればそれを講ずるということでございます。
  381. 野間友一

    野間分科員 そうすると、県からはどういうふうにいまお聞きになっておりますか。
  382. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 正式な報告ではございませんが、私どもが一応承知いたしておりますのは、昭和四十三年から二十一カ所の被害調査園を設置いたしまして、収量、落葉の程度、土壌の酸性化等について調査しておるそうでございます。それから、四十五年からさらに対策を強化するために、県の果樹試験場で亜硫酸ガスの被害試験を実施中であるということであります。
  383. 野間友一

    野間分科員 おそらくそれは電話連絡で確認されただけだと思うのですけれども、こういうふうに町の方々が非常に深刻な事態の中で調査し、原因の究明をしておるわけですね。しかも、事実があれば、これについて当然被害の補償をしなければならぬ。これは過去にやったケースもあるのですれども、これについて抜本的な対策を立てなければならぬ。とりわけ、有田ミカンというのは、昔から有名な銘柄なんですよ。これについて今後も、結論としても出ておりますけれども、「これは衰微の一途をたどる以外にない。塩害地ミカン園は前途に光明がなく、滅亡の運命をたどる可能性は十分にあるといえる。」というふうに結んでおるわけですね。これはたいへんなことだと思うのです。ですから、このような深刻な事態に立ち至っておるということを農林省自体がまだ知っていないとすれば、さっそくこれに対する抜本的な対策を立てるというのが農林省の行政としての当然の義務だというふうに私は考えるのですが、いかがですか。
  384. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 先ほども申し上げましたように、県からよく事情を聴取いたしまして、そしてその上に立ちましで、国としてなすべきことがあればそれをする、こういうふうにいたしたいと思います。
  385. 野間友一

    野間分科員 聞き取りだけではなくて、言ってくるからやるのじゃなくて、下から上がってくるのを待つのじゃなくて、こういう事実、問題提起をすれば、積極的に上からやるのが当然じゃないですか。ですから、私は申し上げたい。いまの原田さんなり何なりについて、地元に行ってあなたのほうで調査されて、そして、さらにこれについての抜本的な対策を立てるというふうに、積極的に農林行政というものをやってほしい、こういうことを強く要請したいと思うのです。さらに、県側に対しても、これについて積極的に調査を進め、農林省と一緒になって、協力してこの対策を立てるというふうにひとつ取り計らいを願いたいと思うのですけれども、いかがですか。
  386. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 先ほども申し上げましたように、県からよく話を承りまして、そして、私ども、必要があれば調査をする、さらにまた次の手を打つというようなことも考えてまいるつもりであります。
  387. 野間友一

    野間分科員 時間の関係で、これはまたあとにいたしまして、先に進めたいと思いますけれども昭和四十七年度の生産目標、これは昨年度ですけれども、これは一体どのくらい見込んでおったのか、あるいは、実際いま農林省で集約して、収穫量が幾らというふうに組んでおるのか、そのあたりお聞かせを願いたいと思うのです。
  388. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私ども、豊凶変動がなければ二百八十万ぐらいであろうと想定をしておったようでございますが、実際にとれました数値は、統計情報部の結論によりますと三百三十一万ということになっております。
  389. 野間友一

    野間分科員 そうすると、結局農林省は見通しを誤っておったということになろうかと思うのです。これについては、二月二十二日の農水の中でもいろいろ議論がされておりますけれども、これについて、一つは天候の問題、それからもう一つは政治的な要因として、これはつくれつくれで、いわゆる農基法に基づいてつくってきた、これも一つ要因だ、こういうことは大臣みずから認めておるわけですけれども、私が申し上げたいのは、要するに気象台の天気予報と違うのだということですね。天気予報なら、はずれても、かさを持っていなくて雨が降ってきた、ぬれた、たかだかそんなことで済むわけですけれども、しかしながら、このように三百三十万トン、これは二百八十万トンというのとはかなりの差があるわけですね。このことについて正確な見通しをしていなかった。しかも、原因を追及すると天候のせいということを言われるわけなんです。カミュの小説に「殺人したのは太陽のせいだ」という一節がありますけれども、正直言って、こういうことではちょっと済まされないと思うのです。だから、なぜこのように見通しを誤ったのかということ、この点についてもう少し明確に農林省の見解を聞かしていただきたいと思う。
  390. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どもといたしましては、昨年のミカンの大増産というのですか、非常な豊作ということは、私どもはもちろん、かなり専門的な方々もあまり予想できなかったことというように伺っておるわけであります。それは、表年であったということに加えまして、昨年の秋の天候がたいへんよく、ことに雨も適当に降り、また、日照もかなりあったというようなことで予想外の豊作になった、こういうように私どもは見ておるわけでございます。
  391. 野間友一

    野間分科員 ですから、天候のせいにするのは、農林行政としては、正直に申し上げて落第だと私は思うのです。これじゃミカン農民は泣きますよ。こういうことで責任を天候のせいに転嫁するのは許されないと私は思うのです。こういう見通し、しかもこれは、立てられた基本方針の初年度なんですよ。そうですね。初年度にそれだけもう狂ってきたということ。しかもこれは天候が大きな原因であるとすれば、今後もこういうものが出てくるということは当然だと思うのです。したがって、天候がいい場合、あるいは悪い場合ということを想定して弾力的に予想を立てる、予定をを立てるということは、これはもう小学生でもわかることじゃないかと私は思うのです。とりわけ私が申し上げたいのは、三十五年から四十三年ごろにかけて、これは統計上出ておりますけれども、毎年一万ヘクタールこの造園がなされておる。これは平均したらそうなります。ですから、そのころにつくれつくれで造園したものが、いま成園化した。こういうこともやはり大きな原因になっているわけですね。しかも、天候のせいと申されましたけれどもいま申し上げたように、こういうことを当然十分に見越した上で計画を立てるべきで、これを抜いちゃだめですよ。おそらく、今後の五十六年までの計画についても、そういう去年のようなことについては全く考慮に入れられていないと思うのです。そうすると、同じようなことがこれからも何回も出てくる。これは手直しするべきじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  392. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 御指摘のように、昭和三十年代の後半から四十年代前半にかけましてかなりの植栽があったことは事実でございます。そういったことも、このミカンの大増産といいますか、そういったことの原因になっていることも私どもは否定をするわけでございません。ただ、先ほど申し上げましたように、私ども、そういうことを考慮いたしまして、当初は二百八十万トンぐらいではないかというように見ておったのが、予想に反してたいへんな増産になった、大豊作を見た、こういうことであります。そういう意味で、私どもといたしましては、こういう大豊作のあとはまた生産量が減るというような、ミカンにつきましては隔年結果ということがかなり多い作物とされているわけでありますけれども、そういう隔年結果現象をなるべく避けるように、従来からも結果ということをミカンについてはいろいろ指導をいたしてきておったわけでございますけれども、必ずしも十分に行なわれなかった点もあります。これはいろいろ理由があるわけでありますけれども、そういうこともありましてこのたびのような大豊作ができた、こういうように私ども考えておるわけであります。   〔主査退席山崎(平)主査代理着席
  393. 野間友一

    野間分科員 私は、昨年のようなことが必ず将来起きるということを予測して申し上げているのですけれども、そういうことをすら正確に見通しができなくて、農民に被害を与えたということについて、農林省としては当然謝罪すべきであると私は思うのです。  さらに、いまの将来の問題に関連して申し上げますと、未成園はまだ三六・四%、五万七千八百ヘクタール残っている。これは統計上出ているのです。したがって、和歌山などで聞きますと、五十年ぐらいには四百万トン、五十六年になればこれはもう五百万トンに達するのじゃないかと、これは実際に町の専門家というか、町の人ですけれども、くろうとがやっぱり言っておる。和歌山県の農林部長も、政府は五十六年度の見通しについて四百十九万トンですか、そう言うけれども、しかし、かなりの増収が見込まれる、したがって、適地でない限り造成は奨励しないということをはっきり言い、いままでの行政のやり方は誤りだということを認めておるのです。これは新聞紙上でも議会でも問題になりましたから、農林省は知っておると思いますけれども、こういう点で、もっと農民の立場に立って、上からでなくて、ほんとうのミカン農民の立場に立って計画を練り直すというぐらいの謙虚な気持ちは当然あってしかるべきだと思うし、これについてさらに検討する必要があるというふうに私は考えるわけです。  さらに、消費の伸びに関連して申し上げたいと思いますけれども、一体なま食でどのくらい伸びるか、あるいは加工用で将来どのくらいまで伸びるか、これは必ず壁があると思うのです。そのあたり農林省はどのように見通しておるか、この点について見解を伺いたいと思います。
  394. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 将来の問題につきまして、私どもとしても全く懸念をしていないわけではございません。ミカンの植栽が、ともすれば私ども考えております水準以上に行なわれておるということも事実でございます。第一次の果樹農業基本方針を決定いたしました際にもかなり飛び出しましたし、また、四十七年自体を考えてみましても、二千町歩弱でありますが、すでに植栽が私どもの想定よりも多かったというようなことがございます。そういうような事態が今後続きますと、ただいま御指摘のようなことも懸念されるわけでございまして、私どもといたしましては、やはり植栽というものは秩序正しくやっていくのがいい、御指摘のように、やはり適地にミカンを植えていくということが必要であろうというようにも考えておりまして、過日、私どもの関係局長から地方農政局長を通して、関係の各県にそういう指導の通達を流したような次第でございます。  また、ただいまの需要の問題でございますが、私どもといたしましては、昭和五十六年ごろでございますが、大むね二〇%弱ぐらいはジュースで消費をしてもらったらいかがか、というようなことも考えておるような次第でございます。
  395. 野間友一

    野間分科員 なま食の伸びはどのくらい見ておるのかも聞いておるのですけれども、これは戦後の、特に昭和四十年ごろからのいろいろなデータなどを見てみますと、大体二百万トン前後なんですね。それからあとは加工用、それから輸出が多少ありますけれども、だから、将来なま食が伸びるとしても、そんなに大幅な伸びというものは考えられない。幾ら伸びたって二百五、六十万トンから最高三百万トンというふうに将来の問題として私は踏んでおるのですけれども、なま食の伸びについてどう考えるかということが一つ。  最後にお聞きしたいのは、ことしは三十万トン隔離しましたけれども、これについて、いわゆる加工用のかんきつの価格安定基金制度の適用を受けるかどうか。  それからもう一つは、この販売のルートなんですけれども、和歌山の場合には農協のルートは五%、あとは明治とか三越、大丸、これの下請のようなかっこうで二〇%ないし三〇%のジュースを出しておる、こういうことなのです。しかも、販路についてはおまえら考えろということで、農林省当局は全然指導してくれない、こういうことを言っておりますので、これについて農林省としてはどういうように考えておるのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  396. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私ども考え方は、ジュースを含めまして大体三十四、五キロくらいになりますか、これはアメリカは四十キロ弱だと思いますが、その程度のことを考えておるわけでございます。  それから、今回の緊急対策で加工いたしたものにつきまして、加工原料用ミカンの価格安定対策という事業が行なわれておりますが、それぞれの県でワクがございまして、それぞれのワクの範囲内での措置をやる……。
  397. 野間友一

    野間分科員 隔離ミカンについては、これは適用されるかと聞いているわけです。
  398. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 それぞれの県におきまして、あるいはこの隔離が適用されるものもあるかもしれませんし、あるいは、隔離ミカンは適用にならないかもしれません。
  399. 野間友一

    野間分科員 最後に、そうしますと、和歌山の実態から申しますと、いま概算金として受け取っておるのはこれはキロ十円なのです。しかも、ジュース工場の話によりますと、幾ら売れるかわからない、これはおそらく翌年度に持ち越すだろう、したがってもう十円であとはもらえないのじゃないか、こういうふうに、三十万トンの隔離があまり役に立っていないと、非常に深刻に頭をかかえている。こういう事態がありますので、ぜひこの点について十分追跡調査をして、そしてこれについての善処方を要望して、時間がきましたので私の質問を終わりたいと思います。
  400. 山崎平八郎

    山崎(平)主査代理 次に、野田毅君。
  401. 野田毅

    野田(毅)分科員 自由民主党の野田毅でございますが、ただいまの質問にもありましたように、昨年は空前のミカンの大豊作ということで、ミカン生産農家はたいへんな打撃を受けたわけであります。そこで、政府のほうも二度にわたって緊急対策を打ち出されたわけですが、そういう過去のことについては問いますまい。しかし、いま幼木、若木がたくさんあります。政府の奨励によって、構造改善ということで相当ふえております。去年大豊作ならば、あるいはことしはいいかもしれない、しかし、来年はもっと大豊作になるだろう、十年後がピークだという話もあります。そういう今後のミカンの過剰に対して、そう過剰にならぬように、大暴落しないように、今回の苦い経験を農林省としてはどのように具体的に生かしていかれるつもりか、御所見を伺いたいと思います。
  402. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ただいま野田先生の御指摘のように、今回のミカンの大暴落ということは、生産農家の方々にとってたいへんお気の毒であると思っておるわけでございます。私どもといたしましては、こういうような過剰生産というものが再びないように、万全の努力を傾けなければならないというように考えておるわけでございます。ミカンは御案内のとおり、永年性の作物でございます。これは毎年毎年作が変わるというような性質のものではございません。したがいまして、比較的長期的な需給の見通しというものが立てやすいような作物でございます。そういうように長期的に見通しを立てて、ある意味での計画的な生産ということをやっていくことが——もちろん需要に見合ってですが、計画的な生産をやっていくということが一番必要なことであろうと思います。こういう考え方に基づきまして、果樹農業振興特別措置法という法律がございますが、その法律に基づきまして、果樹農業振興基本方針というものを定めることになっております。大体十五年及び十年と二段階に分けての計画を定めることになっておるわけでございますが、そういった計画に基づいて植栽をさせていく、そういった植栽をする場合に、いろいろな誘導のための措置を講じていく、こういう考え方に立ちまして、まずは需給調整考える。  それから、もう一つ、第二の段階といたしましては、ミカンはどうしても表年と裏年がございます。その表年と裏年の差がなくなるようにできるだけ努力をいたさなければいけませんものですから、これは先ほどのお答えの中でも申し上げておったわけでありますが、やはり摘果ということを励行いたしませんと、どうしても表と裏でかなり差が出てくるということがございます。ことに、最近は、密植園がございまして、この密植園の場合には、表と裏の差が非常に出てくるということでございますから、あるいは間伐ということも考えていかなければならないといったふうにも思っておるわけでありますが、そういう摘果の奨励ということがまず第二段階として必要である。  それから第三の段階といたしまして、そういった形で生産が行なわれました場合に、その生産されたものが計画出荷をされるということが必要だというように私ども考えているわけでございます。したがいまして、その計画出荷のためのいろいろな施設というものを助成していかなければならぬ。私どもは、従来から、園内の貯蔵庫というものをかなりたくさんあちこちに配置をいたしたわけでありますが、それだけではなお足りませんので、来年度予算から共同予措——ミカンを風に当てるわけでございますが、共同予措のための施設というものを設置するということで、そういう助成も明年から考えておるわけでございます。  そういうような出荷調整をいたしましても、なおかつミカンというものは表と裏の差がどうしても若干は出るものでございますから、そういったものは加工で受けとめるということがその次の段階として必要であろうというようにも考えまして、従来から、加工工場の増設ということに意を用いてまいったわけでありますが、従来の数では足りません。ことしの経験に照らしましても、加工工場をもっと整備すべきであるという大かたの意見がございましたので、これは特に大蔵省のほうにもお願いをいたしまして、当初要求では二工場であったものを、四工場にしていただくということも大蔵省と話をつけまして、国会にもいま予算をお願いいたしておるわけでございますけれども、そういう措置をその次の段階でやる。  なおかつ、まだ問題がいろいろ出てくる可能性もありますので、加工原料用のミカンの価格安定措置を講ずる。これは四十七年度から始めた事業でございます。ジュースにつきまして四十七年度から始めたわけでございますが、四十八年度では、ジュースも若干拡充をいたしますが、ジュースだけではございませんで、かん詰めにつきましてもこの適用を広げる、こういうような対策をとりまして、価格の安定、需給の安定ということをはかっていくという考え方で臨んでおるような次第でございます。
  403. 野田毅

    野田(毅)分科員 農村部の青年とよく話をしておりますと、政府の奨励によって、それをたよりに一生懸命つくっておった、そうすると今回のように大豊作になり、大暴落になる、そうして手おくれになった段階で初めて大蔵省から何がしかの金をもろうて、それで対策は終わった、あとに何にも前向きのことが残っておらぬ、従来こういうことの繰り返しであったということで、非常な農政不信といいますか、ほんとにこれから農村を背負って立たなければならないような若い青年が、憤りと同時にそういう不信感を非常に強く持っておるわけです。  どうやったらこういうことを打開できるだろうか、これは真剣に考えなければならぬわけでありますが、農林省のほうも、先般、「農産物需給の展望と生産目標の試案」というものを発表しておられます。これはあくまで目標ということであって、これをもとに具体的に各地域ごとにブレークダウンをして、いわば何らかの計画生産的な、いわゆる生産調整というようなものに持っていかなければならぬだろうと思いますけれども、農林省としてはどういうようなお考えでおられるのでしょうか。
  404. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 果樹農業の振興の基本方針は、全国的なベースでの数字でございます。これを受けまして、各関係県で果樹農業振興の計画というものをつくっておるわけでございます。その振興計画に基づいて、さらに末端の段階で植栽、栽培が行なわれている、こういうことであるわけでありますが、従来、とかくいたしますと、この生産といいますか、植栽が、私ども考えております、あるいは県が考えております水準をオーバーをいたすというようなきらいがございました。四十七年度におきましても、約二千町歩弱の面積でございますが、私ども考えておりますよりも植栽増になっておるわけでございます。こういう状態が今後も続きますと、昨年の生産のような大暴落を来たすようなことを招きがちでございますから、やはり植栽というものを秩序立ってやっていただくようにしなければならないということで、生産調整というような意味ではございませんけれども、新規の植栽というものにつきましては少し計画的にやっていただきたいということで、過般、私どものほうの構造改善局長、農林経済局長——これは金融担当でございます。ですから、土地改良でありますとか、構造改善事業あるいは融資というようなことでございますが、そういった面でのいろいろな誘導措置をこういう国、県の方針に従ってやっていただくようにしてもらいたい、こういうことを地方にお願いをいたしたわけでございます。
  405. 三善信二

    ○三善政府委員 野田先生お尋ねの中に、一般的な農業の生産につきまして、全国の計画を地域ごとにブレークダウンして、もっときめこまかくやったらどうかというお話もあったかと思いますので、その点に関しまして、私から多少ふえんして御説明申し上げますと、農林省としましては、先生のお説のとおり、地域ごとに作目の生産の計画等をつくって、地域にマッチした生産を進めていくことが必要であるということで、実は昭和四十五年に農業生産の地域指標の試案というものを農林省でつくりまして、これに基づきまして、主要な作物ごとに全国を十四地域にブレークダウンしまして、それを受けて、各県では、その十四地域につきまして、同じような気象条件、あるいは土壌条件、あるいは作目の生育条件といったもので、県内を大体三地域から五地域ぐらいに分けまして、そこできめのこまかい今後の生産の目標をつくっているわけでございます。そういうことをやりまして、現在までに大体二十五ぐらいの県でそういうこまかい具体的な資料をつくっております。あと十一県ぐらいが現在つくっておりますが、そういう県でも、その県内の農業団地の育成とか、あるいは広域農業の育成とか、そういったいろいろな計画を持っておりますので、そういった計画をつくりながら、実は、農業の生産を具体的に進めていくということでございます。  具体的にただいま申し上げましたこの農業生産の地域指標の試案に基づきまして、ブロックごとにつくりましたそういう計画、あるいは県ごとにブレークダウンしました目標に従いまして、実は、米の生産調整あるいは農林省で昨年度から積極的に進めております農業団地の育成、こういった施策の誘導の一つの指標として、ガイドポストとして、政策とそういった一つ目標ないし計画とをマッチさせながら進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  406. 野田毅

    野田(毅)分科員 いまのお話で、それをもっと綿密な、いわば需給見通しのもとにある程度——農業は一般の都市の人たちに比べて非常に保護をされているというような印象を非常に強く持っておりまして、農家自身も、それに、いわば一種のうしろめたさを非常に持っておるわけであります。そこで、そういう過剰になった場合に保護をしてほしい、しかし、まず何よりも過剰にならぬようにしてほしい、そのための規制は甘んじて受けるということでありますから、単にそういう一つの指標を出して、それで終わりというのではなくて、やはり、何らかの強制力というものをあるいは考えられていいのではないかと思うわけであります。  そこで、これは私案でありますが、ひとつコンピューターでも導入して、一年くらい前に、作付前に、そういう作付動向調査のようなものを——通産省が設備投資動向調査みたいなものを、いわゆる意識調査をやっておりますが、そういうことをあらかじめやって、そうしてある作目に片寄りが出そうだということであるならば、あらかじめ少なそうなところへ誘導していくというようなことをお考えになってもいいんじゃないかと思うわけであります。これについてはいかがでしょう。
  407. 三善信二

    ○三善政府委員 一つ考え方であろうかと思いますけれども現実問題といたしまして、農業の場合、作目によって特性がございますし、それから、地域的な調整をどうやって進めるかといった場合に、農家経営の実情も違いますし、気象条件も違いますし、私ども現在生産調整をやっていく上におきましても、地域ごとに非常に違って、経営の状況なんかを見ても、その作目に完全におんぶしている場合と、半分くらいおんぶしているような場合と、いろいろな経営状態がございます。そういうようなことで、しゃくし定木に割り切った考え方でいければいいのですけれども、実情としてはなかなかそううまくいけないという状況でございます。現に、私ども統計情報部で、果樹、野菜、飼料というものにつきまして、栽培の面積あるいは収穫の予想、それから出荷の予想量といったものを定期的に把握しながら、これを農業団体に流す、あるいは生産者の団体に流していくということで情報は知らせているわけでございます。先生の御指摘のような問題についても将来研究はしてまいりたいと思いますが、実態的にすぐ当てはめるというには非常にむずかしい問題があろうかと思っております。
  408. 野田毅

    野田(毅)分科員 実は、そのことを言いましたのは、この前熊本へ帰ったわけでありますが、去年よりもハウス栽培が非常な勢いで伸びておるわけであります。そして、最近、そういうようなハウス栽培ということになると、いわゆる特地特産というようなものの考え方、あるいは季節変動というものがだんだんこわれてくるのではないかという感じがしたわけであります。そして、今度のミカンの問題。かなりの農家が新たに今度はメロンを栽培するということであります。そうすると、そういうものがまた片寄りが出る。これは作付をしてしまってからでは農家はたいへんであります。だから、あらかじめそういう意識調査のようなものをして誘導していくということを、ひとつぜひともお考えを願いたいと思うのであります。  そこで、農業の問題は、そういう各地域ごとに、ほんとうにこれから農業をまじめに背負っていこうという青年が、何をやっていいか、何をどれだけ生産していいか迷わぬように、一つの指標なり、そういうものを示してやると同時に、もう一つ大きな問題は、やはり農業の生産性が向上する。これは他の工業製品と違って、どうしても農業人口は減少していかなければならぬ運命にあるわけであります。そこで、農林省としては、当面農業人口のシェアというものをどの程度に持っていこうとお考えでしょうか。
  409. 三善信二

    ○三善政府委員 農業就業人口の推移でございますけれども、四十六年度で七百三十三万人。私どもの、先ほど先生も申されました「農産物需給の展望と生産目標の試案」、これは十年後の五十七年を一応目標にいたしておりますが、十年後には大体年率五%の減少ということから踏まえまして、四十六年の七百三十三万人が約四百三十万人程度になるというふうに一応推算をいたしております。
  410. 野田毅

    野田(毅)分科員 問題は、そのように大量の、約三百何十万というような農業人口が今後十年間に減っていくわけであります。そこで、まさに、問題は、どういう形で減っていくか。生活に困って、疲弊して、困窮して減っていくということであっては、政策不在といわなければならぬわけであります。  そこで、農林省としては、これをスムーズに、いわば離農促進になりますか、これをやっていかなければならぬ。私は、そういう意味で、自民党の一つの基本方針である列島改造論というものは、決して、巷間いわれているように農家を困らせるということではなくて、むしろ、一つの地域で兼業農家があり、そういう農家がほんとうにまじめに——自分は農業をしていきたいという人は農業をしていけるように、もう農業をやめたいという人は農業をやめていけるように、要するに、東京、大阪、名古屋に出なくても、その地域で自分の家から通えるような職場を持たせてやらなければならぬ。そういう意味で、列島改造というのは、むしろそういう農家のためにこそ必要であるというような感じもいたしておるわけであります。  そこで、先般、もう数年前になりますが、農村地域工業導入促進法というものができたわけでありますが、今後この法律をどのように運用しようと考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  411. 小沼勇

    ○小沼政府委員 お説のとおり、農村地域への工業導入が適切に行なわれた場合には、出かせぎを解消する、あるいは余剰労働力を活用する等、就業構造の改善に資するとともに、経営規模の拡大あるいは経営近代化等の施策と相まって、これが同時に農業の構造の改善に役立つという形になるべきものというふうに考えられるわけでございます。  農村地域工業導入制度は、発足後一年を経過したところでございますが、すでに四十二の道府県におきまして、農村地域工業導入基本計画が策定されております。その中で、実施計画策定地区数は四十六年度で百四十一地区、そのうち導入済みまたは導入確実のものが九十二地区ございまして、四十七年度は二百十一地区について実施計画が新たに策定される見込みでございます。四十八年度におきましては、二百九十二地区におきまして実施計画の策定を予定いたしますとともに、新たに農村地域工業導入の資金融通事業ということで融資事業をはめますとともに、農村地域の工業導入特別対策事業ということで、小規模の土地改良であるとか、就業改善センターであるとか、そういうものを行なう事業を新たに実施することにいたしておりまして、今後農村地域への工業導入を積極的に推進してまいりたい。これによりまして、出かせぎをする、あるいは遠くに家から離れるのじゃなしに、農村で在宅しながらそういう就業機会を得、また、土地等につきましては、その土地で、専業農家なり、それを中核とする集団的な生産組織で農業経営の生産性を上げていく、そういうふうにいたしてまいりたいということを考えているわけでございます。予算といたしましては、四十八年度お願いしておりますのは、そういう関連の予算を含めまして六億九千五十四万円でございます。
  412. 野田毅

    野田(毅)分科員 最後に、最近の非常な飼料の値上がりが、特に畜産農家を困らせておるわけでありますが、これについてどういう対策をお考えになっておるのかお伺いしたいと思います。
  413. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お話しのとおり、国際的な飼料穀物原料の逼迫等によりまして、わが国は、配合飼料価格は一月以来相当値上がりをせざるを得ないというような状況に相なったわけでございまして、われわれといたしましては、主要供給国でありますアメリカ等に対して、日本向けの供給の確保等の要請をいたしますことはもちろんでございますが、新穀の出回るまでの最も問題になります三月から六月にかけまして緊急対策を行なうことにいたしまして、先生御案内かと思いますけれども政府操作飼料、大麦、小麦等に対して、二十五万トン以上の放出、それから、古古米五十万トンを放出するというような、物としての需給緩和をいたしますとともに、かねて農業団体におきましては、農家なり団体の積み立てによりまして、飼料高騰期に価格補助をいたすという価格安定基金制度がございますので、これを大幅に活用し、さらに十分な補てんをしたあとの補てんの資金の不足する場合においては借り入れでまかない、その利子の補給をするとか、あるいは基本財産に対して出資をいたすというような施策を講じておるところでございますし、また、従来その安定基金を持ちませんでした商系メーカーからえさを買っておる農家の方々にも同じ均てんをさせる必要があるということで、これに対しても同様の措置をとる。さらに、今後の動向でございますけれども、相当配合飼料が値上がりいたしまして、先生指摘の畜産農家に対する影響というものは大きいということになりますとたいへんでございますので、影響緩和の趣旨で、この畜産農家に対して飼料費の一部を低利融資をいたす。これは御案内かと思いますが、利率四分というようなもので、経営資金としては相当長い二年というものを貸し付けるというようなことになっておりますが、さらに、最近の円の変動相場制移行、これは海外からの配合飼料の原料に対して相当好影響を持つわけでございますので、それらの影響をできるだけ配合飼料価格の製品価格に反映させるためにただいませっかく努力中でございまして、非常にやむを得ない条件のもとの配合飼料価格の値上がりにつきましても、最大限の努力をいたしまして、御指摘の点については配慮していきたいというふうに考えております。
  414. 野田毅

    野田(毅)分科員 せっかく大臣もお見えでございますので、私、お伺いいたしておきますけれども、特にいま農業の人たちが一番心配しているのは、政府日本工業立国にして、もう農家をみんな疲弊させて、どんどん労働者にさせてしまうのではないか、そういう政策をとっておるのじゃないかというようなことをよく言われております。まことしやかにこれが伝えられております。これは一大事であります。そこで、ほんとうにまじめにこれから農業に生きていこうとする青年が自信を持って専念できるように、もう、これまでのようにリップサービスだけではなくて、現実の施策として示してもらう必要があると思います。また、農産物の自由化にしても、これは未来永劫自由化を拒絶するわけにはまいらぬと思います。少なくとも十年以内には、たとえばオレンジにしても自由化せざるを得ないだろうと思います。その場合に、この生産目標の試案というものが、いわゆる日本でとれるものだけを需要一〇〇%と見ておるようでは、これは一向に輸入もできないわけであります。その辺にもやはり問題があるのではないかと思うので、全般的に、もう一ぺんはっきりと、農林省も自信を持って農家を説得するものは説得する、そして、責任を持って指導するものは指導するという強い姿勢、かたい決意を必要とすると思うわけでありますが、この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  415. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 野田委員のおっしゃったとおりのことをこれからの農政の上で考えていく必要があると思います。  そこで、いま一番批判がございますのは、過密過疎の問題を起こした公害問題、交通戦争を起こしたそれに対してどう持っていくのか、こういうことで、いわゆる高度成長経済に対する批判あるいは反省というものができてきておるこの時期でございまして、そうしますと、一体これからの産業重点はどこに向けるべきであるかということになりますると、太平洋ベルト地帯から過疎地域の日本海沿岸、あるいは野田委員の選挙区の九州方面というところに目をつけていかなければならないと思うのです。そして、その目をつける場合に、まず第一に考えられるのは、農業とか、林業とか、漁業とかいうような、日本のいわば固有の産業、それから、資源的にはやりよう等で無限の資源を生み出してくるところの産業、こういうものでこれからの若い諸君がみずからの創意を生かして、農業に、林業に、漁業に大いに努力をするところにこれからの日本産業の前途が開けていくと思うのです。ただ、先ほどからお話しのように、この十年間に三百万近い農村の就業人口が年率五%程度で減るということを考えまするときに、それをいままでの反省の上に乗ってどこに吸収していくのかということで、野田委員が御指摘になりました列島改造の中の工業導入施策、農村に対する工業導入というようなものが、これが当然考えられてくるわけでございます。そこにまた、農工一体的な、今後の農村のあり方というものも考えられまするし、また、同時に、この農村こそが、これからの日本国土の保全の上に、また、自然環境保護の上に非常に大事な役割りを果たすということを考えていく必要がございます。そうなってきますると、これからの農村が農工一体的にもなっていくし、あるいは場合によって、専業農家を中心とする規模の大きい農業のほうに発展していくという場合も、これは出てきます。しかし、いずれにしても、農村における環境整備ということも同時に考えていかなきゃならないというところで、ことしの予算の中でも環境整備についての配慮をいたしておるわけでございますが、これを総合して、私どもは、これからの農村のあり方を、高能率の農業、それから、環境のいい、高福祉の農村ということを言っておるわけでございまして、これらのことを、まことに概略ではございますが、頭に置いていきますならば、お尋ねのような、農村青年の諸君が前途に暗い感じを持つ必要は決してない、農村の青年諸君の考え方一つでこれから大きく活動する分野がある、こう思うのです。  野田委員も御承知のように、宮城県におけるSAP運動もございます。これはこれなりの大きな効果をあげておりますので、私も、就任後に、宮崎県の知事からいろいろお話を聞きまして、こういうことがもっと全国的に農村に浸透していくならば、御心配になったように、青少年諸君が迷わずに済むのではないか、こういうふうに見ておる次第でございまして、ひとつ、先生の、これからの青少年指導の上での大いなる御活躍を祈ってやみません。
  416. 野田毅

    野田(毅)分科員 終わります。
  417. 山崎平八郎

    山崎(平)主査代理 次回は、明七日水曜日、午前十時より開会し、農林省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時四分散会