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1973-03-08 第71回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月八日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 前田 正男君       足立 篤郎君    小澤 太郎君       瀬戸山三男君    藤波 孝生君       井上  泉君    大柴 滋夫君       兒玉 末男君    竹内  猛君       米田 東吾君    岡本 富夫君       瀬野栄次郎君    松本 忠助君   兼務 吉永 治市君 兼務 米内山義一郎君    兼務 神崎 敏雄君 兼務 寺前  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         首都圏整備委員         会事務局長   小林 忠雄君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設大臣官房会         計課長     山岡 一男君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         農林省構造改善         局農政部長   今村 宣夫君         林野庁指導部長 松形 祐尭君     ————————————— 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     大出  俊君   辻原 弘市君     大柴 滋夫君   岡本 富夫君     松本 忠助君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     横路 孝弘君   大柴 滋夫君     井上  泉君   松本 忠助君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     竹内  猛君   横路 孝弘君     山田 耻目君   瀬野栄次郎君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     兒玉 末男君   山田 耻目君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     米田 東吾君   米田 東吾君     辻原 弘市君 同日  第一分科員米内山義一郎君、第二分科員寺前巖  君、第三分科員吉永治市君及び神崎敏雄君が本  分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十八年度特別会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十八年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  質疑に先立ち、分科員各位に申し上げます。質疑持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行なわれますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉永治市君。
  3. 吉永治市

    吉永分科員 私は、土地問題と、いま一つ九州熊本緑川加勢川水系治水の問題についてお伺いを申し上げます。ただいま主査が申されましたように時間の制約がありますので、一問一答的に一つ一つ伺いたいのでございますが、総合的に個条的に申し上げますので、お答えもそのように個条的に一回にお答えを願うというようにお願いを申し上げます。  最初、九州緑川地区からまいりますが、お手元に差し上げてあります熊本市の南側の二万五千分の一の国土地理院の地図を御披見を願います。ごらんのとおり、熊本南側に沿うて東西に貫流しております一級河川緑川がございます。その支流として浜戸川御船川が流れておる。昨年の風水害におきまして、浜戸川御船川、砂川の堤防が九十六カ所にわたって決壊をして、洪水と山津波、がけくずれ、橋梁の流失、人家の流失等、荒れ狂う水魔に見舞われまして、平和な町と部落が一瞬にして壊滅的な打撃をこうむったことは御承知のことでございます。さらに、この緑川水域とは別に、緑川と並行して熊本市に密着をして東西に流れております加勢川水域の惨状もまた目をおおうものがございました。この加勢川にもまた支流として屋形川、赤井川、木山川が包含されております。私の統計によりますと、過去十年間におきまして緑川水域、特に浜戸川御船川流域一帯の下益城郡の城南町、富合町、宇土市にわたるこの地方は、はんらん風水害堤防決壊等によりまして、農作物の収穫が半減した年が十年のうちに約四年、三分の一ないし四分の一の被害を受けた年が約三年、完全な年は十年のうちに約三年間あるやなしやという状況でございます。さらに加勢川水系、これは上益城郡嘉島町、益城町、御船町にわたる地域でございますが、ここに至りましては十年間に収穫皆無の年が約二年、収穫が二分の一ないし三分の一の年が約五年、完全な収穫が実に十年間に二年しかなかったという驚くべきうそのような実状でございます。これは中国の奥地の話やあるいはベトナム、東南アジアの未開発地域の話ではございません。まごうかたなき九州熊本の、その熊本市に隣接する南側地域での現案の話でございます。どういうわけかこの地域には戦後二十年間、政治の恩典も行政面の潤いもまことに乏しきに過ぎた、悲哀だけが残っているとしかいいようのない地域でございます。これは一つは、かつて豊臣徳川時代加藤清正公熊本熊本城という名城を築きました。そのおり、戦略上の処置として、この水量豊かな加勢川左岸地区、すなわち熊本市から向かって向こう側には一切堤防をつくらせなかった。洪水はんらんするにまかせた。そして敵の進攻してくるのを食いとめる処置に出た。いわば計画的にはんらん地帯をつくった。当時の国内戦における戦略、戦術としては一つの方法であったかもしれません。それが延々として大きな原因をなしておることは、これはいなむことのできない事実でございます。  昭和十年に、時の政府がこの窮状を見るに見かねまして、左岸地区堤防構築を始めました。しかし工事半ばにしてシナ事変を迎えて、堤防構築は中断されたまま今日に至っております。堤防を歩いてみますると、今日ちょうどくしの歯が欠けたような状態に相なっております。百メートル歩くと先の百メートルは平地のままぽっかりとあいておる。百メートルは堤防、その先の百メートルは川底と同じ高さの平地、その先はまた堤防になっておる。これではんらんがなかったらおかしい話でございます。そしてそれがそのままの姿で、戦後二十八年間ほったらかしのまま放置されておるというのが現況でございます。  大臣お願いをしておきますが、このことは、川底をしゅんせつし、川幅を拡張して、堤防堅確に築くだけのことで私はよろしいと思っております。財政、予算の上からも緩急順序の別があることはわかります。しかしこの長い年月の間耐えに耐え、こらえにこらえたこの流域三十八万余の地域住民の真実の声、いっときも早くという心底からの熱望、願望にこたえていただきたい。心からそのようにお願いを申し上げたい。これを三年、五年といわず、少なくとも昭和五十年までには完了のめどをつけていただけないものか、このことは切にお願いを申し上げる気持ちでございます。  さらに、いまの加勢川水系の中途に江津湖という大きな湖がございます。その江津湖の入り口に第六橋という橋があります。その第六橋から加勢川の河口に出るところの最下流緑川合流地点の六間ぜきというところにわたる十一・六キロの区域は、これは建設省直轄管理下にある区域でございます。この治水事業は、この加勢川水域の惨禍を防止する根底的な一番大事な場所である。この治水事業根幹をなすものであり、すでに建設省におかれましては、その中にあります野田ぜき、六間ぜきの工事には着手されております。しかしこれとてもほかの河川菊池州、球磨川、筑後川、その他の河海に比べますると、今日の予算といえども九牛の一毛にも足りない予算でございます。したがって、この区域に限ってどうか万障を排して、大英断をもって昭和五十年度までには一切が完了できるようにお取り計らいを願いたいと切望するものであります。  さらに、先ほど申し上げました緑川上流地帯約四十八キロの地点に位しますが、会瀬という非常に深い渓谷がございます。その会瀬会瀬ダムをつくるということはここ二十年来の懸案でございます。貯水量約八千万トンと想定されるこの会瀬ダム建設と、加勢川上流の赤井という地区ダム建設して、洪水の調節をはかっていただきたい。  それと同時に、毎年のように夏になりますと、飲料水生活用水工業用水が枯渇して非常に悲惨な状態に立ち至ります天草郡、天草の島々にこのダムから鉄パイプ輸送によるところの送水の施設をやっていただきたい。私、一々数字をあげるべく統計をとってまいりましたが、時間の関係上、数字やそうした数量の点を省きます。このことをただいま申し上げましたこの地域主体事業として、どうか大臣当局におかれまして、すみやかにこの建設を着手し、完了していただきますように切望するものでございます。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 私もただいまのそのお話を承りまして、非常に御同情も申し上げるわけでありますし、徳川以来長年の政治のひずみの下にあえいでおった人たちのその心境もわからぬわけではありません。そこで、今回大きな災害にあいましたので、災害の問題につきましてはこれは三年で必ず復旧するということでございますが、しかしそれだけでは満足できないわけでございます。護岸の問題や築堤の問題その他いろいろあるわけでございますが、事務当局とよく詰めまして、できるだけ御期待に沿えるようにひとついたしてまいりたいと思うわけでございます。予算も限界がありますが、重点的にひとつ考えてみたい、こう考えております。
  5. 吉永治市

    吉永分科員 金丸大臣は寡黙、謹厳の土だと申されております。心の豊かな、思いやりのある方だというのがあなたに対する定評であり、評価であると考えます。この地域窮状と申しますのは、豊臣徳川時代から十年一日でない、百年一日の姿で取り残されている。この未開発地域の三十八万に近い人たちが、毎年のように六月、七月になりますと、判で押したようにきまって災害に襲われております。いつの日か、いつの日かと、そのことにのみ、百年河清を待つような願望であえいでまいりました状態でございます。どうかこの現地の実相をでき得るならば一度大臣みずから御検討願いたい。河川局長道路局長等もお連れになって、現地の調査を、実地踏査をされて、御みずからの裁断を下されますように心から特にお願いを申し上げます。
  6. 金丸信

    金丸国務大臣 国会でも済みましたら現地を一度見さしていただきたいと考えます。
  7. 吉永治市

    吉永分科員 お願いをいたします。  第二の質問に移ります。用地の問題でございますが、これまた先ほど申し上げましたように、私の質問の点を個条的に申し上げますので、計画局長において個条的なことはお答え願いたいと考えております。  私は、土地問題は今日の日本の国策根幹をなすものだと考えております。政府の決意もなみなみならぬものを看取されておる次第でございます。この処置は、一歩誤積れば政府自民党命運にかかわるという問題だけでなくして、民主主義政治の興廃に連なる大きな問題だ、私はさように心得ております。今日、土地問題の帰結と申しますか、目標は、まっとうに働く人たちが、額に汗してまじめに働く人たちが、ある年限に達しましたら自分の家を建てられる土地が買える、そして家が持てる。そのようなまじめな、まっとうな人たちの中産的な資産、そうした思想健全な階層を育てるというのが目的であり、そうでなければならないと私は考えております。ところが今日の状態では、御承知のように土地を買う夢も薄れてきた。絶望に近くなってきた。そのことが因となり果となって仕事への熱情もさめる。無気力と投げやりの風潮が出てくる。そのことはたいへんこわいことだと思っております。政治はここで希望を与える道を講じなければならない。国民に夢を与えなければならぬ。国民の活気を呼び起こさなければならない。政治の信頼というものを回復させなければならない。このことは土地問題にかかる大きな懸案だと私は考えております。  ところが土地の現実を見ますと、御承知のように市街化区域はもうほとんど二十万、三十万あるいは四十万というように高くなってしまって、住宅公団でもあるいは県の住宅供給公社等機関においてもなかなか買えない、手が出ない。国の法令による制度、予算等をもってしましてもなかなか思うように買えない、取得不能というのが今日の実情でございます。さらにまた、中央の政府機関と県の立場がそれぞれ食い違って、国策とその地方、県の特殊な事情というものが摩擦を起こして、その双方が固執して協調がうまくいっておらない。先ほど申し上げたような、まじめな人たちに低廉な価格で最終的に土地が渡るということが実際問題として非常に至難になっておる。今回の新しい措置で、大蔵省税制面から、あるいは農林省農地の面から、企画庁は非常に最大に入念に立案企画をしておる、自治省自治省なりの企画を持っておりますが、私はこれをもってしても、土地を一挙に下げ得るということは、実際の問題としてなかなか至難のように考えております。このままでいいものだろうかということを考えております。  十六年前であったと思いますが、英国の労働党住宅政策として実施しましたことは、必要な土地政府が買い上げて、ここに家を建てる人に払い下げる、家を建てる予約のできる力を持つ人に払い下げる、汗を流して働く人たちに払い下げるという行き方をとりました。その場合の土地利子は国が負担をして、持ち家のできる国民には条件を緩和しながら次々に払い下げていった。国民退職金で家をつくる条件土地を持つことができた。この問題には当時いろいろな問題が起こり、摩擦が起こり、世論の反対があったことも承知をしておりますが、私はこれは、資本主義自由主義社会主義、そうした観点を越えた、大きなこれからの進路を示した一つの指針であると私は思っております。先日の報道によりますと、立川市あたりも何かそのような方式をやりつつあるように、計画をしておるように見られております。  私はここで大臣建設当局に提案したいことは、今日七万五千ヘクタールの土地が不足しておる、この七万五千ヘクタール全部を政府が取得せよ、私はそういう気持ちで申し上げるつもりはございませんが、今日市街化区域に隣接をしまして御承知調整区域がございます。その調整区域にはもちろん農地もあります。あるいは荒蕪地もあります。山林もあります。田畑もあります。その調整区域の一部を、七万五千ヘクタールの何割かに相当する調整区域政府においてお買い上げになれないものか。これは建設省主体になるのが筋道であろうと思いますが、それはどうでもよろしい。自治省であってもけっこうでございます。そうしてその調整区域政府の手によって買収をして、政府の手によって市街化する。建設予定地に持っていく。手段としては法的に非常に問題もあろうと思いまするが、強行できる問題でございます。その利子政府負担をする。食管法の一部をさいてでもできない相談ではございません。そしてその土地を、先ほど申し上げましたように、五十五になって、まじめに一生懸命働いている、退職金をもらえる、そういう人々に原価をもって払い下げる。もちろん造成費用調整費用、いろいろかかります。そういうことは今回の法令によりまして、民間デベロッパーなりあるいはその業者なりというものに一つの利益の基準というものが設けられておって、そうした意味においてまかせられて、そのことはその土地対価に付加してもよろしい。もしくは国家が握って、その調整区域の大部分を、七万五千ヘクタールの予定地の五割か七割か、三割でもよろしい、そういうものを政府が思い切って取得をする。そして労働党がやったように、政府が思い切った施策で英断をもってやっていく。後手後手と回っていくのでなくして、新しい方式で、国民希望を与える、このような方式自民党は、政府はやるんだというところの新しい世代の先取りをする方式ができないものか。そのことを建設大臣に率直にお伺いしたいと思います。
  8. 金丸信

    金丸国務大臣 御指摘のとおり、土地問題はいま一番の政治問題であろうと思います。土地にからみましていわゆる宅地住宅、これが一つの大きな問題点でありまして、先ほど先生の御指摘のように、青年がまさに夢を持つわけにはいかない、こんなことであるならばわれわれはひとつおもしろく愉快に遊んで、先は先だというようなデカダンな気持ちにさせるということではこれは政治にならない。御指摘のとおりだと私は思います。しかし、市街化区域市街化調整地域というものは厳然と線引きをいたしておるわけでありまして、無秩序な市街をつくるということはこれは相なりませんし、また市街化調整地域はりっぱな農村をつくるということを考えなければならぬ。しかしお説のとおり、この市街化調整地域の中にも住宅として環境よろしきを得た場所も多々あるわけでありまして、私はこの問題につきましては新住宅市街地開発法とか新都市基盤整備法等法律を活用して、鋭意積極的にこれを取得して宅地として開発してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 吉永治市

    吉永分科員 計画局長にお伺いいたします。過去三年から五年ぐらいの間の、まあ三年の統計、五年ぐらいの統計でもけっこうですが、新規宅地供給はどれくらいありましたか。
  10. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 第一期住宅五カ年計画は四十一年から四十五年まででございますけれども、これに対応した新規宅地必要量は約五万三千ヘクタールでございます。これにつきましては大体この五カ年、四十一年から四十五年の間に、公的なもので約四割の二万一千ヘクタールばかり。それから民間、これは民間のは、たとえば土地区画整理組合だとかまた民間デベロッパーとか、また個別に自分宅地を整備して住宅を建てるものも入りますが、それが三万二千ヘクタール、約六割ということでございます。特に公的の中で新住法とかそういうような方式を用いてやったのが一万四千ヘクタール、それから公共団体等区画整理事業で行なったのが約七千ヘクタールというようなものでございます。それから四十六年から第二期住宅五カ年計画がございまして、それに対応しての新規宅地が先ほど御質問の中にございました七万五千ヘクタール必要になるわけでございます。これにつきましての四十六年の供給につきましては大体一万四千二百ヘクタール、これは公的、民間を合わせまして大体一八%ばかりの進捗になっておる次第でございます。四十七年度につきましては、まだ三月末までございまして集計がございませんが、大体こういうような計画宅地開発供給が見込まれておる次第でございます。
  11. 吉永治市

    吉永分科員 ただいまの計画局長の説明は、その内訳として理解し得るものは、公団とかあるいは各都道府県の公社、公的機関が大体四割ぐらいで、民間デベロッパーを含むそうした民間団体によってやったのが六割くらいだ、このように了承してよろしいですか。
  12. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、この民間というのはいわゆるデベロッパー部分のみじゃございません。たとえば第二期五カ年計画の四十六年−五十年の部分につきましても、いわゆるデベロッパー計画につきましては七万五千のうち一万八千五百でございます。あと民間でも土地区画整理組合、これは国が助成し貸し付け金を出しているものが主体でございます。それからあとは個別にみずから宅地を整備して住宅建設するというものを含めての話でございます。
  13. 吉永治市

    吉永分科員 私がこのことをお尋ねする趣旨は、民間の力、活力というものを利用しなかったら、またうんと活用できなかったら、これからの土地政策に非常に大きな支障がありはしないか、角をためて牛を殺すようなことがあってはいけない、民間の創意くふうというもの、努力というものをうんと活用するという方向をぜひともお考えおき願いたいということが私の申し上げたい主体でございます。  最後に私の申し上げたいことは、先ほど大臣の御答弁にございましたけれども、土地はこれからの国家命運にかかわります大きな基幹的な国策の基本でございます。このことに関しまして、私は金丸大臣御在任中に、先ほど申し上げましたような、そのような英断処置を講じられまして、どうか自民党政府のほんとうの力と申しますか、新しい思想、新しい思潮あるいは新しい芽ばえの動機の端緒をここでお開きいただきたい。そのことを切に希望いたしまして、私の持ち時間が終了したようでございますから終わります。
  14. 前田正男

    前田主査 これにて吉永治市君の質疑は終了いたしました。  次に、大柴滋夫君。
  15. 大柴滋夫

    大柴分科員 公営住宅の事務的な面からちょっとお聞きしたいのですが、いま公営住宅に入る一種、二種の所得制限というか、所得に関する資格というものはどうなっておりますか。
  16. 沢田光英

    沢田政府委員 御存じのように、法律あるいは政令によりましてその額が定められておりますが、大体これは毎年見直しておりまして、収入基準に関しましては必要な時期に改定しております。一番新しいのは昨年十二月にこの基準を改定してございまして、一種の上限、一種入居資格は五万八千円、二種のほうは三万円、すなわち低所得者は三万円まで、それから一種すなわち二分の一補助の公営住宅に入る人の資格は三万円から五万八千円。これをその金額からだけ申しますと非常に低いのでございますが、これは算出の根拠がございまして、収入から税法によります控除をいたしまして、さらに扶養控除をする、かような結果がいま私が申し上げました金額になる、かようなことでございます。
  17. 大柴滋夫

    大柴分科員 そうすると一種へは大体五万八千円以上給料取ったらはいれないというわけですか。
  18. 沢田光英

    沢田政府委員 一種の場合五万八千円と申しますのは、ただいま私が申し上げましたようにいろいろ控除をした結果の額でございまして、実収入から申しますと月所得で十一万八千円程度までの方がお入りになれるということでございます。
  19. 大柴滋夫

    大柴分科員 こういう例があるのですが、横浜市の保土ヶ谷区に川辺町という、一種住宅約百五十軒くらいでありますが、ここで昭和四十六年、公開抽せん当せん者書類審査を行なったところが、ほとんどがこの入居資格がない。つまり給料を取り過ぎているということなんです。それでまた補欠者を呼んだところがこれもみんな給料を取り過ぎている。そこでやむなく再募集をして入居資格者をきめた。昭和四十六年であります。いまのあなたの言う基準と違うのでありますけれども、ちょっとこの政府基準というものが、低いと言っては語弊がありますけれども、今日何といっても大学の卒業生ですら一月四万円、五万円取るわけでしょう。これが二、三年たって女房とでも共かせぎをしていると公営住宅には入れないという現状なんですね。そのことはこの川辺町の例でよく証明しておるだろうと思いますが、もう少しこれは何とかならないものですか。少しきびし過ぎはしませんか。
  20. 沢田光英

    沢田政府委員 先生お話、四十六年のお話でございまして、普通世帯、いわゆる標準世帯でございますが、この時点では、私が四十七年度に改正した後に月十一万八千円程度と申し上げた金額に上げる前でございましたので、八万七千円程度基準でございました。したがいましてこれはだいぶ違っております。それは一つは、基準を違えたということのほかに、私どもの計算が税法の基準に従って控除をする、こういうルールをとっております。そこでまた毎年税法によります控除額というものは変わっておりますから、したがいましてその差が、ただいま申し上げましたように両方合わさりまして、八万七千円何がしというものが現在では十一万八千円というところまで追いついておる。私どもは実はそういう意味で、収入の上がり方も非常に早いし、あるいは税法もそれに応じて上げておりますから、毎年見直しをしまして、公営住宅にお入りになるような方々が適当な収入基準によってさばかれなければならないというようなことに心がけておりますので、ここまで上げてきたわけであります。ただ先生のおっしゃいますように、二人世帯で共かせぎの場合、あるいはそのほかに家族があってもいいわけでございますが、このときにはすぐこえてしまうではないか。共かせぎの場合には通常の一人でかせぐより多少収入が多いかもしれません。ただこの制度といたしますと、税法に従って控除をしておりますから、一人で同じ金額を取る場合よりも それを分けて二人で取るほうが有利でございます。したがいまして、共かせぎのほうがよけい一応収入を取りましても公営住宅入居資格があるというふうなルールになっておるのでございます。ただしその程度がどの辺にいくかということでございまして、いずれにいたしましても新婚で共かせぎだとなかなか入りにくいという実情もあるかと思います。これは所得階層からいきますと、その中には公団のほうにお入りになるというほうが適当な方もおられるかもしれません。しかしそうでない方ももちろんあると思いますので、今後は、これは毎年見直しておりますから、その辺のところは見直しの際に慎重に考慮していきたいと考えます。
  21. 大柴滋夫

    大柴分科員 税の取り方できめるとおっしゃっておりますが、あなたよく御存じだと思いますが、今日サラリーマンというものは非常に税金が高いわけですね。中小企業並びに中小企業に働く人には、私は何だかんだといっても多少恩典があるだろうと思うのです。そうすると、サラリーマンはなかなか入れない、自由職業者が入れるというようなことに公営住宅はだんだんなってくるのじゃないですか。
  22. 沢田光英

    沢田政府委員 公営住宅は一応ある所得以下の方々、全国民を対象としております。しかし実際問題はほとんど勤労階層と申しますか、こういうものを対象としております。いわゆる収入基準をきめるときに二つの系統がございまして、いままで私が申しましたのは、勤労者の場合に勤労者に課せられるような控除のしかた、これによって控除をして収入をきめて、それで五万八千円というものをきめておる、こういう一つの体系でございますが、事業者のほうは年間の事業収入から必要経費というものを引いて、これは別なやり方できめております。したがいまして、税法上その上に問題があるとかなんとかいう問題はあろうかと思いますけれども、私どもは、何といいましてもほとんどが、勤労者階層が公営住宅にお入りになるし、またお入りになっていただくべきだと思っておりますので、この勤労階層が入りやすくなるように毎年収入額を見直して、これを手直しする必要があるたびに手直しをしていくという基本的な態度でおるわけでございます。
  23. 大柴滋夫

    大柴分科員 ここで理屈を言い合ったってしようがないのですが、あなたは私よりも理屈がじょうずだと思います。具体的に、大学を卒業して建設省で働いている人で公営住宅に入っている人がおりますか、大学を卒業して三年くらいたった人で。こういう人を低所得者というか何と呼ぶか知りませんが、あなたの身のまわりのところからお考えになって、そういうことができますか。
  24. 沢田光英

    沢田政府委員 私の身のまわりにいるかどうか詳しく調べておりませんからわかりませんが、おそらく入られてすぐ結婚をされたという方々は、お入りになる資格はあるのじゃないかというふうに考えております。ただ、現実に入っておる方々があるかどうか、私、わかりません。ちなみに、二人世帯で五万八千円というものを逆算してまいりますと、先ほどの普通世帯で十一万八千円となります金額が、あれは標準世帯でございますが、普通世帯の場合でなしに新婚のカップルのようなところはどうかといいますと、これがいまの計算方法でいくと月九万五千円弱になります。九万五千円弱の収入までの方々がお入りになれるというかっこうになります。さらにこの四月から税法が変わりますから、これによりますと九万九千三百円までの人がお入りになれることになりますので、私どもはかなりの方がお入りになれるのじゃないかと思いますし、またこの収入の方々は、新婚でございますけれども、公団のほうの入居資格もあるということで、選択によって選んで入り得るというような状態になっておるということでございます。
  25. 大柴滋夫

    大柴分科員 いや、あなたの理屈のようならば川辺町の住宅のようなことは起きないはずなんです。こんなことを幾ら言ってもしようがありませんけれども、とにかくたいへん現実離れしているということで、これが実際に間に合っているかどうか、なおよく調べてみて、変えるべきところは勇敢に変えてほしいと思います。いまの状態でこの第二種があるのですから、低収入にそうこだわる必要はないのではないか。  それで、これはちょっと雲をつかむようなあれでありますが、第一種住宅は、結局は給料がふえれば割り増し料金を出しているわけでしょう。いま建設省住宅局は、このパーセンテージはどういうようににらんでいるのですか。
  26. 沢田光英

    沢田政府委員 割り増し賃料は、御存じのようにいまの収入をこえた方々が引き続きお入りになっている場合にいただいておるかっこうでございますが、大体四分の一の方々からいただいておるということでございます。
  27. 大柴滋夫

    大柴分科員 それを見てもわかるように、一種住宅の場合に、九万九千円かどうか知りませんが、四分の一の人が割り増し料を払っているとすれば、そう収入にこだわる必要はないだろうと思うのです。もう少し上げてもいいだろう。大臣いかがですか。
  28. 金丸信

    金丸国務大臣 先生のおっしゃっているのは、いわゆる下ばかり考えないで上のほうも考えろ、こういうことだと思うのです。(大柴分科員「中間の人」と呼ぶ)中間の人ですね。私は、政治はまず下からということで、下をねらうべきだということ、これはあなたも同じ考えだと思います。そこで、その数が少ないという。それはいろいろ不便しておるということですから、その問題をひとつ再検討すべきだ、こういうことじゃないかと思いますが、そういう面につきまして、実は私はいろいろの面で住宅五カ年計画をいま一回考え直してみたい、こういうことでおるわけでございます。
  29. 大柴滋夫

    大柴分科員 その考え直す際に、一種住宅基準があまりにも低過ぎる、これをぜひひとつ計算に入れておいてください。  それから、この席をかりてまことに失礼でありますけれども、これは大臣にちょっとお伺いしておきますが、いま逓信委員会で、NHKの会館あと地が非常に高く売られた、しかもこのことが東京都心部の土地の値段を上げる呼び水になっている、これを質問していると、NHKは、適正であり適法であり、そう反省するところはない。また郵政大臣としては、これよりほか、しようがないじゃないかというお考えですが、先ほどだれか自民党の方がおっしゃったように、とにかくあの一事によって東京都心部の地価はほとんど総上がりをしているわけであります。いままでのことはしようがないとして、これを契機に、これからの対策は大臣どういうふうに思っているのですか。
  30. 金丸信

    金丸国務大臣 NHKの問題につきましては、間々申し上げているわけでございますが、NHKのこの取引は、建設省また国民は非常に迷惑しておるということだけは事実である。われわれも非常に迷惑をいたしておるわけでございます。しかしこの取引は、取引ということよりも、むしろ入札でやったというところに問題点があったと私は考えております。どちらにしてもこの土地の問題が相当世論に及ぼす影響はあったことも認めざるを得ないし、またそのために土地が非常に急騰したという半面もあろうと私は思います。そういう意味で、土地対策閣僚協議会で土地要綱というようなものをつくりまして、私が申し上げるまでもなく、税制の改善等々があるわけでありますが、そういうことによって宅地問題等を解決していくべきだ、公共用地を解決していくべきだ。しかしそれだけで、まだそんななまぬるいことでやれるのか、こういうお説もあるわけですが、やらぬよりましだ、まずやろうじゃないか、こういう考えでおります。
  31. 大柴滋夫

    大柴分科員 つもりはあるけれども、具体案はまだ何もないということなんですね。そういうことでしょう。
  32. 金丸信

    金丸国務大臣 いま検討いたしておるわけでございますが、ただいま申し上げました土地要綱、国総法の中で御審議を願ってこれをおきめ願わなければならぬわけでございますが、そういうものの中でこの土地の抑制はやっていかなくちゃならない。私はいつも申し上げているのですが、いま土地がこれほど問題になっている、その中で土地というものは私有権を相当抑圧してもしかるべきものである。土地国民の共有する領土であるという考え方で、相当私権を制圧していくべくだというのが今日の考え方ではないか、こう思っておるわけです。
  33. 大柴滋夫

    大柴分科員 ここであまりどうこう言ってもしようがないのでありますけれども、具体的に、昨年東京都に公営住宅をつくるといった戸数が一万九千戸ぐらいだろうと思います。昨年というよりもことしですね。これが端緒についているのはおそらく三割くらいしかないのであります。あとの七割というものは、美濃部さんがいいか悪いかは別にして、土地がなくて公営住宅が建たないのであります。しかもいま東京都民の普通の勤労者にとって一番重要な問題は、先ほど何か自民党の方がおっしゃったように、持ち家という考えはもうほとんど東京都の勤労者は捨てているのではないか。家賃の安い公営住宅をどうやって建ててくれるかというのが東京都の勤労者の願いであります。そこで、たまたま私は品川、大田に住んでいる者でありますが、問題の一番隘路は、結局土地が手に入らないということであります。ところが列島改造論のあおりを食ったか、あるいは公害のあおりを食ったか、私の品川、大田あたりで一千坪くらいのあと地を売ろうというような工場が二、三十あるんですよ、どこかすみやかにいなかに行って工場を新しくつくりたいということで。これを公園にするか公営住宅の敷地にするか、これが最大の問題だろうと思うのでありますが、このあと地を何か公営住宅の敷地にするような具体的な方策を建設省のほうはお考えでありますか。たとえば税金の面において、あるいは将来の話でありますが国の債券なり都の債券なりによってこれを買い上げるとか、あるいは官庁、そういうようなものに先買い権を与えるとか、何か考えないと、いまでさえとにかく今年度の住宅が三割しか緒につかぬわけでありますから、公営住宅は建たない、こういうことになるだろうと思いますが、具体的な方針ありますか。
  34. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 非常に土地の貴重な東京都、たとえば区部のようなところで公営住宅あるいは公園緑地等のための用地取得は、単に価格の面のみならず、絶対数がないという意味で非常に困難をきわめておりますが、たまたま工業等制限区域にひっかかっているとか、その他の面で外へ移転したいという工場もかなり出てきているようでございます。こういう工場あと地をまとまって取得するということによりまして、いろいろ多目的な都市再開発にも使えますし、おっしゃるような住宅等にも使えるわけでございますので、その点について特に資金的な措置を講ずべきことは最も重要なことだと思います。政府におきましては、工業等制限区域を対象にしまして、都市開発資金融通特別会計というものをもちまして東京都に対しましても資金の融通をいたしております。昭和四十一年度から始まった制度でございますが、年々若干ずつその金額もふえておりまして、明年度は六十億円の貸し付け規模でございます。これを今後さらに増大するというようなことが第一の目的であると思っております。その他公園、公共団体自体が公営住宅用地として先行取得するとか、そもそも工場移転するというような情報をできるだけ早目に入手するようなシステムをくふうするとかいうようなこととともに、貴重な移転あと地でありますので、できるだけその地域に即したりっぱな、再開発用地としても使えるような土地の利用のしかたを検討する必要があると考えております。
  35. 大柴滋夫

    大柴分科員 そんな六十億円か百億円か知りませんけれども、今日われわれの住んでおるところで坪四十万円くらいするわけですよ。それを全東京へ六十億円か百億円の金を出して、そんなもので公営住宅の敷地がとれるなんて、あなたほんとうになって考えておられるのですか。
  36. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 工場あと地の買い取りのためだけをねらった制度としてそういうものがあるという一例を申し上げたわけでございまして、もちろん大部分の資金というものは、それを活用して利用しようという、たとえば公営住宅であれば公営住宅の敷地の先行取得予算として、あるいは下水道の処理場にしようというなら下水道整備費予算として、公園であれば公園の用地取得費の予算としてやるものが主体だと思います。
  37. 大柴滋夫

    大柴分科員 これは大臣に要請をしておきますが、金丸さん、先ほど言ったように持ち家というものが持てないんですよ。特別の人は持てますけれども、持ったところで神奈川県の山の中から一時間半、往復三時間もかかって通ってくるということは、国家の経済からも非常に損失で、どうしても私は公営住宅の問題が出てくるだろうと思います。そうするとその問題は結局土地で、土地の問題はその工場のあと地をどう買い上げるかということだろうと思います。ひとつ抜本的に、税金なら税金を、公共機関に売った者には免除する、あるいは高い値段でありますから長年の公の債券で買う、あるいはまた先買い権をつくるというようなことを大臣のほうで衆知を集めて検討を願いたいと思います。いかがですか。
  38. 金丸信

    金丸国務大臣 持ち家よりもまだ公営住宅のほうが先だという御意見、貴重な御意見だと私は思いますが、持ち家の中でいま新しく建設省が考えておりますのは、家賃を払いながら自分の家になっていくという考え方で——国民からアンケートをとってみれば、アンケートの率というものは自分の家にしたいという率が非常に多い。だからそういうものにはこたえるべきだ。しかし先生のおっしゃるような点につきましても十分に配慮しなければならない。これも当然だと思いますから、先ほど申し上げましたように、住宅五カ年計画を洗い直す、そのときに十分考えてみたいと思っております。
  39. 大柴滋夫

    大柴分科員 では、終わります。
  40. 前田正男

    前田主査 これにて大柴滋夫君の質疑は終了いたしました。  次に、井上泉君。
  41. 井上泉

    井上(泉)分科員 宅地の問題で大臣の御見解を承りたいのですが、御承知のように、宅地を取得するのに勤労者は非常に困っておる。線引きをやってからというものは、地方都市でも市街化区域内においては勤労者は宅地の取得が困難になってくる。そこで勤労者の声として、調整区域市街化区域から離れるほど土地の価格は安いんだから、こういうふうなんで調整区域の中に土地を求めたい。ところがそういう関係でそれができない。そこで私は、線引きをはずす、はずさないは別といたしましても調整区域内において小規模の宅地、つまりマイホームをつくりたいという庶民の願いをかなえるためにも、小規模な宅地ならばこれを積極的に認めるというようなことにすれば、市街化区域から一キロ離れたところは坪二万円でも、これが三キロ、四キロ離れると一万円あるいは五千円、こういうのが地方都市の現状ですが、この点についてどうお考えになりますか。
  42. 金丸信

    金丸国務大臣 線引きの問題についてはいろいろの御批判があると私は思います。しかし、この線引きという問題は市町村あるいは県を通して建設省が決定をいたしたものでありますから、一応権威のあるものだと私は解釈をいたしておるわけでございますが、しかし住宅事情の、あるいは宅地事情のこの困惑した状況の中ではそういう問題も考えなくちゃいけない、そういうことで先ほどの御質問にも私は答えたわけでございますが、いわゆる地方公共団体等公的機関市街化調整地域内で土地を求める、またはその住宅環境よろしきを得るところに求めるというのであるならば、これはひとつ積極的にその土地取得をして開発してまいりたいという考え方を持っておるわけでございます。それにはいろいろの法律があることですから、その法律を活用しながらやっていきたい、こう考えております。
  43. 井上泉

    井上(泉)分科員 地方公共団体が調整区域内で宅地をなにすることは、これはできるわけですけれども、そうではなしに、一般の勤労者があそこなら一畝のたんぽを買いたいあるいは五畝のところをやりたいとか、そういう小規模なものをやる場合に、これに対する便法、これをかなえさしてやるようなことをすれば、市街化区域に集中することなしに、空気のよい、水のあるきれいなところに容易に個人が宅地を求めることができるわけで、地方公共団体がやられるということもけっこうですけれども、やはり個人が取得しやすいように、いわゆる一定のワクをはめて土地ブローカーあるいは大土地業者にそのことが行なわれないような措置を講ずればできると私は思うのですが、その点について簡明にお答え願いたい。
  44. 金丸信

    金丸国務大臣 いわゆる都市の無秩序な開発ということを押えて、それから調整地域ははっきりした農村の計画を樹立していくというところにこの線引きの大きな目的があると思うのです。そういう意味で、確かに先生のおっしゃられることもわかります。わかりますがその線引きの考え方、基本方針というものはそこにあるわけですから、いわゆる虫食いのような住宅地をまたつくっていくということがはたしていいのかどうか、こういう問題に対しては考えさせられる点もあるわけでございまして、ひとつ十分検討してみたいと思います。
  45. 井上泉

    井上(泉)分科員 市街化区域内では勤労者が家を建てられない、こういうことを大臣は頭の中に入れておっていただきたいと思います。  次に、四国の渡川の水を愛媛県に分水をする、その一つの端緒として野村ダムをつくっていく、こういうことが取りざたされ、高知県においては分水反対が非常にやかましい、そして愛媛県側では何としても水をもらわなければならぬ、こういうような声が高いわけです。しかしながら、こういう渡川という建設省の直轄河川の水をどうする、あるいはダムをどうするという大かたの権限は建設大臣がお持ちであろうと思うし、やはりこの渡川の水を分水するという場合には、この水によって多年被害を受けてきた流域市町村の意向を聞かずして分水ということはやるべきでないと思うわけですが、その点についての大臣の見解を承りたいと思います。
  46. 金丸信

    金丸国務大臣 これは高知県、愛媛県との関係の問題でございますが、私は、愛媛県がかんきつの本場であるというようなことで、当時、あの水ききんにあいましたときに愛媛県へ視察に参ったわけでございますが、そういうことを考えてみると、あの県には水がない、何とかしてやるべきだ、これも政治だという感じがいたしました。たまたま高知県の渡川の水をこれに持っていきたい、こういう考え方でいま話が進んでおるようでございますが、私はでき得べくんば話し合いが円満に解決ついて、この水を愛媛県に持っていっていただけることが非常に望ましい姿だ、こう考えておるわけでございます。しかし全然地域住民の意見、考え方も聞かずにこれが許可になるということもありませんし、これは十分に了解を得た上で解決すべき問題だ、こう思っております。
  47. 井上泉

    井上(泉)分科員 いまの大臣の話の中で、話し合いが進められておると言うが、一体どことどういうふうに話し合いが進められておるのか、そのことを伺いたい。
  48. 松村賢吉

    ○松村政府委員 渡川の開発につきまして、愛媛県へ分水するという問題これにつきましては、四国の御事情、よく御存じのことと思いますけれども、瀬戸内海側、それから太平洋側、これは雨の絶対量に非常な差があるということで、水の使える量も非常に差があるわけでございます。それでこの水を、平等と言うと語弊がありますけれども、ある程度融通し合ってお互いに助け合い、四国をよりよくしていこうというようなことは必要なことだと考えておるわけです。それで、地建におきましてはいろいろと調査はやっております。内部的ないろいろな仕様的なことはやっております。現地に立ち入って調査するということは別でございますが、そういうことでいろいろやっておるのでございますけれども、まだ渡川の分水計画というものが一つのまとまった計画としてできているわけではございません。しかしこれにつきまして、渡川の上流ダム等の調査もいろいろやっておりますので、愛媛県側、それから高知県側、いろいろ問題にしていることは事実かと思います。しかし公式の話し合い、こういうものはまだできておらないと思います。ただし基礎調査をやっていること、あるいは、それに対する計画はもちろんできていないわけでございますが、いろいろな点から両方の県で問題にされているということは聞いております。それで私どものほうといたしましては、いずれにいたしましてもこの問題につきましては十分両県の納得のいく線でなければ計画も立てられませんし、立てた計画、構想につきまして実際の調査を進めることもできませんので、まず両方でどれだけ水が要るかというようなことを主として調べていきたい。もちろん高知県でもこれから生活用水その他たくさん水が要ることはよくわかるわけであります。ですから、これの絶対量がどの程度要るか、それで渡川の開発をやった場合に、こういうのをまかなってしかも愛媛県に分水する余裕があるかどうか、こういうような点までも考えまして基本的な計画をきめていきたいというふうに考えております。
  49. 井上泉

    井上(泉)分科員 渡川の分水につきましては、あなた、たまたま四国地建の局長さんをされておったからよく御承知をされておると思うわけですけれども、愛媛県の野村ダム建設するには、やはり渡川の水を分水することが一つのメリットというか、予定コースとしてこれがやられておる。そのことは、愛媛県側の政治家の諸君はよく、渡川の水はわしがもらうのだ、わしが分けてもらうように交渉するのだとかいうような——政治家個人の意見ですからたいしたことはないですけれども、やはり野村ダムというものが渡川の水を受け入れるということを前提に置いてつくられておる、こういうことを承知をしておるわけですが、河川局長、これはどうですか。時間がないから簡単に……。
  50. 松村賢吉

    ○松村政府委員 野村ダム計画は渡川の計画とは別個の計画で立てております。ただし将来渡川からもし持ってくるようなことがあればそこを通過することもある。ありますけれども、野村ダムの貯水容量そのものをきめていること、その他につきましては、これは単独の計画でございます。
  51. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで大臣、いまお聞きのように、はっきりはしていないけれども、やはりできれば、渡川の水が野村ダムを通過するというても、ダムへたまるのですからね。ダムの上を流れはせぬですから、やはり野村ダムというものも考えられているし、あるいはまた渡川の上流の渡川ダムということも構想の中にあるわけで、それらもいろいろ調査研究中でありますが、あくまでもこれは権限が建設省にはないといいながらも、関係地域住民の、流域住民の納得がいかない中でこのことが進められないように、ひとつ厳重にそのことは実行してもらいたいと思いますので、いま一言おことばをいただきたいと思います。
  52. 金丸信

    金丸国務大臣 その件については十分留意してまいりたいと考えております。
  53. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで、水の問題で非常に苦しめられておる——これを大臣河川局長、見てください。   〔井上(泉)分科員、資料を示す〕 高知県の中で私特に高知市の問題これは河川局長も御存じと思うわけです。建設行政については大臣もいろいろ非常に積極的な意欲を示されてやられておることは、これはけっこうなことだと思いますけれども、やはり自動車道というようなことははでに見えますけれども、お互いの生活の環境保全といいますか、そういう面では防災というものがもっと重点的に考えられなくてはならない。そうしてことに都市排水というものが考えられないと、これはもう雨が降ると、都市化が進むにつれてすぐ湛水してどうにもならない。そこで、洪水があるとそういう状態が起こるということで、これは前に、昭和四十四年の七月十日の災害対策特別委員会の会議録にありますが、こういう場合でも内水排除の問題については当時の建設次官が重点的に取り組んでまいりたい、こういうことを言われておりましたが、その翌年の昭和四十五年の八月の十号台風のときに高知市が水浸しになったこともあるわけです。そういうふうな状態の中で内水の排除、そうしてことにゼロメートル地帯の排水ということについては大臣としてはどういうお考えを持っておられ、対処されておるのか、御意見を承りたいと思います。
  54. 金丸信

    金丸国務大臣 まず堤防を築いて外水を防ぐということが第一であろうと思います。そしてその上に立ってあるいは下水道の問題等、内水を排除するというようなことを考えなければならぬ、このように考えております。
  55. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで、これは河川局長のほうに実務的にお尋ねするわけですけれども、いまお手元にお配りした資料の中では、高知市の中心部はほとんどゼロメートル地帯です。それで、いま大臣の言われるように、外から入ってくる水を防ぐためのいわゆる防潮堤というか、そういうものはずっとできたわけですけれども、それができると同時に、ゼロメートル地帯ですから、うちらのものの排水というものが全く行き悩んできておって、少し雨が降れば高知市は水浸しになるわけてす。高知市のそういう状態というものは一これは私はローカルのことを例にあげて恐縮ですけれども、こういうものは方々にあると思うけれども、特に高知市の場合は全国有数の多雨地帯にありますので特に例として申し上げておるわけですが、そういう場合にはこれはどうしたらいいかということ。それで、建設省としてはどうこれに対する排水の手を打っていただけるか、その点をひとつ……。
  56. 松村賢吉

    ○松村政府委員 先ほど大臣からお話がありましたように、この治水対策につきましては、まず外からくる洪水を、これは人命等にも関係しますのでまず第一に考えなければならない。しかしこれがある程度進んできますと、今度は提防裏その他に内水がたまるということが当然第二次の発生する災害として出てくるわけであります。それでその次の段階といたしましては内水の排除というものに全力を注がなければならないわけであります。この高知市につきましては特にゼロメートル地帯と申しますか、非常に低地帯が多い。それで高潮の対策の工事というものも鋭意進められておるわけであります。それでこの工事が相当進んできておりますので、内水の排除、この内水の排除につきましては、いろいろ流入する河川等をできるだけ下流に持っていくとか、あるいは堤防をつくるとか、流入点を下流に下げるとか、河床を下げるとか、いろありますけれども、高知市の場合にはこれは非常にむずかしいだろうと思います。それで相当主力をポンプ排水にたよらなければならないということを考えておるわけでございます。いま、高潮対策に追われていた関係もありまして多少おくれておることはまことに申しわけなく思っておりますが、今後そちらのほうに重点的に進めていきたいというふうに考えておりまして、現在いろいろと計画を変更していきたいと思っております。
  57. 井上泉

    井上(泉)分科員 重点的に高潮のほうをというので、局長もごらんになっておるかどうか知りませんけれども、まさに高知市の周辺はコンクリートで堅固な堤防帯がおかげででき上がっておるわけです。ところが、いまおっしゃるとおりゼロメートル地帯でありますので、外から入るよりも、うちらのほうを排水しないと、この写真の中にある浸水状況ということになる。この三ですが、これは四十七年の集中豪雨のときの高知市の中心地です。帯屋町とか高見町とか棧橋通、桜井町、こういうところでは全部外から入った水ではない、うちらからの水ですから、そういう状態の中に絶えずさらされておるやわけです。そこで、私がお手元に配付した中に、すでに南海地震による地盤沈下というものによって高知市の全体がいわゆるゼロメートル地帯になって、そうしたポンプというものをずいぶんたくさん設置しております。設置はしておるけれども、昭和二十年から三十年に四十六基、合計百十一基のポンプをやっておるけれども、これでもとてもできないということと、戦前のがすでにもう老朽化してしまっておる。ですからこれに対する排水の措置というものは、いま局長もお認めになったとおり、まことに不十分きわまる状態にあるわけなんです。そこで最近行なわれております都市下水の関係でも、たとえば高知市のごとき場合はまだ都市下水が一カ所しかやられていない。こういうふうな状態の中で、まさに雨が三時間も降れば浸水に脅かされるという状態の中にさらされておるというのが高知市の現状だと思いますが、こういう高知市に類似したようなところが全国の県庁所在地の市の中にあるでしょうか。ひとつ局長さんの調査した範囲の御答弁を願いたいと思います。
  58. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 いま御指摘のような、お尋ねのような点についてはちょっと詳しく調査しておりませんので……。
  59. 井上泉

    井上(泉)分科員 ないでしょう。高知市のようなところはないはずです。最高ですから……。
  60. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 そういう意味では、高知市などは最も問題の都市であることは確かだと思います。
  61. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで大臣にお尋ねいたしますが、こういうふうなところで、やはり川を幾らかは改修しても排水ができないわけであります。そうするとどうしてもポンプによってやる。ポンプでやるためには、その都市内を流れておる小河川の流れをよくするような改修を進めていかなければいかぬ。これは自然そういうふうになるでしょう。ところがそれに対する対策といいますか、そういうものも、何か聞くところによると四十万人以上の都市には該当するけれども、高知市のような二十万前後の都市についてはこういうことは該当しないように聞くわけですが、これは非常に行政の不均衡といいますか、いま都市局長もお認めになったように、日本全国で高知市のようなところは最高である。だから、その最高なところにおいてもそれと同じような基準を当てはめるということは不合理だと思いますが、そのことについて大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
  62. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ちょっと事務的な問題もございますので、私からまずお答え申し上げます。  都市小河川の改修につきましては、実を申しますと、当初東京都及び政令指定都市というものを対象にしまして昭和四十五年から発足したものでございます。これをどうしてこの範囲に限ったかということは、当初の理由としては、やはりこれは国と県と市の金を出し合ってやるわけでございますが、市の負担能力の点もありましてこういうことになった。しかし、その後の事情もありまして、だんだんこれは拡大していく傾向にはありまして、現在は人口大体四十万程度というようなところに広げつつあるわけでございます。もともとこの小河川につきましては、こちらのほうといたしましてはやはり改修の必要がある。その場合には中小河川等の補助を適用してやるということも考えられるわけでございますけれども、この市の中で特に緊急的に必要とするところ、それは市も金を出していただいてやるのが最もいいじゃないかというところで始まった事業でございます。今後、これについては私どもは積極的に伸ばしていく方針でおるわけで、どこまでどうするかということについていろいろ検討しているところでございます。
  63. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、建設大臣としてではなくて、政治家として、先生のおっしゃることは、これはこの問題ばかりでなくて、激甚災の問題等についてもいろいろ制限がつけてある。しかし災害をこうむった人の災害については、個人としては何ら、人口が四十万であろうと二十万であろうと変わらないと私は思うのですよ。そういう意味で非常に大きな矛盾を感ずるわけでございます。しかしまた、大臣としては一つの規定の中で運営をしなければならぬところで一つむずかしさがある。そういうことですから、この問題は御指摘のとおり私も十分研究をして、拡大解釈が出れば拡大解釈をしてひとつ何とかできるようなことを考えてみたい、こう思っております。
  64. 井上泉

    井上(泉)分科員 大臣の積極的な御意見がぜひ河川局段階で抵抗にあわぬようにがんばっていただきたい、こういうように思うわけです。ことにいまの河川局長はこういう地域状態についてはよく熟知をされておる方でありますので、その点について十分御配慮をお願いしたいと思います。  そこでもう一点、都市下水路、いわゆる流域下水道工事といいますか、何かそういうようなものについて必要性というものが非常に高まっておるわけですが、こういうふうな場合に、高知市のような、つまりどうしても河川排水ではできない、ポンプ排水、その他下水道関係では排水ができない、こういうふうなところに対してはやはり重点的に考えられるべきだと思うわけですが、都市開発ですが、都市局長の御意見をいただきたいと思います。
  65. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 高知市の下水道事業は、現在公共下水道と、一カ所都市下水路を実施しております。都市下水路も全国的に公共下水道と並んで非常に要望が強く、毎年度、予算を相当大幅に伸ばしましてこれに対処してまいりたいと思いますが、浸水対策というウエートの高い高知市等の地域におきまして、都市下水路の要望も非常に強いということはよくわかりますので、今後ともできるだけ配慮しつつ進めてまいりたいと思います。
  66. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで、これはいわゆる市街地を流れている小河川の改修と同じような、それとは若干違うわけですけれども、この都市下水路事業の採択基準というものを、三十ヘクタールとかあるいは浸水指数を五〇〇〇とか、こういうことに一律にきめておるでしょう。ところがこの高知市のごときゼロメートル地帯の中における都市下水路事業を遂行するにあたっては、これは非常に該当の範囲が狭められるとこころの基準ではないかと思うのですが、この基準については、いま大臣あるいは河川局長も小河川の排水についての前向きな御発言があったが、それと同じように、この採択基準というものにこだわらずに、いわゆる現実に即したものをとらえてやるとかいうようなことにはならないものであるのかどうか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  67. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 御指摘のように、補助採択基準は浸水面積等の基準がございまして、その例外としては離島部などにあるわけですけれども、そもそもこの市街地内の浸水対策を進めるにあたりましては、都市下水路と公共下水道、これの一体の計画のもとに相互に連関をとりつつ事業を進めている次第でございまして、高知市におきましても、今後都市下水路で採択できるもの、それからいまの浸水面積その他の関連から小規模にしか浸水面積がならないような地区につきましては、むしろ公共下水道の区域を拡大するというようなことによって対処できるものと考えております。
  68. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで、これはもう政治的に対処していただかなくてはならない問題だと思うので大臣に御見解を承りたいと思いますが、この高知市のようなゼロメートル地帯、いわゆる南海震災によって一メートル二十センチも地盤が沈下した、そのことによって内水を排除するために災害復旧工事ということでポンプをずっとつくったわけです。ところがそのつくったポンプがもうすでに老朽化してきているということと、その当時とは高知市の状態というものは全く変わって、もっともっと性能のすぐれた、そして排水能力の強いポンプを方々でつけなければいかぬという問題は、河川局長も御認識になっておると思うのです。ところがそれに対する対策というものが非常に政府のほうにおいて、自治省のほうでは起債がなかなか認められない、あるいは建設省のほうではそういうふうなものに対する財政的な補助とかあるいはその他の措置がない。こういうことで自治体としては非常な苦しみの中にあえいでおるという現状ですが、そういう地盤沈下の状態が改善.もされなくて、そうしてポンプも老朽化した、そして都市の様相も変わって、雨が降ると、四十五年の十号でもあるいは四十七年のあの集中豪雨の程度でもこれだけ浸水の状態で、町の大半が水びたしになる。これはやはり緊急に排水ポンプというようなものを設置をせねばならないと思うのですが、これは災害対策としてできないものかどうか。災害対策としてできないとすれば、どういう方法をとってやれば市民の願いをかなえることができるのか、ひとつ大臣にその点をお教え願いたいと思います。
  69. 松村賢吉

    ○松村政府委員 現行法規におきましては、この災害で採択していくということは無理でございます。それで、これをやっていくには、やはり改良事業、これは河川で言えば、中小河川、都市河川、いろいろありますが、改良事業の中で取り上げてやっていくことかと思います。
  70. 金丸信

    金丸国務大臣 実際の問題、現実にあした台風が来た、洪水が来たということになるとどうなるという問題が考えられるわけでございますから、この問題につきましては、全く地元の人たちの心配もさることながら、政治家としてこれを見過ごすわけにはいかないという点も私にもわかります。この点につきましては、十分研究して、ひとつ何とか対処できるような方向を見出すように努力してみたい、こう思っております。
  71. 井上泉

    井上(泉)分科員 よろしくお願いします。
  72. 前田正男

    前田主査 これにて井上泉君の質疑は終了いたしました。  次に、米内山義一郎君。
  73. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 この予算案審議に際しまして、私は本分科会に、党として質問通告をいたしておりました。ところが、その後、私の質問の時間は三月六日十時三十分より十一時と、こういうふうに通知を受けまして、本分科会に出席いたしましたところ、私は発言を拒否いたされました。その理由は、私の通告がなかったという理由であったのであります。  私の質問通告の内容というものは、むつ小川原開発における工業用水対策と河川維持についてという、きわめて簡易なものでありまして、しかも、要求した答弁者は、大臣ではなくて局長さんであったのであります。しかし、この問題はきわめて簡単なものでありますが、われわれの地域の住民にとりましては死活の問題を含むものであります。したがいまして、私はこれに今日、全政治生命をかけている重要な問題点でありまして、そういうふうな質疑の機会が何のゆえに抹殺されるのか、私は重大な疑念を感ぜざるを得ない。  国会議員というものは、議員としての活動というものは、最大限に保障されているものでありまして、これが自分の意思に反してそういう事態になるということにつきましては、私は何と申しますか、ただならぬ感じを抱かざるを得ないのであります。しかもこれは、通産省からもあらかじめ質問内容についての何といいますか、よくあります、内容を聞かせてくれという事態もありましたし、時間も決定しておったのが、何ゆえにこういうことになったのか。私の国会議員としての発言権が、成規の手続を経たものが、私の意思に反して抹殺されるということに対しては、私は国会の権威としても、これは重大な問題点だと考えざるを得ません。そういう点で、私は、委員部の部長さんにこの事態の調査方をお願いいたしてありますが、何としても割り切れざるものがあります。そして今日、私の発言の機会が新たに生まれたのでありますが、私の通告がないというならば、きょうの発言の機会は生まれる道理はない。私は、その後に発言通告をした事実は毛頭ございません。重大な委員会運営に対して疑義を抱くものでありますので、委員会の権威の上においてもかかることのなきよう、われわれの国会における言論活動が完全に保障されるようお願いいたしたいと思います。  なお、これはかなり重大な内容を含みますので、もし私に間違いがあれば、単に私は謝罪するというだけではなしに議員としての身分をも含めて、責任をとる決意でございます。したがいまして、私は通告しておる案件についての質問は今日いたしません。ただ、記録にとどめるための発言をしまして、きょうの私の発言を終わりたいと思います。
  74. 前田正男

    前田主査 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  75. 前田正男

    前田主査 速記を始めて。  以上にて米内山義一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、神崎敏雄君。
  76. 神崎敏雄

    神崎分科員 時間が非常に短いのでございますから、私の質問も簡単に申しますから、どうか御答弁される方も、簡潔に、要を得た、できるだけ繰り返して質問をしないような答弁をしていただきたい。このように初めに希望しておきます。  そこで第一に伺いたいのは、大都市に高速道路を建設する際の建設省の基本的な立場と考え方を聞きたい。  これは大阪市を例にとって聞きますけれども、建設大臣は、天王寺駅前から大和川北岸に至る高速道路、いわゆる泉北線の計画を知っておられるかどうか。
  77. 金丸信

    金丸国務大臣 向こうで話をしていて、聞こえなかったので、済みませんが、いま一回……。
  78. 神崎敏雄

    神崎分科員 もう一ぺん言いますから、時間を……。  大都市に高速道路を建設する際の建設省の基本的な立場と考え方を聞きたい。  大阪市を例にとって聞きますが、建設大臣は、天王寺駅前から大和川北岸に至る高速道路、いわゆる泉北線の計画を知っておられますかどうか。お伺いしたい。
  79. 金丸信

    金丸国務大臣 知っております。
  80. 神崎敏雄

    神崎分科員 御存じであるならまことにけっこうなんですが、この計画は、国鉄阪和線、それから天王寺から杉本町に至る全長五キロ、この間を三階建てにして、二階に阪和線、三階に高速道路をつくる計画ですが、これは大阪市、国鉄、阪神高速道路公団の三者の共同事業です。これが予定されている路線は、隣接する中学校の敷地がこれで削られたり、公園の中を通ることになっている上に、幾つかの高速道路と幹線道路と交差しているために、周辺の住民はますます道路に囲まれ、地域の分断で、騒音と振動、排気ガス、日照などの公害で非常に大きな被害を受けるのです。建設大臣はこのような計画があることを御存じかどうかお伺いしたい。
  81. 金丸信

    金丸国務大臣 この計画は存じております。私はこの道路の問題につきましては、いろいろ話も進めておるようでございますが、どちらにいたしましても地域住民との対話のない高速道路はない、こう考えております。地域住民との対話の上に立っての高速道路でなければならない、こう考えております。
  82. 神崎敏雄

    神崎分科員 三番目に伺いたいのは、このような計画を決定する際は、いま大臣がおっしゃられたこととも関連しますが、都市計画地方審議会に審議させる、こういうことになっておりますが、これは専門家や地域住民の意見を十分反映させるためのものと思います。特に、都市計画というものが地域住民の納得と協力が必要であるということは言うまでもありませんが、この審議に際しま.しては、地域住民の十分な理解が得られるように審議会の構成も十分考慮されなければならないことになるのですが、建設大臣はいま地域住民の意思も十分尊重されなければならないということを初めにお答えになりましたので、私は重ねてこの問題についてもう一度大臣から——もちろんそのとおりだというようにお答えがあれば次の問題に移りたいと思うのです。
  83. 金丸信

    金丸国務大臣 この経過につきましては、都市局長が来ておりますから、都市局長のほうから御説明申し上げることにして、私は対話のない高速道路はない、こう思います。
  84. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 本件は所定の手続を経まして都市計画地方審議会に付議され、可決されましたが、現在知事の手元でこの審議会の際につけられました環境対策等に関する具体的なあり方というものを市当局に問い合わせ中であると聞いておりますので、その内容がはっきりし、手続が建設省に参りました段階で十分判断いたしたいと考えます。
  85. 神崎敏雄

    神崎分科員 まことに何かたよりないような御答弁ですが、そういうように聞いておりますとかいうようなことでは、私少しきびしいことばを使わなければいかぬことになってくるのですが、それは建設省が当然これに介在をしているからであります。  そこで私は、もしこの計画が実現されたらどういうことになるかということの具体事例と、今日までこの計画を中心にして動いてきた周囲の事情をやや具体的に申し上げたい。時間の関係で、語ればこれは尽きないくらい長いものですが、簡単に申しますと、まず総理大臣の施政方針の演説の中で、「教育は、次代をになう青少年を育て、民族悠久の生命をはぐくむための最も重要な課題であることを思い、理想的な教育の条件と環境の確立にたゆみない努力を傾ける所存であります。」総理大臣もこういう所信を演説の中で言われております。したがって、もしこの計画が実施されるということになると、まずどういうことになるかといえば、総理大臣の所信表明演説と正反対に学校、保育所、その他が非常に大きな被害を受けるというのは、この路線でまず大阪の阿倍野区の昭和中学の一部が削られる。それから、近接地で最も被害を受ける学校は文の里中学、北田辺小学校、それから大阪市立大学、さらにその周囲に保育所、幼稚園等が六カ所もあります。そこで北田辺小学校PTA会長の大野敬一郎さんという方が当地の新聞記者の設問に対して談話を発表されておるのを紹介しますと、関係者は将来性のある子供の幸福を第一に考えてほしい。高速道路が学校と密着するようでは、子供たちは勉強も満足にできなくなる。それに車がふえることによる交通事故も心配です。また人間性を無視した野蛮な暴挙は許されない、こういうふうにPTAの会長が談話を新聞に発表された。しかも一方では、中小企業等の関連から商店街を育成するあるいは商店街の近代化という問題がやかましくいわれ、私も商工委員ですから、その立場からもこの問題を委員会でもいろいろお尋ねしたり要求したりしますが、これをやられますと、八百世帯が立ちのかされる。さらにその中には美章園という商店街、南田辺商店街、長池商店街、鶴ケ丘商店街、こういうものが分断されて、それがために商売はできなくなって、残されたものも分断される。買いものに行こうと思えば、この高速道路をまたがって行かなければならない。そういうようなことから、周囲の方が二万人も署名をして陳情しているのです。  時間がございませんから、その現況をずっと先に言います。これは一月十日の朝日新聞です。ここに大蔵省藤仲貞一さんという主計官の方が、こういう大きな見出しで「『高速泉北線』バッサリ」「住民のうらみ買いたくない」金を出して住民からこれだけうらみを買うなら、金を出さないというので、当初予算でこれがばっさり三億円ですか、削られた。そこで住民はこれで非常にほっとして、やれやれこれでわれわれ被害から免れると思って喜んだのですが、いつか知らないうちにこれがまた復活しておるといういきさつは一体どういうことにあるのか。これはその当時のたくさん資料があります。これも当時の新聞ですが、朝日新聞です。これについて三日にあげず大阪市と大阪府へ地域の人は仕事もしないで陳情にこれつとめているのです。そのときに一応その審議会で——私はたまたま審議会のときには行ったのです。東区の国際ホテルですが、これはまことに異様な状態で、四、五百人の住民の前でやられたのですが、あっという間の強行採決で、だれが何を言うたかわからぬような状態でやられたのです。そのあとで住民の代表が市長に面会を求めたところが、なかなか市長は会われなくて、ついにこの日に会って、どういうことを言っているかといえば、次回に皆さんに会うまでは府に回答いたしません。そういうのは公害性の問題で相当やかましくいわれているから問題が大きくなる。そうしてこれでついには回答しませんということを市長が言っているのですね。先ほど大臣言われたように、大阪府の知事から、これは住民も非常に反対をしているし、非常に重大な問題だし、そしてこれについては公害性の問題からきびしく質問書などを発表しておるわけですが、だから、そういう段階だからもう一回検討すべきであるということを知事から市長のほうへ返ったんですね。そうしてその公害性についての安全性を保障する、そうしてあらためて知事のほうへ持ってくるという段階が昨年末から続いているんですから、その過程でいまの藤仲主計官がこういうふうに金をつけて住民から反対されるようなものにはつけないというような発言があって、大阪の新聞は、世論が大きいですから、こういうような大きな扱いをして出した。われわれも住民も一緒にほっとした。ところがそれがまた生き返っておるということですね。その間一体どういうことになっておるのかということが一つ。  それからもう一つは、これは大阪の市立大学が道路によって非常に大きな公害の被害を受ける関連もありまして、これも十二月二十六日の朝日新聞ですが、市大の教官グループが、御承知のように公害で国際的に有名な方もここにいらっしゃいますが、この方々が「騒音・排気ガス防止」「具体的な策示せ」「高速泉北線、市長に質問状」こういう形で公開質問状を出した。これに対してがんとして答えようとしておらない。それでまた業を煮やした住民は、今度は黒田知事のところへ行って一部始終を陳情したのですね。それについては、これも十二月十九日の朝日ですが、「黒田さん一歩後退」「年内申請見送る」「詰寄る住民に約束」それで学者グループは「知事に不認可要望」こういう形に出ている。そうして予算がなくなったというので住民が警戒を解いたとたん、約束ほごの強行だという形で知事の前に座り込みする。こういう形に、非常に重大な影響のある、またこういうことを与える道路というものについては、これでもなお強行されていくのか。こういうようなことがもしも通るようなことになって、強行されるようなことになればこれはたいへんなことである。冒頭に大臣おっしゃったように、地域住民との話し合いというものが——もう一つは北田辺保育園の園長さんがるる陳情されて、これができたら子供はこうなるという長い陳情書を私のところにも送っているし、関係のところに送っておりますけれども、もうこれは時間の関係で省略しますが、いま言うたのと同趣旨のものであります。  それからもう一つは、もう一ぺん大臣にひとつはっきりと確認してほしいのは、大阪市総合計画局が出した計画、これは新聞記事じゃないのです。私の発言は新聞記事じゃないのです。ここにはやっぱり定めとして、地域住民の意見を書かなければならぬということになっているのですね。それをここで摘出しますが、まず美章園の高速道路に反対する会の会長さんですが、名前はこういう場所ですからごらんになっていただいたほうがいいと思いますが、まず公害問題が第一で、第二は計画案に対して地元住民の意見が反映されておらない、こういうように四十七年の一月十七日付で発表されておる。それからもう一つは、これも第一は公害問題第二は地元の意見を聞かない、これは二月二十二日の文の里地区の代表が言われている。それからもう一つは、鶴ケ丘の高架線工事の対策委員会の方で、公害問題についての善処方を訴えている。もう一つは、市立大学の教授、教官の有志ですが、まず第一に計画を延期せい。第二は地元住民の意見を聞くことだ。三番目は環境被害に対してどういう対策をもっているか。もう一つは、文の里の四丁目の代表者ですが、これもまず第一に地元の意見を聞いていない。それから第二は公害問題なんですがね。こういうような形で、大臣はおっしゃるような形で言われていますが、そうしたら全然意見を聞いていないかといえば聞いているのです。私も知っていますが、どんな形で聞いているかといえば、名前は言いませんが、ある小さな幼稚園に、ものの二十人も入れば一ぱいになるような小さな教室に、地域の該当者でないような、たとえば大阪で、御存じかもしれませんが、日赤奉仕団とかあるいは何といいますか、民生委員だとか町の有力者、こういう方々を数人集めてそこで話をしているというようなことは二、三やっているのですがね。そういうことだけをやっておいて、これは市がみずから出す公文書でしょう。こういうものでも、こういう意見のあるということを記載しなければならぬような現状、しかも初めは主計官すらも、私は大阪に住んでおるので大阪地区気持ちもよくわかるし、特にそこはよく知っているからという形で藤仲さんも言われておるのですがね。それで金をつけて恨まれるようなことについてはやめるんだ、こういう形で言われているのですが、こういう状態大臣、一体どういうふうにお考えになりますか。
  86. 藤仲貞一

    藤仲説明員 実はこれは大蔵原案内示後でございましたか、たしか泉北の方面にお住まいの方から速達をいただきまして、その中にいまの新聞の記事が入っておったわけでございます。それでこれは私一身上の弁明を申し上げるような形でございますけれども、実は私はそういうことを申し上げた記憶が全くないわけでございます。問題といたしましてそういう問題がありますことは、建設省ないしは阪神高速道路公団、このほうから伺っておったわけでございますが、私がたしか記者の方とお会いしましたのは大蔵原案内示後、大阪のほうの新聞の方とお会いしておりますが、そのときにお越しになりました用件は、大阪国際空港周辺の騒音対策はどうだということで私のところへお見えになったわけでございます。しかしながら、私は阪神高速道路に関しましてそういうことを申し上げた記憶がないわけでございます。この席をかりましてたいへん恐縮でございますが、先生から御指摘がございましたので一言弁明させていただきました。
  87. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、いま先生のおっしゃっていられる点は別問題として、道路というものは日本総合開発というか地域社会の発展のため必要である、一番重要であると考えております。そしてまた、その地域の中の人のことばかりも考えていられない、遠くからも利用する人がいるし、ですから道路というものが必要であるということだけは認識して、道路というものを今後ともつくっていかなければならぬということだけは考えなければならぬ。  そこで、いまのようなお話しの問題につきまして、私がお話し申し上げましたように対話がなければならない。そういう意味でこの問題は、いやがるんだからよせばよろしいというべき問題ではなくて、もし対話がなければこれから対話をしても、そして理解をしていただいて、また工法もこの工法でいかなければこういう工法でいこうとか、あるいは排気ガス問題につきましてはこうしなければいけない。しかし私は基本姿勢としては、昔のように何でもかんでもつくればいいという考え方ではなくて、もうこの時点においては、道路をつくるにしてもいわゆる公害の問題やあるいは交通安全の問題等いろいろあると思います。そういうものを、また住民に及ぼす騒音の問題等も考えながら、それは住民と話し合って決定すべきものだ、私はこういうふうに基本の考えを持っております。
  88. 神崎敏雄

    神崎分科員 藤仲さんがそういうことを言うたことはないということを言われると、この天下の公器的性格を持っておる朝日新聞が全部でたらめを書いたということになるのですが、その中であなたはこういうことを言われていますね。「査定にあたった大蔵省では『福祉増大が叫ばれる世の中で、金をつけてかえってきらわれるようなことはしたくない』という気持ちもあるようで、藤仲主計官は『大阪にいたことがあり、地元の住民感情は理解できる面がある』とまでいっている。」こういうふうに書いて、しかもこのように「住民のうらみ買いたくない」「主計官」「大蔵原案」というこれを否定するのですか、この事実を。
  89. 藤仲貞一

    藤仲説明員 私どもいろいろ、いま先生指摘のような高速道路のあり方……
  90. 神崎敏雄

    神崎分科員 いや、道路の問題じゃない。あなたの話したことをいま取り消すなら取り消すでいいが、否定をされるのかどうか。
  91. 藤仲貞一

    藤仲説明員 私は覚えておらぬということでございます。これは事実でございます。
  92. 神崎敏雄

    神崎分科員 それだけですか。覚えておらぬといったら、これは捏造ですか、朝日新聞は。あなたは、これだけ長いこと話をされておることを、この新聞に書いておることはその記者がかってに書いたというように言うのですか。覚えてないというのはまことにひきょうな答弁で、否定するなら否定する、肯定するなら肯定するということにして、別にあなたがこれを言われたからといって責任を追及しようとは思わない。あなたがこういう立場でお話しされたことで数万の人は実に喜んで、やれこれでわれわれの生活環境も保全される、なかなか大蔵省もわかっているな、特に藤仲さんという主計官は非常にいい人だ、しかも大阪におって実情を知ってくれたのだからと言うて、これはもう何枚もでありますが、当時数万の人が、あなたのこの新聞の談話をこういうふうに焼いて配ったくらい喜んでいるんだ。それをあなたが覚えてないと言うのはどういうことなんですか。
  93. 藤仲貞一

    藤仲説明員 ただいま申し上げましたとおり、私も高速道路に関連しましていろいろ意見を持っておりましたことは事実でございますけれども、そういうことを申し上げましたということにつきましては記憶が全くなく……(神崎分科員「覚えてなかったらもうそれでよろしい。時間がないから」と呼ぶ)実は先ほど申し上げましたように……。
  94. 神崎敏雄

    神崎分科員 現在のこの経済問題の重要な中で、なかんずく大蔵省の主計官がこのような重大な発言をこの場で覚えてないという答弁は適当でないと思いますので、次の機会に場所を変えてこの問題については追及をしていきたいと思います。覚えてないという答弁はまことにふまじめだと思います。  そこで大臣に伺いますが、先ほどからるる言うていますように、都市計画法第二条によっていわれている健康で文化的な都市生活を確保すべきことだ、こういう点は大臣先ほどから何べんも言われているのですが、基本理念の一つとして考えあわせますと、こういうような計画は、これはもう強行したらいたずらに地域住民摩擦を大きくするばかりだ。だから、大臣言われるように、地域住民の意見をあらためて聞く、そうして納得の上でならわれわれも、道をつくったらいかぬ、橋をつくったらいかぬ、そういうような考え方は基本的には持っていないのです。しかしこういうような形のやり方というものは、これは基本理念からいっても、都市計画法からいっても当たらない。そこでぜひ大阪市当局あるいは阪神高速道路公団等に建設省から指示をおろして、これはひとつ再検討して、よく話し合いをした上で円満に計画は進捗するというようにされるかどうかを私はお伺いしたいと思います。
  95. 金丸信

    金丸国務大臣 もう先ほどから申し上げていることでおわかりいただけると思うのですが、この問題については阪神公団あるいは市に十分慎重にやっていただいて、またその通るところの地域住民の一部特定の人だけの意見を聞くということではなくて、その沿線の多くの人たちの意見も入れて、この問題を円満に解決できるような努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  96. 神崎敏雄

    神崎分科員 そういうことが実際に行なわれない場合は建設省としては、もしこれが直接そういうことをやらない過程で建設省にいわゆる上願があった場合、どういう処置をおとりになりますか。
  97. 金丸信

    金丸国務大臣 一方的にはこの問題を処理して——私の常識で、市から府に回って府からこちらへ来るという過程において相当煮詰められてくるだろうと私は思います。なお私のほうから、先ほど申し上げましたように慎重に取り扱うように指示することでございますから、簡単に向こうもその書類を持ってくるということはできないだろう。私のほうでも十分監視して、この問題はいわゆる成田の空港の二の舞いにならぬようにひとつ注意いたしたいと考えております。
  98. 神崎敏雄

    神崎分科員 最後に一言。この大阪地区都市高速道路調査委員会の委員の幹事名簿、大臣、これをあとでまた取り寄せて見てもらったらよろしいですが、ほとんど建設省関係の役人が入っているのですね。そういう中で強行採決されて、十八対十三だ。それで、大衆が取り巻いている中で、二分か三分の間にワッとやられて、それで十八対十三という僅少の差で、かろうじていわゆる強行採決した、こういう状態ですから、いま大臣の言われたことばを私は誠意のある答弁だというふうに理解します。どうかひとつ再検討してもらって、きびしく大阪市や公団側に意見を出していただいて、そして、再検討していただく、こういうふうに理解をしてよろしいですね。
  99. 金丸信

    金丸国務大臣 けっこうです。
  100. 神崎敏雄

    神崎分科員 では、終わります。
  101. 前田正男

    前田主査 これにて神崎敏雄君の質疑は終了いたしました。  午後三時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後四時七分開議
  102. 前田正男

    前田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。竹内猛君。
  103. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は建設省に対して、茨城県の筑波学園問題と、それから鹿島開発に関連をして、あるいはまた霞ヶ浦の問題に関連をして、若干の御質問をしたいと思います。まず最初にお伺いしたいことは、昭和三十八年にほぼ決定をして、同時に出発をしたところの鹿島開発と筑波学園が、非常に進歩の状況が違っておる。鹿島のほうは、もうすでに工場が入って公害が出るほど、茨城の新聞には鹿島の公害や多くの問題が記事として毎日出ております。筑波のほうは、ほとんど進んでおらない状態でありましたが、最近若干スピードが出たようでありますが、何がテンポの違いをもたらしたか、このアンバランスの原因についてまずお答えをいただきたいと思います。
  104. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 もともと筑波研究学園都市の建設は、国立の試験研究機関昭和五十二年までに移転をするという政府計画で進んできておりましたので、これに関連をいたします都市基盤施設等の整備もそのテンポで進んできたわけであります。  そこで、昨年の夏くらいまでの情勢から申しますと、必ずしもそれがスムーズにはいってなかった。その原因は、移転をいたします官庁、研究所一あるいは職員等の希望からいたしますと、何しろ東京で都市的な生活をしておりますから、御承知のような純農村地帯へ行きました際に、上下水道でありますとか、ショッピングの問題とか、交通問題あるいは教育問題医療問題等々の生活環境施設が、大都市並みに整備されてから引っ越したい、こういうことで移転を渋る傾向があったわけであります。理想から申しますれば、先行的にそういう施設を全部整備をしてから移転するのが望ましいのは当然でございます。しかし他方、今度は県なり地元の町村のほうに立ってみますと、いつどれくらいの規模で移ってくるかということが確定しない限り、非常に大きな負担を伴います投一資を急速にやることをためらうというのは当然でございます。こういうことで移転をいたしますテンポと、これを受け入れるテンポとが、お互いに相手の様子を見ていてぐるぐる回りをしていた、これがおくれた最大の理由でありまして、これは少なくとも去年の夏くらいまではそういう状態であったわけであります。その後、昨年の八月、こういう状態を打開するためには、やはり計画的に一挙に移転をし、それに伴って急速に先行的に整備をする、こういうことになりますので、四十八年度以降ば相当改善を見るのではないかと思います。
  105. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 筑波学園のほうはそういうわけでいま進んでおるようでありますが、鹿島の開発において農工両全という形で、あれは知事が中心になってやったわけですけれども、現在田中内閣が日本列島改造という、私どもはああいうことには反対なんだけれども、そういうことをやっているのですが、もしかりに鹿島のような状態になるとするならば、これはたいへんな問題が起こると思う。地域開発というものについての基本的な考え方について、これは建設大臣にひとつ聞きたいと思うのです。
  106. 金丸信

    金丸国務大臣 まずこの問題につきましては、公害の除去とか、あるいはまた農地に対するかんがい用水、あるいは都市に対する公共用水、こういうような考え方を持って、このためにはいろいろな施設をしなければならぬ。そして地域住民に迷惑をかけないようなことを考えなければならぬ。その中には漁民もいるでしょうし、その他いろいろ関連しておる方々もおろうと思うのでありますが、そういった方々が安心して生業につけるようなことを考えなければならぬ、こう考えております。
  107. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 鹿島開発という問題はかなり前から進められてきて、いろいろ新聞や雑誌で報道されておりますから、建設省として、あるいはまた現在の政府として、鹿島開発というものについて総合的にひとつ資料を整えて、それが一体望ましい形であるのか、それともあそこには問題があるかどうかということを別な機会にこれは資料で整理をしていただきたいと思うのです。私は、やはりあそこには幾つかの問題があるように思います。農工両全というものはまさにいまや風前のともしびになって、農業ができないような状態になり、公害はものすごく出てきております。そしてその地域の住民が、人間が破壊されておるということで、たいへん地元では、ああいう形にもしかりに日本の工業開発というものがなっていくならば、これはとんでもないことだ、こういうことになっておりますので、ぜひこれは別の機会に議論をしたいと思いますから資料を整理することをここで要求して、この問題については終わります。  さて、そこで問題は筑波学園でありますけれども、筑波学園はいまお話のあったとおりに、確かに昨年の暮れあたりからピッチが上がってまいりました。そしてことしの二月十三日の閣議決定の経済社会基本計画の中で明らかにしているように、二年繰り上げてこの仕事をやるという形になっておりますが、二、三日前に内閣委員会の委員とともに私も加わって現地調査をしてまいりました。  その中で問題になっていることが幾つかありますが、まず第一に、各省がこれに関連をしておりまして、一体政府の中のどの省が中心になってこのことについて取りまとめをするのか、さっぱりわからない。なるほど総理府の首都圏整備委員会の中に事務局があります。そこへ行って聞いてみたところで、予算のことについてはさっぱりわからないと言っている。そしてそれじゃ移転機関が全部承知しておるかというと、それもまたわからない。いつになったらどういう機関がどういう状態で入ってくるのか、およそ見当がつかないという状況で、もっと省の上に責任を持つ形のものができて、予算も集中し、事業も集中し、いつごろになったらこういう機関が入ってくるのだということで地元にも徹底するようにしなければいけないと私は思う。そしてすでに現に入居されている皆さんは、これは内閣委員会の大出さんからも話があったと思うのだけれども、幾つかの不満を持っております。予想以上のものです。そういうことについて、もう少し先に入った人には親切に、それからあとから来る人というものはもっと総合的に計画的にこれをやってほしいということをまず要望しますが、その辺の進捗状況はどうなのか。
  108. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 筑波研究学園都市建設の責任分担の問題でございますが、これは用地の取得と土地の造成は日本住宅公団が行なう。それから道路、河川のような基幹的な公共、公益事業につきましては、それぞれの事業を所管する省庁及び県、市町村等の公共団体、それから研究、教育施設の建設はそれぞれの所管する省庁、こういうように非常に多岐にわたっております。  そこで、その建設事業の連絡調整及び事業の推進につきましては、総理府に研究学園都市建設推進本部というのが設置されておりまして、首都圏整備委員会委員長たる国務大臣が本部長になっておりまして、その庶務は内閣審議室が首都圏整備委員会事務局の協力を得て行なう、こういう執行体制になっております。  そこで、昨年の五月にいよいよ本格的に移転をする四十三機関が確定いたしましたので、おおむね昭和五十年度一ぱいに大体の研究機関は移転ができるような状態に持っていきたいということで鋭意各省庁間の連絡をやっているところでございます。  ただいまの見通しといたしましては、現在最後の詰めを財政当局といたしておりますが、できますれば、今月中に移転計画の全体につきまして決定をいたしたいと思っております。  それで、移転の研究、教育機関につきましては、先ほど申しましたように、その大部分昭和五十年度中に建設をする。一部おくれますものにつきましても五十一年中には建設を終わる、こういう予定でございます。道路、上下水道、小中学校、こういうような受け入れの公共、公益施設につきましては、移転に先立って整備をすることが望ましいと考えておりますので、その基幹的なものにつきましては昭和四十九年度一ぱいには建設をおおむね概成するという予定で、これも最後の詰めをしております。  なお、昭和四十八年度の予算におきまして、これらの予算が国会で御議決いただければ、公共、公益施設の総体の七〇%程度は四十八年度中にできるのではないかと思います。
  109. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 大体学園の問題については、中身はわかりましたが、次に、学園の区域内の問題については、これは国が確かにいろいろと努力をしてやります。ところが、あそこには周辺に市町村があります。この市町村は財政的に見て非常に豊かでない。そこで、あの区域内は確かにりっぱな建物もできるし、社会施設もかなりよくなると思いますが、その周辺は、この建設に協力をした。安い土地の価格で協力をし、今日依然としてあまりふるわない農業の状態の中でどうなるかということを見守っているわけですが、その内部の建設と同時に、その周辺の市町村の社会施設や道路や上下水道や学校や集会所、こういうものはやはり同じような形でつくっていって差別をなくしていくということが必要だと思う。しかし、現在の法律ではそういうことは許されないということは、私は承知しています。したがって、この筑波学園の建設に協力をした周辺の市町村に対する特別措置、交付金とかいろいろな形での処置を考えているかいないか。これは県の財政でも、市町村財政でも非常に困難だと私は思う。その点どうでしょうか。
  110. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 この筑波研究学園都市は、首都圏の整備法に基づきます都市開発区域に指定をされております。したがって、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備のための財政上の特例法というのがございまして、市町村及び県の財政力から見まして相対的に大量の公共投資によって財政負担が公共団体にかかりました分につきましては、県の分については、起債の特例及び起債の利子補給という措置が行なわれることになっておりますし、市町村につきましては、補助金のかさ上げ分が精算で交付されるということになっております。しかし、はたして現行法のこれだけで十分であるかどうかという点につきましては、固定資産税の税収とか、あるいは人口定着による住民税の収入その他の計算を現在しているところでございまして、そういう都市計画の全般の財政的な問題については早急に関係省で研究いたしまして、もし必要があれば何らかの措置をする必要があるんではないかと思われます。
  111. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 現在は大体借金なり、立てかえなりという形でやっておるようですが、借金は返さなければならぬので、棒引きすればかまわないですけれども、だから、そういう点でこれは特例の考え方の処置をとってもらわないと同じような形にはいまのところならない。入ってくる人もこれは会社じゃないんだから、公務員ですからね、そう大きな固定資産が入るという見通しはない。やはり特例の方式をとってもらわないといけない。これはやがてそういうことになると思いますので、それはぜひ研究をしていただきたいと思います。  そこで、すでに入局している方々に対しては、先ほどもちょっと申し上げたし、また別なところでお話があったと思いますから、重複するからあまり申し上げませんが、大体去年の十月ごろ、私はそこへ行って住宅の皆さんと話をしたときに、まだ入ったばかりだからということであまり要求はまとまっておりませんでしたが、この間行ったときには、十四項目にわたって、住宅の規模の問題あの住宅の規模は、見ると大体これは規格だというけれども、あの広いところに、なぜああいう東京で建てるような、狭い土地の中で建てるような規格のものを持ってくるのか。しかも、プライバシーの問題も関係するような問題もあるといわれております。同時に、炭鉱や鉱山の住宅のように、局長といいますか、役付の家は特別な家が建てられていて、普通の人は、一つの形の同じものが建てられていますね。職場に職階があり、また家に帰ってきて宿舎に職階があるということだったら、これはたまらないと思うのです。もっとそういうのは自由に、ああいうところは広いところだから、平家では少なくとも花ぐらい植えて楽しめるようなところでなければ、ああいうところに入って、しかも壁を見るとその中から紙が出てくるような、全く手抜きの工事をやっている。これはあまりよくないから、これは今後考えてもらわなければならぬと思いますが、こういう点があります。  それから交通機関も全くこれは島流しの状態ですね。それから病院、下水、ごみ、それから物を買うところの場所、それから厚生施設、防犯、どの一つを取り上げてみても満足する状態ではないのです。先に行っている人たちは、実際のことをいってほんとうに苦しんでおりますね。こういう人たちに対して何とかあたたかい手当てをするために、本来ならば特別手当を出す。何か八%の手当を出すのにだいぶ渋っているようですが、こういう点はもっと何か特例でカバーしてやらなければたいへんじゃないかと思うのですね。病気になって医者に行くと、どんなことをしても一日二千円から三千円の負担をしなければならぬのですね。もしこういうことがわかったら、あとから行く人は足踏みするようになりますよ。ほかの機関がどういう決議をしているかわかりませんが、建物は建ったけれども、ああいうところに行くのはいやだから見合わせようということになったらたいへんだと思うんですね。だから先に入った人々に対する手当てというものを何か考えているのかいないのか、どういうふうに把握されているのか、この辺どうですか。
  112. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 まず住宅の問題でございますが、あそこに建っております住宅は、国家公務員宿舎法に基づきます公務員住宅でございまして、これは政令、省令等によりまして職場におけるグレード別に、住宅の規模、家賃その他が法令できまっておりますので、やはり一律にするというわけには、事の性質上できないわけでございます。しかしながら、東京の町の中におけるのと同じ状態であるということは望ましくございませんので、現在建っております住宅につきましては、一グレードずつ上げておるわけでございます。ですから、東京におります場合には係長が入るところには一般職員が入る、課長が入るところに係長が入る、こういうような手当てをしているわけでございます。ああいうところにアパート形式のものを建てることがいいかどうかということについてはいろいろ議論がございまして、一部はもう少し低層のものをまぜてもいいのではないかという意見が政府部内にありまして、現在検討しておるのでございます。しかし、ああいうようなところでは、ある程度人がまとまって住みませんと、公共施設の整備が非常に十分にいかないということと、かえって一軒建てでは非常にさびしいということもありますし、それから最終的には約一万世帯を収容しなければならないわけです。そこで住宅地にさきに得る面積からいいますと、どうしてもある程度立体的な土地の使用方法をしないと、所定の住宅がはまらない、こういうことがございますので、その相当部分は、やはり中層または高層にならざるを得ないわけでございます。しかし、住宅の規模でございますとかデザインとかいうようなものについては特別の配慮をする必要がございますので、四十八年度におきましては従来のものより若干広げております。特に研究者の特性といたしまして、うちへ帰ってきてもいろいろ勉強される必要がありますので、特に勉強室にあたる書斉をもう一間つくる、こういうことは四十八年度の入居の世帯からはいたすつもりでございます。  それからショッピングでございますとか、その他いろいろな生活の利便施設でございますが、こういうものは大部分町村がサービスをすべきものと、それから民間がサービスすべきものの二つがございまして、いずれにいたしましても、国が直接手を出せない種類のものでございます。これらはいずれもある程度人口がふえてまいらないとなかなか整備しにくい点がございますので、全体としての移転の計画を繰り上げて、スピードアップして、早く人口定着をふやす、それに間に合うように集中的に公共投資を行なっていく。市町村財政がなかなか窮屈でございますので、相当な部分については、町村がやるべきものでも一部公団が立てかえ施行するということができますように、今国会に提案しております工業再配置・産炭地域振興公団法の一部改正によよりまして、新たにできます国土総合開発公団におきまして、筑波について総額二百三十億円の公共施設の立てかえ費用を計上しております。そういうものによりまして、繰り上げて立てかえで整備をいたすことも考えているわけでございます。
  113. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それで、なるべく早く多くの人が入って環境がよくなるように特に促進を頼みたいと思いますし、それから、現在入っている人々も、孤独感やいろいろな疎外感をなくすようにしてもらわないと、これはあとにも影響します。  そこで、時間がありませんから次にいきますが、霞ケ浦の開発の問題に関連してお尋ねしたいと思うのですが、いま霞ケ浦の水の問題をめぐって県のほうからもいろいろ要求がありまして、議員立法をやれとか、あるいは水資源地域対策特別措置法でいくかという議論がありますが、いずれにしても、霞ケ浦の水をどのように利用していくのか、使われるのか、そのために国としてはどういう法律でこれをやろうとするのかということと、それから現在水がたいへんよごれておりますが、そのよごれた水をきれいにするということは緊急の要務であるし、同時に、高度に利用していくということについて、水の浄化を自然破壊しないでやることと、それからそのためにどういう処置をとるのか、とにかく小さな力ではとてもできないわけで、やろうとすれば大きな発想でいかなければならない、こういうふうに思いますから、このことについて、ひとつ基本のことについてお伺いをしたいと思います。
  114. 松村賢吉

    ○松村政府委員 まず霞ケ浦の開発事業でございますけれども、これにつきましては、河川の改修事業とあわせて湖の周辺の洪水を防護するということが第一目的になっております。それと同時に、茨城県、千葉県の農地かんがい、それから茨城県、千葉県及び東京に対します部市用水の供給、こう  いう目的を持ちまして、護岸堤、常陸川水門の改築及び水位の変動に伴います諸対策を行なうということで、現在水資源開発公団がこの事業をやっておるわけでございます。  それで、この事業をやるためにはもちろん霞ケ浦の景観とか水質の保全、湖周辺の地域開発との調整、こういうものを十分やってまいりたいと思っております。それで、この水の使い方の問題でございますけれども、この水の使い方につきましては、現在の湖水をYP、これは一つ基準でございますが、一・三メートルからゼロメートル、その間の一・三メートルの水深を利用いたしまして、この間二億六千百万トンの水があるわけでございますが、それを使いまして湖水の調節をやりまして、毎秒約四十トンの水を開発しようとしております。  それで、この四十トンの水の配分でございますが、この水の配分が現在きまっておるところでは、都市用水として二三・三六、これを茨城、千葉、東京、この三者に供給する。それから農業用水につきましては二八・六四トン、これはいずれも毎一秒でございます。これを茨城県と千葉県、この二つに供給するということになりまして、合計四十トンという開発水量でございます。なお、この都市用水等の内部の配分等につきましては、現在いろいろと検討中でございまして、まだ最終決定しておりません。  それから、この湖水を正常に保つと申しますか、水質保全の関係でございますけれども、これは環境庁等にもいろいろお願いいたしまして、これの規制もやっておるわけでございますけれども、建設省といたしましても、これは後ほど御説明いたしますが、流域別の下水道整備事業流域下水道をやりまして、この水質の保全には処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  115. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう時間がありませんから、あとその問題については別のときにしまして、最後に一つだけお伺いしておきます。  茨城県に岩井という市がありまして、その岩井市の中で、建設省が持っていた土地を前に払い下げをして、そのところに、ある大きな商社がクレーの射撃場をつくる。そのことを聞いた地元の人々は、これに対して、そういうものができて音がすると、せっかくいままでやってきた養鶏、養豚がうまくいかなくなる、いまえさが高くなって困っているときに、またそういうことをされたらたいへんだということで非常に反対をしているのです。これにはある政治家が動いていると聞いておりますけれども、とにかく地元の了解なしにそういうようなことをされては困るということですが、これはどういうふうに情報をとっておるか、ひとつ調査されて、地元の農業を破壊されないように処置をとってもらいたい、こういうふうに思います。
  116. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この問題につきましては、まだ正式な話はもちろん聞いておらないわけでございます。ただ出先の機関のほうにこういうような話を、非公式にどうかというような話の問い合わせといいますか、これはきているように聞いております。  これは実は払い下げた民有地を使うというようなことじゃなくて、現在河川敷になっておるところでございますけれども、河川敷の中にもまだ民有地が残っておるわけでございます。この民有地を使いたいというふうなことに私聞いております。  それで、この問題につきましては、河川管理上の問題といたしましては、これをやりまして洪水処理その他に非常に問題があるかどうかということが第一でございますが、しかしそれだけではなくて、周囲の生活環境あるいは自然環境、こういうものを全部含めましての環境、それからまわりの住民の皆さま方の御意見、こういうものを十分参酌いたしまして措置していきたいというふうに考えております。
  117. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 終わります。
  118. 前田正男

    前田主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、兒玉末男君。
  119. 兒玉末男

    兒玉分科員 私は、治山治水関係と、これに関連する森林政策の点についてお伺いしたいと存じます。  昨年の六十八国会におきまして、治山治水緊急措置法の一部が改正された際、附帯決議の中におきまして、「森林のもつ公益的機能の確保に対する国民的要請が高まりつつある現状にかんがみ、国土保全、水資源の確保のため、林地保全を無視した林道開設施工、自然破壊、山地災害を誘発する過度の伐採、大面積皆伐等の施業方法を抜本的に改善し、予防治山の充実に努めること。」こういうことが附帯決議の第二項に載っております。林野庁は十分御承知だと思うのです。ところが、私の九州はじめ最近年とともに水による被害が非常に大きくなりまして、特に山岳地形である日本列島の特殊な事情に加えて、つゆ、台風等による雨量が非常に多いために年々歳々この災害の傾向はふえているわけでございます。特に最近における水害等の動向と今後の見通しから考えた場合、予防治山治水に重大な問題を持つものと私は思うわけですが、林野庁としては、これに対してどういうふうな対策を考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  120. 松形祐尭

    松形説明員 私ども予防治山につきましては、かねてから復旧事業と同時に進めておるところでございます。たとえば、四十八年度の復旧の予算といたしましては、治山施設の災害復旧といたしまして八〇%、あるいは林地崩壊防止事業といたしまして八五%、四十六年災については一〇〇%終了するというようなことで予算等も整備いたしておるわけでございます。  なお、ただいま御指摘ございました、何と申しましても予防をやるべきだということにつきましてはまさに同感でございまして、私どもも、昨年行ないました危険地の総点検等の数字等もございますし、それらを配慮しながら漸進的に予防治山に重点を置くということで計画をいたしておりまして、実は現在の第四次治山治水五カ年計画でございますか、第三次に比へまして——第三次の全計画と申し上げますと三百二十九億円を五年間で計画をいたしたわけでございますが、現計画におきましての五カ年計画は一千五十三億、三・二倍の大幅な予防治山への重点施行を志しておるわけでございます。
  121. 兒玉末男

    兒玉分科員 いま予算規模が大きくなったということを言われているわけでございますが、実は宮崎県のえびのというところがございます。ここはもともと、十年ほど前でありましたか、国有林が全面伐採をしたそういう関係から、集中豪雨的な形態が起きた場合に、水を吸収する期間というものは非常に短い、そういう関係で実は災害が発生したわけであります。当時私は建設委員として現地災害調査に参り、災害対策委員会でも、林野庁に対して、こういう事故が再度発生しないようにということで、将来予想される降雨量をも十分考慮に入れた砂防堰堤等を建設すべきであるということを強く指摘したわけでございます。  ところが、昨年の夏のいわゆる集中豪雨がありまして、まさにわれわれ自体も想像に絶するところの山津波と申しますか、想像を絶する大被害をこうむったわけであります。林野庁並びに建設省関係の皆さんも、現地を見られておそらく驚嘆されたと思うのですが、この具体的な事実が示しますように、やはり国有林における部分の砂防関係、それから建設省所管による河川関係に関連する砂防との関連においてどういうふうな連携がとられ、——結果的には、上流地における、国有地内におけるところの宮崎県のえびの市の場合のような災害でも、波及するところはいわゆる下流の河川全体であり、下流に居住する住民の生命、財産というものが非常な損害をこうむる結果になるわけでありますが、所管は林野庁だから建設省は関知するところではないというふうな行政機構のセクト的な問題では、やはり今日非常に乱開発が進んでおる国有林、民有林を通じての現状から、一体建設省としてはどういう連携をとりながらやっておるのか。河川局長の見解をお聞きしたい。
  122. 松村賢吉

    ○松村政府委員 お答え申し上げます。  先生先ほどから言われておりますように、最近森林の伐採等によりまして下流の河川に対する土砂災害発生の事例がたくさんあるわけでございます。これに対します対策といたしまして、林野庁と密接な連携をとりながらやっておるわけでございますが、具体的に申し上げますと、昭和三十八年の六月に建設省、林野庁の共同通達というのがございます。治水砂防行政事務と治山行政事務との連絡調整についてという通達がございまして、これに基づきまして毎年定期的に砂防治山の連絡調整会議というのを設けまして、森林の伐採の事故対策等を勘案しながら会議をやりまして、これからの工事その他についていろいろ対策について協議をやりながらやっているわけでございます。  なお、特に国有林野につきましては、昭和四十四年の五月に林野庁と協議した上におきまして、国有林の伐採等に関連する下流河川等の災害の防止についてという通達を関係方面に全部流しまして、下流の河川等の災害防止の見地からいたしまして、国有林野事業に関しまして、現地における関係機関相互の連絡調整につとめまして、災害の未然の防止というものをはかってきておるわけでございます。
  123. 兒玉末男

    兒玉分科員 ところが、これは林野庁長官にお伺いしたいのですが、えびの市のこの前のあの大災害は、まさにいま、河川局長が御答弁になったことが現実的に災害として発生し、しかもわれわれはかねて全面伐採ということについては、これはおそらく林野の組合をはじめ、われわれとしてもやはり公有林の特別会計のもたらす制度上の問題点から、ある程度経費節減という点もあろうかと思うのでありますけれども、現実的にこのえびのの場合等は、こういう全面伐採がもたらした一つの典型的な例じゃないか。もちろんこれはその前に発生しましたところのえびの地震等の影響も幾ぶんあろうかと私は思うわけでございますが、こういうふうなあり方について、林野庁と建設省との間においてそういうふうな協定等がなされたにもかかわらず現実に発生していることについて、関係責任者はどういうふうなお考えをお持ちなのか、お伺いしたい。
  124. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  先生、御指摘ございましたように、昭和四十年に災害がございました。その場合に堰堤五基を入れておりますが、この間に地すべり的なあの災害を起こしました流域とちょっと場所が違っております。したがって、現在四十七年度におきましても堰堤を二基入れ、また四十八年度以降も大体想定といたしましては十五基ほど入れていく、こういうことで、起こった現象につきましてのそういう対策は立てておるわけでございます。  なお、ただいま御指摘の伐採との関係でございますが、全面伐採をどうだということでございますが、このえびのの災害地は、約六十年生の森林とそれから二十年生の杉、ヒノキの植林地になっております。したがって、二十年間は伐採はいたしておりません。ただ、森林といたしましてのそういう国土防災的な、あるいは水資源の涵養という諸機能がございますが、一日の雨量三百ミリとかあるいは時雨量が百ミリをこすというような場合に、根が持っております緊縛力と申しますか、そういう限界をこえたようなえびのの七百ミリ近いと想定されます雨量、これはどうしても耐えられなかった。しかも、私自身がえびの出身でございますからあの地帯もよく承知しておりますが、地質あるいは土壌等につきましても、非常にそういう地帯でございます。したがって、私どもは、この周辺の国有林、民有林を含めまして、今後保安林等の整備あるいはそれに必要があれば施設堰堤等をやる、同時に、全面的な伐採、皆伐というようなことは避けまして、なるべく小面積にあるいは分散した伐採というようなことで、今後の保全対策の完ぺきを期したい、こういうように考えているところでございます。
  125. 兒玉末男

    兒玉分科員 河川局長にお伺いしたいわけでありますが、現在治山治水関係のことでありますが、第六十八国会において、いわゆる治山治水五カ年計画というものが策定をされまして、私のお聞きしたところでは、国有林関係は、治山対策に千二百億、民有林が四千六百億、それから建設省関係治水等に三兆億円が計上されたといわれておりますけれども、この実行はどういうふうに相なっておるか、これをお聞きしたいと思います。
  126. 松村賢吉

    ○松村政府委員 治水事業五カ年計画の実施状況、これについてちょっと申し上げます。  第四次五カ年計画先生言われましたように昨年の六月三十日に閣議決定されたわけでございますが、この内容といたしましては、河川ダム、砂防等を含めました治水事業の合計が三兆円でございます。これを四十七年から五カ年計画で完成する予定でございます。このうち、砂防関係については六千百億の金額を計上しているわけでございます。  それで、これの事業の実施状況でございますが、四十七年につきましては、三兆円のうち五千二十二億、これを四十七年に予算計上いたしまして、着々と実施をしているわけでございます。さらに、四十八年の予定といたしましては、現在四千九百六十億、これを計上いたしまして、さらにこれの達成を期そうとしているわけでございます。これは当初予定いたしました四十八年度までの達成率でいきますと、約二九%ぐらいを実は予定していたわけでございますが、今回予算要求をいたしております内容等によりますと、三三%の達成率になるわけでございます。これは昨年の災害等にかんがみまして、大幅な事業の繰り上げ等を含めまして、この五カ年計画の達成に努力しているところでございます。
  127. 兒玉末男

    兒玉分科員 林野庁長官にお伺いしたいわけでございますが、この治山治水緊急措置法の一部改正の中でも指摘をされておるわけでございますけれども、いわゆる現在の国有林等の乱開発による災害の状況等から類推します場合に、特にいままでの国有林野というものが国からの要請か財界かわかりませんけれども、とにかく国有林は国民の財産である、これが計画的でなくして、木材の需要が逼迫したということでもってかなり、いわゆる国有林の成長といいますか、それにそぐわない無理な増伐はなかっだのか、それからまた、伐採あと地の整備等が十分に行なわれていなかったのではないか、そういうあと地造林の不十分なことなどが災いをして、このような国有林を含めて災害が発生をしているのではないか。これから特に、農業用水あるいは工業用水はもとより、飲料水等も将来必ずふえる傾向にある場合に、このような重要ないわゆる水資源の確保ということについて、特に国有林の占める割合と林野庁の果たすべき任務というものはきわめて重大であると思うのですが、これらの確保についてどういうような対策をお考えになっておるのか。  それからもう一つは、この前も予算委員会指摘をしたわけでございますけれども、今度森林法の改正等も提案されておるようでございますが、数字によりますと保安林の面積は確かにふえておるわけでございますけれども、保安林がふえる傾向であるけれども、災害もこれが並行的に発生しているように判断をいたすわけでございます。このことについて、保安林等に対するところの林野庁の管理、また、地方におけるところの直接国有でない民有林等に対する監督といいますか、こういうふうな体制というものについて、一体どういうふうな措置をとっておられるのか。また、建設省としては、このような国有林の場合は、国の機関でございますから、ある程度の連携はあるとしても、民有林等についてはレジャー施設、すなわちゴルフ場の開設といいますか、こういうのがどんどん出てきておる。こういう点についで、いわゆる下流地帯に住む住民なり河川関係のはかり知れない被害というものがいままで幾たびか提起をされているわけでございますが、このような国有林の保安林に対する施策並びにゴルフ場等の無計画な設定によるところの砂防対策、こういうものはどういうふうになされておるのか。  それから、これは地元の問題で一まだ私も詳細を把握しておりませんけれども、もと国有林であったものが戦後の引き揚げ者による開拓地としての転用がなされ、しかもその後の農業政策というものが行き詰まって、二百町歩近いかつての国有林地であり農地が一部の観光資本に買われた。これは聞くところによりますと、いわゆる農振法による指定地域であるにもかかわらず、これがそういうふうなゴルフ場に一方的に転売、転用されることは許せない行為じゃないかと思うわけです。この点は、農林省の構造改善局長もお見えでありますが、やはりこのような無計画な、しかも一部観光資本による不当なる開発行為というものがひいては結局災害発生の大きな要因ではないのかということについて、林野庁あるいは河川局長、そして農林省関係のこの問題についての点を含めて御回答をいただきたいと思います。
  128. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  保安林の指定が増加いたしておるのにかかわらず災害等が多発しているじゃないか、どうするのだ、こういうことかと思います。実は保安林の面積等につきましては、臨時措置法等をもちまして、現在全森林面積の約三割近くの六百九十万ヘクタールが保安林に指定されておるわけでございます。しかし、ただいま先生指摘のございましたように、経済社会の発展に伴いまして保全対象というものが次第に増加し、しかもそれが奥地化して危険性が非常に増加しつつあるということも、実はほんとうのところであろうかと思うわけでございます。特に昨年でございますか、全国的な集中豪雨等の結果、災害が多発いたしたわけでございます。したがって、治山事業等につきましては、重要流域あるいは都市周辺の保全に重点を置きまして、同時に、これら約六百九十万ヘクタールに及びます保安林の質的な向上をはかるということも、これまた必要なところでございまして、国土保全等の、それらの事業を通じまして十分対応してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。  なお国有林のことでございますけれども、先ほど申し上げました六百九十万ヘクタールの約半分は国有林の保安林でございます。したがって国有林のウエートが非常に高いわけでございまして、森林とか国土保全等に貢献するところも大きいわけでございます。したがって私ども、昨年でございますが、国有林の新しい施業方針というものを出しまして、皆伐を避ける、あるいは小面積に分散するとか、天然林を残すとか、それぞれ新しい施業方針を公表いたしております。それを現実の山におろす作業がこの三月いっぱいで終わろうかと思います。そういう新しい計画を立てまして対応してまいるつもりでございます。と同時に、この治山事業等が、材木の売り上げ代だけでこれをまかなえといわれてもなかなか困難な性格もございます。あるいは経理内容等もございまして、四十八年度は大幅に一般会計の負担をふやしていただきまして、約百億円というものを負担していただいて万全を期したい、こういうことでございます。  なお、そのような大事な保安林でございますので、これをどのような監視体制に置いておるのかということでございますが、現在私ども保安林の保護巡視員というものを置いております。したがってそれらを充実することによって保安林の管理の完ぺきを期したい、かように考えておるところでございます。
  129. 松村賢吉

    ○松村政府委員 建設省の対策を申し上げます。  建設省といたしましては、このような開発その他によりまして上流が非常に荒廃し、河川が荒らされ、流砂量がふえるというような点につきましては、まず砂防指定地内におきましては、各種開発事業につきまして砂防法に基づきまして取り締まりをいたしましてこの実をあげようとしております。また砂防指定地以外でこのような乱開発等が起こりまして、下流河川に対して土砂流出が増加したり、それから流出率が非常に変化して下流に影響が大きいというように認められる場合には、できるだけ砂防指定地に編入いたしまして、現在管理の強化をはかっておりますが、今後また一そう都道府県等に対しましてこの方針を積極的に指導していきまして、実をあげたいというふうに考えております。
  130. 今村宣夫

    ○今村説明員 先生の御指摘のございました宮崎県高岡町の開拓地でございますが、約九十ヘクタールの土地を含みまして百七十ヘクタールの土地を取得してゴルフ場を建設するということで、現在農地転用の事前審査の届け出が九州農政局に提出されております。この開拓地は、先生指摘のとおり、自作農創設のために国有林野から所属変えをした後、旧自作農創設特別措置法及び農地法によって入植者及び増反者に売り渡したものでございますが、開拓地につきましては、営農の振興をはかるために各般の施策を講じてきたところでございまして、本件のような申し出がなされるに至ったことはまことに遺憾であると思っております。その実情を十分調査をいたしまして、関係農家に対して、私どもも十分配慮して、適正な措置をとりたいと思っております。  御指摘災害防止のことにつきましては、御存じのとおり、農地の転用許可基準災害防除の要件がございまして、そこで計画を十分審査いたしまして、必要な措置をとることを十分計画の中に盛り込ませたいと考えております。そういう意味におきまして、地方農政局及び都道府県を十分指導してまいりたいと思っておりますが、宮崎県におきましては、聞くところによりますと、自然環境保護と創出に関する条例を四月一日に施行したいということを申しておりますので、そういうことをも通じまして十分指導してまいりたいと思う次第でございます。  なお御指摘の農振地域に入っておるではないかということでございますが、昭和四十七年十三月二十八日付をもちまして、宮崎県知事から九州農政局長に対しまして、農業振興地域を変更したいという申し出がございました。現在、九州農政局はその内容につきまして検討中でございますが、本件の審査につきましても十分配慮してまいりたいと考えております。
  131. 兒玉末男

    兒玉分科員 時間が参りましたので、あと二点ほどしぼってお聞きしたいと思うのです。  いまの局長答弁でございますが、そういうふうな農政の貧困がもたらした農民の生活の困窮をいいことにして、一部のそういう観光開発業者が買い占め行為をすること、同時にまた、すでに金銭の授受がなされて、あとで県知事が農振法の指定地域を解除する、こういうことをするからやはり山は乱れる。しかも、かっては国有林をそういうように安い金で買い受けて、結局そのしりぬぐいというものが一部業者の金もうけのために利用されることは許されない。その点は農林省としてもきびしく指導してもらうように私は要請し、さらに引き続き今後、これは構造改善のほうの担当でございませんけれども、関連する問題として十分ひとつ配慮していただきたい。  それから最後に林野庁にお聞きしたいわけですが、先ほど長官が言われましたように、保安林の占める地位、それから今後の保安林の管理体制というものはきわめて重要な意義を持つものだ。そのために、ともすれば林野庁の場合は、独立採算制という会計制度のために、対策について国からの制約がかなり大きいのではないか。この際、前国会の附帯決議の線に沿って、積極的な取り組みをして、国民の財産を守るべきだ。もう一つは、何といっても今後治山治水関係でも、特に国有林関係の場合は、民有林を含めて治山に重点を置いた対策の充実をはかるべきではないのか。同時に、これは第六十五国会の林業振興の決議の第六項にも明らかなように、財政上の点については、きわめて公共性が高いから、一般会計から特別会計に繰り入れる措置をとること、同時に六十八国会の附帯決議も同様の促進が規定づけられておるわけでございますが、要するに、今後このような治山関係の対策を積極的に進める中において国民、の財産が十分保護されるようにしていただきたい。同時に、私たちの調査の範囲では、この一般会計からの繰り入れによって、会計上におけるところのいわゆる国有林に働く労働者の労働条件あるいは勤務条件等について、特別な、いわゆる差別的といいますか、そういうようなことがあるやに聞いておりますけれども、まさかそういうことはないと思うのですけれども、やはり治山事業の高度な公共性という視点に立って、しかも六十八国会並びに六十五国会のこの決議の趣旨を正しくとらえて処理されるように、質問を兼ねて御要望したいのですが、最後に長官の見解を承ります。
  132. 松形祐尭

    松形説明員 ただいま先生の御指摘ございましたように、治山事業の重要性ということにつきましては、まさにそのとおりでございます。したがって、先ほど御答弁申し上げましたように、四十八年度予定として百億の一般財源を持ち込んで、これの推進をはかる。総事業費といたしましては、特別会計からの分と合わせまして百六十億円の治山事業を実行するわけでございます。現在、御承知いただいておると思いますが、国有林野事業につきましては、ただいま申し上げましたような新しい時代的要請というものもございます。したがって、長期的な観点に立ちまして、経営改善をはかるための具体策について、現在検討を行なっている段階でございます。したがいまして、このような治山事業のような公益的事業にかかる財源負担につきましても、その改善策の樹立、実施等の関係で、さらに検討してまいるというふうに考えておるわけでございます。
  133. 今村宣夫

    ○今村説明員 御趣旨に即しまして、農地法の適正な運用その他を含めて十分に指導してまいりたいと思います。
  134. 兒玉末男

    兒玉分科員 終わります。
  135. 前田正男

    前田主査 これにて兒玉末男君の質疑は終了いたしました。  次に、松本忠助君。
  136. 松本忠助

    松本(忠)分科員 私、昨年の三月十八日、この第五分科会で、東京の北区にございます岩渕水門のことについて当局の見解を伺ったわけでございます。重ねてきょうお伺いするということは、それなりの理由がございます。   〔主査退席、藤波主査代理着席〕  大臣も御承知のことと思うのでありますけれども、この岩渕水門というのは、明治四十三年の大洪水あとにできた、いわゆる荒川放水路と昔の隅田川との分岐点のところに水門があって、荒川放水路へ、あるいは隅田川へ、この荒川の水を流す調節をしている水門であります。ところがこの水門は、御承知のように、大正五年に着工して十三年に完成され、今日までにもう五十数年たっているわけでありまして、非常に老朽、そしてまた破壊している状態がございます。こういったことを、私どもの区議会議員でございます原田議員が去る三十九年の九月に、北区の区議会におきまして取り上げまして、そして区長から建設大臣に、一刻も早く直さないと危険であるということで御要望してあったわけでございますが、その後なかなか手がつけられないままに今日まで来ているわけであります。御承知のことと思いますけれども、この水門に万が一のことがございますと、東京の隅田川の下流数百万世帯に水害をこうむらせるということになりますので、私ども一刻も早くこれを全面改修し、そして安心して寝られるようにしたい、生命、財産を何の災いもないようにしたい、こういうところから重ねて昨年に続いてお話を申し上げるわけでございます。  この話を申し上げましたときば、西村建設大臣でございました。その後、四十七年の九月の三日に木村建設大臣を本省に訪問をいたしまして、陳情しました。このときには地元の区議会を代表いたしまして、三橋区会議員、また地元の住民代表として「区民を水害から守る会」の会長の加藤会長と御一緒に伺ったわけであります。そのときも、木村建設大臣に現場の写真を示して、一刻も早く改修することを要望しておいたわけでございますが、この一年間にあまり変化が見られておりません。手をつけているのかいないのか、全く私どもは心配でならないわけでございます。河川局長も川崎さんから松村さんにかわられたようでございますので、この機会に、前の御答弁なども申し上げつつ、建設省としての考え方を明確にしていただきたいと思うわけでございますが、松村局長さん、川崎局長から、前任者からそのことについて詳細の引き継ぎがあったかどうか。まず、その点から確認したいと思います。
  137. 松村賢吉

    ○松村政府委員 概略この問題につきましては聞いております。
  138. 松本忠助

    松本(忠)分科員 あなたは大体聞いておると、こうおっしゃいますけれども、その現場に臨んでいる者にとったらたいへんな問題なんですよ、これは。やはり日本国じゅうの河川を統括なさるあなたですから、もっともっと重要な、もっともっと早く何とか手をつけなければならないところもあるというようなお気持ちもある、まあ岩渕水門はあと回しでもいいのだというようなお気持ちで、少しでもあったとしたら、私たちは、もうほんとうに注意を喚起しなければいかぬと思うのです。川崎河川局長もその状況を十分存じておりますし、またその水門が亀裂を生じた状態なども川崎局長は知っておりました。松村さん、ごらんになったことがありますか、亀裂の状態を。
  139. 松村賢吉

    ○松村政府委員 まだ就任して間もないので、現地は見ておりませんが、写真等でその詳細を承知いたしております。
  140. 松本忠助

    松本(忠)分科員 川崎局長も、昨年三月十八日の答弁の中で、その水門地点は二メートル三十センチも沈下をしておるという事実を述べておられるようであります。また、現在もその沈下は続いているわけでありまして、決してとまってしまったわけではないのです。こういう状態を私ども非常に危惧いたしますので、これを一刻も早く抜本的な改造が私たちは必要と思いまして、要望いたしました。そのことについて昨年も川崎局長は、抜本的な改造を必要としますということを言われているわけでありまして、これは会議録に残っておりますので、はっきりしておると思うのです。  ところで、あなた御自身は、その川崎河川局長の言われました抜本的改造を必要とするということについては、やはり同意見とは思いますけれども、念のだめに承っておくわけでありますが、いかがでありましょうか。
  141. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この水門につきましては、先生指摘のように非常に沈下しておりまして、クラック等が大きくあいておるわけでございます。しかしそれの安全性につきましては、四十七年にも間隙の填充をいたしまして、安全性は一応確保しているわけでございます。ただし、沈下はさらに続いておるわけでございます。そういうことで、これをそのまま放置しておくということは、非常に将来危険性を伴うというようなおそれもございます。また一方、この岩渕水門を含めます荒川の全面的な改修計画の変更と申しますか、いわゆる洪水量が最近だいぶふえておるのであります。そういうものの一環といたしまして、この水門は全面的に改築しなければいかぬということで、四十七年度から調査を続けておりまして、ことしもさらに再度調査、設計というものを続けておるわけでございます。  それで、私といたしましては、こういう一連の調査、検討が終わりまして、この水門の技術的な問題、その他確信が持てる完全な設計ができる段階におきまして、できるだけ早く工事に着手したいというふうに考えております。
  142. 松本忠助

    松本(忠)分科員 四十七年度から土木研究所に研究費をつけたという答弁がこの前あったのですけれども、それは幾らっいているものでしょうか。
  143. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ちょっと詳しい金額ここに資料を持っておりませんですが、大体オーダー的には  一千万のオーダーじゃないかと思います。また後ほど詳しく……。
  144. 松本忠助

    松本(忠)分科員 川崎さんの発言も四十七年度から土木研究所に研究費をつけた。そのときも金額については全く明示がないのですよ。きょうもまたこの問題についておおよそ見当のような数字が述べられているわけであって、私どもはほんとうに、このままでおくということになりますと、大きな怒りを覚えざるを得ないのです。もう少し真剣に何とか考えてくれないと、東京の下町が大水になってしまって、被害を受けてから大騒ぎをするようなことではならないと思いますので、何とかこれはこの際はっきりしていただきたいし、研究費の金額等もきちっとしたものを教えていただきたいと思うわけです。  なお、川崎局長が言われましたのは、五カ年計画の改定の機会に事業規模にも多少余裕ができたので、そういう機会をとらえて五カ年のうちに何とか着工するようにしたい。いま松村局長もなるべく早い時期に着工したい、全面改修、完全にやり直すということでお話を了解してよろしゅうございますか。
  145. 松村賢吉

    ○松村政府委員 はい、けっこうでございます。
  146. 松本忠助

    松本(忠)分科員 そこで、なるべく早い機会というのはよく言われることばでありまして、逃げ口上であります。全くそのいつというのはばく然としたことであって、調査が進まないとか研究が進まないとかいってだらだら延ばされるのがいつものお役所のやり方であります。そう申し上げると怒られるかもしれませんけれども。私どもが一番最初に指摘したのは三十九年の九月であります。もうすでに十カ年になろうとしておるわけであります。その間に毎年毎年沈下が続いておる。こういうことを考えてみると、都民の生命、財産を守っていただくためにも、この改修の時期というものを、おおよそ昭和五十年なら昭和五十年に着工するとか、あるいは四十九年に着工するとか、一つの目安をつけてもらわなければ、これは都民としてもわれわれとしても安心しておるわけにいかぬわけであります。この点重ねてひとつ明言を求めるわけであります。
  147. 松村賢吉

    ○松村政府委員 現在五十一年までの五カ年計画でございますが、この中には相当大幅にこの予定を食い込んでおりまして、私といたしましては、おそくとも五十年度を目途に着工したいというふうに考えております。
  148. 松本忠助

    松本(忠)分科員 五十年度に着工するとして、あれだけの規模、あれだけの工事をするのには大体どのくらいかかる予定でありますか。五十年に着工して、完成するのはいつかということです。
  149. 松村賢吉

    ○松村政府委員 まだ詳しい設計ができておりませんので、はっきりとしたことは申しあげられませんが、大体いままでの通常の例でいきますと、約四年ぐらいはかかると思います。
  150. 松本忠助

    松本(忠)分科員 五十四年、それまでに何事もなければけっこうな話でございますけれども、何かあった場合は私ども都民に対して非常に申しわけない。そういう事実を知りながらそれを放置しておいたということは、私たちの責任であろうと思いますし、また現に水門を管理されているところの建設省河川局としての大きな責任になります。この話を三十九年九月建設省に注意を喚起する前にもすでに建設省ではわかっておったと思うのでありますけれども、しらばっくれていたのじゃなかろうかと思うのでありますが、三十九年九月というその時点から考えましても、五十四年に完成するというこのいかにもお役所式ののんびりしたやり方、これは私たちはひとつ注意を喚起せざるを得ないわけであります。  大臣、そこでこのいまの局長のことば、五十年着工、五十四年度には完成させるということについて責任を持てといわれても、大臣は責任を持ちますとあるいは言わぬかもしれませんけれども、私は是が非でも大臣からひとつ明確なお答えをいただきたい。そうして都民を安心させてやりたい。少なくとも五十年代にはこれができるのだということになれば、まあ一応安心していられるのじゃないか。安心ということまでいかないかもしれませんけれども、それまでに大きな災害がないことを願いつつお待ちする以外ないと思います。ひとつ大臣のお考えも伺ってきたいと思います。
  151. 金丸信

    金丸国務大臣 治山治水というものは民生安定の基本だと思います。そういう意味でただいま局長から述べられました、おそくとも五十年を目途だ、こういうことでございますが、局長はそういう言明をいたしておりますので、必ずいたします。
  152. 松本忠助

    松本(忠)分科員 どうかひとつ一そうの努力をしていただきたいと思います。非常に大工事になるかと思いますけれども、山の中じゃなくて平地のまん中でありますから、いまの土木機械を使ってやったならば、そう難工事ではないと思います。できないことはないと思いますので、ぜひとも、五十年着工、五十四年完成という、時間的には十分の余裕をとってあるわけでありますから、私は、全面改修、あの水門が新しくでき七がること、その完成によりまして都民が安心して生活ができるように、是が非でもひとつ御配慮願いたい。大臣が言われましたように、民心を安定させるということは政治の要諦でありますから、是が非でもひとつやってもらいたいと思います。特にこの点についての要望をしておくわけでございます。  それから、次の問題は、荒川放水路の右岸に都民ゴルフ場というのがございます。この都民ゴルフ場というのは、四十九年三月には都民ゴルフ場との契約が切れる。そこで私たちは、ゴルフ場はその後の使用がなされずに、これを都民のために開放してもらいたい、こういうことを前々から言っているわけでございます。特に現在この付近にございます小学校の中でも志茂小学校あるいは岩渕小学校、こういう小学校は非常に校庭が狭い。そのために運動会もできない。ところが志茂橋を越して岩渕水門を渡ってまいりますと、いわゆる荒川放水路の都民ゴルフ場がございますが、そこをひとつ四十九年三月の賃貸契約終了の時期を待って、是が非でも公共施設として、この二つの小学校の共用の専用運動場として開放してもらいたい、こういう希望が地元では強いわけであります。そしてこの問題については、地元ではいま署名を始めているわけでありまして、この問題も是が非でも都民のために、そしてまた将来日本を背負うところの小学校の子供たちが伸び伸びと運動できるように、運動場に開放してもらいたいという要望を申し上げるわけでありますが、この点について、局長いかがでしょうか。
  153. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この具体的な都民ゴルフ場問題につきましては、私、その学校の状態その他正確に実はまだ調査しておらないわけです。現地の直接ではいろいろ検討しておると思いますが、まだはっきりした報告は聞いておりません。今後さらに現地を督促いたしまして、これの方針につきましては早急にお話しできるような段階に持っていきたいと思っております。ただし、一般的な問題といたしましては、広く市民のために河川敷を使わせるという原則については、私ども十分存じておりまして、この意見を尊重してやっていきたいというふうに考えております。
  154. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣いかがでしょうか。いまお聞きと思いますけれども、やはり私たちは、都民のために開放する、そしてまた小学校の生徒のために使わせてもらうということが一番いいんじゃないかと思っております。都民ゴルフ場、確かにゴルフということは決して私たちは奢侈、ぜいたくというわけじゃありません。しかしもっともっと大ぜいの人に使わせるためには、このゴルフ場を小学校の子供たちのために、また一般都民が運動場として使えるようにしたい、こういうふうに思いますので、是が非でもいまの都民ゴルフ場を開放してもらいたい。四十九年三月以降は是が非でも区のほうに貸与するようにしてもらいたいと思いますので、ひとつ大臣の御所見も伺っておきたいわけです。
  155. 金丸信

    金丸国務大臣 われわれがきょう政治の面でも、またおとなが汗をかいて苦労するのも、次の時代のために苦労いたしておるわけであります。そういうことになりますと、人をつくるということがまず大切であることは申すまでもない。そういう意味で、その比重の問題は申すまでもないと私は思います。十分検討してみたいと思います。
  156. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣の非常に理解のあることばを伺いまして、私も是が非でもその実現を強く強く要望するわけでございます。現在、赤羽ゴルフ場に隣接した場所に野球場がありまして、そこは一部使わせてもらっているわけであります。ところが問題は、その野球場にいわゆるトイレあるいはまた水道の設備というものが何べんお願いしてもできない。ところが一方、都民ゴルフ場のほうには、芝生の手入れをするための水道が引いてある。この運動場のほうは何べんお願いしても水道も引くことができない。これはいろいろ問題があるのだろうと思いますけれども、現にそばまで来ている水道、そして一方はものを言わない芝生の手入れ、一方は夏などはもう炎天の中で子供たちが野球にいそしみ楽しんでいるけれども、肝心な飲み水がない、こういうことで非常に困っているわけです。特にまたそこにトイレがないということが大きな問題になっております。是が非でも、移動式のトイレでもいいから置かしてもらえないかということを再々お願いしているのですが、依然としてこれは解決できない。まことにどうも困ったことだと思っているのですけれども、何とか移動式のトイレの設置、あるいはまたサッカー競技などに使っております、そういった場合のサッカーのゴール、こういったものは移動式の、下に車がついたもので、そこに固定しないで使わせてもらえるのならばたいへんいいことじゃないかと思います。こういう点について全くできないできないの一本やりでなくて、何とか前向きに検討してもらいたい。都民ゴルフ場のほうには水道が引いてあるけれども、肝心の運動場のほうには水道すらないというこの矛盾を私たちは強く訴えるわけでありますが、局長、どうでしょうか。これは何とか方法はないものですか。
  157. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいまのお話のものかと思いますけれども、北区の運動公園には、設置する簡易便所でございますが、これを四十七年五月十五日付で許可をしておると聞いております。それから同じ運動公園の水道の設置につきましては、その場所とか構造を技術的にいま検討いたしまして、申請者と打ち合わせいたしました結果、水道管を橋梁に添架して運動公園に引き込むことで了解に至った。それで申請者において現在許可申請書をつくっております最中で、提出があり次第、審査して許可をするようにしたいというふうに報告を受けております。
  158. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いまの答弁で、四十七年のいつですか。
  159. 松村賢吉

    ○松村政府委員 五月十五日です。
  160. 松本忠助

    松本(忠)分科員 四十七年五月十五日に許可を与えているというわけでありますか。
  161. 松村賢吉

    ○松村政府委員 そのとおりでございます。
  162. 松本忠助

    松本(忠)分科員 まことにおかしな話なんですね。現にきのうもこのことを区役所に確認したのです。お願いしてもどうしてもならない。ぜひひとつ建設大臣に直接お願いしてもらいたいという地元の強い要望なんです。それで私もそのことを受けて、きょうこうした場所お願いもしているわけであります。役所のほうでは四十七年五月十五日に許可を与えているというのだったら、それがどうして下まで徹底しないのか、この辺のところについて私たちも疑問に思うわけでありますけれども、そういうことであるならば、さっそく申請をし、この夏の炎天のときに子供たちが水にこと欠かないようになれば、たいへんけっこうなことだと思います。地元のほうに帰りましたら、なお一そうこのことも徹底したいと思います。  移動のトイレあるいはまた移動のサッカーのゴールというようなものもよろしいと理解していいでしょうか。
  163. 松村賢吉

    ○松村政府委員 移動式トイレ、それからサッカーのゴール、これも原則的に移動できるものでしたらよろしいと思います。
  164. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いま局長言われるように、差しつかえないという御答弁であります。しかし地元のほうでは依然としてそれができないという。こういうふうにどこかに食い違いがある点、これはどちらに問題があるということではございません。ことしはそうしたところに水道が引け、そしてまた移動式サッカーゴールあるいはまた移動トイレ、こういったも一のが認められるということになれば、地元の青少年の方々も安心して運動競技にいそしめることになると思いますし、たいへんけっこうな話だと思います。なおよくその間の事情を確かめた上で、十分私たちも地元の青少年の体育、健全発達を願うために努力を重ねたいと思います。理解ある御答弁を私非常に心強く思っております。先ほども申し上げました岩渕水門の件あるいはまたこの運動場の件、大臣のお骨折りによってきょう確約できたことを私非常に感謝をするわけでございます。どうかひとつ地元民のために安心して生活ができるように、特にお願いをするわけでございます。御理解のあることばに感謝すると同時に、ぜひともこれを実現していただくように重ねて大臣の御確言をいただきたいと思います。
  165. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど来申し上げましたことにつきましては、お約束申し上げます。
  166. 松本忠助

    松本(忠)分科員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  167. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて松本忠助君の質疑は終了いたしました。  次に、米田東吾君。
  168. 米田東吾

    米田分科員 私はきょう河川改修の問題を中心にいたしまして、大臣にひとつ御質問したいと思うわけであります。  昨年の六月、閣議決定によりますところの治水事業五カ年計画、これがいま河川改修、治水事業等についての基本的な政策の柱と思うのでありますけれども、この計画によりますと、河川の改修等については、端的にいって、中小河川それから災害の復旧等を含めた関連の改修事業というものに重点を置く、しかも予算総額において四兆五百億の規模で、向こう五カ年間、直轄河川よりも中小河川に重点を移して政府河川改修事業に取り組む、こういう姿勢を示されたものと実は理解をいたしておりますけれども、そういう理解でよろしゅうございましょうか。
  169. 金丸信

    金丸国務大臣 そのとおりでございます。
  170. 米田東吾

    米田分科員 そこでお聞きしたいのでありますが、ことしの予算によりますところの河川改修、いわばこの五カ年計画の二年目の事業になるわけでありますけれども、大体どの程度の規模で予算が見込まれて、しかもこれから中小河川といわれる河川の改修にどの程度のワクが予定されておるのか、説明をしていただきたいと思います。
  171. 松村賢吉

    ○松村政府委員 まず、五カ年計画の四十八年度予算がついたあとの進捗度合いでございますけれども、治水事業につきまして、第四次五カ年計画では、総額が三兆円でございますが、そのうち、四十七年度に事業費として五千二十二億についております。それから四十八年度、今度要望しております金額が四千九百六十億、合わせて累計進捗率が三三・三%ということになっております。これは当初の五カ年計画の予定額が約二九%でございますので、約四%ほどの繰り上げの施行と申しますか、治水事業の推進をはかっておるわけでございます。それでそのうち中小河川で組まれております金額につきましては−中小河川と申しますか、補助河川ですね、補助河川全部を入れまして、約手二百三十億ほどでございます。それで前年度の伸び率が二三・四%ということになっております。
  172. 米田東吾

    米田分科員 河川改修の全体のワクの中で占める千二百三十六億の割合はどの程度でございますか。いま説明のありましたのは補助事業に対する総額が千二百三十六億……。
  173. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これに対応します直轄改修事業でございます、これが千二百九十億ございます。それで、これが前年度の伸び率二二・五%、約一%近く補助事業のほうが伸びがいいわけでございます。
  174. 米田東吾

    米田分科員 そこで、大臣にひとつ御見解を聞かしていただきたいのでありますけれども、この治水事業五カ年計画が立案され、そして閣議決定を経ました当時、西村建設大臣であったと思うのでありますけれども、非常に、災害対策特別委員会等におきましては、胸を張って、今度政府はむしろ直轄河川よりも中小河川に重点を移します、そうして災害復旧事業等についても、四年を三年に短縮しましょう、相当思い切って中小河川の改修については国が力を入れるのだ、ということを明確に実は答弁をされておる経過があるわけでございます。私は非常にこれは歓迎すべき実は発言だと思って、今日もそう思っているわけでありますが、いま金丸建設大臣におかれては、私はやはりさっき冒頭に御質問しましたように、この計画はまだ生きているわけでありますから、ことしの予算執行等についてもこの基本で、中小河川の改修等についてはひとつ相当集中的に予算執行をしていただける、こういうものだと思うのでありますが、大臣の御見解はどうでありましょうか。
  175. 金丸信

    金丸国務大臣 そのとおり重点的にやりたいと思っております。
  176. 米田東吾

    米田分科員 そこで、もう一点大臣お願いしたいのでありますが、この治水計画五カ年計画によりますと、できれば国の直轄事業としてやりたい、これは二ページに実はあるわけでございますが、重要な河川については国が直轄で施行する。そこでこの意味は、直轄河川ということだろうと思うのでありますけれども、一級河川でも、直轄でやるのと、それから県知事管理の河川があるわけであります。私はこの精神に沿って、知事管理の一級河川でも、河川改修の重要なもの、あるいは困難なもの、こういうようなものについては国が直轄でやる、こういうやはり姿勢と方針、実際にそうしてもらってもいいんじゃないか、こう私は思うのでありますけれども、これは基本的な問題でございますが、大臣いかがでございますか。
  177. 金丸信

    金丸国務大臣 その精神でいたします。
  178. 米田東吾

    米田分科員 そこで大臣、具体的に実はお聞きしたいのでありますが、災害対策特別委員会へは大臣なかなかおいでいただけませんので、ちょっとお聞きしたいのでありますけれども、新潟県の加茂川の改修の問題であります。これは大臣承知のように、四十二年、四年、六年と連続災害を起こして、二回にわたって加茂市の中心部を流れております加茂川がはんらんして、そうして連続、市の面積それから市民の三分の二が二年続きで水びたしになって大きな問題になりました。これは建設省から非常に御努力をいただいて、当面第一期工事、要するに加茂川通水で毎秒五百トンをめどにした一期工事は、ことしで予定どおり終わるわけであります。私ども災害関係者も喜んでおりますし、地元当局も非常に感謝をしておるような次第でありますが、いよいよその二期工事に入るわけです。二期工事の目標は毎秒千百トン、これは五カ年間でやろうというあなたのほうの計画であります。ところがこの二期工事は、町の中心部をこの河川は流れておるものでありますから、まず幅の拡幅やあるいは堤防の補強、そういうような関係で約五百戸の市民が立ちのきをして、土地を売って、そして河川改修に協力をしていかなければならぬという、そういう内容の実は事業であります。今日のこの事態で五百世帯の市民が買収あるいは移転補償、それらの問題をかかえまして、解決をしなければならぬこれは非常に難関を予想される実は改修なんであります。この種のものは、新潟県の加茂川だけではなしに、たとえば毎年災害が起きております九州でも、鹿児島県の川内川あるいは新潟県やその他でもだんだん市街地を通っております。都市河川にはならないと思いますけれども、河川の改修という事業がやはり住民の立ちのきや用地買収の問題等を含めて実は改修されるという事態になってくるわけであります。そういうようなことを考えますと、この加茂川の場合はいよいよ二期工事に入って、五年間で千百トンの改修をやってもらうわけでありますけれども、建設省の直轄としてこの事業を、しかも五年なんて言わないで四年ぐらいに短縮して、手ぎわよく改修をしてもらうという措置がとれないかどうか。しかもこれは道路なんかと違いまして、ことしまた水害がないという保証はない。来年もわからぬ。地元の当局としても非常に苦慮いたしておるような事情も私見ておるわけでありまして、この種のものはこれはどこにもあるわけじゃありません。都市のまん中を通っておる河川の改修の実情というものは、そうざらにあるわけじゃありませんが、この種のものについては、できるだけ建設省が直轄で、これは一級河川なんですけれども、実は直轄河川でないわけであります。それで一期工事は県が事業主体になりまして今日まで進めてまいりましたけれども、これからいよいよそういう最大の難関に対処するということを考えますと、地元のほうでも、これは強く直轄でやってくれないかという希望を持っておりますし、困難な買収あるいは移転補償等の事情を考えますと、国でやったほうが能率的だし、住民も助かる、こういうような事情もありますので、一級河川でありますから、治水事業の五カ年計画の精神に沿って、建設省直轄でやるという方針をひとつ示していただけないか、このことを質問するわけであります。
  179. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この加茂川につきましては、先生からいろいろとお話ございましたように、確かに非常に大規模な工事でございます。それで、一級水系は原則といたしまして国が直接管理し、またこの工事を施行するという原則でございます。ただし、このうち一部につきましては、指定区間と申しまして、知事さんの管理におまかせするということはできるような仕組みになっておるわけでございます。それで、この加茂川につきましては、実を申しますと、たとえば重要な二期工事等を考えますと、相当大きな工事で、あるいは直轄区間にいたしまして国が直接施行するという範疇もあるいは可能かと思います。ただし、これにつきましては、実を申しますと国の施行体制、これにつきまして、やはり国といたしましても、全体の人員の構成その他等から、なかなか一級河川全部の直轄管理というものを持ち込むだけの体制が整っておらないわけでございます。それで、この加茂川につきましては、新潟県の御当局非常に熱心にこれに取り組んでおられまして、すでに一期計画をほぼ終了近くまで持ってきて、さらに二期計画につきましても現地で非常に御努力を願っているわけでございます。それで、この事業を円滑に進めるためには、私ども考えますのに、中小河川としてさらにこれを引き続いて実施していただいたほうが、対地元の用地の関係等すべてを含めまして、むしろ早くできるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  ちなみに申し上げますと、中小河川になりますと、国の負担といたしましては直轄工事と同じでございます。そういうことで、国の負担がふえるのをどうのこうのということではなくて、施行体制、それから早くこれをやるということから、これはむしろ現在の中小河川を進めるほうが中間のギャップがなくてうまくいくのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  180. 米田東吾

    米田分科員 いずれまた、私詳しいことは災害の特別委員会等でもう少し突っ込んで局長の見解をただしてみたいと思いますけれども、実は私冒頭申し上げまして、大臣からそのとおりでございますという答弁をいただきましたように、問題は工事がむずかしいというよりも、国の予算の措置によって移転の関係をスムーズにやる、これができなければ、どんなりっぱなブルドーザーを持ってきても、川は掘れないわけです。道路ができないわけです。それが実はほとんど地元の市当局にまかされておる。県が管理して、県が事業主体になっておりますけれども、その部分は全部これは市長であり、市であり、議会である。しかも五百戸ということになりますと、これは私は、いただいておる資料によりますと、買収費だけで大体五十億近くの予算規模じゃないかと実は思っておるわけでありますが、全体の面からいきまして、非常に国の投資が高いわけです。そうしてまた、これは相手があることでありますから、何といっても住民の側で理解をして、売り手、買い手の関係がととのわなければこれはできない。そういうことになりますと、建設省が直轄でやっていただければ、それらの買収の関係等についてはスムーズにいくだろう。工事関係等については、十分県の技術や関係指導等についてこれはまかないきれると思いますし、そういう実績を持っておりますから、全幅の信用があるわけでありますけれども、住民の立ちのきを含めた用地買収やあるいは移転補償等の関係になりますと、これはどうしても国がこのあとに控えて、そうして第一線の市長が、売り手、買い手の関係で気分が乗って話がついたらすぐ契約できる、そういうふうにしていきませんと、五年間でやりましょうと言ったって、立ちのきが一軒でも残ればこれはできないわけであります。そういうような関係で非常に苦慮しておるのでありますが、大臣、この種のものはたくさん今後出てきますよ。ひとつ今後の課題として、これらの関係については、工事だけの問題じゃないわけでありますから、建設省としても別途ひとつ検討していただきまして、国が直接施行する、そうして用地取得等について、先行取得も認めて、この計画をスムーズにやらせるようにひとつ御配慮いただけないか、そういうことについて大臣の見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  181. 金丸信

    金丸国務大臣 いろいろの話があると思いますが、ただいま河川局長から申し上げましたことも私は一つ理があると思います。問題は、これを一日も早く完成するということにあるわけでありますが、御指摘のような場合については、現地の県なりあるいは市と十分話し合って、どれが一番うまくいくかということをひとつ相談して、そうして決定いたしたい、こう考えております。
  182. 米田東吾

    米田分科員 わかりました。加茂川に関しては、いま大臣の御答弁で、ひとつぜひ善処していただきたいと思いますし、災害対策、河川改修という基本的な問題については、都市のまん中を流れている、しかも住民の協力を必要とするようなケースについては、今後の問題としてひとつ検討していただくように、あらためてまたお願いしておきたいと思います。  そこで、時間もなんでございますのでお聞きしたいのでありますが、いま申し上げましたように加茂川の改修というのはいよいよ二期工事にことしから入る。しかもことしから用地買収にかかる。県も市も五カ年間の計画を立てまして、そうして予算処置等をあなたのほうに要請しているはずだと思うのであります。建設省のほうとしても、それを受けて一定の計画を持っておられるはずだと私は思うのでありますが、もう時間がありませんから、特に用地買収に限って私は質問いたします。  あなたのほうでは、加茂川の約五百戸にのぼる——五百戸というのは、付随する大皆川という枝の川の改修が同時に行なわれておるわけでありまして、その立ちのきを含めますと五百戸になるわけであります。この買収等の計画についてはどんなふうに計画を持っておられるか聞かしていただきたいと思います。
  183. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この用地の計画でございますけれども、御承知のことと存じますが、この移転には、加茂市の非常な御協力を得まして、宅地造成計画をやっていただいておることと思います。これの関連がありますので、地元と十分打ち合わせてこれの計画を立てていきたいと思っておるわけであります。もちろん予算的にはこの五カ年の、四十八年につきましてはもちろん予定ございますけれども、それ以後については、こういう細部の配分ということについては今後十分調整し得る段階でございますので、十分地元の御意見も尊重しながらひとつ打ち合わせしてやっていきたい、こういうように考えております。
  184. 米田東吾

    米田分科員 わかりました。ぜひそうしていただきたいと思いますが、しからば四十八年度についてはどんな計画をお持ちでございますか。
  185. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これは事業費全体でございますけれども、前年度の約倍の予算を計上したいと思っております。
  186. 米田東吾

    米田分科員 数字を言っていてももうあれですから、私のほうのこの問題については、ひとつ問題点だけ申し上げておきたいと思います。  たしか県と市が協議をされまして、ことしの移転補償、買収等に関する計画では約七億七千万の予算を立てまして、現実にいま市当局ではその計画どおりことし買収する、必要な住民ともう対話を始めておる。もう売りましょう買いましょうという話も出てきておる。それから、いま局長答弁いただきましたように、市はことし完成するのであります。この五百戸の移転をするに必要な団地を造成して、どうぞ来てくださいといって待っているわけです。そうして団地造成については金は借りておりますけれども、もう償還していかなければならない、そういうような事情もあるわけなんです。したがって、ことしのこの七億七千万という、これは県を含めて大体これでいきましょうということでできた計画をぜひ実行さしてもらいたい。しかも、さっきから申し上げておりますように、ことしから実はこの二期工事に入るわけなんです。ことしの住民との関係がおかしなふうになったり失敗すると、あとがおそらくなかなかうまくいかないと思うのです。私は、地元ではありませんけれどもあの辺の事情はよくわかりますが、土地問題は、あすこは新潟県の中でも特にひどい地価の高いところなんです。そういうような関係からいきますと、ことしが一つのケースになるので、ぜひこの要望の額だけは、万難を排して建設省から御配慮いただけないかということが、県のほうも、市のほうも強い要望のようでございますけれども、私は、五年間の二期工事を完成させるためにもことしは特別な御配慮が必要だろうと思って、実はあなたのほうのお考えをただしたわけであります。ぜひこの点については要望に沿っていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  187. 松村賢吉

    ○松村政府委員 細部につきまして地元の御要望、特に加茂市と連絡をとりまして、できるだけ御要望に沿うように努力をいたしてみたいと思います。
  188. 米田東吾

    米田分科員 それではそれ以上申しませんが、もう一ぺんだけ申し上げておきたいと思いますけれども、大臣、この加茂市の住民は法線公害ということばを使っております。要するに、もう加茂川を拡幅する法線がきまっておる。その中に含まれた五百戸の住民は、どっちみちこの土地建設省に提供して、そうして加茂川改修をやらされるのだ、もう法線がきまったのだから、何だかんだと言っても五年の間には移転しなければならない。しかもこれはことしから始まりますけれども、もう四十二年から実は改修や何かはずっと継続してきておるわけです。もう十年に近くなるわけです。そうなりますと、移転がもうわかっているんだから、せがれに嫁さんもらって部屋をつくろうといったって、いつ移転するかわからぬのでそれもなかなかできない。何とか商売の売り上げをあげるために店を直したいと思ったって、金をぶち込んでも、どうせ一、二年くらいでこわさなければならない。それだけの投資もまたむだだ。家をどうする、あるいは新しく何かつけ足そうたって、これはみんなできない。そうしてもう一つは、御承知のとおり地価の騰貴であります。これは新潟県でもどんどん地価は上がっておる。新しく移転する土地を求めてそこへ行こうとして土地を買収しようとしても、見ておって実は土地が上がるわけでありますから、気がもめてしようがない。これは何とか早く解決してもらわないと困る。そこで住民から出てきたのが、法線公害だということばになっておるわけです。こういうような事情もありますので、大臣ひとつ、私は大臣の力を期待しておりますので、この面につきましてはどうか目をかけてもらって、災害の復旧あるいは河川の改修ということについて大いに手腕を発揮して要望にこたえていただきたいと思いますけれども、見解はいかがですか。
  189. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては、まず住民のことを考えるということが一つの考え方であると思います。もう線は引かれたということでございますから、その線に従ってやるということでしょう。そういうことになると、その地域住民を一日も早くどこへ移るにいたしましても生業につけて、安心してお嫁さんももらえるようなことをしてあげることが政治だと私も考えております。そういう意味で、この問題は、十分河川局とも相談しながら御期待に沿えるようにひとつ努力したい、こう考えております。
  190. 米田東吾

    米田分科員 終わります。ひとつよろしくお願いいたします。
  191. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて米田東吾君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。
  192. 寺前巖

    寺前分科員 急に時間ができたから、ちょっと聞いてみぬかという話がありましたので、飛び込みで出てきたようなことになりましたが、私自身も十分整理されておりませんのでお聞き苦しいかと思いますが、ひとつお許しをいただいて質問させていただきたいと思います。  私がきょうお聞きしたいのは、私の出身地である京都をめぐっての幾つかの点です。最初にお聞きしたいという問題点だけを提起したいと思います。  一つは、国道一号線との関連性において、京滋バイパスという路線の問題が従来から私どものほうでは問題になっております。この京滋バイパスがどのように計画をされて、どのように現在来ているのか、問題点は何かということについて一つはお聞きしたい。それからもう一つは、琵琶湖の問題というのは近畿一円の一千万人にわたるところの非常に大きな命の水でもあります。この琵琶湖との関連性において、私どものほうでは天ヶ瀬ダムというダムがあります。非常に大きなダムですが一その下流には昔から有名な宇治の川がありまして、塔ノ島という島もあって、観光地としてもいまだに有名なところでございますが、この天ヶ瀬ダムと下流の流域における問題点というのがないかという問題ですね。この問題についてお聞きをしたい。同時に、これらのいろいろな問題点を含む事業があるわけですが、今日の建設行政の中で、資材の値上がりというのはきわめて大きなものがあるというふうに言わなければならぬと思います。だから資材が一体どういう状況になってきておるのか。この状況のもとにおいて建設予算がいろいろ組まれているけれども、はたしてこの建設予算が執行できるのだろうか。執行できるかというのは、計画どおりいまの予算でいけるのだろうか。もう地方自治体の場合は、明らかにお手あげという姿が生まれてきておる。これらの指導上の問題について、実態と状況についてお聞きをしたい。その他時間があるならば若干の問題を聞きたい。大体私がきょう考えておるのはそういうことです。  それで、一番に京滋バイパスの問題からお聞きしたいというふうに思います。一般的に一言いまして、私の住んでいる京都について言うならば、日本海側は過疎化していっています。過疎化している地域については、道路の要求というのは非常に強いのです。早く都市圏との間に短時間の間に結ぶことのできる、そういう状態をつくってもらうことによって過疎を防いでもらえないだろうかという意見は非常に強いのです。ところが、この過疎化の地域におけるところの道路の改修といいますか、そういう問題についてはテンポがなかなか進まない。ところが、京阪神のほうへ来ますと、今度はそこではこれ以上自動車を集中させていただいたら困る。この前も私、尼崎へ行きました。見ておりましたら、ほんとうにどんどん自動車が走っている。阪神道路があります、第二阪神道路があります、それでなお足らぬと言って、そこに高速の自動車道路を、屋上をつくって、上をだあっと走らす路線をつくる。したがって、そこの住民は、これ以上もう自動車が入ってくるようでは私たちの生活環境はなくなるではないか。ところが、そこでは抵抗しているけれども、待ったなしで事業というのは計画を立ててどんどん進める。だから、過疎地域で、やってくれというところではなかなかやってくれない。やらぬでおいてくれというところではやる。これは住民本位の建設計画ではないと思うのです。ですから、私どもは建設のあり方の基本というのをどういうふうにするのか。何といってもやはりその地域住民の利益になるように建設計画というのは立てなかったら、これは産業全体の、日本の国土全体を発展させるために集中が必要だといって、そこのけそこのけお馬が通るで、自動車が集中させられたらほんとうにたまったもんじゃないというのは、大都市圏の偽らざる感情です。過疎地域においては、これ以上過疎にしてもらったら困る、何とかしてくれという要求が強い。これに対してはやはり積極的にこたえない。これはちょっと主客転倒しているんじゃないか。ですから、そういう意味において、部市の場合における建設計画というのは、環境を破壊しないということを前提にしなければならないんじゃないだろうか。もっと真剣に考えなければいけないだろう。それから過疎化地域においては、新しい近代社会の場合において、過疎地域におけるところの都市圏への接近を強めてやるための事業計画というのは、積極的に打って出なければならぬじゃないだろうか。私は、建設計画のあり方を基本的に改めてもらう必要があると思うのですが、その点についての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  193. 金丸信

    金丸国務大臣 寺前さんのお説、まことの御指摘のとおりだと私も思います。私も、いままでの建設行政というものは、道路ばかりでなくて、敗戦当時を考えてみますと、何しろ間に合わせればいい、道路もつくればよろしい、住宅もつくればよろしいという考え方だった。しかし、きょうの時点ではいわゆる福祉国家をつくろうということですから、まず人間尊重ということを中心にして考えなくちゃならぬ。そういうことになりますと、道路の問題にいたしましても、いわゆる排気ガスの問題やあるいは交通安全の問題や、その他いろいろなことを配慮しながら地域住民の意見も十分に聞きながら、合意の上で道路というものはつくらなくちゃならぬ。ことに今度のいわゆる日本総合開発と申しますか、これを考えておりますのは、いわゆる都市集中の、車にしてもそのとおりであります、人口にしてもそのとおりであります、工場にしてもそのとおりであります、そういうものをいわゆるいなかで、おとうさんとおかあさんと一緒に子供が団らんできるような姿にして、いわゆる豊かな均衡ある、都市も地方も住みよい豊かな環境の地域をつくることがこれが政治だと思う。それをやらなければならない。そういう意味で、私は道路という問題につきましても、あくまでも合意のない道路というものはあり得ない。地域住民の了承もとり、了解もとり、しかも道路という問題はその地域人たちばかりが反対したからといって、地域人たちばかりの利用する道路じゃない。いわゆる日本全体、あるいは東京でいえば東京全体の立場も考えなくちゃならぬということも当然だと私は思います。しかし、それにしても、強引に一方的にこれを強行するということは、これは考えなくちゃならない。こういう意味で道路の問題等につきましては、いなかに、市町村道について建設省も今度は大いに力を入れるというのもその辺にあるわけでありまして、私たちもその上に大いに力を入れるわけでございますが、まあ東京の再開発もさることながら、いなかをこのままの姿で置いたのでは、これは何のためにいわゆる政治があるんだということにもなろうと思いますので、都会の再開発あるいは地方開発、そしてともども国民が明るい生活ができるようにするというところにねらいがあると私は考えて、道路の問題も先生と考え方は全く同じであります。
  194. 寺前巖

    寺前分科員 そうすると、それをちょっと具体的にしますと、たとえばこういう問題はどうします。尼崎のところに、私いまちょっと例示をしましたが、第二阪神、途中まで二階建てというのですか、高架の路線があそこまで来ています。住民が抵抗している。もうこれ以上してもらったら住めないというのですよ。私も行きましてそう思ったですよ。だからこれはほんとうに住めないというふうに思うんですよ、あそこへしろうとが行っても。専門家で機械を持っていかなくても、行っただけでそう思うです。こういう事態が起こっている場合に、やっぱり住むということがそこの地域の環境の一番基本ですから、だからこういうような現実に直面している問題については全部再検討する、現実に明らかに地域住民が環境をこれ以上破壊してもらったら困るという問題ができている幾つかの地点の問題については、全面的に再検討するという態度を、いまの大臣の立場に立たれるならば支持してもらわなければならないと思うのですが、その点どうでしょう。
  195. 菊池三男

    菊池政府委員 実は、ただいま尼崎の問題か出ましたのでちょっと簡単に申し上げますけれども、尼崎はいま先生指摘のように、地元の方から反対という声が相当強く出ております。現在工事中止の仮処分の申請が出ているのでございますけれども、あの件につきましては、実は阪神高速道路公団でいろいろ高速道路をつくったために起こる弊害というようなことを全部計算しております。決して地元の方にいまの段階よりはよくなることはあっても、悪くなるようなことはない。そのかわり現在ある十車線の道路を一車線つぶして緑をつくるとか、いろいろな対策を考えているようでありますけれども、そういうことによって一応地元の方とお話をしてやりたいということで、いま盛んに現地のほうでは詰めているようでございます。
  196. 寺前巖

    寺前分科員 大臣、そこなんですよ。結局自動車はやっぱり集中させる計画が従来路線にあるのですよ。だから、環境を破壊してやりたくない、地域住民の声を聞きたい、こう言っても、具体的に行なわれている実態というのはそこへ来ておるのですよ。従来の歴史的な経過の上にそこまで来ているのですよ。ですから、それではせっかくの大臣の意見というのは、意見に終わって行政に反映されないことになってしまう。だから、住民が問題にしたということは明らかに事実なんだから、問題にした原因は何だったかというたら、尼崎というのはぜんそくの有名なところなんですよ。これ以上自動車を集中させたらたいへんだという地域なんです。その地域に自動車を集中することはもう明らかに当然なんだから、したがって、そこで生活環境の破壊が起こるからやめてくれ、基本的にそれだけのことなんだ。ですから、この実態についてはすなおに、従来そういう計画の路線の上にあったけれども、私はもう一度再検討してみるという態度をとられなかったならば、せっかくの大臣の御意見だけれども、それは御意見であってほんとうに仕事にはなりません。どうでしょう。
  197. 金丸信

    金丸国務大臣 その問題は、既成事実ができ上がってきておって、その過程の中で両方から持ってきてある。それでだめだということになれば、これはもう計画が、全部この道路が死んでしまうということになる。そういう意味でこれは十分な話し合いで、ただいま局長からお話がありましたように、地域住民の意向も聞き、理解も得ながら、これを何とかひとつ公害のないように、そして騒音のないように、振動のないように、こういうようなことを、あるいはいろいろなその他の問題があろうと思うのですが、そういう問題を含めて、対話をしながらこの問題をきめてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  198. 寺前巖

    寺前分科員 対話の姿勢を出されたということは、私はけっこうだと思います。あくまでも対話でやっていただきたい。これはぼくは大事なことだと思います。それにしても問題は、あそこに自動車を集中させる以上はあそこの大気汚染、これはもう決定的な問題になることは事実なんだから、集中させる以上はそういうことになるんだから、そうすると、せっかく路線をつくったからやり抜かなければしかたがない、やり抜いたとしましょう、そうしたら、やり抜いた以上は、排気ガスの状況というのは異常な状態に発展することはもう事実なんだから、そうすると自動車の規制を従来路線において手を打つとか、何か総合的な手も打たなければならぬだろうから、総合的なやり方についてもやはり従来の考え方をもう一度検討して、全体として地域環境の改善のために研究し直すということをやらなかったら、もったいないからということだけだったら、せっかくの大臣の御意見は生きてこないことになる。だから、そういう意味ではもう一度総合的に御検討いただけないものだろうか、もう一度お聞きしたいと思います。
  199. 金丸信

    金丸国務大臣 いま御指摘のように、この道路の問題につきましては、私も先般の建設委員会でも申し上げたのですが、都会の道路というものはつくればつくるほど悪循環になる、道路をつくられることは非常に迷惑だという人もおるわけであります。そういう点からいって、先ほどの先生の論法で言えば、その金をいなかに持っていく、市町村道を完備しなさい、こういう考え方にもなると思うわけでございますが、しかし、重要幹線につきましてはそういうことばかりも言っておられませんし、この問題はいろいろな創意くふうをして、そしてただいま先生からもお話がありましたように、いわゆる自動車台数の制限とかいろいろな問題も考えなくてはならぬだろうし、どちらにしても人間尊重という問題だけはおろそかにはできない。それを中心にしながら今後も検討してまいりたい、こう考えております。
  200. 寺前巖

    寺前分科員 それで、ひとつ総合的に検討してもらうとして、京滋バイパス——京滋バイパスはちょっと尼崎とはこれまた違うのですね。これはなぜかというと、阪神に対する集中路線の中間路線なんですね、京滋バイパスの状態からいうと。そういう位置になってくると思うのです。その京滋バイパスの路線が通るといわれている地域というのは、すでに一昨年の十二月に発表があったわけです。どこを通るかといったら、京都にとっては歴史的な非常に大事な地域であります宇治を通るのです。そこには三室戸という有名なお寺があって、たとえば一般の人がよく御存じの宇治の平等院というお寺があります、あるいは京都の町に聖護院というりっぱなお寺があります、これらのところの管長さんはこの三室戸のお寺へ行って勉強するのです。だから、三室戸と言って京都以外の人では知らない人が多いかもしれないけれども、平等院やあるいは聖護院の勉強するもとは三室戸というお寺のところに行くのですが、その裏山のところに出てくるわけです、路線計画が発表されたときのやつによると。そうしてそれが宇治川を渡ってずっと出ていくわけですけれども、この路線の持っておる性格は一体何だろうか。なぜかといったら、そこは一つは信仰の土地であると同時に、この地域は、住宅地域がその背後地にすぐあるわけです。緑を求めてここにたくさんの人が来たわけです。そこの路線を通ることになってきたために、せっかく期待をかけてここへ来たのに、これはえらいことだ。お寺の側からも問題になります。景勝地としてその地域人たちの問題になる。しかもそこに排気ガスを集中された日にはたまったものではない。一体その路線というのは、われわれ住民にとってどういう役割りをする路線なんだ。これはどうしたってそこの人たちには出てくる問題です。ですから、建設省としてこの路線がどういう性格を持っておるのか、あるいは地域住民にとってはどういう役割りをしようという路線にする計画を考えておられるのか、ほんとうに住民のためになる路線になるのか、単なる通過路線なのか、そこらについて局長さんからひとつ聞きたいと思います。
  201. 菊池三男

    菊池政府委員 京滋バイパスにつきまして、実はどういう目的かという御質問でございます。  ちょっと京滋バイパスについて申し上げますと、これは滋賀県の草津から大津を抜けて——現在国道一号線は、滋賀草津から大津を抜け、京都の町のまん中を通りまして、それから急に直角曲がりに南下いたしまして枚方バイパスに行っております。それをちょうど京都の町をバイパスするような形で、今度の京滋バイパスが計画されておるわけでございます。したがって、この道路の意義は、とにかく狭い、こんだ道路が特に京都の町の中へ入って、すべての交通がここを通らないと国道一号線に沿って関西の大阪のほうへ行かれないということでありますので、これをまず町の中を通らないバイパスする道路をつくって、この町の中の交通混雑を緩和するということが第一でございます。  それから、このルートを選びますときにも、これは全線で約二十八キロでございますので相当長い延長になりますけれども、なるべくそういう市街地あるいは住宅市街地を避けまして、事業費はかかりますけれども山の中へルートの選定をしてございます。特に京都府の管轄におきましては、ほとんど大部分が山の中であり、それから一部が巨椋池という干拓したところがございますけれども、まだあまり人家のないところでございます、これは準工業地帯でございますが、そういうところを選んで、なるべく地元の方の支障にならないルートの選定をしてございます。したがいまして、これはトンネル等あるいは橋梁等が相当たくさん出てまいります。  それから、ただいまの三室戸のお話もございます。これも地元との話のときに、やはり三室戸を通っては困るというお話も出ております。当初の案では、三室戸のところにちょうどトンネルから出てまいりまして、三室戸の裏側を橋で高架で抜けていこういうところでございましたが、いろいろ聞いてみますと、その裏山では滝のようなものがあって、いろいろ飲み水にしたりあるいはそこでからだを清めるというようなこともあるようでございますので、できるだけそこの部分ももっと裏のほうをトンネルというような形でできないかどうか、これを現在検討してございます。  それからもう一つ、この一部住宅市街地を通るのでありますけれども、その地元の方に何にもメリットがないではないかということでございますが、私どもこの地元の方につきましても、全部市街地の家のないところということはなかなか道路計画上ルート選定はできませんので、一番少ないところを選んでございます。またそこにつきましても、できるだけ構造的に地元に負担にならないように、高架構造にするかあるいはトンネルにする、あるいは一部掘り割り構造にするというような構造的な面で考えたいと思っておりますし、またこれは一部専用道路でございます。大津から国道二十四号線までの間は自動車専用道路でございまして、地元からその道路に直接の乗り入れができません。したがいまして、ただいまの市街地のあります宇治川沿いのその近辺につきましては、側道をつけまして、その側道によってその専用道路に乗り入れをする、またそこの側道は、ちょうどこの付近に宇治川を渡る橋がございませんで、上流と下流に宇治橋と隠元橋がございますけれども、そういうちょうど中間的に、また側道の橋もかけまして、地元の方が利用しやすいようにというようなこともあわせ考えていくつもりであります。
  202. 寺前巖

    寺前分科員 そうすると、いまお話しになった内容というのは、一昨年の十二月に発表された内容を再検討して、そうして住民から出た批判を受け入れての一定案をいま考えたのだ、その一定案がいま言った内容だということなのでしょうか。
  203. 菊池三男

    菊池政府委員 そのとおりでございます。前に提案いたしました部分と、トンネルの山のほうはあまり変わっておりませんけれども、特にこの市街の付近につきましては、構造的には前にお話ししてあるのと私のいま述べたのとはだいぶ違っております。またこれは、これから地元の方とそういうような方針でさらに御納得いくように御説明をして、納得を得て仕事にかかろうというような計画でおります。
  204. 寺前巖

    寺前分科員 地元の人は、一昨年の十二月に発表になって以後一度も話をしてくれない、何にも計画も、地元の意見が出たのに対してうんともすんとも言わぬでおいて、たなざらしになっている。これは非常に不満でして、だからさきの大臣答弁じゃないけれども、話し合いをするというのだったら、やはりすなおに問題を提起をして、そしてこれは地域住民にとってはこういうような問題がある、なるほどと言ってすなおに検討していくというのが基本でなけりゃならぬと思うのです。そういう意味から見たら、ぼくは今日まで長期にわたって、なぜ話し合いをされなんだんだろうか。そうして住民の意見を十分にくみ入れ、積極的にやはり打って出たい。そうして道路建設というのは、さっきも言ったように、いろいろな歴史的な経過でそこに住民がおるのだから、その住民の積極的な協力もないような建設というのはやはりあり得ない。したがって、その地域住民にも利益になるし、全体的にも利益になる、そしてそこの地域の環境は絶対に破壊しないという、総合的なものだろうと私は思うのですよ。そういう立場に立ったら、私は、積極的に具体案をもっとすなおに提起して、そして話し合いをやっていくべきだというふうに思うのですが、一体その辺の話し合いというのはどういうことになっているのか、聞かしてもらいたいと思います。
  205. 菊池三男

    菊池政府委員 地元に正式に発表したのは、お話しのとおり一昨年の十二月でございますが、その発表した反響も相当いろいろとございました。そこで、その後いろいろなルートの構造的な、先ほど申しましたような問題これはたとえばあそこに電車が通っております。三室戸からトンネルを出まして、さっき申しました市街地のところでございますけれども、そこのところを通るときに、当初は高架と申し上げましたけれども、これはたいへん困るというようなお話、これはいろいろ地建あるいは府あるいは市、そういうところといろいろ話をしておりますときに、いろいろと地元の御要望が出ております。そういうものを受けまして、構造的に相当変えたものですから、それに伴って構造的に変えれば——当然、下の都市計画の街路がたくさんございますが、そういう街路とその道路との結びつきが、いままではインターチェンジでできたものが、構造が変わったためにそこにできなくなって、またほかの場所に移るというようなこともありまして、そういう前向きな、何とか地元の方に受け入れてもらえる案にしていこうということで十分検討しておったわけでございます。したがって、今後、大体先ほど申し上げましたようにまとまりましたので、近く地元の方とお話をするという段階までいまやっとなったわけであります。
  206. 寺前巖

    寺前分科員 さきの大臣お話じゃございませんけれども、それこそ金に糸目をつけずに地域環境を保全するという立場に立って、ほんとうに一番納得できるやり方をひとつ見本的にやってもらいたいのですが、大臣、どうでしょうか。
  207. 金丸信

    金丸国務大臣 できるだけ、金も予算も限界があることですから、乱費することは差し控えなければならぬけれども、これがどうしても必要なものであるということであるならば、金をかけなければならぬだろう、こう考えております。
  208. 寺前巖

    寺前分科員 次に、琵琶湖の問題に——琵琶湖の問題というのか、天ケ瀬ダムの問題についてちょっと聞きたいと思うのです。  地元では、天ケ瀬ダムというのは非常に大きなダムなんですね。つくられるときには、地震がいったらどうなるじゃろうかとみんな心配していたのです。天ケ瀬ダムめところの岸壁は、ちょっともろいところがあるのですよ。あそこの横に府道が走っていますが、府道はしょっちゅうくずれるのですよ。みんな不安がっておったのですが、ダムは、幸いにして今日に至るまで事故はないわけです。イタリアのダムの地震における災害を見て、一時期心配したこともあるのです。それほどあのダム問題というのは、下流に宇治市という町があるし、さらに新しい町があそこに新開地として建設されていっているだけに、非常に心配されるところなんです。ところが、最近あの天ケ瀬ダムの水を確保する状況について、あそこにはメーンゲートが三つあって、九百トンそのゲートから取れるようになっておる。それから七十何メートルの高い上に溢流してきたときの措置として、数百トンそこからまた取れるようになっておる。なっておるけれども、どうも話によると、あそこのダムを千五百トン取れるダムに構造的にするらしいといううわさが町に流れだしたのです。それはほんまなのかどうか。一体どういう話になっているのか。話というのは、公式にはっきり言ってもらわないと——不安をつくってはならない。  そこで、天ケ瀬ダムのところに一体どれだけの容量というのですか、水を、いま九百トンのあれになっておるというところを、もっとふやすという体制での検討が何かされているのかどうか。その実情について聞かしていただきたいと思うのです。
  209. 松村賢吉

    ○松村政府委員 天ケ瀬ダムのゲートにつきまして、これは淀川の基本計画の改定と申しますか、これに関連するわけでございます。昭和四十六年の三月に、淀川水系工事実施基本計画、これが実は全面的に改定されております。これはどういうことかと申しますと、たび重なるいろいろな水害、それから雨の降り方、こういうことから、この淀川水系全体の安全率を高めるということもありまして、全面的に工事計画の拡大と申しますか、改定が行なわれたわけであります。そうすると、それによりますと、宇治川の計画洪水量が、御承知かと思いますが、九百トンでいままでやっておったのです、それが千五百トンに改定をされております。というのはどういうことかと申しますと、天ケ瀬ダム上流に降る雨と申しますか、これが前の計画よりも非常に大きい雨を想定しているというか、安全率を高めているわけであります。それで、そのためにこの天ケ瀬ダムからの放流量といいますか、これもふやさなければならないという現状にあるわけであります。しかし、これはいまのゲートを、ダムをいじってそこからそれを改造するというようなことは、非常に技術的に不可能なわけです。と申しますのは、御承知のようにアーチダムでございまして、あれにさらに穴をあけるということはできないわけであります。それでこれの放流をどういう形でやるか、これはいま技術的にいろいろ検討しておるわけですけれども、まあ一つの案としては水路トンネルでありますね、もちろん安全な地域でございますけれども、サイドからトンネルをダムに掘りまして、そこから放流するような方法はどうかというようなことでいまいろいろ調査、検討をしている段階でございます。
  210. 寺前巖

    寺前分科員 従来天ケ瀬ダム計画したときに、九百トンで計画したのでしょう。それがあなた、千五百トンというと、倍にはならないけれども、かなりのアップですわな。何でこんな大きな食い違いか——そんなに古いダムじゃないですよ、天ケ瀬ダムというのは。私、当時府会議員をやっていたくらいだからまだ若いのですよ、いまでも若いのだけれども。そう昔の話じゃないのだから、九百トンで計画しておったものが何で急に千五百トン計画に変わってくるのだ。ふしぎでかなわない。これは一体どういうことなんですか。
  211. 松村賢吉

    ○松村政府委員 淀川の前の計画でございます。これは二十八年の十三号台風でございますか、これをもとにいたしまして淀川の従来の全体の計画というものはできていたわけでございますが、その後たび重なる出水がだいぶありまして、これの全面的改定というものが叫ばれまして、これは調査、検討を相当長いことやっておるのですけれども、これによりまして淀川の洪水量の全面改定が実は行なわれたわけでございます。たとえば、淀川の本川の流量は、従来六千九百五十トンということで計画を実はしておった。これが実は一万二千トンにふえております。そういうことに全部関連いたしまして、全部の雨の降り方、それから雨が川にどう出てくるか、それがどういう時差で合流するか、こういうことを全部いろいろ解析、検討いたしました結果、昭和四十六年にこれを改定したわけでございます。それでこれに対する淀川の洪水の安全度と申しますか、それの背後の都市の大きさ、それからいろいろな経済的な問題入れまして、その河川によりまして、この安全度につきまして非常に安全にすべき重要河川と申しますか、淀川は第一級河川になっておるわけであります。そういうことにかんがみまして、この計画がこのように四十六年の三月に改定されたということでございます。
  212. 寺前巖

    寺前分科員 何ぼそう言うてもわからない。九百トンでいけるということで計画して、あのダムをつくったのでしょう。何で千五百トンというふうにべらぼうに急に計画が変わるのだ。そうすると、前の計画はえらいずさんだったのだ、いいかげんなことでやっておったのだとしか住民には思えないのだよ。その九百トンが千五百トン、何で千五百トンということになってくるのだろう。それで局長さん、あなたも初めて聞くのかどうか知らぬけれども、ふしぎでかなわぬ。それで、ともかくあの三つのゲートをばっとあけて、溢流水のところのゲートを上のゲートまでいくとなったら、あれの高さは七十八・五〇ですから、そんなところまでいかない。去年の洪水時期でも七十二メートルしかいかない。やはり九百トンなんです。だから洪水時期で九百トンを放流するというのは、いままでの中で一番大きかったときなんです。それを千五百トンの準備をしなければならぬというのは一体何なんだろう。そこで住民はみんな言うのだ。どういうことを言うかというと、琵琶湖の水を大阪へ持っていくためにその吐き出す容量をうんとふやすように、それで急に変わったんと違うか。みんな言う、ふしぎでかなわぬと。私もふしぎでかなわぬ。九百トンだったものが、急に千五百トンの吐き出しの準備に入れというのだから。局長さんのさっきからの答弁を何ぼ聞いておったって、何で千五百万トンにせんならぬのかということが一つも出てこない。どうですか。
  213. 松村賢吉

    ○松村政府委員 話が繰り返しになるかとも思いますけれども、これは、一つはその河川の安全度の問題になるわけでございます。当初の九百トンという計画、これは確率で申しますと八十分の一、八十年に一回程度起こる雨を対象にしているわけであります。それを今度は、河川の全体の安全度を高めるという方針のもとに百五十分の一の確率年度に高めておる。淀川全体といたしましては、下流はさらにこれは二百分の一ということになっておりますけれども、こういう安全度の問題が相当響いておりまして、雨の量、こういうものが対象になってくるというわけでございます。それと一つは、雨の降り方の問題でございますが、単に雨の強度の問題だけじゃなくて連続雨量と申しますか、雨の長さ、こういう問題が直接からんでくるわけであります。
  214. 寺前巖

    寺前分科員 何ぼ聞いてもわからない。雨の降る量も、全部ちゃんと歴史的に計算してこういうものだと思って九百トン準備したわけでしょう。八十年に一ぺんか何か知らぬけれども、いずれにしたって準備したのです。それが千五百トンでなければならぬという以上は、これは従来の計画にどこかずさんさがあったのだ、こう言わぬ限り、何ぼ言われたってそんなものわかりませんよ。要するに理屈が何もないのだ。だから前のやつはずさんだったのだとはっきり言うのだったら、そうか、ずさんだったのか、ずさんだったら信用ならぬな、今度のやつもわからぬなということになってくる。あまりにひど過ぎる。九百トンを千五百トンというのは、どうしたって琵琶湖の水のあり方を、大阪へ毎秒四十トン確保するというあの体制との関連性で、何かやはり体制を整えなければならぬのかなというしろうと考えのほうが世の中広がりますぜ。あなたの説明、あなた自身も、ほんまのところいま初めて気がついたのと違うか。何ぼ言われたって、そんなものわからへん。九百トンが千五百トン、あまりに数字が違い過ぎるもの。そうでしょう。何かまだ言いわけありますか。同じことだったらいいわ。もう一度出直してきなさい。さっきからの説明何ぼ聞いたって出てこない。わかりやすい言い分ありますか。
  215. 松村賢吉

    ○松村政府委員 九百トンと千五百トンということにつきましては、私のほうでは、その後の雨の状況から見ましてさらに安全度を高めた計画にしたということしかいえませんけれども、ただ、ただいま琵琶湖の水を使うためにそれをふやしたと考えられるということについては、私のほうがふに落ちないわけでございます。それはどういうことかといいますと、琵琶湖の水をふやすというのは四十トンということですね。片方は洪水のはける量の問題でございまして、これを四十トンふやすために、何のためにダムの放流量をよけいにしなければならぬか、これは私は理解に苦しみます。そういうことからいいまして、洪水のふえた理由について先生も御納得できないようでございますけれども、私のほうといたしましては、この河川の安全度を高めるためにこれをふやしたということを繰り返すわけで、琵琶湖の水をよけい使うためにふやしたということではないということだけははっきりと申し上げておきます。
  216. 寺前巖

    寺前分科員 だから、うわさがそれで広がるよと言ってるんです。なぜかといったら、九百トンが千五百トンになる理由は、世の中急に雨がよけい降るようになりましたとか、はっきり言わなければいかぬ。そんなこと言ったら笑われますよ。急に雨がよけい降るということはあり得ないんだ。急にそこに水が集中することになっていますね。これはこういう原因ですよと、原因をはっきり言わないんだったら、何ぼ聞いたって、私はさっきからの話、納得することはできない。ふえる量は幾つか要件はあると思いますよ。たとえば下水道を使って水の量が変わって集中するということをやりましたとか、集中させる度合いが変わりましたとか、集中度合いというのはありますよ。たとえば今日の洪水の状況なんかを見ておっても、昔だったら雨が降ってきたら、何時間後には水はたまってくるぞという常識を持っておった。ところがダムができておる、あるいは道路が全部舗装してある。水を集中する度合いになっているから、昔の経験では洪水というのがはかれなくなってきているでしょう、現実にいなかでは。それはぼくは、集中という度合いの問題が新しく加わったのだ、そういう条件を、はっきりとファクターを言われたのならば、なるほどということはあり得るかもしれぬ。それにしても九百トンが千五百トンというのは、あんまり違い過ぎるじゃないか。私はもうこれ以上やりません。同じことを繰り返して、同じようなことを言われているのだったら、これはもう一度目を改めて、わかりやすく説明する準備をしてきてもらうということにしたいと思うのですよ。そうして同時に、そこで地元の人が全部うわさからうわさを生んでいくんだから、それらを科学的に当局がきっちりしなかったらいかぬ話だから私は言うんです。  だからその次に出てくる話は、大体天ヶ瀬だけで何でせんならぬのかということです。何で調節していかなければならぬのか。たとえば天ヶ瀬の南郷洗いぜきの前には大戸川という川がある。ああいう川を見たって、ちゃんと調節するようにしたらどうだ。急速にふえる条件がつくんだったら、調節する条件上流部分においてやったらどうなんだ。これがまたうわさとして出てくるんだ。問題は何かといったら、九百トンが千五百トンになるという話が納得できぬところからうわさが広がり、いろいろ手を打てという話が出てくる。これはそういう筋道なんだ。そこで、さっきの繰り返しの答弁だったら、これはまた次回にしましょう。しかし同時に、そこで生まれてきている上流部分で手を打つ必要はないのか、大戸川はどうやってここに出ているのか、これについて何かの御意見があったら聞かしてもらいましょう。
  217. 松村賢吉

    ○松村政府委員 大戸川の上流にもそういうことでダムの調査はいまやってやります。また、いまの雨のふえた理由と申しますか、雨がふえたというよりも、川に流れ出るのが急速に流れ出るといったほうがいいのかもしれません。これは御承知のように、その後の流域のいろいろな変化等もありまして、川に流れ出る水の量が多くなっているということは間違いありません。(手前分科員「集中が」と呼ぶ) ええ。そういうことも加味して、しかも安全度を高める。安全度を高めるということはどういうことかといいますと、やはり宇治川周辺においては最近開発と申しますか、非常に人口もふえておりまして、非常に密集度も高くなっておる。それで安全度を高めなければならぬということも入っております。そういうことで総合的にこういうことになっているということであります。
  218. 寺前巖

    寺前分科員 あまり繰り返しをやっておったってあれだからやめますが、そうすると、今度はその千五百トン体制を天ヶ瀬の下流にしなければならぬことになる。いま九百トン体制でもって天ヶ瀬下流の地域住民の体制ができておるわけですよ。これで千五百トン体制に切りかえられるわけでしょう。そのために、いろいろ諸条件がまた下流に起こるんですよ。深く掘りまっせとか、たとえば宇治川でいったらまん中に塔ノ島という島があって、ここは京都府の府立公園ですよ。その府立公園を半分切りますよ。その千五百トン体制にするために掘りますけれども、掘っただけでは足りぬので、ちょっと島も取らしてもらいますよといって島も取ってしまう。そうすると、そこにかかっている橋はまた状況が変わってくる、こういうことになる。本川を深く掘ったら支川のほうは水が浅いですから、これは入らぬようになってくる。今度はそこには宇治市の下水道が入っているために、たまったも一のじゃないということになってくる。ところが、その支川のところにあるのは何かといったら、りっぱな有名な料亭があるわけです。たとえば山本宣治さんの花屋敷という有名な料亭もそこにあるわけです。これは観光地なんです。   〔藤波主査代理退席、主査着席〕 ここに船を係留してある。ウ飼いをやる。みんな狂ってしまう。だからそのことを全部計算に入れなかったら、気やすう気やすう九百トンが千五百トンだといったって、その体制自身がたいへんなことだ。  しかも、もうちょっと下流へ来ると何があるかといったら、銘茶がある。宇治の銘茶。銘茶というのは、深さ二メートルくらいの層を持たないところにはできないんです。そう簡単に銘茶の畑を変えるわけにはいかない。だから今度はそういうところの拡幅をやって、補償をせんならぬということになる。これらの千五百トン体制に入るとするならば、全面的にその地域住民の要求にこたえる体制でもつくり直すことをやらなかったら、そう簡単なものじゃないですよ。おわかりになりますか、その点の気持ち。そう簡単でないですよ。だから気やすう気やすう九百トンが千五百トンになった、それは安全度だというだけでは納得できない。だからそのことを明らかにすると同時に、もしも千五百トン体制でどうしても地域住民に理解してもらうならば、明らかにわかる説明のしかたを準備してもらうということと、下流に対してはそのかわり、変更が起こる場合に、その地域住民の要求に対して全面的にこたえるという体制がなかったならば、これはただごとではない。ちょうど先ほどの話の京滋バイパスと同じところにこの問題が集中してくるから、事がますますわっと出ているわけだ。局長さん、あとのほうのかまえのほうは万全の話になってますのか、その辺どうですか。
  219. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいまの下流の改修でございますが、この千五百トンの水を吐かなければならないということになりますと、これを減らすためには、さらに上流に大戸川その他ダム等を検討しなければならぬという先ほどのお話でございましたが、こういうのをいまの段階で検討して、しかも千五百トン必要だということなんでございます。それで、その千五百トンを流すにどうしなければならぬかということになりますと、方法としては川幅を広げるか、あるいは堤防を高くするか、下に掘らなければならぬ、この三つになるわけでございますけれども、このうちで私どもの採用しておるのは、掘さく方式と申しますか、河床を掘って流そうというのが主体になろうかと思います。そうすると、塔ノ島の一部も掘らなければならぬという事態にもなるわけでございますけれども、こういうことをやるのには、もちろん地元の皆さま方に十分納得していただかなければ、この工事ができないことはわかっております。それでこれにつきましては、もちろん工事をやる前には、私のほうとして宇治市等と話し合いをつけてやっていくつもりでおります。ただし、ここで問題になりますのは、私のほうとしては好きこのんで、千五百トンといいますが、よけいな水を流すようにしているのではない。これは安全度を高めるというか、その下流に住んでおられる皆さん方の安全を高めるためにやらざるを得ないわけで、このことにつきましては、私のほうといたしましてもこれをやらなければ安全に対する確信が持てませんので、ぜひやらなければいかぬ。こういうことを地元の皆さま方にもよく理解していただいてやっていきたいと考えております。
  220. 寺前巖

    寺前分科員 大臣、さっき以下の説明のとおり、九百トンで準備して、それでそれにふさわしい公園をつくり、それにふさわしい子供の遊び場もつくる、それにふさわしい観光事業も存在し、ずっとやっておるのですよ、その地域に住んでいる人たちは。それを急速に、これでは安全ではありません、千五百トンですよということでそれを変えろということになって、みんなの安全のためだからそれはそうしなければしかたがないのだということで、かさ上げ方式なんということを言っている。これはむちゃくちゃです。なぜかと言うたら景観地なんですから、景観地をかさ上げされてはそういうことは成り立たないということは明らかなんだから、掘るということになってくる。だから掘るということになってくると、さっき私が言うた諸条件が生まれるわけでしょう。だから九百トンが千五百トンになったという理由。もう一つは、繰り返しの話のようにはっきりしない。そこへもってきてこれはおまえたちのためだと言われた日には、地元の諸君は納得するわけにいかんですよ。そうでしょう。だから、ほんとうにそういう計画で今日までの社会環境がつくられておった。もしもそれを全面的に再検討しなければならないという事態の問題として千五百トンを提起するならば、積極的に、地元の諸君たちがそういう環境下で生活しておったのだから、その環境下の生活を保障する体制で全面的に私のほうで責任持って、この体制をつくっていきますよということを言わなかったら、おまえらのためにやったのだからがまんせいでは、これは筋が通らぬと思うのです。大臣どうでしょう。
  221. 金丸信

    金丸国務大臣 まことに申しわけない次第ですが、天ケ瀬ダムの話、きょう初めて聞かされた話でしたので、十分ひとつ研究して、勉強もして、これにどういうようにやるかいずれまたの機会にひとつ話し合ってみたいと思っております。
  222. 寺前巖

    寺前分科員 ただ、私の言うた話はわかるでしょう。九百トンで生活しておったのが千五百トン計画に切りかわって、地元のためだと言われたって、筋も通りませんよ。だからよく研究すると同時に、ほんとうにそれでは筋が通らないからもう一度九百トンの状況の上に立っての改善をやるという場合に、改善のために、それはやはり国が地元の人の要求を聞き入れるようにして改善をしていきますということを言ってもらわなかったら話にならぬと私は思うのです。どうでしょう。
  223. 金丸信

    金丸国務大臣 私が勉強さしていただきたいと言うことは、先生のいまおっしゃられる御意見も十分踏まえて、そして勉強したい、検討したい、こういうことでございます。
  224. 寺前巖

    寺前分科員 時間があれですから、最後にこれは一つ。これだけは聞いておかなければならぬと思うのですよ。  というのは、ものすごく木材が上がりましたね。それからセメントが上がってきておるのですね。うちらのほうでも一俵二百六十円だったのが六百円になってきておるのだ。六百円になっただけならまだしも、品物がないようになってきた。これが、個人がないようになってきただけじゃなくして、自治体が仕事をするのにこのセメントがなくなってきたのだ、今度は。それで岡山地方なんか聞いたら、どうも千五百円でも手に入らぬという話が伝わってきた。これは一体、実態はどういうふうになっておって、どういう体制にしてこれを乗り切ろうとしておるのか、これが一つ。  もう一つは、建設省計画の姿がこれだけ値上げ——たとえばうちらのほうで二百六十円が六百円になったら、これは二倍どころじゃないんですね。千五百円というような話になった。もっともっと大きい話ですよ。そうすると、これは建設全体に重大な影響を及ぼすのです。だから、そういう意味では、これは一たん上がったものは絶対下がりっこないですよ、歴史的な経過から見ても。そう考えたときに、建設予算についてこれは再検討しなかったら重大な障害が起こると私は見るのだけれども、大臣、起こらないという根拠があるのかどうか、私はそれについて聞きたいと思うのです。
  225. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 建設資材のおもなものにつきましての最近の動向を、時間がございませんので簡単に申し上げますと、一つは、御承知の木材価格の急騰の問題でございます。これは昨年の八月から上がってきまして、特に十二月になりますと、ピーク時でございましたが、対前年度同月比を見ますと二倍ぐらいになっておる。そのピーク以後は若干低落の状況でございます。それからもう一つ、問題はセメントの問題であります。これは価格面では強含みでございますけれども、大体横ばいでございますが、御承知のように中国地方とか中部地方、一部の地域におきまして需給の逼迫が非常に激しゅうございます。  このための対策でございますが、これも簡単に申し上げますが、まず木材の問題でございますけれども、これは林野庁が所管しておる措置が非常に多いわけでございますので、林野庁に政府として、建設省として要望しているわけでございますが、一つは国有林の繰り上げの伐採、民有林の出荷促進、それから御承知の木材の関係では、外材の緊急輸入が非常に多うございます。それから建設省として指導いたしましたことは、南洋材だとか合板材とか、そういう代替材を住宅資材につきましても利用するということで、住宅公団また地方公共団体に指導のための通達を住宅局長名で出しておる次第でございます。  それからセメントの関係でございますけれども、これは全体の需給のバランスということは一応とれているわけでございます。さっき申し上げましたように、局地的に需給が逼迫しているわけでございます。これはいろいろ調べてみますと、たとえば中国地方では山陽新幹線、また高速道路という大型工事が集中したこと、それから災害復旧工事が非常に多かった、それから山陰地方の暖冬異変による冬期工事が進捗した、それから骨材不足か部分的に——これは愛知県てございますけれども、あったようでございます、生コン生産へのブレーキがかかったこと、そういういろんな状況があるわけでございますので、建設省としましてもさっそく通道省、セメント業界と協議し、またセメント業界を再三呼びまして、そして一つは緊急増産体制というのを業界はとっております。御承知のように操業度が七五%、これが大体いま八五%から九〇%ぐらいになっております。こういう増産体制を今後も維持してまいりたい。それからセメント不足の地域に対しまして、中国地方、愛知県などは緊急出荷、具体的にはこれは九州地方から中国のほうにどんどん海上輸送でいま輸送していただいておるわけでございます。それから一番大事な災害復旧事業というような、そういう官公需に対しては優先的に配送する、その他そういういろんな要請をいたしておるわけでございます。すでに申し上げましたように、セメント業界の会長等を呼びましてその協力要請をいたした次第でございますけれども、同時に、地域別にもブロック別に官庁なりまたセメント業界、そういうものが地域連絡会議を開きまして緊急に協議するというようなことで、何度も会議を開いておる次第でございます。特にセメントにつきましては、こういう状況からいたしまして価格が上がるということが一番困りますから、価格が上がらぬように強く要請をしておる次第でございまして、今後ともこういうふうに指導いたす次第でございますが、こういう価格が上がったり、また需給のバランスが資材でとれない、そういうことによりまして予算執行上影響があるということは非常にゆゆしきことでございます。さっき申し上げたように、まずそういう対策を練って需給のバランスをとるということ、また価格が上がらぬように措置する、そういう安定政策をとることが大事でございます。そういうことと同時に、予算執行面についてきめこまかく各事業ごとに私どもいろいろ指導しまして、予算執行に影響のないように十分配慮したいというふうに考えておる次第でございます。
  226. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま局長から御説明申し上げたとおり、建設省もあらゆる方法でこの骨材の上がらない方法、品不足を充足するということで最善の努力をいたしておるわけですが、今後とも、この面につきましては十分に重大な関心を持って監視をしながら、物価の上がらないあるいはそうして物の不足しないように持ってまいりたい、こう考えております。
  227. 寺前巖

    寺前分科員 時間でございますのでこれでやめますけれども、現実には自治体が仕事をする場合に上がっておるのですよ。入らぬようになってきておる。ですから、そういうことのないようにしたいと大臣おっしゃるんだったら、地方自治体が困った場合には建設省に手を打ってもらえということで、わしのほうで相談に乗る、そんなべらぼうなことではわしのほうは困るからということで建設省として責任を持って、自治体の建設行政に対しても受けて立つように指示をしてもらいたいということをお願いして、私は終わります。
  228. 前田正男

    前田主査 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬野栄次郎君。
  229. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣並びに関係局長に下筌ダムのひび割れ問題ほか数点についてお尋ねをいたします。  蜂之巣城といってずいぶん全国を騒がせました下答ダム、最後まで反対し続けてついになくなられた室原さんがおられたわけですが、その方の霊がたたったともいわれて地元ではずいぶん心配しておりますけれども、この下筌ダムは、御承知のように昭和四十七年熊本県と大分県の県境を流れる津江川に完成した多目的ダムでありまして、この貯水池周辺の熊本県阿蘇郡小国町黒渕、室原と対岸の大分県日田郡中津江村一帯にたいへんな地すべりが起こりまして、山林、田畑、家屋、農道及び県道等、地割れが生じて危険な状態にあるわけです。このことについては地元の要請がございましたので、私、昭和四十七年九月十三日現地へまる一日参りまして、くまなく一件一件調べてまいりました。そしてその結果を、九地建の松原下筌ダム管理事務所をたずねまして、所長に、また課長にも八項目の申し入れを行ないました。時間の関係もございますので、詳細は建設当局もわかっておられると思うので省略いたしますが、その後所長からも私のほうに、熊本市まで出向いていろいろ中間報告が一回ありました。また、その後私ももう一度現地を見ました。その結果、原因がダム建設によって生じたものであることは明らかであり、建設省もそういうふうに認めておられるわけでありますが、このまま放置すれば大惨事が将来起きるということが懸念されて、地元はたいへんおののいております。そういったことで早急な対策を強力にやっていただきたい、こういうように思うわけでございまして、まずこのことについて、公開の席でまだ発表いただいておりませんので、あらためて建設省の調査の結果、これがいかなる原因によって起きたか、最初に明確に御答弁いただきたいと思います。
  230. 松村賢吉

    ○松村政府委員 下筌ダムの貯水池周辺の地すべりにつきまして、昨年十一月、国立研究機関の専門家に調査を依頼して、十二月にその報告を受けております。その報告の中に、貯水池の水位の変化、これに比較的関連があると思われ、また早急な措置を要するとされておりますのが二カ所ございます。一つは田台地区の北部斜面、これが四月ほどにつきましては非常に危険であるということで、これに家屋移転の措置を実は地元とお話し合いをいたしまして、現在においては大かた了解をいただいておるというふうに思います。また崩落のおそれのある、この場合農道地区、これにつきましては用地の取得——これは家屋がございませんので用地の取得になりますけれども、これを関係者とお話し合いをいたしまして、一部を除きましてこれも御了解を得ておるというふうに聞いております。その他やはり地すべりを懸念されていました地区が四カ所ほどございますが、これにつきましては、貯水池の水位の変化による影響と申しますか、これはおそらく非常に少ないであろうとされておりますし、危険も少ないというふうに報告になっておりまして、これにつきましては今後の監視、それから観測、これを続けていきまして、必要に応じて適切な処置を講じたいというふうに考えておるわけでございます。
  231. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 局長、それじゃ原因は、ダムによるこういった地割れである、また崩壊であるというふうにおっしゃるわけですね。
  232. 松村賢吉

    ○松村政府委員 田台地区、それから農道地区、これにつきましては、ダムに貯水して、それの水位の変化によっての影響であるということがいえると思います。
  233. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 そこで、先ほどおっしゃったこの一帯には二十六戸くらいあるわけですが、四戸については、すでに地元の新聞にもいろいろ報道されておりますように、地割れの補償が妥結して、五千十五万円の補償額というようなことでいろいろ交渉ができておるわけですけれども、残りの二十二戸は、これは四地区にわたってあるわけですが、これらのところも当然同じ原因によって起きていることは明らかであります。そういった意味で、こういった認定漏れをどうするか、早く認定して不安のないようにすべきだ、こういうふうに思うのですが、いまの答弁ですと、田台地区と農道地区だけをおっしゃって、あとそうでないような意味のことをおっしゃるけれども、その点、ひとつ明確にお答えいただくと同時に、この残りの家屋についても今後の監視を厳にして、必要に応じて処置するというような話でありますけれども、そんなことをやっていてもし大惨事でも起きたらどうするかというように思うわけです。またあとでいろいろ質問するわけですが、その点を明確に、もう一度お答えいただきたいと思います。
  234. 松村賢吉

    ○松村政府委員 田台地区につきましては、その北部斜面の四戸、それを含む地域、これのみがダムに原因がありまして、その他の南部、あと残っているところでございますが、これについてはダムが原因ではないし、しかもこれについては不安はないと、私どもは調査報告その他から判断しております。
  235. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣も、あとでお聞きしますので、よく聞いておっていただきたいと思うのですが、二月の二十一日午前十時半ごろ、どどっというものすごい音がしまして、地鳴りがあったわけです。建具が倒れたり、また物置きのいろんなものが落ちてくるということがありました。ところが、さらに続いて同日の午後六時半に、またそういう地鳴りのするような地響きがあった。一日おいて二十三日の午前十一時二十分ごろにも、また同じような現象があったわけです。地元の人は、地震かと思って外へ飛び出して、たいへん戸惑ってびっくりしたのですが、九地建のほうに調べてもらっても地震の記録はないということで、おそらくこれは地すべりの前兆ではないかというので、みなたいへん不安がっております。われわれしろうとが見ても、地元の人たちの話を聞いても、深い地下に空洞か何かがあって、それにダムの水が満水したために入り込んできた、そしてどんと何か圧力によってそういう地鳴りが起きたのじゃないか、こういうふうなことを地元の人は言っておるわけです。九地建の調べによると、伸縮計、またひずみ計、傾斜計などの測定器なんか異常はなく、地割れには変化はない、こういうふうに言われておるようでございますが、住民は、このままほっておいたのではたいへん心配なので、早く残りの二十二戸についての認定漏れを認定をして補償等をやり、移転をするなり、また補強するなり、いろいろ適切な対策を早急にしてもらわなければたいへん心配である、もっと深くボーリングをしてもらいたい、調べてももらいたい、さらに地震計も必要ではないか、もう少したくさん地震計をつけてもらいたい、専門家も派遣していただいて、こういった現象が続いたわけでございますので、ぜひひとつ不安のないようにもう一度徹底した調査をしてほしい、こういうようにいわれておるわけです。もちろん局長のお耳にも入っておることと思うが、その点についてはどうですか。ぜひもう一度専門家も派遣してもらいたいと思うのですが、そういった点について地元からの連絡を受けておりますか。
  236. 松村賢吉

    ○松村政府委員 先ほどの鳴動と申しますか地震、これは私は正式な報告ではなくて、新聞その他で多少知っておりますけれども、また九州地建からも係の一応報告を、報告と申しますか知らせを受けております。しかし、それによりますと、これはダムの湛水に関係あるとは考えられないし、先ほど先生が言われたように、いま設置してある計器その他全部異常ないというふうに聞いております。そういうところから見まして、この問題につきましては、私どものほうとしましては現在のところ問題はないと考えておりますけれども、さらにこれにつきましては現地のほうで観測その他を続け、その結果によって、問題があるようでしたらさらに考えていきたい、検討していきたいという.ふうに考えております。
  237. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 問題があれば検討していきたい、こう言うのですが、これはもう問題が起きたらおそいのですね。いつでも問題が起きてからばかりですね、現に地割れがしているのですから。私も写真が二百枚あるのですけれども、これは地元の熊本日日新聞なんです。これは三月二日の新聞ですが、あったものですから手っとり早く持ってきたのですけれども、家の中がこんなに割れておりまして、大臣あとで見てください。地元はほんとうにたいへんなんです。これは地元の一流紙ですが、毎日のように新聞記事が出て、キャンペーンを張られている。またその要請を九地建にもお願いしておるわけですね。こういった機会があったものだから私取り上げておるのですけれども、各家の床の下みんなそうなんですね、そんなに割れている。農道も、また畑の中もそうなっているのです。ちょうど、ダムが逃げていくところの谷合いがありまして、山をスコップで掘って落とすようなかっこうに、くわ型式にずっとひびが入っているわけです。だから、しろうとから見ても、おそらくダムサイトの下に何か地盤が弱かったか、ダム建設時に何か軟弱なところがあって十分調査されずにあったのか、また何かの関係で石灰質の空洞があって、そこに水が流れ込んだものか、いずれにしてもダムができたことによって起きたことに間違いないのですから、これは地元にとってはたいへんなことで、一夜にしてこれが崩壊して昨年起きたあの天草の姫戸また竜ヶ岳、倉岳のような、ああいった大惨事でも起きたのではたいへんだ、こう思って心配しているわけです。  もちろんダムは、完成した後も補償の契約はなされているわけですから、当然そういった面で十分配慮していなければいかぬことはおわかりのとおりですから、ぜひひとつこういったことの対策を立ててもらうと同時に、もう一度専門家を派遣して、ボーリングを深くするなり、また検査を綿密にして、地元の人が安心するような十分な対策をしてもらいたいと思うのです。ダム完成後といえども、そういったダム建設によって災害が起きた場合は当然補償することで契約がなされておるわけですから。だから、地元では室原さんの霊がたたったのだとかどうだとかいって騒いでおるわけです。  いろいろ申し上げておると切りがないのですけれども、地元では、現在行なわれている減水幅が、ちょうど落水量が一日四十から五十センチ落としているのですけれども、地すべりの原因調査にはこれではならないので、一日一メートルぐらい減水して調査してほしい、ダム放水後地割れが起きた、その原因等は一メートルぐらい落とさないとわからないだろう、こういうふうにみんな言っているわけですね。四十ないし五十では少ない、だから地割れについて、ダム放水が原因であるということは、このあと残りの二十二戸もみんな言っているわけですから、どうかひとつ、こういつた調査をすると同時に、減水のこれはすぐにでもできるわけですから、さっそくこれだけはやってもらいたい。そうしてあと、地元民は地割れによって水がたまるためにたんぼがつくれない、また地下水が漏るために農業ができないということでいろいろ被害を受けておるわけですが、こういったものについても、これはひとつ物質的な損害に対する補償もしてもらいたい、こういうのです。局長この点どうですか。
  238. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいまの新聞に出ております地割れ等につきましては、私どものほうで聞いておりますのは、自然に発生したもので、その後の変化はないように聞いておりますし、これは調査団も確認いたしましての報告をされたというふうに聞いております。ただし、いろいろ地元の人が不安になっておるということにつきましては、私どものほうも深く責任を感じておるわけで、これについて私どものほうといたしましても、さらにその観測調査、こういうものは続けまして、地元の皆さんが安心されるような措置はとっていきたいというふうに考えております。
  239. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 そこで大臣、いままでいろいろお聞きいただいたと思いますが、大臣にこの点締めくくりの意味でお伺いしますけれども、いま地元の熊本日日新聞にも出ておりますように、毎日のように写真入りで出ているわけです。それでもう地元の議員は何をしておるのかとわれわれも言われるくらい、また私も現地に行ったりして調査もたびたびやっておりますが、建設省の調査では、室原地区を四つのパートに区切って地盤や地質を調べておるわけです。総合的に見て、きめこまかさが足りないというようにみんな言っているわけです。もっと総合的にとらえてみる必要があるのではないか。かつてイタリアのバイオントダムでは、十数年前、地すべりによるダム崩壊事故が起きておるわけですね。ああいったバイオント地区の大規模の地すべりはまず心配がないとしても、一部の住家や住民に迷惑がかかるのも見のがせないものだと私は思うのです。ダム本体やダムサイトの安全性ばかりに気をとられてもいけないし、この際、もっときちっとした対策が望まれる。そして地域住民の不安を除いてもらいたい。単なる技術上のミスとして片づけられない性質のものでありまして、ダムづくりはあくまでも手段であって、目的は住民福祉ということでございます。そういった意味から、局長はああいう答弁をしておられましたが、大臣としてもどうかひとつ、これにはあたたかい手を下していただいて、もっと地元の要望にこたえるような対策を、さらに調査をしてきちっと施策を講じていただきたいと思うのです。ひとつ大臣の御見解を承りたいと思うのです。
  240. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま局長から述べられたとおりでございまして、私も下等ダムについてはまだ見たことがないものですから、一度ひとつ視察したい、これはかねてからの私の念願でありますが、私の視察ということになりますと国会が済んでからということでございますから、その前に十分間違いのないように調査するような総合的な調査、よく現地と連絡をとりながら住民の安心のいくようなことを考えてみたい、こう思っております。
  241. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣現地にも行ってみたい、こういうことでございます。ぜひそうしていただきたい。国会中は私もよくわかりますので、また早い機会にぜひひとつ、そのように現地を見て対策を講じていただくようにお願いします。そうしてそれまでの間に、いろいろいま言ったように不安におののいておりますので、どうかひとつ早急な対策を講じていただきますように、よろしくお願いします。  次に、阿蘇郡長陽村の白川ダム問題で、これも昨年まで、例年私、この分科会質問しておりますが、いよいよ大詰めになってきたわけです。  この一級河川、阿蘇山のふもとから流れております白川、この白川の上流であります長陽村の地点に、いまいろいろと計画されております白川ダムの問題であります。時間の関係で詳しいことを申しませんが、熊本市の二十八年のあの大水害を思い出したときに、自然保護の関係もありますが、どうしてもここはダムをつくってやらねばならないということで、いま開かれている県議会でもこれが大きく問題になっております。そういった意味で、その方向で建設省も進めていただいておりますけれども、災害防止の上から、これは多目的ダムでなくやはり防災ダムとしてやることが望ましい、こういうふうに思うわけでございます。建設省のこの白川ダムに対する構想をお伺いしたいと思います。
  242. 松村賢吉

    ○松村政府委員 白川ダムにつきましては昭和四十四年度から予備調査地点として取り上げて調査しているわけでございますけれども、この付近は阿蘇溶岩地帯にありまして、特に地質についても細密な調査がダム建設のためには必要だとされております。ところがここは国立公園でございまして、原生林等がございますので、環境庁、文化庁、こういう方面との関係がいろいろございまして、立ち入っての十分な調査というものがいままではなかなかできなかったわけでございますけれども、最近よくやく環境庁等と調査のための立ち入りについて了解ができましたので、今後調査を促進していきまして、なるべく早期に着工したいというふうに考えております。  ところがこのダムにつきましては、洪水調節がどうしても主体になります。できれば多目的ダムということも考えないではありませんけれども、下流の安全を十分にしてその上の利水かと思いますので、やはり洪水調節を主体にして、それで余裕があれば利水というものも加味していきたいというふうに考えております。
  243. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 一応時間の関係もありますので詳しく聞くことができませんが、そういうことで進めていただくとして、おととしのこの分科会質問しましたときも、四十八年ごろには着工するというようなことでございました。ただいまもいろいろお話がございましたけれども、ことしじゅうには青写真を焼いて着工できるようなことになる見通しでしょうか、来年に持ち越されますか、その辺はどうでしょうか。
  244. 松村賢吉

    ○松村政府委員 まだこれから調査するわけでございますので、その調査の結果を見ませんと、来年できるというようなことはちょっとまだお約束できません。
  245. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 いろいろ事情もあると思いますので、この席ではお答えがむずかしいかと思いますが、地元のほうの要請が強いし、また県側も重点事項の一つに入れて進めておりますので、ぜひそういうことで進めてもらいたいと思います。  そこで環境庁の自然保護局長、きょうおいでいただいておりますからお聞きします。この白川ダムについては北向山の原生林等があります。もちろんまれに見る原生林でございまして、日本でも鉄道から近いところにこのような原生林があるということは珍しいとされております。私も自然保護の面では人後に落ちないつもりでこの保護には当たっておるのですが、自然もなるべく残すと同時にダムもつくる、またダムサイトの場所によっては北向山の一部をどうしても湖底に沈めなければならぬというような場合も起こってくると思います。こういったことで環境庁もいろいろ検討していただいておりますが、環境庁としてのこの白川ダムに対する御見解を、自然保護の立場からお聞きしておきたいと思います。
  246. 首尾木一

    首尾木政府委員 先生お話しのような御趣旨に沿いまして、昨年以来現地の公園管理事務所それから九州地建、熊本県の三者でいろいろ協議をしてまいっております。検討してまいっております。やはりその設置の位置が問題でございまして、御指摘のような北向山に影響を与えるというようなことについては、環境庁としましてはどうしてもこれは避けていただきたい、こういうふうな考え方でございます。このような考え方から、ごく最近現地におきまして、もともと予定をしておられましたところよりもだいぶ下に下がりまして、この辺の位置ということでおおむね了解点に達したようでございます。その線に基づきまして今後調査ボーリング等を進められるということになっていると聞いております。
  247. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 その点は一応了解しました。  もう一点、この白川ダムと関連してお伺いしておきます。これはひとつ局長からお伺いしますけれども、この白川ダム建設に伴いまして、利水面の一環として——御承知のように熊本には金峯山という、夏目漱石の峠の茶屋で有名な山があります。あれの裏側が熊本県飽託郡河内芳野村になっておりますけれども、この一帯は果樹園地帯、特にミカンの樹園地でございますけれども、ここ十数年ほとんど大なり小なり干ばつを受けて水不足で悩んでおります。今回の白川ダム建設によって、ダムの右岸、左岸の高遊原一帯または大津一帯の開拓地の田畑に対するかんがい用水を、また一部熊本市の部市用水としてこれを取る、と同時に、その一部をぜひこの機会に金峯山の河内芳野村のミカン園三千ヘクタールあるわけですが、ここへ水を引いて利水をする、これをやってもらいたい、これも計画の中に入れていただきたい。この機会をはずしたのでは将来チャンスがなくなりますので、いますぐに御返事できないかもしれませんが、よく検討していただきたい、このことを申し上げるのですが、局長から御見解を承りたいと思います。
  248. 松村賢吉

    ○松村政府委員 先ほども申し上げましたように、まだダムの規模等もきまっておりません。これから地質調査によりまして、そういう利水面のほらの余裕と申しますか、これも含むダムとすることができるならば、そういうこともあわせて検討していきたいと思います。
  249. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 時間が迫っておりますので、あと若干お聞きしておきたいことで通告しました問題をお尋ねします。  この白川ダムに関連して白川改修、今年はどういうふうな見通しであるか。と同時に、白川沿岸の河川敷の家屋移転が例年問題になっておりますが、これも県、市、国、三者でいろいろ話し合いをして進めていくことになるのですけれども、特に当面熊本市内の石塘の移転問題がいろいろ取りさたされております。時間の関係で詳しく申し上げられませんが、不安のないようにひとつ対策を講じてもらいたいと思いますが、この点について簡潔にお触れいただきたいと思うのです。
  250. 松村賢吉

    ○松村政府委員 白川の改修は、熊本市街地の狭窄部の拡幅、これを重点的に施行しているわけであります。昭和四十七年度には世安と子飼地区、これの用地買収と築堤工事を主にしまして、用地買収については県や市の先行投資、こういうものを含みまして約五億六千万円をもって、自治体と一体となってスムーズに進捗をはかっております。四十八年度も世安、子飼両地区の改修を中心に、白川橋の継ぎ足しとか用地買収事業の推進をはかってまいりたいと思っております。  なお、白川の河川敷の家屋移転、これは不法占用の面でございますが、これは四十二年の六月に白川を一級河川に指定して以来、昭和四十三年七月に白川の不法占拠対策協議会を設置いたしまして、建設省熊本県、熊本市の三者による白川不法占拠対策本部を四十四年十一月に発足させまして、地域の総合行政の一環といたしまして協力を求めながら、地域住民の理解を得て、昭和四十五年度から家屋移転に着工しました。そして総数五百八十三世帯のうち、昭和四十八年二月現在までに百三十六世帯が移転を完了しております。今後さらに移転の促進に努力したいと思っています。
  251. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 いまおっしゃったようなことは十分わかっているのですが、時間の関係もございますので……。いま熊本市内の石塘地区の移転問題がいろいろ取りざたされておりますので、十分これにはひとつ対策を講じて、住民が安心して納得いくような対策を講じていただくように、これもまたお願いをしておく次第です。  それからもう一点は、実は白川改修の、やはり堤防が原因だということで、実は熊本市の中原町のほうで地盤沈下が起きて、これは九地建の熊本工事事務所のほう等でもいろいろ調査していただいたわけでありますけれども、この原因がわからないといわれておりますが、実際には地盤沈下で地形が傾斜して農作物の植えつけが困難で、水田が四月ごろまでに何とかしなければどうもならぬということで、専門家の意見を聞いてからということになっておりますけれども、早くしていただかないと、おそらくは白川の下流の堤防の改修に基づいてこのような地盤沈下が起きている、こういわれておりますが、これは承知しておられますか。これは地元のほうではたいへん新聞をにぎわしておりまして問題になっております。この対策をぜひ講じていただきたいと思いますが、簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
  252. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この地盤沈下の問題については、実はまことに申しわけない次第ですが、私のほうは聞いておりません。聞いておりませんが、もし河川工事が原因であることが事実だとすれば、早急に対策を立てるように地建に指示いたします。
  253. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 それじゃ時間も参りましたので、最後に一点だけ聞いて、せっかく来ていただいておりますのでお願いしたいと思いますが、ただいまの件はぜひひとつ現地の事情を聞いていただいて対策を強力に講じていただきたいと思います。  最後に簡単にお伺いをいたしますが、熊本市の江津湖公園が都市公園整備五カ年計画によって五年計画でいま整備中でありますけれども、上江津湖、下江津湖九十二ヘクタールのうち四十・五へタタールがオープンしておりまして、残る五十一・五ヘクタールを整備するということで、これにはたいへんな金額新規事業として、新しい試みとして期待をしておるところであります。ぜひひとつ国のほうからも力をかしてほしいわけですが、これに対する国のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  254. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 お話しの江津湖公園の整備につきましては、加勢川浄化水域事業と関連さすことで、この五カ年計画の中で整備を促進したい、現在検討中でございます。
  255. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 それじゃ今後よろしく。  以上で質問を終わります。
  256. 前田正男

    前田主査 これにて瀬野栄次郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管、郵政省所管及び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  257. 前田正男

    前田主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年  度特別会計予算運輸省郵政省及び建設省所管、並びに昭和四十八年度政府関係機関予算中日本国有鉄道及び日本電信電話公社関係に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 前田正男

    前田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が無事に終了することができましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。  これにて第五分科会を散会いたします。    午後七時四十四分散会