運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-06 第71回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月六日(火曜日)     午後一時二分開議  出席分科員    主査 前田 正男君       足立 篤郎君    小澤 太郎君       瀬戸山三男君    藤波 孝生君       阿部 昭吾君    太田 一夫君       久保 三郎君    柴田 健治君       田邊  誠君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    兼務 宮崎 茂一君 兼務 佐藤 敬治君    兼務 村山 喜一君 兼務 八木 一男君    兼務 山口 鶴男君 兼務 柴田 睦夫君    兼務 田代 文久君 兼務 坂井 弘一君    兼務 内海  清君 兼務 塚本 三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         警察庁交通局長 片岡  誠君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         文化庁次長   清水 成之君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設大臣官房会         計課長     山岡 一男君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁)  富樫 凱一君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   辻原 弘市君     田邊  誠君   岡本 富夫君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     太田 一夫君   近江巳記夫君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   太田 一夫君     久保 三郎君   沖本 泰幸君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     柴田 健治君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     辻原 弘市君 同日  第一分科員宮崎茂一君、佐藤敬治君、第二分科  員山口鶴男君、内海清君、塚本三郎君、第四分  科員村山喜一君、八木一男君、柴田睦夫君、田  代文久君及び坂井弘一君が本分科兼務となっ  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算建設省所管  昭和四十八年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。金丸建設大臣
  3. 金丸信

    金丸国務大臣 昭和四十八年度建設省関係予算の大綱を御説明申し上げます。  建設省関係昭和四十八年度歳入歳出予算について、その概要を御説明いたします。  まず、建設省所管一般会計歳入歳出予算は、歳入に八十九億八千七百余万円、歳出に一兆七千六百四十五億二千八百余万円をそれぞれ予定いたしております。  このほか、歳出について、総理府の所管予算として計上されているもので、建設省に移しかえを予定される経費がありますので、これを合わせると、昭和四十八年度の建設省関係歳出予算は二兆百十九億三千二百余万円となり、前年度補正後の予算に比べ、一千百五十二億五千七百余万円の増加となっております。  なお、このほか、国庫債務負担行為として、公営住宅建設事業費補助その他に、一千二百七十九億四千八百余万円を予定いたしております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、道路整備特別会計予算総額は、歳入歳出とも一兆一千七百十九億七千八百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として八百四十二億七千九百余万円を予定いたしております。  また、治水特別会計予算総額は、歳入歳出とも四千百七十八億一千六百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として三百九十七億九千七百万円を予定いたしております。  また、都市開発資金融通特別会計予算総額は、歳入歳出とも百九十七億三千九百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省関係分歳出は二百二十六億一千二百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として二百二十七億七千七百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、相対的立ちおくれが著しい社会資本の充実、土地対策強化等の各般の施策を進め、国民生活安定向上と国土の均衡ある発展に努力する所存であります。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十八年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 前田正男

    前田主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 前田正男

    前田主査 質疑に先立ち、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行われますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。
  6. 田邊誠

    田邊分科員 日本列島どこを見ましても非常に都市化しつつある状態でありますが、われわれとしては、非常に過密過疎になりつつある現代の状態というものをこのまま放置するわけにはいかないというふうに前々から指摘をしてまいったのでありますが、政府施策はこれに適応しないという状態でございます。  つい最近、田中総理日本列島改造論を言っていますけれども、しかし、高度経済成長政策というものをそのままにしておいて、はたして列島改造ができるかどうかということについては、われわれは大きな疑問を持たざるを得ないわけであります。しかし、いずれにいたしましても、現在までの首都圏をはじめとする地域人口集中をしておる状態というものは、排除しなければならないということになっておると思うのであります。  ところが、いままで政府なりあるいは建設省は、この過密化するところ都市状態というものをそのまま放置しておいて、そこに集まっている人口をどうやって毎日毎日の生活をやらせるか、やってもらうか そのために必要ないろいろなものをどうやって供給するかということに主眼点を置いて施策を進められてきたと思うのであります。その最大のものが何といっても水であります。水は特に都市において非常に不足をする、こういう状態であります。首都圏をはじめとした都市集中の中においては、特にこれがいわれてきておる。われわれは適正規模都市構造を考えなければならぬ、こう言ってきたわけであります。そういった点から見れば、いままでのこの過密都市対象にした水の需要という考え方、そのためにいろいろな利水をしなければならぬという考え方、これは私はあなた方の立場に立ってみても変えていかなければならない、少なくとも修正しなければならない、こういうふうに思いますけれども、大臣いかがですか。
  7. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、ただいまの建設行政というものは、いままでのような建設行政であってはならない、総理の言うことばじゃないが、国破れて山河ありという、その時代といまの時代とはおのずと違っている。この時点において建設行政というものは、住民本位人間本位考え方でやらなければならない。いろいろ時間を長く申し上げますと質問に御迷惑をかけますが、基本的には私はそういう考え方でおります。
  8. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、この水は、建設省の「広域利水調査第一次報告書」等を見ますとますます足らなくなってきている。昭和六十年には、生活用水が二百一億トン、工業用水が三百九十四億トン、農業用水が五百八十四億トン、そのうち河川に依存する度合いというものが約九〇%でありまして、全体の需要の千百七十九億トンに対して九百六十一億トンを河川に依存するということにいままではなっておるのでありす。この昭和六十年を展望した水需要に対して、河川に約九〇%を依存しながら、しかも四百六十一億トンの新規の河川開発をしなければならぬ、こういう構想でもって進められてきたと思うのでありますけれども、私はこの考え方自身も、いまの大臣ことばを受けてみれば改めなければならぬ、こういうふうに思っておりますけれども、これは河川局長でけっこうです。どうですか。
  9. 松村賢吉

    松村政府委員 広域利水調査でもって調べましたただいまの需要量、これにつきましても特にいま先生めおっしゃったような趣旨、これはある程度盛り込んでおるわけでございまして、特に工業用水関係についての需要想定、そういうものにつきましては現在の伸びをそのままとっているわけではなく、なるべく抑制するような考え方も入っておるわけです。しかし、生活用水伸びというものは文化の向上生活程度向上のためにどうしても必要だということで、そういうことを踏まえての上の需要になっております。ただし、その後、田中首相等のいろいろの日本列島改造等がございまして、その内容につきましてはいろいろと検討しておりますけれども、そう大きな差はないものといまのところは見ておるわけでございます。
  10. 田邊誠

    田邊分科員 いろいろな事態に対応することを織り込んでと言いますけれども、私は根本発想から改めなければならぬ、こう思っているのです。もちろん生活用水水道については、その後の状態から見ても、建設省のいいました二百一億トンというのよりもっと必要だろう。水道計画昭和六十年には一日大体一億トン、年間大体三百十億トンくらい必要だろう、こういうこともいわれております。その需要はあるにいたしましても、しかし、その地域的なバランスという点はいままでの考え方と違って、ただ単に都市、たとえば東京なら東京過密都市に何でも水を供給すればいい、こういう形にはならぬ、この点そうですね。
  11. 松村賢吉

    松村政府委員 そのとおりでございます。
  12. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、特に私が問題にするのは、これは建設大臣もその郷里は山梨県でありますから、含めていわゆる首都圏、それから首都圏をめぐる関東地域、この水の需要供給関係は、地域的に見た場合には変わってまいると思うのです。このことをひとつ念頭に置いていただかないと、これから先の建設行政は誤りをおかすというように私は思っておるわけであります。したがって、東京水不足だ、供給しなければならぬ、いわばこれだけの発想ではならないというように私は思っておるわけであります。  もう一つだけお伺いしておきたいのは、東京水不足だといいますけれども、その中でもって生活用水、ほんとうに飲料水でもって使っている部面というのは度合いがだんだんと少なくなってまいりまして、これが三分の二から半分ないし三分の一、こういうようにだんだん減ってきたのであります。これは将来、はたして大体どんなぐあいにその案分を考えていらっしゃるのですか。
  13. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまその数字のデータは持っておりませんけれども、考え方といたしましては、一時工業用水等の占めるウェートがだいぶふえてきておりましたことも事実でございます。しかし、最近の趨勢といたしましては、工業用水需要の増というよりも都市用水、主として生活用水でございますが、これの単位当り水量と申しますか、こういうものの増が目立ってきておりまして、だんだんその位置が変わってぐると申しますか、生活用水需要伸びが多くなりまして、工業用水のほうは、特に首都圏のうちでも東京とか東京近郊、こういう付近においては非常に少なくなっているという傾向でございます。
  14. 田邊誠

    田邊分科員 これはひとつあとでその資料を提出していただきたいのであります。  特に近年、工業用水伸びが非常に著しかったのが鈍化した、こういう話は私は頭打ちの点でもってわかりますけれども、しかしまた、いろいろな開発を進めながら工業用水を使う部面が非常に多い、それはある程度規制をしなければならぬ。将来の一つ考え方をまとめるとすれば、大体東京なら東京の水というものについては、生活用水は六〇%なら六〇%、あとの水は四〇%に押えるというくらいの大体のアウトラインをつくってくれませんと、これはもうどんどん飲料水部面が少なくなって工業用水に持っていかれちゃう。たとえば自動車を洗ったりなんかする部面でも非常に貴重な水が使われておったり、ビルの水にしろ、実はいろいろな面でもって考えなければならぬ点がある。ですから、それらのことをまずやると同時に、全体的に、やはり生活用水というものに対してこれだけ確保するということの最低限度というものを私はつくっておかなければならないのじゃないかと思いますが、そういう考え方はありますか。
  15. 松村賢吉

    松村政府委員 これにつきましては、ただいま首都圏水資源開発基本計画がございます。昭和五十年度目標のものでございますが、これにつきまして昭和四十五年から五十年までの水資源需要でございますけれども、これを想定いたしました際に、上水道用水といたしまして約五十立方メートル毎秒、それから工業用水として約四十立方メートル毎秒ということで基本計画ができておりまして、これにより需要を満たすべく水資源開発をやっておるわけでございます。ところが、これに対しまして実際の問題といたしましては、その後趨勢といたしましては、飲料水と申しますか生活用水のほうにつきましては、若干その想定を上回っておる傾向がございます。ただし、工業用水関係につきまして下水の再利用とか回収率向上、こういうものもありまして、多少それを抑制しておるわけじゃございませんけれども、下回ってきておる。指導方針もありますが、下回ってきておるというような傾向にあります。しかし、この反面、やはり工業用水の中にはいま地盤沈下対策問題があります。これに対応するのに地盤沈下対策といたしましての工業用水がふえる、こういうものもこの中に含まれております。こういうことで、現在首都圏でふえてきておる水の量につきましては、多少生活用水を上回っておるという形になっております。
  16. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、大都市水不足を解消するためにというので、いわば常に河川に依存し、その中でもって特にダムの構築をしながらこれに対処したという発想のしかたでございますが、これにつきましてもいろいろと意見のあるところです。河口ぜきの利用や海水の利用、あるいはまた排水の再利用等、いろいろなことがあって、貴重な水をそういった面でわれわれはむだにしてはならないというふうに思っておりまするし、首都圏の場合は昭和四十年の総需要が百二十九億トンでありましたけれども、昭和六十年には二百四十八億トンにふえる、こういうふうにいわれておるのですが、これはたとえばダムを七百六十ぐらいつくって、それによってまかなおう、それによって約六百八十億トン、約十兆円のものを予定しているというのが建設省のいままでの発想でありましたが、これも変えなければならぬということは、さっき大臣も言われたことだろうと思うのです。  そこで、御承知のとおり沼田地区に大きなダムをつくって水不足に対処しよう、これが産業計画会議が発足して以来毎年実は問題になっております。私、実は昭和三十五年に国会に出させていただいてから毎年この問題を取り上げてやってきておるけれども、私の頭の中にもあの大臣が実はどう言ったかということが記憶にないほど目まぐるしい変わり方です。つい最近でも、おととし根本建設大臣は、北関東に百万都市をつくってそれに水を分けるということになれば、これは上流県もある程度納得するのじゃないか、こういうお話であった。昨年西村建設大臣は、いや利根川ばかりにたよっているのはいかぬ、信濃川からひとつ誘水をしてこれをまかなってもいいのじゃないかという話をいたしました。昨年木村建設大臣は、この沼田ダムに関して、千葉県でこれは何としても必要だというようなことを九月に言われましたけれども、それから一週間たつかたたないかの間に群馬県に参りまして、今度は、沼田ダムはとてもこれは水利的に見てもやれるものじゃない。したがってこれは断念をする。田中総理とも相談をして、この沼田ダム建設については断念をする。そしてまた、事務当局はこれに対していろいろな意見があるだろうけれども、ねばり強くこれを説得してつくらせない、実はこういう発言をいたしました。したがって、約二十年に及んでこの建設をするしないということでもってもめてまいりましたところ沼田問題、ここに元の建設大臣もおいででありますけれども、いよいよこれでピリオドを打ったかという、実はこういう安堵感が地元にある。これは私は群馬県の問題という形でなくて、  四千戸から六千戸いま七千戸に及ぶところの大きな犠牲を与え、そして毎年毎年つくるつくらな  いということの疑心暗鬼の中でもってその地域発展も期せられない、恒久的な計画も立てられな  い、こういう形でもってきましたところのこの沼田を中心とした地域人たちも、この木村発言でもっていよいよこれは最終的なピリオドを打ったかということで実は安堵感を持っておるのであります。  そこで、金丸建設大臣は、何といってもいままで国会の重要な地位におって、しかも閣内に入られて田中総理と十分な意思疎通のできる立場にある建設大臣ですし、さっきの建設行政発想自身も、住民生活国民生活基本に置いてこれをやるべきだ、こういう考え方を披露された立場からいいますならば、この影響の多い沼田ダムについてはこれはつくるべきでない、この際政府としてはつくらないということを、私は国会の場所を通じて国民の前に明らかにしてもらいたいと思っておるのですけれども、ひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  17. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、水は国の宝だと思います。そういう意味ダムをつくるということについては、東京で使うとかなんとかいう問題じゃなくて、その地域住民のためにもダムというものは、水はそのまま流してしまうということについては、これはいかない。あくまでも流さなくて済む水は流さないような方法を考えて、ダムはできるだけたくさんつくって国民の便利をはかるべきだ。しかし、東京のために相当数国民が泣かなければならぬ——いま東京都市開発をやらなければならない。この集約した人口を、いかにしていなかに間引きするかというところにも一つの政治のねらいがあると思うわけであります。そういうことをいろいろ勘案してみますと、沼田ダムの問題につきましては、これをつくるということは地域住民意思を非常に無視した行政になる、そういうような考え方からこれはやるべきでない、私はこういう考え方でおるわけでございます。そこで今後水のためられる、国民の、地域住民の迷惑にならない合意の得られる地点においてダムをつくるということになれば、地域住民協力も得ながらダムをつくってまいりたい。沼田ダムの問題につきましては、私は、つくらぬという考えについては前の木村大臣と同様であります。
  18. 田邊誠

    田邊分科員 つくらないということを明言されまして、われわれとしては、大臣の非常に明快な答弁でその点ははっきりいたしたと思います。  そこで、沼田ダムはつくるべきでない、つくらないという考え方でございますが、なお利根川上流地点へ、沼田ダム岩本地点利用して少し小規模にしたダムをつくろうじゃないか。小規模といっても、あそこはせきとめれば沼田市の下は全部沈むわけです。あるいは少し上流地点に持っていって、かっこうな地があれば、これを地をかえて今度つくろうじゃないか。こういうような考え方が一部にささやかれておりますけれども、これはもちろん私は、そういうこそくなことはできないと思うのです。したがって、いま群馬県には八木沢ダムやあるいは藤原ダムや非常にダムが多いのでありますけれども、いわば利根川上流地点というものは、大体これでもってダム地点としてはほかにないというところまで私はきているんじゃないかと思うのです、各河川における小規模ダムは別ですけれども。と思いますけれども、そういったことはもちろんございませんね。
  19. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、ダムをつくるにしても、地域住民意思を無視してつくるわけにはいかない。現在の建設行政というものは人間本位でいくということでございますから、ただつくればいいというわけじゃない。そういう意味地域住民合意を得ながら、協力を得ながらやるということでございます。そういうように御理解願いたいと思います。
  20. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、沼田地点におけるところダム建設は、その規模のいかんにかかわらず行なわないということについては、大臣合意をされたというように受け取ってよろしゅうございますか。くどいようですけれども、ひとつ明確にしておきたいと思います。
  21. 金丸信

    金丸国務大臣 沼田ダムについては、これに手をつけることはいたしません。
  22. 田邊誠

    田邊分科員 大臣の明快な答弁で、私は質問しなくてもいいと思うのですが、ただ、従前大臣は一年でもって交代されることが例でありまして、大臣がそういうように政治的に判断をされてわれわれの前に発言をされましても、その裏でもって事務当局がどんどん事務を進めておったのでは、これは底抜けであります。そういう点から見ますると、いまの大臣の明快な沼田ダムはつくらないという発言を受けまするならば、沼田ダムに関するところ調査の費用は当然今後盛り込むべきでないというように思っております。利根川の全地域に対するところ調査が行なわれてまいりました。そしてその予備調査費が組み込まれ、その中から沼田ダム対象にしたところ調査費が組まれてまいりました。たしか昨年も予備調査費が組まれてきたのであります。これは、そうすると来年度は沼田ダム対象にした調査費は組まないということでございますね。どうですか、局長
  23. 松村賢吉

    松村政府委員 昨年まで、利根川上流調査、その内容につきましては沼田ダムということを表に出して、それの調査費をはっきり計上していたわけです。ところが今後の利根川上流ダム全般計画予備調査費これは一本の中にあるわけでありまして、沼田ダムを特定しての調査ということはその中に含んでおりません。ただし、全体の関連において水利関係のいろいろな調査——もちろんダム地点調査というものは入っておらない。そういう水利関係調査その他につきましては、全般関連においてこれを継続してやっていく。これは必ずしも沼田ダムをつくるとかつくらぬということではなくて、そこで水が幾らになるというような、沼田は水の基準地点でございますので、こういうような関連調査は続けていく予定でおります。
  24. 田邊誠

    田邊分科員 これはあなた、われわれは三十五年から十分やっておるのだから、三十五年から水文観測等を含めた全体的な利根川調査費は組まれておる。それが固定をいたしまして、沼田ダム対象にした調査費に切りかわってきたのです。そして五千万円か六千万円の調査費が組まれてきた。こういう状態がここ数年続いてきたわけです。したがって、いま大臣の話を受け、あなたもそういった意味のようなことを言われたのでありまするけれども、これは調査費——利根川全体に対するところのいろいろな調査というものは、これは行なわれるでしょうけれども、具体的に行なわれたところ沼田ダム対象にした調査費が削られる、減額されるという形になるならば、これは従前よりも縮小された形におけるところの全体的な流量あるいはその他の調査になる、こういうように中身についてもこれが変わっていくべきものであるというように思っておりまするけれども、それはそのとおりですな。
  25. 松村賢吉

    松村政府委員 これにつきましては、沼田ダムをやめるとすれば、やはりそれにかわるべき洪水問題の処理ですね。これは沼田は単に東京の水ということだけではなくて、利根川の抜本的ないわゆる治水計画の大宗をなしていたわけでございます。ですから、それにかわるべき処理と申しますか、かわるべきダムあるいはほかの施設もございますけれども、こういうものを全般としてどうすべきかという調査をやらなければならぬ、こういうことで進んでいくわけでございまして、それで全部が満足できるかどうか、これについては今後の検討にまつ次第でございます。
  26. 田邊誠

    田邊分科員 これは、私は洪水調節の問題についてはあらためてあなたと論議いたします。  八斗島におけるところの流量調査について、建設省はだんだんとかってに総量を変えてきているのですけれども、実はこれ自身が問題なんですよ。しかし、治水の問題じゃないのです、実は治水に名をかりた、多目的なことに名をかりた利水ですね。これに最重点を置いたところダム建設というのが、いま非常に問題になってきているわけです。これに対する疑問を投げかけてきたわけです。したがって、治水を対象にしたと言われますけれども、これはもうずっとそれがあなたのほうではやられてきたわけでありまするから、年々歳々いろいろな面で変わってまいりましょうけれども、しかし、大筋の方針は治水については変わるものはない、私はこういうように思っておりまするので、その点はひとつもう一度いろいろな面で検討してもらいたいと思いまするけれども、時間がありませんから、この点についての論戦はあとに譲ります。  そこで、大臣、最後にダムについては実はいろいろな問題が起きておりまして、あとで質問があると思いまするけれども、群馬県においても八ッ場やその他の問題が起こっておりまするけれども、聞くところによりますと、それらに対応するために水源地域対策法案というものを政府は考えていらっしゃるというのでありますけれども、実はわれわれは、これはもうほんとうにいままでのような現金対象の補償等では、これはもうダムばかりではありませんけれども、どうにもならない。いわゆる生活再建、生活の最後までめんどうを見るというようなそういった発想でなければならぬと思う。政府のいま考えているようなものは、いままでその域に達しておらないと実は思っておりまするけれども、この政府が考えているところの水源地域対策法案なるものは、そういった従前の発想を全部変えまして、ほんとうに現物を含めて、あるいはまたそれ以外の生活の手だてを含めて、これを全部ひとつ完全なものとしてめんどうを見るというようなぐあいにはたしてなり得るものですかな。だれでもいいですから、お考え方をひとつ……。
  27. 金丸信

    金丸国務大臣 水源地法の問題につきましては、とかくいままでいろいろ問題がありまして、水源地の住民人たちは非常に迷惑をこうむっております。この人たちにできるだけ補償の問題や、あるいはいろいろの問題ができるだけよきように取り計らいたい、こういう考えが精神にあるわけでございまして、これはいま立法案を検討中でございます。先生の精神を十分くんで検討していきたい、こう思います。
  28. 田邊誠

    田邊分科員 そのことはまたあとで論議することにいたします。出てきたところでいろいろまた論議いたします。  ひとつ大臣沼田ダムは絶対つくらないという考え方に立って、ぜひとも今後とも対処していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  29. 前田正男

    前田主査 これにて田邊誠君の質疑は終了いたました。  次に、村山喜一君。
  30. 村山喜一

    村山(喜)分科員 まず初めに、建設大臣に所信についてお尋ねをいたしますが、大臣ダム災害等に対する考え方は、前の建設大臣の木村武雄さんと同じような考え方に立っていらっしゃるかどうかということです。というのは、昨年七月のたいへんな集中豪雨等によりまして、あちらこちらでダム災害が発生いたしました。そのときに、去年の七月二十七日に災害の特別委員会において、大原亨君の質問に答えまして、木村建設大臣は、「ダムに関する限り、これからそういうような不安を与えないような措置を講じてみたい、」そうして「建設省が管理、監督いたしておりますダムに関する限りは、治水ダムだろうが利水ダムだろうが、すべてを通じまして住民に絶対不安を与えない、こういうやり方でこれから徹してまいりたいと思います。」ということを言われておりますが、大臣考え方もそういう御所見であろうと思いますが、いかがでありますか。
  31. 金丸信

    金丸国務大臣 そのとおりであります。
  32. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで私は、具体的な問題に入る前に、まずそういう建設省が所管をしております直轄ダムあるいは監督をするダム、そういうものに対する総点検等をどの程度おやりになっておるのか。いろいろ各地でダムの被害の問題等が出ておるようでありますし、中には建築いたしましてから土砂がずいぶんだまりまして、そのたまりました土砂が八割以上もその容量のスペースを占めるような状態にもなっているようなものもあるようであります。こういうようなものに対しまして、大臣として来たるべき洪水等に備えて点検活動なり見直しをされるように御指示をされる御意思がございますか。
  33. 松村賢吉

    松村政府委員 いまのダムの点検でございますが、これにつきましては、すでにダムの操作規程、こういうものを全面的に点検すべく各地建の局長あるいは各都道府県、こういうところに連絡いたしまして、現在着々とこの点検をやっております。
  34. 村山喜一

    村山(喜)分科員 それはいつごろ全部終わりますか。
  35. 松村賢吉

    松村政府委員 ことしの出水期に間に合うように、全部点検を終了する予定でおります。
  36. 村山喜一

    村山(喜)分科員 がけ下あるいは災害発生地域、土砂崩壊地域等にあります住家を危険でない安全地域に移転するというような問題について、総理府並びに他の関係各省とも協力して全体的な調査を行なった上、ことし移転のための予算措置もとられているようであります。総理府は、建設省が事業主体でありますので、いま出水期、洪水期前までには全部点検を終わるというような考え方で取り組んでおいでのようでありますが、どういう態度で臨んでいかれますか。
  37. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 危険地につきましては、この前の七月豪雨の特徴にかんがみまして、死者四百人、そのうち八割程度はがけ地あるいは地すべり等の災害にあったということで、その当時つくりました事業対策本部におきまして、建設省あるいは農林省あるいは消防庁等と共同いたしまして、その件について点検をいたしておるわけでございます。  また、ダムにつきましても、これは管理者は建設省でございますので、ダムの管理等につきまして、この前の七月の豪雨の災害にかんがみまして、十分点検をしていただくようにお願いしておったわけでございます。ただいま建設省河川局長からもお話がありましたように、点検をされている次第でございます。私どもといたしましても、今後建設省と十分連絡をとりまして、ダムの出水による被害というようなことについて、今後そういうことがないように十分つとめてまいりたい、こう考えております。
  38. 村山喜一

    村山(喜)分科員 現在、昨年の集中豪雨等によりまして、ダム操作規程について問題が出たところは何カ所あったわけですか。
  39. 松村賢吉

    松村政府委員 現在総点検中でございますので、操作規程その他ダムの操作、こういうことにおいて問題があるのは何カ所という調査についてはまだ手元に入っておりません。
  40. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、堆砂の著しいダムは幾つぐらいありますか。
  41. 松村賢吉

    松村政府委員 特に著しいもの約十二カ所ほどございます。
  42. 村山喜一

    村山(喜)分科員 直轄管理ダムの中で、いままで点検をして、これはやはり地すべりその他河川構造上非常に問題があるといわれたのは、この前下筌ダムの問題が指摘をされておりましたようですが、そのほかに、いままでダム構造の問題等をめぐりましてトラブルがある案件はどれぐらいになっていますか。まだ的確に数を押えていませんか。
  43. 松村賢吉

    松村政府委員 的確に数を押えておりませんが、いまの下筌ダムの問題、これはダムの構造というよりも、貯水池の地すべりと申しますか崩壊の関係でございます。それから御承知の鶴田ダムの操作の問題これくらいが著しくあれしておりまして、あと小さいものがあるかもしれませんが、これは的確につかんでおりません。
  44. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、私は鶴田ダムの問題について具体的にお尋ねをしてまいりますが、昨年、御承知のように人家が百二十一戸も流されるという悲惨な状態が出ました。それ以来いろいろと対策を講じておいでになったわけでありましょうが、鶴田ダムダム操作規程の改正はいつおやりになるつもりなのか。災害が発生をいたしましてから、七月十一日以降は暫定的な措置はとられてきているわけですが、住民の中からは、洪水時期には発電をしなくてもいいほどダムの水位を下げてくれという要請が強いわけであります。そこで、これについては通産省との協議もされなければならないわけでありますが、これについてどの程度まで進捗しておるのか、両方の担当者のほうから説明願いたいと思います。
  45. 松村賢吉

    松村政府委員 鶴田ダムについては、昨年の七月に異常出水によって非常な災害を受けたということから、その直後直ちに貯水を制限水位以下に低下させて、暫定的に治水機能の増大というものをはかってきたわけでございます。  それで、その後の恒久的な方法といたしまして、さらにその貯水を下げて対処していくということについて現在検討をしておりまして、この水位についてはまだ確定はしておりませんが、私のほうといたしましては、現在下げてある水位の程度が限度ではないかということで考えておりまして、関係方面と現在折衝を続けているわけでございます。さらに水位を下げられるかどうか、これについての検討も実はやっております。やっておりますが、これはダムの放水管の技術上の問題、あまり水位を下げますと、そこにおいて放流するとき放水管の中に空気が入ったり何かする、そういう機能上の問題もございます。そういう問題を含めまして、治水機能が効率的に発揮できる限界と申しますか、こういうことから水位を私どもはきめていきたい、それで関係省と現在折衝を続けているところでございます。
  46. 和田文夫

    ○和田説明員 鶴田ダムの問題につきましては、いま建設省からお話がありましたとおり、昨年の災害のあと暫定的に水位を下げて運転しておりましたが、本年度につきましては建設省からごく最近洪水調節容量の増加の申し入れがありまして、われわれとしてもその申し入れの趣旨を十分尊重する考えでいま検討を始めたところでございます。
  47. 村山喜一

    村山(喜)分科員 ダム災害が発生いたしましたのは、大臣、去年の七月ですね。そして暫定的な措置としていま水位を百三十一・四メートルですかに下げております。そこで、最近になってから建設省のほうは通産省のほうと協議を始める、七千五百万トン程度に治水容量をしたいということで協議申し入れをする。  そこで、きのう私は事務当局にその進捗状況についていろいろ聞いてみたのですが、やはりいろいろなファクターを電子計算機に入れてデータを出さなければならない関係で、どうも最低二週間くらいはかかるでしょう、こういう話であります。そうすると、ダム操作規程を改正していく目安を立ててもらわなければ困る。だから、少なくとも三月中には結論を出していただきたいと私は思っておるのですが、そういう目安で事務当局はやっておるだろうとは思いますけれども、操作規程は省令ですか、大臣の権限事項でございますので、いつを目安にやられるか。そしてそれはいまの暫定措置としてとっておる百三十一・四でございますか、大体そういう数値になるのか、その点をはっきりしてもらいたい。
  48. 松村賢吉

    松村政府委員 暫定的にやっておりますのとほぼ同じ百三十一・四ということで私のほうは折衝しておりますし、おそらくそういうことになるのではないかと思います。なお、その時期につきましては、できるだけ三月中ということはもちろん考えておりますが、来年の出水には支障がない操作規程でもって臨みたいと考えております。
  49. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで金丸建設大臣に私はお尋ねをするのですが、災害かありました直後、調査においでになった木村前建設大臣は、この川内川の治水計画は全体の抜本改修をやると七百五十億円はかかるだろう、しかし、とりあえず私が五百億円は引き受けて、早急に期待に沿うようにしてあげますという約束をされたわけです。これはこれからの計画の問題にも関係があるのですが、大臣としてはいまどういうような気持ちでこの抜本的な改修問題をお考えをいただいているのか、その感度をひとつお示しをいただきたい。
  50. 松村賢吉

    松村政府委員 川内川のいまの計画につきましては、いま工事実施の基本計画というものでもって全体の検討の最後の詰めをやっております。それによりまして、いまの金額を示すまでにはいきませんが、その計画の大宗と申しますか、これはそこではっきりいたすわけであります。
  51. 金丸信

    金丸国務大臣 河川のはんらんで非常な迷惑をこうむっていることでありますので、一日も早く改修することは当然であります。そういう考えのもとに河川局に命じましてできるだけ早くやるように、予算もできるだけ早く、ただいまの答弁のような状況でできましたところで私も御期待に沿うようにしてまいりたい、こう考えております。
  52. 村山喜一

    村山(喜)分科員 お尋ねをいたしておきますのは、この川内川の抜本改修については三月の二十日ころに河川審議会で御決定をいただくということでございますが、その計画部会で内容を検討して、そして全体会議にかけるという運びになっているようでありますが、建設省が通産省と協議をしてダム操作規程の改正について、四千二百万トンの治水容量を七千五百万トンにしたいという形で申し入れをされたという点から考えれば、これはやはり四十七年の十二月二日に九州大学の篠原教授を学術調査委員長といたします調査委員会の結論というものが大体河川審議会の結論としてきまる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  53. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  いまの基本計画の検討と申しますのは、篠原先生の意見そのものではありません。別途に検討しておりますが、結果的には合っておるかどうか、私ちょっといま即答しかねます。
  54. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は現地の川内川の工事事務所に参りまして状況を調べていろいろ聞いてきました。中身も知っておりますが、やはり当時、具体的に学術的な立場からこの内容についても触れていらっしゃるわけです。そうなると篠原調査委員会の結論というものは、だれがそういうような調査を委嘱をしたのか、そしてその結論をどういうふうにするのかということも、それはそれとは違いますと言えば、これは一体だれの責任かということにもなってきますし、現地の責任者は、大体審議会で審議をされることになるけれども、篠原調査委員長の発表したものが、大体その方向として考えて間違いないということを技術者の立場から言っているわけです。その点を明確にしてもらわないと困ります。
  55. 松村賢吉

    松村政府委員 この基本計画と申しますか河川計画をつくるいわゆる下作業と申しますか、これは地建でやっておるわけでございますが、地建が原案をつくるに際しておそらく篠原先生の委員会にこれをお願いし、地建の権限においてやったのだと思います。私どものほうはその地建の案をもとにしてやっておりますので、おそらくその中に先生の趣旨は盛り込んであるのじゃないかと思います。
  56. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、局長、地建のほうで、そういう河川、治水関係についての学識経験者の方に委嘱をして、そして河川審議会では地建から上がってきた書類等についていろんな計算をやっていらっしゃるようですが、それをもとにしながら抜本的な改修の方向というものをきめるのじゃないですか。また新たに河川審議会で調査をして、独自の結論をお出しになるのですか。そうじゃないでしょう。
  57. 松村賢吉

    松村政府委員 先生のおっしゃるとおり、その原案をもとにいたしましてやります。新たに独自に別個にやるものではございません。
  58. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、確認をしておきますが、この篠原調査委員会の結論というのは、年超過確率を百分の一にする、現在は八十分の一ですが、そういうふうにしていく、それから流量を、下流の大平橋地点で秒当たり七千トンにするのだ、そしてダムでどういうふうに調整をするかということになると、治水容量を、鶴田ダムの場合には七千五百万トンにする、そして発電の最低水位を、洪水時期においては、先ほど確認をいただきましたように百三十一・四メートルにする、そして夜星川、穴川という支川がありますが、それに二千四百万トン程度のダム建設していくのだ、その三つのダムによって流量調整をやりながら、末端の川内の大平橋のところで現在の計画水量の二倍の水量、秒当たり七千トンの水量を放流していくのだ、こういうふうに私も聞いてきたのですが、大体そういうようなことで審議をされて結論が出されるというように基本的に考えておって間違いございませんね。
  59. 松村賢吉

    松村政府委員 いま大体お聞きいたしました数字あるいは計画、その範囲内においてはそのとおりに進む予定でおります。
  60. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、そのやり方としてはできるだけ河床を下げていくという方法をとって、あるいは高水敷をカットするというようなこともやる、それでも不足する分は川幅を拡張する、こういうようなことで、地点をきめて、ここはこれだけの幅の広さにしますよということを明示をされる、こういう段階になると思いますが、そうですか。
  61. 松村賢吉

    松村政府委員 そのとおりでございます。
  62. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、非常に川幅が広がるわけです。川内などは、向田地区といういま市街地が形成をされているところが、百三十メートルも拡張をされるということになる。そこで出てくるいろいろな問題がこれからの問題として考えられなければなりませんが、こういうような問題も踏まえて、まず住民の命を守るということが大事ですから、ひとつこれは災害を、百年の悔いをあとに残すのではなくて、住民の命を考えて、そうして大きな発展をはかるという方向でひとつ進めていただきたいと思うのですが、その点は大臣よろしゅうございますか。
  63. 金丸信

    金丸国務大臣 十分慎重に対処してまいりたいと思います。
  64. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこであと一点ですが、湯田地区が災害の被害地として設定をされたわけでございますが、四十七年度に七億円、残りを四十八年度、四十九年度で充当いたしまして、全体で三十億円で復旧工事をやろうということでいま作業を進めておいでになるようであります。実は湯田地区も商店街でございますから、そこに激甚災害の指定を受けまして商工業者に対する低利の融資がございます。それが一向に河川敷がきまらないものですから流れるような状態になりましたので、大蔵省と中小企業庁にも話をいたしまして、ちょっと待ってくれということで相談をいたしまして、いま待たしてあるわけです。御承知のとおりです。それで、どうしてもやはり四十八年度の、ことしのうちに家が建てられるような状況にまでしてもらわなければ、またいませっかく留保してありますものが、むだになるというようなかっこうになってまいります。そこで、これは大臣にぜひその所信を明らかにしておいていただきたいのは、実施計画をつくりまして、そして地元の四つの町が開発公社をつくりましていろいろと復旧工事をこれからやるわけでありますが、たいへんな被害を受けた住民の間には、これから町づくりをやる、これに対しまして建設省があたたかい配慮をしてくれるであろうということを非常に期待をしております。  そこで、私は原因がどうのこうのということは申しませんが、できる限りの万全の措置をしてやらなければ、これからまた支川にダムをつくろうといたしましてもそれはできっこない。このことは、これからの治水行政にとって大きな指針になるのではないかという気がしてなりません。私は、そういうような意味で、その災害復旧はもちろんでございますが、新しい町づくりをするにあたっては、考えられる限りの最善の措置を、具体的な中身は申しませんが、していただくように大臣のほうからも配慮をしてもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  65. 金丸信

    金丸国務大臣 洪水に見舞われまして相当な被害をこうむっておる、精神的にも非常に打撃を受けておるわけでございますから、そういうところにあたたかい手を伸べることは当然であります。おっしゃるとおり最善の努力をして、あらゆる方法を講じてひとつ再起できるようにいたしてまいりたい、こう考えております。
  66. 村山喜一

    村山(喜)分科員 これで終わりますが、いずれにいたしましてもこの予算関係を調べてみますと、どうも百余りの直轄河川がありまして、そうしてそれにことしの予算の振り当てを見てみると、一カ所二億円ぐらいにしか当たらないくらいの予算しかないようでございます。大体治水五カ年計画の四兆円という事業規模自体が、これだけの災害を繰り返すようなおそれのある日本の国土の中で、それだけではたして十分な措置ができるであろうか。また直轄河川も、百二本のうちことし予算措置がされたのは百八十億円だ、こういうようなことでは、この治水五カ年計画の間に一体どれだけの事業ができるのだろうかというふうに考えるわけです。私は、川内川だけでも一千億を上回る金がなければ抜本的な改善はできないと考えております。こうなると百二本あるわけです。川だけでもそうなんです。このことを考えますと、目に見えない治水というような問題はたいへんな問題があるわけですから、予算の確保等について大臣はもう少し馬力をかけてもらわなければいけないんじゃなかろうかと思いますが、それについての御所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。
  67. 金丸信

    金丸国務大臣 総括的に見ればそのとおりだと思いますが、今後予算獲得等の問題につきましても最善の努力をいたしまして、先生のおっしゃるようにひとつ重点的に考えてまいりたい、こう考えております。
  68. 前田正男

    前田主査 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  69. 近江巳記夫

    ○近江分科員 今日、大手商社による土地の買い占め、また大企業による土地の買い占め等が行なわれておるわけでありますが、政府が非常に推進しております、全国各地に計画されておりますニュータウン、こういう地域がこういう大手商社等の買い占めによって、緑地帯といわれたところがそういうところに買い占めをされる。そして住民はコンクリート・ジャングルの中で環境を奪われて暮らさなければならない、そういう驚くべき実態があるわけであります。  私はきょうはその問題をお聞きしたいと思うのでありますが、まず初めにお聞きしたいのは、全国各地でこのニュータウン計画がなされ、具体化されておるわけですが、そもそもこういうニュータウン計画というのはどういう目的でなされたか、これをまず初めにお聞きしたいと思うのです。
  70. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 最近の日本列島改造というようなことからしまして、国土を有効に使おうということで地方都市の整備、また人口の大都市への集中を抑制しようというようなことで地方都市の整備がはかられることは、今後の方向としてとられるわけでございます。そういうことによりまして大都市への人口集中、産業の集中をとどめるわけでございますけれども、そういうことをいたしましても大都市地域東京とか大阪とかそういうところにおきましては自然増——最近、先生御承知のように人口の増加が、社会増よりも自然増が非常に大きくなっております。そういう自然増が大きくなっておる関係もこれありまして、また世帯増、世帯分離というような傾向があらわれております。同時に、水準以下の住宅を持った者が非常に多うございます。したがいまして、一方大都市への集中の抑制、地方分散を行ないながらも、現在大都市に居住する者、今後自然増その他さっき申し上げましたような事例によって、人口がふえてくることが予想されるわけでございます。そういう人たちの住まいというものを中心にいたしまして、大都市の周辺におきまして新しいニュータウンの整備、開発が行なわれるということになっておるわけでございます。しかしながら、国土を有効に使おうという理想が、国土を有効に使って環境のいい国土にしようということにあると同時に、大都市及びその周辺におきましても、その居住者が環境のいい、良好な居住環境のもとに快適な生活をするということを心がけながらニュータウンの建設を行なっておるというふうに考えておるわけでございます。そういう方向に私どもも方策を考えていろいろ計画をし、また事業を進めておる次第でございます。
  71. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そうしますと、このニュータウンというものは、人口十万なり十五万なりあるいは二十万なり非常に巨大都市というような、そういう大きな規模計画されておるところも多いわけでありますが、そうなってきますと、こういう環境の問題ということは非常に大きな問題となってくるのですが、基本的にこういう環境ということについてはどのように考えておりますか。
  72. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほども申し上げましたように、良好な居住環境をつくり上げ、全国民に快適な生活をさせるということは非常に大事なことでございます。したがいまして、ニュータウンの建設計画をつくる際におきましては、何といってもまずそういう居住環境をよくするということを目標にしているわけでございまして、したがって、ニュータウンをつくるところの新住法というような法律の中におきましても、目的の中にも良好な居住環境を確保するということをうたっておるわけでございます。そういうことで、具体的にはそういう宅地開発をする、ニュータウンを建設するということによりまして、その区域の内外の自然の地形だとか植生というようなものがどうしてもいろいろな影響を受けることは当然でございます。したがいまして、そういう地形だとか植生を十分調査いたしまして、その中には日本古来からのいろいろな貝塚だとか文化財というようなものもありましょう。そういうものは十分保護をする。同時に、できる限り自然環境そのまま、自然の植生なり地形というのをそのまま保存しながら、新しい生活環境をつくり上げていくということが大事でございますので、そういう方式で自然環境というものを、そういう開発区域との関連で残していくということが第二に考えておることでございます。  それから第三におきましては、開発計画そのものの中におきまして、公園緑地というような公共的な環境保持のための用地というものを、相当部分とるということでございます。公的にやっております事業、たとえば新住事業の中におきましても、すべての用地の中で大体一八%ぐらいは公園緑地というようなものでございまして、こういうものは規模が大きくなればなるほど、また今後こういう公園緑地の面積というのが非常に多くなる。そういうようなことで、私ども、そこのニュータウンにおける環境保持ができるようにつとめておりますし、今後とも努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  73. 近江巳記夫

    ○近江分科員 きょうは限られた時間ですので、簡潔にポイントをお話ししていただきたいと思うのですが、このニュータウンの実施にあたって、プロセスというものはどういうふうになっておりますか。
  74. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 プロセスというのは、おそらく先生のおっしゃるのは、計画決定してそして建設に至る段階のことを御質問だと思います。そういうふうなお答えを申し上げます。  まず、そういう候補地がございますと、その候補地につきまして開発主体、これは地方公共団体である場合もございますし、また住宅公団である場合もございます。地元の県とか市町村と十分に相談をいたします。そういうことによります了解を得て、それから土地の買収を行なう。それから具体的な青写真をつくりまして、再び都道府県及び市町村と十分な相談をいたします。それから、これは場合によりますけれども、大部分公的な事業は、特に大規模な事業の場合にはそうでございますけれども、これを都市計画事業として行なうことになっております。したがいまして、その青写真をもとにしまして都市計画決定をして、都市計画事業として認可を受けるというかっこうになります。御承知のように、都道府県知事が都市計画決定をいたします。その際におきましては、都道府県知事はこれを利害関係人の縦覧に供する。また、市町村の意見を尊重し、そうして意見の申し出がありましたらそれを十分に参考にしながら、都道府県知事がこれを決定するというかっこうで計画を決定するわけでございます。その計画に基づきまして、今度は詳細な事業計画をつくりまして、そして再び都道府県知事の認可を受けて事業に着手するということでございます。
  75. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そうしますと、建設大臣のもとで計画決定したことはこれは守られるべきである、こう思いますね。これはもうなしくずしにしていってもいいと思われているのですか。計画決定した場合は、それは厳守すべきであると思われているのですか、どっちですか。
  76. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、この都市計画決定は都道府県知事でなされます。しかし、これは大臣であろうが都道府県知事でありましょうが、都市計画決定で決定したものはもちろん一定の方向に基づいて決定したものでございますから、これはむやみやたらと変更することは慎む必要があろうかと思います。しかしながら、いろいろな事業をやる際におきましては、やはり時の推移とともに事情変更がございまして、ある場合におきましては確かに都市計画決定の変更というようなことも従来からございます。しかしながら、それは先生の御指摘のように、むやみやたらと変更するということは慎むべきであるというふうに考えます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そこで私は具体的なことをお聞きしたいのですが、千里ニュータウンですが、これは現在できておるニュータウンの中では東洋最大であるわけですね。もう少し大きいニュータウンもどんどん計画されて進行しておりますが、まだでき上がっておりませんから、ほぼ完成されたものとしては東洋最大、人口十五万、世界に誇る住宅地としてほとんど完成しておるわけですが、OECDにおきましても日本で最もすぐれたニュータウンの一つとしてパリで開かれる住環境関係の委員会で取り上げることになったほど、国際的にも高く評価されているわけです。このニュータウンの問題について私はお聞きしたいと思うのですが、当初計画に基づいてこういうような計画ができ、そして分譲住宅であればその分譲地をみな買ってそこに家を建てていくわけですね。この計画を見ますと、グリーン帯というものは相当ある。非常に多いわけです。ところが、こういうグリーン帯を大手商社が買い占めてきてやるのですよ。現実に民間マンションを建てる。現実に削られている。あなた方がその後また訂正をして、住民の知らない間にそれを商社に売っているわけです。二回目に変更したのはこういう保全部分ですね。こういうふうに入れられておりますが、全部削られておる。こんなばかなことがありますか。この千里ニュータウンというものは大阪からの続きです。万博のあったところですよ。あれほど環境を守るために、十五万人のほんとうにオアシスとして周辺緑地帯というものは置かれているのですよ。ですから、みんなが契約したときはこれに基づいてみなやっている。この緑地帯にも緑地及びその他の施設、要するにニュータウンに関係のある施設はこの中にあってもいいというけれども、民間の大手商社が買って、かってにほしいままにしていいのですか。これはあなたも御承知になっておると思うのです。その経過を一ぺん話してください。大手商社が何坪買っているか。
  78. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 千里ニュータウンの計画は最初に昭和三十五年に都市計画を進めておるわけでありますが、その後三十九年に新住法ができましたとき、新住法に基づく事業として豊中地区を追加いたしまして、計画面積千百六十ヘクタールということで事業を継続したわけでございますが、四十五年に、おっしゃるとおり吹田市の側の南端約十ヘクタールにつきましてこれを区域から除外いたしまして、千百五十ヘクタールということで都市計画決定が変更になっておるわけでございます。まず、ちょっと先に申し上げますと、千里ニュータウンの一つの大きな特色は、さっきも先生からお話がございましたように、相当大きな規模でりっぱなニュータウンでございますが、特に公園緑地の面積が二四%ということで、従来平均で一八%より相当率の高い公園緑地面積をとっている、環境保持についても非常に考えているということでございます。ところが、南端のところを除外いたしましたのは、これはこの部分の用地買収が非常に難航したということ、それからただいま申し上げましたように、この部分十ヘクタールを除外しましても公園緑地の面積が大体二百七十一ヘクタールございますから、その周辺の緑地の確保についても大体これで十分あり、環境保全上も別に支障はないというふうに考えられたので、当時都市計画決定の変更がされたというふうに聞いておる次第でございます。したがって、そのときからその部分はニュータウンの区域外となっているわけでございます。したがいまして、これは一般の民間の土地所有になっておるわけでございます。それを、先生がおっしゃいましたような住友商事が、八千五百坪の買収を民間土地所有者からいたしておるというふうに承知いたしております。
  79. 近江巳記夫

    ○近江分科員 計画図とか申し込み書がいろいろありまして、そこに書いてあることは、「この計画図の「公園緑地」欄には「ニュータウンの周辺には自然を生かした緑地帯を設ける。これはニュータウンが自然の風景にかこまれ、静かで美しい環境を保つためのものである」と明記している。」経過を見ますと、大阪府企業局は、四十年二月の宅地債券契約、四十二年十月の宅地譲渡の際、この図面でみな契約しておるのですよ。そして、ニュータウン周辺グリーンベルト地帯であると説明し、これが千里ニュータウンの特徴で、千里の周辺は全部このようなグリーンベルトで囲まれていると約束したわけです。全部これは緑地となっている。ここにも緑地及びその他の施設となっているのですよ。当初計画をそんなにかってに変更して大手商社に売り渡していいんですか。十五万の住民はどうなるのですか。政府はこんないいかげんなニュータウン計画をやっておるのですか。法的にもこれは三十九年八月、都市計画法、さらに新住宅市街地開発法によって緑地とされたんですよ。そんなあなたの説明では納得できませんよ。当初計画を守るとあなた言ったじゃないですか。どうなっているのですか。
  80. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 何度も申し上げますように、この千里ニュータウンにつきましては、そういう公園緑地の用地を二四%もとっているということが特徴でございます。したがいまして、そのよさというのはもちろん保持する必要がございます。そういう見地からいたしまして、二百七十一ヘクタールという公園緑地はそのままでございますけれども、南端のこの部分につきましては、都市計画上から見ましても、土地利用計画から見ましても、これはちょうど都市計画道路の御堂筋線及び豊中−岸部線の交差する地点、その他、そういう理由もございますし、さっき申し上げましたように用地取得難というか、さらにまたこの部分を縮小いたしましても環境保全にはあまり影響ないという判断から、都市計画決定が変更になったというふうに聞いておるわけでございます。したがって、南端におきましては、大体五十メートルから百メートルぐらいの幅の緑地が現在もまだ残っておる次第でございます。
  81. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それで、この住民から大阪府の黒田知事に対して、どうなっておるんだということを言ったわけですよ。あなたが用地買収のときに換地にそれを渡した。それを住友商事が買ってしまった。その間、結局住友との間に話ができて削除をした、そうでしょう。経過をたどっていけばそうなるじゃありませんか。大手商社がどこでもかってに建てられる、そういう形に都市計画法に基づいて変更したんでしょう。これを見ればそういう経過になっているでしょう。この黒田知事の回答を見ても、その換地で渡したときのいきさつについて、これは四十七年十月二日に黒田知事の名前で出しているのですが、この換地をした農民たちに対して、「土地所有者に対し緑地にふさわしい経営を行ない宅地に転用しないことを条件とした次第であります。」こう言っておるのです。そんなものを何で住友商事が買うのですか。したがって、その農民との間に覚書というものをかわされているらしいのですが、「この覚書は、後日の緑地指定削除を約したものではありません。」これは黒田知事が出しているんですよ。ここまでの正式な回答書を出してなぜ緑地を削るのですか。しかも大手商社になぜ売らなければいけないのか。日本のそういうニュータウン計画はどんどん進んでいったって、政府のいまのようなこんないいかげんな、ずさんなやり方では住民は住めませんよ。  きょうは環境庁も来ているでしょう。あなた方、これは法律でもちゃんと言っているじゃないですか。自然環境保全法の附則の第二条に「政府は、良好な都市環境を確保するために必要な自然環境の保全のための制度についてすみやかにその整備を図るものとする。」と出ておりますよ。環境庁はこういう事態をどう思いますか。
  82. 首尾木一

    首尾木政府委員 ただいま御指摘になりました自然環境保全法の附則二条でございますが、これは昨年自然環境保全法ができます際に、やはり都市の自然環境の保全ということが特に重要だということが論議をされまして、しかし都市の中における、特に市街地等につきましてはやはり都市計画の一環としてこれを含めるということが適当ではないかというようなことがございまして、そのような意味で自然環境保全法で直ちにその全部についての立法化をしないで、附則にその問題を残したわけでございます。これの附則の二条の規定に基づきまして、現在建設省におかれましては都市の緑地の保全に関する法律案を今国会に提出すべく検討をされておるところでございまして、私どもといたしましては、今後やはり自然環境保全法を所管する官庁といたしまして、こういったような都市の自然環境の保全ということは特に重要と考えておりますので、建設省とも十分こういったような問題については協議をしながら、ますます都市の緑地の保全ということをはかっていきたいと思っておるわけでございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江分科員 こういう知事の覚書まであるのでしょう。「宅地に転用しないことを条件とした次第であります。」こうなっておるのですよ。あなた方政府は、それは当然手続を踏んで合法的にやっているのでしょう。だけれども、実際に大阪府は告示をもって縦覧に供したなんということを言っているけれども、住民はだれ一人知らないですよ。知らない間にばっと決定してしまっておる。地方自治体がこんなずさんなことをやっておることについてあなた方は調査もせずに、その申請が来たらぱっとそれを認める、緑地がほかのニュータウンに比べたら大きいからまあいいでしょう、そんなぬるま湯につかるような監督で政府はいいのですか。そうでしょう。言うならこれは詐欺にひとしいですよ。みんなは、これだけが緑地だということがわかって喜んで契約しているんですよ。それをかってにそういう大手商社に売り飛ばしてしまう。法的にあなた方はそれを弁護する、縦覧にも供したと言うかもしれないけれども、そんなものだれも見てないじゃないですか。こういうことが許されていいかと言うんですよ。全国各地、こういうことになっていいのですか。ひとつ大臣にこういう傾向がいいか悪いか、お聞きしたいと思うのです。
  84. 金丸信

    金丸国務大臣 傾向としてはそういうことは好ましいことではないし、法的には一つのルールを踏んでおるということですが、その問題も、地域住民に徹底するような方法を考えてやることが適切であったと私も思います。
  85. 近江巳記夫

    ○近江分科員 いま大臣地域住民にもそのことを知らして、そして手続を踏むべきだとおっしゃいました。だれも知らないんですよ。秘密のうちにこういうことが行なわれて、住商が買っているんです。最初の契約はこうなっているのに、こういうことが公然と政府や自治体の手で行なわれておる。これはデベロッパーがそういう土地を売却すると、いろいろと買った人との間によくトラブルが起きたりしております。当初の約束と違うじゃないかということで、トラブルがあるのです。それと何ら変わりがないでしょう。最初の約束と違うじゃないですか。こういうことが平然と放置されていることは許せませんよ。住商などが買っておる。こういう土地であれば、約束から見て当然大阪府なり政府が買い戻して緑地にすべきですよ。また、その前にどういうような経過を踏んできておるのか。これは今後、ほかの地域でも同じうなことが起こるんじゃないかと思うのです。徹底をした調査を一ぺんやってみて、そうして二度とこういうことを起こさないようにしなければいけないと思うのです。そうでしょう。  そのためにも、私は大臣みずからでも調査に来てもらいたいと思うので、徹底した調査政府がすべきですよ。それについてどう考えていますか。
  86. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 おっしゃるような事情よくわかりましたので、私どもも十分早急に現地調査をいたしまして、その部分をどうするか、適切な措置をとるように大阪府を指導したい、こういうふうに考えております。いずれにしろ早急に実態調査をいたします。
  87. 近江巳記夫

    ○近江分科員 早急に調査団を出すということをおっしゃったんですが、今月中に出しますか。
  88. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 今月中に調査団を出します。
  89. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それで、詳しいことは調査団が行ってお調べになればわかると思いますが、ひとつ大臣に特に申し上げておきたいことは、こういう政府がお立てになる計画についてはほんとうに権威を持たれて、途中でそうやって変更してくる分についてはどういうことでそうなるのだということを、徹底した現地調査もやった上で厳格に——それは万やむを得ず計画変更しなければならぬ場合も出てくるでしょう。それについてはあらゆる綿密な調査をして、そしてあらゆる角度から妥当であると認めた上で政府が許可すべきなんです。それを、ただ自治体を信用しておるから、その辺の状況も何もわからなくてめくら判を押していく形の行政をやっておる。そういう監督指導の姿勢ではよくないと思う。  この問題は、今後調査団を入れて調査するといま局長もお約束になられたわけですが、もう一度確認したいと思いますし、今後の建設省の姿勢としてきびしくチェックしていくという姿勢に立ってもらいたいのです。その点を大臣にひとつお聞きして、時間がないから私の質問を終わりたいと思います。
  90. 金丸信

    金丸国務大臣 建設省できめた、あるいは政府できめた点は権威あるものであらしめねばならない。それを変える場合は、地域住民に十分認識してもらった上で変えなくてはならぬ。それが親切だと思います。それが親切な政治だと私は考えておりますが、そういうように徹底してやってまいりたいと思っております。
  91. 前田正男

    前田主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤敬治君。
  92. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私は、いま秋田県の小坂町を東北縦貫道路が通ることになっておるのですが、その問題についてお伺いいたしたいと思います。  実は地元からこの問題についていろいろお話がありまして、よく調査してみましたところ、非常に遺憾な点があるのではないか、こういうふうに考えております。というのは、一つには、地元の要求でもわかりますように、小坂町というのは例の小坂鉱山のある町でございますけれども、小坂川に沿うた非常に幅の狭い、いわばウナギのねぐらのようなところに発生した町でございます。鉱山がおかしくなったり農業がおかしくなったりして、この高速道路ができることに地域全体としては非常に期待しておりましたけれども、この路線が発表されるにつれて、この期待というものが逆に非常に大きな失望というものに変わってしまったわけです。  その理由は何であるかといいますと、いま申し述べましたように、ウナギのねぐらのようなこの狭い地域のどまん中を高速道路、最後には四車線になるだろうといわれておりますが、この四車線の幅で、高さが四メートルないし七メートルくらいになる、こういう万里の長城みたいなものが町のどまん中を通っていく。さらに、きれいに耕地整理されたたんぼをつぶしてこの道路が通っていく、こういう問題について地元では非常に大きなショックを受けておるわけです。水田の中の約一割がこの高速道路のためにつぶされてしまう。こういう狭いところなので、水田が非常に少ない。水田面積四百七十ヘクタール、このうちの四十七ヘクタールがつぶされてしまう。地元にとってはたいへん大きな問題として、これがいま大きな反響を巻き起こしておるわけです。この問題についてお伺いしたいと思いますが、こういうような道路を通す際に地元と一体どういう折衝をするのか、したのか、この点についてまずひとつお伺いしたいと思います。
  93. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまお話しの小坂町のことでございますが、高速道路が通ることになりまして、地元から反対があることは承知しております。  ただいまの御質問でどういうふうに連絡しておるかというこどでございますが、高速道路をつくります際には、国土開発幹線自動車道建設法に基つきまして基本計画が定められます。これは国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経てきめられるわけであります。それに基づきましてさらに整備計画を出すことになっております。これも審議会を通って一つの案ができます。そういたしますと、建設大臣が日本道路公団に施行命令を出しまして、日本道路公団におきましては、その整備計画に基づきましてさらに詳細な検討をして路線を決定するわけでございます。日本道路公団が路線を決定します際には、その地区のいろいろな公共事業の計画あるいは都市計画の問題あるいは土地利用の問題学校の問題、埋蔵文化財の問題等、たくさん地元と関連する問題がございますので、あらかじめそういうものについては、ものによっては県に委託してそういう調査をし、またそういう関係ところとお打ち合わせをして、それから公団で路線をきめまして地元に発表するという段取りになっております。
  94. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 昭和四十三年の四月一日に建設省から施行命令が出されておるわけです。それから昭和四十七年の十一月二十七日に路線が発表されておるわけですよ。この約四年という長い間、いろいろ曲折があったと思いますけれども、私が非常に残念に思うことは、県とどういう接触があったか、この点はあとからお伺いしたいと思いますが、公団と小坂町の当局あるいは県と小坂町の当局もほとんど接触がないのです。いま局長のお話をお聞きしますと、いろいろな順序を経てやると言いますが、その間に地元との接触がほとんどないと見られますが、地元とは一体どういうふうな関係になっておりますか。
  95. 菊池三男

    ○菊池政府委員 路線をきめますときに地元の個々の方と打ち合わせをすることは非常にむずかしいのでできませんが、特に先ほど申しましたようないろいろな計画があるときには、そういう計画について地元の市なりあるいは町村と打ち合わせをいたしますし、それからここの小坂町の場合につきましては、地元の町長さんからなるべく山のほうを通ってほしいというようなお話やら、あるいはインターチェンジをなるべくそばにしてほしいとか、あるいはバスストップの問題とか、そういうようなお話し合いはあったようでございます。ただ、ルートをきめます際には、実はこれはどこの地区でもそうでございますけれども、路線の、道路としてのいろいろな全般的な問題がございまして、これは単に個々の方々あるいは個々の市町村という単位では、隣と利害の反することもございますし、各人によってその考え方がいろいろ違いますので、最終的には道路公団のほうできめるということになろうかと思います。
  96. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私がほんとうに残念に思っておるのは、実際に四年間に地元にいろいろ話があっただろうと思いまして、地元から話がありました際に、こんな長い間何の話もなくほったらかしておくはずはない、各地の例を見てもそういう話はないじゃないか、そう言うのだけれども、がんとして地元では一切話はない、こう言うので、いろいろ調べてまいったのですが、接触があるることはあったのです。前後八回にわたって接触しているのです。だけれども、路線の問題に関しては全然話してない。ただあいさつに来たり、あるいはバスストップをつくってくれ、インターチェンジをどうしてくれとか、そういう話はあるけれども、路線については全然話がないのです。私は、関東平野みたいなああいうところを道路が通るなら、どこへやっても同じような場所なので何ともならないと思いますけれども、これは現場の人たちは非常によくわかっているでしょうが、もう目と鼻の先に向こうが見える非常に狭いところに、しかもどまん中を万里の長城のような道路が走るということは、住民にとっては大問題なんです。それに気がつかないで、地元とは一々相談していられないというのでそういうふうにしてやられたのでは、地元としてはメリットよりもデメリットのほうが多いと思うのですよ。それを全然何のあれもないので地元が非常に面くらっておる、こういうのが実情なんです。ほんとうは私はこんなことをこんなところで言いたくないけれども、このやり方が、地元と利害が反すると困るから地元に言ってもかえってだめだ、こういうことをいま言われたようですけれども、これではいまの民主主義の世の中に、住民本位のあれをやらなければいかぬというときに、あまりにひどいと私は思うのです。極端なことを言うと、日本列島改造論の一番悪い例がここにあらわれていると思うのです。産業道路が住民のあれを全く踏みにじってつくられる。しかも、何べんも陳情した結果変更するということは、いままでも例がないし一切変更されないということでしょう。地元に一言も話がなくて、一ぺん道路公団がきめてしまえばあとは変更されないといえば、地元は一体どうすればいいのですか。
  97. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほど私がことばが足りませんで、もう少し御説明させていただきたいと思います。  実は地元の方々から、わずかなウナギの寝床のようなたんぼを通っては困るという話もございまして、道路公団におきましては実はそのことも非常に強く考えてルートの選定をしたわけでございます。実際には数本のルートを引きまして、これは山のほうへ行っている道路もありますし、いまのたんぼの中を行っているところもあり、いろいろなルートを引いて検討したわけでございます。ところが、山のほうへ行ければ一番よかったのですけれども、山のほうには二カ所ほど地すべり地帯がございまして、特にその一つはわりとそばに人家もあるということで、もしそこを通ってのりを切ったりして手をつけた場合に地すべり等の危険があってはたいへんだというようなことも、その山のほうのルートをとりにくかった一つの大きな点でございます。  それからもう一つ大きな問題がございます。それは実は、山のほうへ参りますと道路が三%から五%の勾配がつくわけでございます。ところが、いままでの名神高速あるいは東名等を見ますと、下り勾配三%以上のところに事故率が非常に多くなっております。三%、四%と上がれば上がるだけ事故が多くなっております。その倍率の数字なんかは時間がかかるので申し上げませんけれども——もし御必要ならば申し上げますけれとども、下り勾配は非常に事故率が高くなる。したがって、なるべく下り勾配のきついのはとりたくない、しかもここは雪国でございますので凍結してすべるというようなことを考えますと、なるべく勾配は少なくしたいというのが、この平地を通った理由でございます。  そういうような災害の問題あるいは交通安全等の問題から、地元の方々のなるべく山へ行ってくれということの御希望があるのを承知して、いろいろ比較検討した結果、やはりそういう災害防止のためには、地元の方に何とかがまんしていただいてそのたんぼを通りたい、しかもたんぼを通ります際には、これは今後いろいろ設計の際お打ち合わせをするわけでございますけれども、なるべく高い——先ほど先生おっしゃいましたように、四メートル、七メートルというような高い盛り土をつくりますと万里の長城のようなものができますし、耕地もたくさんつぶれますので、なるべく低盛り土にしていきたい。これは今度の東北道の関東の岩槻から先ですが、低盛り土の方式でやったところがございます。これでまいりますとそういう万里の長城というような高いものじゃなくて、たんぼのこちらから二メートルぐらいの感じであると思うのでございます。そういうことでつぶれ地もぐっと減りますし、それから、たんぼからたんぼへ行く横断につきましても地下道を十分つくって御不自由なことのないようにするということで、今後そういう、なぜここを通らざるを得なかったかということを地元の方と十分お話し合いをして納得していただいて、また構造的にはそういうような構造をやることによって、できるだけ地元の方々に迷惑をかけないような形で進んでまいりたいと思います。
  98. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いま地すべりの問題が出ましたが、こういうことは、これは安上がりでやろうというからそういう問題が出てくるんですよ。金さえかければ、あんな青函トンネルを掘ろうという時代に、こんなちゃちな地すべり一つとめられないというばかな理屈はないですよ。金をかけないで安くやろう、少しでも簡単なところを通ろうという根本的な考え方なんです。地すべりなんか私は理由にならないと思う。  それからもう一つ、道路の勾配だって、これはちょっと深く切り通しをやれば、勾配なんか何ぼでも私は緩和できると思う。  もう一つは、雪が降れば雪の捨てるところがないといわれるけれども、雪が捨てられないところに高速道路ができなかったら、北海道に高速道路はできないでしょう。北海道にどんどん高速道路をつくる、こういう計画があるのに、こんなところに雪国の道路ができないはずはない。そんなのは全部つけたりで、これはやっぱり一番工事の簡単なところに安くつくろう、こういう考え方しかないのだ。そのために、住民は、一ぺんできてしまえば何十年か何百年になるか知らぬけれども、末代この影響を受けるのです。それを考えれば、いま多少地すべり工事に金はかかっても、これはやっぱり山側を通すべきだと私は思うのです。そうすれば、どのくらい地元の人が感謝しながらこの高速道路を受け入れるかわからぬです。いまここへ行ってごらんなさい。町じゅう全部、あらゆる団体が来まして、一人残らず全部反対です。町の人が一人残らず喜ばない道路を通すということは、これは私は、いまの世の中ではまことに困ったことだと思うのです。町の人に喜ばれて、しかもなおかつ有効な道路をつくってこそ初めていまの時代の道路であって、町が全部これに反対するのを強行してこれをやるということになれば、先ほど言いましたように、ほんとうに日本列島改造論、産業に奉仕する、これしか何ものもないと思うのです。私はそうは考えたくない。地元の人も、何とかしてこの道路によって過疎を免れたいということも考えているけれども、しかし、それ以上にこの道路が町のまん中を通っていくということはたいへんなんです。このねぐらのまん中を通っていくということは、毎日毎日高速道路をビュンビュン大型貨物が走られてごらんなさい。付近はたいへんなんですよ。朝から夜までですよ。夜も眠られない。高速道路は夜ばかり走って歩くでしょう。寝られるものじゃないでしょう。広いところで緩衝地帯を設けてよそへ住宅を移すのならまだしもいいけれども、移す場所がない。ウナギのねぐらのまん中に高速道路ができたら、ここにいられませんよ。全くそういうことを考えてみると、それは産業に奉仕する道路で、住民はどうでもいいという、こういう道路としか私は考えられないのです。こんな小さい地すべりが何ですか。何ぼでもとめられると私は思うのですよ。これを単に地すべりがあるからこっちへやらなければいけない、勾配が少しきつくなるからこっちへ行かなければいけない。そんなことは幾らでも解決できないはずはないのです。技術的には簡単なものだと思うのですよ。ただ、それよりもこっちのほうが簡単に安くてきるから——しかし、用地費を比べてみるとたいしたことはないと思うのですよ。まん中を通って高い補償費を払うと、私はそう大きな違いはないと思うのですよ。一番大きな問題は地すべりだと思いますね。しかし地すべり、こんなのは、あんな青函トンネルをつくっているときに、破砕地帯をぴしっとめていくだけのものすごいりっぱな技術があるのですから、こんなちゃちなものをとめられないはずはないのです。
  99. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの地すべり地帯でございますけれども、地すべり地帯は全国あちこちにございまして、実は地すべり地帯を承知でいろいろ手当てしながら通っておるところもございます。しかし、やはりその影響が出てまいりまして、その後地すべり地帯を避けて、全然別のルートに変えてしまったというのが、これは道路のほうにも鉄道のほうにもございます。したがって、地すべり地帯はなるべく避けたいということがやはり基本的な考え方に実はあるわけでございます。  それから、ただいまたんぼの、いまのその案のほうが安いし、簡単にそうきめたんじゃないかというようなお話でございましたけれども、実は何本かのルートの積算を見てみますと、必ずしもいまの案が安いわけではないのであります。あるいは山のほうへ行ったほうが建設費が安いというようなことも若干ございます。これは比較の問題でありまして、そう決定的にどれが安いということはありませんけれども、少なくとも安いから選んだということではないわけでございます。地元の方のそういう強い反対があれば、同じ費用ならこれは山のほうへ行くという考え方が当然出てまいりますけれども、そういう防災上の問題、それからもう一つ、地元の方は夜も寝ていられないというようなお話でございますが、やはりこれも今後の地元の方とのいろいろなお話し合いになると思いますし、それから途中の経過を見ましても、小坂の人家のある町のところは、かつて掘り割りにしてオープンにして道路を通そうという、両側からカットしまして通そうという考え方もこざいましたけれども、ただいまの考え方は、トンネルを抜きまして、人家にそういう騒音その他の支障がないような形でいきたいというようなこともあわせて考えておるわけでございます。
  100. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いまのトンネルをつくるというのは、どこへトンネルをつくるのですか。
  101. 菊池三男

    ○菊池政府委員 それは小坂のちょうど一番中心の地すべりの起こる山の北側のほうの、山よりもう少し北へ寄ったところでございます。小坂の町のちょうど西側、ちょうど川のほうになる鉱山の反対側で入口がついているところがございます。そこのところはもうトンネル案でいきたいということ……(佐藤(敬)分科員「西側ですか」と呼ぶ)西側でございます。
  102. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 これはどこを見ておられるかわかりませんが、どこですか。
  103. 菊池三男

    ○菊池政府委員 このあたりです。
  104. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 このあたりをトンネルをつけても、町とはそう大きな関係はないと思うのですよ。ここはほんとうに鉱山側の事業所だけが建って、昼なんか人がいないところなんです。ここヘトンネルをつくるのではなくて、こっちのほうなんです。ほんとうの町中で一番ひどいところは、中央通りといってアパートがたくさん建っておる、そのすぐ左側をすっ飛んでいくのですよ。こんな町をはずれてからトンネルをつくったって、それは住民とはたいした関係はないのですよ。  時間がなくなって困ったのですが、私は一つお尋ねしますが、これは大臣でもよろしいです。いままで、先ほど申し述べましたように、何回もあれしているけれども、路線に対する接触が一つもないのです。それでこれは絶対に変更が不可能なものですか、それをひとつお聞きしたい。
  105. 菊池三男

    ○菊池政府委員 不可能なのかと言われますと、これは不可能のその解釈にもよりますけれども、やはり公団として何本かの中でいろいろなことを考えてきめたルートでございますので、変えることは非常にむずかしいと思います。
  106. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私、そこのところが非常におかしいと思うのですよ。それじゃ地すべり地帯がある。この地すべり地帯が絶対に避けられないかということをもっと地元とよく話してみるべきだ。あなた方が一方的にこれは避けられない、そういうふうなあれで、一方的に変えられませんじゃ、これは納得できないのです。これはこういう地帯でなければ私は言いませんよ。ほうとうにウナギのねぐらで、こんな細いウナギのねぐらのまん中をこんなたいへんに大きな道路が突っ走っていけば、これは全体にどのくらい大きな影響があるかはかり知れない。しかも一時的じゃないのです。長い時間、これから何十年、何百年となく続いていく。これはもっともっと慎重に考えてくれませんと、これは不可能ですと言ったって地元は納得しないのですよ。私は、これはほんとうにできないかということを納得させるためには、あなた方だけではなくて、第三者の技術者でもいいし、鉱山側のしょっちゅうトンネルを掘っておる技術者もたくさんいますから、なぜできないかということを住民に納得させなければだめだと思う。それをやらないで、ただあなた方だけできめて、これでもう変更することは困難だということは、これは住民としてはまことに不本意な話だと思いますよ。
  107. 金丸信

    金丸国務大臣 全住民、ことに町の長たる者もそういうものを全然耳にしていないということになれば、私も非常に考えさせられる問題点だと思  います。私もあの中央道の沿線に住んでおるのですが、中央道をきめるときは、県知事は町長を呼んで町長の意見を聞いた。町長は議会にかけて、それを町民の意思として申し出たというようないきさつもあります。そういうことでどこもきまっているものだという感じで私はおったわけでござ  いますが、いまお話を聞けば、全然そういうものにはタッチしてない。そういう時代ではないと私も思います。この問題については十分慎重に調査してみたい、こう考えております。
  108. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いま大臣から力強い御発言をいただきまして、私も非常に力強く考えております。地元の連中も非常に喜ぶと思いますが、これは実は自治体の問題でもあるので、地方行政委員会で自治大臣にもお話ししてみたのです。自治大臣はびっくりしまして、自分も東名のあそこにこの道路をつくったときに関係したことがある。非常に懇切丁寧にいろいろな話があった。こんなに何も話がないでいったというのは珍しいケースだと言って、びっくりしているのですよ。ほんとうに私もふしぎだと思って調べてみた。何もないのですよ。県からも何もない。おたくのほうからも何もない。それで路線がきまってあと変更できませんというのは、これはやはりいまの時代のやり方ではないと思いますよ。いま大臣から幸いにしてもう一ぺん再調査させる、そういうお話がありましたので、私も非常に力強く考えまして、この問題は一応これで終わります。どうかひとつよろしくお願いします。
  109. 前田正男

    前田主査 これにて佐藤敬治君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田睦夫君。
  110. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 私は、人口急増地域に対する建設行政の問題の幾つかについて、質問をしたいと思います。  この十数年来、人口と産業の都市集中が急速に進んで、このことは都市問題として日本の重大な問題になり、都市住民生活と生命が脅かされる、こういわれる大問題になってまいっております。人口増加の最も著しい首都圏特に関東の臨海部の人口増加は、これを過去の統計から見てみますと、最初東京、それから神奈川、そして埼玉、千葉県へとその波が押し寄せてきていることがわかります。千葉県の場合、昭和四十年から四十五年までの間に人口二百七十万から三百三十七万、このように五年間に六十七万人が増加して、しかもその大部分が常磐線、京成線、総武線の沿線に順次集中してまいっております。この間の就業者を見てみますと、千葉県では二九・四%が東京通勤着であり、また埼玉県のほうも二八・四%が東京通勤者であります。これらの地域がベッドタウン化されている。これが激しくベッドタウン化が進んでいるということを示しているわけです。千葉県ではいろいろの材料から、将来の人口増加を、このままいけば昭和五十年には四百四十四万人、昭和六十年には七百万人以上という推計を出しております。これは今度の計画の以前につくられておりました長期計画が推定しておりました昭和五十年の三百九十八万人、六十年の五百三十八万人、この数字を大きく上回る勢いを示しているわけです。  そこで、こうした首都圏など、特に関東臨海部における人口集中人口の急増のその原因について、国土建設の任を負っている建設省としてはどういう理解をしておられるのか。この点をまずお伺いしたいと思います。
  111. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 お尋ねの件は、人口急増についての原因をどう考えているかという点についてでございます。日本国土三千七百万ヘクタールというものを有効に使うということで都市化がはかられてきた、そういう趨勢が全国の一つ傾向でございます。その際におきまして、日本国土全部をそういう均衡ある利用をはかるということで、政府施策としていろいろ全総計画、また新全総ということで方向づけをしてきたわけでございますが、現実の問題としては予想外の人口、産業の大都市への集中、これは経済の高度成長に伴うものでございますが、経済成長というものが政府の見込みました経済計画よりも相当上回っている。同時にそれが三大都市地域集中してきたということが一つの理由であろうかと思います。そういうことによりまして、三大都市地域、特に東京圏におきましては人口が非常に急増加しておるというような状況でございます。しかも、その人口が急増してきましたその年齢構成から見ますと、御承知のように若年層が非常に多い関係で、最近の国勢調査によりましても、従前は非常に社会増が多かった。それがちょうど比率が逆転いたしまして、自然増が非常に多くなった。つまり若年層が東京のほうに非常に多くなった。そういう若年層による人口増が非常に多くなりまして、人口増の中で自然増の比率が高まった。それが一つの特徴であろう。そういう人たちがどうしても東京においてまた大阪において住宅を求め、住宅が必要になれば学校、下水道、公園その他の都市施設というものが必要になってきます。そういう意味からいきましてその都市施設に対する投資、住宅を含めまして、そういう社会資本に対する投資というものが大都市におきましても非常に必要になってきているわけでございます。ところが土地の上昇の問題また大都市の実際の面積の問題その他からいたしまして、大都市におきましての社会資本の整備というものが、人口がふえる割合よりも非常におくれてきておる。そのため社会資本の投資というものが経済成長よりも非常におくれてきている。民間設備投資のほうが非常に多くなっておる。そういうことからいたしまして、結果するところ環境の悪化、公害であり、交通難であり、住宅難というふうないろいろな問題が起こってきているわけでございます。したがいまして、この傾向を打破するためにはどうしても、一番最初に申し上げましたように、日本の国土全部の均衡ある利用をはかる、有効に使うということが必要でございますので、全国土の有効利用という方向で地方分散、大都市への人口集中の抑制をはかる必要があります。したがいまして、その施策といたしまして、地方道路の整備をはかるという方向を今後強力な施策として行なうわけであります。しかしながら、大都市地域におきましては、先ほど申し上げましたように、なお人口が減るわけじゃありません。自然増の人間、また大都市の中枢管理機能としてのそれに付随しての人間が必要でございますが、その人口なり必要な産業というものが、大都市におきまして環境のいいところ生活できるということを私どもとして考える必要がございます。その点につきまして社会資本の投資公共施設の整備というものを強力に行なっていく必要があるわけでございます。ところが、そういう意味からいいますと、大都市及びその周辺におきましては、地方財政の見地からいいまして、急激にそういう社会資本の整備なり公共投資の整備を検討するものですから、地方財政としてはパンク寸前にあるという状況でございます。私どもといたしましては、そういう地方公共団体と国とが十分に協力し合いながら、必要な人口につきましての、それから大都市におきましての環境のよさを十分に付与する、そのための公共施設を整備しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  112. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 一応御見解を伺いましたが、一つは、こうした人口急増の中で各地域の各自治体は行政の上でたくさんの難問をかかえることになっていることは先ほど言われたとおりです。たとえば千葉県などで一番問題になっておりますのは水の問題です。千葉県のようなところでは水源となる河川に恵まれていないわけです。地下水の採取、これはもう船橋、市川、千葉、これ以上地盤沈下を続けさせてばならないということで、はっきりと規制しなければならなくなっております。そしてまた水の使用量は、工場が増大する、あるいは住民生活水準が向上するという中で、その量は多くなるわけです。ここから見ますと、昭和五十五年の推計人口でございます五百八十万人とか六十年の七百万人とか、これに見合った水の確保は不可能だといわれております。千葉県では現在の計画では四百六十万人分しか水を確保する見通しが立っていない。つまり人口増加の勢いの中で必要な水の確保ができないということです。こうした問題に対してどういう対策を考えられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  113. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生の仰せのとおり、千葉県についての例を申し上げますと、千葉県は主要な河川というものがないところでございます。したがいまして、一番問題は水でございます。人口が急増するのに比較しまして水の供給の見通しが立たないという点にあろうかと思います。現在のところ、先生もうすでに御承知のように昭和五十年目標の利水計画がございます。これは現在の利根川の水系の水資源開発基本計画によりますと、千葉県分は大体毎秒九・三トンでございます。これは先ほど先生のおっしゃいました千葉県の第三次総合計画人口計画には大体見合っているわけでございます。ところが、千葉県の人口計画そのものが最初の計画よりも相当膨張してきている見通しになっているわけでございまして、それに対しましてどういう水の供給をするか、これが一番問題で、率直に申し上げまして頭の痛いところでございます。現在、利根川の水開発基本計画の改定作業を経済企画庁を中心に、建設省では河川局が一緒になって計画を立てておるような次第でございます。まだ千葉県のほうでどのくらい水が要るか、なかなかこの推計がむずかしわけでございますが、いまよりも倍くらいは要るんじゃないかとか、いろいろ検討されておる次第でございます。これに対しましてどういうような水の手当てをするか、利根川のほうからどうするかということにつきましては、私どもも担当の局じゃございませんので、直ちにここでトン数がどのくらいとかいうような手持ちの資料はございませんけれども、早政府の中でこの水の手当てにつきまして検討をいたして、この基本計画を改定すべく努力いたいておる次第でございます。
  114. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 そうしますと、結局は利根川の水にたよるという方針であるわけですね。
  115. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 水につきましては所管じゃございませんので直ちに専門的に申し上げられませんが、千葉県におきましてはやはり利根川水系を主とし、県内の河川、それからすでにありますところの既存の水利権の転用、合理的な使用という点によりまして水を生み出すという方法を考えなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  116. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 このままいけば人口計画以上に急増する。しかし人口集中地帯の河川は、生活排水の増加とか流域の状況変化を受け入れる余地もないというのが千葉県の過密地帯の現状であります。また、下水道やごみ処理などの生活環境施設の整備など、こういったことを考えますと、千葉県においてはこうした人口増加の傾向を受け入れることができない、こういう実情になっております。そうなってきますと、人口の急増を押える対策として考えられるのは、もう人を入れないという方向から、宅地をつくらない、住宅をつくらないという方向を選ばざるを得ない、こう千葉県側では言っているわけです。しかし、実際は千葉県も住宅需要はますます増大しておりますし、居住水準の向上などの施策をやるという必要性は一そう高まっているわけです。こうした人口増加を抑制するために宅地の開発を制限するということと、住民が求めております住宅などの建設を必要とする、ここには矛盾が生じると思うのですけれども、この点について建設省としてはどのようにお考えですか。
  117. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほども申し上げましたように、千葉県の一番の問題は水の問題であろうかと思います。したがいまして、千葉県における人口がどのくらいである、その前提となりますところの宅地開発というもの、住宅建設を何戸にするか、そういう場合におきましては水の見通しを考えて宅地開発を進めていくということが必要なことは御趣旨のとおりでございます。そういう意味におきまして、千葉県におきましては、住宅公団の住宅建設につきましてもすでに第二期住宅五カ年計画の千葉県分というのは六万七千戸というものを予定いたして、そういうふうに話がきまっていたわけでございますけれども、協議済みの団地につきましても入居時期を延期したり戸数の削減を要望、また同時に第二期五カ年計画の千葉県分を六万七千戸から五万戸にしてくれという要望がございます。そういう要望で、最近の住宅公団の千葉県における住宅建設戸数は漸次当初計画よりも少しずつ減っておるというのが実情でございます。しかしながら、千葉県のみならず、東京圏というような広域の人口計画なりを考えますと、そういう見地から千葉県の人口がどのくらいあれば妥当であるか、十分千葉県と相談し、またそういう計画に基づいて住宅をどのくらい建設したらいいかというようなところを十分に考えていく必要がございますので、私ども、首都圏整備委員会に要望いたしまして、そういった広域的な見地からの人口計画をつくって、そうして各県との協力体制をしきながら、どのくらい住宅建設を行なうかというようなことをきめていったらというような申し入れを先般いたした次第でございます。先生も先ほどお話がございましたように、千葉県におきましても居住水準の向上とか、また自然増というのはあるわけでございますから、住宅建設はやはりする必要があるわけでございます。現に千葉県自身が主体となって住宅建設も行なわれておる次第でございますので、住宅公団がつくる分につきましても、大体八割ぐらいは千葉県の地元の人を優先入居させてくれという要望もございます。そういうことにつきましては、住宅公団といたしましても千葉県の要望をいれまして、十分協議し合いながら住宅建設を進めているわけでございます。したがいまして、そういうことはすべて根本は水の問題があろうと思います。先ほど申し上げましたように水の見通しを早急に立てまして、今後の宅地開発及び住宅建設の見通しをつけてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  118. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 公団の問題が出ましたが、人口急増地帯では公団の開発が非常に多くあるわけです。千葉市だけでもあやめ台、干草台、小倉台、千城台、花見川、幸町、大宮台、いろいろ数え切れないほどの団地ができておりますし、これからの建設計画されているわけです。これは最初言われましたように、高度成長というような国の政策の中から人口が急増しているわけです。団地の小中学校を見てみますと、これは公団のほうでつくっておりますけれども、小中学校をつくる場合に、団地では小学生が二戸当たり〇・四五人、中学生が〇・二二人として計算されているわけです。文部省の水準によりますとこの倍近くになっております。この計算では団地ができたときから学校が不足するという場合もありますし、あるいは間もなく学校不足になってしまう。しかも公団ができますと必然的に団地の周辺も開発されていきますし、土地が値上がりする。学校が不足するので自治体のほうで学校を新設しようとしても、満足な学校敷地をつくることができない。こうした、団地ができたことについて、そのとき、あるいは何年か後に学校不足が生じる、そういった学校を増加しなければならないというような問題に対する対策については、住宅公団のほう、あるいは建設省のほうではどういうお考えかお聞きしたいと思います。
  119. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 大規模な宅地開発をいたします際に、地元との関係で一番問題になりますのは学校建築でございます。おっしゃるとおりでございます。この学校建築につきましての助成措置をとらないことには地元の財政負担が非常に多くなります。したがいまして、従来からこの点につきまして政府部内ではいろいろな施策を講じております。御承知のように、昭和四十六年におきまして、初めてでございますが、児童生徒急増市町村におきますところの小中学校の用地に対する国庫補助制度ができ上がりました。   〔主査退席、藤波主査代理着席〕 それから、その際にすでに用地を取得したものにつきましての利子補給、この制度も同時に四十六年にできております。四十七年、四十八年、年々この内容の改善をはかっております。事業量の拡充とか、また単価アップをはかっておる次第でございます。四十八年度におきましてもそういう改善がはかられております。同時に、四十八年におきましてはさらに小中学校の、ただいま申し上げたのは用地でございますが、今度は建築費でございます。建築費の国庫負担率の引き上げ、二分の一を三分の二に引き上げておる次第でございます。それから小学校の屋内運動場の国庫負担率の引き上げ、中学校につきましては御承知のように従前からあったわけでございます。これを三分の一から二分の一というふうに引き上げておる次第でございます。そういうふうに、関係の各省におきまして用地及び建築についての助成及び負担率の引き上げというようなことをいろいろこの二、三年で講じておる次第でございます。  建設省、特に住宅公団におきまして、御承知の、そういう学校だとか道路とか下水についての関連工事の立てかえ施行制度について五省協定というものができております。この立てかえ施行制度の条件の改善ということを考えております。住宅公団におきましてのその分につきまして申し上げますと、小中学校の校舎につきましての償還期間二十年を二十五年とするというふうにいたしております。これは四十六年以前は十年だったのが、四十六年に二十年にしたのですけれども、さらにこれを延長いたしまして二十五年というふうにいたしておるわけでございます。住宅公団につきましてはそうでございますが、住宅金融公庫につきましても同じように学校の施設につきましての償還期間の延長をはかっておる次第でございます。今後とも私どもこういう点につきましては十分配慮して、地方財政の負担の軽減をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  120. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 方向はわかりましたが、団地をつくる場合の学校ですが、結局は市町村が長期のうちに買い取らなければならないということになりますし、学校ができますとその施設の整備には市町村の負担がかかるわけです。小学校の生徒一人当たり一万円ともあるいは一万五千円ともいわれる中で、これを合わせれば大きな負担になっております。人口急増地域について、用地取得などについて補助をするというような施策がなされてきておることはいま言われたとおりですけれども、これらの施策の範囲内では、地方自治体の財政圧迫、このことを防ぐことはできていないと思うわけです。公共施設を地方自治体はつくらなければなりませんし、こうした地方自治体の負担がきわめて大きいということを地方自治体ではこぼしているわけです。ですから、先ほど一応の方向は示されましたが、なおこういった地方自治体の財政圧迫に対して今後どういうふうに解決をしていくか、そういう方向をもう少し具体的にお聞きしたいと思います。
  121. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ただいまの御質問は学校でございましたので、学校についていろいろお答え申し上げた次第でございます。学校以外にも下水道あるいは排水施設、それから道路、公園、そういう関連の公共施設につきましては地方財政を圧迫しないように、まずこの事業につきまして補助事業としての採択を全面的に行なうということで、建設省におきましては先般庁内にこの関連の協議会をつくりまして、大規模な宅地開発関連の公共施設の補助採択につきましては一〇〇%これは採択するというようなことをきめまして、現実に四十八年から行なうわけでございます。そういうことが第一点でございます。さらにまた、先ほどから申し上げておりますような立てかえ施行制度の内容の改善についてであります。学校については先ほど申し上げたとおりでございます。その他住宅公団におきましても、その対象の範囲を、従来は補助事業だけでございましたのが、これを単独事業にも広げるとか、また地域環境整備事業においてもこれを行なう。金利の引き下げも行なう。それから住宅金融公庫等におきましても対象事業の拡大をはかり、また対象施設の拡大もはかる。融資率の引き上げも行ない、償還期間の延長をはかり、金利の引き下げをはかるというような措置を、四十八年におきましてもすでにこれをきめ実行いたす次第でございます。  先生から先ほど御質問のございましたように、建築いたしまして引き渡します際に、ある程度立てかえ施行制度で解決がつきますけれども、引き渡しを受けたもののあとの管理、維持費というものは地方財政でも相当かかります。この点につきましては自治省とも十分連絡をいたしまして、地方財政計画の中で地方交付税についての積算の増額とかその他を十分私ども要望いたしまして、そういう点についても地方財政に過重な負担がかからぬように配慮するつもりでおるわけでございます。いろいろな面、今後も御指導いただきまして、改善策をはかってまいりたいという考えでございます。
  122. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 時間がなくなりましたが、十数年来の国の施策の中で、急速な人口の過密化、これを首都圏を中心として進行させてきたわけです。その実態を見て、各地方では水の問題や財政の圧迫やいろいろな問題が生じてきたし、これは国全体の政策として進められる中から生じた問題であると考えますので、国は責任をもってこれらを解決する対策を講じなければならない、そういう性質のものであろうと私は考えます。こうした問題に対して住民や地方自治体の要求があって、それから国の対策が検討されますが、いつも後手になってしまっている。ほんとうに一〇〇%解決する対策にはなっていないのが現状であると思います。そういうわけですから、現にすでに人口急増して非常にたくさんの問題をかかえているところ、こういうところにつきましては、地方財政の圧迫だとかあるいは施設の問題、あるいは水の問題などは最も重大でありますけれども、こういつた問題が手おくれにならないように絶えず計画を総合的に進めて問題を解決していかなければならない。いままでのやり方ではどうしてもたくさんの矛盾が生じてきているということを指摘したいと思います。時間がなくなりましたので、これで……。
  123. 金丸信

    金丸国務大臣 最後にお答えいたします。  非常に貴重な御意見を承りまして感銘いたしておるわけですが、自治体が住宅問題等その他でいわゆる公共負担をしょわされるということで、そのために住民が心中しなくちゃならぬような場面があるとすれば、これは政治としては大きな問題である。そういう意味で、政府は一〇〇%その援助をしてやるべきだ、私もこういう考え方を持っております。
  124. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、塚本三郎君。
  125. 塚本三郎

    塚本分科員 大臣にお尋ねいたしますが、道路工事、私がお尋ねしたいのは国道の工事でございますが、実は十字路がどうしても混雑するから、上をまたぐ高架をこしらえるという計画が進んできております、名古屋市で。名四国道という、有名な河野さんが先を見越しておつくりになった、これはたいへん地元発展について役に立っておる道路ですが、あまりにも便利だから車が急にふえて、最初の計画建設省としては変更せざるを得なくなりまして——変更というよりも追加ですね。それで高架の工事にかかろうとしてみえるのですが、その工事を始めますと、工事によってその沿道の諸君が営業に対してたいへんな迷惑を受けるというふうな状態になって、工事をしてもらっては困るというので、いまや実力行使寸前という状態になっております。円満に話し合いをつけるために、お互いにひとつしばらく待ちなさいというふうに、私もその中に時の氏神で調停役に立たされております。私も利用者の立場から考えますと、一刻も早く工事を始めて当然それは進めていただきたいと思っております。さればといって、その沿道の諸君が、公のためとはいえ自分たちの商売がその工事のために致命的な損害を受けることは忍びないというふうに考えます。こういうものに対しては補償すべきではないかというふうに考えますので、その御所見を承りたいと思います。
  126. 金丸信

    金丸国務大臣 跨線橋の問題ですが、私は交通安全という立場からいえば一日も早くこれは架設することが当然の常識だと思います。さりとて、その地域住民生活を脅かすようなことも考えられる、ではいけない。そういうことを考えてみますと、地域住民の、ことに商店街ということになると思いますが、そういう人たち合意を得てやれということでございますから、時の氏神さんでやっていただけるということであれば、ぜひひとつ中に入っていただいて十分な話し合いをして、私のほうでも工事の施行についてはこうやります、このようにやって、このような迷惑はかけません、向こうにもいろいろの疑義があると思いますから、その疑義を解明していきたい。それにしても、工事をやるということは、商売をやるにしてもいろいろの迷惑をかけることは当然だと思います。ただ補償の問題につきましては、そういう例がいままでないものですから、ひとつ検討させていただきたい、こう考えております。
  127. 塚本三郎

    塚本分科員 確かに、工事をしておりますとき、振動によってその建物がこわれたりあるいはまた影響を受けたときに、それは現物給付というようなことで、直接に手をかけていただくということはいままで相当しておいでになるようでございます。しかし今度の場合、そのことが出るかどうかは別にいたしまして、もともとたいへん広い道路であります。しかも大型の十トン以上の車がその過半数を占めておるという、四日市−名古屋、そしてまた国道一号線に結ぶ大産業道路でありますので、その間を乗用車が縫って走っておる。しかも人の歩くことがほとんど少ない道路ですから、車を対象にして営業しておるわけでございます。したがって、そこの工事が始められるともはや全然商売にならない。入り口はふさぐわけじゃないので裏からどうかということですけれども、裏から入るのは困難なんです。地域人たちならば歩いて裏から入ることもできますし、人の出入り口はあけてあげましょうとおっしゃる。そうじゃなくて、車自身が入ってこなければ困るのでございます。車が中に入れないようになる。これはぐるぐる回ればどこかに入り口はつけるでしょうけれども、そんなことをして来るお客さまはあるとは思いません。実はドライブインの商売とか、あるいはまた三重県の海へ釣りに行く人たちが途中でちょっと寄ってそこで魚のえさを買っていく、そのえさ屋さんだとか、あるいはまた自動車の修理だとか販売だとか、こういうような人たちが大部分なんです。だから、工事によって物理的には直接の影響はありませんけれども、しかし理論的には工事によって直接の影響を受けたとみなさなければなりません。したがって私は、おぼろげながらということではなくして、その商売のほとんどの人たちは法人でございますから、売り上げはきちっといままでは出ております。だからこれからそのことによって売り上げが極端に減少していくであろうと心配されております。そうすれば、当然得べかりし利益というものも下がってくると見なければなりません。だから正直に言って、通行量が少なくなったということについて、ここまでは無理だと思います。だけれども、工事によって理論的には直接の被害を受けるというものについては、これは具体的にこれだけの利益がそこなわれたとするならば、実はそれに対する補償の任に当たっていただかなければならぬのではないかというふうに判断されますので、御意見を伺いたいのであります。
  128. 大津留温

    ○大津留政府委員 工事によりまして家屋に損傷を受けたという場合は、これはもちろん補償いたします。問題は営業に影響があった場合ということでございますが、建設省としては従来とも、商店街等において工事をする場合におきましては、営業に支障のないように、どうしてもやむを得ない場合には出入りの通路を機能的に維持できるような仮りの出入り口を設けて、それで利用者に利用していただくというようなことで、営業に実質上影響がないようにやってまいったのが従来の例でございます。  お話しのこの名四国道と名古屋の環状線との立体交差、ここはたいへん交通量の多いところで、現在も平面交差で交通渋滞がたいへん著しく出ておるわけで、それを立体交差にしますとたいへん流れがよくなるということで、これの沿道のそういった商売をしておられる方々にむしろプラスの結果になるのじゃなかろうかと私は思いますけれども、問題は工事中における営業上の支障といいますか、それについてのお話だと思いますが、具体的にこの地点におきましては歩道を削って車道を広げるということ、したがって歩道の下にある埋設物を移設するというふうな工事も生じますので、商店に出入りする方にたいへん御迷惑をかけるわけです。そこで、歩道を最小限一メートル二十五の幅はいかなる場合にも確保するということですから、徒歩でおいでになるお客さまに対する御商売にはまずまずたいした影響はなくて済むのではなかろうかと思います。問題は、御指摘のように車でおいでになるお客さんを相手にしたドライブインだとかあるいは自動車の修理工場あるいはガソリンスタンド、あるいはお話に出ました車で来たお客さんがえさを買っていくというようなケースであろうかと思うのです。そこで、そういうようなガソリンスタンドだとかあるいは自動車修理工場というようなものは、その前面の埋設管、埋設物の移設工事をするにあたりましても、その掘ったみぞの上を鉄板でおおいまして、自動車がその上を通行して出入りするような道を絶えず確保するように仮設を行ないながら工事を進めるということでございますから、車が出入りできない、したがって商売ができないということにはならないように十分計画を立てておるつもりでございます。まあその間に、しかしそう言っても、そういうことがない場合に比べて落ちるじゃないかということは、確かにそれは全く影響がないようにはいかないと思いますけれども、これが一般的に社会通念として受忍していただける範囲にとどまるかどうかという問題だと思います。私どもとしましては、従来の例からいたしまして、今回のこの場所の工事において先ほど申しましたような仮設の施設をいたしますならば、まあ受忍していただける範囲におさまるのじゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  129. 塚本三郎

    塚本分科員 そうなればけっこうなんです。別に被害を受けることを期待する向きは一軒もないと思います。しかし、にもかかわらずたいへんな被害を受けたときにどうしてくれるかということのほうがいま先に立っておるわけです。だから、当然そういうふうにしていただかなければなりません。にもかかわらず、それが大きなマイナスを来たしたときにどうしてくれるか。そのことのほうが心配が大きいという状態だから工事してくれるなと現場の諸君が言っていることは、大津留さん御承知のとおりなんです。そのことをお聞きしているのです。
  130. 大津留温

    ○大津留政府委員 いろいろ工事をするにあたりまして、先ほど来申し上げたいろいろな配慮をするといたしましても、現実にはいろいろな御迷惑をかけると思います。したがいまして、この工事を計画するにあたりましては、市の当局ともいろいろ御相談しまして、あの地域の裏通りなどもこの機会に整備をして、その地区の方々の御迷惑を幾ぶんでも減少するようなこともあわせ考えておるわけでございます。しかし、いまの大通りから出入りされる主たるお客さんに対する措置といたしましては、先ほどお話ししたように、前面の歩道を工事する場合におきましても、掘った上に仮設の橋をかけまして、出入りには支障がないというように、十分機能的な回復というか機能的な維持ははかるつもりでおりますので、まずまず営業上著しい減収というようなことはないものと考えておりますが、もし著しい減収がありまして、いわゆる社会的にそれほどまでがまんをするのは許されないという程度に及ぶならば、これは補償の対象に考えられます。
  131. 塚本三郎

    塚本分科員 それでけっこうです。ともかく現場の各商店の皆さま方は、いわゆる工事が半年から一年かかったならば、著しいだけではなくして、工事が終わるまでその家業がささえられるであろうかということを実は深刻に心配しております。これは官房長の耳にも届いておると思います。したがって、そうならないように社会的に受忍できる範囲まででとどめていただくように万全の策を講じていただかなければなりません。しかし、それが数字的に、一軒、二軒ではそれは調べようもございませんけれども、きちっとした大きな法人がたくさん並んでおりますから、どれだけ影響を受けたかということは、はっきりと数字にいままでのデータがありますし、これからもありますから、万が一そのような状態になったとするならば、それはいまお話がありましたような、ぜひ補償の任に応じていただきたい。この点、大蔵省の御意見はよろしゅうございますかしら。関係ないですか。
  132. 大津留温

    ○大津留政府委員 いまちょっと大蔵委員会のほうに呼ばれております。
  133. 塚本三郎

    塚本分科員 それじゃ官房長、著しくそういう被害を受けたときには補償の対象にせざるを得ないというふうなただいまの御発言でよろしゅうございますか。
  134. 大津留温

    ○大津留政府委員 今回の工事におきましては、そういうことにならないように十分な措置をとる考えでございます。また従来の例からしまして、ああいった工事をやる場合の仮設の橋といいますか、出入り口を設けましてやりますので、通常ああいったケースの場合にはそういった事態に至らないと私どもは観測しております。しかしながら、工事によるということが明らかであり、しかも先ほど申しましたように著しい減収を来たした、その著しい減収が工事によるということが明らかであるという因果関係がはっきりしますなら、これは当然補償の対象になるというふうに考えます。
  135. 塚本三郎

    塚本分科員 もう一つ官房長、そうならないためにこうせよ、こうせよと言って、商売のために、あなたたち補償してもらう前にいろいろ自衛を考えなければなりませんから、そういう被害を受ける立場になると、あとから補償してくれというよりも、被害をなくするためにいろいろ工事に対する注文をおそらくつけるのですよ。そのことに対してみんな現場の工事屋が、それでは単価が高くつくとか仕事がおくれるとかいって、単価や時間の問題等でなかなか応じてくれない。だから、いま建設省立場では補償することは最悪の場合と考えて避けるようにとおっしゃるけれども、現場へ行くと反対なんですよ。補償の関係建設省にまかせて、自分たちは一刻も早く能率的に工事がしたいという形になっていきますので、その点そんなことまでしなければならぬのかというふうな誤算のないように、ひとつ十分この件は目を通していただいて、被害を最小限に食いとめるように努力をしていただきたいというふうに御注意申し上げておきます。  そこで大蔵省、いま官房長から、そういうふうにしてもなおかつ著しく営業に対して被害を受けたときには補償しなければならぬというふうな回答がありましたが、そのことはけっこうですね。
  136. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  なかなかむずかしい問題であろうと思うのでございますが、現実には私も名四国道の実態を存じておりません。しかも、申しわけないのですが、ただいま大蔵委員会のほうで出席要求がございまして中座いたしておりましたので途中しか伺っておりませんので、あるいは御答弁になるかどうかわかりませんが、先ほどお話を伺っております限りにおきましては、社会生活上どの程度受忍していただけるものかどうか、こういうところにかかってくるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。しかしながらいろいろなことが考えられるわけでございまして、補償基準一般をどういうぐあいにそれとの関係で考えていくかというようなことでもございますので、建設省当局のほうと十分御相談いたしまして研究してみたいとは思いますが、いままでの例から申しますとなかなかむずかしい問題ではないか、かように考えます。
  137. 塚本三郎

    塚本分科員 いま現場の諸君は、補償の任に応じますという一札を出さなければ工事させぬと言ってがんばっております。しかしそれは私は無理だと思う。政治家の立場から考えてみても、やはり交通があれだけ渋滞しておるところですからその工事は一刻も早くやらなければならぬ。しかし、現に君たちがそれだけ心配するような結果になるならば、明らかにそのことの因果関係をつけられるならば当然これは補償の任に応じなければならぬし、さらにまた、いま官房長のおっしゃったように、ならないように万全の策を講じていただく。この二つのことで工事をすることに協力をしなさいというふうに言うことが正しい。しかしそれにもかかわらず、先ほど申し上げたように、いままでと比べて売り上げががたんと落ちて、そして収入がひどく減少したときには、これは当然補償に応じていただかなければならぬという立場に立つ。だから、いままでのように、がたがたとやったためにかわらが落ちたとかあるいは壁にひびがいっただけではなくして、あそこは御承知のとおりたいへん広い道路で、みんな車が行く途中でとまって、そしてえさを買っていく、ドライブインの中に入って食事をする、あるいは車でボウリング場の中へ突っ込んでいく、あるいはまた車がついでに立ち寄って油を詰める、こういう人たちが九〇%以上占めている。裏はほとんどたんぼやそういうようなところだから近所の人が対象じゃないということも十分御承知だから、入り口が迷路のような形になっておったら、車が入れるじゃないかだけでは済まされないという形になることは明らかですから、このことを申し上げるのです。ぜひひとつ、私は一刻も早く建設省立場になって工事を進めていただきたい。そうでなければ、そういう被害者に対してよりは、またぐずぐずと建設なんかでやっているとその金額のほうがたいへんだと思うのです。その三十軒や四十軒の被害者に対する営業補償よりもたいへんなばく大な費用をかけて工事をなさるのですから、そのことともにらみ合わせて、筋の通るような道筋ができたときにはいさぎよく協力していただきたい、こういうふうに重ねて要望申し上げおきます。  もう一つ、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、理論的には私はそうあるべきだという問題を提起してみたいと思います。それは、あの道路を建設するときに、ほとんどがたんぼであったわけです。農地であったわけです。したがって区画整理をいたしました。そうして道路分だけを吐き出したような形になっておるわけです。といいますのは、これだけ幅の広いりっぱな道路をつける。そうすれば、いわゆる道路に面したところの土地は、残地はたいへん土地の価格が上がるから、現在、広い面積のときの全価格と、小さくなったけれども残った価格と比べてみたら、道路で有効に活用せられるから土地の価格が高くなった。したがって、ひどい人は六割から、ただ同然の値段でこの土地を道路に提供しておるわけです。あえてただとは言いませんけれども、ただ同然の値段。これは区画整理のときに常にやる手なんです。それは土地の価格が上がったからだということで。とにかく片道五車線もの道路が通るようになっております。だから沿道の土地は評価がたいへん高くなったという形です。だからそれでがまんしたのです。今度は上を、こういうふうにいわゆるまたぎ線ができることによってみんな通過してしまう。したがって自分の前を通るのはほんの狭い道路になってしまうわけです。だからこの道路は、いわば通過する人たちをあてにするものでなくして、ほんのわずかな近所の人たち、あるいは近くへおりてくる人たちだけが利用する側道になってしまうわけなんです。そうすると道路の価値というものはきわめて少なくなってくる。したがって、価値が高くなったことによって吐き出した道路はただ同然で召し上げたのだから、今後は国が上に高架をつくることによっていわゆる道路の価値が下がったならば、その沿道の土地の価値というものはがたっと下がってしまった。そこで、上がったときにただ同然に土地を召し上げたのだから、今度道路が価値が下がったことによってその沿道の土地の価格が下がったのだ。だから、先ほどの土地を返せというわけにはいかないでしょうから、その分だけ、いわゆる国の事業によってそうなったのだから、国はそれに対して、土地の価格の下がった分について——陰になったとかそういうことじゃない。価値がそのことによって下がったことに対して、上がったときに召し上げたなら、下がったときに今度は補償に応ずるというのが理論上正しいのではないか。おそらくいままでそのことはなかなか進まなかったのでしょうけれども、あまりにも極端にそのことがとられて、今度逆に召し上げられる形になりますから、これは補償の任に応ずべきではないかという理論が成り立ちますが、いかがでしょう。
  138. 大津留温

    ○大津留政府委員 関係の方々のお気持ちとしては無理からぬお気持ちかと思います。区画整理が終わって道路敷をただ同然というお話でしたが、記録によりますると、昭和三十六年に平均二千円で買ったことになっております。(塚本分科員「いま二十万円くらいですよ」と呼ぶ)その後その道路ができたためにたいへん地価が上がってまいりまして、二十万円になったということでございます。それで道路をつける場合に、その周辺の方が、ちょうど道路敷にぶつかった人と、そのそばにあった人でたいへん差が出てくるということで、その辺一帯の区画整理をして、周囲をよくしながら道路敷をお互いに分担して出そうじゃないかというのが区画整理のやり方でございます。そういうことで、名四国道ができたためたいへんあの辺は開けて地価も上がったわけですが、今回そういった立体交差になるために地価が下がるというお話でございますが、いまの計画によりますと、立体交差で上を通過する自動車の台数は六万五千台のうち三万九千台くらい、六割は上を通るであろう。下の側道、これは両側にやはり二車線とありますので相当な交通がありますが、ここを通るのが二万六千台くらいであろうというふうに推定しております。これだけの交通量がございますと営業上それほどの影響はないのじゃなかろうか。またしたがって地価が下がるというようなことは万々ないのじゃないかと私ども思いますけれども、ただこういうことがない場合に比べまして、地価のその後の将来の値上がりというものはそれは多少は影響があるかもしれません。そういうことでこの場合に地価が下がって、その分を補償するというようなことは、現実の問題としては万々あり得ないのじゃないかと思います。
  139. 塚本三郎

    塚本分科員 ぼくの言うのは、交通量の関係で営業のことがどうとか、そんなことを言い出したらこれは限りがないのです。だから私は、工事という事業そのものに対する影響としての営業の問題でいくべきだ。地価の問題は、道路ができることによって地価が上がったから二千円で吐き出した。いまは百倍なんです。僅々十年足らずで百倍、同じ市内でそういう形になっておりますから、他が十倍のときにこれが百倍なんです。しかもいま申し上げたように、これはやはり交通量の問題よりも、実際の道路の価値ががたっと下がってしまったから、交通量による営業の問題ではなくして、地価としてそのことは考えるべきだということです。私はいま回答を求めることはなかなか無理だと思います。この点は新しい考え方だけれども、このことは、共同してみんなが土地を出した、そうして今度はみんな上をさっと出てきて、日陰になるだけじゃなしに、ともかく通過交通は全部上を通ってしまって、上から排気ガスを流されるだけだから、ともかくこの人たちは全く日陰者の形になってしまって、もう全然道路がないほうが  いい、こういう形になってくるのだから、これはやはり検討に値する問題だと思いますから、この点ひとつ大臣大蔵省と見解だけ承って、時間が来ましたから終わりたいと思います。
  140. 金丸信

    金丸国務大臣 十分検討させていただいて将来の参考にしたいと思います。
  141. 藤仲貞一

    藤仲説明員 これまたなかなかむずかしい問題でございますので、研究させていただきたいと思います。
  142. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて塚本三郎君の質疑は終了いたしました。  次に、太田一夫君。
  143. 太田一夫

    太田分科員 建設省にお尋ねをいたしますが、国道の管理責任者は建設大臣と都道府県知事に分かれておるようでございますが、その分け方はどういう基準によっておりますのか、これを最初にお答えをいただきたいと思います。
  144. 菊池三男

    ○菊池政府委員 国道の管理につきましては、直轄で管理いたします指定区間がございます。これは路線を指定しております。その区間につきましては建設大臣、それを指定していない区間の国道につきましては都道府県知事が管理の責任者でございます。
  145. 太田一夫

    太田分科員 それでは、国道の建設と改良及び維持、修繕の費用の分担はどうなっておるか、この現況についてお尋ねをいたします。
  146. 菊池三男

    ○菊池政府委員 費用の分担につきましても、直轄の指定区間につきましては国でございます。それから都道府県知事の管理しております区間の改良あるいは補修は都道府県でございます。
  147. 太田一夫

    太田分科員 いわゆる昔の一級国道、東海道一号線のごときもの、いまお話のありました名四国道、こういうような建築費は、これは指定区間でございますから建設大臣の管理責任があるわけでありますが、これにもやはり地元の負担というのはあるでしょう。東海道一号線であるから全額国が持つというものでもなく、地方に三分の一ぐらいの負担を負わせておるのでしょう。
  148. 菊池三男

    ○菊池政府委員 費用の負担の問題につきましては、直轄の場合には道路法では新設、改築の場合は三分の二でございますけれども、道路整備緊急措置法によりまして現在は四分の三でございます。四分の一を地元が負担をするということになります。それから改築の場合に同じ四分の三を補助いたしまして、県が裏負担をすることになります。いまの場合には改築でございますが、また維持とか修繕になりますと、若干その比率は変わってまいります。
  149. 太田一夫

    太田分科員 建設大臣国民は国道といえば国の負担によってつくられるものと思っています。それから国の負担によって維持、修繕もされるものと思っております。いまお話のありましたように、改良工事をやるというと、建設省がやっているんだと思います。金も建設省が全部出すんだと思います。ところが、そうではない、地方と国との両方が負担をするということになりますが、国民の常識とは合わない。一号線をつくるのにも地方の負担があるということについては、理屈が、常識が合いません。そのことについて大臣はどうお考えになりますか。
  150. 金丸信

    金丸国務大臣 私も、大臣としての立場でなくて、政治家として考える場合には、地方負担が非常にいろいろの面で財政的な貧困というような立場からいえば、国に全部持っていただいてもいいんじゃないか、こういう考え方を持っておりますが、法律できめてあることでございますから、これをいま実行いたしておる、こういうことでございます。
  151. 太田一夫

    太田分科員 私も同じ考え方を持つのです。大臣のおっしゃるとおりであって、それが一番国民感情に合うのです。常識に合うのです。国道をつくるのに地方負担が何分の一あるというようなことをおっしゃっては、地方の人はあ然とするよりしかたがないという実際の状態であります。そこで、今度改訂された道路整備の五カ年計画によりますと、地方の単独事業がだいぶふえておるようでありますね。増が特に著しいわけです。そういうことによって費用の分担につきましても地方の費用というのは非常にふえておりまして、その増加率などは、地方費をもって支弁するほうが前回の五カ年計画よりは九一%の増加率、それから国費のほうは四三%の伸びというようなぐあいにいわれております。言うならば、今度の新道路整備五カ年計画というのは費用的にも地方に非常に負担を多く背負わせたことになるのではないかという評がございますが、いかがでございますか。
  152. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほどの地方単独の問題でございますけれども、地方単独費の伸びは地方財政計画に基づきます四十七年度の金額をもとに、従来の四十一年度から四十五年度までの伸び率、これは実際の伸び率でございます。これが二一%でありますので、それを掛けている。二一%の伸びという実績で伸ばした数字が今度の五カ年計画の地方単独の費用でございます。  それから、全般的に市町村道等につきましても、今度の五カ年計画では相当伸ばしたいというふうに考え、ておりますので、地方の負担は大きくなるかと思います。これは地方ばかりではなくて、国のほうも従来のガソリン税等の特定財源ではまかない切れませんので、一般財源が大幅に入っておりますが、地方についても同じことが言えると思います。  そこで、あと一年かけて財源の問題を十分検討するようにということでございますので、来年の予算編成時までには、これは国の財源構成それから地方の財源構成もひっくるめまして十分検討いたしたいというふうに考えております。
  153. 太田一夫

    太田分科員 地方負担が非常にふえるということから、私ども道路整備五カ年計画発展はいいことであるとは思いますけれども、地方財政計画を異常にふくらましたり地方の負担がふえるということは、地方住民のいろいろな福祉政策が縮小されることにもつながりますから、これはひとつ一年間大いに研究して、いい案を出していただきたいと思います。  そこで、それに関連をいたしまして、ひとつ具体的な事例についてお尋ねをいたしますが、昨年の十二月一日から国道二百四十八号線の矢作川にかかっております橋梁、天神橋と通称言っておりますが、全長二百七十二メートル、この橋げたですが、何か亀裂が入りまして、通行九トン制限となり、しかも交互一方通行方式をとることになりました。そこで、その当時七十数回のバスが通っておったのでありますが、現在それも減らしまして、全部で六十回程度のバスが通っておるのであります。このバスが自重八・何トンあるというような関係から、この九トン制限にかかりまして、全部橋のたもとで乗客をおろして、そして橋の上は空車で通りまして、向こうで間に合えば乗せていくが、間に合わなければそのままお客さんは残していく、こういう制度がとられておるわけなんです。十二月からでございますから、寒い風の中、十二月、一月、二月、もう三カ月ほど経過したのでございまして、百日間の苦労というものは並みたいていのものではないので、乗客も徐々に減ってまいりましたが、なおかつ一日三百人から四百人の方が橋を歩いておるわけです。いよいよ雨季を迎えるわけなんでございまして、その際に、風は吹くわ、雨は降るわ、バスにおろされて橋を渡ったわ、バスはおらないわということは見るに忍びない。そういうことから世論がたいへん沸騰して、国道であるのにどうして建設省は力を入れないのかという意見がある。ところが、これは先ほどおっしゃいました指定区間ではありませんから、その他の区間、愛知県知事の管轄に属しておるのでありますから、県土木の所管する事項でございます。県会等におきまして相当やっておるようでありますが、なかなか金もかかる、手数もかかるというので、ぐずぐずしておりました。現在、バスのお客さんが橋を渡ってバスに乗れないのがほとんどであります。ラッシュ以外は乗れません。ラッシュのときはほとんどバスが動きませんから、歩くほうが速いから乗れるのでありますが、その他のときには、豊田市に向かって行きます場合には二十分、それから岡崎に向かって来る場合には三十分というのが平均待ち時間なんです。これは人権問題だというくらい非常な非難が集まっておるのでありますが、これに対しまして、きょうは具体的な問題で皆さんにお尋ねをしたい。  最初に大臣の御所見を承りたいのでありますが、ここのバスが国道を渡るのにそういう変則的な状態をもって渡っておるということを御存じでありましたかどうか。また御存じであったとすれば、どうお感じになりましたか。
  154. 金丸信

    金丸国務大臣 それは道路局長からの報告を聞いて知っております。これは一日も早く国民が使えるような方向を考えなければならない。そのためには工事を促進させなくてはならぬ、こういうことです。ただ、この問題は、途中で亀裂を生じているというような問題等もありまして、これが未然に防止できたということについてはよかったと思っております。このために人命に相当な影響があったというようなことになったらどうなっただろうかということも私は考えさせられました。
  155. 太田一夫

    太田分科員 三百人から四百人のバスの乗客が歩くということにつきまして、私ども人権問題だと思います。  それで、局長にお尋ねしますが、この場合、とりあえず本年三月一ぱいまでに行なう工事の費用約二千万少々、これが全部、あなたのほうの補助金が入りませんので、県単で行なうわけでありますが、これは技術も県にまかし、金も県にまかす、全部地方まかせでございますか。
  156. 菊池三男

    ○菊池政府委員 さしあたっての補強工事といたしましては県単独でやっていることは事実でございます。  実はこの橋につきましては、昭和四十二、四十三年度ごろに床板等に弱いところがあるということで、また耐荷力も弱いということで大々的な補修をしております。そのときには総額七千六百万円かかっておりますけれども、これは補助工事でやっております。そうして、その後維持をやっておりましたところが、昨年の九月にけたに亀裂が入っているということがわかりまして、それが二カ月ほどたちました十一月に非常に大きくなってまいりました。そこで、これは制限をしなければ大事故につながるということで、荷重制限をしたわけでございます。それが先生言われたような九トンということでございます。九トンでございますと、人が乗ったまま橋が通れませんので、手前でおりて歩いて渡っていただいておるというたいへん御不自由をかけておりますので、申しわけないと思っておりますけれども、そういうことが九月、十月、十一月の間に急にわかりまして、これを補助事業でやる方法もございますけれども、やはり年度途中でございまして、そういう費用がもう補助対象事業としてはありませんので、通常の場合翌年回しになるわけでございます。そうしますと、たいへんおそくなりますし、県のほうも、それでは県単で応急処置をやろうということで、応急処置として県がそのこわれたスパンだけは早く新しいのと取りかえるということで、いま工事をやっておるわけでございます。できるだけ早くやるようにということでございますので、たぶん五月ごろまでに何とかなるのじゃないかと思っております。  それからもう一つ、実はこの橋が弱いこととあわせて、バイパスをつくっております。新しい天神橋をつくっております。これは総額三十億程度かかる工事でございますが、これは補助事業として国が四分の三を持ってやっておる事業でございます。これができますと、いまの橋を使わずに、新しいバイパスで新しい橋でやれます。このほうを至急にやろうということで、昨年当初は一億四千万程度でございましたが、急にこういう事情になりましたので、補正を三億五千万ほど追加し、さらに債務負担等によりまして五億何がしという相当大きな金額にして、バイパスのほうの促進もはかっておるところでございます。
  157. 太田一夫

    太田分科員 いまの話の中にちょっと気になる点があるのでございますが、新天神橋は三十億の事業費で補助事業としてやる、これはバイパスでありますが、新設であります。これは国道という名前がつくのだからあたりまえのような気がするのですけれども、大臣の先ほどの話じゃありませんが、常識では非常に不可解千万な分担割合であるが、法律上いかんともしがたい、こういうことでございましょう。そこで、天神橋を使わぬで済むように急いでおるというお話でございますが、その御認識では困るのでありまして、橋ができるだけで来年の暮れ、いまから約二年、一年十カ月かかる。非常に急いだところでそれくらいかかる。その間、雨が降れば雨にぬれ、風が吹けば風に吹かれ、あぶない橋の上をよちよち歩かなければならぬとは何ごとか。マイカーの方々はすいすいと通れるわけです。大衆交通機関のバスに乗るのは庶民的な人たちが多いのです。そういう人たちを一年も二年も歩かせておくなんというそんなこと、ましてや前の橋を廃橋にするということは、地元の感情をさかなでするものでありまして、これもまた困るのです。現地の県のほうにおきましては、橋は廃橋にはしがたい、これは存続しましょう、そして同時にバスの問題も何とかひとつ考えようというところまでいっているように聞いているわけです。いまの御説明、ちょっとまずいような気がしますが……。
  158. 菊池三男

    ○菊池政府委員 たいへんことばが足りませんで誤解を招いて恐縮でございました。旧橋のほうにつきましては、先ほど申しましたように、とりあえず補強して、五月には悪いけたは取りかえたい、そういうことでございますが、新しいバイパスができました場合に、通常は旧橋は廃止するのがたてまえでございます。ただ、ここの場所につきましては、先生おっしゃいましたように、地元から残してほしいという御要望が相当に強いように承っておりまして、都市計画からいきますと、決定しておる道路ではここに橋をつくるということにはなっておりませんけれども、地元からそういう強い要望がございまして、あるいはかけかえるなり、何かの形で存続する方向で検討しております。  それから、先ほど私、新しい天神橋の補助率四分の三と申しましたけれども、これは三分の二の間違いでございましので、訂正申し上げます。
  159. 太田一夫

    太田分科員 二千万円ほどかかる。本年度の補修予算は、一年前からわかっておったわけじゃないから間に合わないというので、県のほうが応急処置として県負担によってやるというお話がいまありました。予算の使い方からいうと、そういうことが正しいのかもしれませんけれども、県のほうでも、あちこち予備費を集めて、ようやく二千万円つくりましたけれども、あなたのほうではいままで口も出しておらないでしょう。技術は出す、技術者を送って、何にも手も出さない。金も全然出さない。手も出さない、金も出さない、口も出さない、何も出さないというのじゃ国道の名に恥じると思うのです。国道というのは、国民の感情からいうと、先ほど申し上げたように、そんなものじゃない。ぜひこれは新バイパスを急ぐと同時に、いまの橋の復旧を急いで、バスが通れるようにしてほしいと思います。  そこで、警察庁の交通局長さんにお尋ねいたしますが、重量制限九トンにしましたけれども、実は過積したトラックが相当数多く通っておるようなんです。バスだけは正直にからで走るが、トラックのほうは十トンをこえるような重量過積した違反車がどんどん走っているということでは、私はこれはちょっと行政上まずいと思うのです。公安委員会の措置が必ずしも不適当だったというふうに非難するわけじゃない。いままでも過積の取り締まり等もあったようでありますけれども、何にしてもその器材とか人員が不足しているので、毎日そこへ行っているわけにはいかない。もしそれができても何ともならないならば、バスだけを通して、バスが通るときには他の車は通さないというような措置でも講じて、そうして大衆の交通機関としてのバスの使命にこたえさせるべきではないか、こう思いますが、いかがですか。
  160. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私もそのように考えます。ただ問題は、橋の強度の問題でございます。そのほうは私ちょっと専門家じゃございませんので、道路管理者のほうで、ほかの大型のトラックはとめてもバスを通すということが荷重上安全であるという結論が出ましたら、私どももそういう方向でやりたいと思いますし、愛知県会でも道路管理者がそういう趣旨の答弁をしておるように聞いております。
  161. 太田一夫

    太田分科員 九トンという微妙な制限でございますが、バスは三百人から四百人ぐらいが五十回乗るのですから、五十ばいのバスで割ってみますと、一バス平均六人ぐらいで、一人五十キロとして三百キロ、トンに満たないわけです。これを拒否するということはない。何人まではよろしいと即座にやってもいいと思うのですが、これは道路局長と交通局長と両方から一ぺんお答えいただけませんか。
  162. 菊池三男

    ○菊池政府委員 荷重の制限が九トンでございますと、やはりとうとい人命を乗せて、もし万が一ということを考えますと、九トンと出ておる限り、私はむずかしい問題と思います。ただ、その九トンにつきましても、実はさらに詳細に検討しようということで十二月から調査を始めております。これはたぶん三月中に、あるいはその程度のオーバーならばだいじょうぶだという結論が出れば、また警察のほうと話をしてそういう形にしたいと思いますけれども、ただいまのところでは、やはり人命にかかわることでございますので、九トンでまいりたい。  それから違反車でございますけれども、確かに過載のトラックも通っておるようでございます。これも道路管理者のほうと県警のほうと合同で何回か取り締まりをやって違反車を摘発しているということで、その橋梁に悪い影響を与えないように、できるだけそういう意味の取り締まりも続けていきたいと考えております。
  163. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私どものほうも、初めこの問題が持ち上がりましたときに、道路管理者のほうに、マイクロバスでも使うことはできないだろうか、そしてマイクロバスによって住民の不便をなくすというわけにはいかないだろうかという要望もいたしました。しかし、これもおそらく事情があったのだろうと思いますが、それが実現されておりません。したがいましていま申しましたように、かりに先生がおっしゃったように定員を制限してでも通させるというようなことであれば、そういう点につきましてもまた愛知県、道路管理者たる知事とそれから公安委員会のほうで十分協議していくというふうにいたしたいと思っております。
  164. 太田一夫

    太田分科員 交通局長、過積のトラックの取り締まりをこの間二回おやりになったようでありますが、これは今後も相当おやりになりますか。
  165. 片岡誠

    ○片岡政府委員 常時は地元警察でやっておりますけれども、やはりときどきこういうふうに道路管理者と一緒になった取り締まりを続けたいと思っております。しかし、できれば、取り締まりで担保するということでなくて、もう少し合理的な解決方法はないだろうかというふうに存じております。
  166. 太田一夫

    太田分科員 こういう大衆交通機関としての使命というものが非常に大きく叫ばれておるときに、バスレーン等でバスが優先的に通されるべきときに、ここはマイカーとトラックが優先をして、バスがまま子扱いされておるということは逆転をしておりますから、この点はぜひすみやかに是正されることを希望します。大臣いかがですか。
  167. 金丸信

    金丸国務大臣 すみやかにそういうような問題は解消して、御期待に沿えるように鋭意努力をします。
  168. 太田一夫

    太田分科員 次に、これは建設省にお尋ねをいたします。  国道一号線でございますが、バイパス方式というのが立てられまして、現道拡幅よりはバイパスをつくって交通難解消という御方針で、東京から大阪の間ほとんどバイパスが完成しましたが、愛知県内においては豊橋から先ほどの名四国道の終点の尾張の地域に入るところまで、いわゆる東西三河の地域だけがバイパスがございません。ほとんどバイパスの役割りを県道に依存されておるようでありますが、どうしてバイパス計画がされないのか。どういうことでございましょうか。
  169. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいま先生のお話のとおり、東海道、国道一号線につきましてはバイパスを局部的につないでやっております。これは沼津あたりから、沼津静清バイパス、掛川バイパス、磐田バイパス、これはできたものもございますし、これからやるものもございます。豊橋から先につきましては、実はまだバイパスとして決定しているのはございません。これは豊橋から先は現道を四車に拡幅しようということで、現在鋭意工事中でございます。岡崎の付近はまだ一部残っておりまして、たぶん昭和五十年度には全部終わると思います。そういうことで豊橋から先ほどの豊明町、名豊バイパスといっておりますけれども、豊橋から豊明に至るルートの考え方はございまして、現在鋭意調査を進めておりますし、その一部、豊橋の区間それから豊明−知立、この区間につきましては四十八年度から事業に着手をする予定でございます。
  170. 太田一夫

    太田分科員 この名豊バイパスというのは少し南に片寄り過ぎるわけです。ほんとうの一号線のバイパスをつくろうとするならば、もう少し一号線を中心として近寄ってもらわなければならぬと思うのです。名四国道そのものはいまの名豊バイパスにつなげるように持ってきたものじゃないわけですね。南のほうから北のほうに向かってきたものを、今度大きく南に湾曲して海のほうに近寄っていこう、山のほうを通るべきものを海のほうを通すのだから、非合理性があるのです。どうしてあの付近だけができないのだろうか。徳川さんが東京に優秀な人を全部持ってきてしまったから三河にはたいした人間がいないだろうからというようなことじゃ困るわけであります。最も事故の多いのは愛知県で東海道一号線です。でございますから、四車線にしたところで、バイパスをつくったところは格段に違うでしょう。バイパスをつくったところは、もとの道は二車線、バイパスが四車線、合わせて六車線の供給があるところに、幾ら四車線が昭和五十年完工したところで、四車線は四車線でありまして、六車線には及ばないわけであります。ですから、これは名四国道建設当時の理想があろうと思いますから、それを基礎にされまして、バイパス計画をひとつ早急に立ててもらいたいと思う。
  171. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ごもっともでございます。現道の拡幅を進めますと同時に、バイパス計画につきましても、豊橋から豊明に至る、少し南のほうに離れておりますけれども、これを早急に進めるということで、先ほど一部四十八年度着工と申し上げましたけれども、その着工は一部でございますが、大部分につきましては現在鋭意調査をしております。調査成果を早くまとめまして、四十九年度中には都市計画決定まで持っていきたいというふうに考えて、積極的に整備を進めてまいりたいと考えております。
  172. 太田一夫

    太田分科員 これは大臣に要請しておきますが、私がいま申しますこのバイパスというのは、名豊道路をさすわけではございません。これはその効用がないのです。ですから、本来のバイパスを別に計画してほしいということであります。これは一号線の事情、東三河、西三河、豊明間を百キロほどよく御視察、御研究いただきまして、必要あるならば、県道に一切バイパスの役割りを一任するのじゃなくて、負わせるのじゃなくて、国道としてのばりっとしたバイパスをつくってほしいと御要請申し上げておきます。大臣、いかがですか。
  173. 金丸信

    金丸国務大臣 私も名古屋の方面はつまびらかにしておらぬものですから、一度国会でも済みましたら視察しまして、御要望にこたえるように努力したいと考えております。
  174. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて太田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、久保三郎君。
  175. 久保三郎

    久保(三)分科員 限られた時間でありますから、一つだけ大体限定してお伺いしたいのですが、霞ヶ浦の水に関係してお尋ねしたいと思います。  霞ヶ浦の水についてでありますが、御承知のように現在水資源公団が事業をやっております。これは言うならば治水あるいは利水というか、そういうことを中心にして、下流の常陸川あるいは利根川河口ぜきというか、そういうものの工事と、それから護岸の堤防のかさ上げという、地元ではいわゆる霞ヶ浦の水がめ化と称しておりますが、下流を締め切って、かさ上げをして、そして水をためて、まあ目的にはいろいろ書いてありますが、さしあたり一番ねらいとしているのは、おそらく鹿島の工業地帯における工業用水の取得というのが重点のように地元として見ています。この見方については別としても、いま一番問題になっているのは、霞ケ浦の水が、下流を、常陸川の河口ぜきを締め切ってやっておるわけでありますから、当然水の滞留が多くなってくる。もう一つは、霞ヶ浦は御承知のように流入する河川は五十何川かあります。これは小さいのも大きいのもあるのでありますが、これが最近の傾向として、周辺の排水に利用されている。それからもう一つ、霞ケ浦周辺では現在まで主として農業あるいは畜産でありますから、特に養豚県ということで豚の飼育が非常に多い。そういう関係もあって家畜によるところの汚水、そういうものの流入がひどくなってきたというふうなことで、上水道に水をとっているのでありますが、聞くところによりますれば、これは塩分が強くてというか、そのままでは飲めないというので、笑い話のようでありますが、おかに深井戸を掘って、霞ヶ浦の水を薄めて上水道の水に利用するというような始末のようであります。かたがた、言うまでもありませんが、淡水魚を中心とする魚族は年々減ってまいりました。特産魚であるところのワカサギのごときはもうほとんど枯渇してしまったというか死滅した。そればかりじゃなくて、湖岸をかさ上げしておりますから、なるほど工事の一端には水門なりあるいは樋門というものをつくって用排水というものも考えてはいるようでありますが、水資源公団がやっている仕事はおおむねかさ上げが中心でありまして、よって周辺の農業用地あるいは住宅宅地、そういうものが思わぬ災害を受けているというようなことであります。そういうことがあるので、去年やはりこの席で時の建設大臣西村さんにもお尋ねした。河川局長おかわりになったようでありますが、前任者にもお尋ねした。でありますから、くどいことを申し上げる必要はないと思うのでございますが、大臣もおかわりになりましたし、河川局長も交代されたようでありますから、あらためて私は申し上げるのでありますが、いま一番困っているのは、霞ケ浦の水は死んでいくというようなことが地元の声になっております。  そこで一つには、まず最初に、環境庁来ておりますか。——それでは水産庁来ておりますか。漁政部長来ておりますね。水資源開発公団がやってまいりました開発計画というか、基本計画に対して当初から、これを進めていけば水産業に及ぼす影響はかなり甚大である、十分な配慮が必要であるということが、これは昭和四十六年度の閣議決定の水資源開発基本計画というものにも特筆しているのでありますが、かなりの影響は、ここで指摘されるばかりでなくて、現実にそうなんですが、いま現況はどうなのか、私がいま簡単に申し上げたような現況であるのかどうか。現況がそうだとするならば、どういう対策をとっておられるか。なぜそういうことをお尋ねするかというと、水資源開発公団の仕事は着実に進行している。そして下流はもう締め切っている。そういう状態の中で片方、水産行政というものは遅々として進まないのではないかというふうにわれわれはとっているわけなんですね。これはどうでしょう。
  176. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。霞ヶ浦は御承知のように、日本では琵琶湖に次ぐ第二番目の大きな湖でございまして、漁業生産の面でいきますと、生産高は一番、琵琶湖を抜きまして、四十六年度におきまして一万八千トン、三十億円というような額にのぼっております。漁業構造は、農業の兼業農家を主体といたします漁獲漁業が中心でございますけれども、最近では養殖業を導入して、生産の伸びがかなり伸びておる、こういう状況でございます。  お話の霞ケ浦の水資源開発計画によります事業が行なわれた場合に、水産業にどういう影響を与えるかということでございますが、その影響といたしましては、一つは、常陸川の水門の閉鎖によりまして、遡河性と申しますが、川をさかのぼるウナギとかサヨリ等の、そういう遡河性魚類への影響が一つございます。それから水門が閉鎖されました場合は、水門閉鎖に伴います湖内の淡水化によりまして、従来の汽水性の白魚でありますとかヤマトシジミ、そういったものに対する影響が出てまいります。それからお話のございましたような、水位が変動いたしますと、ワカサギなどの産卵場、生育場の喪失といったような問題が出てまいりますと、さらに養殖施設とか漁獲施設、漁港施設、そういったような水産施設に対する影響も出てまいるわけでございます。そういったことから霞ヶ涌水資源開発計画におきましては、事業を実施する場合には水産業に対する影響について十分配慮するということになっておりまして、そういう考えでおるわけでございます。そういった見地から、水資源開発公団のほうも、日本水産資源保護協会等に委託をいたしまして、影響調査等もやって、四十六年の三月その報告が出ておりますが、現在茨城県のほうにおきましてはいろいろな計画を検討中でございます。それで、霞ヶ浦の水産業の振興をはかるためには、先ほど申しましたような影響がございますので、たとえば水門閉鎖後の環境にも対応することができるような魚種につきましての種苗の放流でございますとか、あるいはとる漁業からつくる漁業といいますか、養殖業をもっと伸ばしていくといったことでございますとかによりまして漁業経営の近代化、漁業基盤の整備ということについて施策を推進することが必要であるというふうに考えております。
  177. 久保三郎

    久保(三)分科員 考えていらっしゃるということはたいへん敬意を表わします。考えてないよりはいいのでありますが、片方の仕事はどんどんやっているのですよ。下流を締め切って、それで水は——さっきちょっと聞き漏らしましたが、漁獲高は上がっているとおっしゃいましたね。漁獲量は上がっている、そうおっしゃらなかったですか。
  178. 増満二郎

    増満説明員 そうは申しませんでした。
  179. 久保三郎

    久保(三)分科員 もしそうだとするなら、これは富栄養化ということで、いっときコイとかフナの悪食の魚はふえております。ただしそれ以外の高級魚というか、そういうものは減っているのですね。いずれにしても、考えていらっしゃることはけっこうでありますが、そうでなくてさえ、いわゆる下流を締め切って水資源開発公団がやる開発基本計画に基づいたところの事業をやらぬでも、いままででも、そのままほったらかしにしておいても、さっき申し上げたように、五十何河川が汚水を霞ケ浦に入れ込んでおる。それから周辺からの汚染がはなはだしいということで、霞ケ浦の水はそれでなくてさえ死んでいくというところに、下流を締め切って、かさ上げをして水がめにするのでありますから、死んだ水以外は取れないだろうという心配があるわけです。  そこで、環境庁おいでになりましたから、岡安局長にお伺いするのだが、時間が三十分しかないから、あまり長いおしゃべりを私もできないのですが、去年ここであなたにお尋ねして、その後霞ケ浦の環境基準をおきめになったのですが、きめられた基準はたいへん長い間かけなければもとへ戻らない、その基準に達しないというふうにわれわれは聞いているのですね。それでは、いまは何をなすべきかについて、環境庁はそれぞれの関係の筋に具体的に計画を立てさせるためのことは勧告なさっているのでしょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
  180. 岡安誠

    ○岡安政府委員 霞ケ浦につきましては、いまお話ございましたとおり、環境基準ば、昨年の十月末に環境基準Aとして指定をいたしております。これもお話しのとおり、Aの指定の実現の期間でございますが、五年以内にはなかなか困難であるというように考えておりまして、五年を過ぎてなるべく早い期間というふうに私どもは予想しております。そういう期間を経ましても、相当な努力をいたしませんとAの基準を達成することはなかなかむずかしいと思っております。  その手段といたしましては、霞ケ浦が現在汚染しておりますのは三つございまして、工場排水、家庭排水、それから畜産排水等であります。工場排水につきましては、現在の一律基準よりもきびしい上のせ基準を設定してもらう。現に茨城県に上のせ基準を設定しておりますけれども、これはさらに、より一そうきびしい基準に次の段階にしていただかざるを得ないというふうに考えております。それから家庭排水につきましては、周囲の下水道計画を早急に実現をしていただく。現在でも一部着工しておりますけれども、なお現在計画中のものが多いわけであります。これの進行を早めていただく。畜産排水につきましては、先般私ども排水規制をいたしております。その規制基準を守るように、経営の転換その他をしていただくようにすでにお願いしてございます。そういう総合的な施策が相まてば、私どもは現在の霞ヶ浦につきましてはAの基準を達成できるものというふうに考えております。
  181. 久保三郎

    久保(三)分科員 大臣お聞きのとおりでありまして、いま環境庁からのお話があったような事業、それからそういう基準というものを的確に守っていけば、大体五年、とは言わないが、もう少し先にもとに戻るだろうということですが、汚染の度合いは琵琶湖よりずっとひどいのです。急速にひどくなってきている。しかも、御承知のとおりこの水は茨城県だけが使うのではないのです。東京都、千葉県、それから茨城県の水なんですね。これは下流に属しておる水でありますから、都会に密着した水なんですね。山国の水じゃないんですね。それだけに大事な水だと思うのです。ところがそれが死んでいくということでありますから、去年もこの委員会で申し上げたのは、琵琶湖でさえ総合開発計画を立てて特別立法をした。はっきり言えば、もちろんこれで十分ではありません。特にいま必要なのは、水質をどうしてもとに戻すか、あるいは環境整備をどうやったらいいかというようなことが地元からすれば一番大事だと思うのですね。まず上水道等に使う水が一番大事ですからね。死んだ水で用が足りるのは工業用水くらいしかもしれませんが、いずれにしても、そういうことを考えると、これは総合計画を十分立てて、その上で水資源開発公団のやる仕事も並行して進めるというなら話はわかるのでありますが、何か水をためて取るほうだけを先行して、あとのものはどんどんおくれたままになっていくところに問題があると思うのですね。そこで、去年の前任者である西村建設大臣答弁は、それはもっともだ、総合的に検討しましょう。河川局長もそうでございますという約束をしたのでありますが、総合的に検討しているようにはなかなか見受けられぬですね。主管省はどこになるのか知りませんが、水を相手にすれば、やはり建設省建設大臣が中心でおやりになることだと思うのであります。なお、この特別立法について地元茨城県のほうからもいろいろ要望があったように聞いております。われわれも間接的に要望しております。間接的というより、去年は正式にこの席で要求というか要望をしたのですがね。引き受けられたままで、どうも主がかわったから知りませんということであるかもしれませんが、それでは話が違うと思うのですね。  どうでしょうか。話の結論として大臣にお伺いしたいのですが、霞ヶ浦はさっき申し上げたように琵琶湖に次ぐ第二の湖で、資源としてはたいへん多角的な資源を持っておるのですね。特に中心になるのは水でありますから、その水を生かして使うという方向で総合対策を立てるために、これは必要があれば特別立法をしてもらいたい。これは政府の責任でやるのがほんとうだと思うのですね。議員立法という話もあるが、議員立法もけっこうでありますが、これは政府の責任で全国的な視野においてやるべきだと私は思っておるのです。それと同時に、もう一つ、これは国会中でありますから、なんですが、早急に霞ケ浦の総合開発について、総合開発というよりも総合対策について、中央でもそれぞれの機構を持って手をつけていかれる必要があると思うのですが、いかがでしょう。
  182. 松村賢吉

    松村政府委員 ちょっと大臣から御答弁いたします前に河川局長から事務的なことについて申し上げます。  霞ケ浦の水資源開発あるいは治水事業、これに伴いますいわゆる総合開発と申しますか、霞ケ浦をきれいに残し、またこれの周辺の開発等もやっていくということは、まことにごもっともなことで、私ども引き継ぎましてからも当然それを進めているわけでございます。  それで、具体的な事例といたしましては、現在、霞ヶ浦のみでなく、水源地域対策特別措置法というものをいろいろ提案準備をし、検討中でございます。この中に私どもとしては霞ヶ浦も含めて考えたいという方向で検討を進めておるわけでございます。この内容といたしまして、やはり霞ヶ浦の水質をよくするというようなこと、これも内容に含めて進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  183. 久保三郎

    久保(三)分科員 大臣から御答弁をいただく前に、いまの水源地対策特別措置法案というか、聞いていますよ。聞いていますが、大体水源地を確保することがこれは主たるあれなんですね。ぼくの言っているのは違うのですよ、局長。ぼくの言うのは、水源だけ確保すれば何でもいいという、そういうねらいじゃないのですね。まず霞ケ浦を総合的にひとつ生かしてほしいということなんですよ。だからおのずから違うでしょう。特に水質保全、これは水源地なら水質保全は要らないのです、はっきり言うと。要らないというのは極端な話ですが、そういうことも言えますよ。工業用水などは環境基準が少し悪くても使えるのじゃないのですか。まあいずれにしてもそういうことです。  それからもう一つは、水位をどうして調節してもらうか、そういうものも中に入っておるのですね。水が要るときは取っちゃって、底まで取っちゃえばいいのだ、そういうやり方ではちょっと困るのですよ、これは。一定の水準に水を置く、それで使っていくということならいいですがね。渇水期というのもあるのですからね。雨が降らなかったりなんかするときもあるのですから、何か建設省でやる場合には、かさ上げをするのは洪水があるからという四十年前の話を持ってきているのです。四十年前の昭和十六年に洪水があったから、それを基準にしてかさ上げをしようというのでしょう。われわれしろうとですから、なんですが、たいへん失礼なんですが、洪水があるとは思ってないのですよ。上のほうでみんな水を取っちゃう。水が何ぼほしくても、水は下のほうへ来ないのですよ。渇水というのがあるのです。渇水が、五年か三年に一ぺんは来る。底が浅いのです。皿のような湖になっている。水を取られるのが一番困るのです、はっきり言って。だからそういうものを含めて、霞ケ浦というものを総合的に計画してほしい。魚もそうです。景色もそうだし、まわりの営農もそうだし、単なる水資源、いわゆる水源地対策の法律で片手間でやってもらうというのは、われわれは賛成しかねますよ。何か県のほうでは、あなたがおっしゃるようなことでごまかされてそうですが、それを入れてくれるなら、それでやってもらいましょうと言ったそうですがね。さっき環境庁のお話のように、下水というか、この整備を一つとっても、県や多少の補助金だけでできる仕事じゃありませんよ。それから、畜産の問題についても規制をするという環境庁のお話でありましたが、規制したら、いまの農家は干上がってしまうのです。といって、たれ流しをされれば、御承知のように霞ケ浦の水はきたなくなってしまいます。だから、おことばでありますが、水源地対策の特別立法によって救済することについては、われわれは反対であります。なぜきらわれますか。お金を出すことをきらうのか。全国のどこの水源地とも同じようにやってもらいたくないですよ。必要なもので一番困っておるものは先に考えていくべきじゃありませんか。一番困っておる、琵琶湖よりももっと早く死んでいく水を何とかしてくれということはあたりまえじゃありませんか。総合的に対策を立ててからやってもらいたい。かってにかさ上げなんかやってほしくないということを地元は言っているのです。よろしゅうございますか。地元で飲む水は、水を薄めなければ飲めない。地元進出企業が、その水でりっぱに仕事ができるというのとは話が違うでしょう。魚が死んでいくのです。話が違うじゃないですか。そういう意味で総合的な対策を立ててやっていただきたい。私は、工業用水を全く要らぬとは言っておりません。しかし、ものには順序があるから、その順序を間違えないで、総合的にやってほしい。大臣、いかがでしょう。
  184. 金丸信

    金丸国務大臣 どろなわ式で簡単に考えるべき問題じゃないと私も思います。しかし、さりとてこの国会に右から左に間に合うかということについては受け合いかねる。しかし必要であるということは、私も考えます。この問題については、十二分に検討して、来たるべき国会に提出するような方向で、ひとつ精力的に努力していきたい、こう考えております。
  185. 久保三郎

    久保(三)分科員 大臣から前向きでのお話がありましたから、河川局長もこだわらないで、ひとつ検討してください。よろしゅうございますか。あなたからも答弁を聞きましょう、事務の最高機関だから。
  186. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。ただいま先生のおっしゃったことは、まことにごもっともなんでございますけれども、実は霞ヶ浦の総合開発とは別でございますが、琵琶湖にも特別立法がございます。しかし、今回、私ども特別措置法で、まだ意見が一致しておるわけではございませんが、考えようとしておる内容につきましては、琵琶湖と同じような趣旨も盛り込んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。この中には、水質の保全ということも対象に考えていこうということでございますので、先生のおっしゃることの全部とは多少違うかもしれませんが、それの相当部分がこの中に含まれるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  また、先生ちょっと申された中で、かさ上げ工事を盛んに言っておられましたが、かさ上げ工事は、これは水資源開発のためではなくて、これは湖周辺の防御と申しますか、という上から出ておるわけでございます。湖面の水位を上げるという方向でやっておるわけではありません。  以上、簡単でございますが、お答えいたします。
  187. 久保三郎

    久保(三)分科員 あなたは専門家だから、もっともらしく聞こえますが、地元で見ておるのは、かさ上げというのは、いま堤防の低いところ、ないところに堤防をつくるのですよ。それは何かというとYP二・八五メートルまでやるわけです。そして一・三メートル、ゼロメートル、大体その間の水をどうしようかというのですから、水がめですよ。やはり何といったって、これは水がめなんです。まあいいです。あなたをあまりいじめるとあとでしっぺい返しを食うと困りますから。しかし、あなたは事務当局だから、大臣のおっしゃることを忠実にふえんしていただきたいということを要望しておきます。別に固執しなくてもいいです。  そこで、あまりやっていると、変な話になって、去年と同じように逃げられるから、この辺で、私は、冗談は別として、真剣にやってもらわなければ困ると思うのですよ。特別立法ばかりが万能じゃない。しかしながら、水資源開発公団だけが土手を築いたり何かやって、片方は締め切っておく、片方は調査中というのはひどいじゃないですか。時間もかかりましょうから、右から左へというわけにはいかないでしょうから、それはそれでけっこうでありますが、どうかひとつ精力的におやりになるようにお願いしたいと存じます。  それから、もうちょっと時間がありますので、これも去年分科会でお尋ねしたのは、有料橋ですね。橋、有料道路も含めますが、道路局長いらっしゃいますか。——いない。大臣にだけお話しておきましょう。たとえば私の地元の茨城県と千葉県の間に利根川が流れておる。そこに銚子大橋という橋がある。これはこの辺では一本しかありません。これは公団の有料橋であります。片道、車は百二十円、もちろん人間はただであります。ただし最近か知りませんが、歩道をやつとつけることになりましたが、いままではっけてないから死んでもしかたがないという橋であります。普通の車が片道百二十円。東京から行くには汽車は銚子でおりるのです。その橋を渡れば対岸が茨城の波崎です。タクシー代金は幾らかというと、大体百四十円から百六十円です。タクシーは帰りもやはり有料橋を渡りますから、二百四十円とられる。料金は百六十円で橋代が二百四十円です。それからバスもとられます。バス賃の上に乗っかっておる。こういうものは無料にしたらどうですか。バイパス的なものならば有料でけっこうだと思うのです。この橋はバイパス的なものじゃないですね。ところがどういう経緯か知らぬが、金がないときにつくった橋かもしれませんが、有料橋になっちゃった。最近、残存価格がまだ残っているから、その分だけペイするまではという話がありましたが、質問した去年の分科会あと、聞くところによりますれば、公団では何か今度ただにするという話でした。そうしたら今度また払いが終わらないから有料にするという。こういうものはひとつ考えてみたらどうかと思うのです。ところが案外こういうものを考えないで、バイパス的なものと同じに扱っているところに問題があると私は思うのです。
  188. 金丸信

    金丸国務大臣 公共道路というのは無料を原則とするということだろうと私は思います。しかし財政的な考え方、またその上に立って、ここに橋をつくることによって経済効果が百二十円払ってもあげられる。問題は、百二十円という値が算出されているのは、その橋をつくった費用と償還の関係を見てつくってある、私もそういう場面に間々出つくわします。そういうのを見まして、一日も早くこれか無料になることを——たまたま私は山梨県ですが、笹子遂道というのがありましたが、あれがもうただになりました。これはできるだけ早くただにするということで道路公団とよく話し合ってみたいと思います。
  189. 久保三郎

    久保(三)分科員 どうもありがとうございました。
  190. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて久保三郎君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田健治君。
  191. 柴田健治

    柴田(健)分科員 三十分間で二つの問題をお尋ねしたいと思います。一つは水防関係一つは、セメント戦争ということばが聞かれるのですが、セメントの不足に伴っていまいろいろ問題が提起されている。この二つにしぼって簡潔に御質問申し上げますから、お答えのほうも簡潔にお答え願いたいと思います。  まず、セメントの不足が起きておることは大臣も御承知だろうと思います。なぜこんな不足が起きたのか、その理由をいろいろ聞いてまいりますと、問題が三つほどになっておるようであります。一つは災害がふえたということ、それから新しい公共事業がうんとふえた、新幹線その他数々の改良工事が大幅に増加した、これが需要と供給のバランスをくずした点である。それから暖冬異変によって、機械の掃除をする期間が、大体平年時において一月、二月に機械の掃除をして次の生産に備えるというのができないというのが第二点。第三点は、何としても生産が需要に追いつかないという設備の不足というか、そういう問題がある。こういわれておるわけなのですが、大体不足の理由というものは、大臣としていま掌握されておる認識というものは、そういう点を理解されて、それ以外に理由はあるのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。
  192. 金丸信

    金丸国務大臣 セメントの不足という問題は、ことに中部地方が非常に多いという状況を察知いたしまして、これは閣議でもこの問題が出まして、私も建設省へ帰りまして、即刻調査をするようにということでいたしたわけですが、いま先生のおっしゃるとおり、そういう面はあります。ありますが、ことしの生産量はことしの仕事量には、十分とはいわなくても、需要供給のバランスは合う程度に生産されておる、実は先般事務当局がメーカーを招集いたしまして、セメントがこのような状況で、公共事業の推進や一般国民は非常に迷惑しておるということでいろいろの話し合いをした結果、輸送の関係等もあってセメントが偏在している面がある、そういうセメントを不足のほうへ回してこの場を何とかしたい、こういうようなセメント協会のほうの話もあったということを私も聞いておるわけですが、セメントが不足しておるという現状は十二分に聞いております。
  193. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ただいまセメントの不足の原因についてお述べになりました。大臣からもお答え申し上げましたが、私のほうで先生のおっしゃった以外に原因と見られることを、いろいろ調査したり、業界とか、それから実際に発注者、県というものから聞いたのを一、二申し上げますと、先生のおっしゃった以外に、一つは部分的な骨材不足によります生コンの生産の減というようなことが一点、それからもう一点は、いま大臣もおっしゃいましたけれども、輸送の面で、国鉄の順法闘争というのがあって非常におくれておる。したがって、先生のおっしゃっのにそういうものをつけ加えて、中国地方、東海地方の一部地域におきましてセメントの逼迫があらわれておるというふうに把握しております。
  194. 柴田健治

    柴田(健)分科員 どうも変なほうへこじつけられておるようですが、私たちが内々調べてみますと、問題は、セメントメーカー並びに代理店がぐるになって、木材も大豆もその他大幅の値上げをやっている、この際利潤追求でもうけなければ損だ、こういう立場で、この機会にひとつ値上げをやってやれ、こういう考え方が奥にひそんでいる。一つの取引条件の問題がある、それは額の問題はありましょう。問題は、建設省でも都道府県でもそうですが、入札して、工事契約と同時に前渡金制度がある。この前渡金制度は、工事発注者のほうは材料を購入するという前提に立って前渡金制度を設けた。これはもう前からそういう制度をつくっておる。ところが、この前渡金を、今度は業者その他資材購入のときには手形で取引をやる。はなはだしいのになると百四十日間の手形を使っている。一方では現金でもらって、材料を購入するときには手形で取引をやる。そういうところに問題があるということが大きな影響がある。それからメーカーのほうも、これはもうかなわぬ、片一方は現金で発注者から前渡金をもらっているのにわれわれには百四十日の手形で支払ってくれる、こんなところ行政のミスというか、指導が十分行き渡ってない、やはり発注者である建設省でもどこの省でも、前渡金は他に使ってはいけませんよ、材料購入費に支払いなさいよというくらいな指導はあってしかるべきではなかろうか、こういう意見が強いわけです。それで、もらった大手建設業者は、その金をほかに流用してかせいでいく、一方ではかせいでいるのに、われわれセメント業者には長期にわたる手形支払いだ、これではかなわぬというので、この際もう一度この関係の皆さんに理解をしてもらおうというねらいがあるのではなかろうか、こういう声がある。これは事実であります。ところ関係者は、それで理解を求めることも一つの方法としていいかもしれないけれども、受けるほうの関係住民の県民や町民が大きな迷惑をするわけでありますから、この点は建設省のほうも大臣も、行政指導を強めるという意味でもっと大々的に御調査を願いたい、こう思いますが、いかがでしょう。
  195. 金丸信

    金丸国務大臣 仰せのとおりであります。十二分に調査しましてそういうことのないように、また前渡金の問題等につきましても十分に指導してまいりたい、こう考えております。
  196. 柴田健治

    柴田(健)分科員 それで、岡山県は四十七年度六、七月にたいへんな災害を受けている。中国の県どこでも相当の被害を受けているわけですが、昨年六月、七月で二十九県も全国的に災害を受けているわけです。とにかく河川関係だけの被害個所が岡山県は三千六百二十件ある。これはもう建設省が査定したものですから、その査定個所別がはっきりわかる。被害額にすると、査定額が百二十四億九千九百四十七万円という被害額の査定を受けている。これを三カ年で、初年度は三〇%、次年度は五〇%という配分で、最終年度は二〇%ということで災害復旧をやるわけですが、いま岡山県でその契約はほとんど九七%くらい契約を終わっておる。三月三十一日には完成しなければならぬ。ところが、セメントが入らないものだからどうにもならない。私は請負業者から生コン会社から全部足を運んで調べてきた。ところが先ほど計画局長は骨材が足りないなんという。これはだれが報告したのか知らないが、そんな報告をまともに受けるところ計画局長の認識が狂ってくるということがいえると私は思う。全部調べてきた。調べてみて、どこに欠陥があるか。やはりセメントです。セメントが足りない。そのために町村工事は岡山県は一五%の進捗率です。町村工事はセメントが入らないから全然手が回らない。県工事のほうはメンツ上、立場上、また親方日の丸で、県の工事をお粗末にしたらあとで仕事がもらえないということで、全力投球を業者はしておるようですけれども、進捗率を見ると相当残っておる。いま三月三十一日までの目標を立ててみても七五%の進捗しかできないだろう、こういう判断をしておる。請負契約は大体三十五億円の契約をしておるわけです。三十五億円が相当残る。残った場合にはどういうことになるのかというと、まず予算の措置を繰り越ししなければならない。改良工事なら、用地買収だとか家の立ちのきだとかいうことで繰り越しをやる場合はしばしばある。けれども、災害復旧工事で繰り越しの予算措置をしなければならぬというのは、岡山県の場合は前代未聞です。こういう地方公共団体の予算措置を前代未聞のようなことにさせなければならぬというところまでいまきていることは、建設省も知らなければならぬ。また知ってもらわなければならぬと私は思う。そうすると、繰り越しをするとするなら、大蔵省との関係がある。大蔵省とのこの話し合いを十分しなければならぬと私は思うのですが、建設省は責任をもってこの繰り越しの措置について大蔵省と話をつけられる意思があるかどうか。これは大臣に直接御回答願ってもいいですが、お願いします。
  197. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。繰り越しに関しましては、これはできるだけできないようにさらに指導をするわけでございますが、どうしてもやむを得ない必要なものについては、繰り越しの措置を責任をもってとる所存でございます。
  198. 柴田健治

    柴田(健)分科員 そういう最悪の事態を考えて、できるだけ行政指導で繰り越しをしないように、期限内で工事を完成させるようにするには、やはりセメントに早く手を打っていく、これが大事だと思うのです。こういうことは建設省は責任がないとは言えない。責任がある。要するに工事を相当延長するとすれば、やはり次年度との関係があるわけですね。次の年度の災害復旧の計画が狂ってくることもあるわけでありますから、この点についてはもう万全の対策をとってもらいたい。  それからもう一つは、資材の値上がりを見込んでの業者の思惑で出荷調整、生産調整をしたとするならば、ただ国鉄がどうだとか輸送機関がどうだとかいうのではなくして、輸送機関がないといっても、いまは各県なり町村はみんな輸送のある程度の力は持っていますよ。県でもトラックを持っているし、県には日通の支所もあるのだから、ほんとうにあなたらが輸送関係でどうにもならないという判断か立つならば、それぞれの県で——昔舗装のできない砂利道の時分には、青年団、消防団、全部トラックを動員して砂利を運んだものですよ。県の車がない時分には、いろいろな手を使って運べる。われわれ過去においてそういう経験がある。だから輸送機関が足らないということになれば、いかなる方法でもとれる。そういうことで逃げ道を言わずに、もう少しまじめに考えてもらいたいと思う。  それから、こういうものが値上がりをした場合に、請負単価の単価交渉をどうするのか。しないのかするのか、この点は局長、どうですか。
  199. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ただいま御質問のございましたそういう事態は、私どもといたしましても、事業促進の上からまことに困った事態でございます。したがいまして、通産省とかセメント業界とも十分協議しまして、一つは緊急の増産体制、いま御承知のように、セメント業界では操業度七五%を八五%から九〇%にあげておりますが、こういう緊急体制をとってもらわなければならぬ。それからセメント不足地域に対しまして緊急出荷をする。すでにこれは通産省その他と一緒に業界に指示をいたしまして、九州地方から、輸送機関は海上輸送ということで、中国地方及び東海地方に輸送するように手配をいたしておるわけでございます。  それから災害復旧というような、そういう官公需に対しましては優先配送するという点、それから先ほど生コンの話が出ましたけれども、これは実は中国地方ではございませんで、東海地方では生コンの骨材不足があるということでございます。したがいまして、そういうことに対しての供給促進の策というものはすでに手を打っております。先ほど大臣から話がございましたように、私どもとしましてはセメント協会を呼びまして、そういう協力要請をする。具体的にいつどこにどのくらい届いたかということまで把握しろと指示をいたしておるわけでございます。なおこういう点につきましては、地域におきましても関係の官庁なり業界が一緒になりまして、緊急確保につきましていろいろ努力したいというふうに考えておる次第でございます。もちろんおっしゃいましたような買い占めみたいなものがありますれば、これはもうたいへんなことでございますので、業界を呼んだときにおきましても、私どもも、買い占め、その他価格をつり上げる、そういうようなことをしては困る、価格は従来から御承知のように、セメントは大体横ばいできておりますが、これを上げるということは困るということで、強く要望いたしておる次第でございます。
  200. 柴田健治

    柴田(健)分科員 価格抑制をされるということはけっこうなことでございます。これは当然お願いしておきたいと思うのですが、それから緊急輸送体制、その後行政的な力で追跡調査という面も万全にしてやってもらいたいと思うのです。しかし、やはり役人の皆さんよりか商売人のほうが金もうけについては頭がいいように思うのですね。皆さんは純粋な気持ちで判断をされても、商売人のほうは利潤追求が原則だから、なかなか巧妙にやってくるということも考えられるので、そういう半ば悪らつな業者に対しては今後説教の上で、そういうセメント業者があるとするならば、もう指名からはずすとか、設計の仕訳書の中でははずしてしまうとか、そういうことも考えて、きびしいある程度行政指導もできるわけですから、そういう点も配慮してもらいたい、こう思います。これが第一点。  それから、先ほど局長は災害関係を優先的にと言われましたが、私たちオリンピックの会場施設、それから大阪の万博の施設、膨大な建設をやったわけですが、それでもセメントがそう不足するというようなことはないのですね。いま大体九千五百万トン、一億トン、それ以上の生産能力を日本のセメント業界は持っている。資源は石灰石だから無尽蔵にある。材料をよそから輸入しなくてもいいのですから、そういうことを考えると、どうもおかしいということが言えるわけですから、特に私は、今度の災害だけは何としても優先的に、ほかの海洋博工事は一時押えても、災害だけは早急に復旧さしていくという体制をとってもらいたい。この点について強い決意を大臣からひとりお聞きしたいと思います。
  201. 金丸信

    金丸国務大臣 災害で非常な被害をこうむった地域住民のためには、私一日も早く立ち直る基盤をつくってやることは、これは国の当然の責任だと思います。そういう意味で、優先的にこの問題については取り組んでまいりたい、こう考えております。
  202. 柴田健治

    柴田(健)分科員 時間がございませんから、次に水防関係大臣にお尋ねしたいのですが、私はいま消防団のほうの世話を四十一年やっている。団長になって二十六年やっているのですが、常に一番困るのは、普通の建物火災や林野火災なら、長い歴史の消防団の任務としてやってきているけれども、水防関係、要するに水害対策については、正直言うてほとほと参っている。水害だけは短時間の勝負がつかない。十日も二十日も出ていかなければならぬ。とにかく中央防災会議がある。都道府県に地方防災会議がある。防災対策の基本計画だけはみなそれぞれにいいものをつくった。これは絵にかいたもちだ。なかなかやってくれないというたいへん不満があるのですが、しかし、そういう国の基準なり、県なりのいろいろの計画をいかにして身につけて、第一線で、実戦でどう処理していくかということに苦労しているのですが、私は昨年の七月に十五日間、団長だからみずから出てやりましたが、水害のときにはたいてい昼でなしに夜が多いのですよ。夜が大体水が出るのが多い。そのために被害も大きい。被害も大きいが打つ手がなかなかできないということで、この水防対策についてはほんとうは建設省の所管、林野火災は農林省、建物火災は自治省ということにそれぞれ本家本元を分類されているのですが、建設省が年間どれだけ水防費を組んでおるかと調べてみると、まことにお粗末だ。そして水防費の中で各都道府県に配分をして、都道府県はいろいろ資材を備蓄するわけです。その資材たるや十年一日のごとき感がある。新しい資材の備蓄というものは一つも考えない。こういう点、大臣どうですか。水防の一番最高の責任を持たなければならぬ建設省として、いまの水防費が十分かどうか。水防対策の基本的な考え方、これを大臣としてひとつ明快にしていただきたいと思います。
  203. 金丸信

    金丸国務大臣 柴田先生も消防団長だというお話ですが、実は私も消防団長をやって、国会では私一人かと思っておったのですが、水防の点については十二分に私もわかります。いま国の予算は一億四千万程度の予算ということですから、各県にこれを分配したらまことに小さいものだということはうかがい知れるわけでありまして、ことにきょう人が不足してきている。いなかも相当人が不足している。ことに都会地では連帯感というものが幾ぶんあせておるというようなことで、この水防という問題に人を得るということが非常に困難な状況にあると思います。しかし、この水防をおろそかにしたら大きな災害になるわけでございますから、この水防については建設省自体も非常に苦心しておるところでございますが、苦心しているにしては予算が少な過ぎるじゃないか、これがまずおしかりを受ける点だろうと思いますが、私も役人に任命されて早々でございますので、この予算につきましては今後格段の配慮をして、全国の災害に対処できるような方法もし、一日や二日で済むという防水であればいいけれども、そういうことではないわけで、大きい災害といえば半月、二十日ということにもなるわけですから、そういう面で地方公共団体にあまり負担をかけさせても困る。公共団体に金がないというところにも問題点がある。それは国があげる予算が少ないということにもはね返ってくる。こう思うわけでございますから、そういう点について十分配慮していきたい、こう考えております。
  204. 柴田健治

    柴田(健)分科員 現在の衆議院で団長は三人おるのですよ。あなたと私ともう一人、ですから力強く思っておってください。  それで、私たちは非常勤消防団で、水防団という組織は限られた地域で結成されているのですけれども、どちらかというと人的な問題というようなことで、非常勤消防団が常に水防団の役割りをしている。これはあなたも御承知のとおり。昨年六月、七月全体で消防団員の水害対策に出動した員数が、三十六万五千人ほど消防団員が出動しているのです。三十六万人の団員が、たいした危険手当も何もない、一日二百円か三百円の費用弁償で出動しているわけですが、その団員の義務だとか任務だとかいうことで出動を四日も五日も出すと、もう子供の教育費のために出かせぎしているのを、やめて出てこいというのはなかなかむずかしい。しかしそれを出しても——これは建設省の面ではないけれども、やはり水害の応急処置なりその他について、団員の意見をいろいろ聞くと、たとえば土のうを積む土のう袋がありゃしない。どこにあるんだといったら、兵庫県かどこかにあるらしい。そういうまさかの時分には備蓄がないのですね。それで県のほうを責めると、どうも予算がないので十分買うて置けないのだ、こういう言い方ですね。もう一つは、夜間の照明器具というものがない。これらがもう少し近代的なのがあるのですから、そういう水防資材については綱だとか袋だとか、その他数多くいろいろ近代的な設備をしなければならぬ、備品を備えなければならぬことはわかっておるはずだと私は思うのです。そういう点で、もっと建設省が水防に対して科学的に、いままでの惰性だけで、ありふれた予算一億三千万か四千万つけておけば、それでその県に配分しておけばうまくやってくれるだろうというような人まかせ主義というか、そういう投げやり的な考え方でなしに、もっと専門的に——やれ災害といったら歴代の建設大臣は現地調査をしてどうだこうだと言われますけれども、予防対策も必要なんですが、それぞれの河川で、建設省が所管をする河川もあれば都道府県知事が管理する河川もある。その河川で、末端の団員からいうと、いつまでたっても直してくれない、いつもわれわれが警備に出なければならぬ、警戒に出動しなければならぬという不満があるわけですよ。そういう点の都道府県との話し合い、建設省が特に危険度の高い河川については優先的に直していく、改良していく、改修していくという、そういう災害予防という立場から、河川改修の面においても、また水防の対策の備蓄する品物についてももっと検討してもらいたいし、力を入れてもらいたいし、配慮してもらいたい、こういう気がするのですが、大臣どうですか。
  205. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど来から申し上げましたごときもそのことでございまして、十二分にひとつ配慮して全きを期したい、こう考えております。
  206. 柴田健治

    柴田(健)分科員 もう時間がまいりましたので、終わります。
  207. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて柴田健治君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  208. 坂井弘一

    坂井分科員 まず概括的にお尋ねしたいのでありますが、いわゆる都市河川環境整備事業、この事業につきましては、最近の都市の多様化、それに伴いまして、いわゆる都市部の河川に対する要求というものが非常に複雑多岐にわたってきた。そういう中で建設省は、昭和四十四年に都市河川対策室、これを発足させまして、この都市河川環境整備、これに大いに当たろうというわけで取り組んでこられているわけでございますけれども、一体都市河川環境整備事業というものが所期の目的のとおりにうまく進行しているかどうかという点につきまして、まずあらましお伺して質問に入っていきたいと思います。
  209. 松村賢吉

    松村政府委員 都市河川の事業につきまして申し上げますと、ただいま申し上げました都市河川の事業のうちの一つ都市河川の環境整備事業、これにつきましては現在重点的に進めておりまして、第四次の治水事業五カ年計画におきましても、これを大幅に進めておる。そういうことで来年度の予算につきましても、大幅に新規の事業をつけ加える等、非常な促進をはかって、都市河川の環境整備事業については順調に進んでいると考えております。
  210. 坂井弘一

    坂井分科員 しからばお尋ねいたしますけれども、この都市河川環境整備事業の基本方針と申しますか、具体的な要綱、整足されたそういうものがおありですか。
  211. 松村賢吉

    松村政府委員 都市河川環境整備事業の、文章的に要綱と定めているものはございません。
  212. 坂井弘一

    坂井分科員 そういたしますと、いわゆる基本方針といいますか、一貫性のある、そうした都市河川に対して環境整備事業をかくかくしかじか進めていくのだという、そうしたものはない、きわめて部分的なものはある、こういう意味でしょうか。
  213. 松村賢吉

    松村政府委員 成文的にきまったものはございませんが、私ども内部でいろいろと検討をいたしまして、これを進めていく大体のあり方等についてはいろいろ検討して、それに基づいてやっております。
  214. 坂井弘一

    坂井分科員 いまの御答弁によりますと、つまり確たる基本方針というものは持たないのである。これはいろいろ事情はあると思うのです。都市河川のその地域地域における要求というものがさまざまであろう、また時代とともに非常に移り変わるというふうな中でありますから、最初から基本的なそういう方針なり具体的な要綱をきめてしまってかかるということは、それに対応する柔軟性を持たないのでできないのであろう、こういうようなことであろうと理解しておるわけでございます。  そこで、一つ具体的な問題としてお伺いしたいと思いますことば、この河川事業の補助事業でございますが、都市河川環境整備、中身はいわゆる河道整備あるいは河川浄化ですね。この河道整備につきましては二十六河川やろう、それから河川浄化につきましては二十五地区これは実施しているわけでございますけれども、具体的に和歌山県の和歌山市を流れておりますところの和歌川、これの環境整備事業、これが昭和四十四年から始まっておる。当初二千七百万ばかりの事業費で始まった。年々だんだんとその額は伸びてまいったわけでございますが、途中でこれを見直しまして、昭和四十八年、四十九年、五十年、この三カ年にわたりまして、総事業費十五億の予算をもちまして、まずこの環境整備事業を進めたい、こういうことで始まっているわけです。四十八年度の予算として、これにいかほどつけておられますか。
  215. 松村賢吉

    松村政府委員 和歌川の環境整備事業、これは環境整備事業の中でも私ども重点として考えておりまして、来年度の予算は、まだ確定はしておりませんが、大よその線でいきますと約三億近所の数字になると思います。
  216. 坂井弘一

    坂井分科員 かりに三億といたしますと、四十九年、五十年、これで十二億ということになりますね。そうしますとこれはなかなか所期の目的を期しがたいのではないか。これは大臣ひとつお含みおきいただきたいと思いますけれども、全くこの和歌川というのは、自慢にはなりませんけれども日本一きたない。前に根本建設大臣もこれを視察いたしまして、日本でこれくらいきたない川があったかと驚いたのです。たいへんなものです。これを、いまの局長の御答弁ではきわめて重点的に取り上げて、そうして環境整備事業を進めよう、こういうことでございます。予算としても、積極的にという中で、一応三億ばかり、あと十二億なければ第一次の完成が期しがたいということに相なるわけですが、はたしてこれで和歌川がきれいになるのか、環境整備が進むのかどうか、きわめて地元としては疑問なり、あるいはまたこれに伴う公害等々から、非常な不安を持っておる、そういう実態でございます。そこで何としても五十年に至る第一次計画十五億を投じまして、これの環境整備を進めなければならぬと思うわけでございますけれども、大臣いかがなものでしょう。
  217. 金丸信

    金丸国務大臣 あなたのところのただいま御指摘の川もまことに御無理な川だということはわかるわけですが、私のところにも濁川という川がありまして、これもあなたのところと同じように市内を通っておりまして、そしてこれは非常にはんらんもする、そうしてもう濁川というとおり、まことにもうすべてのものが捨てられるというところで、これを改修をするために、私、大臣でない前からこれの工事にかかっていただいておるわけですが、順次計画どおりにやってくれておるということについては感謝もいままでいたしておるわけですが、受ける側からいたしますと、まことに、いまもって早くやってもらいたい、こういう考え方は当然だと思います。そういう意味で、できるだけ計画どおりに予算はつけて、そして目的を達するように最善の努力をいたしましょう。
  218. 坂井弘一

    坂井分科員 ひとつこれは決意して御努力いただきたいと思うのです。  ところで、この都市河川環境整備事業の実施にあたっては、当該の地方公共団体からやはりさまざまの要求があろうかと思う。そこで地方公共団体の意思というものは私は十分尊重されなければならぬと思うのですが、また一方、建設省の側からいいますと、やはりこの都市河川環境整備を進めていく上については基本的な考え方もあろうと思いますし、同時にそこには具体的な実施計画というものが建設省側にもおありだと思うのです。そうなってまいりますと、地方公共団体と建設省との間に十分なる意思の疎通いわゆる調整が行なわれなければならぬ、そういう場面がしばしばあろうかと思うのですけれども、そうした地方公共団体と建設省との間の調整等につきまして、スムーズに行なわれておりますか。たいへん困難な場合があろうかと思うのですが……。
  219. 松村賢吉

    松村政府委員 全般的に見ますと、都市河川の環境整備事業は、連絡を緊密にして、わりあいにうまくいっているのじゃないかと思います。
  220. 坂井弘一

    坂井分科員 では具体的に、これは和歌山県を流れますところの一級河川紀ノ川、これの河川敷を、場所は和歌山市の有本地区でございますが、ここに和歌山市が、通称せせらぎ公園、これは建設省から河川敷の一部を占用しまして、ここに公園をつくろう、こういう計画がございます。  ところで、この建設省都市河川環境整備事業、これは、いま申しますところの和歌山市がつくるという公園、この公園に並行して、都市河川環境整備事業を進めていったほうがより効果的である、こういう御意図のもとに行なわれている、こう聞いておるわけですけれども、そのとおり理解してよろしゅうございますか。
  221. 松村賢吉

    松村政府委員 そのとおり理解していただきたいと思います。
  222. 坂井弘一

    坂井分科員 ちなみに、この公園の建設予算と環境整備事業の予算、これを見ますと、国が四十六年度五千五百十万円、四十七年度が三千万、これは環境整備事業でございます。和歌山市は、公園建設費といたしまして四十六年には三千万、これは国庫が三分の一の負担でございます。四十七年が千六百万、これは国が二分の一。四十八年が千六百万、これは要求ですね。国がやはり二分の一。こういうあらましの予算です。この公園の面積というのは七・五ヘクタール、こういう規模のものでございます。  ところで、この和歌山市の公園建設ですが、この工事はいつから始まったのでしょうか。
  223. 松村賢吉

    松村政府委員 四十七年の二月から始めております。
  224. 坂井弘一

    坂井分科員 そういたしますと、建設省が和歌山市に対していわゆる河川法に基づく占用許可を与えていると思うのですが、これはいつですか。
  225. 松村賢吉

    松村政府委員 まだ現在においては与えておりません。
  226. 坂井弘一

    坂井分科員 占用許可を与えないで四十七年の二月から工事にかかった、どうも解せないのですけれども、どういうことですか。
  227. 松村賢吉

    松村政府委員 まことに申しわけないことでございますが、この公園事業の施工個所、これが付近の環境上非常にむずかしいところでございます。それでそこのところに環境整備事業をやりまして、その下地をつくったわけでございますけれども、このところを放置しておきますと、さらにまた環境上悪いようになるというおそれがありまして、この公園をすぐそこにやるのが妥当だというふうに考えたわけでございます。その前に、この公園事業につきましては、紀ノ川環境整備対策協議会というものが地建と県と市、これがございまして、これは内容的には不法占用の対策の協議会でございますけれども、この協議会におきましてその公園事業を行なう、それと環境整備事業の関係、この内容につきましては十分実は打ち合わせはしておるわけでございます。それで治水上支障ないように公園整備事業の施設その他内容、これも十分実質的に打ち合わせは済んでおります。  そういう状況でございましたが、先ほど申し上げましたように環境上、具体的に申しますと、さらに不法占拠のおそれありということもあるのでございますが、そういうようなことから早急に着手させるということで、実質的な問題としてはよろしいわけでございますが、何といたしましても、これは市のほうのいろいろ手続の問題につきまして、もたついた点もありました関係上おくれておりまして、現在は河川法の申請が四十八年の二月十六日付で実は出ておるわけでございます。それで早急に許可したいと思っておるわけでございますが、何と申しましても、手続がおくれたことはまことに申しわけなかった。河川管理上といたしましても、今後こういうことのないようにやっていきたいと思っております。
  228. 坂井弘一

    坂井分科員 和歌山市から申請が出されましたね。それに基づきましていわゆる河川法二十四条、河川法施行規則第十二条によるところの土地占用許可の申請、これが和歌山市から出されなければなりませんね。この申請を出された日にちがいつかといいますと、四十八年の一月十六日と聞いておりますが、間違いございませんか。
  229. 松村賢吉

    松村政府委員 私どもの調べたところでは四十八年の二月十六日になっております。
  230. 坂井弘一

    坂井分科員 市が申請を出したのが四十八年の二月十六日、建設省がまだ許可を与えていない。にもかかわらず、申請よりもなお一年さかのぼりまして、四十七年二月からすでに工事が始まっている。もう完成である。しかもまだ許可を出すのがおくれております。こういうことは事例としてほかにありますか。
  231. 松村賢吉

    松村政府委員 ほかにはこれに類する事例はございません。
  232. 坂井弘一

    坂井分科員 そういたしますと、手続上全く遺憾なことであるといわざるを得ないと思うのですが、私は、この事業そのものに対してとやかく言いたくはない。非常にけっこうだと思う。しかしながら、和歌山市と建設省の間において、そうした法的な手続を一切踏まないで、ただ話し合いの中でどんどん工事が進んで、もはや完成に近い、こういう事態を大臣、どう見られますか。
  233. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきまして、私も着任早々でございますから……。ただ判断としては、建設省と市だけで話を進めていったということについては片手落ちのところもあるのじゃないかというように私も考えております。
  234. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣、非常にお苦しい答弁です。許可が出ていないのですね。それでどんどん工事が進んで、もう終わろうとしている。お役所というところはことにむずかしいのですね。たとえば窓口で、市役所の場合でもそうです、そこで住民票を一つ取ろうとしましても、届け出をちゃんとしてなければ取れません。やはりしかるべき手続というものが必要です。どうです。そういう中で、最もそうした許認可については厳格、厳正であらねばならぬ建設省ないし市との間においてこのような形が許されるというのは、これはだれが聞いても納得できない。  そこで、どういう問題が起こっておるかということをその次に指摘いたしたいわけですが、大臣、ここにごみが捨てられるのです。せっかくりっぱな公園ができた、しかしごみがどんどん捨てられる。そのごみはどこからくるかというと、産業廃、棄物が一番多い。トラックで捨てにくる。不法投棄でごみの山ができる。そして、このごみの処理がスムーズにできない。和歌山市は、それは建設省の責任だ、こういっている。建設省も、おまえのところに占用許可を与えたじゃないか、おまえのところで公園つくったじゃないか、あなたのところで処理しなさい、こういうことらしい。いずれにしても、ごみの山が車で積まれている。いまだにごみの不法投棄が絶えない。そうすると、少なくともごみの処理については建設省に責任があるのか、さもなくんば和歌山市にあるのか、どちらでしょうか。
  235. 松村賢吉

    松村政府委員 河川管理者に責任がございます。
  236. 坂井弘一

    坂井分科員 と言いますと、建設省の責任でございますか。
  237. 松村賢吉

    松村政府委員 はい。
  238. 坂井弘一

    坂井分科員 そういたしますと、建設省はこのごみの処理をしていらっしゃいますか、しておらないのか。それと、まだいまだに続いておりますが、これからのそうしたごみの不法投棄に対しては、どのように対処されますか。
  239. 松村賢吉

    松村政府委員 まず、いま問題になりました当該ごみについて申し上げますというと、これは昨年の十二月の後半でございますか、特に年末の、まあ私ども聞いておりますのは、いろいろな年末のデパート関係のダンボールその他の廃棄物が非常に多かったということで、それにつきましては、実はその管理者がごみの処理を行なわせる者を呼びまして、一月中に早急に撤去させるように、公園の工事に支障ないようにどかしてはおります。しかしながら、先ほど御指摘もありましたように、まだ周辺にごみもたくさん残っておる、その公園のところではなくて。こういう事実はあるようでございますので、これらにつきましても早急に抜本的な解決ができるために、この産業廃棄物の処理業者を監督している和歌山市、これはそちらのほうの監督でございますが、こういうところと協議いたしまして、これの処理ができるような措置、具体的に言いますと区域外にも処理場を設けまして適正に処理できるような措置、これをいま進めているところであります。早急にこれができるように、私どもといたしましても強力に指導と申しますか責任をもってやっていきたいというふうに考えております。
  240. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣お聞きのとおりでして、これは建設省にあると思うのですね。私は当然そうだろうと思う、許可を与えてないのですから。これは許可がおりておれば市だと思うのです。そこにあいまいさを残したということ。同時に、そういう中で不法投棄のごみが処理されないという事態が起こっておるということ、これを重要視しなければならぬということなんです。しかも、その燃やせるものは一応燃やしたらしい。産業廃棄物の不燃性のものが一ぱいある。これは燃えない。捨てなければならない。だれがこれを処理するのだ。ですから、和歌山市民にしてみれば、またこの公園に関心がある人は、りっぱなものをつくっていただいて、また環境整備事業をやっていただいて非常にありがたい、だがしかしながら、これだけせっかくりっぱなものができ上がり、国なり市なりがこうした多額の、言うなれば税金でしょう、これを投じてつくられた市民のための広場がごみの山である、活用できない、こういう事態を見てどういう感じを抱く。ここのところを私は非常に大事にしなければいかぬと思う。市民はやはりそういう事態を見まして、全くぶざまである、建設省は何事か、あるいはまたある人は、和歌山市は何事か、こういうことですね。こういう不信感を抱かせるような行政、ここのところをまさに問題にしているわけでありまして、同時に、なぜこういう事態が起こったかということにつきまして、私は私なりにいろいろ聞いてみました。こういうことなんです。  この有本地区という、いま公園を建設しているところですね。ここは交通に非常に不便なところである。当初、和歌山市の計画課でお願いしようとしたところは場所が違う。その場所はどこかといいますと、これは北島という地区がある、この辺は公園の建設地としては非常に適地である、市民の利用度も高いであろう、こいねがわくばこういう北島地区にひとつ公園をつくりたい、同時に環境整備事業を進めてもらいたい、こういう計画があったのです。それがどういうわけか、北島地区がはずされまして、そしていま言うところのこの有本地区に移ってしまった。その辺のやりとりの中で、この許可申請の手続があれだこれだと投げ合いながらおくれてきたんではないかということが、これは勘ぐられるというよりも、そういうようなことでございますという話があるわけですね。それは私は捨ておけぬ、それば聞き捨てならぬ。前段申しましたように、こういう事業というのは非常に意義があるし、どんどん進めていかなければならぬ。しかしながら、その際非常に大事なことは、地方公共団体との意思の疎通である、この調整をうまくやらないことには、せっかくの事業も効果のあるものにはならぬ、そういう点を十分留意していただきたいと申し上げましたのは、まさにここにあるわけだ。何だか、そういう話を聞きまして、建設省ペースで引っぱり込まれる、こういうような付近の話ですけれども、お聞きしましても答えはノーであろうと思います。思いますけれども、なお念のために、かりにそのようなことで建設省がいまの市の希望する場所とは異なるこの有本地区に環境整備事業をやらなければならないというような、そういう事情なり状況なりがおありであるならば、簡単にひとつ御説明をいただきたい。
  241. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、この紀ノ川の場合には紀ノ川環境整備対策協議会というものがございます。県、市、それから建設省——地建てございますが、その三者から出ている環境整備協議会、これを設けまして、これの中で公園計画についても論議しているわけでございます。それで、これは都市計画地方審議会へかけて一応できたものでございますので、御指摘のような事実はございません。  これをふえんしてちょっと申し上げますと、先ほども申し上げました北島地区、なるほど市のいいところでございます。しかしここができなかったといいますか、環境整備事業が先に着手できなかったという事情は、やはり不法占用の事情によりましてできなかったというふうに私ども聞いておりますし、その関係でございまして、市のほうを無理じいして希望するところでないところに持っていったということではございません。
  242. 坂井弘一

    坂井分科員 では、最後に大臣に結論的にお伺いしたいのですが、事の経緯の中でいろいろあったということはあったのでしょう。が、しかしながら、いずれにしても結果的に法的な手続を踏まない、そうして許可を与えたような形になった、そうして工事がどんどん進んで完成に近い、そういう行政の姿勢、はたしてこういう姿勢が許されていいかどうか、そんなことは許されるべきじゃないと思うのです。これはやはり、大臣としてそうした許認可行政については厳正かつ公平に、手続きはきちっと踏んで、やるべき仕事は大いにやる、しかし、その間はっきりしたならば、その所管する省が全面的に責任を持って事に当たる、そうでなければならぬと私は思う。少なくともこういう不明確な形で、いまだかって一回もないという先ほどの御答弁でございますが、許可を与えていないのに全部でき上がってしまった、その間、国の予算がついている、こんなふざけた話はおそらくなかろうと私は思う。ですから、そうしたことに対する行政の姿勢について、同時に、いま申しましたように、せっかくでき上がったこの公園にごみが不法投棄されていて、いまだに続いておるという事態を阻止することができない。しかもその持ってくるごみは、トラックに積んだ産業廃棄物である。これは何としても一刻も早くこの不法投棄をやめさせなければならぬ。少なくともそのことについては建設省に責任があろうと思う。そうでなければ、せっかくの事業が台なしであるということでありますから、そういう二点を含めまして、ひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
  243. 金丸信

    金丸国務大臣 許認可の問題が軽々しく行なわれるということについては、十分戒めなければならぬと思っております。これを他山の石として、今後絶対こういうことのないように行政の指導をしてまいりたい。  それから、このせっかくつくられた公園を、じんあいや産業廃棄物のために市民が利用できないということであってはならない。これに対しましては、建設省といたしまして、何とか市民に喜ばれる公園にするように努力して、捨て場にならないようなことにいたしたい。こういうように指導してまいりたいと考えております。
  244. 坂井弘一

    坂井分科員 一番最初に申し上げましたように、いわゆる都市河川の環境整備事業、これは非常にけっこうである。また、どんどん進めなければならぬ。しかし、この事業において、非常に一貫性を欠いておるといいますか、明確な方針を持たない、こういうところに起因するものが多分にあるのではなかろうかということを私は心配するわけです。したがって、そういう点を含めまして、この都市河川の重要性にかんがみて、積極的に、そしてまた責任のある行政をどうか推進していただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わります。
  245. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて坂井弘一君の質疑は終了いたしました。  次に、内海清君の質疑に入るのでありますが、本日は、同君の質疑に対し、参考人として本州四国連絡橋公団総裁富樫凱一君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  内海清君。
  246. 内海清

    内海(清)分科員 私は、中四の架橋問題につきまして若干お伺いいたしたいと思いますが、時間が非常に短いので、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。  昨年の十一月に、本四連絡橋公団から建設省に対しまして中間の調査報告が行なわれました。それに基づきまして、四十八事業年度におきましても三百五億四千万という予算がつきました。さらに、四十八年度において必要な調査をおおむね完了する、そして三ルート同時に工事に着手する、こういうことになっておるのであります。これに必要な経費といたしまして、調査費が五十五億八千万、それから建設費として二百億、これが計上されておるのであります。これによりまする調査対象路線並びに着工個所も決定されておるのでありますが、この三ルートの着工体制というものは  一応万全に整備されておるかどうか、その点をまず大臣にお伺いいたしたいと思います。
  247. 金丸信

    金丸国務大臣 本四連絡橋の三ルートを同時に着工するということは御指摘のとおりでありますが、設計あるいは施工、用地補償等に要する期間、また所要人員、建設資金等を考慮いたしまして、合理的な工程を組みまして十分な着工体制を整えております。
  248. 内海清

    内海(清)分科員 これは四十八年度から着工しようというのでありますから、もちろん十分な体制が整えられておらなければならぬはずであります。そこで、これは、総事業費は約一兆三千億ということになっております。ただし、新幹線が入りますとある程度増額になるだろうということであります。ところが、地方負担の問題を含めまして資金計画というもの——これはいままでもいろいろ問題になってきたところでありますけれども、この資金計画は現在のところだいじょうぶという見通しが立っておるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  249. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまお話しのように、この事業は非常に大事業でございまして、事業費も、これは新幹線が入る入らぬによって若干相違がございますが、一兆三千三百億というふうになっております。たいへん資金的にもかかるわけでございますが、これは国と地方公共団体とあわせてその資金を調達してやっていこうということで、見通しは十分ございます。
  250. 内海清

    内海(清)分科員 四十八年度からは、調査段階から建設段階に入るわけです。それに移行するのに伴いまして、調達資金のコストを適正化して、地方公共団体の負担をなるべく軽減しよう、こういうふうなことで、あわせて建設の円滑な遂行を確保いたしますために財源構成等も変わってまいりまして、これは地方の財政の状況を見ますときに当然なことであり、喜ばしいことであると思うのであります。ことに政府出資あるいは地方出資の割合が、これは鉄道分は全部政府が持つわけでありますけれども、道路分について申しますと二対一になった。政府の引き受け債と縁故債の割合も、道路分については二対一であり、鉄道分については七対三である。これは大きな前進だと私は思うのであります。このことによりまして地方の公共団体も一息ついておるだろう、こういうふうに考えるのであります。  問題がちょっとありますから早目に申し上げますが、この連絡橋の道路にいよいよ着手するわけでありますが、これの通行料金の問題であります。これにつきましてはどういうふうにお考えになつておるか、お伺いしたいと思います。
  251. 菊池三男

    ○菊池政府委員 通行料金につきましては、供用開始する前にきめることになっております。ただ、そのきめ方といたしましては、建設費を償還するものであって、同時にそれを利用する便益の範囲ということになっております。したがいまして、これは実はまだ料金の設定はいたしておりませんけれども、これの採算性の検討をいたしますときには、交通量の予測、それからその料金をある程度計算に入れましてやりませんと、どれくらいで償還できるかということができませんので、かりに料金を設定してやればこうなるということはありますけれども、まだその料金についてはここで申し上げるほど固まったものではございません。ただ、現在もあそこにフェリーがございます。そのフェリー料金に、多分その時間の節約が非常に大きゅうございますので、そういう時間節約の便益というようなものを足して、フェリーか若干フェリーより高いかくらいの感じで、もし積算をいたしますと三十年で償還はできますというようなことは考えております。
  252. 内海清

    内海(清)分科員 これは採算性の問題があると思います。御承知のようにAルートは十三年の工期ということになっております。D、Eは九年という工期になっております。したがって一さらにこの利用度からいえば、調査書によりますとAが一番利用度が高い、それからDでありEという順序になっておるようでありますからこの完成の供用開始の時期が違いますけれども、償還という点はどうなるかはっきりいたしません。いたしませんが、いずれにいたしましても陸上部はすでに高速道路なりそのほか有料道路のあれでございますから、これは大体見当がつくわけであります。基準が大体あると思うのですが、海上部が結局問題になるだろうと思います。まあこれはおそらくいま言ったようなフェリーの料金、しかしフェリー料金というのはところによってかなり違うのですね。これはかなり違いますから、そこらの点をどの辺に標準をとるかということが問題だろう。同時に時間の短縮がありますから、そういうふうな便益というものを勘案してきめられるのだと思いますが、少なくともこのフェリー料金というものは現在そう安いものでないのですね、実際には。島嶼部の者は本土における者より、車を使う等におきましてはフェリー料金は余分な負担をしておるということであります。   〔藤波主査代理退席、足立主査代理着席〕 現在までそうやってきておるわけです。だからそういう点も考え合わせまして、十分適正な料金をきめてほしいと思うのであります。もしかりに採算性からいえば、いまお話しになったような大体三十年で償還できるだろうというふうな見通しを持っておられるようであります、全ルートを含めて。でありますが、ただ陸上の道路と違いまして橋の部分がありますから、償還後の維持管理ということには相当の費用がかかるでありましょう。一般の道路からいえば償還すれば無料というのが原則でありましょうけれども、この場合はそこがどうなるか。無料になるのか、やはりある程度維持管理というふうな面からいたしまして料金が取られるかどうか。同時に、それはそうなった時分には三ルートどういうような料金になるか、そういう点をお伺いいたします。
  253. 菊池三男

    ○菊池政府委員 三ルートともそれぞれ償還が違うということは考えられるわけでございますが、償還が終わりましたあと無料にするかという問題につきましては、通常の場合無料が原則でございます。ただ、こういう橋梁あるいは長大トンネルのように将来維持費が相当にかかるものにつきましては、そういう維持費の範囲内で料金を徴収することができるということが措置法の第七条の十に、この本四連絡橋についてもそういう措置がとれるようになっております。したがいまして、非常に大きな維持費を要する場合はその分の料金は取るということが考えられますが、三本ともびっしり同時に終わるのではなくてズレがあった場合に、今度はその三本のルートの料金のアンバランスが生じてまいります。そういう場合にどうするかということで、これはそのアンバランスを生ずるのがまだだいぶ先でございますので、いまからちょっとそれを目標に——、そうしたときにそれをあるいはプールするのかとかいろいろな考え方がございますけれども、いまの段階ではまだそこまで考える必要はないだろうと思います。また各ルートごとに損失補てん引き当て金というものを取りまして、たとえば赤字が出たときに黒字の道路で毎年各ルートから積み立てておきまして、それで引き当てるということもありますので、必ずしも私は不ぞろいになるということはないというわけではございませんけれども、そのときにまた考えればいい問題ではないかと思っております。
  254. 内海清

    内海(清)分科員 大体その点わかりましたが、いずれにしてもこれはそういう点、中四国に連絡橋として三本あるのでありますから、料金に非常な差がある場合はいろいろな問題が起きてくるだろう、その点も考えあわせて御処置いただきたい。要望しておきたいと思います。  なお、採算性については大体三十年ということを言われましたが、これは鉄道分も含めましてそういうふうにお考えになっておりますか。
  255. 菊池三男

    ○菊池政府委員 鉄道分も含めてでございます。
  256. 内海清

    内海(清)分科員 わかりました。  次に、いま御承知のように瀬戸内は非常に海水が汚染されたということで問題になっておるわけであります。したがって、これに対しては単独立法さえ設けようというときであります。そういうときにこの工事が行なわれるのでありまして、まあこの工事によって、私は特別に汚染されるということでなしに、むしろ汚濁だと思いますけれども、そういうことに対する対策というものは十分検討してあるのでしょうか。
  257. 富樫凱一

    ○富樫参考人 この工事中の汚濁の問題は、特に私のほうも神経を使っておりまして、ただいま実験によって汚濁の度並びにその汚濁をどう防止できるかを検査さしておるのでございます。特に橋脚を海中に掘さくする、そういうときに汚濁が多いわけでございますので、この汚濁をどうしたら最も少なくできるか、それが関心事でございます。四十七年度以来この実験を進めておりますが、さらに本年度実験を進めまして、その汚濁の度合い並びにその汚濁を防止する対策を立てたいと考えておるのであります。  また汚濁の一つに、今度橋脚をプレパックドコンクリート方式で築造いたしたいと考えておりますが、プレパックド方式でやりますと、骨材を詰めて、あとでセメントモルタルを中に注入するということでございますので、このモルタルが海中に流れた場合には汚濁以上の公害を生じますので、このモルタルは一切外に出さないようにするということを目標にいたしております。したがいまして、もしその混合などを間違えたりあるいはしくじったりというようなことがありましたら、これは海中に投棄せずに、わきにバージを置きまして処置するというようなことを考えておりまして、モルタル汚染は極力防ぐ考えでございます。
  258. 内海清

    内海(清)分科員 この工事の場合は、汚染ということでなしに、むしろ汚濁と申し上げたほうがいいと思いますが、さっき申し上げたように、瀬戸内海は非常に汚染されて漁業問題なんかきわめてやかましくなって、いわゆる社会問題になってきているときですから、したがって、この点については工事による汚濁についてはよほど慎重にやっていただきませんと、さらに問題を引き起こし、工事の推進がおくれる場合も出てきはせぬかということを非常に心配いたしておりますから、いま承りますと、いろいろ工事についても御研究になっておるようであります。万全を期してひとつやっていただきたい。要望しておきたいと思います。  それから次は、いま環境ということが非常にやかましくなっておるときでありますが、この計画のルートにはいわゆる国立公園に属するところがかなりございます。したがって自然景観をそこねはせぬか、こういうことがまたいろいろ論議されておるわけです。そういうおそれはないか、工事を進めていく上につきましてもこの点はそれまた十分お考えになっておるだろうと思いますが、ことに ルートでは鷲羽山を中心といたしました特別のところもあります。考えようによれば、橋ができることによって景観を増すところもあるかもしれないけれども、しかし陸上部につきましてはそういう点が環境をそこなわぬか、景観をそこなわぬかということがいろいろいわれておるわけでありまして、この点につきましてはどういうふうにお考えになっていますか。
  259. 富樫凱一

    ○富樫参考人 仰せのように瀬戸内海本州四国連絡橋は三本とも瀬戸内海国立公園の中を通るわけでございます。特に ルートなどは国立公園のまん中を通るわけでございまして、これについてはいろいろ議論のあるところで、当公団といたしましてもこの点を心配いたしまして、国立公園協会に頼みまして、景観との関係を研究してもらっております。言われました中にございましたけれども、この橋自体が人工の景観として、自然の景観をなおよくするという観点もございます。ただ、いまあります自然公園の中の自然を破壊するというようなことではなくて、そこには細心の注意を払いまして景観をそこなわないように、たとえば陸上の取りつけ道路でありますればなるべく目につかないようなところに、かつ盛り土、切り土を少なくする、あるいは土地を緑化して緑にするというような配慮をいたすと同時に、橋の型式そのものも美観をそこなわないようなものにしたい、こういう考えで進んでおります。
  260. 内海清

    内海(清)分科員 いろいろお述べになりましてけっこうだと思いますが、この点もひとつ十分お考えいただきたいと思うのであります。ことにEルートは多くの島を通るのであります。これはまた一つは島の開発とそれから観光ということも同時にあるわけでございますが、ああいう島の陸上部につきましては、これは道路公園と申しますか、沿線を公園化するというふうなことも同時に一つ考え方であろうと思いますので、これはあるいは地方自治体のほうの問題になるかもしれませんけれども、あわせて両者相まってそういう点もお考えいただいて、できるだけ景観をこわさないように、一そう増していくような処置をお願い申し上げたい、かように考えるわけであります。  それから次に、時間がございませんので十分論議できませんが、お伺いしたいと思いますのは、本年度からいよいよ三ルートとも着工されるということであります。そういたしますと、いまの地価の上昇の状況から見ますと、着工いたしますと同時に地価は高騰してくるだろう、こういうことが予想されるわけであります。したがって、この用地の買収につきましては私はどうしても先行買収の措置が必要だと考えるのでありますが、今後のこの用地買収の方針についてお伺いいたしたいと思います。
  261. 菊池三男

    ○菊池政府委員 お話のように用地はどんどん上がってまいりますので、本来的には、つきました事業費、用地費をもって買収するのでありますけれども、それだけではなかなか追いつかないということで、ただいまのところ、それにあわせまして債務負担の制度がございます。これは公共団体がお金を用意いたしまして公団の名義で買うわけでございます。そうしてそれをあとで返すという形のものがございますので、直接ついた用地費と債務負担とあわせて進めてまいりたいと考えております。
  262. 内海清

    内海(清)分科員 いまの問題につきましてちょっと話がございましたけれども、今度四十八年度に土地税制が改正される予定であります。私いま大蔵におりますが、これにも出ておるわけであります。そうしてその中で譲渡所得の特別控除額が引き上げられることになっておる、これは御承知のとおりだと思うのです。この場合、この架橋公団というのは道路公団とはちょっと私は性格が違うと思うのです。なぜかといえば、地方出資があるということで多少違うと思いますけれども、本質的には同じように考えていいんだと思いますが、この公団が、道路の場合も同様でありますけれども、直接買った場合には、これは今回の改正による二千万の特別控除、従来は千二百万であります、これが二千万になった、この特別控除が認められるわけであります。鉄道についてはこれは問題ございません、これにはっきりこうあげておりますから。「次の用地買収については、収用事業の認定を受けなくても、二〇〇〇万円の特別控除を認める。」ということで「本州四国連絡橋公団の設置する鉄道の用地」とあがっておりますから、これは問題ないのであります。ところが、お話しになりましたような公団の予算で全部これが終われば問題ないのでありますけれども、もしもこの場合、公団の予算だけでは十分用地が取得できない場合は、これはいまお話がございましたけれども、地方公共団体に対しまして先買いしてもらわなければならない。ところが、地方自治体が先買いして、そうしてあとでこれを公団名義にしよう、   〔足立主査代理退席、藤波主査代理着席〕 こういう場合には、昨年制定されました公有地の拡大の推進に関する法律、これによってこの特別控除の額が今度は改正になって五百万、現在三百万、これに該当するのではないかと思うのであります。そうなりますと、これはなかなか用地の買収は困難になる。同じ公共事業でありながら、きわめて不公平な税制になっているわけであります。地方公共団体の用地の先行買収というものはできなくなる、売る者はおらぬ、こういうことになるわけであります。でありますから、それでは相ならぬ、こういうふうに思うのでありまして、いまお話しのような地方公共団体が先行買収する場合も、やはり公団が買収する場合と同様、二千万の特別控除ができる、こういうことにならなければならぬと思いますが、ただいまのお話で一部言われましたが、これは債務負担行為等を応用して、地方公共団体が先買いをしても最初から公団の名義として買う。そうすればこれが適用になる、こういうことですね。この点は大臣よろしゅうございますね。これが私がいろいろなにして一番問題であったわけであります。だから、この公団に道路法が適用になれば当然そういうことでありますが、ただ道路公団とは少し性格が違うものだから、はたしてその点がどうだろうかということを非常に心配してきたわけでありますが、いまので明らかになりましたから、これはまことにけっこうだと思います。  それから、いま一つお尋ねしておきたいと思いますのは、私はEルートにおりますので、この点をちょっとお伺いしておきたいと思いますが、尾道−今治ルートは、報告書では九年となっておりますね。ところが、このルートは最初からいわれておりますように、技術的には最もたやすいということ。さらにこれはあるいはAルートにもいえると思いますが、一つ一つ橋をかけていくごとに経済効果は出てくるのであります。さらに、一面では通行料金の収入によりまして、公団の資金調達も有利になってくる、こういうメリットがあると思うのであります。そういうことを考えるならば、そういうルートはできるだけ早く完成したほうがいいだろう。しかし、技術者の問題とかあるいは建設機資材の問題ということもありますから、一がいには言えぬと思いますけれども、そういうことが考えられるのでありますが、この九年というのはもっと短縮できぬかどうか。こういうことをひとつ……。これは公団でも建設省でもどちらでもけっこうです。
  263. 菊池三男

    ○菊池政府委員 尾道−今治ルートにつきましては、一応九年ということになっております。これは昨年の調査結果に基づいて九年ということになったのでございますけれども、前にたしか四十二、三年のときの調査では十年だったと思います。それがその後精査した結果九年ということになったのでありますけれども、これは御承知のように非常に海峡部の橋梁がたくさんございますし、また来島海峡につきましても長大な橋梁になりますので、まだ実際に着工しない段階でこれがどれだけ縮められるか、あるいは縮まる可能性があるかということにつきましては、私もちょっといまここでお答えするには、まだあまりそういう経験がない段階でございますので、一応はやはり九年はかかるのではないかということで、いまは考えております。
  264. 内海清

    内海(清)分科員 これはもちろんこういう工事でありますから安全率をとってあると思います。しかしいま申しましたようなことで、ひとつできるだけこれは工期を短縮していただきたい。これはひとつ大臣にも強く要望申し上げ、公団にも強く要望申し上げておきたいのであります。  これに関連しまして、四十八年度に着工になります個所は、橋がみなきまっておるわけですが、その一つにEルートの因島大橋、これがあるのであります。これはこのEルートの中では経済効果が一番大きい個所として初めから認められておったところであります。これが本年度着工になるわけでありますが、この工期はどういうふうにお考えになっておるのか、あわせてお伺いいたしたい。
  265. 菊池三男

    ○菊池政府委員 四十八年度から着工いたしまして、工期はおおむね五年と考えております。
  266. 内海清

    内海(清)分科員 そうすると五十三年ということになりますか、これが一番経済効果が大きい個所といわれておる。さっき申しましたような非常な経済効果が大きいところでありますから、五年というのは少し長いような気がいたします。これが一つかかって五年やりよったのでは全体として九年間ではできぬのではないかというふうに思いますが、もっと早く進められるのではないかと思います。これも時間が参りましたからあれいたしますが、できるだけひとつ短縮して進めていただきたい、これも建設省と公団両方に特にお願い申し上げておきたいと思います。いずれにいたしましても中四国の三ルートの完成というものは地元民にとっては非常な期待であります。ことに島嶼部におります人々にとりましては最も関心の強いところでありますから、せっかくこれに着手するのであります、万全な態勢を整えて一日も早く供用開始ができますように、強く要望いたしまして終わりたいと思います。
  267. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて内海清君の質疑は終了いたしました。  次に、八木一男君。
  268. 八木一男

    八木(一)分科員 建設大臣並びに政府委員に主として同和問題について御質問を申し上げたいと考えております。  去る二月二十八日に予算委員会の一般質問で、金丸建設大臣もおられた席で、私は同和問題について基本的な問題について田中内閣に質問をし、その私の主張した線に従って懸命に積極的にやっていくという御答弁をいただいたわけでございます。この点についていろいろの問題を指摘したわけでございますが、この問題の重要性について、当然田中内閣の国務大臣として、他の大臣と同様、より以上やらなければならないと思いますが、ひとつこの重要な問題についての御理解の点と御決意を総括的に伺っておきたいと思います。
  269. 金丸信

    金丸国務大臣 同和対策の問題につきましては私も先生と同じ考えでありまして、これを推し進めることは現下緊急な政治問題だと私は考えております。その意味で、私も建設省に参りましたので、建設関係の同和対策の件に関しましては格段の努力をして、皆さんの御期待に沿うように懸命に努力してみたい、こう考えております。
  270. 八木一男

    八木(一)分科員 建設省は各省に比較して対処すべき事業量あるいは金額も多いわけです。いままでの建設省の担当の方はかなり努力をしておられたことは幾ぶん評価をいたしますけれども、主観的には努力をしておられても、客観的に問題を解決するためにはまだまだ道が遠いということであります。ことにいま全体の同和対策の中で予算的に一番大きな部分を占める建設省でございますから、特に大臣をはじめ各担当者の方の一そうの積極的な御推進が必要であろうと思います。この住宅の問題は、衣食が国民にある程度のものが確保されるようになりました。その中で抑圧を受けた部落大衆は、この点についてもまだ非常に抑圧を受けておりますけれども、一般的に日本国じゆうで食べることと着ることについては、終戦直後みたいに非常にひどい状態ではなしに、何とか収入があれば食べるものが入るというような状況になっております。ところが住宅の問題になると、これはまだ一般的にも非常に住宅難が多い。特に長年の抑圧で非常に貧困な状態になっている部落の大衆にとっては、これは非常に大きな問題であるということをひとつぜひかみしめていただいて推進に当たっていただきたいと思います。  ことに住宅の問題はほかの問題に関連があるわけでございます。部落の完全解放の問題、同和問題の完全解決の問題というのは、まず中心の課題は就職の機会均等である。それが一番中心の、ほんとうの課題で、その次に就学の機会均等ということになります。そういうことになりますが、実際上住宅が狭ければ子供たちが勉強ができません。それで家族が分離をしておのおの住宅を持ってというような、一般的にややそういう状態にあるようなところまでこの同胞の生活状態は至っておりませんから、大せいの、家族分離をしないで、そこでみんなが働いて、みんなが助け合って暮らしていくという状態でございますから、家族数は多うございます。家族数が多くて住宅が小さい。それで、非常に中の設備も悪いということになります。そういうところで、たとえば二部屋の部屋で親がいろいろと、夜おそく仕事から帰ってくる、あるいはまた御承知のように家の中でいろいろの手工業を夜おそくまでやっているという状態でございますから、隣の部屋で子供たちが、これは小学生も中学生もあるいは奨学金をもらって進学をしている高等学生もほんとうにしっかり勉強するような居住条件にないわけです。そのことが実際の就学の機会均等を阻害し、また就職の機会均等を阻害するということになる。でございますから、この住宅問題についてはいままでかなり努力をしておられるわけですけれども、ほんとうに全力を注いでやっていただく。住宅の面積をふやす。そうして今度は面積の問題と関連がありますが、部屋数をふやす。たとえば、いまは大体改良住宅にしろ二種公営住宅にしろ、二DKぐらいのものでございます。普通二DKの公営住宅だったら夫婦と子供一人ぐらいでいい。収入が多くなったら一種に入る。それからまた公団住宅に入るというようなことを、ほんとうは国民は困っておるけれども、そういうことを考えておられるらしい。ところがそうではなしに、初めから二種住宅、狭いところに大ぜいの家族数を持った家族がそれでやっと住まなければならない、こういう状態でありますから、この改良住宅にしろ二種公営住宅にしろ、その面積をふやす。二DKではなしに、もっと部屋数がとれるように、そういう質的なものも特に推進してもらわなければならない。数をどんどんふやすと同時に、そういうことについてひとつ大臣局長も対処していただきたいと思うのです。それについての積極的な御答弁をお願いしたい。
  271. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅の問題につきましては質と量の面、先生のおっしゃるとおり確かにございます。特に同和の関係のものにつきましては、おうしゃるとおり家族数が多うございます。私どももそういうものにつきましてたいへん規模を増したいということで努力はしてきておりますが、御存じのようにいまだ達せられておりません。一般とさして差のない事業をやっております。しかし実は今年度でございますが、四十八年度の予算におきましてはいままでにない、といいましても三平米ないし四平米の増という、いままでは予算上は一平米くらいしか毎年増していなかったわけでございますが、平均三平米ないし四平米の増をして  いただいております。したがいまして、一般の問題もさることながら、さような中でできるだけ同和問題を考えていきたいと考えております。また、  戸数につきましては、私ども希望されるものは全部とにかく満足さしていきたい、かように考えております。
  272. 八木一男

    八木(一)分科員 大臣も同じお考えだと思いますが、ひとつ御答弁を願います。
  273. 金丸信

    金丸国務大臣 私は同じ考えだということを申し上げるわけですが、実は前の円切り上げのとき円対策本部というものをつくりまして、私がちょうど副本部長になりまして関西方面へ視察に行くということで、中小企業対策ですから、たまたま同和の関係の工場へ行くと言ったところが、それは行かないほうがいいと私に言うものですから、ばか言っちゃいかぬ、そういうところへ行くことが同和対策じゃないか、何のために国が同和対策をやっておるんだと私はしかったことがあるわけでございますが、そういう考え方で対処いたしておりますから、この住宅の問題につきましても、ただいま局長が申しましたように、より以上に質、量を改善してまいりたい、こう考えております。
  274. 八木一男

    八木(一)分科員 たいへん積極的な御答弁をいただいてけっこうであります。ぜひ御推進を願いたいと思います。  次に、その問題に関連をいたしまして、一種住宅に同和ワクというものはございません。一種住宅というのは、さっき言ったような系列で何か総体的に考えられているようでございますが、二種に入っている。それから子供が多くなったら一種に入るというような段取りでだんだん考えられているとならば、もうすでに子供が多いという状態で、一種に関しても同和住宅のワクをつくるという御努力がされてしかるべきだと思うわけであります。それについて伺っておきたいと思います。
  275. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生のようなお考え方も当然あろうかと思います。しかし現実問題といたしまして、一種住宅は御存じのように二分の一補助でございます。二種住宅のほうは三分の二補助でございます。そこに大きさの差があるという問題が一つの欠点でございますけれども、しかし地方財政その他から規模の問題は今後解決をすることといたしまして、その三分の二補助のほうを同和事業に充てるということが事業の性格上至当ではないかというふうに考えてやっておる次第でございます。
  276. 八木一男

    八木(一)分科員 そういう状態だということは伺って知っております。二種公営住宅について三分の二の国庫負担があるというのは、これは同和だけでなくて一般的にあるはずですね。同和対策事業特別措置法ができたのは、この住宅を含めてすべての同和事業について三分の二の助成をするということの精神が一つの柱になってできておるわけであります。したがって前に、三分の二の二種公営住宅ということでは、それだけの特別措置にならない。一種公営住宅についても同和ワクについては三分の二の国庫負担をとるということを一いろいろな関係て、いままでいろいろやった変なへ理屈、変な慣例があったことは知っております。しかしそれを突破してやっていただくように御努力を願いたいと思います。
  277. 沢田光英

    ○沢田政府委員 同和の基本法ができるときに補助率の問題でさような議論がずいぶん行なわれたということを聞いております。しかしその経過は現在のようなことで、公営住宅におきましては第二種をもって充てて、しかも先ほどの規模等の問題は、これはだんだんと問題を解決していく、そのような方針でございます。したがいまして、現在の公営住宅の制度の中では一種のほうは二分の一でございますから、これを三分の二というふうなことでございますと二種と同じになるというふうな形で、どうも整理上ぐあいが悪いという点もございます。しかし、同和の問題として別に、公営住宅法以外の問題として考えますれば、これは議論としてはあり得るというふうに考えます。しかし、いまの公営住宅法の中では現在のところ事務的には無理があるというふうに考えます。
  278. 八木一男

    八木(一)分科員 伺ったら時間がかかりますから、違っていればあれですが、公営住宅法のほうが先にできたんじゃないか。同和対策特別措置法のほうがあとです。したがって、あとの法律を先の法律に適用していくということの努力があってしかるべきだと思う。ですから、そういう問題と、それからもう一つ、二種あるいはまた改良住宅も実際上一種と同じスケールになるように、そういうことも含めて最大の御努力を願いたいと思います。これは大臣からひとつ……。
  279. 金丸信

    金丸国務大臣 今後の問題として十分検討してみたいと思います。
  280. 八木一男

    八木(一)分科員 含めて、と申しましたが、ただ検討ではなしにそれを実現する方向でやっていただきたいと思います。
  281. 金丸信

    金丸国務大臣 実現する方向で検討いたします。
  282. 八木一男

    八木(一)分科員 実はいまの改良住宅、これは小集落のほうも含めての話でございますが、その土地に対する国の財政的な対処について、私存じておりますけれども、一応住宅局長から伺っておきたいと思います。
  283. 沢田光英

    ○沢田政府委員 改良住宅の土地に関しましては、土地の買収費につきましては三分の二補助で対処しております。
  284. 八木一男

    八木(一)分科員 それは全部でありますか。
  285. 沢田光英

    ○沢田政府委員 買収する場合は全部でございます。
  286. 八木一男

    八木(一)分科員 それから建物についてはどういうことになりますか。
  287. 沢田光英

    ○沢田政府委員 建物につきましても建設費の三分の二補助でございます。  ただし、土地に関連しましてちょっと御説明申し忘れましたが、その場合に除却費とかあるいは一時収容施設とか、かような土地整備に関します関連した事業がございます。これも土地と同様三分の二補助でございます。
  288. 八木一男

    八木(一)分科員 全部であればそれでけっこうなんですけれども、土地除却あるいはまた整備の点は全部そうなっているようでございます。それは全部そうなっていますが、その次に、その補助裏についてはどうなりますか。
  289. 沢田光英

    ○沢田政府委員 補助裏につきましては、起債が一〇〇%ついております。
  290. 八木一男

    八木(一)分科員 その起債について同和対策事業特別措置法第十条が適用されておりますか。
  291. 沢田光英

    ○沢田政府委員 土地の買収費につきましては、十条の手当てがされておりません。そこでされておるのは、いわゆる除却費、一時収容施設等、なくなってしまうようなもの、あとに残らないようなもの、かようなものにつきまして十条が適用されてございます。
  292. 八木一男

    八木(一)分科員 この補助裏について十条が適用されていないという点は、三分の二の国庫負担が実単価とずれている点とあわせまして地方自治体にたいへん超過負担をしているということになって、地方自治体がその財政負担に困難を来たしているわけです。そのことが問題推進のために非常な隘路になっているわけです。これを打開していかなければならないと思いますが、その問題について、実はいまの十条適用をしたところに起債の元利償還金の十分の八を普通は普通交付税で、交付税不交付団体については特別交付税で支給するということがちゃんとでき上がっているわけでございます。その中の特別交付税とは別に、前からありました同和対策の特別交付税が完全にやはり現存をしておって、その前からある特別交付税を活用してそして地方自治体の財政難に対処するということが昭和四十四年から実際に行なわれているわけであります。御存じだろうと思います。大臣、ややっこしい問題ですが、ひとっこれを御理解願いたい。四十四年から行なわれているわけであります。それは秋田自治大臣のときに、建設省、自治省あるいは山中総務長官がいろいろと問題を十条適用に沿うようなことでやらなければならないということで、その土地代の五〇%を特別交付税で支給するということをやられたわけであります。今度自治省のほうではそれをさらに率を三分の二まで上げるという気持ちを持っておられる。それではまだ足りないので、少なくとも十条適用と同じになるように、十分の八までその特交で対処されるようになってしかるべきだと思うわけであります。そのことについて、建設省は特に住宅関係が多うございますから、自治省にそれが十分の八になるように強く要求をしていただきたい。自治省のほうにはまた私どもそれを要望いたしますけれども、局長はじめ担当官が事務的に折衝されるだけではなしに、ぜひ金丸建設大臣が自治大臣に強力に要請をされて、できるだけ早くそれが実現するようやっていただきたいと思うわけであります。それについて大臣、また局長からも伺いたい。
  293. 金丸信

    金丸国務大臣 特別交付金の問題につきましては、自治大臣と私直接交渉して、ひとっこれを推し進めるように努力いたします。
  294. 沢田光英

    ○沢田政府委員 大臣から申されましたようにいたします。
  295. 八木一男

    八木(一)分科員 大臣の積極的な御答弁をいただいて非常に力強く思います。ぜひ至急にそれが実現するようにやっていただきたいと思います。局長以下建設省の方は大臣を補佐して、自治省また政府担当のところに強力交渉されるようにしていただきたいと思います。  さらに、この問題の上屋、建物の問題でありますが、建物についてはこういう措置がとられておりません。この土地のほうに実施をされたものを建物のほうにも推進していただきたいと思うわけであります。その点について金丸建設大臣の積極的な御努力をひとつお願いしたい、こう思うわけであります。
  296. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題も自治大臣に、先ほどのお話とあわせてひとつ強く推進してまいります。
  297. 八木一男

    八木(一)分科員 たいへん積極的な御答弁でけっこうであります。建物については、土地等が先にでき、建物等がまだ実施されていないことについて幾分へ理屈があることを私は知っております。その幾分のへ理屈はひとつ粉砕して、ぜひ実現をしていただきたいということであります。  それからその次に、建設省が今度大蔵省に要求をされた項目の中で削減をされたものについて、たくさんあるに違いないけれども、ありましたらひとつ御説明をいただきたいと思います。
  298. 沢田光英

    ○沢田政府委員 大きな柱につきましては、むしろ削減よりも新しい制度が生まれたという点、まあお答えになるかどうかわかりませんけれども、そういうものがございます。それは重々御承知だと思いますが、いわゆる改修資金と同じように持ち家に対します宅地資金の融資、これは二分程度のものを公共団体を通じて融資をする。それに対して補助を出す、かような制度が実は生まれまして、これはたいへん同和の人々から長年望まれておったことでございまして、ことし芽を出すことができまして、私どもたいへん喜んでおる次第でございます。
  299. 八木一男

    八木(一)分科員 芽が出たのは知っておりますけれども、とにかく総額はいろいろな点で幾ぶん削減をされているという状態であります。削減の率は他の省より少し少ないようでございますが、軒並みに少しずつ削減をされているという御説明があってしかるべきであって、事実に即して御答弁を願いたい。こまかくなくても、削減をされているということでけっこうです。
  300. 沢田光英

    ○沢田政府委員 実際に予算案となりましたものは、当然予算要求よりは全般的に下っておると思います。
  301. 八木一男

    八木(一)分科員 建設大臣、ひとつ御認識を高めていただいて御推進を願いたいと思いますが、この予算委員会の一般質問で申し上げましたように、この問題については前年度の何割増し、こういう思想はなしにしてやっていただかなければならない性質のものだ。何百年抑圧をして、そのために家が建たない、そのために貧困である、そのために学校に行けない、そのために就職がうまくいかないという状態を回復するわけでございますから、いままでのほかのいろいろな普通の行政のように明治以後対処をされてきて、だんだんふえてきたというものではなしに、何百年の問題をこれから積極的にやろうというものでありますから、前年度に対する比率というものを大蔵省に考えさせてはいけない。ところ大蔵省は必ず考える。一般の予算の増加率よりも建設省の同和予算の要求に対する査定は、前年度一般のものよりも多いから、まあこのくらいでかんべんしてくれというようなことを必ず主計局は言うわけであります。きのう予算委員会大蔵省に対する分科会で、愛知大蔵大臣に徹底的に追及をいたしておきました。この問題につきましてはびた一文、大蔵省は削減することを許されない。これは精神の問題ですから、一文、たった一銭も削減することは許されない。それを一般的な考え方で、主計局が予算のワクにおきめようとする。各省の要求を何とか少しずつ減らしていって、ワクにおきめようとする。そういうやり方をするのはとんでもないことだ。主計局の任務というものは、予算の削減だけが任務ではなしに、国会を通じて政府国民に約束した重要政策については、それを進めるための予算を十分に確保することに任務がある。それについて実施官庁が非常に怠慢だ、予算要求が少なければ、なぜもっと予算要求を出さないのか。これぐらいの連絡をし、要請をしてもしかるべきものである。ところがそれがたるい。実施官庁の要求に対して、それをさらに削減するようなことは絶対に許されない。愛知大蔵大臣にも、主計局全般にそういう間違った傾向がある、大蔵省全体にそういう間違った傾向がある、今後、そういうことを断じて直してもらわなければ困るということを申しましたところ、愛知大蔵大臣は、断じて直すということであります。したがって、断じて直すということでありますから、今度は建設省の方々は、要求をいままでのように値切られるだろうということを予測して、ある程度におさめるということはなさってはなりません。必要なものは必要なだけ要求をする。要求したものは、また実施官庁で断じてただの一文も値切らせない。値切ろうとした主計官があったら、国の政策をあなた方がブレーキをかけるのか、そんな資格が主計官にあるか、主計局長にあるか、大蔵次官にあるか、大蔵大臣にあるか、大蔵大臣はそうではないようにやるということを言っているのだということで、今後一切、要求に対してはびた一文値切らせない。そのことを、同和対策上非常に重要な事業を担当しておられる建設省が、その強い決意で当たっていただかなければならないと思いますが、それについての金丸建設大臣の強い決意のほどを明確にひとつ伺っておきたいと思います。
  302. 金丸信

    金丸国務大臣 非常に強力な応援をいただきまして、私のほうでは予算を満足にとることがこれから仕事を遂行する上で必要なことでありますし、ことに同和対策の問題については一文たりとも捨てられないようなことを考えていくことは当然であります。それがまた、この立法の精神でもあると思いますから、その精神に従いまして、また愛知大蔵大臣がそういうことを言っていただいたということについては、今後百万の味方を得た力を私は感じます。まことにありがとうございました。
  303. 八木一男

    八木(一)分科員 建設大臣はじめ建設省が積極的な決意を示していただいて、非常に力強く存じます。この御決意のとおり、ひとつ同和問題の解決のために住宅問題及びその他の問題についても御推進をいただくことを強く期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  304. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて八木一男君の質疑は終了いたしました。  次に、田代文久君。
  305. 田代文久

    ○田代分科員 遠賀川の河口ダム建設計画について、これが計画され、あるいは実行されるという段階になっておると聞いておりますが、その計画内容等についてまず御説明願いたいと思います。
  306. 松村賢吉

    松村政府委員 遠賀川の河口ぜきの計画について御説明申し上げます。  遠賀川の河口ぜきは、河道の洪水疎通能力の増大、それから塩害の防除、これをはかりますとともに、周辺市町及び北九州市の都市用水の確保をはかるため、現在の河口ぜきにかえまして河口から二キロメートルの地点に新たに河口ぜきを建設する。これが遠賀川の河口ぜきであります。  それでこの遠賀川の河口ぜきの内容でございますが、治水関係については、現在の川の疎通能力が現状が四千二百立方メートル毎秒でありましたのを、六千立方メートル毎秒に増大させようとする。これは確率で申しますと、現状が約五十分の一の確率でございますが、これを百分の一の確率にしようということでございます。それから都市用水につきましては、北九州市、中間市、水巻市、芦屋地区、遠賀地区、岡垣町に都市用水約二トン毎秒を供給する予定になっております。せきの構造といたしましては、総貯水量約千百トン、有効貯水量八百八十万トンの水をためるわけでございまして、昭和四十四年度に実施計画に着手しまして、四十六年度から建設事業にかかっておるものでございます。
  307. 田代文久

    ○田代分科員 最初はよくわからなかったのですけれども、このダムをつくる主要目的ですね、これをはっきりひとつ。何のためにやるのかという点ですね。
  308. 松村賢吉

    松村政府委員 繰り返して申しますと、洪水疎通能力の増大が一つでございます。それから都市用水の確保、それと塩害防除でございますね。この三つになっております。
  309. 田代文久

    ○田代分科員 これはいつから実施されることになっていますか。
  310. 松村賢吉

    松村政府委員 まだこれにつきましては、いわゆる河口ぜきの基本計画というものは確定しておりませんので、実際にダムの着工という段階にはなっておりませんが、先ほど申し上げましたように、四十六年度から予算的には事業費がついております。それでいろいろ準備を進めておるという段階でございまして、早急に着工したいというふうに考えております。
  311. 田代文久

    ○田代分科員 大体四十六年度から調査その他の予算を組んでやられていっているわけですね。実際において、これは着工される見通しは具体的にどうですか。
  312. 松村賢吉

    松村政府委員 早急に着工するということで、現在補償関係その他いろいろやっておるわけでございますが、こういう話がつき次第着工したいと思っております。
  313. 田代文久

    ○田代分科員 そうすると、大体いつごろからという見当は具体的にはない、こういうことですね。
  314. 松村賢吉

    松村政府委員 具体的に何日ということははっきり申し上げられません。
  315. 田代文久

    ○田代分科員 いや、何日じゃないですよ。
  316. 松村賢吉

    松村政府委員 何月でもよろしゅうございます。
  317. 田代文久

    ○田代分科員 何年の何月です。これはことしからやるんですか。
  318. 松村賢吉

    松村政府委員 そういう話さえつけば、いつでも着工したいと思っております。
  319. 田代文久

    ○田代分科員 第一に、このせきをつくるのは洪水、つまり治水が第一の目的になっておるし、その次はそれと関連して都市用水のためと、それから塩害ですか、そういうことを言われましたが、その洪水対策ですね。そのためにこのダムをつくるということなんですけれども、大体洪水対策をいまごろやるという計画が実際われわれにはわからないのです。ということはこういうことなんですよ。御承知のように、たしか昭和二十八年に遠賀川の堤防が、このダム建設上流何キロですか、二十キロぐらいですかのところで決壊して、その下流が大洪水になったわけですね。二十年くらい前だと思うのですよ。ですから、もし洪水対策ということになれば、私はその時点から進められておるべきである。いまごろ洪水対策ということをおっしゃるのはどうもおかしいんです。これはどういうことですか。
  320. 松村賢吉

    松村政府委員 建設省といたしましては、河川法が制定され、その他いろいろな事情がありまして、洪水が非常にひんぱんに各地に起こっておるわけでございますが、こういうものを考えまして洪水の安全、疎通力の増加と申しますか、全国の河川につきまして洪水計画の練り直しと申しますか、こういうことをやりまして安全度をより一そう高めようという計画の一環でございます。それで、先ほど申し上げましたように、四千二百トン毎秒の洪水疎通能力を六千トン毎秒にふやす、それに基づきましてより安全度を高めていこうという計画でございます。
  321. 田代文久

    ○田代分科員 どうも、洪水を食いとめるために大きな河川の河口に、海のすぐ近いところダム建設される、そして水位を高めるということはわれわれにはわからないわけですね。これはどうですか。むしろ、そういうものがあるから、雨が降って水が流れる場合に、それが逆にその上流における洪水を引き起こしたり、あるいは水のはけが悪くなって、いつまでも水びたしが直らない、こういうことになるのと違いますか。その点、どうです。
  322. 松村賢吉

    松村政府委員 もちろんせきをつくるだけで疎通能力がふえるということはございません。その前提になりますのは、河道を掘さくと申しますか、河道を全般的に掘るわけでございます。それによりまして疎通能力をふやす。しかし疎通能力をふやしただけでは、あと潮水の遡上等いろいろ障害がございますので、河口せきを設けまして、それで現状よりも悪くしないように、さらにプラスになるようにという計画をやるわけでございます。
  323. 田代文久

    ○田代分科員 全くおかしいですね。何かこじつけのふうにしか受け取れないんですよ。いわゆる洪水というのは、さっき言いましたように、そういう計画建設省でできて、いまさらこの治山治水をやったって、——二十年前にそういう大洪水が起こって、すでにその原因というのははっきりわかっているということなら、なぜその直後にいまおっしゃったような、川の水の流れが悪いから川の底を深めるとかあるいは堤防を補強するというようなことを即時始められなかったのですか。いまのお話を聞きますと、政府は全く怠慢きわまりないといわざるを得ないのですが、どうですか。
  324. 松村賢吉

    松村政府委員 仰せごもっともな点もございますが、しかし政府といたしましても、この洪水に対処すべく年々手を打っているわけでございます。それでこの大河川、これは一級河川でございますものですから重要河川でございますが、こういうものの見直しと申しますか、洪水の安全度につきましてさらに一そう検討しておる。時がたつにつれましていろいろと水の流出状況というものも違ってくるわけでございます。上流開発されるあるいは山林その他の状況、そういう全般の状況によって洪水の出方も違ってきますので、これに対処すべく安全度を高くする、こういうことによって治水の万全を期していきたいということでやっておるわけでございます。
  325. 田代文久

    ○田代分科員 それでは別の側面からお尋ねいたします。  これはひとつ大臣からお答え願いたいのですが、私のほうは、このダム建設は、治水、あるいは洪水ということもいま盛んにおっしゃっておりますけれども、ほかに大きなねらいがあるのではないかというふうに考えるのです。その点で、現在北九州の大工業地帯、これは日本列島の改造との関係があると思うのですが、あの北九州の新日鉄の向かいに若松区というのがあります。そこでいま開発計画を立てて土地の造成をやって、そしてその一部にすでに三井アルミナとかあるいは三井コークスというような製鉄所と結びついた大きな企業が現在ある。しかしそういうのをずっと発展させると、そういう関係で北九州における工業用水が非常に足らない。だからそれをどう補給するかということで、このダムをつくって遠賀川の水をそちらに回すということになるのではないか。ですから、このダムをつくるということは、いわゆる若松区沖の響灘の埋め立て計画との関連においてこれは計画されているのではないかと思うのですが、その点大臣どうですか。
  326. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほども申し上げましたように、治水上の問題、これが一つの目的でございます。それとあわせまして都市用水の供給、これも大きな目的になっております。それと塩害の防除、この三つが先ほどから申し上げているように目的になっておりまして、その都市用水の供給ということも一つの大きな目的になっていることは確かでございます。
  327. 田代文久

    ○田代分科員 そうしますと、その第二の都市用水、今度あそこにダムをつくることによって非常に大きな用水ができるわけなんですが、その新しくできる水というのは北九州のどの地域を中心に大体回される計画であるのかということをお尋ねしたい。
  328. 松村賢吉

    松村政府委員 また水の配分、これは北九州市、中間市、水巻町、芦屋町、遠賀町、岡垣町というふうに考えておりますが、具体的に水の配分をどこに何トン出すという配分はまだ決定しておりません。
  329. 田代文久

    ○田代分科員 それはごまかしですよ。そういうずさんな、大体このダム建設によって、幾らそこに工業用水なりあるいは上水道用水なり農業用水ができるかというプランがちゃんとあるわけでしょう。私が言っておるのは、当然のことです、その計画を立てられるならば。そしてその用水がいままである八幡地区——新日鉄を中心とする、あるいは三菱化成とかその他大企業がありますね、そっちのほうに回しておる水というのは、とにもかくにも間に合ってやられておるわけですね。今度ダムをつくることによって、さっき言いました響灘の埋め立て計画によってそこに一大工業地帯が現在スタートしておる。それによって埋め立てがどんどん進められ、第一期から第二期、第三期というふうに進められるという計画、これは大臣も御存じでしょうが、それがあるはずですね。そこにはばく大なる水が要るという見通しのためにこれは練られたのと違いますか。そういう点は全然考えておられないのですか、どうです。
  330. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この具体的な配分というのはまだできておりませんので、その響灘の工業地帯に水が行くか行かないか、これについては決定しておりませんけれども、一部の水は行くことになるのではないかと考えております。
  331. 田代文久

    ○田代分科員 時間がなくなりますから、その問題はしょりしたいのですけれども、現在の公害、特にこの北九州は空も海も大汚染されている。日本一くらいに大汚染されているわけですね。そこにこの響灘埋め立ての開発計画があって、そしてそれをねらって遠賀川のダムがつくられて水が回されるということになると、これはたいへんなことになるのですよ。ですから、そういう響灘の埋め立て計画については賛成できない。したがって、そこに大企業——現在すでに三井アルミナとかあるいは三井コークスなんかができておるのです。非常にたくさんの公害をばらまく企業ができるということのためには、この遠賀川の下流にできるとしましても、ダムからの水は回さないという確約ができますか。
  332. 松村賢吉

    松村政府委員 この周辺の水の需要、これにつきましては先ほど申し上げました工業用水もその一部ではございましょうか、飲用水、生活用水——中間市以下の各都市需要は全部生活用水でございますが、こういうものも非常に重要になっておるわけで、特にこういうものを重点的に配分することにはなりますが、北九州関係工業用水に一滴も行かないということにはならぬかと思います。しかし、これの配分その他については十分公害問題その他も考慮いたしまして最終決定していきたいと思います。
  333. 田代文久

    ○田代分科員 どうもこういう計画住民なり非常に多数の市民に関係するものに対する計画を進められることについては、いまの御答弁はあまりにしろうとっぽいといいますか、無責任といいますか、そういう水ができるならどの方面にこういうふうに配分するのだということがびしゃっと出なければ、これは国の予算だって使えないですよ。一部北九州に回す、そんなことはわかっております。私がはっきりさせたいのは、洪水を防ぐということを一次的に前面に押し出しておるのですけれども、実際のねらいはそこにあるのではなくて、北九州をいわゆる日本列島改造によって新しく埋え立て地を非常に広くして、そこに大工場地帯を誘致し一それはいま始まっている。そこに水か足りないから遠賀川の水を海岸の近くにせきとめて取って回すというのがねらいじゃないかと思うのです。ですから、そういう計画はやめてほしい。洪水の問題だったら、さっき言ったとおりです。いま、二十年前の洪水対策という、そういうばかげた計画というものは国民は納得できないわけです。ですから、このねらいというものはそうではなくて、むしろ新しい大工場団地をつくるための用水、これでやられていることがねらいではないか。あるいは付近の市町村にも水を回すという水道の問題もありますけれども、これはほかの方法でもやられるわけですが、いわばつけ足りにすぎないという気がします。  次に参りますが、この計画の遂行によって、これは関係方面に非常に大きな被害が及ぶと思うのですね。陳情が非常に来ております。政府にも来ておると思うのですが、第一は漁民が受ける被害ですね。そこにダムかつくられると——その河口にいまいわゆる漁場がたくさんあるわけですね。あそこは片口イワシがとれるところですね。それが、水が流れるために産卵もうまくいかない。それからまたそのイワシを食うことによって大きな魚がたくさん寄っていたのが寄りつかないということで、いま地域の漁民は、これがやられたらたいへんだということで大恐慌です。これは河口だけではなくて、それがせきとめられることによって、いわゆる北九州の洞海湾から響灘全体まで、そして現在山口県の漁民の方々が大騒ぎをやっておられる。そしてこれは環境庁、政府にも陳情に来られたことは私が申し上げるまでもない。そういう環境を破壊し、そしてまた漁民が被害を受けるという問題、これが十分考慮されておるかどうか、それが一つ。  それからもう一つは、農民の方々ですよ。そこにダムがつくられると水位が上がりますね。そうすると、その堤防の周囲とかあるいは上流に非常に湿地帯ができる。それについては、何か矢板をぶち込めばその湿地帯を救うことができるとかなんとかいうことを調べたとかいわれておるようなことがありますけれども、実際にその農民の方々は満足できない。あの近くに頓田という貯水池を北九州市がつくったのですが、その堤防のかさ上げをやったために、思いもしなかった堤防の下のほうの農地が非常に湿地帯になって、もう米や何かができなくなっておるという、これは付近の実例ですよ。まして遠賀川のごく河口地帯、これが及ぶ範囲は非常に広い。そういう湿田化に対してはどういう手を打ち、万全の措置をとるという見通しを持っておられるのか。  それから、これはほとんど忘れられておるようですけれども、あの遠賀川の流域というのは、御承知のように筑豊炭田、日本一の石炭の採掘地帯で、そこはいま、いわゆる公害ではなくて、石炭を採掘したために起こった鉱害のばく大な量が残っておるわけです。ですから、その地下を掘ってこれが復旧されてない地点に、現在通産省の石炭関係のほうで鉱害復旧の事業団なんかつくって遅々としてやっておりますけれども、河口をせきとめ、こういうダムをつくりますと、鉱害復旧が非常に狂ってくることは間違いない。水位が上がる。事実、私が見たところでも、炭鉱の採掘したあと、炭鉱をやめたその付近は、全然やめたら、その坑内に水がたまれば、土地の陥落がおさまるだろうと学者など言っていたのです。この間どうしても見にきてくれというので見に行きましたら、水がたまったはいいけれども、昔の坑口から逆に水が外にあふれ出るという第二次鉱害みたいなものが起こっている。現にこのダムをつくらぬでもそういうような状態があるのに、ダムをつくればそういうことはますますひどくなるし、いわゆる石炭採堀による鉱害というのはたいへんなことになる。そういう点を十分考慮の上でこういう計画が立てられておるかどうか。  そしてまた、それとの関係で、ダムをつくることによって風の吹きぐあいでは——とにかくいままでこの河口の方面に北九州の洞海湾や響灘から潮が流れてこなかったのが逆に来るようになるという危険がある。そうすると、この河口付近の漁場は単に魚がとれないだけではなくて、例の阿賀野川とかあるいはそういうカドミウムとかシアンとかいうような汚染が非常に危険でたまらないということが痛切な声として出てくるわけです。そういう点を考慮の上で、そういうことは絶対ないということの上で、これが進められておるかどうか。そういうことが見通されるとすれば、大体どういう対策によってこれを防ごうとされておるのか。漁民なり農民の方々に全く安心のいくような処置を考えておられるのかどうかという点をお答え願いたいと思います。
  334. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、まず漁業関係でございます。この河口ぜきをつくることによりまして、漁業にどのような影響を与えるか。それは非常にむずかしい問題でございまして、私どものほうといたしましても、学者の先生方その他いろいろ関係方面に影響の調査等を依頼しております。その結果によりまして、必要に応じまして漁獲高が減るというようなことがあれば、これの補償の措置も講じますし、またさらに漁業の振興策、こういうものにつきましても、関係方面に働きかけまして、できるだけこれをはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。また、農業の被害につきましては、せきによりまして水位が上がる、これによって湿田化する傾向があるだろう、こういうおそれはある程度考えられると思います。  それで、これに対する対策といたしましては、これも九州大学の先生たちに頼みまして、農業への影響の調査等をやっておりまして、万全の処置をとりたいというふうに考えておるわけでございますが、具体的な例といたしましては、先ほど申されましたように、矢板をずっと打ちまして、さらに堤防の内側のほうには排水路等を設けまして、内水はこれに受けましてポンプ場等を設置しまして排水するというようなことによりまして、現状より絶対に悪くならないような措置を講じていきたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、先ほどの鉱害の点でございますけれども、これにつきましても私ども現在調査を進めておりまして、地元の皆さま方の御同意と申しますか、納得をいただいた上で工事を進めていきたいと考えております。
  335. 田代文久

    ○田代分科員 時間がないそうですから一言だけ最後の質問をするのですが、いずれにいたしましても、九州大学の先生に調査してもらったとおっしゃいますけれども、学者は全部正しいことを必ずしも言わないのです、実際のところ。私たちが聞いた学者には、これをやると非常に危険ですよという説をはっきり言う学者もおるわけです。しかしいずれにしましても、この内容がそういう鉱害、及ぼす影響が非常に甚大であるということは予測できるわけでございますし、私は、こういう計画は中止してもらいたいと大臣にはっきりあれしたいのです。ですから、こういう計画を立てられるためには、地元関係者の非常に広範な、地方自治体だけではなくて関係住民の方々の意見を尊重してやらなければ、これはあとからやってみてほぞをかむという大問題になることは明らかですから、大臣は、こういうことに対しては十分地方自治体なり、それから地域住民の方々の意見を尊重した上で結論を出す、こういうおかまえかどうか、お尋ねしたいと思います。
  336. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま局長からも述べられましたとおり、地域住民の同意がなければやれないことでありますし、何でもつくればいいやということではないと思うのであります。慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  337. 田代文久

    ○田代分科員 大体いま大臣がおっしゃったとおり、山口から福岡にかけて漁民の方だけでたいへんな問題になりつつありますから、十分その点を考慮して、慎重ということはやめるということが一番正しいと思いますが、そういう方向で対処されることを要望いたしまして、質問を終わります。
  338. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて田代文久君の質疑は終了いたしました。  次に、山口鶴男君。
  339. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私、歴代の建設大臣に対しまして群馬県内に建設省建設を考えておりますダムの問題についてお尋ねをいたしてまいりました。  先ほどは、わが党の同じ群馬県出身の田邊君のほうから沼田ダムについての質問があり、この問題については、私も昨年木村建設大臣に対しまして、あなたは沼田ダムをつくると言ったりやめると言ったり、全く相反することばかり言っておって、地域住民人たちを非常に惑わしておる、そういうことでは困るではないかということでお尋ねをしたことがありまして、この問題につきましては、金丸建設大臣は、そういった膨大な何千戸というような人たちを犠牲にするダムはやろうと思っても無理だという趣旨の御答弁をされたとお伺いをしたわけでありますが、このほかに、群馬県にはいま八ッ場ダムあるいは山口ダム、跡倉ダムあるいはまた本床ダム、こういった各地域ダムに関する調査が進められておるようであります。特に八ッ場ダムにつきましては、昭和四十八年度の予算案を拝見いたしますと、特定多目的ダム建設工事勘定に六億一千万円の予算が計上せられておるようであります。そこで、私、歴代の保利建設大臣あるいは西村建設大臣、頼戸山建設大臣等々に対しまして、ダムというものは強行すべきではない、地域住民の理解と協力が得られぬ限りダム建設というものは無理ではないかということをお尋ねいたしまして、いずれの大臣からも、地域住民の理解と協力が得られぬ限り建設は困難であります、地域住民の理解と協力が得られるということが建設の前提である、こういう趣旨の御答弁をいただいているわけであります。この点は、金丸建設大臣も同様だと思いますが、あらかじめ大臣のお考え方を承っておきたいと思います。
  340. 金丸信

    金丸国務大臣 水資源の問題は、洪水の問題やあるいは公共用水の問題や、かんがい用水の問題や、その他いろいろ使われておるわけでございますが、その意味で、ダムというものの必要性ということも、これは認めなくちゃならない。しかし、多くの地域住民が家を失い、農地を失うという、地域社会が相当な影響があるということで、これは反対だ、こういうことになれば、これを強行することはなかなかむずかしかろう、こう思うわけでございますが、どちらにいたしましても、ダム建設するにつきましては、地域住民合意の上でやらなければならぬ、こう考えております。
  341. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 わかりました。住民の理解と協力が得られない限り、強行などはしない、こういった趣旨の御答弁をいただきまして、その点は了解をいたします。  そこで、群馬県はいわば関東の屋根に当たるような地域にあるわけでございまして、先ほど来申し上げましたようなダム計画が次々と発表されております。これに対しまして、群馬県民あるいは群馬県議会は、治水のためのダムであるならば、これは協力をしなければいかぬだろう、こういう立場協力をいたしてまいりました。矢木沢ダムとか、あるいは薗原ダムとか、幾つかのダムがすでに建設をされております。当初建設省から示されたこの利根川の治水計画は、もうこれらのダム群で完全にこれは消化されているはずであります。したがいまして、これからつくろうとするダムは、大臣がおっしゃられたように、水資源利用していきたい、いわば治水ではなくて、利水のためのダム、こういう性格が強いだろうと思うのです。そういうことになれば、いわば利水地域のために上流地域が犠牲になるわけです、率直に言って。これ以上この上流県が下流県の犠牲になるのは、これはごめんである。この際、水源地域を思い切って開発をいたしまして、ほんとうに地域住民人たちが、これならばいままで以上の生活が保障できるから、先祖伝来の土地ではあるけれども、まあまあやむなく理解をしてもよろしいのじゃないか、こういう形のものが法律的にきちっとできなければ、これ以上群馬県としては協力できない、水源地域開発法、しかも抜本的な開発法、しかも地域住民生活再建対策を十分に織り込んだ法律をつくるべきである、こういう意見書を建設大臣にも何回かにわたって出していることは、大臣も御存じだろうと思います。  そこで、このような要望を受けまして、昨年、西村建設大臣も、琵琶湖総合開発法の審議の際に、せいぜい勉強いたしまして、次の国会には、いま私が申し上げましたような法案をひとつ考えましょうという趣旨の御答弁もされました。そして政府からいただきました、第七十一国会に対するところの内閣提出予定法案を拝見いたしますと、建設省の中に「水源地域対策法案(仮称)」と書いてありますが、このような法案を国会に提出する予定であるということが記載されております。  聞くところによりますと、経済企画庁を中心といたしまして、関係省庁が寄って、この法案の作成について協議をし、建設省河川局が中心となってこの法案をまとめるということになり、現在立法作業が進められておると聞いております。自民党の御意向等を聞きますと、すでに何回かの会合を持ちまして、ほぼ成案に近い形もでき上がりつつあると聞いておるわけでありますが、一体どのような法案をお考えになっておられるのか。事務当局でけっこうでありますから、御説明をいただきたいと思います。
  342. 松村賢吉

    松村政府委員 水源地域の問題につきましては、ただいま山口先生からいろいろ御指摘がありましたように、これの開発と申しますか、下流の効果に対しまする上流の効果と申しますか、これは非常に重要なことだと思われるわけでございます。  それで、この水源地域の対策法案につきましては、数年来検討を続けておるわけでございますけれども、本年、先ほど先生から言われましたように、経済企画庁が中心になって取りまとめておりましたのですが、建設省が窓口になりまして、これを取りまとめ、今国会に提出をしようということで進めておるわけでございます。  この内容につきましては、——まだ成案が実はできておりません。しかし、この内容につきましては、ある特定のダム、これは条件がございますが、特定のダムをこの法案の対象にいたしまして、この周辺の地域の公共投資あるいは水没者対策、こういうものを積極的に進めていこうという趣旨の法案でございます。
  343. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 昨年、琵琶湖総合開発特別措置法というものが制定されました。当時私も論議に参加をいたしたのですが、これによりますと、総事業費が四千三百億、これに対して通常ベースの国庫補助金が一千七百億、地元負担が一千五百億、水資源公団その他が施行いたします工事が一千百億、合計四千三百億、しかしこれではいかにも地元に対してつれないということで補助の特例を設けまして、約百五十億円、補助金のかさ上げをし、これによって地元の負担金を百五十億減額をする。それからさらに、琵琶湖の水を利用する地方公共団体から百五十億、いわば負担金を徴収をいたしまして、さらに地元の負担を軽減をする。その対象には、県が行なう工事、市町村が行なう工事も含まれる。下水道が中心でありまして、そのほかいろいろな公共事業が計画の中に入っておったわけでありますが、そういう措置をとるということが提案をされました。  今回も同じように、一つの総合開発計画というものを策定し、その策定した事業につきましては、補助金のかさ上げをし、地元負担を軽減する。これは県、市町村も含まれる。さらに、利水のためのダムということであれば、当然利水によって受益するところの地方公共団体から負担金を取って、地元負担を軽減するということは、私は当然だと思うのです。そういう趣旨を織り込むと理解してよろしゅうございますか。
  344. 松村賢吉

    松村政府委員 趣旨については、お説のとおりでございます。ただし、その内容については、先生のおっしゃいましたものが全部包含されるかどうか、これについてはただいま各省寄り集っていろいろ検討しているところでございます。
  345. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それからさらに、私、琵琶湖総合開発特別措置法の審議の際にも、当時の西村建設大臣にお尋ねをいたしたわけですが、琵琶湖の場合はすでに水没をしているわけですね。それを一・五メートル水位を下げるとかなんとかいうことでありますが、とにかく琵琶湖というものはすでに水がたまっておるわけです。しかるに、水源地域対策法で予定する地域は、現在水没しているわけではないのでありまして、りっぱにそこに農地があり、住宅があり、あるいは店舗があり、住民人たちが平和に生活をしているわけで、それが水没するということになれば、生活再建対策というものが中心にならなければいかぬ。  ところで、琵琶湖の法律の中にも、第七条でしたか、生活再建対策を講ずる、こう書いてある。それで昭和三十七年にダムの公共補償について基準を閣議決定していますね。これを思い切って改変する、そういう内容を持ったものなのかとお尋ねをしたところが、そうではありません、昭和三十七年のこの基準の改定というものは、この法律の中においては改正することは考えていない、こうお答えになっておるわけです。そんなものでは話になりませんよということを私は当時申し上げました。この点は一体いかがでございますか。
  346. 大津留温

    ○大津留政府委員 補償の問題でございますので、私からお答え申し上げます。  この琵琶湖の特別法によりましても、この事業によりまして生活の基盤を失うこととなりました方々に対しまして、その損失に対する補償と相まっていろいろ再建の措置を講ずるということになっております。つまり生活再建の措置は補償ではないのだ、補償と相まって行なわれる援護措置といいますか、そういう性格のものというふうになっております。それで生活再建の措置といたしましては、土地や建物のかえ地をあっせんするとか、あるいは職業の紹介、訓練というようなことを積極的にやるということでございます。したがいまして、今回も同様の考えで補償と相まって講ずべきそういった援護措置という考えで臨むわけでございます。
  347. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、昭和三十七年度閣議決定の公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、これはそのままにしておいて、そのほかに「土地又は建物の取得に関すること。」「職業の紹介、指導又は訓練に関すること。」こういう程度のものをあわせてやってやりましょうというものであって、昭和三十七年閣議決定の公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱を改定するというものではないということですね。
  348. 大津留温

    ○大津留政府委員 補償とあわせてそういうことを行なおう、こういう趣旨であります。
  349. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 たいへん残念なお答えでありまして、そういうことでは群馬県が今日まで要望し、あるいは全国知事会等が政府に対して要請してまいりました趣旨とは大きく隔たるものである、かようにいわざるを得ないと思います。大臣どうですか。結局水源地域ダムができる。ダムができますと、ダムをつくるときに、治水のためのアロケーションが水源地域も負担をさせられているわけです。現実にはたいして利益もなくて、アロケーションの負担だけは水源県が負担をさせられている。しかも、いま過疎過密が問題になる。特に過疎地域ですが、そういうところダムができるということになれば、当該町村は経済的にも非常に大きな打撃をこうむるわけです。それでは、そのために一体何の利益が水源地域にあるのかといえば、せいぜいダムができた、観光地だというくらいのものでしょう。しかも、このダムたるや水位が絶えず動くわけですから、観光地としての利用価値もほとんどないわけですね。結局水源地域というのは過疎化がますます促進され、当該の地方公共団体は非常な損失をこうむる、これだけなんですよ。そういうものに対して、従来の補償要綱とは違ったこの際抜本的な施策をとるとか、それからまた、先ほど私が琵琶湖総合開発特別措置法に関連して聞きましたが、いろいろ検討中のようなことを言っておりましたが、市町村に対しては補助金のかさ上げの対象にするけれども、府県は除外しようとか、そういうような意向が強いと実は聞いているわけです。私は、いま御答弁ありましたようなこんな程度の法律をかりに政府がお出しになっても、これでは水源地域人たちの理解と協力というのは全く得られない、かようにいわざるを得ないと思います。政治家の立場に立ってお考えになって、そういった、いま事務当局のお答えいたしましたようなものでは、住民の理解と協力を得るのは困難であろうということは、大臣もおわかりいただけるだろうと思うのです。もっと抜本的な水源地域人たちがほんとうに理解と協力ができるような法案をおつくりになったらどうなんですか。そういうのをつくらぬということならば、私どもは大いに反対運動をやって、群馬県に一切ダムはつくらせぬ、こういう決意でやりますよ。
  350. 金丸信

    金丸国務大臣 山口先生のおっしゃることも、私も政治家ですから、住民合意を得なければやれないということでありますし、そういう意味で、法律をつくる以上、その法律は国民から喜ばれるようなものでなければならぬ。府県も入れるべきだというような考え方につきましては、私もその考えをいま一回検討してみるべきだということで指示してあります。これは十分検討してみたいと思います。
  351. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣の御熱意はわかりました。大臣のいまのお話を一〇〇%生かすような法律でなければ、群馬県民の理解と協力は得られない。そういう事務当局の方々からお答えいただきましたような法律では、反対運動はますます熾烈になるばかげで、群馬ダムをつくることは全く不可能である、こういうことをよく事務当局に申し上げておきましょう。  それから、文化庁の次長さんがお見えでありますのでお尋ねしたいと思うのですが、この八ッ場ダムをつくることを建設省がお考えになっておるわけでありますが、その水没予定地には岩脉、それから吾妻渓谷という名勝と天然記念物がございます。実はこの地域でボーリングの調査をいたしますときにも、現状変更の許可を文化庁のほうに建設省は求めたのではないかと思うのでありますが、ボーリング程度のことならばということで一応許可したということは承知をいたしております。しかし、このダムをつくるということになれば、現在建設省が予定しておりますダム計画によれば、岩脉も完全に水没です。吾妻渓谷も完全に水没です。そういう意味ではせっかくの文化財が失われる、こういう結果になるわけです。いま各地域から文化財を保護しろ、こういう運動が熾烈に起こりまして、文部省としても文化財保護法を改正しなければならぬ、こういう立場で作業をいたしておることも承知をいたしております。一昨年の十一月一日ですか、文化財保護審議会の専門委員の方々が三名現地を調査されたことも承知をいたしております。いま文化庁としては、この貴重な名勝、天然記念物、これについてどのような御見解でありますか。まさかこれを水没させてもよろしい、名勝、天然記念物の指定を解除してもよろしい、このようなことは万が一にもお考えにならぬだろうと思うのですが、念のため文化庁の御意見をひとつ承っておきたいと思うのです。
  352. 清水成之

    ○清水政府委員 ただいま御指摘のとおり、建設省から八ッ場ダムの件につきまして御相談を受けまして、四十六年に調査をいたしました。その調査の所見、これは三人だけの所見でございますが、そういうものを一方勘案いたしますとともに、また多目的ダムの公共性と申しますか、そういう点も文化財保護法では考慮しなければならない、こういうことが規定されておりますので、それらを勘案いたしまして考えてみました場合に、私ども承っております現在の計画によりますと、ダムサイトが吾妻峡の中心になっておるようでございます。したがいまして、文化庁といたしましては、この位置が変更していただけないかどうか、さらにもう少し突っ込んで申しますと、中心部分をはずし、影響のないように、もしおつくりになるならば上流のほうへ動けないものだろうか、ひとつ御調査いただきたいという要請をいたしておる最中でございます。
  353. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣、お聞きになったとおりです。貴重な文化財、天然記念物と名勝があるわけです。せっかく文化庁がただいまお答えいただきましたような要請を建設省にいたしているとするならば、現在伝えられる八ッ場ダム計画というものを一応御破算にして、そしてもっと上流に、文化財、天然記念物や名勝に何ら影響を与えないような方法を考えたほうがいいのじゃないかと思うのですね。この点、建設省いかがでございますか。
  354. 松村賢吉

    松村政府委員 文化財の重要なことも私どもはよく存じ上げております。できれば無傷のまま残しておきたいということは当然のことでございます。しかし、このダムサイトそのものにつきましては、非常にまた一方残されたところが少ないわけで、文化庁からのそういう申し入れがありますから、私どものほうとしては一応調査等もやっておりますが、現在のところでは、まだ確定的な段階にはなっておらない。それで八ッ場ダムにつきましても、これはやはり進めなければ、いままでの利根川の治水、利水の全体計画に大きな支障を来たすということから、またあわせ調査はやっておりますけれども、やはりこのダムは進めなければならないと考えておるのがいまの段階でございます。
  355. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣、とにかくいま開発に対して自然保護をもっと徹底すべきだという世論が高まっています。同じような意味で、貴重な文化財を保護しなければならぬじゃないか、こういう世論もずいぶん高まっているときでもあります。前の大石環境庁長官は、群馬の貴重な自然である尾瀬ヶ臓の保全につきましても勇断をふるって一つの方向を出したことは、大臣も御承知だろうと思います。いまこのような世論の動き等を考えまして、文化庁の見解というものも大臣お聞きいただいたわけでありますから、私は、との点は事務当局事務的な判断だけではなしに、十分高い見地からの判断というものをすべきではないか、かように思います。  時間もありませんので、これで終わりますが、このことに対する大臣の御所見を承りたいと思います。また、私も文教委員会等で、なおこの問題については文部大臣にも十分議論をしてみたいと思っております。
  356. 金丸信

    金丸国務大臣 その問題につきましては十分調査もしますし、同時に私もできればその水源地一帯を一度視察いたしたい、慎重に対処してまいりたい、こう考えております。
  357. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ひとつ大臣、現地を御調査しまして天然記念物と名勝をごらんになると同時に、地域住民の意向を十分聞いてみる機会をぜひつくってください。このことをお願いいたしておきます。
  358. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  次に、宮崎茂一君。
  359. 宮崎茂一

    宮崎分科員 私は、地方開発と申しますか、国土開発の中で、現時点におきまして大都会以外の地方開発をすべきであるという立場に立ちまして、大臣に御質問をいたしたいと思っております。  時間も短いので、簡単に論議を進めてまいりたいと思います。  御承知のように、田中内閣になりましてから日本列島改造論ということが内政の大きな柱になっております。大都会では人口は過密でございますし、そしてまた公害その他の問題が発生いたしておりますから、なるべく産業も人口も大都会から、あるいはまた太平洋ベルト地帯と申していいと思いますが、そういうところから南九州なり青森なりあるいは北陸なり、こういうところへ疎開と申しますか、流れを変えていく、そして日本全体の均衡ある発展をはかっていくということになっているわけだと思います。そのような観点から、こういうような施策を実行いたしますには、建設大臣の持っておられる道路とかあるいはまた都市計画とか、そういったような行政、そういったものは、日本列島改造論を実行する上において一番大きな力があるわけでございます。したがいまして、私は、そういった立場から、建設大臣に四十八年度の予算からそういった趣旨に沿って大いにひとつやっていただきたい、そして地方開発の、いま申し上げましたような日本列島の改造論の方向に踏み出していただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、大臣いかがでございますか。
  360. 金丸信

    金丸国務大臣 仰せのとおり、いわゆる日本列島改造と申しますか、日本総合開発と申しますか、都会へ集中した人口、工場、こういうものが、高度成長のひずみと申しますか、そのために過密過疎という問題が出たわけでありますから、この過密過疎という問題を解消するためには、いわゆる東京あるいは六大都市あるいは太平洋ベルト地帯から、工場なりをかなり間引きして地方分散をする。いわゆる都会地の再開発、そして地方の開発ということは一緒に行なわなければならぬ。そして住みよい、格差のない豊かな地域社会をつくるということが一つの大きな目的であろうと私は思います。  そういう意味で、建設省がやらねばならぬ仕事は、道路の問題にいたしましても住宅の問題にいたしましても、あるいは海岸線の問題にいたしましても、その他すべてこの問題に関連の深い一番の基盤事業だと私は心得ております。そういう意味で、これを推進するにはあくまでも積極的に、ことに私が考えますのは、いままでは、橋がかけてなければ、その橋が流れなければ、あるいはその橋が腐らなければ橋はかけないぞ、しかし別に新しく橋をかけてやれば、その対岸にいる部落の人たちも喜ぶ、そして経済効果もあがる、あるいは隧道にしても、穴一つ掘ってやれば、いままで下宿して家から通えなかった人も、今度は自転車でもオートバイでも通えるというようなことをしてやることが私は建設省の任務だ、積極的に今後これに取り組みたいと考えております。
  361. 宮崎茂一

    宮崎分科員 大臣の力強いことばを聞きまして私どもも非常に意を強うするわけでございます。実は私は鹿児島でございますけれども、鹿児島の例をとって申し上げますが、やはり全国、青森とか北陸とか同じような問題があろうと思っております。したがいまして、一応鹿児島を例にとって申しますと、鹿児島県では、学校卒業者の八割くらいが大都会のほうに就職のために毎年出ております。もういま時分就職列車が鹿児島の駅から東京なり大阪なり名古屋なり北九州なり、こういったところに行っております。これは何も好きこのんで大都会に来るわけではございません。鹿児島には実は職場がないのでございます。したがいまして、私どもが日本列島改造論に示されているような、いま大臣がおっしゃったような住みよい郷土をつくるためには、この人々に鹿児島で職を与えてやりたいと思うわけでございます。そういたしますには、やはり農業だけでは実際職場はふえません。したがいまして、公害のない二次産業、そういうものを持ってきて、そこに職場を拡大していかなければならないと思うわけでございます。それには、何と申しましても、立地条件というものが必要でございます。これはたとえば志布志湾に港をつくるとか、あるいは道路をつくるとかということでございます。  まず手っ取り早いと申しますか、私どもこういう過疎地におりまして都会のほうをながめて一番感じますのは、なるべく早く大阪なり東京なり、あるいはまた福岡なり、こういったところと短時間に結ぶということでございます。東京と結ぶのは空港がございますし、また新幹線鉄道もございますが、高速道路も一つの有力な手段でございます。ただいま鹿児島県では飛行場と鹿児島市を結ぶ高速道路の工事が進められておりますけれども、この高速自動車道路は、今年度から大臣のいまのお話のように力強く進められると思いますが、この高速自動車道路の計画につきまして、日本全体がどういうふうになるのか。社会経済基本計画によりますと一万キロくらいつくるんだというふうになっておりますが、日本全国で何年間にでき上がるものか、そしてまた私が申し上げました、たとえば九州高速自動車道路といったようなものは何年ごろでき上がるのか、大体その辺の、アウトラインでよろしゅうございますから、ひとつ局長から御答弁を願いたいと思います。
  362. 菊池三男

    ○菊池政府委員 国土開発幹線自動車道につきましては、国土開発幹線自動車道建設法によりまして七千六百キロ現在法定路線がありますが、そのうちの約五三%に当たります四千キロがすでに整備計画が出されまして、道路公団に対しまして施行命令を出して、工事を着工中でございます。そのほかに基本計画を出している区間が全線のうち八〇%ございます。  それで、実はこの七千六百キロにつきましては、目標を昭和六十年度に置いていままで鋭意整備をしてまいったわけでございますが、それをもっと繰り上げて達成をはかるべきである。たまたま日本列島改造でも一万キロというようなことが出ております。そのために七千六百キロを繰り上げすべきであるというような考え方で進めております。今度の五カ年計画におきましては——昭和四十八年度から新たな第七次道路整備五カ年計画を策定いたすことになっておりますけれども、その中で昭和五十二年度、五カ年の末までには三千百キロ、全線七千六百キロのうち現在供用しているものも約千キロほどありますが、それをひっくるめまして三千百キロ供用したいというふうに考えております。  それから九州の縦貫道につきましては、現在門司から鹿児島まで全部基本計画が出ております。ただ、整備計画は全線出ておりますが、そのうち八代‐えびの間が整備計画がまだ出ておりません。それ以外につきましては全部工事を着工いたしております。そのうちもうすでに供用したところが南関と熊本の間三十六キロメートル供用しております。またそれ以外に、四十八年度中にはそれを北のほうへ、南関から鳥栖まで延ばして供用する。それから離れまして加治木と鹿児島の間を供用したいというふうに考えております。それから一部その基本計画は出ておりますが、整備計画の抜けております区間につきましても、非常にむずかしい地形のところでございますので、早急に調査を進めていきたいというふうに考えております。
  363. 宮崎茂一

    宮崎分科員 そういたしますと、北九州のほうは八代までは何年ごろでき上がるわけですか。
  364. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほど五カ年で三千百キロと申し上げましたけれども、具体的には五カ年の末までにその分はできるだろうと考えております。  ただ、少しこまかくなりますけれども、門司から北九州のところにつきましては筑豊東という名前でございます。この間につきましては、現在北九州の有料道路を別にやっておりますので、あるいはこの区間は若干ずれるかもわかりませんけれども、八代までは五十二年度までにはできると考えております。
  365. 宮崎茂一

    宮崎分科員 よくわからないのですが、そうすると、鹿児島から福岡まで完成するのは大体何年くらいになりますか。
  366. 菊池三男

    ○菊池政府委員 いまの八代とえびのの間、これがまだ整備計画が出ておりませんので、これから整備計画を出して工事に着工ということになりますと、道路公団の通常のパターンでまいりますと、やはり整備計画を出してから七年くらい完成するまでにかかっております。したがいまして、この区間につきましてはおくれると思います。それからえびのから鹿児島の間、これにつきましてはもうすでに整備計画が出ておりますが、これが全部今度の五カ年に終わるかどうか、あるいは五カ年より少しずれるところが出てくるか、これはまだ四、五年先の問題でございますので、鋭意進めてはまいりますけれども、いまここでいつということは、たいへんむずかしいことじゃないかと思います。
  367. 宮崎茂一

    宮崎分科員 私が先ほど申し上げましたように、この高速自動車道路は、鹿児島と消費都市と申しますか、消費の中心地と申しますか、福岡、北九州といったものとを直結するところに意義があると思うわけです。もちろん道路ですから、そんなに長い距離を結ばなくとも、えびのと鹿児島でも効果はございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、企業を誘致するにはやはり福岡まで貫通しなければその効果は非常に薄いわけでございますね。ですから、これはいまここで議論してもなかなか時間もたつことですから、ひとつ道路局長大臣でもよろしゅうございますが、極力、福岡‐鹿児島間を早く完成するように努力するということをひとつ約束してくれませんか。
  368. 菊池三男

    ○菊池政府委員 できるだけそういうことに沿うように努力いたします。
  369. 宮崎茂一

    宮崎分科員 それでは高速自動車道路の問題はこれで終わります。時間もございませんのでもう一つですが、都市計画の問題でございます。つまり大都市からの人口を地方の都市あるいは過疎地に流れを変えようと申しましても、受け入れる設備がありませんと、なかなかそういうようにうまくいかないわけですね。最近は、東京に就職してどうも非常に住みにくいからというのでいなかに帰りますけれども、いなかのほうもあまりよくないということでまた東京に帰るという例が非常に多いと聞いておるわけです。それはやはりそのような地方都市に受け入れるような住宅、そういうものをつくらなければいかぬと思うのですね。それの基本になるのは都市計画だと思うのです。  この都市計画はいろんな事情で——どうも私、鹿児島のことばかり申し上げて申しわけないんですが、地方の都市もたぶんそうだろうと思うのですが、鹿児島におきましては、なかなかこの都市計画の事業が進んでいないわけです。これは市が悪いのか、県なのかよくわかりませんけれども、しかし、やはりこれは建設大臣の所管であることには間違いないと思うのです。私は、鹿児島市の南部でございますが、鹿児島市は南のほうへだんだん発展しつつございます。そして南のほうに大きな港をつくっております。五万トンの船の出入りする港が完成をいたしております。六十万坪以上の土地ができております。そしていろいろな工場が臨海地帯に立地しつつございます。したがって、住宅がだんだんと建っております。これは鹿児島県の中でも鹿児島市だけが人口がふえまして、あとところはどんどん過疎化していくというような現象です。それに都市計画事業がなかなか進まないわけでございます。道路の一つもないところに家がどんどん建つというようなことで有識者は非常に憂えているわけです。あとから全部自動車を使うようになると、道路が一つも完備していない、これは旧谷山市でございますが、そういうことで、非常に都市計画事業というものに対して、地元の住民がほんとうにこれは何年待ってもできないんじゃないかというようなことを申しておるわけです。  最近では、いろいろと何かあるというと政府・自民党が悪いんだということばがございますが、アメリカがドルを一〇%切り下げると政府・自民党が悪いんだ、こう言いますけれども、公共事業ばかりはどうもそれに対して反対できないようなことになりますね、都市計画が進んでいないと。これも政府・自民党が悪いんじゃないか、こう言われますと、どこに問題があるのか私どもも迷うわけでございますが、予算が少ないのか、やはりいろんな問題があるだろうと思いますけれども、建設省におかれましても、十分ひとつこの監督というのですか、それをやっていただいて、住民の側に立って、住民の気持ちになって、都市計画事業の支障のないように、特にこれから地方都市のほうへひとつ大都会の人口を向けようというような国の大きな政策ですから、そういう点でひとつ御努力願いたいと思うわけでございます。  なお、もう一つ申し上げますと、港と港の中には埋め立てでできますので、りっぱな四車線の道路ができている。それと旧市街と結ぶことになりますと、旧市街はもうほとんど二車線もないような細い道路でございまして、明らかに区別がついているのです。四車線の道路から急にうんと狭くなる。そこに交通の渋滞が起こっております。ですから、それが短期間だといいのですが、長期間、長いこと放置されているというようなことで、非常にこういった事業に対する住民の不信というものが起きているわけでございます。  それから、また先ほど鹿児島の空港の話が出ましたけれども、これは空港だけは去年の四月か三月にりっぱな空港ができたわけです。ところが、鹿児島市に行く高速自動車道路をつくるということで、道路のほうができないわけですね。それで、私どもも、いままで私のうちから飛行場まで十分かかって行ったのですが、鴨池飛行場は、新空港ができましてから高速道路ができないので、一時間半かかるのですね。それは私だけではない。鹿児島市民が全部そういう不平を言っているわけなんです。この道路事業というのは、高速道路事業か、都市計画事業かわかりませんけれども、もっと早くひとつやってくれそうなものだ、そういったような不平というか、そういうものが実は出ているわけです。私は、田中内閣になったのだから、今度は四十八年度からは大いにひとつやるのだ、これは過疎地ですね、鹿児島みたいなところは大いにやってくださるのだということを言ってはおるのですけれども、四十八年度から、ひとつそういったようなほんとうに目に見えて住民がはだで不便を感じているというところを、一つ一つそういうのをなくしていくということが私は一番政治家として必要なことではないかと思うのです。大きな計画とかいうこともさることながら、いまほんとうにこれじゃだめだ、これは直してもらわぬといかぬということですね。こういうことを、全国を見ますというと広範囲な事業でございましょうけれども、一つ一つ丹念にやっていただきたいと思うのですが、建設大臣いかがですか、こういう点は。
  370. 金丸信

    金丸国務大臣 全国広範な関係のことですから、予算も限界があることですが、ただし、緊急度という問題を十分にわきまえて、いま先生のおっしゃるような問題についてはひとつ思い切ってやっちまおうというような考え方——あっちもやったり、こっちもやったりというような考え方でなくて、一つ一つ完成する、またそれが道路の目的にも合致すると私は思うのですよ。そういう考え方で進めてまいりたいと思います。
  371. 宮崎茂一

    宮崎分科員 建設大臣の力強いことばがございましたので安心いたしたわけでございますが、もう一つ申し上げたいのは、住宅地の問題でございますけれども、鹿児島でもいま宅地造成が方々に行なわれております。宅造のほうはできますけれども、それの取りつけ道路がなかなかできないという問題もございます。また全国的に見ますと、このごろ、もう山を切って宅造をするというようなやつは、だいぶ緑の町にしたいというような関係から反対もございます。それで私は、沼とか、そういった公有水面も、場所によっては大いに埋めて、宅地の確保をするというようなことばどうだろうかと思うわけでございますが、いままでは埋め立てといいますとすぐ臨海工業だ、こういうふうな感じで言われておりますけれども、適地があれはやはり住宅用地に公有水面を使うというようなことも——いままで福岡でもやっておりますし、千葉でも一部やりました。今度千葉でもやるんじゃないかと思いますが、そういう点につきましては、これは鹿児島の問題ではないのですが、大臣、土地がない時代でございますから、ひとつなるべくいろいろな手を考えて宅地造成をされるべきじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  372. 金丸信

    金丸国務大臣 これは流れた話なんでございますが、橋本幹事長が宅地公団をつくるというような意見もあった。それは、宅地を造成しなさいということで、その造成は海岸というような話もあるけれども、その海岸という問題はなかなか大きな仕事でありますが、いま先生のおっしゃられることは手っとり早い話で、すぐ右から左へやれることであるので、そういう問題につきまして関係局とよく話し合いまして、御期待に沿えるようにいたしてまいりたいと思います。
  373. 宮崎茂一

    宮崎分科員 私は大体質問を終わったわけでございますが、日本列島改造ということは一年や二年でできる問題でもございませんので、ひとつしんぼう強く一つ一つやっていただく。そうして十年、二十年というような歳月がたてば、あの趣旨に沿って日本も非常によくなるのじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、いろんな批判はございましょうけれども、そういう精神に従って大臣にひとつ勇断をふるっていただいて、この建設事業を大いに伸ばしていただき、日本のこれからの発展のために努力していただきたいと思うわけでございます。特に、大都会あるいは太平洋ベルト地帯からそうでない地方のほうへ力を注いでいただいて、ひとつ今年度予算から気分を新たにしてやっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  374. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて宮崎茂一君の質疑は終了いたしました。  次回は明七日午前十時より開会し、引き続き建設省所管を審査し、午後は郵政省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後八時三十三分散会